JPWO2019211926A1 - 共振子及び共振装置 - Google Patents

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Abstract

共振子(10)は、主面を有する基板(F2)、基板(F2)の主面上に形成された下部電極(E1)、下部電極(E1)上に形成された圧電膜(F3)、及び、圧電膜(F3)上に形成された上部電極(E2)を有する振動部(120)と、振動部(120)の少なくとも一部を囲むように設けられた保持部(140)と、を備えている。振動部(120)の周囲には、基板(F2)の主面の平面視における第1方向に異なる幅を有する開口溝が設けられている。基板(F2)の主面の平面視において、上部電極(E2)は、基板(F2)の外縁から第1方向に沿ったギャップを空けて設けられ、かつ、開口溝の幅が大きい領域のギャップの長さが開口溝の幅が小さい領域のギャップの長さよりも大きくなるように形成されている。

Description

本発明は、共振子及び共振装置に関する。
電子機器において計時機能を実現するためのデバイスとして、圧電振動子等の共振子が用いられている。電子機器の小型化に伴い、共振子も小型化が要求されており、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて製造される共振子(以下、「MEMS振動子」ともいう。)が注目されている。
例えば、特許文献1には、Si(シリコン)基板上に、下部電極、圧電膜、及び上部電極がこの順で形成された3本の振動腕を有する共振子が開示されている。
特許第5552878号
共振子において、振動腕を形成する際、通常、Si基板上に電極や圧電膜を形成した後にエッチング等によってパターニング(リリース)する。このとき、リリース幅(すなわちエッチングによって除去される幅)が広いほどエッチング速度は速くなる。エッチング速度は厚み方向のみならず水平方向のエッチング量にも影響を与える。
ところが、特許文献1に記載されるような従来の共振子は、振動腕の外縁と電極の外縁との間の幅は、リリース幅によらず一定となっている。この場合、リリース幅の広い箇所においては狭い箇所よりも圧電膜が多くエッチングされるため、電極同士が短絡してしまうおそれがある。
また上部電極を保護膜で覆う構成とした場合でも、リリース幅が広いところでは同様に保護膜が多く除去されるため、上部電極が露出してしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、共振子において、エッチングによる電極の短絡を防止することを目的とする。
本発明の一側面に係る共振子は、主面を有する基板、基板の主面上に形成された下部電極、下部電極上に形成された圧電膜、及び、圧電膜上に形成された上部電極を有する振動部と、振動部の少なくとも一部を囲むように設けられた保持部と、を備え、振動部の周囲には、基板の主面の平面視における第1方向に異なる幅を有する開口溝が設けられ、基板の主面の平面視において、上部電極は、基板の外縁から第1方向に沿ったギャップを空けて設けられ、かつ、開口溝の幅が大きい領域のギャップの長さが開口溝の幅が小さい領域のギャップの長さよりも大きくなるように形成された。
本発明によれば、共振子において、エッチングによる電極の短絡を防止することができる。
本発明の第1実施形態に係る共振装置の外観を概略的に示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る共振装置の構造を概略的に示す分解斜視図である。 図2のAA’線に沿った共振装置の断面図である。 上蓋を取り外した本発明の第1実施形態に係る共振子の平面図である。 振動腕の断面の写真である。 リリース幅とエッチング量の関係を示すグラフである。 図4のDD’線に沿った複数の振動腕の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る共振装置のプロセスフローの一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る共振装置のプロセスフローの一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る共振装置のプロセスフローの一例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る共振子の平面図である。 本発明の第3実施形態に係る共振装置の構造を概略的に示す分解斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る共振子の平面図である。 本発明の第4実施形態に係る共振子の平面図である。 本発明の第5実施形態に係る共振子の平面図である。 図13のEE’線に沿った振動腕の断面図である。 図13のFF’線に沿った振動腕の断面図である。
[第1実施形態]
以下、添付の図面を参照して本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る共振装置1の外観を概略的に示す斜視図である。また、図2は、本発明の第1実施形態に係る共振装置1の構造を概略的に示す分解斜視図である。さらに図3は、図2のAA’線に沿った共振装置1の断面図である。
この共振装置1は、共振子10と、共振子10を挟んで互いに対向するように設けられた上蓋30及び下蓋20と、を備えている。すなわち、共振装置1は、下蓋20と、共振子10と、上蓋30とがこの順で積層されて構成されている。
また、共振子10と下蓋20との接合、及び共振子10と上蓋30との接合により、共振子10が封止され、共振子10の振動空間が形成される。共振子10、下蓋20及び上蓋30は、それぞれSi(シリコン)基板を用いて形成されている。共振子10及び下蓋20のそれぞれのSi基板同士が互いに接合され、また、共振子10及び上蓋30のそれぞれのSi基板同士は互いに接合されている。共振子10及び下蓋20は、SOI基板を用いて形成されてもよい。なお、下蓋20と上蓋30とが互いに接合され、下蓋20及び上蓋30によって形成される振動空間の内部に共振子10が格納されてもよい。
共振子10は、MEMS技術を用いて製造されるMEMS共振子である。なお、本実施形態においては、共振子10はSi基板を用いて形成されるものを例として説明する。以下の説明では、下蓋20において、共振子10と対向する面を表面、当該表面と対向する面を裏面とする。さらに上蓋30において、共振子10と対向する面を裏面、当該裏面に対向する面を表面とする。共振子10において、下蓋20と対向する面を裏面、上蓋30と対向する面を表面とする。同様に、共振子10の構成要素において、それぞれの下蓋20と対向する面を裏面、それぞれの上蓋30と対向する面を表面とする。下蓋20から上蓋30に向かう方向を上とし、その反対方向を下とする。
以下、共振装置1の各構成について詳細に説明する。
(1.上蓋30)
上蓋30はXY平面に沿って平板状に広がっており、その裏面側に例えば平たい直方体形状の凹部31が形成されている。凹部31は、側壁33及び底板32に囲まれており、共振子10が振動する空間である振動空間の一部を形成する。
上蓋30は、所定の厚みのSi(シリコン)ウエハS1により形成されている。上蓋30は、XY平面に沿って設けられる矩形平板状の底板32と、底板32の周縁部から下蓋20(共振子10)に向けて延びる側壁33とを有する。図3に示すように、上蓋30はその側壁33の裏面によって、後述する接合層40により共振子10の保持部140と接合されている。上蓋30の表面及び裏面は、酸化ケイ素膜(不図示)に覆われていることが好ましい。酸化ケイ素膜は、例えばSiウエハS1の表面の酸化や、化学気相蒸着(CVD: Chemical Vapor Deposition)によって、SiウエハS1の表面に形成される。
なお、図3には示さないが、上蓋30の表面には、端子が形成されている。端子は上蓋30に形成された貫通孔に不純物ドープされた多結晶シリコン(Poly−Si)やCu(銅)やAu(金)や不純物ドープされた単結晶シリコン等の導電性材料が充填されて形成される。端子は、外部電源と共振子10とを電気的に接続させる配線と接続されている。端子は、下蓋20の裏面や、上蓋30又は下蓋20の側面に形成されてもよい。
(2.下蓋20)
下蓋20は、XY平面に沿って設けられる矩形平板状の底板22と、底板22の周縁部から上蓋30(共振子10)に向けて延びる側壁23とを有する。下蓋20には、表面側において、底板22の表面と側壁23の内面とによって形成される凹部21が設けられる。凹部21は、共振子10の振動空間の一部を形成する。上述した上蓋30と下蓋20とによって、この振動空間は気密に封止され、真空状態が維持される。この振動空間には、例えば不活性ガス等の気体が充填されてもよい。
図3に示すように、下蓋20の底板22及び側壁23は、所定の厚みのSi(シリコン)ウエハS2により、一体的に形成されている。また、下蓋20は、側壁23の表面によって、共振子10の保持部140と接合されている。Z軸方向に規定される下蓋20の厚みは例えば150μm、Z軸方向に規定される凹部21の深さは例えば50μmである。なお、SiウエハS2は、縮退されていないシリコンから形成されており、その抵抗率は例えば16mΩ・cm以上である。
(3.共振子10)
次に、図1〜3に加え、図4を参照して共振子10の構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る、共振子10の構造を概略的に示す平面図である。共振子10は、振動部120と、保持部140と、保持腕110とを備えている。振動部120は、基部130と、当該基部130に接続された固定端及び当該基部130から離れて設けられた開放端を有し、固定端から開放端まで延在する複数の振動腕135A〜135D(以下、まとめて「複数の振動腕135」ともいう。)と、を有している。さらに振動部120には、金属層E21〜E24(以下、金属層E21〜E24をまとめて「金属層E2」とも呼ぶ。)が形成されている。以下の説明では、金属層E2のうち、複数の振動腕135に形成されている金属層E21〜E24を特に上部電極E21〜E24ともいう。また、図4においては上部電極E21〜E24を外部の駆動電源に電気的に接続させるための配線や端子等は、記載を省略している。
(3−1.積層構造)
まず図3を参照して、共振子10の積層構造について説明する。共振子10では、保持部140、基部130、複数の振動腕135、保持腕110は、同一プロセスで一体的に形成される。共振子10では、まず、Si(シリコン)基板F2の上に、金属層E1(下部電極の一例である。)が積層されている。そして、金属層E1の上には、金属層E1を覆うように、圧電薄膜F3(圧電膜の一例である。)が積層されており、さらに、圧電薄膜F3の表面には、金属層E21〜E24が積層されている。金属層E21〜E24の上には、金属層E21〜E24を覆うように、保護膜235が積層されている。複数の振動腕135のそれぞれの先端(後述する錘部G)においては、さらに、保護膜235上に、導電膜236が積層されている。図4に示すような上蓋30側からの平面視において、錘部Gに設けられた上部電極E21のX軸方向において対向する一対の端部は、振動腕135Aの導電膜236の内側に位置している。振動腕135B〜Dについても同様である。本実施例では、金属層E21〜E24は、複数の振動腕135の先端まで延在しているが(図4参照)、先端までは延在しない構成でもよい。先端までは延在しない構成の場合、金属層E1や導電膜236との短絡による特性変化を抑制することができる。
なお、低抵抗となる縮退シリコン基板をSi基板F2として用いる事で、Si基板F2自体が下部電極を兼ねる事が可能となるため、金属層E1を省略する事も可能である。また、Si基板F2と金属層E1との間には任意の層が形成されてもよい。
Si基板F2は、例えば、厚さ6μm程度の縮退したn型Si半導体から形成されており、n型ドーパントとしてP(リン)やAs(ヒ素)、Sb(アンチモン)などを含むことができる。特に、複数の振動腕135とn型Si半導体から構成されたSi基板F2の[100]結晶軸またはこれと等価な結晶軸とのなす回転角は、0度より大きく15度以下(又は0度以上15度以下でもよい)、または75度以上90度以下の範囲内にあることが好ましい。なお、ここで回転角とは、Si基板F2の[100]結晶軸またはこれと等価な結晶軸に沿った線分に対して保持腕110が伸びる方向の角度をいう。
また、Si基板F2に用いられる縮退Siの抵抗値は、例えば1.6mΩ・cm未満であり、より好ましくは1.2mΩ・cm以下である。さらにSi基板F2の下面には、温度特性補正層に相当する酸化ケイ素(例えばSiO)層F21が形成されている。これにより、温度特性を向上させることが可能になる。
本実施形態において、温度特性補正層とは、振動部120における周波数の温度係数(すなわち、温度当たりの変化率)を、少なくとも常温近傍において低減する機能を持つ層をいう。振動部120が温度特性補正層に相当する酸化ケイ素層F21を有することにより、例えば、Si基板F2と、金属層E1、E2と、圧電薄膜F3と、酸化ケイ素層F21とによる積層構造体の共振周波数の、温度に伴う変化を低減することができる。
共振子10においては、酸化ケイ素層F21は、均一の厚みで形成されることが望ましい。なお、均一の厚みとは、酸化ケイ素層F21の厚みのばらつきが、厚みの平均値から±20%以内であることをいう。
なお、酸化ケイ素層F21は、Si基板F2の上面に形成されてもよいし、Si基板F2の上面と下面の双方に形成されてもよい。また、保持部140においては、Si基板F2の下面に酸化ケイ素層F21が形成されなくてもよい。
金属層E21〜E24、E1は、例えば厚さ0.1〜0.2μm程度のMo(モリブデン)やアルミニウム(Al)等を用いて形成される。金属層E21〜E24、E1は、エッチング等により、所望の形状に形成される。金属層E1は、例えば振動部120においては、電圧が印加される印加電極または他の電極から電気的に分離されたフロート電極またはアースされたグランド電極として機能するように形成された下部電極である。本実施例では、下部電極はフロート電極となっている。
また、金属層E1は、保持腕111,112や保持部140においては、共振子10の外部に設けられた交流電源に下部電極(印加電極)を電気的に接続するための下部配線、またはアースに下部電極(グランド電極)を電気的に接続するための下部配線として機能するように形成される。
他方で、金属層E21〜E24は、振動部120においては、上部電極として機能するように形成される。また、金属層E21〜E24は、保持腕110や保持部140においては、共振子10の外部に設けられた回路または交流電源に上部電極を電気的に接続するための上部配線として機能するように形成される。
なお、外部の交流電源またはアースから下部配線への電気的な接続にあたっては、上蓋30と共振子10との接合部分に引出電極を形成して、当該引出電極が共振装置1の内部と外部とを電気的に接続する構成や、上蓋30にビアを形成し、当該ビアの内部に導電性材料を充填してビア電極を設け、当該ビア電極が共振装置1の内部と外部とを電気的に接続する構成が用いられてもよい。このような引出電極やビア電極を用いた電気的接続は、外部の回路または交流電源から上部配線への電気的な接続についても同様に適用することができる。なお、金属層E1及び金属層E2の機能は入れ替わっていてもよい。すなわち、金属層E2(上部電極)が外部の交流電源またはアースに電気的に接続され且つ金属層E1(下部電極)が外部の回路または交流電源に電気的に接続されてもよい。
圧電薄膜F3は、印加された電圧を振動に変換する圧電体の薄膜であり、例えば、AlN(窒化アルミニウム)等の窒化物や酸化物を主成分とすることができる。具体的には、圧電薄膜F3は、ScAlN(窒化スカンジウムアルミニウム)により形成することができる。ScAlNは、窒化アルミニウムにおけるアルミニウムの一部をスカンジウムに置換したものである。また、圧電薄膜F3の厚さは、例えば、1μm程度であるが、0.2μm〜2μm程度であってもよい。
圧電薄膜F3は、図3の断面図において、複数の振動腕135をリリースする際のエッチングの影響により、金属層E1から金属層E21〜E24に向かうにつれて、徐々に狭まる形状となっている。特に、外側の振動腕135A(135D)とそれに隣接する内側の振動腕135B(135C)とのそれぞれの錘部Gの間に形成された開口溝の幅(以下、「リリース幅」という。)W5、互いに隣接する内側の振動腕135B,135Cのそれぞれの錘部G同士の間のリリース幅W6、または外側の振動腕135A(135D)の錘部Gと保持部140との間のリリース幅W4が大きいほど、圧電薄膜F3における金属層E1から金属層E21〜E24に向かう斜度は大きくなる。図3の例では、リリース幅W6はリリース幅W4,W5より大きいため、振動腕135Bにおける振動腕135C側(すなわちリリース幅W6に面する側)の端部、及び振動腕135Cにおける振動腕135B側(すなわちリリース幅W6に面する側)の端部の斜度は、反対側(すなわちリリース幅W5に面する側)の端部、及び振動腕135A,135Dの両端部(リリース幅W4に面する側及びリリース幅W5に面する側)よりも斜度が大きくなっている。
保護膜235は、絶縁体の層であり、エッチングによる質量低減の速度が導電膜236より遅い材料により形成される。例えば、保護膜235は、AlNやSiN等の窒化膜やTa25(5酸化タンタル)やSiO2等の酸化膜により形成される。なお、質量低減速度は、エッチング速度(単位時間あたりに除去される厚み)と密度との積により表される。保護膜235の厚さは、圧電薄膜F3の厚さ(C軸方向)の半分以下で形成され、本実施形態では、例えば0.2μm程度である。なお、保護膜235のより好ましい厚さは、圧電薄膜F3の厚さの4分の1程度である。さらに、保護膜235がAlN等の圧電体によって形成される場合には、圧電薄膜F3と同じ配向を持った圧電体が用いられることが好ましい。
導電膜236は、導電体の層であり、エッチングによる質量低減の速度が保護膜235より速い材料により形成される。導電膜236は、例えば、モリブデン(Mo)やタングステン(W)や金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)等の金属により形成される。
なお、保護膜235と導電膜236とは、質量低減速度の関係が上述のとおりであれば、エッチング速度の大小関係は任意である。
導電膜236は、振動部120の略全面に形成された後、エッチング等の加工により所定の領域のみに形成される。
保護膜235及び導電膜236に対するエッチングは、例えば、保護膜235及び導電膜236に同時にイオンビーム(例えば、アルゴン(Ar)イオンビーム)を照射することによって行われる。イオンビームは共振子10よりも広い範囲に照射することが可能である。なお、本実施形態では、イオンビームによりエッチングを行う例を示すが、エッチング方法は、イオンビームによるものに限られない。
(3−2.平面構造)
次に、図4を参照して共振子10の平面構造について説明する。
(a)振動部120
振動部120は、図4の直交座標系におけるXY平面に沿って広がる櫛歯形状の輪郭を有している。振動部120は、保持部140の内側に設けられており、振動部120と保持部140との間には、所定の間隔で空間が形成されている。図4の例では、振動部120は、基部130と4本の振動腕135A〜135Dとを有している。なお、振動腕の数は、4本に限定されず、例えば1本以上の任意の数に設定される。本実施形態において、複数の振動腕135と、基部130とは、一体に形成されている。
基部130は、平面視において、X軸方向に沿って延びる長辺131a、131b、Y軸方向に沿って延びる短辺131c、131dを有している。長辺131aは、基部130の前端の面131A(以下、「前端131A」とも呼ぶ。)の一つの辺であり、長辺131bは基部130の後端の面131B(以下、「後端131B」とも呼ぶ。)の一つの辺である。基部130において、前端131Aと後端131Bとは、互いに対向するように設けられている。
基部130は、前端131Aにおいて、複数の振動腕135に接続され、後端131Bにおいて、保持腕111、112に接続されている。なお、基部130は、図4の例では平面視において、略長方形の形状を有しているがこれに限定されず、長辺131aの垂直二等分線に沿って規定される仮想平面Pに対して略面対称に形成されていればよい。基部130は、例えば、長辺131b及び長辺131aの一方が他方より短い台形や、長辺131a又は長辺131bを直径とする半円の形状であってもよい。また、長辺131a、131b及び短辺131c、131dは直線に限定されず、それぞれの少なくとも一部が曲線であってもよい。
基部130において、前端131Aから後端131Bに向かう方向における、前端131Aと後端131Bとの最長距離である基部長(図4においては短辺131c、131dの長さ)は40μm程度である。また、基部長方向に直交する幅方向であって、基部130の側端同士の最長距離である基部幅(図4においては長辺131a、131bの長さ)は285μm程度である。
複数の振動腕135は、Y軸方向に延び、それぞれ同一のサイズを有している。複数の振動腕135は、それぞれが基部130と保持部140との間にY軸方向に平行に設けられ、一端は、基部130の前端131Aと接続されて固定端となっており、他端は開放端となっている。また、複数の振動腕135は、それぞれ、X軸方向に所定の間隔で、並列して設けられている。なお、複数の振動腕135は、それぞれ、例えばX軸方向の幅が50μm程度、Y軸方向の長さが420μm程度である。
複数の振動腕135はそれぞれ開放端に、錘部Gを有している。錘部Gは、複数の振動腕135の他の部位よりもX軸方向の幅が広い。錘部Gは、例えば、X軸方向の幅が70μm程度である。錘部Gは、複数の振動腕135の他の部位と同一プロセスによって一体形成される。錘部Gが形成されることで、複数の振動腕135のそれぞれにおける単位長さ当たりの重さが、固定端側よりも開放端側の方で重くなっている。従って、複数の振動腕135が開放端側にそれぞれ錘部Gを有することで、複数の振動腕135のそれぞれにおける上下方向の振動の振幅を大きくすることができる。
本実施形態の振動部120では、X軸方向において、外側に2本の振動腕135A、135Dが配置されており、内側に2本の振動腕135B、135Cが配置されている。
複数の振動腕135の固定端近傍から錘部Gが形成される箇所近傍に亘って、振動腕135A〜135Dにはそれぞれ上部電極E21〜E24が形成されている。さらに、振動部120の表面(上蓋30に対向する面)側には、その全面に亘って保護膜235が形成されている。さらに、複数の振動腕135における保護膜235の表面の一部には、それぞれ、導電膜236が形成されている。保護膜235及び導電膜236によって、振動部120の共振周波数を調整することができる。尚、必ずしも保護膜235は振動部120の全面に亘って設けられる必要はないが、共振周波数調整において下地の上部電極E21〜E24及び圧電薄膜F3)をダメージから保護する上で、振動部120の全面に亘って設けられる方が望ましい。
導電膜236は、振動部120における、他の領域よりも振動による平均変位の大きい領域の少なくとも一部において、その表面が露出するように、保護膜235上に形成されている。具体的には、導電膜236は、複数の振動腕135のそれぞれの先端、即ち錘部Gにおいて、保護膜235上に形成される。他方、保護膜235は、複数の振動腕135における錘部G以外の領域において、その表面が露出している。この実施例では、複数の振動腕135のそれぞれの先端まで導電膜236が形成され、先端部では保護膜235は全く露出していない。しかし、保護膜235の一部が複数の振動腕135の少なくとも1つの先端部で露出する様に、導電膜236が複数の振動腕135の少なくとも1つの先端部には形成されなくてもよい。なお、複数の振動腕135のそれぞれの根本側(基部130と接続する側)に第2の導電膜が形成されてもよく、このような第2の導電膜は、例えば保護膜235上に形成される。この場合、共振周波数調整に伴う、周波数の温度特性の変化を抑制する事ができる。
(b)保持部140
保持部140は、XY平面に沿って矩形の枠状に形成される。保持部140は、平面視において、XY平面に沿って振動部120の外側を囲むように設けられる。なお、保持部140は、振動部120の周囲の少なくとも一部に設けられていればよく、枠状の形状に限定されない。例えば、保持部140は、振動部120を保持し、また、上蓋30及び下蓋20と接合できる程度に、振動部120の周囲に設けられていればよい。
本実施形態においては、保持部140は一体形成される角柱形状の枠体140a〜140dからなる。枠体140aは、図4に示すように、複数の振動腕135の開放端に対向して、長手方向がX軸に平行に設けられる。枠体140bは、基部130の後端131Bに対向して、長手方向がX軸に平行に設けられる。枠体140cは、基部130の側端(短辺131c)及び振動腕135Aに対向して、長手方向がY軸に平行に設けられ、その両端で枠体140a、140bの一端にそれぞれ接続される。枠体140dは、基部130の側端(短辺131d)及び振動腕135Dに対向して、長手方向がY軸に平行に設けられ、その両端で枠体140a、140bの他端にそれぞれ接続される。
本実施形態においては、保持部140には、その略全面に亘って保護膜235が形成されているとして説明するが、これに限定されず、保護膜235は、保持部140の表面には形成されていなくてもよい。
(c)保持腕110
保持腕110は、保持部140の内側に設けられ、基部130の後端131Bと枠体140bとを接続する。図4に示すように、保持腕110は、基部130のX軸方向の中心線に沿ってYZ平面に平行に規定される仮想平面Pに対して略面対称に形成される。なお、保持腕110の形状は図4の例に限定されず、例えば、複数回屈曲してから他端がそれぞれ枠体140c、140dに接続される一対の保持腕でもよい。
(3−3.ギャップ幅とリリース幅との関係)
図3、4を参照し、ギャップ幅とリリース幅との関係について説明する。
振動部120の周囲には、Si基板F2の主面の平面視における所定の方向(第1方向の一例である。)に異なる幅を有する開口溝が設けられている。本実施形態では、所定の方向はX軸方向として説明するが、これに限定されずY軸方向の他、図4のXY平面内の任意の方向でもよい。
リリース幅は、開口溝の所定の方向(つまり本実施形態ではX軸方向)に沿った幅をいう。より詳細には、Si基板F2を平面視したときの、開口溝の側壁を形成するSi基板F2間の所定の方向(つまり本実施形態ではX軸方向)に沿った距離をいう。なお、Si基板F2間の所定の方向に沿った距離は、例えば、Si基板F2の下面(下蓋20側)の縁の間の距離をいう。例えばリリース幅は、図3及び図4に示した振動腕135Aと振動腕135B(又は振動腕135Cと振動腕135D)のそれぞれの錘部Gの間に形成された開口溝のリリース幅W5や、振動腕135Bと振動腕135Cのそれぞれの錘部Gの間に形成された開口溝のリリース幅W6、振動腕135Aの錘部Gと枠体140c(又は振動腕135Dの錘部Gと枠体140d)の間に形成された開口溝のリリース幅W4である。また、図4に示すように、振動腕135Aと振動腕135B(又は振動腕135Dと振動腕135C)のそれぞれの錘部G以外の部位の間にはリリース幅W1の開口溝が形成され、振動腕135Bと振動腕135Cの錘部G以外の部位の間にはリリース幅W2の開口溝が形成され、振動腕135Aの錘部G以外の部位と枠体140c(又は振動腕135Dの錘部G以外の部位と枠体140d)の間にはリリース幅W3の開口溝が形成されている。なお、リリース幅は、上蓋側からSi基板を平面視したときの、Si基板の上面(上蓋側)の縁の間の距離であってもよい。
本実施形態では、リリース幅W2はリリース幅W1より大きく設定されており、リリース幅W2は例えば35μm程度、リリース幅W1は例えば25μm程度である。言い換えると、X軸方向における、振動腕135Bと振動腕135Cとの間のリリース幅W2は、X軸方向における、外側の振動腕135A(135D)と当該外側の振動腕135A(135D)に隣接する内側の振動腕135B(135C)との間のリリース幅W1よりも大きく設定される。リリース幅W2をリリース幅W1より大きく設定することにより、振動特性が改善される。なお、共振装置1を小型化できるように、リリース幅W2をリリース幅W1よりも小さく設定してもよいし、等間隔にしてもよい。また、本実施形態では、例えば、リリース幅W6はリリース幅W4,W5よりも大きく、リリース幅W4はリリース幅W5よりも大きく設定されている。また、リリース幅W6はリリース幅W2よりも小さく、リリース幅W5はリリース幅W1よりも小さく、リリース幅W4はリリース幅W3よりも小さく設定されている。
また本実施形態では、リリース幅W3はリリース幅W1と同じ幅で設定されているが、これに限定されず、リリース幅W3,W1の大小関係は任意である。
他方、上部電極のギャップ幅は、Si基板F2を平面視したときの、上部電極E21〜E24の外縁と、当該上部電極E21〜E24が形成されたSi基板F2の外縁との間の距離をいう。また、導電膜のギャップ幅は、Si基板F2を平面視したときの、導電膜236の外縁と、当該導電膜236が形成されたSi基板F2の外縁との間の距離をいう。なお、Si基板F2の外縁は、例えば、Si基板F2の下面(下蓋20側)の縁をいう。上部電極E21〜E24の外縁は、例えば、上部電極E21〜E24の下面(下蓋20側)の縁をいう。導電膜236の外縁は、例えば、導電膜236の下面(下蓋20側)の縁をいう。以下、Si基板、導電膜及び上部電極のそれぞれの「外縁」は、単に「縁」ともいう。なお、Si基板F2の外縁は、Si基板F2の上面(上蓋30側)の縁であってもよい。
例えば振動腕135Bの錘部G以外の部位における上部電極のギャップ幅について、ギャップ幅L2は、振動腕135Bの錘部G以外の部位に形成された上部電極E22における振動腕135Cに対向する縁と、振動腕135Bの錘部G以外の部位に形成されたSi基板F2における振動腕135Cに対向する縁との間の距離である。また、ギャップ幅L1は、ギャップ幅L2が設定された縁と反対側における、上部電極E22の縁と振動腕135Bの縁(すなわち、振動腕135Bの錘部G以外の部位に形成された上部電極E22の振動腕135Aに対向する縁と、振動腕135Bの錘部G以外の部位に形成されたSi基板F2の振動腕135Aに対向する縁)との間の距離である。
振動腕135Bの錘部Gにおける上部電極のギャップ幅について、ギャップ幅L6は、振動腕135Bの錘部Gに形成された上部電極E22における振動腕135Cに対向する縁と、振動腕135Bの錘部Gに形成されたSi基板F2における振動腕135Cに対向する縁との間の距離である。また、ギャップ幅L5は、振動腕135Bの錘部Gに形成された上部電極E22における振動腕135Aに対向する縁と、振動腕135Bの錘部Gに形成されたSi基板F2における振動腕135Aに対向する縁との間の距離である。
振動腕135Bの錘部Gにおける導電膜のギャップ幅について、ギャップ幅L11は、振動腕135Bの錘部Gに形成された導電膜236における振動腕135Cに対向する縁と、振動腕135Bの錘部Gに形成されたSi基板F2における振動腕135Cに対向する縁との間の距離である。また、ギャップ幅L10は、振動腕135Bの錘部Gに形成された導電膜236における振動腕135Aに対向する縁と、振動腕135Bの錘部Gに形成されたSi基板F2における振動腕135Aに対向する縁との間の距離である。
言い換えると、振動腕135Bの錘部G以外の部位において、リリース幅W1に面する部分(リリース幅W1が設定されている領域)に上部電極のギャップ幅L1が形成され、リリース幅W2に面する部分に上部電極のギャップ幅L2が形成されている。また、振動腕135Bの錘部Gにおいて、リリース幅W5に面する部分に上部電極のギャップ幅L5及び導電膜のギャップ幅L10が形成され、リリース幅W6に面する部分に上部電極のギャップ幅L6及び導電膜のギャップ幅L11が形成されている。
同様に、振動腕135Aの錘部G以外の部位における上部電極のギャップ幅について、ギャップ幅L3は、振動腕135Aの錘部G以外の部位に形成された上部電極E21の枠体140cに対向する縁と、振動腕135Aの錘部G以外の部位に形成されたSi基板F2の枠体140cに対向する縁との間の距離である。また、ギャップ幅L1は、ギャップ幅L3が設定された縁と反対側における、上部電極E21の縁と振動腕135Aの縁(すなわち、振動腕135Aの錘部G以外の部位に形成された上部電極E21の振動腕135Bに対向する縁と、振動腕135Aの錘部G以外の部位に形成されたSi基板F2の振動腕135Bに対向する縁)との間の距離である。
振動腕135Aの錘部Gにおける上部電極のギャップ幅について、ギャップ幅L4は、振動腕135Aの錘部Gに形成された上部電極E21の枠体140cに対向する縁と、振動腕135Aの錘部Gに形成されたSi基板F2の枠体140cに対向する縁との間の距離である。また、ギャップ幅L5は、振動腕135Aの錘部Gに形成された上部電極E21の振動腕135Bに対向する縁と、振動腕135Aの錘部Gに形成されたSi基板F2の振動腕135Bに対向する縁との間の距離である。
振動腕135Aの錘部Gにおける導電膜のギャップ幅について、ギャップ幅L9は、振動腕135Aの錘部Gに形成された導電膜236の枠体140cに対向する縁と、振動腕135Aの錘部Gに形成されたSi基板F2の枠体140cに対向する縁との間の距離である。また、ギャップ幅L10は、振動腕135Aの錘部Gに形成された導電膜236の振動腕135Bに対向する縁と、振動腕135Aの錘部Gに形成されたSi基板F2の振動腕135Bに対向する縁との間の距離である。
言い換えると、振動腕135Aの錘部G以外の部位において、リリース幅W1に面する部分(リリース幅W1が設定されている領域)に上部電極のギャップ幅L1が形成され、リリース幅W3に面する部分に上部電極のギャップ幅L3が形成されている。また、振動腕135Aの錘部Gにおいて、リリース幅W5に面する部分に上部電極のギャップ幅L5及び導電膜のギャップ幅L10が形成され、リリース幅W4に面する部分に上部電極のギャップ幅L4及び導電膜のギャップ幅L10が形成されている。
なお、振動腕135C,135Dのギャップ幅は、振動腕135B,135Aと対称な構成であるため説明は省略する。
なお、リリース幅W2が35μm程度、リリース幅W1、W3が25μmに設定されている場合、ギャップ幅L1は0.3μm以上10μm以下程度が好ましく、ギャップ幅L2は0.5μm以上10μm以下程度が好ましく、ギャップ幅L3は、0.3μm以上10μm以下程度が好ましい。
ここで、図5及び図6を用いて、リリース幅とエッチング量との関係について説明する。図5は振動腕の断面構造を示す写真である。エッチング量とは、エッチングによってSi基板F2をリリースした際に、リリース幅より多くエッチングされた圧電薄膜F3の量をいう。例えば、図5の写真においてエッチング量とは、金属層E1側でのSi基板F2の端部(Si基板F2の上面の縁)と、金属層E21側での圧電薄膜F3の端部(圧電薄膜F3の上面の縁)との位置の差Aをいう。
図6は、リリース幅とエッチング量との関係を示すグラフである。図6のグラフにおいて、横軸はエッチングによってリリースする幅を示し、縦軸はエッチング量を示している。図6では、エッチング時間やエッチングに利用する反応ガス濃度等の条件を変えて行った2種類の測定結果を示している。図6に示すように、いずれの条件においても、リリース幅が大きいほど、エッチング量が大きくなる。
このため、リリース幅に関わらず、ギャップ幅を一定にして上部電極を形成した場合、エッチング量によっては、圧電薄膜F3が上部電極が形成される領域よりも内側まで削られてしまうことがある。この場合、上部電極が下部電極と短絡してしまう場合がある。そこで、本実施形態に係る共振子10においては、リリース幅が大きい領域の上部電極のギャップ幅が、リリース幅が小さい領域の上部電極のギャップ幅よりも大きく設定されている。
具体的には、本実施形態では、リリース幅W1,W2,W3のうちリリース幅W2が最も大きく設定されている。そのため、リリース幅W2が設定されている領域のギャップ幅L2は、リリース幅W1,W3が設定されている領域のギャップ幅L1,L3より大きく設定されている。他方、本実施形態ではリリース幅W1,W3は同じ大きさであるため、リリース幅W1が設定されている領域のギャップ幅L1と、リリース幅W3が設定されている領域のギャップ幅L3はほぼ同じ大きさで設定されている。また、本実施形態ではリリース幅W6がリリース幅W4よりも大きく且つリリース幅W4がリリース幅W5よりも大きく設定されている(W6>W4>W5)。そのため、ギャップ幅L6がギャップ幅L4よりも大きく且つギャップ幅L4がギャップ幅L5よりも大きく設定されることが望ましい(L6>L4>L5)。
本実施形態では、上部電極の幅が一定に形成されているのに対して、振動腕の幅は先端の錘部Gで広幅に形成されている。そのため、リリース幅W6はリリース幅W2よりも小さく設定されているが、ギャップ幅L6はギャップ幅L2よりも大きく設定されている(W6<W2且つL6>L2)。同様に、W5<W1且つL5>L1、及びW4<W3且つL4>L3と設定されている。
導電膜についても、下部電極と同様に、エッチング量によっては上部電極と短絡する場合がある。そこで、本実施形態に係る共振子10においては、導電膜と上部電極との短絡を防止する観点から、リリース幅が大きい領域の上部電極のギャップ幅が、リリース幅が小さい領域の導電膜のギャップ幅よりも小さく設定されることが望ましい。
具体的には、本実施形態では、リリース幅W2が設定されている領域の上部電極E22,E23のギャップ幅L2は、リリース幅W2よりも小さなリリース幅W6が設定されている領域の導電膜236のギャップ幅L11よりも大きく設定されている。リリース幅W1が設定されている領域の上部電極E21〜E24のギャップ幅L1は、リリース幅W1よりも小さなリリース幅W5が設定されている領域の導電膜236のギャップ幅L10よりも大きく設定されている。リリース幅W3が設定されている領域の上部電極E21,E24のギャップ幅L3は、リリース幅W3よりも小さなリリース幅W4が設定されている領域の導電膜236のギャップ幅L9よりも大きく設定されている。
また、リリース幅W6が設定されている領域の上部電極E22,E23のギャップ幅L6は、リリース幅W6よりも小さなリリース幅W4,W5が設定されている領域の導電膜236のギャップ幅L9,L10よりも大きく設定されている。リリース幅W4が設定されている領域の上部電極E21,E24のギャップ幅L4は、リリース幅W4よりも小さなリリース幅W5が設定されている領域の導電膜236のギャップ幅L10よりも大きく設定されている。
本実施形態に係る共振子10においては、導電膜と上部電極との短絡を防止する観点から、リリース幅が大きい領域において上部電極のギャップ幅が導電膜のギャップ幅よりも大きく、リリース幅が小さい領域においても上部電極のギャップ幅が導電膜のギャップ幅よりも大きく設定されることが望ましい。
具体的には、本実施形態では、リリース幅W6が設定されている領域において、上部電極E22,E23のギャップ幅L2は、導電膜236のギャップ幅L11よりも大きく設定されている。また、リリース幅W5が設定されている領域において、上部電極E21〜E24のギャップ幅L5は、導電膜236のギャップ幅L10よりも大きく設定されている。また、リリース幅W4が設定されている領域において、上部電極E21,E24のギャップ幅L4は、導電膜236のギャップ幅L9よりも大きく設定されている。
このように、本実施形態に係る共振子10では、リリース幅が大きい領域の上部電極のギャップ幅が、リリース幅が小さい領域の上部電極のギャップ幅よりも大きく設定されることで、上部電極が下部電極と短絡することを防ぐことができる。また、リリース幅が大きい領域の上部電極のギャップ幅が、リリース幅が小さい領域の導電膜のギャップ幅よりも大きい設定されることで、導電膜と上部電極との短絡を防ぐことができる。また、リリース幅が大きい領域において上部電極のギャップ幅は導電膜のギャップ幅よりも大きく設定され、リリース幅が小さい領域においても上部電極のギャップ幅は導電膜のギャップ幅よりも大きく設定されることで、導電膜と上部電極との短絡を防ぐことができる。
(3−4.共振子の機能)
図7を参照して共振子10の機能について説明する。図7は、図4のDD’線に沿った複数の振動腕135の断面であり、複数の振動腕135の電気的な接続態様を模式的に示している。圧電薄膜F3は、金属層E21〜E24、E1によって圧電薄膜F3に印加される電界に応じて、XY平面の面内方向すなわちY軸方向に伸縮する。この圧電薄膜F3の伸縮によって、複数の振動腕135は、下蓋20及び上蓋30の内面に向かってその開放端を変位させ、面外の屈曲振動モードで振動する。
本実施形態では、外側の振動腕135A、135Dに印加される電界の位相と、内側の振動腕135B、135Cに印加される電界の位相とが互いに逆位相になるように設定される。これにより、外側の振動腕135A、135Dと内側の振動腕135B、135Cとが互いに逆方向に変位する。例えば、外側の振動腕135A、135Dが上蓋30の内面に向かって開放端を変位すると、内側の振動腕135B、135Cは下蓋20の内面に向かって開放端を変位する。
これによって、本実施形態に係る共振子10では、逆位相の振動時、すなわち、図7に示す振動腕135Aと振動腕135Bとの間でY軸に平行に延びる中心軸r1回りに振動腕135Aと振動腕135Bとが上下逆方向に振動する。また、振動腕135Cと振動腕135Dとの間でY軸に平行に延びる中心軸r2回りに振動腕135Cと振動腕135Dとが上下逆方向に振動する。これによって、中心軸r1とr2とで互いに逆方向の捩れモーメントが生じ、基部130で屈曲振動が発生する。
なお、本実施形態では、4本の振動腕135を備えて面外屈曲振動モードを主要振動とする共振子10において、上部電極E21〜E24を分割して、それぞれ交流電源に電気的に接続する。外側の振動腕135A,135Dの上部電極E21,E24には、内側の振動腕135B,135Cの上部電極E22,E23とは逆相の電圧を印加する。これにより、本実施形態は、内側の振動腕135B,135Cと外側の振動腕135A,135Dとが互いに逆方向に屈曲振動する構成となっているが、振動腕の数や振動モードはこれに限定されない。本発明に係る実施形態は、例えば、振動腕が1〜3本の構成や5本以上の構成でもよく、面内屈曲振動モードで振動する構成でもよい。
(6.プロセスフロー)
次に、図8A〜図8Cを参照して、共振装置1のプロセスフローについて説明する。図8A〜図8Cは、図4のDD'線の延長線に沿った共振装置の断面のプロセスフローである。
まず図8Aを参照して、最初の工程では、下蓋20となるハンドルSi(SiウエハS2)を用意する(STEP1)。次に、ハンドルSiにエッチングでキャビティを形成し、下蓋20を形成し(STEP2)、STEP3で別途用意したSOI基板(酸化ケイ素膜F21が形成されたSi基板F2)と熱接合する(STEP4)。次に、SOI基板上に、金属層E1、圧電薄膜F3、金属層E2をこの順で成膜する(STEP5)。なお、金属層E1とSi基板F2との間にシード層を成膜してもよい。シード層は、例えば、窒化アルミニウム層等である。この場合、金属層E1上に形成される圧電薄膜F3の結晶性を向上させることができる。
次に図8Bを参照して、上述のSTEP5に続くSTEP6では、金属層E2をエッチング等によってパターニングし、上部電極E21〜E24を形成する(STEP6)。このとき、上部電極E21〜E24が形成された複数の振動腕135の錘部Gにおけるリリース幅(W4〜W6)に基づいて、各上部電極E21〜E24のギャップ幅(L4〜L6)が設定される。
具体的には、リリース幅W6が設定される領域のギャップ幅L6をリリース幅W5が設定される領域のギャップ幅L5よりも大きく設定する。そして、振動腕135Bが形成される領域に形成された金属層E2は、振動腕135BにおけるSi基板F2の振動腕135C側の端部よりもギャップ幅L6分除去され、また、振動腕135BにおけるSi基板F2の振動腕135A側の端部よりもギャップ幅L5分除去されて、上部電極E22へと成形される。同様に、振動腕135Aが形成される領域に形成された金属層E2は、振動腕135AにおけるSi基板F2の振動腕135B側の端部よりもギャップ幅L5分除去され、また、振動腕135AにおけるSi基板F2の枠体140c側の端部よりもギャップ幅L4分除去されて、上部電極E21へと成形される。なお、上部電極E23,E24は上部電極E22、E21と対称な構成のため詳細な説明は省略する。
なお、STEP5において金属層E1、圧電薄膜F3、金属層E2を成膜する際に、金属層E1、圧電薄膜F3をパターニングしてもよい。次に、保護膜235、導電膜236をこの順で成膜する(STEP7、STEP8)。
次に図8Cを参照し、続くステップでは、導電膜236をパターニングする(STEP9)。具体的には複数の振動腕135のそれぞれにおける錘部Gに導電膜236が残存するようにその他の領域から導電膜236を除去する。このとき保持部140には配線用に導電膜236を残存させてもよい。
さらに、振動部120の外形を形成するため、エッチング等により複数の振動腕135のそれぞれの間や、複数の振動腕135と保持部140との間をリリースする(STEP10)。エッチングによるリリースでは、例えば、パターニングされた導電膜236をマスクとして使用する。このとき、複数の振動腕135のそれぞれの断面形状は、導電膜236からSi基板F2に向かうにつれて幅が大きくなるテーパー形状となる。これにより、振動腕135Aにおいて、X軸方向に隣接する枠体140c側にギャップ幅L9が形成され、X軸方向に隣接する振動腕135B側のギャップ幅L10が形成される。同様に、振動腕135Bにおいて、X軸方向に隣接する振動腕135A側にギャップ幅L10が形成され、X軸方向に隣接する振動腕135C側にギャップ幅L11が形成される。なお、振動腕135C,Dはそれぞれ振動腕135B,Aと対称な構造のため、詳細な説明は省略する。その後別途用意した上蓋30と接合され、共振装置1が形成される。
[第2実施形態]
第2実施形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
図9は、図4に対応し、本実施形態に係る共振子11の平面構造の一例を概略的に示している。以下に、本実施形態に係る共振子11の構成のうち、第1実施形態との差異点を中心に説明する。共振子11は、第1実施形態で説明した振動腕135A〜135D、及び金属層E21〜E24に代えて、振動腕136A〜136D及び金属層E31〜E34を有している。
振動腕136Aは、固定端から開放端に向かうにつれて徐々に幅(すなわち、振動腕136A〜136Dが並ぶ方向に沿った大きさ)が広がる形状をしている。そのため、振動腕136Aとそれに隣接する振動腕136Bとの間の開口溝は、開放端側のリリース幅W4の方が固定端側のリリース幅W5よりも小さく設定されている。例えばリリース幅W5は35μm程度であり、リリース幅W4は25μm程度である。また、図9の例では、振動腕136Aは錘部Gを有していないが、振動腕136Aの開放端に錘部Gが形成される構成でもよい。振動腕136Aのその他の構成は、振動腕135Aと同様である。なお、振動腕136B〜136Dの構成は振動腕136Aと同様のため説明を省略する。
金属層E31は、振動腕136Aに形成されている。金属層E31の縁から振動腕136Aの縁までのギャップ幅は、振動腕136Aの固定端におけるギャップ幅L5の方が、振動腕136Aの開放端におけるギャップ幅L4よりも大きく設定されている。例えばギャップ幅L5は1.0μm程度であり、ギャップ幅L4は0.5μm程度である。金属層E31のその他の構成は金属層E21と同様である。なお、金属層E32〜E34の構成は、金属層E31と同様のため説明を省略する。
その他の共振子11の構成、機能は共振子10と同様である。
[第3実施形態]
図10、11を用いて第3実施形態に係る共振装置3の構成、機能について説明する。図10は、図2に対応し、本実施形態における共振装置3の分解斜視図である。図10に示すように共振装置3は、第1実施形態における下蓋20、共振子10に代えて、下蓋25、共振子12を有している。また図11は、図4に対応し、本実施形態における共振装置3が有する共振子12の平面構造を概略的に示す平面図である。
下蓋25の内面、すなわち底板22の表面には、振動空間に突出する突起部51〜53が形成されている。突起部51は、振動腕135Aと振動腕135Bの間に突起するように下蓋25に形成されている。突起部52は、振動腕135Bと振動腕135Cの間に突起するように下蓋25に形成されている。突起部53は、振動腕135Cと振動腕135Dの間に突起するように下蓋25に形成されている。本実施形態では、突起部51〜53は、振動腕135A〜135Dに平行に延びる角柱形状に形成されている。突起部51〜53の振動腕135A〜135Dに沿った方向の長さは240μm程度、当該方向に直交する長さ(幅)は15μm程度である。下蓋25に突起部51〜53が形成されることで、例えば共振装置3を薄型化するために、下蓋25の厚さを低減したとしても、下蓋25の反りの発生を抑制することが可能になる。
共振子12は、金属層E21〜E24に代えて金属層E41〜44を有している。共振子12は、突起部51〜53が振動腕135A〜135Dの間に突起して形成されている。そのため、振動腕135Aのリリース幅は、突起部51と対向する領域においては、振動腕135Aと突起部51との間に形成された開口溝のリリース幅W7であり、突起部51と対向しない領域においては、振動腕135Bとの間に形成された開口溝のリリース幅W6となる。そのため、リリース幅W6は、リリース幅W7より大きくなる。例えばリリース幅W6は25μm程度であり、リリース幅W7は5μm程度である。振動腕135B〜135Dのリリース幅は振動腕135Aと同様であるため詳細な説明は省略する。
金属層E41は、振動腕135Aに形成されている。金属層E41の縁から振動腕135Aの縁までのギャップ幅は、突起部51と対向する領域におけるギャップ幅L7よりも、突起部51と対向しない領域におけるギャップ幅L6の方が大きく設定されている。例えばギャップ幅L6は1.0μm程度であり、ギャップ幅L7は0.5μm程度である。金属層E41のその他の構成は金属層E21と同様である。なお、金属層E42〜E44の構成は金属層E41と同様であるため詳細な説明は省略する。
その他の共振装置3の構成は第1実施形態における共振装置1の構成と同様である。
[第4実施形態]
図12を用いて第4実施形態に係る共振子13の構成、機能について説明する。図12は、図4に対応し、本実施形態における共振子13の平面図である。共振子13は、振動部120、保持腕110、及び金属層E21〜E24に代えて、振動部121、及び金属層E5を有している。
振動部121は、第1領域122と、第2領域123、124とを有している。第1領域122は、図12のXY平面にそって平板状に広がる略長方形の輪郭を有している。また、第1領域122は、X軸方向に沿って延びる短辺121a、121bを有し、Y軸方向に沿って延びる長辺121c、121dを有している。第1領域122は、短辺121a、121bにおいて、それぞれ第2領域123、124によって保持部140に接続され、保持されている。また、振動部121の全面を覆うように、保護膜235が形成されている。
第2領域123、124は、それぞれ、X軸方向に沿って延びる一対の長辺と、Y軸方向に沿って延びる一対の短辺とを有する略矩形の形状を有している。第2領域123、124は、それぞれ一端が第1領域122における短辺121a、121bの中心近傍と接続し、そこからY軸方向に沿って、つまり短辺121a、121bに対して略垂直に、延びている。また、第2領域123、124の他端は、それぞれ保持部140における枠体140a、140bの中心近傍と接続している。なお、第2領域123、124の形状は上記に限定されるものではなく、Y軸方向において対向する一対の長辺を有する略矩形の形状であってもよい。また、円形状、楕円形状、多角形状、又はそれらを組み合わせた形状であってもよい。
その他の振動部121の構成は振動部120と同様である。
金属層E5は、振動部121の第1領域122の略全面に形成されている。さらに金属層E5は、第1領域122から第2領域123、124に亘って形成され、保持部140に引き出されている。なお、金属層E5は、保持部140において、外部電源と電気的に接続する端子(不図示)と電気的に接続されている。
振動部121の第1領域と保持部140との間のX軸方向に沿った開口溝のリリース幅W9は、第2領域123、124と保持部140の枠体140c、140dとの間のX軸方向に沿った開口溝のリリース幅W8よりも小さく設定されている。例えばリリース幅W9は10μm程度であり、リリース幅W8は70μm程度である。したがって、第1領域122の金属層E5の縁と当該第1領域122のSi基板F2の縁とのギャップ幅L9よりも、第2領域123、124上の金属層E5の縁と当該第2領域123、124のSi基板F2の縁とのギャップ幅L8の方が大きい。例えばギャップ幅L9は0.5μm程度であり、ギャップ幅L8は1.0μm程度である。
その他の共振子13の構成は第1実施形態における共振子10の構成と同様である。
[第5実施形態]
図13、図14及び図15を用いて第5実施形態に係る共振子14の構成、機能について、第1実施形態との差異点を中心に説明する。
図13は本実施形態に係る共振子14の平面図である。本実施形態に係る共振子14の振動腕135A〜135Dには、それぞれ、上部電極E25〜E28が形成されている。上部電極E25〜E28は、複数の振動腕135と基部130との接続箇所近傍から、錘部Gの後端(基部130側の端部)近傍に亘って形成されている。また、錘部Gにおける後端側の領域には、複数のビアV1〜V4が形成されている。その他の共振子14の平面構造は、共振子10と同様である。
なお、以下の説明では、外側の振動腕135A,135Dの錘部Gと保持部140との間のリリース幅をW4、隣接する内側の振動腕135B(135C)の錘部Gと外側の振動腕135A(135D)の錘部Gとの間のリリース幅をW5、内側の振動腕135B,135Cのそれぞれの錘部G同士のリリース幅をW6という。
また、導電膜236のギャップ幅について、リリース幅W4に面する領域(すなわち、外側の振動腕135A,135Dのそれぞれの錘部Gに形成された導電膜236の保持部140と対向する側の領域)のギャップ幅をL9といい、リリース幅W5に面する領域(すなわち、外側の振動腕135A,135Dのそれぞれの錘部Gに形成された導電膜236の内側の振動腕135B,135Cと対向する側の領域、及び内側の振動腕135B,135Cのそれぞれの錘部Gに形成された導電膜236の外側の振動腕135A、135Dと対向する側の領域)のギャップ幅をL10といい、リリース幅W6に面する領域(すなわち、内側の振動腕135B,135Cのそれぞれの錘部Gに形成された導電膜236の互いに対向する側の領域)のギャップ幅をL11という。
リリース幅W4、W5、W6は例えば、以下の関係にあることが好ましい。
W4、W5、W6<W1、W2、W3(錘部のリリース幅が狭い)
言い換えると、リリース幅W4、W5、W6の少なくとも1つが、リリース幅W1、W2、W3の少なくとも1つよりも小さい。この場合、リリース幅W4、W5、W6のいずれもが、リリース幅W1、W2、W3のいずれよりも小さくてもよい。また、1つの振動腕で見たとき、例えば、振動腕135Dにおいて、リリース幅W4はリリース幅W3よりも小さく、リリース幅W5はリリース幅W1よりも小さくてもよい。この点は、他の振動腕135A〜135Cについても同様であってもよい。なお、本実施形態においては、リリース幅W3はリリース幅W1よりも小さくなるように設定され、リリース幅W1はリリース幅W2と等しくなるように設定されている(W1=W2>W3)。
このとき、ギャップ幅L9、L10、L11は以下の関係になるように設定される。
L9,L10,L11<L1,L2,L3
言い換えると、ギャップ幅L9,L10,L11の少なくとも1つが、ギャップ幅L1,L2,L3の少なくとも1つよりも小さい。この場合、ギャップ幅L9,L10,L11のいずれもが、ギャップ幅L1,L2,L3のいずれよりも小さくてもよい。また、1つの振動腕で見たとき、例えば、振動腕135Dにおいて、ギャップ幅L9はギャップ幅L3よりも小さく、ギャップ幅L10はギャップ幅L1よりも小さくてもよい。この点は、他の振動腕135A〜135Cについても同様であってもよい。
ただし、幅方向(X方向)に小型する場合、W4=W5=W6が望ましい。
なお、W4=W5=W6の場合には、L9=L10=L11<L1、L2、L3が望ましい。言い換えると、ギャップ幅L9,L10,L11の何れもが、ギャップ幅L1,L2,L3の少なくとも1つよりも小さく設定されるのが望ましく、ギャップ幅L1,L2,L3のいずれよりも小さく設定されるのが望ましい。
次に、複数の振動腕135のそれぞれの構造について、振動腕135を例に挙げて説明する。図14は図13のEE’線に沿った振動腕135Dの断面を示す概略図であり、図15は図13のFF’線に沿った振動腕135Dの断面を示す概略図である。なお、図14において、ビアV4は断面の構成ではないが、説明のために破線で示している。図14及び図15に示すように、共振子14において、振動腕135DにおけるビアV4は、金属層E1が露出するように圧電薄膜F3、金属層(上部電極)E28、保護膜235が除去されて形成された孔に金属材料が充填されて形成されている。本実施形態に係る振動腕135Dにおいては、ビアV4によって、導電膜236と金属層(下部電極)E1とが電気的に接続されている。
さらに図14に示すように、錘部Gに形成された導電膜236のギャップ幅L9,L10よりも、錘部G以外の部位に形成された上部電極E28のギャップ幅L1,L3のほうが広くなるように設定されている。具体的には、L9=L10<L3<L1となるように設定されている。導電膜236は、下部電極E1に電気的に接続することで、電荷を逃がす効果がある。この効果は、導電膜236の成膜面積が広い方が高くなる。一方で、端部まで導電膜236を形成した場合、異電位の電極との間で短絡するリスクが発生する。本実施形態に係る共振子14においては、錘部Gに形成された導電膜236のギャップ幅L9,L10を、当該導電膜236の端部が面するリリース幅W4,W5の大きさに応じて設定し、かつ、錘部G近傍に形成された上部電極E28のギャップ幅L1,L3よりも小さくなるように設定することで、錘部Gの導電膜236と錘部G近傍の上部電極E28との短絡のリスクを低減させつつ、電荷を逃がす効果を十分に得ることができる。
なお、共振子14における振動腕135A〜135Cの構成は振動腕135Dと同様であるため説明を省略する。
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。本発明の一実施形態に係る共振子10は、主面を有する基板F2、基板F2の主面上に形成された下部電極E1、下部電極E1上に形成された圧電膜F3、及び、圧電膜F3上に形成された上部電極E2を有する振動部120と、振動部120の少なくとも一部を囲むように設けられた保持部140と、振動部120と保持部140とを接続する保持腕110と、を備え、振動部120の周囲には、基板F2の主面の平面視における第1方向に異なる幅を有する開口溝が設けられ、基板F2の主面の平面視において、上部電極E2は、基板F2の外縁から第1方向に沿ったギャップを空けて設けられ、かつ、開口溝の幅が大きい領域のギャップの長さが開口溝の幅が小さい領域のギャップの長さよりも大きくなるように形成された。この態様によると、上部電極E2と下部電極E1間の絶縁抵抗が向上し、短絡を防止することができる。
また、振動部120は、上部電極E2を覆うように設けられた絶縁膜235を有してもよい。この態様によると、上部電極E2と下部電極E1間の絶縁抵抗がより向上し、短絡をより防止することができる。
また、振動部120は、絶縁膜235の少なくとも一部を覆う導電膜236を有し、基板F2の主面の平面視において、導電膜236は、基板F2の外縁から第1方向に沿ったギャップを空けて設けられ、かつ、開口溝の幅が大きい領域の上部電極E2のギャップの長さが開口溝の幅が小さい領域の導電膜236のギャップの長さよりも大きくなるように形成されてもよい。このとき、開口溝の幅が大きい領域の上部電極E2のギャップの長さは、開口溝の幅が大きい領域の導電膜236のギャップの長さより大きくなるように形成され、開口溝の幅が小さい領域の上部電極E2のギャップの長さは開口溝の幅が小さい領域の導電膜236のギャップの長さよりも大きくなるように形成されてもよい。この態様によると、導電膜236と上部電極E2との短絡を防止することができる。
また、振動部120は、基部130と、当該基部130に接続された固定端及び当該基部130から離れて設けられた開放端を有し、固定端から開放端まで延在する複数の振動腕135とを備えてもよい。このとき、複数の振動腕135は、4本以上の偶数本であり、開口溝の幅が大きい領域は、複数の振動腕135のうち最も内側に配置された2本の振動腕135B,135Cの間の領域であり、開口溝の幅が小さい領域は、当該最も内側に配置された2本の振動腕135B、135C以外のいずれかの隣り合う2本の振動腕の間の領域でもよい。この態様によると、内側の振動腕間のリリース幅が外側の振動腕のリリース幅よりも大きく設定されため振動特性を改善することができる。
また基板F2の主面の平面視において、複数の振動腕135は、開放端に向かって複数の振動腕135が延在する方向と直交する方向の幅が広がるテーパー形状を有し、開口溝の幅が大きい領域は、複数の振動腕135のうち隣り合う2本の振動腕の固定端に近い側の領域であり、開口溝の幅が小さい領域は、当該隣り合う2本の振動腕の前記開放端に近い側の領域であってもよい。この態様によると、振動腕135の開放端側より固定端側のリリース幅が広く設定されるため、結合係数を大きくでき、その結果、発振特性を向上させることができる。さらに振動腕の幅が開放端側に向かって広がる形状であるため、開放端側の振動腕の重さが固定端側よりも重くなる。これによって、所望の周波数を維持したまま振動腕の延在方向の長さ短くできるため、共振子10の小型化を図ることができる。
また、本発明の一実施形態に係る共振装置3は、上述のいずれかに記載の共振子10と、共振子10の主面に対向して設けられた上蓋30と、共振子10の主面に対向して設けられ、複数の振動腕135のうち隣り合う2つの振動腕135の間に突起する突起部を有する下蓋25と、を備え、開口溝の幅が小さい領域は、複数の振動腕135のうち隣り合う2本の振動腕のいずれか1本の振動腕と、突起部との間の領域である。この態様によると、下蓋25に突起部が形成されることで、例えば共振装置3を薄型化するために、下蓋25の厚さを低減したとしても、下蓋25の反りの発生を抑制することが可能になる。
また、本発明の一実施形態に係る共振子12は、保持部140が、振動部121の周囲を囲んで設けられ、振動部121は、輪郭振動を行う第1領域122と、当該第1領域122を保持部140に接続させる第2領域123,124とを有し、開口溝の幅が大きい領域は、第2領域123,124と保持部140との間の領域であり、開口溝の幅が小さい領域は、第1領域122と保持部140との間の領域である。この態様によると、容量を維持しつつ、上部電極E2と下部電極E1との短絡を防ぐことができる。
以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
1〜3 共振装置
10〜12 共振子
30 上蓋
20、25 下蓋
140 保持部
140a〜d 枠体
110 保持腕
120、121 振動部
130 基部
135A〜D 振動腕
F2 Si基板
F21 酸化ケイ素層(温度特性補正層)
235 保護膜
236 導電膜
本発明の第1実施形態に係る共振装置の外観を概略的に示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る共振装置の構造を概略的に示す分解斜視図である。 図2のAA'線に沿った共振装置の断面図である。 上蓋を取り外した本発明の第1実施形態に係る共振子の平面図である。 振動腕の断面の写真である。 図4のDD'線に沿った複数の振動腕の断面図である。 本発明の第1実施形態に係る共振装置のプロセスフローの一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る共振装置のプロセスフローの一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る共振装置のプロセスフローの一例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る共振子の平面図である。 本発明の第3実施形態に係る共振装置の構造を概略的に示す分解斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る共振子の平面図である。 本発明の第4実施形態に係る共振子の平面図である。 本発明の第5実施形態に係る共振子の平面図である。 12のEE'線に沿った振動腕の断面図である。 12のFF'線に沿った振動腕の断面図である。
上蓋30は、所定の厚みのSi(シリコン)ウエハS1により形成されている。上蓋30は、XY平面に沿って設けられる矩形平板状の底板32と、底板32の周縁部から下蓋20(共振子10)に向けて延びる側壁33とを有する。図3に示すように、上蓋30はその側壁33の裏面によって、接合層40により後述する共振子10の保持部140と接合されている。上蓋30の表面及び裏面は、酸化ケイ素膜(不図示)に覆われていることが好ましい。酸化ケイ素膜は、例えばSiウエハS1の表面の酸化や、化学気相蒸着(CVD: Chemical Vapor Deposition)によって、SiウエハS1の表面に形成される。
金属層E21〜E24、E1は、例えば厚さ0.1〜0.2μm程度のMo(モリブデン)やアルミニウム(Al)等を用いて形成される。金属層E21〜E24、E1は、エッチング等により、所望の形状に形成される。金属層E1は、例えば振動部120においては、電圧が印加される印加電極または他の電極から電気的に分離されたフロート電極またはアースされたグランド電極として機能するように形成された下部電極である。本実施例では、下部電極はフロート電極となっている。
また、金属層E1は、保持腕110や保持部140においては、共振子10の外部に設けられた交流電源に下部電極(印加電極)を電気的に接続するための下部配線、またはアースに下部電極(グランド電極)を電気的に接続するための下部配線として機能するように形成される。
基部130は、前端131Aにおいて、複数の振動腕135に接続され、後端131Bにおいて、保持腕110に接続されている。なお、基部130は、図4の例では平面視において、略長方形の形状を有しているがこれに限定されず、長辺131aの垂直二等分線に沿って規定される仮想平面Pに対して略面対称に形成されていればよい。基部130は、例えば、長辺131b及び長辺131aの一方が他方より短い台形や、長辺131a又は長辺131bを直径とする半円の形状であってもよい。また、長辺131a、131b及び短辺131c、131dは直線に限定されず、それぞれの少なくとも一部が曲線であってもよい。
複数の振動腕135の固定端近傍から錘部Gが形成される箇所近傍に亘って、振動腕135A〜135Dにはそれぞれ上部電極E21〜E24が形成されている。さらに、振動部120の表面(上蓋30に対向する面)側には、その全面に亘って保護膜235が形成されている。さらに、複数の振動腕135における保護膜235の表面の一部には、それぞれ、導電膜236が形成されている。保護膜235及び導電膜236によって、振動部120の共振周波数を調整することができる。尚、必ずしも保護膜235は振動部120の全面に亘って設けられる必要はないが、共振周波数調整において下地の上部電極E21〜E24及び圧電薄膜F3をダメージから保護する上で、振動部120の全面に亘って設けられる方が望ましい。
言い換えると、振動腕135Aの錘部G以外の部位において、リリース幅W1に面する部分(リリース幅W1が設定されている領域)に上部電極のギャップ幅L1が形成され、リリース幅W3に面する部分に上部電極のギャップ幅L3が形成されている。また、振動腕135Aの錘部Gにおいて、リリース幅W5に面する部分に上部電極のギャップ幅L5及び導電膜のギャップ幅L10が形成され、リリース幅W4に面する部分に上部電極のギャップ幅L4及び導電膜のギャップ幅Lが形成されている。
ここで、図5を用いて、リリース幅とエッチング量との関係について説明する。図5は振動腕の断面構造を示す写真である。エッチング量とは、エッチングによってSi基板F2をリリースした際に、リリース幅より多くエッチングされた圧電薄膜F3の量をいう。例えば、図5の写真においてエッチング量とは、金属層E1側でのSi基板F2の端部(Si基板F2の上面の縁)と、金属層E21側での圧電薄膜F3の端部(圧電薄膜F3の上面の縁)との位置の差Aをいう。
リース幅に関わらず、ギャップ幅を一定にして上部電極を形成した場合、エッチング量によっては、圧電薄膜F3が上部電極が形成される領域よりも内側まで削られてしまうことがある。この場合、上部電極が下部電極と短絡してしまう場合がある。そこで、本実施形態に係る共振子10においては、リリース幅が大きい領域の上部電極のギャップ幅が、リリース幅が小さい領域の上部電極のギャップ幅よりも大きく設定されている。
導電膜についても、下部電極と同様に、エッチング量によっては上部電極と短絡する場合がある。そこで、本実施形態に係る共振子10においては、導電膜と上部電極との短絡を防止する観点から、リリース幅が大きい領域の上部電極のギャップ幅が、リリース幅が小さい領域の導電膜のギャップ幅よりも大きく設定されることが望ましい。
(3−4.共振子の機能)
を参照して共振子10の機能について説明する。図は、図4のDD'線に沿った複数の振動腕135の断面であり、複数の振動腕135の電気的な接続態様を模式的に示している。圧電薄膜F3は、金属層E21〜E24、E1によって圧電薄膜F3に印加される電界に応じて、XY平面の面内方向すなわちY軸方向に伸縮する。この圧電薄膜F3の伸縮によって、複数の振動腕135は、下蓋20及び上蓋30の内面に向かってその開放端を変位させ、面外の屈曲振動モードで振動する。
これによって、本実施形態に係る共振子10では、逆位相の振動時、すなわち、図に示す振動腕135Aと振動腕135Bとの間でY軸に平行に延びる中心軸r1回りに振動腕135Aと振動腕135Bとが上下逆方向に振動する。また、振動腕135Cと振動腕135Dとの間でY軸に平行に延びる中心軸r2回りに振動腕135Cと振動腕135Dとが上下逆方向に振動する。これによって、中心軸r1とr2とで互いに逆方向の捩れモーメントが生じ、基部130で屈曲振動が発生する。
.プロセスフロー)
次に、図A〜図Cを参照して、共振装置1のプロセスフローについて説明する。図A〜図Cは、図4のDD'線の延長線に沿った共振装置の断面のプロセスフローである。
まず図Aを参照して、最初の工程では、下蓋20となるハンドルSi(SiウエハS2)を用意する(STEP1)。次に、ハンドルSiにエッチングでキャビティを形成し、下蓋20を形成し(STEP2)、STEP3で別途用意したSOI基板(酸化ケイ素膜F21が形成されたSi基板F2)と熱接合する(STEP4)。次に、SOI基板上に、金属層E1、圧電薄膜F3、金属層E2をこの順で成膜する(STEP5)。なお、金属層E1とSi基板F2との間にシード層を成膜してもよい。シード層は、例えば、窒化アルミニウム層等である。この場合、金属層E1上に形成される圧電薄膜F3の結晶性を向上させることができる。
次に図Bを参照して、上述のSTEP5に続くSTEP6では、金属層E2をエッチング等によってパターニングし、上部電極E21〜E24を形成する(STEP6)。このとき、上部電極E21〜E24が形成された複数の振動腕135の錘部Gにおけるリリース幅(W4〜W6)に基づいて、各上部電極E21〜E24のギャップ幅(L4〜L6)が設定される。
次に図Cを参照し、続くステップでは、導電膜236をパターニングする(STEP9)。具体的には複数の振動腕135のそれぞれにおける錘部Gに導電膜236が残存するようにその他の領域から導電膜236を除去する。このとき保持部140には配線用に導電膜236を残存させてもよい。
は、図4に対応し、本実施形態に係る共振子11の平面構造の一例を概略的に示している。以下に、本実施形態に係る共振子11の構成のうち、第1実施形態との差異点を中心に説明する。共振子11は、第1実施形態で説明した振動腕135A〜135D、及び金属層E21〜E24に代えて、振動腕136A〜136D及び金属層E31〜E34を有している。
振動腕136Aは、固定端から開放端に向かうにつれて徐々に幅(すなわち、振動腕136A〜136Dが並ぶ方向に沿った大きさ)が広がる形状をしている。そのため、振動腕136Aとそれに隣接する振動腕136Bとの間の開口溝は、開放端側のリリース幅W4の方が固定端側のリリース幅W5よりも小さく設定されている。例えばリリース幅W5は35μm程度であり、リリース幅W4は25μm程度である。また、図の例では、振動腕136Aは錘部Gを有していないが、振動腕136Aの開放端に錘部Gが形成される構成でもよい。振動腕136Aのその他の構成は、振動腕135Aと同様である。なお、振動腕136B〜136Dの構成は振動腕136Aと同様のため説明を省略する。
[第3実施形態]
10を用いて第3実施形態に係る共振装置3の構成、機能について説明する。図は、図2に対応し、本実施形態における共振装置3の分解斜視図である。図に示すように共振装置3は、第1実施形態における下蓋20、共振子10に代えて、下蓋25、共振子12を有している。また図10は、図4に対応し、本実施形態における共振装置3が有する共振子12の平面構造を概略的に示す平面図である。
[第4実施形態]
11を用いて第4実施形態に係る共振子13の構成、機能について説明する。図11は、図4に対応し、本実施形態における共振子13の平面図である。共振子13は、振動部120、保持腕110、及び金属層E21〜E24に代えて、振動部121、及び金属層E5を有している。
振動部121は、第1領域122と、第2領域123、124とを有している。第1領域122は、図11のXY平面にそって平板状に広がる略長方形の輪郭を有している。また、第1領域122は、X軸方向に沿って延びる短辺121a、121bを有し、Y軸方向に沿って延びる長辺121c、121dを有している。第1領域122は、短辺121a、121bにおいて、それぞれ第2領域123、124によって保持部140に接続され、保持されている。また、振動部121の全面を覆うように、保護膜235が形成されている。
[第5実施形態]
12、図13及び図14を用いて第5実施形態に係る共振子14の構成、機能について、第1実施形態との差異点を中心に説明する。
12は本実施形態に係る共振子14の平面図である。本実施形態に係る共振子14の振動腕135A〜135Dには、それぞれ、上部電極E25〜E28が形成されている。上部電極E25〜E28は、複数の振動腕135と基部130との接続箇所近傍から、錘部Gの後端(基部130側の端部)近傍に亘って形成されている。また、錘部Gにおける後端側の領域には、複数のビアV1〜V4が形成されている。その他の共振子14の平面構造は、共振子10と同様である。
次に、複数の振動腕135のそれぞれの構造について、振動腕135を例に挙げて説明する。図13は図12のEE'線に沿った振動腕135Dの断面を示す概略図であり、図14は図12のFF'線に沿った振動腕135Dの断面を示す概略図である。なお、図13において、ビアV4は断面の構成ではないが、説明のために破線で示している。図13及び図14に示すように、共振子14において、振動腕135DにおけるビアV4は、金属層E1が露出するように圧電薄膜F3、金属層(上部電極)E28、保護膜235が除去されて形成された孔に金属材料が充填されて形成されている。本実施形態に係る振動腕135Dにおいては、ビアV4によって、導電膜236と金属層(下部電極)E1とが電気的に接続されている。
さらに図13に示すように、錘部Gに形成された導電膜236のギャップ幅L9,L10よりも、錘部G以外の部位に形成された上部電極E28のギャップ幅L1,L3のほうが広くなるように設定されている。具体的には、L9=L10<L3<L1となるように設定されている。導電膜236は、下部電極E1に電気的に接続することで、電荷を逃がす効果がある。この効果は、導電膜236の成膜面積が広い方が高くなる。一方で、端部まで導電膜236を形成した場合、異電位の電極との間で短絡するリスクが発生する。本実施形態に係る共振子14においては、錘部Gに形成された導電膜236のギャップ幅L9,L10を、当該導電膜236の端部が面するリリース幅W4,W5の大きさに応じて設定し、かつ、錘部G近傍に形成された上部電極E28のギャップ幅L1,L3よりも小さくなるように設定することで、錘部Gの導電膜236と錘部G近傍の上部電極E28との短絡のリスクを低減させつつ、電荷を逃がす効果を十分に得ることができる。

Claims (9)

  1. 主面を有する基板、前記基板の主面上に形成された下部電極、前記下部電極上に形成された圧電膜、及び、前記圧電膜上に形成された上部電極を有する振動部と、
    前記振動部の少なくとも一部を囲むように設けられた保持部と、
    を備え、
    前記振動部の周囲には、前記基板の主面の平面視における第1方向に異なる幅を有する開口溝が設けられ、
    前記基板の主面の平面視において、前記上部電極は、前記基板の外縁から前記第1方向に沿ったギャップを空けて設けられ、かつ、前記開口溝の幅が大きい領域の前記上部電極のギャップの長さが前記開口溝の幅が小さい領域の前記上部電極のギャップの長さよりも大きくなるように形成された、
    共振子。
  2. 前記振動部は、前記上部電極を覆うように設けられた絶縁膜を有する、
    請求項1に記載の共振子。
  3. 前記振動部は、前記絶縁膜の少なくとも一部を覆う導電膜を有し、
    前記基板の主面の平面視において、前記導電膜は、前記基板の外縁から前記第1方向に沿ったギャップを空けて設けられ、かつ、前記開口溝の幅が大きい領域の前記上部電極のギャップの長さが前記開口溝の幅が小さい領域の前記導電膜のギャップの長さよりも大きくなるように形成された、
    請求項2に記載の共振子。
  4. 前記開口溝の幅が大きい領域の前記上部電極のギャップの長さは、前記開口溝の幅が大きい領域の前記導電膜のギャップの長さより大きくなるように形成され、前記開口溝の幅が小さい領域の前記上部電極のギャップの長さは前記開口溝の幅が小さい領域の前記導電膜のギャップの長さよりも大きくなるように形成された、
    請求項3に記載の共振子。
  5. 前記振動部は、
    基部と、当該基部に接続された固定端及び当該基部から離れて設けられた開放端を有し、前記固定端から前記開放端まで延在する複数の振動腕とを備える
    請求項1乃至4の何れか一項に記載の共振子。
  6. 前記複数の振動腕は、4本以上の偶数本であり、
    前記開口溝の幅が大きい領域は、前記複数の振動腕のうち最も内側に配置された2本の振動腕の間の領域であり、
    前記開口溝の幅が小さい領域は、当該最も内側に配置された2本の振動腕以外のいずれかの隣り合う2本の振動腕の間の領域である、
    請求項5に記載の共振子。
  7. 前記基板の主面の平面視において、前記複数の振動腕は、前記開放端に向かって前記複数の振動腕が延在する方向と直交する方向の幅が広がるテーパー形状を有し、
    前記開口溝の幅が大きい領域は、前記複数の振動腕のうち隣り合う2本の振動腕の前記固定端に近い側の領域であり、
    前記開口溝の幅が小さい領域は、当該隣り合う2本の振動腕の前記開放端に近い側の領域である、
    請求項5又は6に記載の共振子。
  8. 請求項5乃至7のいずれかに記載の共振子と、
    前記共振子の前記主面に対向して設けられた上蓋と、
    前記共振子の前記主面に対向して設けられ、前記複数の振動腕のうち隣り合う2つの振動腕の間に突起する突起部を有する下蓋と、
    を備え、
    前記開口溝の幅が小さい領域は、前記複数の振動腕のうち隣り合う2本の振動腕のいずれか1本の振動腕と、前記突起部との間の領域である、
    共振装置。
  9. 前記保持部は、前記振動部の周囲を囲んで設けられ、
    前記振動部は、輪郭振動を行う第1領域と、当該第1領域を前記保持部に接続させる第2領域とを有し、
    前記開口溝の幅が大きい領域は、前記第2領域と前記保持部との間の領域であり、
    前記開口溝の幅が小さい領域は、前記第1領域と前記保持部との間の領域である、
    請求項1に記載の共振子。
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