JPWO2020110330A1 - ペプチドチオエステル、ペプチドの新規製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、効率的かつ汎用性の高い、ペプチドチオエステル、およびペプチドの新規な製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 (1)C末端にCGCトリプレットを有するペプチドチオエステルを準備する工程、(2)CGCトリプレットにおけるC末端システインのSH基とグリシンのカルボニル基との間で転移を生じさせ、R−X−CG−チオエステルを得る工程、および(3)前記R−X−CG−チオエステルにおいて、システインのSH基とXのカルボニル基との転移と、システインのアミノ基とグリシンのチオール基との転移とを生じさせて、ペプチドチオエステルを得る工程を含む、ペプチドチオエステルの製造方法、および当該方法により製造されたペプチドチオエステルを用いたペプチドの製造方法が提供される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ペプチドチオエステル、およびペプチドの新規な製造方法に関する。
糖タンパク質の化学合成、特にサイズの大きな糖タンパク質の合成では、タンパク質をいくつかのペプチドフラグメントに分けて合成し、それらを連結することで全長糖タンパク質を得るということが行われている(例えば特許文献1および2など)。
この合成において鍵となるのが、全長糖タンパク質に組み込まれる糖ペプチドを効率的に製造することである。これまでに、糖タンパク質の製造方法として、糖鎖が結合したアミノ酸(糖鎖付加アミノ酸)を使用し、固相合成、液相合成等の公知のペプチド合成方法を適用することにより糖鎖−ポリペプチド複合体を製造する方法(例えば特許文献3)が用いられている。固相合成、液相合成のいずれによる場合も、フリーのペプチドとフリーのアミノ酸を縮合剤を用いて縮合すると、アミノ酸がペプチドの側鎖官能基と反応するため、目的のペプチドを得るためには、反応点以外を保護してから縮合し、さらに脱保護するといった操作を繰り返さなければならない。糖ペプチドの合成における脱保護および縮合の繰り返し反応は、最終的に得られる糖ペプチドのトータル収率を低下させてしまうという問題がある。
また、糖タンパク質の合成おいては、ネイティブ・ケミカル・ライゲーション(NCL)法を用いて、C末端にチオエステル部分を有するように操作した第1のペプチドと、システイン残基等を有する第2のペプチドとを連結することが行われている。
これまでにC末端チオエステルを有するペプチドの合成方法として、ペプチドのC末端に特有の配列を導入する方法が報告されている。Kawakamiらは、天然配列であるシステイン−プロリン−COORという配列をペプチドのC末端に導入して、チオエステル化する方法を開示している。この方法は、C末端をエステルで活性化する必要があるが、例えば大腸菌で発現したアミノ酸のC末端のみを特異的に化学修飾する方法はないため、発現系を用いて合成されたペプチドには応用することができない(非特許文献1)。Ollivierらは、ビス(2−スルファニルエチル)アミンをペプチドのC末端に導入する方法であるが、同様に、発現系を用いて合成されたペプチドには応用することができない(非特許文献2)。Adamsらは、化学合成したペプチドの末端にあるGly−Cys、His−Cysなどの配列にヒドラジドまたはチオエステルを導入する方法であるが、配列特異的であり、また再現性が高くないという問題がある(非特許文献3)。
WO2010/092943 WO2014/157107 WO2004/005330
Kawakami et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.Vol.83,No.5,570−574(2010) Ollivier et al.,Org.Lett.,Vol.12,No.22,2010 Adams et al.,Angew.Chem.Int.Ed.2013,52,13062−13066
本発明は、効率的かつ汎用性の高い、ペプチドチオエステル、およびペプチドの新規な製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の特徴を包含する。
[1]ペプチドチオエステルの製造方法であって、
(1)以下の配列:
Figure 2020110330
[ここで、Rは、任意のアミノ酸配列を示し;Xは、任意のアミノ酸を示し;CGCは、システイン−グリシンーシステインのアミノ酸トリプレットを示す。]
を有するペプチドを準備する工程、
(2)CGCトリプレットにおけるC末端システインのSH基とグリシンのカルボニル基との間で転移を生じさせ、R−X−CG−チオエステルを得る工程、および
(3)前記R−X−CG−チオエステルにおいて、システインのSH基とXのカルボニル基との転移と、システインのアミノ基とグリシンのチオエステルのカルボニル基との間での閉環縮合とを生じさせて、ペプチドチオエステルを得る工程、
を含む、
製造方法。
[2] [1]に記載の製造方法であって、
前記ペプチドは、化学合成により、または、発現系による発現により、取得されたものである、
製造方法。
[3] [1]または[2]に記載の製造方法であって、
前記工程(2)の反応は、2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa)、2−アミノエタンチオール、およびビス(2−スルファニルエチル)アミンよりなる群から選択される少なくとも1種のチオールの存在下で行われる、
製造方法。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法であって、
前記工程(3)の反応は、2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa)、メルカプトフェニル酢酸(MPAA)、2−メルカプトプロピオン酸、チオフェノール、ベンジルメルカプタン、3/4−メルカプトベンジルスルフォネートから選択される少なくとも1種のチオールの存在下で行われる、
製造方法。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法であって、
(2−1)工程(2)の反応後、工程(3)の前に、R−X−CG−チオエステルを精製する工程、
をさらに含む
製造方法。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法であって、
前記ペプチドは、糖鎖付加ペプチドである、
製造方法。
[7] ペプチドの製造方法であって、
(A)[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法によって製造されたペプチドチオエステル、および
(B)アミノチオアシッドまたはペプチドチオアシッド
を縮合させて、ペプチドを得る工程を含み、
ここで、前記(A)および(B)を構成するアミノ酸の側鎖の少なくとも一部が未保護である、
ことを特徴とする、
製造方法。
[8] [7]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記(A)および(B)を構成するアミノ酸の側鎖の全てが未保護である、
製造方法。
[9] [7]または[8]に記載のペプチドの製造方法であって、
糖鎖付加ペプチドの製造方法である
ことを特徴とする、
製造方法。
[10] [9]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記ペプチドチオエステルは、糖鎖付加ペプチドチオエステルである、
製造方法。
[11] [9]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記アミノチオアシッドもしくはまたはペプチドチオアシッドは、糖鎖付加アミノチオアシッドまたは糖鎖付加ペプチドチオアシッドである、
製造方法。
[12] [11]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記糖鎖付加アミノチオアシッドは、Asn、Ser、Thr、HylまたはHypよりなる群から選択される糖鎖付加アミノ酸のチオアシッドである、
製造方法。
[13] [11]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記糖鎖付加ペプチドチオアシッド中の糖鎖付加アミノ酸は、Asn、Ser、Thr、HylまたはHypよりなる群から選択される糖鎖付加アミノ酸である、
製造方法。
[14] [11]または[13]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記糖鎖付加ペプチドチオアシッドは、糖鎖付加アミノチオアシッドと、側鎖に前記糖鎖付加アミノチオアシッド中のチオ酸基(−SH)とジスルフィド結合を形成し得る修飾基を有するシステインをそのN末端に有するペプチドとを反応させ、反応後のペプチドのC末端にチオ酸基を導入することにより得られたものである、
製造方法。
[15] [14]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記修飾基は、下記より成る群から選択される修飾基である、
製造方法。
Figure 2020110330

Figure 2020110330
;および
Figure 2020110330
[16] ペプチドの製造方法であって、
(a)[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法によって製造されたペプチドチオエステル、および
(b)下記構造:
Figure 2020110330
[式中、Xは、酸処理、塩基処理、光照射処理、または還元処理で分離する任意の置換基を示し;Yは、ケトンまたはアルデヒドを示す。]
を有する補助基がそのN末端に導入されたアミノ酸またはペプチド
を縮合させて、ペプチドを得る工程を含み、
ここで、前記(a)および(b)を構成するアミノ酸の側鎖の少なくとも一部が未保護である、
ことを特徴とする、
製造方法。
[17] [16]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記Xは、アリールである、
製造方法。
[18] [16]または[17]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記(a)および(b)を構成するアミノ酸の側鎖の全てが未保護である、
製造方法。
[19] [16]〜[18]のいずれかに記載のペプチドの製造方法であって、
糖鎖付加ペプチドの製造方法である
ことを特徴とする、
製造方法。
[20] [19]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記ペプチドチオエステルは、糖鎖付加ペプチドチオエステルである、
製造方法。
[21] [19]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記「補助基がそのN末端に導入されたアミノ酸またはペプチド」は、補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸または糖鎖付加ペプチドである、
製造方法。
[22] [21]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、前記補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加Asn、糖鎖付加Ser、糖鎖付加Thrおよび糖鎖付加Hylよりなる群から選択される、
製造方法。
[23] [22]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、下記の構造:
Figure 2020110330
[ここで、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
を有する糖鎖付加アミノ酸である、
製造方法。
[24] [23]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記アミノ酸Xは、Asn、Ser、ThrおよびHylよりなる群から選択される、
製造方法。
[25] [22]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、下記の構造:
Figure 2020110330
[ここで、XはAsn、Ser、Thr、またはHylを示し、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
を有する糖鎖付加ジペプチドである、
製造方法。
[26] ペプチドの製造方法であって、
(AA)ペプチドチオエステル、および
(BB)アミノチオアシッドまたはペプチドチオアシッド
を縮合させて、ペプチドを得る工程を含み、
ここで、前記(AA)および(BB)を構成するアミノ酸の側鎖の少なくとも一部が未保護である、
ことを特徴とする、
製造方法。
[27] [26]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記(AA)および(BB)を構成するアミノ酸の側鎖の全てが未保護である、
製造方法。
[28] [26]または[27]に記載のペプチドの製造方法であって、
糖鎖付加ペプチドの製造方法である
ことを特徴とする、
製造方法。
[29] [28]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記ペプチドチオエステルは、糖鎖付加ペプチドチオエステルである、
製造方法。
[30] [28]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記アミノチオアシッドもしくはまたはペプチドチオアシッドは、糖鎖付加アミノチオアシッドまたは糖鎖付加ペプチドチオアシッドである、
製造方法。
[31] [30]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記糖鎖付加アミノチオアシッドは、Asn、Ser、Thr、HylまたはHypよりなる群から選択される糖鎖付加アミノ酸のチオアシッドである、
製造方法。
[32] [30]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記糖鎖付加ペプチドチオアシッド中の糖鎖付加アミノ酸は、Asn、Ser、Thr、HylまたはHypよりなる群から選択される糖鎖付加アミノ酸である、
製造方法。
[33] [30]または[32]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記糖鎖付加ペプチドチオアシッドは、糖鎖付加アミノチオアシッドと、側鎖に前記糖鎖付加アミノチオアシッド中のチオ酸基(−SH)とジスルフィド結合を形成し得る修飾基を有するシステインをそのN末端に有するペプチドとを反応させ、反応後のペプチドのC末端にチオ酸基を導入することにより得られたものである、
製造方法。
[34] [33]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記修飾基は、下記より成る群から選択される修飾基である、
製造方法。
Figure 2020110330

Figure 2020110330
;および
Figure 2020110330
[35] ペプチドの製造方法であって、
(aa)ペプチドチオエステル、および
(bb)下記構造:
Figure 2020110330
[ここで、Xは、酸処理、塩基処理、光照射処理、または還元処理で分離する任意の置換基を示し;Yは、ケトンまたはアルデヒドを示す。]
を有する補助基がそのN末端に導入されたアミノ酸またはペプチド
を縮合させて、ペプチドを得る工程を含み、
ここで、前記(aa)および(bb)を構成するアミノ酸の側鎖の少なくとも一部が未保護である、
ことを特徴とする、
製造方法。
[36] [35]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記Xは、アリールである、
製造方法。
[37] [35]または[36]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記(aa)および(bb)を構成するアミノ酸の側鎖の全てが未保護である、
製造方法。
[38] [35]〜[37]のいずれかに記載のペプチドの製造方法であって、
糖鎖付加ペプチドの製造方法である
ことを特徴とする、
製造方法。
[39] [38]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記ペプチドチオエステルは、糖鎖付加ペプチドチオエステルである、
製造方法。
[40] [38]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記「補助基がそのN末端に導入されたアミノ酸またはペプチド」は、補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸または糖鎖付加ペプチドである、
製造方法。
[41] [40]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、前記補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加Asn、糖鎖付加Ser、糖鎖付加Thrおよび糖鎖付加Hylよりなる群から選択される、
製造方法。
[42] [40]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、下記の構造:
Figure 2020110330
[ここで、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
を有する糖鎖付加アミノ酸である、
製造方法。
[43] [42]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記アミノ酸Xは、Asn、Ser、ThrおよびHylよりなる群から選択される、
製造方法。
[44] [40]に記載のペプチドの製造方法であって、
前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、下記の構造:
Figure 2020110330
[ここで、XはAsn、Ser、Thr、またはHylを示し、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
を有する糖鎖付加ジペプチドである、
製造方法。
[45] 下記の構造を有する糖鎖付加アミノ酸。
Figure 2020110330
[ここで、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
[46] [45]に記載の糖鎖付加アミノ酸であって、
前記アミノ酸Xは、Asn、Ser、ThrおよびHylよりなる群から選択される、
糖鎖付加アミノ酸。
[47] 下記の構造を有する糖鎖付加ジペプチド。
Figure 2020110330
[ここで、XはAsn、Ser、Thr、またはHylを示し、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
以上述べた本発明の一または複数の特徴を任意に組み合わせた発明も、本発明の範囲に含まれることを、当業者であれば理解するであろう。
本発明の製造方法によれば、効率的かつ汎用性の高い、ペプチドチオエステル、およびペプチドの新規な製造方法が提供される。
図1は、tert−Boc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−STrtの、精製後のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。 図2は、tert−Boc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−STrtの、精製後のNMRスペクトルを示す。 図3は、H−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−SHの、精製後のESI−MSスペクトルを示す。 図4は、H−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−SHの、精製後のNMRスペクトルを示す。 図5は、tert−Boc−Asn(アシアロオリゴサッカライド)−STrtの、精製後のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。 図6は、Boc−Leu−STrtの、精製後のNMRスペクトルを示す。 図7は、H−Leu−SHの、精製後のNMRスペクトルを示す。 図8は、ペプチド−チオエステル の精製後のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。 図9は、H−Cys(Npys)−Gly−Tyr−Gly−OHの、HPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。 図10は、アラニンチオアシッドを用いたチオアンハイドライドライゲーション反応生成物のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す:0時点で、出発物質であるペプチドチオエステルが存在していたが、30分のカップリング後、目的のH−YGGFA−SH が合成された。*は、ペプチドチオエステルから切断された遊離チオールを指し、+はH−YGGF−SHを指す。 図11は、アミノチオアシッド種に応じたアミド結合形成率を示す。図中の略号およびそのアミド結合形成率は、以下のとおりである:G=Gly−チオアシッド、97%;A=Ala−チオアシッド、92%;V=Val−チオアシッド、91%;S=Ser−チオアシッド、91%;T=Thr−チオアシッド、89%;M=Met−チオアシッド、88%;F=Phe−チオアシッド、83%;Y=Tyr−チオアシッド、78%;L=Leu−チオアシッド、73%;E=Gln−チオアシッド、68%。 図12は、オリゴサッカライドを用いたチオアンハイドライドライゲーション反応生成物のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す:t<0で、出発物質であるペプチドチオエステル は存在していたが、3時間のカップリング後、目的のH−YGGFN(シアリルオリゴサッカライド)−SH 10が合成された。11はオリゴサッカライドアスパルチミドを指し、+はH−YGGF−SHを指す。 図13は、オリゴサッカライドを用いたチオアンハイドライドライゲーション反応生成物のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。3時間のカップリング後、目的のH−YGGFN(アシアロオリゴサッカライド)−SH 12が合成された。+はH−YGGF−SHを指す。 図14は、オリゴペプチド 10とペプチド とのカップリング産物のHPLCプロフィールを示す。3時間のカップリング後、目的のH−YGGFN(シアリルオリゴサッカライド)CGYG−OH 13が合成された。 図15は、ジシアロ糖鎖に対する補助基導入反応後の反応生成物のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。 図16は、ジシアロ糖鎖−補助基複合体に対する保護基導入反応後の反応生成物のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。 図17は、糖鎖−補助基複合体とペプチドチオエステル体(LRLRGG−COSR)とのライゲーション反応生成物のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。 図18は、糖鎖−補助基複合体とペプチドチオエステル体(ALLH−COSR)とのライゲーション反応生成物のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。 図19は、Fmoc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライドとNH−Ser(OtBu)−NHNHBocとの縮合反応後の反応生成物のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。 図20は、糖鎖付加アミノ酸(セリン)のC末端アジド体をチオエステル体に変換する反応を行った後の、HPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。 図21は、Fmoc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−Ser−COSRとAux(SH)−Ser−COOHとのライゲーション反応による反応生成物のHPLCプロファイルおよびESI−MSスペクトルを示す。以降Auxは補助基を表す。 図22は、ペプチド(H−SSTGWCGC−OH)とMESNaとの反応後のLC/MSの結果を示す。 図23は、ペプチド(H−SSTGWCG−MESNa)とMESNaとの反応後のLC/MSの結果を示す。 図24は、ペプチド(H−SSTGWCG−MESNa)とMPAAとの反応後のLC/MSの結果を示す。 図25は、ビス(2−スルファニルエチル)アミノ基をC末端にもつペプチドのESI−MSスペクトルを示す。 図26は、ペプチド(H−LQNIHC−OH)と、ビス(2−スルファニルエチル)アミン{HN(CHCHSH)・HCl}との反応後のLC/MSの結果を示す。
1.定義
本発明において、「アミノ酸」は、その最も広い意味で用いられ、天然のアミノ酸、すなわち、セリン(Ser)、アスパラギン(Asn)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、アラニン(Ala)、チロシン(Tyr)、グリシン(Gly)、リジン(Lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、グルタミン(Gln)、トレオニン(Thr)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、プロリン(Pro)に加えて、アミノ酸変異体などの非天然アミノ酸を含む。したがって、本発明において、アミノ酸として、例えばL−アミノ酸;D−アミノ酸;化学修飾されたアミノ酸:ノルロイシン、β−アラニン、オルニチンなどの生体内でタンパク質の構成材料とならないアミノ酸:アミノ酸の側鎖置換基がさらに別の置換基によって置換された変異体(例えばヒドロキシリジン(Hyl)、ヒドロキシプロリン(Hyp))などが含まれる。
本発明において、「アミノチオアシッド」とは、アミノ酸のカルボキシル基がチオ酸基(−COSH)に変換されたアミノ酸を指し、典型的には、α−アミノ基を有する下記構造のものをいう:
Figure 2020110330
上記化合物におけるRは、任意のアミノ酸の側鎖を表しており、したがって、Rは、天然のアミノ酸の側鎖であってもよいし、非天然の側鎖に置換されたものであってもよい。
カルボキシル基にチオ酸基を導入する方法としては、様々な方法が知られている。例えば、そのような方法として、アンチモン触媒(例えば、PhSbO)の存在下、目的とするチオカルボン酸類に対応するカルボン酸と硫化リンとの反応で製造する方法(Chem.Ber,123,2081−2082(1990))、硫化水素を硫化剤として用いる方法(J.Org.Chem.,25,180−182(1960))、カルボン酸を酸ハロゲン化物に変換した後、硫化水素の金属塩(ナトリウム塩又はカリウム塩)と反応させる方法(Org.Synth.,4,924(1963);Synthesis.,998−1004(2005))、酸ハロゲン化物に、硫化剤として、N,N−ジメチルホルムチオアミドやチオアセトアミドを用いる方法(Phosphorus,Sulfur,and Silicon.,178,1661−1665(2003))、クロロ炭酸エステルと対応するカルボン酸との反応により、混合酸無水物に変換後、硫化水素と反応させる(Chem.Pharm.Bull.,34,999−1014(1986))などが挙げられる。本発明においては、これらの公知の方法を用いて、アミノ酸をチオアシッドアミノ酸に変換して、本発明に用いることができる。あるいは、アミノ酸誘導体は、例えば、アミノ酸中のカルボキシル基のチオエステル基への変換と、硫黄原子の保護基の脱保護によって調製することができる。
本発明において、アミノ酸、アミノチオアシッドは、糖鎖が付加されていてもよいし、または糖鎖が付加されていなくてもよい。
本明細書中において、「糖鎖付加アミノ酸」とは、糖鎖が結合したアミノ酸であり、糖鎖とアミノ酸とは、リンカーを介して結合していてもよい。また、「糖鎖付加ペプチド」とは、ペプチドを構成する任意のアミノ酸の位置に糖鎖が結合しているペプチドであり、同様に、糖鎖とアミノ酸とは、リンカーを介して結合していてもよい。糖鎖とアミノ酸との結合部位に特に制限はないが、糖鎖の還元末端にアミノ酸が結合していることが好ましい。
糖鎖が結合するアミノ酸の種類に特に限定はなく、天然アミノ酸、非天然アミノ酸のいずれを用いることもできる。糖鎖付加アミノ酸が生体内に糖ペプチド(糖タンパク質)として存在するものと同一または類似の構造を有するという観点からは、糖鎖付加アミノ酸は、N−結合型糖鎖のような糖鎖付加Asn、O−結合型糖鎖のような糖鎖付加Serおよび糖鎖付加Thr、糖鎖付加Hyl、糖鎖付加Hypが好ましく、特に糖鎖付加Asnが好ましい。
また、糖鎖とアミノ酸とがリンカーを介して結合している場合、リンカーとの結合容易性という観点からは、糖鎖付加アミノ酸のアミノ酸は、アスパラギン酸やグルタミン酸等の分子内に2つ以上のカルボキシル基を持つアミノ酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、トリプトファン等の分子内に2以上の窒素原子を持つアミノ酸、セリン、スレオニン、チロシン等の分子内に水酸基を持つアミノ酸、システイン等の分子内にチオール基を持つアミノ酸、アスパラギン、グルタミン等の分子内にアミド基を持つアミノ酸、が好ましい。特に、反応性の観点からは、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミンが好ましい。
本明細書中において、「糖鎖」とは、単位糖(単糖および/またはその誘導体)が1つ以上連なってできた化合物をいう。単位糖が2つ以上連なる場合、各々の単位糖同士の間は、グリコシド結合による脱水縮合によって結合する。このような糖鎖としては、例えば、生体中に含有される単糖類および多糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)、シアル酸ならびにそれらの複合体および誘導体)の他、分解された多糖、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、糖脂質などの複合生体分子から分解または誘導された糖鎖など広範囲なものが挙げられるがそれらに限定されない。糖鎖は直鎖型であっても分岐鎖型であってもよい。
また、本明細書中において、「糖鎖」には糖鎖の誘導体も含まれ、糖鎖の誘導体としては、例えば、糖鎖を構成する糖が、カルボキシル基を有する糖(例えば、C−1位が酸化されてカルボン酸となったアルドン酸(例えば、D−グルコースが酸化されたD−グルコン酸)、末端のC原子がカルボン酸となったウロン酸(D−グルコースが酸化されたD−グルクロン酸))、アミノ基またはアミノ基の誘導体(例えば、アセチル化されたアミノ基)を有する糖(例えば、N−アセチル−D−グルコサミン、N−アセチル−D−ガラクトサミンなど)、アミノ基およびカルボキシル基を両方とも有する糖(例えば、N−アセチルノイラミン酸(シアル酸)、N−アセチルムラミン酸など)、デオキシ化された糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース)、硫酸基を含む硫酸化糖、リン酸基を含むリン酸化糖などである糖鎖が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明に使用できる糖鎖は特に限定されず、生体内で複合糖質(糖ペプチド(または糖タンパク質)、プロテオグリカン、糖脂質等)として存在する糖鎖であってもよいし、生体内では複合糖質として存在しない糖鎖であってもよい。
生体内で複合糖質として存在する糖鎖は、生体に投与可能な糖アミノ酸、糖ペプチドが製造できるという観点から好ましい。かかる糖鎖としては、生体内で糖ペプチド(または糖タンパク質)としてペプチド(またはタンパク質)に結合している糖鎖であるN−結合型糖鎖、O−結合型糖鎖等が挙げられる。好ましくは、N−結合型糖鎖が用いられる。N結合型糖鎖としては、例えば、高マンノース(ハイマンノース)型、複合(コンプレックス)型、混成(ハイブリッド)型を挙げることができ、特に好ましくは、複合型が良い。
本発明で使用できる例示的な複合型糖鎖としては、例えば、下記一般式:
Figure 2020110330
[式中、RおよびRは、同一または異なって、
Figure 2020110330
を示す。Acはアセチル基を示す。]
で表される糖鎖等が挙げられる。
2.ペプチドチオエステルの製造法
本発明は、一態様において、ペプチドチオエステルの製造方法(以下、「本発明のペプチドチオエステル製造法」とも称する)に関する。
本発明のペプチドチオエステル製造法は、
(1)以下の配列:
Figure 2020110330
[ここで、Rは、任意のアミノ酸配列を示し;Xは、任意のアミノ酸を示し;CGCは、システイン−グリシンーシステインのアミノ酸トリプレットを示す。]
を有するペプチドを準備する工程、
(2)CGCトリプレットにおけるC末端システインのSH基とグリシンのカルボニル基との間で転移を生じさせ、R−X−CG−チオエステルを得る工程、および
(3)前記R−X−CG−チオエステルにおいて、システインのSH基とXのカルボニル基との転移と、システインのアミノ基とグリシンのチオエステルのカルボニル基との間での閉環縮合とを生じさせて、ペプチドチオエステルを得る工程、
を含む。
工程(1)は、出発物質であるペプチド(1)を準備する工程である。ペプチド(1)は、ライゲーションの対象になる目的のアミノ酸配列を有しており、本発明においては、そのC末端にCGCトリプレットを有するように設計されることを特徴とする。
ペプチド(1)は、化学合成により製造できるだけでなく、発現系により製造したものをそのまま用いることもできる。したがって、本発明は、化学合成での製造が困難な、サイズの大きなペプチドにも適用することができる点で、極めて汎用性が高いという利点を有している。
発現系によるペプチド(1)の製造には、細菌等の微生物や動植物の細胞を宿主細胞として用いる方法を用いることができる。そのような方法は、当業者に周知であり、典型的には、発現させる部分ペプチドをコードする核酸分子を調製する工程、調製した核酸分子を発現系の宿主細胞に導入し、導入により得た形質転換体を培養して増殖させ、所望の部分ペプチドを発現させ、必要に応じて産生されたポリペプチド鎖を精製することによって取得することができる。
発現させるポリペプチド鎖をコードする核酸分子の調製方法は、当該技術分野で既知の任意の手法を用いることができる。例えば、目的のポリペプチド鎖をコードするcDNAを作製し、これを鋳型に適切なプライマーでPCRなどの核酸増幅法を行う方法が挙げられる。本発明においては、目的のポリペプチド鎖のC末端にCGCトリプレット、および必要に応じて、特定の物質と結合性を有するポリペプチドからなる精製タグ(例えばHisタグ、GSTタグ、Sタグ、T7タグなど)を含むペプチドとして発現するように設計すればよい。得られた核酸分子は、種々のベクターにクローニングして保存することができる。所定の宿主に適合する具体的なベクターは当業者によく知られており、その多くは市販されている。
本発明の一実施形態において、ペプチド(1)は、糖鎖付加ペプチドである。
本発明のペプチドチオエステル製造法において、ペプチドチオエステルの形成は、2段階の反応を経て、C末端のCGC−COOH部分が、チオエステルを形成するとともに、1段階目の反応で形成したCG−チオエステル置換基の部分でジケトピペラジンを形成して安定化することによって達成される。
Figure 2020110330
工程(2)は、ペプチド(1)において、CGCトリプレットにおけるC末端システインのSH基とグリシンのカルボニル基との間で転移を生じさせ、R−X−CG−チオエステルを得る工程である(第1段階の反応)。
工程(2)の反応は、所与のチオールの存在下で促進することができる。工程(2)の反応に使用できるチオールは、これに限定されるものではないが、2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa)、2−アミノエタンチオール、およびビス(2−スルファニルエチル)アミン等を挙げることができ、これらのチオールの1種を、または、複数種を組み合わせて、使用することができる。
工程(2)の反応におけるチオールの使用量は、原料ペプチドであるペプチド(1)のチオール基1残基に対して、1〜1000当量とすることができ、好ましくは、10〜100当量、より好ましくは、15〜30当量とすることができる。
工程(2)の反応で使用される溶媒は、緩衝溶液(リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液)でよく、反応pHは、pH1.0〜5.0、好ましくはpH2.0〜4.0である。
工程(2)の反応で用いられる反応温度としては、特に制限はないが、30℃〜70℃の範囲で実施可能であり、好ましくは45℃〜55℃の範囲(例えば50℃)で実施される。
工程(2)の反応における反応時間は、原料ペプチドであるペプチド(1)の量に応じて、1〜120時間、例えば24〜72時間、の間で適宜設定することができる。
本発明の一実施形態において、工程(2)の反応において、チオールとして、2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa)、2−アミノエタンチオールまたはビス(2−スルファニルエチル)アミンが使用される。工程(2)の反応に2−アミノエタンチオールまたはビス(2−スルファニルエチル)アミンが使用される場合、工程(2)の反応に伴ってCGCトリプレットから離脱する末端のシステインが、R−X−CG−チオエステルに再度組み込まれることに起因する収量の低下を防止することが期待できる。
工程(3)は、工程(2)の結果として生じたR−X−CG−チオエステルにおいて、システインのSH基とXのカルボニル基との転移と、システインのアミノ基とグリシンのカルボニル基との結合形成によるジケトピペラジンを生じさせて、ペプチドチオエステルを得る工程である(第2段階の反応)。
工程(3)の反応は、所与のチオールの存在下で促進することができる。工程(3)の反応に使用できるチオールは、これに限定されるものではないが、2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa)、メルカプトフェニル酢酸(MPAA)、2−メルカプトプロピオン酸、チオフェノール、ベンジルメルカプタン、3/4−メルカプトベンジルスルフォネート等を挙げることができ、これらのチオールの1種を、または、複数種を組み合わせて、使用することができる。
工程(3)の反応におけるチオールの使用量は、R−X−CG−チオエステルのチオール基1残基に対して、1〜1000当量とすることができ、好ましくは、10〜100当量、より好ましくは、15〜30当量とすることができる。
工程(3)の反応で使用される溶媒は、緩衝溶液(リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液)でよく、反応pHは、工程(2)に比して、より中性また塩基性よりの条件、例えばpH5.0〜13.0の範囲内の任意のpH、pH6.0〜12.0の範囲内の任意のpH、pH7.0〜11.0の範囲内の任意のpHとすることができる。
工程(2)の反応で用いられる反応温度としては、特に制限はないが、20℃〜50℃の範囲で実施可能であり、好ましくは30℃〜40℃の範囲(例えば37℃)で実施される。
工程(3)の反応における反応時間は、0.5〜12時間、例えば1.0〜12時間、の間で適宜設定することができる。
本発明の一実施形態において、工程(2)の反応後、工程(3)の反応の前に、工程(1)の反応生成物の精製が行われる。精製は、ペプチドの精製に慣用的に用いられる方法によって行うことができ、これに限定されるものではないが、例えば、結晶化、交流分配法、分配クロマトグラフィー、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等(HPLC)などを用いることができる。
本発明のペプチドチオエステル製造法において、CGCトリプレットに結合しているアミノ酸Xの種類は、特に制限されず、任意のアミノ酸とすることができる。なお、ペプチドチオエステルの効率的な製造の観点から、工程(3)の反応に使用されるチオールの種類に応じて、アミノ酸Xの種類を適宜変更することが好ましい。例えば、工程(3)の反応に2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa)を使用する場合には、アミノ酸Xとして、セリン、メチオニンまたはアラニンのいずれかを使用することが好ましい。本発明の好ましい実施形態において、工程(3)の反応に2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa)を使用する場合、アミノ酸Xとして、メチオニンが使用される。
3.ペプチドの製造方法
別の態様において、本発明は、ペプチドの製造方法(以下、「本発明のペプチド製造法」とも称する)に関する。
本発明のペプチド製造法は、
(A)ペプチドチオエステル、および
(B)アミノチオアシッドもしくはペプチドチオアシッド、または、下記構造:
Figure 2020110330
[式中、Xは、酸処理、塩基処理、光照射処理、または還元処理で分離する任意の置換基を示し;Yは、ケトンまたはアルデヒドを示す。]
を有する補助基(以下、本発明の補助基とも称する)がそのN末端に導入されたアミノ酸またはペプチド
を縮合させて、ペプチドを得る工程を含み、
ここで、上記(A)および(B)を構成するアミノ酸の側鎖の少なくとも一部が未保護であることを特徴とする。
本発明において、「アミノ酸の側鎖の少なくとも一部が未保護である」とは、アミノ酸の側鎖の少なくとも一部が、ペプチド合成における側鎖の保護またはアミノ基の保護に慣用的に使用される保護基によって保護されていないことを意味する。そのような保護基としては、例えば、メチル基、tert−ブチル基、ベンジル基、ベンゾイル基、アセチル(Ac)基、トリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、tert−ブチルジメチルシリル(TBSまたはTBDMS)基などの水酸基の保護基;9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)基、ベンジル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(troc)基、アリルオキシカルボニル基、アセチル基、カーボネート系またはアミド系の保護基、などのアミノ基の保護基を挙げることができるが、これらに限定されない。また、「アミノ酸側鎖の一部が未保護である」とは、ペプチドを構成するアミノ酸の側鎖の少なくとも1つが未保護であることをいい、その数は問題としない。
本発明のペプチド製造法における好ましい実施形態において、上記(A)および(B)を構成するアミノ酸の側鎖の全てが未保護である。
上記(A)のペプチドチオエステルは、当業者に公知の方法で製造することができる。例えば、C末端のカルボン酸をPyBOPおよびDIPEAを用いて活性化させ、過剰のアルキルチオールを加えることでペプチドのC末端をチオエステル化することができる。この手法を用いる場合、フラグメントC末端のアミノ酸のα炭素の立体配置を抑制するため、アルキルチオールの添加は低温にて行うのが好ましく、より好ましくは10℃〜−80℃、より好ましくは0℃〜−40℃の温度で行う。また、上記チオエステル化は、Yamamotoら,J.Am.Chem.Soc.2008,130(2),501−510に記載のFmoc法やBoc法などによっても行うことができる。
本発明の一実施形態において、上記(A)のペプチドチオエステルは、本発明のペプチドチオエステル製造法によって製造されたペプチドチオエステルである。
本発明のペプチド製造法において、ペプチドまたはアミノ酸のN末端に導入される補助基は、ペプチドチオエステルとのスルフィド結合形成およびその後のS−Nアシル転移を可能にするためのものである。したがって、本発明の補助基の他、α,βもしくはγ−位にチオール基(−SH)を備えた任意の化合物も同様に使用できると考えられる。
本発明の補助基における置換基Xは、ペプチドチオエステルとのスルフィド結合形成、それに続くS−N転移によるアミド結合形成後の任意の段階で実施される分離処理によって分離し得る置換基である。前記分離処理に使用される例示的な酸処理としては、トリフルオロ酢酸による処理(例えば、0〜95%TFA中、1〜3時間、室温、0.1〜1Mの反応濃度条件での処理)などを挙げることができる。前記分離処理に使用される例示的な塩基処理としては、ホスフィン/モルフォリンによる処理(例えば、緩衝液(pH8.8)中、0.3M TCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)および1.2Mモルフォリンによる、40℃、3時間の処理)などを挙げることができる。前記分離処理に使用される例示的な光照射処理としては、300nm以上の波長による処理(例えば、ペプチドの水または水/アセトニトリル(3:7)溶液(0.5〜1mM)+TCEP(1当量)に、425〜365nmのUVを、室温で30分照射する処理)などを挙げることができる。前記分離処理に使用される例示的な還元処理としては、亜鉛/酢酸による処理(例えば、ペプチドの酢酸溶液(0.2〜1M程度)に亜鉛粉末(補助基に対して10〜50当量)を加え、40度で30分から120分攪拌する処理)などを挙げることができる。
本発明の補助基は、好ましい実施形態において、Xがアリールである化合物である。
本発明のペプチドの製造法において、アミノ酸またはペプチドのN末端への本発明の補助基の導入は、当業者に公知の手法を用いて導入することができる。例えば、アミノ酸またはペプチドのN末端への本発明の補助基の導入は、アミノ酸のアミノ基と補助基のケトンまたはアルデヒドとの間の還元的アミノ化を利用することによって導入することができる。還元的アミノ化は、当業者に慣用的に用いられる還元剤を用いることで促進することができる。本発明に使用することができる還元剤としては、これに限定されるものではないが、例えばギ酸、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、2−ピコリン−ボラン等を挙げることができ、これらの還元剤の1種をまたは複数種を組み合わせて用いることができる。
還元的アミノ化には、ヘキサン等のアルカン類、トルエン等の芳香族化合物類、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類およびイソプロパノールのアルコール類やN,N−ジメチルホルムアミドの極性溶媒等の溶媒を使用することができる。また反応時間は、導入するアミノ酸の種類または形態(例えば糖鎖の有無)などによって変化する場合があるが、1時間から24時間(例えば16時間)とすることができる。
アミノ酸またはペプチドに補助基を導入する際には、補助基のチオール基を保護することが好ましい。チオール基の保護には、これに限定されるものではないが、アセチル基、ピバロイル基、トリチル基、トリクロロアセチル基、ベンゾイル基、フェロセノイル基、2,4,6−トリイソプロピル基、ジメチルフェニルアセチル基、2−メトキシイソブチリル基またはtert−ブトキシカルボニル基などを用いることができる。
上記(A)および(B)の化合物の縮合反応は、ペプチドチオエステルとアミノチオアシッドまたはペプチドチオアシッドのチオール基との間で、またはペプチドチオエステルと本発明の補助基のチオール基との間で、S−Nアシル転移を起こすことによって進行する。
上記(A)および(B)の化合物の縮合反応は、必要に応じて、酸の存在下で行うことができる。本発明のペプチド製造法に使用することが可能な酸は、これに限定されるものではないが、硫酸等の無機酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(BF3・OEt2)、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチル(メチルチオ)スルホニウム(DMTST)、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリプロピルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルエチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリベンジルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルシリル又はトリフルオロメタンスルホン酸トリベンジルメチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸銀、シクロペンタジエニル塩化ハフニウム、シクロペンタジエニル塩化ジルコニウム、塩化錫等のルイス酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロメタンスルホン酸等の有機酸などを挙げることができる。これらの酸は、1種または2種以上を併用することができる。また、酸の使用量は、使用するペプチドチオエステルの量に応じて、当業者は適宜適切な量を設定することができる。
縮合反応に使用する溶媒は、反応に不活性な溶媒であれば制限されない。例えば、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、クロルベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、アセトニトリル、プロパンニトリル等のニトリル類又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。
縮合反応に使用される温度は、−80℃〜40℃、例えば−40℃〜25℃の範囲とすることができる。
本発明のペプチドの製造法は、ペプチドチオエステルとのライゲーションに用いるアミノ酸またはペプチドとして、アミノチオアシッドまたはペプチドチオアシッド、または特定の構造をそのN末端に有するアミノ酸またはペプチドを用いることによって、これらのいずれかのアミノ酸側鎖に未保護のアミノ酸が存在していても、ペプチドチオエステルのチオエステル部位(−COSR)と、アミノチオアシッドもしくはペプチドチオアシッドまたは補助基のチオ酸基(−COSH)とを、選択的に結合することができるという新たな知見に基づいている。すなわち、本発明のペプチドの製造法は、アミノ酸側鎖の保護、脱保護、および縮合の繰り返しを回避してもなお、構造が制御された目的のペプチドが製造できるという利点を有している。さらに、製造目的とするペプチドが、糖鎖付加ペプチドである場合には、アミノ酸側鎖の保護、脱保護、および縮合の繰り返しを回避できる結果、得られる糖鎖付加ペプチドのトータル収量を増加することができる。
本発明のペプチド製造法は、一実施形態において、糖鎖付加ペプチドの製造方法である。
したがって、本発明のペプチド製造法は、一実施形態において、(A)として糖鎖付加ペプチドチオエステルが使用される。
本発明のペプチド製造法は、別の実施形態において、(B)として、糖鎖付加アミノチオアシッドが使用される。
本発明のペプチド製造法は、さらに別の実施形態において、(B)として、糖鎖付加ペプチドチオアシッドが使用される。
本発明のペプチド製造法は、さらに別の実施形態において、(B)として、本発明の補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸または糖鎖付加ペプチドが使用される。
本発明のペプチド製造法を糖鎖付加ペプチドの製造方法に応用する場合には、(A)糖鎖付加ペプチドチオエステルに存在する糖鎖、または(B)糖鎖付加アミノチオアシッドもしくは糖鎖付加ペプチドチオアシッド、または本発明の補助基をそのN末端に有する糖鎖付加アミノ酸もしくは糖鎖付加ペプチドに存在する糖鎖は、その一部または全部が、当業者に公知の保護基で保護されていてもよいし、保護されていなくてもよい。これらの化合物中の糖鎖が、酸に対する感受性が高い部分(例えばシアル酸部分)を含んでいる場合には、(A)と(B)の縮合反応の前に、これらの糖鎖部分に保護基を導入することが好ましい。本発明に使用することができる糖鎖の保護基として、例えば、これに限定されるものではないが、フェナシル基、ベンジル基、メチル基等を挙げることができる。
本発明のペプチド製造法において、(A)として、糖鎖付加ペプチドチオエステルが使用される場合には、前記糖鎖付加ペプチドチオエステルは、例えば、ペプチドチオエステルと、糖鎖付加アミノチオアシッドとを縮合して糖鎖を導入し、その後、C末端をさらにチオエステル化することによって製造することができる。
糖鎖アミノチオアシッドは、例えば、常法に従って調製した糖鎖付加アスパラギン(Asn)、糖鎖付加セリン(Ser)、糖鎖付加スレオニン(Thr)、糖鎖付加ヒドロキシリジン(Hyl)、糖鎖付加ヒドロキシプロリン(Hyp)などの糖鎖付加アミノ酸のC末端にチオ酸基を導入することによって製造すればよい。
また、本発明のペプチド製造法において、(B)として、糖鎖付加ペプチドチオアシッドが使用される場合には、前記糖鎖付加ペプチドチオアシッドは、例えば、側鎖に前記糖鎖付加アミノチオアシッド中のチオ酸基(−COSH)とジスルフィド結合を形成し得る修飾基を有するシステインをそのN末端に有するペプチドとを反応させ、反応後のペプチドのC末端にチオ酸基を導入することにより製造することができる。当業者であれば、この目的に使用することができる修飾基を容易に設計することができる。具体的に、修飾基は、糖鎖付加アミノチオアシッドのチオ酸基(−COSH)との間でジスルフィド結合を形成する際に分離するように設計すればよい。そのような修飾基の具体例として、下記に記載するNpys/Pys修飾を挙げることができる(例えばLiu,Cら,Tetrahedron Letters.,199637,933−936)。
Figure 2020110330

Figure 2020110330
;および
Figure 2020110330
また、本発明のペプチド製造法において、(B)として、本発明の補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加ペプチドが使用される場合には、前記糖鎖付加ペプチドは、例えば、本発明の補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸のC末端にチオ酸基(−COSH)を導入して本発明の保護基を有する糖鎖付加アミノチオアシッドを製造し、側鎖に前記糖鎖付加アミノチオアシッド中のチオ酸基(−COSH)とジスルフィド結合を形成し得る修飾基を有するシステインをそのN末端に有するペプチドとを反応させることによって製造することができる。
本発明の一実施形態において、上記「本発明の補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、下記構造を有する糖鎖付加アミノ酸である。
Figure 2020110330
[ここで、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
上記糖鎖付加アミノ酸において、好ましくは、Xは、Xは、Asn、Ser、ThrまたはHylである。
上記糖鎖付加アミノ酸において、チオール基(−SH)は、保護されていても、保護されていなくてもよい。
上記糖鎖付加アミノ酸において、側鎖の糖鎖は、保護されていても、保護されていなくてもよい。
本発明の一実施形態において、上記「本発明の補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、下記構造を有する糖鎖付加ジペプチドである。
Figure 2020110330
[ここで、XはAsn、Ser、Thr、またはHylを示し、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
上記糖鎖付加ジペプチドにおいて、チオール基(−SH)は、保護されていても、保護されていなくてもよい。
上記糖鎖付加ジペプチドにおいて、側鎖の糖鎖は、保護されていても、保護されていなくてもよい。
なお、本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記述された事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素、数字など)が存在することを排除しない。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語および科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書および関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、または、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
第1の、第2のなどの用語が種々の要素を表現するために用いられる場合があるが、これらの要素はそれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は一つの要素を他の要素と区別するためのみに用いられているのであり、例えば、第1の要素を第2の要素と記し、同様に、第1の要素は第2の要素と記すことは、本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、しかしながら、本発明はいろいろな形態により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
[実施例1] アミノチオアシッドを利用した糖ペプチドの合成
(1)糖鎖付加アミノチオアシッドの合成
(1−1)tert−Boc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−STrtの合成
Figure 2020110330
Boc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−OH(18.0mg、6.7μmol)(Murakami,M.;Kiuchi,T.;Nishihara,M.;Tezuka,K.;Okamoto,R.;Izumi,M.;Kajihara,Y.Chemical synthesis of erythropoietin glycoforms for insights into the relationship between glycosylation pattern and bioactivity.Science Advances.2016.)をDMF(486.0μL)に溶かし、さらにトリフェニルメタンチオール(47.2mg、0.17mmol)、PyBOP(29.5mg、56.6μmol)および、DIEA(10.0μL、57.3μmol)をAr雰囲気下、−15℃において添加し、撹拌した。反応15時間後、冷EtO(20mL)を加え、得られた白色懸濁溶液を遠心分離し、沈殿を回収した。以下の条件で得られた沈殿の精製を行った。HPLC(Capcell Pak C18 φ10×250mm、15mM酢酸アンモニウム水溶液:CHCN=65:35〜20:80、80分、流速3mL/分)。精製後は強酸性陽イオン交換カラムDowex樹脂を用いて脱塩処理を行い、凍結乾燥し、最終的にtert−Boc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−STrt(11mg、57%)の白色固体を得た(図1、図2):m/z calcd.(a)に関し、C12817867S:[M+2H]2+1467.4、found for[M+2H]2+1467.1.(b)に関し、C10916467S:[M+2H]2+1346.3,found for [M+2H]2+1346.1.
図1中、化合物(b)はBoc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−STrt であり、化合物(a)は、ESI−MSの装置内でのSTrt基が外れたBoc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−SHである.
(1−2)H−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−SHの合成
Figure 2020110330
得られたBoc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−STrt (8.5mg、2.9μmol)に750μLのTIPS(5%、v/v)を含有するTFAを加え、室温で撹拌した。TLCを用いて反応追跡を行い、反応30分後、冷EtO(10mL)を加え、得られた白色懸濁溶液を遠心分離した。この操作を2回行い、得られた沈殿を0.1%TFA水溶液に溶かし、凍結乾燥させることで、最終的にH−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−SH(6.9mg、92%)の白色固体を得た(図3、図4):ESI−MS:m/z calcd.For (a) C10415665S:[M+2H]2+1296.2、[M+3H]3+864.5、found for [M+2H]2+1296.5、[M+3H]3+864.7。
(1−3)tert−Boc−Asn(アシアロオリゴサッカライド)−STrtの合成
Figure 2020110330
Boc−Asn(アシアロオリゴサッカライド)−OH(10.0mg、5.4μmol)をDMF(250.0μL)に溶解させ、トリフェニルメタンチオール(44.5mg、0.16mmol)、PyBOP(17.0mg、32.6μmol)およびDIEA(6.0μL、34.4μmol)をAr雰囲気下、−15℃において添加し、撹拌した。反応1.5時間後、冷EtO(40mL)を加え、得られた白色懸濁溶液を遠心分離した後、沈殿を回収した。以下の条件で得られた沈殿の精製を行った。HPLC(CAPCELL PAK C18 φ10×250mm、0.1%ギ酸水溶液:0.1%ギ酸CHCN溶液=80:20〜40:60、45分、流速3mL/分)。
最終的にtert−Boc−Asn(アシアロオリゴサッカライド)−STrt (6.7mg、59%)の白色固体を得た(図5):m/z calcd.For C7111849S:[M+2H]2+936.8,found for [M+2H]2+936.5。なお、観測されたMSは、ESI−MSの装置内でのSTrt基が外れたBoc−Asn(アシアロオリゴサッカライド)−SHである。
(1−4)H−Asn(アシアロオリゴサッカライド)−SHの合成
Figure 2020110330
得られたBoc−Asn(アシアロオリゴサッカライド)−STrt (2.0mg、0.95μmol)に65.0μLのTIPS(5%、v/v)を含有するTFAを加え、室温下で撹拌した。TLCを用いて反応追跡を行い、反応30分後に冷EtO(10mL)を加え、撹拌した。得られた白色懸濁溶液を遠心分離後、白色沈殿を回収した。さらに、沈殿に冷EtO(10mL)を加え、撹拌し、生じた白色懸濁溶液を遠心分離する操作を2回行った。得られた沈殿を0.1%TFA溶液に溶解させ、凍結乾燥処理を行うことで、H−Asn(アシアロオリゴサッカライド)−SH (0.6mg、34%)の白色固体を得た。
(2)アミノチオアシッドの合成
(2−1)Boc−Leu−STrtの合成
Figure 2020110330
Boc−Leu−OH(301mg、1.21mmol)、トリフェニルメタンチオール、(684mg、2.47mmol)およびPyBOP(1.25g、2.40mmol)を乾燥DCM(12.0mL)に溶解させ、Ar雰囲気下、−20℃において静置した。この溶液にDIEA(419μL、2.40mmol)を添加し、1.5時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液で分液し、有機相を減圧下で濃縮した。得られた黄白色固体を少量のDCMに溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、(酢酸エチル/ヘキサン=1:8)、最終的にBoc−Leu−STrt (301mg、51%)の白色粉末を得た(図6)。
(2−2)H−Leu−SHの合成
Figure 2020110330
得られたBoc−Leu−STrt (50mg、102μmol)に5.0mLのTIPS(5%、v/v)を含有するTFAを添加し、室温で30分間撹拌した。TFAを減圧下除去し、直ちに40mLの冷EtOを加えた。得られた白色懸濁溶液を遠心分離し、白色沈殿を得た。さらに白色沈殿に40mLの冷EtOを添加し、遠心分離する操作を計2回行った。得られた白色沈殿を0.1%TFA水溶液で溶解させ、凍結乾燥処理を行い、H−Leu−SH (12.4mg、83%)の白色粉末を得た(図7)。
また、他の側鎖を有する下記のアミノ酸チオアシッドを同様の手法を用いて合成した。
Figure 2020110330
(3)Fmoc固相ペプチド合成(SPPS)の手順
(3−1)ペプチドチオエステルの合成
Figure 2020110330
用いたFmoc−アミノ酸は、Gly、Tyr、Pheである。ペプチド−α−チオエステル は,Dawson AM resinを樹脂として用いたFmoc SPPSプロトコールを用いた。最初のFmoc-アミノ酸(Fmoc−Phe、0.84mmol)は、DMF(3.0mL)中で、HBTU(314mg、0.84mmol)、HOBt(114mg、0.84mmol)、DIEA(219μL、0.84mmol)により、1分間活性化させ、SPPSチューブ内で樹脂(141μmol)に加え、反応溶液を45分間室温で撹拌した。さらなるFmoc−アミノ酸の縮合は、上記と同様の手法を用いた。また、Fmoc基の脱保護は、ピペリジン(20%、v/v)を含有するDMFを樹脂に加え、10分間撹拌した後、DMFで洗浄することで行った。最終残基の縮合後、Fmoc基を脱保護し、樹脂をDMFおよびDCMで洗浄した。さらにペプチドを樹脂から切り出すために、樹脂に2.4mLのTIPS(5%、v/v)含有TFAを加え、室温で1時間撹拌した。得られた溶液に、冷EtO(40mL)を加え、遠心分離し、白色沈殿を回収した。同様の操作を2回行った後、凍結乾燥を行い、H−Tyr−Gly−Gly−Phe−DBzの黄色固体を得た。得られたH−Tyr−Gly−Gly−Phe−DBz(7.0mg、13μmol)を、1.3mLのリン酸緩衝液(pH3.7)に溶解させ、−5℃の一定温度下で、1.0M NaNO水溶液(130μL、130μmol)を添加した。2分間撹拌した後、反応溶液に4−メルカプト安息香酸(20.0mg、129μmol)の溶解した1.3mLのリン酸緩衝液(pH7.0)を添加し、10分間撹拌した後、直ちに冷EtO(10mL)を加え、遠心分離を行った。同様の操作を2回行った後、水相を回収し、以下の条件で精製した。HPLC(Proteonavi C8φ10×250mm、0.1%ギ酸水溶液:0.1%ギ酸CHCN溶液=90:10〜50:50、80分、流速3mL/分)。得られた精製溶液を凍結乾燥させペプチド−チオエステル (2.3mg)の黄色粉末を得た(図8):m/z calcd.For C2930S:[M+H]579.2,found for [M+H]579.2。
(3−2)Cys修飾ペプチドの合成
Figure 2020110330
使用するFmoc−アミノ酸は、Gly、Tyr、Cys(SBu)である。また上記構造中の下記構造部分を、以下ではNpysと表記する。
Figure 2020110330
ペプチドは、Barlos Resin(60μmol)を樹脂として用いたFmoc SPPSプロトコールにより合成した。基本的なアミノ酸の縮合反応はペプチドチオエステル の合成と同様の操作により行った。最終残基を縮合後、Fmoc基を脱保護させ、DMFで洗浄した。次にシステインのtert−ブタンチオールを脱離させるため、SPPSチューブ内で樹脂に2.0mLの2−メルカプトエタノール(20%、v/v)含有DMFを加えた。5時間室温で撹拌し、DMFおよびDCMで洗浄した。さらにNpysとジスルフィド結合を形成させるため、樹脂に2,2’−ジチオビス(5−ニトロピリジン)(189.2mg、610μmol)を含む3mLのDMFを加え、室温下で18時間撹拌した。さらに,DMFおよびDCMで洗浄し、樹脂からペプチドを切り出すために、TIPS(5%、v/v)を含有する2.0mLのTFAを加え、3時間撹拌した。得られた溶液に、冷EtO(40mL)を加え、遠心分離し、黄色沈殿を回収した。同様の操作を2回行った後、凍結乾燥を行い、H−Cys(Npys)−Gly−Tyr−Gly−OHの黄色固体を得た(図9):m/z calcd. For C2124:[M+H]553.1,found for [M+H]553.4。
(4)チオアンハイドライドライゲーションの一般的な反応手順
合成したアミノチオアシッドに対してペプチドチオエステル (0.5〜2.0当量)およびDIEA(5.0〜10.0当量)を加え、Ar雰囲気下室温で反応させた。反応溶液のアミノチオアシッドは、10〜30mMで反応を効率的に進行させることができる。反応追跡は逆相HPLCを用いて行った。反応は、通常、いずれの基質においても3〜6時間以内に完了する。
ペプチドチオエステルとのアミノチオアシッドとのカップリング
Figure 2020110330
Ar雰囲気下で、ペプチドチオエステル (0.18mg、0.31μmol)を10.0μLのDIEA(320mM)含有DMFに溶解させた。さらにH−Ala−SH(0.12mg、1.1μmol)を加えた。反応は30分で収束した。反応追跡は、0.1%ギ酸50%CHCN水溶液を大過剰加え、撹拌した後、溶液をRP−HPLCに通して行った(図10)。反応収束後30分で、アミド結合形成率は87%であった。その際のアミド結合形成率は、HPLC上での面積強度の積分値から算出したものである。ESI−MS:H−YGGFA−SH m/z calcd. For C2531S:[M+H]530.2, found for [M+H] 530.2。
そして他のアミノチオアシッドにおいても同様の反応を行い、得られたペプチドチオエステルとアミノチオアシッド間でのアミド結合形成率(%)を図11にまとめた。
ペプチドチオエステルとH−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−SHとのカップリング
Figure 2020110330
Ar雰囲気下、ペプチドチオエステル (0.060mg、0.10μmol)を、6.0μLのDIEA(150mM)含有DMFに溶解させた。さらに、この反応溶液に、合成で得られたH−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−SH (0.50mg、1.9μmol)を加え、室温で反応させた。HPLCによる反応追跡の結果、反応3時間で反応が収束した。この際の縮合でのアミド結合形成率は46%であることが分かった(図12)。その際のアミド結合形成率は,HPLC上での面積強度の積分値から算出したものである。ESI−MS:m/z calcd. For C1261801270S:[M+2H]2+1508.5、[M+3H]3+1005.9、[M+4H]4+754.7, found for [M+2H]2+ 1508.6,[M+3H]3+ 1005.7,[M+4H]4+754.8。
次に反応が完了した後、直ちに凍結乾燥を行い、得られたペプチド 10を以下の条件で精製した。HPLC(CAPCELL PAK C18 φ10×250mm、0.1%TFA水溶液:0.1%TFACHCN溶液=90:10〜50:50、50分、流速3mL/分)。
ペプチドチオエステルとH−Asn(アシアロオリゴサッカライド)−SHとのカップリング
Figure 2020110330
Ar雰囲気下、ペプチドチオエステル (0.15mg、0.017μmol)を6.0μLのDIEA(320mM)含有DMFに溶解させた。この反応溶液に、合成で得られたH−Asn(アシアロオリゴサッカライド)−SH (0.01mg、0.082μmol)を加え、室温で反応させた。HPLCによる反応追跡の結果、反応3時間で反応が収束した。その際の縮合でのアミド結合形成率は34%であることが分かった(図13)。その際アミド結合形成率は、HPLC上での面積強度の積分値から算出したものである。ESI−MS:m/z calcd. For C881341052S : [M+2H]2+ 1098.4, found for [M+2H]2+ 1098.6。
H−Tyr−Gly−Gly−Phe−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)−SHとH−Cys(Npys)−Gly−Tyr−Gly−OHペプチドとのカップリング
本縮合反応は、ペプチドチオアシッドおよびN末端にNpys修飾を行ったペプチドとのライゲーション反応である。これはTamらの方法を参考に行った(Liu,C.;Rao,C.;Tam,J.P. Acyl Disulfide−Mediated Intramolecular Acylation for Orthogonal Coupling Between Unprotected Peptide Segments. Mechanism and Application. Tetrahedron Letters.,199637,933−936.)。
Figure 2020110330
得られたペプチド 10(0.29mg、0.096μmol)を19.0μLのDMFへ溶解させ、さらにNpys修飾を行ったペプチド (0.1mg、0.18μmol)を添加した。反応2.5時間後、溶液にジチオスレイトールを添加し、反応を収束させ、HPLCで反応を確認したところ、定量的にライゲーションが行われたことを確認した(図14)。ESI−MS:m/z calcd. For C1422001676S : [M+3H]3+ 1127.4, [M+4H]4+ 845.8, found for [M+2H]2+ 1127.1, [M+3H]3+ 845.6。
[実施例2] 補助基を利用した糖ペプチドの合成
(1)糖鎖N末端側ライゲーション
(1−1)補助基の合成
下記反応スキームにしたがって、化学式C2322OSで示す補助基を合成した。
Figure 2020110330
反応1
1−フェニルエタン−1,2−ジオール(3.96g、28.9mmol)、TrtCl(8.77g、31.8mmol、1.1当量)、DMAP(0.354g、2.89mmol、0.1当量)、および攪拌子をナスフラスコに入れ、真空ラインで1時間乾燥させた。アルゴン置換後、ピリジン(72ml、400mM)を加えて、50℃のオイルバスで一晩攪拌させた。その間TLC(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応追跡を行った。16時間後、真空ポンプにより減圧濃縮し、ピリジンを除いた。十分にピリジンが除去された後、酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水、HOで抽出した。有機層を減圧濃縮後、シリカゲルカラム精製(直径=30mm、展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=11:1)にて目的物を得た。(10.1g,92%)。
化学式:C2724
[M+Na]:Cal.403.8 Found.403.3
[M+K]:Cal.419.8 Found.419.3
H NMR(CDCl,400MHz)
δ:7.42−7.23(m,20H),4.76(m,1H),3.45(m,1H),3,28(m,1H),2.76(d,1H)
反応2
1−フェニル−2−(トリチルオキシ)エタノール(7.11g、18.7mmol)をDCM(95mL、200mM)に溶かし、氷浴中でDIEA(6.5mL、37.4mmol、2当量)を加えたのちゆっくりとMsCl(1.75mL、22.4mmol、1.2当量)を滴下した。滴下終了後、氷浴を外し徐々に室温へと戻した。この間TLC(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で反応追跡を行った。5分後、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水、HOで抽出した。有機層にMgSOを加えてろ過した後、減圧濃縮して真空ラインで1時間乾燥させた。クルードのまま、DMF(250mL,150mM)に溶かし、KsAc(4.27g、37.4mmol、2当量)加えて、40℃のオイルバスで一晩攪拌させた。この間TLC(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で反応追跡を行った。酢酸エチルで希釈し、飽和食塩水で抽出した。減圧濃縮後、シリカゲルカラム精製(直径=50mm、展開溶媒 ヘキサン:トルエン=1:1)によって目的物を得た(5.82g、71%)。
化学式:C2926
[M+Na]:Cal.461.0 Found. 461.3
[M+K]:Cal.477.2 Found. 477.5
H NMR(CDCl,400MHz)
δ:7.35−7.21(m,20H),4.85(t,1H),3.45(d,1H),3,41(d,1H),2.30(S,3H)
反応3
S−(1−フェニル−2−(トリチルオキシ)エチル)エタンチオエート(5.19g、11.9mmol)をメタノール:酢酸エチル=4:1(118mL、100mM)に溶かし、ゆっくりとN・HO(0.865mL、17.9mmol、1.5当量)を滴下して室温で攪拌した。その間TLC(展開溶媒 ヘキサン:トルエン=3:1)で反応追跡を行った。1時間後、酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水、HOで抽出した。有機層を減圧濃縮してシリカゲルカラム精製(直径=50mm、展開溶媒 ヘキサン:トルエン=3:1)によって目的物を得た(3.98g、84%)。
化学式: C2724OS
[M+Na]:Cal.419.5 Found. 419.4
[M+K]:Cal.435.2 Found. 435.1
H NMR(CDCl,400MHz)
δ:7.40−7.20(m,20H),4.09(q,1H),3.45(m,2H),2.33(S,1H)
反応4
1−フェニル−2−(トリチルオキシ)エタン−1−チオール (3.58g、9.03mmol)をギ酸:EtO=1:1(30mL、300mM)に溶かし、室温で攪拌した。その間TLC(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で反応追跡を行った。直後、ピペリジン(約20mL)を氷浴中でゆっくりと加えてクエンチし、反応溶液を酢酸エチルで希釈したのち、飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水、HOで抽出した。有機層を減圧濃縮してシリカゲルカラム精製(直径=50mm、展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=6:1)によって目的物を得た(2.80g、78%)。
化学式:C2724OS
[M+Na]:Cal.419.5 Found. 419.3
[M+K]:Cal.435.2 Found. 435.0
H NMR(CDCl,400MHz)
δ:7.44−7.23(m),3.46(m,1H),3.38(t,1H),3.31(m,1H),1.50(t,1H)
反応5
2−フェニル−2−(トリチルチオ)エタノール(1.9g、4.91mmol)にNaCO(約6当量程度)を加え、DCM50mlに溶かした。ここへデス−マーチンペルヨージナン(DMP)(2.29g、5.40mmol、1.1当量)をDCM48mlに溶かしたものを少しずつ滴下した。反応は10分で終了し、この間TLC(展開溶媒 ヘキサン:DCM=1:3)で反応追跡を行った。これを過剰のEtOで希釈し、飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水、HOで抽出した。この時水層と有機層の間に白いポリマーのようなものができるが、抽出操作を続けるとほとんど水層に移動した。その後ドラフト内で減圧濃縮し、シリカゲルカラム精製(ヘキサン:DCM=1:3、直径30mm)によって目的物を得た(1.35g、70%)。
化学式:C2722OS
[M+Na]:Cal.417.1 Found.417.2
[M+K]:Cal.433.2 Found.433.3
H NMR(CDCl,400MHz)
δ:8.99(d,1H)7.44−7.21(20H,m),3.99(d,1H)
(1−2)セリンへの補助基の導入
上記のようにして合成した補助基を、下記の反応スキームにしたがってセリンに導入した。
Figure 2020110330
2−フェニル−2−(トリチルチオ)アセトアルデヒド(173.5mg、0.438mmol、1.1当量)をメタノールに溶かし、そこへO−(tert−ブチル)−L−セリン(64.2mg、0.398mmol)、ボラン−2−ピコリンコンプレックス(85.2g、0.796mmol、2当量)、ギ酸の順で加えた。この間TLC(展開溶媒 酢酸エチル:メタノール=1:1)で反応追跡を行った。5時間後、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水、HOで抽出した。有機層を減圧濃縮し、シリカゲルカラム精製(ヘキサン:酢酸エチル=4:1、直径15mm)にて目的物を得た(96.1mg、45%)。
化学式:C3437NO
[M+H]:Cal.540.25 Found.540.1
(1−3)糖鎖付加アミノ酸への補助基の導入
また、下記の反応スキームにしたがって、補助基をジシアロ糖鎖付加アミノ酸に導入した。
Figure 2020110330
Fmoc−Asn(シアリルオリゴサッカライド)(51.4mg、21.4μmol)をHO(0.6mL)に溶かしたものと、2−フェニル−2−(トリチルチオ)アセトアルデヒド(123.6mg、0.321mmol、15当量)をDMF(1.8mL)とイソプロパノール(0.2mL)に溶かしたものを混ぜ、ここに5%(v/v)になるようにギ酸を加えた。この溶液に、ボラン−2−ピコリンコンプレックス(36.1mg、0.321mmol、15当量)を加え、30℃で攪拌した。その間TLC(展開溶媒 1M酢酸アンモニウム水溶液:イソプロパノール=2:3)、およびUPLCで反応追跡を行った。36時間後、溶液を真空ポンプで減圧濃縮してDMFを除去したのち、逆相HPLC精製によって目的物を得た(34.6mg、59%、図15)。
化学式:C11516664
[M+H]:Cal.2715.97 Found.2715.8
(1−4)保護基の導入
下記の反応スキームにしたがって、糖鎖付加アミノ酸−補助基複合体の末端シアル酸に保護基を導入した。
Figure 2020110330
Aux−Asn(シアリルオリゴサッカライド)(10.6mg、3.68μmol)、陽イオン交換樹脂Dow−ex50に通して凍結乾燥させた。これを糖鎖1mgに対し500μLの割合で蒸留水に溶かした溶液を、50mg/mLの炭酸セシウム水溶液でpH4.0に調整したのち、再び凍結乾燥させた。その後、DMF(3.6mL、1mM)に溶かし、ここへ2−ブロモ−1−フェニルエタン−1−オン(3.62mg、18.4mmol)を加えて5時間常温で攪拌した。この間の反応追跡は、UPLCで行い、Sephadex G15のゲルでゲルろ過後、逆相HPLC精製によって目的物を得た(2.3mg、21%、図16)。
化学式:C13117866
[M+H]:Cal.2951.94 Found.2952.0
(1−5)補助基を介したN末端側ライゲーション
上記(1)〜(4)にしたがって取得した糖鎖付加アミノ酸−補助基複合体を、下記反応スキームにしたがって、ペプチドチオエステル体(LRLRGG−COSRおよびALLX−COSR)とのライゲーションに用いた。
Figure 2020110330
いずれの反応においても、糖鎖−補助基複合体(Aux−Asn(ジフェナシル-シアリルオリゴサッカライド)(2.5mM)、ペプチドチオエステル体(5mM)になるように、50μlの緩衝液(6M Gd・HCl、200mMリン酸、20mM TCEP、40mM MPAA)に溶かし、pH7に調整した。これを常温で静置し、UPLCによって反応を追跡した。
LRLRGG
MPAAの付加体の形で得られたが、TCEPを添加すると全て目的のライゲーションプロダクトとして得られた。(HPLC 面積収率>99%、図17)
化学式:C1402202072
[M+H] Calcd.3366.3903 Found.3366.3962
ALLH
糖鎖からPac基が脱保護したライゲーションプロダクトも認められたため、反応系に200mM MESNa、0.5μLのピペリジンを加えてPac基を全て脱保護したのち、面積収率を求めた(面積収率88%、図18)。
化学式:C1171861468
[M+H]Calcd.2908.13 Found.2908.2
ALLS
糖鎖からPac基が脱保護したライゲーションプロダクトも認められたため、脱保護体も含めて面積収率を求めた(面積収率77%)。
化学式:C1301961271S(Pac基が外れていないライゲーションプロダクト)
[M+H]Calcd.3094.18 Found.3094.32
ALLV
糖鎖からPac基が脱保護したライゲーションプロダクトも認められたため、脱保護体も含めて面積収率を求めた(面積収率76%)。
化学式:C1322001270
[M+H]Calcd.3106.22 Found.3106.38
(2)糖鎖N末端側ライゲーション
(2−1)糖鎖アミノ酸の合成
下記に反応スキームにしたがって、アミノ酸(セリン)C末端のNHNHBoc化を行った。
Figure 2020110330
N−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニル)−O−(tert−ブチル)−L−セリン(1.02g、2.61mmol)をDMF(12mL、217mM)に溶かし、ここへカルバジン酸 tert−ブチル(1.73g、13.0mmol、5当量)、EDC・HCl(1.86g、9.70mmol、3.5当量)を加えて室温で攪拌した。この間TLC(展開溶媒 酢酸エチルまたはヘキサン:酢酸エチル=1:1)で反応追跡を行った。30分後、酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で抽出した。有機層を減圧濃縮後、シリカゲルカラム精製(直径30mm、ヘキサン:酢酸エチル=1:1)にて目的物を得た(1.17g、90%)。
化学式:C2735
[M+Na]:Cal.520.2 Found. 520.2
[M+K]:Cal. 536.3 Found. 536.3
H NMR(CDCl,400MHz)
δ:7.65−7.25(m,10H),5.70(s,1H),4.40(d,2H),4.32(s,3H),3.81(s,1H),1.26(s,9H)
次いで、下記の反応スキームにしたがって糖鎖を導入した。
Figure 2020110330
アミノ酸縮合および側鎖の脱保護
Fmoc−Asn(ジフェナシル−シアリルオリゴサッカライド)(10.1mg、3.58μmol)に、DMF(715μL、5mM)にNH−Ser(OtBu)−NHNHBoc(4.9mg、17.9μmol、5当量)、およびPyBOP(9.5mg、17.9μmol、5当量)を溶かしたものを加えた。ここへDIEA(4.2μL、25.1μmol、7当量)を追加して−20℃で20分間攪拌した。この間、反応追跡は、UPLCで行い、反応終了後、ゲルろ過Sephadex LH−20、CHCN:HO=1:1にて試薬を取り除き、凍結乾燥させた(9.2mg、84%、図19)。次にこのサンプルにTFA/TIPS(95:5、200μL)を加え、1時間氷浴中で攪拌した。その後、冷やした10倍量のEtOによって、Boc、tBuの脱保護体を沈殿させて得た。その後、蒸留水を加えて希釈し、凍結乾燥させた(7.8mg、89%)。
アミノ酸C末端の調整
次に、このサンプルに、10mM NaNO(6MGd・HCl、200mM リン酸緩衝液、pH4.0)を50μl加えて、−20℃で攪拌した。30分後、UPLCによって、末端がアジド体になったことを確認したのち、サンプル中で200mMの濃度になるようMESNaを加えてpH7に調整した。3時間後、UPLCによって、末端がチオエステル体になったことを確認したのち、ゲルろ過(Sephadex LH−20,CHCN:HO=1:1)によって目的物を得た(6.1mg,75%、図20)。
化学式:C12417572
[M+H]:Cal.3007.98 Found.3007.84
(2−2)糖鎖C末端側へのアミノ酸のライゲーション
下位反応スキームにしたがって、糖鎖アミノ酸チオエステル体のC末端側でライゲーション反応を行った。
Figure 2020110330
Fmoc−Asn(ジフェナシル-シアリルオリゴサッカライド)−Ser−COSR(0.4mg、0.13μmol、0.5mM)とAux(SH)−Ser−COOH(0.16mg、0.65μmol、5mM)を緩衝液(6M Gd・HCl、200mM リン酸,20mM TCEP、80mM MPAA)に溶かして、pH7に調整した。これを常温で静置し、UPLCによって反応追跡した。4時間で原料糖鎖は全て消失し、ESI−MSにより目的物の生成を確認した(図21)。
化学式:C1331841072
[M+H]:Cal.3106.99 Found.3107.01
[実施例3] ペプチドチオエステルの合成
(1)C末端CGCのNS転移を伴うMENSaチオエステル化
Figure 2020110330
1.5mLのエッペンドルフチューブに、ペプチド(H−SSTGWCGC−OH)(1当量、0.50mg、0.6μmol)、2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa、10%(w/v)、31.3mg、0.19mmol)を加え、6Mグアニジン塩酸塩を含む0.2Mクエン酸緩衝溶液に溶かし、pHを3.5に調整し、反応させた。反応は50°Cでおこなった。72時間追跡し、LC/MSにより確認した。反応は72時間で終了とし、Sep−Pak(登録商標)により、反応溶液中の脱離システインを取り除き、凍結乾燥を行った(目的物の質量分析結果 M/Z 821.2)。この2を引き続き次の反応に用い、CysGly−チオエステルの脱離を伴う、トリプトファンがチオエステル化されものの合成をおこなった(図22)。
(2)MESNaを用いたC末端CG−MESNaチオエステルの末端チオエステル化
Figure 2020110330
1.5mLのエッペンドルフチューブに、ペプチド(H−SSTGWCG−MESNa)(1当量、0.50mg、0.6μmol)、2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa、10%(w/v)、31.3mg,0.19mmol)を加え、6Mグアニジン塩酸塩を含む0.2Mクエン酸緩衝溶液に溶かし、pHを6.5に調整して、反応させた。反応は50°Cでおこなった。反応は8時間追跡し、LC/MSにより確認した。その結果、CysGly−チオエステルの脱離によりペプチドチオエステル3を得た(図23)。目的物3の質量分析結果 M/Z 661.1。
(3)MPAAを用いたC末端CG−MESNaチオエステルの末端チオエステル化
Figure 2020110330
前述のペプチドチオエステルを得る反応において、より脱離能の高いメルカプトフェニル酢酸(MPAA)を用い、MPAAが付加したチオエステル体を得る検討をおこなった。1.5mLのエッペンドルフチューブに、ペプチド(H−SSTGWCG−MESNa)(1当量、0.50mg、0.6μmol)、メルカプトフェニル酢酸、10%(w/v)、31.3mg、0.18mmol)を加え、6Mグアニジン塩酸塩を含む0.2Mクエン酸緩衝溶液に溶かし、pHを6.5に調整し、反応させ目的物を得た。反応は50°Cでおこなった。反応は2時間追跡し、LC/MSにより確認した(図24)。目的物の質量分析結果 M/Z 687.2
(4)C末端GCのNS転移を伴うビス(2−スルファニルエチル)アミノ基の導入反応
Figure 2020110330
ペプチド(Seg1)(1当量、0.50mg)に、ビス(2−スルファニルエチル)アミン{HN(CHCHSH)・HCl(5%(w/v)、7.5mg)}を加え、6Mグアニジン塩酸塩を含む0.2Mクエン酸緩衝溶液に溶かし、pHを3.5に調整し、反応させた。反応は50℃でおこなった。反応は50時間追跡し、LC/MSにより確認した(図25)。目的物であるビス(2−スルファニルエチル)アミノ基をC末端にもつペプチドの質量分析結果:[M+10H]10+ 941.6955、[M+9H]9+ 1046.2149、[M+8H]8+ 1176.8641、[M+7H]7+ 1344.8428、[M+6H]6+ 1568.8149。
(5)C末端のNS転移を伴うビス(2−スルファニルエチル)アミノ基の導入
Figure 2020110330
1.5mLのエッペンドルフチューブに、ペプチド(H−LQNIHC−OH)(1当量、0.50mg)に、ビス(2−スルファニルエチル)アミン{HN(CHCHSH)・HCl、10%(w/v)、31.3mg}を、6Mグアニジン塩酸塩を含む0.2Mクエン酸緩衝溶液に溶かしたものを加え、反応させた。反応は50°Cでおこなった。反応は72時間追跡し、LC/MSにより確認した(図26)。目的物の質量分析結果 M/Z 743.5。

Claims (47)

  1. ペプチドチオエステルの製造方法であって、
    (1)以下の配列:
    Figure 2020110330
    [ここで、Rは、任意のアミノ酸配列を示し;Xは、任意のアミノ酸を示し;CGCは、システイン−グリシンーシステインのアミノ酸トリプレットを示す。]
    を有するペプチドを準備する工程、
    (2)CGCトリプレットにおけるC末端システインのSH基とグリシンのカルボニル基との間で転移を生じさせ、R−X−CG−チオエステルを得る工程、および
    (3)前記R−X−CG−チオエステルにおいて、システインのSH基とXのカルボニル基との転移と、システインのアミノ基とグリシンのチオエステルのカルボニル基との間での閉環縮合とを生じさせて、ペプチドチオエステルを得る工程、
    を含む、
    製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法であって、
    前記ペプチドは、化学合成により、または、発現系による発現により、取得されたものである、
    製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法であって、
    前記工程(2)の反応は、2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa)、2−アミノエタンチオール、およびビス(2−スルファニルエチル)アミンよりなる群から選択される少なくとも1種のチオールの存在下で行われる、
    製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記工程(3)の反応は、2−メルカプトエタンスルフォン酸ナトリウム(MESNa)、メルカプトフェニル酢酸(MPAA)、2−メルカプトプロピオン酸、チオフェノール、ベンジルメルカプタン、3/4−メルカプトベンジルスルフォネートから選択される少なくとも1種のチオールの存在下で行われる、
    製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    (2−1)工程(2)の反応後、工程(3)の前に、R−X−CG−チオエステルを精製する工程、
    をさらに含む
    製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法であって、
    前記ペプチドは、糖鎖付加ペプチドである、
    製造方法。
  7. ペプチドの製造方法であって、
    (A)請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたペプチドチオエステル、および
    (B)アミノチオアシッドまたはペプチドチオアシッド
    を縮合させて、ペプチドを得る工程を含み、
    ここで、前記(A)および(B)を構成するアミノ酸の側鎖の少なくとも一部が未保護である、
    ことを特徴とする、
    製造方法。
  8. 請求項7に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記(A)および(B)を構成するアミノ酸の側鎖の全てが未保護である、
    製造方法。
  9. 請求項7または8に記載のペプチドの製造方法であって、
    糖鎖付加ペプチドの製造方法である
    ことを特徴とする、
    製造方法。
  10. 請求項9に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記ペプチドチオエステルは、糖鎖付加ペプチドチオエステルである、
    製造方法。
  11. 請求項9に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記アミノチオアシッドもしくはまたはペプチドチオアシッドは、糖鎖付加アミノチオアシッドまたは糖鎖付加ペプチドチオアシッドである、
    製造方法。
  12. 請求項11に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記糖鎖付加アミノチオアシッドは、Asn、Ser、Thr、HylまたはHypよりなる群から選択される糖鎖付加アミノ酸のチオアシッドである、
    製造方法。
  13. 請求項11に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記糖鎖付加ペプチドチオアシッド中の糖鎖付加アミノ酸は、Asn、Ser、Thr、HylまたはHypよりなる群から選択される糖鎖付加アミノ酸である、
    製造方法。
  14. 請求項11または13に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記糖鎖付加ペプチドチオアシッドは、糖鎖付加アミノチオアシッドと、側鎖に前記糖鎖付加アミノチオアシッド中のチオ酸基(−SH)とジスルフィド結合を形成し得る修飾基を有するシステインをそのN末端に有するペプチドとを反応させ、反応後のペプチドのC末端にチオ酸基を導入することにより得られたものである、
    製造方法。
  15. 請求項14に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記修飾基は、下記より成る群から選択される修飾基である、
    製造方法。
    Figure 2020110330

    Figure 2020110330
    ;および
    Figure 2020110330
  16. ペプチドの製造方法であって、
    (a)請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたペプチドチオエステル、および
    (b)下記構造:
    Figure 2020110330
    [式中、Xは、酸処理、塩基処理、光照射処理、または還元処理で分離する任意の置換基を示し;Yは、ケトンまたはアルデヒドを示す。]
    を有する補助基がそのN末端に導入されたアミノ酸またはペプチド
    を縮合させて、ペプチドを得る工程を含み、
    ここで、前記(a)および(b)を構成するアミノ酸の側鎖の少なくとも一部が未保護である、
    ことを特徴とする、
    製造方法。
  17. 請求項16に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記Xは、アリールである、
    製造方法。
  18. 請求項16または17に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記(a)および(b)を構成するアミノ酸の側鎖の全てが未保護である、
    製造方法。
  19. 請求項16〜18のいずれか1項に記載のペプチドの製造方法であって、
    糖鎖付加ペプチドの製造方法である
    ことを特徴とする、
    製造方法。
  20. 請求項19に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記ペプチドチオエステルは、糖鎖付加ペプチドチオエステルである、
    製造方法。
  21. 請求項19に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記「補助基がそのN末端に導入されたアミノ酸またはペプチド」は、補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸または糖鎖付加ペプチドである、
    製造方法。
  22. 請求項21に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、前記補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加Asn、糖鎖付加Ser、糖鎖付加Thr、糖鎖付加Hylおよび糖鎖付加Hypよりなる群から選択される、
    製造方法。
  23. 請求項22に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、下記の構造:
    Figure 2020110330
    [ここで、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
    を有する糖鎖付加アミノ酸である、
    製造方法。
  24. 請求項23に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記アミノ酸Xは、Xは、Asn、Ser、ThrおよびHylよりなる群から選択される、
    製造方法。
  25. 請求項22に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、下記の構造:
    Figure 2020110330
    [ここで、XはAsn、Ser、Thr、またはHylを示し、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
    を有する糖鎖付加ジペプチドである、
    製造方法。
  26. ペプチドの製造方法であって、
    (AA)ペプチドチオエステル、および
    (BB)アミノチオアシッドまたはペプチドチオアシッド
    を縮合させて、ペプチドを得る工程を含み、
    ここで、前記(AA)および(BB)を構成するアミノ酸の側鎖の少なくとも一部が未保護である、
    ことを特徴とする、
    製造方法。
  27. 請求項26に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記(AA)および(BB)を構成するアミノ酸の側鎖の全てが未保護である、
    製造方法。
  28. 請求項26または27に記載のペプチドの製造方法であって、
    糖鎖付加ペプチドの製造方法である
    ことを特徴とする、
    製造方法。
  29. 請求項28に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記ペプチドチオエステルは、糖鎖付加ペプチドチオエステルである、
    製造方法。
  30. 請求項28に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記アミノチオアシッドもしくはまたはペプチドチオアシッドは、糖鎖付加アミノチオアシッドまたは糖鎖付加ペプチドチオアシッドである、
    製造方法。
  31. 請求項30に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記糖鎖付加アミノチオアシッドは、Asn、Ser、Thr、HylまたはHypよりなる群から選択される糖鎖付加アミノ酸のチオアシッドである、
    製造方法。
  32. 請求項30に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記糖鎖付加ペプチドチオアシッド中の糖鎖付加アミノ酸は、Asn、Ser、Thr、HylまたはHypよりなる群から選択される糖鎖付加アミノ酸である、
    製造方法。
  33. 請求項30または32に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記糖鎖付加ペプチドチオアシッドは、糖鎖付加アミノチオアシッドと、側鎖に前記糖鎖付加アミノチオアシッド中のチオ酸基(−SH)とジスルフィド結合を形成し得る修飾基を有するシステインをそのN末端に有するペプチドとを反応させ、反応後のペプチドのC末端にチオ酸基を導入することにより得られたものである、
    製造方法。
  34. 請求項33に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記修飾基は、下記より成る群から選択される修飾基である、
    製造方法。
    Figure 2020110330

    Figure 2020110330
    ;および
    Figure 2020110330
  35. ペプチドの製造方法であって、
    (aa)ペプチドチオエステル、および
    (bb)下記構造:
    Figure 2020110330
    [ここで、Xは、酸処理、塩基処理、光照射処理、または還元処理で分離する任意の置換基を示し;Yは、ケトンまたはアルデヒドを示す。]
    を有する補助基がそのN末端に導入されたアミノ酸またはペプチド
    を縮合させて、ペプチドを得る工程を含み、
    ここで、前記(aa)および(bb)を構成するアミノ酸の側鎖の少なくとも一部が未保護である、
    ことを特徴とする、
    製造方法。
  36. 請求項35に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記Xは、アリールである、
    製造方法。
  37. 請求項35または36に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記(aa)および(bb)を構成するアミノ酸の側鎖の全てが未保護である、
    製造方法。
  38. 請求項35〜37のいずれか1項に記載のペプチドの製造方法であって、
    糖鎖付加ペプチドの製造方法である
    ことを特徴とする、
    製造方法。
  39. 請求項38に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記ペプチドチオエステルは、糖鎖付加ペプチドチオエステルである、
    製造方法。
  40. 請求項38に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記「補助基がそのN末端に導入されたアミノ酸またはペプチド」は、補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸または糖鎖付加ペプチドである、
    製造方法。
  41. 請求項40に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、前記補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加Asn、糖鎖付加Ser、糖鎖付加Thr、糖鎖付加Hylおよび糖鎖付加Hypよりなる群から選択される、
    製造方法。
  42. 請求項40に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、下記の構造:
    Figure 2020110330

    [ここで、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
    を有する糖鎖付加アミノ酸である、
    製造方法。
  43. 請求項42に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記アミノ酸Xは、Xは、Asn、Ser、ThrおよびHylよりなる群から選択される、
    製造方法。
  44. 請求項40に記載のペプチドの製造方法であって、
    前記「補助基がそのN末端に導入された糖鎖付加アミノ酸」は、下記の構造:
    Figure 2020110330
    [ここで、XはAsn、Ser、Thr、またはHylを示し、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
    を有する糖鎖付加ジペプチドである、
    製造方法。
  45. 下記の構造を有する糖鎖付加アミノ酸。
    Figure 2020110330
    [ここで、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
  46. 請求項45に記載の糖鎖付加アミノ酸であって、
    前記アミノ酸Xは、Xは、Asn、Ser、ThrおよびHylよりなる群から選択される、
    糖鎖付加アミノ酸。
  47. 下記の構造を有する糖鎖付加ジペプチド。
    Figure 2020110330
    [ここで、XはAsn、Ser、Thr、またはHylを示し、Xは任意のアミノ酸を示し、Gは任意の糖鎖を示す。]
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