<実施の形態1>
(原理及び概要)
図1はこの発明の実施の形態1であるオゾンガス発生システムの構成を示す説明図である。同図に示すように、実施の形態1のオゾンガス発生システム1000は、平板電極(1,3a,3b)に誘電体を介し配置した放電セル(S1及びS2の組合せ)を有するオゾン発生器200と、オゾン発生器200にオゾン発生用交流電圧を付与するオゾン用電源100とを備えている。
そして、オゾン発生器200内の放電セル(S1,S2)の放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、この放電空間に供給した酸素ガスを含む原料ガスからオゾンガスを生成し、オゾンガスを外部に取り出している。
オゾンガス発生システム1000において、1単位の放電セル当たり1つの放電空間(1対の放電面によって形成される空間)と1つのオゾンガス取り出し口を有するように構成されている。以下、放電空間を構成する1対の放電面を「1単位の放電面」あるいは「1放電面」と称する場合がある。また、1単位の放電セルに供給する放電電力dw(W)、放電面積so(cm2)、原料ガス流量qo(L/min)等は、1単位の放電セル当たりのオゾンガス発生に関するパラメータ記号として小文字で示す。
一方、オゾン発生器200内の複数の放電セル全体に供給する総放電電力DW(W)、総放電面積S(cm2)、原料ガスの総ガス流量Q(L/min)等は、オゾン発生器200のパラメータ記号として大文字表記で示す。なお、1単位の放電セルやオゾン発生器の違いによって、パラメータ値が変化しない記号については、原則として大文字表記で説明する。
オゾン発生器200の取出しオゾン濃度Ctを最大にする条件を求めるべく、1単位の放電セルにおいて、放電空間の放電形状に関わる放電面積soと、1単位の放電空間(放電面)に投入できる放電電力密度Jと、1単位の放電空間に流す原料ガス流量qoとの最適化を検討する。
ちなみに、オゾンガス発生システム1000での放電セルの放電空間の放電ギャップ長dの範囲は数十μm以上から数百μm未満のオゾン発生器に適用する。特に、放電ギャップ長dは20μm〜100μmの範囲において、その効果がより高められるからである。
放電面積so(cm2)を所定面積範囲内に設定し、適用する放電ギャップ長dの範囲に設定したオゾン発生器おいて、特に、より高濃度のオゾンガスを取り出せる条件としては、1単位の放電セル内に流れる平均ガス流速vo/dを略(1.6/d)cm/s未満の範囲内になるようにする。
さらに、1単位の放電セル(1放電面)に供給する原料ガス流量qoを略0.25L/min未満にしている。このため、オゾンガス発生システム1000の比電力値dw/qoを高く設定しても、1単位の放電セル内でのオゾンガス生成量y(=C・qo)に対し、オゾンガスの衝突によるオゾン分解と生成したオゾン自身の自己分解とを合わせた総オゾン分解量ydを低く抑えることができ、高濃度なオゾンガスを1単位の放電セルから取出せることができる。
また、1単位の放電セルに供給する放電電力密度が2.5W/cm2〜6W/cm2範囲内となるように、放電電力dw(W)とすることで、1単位の放電セルにおけるオゾンガス生成量y(=C・qo)に対し、オゾンガスの衝突によるオゾン分解と生成したオゾン自身の自己分解とを合わせた総オゾン分解量ydを低く抑えることができる。その結果、放電セルから効率良く、オゾンガスの取出しオゾン量ytを最大限に溜めることができる。
さらに、オゾンガス発生システム1000は、各々が1放電面(1つの放電空間)を有する放電セルS1,S2をn段積層してオゾン発生器200を構成している。したがって、放電面(放電空間)は2n個になり、オゾンガス発生システム1000は、2n倍の総放電電力DW(=2・n・dw)[W]を供給するオゾン用電源100と2n倍の総放電面積S(=2・n・so)[cm2]と2n倍の原料ガス流量Q(=2・n・qo)[L/min]を達成している。このため、オゾンガス発生システム1000は、高濃度な取出しオゾン濃度Ctをオゾン発生器200から得るとともに、供給するガス流量Qに対し、オゾンガスの取出しオゾン量Ytを最大限に高めることができる。
また、オゾン用電源100から出力する高周波・高電圧のオゾン発生用交流電圧の出力周波数を20kHz〜50kHz範囲内で、従来の出力周波数である20kHz以下に比べ高めている。このため、オゾン用電源100は、オゾン発生器200に印加するオゾン発生用交流電圧のピーク電圧値を7kVp以下にして、総放電電力DWをオゾン発生器200に供給することができる。
また、放電セル(基本セルS1,S2)の放電面を平面視して円状で構成し、放電面の直径(外径)を小さくすることで、放電セルの放電空間を原料ガスが通過する時間であるガス滞在時間To[ms]を短縮させている。
さらに、放電セルに流れる平均ガス流速vo/dを略0.035/d[cm/s]未満に抑えることで、放電セルで生成するオゾン生成量に対する供給するガス量も抑えられ、放電セル内において高いオゾン生成濃度Cを確保して、かつ、オゾンガスの衝突によるオゾン分解と生成したオゾン自身の自己分解とを合わせた分解量Ydを低く抑えている。その結果、オゾン発生器200から取出せる取出しオゾン濃度Ctを高めることができる。
さらに、オゾン用電源100を構成する高周波・高電圧トランスとして機能する並列共振用トランス25の内部励磁インダクタンス値Ltと多段積層された複数の放電セルで構成したオゾン発生器200自身の静電容量値C0とにより、並列共振できる動作周波数域に合わせた高周波を出力制御するオゾン用電源100を構成している。
その結果、オゾン用電源100は、昇圧用トランスである並列共振用トランス25の出力部において並列共振回路を形成したオゾン用電源となり、より安定化したオゾン発生用交流電圧をオゾン発生器200に供給することができる。
(全体構成)
この発明による実施の形態1であるオゾンガス発生システムの構成及び特徴を図1〜図6を参照して説明する。
図1はこの発明の実施の形態1であるオゾンガス発生システム1000の構成を示す説明図である。図1に示すように、実施の形態1のオゾンガス発生システム1000は、オゾンガスを生成するオゾン発生器200とオゾン発生器200に総放電電力DW用のオゾン発生用交流電圧を付与するオゾン用電源100とを主要構成部として含んでいる。
実施の形態1のオゾンガス発生システム1000は、半導体製造装置や洗浄装置等の他の装置と共に併設されることが多い。特に、高純度のオゾンガスが求められ、かつ、処理速度を高めることや処理能力をより高めることが要求されている。したがって、オゾンガス発生システム1000は、既存の装置で得られるオゾン濃度より高濃度なオゾンガスが取出せることや供給するガス流量Qに対し、取出しオゾン量Ytが大きくなるシステムが望ましい。
図2は図1で示したオゾン発生器200の放電セルにおける放電面の構造を示す説明図である。図1及び図2において、オゾンガス発生システム1000は、オゾンガスを発生させるオゾン発生器200と、このオゾン発生器200に総放電電力DW用のオゾン発生用交流電圧を供給するオゾン用電源100から構成されている。
オゾン用電源100は、AC−DCコンバータ回路部21、インバータ回路部22、限流リアクトル23、電源制御回路24及び並列共振用トランス25を主要構成として含んでいる。
インバータ部であるインバータ回路部22は、AC−DCコンバータ回路部21を介して商用電源から入力された電力(電圧)を受け、この電圧を必要な高周波交流に変換して得られる高周波交流電圧を、限流リアクトル23を介して並列共振用トランス25に出力する。なお、インバータ回路部22による高周波交流電圧の出力周波数fを20kHz〜50kHz範囲内としている。すなわち、オゾン用電源100の動作周波数fは20kHz〜50kHzの範囲内となる。
なお、本願明細書において、「AA〜BB」で示す範囲は、原則、AA以上BB未満を示す。
昇圧用トランスである並列共振用トランス25は、上記高周波交流電圧を高電圧に昇圧してオゾン発生用交流電圧を得て、このオゾン発生用交流電圧をオゾン発生器200の高電圧端子HV及び低電圧端子LV間に供給している。
オゾン発生用交流電圧によってオゾン発生器200に供給する総放電電力DWが規定される。さらに、並列共振用トランス25は、後に詳述するように、負荷の力率を改善する措置がなされている。
高電圧端子HVは、オゾン発生器200内の各放電セルの高圧電極3a、及び3bに電気的に接続されている。低電圧端子LVは、オゾン発生器200内の接地冷却電極1に電気的に接続されている。
電源制御回路24によってAC−DCコンバータ回路部21及び高周波インバータを含むインバータ回路部22の電流/電圧を制御することにより、オゾン発生器200に供給するオゾン発生用交流電圧の電圧値を制御することができる。
オゾン発生器200は、各々が基本放電面を有する複数の基本セルS1,S2が積層されて構成されている。1対の基本セルS1及びS2を基本構成としている。以下、この基本構成を「基本放電セル組」と称する。基本放電セル組は、接地冷却電極1及び誘電体電極2a、2b、高圧電極3a、3b、及び絶縁板4a、4bから構成される。
基本セルS1は、下方から上方に向かう、接地冷却電極1、誘電体電極2a、高圧電極3a、絶縁板4aの積層構造を含んで構成される。
基本セルS2は、上方から下方に向かう、接地冷却電極1、誘電体電極2b、高圧電極3b、絶縁板4bの積層構造を含んで構成される。基本セルS1,S2間で接地冷却電極1は共用される。
そして、基本セルS1の上方及び基本セルS2の下方に低圧冷却板5が設けられる。このような構成の1対の基本セルS1,S2からなる基本放電セル組が多段に積層される。なお、1単位の基本セルは、それぞれ放電空間を形成するための1対の放電面を有する。すなわち、基本セルS1及びS2からなる基本放電セル組を6段積層した場合、1単位の基本セルが12個積層されたことになる。
基本セルS1及びS2の構造の詳細については後述する。所定数の基本放電セル組が基台10上に図1の上下方向に積層されて、オゾン発生器200の主要部となっている。
積層された複数の放電セル(複数組の基本放電セル組)は、最上部の基本セル(基本セルS1)上に重ねて設けられた積層押え板7と、積層押え板7及び各基本セルS1,S2を貫通する積層セル押え棒8によって、積層セル押えばね6を介して所定の締め付け力で基台10に締着されている。
複数の放電セル全体が発生器カバー11で覆われている。発生器カバー11は一面を削除した概略の箱状を成し開口周縁部に設けられたフランジをカバー締付けボルト(図示せず)で基台10に締着されている。発生器カバー11の開口周縁部と基台10との間には、Oリング(図示せず)が挟まれており発生器カバー11と基台10とが形成する内部空間は密閉構造とされている。
基台10には、この内部空間に、高純度酸素ガス等の原料ガスを供給する原料ガス入口31が設けられている。原料ガス入口31から供給された原料ガスGINは、発生器カバー11内の内部空間に充満され、複数の放電セルの放電空間の間隙に入り込む。
基台10には、放電空間にて生成されたオゾンガスをオゾン発生器200からマニホールドブロック9を介して外部に出すオゾンガス出口32と放電セルを冷却する冷却水が出入りする冷却水出入口(図示せず)が設けられている。
つまり、オゾンガスGOUTを外部に出力するためのオゾンガス出口32は、基台10に設けられたオゾンガス通路の端部開口であり、冷却水出入口は基台10内に設けられた冷却水通路に繋がる(図示省略)。なお、基台10内に設けられた冷却水通路とオゾンガス通路とは互いに独立した通路で形成している。
このような構成のオゾンガス発生システム1000において、取出しオゾン量Ytをより高めるために、オゾン発生器200内の複数の放電セルの放電面(総放電面積S)に投入する放電電力DW対する比である放電電力密度J(=DW/S)を規定する。さらに、取出しオゾン濃度Ctを高められる条件に設定するために、1単位の放電セル(基本セルS1あるいはS2)に供給する平均ガス流速vo/dを規定するように、1単位の基本セルの放電面の径を小さくする。このように小さくすることで、1放電セル(基本セル)におけるオゾン分解量ydを低く抑え、高濃度なオゾンガスを取り出せるようにしている。また、基本放電セル組(基本セルS1,S2の組合せ)が積層数n(≧2)で積層された多段積層セル構造で供給ガスを分散させることで、原料ガス流量qoの2n倍の原料ガスの総ガス流量Q(=2・n・qo)が供給できるようにしている。
また、オゾン発生器200内の各放電セルに投入できる放電電力密度J(=DW/S)を上昇させた場合、所望の総放電電力DWを供給すると、負荷印加電圧Vdが高くなる。この負荷印加電圧Vdを低く抑制して、所望の総放電電力DWを供給して、取出しオゾン量Ytを最大限に確保する目的で、オゾン用電源100の出力周波数を20〜50kHzまで高めている。なお、負荷印加電圧Vdはオゾン用電源100から出力するオゾン発生用交流電圧の実効値を示している。
さらに、オゾン用電源100内において、並列共振用トランス25の内部励磁インダクタンス値Ltと多段に積層された複数の放電セルを含んで構成したオゾン発生器200自身の静電容量値C0とにより、並列共振できる出力周波数の高周波交流電圧をインバータ回路部22から出力させている。
具体的には、オゾン用電源100は、以下の式(5)を満足する並列共振周波数fcの近傍に動作周波数fを設定している。
fc=1/(2π・(Lt・C0)0.5)…(5)
その結果、オゾン用電源100は、並列共振用トランス25の出力側に並列共振回路を形成したオゾン用電源となり、より安定化したオゾン発生用交流電圧をオゾン発生器200に供給できる。
図1及び図2に示すように、平面視して接地冷却電極1の周辺端部と一部重複して、複数の放電セル(S1,S2)の積層方向に延びるマニホールドブロック9を有している。
接地冷却電極1は、平面視して円状の上面及び下面を放電面として有している。すなわち、接地冷却電極1の上面が基本セルS1の放電面となり、接地冷却電極1の下面が基本セルS2の放電面となる。このように、基本セルS1は接地冷却電極1の上面と、誘電体電極2aの下面とを1対の放電面として、1対の放電面間に放電空間を形成している。同様に、基本セルS2は接地冷却電極1の下面と誘電体電極2bの上面とを1対の放電面として、1対の放電面間に放電空間を形成している。これら2つの放電空間に発生したオゾンガスを取り出すための開口部15を設けている。また、基本放電セルS1及びS2の両面を冷却するために、接地冷却電極1の内部に冷却水経路(図示せず)を有している。
開口部15は接地冷却電極1の内部に設けられた出力経路17を介してマニホールドブロック9のオゾンガス出力経路92に繋がっている。一方、マニホールドブロック9に設けられた冷却水出力経路91及び冷却水入力経路93は、接地冷却電極1の内部に設けられた上記冷却水経路と接続されている。
このように、基台10に設けられた冷却水経路と、マニホールドブロック9に設けられた冷却水出力経路91及び冷却水入力経路93と、接地冷却電極1に設けられた冷却水経路とを含んで、オゾン発生器200の複数の放電セルを冷却する冷却機構が構成される。
また、接地冷却電極1の上面及び下面それぞれ上に、放電ギャップ長d(mm)を構成するための放電スペーサ13が複数個設けられ、複数の放電スペーサ13を介して誘電体電極2a及び2b並びに高圧電極3a及び3bを重ね合わせる。その結果、接地冷却電極1,高圧電極3a(誘電体電極2a)間、及び、接地冷却電極1,高圧電極3b(誘電体電極2b)間それぞれに放電ギャップ長dの放電空間を形成することができる。
さらに、接地冷却電極1の上面及び下面には、1つのオゾン生成法として、オゾンを生成するための光触媒材(図示せず)が塗布されたオゾン発生器構成としている。
接地冷却電極1の外周部から原料ガスGINが供給される。この際、積層数nの基本放電セル組に分散された原料ガス流量qo(Q/n)が各放電セル(基本セルS1あるいは基本セルS2)に供給される。そして、接地冷却電極1と高圧電極3a、3bとの間にオゾン発生用交流電圧が印加されることにより、各放電セルの放電面全面に誘電体バリア放電が形成される。したがって、放電空間内において、誘電体バリア放電の光エネルギーと光触媒の活性化により、放電空間に供給した原料ガスに含まれる酸素ガスの酸素原子解離が促進される。
その結果、オゾン発生器200は、誘電体バリア放電の特徴である、間欠放電の休止期間で生成した酸素原子と酸素ガスとの三体衝突化学反応が促進され、各放電セルの放電空間において、高効率のオゾン生成能力を発揮することができる。つまり、オゾン発生器200は、複数の放電セルの総放電面積Sと比電力値DW/Qとに比例した濃度のオゾンガスを生成することができる。
接地冷却電極1の外周から原料ガスGINが供給されているため、各放電セルの放電空間で生成したオゾンガスは、ガスの流れに沿って、接地冷却電極1の中央部の開口部15に入り、接地冷却電極1内に設けたオゾン通路である出力経路17を経由して出力オゾンガスGOUTとして取り出される。
オゾン発生器200内において各放電セルにより生成されたオゾンガスが集められ、マニホールドブロック9のオゾンガス出力経路92を介し、最終的にオゾンガス出口32から所定濃度のオゾンガスが外部に取出される。
オゾン発生器200から最終的に取り出される取出しオゾン量Ytは、1単位の放電セルそれぞれの放電空間で生成したオゾンガス生成量yから各放電空間での放電中の衝突によるオゾン分解量と放電セル中のオゾンの自己オゾン分解量とを合わせたオゾン分解量ydを差し引いた取出しオゾン量ytの総和となる。
図2の各放電セルで単位時間当たりの生成したオゾン生成量y(g/h)は、放電空間に供給した原料ガス流量qo(L/min)と各放電セルに投入する放電電力dw(W)に対応し、オゾンが放電面に塗布した光触媒機能が作用することで、以下の式(6)で表される。
y=qo・C…(6)
式(6)において、"C"は、1単位の放電セルで単位時間当たりの生成するオゾン生成量yと放電空間中の原料ガス流量qoとで算出されるオゾン濃度(g/m3)となる。
すなわち、1単位の放電セルに形成される放電空間の体積である1放電空間体積dv(cm3)は、以下の式(7)で表される。
dv(cm3)=d・so…(7)
したがって、1放電空間で生成した後、放電空間に滞在しているオゾン量ys(g)は、生成したオゾン生成濃度C(g/m3)と式(7)で算出された放電空間体積dv(cm3)の積に対応したオゾン生成量yとなる。
なお、式(7)において、"d"は、放電ギャップ長(cm)、"so"は、1単位の放電セルにおける放電面の放電面積(cm2)であり、これらのパラメータ"d","so"は、放電セル構造を規定する固定値である。
放電セルで生成するオゾン生成濃度C(g/m3)は、単位時間当たりの単位ガス体積dv(cm3)に注入する放電電力dwに対応する。なお、単位ガス体積dvは、1単位の放電セルに関し以下の式(8)(式(2)に同じ)に再度示す。
dv(cm3/sec)=1000・Q/(n・60)…(8)
つまり、1単位の放電セルで生成するオゾン生成濃度C(g/m3)は、単位ガス体積dvに注入する放電エネルギー量(joule/cm3)に相当する比電力値dw/qo(W・min/L)によって決まり、以下で示す式(9)のように放電空間で滞在しているオゾン量ys(g)は、比電力値dw/qo(W・min/L)に比例して高くなる。
ys(g)=C・d・s/1000000…(9)
ここでは、1単位の放電セルにおける比電力値dw/qoで示したが、多段に積層した場合(2n倍)の全体の比電力値DW/Qとは同じ比で示されるため、今後、比電力値DW/Qで表記する。
しかし、実際の放電を用いたオゾンガス発生装置においては、取出しオゾン濃度Ctは、図15に示すように、比電力値DW/Qに比例して増加せず、比電力値DW/Qに対する取出しオゾン濃度Ctの特性は特性8000aとなる。
特性8000aにおいて、低い比電力値DW/Qの取出しオゾン濃度Ct特性の接線(二点鎖線)が放電セル(オゾン発生セル)で生成するオゾン生成濃度C(g/m3)の特性と定義される。
一方、図15の特性8000aに示すように、高い比電力値DW/Qの領域での取出しオゾン濃度Ctは、各放電セルから生成するオゾン生成濃度Cから、各放電セル内での生成したオゾンを分解する濃度Cdを取り除いた値となっていると判断できる。
図15に示すように、原料ガス流量Qが略3.0L/min以上の大流量域において、オゾン発生器の比電力値DW/Qに対する取出しオゾン濃度Ctの特性8000aが所定の濃度値で飽和している。このため、総放電電力DWを増加し比電力値DW/Qを高めても取出しオゾン濃度Ctを高めることができない。
比電力値DW/Qを高くしても、所定濃度値から取出しオゾン濃度Ctが高くならず、むしろ低下傾向を示す原因は、放電セルで発生した電子、イオン、放電ガスと放電空間で生成したオゾンとの衝突でオゾンガスが分解することと、放電セル内で滞在しているオゾン自身の自己分解が大きいことにある。
つまり、放電空間で生成したオゾンガスが、放電中の電子空間を通過する際、電子、イオン、放電ガス等と衝突して分解する分解量とオゾン自身の自己分解する自己分解量とを合わせた分解量が大きいことにより、取出しオゾン濃度Ctが低下している。
放電セル内でオゾン分解する総オゾン分解量Yd(=2・n・yd)は、放電空間中での発生した電子量ne、放電ガスngの分子量、平均ガス流速vo/d、ガス滞在時間To及びガス温度Tgに依存して以下の式(10)で表される。なお、"yd"は1単位の放電セルのオゾン分解量を意味する。
Yd=B(ne,ng,vo/d,To,Tg,C)…(10)
式(10)に示すように、総オゾン分解量Ydは、B(…)の関数で求まる。
したがって、複数の放電セル内でオゾンガスを分解する総オゾン分解量Ydを比電力値DW/Qに対応して低減できれば、取出しオゾン濃度Ctを高めることができる。
複数の放電セル内でオゾン分解する総オゾン分解量Ydは、複数の放電空間中でのオゾンガスの分解量であるが、図15に示すように、総ガス流量Qが略3.0L/min以上の大流量域においては、オゾンガスを生成するために投入する総放電電力DWとガス流量Qとの比(比電力値DW/Q)で一義的決まることが分かる。
このことから、比電力値DW/Qに依存した総オゾン分解量Ydは、オゾン発生器の構造そのもの条件で決まる固有の特性を有していることが分かった。つまり、オゾン発生器の構造やオゾン電源の出力条件を見直せば、比電力値DW/Qに依存した総オゾン分解量Ydも低減でき、かつ取出しオゾン量Ytが高められる。この点に着目したのが本願発明である。
図2に示す接地冷却電極1における1放電面の断面において、放電セル中での生成したオゾンガスのオゾンの分解量に注目する。
原料ガス流量Q(原料ガス流量)で原料ガスを供給すると、2n個の1単位の放電セル(基本セルS1あるいはS2)それぞれに流れる原料ガス流量qo(=Q/(2・n))に分散して供給され、1単位の放電セル当たり放電電力dw(=DW/(2・n))を投入する場合を考える。
この場合、1つの放電空間で生成したオゾンガスのオゾン生成量y[=Y/(2・n)](g/h)は、放電空間を原料ガスが流れることにより生成される量である。そして、1単位の放電セルでのオゾン生成量yは、放電空間を通過する時間であるガス滞在時間Toと、1放電面における単位周囲長さl(cm)を基準とした放電セルに流れるガス断面sav(=l・d)における平均ガス流速vo/d(cm/s)(=qo・0.001/(60・sav))とからなる2つの要素と密接に関連する。これら2つの要素は、放電セルの形状で決まる固有値となる。なお、単位周囲長さl(cm)とは、1放電空間を形成する1対の放電面のうち、一の放電面である代表放電面の外周に沿った周囲長さ(cm)を示す。つまり、1放電面の平均面積sav(=so/2)の放電径の周囲長さ(cm)が単位周囲長さl(cm)となる。
ガス滞在時間Toは、放電空間における電子、イオン、放電ガスと放電面で生成したオゾンガスとの衝突によるオゾン分解量と、放電空間内で滞在しているオゾン自身の自己オゾン分解量の両方に密接に関連する。また、単位周囲長さl(cm)を基準とした平均ガス流速vo/d(cm/s)は、1単位の放電セル内で生成されるオゾン生成能力と密接に関係しており、オゾン生成能力に対しガスの平均ガス流速vo/dが大きければ、総ガス流量Qが大きいことになり、取出せるオゾン濃度が低くなることになる。
したがって、ガス滞在時間To及びガス温度Tgは、放電空間を通過中のオゾンガスの衝突による分解量とオゾン自身の自己分解量を高める要素となり、放電セル内でのオゾン分解量を高める要因を助長させている。また、放電空間内でオゾンを生成する能力よりも、平均ガス流速vo/d(cm/s)が大きくなると、取出しオゾン濃度Ctが低くなる。
つまり、1つの放電空間において、投入できる放電電力密度J(=wd/so)の誘電体バリア放電のエネルギーで生成したオゾンガスのオゾン発生量y[=Y/(2・n)](g/h)のうち、放電空間内に滞在しているオゾン量ys(g)に関し、このオゾン量ysを高濃度でオゾンを取り出す際には、放電空間におけるガスのガス滞在時間Toによるオゾン分解量ydの影響が無視できない。
具体的には、ガス滞在時間Toが大きいほど、オゾン分解時間が長くなるため、放電ガスとの衝突による分解量と滞在しているオゾン自身の自己分解量との総計であるオゾン分解量ydが大きくなる。
また、放電空間でオゾンが生成する能力よりも、平均ガス流速vo/d(cm/s)が大きくなると、取出しオゾン濃度Ctが低くなる。
さらに、放電電力密度Jを増すとガス温度Tgが高くなる傾向はあるが、放電面全面を冷却して、放電熱エネルギーを十分に取り除く冷却能力を有すれば、投入できる放電電力密度Jを増した放電セル形状ほどにオゾン分解量ydは増加せず、ある程度冷却能力で抑制できる。
ガス温度Tgによるオゾン分解については、放電電極面の冷却能力と関連し、十分な冷却能力にすることでガス温度Tgの温度上昇を抑制できる。ガス温度Tgの温度上昇抑制については、オゾン発生器の設計上の必須問題であるため、ここでは、ガス温度Tgによるオゾン分解量の増加については考慮しない。
次に、通常の3.0L/min以上の大流量の原料ガスを流した場合において、放電空間中のガス滞在時間To、単位周囲長さl(cm)を基準した放電空間を流れる平均ガス流速vo/d、及び放電電力密度Jに適した放電セル形状について考える。ガス滞在時間Toは以下の式(11)のようになる。
To(ms)=(d・so)/qo…(11)
なお、式(11)において、"d"は、放電ギャップ長(mm)、"so"は、1単位の放電セルの放電面における放電面積(cm2)、"qo"は1放電空間当たりの原料ガス流量(L/min)である。
一方、"S"は、オゾン発生器200内の総放電面積(cm2)を示し、"Q"は、オゾン発生器200内に供給する原料ガスの総ガス流量(L/min)を示し、"n"は、図1で示したオゾン発生器200の積層した基本放電セル組(基本セルS1及びS2の組合せ)の枚数(個)を示し、放電面数としては、2・nとなる。
また、単位周囲長さl(cm)を基準とした放電面に流れる平均ガス流速vo/d(cm/s)は、放電セルの形状に依存する。例えば、円板状の放電セルの場合、単位周囲長さl(cm)を基準とした放電セルに流れるガス断面savは、放電面積soの1/2相当の放電径に流れ込む単位ギャップ長当たりの平均ガス流速voで定義すると以下の式(12)で表される。
vo(cm/s)=qo/(2π・(so/2π)0.5)
=f(so)・{1/To}…(12)
なお、単位ギャップ長当たりの平均ガス流速voは、関数f(so)と放電空間中のガス滞在時間Toの逆数に依存する値である。
また、1放電空間に投入できる放電電力密度J(W/cm2)は、以下の式(13)で表される。
J(W/cm2)=DW/S=dw/so…(13)
なお、式(13)において、"DW"は総放電電力である。
放電空間において、単純に比例してオゾン分解量ydが増加する要素は、ガス滞在時間Toである。ガス滞在時間Toが短くなるようにするには、1単位の放電セルの放電面の放電面積soを小さくして、同じ放電電力dw[=DW/(2・n)]を投入すれば、式(11)で示すガス滞在時間Toが短くなる分、オゾン分解量ydを下げることができる。
しかしながら、1単位の放電セルの放電面積soを小さくすると、式(12)で示すように単位周囲長さ(cm)を基準とした放電面を流れる平均ガス流速vo/d(cm/s)が大きくなる。このため、放電面内に供給する原料ガス流量qoが低い条件下でも、オゾン取出し濃度Ctを高くすることができる。
本願発明者は、1単位の放電セルにおける放電面積soを小さくすれば.放電空間に供給する原料ガス流量qoが低い条件で、放電空間でのガス滞在時間Toを短くする条件設定が重要であることを見出した。すなわち、本願発明者は、上記条件設定により、生成したオゾンの衝突によるオゾン分解と滞在しているオゾン自身の自己分解とを含む分解に要する時間が短縮でき、結果として放電空間におけるオゾン分解量ydを減らせることを認識した。
したがって、高濃度オゾンが取出せるように、平均ガス流速vo/dを最適条件に設定し、ガス滞在時間Toを短くすることが望ましい。つまり、放電空間で生成したオゾンの取出す際におけるオゾン分解量ydを減らすには、1単位の放電セルにおける放電面積soを小さくすることが必要である。
そして、ガス滞在時間Toを短くする方法として、放電電力密度Jが望ましい範囲内になるように放電セルにおける放電面の径を小さくし、径を小さくした放電面により形成される放電空間に投入する放電電力dwを設定する方法が考えられる。この方法によれば、1放電空間におけるオゾン分解量ydを低減でき、結果として、1放電空間からより高濃度で、所定量のオゾンガスが取出せるようになる。
つまり、本願発明者は、高濃度なオゾンガスを取り出す手段として、1放電空間から高濃度のオゾンガスが取出せるオゾンセル構造(放電面の放電面積so)と、放電電力密度Jの設定を規定するため、1放電空間に投入する放電電力dwと、平均ガス流速vo/dを規定範囲内にするための原料ガス流量qoとを含む各種要因の条件範囲を適切に設定することが重要になる。
さらに、上記した1放電空間に関する条件を維持し、かつ、高濃度のオゾンガスが取出せるガス流量を高める方法として、基本セルS1及びS2を有する基本放電セル組を多段(n倍)に積層することが望まされる。基本放電セル組をn段に積層すると、放電電力DW(=2・n・dw)及び総ガス流量Q(=2・n・qo)を高めたオゾンガス発生システムを構成することができ、結果的に比較的大きなガス流量域で高濃度なオゾンガスを取出すことができる。
加えて、上記構成のオゾンガスシステムにおいて、総放電電力DW(=2・n・dw)と総ガス流量Qとを可能な範囲で最大に設定することにより、取出しオゾン量Yt(=Ct・Q)を最大限に高めることができる。
以上、高濃度オゾンが取り出せるようにするため、オゾン分解量ydを減らす手段として、放電空間におけるガス滞在時間Toを短くできるようにするため、1放電面の放電面積soを規定値範囲内に小さくしたオゾンガス発生システムにすることが望ましい。
また、取出しオゾン量Ytを高めるようにするため、総放電電力DW及び放電電力密度Jを規定値範囲内において最適にしたオゾンガス発生システムにすることが望ましい。
次に、高濃度オゾンが取出せるオゾンガス発生システムとしては、ガス流量が低流量やオゾン発生器をより低温に冷却する手段はあるが、低流量のオゾンガスを必要とする要求分野は限られる。また、オゾン発生器をより低温に冷却する手段は、オゾンガス発生システムに付帯設備が大きくなり、オゾンガス発生システム自身も従来装置に比べ、高価で大きくなることになる。
以上のことから、高濃度オゾンが取出せるオゾンガス発生システムの制約条件を総ガス流量Qのガス流量範囲を略3.0L/min以上の大流量のガス流量とし、オゾン発生器200を冷却する冷却温度を5℃以上にした条件を考える。この条件下で、例えば、一実施例としての400g/m3以上の高濃度オゾンを取り出せ、かつ、取出しオゾン量Ytを高めたオゾンを取り出せることのできるオゾンガス発生システム1000を実現させることが必要になる。この場合、オゾン発生器200の総放電面積Sを確保するだけでなく、放電空間に供給する放電電力密度J及び総放電電力DWを可能な範囲で最大に設定できる安定したオゾン用電源100を得ることも重要である。
オゾン用電源100は、高濃度で、所定量のオゾンガスを得るために、オゾン発生器200に総放電電力DWを投入してオゾン発生器200の放電電力密度Jを高める必要がある。この場合、オゾン用電源100のオゾン発生用交流電圧の出力周波数が従来の出力周波数である20kHz未満であると、オゾン発生器200に印加する負荷電圧が高くなり、オゾン用電源100、オゾン発生器200自身の耐電圧強化が必要になる等の問題点が生じる。
このため、ピーク電圧が7kVp(5.0kVrms)以下の負荷印加電圧Vdを付与するオゾン用電源100としては、出力周波数fが20kHz〜50kHz(20kHz以上、50kHz未満)の高周波のオゾン発生用交流電圧を出力するオゾン用電源することが望ましい。また、出力周波数fが30kHzを超えるオゾン用電源とすると、電源自身から発するノイズが急激に増え、オゾンガス発生システムに付帯する計測機器や外部機器の誤動作が増大することになる。さらに、オゾン発生器との負荷との共振周波数附近を維持するため、出力周波数fの負荷変動に応じた周波数制御が不可欠になり、オゾン用電源として安定な電力を出力させることが非常に困難になる。そのため、オゾン用電源100の出力周波数fは、20kHz〜30kHz未満に制限することがより望ましい。
20kHz〜50kHzの高周波の負荷印加電圧Vdを付与するオゾン用電源として、以下の2種類の電源が考えられる。
第1の電源…オゾン用電源のインバータ部とオゾン発生器との間に直列共振回路を設けた電源、
第2の電源…オゾン用電源のインバータ部とオゾン発生器との間に高周波・高電圧トランスを設けた電源。
第1の電源においては、オゾン用電源の出力側のトランスを無くし、インバータ部とオゾン発生器との間に共振Q値の高い(例えば、Q値が10以上)直列共振回路を設け、負荷印加電圧Vdまで昇圧するようにする必要がある。第1の電源においては、高周波・高電圧トランスが無いというメリットでオゾン用電源自身をコンパクト化できる。
しかし、第1の電源は、インバータ部と直列共振回路とオゾン発生器との3つの主要構成部を跨る回路間で共振させるため、共振した負荷電流の帰還電流がインバータ部まで戻ることにより、インバータ部の電源ロスが非常に大きくなる。
さらに、第1の電源は、負荷印加電圧Vdまで昇圧共振させるため、微妙な負荷条件変動で負荷印加電圧Vdが変化し、インバータ部の動作周波数を制御しても、安定した負荷印加電圧Vdをオゾン発生器に投入することが難しい。加えて、動作周波数が常に可変であるため、電源ノイズが大きくなるなどの問題点がある。
以上の問題点があるため、実用上は、高周波のオゾン用電源が出力する放電電力DWは1.5kW未満のオゾンガス発生システムにしか適さない。また、第1の電源である小さなオゾン用電源を複数個搭載することは、オゾン発生器構成の複雑化や制御の複雑化を招き、さらに、オゾン用電源内の制御ロスや部品点数が増える等の問題点が生じる。
そのため、原料ガスの総ガス流量Q(原料ガス流量)のガス流量範囲を略3.0L/min以上とし、上記オゾン発生器を冷却する冷却温度を5℃以上にした条件下で、400g/m3以上の高濃度のオゾンガスを取り出すことを目的とした実施の形態1のオゾンガス発生システムには不適である。なぜなら、実施の形態1のオゾンガス発生システムは、比電力値DW/Qが600W・min/L以上を満足する総放電電力DWが必要であるからである。
第2の電源においては、インバータ部(インバータ回路部22)とオゾン発生器との間に高周波・高電圧トランス(並列共振用トランス25)を設けることにより、高周波・高電圧トランスの1次側巻数と2次側巻数との巻数比で決まる一定値で電圧昇圧できる。さらに、トランスの2次側以降で、負荷との並列共振回路を設けることで、負荷に供給する出力周波数と負荷印加電圧Vdとをほぼ一定値にして、総放電電力DWをオゾン発生器200に供給することができる。
その結果、インバータ部に共振した負荷電流が帰還電流として戻ることなく、インバータ部の電源ロスを比較的小さくでき、負荷との共振度合に依らず負荷印加電圧Vdが一定で、負荷に安定した総放電電力DWを供給できる。
このため、第2の電源では、高周波のオゾン用電源が出力する放電電力DWを1.8kW以上にすることができ、第2の電源は安定した出力をオゾン発生器に投入することができるメリットがある。
実施の形態1のけるオゾン用電源100は、上述した第2の電源の要件を満足させている。そして、オゾン用電源100とオゾン発生器200とを組み合わせてオゾンガス発生システム1000を構成している。
このため、実施の形態1のオゾンガス発生システム1000は、原料ガスの総ガス流量Qのガス流量範囲を略3.0L/min以上とし、オゾン発生器200を冷却する冷却温度を5℃以上にした条件下で、400g/m3以上の高濃度オゾンを取り出すことができる。さらに、オゾンガス発生システム1000は、高濃度オゾンガスが取出せる流量が大流量化でき、かつオゾン発生器の冷却能力も従来と同等レベルのオゾンガス発生システムになる。
さらに、並列共振用トランス25自身の内部インダクタンスと負荷(オゾン発生器200)の静電容量との共振周波数になるように、インバータ回路部22の動作周波数を設定している。このため、並列共振用トランス25の出力側に新規に共振用リアクトルを設けることなく、並列共振用トランス25の2次側以降の共振回路もこの並列共振用トランス25で共用できるメリットがある。
以上、原料ガスが比較的大きな総ガス流量Qで、高濃度なオゾンガスを取り出すオゾン発生器の手段として、発生器内の1単位の放電セルにおける放電空間を最適な範囲に設定することの重要性を説明した。以下、実施の形態1のオゾンガス発生システム1000の詳細について図1を参照して説明する。
オゾン用電源100からの投入する総放電電力DWを一定の5.0kWにして、オゾン発生器200の基本セルS1,S2を有する基本放電セル組の段数nを6(計12個の放電空間が形成される)とし、放電ギャップ長dを数十〜数百μm条件を満足する一定長とし、以下の3種類のオゾン発生器を準備した。
Aタイプ放電セル形状の発生器…総放電面積Sが2500cm2、
Bタイプ放電セル形状の発生器…総放電面積Sが1250cm2、
Cタイプ放電セル形状の発生器…総放電面積Sが625cm2、
そして、Aタイプ放電セル形状の発生器〜Cタイプ放電セル形状の発生器それぞれで取出せるオゾン濃度を求めた。
Aタイプ放電セル形状の発生器では、1放電面積soが約209cm2、放電径(放電面の直径)が約φ170(mm)、投入できる放電電力密度Jが2W/cm2の設定となる。
Bタイプ放電セル形状の発生器では、1放電面積soが約104cm2、放電径が約φ115(mm)、投入できる放電電力密度Jが4W/cm2の設定となる。
Cタイプ放電セル形状の発生器では、1放電面積soが約52cm2で、放電径が約φ81(mm)で、投入できる放電電力密度Jが8W/cm2の設定となる。
なお、オゾン発生器を冷却する冷却水温は一定の5℃に設定した。
図2に示すように、1放電面の放電径を比較的小さくすることにより、1放電空間におけるガス滞在時間Toは、1単位の放電セル(基本セルS1あるいはS2)に投入できる放電電力密度Jの増大割合に対し、Aタイプ放電セル形状の発生器は1倍、Bタイプ放電セル形状の発生器は1/2、Cタイプ放電セル形状の発生器は1/4となる。
基本放電セル組の積層数nを6(放電面数12(放電空間数12))にすることで、1単位の放電セルでの平均ガス流速vo/dは、Aタイプ放電セル形状の発生器は1/12、Bタイプ放電セル形状の発生器は1/6、Cタイプ放電セル形状の発生器は1/3になる。したがって、1放電空間の流速は放電電力密度Jの増大割合に対し、それぞれのタイプで、積層数n(放電面数12)に対応した1/12の割合でしか平均ガス流速vo/dは大きくならない。
その結果、オゾン発生器200内で生成したオゾンガスが放電空間を通過する際における総オゾン分解量Ydは、放電径が小さい放電セルの方が小さくなることが解る。1単位の放電セルの形状と放電セルの積層に対する高濃度オゾンガスが取出せる効果の詳細については後述する。
図3は、実施の形態1のオゾン発生器200がA放電セル形状のタイプ発生器、Bタイプ放電セル形状の発生器、Cタイプ放電セル形状の発生器の場合、各々の放電面に原料ガスを流した場合における放電空間のガス滞在時間Toに対する総オゾン分解量Ydの特性を示すグラフである。
図3において、Aタイプ放電セル形状の発生器の総オゾン分解量Ydの特性5000a、Bタイプ放電セル形状の発生器の総オゾン分解量Ydの特性5000b、Cタイプ放電セル形状の発生器の総オゾン分解量Yd特性5000cとなる。
また、破線で示した特性5000s1、特性5000s2は、放電電力密度Jにおける設定の境界値を考察した上下限を示している。
特性5000s1は、Aタイプ放電セル形状の発生器とBタイプ放電セル形状の発生器との間の放電電力密度Jが2.5W/cm2設定に相当する境界特性である。
特性5000s2は、Bタイプ放電セル形状の発生器とCタイプ放電セル形状の発生器との間の放電電力密度Jが6.0W/cm2設定に相当する境界特性である。
図3で示す特性5000a、5000b、及び5000cを比較する。図3に示すように、放電径を小さくすれば、ガス滞在時間Toが50ms以下の範囲において、ガス滞在時間Toに対応して、一定の割合で、総オゾン分解量Ydが高まる。一方、ガス滞在時間Toが50ms以上の範囲において、総オゾン分解量Ydは放電径が小さいほど少なくことが実験的に確かめられた。
つまり、放電面の放電径が小さい条件設定にすれば、放電空間でのオゾン分解量ydが少なくなり、その分、オゾン発生器200からの取出しオゾン量Ytが増加することを意味する。この点においては、Cタイプ放電セル形状の発生器が最も優れている。
一点鎖線で示した領域99aは、後に説明するが、高濃度のオゾンガスが取出せる範囲での総オゾン分解量Ydに相当する。図3に示すように、放電空間でのガス滞在時間Toは20ms〜80msの範囲において、領域99aの総オゾン分解量Ydは、約400g/h〜900g/hに抑えられており、特性5000aの総オゾン分解量Ydに比べ十分に低くなっているため、高濃度のオゾンガスを取出すことが期待できる。
図4は、Aタイプ放電セル形状の発生器、Bタイプ放電セル形状の発生器及びCタイプ放電セル形状の発生器それぞれの比電力値DW/Qに対する取出しオゾン濃度Ctの特性を示すグラフである。
図4において、Aタイプ放電セル形状の発生器のオゾン取出し濃度Ctの特性4000a、Bタイプ放電セル形状の発生器のオゾン取出し濃度Ctの特性4000b、Cタイプ放電セル形状の発生器のオゾン取出し濃度Ctの特性4000cが示されている。
また、破線で示した特性4000s1、特性4000s2は、図3と同じように、放電電力密度Jを可能な範囲で最大に設定できる放電セル形状の境界値を考察した上下限を示している。
特性4000s1は、取出しオゾン濃度Ctが400g/m3が得られる放電電力密度Jの放電セル形状の下限境界の特性結果を示し、その放電電力密度Jは約2.5W/cm2まで設定できる放電セル形状である。
特性4000s2は、取出しオゾン濃Ctが400g/m3が得られる放電電力密度Jの放電セル形状の上限境界の特性結果を示し、その放電電力密度Jは約6.0W/cm2まで設定できる放電セル形状である。
取出しオゾン濃度Ctの特性は、比電力値DW/Qに応じた放電空間でのオゾン生成濃度を示すが、オゾン発生器に投入できる放電電力密度Jが異なる放電セル形状にした場合、取出しオゾン濃度Ctの特性も異なる。
しかしながら、各特性(4000a、4000b、4000c)を有するAタイプ〜Cタイプのオゾン発生器において、オゾン生成濃度に相当する図4の比電力値DW/Qに対する特性(二点鎖線の接線特性)の勾配を見ると、放電面の放電径の小さい、放電電力密度Jを高くできるようにした放電セル形状ほど、小さい結果となる。つまり、放電空間で生成するオゾン生成能力は、放電電力密度Jが高くできるようにした放電セル形状の方が小さくなることを示している。
図4で示す特性4000a、4000b、及び4000cは、オゾン生成濃度特性からオゾンガスの分解量を差し引いたものを示している。オゾンガスの分解量は、放電空間でオゾンガスが通過する際、オゾンガスが放電中の電子ne、イオンn+や放電ガスngと衝突することによって生じるオゾン分解量と放電中に滞在しているオゾン自身の自己分解量との総和になる。
比電力値DW/Qに対する特性の接線特性であるオゾン生成濃度特性は、Aタイプ放電セル形状の発生器が最も大きく、放電セル径が小さくなり、投入できる放電電力密度Jを大きくしたものほどオゾン生成濃度特性は低くなる傾向を示している。
つまり、オゾン生成能力は、放電電力密度Jに逆比例する結果になる。放電空間中の窒素ガスの触媒作用や放電面での光触媒作用によるオゾン生成能力は放電電力密度Jを高くした放電セル形状ほど低くなる傾向を示している。
しかし、図3で示したように、放電径を変えた放電セルを多段に積層したオゾン発生器においては、放電径を小さくすると放電空間のガス滞在時間Toを短くすることができ、生成したオゾンの分解量を少なくすることができる。なぜなら、オゾンガスの分解は、放電空間内でオゾンガスが電子や放電ガスと衝突する分解と放電内で滞在している期間に生じる。そのため、生成したオゾン自身の自己分解と衝突による分解との総分解量は、ガス滞在時間Toを短くすることによって単純に小さくすることができるからである。
上記要因により、Aタイプ放電セル形状の発生器、Bタイプ放電セル形状の発生器及びCタイプ放電セル形状の発生器の取出しオゾン濃度Ctの特性が異なり、Bタイプ放電セル形状の発生器では、図4で示す領域99a内において、400g/m3以上の高濃度オゾンを取り出すことができる。
つまり、Aタイプ放電セル形状の発生器では、オゾン生成量は高いが、ガス滞在時間Toが比較的長いため、衝突による分解とオゾン自身の自己分解との総和であるオゾンの分解量が大きくなり、結果として、最大でも400g/m3未満の濃度のオゾンガスしか取り出せないことを示している。
Bタイプ放電セル形状の発生器では、オゾン生成量はAタイプ放電セル形状の発生器に比べ低くなるが、ガス滞在時間Toが短くなるため、衝突による分解とオゾン自身の自己分解との総和であるオゾンの分解量が小さくなる。したがって、Bタイプ発生器は、結果として、比電力値DW/Qが600W・min/L以上の範囲で、400g/m3以上の高濃度のオゾンが取出せることになる。
本願発明は、Bタイプ放電セル形状の発生器のような高濃度のオゾンが取出せるオゾン発生器の放電セル形状と動作条件を見つけ出すことにあり、以下の要件を満足することが望ましいことを本願発明者は見出した。
オゾン発生器200に供給する原料ガスの総ガス流量Qを略3.0L/min以上にすると、オゾン用電源100から投入する総放電電力DWは少なくとも1.8kW以上の電力を投入する必要がある。
さらに、Cタイプ放電セル形状の発生器では、所定の放電電力DWを投入するために放電電力密度Jを高くするため、放電空間におけるオゾン生成能力(二点鎖線)で決定するオゾン生成量が極端に低くなる。そのため、ガス滞在時間Toを短くなることで、衝突による分解とオゾン自身の自己分解との総和であるオゾン量の分解量を小さくしても、取出しオゾン濃度Ctは低くなる。
結果として、Cタイプ放電セル形状の発生器では、原料ガスの総ガス流量Qと投入した放電電力DWの条件において、最大でも320g/m3未満の濃度しか取り出せないことが判明した。
このことから、400g/m3以上の高濃度のオゾンが取出せるオゾン発生器を実現するには、最適な放電セル形状があり、実施の形態1のオゾン発生器においては、放電セル形状の上限範囲としては、境界特性4000s2で示したように、放電電力密度Jを約6W/cm2未満に限定したものが望ましく、放電電力密度Jの下限としては、境界特性4000s1で示したように、放電電力密度Jを約2.5W/cm2以上に設定したものが望ましいという結果になった。
図5は、Aタイプ放電セル形状の発生器、Bタイプ放電セル形状の発生器及びCタイプ放電セル形状の発生器それぞれの原料ガスの総ガス流量Qに対する取出しオゾン濃度Ctの特性を示すグラフである。
図5において、特性3000aはAタイプ放電セル形状の発生器の特性を示し、特性3000bはBタイプ放電セル形状の発生器の特性を示し、特性3000cはCタイプ放電セル形状の発生器の特性を示す。
特性枠である領域99aは、取出しオゾン濃度が400g/m3以上の高濃度のオゾンが得られるガス流量域を示し、Bタイプ放電セル形状の発生器において、供給する原料ガスの総ガス流量Qは、約25L/min未満で400g/m3以上の高濃度が得られることが分かった。
さらに、特性枠99bは、従来のオゾン発生器相当のAタイプ放電セル形状の発生器で得られるオゾン濃度特性3000aに比べ、比較的高濃度なオゾンガスが得られるガス流量域を示し、Bタイプ放電セル形状の発生器において、供給する原料ガスの総ガス流量Qは、50L/min未満で高濃度なオゾンガスが得られることが分かった。
また、図5では、供給する原料ガスの総ガス流量Qが、略3.0L/min未満においては、Aタイプ放電セル形状の発生器においても、400g/m3以上の高濃度のオゾンガスを得ることができる。しかし、この場合、取出せる総オゾン量は100g/h未満であり、少量のオゾン量を必要とする市場は少ない。また、本オゾン発生器では、大流量のオゾンガスが取り出せ、かつ、高濃度なオゾンガスが得られることを目的としているため、低ガス流量における高濃度のオゾンガスを得られるものは射程外となる。
さらに、Aタイプ放電セル形状の発生器で、特殊なオゾン発生器として、発生器の冷却温度を5℃未満にして、400g/m3以上の高濃度のオゾンガスを得ることが考えられる。しかしながら、冷却温度を5℃未満にしたものは冷却能力をアップした付帯設備が必要になり、実用上のメリットがないため、実施の形態1では、オゾンガス発生システム1000として冷却温度の適用温度としては5℃以上に設定とした。
オゾン発生器200は、各放電セルの接地冷却電極1と高圧電極3a、3bとの間にオゾン発生用交流電圧を印加し、酸素ガスを含んだ原料ガスが注入された放電空間に放電現象を生じさせてオゾンガスを発生させている。
図1に示したオゾン用電源100の並列共振用トランス25から高圧ブッシングを介して高圧電極3a、3bの給電部である高電圧端子HVにオゾン発生用交流電圧が印加される。このオゾン発生用交流電圧によって総放電電力DWが規定される。
すると、各放電セル(基本セルS1あるいは基本セルS2)の放電空間に誘電体電極2a、2bを介して誘電体バリア放電が発生する。この際、総放電電力DWに基づき各放電セルに投入できる放電電力密度J(=DW/S)(W/cm2)の電力密度が放電セルに投入される。各放電セルの放電空間で生成されたオゾンガスは、図2で示すように、放電空間の中央に設けた開口部15から接地冷却電極1内の出力経路17を介して、マニホールドブロック9のオゾンガス出力経路92に集められ、オゾン発生器200から取出される。
接地冷却電極1及び低圧冷却板5の内部は冷却するための冷却空間(図示せず)が設けられており、基台10に設けられた冷却水経路、マニホールドブロック9の冷却水出力経路91及び冷却水入力経路93を経由して、接地冷却電極1及び低圧冷却板5内に冷却水を流すことで各放電セルを冷却している。このように、接地冷却電極1、低圧冷却板5、基台10、及びマニホールドブロック9を含んで、放電セルを所定の冷却温度に冷却する冷却機構が構成される。
以下、1単位の放電セルにおける1放電面の形状について説明し、さらに、複数の放電セルを積層する効果について説明する。
オゾンガス発生システム1000において、基本セルS1及びS2を有する基本放電セル組を多段(6段)に積層したもの(放電面:12面)で高濃度なオゾンガスが取出せる条件について説明した。
ここでは、より本願発明の適用範囲を明確にするため、1単位の放電セルにおける1放電空間での高濃度オゾンガスが取出せる条件を説明する。以下、原料ガスの総ガス流量Q(原料ガス流量)のガス流量範囲を略3.0L/min以上の大流量域において、より高濃度(400g/m3相当以上)なオゾンガスが取出せる放電セルの積層する効果について説明する。
積層したオゾン発生器における図5で示した総ガス流量Qに対する取り出しオゾン濃度Ct特性から。高濃度で所定量のオゾンガスを効率よく取出すべく、1単位の放電セル(1放電面)に供給する原料ガス流量qoが略0.5L/min〜略2.5L/min弱の範囲を満足するように、1放電面の放電面積soを小さくした放電セル形状に設定することが望ましい。
すなわち、高ガス流量域まで高濃度なオゾンガスが取出すために、1単位の放電セルの多段に積層すべく、基本放電セル組の積層枚数nを増やす手段を講じ、1放電面積soを略約30cm2〜略160cm2に設定することが重要である。また、原料ガスの総ガス流量Qおいて、高出力の取出しオゾン量Ytを得るために、放電面の放電径を小さくして放電面積soを規定した1単位の放電セルを多段に積層する(積層枚数nを増やす)手段を講じ、かつ、投入できる放電電力密度Jを略2.5W/cm2〜略6.0W/cm2の範囲に設定したオゾンガス発生システム1000が望ましい。
そして、1放電面積soと放電電力密度Jとから放電電力dw(=so・J)が求まり、放電ギャップ長dを数十〜数百μmとした1放電空間に供給する原料ガス流量qoを略0.5L/min〜略2.5L/min弱範囲において、Bタイプの放電セル形状を採用した場合を考える。この場合、オゾン濃度が400g/m3を超える高濃度オゾンが取出せ、多段に積層する枚数nに比例して取出せるオゾン流量を増やせることになる。また、Bタイプの放電セル形状において、総ガス流量Qで、可能な範囲で最大の取出しオゾン量Ytを得るため、上述した条件を満足し、かつ、可能な範囲で最大となるように、放電電力密度Jから放電電力dw(=so・J)を決定し、放電ギャップ長dを数十〜数百μmとした1放電空間に供給する原料ガス流量qoを可能な範囲で最大に設定することが望ましい。
1放電面積soを30cm2〜160cm2に規定する具体的方法としては、1例としては平面視して円状の放電セルの放電面の直径をφ70mm〜φ140mmの範囲にして、放電面積soを規定していることになり、原料ガスの総ガス流量Qを高めたオゾン発生器にするには、1単位の放電セルを多段に積層して、発生器の総放電面積S(=2・n・so)を確保する必要がある。
また、1放電面の放電面積soを30cm2〜160cm2に規定した放電セル形状の発生器において、投入する総放電電力DWをパラメータとする放電電力密度J(=DW/S)を低い値に規定するには、オゾン発生器の総放電面積Sを大きくしなければならなくなり、基準放電セル組の積層枚数n(=S/(2・so))を増やす必要が生じる。積層枚数nを増やすとオゾン発生器の製作コスト等が高くなることを避けるには、1放電面に投入できる放電電力密度Jを、オゾンガス発生システム1000において最も有効な条件範囲内で高い値に設定することが望ましい。
高濃度なオゾンガスが取出せる原料ガスの総ガス流量Qをより大ガス流量までアップさせたオゾンガス発生システム1000を構成するには、放電面積so、放電電力密度J、投入した放電電力dwおよび1放電空間に供給する原料ガス流量qoに関し、上述した条件を満足する1単位の放電セルを実現し、上述した積層枚数nを増やすことが不可欠になる。
また、原料ガスの総ガス流量Qが大きい領域において、高出力の取出しオゾン量Ytを最大限に高めるオゾンガス発生システム1000を構成するには、放電面積so、放電電力密度J、投入した放電電力dwおよび1放電空間に供給する原料ガス流量qoを、可能な範囲で最大値に設定し、上述した条件を満足する1放電面を実現し、積層枚数nで多段に基本放電セル組を積層することが必要となる。
つまり、オゾン発生器200において、上述した条件を満足する1放電面を2n個設け、投入する総放電電力DW(=2・n・dw)を満足するオゾン発生用交流電圧を出力するオゾン用電源100が必要になる。
その結果、オゾンガス発生システム1000は、2n個の放電空間に供給する原料ガスの総ガス流量Q(=α・2・n・qo)を供給可能になる。なお、α値は、1放電面を2n個分積層してオゾンガスを合流させた場合の減損率を示す定数である。
次に高濃度オゾンガスを取り出すためのオゾン発生器の動作に関しての諸条件について説明する。
図6は、オゾン用電源100の動作周波数fに対する総放電電力DWを投入した際のAタイプ放電セル形状の発生器、Bタイプ放電セル形状の発生器及びCタイプ放電セル形状の発生器に印加される負荷ピーク電圧Vpの特性を示すグラフである。
以下、オゾン用電源100の動作周波数を20kHz〜50kHzにした根拠について図6を参照して説明する。
図6において、特性7000aはAタイプ放電セル形状の発生器の放電電力密度J(=DW/S)が2W/cm2条件時の負荷ピーク電圧Vpの特性を示す。
特性7000bは、Bタイプ放電セル形状の発生器の放電電力密度Jが4W/cm2条件時の負荷ピーク電圧Vpの特性を示す。
また、特性7000cはCタイプ発生器の放電電力密度Jが8W/cm2条件時の負荷ピーク電圧Vp特性を示す。
放電電力密度Jが4W/cm2条件時の負荷ピーク電圧Vpの特性7000bにおいて、Bタイプ放電セル形状の発生器では、領域99a内で最も高濃度のオゾンガスが取出せることが実験的に判明した。
破線で示した特性7000s1、特性7000s2は、本発明範囲の放電電力密度Jの放電セル形状の境界値を考察した上下限を示した特性図である。
特性7000s1は、放電電力密度Jが少なくとも2.5W/cm2の放電セル形状の境界特性を示している。特性7000s2は、放電電力密度Jの設定が最大限界の6W/cm2の放電セル形状の境界特性である。
したがって、領域99aと特性7000s1,7000s2との関係から、所定のガス流量Qにおいて、400g/m3以上の高濃度のオゾンガスが得られ、かつ、供給するガス流量Qで、所望の取出しオゾン量Ytが得られる装置にする放電電力密度J(=DW/S)を得るためには、放電電力密度Jの下限は約2.5W/cm2付近以上で、放電電力密度Jの上限は約6.0W/cm2の条件範囲にするのが望ましい結果になった。
以下、オゾン用電源100の動作周波数fを20kHz〜50kHzの電源方式を説明する。そして、オゾン用電源100において、高周波インバータ部であるインバータ回路部22を採用したこと、及び、高周波・高電圧トランスである並列共振用トランス25とオゾン発生器200との間に並列共振型を実現したことについて説明する。
図6に示すように、動作周波数fが低くなると、比較的大きい総放電電力DWを投入して、放電電力密度J(=DW/S)を高くすると、負荷ピーク電圧Vpが高くなる特性を示す。
負荷ピーク電圧Vpが高くなると、オゾン発生器200の耐電圧を十分確保するために、オゾン発生器200を大きくする必要がある。負荷ピーク電圧Vpは、オゾン用電源100としては10kVp未満であれば、インバータ回路部22は、比較的コンパクトで安定したものが可能である。
また、負荷ピーク電圧Vpが7kVp以上になれば、耐電圧を確保すべく、並列共振用トランス25を大きくしたり、オゾン発生器の高圧部と低圧部との空間距離を大きくしたりする必要が生じ、オゾン発生器自身が大きくなる。
さらに、並列共振用トランス25の巻数比が大きくなるなどの問題点が生じる。そのため、オゾンガス発生システム1000としては、負荷印加電圧Vdにおける負荷ピークであるVpは7kVp(5.0kVrms)未満となるようにして、所望の総放電電力DWを供給することが望ましい。
図6に示すように、負荷ピーク電圧Vpが7kVp(5.0kVrms)未満としたオゾン用電源100に限定した場合、400g/m3以上の高濃度なオゾンガスが取出せ、かつ、総ガス流量Qで取出しオゾン量Ytを最大とするオゾンガス発生システム1000としては、動作周波数fは20kHz以上が望ましい。
一方、動作周波数fが高くなると、オゾン発生器200で生成されるオゾン生成能力が低下する傾向があるため、400g/m3以上の高濃度オゾンが取出せる高濃度オゾンガス発生装置としては、動作周波数fは50kHz未満が望ましい。
それに加え、総ガス流量Q(原料ガス流量)のガス流量範囲を略3.0L/min以上のガス流量で、400g/m3以上の高濃度なオゾンガスを取り出せ、かつ、総ガス流量Qで取出しオゾン量Ytを最大にするためのオゾンガス発生システム1000にするには、1.8kW以上の総放電電力DWを供給するオゾン用電源100が必要となる。したがって、1.8kW以上が出力できる並列共振用トランス25としては、オゾン用電源のノイズ対策面や出力電力の安定供給面を考慮すると、実用上、動作周波数fは20kHz以上で30kHz未満が特に望ましい。
以上、図6で示したように、原料ガスの総ガス流量Q(原料ガス流量)のガス流量範囲を略3.0L/min以上のガス流量で、400g/m3以上の高濃度オゾンを取り出せるオゾンガス発生システム1000としては、以下の条件を満足する必要があることがわかる。
・1単位の放電セルにおける1放電面積soを略約30cm2〜略160cm2に設定する。
・1放電面積soと放電電力密度Jから1単位の放電セルの放電空間における放電電力dw(=so・J)を規定する。
また、原料ガスの総ガス流量Qを可能な範囲で最大に設定して、高出力の取出しオゾン量Ytが得られるオゾンガス発生システム1000を構成する条件としては、以下の条件を満足することが望ましい。
・放電電力密度J(=DW/S)を2.5W/cm2〜6W/cm2の範囲設定に規定する。
・放電ギャップ長dを数十〜数百μmとした1放電空間に供給する原料ガス流量qoを略0.5L/min〜略2.5L/min弱範囲に規定する。
原料ガス流量qoと1放電面積soとを上述した条件を満足するように設定することで、1放電空間における平均ガス流速vo/dを最適速度に設定するとともに、放電空間でのガス滞在時間Toを短くすることができ、高濃度なオゾンガスを取出すことが可能となる。
さらに、以下のようにオゾン発生器を構成することが望ましい。
・1放電面で取り出せるオゾン濃度を高濃度にし、基本セルS1及びS2を有する放電セルを多段に積層したオゾン発生器とする。
また、オゾン用電源100は以下の条件を満足することが望ましい。
・オゾン発生用交流電圧の出力周波数を20kHz〜50kHz未満の範囲にして、所望の総放電電力DWを出力制御できる。
上記条件を満足させて、オゾンガス発生システム1000を構成することにより、大流量、高濃度なオゾンガスを取り出せる効果を奏する。さらに、オゾンガス発生システム1000をコンパクト、かつ安価に構成することができる。
(オゾンガス発生システム1000の種々の条件)
オゾンガス発生システム1000は、原料ガスの総ガス流量Q(原料ガス流量)のガス流量範囲を略3.0L/min以上の大流量で、取出せるオゾン濃度が高濃度(400g/m3)となるように、放電セルを多段に積層している。
オゾンガス発生システム1000は、400g/m3以上の高濃度なオゾンガスを取り出すべく、比電力値DW/Qの範囲を600以上にしたオゾン用電源100オゾン用電源を設けることが望ましい。
特に、オゾン用電源100が供給するオゾン発生用交流電圧による総放電電力DWの範囲としては、1.8kW〜15kW程度が望ましい。
オゾン用電源100は、放電空間の放電ギャップ長dが長くなれば、ガス滞在時間Toが非常に長くなり、放電空間で生成するオゾン生成量に対するオゾン分解量が非常に大きくなり、高濃度なオゾンガスを取り出せなくなる。
また、放電ギャップ長dが短くなり過ぎると、また、放電空間を通過するガス流速が増し、放電面が接近することで生成したオゾンガスと放電面の壁との衝突や放電空間でのガス衝突や発生した電子、イオン、放電ガスとの衝突が増すため、オゾン分解量が非常に大きくなる。このように、放電ギャップ長dが短くなり過ぎると、高濃度なオゾンガスを取り出せなくなるため、放電ギャップ長dは、数十〜数百μm条件の短ギャップ長範囲にすることが望ましい。特に、より高濃度なオゾンガスを取り出すためには、放電ギャップ長dを20μm〜100μmの範囲にすることで、より効果を奏する。
原料ガスの総ガス流量Qの範囲としては、400g/m3以上の高濃度なオゾンガスが得られる範囲は、3SLM〜25SLM程度であり、また、従来の装置に比較して高濃度なオゾンガスが得られる範囲としては、3SLM〜50SLM程度の範囲が望ましい。
(実施の形態1の効果)
実施の形態1のオゾン用電源100は、各々が放電面となる1対の平板電極1と高圧電極3a(3b)に誘電体を介し配置した基本セルS1(S2)を有するオゾン発生器200と、オゾン発生器200にオゾン発生用交流電圧を付与するオゾン用電源100とを備えて構成されている。
オゾン発生器200に酸素を含んだ原料ガスが供給され、オゾン発生器200は、基本セルS1(S2)の放電面によって形成される放電空間に誘電体バリア放電を発生させ、放電空間に供給した原料ガスからオゾンガスを生成し、該オゾンガスを外部に出力している。
オゾン発生器200は、多段に積層された複数の基本放電セル組(基本セルS1,S2の組合せ)を含んで構成される。そして、出力するオゾンの高濃度化されるオゾン発生器200は、以下の条件(1)及び条件(2)を満足している。
(1) 複数の放電セルは、それぞれの放電面(1単位の放電セルの放電面)によって形成される放電面積soが30cm2〜160cm2(30cm2以上、160cm2未満)の範囲に設定される。
(2) 複数の放電セルそれぞれの放電面によって形成される放電空間に供給する原料ガスの原料ガス流量qoは、0.5L/min〜2.5L/min(0.5L/min以上、2.5L/min未満)の範囲に設定される。
また、オゾン発生器200に供給するガス流量Qと放電電力DWを可能な範囲で最大に設定して、より高い取出しオゾン量Ytを得るためには、オゾン発生器200は、上記の条件(1)、条件(2)に加え、以下の条件(3)を満足している必要がある。
(3) 複数の放電セルそれぞれの放電空間に投入する放電電力密度Jは、2.5W/cm2〜6W/cm2(2.5W/cm2以上、6W/cm2未満)の範囲に設定される。
実施の形態1のオゾンガス発生システム1000は、上述した条件(1)〜条件(3)を満足することにより、複数の放電セルそれぞれの放電面に関し以下の効果を奏する。なお、3つの条件を満足する際、オゾン発生器の放電ギャップ長dは数十〜数百μmnの短ギャップ長に設定する必要がある。以下、この点を詳述する。
放電ギャップ長を数十〜数百μmの短ギャップの誘電体バリア放電の方が、高電界の放電が実現できる。すなわち、短ギャップの誘電体バリア放電の方が、高エネルギーの放電光エネルギーを有した放電になり、触媒ガスを含んだガスや放電面に塗布した光触媒を光励起させるのに有効に働き、結果として酸素ガスの解離を促進させる効果がより高まる。このため、条件(1)〜条件(3)を満足したオゾンガス発生システム及びオゾンガス発生方法を実現する際、オゾン発生器の放電ギャップ長は数十〜数百μmに設定することが望ましい。
オゾンガス発生システム1000は、上述した条件(1)及び条件(2)を満足することにより、各放電セルの(1対の放電面によって形成される)放電空間におけるガス滞在時間Toを短くして総オゾン分解量Ydを抑えることができる。
その結果、オゾンガス発生システム1000は、上述した条件(1)及び条件(2)を満足させ、かつ、各放電セルの放電面に供給する原料ガス流量qoと放電電力dwとを可能な範囲で最大に設定して、取出しオゾン量ytを最大限に高めることにより、高濃度なオゾンガスを取り出せる条件を作りだせる。
オゾンガス発生システム1000は、さらに条件(3)を満足することにより、各放電セルから取り出せるオゾンの生成量を所定量以上確保でき、かつ、効率よく取り出せることができ、取出しオゾン量Ytをより高めることができる。
その結果、オゾンガス発生システム1000は、システム構成を必要最小限に抑えて、高濃度なオゾンもしくは、取出しオゾン量Ytを効率的に高め、外部に出力することができる効果を奏する。
このように、オゾンガス発生システム1000は、条件(1)及び条件(2)に加え、上述した条件(3)をさらに満足することにより、条件(1)〜条件(3)を満足させ、かつ、各放電セルの放電空間に供給する原料ガス流量qoと放電電力dwとを可能な範囲で最大に設定して、取り出しオゾン量ytを最大限に高めることができる。
その結果、実施の形態1のオゾンガス発生システム1000は、システム構成を必要最小限に抑えて、高濃度なオゾンガスもしくは高発生量のオゾンガスを外部に出力することができる効果を奏する。
さらに、実施の形態1のオゾンガス発生システム1000におけるオゾン発生器200は、以下の条件(4)をさらに満足している。
(4) 冷却機構によるオゾン発生器200の冷却温度は5℃以上である。
実施の形態1のオゾンガス発生システム1000のオゾン発生器200は、さらに上述した条件(4)を満足することにより、上述した冷却機構によるオゾン発生器200の冷却温度を極端に低くする必要性をなくし、冷却機構の簡略化を図ることができる。なお、上記制約条件の上限は常温(20℃)に対し30℃程度を想定している。また、より冷却効果を重視する場合は、水が凍る温度である0℃以上に冷却温度を設定することが望ましい。
さらに、実施の形態1のオゾンガス発生システム1000におけるオゾン発生器200は、以下の条件(5)及び条件(6)をさらに満足している。
(5) オゾン発生器200内の複数の放電セル全体に供給する総ガス流量Qは3.0L/min以上である。
(6) オゾン発生器200内の複数の放電セル全体に付与する総放電電力DWと総ガス流量Qとの比である比電力値DW/Qは、600(W・min/L)以上である。
なお、条件(5)は高濃度のオゾンガスを取出せることを目的としており、条件(5)の目的を達成することの付随効果として、条件(6)は出力するオゾンガス量を最大限に高める効果を奏する。
オゾンガス発生システム1000のオゾン用電源100及びオゾン発生器200は、さらに上述した条件(5)及び条件(6)を満足することにより、以下の効果を奏する。
オゾンガス発生システム1000は、上述した条件(5)を満足することにより、例えば400g/m3以上の高濃度オゾンを取り出すことができる複数の放電セルに供給する原料ガスに関し、十分大きな総ガス流量Qを確保し、最終的に高濃度なオゾンガスが得られ、取出しオゾン量Ytを高めることができる。
オゾンガス発生システム1000は、上述した条件(6)を満足することにより、条件(5)の効果に加え、条件(1)〜条件(6)を満足することを環境下で、例えば以下の効果を奏する。オゾン発生器200に供給する総ガス流量Q及び総放電電力DWを可能な範囲で最大限投入にして、取出しオゾン量Ytを最大限に高めることができる。
その結果、実施の形態1のオゾンガス発生システム1000は、システム構成を必要最小限に抑えて、比較的大容量、かつ高濃度なオゾンガスを外部に出力することができる効果を奏する。
また、オゾン発生器200内の放電セルを構成する基本セルS1,S2それぞれの放電面はそれぞれ平面視して円状を呈し、オゾン発生器200は以下の条件(7)をさらに満足する。
(7) 複数の放電セルそれぞれの放電面の外径が70mm〜140mm(70mm以上、140mm未満)の範囲に設定される。
また、上述した放電面を有する基本放電セル組(基本セルS1及びS2の組合せ)をオゾン発生器にn個同一平面上に並べて、放電セル数を増やしたオゾンガス発生システム1000の変形例を構成すれば、図1で示した基本構成と同様な効果を奏する。
オゾンガス発生システム1000は、上述した条件(7)を満足することにより、条件(1)を満足する放電面積soを比較的容易に実現し、かつ、ガス流入する平均断面savに流れ込む平均ガス流速vo/dを適切な値に比較的容易に設定することができる。
加えて、オゾンガス発生システム1000のオゾン用電源100は、出力周波数f(動作周波数f)を20kHz〜50kHz(20kHz以上、50kHz未満)範囲内にして、オゾン発生用交流電圧をオゾン発生器200に出力している。より実用的なオゾン用電源100の出力周波数f(動作周波数f)は、20kHz〜30kHz(20kHz以上、30kHz未満)範囲が望ましい。
このため、オゾンガス発生システム1000は、オゾン発生器200内の複数の放電セルに印加するオゾン発生用交流電圧のピーク電圧値を7kVp以下にして、オゾン発生器200が所望する放電電力DWを実現することができる。
さらに、オゾン用電源100の並列共振用トランス25は、内部励磁インダクタンス値Ltを有し、オゾン発生器200内の複数の放電セルは全体の静電容量値C0を有している。
そして、オゾン用電源100は、上述した式(5)を満足する並列共振周波数fcの近傍に出力周波数fを設定している。
オゾンガス発生システム1000は、並列共振周波数fcの近傍に出力周波数fを設定することにより、オゾン発生器200への総放電電力DWの投入時に並列共振を行うことで、インバータ部(インバータ回路部22)の出力力率を高めることができる。
すなわち、並列共振用トランス25とオゾン発生器200との間で総放電電力DWの投入時に並列共振を行うことにより、インバータ回路部22での出力力率を高めることができる。
その結果、オゾン用電源100は、所望の総放電電力DWを満足するオゾン発生用交流電圧を負荷側であるオゾン発生器に供給できる。
なお、所望の総放電電力DWはとして1.8kW以上の総放電電力DWが考えられる。そうすると、オゾン発生器200内の各放電セルに投入できる放電電力密度J(=DW/S)を2.5W/cm2〜6W/cm2の範囲に設定することができる。
その結果、オゾンガス発生システム1000は、高効率のオゾン用電源100を実現することにより、高濃度のオゾンガスを取り出せすべく、供給する総ガス流量Qと総放電電力DWを可能な範囲で最大値に設定しても、全体としてコンパクトな構成のオゾンガス発生システムを実現することができる効果を奏する。
<方法発明への展開>
実施の形態1では、装置発明であるオゾンガス発生システム1000として説明した。しかしながら、本願発明の変形例として、上述したオゾン用電源100及びオゾン発生器200を用いたオゾンガス発生方法に展開することも可能である。
すなわち、1対の平板電極1,3(3a,3b)に誘電体(2a,2b)を介し配置した放電セルを有するオゾン発生器200と、オゾン発生器200にオゾン発生用交流電圧を付与するオゾン用電源100とを用いて、高濃度なオゾンガスを発生するオゾンガス発生方法に展開することができる。
実施の形態1の変形例であるオゾンガス発生方法は、上述したオゾンガス発生システム1000の条件(1)及び条件(2)に対応して以下のステップ(1)及びステップ(2)を実行する。
(1) 前記複数の放電セルそれぞれの放電面における放電面積soを、約30cm2以上、160cm2未満の範囲に設定するステップ、
(2) 前記複数の放電セルそれぞれの1対の放電面によって形成される放電空間に供給する原料ガスの原料ガス流量qoを、0.5L/min以上、2.5L/min未満の範囲に設定するステップ。
また、オゾン発生器200に供給するガス流量Qと総放電電力DWを可能な範囲で最大限投入にして、取出しオゾン量Ytを最大限に得るためには、オゾンガス発生方法は、上記のステップ(1)及びステップ(2)に加え、以下のステップ(3)を実行することが望ましい。
(3) 前記複数の放電セルそれぞれの放電空間に投入する放電電力密度Jを、2.5W/cm2〜6W/cm2の範囲に設定するステップ。
上記オゾンガス発生方法は、ステップ(1)及びステップ(2)を実行することにより、各放電セルの放電空間におけるガス滞在時間Toを短くしてオゾンガス分解量を抑えることができる。
したがって、上記オゾンガス発生方法は、ステップ(1)及びステップ(2)を実行することにより、各放電セルの放電空間に供給する原料ガス流量qo及び放電電力dwを可能な範囲で最大に設定すれば、オゾンガスを高濃度に取り出せる効果を奏する。
上記オゾンガス発生方法は、さらに、ステップ(3)を実行することにより、各放電セルの放電面に供給するガス流量q及び放電電力dwを可能な範囲で最大に設定すれば、取出しオゾン量ytを最大に高めることができる効果を奏する。
その結果、本願発明の変形例であるオゾンガス発生方法は、高濃度なオゾンもしくは高発生量のオゾンガスを外部に出力することができる効果を奏する。
さらに、上記オゾンガス発生方法は、オゾンガス発生システム1000の上述した条件(4)〜条件(7)に対応して、条件(4)〜条件(7)を満足させるためのステップを実行することができ、オゾンガス発生システム1000と同様な効果を奏する。
<実施の形態2>
(実施の形態1の課題)
上述した実施の形態1において、実証試験と高濃度オゾンが取出すための放電セル形状の原理及び概要にて示したように、オゾン発生器200は、多段に積層されたn個の基本放電セル組(S1,S2)を含んで構成される。そして、高ガス流量域まで高濃度なオゾンガスが取出すオゾン発生器200は、条件(1)を満足している。以下に、条件(1)を再掲する。
(1) 複数の放電セルは、それぞれの放電面(1単位の放電セルにおける放電面)によって形成される放電面積soが30cm2〜160cm2(30cm2以上、160cm2未満)の範囲に設定される。
上述したように、実施の形態1のオゾンガス発生システム1000では、1単位の放電セルの放電面積soは条件(1)の制約が課されていた。ここで、オゾンガス発生システム1000において、高ガス流量域で高濃度なオゾンガスを取出したり、原料ガスの総ガス流量Qが大きい領域において、高出力の取出しオゾン量Ytが得られるようにしたりする構成を想定する。
上記構成を想定した場合、1単位の放電セルの放電面積soが小さいほど、オゾン発生器200に必要とする放電面積S(=2n・so)を確保すべく、基本放電セル組を積層する積層枚数nを多くする必要があった。
積層枚数nを大きく設定してオゾン発生器200を構成した場合、必要とされる基本放電セル組の組数が増加する分、部品点数が増え、かつ、オゾン発生器200内の組立て作業工程数や試験検査作業が増えることになる。このため、オゾン発生器200の製作コスト高を招く。さらに、オゾン発生器200自身の各放電セルの放電ギャップ精度の管理、積層締め付け精度の管理をより高める必要などの課題も生じることになる。このため、オゾン発生器200の製作困難性が増し、その結果、オゾンガス発生システム1000が大きくなり、コストアップ等の課題が生じてしまう。
(オゾン発生器200の改良)
実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、上述した実施の形態1のオゾン発生器200の課題を鑑みて、オゾン発生器200をオゾン発生器300に改良したものでである。なお、オゾンガス発生システム2000及びオゾン発生器300は図面上では示していない。
オゾン発生器300は、内部の部品点数を減らし、高濃度なオゾンガスが取出せ、かつ、取出したオゾンガスの流量を大きくできる構造を採用している。
このため、基本放電セル組に含まれる基本セルS1あるいは基本セルS2に相当する1単位の放電セルの放電面積stを条件(1)で規定した面積soの3倍〜6倍、具体的には放電面積stを数百cm2以内に設定し、1単位の放電セルの放電面からオゾンガスを取り出すオゾンガス取出口を放電セル面にNφ(Nφ≧2)個を分散配置している。
Nφ個のオゾンガス取出口を設けることにより、1単位の放電セルの全放電面積stを分割数Nφで分割したNφ個の分割面積dso(=st/Nφ)を有する仮想放電セルがNφ個存在する場合と実質的に同一視できる。
その結果、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000に用いられるオゾン発生器300は、実施の形態1のオゾン発生器200と比較して、基本放電セル組の積層枚数nを減らせ、かつ、条件(1)を満足する実施の形態1の効果とほぼ同様に、高濃度のオゾンガスが取出せる効果を発揮することができる。
また、オゾン発生器300では、1組の基本放電セル組において、Nφ個のオゾンガス取出口から取り出したオゾンガスを集約して外部に出力する1つのオゾンガス取出し通路を設ける。この放電セルを構成する電極内に設けられ、Nφ個のオゾンガス取出口に繋がっている。
このため、オゾンガス通過用の通路を設けるための配管継手等の部品を用いることなく、1組の基本放電セル組において、放電セル全体で発生したオゾンガスを一括で取出すことができる。さらに、オゾン発生器300は、上述した特徴を有する1単位の放電セルの放電面積stを数百cm2程度の大きさにして、基本放電セル組を多段に積層する構成を採用する。
その結果、オゾン発生器300は、多段に積層された複数の放電セル(n組の基本放電セル組)それぞれで発生したオゾンガスを一括して外部に取出せる構成となり、実施の形態1のオゾン発生器200と比較して、基本放電セル組の積層枚数nを減らしたシンプルな構成を実現することができる。したがって、オゾン発生器300は、オゾン発生器200と比較して組立て工数の削減や試験工数を大幅に削減したオゾン発生器となる。
オゾン発生器300は、1単位の放電セル面の放電面積stを分割数Nφで分割したNφ個の分割面積dsoで規定される仮想の放電空間に対し、以下の条件(a)を満足している。
(a) 複数の放電セルはそれぞれの放電面(1単位の放電セルの放電面)の放電面積stを分割数Nφで除算した分割面積dsoが、30cm2以上、160cm2未満の範囲に設定される。
その結果、オゾン発生器300において、1単位の放電セルにおける放電空間がNφ個の仮想放電空間に分割されることにより、生成したオゾンガスが放電空間を通過して、Nφ個のオゾンガス取出口のうち、直近のオゾンガス取出口に達するまでのガス滞在時間Toを短くすることができる。
したがって、オゾン発生器300は、1単位の放電セルの放電空間内でのオゾンガスが電子や放電ガスと衝突する分解と、放電空間内で滞在しているオゾンガス自身の自己分解とによる総オゾン分解量Ydを抑えることができ、比較的高いガス流量において、高濃度のオゾンガスが取り出せ、コンパクトで、安価なオゾンガス発生器となる。
オゾン発生器300において、取出しオゾン濃度Ctが400g/m3以上の高濃度のオゾンガスが出力でき、かつ、取出しオゾンガス量Yt(=Ct・Q)を72g/h以上の高オゾン量のオゾンガスをとりだせるようにするには、オゾン発生器300に供給する酸素を含む原料ガスの総原料ガス流量Qを3SLM以上にする必要がある。
このため、オゾン発生器300において基本放電セル組を多段に積層する必要がある。この際、オゾン発生器300はオゾン発生器200に比べ、1単位の放電セルの面積が十分大きいため、基本放電セル組の積層枚数nを少なく抑えることができる。
また、実施の形態1のオゾン発生器200において、放電空間における放電ギャップ長dは、特に、20μm〜100μmの範囲にすることで、高濃度オゾンガスを取出せることを示した。
実施の形態2のオゾン発生器300は、以下の条件(b)を満足する。
(b) 放電空間における放電ギャップ長dが80μm未満に設定される。
放電空間における放電ギャップ長dを80μm未満の短ギャップ長にすると、原料ガスの供給口からオゾン発生器300を介し、外部のオゾンガス出口32までのガス圧力損出ΔPにおいて、条件(b)を満足する放電ギャップ長dで規定される放電空間でのガス圧力損出ΔPaの占める割合が高くなる。
したがって、オゾン発生器300は、条件(b)を満足させて放電ギャップ長を80μm未満に制限することにより、分割数Nφで分散配置したNφ個のオゾン取出し口を有する1単位の放電セルにおいて、ほぼ均一なガス流量Q/n(L/min)でオゾンガスを流せることができ、高濃度のオゾンガスを出力することができる。
1放電セル面において、放電空間における放電ギャップ長dを精度良く設定することにより、配置が異なるNφ個のオゾンガス取出口から、1つのオゾンガス取出し経路に至る過程におけるガス損出ΔPpのバラツキ度合いが、放電ギャップ長dで規定される放電空間でのガス圧力損出ΔPaによって無視できることになる。
その結果、1単位の放電セルにおけるガス流量の流れシミュレーションを実行すると、1単位の放電セルの放電面積を条件(a)で規定した分割面積dsoの3倍から6倍の大きさを、1単位の放電セル全体の放電面積stとすることができるため、1単位の放電セルの放電面積stを数百cm2以内で比較的大きく設定することができる。
そして、1放電セル面において、分割数Nφで分散配置したオゾンガス取出口を設け、1単位の放電セルの外周から原料ガスを流し、Nφ個のオゾンガス取出口から取出す方式を採用することにより、オゾンガス流量のバラツキが抑制でき、より均一なガス流れでオゾンガスを取出せることになる。
また、実施の形態2のオゾン発生器300は、以下の条件(d)をさらに満足する。
(d) 複数の放電セルそれぞれの放電空間における放電電力密度Jは、2.5W/cm2以上、6W/cm2未満の範囲に設定される。
オゾン発生器300は上記条件(d)を満足するため、供給する原料ガスの総ガス流量Qで、放電電力DWを可能な範囲で最大に設定にして、負荷であるオゾン発生器300に印加する負荷電圧を許容値内に抑制でき、コンパクトなオゾン用のインバータ部(インバータ回路部22)を利用したオゾン用電源100を実現することができる。
さらに、オゾン発生器300は上記条件(d)を満足するため、約5SLMを超えるガス流量である総ガス流量Q及び総放電電力DWの環境下において、取出しオゾン量Ytを大きくすることができる。
その結果、オゾン発生器300は、高濃度のオゾンガスと高出力の取出しオゾン量Ytの両方を兼ね備えたオゾン発生器となり、かつ、コンパクトで、安価に実現できる。
以下に、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000において、オゾン発生器300で用いられる具体的な放電セル形状について説明する。
高濃度、かつ大流量のオゾンガスを取出すためには、実施の形態1のオゾン発生器200のように、1単位の放電セルにおいて1放電面積soは、30〜100m2の範囲に規定して、できるだけ放電面積soを小さくし、基本放電セル組の積層枚数nを多く設けたオゾン発生器が不可欠である。
この場合、基本放電セル組を多段に積層する場合、オゾン発生器200内の放電セルの部品点数等が増えることに加え、積層枚数nが増える程、オゾン発生器200内で積層された積層枚数nの基本放電セル組の締め付け応力管理が困難になる。
このため、オゾン発生器200においては、積層枚数nは10程度が望ましく、オゾン発生器の応力積層設計において、積層枚数nは20以下にすることが必要である。そのため、オゾン発生器200の構造設計上においては、積層枚数nを少なくすることが望ましい。
以上の観点から、実施の形態2のオゾン発生器300は、1単位の放電セルにおける放電面積stを比較的広く設定しても、高濃度のオゾンガスが取り出せ、所定量以上の取出しオゾン量Ytが得られる放電セル形状を採用している。
図7〜図14は実施の形態2のオゾン発生器300において採用された1単位の放電セルにおける接地冷却電極51(51A〜51D)及び誘電体電極52(52A〜52D)の平面構造を模式的に示す説明図である。
図7は実施の形態2の第1の態様である接地冷却電極51Aの平面構造を模式的に示す説明図である。図8は実施の形態2の第1の態様である誘電体電極52Aの平面構造を模式的に示す説明図である。
図9は実施の形態2の第2の態様である接地冷却電極51Bの平面構造を模式的に示す説明図である。図10は実施の形態2の第2の態様である誘電体電極52Bの平面構造を模式的に示す説明図である。
図11は実施の形態2の第3の態様である接地冷却電極51Cの平面構造を模式的に示す説明図である。図12は実施の形態2の第3の態様である誘電体電極52Cの平面構造を模式的に示す説明図である。
図13は実施の形態2の第4の態様である接地冷却電極51Dの平面構造を模式的に示す説明図である。図14は実施の形態2の第4の態様である誘電体電極52Dの平面構造を模式的に示す説明図である。
以下、接地冷却電極51A〜51Dを総称する場合は単に「接地冷却電極51」と称し、誘電体電極52A〜52Dを総称する場合は単に「誘電体電極52」と称する。
第1〜第4の態様は、一対の平板電極として接地冷却電極51と誘電体電極52との組合せ構造を採用している。すなわち、平板状の第1の電極が接地冷却電極51となり、第2の電極が誘電体電極52となる。そして、接地冷却電極51,誘電体電極52との間に放電空間が設けられる。接地冷却電極51と誘電体電極52との組合せにより、1単位の放電セルが構成される。
実際には、実施の形態2のオゾン発生器300は、接地冷却電極51の両面に対向して、2つの誘電体電極52が配置される。すなわち、図1で示す実施の形態1の接地冷却電極1に接地冷却電極51が対応し、実施の形態1の誘電体電極2a及び2bそれぞれに誘電体電極52が対応する。
したがって、接地冷却電極51と接地冷却電極51の上方に設けられる誘電体電極52とにより第1の基本セルが設けられ、この第1の基本セルが図1で示す実施の形態1の基本セルS1に対応する。
さらに、接地冷却電極51と接地冷却電極51の下方に設けられる誘電体電極52とにより第2の基本セルが設けられ、この第2の基本セルが図1で示す実施の形態1の基本セルS2に対応する。
実施の形態2において、複数の放電セルの基本単位となる1単位の放電セルとは、第1及び第2の基本セルのうちの一方を意味し、第1及び第2の基本セルの組合せが基本放電セル組となる。したがって、基本放電セル組の積層枚数がnの場合、複数の放電セルは、2n個の1単位の放電セル、n組の基本放電セル組となる。
実施の形態2のオゾン発生器300内に、基本放電セル組が積層枚数nで積層されることにより、複数の放電セル(2n個の1単位の放電セル、n組の基本放電セル組)からなる放電セル群が構成される。
したがって、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、図1のオゾンガス発生システム1000のうちオゾン発生器200がオゾン発生器300に置き換わった構造となる。
また、オゾン発生器300は、基本セルS1が上記第1の基本セルに置き換わり、基本セルS2が上記第2の基本セルに置き換わった点、マニホールドブロック9が後述するマニホールドブロック59(59A〜59D)に置き換わった点が、オゾン発生器200との主要な相違点となる。
なお、上記した主要な相違点を除き、実施の形態2のオゾン発生器300は実施の形態1のオゾン発生器200と同様な構成となっている。
図7及び図8で示す第1の態様では、1単位の放電セルの全放電面積stを、実施の形態1で述べた条件(1)を満足する面積soの5倍程度に設定している。
図9及び図10で示す第2の態様では、1単位の放電セルの全放電面積stを、実施の形態1で述べた条件(1)を満足する面積soの3倍程度に設定している。
図11及び図12で示す第3の態様では、1単位の放電セルの全放電面積stを、実施の形態1で述べた条件(1)を満足する面積soの4倍程度に設定している。
図13及び図14で示す第4の態様では、1単位の放電セルの全放電面積stを、実施の形態1で述べた条件(1)を満足する面積soの6倍程度に設定している。
図7,図9、図11及び図13に示すように、接地冷却電極51と接地冷却電極51に隣接してマニホールドブロック59(59A〜59D)が設けられる。
以下、マニホールドブロック59A〜59Dを総称する場合、単に「マニホールドブロック59」と称する。
図7,図9,図11及び図13に示すように、接地冷却電極51は、平面視して台形を含む矩形状を呈し、その上面及び下面にNφ(Nφ≧2)個のオゾンガス取出口75(75a〜75f)が分散して設けられる。
接地冷却電極51の上面及び下面は共に放電空間を形成する放電面となり、上面に設けられるNφ個のオゾンガス取出口75と下面に設けられるNφ個のオゾンガス取出口75とは平面視して合致している。以下、オゾンガス取出口75a〜75fを総称する場合、単に「オゾンガス取出口75」と称する。
接地冷却電極51の内部において、上面及び下面それぞれに設けられたNφ個のオゾンガス取出口75それぞれに繋がり、Nφ個のオゾンガス取出口75から取り出されたオゾンガスを集約して外部に出力するオゾンガス取出経路77(77A〜77D)と、冷却水流路70(70A〜70D)とが設けられる。
以下、オゾンガス取出経路77A〜77Dを総称する場合、単に「オゾンガス取出経路77」と称し、冷却水流路70A〜70Dを総称する場合、単位「冷却水流路70」と称する。
オゾンガス取出経路77はマニホールドブロック59に設けられるオゾンガス出力経路92に繋がっており、複数の放電セルそれぞれで生成したオゾンガスGOUTをマニホールドブロック59に出力することができる。
冷却水流路70はマニホールドブロック59の冷却水入力経路93と冷却水出力経路91とに接続され、冷却水入力経路93より冷却水WINを入力し、冷却水流路70に冷却水を流した後、冷却水出力経路91より冷却水WOUTを出力する。冷却水流路70に冷却水を流すことにより接地冷却電極51を冷却することができる。
接地冷却電極51において、誘電体電極52と対向する放電面に、図示しない光触媒膜が塗布されるとともに、放電面に放電ギャップ長dを形成するための所定数の放電スペーサ73(放電スペーサ73A〜73D)が設けられる。以下、放電スペーサ73A〜73Dを総称する場合、単に「放電スペーサ73」と称する。
また、接地冷却電極51は、2枚の薄い板の張り合わせた後、密着加圧接続され、この張り合わせた2枚の板の少なくとも一方にハーフエッチングした溝形成をすることにより、接地冷却電極51の内部に上述した冷却水流路70及びオゾンガス取出経路77を設けることができる。
実施の形態2の第1〜第4の態様においては、実施の形態1の1単位の放電セルの放電面積soと比較して3〜6倍程度の放電面積stを有する1単位の放電セルを採用している。具体的には、第1の態様の放電面積stが放電面積soの5倍程度に設定され、第2の態様の放電面積stが放電面積soの3倍程度に設定され、第3の態様の放電面積stが放電面積soの4倍程度に設定され、第4の態様の放電面積stが放電面積soの6倍程度に設定される。
実施の形態2では、複数の放電セルに投入する放電電力DWを可能な範囲で最大に設定した場合の放電電力密度Jは4.0W/m2とし、基本放電セル組の積層枚数nとしては“10”を採用し、基準最小構成でオゾン発生器300を実現している。
図9及び図10で示す第2の態様の放電面積stを基準の“1”とした場合、第1の態様は基準に対し約1.7倍、第3の態様は基準に対し約1.3倍、第4の態様は基準に対し約2倍となる。
(第1の態様)
以下、図7及び図8を参照して第1の態様における1単位の放電セルの構造を説明する。図7及び図8に示すように、第1の態様における1単位の放電セルは、一対の平板電極を構成する、接地冷却電極51A(平板状の第1の電極)と誘電体電極52A(平板状の第2の電極)との組合せ構造となっている。誘電体電極52Aは例えばセラミックス板であり、誘電体を有する電極となる。
そして、接地冷却電極51Aと誘電体電極52Aとが互いに対向する空間が放電空間となり、接地冷却電極51Aと誘電体電極52Aとが平面視して重複する領域の面積が放電面積stとなる。第1の態様では分割数Nφとして“5”を採用している。
接地冷却電極51Aは、平面視して角部が丸められた台形状を呈し、その上面及び下面それぞれに5個のオゾンガス取出口75a〜75eが設けられる。
誘電体電極52Aは、接地冷却電極51Aと同様に平面視して角部が丸められた台形状を呈し、誘電体電極52A上には平面視して誘電体電極52Aより少し小さい台形状の導電性膜62Aが設けられる。
導電性膜62Aが上方に位置する状態で、接地冷却電極51Aと誘電体電極52Aとが平面視して合致するように、接地冷却電極51A上に誘電体電極52Aを配置することにより、第1の態様の第1の基本セルが構成される。
さらに、導電性膜62Aが下方に位置する状態で、接地冷却電極51Aと誘電体電極52Aとが平面視して合致するように、接地冷却電極51A下に誘電体電極52Aを配置することにより、第1の態様の第2の基本セルが構成される。
第1及び第2の基本セルがそれぞれ第1の態様における1単位の放電セルとなる。また、第1及び第2の基本セルの組合せが基本放電セル組となる。したがって、接地冷却電極51Aの上面は第1の基本セルの放電面となり、接地冷却電極51Aの下面は第2の基本セルの放電面となる。
基本放電セル組に対し、図7に示す様に、接地冷却電極51A(誘電体電極52A)の外周部から原料ガスである酸素ガスGINが供給される。
第1の態様の1単位の放電セルの放電面積stは実施の形態1の放電面積soの5倍相当の約350cm2に設定され、第1の態様の基本放電セル組を多段に積層してなる複数の放電セル(放電セル群)をオゾン発生器300が有することになる。
第1の態様の第1及び第2の基本セルそれぞれに対し、導電性膜62Aと接地冷却電極51Aとの間にオゾン用電源100からオゾン発生用交流電圧を印加して、第1及び第2の基本セルそれぞれにおいて、誘電体電極52Aと接地冷却電極51Aとの間の放電空間に誘電体バリア放電を発生させる。その結果、第1及び第2の基本セルそれぞれの放電空間でオゾンガスが生成され、生成されたオゾンガスは、5個のオゾンガス取出口75a〜75eそれぞれに分流して流れ込む。
接地冷却電極51Aの内部において、5個のオゾンガス取出口75a〜75eそれぞれに繋がり、5個のオゾンガス取出口75a〜75eから取り出されたオゾンガスを集約して外部に出力するオゾンガス取出経路77Aと、冷却水流路70Aとが設けられる。
オゾンガス取出経路77Aはマニホールドブロック59に設けられるオゾンガス出力経路92に繋がっている。
したがって、上記した第1及び第2の基本セルそれぞれの放電空間で生成したオゾンガスは、接地冷却電極51Aの上面及び下面それぞれに設けられたオゾンガス取出口75a〜75eに流れ込む。その後、オゾンガス取出経路77Aで1つに合流しオゾンガス出力Goutに集約され、オゾンガスGOUTがマニホールドブロック59Aのオゾンガス出力経路92に出力される。その結果、マニホールドブロック59Aのオゾンガス出力経路92を介して、オゾンガス出口32(図1参照)からオゾンガスを取り出すことができる。
したがって、基本放電セル組毎に、上述したオゾンガス取り出し処理が行われ、積層枚数nで多段に積層された基本放電セル組それぞれで生成されたオゾンガスがマニホールドブロック59Aのオゾンガス出力経路92に集められる。
冷却水流路70Aは、マニホールドブロック59の冷却水入力経路93と冷却水出力経路91とに接続され、冷却水入力経路93より冷却水WINを入力し、冷却水流路70Aに冷却水を流した後、冷却水出力経路91より冷却水WOUTを出力する。冷却水流路70Aに冷却水を流すことにより接地冷却電極51Aを冷却することができる。
この接地冷却電極51Aにおいて誘電体電極52Aと対向する放電面に、図示しない光触媒膜が塗布されるとともに、放電面に放電ギャップ長dを形成するための4個の放電スペーサ73Aが分散して設けられる。4個の放電スペーサ73Aの形成高さによって放電ギャップ長dが規定される。
4個の放電スペーサ73Aは接地冷却電極51Aの上面及び下面それぞれで接地冷却電極51Aと一体化して設けられ(連結され)、上面に設けられる4個の放電スペーサ73Aが第1の基本セルの放電ギャップ長dを規定し、下面に設けられる4個の放電スペーサ73Aが第2の基本セルの放電ギャップ長dを規定する。
第1の態様における1単位の放電セルは、以下の条件(a)及び(b)を満足する。
(a) 放電面積stを分割数Nで除算した分割面積dsoが、30cm2以上、160cm2未満の範囲に設定される。
(b) 放電空間における放電ギャップ長が80μm未満に設定される。
さらに、第1の態様の放電セルは、以下の条件(c)を満足する。
(c) 平面視して5個のオゾンガス取出口75a〜75eを中心とした5個の仮想円状放電領域79a〜79eが互いに重複することなく放電空間(接地冷却電極51Aの平面形状)内に形成されるように、5個のオゾンガス取出口75a〜75eは配置され、5個の仮想円状放電領域79a〜79eそれぞれの半径r(放電径D1/2)は{r=(0.8・dso/π)0.5}を満足する。
なお、5個の仮想円状放電領域79a〜79eは、平面視して4個の放電スペーサ73A、オゾンガス取出経路77A及び冷却水流路70Aにも重複しない。
仮想円状放電領域79a〜79eはそれぞれ、4個の放電スペーサ73A、オゾンガス取出経路77A及び冷却水流路70Aの形成領域等を考慮して、分割面積dsoの8割の面積に設定されている。
(第2の態様)
以下、図9及び図10を参照して第2の態様における1単位の放電セルの構造を説明する。図9及び図10に示すように、第2の態様における1単位の放電セルは、一対の平板電極を構成する、接地冷却電極51B(平板状の第1の電極)と誘電体電極52B(平板状の第2の電極)との組合せ構造となっている。誘電体電極52Bは例えばセラミックス板であり、誘電体を有する電極となる。
そして、接地冷却電極51Bと誘電体電極52Bとが互いに対向する空間が放電空間となり、接地冷却電極51Bと誘電体電極52Bとが平面視して重複する領域の面積が放電面積stとなる。第2の態様では分割数Nφとして“3”を採用している。
接地冷却電極51Bは、平面視して角部が丸められた台形状を呈し、その上面及び下面それぞれに3個のオゾンガス取出口75a〜75cが設けられる。
誘電体電極52Bは、接地冷却電極51Bと同様に平面視して角部が丸められた台形状を呈し、誘電体電極52B上には平面視して誘電体電極52Bより少し小さい台形状の導電性膜62Bが設けられる。
導電性膜62Bが上方に位置する状態で、接地冷却電極51Bと誘電体電極52Bとが平面視して合致するように、接地冷却電極51B上に誘電体電極52Bを配置することにより、第2の態様の第1の基本セルが構成される。
さらに、導電性膜62Bが下方に位置する状態で、接地冷却電極51Bと誘電体電極52Bとが平面視して合致するように、接地冷却電極51B下に誘電体電極52Bを配置することにより、第2の態様の第2の基本セルが構成される。
第1及び第2の基本セルがそれぞれ第2の態様における1単位の放電セルとなる。また、第1及び第2の基本セルの組合せが基本放電セル組となる。したがって、接地冷却電極51Bの上面は第1の基本セルの放電面となり、接地冷却電極51Bの下面は第2の基本セルの放電面となる。
基本放電セル組に対し、図9に示す様に、接地冷却電極51B(誘電体電極52B)の外周部から原料ガスである酸素ガスGINが供給される。
第2の態様の放電セルの放電面積stは実施の形態1の放電面積soの3倍相当の約230cm2に設定され、第2の態様の基本放電セル組を積層枚数nで積層してなる複数の放電セル(放電セル群)をオゾン発生器300が有することになる。
第2の態様の第1及び第2の基本セルそれぞれに対し、導電性膜62Bと接地冷却電極51Bとの間にオゾン用電源100からオゾン発生用交流電圧を印加して、第1及び第2の基本セルそれぞれにおいて、誘電体電極52Bと接地冷却電極51Bとの間の放電空間に誘電体バリア放電を発生させる。その結果、第1及び第2の基本セルそれぞれの放電空間でオゾンガスが生成され、生成されたオゾンガスは、3個のオゾンガス取出口75a〜75cそれぞれに分流して流れ込む。
接地冷却電極51Bの内部において、3個のオゾンガス取出口75a〜75cそれぞれに繋がり、3個のオゾンガス取出口75a〜75cから取り出されたオゾンガスを集約して外部に出力するオゾンガス取出経路77Bと、冷却水流路70Bとが設けられる。
オゾンガス取出経路77Bはマニホールドブロック59に設けられるオゾンガス出力経路92に繋がっている。
したがって、上記した第1及び第2の基本セルそれぞれの放電空間で生成したオゾンガスは、接地冷却電極51Bの上面及び下面それぞれに設けられたオゾンガス取出口75a〜75cに流れ込む。その後、オゾンガス取出経路77Bで1つに合流しオゾンガス出力Goutに集約され、オゾンガスGOUTがマニホールドブロック59Bのオゾンガス出力経路92に出力される。その結果、マニホールドブロック59Bのオゾンガス出力経路92を介してオゾンガスを取り出すことができる。
したがって、基本放電セル組毎に、上述したオゾンガス取り出し処理が行われ、積層枚数nで多段に積層された基本放電セル組それぞれで生成されたオゾンガスがマニホールドブロック59Bのオゾンガス出力経路92に集められる。
冷却水流路70Bはマニホールドブロック59の冷却水入力経路93と冷却水出力経路91とに接続され、冷却水入力経路93より冷却水WINを入力し、冷却水流路70Bに冷却水を流した後、冷却水出力経路91より冷却水WOUTを出力する。冷却水流路70Bに冷却水を流すことにより接地冷却電極51Bを冷却することができる。
接地冷却電極51Bにおいて誘電体電極52Bと対向する放電面に、図示しない光触媒膜が塗布されるとともに、放電面に放電ギャップ長dを形成するための4個の放電スペーサ73Bが分散して設けられる。4個の放電スペーサ73Bの形成高さによって放電ギャップ長dが規定される。
4個の放電スペーサ73Bは接地冷却電極51Bの上面及び下面それぞれで接地冷却電極51Bと一体化して設けられ(連結され)、上面に設けられる4個の放電スペーサ73Bが第1の基本セルの放電ギャップ長dを規定し、下面に設けられる4個の放電スペーサ73Bが第2の基本セルの放電ギャップ長dを規定する。
第2の態様における1単位の放電セルは、第1の態様と同様、上述した条件(a)及び(b)を満足する。
さらに、第2の態様の放電セルは、以下の条件(c)を満足する。
(c) 平面視して3個のオゾンガス取出口75a〜75cを中心とした3個の仮想円状放電領域79a〜79cが互いに重複することなく放電空間(接地冷却電極51Bの平面形状)内に形成されるように、3個のオゾンガス取出口75a〜75cは配置され、3個の仮想円状放電領域79a〜79cそれぞれの半径r(放電径D1/2)は{r=(0.8・dso/π)0.5}を満足する。
なお、3個の仮想円状放電領域79a〜79cは、平面視して4個の放電スペーサ73B、オゾンガス取出経路77B及び冷却水流路70Bにも重複しない。
仮想円状放電領域79a〜79cはそれぞれ、4個の放電スペーサ73B、オゾンガス取出経路77B及び冷却水流路70Bの形成領域等を考慮して、分割面積dsoの8割の面積に設定されている。
(第3の態様)
以下、図11及び図12を参照して第3の態様における1単位の放電セルの構造を説明する。図11及び図12に示すように、第3の態様における1単位の放電セルは、一対の平板電極を構成する、接地冷却電極51C(平板状の第1の電極)と誘電体電極52C(平板状の第2の電極)との組合せ構造となっている。誘電体電極52Cは例えばセラミックス板であり、誘電体を有する電極となる。
そして、接地冷却電極51Cと誘電体電極52Cとが互いに対向する空間が放電空間となり、接地冷却電極51Cと誘電体電極52Cとが平面視して重複する領域の面積が放電面積stとなる。第3の態様では分割数Nφとして“4”を採用している。
接地冷却電極51Cは、平面視して角部が丸められた正方形状を呈し、その上面及び下面にそれぞれ4個のオゾンガス取出口75a〜75dが設けられる。
誘電体電極52Cは、接地冷却電極51Cと同様に平面視して角部が丸められた正方形状を呈し、誘電体電極52C上には平面視して誘電体電極52Cより少し小さい正方形状の導電性膜62Cが設けられる。
導電性膜62Cが上方に位置する状態で、接地冷却電極51Cと誘電体電極52Cとが平面視して合致するように、接地冷却電極51C上に誘電体電極52Cを配置することにより、第3の態様の第1の基本セルが構成される。
さらに、導電性膜62Cが下方に位置する状態で、接地冷却電極51Cと誘電体電極52Cとが平面視して合致するように、接地冷却電極51C下に誘電体電極52Cを配置することにより、第3の態様の第2の基本セルが構成される。
第1及び第2の基本セルがそれぞれ第3の態様における1単位の放電セルとなる。また、第1及び第2の基本セルの組合せが基本放電セル組となる。したがって、接地冷却電極51Cの上面は第1の基本セルの放電面となり、接地冷却電極51Cの下面は第2の基本セルの放電面となる。
基本放電セル組に対し、図11に示す様に、接地冷却電極51C(誘電体電極52C)の外周部から原料ガスである酸素ガスGINが供給される。
第3の態様の放電セルの放電面積stは実施の形態1の放電面積soの4倍相当の約320cm2に設定され、第3の態様の基本放電セル組を積層枚数nで多段に積層してなる複数の放電セル(放電セル群)をオゾン発生器300が有することになる。
第3の態様の第1及び第2の基本セルそれぞれに対し、導電性膜62Cと接地冷却電極51Cとの間にオゾン用電源100からオゾン発生用交流電圧を印加して、第1及び第2の基本セルそれぞれにおいて、誘電体電極52Cと接地冷却電極51Cとの間の放電空間に誘電体バリア放電を発生させる。その結果、第1及び第2の基本セルそれぞれの放電空間でオゾンガスが生成され、生成されたオゾンガスは、4個のオゾンガス取出口75a〜75dそれぞれに分流して流れ込む。
接地冷却電極51Cの内部において、4個のオゾンガス取出口75a〜75dそれぞれに繋がり、4個のオゾンガス取出口75a〜75dから取り出されたオゾンガスを集約して外部に出力するオゾンガス取出経路77Cと、冷却水流路70Cとが設けられる。
オゾンガス取出経路77Cはマニホールドブロック59に設けられるオゾンガス出力経路92に繋がっている。
したがって、上記した第1及び第2の基本セルそれぞれの放電空間で生成したオゾンガスは、接地冷却電極51Cの上面及び下面それぞれに設けられたオゾンガス取出口75a〜75dに流れ込む。その後、オゾンガス取出経路77Cで1つに合流しオゾンガス出力Goutに集約され、オゾンガスGOUTがマニホールドブロック59Cのオゾンガス出力経路92に出力される。その結果、マニホールドブロック59Cのオゾンガス出力経路92を介してオゾンガスを取り出すことができる。
したがって、基本放電セル組毎に、上述したオゾンガス取り出し処理が行われ、積層枚数nで多段に積層された基本放電セル組それぞれで生成されたオゾンガスがマニホールドブロック59Cのオゾンガス出力経路92に集められる。
冷却水流路70Cはマニホールドブロック59の冷却水入力経路93と冷却水出力経路91とに接続され、冷却水入力経路93より冷却水WINを入力し、冷却水流路70Cに冷却水を流した後、冷却水出力経路91より冷却水WOUTを出力する。冷却水流路70Cに冷却水を流すことにより接地冷却電極51Cを冷却することができる。
接地冷却電極51Cにおいて誘電体電極52Cと対向する放電面に、図示しない光触媒膜が塗布されるとともに、放電面に放電ギャップ長dを形成するための7個の放電スペーサ73Cが分散して設けられる。7個の放電スペーサ73Cの形成高さによって放電ギャップ長dが規定される。
7個の放電スペーサ73Cは接地冷却電極51Cの上面及び下面それぞれで接地冷却電極51Cと一体化して設けられ(連結され)、上面に設けられる7個の放電スペーサ73Cが第1の基本セルの放電ギャップ長dを規定し、下面に設けられる7個の放電スペーサ73Cが第2の基本セルの放電ギャップ長dを規定する。
第3の態様における1単位の放電セルは、第1及び第2の態様と同様、上述した条件(a)及び(b)を満足する。
さらに、第3の態様の放電セルは、以下の条件(c)を満足する。
(c) 平面視して4個のオゾンガス取出口75a〜75dを中心とした4個の仮想円状放電領域79a〜79dが互いに重複することなく放電空間(接地冷却電極51Cの平面形状)内に形成されるように、4個のオゾンガス取出口75a〜75dは配置され、4個の仮想円状放電領域79a〜79dそれぞれの半径r(放電径D1/2)は{r=(0.8・dso/π)0.5}を満足する。
なお、4個の仮想円状放電領域79a〜79dは、平面視して7個の放電スペーサ73C、オゾンガス取出経路77C及び冷却水流路70Cにも重複しない。
仮想円状放電領域79a〜79dはそれぞれ、7個の放電スペーサ73C、オゾンガス取出経路77C及び冷却水流路70Cの形成領域等を考慮して、分割面積dsoの8割の面積に設定されている。
(第4の態様)
以下、図13及び図14を参照して第4の態様における1単位の放電セルの構造を説明する。図13及び図14に示すように、第4の態様における1単位の放電セルは、一対の平板電極を構成する、接地冷却電極51D(平板状の第1の電極)と誘電体電極52Dと(平板状の第2の電極)の組合せ構造となっている。誘電体電極52Dは例えばセラミックス板であり、誘電体を有する電極となる。
そして、接地冷却電極51Dと誘電体電極52Dとが互いに対向する空間が放電空間となり、接地冷却電極51Dと誘電体電極52Dとが平面視して重複する領域の面積が放電面積stとなる。第4の態様では分割数Nφとして“6”を採用している。
接地冷却電極51Dは、平面視して角部が丸められた台形状を呈し、6個のオゾンガス取出口75a〜75fが設けられる。
誘電体電極52Dは、接地冷却電極51Dと同様に平面視して角部が丸められた台形状を呈し、誘電体電極52D上には平面視して誘電体電極52Dより少し小さい台形状の導電性膜62Dが設けられる。
導電性膜62Dが上方に位置する状態で、接地冷却電極51Dと誘電体電極52Dとが平面視して合致するように、接地冷却電極51D上に誘電体電極52Dを配置することにより、第4の態様の第1の基本セルが構成される。
さらに、導電性膜62Dが下方に位置する状態で、接地冷却電極51Dと誘電体電極52Dとが平面視して合致するように、接地冷却電極51D下に誘電体電極52Dを配置することにより、第4の態様の第2の基本セルが構成される。
第1及び第2の基本セルがそれぞれ第4の態様における1単位の放電セルとなる。また、第1及び第2の基本セルの組合せが基本放電セル組となる。したがって、接地冷却電極51Dの上面は第1の基本セルの放電面となり、接地冷却電極51Dの下面は第2の基本セルの放電面となる。
基本放電セル組に対し、図13に示す様に、接地冷却電極51D(誘電体電極52D)の外周部から原料ガスである酸素ガスGINが供給される。
第4の態様の放電セルの放電面積stは実施の形態1の放電面積soの6倍相当の約480cm2に設定され、第4の態様の基本放電セル組を多段に積層してなる複数の放電セルをオゾン発生器300が有することになる。
第4の態様の第1及び第2の基本セルそれぞれに対し、導電性膜62Dと接地冷却電極51Dとの間にオゾン用電源100からオゾン発生用交流電圧を印加して、第1及び第2の基本セルそれぞれにおいて、誘電体電極52Dと接地冷却電極51Dとの間の放電空間に誘電体バリア放電を発生させる。その結果、第1及び第2の基本セルそれぞれの放電空間でオゾンガスが生成され、生成されたオゾンガスは、6個のオゾンガス取出口75a〜75fそれぞれに分流して流れ込む。
接地冷却電極51Dの内部において、6個のオゾンガス取出口75a〜75fそれぞれに繋がり、6個のオゾンガス取出口75a〜75fから取り出されたオゾンガスを集約して外部に出力するオゾンガス取出経路77Dと、冷却水流路70Dとが設けられる。
オゾンガス取出経路77Dはマニホールドブロック59に設けられるオゾンガス出力経路92に繋がっている。
したがって、上記した第1及び第2の基本セルそれぞれの放電空間で生成したオゾンガスは、接地冷却電極51Dの上面及び下面それぞれに設けられたオゾンガス取出口75a〜75fに流れ込む。その後、オゾンガス取出経路77Dで1つに合流しオゾンガス出力Goutに集約され、オゾンガスGOUTがマニホールドブロック59Dのオゾンガス出力経路92に出力される。その結果、マニホールドブロック59Dのオゾンガス出力経路92を介してオゾンガスを取り出すことができる。
したがって、基本放電セル組毎に、上述したオゾンガス取り出し処理が行われ、積層枚数nで多段に積層された基本放電セル組それぞれで生成されたオゾンガスがマニホールドブロック59Dのオゾンガス出力経路92に集められる。
冷却水流路70Dはマニホールドブロック59の冷却水入力経路93と冷却水出力経路91とに接続され、冷却水入力経路93より冷却水WINを入力し、冷却水流路70Dに冷却水を流した後、冷却水出力経路91より冷却水WOUTを出力する。冷却水流路70Dに冷却水を流すことにより接地冷却電極51Dを冷却することができる。
接地冷却電極51Dにおいて誘電体電極52Dと対向する放電面に、図示しない光触媒膜が塗布されるとともに、放電面に放電ギャップ長dを形成するための6個の放電スペーサ73Dが分散して設けられる。6個の放電スペーサ73Dの形成高さによって放電ギャップ長dが規定される。
6個の放電スペーサ73Dは接地冷却電極51Dの上面及び下面それぞれで接地冷却電極51Dと一体化して設けられ(連結され)、上面に設けられる6個の放電スペーサ73Dが第1の基本セルの放電ギャップ長dを規定し、下面に設けられる6個の放電スペーサ73Dが第2の基本セルの放電ギャップ長dを規定する。
第4の態様における1単位の放電セルは、第1〜第3の態様と同様、上述した条件(a)及び(b)を満足する。
さらに、第4の態様の放電セルは、以下の条件(c)を満足する。
(c) 平面視して6個のオゾンガス取出口75a〜75fを中心とした6個の仮想円状放電領域79a〜79fが互いに重複することなく放電空間(接地冷却電極51Dの平面形状)内に形成されるように、6個のオゾンガス取出口75a〜75fは配置され、6個の仮想円状放電領域79a〜79fそれぞれの半径r(放電径D1/2)は{r=(0.8・dso/π)0.5}を満足する。
なお、6個の仮想円状放電領域79a〜79fは、平面視して6個の放電スペーサ73D、オゾンガス取出経路77D及び冷却水流路70Dにも重複しない。
仮想円状放電領域79a〜79fはそれぞれ、6個の放電スペーサ73D、オゾンガス取出経路77D及び冷却水流路70Dの形成領域等を考慮して、分割面積dsoの8割の面積に設定されている。
上述した第1〜第4の態様における1単位の放電セルに対する、オゾン用電源100からオゾン発生用交流電圧の供給について説明する。
なお、第1〜第4の態様における導電性膜62A〜62Dを総称する場合、単に「導電性膜62」と称する。冷却水流路70A〜70Dを総称する場合は単に「冷却水流路70」と称する。マニホールドブロック59A〜59Dを総称する場合は単に「マニホールドブロック59」と称する。
オゾン用電源100の高電圧端子HVは、オゾン発生器300内の導電性膜62に電気的に接続されている。低電圧端子LVは、オゾン発生器300内の接地冷却電極51に電気的に接続されている。
したがって、オゾン発生器300は、実施の形態1のオゾン発生器200と同様、オゾン用電源100から1単位の放電セル(第1あるいは第2の基本セル)の接地冷却電極51と導電性膜62との間にオゾン発生用交流電圧が印加される。
すなわち、オゾン用電源100は、出力周波数fを20kHz以上、50kHz未満の範囲に設定して、高周波交流電圧を出力するインバータ回路部22(インバータ部)と、上記高周波交流電圧を高電圧に昇圧してオゾン発生用交流電圧を得る並列共振用トランス25(昇圧用トランス)とを含んでいる。
図1に示したオゾン用電源100の並列共振用トランス25から高圧ブッシングを介して導電性膜62の給電部である高電圧端子HVにオゾン発生用交流電圧が印加されることにより、放電電力が投入される。この放電電力は、印加したオゾン発生用交流電圧によって可能な範囲で最大に設定した放電電力DWに規定される。
すると、各放電セル(第1の基本セルあるいは第2の基本セル)の放電空間に誘電体電極52を介して誘電体バリア放電が発生する。この際、放電電力DWに基づき各放電セルに投入できる放電電力の放電電力密度J(=DW/S)(W/m2)で放電セルに電力が投入される。各放電セルの放電空間でオゾンガスが生成される。
前述したように、接地冷却電極51の内部に冷却水流路70が設けられ、低圧冷却板5の内部は冷却するための冷却空間(図示せず)が設けられており、基台10に設けられた冷却水経路、マニホールドブロック59の冷却水出力経路91及び冷却水入力経路93を経由して、接地冷却電極51の冷却水流路70及び低圧冷却板5内に冷却水を流すことで各基本放電セル組を冷却している。
このように、接地冷却電極51の冷却水流路70、低圧冷却板5、基台10、及びマニホールドブロック59を含んで、基本放電セル組を所定の冷却温度に冷却する冷却機構が構成される。
そして、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、実施の形態1と同様、以下の条件(e)を満足している。
(e) 冷却機構によるオゾン発生器300の冷却温度は5℃以上である。
さらに、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000におけるオゾン発生器300は、実施の形態1と同様、以下の条件(f)及び条件(g)をさらに満足している。
(f) オゾン発生器300内に積層される複数の放電セル(n組の基本放電セル組)全体に供給する総ガス流量Qは3.0L/min以上である。
(g) 上記複数の放電セル全体に付与する総放電電力DWと総ガス流量Qとの比である比電力値DW/Qは、600(W・min/L)以上である。
なお、総放電電力DWはオゾン用電源100から供給されるオゾン発生用交流電圧によって規定される。
なお、条件(f)は高濃度のオゾンガスを取出せることを目的としており、条件(f)の目的を達成することの付随効果として、条件(g)は出力するオゾンガス量を最大限に高める効果を奏する。
(実施の形態2の効果)
上述したように、実施の形態2のオゾン発生器300は、以下の特徴を有している。
第1及び第2の基本セルの一方である1単位の放電セルは、一対の平板電極を構成する第1及び第2の電極である接地冷却電極51お酔い誘電体電極52を含み、第2の電極である誘電体電極52に誘電体が形成され、接地冷却電極51,誘電体電極52極間に放電空間が設けられている。
1単位の放電セルは、接地冷却電極51の上面及び下面に設けられ、上記放電空間で生成されたオゾンガスを取り出すためのNφ(≧2)個のオゾンガス取出口75と、接地冷却電極51の内部に設けられ、Nφ個のオゾンガス取出口75それぞれに繋がり、Nφ個のオゾンガス取出口75から取り出されたオゾンガスを集約して外部に出力すオゾンガス取出経路77とを有している。
そして、オゾン発生器300は以下の条件(a)及び条件(b)を満足する。
(a) 複数の放電セルの構成単位である1単位の放電セルは、放電面の放電面積stを分割数Nφで除算した分割面積dsoが、30cm2以上、160cm2未満の範囲に設定される。
(b) 上記放電空間における放電ギャップ長dが80μm未満に設定される。
実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、上述した条件(a)及び条件(b)を満足することにより、Nφ個の仮想放電セルの放電面の放電面積が30cm2以上、160cm2未満の範囲に設定される状態を実現することができる。
以下この点を詳述する。オゾン発生器300は上記条件(a)を満足することにより、Nφ個のオゾンガス取出口75を中心としたNφ個の仮想円状放電領域79を分散配置した仮想状態を設定することができる。このため、各々が仮想円状放電領域79を有するNφ個の仮想放電セルはそれぞれ、条件(1)を満足する実施の形態1における1単位の放電セルと同等の効果を発揮することができる。
さらに、オゾン発生器300内に設けられる1単位の放電セルは放電ギャップ長dを80μm未満となる上記条件(b)を満足している。
放電空間における放電ギャップ長dを80μm未満の短ギャップ長にすると、原料ガスの供給口からオゾン発生器300を介したオゾンガス出口32に至るまでのガス圧力損失ΔPにおいて、放電ギャップ長dで規定される放電空間でのガス圧力損失ΔPaの占める割合が高くなる。
したがって、オゾン発生器300は、条件(b)を満足させて放電ギャップ長を80μm未満に制限することにより、仮想円状放電領域79が形成可能なように各々が分散配置されたNφ個のオゾン取出口75を有する1組の基本放電セル組において、Nφ個のオゾンガス取出口75それぞれを中心としてほぼ均一なガス流量Q/n(L/min)でオゾンガスを流すことができ、高濃度のオゾンガスを出力することができる。
すなわち、オゾン発生器300は、上記条件(b)を満足することにより、配置が異なるNφ個のオゾンガス取出口75から、1つのオゾンガス取出経路77に至る過程におけるガス損失ΔPpのバラツキ度合いが、放電ギャップ長dで規定される放電空間でのガス圧力損失ΔPaによって無視できることになる。
さらに、1組の基本放電セル組において、分割数Nφで分散配置したオゾンガス取出口75を設け、1組の基本放電セル組の外周から原料ガスを流すことにより、Nφ個のオゾンガス取出口75から取出すオゾンガスの流量のバラツキが抑制でき、より均一なガス流れでオゾンガスを取出せる。
このように、実施の形態2のオゾン発生器300は上記した条件(a)及び条件(b)を満足することにより、実施の形態1のオゾン発生器200の場合と同様に、高濃度のオゾンガスを取り出せる効果を発揮することができる。
したがって、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、上述した条件(a)及び条件(b)を満足させ、かつ、1単位の放電セルの放電面に供給する原料ガス流量qoと放電電力dwとを可能な範囲で最大に設定して、取出しオゾン量ytを最大限に高めることにより、高濃度なオゾンガスを取り出せる条件を作りだせる。
また、実施の形態2の第1〜第4の態様における1単位の放電セルの放電面積stは、条件(1)を満足する実施の形態1の1単位の放電セルの放電面積soの3倍〜6倍の広さを有している。
このため、基本放電セル組を多段に積層してオゾン発生器300内に放電セル群を設ける場合、実施の形態2のオゾン発生器300は、実施の形態1のオゾン発生器200に比べ、基本放電セル組の積層枚数nを少なくすることができるため、接地冷却電極51や誘電体電極52等の部品点数を最小限に抑えることができる。なお、前述したように、実施の形態1において、基本放電セル組は基本セルS1及びS2の組合せを意味する。
すなわち、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、実施の形態1で必要とされた条件(1)ではなく、条件(a)を満足すればよいため、1単位の放電セルの放電面積stを分割面積dsoのNφ倍にすることができる。
その結果、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、基本放電セル組の積層枚数nを少なくして、オゾン発生器300内に設ける、複数の放電セル(n組の基本放電セル組)よりなる放電セル群に要する部品点数を削減することができる。
また、接地冷却電極51の内部にオゾンガス取出経路77を設けている分、外部に設けるオゾンガスを取出経路用の部材を、マニホールドブロック59に設けられるオゾンガス出力経路92に抑えることができる。
このため、オゾン発生器300は、外部に設けるオゾンガス取出経路用の部材の必要数を大幅に削減し、製作コスト削減を図ることができる。
上述したように、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、上記条件(a)及び条件(b)に加え、さらに上記条件(c)を満足することにより、1単位の放電セルの放電面の放電面積が30cm2以上、160cm2未満の範囲に設定される場合(実施の形態1の場合)との同一性を高めることができる。
上記条件(c)を満足するようにNφ個のオゾンガス取出口75を配置すれば、1単位の放電セルにおいて、放電セル径を小さくしたNφ個の仮想放電空間(仮想円状放電領域79)を形成することができるため、実際に放電セル径を小さくした実放電空間と同じ状態でオゾンガスが取り出せる。
したがって、オゾン発生器300内の基本放電セル組で生成されたオゾンガスがNφ個の仮想円状放電領域79のいずれかを通過する時間であるガス滞在時間Toが短くなる。このため、オゾン発生器300において、Nφ個の仮想円状放電領域79内でオゾンガスが電子や放電ガスと衝突する分解と仮想円状放電領域79内で滞在しているオゾン自身の自己分解とによる総分解量を抑えることができるため、高濃度オゾンガスを取り出すことができる。
以上の説明したように、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、上述した条件(a)〜条件(c)を満足することにより、高濃度なオゾンガスを取り出せる条件をより高めることができる。
実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、さらに上述した放電電力密度Jに関する条件(d)を満足しているため、1単位の放電セルから取り出せるオゾンの生成量を所定量以上確保でき、かつ、効率よく取り出せることができ、取出しオゾン量Ytをより高めることができる。
その結果、オゾンガス発生システム2000は、システム構成を必要最小限に抑えて、高濃度なオゾンもしくは、取出しオゾン量Ytを効率的に高め、外部に出力することができる効果を奏する。
このように、オゾンガス発生システム2000は、条件(a)〜条件(c)に加え、上述した条件(d)をさらに満足することにより、条件(a)〜条件(d)を満足させ、かつ、各放電セルの放電空間に供給する原料ガス流量qoと放電電力dwとを可能な範囲で最大に設定して、取り出しオゾン量ytを最大限に高めることができる。
その結果、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、システム構成を必要最小限に抑えて、高濃度なオゾンガスもしくは高発生量のオゾンガスを外部に出力することができる効果を奏する。
実施の形態2のオゾンガス発生システム2000のオゾン発生器300は、さらに上述した冷却機構に関する条件(e)を満足することにより、上述した冷却機構によるオゾン発生器300の冷却温度を極端に低くする必要性をなくし、冷却機構の簡略化を図ることができる。なお、上記制約条件の上限は常温(20℃)に対し30℃程度を想定している。また、より冷却効果を重視する場合は、水が凍る温度である0℃以上に冷却温度を設定することが望ましい。
オゾンガス発生システム2000のオゾン用電源100及びオゾン発生器300は、さらに上述した条件(f)(総ガス流量Qに関する条件)及び条件(g)(比電力値DW/Qに関する条件)を満足することにより、以下の効果を奏する。
オゾンガス発生システム2000は、上述した条件(f)を満足することにより、例えば400g/m3以上の高濃度オゾンを取り出すことができる複数の放電セルに供給する原料ガスに関し、十分大きな総ガス流量Qを確保し、最終的に高濃度なオゾンガスが得られ、取出しオゾン量Ytを高めることができる。
オゾンガス発生システム2000は、上述した条件(g)を満足することにより、条件(f)の効果に加え、条件(a)〜条件(g)を満足する環境下で、オゾン発生器300に供給する総ガス流量Q及び総放電電力DWを可能な範囲で最大限投入にして、取出しオゾン量Ytを最大限に高めることができる。
その結果、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、システム構成を必要最小限に抑えて、比較的大容量、かつ高濃度なオゾンガスを外部に出力することができる効果を奏する。
実施の形態2のオゾンガス発生システム2000では、1単位の放電セルを構成する第1及び第2の電極である接地冷却電極51及び誘電体電極52それぞれの平面視した放電面形状を円形でなく、台形を含む矩形状で構成している。
このため、オゾンガス発生システム2000は、オゾン発生器300の設置形状の変更を容易にし、オゾン発生器300とオゾン用電源100等の周辺機器と組み合わせたオゾンガス発生システム2000をよりコンパクトな構成にすることができる。
さらに、誘電体電極52の平面形状を矩形状にしたため、誘電体電極52における誘電体加工が容易になる利点や、導電性の導電性膜62の誘電体電極52への張り合わせが比較的簡単に行え、誘電体電極52の量産製作がより容易になり、放電セルの製作コスト削減効果を発揮することができる。
加えて、接地冷却電極51と所定数の放電スペーサ73(73A〜73D)とを一体的に連結することにより、1単位の放電セルにおける部品点数を削減することができる。
なお、所定数の放電スペーサ73は、接地冷却電極51でなく誘電体電極52と一体的に連結してもよく、接地冷却電極51、誘電体電極52及び導電性膜62を一体的に連結しても良い。
加えて、オゾンガス発生システム2000のオゾン用電源100は、実施の形態1と同様、出力周波数f(動作周波数f)を20kHz〜50kHz(20kHz以上、50kHz未満)範囲内にして、オゾン発生用交流電圧をオゾン発生器300に出力している。より実用的なオゾン用電源100の出力周波数f(動作周波数f)は、20kHz〜30kHz(20kHz以上、30kHz未満)範囲が望ましい。
このため、実施の形態2のオゾンガス発生システム2000は、実施の形態1のオゾンガス発生システム1000と同様、オゾン発生器300内の複数の放電セル(n組の基本放電セル組)に印加するオゾン発生用交流電圧のピーク電圧値を7kVp以下にして、オゾン発生器300が所望する放電電力DWを実現することができる。
さらに、オゾン用電源100の並列共振用トランス25は、内部励磁インダクタンス値Ltを有し、オゾン発生器300内の複数の放電セルは全体の静電容量値C0を有している。
そして、オゾン用電源100は、実施の形態1と同様、上述した式(5)を満足する並列共振周波数fcの近傍に出力周波数fを設定している。
オゾンガス発生システム2000は、並列共振周波数fcの近傍に出力周波数fを設定することにより、オゾン発生器300への総放電電力DWの投入時に並列共振を行うことで、インバータ部(インバータ回路部22)の出力力率を高めることができる。
すなわち、並列共振用トランス25とオゾン発生器300との間で総放電電力DWの投入時に並列共振を行うことにより、インバータ回路部22での出力力率を高めることができる。
その結果、オゾン用電源100は、所望の総放電電力DWを満足するオゾン発生用交流電圧を負荷側であるオゾン発生器300に供給できる。
<その他>
実施の形態1では、放電セルにおける放電面の形状を平面視して円状に構成したオゾン発生器200を示したが、放電セル形状を正方形もしく長方形形状の平板セルで構成してもよい。この場合も、条件(2)を満足する投入できる放電電力密度Jの範囲に設定して、多段の放電セルを積層すれば良い。
また、放電セルとして、同軸円筒電極管を短管にして、条件(3)を満足する放電電力密度Jの範囲に設定して、1つの極管を多数並べて構成しても良い。
実施の形態1及び実施の形態2では、オゾン用電源100の高周波・高電圧トランスである並列共振用トランス25の内部励磁インダクタンス値Ltを有する構成を示した。この構成以外に、並列共振用トランス25の出力部に、並列共振する共振用リアクトルを追加してオゾン用電源を構成することも可能である。
また、オゾン発生器200及びオゾン発生器300として、原料ガスとし酸素ガスを供給し、放電セルの放電面に光触媒を塗布した構成を示した。これに限定されず、オゾン発生器200及び300に代えて、窒素を含んだ酸素ガスを原料ガスとして供給するオゾン発生器を用いても良い。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。