本願発明の第一は、第一の基板および第二の基板が対向して設けられる一対の基板と、
前記第一の基板と第二の基板と間に挟持された液晶層と、
前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた画素電極と、
前記第一の基板または第二の基板の少なくとも一方に設けられた共通電極と、
発光素子を備えた光源部と、
赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備え、前記三原色の内少なくとも一色に入射した前記光源部からの光により赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルを有する発光用ナノ結晶を含有する光変換層と、を備え、
前記第一の基板及び第二の基板と前記液晶層との間に、配向膜を有さず、重合性化合物から形成された配向制御層を有し、
前記液晶層は、一般式(N−1)、及び(N−2)及び(N−3)
(式中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
(d) 1,4−シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)はそれぞれ独立してフッ素原子で置換されていても良く、
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
XN21は水素原子又はフッ素原子を表し、
TN31は−CH2−又は酸素原子を表し、
nN11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32はそれぞれ独立して0〜3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、AN11〜AN32、ZN11〜ZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)で表される化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上及び重合性化合物を1種又は2種以上含有する誘電率異方性(Δε)が負の液晶組成物を用いることを特徴とする液晶表示素子である。
本発明では、液晶層を特性の構成とすることにより、光源に用いる短波長の可視光線や紫外光などの高エネルギー光線の長時間暴露に耐えうる液晶層を備えた信頼性の高い第一の基板及び第二の基板と液晶層との間のうち少なくとも一方には配向膜を有さない液晶表示素子を提供できる。
また、発光素子は、紫外または可視光を発光する発光素子が好ましい。
本発明に係る好適な液晶表示素子について図を用いて以下に説明した後、液晶表示素子の各構成要素について説明する。
図1は、本実施形態で用いられる液晶表示素子の一例の全体を示す斜視図であり、説明のために便宜上各構成要素を離間して記載している。
本発明に係る液晶表示素子1000は、バックライトユニット100と、液晶パネル10とを備えている。当該バックライトユニット100は、発光素子Lを有する光源部101と、導光板(図示せず)または光拡散板(図示せず)の役割を果たす導光部102と、を有している。図1に示すように、バックライト100の一形態は、複数の発光素子Lを含む光源部101が導光部102の一側面に配置されている。必要により、複数の発光素子Lを含む光源部101を、液晶パネル10の一側面側(導光部102の一側面)だけでなく、液晶パネル10の他方の側面側(対向する両側面)に設けてもよく、また、導光部102の周囲を囲むように、複数の発光素子Lを含む光源部101が、該導光部102の3つ側面又は該導光部102の全周囲を囲むように、4つの側面に設けられていてもよい。なお、導光部102は必要に応じて導光板の代わりに光拡散板(図示せず)を備えてもよい。
図1に示す液晶パネル10において、第一の(透明絶縁)基板2は、一方の面に偏光層1が設けられ、他方の面に電極層3が設けられている。また、液晶層5を挟んで前記第一の基板2と対向するように、第二の(透明絶縁)基板7が配設され、該基板7上に光変換層(いわゆる色層)6および偏光層8の順で設けられている。ここで、該光変換層(色層)6は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備え、前記三原色の内の少なくとも一色の画素が、前記光源部からの入射光により赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルを有する発光用ナノ結晶を含有するものである。
図1では、電極層3として画素電極(図示せず)と共通電極(図示せず)とが第一の基板2側に設けられている形態を示しているが、別の実施形態(例えば、図3、図4)では、画素電極を第一の基板2に設け、共通電極3’を第二の基板7に設けてもよい。
また、図1では、前記第二の基板7と液晶層5との間に光変換層6が設けられているが、本発明に係る液晶表示素子の他の実施形態としては、図10、図11に示す様な、いわゆるカラーフィルタオンアレイ(COA)であってもよく、この場合、電極層3と液晶層5の間に光変換層6を設けても、または当該電極層3と第一の基板2との間に光変換層6を設けてもよい。また、必要により、オーバコート層(図示せず)を、光変換層6を覆う様に設けることで、光変換層に含まれる物質が液晶層へ流出することを防止してもよい。
図1において、発光素子Lから発光された光は、導光部102内(例えば、導光板や光拡散板を介して)を通過して、液晶パネル10の面内に入射する。当該液晶パネル10内に入射した光は、第一の偏光層1により特定の方向に偏光された後、電極層3の駆動により液晶層5の液晶分子の配向方向を制御することができるため、光シャッターとしての役割を果たす液晶層5により偏光の方向が変えられた光は、第二の偏光層8で遮断または特定方向に偏光された後、光変換層6に入光する。当該光変換層6では、該光変換層6に入光した光が発光用ナノ結晶に吸収され、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルに変換されることで、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかの色を表示することができる。
この際、導光部102(特に導光板)の形状が、発光素子Lから発光された光が入射する側面から対向面に向かって厚さが次第に減少する側面を備えた平板体である(側面がテーパー状の形態や楔状四角形板)と、線光を面光に変換することができるため液晶パネル10内に光を入射しやすくなる為好ましい(後述に実施形態として記載する)。
図2は、バックライトユニット100が、複数の発光素子Lを平板状の導光部102に対して平面状に配置された、所謂直下型バックライト構造を持つ液晶表示素子の一例の全体を示す斜視図である。なお、説明のために便宜上各構成要素を離間して記載している。
直下型バックライト構造は、発光素子Lからの光は面光であるため、導光部102の形状は、図1とは異なりテーパー状である必要はない。
図2における液晶パネル10は、一方の面に第一の電極層3(例えば、画素電極)を備え、かつ他方の面に第一の偏光層1を備えた第一の基板2と、第二の電極層3’(例えば、共通電極)を具備した第二の基板7と、前記第一の基板2と第二の基板7との間に挟持された液晶層5を備えている。また、前記第二の基板7と第二の電極層3’との間に光変換層6が設けられており、さらに当該光変換層6の上の第二の電極層3’側に第二の偏光層8が設けられている。
すなわち、図3の実施形態では、液晶表示素子1000は、バックライトユニット100と、第一の偏光板1と、第一の基板2と、薄膜トランジスタを含む電極層(又は薄膜トランジスタ層や画素電極とも称する)3と、液晶組成物を含む層5と、第二の電極層3’と、第二の偏光板8と、光変換層6と、第二の基板7と、が順次積層された構成となる。
図2において、発光素子Lから発光された光は、導光部102を(光拡散板や光拡散板を介して)通過して、液晶パネル10の面内に入射する。当該液晶パネル10内に入射した光は、第一の偏光層1により特定の方向に偏光された後、第一の電極層3、第二の電極層3’の駆動により液晶層5内で偏光の方向が変えられた光が、第二の偏光層8で遮断または特定方向に偏光された後、光変換層6に入光する。当該光変換層6では、光変換層6に入光した光が発光用ナノ結晶に吸収され、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかに発光スペクトルに変換されることで、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の何れかの色を表示することができる。
また、前記導光部102として、液晶パネル10と前記導光部102との間に光拡散板を備えることが好ましい(後述に実施形態として記載する)。
以下、本発明の好ましい液晶表示素子における液晶パネル部分の断面構造、特に、偏光層、光変換層、および液晶層などの積層態様について説明する。
図3〜9は、本実施形態で用いられる液晶パネルの構成を示すために、液晶表示素子における液晶パネル10部分を切断した断面図の模式図であり、液晶パネル10における偏光層、光変換層および液晶層の積層態様を示す概略図である。また、図3〜9では、偏光層、光変換層および液晶層の位置関係の説明のため便宜上、図1〜図2で示されている電極層3(TFTを含む)、電極層3’などを省略して模式的に示している。
さらに、図3〜9では、液晶層5に対して、バックライトユニット(光源)側の基板とその基板に積層される積層体をアレイ基板(A−SUB)、当該アレイ基板と液晶層5を挟んで対向する基板とその基板に積層される積層体を対向基板(O−SUB)としている。これらアレイ基板(A−SUB)および対向基板(O−SUB)の構成や好ましい実施態様は、後述の図12〜図19における電極構造の説明の箇所で詳細に説明する。なお、図3〜9では、アレイ基板側にTFTが形成されている例を記載しているが、アレイ基板と対向基板とを入れ替えてもよい。
図3の実施態様は、光変換層6が対向基板(O−SUB)に設けられ、かつ、該光変換層6と第二の偏光層8とが、一対の基板(第一の基板2及び第二の基板7)の間に設けられた所謂インセル偏光層を備える形態である。
一般的な液晶表示素子は、白色光源からの光をカラーフィルタにおいて、波長選択し、その一部を吸収することによりそれぞれの色表示を行っているのに対して、本発明では、発光用ナノ結晶を含有する光変換層をカラーフィルタの代替部材として用いたことを特徴の一つとしている。よって、本発明における光変換層6は、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備えており、いわゆるカラーフィルタと同様の役割を果たす。
具体的には、光変換層6は、例えば、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)を備え、緑色(R)の画素部(緑色の色層部)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)を備え、そして青色(R)の画素部(青色の色層部)は、青色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Blue)を備えている。斯かる単層型の光変換層6の一例を図16に示す。
すなわち、光変換層6は、青色LEDなどの450nm近傍に主ピークを持つ光を光源として使用する場合、青色LEDが発する青色光を青色として利用することができる。そのため、光源部からの光が青色光である場合には、前記各色の光変換画素層(NC−Red、NC−Green、NC−Blue)のうち、光変換画素層(NC−Blue)を省略し、青色はバックライト光をそのまま使用してもよい。この場合、青色を表示する色層は透明樹脂や青色の色材を含む色材層(いわゆる青色カラーフィルタ)などによって構成することができる。よって、図3及び図16では、青色発光用ナノ結晶が任意成分となりうることから、青色発光用ナノ結晶を一点破線で表示している。
また、特に好ましい実施形態として、光変換層6における赤色の色層に光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCを含有し、かつ緑色の色層に光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCを含有する例を記載しているがこれに限定されることはない。
本発明に係る発光用ナノ結晶NCは、光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶NC、光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCおよび光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される少なくとも1種で表されることが好ましく、光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶NC、光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶NCおよび光源部が発する光(例えば青色光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶NCからなる群から選択される2種の発光用ナノ結晶NCで表されることがより好ましい。本発明に係る光変換層は、赤色発光用ナノ結晶を含む層(NC−Red)と、緑色発光用ナノ結晶を含む層(NC−Green)と、を含むことが特に好ましい。
図3で示す本発明の液晶表示素子では、各色層の間の混色を防ぐ目的でブラックマトリックスを設けてもよい。また、図3において、使用する光源の種類(発光素子として青色LED)に応じて、光変換層6と第二の偏光層8との間に、青色の色材を含む色層(いわゆる「青色カラーフィルタ」)をそれらの間に一面に設けることが、外部からの不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。斯かる青色カラーフィルタを配した構造を図15に示す。
図3に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の偏光層8との間、或いは、第二の偏光層8と光変換層6との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。また、図3において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の基2上に形成されていることが好ましい。
次に、図4の実施態様は、光変換層6が対向基板(O−SUB)に設けられ、かつ、該光変換層6が、一対の基板(第一の基板2及び第二の基板7)の外側に設けられた形態である。そのため、第二の偏光層8および光変換層6を支持する支持基板9が設けられている。当該支持基板9は、透明基板であることが好ましい。
図4における光変換層6は、図3の実施形態と同様に、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)を備え、緑色(R)の画素部(緑色の色層部)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)を備え、当該青色(R)の画素部(青色の色層部)は、青色発光用ナノ結晶を必要により含む光変換画素層(NC−Blue)を備えている。また、図4における光変換層8における赤色(R)の画素部、緑色(G)の画素部および青色(B)の画素部の好ましい形態は、図3で示した実施形態と同一であるためここでは省略する。
図4に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の偏光層8との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。また、図4において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。
次に、図5の実施態様は、光変換層6が対向基板側O−SUBに設けられ、該光変換層6及び第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2及び第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備える形態であって、かつ、該光変換層6を構成する赤色及び緑色の各色層部において、赤色の色層部が、赤色発光用ナノ結晶を含有する光変換画素層(NC−Red)と、赤色の色材を含む色材層(いわゆる赤色カラーフィルタ)(CF‐Red)とが積層された2層構造を有し、緑色の色層部が、緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶を含有する光変換画素層(NC−Green)と、緑色の色材を含む色材層(いわゆる緑色カラーフィルタ)(CF‐Green)とが積層された2層構造を有するものである。
即ち、斯かる色層の2層構造は、入射光(光源からの光、好ましくは青色光)の全てをナノ結晶を含有する光変換画素層で変換できない場合に、残った励起光を透過させず吸収する目的でカラーフィルタ(CFL)や各色の色材層を積層させるものである。
図5によれば、本発明に係る液晶表示素子の液晶パネル部において、第二の偏光層8および赤色の色層と緑色の色層と青色の色層を有する光変換層6は、バックライトユニット(光源)側の基板A−SUBと対向する基板側O−SUBに設けられている。また、図5では第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備える形態である。図5における実施形態は、図3の光変換層6が二層に積層された形態である。より詳細には、光変換層6は、赤色の色層部と緑色の色層部と青色の色層部とを有し、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)と赤色の色材を含む色材層(CF‐Red)との二層構造として構成される。緑色(R)の画素部(緑色の色層部)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)と緑色の色材を含む色材層(CF‐Green)との二層構造として構成される。この場合、図5では、緑色の色層部は、励起光の透過を考慮して色補正を行うために、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)と黄色の色材を含む色材層(CF‐Yellow)との組み合わせでもよい。青色(R)の画素部(青色の色層部)は、青色発光用ナノ結晶を必要により含む色層(NC−Blue)で構成される。
図5における光変換層6における赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)および青色発光用ナノ結晶を必要により含む色層(NC−Blue)の好ましい形態は、図3で示した実施形態と同一であるためここでは省略する。なお、図5でも、赤色の色層部と緑色の色層部と青色の色層部はそれぞれ接しているように示されているが、混色を防止するために、それぞれの間に遮光層としてブラックマトリックスを配置してもよい。
また、使用する発光素子として青色LEDなど使用する場合には、図5の光変換層6と第二の偏光層8との間に、青色の色材を含む色材層(いわゆる青色カラーフィルタ)をそれらの間に一面に設けることが外部からの不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。斯かる2層構造の光変換層6と青色カラーフィルタとを必須の構成要素とする層構造は、例えば図16で示される構造が挙げられる。
図5に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向する基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の偏光層8との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。また、図5において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。
次に、図6の実施形態は、第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備えた形態であり、発光用ナノ結晶を含む層とカラーフィルタとが積層された二層の光変換層6を持つものである。具体的には、光変換層6は、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)が、発光用ナノ結晶を含む層(NCL)と赤色の色材を含む色材層との二層構造で構成され、緑色(R)の画素部(緑色の色層部)が、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と緑色の色材を含む色材層との二層構造で構成され、かつ、青色(R)の画素部(青色の色層部)は、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と青色の色材を含む色材層との二層構造で構成されている。
この場合、発光用ナノ結晶NCを含む層における発光用ナノ結晶は、入射光(光源からの光、好ましくは青色光)を吸収して青色光を発する青色発光用ナノ結晶、入射光(光源からの光、好ましくは青色光)を吸収して緑色光を発する緑色発光用ナノ結晶および入射光(光源からの光、好ましくは青色光)を吸収して赤色光を発する赤色発光用ナノ結晶からなる群から選択される1種または2種を含むことが好ましい。なお、本実施形態においても各色層の間の混色を防ぐ目的でブラックマトリックスを設けてもよい。
また、図6の実施形態では、青色または黄色カラーフィルタを光変換層6の液晶層側に隣接するように一面に設けることが不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。斯かる青色または黄色カラーフィルタを配設した構造は図9で示すことができる。
図6又は図7に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の偏光層8との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の表示基板SUB1上に形成されていることが好ましい。また、図6において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の表示基板SUB1上に形成されていることが好ましい。
以上詳述した図3〜7に示す実施形態では、短波長の可視光線や紫外光といった高エネルギー光線の光源を用いた光を、光スイッチとして機能する液晶層および偏光層を介して、光変換層に含まれる発光用ナノ結晶が吸収し、当該吸収した光を当該発光用ナノ結晶により特定の波長の光に変換して発光することにより色を表示する。
次に、図8の実施形態は、光変換層6がアレイ基板側(A−SUB)側に設けられ、また、第二の偏光層8が、第二の基板7の外側に設けられ、さらに、第一の偏光層1が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備える、カラーフィルタオンアレイ型の液晶パネルである。
図8に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向する基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の基板7との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。
例えば、第一の基板2と光変換層6との間、第一の偏光層1と光変換層6との間または第一の偏光層1と液晶層5との間に画素電極3が形成されていることが好ましい。
また、図8において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上、例えば、第一の基板2と光変換層6との間、第一の偏光層1と光変換層6との間または第一の偏光層1と液晶層5との間に形成されていることが好ましい。また、光変換層6と第一の基板2との間には、青色カラーフィルタをそれらの間に一面に設けることが不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。また、入射光が青色光である場合には、青色を表示する色層は青色発光用ナノ結晶を用いなくともよく、この場合、透明樹脂や青色の色材を含む色層(いわゆる青色カラーフィルタ)などによって構成することができる。
図9に示す実施形態は、光変換層6がバックライトユニット(光源)側のアレイ基板(A−SUB)側に設けられ、かつ、第一の偏光層1および第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間の外側に設けられた形態である。そのため、第一の偏光層1および光変換層6を支持する支持基板9が第一の基板2より光源部(バックライトユニット)側に設けられている。
図9に示す実施形態をVA型液晶表示素子に適用する場合、対向する基板側O−SUBにおいて、液晶5と第二の基板7との間に電極層3’(共通電極)を設け、かつ、電極層3(画素電極)が第一の基板2上に形成されていることが好ましい。例えば、第一の基板2と液晶層5との間に共通電極3’が形成されていることが好ましい。また、図9において液晶表示素子がFFS型またはIPS型である場合には、画素電極および共通電極が第一の基板2上、例えば、第一の基板2と液晶層5との間に画素電極および共通電極が形成されていることが好ましい。また、光変換層6と支持基板9との間には、青色カラーフィルタをそれらの間に一面に設けることが不要光の侵入を防ぎ、画質低下を抑制できる点から好ましい。また、入射光が青色光である場合には、青色を表示する色層は青色発光用ナノ結晶を用いなくともよく、この場合、透明樹脂や青色の色材を含む色材層(いわゆる青色カラーフィルタ)などによって構成することができる。
以上詳述した通り、図8〜9に示す実施形態では、短波長の可視光線や紫外光といった高エネルギー光線の光源を用いた光のうち、光変換層に含まれる発光用ナノ結晶で吸収されなかった光、特に青色の色層部を通過した光が光スイッチとして機能する液晶層を介して、色を表示するものである。
以上の図3〜図9の各実施態様の中でも、特に、図3〜図7で示される、光変換層6を、バックライトユニット(光源)側の基板A−SUBと対向する基板側O−SUB側に設けられた構造のものが、高エネルギー光線の照射による液晶層の劣化を抑制または防止できる、という本発明の効果が顕著に現れるものとなる点から好ましい。
上述した通り、図3〜9の模式図を用いて、本発明の好ましい液晶表示素子(特に液晶パネル)における、偏光層、光変換層および液晶層の位置関係を説明した。
「光変換層」
次に、本発明における光変換層につき更に詳述すれば、その画素部の構成要素は、発光用ナノ結晶を必須成分として含み、樹脂成分、その他必要により当該発光用ナノ結晶に対して親和性のある分子、公知の添加剤、その他色材を含有してもよいものである。また、前記した通り、各画素層の境界部分にはブラックマトリックスを有することがコントラストの点から好ましい。
(発光用ナノ結晶)
本発明に係る光変換層は、発光用ナノ結晶を含有する。本明細書における用語「ナノ結晶」は、好ましくは、100nm以下の少なくとも1つの長さを有する、粒子を指す。ナノ結晶の形状は、任意の幾何学的形状を有してもよく、対称または不対称であってよい。当該ナノ結晶の形状の具体例としては、細長、ロッド状の形状、円形(球状)、楕円形、角錐の形状、ディスク状、枝状、網状または任意の不規則な形状等を含む。一部の実施形態では、ナノ結晶は、量子ドットまたは量子ロッドであることが好ましい。
当該発光用ナノ結晶は、少なくとも1種の第一の半導体材料を含むコアと、前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一または異なる第二の半導体材料を含むシェルとを有することが好ましい。
そのため、発光用ナノ結晶は、少なくとも第一半導体材料を含むコアと、第二半導体材料を含むシェルからなり、前記第一半導体材料と、前記第二半導体材料とは同じでも異なっていても良い。また、コアおよび/またはシェル共に第一半導体および/または第二半導体以外の第三の半導体材料を含んでも良い。なお、ここでいうコアを被覆とは、コアの少なくとも一部を被覆していればよい。
さらに、当該発光用ナノ結晶は、少なくとも1種の第一の半導体材料を含むコアと、前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一または異なる第二の半導体材料を含む第一のシェルと、必要により、前記第一のシェルを被覆し、かつ前記第一のシェルと同一または異なる第三の半導体材料を含む第二のシェルと、を有することが好ましい。
したがって、本発明に係る発光用ナノ結晶は、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと同一の第二の半導体材料を含むシェルを有する形態、すなわち1種類又は2種以上の半導体材料から構成される態様(=コアのみの構造(コア構造とも称する))と、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと異なる第二の半導体材料を含むシェルを有する形態等の、すなわちコア/シェル構造と、第一の半導体材料を含むコアおよび前記コアを被覆し、かつ前記コアと異なる第二の半導体材料を含む第一のシェルと、前記第一のシェルを被覆し、かつ前記第一のシェルと異なる第三の半導体材料を含む第二のシェルを有する形態の、すなわちコア/シェル/シェル構造との3つの構造のうち少なくとも一つを有することが好ましい。
また、本発明に係る発光用ナノ結晶は、上記の通り、コア構造、コア/シェル構造、コア/シェル/シェル構造の3つの形態を含むことが好ましく、この場合、コアは2種以上の半導体材料を含む混晶であってもよい(例えば、CdSe+CdS、CIS+ZnS等)。またさらに、シェルも同様に2種以上の半導体材料を含む混晶であってもよい。
本発明に係る光変換層において、発光用ナノ結晶は、当該発光用ナノ結晶に対して親和性のある分子が発光用ナノ結晶と接触していてもよい。
上記親和性のある分子とは、発光用ナノ結晶に対して親和性のある官能基を有する低分子および高分子であり、親和性のある官能基としては特に限定されるものでは無いが、窒素、酸素、硫黄およびリンからなる群から選択される1種の元素を含む基である事が好ましい。例えば、有機系硫黄基、有機系リン酸基ピロリドン基、ピリジン基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、カルボニル基、および水酸基等を挙げる事が出来る。
本発明に係る半導体材料は、II−VI族半導体、III−V族半導体、I−III−VI族半導体、IV族半導体及びI−II−IV−VI族半導体からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。本発明に係る第一の半導体材料、第一の半導体材料および第三の半導体材料の好ましい例は、上記の半導体材料と同様である。
本発明に係る半導体材料は、具体的には、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、CdHgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe;GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSb、GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InNP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSb、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSb;SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe;Si、Ge、SiC、SiGe、AgInSe2、CuGaSe2、CuInS2、CuGaS2、CuInSe2、AgInS2、AgGaSe2、AgGaS2、C、SiおよびGeからなる群から選択される少なくとも1つ以上選ばれ、これらの化合物半導体は単独で使用されても、または2つ以上が混合されていても良く、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、InP、InAs、InSb、GaP、GaAs、GaSb、AgInS2、AgInSe2、AgInTe2、AgGaS2、AgGaSe2、AgGaTe2、CuInS2、CuInSe2、CuInTe2、CuGaS2、CuGaSe2、CuGaTe2、Si、C、GeおよびCu2ZnSnS4からなる群から選択される少なくとも1つ以上選ばれることがより好ましく、これらの化合物半導体は単独で使用されても、または2つ以上が混合されていても良い。
本発明に係る発光用ナノ結晶は、赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶、緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶および青色光を発光する青色発光用ナノ結晶からなる群から選択される少なくとも1種のナノ結晶を含むことが好ましい。一般に、発光用ナノ結晶の発光色は、井戸型ポテンシャルモデルのシュレディンガー波動方程式の解によれば粒子径に依存するが、発光用ナノ結晶が有するエネルギーギャップにも依存するため、使用する発光用ナノ結晶とその粒子径を調整することにより、発光色を選択する。
本発明において赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの波長ピークの上限は、665nm、663nm、660nm、658nm、655nm、653nm、651nm、650nm、647nm、645nm、643nm、640nm、637nm、635nm、632nmまたは630nmであることが好ましく、前記波長ピークの下限は、628nm、625nm、623nm、620nm、615nm、610nm、607nmまたは605nmであることが好ましい。
本発明において緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの波長ピークの上限は、560nm、557nm、555nm、550nm、547nm、545nm、543nm、540nm、537nm、535nm、532nmまたは530nmであることが好ましく、前記波長ピークの下限は、528nm、525nm、523nm、520nm、515nm、510nm、507nm、505nm、503nmまたは500nmであることが好ましい。
本発明において青色光を発光する青色発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの波長ピークの上限は、480nm、477nm、475nm、470nm、467nm、465nm、463nm、460nm、457nm、455nm、452nmまたは450nmであることが好ましく、前記波長ピークの下限は、450nm、445nm、440nm、435nm、430nm、428nm、425nm、422nmまたは420nmであることが好ましい。
本発明において赤色光を発光する赤色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が635nm±30nmの範囲に入っている事が望ましい。同じく、緑色光を発光する緑色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が530nm±30nmの範囲に入っている事が望ましく、青色光を発光する青色発光用ナノ結晶に使用される半導体材料は、発光のピーク波長が450nm±30nmの範囲に入っている事が望ましい。
本発明に係る発光用ナノ結晶の蛍光量子収率の下限値は、40%以上、30%以上、20%以上、10%以上の順で好ましい。
本発明に係る発光用ナノ結晶の蛍光スペクトルの半値幅の上限値は、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下の順で好ましい。
本発明に係る赤色発光用ナノ結晶の粒子径(1次粒子)の上限値は、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下の順で好ましい。
本発明に係る赤色発光用ナノ結晶のピーク波長の上限値は665nm、下限値は605nmであり、このピーク波長に合う様に化合物およびその粒径を選択する。同じく、緑色発光用ナノ結晶のピーク波長の上限値は560nm、下限値は500nm、青色発光用ナノ結晶のピーク波長の上限値は420nm、下限値は480nmであり、それぞれこのピーク波長に合う様に化合物およびその粒径を選択する。
本発明に係る液晶表示素子は、少なくとも1つの画素を備える。当該画素を構成する色は、近接する3つの画素により得られ、各画素は、赤色(例えば、CdSeの発光用ナノ結晶、CdSeのロッド状発光用ナノ結晶、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がCdSe、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がZnSe、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がCdSe、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がCdSであって内側のコア部がZnSe、CdSeとZnSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶、InPの発光用ナノ結晶、InPの発光用ナノ結晶、InPのロッド状発光用ナノ結晶、CdSeとCdSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとCdSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶、ZnSeとCdSとの混晶の発光用ナノ結晶、ZnSeとCdSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶など)、緑色(CdSeの発光用ナノ結晶、CdSeのロッド状の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶の発光用ナノ結晶、CdSeとZnSとの混晶のロッド状発光用ナノ結晶など)および青色(ZnSeの発光用ナノ結晶、ZnSeのロッド状発光用ナノ結晶、ZnSの発光用ナノ結晶、ZnSのロッド状発光用ナノ結晶、コアシェル構造を備えた発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がZnSeであって内側のコア部がZnS、コアシェル構造を備えたロッド状発光用ナノ結晶であり、当該シェル部分がZnSeであって内側のコア部がZnS、CdSの発光用ナノ結晶、CdSのロッド状発光用ナノ結晶)で発光する異なるナノ結晶を含む。他の色(例えば、黄色)についても、必要に応じて光変換層に含有してもよく、さらには近接する4画素以上の異なる色を使用してもよい。
本明細書における本発明に係る発光用ナノ結晶の平均粒子径(1次粒子)はTEM観察によって測定できる。一般的に、ナノ結晶の平均粒子径の測定方法としては、光散乱法、溶媒を用いた沈降式粒度測定法、電子顕微鏡により粒子を直接観察して平均粒子径を実測する方法が挙げられる。発光用ナノ結晶は水分などにより劣化しやすいため、本発明では、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)により任意の複数個の結晶を直接観察し、投影二次元映像よる長短径比からそれぞれの粒子径を算出し、その平均を求める方法が好適である。そのため、本発明では上記方法を適用して平均粒子径を算出している。発光用ナノ結晶の1次粒子とは、構成する数〜数十nmの大きさの単結晶またはそれに近い結晶子のことであり、発光用ナノ結晶の一次粒子の大きさや形は、当該一次粒子の化学組成、構造、製造方法や製造条件などによって依存すると考えられる。
本発明に係る光変換層において、発光用ナノ結晶は、分散安定性の観点から、その表面に有機リガンドを有することが好ましい。有機リガンドは、例えば、発光用ナノ結晶の表面に配位結合されていてよい。換言すれば、発光用ナノ結晶の表面は、有機リガンドによってパッシベーションされていてよい。また、発光用ナノ結晶は、その表面に高分子分散剤を有していてもよい。一実施形態では、例えば、上述の有機リガンドを有する発光用ナノ結晶から有機リガンドを除去し、有機リガンドと高分子分散剤とを交換することで発光用ナノ結晶の表面に高分子分散剤を結合させてよい。ただし、インクジェットインクにした際の分散安定性の観点では、有機リガンドが配位したままの発光用ナノ結晶に対して高分子分散剤が配合されることが好ましい。
有機リガンドとしては、発光用ナノ結晶粒子に対して親和性のある官能基を有する低分子および高分子であり、親和性のある官能基としては特に限定されるものでは無いが、窒素、酸素、硫黄およびリンからなる群から選択される1種の元素を含む基である事が好ましい。例えば、有機系硫黄基、有機系リン酸基ピロリドン基、ピリジン基、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、カルボニル基、および水酸基等を挙げることができる。例えば、TOP(トリオクチルフォスフィン)、TOPO(トリオクチルフォスフィンオキサイド)、オレイン酸、オレイルアミン、オクチルアミン、トリオクチルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタンチオール、ドデカンチオール、ヘキシルホスホン酸(HPA)、テトラデシルホスホン酸(TDPA)、及びオクチルホスフィン酸(OPA)が挙げられる。
その他の有機リガンドとしては、発光性ナノ結晶粒子の分散性及び発光強度がより一層優れたものになるという観点から、親和性基としてエチレンオキシド鎖及び/又はプロピレンオキシド鎖を有する脂肪族炭化水素を有することが好ましい。
上記好ましい有機リガンドは、例えば、下記一般式(1)で表される有機リガンドであってもよい。
[式(1)中、pは0〜50の整数を示し、qは0〜50の整数を示す。]
上記一般式(1)で表される有機リガンドにおいて、p及びqのうち少なくとも一方が1以上であることが好ましく、p及びqの両方が1以上であることがより好ましい。
発光用ナノ結晶としては、有機溶剤の中にコロイド形態で分散しているものを用いることができる。有機溶剤中で分散状態にある発光用ナノ結晶の表面は、上述の有機リガンドによってパッシベーションされていることが好ましい。有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン、クロロホルム、トルエン、オクタン、クロロベンゼン、テトラリン、ジフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、又はそれらの混合物が挙げられる。
本発明に係る光変換層(または当該光変換層の調製用インク組成物)は、高分子分散剤を含有させることが好ましい。高分子分散剤は、光散乱性粒子をインク中に均一分散させることができる。
本発明における光変換層は、上記で示した発光用ナノ結晶粒子に加え、該発光用ナノ結晶粒子を適度に分散安定化させる高分子分散剤を含むことが好ましい。
本発明において、高分子分散剤は、750以上の重量平均分子量を有し、かつ、光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基を有する高分子化合物であり、光散乱性粒子を分散させる機能を有する。高分子分散剤は、光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基を介して高分子分散剤が光散乱性粒子に吸着し、高分子分散剤同士の静電反発及び/又は立体反発により、光散乱性粒子がインク組成物中に分散される。高分子分散剤は、光散乱性粒子の表面と結合して光散乱性粒子に吸着していることが好ましいが、発光用ナノ結晶の表面に結合して発光性ナノ粒子に吸着していてもよく、インク組成物中に遊離していてもよい。
光散乱性粒子に対し親和性を有する官能基としては、酸性官能基、塩基性官能基及び非イオン性官能基が挙げられる。酸性官能基は解離性のプロトンを有しており、アミン、水酸化物イオン等の塩基により中和されていてもよく、塩基性官能基は有機酸、無機酸等の酸により中和されていてもよい。
酸性官能基としては、カルボキシル基(−COOH)、スルホ基(−SO3H)、硫酸基(−OSO3H)、ホスホン酸基(−PO(OH)3)、リン酸基(−OPO(OH)3)、ホスフィン酸基(−PO(OH)−)、メルカプト基(−SH)、が挙げられる。
塩基性官能基としては、一級、二級及び三級アミノ基、アンモニウム基、イミノ基、並びに、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、トリアゾール等の含窒素ヘテロ環基等が挙げられる。
非イオン性官能基としては、ヒドロキシ基、エーテル基、チオエーテル基、スルフィニル基(−SO−)、スルホニル基(−SO2−)、カルボニル基、ホルミル基、エステル基、炭酸エステル基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、チオアミド基、チオウレイド基、スルファモイル基、シアノ基、アルケニル基、アルキニル基、ホスフィンオキシド基、ホスフィンスルフィド基が挙げられる。
光散乱性粒子の分散安定性の観点、発光用ナノ結晶が沈降するという副作用を起こしにくい観点、高分子分散剤の合成の容易性の観点、及び官能基の安定性の観点から、酸性官能基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基及びリン酸基が好ましく用いられ、塩基性官能基としては、アミノ基が好ましく用いられる。これらの中でも、カルボキシル基、ホスホン酸基及びアミノ基がより好ましく用いられ、最も好ましくはアミノ基が用いられる。
酸性官能基を有する高分子分散剤は酸価を有する。酸性官能基を有する高分子分散剤の酸価は、好ましくは、固形分換算で、1〜150mgKOH/gである。酸価が1以上であると、光散乱性粒子の充分な分散性が得られやすく、酸価が150以下であると、画素部(インク組成物の硬化物)の保存安定性が低下しにくい。
また、塩基性官能基を有する高分子分散剤はアミン価を有する。塩基性官能基を有する高分子分散剤のアミン価は、好ましくは、固形分換算で、1〜200mgKOH/gである。アミン価が1以上であると、光散乱性粒子の充分な分散性が得られやすく、アミン価が200以下であると、画素部(インク組成物の硬化物)の保存安定性が低下しにくい。
高分子分散剤は、単一のモノマーの重合体(ホモポリマー)であってよく、複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であってもよい。また、高分子分散剤は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、高分子分散剤がグラフト共重合体である場合、くし形のグラフト共重合体であってよく、星形のグラフト共重合体であってもよい。高分子分散剤は、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレア樹脂、アミノ樹脂、ポリエチレンイミン及びポリアリルアミン等のポリアミン、エポキシ樹脂、ポリイミドなどであってよい。
前記高分子分散剤として、市販品を使用することも可能であり、市販品としては、味の素ファインテクノ株式会社のアジスパーPBシリーズ、BYK社製のDISPERBYKシリーズ並びにBYK−シリーズ、BASF社製のEfkaシリーズ等を使用することができる。
本発明に係る光変換層(または当該光変換層の調製用インク組成物)は、硬化物中においてバインダーとして機能する樹脂成分を含むことが好ましい。本発明に係る樹脂成分は、硬化性樹脂が好ましく、当該硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂またはUV硬化性樹脂が好ましい。
当該熱硬化性樹脂としては、硬化性基を有し、当該硬化性基としては、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、メチロール基等が挙げられ、インク組成物の硬化物の耐熱性及び保存安定性に優れる観点、及び、遮光部(例えばブラックマトリックス)及び基材への密着性に優れる観点から、エポキシ基が好ましい。熱硬化性樹脂は、1種の硬化性基を有していてもよく、二種以上の硬化性基を有していてもよい。
熱硬化性樹脂は、単一のモノマーの重合体(ホモポリマー)であってよく、複数種のモノマーの共重合体(コポリマー)であってもよい。また、熱硬化性樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。
熱硬化性樹脂としては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物が用いられ、通常、硬化剤と組み合わせて用いられる。熱硬化性樹脂を用いる場合、熱硬化反応を促進できる触媒(硬化促進剤)を更に添加してもよい。言い換えれば、インク組成物は、熱硬化性樹脂(並びに、必要に応じて用いられる硬化剤及び硬化促進剤)を含む熱硬化性成分を含有していてよい。また、これらに加えて、それ自体は重合反応性のない重合体を更に用いてもよい。
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、例えば、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(以下、「多官能エポキシ樹脂」ともいう。)を用いてよい。「エポキシ樹脂」には、モノマー性エポキシ樹脂及びポリマー性エポキシ樹脂の両方が含まれる。多官能性エポキシ樹脂が1分子中に有するエポキシ基の数は、好ましくは2〜50個であり、より好ましくは2〜20個である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等であってよい。エポキシ樹脂としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ樹脂を挙げることができる。このようなエポキシ樹脂は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
熱硬化性樹脂として、比較的分子量が小さい多官能エポキシ樹脂を用いると、インク組成物(インクジェットインク)中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が高濃度となり、架橋密度を高めることができる。
熱硬化性樹脂を硬化させるために用いられる硬化剤及び硬化促進剤としては、上記した有機溶剤に溶解又は分散し得る公知慣用のものをいずれも用いることができる。
熱硬化性樹脂は、信頼性に優れるカラーフィルタ画素部が得られやすい観点から、アルカリ不溶性であってよい。熱硬化性樹脂がアルカリ不溶性であるとは、1質量%の水酸化カリウム水溶液に対する25℃における熱硬化性樹脂の溶解量が、熱硬化性樹脂の全質量を基準として、30質量%以下であることを意味する。熱硬化性樹脂の上記溶解量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
熱硬化性樹脂の重量平均分子量は、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすい観点、インク組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(インク組成物の硬化物)の耐溶剤性及び磨耗性が向上する観点から、750以上であってよく、1000以上であってもよく、2000以上であってよい。インクジェットインクとしての適正な粘度とする観点から、500000以下であってよく、300000以下であってもよく、200000以下であってもよい。ただし、架橋後の分子量に関してはこの限りでない。
熱硬化性樹脂の含有量は、インクジェットインクとして適正な粘度が得られやすい観点、インク組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(インク組成物の硬化物)の耐溶剤性及び磨耗性が向上する観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、10質量%以上であってよく、15質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。熱硬化性樹脂の含有量は、画素部の厚さが光変換機能に対して厚くなりすぎない観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよい。
上記UV硬化性樹脂は、光の照射によって重合する、光ラジカル重合性化合物又は光カチオン重合性化合物を重合した樹脂であることが好ましく、光重合性のモノマー又はオリゴマーであってよい。これらは、光重合開始剤と共に用いられる。光ラジカル重合性化合物は光ラジカル重合開始剤と共に用いられ、光カチオン重合性化合物は光カチオン重合開始剤と共に用いられることが好ましい。言い換えれば、本発明に係る光変換層用のインク組成物は、光重合性化合物及び光重合開始剤を含む光重合性成分を含有していてよく、光ラジカル重合性化合物及び光ラジカル重合開始剤を含む光ラジカル重合性成分を含有していてもよく、光カチオン重合性化合物及び光カチオン重合開始剤を含む光カチオン重合性成分を含有していてもよい。光ラジカル重合性化合物と光カチオン重合性化合物とを併用してもよく、光ラジカル重合性と光カチオン重合性を具備した化合物を用いてもよく、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤とを併用してもよい。光重合性化合物は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
上記光ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。(メタ)アクリレート化合物は、(メタ)アクリロイル基を一つ有する単官能(メタ)アクリレートであってよく、(メタ)アクリロイル基を複数有する多官能(メタ)アクリレートであってもよい。カラーフィルタ製造時における硬化収縮に起因する平滑性の低下を抑制し得る観点から、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートとを組み合わせて用いることが好ましい。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリロイル」との表現についても同様である。
光カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
また、本実施形態における光重合性化合物として、特開2013−182215号公報の段落0042〜0049に記載の光重合性化合物を用いることもできる。
本発明に係る光変換層用のインク組成物において、硬化可能成分を、光重合性化合物のみ又はそれを主成分として構成する場合には、上記したような光重合性化合物としては、重合性官能基を一分子中に2以上有する2官能以上の多官能の光重合性化合物を必須成分として用いることが、硬化物の耐久性(強度、耐熱性等)をより高めることができることからより好ましい。
光重合性化合物は、信頼性に優れるカラーフィルタ画素部が得られやすい観点から、アルカリ不溶性であってよい。本明細書中、光重合性化合物がアルカリ不溶性であるとは、1質量%の水酸化カリウム水溶液に対する25℃における光重合性化合物の溶解量が、光重合性化合物の全質量を基準として、30質量%以下であることを意味する。光重合性化合物の上記溶解量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
光重合性化合物の含有量は、インク組成物の硬化性が良好となる観点、並びに、画素部(インク組成物の硬化物)の耐溶剤性及び磨耗性が向上する観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、10質量%以上であってもよく、15質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。光重合性化合物の含有量は、より優れた光学特性(漏れ光)が得られる観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよい。
光重合性化合物は、画素部(インク組成物の硬化物)の安定性に優れる(例えば、経時劣化を抑制でき、高温保存安定性及び湿熱保存安定性に優れる)観点から、架橋性基を有していてもよい。架橋性基は、熱又は活性エネルギー線(例えば、紫外線)により他の架橋性基と反応する官能基であり、例えば、エポキシ基、オキセタン基、ビニル基、アクリロイル基、アクリロイルオキシ基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、分子開裂型又は水素引き抜き型の光ラジカル重合開始剤が好適である。
光重合開始剤の含有量は、インク組成物の硬化性の観点から、光重合性化合物100質量部に対して、0.1質量部以上であってよく、0.5質量部以上であってもよく、1質量部以上であってもよい。光重合開始剤の含有量は、画素部(インク組成物の硬化物)の経時安定性の観点から、光重合性化合物100質量部に対して、40質量部以下であってよく、30質量部以下であってもよく、20質量部以下であってもよい。
また、これらのUV硬化樹脂と共に、一部熱可塑性樹脂を併用してもよく、該熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
また、本発明に係る光変換層の調製用インク組成物は、公知の有機溶剤を使用してもよく、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、1,4−ブタン時オールジアセテート、グリセリルトリアセテートなどが挙げられる。
さらに、本発明に係る光変換層(または当該光変換層の調製用インク組成物)において、上記硬化性樹脂、上記高分子分散剤、上記発光用ナノ結晶粒子の他に、光散乱性粒子といった公知の添加剤を含んでもよい。
発光用ナノ結晶を用いたインク組成物によりカラーフィルタ画素部(以下、単に「画素部」ともいう。)を形成した場合、光源からの光が発光用ナノ結晶に吸収されずに画素部から漏れることがある。このような漏れ光は、画素部の色再現性を低下させるため、光変換層として上記画素部を用いる場合には、その漏れ光を可能な限り低減することが好ましい。上記光散乱性粒子は、画素部の漏れ光を防止するために、好適には用いられる。光散乱性粒子は、例えば、光学的に不活性な無機微粒子である。光散乱性粒子は、カラーフィルタ画素部に照射された光源からの光を散乱させることができる。
光散乱性粒子を構成する材料としては、例えば、タングステン、ジルコニウム、チタン、白金、ビスマス、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、プラチナ、金等の単体金属;シリカ、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、アルミナホワイト、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、次炭酸ビスマス、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩;水酸化アルミニウム等の金属水酸化物;ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の複合酸化物、次硝酸ビスマス等の金属塩などが挙げられる。光散乱性粒子は、漏れ光の低減効果により優れる観点から、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、酸化チタン、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも一種を含むことがより好ましい。
光散乱性粒子の形状は、球状、フィラメント状、不定形状等であってよい。しかしながら、光散乱性粒子としては、粒子形状として方向性の少ない粒子(例えば、球状、正四面体状等の粒子)を用いることが、インク組成物の均一性、流動性及び光散乱性をより高められる点で好ましい。
インク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、漏れ光の低減効果により優れる観点から、0.05μm以上であってよく、0.2μm以上であってもよく、0.3μm以上であってもよい。インク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、吐出安定性に優れる観点から、1.0μm以下であってもよく、0.6μm以下であってもよく、0.4μm以下であってもよい。インク組成物中での光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、0.05〜1.0μm、0.05〜0.6μm、0.05〜0.4μm、0.2〜1.0μm、0.2〜0.6μm、0.2〜0.4μm、0.3〜1.0μm、0.3〜0.6μm、又は0.3〜0.4μmであってもよい。このような平均粒子径(体積平均径)が得られやすい観点から、使用する光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、50nm以上であってよく、1000nm以下であってよい。光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計により測定し、体積平均径を算出することにより得られる。また、使用する光散乱性粒子の平均粒子径(体積平均径)は、例えば透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により各粒子の粒子径を測定し、体積平均径を算出することにより得られる。
光散乱性粒子の含有量は、漏れ光の低減効果により優れる観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、0.1質量%以上であってよく、1質量%以上であってもよく、5質量%以上であってもよく、7質量%以上であってもよく、10質量%以上であってもよく、12質量%以上であってもよい。光散乱性粒子の含有量は、漏れ光の低減効果により優れる観点及び吐出安定性に優れる観点から、インク組成物の不揮発分の質量を基準として、60質量%以下であってよく、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよく、15質量%以下であってもよい。本実施形態では、インク組成物が高分子分散剤を含むため、光散乱性粒子の含有量を上記範囲とした場合であっても光散乱性粒子の良好に分散させることができる。
発光用ナノ結晶の含有量に対する光散乱性粒子の含有量の質量比(光散乱性粒子/発光用ナノ結晶)は、0.1〜5.0である。質量比(光散乱性粒子/発光用ナノ結晶)は、漏れ光の低減効果により優れる観点から、0.2以上であってもよく、0.5以上であってもよい。質量比(光散乱性粒子/発光用ナノ結晶)は、漏れ光の低減効果により優れる観点から、2.0以下であってもよく、1.5以下であってもよい。質量比(光散乱性粒子/発光用ナノ結晶)は、0.1〜2.0、0.1〜1.5、0.2〜5.0、0.2〜2.0、0.2〜1.5、0.5〜5.0、0.5〜2.0、又は0.5〜1.5であってもよい。なお、光散乱性粒子による漏れ光低減は、次のようなメカニズムによると考えられる。すなわち、光散乱性粒子が存在しない場合、バックライト光は画素部内をほぼ直進して通過するのみであり、発光用ナノ結晶に吸収される機会が少ないと考えられる。一方、光散乱性粒子を発光用ナノ結晶と同一の画素部内に存在させると、その画素部内でバックライト光が全方位に散乱され、それを発光用ナノ結晶が受光することができるため、同一のバックライトを用いていても、画素部における光吸収量が増大すると考えられる。結果的に、このようなメカニズムで漏れ光を防ぐことが可能になったと考えられる。
本発明における光変換層は、上記で示した発光用ナノ結晶に加え、製造工程に応じて該発光用ナノ結晶を適度分散安定化させる樹脂成分を含むことが好ましい。
斯かる樹脂成分は、該光変換層をフォトリソグラフィ法で製造される観点では、光重合性化合部物の重合体であって、かつ、アルカリ現像可能なものが好ましく、具体的には、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマーの重合体:トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマーの重合体、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーの重合体が挙げられる。
また、これらの重合体と共に、一部熱可塑性樹脂を併用してもよく、該熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
さらに、本発明に係る光変換層において、必要により、上記透明樹脂、上記発光用ナノ結晶の他に、重合開始剤、触媒、アルミナ、シリカ、酸化チタンビーズ、ゼオライトまたはジルコニアなどの散乱剤といった、公知の添加剤を含んでもよい。
(色材)
本発明に係る光変換層は、赤(R)、緑(G)、青(B)の三色画素部を備え、必要により色材を含んでもよく、当該色材としては、公知の色材を使用することができ、例えば、赤(R)の画素部中にジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を、緑(G)の画素部中にハロゲン化銅フタロシニアン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を、青(B)の画素部中にε型銅フタロシニアン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料を含有することが好ましい。
本発明に係る赤色の色層中に発光用ナノ結晶と共に任意に添加される好ましい色材は、ジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を含有するのが好ましい。ジケトピロロピロール顔料としては、具体的にはC.I.Pigment Red 254、同255、同264、同272、Orange 71及び同73から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Red 254、同255、同264及び同272から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、C.I.Pigment Red 254が特に好ましい。アニオン性赤色有機染料としては、具体的には、C.I.Solvent Red 124、Acid Red 52及び同289から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、C.I.Solvent Red 124が特に好ましい。
上記本発明に係る赤色の色層中には、色材として、更に、C.I.Pigment Red 177、同242、同166、同167、同179、C.I.Pigment Orange 38、同71、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、同139、C.I.Solvent Red 89、C.I.Solvent Orange 56、C.I.Solvent Yellow 21、同82、同83:1、同33、同162からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
本発明に係る緑色の色層中に発光用ナノ結晶と共に任意に添加される好ましい色材は、ハロゲン化金属フタロシアニン顔料、フタロシアニン系緑色染料及びフタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有するのが好ましい。上記ハロゲン化金属フタロシアニン顔料としては、次の2つの群のハロゲン化金属フタロシアニン顔料が挙げられる。
(第一群)
Al、Si、Sc、Ti、V、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、In、Sn及びPbからなる群から選ばれる金属を中心金属として有し、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料であり、その中心金属が三価の場合には、その中心金属には1つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基(−SO3H)のいずれかが結合しており、中心金属が四価金属の場合には、その中心金属には1つの酸素原子又は同一でも異なっていても良い2つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかが結合しているハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(第二群)
Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属とし、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合したハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これら構成単位の各中心金属が酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(−SO−)及びスルホニル(−SO2−)からなる群から選ばれる二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体からなる顔料。
本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料において、ベンゼン環に結合するハロゲン原子は、全て同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。また、ひとつのベンゼン環に異なるハロゲン原子が結合していてもよい。
ここで、フタロシアニン分子1個当たり8〜16個のハロゲン原子のうち9〜15個の臭素原子がフタロシアニン分子のベンゼン環に結合した、本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、黄味を帯びた明るい緑色を呈し、カラーフィルタの緑色画素部への使用に最適である。本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、水や有機溶媒に不溶または難溶である。本発明で用いるハロゲン化金属フタロシアニン顔料には、後述する仕上げ処理が行われていない顔料(粗顔料とも呼ばれる)も、仕上げ処理が行われた顔料も、いずれも包含される。
前記第一群および第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、下記一般式(PIG−1)で表すことが出来る。
第一群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、前記一般式(PIG−1)において、次の通りである。
一般式(PIG−1)において、X1〜X16は、水素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表す。ひとつのベンゼン環に結合した4個のXの原子は同一でも異なっていても良い。4個のベンゼン環に結合したX1〜X16のうち、8〜16個は塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。Mは中心金属を表す。後述するY及びそれの個数mが同一であるハロゲン化金属フタロシアニン顔料の範囲において、16個のX1〜X16のうち塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子の合計が8未満の顔料は青色であり、同様に16個のX1〜X16のうち塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子の合計が8以上の顔料で前記合計値が大きいほど黄味が強くなる。中心金属Mに結合するYはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のいずれかのハロゲン原子、酸素原子、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる一価原子団であり、mは中心金属Mに結合するYの数を表し、0〜2の整数である。
中心金属Mの原子価により、mの値が決定される。中心金属Mが、Al、Sc、Ga、Y、Inの様に原子価が3価の場合、m=1であり、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の一つが中心金属に結合する。中心金属Mが、Si、Ti、V、Ge、Zr、Snの様に原子価が4価の場合は、m=2であり、酸素の一つが中心金属に結合するか、またはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基及びスルホン酸基からなる群から選ばれる基の二つが中心金属に結合する。中心金属Mが、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Sn、Pbの様に原子価が2価の場合は、Yは存在しない。
また、第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、前記一般式(PIG−1)において次の通りである。
前記一般式(PIG−1)において、X1〜X16については、前記定義と同義であり、中心金属MはAl、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を表し、mは1を表す。Yは次の原子団を表す。
なお、原子団Yの化学構造中、中心金属Mは前記した定義と同義であり、X17〜X32については、一般式(PIG−1)において前記したX1〜X16の定義と同義である。Aは、酸素原子、硫黄原子、スルフィニル(−SO−)及びスルホニル(−SO2−)からなる群から選ばれる二価原子団を表す。一般式(PIG−1)中のMと原子団YのMとは、二価原子団Aを介して結合していることを表す。
即ち、第二群に属するハロゲン化金属フタロシアニン顔料は、ハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これらが前記二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体である。
一般式(PIG−1)で表わされるハロゲン化金属フタロシアニン顔料としては、具体的には、次の(1)〜(4)が挙げられる。
(1) ハロゲン化錫フタロシアニン顔料、ハロゲン化ニッケルフタロシアニン顔料、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の様な、Mg、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Sn及びPbからなる群から選ばれる二価金属を中心金属として有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。なお、この中で、塩素化臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は、C.I.Pigment Green 58であり、特に好ましい。
(2) ハロゲン化クロロアルミニウムフタロシアニンの様な、Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属として有し、中心金属には1つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかを有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(3) ハロゲン化オキシチタニウムフタロシアニン、ハロゲン化オキシバナジウムフタロシアニンの様な、Si、Ti、V、Ge、Zr及びSnからなる群から選ばれる四価金属を中心金属として有し、中心金属には1つの酸素原子又は同一でも異なっていても良い2つのハロゲン原子、水酸基又はスルホン酸基のいずれかを有し、かつフタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニン顔料。
(4) ハロゲン化されたμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体、ハロゲン化されたμ−チオ−アルミニウムフタロシアニン二量体の様な、Al、Sc、Ga、Y及びInからなる群から選ばれる三価金属を中心金属とし、フタロシアニン分子1個当たり4個のベンゼン環に8〜16個のハロゲン原子が結合したハロゲン化金属フタロシアニンの2分子を構成単位とし、これら構成単位の各中心金属が酸素原子、硫黄原子、スルフィニル及びスルホニルからなる群から選ばれる二価原子団を介して結合したハロゲン化金属フタロシアニン二量体からなる顔料。
その他の色材としては、緑色の色層中にC.I.Solvent Blue 67とC.I.Solvent Yellow 162との混合物、又はC.I.Pigment Green 7及び/又は同36を任意に含有するのが好ましい。
上記本発明に係る緑色の色層中には、色材として、更に、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、C.I.Solvent Yellow 21、同82、同83:1、同33からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
本発明に係る青色の色層中に発光用ナノ結晶と共に任意に添加される好ましい色材は、ε型銅フタロシニアン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料を含有するのが好ましい。ε型銅フタロシニアン顔料は、C.I.Pigment Blue 15:6である。カチオン性青色有機染料としては、具体的には、C.I.Solvent Blue 2、同3、同4、同5、同6、同7、同23、同43、同72、同124、C.I.Basic Blue7、同26が好ましく、C.I.Solvent Blue 7、Basic Blue7がより好ましく、C.I.Solvent Blue 7が特に好ましい。
上記本発明に係る青色の色層中には、色材として、更に、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Violet 23、C.I.Basic Blue 7、C.I.Basic Violet 10、C.I.Acid Blue 1、同90、同83、C.I.Direct Blue 86からなる群から選ばれる少なくとも1種の有機染顔料を含有するのが好ましい。
また、本発明に係る光変換層に、黄色(Y)画素部(黄色の色層)を含む場合、色材として、黄色の色層中には、に、C.I.Pigment Yellow 150、同215、同185、同138、同139、C.I.Solvent Yellow 21、82、同83:1、同33、同162からなる群から選ばれる少なくとも1種の黄色有機染顔料を含有するのも好ましい。
本発明における光変換層において、透明樹脂に対する発光用ナノ結晶の含有量の上限は、透明樹脂100質量部に対して、80質量部、70質量部、60質量部、50質量部が好ましく、前記発光用ナノ結晶の含有量の下限は、透明樹脂100質量部に対して、1.0質量部、3.0質量部、5.0質量部、10.0質量部が好ましい。光変換層に複数種の発光用ナノ結晶が含まれる場合において、上記含有量は合計量を表す。
(カラーフィルタ)
本発明に係る光変換層は、発光用ナノ結晶を含む層(NC)とカラーフィルタ(CF)とを積層させた積層体であることが好ましい(例えば、図19)。より詳細には、当該光変換層は、赤色の色層Rと、緑色の色層Gと、青色の色層Bと、を有することが好ましい。この場合、赤色(R)の画素部R(赤色の色層部R)は、赤色発光用ナノ結晶を含む層(NC)と赤色の色材を含む色材層(CF‐Red)とで構成されることが好ましい。緑色(R)の画素部(緑色の色層部G)は、緑色発光用ナノ結晶を含む層(NC)と緑色の色材を含む色材層(CF‐Green)または黄色の色材を含む色材層(黄色の色層)とで構成されることが好ましい。青色(R)の画素部(青色の色層部B)は、青色の色材を含む色材層(CF‐Blue 青色の色材を含む層)および/または透明樹脂層と、必要により青色発光用ナノ結晶を含む層(NC)とで構成されることが好ましい。本発明では、図7における光変換画素層に積層される色材層(CF―Green、CF、Red)、図8又は図9におけるカラーフィルタ(CFL)、図9における青色カラーフィルタ(CF−Blue)のように色材を含むカラーフィルタを適宜使用することができる。
カラーフィルタは、上記色材を用いて形成することが好ましい。例えば、赤色(R)のカラーフィルタ中にジケトピロロピロール顔料及び/又はアニオン性赤色有機染料を、緑色(G)のカラーフィルタ中にハロゲン化銅フタロシニアン顔料、フタロシアニン系緑色染料、フタロシアニン系青色染料とアゾ系黄色有機染料との混合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を、青色(B)のカラーフィルタ中にε型銅フタロシニアン顔料及び/又はカチオン性青色有機染料を含有することが好ましい。
また、カラーフィルタには、必要により前述の透明樹脂や後述の光硬化性化合物、分散剤などを含んでもよく、カラーフィルタの製造方法は公知のフォトリソグラフィ法などで形成することができる。
(光変換層の製造方法)
光変換層は、従来公知の方法で形成することができる。画素部の形成方法の代表的な方法としては、フォトリソグラフィ法であり、これは、後記する発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物を、従来のカラーフィルタ用の透明基板のブラックマトリックスを設けた側の面に塗布、加熱乾燥(プリベーク)した後、フォトマスクを介して紫外線を照射することでパターン露光を行って、画素部に対応する箇所の光硬化性化合物を硬化させた後、未露光部分を現像液で現像し、非画素部を除去して画素部を透明基板に固着させる方法である。この方法では、発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の硬化着色皮膜からなる画素部が透明基板上に形成される。
赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素、必要に応じて黄色(Y)画素等の他の色の画素ごとに、後記する光硬化性組成物を調製して、前記した操作を繰り返すことにより、所定の位置に赤色(R)画素、緑色(G)画素、青色(B)画素、黄色(Y)画素の着色画素部を有する光変換層を製造することができる。
後記する発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物をガラス等の透明基板上に塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
透明基板に塗布した発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の塗膜の乾燥条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、通常、50〜150℃で、1〜15分間程度である。また、発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の光硬化に用いる光としては、200〜500nmの波長範囲の紫外線、あるいは可視光を使用するのが好ましい。この波長範囲の光を発する各種光源が使用できる。
現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、スプレー法等が挙げられる。光硬化性組成物の露光、現像の後に、必要な色の画素部が形成された透明基板は水洗いし乾燥させる。こうして得られたカラーフィルタは、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、90〜280℃で、所定時間加熱処理(ポストベーク)することによって、着色塗膜中の揮発性成分を除去すると同時に、発光用ナノ結晶を含有する光硬化性組成物の硬化着色皮膜中に残存する未反応の光硬化性化合物が熱硬化し、光変換層が完成する。
本発明の光変換層用色材、樹脂は、本発明の発光用ナノ結晶と用いることで、液晶層の電圧保持率(VHR)の低下、青色光または紫外光による劣化、イオン密度(ID)の増加を防止し、白抜け、配向むら、焼き付けなどの表示不良の問題を解決する液晶表示装置を提供することが可能となる。
上記発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の製造方法としては、発光用ナノ結晶と、有機溶剤と、を混合して、必要により、親和性のある分子、分散剤、色材(=染料及び/又は顔料組成物)と、を添加し均一となる様に攪拌分散を行って、まず光変換層の画素部を形成するための分散液を調製してから、そこに、光硬化性化合物と、必要に応じて熱可塑性樹脂や光重合開始剤等を加えて発光用ナノ結晶を含有する発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物とする方法が一般的である。
ここで用いられる有機溶媒としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸プロピルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物の様なカルバミン酸エステル等が挙げられる。
ここで用いられる分散剤としては、例えば、ビックケミー社のディスパービック130、ディスパービック161、ディスパービック162、ディスパービック163、ディスパービック170、ディスパービック171、ディスパービック174、ディスパービック180、ディスパービック182、ディスパービック183、ディスパービック184、ディスパービック185、ディスパービック2000、ディスパービック2001、ディスパービック2020、ディスパービック2050、ディスパービック2070、ディスパービック2096、ディスパービック2150、ディスパービックLPN21116、ディスパービックLPN6919エフカ社のエフカ46、エフカ47、エフカ452、エフカLP4008、エフカ4009、エフカLP4010、エフカLP4050、LP4055、エフカ400、エフカ401、エフカ402、エフカ403、エフカ450、エフカ451、エフカ453、エフカ4540、エフカ4550、エフカLP4560、エフカ120、エフカ150、エフカ1501、エフカ1502、エフカ1503、ルーブリゾール社のソルスパース3000、ソルスパース9000、ソルスパース13240、ソルスパース13650、ソルスパース13940、ソルスパース17000、18000、ソルスパース20000、ソルスパース21000、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ソルスパース26000、ソルスパース27000、ソルスパース28000、ソルスパース32000、ソルスパース36000、ソルスパース37000、ソルスパース38000、ソルスパース41000、ソルスパース42000、ソルスパース43000、ソルスパース46000、ソルスパース54000、ソルスパース71000、味の素株式会社のアジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB814、アジスパーPN411、アジスパーPA111等の分散剤や、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキッド系樹脂、ウッドロジン、ガムロジン、トール油ロジン等の天然ロジン、重合ロジン、不均化ロジン、水添ロジン、酸化ロジン、マレイン化ロジン等の変性ロジン、ロジンアミン、ライムロジン、ロジンアルキレンオキシド付加物、ロジンアルキド付加物、ロジン変性フェノール等のロジン誘導体等の、室温で液状かつ水不溶性の合成樹脂を含有させることが出来る。これら分散剤や、樹脂の添加は、フロッキュレーションの低減、顔料の分散安定性の向上、分散体の粘度特性を向上にも寄与する。
また、分散助剤として、有機顔料誘導体の、例えば、フタルイミドメチル誘導体、同スルホン酸誘導体、同N−(ジアルキルアミノ)メチル誘導体、同N−(ジアルキルアミノアルキル)スルホン酸アミド誘導体等も含有することも出来る。もちろん、これら誘導体は、異なる種類のものを二種以上併用することも出来る。
発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物の調製に使用する熱可塑性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、スチレン無水マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
発光用ナノ結晶含有光硬化性化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の比較的分子量の小さな多官能モノマー、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート等の様な比較的分子量の大きな多官能モノマーが挙げられる。
光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロパン−2’−スルホン酸、4,4’−ジアジドスチルベン−2,2’−ジスルホン酸等が挙げられる。市販の光重合開始剤としては、たとえば、BASF社製「イルガキュア(商標名)−184」、「イルガキュア(商標名)−369」、「ダロキュア(商標名)−1173」、BASF社製「ルシリン−TPO」、日本化薬社製「カヤキュアー(商標名)DETX」、「カヤキュアー(商標名)OA」、ストーファー社製「バイキュアー10」、「バイキュアー55」、アクゾー社製「トリゴナールPI」、サンド社製「サンドレー1000」、アップジョン社製「デープ」、黒金化成社製「ビイミダゾール」などがある。
また上記光重合開始剤に公知慣用の光増感剤を併用することもできる。光増感剤としては、たとえば、アミン類、尿素類、硫黄原子を有する化合物、燐原子を有する化合物、塩素原子を有する化合物またはニトリル類もしくはその他の窒素原子を有する化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
光重合開始剤の配合率は、特に限定されるものではないが、質量基準で、光重合性あるいは光硬化性官能基を有する化合物に対して0.1〜30%の範囲が好ましい。0.1%未満では、光硬化時の感光度が低下する傾向にあり、30%を超えると、顔料分散レジストの塗膜を乾燥させたときに、光重合開始剤の結晶が析出して塗膜物性の劣化を引き起こすことがある。
前記した様な各材料を使用して、質量基準で、本発明の発光用ナノ結晶100部当たり、300〜100000部の有機溶剤と、1〜500部の親和性のある分子や分散剤とを、均一となる様に攪拌分散して前記染顔料液を得ることができる。次いでこの顔料分散液100部当たり、熱可塑性樹脂と光硬化性化合物の合計が0.125〜2500部、光硬化性化合物1部当たり0.05〜10部の光重合開始剤と、必要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪拌分散して画素部を形成するための発光用ナノ結晶含有光硬化性組成物を得ることができる。
現像液としては、公知慣用の有機溶剤やアルカリ水溶液を使用することができる。特に前記光硬化性組成物に、熱可塑性樹脂または光硬化性化合物が含まれており、これらの少なくとも一方が酸価を有し、アルカリ可溶性を呈する場合には、アルカリ水溶液での洗浄がカラーフィルタ画素部の形成に効果的である。
ここでは、フォトリソグラフィ法によるR画素、G画素、B画素、Y画素の着色画素部の製造方法について詳記したが、本発明の発光用ナノ結晶含有組成物を使用して調製された画素部は、その他の電着法、転写法、ミセル電解法、PVED(PhotovoltaicElectrodeposition)法、インクジェット法、反転印刷法、熱硬化法等の方法で各色画素部を形成して、光変換層を製造してもよい。
本発明に係る光変換層用のインク組成物の製造方法について説明する。インク組成物の製造方法は、例えば、光散乱性粒子及び高分子分散剤を含有する、光散乱性粒子の分散体を用意する第1の工程と、光散乱性粒子の分散体及び発光性ナノ結晶粒子を混合する第2の工程と、を備える。この方法では、光散乱性粒子の分散体が熱硬化性樹脂を更に含有してよく、第2の工程において、熱硬化性樹脂を更に混合してもよい。この方法によれば、光散乱性粒子を充分に分散させることができる。そのため、画素部における漏れ光を低減することができるインク組成物を容易に得ることができる。
光散乱性粒子の分散体を用意する工程では、光散乱性粒子と、高分子分散剤と、場合により、熱硬化性樹脂とを混合し、分散処理を行うことにより光散乱性粒子の分散体を調製してよい。混合及び分散処理は、ビーズミル、ペイントコンディショナー、遊星撹拌機等の分散装置を用いて行ってよい。光散乱性粒子の分散性が良好となり、光散乱性粒子の平均粒子径を所望の範囲に調整しやすい観点から、ビーズミル又はペイントコンディショナーを用いることが好ましい。
インク組成物の製造方法は、第2の工程の前に、発光性ナノ結晶粒子と、熱硬化性樹脂とを含有する、発光性ナノ結晶粒子の分散体を用意する工程を更に備えていてもよい。この場合、第2の工程では、光散乱性粒子の分散体と、発光性ナノ結晶粒子の分散体と、を混合する。この方法によれば、発光性ナノ結晶粒子を充分に分散させることができる。そのため、画素部における漏れ光を低減することができるインク組成物を容易に得ることができる。発光性ナノ結晶粒子の分散体を用意する工程では、光散乱性粒子の分散体を用意する工程と同様の分散装置を用いて、発光性ナノ結晶粒子と、熱硬化性樹脂との混合及び分散処理を行ってよい。
本実施形態のインク組成物を、インクジェット方式用のインク組成物として用いる場合には、圧電素子を用いた機械的吐出機構による、ピエゾジェット方式のインクジェット記録装置に適用することが好ましい。ピエゾジェット方式では、吐出に当たり、インク組成物が瞬間的に高温に晒されることがなく、発光性ナノ結晶粒子の変質が起こり難く、カラーフィルタ画素部(光変換層)も期待した通りの発光特性がより容易に得られやすい。
本発明に係る光変換層は、例えば、基材上に遮光部であるブラックマトリックスをパターン状に形成した後、基材上の遮光部によって区画された画素部形成領域に、上述した実施形態のインク組成物(インクジェットインク)をインクジェット方式により選択的に付着させ、活性エネルギー線の照射又は加熱によりインク組成物を硬化させる方法により製造することができる。
遮光部を形成させる方法は、基材の一面側の複数の画素部間の境界となる領域に、クロム等の金属薄膜、又は、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜を形成し、この薄膜をパターニングする方法等が挙げられる。金属薄膜は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により形成することができ、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物の薄膜は、例えば、塗布、印刷等の方法により形成することができる。パターニングを行う方法としては、フォトリソグラフィ法等が挙げられる。
インクジェット方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)方式、或いは圧電素子を用いたピエゾジェット方式等が挙げられる。
インク組成物の硬化を活性エネルギー線(例えば紫外線)の照射により行う場合、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、LED等を用いてよい。照射する光の波長は、例えば、200nm以上であってよく、440nm以下であってよい。露光量は、例えば、10mJ/cm2以上であってよく、4000mJ/cm2以下であってよい。
インク組成物の硬化を加熱により行う場合、加熱温度は、例えば、110℃以上であってよく、250℃以下であってよい。加熱時間は、例えば、10分以上であってよく、120分以下であってよい。
また、本明細書において、インクジェット法で使用される化合物、樹脂などの材料は、フォトリソグラフィ法で用いてもよく、またその反対にフォトリソグラフィ法で使用される化合物、樹脂などの材料は、インクジェット法で用いてもよいことは言うまでもない。
以上、カラーフィルタ及び光変換層、並びにこれらの製造方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
「液晶パネル」
次に、本発明に係る液晶表示素子における液晶パネルの構造について説明する。
液晶パネル10の好ましい実施形態を、図10〜13および図14〜図16を用いて説明する。図10は、液晶表示部の電極層3の構造図の模式図を表し、液晶パネル10の電極部分を等価回路で示した模式図であり、図111および12は画素電極の形状の一例を示す模式図であり、本実施形態の一例として、FFS型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。図13は、本実施形態の一例として、IPS型の液晶表示素子の電極構造を示す模式図である。図1〜図2に示すように、液晶パネル10に対して側面側または背面側から照明する照明手段としてバックライトユニットを設けることで液晶表示素子として駆動する。
図1〜2および図10において、本発明に係る電極層3、3’は、1以上の共通電極および/または1以上の画素電極を備えている。例えば、FFS型の液晶表示素子では、画素電極は、絶縁層(例えば、窒化シリコン(SiN)など)を介して共通電極上に配置されており、VA型の液晶表示素子では、画素電極と共通電極とは液晶層5を介して対向して配置されている。
画素電極は表示画素毎に配置され、スリット状の開口部が形成されている。共通電極と画素電極とは、例えばITO(Indium Tin Oxide)によって形成された透明電極であり、電極層3は、表示部において、複数の表示画素が配列する行に沿って延びるゲートバスラインGBL(GBL1、GBL2・・・GBLm)と、複数の表示画素が配列する列に沿って延びるソースバスラインSBL(SBL1、SBL2・・・SBLm)と、ゲートバスラインとソースバスラインとが交差する位置近傍に画素スイッチとして薄膜トランジスタを備えている。また、当該薄膜トランジスタのゲート電極は対応するゲートバスラインGBLと電気的に接続されており、当該薄膜トランジスタのソース電極は対応する信号線SBLと電気的に接続されている。さらに、薄膜トランジスタのドレイン電極は、対応する画素電極と電気的に接続されている。
電極層3は、複数の表示画素を駆動する駆動手段として、ゲートドライバとソースドライバとを備えており、前記ゲートドライバおよび前記ソースドライバは、液晶表示部の周囲に配置されている。また、複数のゲートバスラインはゲートドライバの出力端子と電気的に接続され、複数のソースバスラインはソースドライバの出力端子と電気的に接続されている。
ゲートドライバは複数のゲートバスラインにオン電圧を順次印加して、選択されたゲートバスラインに電気的に接続された薄膜トランジスタのゲート電極にオン電圧を供給する。ゲート電極にオン電圧が供給された薄膜トランジスタのソース−ドレイン電極間が導通する。ソースドライバは、複数のソースバスラインのそれぞれに対応する出力信号を供給する。ソースバスラインに供給された信号は、ソース−ドレイン電極間が導通した薄膜トランジスタを介して対応する画素電極に印加される。ゲートドライバおよびソースドライバは、液晶表示素子の外部に配置された表示処理部(制御回路とも称する)により動作を制御される。
本発明に係る表示処理部は、通常駆動のほかに駆動電力低減のために低周波駆動の機能と間欠駆動の機能とを備えてもよく、TFT液晶パネルのゲートバスラインを駆動するためのLSIであるゲートドライバの動作およびTFT液晶パネルのソースバスラインを駆動するためのLSIであるソースドライバの動作を制御するものである。また、共通電極に共通電圧VCOMを供給し、バックライトユニットの動作も制御している。例えば、本発明に係る表示処理部は、表示画面全体を複数の区画に分けて、それぞれの区画に映す画像の明るさに合わせてバックライトの光の強度を調整するローカルディミング手段を有してもよい。
本発明に係る液晶表示素子におけるFFS型の液晶パネルの例を図11、および図12を用いて説明する。
図11は、画素電極の形状の一例として櫛形の画素電極を示した図であり、図1および2における基板2上に形成された電極層3のII線で囲まれた領域を拡大した平面図である。図11に示すように、第一の基板2の表面に形成されている薄膜トランジスタを含む電極層3は、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン26と表示信号を供給するための複数のソースバスライン25とが、互いに交差してマトリクス状に配置されている。当該複数のゲートバスライン26と当該複数のソースバスライン25とにより囲まれた領域により、液晶表示装置の単位画素が形成され、該単位画素内には、画素電極21及び共通電極22が形成されている。ゲートバスライン26とソースバスライン25が互いに交差している交差部近傍には、ソース電極27、ドレイン電極24およびゲート電極28を含む薄膜トランジスタが設けられている。この薄膜トランジスタは、画素電極21に表示信号を供給するスイッチ素子として、画素電極21と連結している。また、ゲートバスライン26と並行して、共通ライン29が設けられる。この共通ライン29は、共通電極22に共通信号を供給するために、共通電極22と連結している。
画素電極21の背面には絶縁層18(図示せず)を介して共通電極22が一面に形成されている。そして、隣接する共通電極と画素電極との最短離間経路の水平成分は配向層同士(または基板同士)の最短離間距離(セルギャップ)より短い。前記画素電極の表面には保護絶縁膜及び配向層によって被覆されていることが好ましい。ここで言う「最短離間経路の水平成分」とは、隣接する共通電極と画素電極とを結ぶ最短離間経路を、基板に対して水平方向と基板に対して垂直方向(=厚み方向)とに分解した成分のうち、基板に対して水平方向の成分をいう。なお、前記複数のゲートバスライン26と複数のソースバスライン25とに囲まれた領域にはソースバスライン25を介して供給される表示信号を保存するストレイジキャパシタ(図示せず)を設けてもよい。
また、図12は、図11の変形例であり、画素電極の形状の一例としてスリット状の画素電極を示した図である。当該図12に示す画素電極21は、略長方形の平板体の電極を、当該平板体の中央部および両端部が三角形状の切欠き部でくり抜かれ、その他の部分は略矩形枠状の切欠き部でくり抜かれた形状である。なお、切欠き部の形状は特に制限されるものではなく、楕円、円形、長方形状、菱形、三角形、または平行四辺形など公知の形状の切欠き部を使用できる。
なお、図11および図12には、一画素における一対のゲートバスライン26及び一対のソースバスライン25のみが示されている。
図14〜図16を用いて光変換層6について以下説明する。
本発明に係る光変換層6を拡大した模式図の一例を図14に示す。光変換層6は、赤色の色層Rと緑色の色層Gと青色の色層Bとを有する。赤色(R)の画素部R(赤色の色層R)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)と青色または黄色の色材を含む色材層(いわゆる黄色カラーフィルタまたは青色カラーフィルタ)とで構成されている。緑色(G)の画素部G(緑色の色層G)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)と青色または黄色の色材を含む色材層(いわゆる黄色カラーフィルタまたは青色カラーフィルタ)とで構成されている。青色(B)の画素部B(青色の色層B)は、青色発光用ナノ結晶を必要により含む光変換画素層(または透明樹脂層)と青色または黄色の色材を含む色材層(いわゆる黄色カラーフィルタまたは青色カラーフィルタ)とで構成される。そのため、光変換層6は、赤色の色層、緑色の色層および青色の色層を含むナノ結晶層NCLに対して光源側に色材を含む色層(いわゆるカラーフィルタ)CFLが積層した2層が設けられている。さらに赤色の色層と緑色の色層と青色の色層との間に、混色を防止するために、それぞれ遮光層としてブラックマトリックスBMが設けられている。また、黄色カラーフィルタを一面に設けることで、発光用ナノ結晶に吸収されない青色光をカットすることができる。
図14では好ましい光変換層の態様の一つとして、ナノ結晶層NCLと色材を含む色材層(いわゆるカラーフィルタ)CFLとが積層されている。光源からの光(励起光、例えば青色光)を全て光変換層で変換できないため、残った励起光が光変換層を透過させず吸収する必要がある。そのため、光変換層は、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と色材を含む色層(いわゆるカラーフィルタ)CFLとを積層させることで、残った励起光(青色光)を外部から視認しないよう抑制している。しかし、必要により色材を含む色層(いわゆるカラーフィルタ)CFLを無くしてもよい。その場合、好ましい光変換層の態様の他の一つとしては、図16などで示すようにナノ結晶層NCLから構成される。
また、図14ではカラーフィルタ層CFLとして、光源として420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有する光(例えば青色LEDなどの光)を想定して青色の色材を含む色層を設けているが、使用する光源の種類により当該色層の種類は適宜変更される。
また、赤色の色層R、緑色の色層Gおよび青色の色層Bには、必要により適宜色材を含んでもよい。さらには、発光用ナノ結晶NCを含む層(NCL)には、それぞれの色に対応した色材を含んでも良い。
図15は、好ましい光変換層の態様の他の一つを模式的に示している。光変換層6は、赤色の色層Rと緑色の色層Gと青色の色層Bとを有する。赤色(R)の画素部R(赤色の色層R)は、赤色の色材を含む色材層(いわゆる赤色カラーフィルタ)CF‐Redと赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC)と青色の色材を含む色材層CFL(青色または黄色カラーフィルタCF−BLue・Yellow)で構成される。緑色(G)の画素部(緑色の色層G)は、緑色の色材を含む色材層(いわゆる緑色カラーフィルタ)CF‐Greenと緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC)と青色の色材を含む色材層CFL(青色または黄色カラーフィルタCF−Blue・Yellow)とで構成される。青色(R)の画素部(青色の色層B)は、透明樹脂層および/または青色または黄色の色材を含む色層CFL(いわゆる青色または黄色カラーフィルタ)と必要により含まれる発光用ナノ結晶を含む層(NC)と青色の色材を含む色層CFL(青色または黄色カラーフィルタ)とで構成される。さらには、赤色の色層と緑色の色層と青色の色層のそれぞれの間に遮光層としてブラックマトリックスが配置されている。黄色カラーフィルタを一面に設けることで、発光用ナノ結晶に吸収されない青色光をカットすることができる。
したがって、光変換層6は、(青色または黄色の)カラーフィルタ層CFLと、発光用ナノ結晶NCを含む層(NCL)と、赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の三原色画素を備えた赤色(R)、緑色(G)および青色(B)カラーフィルタと、が順に積層された構造であり、三層構造の積層体を有する。しかし、必要によりカラーフィルタ層CFLを無くしてもよい。なお、緑色の色材を含む色材層(いわゆる緑色カラーフィルタ)CF‐Greenの代わりに、色調整のため黄色の色材を含む色材層(いわゆる黄色カラーフィルタ)を使用してもよい。
また、赤色の色層R、緑色の色層Gおよび青色の色層Bには、必要により適宜色材を含んでもよい。さらには、発光用ナノ結晶NCを含む層(NCL)には、それぞれの色に対応した色材を含んでも良い。
上記構成であると、光源からの光(励起光、例えば青色光)のうち、発光用ナノ結晶で吸収されない光を、各色のカラーフィルタや一面に設けられた青色のカラーフィルタ層CFLで吸収することができるため、残った励起光が光変換層を透過することを軽減・抑制することができる。また、図15でもカラーフィルタ層CFLとして、光源として青色LEDを想定して青色のカラーフィルタ層を設けているが、使用する光源の種類によりカラーフィルタ層の色の種類は適宜変更される。
本発明に係る光変換層6を拡大した模式図の他の一例を図16に示す。光変換層6は、赤色の色層Rと緑色の色層Gと青色の色層Bとを有する。赤色(R)の画素部R(赤色の色層R)は、赤色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Red)から構成されている。緑色(G)の画素部G(緑色の色層G)は、緑色発光用ナノ結晶を含む光変換画素層(NC−Green)から構成されている。青色(B)の画素部B(青色の色層部B)は、青色発光用ナノ結晶を必要により含む(光変換画素)層(または透明樹脂層)から構成される。そのため、光変換層6は、赤色の色層R、緑色の色層Gおよび青色の色層Bを含むナノ結晶層NCLの1層で構成されている。また、赤色の色層Rと緑色の色層Gと青色の色層Bとの間に、混色を防止するために、それぞれ遮光層としてブラックマトリックスBMが設けられている。
また、赤色の色層R、緑色の色層Gおよび青色の色層Bには、必要により適宜色材を含んでもよい。さらには、発光用ナノ結晶NCを含む層(NCL)には、それぞれの色に対応した色材を含んでも良い。
図1、図12、および、図12に示すようなFFS型の液晶表示素子の実施形態では、共通電極22はゲート絶縁層12上のほぼ全面に形成された平板状の電極であり、一方、画素電極21は共通電極22を覆う絶縁保護層18上に形成された櫛形の電極である。すなわち、共通電極22は画素電極21よりも第一の基板2に近い位置に配置され、これらの電極は絶縁保護層18を介して互いに重なりあって配置される。画素電極21と共通電極22は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)等の透明導電性材料により形成される。画素電極21と共通電極22が透明導電性材料により形成されるため、単位画素面積で開口される面積が大きくなり、開口率及び透過率が増加する。
また、画素電極21と共通電極22とは、これらの電極間にフリンジ電界を形成するために、画素電極21と共通電極22との間の電極間経路の水平成分(最小離間経路の水平成分とも称する)Rが、第一の基板2と第二の基板7との間の液晶層5の厚さGより小さくなるように形成される。ここで、電極間経路の水平成分Rは各電極間の基板に水平方向の距離を表す。FFS型の液晶表示素子は、画素電極21の櫛形を形成するラインに対して垂直な方向に形成される水平方向の電界と、放物線状の電界を利用することができる。画素電極21の櫛状部分の電極幅:l、及び、画素電極21の櫛状部分の間隙の幅:mは、発生する電界により液晶層5内の液晶分子が全て駆動され得る程度の幅に形成することが好ましい。また、画素電極と共通電極との最小離間経路の水平成分Rは、絶縁膜の(平均)膜厚などで調整することができる。
本発明に係る液晶表示素子におけるFFS型の液晶パネルの変形例であるIPS型の液晶パネルの例を図13を用いて説明する。IPS型の液晶表示素子における液晶パネル10の構成は、上記図1のFFS型と同様に片側の基板上に電極層3(共通電極と画素電極とTFTを含む)が設けられた構造であり、第一の偏光層1と、第一の基板2と、電極層3と、液晶組成物を含む液晶層5と、第二の偏光層8と、光変換層6と、第二の基板7と、が順次積層された構成である。
図13は、IPS型の液晶表示部における図1の第一の基板2上に形成された電極層3のII線で囲まれた領域の一部を拡大した平面図である。図13に示すように、走査信号を供給するための複数のゲートバスライン26と表示信号を供給するための複数のソースバスライン25とにより囲まれた領域内(単位画素内)で、櫛歯形の第一の電極(例えば、画素電極)21と櫛歯型の第二の電極(例えば、共通電極)22とが互いに遊嵌した状態(両電極が一定距離を保った状態で離間して噛合した状態)で設けられている。該単位画素内には、ゲートバスライン26とソースバスライン25が互いに交差している交差部近傍には、ソース電極27、ドレイン電極24およびゲート電極28を含む薄膜トランジスタが設けられている。この薄膜トランジスタは、第一の電極21に表示信号を供給するスイッチ素子として、第一の電極21と連結している。また、ゲートバスライン26と並行して、共通ライン(Vcom)29が設けられる。この共通ライン29は、第二の電極22に共通信号を供給するために、第二の電極22と連結している。
図13に示すような実施の形態では、第一の電極21及び第二の電極22は、絶縁保護層31上に、すなわち同一の層上に形成された櫛形の電極であり、互いに離間して噛合した状態で設けられている。IPS型の液晶表示部では、第一の電極21と第二の電極22との間の電極間距離Gと、第一の基板2と第二の基板7との間の液晶層の厚さ(セルギャップ):Hは、G≧Hの関係を満たす。電極間距離:Gとは、第一の電極21と第二の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離を表し、図13で示す例においては、第一の電極21と第二の電極22とが遊嵌して交互に形成されたラインに対して、水平の方向の距離を表す。第一の基板2と第二の基板7との距離:Hとは、第一の基板2と第二の基板7との間の液晶層の厚さを表し、具体的には、第一の基板2及び第二の基板7のそれぞれに設けられた最表面間の距離(すなわちセルギャップ)、液晶層の厚みを表す。
一方、先述のFFS型の液晶パネルでは、第一の基板2と第二の基板7との間の液晶層の厚さが、第一の電極21と第二の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離以上であり、IPS型の液晶表示部は、第一の基板2と第二の基板7との間の液晶層の厚さが、第一の電極21と第二の電極22との間の、基板に水平方向の最短距離未満である。
IPS型の液晶パネルは、第一の電極21及び第二の電極22間に形成される基板面に対して水平方向の電界を利用して液晶分子を駆動させる。第一の電極21の電極幅:Q、及び第二の電極22の電極幅:Rは、発生する電界により液晶層5内の液晶分子が全て駆動され得る程度の幅に形成することが好ましい。
本発明の好ましい液晶パネルの他の実施形態は、垂直配向型の液晶パネル(VA型液晶ディスプレイ)である。
本発明に係る液晶表示素子における液晶パネル10の構成は、図2に記載するように、(透明)電極層3’(または共通電極3’とも称する。)、第2の偏光層8および光変換層6を具備した第二の基板7と、画素電極および各画素に具備した前記画素電極を制御する薄膜トランジスタを形成した電極層3を含む第一の基板2と、前記第一の基板2と第二の基板7との間に挟持された液晶層5(液晶組成物から構成されている)を有し、該液晶組成物中の液晶分子の電圧無印加時の配向が前記基板2,7に対して略垂直である液晶表示素子であって、液晶層として特定の液晶組成物を用いたことを特徴の一つとするものである。また、電極層3’は、他の液晶表示素子と同じく透明導電性材料から構成されていることが好ましい。
垂直配向型の液晶表示素子の液晶パネル部は、上記のIPS型やFFS型とは異なり、共通電極3’(図示せず)が画素電極21と対向離間して、TFTと対向する基板上に形成されている。換言すると、画素電極21と、共通電極22とは別の基板上に形成されている。一方、先述のFFSやIPS型の液晶表示素子は、画素電極21および共通電極22が同一基板上に形成されている。
また、当該光変換層6は、光の漏れを防止する観点で、薄膜トランジスタおよびストレイジキャパシタ23に対応する部分にブラックマトリックス(図示せず)を形成してもよい。
本発明に係る液晶表示素子は、バックライトユニット100を液晶の画素数より少ない複数の区画毎に輝度を制御することで、コントラストを向上させるローカルディミングの手法を有していても良い。
ローカルディミングの手法としては、複数存在する発光素子Lを液晶パネル上の特定の領域の光源として使用し、各発光素子Lを表示領域の輝度に応じて制御することが可能である。この場合、当該複数の発光素子Lが、平面状に配列された形態であっても、液晶パネル10の一側面側に一列に並べられた形態であっても良い。
上記ローカルディミングの手法としてバックライトユニット100の導光部102と液晶パネル10とを有する構造になっている場合において、導光板(および/または光拡散板)と液晶パネルの光源側の基板との間に当該導光部102として、液晶の画素数より少ない特定領域毎にバックライトの光量を制御する制御層を有していても良い。
バックライトの光量を制御する手法としては、液晶の画素数より少ない液晶素子を更に有していても良く、液晶素子としては既存の様々手法を用いることができるが、ポリマーネットワークが形成された液晶を含むLCD層が透過率の点で好ましい。当該ポリマーネットワークが形成された(ネマチック)液晶を含む層(必要により一対の透明電極で挟持されたポリマーネットワークが形成された(ネマチック)液晶を含む層)は、電圧OFF時は光を散乱し、電圧ON時は光を透過するため、表示画面全体を複数の区画に分けるように区画されたポリマーネットワークが形成された液晶を含むLCD層を、導光板(および/または光拡散板)と液晶パネルの光源側の基板との間に設けることでローカルディミングを実現できる。
また、本発明に係る液晶表示素子は、450nmに主発光ピークを有する光源部を用いた場合において、下記数式(1)で定義されるリタデーション(Re)(25℃)が、Re=Δn×dで表される。
(上記数式(1)中、Δnは589nmにおける屈折率異方性を表し、dは液晶表示素子の液晶層のセル厚(μm)を表す。)
220〜300nmであることが好ましい。
可視光全域の波長を含む従来の白色光の透過をスイッチングする通常の液晶表示素子と、当該量子ドットの励起を引き起こす約500nm以下の青色可視光(いわゆる短波長領域の光)または紫外線の透過をスイッチングする液晶表示素子とでは、透過する光および当該透過する光の光学的な性質が異なるため、それぞれの素子に求められる特性等も相違する。従来技術では、量子ドットなどの発光用ナノ結晶を発光素子として用いた液晶表示素子で用いられる光源と、量子ドットなどの発光用ナノ結晶を含まない通常の液晶表示素子で使用する光源との違いに起因する液晶材料の光学特性についての最適化がなされておらず、量子ドットなどの発光用ナノ結晶を用いた表示素子の光学特性を最大限に利用できない問題が確認された。しかし、上記リタデーションの条件により、液晶表示素子の透過率を向上することができる。そのため、発明が解決しようとする他の課題は、液晶表示素子の透過率の低下を抑制または防止するものである。
以下、本発明に係る液晶表示素子の主な構成要素である光源部、偏光層、液晶層および、必要に応じて有しても良い配向層について説明する。
(光源部)
本発明に係る光源部は、紫外または可視光を発光する発光素子を有する。当該発光素子は、波長領域について特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有す
本発明に係る発光素子(または発光ダイオード)は、波長領域について特に制限されることはないが、青色領域に主発光ピークを有することが好ましい。例えば、430nm以上500nm以下(420nm以上480nm以下)の波長領域に主発光ピークを有する発光ダイオードを好適に使用できる。当該青色領域に主発光ピークを有する発光ダイオードは、公知のものを使用することができる。青色領域に主発光ピークを有する発光ダイオードとしては、例えば、サファイア基板の上に形成されるAlNからなるシード層と、シード層上に形成される下地層と、GaNを主体とする積層半導体層とを少なくとも備えたものなどが例示として挙げられる。また、積層半導体層は、基板側から下地層、n型半導体層、発光層およびp型半導体層の順に積層されて構成されたものが挙げられる。
紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、LED等が挙げられるが、本発明に係る発光素子Lは、上記の420nm以上480nm以下の波長領域に主発光ピークを有するLED以外として、紫外光を発生するLEDが好ましい。
なお、本明細書において、420〜480nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を青色光と称し、500〜560nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を緑色光と称し、605〜665nmの波長帯域に発光中心波長を有する光を赤色光と称する。また、本明細書の紫外光とは、300nm以上420nm未満の波長帯域に発光中心波長を有する光をいう。さらに本明細書において、「半値幅」とは、ピーク高さ1/2でのピークの幅のことを言う。
(偏光層)
本発明に係る偏光層は特に制限されることは無く、公知の偏光板(偏光層)を使用することができる。例えば、二色性有機色素偏光子、塗布型偏光層、ワイヤーグリッド型偏光子、またはコレステリック液晶型偏光子などが挙げられる。たとえば、ワイヤーグリッド型偏光子は、第1基板、第2基板、カラーフィルタ上に形成され、ナノインプリント法、ブロックコポリマー法、Eビームリソグラフィ法またはグランシングアングル蒸着法のうちいずれか一つによって形成されることが好ましい。また、塗布型偏光層を形成する場合、本明細書の以下で説明する配向層をさらに設けてもよい。そのため、本発明に係る偏光層が塗布型偏光層である場合、塗布型偏光層と配向層とを有することが好ましい。
以下、本発明に係る液晶表示素子の液晶パネル部の構成要素である、液晶層、必要に応じて有しても良い配向層などについて説明する。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる液晶組成物は、負の誘電率異方性を有し、ネマチック相−等方性液体の転移温度が60℃以上であり、誘電率異方性の絶対値が1.5以上であり、下記一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種類又は2種類以上含有する。
(式中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
(d) 1,4−シクロヘキセニレン基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d)はそれぞれ独立してフッ素原子で置換されていても良く、
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
XN21は水素原子又はフッ素原子を表し、
TN31は−CH2−又は酸素原子を表し、
nN11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32はそれぞれ独立して0〜3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、AN11〜AN32、ZN11〜ZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。)
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物は誘電的に負の化合物(Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい。)に該当する。
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物は、Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
AN11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基又は1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。
ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して−CH2O−、−CF2O−、−CH2CH2−、−CF2CF2−又は単結合を表すことが好ましく、−CH2O−、−CH2CH2−又は単結合が更に好ましく、−CH2O−又は単結合が特に好ましい。
XN21はフッ素原子が好ましい。
TN31は酸素原子が好ましい。
nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせ、nN21が1でありnN22が0である組み合わせ、nN21が2でありnN22が0である組み合わせ、nN31が1でありnN32が0である組み合わせ、nN31が2でありnN32が0である組み合わせ、が好ましい。
本願において%は特別な記載がない場合には、質量%を意味する。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
一般式(N−1)で表される化合物として、下記の一般式(N−1a)〜(N−1g)で表される化合物群を挙げることができる。
(式中、RN11及びRN12は一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表し、nNa11は0又は1を表し、nNb11は1又は2を表し、nNc11は0又は1を表し、nNd11は1又は2を表し、nNe11は1又は2を表し、nNf12は1又は2を表し、nNg11は1又は2を表し、ANe11はトランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、ANg11はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基又は1,4−フェニレン基を表すが少なくとも1つは1,4−シクロヘキセニレン基を表し、ZNe11は単結合又はエチレンを表すが分子内に存在する少なくとも1つはエチレンを表し、分子内に複数存在するANe11、ZNe11、及び/又はANg11は同一であっても異なっていても良い。)
より具体的には、一般式(N−1)で表される化合物は一般式(N−1−1)〜(N−1−21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
一般式(N−1−1)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN111及びRN112はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN111は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、プロピル基、ペンチル基又はビニル基が好ましい。RN112は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
さらに、一般式(N−1−1)で表される化合物は、式(N−1−1.1)から式(N−1−1.23)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−1.1)〜(N−1−1.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−1.1)及び式(N−1−1.3)で表される化合物が好ましい。
式(N−1−1.1)〜(N−1−1.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
一般式(N−1−2)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN121及びRN122はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN121は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基が好ましい。RN122は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。
一般式(N−1−2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%であり、37%であり、40%であり、42%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、48%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%である。
さらに、一般式(N−1−2)で表される化合物は、式(N−1−2.1)から式(N−1−2.22)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−2.3)から式(N−1−2.7)、式(N−1−2.10)、式(N−1−2.11)、式(N−1−2.13)及び式(N−1−2.20)で表される化合物であることが好ましく、Δεの改良を重視する場合には式(N−1−2.3)から式(N−1−2.7)で表される化合物が好ましく、TNIの改良を重視する場合には式(N−1−2.10)、式(N−1−2.11)及び式(N−1−2.13)で表される化合物であることが好ましく、応答速度の改良を重視する場合には式(N−1−2.20)で表される化合物であることが好ましい。
式(N−1−2.1)から式(N−1−2.22)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明の組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
一般式(N−1−3)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN131及びRN132はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN131は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN132は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数3〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、1−プロペニル基、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
さらに、一般式(N−1−3)で表される化合物は、式(N−1−3.1)から式(N−1−3.21)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−3.1)〜(N−1−3.7)及び式(N−1−3.21)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−3.1)、式(N−1−3.2)、式(N−1−3.3)、式(N−1−3.4)及び式(N−1−3.6)で表される化合物が好ましい。
式(N−1−3.1)〜式(N−1−3.4)、式(N−1−3.6)及び式(N−1−3.21)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、式(N−1−3.1)及び式(N−1−3.2)の組み合わせ、式(N−1−3.3)、式(N−1−3.4)及び式(N−1−3.6)から選ばれる2種又は3種の組み合わせが好ましい。本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−4)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN141及びRN142はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN141及びRN142はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メチル基、プロピル基、エトキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、11%であり、10%であり、8%である。
さらに、一般式(N−1−4)で表される化合物は、式(N−1−4.1)から式(N−1−4.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−4.1)〜(N−1−4.4)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−4.1)、式(N−1−4.2)及び式(N−1−4.4)で表される化合物が好ましい。
式(N−1−4.1)〜(N−1−4.14)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、11%であり、10%であり、8%である。
一般式(N−1−5)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN151及びRN152はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN151及びRN152はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましくエチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
一般式(N−1−5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
さらに、一般式(N−1−5)で表される化合物は、式(N−1−5.1)から式(N−1−5.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−5.1)、式(N−1−5.2)及び式(N−1−5.4)で表される化合物が好ましい。
式(N−1−5.1)、式(N−1−5.2)及び式(N−1−5.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、8%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−10)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1101及びRN1102はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1101は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1−プロペニル基が好ましい。RN1102は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−10)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−10)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
さらに、一般式(N−1−10)で表される化合物は、式(N−1−10.1)から式(N−1−10.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−10.1)〜(N−1−10.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−10.1)及び式(N−1−10.2)で表される化合物が好ましい。
式(N−1−10.1)及び式(N−1−10.2)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−11)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1111及びRN1112はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1111は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基又は1−プロペニル基が好ましい。RN1112は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−11)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−11)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
さらに、一般式(N−1−11)で表される化合物は、式(N−1−11.1)から式(N−1−11.14)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−11.1)〜(N−1−11.14)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−11.2及び式(N−1−11.4)で表される化合物が好ましい。
式(N−1−11.2)及び式(N−1−11.4)で表される化合物は単独で使用することも、組み合わせて使用することも可能であるが、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての単独又はこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−12)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1121及びRN1122はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1121は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1122は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−12)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−12)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−13)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1131及びRN1132はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1131は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1132は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−13)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−13)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−14)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1141及びRN1142はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1141は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1142は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−14)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−14)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−15)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1151及びRN1152はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1151は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1152は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−15)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−15)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−16)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1161及びRN1162はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1161は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1162は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−16)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−16)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−17)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1171及びRN1172はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1171は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1172は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−17)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−17)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−18)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1181及びRN1182はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1181は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。RN1182は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、エトキシ基、プロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
一般式(N−1−18)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−18)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
さらに、一般式(N−1−18)で表される化合物は、式(N−1−18.1)から式(N−1−18.5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−18.1)〜(N−1−11.3)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−18.2及び式(N−1−18.3)で表される化合物が好ましい。
一般式(N−1−20)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1201及びRN1202はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1201及びRN1202はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
一般式(N−1−20)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−20)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−21)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1211及びRN1212はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1211及びRN1212はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
一般式(N−1−21)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−21)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(N−1−22)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RN1221及びRN1222はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN1221及びRN1222はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
一般式(N−1−22)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−1−21)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、35%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、5%である。
さらに、一般式(N−1−22)で表される化合物は、式(N−1−22.1)から式(N−1−22.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(N−1−22.1)〜(N−1−22.5)で表される化合物であることが好ましく、式(N−1−22.1)〜(N−1−22.4)で表される化合物が好ましい。
一般式(N−3)で表される化合物は一般式(N−3−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中、RN321及びRN322はそれぞれ独立して、一般式(N−3)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
RN321及びRN322は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、プロピル基又はペンチル基が好ましい。
一般式(N−3−2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
Δεの改善を重視する場合には含有量を高めに設定することが好ましく、低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、TNIを重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(N−3−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、50%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%である。
さらに、一般式(N−3−2)で表される化合物は、式(N−3−2.1)から式(N−3−2.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
液晶組成物中に含有する一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物において、ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32が単結合である化合物の含有量の合計が、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物の含有量の合計に対して5〜50質量%であることが好ましく、液晶組成物中に含有する一般式(N−1)で表される化合物において、ZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32が単結合である化合物の含有量の合計が、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物の含有量の合計に対して5〜50質量%であることが好ましい。
ZN11及びZN12が単結合である一般式(N−1)で表される化合物としては、一般式(N−1a)、(N−1b)、(N−1c)及び(N−1g)で表される化合物が好ましく、(N−1a)、(N−1b)及び(N−1c)で表される化合物が好ましい。
また、一般式(N−1−1)、(N−1−2)、(N−1−3)、(N−1−4)、(N−1−5)及び(N−1−22)で表される化合物が好ましく、
一般式(N−1−1)、(N−1−2)、(N−1−3)、(N−1−4)及び(N−1−5)で表される化合物が好ましい。
誘電率異方性が負の化合物の合計の含有量における、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物の合計の含有量は80%以上であることが好ましく、85%以上であることが好ましく、87%以上であることが好ましく、90%以上であることが好ましく、93%以上であることが好ましく、96%以上であることが好ましく、98%以上であることが好ましく、実質的に100%以上であることが好ましい。実質的にとは、製造時の不純物等の意図せずに含有する化合物を除くという意味である。
液晶組成物中に含有する一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物におけるZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32が単結合である化合物の含有量の合計が、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物の含有量の合計に対して50〜100%が好ましく、60〜100%が好ましく、65〜95%が好ましく、70〜90%が好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる液晶組成物中に含有する一般式(N−1)で表される化合物におけるZN11及びZN12が単結合である化合物の含有量の合計が、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物の含有量の合計に対して50〜100%が好ましく、60〜100%が好ましく、65〜95%が好ましく、70〜90%が好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる液晶組成物中に含有する一般式(N−1a)、(N−1b)、(N−1c)及び(N−1g)で表される化合物の含有量の合計が、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物の含有量の合計に対して50〜100%が好ましく、60〜100%が好ましく、65〜95%が好ましく、70〜90%が好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる液晶組成物中に含有する一般式(N−1−1)、(N−1−2)、(N−1−3)及び(N−1−4)で表される化合物の含有量の合計が、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物の含有量の合計に対して50〜100%が好ましく、60〜100%が好ましく、65〜95%が好ましく、70〜90%が好ましい。
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物の含有量の合計に対する一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物におけるZN11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32が単結合である化合物の含有量、一般式(N−1)で表される化合物におけるZN11及びZN12が単結合である化合物の含有量、一般式(N−1a)、(N−1b)、(N−1c)及び(N−1g)で表される化合物の含有量及び一般式(N−1−1)、(N−1−2)、(N−1−3)及び(N−1−4)で表される化合物の含有量の好ましい下限値は、50%であり、60%であり、65%であり、70%である。同様に好ましい上限値は100%であり、98%であり、95%であり、93%であり、91%であり、90%である。
上記含有量を調整した液晶組成物を用いて液晶表示素子を作成すると、第一の基板及び第二の基板と前記液晶層との間のうち少なくとも一方に配向膜を有しない液晶表示素子であっても、発光用ナノ結晶を含有する光変換層をカラーフィルタの替わりに用いた場合において、高い発光効率と色再現性を両立しつつ、高エネルギー光線の照射による液晶層の劣化を抑制または防止することができる。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。一般式(L)で表される化合物は誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が−2〜2)に該当する。このため、分子内に有する、ハロゲン等の極性基の個数を2個以下とした方が好ましく、1個以下とした方が好ましく、有さない方が好ましい。
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
nL1は0、1、2又は3を表し、
AL1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
ZL1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−OCF2−、−CF2O−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
nL1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nL1が2又は3であってZL3が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物を除く。)
一般式(L)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
信頼性を重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
分子内に存在するハロゲン原子は0、1、2又は3個が好ましく、0又は1が好ましく、他の液晶分子との相溶性を重視する場合には1が好ましい。
RL1及びRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
nL1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
AL1、AL2及びAL3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。
ZL1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
一般式(L)で表される化合物は分子内のハロゲン原子数が0個又は1個であることが好ましい。
一般式(L)で表される化合物は一般式(L−1)〜(L−7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
一般式(L−1)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL11及びRL12はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL11及びRL12は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
一般式(L−1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
好ましい含有量の下限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、15%であり、20%であり、25%であり、30%であり、35%であり、40%であり、45%であり、50%であり、55%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、95%であり、90%であり、85%であり、80%であり、75%であり、70%であり、65%であり、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が中庸で上限値が中庸であることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
一般式(L−1)で表される化合物は一般式(L−1−1)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中RL12は一般式(L−1)における意味と同じ意味を表す。)
一般式(L−1−1)で表される化合物は、式(L−1−1.1)から式(L−1−1.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−1.2)又は式(L−1−1.3)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L−1−1.3)で表される化合物であることが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−1−1.3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
一般式(L−1)で表される化合物は一般式(L−1−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中RL12は一般式(L−1)における意味と同じ意味を表す。)
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−1−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、42%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%である。
さらに、一般式(L−1−2)で表される化合物は、式(L−1−2.1)から式(L−1−2.4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−2.2)から式(L−1−2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L−1−2.2)で表される化合物は本発明の組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L−1−2.3)又は式(L−1−2.4)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L−1−2.3)及び式(L−1−2.4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解度を良くするために30%以上にすることは好ましくない。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−1−2.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、10%であり、15%であり、18%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%であり、38%であり、40%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、32%であり、30%であり、27%であり、25%であり、22%である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−1−1.3)で表される化合物及び式(L−1−2.2)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、10%であり、15%であり、20%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%であり、40%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、43%であり、40%であり、38%であり、35%であり、32%であり、30%であり、27%であり、25%であり、22%である。
一般式(L−1)で表される化合物は一般式(L−1−3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中RL13及びRL14はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。)
RL13及びRL14は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−1−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、30%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、40%であり、37%であり、35%であり、33%であり、30%であり、27%であり、25%であり、23%であり、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%である。
さらに、一般式(L−1−3)で表される化合物は、式(L−1−3.1)から式(L−1−3.13)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)又は式(L−1−3.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L−1−3.1)で表される化合物は本発明の組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)及び式(L−1−3.12)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)及び式(L−1−3.13)で表される化合物の合計の含有量は、低温での溶解度を良くするために20%以上にすることは好ましくない。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−1−3.1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%である。
一般式(L−1)で表される化合物は一般式(L−1−4)及び/又は(L−1−5)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中RL15及びRL16はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。)
RL15及びRL16は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−1−4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、25%であり、23%であり、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−1−5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、13%であり、15%であり、17%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、25%であり、23%であり、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%である。
さらに、一般式(L−1−4)及び(L−1−5)で表される化合物は、式(L−1−4.1)から式(L−1−5.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−4.2)又は式(L−1−5.2)で表される化合物であることが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−1−4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、20%であり、17%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%である。
式(L−1−1.3)、式(L−1−2.2)、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)、式(L−1−3.11)及び式(L−1−3.12)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、式(L−1−1.3)、式(L−1−2.2)、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)、式(L−1−3.4)及び式(L−1−4.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、これら化合物の合計の含有量の好ましい含有量の下限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、13%であり、15%であり、18%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、33%であり、35%であり、上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、80%であり、70%であり、60%であり、50%であり、45%であり、40%であり、37%であり、35%であり、33%であり、30%であり、28%であり、25%であり、23%であり、20%である。組成物の信頼性を重視する場合には、式(L−1−3.1)、式(L−1−3.3)及び式(L−1−3.4))で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましく、組成物の応答速度を重視する場合には、式(L−1−1.3)、式(L−1−2.2)で表される化合物から選ばれる2種以上の化合物を組み合わせることが好ましい。
一般式(L−1)で表される化合物は一般式(L−1−6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
(式中RL17及びRL18はそれぞれ独立してメチル基又は水素原子を表す。)
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−1−6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、5%であり、10%であり、15%であり、17%であり、20%であり、23%であり、25%であり、27%であり、30%であり、35%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、42%であり、40%であり、38%であり、35%であり、33%であり、30%である。
さらに、一般式(L−1−6)で表される化合物は、式(L−1−6.1)から式(L−1−6.3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
一般式(L−2)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL21及びRL22はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL21は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、RL22は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L−2)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
低温での溶解性を重視する場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、応答速度を重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
さらに、一般式(L−2)で表される化合物は、式(L−2.1)から式(L−2.6)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−2.1)、式(L−2.3)、式(L−2.4)及び式(L−2.6)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(L−3)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL31及びRL32はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L−3)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%である。好ましい含有量の上限値は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対して、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%であり、7%であり、6%であり、5%であり、3%である。
高い複屈折率を得る場合は含有量を高めに設定すると効果が高く、反対に、高いTniを重視する場合は含有量を低めに設定すると効果が高い。さらに、滴下痕や焼き付き特性を改良する場合は、含有量の範囲を中間に設定することが好ましい。
さらに、一般式(L−3)で表される化合物は、式(L−3.1)から式(L−3.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−3.2)から式(L−3.5)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(L−4)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL41及びRL42はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL41は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、RL42は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。)
一般式(L−4)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物において、一般式(L−4)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−4)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%であり、23%であり、26%であり、30%であり、35%であり、40%である。本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−4)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50%であり、40%であり、35%であり、30%であり、20%であり、15%であり、10%であり、5%である。
一般式(L−4)で表される化合物は、例えば式(L−4.1)から式(L−4.3)で表される化合物であることが好ましい。
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L−4.1)で表される化合物を含有していても、式(L−4.2)で表される化合物を含有していても、式(L−4.1)で表される化合物と式(L−4.2)で表される化合物との両方を含有していても良いし、式(L−4.1)から式(L−4.3)で表される化合物を全て含んでいても良い。本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−4.1)又は式(L−4.2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、9%であり、11%であり、12%であり、13%であり、18%であり、21%であり、好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%である。
式(L−4.1)で表される化合物と式(L−4.2)で表される化合物との両方を含有する場合は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての両化合物の好ましい含有量の下限値は、15%であり、19%であり、24%であり、30%であり、好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(L−4)で表される化合物は、例えば式(L−4.4)から式(L−4.6)で表される化合物であることが好ましく、式(L−4.4)で表される化合物であることが好ましい。
低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて、式(L−4.4)で表される化合物を含有していても、式(L−4.5)で表される化合物を含有していても、式(L−4.4)で表される化合物と式(L−4.5)で表される化合物との両方を含有していても良い。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−4.4)又は式(L−4.5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、3%であり、5%であり、7%であり、9%であり、11%であり、12%であり、13%であり、18%であり、21%である。好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%であり、10%であり、8%である。
式(L−4.4)で表される化合物と式(L−4.5)で表される化合物との両方を含有する場合は、本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての両化合物の好ましい含有量の下限値は、15%であり、19%であり、24%であり、30%であり、好ましい上限値は、45であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、13%である。
一般式(L−4)で表される化合物は、式(L−4.7)から式(L−4.10)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L−4.9)で表される化合物が好ましい。
一般式(L−5)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
RL51は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、RL52は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数4〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
一般式(L−5)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物において、一般式(L−5)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−5)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%であり、23%であり、26%であり、30%であり、35%であり、40%である。本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−5)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50%であり、40%であり、35%であり、30%であり、20%であり、15%であり、10%であり、5%である。
一般式(L−5)で表される化合物は、式(L−5.1)又は式(L−5.2)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L−5.1)で表される化合物であることが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
一般式(L−5)で表される化合物は、式(L−5.3)又は式(L−5.4)で表される化合物であることが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
一般式(L−5)で表される化合物は、式(L−5.5)から式(L−5.7)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、特に式(L−5.7)で表される化合物であることが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
一般式(L−6)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL61及びRL62はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、XL61及びXL62はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
RL61及びRL62はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましく、XL61及びXL62のうち一方がフッ素原子他方が水素原子であることが好ましい。
一般式(L−6)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−6)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%であり、23%であり、26%であり、30%であり、35%であり、40%である。本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−6)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、50%であり、40%であり、35%であり、30%であり、20%であり、15%であり、10%であり、5%である。Δnを大きくすることに重点を置く場合には含有量を多くした方が好ましく、低温での析出に重点を置いた場合には含有量は少ない方が好ましい。
一般式(L−6)で表される化合物は、式(L−6.1)から式(L−6.9)で表される化合物であることが好ましい。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、これらの化合物の中から1種〜3種類含有することが好ましく、1種〜4種類含有することがさらに好ましい。また、選ぶ化合物の分子量分布が広いことも溶解性に有効であるため、例えば、式(L−6.1)又は(L−6.2)で表される化合物から1種類、式(L−6.4)又は(L−6.5)で表される化合物から1種類、式(L−6.6)又は式(L−6.7)で表される化合物から1種類、式(L−6.8)又は(L−6.9)で表される化合物から1種類の化合物を選び、これらを適宜組み合わせることが好ましい。その中でも、式(L−6.1)、式(L−6.3)式(L−6.4)、式(L−6.6)及び式(L−6.9)で表される化合物を含むことが好ましい。
さらに、一般式(L−6)で表される化合物は、例えば式(L−6.10)から式(L−6.17)で表される化合物であることが好ましく、その中でも、式(L−6.11)で表される化合物であることが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対してのこれら化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%である。これら化合物の好ましい含有量の上限値は、20%であり、15%であり、13%であり、10%であり、9%である。
一般式(L−7)で表される化合物は下記の化合物である。
(式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表し、AL71及びAL72はそれぞれ独立して一般式(L)におけるAL2及びAL3と同じ意味を表すが、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は一般式(L)におけるZL2と同じ意味を表し、XL71及びXL72はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表す。)
式中、RL71及びRL72はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、AL71及びAL72はそれぞれ独立して1,4-シクロヘキシレン基又は1,4-フェニレン基が好ましく、AL71及びAL72上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子によって置換されていてもよく、ZL71は単結合又はCOO−が好ましく、単結合が好ましく、XL71及びXL72は水素原子が好ましい。
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて組み合わせる。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類である。
本発明の組成物において、一般式(L−7)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−7)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、14%であり、16%であり、20%である。本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての式(L−7)で表される化合物の好ましい含有量の上限値は、30%であり、25%であり、23%であり、20%であり、18%であり、15%であり、10%であり、5%である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物が高いTniの実施形態が望まれる場合は式(L−7)で表される化合物の含有量を多めにすることが好ましく、低粘度の実施形態が望まれる場合は含有量を少なめにすることが好ましい。
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.1)から式(L−7.4)で表される化合物であることが好ましく、式(L−7.2)で表される化合物であることが好ましい。
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.11)から式(L−7.13)で表される化合物であることが好ましく、式(L−7.11)で表される化合物であることが好ましい。
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.21)から式(L−7.23)で表される化合物である。式(L−7.21)で表される化合物であることが好ましい。
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.31)から式(L−7.34)で表される化合物であることが好ましく、式(L−7.31)又は/及び式(L−7.32)で表される化合物であることが好ましい。
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.41)から式(L−7.44)で表される化合物であることが好ましく、式(L−7.41)又は/及び式(L−7.42)で表される化合物であることが好ましい。
さらに、一般式(L−7)で表される化合物は、式(L−7.51)から式(L−7.53)で表される化合物であることが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての一般式(i)、一般式(ii)、一般式(L)及び(N)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80%であり、85%であり、88%であり、90%であり、92%であり、93%であり、94%であり、95%であり、96%であり、97%であり、98%であり、99%であり、100%である。好ましい含有量の上限値は、100%であり、99%であり、98%であり、95%である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物の総量に対しての一般式(i)、一般式(ii)、一般式(L−1)から(L−7)及び(M−1)から(M−8)で表される化合物の合計の好ましい含有量の下限値は、80%であり、85%であり、88%であり、90%であり、92%であり、93%であり、94%であり、95%であり、96%であり、97%であり、98%であり、99%であり、100%である。好ましい含有量の上限値は、100%であり、99%であり、98%であり、95%である。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物は、分子内に過酸(−CO−OO−)構造等の酸素原子同士が結合した構造を持つ化合物を含有しないことが好ましい。
組成物の信頼性及び長期安定性を重視する場合にはカルボニル基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して5%以下とすることが好ましく、3%以下とすることがより好ましく、1%以下とすることが更に好ましく、実質的に含有しないことが最も好ましい。
UV照射による安定性を重視する場合、塩素原子が置換している化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して15%以下とすることが好ましく、10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を多くすることが好ましく、分子内の環構造がすべて6員環である化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましく、95%以上とすることが更に好ましく、実質的に分子内の環構造がすべて6員環である化合物のみで組成物を構成することが最も好ましい。
組成物の酸化による劣化を抑えるためには、環構造としてシクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を少なくすることが好ましく、シクロヘキセニレン基を有する化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
粘度の改善及びTniの改善を重視する場合には、水素原子がハロゲンに置換されていてもよい2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を少なくすることが好ましく、前記2−メチルベンゼン−1,4−ジイル基を分子内に持つ化合物の含有量を前記組成物の総質量に対して10%以下とすることが好ましく、8%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましく、3%以下とすることが好ましく、実質的に含有しないことが更に好ましい。
本願において実質的に含有しないとは、意図せずに含有する物を除いて含有しないという意味である。
本発明の第一実施形態の組成物に含有される化合物が、側鎖としてアルケニル基を有する場合、前記アルケニル基がシクロヘキサンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は2〜5であることが好ましく、前記アルケニル基がベンゼンに結合している場合には当該アルケニル基の炭素原子数は4〜5であることが好ましく、前記アルケニル基の不飽和結合とベンゼンは直接結合していないことが好ましい。
本発明に使用される液晶組成物の平均弾性定数(KAVG)は10から25が好ましいが、その下限値としては、10が好ましく、10.5が好ましく、11が好ましく、11.5が好ましく、12が好ましく、12.3が好ましく、12.5が好ましく、12.8が好ましく、13が好ましく、13.3が好ましく、13.5が好ましく、13.8が好ましく、14が好ましく、14.3が好ましく、14.5が好ましく、14.8が好ましく、15が好ましく、15.3が好ましく、15.5が好ましく、15.8が好ましく、16が好ましく、16.3が好ましく、16.5が好ましく、16.8が好ましく、17が好ましく、17.3が好ましく、17.5が好ましく、17.8が好ましく、18が好ましく、その上限値としては、25が好ましく、24.5が好ましく、24が好ましく、23.5が好ましく、23が好ましく、22.8が好ましく、22.5が好ましく、22.3が好ましく、22が好ましく、21.8が好ましく、21.5が好ましく、21.3が好ましく、21が好ましく、20.8が好ましく、20.5が好ましく、20.3が好ましく、20が好ましく、19.8が好ましく、19.5が好ましく、19.3が好ましく、19が好ましく、18.8が好ましく、18.5が好ましく、18.3が好ましく、18が好ましく、17.8が好ましく、17.5が好ましく、17.3が好ましく、17が好ましい。消費電力削減を重視する場合にはバックライトの光量を抑えることが有効であり、液晶表示素子は光の透過率を向上させることが好ましく、そのためにはKAVGの値を低めに設定することが好ましい。応答速度の改善を重視する場合にはKAVGの値を高めに設定することが好ましい。
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる重合性化合物としては、以下の一般式(P)で表される化合物を1種又は2種以上用いることが好ましい。
(上記一般式(P)中、Rp1は、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素原子数1〜15のアルキル基又は−Spp2−Pp2を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH2−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
Pp1及びPp2はそれぞれ独立して、一般式(Pp1−1)〜式(Pp1−9)
(式中、Rp11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、Wp11は単結合、−O−、−COO−又はメチレン基を表し、tp11は、0、1又は2を表すが、分子内にRp11、Rp12、Wp11及び/又はtp11が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
のいずれかを表し、
Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合又はスペーサー基を表し、
Zp1及びZp2はそれぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−CH2−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−C2H4−、−COO−、−OCO−、−OCOOCH2−、−CH2OCOO−、−OCH2CH2O−、−CO−NRZP1−、−NRZP1−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CH=CRZP1−COO−、−CH=CRZP1−OCO−、−COO−CRZP1=CH−、−OCO−CRZP1=CH−、−COO−CRZP1=CH−COO−、−COO−CRZP1=CH−OCO−、−OCO−CRZP1=CH−COO−、−OCO−CRZP1=CH−OCO−、−(CH2)z−COO−、−(CH2)2−OCO−、−OCO−(CH2)2−、−(C=O)−O−(CH2)2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF2−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−又は−C≡C−(式中、RZP1はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表すが、分子内にRZP1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良い。)
を表し、
Ap1、Ap2及びAp3はそれぞれ独立して、
(ap) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−に置き換えられてもよい。)
(bp) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(cp) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基又はアントラセン−2,6−ジイル基(これら基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良く、この基中に存在する水素原子は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルケニル基で置換されていてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(ap)、基(bp)及び基(cp)は、それぞれ独立して、この基中に存在する水素原子は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルケニル基で置換されていてもよい。シアノ基、フッ素原子、塩素原子又は−Spp2−Pp2で置換されていても良く、
mp1は、0、1、2又は3を表し、分子内にZp1、Ap2、Spp2及び/又はPp2が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていても良いが、Ap3は、mp1が0で、Ap1がフェナントレン−2,7−ジイル基又はアントラセン−2,6−ジイル基である場合には単結合を表す。)
で表される化合物が好ましい。また、当該重合性モノマーは1種又は2種以上含有することが好ましい。
一般式(P)において、Rp1は−Spp2−Pp2であることが好ましい。
Pp1及びPp2はそれぞれ独立して式(Pp1−1)〜式(Pp1−3)のいずれかであることが好ましく、(Pp1−1)であることが好ましい。
Rp11及びRp12はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
tp11は、0又は1が好ましい。
Wp11は、単結合、メチレン基又はエチレン基が好ましい。
mp1は0、1又は2であることが好ましく、0又は1が好ましい。
Zp1及びZp2はそれぞれ独立して、単結合、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−C2H4−、−COO−、−OCO−、−COOC2H4−、−OCOC2H4−、−C2H4OCO−、−C2H4COO−、−CH=CH−、−CF2−、−CF2O−、−(CH2)2−COO−、−(CH2)2−OCO−、−OCO−(CH2)2−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−COO−(CH2)2−、−OCF2−又は−C≡C−が好ましく、単結合、−OCH2−、−CH2O−、−C2H4−、−COO−、−OCO−、−COOC2H4−、−OCOC2H4−、−C2H4OCO−、−C2H4COO−、−CH=CH−、−(CH2)2−COO−、−(CH2)2−OCO−、−OCO−(CH2)2−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−COO−(CH2)2−又は−C≡C−が好ましく、分子内に存在する1つのみが−OCH2−、−CH2O−、−C2H4−、−COO−、−OCO−、−COOC2H4−、−OCOC2H4−、−C2H4OCO−、−C2H4COO−、−CH=CH−、−(CH2)2−COO−、−(CH2)2−OCO−、−OCO−(CH2)2−、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−OCOCH=CH−、−COO−(CH2)2−又は−C≡C−であり、他がすべて単結合であることが好ましく、分子内に存在する1つのみが、−OCH2−、−CH2O−、−C2H4−、−COO−又は−OCO−であり、他がすべて単結合であることが好ましく、すべてが単結合であることが好ましい。
また、分子内に存在するZp1及びZp2の1つのみが、−CH=CH−COO−、−COO−CH=CH−、−(CH2)2−COO−、−(CH2)2−OCO−、−O−CO−(CH2)2−、−COO−(CH2)2−からなる群から選択される連結基であり、他は単結合であることが好ましい。
Spp1及びSpp2はそれぞれ独立して、単結合又はスペーサー基を表すが、スペーサー基は、炭素原子数1〜30のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基中の−CH2−は酸素原子同士が直接連結しない限りにおいて−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−又は−C≡C−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の水素原子はハロゲン原子で置換されていても良いが、直鎖の炭素原子数1〜10のアルキレン基又は単結合が好ましい。
Ap1、Ap2及びAp3はそれぞれ独立して、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、1,4−フェニレン基が好ましい。1,4−フェニレン基は液晶化合物との相溶性を改善するために、1個のフッ素原子、1個のメチル基又は1個のメトキシ基で置換されていることが好ましい。
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む液晶組成物に対して、0.05〜10%含んでいることが好ましく、0.1〜8%含んでいることが好ましく、0.1〜5%含んでいることが好ましく、0.1〜3%含んでいることが好ましく、0.2〜2%含んでいることが好ましく、0.2〜1.3%含んでいることが好ましく、0.2〜1%含んでいることが好ましく、0.2〜0.56%含んでいることが好ましい。
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量の好ましい下限値は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む液晶組成物に対して、0.01%であり、0.03%であり、0.05%であり、0.08%であり、0.1%であり、0.15%であり、0.2%であり、0.25%であり、0.3%である。
一般式(P)で表される化合物の合計の含有量の好ましい上限値は、本願の一般式(P)で表される化合物を含む液晶組成物に対して、10%であり、8%であり、5%であり、3%であり、1.5%であり、1.2%であり、1%であり、0.8%であり、0.5%である。
含有量が少ないと一般式(P)で表される化合物を加える効果が現れにくく、液晶組成物の配向規制力が弱い又は経時的に弱くなってしまうなどの問題が発生し、多すぎると硬化後に残存する量が多くなる、硬化に時間がかかる、液晶の信頼性が低下する等の問題が生じる。このため、これらのバランスを考慮し含有量を設定する。
一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−1−1)〜式(P−1−46)で表される重合性化合物が挙げられる。
(式中、Pp11、Pp12、Spp11及びSpp12は、一般式(P)におけるPp1、Pp2、Spp1及びSpp2と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−2−1)〜式(P−2−12)で表される重合性化合物が挙げられる。
(式中、Pp21、Pp22、Spp21及びSpp22は、一般式(P)におけるPp1、Pp2、Spp1及びSpp2と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−3−1)〜式(P−3−15)で表される重合性化合物が挙げられる。
(式中、Pp31、Pp32、Spp31及びSpp32は、一般式(P)におけるPp1、Pp2、Spp1及びSpp2と同じ意味を表す。)
本発明に係る一般式(P)で表される化合物の好ましい例として、下記式(P−4−1)〜式(P−4−15)で表される重合性化合物が挙げられる。
(式中、Pp41、Pp42、Spp41及びSpp42は、一般式(P)におけるPp1、Pp2、Spp1及びSpp2と同じ意味を表す。)
本発明に係る液晶表示素子の液晶層に用いる組成物に重合性化合物を添加する場合において、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。
本発明の液晶表示素子は、前記した通り、第一の基板及び第二の基板と前記液晶層との間のうち少なくとも一方には配向膜を有さず、重合性化合物から形成された配向制御層を有することを特徴とする。しかしながら、もう一方には配向膜由来の配向層を有していてもよい。配向膜としては、溶剤可溶型の配向型ポリイミドを用いて配向させるか、或いは、光配向膜、とりわけ非ポリイミド系の光配向膜によって液晶を配向させることが液晶表示素子の製造が容易である点から好ましい。
上述した、重合性化合物から形成された配向制御層を形成するためには、本発明の液晶表示素子の液晶層の形成に用いる組成物中に更に垂直配向性を付与するため、自発配向性化合物を含有することが好ましい。自発配向性化合物は、従来のポリイミド等の液晶配向膜を基板の片方又は両方に用いることなく、液晶組成物の配向性を制御する化合物である。
自発配向性化合物は、主として液晶組成物に添加して用いられ、当該液晶組成物を含む液晶層と直接当接する部材(電極(例えば、ITO)、基板(例えば、ガラス基板、アクリル基板、透明基板、フレキシブル基板等)、樹脂層(例えば、カラーフィルター、配向膜、オーバーコート層等)、絶縁膜(例えば、無機材料膜、SiNx等))に対して相互作用し、液晶層の液晶分子のホメオトロピック配列又はホモジニアス配向を誘起する機能を備えている。
自発配向性化合物は、重合するための重合性基と、液晶分子と類似するメソゲン基と、液晶層と直接当接する部材と相互作用可能な吸着基と、液晶分子の配向を誘起する配向誘導基を有することが好ましい。
メソゲン基に対し、吸着基及び配向誘導基が結合し、重合性基はメソゲン基、吸着基及び配向誘導基に直接又は必要に応じスペーサー基を介して置換していることが好ましく、吸着基中に重合性基が組み込まれた重合性基としてメソゲン基に置換していることが好ましい。
以下、化学式中の左端の*及び右端の*は結合手を表す。
「配向誘導基」
本発明に係る配向誘導基は、液晶分子の配向を誘導する機能を有しており、配向誘導基は一般式(AK)で表される基であることが好ましい。
(式中、RAK1は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個又は2個以上の−CH2−は酸素原子が直接結合することなく、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、当該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、ハロゲノ基に置換していてもよい。)
RAK1は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことが好ましく、直鎖状の炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことがより好ましく、直鎖状の炭素原子数1〜8のアルキル基を表すことがより好ましい。また、当該アルキル基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよい。当該アルキル基中の水素原子は、フッ素原子又は塩素原子に置換されていてもよく、フッ素原子に置換されていてもよい。)
自発配向性化合物が液晶層に対していわゆる両親媒性を備えている観点から上記配向誘導基は、メソゲン基に結合していることが好ましい。
「重合性基」
重合性基は、PAP1−SpAP1−で表されることが好ましい。
PAP1は、以下の一般式(AP−1)〜一般式(AP−9)で表される群より選ばれる基であることが好ましい。
(式中、RAP1及びRAP2はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜10のハロゲン化アルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は2個以上の−CH2−は−O−又は−CO−により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、ハロゲン原子又は水酸基に置換されていてもよく、WAP1は単結合、−O−、−COO−又は−CH2−を表し、tAP1は、0、1又は2を表す。)
PAP1は、一般式(AP−1)〜一般式(AP−7)で表される基であることが好ましく、一般式(AP−1)又は一般式(AP−2)で表される基であることが好ましく、一般式(AP−1)であることが好ましい。
SpAP1は、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すことがより好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数2〜10個のアルキレン基を表すことがより好ましい。また、SpAP1において、アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH2−は、それぞれ独立して、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよい。
本発明に係る自発配向性化合物において、重合性基(PAP1−SpAP1−)の数は、1以上5以下であることが好ましく、1以上4以下であることがより好ましく、2以上4以下であることがさらに好ましく、2又は3であることがさらに好ましく、2であることがよりさらに好ましい。
PAP1−SpAP1−中の水素原子は、重合性基、吸着基及び/又は配向誘導基で置換されていても良い。
本発明に係る自発配向性化合物において、重合性基(PAP1−SpAP1−)は、重合性基、メソゲン基、吸着基及び/又は配向誘導基に対して結合してもよい。
また、本発明に係る自発配向性化合物において、重合性基(PAP1−SpAP1−)は、メソゲン基、吸着基又は配向誘導基に対して結合することが好ましく、メソゲン基又は吸着基に対して結合することがより好ましい。
なお、分子内にPAP1及び/又はSpAP1−が複数存在する場合に、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。
「メソゲン基」
本発明に係るメソゲン基は、剛直な部分を備えた基、例えば環式基を1つ以上備えたものをいい、環式基を2〜4個を有していることが好ましく、環式基を3〜4個を有していることがより好ましく、必要に応じ環式基は連結基で連結されていても良い。メソゲン基は液晶層に使用される液晶化合物と類似の骨格であることが好ましい。
なお、本明細書において「環式基」は、構成する原子が環状に結合した原子団をいい、炭素環、複素環、飽和又は不飽和環式構造、単環、2環式構造、多環式構造、芳香族、非芳香族などを含む。また、環式基は、少なくとも1つのヘテロ原子を含んでもよく、さらに、少なくとも1つの置換基(ハロゲノ基、重合性基、有機基(アルキル、アルコキシ、アリール等)によって置換されてもよい。環式基が単環である場合には、メソゲン基は2以上の単環を含んでいることが好ましい。
上記メソゲン基は、例えば、一般式(AL)で表されることが好ましい。
(式中、ZAL1は、単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CF2O−、−OCF2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH2−CH2COO−、−OCOCH2−CH2−、−CH=C(CH3)COO−、−OCOC(CH3)=CH−、−CH2−CH(CH3)COO−、−OCOCH(CH3)−CH2−、−OCH2CH2O−又は炭素原子数1〜20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよく、
AAL1及びAAL2はそれぞれ独立して、2価の環式基を表し、
ZAL及びAAL中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立して、ハロゲノ基、吸着基、Pal−Spal−又は1価の有機基で置換されていてもよく、
なお、分子内にZAL1及びAAL1が複数存在する場合に、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、
mAL1は、1〜5の整数を表す。)
一般式(AL)中、ZAL1は、単結合又は炭素原子数2〜20のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数2〜10のアルキレン基が好ましく、単結合、−(CH2)2−又は−(CH2)4−が好ましい。上記アルキレン基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。さらに、棒状分子の直線性を目的とする場合は、環と環とが直接連結した形態である単結合や環と環とを直接結ぶ原子の数が偶数個の形態が好ましい。例えば、−CH2−CH2COO−の場合、環と環とを直接結ぶ原子の数は4つである。
一般式(AL)中、AAL1及びAAL2は、2価の環式基を表すが、2価の環式基として、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、テトラヒドロチオピラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、1,4−ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基−、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、2,6−ナフチレン基、フェナントレン−2,7−ジイル基、9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a−オクタヒドロフェナントレン−2,7−ジイル基、1,4−ナフチレン基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b‘]ジセレノフェン−2,6−ジイル基、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン−2,7−ジイル基、[1]ベンゾセレノフェノ[3,2−b]セレノフェン−2,7−ジイル基及びフルオレン−2,7−ジイル基からなる群から選択される1種の構造を表すことが好ましく、これらの構造は非置換又は置換されていてもよく、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基又はフェナントレン−2,7−ジイル基がより好ましく、1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基が好ましい。該置換基としては、フッ素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましく、該アルキル基はフッ素原子又は水酸基で置換されていてもよい。
また、環式基中の1個又は2個以上の水素原子はハロゲノ基、吸着基、PAL1−SpAL1−又は1価の有機基で置換されてもよい。
一般式(AL)中、1価の有機基とは、有機化合物が1価の基の形態になることによって、化学構造が構成された基であり、有機化合物から水素原子を1つ取り除いてなる原子団をいい、例えば、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数2〜15のアルケニル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基、炭素原子数2〜15のアルケニルオキシ基などが挙げられ、炭素原子数1〜15のアルキル基又は炭素原子数1〜14のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又は炭素原子数1〜2のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1又は2のアルキル基又は炭素原子数1のアルコキシ基が好ましい。また、上記アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基中の1個又は隣接しない2個以上の−CH2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい。さらには、上記1価の有機基は、後述の配向誘導基としての役割を有しても良い。
上記一般式(AL)中、mAL1は、1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることが好ましく、2又は3が好ましい。
上記メソゲン基の好ましい形態としては、以下の式(me−1)〜(me−44)が挙げられる。
(一般式(AL)は、これらの構造中の2個の水素原子が脱離した構造である。)
これら式(me−1)〜(me−44)中のシクロヘキサン環、ベンゼン環又はナフタレン環中の水素原子の1つ又は2つ以上はそれぞれ独立して、ハロゲノ基、PAP1−SpAP1−、1価の有機基(例えば、炭素原子数1〜15のアルキル基、炭素原子数1〜14のアルコキシ基)、吸着基又は配向誘導基に置換されてもよい。)
上記メソゲン基のうち好ましい形態は、式(me−8)〜(me−44)であり、より好ましくは、式(me−8)〜(me−10)、式(me−12)〜(me−18)、式(me−22)〜(me−24)、式(me−26)〜(me−27)及び式(me−29)〜(me−44)であり、さらに好ましくは、式(me−12)、(me−15)〜(me−16)、(me−22)〜(me−24)、(me−29)、(me−34)、(me−36)〜(me−37)、(me−42)〜(me−44)である。
上記メソゲン基のうち特に好ましい形態は、以下の一般式(AL−1)又は(AL−2)で表され、式(AL−1)がより好ましい。
(上記式中、XAL101〜XAL118、XAL201〜XAL214はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲノ基、PAPl−SpAPl−、吸着基又は配向誘導基を表し、環A及び環Bはそれぞれ独立して、シクロヘキサン環又はベンゼン環を表し、
XAL101〜XAL118、XAL201〜XAL214のいずれか1種又は2種以上が前記吸着基に置換されており、
XAL101〜XAL118、XAL201〜XAL214のいずれか1種又は2種以上が前記配向誘導基に置換されており、
吸着基及び配向誘導基はPAP1−SpAP1−に置換されていてもよく、
一般式(AL−1)又は一般式(AL−2)はその分子内にPAP1l−SpAPl−を1種又は2種以上有する。)
一般式(AL−1)において、XAL101は配向誘導基であることが好ましい。
一般式(AL−1)において、XAL109、XAL110及びXAL111の少なくとも1つは吸着基であることが好ましく、XAL109及びXAL110がともに吸着基であること又はXAL110が吸着基であることが好ましく、XAL110が吸着基であることが好ましい。
一般式(AL−1)において、XAL109、XAL110及びXAL111の少なくとも1つはPAP1−SpAP1−であるか、吸着基の構造内に重合性可能な部位を有することが好ましく、XAL109及びXAL111の両方又は一方がPAP1−SpAP1−であることが好ましい。
一般式(AL−1)において、XAL104〜XAL108、XAL112〜XAL116の1つ又は2つがそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基又はハロゲノ基であることが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又はフッ素原子であることが好ましく、XAL105、XAL106又はXAL107が、炭素原子数1〜3のアルキル基又はフッ素原子であることが好ましい。
一般式(AL−2)において、XAL201は配向誘導基であることが好ましい。
一般式(AL−2)において、XAL207、XAL208及びXAL209の少なくとも1つは吸着基であることが好ましく、XAL207及びXAL208がともに吸着基であること又はXAL208が吸着基であることが好ましく、XAL208が吸着基であることが好ましい。
一般式(AL−2)において、XAL207、XAL208及びXAL209の少なくとも1つはPAP1−SpAP1−であるか、吸着基の構造内に重合性可能な部位を有することが好ましく、XAL207及びXAL209の両方又は一方がPAP1−SpAP1−であることが好ましい。
一般式(AL−2)において、XAL202〜XAL206、XAL210〜XAL214の1つ又は2つがそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基又はハロゲノ基であることが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又はフッ素原子であることが好ましく、XAL204、XAL205又はXAL206が、炭素原子数1〜3のアルキル基又はフッ素原子であることが好ましい。
「吸着基」
本発明に係る吸着基は、基板、膜、電極など液晶組成物と当接する層である吸着媒と吸着する役割を備えた基である。吸着は、一般的に、化学結合(共有結合、イオン結合又は金属結合)をつくって吸着媒と吸着質との間で吸着する化学吸着、又は当該化学吸着以外の物理吸着に分別され、本明細書の吸着は化学吸着又は物理吸着のいずれでもよいが、物理吸着により吸着媒と吸着することが好ましい。そのため、本発明に係る吸着基は、吸着媒と物理吸着可能な基であることが好ましく、当該吸着基は分子間力により吸着媒と結合することがより好ましい。当該分子間力により吸着媒と結合する形態としては、永久双極子、永久四重極子、分散力、電荷移動力又は水素結合などの相互作用により吸着媒と結合していることが挙げられる。本発明に係る吸着基の好ましい形態としては、水素結合により吸着媒と結合可能な形態が挙げられる。この場合、本発明に係る吸着基が水素結合を介在するプロトンのドナー若しくはアクセプターになってもよく、また両方であってもよい。
本発明に係る吸着基は、炭素原子とヘテロ原子とが連結した原子団を有する極性要素を含む基である。本明細書でいう極性要素とは、炭素原子とヘテロ原子とが直接連結した原子団をいう。上記ヘテロ原子としては、N、O、S、P、B及びSiからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、N、O及びSからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、N及びOからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、Oであることが好ましい。
また、本発明に係る自発配向性化合物において、本発明に係る極性要素の価数は、1価、2価、3価など特に制限されず、また吸着基中の極性要素の個数も特に制限されることは無い。
本発明に係る自発配向性化合物において、上記吸着基は、一分子中に1〜8個有することが好ましく、1〜4個有することがより好ましく、1〜3個有することがさらに好ましい。
なお、本発明に係る吸着基は、重合性基及び配向誘導基は除くが、吸着基中の水素原子がPAP1−SpAP1−に置換された構造及びPAP1−SpAP1−中の水素原子が−OHに置換された構造は吸着基とする。
本発明に係る吸着基は、1又は2以上の極性要素を含み、吸着基は環式基型と鎖式基型に大別される。環式基型はその構造中に極性要素を含む環状構造を備えた環式基を含む形態であり、鎖式基型はその構造中に極性要素を含む環状構造を備えた環式基を含まない形態である。鎖式基は直鎖又は分岐した鎖状基中に極性要素を有する形態であり、この一部に極性要素を含まない環状構造を有していても良い。
本発明に係る吸着基が環式基を含む形態であるとは、少なくとも1つの極性要素が環状の原子配列内に含まれる形態を意味する。なお、本明細書における環式基とは、上述した通りである。そのため、本発明に係る吸着基が環式基を含む形態の場合は、極性要素を含む環式基さえ含んでいればよく、吸着基全体としては分岐しても直鎖状であってもよい。
本発明に係る吸着基が鎖式基の形態とは、分子内に極性要素を含む環状の原子配列がなく、かつ少なくとも1つの極性要素が線状の原子配列(枝分かれしてもよい)内に含まれる形態を意味する。なお、本明細書における鎖式基とは、構造式中に環状の原子配列のない、構成する原子が線状(分岐してもよい)に結合した原子団をいい、非環式基をいう。換言すると、直鎖状又は分枝状の脂肪族基を言い、飽和結合又は不飽和結合のどちらを含んでもよく、例えば、アルキル、アルケニル、アルコキシ、エステル、エーテル又はケトンなどを含み、少なくとも1つの置換基(反応性官能基(ビニル基、アクリル基、メタクリル基等)、鎖状有機基(アルキル、シアノ等)によって置換されてもよい概念である。また、本発明の鎖式基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよい。
本発明に係る吸着基が環式基の場合は、炭素原子数3〜20個の複素芳香族基(縮合環を含む)又は炭素原子数3〜20個の複素脂肪族基(縮合環を含む)がより好ましく、炭素原子数3〜12個の複素芳香族基(縮合環を含む)又は炭素原子数3〜12個の複素脂肪族基(縮合環を含む)がさらに好ましく、5員環複素芳香族基、5員環複素脂肪族基、6員環複素芳香族基又は6員環複素脂肪族基を表すことがよりさらに好ましく、これらの環構造中の水素原子はハロゲノ基、炭素原子数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又はアルキルオキシ基に置換されてもよい。
本発明に係る吸着基が鎖式基の場合は、直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20個のアルキル基中の水素原子や−CH2−が極性要素に置換されることが好ましく、当該アルキル基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH2−は、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよい。また、本発明に係る吸着基が鎖式基の場合は、端部に極性要素を含む又は2個以上の極性要素を含むことが好ましい。
本発明に係る吸着基の水素原子は、重合性基に置換されてもよい。
本発明に係る極性要素の種類は、具体的には、酸素原子を含む極性要素(以下、含酸素極性要素)、窒素原子を含む極性要素(以下、含窒素極性要素)、リン原子を含む極性要素(以下、含リン極性要素)、ホウ素原子を含む極性要素(以下、含ホウ素極性要素)、ケイ素原子を含む極性要素(以下、含ケイ素極性要素)又は硫黄原子を含む極性要素(以下、含硫黄極性要素)で表される部分構造であることが好ましく、吸着能の観点から、含窒素極性要素、含窒素極性要素又は含酸素極性要素がより好ましく、含酸素極性要素がさらに好ましい。
上記含酸素極性要素としては、水酸基、アルキロール基、アルコキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、エーテル基、カルボニル基、カーボネート基及びエステル基からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
上記含窒素極性要素としては、シアノ基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、ピリジル基、カルバモイル基及びウレイド基からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
上記含リン極性要素としては、ホスフィニル基及びリン酸基からなる群から選択される少なくとも1種の基又は当該基が炭素原子に連結している基であることが好ましい。
そのため、本発明に係る吸着基は、環式基が含酸素極性要素を備えた基(以下、含酸素環式基)、環式基が窒素原子極性要素を備えた基(以下、含窒素環式基)、鎖式基が含酸素極性要素を備えた基(以下、含酸素鎖式基)及び鎖式基が窒素原子極性要素を備えた基(以下、含窒素鎖式基)、からなる群から選択される1種又は2種以上の基自体または当該基を含むことが好ましく、吸着能の観点から含酸素環式基、含硫黄環式基、含酸素鎖式基及び含窒素鎖式基からなる群から選択される1種又は2種以上の基を含むことがより好ましい。
上記含酸素環式基としては、エーテル基又はカルボニル基を環内に有することが好ましく、当該エーテル基としては、以下の基を含むことが好ましい。
また、前記カルボニル基、カーボネート基及びエステル基としては、以下の基のいずれかを含むことが好ましい。
上記含窒素環式基としては、以下の基のいずれかを含むことが好ましい。
上記含酸素鎖式基としては、以下の基のいずれかを含むことが好ましい。
(上記一般式中、Rat1は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。上記一般式中、Zat1は、単結合、炭素原子数1〜15個の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基又は炭素原子数2〜18個の直鎖状若しくは分岐状のアルケニレン基を表し、当該アルキレン基又は当該アルケニレン基の−CH2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよく、Xat1は、炭素原子数1〜15のアルキル基を表し、当該アルキル基の−CH2−は酸素原子が直接隣接しないように−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−に置換されてもよい。)
上記含窒素鎖式基としては、以下の基を含むことが好ましい。
(上記一般式中、Rat、Rbt、Rct及びRdtはそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
本発明に係る吸着基としては、以下の一般式(AT)で表される基が好ましい。
(式中、SpAT1は、単結合、炭素原子数1〜25個の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、前記アルキレン基中の水素原子は−OH、−CN、−WAT1−ZAT1又はPAP1−SpAP1−に置換されてもよく、前記アルキレン基中の−CH2−は酸素原子が直接結合しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−に置換されてもよく、
WAT1は、単結合又は一般式(WAT1)又は(WAT2)を表し、
(式中、SpWAT1及びSpWAT2はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜25個の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、前記アルキレン基中の水素原子は−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、前記アルキレン基中の−CH2−は酸素原子が直接結合しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−に置換されてもよい。)
ZAT1は、極性要素を含む1価の基を表し、ZAT1中の水素原子は−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよい。)
SpAT1、SpWAT1及びSpWAT2はそれぞれ独立して、単結合又は直鎖状若しくは分岐状の炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すことがより好ましく、単結合又は直鎖状の炭素原子数2〜10個のアルキレン基を表すことがより好ましい。また、SpAT1、SpWAT1及びSpWAT2において、アルキレン基中の1個又は隣接していない2個以上の−CH2−は、それぞれ独立して酸素原子が直接結合しないよういに、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよい。
また、SpAT1及びSpWAT1中の水素原子はそれぞれ独立して、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよい。
ZAT1は、極性要素を含む1価の基を表すが、一般式(ZAT1−1)又は(ZAT1−2)で表される基であることが好ましい。
(式中、SpZAT11及びSpZAT12はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜25個の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、前記アルキレン基中の水素原子は−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、前記アルキレン基中の−CH2−は酸素原子が直接隣接しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−に置換されてもよく、
ZZAT11は、極性要素を含む基を表し、一般式(ZAT1−2)中のZZAT12を含む環で表した構造は、5〜7員環を表し、ZZAT11及びZZAT12の水素原子は、−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、
RZAT11及びRZAT12はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8個の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、前記アルキル基中の水素原子は−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、前記アルキル基中の−CH2−は酸素原子が直接結合しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−に置換されてもよい。)
一般式(ZAT1−1)で表される基として、一般式(ZAT1−1−1)〜(ZAT1−1−30)で表される基が好ましい。
(式中、炭素原子に結合する水素原子は、−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、
SpZAT11は、炭素原子数1〜25個の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、前記アルキレン基中の水素原子は−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、前記アルキレン基中の−CH2−は酸素原子が直接隣接しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−に置換されてもよく、
RZAT11は、炭素原子数1〜8個の直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、前記アルキル基中の水素原子は−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、前記アルキル基中の−CH2−は酸素原子が直接結合しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−に置換されてもよい。)
一般式(ZAT1−2)で表される基として、一般式(ZAT1−2−1)〜(ZAT1−2−9)で表される基が好ましい。
(式中、炭素原子に結合する水素原子は、ハロゲン原子、−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、
SpZAT11は、炭素原子数1〜25個の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、前記アルキレン基中の水素原子は−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、前記アルキレン基中の−CH2−は酸素原子が直接隣接しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−に置換されてもよい。)
一般式(ZAT1−1)で表される基として、以下の基が挙げられる。
(上記式中、Rtcは、水素原子、炭素原子数1〜20個のアルキル基又は重合性基Pal−Spal−を表し、該アルキル基中の水素原子は−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、前記アルキル基中の−CH2−は酸素原子が直接隣接しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−に置換されてもよく、分子内の水素原子は上記重合性基Pal−Spal−に置換されてもよく、*は結合手を表す。)
本発明に係る自発配向性化合物において、吸着基に含まれる極性要素や重合性基に含まれる極性要素を局在化する形態が好ましい。吸着基は液晶組成物を垂直配向させるために重要な構造であり、吸着基と重合性基とが隣接していることで、より良好な配向性が得られ、また液晶組成物への良好な溶解性を示す。具体的には、メソゲン基の同一環上に重合性基及び吸着基を有する形態が好ましい。この場合、1以上の重合性基及び1以上の吸着基がそれぞれ同一環上に結合している形態と、1以上の重合性基の少なくとも一つ又は1以上の吸着基の少なくとも一つのうち、一方が他方に結合して、同一環上に重合性基及び吸着基を有する形態とを含む。また、この場合、重合性基のスペーサー基の水素原子が吸着基で置換されていてもよく、さらには吸着基の分子の水素原子が重合性基のスペーサー基と結合する形態も含む。
本発明に係る自発配向性化合物は、以下の一般式(SAL)で表される化合物が好ましい。
(式中、炭素原子に結合する水素原子は、炭素原子数1〜25個の直鎖状又は分岐状のアルキル基、−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、前記アルキル基中の水素原子は−OH、−CN、−SpAT1−WAT1−ZAT1又はPAP1−SAP1−に置換されてもよく、前記アルキル基中の−CH2−は酸素原子が直接結合しないように環式基、−O−、−COO−、−C(=O)−、−OCO−、−CH=CH−に置換されてもよい。
RAK1は、一般式(AK)におけるRAK1と同じ意味を表し、
AAL1及びAAL2はそれぞれ独立して、一般式(AL)におけるAAL1及びAAL2と同じ意味を表し、
ZAL1は、一般式(AL)におけるZAL1と同じ意味を表し、
mAL1は、一般式(AL)におけるmAL1と同じ意味を表し、
SpAT1は、一般式(AT)におけるSpAT1と同じ意味を表し、
WAT1は、一般式(AT)におけるWAT1と同じ意味を表し、
ZAT1は、一般式(AT)におけるZAT1と同じ意味を表し、
当該化合物はその分子内に、少なくとも1つ以上のPAP1−SAP1−を有する。)
一般式(SAL)で表される化合物として、以下の式(SAL−1.1)〜(SAL−2.9)で表される化合物が好ましい。
本発明に用いる液晶組成物における自発配向性化合物の含有量の下限は、0.02質量%が好ましく、0.03質量%が好ましく、0.04質量%が好ましく、0.05質量%が好ましく、0.06質量%が好ましく、0.07質量%が好ましく、0.08質量%が好ましく、0.09質量%が好ましく、0.1質量%が好ましく、0.12質量%が好ましく、0.15質量%が好ましく、0.17質量%が好ましく、0.2質量%が好ましく、0.22質量%が好ましく、0.25質量%が好ましく、0.27質量%が好ましく、0.3質量%が好ましく、0.32質量%が好ましく、0.35質量%が好ましく、0.37質量%が好ましく、0.4質量%が好ましく、0.42質量%が好ましく、0.45質量%が好ましく、0.5質量%が好ましく、0.55質量%が好ましい。
本発明に用いる液晶組成物における自発配向性化合物の含有量の上限は、2.5質量%が好ましく、2.3質量%が好ましく、2.1質量%が好ましく、2質量%が好ましく、1.8質量%が好ましく、1.6質量%が好ましく、1.5質量%が好ましく、1質量%が好ましく、0.95質量%が好ましく、0.9質量%が好ましく、0.85質量%が好ましく、0.8質量%が好ましく、0.75質量%が好ましく、0.7質量%が好ましく、0.65質量%が好ましく、0.6質量%が好ましく、0.55質量%が好ましく、0.5質量%が好ましく、0.45質量%が好ましく、0.4質量%が好ましい。
また、本発明に用いる液晶組成物における一般式(SAL)で表される化合物の合計の含有量は、本願の一般式(SAL)で表される化合物を含む液晶組成物に対して、0.05〜10%含んでいることが好ましく、0.1〜8%含んでいることが好ましく、0.1〜5%含んでいることが好ましく、0.1〜3%含んでいることが好ましく、0.2〜2%含んでいることが好ましく、0.2〜1.3%含んでいることが好ましく、0.2〜1%含んでいることが好ましく、0.2〜0.56%含んでいることが好ましい。
また、本発明に用いる液晶組成物における一般式(SAL)で表される化合物の合計の含有量の好ましい下限値は、本願の一般式(SAL)で表される化合物を含む液晶組成物に対して、0.01%であり、0.03%であり、0.05%であり、0.08%であり、0.1%であり、0.15%であり、0.2%であり、0.25%であり、0.3%である。
本発明に用いる液晶組成物における一般式(SAL)で表される化合物の合計の含有量の好ましい上限値は、本願の一般式(SAL)で表される化合物を含む液晶組成物に対して、10%であり、8%であり、5%であり、3%であり、1.5%であり、1.2%であり、1%であり、0.8%であり、0.5%である。
含有量が少ないと一般式(SAL)で表される化合物を加える効果が現れにくく、液晶組成物の配向規制力が弱い又は経時的に弱くなってしまうなどの問題が発生し、多すぎると硬化後に残存する量が多くなる、硬化に時間がかかる、液晶の信頼性が低下する等の問題が生じる。このため、これらのバランスを考慮し含有量を設定する。
本発明の液晶表示素子の液晶層の形成に用いる組成物は、さらに、一般式(Q)で表される化合物を含有することができる。
(式中、RQは炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−で置換されてよく、MQはトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又は単結合を表す。)
RQは炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−で置換されてよいが、炭素原子数1から10の直鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された分岐鎖アルキル基が好ましく、炭素原子数1から20の直鎖アルキル基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された分岐鎖アルキル基が更に好ましい。MQはトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又は単結合を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましい。
一般式(Q)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(Q−a)から一般式(Q−d)で表される化合物が好ましい。
式中、RQ1は炭素原子数1から10の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましく、RQ2は炭素原子数1から20の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基が好ましく、RQ3は炭素原子数1から8の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基又は分岐鎖アルコキシ基が好ましく、LQは炭素原子数1から8の直鎖アルキレン基又は分岐鎖アルキレン基が好ましい。一般式(Q−a)から一般式(Q−d)で表される化合物中、一般式(Q−c)及び一般式(Q−d)で表される化合物が更に好ましい。
本願発明の組成物において、一般式(Q)で表される化合物を1種又は2種を含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましく、その含有量は0.001から1質量%であることが好ましく、0.001から0.1質量%が更に好ましく、0.001から0.05質量%が特に好ましい。
また、本発明に使用できる酸化防止剤又は光安定剤としてより具体的には以下の(III−1)〜(III−38)で表される化合物が好ましい。
(式中、nは0から20の整数を表す。)
本発明の液晶表示素子の液晶層の形成に用いる組成物において、一般式(Q)で表される化合物又は一般式(III−1)〜(III−38)から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましく、その含有量は0.001から1質量%であることが好ましく、0.001から0.1質量%が更に好ましく、0.001から0.05質量%が特に好ましい。
本発明の液晶表示素子の液晶層の形成に用いる重合性化合物を含有した組成物は、これに含まれる重合性化合物が紫外線照射により重合することで液晶配向能が付与され、組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。
本発明の液晶表示素子の液晶層の形成に用いる液晶組成物が重合性化合物を含有する場合、重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、重合性化合物含有組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。横電界型MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
照射時の温度は、本発明の液晶表示素子の液晶層の形成に用いる組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm2〜100W/cm2が好ましく、2mW/cm2〜50W/cm2がより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm2から500J/cm2が好ましく、100mJ/cm2から200J/cm2がより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、重合性化合物含有組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。横電界型MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
照射時の温度は、本発明の液晶表示素子の液晶層の形成に用いる組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm2〜100W/cm2が好ましく、2mW/cm2〜50W/cm2がより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm2から500J/cm2が好ましく、100mJ/cm2から200J/cm2がより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
「配向層」
本発明の好適な液晶表示素子において、前述のとおり、第一の基板と、第二の基板との間の液晶組成物と接する面には液晶層5の液晶分子を配向させるため、必要に応じて配向層を設けてもよい。配向層を必要とする液晶表示素子においては、光変換層と液晶層と間に配置するものであるが、配向層の膜厚が厚いものでも100nm以下と薄く、光変換層を構成する発光用ナノ結晶、顔料等の色素と液晶層を構成する液晶化合物との相互作用を完全に遮断するものでは無い。
本発明において有していてもよい配向層は、ラビング配向層および光配向層からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。ラビング配向層の場合は、特に制限されることは無く、公知のポリイミド系の配向層を好適に使用することができる。
当該ラビング配向層材料としては、ポリイミド、ポリアミド、BCB(ペンゾシクロブテンポリマー)、ポリビニルアルコールなどの透明性有機材料を用いることができ、特に、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフエニルメタンなどの脂肪族または脂環族ジアミン等のジアミン及びブタンテトラカルボン酸無水物や2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸無水物から合成されるポリアミック酸をイミド化した、ポリイミド配向層が好ましい。垂直配向層等に使用する場合は配向を付与しないで使用することもできる。
(光配向)
本発明において有していてもよい配向層が光配向層の場合は、光応答性分子を1種以上含むものであればよい。前記光応答性分子は、光に応答して二量化により架橋構造を形成する光応答性二量化型分子、光に応答して異性化し偏光軸に対して略垂直または平行に配向する光応答性異性化型分子、および光に応答して高分子鎖が切断する光応答性分解型高分子からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、光応答性異性化型分子が感度、配向規制力の点から特に好ましい。
前記光応答性異性化型高分子において、光に応答して異性化し偏光軸に対して略垂直に配向する際に使用される光は、200〜500nmであることが好ましく、300〜500nmであることがより好ましく、300〜400nmであることがさらに好ましい。
本発明に係る光応答性異性化型高分子の重量平均分子量は、10000〜800000であることが好ましく、10000〜400000であることがより好ましく、50000〜400000であることがさらに好ましく、50000〜300000であることが特に好ましい。
前記重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー,Gel Permeation Chromatography)測定の結果得られたものである。
以下、例を挙げて本願発明を更に詳述するが、本願発明はこれらによって限定されるものではない。実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。なお、nは自然数を表す。
(側鎖)
−n −CnH2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
n− CnH2n+1− 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
−On −OCnH2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
nO− CnH2n+1O− 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
−V −CH=CH2
V− CH2=CH−
−V1 −CH=CH−CH3
1V− CH3−CH=CH−
−2V −CH2−CH2−CH=CH3
V2− CH2=CH−CH2−CH2−
−2V1 −CH2−CH2−CH=CH−CH3
1V2− CH3−CH=CH−CH2−CH2
(連結基)
−n− −CnH2n−
−nO− −CnH2n−O−
−On− −O−CnH2n−
−COO− −C(=O)−O−
−OCO− −O−C(=O)−
−CF2O− −CF2−O−
−OCF2− −O−CF2−
(環構造)
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
TNI :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
Δε :20℃における誘電率異方性
γ1 :20℃における回転粘度(mPa・s)
K11 :20℃における弾性定数K11(pN)
K33 :20℃における弾性定数K33(pN)
「VHR測定」
(周波数60Hz,印加電圧1Vの条件下で333Kにおける電圧保持率(%))
450nmに主発光ピークを有する青色LED光源耐光試験:
450nmにピークをもつ青色単色LED光源を液晶パネルに対して14時間450nmの波長で68J照射する前と後のVHRを測定した。
385nmに主発光ピークを有するLED耐光試験:
385nmをピークにもつ単色LEDを液晶パネルに対して60秒385nmの波長で10J照射する前と後のVHRを測定した。
「液晶パネル、バックライトユニットおよび液晶表示素子の作製方法」
(1)液晶パネルの作製
(光変換層またはカラーフィルタの製造)
(A)「発光性ナノ結晶の作製」
下記の発光性ナノ結晶を製造する操作、及びインクを製造する操作は、窒素で満たしたグローブボックス内、または、大気を遮断し窒素気流下のフラスコ内で行った。
また以下で例示するすべての原料は、その容器内の大気を、容器内に窒素ガスを導入して窒素ガスにあらかじめ置換しておき用いた。尚、液体材料に関しては、液体に窒素ガスを導入して溶存酸素を窒素ガスに置換し用いた。酸化チタンについては使用前に、1mmHgの減圧下、2時間、120℃で加熱し、窒素ガス雰囲気下で放冷した。
また、以下で用いる、有機溶剤及び液体材料は、10mlにつき、窒素雰囲気下、関東化学(株)モレキュラーシーブ 3Aを1gの割合で加えて、48時間以上脱水、乾燥させたものを用いた。
〔赤色発光性ナノ結晶の製造〕
1000mlのフラスコに酢酸インジウム17.48g、トリオクチルホスフィンオキサイド25.0g、ラウリン酸35.98gを仕込み、窒素ガスでバブリングしながら160℃で40分撹拌した。更に250℃で20分間撹拌した後、300℃まで加熱して撹拌を続けた。グローブボックス内でトリス(トリメチルシリル)ホスフィン4.0gをトリオクチルホスフィン15.0gに溶解させた後、ガラス注射器に充填した。これを300℃に加熱した前記のフラスコ中に注入し、250℃で10分間反応させた。さらにグローブボックス内でトリス(トリメチルシリル)ホスフィン7.5gをトリオクチルホスフィン30.0gに溶解させた混合液5mlを上記反応溶液に12分間で滴下し、その後、使い切るまで15分間隔で5mlずつ反応溶液に加えた。
別の三口フラスコにて酢酸インジウム5.595g、トリオクチルホスフィンオキシド10.0g、ラウリン酸11.515gを仕込み、窒素ガスでバブリングしながら160℃で40分撹拌した。更に250℃で20分間撹拌、300℃まで加熱した後、70℃まで冷却した混合溶液を上記反応溶液に加えた。グローブボックス内でトリス(トリメチルシリル)ホスフィン4.0gをトリオクチルホスフィン15.0gに溶解させた混合液5mlを再度、上記反応溶液に12分間で滴下し、その後、使い切るまで15分間隔で5mlずつ反応溶液に加えた。1時間攪拌を維持、室温まで冷却した後、トルエン100mlとエタノール400mlを加えて微粒子を凝集させた。遠心分離機を用いて微粒子を沈殿させた後、上澄み液を廃棄し、沈殿した微粒子をトリオクチルホスフィンに溶解させる事によりリン化インジウム(InP)赤色発光性ナノ結晶のトリオクチルホスフィン溶液を得た。
〔緑色発光性ナノ結晶の製造〕
1000mlのフラスコに酢酸インジウム23.3g、トリオクチルホスフィンオキサイド40.0g、ラウリン酸48.0gを仕込み、窒素ガスでバブリングしながら160℃で40分撹拌した。更に250℃で20分間撹拌した後、300℃まで加熱して撹拌を続けた。グローブボックス内でトリス(トリメチルシリル)ホスフィン10.0gをトリオクチルホスフィン30.0gに溶解させた後、ガラス注射器に充填した。これを300℃に加熱した前記のフラスコ中に注入し、250℃で5分間反応させた。フラスコを室温まで冷却し、トルエン100mlとエタノール400mlを加えて微粒子を凝集させた。遠心分離機を用いて微粒子を沈殿させた後、上澄み液を廃棄し、沈殿した微粒子をトリオクチルホスフィンに溶解させる事によりリン化インジウム(InP)緑色発光性ナノ結晶のトリオクチルホスフィン溶液を得た。
〔InP/ZnSコアシェルナノ結晶の製造〕
上記にて合成したリン化インジウム(InP)赤色発光性ナノ結晶のトリオクチルホスフィン溶液においてInP3.6g、トリオクチルホスフィン90gに調整した後、1000mlのフラスコに投入し、さらにトリオクチルホスフィンオキシド90g、ラウリン酸30gを加える。一方、グローブボックス内でジエチル亜鉛の1Mヘキサン溶液42.9ml、ビストリメチルシリルスルフィドのトリオクチルホスフィン9.09重量%溶液92.49gをトリオクチルホスフィン162g混合する事でストックソリューションを作製した。フラスコ内を窒素雰囲気に置換した後、フラスコの温度を180℃に設定し、80℃に達した時点で上記ストックソリューション15mlを添加し、その後10分ごとに15mlを添加し続けた。(フラスコ温度は180℃に維持)。最後の添加が終了後、さらに10分間温度を維持する事で反応を終了させた。反応終了後、溶液を常温まで冷却させ、トルエン500mlとエタノール2000mlを加えてナノ結晶を凝集させた。遠心分離機を用い、ナノ結晶を沈殿した後、上澄み液を廃棄し、溶液中のナノ結晶濃度が20質量%となる様、沈殿物を再度クロロホルムに溶解させる事により、InP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)のクロロホルム溶液(QD分散液1)を得た。
また、リン化インジウム(InP)赤色発光性ナノ結晶の代わりに、前記のリン化インジウム(InP)緑色発光性ナノ結晶を用い、InP/ZnSコアシェルナノ結晶(緑色発光性)のクロロホルム溶液(QD分散液2)を得た。
〔発光性ナノ結晶のリガンド交換〕
特開2002―121549(三菱化学(株)の公開特許公報)を参考にして3−メルカプトプロパン酸のトリエチレングリコールモノメチルエーテルエステル(トリエチレングリコールモノメチルエーテルメルカプトプロピオネート)(TEGMEMP)を合成し、減圧乾燥した。
窒素ガスで満たした容器内でナノ結晶(量子ドット)分散液1(上記のInP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)を含む)と、上記で合成したTEGMEMP8gを溶解したクロロホルム溶液80gを混合して80℃で2時間撹拌することでリガンド交換を行い、室温まで冷却した。
その後、減圧下40℃で撹拌しながらトルエン/クロロホルムを蒸発させ、液量が100mlになるまで濃縮した。この分散液に4倍重量のn−ヘキサンを加えてQDを凝集させ、遠心分離とデカンテーションによって上澄み液を除いた。沈殿物に50gのトルエンを加えて超音波で再分散させた。この洗浄操作を計3回行い、液中に残存する遊離しているリガンド成分を除去した。デカンテーション後の沈殿物を室温で2時間真空乾燥してTEGMEMPで修飾されたQD(QD−TEGMEMP(赤色発光))の粉体2gを得た。同様の方法でQD(QD−TEGMEMP(緑色発光))の粉体を得た。
(B)着色用組成物、発光用ナノ結晶含有組成物およびインク組成物の作製
[赤色発光用ナノ結晶含有組成物1]
上記赤色発光用ナノ結晶固形分(リガンドを含む)30質量部と、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)30質量部と、重合開始剤(Irgacure−907(商標名) BASF社製)5質量部と、ポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)30質量部とを混合して、固形分が20質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、赤色発光用ナノ結晶含有組成物1を得た。
[赤色着色用組成物]
赤色顔料(水溶分0.3%、比電導度30μS/cmのC.I.Pigment Red 254)10部をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55部、ディスパービックLPN21116(ビックケミー株式会社製)7.0部、0.3−0.4mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し顔料分散液を得た。この顔料分散液75.00部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、赤色顔料着色組成物1を得た。
なお、顔料の水溶分は、JIS K5101−16−1(顔料試験方法−第16部:水溶分−第1節:煮沸抽出法)に基づくものである。
具体的には、
1.顔料5.00gを500mLの硬質ビーカーに正しく計り取り、イオン交換水(電導度5μS/cm以下、pH=7.0±1.0)200mLを、初め少量ずつ加え、試薬一級メタノール5mLを加えてよく濡らした後、全量を加え5分間煮沸する。
2.これを室温まで冷却し、250mLメスシリンダーに移し、更に上記イオン交換水を加えて250mLとし、よくかき混ぜてアドバンテック社製ろ紙No.5Cにてろ過する。
3.ろ液の最初の約50mLを捨て、残りの中から100mLをメスシリンダーで計り取り、質量既知の蒸発皿に移す。メスシリンダーに付着したろ液は少量のイオン交換水で蒸発皿に洗い流す。
4.この蒸発皿を水浴上で蒸発乾固させ、105〜110℃に保った乾燥器中で2時間乾燥した後デシケーターに入れ、放冷した後の質量を計り、蒸発残量を求める。
5.次式により水溶分を算出する。
顔料の水溶分(%)=蒸発残量(g)×2.5 / 顔料の質量(g) ×100
また、顔料の比電導度は、イオン交換水の比電導度を電導度計(東亜ディーケーケー株式会社社製CM−30V型等)を使用して測定した後、上記3で100mLをメスシリンダーで計り取ったろ液を同じ電導度計を使用して測定し、次式により測定値を補正して算出する。
顔料の比電導度=ろ液の比電導度−用いたイオン交換水の比電導度
[緑色発光用ナノ結晶含有組成物1]
上記赤色発光用ナノ結晶含有組成物の赤色発光用ナノ結晶に代え、上記緑色発光用ナノ結晶を用いて、上記と同様にして、緑色発光用ナノ結晶含有組成物1を得た。
[緑色着色用組成物]
上記赤色顔料着色組成物1の赤色顔料1 10部に代え、緑色顔料1(水溶分0.3%、比電導度40μS/cmのC.I.Pigment Green 36)6部と黄色顔料2(水溶分0.6%、比電導度70μS/cmのC.I.Pigment Yellow 150)4部を混合した顔料(水溶分0.4%、比電導度50μS/cm)を用いて、上記と同様にして、緑色着色用組成物1を得た。
[青色(発光用ナノ結晶含有)組成物]
青色(発光用ナノ結晶含有)組成物は、上記赤色発光用ナノ結晶含有組成物1の赤色発光用ナノ結晶に代え、青色発光用ナノ結晶を用いて、上記と同様にして、青色発光用ナノ結晶含有組成物を得た。
[青色着色用組成物1]
青色着色用組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ディスパービックLPN21116(ビックケミー株式会社製)、Saint−Gobain社製0.3−0.4mmφジルコニアビーズ「ER−120S」を混合し、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、1μmのフィルタで濾過して分散液を調製した。次いで、当該分散液75質量部、ポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.5質量部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5質量部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1質量部およびユーカーエステルEEP13.5質量部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物1を得た。
[青色着色用組成物2]
青色着色組成物は、青色染料1(C.I.Solvent Blue 7)をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ディスパービックLPN21116(ビックケミー株式会社製)、Saint−Gobain社製0.3−0.4mmφジルコニアビーズ「ER−120S」を加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散した後、1μmのフィルタで濾過し顔料分散液を得た。
この顔料分散液75質量部とポリエステルアクリレート樹脂(アロニックス(商標名)M7100、東亜合成化学工業株式会社製)5.5質量部、ジぺンタエリストールヘキサアクリレート(KAYARAD(商標名)DPHA、日本化薬株式会社製)5質量部、ベンゾフェノン(KAYACURE(商標名)BP−100、日本化薬株式会社製)1.00部、ユーカーエステルEEP13.5部を分散撹拌機で撹拌し、孔径1.0μmのフィルタで濾過し、青色着色組成物2を得た。
[黄色発光用ナノ結晶含有組成物]
黄色発光用ナノ結晶含有組成物も上記赤色発光用ナノ結晶に代え、黄色色発光用ナノ結晶を用いて、上記と同様にして、黄色発光用ナノ結晶含有組成物を得た。
[黄色着色用組成物]
上記赤色顔料組成物の赤色顔料に代え、黄色顔料(水溶分0.6%、比電導度70μS/cmのC.I.Pigment Yellow 150)10部を用いて上記と同様にして、黄色着色用組成物を得た。
「インク組成物の作製」
〔酸化チタン分散液の調製〕
窒素ガスで満たした容器内で、酸化チタン6gと、高分子分散剤1.01gと、1,4−ブタンジオールジアセテートとを不揮発分40%となるように混合した。窒素ガスで満たした容器内の配合物にジルコニアビーズ(直径:1.25mm)を加えた後、窒素ガスで満たした密閉容器をペイントコンディショナーを用いて2時間振とうさせることで配合物の分散処理を行った。これにより光散乱性粒子分散体1を得た。上記の材料は全て、窒素ガスを導入して溶存酸素を窒素ガスに置換したものを用いた。
〔赤色発光用ナノ結晶含有インク組成物1の調製〕
窒素ガスで満たした容器内で、以下の(1)、(2)及び(3)を均一に混合した後、グローブボックス内で、混合物を孔径5μmのフィルタでろ過、更に窒素ガスをインク内に導入し窒素ガスを飽和させた。次いで減圧して窒素ガスを除去することにより、インク組成物を得た。こうして、脱酸素処理された、水分を実質的に含有していない、最終インク組成物1を得た。尚、使用した材料は以下である。
[光散乱性粒子]
・酸化チタン:MPT141(石原産業(株)製)
[熱硬化系樹脂]
・グリシジル基含有固形アクリル樹脂:「ファインディックA−254」
(DIC(株)製)
[高分子分散剤]
・高分子分散剤:BYK−2164
(BYK社製の商品名、「DISPERBYK」は登録商標)
[有機溶剤]
・1,4−ブタンジオールジアセテート ((株)ダイセル製)
(1)上記で調製したQD(QD−TEGMEMP(赤色発光))に、有機溶剤1,4−ブタンジオールジアセテートを混合し不揮発分30%としたQD−TEGMEMP分散液1(上記のInP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)を含む): 22.5g
(2)熱硬化系樹脂:DIC(株)製「ファインディックA−254」(6.28g)と、硬化剤:1−メチルシクロヘキサン−4,5−ジカルボン酸無水物 (1.05g)と硬化促進剤:ジメチルベンジルアミン (0.08g)とを、有機溶剤:1、4−ブタンジオールジアセテートに不揮発分30%となるように溶解した、熱硬化性樹脂溶液 : 12.5g
(3)前記光散乱性粒子分散体1: 7.5g
〔緑色発光用ナノ結晶含有インク組成物2の調製〕
上記QD−TEGMEMP分散液1(上記のInP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)を含む)の代わりに、QD(QD−TEGMEMP(緑色発光))の分散液(上記のInP/ZnSコアシェルナノ結晶(緑色発光性)を含む)を用い、インク組成物1と同様にしてインク組成物2を得た。
〔インク組成物3の調製〕
Y138(BASF株式会社製) 0.50質量部を塩化ナトリウム1.50質量部、ジエチレングリコール0.75質量部とともに磨砕した。その後、この混合物を600質量部の温水に投じ、1時間攪拌した。水不溶分をろ過分離して温水でよく洗浄した後、90℃で送風乾燥して顔料化を行った。顔料の粒子系は、100nm以下、粒子の平均長さ/幅比は3.00未満であった。得られたキノフタロン化合物の黄色顔料を用いて以下の分散試験及びカラーフィルタ評価試験を行った。
上記方法で顔料化したY138(BASF株式会社製)0.660質量部をガラス瓶に入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート6.42質量部、DISPERBYK(登録商標)LPN−6919(ビックケミー株式会社社製)0.467質量部、DIC株式会社製アクリル樹脂溶液ユニディック(登録商標)ZL−295 0.700質量部、0.3−0.4mmφセプルビーズ22.0質量部を加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散し、顔料分散体を得た。さらに、得られた顔料分散体2.00質量部、DIC株式会社製アクリル樹脂溶液ユニディック(登録商標)ZL−295 0.490質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート0.110質量部をガラス瓶に入れ、インク組成物3を作製した。
〔光散乱性インク組成物ScBの調製〕
上記QD−TEGMEMP分散液1(上記のInP/ZnSコアシェルナノ結晶(赤色発光性)を含む)の代わりに、(1)として1,4−ブタンジオールジアセテートを用い、インク組成物1と同様にして光散乱性インク組成物ScBを得た。
(C)光変換層の製造
(フォトリソグラフィ法による光変換層1〜5の作製)
予めブラックマトリックスが形成されてあるガラス基板に、赤色発光用ナノ結晶含有組成物をスピンコートにより膜厚2μmとなるように塗布した。70℃で20分間乾燥の後、超高圧水銀ランプを備えた露光機にて紫外線をフォトマスクを介してストライプ状のパターン露光をした。アルカリ現像液にて90秒間スプレー現像、イオン交換水で洗浄し、風乾した。さらに、クリーンオーブン中で、180℃で30分間ポストベークを行い、ストライプ状の着色層である赤色画素を透明基板上に形成した。
次に、緑色発光用ナノ結晶含有組成物も同様にスピンコートにて膜厚が2μmとなるように塗布。乾燥後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素とはずらした場所に露光し現像することで、前述赤色画素と隣接した緑色画素を形成した。
以下、下記表1の構成となるように、各色の発光用ナノ結晶含有組成物又は着色用組成物を用いて、赤、緑、青の3色のストライプ状の画素を持つ光変換層1,3,5又は赤、緑、青、黄の4色のストライプ状の画素を持つ光変換層3を得た。
また、光変換層1上の全面に青色着色組成物2を塗布・紫外線照射することにより赤、緑、青の3色のストライプ状の画素全面の上に青色層を形成させた光変換層4を得た。
〔インクジェット法による光変換層6の作製〕
無アルカリガラスからなるガラス基板(日本電気硝子社製の「OA−10G」)上に金属クロムをスパッタリング後、フォトリソグラフィ法にてパターン形成したのち、フォトレジストSU−8(日本化薬株式会社製)を塗布、露光、現像、ポストベークして、クロムパターン上に、SU−8パターンを形成した。
こうして作成した隔壁パターンのデザインは、100μm×300μmのサブ画素に相当する開口部分を有するパターンであり、線幅は20μmであり、厚さは8μmであった。このBM基板を光変換層6の作成に使用した。
尚、同様の方法で、ベタパターンを作成し、インクに用いる溶剤(1,4−BDDA)の接触角を測定したところ、45°であり溶剤に対して撥液性を示すことを確認した。
インクジェットプリンター(富士フイルムDimatix社製、商品名「DMP−2850」)を用いて、上記インク組成物1〜2および、QD−TEGMEMPを用いないこと以外は赤色発光用ナノ結晶含有インク組成物1と同様にして光散乱性インク組成物ScBを作成し、これらのインク組成物を開口部に吐出させた。なお、本インクジェットプリンターのインクを吐出するヘッド部には16個のノズルが形成されており、1ノズル当たり、吐出一回あたりのインク組成物の使用量は10pLとした。
ブラックマトリックス(以下、BMとも称する)を、DMP−2850のプラテン(基材テーブル)上に設置し、基材上のブラックマトリックスパターンとヘッドの走査方向を一致させ、位置あわせを行って、BMの開口部分に対して、インクを6m/秒の速度で吐出させた。
尚、ブラックマトリックスの隔壁厚みに対して、インクの硬化膜の膜厚みが80%以上の厚みになるまでインクを吐出、製膜した。BMの開口部に印刷・硬化されたインク硬化膜の膜厚は、光干渉式の膜厚計(Vert Scan)にて測定した。
尚、インクの乾燥や硬化処理は、以下のように行った。
インクが熱硬化性の場合、溶剤を含むため、減圧下で乾燥させたのち、グローブボックス内で窒素雰囲気中、100℃3分加熱ののち、150℃30分、加熱し硬化させた。
インクが光重合性の場合、窒素ガスを充填した光透過性窓を有する密閉容器(パージボックス)に、印刷した基板を入れ、紫外線照射装置にて、UV光を照射して効果させた。
このようにして、BM基板に、青色光を赤色光に変換する画素部と、青色光を緑色光に変換する画素部と、発光性ナノ結晶を含まない光散乱剤含有分散液で青色光を(色変換せずに)透過させる画素部と、を形成した。
以上の操作により、複数種の画素部を備えるパターン付き光変換層6を得た(図16の構成)。
[インクジェット法による光変換層7の作製]
上記光変換層1を上記と同様の方法でガラス基板上に作製した後、光変換層1が形成されているガラス基板面とは反対側の面、すなわち画素部である硬化したインク組成物1〜2および硬化したインク組成物ScB上にインク組成物3をスピンコーターにより塗布後、乾燥させた。次いで、180℃で1時間加熱することで、黄色カラーフィルタ層が一面にコーティングされ、かつ青色光を赤色光に変換する画素部と、青色光を緑色光に変換する画素部と、発光性ナノ結晶を含まない光散乱剤含有分散液で青色光を(色変換せずに)透過させる画素部と、がBM基板の開口部中に形成した光変換層7を作製した(図14の構成)。
[インセル偏光層を備えた電極基板の製造方法]
前記光変換層1上のクラレ社製「ポバール103」水溶液(固形分濃度4質量%)をそれぞれ塗布・乾燥させた後、ラビング処理を施した。
次いで、ラビング処理面に、メガファックF‐554(DIC株式会社製)0.03質量部、以下の式(az−1)のアゾ色素1質量部、以下の式(az−2)のアゾ色素1質量部、
クロロホルム98質量部、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学社製)2質量部、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA、日本化薬社製)2質量部、イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.06質量部およびカヤキュアーDETX(日本化薬社製)からなる偏光層用塗布液を塗布・乾燥させて、偏光層および光変換層1を備えた基板1を作成した。その後、ITOをスパッタリング法により堆積させ、対向基板1(=第2(電極)基板)を作製した。
同様に、光変換層1の代わりに、光変換層6を用いて対向基板6(=第2(電極)基板)を作製した。
また、同様に光変換層1の代わりに、光変換層7を用いて対向基板7(=第2(電極)基板)を作製した。
(実施例1)(自発配向型VA液晶パネル)
透明電極が形成された第1基板と、上記インセル偏光層を表面備えた光変換層6が形成された対向基板6(上記第2の透明電極基板)とを、それぞれの電極が対向するように配置し、2枚の基板間に一定の間隙(4μm)を保った状態で、周辺部をシール剤により貼り合わせた。次に、配向層表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に、以下の重合性化合物(自発配向剤)(以下の式(SA−1))0.5質量部と、下記重合性化合物(XX−1)0.5質量部と、下記液晶組成1を99.0質量部とを混合した液晶組成物をセルギャップ4μmで配向膜なしのITO付き基板を含む液晶パネルに真空注入法で注入した。
その後、上記重合性化合物を含有する液晶組成物を注入した液晶パネルに周波数100Hzで電圧を10V印加した状態で高圧水銀灯を用い、325nm以下の紫外線をカットするフィルタを介して紫外線を照射した。このとき、中心波長365nmの条件で測定した照度が100mW/cm2になるように調整し、積算光量10J/cm2の紫外線を照射した。次に、蛍光UVランプを用いて、中心波長313nmの条件で測定した照度が3mW/cm2になるように調整し、積算光量10J/cm2の紫外線を更に照射し、自発配向型VA液晶パネル1を得て、450nmに主発光ピークを有する青色光による耐光試験および385nmに主発光ピークを有する光による耐光試験の評価を行った。その結果を以下に示す。
(実施例2〜16、比較例1)
用いる液晶組成、重合性化合物を以下のものに変更した以外、実施例1と同一条件で自発配向型VA液晶パネルを作製した。その後、450nmに主発光ピークを有する青色光による耐光試験および385nmに主発光ピークを有する光による耐光試験の評価を行った。その結果を以下に示す。
上記表3、7〜10において、450nmに主発光ピークにおける低下率は、「14時間耐光試験後のVHR値/初期(=14時間耐光試験前)のVHR値」であり、385nmに主発光ピークにおける低下率は、「60秒耐光試験後のVHR値/初期(=60秒耐光試験前)のVHR値」である。したがって、低下率が1に近いほど、450nmに主発光ピークを有する青色光または385nmに主発光ピークを有する光に対して安定であることを示す。上記実験結果によれば本発明の液晶表示素子は、本発明の範囲外の液晶表示素子(比較例1)に比べ耐光性に優れており、発光用ナノ結晶の劣化や部分的な高エネルギー光線の照射スポットによる液晶層の劣化を抑制または防止できると考えられる。
(液晶表示素子の作製と色再現領域の測定)
上記得られた自発配向型VA型液晶パネルに対して、上記で作製したバックライトユニット1〜2をそれぞれ取り付けて色再現領域を測定した。その結果、いずれも光変換層を備えた液晶表示素子は、色再現領域が広いことが確認された。
次に、図6の実施形態は、第二の偏光層8が一対の基板(第一の基板2、第二の基板7)の間に設けられたインセル偏光板を備えた形態であり、発光用ナノ結晶を含む層とカラーフィルタとが積層された二層の光変換層6を持つものである。具体的には、光変換層6は、赤色(R)の画素部(赤色の色層部)が、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と赤色の色材を含む色材層との二層構造で構成され、緑色(R)の画素部(緑色の色層部)が、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と緑色の色材を含む色材層との二層構造で構成され、かつ、青色(R)の画素部(青色の色層部)は、発光用ナノ結晶を含む層(NC)と青色の色材を含む色材層との二層構造で構成されている。