移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)と称し、コアネットワークおよび無線アクセスネットワーク(以下、まとめて、ネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される通信方式が検討されている(例えば、非特許文献1〜5)。この通信方式は3.9G(3.9 Generation)システムとも呼ばれる。
LTEのアクセス方式としては、下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)が用いられる。また、LTEは、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)とは異なり、回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
非特許文献1(5章)に記載される、3GPPでの、LTEシステムにおけるフレーム構成に関する決定事項について、図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムで使用される無線フレームの構成を示す説明図である。図1において、1つの無線フレーム(Radio frame)は10msである。無線フレームは10個の等しい大きさのサブフレーム(Subframe)に分割される。サブフレームは、2個の等しい大きさのスロット(slot)に分割される。無線フレーム毎に1番目および6番目のサブフレームに下り同期信号(Downlink Synchronization Signal)が含まれる。同期信号には、第一同期信号(Primary Synchronization Signal:P−SS)と、第二同期信号(Secondary Synchronization Signal:S−SS)とがある。
3GPPでの、LTEシステムにおけるチャネル構成に関する決定事項が、非特許文献1(5章)に記載されている。CSG(Closed Subscriber Group)セルにおいてもnon−CSGセルと同じチャネル構成が用いられると想定されている。
物理報知チャネル(Physical Broadcast Channel:PBCH)は、基地局装置(以下、単に「基地局」という場合がある)から移動端末装置(以下、単に「移動端末」という場合がある)などの通信端末装置(以下、単に「通信端末」という場合がある)への下り送信用のチャネルである。BCHトランスポートブロック(transport block)は、40ms間隔中の4個のサブフレームにマッピングされる。40msタイミングの明白なシグナリングはない。
物理制御フォーマットインジケータチャネル(Physical Control Format Indicator Channel:PCFICH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PCFICHは、PDCCHsのために用いるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボルの数を、基地局から通信端末へ通知する。PCFICHは、サブフレーム毎に送信される。
物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel:PDCCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PDCCHは、後述のトランスポートチャネルの1つである下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)のリソース割り当て(allocation)情報、後述のトランスポートチャネルの1つであるページングチャネル(Paging Channel:PCH)のリソース割り当て(allocation)情報、DL−SCHに関するHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)情報を通知する。PDCCHは、上りスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)を運ぶ。PDCCHは、上り送信に対する応答信号であるAck(Acknowledgement)/Nack(Negative Acknowledgement)を運ぶ。PDCCHは、L1/L2制御信号とも呼ばれる。
物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared Channel:PDSCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PDSCHには、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)、およびトランスポートチャネルであるPCHがマッピングされている。
物理マルチキャストチャネル(Physical Multicast Channel:PMCH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PMCHには、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)がマッピングされている。
物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUCCHは、下り送信に対する応答信号(response signal)であるAck/Nackを運ぶ。PUCCHは、CSI(Channel State Information)を運ぶ。CSIは、RI(Rank Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、CQI(Channel Quality Indicator)レポートで構成される。RIとは、MIMOにおけるチャネル行列のランク情報である。PMIとは、MIMOにて用いるプリコーディングウェイト行列の情報である。CQIとは、受信したデータの品質、もしくは通信路品質を示す品質情報である。またPUCCHは、スケジューリングリクエスト(Scheduling Request:SR)を運ぶ。
物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PUSCHには、トランスポートチャネルの1つである上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)がマッピングされている。
物理HARQインジケータチャネル(Physical Hybrid ARQ Indicator Channel:PHICH)は、基地局から通信端末への下り送信用のチャネルである。PHICHは、上り送信に対する応答信号であるAck/Nackを運ぶ。物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel:PRACH)は、通信端末から基地局への上り送信用のチャネルである。PRACHは、ランダムアクセスプリアンブル(random access preamble)を運ぶ。
下り参照信号(リファレンスシグナル(Reference Signal):RS)は、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の5種類の下りリファレンスシグナルが定義されている。セル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)、MBSFN参照信号(MBSFN Reference Signal)、UE固有参照信号(UE-specific Reference Signal)であるデータ復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DM−RS)、位置決定参照信号(Positioning Reference Signal:PRS)、チャネル状態情報参照信号(Channel State Information Reference Signal:CSI−RS)。通信端末の物理レイヤの測定として、リファレンスシグナルの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)測定がある。
上り参照信号についても同様に、LTE方式の通信システムとして既知のシンボルである。以下の2種類の上りリファレンスシグナルが定義されている。データ復調用参照信号(Demodulation Reference Signal:DM−RS)、サウンディング用参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)である。
非特許文献1(5章)に記載されるトランスポートチャネル(Transport channel)について、説明する。下りトランスポートチャネルのうち、報知チャネル(Broadcast Channel:BCH)は、その基地局(セル)のカバレッジ全体に報知される。BCHは、物理報知チャネル(PBCH)にマッピングされる。
下り共有チャネル(Downlink Shared Channel:DL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。DL−SCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が可能である。DL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。準静的なリソース割り当ては、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)ともいわれる。DL−SCHは、通信端末の低消費電力化のために通信端末の間欠受信(Discontinuous reception:DRX)をサポートする。DL−SCHは、物理下り共有チャネル(PDSCH)へマッピングされる。
ページングチャネル(Paging Channel:PCH)は、通信端末の低消費電力を可能とするために通信端末のDRXをサポートする。PCHは、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知が要求される。PCHは、動的にトラフィックに利用できる物理下り共有チャネル(PDSCH)のような物理リソースへマッピングされる。
マルチキャストチャネル(Multicast Channel:MCH)は、基地局(セル)のカバレッジ全体への報知に使用される。MCHは、マルチセル送信におけるMBMS(Multimedia Broadcast Multicast Service)サービス(MTCHとMCCH)のSFN合成をサポートする。MCHは、準静的なリソース割り当てをサポートする。MCHは、PMCHへマッピングされる。
上りトランスポートチャネルのうち、上り共有チャネル(Uplink Shared Channel:UL−SCH)には、HARQ(Hybrid ARQ)による再送制御が適用される。UL−SCHは、ダイナミックあるいは準静的(Semi-static)なリソース割り当てをサポートする。UL−SCHは、物理上り共有チャネル(PUSCH)へマッピングされる。
ランダムアクセスチャネル(Random Access Channel:RACH)は、制御情報に限られている。RACHは、衝突のリスクがある。RACHは、物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)へマッピングされる。
HARQについて説明する。HARQとは、自動再送要求(Automatic Repeat reQuest:ARQ)と誤り訂正(Forward Error Correction)との組合せによって、伝送路の通信品質を向上させる技術である。HARQには、通信品質が変化する伝送路に対しても、再送によって誤り訂正が有効に機能するという利点がある。特に、再送にあたって初送の受信結果と再送の受信結果との合成をすることで、更なる品質向上を得ることも可能である。
再送の方法の一例を説明する。受信側にて、受信データが正しくデコードできなかった場合、換言すればCRC(Cyclic Redundancy Check)エラーが発生した場合(CRC=NG)、受信側から送信側へ「Nack」を送信する。「Nack」を受信した送信側は、データを再送する。受信側にて、受信データが正しくデコードできた場合、換言すればCRCエラーが発生しない場合(CRC=OK)、受信側から送信側へ「Ack」を送信する。「Ack」を受信した送信側は次のデータを送信する。
非特許文献1(6章)に記載される論理チャネル(ロジカルチャネル:Logical channel)について、説明する。報知制御チャネル(Broadcast Control Channel:BCCH)は、報知システム制御情報のための下りチャネルである。論理チャネルであるBCCHは、トランスポートチャネルである報知チャネル(BCH)、あるいは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
ページング制御チャネル(Paging Control Channel:PCCH)は、ページング情報(Paging Information)およびシステム情報(System Information)の変更を送信するための下りチャネルである。PCCHは、通信端末のセルロケーションをネットワークが知らない場合に用いられる。論理チャネルであるPCCHは、トランスポートチャネルであるページングチャネル(PCH)へマッピングされる。
共有制御チャネル(Common Control Channel:CCCH)は、通信端末と基地局との間の送信制御情報のためのチャネルである。CCCHは、通信端末がネットワークとの間でRRC接続(connection)を有していない場合に用いられる。下り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。上り方向では、CCCHは、トランスポートチャネルである上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャスト制御チャネル(Multicast Control Channel:MCCH)は、1対多の送信のための下りチャネルである。MCCHは、ネットワークから通信端末への1つあるいはいくつかのMTCH用のMBMS制御情報の送信のために用いられる。MCCHは、MBMS受信中の通信端末のみに用いられる。MCCHは、トランスポートチャネルであるマルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
個別制御チャネル(Dedicated Control Channel:DCCH)は、1対1にて、通信端末とネットワークとの間の個別制御情報を送信するチャネルである。DCCHは、通信端末がRRC接続(connection)である場合に用いられる。DCCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)にマッピングされる。
個別トラフィックチャネル(Dedicated Traffic Channel:DTCH)は、ユーザ情報の送信のための個別通信端末への1対1通信のチャネルである。DTCHは、上りおよび下りともに存在する。DTCHは、上りでは上り共有チャネル(UL−SCH)へマッピングされ、下りでは下り共有チャネル(DL−SCH)へマッピングされる。
マルチキャストトラフィックチャネル(Multicast Traffic channel:MTCH)は、ネットワークから通信端末へのトラフィックデータ送信のための下りチャネルである。MTCHは、MBMS受信中の通信端末のみに用いられるチャネルである。MTCHは、マルチキャストチャネル(MCH)へマッピングされる。
CGIとは、セルグローバル識別子(Cell Global Identifier)のことである。ECGIとは、E−UTRANセルグローバル識別子(E-UTRAN Cell Global Identifier)のことである。LTE、後述のLTE−A(Long Term Evolution Advanced)およびUMTS(Universal Mobile Telecommunication System)において、CSG(Closed Subscriber Group)セルが導入される。
通信端末の位置追跡は、1つ以上のセルからなる区域を単位に行われる。位置追跡は、待受け状態であっても通信端末の位置を追跡し、通信端末を呼び出す、換言すれば通信端末が着呼することを可能にするために行われる。この通信端末の位置追跡のための区域をトラッキングエリアと呼ぶ。
また3GPPでは、リリース10として、ロングタームエボリューションアドヴァンスド(Long Term Evolution Advanced:LTE−A)の規格策定が進められている(非特許文献3、非特許文献4参照)。LTE−Aは、LTEの無線区間通信方式を基本とし、それにいくつかの新技術を加えて構成される。
LTE−Aシステムでは、100MHzまでのより広い周波数帯域幅(transmission bandwidths)をサポートするために、二つ以上のコンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)を集約する(「アグリゲーション(aggregation)する」とも称する)、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)が検討されている。CAについては、非特許文献1に記載されている。
CAが構成される場合、UEはネットワーク(Network:NW)と唯一つのRRC接続(RRC connection)を有する。RRC接続において、一つのサービングセルがNASモビリティ情報とセキュリティ入力を与える。このセルをプライマリセル(Primary Cell:PCell)と呼ぶ。下りリンクで、PCellに対応するキャリアは、下りプライマリコンポーネントキャリア(Downlink Primary Component Carrier:DL PCC)である。上りリンクで、PCellに対応するキャリアは、上りプライマリコンポーネントキャリア(Uplink Primary Component Carrier:UL PCC)である。
UEの能力(ケーパビリティ(capability))に応じて、セカンダリセル(Secondary Cell:SCell)が、PCellとともに、サービングセルの組を形成するために構成される。下りリンクで、SCellに対応するキャリアは、下りセカンダリコンポーネントキャリア(Downlink Secondary Component Carrier:DL SCC)である。上りリンクで、SCellに対応するキャリアは、上りセカンダリコンポーネントキャリア(Uplink Secondary Component Carrier:UL SCC)である。
一つのPCellと一つ以上のSCellとからなるサービングセルの組が、一つのUEに対して構成される。
また、LTE−Aでの新技術としては、より広い帯域をサポートする技術(Wider bandwidth extension)、および多地点協調送受信(Coordinated Multiple Point transmission and reception:CoMP)技術などがある。3GPPでLTE−Aのために検討されているCoMPについては、非特許文献1に記載されている。
また、3GPPにおいて、将来の膨大なトラフィックに対応するために、スモールセルを構成するスモールeNB(以下「小規模基地局装置」という場合がある)を用いることが検討されている。例えば、多数のスモールeNBを設置して、多数のスモールセルを構成することによって、周波数利用効率を高めて、通信容量の増大を図る技術などが検討されている。具体的には、UEが2つのeNBと接続して通信を行うデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity;DCと略称される)などがある。DCについては、非特許文献1に記載されている。
デュアルコネクティビティ(DC)を行うeNBのうち、一方を「マスタeNB(MeNBと略称される)」といい、他方を「セカンダリeNB(SeNBと略称される)」という場合がある。
モバイルネットワークのトラフィック量は、増加傾向にあり、通信速度も高速化が進んでいる。LTEおよびLTE−Aが本格的に運用を開始されると、更に通信速度が高速化されることが見込まれる。
さらに、高度化する移動体通信に対して、2020年以降にサービスを開始することを目標とした第5世代(以下「5G」という場合がある)無線アクセスシステムが検討されている。例えば、欧州では、METISという団体で5Gの要求事項がまとめられている(非特許文献5参照)。
5G無線アクセスシステムでは、LTEシステムに対して、システム容量は1000倍、データの伝送速度は100倍、データの処理遅延は10分の1(1/10)、通信端末の同時接続数は100倍として、更なる低消費電力化、および装置の低コスト化を実現することが要件として挙げられている。
このような要求を満たすために、3GPPでは、リリース15として、5Gの規格検討が進められている(非特許文献6〜18参照)。5Gの無線区間の技術は「New Radio Access Technology」と称される(「New Radio」は「NR」と略称される)。
NRシステムは、LTEシステム、LTE−Aシステムを基にして検討が進められているが、以下の点でLTEシステム、LTE−Aシステムからの変更および追加が行われている。
NRのアクセス方式としては、下り方向はOFDM、上り方向はOFDM、DFT−s−OFDM(DFT-spread-OFDM)が用いられる。
NRでは、伝送速度向上、処理遅延低減のために、LTEに比べて高い周波数の使用が可能となっている。
NRにおいては、狭いビーム状の送受信範囲を形成する(ビームフォーミング)とともにビームの向きを変化させる(ビームスイーピング)ことで、セルカバレッジの確保が図られる。
NRのフレーム構成においては、様々なサブキャリア間隔、すなわち、様々なヌメロロジ(Numerology)がサポートされている。NRにおいては、ヌメロロジによらず、1サブフレームは1ミリ秒であり、また、1スロットは14シンボルで構成される。また、1サブフレームに含まれるスロット数は、サブキャリア間隔15kHzのヌメロロジにおいては1つであり、他のヌメロロジにおいては、サブキャリア間隔に比例して多くなる(非特許文献13(TS38.211 v15.0.0)参照)。
NRにおける下り同期信号は、同期信号バースト(Synchronization Signal Burst;以下、SSバーストと称する場合がある)として、所定の周期で、所定の継続時間をもって基地局から送信される。SSバーストは、基地局のビーム毎の同期信号ブロック(Synchronization Signal Block;以下、SSブロックと称する場合がある)により構成される。基地局はSSバーストの継続時間内において各ビームのSSブロックを、ビームを変えて送信する。SSブロックは、P−SS、S−SS、およびPBCHによって構成される。
NRにおいては、NRの下り参照信号として、位相追尾参照信号(Phase Tracking Reference Signal:PTRS)の追加により、位相雑音の影響の低減が図られている。上り参照信号においても、下りと同様にPTRSが追加されている。
NRにおいては、スロット内におけるDL/ULの切替えを柔軟に行うために、PDCCHに含まれる情報にスロット構成通知(Slot Format Indication:SFI)が追加された。
また、NRにおいては、キャリア周波数帯のうちの一部(以下、Bandwidth Part(BWP)と称する場合がある)を基地局がUEに対して予め設定し、UEが該BWPにおいて基地局との送受信を行うことで、UEにおける消費電力の低減が図られる。
3GPPでは、DCの形態として、EPCに接続するLTE基地局とNR基地局によるDC、5Gコアシステムに接続するNR基地局によるDC、また、5Gコアシステムに接続するLTE基地局とNR基地局によるDCが検討されている(非特許文献12、16、19参照)。
また、3GPPでは、いくつかの新たな技術が検討されている。例えば、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)の分離による基地局の制御部の集約などが検討されている(非特許文献20参照)。
CU−DU分離構成のシステムでは、基地局機能を、上位レイヤであるRRC/PDCPと、下位レイヤであるRLC/MAC/PHYとに二分する。それぞれの機能を担う局をCU、DUと呼ぶ。複数のDUを、共通の1つのCUの配下に収容してもよい。
実施の形態1.
図2は、3GPPにおいて議論されているLTE方式の通信システム200の全体的な構成を示すブロック図である。図2について説明する。無線アクセスネットワークは、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)201と称される。通信端末装置である移動端末装置(以下「移動端末(User Equipment:UE)」という)202は、基地局装置(以下「基地局(E-UTRAN NodeB:eNB)」という)203と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。
ここで、「通信端末装置」とは、移動可能な携帯電話端末装置などの移動端末装置だけでなく、センサなどの移動しないデバイスも含んでいる。以下の説明では、「通信端末装置」を、単に「通信端末」という場合がある。
移動端末202に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン(以下、U−Planeと称する場合もある)、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局203で終端するならば、E−UTRANは1つあるいは複数の基地局203によって構成される。
移動端末202と基地局203との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)は、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局203と移動端末202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDとがある。
RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができる。またRRC_CONNECTEDでは、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbor cell)の測定(メジャメント(measurement))などが行われる。
基地局203は、1つあるいは複数のeNB207により構成される。またコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)と、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN201とで構成されるシステムは、EPS(Evolved Packet System)と称される。コアネットワークであるEPCと、無線アクセスネットワークであるE−UTRAN201とを合わせて、「ネットワーク」という場合がある。
eNB207は、移動管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)、あるいはS−GW(Serving Gateway)、あるいはMMEおよびS−GWを含むMME/S−GW部(以下「MME部」という場合がある)204とS1インタフェースにより接続され、eNB207とMME部204との間で制御情報が通信される。一つのeNB207に対して、複数のMME部204が接続されてもよい。eNB207間は、X2インタフェースにより接続され、eNB207間で制御情報が通信される。
MME部204は、上位装置、具体的には上位ノードであり、基地局であるeNB207と、移動端末(UE)202との接続を制御する。MME部204は、コアネットワークであるEPCを構成する。基地局203は、E−UTRAN201を構成する。
基地局203は、1つのセルを構成してもよいし、複数のセルを構成してもよい。各セルは、移動端末202と通信可能な範囲であるカバレッジとして予め定める範囲を有し、カバレッジ内で移動端末202と無線通信を行う。1つの基地局203が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、移動端末202と通信可能に構成される。
図3は、3GPPにおいて議論されている5G方式の通信システム210の全体的な構成を示すブロック図である。図3について説明する。無線アクセスネットワークは、NG−RAN(Next Generation Radio Access Network)211と称される。UE202は、NR基地局装置(以下「NR基地局(NG-RAN NodeB:gNB)」という)213と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。また、コアネットワークは、5Gコア(5G Core:5GC)と称される。
UE202に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン(以下、U−Planeと称する場合もある)、例えばSDAP(Service Data Adaptation Protocol)、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とがNR基地局213で終端するならば、NG−RANは1つあるいは複数のNR基地局213によって構成される。
UE202とNR基地局213との間の制御プロトコルRRC(Radio Resource Control)の機能はLTEと同様である。RRCにおけるNR基地局213とUE202との状態として、RRC_IDLEと、RRC_CONNECTEDと、RRC_INACTIVEとがある。
RRC_IDLE、RRC_CONNECTEDは、LTE方式と同様である。RRC_INACTIVEは5GコアとNR基地局213との間の接続が維持されつつ、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティなどが行われる。
gNB217は、アクセス・移動管理機能(Access and Mobility Management Function:AMF)、セッション管理機能(Session Management Function:SMF)、あるいはUPF(User Plane Function)、あるいはAMF、SMFおよびUPFを含むAMF/SMF/UPF部(以下「5GC部」という場合がある)214とNGインタフェースにより接続される。gNB217と5GC部214との間で制御情報および/あるいはユーザデータが通信される。NGインタフェースは、gNB217とAMFとの間のN2インタフェース、gNB217とUPFとの間のN3インタフェース、AMFとSMFとの間のN11インタフェース、および、UPFとSMFとの間のN4インタフェースの総称である。一つのgNB217に対して、複数の5GC部214が接続されてもよい。gNB217間は、Xnインタフェースにより接続され、gNB217間で制御情報および/あるいはユーザデータが通信される。
NR基地局213も、基地局203同様、1つあるいは複数のセルを構成してもよい。1つのNR基地局213が複数のセルを構成する場合、1つ1つのセルが、UE202と通信可能に構成される。
gNB217は、中央ユニット(Central Unit;以下、CUと称する場合がある)218と分散ユニット(Distributed Unit;以下、DUと称する場合がある)219に分割されていてもよい。CU218は、gNB217の中に1つ構成される。DU219は、gNB217の中に1つあるいは複数構成される。CU218は、DU219とF1インタフェースにより接続され、CU218とDU219との間で制御情報および/あるいはユーザデータが通信される。
図4は、EPCに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成を示した図である。図4において、実線はU−Planeの接続を示し、破線はC−Planeの接続を示す。図4において、eNB223−1がマスタ基地局となり、gNB224−2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、EN−DCと称する場合がある)。図4において、MME部204とgNB224−2との間のU−Plane接続がeNB223−1経由で行われる例について示しているが、MME部204とgNB224−2との間で直接行われてもよい。
図5は、NGコアに接続するgNBによるDCの構成を示した図である。図5において、実線はU−Planeの接続を示し、破線はC−Planeの接続を示す。図5において、gNB224−1がマスタ基地局となり、gNB224−2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、NR−DCと称する場合がある)。図5において、5GC部214とgNB224−2との間のU−Plane接続がgNB224−1経由で行われる例について示しているが、5GC部214とgNB224−2との間で直接行われてもよい。
図6は、NGコアに接続するeNBおよびgNBによるDCの構成を示した図である。図6において、実線はU−Planeの接続を示し、破線はC−Planeの接続を示す。図6において、eNB226−1がマスタ基地局となり、gNB224−2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、NG−EN−DCと称する場合がある)。図6において、5GC部214とgNB224−2との間のU−Plane接続がeNB226−1経由で行われる例について示しているが、5GC部214とgNB224−2との間で直接行われてもよい。
図7は、NGコアに接続するeNBおよびgNBによるDCの、他の構成を示した図である。図7において、実線はU−Planeの接続を示し、破線はC−Planeの接続を示す。図7において、gNB224−1がマスタ基地局となり、eNB226−2がセカンダリ基地局となる(このDC構成を、NE−DCと称する場合がある)。図7において、5GC部214とeNB226−2との間のU−Plane接続がgNB224−1経由で行われる例について示しているが、5GC部214とeNB226−2との間で直接行われてもよい。
図8は、図2に示す移動端末202の構成を示すブロック図である。図8に示す移動端末202の送信処理を説明する。まず、プロトコル処理部301からの制御データ、およびアプリケーション部302からのユーザデータが、送信データバッファ部303へ保存される。送信データバッファ部303に保存されたデータは、エンコーダー部304へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部303から変調部305へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコーダー部304でエンコード処理されたデータは、変調部305にて変調処理が行われる。変調部305にて、MIMOにおけるプリコーディングが行われてもよい。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部306へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ307−1〜307−4から基地局203に送信信号が送信される。図8において、アンテナの数が4つである場合について例示したが、アンテナ数は4つに限定されない。
また、移動端末202の受信処理は、以下のように実行される。基地局203からの無線信号がアンテナ307−1〜307−4により受信される。受信信号は、周波数変換部306にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部308において復調処理が行われる。復調部308にて、ウェイト計算および乗算処理が行われてもよい。復調後のデータは、デコーダー部309へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部301へ渡され、ユーザデータはアプリケーション部302へ渡される。移動端末202の一連の処理は、制御部310によって制御される。よって制御部310は、図8では省略しているが、各部301〜309と接続している。図8において、移動端末202が送信に用いるアンテナ数と受信に用いるアンテナ数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図9は、図2に示す基地局203の構成を示すブロック図である。図9に示す基地局203の送信処理を説明する。EPC通信部401は、基地局203とEPC(MME部204など)との間のデータの送受信を行う。5GC通信部412は、基地局203と5GC(5GC部214など)との間のデータの送受信を行う。他基地局通信部402は、他の基地局との間のデータの送受信を行う。EPC通信部401、5GC通信部412、および他基地局通信部402は、それぞれプロトコル処理部403と情報の受け渡しを行う。プロトコル処理部403からの制御データ、ならびにEPC通信部401、5GC通信部412、および他基地局通信部402からのユーザデータおよび制御データは、送信データバッファ部404へ保存される。
送信データバッファ部404に保存されたデータは、エンコーダー部405へ渡され、誤り訂正などのエンコード処理が施される。エンコード処理を施さずに、送信データバッファ部404から変調部406へ直接出力されるデータが存在してもよい。エンコードされたデータは、変調部406にて変調処理が行われる。変調部406にて、MIMOにおけるプリコーディングが行われてもよい。変調されたデータは、ベースバンド信号に変換された後、周波数変換部407へ出力され、無線送信周波数に変換される。その後、アンテナ408−1〜408−4より一つもしくは複数の移動端末202に対して送信信号が送信される。図9において、アンテナの数が4つである場合について例示したが、アンテナ数は4つに限定されない。
また、基地局203の受信処理は以下のように実行される。一つもしくは複数の移動端末202からの無線信号が、アンテナ408により受信される。受信信号は、周波数変換部407にて無線受信周波数からベースバンド信号に変換され、復調部409で復調処理が行われる。復調されたデータは、デコーダー部410へ渡され、誤り訂正などのデコード処理が行われる。デコードされたデータのうち、制御データはプロトコル処理部403あるいは5GC通信部412あるいはEPC通信部401、他基地局通信部402へ渡され、ユーザデータは5GC通信部412、EPC通信部401および他基地局通信部402へ渡される。基地局203の一連の処理は、制御部411によって制御される。よって制御部411は、図9では省略しているが、各部401〜410と接続している。図9において、基地局203が送信に用いるアンテナ数と受信に用いるアンテナ数は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
図9は、基地局203の構成について示したブロック図であるが、基地局213についても同様の構成としてもよい。また、図8および図9について、移動端末202のアンテナ数と、基地局203のアンテナ数は、同じであってもよいし、異なってもよい。
図10は、MMEの構成を示すブロック図である。図10では、前述の図2に示すMME部204に含まれるMME204aの構成を示す。PDN GW通信部501は、MME204aとPDN GWとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部502は、MME204aと基地局203との間のS1インタフェースによるデータの送受信を行う。PDN GWから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、PDN GW通信部501から、ユーザプレイン通信部503経由で基地局通信部502に渡され、1つあるいは複数の基地局203へ送信される。基地局203から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部502から、ユーザプレイン通信部503経由でPDN GW通信部501に渡され、PDN GWへ送信される。
PDN GWから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、PDN GW通信部501から制御プレイン制御部505へ渡される。基地局203から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部502から制御プレイン制御部505へ渡される。
制御プレイン制御部505には、NASセキュリティ部505−1、SAEベアラコントロール部505−2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部505−3などが含まれ、制御プレイン(以下、C−Planeと称する場合もある)に対する処理全般を行う。NASセキュリティ部505−1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。SAEベアラコントロール部505−2は、SAE(System Architecture Evolution)のベアラの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部505−3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);LTE−IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
MME204aは、1つまたは複数の基地局203に対して、ページング信号の分配を行う。また、MME204aは、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME204aは、移動端末が待ち受け状態のとき、および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。MME204aは、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。MME204aに接続されるeNB207のCSGの管理、CSG IDの管理、およびホワイトリストの管理は、アイドルステートモビリティ管理部505−3で行われてもよい。
図11は、5GCの構成を示すブロック図である。図11では、前述の図3に示す5GC部214の構成を示す。図11は、図5にて示す5GC部214に、AMFの構成、SMFの構成およびUPFの構成が含まれた場合について示している。Data Network通信部521は、5GC部214とData Networkとの間のデータの送受信を行う。基地局通信部522は、5GC部214と基地局203との間のS1インタフェース、および/あるいは、5GC部214と基地局213との間のNGインタフェースによるデータの送受信を行う。Data Networkから受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、Data Network通信部521から、ユーザプレイン通信部523経由で基地局通信部522に渡され、1つあるいは複数の、基地局203および/あるいは基地局213へ送信される。基地局203および/あるいは基地局213から受信したデータがユーザデータであった場合、ユーザデータは、基地局通信部522から、ユーザプレイン通信部523経由でData Network通信部521に渡され、Data Networkへ送信される。
Data Networkから受信したデータが制御データであった場合、制御データは、Data Network通信部521からユーザプレイン制御部523経由でセッション管理部527へ渡される。セッション管理部527は、制御データを制御プレイン制御部525へ渡す。基地局203および/あるいは基地局213から受信したデータが制御データであった場合、制御データは、基地局通信部522から制御プレイン制御部525に渡す。制御プレイン制御部525は、制御データをセッション管理部527へ渡す。
制御プレイン制御部525は、NASセキュリティ部525−1、PDUセッションコントロール部525−2、アイドルステート(Idle State)モビリティ管理部525−3などを含み、制御プレイン(以下、C−Planeと称する場合もある)に対する処理全般を行う。NASセキュリティ部525−1は、NAS(Non-Access Stratum)メッセージのセキュリティなどを行う。PDUセッションコントロール部525−2は、移動端末202と5GC部214との間のPDUセッションの管理などを行う。アイドルステートモビリティ管理部525−3は、待受け状態(アイドルステート(Idle State);RRC_IDLE状態、または、単にアイドルとも称される)のモビリティ管理、待受け状態時のページング信号の生成および制御、傘下の1つあるいは複数の移動端末202のトラッキングエリアの追加、削除、更新、検索、トラッキングエリアリスト管理などを行う。
5GC部214は、1つまたは複数の基地局203および/あるいは基地局213に対して、ページング信号の分配を行う。また、5GC部214は、待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility Control)を行う。5GC部214は、移動端末が待ち受け状態のとき、インアクティブ状態(Inactive State)および、アクティブ状態(Active State)のときに、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。5GC部214は、UEが登録されている(registered)追跡領域(トラッキングエリア:Tracking Area)に属するセルへ、ページングメッセージを送信することで、ページングプロトコルに着手する。
次に通信システムにおけるセルサーチ方法の一例を示す。図12は、LTE方式の通信システムにおいて通信端末(UE)が行うセルサーチから待ち受け動作までの概略を示すフローチャートである。通信端末は、セルサーチを開始すると、ステップST601で、周辺の基地局から送信される第一同期信号(P−SS)、および第二同期信号(S−SS)を用いて、スロットタイミング、フレームタイミングの同期をとる。
P−SSとS−SSとを合わせて、同期信号(Synchronization Signal:SS)という。同期信号(SS)には、セル毎に割り当てられたPCIに1対1に対応するシンクロナイゼーションコードが割り当てられている。PCIの数は504通りが検討されている。この504通りのPCIを用いて同期をとるとともに、同期がとれたセルのPCIを検出(特定)する。
次に同期がとれたセルに対して、ステップST602で、基地局からセル毎に送信される参照信号(リファレンスシグナル:RS)であるセル固有参照信号(Cell-specific Reference Signal:CRS)を検出し、RSの受信電力(Reference Signal Received Power:RSRP)の測定を行う。参照信号(RS)には、PCIと1対1に対応したコードが用いられている。そのコードで相関をとることによって他セルと分離できる。ステップST601で特定したPCIから、該セルのRS用のコードを導出することによって、RSを検出し、RSの受信電力を測定することが可能となる。
次にステップST603で、ステップST602までで検出された一つ以上のセルの中から、RSの受信品質が最もよいセル、例えば、RSの受信電力が最も高いセル、つまりベストセルを選択する。
次にステップST604で、ベストセルのPBCHを受信して、報知情報であるBCCHを得る。PBCH上のBCCHには、セル構成情報が含まれるMIB(Master Information Block)がマッピングされる。したがって、PBCHを受信してBCCHを得ることで、MIBが得られる。MIBの情報としては、例えば、DL(ダウンリンク)システム帯域幅(送信帯域幅設定(transmission bandwidth configuration:dl-bandwidth)とも呼ばれる)、送信アンテナ数、SFN(System Frame Number)などがある。
次にステップST605で、MIBのセル構成情報をもとに該セルのDL−SCHを受信して、報知情報BCCHの中のSIB(System Information Block)1を得る。SIB1には、該セルへのアクセスに関する情報、セルセレクションに関する情報、他のSIB(SIBk;k≧2の整数)のスケジューリング情報が含まれる。また、SIB1には、トラッキングエリアコード(Tracking Area Code:TAC)が含まれる。
次にステップST606で、通信端末は、ステップST605で受信したSIB1のTACと、通信端末が既に保有しているトラッキングエリアリスト内のトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identity:TAI)のTAC部分とを比較する。トラッキングエリアリストは、TAIリスト(TAI list)とも称される。TAIはトラッキングエリアを識別するための識別情報であり、MCC(Mobile Country Code)と、MNC(Mobile Network Code)と、TAC(Tracking Area Code)とによって構成される。MCCは国コードである。MNCはネットワークコードである。TACはトラッキングエリアのコード番号である。
通信端末は、ステップST606で比較した結果、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれるTACと同じならば、該セルで待ち受け動作に入る。比較して、ステップST605で受信したTACがトラッキングエリアリスト内に含まれなければ、通信端末は、該セルを通して、MMEなどが含まれるコアネットワーク(Core Network,EPC)へ、TAU(Tracking Area Update)を行うためにトラッキングエリアの変更を要求する。
図12に示す例においては、LTE方式におけるセルサーチから待ち受けまでの動作の例について示したが、NR方式においては、ステップST603において、ベストセルに加えてベストビームを選択してもよい。また、NR方式においては、ステップST604において、ビームの情報、例えば、ビームの識別子を取得してもよい。また、NR方式においては、ステップST604において、リメイニングミニマムSI(Remaining Minimum SI:RMSI)のスケジューリング情報を取得してもよい。NR方式においては、ステップST605において、RMSIを受信するとしてもよい。
コアネットワークを構成する装置(以下「コアネットワーク側装置」という場合がある)は、TAU要求信号とともに通信端末から送られてくる該通信端末の識別番号(UE−IDなど)をもとに、トラッキングエリアリストの更新を行う。コアネットワーク側装置は、通信端末に更新後のトラッキングエリアリストを送信する。通信端末は、受信したトラッキングエリアリストに基づいて、通信端末が保有するTACリストを書き換える(更新する)。その後、通信端末は、該セルで待ち受け動作に入る。
スマートフォンおよびタブレット型端末装置の普及によって、セルラー系無線通信によるトラフィックが爆発的に増大しており、世界中で無線リソースの不足が懸念されている。これに対応して周波数利用効率を高めるために、小セル化し、空間分離を進めることが検討されている。
従来のセルの構成では、eNBによって構成されるセルは、比較的広い範囲のカバレッジを有する。従来は、複数のeNBによって構成される複数のセルの比較的広い範囲のカバレッジによって、あるエリアを覆うように、セルが構成されている。
小セル化された場合、eNBによって構成されるセルは、従来のeNBによって構成されるセルのカバレッジに比べて範囲が狭いカバレッジを有する。したがって、従来と同様に、あるエリアを覆うためには、従来のeNBに比べて、多数の小セル化されたeNBが必要となる。
以下の説明では、従来のeNBによって構成されるセルのように、カバレッジが比較的大きいセルを「マクロセル」といい、マクロセルを構成するeNBを「マクロeNB」という。また、小セル化されたセルのように、カバレッジが比較的小さいセルを「スモールセル」といい、スモールセルを構成するeNBを「スモールeNB」という。
マクロeNBは、例えば、非特許文献7に記載される「ワイドエリア基地局(Wide Area Base Station)」であってもよい。
スモールeNBは、例えば、ローパワーノード、ローカルエリアノード、ホットスポットなどであってもよい。また、スモールeNBは、ピコセルを構成するピコeNB、フェムトセルを構成するフェムトeNB、HeNB、RRH(Remote Radio Head)、RRU(Remote Radio Unit)、RRE(Remote Radio Equipment)またはRN(Relay Node)であってもよい。また、スモールeNBは、非特許文献7に記載される「ローカルエリア基地局(Local Area Base Station)」または「ホーム基地局(Home Base Station)」であってもよい。
図13は、NRにおけるセルの構成の一例を示す。NRのセルでは、狭いビームを形成し、方向を変えて送信する。図13に示す例において、基地局750は、ある時間において、ビーム751−1を用いて移動端末との送受信を行う。他の時間において、基地局750は、ビーム751−2を用いて移動端末との送受信を行う。以下同様にして、基地局750はビーム751−3〜751−8のうち1つあるいは複数を用いて移動端末との送受信を行う。このようにすることで、基地局750は広範囲のセルを構成する。
図13において、基地局750が用いるビームの数を8とする例について示したが、ビームの数は8とは異なっていてもよい。また、図13に示す例において、基地局750が同時に用いるビームの数を1つとしたが、複数であってもよい。
NRでは、CU−DU分離の構成が検討されている。CU−DU分離の構成におけるDU間のハンドオーバ、すなわち、UEがRRC_CONNECTEDの状態にある場合の接続先DUの変更について議論がなされている。
NR基地局におけるCUには、1つのDUが接続されてもよいし、複数のDUが接続されてもよい。また、NRにおけるCUは、制御プレインとユーザプレインのそれぞれについて設けられてもよい。DUについても、同様としてもよい。
図14は、NR基地局におけるCU−DU分離の構成の例を示す図である。図14は、CUが1つ設けられ該1つのCUに2つのDUが接続される例を示している。図14に示す例においては、CUは、RRCレイヤ、SDAPレイヤ、およびPDCPレイヤの各機能を有し、DUは、RLCレイヤ、MACレイヤ、およびPHYレイヤの各機能を有する。
図14においてCUとDUがそれぞれ有する機能は、前述の例に限られない。例えば、CUが、RRCレイヤ、SDAPレイヤ、PDCPレイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤの各機能、およびPHYレイヤの一部の機能を有し、DUが、PHYレイヤの残りの機能を有するとしてもよい。
UEがRRC_INACTIVEもしくはRRC_IDLEの状態にある場合においても、DU間セル再選択を行ってもよい。
UEは、セル再選択を行う際、周辺DUからの受信電力強度を判断基準にして、接続先DUを選択する。
UEが、直前に接続していたのと同一のCUの配下のDUを選択した場合には、CU間のシグナリングが不要である。それに対し、UEが、直前に接続していたのとは異なるCUの配下のDUを選択した場合には、直前の接続先のCUと新たな接続先のCUとの間でシグナリングが必要となる。そのため、処理遅延の観点からすると、直前に接続していたのと同一のCUの配下のDUを選択する方が好ましい。
周辺DUからの受信電力強度次第では、UEは、同一CU配下のDUを選択することもあれば、異CU配下のDUを選択することもあり得る。UEの十分近傍に同一配下のDUが存在していたとしても、異CU配下のDUが選択されることがある。この場合、セル再選択処理が遅くなり、UEが、RRC_INACTIVEまたはRRC_IDLEの状態からRRC_CONNECTEDの状態へ、迅速に復帰することができない、という問題が生じる。
前述の問題に対する解決策を以下に開示する。
UEは、セル再選択を行う際に、周辺の各DUがどのCUに属するのかを判別し、UEが直前に接続していたのと同一のCUの配下のDUを、UEが直前に接続していたのとは異なるCUの配下のDUよりも優先して、選択する。
前述の問題と解決策について、例を挙げて説明する。
図15は、CU−DU分離構成のシステムにおいてUEが同一CU配下のDU間でセル再選択を行う動作の一例を示す図である。
図15の例によれば、CU#1配下にDU#1−1とDU#1−2とDU#1−3が存在する。CU#2配下にDU#2−1とDU#2−2が存在する。UEは、DU#1−1に接続してRRC_INACTIVEの状態となり、その後、セル再選択を行ってRRC_CONNECTEDの状態へ復帰しようとしている。このときのUEの位置は、DU#1−1のカバレッジからは外れており、DU#1−2のカバレッジ内、かつ、DU#2−1のカバレッジ内にある。
このような状況において、UEが接続先としてDU#1−2を選択した場合は、接続先のCUはCU#1のまま変更が無いので、CU間のシグナリングは不要である。
しかし、UEが接続先としてDU#2−1を選択した場合は、接続先のCUがCU#1からCU#2へ変更となるので、CU#1とCU#2の間でシグナリングが必要である。
CU#1とCU#2はコアネットワークを経由してシグナリングを行うので、その処理遅延の分だけ、UEがRRC_INACTIVEの状態からRRC_CONNECTEDの状態へ復帰するのが遅くなる。
処理遅延の観点からすると、UEは、接続先としてDU#2−1よりもDU#1−2を、優先して選択するのが望ましい。
周辺の各DUがどのCUに属するのかをUEが判別する手段について説明する。
DUが送信する報知情報の中に、情報要素の1つとして、CUを一意に識別可能とするIDを含める。各DUは、自身が属するCUのIDを報知情報に含めて送信する。UEは、この報知情報を予め取得することで、DUがどのCUに属するのかを判別することができる。
各CUのIDは、システム内の全CUを一意に識別可能とするように、システムとして定義する。
周辺の各DUがどのCUに属するのかをUEが判別する手段の他の例として、以下に説明する手段を適用してもよい。
DUが送信する報知情報の中に、情報要素の1つとして、同一CU配下の全DUのセルIDのリストを含める。各DUは、自身が属するCU配下の全DUのセルIDを報知情報に含めて送信する。UEは、この報知情報を予め取得することで、どのDUが同一CUに属するのかを判別することができる。
他の例として、DUが送信する報知情報の中に、情報要素の1つとして、同一CU配下の全DUの識別子(例えばDU−ID)のリストを含める。各DUは、自身が属するCU配下の全DUの識別子を報知情報に含めて送信する。このことにより、例えば、前述と同様の効果が得られる。
他の例として、DUはUEに対して、同一CU配下のDUに関する情報を個別に通知してもよい。個別に通知する該情報は、前述において開示した、DUが送信する報知情報に含める情報と同様としてもよい。個別の該通知には、例えば、RRCシグナリングが用いられてもよい。RRCシグナリングとして、例えば、基地局がUEに対して、RRC_INACTIVE状態あるいはRRC_IDLE状態への遷移指示に用いるRRCシグナリング(例えばRRC接続解放(RRCConnectionRelase))を用いてもよい。このことにより、例えば、DUから配下のUEに対して送信される報知情報のシグナリング量を削減可能となる。
UEは、前述の情報を保持してもよい。該保持の動作は、例えば、UEがRRC_INACTIVE状態および/あるいはRRC_IDLE状態に遷移した状態において行われるとしてもよい。このことにより、例えば、UEは、RRC_INACTIVE状態あるいはRRC_IDLE状態にあっても、優先して選択するDUが接続されるCUを把握可能となる。
UEがセル再選択の際に同一CU配下のDUを、異CU配下のDUよりも優先して選択する手段について説明する。
UEは、周辺の各DUからの受信電力を比較する際、同一CU配下のDUの受信電力に対して所定のオフセット値Aを加えてから、比較を行う。前述のオフセット値Aの加算は、例えば、デシベル値で行うとしてもよいし、真値で行うとしてもよい。
例えば、同一CU配下のDU#1−1とDU#1−2の受信電力がそれぞれP11、P12であり、異CU配下のDU#2−1の受信電力がP21であるとする。その場合、UEのセル再選択先の判断は、P11+Aと、P12+Aと、P21という3つの値の大小比較によって実施される。
オフセット値Aは、同一CU配下のDUを異CU配下のDUよりも優先して選択する際の優先度を決めるパラメータである。Aの値が0の場合、優先無しで、同一CU配下のDUと異CU配下のDUは平等に比較される。Aの値が大きいほど優先度が高くなり、同一CU配下のDUが優先的に選択されることとなる。
他の例として、UEは、周辺の各DUからの受信電力を比較する際、同一CU配下ではないDUの受信電力から所定のオフセット値Aを減じてから、比較を行ってもよい。このことにより、例えば、少ない桁数の値同士の比較が可能となり、その結果、UEにおける使用メモリ量を削減可能となる。前述のオフセット値Aの減算は、例えば、デシベル値で行うとしてもよい。
例えば、同一CU配下のDU#1−1とDU#1−2の受信電力がそれぞれP11、P12であり、異CU配下のDU#2−1の受信電力がP21であるとする。その場合、UEのセル再選択先の判断は、P11と、P12と、P21−Aという3つの値の大小比較によって実施されるとしてもよい。
図16は、前述のオフセット値Aを用いて、同一CU配下のDUを、異CU配下のDUよりも優先して、選択する処理の一例を示すブロック図である。図16は、同一CU配下のDUに対して前述のオフセット値Aを加算する例を示している。本ブロック図の処理は、前述の図12で説明したセルサーチのフローチャートにおいて、ベストセル選択のステップST603に適用する。
UEは、同一CU配下のDU#1〜DU#mおよび異CU配下のDU#m+1〜DU#nからの受信電力を測定済みであり、それらの受信電力がそれぞれP(x)である場合を想定する。ここで、xはDUの番号であり、1≦x≦nの整数である。
これらの受信電力P(x)に対して、ブロックST950でオフセット値Aを加算する処理を行う。但し、同一CU配下のDUの受信電力P(1)〜P(m)に対してはオフセット値Aを加算するが、異CU配下のDUの受信電力P(m+1)〜P(n)に対してはオフセット値Aを加算しない。
オフセット値Aの加算処理によって得られた結果値Q(x)(具体的にはQ(1)〜Q(n))に対して、ブロックST951で、最大値を選択する処理を行う。すなわち、本ブロックST951への入力値Q(x)の中で、Q(x)の値が最大となるxを選択する。選択したxが、最大値選択の処理結果x_maxとなる。
最大値選択の処理結果x_maxで示されるDUを、セル再選択先に決定する。
UEがオフセット値Aを決定する手段について説明する。
オフセット値Aは、システムで一意に予め決定した固定値とし、UEにとって既知の値とする。
あるいは、基地局が送信する報知情報の中に、情報要素の1つとして、オフセット値Aを含め、この報知情報をUEが予め取得してもよい。
あるいは、RRCシグナリングと、MACシグナリングと、L1/L2シグナリングのいずれかに、情報要素の1つとして、オフセット値Aを含め、基地局からUEへ個別にオフセット値Aを通知してもよい。あるいは、前述のシグナリングおよび報知情報の中から複数を組合せて、オフセット値Aを基地局からUEへ通知してもよい。このことにより、例えば、基地局は該オフセット値Aを柔軟に変更可能となる。
前述において用いるRRCシグナリングは、例えば、基地局からUEに対して、RRC_INACTIVEあるいはRRC_IDLEへの遷移を指示する際に用いるRRCシグナリングであってもよい。このことにより、例えば、基地局は該オフセット値Aを、該遷移指示毎に柔軟に制御して、UEに通知可能となる。
前述のシグナリングおよび報知情報の中から複数を組合せて基地局からUEにオフセット値Aを通知する例を説明する。例えば、該オフセット値Aの候補を、報知情報を用いて、基地局からUEに報知し、該候補のうちどの値を用いるかを示す情報を、RRCシグナリングあるいはMACシグナリングあるいはL1/L2シグナリングを用いて、基地局からUEに通知するとしてもよい。このことにより、例えば、該オフセットAを基地局からUEへ通知する際のシグナリング量を削減可能となる。
他の例として、該オフセット値Aの候補は予め規格で複数定められてもよい。基地局はUEに対し、該候補のうちどの値を用いるかを示す情報を、報知情報を用いて報知してもよい。あるいは、基地局はUEに対し、該候補のうちどの値を用いるかを示す情報を、RRCシグナリングあるいはMACシグナリングあるいはL1/L2シグナリングで通知するとしてもよい。このことにより、該オフセットAを基地局からUEへ通知する際のシグナリング量をさらに削減可能となる。
本実施の形態1において、オフセット値が用いられるセル再選択と、オフセット値が用いられないセル再選択とが存在してもよい。例えば、初期接続(Initial Access)時のセル再選択においてはオフセット値を設けず、RRC_CONNECTEDからRRC_INACTIVEあるいはRRC_IDLEへの遷移後のセル再選択においてはオフセット値を設けるとしてもよい。このことにより、例えば、初期接続時のセル選択(Cell selection)において最初に選択したDUが接続されるCUによらず、UEは通信品質が良いDUへのセル再選択が可能となる。その結果、UEの通信品質を向上可能となる。
他の例として、RRC_IDLE時のセル再選択においてはオフセット値を設けず、RRC_INACTIVE時のセル再選択においてはオフセット値を設けるとしてもよい。このことにより、例えば、RRC_INACTIVE状態においてはセル再選択後の基地局間シグナリングを削減可能となり、RRC_IDLE状態においてUEは通信品質の高いDUへの接続が可能となる。その結果、通信システムにおける品質を向上可能となる。
本実施の形態1において、セル再選択におけるオフセット値が複数設けられるとしてもよい。例えば、RRC_INACTIVE状態におけるオフセット値が、RRC_IDLE状態におけるオフセット値と異なってもよい。このことにより、例えば、通信システムにおける柔軟性を向上可能となる。
本実施の形態1によれば、UEがセル再選択を行う際、直前に接続していたのと同一のCUの配下のDUを選択する確率が高くなる。それにより、UEが、直前に接続していたのと同一のCUの配下のDUを選択すれば、CU間のシグナリングが不要となる。その場合、UEは、RRC_INACTIVEもしくはRRC_IDLEの状態からRRC_CONNECTEDの状態へ、迅速に復帰することができる。その結果、NRにおいて、低遅延な無線通信を行うことができる。
ここで、実施の形態1によれば、例えば次のような構成が提供される。
複数の基地局と無線通信可能に構成された通信端末装置が提供される。また、そのような通信端末装置と、複数の基地局とを備える通信システムが提供される。
具体的には、複数の基地局のそれぞれは、通信端末装置と無線通信可能に構成された複数のDUと、複数のDUを制御するCUとを含む。通信端末装置は、接続先DUを選択する際、直前のCU(すなわち、直前に接続していたDUが属しているCU)に属するDUを、別のCUに属するDUよりも優先して、選択する。
上記の通信端末装置および通信システムは、例えば次のようなより具体的な構成を有していてもよい。すなわち、通信端末装置は、接続先DUを選択する際、周辺DUからの受信電力値を比較する受信電力比較処理を行う。受信電力比較処理は、オフセット処理を含む。当該オフセット処理は、直前のCUに属する周辺DUの受信電力値にはオフセット値を加算する一方で、別のCUに属する周辺DUの受信電力値にはオフセット値を加算しない、という処理である。通信端末装置は、受信電力比較処理において、オフセット処理後の受信電力値を比較する。
上記構成は、実施の形態1を含む本明細書の開示および示唆に基づいて、様々に変形することが可能である。上記構成およびそれの変形によれば、上記課題を解決し、上記効果を得ることができる。
実施の形態2.
実施の形態2では、UEがセル再選択の際に同一CU配下のDUを異CU配下のDUよりも優先して選択するための他の手段を説明する。
実施の形態1では、UEは、周辺の各DUからの受信電力を比較する際、全ての周辺DUを対象として、どのDUの受信電力が最大なのかを判別した。これに対し、実施の形態2では、UEは、DUの受信電力を比較する前に、同一CU配下の全DUを対象として、各DUの受信電力を所定の閾値Bと比較することで、セル再選択先候補を絞り込む。
受信電力が閾値B以上となるDUが存在する場合、UEは、そのようなDU、すなわち受信電力が閾値B以上となるDUのみをセル再選択先候補として、どのDUの受信電力が最大なのかを判別する。
受信電力が閾値B以上となるDUが存在しない場合、UEは、全ての周辺DUをセル再選択先候補として、どのDUの受信電力が最大なのかを判別する。
例えば、同一CU配下のDU#1−1とDU#1−2とDU#1−3の受信電力がそれぞれP11、P12、P13であり、異CU配下のDU#2−1とDU#2−2の受信電力がそれぞれP21、P22であるとする。その場合、もし、P11<B、かつ、P12>B、かつ、P13>Bであれば、セル再選択先候補はDU#1−2とDU#1−3のみに絞られる。すなわち、P21とP22の値の大小に関係無く、DU#2−1とDU#2−2はセル再選択先候補から外れる。
閾値Bは、同一CU配下のDUを異CU配下のDUよりも優先して選択する際の優先度を決めるパラメータである。Bの値が十分大きければ、優先無しで、同一CU配下のDUと異CU配下のDUは平等に比較される。Bの値が小さいほど優先度が高くなり、同一CU配下のDUが優先的に選択されることとなる。
図17および図18は、前述の閾値Bを用いて、同一CU配下のDUを、異CU配下のDUよりも優先して、選択する処理の一例を示すブロック図である。本ブロック図の処理は、前述の図12で説明したセルサーチのフローチャートにおいて、ベストセル選択のステップST603に適用する。
UEは、同一CU配下のDU#1〜DU#mおよび異CU配下のDU#m+1〜DU#nからの受信電力を測定済みであり、それらの受信電力がそれぞれP(x)である場合を想定する。ここで、xはDUの番号であり、1≦x≦nの整数である。
これらの受信電力P(x)に対して、ブロックST952で閾値Bと比較の処理を行う。但し、同一CU配下のDUの受信電力P(1)〜P(m)に対しては閾値Bと比較するが、異CU配下のDUの受信電力P(m+1)〜P(n)に対しては閾値Bと比較しない。比較の結果、P(x)>Bの関係を満足するxが1〜jである場合、図17に示すようにP(1)〜P(j)のみがブロックST952から出力される。P(x)>Bの関係を満足するxがない場合、図18に示すようにP(1)〜P(n)がブロックST952から出力される。
閾値Bとの比較処理を経て得られたP(x)に対して、ブロックST951で最大値を選択する処理を行う。すなわち、本ブロックST951への入力値P(x)の中で、P(x)の値が最大となるxを選択する。選択したxが、最大値選択の処理結果x_maxとなる。
最大値選択の処理結果x_maxで示されるDUを、セル再選択先に決定する。
UEが閾値Bを決定する手段として、実施の形態1においてUEがオフセット値Aを決定する手段と同様の手段を適用してもよい。このことにより、例えば、実施の形態1において記載した効果と同様の効果が得られる。
本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。また、受信強度が閾値Bよりも強い、同一CU配下のDUから、セル再選択を行うことによって、例えば、UEはセル再選択を少ない処理量で迅速に実行可能となる。
実施の形態1、2を組み合わせてもよい。例えば、閾値Bとの比較処理を経て得られたP(x)に対する最大値選択処理において、同一CU配下のDUの受信電力に対してオフセット値Aが加算されるとしてもよい。これにより、例えば、同一CU配下の全DUの受信電力が閾値Bを下回る場合であっても、同一CU配下のDUがセル再選択先として選ばれやすくなる。そのため、セル再選択において基地局間シグナリングが発生する可能性を低減可能となる。その結果、NRにおいて、低遅延な無線通信を行うことができる。
ここで、実施の形態2によれば、例えば次のような構成が提供される。
複数の基地局と無線通信可能に構成された通信端末装置が提供される。また、そのような通信端末装置と、複数の基地局とを備える通信システムが提供される。
具体的には、複数の基地局のそれぞれは、通信端末装置と無線通信可能に構成された複数のDUと、複数のDUを制御するCUとを含む。通信端末装置は、接続先DUを選択する際、直前のCU(すなわち、直前に接続していたDUが属しているCU)に属するDUを、別のCUに属するDUよりも優先して、選択する。
上記の通信端末装置および通信システムは、例えば次のようなより具体的な構成を有していてもよい。すなわち、通信端末装置は、接続先DUを選択する際、周辺DUからの受信電力値を比較する受信電力比較処理を行う。受信電力比較処理は、選択処理を含む。当該選択処理は、周辺DUからの受信電力値の中から、予め定められた条件を満足する全ての受信電力値を選択する一方で、周辺DUからの受信電力値の全てが予め定められた条件を満足しない場合には、周辺DUからの受信電力値の全てを選択する、という処理である。上記の予め定められた条件は、受信電力値が、直前のCUに属する周辺DUからのものであるという条件と、受信電力値が、予め定められた閾値以上であるという条件とを含む。通信端末装置は、受信電力比較処理において、選択処理後の受信電力値を比較する。
上述のように実施の形態1、2を組み合わせてもよい。例えば、受信電力比較処理は、選択処理に加えて、実施の形態1で述べたオフセット処理を含んでもよい。
上記構成は、実施の形態2を含む本明細書の開示および示唆に基づいて、様々に変形することが可能である。上記構成およびそれの変形によれば、上記課題を解決し、上記効果を得ることができる。
実施の形態3.
実施の形態1、2では、CU−DU分離構成のシステムにおいて、セル再選択の際に、同一CU配下のDUを異CU配下のDUよりも優先的に選択する手段を説明した。実施の形態3では、CU−DU分離構成のシステムに限らず、同一RNA(RAN-based Notification Area(非特許文献16参照))内セルを、異RNA内セルよりも優先的に選択する手段を説明する。
図19は、UEがRNA内の基地局間でセル再選択を行う動作の一例を示す図である。
図19の例によれば、基地局#1−1と基地局#1−2と基地局#1−3はRNA#1に属する。基地局#2−1と基地局#2−2はRNA#2に属する。UEは、基地局#1−1に接続してRRC_INACTIVEの状態となり、その後、セル再選択を行ってRRC_CONNECTEDの状態へ復帰しようとしている。このときのUEの位置は、基地局#1−1のカバレッジからは外れており、基地局#1−2のカバレッジ内、かつ、基地局#2−1のカバレッジ内にある。
このような状況において、UEが接続先として基地局#1−2を選択した場合は、接続先はRNA#1のまま変更が無いので、セル再選択後に位置登録情報の更新は不要である。
しかし、UEが接続先として基地局#2−1を選択した場合は、接続先がRNA#1からRNA#2へ変更となるので、セル再選択後に位置登録情報の更新が必要である。その更新処理により、遅延が生じる。また、UEと基地局とコアネットワークの間で位置登録情報更新のシーケンスが実行され、無線リソースとネットワークリソースを消費する。
このような問題に対する解決策を以下に開示する。
UEは、セル再選択を行う際に、周辺の各基地局がどのRNAに属するのかを判別し、UEが直前に接続していたのと同一のRNA内の基地局を、UEが直前に接続していたのとは異なるRNA内の基地局よりも優先して、選択する。
周辺の各基地局がどのRNAに属するのかをUEが判別する手段、および、UEがセル再選択の際に同一RNA内の基地局を異RNA内の基地局よりも優先して選択する手段については、実施の形態1、2を適用可能である。すなわち、実施の形態1、2におけるCUをRNAに置き換え、実施の形態1、2におけるDUを基地局に置き換えればよい。
本実施の形態3における、UEがセル再選択の際に同一RNA内の基地局を異RNA内の基地局よりも優先して選択する手段において、実施の形態1において開示したオフセット値Aと同様の値(以下、オフセット値Cと称する場合がある)が用いられてもよいし、実施の形態2において開示した閾値Bと同様の値(以下、閾値Dと称する場合がある)が用いられてもよいし、オフセット値Cと閾値Dが組合せて用いられてもよい。
UEがオフセット値Cを決定する手段として、実施の形態1においてUEがオフセット値Aを決定する手段と同様の手段を適用してもよい。このことにより、例えば、実施の形態1において記載した効果と同様の効果が得られる。UEが閾値Dを決定する手段についても、同様としてもよい。
本実施の形態3において、UEがRRC_INACTIVE状態においてのみ、オフセット値Cが適用されるとしてもよい。閾値Dの適用についても、同様としてもよい。このことにより、例えば、UEがRRC_INACTIVE状態の場合には、同一RNA内の基地局を優先して選択することによって位置登録情報の更新を不要とすることが可能となし、UEがRRC_IDLE状態の場合には、同一RNA、異RNAによらず品質のよいセルを選択可能となる。その結果、UEの通信品質を向上可能となる。
本実施の形態3によれば、UEがセル再選択を行う際、直前に接続していたのと同一のRNA内の基地局を選択する確率が高くなる。それにより、セル再選択後の位置登録情報の更新が不要となる。その結果、NRにおいて、低遅延な無線通信を行うことができる。また、UEと基地局とコアネットワークの間の無線リソースとネットワークリソースを節約することができる。
ここで、実施の形態3によれば、例えば次のような構成が提供される。
複数の基地局と無線通信可能に構成された通信端末装置が提供される。また、そのような通信端末装置と、複数の基地局とを備える通信システムが提供される。
より具体的には、通信端末装置は、接続先基地局を選択する際、直前のRNA(すなわち、直前に接続していた基地局が属しているRNA)に属する基地局を、別のRNAに属する基地局よりも優先して、選択する。
上記構成は、実施の形態3を含む本明細書の開示および示唆に基づいて、様々に変形することが可能である。上記構成およびそれの変形によれば、上記課題を解決し、上記効果を得ることができる。
前述の各実施の形態およびその変形例は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において、各実施の形態およびその変形例を自由に組合せることができる。また各実施の形態およびその変形例の任意の構成要素を適宜変更または省略することができる。
例えば、前述の各実施の形態およびその変形例において、サブフレームは、第5世代基地局通信システムにおける通信の時間単位の一例である。スケジューリング単位であってもよい。前述の各実施の形態およびその変形例において、サブフレーム単位として記載している処理を、TTI単位、スロット単位、サブスロット単位、ミニスロット単位として行ってもよい。
本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。