JPWO2019064632A1 - X線撮像装置およびx線撮像素子の画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明は、CCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器を用いたX線撮像素子の画像処理方法に関する。
従来の解決方法としては、CCD撮像素子またはCMOS撮像素子において、単一のX線光子によって生成された電荷が広がる領域よりも大きな画素とすることで、画像分解能を低下させて、ノイズの影響を積分することで、各種波長のX線光子による信号を抽出することが行われている(例えば、非特許文献1)。しかし、CCDカメラの画素を粗大にすると、本来単一のX線光子の有する空間領域の信号成分を捨象することに繋がり、ひいては緻密なX線分光撮像情報が得られなくなるという課題があった。
本発明の他の目的は、可視光波長用に設計されたCCD撮像素子またはCMOS撮像素子、若しくは半導体ピクセル放射線検出器を大面積X線分光器の撮像素子として利用するのに適したX線撮像装置を提供することである。
このX線撮像素子からの受光信号を、各単位受光素子毎に読み込むと共に、当該単位受光素子の当該X線撮像素子内での二次元配置に応じて撮像された分析対象物のX線画像として生成するX線画像生成回路(10)と、を備え、
前記X線画像生成回路10は、前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号および有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値を比較する有効事象判断回路(102)と、前記有効事象判断回路で有効な光子事象と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号およびノイズと認識する基準となる第2のしきい値を比較するノイズ除去回路(104)と、前記ノイズ除去回路で除去されないで有効な光子事象と認識された単位受光素子について、X線画像生成回路(10)の画素別カウンタ値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ回路(106)と、この画素別カウンタ回路の計数値に基づいて、X線撮像素子8によるX線画像を生成するX線カウンタ画像生成回路(108)と、を備えることを特徴とする。
このX線撮像素子からの受光信号を、各単位受光素子毎に読み込むと共に、当該単位受光素子の当該X線撮像素子内での二次元配置に応じて撮像された分析対象物のX線画像として生成するX線画像生成回路(10)とを備え、
前記X線画像生成回路10は、前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号および有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値を比較する有効事象判断回路(102)と、前記有効事象判断回路(102)で有効な光子事象と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、前記単位受光素子と周辺受光素子との間で電荷分割が生じているか検出する電荷分割検出回路(107)と、電荷分割検出回路(107)で検出された電荷分割の生じた単位受光素子および周辺受光素子について、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子についての中央値、積分値およびその位置情報を演算する電荷分割処理回路(108)と、電荷分割処理回路(108)で演算された前記中央値、積分値およびその位置情報を用いて、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ回路(106)と、この画素別カウンタ回路の計数値に基づいて、X線撮像素子(8)によるX線画像を生成するX線カウンタ画像生成回路(108)と、を備えることを特徴とする。
[5] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、X線撮像素子(8)の単位受光素子(82)は、一画素として1乃至10μmの代表長さを有する二次元的領域を有するとよい。
[6] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、第1のしきい値は、X線撮像素子(8)の各単位受光素子(82)で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、有効な光子事象で生ずるエネルギー準位よりも小さな値であるとよい。
[7] 第2のしきい値は、X線撮像素子(8)の各単位受光素子(82)で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、第1のしきい値よりも小さな値であるとよい。
[8] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、周辺受光素子84は、光子事象のあった単位受光素子(82)を中心とする3×3、5×5又は7×7の何れかあるとよい。
[10] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、さらに、X線画像生成回路(10)の画素別カウンタ回路は、エネルギー準位判断回路(105)で分光されたエネルギー準位に応じて区分されているとよい。
[11] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、X線画像生成回路(10)の画素別カウンタ回路は、光子事象のあった単位受光素子(82)の受光信号のエネルギー準位について、単位受光素子(82)の周辺受光素子(84)の受光信号のエネルギー準位も加算するとよい。
[12] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、さらに、前記分析対象物にX線を含むエネルギー線を照射するX線照射回路を有するとよい。
[13] 本発明のX線撮像装置においては、好ましくは、さらに、X線画像生成回路(10)の画素別カウンタ値をリセットする画素別カウンタリセット回路を有するとよい。
また、CCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器は、大面積のX線分光器に対応できるので、分光イメージングの前提条件を確立でき、CCDカメラやCMOS撮像素子を十分に活用したX線分光撮像が行える。
図1は、本発明の一実施例を示すX線分析装置の要部構成図である。本発明の一実施例のX線分析装置は、X線管1、結晶モノクロメータ2、信号制御メカニカルシャッター3、試料ホルダー4、ピンホール板6、X線カメラ7を有している。
メカニカルシャッターは、実際の撮像時間と画像の転送に要する時間の大小関係によって、その要否が決まる。後述の実施例1に示すCCDセンサでは、1フレームの読み出し転送時間が影響して、読み始めの画素と読み終わりの画素では、実効的な撮像時間に差異が生ずることになる。これを防ぐためには、メカニカルシャッターでX線を止める必要がある。
これに対して、実施例2のCMOSセンサでは、読み出しが早いので、撮像時間によっては、メカニカルシャッターを使用せずに測定を行っている。
試料5は、X線分光分析の対象となるもので、金属材料、無機材料、有機材料、生体材料等の各種の被検査対象物が含まれる。
結像光学系6としては、ピンホール板、非球面ミラー、ゾーンプレートなどが用いられる。例えば、ピンホール板は、XRFイメージングにおいて非常に頻繁に使用される。ピンホール板6は、マイクロピンホールコリメータとも呼ばれるもので、XRFイメージング測定の場合に用いられる。なお、ピンホール板6は、非イメージングXRFスペクトル測定においては、除去される。
撮像センサ8としては、例えばe2V社製のCCDセンサであるCCD47−10を用いることができる。サンプル位置でのビームサイズは、約1mm(H)、5mm(V)である。
試料5上で反射したX線ビーム101bは、ピンホール板6で絞られて、X線カメラ7に至る。試料ホルダー4、ピンホール板6、CCDセンサ7の中心は、一直線に並んでいる。X線カメラ7は、光軸方向に前後に動かすことができるし、また光軸と垂直な平面方向にも動かせる位置調整機構を設けてもよい。撮像センサ8で受光された画素検出信号は、X線画像生成回路10で画像信号に変換される。
図2Aは、本発明の第1の態様を示す孤立画素用の補正フィルタリング回路の構成ブロック図である。図において、X線撮像素子8は、分析対象物4からのX線光子を含むエネルギー線を受光するものであって、二次元配置の単位受光素子82を有する。単位受光素子82がX線光子を受光すると、当該単位受光素子82の周辺には当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる周辺受光素子84が生ずる。周辺受光素子84は、光子事象のあった単位受光素子82を中心とする3×3、5×5又は7×7の何れかであるとよい。
X線画像生成回路10は、有効事象判断回路102、孤立画素抽出回路103、ノイズ除去回路104、エネルギー準位判断回路105、画素別カウンタ回路106およびX線カウンタ画像生成回路109を有する。
X線画像生成回路10の構成要素は、各構成要素毎に、特定用途集積回路のようなハードウェア電子回路を用いても良く、またコンピュータソフトウェアで機能を実現させても良い。
図2Bは、図2Aの本発明の第1の態様を若干変更したもの示す。ここでは、図2Aと異なり、画素別カウンタ回路106の下に、画素別カウンタリセット回路106aが加えられている。他の構成は、同じであるので、重複する説明は省略する。上述のように、第1のしきい値を超えている全ての受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行うが、測定すべき画素が終了した場合は、画素別カウンタリセット回路106aにより、画素別カウンタをリセットして、画素別の処理を終了させ、X線カウンタ画像生成回路109により、画像を生成する。
図16は、X線カウンタ画像生成回路で生成されるエネルギー準位別のX線カウンタ画像の説明図で、(A1)は元素A画像、(A2)は元素B画像、(A3)は元素C画像、(A4)は元素D画像、(B1)は領域Pスペクトル、(B2)は領域Qスペクトル、(B3)は領域Rスペクトルを表している。
図16(A2)によれば、元素Bに相当するX線光子エネルギーの範囲(BL<I<B H)にあるものについて、B元素の画像の(X、Y)位置のカウントを+1する。図16(A3)によれば、元素Cに相当するX線光子エネルギーの範囲(CL<I<CH)にあるものについて、C元素の画像の(X、Y)位置のカウントを+1する。図16(A4)によれば、元素Dに相当するX線光子エネルギーの範囲(DL<I<DH)にあるものについて、D元素の画像の(X、Y)位置のカウントを+1する。ここでは、光子事象が元素B画像に生じているので、図16(A2)上の座標(X、Y)位置に当該光子事象が表示される。
図16(B1)に示す領域Pスペクトルによれば、(X、Y)領域(もしくは全領域)について、それぞれの画素の明るさ(電荷量I)のレベルによるX線光子エネルギーEがわかる。即ち、当該その(X、Y)領域内のX線スペクトルがわかるので、領域Pスペクトル領域のスペクトルのエネルギーEのカウントを+1する。
図16(B2)に示す領域Qスペクトル、図16(B3)に示す領域Rスペクトルについても、図16(B1)に示す領域Pスペクトルと同様である。ここでは、光子事象が元素B画像に生じているので、図16(B2)上の領域Qスペクトルに当該光子事象に応じた画素の明るさ(電荷量)の箇所が+1される。
図3A及び図3Bは、検出された画素の明るさ(電荷量)からX線エネルギー(波長)を求める方法を具体的に示す図で、図3AはX線撮像素子と電荷量の分布状態、図3Bは電荷量とカウント数を示している。図3Aにおいて、単位受光素子110は、X線撮像素子の単位受光素子で、二次元に配置されている。第1のしきい値112は、単位受光素子110で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、有効な光子事象で生ずるエネルギー準位よりも小さな値である。ノイズ相当信号111は、単位受光素子110で検出された画素の明るさ(電荷量)が、第1のしきい値112よりも低いものである。有効光子事象信号113は、単位受光素子110で検出された画素の明るさ(電荷量)が、第1のしきい値112よりも高いものである。
続いて、単一光子計数条件での撮像について説明する。
単一光子計数条件での撮像は、換言すれば、非常に短い撮像時間での撮像を繰り返し、継続的に行う撮像ということである。撮像時間を長くすると、蓄積された画像は鮮明になるが、その意味するところは、1つの画素に多数の電荷が蓄積されているということである。ところが、撮像時間を長くしたのでは、どんなX線光子エネルギーのX線によって、その電荷が作られたのかという、個別X線光子の情報はもはやわからない。
これに対して、1つの画素、もしくはその周辺に1つのX線光子しか来ていないのであれば、その電荷量から逆算して、X線エネルギーを求めることができる。例えば、仮に8000eVのX線と6000eVのX線が両方来ている場合、それぞれのX線光子が作り出す電荷量は4:3である。そのため、お互いを足し合わせたり、同じものを2回足し合わせたりしない限り、画素の明るさの情報から、どっちのX線エネルギーであるかを判別することができる。
図4は、X線光子により生じた電荷の複数画素への分割(一般的な電荷分割、チャージシェアリング)についての説明図である。
通常の放射線検出器(半導体検出器)では、もともと1素子であるので、図3A及び図3Bでの説明の通り、1個のX線光子121が来るたびに、その総電荷量125を短時間で収集すれば、エネルギー分析122が測定できる。しかし、X線撮像素子124は多数の単位画像素子123から成り立っているので、1個のX線光子121によって発生した電荷が必ずしも1つの素子にいくとは限らない。
すると、X線撮像素子で、X線光子によって生成された電荷の蓄積を停止すると、可視光で生じた信号と各種波長のX線光子による信号とが混在する為、ノイズと信号の峻別が困難になるという課題があった。
図5は、処理対象とすべき画素の初期選別を説明する流れ図である。処理対象とすべき画素の初期選別(S100)は、X線画像生成回路10の有効事象判断回路102の動作に対応している。
処理対象とすべき画素の初期選別(S100)では、入力されるデータは、X線撮像素子の全画素(単位受光素子)に記録されている値である(S102)。そして、第1のしきい値(最低閾値)を超えている画素(単位受光素子82)を選別して集計する(S104)。出力データとしては、電荷量のヒストグラム(X線スペクトル)となる(S106)。
孤立している画素の選別(S200)では、入力される画像データは、X線がないときでもみられるバックグラウンドを差し引いたX線画像である(S202)。そして、孤立している画素の選別を行う(S204)。即ち、有効な信号が認められた画素(単位受光素子82)の周辺画素(周辺受光素子84)を点検し、どの周辺画素も最低閾値以下であることを確認する。出力データとしては、孤立している画素の位置と電荷量を示す、電荷量のヒストグラム(X線スペクトル)となる(S206)。
即ち、その画素が孤立している画素であるかどうかを判定し、孤立しているものだけを選ぶということである。このようにして、電荷量のヒストグラムからX線スペクトルにおける電荷の複数画素への分割の影響を取り除く。
厳格な閾値の追加導入(S300)では、入力される画像データは、孤立している画素の位置と電荷量である(S302)。周辺部分の画素に対しては、通常採用される最低閾値よりも小さな値の孤立画素判定用の閾値(図7Bに示す第2のしきい値120)を適用し、周辺画素のうち1つでも、これを超えたものがあれば、電荷収集が不完全とみなして、除外する(S304)。出力データとしては、孤立している画素の位置と電荷量を示す、電荷量のヒストグラム(X線スペクトル)であって、電荷分割の影響で電荷収集が不完全なノイズと判断されるものが除去されたデータが得られる(S306)。
本発明の第1の類型では、有効事象判断回路102と孤立画素抽出回路103によって、まず孤立画素を探して、判定している。そこで、孤立画素の判定・探索の時点では、見つかった孤立画素は、第1のしきい値よりも大きな輝度値を持ち、孤立画素の周辺の8画素は、第1のしきい値よりも小さな輝度値になっているのは、孤立画素の定義から当然のことである。これに加え、周辺受光素子84が、光子事象のあった単位受光素子82を中心とする3×3とする場合に、ノイズ除去回路104によって、周辺の8画素に対して、いっそう厳しい制限を課しているのが、本発明の第1の類型の特徴部分である。周辺受光素子84は、第1のしきい値よりも小さいだけでなく、もっと厳しい第2のしきい値より小さい場合に、有効な周辺8画素を有する孤立画素として採用し、該当しない場合には、第2の類型の電荷分割で対処することになる。
上述したように、本発明の第1の類型では、第1のしきい値を超えており、かつ、周辺の画素については、どの8画素も第2のしきい値よりも下回っており、厳格な孤立画素であることを確認したうえで、エネルギー準位判断回路105を用いて、その画素の輝度値が特定のX線エネルギーに対応する範囲にあるか判定する。例えば、16bitのA/D変換器を搭載しているCCDカメラなどでは、画像の画素の明るさは、0から65535の間の整数値で表現されいる。仮に暗電流のレベルの明るさが250だったとすると、第1のしきい値は、例えば300台の任意の値にセットすることが通例である。また、第2のしきい値は例えば250〜300の間に設定される。ほとんどのX線の信号は、第1のしきい値よりも大幅に大きなエネルギー準位に相当するレベルであり、単一光子でも例えば800程度の値になる。このときに600だったのか、800だったのか、がX線エネルギーの違いであり、通常構成される元素に応じた特有の値の範囲にある。そこで、エネルギー準位判断回路105を用いて、特定の元素の画像を作成する場合には、例えば750以上820以下みたいな設定をし、もし地点(X,Y)で、その輝度値がそうだったときは、その元素の画像の(X,Y)地点をプラス1することになる。つまり、計測している際には、画像は1つの画像に過ぎないが、カウンタにあたる画像は、注目したい元素の数だけ、注目したX線エネルギーの種類だけ、独立に用意し、使用することができる。
図8は、孤立した画素の電荷を厳格に選定して収集する方法(図5〜図7B)を用いたX線スペクトルエネルギー別のX線画像を示したもので、図1のセットアップを用いている。図8は20μmの空間分解能で得られたピンホールXRFイメージングで、図8(a)は検査対象の写真を示し、観測領域は破線の四角で表示される。図8(b)は、得られたXRFスペクトルを示す。基板内のCaと黒色パターンのCrの結像結果をそれぞれ図8(c)、図8(d)に示す。20μm間隔のCrバーははっきりと区別される。
空間分解能の実用的な限界を見るために、高品質の要素画像を得るために蓄積時間が1週間に延長されている。CCDカメラ1枚の画像を読み取るのに4秒必要なので、合計測定時間は蓄積時間よりも20%長くなる。測定と並行して、画像は取得後直ちに実験室で用意されたPythonコードで処理される。XRFスペクトルおよび要素画像を含むすべてのX線データは、測定が終了した直後に測定および出力できる。XRFスペクトルを図8(b)に示す。スペクトルでは、カルシウムとクロムのピークを特定できる。ここで、カルシウムはガラス基板から推測される。ガラス基板は、シリコンおよびナトリウムなどの他の元素を含んでいてもよい。蛍光X線がCCD窓材料に強く吸収されるため、今回は検出できていない。
上記の議論は、電荷分割が極端に多くはなく、孤立した画素による電荷収集が十分行える場合の説明である。しかし、センサの1画素あたりのサイズが小さくなり、またセンサの構造によっては、孤立した画素による電荷収集が困難になる。
図9は、本発明の対象となる第2の類型を示すもので、電荷分割が大多数を占め、孤立画素が見いだせない場合の状況を模式的に示した説明図である。
X線画像生成回路20は、有効事象判断回路102、エネルギー準位判断回路105、画素別カウンタ回路106、電荷分割検出回路107、X線カウンタ画像生成回路108およびX線カウンタ画像生成回路109を有する。
電荷分割処理回路108は、電荷分割検出回路107で検出された電荷分割の生じた単位受光素子82と周辺受光素子84について、第1のしきい値を超えている全ての受光素子についての中央値、積分値およびその位置情報を演算する。
電荷分割が顕著な場合の画素情報の選別処理(S400)では、入力される画像データは、X線入射・検出そのものを判定する最低閾値(図3Bに示す第1のしきい値115)を超えている全画素の中央値、積分値、および、中央値を与える画素の位置情報である(S402)。そして、中央値と積分値の比が、指定範囲に入っているものを抽出・選別(S404)。出力データとしては、特定のX線エネルギーの画素の分布と電荷量を示す、電荷量のヒストグラム(X線スペクトル)および、X線画像が得られる(S406)。ヒストグラム(X線スペクトル)は、全画素を足し合わせたものに対しても、任意の画素範囲内についても与えることができる。また、そのようなスペクトルに現れる特定のピークに注目して、そのX線エネルギーまたは、ある程度の幅をもったX線エネルギー範囲について、その分布を画像として与えることができる。
電荷分割検出回路107と電荷分割処理回路108によって、画像読み出しのつど、全画素についての検証を行い、中央値と積分値を求め、その比が既定の範囲にはいった場合のみを有効とする判定を行っている。つまり、積分値に対応する総電荷量が、中央値を与える(X,Y)地点にもともとあったのだと解釈して、読み替えを行う。読み替え後は、中央値のあった地点の輝度が積分値になり、周辺の5×5の画素の値はゼロにセットされる。同時に、電荷分割処理回路108は、エネルギー準位判断回路105と協働して、その積分値が、特定のX線エネルギーに対応する範囲にあるかどうかも判定する。例えば、16bitのA/D変換器を搭載しているCMOSカメラなどでは、画像の画素の明るさは、0から65535の間の整数値で表現される。仮に暗電流のレベルの明るさが250だったとすると、第1のしきい値は、例えば300台の任意の値にセットすることが通例である。ほとんどのX線の信号は、第1のしきい値よりも大幅に大きなエネルギー準位に相当するレベルであり、単一光子でも例えば800程度の値になる。このときに600だったのか、800だったのか、がX線エネルギーの違いであり、通常構成される元素に応じた特有の値の範囲にある。
図13は、中央値と積分値の比を用いて、電荷分割の影響を補正する方法(図9、10)を用いたX線スペクトルエネルギー別のX線画像を示したもので、図1のセットアップを用いている。図13は、同じsCMOSカメラで得られたセラミックプレートの写真とX線蛍光スペクトルで、図13(a)はセラミックプレートの前面の写真であり、図13(b)はそのX線蛍光スペクトルである。図13(c)は裏側の写真、図13(d)はそのスペクトルである。写真とX線蛍光スペクトルは同じsCMOSカメラで得られる。
これは、中央値と積分値の比を用いて、電荷分割の影響を補正する方法(図9、10)を用いている実施例になる。
図13aおよび図13cの2つの写真は、光学レンズシステムおよび透明ガラスカバーを取り外す前にsCMOSカメラによって撮影される。カメラにカラーフィルタがないため、写真はモノクロである。レンズシステムを取り外し、ガラスカバーをX線窓で置き換えた後、前面(図13b)と背面(図13d)のXRFスペクトルをそれぞれ同じsCMOSカメラで測定する。実験では、一次X線ビームは単色の銅Kα線である。1枚の画像の露光時間は100msである。蓄積時間は30分である。
スペクトルでは、すべてのピークが同定され、したがって対応する要素も同様に同定することができる。表側と裏側の元素組成は非常に似ているが、コバルトは正面のみに現れ、コバルトとセラミックの青色の関係を示していることが分かる。
X線画像生成回路30は、有効事象判断回路102、孤立画素抽出回路103、ノイズ除去回路104、エネルギー準位判断回路105、画素別カウンタ回路106、電荷分割検出回路107、X線カウンタ画像生成回路108およびX線カウンタ画像生成回路109を有する。
図において、本発明の第2の実施例のX線分析装置は、試料ホルダー204、試料205、撮像センサ208、X線ビームガイド212で構成されている。なお、図1に示したX線管1、結晶モノクロメータ2、信号制御メカニカルシャッター3に相当する構成要素に関しては、図15では図示を省略している。
図15の実施例では、X線ビームガイド212によって、X線ビーム201として蛍光X線の平行成分のみを撮像センサ208に導いている。
さらに、本発明の実施例としては、可視光波長用に設計されたCCD撮像素子またはCMOS撮像素子をX線撮像素子として使用する場合を示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、エネルギー識別のできるX線イメージングを行なう目的で専用に製作されている半導体ピクセル放射線検出器をX線撮像素子として使用する場合にも適用できる。
(1)孤立した1個のピクセルに電荷があると認められるケース
(電荷分割の頻度がそれほど多くはないケース、比較的ピクセルサイズが大きい場合等)まず、対象となるピクセルが孤立しているかを検査する(S500)。孤立していることを確認した(S502)後に、そのピクセルの周囲の8つのピクセルを点検する(S504)。このようなピクセルは、たぶんゼロだと普通は見なすところ、通常よりも厳しい基準で(新たな閾値を使って)点検する(S506)。新閾値は、通常よりも厳しいので、厳密な条件を満たすものだけが採用され(S506でYes)、そのデータが保存される(S508)。もし、厳密な条件を満たさなければ、そのデータは保存対象から外れる(S506でNo)。そして、全てのピクセルをチェックしたかどうかを確認し(S508)、そうであれば、このルーチンを終了させる。全てのピクセルをチェックしていない場合は(S510でNo)、再び、別のピクセルについて、孤立していることを確認し(S502)する。このようなケースは、CCDカメラのケースに相当することができる。上述のようにして、孤立して明るい画素を見出すことができる。孤立しておらず、隣同士も明るいといったものがあったとしても、それは採用しないようにする。このようにして、見つかった明るい孤立画素を更に厳しく選定してもよい。周囲の8画素が普通に暗いくらいでは容認せず、少しでも余分な電荷のしみだしがあった場合を除外するための厳選を行うことができる。
(2)画像を見渡してどのピクセルも孤立しておらず、その周囲のピクセルに電荷が分散しているケース(S600)(電荷分割の頻度が多いケース、ピクセルサイズが小さい場合、特にS¥CMOS素子の場合など)においては、分散している電荷の総和をとり(S602)、その値と、中央の電荷量の比をとり(S604)、規定の範囲におさまっているものだけを採用する(これは電荷の分布の仕方をみきわめることに対応し、散逸の激しいものをあらかじめ除外する意味がある)。規定の範囲におさまっているのは、その比(R)が、規定1及び規定2の間に入っているかどうかをチェックすることで行う(S606)。入っている場合(S606でYes)は、そのデータを保存する(S608)。入っていない場合(S606でNo)は、そのデータは保存されない。このチェック(S606)後には、全ピクセルをチェックしたかどうかを検査する(S610)。全てをチェックした場合(S610でYes)は、このルーチンを終了させる。全てをチェックしていない場合(S610でNo)は、別の対象ピクセルについて、分散している電荷の総和をとる(S602)。このようにして、対象となるピクセルが規定範囲に収まっているかを順次調べていく。このようなケースは、CMOSカメラのケースに相当する。CMOSカメラで、電荷分割問題を解決し、X線画像を得ることに成功している例は、本発明者らが知る限りにおいて、他になく、本発明者らが唯一成功している。このような場合においては、画素サイズが小さく、電荷分割は極めて高い頻度で生じる。その集合、散逸状態を画像の上でグループとして見出すことは可能である。そのグループの形状分布に着目して、タイプを診断してもよい。その診断の方法は種々検討されてきたが、1番確実性が高く、かつ最も迅速に判断できる方法として、総和の電荷量と中央の電荷量の量的な関係を指標にすることであることが分かった。
2 結晶モノクロメータ
3 信号制御メカニカルシャッター
4、204 試料ホルダー
5、205 試料
6 結像光学系(ピンホール板)
7 X線カメラ(CCDカメラ、CMOSカメラ)
8、208 撮像センサ(二次元半導体センサ)
82 単位受光素子
84 周辺受光素子
9 冷却回路
10、20、30 X線画像生成回路
101a、101b X線ビーム
102 有効事象判断回路
103 孤立画素抽出回路
104 ノイズ除去回路
105 エネルギー準位判断回路
106 画素別カウンタ回路
107 電荷分割検出回路
108 電荷分割処理回路
109 X線カウンタ画像生成回路
11 X線画像表示装置
112、115 第1のしきい値
120 第2のしきい値
Claims (16)
- 分析対象物からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子であって、当該X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子を有すると共に、当該単位受光素子は当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる二次元的領域を有する前記X線撮像素子と、
このX線撮像素子からの受光信号を、各単位受光素子毎に読み込むと共に、当該単位受光素子の当該X線撮像素子内での二次元配置に応じて撮像された分析対象物のX線画像として生成するX線画像生成回路と、を備え、
前記X線画像生成回路は、
前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号および有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値を比較する有効事象判断回路と、
前記有効事象判断回路で有効な光子事象と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号およびノイズと認識する基準となる第2のしきい値を比較するノイズ除去回路と、
前記ノイズ除去回路で除去されないで有効な光子事象と認識された単位受光素子について、前記X線画像生成回路の画素別カウンタ値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ回路と、
この画素別カウンタ回路の計数値に基づいて、前記X線撮像素子によるX線画像を生成するX線カウンタ画像生成回路と、
を備えることを特徴とするX線撮像装置。 - 前記X線画像生成回路は、さらに、前記有効事象判断回路で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、全ての周辺受光素子の受光信号が第1のしきい値以下の前記単位受光素子を孤立画素として抽出する孤立画素抽出回路を有し、
前記ノイズ除去回路は、前記有効事象判断回路で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子であって、前記孤立画素抽出回路での孤立画素として抽出された前記単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第2のしきい値とを比較することを特徴とする請求項1に記載のX線撮像装置。 - 分析対象物からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子であって、当該X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子を有すると共に、当該単位受光素子は当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる二次元的領域を有する前記X線撮像素子と、
このX線撮像素子からの受光信号を、各単位受光素子毎に読み込むと共に、当該単位受光素子の当該X線撮像素子内での二次元配置に応じて撮像された分析対象物のX線画像として生成するX線画像生成回路と、を備え、
前記X線画像生成回路は、
前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号および有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値を比較する有効事象判断回路と、
前記有効事象判断回路で有効な光子事象と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、前記単位受光素子と周辺受光素子との間で電荷分割が生じているか検出する電荷分割検出回路と、
前記電荷分割検出回路で検出された電荷分割の生じた単位受光素子および周辺受光素子について、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子についての中央値、積分値およびその位置情報を演算する電荷分割処理回路と、
前記電荷分割処理回路で演算された前記中央値、積分値およびその位置情報を用いて、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ回路と、
この画素別カウンタ回路の計数値に基づいて、前記X線撮像素子によるX線画像を生成するX線カウンタ画像生成回路と、
を備えることを特徴とするX線撮像装置。 - 前記X線撮像素子は、CCD撮像素子、CMOS撮像素子または半導体ピクセル放射線検出器であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のX線撮像装置。
- 前記X線撮像素子の単位受光素子は、一画素として1乃至10μmの代表長さを有する二次元的領域を有することを特徴とする請求項4に記載のX線撮像装置。
- 前記第1のしきい値は、前記X線撮像素子の各単位受光素子で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、有効な光子事象で生ずるエネルギー準位よりも小さな値であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のX線撮像装置。
- 前記第2のしきい値は、前記X線撮像素子の各単位受光素子で生ずるバックグランドノイズよりも大きな値であって、前記第1のしきい値よりも小さな値であることを特徴とする請求項1又は2に記載のX線撮像装置。
- 前記周辺受光素子は、光子事象のあった前記単位受光素子を中心とする3x3、5x5又は7x7の何れかあることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のX線撮像装置。
- さらに、前記X線画像生成回路の各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号について、当該受光信号のエネルギー準位を求めるエネルギー準位判断回路を有することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のX線撮像装置。
- さらに、前記X線画像生成回路の画素別カウンタ回路は、前記エネルギー準位判断回路で分光されたエネルギー準位に応じて区分されていることを特徴とする請求項9に記載のX線撮像装置。
- 前記X線画像生成回路の画素別カウンタ回路は、光子事象のあった前記単位受光素子の受光信号のエネルギー準位について、前記単位受光素子の周辺受光素子の受光信号のエネルギー準位も加算することを特徴とする請求項10に記載のX線撮像装置。
- さらに、前記分析対象物にX線を含むエネルギー線を照射するX線照射回路を有することを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載のX線撮像装置。
- さらに、前記X線画像生成回路の画素別カウンタ値をリセットする画素別カウンタリセット回路を有することを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載のX線撮像装置。
- 分析対象物からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子の画像処理方法であって、前記X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子を有すると共に、当該単位受光素子は当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる二次元的領域を有するものであって、
前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号と、有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値とを比較する有効事象判断工程と、
前記有効事象判断工程で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、ノイズと認識する基準となる第2のしきい値とを比較するノイズ除去工程と、
前記ノイズ除去工程で除去されないで有効な光子事象と認識された単位受光素子について、当該単位受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ工程と、
この画素別カウンタ工程での計数値に基づいて、前記X線撮像素子によるX線画像を生成することを特徴とするX線撮像素子の画像処理方法。 - 請求項14に記載のX線撮像素子の画像処理方法において、さらに、
前記有効事象判断工程で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、全ての周辺受光素子の受光信号が第1のしきい値以下の前記単位受光素子を孤立画素として抽出する孤立画素抽出工程を有し、
前記ノイズ除去工程は、前記有効事象判断工程で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子であって、前記孤立画素抽出工程での孤立画素として抽出された前記単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、ノイズと認識する基準となる第2のしきい値とを比較することを特徴とするX線撮像素子の画像処理方法。 - 分析対象物からのX線光子を含むエネルギー線を受光するX線撮像素子の画像処理方法であって、前記X線撮像素子は二次元配置の単位受光素子を有すると共に、当該単位受光素子は当該X線光子の受光による電荷共有を生ずる二次元的領域を有するものであって、
前記各単位受光素子毎に読み込まれた受光信号と、有効な光子事象と認識する基準となる第1のしきい値とを比較する有効事象判断工程と、
前記有効事象判断工程で有効な光子事象と認識と認識された単位受光素子の周辺受光素子について、当該周辺受光素子で読み込まれた受光信号と、前記第1のしきい値とを比較して、前記単位受光素子と周辺受光素子との間で電荷分割が生じているか検出する電荷分割検出工程と、
前記電荷分割検出工程で検出された電荷分割の生じた単位受光素子と周辺受光素子について、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子についての中央値、積分値およびその位置情報を演算する電荷分割処理工程と、
前記電荷分割処理工程で演算された前記中央値、積分値およびその位置情報を用いて、前記第1のしきい値を超えている全ての受光素子に対応する画素別カウンタのカウント値をプラス1する計数を行う画素別カウンタ工程と、
この画素別カウンタ工程での計数値に基づいて、前記X線撮像素子によるX線画像を生成することを特徴とするX線撮像素子の画像処理方法。
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