JPWO2018212359A1 - 反射防止部材 - Google Patents

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Abstract

反射防止部材100は、凸部60及び凹部70から画成される凹凸表面80を有し、前記凹凸表面80の観察画像のフーリエ変換像が波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示し、前記凸部60及び前記凹部70が平面視上ランダムな方向に延在し、前記凸部60の延在方向に垂直な面で切断した前記凸部60の断面において、前記凸部60の幅が前記凸部60の底部70bから頂部60tに向かって小さくなっており、前記底部70bから0.95D(Dは前記凸部の高さ)の高さにおける前記凸部60の幅W1、及び、前記底部70bから0.05Dの高さにおける前記凸部60の幅W2が、0.04P<W1<0.21P、0.79P<W2<0.96P、4.0<W2/W1≦19(Pは前記凹凸表面80の凹凸の平均ピッチ)を満たす。反射防止部材100は、反射防止効果及び耐摩耗性が高い。

Description

本発明は、反射防止部材に関する。
CRT、液晶、プラズマ、有機EL等の様々なディスプレイが知られているが、これらのディスプレイにおいて、外光から生じる反射光の影響で画像が見えにくくなるという現象が生じることから、表示品質向上のために反射光の影響を低減することが望まれている。
反射光の影響を低減する方法の一つとして、ナノオーダーの微細な凹凸構造をディスプレイの表面に形成する方法が知られている。近年、「モスアイ構造」と呼ばれる微細な凹凸構造が注目されている。モスアイ構造では、可視光線の波長よりも小さい円形又は多角形底面を有する錐状又は錐台状の無数の微細突起が可視光線の波長よりも小さいピッチで配置されている。特許文献1に記載されるように、微細構造の厚み方向の屈折率は厚み方向の各断面における材料の占有面積によって定まるため、モスアイ構造の厚み方向の屈折率は急激に変化することがない。ディスプレイの表面にこのようなモスアイ構造を形成することにより、厚み方向の屈折率が空気の屈折率1.0からディスプレイの基板材料の屈折率まで、なだらかに且つ連続的に変化するようになる。それにより、ディスプレイの表面に入射した光は、ほとんど回折や反射が生じることなく直進する。このように、モスアイ構造を表面に形成することにより、入射表面における光の反射率を効果的に低減することが可能となる。
また、特許文献2には、反射防止体として使用される凹凸パターン形成シートが記載されている。特許文献2において、反射防止体は、樹脂層上に、金属または金属化合物からなる硬質層を形成し、樹脂層を収縮させることにより硬質層を蛇行変形させることによって形成される。
特開2008−158293号公報 特開2008−279597号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるようなモスアイ構造は、機械強度が小さいため、摩擦等により凹凸構造の凸部が倒れて、反射率を低減させる効果(すなわち、反射防止効果)が損なわれやすい。また、特許文献2に記載されるような樹脂層の収縮により形成される反射防止体は、凹凸深さの面内ばらつきが大きく、それにより光が散乱されやすい。そのため、このような反射防止体はヘーズ(曇り度)が高いという問題がある。
本発明の目的は、高い反射防止効果及び耐摩耗性を有する反射防止部材を提供することにある。
本発明の第1の態様に従えば、凸部及び凹部から画成される凹凸表面を有する反射防止部材であって、
前記凹凸表面の観察画像に2次元高速フーリエ変換処理を施すことにより得られるフーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示し、
前記凸部及び前記凹部が、平面視上ランダムな方向に延在し、
前記凸部の延在方向に垂直な面で切断した前記凸部の断面において、前記凸部の幅が前記凸部の底部から頂部に向かって小さくなっており、前記底部から0.95D(Dは前記凸部の高さ)の高さにおける前記凸部の幅W1、及び、前記底部から0.05Dの高さにおける前記凸部の幅W2が、0.04P<W1<0.21P、0.79P<W2<0.96P及び4.0<W2/W1≦19(Pは前記凹凸表面の凹凸の平均ピッチ)を満たす反射防止部材が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、凸部及び凹部から画成される凹凸表面を有する反射防止部材であって、
前記凹凸表面の観察画像に2次元高速フーリエ変換処理を施すことにより得られるフーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示し、
前記凸部の幅が前記凸部の底部から頂部に向かって小さくなっており、
前記凹凸表面の凹凸の平均ピッチが150〜250nmの範囲内であり、
前記凹凸表面の凹凸の平均深さが90〜300nmの範囲内であり、
前記凸部のアスペクト比が0.4〜2の範囲内である反射防止部材が提供される。
本発明の反射防止部材は、高い反射防止効果及び耐摩耗性を有する。そのため、本発明の反射防止部材は種々の用途に好適に用いることができる。
図1は、実施形態に係る反射防止部材の概略断面図である。 図2は、実施形態に係る反射防止部材の凹凸表面の平面構造の一例を示している。 図3は、実施形態に係る反射防止部材の凹凸表面の平面観察画像のフーリエ変換像の一例である。 図4(a)は、長く延在する形状であるとともに、延在方向に垂直な面で切断した断面の形状が略三角形である凸部の概略斜視図であり、図4(b)は、図4(a)に示す凸部を有する凹凸表面及びその近傍における屈折率n(z)を概念的に表す図である。 図5(a)は、長く延在する形状であるとともに、延在方向に垂直な面で切断した断面の外形が放物線状である凸部の概略斜視図であり、図5(b)は、図5(a)に示す凸部を有する凹凸表面及びその近傍における屈折率n(z)を概念的に表す図である。 図6(a)は、従来のモスアイ構造において、高さ方向に平行な面で切断した断面の形状が略三角形である凸部の概略斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示す凸部を有する凹凸表面及びその近傍における屈折率n(z)を概念的に表す図である。 図7(a)は、従来のモスアイ構造において、高さ方向に平行な面で切断した断面の外形が放物線状である凸部の概略斜視図であり、図7(b)は、図7(a)に示す凸部を有する凹凸表面及びその近傍における屈折率n(z)を概念的に表す図である。 図8(a)〜(g)は、反射防止部材の製造方法の各工程を概念的に示す図である。 図9(a)は、凹凸ピッチが160nmの場合の透過率の計算結果を示すグラフであり、図9(b)は、凹凸ピッチが200nmの場合の透過率の計算結果を示すグラフである。
[反射防止部材]
本実施形態に係る反射防止部材100は、図1に示すように、基材40と、その上に形成された凹凸構造層50を有する。凹凸構造層50は凸部60と、凸部60により画成される凹部70を有する。それにより、凹凸構造層50は凹凸表面80を有する。
基材40は、任意の透光性の基材であってよい。例えば、ガラス等の透明無機材料からなる基材、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等)、アクリル系樹脂(ポリメチルメタクリレート等)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂(ABS樹脂等)、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリイミド系樹脂(ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂等)、シクロオレフィンポリマー等の樹脂からなる基材が挙げられる。
凹凸構造層50は、凸部60を備える。凸部60に挟まれた又は囲まれた部分が凹部70となる。凹凸構造層50は、透光性の材料から構成されてよく、例えば、シリカ、SiN、SiON等のSi系の材料、TiO等のTi系の材料、ITO(インジウム・スズ・オキサイド)系の材料、ZnO、ZnS、ZrO、Al、BaTiO、CuO、MgS、AgBr、CuBr、BaO、Nb、SrTiO等の無機材料、または、WO2016/056277号に記載されるような熱可塑性樹脂、紫外線硬化型樹脂等の樹脂材料から構成されてよい。上記無機材料は、無機材料の前駆体(ゾル)をゾルゲル法により硬化させることで得られるキセロゲルであってよい。キセロゲルはSi−O結合などの強固な共有結合から構成される三次元的なネットワークを有し、十分な機械強度を有する。
凹凸構造層50は、上記樹脂材料と上記無機材料のコンポジット材料から構成されてもよい。また、屈折率の調整、高硬度化等のために、上記無機材料、上記樹脂材料又はそれらのコンポジット材料に公知の微粒子やフィラーを含ませてもよい。上記無機材料、上記樹脂材料又はこれらのコンポジット材料に、紫外線吸収材料を含有させてもよい。紫外線吸収材料は、紫外線を吸収し光エネルギーを熱のような無害な形に変換することにより、凹凸構造層50の劣化を抑制する作用がある。紫外線吸収剤としては、WO2016/056277号に例示される紫外線吸収剤など任意のものが使用できる。
凹凸構造層50を構成する材料の屈折率と、基材40を構成する材料の屈折率との差は±0.1以下であってよい。それにより、基材40と凹凸構造層50の界面における光の反射が抑制される。
図2に、凹凸表面80の平面構造の一例を示す。図2において、凹凸表面80は、複数の凸部60(白色部分)と、凸部60を取り囲む凹部(黒色部分)70により画成されている。複数の凸部60は、複数の延在部60eと複数の点部60dから構成される。延在部60eは、直線状にまたは屈曲して(うねって)ランダム(不均一)な方向に延在する細長い形状を有する。延在部60eの延在方向、屈曲方向(うねる方向)及び延在長さは不均一である。複数の延在部60eの一部または全部が、途中で分岐していてもよい。点部60dは、円状または楕円状の形状を有する。ここで、円または楕円状の形状とは、略円状または略楕円状の形状も含む。なお、複数の凸部60は、複数の延在部60eのみから構成されてもよい。すなわち、点部60dは必須ではない。凹部70は、各凸部60を取り囲むようにランダムな方向に延在し、全体として二次元的に連続して(つながって)いる。なお、凹部70は、環状の凸部60に取り囲まれて独立した部分を含んでもよい。
凹部70及び凸部60は全体として等方的に配置されている。このような凹部70及び凸部60を有する凹凸表面80は、ストライプ、波形ストライプ、ジグザグのような規則正しく配向した凸部や、ドット状の凸部等から構成される凹凸表面とは明らかに異なる。このように凹部70及び凸部60が等方的に配置された凹凸表面80は、ストライプ等の規則的なパターンが形成された表面と比べて、特定の波長の光を閉じ込める効果が少ないため、反射防止部材100の虹見え(視野角に応じて色付いて見えること)が抑制される。また、このような等方的な凹凸表面80を有する凹凸構造層50を基材40の表面と直交する任意の面で切断した場合、凹凸断面が繰り返し現れる。
なお、凹凸表面は、図2に示される凹部と凸部を反転したものであってもよい。この場合、複数の凹部と、凹部を取り囲む凸部により、凹凸表面が画成される。複数の凹部は、複数の延在部と複数の点部から構成されるが、点部は必須ではない。この場合、凸部60が全体として連続している(つながっている)ため、反射防止部材100の表面を擦っても凸部60が倒れにくく、反射防止部材100の耐摩耗性が高い。
図2に示される凹凸表面80において、複数の凸部60のうちの多くが延在長さの長い凸部であり、延在長さの短いまたは略点状の凸部の割合は小さいことが好ましい。具体的には、複数の凸部60のうち後述する凹凸の平均ピッチPの7倍以下の周長(輪郭)を有する凸部60の周長の合計が、複数の凸部60の周長の合計の10%以下であってよい。凹凸の平均ピッチPの7倍以下の周長を有する凸部は、延在長さが平均ピッチPの約3倍以下であり、延在長さが短い。このような凸部の割合が10%以下である場合、反射防止部材100のヘーズが0.5%未満となる。
「複数の凸部の周長の合計」及び「複数の凸部のうち凹凸の平均ピッチPの7倍以下の周長を有する凸部の周長の合計」は、以下のようにして求めることができる。凹凸表面の平面SEM画像から、一辺が凹凸の平均ピッチPの40倍以上の正方形の領域を切り出す。画像処理解析ソフトを用いて、切り出した画像を二値化する。さらに、画像処理解析ソフトを用いて、画像の外周に接触していない白色部の周長をそれぞれ求める。求めた全ての周長を足し合わせた値が「複数の凸部の周長の合計」である。また、求めた周長のうち凹凸の平均ピッチPの7倍以下のものを全て足し合わせた値が、「複数の凸部のうち凹凸の平均ピッチPの7倍以下の周長を有する凸部の周長の合計」である。
なお、凹凸表面が、図2に示される凹部と凸部を反転したものである場合、複数の凹部のうち凹凸の平均ピッチPの7倍以下の周長を有する凹部の周長の合計が、複数の凹部の周長の合計の10%以下であってよい。「複数の凹部の周長の合計」及び「複数の凹部のうち凹凸の平均ピッチPの7倍以下の周長を有する凹部の周長の合計」は、以下のようにして求めることができる。凹凸表面の平面SEM画像から、一辺が凹凸の平均ピッチPの40倍以上の正方形の領域を切り出す。画像処理解析ソフトを用いて、切り出した画像を二値化する。さらに、画像処理解析ソフトを用いて、画像の外周に接触していない黒色部の周長をそれぞれ求める。求めた全ての周長を足し合わせた値が「複数の凹部の周長の合計」である。また、求めた周長のうち凹凸の平均ピッチPの7倍以下のものを全て足し合わせた値が、「複数の凹部のうち凹凸の平均ピッチPの7倍以下の周長を有する凹部の周長の合計」である。
また、凹凸表面80の凸部60及び凹部70がいずれも、屈曲して延在する細長い形状を有する複数の延在部から構成されてもよい。この場合も、凸部60が長く連続している(つながっている)ため、反射防止部材100の表面を擦っても凸部60が倒れにくく、反射防止部材100の耐摩耗性が高い。
凹凸表面80を走査型プローブ顕微鏡又は電子顕微鏡等により観察して得られる画像に2次元高速フーリエ変換処理を施すと、図3に示すような、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示すフーリエ変換像が得られる。円状又は円環状の模様は、波数の絶対値が4.0〜6.7μm−1の範囲内となる領域内に存在してよい。なお、フーリエ変換像の円状の模様は、フーリエ変換像において輝点が集合することにより観測される模様である。ここで「円状」とは、輝点が集合した模様がほぼ円形の形状に見えることを意味し、外形の一部が凸状又は凹状となっているように見えるものも含む概念である。また、「円環状」とは、輝点が集合した模様がほぼ円環状に見えることを意味し、環の外側の円や内側の円の形状がほぼ円形の形状に見えるものを含み且つ環の外側の円や内側の円の外形の一部が凸状又は凹状となっているように見えるものも含む概念である。また、「円状又は円環状の模様が波数の絶対値が4.0〜6.7μm−1の範囲内となる領域内に存在する」とは、フーリエ変換像を構成する輝点のうちの30%以上(より好ましくは50%以上、更により好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上)の輝点が波数の絶対値が4.0〜6.7μm−1の範囲内となる領域に存在することをいう。
なお、平面視上の凹凸形状とフーリエ変換像との関係について、次のことが分かっている。隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔がランダムであり凹部及び凸部の配置及び延在方向が等方的である(異方性及び配向性がない)場合には、フーリエ変換像もランダムなパターン(模様がない)となる。一方、凹凸の配置及び延在方向が全体として等方的であるが、隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔が一定の値の範囲内に集中している場合には、フーリエ変換像は円または円環状となる。また、隣り合う凸部同士又は隣り合う凹部同士の間隔が均一な(一定の)場合、フーリエ変換像はシャープな円環状となる。
平面観察画像の2次元高速フーリエ変換処理は、2次元高速フーリエ変換処理ソフトウエアを備えたコンピュータを用いた電子的な画像処理によって容易に行うことができる。
凹凸表面80の凹凸の平均ピッチPは、150〜250nmの範囲内であってよい。凹凸の平均ピッチPが150nm以上であることにより、可視光の反射率を十分に低減させることができる。凹凸の平均ピッチPが250nm以下であることにより、凹凸表面80による可視光の散乱が抑制され、反射防止部材100が視野角に応じて色付いて見えること(虹見え)を防止することができる。本願において、凹凸の平均ピッチPとは、凸部60及び/または凹部70の延在方向に垂直な面で切断した凹凸表面80の断面において、隣り合う凸部60の頂部60t同士又は隣り合う凹部70の底部70b同士の間の距離(すなわち、凹凸ピッチ)dの平均値のことをいう。凹凸の平均ピッチPは、走査型プローブ顕微鏡、電子顕微鏡等を用いて求めることができる。
凹凸表面80の凹凸深さ(凸部高さ又は凹部深さ)Dの平均値、すなわち、凹凸表面80の凹凸の平均深さは90〜300nmの範囲内であってよく、200〜300nmの範囲内であってよく、250〜300nmの範囲内であってよい。凹凸の平均深さが90nm以上であることにより、可視光の反射率を十分に低減させることができる。凹凸の平均深さが200nm以上であることにより、後述する実施例で示すように、可視光領域の全波長において98.5%以上の透過率を達成できる。凹凸の平均深さが250nm以上であることにより、後述する実施例で示すように、可視光領域の全波長において99.6%以上の透過率を達成できる。凹凸の平均深さが300nm以下であることにより、反射防止部材100は高い耐摩耗性を有することができる。なお、本願において、「凹凸深さD」とは、凸部60及び/または凹部70の延在方向に垂直な面で切断した凹凸表面80の断面において、隣接する凹部70と凸部60のうち最も高さの低い点(底部70b)と高い点(頂部60t)の高さの差を意味する。
凹凸表面80の凹凸深さ(凸部高さ又は凹部深さ)Dのばらつきは5%以下であってよい。ここで、凹凸深さDのばらつきとは、凹凸深さDの標準偏差を凹凸深さDの平均値で割った値である。凹凸表面80の凹凸深さDのばらつきが5%以下であることにより、凹凸表面80における光の散乱が抑制され、反射防止部材100のヘーズ(曇り度)が十分に小さくなり、透明性が高くなる。このような凹凸深さDのばらつきの小さい凹凸表面80は、後述する製造方法により形成することができる。
図1に示すように、凹凸表面80の凸部60の幅は、凸部60の頂部60tに向かって小さくなっている。言い換えると、凹部70の幅は、凹部70の底部70bに向かって小さくなっている。それにより、基材40の表面に平行な面における凹凸構造層50の断面積が、基材40から離れるにしたがって減少する。その結果、屈折率が凹凸の深さ方向に連続的に変化するため、反射防止部材100は低い反射率を有する。
延在方向に垂直な面で切断した凸部60の断面の形状は、略三角形である。本願において「略三角形」とは、底部70bから0.95D(Dは凸部高さ)の高さにおける凸部60の幅W1が0.04P<W1<0.21P(Pは凹凸の平均ピッチ)を満たし、底部70bから0.05Dの高さにおける凸部60の幅W2が0.79P<W2<0.96Pを満たし、W2/W1が4.0<W2/W1≦19を満たすような形状を意味する。W2/W1が4.0<W2/W1≦19を満たすことにより、可視光領域の全波長において低い反射率を達成できる。また、底部70bからαDの高さにおける凸部60の幅Wαが、0≦α≦1の範囲内において、(0.84−α)P<Wα<(1.16−α)Pを満たしてもよい。
従来のモスアイ構造では、凸部の断面の形状を略三角形状とすると十分な反射防止効果が得られないが、実施形態に係る反射防止部材のように凸部が長く延在する形状の場合、凸部の断面の形状が略三角形状であることで高い反射防止効果が得られる。これは、本願発明者らが鋭意研究の末に見出したことである。これについて、以下に説明する。
図4(a)に示すように、凸部が長く延在する形状であるとともに、延在方向に垂直な面で切断した凸部の断面の形状が略三角形である場合、凸部の頂部をz=0として凹凸の深さ方向にz軸をとり、凸部の底面の面積をA、凹凸深さをDとすると、z軸に垂直な面で切断した凸部の断面積S(z)は、S(z)=az(但し、a=A/D)と表される。よって、凸部の断面積S(z)はzに比例する。各z座標における屈折率n(z)は、各z座標においてz軸に垂直な面で切断した凸部の断面積S(z)に比例する。そのため、屈折率n(z)はzに比例する。したがって、屈折率n(z)は図4(b)のように表される。なお、図4(b)において、nは空気の屈折率、nは凹凸構造層の材料の屈折率を示している。このように、屈折率が凸部の高さ方向の座標に比例して連続的に変化するため、より高い反射防止効果が得られる。
一方、図5(a)に示すように、凸部が長く延在する形状であるとともに凸部の断面の外形が放物線状である場合、凸部の頂部をz=0として凹凸の深さ方向にz軸をとると、z軸に垂直な面で切断した凸部の断面積S(z)は、√zに比例する。上述のように、屈折率n(z)は、凸部の断面積S(z)に比例するため、屈折率n(z)は√zに比例する。したがって、屈折率nは図5(b)のように表される。図5(b)のグラフでは、図4(b)と比べて、凸部の頂部近傍(z=0近傍)で屈折率が急激に変化している。そのため、凸部の頂部近傍で十分な反射防止効果が得られない。
従来技術のモスアイ構造では、凸部は、平面視上、円形状や多角形状を有し、長く延在する形状ではない。図6(a)に示すように凸部が円錐状であると、高さ方向(z軸方向)に平行な面で切断した凸部の断面形状が略三角形となる。この場合、z軸に垂直な面で切断した凸部の断面積S(z)は、zに比例する。上述のように、屈折率n(z)は、凸部の断面積S(z)に比例するため、屈折率n(z)はzに比例する。したがって、屈折率n(z)は図6(b)のように表される。図6(b)のグラフでは、図4(b)と比べて、凸部の底部近傍(z=D近傍、Dは凹凸深さを意味する)で屈折率が急激に変化している。そのため、凸部の底部近傍で十分な反射防止効果が得られない。一方、図7(a)に示すように凸部の高さ方向(z軸方向)に平行な面で切断した凸部の外形が放物線状である場合、z軸に垂直な面で切断した凸部の断面積S(z)は、zに比例する。したがって、屈折率n(z)もzに比例する。ゆえに、屈折率n(z)は図7(b)のように表される。この場合、屈折率が凸部の高さ方向の座標に比例して連続的に変化するため、高い反射防止効果が得られる。つまり、従来のモスアイ構造の場合、反射防止効果の観点からすると、図6(a)に示すような形状の凸部よりも、図7(a)に示すような形状の凸部のほうが好ましい。
凹凸表面80の凹凸のアスペクト比D/dは、0.4〜2の範囲内であってよい。なお、「凹凸のアスペクト比D/d」とは、凹凸表面80の凹凸深さDと凹凸ピッチdの比を意味する。凹凸のアスペクト比D/dが0.4以上であることにより、反射防止部材100は低い反射率を有する。凹凸のアスペクト比D/dが2以下であることにより、反射防止部材100は高い耐摩耗性を有する。
[反射防止部材の製造方法]
反射防止部材100の製造方法の一例を、図8(a)〜(g)を参照しながら説明する。反射防止部材100の製造方法は、主に、モールドを作製する工程と、反射防止部材を作製する工程を有する。
(1)モールドの作製
まず、少なくとも第1及び第2のポリマーセグメントからなるブロック共重合体溶液を調整し(溶液調製工程)、図8(a)に示すようにブロック共重合体溶液を酸化膜3付きのシリコン基板1に塗布して、ブロック共重合体膜5を形成する(塗布工程)。次いで、図8(b)に示すように、ブロック共重合体膜5中のブロック共重合体を、第1のポリマーセグメント5aと第2のポリマーセグメント5bに相分離させる(相分離工程)。ブロック共重合体溶液の調製、塗布、及び相分離は、WO2013/161454号に記載される材料及び方法を用いて行うことができる。特に、相分離工程では、WO2013/161454号に記載の溶媒雰囲気下におけるブロック共重合体の自己組織化によって、ブロック共重合体を相分離させてよい。相分離工程により形成されるミクロ相分離構造は、垂直ラメラ構造であってよい。
図8(c)に示すように、第1のポリマーセグメント5a及び第2のポリマーセグメント5bの一方(第2のポリマーセグメント5b)をエッチングにより選択除去する(第1エッチング工程)。エッチング法としては、紫外線エッチング法等のWO2012/096368号に記載される方法を用いることができる。次に、図8(d)に示すように第1及び第2のポリマーセグメント5a,5bの他方(第1のポリマーセグメント5a)をマスクとして酸化膜3をエッチングし(第2エッチング工程)、さらに図8(e)に示すように酸化膜3をマスクとしてシリコン基板1をテーパー形状にエッチングする(第3エッチング工程)。第2エッチング工程及び第3エッチング工程において、エッチングはドライエッチング法により行ってよい。以上により、シリコン基板1の表面に凹凸が形成され、モールド2が得られる。なお、シリコン基板1の表面に形成される凹凸のテーパー形状は、第3エッチング工程における酸化膜3とシリコン基板1のエッチングレートの比によって制御することができる。そのため、任意の断面形状の凹凸を有するモールド2を形成できる。
(2)反射防止部材の作製
モールド2の凹凸を樹脂層51に転写する(転写工程)。具体的には、基材40上に硬化性樹脂を塗布して樹脂層51を形成し、図8(f)に示すように樹脂層51にモールド2を押圧し、次いで、樹脂層51を紫外線照射、加熱等により硬化させ、その後、図8(g)に示すように樹脂層51からモールド2を剥離する。それにより、基材40上に凹凸構造層50が形成された反射防止部材100が得られる。
なお、硬化性樹脂の代わりに無機材料の前駆体の溶液を基材40上に塗布することで、樹脂層51の代わりに無機材料層を形成してもよい。無機材料の前駆体としては、例えば、WO2016/056277号に記載される、Si、Ti、Sn、Al、Zn、Zr、In等のアルコキシド(金属アルコキシド)、ポリシラザン等を用いることができる。
また、凹凸構造層50を第2のモールドとして用い、凹凸構造層50の凹凸を別の材料に転写することにより反射防止部材を作製してもよい。
上記製造方法では、ブロック共重合体の自己組織化を用いて作製したモールド2を用いているため、フォトリソグラフィー等によりモールドを作製する場合と比べて凹凸表面の面積が制限されることがない。そのため、大面積の反射防止部材100を容易に製造できる。
また、上記製造方法では、酸化膜3をマスクとしてシリコン基板1をエッチングすることによりモールド2の凹凸を形成しているため、モールド2の凹凸深さはエッチング条件によって定まる。ゆえに、モールド2の凹凸深さのばらつきが小さい。反射防止部材100の凹凸は、モールド2の凹凸を反転したものであるから、反射防止部材100の凹凸深さのばらつきも小さい。
以下、本発明の反射防止部材を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で適宜改変することができる。
<数値計算1>
凹凸表面を有する部材の、波長400〜800nmにおける反射率をシミュレーションにより求めた。凹凸深さDを250nm、凹凸ピッチPを180nmとし、凸部の延在方向に垂直な面で切断した断面の形状を、表1に記載される形状とした。表1中のW1は、底部から0.95Dの高さにおける凸部の幅であり、W2は、底部から0.05Dの高さにおける凸部の幅である。波長400nm、600nm、800nmにおける反射率、及び波長400nm〜800nmにおける平均反射率を表1中に示す。
計算例1−9では、W1及びW2が0.04P<W1<0.21P、0.79P<W2<0.96P、4.0<W2/W1≦19を満たしている。計算例10は、0.04P<W1<0.21P、0.79P<W2<0.96Pを満たすが、W2/W1=4.0なので、4.0<W2/W1≦19を満たさない。計算例11、12は、0.04P<W1<0.21P、0.79P<W2<0.96P、4.0<W2/W1≦19のいずれも満たさない。計算例13は、0.04P<W1<0.21P、0.79P<W2<0.96Pを満たさず、4.0<W2/W1≦19を満たしている。
計算例1−9では、400nm、600nm、800nmのいずれの波長でも反射率が0.4%以下であり、400nm〜800nmにおける平均反射率は0.4%未満であった。計算例10−13では、波長400nm及び/又は600nmにおいて0.4%を超える高い反射率となり、平均反射率は0.4%以上であった。したがって、W1及びW2が、0.04P<W1<0.21P、0.79P<W2<0.96P及び4.0<W2/W1≦19を満たせば、0.4%未満の低い平均反射率が達成されるとともに400nm、600nm、800nmのいずれの波長でも0.4%以下の低い反射率が達成され、高い反射防止効果が得られることが示された。
Figure 2018212359
<数値計算2>
凹凸表面を有する部材の、波長400〜800nmにおける透過率をシミュレーションにより求めた。凹凸表面に形成されている凸部の延在方向に垂直な面で切断した断面の形状は、底辺120〜240nm、高さ100〜300nmの二等辺三角形とした。また、凹凸表面の凹凸ピッチは、凸部の断面形状の底辺と等しく、120〜240nmとした。
図9(a)に、凹凸ピッチ(凸部の断面形状の底辺)が160nmの場合の透過率を示し、図9(b)に凹凸ピッチが200nmの場合の透過率を示す。図9(a)、(b)中の凡例は、凸部高さ(凹凸深さ)を示している。
図9(a)、(b)に示すように、凹凸ピッチが160nmと200nmのいずれの場合も、凹凸深さが200nm以上で、波長400nm、600nm及び800nmにおける透過率が98.5%以上となった。また、凹凸深さが250nm以上で、波長400nm、600nm及び800nmにおける透過率が99.6%以上となった。120〜240nmの範囲内のいずれの凹凸ピッチでも、同様の傾向を示した。
<実施例1>
ポリスチレン(以下、適宜「PS」と略する)とポリメチルメタクリレート(以下、適宜「PMMA」と略する)とからなり、末端にヒドロキシル基を有するランダム共重合体(Polymer Source社製)を用意した。ランダム共重合体をトルエンに溶解させて、ランダム共重合体溶液を得た。
また以下のようなPSとPMMAとからなるブロック共重合体(Polymer Source社製)を用意した。該ブロック共重合体をトルエンに溶解させてブロック共重合体溶液を得た。
ブロック共重合体のMn=1,010,000、
PSセグメントとPMMAセグメントの体積比(PS:PMMA)=53.9:46.1、
分子量分布(Mw/Mn)=1.18
ブロック共重合体におけるPSセグメント及びPMMAセグメントの体積比(PSセグメント:PMMAセグメント)は、ポリスチレンの密度が1.05g/cmであり、ポリメチルメタクリレートの密度が1.19g/cmであるものとして算出した。ポリマーセグメント又はポリマーの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー(株)製、型番「GPC−8020」、TSK−GEL SuperH1000、SuperH2000、SuperH3000及びSuperH4000を直列に接続したもの)を用いて測定した。
酸化膜付きSiウエハ上に、ランダム共重合体溶液をスピンキャストし、2日間真空下で170度に加熱した。その後、Siウエハをトルエン中で超音波洗浄し、Siウエハを乾燥した。Siウエハにブロック共重合体溶液をスピンキャストし、ホットプレートで乾燥した。それにより、Siウエハ上にブロック共重合体膜を形成した。
次いで、ブロック共重合体膜が形成されたSiウエハをシャーレ中に置き、該シャーレをテトラヒドロフラン(THF)液を張ったガラス窓付きの密閉容器内に設置した。ガラス窓を通して干渉式膜厚計によりブロック共重合体膜の厚さを測定しながら、ブロック共重合体膜の厚さが一定に保たれるように密閉容器内に窒素ガスを流通させた。このようにして、ブロック共重合体膜の膨潤度を一定に制御しながら溶媒アニール処理を施した。
前記密閉容器からブロック共重合体膜が形成されたSiウエハを取り出した後、ブロック共重合体膜に紫外線を照射してPMMAを選択的に切断し、Siウエハをアセトンに浸漬することでPMMAを溶解した。PSから構成される凸部及びPMMAが除去されて形成された凹部は、いずれも不規則な方向に屈曲して延在する細長い形状を有していた。
次に、PSをマスクとして酸化膜のドライエッチングを行った。これにより、PSの平面形状に対応する平面形状の酸化膜がSiウエハ上に残留した。
続いて、酸化膜をマスクとしてSiウエハのドライエッチングを行った。これにより、Siウエハの表面に凹凸が形成された。凹凸の平均ピッチは180nm、深さ(高さ)は300nm、断面はジグザグ状(凸部の幅が底部から頂部に向かって小さくなっている形状)であった。
このSiウエハの表面をオプツール(ダイキン工業社製)で離形処理した。その後、第1樹脂(フッ素含有アクリル系UV硬化樹脂)をSiウエハ上にドロップキャストし、第1樹脂をSiウエハとPETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4300)で挟み込んだ。第1樹脂にUV光を照射して硬化させた。その後、Siウエハから第1樹脂を剥離した。それにより、第1樹脂の表面に、Siウエハの凹凸を反転した凹凸が形成された。
次に、100mm角、厚さ0.8mmの正方形のガラス基板上に第2樹脂(フッ素含有アクリル系UV硬化樹脂)を塗布し、第1樹脂の凹凸表面を第2樹脂に押し付けながら、紫外線を照射することで第2樹脂を硬化させた。その後、第1樹脂を第2樹脂から剥離した。それにより、第2樹脂の表面に、第1樹脂の凹凸を反転した凹凸が形成された。以上のようにしてガラス基板と第2樹脂からなる凹凸構造層とから構成される反射防止部材を作製した。
<実施例2>
シリカの前駆体溶液(ゾル)を調製し、ガラス基板表面に塗布して前駆体溶液膜を形成した。該前駆体溶液膜に実施例1と同様にして作製した第1樹脂の凹凸表面を押し付けた。その後、前駆体溶液膜をホットプレートで加熱し、前駆体溶液膜を硬化させてシリカを形成した。その後、第1樹脂をシリカから剥離した。それにより、シリカの表面に、第1樹脂の凹凸を反転した凹凸が形成された。以上のようにして、ガラス基板とシリカからなる凹凸構造層とから構成される反射防止部材を作製した。
<実施例3>
前駆体溶液膜を硬化させてシリカを形成する時の加熱条件以外は実施例2と同様にして、反射防止部材を作製した。
<実施例4>
ブロック共重合体膜の溶媒アニール処理の時間及び膨潤度を変更したこと以外は実施例3と同様にして、反射防止部材を作製した。
<比較例1>
高さ350nmの円錐状の凸部が、290nmピッチで正三角格子配置されている凹凸表面を有する元型を用意した。当該元型に第1樹脂をドロップキャストし、第1樹脂をモールドとPETフィルムで挟み込んだ。第1樹脂にUV光を照射して硬化させた。その後、元型から第1樹脂を剥離した。それにより、第1樹脂の表面に、元型の凹凸を反転した凹凸が形成された。
次いで、実施例2と同様にしてガラス基板上に前駆体溶液膜を形成した。第1樹脂の凹凸表面を前駆体溶液膜に押し付けた後、前駆体溶液膜をホットプレートで加熱して前駆体溶液を硬化させ、シリカを形成した。その後、第1樹脂をシリカから剥離した。それにより、シリカの表面に、第1樹脂の凹凸を反転した凹凸が形成された。以上のようにして、ガラス基板とシリカからなる凹凸構造層とから構成される反射防止部材を作製した。
(1)凹凸形状の測定
実施例1−4の反射防止部材の中央部から集光イオンビーム(FIB)により薄片を切り出し、凹凸構造層の断面形状をSTEMにより観察した。実施例1−4の反射防止部材はいずれも、凸部の幅が底部から頂部に向かって小さくなっていた。比較例1の反射防止部材についても同様に観察したところ、円錐形状の凸部が観察された。実施例1−4及び比較例1について、断面STEM像から求めた凹凸表面の凹凸の平均ピッチ及び平均深さ、並びに凸部のアスペクト比を表2に示す。
実施例3,4の反射防止部材の凹凸深さDのばらつきを求めた。凹凸深さDのばらつきは、断面STEM像から10箇所の凹凸深さDを測り、凹凸深さDの平均値と標準偏差を求め、標準偏差を平均値で割ることによって求めた。凹凸深さDのばらつきを表2中に示す。いずれも凹凸深さDのばらつきは、5%以下であった。
実施例3,4の反射防止部材の凹凸表面を平面SEM観察した。平面SEM画像から、一辺が40μmの正方形の領域を切り出した。画像処理解析ソフト(ImageJ)を用いて、切り出した画像を二値化した。さらに、画像処理解析ソフトを用いて、画像の外周に接触していない白色部(凸部)の周長をそれぞれ求めた。そして、凹凸の平均ピッチの7倍以下である周長の合計(すなわち、凹凸の平均ピッチの7倍以下の周長を有する凸部の周長の合計)Pと全ての周長の合計(すなわち、凸部の周長の合計)Pの比P/Pを計算した。計算結果を表2中に示す。
実施例3の反射防止部材は、P/Pが10%以下であり、延在長さの長い凸部の割合が大きかった。一方、実施例4の反射防止部材はP/Pが10%を超えており、延在長さの短い凸部の割合が比較的大きかった。
Figure 2018212359
(2)反射率の測定
実施例1−4および比較例1の反射防止部材を10cm角に切り出し、ガラス基板の裏面(凹凸構造層を形成した面の反対面)に黒染スプレーを塗布し乾燥させた。分光光度計(日立ハイテクサイエンス製U4100)を用いて、凹凸構造層の表面の入射角5°の反射率を波長400nm〜780nmの範囲で測定した。測定した反射率をJIS Z 8722に準拠して視感度補正し、平均した値を平均反射率Rとして表3に示す。
実施例1−4および比較例1の反射防止部材はいずれも十分に低い平均反射率Rを有していた。
(3)耐摩耗性の評価
表面性測定機(新東科学株式会社製、トライボギアTYPE:38)の平面圧子(φ12mm)にアルファ10(テックスワイプ社製)を取り付け、実施例2,3及び比較例1の反射防止部材の凹凸表面を摩擦した。摩擦は以下の条件で行った。移動速度=1800mm/分、移動距離=25.0mm、荷重150g、往復回数=5回。摩擦後、反射防止部材の入射角5°の反射率を測定し、視感度補正して平均反射率Rを求めた。平均反射率Rの値及びR/Rの値を表3に示す。また、目視により、摩擦後の反射防止部材の傷の有無を調べた。結果を表3に示す。
比較例1は、R/Rが1.1で、摩擦により反射率が変化した。また、目視では表面に傷が確認された。比較例1の反射防止部材は凹凸表面の機械強度(耐摩耗性)が低く、摩擦により凹凸形状が崩れたためであると考えられる。一方、実施例2は、R/Rが1.0で、摩擦により反射率は変化しなかった。目視でも傷は確認されなかった。実施例2の反射防止部材は凹凸表面の機械強度(耐摩耗性)が高く、摩擦しても凹凸形状がほとんど変化しなかったためであると考えられる。
(4)ヘーズの評価
実施例3,4の反射防止部材のヘーズをヘーズメーター(日本電色工業製、NDH 7000SP、JIS K7136)にて測定した。結果を表3に示す。
実施例3の反射防止部材はヘーズが0.45%であった。一方、実施例4の反射防止部材はヘーズが0.85%で、比較的高い値であった。実施例3の反射防止部材はP/Pが10%以下であり、延在長さの長い凸部の割合が大きかったのに対し、実施例4の反射防止部材はP/Pが10%を超えており、延在長さの短い凸部の割合が比較的大きかったためと考えられる。
Figure 2018212359
本発明の反射防止部材は、反射防止効果及び耐摩耗性が高いため、例えば、ディスプレイ、建物の窓ガラス及びその他建材用のガラス、これらの物品表面に貼付するためのフィルム等の種々の用途に用いることができる。
40 基材、 50 凹凸構造層、 60 凸部、 70 凹部
80 凹凸表面、100 反射防止部材

Claims (7)

  1. 凸部及び凹部から画成される凹凸表面を有する反射防止部材であって、
    前記凹凸表面の観察画像に2次元高速フーリエ変換処理を施すことにより得られるフーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示し、
    前記凸部及び前記凹部が、平面視上ランダムな方向に延在し、
    前記凸部の延在方向に垂直な面で切断した前記凸部の断面において、前記凸部の幅が前記凸部の底部から頂部に向かって小さくなっており、前記底部から0.95D(Dは前記凸部の高さ)の高さにおける前記凸部の幅W1、及び、前記底部から0.05Dの高さにおける前記凸部の幅W2が、0.04P<W1<0.21P、0.79P<W2<0.96P及び4.0<W2/W1≦19(Pは前記凹凸表面の凹凸の平均ピッチ)を満たす反射防止部材。
  2. 前記凹凸表面の凹凸の平均深さが200〜300nmの範囲内である、請求項1に記載の反射防止部材。
  3. 前記凹凸表面が、複数の凸部と前記複数の凸部の各々を取り囲む凹部から画成され、
    前記複数の凸部のうち前記凹凸表面の凹凸の平均ピッチの7倍以下の周長を有する凸部の周長の合計が、前記複数の凸部の周長の合計の10%以下である、請求項1または2に記載の反射防止部材。
  4. 前記凹凸表面が、複数の凹部と前記複数の凹部の各々を取り囲む凸部から画成され、
    前記複数の凹部のうち前記凹凸表面の凹凸の平均ピッチの7倍以下の周長を有する凹部の周長の合計が、前記複数の凹部の周長の合計の10%以下である、請求項1または2に記載の反射防止部材。
  5. 前記凹凸表面の凹凸の平均ピッチが150〜250nmの範囲内である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の反射防止部材。
  6. 凸部及び凹部から画成される凹凸表面を有する反射防止部材であって、
    前記凹凸表面の観察画像に2次元高速フーリエ変換処理を施すことにより得られるフーリエ変換像が、波数の絶対値が0μm−1である原点を略中心とする円状又は円環状の模様を示し、
    前記凸部の幅が前記凸部の底部から頂部に向かって小さくなっており、
    前記凹凸表面の凹凸の平均ピッチが150〜250nmの範囲内であり、
    前記凹凸表面の凹凸の平均深さが90〜300nmの範囲内であり、
    前記凸部のアスペクト比が0.4〜2の範囲内である反射防止部材。
  7. 前記凸部のアスペクト比が0.8〜2の範囲内である請求項6に記載の反射防止部材。
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