JPWO2019181967A1 - 非侵襲的角膜又は強膜強化装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明に係る非侵襲的角膜・強膜強化装置は、角膜又は強膜組織を強化するために使用される投与剤を投与した眼に向けてバイオレットライトを照射する装置であって、前記眼の表面での前記バイオレットライトの放射照度が0.1〜1mW/cm2の範囲内であり、前記バイオレットライトを眼に照射する時間が一日あたり1〜5時間の範囲内であることを特徴とする。
投与剤は、眼に投与するものであり、投与後の光照射によって角膜組織又は強膜組織を強化するために使用される光架橋剤である。この投与剤は、後述するバイオレットライトの波長及び放射照度によって、角膜や強膜を構成するコラーゲン線維を架橋してコラーゲン組織を強化(架橋強化)する特性を有するものである。その特性を有するものであれば、その種類は、現在知られているものであっても今後開発されるものであってもよく、特に限定されない。そうした投与剤の例としては、補酵素型ビタミンB2であるフラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム(FAD:flavin adenine dinucleotide)を主成分とするもの、ベルテポルフィン(Verteporfin)、インドシアニングリーン(ICG)、シアノコバラミン(cyanocobalamin、ビタミンB12とも呼ばれる代表的なコバラミンの一種。)、等を挙げることができるが、これらに限定されない。
バイオレットライトは、その波長及び放射照度によって、上記した投与剤を光反応させ、角膜や強膜を構成するコラーゲン線維を架橋してコラーゲン組織を強化させるように作用する。バイオレットライトとしては、360〜400nmの範囲内の波長の全部又は一部ということができるが、その投与剤との関係で好ましい波長が選択される。これらの全ての波長であってもよいし、その範囲内の特定のピーク波長であってもよく、特に限定されない。特に、370nmの波長が好ましいが、365〜380nmの範囲内にピークを有するバイオレットライトであれば好ましく用いることができる。本発明者は、このバイオレットライトを眼にかなり弱い放射照度(例えば従来の10分の1程度)で照射した場合であっても、所定の投与剤とともに併用することにより、角膜や強膜の強度が増すことができることを見いだした。
非侵襲的角膜・強膜強化装置には、各種の機能部品や部材を設けることができる。例えば、投与剤を一定時間毎に点眼又は眼軟膏投与することを知らせるための通知装置を備えてもよい。この通知は、スマートフォン又はタブレット端末アプリを介して行うことができる。
家兎眼球を対象とし、FADを0.53mg/mL含有するFAD点眼液を用い、バイオレットライト照射による角膜・強膜組織の強度変化を測定した。バイオレットライトは波長375nmのLED(NITRIDE株式会社製、型名:フラッシュライト)を用い、その放射照度を310μW/cm2とした。このバイオレットライトを1日3時間、その間は連続的に照射し、点眼はその3時間中に30分間隔で合計6回行った。合計の点眼量は、50〜60μgであった。
本発明のバイオレットライト放射照度は310μW/cm2であり、従来法の3.0mW/cm2の約10%であるため、UVAに伴う有害事象・副作用を回避することができた。図4は、従来法の角膜クロスリンキングと本発明の非侵襲的角膜・強膜強化装置の概念図である。本発明は、低放射照度で長い時間照射することで、従来法と同等の効果を有することがわかった。従来法は角膜上皮剥離を伴い、高放射照度で行うため比較的侵襲度が高いが、本発明は、顔前配置型装置からの照射が可能であるため、医療機関に拘束されることがなく、自己で治療を行うことができる。つまり、患者は、日常生活の中で治療を実践でき、多くの患者に利用できる機会を与えることが可能である。
実験2では、実際の装置を適用した。図5は、投与剤ミスト噴霧装置一体型メガネの一例を示す写真である。この投与剤ミスト噴霧装置一体型メガネでは、図5(B)に示すように、フレーム部分(テンプル部分)に装着した投与剤ミスト噴霧装置からミストを眼に向けて噴霧し、投与剤ミストを投与した。また、図5(A)に示すように、バイオレットライトの光源は、両側の上側フレーム部に装着されている。
実験3では、リボフラビン含有ソフトコンタクトレンズを用いた。図6(A)は、そのリボフラビン含有ソフトコンタクトレンズからの徐放量のグラフである。こうした徐放性能を有するコンタクトレンズを用いることにより、本発明を効果的に実施することができることがわかる。なお、図6(A)は、時間の経過とともにFAD成分が徐々に放出されていることがわかる。図6(B)は、リボフラビン含有ソフトコンタクトレンズの写真である。
実験4では、豚眼角膜について実施した。その引張試験結果を図7に示した。実験手段は、実験1と同じであり、対象を豚眼とした点だけ変更した。図7の符号aに示すように、FAD点眼とバイオレットライト照射によって、豚眼角膜組織の強度の増大が認められた(KeraVio)。図7の符号cに示すリボフラビン点眼による従来の角膜クロスリンキング法(Riboflavin)、図7の符号bに示すリボフラビン含有ソフトコンタクトレンズからの徐放とバイオレットライト照射による方法(Ribo releasing CL)でも角膜組織の強度の増大が認められた。なお、図7の符号dは、コントロールである。
実験5では、ヒト角膜を対象とした。それ以外は実験1と同様、FADを0.53mg/mL含有するFAD点眼液を用い、バイオレットライトを照射した。バイオレットライトは波長375nmのLED(NITRIDE株式会社製、型名:フラッシュライト)を用い、その放射照度を310μW/cm2とした。このバイオレットライトを1日3時間、その間は連続的に照射し、点眼はその3時間中に30分間隔で合計6回行った。6回の合計の点眼量は、50〜60μgであった。
実験6では、豚眼角膜を対象とした。実験条件と実験手段について、まずバイオレットライトは波長375nmのLED(NITRIDE株式会社製、型名:フラッシュライト)を用い、その放射照度を310μW/cm2とした。このバイオレットライトを連続で4.8時間照射した。ここでは、角膜上皮剥離の有無、点眼薬の変化等、様々な条件での引張試験を行った。その引張試験結果を図10に示した。
Claims (10)
- 角膜又は強膜組織を強化するために使用される投与剤を投与した眼に向けてバイオレットライトを照射する装置であって、前記眼の表面での前記バイオレットライトの放射照度が0.1〜1mW/cm2の範囲内であり、前記バイオレットライトを眼に照射する時間が一日あたり1〜5時間の範囲内である、ことを特徴とする非侵襲的角膜・強膜強化装置。
- 前記バイオレットライトが眼の方向に照射するように配置される顔前配置型の装置であって、光源付きメガネ、光源付き液晶ディスプレイ、電気スタンド、ハンディ光源、卓上載置型光源、パソコン・携帯端末装着型光源等の顔前配置型光源装置から選ばれる1又は2以上である、請求項1に記載の非侵襲的角膜・強膜強化装置。
- 前記投与剤の投与装置が、前記顔前配置型の装置と一体になっている、請求項1又は2に記載の非侵襲的角膜・強膜強化装置。
- 前記投与剤が、点眼、眼軟膏、メガネフレームからの徐放、及び、コンタクトレンズからの徐放、から選ばれる1又は2以上によって眼に投与される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非侵襲的角膜・強膜強化装置。
- 前記コンタクトレンズが、バイオレットライトを透過する、請求項4に記載の非侵襲的角膜・強膜強化装置。
- 前記投与剤の投与が、定期的又は連続的に行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非侵襲的角膜・強膜強化装置。
- 円錐角膜、又は、角膜エクタジア、角膜感染症、水泡性角膜症等、屈折異常眼等の他の角膜疾患、に適用する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非侵襲的角膜・強膜強化装置。
- 角膜又は強膜の組織を強化するために眼に向けてバイオレットライトを照射する装置であって、前記眼の表面での前記バイオレットライトの放射照度が0.1〜1mW/cm2の範囲内であり、前記バイオレットライトを眼に照射する時間が一日あたり1〜5時間の範囲内である、ことを特徴とする非侵襲的角膜・強膜強化装置。
- 眼の表面でのバイオレットライトの放射照度を0.1〜1mW/cm2の範囲内とし、前記バイオレットライトを眼に照射する時間を一日あたり1〜5時間の範囲内とすることができる非侵襲的角膜強膜強化装置を用い、当該非侵襲的角膜・強膜強化装置が備える前記バイオレットライトの照射が、眼に角膜又は強膜の組織を強化するために使用される投与剤を投与した後のタイミングで作動する、ことを特徴とする非侵襲的角膜・強膜強化方法。
- 眼の表面でのバイオレットライトの放射照度を0.1〜1mW/cm2の範囲内とし、前記バイオレットライトを眼に照射する時間を一日あたり1〜5時間の範囲内とすることができる非侵襲的角膜強膜強化装置を用いる、ことを特徴とする非侵襲的角膜・強膜強化方法。
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