この開示の特徴とするところを、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示すリニア振動モータの模式的な形態および実施形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さないことがある。
−リニア振動モータの模式的な形態−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態を示すリニア振動モータ100について、図1および図2を用いて説明する。
図1(A)は、リニア振動モータ100の、筺体1の第1の部分1a(後述)を除いたときの平面図である。図1(B)は、図1(A)に示されたA−A線を含む面で切断されたリニア振動モータ100の矢視断面図である。図1(C)は、図1(B)に示されたB−B線を含む面で切断されたリニア振動モータ100の矢視断面図である。また、図2は、リニア振動モータ100の分解斜視図である。
リニア振動モータ100は、図1および図2に示されるように、筺体1(第1の筺体)と、振動子2と、コイル3と、第3の磁石M3とを備えている。
筺体1は、第1の部分1aと第2の部分1bとを含み、内壁W1ないしW4を有している。リニア振動モータ100において、第1の部分1aは平板状の蓋部であり、第2の部分1bは容器部となっている。すなわち、筺体1は、密閉構造となっているが、形状はこれに限られない。例えば、筺体1は、筒状であってもよく、部分的に開口を備えていてもよい。なお、第2の部分1bは、後述するように、容器部本体1b1と固定部1b2とを含んでいるが、固定部1b2の図示は省略されている(以下同様)。
内壁W1は、図1(B)に示された筺体1の底面に相当し、内壁W2は、内壁W1と対向する筺体1の天面に相当する。また、内壁W3、W4は、図1(B)に示された筺体1の側壁面に相当する。
振動子2は、筺体1の第2の部分1b内に収容されている。リニア振動モータ100において、振動子2は、2つの第1の磁石M1と、第2の磁石M2と、第4の磁石M4と、基板2aとを含んでいる。2つの第1の磁石M1は、それぞれ後述するコイル3の巻線部と対向するように、第1の方向Dに沿って基板2aの中央部に間隔をおいて固定されている。また、2つの第1の磁石M1は、磁極の配列方向がコイル3の巻回軸線とそれぞれ平行、かつ互いに逆向きとなるように配置されている。
図1(B)では、2つの第1の磁石M1のうち、一方の第1の磁石M1のS極がコイル3の巻線部と対向し、他方の第1の磁石M1のN極がコイル3の巻線部と対向している。このように配置されることにより、後述するコイル3に加わるローレンツ力を大きくすることができる。なお、コイル3の巻回軸線とは、仮想的な軸線である。コイル3は、その巻回軸線の周りに導体線が巻回されることにより形成される。
リニア振動モータ100において、2つの第1の磁石M1は、同じ形状となっている。すなわち、2つの第1の磁石M1は、第1の方向Dから見たとき、互いに重なって見える。ただし、第1の磁石M1の形状は、これに限られない。なお、第1の磁石M1は1つだけでもよい。
コイル3は、通電されることにより、振動子2が第1の方向Dに沿って振動可能となるように第1の磁石M1に駆動力を与える。図1および図2において、コイル3の巻線およびコイル3への通電経路(配線経路)などの図示は省略されている。リニア振動モータ100において、コイル3は、上記の巻回軸線が筺体1の第1の部分1aの法線方向と平行となる、すなわち巻回軸線が第1の方向Dと直交するように、筺体1の内壁W2に固定されている。巻回軸線方向からコイル3を見たときの形状は、角部が丸められた矩形状である。
コイル3に電流が流れると、コイル3には、第1の磁石M1の磁界により、磁界の向きおよび電流の流れる向きのそれぞれと直交する向きのローレンツ力が加わる。一方、コイル3は、筺体1に固定されているので、第1の磁石M1にローレンツ力の反力が加わる。したがって、コイル3は、通電により第1の磁石M1に、延いては振動子2に第1の方向Dに沿った駆動力を与えることになる。すなわち、第1の磁石M1は、リニア振動モータ100において、駆動磁石として機能している。
前述したように、コイル3の巻回軸線方向から見たときの形状が矩形状である場合、コイル3が円環状である場合よりも、前述のローレンツ力の方向が第1の方向Dに揃いやすい。そのため、振動子2に与えられる第1の方向Dに沿った駆動力が大きくなり好ましい。
第2の磁石M2は、磁極の配列方向が第1の方向Dと平行、かつ後述する第3の磁石M3と互いに反発する配置で、基板2aの一方側の端部に固定されている。ここで、第2の磁石M2は、振動子2と筺体1との衝突を避けるため、振動前の第2の磁石M2と第3の磁石M3との間隔が、基板2aの端面と筺体1との間隔以下となるように、基板2aに固定される。この場合、磁気ばね機構が効果的に作用する。小型化の観点からすれば、振動前の第2の磁石M2と第3の磁石M3との間隔が、基板2aの端面と筺体1との間隔と同一であることが好ましい。
第3の磁石M3は、前述したように、磁極の配列方向が第1の方向Dと平行、かつ第1の方向Dに沿って第2の磁石M2と互いに反発する配置で、筺体1の内壁W1に固定されている。
第4の磁石M4は、磁極の配列方向が第1の方向Dと平行、かつ第1の方向Dに沿って第3の磁石M3と互いに反発する配置で、振動子2の基板2aに固定されている。第4の磁石M4も、第2の磁石M2と同様に、振動前の第4の磁石M4と第3の磁石M3との間隔が、基板2aの端面と筺体1との間隔以下となるように、好ましくは同一の間隔で基板2aに固定される。
図1(A)に示されているように、第2の磁石M2および第4の磁石M4は、平面視で第3の磁石M3を挟むようにして、同一の軸線上に配置されている。また、図1(B)に示されているように、第3の磁石M3のN極と第2の磁石M2のN極とが互いに対向し、第3の磁石M3のS極と第4の磁石M4のS極とが互いに対向している。これにより、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4は、振動子2の第1の方向Dに沿った振動に対する磁気ばね機構を構成している。
そして、第1の方向Dから見たとき、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4は、それぞれの一部が重なっている。ここで、第1の方向Dから見たときの2つの第1の磁石M1の重なった領域の重心を通り、第1の方向Dに平行な軸線を、第1の軸線A1とする。前述したように、2つの第1の磁石M1は同じ形状を有しているため、2つの第1の磁石M1の重なった領域の重心は、第1の磁石M1の面の重心と等しい。また、第1の方向Dから見たときに第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4が互いに重なった領域の重心を通り、第1の方向Dに平行な軸線を、第2の軸線A2とする。
上記のように規定したとき、第1の軸線A1とコイル3との間隔L1は、第2の軸線A2とコイル3との間隔L2より短い。
ここで、第1の磁石M1の面の重心とは、第1の方向から見た第1の磁石M1の外周により表される図形の重心を指す。また、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4が互いに重なった領域の重心とは、第1の方向から見てそれぞれの磁石が互いに重なった領域の外周により表される図形の重心を指す。そして、各軸線とコイルとの間隔とは、各軸線と筺体1から遠い側のコイル3の先端との間の距離を指す。
リニア振動モータ100では、振動子2の駆動磁石である第1の磁石M1と、磁気ばね機構を構成する第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4とが、1つの軸線上に配置されていない。すなわち、駆動磁石を通る第1の軸線A1と磁気ばね機構を通る第2の軸線A2とが分離されており、第2の軸線A2が第1の軸線A1に比べてコイル3から離れた位置にある。
ここで、リニア振動モータ100の動作について、図3を用いて説明する。図3(A)ないし(D)は、リニア振動モータ100の一連の動作を説明する、それぞれ図1(B)に相当する断面図である。
図3(A)は、振動子2が振動しておらず、コイル3に通電が開始された状態を示している。ここで、コイル3の左側の断面に付されている記号は、図上で奥側から手前側に向かって電流が流れていることを表している。同様に、コイル3の右側の断面に付されている記号は、図上で手前側から奥側に向かって電流が流れていることを表している。また、第1の磁石M1のN極から出る上向きの矢印、およびS極に入る下向きの矢印は、第1の磁石M1が発生させている磁界の向きを表している。
コイル3に上記の向きで電流が流れると、コイル3には、第1の磁石M1の磁界により、磁界の向きおよび電流の流れる向きのそれぞれと直交する向きのローレンツ力(図上の薄く塗りつぶされた右向きの矢印)が加わる。一方、コイル3は筺体1に固定されているので、第1の磁石M1にローレンツ力の反力(図上の濃く塗りつぶされた左向きの矢印)が加わる。したがって、振動子2には、振動子2を第1の方向Dに沿って図上の左側に動かす駆動力が与えられる。
この状態において、磁気ばね機構を構成する各磁石を通る第2の軸線A2は、振動子2の駆動磁石である第1の磁石M1を通る第1の軸線A1に比べてコイル3から離れた位置にある。すなわち、第2の磁石M2および第4の磁石M4の磁界の、コイル3に加わるローレンツ力への影響は抑制されている。
図3(B)は、振動子2が図上の左側に動いた後、コイル3に流れる電流の向きを反転させた状態を示している。振動子2が左側に動くと、振動子2の第4の磁石M4と筺体1の第2の部分1bに固定された第3の磁石M3とが接近し、両者の間の反発力が大きくなる。その結果、第4の磁石M4には、第4の磁石M4を図上の右側に動かす力(図上の白い右向きの矢印)が加わる。一方、第3の磁石M3には、第3の磁石M3を図上の左側に動かす力(図上の白い左向きの矢印)が加わる。そして、この第3の磁石M3に加わる力は、第3の磁石M3が固定されている筺体1の第2の部分1bを変形させる。図3(B)に示された変形は、模式的に表されている(以下同様)。
そして、コイル3に流れる電流の向きを反転させると、コイル3には、図3(A)に示された向きと逆向きのローレンツ力が加わる。ただし、コイル3の巻回軸線方向から見たときの、コイル3の巻線部と第1の磁石M1とが重なる面積が、図3(A)に示された状態より小さくなっているので、生じるローレンツ力の大きさは小さくなっている(図上の薄く塗りつぶされた左向きの小さな矢印)。そして、このローレンツ力の反力が、第1の磁石M1に加わる(図上の濃く塗りつぶされた右向きの小さな矢印)。
したがって、前述の第4の磁石M4に加わる力とローレンツ力の反力とにより、振動子2には、振動子2を第1の方向Dに沿って図上の右側に動かす駆動力が与えられる。
この状態においても、磁気ばね機構を構成する各磁石を通る第2の軸線A2は、振動子2の駆動磁石である第1の磁石M1を通る第1の軸線A1に比べてコイル3から離れた位置にある。すなわち、第4の磁石M4の磁界の、コイル3に加わるローレンツ力への影響は抑制されている。
図3(C)は、振動子2が図上の右側に動いた後、コイル3に流れる電流の向きを反転させた状態を示している。振動子2が右側に動くと、振動子2の第2の磁石M2と筺体1の第2の部分1bに固定された第3の磁石M3とが接近し、両者の間の反発力が大きくなる。その結果、第2の磁石M2には、第2の磁石M2を図上の左側に動かす力(図上の白い左向きの矢印)が加わる。一方、第3の磁石M3には、第3の磁石M3を図上の右側に動かす力(図上の白い右向きの矢印)が加わる。そして、この第3の磁石M3に加わる力は、第3の磁石M3が固定されている筺体1の第2の部分1bを、図3(B)の場合と逆方向に変形させる。
そして、コイル3に流れる電流の向きを反転させると、コイル3には、図3(B)に示された向きと逆向きのローレンツ力が加わる。図3(B)に示された状態と同様に、生じるローレンツ力の大きさは小さくなっている(図上の薄く塗りつぶされた右向きの小さな矢印)。そして、このローレンツ力の反力が、第1の磁石M1に加わる(図上の濃く塗りつぶされた左向きの小さな矢印)。
したがって、前述の第2の磁石M2に加わる力とローレンツ力の反力とにより、振動子2には、振動子2を第1の方向Dに沿って図上の左側に動かす駆動力が与えられる。
この状態においても、磁気ばね機構を構成する各磁石を通る第2の軸線A2は、振動子2の駆動磁石である第1の磁石M1を通る第1の軸線A1に比べてコイル3から離れた位置にある。すなわち、第2の磁石M2の磁界の、コイル3に加わるローレンツ力への影響は抑制されている。
図3(D)は、図3(C)で説明した動作により、振動子2が図3(B)と同じ状態となったことを示している。すなわち、第4の磁石M4の磁界の、コイル3に加わるローレンツ力への影響は抑制されている。また、第3の磁石M3が固定されている筺体1の第2の部分1bは、図3(B)の場合と同方向に変形する。以上で説明した第1の方向Dに沿った振動子2の振動は、磁気ばね機構を構成する第3の磁石M3の振動となって筺体1に伝わり、リニア振動モータ100の振動となる。
したがって、リニア振動モータ100では、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。その結果、上記のローレンツ力の反力として振動子2に加わる力の減少が抑制でき、リニア振動モータ100の振動の減少を抑制することができる。
なお、振動子2が第1の方向Dに沿って振動可能となるために、振動子2が筺体1の第2の部分1b内で支持される構造は特に限定されない。一例として、リニア振動モータ100においては、図1および図2に示されているように、振動子2が第1の摺動機構4aと第2の摺動機構4bとを含む摺動機構4により支持されている。
リニア振動モータ100において、振動子2は、筺体1の内壁W3と第1の摺動機構4aにより接続されており、筺体1の内壁W4と第2の摺動機構4bにより接続されている。摺動機構4の構造は、特に限定されない。一例として、図1(C)に示されているように、ガイドレールとボールベアリングなどが用いられた移動体とを備え、ガイドレール上での移動体の運動時における摩擦が低減された摺動機構を用いることができる。ガイドレールは筺体1側に固定され、移動体は振動子2側に固定される。
−リニア振動モータの模式的な形態の第1の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第1の変形例であるリニア振動モータ100Aについて、図4を用いて説明する。
図4(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Aの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。リニア振動モータ100Aは、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4の数、ならびに配置がリニア振動モータ100と異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100と同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Aでは、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4が、それぞれ同じ形状を有している2つの磁石を含んでいる。そして、第1の方向Dから見たとき、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4の一方の一部が重なっている。また、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4の他方の一部が重なっている。
すなわち、リニア振動モータ100Aでは、2つの磁気ばね機構が並列状態で配置されている。したがって、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4が互いに重なった領域の重心を通り、第1の方向Dに平行な軸線である第2の軸線A2が2本ある。
リニア振動モータ100Aにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。
また、リニア振動モータ100Aでは、前述したように、2つの磁気ばね機構が並列状態で配置されている。そのため、磁気ばね機構の各磁石の取り付け位置の誤差などの影響を抑制することができる。
−リニア振動モータの模式的な形態の第2の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第2の変形例であるリニア振動モータ100Bについて、図5および図6を用いて説明する。
図5(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Bの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。また、図6は、リニア振動モータ100Bの分解斜視図である。リニア振動モータ100Bは、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4の位置関係がリニア振動モータ100と異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100と同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Bでは、図5(A)に示されているように、第2の磁石M2は、磁極の配列方向が第1の方向Dと平行となるように、基板2aの中央部に固定されている。また、第3の磁石M3および第4の磁石M4は、平面視で第2の磁石M2を挟み、第2の磁石M2と互いに反発する磁極の配置で、同一の軸線上で筺体1の第2の部分1bに固定されている。
ここで、第3の磁石M3は、リニア振動モータ100と同様に、振動子2と筺体1との衝突を避けるため、振動前の第2の磁石M2と第3の磁石M3との間隔が、基板2aの端面と筺体1との間隔以下となるように、基板2aに固定される。この場合、磁気ばね機構が効果的に作用する。小型化の観点からすれば、振動前の第2の磁石M2と第3の磁石M3との間隔が、基板2aの端面と筺体1との間隔と同一であることが好ましい。
また、第4の磁石M4も、第3の磁石M3と同様に、振動前の第4の磁石M4と第3の磁石M3との間隔が、基板2aの端面と筺体1との間隔以下となるように、好ましくは同一の間隔で基板2aに固定される。
すなわち、図5(B)に示されているように、第2の磁石M2のN極と第3の磁石M3のN極とが互いに対向し、第2の磁石M2のS極と第4の磁石M4のS極とが互いに対向している。これにより、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4は、振動子2の第1の方向Dに沿った振動に対する磁気ばね機構を構成している。
そして、第1の方向Dから見たとき、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4は、リニア振動モータ100と同様に、それぞれの一部が重なっている。
リニア振動モータ100Bにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。
なお、リニア振動モータ100Bは、リニア振動モータ100Aのように、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4が、それぞれ同じ形状を有している2つの磁石を含んでいてもよい。
−リニア振動モータの模式的な形態の第3の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第3の変形例であるリニア振動モータ100Cについて、図7を用いて説明する。
図7(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Cの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。リニア振動モータ100Cは、第5の磁石M5をさらに備えることがリニア振動モータ100と異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100と同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Cは、駆動磁石として、第1の磁石M1に加えて第5の磁石M5をさらに備えている。第5の磁石M5は、図7(A)および(B)に示されているように、磁極の配列方向が第1の方向Dと平行となり、2つの第1の磁石M1の間に挟まれるように、基板2aの中央部に固定されている。
2つの第1の磁石M1は、前述したように、磁極の配列方向がコイル3の巻回軸線とそれぞれ平行となる、すなわち第1の方向Dと直交し、かつ互いに逆向きとなるように配置されている。また、第5の磁石M5は、2つの第1の磁石M1および第5の磁石M5が構成する磁石の配列の磁界が、第1の磁石M1と第5の磁石M5とを備えた駆動磁石とコイル3との間に集中するように配置されている。
具体的には、2つの第1の磁石M1の一方(図7における左側の第1の磁石M1)の磁極は、コイル3に対向する側がS極であり、基板2aに対向する側がN極である。また、2つの第1の磁石M1の他方(図7における右側の第1の磁石M1)の磁極は、コイル3に対向する側がN極であり、基板2aに対向する側がS極である。そして、第5の磁石M5の磁極は、2つの第1の磁石M1の一方に対向する側がS極であり、他方に対向する側がN極である。
この開示においては、駆動磁石による磁界を、駆動磁石と振動子を駆動させるコイルとの間に集中させることができる、駆動磁石の各磁石の配列を、広義にハルバッハ配列と呼称する。ハルバッハ配列を構成する磁石の数は3個以上の奇数であればよい。
リニア振動モータ100Cにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。
また、リニア振動モータ100Cでは、駆動磁石に第5の磁石M5が加えられることにより、駆動磁石による磁界が駆動磁石とコイル3との間に集中し、駆動磁石が第1の磁石M1だけである場合よりも、コイル3に作用する磁界を強めることができる。したがって、コイル3に加わるローレンツ力を大きくすることができる。その結果、ローレンツ力の反力として振動子2に加わる力を大きくすることができ、振動子2によるリニア振動モータ100の振動を大きくすることができる。
なお、リニア振動モータ100Cは、リニア振動モータ100Aのように、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4が、それぞれ同じ形状を有している2つの磁石を含むようにしてもよい。また、リニア振動モータ100Cは、リニア振動モータ100Bのような磁気ばね構造となっていてもよい。
−リニア振動モータの模式的な形態の第4の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第4の変形例であるリニア振動モータ100Dについて、図8を用いて説明する。
図8(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Dの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。リニア振動モータ100Dは、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4の数、ならびに位置関係がリニア振動モータ100と異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100と同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Dでは、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4が、それぞれ同じ形状を有している2つの磁石を含んでいる。基板2aの一方側面(内壁W3に対向する側面)および他方側面(内壁W4に対向する側面)には、それぞれ凹部が形成されている。
2つの第2の磁石M2は、一方が基板2aの一方側面に形成された凹部に配置され、他方が基板2aの他方側面に形成された凹部に配置されている。2つの第4の磁石M4も、一方が基板2aの一方側面に形成された凹部に配置され、他方が基板2aの他方側面に形成された凹部に配置されている。
第3の磁石M3の一方は、一部が基板2aの一方側面側の凹部に入り込んでいる。そして、第3の磁石M3の一方は、第1の方向Dから見たとき、第2の磁石M2の一方と第4の磁石M4の一方とそれぞれ対向する配置で、筺体1の第2の部分1bに固定されている。また、2つの第3の磁石M3の他方は、一部が基板2aの他方側面側の凹部に入り込んでいる。そして、第1の方向Dから見たとき、第2の磁石M2の他方と第4の磁石M4の他方とそれぞれ対向する配置で、筺体1の第2の部分1bに固定されている。
第1の方向Dから見たとき、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4の一方の一部は、互いに重なっている。また、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4の他方の一部は、互いに重なっている。
すなわち、リニア振動モータ100Dでも、2つの磁気ばね機構が並列状態で配置されている。したがって、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4が互いに重なった領域の重心を通り、第1の方向Dに平行な軸線である第2の軸線A2が2本ある。
リニア振動モータ100Dにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。また、2つの磁気ばね機構が並列状態で配置されていることにより、磁気ばね機構の各磁石の取り付け位置の誤差などの影響を抑制することができる。さらに、磁気ばね機構を構成する各磁石が基板2aの側面に備えられているので、リニア振動モータ100Dを低背化することができる。
なお、リニア振動モータ100Dは、リニア振動モータ100Cのように、第5の磁石をさらに備え、2つの第1の磁石M1および第5の磁石M5により構成された駆動磁石とコイル3との間に、駆動磁石による磁界が集中するようにしてもよい。また、リニア振動モータ100Dは、リニア振動モータ100Bのような磁気ばね構造となっていてもよい。
−リニア振動モータの模式的な形態の第5の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第5の変形例であるリニア振動モータ100Eについて、図9を用いて説明する。
図9(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Eの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。リニア振動モータ100Eは、第1の磁石M1および第2の磁石M2の形態が第2の変形例であるリニア振動モータ100Bと異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100Bと同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Eでは、2つの第1の磁石M1は、基板2aを貫通しており、前述の筺体1の内壁W2側である第1の部分と、筺体1の内壁W1側である第2の部分とを有している。2つの第1の磁石M1は、磁極の配列方向がコイル3の巻回軸線とそれぞれ平行、かつ互いに逆向きとなるように配置されている。すなわち、第1の磁石M1の第1の部分は、リニア振動モータ100と同様に駆動磁石として機能している。
そして、第1の方向Dから見たとき、2つの第1の磁石M1のうち一方の第2の部分と第3の磁石M3の一部とが重なっており、他方の第2の部分と第4の磁石M4の一部とが重なっている。また、一方の第2の部分と第3の磁石M3とが互いに反発する配置となっており、他方の第2の部分と第4の磁石M4とが互いに反発する配置となっている。
これにより、2つの第1の磁石M1のそれぞれの第2の部分、第3の磁石M3および第4の磁石M4は、振動子2の第1の方向Dに沿った振動に対する磁気ばね機構を構成している。すなわち、リニア振動モータ100Eでは、第1の磁石M1の一部が第2の磁石M2となっている。
ここで、第1の軸線A1は、リニア振動モータ100と同様に、第1の方向Dから見たときの2つの第1の磁石M1の重なった領域の重心を通り、第1の方向Dに平行な軸線とする。また、第2の軸線A2は、第1の方向Dから見たときに2つの第1の磁石M1のそれぞれの第2の部分、第3の磁石M3および第4の磁石M4が互いに重なった領域の重心を通り、第1の方向Dに平行な軸線とする。上記のように規定したとき、第1の軸線A1とコイル3との間隔L1は、第2の軸線A2とコイル3との間隔L2より短い。
リニア振動モータ100Eにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。
また、リニア振動モータ100Eでは、上記のように第1の磁石M1の一部がリニア振動モータ100Bにおける第2の磁石M2となっている。そのため、リニア振動モータ100Eを構成する磁石の数を減らすことができる。
なお、リニア振動モータ100Eは、2つの第1の磁石M1の一方および他方がそれぞれ複数であり、第3の磁石M3および第4の磁石M4が、それらに対応したそれぞれ同じ形状を有している複数の磁石を含んでいてもよい。
−リニア振動モータの模式的な形態の第6の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第6の変形例であるリニア振動モータ100Fについて、図10を用いて説明する。
図10(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Fの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。リニア振動モータ100Fは、第1の磁石M1および第2の磁石M2の形態が第5の変形例であるリニア振動モータ100Eと異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100Eと同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Fでは、リニア振動モータ100Eと同様に、2つの第1の磁石M1は、基板2aを貫通しており、前述の筺体1の内壁W2側である第1の部分と、筺体1の内壁W1側である第2の部分とを有している。ただし、リニア振動モータ100Fにおける第1の磁石M1は、図10(B)に示されるように、第1の部分と第2の部分とでL字を成すように曲がっている。なお、第1の磁石M1は、角がとられて滑らかに曲がっていることが好ましい。
2つの第1の磁石M1のそれぞれの第1の部分は、磁極の配列方向がコイル3の巻回軸線とそれぞれ平行、かつ互いに逆向きとなっている。図10(B)では、2つの第1の部分の一方において、S極がコイル3の巻線部と対向し、2つの第1の部分の他方において、N極がコイル3の巻線部が対向している。すなわち、第1の磁石M1の第1の部分は、リニア振動モータ100と同様に駆動磁石として機能している。
そして、第1の方向Dから見たとき、2つの第1の磁石M1の一方における第2の部分と第3の磁石M3の一部とが重なっており、他方における第2の部分と第4の磁石M4の一部とが重なっている。また、2つの第1の磁石M1の一方における第2の部分と第3の磁石M3とが互いに反発する配置となっており、他方の第2の部分と第4の磁石M4とが互いに反発する配置となっている。図10(B)では、2つの第2の部分の一方において、N極が第3の磁石M3のN極と対向し、他方において、S極が第4の磁石M4のS極と対向している。
これにより、2つの第1の磁石M1のそれぞれの第2の部分、第3の磁石M3および第4の磁石M4は、振動子2の第1の方向Dに沿った振動に対する磁気ばね機構を構成している。すなわち、リニア振動モータ100Fでも、リニア振動モータ100Eと同様に、第1の磁石M1の一部が第2の磁石M2となっている。
ここで、第1の軸線A1および第2の軸線A2は、リニア振動モータ100Eと同様に定義される。そして、第1の軸線A1とコイル3との間隔L1は、第2の軸線A2とコイル3との間隔L2より短い。
リニア振動モータ100Fにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。 また、リニア振動モータ100Fでは、リニア振動モータ100Eと同様に、リニア振動モータ100Fを構成する磁石の数を減らすことができる。
なお、リニア振動モータ100Fでも、2つの第1の磁石M1の一方および他方がそれぞれ複数であり、第3の磁石M3および第4の磁石M4が、それらに対応したそれぞれ同じ形状を有している複数の磁石を含んでいてもよい。
−リニア振動モータの模式的な形態の第7の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第7の変形例であるリニア振動モータ100Gについて、図11を用いて説明する。
図11(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Gの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。リニア振動モータ100Gは、第1の磁石M1および第2の磁石M2の形態が第5の変形例であるリニア振動モータ100Eと異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100Eと同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Gでは、リニア振動モータ100Eと同様に、2つの第1の磁石M1は、基板2aを貫通しており、前述の筺体1の内壁W2側である第1の部分と、筺体1の内壁W1側である第2の部分とを有している。
リニア振動モータ100Gは、リニア振動モータ100Eの構成に加え、2つの軟磁性体SFをさらに備えている。軟磁性体SFには、例えばFe、ケイ素鋼、パーマロイ、アモルファス磁性合金などが用いられる。軟磁性体SFは、図11(B)に示されるように、第1の磁石M1の第2の部分の端部に接続されており、第1の磁石M1と軟磁性体SFとでL字を成している。その場合、軟磁性体SFは、第1の磁石M1によって磁化される。そのため、第1の磁石M1と軟磁性体SFとは、1つの擬似的なL字状の磁石のように振る舞う。すなわち、第1の磁石M1の磁極の配列方向を、軟磁性体SFによって変えることができる。
したがって、リニア振動モータ100Gにおける第1の磁石M1と軟磁性体SFとは、リニア振動モータ100Fの第1の磁石M1と同様な機能を有する。軟磁性体SFは、図11(B)に示されるように、第1の磁石M1の第2の部分の端部に接続されたときに、第1の磁石M1と軟磁性体SFとが滑らかに曲がったL字を成すような形状であることが好ましい。
2つの第1の磁石M1のそれぞれの第1の部分は、磁極の配列方向がコイル3の巻回軸線とそれぞれ平行、かつ互いに逆向きとなっている。図11(B)では、2つの第1の部分の一方において、S極がコイル3の巻線部と対向し、2つの第1の部分の他方において、N極がコイル3の巻線部が対向している。すなわち、第1の磁石M1の第1の部分は、リニア振動モータ100と同様に駆動磁石として機能している。
そして、第1の方向Dから見たとき、2つの軟磁性体SFの一方と第3の磁石M3の一部とが重なっており、他方と第4の磁石M4の一部とが重なっている。また、軟磁性体SFの一方と第3の磁石M3とが互いに反発する配置となっており、他方と第4の磁石M4とが互いに反発する配置となっている。図11(B)では、第1の磁石M1により磁化された2つの軟磁性体SFの一方において、N極が第3の磁石M3のN極と対向し、他方において、S極が第4の磁石M4のS極と対向している。
これにより、2つの軟磁性体SF、第3の磁石M3および第4の磁石M4は、振動子2の第1の方向Dに沿った振動に対する磁気ばね機構を構成している。すなわち、リニア振動モータ100Gでは、軟磁性体SFが第2の磁石M2となっている。
ここで、第1の軸線A1および第2の軸線A2は、リニア振動モータ100Eと同様に定義される。そして、第1の軸線A1とコイル3との間隔L1は、第2の軸線A2とコイル3との間隔L2より短い。
リニア振動モータ100Gにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。 また、リニア振動モータ100Gでは、リニア振動モータ100Gを構成する磁石を安価な軟磁性体で置き換えることにより、製造コストを低減することができる。
なお、リニア振動モータ100Gでも、2つの第1の磁石M1の一方および他方がそれぞれ複数であり、それらにそれぞれ軟磁性体SFが接続され、そして第3の磁石M3および第4の磁石M4が、それらに対応したそれぞれ同じ形状を有している複数の磁石を含んでいてもよい。
−リニア振動モータの模式的な形態の第8の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第8の変形例であるリニア振動モータ100Hについて、図12を用いて説明する。
図12(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Hの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。リニア振動モータ100Hは、第6の磁石M6をさらに備えることが第5の変形例であるリニア振動モータ100Eと異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100Eと同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Hは、リニア振動モータ100Eの構成に加え、磁気ばね機構を構成する磁石として、1つの第6の磁石M6をさらに備えている。リニア振動モータ100Hでは、第4の磁石M4は、前述の第1の方向Dに沿って、第3の磁石M3との間に2つの第1の磁石M1の一部を挟んでいる。そして、第4の磁石M4は、2つの第1の磁石M1のうち、隣接する方の一部と互いに反発する配置で筺体1に固定されている。
第6の磁石M6は、第1の方向Dから見たとき、第3の磁石M3および第4の磁石M4と一部が重なり、第3の磁石M3および第4の磁石M4と互いに反発するように、2つの第1の磁石M1に跨って接続されている。
リニア振動モータ100Hにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。
また、リニア振動モータ100Hでは、前述したように、磁気ばね機構を構成する磁石として、第1の磁石M1の第2の部分に加え、第3の磁石M3および第4の磁石M4のそれぞれと互いに反発する第6の磁石M6をさらに備えている。そのため、磁気ばね機構の能力を向上させることができる。
なお、リニア振動モータ100Hは、第6の磁石M6が2つの第1の磁石M1に跨って接続されている複数の磁石を含んでいてもよい。
−リニア振動モータの模式的な形態の第9の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第9の変形例であるリニア振動モータ100Iについて、図13を用いて説明する。
図13(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Iの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。リニア振動モータ100Iは、第6の磁石M6が2つあり、かつ2つの第1の磁石M1に跨っていないことが第8の変形例であるリニア振動モータ100Hと異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100Hと同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Iは、リニア振動モータ100Eの構成に加え、磁気ばね機構を構成する磁石として、2つの第6の磁石M6をさらに備えている。2つの第6の磁石M6は、図13(B)に示されるように、第3の磁石M3および第4の磁石M4のそれぞれと互いに反発する磁極の配列で2つの第1の磁石M1のそれぞれの端部に接続されており、2つの第1の磁石M1に跨っていない。
また、2つの第6の磁石M6は、それぞれの形状が異なっており、第3の磁石M3に近い方は、第4の磁石M4に近い方に比べて体積が大きく、第4の磁石M4に近い方は、第3の磁石M3に近い方に比べて体積が小さい。
リニア振動モータ100Iにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。
また、リニア振動モータ100Iでは、リニア振動モータ100Hと同様に、磁気ばね機構の能力を向上させることができる。
なお、図13に示されたリニア振動モータ100Iでは、2つの第6の磁石M6のそれぞれの形状が異なっているため、磁気ばね機構を構成するそれぞれの磁石の間隔を変えずに、磁気ばね機構に異方性を持たせることができる。
−リニア振動モータの模式的な形態の第10の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第10の変形例であるリニア振動モータ100Jについて、図14を用いて説明する。
図14(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Jの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。リニア振動モータ100Jは、第2の磁石M2および第5の磁石M5が第3の変形例であるリニア振動モータ100Cと異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100Cと同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Jでは、第2の磁石M2は、直方体状で基板2aを貫通しており、前述の筺体1の内壁W2側である第1の部分と、筺体1の内壁W1側である第2の部分とを有している。そして、第1の部分は、2つの第1の磁石M1および第2の磁石M2の第1の部分により構成された駆動磁石とコイル3との間に、駆動磁石による磁界が集中するように、2つの第1の磁石M1の間に配置されている。
これにより、第2の磁石M2の第1の部分は、リニア振動モータ100Cの第5の磁石M5と同様に駆動磁石として機能している。すなわち、リニア振動モータ100Jでは、第2の磁石M2の一部が第5の磁石M5となっている。そして、2つの第1の磁石M1と第2の磁石M2の第1の部分とは、前述したように、広義のハルバッハ配列となっている。また、第2の磁石M2の第2の部分は、第3の磁石M3および第4の磁石M4と共に、振動子2の第1の方向Dに沿った振動に対する磁気ばね機構を構成している。
ここで、第1の軸線A1は、リニア振動モータ100と同様に、第1の方向Dから見たときの2つの第1の磁石M1の重なった領域の重心を通り、第1の方向Dに平行な軸線とする。また、第2の軸線A2は、第1の方向Dから見たときに第2の磁石M2の第2の部分、第3の磁石M3および第4の磁石M4が互いに重なった領域の重心を通り、第1の方向Dに平行な軸線とする。上記のように規定したとき、第1の軸線A1とコイル3との間隔L1は、第2の軸線A2とコイル3との間隔L2より短い。
リニア振動モータ100Jにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。
また、リニア振動モータ100Jでは、上記のように駆動磁石に第2の磁石M2の一部が加えられることにより、広義のハルバッハ配列を構成しているため、駆動磁石とコイル3との間に駆動磁石による磁界が集中し、駆動磁石が第1の磁石M1だけである場合よりも、コイル3に作用する磁界を強めることができる。したがって、コイル3に加わるローレンツ力を大きくすることができる。その結果、ローレンツ力の反力として振動子2に加わる力を大きくすることができ、振動子2によるリニア振動モータ100Jの振動を大きくすることができる。
さらに、リニア振動モータ100Jでは、第2の磁石M2の一部がリニア振動モータ100Cにおける第5の磁石M5となっている。そのため、リニア振動モータ100Jを構成する磁石の数を減らすことができる。
−リニア振動モータの模式的な形態の第11の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの模式的な形態であるリニア振動モータ100の第11の変形例であるリニア振動モータ100Kについて、図15を用いて説明する。
図15(A)ないし(C)は、リニア振動モータ100Kの、図1(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。リニア振動モータ100Kは、第2の磁石M2の形状が第10の変形例であるリニア振動モータ100Jと異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ100Jと同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ100Kでは、第2の磁石M2の形状は、図15(B)に示されるように、断面が凸字状となっている。リニア振動モータ100Kでも、第2の磁石M2は、リニア振動モータ100Jと同様に基板2aを貫通しており、筺体1の内壁W2側である第1の部分と、筺体1の内壁W1側である第2の部分とを有している。
第2の磁石M2の第1の部分は、リニア振動モータ100Jと同様に2つの第1の磁石M1の間に配置されており、広義のハルバッハ配列を構成している。すなわち、リニア振動モータ100Jと同様に駆動磁石として機能している。第2の部分は、リニア振動モータ100Jと同様に、第3の磁石M3および第4の磁石M4と共に、振動子2の第1の方向Dに沿った振動に対する磁気ばね機構を構成している。第2の部分の体積は、第1の部分の体積より大きくなっている。
リニア振動モータ100Kにおいても、リニア振動モータ100と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。
また、リニア振動モータ100Kでは、上記のように第2の磁石M2の形状が凸字状であり、第2の部分の体積が、第1の部分の体積より大きくなっている。そのため、第2の磁石M2の形状が直方体状であるリニア振動モータ100Jよりも、駆動磁石の磁界をさらに強めることができる。したがって、コイル3に加わるローレンツ力をさらに大きくすることができる。その結果、ローレンツ力の反力として振動子2に加わる力をさらに大きくすることができ、振動子2によるリニア振動モータ100Kの振動をさらに大きくすることができる。
−リニア振動モータの実施形態−
この開示に従うリニア振動モータの実施形態を示すリニア振動モータ200について、図16および図17を用いて説明する。
図16(A)は、リニア振動モータ200の、筺体1の第1の部分1aを除いたときの平面図である。図16(B)は、図16(A)に示されたA−A線を含む面で切断されたリニア振動モータ200の矢視断面図である。図16(C)は、図16(B)に示されたB−B線を含む面で切断されたリニア振動モータ100の矢視断面図である。また、図17は、リニア振動モータ200の分解斜視図である。
リニア振動モータ200は、図16および図17に示されるように、筺体1(第1の筺体)と、振動子2と、コイル3と、第3の磁石M3とを備えている。リニア振動モータ200の基本構造は、リニア振動モータ100と同じである。そのため、重複する説明は省略される。
筺体1は、第1の部分1aと第2の部分1bとを含んでいる。リニア振動モータ200において、第1の部分1aは平板状の蓋部であり、第2の部分1bは容器部となっている。筺体1には、例えばSUS304などのステンレス鋼などが用いられる。なお、第1の部分1aと第2の部分1bとが異なる材質であってもよい。
振動子2は、筺体1の第2の部分1b内に収容されている。リニア振動モータ200において、振動子2は、2つの第1の磁石M1と、第2の磁石M2と、第4の磁石M4と、基板2aと、錘部2bとを含んでいる。基板2aも、錘部として機能している。一方、錘部2bも、基板として機能している。
リニア振動モータ100と同様に、2つの第1の磁石M1は駆動磁石であり、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4は、磁気ばね機構を構成する磁石である。各磁石には、例えばNd−Fe−B系またはSm−Co系などの希土類磁石が用いられる。
第1の磁石M1には、強力な磁力を有し、振動子2の駆動力を大きくすることができるNd−Fe−B系の希土類磁石を用いることが好ましい。また、磁気ばね機構を構成する各磁石には、磁力の温度変化率が小さく、安定して磁気ばね効果を発揮できるSm−Co系の希土類磁石が用いられることが好ましい。各磁石の磁極の配置は、リニア振動モータ100と同様であり、重複する説明は省略される。
基板2aおよび錘部2bには、例えばW(タングステン)あるいはヘビーアロイ、フェロタングステンなどのWを含む合金、SUS304などのステンレス鋼およびAl(アルミニウム)あるいはA2024、A5052などのAl(アルミニウム)を含む合金などが用いられる。振動子2の質量を大きくし、磁気ばね機構を介して筺体1に大きな振動を伝えるためには、基板2aおよび錘部2bの材質が、W(タングステン)などの比重の大きな材質を含むことが好ましい。
基板2aには、第2の磁石M2が固定されるスロットSL2と、第4の磁石M4が固定されるスロットSL3とが設けられている。スロットSL2とスロットSL3とは、それぞれ角張ったC字状の部材であり、第2の磁石M2と第3の磁石M3とが対向でき、第3の磁石M3と第4の磁石M4とが対向できるように、第1の方向Dに沿って配置されている。この中に例えばエポキシ系の接着剤によりそれぞれの磁石が固定される。
スロットSL2は、振動子2と筺体1との衝突を避けるため、挿入される第2の磁石M2と第3の磁石M3との間隔が、基板2aおよび錘部2bの端面と筺体1との間隔以下となるように、基板2aの一方端部に設けられている。スロットSL3も、同様にして、挿入される第4の磁石M4と第3の磁石M3との間隔が、基板2aおよび錘部2bの端面と筺体1との間隔以下となるように、基板2aの他方端部に設けられている。
スロットSL2に第2の磁石M2を、スロットSL3に第4の磁石M4を挿入することにより、それぞれの磁石の基板2aへの固定が行ないやすくなり、またそれぞれの磁石を基板2aに精度良く固定することができる。
錘部2bの中央部には、第1の磁石M1が固定されるスロットSL1が設けられている。スロットSL1は、錘部2bに形成された貫通孔である。スロットSL1に第1の磁石M1を挿入することにより、第1の磁石M1の錘部2bへの固定が行ないやすくなり、また第1の磁石M1を錘部2bに精度良く固定することができる。なお、スロットSL1は、錘部2bを貫通していなくてもよい。
振動子2は、基板2aのスロットSL2に第2の磁石M2が、スロットSL3に第4の磁石M4が固定され、錘部2bのスロットSL1に第1の磁石M1が固定された後、基板2aと錘部2bとが貼り合わされて形成される。なお、基板2aと錘部2bとが一体となったものに各磁石が固定されることにより、振動子2が形成されるようにしてもよい。
コイル3には、例えば直径0.06mmの被覆Cu線を、約50ターン巻回したものが用いられる。コイル3は、フレキシブル基板などの引き出し配線部材により、パワーアンプを介して安定化電源に接続される(引き出し配線部材および各装置は不図示)。コイル3は、振動子2が第1の方向Dに沿って振動可能となるように第1の磁石M1に駆動力を与える。コイル3の配置および形状は、リニア振動モータ100と同様であり、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ200において、振動子2は、第1の摺動機構4aと第2の摺動機構4bとを含む摺動機構4により支持されている。振動子2は、筺体1の内壁W3と第1の摺動機構4aにより接続されており、筺体1の内壁W4と第2の摺動機構4bにより接続されている(図1参照)。摺動機構4は、ガイドレールとボールベアリングなどが用いられた移動体とを備え、ガイドレール上での移動体の運動時における摩擦が低減されている。ガイドレールは筺体1側に固定され、移動体は振動子2側に固定される。
リニア振動モータ200において、第1の方向Dから見たとき、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4は、それぞれの一部が重なっている。そして、リニア振動モータ100と同様に、第1の軸線A1とコイル3との間隔L1は、第2の軸線A2とコイル3との間隔L2より短い。
したがって、リニア振動モータ200でも、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。その結果、上記のローレンツ力の反力として振動子2に加わる力の減少が抑制でき、振動子2によるリニア振動モータ200の振動の減少を抑制することができる。また、振動子2が錘部2bを含むことにより、振動子2の質量が大きくなり、筺体1に大きな振動が伝わる。
−リニア振動モータの実施形態の第1の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの実施形態を示すリニア振動モータ200の第1の変形例であるリニア振動モータ200Aについて、図18および図19を用いて説明する。
図18(A)ないし(C)は、リニア振動モータ200Aの、図16(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。また、図19は、リニア振動モータ200Aの分解斜視図である。リニア振動モータ200Aは、第5の磁石M5をさらに備えることがリニア振動モータ200と異なっている。
すなわち、第5の磁石M5は、2つの第1の磁石M1および第5の磁石M5が構成する磁石の配列の磁界が、第1の磁石M1と第5の磁石M5とを備えた駆動磁石とコイル3との間に集中するように配置されている。そして、2つの第1の磁石M1および第5の磁石M5が構成する磁石の配列は、錘部2bのスロットSL1に固定されている。それ以外の構成は、リニア振動モータ200と同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ200Aにおいても、リニア振動モータ200と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。
また、リニア振動モータ200Aでは、駆動磁石に第5の磁石M5が加えられることにより、駆動磁石による磁界が駆動磁石とコイル3との間に集中し、駆動磁石が第1の磁石M1だけである場合よりも、コイル3に作用する駆動磁石の磁界を強めることができる。したがって、コイル3に加わるローレンツ力を大きくすることができる。その結果、ローレンツ力の反力として振動子2に加わる力を大きくすることができ、振動子2によるリニア振動モータ200Aの振動を大きくすることができる。
−リニア振動モータの実施形態の第2の変形例−
この開示に従うリニア振動モータの実施形態を示すリニア振動モータ200の第2の変形例であるリニア振動モータ200Bについて、図20および図21を用いて説明する。
図20(A)ないし(C)は、リニア振動モータ200Bの、図16(A)ないし(C)に相当する平面図および矢視断面図である。また、図21は、リニア振動モータ200Bの分解斜視図である。リニア振動モータ200Bは、第2の磁石M2、第3の磁石M3および第4の磁石M4の位置関係と、錘部2bの構造がリニア振動モータ200と異なっている。それ以外の構成は、リニア振動モータ200と同様であるため、重複する説明は省略される。
リニア振動モータ200Bでは、図20(A)に示されているように、第2の磁石M2は、磁極の配列方向が第1の方向Dと平行となるように、基板2aの中央部に設けられたスロットSL2に固定されている。スロットSL2は、2つの角張ったC字状の部材である。2つの部材は、第2の磁石M2と第3の磁石M3とが対向でき、第2の磁石M2と第4の磁石M4とが対向できるように、第1の方向Dに直交する方向に沿って配置されている。この中に例えばエポキシ系の接着剤により第2の磁石M2が固定される。
リニア振動モータ200Bにおいても、リニア振動モータ200と同様に、振動子2が第1の方向Dに沿って振動したときに、磁気ばね機構を構成する磁石の磁界が、コイル3に加わるローレンツ力へ与える影響を抑制することができる。
なお、リニア振動モータの実施形態は、上記に限られない。例えば前述のリニア振動モータの模式的な形態のいずれであっても、リニア振動モータの実施形態として応用することができる。
−電子機器の模式的な形態−
この開示に従うリニア振動モータが用いられた電子機器の模式的な形態を示す携帯型情報端末1000について、図22および図23を用いて説明する。
図22は、携帯型情報端末1000の透過斜視図である。また、図23は、携帯型情報端末1000の要部の断面図である。
携帯型情報端末1000は、筺体1001(第2の筺体)と、この開示に係るリニア振動モータ100と、送受信および情報処理に関する電子回路(不図示)とを備えている。筺体1001は、第1の部分1001aと第2の部分1001bとを含んでいる。第1の部分1001aは、ディスプレイであり、第2の部分1001bは、フレームである。リニア振動モータ100は、筺体1001内に収容されている。
携帯型情報端末1000には、皮膚感覚フィードバックのため、またはキー操作や着信などを振動で確認するための振動発生装置として、この開示に従うリニア振動モータ100が用いられている。なお、携帯型情報端末1000に用いられるリニア振動モータは、リニア振動モータ100に限られず、この開示に係るリニア振動モータであればよい。その場合、リニア振動モータの磁気ばね機構の影響による携帯型情報端末の振動の減少を抑制することができる。
なお、図23に示されているように、リニア振動モータ100の筺体1の第2の部分1bは、容器部本体1b1と固定部1b2とを含んでいる。固定部1b2は、容器部本体1b1の底部より張り出した部位である。携帯型情報端末1000では、リニア振動モータ100の容器部本体1b1の底部と第2の部分1001bとが接するように、固定部1b2が第2の部分1001bにねじBにより固定されている。
ここで、リニア振動モータ100において、第3の磁石M3は、容器部本体1b1の底部の内側である筺体1の内壁W1に固定されている(図1参照)。すなわち、携帯型情報端末1000では、筺体1の第3の磁石M3が固定された部位が、筺体1001に接している。
リニア振動モータ100の振動子2の振動は、前述のように磁気ばね機構を構成する第3の磁石M3の振動となって筺体1に伝わる。したがって、上記のように筺体1の第3の磁石M3が固定された部位が筺体1001に接している場合、リニア振動モータ100の振動が携帯型情報端末1000の筺体1001に効果的に伝わる。
なお、リニア振動モータ100の第3の磁石M3が固定された部位が、携帯型情報端末1000の筺体1001の第1の部分1001a、すなわちディスプレイに接するようにしてもよい。
なお、この開示に従うリニア振動モータが用いられた電子機器の模式的な形態の一例として、ディスプレイを備えた携帯型情報端末を示したが、これに限定されるものではない。この開示に従う電子機器は、ディスプレイを備えていなくてもよい。
例えばこの開示に従う電子機器として、携帯電話(いわゆるフィーチャーフォン)、スマートフォン、ポータブルビデオゲーム機、ビデオゲーム機用コントローラ、VR(Virtual Reality)装置用コントローラ、スマートウォッチ、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、テレビ等の操作に使用するリモートコントローラ、現金自動預け払い機などのタッチパネル型ディスプレイ、各種玩具などの電子機器を挙げることができる。
この明細書に開示された実施形態は、例示的なものであって、この開示に係る発明は、上記の実施形態および変形例に限定されるものではない。すなわち、この開示に係る発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、上記の範囲内において、種々の応用、変形を加えることができる。
この開示に係る発明は、例えば電子機器における皮膚感覚フィードバックのため、またはキー操作や着信などを振動で確認するための振動発生装置として用いられるリニア振動モータに適用される。皮膚感覚フィードバックとしては、例えばビデオゲーム内での動作(例えばドアの開閉や自動車のハンドル操作など)に対応する触感イメージをコントローラの振動で表現することが挙げられる。ただし、これ以外の皮膚感覚フィードバックであってもよい。
また、これに限られず、ロボットのアクチュエータとして用いられるリニア振動モータなどにも適用が可能である。