JPWO2019022138A1 - 熱サイクル用作動媒体、熱サイクルシステム用組成物および熱サイクルシステム - Google Patents

熱サイクル用作動媒体、熱サイクルシステム用組成物および熱サイクルシステム Download PDF

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Abstract

ODPおよびGWPが充分に低いことで地球温暖化への影響が充分に抑制され、冷凍能力および成績係数(COP)等のサイクル性能も良好で、さらに、燃焼性が充分に抑えられた安全性の高い熱サイクル用の作動媒体を提供する。HCFO−1224ydとHFO−1234ze(E)とを含む熱サイクル用作動媒体であって、熱サイクル用作動媒体中に含まれる、HCFO−1224ydとHFO−1234ze(E)の合計含有量が50質量%以上であり、かつ、HCFO−1224yd:HFO−1234ze(E)で表される割合が、所定の割合であることを特徴とする熱サイクル用作動媒体。

Description

本発明は、熱サイクル用作動媒体およびこれを含む熱サイクルシステム用組成物、ならびに該組成物を用いた熱サイクルシステムに関する。
従来、冷凍機用冷媒、空調機器用冷媒、発電システム(廃熱回収発電等)用作動媒体、潜熱輸送装置(ヒートパイプ等)用作動媒体、二次冷却媒体等の熱サイクルシステム用の作動媒体としては、クロロフルオロカーボン(CFC)やヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)が用いられてきた。しかし、CFCおよびHCFCは、成層圏に存在するオゾン層への影響が指摘され、特にCFCはオゾン破壊係数(ODP)が高いことからモントリオール議定書にしたがって既に全廃となっており、HCFCについても2020年に全廃が決まっている。
そこで、CFCやHCFCに代えて、オゾン層への影響が少ない、ヒドロフルオロカーボン(HFC)が熱サイクル用の作動媒体として用いられるようになった。一方で、HFCは地球温暖化係数(GWP)が比較的高く問題があると考えられている。
例えば、ビルの冷暖房用、工業用の冷水製造プラントなどに用いられる遠心式冷凍機においては、従来、トリクロロフルオロメタン(CFC−11)が作動媒体として用いられていた。しかしながら、ODPが1、GWPが4750であるCFC−11は、既に全廃されており、これを代替する作動媒体として、現状では、ODPが0.02、GWPが77と、ともに低い1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123)が使用されている。また、GWPが高いがODPが0であるHFCとして、GWPが1430の1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)や、GWPが1030の1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)等もCFC−11の代替として使用されている。
これに対して、最近、オゾン層への影響が少なく、かつGWPが低い作動媒体として、炭素−炭素二重結合を有する、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)およびクロロフルオロオレフィン(CFO)等に期待が集まっている。これらの作動媒体は、炭素−炭素二重結合を有しているため、大気中のOHラジカルによって分解されやすい。本明細書においては、特に断りのない限り飽和のHFCをHFCといい、HFOとは区別して用いる。
なかでも、HCFOおよびCFOは、一分子中のハロゲンの割合が多いため、燃焼性が抑えられた化合物であり、環境への負荷が少なくかつ燃焼性を抑えた作動媒体として検討されている。例えば、特許文献1には1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1224yd)を用いる作動媒体が記載されている。
国際公開第2012/157763号
上記のHCFO−1224ydを使用した作動媒体は、環境への負荷が少なくかつサイクル性能が良好なものであるが、環境負荷が低いまま、よりサイクル性能を向上させた作動媒体が求められている。このような作動媒体としては、さらに燃焼性が低く維持され、安全性についても問題のないものが求められている。
そこで、本発明は、ODPおよびGWPが充分に低いことで地球温暖化への影響が充分に抑制され、冷凍能力および成績係数(COP)等のサイクル性能も良好で、さらに、燃焼性が充分に抑えられた安全性の高い熱サイクル用の作動媒体の提供を目的とする。
また、本発明は、このような作動媒体を含む熱サイクルシステム用組成物、ならびに該組成物を用いた熱サイクルシステムの提供も目的とする。
本発明は、上記観点からなされたものであって、以下の構成を有する熱サイクル用作動媒体、熱サイクルシステム用組成物および熱サイクルシステムを提供する。
[1]1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと(E)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む熱サイクル用作動媒体であって、前記熱サイクル用作動媒体中に含まれる、前記1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと前記1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの合計含有量が50質量%以上であり、かつ、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン:(E)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンで表される割合が、質量基準で、20:80〜99:1であることを特徴とする熱サイクル用作動媒体。
[2]1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとを含む熱サイクル用作動媒体であって、前記熱サイクル用作動媒体中に含まれる、前記1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと前記2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの合計含有量が50質量%以上であり、かつ、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン:2,3,3,3−テトラフルオロプロペンで表される割合が、質量基準で、30:70〜99:1であることを特徴とする熱サイクル用作動媒体。
[3]前記1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、(E)−1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン:(Z)−1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンで表される割合が、質量基準で、50:50〜0.01:99.99である[1]または[2]に記載の熱サイクル用作動媒体。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の熱サイクル用作動媒体を含む熱サイクルシステム用組成物。
[5]潤滑油を含む[4]に記載の熱サイクルシステム用組成物。
[6]前記熱サイクル用作動媒体の劣化を抑制する安定剤を含む[4]または[5]に記載の熱サイクルシステム用組成物。
[7][4]〜[6]のいずれかに記載の熱サイクルシステム用組成物を用いた、熱サイクルシステム。
[8]前記熱サイクルシステムが冷凍・冷蔵機器、空調機器、発電システム、熱輸送装置または二次冷却機である[7]に記載の熱サイクルシステム。
[9]前記熱サイクルシステムが遠心式冷凍機である[7]または[8]に記載の熱サイクルシステム。
[10]前記熱サイクルシステムが低圧型遠心式冷凍機である[7]〜[9]のいずれかに記載の熱サイクルシステム。
本発明の熱サイクル用作動媒体および熱サイクルシステム用組成物によれば、サイクル性能に優れ、ODPおよびGWPが充分に低いことで地球温暖化への影響が充分に抑制された熱サイクル用作動媒体および熱サイクルシステム用組成物を提供できる。さらに、この熱サイクル用作動媒体および熱サイクルシステム用組成物は、燃焼性が十分に抑制されたものである。
本発明の熱サイクルシステムによれば、上記本発明の熱サイクルシステム用組成物を用いているため、サイクル性能に優れ、環境負荷を低くできるとともに、燃焼性が抑制されているため安全性を高めたものとできる。
本発明の熱サイクルシステム(冷凍サイクルシステム)の一例を示す概略構成図である。 図1の熱サイクルシステムにおける、熱サイクル用作動媒体の状態変化を圧力−エンタルピ線図上に記載したサイクル図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本明細書において、ハロゲン化炭化水素については、化合物名の後の括弧内にその化合物の略称を記すが、本明細書では必要に応じて化合物名に代えてその略称を用いる。また、幾何異性体を有する化合物の名称およびその略称に付けられた(E)は、E体(トランス体)を示し、(Z)はZ体(シス体)を示す。該化合物の名称、略称において、E体、Z体の明記がない場合、該名称、略称は、E体、Z体、およびE体とZ体の混合物を含む総称を意味する。
本明細書において、「熱サイクルシステム」とは、熱サイクル用システムに、熱サイクル用作動媒体(以下、単に作動媒体ともいう。)が投入されて熱サイクルが実行可能な状態にされた、作動媒体と熱サイクル用システムを備えるシステムをいう。「熱サイクル用システム」とは、システム内を作動媒体が流通することで該作動媒体と該作動媒体以外の他の物質との間で熱交換(熱サイクル)が行えるように設計された熱サイクル用のシステムをいう。
<熱サイクル用作動媒体>
本発明の実施形態である熱サイクル用作動媒体は、上記したように、特定の作動媒体が所定の割合で混合されてなるものである。具体的には、次の2つの作動媒体が挙げられる。
〈第1の熱サイクル用作動媒体〉
本実施形態の第1の熱サイクル用作動媒体は、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1224yd)と(E)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(E))を含み、作動媒体中に含まれる、HCFO−1224ydとHFO−1234ze(E)の合計含有量が50質量%以上であり、かつ、HCFO−1224yd:HFO−1234ze(E)で表される割合が、質量基準で、20:80〜99:1である。
〈第2の熱サイクル用作動媒体〉
本実施形態の第2の熱サイクル用作動媒体は、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1224yd)と2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)を含み、作動媒体中に含まれる、HCFO−1224ydとHFO−1234yfの合計含有量が50質量%以上であり、かつ、HCFO−1224yd:HFO−1234yfで表される割合が、質量基準で、30:70〜99:1である。
これら実施形態の作動媒体は、熱サイクル用システムと組み合わせて用いられる。また、これらの作動媒体を作動媒体以外の化合物と組合わせて、これら作動媒体を含む熱サイクルシステム用組成物として熱サイクルシステムに用いてもよい。
次に、上記した作動媒体に含まれる各成分について説明する。
(HCFO−1224yd)
HCFO−1224ydは、燃焼性を抑えるハロゲンと、大気中のOHラジカルによって分解され易い炭素−炭素二重結合をその分子内に有し、上記のように第1および第2のいずれの熱サイクル用作動媒体にも含まれる必須成分である。
このHCFO−1224ydには、HCFO−1224yd(Z)とHCFO−1224yd(E)の幾何異性体が存在し、HCFO−1224yd(Z)の沸点は15℃であり、HCFO−1224yd(E)の沸点は19℃である。GWPは、HCFO−1224yd(Z)およびHCFO−1224yd(E)はともに<1である。なお、ODPはHCFO−1224yd(Z)およびHCFO−1224yd(E)ともに0である。HCFO−1224yd(Z)は、HCFO−1224yd(E)に比べて化学的安定性が高い。
なお、本明細書において、「HCFO−1224yd」との表記は、HCFO−1224yd(Z)単独、HCFO−1224yd(E)単独、HCFO−1224yd(Z)とHCFO−1224yd(E)との混合物、のいずれをも含むものとして解釈される。
なお、本実施形態では、HCFO−1224ydは、HCFO−1224yd(E):HCFO−1224yd(Z)で表される割合が、質量基準で、50:50〜0:100であることが好ましく、精製コストとの関係から、50:50〜0.001:99.999であることがより好ましく、50:50〜0.01:99.99であることがよりさらに好ましく、20:80〜0.01:99.99であることが特に好ましい。
(HFO−1234ze(E))
HFO−1234ze(E)は、大気中のOHラジカルによって分解され易い炭素−炭素二重結合をその分子内に有し、これをHCFO−1224ydと混合して用いることで、燃焼性の抑制状態を維持しつつ、サイクル性能の良好な熱サイクル用作動媒体とできる。このHFO−1234ze(E)の沸点は−15℃であり、GWPは<1であり、ODPは0である。
(HFO−1234yf)
HFO−1234yfは、大気中のOHラジカルによって分解され易い炭素−炭素二重結合をその分子内に有し、これをHCFO−1224ydと混合して用いることで、燃焼性の抑制状態を維持しつつ、サイクル性能の良好な熱サイクル用作動媒体とできる。このHFO−1234yfの沸点は−29.4℃であり、GWPは<1であり、ODPは0である。
上記本実施形態の熱サイクル用作動媒体に含まれる、HCFO−1224yd、HFO−1234ze(E)およびHFO−1234yfの作動媒体としての特性について表1に示す。ここで示す特性は、具体的には、沸点、サイクル性能、環境負荷について、HCFO−1224yd(Z)単独のものと比較したものである。
Figure 2019022138
(サイクル性能)
サイクル性能としては、例えば、図1に示す熱サイクルシステム(冷凍サイクルシステム)で評価される成績係数および冷凍能力が挙げられる。HCFO−1224yd(Z)、HFO−1234ze(E)およびHFO−1234yfの成績係数および冷凍能力は、HCFO−1224yd(Z)単独のものを基準(1.00)とする相対成績係数および相対冷凍能力として表1に示した。相対成績係数および相対冷凍能力は、1より大きいほど、HCFO−1224yd(Z)に比較してサイクル性能に優れる作動媒体であることを示す。
(環境負荷)
環境への負荷は、ODPおよびGWPで評価する。ODPはオゾン層保護法に示されるまたはこれに準じて測定された値である。GWPは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書(2007年)に示される、または該報告書の方法に準じて測定された100年の値である。本明細書において、GWPは特に断りのない限りこの値をいう。なお、混合物である作動媒体におけるGWPは、各成分の組成質量による加重平均とする。
表1から、HFO−1234ze(E)は、HCFO−1224yd(Z)単独と比較して、作動媒体としての冷凍能力に非常に優れ、成績係数については同等であり、かつ、GWP等の環境負荷が小さい。
また、HFO−1234yfは、HCFO−1224yd(Z)単独と比較して、作動媒体としての冷凍能力に非常に優れ、成績係数についてはほぼ同等であり、かつ、GWP等の環境負荷が小さい。
本実施形態の熱サイクル用作動媒体は、HCFO−1224yd(Z)に、HFO−1234ze(E)またはHFO−1234yfを任意の割合で含有することで、さらにサイクル性能を向上させ、かつ、燃焼性を十分に抑制した安全性の良好な作動媒体である。すなわち、本実施形態の熱サイクル用作動媒体は、従来使用されているHCFO−1224yd(Z)に対して、さらに機能を向上させた熱サイクル用作動媒体である。
ここで、作動媒体を上記のように複数の化合物を含む混合物とする場合、温度勾配を考慮する必要がある。温度勾配は、混合物の作動媒体における液相、気相での組成の差異をはかる指標であり、例えば、図1に示す冷凍サイクルシステム10の凝縮器12における凝縮の開始温度と完了温度の差として示される。化合物単体および共沸混合物においては、温度勾配は0であり、蒸発時に共沸混合物に近い挙動(気液組成の変化が少ない)を示す擬似共沸混合物では温度勾配は極めて0に近い。
温度勾配が大きいと、例えば、蒸発器における入口温度が低下することで着霜の可能性が大きくなり問題である。さらに、熱サイクルシステムにおいては、熱交換効率の向上をはかるために熱交換器を流れる作動媒体と水や空気等の熱源流体を対向流にすることが一般的であり、安定運転状態においては該熱源流体の温度差が小さいことから、温度勾配の大きい非共沸混合物の場合、エネルギー効率のよい熱サイクルシステムを得ることが困難である。このため、混合物を作動媒体として使用する場合は適切な温度勾配を有する作動媒体が望まれる。
HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234ze(E)の混合物およびHCFO−1224yd(Z)とHFO−1234yfの混合物は、いずれの混合割合の混合物においても共沸しない。すなわち、これらの混合物においては、いずれの混合割合の混合物も非共沸混合物である。
したがって、本実施形態の熱サイクル用作動媒体において、上記の混合物とする場合には、温度勾配も考慮して組成を設定することが好ましい。温度勾配は、例えば、14℃以下となるようにすることが好ましく、13℃以下がより好ましく、12℃以下がさらに好ましい。
なお、上記混合物における組成変化によるGWP等の環境負荷の変化は殆どないことから、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234ze(E)の混合物、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234yfの混合物の好ましい組成は、サイクル性能と温度勾配のバランスを主に考慮して、選択すればよい。
また、本実施形態の熱サイクル用作動媒体における、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234ze(E)の混合物の好ましい組成としては、燃焼性、サイクル性能と温度勾配のバランスを勘案して、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234ze(E)の合計量に対する、HCFO−1224yd(Z)の割合が20〜99質量%、HFO−1234ze(E)の割合が80〜1質量%となる組成が挙げられる。作動媒体における、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234ze(E)の組成が、上記範囲であれば、サイクル性能を向上させながら、燃焼性も十分に抑制できる。
この組成としては、さらに、HCFO−1224yd(Z)の割合が40〜99質量%、HFO−1234ze(E)の割合が60〜1質量%が好ましく、HCFO−1224yd(Z)の割合が70〜99質量%、HFO−1234ze(E)の割合が30〜1質量%が特に好ましい。
本実施形態の熱サイクル用作動媒体における、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234yfの混合物の好ましい組成としては、燃焼性、サイクル性能と温度勾配のバランスを勘案して、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234yfの合計量に対する、HCFO−1224yd(Z)の割合が30〜99質量%、HFO−1234yfの割合が70〜1質量%となる組成が挙げられる。作動媒体における、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234yfの組成が、上記範囲であれば、サイクル性能を向上させながら、燃焼性も十分に抑制できる。
この組成としては、さらに、HCFO−1224yd(Z)の割合が50〜99質量%、HFO−1234yfの割合が50〜1質量%が好ましく、HCFO−1224yd(Z)の割合が80〜99質量%、HFO−1234yfの割合が20〜1質量%が特に好ましい。
これら混合物において、作動媒体全量に対する、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234ze(E)の合計含有量またはHCFO−1224yd(Z)とHFO−1234yfの合計含有量がそれぞれ50質量%以上である。この合計含有量は、作動媒体全量に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。
HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234ze(E)の合計含有量またはHCFO−1224yd(Z)とHFO−1234yfの合計含有量が上記範囲内であれば、作動媒体のサイクル性能を向上させつつ、燃焼性を十分に抑制できる。これらの作動媒体は、さらに、環境に対する負荷が小さく、温度勾配の問題も殆どないという好ましい特徴を有する熱サイクル用作動媒体となる。
本実施形態の熱サイクル用作動媒体は、作動媒体のサイクル性能をさらに向上させる観点から、HCFO−1224yd(Z)と、HFO−1234ze(E)と、HFO−1234yfとを含むことが好ましい。この場合、HCFO−1224yd(Z)、HFO−1234ze(E)およびHFO−1234yfの合計量に対するHCFO−1224yd(Z)の割合が10〜50質量%、HFO−1234ze(E)の割合が40〜80質量%、HFO−1234yfの割合が10〜50質量%であることが好ましい。
(サイクル性能、燃焼性および温度勾配の評価方法)
熱サイクル用作動媒体のサイクル性能(冷凍能力(Q)、成績係数(COP))、燃焼性および温度勾配は、例えば、図1に概略構成図が示される冷凍サイクルシステムを用いて評価できる。
図1に示す冷凍サイクルシステム10は、作動媒体蒸気Aを圧縮して高温高圧の作動媒体蒸気Bとする圧縮機11と、圧縮機11から排出された作動媒体蒸気Bを冷却し、液化して低温高圧の作動媒体Cとする凝縮器12と、凝縮器12から排出された作動媒体Cを膨張させて低温低圧の作動媒体Dとする膨張弁13と、膨張弁13から排出された作動媒体Dを加熱して高温低圧の作動媒体蒸気Aとする蒸発器14と、蒸発器14に負荷流体Eを供給するポンプ15と、凝縮器12に流体Fを供給するポンプ16とを具備して概略構成されるシステムである。
冷凍サイクルシステム10においては、以下の(i)〜(iv)のサイクルが繰り返される。
(i)蒸発器14から排出された作動媒体蒸気Aを圧縮機11にて圧縮して高温高圧の作動媒体蒸気Bとする(以下、「AB過程」という。)。
(ii)圧縮機11から排出された作動媒体蒸気Bを凝縮器12にて流体Fによって冷却し、液化して低温高圧の作動媒体Cとする。この際、流体Fは加熱されて流体F’となり、凝縮器12から排出される(以下、「BC過程」という。)。
(iii)凝縮器12から排出された作動媒体Cを膨張弁13にて膨張させて低温低圧の作動媒体Dとする(以下、「CD過程」という。)。
(iv)膨張弁13から排出された作動媒体Dを蒸発器14にて負荷流体Eによって加熱して高温低圧の作動媒体蒸気Aとする。この際、負荷流体Eは冷却されて負荷流体E’となり、蒸発器14から排出される(以下、「DA過程」という。)。
冷凍サイクルシステム10は、断熱・等エントロピ変化、等エンタルピ変化および等圧変化からなるサイクルシステムである。作動媒体の状態変化を、図2に示される圧力−エンタルピ線(曲線)図上に記載すると、A、B、C、Dを頂点とする台形として表すことができる。
AB過程は、圧縮機11で断熱圧縮を行い、高温低圧の作動媒体蒸気Aを高温高圧の作動媒体蒸気Bとする過程であり、図2においてAB線で示される。後述のとおり、作動媒体蒸気Aは過熱状態で圧縮機11に導入され、得られる作動媒体蒸気Bも過熱状態の蒸気である。
吐出圧力は、図2においてBの状態の圧力(Px)であり、冷凍サイクルにおける最高圧力である。また、図2においてBの状態の温度(Tx)は吐出温度であり、冷凍サイクルにおける最高温度である。なお、以下に説明するとおり、BC過程は等圧冷却であることから吐出圧力は凝縮圧と同じ値を示す。よって、図2においては、便宜上、凝縮圧をPxと示している。
BC過程は、凝縮器12で等圧冷却を行い、高温高圧の作動媒体蒸気Bを低温高圧の作動媒体Cとする過程であり、図2においてBC線で示される。この際の圧力が凝縮圧である。圧力−エンタルピ線とBC線の交点のうち高エンタルピ側の交点Tが凝縮温度であり、低エンタルピ側の交点Tが凝縮沸点温度である。ここで、作動媒体が非共沸混合媒体である場合の温度勾配は、TとTの差として示される。
CD過程は、膨張弁13で等エンタルピ膨張を行い、低温高圧の作動媒体Cを低温低圧の作動媒体Dとする過程であり、図2においてCD線で示される。なお、低温高圧の作動媒体Cにおける温度をTで示せば、T−Tが(i)〜(iv)のサイクルにおける作動媒体の過冷却度(SC)となる。
DA過程は、蒸発器14で等圧加熱を行い、低温低圧の作動媒体Dを高温低圧の作動媒体蒸気Aに戻す過程であり、図2においてDA線で示される。この際の圧力が蒸発圧である。圧力−エンタルピ線とDA線の交点のうち高エンタルピ側の交点Tは蒸発温度である。作動媒体蒸気Aの温度をTで示せば、T−Tが(i)〜(iv)のサイクルにおける作動媒体の過熱度(SH)となる。なお、Tは作動媒体Dの温度を示す。
作動媒体の冷凍能力(Q)と成績係数(COP)は、作動媒体のA(蒸発後、高温低圧)、B(圧縮後、高温高圧)、C(凝縮後、低温高圧)、D(膨張後、低温低圧)の各状態における各エンタルピ、h、h、h、hを用いると、下式(A)、(B)からそれぞれ求められる。このとき、機器効率による損失、および配管、熱交換器における圧力損失はないものとする。
作動媒体のサイクル性能の算出に必要となる熱力学性質は、対応状態原理に基づく一般化状態方程式(Soave−Redlich−Kwong式)、および熱力学諸関係式に基づき算出できる。特性値が入手できない場合は、原子団寄与法に基づく推算手法を用い算出を行う。
Q=h−h …(A)
COP=Q/圧縮仕事=(h−h)/(h−h) …(B)
上記(h−h)で示されるQが冷凍サイクルの出力(kW)に相当し、(h−h)で示される圧縮仕事、例えば、圧縮機を運転するために必要とされる電力量が、消費された動力(kW)に相当する。また、Qは負荷流体を冷凍する能力を意味しており、Qが高いほど同一のシステムにおいて、多くの仕事ができることを意味する。言い換えると、大きなQを有する場合は、少量の作動媒体で目的とする性能が得られることを表し、システムの小型化が可能である。
なお、表1の数値についても上記算出方法に基づいて行っているが、このときの冷凍サイクルの温度条件としては以下の温度により評価を行った際の数値に基づくものである。
蒸発温度;5℃(蒸発開始温度と蒸発完了温度の平均温度)
凝縮完了温度;40℃(凝縮開始温度と凝縮完了温度の平均温度)
過冷却度(SC);5℃
過熱度(SH);0℃
圧縮機効率:0.8
(任意成分)
本実施形態の熱サイクル用作動媒体は、HCFO−1224ydとHFO−1234ze(E)またはHCFO−1224ydとHFO−1234yf以外に、作動媒体として用いられる公知の化合物を熱サイクル用作動媒体の全量に対して50質量%以下の割合で任意に含有してもよい。このような化合物(任意成分)が含有される場合、この化合物(任意成分)の作動媒体全量に対する割合は、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましく、5質量%以下が最も好ましい。
任意成分としては、例えば、HFC、HFO−1234ze(E)およびHFO−1234yf以外のHFO(以下、「その他のHFO」ともいう。)、HCFO−1224yd以外のHCFO(以下、「その他のHCFO」ともいう。)、トランス−1,2−ジクロロエチレン等の作動媒体が挙げられる。
任意成分は、HCFO−1224ydとHFO−1234ze(E)の混合物またはHCFO−1224ydとHFO−1234yfの混合物と組み合わせて作動媒体とした際に、サイクル性能をより高める作用を有しながら、GWP等の環境への負荷を許容の範囲にとどめられ、燃焼性を向上させない等の安全性を十分に確保可能とする観点から選択されることが好ましい。
(HFC)
HFCは、HCFO−1224yd、HFO−1234ze(E)、HFO−1234yfに比べてGWPが高いことが知られている。したがって、HCFO−1224ydとHFO−1234ze(E)の混合物またはHCFO−1224ydとHFO−1234yfの混合物と組合せるHFCとしては、作動媒体とした際に特にGWP等の環境への負荷を許容の範囲にとどめることに留意して、適宜選択されることが好ましい。
GWP等の環境への負荷が小さいHFCとして具体的には炭素数1〜5のHFCが好ましい。HFCは、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、環状であってもよい。
HFCとしては、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘキサフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ペンタフルオロブタン、ヘプタフルオロシクロペンタン等が挙げられる。
これらのなかでも、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、HFC−134a、HFC−245fa、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)がより好ましく、HFC−134a、HFC−245fa、HFC−365mfcがさらに好ましい。HFCは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(HFO)
HFO−1234ze(E)およびHFO−1234yf以外であってもHFOであれば、GWPはHFCに比べて桁違いに低い。したがって、その他のHFOとしては、GWPを考慮するよりも、作動媒体としてのサイクル性能の向上や燃焼性を高めずに安全性が確保できる点に留意して、適宜選択することが好ましい。
その他のHFOとしては、HFO−1336mzz(Z)、HFO−1336mzz(E)、1,2−ジフルオロエチレン(HFO−1132)、2−フルオロプロペン(HFO−1261yf)、1,1,2−トリフルオロプロペン(HFO−1243yc)、(E)−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye(E))、(Z)−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFO−1225ye(Z))、(Z)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze(Z))、3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)が挙げられる。
その他のHFOとしては、HFO−1234ze(Z)、HFO−1243zfが好ましい。その他のHFOは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ちなみに、HFO−1234ze(Z)の沸点は9.7℃であり、GWPは<1であり、ODPは0である。
(HCFO)
HCFOとしては、1−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン(HCFO−1122)、1,2−ジクロロフルオロエチレン(HCFO−1121)、1−クロロ−2−フルオロエチレン(HCFO−1131)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233yd)および1−クロロ−3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1233zd)が挙げられる。
その他のHCFOとしては、高い臨界温度を有し、耐久性、成績係数が優れる点から、HCFO−1233zdが好ましい。その他のHCFOは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(その他の任意成分)
本実施形態の熱サイクルシステムに用いる作動媒体は、上記各成分以外に、二酸化炭素、炭化水素、クロロフルオロオレフィン(CFO)等を含有してもよい。その他の任意成分としてはオゾン層への影響が少なく、かつ地球温暖化への影響が小さい成分が好ましい。
炭化水素としては、プロパン、プロピレン、シクロプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン等が挙げられる。炭化水素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。炭化水素を含有することで作動媒体への鉱物系潤滑油の溶解性が良好になる。
作動媒体が炭化水素を含有する場合、炭化水素の含有量は作動媒体100質量%に対して、10質量%以下であることが燃焼性の観点から好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
CFOとしては、クロロフルオロプロペン、クロロフルオロエチレン等が挙げられる。作動媒体のサイクル性能を大きく低下させることなく作動媒体の燃焼性を抑えやすい点から、CFOとしては、1,1−ジクロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214ya)、1,3−ジクロロ−1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(CFO−1214yb)、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレン(CFO−1112)が好ましい。CFOは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
作動媒体が上記のような任意成分を含有する場合、各任意成分について含有量は、作動媒体100質量%に対して50質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。複数の任意成分を含有する場合、作動媒体における任意成分の合計含有量は、作動媒体100質量%に対して50質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
<熱サイクルシステム用組成物>
本実施形態の作動媒体は、熱サイクルシステムへの適用に際して、これを含む本実施形態の熱サイクルシステム用組成物として使用することができる。本実施形態の熱サイクルシステム用組成物は、通常、上記した本実施形態の作動媒体に加えて、潤滑油を含有する。また、本実施形態の熱サイクルシステム用組成物は、安定剤、漏れ検出物質等の公知の添加剤を含有してもよい。これらの潤滑油や添加剤は、それぞれ組み合わせて用いることもできる。
(潤滑油)
潤滑油としては、従来からハロゲン化炭化水素からなる作動媒体とともに、作動媒体組成物に用いられる公知の潤滑油が特に制限なく採用できる。潤滑油として具体的には、含酸素系合成油(エステル系潤滑油、エーテル系潤滑油等)、フッ素系潤滑油、鉱物系潤滑油、炭化水素系合成油等が挙げられる。
エステル系潤滑油としては、二塩基酸エステル油、ポリオールエステル油、コンプレックスエステル油、ポリオール炭酸エステル油等が挙げられる。
エーテル系潤滑油としては、ポリビニルエーテル油や、ポリグリコール油等のポリオキシアルキレン油が挙げられる。
フッ素系潤滑油としては、合成油(後述する鉱物油、ポリα−オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等。)の水素原子をフッ素原子に置換した化合物、ペルフルオロポリエーテル油、フッ素化シリコーン油等が挙げられる。
鉱物系潤滑油としては、原油を常圧蒸留または減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、精製処理(溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、白土処理等)を適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油等が挙げられる。
炭化水素系合成油としては、ポリα−オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン等が挙げられる。
潤滑油は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
潤滑油としては、作動媒体との相溶性の点から、ポリオールエステル油、ポリビニルエーテル油およびポリグリコール油から選ばれる1種以上が好ましい。
潤滑油の添加量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、作動媒体100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、20〜50質量部がより好ましい。
(安定剤)
安定剤は、熱および酸化に対する作動媒体の安定性を向上させる成分である。安定剤としては、従来からハロゲン化炭化水素からなる作動媒体とともに、熱サイクルシステムに用いられる公知の安定剤、例えば、耐酸化性向上剤、耐熱性向上剤、金属不活性剤等が特に制限なく採用できる。
耐酸化性向上剤および耐熱性向上剤としては、N,N’−ジフェニルフェニレンジアミン、p−オクチルジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、N−(p−ドデシル)フェニル−2−ナフチルアミン、ジ−1−ナフチルアミン、ジ−2−ナフチルアミン、N−アルキルフェノチアジン、6−(t−ブチル)フェノール、2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4−メチル−2,6−ジ−(t−ブチル)フェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。耐酸化性向上剤および耐熱性向上剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属不活性剤としては、イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、2,5−ジメチルカプトチアジアゾール、サリシリジン−プロピレンジアミン、ピラゾール、ベンゾトリアゾール、トルトリアゾール、2−メチルベンズアミダゾール、3,5−ジメチルピラゾール、メチレンビス−ベンゾトリアゾール、有機酸またはそれらのエステル、第1級、第2級または第3級の脂肪族アミン、有機酸または無機酸のアミン塩、複素環式窒素含有化合物、アルキル酸ホスフェートのアミン塩またはそれらの誘導体等が挙げられる。
安定剤の添加量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、作動媒体100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましい。
(漏れ検出物質)
漏れ検出物質としては、紫外線蛍光染料、臭気ガスや臭いマスキング剤等が挙げられる。
紫外線蛍光染料としては、米国特許第4249412号明細書、特表平10−502737号公報、特表2007−511645号公報、特表2008−500437号公報、特表2008−531836号公報に記載されたもの等、従来、ハロゲン化炭化水素からなる作動媒体とともに、熱サイクルシステムに用いられる公知の紫外線蛍光染料が挙げられる。
臭いマスキング剤としては、特表2008−500437号公報、特表2008−531836号公報に記載されたもの等、従来からハロゲン化炭化水素からなる作動媒体とともに、熱サイクルシステムに用いられる公知の香料が挙げられる。
漏れ検出物質を用いる場合には、作動媒体への漏れ検出物質の溶解性を向上させる可溶化剤を用いてもよい。
可溶化剤としては、特表2007−511645号公報、特表2008−500437号公報、特表2008−531836号公報に記載されたもの等が挙げられる。
漏れ検出物質の添加量は、本発明の効果を著しく低下させない範囲であればよく、作動媒体100質量部に対して、2質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましい。
<熱サイクルシステム>
本実施形態の熱サイクルシステムは、熱サイクル用の機器や装置に上記作動媒体を含む熱サイクルシステム用組成物を適用して得られる。熱サイクルシステムとしては、圧縮機、凝縮器や蒸発器等の熱交換器を含む熱サイクルシステムが挙げられる。
本実施形態の熱サイクルシステムは、凝縮器で得られる温熱を利用するヒートポンプシステムであってもよく、蒸発器で得られる冷熱を利用する冷凍サイクルシステムであってもよい。本実施形態の熱サイクルシステムは、フラデッドエバポレーター式であってもよく、直接膨張式であってもよい。本実施形態の熱サイクルシステムにおいて、作動媒体との間で熱交換される作動媒体以外の他の物質は水または空気が好ましい。
本実施形態の熱サイクルシステムとして、具体的には、冷凍・冷蔵機器、空調機器、発電システム、熱輸送装置および二次冷却機等が挙げられる。なかでも、本実施形態の熱サイクルシステムは、より高温の作動環境でも安定してサイクル性能を発揮できるため屋外等に設置されることが多い空調機器として用いられることが好ましい。また、本実施形態の熱サイクルシステムは、冷凍・冷蔵機器として用いられることも好ましい。
発電システムとしては、ランキンサイクルシステムによる発電システムが好ましい。発電システムとして、具体的には、蒸発器において地熱エネルギー、太陽熱、50〜200℃程度の中〜高温度域廃熱等により作動媒体を加熱し、高温高圧状態の蒸気となった作動媒体を膨張機にて断熱膨張させ、該断熱膨張によって発生する仕事によって発電機を駆動させ、発電を行うシステムが例示される。
また、本実施形態の熱サイクルシステムは、熱輸送装置であってもよい。熱輸送装置としては、潜熱輸送装置が好ましい。潜熱輸送装置としては、装置内に封入された作動媒体の蒸発、沸騰、凝縮等の現象を利用して潜熱輸送を行うヒートパイプおよび二相密閉型熱サイフォン装置が挙げられる。ヒートパイプは、半導体素子や電子機器の発熱部の冷却装置等、比較的小型の冷却装置に適用される。二相密閉型熱サイフォンは、ウィッグを必要とせず構造が簡単であることから、ガス−ガス型熱交換器、道路の融雪促進および凍結防止等に広く利用される。
冷凍・冷蔵機器として、具体的には、ショーケース(内蔵型ショーケース、別置型ショーケース等)、業務用冷凍・冷蔵庫、自動販売機、製氷機等が挙げられる。
空調機器として、具体的には、ルームエアコン、パッケージエアコン(店舗用パッケージエアコン、ビル用パッケージエアコン、設備用パッケージエアコン等)、熱源機器チリングユニット、ガスエンジンヒートポンプ、列車用空調装置、自動車用空調装置等が挙げられる。
熱源機器チリングユニットとしては、例えば、容積圧縮式冷凍機、遠心式冷凍機が挙げられるが、次に説明する遠心式冷凍機は作動媒体の充填量が多いので、本実施形態の効果をより顕著に得ることができ好ましい。
ここで、遠心式冷凍機は、遠心圧縮機を用いた冷凍機である。遠心式冷凍機は、蒸気圧縮式の冷凍機の一種であり、通常、ターボ冷凍機とも言われる。遠心圧縮機は、羽根車を備えており、回転する羽根車で作動媒体を外周部へ吐き出すことで圧縮を行う。遠心式冷凍機は、オフィスビル、地域冷暖房、病院での冷暖房の他、半導体工場、石油化学工業での冷水製造プラント等に用いられている。
遠心式冷凍機としては、低圧型、高圧型のいずれであってもよいが、低圧型の遠心冷凍機であることが好ましい。なお、低圧型とは、例えば、CFC−11、HCFC−123、HFC−245faのような高圧ガス保安法の適用を受けない作動媒体、すなわち、「常用の温度において、圧力0.2MPa以上となる液化ガスで現にその圧力が0.2MPa以上であるもの、または圧力が0.2MPa以上となる場合の温度が35℃以下である液化ガス」に該当しない作動媒体を用いた遠心式冷凍機をいう。
なお、熱サイクルシステムの稼働に際しては、水分の混入や、酸素等の不凝縮性気体の混入による不具合の発生を避けるために、これらの混入を抑制する手段を設けることが好ましい。
熱サイクルシステム内に水分が混入すると、特に低温で使用される際に問題が生じる場合がある。例えば、キャピラリーチューブ内での氷結、作動媒体や冷凍機油の加水分解、サイクル内で発生した酸成分による材料劣化、コンタミナンツの発生等の問題が発生する。特に、冷凍機油がポリアルキレングリコール、ポリオールエステル等である場合は、吸湿性が極めて高く、また、加水分解反応を生じやすく、冷凍機油としての特性が低下し、圧縮機の長期信頼性を損なう大きな原因となる。したがって、冷凍機油の加水分解を抑えるためには、熱サイクルシステム内の水分濃度を制御する必要がある。
熱サイクルシステム内の水分濃度を制御する方法としては、乾燥剤(シリカゲル、活性アルミナ、ゼオライト等)等の水分除去手段を用いる方法が挙げられる。乾燥剤は、液状の熱サイクルシステム用組成物と接触させることが、脱水効率の点で好ましい。例えば、凝縮器の出口、または蒸発器の入口に乾燥剤を配置して、熱サイクルシステム用組成物と接触させることが好ましい。
乾燥剤としては、乾燥剤と熱サイクルシステム用組成物との化学反応性、乾燥剤の吸湿能力の点から、ゼオライト系乾燥剤が好ましい。
ゼオライト系乾燥剤としては、従来の鉱物系冷凍機油に比べて吸湿量の高い冷凍機油を用いる場合には、吸湿能力に優れる点から、下式(C)で表される化合物を主成分とするゼオライト系乾燥剤が好ましい。
2/nO・Al・xSiO・yHO …(C)
ただし、Mは、Na、K等の1族の元素またはCa等の2族の元素であり、nは、Mの原子価であり、x、yは、結晶構造にて定まる値である。Mを変化させることにより細孔径を調整できる。
乾燥剤の選定においては、細孔径および破壊強度が重要である。熱サイクルシステム用組成物が含有する作動媒体等の各種成分(以下、「作動媒体等」)の分子径よりも大きい細孔径を有する乾燥剤を用いた場合、作動媒体等が乾燥剤中に吸着され、その結果、作動媒体等と乾燥剤との化学反応が生じ、不凝縮性気体の生成、乾燥剤の強度の低下、吸着能力の低下等の好ましくない現象を生じることとなる。
したがって、乾燥剤としては、細孔径の小さいゼオライト系乾燥剤を用いることが好ましい。特に、細孔径が3.5オングストローム以下である、ナトリウム・カリウムA型の合成ゼオライトが好ましい。作動媒体等の分子径よりも小さい細孔径を有するナトリウム・カリウムA型合成ゼオライトを適用することによって、作動媒体等を吸着することなく、熱サイクルシステム内の水分のみを選択的に吸着除去できる。言い換えると、作動媒体等の乾燥剤への吸着が起こりにくいことから、熱分解が起こりにくくなり、その結果、熱サイクルシステムを構成する材料の劣化やコンタミナンツの発生を抑制できる。
ゼオライト系乾燥剤の大きさは、小さすぎると熱サイクルシステムの弁や配管細部への詰まりの原因となり、大きすぎると乾燥能力が低下するため、粒度の代表値として約0.5〜5mmが好ましい。形状としては、粒状または円筒状が好ましい。
ゼオライト系乾燥剤は、粉末状のゼオライトを結合剤(ベントナイト等)で固めることにより任意の形状とすることができる。ゼオライト系乾燥剤を主体とするかぎり、他の乾燥剤(シリカゲル、活性アルミナ等)を併用してもよい。
さらに、熱サイクルシステム内に不凝縮性気体が混入すると、凝縮器や蒸発器における熱伝達の不良、作動圧力の上昇という悪影響をおよぼすため、極力混入を抑制する必要がある。特に、不凝縮性気体の一つである酸素は、作動媒体や冷凍機油と反応し、分解を促進する。
不凝縮性気体濃度は、作動媒体の気相部において、作動媒体に対する容積割合で1.5体積%以下が好ましく、0.5体積%以下が特に好ましい。
以上、本実施形態の熱サイクルシステムについて説明したが本実施形態の熱サイクルシステムは上記に限定されるものではない。これらの実施形態は、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、変更または変形することができる。
なお、本実施形態の熱サイクルシステムは、上記本実施形態の作動媒体を含む所定の熱サイクルシステム用組成物が用いられたものである。そのため、この作動媒体を含む熱サイクルシステム用組成物を用いた熱サイクルシステムは、上記のように良好なサイクル性能を有するとともに、ODPおよびGWPが充分に低いことで地球温暖化への影響が抑制されており、かつ、燃焼性が抑制され安全性の高い作動媒体の特性を発揮する優れたものである。特に、作動媒体の燃焼性が抑制されたことで、熱サイクルシステムに何らかのトラブルが生じた場合であっても、火災や爆発等の危険を回避し得る。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
[例1−1〜1−9]
HCFO−1224yd(Z)およびHFO−1234ze(E)を表2に示す割合で混合した作動媒体を作製し、以下の方法で、温度勾配および冷凍サイクル性能(冷凍能力Qおよび成績係数COP)を測定した。
<温度勾配、冷凍サイクル性能の測定>
温度勾配、冷凍サイクル性能(冷凍能力および成績係数)の測定は、図1に示す冷凍サイクルシステム10に作動媒体を適用して、図2に示す熱サイクル、すなわちAB過程で圧縮機11による断熱圧縮、BC過程で凝縮器12による等圧冷却、CD過程で膨張弁13による等エンタルピ膨張、DA過程で蒸発器14による等圧加熱を実施した場合について行った。
測定条件は、蒸発器14における作動媒体の蒸発温度(蒸発開始温度と蒸発完了温度の平均温度)を5℃、凝縮器12における作動媒体の凝縮完了温度(凝縮開始温度と凝縮完了温度の平均温度)を40℃、凝縮器12における作動媒体の過冷却度(SC)を5℃、蒸発器14における作動媒体の過熱度(SH)を0℃として実施した。また、圧縮機効率0.8、配管、熱交換器における圧力損失はないものとした。
冷凍能力および成績係数は、作動媒体のA(蒸発後、高温低圧)、B(圧縮後、高温高圧)、C(凝縮後、低温高圧)、D(膨張後、低温低圧)の各状態のエンタルピhを用いて、上記式(A)、(B)から求めた。
冷凍サイクル性能の算出に必要となる熱力学性質は、対応状態原理に基づく一般化状態方程式(Soave−Redlich−Kwong式)、および熱力学諸関係式に基づき算出した。特性値が入手できない場合は、原子団寄与法に基づく推算手法を用い算出を行った。
冷凍能力および成績係数は、上記と同様に測定されたHCFC−1224yd(Z)の冷凍能力および成績係数をそれぞれ、1.00とした場合の相対比として求めた。温度勾配は、図2におけるTとTの差として求めた。また、作動媒体のGWPを、表1に示す個々の化合物のGWPをもとに、組成質量による加重平均として求めた。すなわち、作動媒体を構成する各化合物の質量%とGWPの積を合計した値を100で除すことで該作動媒体のGWPを求めた。なお、例1−1〜1−9の作動媒体は、いずれもODPは0である。
Figure 2019022138
[例2−1〜2−8]
HCFO−1224yd(Z)およびHFO−1234yfを表3に示す割合で混合した作動媒体を作製し、上記例1と同様の方法で、温度勾配および冷凍サイクル性能(冷凍能力Qおよび成績係数COP)を測定した。なお、例2−1〜2−8の作動媒体は、いずれもODPは0である。
Figure 2019022138
[例3−1〜3−15]
HCFO−1224yd(Z)、HFO−1234ze(E)およびHFO−1234yfを表4に示す割合で混合した作動媒体を作製し、上記例1と同様の方法で、温度勾配および冷凍サイクル性能(冷凍能力Qおよび成績係数COP)を測定した。なお、例3−1〜3−15の作動媒体は、いずれもODPは0である。
Figure 2019022138
[例4−1〜4−9]
HCFO−1224yd(Z)およびHFO−1234ze(Z)を表5に示す割合で混合した作動媒体を作製し、上記例1と同様の方法で、温度勾配および冷凍サイクル性能(冷凍能力Qおよび成績係数COP)を測定した。なお、例4−1〜4−9の作動媒体は、いずれもODPは0である。
Figure 2019022138
表2〜5からわかるように、実施例である例1−1〜1−9、例2−1〜2−8および例3−1〜3−15の各作動媒体は、いずれもHCFO−1224yd(Z)単独の作動媒体、またはHCFO−1224yd(Z)およびHFO−1234ze(Z)を混合した作動媒体を用いた例4−1〜4−9と比べて、冷凍能力に優れ、成績係数はほぼ同等であり、充分なサイクル性能を有するとともに、ODPおよびGWPが充分に低いことで地球温暖化への影響が充分に抑制された熱サイクル用の作動媒体である。
<燃焼性試験>
次に、例1−6〜1−9、例2−6〜2−8で得られた混合物からなる熱サイクル用作動媒体と、さらに、HCFO−1224yd(Z)が10質量%、HFO−1234ze(E)が90質量%の混合物からなる熱サイクル用作動媒体(例1−10)、HCFO−1224yd(Z)が20質量%、HFO−1234yfが80質量%の混合物からなる熱サイクル用作動媒体(例2−9)、について、各作動媒体を空気に対して10〜90質量%の間の1質量%おきの比率で空気と混合して平衡状態に到達したときの燃焼性を評価した。
燃焼性の評価は、ASTM E−681に規定された設備を用いて、次のように実施した。58.0〜59.0℃に温度制御された恒温槽内に設置された内容積12リットルのフラスコ内を真空排気した後、上記比率で空気と混合された各作動媒体を大気圧力まで封入した。その後、該フラスコ内の中心付近の気相において、15kV、30mAで0.4秒間放電着火させた後、火炎の広がりを目視にて確認した。上方への火炎の広がりの角度が90度以上である場合を燃焼性あり、90度未満の場合を燃焼性なし、と判断した。その結果を表6および表7に示した。
なお、ここで使用した作動媒体について、その構成する化合物を表2〜3にまとめて示している。表2〜3に示した作動媒体は、燃焼性の無い範囲の作動媒体であり、作動媒体についての冷凍サイクル性能の評価、地球温暖化係数(GWP)の評価についても併せて示した。
Figure 2019022138
Figure 2019022138
以上の結果から、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234ze(E)の混合物からなる熱サイクル用作動媒体は、HCFO−1224yd(Z)が20質量%以上含まれていれば、燃焼性が充分に抑えられ、作動媒体として安全性の高いものとできることがわかった。
また、HCFO−1224yd(Z)とHFO−1234yfの混合物からなる熱サイクル用作動媒体は、HCFO−1224yd(Z)が30質量%以上含まれていれば、燃焼性が充分に抑えられ、作動媒体として安全性の高いものとできることがわかった。
本実施形態の作動媒体およびこれを含む熱サイクルシステム用組成物、ならびに該組成物を用いた熱サイクルシステムは、冷凍・冷蔵機器(内蔵型ショーケース、別置型ショーケース、業務用冷凍・冷蔵庫、自動販売機、製氷機等)、空調機器(ルームエアコン、店舗用パッケージエアコン、ビル用パッケージエアコン、設備用パッケージエアコン、熱源機器チリングユニット、ガスエンジンヒートポンプ、列車用空調装置、自動車用空調装置等)、発電システム(廃熱回収発電等)、熱輸送装置(ヒートパイプ等)、二次冷却機に利用できる。
10…冷凍サイクルシステム、11…圧縮機、12…凝縮器、13…膨張弁、14…蒸発器、15,16…ポンプ。

Claims (10)

  1. 1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと(E)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む熱サイクル用作動媒体であって、
    前記熱サイクル用作動媒体中に含まれる、前記1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと前記(E)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの合計含有量が50質量%以上であり、かつ、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン:(E)−1,3,3,3−テトラフルオロプロペンで表される割合が、質量基準で、20:80〜99:1であることを特徴とする熱サイクル用作動媒体。
  2. 1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと2,3,3,3−テトラフルオロプロペンとを含む熱サイクル用作動媒体であって、
    前記熱サイクル用作動媒体中に含まれる、前記1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンと前記2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの合計含有量が50質量%以上であり、かつ、1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン:2,3,3,3−テトラフルオロプロペンで表される割合が、質量基準で、30:70〜99:1であることを特徴とする熱サイクル用作動媒体。
  3. 前記1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、(E)−1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペン:(Z)−1−クロロ−2,3,3,3−テトラフルオロプロペンで表される割合が、質量基準で、50:50〜0.01:99.99である請求項1または2に記載の熱サイクル用作動媒体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱サイクル用作動媒体を含む熱サイクルシステム用組成物。
  5. 潤滑油を含む請求項4に記載の熱サイクルシステム用組成物。
  6. 前記熱サイクル用作動媒体の劣化を抑制する安定剤を含む請求項4または5に記載の熱サイクルシステム用組成物。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の熱サイクルシステム用組成物を用いた、熱サイクルシステム。
  8. 前記熱サイクルシステムが冷凍・冷蔵機器、空調機器、発電システム、熱輸送装置または二次冷却機である請求項7に記載の熱サイクルシステム。
  9. 前記熱サイクルシステムが遠心式冷凍機である請求項7または8に記載の熱サイクルシステム。
  10. 前記熱サイクルシステムが低圧型遠心式冷凍機である請求項7〜9のいずれか1項に記載の熱サイクルシステム。
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