JPWO2020009168A1 - 新規ヒドロキシニトリルリアーゼ変異体 - Google Patents
新規ヒドロキシニトリルリアーゼ変異体 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2020009168A1 JPWO2020009168A1 JP2020529040A JP2020529040A JPWO2020009168A1 JP WO2020009168 A1 JPWO2020009168 A1 JP WO2020009168A1 JP 2020529040 A JP2020529040 A JP 2020529040A JP 2020529040 A JP2020529040 A JP 2020529040A JP WO2020009168 A1 JPWO2020009168 A1 JP WO2020009168A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- amino acid
- seq
- millipede
- hydroxynitrile lyase
- hnl
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/63—Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N5/00—Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
- C12N5/10—Cells modified by introduction of foreign genetic material
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N9/00—Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
- C12N9/88—Lyases (4.)
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P13/00—Preparation of nitrogen-containing organic compounds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P7/00—Preparation of oxygen-containing organic compounds
- C12P7/02—Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group
- C12P7/22—Preparation of oxygen-containing organic compounds containing a hydroxy group aromatic
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Zoology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Plant Pathology (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
Abstract
Description
ヤンバルトサカヤスデ(Chamberlinius hualienensis)由来のChuaHNL(配列番号10、シグナルペプチド1〜21番目、成熟タンパク質22〜183番目);
タンバアカヤスデ(Nedyopus tambanus tambanus)由来のNttHNL(配列番号11、シグナルペプチド1〜20番目、成熟タンパク質21〜182番目);
ウマガエシアカヤスデ(Nedyopus tambanus mangaesinus)由来のNtmHNL(配列番号12、シグナルペプチド1〜20番目、成熟タンパク質21〜182番目);
ヤケヤスデ(Oxidus gracilis)由来のOgraHNL(配列番号13、シグナルペプチド1〜18番目;成熟タンパク質19〜184番目);
キシャヤスデ(Parafontaria laminata armigera)由来のPlamHNL(配列番号14、シグナルペプチド1〜20番目、成熟タンパク質21〜183番目);
ミドリババヤスデ(Parafontaria tonominea)由来のPton1HNL(Parafontaria tonominea species complex 1)(配列番号15、シグナルペプチド1〜26番目、成熟タンパク質27〜189番目)、Pton2HNL(Parafontaria tonominea species complex 2)(配列番号16、シグナルペプチド1〜25番目、成熟タンパク質26〜188番目),及びPton3HNL(Parafontaria tonominea species complex 3)(配列番号17、シグナルペプチド1〜26番目、成熟タンパク質27〜189番目);
ヘラババヤスデ(Parafontaria falcifera)由来のPfalHNL(配列番号18、シグナルペプチド1〜26番目、成熟タンパク質27〜189番目);
Parafontaria tokaiensis由来のPtokHNL(配列番号19、シグナルペプチド1〜25、成熟タンパク質26〜188番目);
アマビコヤスデ(Riukiaria semicircularis semicircularis)由来のRssHNL(配列番号20、シグナルペプチド1〜26番目、成熟タンパク質27〜188番目);及び
アマビコヤスデの一種(Riukiaria sp.)に由来のRspHNL(配列番号21、シグナルペプチド1〜26番目、成熟タンパク質27〜189番目)であってもよい。
(a)当該(R)−HNLのβシート構造(β3)を構成するTAX1DI(配列番号3)で表されるアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸であるAの他のアミノ酸への置換、ここで、X1はL又はFである;
(b)当該(R)−HNLのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の5番目のアミノ酸であるX6の他のアミノ酸への置換、ここで、X2はQ、H又はRであり、X3はI又はVであり、X4はM、I、T又はDであり、X5はA、T又はIであり、X6はY又はNであり、X7はV、T又はLであり、X8はG又はIであり、X9はG又はAであり、X10はP、A又はSである;
(c)当該(R)−HNLのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の7番目のアミノ酸であるFの他のアミノ酸への置換、ここで、X2〜X10は(b)で定義されたとおりである;
(d)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の9番目のアミノ酸であるX8の他のアミノ酸への置換、ここで、X2〜X10は(b)で定義されたとおりである;
(e)当該(R)−HNLのβシート構造(β5)を構成するX11X12AX13LX14(配列番号5)で表されるアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸であるX12の他のアミノ酸への置換、ここで、X11はS,L、M又はIであり,X12はT又は存在せず、X13はH、I、Y又はFであり、X14N又はTである;及び
(f)当該(R)−HNLのβシート構造(β5)を構成するX11X12AX13LX14(配列番号5)で表されるアミノ酸配列中の3番目のアミノ酸であるAの他のアミノ酸への置換、ここで、X11〜X14は(d)で定義されたとおりである。
(a)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β3)を構成するTAX1DI(配列番号3)で表されるアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸であるAのC又はHへの置換;
(b)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の5番目のアミノ酸であるX6のH、Y、M、V、L又はWへの置換;
(c)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の7番目のアミノ酸であるFのIへの置換;
(d)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の9番目のアミノ酸であるX8のGへの置換;
(e)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β5)を構成するX11X12AX13LX14(配列番号5)で表されるアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸であるX12のAへの置換;及び
(f)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β5)を構成するX11X12AX13LX14(配列番号5)で表されるアミノ酸配列中の3番目のアミノ酸であるAの疎水性残基(I、L、M、F、W、Y又はV)、C、T、E、Q又はS(好ましくは、I、L、M、F、V、C、T、E、Q又はS)への置換。
(i)配列番号13における、76番目のアラニン残基(OgraHNL成熟タンパク質(配列番号13の19〜184番目のアミノ酸からなるタンパク質、以下同様)における58番目のアラニン残基に対応)のシステイン残基又はヒスチジン残基への置換(A76C又はA76H)(成熟タンパク質におけるA58C又はA58H)
(ii)配列番号13における、89番目のフェニルアラニン残基(OgraHNL成熟タンパク質における71番目のフェニルアラニン残基に対応)のイソロイシン残基への置換(F89I)(成熟タンパク質におけるF71I)
(iii)配列番号13における、97番目のアラニン残基(OgraHNL成熟タンパク質における79番目のアラニン残基に対応)のシステイン残基、フェニルアラニン残基、イソロイシン残基、ロイシン残基、メチオニン残基、セリン残基、又はばリン残基への置換(A97C、A97F、A97I、A97L、A97M、A97S、又はA97V)(成熟タンパク質におけるA79C、A79F、A79I、A79L、A79M、A79S、又はA79V)
(iv)配列番号14における、96番目のアラニン残基(PlamHNL成熟タンパク質における76番目のアラニン残基に対応)のシステイン残基、セリン残基、トレオニン残基、グルタミン酸残基、グルタミン残基、バリン残基、又はメチオニン残基への置換(A96C、A96S、A96T、A96E、A96Q、A96V、又はA96M)(成熟タンパク質におけるA76C、A76S、A76T、A76E、A76Q、A76V、又はA76M)
(v)配列番号14における、85番目のアスパラギン残基(PlamHNL成熟タンパク質における65番目のアスパラギン残基に対応)のヒスチジン残基、チロシン残基、メチオニン残基、バリン残基、ロイシン残基、又はトリプトファン残基への置換(N85H、N85Y、N85M、N85V、N85L、又はN85W)(成熟タンパク質におけるN65H、N65Y、N65M、N65V、N65L、又はN65W)
(vi)配列番号14における、89番目のイソロイシン残基(PlamHNL成熟タンパク質における69番目のイソロイシン残基に対応)のグリシン残基への置換(I89G)(成熟タンパク質におけるI69G)
ヤスデ由来のhnl遺伝子は、WO2017/150560の記載に従い、ヤスデ由来の遺伝子から保存アミノ酸配列をコードするプライマーを用いて容易に取得することができる。一例としては、ヤスデから得た遺伝子を鋳型として、以下の配列を有するプライマーを用いてPCR反応を行うことにより、得ることができる。得られたヤスデhnl遺伝子の塩基配列を解析することにより、野生型ヤスデ由来hnl遺伝子配列を決定することができる。
HNL−FW:CTGCAACTGCATTGGAMATTCAAGG(配列番号76)、
HNL−RV:ATGAATCTTRTCRCCGTTTGGAAC(配列番号77)
HNL−FW2:SSAACTGCATTGGAYATMMRAGG(配列番号78)
HNL−RV2:ATGAATCTTRTCRCCRTTTGGRAC(配列番号79)
あるいは、本明細書に具体的に開示されたヤスデHNLを用いる場合には、本明細書の配列番号10〜21を各野生型ヤスデ由来hnl遺伝子配列とすることができる。
ヤスデ由来のHNLタンパク質は、上述において得られたヤスデhnl遺伝子を必要に応じて宿主内での発現に適した発現カセット内に挿入した上でベクターに挿入し、宿主細胞に形質転換させて培養することにより発現させて得ることができる。また、決定された野生型ヤスデhnl遺伝子配列からコードされるアミノ酸配列を得ることができる。
変異型ヤスデ由来HNLタンパク質は、以下の手順で得ることができる。まず、上述により決定された野生型ヤスデHNLタンパク質を構成するアミノ酸配列を、既に得られているヤスデHNLのアミノ酸配列とアラインメントさせる(図4)。アラインメントの結果から、他のヤスデHNLについて知られている8つの逆平衡βシートを構成するアミノ酸配列を決定する。更に、N末端側から数えて、3番目(β3)、4番目(β4)、5番目(β5)に位置するβシート構造を構成するアミノ酸配列を決定する。β3を構成するアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸、β4を構成するアミノ酸配列中の5番目及び7番目のアミノ酸、並びに、β5を構成するアミノ酸配列中の2番目及び3番目のアミノ酸から選択される1箇所以上のアミノ酸を他のアミノ酸に置換する構造を設計する。設計されたアミノ酸配列に基づき、当該変異アミノ酸を含むプライマーを設計し、当該プライマーを用いてオリジナルの野生型hnl遺伝子を鋳型としてPCRを行うことにより、変異型ヤスデ由来hnl遺伝子(変異型HNLタンパク質をコードする核酸分子)を得ることができる。得られた変異型ヤスデhnl遺伝子を必要に応じて宿主内での発現に適した発現カセット内に挿入した上でベクターに挿入することで、変異型HNLタンパク質をコードする核酸分子を有するベクターを得ることができる。得られたベクターを宿主細胞に形質転換させることにより、前記ベクターにより形質転換された形質転換細胞を得ることができる。形質転換細胞を培養して目的タンパク質を発現させて変異型HNLタンパク質を得ることができる。
一態様において本発明は、(R)−HNL変異体タンパク質の存在下で、ケトン又はアルデヒドとシアン化合物とを反応させることを含む、シアノヒドリンの製造方法に関する。アルデヒド又はケトンからのシアノヒドリンの合成は、例えば、Dadashipourら(2015)(上掲)を参照して行うことができる。具体的には、(R)−HNL変異体タンパク質を、アルデヒド及びシアン化合物を含有する、クエン酸緩衝液に添加して混合し、25℃で3分間反応させ、n−ヘキサン及び2−プロパノールと激しく混合することにより有機相中にシアノヒドリンを得ることができる。
(マンデロニトリル(MAN)合成のための酵素アッセイ)
ラセミ体MANは、Sigma−Aldrich(St.Louis、MO、USA)から購入した。HNLによる(R)−MANの合成活性を以前に報告されたように測定した(Dadashipour,M.ら,(2015)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.112:10605−10610.)。要約すると、酵素試料を1mlの反応緩衝液(400mMクエン酸緩衝液(pH4.2)、50mMベンズアルデヒド及び100mMシアン化カリウム)に加え、混合物を22℃で5分間インキュベートした。次いで、9倍量のn−ヘキサン:2−プロパノール(85:15)と混合することによって反応を停止させた。最後に、キラルカラム(CHIRALCEL OJ−H、Daicel、Tokyo、Japan)(内径4.6mm×200mm長、粒子サイズ5μm)を備えたHPLC装置(UFLC Prominence Liquid Chromatograph LC−20AD、Shimadzu、Kyoto、Japan)を用いて有機層を分析した。1ユニットの活性は、ベンズアルデヒド及びシアン化水素から1分間に1μmolの(R)−MANを合成する酵素の量として定義した。
ChuaHNL cDNAは、KOD−Plus−DNAポリメラーゼ(TOYOBO、Osaka、Japan)、His−ChuaHNL−Fwプライマー及びHis−ChuaHNL−Rvプライマーを用いて、ChuaHNL cDNA(Dadashipourら(2015)上掲)を鋳型としたPCRによって増幅した。得られたPCR産物をXhoI及びXbaI(TaKaRa)で消化し、ピキア(Pichia)発現ベクターpPICZαAのAOX1プロモーター下にクローニングし、pPICZαA−His−ChuaHNLを得た。
GCGCTCGAGAAAAGAGCACATCATCATCATCATCATCATCATGAAAATTTATACTTCCAAGGGTCACTGACTTGTGATCAACTTCCC
His−ChuaHNL−Rvプライマー(配列番号23):
CGCTCTAGATTAGTAAAAAGCAAAGCAACCGTGGGTTTC
TCGAAACGAGGAATTCACCATGCAATTCAACTGGGATATT
PpPDI−InFu−Rvプライマー(配列番号25):
TGTCTAAGGC GAATTCTTAAAGCTCGTCGTGAGCGTC
5’AOX1プライマー(配列番号26):
GACTGGTTCCAATTGACAAGC
3’AOX1プライマー(配列番号27):
GCAAATGGCATTCTGACATCC
Pichia pastoris GS115株を、必要に応じて100〜2000μg/mlのゼオシン(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)を添加したYPDS培地(2%グルコース、2%ペプトン、1%酵母エキス、2%寒天及び1Mソルビトール)中、28℃で増殖させ、形質転換させた。タンパク質発現のために、必要に応じて0.004%のヒスチジンを添加した、緩衝化最小グリセロール(BMG)培地(アミノ酸を含まない1.34%酵母窒素塩基、4×10−5%ビオチン、100mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)及び1%グリセロール)、又はBMM培地(1%グリセロールが1%メタノールに置き換えられたBMG培地)を使用した。培養は往復振盪しながら好気的条件下、28℃で行い、酵母の増殖は波長600nmでの光学濃度を測定することによってモニターした。大腸菌HST08株(TaKaRa Bio、Otsu、Japan)をプラスミド増幅に用いた。必要に応じてアンピシリン(50mg/ml)又はゼオシン(25mg/ml)を添加した低塩Luria−Bertani(LB)培地(1%トリプトン、0.5%酵母エキス及び0.5%NaCl)中、37℃で大腸菌を増殖させた。
天然のChuaHNLは以前に報告されたプロトコールにより精製した。要約すると、まず、緩衝液−A(20mMリン酸カリウム、pH7.0)に可溶化されたヤスデのホモジネートを硫酸アンモニウム沈殿法により分画した。次に、TOYOPEARL Butyl−650M(Tosoh、Tokyo、Japan)、TOYOPEARL DEAE−650M(Tosoh)、Q Sepharose FF(GE Healthcare、Chicago、IL、USA)及びSuperdex 75 10/300GL(GE Healthcare)を用いて天然のChuaHNLタンパク質を精製した。最後に、活性画分を集め、SDS−PAGEに供して純度を評価した。タンパク質の結晶化のために、緩衝液を50mMクエン酸緩衝液(pH5.0)と交換し、使用するまで4℃で保存した。
タンパク質結晶化のための全ての化学物質は、Hampton Research(Aliso Viejo、CA、USA)から購入した。天然及び組換えChuaHNLタンパク質溶液を、Amicon Ultra Centrifugal Filter Unites NMWL、10kDa(Merck Millipore、Billerica、MA、USA)を用いて10mg/mlまで濃縮した。標準物質としてウシ血清アルブミン(Sigma−Aldrich)を用いて、Quick Start Protein Assay(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA、USA)によりタンパク質濃度を測定した。 CrystalScreen I及びII(Hampton Research)を用いて初期結晶化条件をスクリーニングし、0.2Mの硫酸アンモニウム、0.1Mの酢酸ナトリウム(pH4.6)、30%(w/v)ポリエチレングリコール(PEG)モノメチルエーテル2,000の条件下で二面体結晶を得た。最後に、0.2M硫酸アンモニウム、0.1M酢酸ナトリウム(pH5.0)、28〜32%(w/v)PEGモノメチルエーテル2000、及び0.3M NDSB−195の条件下、20℃で3日間ハンギングドロップ蒸気拡散法を用いて最良の結晶を得た。
すべての構造は、MolProbity(Chen,V.B.ら,(2010)Acta Crystallographica Section D Biological Crystallography 66,12−21)を使用して検証され、Ramachandranプロットの不許可領域には残基は存在しなかった。相分析の統計を表1に、データ収集及び構造の改良の統計を表2に示す。構造分析はPISA(Krissinel,E.ら,(2007)J. Mol. Biol. 372, 774−797)を用いて行った。 タンパク質構造の図はPyMOLプログラム(http://www.pymol.org)を用いて作製した。
ヤスデから精製された天然のChuaHNLの結晶構造は、ヨウ素含浸ChuaHNL結晶を用いてSAD法により内部X線源で2.1Åの分解能に回折することにより測定した(表1)。結晶はPユニットに1分子存在した(表2及び図1A)。 アミノ酸残基は、シグナルペプチドを除去した成熟ChuaHNLのN末端Leu残基から番号付けした。成熟したChuaHNLのN末端のLeu1及びC末端のTyr162の電子密度マップが明瞭に確認された。ChuaHNLは、2つのα−ヘリックス、3つの310ヘリックス、及び8つのβシートを含んでいた(図1)。8つのβシートは、中央活性部位空洞を含む逆平行βバレルを形成していた(図1B)。
アセテート結合型
ChuaHNL構造のアセテート結合形態を1.5Åの分解能で測定した。リザーバー溶液中に含まれるアセテートが活性部位に観察された。カルボキシ酸素は、Arg38及びTyr40と塩橋を形成していた(図2A)。
リガンドフリーの形態
ChuaHNL構造のリガンドを含まない形態を1.6Åの分解能で測定した。 活性部位に結合した酢酸塩を除去するために、結晶をビス−トリスプロパン−クエン酸緩衝液を含む溶液に浸漬した。3つの水分子が活性部位に観察された(図2B)。これらはArg38、Tyr103、及びLys117と水素結合を形成していた。
シアン化物イオン結合型
シアン化物イオンと複合体を形成したChuaHNLの結晶構造を2.1Åの分解能で測定した(図2C)。シアン化物イオンの配向は温度係数及び負に帯電した炭素とArg38との間に存在し得る静電相互作用によって決定した。シアン化物イオンの窒素原子は3.3Åの距離でTry40−Oηと水素結合を形成した。シアン化物イオンの負に帯電した炭素は、4.2Åの距離でArg38−Nη1と静電的に相互作用していた。
阻害剤結合型
本発明者らは以前に、ヨードアセテート及びチオシアネートがChuaHNLによって触媒される(R)−MAN合成反応を阻害することを報告した(Dadashipourら(2015)上掲)。ヨードアセテートとチオシアン酸塩との複合体を形成したChuaHNLのそれぞれの構造を、1.55Åの分解能で測定した。ヨードアセテートとの複合体構造において、カルボキシ酸素は、3.1Å及び3.0Åの距離でArg38−N1η及びN2ηと、また、3.1Åの距離でLys117−Nεと塩橋を形成した(図2D)。ヨードアセテートのヨウ素原子は、4.3Åの距離でPhe67と弱いπ相互作用を形成することがある。Phe67とArg38との間の強いanomalous difference mapは、ヨウ素原子の存在を意味した。
チオシアン酸塩との複合体構造において、2つの代替結合様式が観察された。結晶構造中の2つのチオシアネート分子の配向は、構造微細化後のより低いB因子値によって決定された。1つの結合様式(図2E、SCN1)において、チオシアネートの硫黄原子は、Tyr103−Oη及びArg38−Nη1と、それぞれ3.0Å及び3.2Åの距離で水素結合を形成していた。もう一つの結合様式(図2E、SCN2)では、チオシアン酸塩の硫黄原子は、3.1Åの距離でArg38−Nη2及びLys117−Nεと塩橋を形成していた(図2E)。
ChuaHNLがシアノヒドリンの合成及び切断反応をどのように触媒するかを知るために、MOE(Molecular Operating Environment、バージョン2016.8;(hemical Computing Group、Montreal、カナダ)によりChuaHNLの活性部位への(R)−MANのドッキングシミュレーションを行った。最も顕著な親和性スコア(S =−5.44)を与えるモデルにおける、活性部位の空洞における(R)−MANの結合を図3に示す。(R)−MANの水酸基及びニトリル基は、活性部位の底でChuaHNLの親水性残基と相互作用していた。 (R)−MANのベンゼン基は、多くの疎水性及び芳香族残基(Ile11、Phe17、Phe25、Ala54、Phe67、Ala75、Leu77、Trp88、Phe90、Ala105及びAla119)によって取り囲まれていた。深い疎水性空洞は、以前に観察されたように(Dadashipourら(2015)上掲)、様々なかさ高いシアノヒドリンを受容するのに役立つと考えらえた。
(化合物)
全ての化合物は市販品を購入した。ベンズアルデヒド及び(R/S)−ManはSigma−Aldrichから購入した。2−クロロベンズアルデヒドは東京化成工業(Tokyo Chemical Industry)から購入した。(R/S)−2−Cl−ManはAlagozらの方法(Alagoz Dら,Enzymatic(2014)101:40−46)に従って合成した。
以前に構築されたograhn1遺伝子を含有するプラスミドpET28a(Yamaguchi Tら,Scientific Reports(2018)8(1):3051)を保有する大腸菌SHuffle T7株の形質転換体を用いてOgraHNLを生産した。組換え大腸菌細胞を、カナマイシン(50μg/ml)を含有するLB培地5mlに接種し、250rpmで振とうしながら30℃で16〜18時間培養し、次いでカナマイシン(50μg/ml)を含有するLB培地500mlに移した。150rpmで振とうしながら30℃で6時間培養した後(OD600=0.6−0.8)、最終濃度1mMとなるようにイソプロピルβ−チオガラクトシド(IPTG)を添加し、培養物を16℃で20時間さらに培養した。 4,500×g、4℃で10分間遠心分離して細胞を回収した。採取した細胞を、500mM塩化ナトリウム及び20mMイミダゾールを含有する20mMリン酸カリウム緩衝液(KPB、pH7.4)に再懸濁し、超音波処理により破壊した。4℃、15,000×gで10分間遠心分離した後に得られた上清を粗酵素として用いた。
最初に、粗酵素をNi2+セファロース6 Fast Flowカラム(GE Healthcare社、ウプサラ、スウェーデン)上にロードし、500 mM塩化ナトリウム、及び300mMイミダゾールを含有する20mMのKPB(pH 7.4)で溶出した。活性画分を回収して濃縮し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.3)で交換してトロンビン消化(22℃、2Uトロンビン/100μgタグ−タンパク質で16時間)を行い、目的タンパク質からHisタグを除去した。次いで、タンパク質をモノQ5/50GLカラム(GEヘルスケア)にロードし、溶出緩衝液(20mM KPB及び500mM NaCl、pH7.4)の0−50%勾配を1ml/分の流速で流して溶出した。全ての精製工程は0〜4℃で行った。タンパク質の純度は、12%ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって評価した。タンパク質濃度は、標準タンパク質としてウシ血清アルブミンを用いて、BCAアッセイキット(Thermo Fisher Scientific、MA、USA)で測定した。
最適な結晶化条件のスクリーニングは、シッティングドロップ蒸気拡散法を用いて96ウェルIntelli−Plates(Art Robbins instruments、CA、USA)を用いて20℃で行った。等容量(1μL)のリザーバー溶液と10mg/mLのOgraHNLのタンパク質溶液とを混合することによって、液滴を調製した。スクリーニングは、IndexTM−HR2−144(Hampton Research、CA、USA)を用いて行った。単結晶は、2.0M硫酸アンモニウムを含有する0.1M BIS−TRIS(pH5.5)中で1日後に現れた。OgraHNLの結晶を、10%、20%及び25%(v/v)グリセロールを含む貯蔵溶液中にそれぞれ約30秒間連続的に浸漬した。次いで、結晶を2−クロロベンズアルデヒド1滴を添加した25%(v/v)グリセロール凍結保護剤溶液に2時間浸漬し、シアン化カリウム(KCN)で5分間浸漬した後、液体窒素流下でフラッシュ冷却した。
(R)−2−Cl−Manと複合体化したOgraHNL変異体の構造を予測するために、(R)−2−Cl−Manと複合体化したOgraHNLの結晶構造を鋳型として、MOEを用いたドッキングシミュレーションを行った。タンパク質は剛性を保持した。(R)−2−Cl−Manの位置及び配向ならびにクロロフェニル基及びOH基を含む2つのねじれ角をシミュレーション中に変化可能とした。ドッキングシミュレーションは、Compute−Simulationドックプログラムで実行した。すべてのパラメータは、MOEソフトウェアのデフォルト設定に従った。
全てのOgraHNL突然変異体を作製するために、テンプレートとしてpET28a−OgraHNLを用い、突然変異誘発プライマー(表3)及びQuikChange IIキット(Agilent Technologies、Santa Clara、CA、USA)を用いて目的部位に置換を導入して、部位特異的突然変異を行った。反応混合物は、10×反応緩衝液 1μl、dNTP混合物 0.2μl、蒸留水 8.2μl、PfuTurbo DNAポリメラーゼ 0.5U、10ng/μlのセンス及びアンチセンスプライマー 各0.2μlからなり、50ng/μlのpET28a−OgraHNLベクター(0.2μl)をテンプレートDNAとして使用した。変性(95℃、30秒)、アニーリング(55℃、1分)、及び伸長(68℃、6分)を16サイクル行った。生成物を37℃で1時間DpnI(10U)で処理し、次いで大腸菌SHuffle T7に形質転換した。すべての変異酵素の産生及び精製は、上述の野生型と同様の方法で行った。
ベンズアルデヒドからのマンデロニトリルの合成は、わずかな改変を加えた以外は以前の報告(Dadashipourら(2015)上掲)に従ってキラルカラムを用いたHPLCで分析した。酵素サンプル(140μl)を、50mMベンズアルデヒド及び100mM KCNを含有する、300mMクエン酸緩衝液(pH4.0)110μlに添加し、混合し、25℃で3分間インキュベートした。反応を停止させるために、100μlの反応物を900μlのn−ヘキサン:2−プロパノール= 85:15と激しく混合して、得られた(R)−Manを抽出した。得られた有機相の10マイクロリットルを、Dadashipourら(2015)(上掲)に記載された方法に従って、CHIRALCEL OJ−Hカラム(粒径5μm、内径4.6mm×250mm、Daicel Corporation、東京。日本)を備えたProminence UV−Vis検出器SPD−20A(Shimadzu、Kyoto、Japan)に接続したUFLC Prominense液体クロマトグラフLC−20ADを用いて、以下の条件で分析した:
移動相 n−ヘキサン:2−プロパノール(85:15)
流速 1ml/分
OJ−Hカラムのカラムオーブン温度 30℃
吸光度 254nmの吸光度
最初の3分間、直線的に進行した反応を活性の計算に用いた。1単位の活性は、アッセイ条件下でベンズアルデヒドから1分間に1μmolの光学活性マンデロニトリルを産生する酵素の量として定義した。
移動相 n−ヘキサン:2−プロパノール(95:5)
流速 1ml/分
カラムオーブン温度 30℃
吸光度 220nm
酵素活性は、最初の5分間の反応から得られた線形曲線から計算した。1単位の合成活性は、アッセイ条件下で2−クロロベンズアルデヒドから1分あたり1μmolの光学活性2−クロロマンデロニトリルを産生する酵素の量として定義した。
反応速度分析のために、ベンズアルデヒドの(R)−Manへの酵素的変換、及び2−クロロベンズアルデヒドの(R)−2−Cl−Manへの酵素的変換の初期速度を、上記方法に従って、クエン酸塩緩衝系中、種々の濃度の基質(0〜60mM)と0.125Uの総酵素量を各反応に使用してアッセイした。
酢酸エチル(EA)、ジエチルエーテル(DEE)、メチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、2−イソプロピルエーテル(DIPE)、ジブチルエーテル(DBE)、メタノール(Met)、及びヘキサン(Hex)の各有機溶媒0.5mlを等量のクエン酸塩緩衝液(50mM、pH7.0)と混合し、1,200rpm、10℃で60分間振とうして平衡化した。酵素(2.5U)をクエン酸緩衝液相に添加し、水性相と有機相との界面を乱すことなく穏やかに混合した。時間0及びインキュベーション12時間後に、上記のように、10℃、1,200rpmで振とうして酵素活性を測定した。
OgraHNLの一次構造はChuaHNLと73%のアミノ酸同一性を有している(図4)。ChuaHNLを鋳型構造とし、(R)−2−Cl−Manと複合体化したOgraHNLの結晶構造を2.05Å分解能の分子置換法により決定した。この酵素はホモ二量体であり、サブユニットの折りたたみはChuaHNLのそれと同様であった(図5a)。各サブユニットの二次構造は、2つのαヘリックス、2つの310αヘリックス及び8つの逆平行βシートからなり、外側にアルファヘリックスを有するベータバレルを形成していた。3つの分子内及び2つの分子間ジスルフィド結合が結晶構造において観察された。各サブユニットにおいて、活性部位は、8つのβシート全てによって囲まれたβバレルの中心に位置する。OgraHNLの活性部位内の比較的大きな疎水性空洞は、15番目のVal;29,71及び94番目のPhe;44及び107番目のTyr;58,79及び109番目のAla;81番目のLeu;並びに92番目のTrpの11個の疎水性残基からなっていた(図5b)。Arg42、Asn69、Asp60及びLys121の4つの親水性残基も活性部位表面に露出していた。外部溶媒を活性部位に導入する基質侵入トンネルは図5bに明確に示されており、トンネル内に水に対応する2つの電子密度が確かに存在していた。トンネル入口領域は、Val15、Pro16、Phe21、Tyr44、Phe71、Ala79、Trp92、Phe94の8残基によって形成されていた。(R)−2−Cl−Manのベンゼン環を認識するために、活性部位のいくつかの疎水性残基がベンゼン部分と疎水性相互作用を形成しているようであった。これらの残基のうちPhe71及びPhe94の2つは、(R)−2−Cl−Manのフェニル環の近くに位置して、それぞれ、edge−to−face及びface−to−faceでπ−πスタッキング相互作用を形成する。π−πスタッキング相互作用は、一般的な疎水性相互作用よりも強く、基質結合において重要な役割を果たす可能性がある(Yang STら,Nanotechnology(2008)19(39):395101;及びNakano Sら,Biochim Biophys Acta(2014)1844(12):2059−2067)。π−πスタッキング相互作用の存在は、Nakanoら(2014)(上掲)によってBaliospermum montanum由来の(S)−HNLにおいても報告されている。
(R)−2−Cl−Manと複合体を形成したOgraHNLの結晶構造モデリングに基づいて、基質結合に影響を及ぼす可能性のあるアミノ酸を、MOEを用いた分子ドッキングシミュレーションによって同定した。ベンゼン環の異なるオルト位に塩素原子置換を有する(R)−2−Cl−Manの2つの分子構造をドッキングに使用して(図6a及びb)、それぞれのデザインについて合計300種類の結合構造を導き出した。基質ドッキング分析により、Ala58、Ala79、Phe71及びVal15が、結合親和性スコアに基づく最も潜在的な残基であることが見出された。これらの疎水性残基は活性部位の疎水性領域に位置し、その側鎖は基質に向いていた。したがって、この領域における動態は、OgraHNLの基質特異性に影響を及ぼすと予測される。Ala79、Phe71及びVal15は基質トンネル入口に位置し、基質に対する親和性において重要な役割を果たすことができる。一方、A58の側鎖は、(R)−2−Cl−Manの芳香族環のオルト位の塩素原子と密接に接触しており(図6b)、立体相互作用の可能性を示唆していた。この立体相互作用はおそらくこの基質で観察された酵素性能の低下の原因であると考えられた。したがって、酵素の構造解析は、これらの4つの残基が、OgraHNLの酵素的特性及び/又はエナンチオ選択性を改善するための重要なアミノ酸であり得ることを示唆していた。基質入口トンネル(図3c〜d)が開いた好ましい3Dドッキング構造として得られた、A58C、A58H、A58R、A58V、A79M、F71A、F71I及びV15Wの8つの突然変異について、部位特異的突然変異誘発の検討を行った。
活性部位の疎水性空洞における変異は、OgraHNLの活性及びエナンチオ選択性に影響を及ぼした。精製した酵素を使用した場合には、Ala79のメチオニンへの突然変異(A79M)は、比活性及び選択性の両方において有意な増加をもたらした。突然変異体A79Mは、(R)−2−Cl−Manに対して、400±13U/mgの最も高い比活性と83.2±0.1%のee値を示し、野生型のOgraHNL(288±11U/mg、69.5±0.5%のee)よりも高い活性を示した(それぞれ、10及び1.2U/ml)(表4)。A79Mの比活性及びエナンチオ選択性は、(R)−2−Cl−Manのみならず(R)−Manについても野生型と比較して有意に改善された。(R)−Man合成に関しては、野生型では2,780±80U/mgの比活性と82.2±0.6%のeeであったが、A79Mでは3,310±78U/mgの比活性と93.6±0.3%のeeを示した。
OgraHNLの位置79が触媒活性及びエナンチオ選択性に及ぼす影響を検討するために、部位特異的突然変異誘発によりAla残基をさらに18アミノ酸に置換し、全ての突然変異体について、HNL生産性、比活性、エナンチオ選択性及び転換率を決定した。位置79におけるAlaを、Ile、Leu、Met、Phe、Val及びSerを含む大きな側鎖を有するほとんどの疎水性残基に置換する変異は、(R)−Manに対するOgraHNLの生産性を改善した。また、位置79におけるAlaを、Met、Val、Ser及びCysへ置換する変異は、(R)−2−Cl−Manの生産性を向上させた(表4)。(R)−Man及び(R)−2−Cl−Manの両方について、変異体A79C、A79I及びA79Mは、最も高い比活性、ee及び変換率を示した(表4)。
Ala79における変異を有する酵素が高いエナンチオ選択性を有するか検討するために、ベンズアルデヒド及びKCNからの(R)−Manの合成と、2−クロロベンズアルデヒド及びKCNからの(R)−2−Cl−Manの合成を、精製した酵素(それぞれ10及び2U/ml)を用いて行った。ベンズアルデヒドと2−クロロベンズアルデヒドの転化率は野生型と変異体で同じであった(非図示)。3つの突然変異体の中で、A79Cは、(R)−Man及び(R)−2−Cl−Man合成についてそれぞれ97.1及び83.9%の最も高いeeを示した。(R)−Man及び(R)−2−Cl−Man合成のee値は、野生型がそれぞれ85.5及び69.0%であるのに対し、A79M及びA79Iでは、それぞれ、93.3−93.6及び83.5−83.6%に上昇した。これらの結果は、Ala79の変異が(R)−Man及び(R)−2−Cl−Man産生の両方においてeeを顕著に改善することに寄与することを示している。
すべての野生型及び突然変異体について、ほとんどの有機溶媒は、酵素活性及びエナンチオ選択性に大きな影響を及ぼしたが、DIPEのみは、酵素活性にほとんど影響を及ぼさず、最も高い%eeを与えた(非図示)。A79C及びA79MはDEE、MTBE及びHexの条件下で野生型よりも安定であった。すべての野生型及び変異体の残存活性は、すべての有機溶媒において50%以上であった。すべての変異体は、DEE、MTBE、DIPE、DBE及びMetの条件下で50%より高いeeを示したが、EA及びHexの条件下では50%より低いeeを示した。EAとHexは分配係数の低い値を示したので、ベンズアルデヒドと2−クロロベンズアルデヒドは水相にほとんど溶解した(Ueatrongchit Tら,Journal of Molecular Catalysis B: Enzymatic(2009)56(4):208−21)。これが非酵素反応を促進し、(R)−Man及び(R)−2−Cl−Manのより低いeeを引き起こしたと考えられる。
(MOEプログラムを用いたドッキングシミュレーション)
(R)−2−クロロマンデロニトリルと複合体を形成したPlamHNLの構造を予測するために、MOE分析を用いたドッキングシミュレーションの鋳型として(R)−2−クロロマンデロニトリルと複合化したOgraHNLの構造を用いた。(R)−2−クロロマンデロニトリルと複合体化したPlamHNLの相同性モデリングは、結合ポケット内の約14アミノ酸残基をAlanine and Residue Scanning機能を用いて計算し、他の19アミノ酸を親和性に重要な残基として同定した。最も低いdAffinityを示した変異体を検証のために選択した。
PlamHNL突然変異体は、フォワード及びリバースプライマー(表5)を用い、pET28aPlamHNLを鋳型として、Quick−Change部位特異的突然変異誘発キットを用いた部位特異的突然変異誘発によって調製した。PCR反応は、変性(95℃、20秒;最初のサイクル:95℃、2分)とアニーリング52℃20秒を18サイクル行った。PCR産物を37℃で1時間DpnI(10U)処理し、次いで大腸菌Shuffle T7株に形質転換した。
基質として2−クロロベンズアルデヒド及びシアン化カリウムを用いて、光学活性(R)−2−クロロマンデロニトリルの量を測定することにより酵素活性をアッセイした。反応混合物(0.5mL)をマイクロチューブ中で調製した。クエン酸ナトリウム緩衝液(400mM、pH4.0)に1.25Mの2−クロロベンズアルデヒド(メタノール中、20μL)を添加し、続いて酵素溶液及びKCN溶液(1.0M、50μL)を添加した。反応混合物のアリコート(100μL)をとり、900μLの有機溶媒(94%n−ヘキサン、6%イソプロパノール、0.2%TFA、v/v)で抽出することによって反応をモニターした。混合物を15,000×g、4℃で10分間遠心分離した後、ベンズアルデヒド、(R)−及び(S)−2−クロロマンデロニトリルを含有する有機層を得た。その後、有機相のアリコート(10μL)を、上述のキラルHPLCを用いて分析した。1単位のHNL活性は、アッセイ条件下で、2−クロロベンズアルデヒドとKCNから光学活性(R)−2−クロロマンデロニトリルを1分間あたり1μmol生成する酵素の量として定義した。
pET28a−PlamHNLを有する大腸菌Shuffle T7株 Expressの単一コロニーを、カナマイシン(80μg/mL)を含有する5mLのLB培地に接種し、30℃、300rpmの振盪速度で一晩培養した。スターター培養液5mLを、2リットルのErlenmeyerフラスコ中のカナマイシン(80μg/mL)を含むLB培地500mLに移し、30℃、150rpmの振盪速度で培養した。12時間後、IPTGを終濃度0.5mMとなるように加え、18℃、同じ振盪速度で24時間細胞を培養した。細胞を遠心分離(8500×g;15分)し、塩化ナトリウム(0.5M)及びイミダゾール(25mM)を含むリン酸カリウム緩衝液(KPB;20mM、pH7.0)に再懸濁させた。再懸濁させた細胞を超音波処理によって溶解させ、溶解物を遠心分離(15000×g;4℃で15分間)して破片を除去した。上清をNi Sepharose 6 Fast Flow(GE Healthcare、Little Chalfont、UK)カラム(内径25mm、カラム容量20mL)にロードし、50mMイミダゾールで洗浄し、次に塩化ナトリウム(0.5M)を含むKPB(20mM;pH7.0)中の50〜300mMイミダゾールの直線勾配で、0.5mL/分の流速で溶出した。最高の比活性を示す画分をプールし、透析し、MonoQ 5/50 GL(GE Healthcare)カラムに負荷した。酵素活性を上記方法で測定し、活性画分をプールし、透析し、濃縮し、SDS−PAGEにより純度を調べた。
Parafonteria laminate由来のHNLはOxidus gracilis HNLと52%のアミノ酸配列相同性を有するため、(R)−2−クロロマンデロニトリルと複合体化したOgraHNL構造を鋳型として用いてPlamHNL構造のモデル相同性を計算した。PlamHNLの全体的な構造は、OregHNL(図7a)と非常によく似ており、結合ポケット及び活性部位において同じ10個の疎水性アミノ酸残基及び4個の親水性アミノ酸残基から構成されていた(表6)。結合ポケット及び活性部位上のこれらのすべての残基は、すべてのヤスデHNLにおいて保存されていた(図4)。PlamHNLの相同性モデリングは、OgraHNLにおけるLys121と同じように、Lys118が(R)−2−クロロマンデロニトリルのシアン化物領域との相互作用の重要な残基であることを示した(図7b)。
MOEプログラムは、結合ポケット内の約14アミノ酸残基をAlanine and Residue Scanning機能により突然変異体を生成し、親和性に重要な残基を同定した。選択された13のヒットについて変異体を作製したところ、N65、T75及びW89の3つの位置における、N65H、N65Y、W89H、N65E、N65Q及びT75Aの6種類の変異体について、2−クロロベンズアルデヒドに対する活性が確認された。対照的に、R38、Y40、L78及びY104の位置における突然変異体では活性が検出されなかったことから、これらの残基がPlamHNLの活性機構に関与している可能性が示唆された。アラニンスキャニング機能より得られた最良の変異体T75Aは、野生型より約1.5倍高い比活性を示したが、N65H、N65Y、W89H、N65E及びN65Qは野生型よりも低い比活性を示した。これらの結果は、Thr75における突然変異が2−クロロベンズアルデヒドに対する酵素活性の改善に寄与することを示している。(R)−2−クロロマンデロニトリルのエナンチオマー過剰率を改善する変異を調べるために、2−クロロベンズアルデヒド及びKCNからの合成反応を全ての精製された変異体1.0Uを用いて行った。(R)−2−クロロマンデロニトリルのエナンチオマー過剰率は、野生型が80%eeであるのに対し、N65Y、N65H、及びT75Aは、それぞれ、92%ee、85%ee、及び86%eeの増加したエナンチオマー過剰率を示した(表7)。したがって、Asn65及びThr75における変異、特にはAsn65のチロシン又はヒスチジンへの変異及びThr75のアラニンへの変異は、(R)−2−クロロマンデロニトリルの生成におけるエナンチオマー過剰率の増加に寄与する。また、N65H/T75A及びN65Y/T75Aのように、2種類の変異を組み合わせても、野生型と比較して(R)−2−クロロマンデロニトリルの比活性やエナンチオマー過剰を改善する効果が得られることが示された(非図示)。
最良の候補変異体N65Y、T75A及び2点変異体N65Y/T75Aについて、(R)−2−クロロマンデロニトリル合成のための最適化条件を見出すためにさらに検討を行った。酵素量を増加し4Uとすると、N65Yによって産生された(R)−2−クロロマンデロニトリルの最大エナンチオマー過剰率は96.33%に増加した。同じ条件下で野生型を用いて生成した最大eeは87%であった(図8a)。さらに、pH3.5とすることにより、N65Y変異体は98.2%のe.e.を与えた(図8b)。精製された酵素N65Yによる(R)−2−クロロマンデロニトリルの製造は、pH3.5、25℃で30分間のインキュベーションにより、野生型(76%変換、90%ee)よりも高い変換率(91%、98.2%ee)を示した(非図示)。これらの結果は、(R)−2−クロロマンデロニトリル合成におけるPlamHNLのエナンチオ選択性が、Asn65突然変異によって顕著に改善されたことを示した。
Claims (15)
- ヤスデ由来の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの変異体タンパク質であって、以下の(a)〜(e)から選択される1種類以上のアミノ酸置換を有し、かつ、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有する、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ変異体タンパク質:
(a)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β3)を構成するTAX1DI(配列番号3)で表されるアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸であるAの他のアミノ酸への置換、ここで、X1はL又はFである;
(b)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の5番目のアミノ酸であるX6の他のアミノ酸への置換、ここで、X2はQ、H又はRであり、X3はI又はVであり、X4はM、I、T又はDであり、X5はA、T又はIであり、X6はY又はNであり、X7はV、T又はLであり、X8はG又はIであり、X9はG又はAであり、X10はP、A又はSである;
(c)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の7番目のアミノ酸であるFの他のアミノ酸への置換、ここで、X2〜X10は(b)で定義されたとおりである;
(d)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の9番目のアミノ酸であるX8の他のアミノ酸への置換、ここで、X2〜X10は(b)で定義されたとおりである;
(e)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β5)を構成するX11X12AX13LX14(配列番号5)で表されるアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸であるX12の他のアミノ酸への置換、ここで、X11はS,L、M又はIであり,X12はT又は存在せず、X13はH、I、Y又はFであり、X14N又はTである;及び
(f)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β5)を構成するX11X12AX13LX14(配列番号5)で表されるアミノ酸配列中の3番目のアミノ酸であるAの他のアミノ酸への置換、ここで、X11〜X14は(d)で定義されたとおりである。 - 前記ヤスデ由来の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼが、8個の逆平衡βシート構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の変異体タンパク質。
- 前記8個のβシート構造を構成するアミノ酸配列が、それぞれ、X15X16FX17X18VL(β1)(配列番号1)、TX19RX20YVX21P(β2)(配列番号2)、TAX1DI(β3)(配列番号3)、X2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(β4)(配列番号4)、X11X12AX13LX14(β5)(配列番号5)、X22X23KX24X25WX26FQYX27X28(β6)(配列番号6)、X29X30YCAYX31CX32(β7)(配列番号7)、及びX33IX34EYKCX35X36(β8)(配列番号8)である、請求項2に記載の変異体タンパク質、
ここで、X1はL又はFであり、X2はQ、H又はRであり、X3はI又はVであり、X4はM、I、T又はDであり、X5はA、T又はIであり、X6はY又はNであり、X7はV、T又はLであり、X8はG又はIであり、X9はG又はAであり、X10はP、A又はSであり、X11はS,L、M又はIであり,X12はT又は存在せず、X13はH、I、Y又はFであり、X14N又はTであり、X15はF又はLであり、X16はE、Q又はLであり、X17はE,A、S又はTであり、X18はY又はFであり、X19はA又はTであり、X20はV又はIであり、X21はQ又はRであり、X22はG又はDであり、X23はE、K、D又はAであり、X24はQ、T又はAであり、X25はV、I又はTであり、X26はY、H又はNであり、X27はT、V又はIであり、X28はN又はDであり、X29はA又はSであり、X30はN又はSであり、X31はR、T又はSであり、X32はN又はDであり、X33はE、A、Q、N又はSであり、X34はI、A又はVであり、X35はA又はTであり、X36はS、N又はTである。 - 前記ヤスデ由来の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼが、更に1個のαヘリックス構造を有することを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の変異体タンパク質。
- 前記αヘリックス構造を構成するアミノ酸配列が、VPNGX37KIH(配列番号9)である、請求項4に記載の変異体タンパク質、ここで、X37はD又はYである。
- 前記ヤスデ由来の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼが、リポカインスーパーファミリーに属するタンパク質である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の変異体タンパク質。
- 前記ヤスデ由来の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼが、ChuaHNL、NttHNL、NtmHNL、OgraHNL,PlamHNL、Pton1HNL、Pton2HNL,Pton3HNL、PfalHNL、PtokHNL、RspHNL、及びRssHNLから選択されるいずれか1種類である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の変異体タンパク質。
- 前記アミノ酸置換が、以下の(a)〜(e)から選択される1種類以上の置換である、請求項1〜請求項7のいずれか1項の記載の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ変異体タンパク質:
(a)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β3)を構成するTAX1DI(配列番号3)で表されるアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸であるAのC又はHへの置換;
(b)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の5番目のアミノ酸であるX6のH,Y、M、V、L又はWへの置換;
(c)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の7番目のアミノ酸であるFのIへの置換;
(d)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の9番目のアミノ酸であるX8のGへの置換;
(e)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β5)を構成するX11X12AX13LX14(配列番号5)で表されるアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸であるX12のAへの置換;及び
(f)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β5)を構成するX11X12AX13LX14(配列番号5)で表されるアミノ酸配列中の3番目のアミノ酸であるAの疎水性残基(I、L、M、F、W、Y又はV)、C、T、E、Q又はSへの置換。 - 前記アミノ酸置換が、2か所以上に存在する、請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の変異体タンパク質。
- 前記2か所のアミノ酸置換が、以下の(b)、(d)、及び(e)から選択される2つの置換である、請求項9に記載の変異体タンパク質。
(b)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の5番目のアミノ酸であるX6のH,Y、M、V、L又はWへの置換;
(d)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β4)を構成するX2X3X4X5X6DFX7X8X9X10(配列番号4)で表されるアミノ酸配列中の9番目のアミノ酸であるX8のGへの置換、
(e)当該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのβシート構造(β5)を構成するX11X12AX13LX14(配列番号5)で表されるアミノ酸配列中の2番目のアミノ酸であるX12のAへの置換、
ここで、X2〜X12は請求項1で定義されたとおりである。 - 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ変異体タンパク質をコードする核酸分子。
- 請求項11に記載の核酸分子を含有するベクター。
- 請求項12に記載のベクターで形質転換された細胞。
- 請求項13に記載の細胞を培養することを含む、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ変異体タンパク質の製造方法。
- 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ変異体タンパク質の存在下で、ケトン又はアルデヒドとシアン化合物(R)とを反応させることを含む、シアノヒドリンの製造方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018127105 | 2018-07-03 | ||
JP2018127105 | 2018-07-03 | ||
PCT/JP2019/026527 WO2020009168A1 (ja) | 2018-07-03 | 2019-07-03 | 新規ヒドロキシニトリルリアーゼ変異体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2020009168A1 true JPWO2020009168A1 (ja) | 2021-08-19 |
JP7264354B2 JP7264354B2 (ja) | 2023-04-25 |
Family
ID=69060830
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020529040A Active JP7264354B2 (ja) | 2018-07-03 | 2019-07-03 | 新規ヒドロキシニトリルリアーゼ変異体 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7264354B2 (ja) |
WO (1) | WO2020009168A1 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017150560A1 (ja) * | 2016-03-01 | 2017-09-08 | 公立大学法人 富山県立大学 | ヒドロキシニトリルリアーゼ |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AT412156B (de) * | 2003-03-20 | 2004-10-25 | Dsm Fine Chem Austria Gmbh | R-hydroxynitrillyasen mit verbesserter substratakzeptanz und deren verwendung |
EP1838855A1 (en) * | 2005-01-20 | 2007-10-03 | DSM Fine Chemicals Austria Nfg GmbH & Co KG | R-hydroxynitrile lyases having improved substrate acceptance and the use thereof |
CN105308181A (zh) * | 2013-06-21 | 2016-02-03 | 帝斯曼知识产权资产管理有限公司 | 低pH的HNL突变体 |
JP6384748B2 (ja) * | 2014-03-04 | 2018-09-05 | 公立大学法人 富山県立大学 | 新規(r)−ヒドロキシニトリルリアーゼ |
EP2955225A1 (en) * | 2014-06-12 | 2015-12-16 | ACIB GmbH | (R)-selective hydroxynitrile lyase variants with a cupin fold having improved substrate scope and the use thereof |
-
2019
- 2019-07-03 WO PCT/JP2019/026527 patent/WO2020009168A1/ja active Application Filing
- 2019-07-03 JP JP2020529040A patent/JP7264354B2/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017150560A1 (ja) * | 2016-03-01 | 2017-09-08 | 公立大学法人 富山県立大学 | ヒドロキシニトリルリアーゼ |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2020009168A1 (ja) | 2020-01-09 |
JP7264354B2 (ja) | 2023-04-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Zhang et al. | Structural studies on 3-hydroxyanthranilate-3, 4-dioxygenase: the catalytic mechanism of a complex oxidation involved in NAD biosynthesis | |
di Salvo et al. | On the catalytic mechanism and stereospecificity of E scherichia coli l‐threonine aldolase | |
Deshpande et al. | Metal-dependent function of a mammalian acireductone dioxygenase | |
Hajnal et al. | Biochemical and structural characterization of a novel bacterial manganese‐dependent hydroxynitrile lyase | |
Mohammadi et al. | Retuning Rieske-type oxygenases to expand substrate range | |
Kim et al. | Gene engineering, purification, crystallization and preliminary X-ray diffraction of cytochrome P450 p-coumarate-3-hydroxylase (C3H), the Arabidopsis membrane protein | |
Thoden et al. | Evolution of enzymatic activity in the enolase superfamily: structural studies of the promiscuous o-succinylbenzoate synthase from Amycolatopsis | |
Suresh et al. | A potential target enzyme for trypanocidal drugs revealed by the crystal structure of NAD-dependent glycerol-3-phosphate dehydrogenase from Leishmania mexicana | |
Huang et al. | Altering the substrate specificity of reductase CgKR1 from Candida glabrata by protein engineering for bioreduction of aromatic α‐keto esters | |
US20180371430A1 (en) | Heme Protein Catalysts for Carbon-Silicon Bond Formation In Vitro and In Vivo | |
Du et al. | Specific ligation of two multimeric enzymes with native peptides and immobilization with controlled molar ratio | |
Motojima et al. | R‐hydroxynitrile lyase from the cyanogenic millipede, Chamberlinius hualienensis—A new entry to the carrier protein family Lipocalines | |
Dahal et al. | Structure of a fungal form of aspartate semialdehyde dehydrogenase from Cryptococcus neoformans | |
Bhagat et al. | Genetically expanded reactive-oxygen-tolerant alcohol dehydrogenase II | |
JPWO2020009168A1 (ja) | 新規ヒドロキシニトリルリアーゼ変異体 | |
Arai et al. | Structure of human ubiquitin-conjugating enzyme E2 G2 (UBE2G2/UBC7) | |
He et al. | Construction of 5-aminolevulinic acid synthase variants by cysteine-targeted mutation to release heme inhibition | |
Cha et al. | Self-sufficient reusable biocatalytic system outfitted with multiple oxidoreductases and flexible polypeptide-based cofactor swing arms | |
Sasaki et al. | Structures of substrate-and product-bound forms of a multi-domain copper nitrite reductase shed light on the role of domain tethering in protein complexes | |
JP2017517264A (ja) | クピンスーパーファミリーのタンパク質により触媒される(r)−選択的ニトロアルドール反応 | |
Bacik et al. | Neutron and high-resolution room-temperature X-ray data collection from crystallized lytic polysaccharide monooxygenase | |
Andi et al. | Crystal structures of ligand-bound saccharopine dehydrogenase from Saccharomyces cerevisiae | |
Pei et al. | Enzymatic properties of a non-classical aldoxime dehydratase capable of producing alkyl and arylalkyl nitriles | |
Zeballos et al. | Region-directed enzyme immobilization through engineering protein surface with histidine clusters | |
Shimekake et al. | X-ray structure analysis of a unique d-amino-acid oxidase from the thermophilic fungus Rasamsonia emersonii strain YA |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A529 | Written submission of copy of amendment under article 34 pct |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A5211 Effective date: 20201203 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20201204 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20210603 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20210604 |
|
AA64 | Notification of invalidation of claim of internal priority (with term) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764 Effective date: 20210608 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220512 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20220812 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220906 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221003 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221206 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230106 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230314 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230403 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7264354 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |