JPWO2020009023A1 - 試料分析用基板および試料分析方法 - Google Patents

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Abstract

検体を含む液体の移送を行い、検体中の特定物質を分析する試料分析用基板であって、基板と、基板内に位置し、検体中の特定成分と標識物質と磁性粒子とが結合した複合体を保持するための空間を有するメインチャンバーと、メインチャンバーに近接して配置された磁石と、基板内に位置し、メインチャンバーから移送される液体を保持するための空間を有する回収チャンバーであって、空間の少なくとも一部はメインチャンバーの空間よりも半径方向において外周側に位置している、回収チャンバーと、基板内に位置しており、第1の開口および第2の開口を有する流路であって、第1の開口および第2の開口がそれぞれメインチャンバーおよび回収チャンバーに接続された流路と、回収チャンバーに保持されており、標識物質の活性を低下させる活性阻害物質とを備えた試料分析用基板。

Description

本開示は、試料分析用基板および試料分析方法に関する。
血液等の分析方法として、試料分析用基板を用いる技術が知られている。この技術は、チャンバー、流路等が設けられた試料分析用基板に血液等の検体を含む液体を導入し、試料分析用基板を回転させることで、液体の移送、分配、混合、試薬との反応等を行い、検体中の成分の分析を行う(例えば、特許文献1参照)。
検出の感度を高めるために、液体中の成分を、反応チャンバー内で磁気ビーズを含む抗体および標識抗体と結合させ、その後、測定チャンバー内で磁石によって吸引した状態で洗浄する洗浄工程を行うことで、検出すべき成分の濃度を高めた上で光学的に検出する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特表平7−500910号公報 国際公開第2017/115733号
従来の試料分析用基板を用いた分析では、測定精度が低下することがあった。本願の限定的ではない例示的な実施形態は、測定精度の向上が可能な試料分析用基板および試料分析方法を提供する。
本開示の一態様に係る試料分析用基板は、検体を含む液体の移送を行い、検体中の特定物質を分析する試料分析用基板であって、基板と、前記基板内に位置し、前記検体中の特定成分と標識物質と磁性粒子とが結合した複合体を保持するための空間を有するメインチャンバーと、前記メインチャンバーに近接して配置された磁石と、前記基板内に位置し、前記メインチャンバーから移送される液体を保持するための空間を有する回収チャンバーであって、前記空間の少なくとも一部は前記メインチャンバーの空間よりも半径方向において外周側に位置している、回収チャンバーと、前記基板内に位置しており、第1の開口および第2の開口を有する流路であって、前記第1の開口および前記第2の開口がそれぞれ前記メインチャンバーおよび前記回収チャンバーに接続された流路と、前記回収チャンバーに保持されており、前記標識物質の活性を低下させる活性阻害物質とを備える。
本開示の一態様に係る試料分析用基板によれば、反応チャンバーにおける反応がより均一に行われ、精度の高い測定が可能となる。
図1は、磁性粒子を用いたサンドイッチイムノアッセイ法を説明する模式図の一例である。 図2Aは、実施形態の試料分析システムの構成の一例を示す模式図である。 図2Bは、試料分析システムにおける試料分析用基板の原点を検出するための構成の一例を示す模式図である。 図3Aは、試料分析用基板の一例を示す分解斜視図である。 図3Bは、試料分析用基板の一例を示す平面図である。 図3Cは、図3Aに示す試料分析用基板のうち、反応液の移送に関する構成を示す平面図である。 図3Dは、図3Aに示す試料分析用基板のうち、洗浄液の移送に関する構成を示す平面図である。 図3Eは、図3Aに示す試料分析用基板のうち、基質溶液の移送に関する構成を示す平面図である。 図3Fは、試料分析用基板の磁石の保持方法の他の一例を示す斜視図である。 図4は、試料分析用基板の第6流路の構造の一部を拡大して示す平面図である。磁石の保持方法の他の一例を示す斜視図である。 図5は、試料分析システムの動作の一例を示すフローチャートである。 図6は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図7は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図8は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図9は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図10は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図11は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図12は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図13は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図14は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図15は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図16は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図17は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図18は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図19は、試料分析システムの動作中における試料分析用基板の停止角度と液体の位置の一例を模式的に示す図である。 図20は、試料分析用基板の他の一例を示す平面図である。 図21は、試料分析用基板の他の一例を示す平面図である。 図22は、試料分析用基板の他の一例を示す平面図である。 図23は、試料分析用基板の他の一例を示す平面図である。 図24Aは、回収チャンバーの、図23に示すA−A’線における断面図である。 図24Bは、回収チャンバーの、図23に示すB−B’線における断面図である。 図24Cは、回収チャンバーの円周方向の断面図である。 図24Dは、回収チャンバーの円周方向の他の一例を示す断面図である。 図25は、図23に示す試料分析用基板を用いて試料分析を行う手順を示すフローチャートである。
本願発明者は、従来の試料分析用基板を用いた分析において、測定精度が低下する原因を詳細に検討し、回収チャンバーにおける課題を見出した。
試料分析用基板用いた分析では、検出感度を高めるために、反応チャンバーにおいて、検体を含む液体を計量し、磁性粒子固定化抗体および標識抗体と検体中の検出すべき成分である抗原とを結合させ、その後、測定チャンバーにおいて、磁性粒子固定化抗体および標識抗体と結合した抗原を磁石によって吸引した状態で洗浄液を用いて洗浄する。使用済みの洗浄液は回収チャンバーへ移送される。続いて、基質溶液を測定チャンバーに導入し、基質と標識抗体とを反応させて発光等を検出する。このとき、過剰な基質溶液は回収チャンバーへ移送される。
回収チャンバーへ移送された使用済みの洗浄液には、抗原と反応しなかった標識抗体が含まれる。このため、基質溶液も回収チャンバーへ移送されると、回収チャンバーでも標識抗体と基質とが反応し、発光が生じ、測定チャンバーにおける発光の検出に影響を与え得る。
この課題に鑑み、本願発明者は、回収チャンバーにおける発光の抑制および発光の影響を低減し得る新規な構造を備えた試料分析用基板を想到した。本願の一態様に係る試料分析用基板および試料分析方法は、以下の通りである。
[項目1]
検体を含む液体の移送を行い、検体中の特定物質を分析する試料分析用基板であって、
基板と、
前記基板内に位置し、前記検体中の特定成分と標識物質と磁性粒子とが結合した複合体を保持するための空間を有するメインチャンバーと、
前記メインチャンバーに近接して配置された磁石と、
前記基板内に位置し、前記メインチャンバーから移送される液体を保持するための空間を有する回収チャンバーであって、前記空間の少なくとも一部は前記メインチャンバーの空間よりも半径方向において外周側に位置している、回収チャンバーと、
前記基板内に位置しており、第1の開口および第2の開口を有する流路であって、前記第1の開口および前記第2の開口がそれぞれ前記メインチャンバーおよび前記回収チャンバーに接続された流路と、
前記回収チャンバーに保持されており、前記標識物質の活性を低下させる活性阻害物質と、
を備えた試料分析用基板。
[項目2]
前記活性阻害物質はキレート剤である、項目1に記載の試料分析用基板。
[項目3]
前記キレート剤はエチレンジアミン四酢酸である、項目2に記載の試料分析用基板。
[項目4]
前記活性阻害物質は、オルトバナジン酸ナトリウム、ヒ酸、フェニルアラニン、ホモアルギニン、無機りん酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、項目1に記載の試料分析用基板。
[項目5]
前記活性阻害物質は、たんぱく質変性剤である項目1に記載の試料分析用基板。
[項目6]
前記活性阻害物質は、イオン性界面活性剤である項目1に記載の試料分析用基板。
[項目7]
前記活性阻害物質は、塩析剤である項目1に記載の試料分析用基板。
[項目8]
前記標識物質は、酵素である、項目1から7のいずれかに記載の試料分析用基板。
[項目9]
前記標識物質は、ペルキオキシターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリフォスターゼ、デヒドロゲナーゼ、ルシフェラーゼからなる群から選択される一種である項目8に記載の試料分析用基板。
[項目10]
前記回収チャンバーは第1端および第2端を有し、円周方向に伸びており、
前記流路の第2開口は、前記回収チャンバーの第1端と第2端との中間よりも第1端側に接続されている、項目1から9のいずれかに記載の試料分析用基板。
[項目11]
前記回収チャンバーは、前記基板の厚さ方向に沿った第1高さおよび第2高さを有し、
前記第1高さは、前記中間よりも第1端側に位置し、前記第2高さは前記中間よりも第2端側に位置し、前記第1高さは前記第2高さよりも大きい、項目10に記載の試料分析用基板。
[項目12]
前記回収チャンバーは、前記空間の外周側に位置する側壁を有し、
前記第1端と前記中間との間に位置する第1位置における前記基板の中心から前記側壁までの第1距離は、前記第2端と前記中間との間に位置する第2位置における前記基板の中心から前記側壁までの第2距離よりも短い項目10または11に記載の試料分析用基板。
[項目13]
前記基板内に位置し、基質物質を含む基質溶液を保持するための第1貯蔵チャンバーと、
前記基板内に位置し、洗浄液を保持するための第2貯蔵チャンバーと、
前記基板内に位置し、前記第1貯蔵チャンバーと前記メインチャンバーとを接続し前記基質物質を含む液体を移送するための第1経路と、
前記基板内に位置し、前記第2貯蔵チャンバーと前記メインチャンバーとを接続し前記洗浄液を移送するための第2経路と、
をさらに備える、項目1から12のいずれかに記載の試料分析用基板。
[項目14]
項目1に記載の試料分析用基板を用いて検体中の特定物質を分析する試料分析方法であって、
前記検体中の特定成分と標識物質と磁性粒子とが結合した複合体を含む反応液を前記メインチャンバーへ導入する工程と、
前記磁石の磁力によって、前記複合体を前記メインチャンバー内に保持しながら、前記試料分析用基板を回転させることによって、前記反応液を前記回収チャンバーへ移送し、前記回収チャンバー内において、前記反応液中の前記複合体を形成していない標識物質と前記活性阻害物質とを反応させる工程と
を包含する試料分析方法。
[項目15]
項目13に記載の試料分析用基板を用いて検体中の特定物質を分析する試料分析方法であって、
前記第1貯蔵チャンバーおよび前記第2貯蔵チャンバーに前記基質物質を含む基質溶液および洗浄液が保持された試料分析用基板を用意する工程と、
前記検体中の特定成分と標識物質と磁性粒子とが結合した複合体を含む反応液を前記メインチャンバーへ導入する工程と、
前記磁石の磁力によって、前記複合体を前記メインチャンバー内に保持しながら、前記試料分析用基板を回転させることによって、前記反応液を前記回収チャンバーへ移送し、前記回収チャンバー内において、前記反応液中の前記複合体を形成していない標識物質と前記活性阻害物質とを反応させる工程と、
前記洗浄液を前記メインチャンバーへ移送し、前記保持された複合体を前記洗浄液で洗浄後、前記試料分析用基板を回転させることによって、前記洗浄液を前記回収チャンバーへ移送する工程と、
前記基質溶液を前記メインチャンバーへ移送し、前記メインチャンバーに保持された前記複合体の標識物質から得られる信号を測定する工程と、
を包含する試料分析方法。
以下、図面を参照しながら本実施形態の試料分析用基板、試料分析装置、試料分析システムおよび試料分析システム用プラグラムを詳細に説明する。まず、磁性粒子を用いた分析方法(磁性粒子を用いたサンドイッチイムノアッセイ法)を説明し、続いて、試料分析装置および試料分析用基板の構成(試料分析装置200の構成、試料分析用基板100の構成)および試料分析システムの動作(試料分析システム501の動作)を説明する。最後に、特に上述した課題の解決に好適である回収チャンバーの構造(回収チャンバーの他の例)を説明する。なお、本開示の図面において、分かり易さのため、構成要素の一部を省略したり、参照符号を省略している場合がある。
(磁性粒子を用いたサンドイッチイムノアッセイ法)
尿や血液等の検体の成分の分析法には、分析対象物であるアナライトと、アナライトと特異的に結合するリガンドとの結合反応が用いられる場合がある。このような分析法には、例えば、免疫測定法や遺伝子診断法が挙げられる。
免疫測定法の一例として、競合法と非競合法(サンドイッチイムノアッセイ法)が挙げられる。また、遺伝子診断法の一例として、ハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法が挙げられる。これら免疫測定法や遺伝子検出法には、例えば、磁性粒子(「磁性ビーズ」、「磁気粒子」または「磁気ビーズ」等と称することもある。)が用いられる。これら分析法の一例として、磁性粒子を用いたサンドイッチイムノアッセイ法を具体的に説明する。
図1に示すように、まず、磁性粒子302の表面に固定化された一次抗体304(以下、「磁性粒子固定化抗体305」と称する。)と測定対象物である抗原306とを抗原抗体反応により結合させる。次に標識物質307が結合された2次抗体(以下、「標識抗体308」と称する。)と抗原306とを抗原抗体反応により結合させる。これにより、抗原306に対して磁性粒子固定化抗体305及び標識抗体308が結合した複合体310が得られる。
この複合体310に結合した標識抗体308の標識物質307に基づくシグナルを検出し、検出したシグナルの量に応じて抗原濃度を測定する。標識物質307には、例えば、酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ルシフェラーゼ等がある。)、化学発光物質、電気化学発光物質、蛍光物質等が挙げられ、それぞれの標識物質307に応じた色素、発光、蛍光等のシグナルを検出する。
この一連の反応において、反応物である複合体310を得る上で、検体中の未反応物、磁性粒子等に非特異的に吸着した物質、複合体310の形成に関与しなかった標識抗体308等である未反応物とを分離する必要がある。この分離をB/F分離(Bound/Free Separation)と呼ぶ。競合法による免疫測定法やハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法においても、同様に、B/F分離の工程が必要である。
前述で、磁性粒子を用いたサンドイッチイムノアッセイ法を例に挙げて説明したが、B/F分離は、磁性粒子の使用の有無にかかわらず、競合法や非競合法による免疫測定法やハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法を行う場合に必要となる。磁性粒子を用いない場合は、例えば、ポリスチレンやポリカーボネートといった素材で構成された固相へ物理吸着により固定化されたリガンド、化学結合により固相に固定化されたリガンド、金等で構成された金属基板表面へ固定化(例えば、自己組織化単分子膜(SAM:self−Assembled Monolayer)を用いた固定化)されたリガンドを用いる場合等が挙げられる。
B/F分離を十分に行うには、洗浄液で複合体310を含む磁性粒子を複数回洗浄することが好ましい。具体的には、まず、複合体310と、未反応の抗原306、標識抗体308等とを含む反応溶液において、磁石によって磁性粒子を含む複合体310を捕捉した状態で、反応溶液のみを除去する。その後、洗浄液を加えて複合体310を洗浄し、洗浄液を除去する。この洗浄を複数回繰り返し行うことによって、未反応物や非特異吸着物質が十分に除去されたB/F分離が達成され得る。複合体310を複数回の洗浄した後、複合体310を基質溶液と反応させ、標識物質307に基づくシグナルを生成させる。
図2Aは、試料分析システム501の全体の構成を示す模式図である。試料分析システム501は、試料分析用基板100と試料分析装置200とを含む。
(試料分析装置200の構成)
試料分析装置200は、モータ201と、原点検出器203と、回転角度検出回路204と、制御回路205と、駆動回路206と、光学測定ユニット207とを備える。
モータ201は、ターンテーブル201aおよび重力方向に対して0°より大きく90°以下の角度θで重力(鉛直)方向Gから傾いた回転軸201Aを有し、ターンテーブル201aに載置された試料分析用基板100を回転軸201A周りに回転させる。回転軸201Aが傾いていることにより、試料分析用基板100における液体の移送に、回転による遠心力に加え、重力による移動を利用することができる。回転軸201Aの重力方向Gに対する傾斜角度は、5°以上であることが好ましく、10°以上45°以下であることがより好ましく、20°以上30°以下であることがさらに好ましい。モータ201は例えば、直流モータ、ブラシレスモータ、超音波モータ等であってよい。
原点検出器203は、モータ201に取り付けられた試料分析用基板100の原点を検出する。例えば、図2Aに示すように、原点検出器203は、光源203a、受光素子203bおよび原点検出回路203cを含み、光源203aと受光素子203bとの間に試料分析用基板100が位置するように配置される。例えば、光源203aは発光ダイオードであり、受光素子203bはフォトダイオードである。図2Bに示すように、試料分析用基板100は特定の位置に設けられたマーカ210を有する。マーカ210は例えば、光源203aから出射する光の少なくとも一部を遮光する遮光性を有する。試料分析用基板100において、マーカ210の領域は透過率が小さく(例えば10%以下)、マーカ210以外の領域では透過率が大きい(例えば60%以上)。
試料分析用基板100がモータ201によって回転すると、受光素子203bは、入射する光の光量に応じた検出信号を原点検出回路203cへ出力する。回転方向に応じて、マーカ210のエッジ210aおよびエッジ210bにおいて検出信号は増大または低下する。原点検出回路203cは、例えば、矢印で示すように、試料分析用基板100が時計回りに回転している場合において、検出光量の低下を検出し、原点信号として出力する。本明細書では、マーカ210のエッジ210aの位置を、試料分析用基板100の原点位置(試料分析用基板100の基準となる角度位置)として取り扱う。ただし、マーカ210のエッジ210aの位置から任意に定められる特定の角度の位置を原点として定めてもよい。また、マーカ210が扇形であり、その中心角が、試料分析に必要な角度の検出精度よりも小さい場合には、マーカ210自体を原点位置として定めてもよい。
原点位置は、試料分析装置200が試料分析用基板100の回転角度の情報を取得するために利用される。原点検出器203は、他の構成を備えていてもよい。例えば、試料分析用基板100に原点検出用の磁石を備え、原点検出器203はこの磁石の磁気を検出する磁気検出素子であってもよい。また、後述する磁性粒子を捕捉するための磁石を原点検出に用いてもよい。また、試料分析用基板100がターンテーブル201aに特定の角度でのみ取り付け可能である場合には、原点検出器203はなくてもよい。
回転角度検出回路204は、モータ201の回転軸201Aの角度を検出する。例えば、回転角度検出回路204は回転軸201Aに取り付けられたロータリーエンコーダであってもよい。モータ201がブラシレスモータである場合には、回転角度検出回路204は、ブラシレスモータに備えられているホール素子およびホール素子の出力信号を受け取り、回転軸201Aの角度を出力する検出回路を備えていてもよい。
駆動回路206はモータ201を回転させる。具体的には、制御回路205からの指令に基づき、試料分析用基板100を時計方向または反時計方向に回転させる。また、回転角度検出回路204および原点検出器203の検出結果および試料分析用基板100を制御回路205からの指令に基づき、揺動および回転の停止を行う。
光学測定ユニット207は、試料分析用基板100に保持された複合体310(図1)に結合した標識抗体308の標識物質307に応じたシグナル(例えば、色素、発光、蛍光等)を検出する。
制御回路205は、たとえば試料分析装置200に設けられたCPUを含む。制御回路205は、RAM(Random Access Memory;図示せず)に読み込まれたコンピュータプログラムを実行することにより、当該コンピュータプログラムの手順にしたがって他の回路に命令を送る。その命令を受けた各回路は、本明細書において説明されるように動作して、各回路の機能を実現する。制御回路205からの命令は、たとえば図2Aに示されるように、駆動回路206、回転角度検出回路204、光学測定ユニット207等に送られる。コンピュータプログラムの手順は、添付の図面におけるフローチャートによって示されている。
なお、コンピュータプログラムが読み込まれたRAM、換言すると、コンピュータプログラムを格納するRAMは、揮発性であってもよいし、不揮発性であってもよい。揮発性RAMは、電力を供給しなければ記憶している情報を保持できないRAMである。たとえば、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)は、典型的な揮発性RAMである。不揮発性RAMは、電力を供給しなくても情報を保持できるRAMである。たとえば、磁気抵抗RAM(MRAM)、抵抗変化型メモリ(ReRAM)、強誘電体メモリ(FeRAM)は、不揮発性RAMの例である。本実施の形態においては、不揮発性RAMが採用されることが好ましい。
揮発性RAMおよび不揮発性RAMはいずれも、一時的でない(non-transitory)、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例である。また、ハードディスクのような磁気記録媒体や、光ディスクのような光学的記録媒体も一時的でない、コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例である。すなわち本開示にかかるコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムを電波信号として伝搬させる、大気などの媒体(一時的な媒体)以外の、一時的でない種々のコンピュータ読み取り可能な媒体に記録され得る。
本明細書では、制御回路205は回転角度検出回路204および原点検出器203の原点検出回路203cと別個の構成要素として説明している。しかしながら、これらは共通のハードウェアによって実現されていてもよい。たとえば、試料分析装置200に設けられたCPU(コンピュータ)が、制御回路205として機能するコンピュータプログラム、回転角度検出回路204として機能するコンピュータプログラムおよび原点検出器203の原点検出回路203cとして機能するコンピュータプログラムを直列的、または並列的に実行してもよい。これにより、そのCPUを見かけ上、異なる構成要素として動作させることができる。
(試料分析用基板100)
[1.全体の構成]
図3Aは、試料分析用基板100の分解斜視図である。試料分析用基板100は、回転軸110および回転軸110に平行な方向に所定の厚さを有する板形状の基板100’を備える。試料分析用基板100の基板100’は、ベース基板100aとカバー基板100bによって構成されている。本実施形態では、試料分析用基板100の基板100’は円形形状を有しているが、例えば、多角形形状、楕円形状、扇形形状等を有していてもよい。基板100’は、2つの主面100c、100dを有している。本実施形態では、主面100cおよび主面100dは互いに平行であり、主面100cおよび主面100dの間隔で規定される基板100’の厚さ(2つの主面の間の距離)は、基板100’のどの位置でも同じである。しかし、主面100c、100dは、平行でなくてもよい。例えば、2つの主面の一部分が非平行または平行であってもよいし、全体的に非平行であってもよい。また、基板100’の主面100cおよび100dの少なくも一方に凹部ないし凸部を有する構成を備えていてもよい。
図3Bは、ベース基板100aの平面図である。図3Bに示すように、試料分析用基板100は、それぞれ基板100’内に位置する第1保持チャンバー101、第2保持チャンバー102、第3保持チャンバー103、第1貯蔵チャンバー104、第2貯蔵チャンバー105、反応チャンバー106、メインチャンバー107および回収チャンバー108を有する。各チャンバーの形状は、以下において特に言及しない限り、制限はなく、任意の形状を有していてもよい。各チャンバーは、概ね、基板100’の2つの主面100c、100d(図3A)に平行な上面及び下面と、これらの間に位置する3以上の側面とによって規定された空間を有する。上面、下面および側面のうちの隣接する2つの面は、明瞭な稜線によって分けられていなくてもよい。例えば、各チャンバーの形状は扁平な球あるいは、回転楕円体であってもよい。
試料分析用基板100は、更に、それぞれ基板100’内に位置する第1流路111、第2流路112、第3流路113、第4流路114、第5流路115、第6流路および第7流路117を有する。第1流路111は、第1保持チャンバー101と第2保持チャンバー102とを接続している。第2流路112は、第2保持チャンバー102とメインチャンバー107とを接続している。第3流路113は、メインチャンバー107と回収チャンバー108とを接続している。第4流路114は、第1貯蔵チャンバー104と第1保持チャンバー101とを接続している。第5流路115は、第2貯蔵チャンバー105と第3保持チャンバー103とを接続している。第6流路116は、第3保持チャンバー103とメインチャンバー107とを接続している。第7流路117は、反応チャンバー106とメインチャンバー107とを接続している。
流路を介したチャンバー間の液体の移送は、種々の方法で実現することが可能である。たとえば、重力による移送、および、毛細管力と回転による遠心力とによる移送を利用することができる。以下、この2つの移送方法を概括的に説明する。
重力による移送が可能な流路である場合、液体は流路内を重力によって移動することができる。たとえば、図2Aに示すように、試料分析用基板100を回転軸110が重力方向Gに対して0度より大きく90度以下の範囲で傾けて支持する。試料分析用基板100の回転角度を変更することにより、液体が存在する移送元のチャンバーを、移送先のチャンバーよりも高い位置に配置させる。「高い」とは重力方向Gでより上にあることを言う。これにより、移送元のチャンバー内の液体は、重力によって流路内を移動し、移送先のチャンバーへ移送される。重力による移送が可能な流路は、以下に説明する毛管路ではない。重力による移送が可能な流路は、例えば1mm以上の厚さを有している。
また、流路は毛管路であってもよい。「毛管路」は、毛細管現象による毛細管力により内部の少なくとも一部に液体を満たすことができる狭い断面を有する流路を指す。毛管路による液体の移送を、毛細空間ではないチャンバーAおよびチャンバーBと、チャンバーAとチャンバーBを接続する毛管路の流路を有する構成を例に挙げて説明する。チャンバーAに保持された液体は、チャンバーAに設けられた毛管路の開口に接触すると、毛細管力により流路内に吸引され、流路の一部または全部が液体で満たされる。流路を満たす液体の位置及び量は、流路内の液体に働く毛細管力および重力の均衡によって決定する。
毛管路の流路を毛細管力により液体で満たすには、液体の移動による圧力差が生じないよう、チャンバーAとチャンバーBに空気孔を設け、2つのチャンバー内の圧力を外部環境との圧力と一致させる。
流路が毛細管力により液体で満されている状態では、流路内の液体は、毛細管力、大気圧および重力のバランスによって静止しており、チャンバーAからチャンバーBへは、液体は移送されない。また、試料分析用基板を回転させることよって、流路内の液体に毛細管力以下の遠心力が働く場合にも液体の移送は生じない。
一方、チャンバーBが、回転軸に対してチャンバーAよりも遠い位置に配置されており、毛管路の流路中の液体に毛細管力よりも大きい遠心力が働くように、試料分析用基板を回転させると、遠心力によって、チャンバーA中の液体をチャンバーBに移送することができる。
流路による移送に毛細管現象を利用する場合、流路は、例えば、50μm〜300μmの厚さを有している。厚さの異なるチャンバーの領域や流路を形成する場合、例えば、ベース基板100aに設ける空間の深さを異ならせることによって、異なる厚さを実現することができる。あるいは、ベース基板100aに設ける空間の深さは一定にし、カバー基板100bの各チャンバーや流路に対応する位置に高さの異なる凸部を設けることにより、各流路およびチャンバーの厚さを異ならせてもよい。
以下において説明するように、チャンバーの一部または全部が保持した液体で確実に満たされるように、流路の一部または全部が毛管空間を構成していてもよい。この場合、毛管空間となる領域の厚さは、上述したように50μm〜300μmである。
液体を毛細管力および回転による遠心力によって移送する場合、例えば、直径60mmの試料分析用基板100を100rpmから8000rpmの範囲で回転させることができる。回転速度は各チャンバーおよび流路の形状、液体の物性、液体の移送や処理のタイミング等に応じて決定される。
毛細管力が働く流路あるいはチャンバーの内面、ならびに、流路が接続しているチャンバーの接続部分近傍の内面は、親水処理が施されていてもよい。親水処理によって毛細管力が大きく働く。親水処理は、例えば、上述した内面に、非イオン系、カチオン系、アニオン系または両イオン系の界面活性剤を塗布したり、コロナ放電処理を行ったり、物理的な微細凹凸を設けるなどによって行うことができる(例えば、特開2007−3361号公報を参照。)。第2流路112、第3流路113、第4流路114、第5流路115および第6流路116が、毛細管現象により内部液体を満たすことができる空間である場合、これら流路にも同様に親水処理を施してもよい。
第1保持チャンバー101、第2保持チャンバー102、第3保持チャンバー103、第1貯蔵チャンバー104、第2貯蔵チャンバー105、反応チャンバー106、メインチャンバー107および回収チャンバー108のそれぞれには少なくとも1つの空気孔122が設けられている。これにより、各チャンバー内が環境下の気圧に保たれ、毛細管現象およびサイフォンの原理によって各流路を移動し得る。また、第1貯蔵チャンバー104、第2貯蔵チャンバー105および反応チャンバー106には、基質溶液、検体洗浄溶液、反応溶液等などの液体を注入するための開口123が設けられていてもよい。空気孔122は開口123を兼ねていてもよい。
第1保持チャンバー101、第2保持チャンバー102、第3保持チャンバー103、第1貯蔵チャンバー104、第2貯蔵チャンバー105、反応チャンバー106、メインチャンバー107および回収チャンバー108のそれぞれの空間は、ベース基板100a内に形成され、カバー基板100bでベース基板100aを覆うことにより、それぞれの空間の上部および下部が形成される。つまり、これらの空間は基板100’の内面によって規定されている。第1流路111、第2流路112、第3流路113、第4流路114、第5流路115、第6流路116および第7流路117もベース基板100aに形成されており、カバー基板100bでベース基板100aを覆うことにより、これらの流路の空間の上部および下部が形成される。本実施形態では、ベース基板100aおよびカバー基板100bがそれぞれ上面および下面を規定する。基板100’は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン等の樹脂によって生成され得る。
表1は、本実施形態の試料分析用基板100において、試料分析開始時に導入される物質または液体と、最初に導入されるチャンバーおよび、導入された物質または液体とがメインチャンバーへ導入する順序の組み合わせを示している。表1に示す組み合わせは、例示する1つの組み合わせに過ぎず、チャンバーに導入する物質や液体およびメインチャンバー107への導入順序は表1に示される物質や順序に限られない。
表1に示すように、磁性粒子固定化抗体305、抗原306を含む検体および標識抗体308が反応チャンバー106に導入され、複合体310が反応チャンバー106で生成する。また、第1貯蔵チャンバー104には基質溶液が導入される。第2貯蔵チャンバー105には洗浄液が導入される。
Figure 2020009023
以下、主として図3Cから図3Eを参照しながら、上述した表に示すメインチャンバー107への導入順に従い、複合体310、洗浄溶液および基質溶液に関するチャンバーおよび流路を説明する。図3Cから図3Eにおいては、分かり易さのため、試料分析用基板100の関連しないあるいは言及しない構造は図示していない。
[反応チャンバー106]
図3Cに示すように、反応チャンバー106が試料分析用基板100に設けられている。反応チャンバー106は、図1を参照して説明したように、磁性粒子固定化抗体305と、抗原306を含む検体と、標識抗体308とを反応させて、複合体310を形成させる反応場である。反応チャンバー106の形状に特に制限はない。
本実施の形態では、複合体310を形成させる反応場として、反応チャンバー106を備えている。磁性粒子固定化抗体305、抗原306を含む検体および標識抗体308の反応チャンバー106への移送は、種々の手段を採り得る。
例えば、予め磁性粒子固定化抗体305、抗原306を含む検体および標識抗体308を混合させた混合溶液を量りとり、試料分析用基板100内に混合液を注入して、反応チャンバー106で複合体を形成させてもよい。
試料分析用基板100は、例えば、磁性粒子固定化抗体305、抗原306を含む検体および標識抗体308のそれぞれを保持するチャンバーと、それぞれのチャンバーと反応チャンバー106とが連結する流路(例えば、毛管路)を備えていてもよい。この場合、磁性粒子固定化抗体305、抗原306を含む検体および標識抗体308をそれぞれのチャンバーに量りとり、各チャンバーに注入された磁性粒子固定化抗体305、抗原306を含む検体および標識抗体308を反応チャンバー106に移送して反応チャンバー106中で混合し、複合体310を形成させてもよい。
また、磁性粒子固定化抗体305および標識抗体308を乾燥させてもよい(以下、「ドライ化試薬」と称する。)。この場合、例えば、反応チャンバー106にドライ化試薬を保持させ、抗原306を含む検体溶液を含む液体に、ドライ化試薬を溶解させることで複合体310を形成させてもよい。また、測定時にあるチャンバーに保持されたドライ化試薬を所定の溶液で溶解させ、抗原306を含む検体溶液を反応チャンバー106中で混合させることで複合体310を形成させてもよい。
[第7流路117]
反応チャンバー106内の複合体310を含む溶液は、第7流路117を介して、メインチャンバー107へ移送される。第7流路117は、開口117gおよび開口117hを有する。第7流路117の開口117gは、反応チャンバー106の側面のうち、回転軸110から最も遠い側に位置する最外周側面106a、または、最外周側面106aに隣接する隣接側面であって、最外周側面106aとの接続部分を含む位置に設けられることが好ましい。反応チャンバー106中の液体をメインチャンバー107へ移送させるにあたり、反応チャンバー106中に液残りが生じることを抑制できるからである。図3Cは、開口117gが最外周側面106aの一部に設けられた例を示している。
第7流路117の開口117hは、開口117gよりも回転軸110に対して遠くに位置している。開口117hは、以下において説明するように、メインチャンバー107の側面に接続されている。開口117hが開口117gよりも回転軸110に対して遠い側に位置していることにより、試料分析用基板100を回転させると、反応チャンバー106内の複合体310を含む溶液は、遠心力によって、第7流路117を介してメインチャンバー107へ移送される。第7流路117は、毛管路であってもよいし、重力に移送が可能な流路であってもよい。
[メインチャンバー107]
メインチャンバー107は、複合体310を含む溶液のB/F分離を行う場である。B/F分離のために、試料分析用基板100は、基板100’内に配置された磁石121を含む。
磁石121は、試料分析用基板100内において、メインチャンバー107の空間に近接して位置している。より具体的には、磁石121は、メインチャンバー107の複数の側面のうち、回転軸110から最も遠くに位置する最外周側面107aに近接して配置されている。ただし、試料分析用基板100における磁石121は、メインチャンバー107の最外周側面107a以外の上面や下面に近接する位置に配置してもよい。すなわち、磁石121によって、メインチャンバー107の壁面に磁性粒子を捕捉できれば、その位置は特に限定されない。磁石121はB/F分離に応じて取外しできるように構成されていてもよいし、基板100’に着脱不能に取り付けられていてもよいし、試料分析装置200側に設けるように構成されていてもよい。
磁石121を着脱可能に構成した場合には、例えば、基板100’は、磁石121を収納することができる収納室を備える。例えば、図3Fに示すように、基板100’は、主面100cに開口120aを有する凹状の収納室120を備えていてもよい。収納室120は磁石121を収納可能な空間を有する。開口120aから収納室120に磁石121を挿入することにより、磁石121を基板100’に装填することができる。収納室120の開口120aは、主面100dに設けてもよいし、2つの主面100c、100dの間に位置する側面に設けてもよい。
磁石121を試料分析装置200側に設ける場合には、例えば、試料分析装置200のターンテーブル201aに磁石121を備えた磁石ユニットを備えていてもよい。この場合、使用者が試料分析用基板100をターンテーブル201a(磁石ユニット)の所定の位置に配置すると、メインチャンバー107の壁面に磁性粒子を捕捉できる位置に磁石121が配置される。磁石121を試料分析装置200に設ける他の例として、例えば、試料分析装置200は、磁石121および磁石121を移動させる駆動機構を備えていてもよい。この場合、試料分析用基板100は磁石121を保持する収納室を備え、B/F分離に応じて、駆動機構が試料分析用基板100の収納室に磁石121を挿入し、収納室内の磁石121を取り出してもよい。
反応液が第7流路117を介して、メインチャンバー107へ移送されると、反応液中の複合体310および未反応の磁性粒子固定化抗体305(以下、これら両方を指す場合には、単に磁性粒子311と呼ぶ)は、最外周側面107aに近接して配置された磁石121の磁力によって、最外周側面107a側に集まって捕捉される。
メインチャンバー107の空間は第1領域107fおよび第1領域107fに隣接し、接続されている第2領域107eを含んでいてもよい。第1領域107fは重力によって液体が移動可能な空間であり、第2領域107eは、毛細管力が働く毛管空間である。このため、第1領域107fの厚さは、第2領域107eの厚さよりも大きく、第1領域107fは第2領域107eよりも大きな空間を有する。第1領域107fおよび第2領域107eの厚さは、具体的には流路の厚さとして説明した上述の範囲内の値である。
第2領域107eは最外周側面107aに接しており、第1領域107fの少なくとも一部は第2領域107eよりも回転軸110に近接していることが好ましい。また、第7流路117の開口117hは、第1領域107fに接している側面の1つに設けられている。
メインチャンバー107内の液体は、第3流路113を介して回収チャンバー108へ移送される。以下において説明するように、第3流路113の開口113gは第2領域102eの空間と接続するように第2領域102eに接する側面に設けられる。
メインチャンバー107において、第1領域107fは重力によって液体が移動可能な空間であるため、必要に応じた大きさの空間を確保することが可能である。また、第2領域107eは毛管空間であるため、メインチャンバー107に保持される液体の一部で必ず第2領域107eが満たされる。このため、第3流路113が第2領域107eと接することにより、メインチャンバー107内の液体を余すことなく第3流路113を介して回収チャンバー108へ移送することができる。メインチャンバー107には、反応液の他洗浄液および基質溶液が導入されるため、メインチャンバー107がこれらの液体を保持する十分な空間を有すること、および、保持した液体を必要に応じて、回収チャンバー108へ確実に移送できることは、重要な特徴である。
[第3流路113]
第3流路113は開口113gおよび開口113hを有し、開口113gがメインチャンバー107に接続され、開口113hが回収チャンバー108に接続されている。
第3流路113の開口113gは、メインチャンバー107の側面のうち、回転軸110から最も遠い側に位置する最外周側面107a、または、最外周側面107aに隣接する隣接側面であって、最外周側面107aとの接続部分を含む位置に設けられることが好ましい。図3Bには、開口113gが最外周側面107aに隣接する隣接側面に設けられた例を示している。上述したように開口113gはメインチャンバー107の第2領域107eに接続している。
第3流路113の開口113hは、開口113gよりも回転軸110に対して遠い側に位置している。また、開口113hは、回収チャンバー108の側面のうち、回転軸110に最も近い側に位置する最内周側面108b、または、最内周側面108bに隣接する側面であって、最内周側面108bに近接する位置に設けられることが好ましい。図3Bでは、開口113hは、最内周側面103bの一部に設けられている例を示している。
第3流路113も毛細管現象によってメインチャンバー107に保持された液体を吸引することが可能である。第3流路113の厚さは、メインチャンバー107の第2領域107eの厚さよりも小さい。これにより、メインチャンバー107の第2領域107eよりも強い毛細管力を第3流路113に働かせることが可能であり、メインチャンバー107の第2領域107eの液体の一部は第3流路113へ吸引される。
第3流路113は、更にサイフォンの原理によって、液体の移動を制御し得る。このために、サイフォン構造として、第3流路113は第1屈曲部113nおよび第2屈曲部113mを有している。第1屈曲部113nは回転軸110と反対側に凸形状を有し、第2屈曲部113mは回転軸110側に凸形状を有する。第1屈曲部113nは、第3流路113が接続するメインチャンバー107と回収チャンバー108のうち、回転軸110に近い側に位置するメインチャンバー107と、第2屈曲部113mとの間に位置している。
ここでいうサイフォンの原理は、試料分析用基板100の回転により液体にかかる遠心力と流路の毛細管力とのバランスによる送液制御を言う。
例えば、第3流路113がサイフォン構造を有しない毛管路である場合、試料分析用基板100の回転による遠心力で、反応チャンバー106から第7流路117を介してメインチャンバー107へ移送される過程において、メインチャンバー107へ移送された液体は、第3流路113の毛細管力により第3流路113内に満たされる。この状態で、試料分析用基板100の回転が継続していると、液体は、メインチャンバー107中に保持されず、第3流路113を介して回収チャンバー108に移送されてしまう。この時、試料分析用基板100は、第3流路113の毛細管力よりも強い遠心力をかけることができる回転速度で回転している。
一方、第3流路113がサイフォン構造を有していれば、反応チャンバー106からメインチャンバー107へ移送された液体は、第3流路113の毛細管力により、第3流路113中に液体が引き込まれる。しかし、試料分析用基板100が継続して回転し、第3流路113の毛細管力よりも強い遠心力をかけることができる回転速度で回転していれば、液体にかかる毛細管力よりも遠心力の方が強いため、第3流路113内全てを液体で満たされることはない。すなわち、第3流路113は、回転軸110に対してメインチャンバー107に存在する液体の液面の距離と同じ高さまでしか液体で満たされない。
また、試料分析用基板100が、第3流路113の毛細管力よりも弱い遠心力をかける回転速度で回転している場合には、毛細管力によって第3流路113が液体で満たされ、毛細管力によってそれ以上液体が移動することはない。
メインチャンバー107中の液体を回収チャンバー108へ移送したい場合には、試料分析用基板100を、第3流路113の毛細管力以下の遠心力をかけることができる回転速度(回転停止も含む)で回転させることで、毛細管力により第3流路113の全てが液体で満たされる。その後、第3流路113の毛細管力よりも強い遠心力をかけることができる回転速度で試料分析用基板100を回転させると、メインチャンバー107内の液体を、回収チャンバー108へ移送させることができる。
したがって、第3流路113をサイフォン構造で構成することにより、反応液、洗浄液および基質溶液をいったんメインチャンバー107で保持することができ、メインチャンバー107において、B/F分離、磁性粒子の洗浄および基質溶液との反応を適切に行うことが可能となる。
第3流路113がサイフォン構造を備えるために、回転軸110と、回転軸110から遠くに位置する回収チャンバー108の最も回転軸110に近い最内周側面108bとの距離をR1とし、回転軸110から、第1屈曲部113nの最も回転軸110から遠い側に位置する点までの距離をR2とした場合、R1>R2(条件1)を満たすことが好ましい。
また、回転軸110と、回転軸110に近くに位置するメインチャンバー107に保持された液体が、遠心力によって、側面に偏って保持されている場合において、回転軸110から液体の液面までの距離をR4とし、回転軸110から、第2屈曲部113mの最も回転軸110に近い側に位置する点までの距離をR3とした場合、R4>R3(条件2)を満たすことが好ましい。
第3流路113が条件1、2を満たしていることによって、反応チャンバー106から反応液をメインチャンバー107へ移送させる場合に、試料分析用基板100を第3流路113中の液体にかかる毛細管力よりも強い遠心力が働く回転速度で回転させると、メインチャンバー107へ移送された反応液または洗浄液がそのまま回収チャンバー108へ移送されるのを防止し得る。
[回収チャンバー108]
回収チャンバー108は、第3流路113を介してメインチャンバー107から移送される磁性粒子311以外の反応液および使用済みの洗浄液を貯蔵する。回収チャンバー108は、上述の反応液と洗浄回数に応じた合計の使用済み洗浄液との合計量よりも大きな容量の空間を有する。回収チャンバー108は液体を保持する主要な部分が、メインチャンバー107よりも回転軸110に対して遠くに位置していることが好ましい。
[第2貯蔵チャンバー105]
図3Dを参照する。第2貯蔵チャンバー105は、B/F分離の際の洗浄に用いる洗浄液を貯留する。以下において詳細に説明するように、本実施形態の試料分析システムでは、B/F分離の際、複合体310を複数回洗浄することができる。このため、第2貯蔵チャンバー105は、洗浄回数に応じた合計容量の洗浄液を保持し得る空間を有している。
[第5流路115]
第2貯蔵チャンバー105の洗浄液は、第5流路115を介して、第3保持チャンバー103へ移送される。第5流路115は、開口115gおよび開口115hを有する。第5流路115の開口115gは、第2貯蔵チャンバー105の側面のうち、回転軸110から最も遠い側に位置する最外周側面105a、または、最外周側面105aに隣接する隣接側面であって、最外周側面105aとの接続部分を含む位置に設けられることが好ましい。図3Dは、開口115gが最外周側面105aと隣接側面との接続部分に設けられた例を示している。
第5流路115の開口115hは、開口115gよりも回転軸110に対して遠い側に位置している。開口115hは、以下において説明するように、第3保持チャンバー103の側面に接続されている。開口115hが開口115gよりも回転軸110に対して遠い側に位置していることにより、試料分析用基板100を回転させると、第2貯蔵チャンバー105内の洗浄液は、遠心力によって、第5流路115を介して第3保持チャンバー103へ移送される。第5流路115は、毛管路であってもよいし、重力に移送が可能な流路であってもよい。
[第3保持チャンバー103]
第3保持チャンバー103は、第2貯蔵チャンバー105に貯留されていた全洗浄液を保持する。その後、メインチャンバー107で複合体310を洗浄するために、洗浄液の一部をメインチャンバー107へ移送させ、残りを保持する。一回の洗浄に用いる洗浄液の量は以下において説明するように、第6流路116によって秤量される。このため、第3保持チャンバー103は、第6流路116以上の容積を有しており、洗浄回数分の合計の洗浄液量以上の容積(例えば、2回の洗浄であれば第6流路116の2倍以上の容積、3回の洗浄であれば第6流路116の3倍以上の容積)を有している。
第5流路115の開口115hは、第3保持チャンバー103の最外周側面103aに対して、液体を保持する空間を挟んで対向する1つの内周側面に設けられている。
[第6流路116]
第6流路116は、第1部分116qおよび第1部分116qに接続された第2部分116rを含む。第1部分116qは開口116gを含み、第3保持チャンバー103と接続されている。第2部分116rは、第2開口116hを有し、メインチャンバー107と接続されている。2部分116rは毛管路である。第3保持チャンバー103の一部と第6流路116の一部とは、開口116gを挟んで概ね回転軸110を中心とする半径方向に位置している。
第6流路116の第1部分116qは、第1領域116qeおよび第2領域116qfを含む。第1部分116qは、本実施形態では、試料分析用基板100の半径方向に対して斜めの方向に伸びる形状を有している。第2領域116qfは、第1部分116qにおいて第1領域116qeよりも回転軸110に近接して位置している。第1領域116qeは毛管空間であり、第2領域116qfは毛細管現象により液体を満たすことができる毛管空間ではない。例えば、第2領域116qfの厚さは、第1領域116qeの厚さよりも大きく、毛細管現象によって、第1領域116qeが液体で満たされるとき、第2領域116qfは液体で満たされない。第2領域116qfには空気孔122が設けられている。第2領域116qfは空気の移動を確保する気道である。第2領域116qfが設けられることによって、何等かの理由によって第1領域116qeに保持された液体中に気泡が生じている場合に、気泡が第2領域116qfへ移動し、液体中の気泡が排除されやすくなる。これによって、試料分析用基板100を回転させた場合に、特に、第2部分116rに気泡が入り込み、液体の移動が妨げられるのを抑制することができる。
以下において詳細に説明するように、第3保持チャンバー103に洗浄液が保持された状態で試料分析用基板100の回転角度を洗浄液が開口116gに接触する位置に変更すると、第2領域116qfを除く第6流路116中に毛細管現象により洗浄液で満たされる。この状態で第6流路116内の洗浄液にかかる毛細管力よりも強い遠心力がかかる回転速度で試料分析用基板100を回転させる。この場合、図3Dに示すように、回転軸110に垂直な平面上において、回転軸110と位置zとを結ぶ直線dbを基準として、第3保持チャンバー103へ移送される洗浄液と、第6流路116へ戻る洗浄液とに分かれる。基準位置zは、図4に示すように、第3保持チャンバー103の空間または第6流路116の空間よりも回転軸110に対して遠くに位置している2つの側面s1、s2であって、回転軸110を中心とする円弧arの接線方向dtよりも第3保持チャンバー103側に傾斜している側面s1と第2保持チャンバー側に傾斜している側面s2との境界位置によって定義される。これにより、1回分の洗浄液が秤量され、メインチャンバー107へ洗浄液が移送される。メインチャンバー107に移送された洗浄液は上述したように、第3流路113を介して回収チャンバー108へ移送される。
[第1貯蔵チャンバー104]
図3Eを参照する。第1貯蔵チャンバー104は、試料分析システムを用いた分析の開始時に基質溶液を貯留する。第1貯蔵チャンバー104の形状に特に制限はなく、任意の形状を有していてもよい。
[第4流路114]
第4流路114は、第1貯蔵チャンバー104と、第1保持チャンバー101とを接続している。第4流路114は、例えば、回転軸110を中心とする半径方向に伸びており、毛管路によって構成されている。第4流路114は、開口114gおよび開口114hを有する。開口114gは、第1貯蔵チャンバー104の側面のうち、回転軸110から最も離れた最外周側面104a、または、最外周側面104aに隣接する側面であって、最外周側面104aに近接する位置に設けられることが好ましい。本実施形態では、最外周側面104aに開口114gが設けられている。開口114hは、第1保持チャンバー101に接続されている。
[第1保持チャンバー101]
第1保持チャンバー101は、試料分析システムを用いた分析の開始後、洗浄を含むB/F分離の間、第1貯蔵チャンバー104から移送された基質溶液を保持する。第1保持チャンバー101は、第1貯蔵チャンバー104より回転軸110から遠くに位置している。第1保持チャンバー101は、基質溶液を保持する空間を挟む、第1外周側面101a1および第2外周側面101a2と、第1内周側面101b1および第2内周側面101b2とを有する。第1外周側面101a1と第2外周側面101a2とは、半径方向に重なっておらず、また、第1外周側面101a1は第2外周側面101a2よりも回転軸110から遠くに位置している。第1内周側面101b1と第2内周側面101b2とは半径方向に重なっておらず、また、第1内周側面101b1は第2内周側面101b2よりも回転軸110から遠くに位置している。
第1保持チャンバー101は、第1外周側面101a1および第1内周側面101b1に隣接する隣接側面101cと、第2外周側面101a2および第2内周側面101b2に隣接する隣接側面101dとをさらに有する。第1保持チャンバー101の空間は、隣接側面101cおよび隣接側面101dによって挟まれ、円周方向に伸びる形状を有している。
以下において説明するように、本実施形態では、第1流路111の開口111gは、第1内周側面101b1に設けられている。また、以下において詳述する第1流路111の開口111gは、隣接側面101dの第2内周側面101b2との接続位置に隣接して位置している。つまり、第1流路111は隣接側面101dの回転軸110に近い側に設けられている。この構造により、第1保持チャンバー101の空間の大部分は、第1流路111の開口111hよりも回転軸110から離れて位置している。このため、試料分析用基板100が種々の回転角度で保持される場合でも第1保持チャンバー101に保持された基質溶液が、第1流路111を介して第2保持チャンバー102へ移送されるのを抑制することができる。
また、第1外周側面101a1が回転軸110から遠くに位置しており、第1保持チャンバー101の空間は、第1外周側面101a1に接して外周側に突出した凸形状部分101rを含む。よって、第1保持チャンバー101の空間の凸形状部分101rに基質溶液が保持されることにより、第1保持チャンバー101に保持された基質溶液の液面を第1流路111の開口111gから離間させることができ、より確実に第1流路111を介して第2保持チャンバー102へ移送されるのを抑制することができる。
[第1流路111]
第1流路111は、第1保持チャンバー101と第2保持チャンバー102とを接続している。第1流路111は、開口111gおよび開口111hを有し、開口111gは第1保持チャンバー101の隣接側面101dに設けられている。また、開口111hは、第2保持チャンバー102の側面の1つに設けられている。第1流路111は重力によって液体の移動が可能な流路である。
[第2保持チャンバー102]
第2保持チャンバー102は、第1流路111を介して第1保持チャンバー101から移送される基質溶液を保持する。第2保持チャンバー102は第1保持チャンバー101と周方向において隣接する第1部分102qおよび第2流路112と周方向に隣接する第2部分102rを含む。第1部分102qと第2部分102rとは半径方向に配置されている。また、第2保持チャンバー102は、第1保持チャンバー101の隣接側面101dに近接している。一方、メインチャンバー107は、第1保持チャンバー101の隣接側面101c側に位置している。
第2保持チャンバー102は、回転軸110から最も離れた最外周側面102aと最外周側面102aに隣接する第2隣接側面102c2を有する。また、回転軸110に最も近接する最内周側面102bと最内周側面102bに隣接する第1隣接側面102c1を有する。第2保持チャンバー102の空間に対して、第1隣接側面102c1および第2隣接側面102c2は同じ側、つまり、第1保持チャンバー101および第2流路112に面する側に配置されている。第1隣接側面102c1および第2隣接側面102c2の間には、凹部102sが形成されており、凹部102sによって、第1隣接側面102c1および第2隣接側面102c2は分離している。
第2保持チャンバー102の第1部分102qは、最内周側面102bおよび第1隣接側面102c1を含み、第2部分102rは、と最外周側面102aおよび第2隣接側面102c2を含む。
第2保持チャンバー102の第1部分102qにおいて、第1隣接側面102c1の、最内周側面102bに近接する位置に第1流路111の開口111hが設けられている。
また、第2部分102rにおいて、第2隣接側面102c2の、最外周側面102aから離間した位置、より具体的には、回転軸110に最も近接する位置において、第2流路112の開口112gが設けられている。以下において説明するように、第2流路112が毛管路である場合には、第2部分102rは、最外周側面102aと第2流路112の開口112gが位置する部分とを接続する毛細空間102reを備えていてもよい。この場合には、毛細空間102reは、第2隣接側面102c2に沿って位置していることが好ましい。
[第2流路112]
第2流路112は、第1部分112qおよび第2部分112rと、開口112gおよび開口112hとを有する。第1部分112qの一端と第2部分112rの一端とは互いに接続されている。第1部分112qの他端に開口112gが位置しており、前述したように、第2保持チャンバー102の第2隣接側面102c2に接続されている。第2部分112rの他端に開口112hが位置しており、メインチャンバー107に接続されている。第2部分112rは毛管路である。
第1部分112qは、第1領域112qeおよび第2領域112qfを含む。第1部分112qは、本実施形態では、周方向に伸びる形状を有している。第2領域112qfは、第1領域112qeよりも回転軸110に近接して位置している。第1領域112qeは毛管空間であり、第2領域112qfは毛細管現象により液体を満たすことができる毛管空間ではない。例えば、第2領域112qfの厚さは、第1領域112qeの厚さよりも大きく、毛細管現象によって、第1領域112qeが液体で満たされるとき、第2領域112qfは液体で満たされない。第2領域112qfには空気孔122が設けられている。また、第1領域112qeの厚さは、第2保持チャンバー102の毛細空間102reの厚さよりも小さいことが好ましい。これにより、第2保持チャンバー102の毛細空間102reに保持された基質溶液を第2流路112は引き込むことができる。
開口112gは、開口112hよりも回転軸110に近い側に位置している。第2流路112中の液体を実質的に全量、第2保持チャンバー102に移送させるには、第2流路112の各部は、回転軸110から開口112gと同じ位置または、回転軸110から開口112gよりも遠くに位置していることが好ましい。これにより、第2流路112に基質溶液が満たされた状態で基質溶液に第2流路112中の基質溶液にかかる毛細管力よりも強い遠心力が働くと、第2流路112内のすべての基質溶液がメインチャンバー107へ移送される。
第1部分112qの第1領域112qeと第2部分112rとの合計容量が分析に用いる基質溶液の量に相当し、毛細管力によってこれらの部分が基質溶液で満たされることにより、基質溶液の秤量が行われる。
第6流路116と同様、第1部分112qの第2領域112qfは、気道として機能する。何等かの理由によって、第1部分112qの第1領域112qeに保持された基質溶液中に気泡が生じている場合に、気泡が第2領域112qfへ移動し、基質溶液中の気泡が排除されやすくなる。これによって、試料分析用基板100を回転させた場合に、特に、第2部分112rに気泡が入り込み、基質溶液の移動が妨げられるのを抑制することができる。
第2流路112において第1部分112qの第1領域112qeおよび第2部分112rは、毛管空間および毛管路である例を説明したが、これらの空間は、重力によって液体が移動する空間および流路であってもよい。
(試料分析システム501の動作)
試料分析システム501の動作を説明する。図5は、試料分析システム501の動作を示すフローチャートである。試料分析システム501を動作させるための、試料分析システム501の各部を制御する手順を規定したプログラムが、例えば制御回路205のメモリに記憶されており、演算器によるプログラムの実行により、以下の動作が実現する。以下の工程に先立ち、試料分析用基板100を試料分析装置200に装填し、試料分析用基板100の原点を検出する。
[ステップS11]
まず、図6に示すように、基質溶液および洗浄液を第1貯蔵チャンバー104および第2貯蔵チャンバー105にそれぞれ導入する。基質溶液は、標識物質307との反応または標識物質307による触媒作用によって、発光、蛍光、あるいは、吸収波長の変化を生じる基質を含む。また、反応チャンバー106に、磁性粒子固定化抗体305と、抗原306と、標識抗体308を含む検体を導入する。例えば、反応チャンバー106に磁性粒子固定化抗体305を含む液体が保持されており、試料分析用基板100に設けられた図示しないチャンバーが抗原306および標識抗体308を含む液体を保持しており、試料分析用基板100の回転による遠心力でこれらが反応チャンバー106へ移送されてもよい。反応チャンバー106において、磁性粒子固定化抗体305と、検体中の抗原306と、標識抗体308とを抗原抗体反応により結合させ、複合体310を形成させる。この時点で第4流路114、第5流路115および第7流路117は、毛細管現象によって、それぞれ、基質溶液、洗浄液および複合体310を含む反応液で満たされている。
[ステップS12]
複合体310が生成した後、試料分析用基板100を回転させ、複合体310を含む反応液をメインチャンバー107へ移動させる。上述したように第7流路117は、毛細管現象によって、反応液で満たされている。このため、反応チャンバー106の複合体310を含む反応液に、試料分析用基板100の回転により第7流路117内の反応液にかかる毛細管力よりも強い遠心力が働くと、反応液はメインチャンバー107へ移送される。メインチャンバー107へ移送された反応液は、試料分析用基板100が回転している状態では、続いて回収チャンバー108へ移送されることはない。前述したように第3流路113がサイフォンを構成しているため、遠心力に逆らって、液体が第3流路113を回転軸110に向かう方向へ移動しないからである。メインチャンバー107へ移送された複合体310を含む反応液のうち、磁性粒子311の多くは、磁石121の磁力により最外周側面107aに捕捉される。
試料分析用基板100の回転速度は、回転による遠心力が生じることにより、反応液等の液体が重力によって移動せず、各毛管路の毛細管力よりも強い遠心力をかけられるような速度が設定される。以下、遠心力を利用する回転には、この回転速度が設定される。また、遠心力を利用する回転の場合には、試料分析用基板100の回転方向は時計回りであってもよいし、反時計回りであってもよい。
反応液の移動と同時に、洗浄液が第2貯蔵チャンバー105から第5流路115を通って、第3保持チャンバー103へ移送される。また、基質溶液が第1貯蔵チャンバー104から第4流路114を通って、第1保持チャンバー101へ移送される。
基質溶液、反応液および洗浄液をそれぞれすべて第1保持チャンバー101、メインチャンバー107および第3保持チャンバー103へ移送させた後、所定の第1の角度で試料分析用基板100を停止させる。図7に示すように、所定の第1の角度とは、試料分析用基板100において、第3保持チャンバー103へ移送された洗浄液が、第6流路116の開口116gを超えて、第1部分116qと接触せず、かつ、第1保持チャンバー101内の基質溶液が、第1流路111の開口111gとも接触せず、かつ、メインチャンバー107の反応液が第3流路113の開口113gと接触することができる角度である。この角度は、第1保持チャンバー101、メインチャンバー107および第3保持チャンバー103の形状や基板100’内における位置、洗浄液、基質溶液および反応液の量、試料分析用基板100の傾斜角度θ等に依存する。図7に示す例では、試料分析用基板100と平行な平面に投影された試料分析システム501における重力方向(矢印で示す)が、試料分析用基板100のδ1で示す角度範囲内にあればよい。
メインチャンバー107内の反応液は、第3流路113の開口113gと接することにより、毛細管力により、第3流路113を満たす。
[ステップS13]
試料分析用基板100を回転させる。回転にともない遠心力が発生し、メインチャンバー107内の反応液および磁性粒子311(複合体310および未反応の磁性粒子)に働く。この遠心力は、液体および複合体310がメインチャンバー107の最外周側面107a側へ移動するように働く。このため、磁性粒子311は、最外周側面107aに押し付けられる。
図8に示すように、遠心力を受けた反応液は第3流路113から排出され、回収チャンバー108へ移送される。遠心力および磁石121の吸引力の和によって、磁性粒子311は最外周側面107aに強く押し付けられ、捕捉される。
その結果、反応液のみが第3流路113から回収チャンバー108へ排出され、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。第3保持チャンバー103内の洗浄液は、回転による遠心力を受けるが、第3保持チャンバー103の最外周側面103aに押し付けられるため、第3保持チャンバー103内にとどまる。第1保持チャンバー101内の基質溶液も回転による遠心力を受けるが、第1外周側面101a1に押し付けられるため、第1保持チャンバー101内にとどまる。
反応液の回収チャンバー108への移送が完了した後、試料分析用基板100の回転を停止させる。
これにより、反応液と磁性粒子311とが分離される。具体的には、反応液は、回収チャンバー108へ移動し、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。試料分析用基板100の回転が停止しても磁石121から受ける吸引力により、磁性粒子311は、最外周側面107aに集まったままの状態を維持し得る。この時の停止角度は、第1の角度であってもよいし、次のステップの第2の角度であってもよく、他の角度であってもよい。
[ステップS14]
図9に示すように、前のステップで第2の角度で停止させない場合には、反時計回りに試料分析用基板100を少し回転させ、所定の第2の角度で停止させる。第2の角度は第3保持チャンバー103へ移送された洗浄液が、第6流路116の開口116gと接触する角度である。例えば図9に示す例では、試料分析用基板100のδ2で示す角度範囲内に重力方向が位置する角度である。
洗浄液は、開口116gを介して第6流路116の第1部分116qと接触すると、毛細管力によって、第1部分116qの第1領域116qe全体に吸い込まれ、第6流路116の第1部分116qおよび第2部分116bが洗浄液で満たされる。これにより、1回分の洗浄液が秤量される。
第6流路116が確実に洗浄液で満たされるように、第2の角度を中心として、時計回りおよび反時計回りに交互に数度程度回転させる、つまり揺動させてもよい。第6流路116には毛細管力が働くため、このとき、第6流路116の第2部分116bからメインチャンバー107へ洗浄液が移動することはない。
[ステップS15]
続いて、試料分析用基板100を回転させる。回転による遠心力が第6流路116および第3保持チャンバー103内の洗浄液に働く。図4を参照して説明したように、直線dbを基準として第6流路116側に位置する洗浄液は第6流路116を介してメインチャンバー107へ移動する。また、直線dbを基準として第3保持チャンバー103側に位置する洗浄液は、遠心力によって、第3保持チャンバー103へ戻される。よって、図10に示すように、第6流路116によって秤量された洗浄液だけがメインチャンバー107へ移送される。メインチャンバー107へ移送された洗浄液にも遠心力が働くため、洗浄液は第3流路113において回転軸110方向に移動せず、洗浄液は実質的にメインチャンバー107内にとどまる。これにより、メインチャンバー107内の磁性粒子311が洗浄液と接触し、1回目の洗浄が行われる。
基質溶液は、遠心力によって、第1保持チャンバー101において、第1外周側面101a1に押し付けられる。このため、基質溶液は第1保持チャンバー101内にとどまる。
図11に示すように、第6流路116内の洗浄液がメインチャンバー107へすべて移動した後、所定の第3の角度で試料分析用基板100を停止させる。第3の角度は、第3保持チャンバー103の洗浄液が、開口116gと接触せず、かつ、メインチャンバー107へ移行された洗浄液が、第3流路113の開口113gと接することのできる角度である。例えば図11に示す例では、試料分析用基板100と平行な平面に投影された試料分析システム501における重力方向が、試料分析用基板100上においてδ3で示す角度範囲内にあればよい。
メインチャンバー107内の洗浄液は、第3流路113の開口113gと接することによって、毛細管現象により、第3流路113を満たす。
[ステップS16]
試料分析用基板100を回転させる。回転にともない遠心力が発生し、メインチャンバー107内の洗浄液および磁性粒子311に働く。この遠心力は、洗浄液及び磁性粒子311がメインチャンバー107の最外周側面107a側へ移動するように働き、磁性粒子311は遠心力および磁石121による吸引力によって最外周側面107aにおいて捕捉される。
図12に示すように、遠心力を受けた洗浄液は第3流路113から排出され、回収チャンバー108へ移送される。このため、洗浄液のみが第3流路113から排出され、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。第3保持チャンバー103内の洗浄液および第1保持チャンバー101の基質溶液は、それぞれ最外周側面103aおよび第1外周側面101a1に押し付けられ、第3保持チャンバー103および第1保持チャンバー101内にとどまる。
洗浄液の回収チャンバー108への移送が完了した後、試料分析用基板100の回転を停止させる。これにより、洗浄液と磁性粒子311とが分離される。具体的には、洗浄液は、回収チャンバー108へ移動し、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。試料分析用基板100の回転が停止しても磁石121から受ける吸引力により、磁性粒子311は、最外周側面107aに集まったままの状態を維持し得る。この時の停止角度は、第3の角度であってもよいし、次のステップの第4の角度であってもよい。
[ステップS17]
図13に示すように、前のステップで第4の角度で停止させない場合には、反時計回りに試料分析用基板100を少し回転させ、所定の第4の角度で停止させる。第4の角度は第3保持チャンバー103へ移送された洗浄液が、第6流路116の開口116gと接触する角度である。例えば図13に示す例では、試料分析用基板100のδ4で示す角度範囲内に重力方向が位置する角度である。ステップS4における第3保持チャンバー103内に残っている洗浄液の量が異なるため、角度範囲δ4は角度範囲δ2と異なり得る。
洗浄液は、第6流路116の第1部分116qにおける毛細管力によって第3保持チャンバー103から第6流路116へ吸い込まれ、第6流路116の第1部分116qおよび第2部分116rが洗浄液で満たされる。これにより再度1回分の洗浄液が秤量される。
第6流路116が確実に洗浄液で満たされるように、第4の角度を中心として、試料分析用基板100を揺動させてもよい。第6流路116には毛細管力が働くため、このとき、第6流路116からメインチャンバー107へ洗浄液が移動することはない。
[ステップS18]
続いて、試料分析用基板100を回転させる。回転による遠心力が第6流路116および第3保持チャンバー103内の洗浄液に働く。1回目の洗浄と同様、図4に示す直線dbを基準として第6流路116側に位置する洗浄液は第6流路116を介してメインチャンバー107へ移動する。また、直線dbを基準として第3保持チャンバー103側に位置する洗浄液は、遠心力によって、第3保持チャンバー103へ戻される。第6流路116によって秤量された洗浄液だけがメインチャンバー107へ移送される。メインチャンバー107へ移送された洗浄液にも遠心力が働くため、洗浄液は第3流路113において回転軸110方向に移動せず、洗浄液は実質的にメインチャンバー107内にとどまる。これにより、メインチャンバー107内の磁性粒子311が洗浄液と接触し、2回目の洗浄が行われる。
基質溶液は、遠心力によって、メインチャンバー107において、回転軸110から最も遠くに位置する側面に押し付けられる。このため、基質溶液は第1保持チャンバー101内にとどまる。
図14に示すように、第6流路116内の洗浄液がメインチャンバー107へすべて移動した後、所定の第5の角度で試料分析用基板100を停止させる。第5の角度は、第3保持チャンバー103の洗浄液が、開口116gと接触せず、かつ、メインチャンバー107へ移行された洗浄液が、第3流路113の開口113gと接することのできる角度である。例えば図14に示す例では、試料分析用基板100と平行な平面に投影された試料分析システム501における重力方向が、試料分析用基板100上においてδ5で示す角度範囲内にあればよい。
メインチャンバー107内の洗浄液は、第3流路113の開口113gと接することによって、毛細管現象により、第3流路113を満たす。
[ステップS19]
試料分析用基板100を回転させる。回転にともない遠心力が発生し、メインチャンバー107内の洗浄液および磁性粒子311に働く。この遠心力は、洗浄液及び磁性粒子311がメインチャンバー107の最外周側面107a側へ移動するように働き、磁性粒子311は遠心力および磁石121による吸引力によって最外周側面107aにおいて捕捉される。
遠心力を受けた洗浄液は第3流路113から排出され、回収チャンバー108へ移送される。このため、洗浄液のみが第3流路113から排出され、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。第3保持チャンバー103内の洗浄液は、最外周側面103aに押し付けられ、第3保持チャンバー103内にとどまる。基質溶液も第1外周側面101a1に押し付けられ、第1保持チャンバー101内にとどまる。
洗浄液の回収チャンバー108への移送が完了した後、試料分析用基板100の回転を停止させる。これにより、図15に示すように、洗浄液と磁性粒子311とが分離される。具体的には、洗浄液は、回収チャンバー108へ移動し、磁性粒子311はメインチャンバー107にとどまる。試料分析用基板100の回転が停止しても磁石121から受ける吸引力により、磁性粒子311は、最外周側面107aに集まったままの状態を維持し得る。この時の停止角度は、第5の角度であってもよいし、次のステップの第6の角度であってもよい。以上の工程によりB/F分離および洗浄が完了する。
[ステップS20(工程(a、b))]
基質溶液をまず第1保持チャンバー101から第2保持チャンバー102へ移動させる。図16に示すように、前のステップで第6の角度で停止させない場合には、試料分析用基板100を反時計回転させ、所定の第6の角度で停止させる。この時、試料分析用基板100は、時計回りに回転させる。第6の角度は第1保持チャンバー101内の基質溶液が第1流路111の開口111gと接触し、かつ、基質溶液の全量が重力によって第2保持チャンバー102へ移動し得る角度である。概ね第1流路111が重力方向に沿って配置される角度である。これにより、第1保持チャンバー101内の基質溶液が第2保持チャンバー102へ移送される。
次に図17に示すように、試料分析用基板100を時計回りに回転させ、第2保持チャンバー102内において、基質溶液が第2部分102rの毛細空間102reと接触する所定の第7の角度で停止させる。毛細空間102reと基質溶液との接触により、毛細空間102reに基質溶液が吸引される。図18に示すように、毛細空間102reを満たした基質溶液は、毛細管力によって、開口112gから第2流路112に吸い込まれ、第2流路の第1部分112qの第1領域112qeおよび第2部分112rが基質溶液で満たされる。これにより、基質溶液が秤量される。
第2流路112が確実に基質溶液で満たされるように、第7の角度を中心として、時計回りおよび反時計回りに交互に数度程度回転させる、つまり揺動させてもよい。第2流路112には毛細管力が働くため、このとき、第2流路112の第2部分112rからメインチャンバー107へ洗浄液が移動することはない。
[ステップS21(工程(c))]
続いて、試料分析用基板100を回転させる。回転による遠心力が第2流路112および第3保持チャンバー103内の洗浄液に働く。第2流路112内の基質溶液は、遠心力によって、メインチャンバー107へ移動する。開口112gよりも第2保持チャンバー102側に位置している基質溶液は、遠心力によって、第2保持チャンバー102の最外周側面102aへ押し付けられ、第2保持チャンバー102内に留まる。
メインチャンバー107へ移動した基質溶液には基質が含まれている。この基質は、メインチャンバー107に保持されている磁性粒子311中の標識抗体308に含まれる標識物質307と反応し、あるいは、標識物質307の触媒反応によって、発光、蛍光あるいは吸収波長の変化を生じる。
基質溶液のメインチャンバー107への移送が完了した後、図19に示すように、試料分析用基板100の回転を第8の角度で停止させる。第8の角度は、光学測定ユニット207の受光素子が、メインチャンバー107と近接する等、メインチャンバー107内の基質の発光、蛍光あるいは吸収波長の変化が検出できるように、メインチャンバー107が光学測定ユニット207に対して所定の位置関係で配置される角度である。
[ステップS22(d)]
光学測定ユニット207は、メインチャンバー107に保持された液体の光学的測定を行う。具体的には、光学測定ユニット207は、磁性粒子311に含まれる複合体310に結合した標識抗体308の標識物質307に応じた基質の色素、発光、蛍光等のシグナルを検出する。これにより、抗原306の検出、抗原306の濃度の定量等を行うことができる。
光学測定ユニット207による光学的測定は、試料分析用基板100を回転させた状態で行ってもよい。この場合、ステップS21において、基質溶液のメインチャンバー107への移送が完了した後、試料分析用基板100を回転した状態で、基質の色素、発光、蛍光等のシグナルを検出してもよい。
このように本実施形態によれば、反応液、基質溶液および洗浄液を反応チャンバー106、第1貯蔵チャンバー104および第2貯蔵チャンバー105にそれぞれ導入し、順次メインチャンバー107へ移送する。最後に移送させる基質溶液は、反応溶液および洗浄溶液がメインチャンバー107へ移送されるまで、メインチャンバー107へ移送されないように確実に保持することが好ましい。本実施形態によれば、B/F分離及び洗浄工程中、基質溶液が保持される第1保持チャンバーは101、円周方向に伸びる形状の空間を有し、かつ最外周側面に隣接する2つの隣接側面のうち、反応チャンバー106、洗浄液を保持する第3保持チャンバー103およびメインチャンバー107に近接する隣接側面と対向し、これらからより遠くに位置する隣接側面であって、回転軸110に近接する側に第1流路111の開口が設けられている。このため、種々の角度で試料分析用基板100を回転させても、基質溶液が第1流路111の開口111gに接しにくく、基質溶液が第2保持チャンバー102へ移送されるのを抑制することができる。
(試料分析用基板100の他の形態例)
上記実施形態の試料分析用基板100には種々の改変が可能である。
[第2流路112の他の例]
上記実施形態において、第2流路112の第1部分112qの第1領域116qeは毛管空間であり、第2部分112rは毛管路であった。しかし、第2流路は重力による液体が移送可能な空間であってもよい。
この場合、第2保持チャンバー102に保持される基質溶液の全量が第2流路112を介して、メインチャンバー107へ移送されてもよい。例えば、ステップS20において、第6の角度で試料分析用基板を停止させ、第1保持チャンバー101内の基質溶液を第1流路111を介して第2保持チャンバー102へ移動させる。
続いて、試料分析用基板100を時計回りに回転させ所定の第7の角度で停止させる。第7の角度では、開口112gが重力方向の下方に位置するように、第2隣接側面102c2が水平方向に対して傾斜する。これにより、第2保持チャンバー102の基質溶液のすべてが、重量によって、開口112gから第2流路112へ移動する。第2流路112へ移動した基質溶液はさらに重力によって、メインチャンバー107へ移動する。
第1貯蔵チャンバー104に導入される基質溶液の全量をメインチャンバー107へ移動させる場合、第2流路112において秤量を行う必要がない。このため、基質溶液を移動させるための試料分析用基板100の回転制御の手順を簡単にすることができる。
[第2保持チャンバー102の他の例]
試料分析用基板100において、第2保持チャンバー102は2つに分割されていてもよい。図20に試料分析用基板161において、第2保持チャンバー102は、第1副チャンバー102A、第2副チャンバー102Bおよび第8流路118を含んでいる。第1副チャンバー102Aは、第1保持チャンバー101に対して概ね周方向に配列され、第1流路111によって接続されている。第2副チャンバー102Bは、第3流路113に対して概ね周方向に配列されている。第1副チャンバー102Aと第2副チャンバー102Bとは概ね半径方向に配列されており、第8流路118によって互いに接続されている。第2副チャンバー102Bの側面のうち、回転軸110から最も離れている最外周側面102Baに沿って毛細空間102Beが設けられている。また、最外周側面102Baに隣接する隣接側面に沿っており、第2流路112の開口112gと毛細空間102beとを接続する毛細空間102Beが設けられている。
試料分析用基板161において、第1保持チャンバー101に保持された基質溶液の全量が、第1流路111通って第1副チャンバー102Aへ移送される。さらに、第1副チャンバー102Aから第8流路118を通って、第2副チャンバー102Bへ移送される。第2副チャンバー102Bへ移送された基質溶液は、第2副チャンバー102B内において、毛細空間102Beおよび毛細空間102Beと接することにより、毛細管力が働き、第2流路112に吸い込まれる。
第2保持チャンバー102が2つに分割されることによって、基質溶液をより狭い空間を用いて、段階的に移送することができるため、基質溶液の移送の制御性を高めることができる。よって、B/F分離および洗浄工程中、誤って基質溶液がメインチャンバー107へ移送されることをより確実に抑制することができる。
[第3保持チャンバーおよび第6流路116の他の例]
上記実施形態では、第6流路116によって洗浄液を秤量していたが、第3保持チャンバーによって洗浄液を秤量してもよい。図21に示す試料分析用基板162は、第1部分133qと、第2部分133rと、第2部分133rおよび第1部分133qとを接続する連結部分133pとを含む第3保持チャンバー133を備える。
本実施形態では、第2部分133rと第1部分133qの一部とは、概ね、回転軸110を中心とする円周方向に配置されている。第2部分133rと第1部分133qとの間に、基板100’の内面によって構成される壁部分100fが位置している。壁部分100fは、第2部分133rと第1部分133qを区切る。連結部分133pは基板100’の壁部分100fと同じ半径方向上に位置し、かつ、壁部分100fよりも回転軸110側に位置している。連結部分133pは、毛細管現象によって液体で満たされることはなく、重力によって第1部分133qと第2部分133rとの間で液体を移動させる。
第2部分133rは、回転軸110を中心とし、回転軸110と壁部分100fの回転軸に最も近い点100eとを結ぶ線分を半径とする円弧caよりも、外側に位置する(回転軸110から離れて位置する)部分133reを含む。この部分133reによって、1回の洗浄に使う所定の量の洗浄液を量り取ることができる。
また、回転軸110から第2部分133rにおける第6流路116の開口116gまでの距離は、回転軸110から壁部分100fの回転軸に最も近い点100eまでの距離よりも長い。このため、部分133reによって量り取られた洗浄液は回転による遠心力によって第6流路116からメインチャンバー107へ移送させることができる。
第3保持チャンバー133の第1部分133qは、側部133qtと底部133qsを含む。側部133qtは、回転軸110を中心とする円周方向において、第2貯蔵チャンバー105の側方に位置している。底部133qsは、第2貯蔵チャンバー105よりも回転軸110から遠くに位置している。また、第1部分133qの、側部133qtの一部および底部133qsの全体は、第2部分133rよりも回転軸110から遠くに位置している。
側部133qtは、好ましくは、円弧caよりも回転軸110側に位置する部分133qt’および外側に位置する部分133qt’’を含む。部分133qt’は、上述したように、第1部分133qと円周方向に隣接しており、連結部分133pと接続している。
第3保持チャンバー133の第1部分133qのうち、円弧caよりも外側(回転軸110から遠く)に位置する部分、つまり、部分133qt’’と底部133qsとの合計の容積は、第2貯蔵チャンバー105に保持される洗浄液の全量よりも大きいことが好ましい。
第3保持チャンバー133の空間が底部133qsを含むことで、試料分析用基板162が所定の角度で停止されている状態では、第2貯蔵チャンバー105に貯留されていた洗浄液の一部が毛細管現象により第5流路115を満たす。そして、第5流路115に洗浄液が満たされた状態で試料分析用基板162を回転させることで、その遠心力によって第2貯蔵チャンバー105中の洗浄液は第5流路115を介して底部133qsへ移送される。
試料分析用基板162が所定の角度で保持されると、重力によって、第3保持チャンバー133の底部133qsへ移送された洗浄液の一部が連結部分133pを通って第2部分133rへ流れ、第2部分133rの少なくとも一部を満たす。その後、試料分析用基板100を回転させると、第2部分133rを満たしている洗浄液に遠心力が働き、回転軸110と、壁部分100fの回転軸110に最も近い点100eとを結ぶ線分を半径とする円弧ca(図3A中、破線で示している)と、第2部分133rの洗浄液の液面とが一致するように、第2部分133rに保持されていた洗浄液のうち、余分な量が第1部分133qへ戻される。これによって、洗浄液の所定量が量り取られる。第2部分133rの、回転軸110と、壁部分100fの回転軸110に最も近い点100eとを結ぶ線分を半径とする円弧caより外側に位置する部分の容積は、第3保持チャンバー133の容積の1/2以下である。
図21では第1部分133qとして、側部133qtの一部および底部133qsを含む構成を示したが、第1部分133qは、回転軸110を中心とし、回転軸110と壁部分100fの回転軸110に最も近い点とを結ぶ線分を半径とする円弧よりも外側に位置する部分を含めばよい。
第3保持チャンバー133において、一定量が量り取られた洗浄液は、毛細管現象により第6流路116を満たし、その後、試料分析用基板162を第6流路116内部の液体にかかる毛細管力よりも大きい遠心力をかけることができる回転数で回転させることで、その遠心力により第6流路116を通ってメインチャンバー107へ移送される。
[洗浄液を保持するチャンバーの他の例]
上記実施形態では、複数回分の洗浄液を第3保持チャンバー103が保持していたが、1回分の洗浄液を保持する複数のチャンバーを備えていてもよい。
図22に示す試料分析用基板163は、第2貯蔵チャンバー105A、第3貯蔵チャンバー105B、第5流路115A、第9流路115B、第3保持チャンバー103A、第4保持チャンバー103B、第6流路116Aおよび第10流路116Bを備える。
第2貯蔵チャンバー105A、第5流路115A、第3保持チャンバー103Aおよび第6流路116Aと、第3貯蔵チャンバー105B、第9流路115B、第4保持チャンバー103Bおよび第10流路116Bとは、独立した1回分の洗浄液の保持し、メインチャンバー107へ移送する経路を構成している。
第5流路115Aおよび第9流路115Bは、第2貯蔵チャンバー105Aおよび第3貯蔵チャンバー105Bと第3保持チャンバー103Aおよび第4保持チャンバー103Bとをそれぞれ接続し、第6流路116Aおよび第10流路116Bは、第3保持チャンバー103Aおよび第4保持チャンバー103Bとメインチャンバー107とを接続している。
第5流路115Aおよび第9流路115Bは毛管路であり、サイフォン構造を備えている。一方、第6流路116Aおよび第10流路116Bは重力によって液体を移送することができる構造を有している。また、第3保持チャンバー103Aおよび第6流路116Aは、それぞれ第2貯蔵チャンバー105Aおよび第3貯蔵チャンバー105Bよりも回転軸110から遠くに位置している。第6流路116Aおよび第10流路116Bは、重力によって液体を移送することが可能である。
第3保持チャンバー103Aは、最外周側面103Aaおよび最外周側面に隣接する隣接側面103Acを有する。最外周側面103Aaと隣接側面103Acとの間に角(稜)を滑らかにするためのテーパー面、曲面等が設けられていてもよい。隣接側面103Acの両端のうち、最外周側面103Aaが位置していない端に第6流路116Aの開口116Agが配置されている。最外周側面103Aaおよび隣接側面103Acによって、回転軸110側に開口を有する凹部が形成され1回分の洗浄液が保持される。
同様に、第4保持チャンバー103Bは、最外周側面103Baおよび最外周側面に隣接する隣接側面103Bcを有する。最外周側面103Baと隣接側面103Bcとの間に角(稜)を滑らかにするためのテーパー面、曲面等が設けられていてもよい。隣接側面103Bcの両端のうち、最外周側面103Baが位置していない端に第10流路116Bの開口116Bgが配置されている。最外周側面103Baおよび隣接側面103Bcによって、回転軸110側に開口を有する凹部が形成され1回分の洗浄液が保持される。
図22に示すように、メインチャンバー107の中心と回転軸110を結ぶ直線で分けられる2つの領域の同じ一方に第3保持チャンバー103A、第4保持チャンバー103Bは位置している。
第3保持チャンバー103Aの凹部および第4保持チャンバー103Bの凹部が液体を保持し得るように、試料分析用基板163の回転軸110が重力方向に対して0°より大きく90°以下の角度で傾斜するように支持する。また、メインチャンバー107が重力方向において、第3保持チャンバー103A、第4保持チャンバー103Bよりも下方に位置するように、試料分析用基板163を所定の回転角度で保持する。この場合、第3保持チャンバー103Aの隣接側面103Acと第4保持チャンバー103Bの隣接側面103Bcとが回転軸110に平行な方向から見て非平行であることによって、いずれか一方のチャンバーから保持されている洗浄液の全量が、重力によってメインチャンバー107へ移送されても、他方のチャンバーは洗浄液の少なくとも一部を保持し得る。このため、試料分析用基板163の回転角度を適切に選択することにより、第3保持チャンバー103A、第4保持チャンバー103Bから、異なるタイミングで選択的に洗浄液をメインチャンバー107へ移送することができる。
図22に示される例では、回転軸110に平行な方向から見て、メインチャンバー107の中心と回転軸110を結ぶ直線に対して隣接側面103Acがなす角度αは、隣接側面103Bcがなす角度βよりも大きい。このため、第3保持チャンバー103A、第4保持チャンバー103Bが重力方向においてメインチャンバー107よりも下方に位置するような試料分析用基板163の回転角度(図22に示すP1が6時の方向に一致する回転角度)から反時計方向に試料分析用基板163を回転させた場合、先に隣接側面103Acが重力方向に直交する方向と平行(水平方向)になることによって、第3保持チャンバー103A内の洗浄液の全量を選択的にメインチャンバー107へ移送させることができ、その後、第4保持チャンバー103Bに保持された洗浄液を選択的にメインチャンバー107へ移送させることができる。
(回収チャンバーの他の形態)
回収チャンバーにおける発光の抑制および発光の影響を低減し得る新規な構造を備えた試料分析用基板を説明する。
図23は、本実施形態の試料分析用基板164の平面図を示す。試料分析用基板164は、基板100内に位置するメインチャンバー107および回収チャンバー148と、メインチャンバー107に近接して配置された磁石121と、第3流路113と、活性阻害物質151とを備える。また、試料分析用基板164は、基板内に位置する第1貯蔵チャンバー104と、第2貯蔵チャンバー105と、第1経路と、第2経路とをさらに備える。
メインチャンバー107は、前述したように検体中の特定成分である抗原306と、標識物質307と磁性粒子302とが結合した複合体310(図1に示す)を保持するための空間を有する。
第3流路113は、開口113gおよび開口113hを有し、開口113gおよび開口113hがメインチャンバー107および回収チャンバー148に接続されている。
回収チャンバー148は、少なくとも一部がメインチャンバー107の空間よりも試料分析用基板164の半径方向において、外周側に位置する空間を有している。このため、複合体310を含む液体がメインチャンバー107に保持された状態で、試料分析用基板164を回転させると、前述したように複合体310が、磁石121によって捕捉され、メインチャンバー107に保持された状態で、未反応の標記物質などを含む反応液が、第3流路113を通って回収チャンバー148へ移送される。
前述したように、第1貯蔵チャンバー104には、基質物質を含む基質溶液が保持される。また、第2貯蔵チャンバー105には洗浄液が保持される。第1貯蔵チャンバーとメインチャンバー107との間は、第1経路によって接続されている。具体的には、第4流路114、第1保持チャンバー101、第2保持チャンバー102および第2流路112によって、第1貯蔵チャンバー104はメインチャンバー107に接続されており、基質溶液がメインチャンバー107へ移送される。また、第2貯蔵チャンバー105とメインチャンバー107との間は、第2経路によって接続されている。具体的には、第5流路115、第3保持チャンバー103および第6流路116によって、第2貯蔵チャンバー105はメインチャンバー107に接続されており、洗浄液がメインチャンバー107へ移送される。
活性阻害物質151は、回収チャンバー148内に配置されている。活性阻害物質151は、標識物質307の活性を低下させる。表2に活性阻害物質の例を示す。標識物質は酵素であり、標識物質の活性、具体的には、標識物質が基質と反応することによる発光を抑制させるために、活性阻害物質は、以下の機構を利用する。
(a)pHを変化
標識物質が溶解している溶液のpHを変化させ、標識物質と基質との反応を抑制したり、標識物質を変性させ不活性化したり、標識物質と基質との反応による発光を抑制する。この機構を利用する活性阻害物質は、pH調整剤であり、例えば、オルトバナジン酸ナトリウム、ヒ酸、フェニルアラニン、ホモアルギニン、無機りん酸からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。
(b)標識物質の中心金属イオンを脱離・不活性化
標識物質に含まれる中心金属イオンを脱離させたり不活性化させたりすることによって、標識物質と基質との反応を抑制したり、標識物質と基質との反応による発光を抑制する。この機構を利用する活性阻害物質は、キレート剤である。例えば、活性阻害物質がアミノカルボン酸系キレート剤である場合には、活性阻害物質は、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、NTA、DTPA、HEDTA、TTHA、PDTA、DPTA−OH、HIDA、DHEG、GEDTA、CMGA、EDDSなどからなる群から得られる少なくとも一種である。また、活性阻害物質がホスフィン酸系キレート剤である場合には、活性阻害物質は、HEDP、NTMP、PBTC、EDTMPなどからなる群から得られる少なくとも一種である。
(c)たんぱく質の変性
標識物質であるタンパク質を変性させることによって、標識物質と基質との反応を抑制したり、標識物質と基質との反応による発光を抑制する。この機構を利用する活性阻害物質は、たんぱく質変性剤であり、例えば、活性阻害物質は、グアニジン塩酸塩、グアニジンチオシアン酸塩、チオ尿素、尿素などからなる群から選ばれる少なくも一種である。
(d)イオン性界面活性剤
標識物質をイオン性界面活性剤で覆うことによって、標識物質と基質との反応を抑制したり、標識物質を変性させ不活性化したり、標識物質と基質との反応による発光を抑制する。この機構を利用する活性阻害物質は、イオン性界面活性剤であり、SDS、CTABなどからなる群から選ばれる少なくも一種である。
(e)塩
標識物質であるタンパク質のような高分子電解質は塩濃度が高くなりすぎると、溶解度が低下し塩析する。これによって、タンパク質を変性、不活性化させ、標識物質と基質との反応による発光を抑制する。この機構を利用する活性阻害物質は、塩析剤である。具体的には、活性阻害物質は、多価のイオンを含む塩であり、例えば、硫酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオンを含む塩である。より具体的には、活性阻害物質は、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウムなどからなる群から選ばれる少なくとも一種である。
Figure 2020009023
活性阻害物質151が固体である場合には、そのまま活性阻害物質151を回収チャンバー148の空間内に配置してもよいし、反応液や洗浄液に溶解可能な結着剤等と活性阻害物質151とを混合し、回収チャンバー148内の空間を規定する壁面に塗布等することによって配置してもよい。
また、活性阻害物質151が液体である場合には、スポンジなどの多孔質体、ろ紙等に活性阻害物質151を吸収させて、多孔質体、ろ紙等を回収チャンバー148の空間内に配置してもよい。
試料分析用基板164によれば、活性阻害物質151が回収チャンバー148に配置されているため、未反応の標識物質を含む反応液が回収チャンバー148へ移送されると、回収チャンバー148内において標識物質が不活性化される。このため、その後、回収チャンバー148内に基質溶液が何らかの理由によって移送されてきても、回収チャンバー148内において標識物質が発光することが抑制される。したがって、メインチャンバー107における発光野測定に影響を与える迷光を抑制し、精度の高い発光の測定を行うことが可能となる。
回収チャンバー148に移送される反応液と活性阻害物質151とがより均一に接触し、反応液中の標識物質とより均一に、かつ、速やかに反応して標識物質の活性を失活させるため、回収チャンバー148は、移送されてくる反応液がより移動しやすい構造を備えていてもよい。
図23に示すように、回収チャンバー148は円周方向に沿って伸びた形状を有しており、第1端148E1および第2端148E2を有している。回収チャンバー148の第1端148E1と第2端148E2との中間148Cよりも第1端148E1側に第3流路113は接続されている。
回収チャンバー148において、中間148Cよりも第1端148E1側に第1位置148P1を設定し、中間148Cよりも第2端148E2側に第2位置148P2を設定する。図24Aおよび図24Bは第1位置148P1および第2位置148P2における回収チャンバー148の空間の断面(A−A’およびB−B’断面)を示している。
図24Aおよび図24Bに示すように、第1位置148P1および第2位置148P2における、試料分析用基板164の厚さ方向に沿った回収チャンバー148の高さをそれぞれ、第1高さh1および第2高さh2とすると、第1高さh1は第2高さh2よりも大きい。つまり、h1>h2を満たす。より好ましくは、第1端148E1から第2端148E2に向かって連続的あるいは段階的に、回収チャンバー148の高さが小さくなっている。
図24Cおよび図24Dは、回収チャンバー148の円周方向の断面(C−C’断面)を示す。回収チャンバー148の高さを円周方向に沿って異ならせるには、図24Cに示すように、ベース基板100aに形成された空間の上面100u(主面100dが下になるように配置する場合の底または底面)の位置を円周方向に沿って異ならせてもよい。また図24Dに示すように、上面100uに配置した活性阻害物質151を含む層151’の厚さを円周方向において異ならせてもよい。
この構造によれば、試料分析用基板164の主面100dを下にした場合における回収チャンバー148の底は、第2端148E2へ向かうに従い浅くなる。主面100dを下にして、試料分析用基板164を回収チャンバー148の第2端148E2が第1端148E1へ向かう方向に回転させた場合、第3流路113から回収チャンバー148内へ流入する反応液は、慣性力によって、回収チャンバー148の第2端148E2側へ移動する。このとき、反応液の移動に伴って回収チャンバー148の底が浅くなるため、移動する反応液の液面が高くなり、反応液が攪拌される。よって、回収チャンバー148内において、反応液と活性阻害物質151とが接触しやすくなり、反応液中の標識物質がより均一に失活し得る。
また、第1位置148P1および第2位置148P2における、試料分析用基板164の中心110から回収チャンバー148の外周側に位置する側面148aまでの距離をそれぞれ第1距離r1および第2距離r2とする。第1距離R1は第2距離R2よりも短い(r1<r2)。つまり、第2位置148P2の方が第1位置148P1よりも側面148aは外周側に位置している。
この構造によれば、回収チャンバー148の外周側の側面は、第2端148E2へ向かうにしたがって中心から遠くなる。このため、主面100dを下にして、試料分析用基板164を回収チャンバー148の第2端148E2が第1端148E1へ向かう方向に回転させた場合、第3流路113から回収チャンバー148内へ流入する反応液が受ける慣性力と遠心力の合力の成分が生じる方向に側面が伸びているため、反応液は、加速しながら、第2端148E2へ円滑に移動し得る。このため、回収チャンバー148内において、反応液と活性阻害物質151とが接触しやすくなり、反応液中の標識物質がより均一に失活し得る。
試料分析用基板164を用いて検体中の特定物質を分析する試料分析方法は、図5に示すフローチャートを参照しながら説明した(試料分析システム501の動作)における分析方法と同様に行うことができる。
具体的には、図25に示すフローチャートの工程によって検体中の特定物質を分析することができる。図25に示すフローチャートは図5に示すフローチャートに対応しており、図25に示す各工程の詳細な手順は図5を参照して前述した(試料分析システム501の動作)において説明している。
まず、ステップS111(図5のステップS11に対応)に示すように、第1貯蔵チャンバー104および第2貯蔵チャンバー105に基質物質を含む基質溶液および洗浄液が保持された試料分析用基板を用意する。また、反応チャンバー106において、標識物質と磁性粒子とが結合した複合体を形成させる。その後、ステップS112(図5のステップS12に対応)に示すように、複合体を含む反応液をメインチャンバーへ導入する。
次に、ステップS113(図5のステップS13に対応)に示すように、磁石121の磁力によって、複合体をメインチャンバー107内に保持しながら、試料分析用基板146を回転させることによって、反応液を回収チャンバー148へ移送する。この際、上述したように、回収チャンバー148内において、反応液中の複合体を形成していない標識物質と活性阻害物質151とを反応させ、回収チャンバー148内の標識物質を失活させる。
その後、ステップS114(図5のステップS14〜S19に対応)に示すように、洗浄液を第2貯蔵チャンバー105からメインチャンバー107へ移送し、保持された複合体を洗浄液で洗浄後、試料分析用基板164を回転させることによって、洗浄液を回収チャンバー148へ移送する。
ステップS115(図5のステップS20、S21に対応)に示すように、基質溶液を第1貯蔵チャンバー104からメインチャンバー107へ移送する。最後にステップS116(図5のステップS21に対応)に示すように、メインチャンバー107に保持された複合体の標識物質から得られる信号を測定する。
このように、試料分析用基板164を用いれば、回収チャンバー148内に保持された標識物質は失活する。このため、基質溶液が回収チャンバー148へ移送された場合でも、回収チャンバー148において発光が生じることが抑制される。よって、精度の高い発光の測定を行うことが可能となる。
[その他の変形例]
本実施形態では、磁性粒子を用いた測定系を想定した説明を行ったが、本願の一態様に係る試料分析用基板、試料分析装置、試料分析システムおよび試料分析システム用プログラムは、磁性粒子を用いた測定系に限定されるものではない。例えば、1次抗体が固定化される対象は、磁性粒子に替えて、チャンバー内の壁面であってもよい。すなわち、チャンバーがポリスチレンやポリカーボネートといった素材で構成されている場合には、チャンバー内の壁面に物理吸着により1次抗体を固定化させることができ、チャンバー内で抗原や標識抗体とのサンドイッチ型の結合反応をせしめることができる。また、チャンバー内の壁面に1次抗体と結合可能な官能基(例えば、アミノ基やカルボキシル基)を有し、化学結合により1次抗体を固定化させることができ、チャンバー内で抗原や標識抗体とのサンドイッチ型の結合反応をせしめることができる。また、チャンバー内の壁面に金属基板を備える構成であれば、例えば、SAMを用いて1次抗体を金属基板に結合して固定化させることができ、チャンバー内で抗原や標識抗体とのサンドイッチ型の結合反応をせしめることができる。一次抗体をチャンバー壁面に物理吸着または化学結合で固定化させる場合は、主に色素、化学発光または蛍光のシグナルを検出する系に使用される。一方、一次抗体を金属基板に固定化させる場合は、シグナルとして、主に電気化学的シグナル(例えば、電流)、電気化学発光のシグナルを検出する系に使用される。この場合、図3Bに示した磁石121は不要である。また、複合体310形成の反応場は反応チャンバー106ではなく、メインチャンバー107になる。したがって、一次抗体は、メインチャンバー107の壁面に固定化する必要がある。
また、本開示の試料分析用基板、試料分析装置、試料分析システムおよび試料分析システム用プログラムは、非競合法(サンドイッチイムノアッセイ法)だけでなく、競合法、ハイブリダイゼーションによる遺伝子検出法にも適用可能である。
上記実施形態では、B/F分離の洗浄の例を説明したが、本実施形態の試料分析用基板、試料分析装置及び試料分析システムは、洗浄液以外の溶液を、上述したように複数回に分けて同じチャンバーへ導入する種々の試料分析方法へ適用可能である。また、上記実施形態では、液体のチャンバーへの導入を続けて行っているが、試料分析用基板の回転および停止の制御と、停止時の角度の制御を適切に行うことにより、間に他の工程を含めることも可能である。
また、上記実施形態では2回洗浄を行っているが、必要に応じて3回以上行ってもよい。
本願に開示された試料分析用基板、試料分析装置、試料分析システムおよび試料分析システム用プログラムは、種々の反応を利用した検体中の特定成分の分析に適用可能である。
100 試料分析用基板
100’ 基板
100a ベース基板
100b カバー基板
100c、100d 主面
100f 壁部分
101 第1保持チャンバー
101a1 第1外周側面
101a2 第2外周側面
101b1 第1内周側面
101b2 第2内周側面
101c、101d 隣接側面
101r 凸形状部分
102 第2保持チャンバー
102A 第1副チャンバー
102B 第2副チャンバー
102Ba 最外周側面
102Be 毛細空間
102a 最外周側面
102b 最内周側面
102be 毛細空間
102c1 第1隣接側面
102c2 第2隣接側面
102e 第2領域
102q 第1部分
102r 第2部分
102re 毛細空間
102s 凹部
103、103A 第3保持チャンバー
103Aa 最外周側面
103Ac 隣接側面
103B 第4保持チャンバー
103Ba 最外周側面
103Bc 隣接側面
103a 最外周側面
103b 最内周側面
104 第1貯蔵チャンバー
104a 最外周側面
105、105A 第2貯蔵チャンバー
105B 第3貯蔵チャンバー
105a 最外周側面
106 反応チャンバー
106a 最外周側面
107 メインチャンバー
107a 最外周側面
107e 第2領域
107f 第1領域
108、148 回収チャンバー
108b 最内周側面
110 回転軸
111 第1流路
111g 開口
111h 開口
112 第2流路
112g 開口
112h 開口
112q 第1部分
112qe 第1領域
112qf 第2領域
112r 第2部分
113 第3流路
113g、113h 開口
113m 第2屈曲部
113n 第1屈曲部
114 第4流路
114g、114h 開口
115 第5流路
115A 第5流路
115B 第9流路
115g、115h 開口
116、116A 第6流路
116Ag、116Bg 開口
116B 第10流路
116b 第2部分
116g 開口
116h 第2開口
116q 第1部分
116qe 第1領域
116qf 第2領域
116r 第2部分
117 第7流路
117g 開口
117h 開口
118 第8流路
120 収納室
120a 開口
121 磁石
122 空気孔
123 開口
133 第3保持チャンバー
133p 連結部分
133q 第1部分
133qs 底部
133qt 側部
133qt’、133qt’’ 部分
133r 第2部分
133re 部分
148E1 第1端
148E2 第2端
148P1 第1位置
148P2 第2位置
151 活性阻害物質
161、162、163 試料分析用基板
200 試料分析装置
201 モータ
201a ターンテーブル
203 原点検出器
203a 光源
203b 受光素子
203c 原点検出回路
204 回転角度検出回路
205 制御回路
206 駆動回路
207 光学測定ユニット
210 マーカ
210a エッジ
210b エッジ
302 磁性粒子
304 一次抗体
305 磁性粒子固定化抗体
306 抗原
307 標識物質
308 標識抗体
310 複合体
311 磁性粒子
501 試料分析システム

Claims (15)

  1. 検体を含む液体の移送を行い、検体中の特定物質を分析する試料分析用基板であって、
    基板と、
    前記基板内に位置し、前記検体中の特定成分と標識物質と磁性粒子とが結合した複合体を保持するための空間を有するメインチャンバーと、
    前記メインチャンバーに近接して配置された磁石と、
    前記基板内に位置し、前記メインチャンバーから移送される液体を保持するための空間を有する回収チャンバーであって、前記空間の少なくとも一部は前記メインチャンバーの空間よりも半径方向において外周側に位置している、回収チャンバーと、
    前記基板内に位置しており、第1の開口および第2の開口を有する流路であって、前記第1の開口および前記第2の開口がそれぞれ前記メインチャンバーおよび前記回収チャンバーに接続された流路と、
    前記回収チャンバーに保持されており、前記標識物質の活性を低下させる活性阻害物質と、
    を備えた試料分析用基板。
  2. 前記活性阻害物質はキレート剤である、請求項1に記載の試料分析用基板。
  3. 前記キレート剤はエチレンジアミン四酢酸である、請求項2に記載の試料分析用基板。
  4. 前記活性阻害物質は、オルトバナジン酸ナトリウム、ヒ酸、フェニルアラニン、ホモアルギニン、無機りん酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の試料分析用基板。
  5. 前記活性阻害物質は、たんぱく質変性剤である請求項1に記載の試料分析用基板。
  6. 前記活性阻害物質は、イオン性界面活性剤である請求項1に記載の試料分析用基板。
  7. 前記活性阻害物質は、塩析剤である請求項1に記載の試料分析用基板。
  8. 前記標識物質は、酵素である、請求項1から7のいずれかに記載の試料分析用基板。
  9. 前記標識物質は、ペルキオキシターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリフォスターゼ、デヒドロゲナーゼ、ルシフェラーゼからなる群から選択される一種である請求項8に記載の試料分析用基板。
  10. 前記回収チャンバーは第1端および第2端を有し、円周方向に伸びており、
    前記流路の第2開口は、前記回収チャンバーの第1端と第2端との中間よりも第1端側に接続されている、請求項1から9のいずれかに記載の試料分析用基板。
  11. 前記回収チャンバーは、前記基板の厚さ方向に沿った第1高さおよび第2高さを有し、
    前記第1高さは、前記中間よりも第1端側に位置し、前記第2高さは前記中間よりも第2端側に位置し、前記第1高さは前記第2高さよりも大きい、請求項10に記載の試料分析用基板。
  12. 前記回収チャンバーは、前記空間の外周側に位置する側壁を有し、
    前記第1端と前記中間との間に位置する第1位置における前記基板の中心から前記側壁までの第1距離は、前記第2端と前記中間との間に位置する第2位置における前記基板の中心から前記側壁までの第2距離よりも短い請求項10または11に記載の試料分析用基板。
  13. 前記基板内に位置し、基質物質を含む基質溶液を保持するための第1貯蔵チャンバーと、
    前記基板内に位置し、洗浄液を保持するための第2貯蔵チャンバーと、
    前記基板内に位置し、前記第1貯蔵チャンバーと前記メインチャンバーとを接続し前記基質物質を含む液体を移送するための第1経路と、
    前記基板内に位置し、前記第2貯蔵チャンバーと前記メインチャンバーとを接続し前記洗浄液を移送するための第2経路と、
    をさらに備える、請求項1から12のいずれかに記載の試料分析用基板。
  14. 請求項1に記載の試料分析用基板を用いて検体中の特定物質を分析する試料分析方法であって、
    前記検体中の特定成分と標識物質と磁性粒子とが結合した複合体を含む反応液を前記メインチャンバーへ導入する工程と、
    前記磁石の磁力によって、前記複合体を前記メインチャンバー内に保持しながら、前記試料分析用基板を回転させることによって、前記反応液を前記回収チャンバーへ移送し、前記回収チャンバー内において、前記反応液中の前記複合体を形成していない標識物質と前記活性阻害物質とを反応させる工程と
    を包含する試料分析方法。
  15. 請求項13に記載の試料分析用基板を用いて検体中の特定物質を分析する試料分析方法であって、
    前記第1貯蔵チャンバーおよび前記第2貯蔵チャンバーに前記基質物質を含む基質溶液および洗浄液が保持された試料分析用基板を用意する工程と、
    前記検体中の特定成分と標識物質と磁性粒子とが結合した複合体を含む反応液を前記メインチャンバーへ導入する工程と、
    前記磁石の磁力によって、前記複合体を前記メインチャンバー内に保持しながら、前記試料分析用基板を回転させることによって、前記反応液を前記回収チャンバーへ移送し、前記回収チャンバー内において、前記反応液中の前記複合体を形成していない標識物質と前記活性阻害物質とを反応させる工程と
    前記洗浄液を前記メインチャンバーへ移送し、前記保持された複合体を前記洗浄液で洗浄後、前記試料分析用基板を回転させることによって、前記洗浄液を前記回収チャンバーへ移送する工程と、
    前記基質溶液を前記メインチャンバーへ移送し、前記メインチャンバーに保持された前記複合体の標識物質から得られる信号を測定する工程と、
    を包含する試料分析方法。
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