JPWO2020004939A5 - - Google Patents
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Description
本発明はカプセル型で皮下の肌内側または筋肉に直接挿入されて生体組織に薬物のような有効成分を送達するための新しい形態の薬物送達システムである薬物送達カプセルに関し、より詳しくは、内部に薬物などの有効成分の収容空間が形成され、外側ケーシングは生体吸水性素材で形成されて、所定時間が経た後初めて薬物の送達が始まるようにする機能を備えた、皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルに関するものである。
ワクチン(Vaccine)は牛痘法を見つけたジェンナーが借用した「牛(cow)」という意味を有するラテン語のvaccaで由来した用語で、ワクチンを成功的に接種して得ることができる免疫としては、体液性免疫(Humoral immunity、antibody-mediated immunity、抗体媒介)と細胞性免疫(Cellular、cell-mediated immunity)の二種類を含む。
即ち、ワクチンを接種する目標は、一般的に知られたワクチンの接種時に抗体ができて次に当該病原体が侵入する場合即刻に対応することができる能力である体液性免疫だけでなく、当該病原体を抗原として記憶して病原体が侵入すると、食細胞作用と炎症誘発物質であるサイトカイン(Cytokine)を放出して直接病原体を攻撃するTリンパ球の作用を誘発する細胞性免疫全部を誘導することである。
生まれた直後に母体から受けた抗体を通じて保有する免疫や抗体が入っている抗血清を投与して得られる免疫は受動免疫で、一時的な効果をもたらすことに対して、ワクチンで誘導される免疫は病原体を免疫係が憶えるようにするので能動免疫である。
このようなワクチンは、一回の接種のみでは抗体形成効果などが落ちるため一回の接種だけでは不十分で、二回または三回(またはその以上の)接種してこそ完全な免疫が発生するが、これは病原体全体を利用して作る細胞全体ワクチン(Whole-cell vaccine)や病原体の一部分のみ使用する構成単位ワクチン(Acellular or subunit vaccine)の場合で全部同じである。
ワクチンの大部分が細胞全体ワクチンであり、病原性を現わすことができないように不活性化されているか(不活化ワクチン)、弱毒化された(生ワクチン)ワクチンに再び分類される。不活化ワクチンは化学物質や放射線で病原性微生物の生命力を除去したので、安定的で、また人体内で再び病原性を現わす場合がないという長所があるものの効力が弱くて数回追加接種する必要がある。
一方、生ワクチンは極限環境で病原性微生物を培養するか持続的に宿主を移しながら培養して毒性を弱化させたもので、免疫機能が低下された人に投与する場合、病原性を回復しながら当該伝染病を誘発する可能性があるが、不活化ワクチンに比べて少ない回数の接種だけで抗体形成が完了されることができるという長所がある。
即ち、ワクチンは経口用小児麻痺ワクチンのような嬰児用経口製剤など例外的な場合を除き大部分筋肉注射のような形態でその投与経路が決まっているが、ワクチン接種者としては珍しい経験であるこのような注射方式で数ヶ月から長くて数年間隔で数回接種しなければならないという不便が伴う。
このような接種者の不便とは別途に、数十匹から数百匹の家畜を飼う大規模の牧畜農家では家畜の伝染病が大きな問題を起こすため、各家畜の生後週齢や月齢によって適正な時期に数回接種することが勧奨されたり強制されているが、これは非常に煩わしくて難しい事となっている。
例えば、牛、豚、山羊、鹿などに感染されて長期間にわたって繰り返し的に問題となっている口蹄疫の場合、口蹄疫ワクチンを2回以上接種することで予防することができるにも関らず、それぞれの個体に一回でもない数回の接種を正確な間隔でいちいち管理することは接種管理自体も難しいだけなく、1次接種後数週から数ヶ月経た、月齢や年齢が高くて力の良い大量の家畜に2回以上の接種を実施することは安全事故の危険も伴う。
従って、低い週齢や月齢の家畜に1回の接種だけで十分な抗体が形成されることができるようにして追加接種の必要のない技術が要求されているが、適切な解法が提案されていない実状である。
このような解法の一つとして、本発明者は本発明を通じて最初接種時と所定の時間間隔をあけてワクチンなどの有効成分が生体組織内で適切に作用することができるように、生体吸水性素材を利用した有効成分送達用カプセルを研究して来た。
本発明と構成的に関連性のある技術として、パッチ型で付着されて肌に挿入されたマイクロニードルの針部(弾と命名)を肌に残存させて弾の生分解によって薬物を肌内に送達する技術が韓国特許出願番号第10-2014-0053907号公報「薬物送達用マイクロ弾」に開示されたことがあるが、この文献は生分解速度などによって薬物の放出速度及び量を制御する概念的な効果を記載するのに止まり、それに対する具体的な手段を「円錐構造の弾」程度に提示しているだけで、効果的な挿入技術や薬物の送達技術はともかく、特に本発明が目的とする「数週から数ヶ月の所定時間が経た後有効成分が体内組織に作用することができるようにするための技術」に係わる如何なる具体的な構成も提示したり暗示すらしていない。
従って、本発明は繰り返し接種などが必要な従来の薬物送達方式を改善するために、最初挿入時から意図した所定の期間が経た後初めて体内に薬物が送達されることができるように、収容空間と外部を連通させる特定領域のケーシング壁の分解速度を調節し、終局にはケーシングを含む全ての成分が体内に吸収されることで別途の除去も必要ない、皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルを提供することを目的とする。
本発明のまた他の目的は、ワクチンや体内避姙薬のように注入される成分別に要求される正確な期間に繰り返し的に適用されるべき薬物において、一回の挿入だけで薬物別に所望の周期及び回数で体内で作用することができるようにする皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルを提供することである。
本発明のまた他の目的は、肌の内側や筋肉などの必要な位置に正確に挿入することができる手段が一緒に提供される皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルを提供することである。
上述した本発明の目的を達するために、本発明による生体吸水性薬物送達カプセルは、皮下の生体組織内に挿入されて有効成分を送達するために、前記有効成分を収容する収容空間を形成し、前記有効成分が外部に漏出されないように前記収容空間と外部を遮断するためのケーシングを含んで構成され、前記ケーシングは、生体組織内で分解されることにより前記収容空間内の前記有効成分が外部に流出されることを許容した後生体組織内に吸収されることができるように生体吸水性素材で形成される。
この時、皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルの前記ケーシングの前記生体吸水性素材は、以下の化学式1で表される生体分解性金属を含む。
[化学式1]
MgaZnbXc
MgaZnbXc
化学式1において、a、b及びcは各成分の重量%で、a+b+c=100重量%であり、0≦a≦100、0≦b≦100、0≦c≦40の範囲でaまたはbが最も大きく、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPからなる群で選択される1種以上である。
この時、前記化学式1において、a、b及びcは各成分の重量%で、a+b+c=100重量%であり、i)90≦a≦100、0≦b≦10、0≦c≦40またはii)0≦a≦10、90≦b≦100、0≦c≦40であり、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPからなる群で選択される1種以上である。
この時、前記生体分解性金属は不可避的な不純物を含む純粋Mgであってもよい。
この時、前記生体分解性金属は不可避的な不純物を含む純粋Znであってもよい。
一方、前記ケーシングの少なくとも一部領域は前記生体分解性金属で形成される金属領域であり、前記金属領域内に前記生体吸水性素材の分解過程で前記収容空間内の前記有効成分が最も早く外部に漏出される1次漏出地点が形成され、前記金属領域を含む前記ケーシングの他の地点に前記1次漏出地点の漏出後前記有効成分の漏出が順次に発生するn次漏出地点(nは2以上の整数)が形成されることができる。
この時、前記1次漏出地点または前記n次漏出地点は、前記化学式1によって2以上の金属相(phase)がガルバニック回路を生成して分解速度が加速化されるようにする前記生体分解性金属の成分組成を前記金属領域に適切に配置することにより形成されることができる。
また、前記1次漏出地点または前記n次漏出地点は、前記ケーシングの前記収容空間と外部との間のケーシング壁の厚さを調節することにより、前記ケーシング壁の厚さが最も薄い地点が前記1次漏出地点になるようにし、前記ケーシング壁の厚さによって前記n次漏出地点が順次に形成されるようにすることができる。
この時、前記1次漏出地点または前記n次漏出地点を含む前記収容空間は、それぞれの前記1次漏出地点またはn次漏出地点に対応して前記ケーシング内で前記有効成分が疎通できない隔離された空間を形成することができる。
本発明による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルは、前記生体分解性金属で形成される先端部と、軟質の生体分解性高分子材質で形成される膨脹部と、前記膨脹部の少なくとも一端に連結される前記生体分解性金属で形成される少なくとも一つ以上の結節部を含んで構成され、前記膨脹部は内部に前記有効成分を収容することができる管または懐形状に形成され、両端部に前記先端部または前記結節部が連通されるように連結された構造を有することができる。
この時、前記先端部は皮下に挿入される過程で肌を刺すことができる尖部を備え、前記結節部は前記有効成分の注入が可能な注入口及び注入された前記有効成分が外部に流出されないようにするための逆流防止手段を備えることができる。
この時、シリンジのような薬物注入手段の注入ニードルに装着された形態で用いられることができるように、前記結節部の注入口は前記注入ニードルが貫通されることができる管状を有し、前記逆流防止手段は前記注入ニードルが除去された後前記薬物注入手段から注入された前記有効成分が流出されることを防止する弾性膜のような逆流防止バルブ構造からなり、前記先端部の前記膨脹部との連結部の内側には前記注入ニードルの装着によって前記先端部の肌挿入方向が安定的に固定されるようにする注入ニードル安着部が備えられることができる。
この時、前記膨脹部は、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、グリコリド-L-乳酸共重合体(PGLA)及びグリコリド-カプロラクトン共重合体(PGCL)からなる群で選択された1以上の生分解性高分子材質であってもよい。
上記したような構成によって、本発明による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルは次のような効果を奏する。
第一、生体内で分解されて吸収される素材でケーシングを製造し、生体の挿入前にケーシング内部の収容空間にワクチンなどの有効成分を注入しておくと同時に、ケーシングの壁が分解されて収容空間内のワクチンなどが外部の生体組織に流れ出るまでの時間を生体分解性金属の分解速度調節理論及び実験結果によって適切に設定することにより、数回追加接種するなどの不便がなく、一回の挿入で時間による薬物放出量を調節するか、所定の周期及び回数で生体内に有効成分が作用するようにすることができる。
第二、カプセルのケーシング全体が生体吸水性素材で製造されることにより、皮下の筋肉などの生体組織内で分解吸収されるので、従来の体内型避妊器具のように使用した後除去しなければならない苦痛及び煩雑さを避けることができる。
第三、経口用などに用いられる製品とは違って生体内に挿入するために肌を刺すことができる硬度の確保が核心であり、高い硬度の尖部の形成が可能な生体分解性金属をケーシングの素材で適用することにより、体内の所望の位置までの挿入が容易である。
第四、提供されるカプセルの構造的特徴によって前記挿入に必要な適切な補助手段を一緒に提供することにより、体内の挿入をより容易にする。
以下、上述した本発明による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルの構成を、実施例が示された図面などを参照してより詳しく説明する。
一方、前記及び以下の記載で、「有効成分」とは従来から繰り返し接種などを必要とする多様な薬物を包括するものと理解すべきであり、その一例としてワクチンを挙げることができ、具体的な一例として口蹄疫ワクチンを挙げることができるが、これに限定されるのではない。ワクチン以外にも体内避姙薬のように要求される所定の期間に繰り返し的に2回以上の接種を要求する薬物を全部含むことができる。
本発明の最も根本的な特性は、生体吸水性素材の中でも、骨固定スクリューやその他体内インプラント素材で製品化されるほど強度が優れた生体分解性金属をカプセルの素材に適用することにより、皮下生体組織内への挿入をより容易にするだけでなく、本発明の発明者の多年間の研究を通じて明らかになった前記生体分解性金属の分解速度調節技術を適用することにより、所望の適正な時間が経過した後カプセル収容空間内の有効成分が外部に漏出されるようにする技術に係る。
即ち、韓国特許出願第10-2017-0044692号公報「生体分解性金属を利用したマイクロニードル」または韓国特許出願第10-2017-0045449号公報「生分解性金属インプラント」などを通じて複数回開示したように、本発明の発明者はマグネシウムや亜鉛を主要成分とする生体分解性金属の分解速度の調節及びその他の物性の改善を絶えずに研究しており、既に開示された内容の中の一部が本発明に適用される。
それによって、本発明による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルは、収容空間と外部との間の有効成分の漏出を防止するためのケーシングの少なくとも一部領域が生体組織内で分解されて、以下のような化学式によって水素ガスを発生させ、分解されるMg、Znの中で選択された少なくとも1以上の金属を主成分とする生体分解性金属で製造されることができる。
Mg + 2H2O → Mg(OH)2 + H2(gas)
Zn + 2H2O → Zn(OH)2 + H2(gas)
即ち、本発明において、皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルの金属領域はマグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)などを単独素材にして製造されることもできるが、この時にも不可避的な不純物を微量含んでもよい。
上記したように、本発明による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルは生体分解性金属単一素材でも提供されることができ、生体分解性金属で形成された領域と生体分解性高分子素材で形成された領域が組み合わされた構造で提供されることもできる。
生体分解性高分子素材パートと組み合わされた構造で提供される場合には、肌に侵透するための先端部、収容空間を密閉するための仕上げ部などが金属領域として製造されることができ、さらに、ワクチンなど収容空間内の有効成分が漏出される時点を正確に特定するための1次またはn次漏出地点が前記金属領域内に備えられるように製造されることができる。
その他、全ての有効成分が抜け出たカプセル全体が生体組織内で分解されて吸収されることができるようにするために適用される生体分解性高分子素材パートも、従来に生体吸水性素材としてよく知られたポリジオキサノン(PDO)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、グリコリド-L-乳酸共重合体(PGLA)、グリコリド-カプロラクトン共重合体(PGCL)などが適用されることができるが、これら高分子素材は上述した生体分解性金属とは違って軟質の柔軟な性質を有するので、有効成分の収容量の拡大と関連して有用な効果を付与することができる。これに対しては以後の本発明の好ましい実施例を挙げてより詳しく説明する。
上述した生体分解性金属の分解速度調節技術に関しては、前記生体分解性金属は以下の化学式1で表され、皮下の生体組織内に挿入された後吸収及び分解されてマグネシウムまたは亜鉛金属イオンと分解産物を体内に放出する生体分解性金属になるように構成することができる。
[化学式1]
MgaZnbXc
MgaZnbXc
化学式1において、a、b及びcは各成分の重量%で、a+b+c=100重量%であり、0≦a≦100、0≦b≦100、0≦c≦40の範囲でaまたはbが最も大きく、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPからなる群で選択される1種以上であることが好ましい。
皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルに適用される生体分解性金属はマグネシウムまたは亜鉛を最も多く含むことが好ましい。従って、前記化学式1において、a、b及びcは各成分の重量%で、a+b+c=100重量%であり、i)90≦a≦100、0≦b≦10、0≦c≦40またはii)0≦a≦10、90≦b≦100、0≦c≦40であり、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPからなる群で選択される1種以上であることが好ましい。
即ち、本発明において皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルは、上記した化学式によって2以上の金属を素材として複数の金属成分のガルバニック回路を生成させることにより、生体内で作用しようとする有効成分(ワクチンなど)の目的によって生体組織内でのケーシングの分解速度が調節されることができるように調整されることもできる。
図1~図3はマグネシウム、亜鉛、カルシウムの含量による状態図であり、表示された2~7の数字は後述する実験例の試料の番号で、図示したように、マグネシウム、亜鉛及びカルシウムはその含量によって多様な状態で存在することができ、Mg2Ca(C14_B)、Ca2Mg6Zn3、MgZnのような金属間化合物(intermetallic compound)はガルバニック回路を生成して単独素材である時に比べて分解速度を増進させることができる。
本発明による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルに適用される生体分解性金属はガルバニック回路を生成するために前記化学式1で表される生体分解性金属表面に他の種類の第2の金属がコーティングされる構造を有することもできるが、この時、第2の金属はナトリウム、マグネシウム、カリウム、鉄、ニッケル、亜鉛、ガリウム、セレン、ストロンチウム、ジルコニウム、モリブデン、ニオビウム、タンタル、チタン、ケイ素、銀、金、マンガン、カルシウムなどを例示することができるが、これに限定されるのではない。この時、前記鉄(Fe)を利用して生体分解性金属を製造する時にはステンレススチール成分が含まれてはいけない。
Mg2Ca(C14_B)、Ca2Mg6Zn3、MgZnのような金属間化合物(intermetallic compound)相が形成される時、分解速度が急増する実験的根拠は後の実験例1を通じて裏付けられる。
このように、生体内の同じ環境下で生体分解性金属の多様な組成での分解速度を多様な条件の実験を通じて得られた結果を利用して、本発明は適正な時点に適正な量で、さらに適正な時間間隔をあけて繰り返し的にケーシング内の有効成分を生体組織内に送達することができる皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルを提供する。結局生体分解性金属の化学的組成とカプセルの厚さを通じて薬物放出時点を制御することができる。
図5は本発明の好ましい実施例において第1実施例による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルのサンプル写真で、上述した機能のための具体的な形態が例示される。
図示したように、本発明の第1実施例による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルの場合、全体が生体分解性金属からなり、ワクチンなどの有効成分を収容することができる収容空間をケーシング内部に備える。
また、前記第1実施例の薬物送達カプセルは肌を刺すのに十分な強度を有する生体分解性金属で形成される尖部を先端部に備えることにより、皮下の組織内に浸透させるのに有利な構造を有する。この時、さらに有利な挿入作業のために、前記形態の薬物送達カプセルを肌の内側に押し入れる発射装置がさらに備えられることができる。
また、本発明によるカプセルのケーシングは必要とする有効成分の量によって多様な大きさを有することができ、必要によって複数個が挿入されることもできる。
さらに、図示したように、ワクチンなどの有効成分が収容空間の内部に満たされた後には前記収容空間を遮断する栓によって、生体組織内でケーシングの所定領域が分解されて連通部ができる前までは収容空間内の有効成分がカプセル内で保持されるように構成されることができる。
前記第1実施例を通じて製造されたサンプルで畜産科学院で提供された実験用豚にワクチン接種実験を実施し、それに対する詳細な内容は後の実施例2を通じて説明する。
図6は前記第1実施例の変形された実施例で、第2実施例による薬物送達カプセルの形態を例示する。
図示したように、第2実施例による薬物送達カプセルは、先端部10の形態を除き第1実施例とほぼ類似し、図6の(b)のように薬物のような有効成分2の注入後に栓7によって遮断される収容空間22を備えた構造を有する。
第2実施例は、本発明の一目的によって、適正な時点に適正な速度で有効成分2が生体組織内に流れ出るようにするのために、ケーシング1の分解領域及び分解速度を調節して漏出地点を特定するための技術的例を明確に現わすためのもので、第2実施例による薬物送達カプセルの内部構造を明確に現わすための断面図である図6(b)にはケーシング隔壁5の中の他の領域より薄く隔壁5が形成された地点Aが図示される。
即ち、ケーシング1の全体領域が同じ組成の生体分解性金属で形成されると仮定する場合、生体内の同じ条件下では、ケーシング1の分解過程でケーシング隔壁5の厚さが最も薄いA地点が最も早く連通され、意図された形態どおり漏出孔が形成されることにより所望の速度で有効成分2が流れ出るように調節されることができる。
また、本実施例では前記収容空間22が一つである場合を例示しているが、収容空間22は2つ以上の空間に分けられることもでき、この時、各収容空間の漏出地点を上述したような方式で構成することにより、所望の時点に順次に有効成分2が生体内に漏出されるようにすることができる。
即ち、最も薄い隔壁を含む収容空間22の当該地点が1次漏出地点になり、その次に薄い隔壁を含む収容空間22の当該地点が2次漏出地点になるようにする方式で有効成分の漏出手順を設定することができるので、例えば、3回の接種が必要なワクチンの場合、二つの収容空間22が含まれた本発明による薬物送達カプセルを生体組織内に挿入すると同時に1回の接種を行えば、意図した特定期間後に1次漏出地点で有効成分が漏出されて2回目の接種の効果を発揮するようになり、その後も特定期間後に2次漏出地点で有効成分が漏出されることにより3回目の接種で完全な抗体形成過程を完成するようになる。
一方、図6を通じてケーシング隔壁5の厚さを調節することにより有効成分の漏出量と時期などを調節する例について説明したが、上述した化学式1及び後述した実験例を通じて明らかにするように、本発明者の数年間の研究を通じて金属の組成を調節することにより生体内での生体分解性金属の分解速度を調節することができる理論及び実験的根拠を確保し、それによって、ケーシング1の特定領域や地点の生体分解性金属組成を異なるようにすることで、上記した厚さの調節とまったく同じ方式で1次及びn次漏出地点を設定するとともに分けられた各収容空間22内の有効成分2が所望の時点に適正速度で漏出されるように構成することができることは勿論である。
図7~図8は本発明の好ましい実施例において第3実施例に対するもので、図7は本発明の第3実施例による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルの図面であり、図8は本発明の第3実施例による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルを生体に適用するための過程を説明するための図面である。
前述及び図7に詳しく示したように、本発明による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルは生体分解性金属と生体分解性高分子素材が組み合わされた形態で提供されることができる。
即ち、図7に示したように、尖部形態で肌を刺すことができる構造の先端部10及び結節部20は前記化学式1による、相対的に高い強度の生体分解性金属で製造され、前記先端部10と結節部20との間には軟性材質の生体分解性高分子素材で製造される膨脹部30が結合されることができる。
上述した第1実施例及び第2実施例の場合、材質全体がソリッド金属材質で形成されているので、生体内に注入が必要な有効成分2の量によって多様な大きさのケーシング1が提供される必要があり、有効成分2の量が多い場合にはケーシング1の大きさが大型化され、または、挿入すべきケーシング1の数が多くなって挿入作業が難しくなるだけでなく、生体に負担になることもあるという短所が発生する。
従って、第3実施例のような構造で本発明による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルを構成する場合、軟質の膨脹部30に大部分の有効成分2が収容されるようにすることができるので、挿入時の大きさを小さくすることができるという長所がさらに追加され、金属領域の分解速度を調節することにより有効成分2の漏出時期及び量を設定することができる上述した利点はそのまま適用することができる。
即ち、前記膨脹部30としては、弾性膨脹が可能な管状または懐形態の高分子材質が適用されることもできるが、高弾性でなくても、軟質の素材であればしわくちゃになったり圧縮された状態で生体組織内に挿入可能であり、生体内で分解されて結局吸収されることができる成分として広く知られた、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、グリコリド-L-乳酸共重合体(PGLA)及びグリコリド-カプロラクトン共重合体(PGCL)などが適用されることができる。
図7に示したように、本発明の第3実施例による薬物送達カプセルは膨脹部30内の有効成分を外部に流出しないようにする構成とともに、前記薬物送達カプセルのケーシング1内に有効成分2を注入するための構成、注入された有効成分2が抜けないようにする構成、肌を刺すための構成、肌への挿入時に別途の挿入手段と協動するための構成、金属領域と膨脹部30が結合するための構成などを含む。
まず、前記薬物送達カプセルのケーシング1内に有効成分2を注入するための構成としては、第3実施例の断面図である図7の(b)に示したように、薬物などが注入されることができる注入口21を備える。このような注入口21を通じた薬物の注入は多様な方式で行われることができるが、後の図8などを通じて説明するように、既存のシリンジ100などを通じた方式も可能である。
一方、注入された有効成分2が抜け出ないようにする機能は、結節部20の内部に位置する逆流防止手段25によって達成される。前記逆流防止手段25は広く知られた逆流防止バルブ構造が適用されることができ、最も単純な形態としては注入口を弾性によって閉鎖する弾性膜による逆流防止機能が適用されることもできる。
肌を刺すための機能は、尖部を備えた先端部10によって達成される。
このような先端部10の形態的特徴によって肌を刺して生体組織内に本発明によるカプセルが位置する方式は、別途の補助道具によって達成されることができ、その例の一つとしてシリンジによって本発明の第3実施例によるカプセルが肌内に挿入される過程が図8で示される。この時、上述した注入口21及び逆流防止手段25はシリンジ100の注入ニードル110を収容するための形態で構成され、特に先端部10の内側にも注入ニードル110の端部が安着されるための注入ニードル安着部11が備えられることにより、シリンジ100の装着時に先端部10の肌への挿入方向が安定的に固定されるようにすることができる。
金属領域と膨脹部30が結合するための構成は、図7の(b)に示したように、先端部10または結節部20の一端部外側に管状の膨脹部30の両端部が位置した状態で膨脹部30の端部を固定する、やはり生体分解性金属素材で提供されることができる、固定リングの強制嵌め込みなどを利用して行われることもできる。
図8は図7の実施例による薬物送達カプセルを生体内に適用するための過程を説明する図面であり、図示したように、図7に示したケーシング1の場合、一般的なシリンジ100の注入ニードル110に対応する形状を有する。
従って、図8(a)のように、まず、シリンジ100に注入しようとする有効成分2の適正量を充填した状態で、注入ニードル110にケーシング1を結合させる。
その後、図8(b)のように、ケーシング1とシリンジ100が結合された状態で、ケーシング1の尖端先端部10を利用して肌を刺して挿入過程を行う。
肌の内側の所望の生体組織の位置にケーシング1が挿入されると、図8(c)のように、シリンジ100のピストンを押してケーシング1の収容空間の内側に有効成分2の注入を始める。
有効成分2の注入が完了されると、第3実施例による薬物送達カプセルの膨脹部30は最大に膨張された状態になり、図8(d)のように、シリンジ100を取り除けば図7で説明した逆流防止手段25によって有効成分2はケーシング1内に注入された状態で保持される。
その後には、予め設定された期間が経過した後所望の1次漏出地点での有効成分2の漏出が始まり、ワクチンの2次接種のような効果を果たすようにする。
図9は図7~図8に示した第3実施例の変形例として第4実施例による皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセルの図面である。
図9に示した第4実施例は二つの膨脹部30を備え、このために結節部20また末端結節部20aと中間結節部20bとを含む。
このような構成は、1次接種時に挿入されることにより、別途の追加接種なしに所定の期間間隔で2次及び3次接種効果を一度に具現するための実施例として意味を有する。
発明の実施形態
以下では、上述した構成及び各種実施例における実質的構成による効果をより明確にするために、本発明の研究とともに行われた実験の例について詳しく説明する。
以下では、上述した構成及び各種実施例における実質的構成による効果をより明確にするために、本発明の研究とともに行われた実験の例について詳しく説明する。
[実験例]
以下、実験例を通じて本発明についてより詳しく説明する。これらの実験例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれら実験例によって制限されることに解釈されないことは本技術分野において通常の知識を有する者にとって自明である。
以下、実験例を通じて本発明についてより詳しく説明する。これらの実験例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲がこれら実験例によって制限されることに解釈されないことは本技術分野において通常の知識を有する者にとって自明である。
実験例1:金属シート分解速度評価
試料1~9:マグネシウムまたは亜鉛を主素材で製造した金属シート
以下の表1の組成(重量%)で金属シート(高周波溶解炉で鋳造した後、0.1mm/sの速度で圧出して左右幅60mm、1.5mm)を製造した。
製造時に発生する不可避的な不純物を含む純粋金属
試料2~7で製造された金属シートを表2の組成を有する生体模写溶液を含むユージオメータ(Eudiometer)に浸漬させた後、浸漬時間による水素の発生量で分解速度を評価し、その結果を図5に示した。
図4に示したように、Mg2Ca相が生成されない試料2~5の金属シートは安定的な分解による水素ガス発生量を見せたが、Mg2Ca相が生成される試料6及び7の金属シート水素ガス発生量が他の実施例とは確実に高い数値を見せて分解速度が上昇されたことを確認することができた。これを通じて、化学式1の組成を調整することにより生体分解性金属の分解速度を調節することができることを確認することができた。
実験例2:豚口蹄疫抗体形成実験
[1次抗体形成実験]
2016年末同週齢の8週齢の豚16頭を利用して9週間の実験を行い、従来方式による注射注入グループと、上述した本発明の第1実施例による薬物送達カプセルを挿入したグループに分けて対照群で抗体形成の程度を比較測定した。
ワクチン抗体(SP)の形成を確認するための免疫定量法としてはELISA法を適用し、数値が50以上である場合、陽性抗体であると確認する。
前記薬物送達カプセルは純粋マグネシウム、収容空間は3.40パイ、54.70mmの大きさを有し、それぞれ0.5ccの同種類のワクチンが担持された。
試験畜:8週齢の豚16頭、9週間実験実施
-グループ1(5頭):口蹄疫接種法(筋肉)適用(生後8、12週)
-グループ2(5頭):口蹄疫接種法(皮下)適用(生後8、12週)
-グループ3(3頭):口蹄疫接種法(皮下)+ 4週カプセル接種(生後8週)
-グループ4(3頭):口蹄疫接種法(皮下)+ 2週カプセル接種(生後8週)
上記表で整理された数値をグラフで示したのが図10を通じて示される。前記表及び図10のグラフを通じてわかるように、本発明によるカプセルを適用したグループ3及びグループ4で全部十分な抗体形成が確認され、特に分解カプセルを2週適用したグループ4の場合、従来の注射法よりも高い抗体形成効果が確認された。注射法の場合、2次接種後免疫定量数値が若干低くなるのに対してグループ3及びグループ4では微細な上昇がつながる結果を確認することができた。これは必要なワクチンが一度に漏出されず少しずつ漏出されることによるか、生体分解性金属の分解過程で出る副産物などによる上昇効果などさまざまな原因が推測される。
[2次抗体形成実験]
2017年末同週齢の8週齢の豚14頭を利用して以下の表4のように実験を行った。従来方式の注射注入グループと、上述した本発明の第1実施例による薬物送達カプセルを挿入したグループとに分けて対照群で抗体形成の程度を比較測定した。
ワクチン抗体(SP)の形成を確認するための免疫定量法としてはELISA法を適用した。
前記薬物送達カプセルは純粋マグネシウム、収容空間は3.40パイ、54.70mmの大きさを有し、それぞれ0.5ccの同種類のワクチンが担持された。
前記表で整理された数値をグラフで示したのが図11を通じて示された。
図11のグラフを通じて分かるように、本発明によるカプセルを適用したグループ1にも筋肉接種法(8週、12週)を行った対照群と同様に十分な抗体形成が確認され、特に分解カプセルを2週適用したグループ4の場合従来の注射法よりも高い抗体形成効果が確認された。
以上、本発明の内容の特定部分について好ましい実施例などを通じて詳しく説明したが、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとってこのような具体的技術は好ましい実施様態に過ぎず、それによって本発明の範囲が制限されるのではないことは自明である。従って、本発明の実質的な範囲は特許請求範囲とそれらの均等物によって定義されるべきである。
1 ケーシング
2 有効成分
5 ケーシング隔壁
7 栓
10 先端部
11 注入ニードル安着部
20 結節部
21 注入口
22 収容空間
25 逆流防止手段
30 膨脹部
100 シリンジ
110 注入ニードル
2 有効成分
5 ケーシング隔壁
7 栓
10 先端部
11 注入ニードル安着部
20 結節部
21 注入口
22 収容空間
25 逆流防止手段
30 膨脹部
100 シリンジ
110 注入ニードル
Claims (5)
- 皮下の生体組織内に挿入されて有効成分を送達するために、前記有効成分を収容する収容空間を形成し、前記有効成分が外部に漏出されないように前記収容空間と外部を遮断するためのケーシングを含んで構成され、
前記ケーシングは、生体組織内で分解されることにより、前記収容空間内の前記有効成分が外部に流出されることを許容した後、生体組織内に吸収されることができるように生体吸水性素材で形成され、
前記ケーシングの前記生体吸水性素材は、以下の化学式1で表される生体分解性金属を含み、
[化学式1]
MgaZnbXc
(化学式1において、a、b及びcは各成分の重量%で、a+b+c=100重量%であり、0≦a≦100、0≦b≦100、0≦c≦40の範囲でaまたはbが最も大きく、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPからなる群で選択される1種以上である。)、
前記ケーシングは、前記生体分解性金属で形成される先端部と、軟質の生体分解性高分子材質で形成される膨脹部と、前記膨脹部の少なくとも一端に連結される前記生体分解性金属で形成される少なくとも一つ以上の結節部とを含んで構成され、前記膨脹部は内部に前記有効成分を収容することができる管または懐形状に形成され、両端部に前記先端部または前記結節部が連通されるように連結され、
前記先端部は、尖部を備えて肌を刺して、前記先端部の内側に前記ケーシングに結合される注入ニードルの端部が安着されるための注入ニードル安着部が備えられ、
前記先端部または結節部の一端部外側に管状の膨脹部の両端部が位置した状態で前記膨脹部の端部が固定される、皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセル。 - 前記化学式1において、a、b及びcは各成分の重量%で、a+b+c=100重量%であり、i)90≦a≦100、0≦b≦10、0≦c≦40またはii)0≦a≦10、90≦b≦100、0≦c≦40であり、XはCa、Fe、Mn、Si、Na、Zr、Ce及びPからなる群で選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセル。
- 前記生体分解性金属は不可避的な不純物を含む純粋Mgであることを特徴とする、請求項1に記載の皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセル。
- 前記生体分解性金属は不可避的な不純物を含む純粋Znであることを特徴とする、請求項1に記載の皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセル。
- 前記膨脹部は、ポリジオキサノン(PDO)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)、グリコリド-L-乳酸共重合体(PGLA)及びグリコリド-カプロラクトン共重合体(PGCL)からなる群で選択された1以上の生分解性高分子材質であることを特徴とする、請求項1に記載の皮下挿入用生体吸水性薬物送達カプセル。
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