JPWO2018225355A1 - 咬合記録器具及び咬合器 - Google Patents
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Abstract
患者の口腔内で咬合高径を正確に採得した後、咬合採得を行うことのできる器具を提供する。口腔内においてこれらの器具を用いることによって、点接触で咬合安定を再現した状態で咬合採得を行い、補綴物の製作を行うことができる。また、下顎の形状、運動を再現可能な咬合器によって、術者の経験によらず補綴物を作製することができる。
Description
本発明は、咬合記録器具、この器具の使用方法、及び咬合器に関する。
う蝕、歯周炎等によって歯を失った場合に、クラウン、義歯、インプラントなどの補綴物を治療によって補うが、例えば義歯が合わないなど、補綴治療による咬合不良も大きな問題となっている。
咬合、いわゆる咬み合わせが全身の健康に重要であることは一般に認識されはじめている。咬合の不良は、口が開かない、顎に痛みやしびれがあるなど、重篤な顎関節症の症状だけではなく、例えば、肩こり、頭痛、めまいなど、身体の様々な不調を引き起こすことが知られている。したがって、補綴治療の際には、正確な咬合採得が必要であると考えられている。
解剖学的には、咬合採得とは位置の定まった上顎に対して、下顎の位置を採得すること、すなわち中心咬合位における上顎に対する下顎の位置を採得することである。欠損歯の治療は、歯科医師によって印象材による印象採得が行われ、この印象をもとにして作業模型が作られた後、正しい噛み合わせの位置を決定するため、ワックス等を使用して咬合採得が行われる。したがって、歯科医院で正確に咬合採得が行われ、歯科技工士に患者の咬合の状況が正確に伝達され、補綴物が作製される必要がある。
咬合採得は、天然歯(残存歯)の有無や顎関節の状態などにより、咬合の状態が症例ごとに大きく異なっていることから、術者の技術や経験が必要とされ、正確に咬合採得を行うことは非常に難しい。歯科医師はそれぞれ最適と考える咬合採得法によって、咬合採得を行い、歯科技工士は、術者の経験による誤差やずれを補正して補綴物を作製している。しかし、通常は補綴物作製後に、患者の口腔内で調整を何度も行い、患者に補綴物を最終的に装着している。すなわち、現状では咬合採得が正確に行われているとは言い難い。
従来から術者の技術や経験によらず、正確に咬合採得を行う方法や咬合採得器具、また、そのための咬合器が提案されている(例えば、特許文献1〜4)。しかしながら、いずれの場合も、補綴物作製後の患者の口腔内での調整時間をなくす、あるいは短縮するということにはなっていない。
本発明は、新しい理論に基づいた咬合採得、この理論により簡単に咬合採得を行うことのできる咬合記録器具、これを用いた咬合採得方法、さらに補綴物を作製するために適した咬合器を提供することを課題とする。
本発明は咬合を記録する咬合記録器具及び補綴物を作製するための咬合器に関する。
(1)咬合高径を決定した後に咬合採得を行う咬合記録器具であって、硬質素材からなり、補綴治療を必要とする近遠心径の長さを備え、平板状、又は凸部を備えている咬合記録器具。
(2)前記平板状の咬合記録器具は厚みを選択する、又は重ねることによって、前記凸部を備えた咬合記録器具は、前記凸部を切削、あるいはレジンを付加することによって,咬合高径を調節可能に構成されている(1)記載の咬合記録器具。
(3)咬合採得が必要な近遠心径に合わせて切断可能な(1)又は(2)記載の咬合記録器具。
(4)咬合紙ホルダー及び/又はピンセットで把持する把持部を備えている(1)〜(3)いずれか1つ記載の咬合記録器具。
(5)上顎模型を支持するための上弓部と、下顎模型を支持するための下弓部と、上弓を支持する支柱を備え、前記支柱は端部に前記上弓部又は前記下弓部と接する上弓支持部を備え、前記上弓部と前記下弓部には前記上弓支持部と接する受け部を備え、前記上弓支持部は患者の顆頭を模した形状であり、前記受け部は下顎窩を模した形状であり、前記受け部は患者の下顎窩の形状に合わせて交換可能に構成されていることを特徴とする咬合器。
(6)前記上弓部、及び下弓部は引きばねによって固定されている(5)記載の咬合器。
(7)上顎模型を支持するための上弓部と、下顎模型を支持するための下弓部と、上顎及び下顎マウンティングプレートを備えた咬合器であって、前記下顎マウンティングプレートがモンソン球学説の回転・振り子運動同様の動きを付与できるように移動可能に構成されていることを特徴とする咬合器。
(1)咬合高径を決定した後に咬合採得を行う咬合記録器具であって、硬質素材からなり、補綴治療を必要とする近遠心径の長さを備え、平板状、又は凸部を備えている咬合記録器具。
(2)前記平板状の咬合記録器具は厚みを選択する、又は重ねることによって、前記凸部を備えた咬合記録器具は、前記凸部を切削、あるいはレジンを付加することによって,咬合高径を調節可能に構成されている(1)記載の咬合記録器具。
(3)咬合採得が必要な近遠心径に合わせて切断可能な(1)又は(2)記載の咬合記録器具。
(4)咬合紙ホルダー及び/又はピンセットで把持する把持部を備えている(1)〜(3)いずれか1つ記載の咬合記録器具。
(5)上顎模型を支持するための上弓部と、下顎模型を支持するための下弓部と、上弓を支持する支柱を備え、前記支柱は端部に前記上弓部又は前記下弓部と接する上弓支持部を備え、前記上弓部と前記下弓部には前記上弓支持部と接する受け部を備え、前記上弓支持部は患者の顆頭を模した形状であり、前記受け部は下顎窩を模した形状であり、前記受け部は患者の下顎窩の形状に合わせて交換可能に構成されていることを特徴とする咬合器。
(6)前記上弓部、及び下弓部は引きばねによって固定されている(5)記載の咬合器。
(7)上顎模型を支持するための上弓部と、下顎模型を支持するための下弓部と、上顎及び下顎マウンティングプレートを備えた咬合器であって、前記下顎マウンティングプレートがモンソン球学説の回転・振り子運動同様の動きを付与できるように移動可能に構成されていることを特徴とする咬合器。
補綴物の精度が向上することから、補綴物による咬合不良を解消することができる。また、補綴物作製後に患者の口腔内で調整する時間を短縮することができることから、患者の負担を減らすことが可能となる。さらに、本発明の咬合記録器具、咬合器を使用することにより、歯科医師、歯科技工士の経験によらず、適正な補綴物を製作することが可能となる。
本明細書で開示する採得器具は、術者の技術や経験によらず、歯冠修復におけるフルマウス治療、クラウン・ブリッジ治療、インプラントや義歯治療など、あらゆるタイプの歯科補綴治療の際に行われる咬合採得、印象採得に対応することができる。
従来はワックスなど、噛むことにより変形する素材を用いての咬合採得や、ペーストが硬化するシリコーン印象やレジン重合の咬合採得が行われており、硬質素材のタッピング法を用いた咬合採得が行われることはなかった。しかしながら、硬質素材のタッピング法を用いて咬合高径を決定し、その後に咬合採得を行うことにより外側翼突筋が活動している状態で咬合採得を行うことができる。外側翼突筋が活動している状態で咬合採得を行うことによりイミディサイドシフトを抑制することができるため、中心位で咬合採得を行うことができる。
以下に実施例で示すような簡単な手順により咬合採得を行うことで、患者の最も噛みやすい顎位を再現した状態で最終補綴物を作製することができる。この方法は、最終補綴物と同条件で咬合採得を行っていることに他ならないから、従来法で困難とされたターミナル・ヒンジ・アキシスを再現して咬合採得を行うことができる。
なお、ここで顎位とは、上顎に対する下顎の三次元的な位置を指し、咀嚼時に必要な上下顎の接触位置関係を定めたものである。上顎骨は頭骸骨の一部であるため位置が固定されるのに対して、下顎骨は左右に顎関節があり垂直に移動するだけではなく水平方向にも移動する。また、中心位の定義には諸説あるため、ここでは「中心位=タッピングポイント(筋肉位)=顆頭安定位」と仮定する。
顆頭安定位の咬合採得に必要なことは、咬合採得の際に上下の歯列が接触してからも水平位は自由に移動できることである。水平的自由移動を与えると下顎頭は下顎窩の中で無理無く安定した一定の位置、すなわち顆頭安定位に移動する。下顎頭の移動後に咬合採得を行い、その位置に適切な咬頭嵌合位を人工歯で与えると中心咬合位を定めることができ、中心位と中心咬合位は一致することになる。
すなわち、水平的な負荷をゼロにして顎関節が最も噛み易い位置(顆頭安定位=中心位=生理的咬合)を咬合採得して、その位置に人工歯を排列するなどの補綴治療を行い咬頭嵌合位(中心咬合位=補綴的咬合)を与えれば、中心位と中心咬合位は一致する。しかしながら、このようにして咬合採得を行う方法、器具は今までにはなかった。本発明は、中心位と中心咬合位を一致させて咬合採得を行うことができる器具に関する。さらに、中心位と中心嵌合位との間に、ロング・セントリック、ワイド・セントリックを付与することが可能となる咬合器に関する。
以下、図を示しながら咬合記録器具について説明する。以下に図面で示す咬合記録器具は例示であり、凸部の形状や大きさ、把持部など種々のバリエーションを含み得る。
[実施態様1]
本発明の咬合記録器具1は、硬質素材であることを基本とし、その形状は、ほぼ平坦な部材であるか、さらに、平坦な部材に凸部、あるいは凸部及び凹部を備えた形状をしている(図1)。補綴治療を行う必要のある歯の状態、対合歯の形態等、咬合採得が必要な歯の状態は様々であり、また、患者によってどのような補綴治療を行うかも様々であることから、状況に合わせて適切な咬合記録器具を使い分けることができる。本発明の咬合記録器具1は、硬質素材であることから、外側翼突筋が活動している状態で咬合採得を行うことができ、さらに、患者が噛みこんでも破断せず、口腔外に出しても変形しない。そのため、術者の技術に関わらず、正確に咬合採得を行うことができる。
本発明の咬合記録器具1は、硬質素材であることを基本とし、その形状は、ほぼ平坦な部材であるか、さらに、平坦な部材に凸部、あるいは凸部及び凹部を備えた形状をしている(図1)。補綴治療を行う必要のある歯の状態、対合歯の形態等、咬合採得が必要な歯の状態は様々であり、また、患者によってどのような補綴治療を行うかも様々であることから、状況に合わせて適切な咬合記録器具を使い分けることができる。本発明の咬合記録器具1は、硬質素材であることから、外側翼突筋が活動している状態で咬合採得を行うことができ、さらに、患者が噛みこんでも破断せず、口腔外に出しても変形しない。そのため、術者の技術に関わらず、正確に咬合採得を行うことができる。
平坦な咬合記録器具2の場合には、硬質素材としては、一定の硬さを備えたシートであればどのようなものを用いてもよいが、例えば、歯科用コンポジットレジン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、厚紙/板紙、セラミック紙、防水紙、ポリプロピレンフィルム加工紙、銅板、亜鉛板、アルミ板、真鍮板、鉄板、ステンレス板、ニッケル板、銀板、チタン板、鉛板などの金属板などの素材を用いることができる。
凸部、あるいは凸部と凹部を備えた咬合記録器具3の場合には、患者の口腔内で噛んでもらい、咬合高径が高い場合には切削し、低い場合には即時重合レジンを上面で硬化させることにより高さを高く調整することから、歯科用のレジンを用いて製造することが好ましい。歯科用レジンとしては、スプリント、義歯床等を製造する際に用いる熱可塑性レジン、仮歯形成などに用いる即時重合レジン、充填治療に用いられるコンポジットレジン(光重合レジン)、人工歯、義歯床、スプリント等を製造する際に用いるアクリルレジン、人工歯などに用いる硬質レジンなどがある。中でも、スプリント用のハードシートとしても使用される熱可塑性レジンは、0.3mm以下の厚さにも加工が可能であることから咬合記録器具に適している。また、コンポジットレジンは、咬合高径が低い場合の調整時に好適に用いることができる。
シートの厚さは、0.1〜5.0mm程度であればよい。平坦な咬合記録器具2の場合には、クリアランスによって厚みを選択すれば良く、クリアランスが大きい場合には、1.0〜5.0mm程度の厚さのものを用いることができる。また、クリアランスが小さい場合には、0.1〜3.0mm程度、より好ましくは0.3〜1.0mm程度の厚さのものを用いれば良い。また、シートは一定の厚さのものを用意し、数枚重ねて高さを調節し、咬合高径を調整してもよい。シートを重ねて使用する場合には、重ねたシートが互いに外れずに嵌合するように嵌合部を設けることが好ましい。また、シートを折り重ねて使用できるように折り線を予め付与しておくことが望ましい。
シートの厚みが5.0mmより厚い場合には、咬合採得を行った際に、シートの厚みが咬合高径に影響を及ぼし、正確に咬合採得を行うことができない場合がある。また、シートの厚みが0.1mmよりも薄い場合には、咬合記録器具1に使用するシートの材質にもよるが、患者が噛み込んだ際に変形したり、破断したりすることから好ましくない。シートの厚みが0.3〜1.0mmであれば、咬合高径に影響を与えることがなく、また、患者が噛み込んだ際に変形したり、破断したりすることがない。
咬合記録器具1は、必要であれば小孔4を設けてもよい。咬合記録器具1には、小孔4を設けることによって、シリコーン、ゲル、ワックスなどの印象材が絡みやすくなるため、咬合採得を行った際に印象材が外れにくくなる。小孔4は、用いる印象材と咬合記録器具1の材質、及び咬合採得を必要とする領域によって、適宜設けることができる。
最初に平坦な咬合記録器具2について説明する。咬合記録器具5は把持部6を備えている。口腔内で咬合記録器具を用いる際には、咬合紙ホルダーで把持部6を把持し、患者の口腔内で咬合状態の記録を行う。具体的には、咬合記録器具の片面、あるいは両面に印象材を配置し、患者に噛んでもらい咬合状態を記録する。患者は口を閉じた状態で咬合採得を行うことになるので、咬合紙ホルダーを用いて把持する必要がある。したがって、把持部は咬合紙ホルダーによって把持できる厚みでなければならない。
咬合紙ホルダーによって把持可能な厚みとは5mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。また、用いる材質にもよるが撓むなど形状が変化することのないように0.1mm以上の厚さであることが好ましい。したがって、把持部は咬合紙ホルダーで把持する場合には、0.2mm以上0.5mm以下の範囲であることが好ましい。
また、作業用模型を使用して咬合を検討する場合には、咬合記録器具をピンセットや手で把持すればよく、把持部の大きさ、厚みについてもピンセットや手で把持しやすい大きさや厚さにすればよい。さらに、咬合紙ホルダー把持部を備えない形状の咬合記録器具7としてもよい。咬合記録器具7は、咬合紙ホルダーで把持する必要がないことから、より厚みのあるシートを用いても構わない。
咬合記録器具8は、把持部6を両側に備える構成となっている。また、咬合採得をする領域に合わせて必要な大きさに切断できるように構成されている。
平板状の咬合記録器具5、7、8は、両面に印象材を配置し、上下の歯の咬合を同時に記録してもよいし、部分義歯の場合に蝋堤上に直接配置し、対向する天然歯の咬合を採得するのに用いてもよい。蝋堤上に硬質部材からなる咬合記録器具が配置されることによって、咀嚼時の咬合圧の刺激による反射を再現することができる。また、蝋堤で直接咬合調整を行う場合には咬合調整の際に沈下することがあるが、咬合記録器具は硬質部材であるため、咬合高径の沈下を心配する必要がない。さらに、蝋堤に平坦な面を作製するのは困難であるが、平板状の咬合記録器具5、7、8を使用すれば、蝋堤上に平坦な面を簡単に作ることができるため、術者の技術によらず正確な咬合採得を行うことができる。
咬合記録器具9、10は凸部を備えた咬合記録器具である。図1において示す咬合記録器具9は上から見た平面図、及び斜視図を示し、咬合記録器具10は上から見た平面図、側面図、及び斜視図を示している。咬合記録器具9の凸部11の形状は、砲弾状であり、咬合記録器具10の凸部12はドーム状をしているが、これに限らず対向する患者の天然歯と点接触するような形状であればどのような形状であっても構わない。例えば、咬合採得器具9の砲弾状の凸部11については、直径1〜6mm、高さ2〜10mm程度の範囲で太さ、高さの異なるものを用意しておき、使用する歯の領域や状態、患者の体格などに合わせて適宜選択して使用すればよい。また、ドーム状の凸部12については、直径1〜12mm、高さ0.5〜6mm程度の範囲で直径、高さの異なるものを用意して使用すればよい。さらに、咬合記録器具10は咬合採得が必要な領域に応じて、切断して使用することができる。
また、中実にせず、凸部とともに裏面は凹部が形成されるような咬合記録器具13としてもよい。図1において、咬合記録器具13は、上から見た平面図、中央で切断した断面図を示している。咬合記録器具13は、凸部/凹部14を備えた構造となっており、例えば凸部側では咬合採得を、凹部側では支台歯の印象採得を同時に行うことができる。咬合記録器具13は、凹部側で印象採得を行う際に空気を逃がすための維持孔15を凸部/凹部14の舌側、頬側に設けている。また、咬合記録器具13は両側に把持部6を備え、咬合採得が必要な領域に応じて切断可能に構成されている。
いずれの場合も、把持部6は咬合記録器具5、9のように片側に設けても、咬合記録器具8、13のように両側に設けても、あるいは咬合記録器具7、10のように全く設けない構成としてもよい。さらに、咬合記録器具8、10、13に示すように、必要なだけ切って使用するような構成としてもよい。次に咬合記録器具を使用した咬合採得方法を説明する。
咬合記録器具9を用いて、患者の口腔内で右下大臼歯が欠損している場合を例に、咬合採得を行う方法について説明する(図2)。咬合紙ホルダーで咬合記録器具を挟み、患者の口腔内で噛んでもらい、患者に咬合高径が適正か確認を行ってもらう。高さが高い場合には咬合記録器具の凸部を切削し、高さが低い場合には凸部にレジンを足して、患者の口腔内で再度咬合高径を確認してもらう。適正な高さになるまでこれを繰り返し、咬合高径を決定する(図2、咬合高径調整)。
咬合高径決定後、咬合記録器具上に印象材を配置し、患者に噛んでもらい咬合採得を行う(図2、咬合採得)。最終的に行った咬合採得は、高さを調整した後に対向する天然歯との水平的関係を記録することになるから、ターミナル・ヒンジ・アキシスを再現して咬合を記録していることになる。したがって、作製された補綴物を患者の口腔内に装着する際には、調整をほとんど行う必要がない。
凸部を備えた咬合記録器具は、上述のように患者の口腔内で凸部を切削、あるいはレジンを足すことによって咬合高径を調整し、その後に咬合採得を行うことから、術者の技術によらず正確に咬合採得を行うことができる。咬合高径の調整を最初に時間をかけて行うことができるため、経験の浅い術者であっても咬合高径の調整を確実に行うことができる。また、患者も咬合記録器具が硬質素材であることから、実際に歯で噛んだ際の感覚と同じような感覚を再現することができるため、術者に適切な位置を伝えることができる。
なお、残存している歯の形状によっては、凸部を備えていない平板状の咬合記録器具を用いた方が良い場合もある。その場合には使用する平板状の咬合記録器具の厚みを選択することにより、咬合高径を調整することができる。そのため平板状の咬合記録器具は厚みの異なるものが用意されている。あるいは、同じ厚みの平板状の咬合記録器具を数枚重ねて使用しても構わない。平板状の咬合記録器具を用いた場合でも、咬合高径を決定し、その後咬合採得を行うという手順は同じである。
次に、インプラントを例に、ドーム状の凸部を備えた咬合記録器具10の使用方法を説明する(図3)。通常のインプラント治療では、インプラント支台部に上部構造を適合後、人工歯の型取り及び試適を行う。しかし、上部構造は上面がほぼ平坦であり、このまま咬合採得を行っても、対向する残存歯と装着すべき人工歯との関係が反映されたものにはならない。
そこで、上部構造を装着した後に、上部構造上にドーム状の咬合記録器具を設置する。ここでは咬合記録器具10の凸部12が1つずつ含まれるように切断して上部構造上に配置している(図3、咬合記録器具配置)。
この状態で、作業模型上で噛み合わせを確認し、咬合記録器具が適切な高さになるように咬合高径を決定する(図3、咬合高径調整)。咬合高径の調整は、凸部の切削、レジンの添加によって行うことは、実施例1と同様である。
咬合高径決定後に、印象材を用いて、咬合採得を行い、対合歯との関係を記録する(図3、咬合採得)。この手順によりターミナル・ヒンジ・アキシスを再現した状態で咬合採得を行うことができる。ここでは、作業模型上で咬合高径を決定し、咬合採得を行う例を示しているが、患者の口腔内でも同様の作業により咬合採得を行えばよい。
本実施例で示すように、凸部を有する咬合記録器具をインプラント上部構造上に配置して、咬合高径を決定した後に咬合採得を行えば、より正確な咬合採得を行うことになるから、人工歯を装着した後の調整はほとんど必要がない。
[実施態様2]
次に、インプラント用の咬合記録器具のバリエーションについて説明する。インプラント用咬合記録器具21は上記のようにドーム状の凸部や平板部材に把持部を付加した形状のものとしても良い(図4)。ドーム状の凸部は平坦な面と、平板部材は対合歯と点接触により接触することが可能となることから、咬合安定を再現した形で咬合採得を行うことができる。咬合記録器具21aは、把持部22の両側に異なる高さの凸部23a、23bを備えている。凸部は高さ0.3mm以上12mm以下、より好ましくは0.5mm以上8mm以下で、異なる高さの凸部を両端に備える形状のものを準備しておく。また、咬合記録器具21は、顎関節症スプリント療法に使用し、高さ調整に用いてもよい。顎関節症スプリント療法に使用する場合には、凸部は高さ0.1mm〜0.4mm程度の厚さの薄いものを準備しておく。咬合記録器具21aは、適切な高さの凸部を備えた器具を選択して、患者の口腔内で上部構造、あるいはフィクスチャー上に配置し咬合高径を決定する。また、凸部23a、23bは中実であり、凸部を削ることによっても咬合高径を調整することができる。
次に、インプラント用の咬合記録器具のバリエーションについて説明する。インプラント用咬合記録器具21は上記のようにドーム状の凸部や平板部材に把持部を付加した形状のものとしても良い(図4)。ドーム状の凸部は平坦な面と、平板部材は対合歯と点接触により接触することが可能となることから、咬合安定を再現した形で咬合採得を行うことができる。咬合記録器具21aは、把持部22の両側に異なる高さの凸部23a、23bを備えている。凸部は高さ0.3mm以上12mm以下、より好ましくは0.5mm以上8mm以下で、異なる高さの凸部を両端に備える形状のものを準備しておく。また、咬合記録器具21は、顎関節症スプリント療法に使用し、高さ調整に用いてもよい。顎関節症スプリント療法に使用する場合には、凸部は高さ0.1mm〜0.4mm程度の厚さの薄いものを準備しておく。咬合記録器具21aは、適切な高さの凸部を備えた器具を選択して、患者の口腔内で上部構造、あるいはフィクスチャー上に配置し咬合高径を決定する。また、凸部23a、23bは中実であり、凸部を削ることによっても咬合高径を調整することができる。
凸部23a、23bは平板部24上に配置されており、上部構造との接触面積が広くなるように設計されている。平板部24上には四隅に小孔25が貫通しており、レジンやワックスで接着した場合に外れにくくなっている。咬合記録器具21は接着後に把持部22の端部の細くなっている部分で切り離すことができる。
また、咬合記録器具21bは、一方をドーム状の凸部/凹部26、他方を平板部材27とする構成となっている。凸部/凹部26は、ドーム形状をしているが、下面から見た場合には窪んでおり凹部状の構造となっている。凸部/凹部26は、凸部の高さの異なるものを用意しておき、適切なものを選択した後、内側に即時重合レジンを充填しアバットメントに接着する。凸部/凹部26は、には側面に維持孔28が設けられており、余分な即時重合レジンが側面から排出できるように設計されている。平板部材27は咬合高径が小さい場合に用いる部材であり、0.1mm以上6.0mm以下、より好ましくは、0.5mm以上3.0mm以下の厚さのものが数種類準備されている。平板部材の周囲は、レジン、あるいはワックスが絡んで外れにくいように切れ込みを設けている。ここではレンジやワックスが外れにくい形状として、小孔、あるいは楔形の切れ込みなどを設けているが、レジン等との接触が増える形状であればどのような形状としてもよい。
ここで示している咬合記録器具の形状はあくまでも例示であり、咬合記録器具には種々のバリエーションが考えられる。例えば、把持部の片側だけに凸部を設けたものや、両端に厚みの異なる平板部材27を設けるものなど、インプラントを埋入する箇所などによって、適切なものを選択できるようにしておく。また、十字状の把持部に凸部を設けるなど、把持部形状も適宜工夫することができる。凸部形状もドーム状だけではなく、点接触することが重要であることから、円錐、三角錐など1点で接触する形状のものや、球体などの形状であってもよい。
[実施態様3]
次にインプラントのフィクスチャーに嵌合させて使用する咬合記録器具について説明する。図5は咬合記録器具31の斜視図(図5左)、及び側面図(図5右)を示している。咬合記録器具31はフィクスチャーAに嵌合させて使用する嵌合部材32、バイトプレーン33から構成されている。嵌合部材32は3mm以上18mm以下、より好ましくは4mm以上16mm以下の高さの異なるものが用意されており、患者の体格、インプラントを設置する部位によって適切な高さのものを選択することができるようになっている。
次にインプラントのフィクスチャーに嵌合させて使用する咬合記録器具について説明する。図5は咬合記録器具31の斜視図(図5左)、及び側面図(図5右)を示している。咬合記録器具31はフィクスチャーAに嵌合させて使用する嵌合部材32、バイトプレーン33から構成されている。嵌合部材32は3mm以上18mm以下、より好ましくは4mm以上16mm以下の高さの異なるものが用意されており、患者の体格、インプラントを設置する部位によって適切な高さのものを選択することができるようになっている。
嵌合部材32の下部のフィクスチャーに嵌合するフィクスチャー嵌合部34は、使用するフィクスチャーの形状に合わせて種々の形状のものが用意されている。図5に示しているものは、フィクスチャー上部のスクリュー挿入部に合致した形状の突起35が設けられている。フィクスチャーのスクリュー挿入部に突起35を挿入することによって、フィクスチャーとの位置を決定することができる。さらに、フィクスチャー嵌合部34の外縁部36はフィクスチャー上部外縁部に嵌合するような形状となっており、フィクスチャーに嵌合することによって、嵌合部材32をフィクスチャーに固定することができる。
バイトプレーン33は、嵌合部材32と嵌合する面に嵌合突起37を備えている。嵌合部材32の上部には、嵌合突起37が嵌合する凹部(図示せず)が設けられており、嵌合突起37を嵌合させることによって、バイトプレーン33は嵌合部材32に固定される。バイトプレーン33も0.5mm以上10.0mm以下、より好ましくは、1.0mm以上4.0mm以下の厚さの異なるものが用意されており、適切な厚さのものを選択できるようになっている。バイトプレーン33、及び嵌合部材32によって高径が決まることから、2つの器具の厚み、高さを総合的に勘案して最適なものを選択すればよい。
バイトプレーン33は、両端に接合部38を備えている。複数のフィクスチャーで咬合高径を決定する際には、隣接するバイトプレーンの接合部38を即時重合レジンなどによって接着して固定する。また、バイトプレーンと嵌合部材も即時重合レジンなどによって一体に接着すれば、正確な位置を記録することが可能となる。
また、場合によってはバイトプレーン33を用いずに、適切な高さの嵌合部材32を選択してフィクスチャーに固定し、微妙な高さの調節は嵌合部材32を削ること、または、高さが低い場合には凸部にレジンを足して行ってもよい。高さの異なる嵌合部材32が用意されていることから、適切な高さの嵌合部材を選択することによって、わずかに高さ調節をすることによって、咬合高径を決定することができる。また、嵌合部材だけで使用する場合には、複数のフィクスチャーの上部構造の位置関係を正確に決定するために、嵌合部材の側部を棒状、あるいは平板状の部材で接着すればよい。また、嵌合部材の側面に予め棒状の部材を設けておくことによって、棒状の部材同士をレジンで接着することによって、嵌合部材同士の位置関係を正確に再現することができる
[実施態様4]
インプラントのフィクスチャーに嵌合させて使用する咬合記録器具の異なる態様について説明する。図6左は咬合記録器具41の斜視図を、右は側面図を示している。咬合記録器具41は、複数の嵌合部材42とバイトプレーン43を組合せて使用する。フィクスチャーAに嵌合させる嵌合部材42aは実施態様3の咬合記録器具31と同様に、フィクスチャー嵌合部44には、フィクスチャーの上部の形状に適合する突起45を備えており、フィクスチャーAに挿入することによって、位置を決定することができる。また、外縁部46はフィクスチャー上部外縁部に嵌合するような形状となっており、フィクスチャーに嵌合することによって、フィクスチャーに固定することができる。
インプラントのフィクスチャーに嵌合させて使用する咬合記録器具の異なる態様について説明する。図6左は咬合記録器具41の斜視図を、右は側面図を示している。咬合記録器具41は、複数の嵌合部材42とバイトプレーン43を組合せて使用する。フィクスチャーAに嵌合させる嵌合部材42aは実施態様3の咬合記録器具31と同様に、フィクスチャー嵌合部44には、フィクスチャーの上部の形状に適合する突起45を備えており、フィクスチャーAに挿入することによって、位置を決定することができる。また、外縁部46はフィクスチャー上部外縁部に嵌合するような形状となっており、フィクスチャーに嵌合することによって、フィクスチャーに固定することができる。
嵌合部材42は、複数の嵌合部材を嵌合することによって高さを調節する。高さ調節用の嵌合部材42bは、突起45a、外縁部46aを備えている。突起45aに対応する形状の凹部(図示せず)が嵌合部材42aの嵌合部材42bと嵌合する側に設けられており、さらに外縁部46aが嵌合部材42aの上部に被さることによって、嵌合部材42a、42bが嵌合する。ここでは嵌合部材を2つ嵌合させることによって高さ調節を行っているが、1つ以上の嵌合部材を必要に応じてバイトプレーン43と嵌合させて高さを調節して用いることができる。
バイトプレーン43は、実施態様3と同様に、嵌合部材42bと嵌合する面に嵌合突起47を備えている。嵌合部材42bの上部には、嵌合突起47が嵌合する凹部(図示せず)が設けられており、嵌合突起47を嵌合させることによって、バイトプレーン43は嵌合部材42bに固定される。複数のフィクスチャーの咬合高径を決定する際には、バイトプレーン43に設けられている接合部48で隣接するバイトプレーンの接合部とレジン等によって固定することができる。図6には切り欠き状の接合部48を示しているが、隣接するバイトプレーンを接合することができるのであれば、どのような形状のものであっても構わない。
実施態様3、4ではバイトプレーン側には突起を、嵌合部材にはそれに対応する凹部を設け嵌合するようにしているが、バイトプレーン側に凹部を、嵌合部材側に突起を設ける構成としてもよい。また、嵌合突起を嵌合部材側の凹部よりも長い形状としておき、バイトプレーンと、嵌合部材の間に隙間があるような形状としてもよい。
[実施態様5]
次に、2つの平板状の部材の間にワックス、又はレジンを間に挟み、高さを調節する咬合記録器具51について説明する。図7は、バイトプレーン52とフィクスチャー嵌合平板部材53の斜視図(図7左)、及び側面図(図7右)を示している。フィクスチャー嵌合平板部材53の下部には、フィクスチャーの形状に合わせた突起54が備えられており、フィクスチャーに固定することができる。バイトプレーン52とフィクスチャー嵌合平板部材53の間に、ワックス、あるいはレジンを挟み、患者に口腔内で噛んでもらい、咬合高径を決定する。バイトプレーン52には四隅にバイトプレーン突起55が、フィクスチャー嵌合平板部材53の四隅にはバイトプレーン突起55と適合する位置に貫通孔56が設けられており、両方の部材が横にずれないように工夫されている。この部材ではワックスを用いて高さを調節することができるため、非常に簡単に咬合高径を決定することができる。
次に、2つの平板状の部材の間にワックス、又はレジンを間に挟み、高さを調節する咬合記録器具51について説明する。図7は、バイトプレーン52とフィクスチャー嵌合平板部材53の斜視図(図7左)、及び側面図(図7右)を示している。フィクスチャー嵌合平板部材53の下部には、フィクスチャーの形状に合わせた突起54が備えられており、フィクスチャーに固定することができる。バイトプレーン52とフィクスチャー嵌合平板部材53の間に、ワックス、あるいはレジンを挟み、患者に口腔内で噛んでもらい、咬合高径を決定する。バイトプレーン52には四隅にバイトプレーン突起55が、フィクスチャー嵌合平板部材53の四隅にはバイトプレーン突起55と適合する位置に貫通孔56が設けられており、両方の部材が横にずれないように工夫されている。この部材ではワックスを用いて高さを調節することができるため、非常に簡単に咬合高径を決定することができる。
本実施例で示したように、咬合記録器具1、21、31、41、51は、患者の口腔内でも作業用模型上でも使用することができる。また、総義歯、部分義歯、インプラント、ブリッジ、スプリントなど様々な補綴治療の場面において、咬合記録器具を使用することができる。残存歯の有無、対向歯の形状など、作製する補綴物によって咬合記録器具を選択して用いればよい。咬合記録器具1、21、31、41、51を咬合採得の際に疑似咬頭として使用することにより、口腔内の失われたバーチカルストップを復元することができるので、咬合調整しながら口腔内の反射を回復することになり、術者の経験によらず正確な咬合採得を行うことができる。その結果、補綴物の作製後に行う患者の口腔内での咬合調整は短時間で済む。また、口腔内の反射を回復した咬合採得を行っていることから、補綴物を装着した後に、患者が咬合不良を訴えることがない。
また、ここでは、平板状の咬合記録器具2と凸部を備えた咬合記録器具3を別々に使用する例を示したが、義歯作製の場合など、2つを組み合わせて使用することも可能である。
また、インプラント咬合調整を行う場合にも、2種類の咬合記録器具を組み合わせて使用することができる。例えば、インプラントのフィクスチャー上で、咬合記録器具31によって咬合高径を調整した後に、バイトプレーン33上部に、咬合記録器具21aを配置して調整することにより、対合歯の中で最も条件が良い場所だけを選択し咬合採得することが可能になる。
次に、本実施例で示した咬合採得法の理論に基づいた咬合器について説明する。理想咬合については、ナソロジー学派の研究者が中心位と中心嵌合位とを一致させることを提唱し、中心位と中心嵌合位が一致した咬合が理想的であると考えられている。しかしながら、どのようにすれば中心位と中心嵌合位を一致できるかの明確な指標、あるいは手順が存在しないため、臨床上は試行錯誤のうえ補綴物を作製し治療を行っているのが現状である。
以下に示す2種の咬合器は、顆頭が自由移動するような動き、あるいは下顎の回転・振り子運動を再現することにより、補綴物にフリーダムインセントリックを自動付与することができる。
図8に示す咬合器61は、上弓部62及び下弓部63を備え、3本の支柱64によって上弓部62を支える構造となっている。支柱64は上下に長さを調整することができるように構成されており、咬合高径を調整できるようになっている。さらに、支柱64が上弓部62あるいは下弓部63と接する3つの上弓支持部65は顆頭の形状を模している。また、受け部66は夫々下顎窩を模した形状をしている。
図8(B)に受け部66の断面図を示しているが、受け部66は、窪みの浅いものから深いものまで、深さの異なるものが用意されており、患者の下顎窩の形状により交換することができるようになっている。上弓部62、下弓部63には受け部66を嵌め込むことにより交換することができる穴を設けてあり、適切な深さの受け部66と交換することができる。患者の顎関節形状は歯科医師がCTで確認することができることから、患者の下顎窩に近い形状の受け部66を歯科技工士が選択すればよい。患者の顎関節の形状を模することにより、ヒンジ・アキシスを容易に再現することが可能となる。
また、上弓部62、下弓部63は、引きばね67によって固定される構成となっている。引きばね67で固定することにより、咀嚼運動の反射を再現することができる。咀嚼運動は随意運動であるが、他の骨格筋による運動と同様に、細かな調整は反射による不随意運動によりなされている。引きばねによって固定することにより、咀嚼時に生じる咬合圧の刺激による反射を再現することができる。顎関節の形状、及び筋肉の動きを模すことができるので、補綴物にフリーダムインセントリックを自動付与することができる。
さらに、透明な位置確認ガイド68が用意されており、支柱の外側に配置することができるようになっている。位置確認ガイド68により水平位置、垂直位置を確認しながら補綴物を作製することができる。
咬合器71は、下顎マウンティングプレート72が移動するように構成されており、モンソンの球面学説の下顎の回転、振り子運動を下顎マウンティングプレート72に再現できるように工夫されている(図9)。下顎マウンティングプレート72は、既成の咬合器に取り付けることができる。
上弓部73、下弓部74、インサイザルピン75を備えた咬合器71に、下顎マウンティングプレート72を取り付けた咬合器について説明するが、下弓部を備えたどのようなタイプの咬合器であっても取り付けることができる。
下顎マウンティングプレート72は、回転、振り子運動に対応できるように、ネジによって、上下左右に移動可能なように構成されている。下顎マウンティングプレート72は、下弓部74に固定して用いるマウンティングプレート下部76と、可動部77及びマウンティングプレート上部78で構成されている(図9(B))。
図9(B)は、マウンティングプレート下部76、及び可動部77の上から見た平面図、マウンティングプレート上部78の下から見た平面図を示す。マウンティングプレート下部76は、脚部79を下弓部の回転防止機構80の間に配置し、石膏によって下弓部74に固定する。
図9(C)に示すように、可動部77には、正中方向、これに直行する方向の4箇所にネジ81がマウンティングプレート下部76のネジ孔82と螺合する設けられている。ネジ孔82は複数設けられており、4箇所のネジとネジ孔の位置を調整することにより高さ及び傾斜が調節できるようになっている。さらに、ネジ83によって、位置を調整した後、マウンティングプレート上部78を可動部77上に固定マグネット84により固定する。固定マグネット84は、片方がマグネットであればよいので、片方を金属板とすることも可能である。可動部77によって、マウンティングプレート72には適切な高さ、傾斜が付与されていることからモンソンの球面学説の下顎の回転、振り子運動を簡単に再現することができる。
咬合器71は、顎関節の動きを再現することができるので、中心位と咬頭嵌合位との間にロング・セントリックあるいはワイド・セントリックを与え、補綴物を作製することが可能である。
1、2、3、5、7、8、9、10、13、21、31、41、51…咬合記録器具、4、25…小孔、6、22…把持部、11、12、23a、23b…凸部、14、26…凸部/凹部、15、28…維持孔、24…平板部、27…平板部材、32、42…嵌合部材、33、43、52…バイトプレーン、34、44…フィクスチャー嵌合部、35、45、54…突起、36、46…外縁部、37、47…嵌合突起、38、48…接合部、53…フィクスチャー嵌合平板部材、55…バイトプレーン突起、56…貫通孔、61、71…咬合器、62、73…上弓部、63、74…下弓部、64…支柱、65…上弓支持部、66…受け部、67…引きばね、68…位置確認ガイド、72…下顎マウンティングプレート、75…インサイザルピン、76…マウンティングプレート下部、77…可動部、78…マウンティングプレート上部、79…脚部、80…回転防止機構、81、83…ネジ、82…ネジ孔、84…固定マグネット、A…フィクスチャー
Claims (7)
- 咬合高径を決定した後に咬合採得を行う咬合記録器具であって、
硬質素材からなり、
補綴治療を必要とする近遠心径の長さを備え、
平板状、又は凸部を備えている咬合記録器具。 - 前記平板状の咬合記録器具は厚みを選択する、又は重ねることによって、
前記凸部を備えた咬合記録器具は、前記凸部を切削、あるいはレジンを付加することによって,
咬合高径を調節可能に構成されている請求項1記載の咬合記録器具。 - 咬合採得が必要な近遠心径に合わせて切断可能な請求項1又は2記載の咬合記録器具。
- 咬合紙ホルダー及び/又はピンセットで把持する把持部を備えている請求項1〜3いずれか1項記載の咬合記録器具。
- 上顎模型を支持するための上弓部と、
下顎模型を支持するための下弓部と、
上弓を支持する支柱を備え、
前記支柱は端部に前記上弓部又は前記下弓部と接する上弓支持部を備え、
前記上弓部と前記下弓部には前記上弓支持部と接する受け部を備え、
前記上弓支持部は患者の顆頭を模した形状であり、
前記受け部は下顎窩を模した形状であり、
前記受け部は患者の下顎窩の形状に合わせて交換可能に構成されていることを特徴とする咬合器。 - 前記上弓部、及び下弓部は引きばねによって固定されている請求項5記載の咬合器。
- 上顎模型を支持するための上弓部と、
下顎模型を支持するための下弓部と、
上顎及び下顎マウンティングプレートを備えた咬合器であって、
前記下顎マウンティングプレートがモンソン球学説の回転・振り子運動同様の動きを付与できるように移動可能に構成されていることを特徴とする咬合器。
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