JPWO2019064632A1 - X線撮像装置およびx線撮像素子の画像処理方法 - Google Patents

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Abstract

可視光波長用に設計されたCCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器を大面積X線分光器の撮像素子として利用するのに適したX線撮像装置を提供する。分析対象物からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子であって、当該X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子を有すると共に、当該単位受光素子は当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる二次元的領域を有する前記X線撮像素子と、このX線撮像素子からの受光信号を各単位受光素子毎に読み込むX線画像生成回路であって、前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号と、有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値及びノイズと認識する基準となる第2のしきい値とを比較して、第1及び第2のしきい値を通過したものを有効なX線光子事象として、X線画像を生成する。

Description

本発明は、CCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器を用いたX線撮像装置に関し、より詳しくは、汎用の可視光用のCCD撮像素子またはCMOS撮像素子、若しくは半導体ピクセル放射線検出器を用いた蛍光X線分析装置等のX線撮像装置に関する。
また、本発明は、CCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器を用いたX線撮像素子の画像処理方法に関する。
物質はさまざまな元素から構成されており、その組成によって物理的・化学的性質が大きく左右される。このため、物質の理解や新材料開発のために、含まれている元素の種類や量を分析することは重要である。物質にX線を照射した際に出てくる蛍光X線のエネルギーから元素の種類が、その強度から量がわかることが知られている(特許文献1、2)。この蛍光X線分析を行うためには、X線源とともに、専用のX線分光器やX線検出器が必要である。
他方、X線蛍光(XRF)放射線が試料から等方的に広がる関係で、立体角が大きくなる課題がある。そこで、大きな立体角に対処することは、分光計にとって長年にわたり最も重要な要件の1つとなっている。蛍光強度が低い実験、例えばエネルギー分散型X線分光法(EDS)の微量分析では、できるだけ多くの蛍光X線を受けるには大面積X線エネルギー分散型検出器が常に好ましい。Si(Li)やSiドリフト検出器(SDD)などの通常の単一ピクセルX線分光器の面積は、100mmを超えることは珍しいことである。複雑なマルチピクセル分光器の中には、1000mmまでの非常に大きなアクティブセンサ領域を持つものがあるが、広範囲の大きさのX線分光器の代わりの選択肢を見つけることは、多様な作業環境で様々な機器をより多くの選択肢を提供するためには依然として必要である。
電荷結合素子(CCD)カメラは、通常150mmを超える非常に大きなアクティブセンサ領域を備えている。従来のCCDカメラは、科学および産業分野を含む様々な用途で可視光画像を記録するように設計されている。X線領域の量子効率は、CCDカメラの薄い空乏層のために低いが、X線波長領域でも機能し得る。1980年代から、pnCCDのような高度なX線カメラが天文学用に開発された。空乏層の厚さは、典型的には数百μmであるので、X線領域(1〜10keV)の量子効率は90%以上にできる。
CCDカメラでは、X線光子によって生成された電荷を単純に蓄積する通常のX線撮影に加えて、このような蓄積を停止させることにより、異なるX線光子エネルギーに対応する多くの画像を得ることが可能である。単一のX線光子によって生成された電荷の数がX線のエネルギーに関する情報を与えるので、X線スペクトルおよび/またはカラフルなX線画像を得ることができる。
しかしながら、CCDカメラで、X線光子によって生成された電荷の蓄積を停止すると、可視光で生じた信号と各種波長のX線光子による信号とが混在する為、ノイズと信号の峻別が困難になるという課題があった。
従来の解決方法としては、CCD撮像素子またはCMOS撮像素子において、単一のX線光子によって生成された電荷が広がる領域よりも大きな画素とすることで、画像分解能を低下させて、ノイズの影響を積分することで、各種波長のX線光子による信号を抽出することが行われている(例えば、非特許文献1)。しかし、CCDカメラの画素を粗大にすると、本来単一のX線光子の有する空間領域の信号成分を捨象することに繋がり、ひいては緻密なX線分光撮像情報が得られなくなるという課題があった。
特許第3049313号公報 特許第3663439号公報
"R & D of a pixel sensor based on 0.15 μm fully depleted SOI technology", Toru Tsuboyama, et. al., Sep. 2006, Perugia, Italy, Vertex 2006, Nucl. Instr. and Meth. A. Volume 582, Issue 3, 1 December 2007, Pages 861-865. http://dx.doi.org/10.1016/j.nima.2007.07.111
本発明は、上記の課題を解決するもので、CCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器で起こっているX線フォトン事象を処理することで、X線エネルギーの情報を個別に分離でき緻密な撮像画素情報の得られるX線撮像装置を提供することを目的としている。
本発明の他の目的は、可視光波長用に設計されたCCD撮像素子またはCMOS撮像素子、若しくは半導体ピクセル放射線検出器を大面積X線分光器の撮像素子として利用するのに適したX線撮像装置を提供することである。
[1] 本発明のX線撮像装置は、例えば図1、図2Aに示すように、分析対象物(5)からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子(8)であって、当該X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子(82)を有すると共に、当該単位受光素子の周辺には当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる周辺受光素子(84)を有する前記X線撮像素子と、
このX線撮像素子からの受光信号を、各単位受光素子毎に読み込むと共に、当該単位受光素子の当該X線撮像素子内での二次元配置に応じて撮像された分析対象物のX線画像として生成するX線画像生成回路(10)と、を備え、
前記X線画像生成回路10は、前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号および有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値を比較する有効事象判断回路(102)と、前記有効事象判断回路で有効な光子事象と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号およびノイズと認識する基準となる第2のしきい値を比較するノイズ除去回路(104)と、前記ノイズ除去回路で除去されないで有効な光子事象と認識された単位受光素子について、X線画像生成回路(10)の画素別カウンタ値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ回路(106)と、この画素別カウンタ回路の計数値に基づいて、X線撮像素子8によるX線画像を生成するX線カウンタ画像生成回路(108)と、を備えることを特徴とする。
[2] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、さらに、有効事象判断回路(102)で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、全ての周辺受光素子の受光信号が第1のしきい値以下の前記単位受光素子を孤立画素として抽出する孤立画素抽出回路(103)を有し、ノイズ除去回路(104)は、有効事象判断回路(102)で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子であって、孤立画素抽出回路(103)での孤立画素として抽出された前記単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と第2のしきい値とを比較することを特徴とする。
[3] 本発明のX線撮像装置において、例えば図1、図11に示すように、分析対象物(5)からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子(8)であって、当該X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子(82)を有すると共に、当該単位受光素子の周辺には当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる周辺受光素子(84)を有する前記X線撮像素子と、
このX線撮像素子からの受光信号を、各単位受光素子毎に読み込むと共に、当該単位受光素子の当該X線撮像素子内での二次元配置に応じて撮像された分析対象物のX線画像として生成するX線画像生成回路(10)とを備え、
前記X線画像生成回路10は、前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号および有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値を比較する有効事象判断回路(102)と、前記有効事象判断回路(102)で有効な光子事象と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、前記単位受光素子と周辺受光素子との間で電荷分割が生じているか検出する電荷分割検出回路(107)と、電荷分割検出回路(107)で検出された電荷分割の生じた単位受光素子および周辺受光素子について、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子についての中央値、積分値およびその位置情報を演算する電荷分割処理回路(108)と、電荷分割処理回路(108)で演算された前記中央値、積分値およびその位置情報を用いて、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ回路(106)と、この画素別カウンタ回路の計数値に基づいて、X線撮像素子(8)によるX線画像を生成するX線カウンタ画像生成回路(108)と、を備えることを特徴とする。
[4] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、X線撮像素子(8)は、CCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器であるとよい。
[5] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、X線撮像素子(8)の単位受光素子(82)は、一画素として1乃至10μmの代表長さを有する二次元的領域を有するとよい。
[6] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、第1のしきい値は、X線撮像素子(8)の各単位受光素子(82)で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、有効な光子事象で生ずるエネルギー準位よりも小さな値であるとよい。
[7] 第2のしきい値は、X線撮像素子(8)の各単位受光素子(82)で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、第1のしきい値よりも小さな値であるとよい。
[8] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、周辺受光素子84は、光子事象のあった単位受光素子(82)を中心とする3×3、5×5又は7×7の何れかあるとよい。
[9] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、さらに、X線画像生成回路(10)の各単位受光素子(82)毎に読み込まれた受光信号について、当該受光信号のエネルギー準位を求めるエネルギー準位判断回路(105)を有するとよい。
[10] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、さらに、X線画像生成回路(10)の画素別カウンタ回路は、エネルギー準位判断回路(105)で分光されたエネルギー準位に応じて区分されているとよい。
[11] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、X線画像生成回路(10)の画素別カウンタ回路は、光子事象のあった単位受光素子(82)の受光信号のエネルギー準位について、単位受光素子(82)の周辺受光素子(84)の受光信号のエネルギー準位も加算するとよい。
[12] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、さらに、前記分析対象物にX線を含むエネルギー線を照射するX線照射回路を有するとよい。
[13] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、さらに、X線画像生成回路(10)の画素別カウンタ値をリセットする画素別カウンタリセット回路を有するとよい。
[14] 本発明のX線撮像素子の画像処理方法は、例えば図5、図7A、図7Bに示すように、分析対象物からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子の画像処理方法であって、X線撮像素子(8)は二次元配置の単位受光素子を有すると共に、当該単位受光素子は当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる二次元的領域を有するものであって、前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号と、有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値とを比較する有効事象判断工程(S100)と、有効事象判断工程(S100)で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、ノイズと認識する基準となる第2のしきい値とを比較するノイズ除去工程(S300)と、前記ノイズ除去工程で除去されないで有効な光子事象と認識された単位受光素子について、X線画像生成回路(10)の画素別カウンタ値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ工程とを備え、この画素別カウンタ工程での計数値に基づいて、X線撮像素子(8)によるX線画像を生成するものである。
[15] 本発明のX線撮像素子の画像処理方法においては、好ましくは、さらに、例えば図6に示すように、有効事象判断工程(S100)で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、全ての周辺受光素子の受光信号が第1のしきい値以下の前記単位受光素子を孤立画素として抽出する孤立画素抽出工程(S200)を有し、ノイズ除去工程(S300)は、有効事象判断工程(S100)で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子であって、孤立画素抽出工程(S200)での孤立画素として抽出された前記単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、ノイズと認識する基準となる第2のしきい値とを比較することを特徴とする。
[16] 本発明のX線撮像素子の画像処理方法においては、好ましくは、さらに、例えば図12に示すように、さらに、有効事象判断工程(S100)で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、前記単位受光素子と周辺受光素子との間で電荷分割が生じているか検出する電荷分割検出工程と、前記電荷分割検出工程で検出された電荷分割の生じた単位受光素子と周辺受光素子について、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子についての中央値、積分値およびその位置情報を演算する電荷分割処理工程(S400)とを有し、前記画素別カウンタ工程では、前記電荷分割処理工程で演算された前記中央値、積分値およびその位置情報を用いて、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行うことを特徴とする。
本発明のX線撮像装置およびX線撮像素子の画像処理方法によれば、可視光波長用に設計されたCCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器を用いて、X線エネルギーの情報を個別に分離でき緻密な撮像画素情報が得られる。
また、CCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器は、大面積のX線分光器に対応できるので、分光イメージングの前提条件を確立でき、CCDカメラやCMOS撮像素子を十分に活用したX線分光撮像が行える。
本発明の一実施例を示すX線スペクトルエネルギー別のX線画像を得るための測定装置の要部構成図である。 本発明の第1の態様を示す孤立画素用の補正フィルタリング回路の構成ブロック図である。 本発明の第1の態様を若干変更したもの示す孤立画素用の補正フィルタリング回路の構成ブロック図である。 検出された画素の明るさ(電荷量)からX線エネルギー(波長)を求める方法を具体的に示す図で、特に、X線撮像素子と電荷量の分布状態を示している。 検出された画素の明るさ(電荷量)からX線エネルギー(波長)を求める方法を具体的に示す図で、特に、電荷量とカウント数を示している。 X線光子により生じた電荷の複数画素への分割(一般的な電荷分割)についての説明図である。 処理対象とすべき画素の初期選別を説明する流れ図である。 本発明の対象となる第1の類型を示すもので、孤立している画素の選別(電荷分割の影響の第1次除去)を説明する流れ図である。 厳格な閾値の追加導入(電荷分割の影響の第2次除去)を説明する流れ図である。 厳格な閾値の追加導入(電荷分割の影響の第2次除去)を説明するもので、電荷量における孤立画素判定用の閾値120のエネルギー準位を示している。 孤立した画素の電荷を厳格に選定して収集する方法(図5〜図7B)を用いたX線スペクトルエネルギー別のX線画像を示したものである。 本発明の対象となる第2の類型を示すもので、電荷分割が大多数を占め、孤立画素が見いだせない場合の状況を模式的に示した説明図である。 周辺画素を含めた総電荷量の算出原理の説明図である。 本発明の第2の態様を示す電荷分割用の補正フィルタリング回路の構成ブロック図である。 電荷分割が顕著な場合の画素情報の選別処理の説明図である。 中央値と積分値の比を用いて、電荷分割の影響を補正する方法(図9、10)を用いたX線スペクトルエネルギー別のX線画像を示したものである。 本発明の第3の態様を示す孤立画素と電荷分割の併用型の補正フィルタリング回路の構成ブロック図である。 本発明の第2の実施例を示すX線スペクトルエネルギー別のX線画像を得るための測定装置の要部構成図である。 X線カウンタ画像生成回路で生成されるエネルギー準位別のX線カウンタ画像の説明図である。 第1のしきい値及び第2のしきい値を使った例を示す図である。 図2の孤立画素用の補正フィルタリング回路の機能をコンピュータのソフトウェアで行う場合の、コンピュータの構成図である。 コンピュータのソフトウェアで行う場合の、流れ図である。 コンピュータのソフトウェアで行う場合の、流れ図である。
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図1は、本発明の一実施例を示すX線分析装置の要部構成図である。本発明の一実施例のX線分析装置は、X線管1、結晶モノクロメータ2、信号制御メカニカルシャッター3、試料ホルダー4、ピンホール板6、X線カメラ7を有している。
X線管1は、X線を発生させる電子管であり、フィラメント(カソード)を加熱することで発生した電子を、タングステン、モリブデン、銅などの金属(ターゲット、アノード)に衝突させることで連続X線(制動放射)と特性X線が発生するものである。
モノクロメータ2は、単色計とも呼ばれるもので、回折格子やプリズムなどの分散素子で分散させた光の中から、ある特定の波長の光のみをスリットで取り出す装置のことである。モノクロメータは、例えば、入口スリット、コリメータ鏡、分散素子(回折格子またはプリズム)、集光鏡、出口スリットで構成されている。結晶モノクロメータ2は、例えばグラファイト(002)、2d=6.72Åが用いられる。銅ターゲットから発生する特性X線のうちKα線とKβ線とが混在していると、それぞれの特性X線に対応した異なる位置に回折ピークが現れてデータの解釈が困難になるので、通常の回折計では検出器の手前の位置に湾曲グラファイト分光器(モノクロメータ)を設置してCuKβ線による回折線を除去する。なお、モノクロメータに代えて薄いNi箔フィルターを用いても良い。
信号制御メカニカルシャッター3は、物理的にシャッター幕を動かすものであり、実際に入射X線が試料に入射するのをブロックする必要がある。そこで、可視光用のメカニカルシャッターと同じ機構を用いながらも、X線吸収が可能な材質、厚さのものを使用するもので、例えばUNIBLITZ(登録商標)を用いることができる。
メカニカルシャッターは、実際の撮像時間と画像の転送に要する時間の大小関係によって、その要否が決まる。後述の実施例1に示すCCDセンサでは、1フレームの読み出し転送時間が影響して、読み始めの画素と読み終わりの画素では、実効的な撮像時間に差異が生ずることになる。これを防ぐためには、メカニカルシャッターでX線を止める必要がある。
これに対して、実施例2のCMOSセンサでは、読み出しが早いので、撮像時間によっては、メカニカルシャッターを使用せずに測定を行っている。
試料ホルダー4は、X線分光分析の対象となる試料5を保持するもので、例えばサンプルステージを有している。
試料5は、X線分光分析の対象となるもので、金属材料、無機材料、有機材料、生体材料等の各種の被検査対象物が含まれる。
結像光学系6としては、ピンホール板、非球面ミラー、ゾーンプレートなどが用いられる。例えば、ピンホール板は、XRFイメージングにおいて非常に頻繁に使用される。ピンホール板6は、マイクロピンホールコリメータとも呼ばれるもので、XRFイメージング測定の場合に用いられる。なお、ピンホール板6は、非イメージングXRFスペクトル測定においては、除去される。
X線カメラ7には、撮像センサ8が設けられている。撮像センサ8は、2次元の半導体センサで、例えばCCD、CMOS、もしくは専用に素子構造をつくりこんだX線ピクセル検出器などが用いられる。撮像センサ8は、画素数に応じた二次元配置の単位受光素子を有する。例えば、画素数が100万画素の場合には、縦x横として各1000個の単位受光素子が二次元的配置されている。例えば、撮像センサ8が10mmx10mmの場合には、各単位受光素子は10μmx10μmの大きさを有している。
撮像センサ8としては、例えばe2V社製のCCDセンサであるCCD47−10を用いることができる。サンプル位置でのビームサイズは、約1mm(H)、5mm(V)である。
冷却器9は、撮像センサ8をX線用途で使う場合に用いられる。冷却器9の冷却はペルチエ素子による電子冷却が一般的であるが、その排熱を空冷または水冷で除く必要がある。空冷の場合は、冷却器9としてファンが用いられる。水冷の場合は、冷却器9に循環冷却水が必要になる。図1では模式的に水冷の場合を示している。冷却温度はセンサによって−50℃〜5℃と広範である。0℃以下では氷結などを避けるためセンサ周辺を真空排気することが一般的である。本実施例では、冷却CCDを―30℃、CMOSカメラを5℃で使用している。
X線ビーム101aは、X線管1で発生したX線が、モノクロメータ2をへて、試料5に照射されるものを示している。X線ビーム101aは、試料5上で水平方向に広くなり、典型的な照射面積は10mmx5mmである。一次X線強度は10カウント/秒以上である。X線ビーム101bは、試料5上で反射したX線のうち、ピンホール板6とCCDセンサ7を通過するものを示している。
このように構成された装置の動作を次に説明する。X線ビーム101aが低角度で試料に衝突すると、X線ビーム101aは、試料5上で水平方向に広くなる。信号制御された機械式シャッター3は、X線管1から試料5までのビーム経路に設置される。X線カメラ7が露光中の場合、機械式シャッター3は開いており、X線ビーム101aを通過させることができる。X線カメラ7が画像を読み取っているときには、機械式シャッター3を閉じてX線ビーム101aを遮断し、カメラ画像上の汚れを回避する。
試料5上で反射したX線ビーム101bは、ピンホール板6で絞られて、X線カメラ7に至る。試料ホルダー4、ピンホール板6、CCDセンサ7の中心は、一直線に並んでいる。X線カメラ7は、光軸方向に前後に動かすことができるし、また光軸と垂直な平面方向にも動かせる位置調整機構を設けてもよい。撮像センサ8で受光された画素検出信号は、X線画像生成回路10で画像信号に変換される。
次に、信号処理回路について説明する。
図2Aは、本発明の第1の態様を示す孤立画素用の補正フィルタリング回路の構成ブロック図である。図において、X線撮像素子8は、分析対象物4からのX線光子を含むエネルギー線を受光するものであって、二次元配置の単位受光素子82を有する。単位受光素子82がX線光子を受光すると、当該単位受光素子82の周辺には当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる周辺受光素子84が生ずる。周辺受光素子84は、光子事象のあった単位受光素子82を中心とする3×3、5×5又は7×7の何れかであるとよい。
X線画像生成回路10は、X線撮像素子8からの受光信号を、各単位受光素子毎に読み込むと共に、当該単位受光素子の当該X線撮像素子内での二次元配置に応じて撮像された分析対象物のX線画像として生成する。
X線画像生成回路10は、有効事象判断回路102、孤立画素抽出回路103、ノイズ除去回路104、エネルギー準位判断回路105、画素別カウンタ回路106およびX線カウンタ画像生成回路109を有する。
X線画像生成回路10の構成要素は、各構成要素毎に、特定用途集積回路のようなハードウェア電子回路を用いても良く、またコンピュータソフトウェアで機能を実現させても良い。
図2Bは、図2Aの本発明の第1の態様を若干変更したもの示す。ここでは、図2Aと異なり、画素別カウンタ回路106の下に、画素別カウンタリセット回路106aが加えられている。他の構成は、同じであるので、重複する説明は省略する。上述のように、第1のしきい値を超えている全ての受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行うが、測定すべき画素が終了した場合は、画素別カウンタリセット回路106aにより、画素別カウンタをリセットして、画素別の処理を終了させ、X線カウンタ画像生成回路109により、画像を生成する。
有効事象判断回路102は、各単位受光素子82毎に読み込まれた受光信号と、有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値とを比較する。第1のしきい値は、X線撮像素子8の各単位受光素子82で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、有効な光子事象で生ずるエネルギー準位よりも小さな値である。第1の閾値は、Lower Limit of Discriminationとも呼ばれ、CCDやCMOSセンサのみならず、いかなる放射線検出器の信号処理回路にも必ず使用されるものである。X線を入射しないときにも認められる検出器または信号処理回路のノイズ、暗電流の類を除去するのが目的である。従って、第1の閾値よりも信号レベルが高いときにのみ、信号と認め、その画素に見られる輝度値(画像の明るさ、X線によってつくられた電荷量に相当)の値を検討する。なお、単一光子計数モードでは、この輝度値がX線エネルギーの情報、元素分析の立場では元素の情報に対応する。
孤立画素抽出回路103は、有効事象判断回路102で有効な光子事象と認識された単位受光素子82の周辺受光素子84について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、第1のしきい値とを比較して、全ての周辺受光素子84の受光信号が第1のしきい値以下となっている単位受光素子82を孤立画素として抽出する。
ノイズ除去回路104は、有効事象判断回路102で有効な光子事象と認識された単位受光素子82の周辺受光素子84について、当該周辺受光素子84で読み込まれた受光信号と、ノイズと認識する基準となる第2のしきい値とを比較する。第2のしきい値は、X線撮像素子8の各単位受光素子82で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、第1のしきい値よりも小さな値である。
エネルギー準位判断回路105は、分光回路とも呼ばれるもので、X線画像生成回路10の各単位受光素子82毎に読み込まれた受光信号について、当該受光信号のエネルギー準位を求める。エネルギー準位は、例えば分析対象となる元素、例えばカルシウムやクロム等の金属元素に応じた値に定める。エネルギー準位は、上限値と下限値で定められる領域を有していてもよい。
画素別カウンタ回路106は、ノイズ除去回路104で除去されないで有効な光子事象と認識された単位受光素子82について、X線画像生成回路10の画素別カウンタ値をプラス1する計数を行う。画素別カウンタ回路106は、エネルギー準位判断回路105で分光されたエネルギー準位に応じて区分されているとよく、また、光子事象のあった単位受光素子82の受光信号のエネルギー準位について、単位受光素子82の周辺受光素子84の受光信号のエネルギー準位も加算するとよい。
X線カウンタ画像生成回路109は、この画素別カウンタ回路106の計数値に基づいて、X線撮像素子8によるX線画像を生成する。
図16は、X線カウンタ画像生成回路で生成されるエネルギー準位別のX線カウンタ画像の説明図で、(A1)は元素A画像、(A2)は元素B画像、(A3)は元素C画像、(A4)は元素D画像、(B1)は領域Pスペクトル、(B2)は領域Qスペクトル、(B3)は領域Rスペクトルを表している。
図16(A1)によれば、(X、Y)画素の明るさ(電荷量I)のレベルが、元素Aに相当するX線光子エネルギーの範囲(A<I<A)にあるものについて、A元素の画像の(X、Y)位置のカウントを+1する。
図16(A2)によれば、元素Bに相当するX線光子エネルギーの範囲(B<I<B )にあるものについて、B元素の画像の(X、Y)位置のカウントを+1する。図16(A3)によれば、元素Cに相当するX線光子エネルギーの範囲(C<I<C)にあるものについて、C元素の画像の(X、Y)位置のカウントを+1する。図16(A4)によれば、元素Dに相当するX線光子エネルギーの範囲(D<I<D)にあるものについて、D元素の画像の(X、Y)位置のカウントを+1する。ここでは、光子事象が元素B画像に生じているので、図16(A2)上の座標(X、Y)位置に当該光子事象が表示される。
図16(B1)に示す領域Pスペクトルによれば、(X、Y)領域(もしくは全領域)について、それぞれの画素の明るさ(電荷量I)のレベルによるX線光子エネルギーEがわかる。即ち、当該その(X、Y)領域内のX線スペクトルがわかるので、領域Pスペクトル領域のスペクトルのエネルギーEのカウントを+1する。
図16(B2)に示す領域Qスペクトル、図16(B3)に示す領域Rスペクトルについても、図16(B1)に示す領域Pスペクトルと同様である。ここでは、光子事象が元素B画像に生じているので、図16(B2)上の領域Qスペクトルに当該光子事象に応じた画素の明るさ(電荷量)の箇所が+1される。
<検出された画素の明るさ(電荷量)からX線エネルギー(波長)を求める方法>
図3A及び図3Bは、検出された画素の明るさ(電荷量)からX線エネルギー(波長)を求める方法を具体的に示す図で、図3AはX線撮像素子と電荷量の分布状態、図3Bは電荷量とカウント数を示している。図3Aにおいて、単位受光素子110は、X線撮像素子の単位受光素子で、二次元に配置されている。第1のしきい値112は、単位受光素子110で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、有効な光子事象で生ずるエネルギー準位よりも小さな値である。ノイズ相当信号111は、単位受光素子110で検出された画素の明るさ(電荷量)が、第1のしきい値112よりも低いものである。有効光子事象信号113は、単位受光素子110で検出された画素の明るさ(電荷量)が、第1のしきい値112よりも高いものである。
図3Bでは、横軸に電荷量、縦軸にカウント数を示している。第1のしきい値115は、X線を照射してもしなくても見られる暗電流のレベルの電荷量117よりも十分大きな閾値である。有効光子事象信号116は、第1のしきい値115よりも大きな電荷量が得られたものであり、これを集計することで、X線により生じた電荷の情報を得ることができる。暗電流のレベルの電荷量は、暗電流の中央値118が存在し、事実上の暗電流の上限値に対してノイズ幅119を有している。
<単一光子計数条件での撮像>
続いて、単一光子計数条件での撮像について説明する。
単一光子計数条件での撮像は、換言すれば、非常に短い撮像時間での撮像を繰り返し、継続的に行う撮像ということである。撮像時間を長くすると、蓄積された画像は鮮明になるが、その意味するところは、1つの画素に多数の電荷が蓄積されているということである。ところが、撮像時間を長くしたのでは、どんなX線光子エネルギーのX線によって、その電荷が作られたのかという、個別X線光子の情報はもはやわからない。
これに対して、1つの画素、もしくはその周辺に1つのX線光子しか来ていないのであれば、その電荷量から逆算して、X線エネルギーを求めることができる。例えば、仮に8000eVのX線と6000eVのX線が両方来ている場合、それぞれのX線光子が作り出す電荷量は4:3である。そのため、お互いを足し合わせたり、同じものを2回足し合わせたりしない限り、画素の明るさの情報から、どっちのX線エネルギーであるかを判別することができる。
<X線光子により生じた電荷の複数画素への分割>
図4は、X線光子により生じた電荷の複数画素への分割(一般的な電荷分割、チャージシェアリング)についての説明図である。
通常の放射線検出器(半導体検出器)では、もともと1素子であるので、図3A及び図3Bでの説明の通り、1個のX線光子121が来るたびに、その総電荷量125を短時間で収集すれば、エネルギー分析122が測定できる。しかし、X線撮像素子124は多数の単位画像素子123から成り立っているので、1個のX線光子121によって発生した電荷が必ずしも1つの素子にいくとは限らない。
すると、X線撮像素子で、X線光子によって生成された電荷の蓄積を停止すると、可視光で生じた信号と各種波長のX線光子による信号とが混在する為、ノイズと信号の峻別が困難になるという課題があった。
<電荷分割が極端に多くはなく、孤立した画素による電荷収集が十分行える場合>
図5は、処理対象とすべき画素の初期選別を説明する流れ図である。処理対象とすべき画素の初期選別(S100)は、X線画像生成回路10の有効事象判断回路102の動作に対応している。
処理対象とすべき画素の初期選別(S100)では、入力されるデータは、X線撮像素子の全画素(単位受光素子)に記録されている値である(S102)。そして、第1のしきい値(最低閾値)を超えている画素(単位受光素子82)を選別して集計する(S104)。出力データとしては、電荷量のヒストグラム(X線スペクトル)となる(S106)。
図6は、本発明の対象となる第1の類型を示すもので、孤立している画素の選別(電荷分割の影響の第1次除去)を説明する流れ図である。孤立している画素の選別(S200)は、X線画像生成回路10の孤立画素抽出回路103の動作に対応している。
孤立している画素の選別(S200)では、入力される画像データは、X線がないときでもみられるバックグラウンドを差し引いたX線画像である(S202)。そして、孤立している画素の選別を行う(S204)。即ち、有効な信号が認められた画素(単位受光素子82)の周辺画素(周辺受光素子84)を点検し、どの周辺画素も最低閾値以下であることを確認する。出力データとしては、孤立している画素の位置と電荷量を示す、電荷量のヒストグラム(X線スペクトル)となる(S206)。
即ち、その画素が孤立している画素であるかどうかを判定し、孤立しているものだけを選ぶということである。このようにして、電荷量のヒストグラムからX線スペクトルにおける電荷の複数画素への分割の影響を取り除く。
図6に示す方法によって、電荷分割の影響はひとまず除外することができるが、図6のS206に示すように、得られたスペクトルには低エネルギー側に裾を引く現象132がよく見られる。これは、わずかながら周辺画素への散逸があること等、1画素への電荷収集が不完全であることに対応している。
図7A及び図7Bは、厳格な閾値の追加導入(電荷分割の影響の第2次除去)を説明する図で、図7Aは流れ図、図7Bは電荷量における孤立画素判定用の閾値120のエネルギー準位を示している。なお、厳格な閾値の追加導入(S300)は、X線画像生成回路10のノイズ除去回路104の動作に対応している。
厳格な閾値の追加導入(S300)では、入力される画像データは、孤立している画素の位置と電荷量である(S302)。周辺部分の画素に対しては、通常採用される最低閾値よりも小さな値の孤立画素判定用の閾値(図7Bに示す第2のしきい値120)を適用し、周辺画素のうち1つでも、これを超えたものがあれば、電荷収集が不完全とみなして、除外する(S304)。出力データとしては、孤立している画素の位置と電荷量を示す、電荷量のヒストグラム(X線スペクトル)であって、電荷分割の影響で電荷収集が不完全なノイズと判断されるものが除去されたデータが得られる(S306)。
上記の図5から図7A及び図7Bの信号処理を採用することで、2次元検出器を用いて、X線の照射位置とX線エネルギーを同時に記録することができ、そのデータを用いて、X線スペクトルを得ることも、そのスペクトルに現れるどのX線エネルギーに対応するX線画像群も得ることもできるようになった。
本発明の第1の類型では、有効事象判断回路102と孤立画素抽出回路103によって、まず孤立画素を探して、判定している。そこで、孤立画素の判定・探索の時点では、見つかった孤立画素は、第1のしきい値よりも大きな輝度値を持ち、孤立画素の周辺の8画素は、第1のしきい値よりも小さな輝度値になっているのは、孤立画素の定義から当然のことである。これに加え、周辺受光素子84が、光子事象のあった単位受光素子82を中心とする3×3とする場合に、ノイズ除去回路104によって、周辺の8画素に対して、いっそう厳しい制限を課しているのが、本発明の第1の類型の特徴部分である。周辺受光素子84は、第1のしきい値よりも小さいだけでなく、もっと厳しい第2のしきい値より小さい場合に、有効な周辺8画素を有する孤立画素として採用し、該当しない場合には、第2の類型の電荷分割で対処することになる。
この場合、画素別カウンタ回路106の動作としては、第1の態様として、エネルギー準位判断回路105と協働しない類型がある。第1の態様では、(X,Y)の画素がカウンタになっていて、特定地点について1追加して、その地点が明るくなる。この場合の画素別カウンタは、第1のしきい値を超えてさえいればいいという立場であるので、X線のエネルギーを無視しており、すべてのX線スペクトルをすべて取り入れた画像を与える。
次に、画素別カウンタ回路106の動作における第2の態様として、エネルギー準位判断回路105と画素別カウンタ回路106が協働して動作する類型について説明する。
上述したように、本発明の第1の類型では、第1のしきい値を超えており、かつ、周辺の画素については、どの8画素も第2のしきい値よりも下回っており、厳格な孤立画素であることを確認したうえで、エネルギー準位判断回路105を用いて、その画素の輝度値が特定のX線エネルギーに対応する範囲にあるか判定する。例えば、16bitのA/D変換器を搭載しているCCDカメラなどでは、画像の画素の明るさは、0から65535の間の整数値で表現されいる。仮に暗電流のレベルの明るさが250だったとすると、第1のしきい値は、例えば300台の任意の値にセットすることが通例である。また、第2のしきい値は例えば250〜300の間に設定される。ほとんどのX線の信号は、第1のしきい値よりも大幅に大きなエネルギー準位に相当するレベルであり、単一光子でも例えば800程度の値になる。このときに600だったのか、800だったのか、がX線エネルギーの違いであり、通常構成される元素に応じた特有の値の範囲にある。そこで、エネルギー準位判断回路105を用いて、特定の元素の画像を作成する場合には、例えば750以上820以下みたいな設定をし、もし地点(X,Y)で、その輝度値がそうだったときは、その元素の画像の(X,Y)地点をプラス1することになる。つまり、計測している際には、画像は1つの画像に過ぎないが、カウンタにあたる画像は、注目したい元素の数だけ、注目したX線エネルギーの種類だけ、独立に用意し、使用することができる。
(実施例1 孤立した画素の電荷を厳格に選定して収集する方法)
図8は、孤立した画素の電荷を厳格に選定して収集する方法(図5〜図7B)を用いたX線スペクトルエネルギー別のX線画像を示したもので、図1のセットアップを用いている。図8は20μmの空間分解能で得られたピンホールXRFイメージングで、図8(a)は検査対象の写真を示し、観測領域は破線の四角で表示される。図8(b)は、得られたXRFスペクトルを示す。基板内のCaと黒色パターンのCrの結像結果をそれぞれ図8(c)、図8(d)に示す。20μm間隔のCrバーははっきりと区別される。
図1のセットアップにおいて、X線管1としては、密閉式X線管であって、銅ターゲット(TOSHIBA A26L−Cu、1.5kW)を用いている。銅ターゲットから発生する特性X線には、波長約1.54ÅのKα線と波長1.38ÅのKβ線が含まれる。Kα線はさらにピーク波長1.5406ÅのKα1線と1.5444ÅのKα2線が強度比2:1で混合したものであるが、二つのピークは近接した位置にあるので、標準的な粉末回折計ではこれらを区別せずに両方とも検出する仕様となっている。
ピンホール板6として、UVレーザーによって厚さ20μm〜50μmのタングステン箔に5μm〜100μm径の穴をあけたものを用いている。20μm以上の空間分解能を有することは、例えば標準的な分解能目標をテストすることによって直接可視化できる。ピンホールは、低コスト、容易な調整、およびエネルギー依存性などの利点を有するので、ピンホールによる高空間分解能を得ることは、全視野XRF撮像の応用を拡大するために重要である。X線カメラ7は、全視野XRF撮像用のマイクロピンホール板6のコリメータと結合され、これにより20μmより良好な空間分解能が達成される。この結果は、数学的表現やモデルフィッティングなしで直接視覚化できる。
試験対象は、透明なガラス基板上にコーティングされた黒色クロムパターンである[図8(a)]。クロム層の厚さは1000Åである。写真に示されているように、各グループにおいて、クロムバーは1mmの間隔で等距離に分布し、個々の幅はそれぞれの間隔に等しい。上の数字は各グループのバーの数を示している。この実施例では、ターゲットからピンホールまでの距離は2mmであり、従って、ピンホール撮像の倍率は7である。観測領域は1.9mm×1.9mmであり、図8(a)の破線の四角で示されている。中央の観察されたバーの分離は20μmである。
ピンホールを通過したX線は弱いので、十分な統計を得るには長い蓄積時間が必要である。この実験では、蓄積時間が24時間に達すると、元素イメージングにおけるクロムパターンの輪郭が鮮明になり、区別できる。
空間分解能の実用的な限界を見るために、高品質の要素画像を得るために蓄積時間が1週間に延長されている。CCDカメラ1枚の画像を読み取るのに4秒必要なので、合計測定時間は蓄積時間よりも20%長くなる。測定と並行して、画像は取得後直ちに実験室で用意されたPythonコードで処理される。XRFスペクトルおよび要素画像を含むすべてのX線データは、測定が終了した直後に測定および出力できる。XRFスペクトルを図8(b)に示す。スペクトルでは、カルシウムとクロムのピークを特定できる。ここで、カルシウムはガラス基板から推測される。ガラス基板は、シリコンおよびナトリウムなどの他の元素を含んでいてもよい。蛍光X線がCCD窓材料に強く吸収されるため、今回は検出できていない。
カルシウムの画像[図8(c)]と、クロムの画像[図8(d)]はそれぞれのピークのROI(regions of interest)内の信号によって描かれる。カルシウム像では、XRF強度分布は均質であり、カルシウムがガラス基板中に均一に分布していることを示している。クロム層は1000Åの厚さと非常に薄いので、表面被覆されたクロムパターンはカルシウム像上に影を残さないことが分かる。CaKαとKβのX線透過率は99.99%より高い。クロム画像では、20μmの分離を有するクロムバーを明確に区別することができ、空間分解能が20μmより良好であることを示している。カルシウムとクロムの画像では、2本の黒い垂直線が観察される。それらは、CCDセンサチップ上の直線状に配置されたデッドピクセルに起因しているものであり、他のピクセルの信号に影響を与えない。
なお、実施例1で撮像センサ8として使用するe2V社製CCDセンサでは、1フレームの読み出し転送にも4〜5秒かかる(カタログデータで、0.25フレーム/秒の読み出し速度)。その4〜5秒の間にもX線が来ているとすれば、読み始めの画素と読み終わりの画素では、実効的な撮像時間に差異があり、読み終わりの画素は読み始めの画素に比べ4〜5秒余分に撮像したことになる。これを防ぐためには、メカニカルシャッターでX線を止める必要がある。CCDセンサのなかには、こうした問題を避けるために、別途電荷情報を一時蓄える機構を内蔵しているものがある。当該一時蓄える機構は、撮像に用いるエリアと同サイズのエリアを隣に設け、そこにマイクロ秒オーダーの速度で転送し(フレームトランスファーと呼ぶ)、その後に読み出すものである。フレームトランスファーの転送先にあたるエリアは、X線が当たらないように遮光するため、X線窓の開口の外にある。
<電荷分割が大多数を占め、孤立画素が見いだせない場合>
上記の議論は、電荷分割が極端に多くはなく、孤立した画素による電荷収集が十分行える場合の説明である。しかし、センサの1画素あたりのサイズが小さくなり、またセンサの構造によっては、孤立した画素による電荷収集が困難になる。
図9は、本発明の対象となる第2の類型を示すもので、電荷分割が大多数を占め、孤立画素が見いだせない場合の状況を模式的に示した説明図である。
図9中、単位受光素子155は、X線撮像素子156の単位受光素子で、二次元に配置されている。第2の類型の場合には、1個のX線光子151が来ると、その検出電荷量が最大の単位受光素子152であっても、その周囲の1つ以上の画素にも最低閾値(図3Bに示す第1のしきい値115)を超える電荷が認められる。電荷分割が顕著であり、X線光子151のエネルギーに相当する電荷は複数画素に分割されている。X線光子151によって生じた電荷量は最大の単位受光素子152の周辺部分、例えば5×5の25画素の総和と見なすことができる。すなわち、その25画素分の総電荷量が受光素子152の1画素に来たのと等価である。現実には、電荷分割にも多くの形態があり、X線光子のエネルギーが散逸して電荷量の情報として復元できないものもある。
図10は、図9に示す状況のなかで、どのような電荷分割の形態のみを数値的に採用すべきかを判定する方法の説明図である。第2の類型の場合には、X線光子によって生じた電荷は1つの孤立した画素にとどまらず、周辺に広がって分布している。すなわち、最大の単位受光素子161を中心として、その周囲(x、y:例えば、5画素四方程度)に広がっている。この広域の画素にある電荷量の総和が、X線光子によって生じた電荷量、すなわちX線のエネルギーの情報を与えるものである。また、X線の検出位置は161の地点と見なすべきである。電荷分布を数学関数でパラメータフィッティングを行い、その重心位置をもって位置とし、その関数の与える積分値をもって総電荷量とすることも可能であるが、その重心位置は、まず161の画素内にはいると考えられる。
実際には、上記のような単純な総和をもって、電荷分割前の情報を復元できないケースは多く存在する。電荷分割と一口に言っても多くの形態があり、X線光子のエネルギーが散逸し、どの画素にも電荷量として記録されない場合もある。そこで、電荷分割の状態を識別するため、中央値と積分値という2つのパラメータを導入する。中央値とは、その周辺で最大の電荷量を持つ画素の電荷量である。積分値とは、中央値を示す画素の周辺の特定の範囲の画素に認められる電荷量の総和である。この両者の比に着目すると、復元可能な電荷分割の形態を判別することができる。
図11は、本発明の第2の態様を示す電荷分割用の補正フィルタリング回路の構成ブロック図である。なお、図11において、前記図2Aと同一作用をするものには同一符号を付して、説明を省略する。
X線画像生成回路20は、有効事象判断回路102、エネルギー準位判断回路105、画素別カウンタ回路106、電荷分割検出回路107、X線カウンタ画像生成回路108およびX線カウンタ画像生成回路109を有する。
電荷分割検出回路107は、有効事象判断回路102で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子82の周辺受光素子84について、当該周辺受光素子84で読み込まれた受光信号と、第1のしきい値とを比較して、単位受光素子82と周辺受光素子84との間で電荷分割が生じているか検出する。
電荷分割処理回路108は、電荷分割検出回路107で検出された電荷分割の生じた単位受光素子82と周辺受光素子84について、第1のしきい値を超えている全ての受光素子についての中央値、積分値およびその位置情報を演算する。
X線カウンタ画像生成回路109は、この画素別カウンタ回路106の計数値に基づいて、X線撮像素子8によるX線画像を生成する。単位受光素子82と周辺受光素子84との間で電荷分割が生じている場合には、画素別カウンタ回路106は、電荷分割処理回路108で演算された中央値、積分値およびその位置情報を用いて、第1のしきい値を超えている全ての受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行う。
図12は、電荷分割が顕著な場合の画素情報の選別処理の説明図である。なお、電荷分割が顕著な場合の画素情報の選別処理(S400)は、X線画像生成回路10の電荷分割検出回路107、X線カウンタ画像生成回路108の動作に対応している。
電荷分割が顕著な場合の画素情報の選別処理(S400)では、入力される画像データは、X線入射・検出そのものを判定する最低閾値(図3Bに示す第1のしきい値115)を超えている全画素の中央値、積分値、および、中央値を与える画素の位置情報である(S402)。そして、中央値と積分値の比が、指定範囲に入っているものを抽出・選別(S404)。出力データとしては、特定のX線エネルギーの画素の分布と電荷量を示す、電荷量のヒストグラム(X線スペクトル)および、X線画像が得られる(S406)。ヒストグラム(X線スペクトル)は、全画素を足し合わせたものに対しても、任意の画素範囲内についても与えることができる。また、そのようなスペクトルに現れる特定のピークに注目して、そのX線エネルギーまたは、ある程度の幅をもったX線エネルギー範囲について、その分布を画像として与えることができる。
本発明の第2の類型においては、中央値と積分値の比を求め、それがある範囲に入っている場合のみ、復元可能な電荷分割の形態であるとして、有効と判断する。積分値を算出する画素の範囲として、経験的に5×5が有効であるが、これに限定されるものではなく、センサの画素のサイズや、構造によっては狭い範囲もしくはさらに広範囲をとることが有効である場合もある。ここで、中央値と積分値の比が入ると好ましいとされる範囲を、ここでは、比の適正範囲といい、比の適正範囲の下限値を比の適正下限値といい、比の適正範囲の上限値を比の適正上限値という。また、積分値を算出する画素の適正な範囲を積分適正範囲という。また、中央値と積分値の比が40%と50%の間のとき、経験的に有効であるが、これに限定されるものではなく、センサの画素のサイズや、構造によってはさらに別の範囲をとることが有効である場合もある。
図12に示す中央値を積分値の比をとるという方法によれば、撮像センサ(二次元半導体センサ)を用いたカメラでも、X線の照射位置とX線エネルギーを同時に記録することができ、そのデータを用いて、X線スペクトルを得ることも、そのスペクトルに現れるどのX線エネルギーに対応するX線画像群も得ることもできる。
この場合、孤立画素を見つけることが困難なCMOSカメラの場合に即して、電荷分割検出回路107と電荷分割処理回路108、および画素別カウンタ回路106がエネルギー準位判断回路105と協働する類型の動作について説明する。
電荷分割検出回路107と電荷分割処理回路108によって、画像読み出しのつど、全画素についての検証を行い、中央値と積分値を求め、その比が既定の範囲にはいった場合のみを有効とする判定を行っている。つまり、積分値に対応する総電荷量が、中央値を与える(X,Y)地点にもともとあったのだと解釈して、読み替えを行う。読み替え後は、中央値のあった地点の輝度が積分値になり、周辺の5×5の画素の値はゼロにセットされる。同時に、電荷分割処理回路108は、エネルギー準位判断回路105と協働して、その積分値が、特定のX線エネルギーに対応する範囲にあるかどうかも判定する。例えば、16bitのA/D変換器を搭載しているCMOSカメラなどでは、画像の画素の明るさは、0から65535の間の整数値で表現される。仮に暗電流のレベルの明るさが250だったとすると、第1のしきい値は、例えば300台の任意の値にセットすることが通例である。ほとんどのX線の信号は、第1のしきい値よりも大幅に大きなエネルギー準位に相当するレベルであり、単一光子でも例えば800程度の値になる。このときに600だったのか、800だったのか、がX線エネルギーの違いであり、通常構成される元素に応じた特有の値の範囲にある。
しかし、CMOSカメラでは、電荷分割があまりに頻繁に生じているので、孤立画素は見つけられない。5×5のグループで中央値と積分値をもとめ、その比が40〜50%だった場合、有効と判定することにし、中央値のあった画素の地点に積分値を与え、周囲はゼロに置き換える。もし、特定の元素の画像を作ろうとするのであれば、例えば750以上820以下のような設定をし、もし地点(X,Y)で、その新しい輝度値である積分値がそうだったときは、その元素の画像の(X,Y)地点をプラス1することになる。つまり、計測している際には、画像は1つの画像に過ぎないが、カウンタにあたる画像は、注目したい元素の数だけ、注目したX線エネルギーの種類だけ、独立に用意し、使用することができる。
(実施例2 特徴的な化学元素への応用)
図13は、中央値と積分値の比を用いて、電荷分割の影響を補正する方法(図9、10)を用いたX線スペクトルエネルギー別のX線画像を示したもので、図1のセットアップを用いている。図13は、同じsCMOSカメラで得られたセラミックプレートの写真とX線蛍光スペクトルで、図13(a)はセラミックプレートの前面の写真であり、図13(b)はそのX線蛍光スペクトルである。図13(c)は裏側の写真、図13(d)はそのスペクトルである。写真とX線蛍光スペクトルは同じsCMOSカメラで得られる。
これは、中央値と積分値の比を用いて、電荷分割の影響を補正する方法(図9、10)を用いている実施例になる。
可視光デジタルカメラは、試料のXRFスペクトルを測定できるので、試料中の元素の組成も分析できる。例えば、白色ベース(図13c、裏面)および青色パターン(図13a、前面)を有するセラミックプレートを試験する。
図13aおよび図13cの2つの写真は、光学レンズシステムおよび透明ガラスカバーを取り外す前にsCMOSカメラによって撮影される。カメラにカラーフィルタがないため、写真はモノクロである。レンズシステムを取り外し、ガラスカバーをX線窓で置き換えた後、前面(図13b)と背面(図13d)のXRFスペクトルをそれぞれ同じsCMOSカメラで測定する。実験では、一次X線ビームは単色の銅Kα線である。1枚の画像の露光時間は100msである。蓄積時間は30分である。
スペクトルでは、すべてのピークが同定され、したがって対応する要素も同様に同定することができる。表側と裏側の元素組成は非常に似ているが、コバルトは正面のみに現れ、コバルトとセラミックの青色の関係を示していることが分かる。
XRF分析では、sCMOSカメラは他の既存のX線検出器と同じように使用される。したがって、実験的に得られた較正曲線を用いるか、X線基本パラメータに基づいていわゆる基準フリー分析を使用することによって、サンプル中の元素の濃度を定量的XRF分析に使用可能である。また、sCMOSカメラの使用は、特に全反射ジオメトリと組み合わせた場合の微量元素の分析に適用できる点に価値がある。
図14は、本発明の第3の態様を示す孤立画素と電荷分割の併用型の補正フィルタリング回路の構成ブロック図である。なお、図14において、前記図2A、図11と同一作用をするものには同一符号を付して、説明を省略する。
X線画像生成回路30は、有効事象判断回路102、孤立画素抽出回路103、ノイズ除去回路104、エネルギー準位判断回路105、画素別カウンタ回路106、電荷分割検出回路107、X線カウンタ画像生成回路108およびX線カウンタ画像生成回路109を有する。
図14に示す孤立画素と電荷分割の併用型の補正フィルタリング回路の構成ブロック図によれば、図2Aに示す孤立画素用の補正フィルタリング回路と、図11の電荷分割用の補正フィルタリング回路を統合してあるため、孤立画素と電荷分割が併存する様な撮像センサの撮影した事象にも的確に対応できる。
図15は、本発明の第2の実施例を示すX線スペクトルエネルギー別のX線画像を得るための測定装置の要部構成図である。
図において、本発明の第2の実施例のX線分析装置は、試料ホルダー204、試料205、撮像センサ208、X線ビームガイド212で構成されている。なお、図1に示したX線管1、結晶モノクロメータ2、信号制御メカニカルシャッター3に相当する構成要素に関しては、図15では図示を省略している。
図15の実施例では、X線ビームガイド212によって、X線ビーム201として蛍光X線の平行成分のみを撮像センサ208に導いている。
本発明によれば、電荷分割の避け方や電荷分割の補正が明らかとなり、現在よりももっと小さな素子サイズでの製造も可能になり、可視光用に設計されているCCDセンサ、CMOSセンサにおいて、エネルギー識別のできるX線イメージングを可能となる。
さらに、本発明の実施例としては、可視光波長用に設計されたCCD撮像素子またはCMOS撮像素子をX線撮像素子として使用する場合を示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、エネルギー識別のできるX線イメージングを行なう目的で専用に製作されている半導体ピクセル放射線検出器をX線撮像素子として使用する場合にも適用できる。
図17は、如何に第1のしきい値及び第2のしきい値をフィルタリングにおいて使用するかを示す。第1のしきい値は、有効な光子事象を認識するために1つの受光素子(pixel)の強度をチェックするために使用される。第1のしきい値より小さい第2のしきい値は、ピークの低エネルギー側に裾を引く現象を避けるために、リーク電流がないことを確かにするためにその周辺受光素子(surrounding pixels)をチェックするために使用される。第1のしきい値のみを使用して、ノイズ相当信号を取り除く。そして、第2のしきい値を使用して、周辺受光素子が光子事象を起こしていないことを確認する(図7AのS304参照)。
X線画像生成回路10又は20の構成要素の機能を、コンピュータソフトウェアで実現させることができる。例えば、図18において、インターフェースを介してデータをコンピュータが受信し、ソフトウェアで処理した後に、必要なデータを保存する。X線スペクトルエネルギー別のX線画像を得るための測定装置の要部構成については、図1のものと同一であるので、重複する説明は省略する。X線管1を含むX線発生部42、信号制御メカニカルシャッター3、試料ホルダー4やピンホール板6を含む試料部44、及びX線カメラ7を含む撮像部46から、測定装置の要部は構成される。これら各部とは、インターフェース52を介してコンピュータ54に接続される。また、コンピュータ54により処理された画像データは、例えばハードディスクのようなデータストーレージ54に保存される。本装置の各構成部42、3、44、及び47への制御信号や各部からの検出信号等を伝達するライン62、64、66、及び68は、インターフェース52に一旦接続され、コンピュータ54により取り込める形の信号に変えた後、コンピュータ54にライン70で接続されるか、或いは、コンピュータからの制御命令を各部が制御信号として受信可能な信号に変えた後、各部に制御信号として送信される。コンピュータ54では、逐次的にデータを各部から取り込み、処理を行い、必要な命令を各部に送信する。そして、処理後の画像データは、一括して、或いは、測定を行いながら、逐次的に、データストーレージ54に保存される。より具体的には、例えば、A/D変換器をカメラ側若しくはカメラコントローラーに置くことができる。コンピュータは、A/D変換された画像そのものを受け取ることができる。より具体的な例示をすれば、1024×1024で、1画素が16bit (65,536諧調)のデータを転送してコンピュータが受け取ることができる。受け取ったデータの処理の内容には、個々の工程がある。例えば、まずは、全画素を1つずつ、どんな明るさになっているかを点検する。明るさがまったくゼロということはなく、何も映っていない場合でもダークカレント(電子ノイズ)に対応する明るさがある。そのダークレベルと比較してどの程度であるかを見渡せば、明らかに明るい画素は区別でき、その画素の周囲に明るいものがあるかないか(孤立して明るい画素であるかどうか)もわかる。具体的な例として、図19及び20において流れ図で示す。
(1)孤立した1個のピクセルに電荷があると認められるケース
(電荷分割の頻度がそれほど多くはないケース、比較的ピクセルサイズが大きい場合等)まず、対象となるピクセルが孤立しているかを検査する(S500)。孤立していることを確認した(S502)後に、そのピクセルの周囲の8つのピクセルを点検する(S504)。このようなピクセルは、たぶんゼロだと普通は見なすところ、通常よりも厳しい基準で(新たな閾値を使って)点検する(S506)。新閾値は、通常よりも厳しいので、厳密な条件を満たすものだけが採用され(S506でYes)、そのデータが保存される(S508)。もし、厳密な条件を満たさなければ、そのデータは保存対象から外れる(S506でNo)。そして、全てのピクセルをチェックしたかどうかを確認し(S508)、そうであれば、このルーチンを終了させる。全てのピクセルをチェックしていない場合は(S510でNo)、再び、別のピクセルについて、孤立していることを確認し(S502)する。このようなケースは、CCDカメラのケースに相当することができる。上述のようにして、孤立して明るい画素を見出すことができる。孤立しておらず、隣同士も明るいといったものがあったとしても、それは採用しないようにする。このようにして、見つかった明るい孤立画素を更に厳しく選定してもよい。周囲の8画素が普通に暗いくらいでは容認せず、少しでも余分な電荷のしみだしがあった場合を除外するための厳選を行うことができる。
(2)画像を見渡してどのピクセルも孤立しておらず、その周囲のピクセルに電荷が分散しているケース(S600)(電荷分割の頻度が多いケース、ピクセルサイズが小さい場合、特にS¥CMOS素子の場合など)においては、分散している電荷の総和をとり(S602)、その値と、中央の電荷量の比をとり(S604)、規定の範囲におさまっているものだけを採用する(これは電荷の分布の仕方をみきわめることに対応し、散逸の激しいものをあらかじめ除外する意味がある)。規定の範囲におさまっているのは、その比(R)が、規定1及び規定2の間に入っているかどうかをチェックすることで行う(S606)。入っている場合(S606でYes)は、そのデータを保存する(S608)。入っていない場合(S606でNo)は、そのデータは保存されない。このチェック(S606)後には、全ピクセルをチェックしたかどうかを検査する(S610)。全てをチェックした場合(S610でYes)は、このルーチンを終了させる。全てをチェックしていない場合(S610でNo)は、別の対象ピクセルについて、分散している電荷の総和をとる(S602)。このようにして、対象となるピクセルが規定範囲に収まっているかを順次調べていく。このようなケースは、CMOSカメラのケースに相当する。CMOSカメラで、電荷分割問題を解決し、X線画像を得ることに成功している例は、本発明者らが知る限りにおいて、他になく、本発明者らが唯一成功している。このような場合においては、画素サイズが小さく、電荷分割は極めて高い頻度で生じる。その集合、散逸状態を画像の上でグループとして見出すことは可能である。そのグループの形状分布に着目して、タイプを診断してもよい。その診断の方法は種々検討されてきたが、1番確実性が高く、かつ最も迅速に判断できる方法として、総和の電荷量と中央の電荷量の量的な関係を指標にすることであることが分かった。
ここで、電荷が複数のピクセルに分散してしまう現象を補正する対策として、分散したものをかき集めて総和をとることができる。位置とエネルギー(電荷の総量)の両方を得るために、分散した電荷の分布の重心若しくは単純に最大の電荷量のあったピクセルを検出位置とし、そこに全電荷が生じたのと等価であるとみなせれば容易である。しかしながら、そうなるとは限らない。例えば、CMOS素子では、読み出しなどのための電子回路が、どのピクセルにも配線される。これらは、X線が入って電荷を発生している場所に近い。そのため、電荷分割の結果として生じる複数ピクセルにまたがる電荷分布はさまざまなパターンになる場合がある。中央値と総和値の比をとって所定の値(規定値1)(例えば、40%)より小さいのは、激しい散逸が生じたものである(ピクセルの間の壁でなにか生じたか、あるいは配線の影響を受けたかが原因と考えられる)。失われた電荷量が多すぎて、すでに入射したX線のエネルギーの情報を得ることはできないもので、このようなものを含めると奇妙なスペクトルが得られる結果を招くおそれがある。中央値と総和値の比をとって所定の値(規定値2)(例えば、50%)より大きいものは、失った電荷の総量はあまり多くはないものの、電荷分割の過程で異常を生じたものと考えられる。そのため、これらは除外される。上述する規定値1及び規定値2は、多くの実験データに基づいて規定されているが、CMOS素子等の検出器側の条件及び検出対象となる光やX線等の電磁波等の観測対象側の条件並びに温度や湿度等の測定条件を一定にすれば、時と場所を変えて測定を行っても同じ値となる。そのため、これらの条件毎に、規定値1及び規定値2を求め、その条件における基準値1及び基準値2として、一般化することができる。以上より、激しい散逸が生じることのないような基準値1以上であることが好ましい。また、電荷分割の過程で異常を生じたものとならないような基準値2以下であることが好ましい。
上述するような処理を行うと、最終的に、取得した元の画像に対し、X線エネルギー(元素)の情報を抽出しやすい最終的な状態に補正、変換した画像が得られる。この時点では、画像を一見しても元の画像と同じく、何が写っているかほとんどわからないような暗い、見えるかどうかの画像が得られる。しかしながら、補正された後では、どの画素も完全に孤立しており、暗い中で明るくなっている個々の画素において、その明るさに差がある状態となり得る。次の段階において、この画像の全画素の明るさを点検し、特定の明るさのレベルに近いものを比較により検出する。もし、該当すれば、その(X、Y)地点で、そのエネルギーのX線は1カウントありと判定し、そのエネルギーの画像カウンタに追加する。これは、分光分析等の機器分析の信号処理でよく見られる波高分析と類似する。画像の明るさが、強度(光の明るさ)ではなく、エネルギー(光の波長)に対応する。1画素に1光子しか入らないと想定されるくらい暗い画像では、X線のエネルギーに対応して作られる電荷量の差異を見ることができ得る。(例えば、6400eVのX線と3200eVのX線では、同じ1光子が入っても、電荷発生量は2倍違う。従って、画像で見れば、その明るさが2倍違うことになる。)測定結果という画像を得るためには、上述するような工程において、短い時間で、休みなく読み続け、読みながら傍らで信号処理を行い、その結果を、並列している多数の画像カウンタに積算する。これにより、多数のエネルギー別の画像が作られる。
ここで、カメラのような検出器において、一般的に電気ノイズのようなものと信号を区別するための閾値が設定され、使われている。多くの場合において、このような閾値は、lower level discriminator(LLD)と呼ばれる。本発明の実施例においても、このような閾値は用いられている。非常に短い時間で撮像した一見、全部がノイズ画像に見えるような画像において、信号を得ているピクセルが孤立しているという判定は、すべてのピクセルについて、その電荷量がLLDより上であるかどうかを検査することにより、可能となる。本発明の実施例において、そのような一見ノイズしか写っていないように見える画像(「single photon counting mode(一光子計数法)」と呼ぶ。)だけを使って情報を取得している。ここで、電荷量は、そのピクセルの明るさに相当するものである。このとき用いられるLLDは、ノイズより明らかに明るいといった基準のものであってよい。厳密に値を選択しなければならない訳ではないので、測定条件や得たい画像の種類等を考慮して、各種の測定ごとに設定することができる。
本発明の実施例において、新規導入した閾値は、LLDよりもノイズレベルにずっと近いと考えられるものである。本発明者らが知る限りにおいて、このような閾値を使った信号処理は知られていない。LLD以上のものであれば、ノイズと区別された明瞭な信号と判定されているので、そのような信号だけを見れば十分であると考えられるからである。しかしながら、ここで、導入してきた第2の閾値と呼ぶものは、一旦は、孤立しているとみなした対象となるピクセルについて、その周囲のピクセルを念入りに検査するために用いられてよい。そして、一旦は、ゼロと見なしてきた周囲のピクセルについて、再度検査することにより、対象となるピクセルからわずかでも隣にしみだしていたら、一旦は孤立しているとみなしたピクセルであっても、孤立しているとするピクセルから除外するという考えである。これは、孤立したピクセルの明るさをもって総電荷量とみなし、それからX線のエネルギーを求めるにあたって、わずかでもしみだしを見逃してしまえば、X線のエネルギーを低めに見積もる結果を招くおそれがあるからである。このような基準を採用したため、孤立した1個のピクセルに電荷があると認められるケース(電荷分割の頻度がそれほど多くはないケース、比較的ピクセルサイズが大きい場合等)では、ほぼ完全なX線スペクトルが得られるという効果が認めらえる。
本発明のX線撮像装置によれば、可視光波長用に設計されたCCD撮像素子またはCMOS撮像素子、若しくは半導体ピクセル放射線検出器で起こっているすべてのX線フォトン事象を処理することで、X線エネルギーの情報を個別に分離でき、緻密な撮像画素情報が得られる。一般に、デジタルカメラの信号処理は、(1)X線等を含む光の信号を検知して電気信号(電荷)に変えて貯蔵し(センサー)、(2)そのセンサーの画素毎に蓄えられた電荷量を読み出し(読み出し回路、A/D変換器)、(3)その読んだものを画像として表示する、若しくは、電子データとして保存するといった工程が含まれる。これらの各工程は、更に細部の工程に分岐しすることがある。また、一定の特色を持つ細部の工程もあり得る。上述するセンサーとしては、CCDやCMOS等が例示されるが、これらのセンサーの素子構造は物理的に大きく異なっているが、光の画像を得るという最終機能は類似する。電荷量を読み出す方式等については、大きな違いがあるものの、得られた画像の処理については差異がないともいえる。電気信号への変換や電荷量の読み出しの工程は、一般には、ハードウエアイメージで語られることが多く、読み込んだ画像等のデータの表示等においては、ソフトウエア(コンピュータ上で動作するプログラムによる処理)イメージで語られることが多い。しかしながら、本発明の実施例では、上述するように、ソフトウエアだけでなく、個々の特色ある信号処理(画像処理)の種々の機能を備える電子回路というように、ハードウエアイメージでも説明している。このため、行っている処理の機能を明確に説明することが容易であるばかりでなく、ハードウエアを使用する方が類似した機能をより高速に行うことが可能と考えられている。例えば、画像処理専用プロセッサを搭載している場合、コンピュータの画像処理は、高速にできるとされている。このように、機器構成として、コンピュータを含む場合も、含まない場合もあり、どちらの場合にも、個々の機能をハードウエアイメージで保有し、かつ、ソフトウエアでも代替機能を簡易的に実現できる仕組みを持つという特徴がある。そして、これらは、ハードウエアにおいても、また、ソフトウエアにおいても実行が可能であり、広く産業の発展に資する。
1 X線管
2 結晶モノクロメータ
3 信号制御メカニカルシャッター
4、204 試料ホルダー
5、205 試料
6 結像光学系(ピンホール板)
7 X線カメラ(CCDカメラ、CMOSカメラ)
8、208 撮像センサ(二次元半導体センサ)
82 単位受光素子
84 周辺受光素子
9 冷却回路
10、20、30 X線画像生成回路
101a、101b X線ビーム
102 有効事象判断回路
103 孤立画素抽出回路
104 ノイズ除去回路
105 エネルギー準位判断回路
106 画素別カウンタ回路
107 電荷分割検出回路
108 電荷分割処理回路
109 X線カウンタ画像生成回路
11 X線画像表示装置
112、115 第1のしきい値
120 第2のしきい値

Claims (16)

  1. 分析対象物からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子であって、当該X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子を有すると共に、当該単位受光素子は当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる二次元的領域を有する前記X線撮像素子と、
    このX線撮像素子からの受光信号を、各単位受光素子毎に読み込むと共に、当該単位受光素子の当該X線撮像素子内での二次元配置に応じて撮像された分析対象物のX線画像として生成するX線画像生成回路と、を備え、
    前記X線画像生成回路は、
    前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号および有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値を比較する有効事象判断回路と、
    前記有効事象判断回路で有効な光子事象と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号およびノイズと認識する基準となる第2のしきい値を比較するノイズ除去回路と、
    前記ノイズ除去回路で除去されないで有効な光子事象と認識された単位受光素子について、前記X線画像生成回路の画素別カウンタ値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ回路と、
    この画素別カウンタ回路の計数値に基づいて、前記X線撮像素子によるX線画像を生成するX線カウンタ画像生成回路と、
    を備えることを特徴とするX線撮像装置。
  2. 前記X線画像生成回路は、さらに、前記有効事象判断回路で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、全ての周辺受光素子の受光信号が第1のしきい値以下の前記単位受光素子を孤立画素として抽出する孤立画素抽出回路を有し、
    前記ノイズ除去回路は、前記有効事象判断回路で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子であって、前記孤立画素抽出回路での孤立画素として抽出された前記単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第2のしきい値とを比較することを特徴とする請求項1に記載のX線撮像装置。
  3. 分析対象物からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子であって、当該X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子を有すると共に、当該単位受光素子は当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる二次元的領域を有する前記X線撮像素子と、
    このX線撮像素子からの受光信号を、各単位受光素子毎に読み込むと共に、当該単位受光素子の当該X線撮像素子内での二次元配置に応じて撮像された分析対象物のX線画像として生成するX線画像生成回路と、を備え、
    前記X線画像生成回路は、
    前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号および有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値を比較する有効事象判断回路と、
    前記有効事象判断回路で有効な光子事象と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、前記単位受光素子と周辺受光素子との間で電荷分割が生じているか検出する電荷分割検出回路と、
    前記電荷分割検出回路で検出された電荷分割の生じた単位受光素子および周辺受光素子について、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子についての中央値、積分値およびその位置情報を演算する電荷分割処理回路と、
    前記電荷分割処理回路で演算された前記中央値、積分値およびその位置情報を用いて、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ回路と、
    この画素別カウンタ回路の計数値に基づいて、前記X線撮像素子によるX線画像を生成するX線カウンタ画像生成回路と、
    を備えることを特徴とするX線撮像装置。
  4. 前記X線撮像素子は、CCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のX線撮像装置。
  5. 前記X線撮像素子の単位受光素子は、一画素として1乃至10μmの代表長さを有する二次元的領域を有することを特徴とする請求項4に記載のX線撮像装置。
  6. 前記第1のしきい値は、前記X線撮像素子の各単位受光素子で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、有効な光子事象で生ずるエネルギー準位よりも小さな値であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のX線撮像装置。
  7. 前記第2のしきい値は、前記X線撮像素子の各単位受光素子で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、前記第1のしきい値よりも小さな値であることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線撮像装置。
  8. 前記周辺受光素子は、光子事象のあった前記単位受光素子を中心とする3x3、5x5又は7x7の何れかあることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のX線撮像装置。
  9. さらに、前記X線画像生成回路の各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号について、当該受光信号のエネルギー準位を求めるエネルギー準位判断回路を有することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のX線撮像装置。
  10. さらに、前記X線画像生成回路の画素別カウンタ回路は、前記エネルギー準位判断回路で分光されたエネルギー準位に応じて区分されていることを特徴とする請求項9に記載のX線撮像装置。
  11. 前記X線画像生成回路の画素別カウンタ回路は、光子事象のあった前記単位受光素子の受光信号のエネルギー準位について、前記単位受光素子の周辺受光素子の受光信号のエネルギー準位も加算することを特徴とする請求項10に記載のX線撮像装置。
  12. さらに、前記分析対象物にX線を含むエネルギー線を照射するX線照射回路を有することを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載のX線撮像装置。
  13. さらに、前記X線画像生成回路の画素別カウンタ値をリセットする画素別カウンタリセット回路を有することを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載のX線撮像装置。
  14. 分析対象物からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子の画像処理方法であって、前記X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子を有すると共に、当該単位受光素子は当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる二次元的領域を有するものであって、
    前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号と、有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値とを比較する有効事象判断工程と、
    前記有効事象判断工程で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、ノイズと認識する基準となる第2のしきい値とを比較するノイズ除去工程と、
    前記ノイズ除去工程で除去されないで有効な光子事象と認識された単位受光素子について、当該単位受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ工程と、
    この画素別カウンタ工程での計数値に基づいて、前記X線撮像素子によるX線画像を生成することを特徴とするX線撮像素子の画像処理方法。
  15. 請求項14に記載のX線撮像素子の画像処理方法において、さらに、
    前記有効事象判断工程で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、全ての周辺受光素子の受光信号が第1のしきい値以下の前記単位受光素子を孤立画素として抽出する孤立画素抽出工程を有し、
    前記ノイズ除去工程は、前記有効事象判断工程で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子であって、前記孤立画素抽出工程での孤立画素として抽出された前記単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、ノイズと認識する基準となる第2のしきい値とを比較することを特徴とするX線撮像素子の画像処理方法。
  16. 分析対象物からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子の画像処理方法であって、前記X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子を有すると共に、当該単位受光素子は当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる二次元的領域を有するものであって、
    前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号と、有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値とを比較する有効事象判断工程と、
    前記有効事象判断工程で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、前記単位受光素子と周辺受光素子との間で電荷分割が生じているか検出する電荷分割検出工程と、
    前記電荷分割検出工程で検出された電荷分割の生じた単位受光素子と周辺受光素子について、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子についての中央値、積分値およびその位置情報を演算する電荷分割処理工程と、
    前記電荷分割処理工程で演算された前記中央値、積分値およびその位置情報を用いて、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ工程と、
    この画素別カウンタ工程での計数値に基づいて、前記X線撮像素子によるX線画像を生成することを特徴とするX線撮像素子の画像処理方法。

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