以下、図を参照しつつ、無線通信システム、及び、その無線通信システムで利用される基地局、無線端末及び無線通信方法について説明する。この無線通信システムは、Resume機能に対応し、Resume機能にて維持される回線設定情報にその識別情報であるResume IDを付して管理する。そして、無線端末がRRC Inactive stateとなっている間に、無線端末が待ち受けセルを変更する場合に、無線端末は、変更後の待ち受けセルを提供するターゲット基地局に、現在の待ち受けセルを提供するソース基地局の識別情報及びResume IDを通知する。ターゲット基地局は、無線端末からResume ID及びソース基地局の識別情報を受信すると、ソース基地局へそのResume IDを通知して、ソース基地局からそのResume IDに対応する回線設定情報を受け取る。そしてターゲット基地局は、受け取った回線設定情報を用いて、無線端末に関して上位回線を確立するとともに、無線端末に対してResume IDを割り当てて、その割り当てたResume IDを無線端末へ通知する。これにより、この無線通信システムは、無線端末が通信を停止している間にその無線端末の待ち受けセルが変更されても、その無線端末について維持されている回線設定情報をソース基地局からターゲット基地局に引き継ぐことができる。
なお、回線設定情報には、例えば、Authentication, Security,及びContext関連の情報が含まれる。Authenticationに関する情報は、例えば、無線端末のSIM情報の認可に関する情報を含む。また、Securityに関する情報は、例えば、無線端末に関するデータ通信で用いられる暗号化設定に関する情報を含む。そしてContextに関する情報は、例えば、Quality of Service(QoS)設定に関する情報を含む。
なお、本明細書において、Node B、 eNode B、gNode Bまたはアクセスポイントなどは、基地局の一例である。さらに、移動局、移動端末またはUser Equipment(UE)は、無線端末の一例である。
図1は、一つの実施形態による無線通信システムの概略構成図である。無線通信システム1は、二つの基地局11−1、11−2と、無線端末12と、上位ノード13とを含む。そして基地局11−1、11−2と無線端末12とは、互いに無線通信により信号を伝送する。なお、無線通信システム1に含まれる基地局の数は2台に限られず、無線通信システム1は、3台以上の基地局を含んでもよい。同様に、無線通信システム1は、複数の無線端末12を含んでもよく、あるいは、複数の上位ノード13を含んでいてもよい。また、無線通信システム1が複数の上位ノード13を含む場合、基地局11−1が接続される上位ノードは、基地局11−2が接続される上位ノードと異なっていてもよい。さらに、無線端末12は、移動端末であってもよく、あるいは、固定式の通信装置であってもよい。
基地局11−1及び基地局11−2は、無線端末12と上位ノード13間の通信を中継する。そのために、基地局11−1及び基地局11−2は、例えば、S1インターフェースといった、上位ノード13と基地局間の通信について規定される所定の通信規格に従って上位ノード13と接続されている。また基地局11−1及び基地局11−2は、例えば、X2インターフェースといった、基地局同士の通信について規定される所定の通信規格に従って、互いに、あるいは、他の基地局と接続されていてもよい。
基地局11−1及び基地局11−2は、それぞれ、1以上のセルを提供する。例えば、基地局11−1が設定した何れかのセルに無線端末12が在圏していると、無線端末12は基地局11−1と無線通信可能となる。そして基地局11−1は、無線通信可能な無線端末12との間で、ランダムアクセス手順及びコンテキストセットアップなど、無線回線を設定する手順及び上位回線を設定する手順を実行する。その後、基地局11−1は、無線端末12宛ての通信信号を、上位ノード13から受け取って、ダウンリンクの無線信号として無線端末12へ送信する。また、基地局11−1は、無線端末12からアップリンクの無線信号を受け取り、その無線信号に含まれる、他の通信装置(図示せず)への通信信号を取り出して、上位ノード13へその通信信号を送信する。同様に、無線端末12が基地局11−2が設定した何れかのセルに在圏している場合、基地局11−2は、ダウンリンクの無線信号を無線端末12へ送信し、あるいは、無線端末12から、アップリンクの無線信号を受信する。
また、無線端末12が基地局11−1が設定する何れかのセルに在圏しており、かつ、基地局11−1がソース基地局となる場合、基地局11−1は無線端末12がRRC connected stateである間に、Resumeの設定に関する処理を実行する。すなわち、無線端末12がResume機能を使用可能なように、基地局11−1は、無線端末12に関する回線設定情報に、Resume IDを付す。そして基地局11−1は、回線設定情報を、対応するResume IDとともに記憶する。さらに、基地局11−1は、無線端末12が基地局11−1との無線通信を継続している間、すなわち、無線端末12がRRC Connected stateとなっている間に、Resume IDを無線端末12へ通知する。同様に、無線端末12が基地局11−2が設定する何れかのセルに在圏しており、基地局11−2がソース基地局となる場合、基地局11−2は、無線端末12に関する回線設定情報に、Resume IDを付す。そして基地局11−2は、回線設定情報を、対応するResume IDとともに記憶する。さらに、基地局11−2は、無線端末12がRRC Connected stateとなっている間に、Resume IDを無線端末12へ通知する。
その後、無線端末12が待ち受けセルを変更すると判断した場合に、基地局11−1及び基地局11−2は、回線設定情報の引き継ぎに関する処理を実行する。なお、回線設定情報の引き継ぎに関する処理の詳細については後述する。
無線端末12は、Resume機能を利用可能な無線端末であり、例えば、RRC Connected stateにおいて上位回線及び無線回線の設定が行われた後、RRC Inactive stateとなって通信を停止する。すなわち、無線端末12と基地局11−1または基地局11−2との無線回線が切断されても、無線端末12に関する上位回線は維持された状態となる。また無線端末12についての回線設定情報は基地局11−1または基地局11−2にて保持及び管理される。そして無線端末12は、一定の周期(例えば、数時間、数日、1ヶ月等)または特定のイベントが発生したときに、無線回線を再接続するとともに、保持されている回線設定情報を利用して、他の通信装置(図示せず)との通信を再開する。
上位ノード13は、例えば、Serving Gateway(S-GW)、Mobility Management Entity(MME)及びPacket data network Gateway(P-GW)を有し、基地局11−1または基地局11−2の制御またはデータ通信を行うコアネットワークの回線を確立する。さらに、上位ノード13は、無線端末12の位置登録及び基地局間のハンドオーバなどに関する制御を実行したり、QoSに関する制御及び課金等に関する制御を実行する。また上位ノード13は、ベアラの確立あるいは削除といった、上位回線に関する制御を実行する。
以下、回線設定情報の引き継ぎに関する処理の詳細について説明する。例えば、無線端末12についての現在の待ち受けセルの無線品質よりも、他のセルの無線品質の方が良好な場合に、回線設定情報の引き継ぎに関する処理が実行される。
図2は、一例による、回線設定情報の引き継ぎに関する処理のシーケンス図である。なお、この例では、基地局11−1がソース基地局であり、基地局11−2がターゲット基地局であるとする。また、基地局11−1が無線端末12の回線設定情報に割り当てるResume IDをResume ID1とし、基地局11−2が無線端末12の回線設定情報に割り当てるResume IDをResume ID2とする。
RRC connected stateとなっている間に無線端末12についての回線設定が行われ、回線設定情報にResume ID1が割り当てられた後において、無線端末12は、RRC Inactive sateへ移行する(ステップS101)。
無線端末12は、RRC Inactive stateへ移行した後、基地局11−1により設定される、現在の待ち受けセルの無線品質及び基地局11−2により設定されるセルの無線品質を、一定周期あるいは不定期に測定する。そして無線端末12は、現在の待ち受けセルの無線品質よりも、基地局11−2により設定されるセルの無線品質の方が良好であると判定した場合、セルを再選択すると判定する(ステップS102)。そして無線端末12は、待ち受けセルを基地局11−1が提供するセルから基地局11−2が提供するセルへ変更する。
無線端末12は、セルを再選択すると判定すると、ターゲット基地局である基地局11−2に対してランダムアクセス手順を実行する。すなわち、無線端末12は、基地局11−2からの報知情報で示された、基地局11−2の識別情報を参照する。そして無線端末12は、その報知情報で示された物理ランダムアクセス(Physical Random Access Channel, PRACH)用の無線リソースを使用して、RAプリアンブルを含むMessage 1を基地局11−2へ送信する(ステップS103)。基地局11−2は、RAプリアンブルを検出すると、その応答情報であるRAレスポンスをMessage 2として無線端末12へ送信する(ステップS104)。なお、RAレスポンスは、無線端末12がアップリンク信号を送信するタイミングを調整するためのTiming Advance(TA)情報を含む。無線端末12は、TA情報を参照して、基地局11−2と時間的に厳密な同期を確立する。そして無線端末12は、基地局11−2からのアップリンク(Up Link, UL) Scheduling Grantを受信する。UL Scheduling Grantには、無線端末12に割り当てられるアップリンクのリソースブロックを示す情報などが含まれる。
無線端末12は、UL Scheduling Grantに基づいて、接続要求信号(Radio Resource Control connection Request)とともに、Resume ID1及びソース基地局である基地局11−1の識別情報をMessage 3として基地局11−2へ送信する(ステップS105)。なお、基地局が提供するセルの識別情報(セルのID)は、基地局の識別情報の一例である。
基地局11−2は、Resume ID1及び基地局11−1の識別情報を含むMessage 3を受信すると、基地局11−1の識別情報を参照して、基地局11−1へResume ID1を送信して、無線端末12の回線設定情報を問い合わせる(ステップS106)。なお、基地局11−1と基地局11−2とがX2インターフェースを介して互いに接続されている場合には、基地局11−2は、上位ノード13を介さずに、基地局11−1へResume ID1を直接送信してもよい。一方、基地局11−1と基地局11−2とが互いに異なる上位ノードに接続されている場合には、基地局11−2は、上位ノードを介して基地局11−1へResume ID1を送信する。
基地局11−1は、基地局11−2から無線端末12に割り当てたResume ID1を受け取ると、Resume ID1と関連付けて記憶している、無線端末12の回線設定情報を基地局11−2へ返信する(ステップS107)。その際、基地局11−1と基地局11−2とがX2インターフェースを介して互いに接続されている場合には、基地局11−1は、上位ノード13を介さずに、基地局11−2へ回線設定情報を直接送信してもよい。一方、基地局11−1と基地局11−2とが互いに異なる上位ノードに接続されている場合には、基地局11−1は、上位ノードを介して基地局11−2へ回線設定情報を送信する。
また、基地局11−1は、上位ノード13との間で、無線端末12について設定された上位回線を開放する処理を実行する(ステップS108)。さらに、基地局11−1は、無線端末12に割り当てたResume ID1も開放する(ステップS109)。
一方、基地局11−2は、基地局11−1から無線端末12の回線設定情報を受け取ると、無線端末12に対してResume ID2を割り当てる(ステップS110)。そして基地局11−2は、無線端末12の回線設定情報とともに、Resume ID2を記憶する。また基地局11−2は、無線端末12の回線設定情報に基づいて、無線端末12についての上位回線を設定する(ステップS111)。すなわち、基地局11−2は、無線端末12について、上位ノード13とのコアネットワークの回線を確立する。そして基地局11−2は、Resume ID2を含む、ランダムアクセス手順のMessage 4を無線端末12へ送信する(ステップS112)。無線端末12は、通知されたResume ID2を記憶する。そして基地局11−1、基地局11−2及び無線端末12は、回線設定情報の引き継ぎ処理を終了する。
その後、無線端末12が通信を再開する際に、無線端末12は、基地局11−2へResume ID2を送信し、基地局11−2は、Resume ID2に対応する回線設定情報を利用して、無線端末12とコアネットワーク間の通信を再開すればよい。
以下、基地局11−1及び基地局11−2と無線端末12の詳細について説明する。なお、基地局11−1の構成及び機能と基地局11−2の構成及び機能は、同一とすることができるので、以下では、基地局11−1について説明する。
図3は、基地局11−1の概略構成図である。基地局11−1は、アンテナ21と、無線処理部22と、有線インターフェース部23と、記憶部24と、制御部25とを有する。無線処理部22、記憶部24及び制御部25は、それぞれ別個の回路として形成される。あるいはこれらの各部は、その各部に対応する回路が集積された一つまたは複数の集積回路として基地局11−1に実装されてもよい。
アンテナ21は、無線処理部22を介して伝達されたダウンリンク信号を無線信号として送信する。またアンテナ21は、無線端末12からのアップリンク信号を含む無線信号を受信して電気信号に変換し、その電気信号をアップリンク信号として無線処理部22に伝達する。なお、アンテナ21は、送信用のアンテナと受信用のアンテナとを別個に有していてもよい。
無線処理部22は、制御部25から受け取ったダウンリンク信号をアナログ化した後、制御部25により指定された無線周波数を持つ搬送波に重畳する。そして無線処理部22は、搬送波に重畳されたダウンリンク信号をハイパワーアンプ(図示せず)により所望のレベルに増幅し、そのダウンリンク信号をアンテナ21へ伝達する。
また無線処理部22は、アンテナ21から受け取ったアップリンク信号を、低ノイズアンプ(図示せず)により増幅する。無線処理部22は、増幅されたアップリンク信号に、中間周波数を持つ周期信号を乗じることにより、そのアップリンク信号の周波数を無線周波数からベースバンド周波数に変換する。そして無線処理部22は、ベースバンド周波数を持つアップリンク信号をアナログ/デジタル変換した後、制御部25へわたす。
有線インターフェース部23は、通信インターフェース部の一例であり、基地局11−1を、上位ノード13及び他の基地局と接続するための通信インターフェース回路を有する。そして有線インターフェース部23は、上位ノード13から受信した信号を、上位ノードと基地局間のプロトコルであるS1インターフェースに従って解析し、その信号に含まれるダウンリンク信号及び制御信号などを抽出する。さらに有線インターフェース部23は、他の基地局から受信した信号を、隣接する基地局間のプロトコルであるX2インターフェースに従って解析し、その信号に含まれる制御信号、回線設定情報またはResume IDなどを抽出する。そして有線インターフェース部23は、抽出したダウンリンク信号及び制御信号を制御部25にわたす。
一方、有線インターフェース部23は、制御部25から受け取ったアップリンク信号をS1インターフェースに従った形式の信号に変換した上で上位ノード13へ出力する。また有線インターフェース部23は、他の基地局へ送信する制御信号、回線設定情報またはResume IDを、X2インターフェースに従った形式に変換する。そして有線インターフェース部23は、その制御信号を他の基地局へ出力(または送信あるいは通知)する。
記憶部24は、例えば、書き換え可能な不揮発性半導体メモリまたは揮発性半導体メモリを有する。そして記憶部24は、無線端末12と通信するための各種の情報(基地局11−1の識別情報を含む)、基地局11−1が送信または受信する各種の情報、及び、基地局11−1で動作する各種のプログラムなどを記憶する。さらに、記憶部24は、自局と接続されている無線端末についてのResume機能に関する情報、すなわち、回線設定情報及びResume IDを記憶する。
制御部25は、例えば、1個あるいは複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。そして制御部25は、ダウンリンク信号を、無線通信システム1が準拠する通信規格で採用される変調及び多重化方式に従って変調し、かつ多重化する。そして制御部25は、変調及び多重化されたダウンリンク信号を無線処理部22へわたす。例えば、制御部25は、F-OFDMに従ってダウンリンク信号を変調し、多重化する。
一方、制御部25は、無線処理部22から受け取ったアップリンク信号を、無線通信システム1が準拠する通信規格で採用される変調及び多重化方式に従って分離し、分離した受信信号をそれぞれ復調する。例えば、制御部25は、F-OFDMに従ってアップリンク信号を分離し、復調する。そして制御部25は、復調されたアップリンク信号を有線インターフェース部23に出力する。さらに制御部25は、復調されたアップリンク信号から、基地局11−1が参照する各種の信号、例えば、呼制御に関する制御情報、あるいは、無線端末12における通信品質測定情報などを取り出す。
また制御部25は、送信電力制御及び呼制御など、無線通信を実行するための各種の処理を実行する。さらに、制御部25は、無線端末12について回線設定処理を行って得られた回線設定情報に、Resume IDを付す。
さらに、制御部25は、基地局11−1が無線端末12についてのターゲット基地局として、回線設定情報を他の基地局(例えば基地局11−2)から引き継ぐ場合、回線設定情報の引き継ぎ処理におけるターゲット基地局の処理を実行する。また、制御部25は、基地局11−1が無線端末12についてのソース基地局として、回線設定情報を他の基地局(例えば、基地局11−2)へわたす場合、回線設定情報の引き継ぎ処理におけるソース基地局の処理を実行する。
図4は、回線設定情報の引き継ぎ処理における、ターゲット基地局の動作フローチャートである。
制御部25は、無線端末12から受信した、ランダムアクセス手順のMessage 3に、ソース基地局が無線端末12に割り当てたResume ID1及びソース基地局の識別情報が含まれるか否か判定する(ステップS201)。Resume ID1及びソース基地局の識別情報が含まれていなければ(ステップS201−No)、制御部25は、無線端末12に対するランダムアクセス手順の処理を継続する(ステップS202)。
一方、Resume ID1及びソース基地局の識別情報が含まれていれば(ステップS201−Yes)、制御部25は、有線インターフェース部23を介して、ソース基地局の識別情報で特定されるソース基地局へResume ID1を送信する(ステップS203)。これにより、制御部25は、ソース基地局に、Resume ID1に対応する回線設定情報を問い合わせる。そして制御部25は、有線インターフェース部23を介して、ソース基地局からResume ID1に対応する回線設定情報を受信する(ステップS204)。
回線設定情報を受信すると、制御部25は、無線端末12について、その回線設定情報を用いて、上位ノード13と基地局11−1とのコアネットワークの回線(すなわち、上位回線)を確立する(ステップS205)。さらに、制御部25は、無線端末12に対してResume ID2を割り当て、Resume ID2を受信した回線設定情報とともに記憶部24に保存する(ステップS206)。
制御部25は、Resume ID2を含む、ランダムアクセス手順のMessage 4を生成し、そのMessage 4を無線処理部22及びアンテナ21を介して無線電波として無線端末12へ送信する(ステップS207)。ステップS202またはステップS207の後、制御部25は、回線設定情報の引き継ぎ処理における、ターゲット基地局の動作を終了する。なお、制御部25は、ステップS205の処理とステップS206の処理の順序を入れ替えてもよく、あるいは、ステップS205の処理とステップS206の処理を並列に実行してもよい。
図5は、回線設定情報の引き継ぎ処理における、ソース基地局の動作フローチャートである。
制御部25は、有線インターフェース部23を介してターゲット基地局からResume ID1を受信する(ステップS301)。制御部25は、記憶部24を参照して、受信したResume ID1に対応する回線設定情報を特定する(ステップS302)。
そして制御部25は、特定した回線設定情報を、有線インターフェース部23を介してターゲット基地局へ送信する(ステップS303)。また、制御部25は、Resume ID1に対応する回線設定情報で設定された、無線端末12についての基地局11−1とコアネットワーク間の通信回線(すなわち、上位回線)を開放するとともに、Resume ID1を開放する(ステップS304)。そして制御部25は、回線設定情報の引き継ぎ処理における、ソース基地局の動作を終了する。
図6は、無線端末12の概略構成図である。無線端末12は、アンテナ31と、無線処理部32と、記憶部33と、制御部34とを有する。さらに、無線端末12は、タッチパネルといったユーザインターフェース(図示せず)、マイクロホン(図示せず)、スピーカ(図示せず)及びカメラ(図示せず)のうちの一つ以上を有していてもよい。さらにまた、無線端末12は、無線端末12の位置を測定するために、Global Positioning System(GPS)受信機(図示せず)を有していてもよい。また、無線処理部32、記憶部33及び制御部34は、それぞれ別個の回路として形成される。あるいはこれらの各部は、その各部に対応する回路が集積された一つまたは複数の集積回路として無線端末12に実装されてもよい。
アンテナ31は、無線処理部32を介して伝達されたアップリンク信号を無線信号として送信する。またアンテナ31は、基地局11−1または基地局11−2からの無線信号を受信して電気信号に変換してダウンリンク信号とし、ダウンリンク信号を無線処理部32に伝達する。なお、アンテナ31は、送信用のアンテナと受信用のアンテナとを別個に有していてもよい。
無線処理部32は、制御部34から受け取ったアップリンク信号をアナログ化した後、制御部34により指定された無線周波数を持つ搬送波に重畳する。そして無線処理部32は、搬送波に重畳されたアップリンク信号をハイパワーアンプ(図示せず)により所望のレベルに増幅し、そのアップリンク信号をアンテナ31へ伝達する。
また無線処理部32は、アンテナ31から受け取ったダウンリンク信号を、低ノイズアンプ(図示せず)により増幅する。無線処理部32は、増幅されたダウンリンク信号に、中間周波数を持つ周期信号を乗じることにより、そのダウンリンク信号の周波数を無線周波数からベースバンド周波数に変換する。そして無線処理部32は、ベースバンド周波数を持つダウンリンク信号をアナログ/デジタル変換した後、制御部34へわたす。
記憶部33は、例えば、書き換え可能な不揮発性半導体メモリまたは揮発性半導体メモリを有する。そして記憶部33は、基地局11−1または基地局11−2と通信するための各種の情報(例えば、無線端末12が無線信号を受信可能な基地局の識別情報)、及び、無線端末12が送信または受信する各種のデータなどを記憶する。また記憶部33は、無線端末12で動作する各種のプログラムを記憶する。さらに、記憶部33は、Resume機能に関する情報、すなわち、Resume IDを記憶する。
制御部34は、例えば、1個あるいは複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。そして制御部34は、アップリンク信号を、無線通信システム1が準拠する通信規格で採用される変調及び多重化方式に従って変調し、かつ多重化する。そして制御部34は、変調及び多重化されたアップリンク信号を無線処理部32へわたす。例えば、制御部34は、F-OFDMAに準じた多重化方式に従ってアップリンク信号を変調し、多重化する。
一方、制御部34は、無線処理部32から受け取ったダウンリンク信号を、無線通信システム1が準拠する通信規格で採用される変調及び多重化方式に従って分離し、分離した受信信号をそれぞれ復調する。例えば、制御部34は、F-OFDMに従ってダウンリンク信号を分離し、復調する。そして制御部34は、復調された受信信号に含まれる各種の制御情報またはデータを取り出す。そして制御部34は、取り出された制御情報またはデータに応じた処理を実行する。例えば、制御部34は、ダウンリンク信号に音声信号が含まれる場合、その音声信号をスピーカを介して再生する。また制御部34は、ダウンリンク信号にビデオ信号が含まれる場合、そのビデオ信号をタッチパネルを介して再生する。
さらに制御部34は、接続要求処理など、基地局11−1または基地局11−2との無線通信を実行するための各種の処理を実行する。さらに制御部34は、一定周期ごと、あるいは不定期に、無線端末12が在圏するセルのそれぞれについて、アンテナ31及び無線処理部32を介してそのセルから受信した無線信号の品質を測定する処理を実行する。その際、制御部34は、無線信号の品質として、例えば、受信した無線信号の電力、信号対雑音比または信号対干渉雑音比を測定する。
また制御部34は、無線端末12が在圏するセルのそれぞれについての無線信号の品質を比較することにより、待ち受けセルを変更するか否か判定する。例えば、制御部34は、現在の待ち受けセルについての無線信号の品質よりも、他のセルの無線信号の品質の方が良好な場合に、待ち受けセルを変更すると判定する。
さらに、制御部34は、Resume機能に関する処理、例えば、RRC Connected stateからRRC Inactive stateへの移行またはその逆といった処理、及び、無線端末12がRRC Inactive stateにある場合における通信の再開などの処理を実行する。さらにまた、制御部34は、無線端末12がRRC Inactive stateとなっているときに、待ち受けセルを変更する場合に、回線設定情報の引き継ぎに関する処理を実行する。
図7は、回線設定情報の引き継ぎ処理に関する、無線端末12の動作フローチャートである。
制御部34は、現在の待ち受けセルの無線信号の品質と、無線端末12が在圏する他のセルの無線信号の品質とを比較して、待ち受けセルを変更するか否か判定する(ステップS401)。制御部34は、待ち受けセルを変更しないと判定した場合(ステップS401−Yes)、現在の待ち受けセルを維持する(ステップS402)。
一方、制御部34は、待ち受けセルを変更すると判定した場合(ステップS401−Yes)、制御部34は、無線端末12がRRC Inactive stateとなっているか否か判定する(ステップS403)。無線端末12がRRC Inactive stateとなっていなければ(ステップS403−No)、制御部34は、待ち受けセルを、現在の待ち受けセルの無線信号の品質よりも無線信号の品質が良好な他のセルに変更する(ステップS404)。
一方、無線端末12がRRC Inactive stateとなっていれば(ステップS403−Yes)、制御部34は、RAプリアンブルを含む、ランダムアクセス手順のMessage 1を生成する。そして制御部34は、変更先のセルからの報知情報を参照して、そのセルを提供するターゲット基地局へ、無線処理部32及びアンテナ31を介して、PRACHにてMessage 1を送信する(ステップS405)。
その後、制御部34は、アンテナ31及び無線処理部32を介して、ターゲット基地局からランダムアクセス手順のMessage 2を受信すると、Resume ID1及びソース基地局の識別情報を含む、ランダムアクセス手順のMessage 3を生成する。そして制御部34は、無線処理部32及びアンテナ31を介して、そのMessage 3をターゲット基地局へ送信する(ステップS406)。
その後、制御部34は、アンテナ31及び無線処理部32を介して、ターゲット基地局からランダムアクセス手順のMessage 4を受信すると、そのMessage 4に含まれるResume ID2を取り出す。そして制御部34は、Resume ID2を記憶部33に保存する(ステップS407)。
ステップS402、S404またはS407の後、制御部34は、回線設定情報の引き継ぎ処理に関する無線端末12の動作を終了する。
以上に説明してきたように、RRC Inactive stateとなっている無線端末が待ち受けセルを変更する場合、無線端末は、変更先の待ち受けセルを提供するターゲット基地局へ、現在の待ち受けセルを提供するソース基地局の識別情報とResume IDを送信する。ターゲット基地局は、ソース基地局の識別情報を参照して、ソース基地局にResume IDを送信して、そのResume IDに対応する回線設定情報を問い合わせる。またターゲット基地局は、ソース基地局から回線設定情報を受信すると、その回線設定情報を用いて、無線端末について、コアネットワークとの通信回線を確立するとともに、無線端末にResume IDを割り当てる。そしてターゲット基地局は、割り当てたResume IDと回線設定情報とを対応付けて記憶するとともに、割り当てたResume IDを無線端末へ通知する。これにより、この無線通信システムは、無線端末がRRC Inactive stateとなって通信を停止している期間中において、待ち受けセルを変更する場合でも、その無線端末について維持されている回線設定情報を変更先のセルを提供するターゲット基地局に引き継げる。そのため、この無線通信システムは、無線端末が一旦RRC Connected stateへ復帰することなく、待ち受けセルを変更するとともに、基地局とコアネットワーク間の通信回線を維持することができる。したがって、この無線通信システムは、待ち受けセル変更時のシグナリングの数を削減して、無線端末の消費電力を抑制することができる。
変形例によれば、回線設定情報の引き継ぎ処理において、無線端末は、ランダムアクセス手順が終了した後に、ターゲット基地局へソース基地局の識別情報とResume ID1とを送信してもよい。またターゲット基地局は、ランダムアクセス手順が終了した後に、Resume ID2を無線端末へ通知してもよい。
他の変形例によれば、基地局は、無線信号の処理を行う集約局(Central Unit, CU)と無線信号を送信し、または受信する配信局(Distributed Unit, DU)とに分割されるアーキテクチャに従って形成されていてもよい。そしてセルの識別情報がDUごとに割り当てられもよい。さらに、CUごとに、そのCUと接続されるDUを含むようにRAN areaが設定され、RAN areaの識別情報(RAN area ID)がCUごとに割り当てられていてもよい。なお、RAN area IDは、基地局の識別情報の他の一例である。
図8は、この変形例による無線通信システムの概略構成図である。無線通信システム2は、二つのCU14−1、14−2と、四個のDU15−1〜15−4と、無線端末12と、上位ノード13とを含む。DU15−1及びDU15−2は、CU14−1と接続され、一方、DU15−3及びDU15−4は、CU14−2と接続される。すなわち、CU14−1と、DU15−1及びDU15−2とが一つの基地局を形成し、CU14−2と、DU15−3及びDU15−4とが他の一つの基地局を形成する。
なお、この変形例による無線通信システム2は、上記の実施形態による無線通信システム1と比較して、基地局の構成が異なる。そこで以下では、基地局の構成及びその関連部分について説明する。
この変形例でも、無線通信システム2に含まれるCUの数は2台に限られず、無線通信システム2は、3台以上のCUを含んでもよい。同様に、無線通信システム2は、2台、3台または5台以上のDUを含んでもよい。そして一つのCUに接続されるDUの数も2台に限られず、1台あるいは3台以上であってもよい。さらに、無線通信システム2は、複数の無線端末12、または、複数の上位ノード13を含んでいてもよい。また、無線通信システム1が複数の上位ノード13を含む場合、CU14−1が接続される上位ノードは、CU14−2が接続される上位ノードと異なっていてもよい。さらに、無線端末12は、移動端末であってもよく、あるいは、固定式の通信装置であってもよい。
CU14−1及びCU14−2と、DU15−1〜15−4は、それぞれ、無線端末12と上位ノード13間の通信を中継する。そのために、CU14−1及びCU14−2は、例えば、S1インターフェースといった、上位ノード13と基地局間の通信について規定される所定の通信規格に従って上位ノード13と接続されている。またCU14−1及びCU14−2は、例えば、X2インターフェースといった、基地局同士の通信について規定される所定の通信規格に従って、互いに、あるいは、他の基地局と接続されていてもよい。
また、CU14−1とDU15−1及びDU15−2は、例えば、光通信回線を介して接続される。同様に、CU14−2とDU15−3及びDU15−4は、例えば、光通信回線を介して接続される。そしてこの変形例では、CU14−1及びCU14−2のそれぞれに対して一意なRAN area IDが割り当てられる。以下では、便宜上、CU14−1に割り当てられるRAN area IDをRAN area ID1とし、CU14−2に割り当てられるRAN area IDをRAN area ID2とする。CU14−1に割り当てられたRAN area ID1は、報知チャネルを介して、DU15−1またはDU15−2から報知される。同様に、CU14−2に割り当てられたRAN area ID2は、報知チャネルを介して、DU15−3またはDU15−4から報知される。
DU15−1〜15−4のそれぞれは、1以上のセルを提供し、無線端末12がそのDUが提供するセル内に在圏する場合に、無線端末12とは、互いに無線通信可能となる。
例えば、DU15−1が設定したセルに無線端末12が在圏していると、無線端末12はDU15−1を介してCU14−1と無線通信可能となる。そしてCU14−1は、無線通信可能な無線端末12との間で、ランダムアクセス手順及びコンテキストセットアップなど、無線回線を設定する手順及び上位回線を設定する手順を実行する。その後、CU14−1は、無線端末12宛ての通信信号を、上位ノード13から受け取って、DU15−1を介してダウンリンクの無線信号として無線端末12へ送信する。また、CU14−1は、無線端末12からアップリンクの無線信号をDU15−1を介して受け取り、その無線信号に含まれる、他の通信装置(図示せず)への通信信号を取り出して、上位ノード13へその通信信号を送信する。
また、無線端末12がDU15−1が提供するセルまたはDU15−2が提供するセルの何れかに在圏しており、かつ、CU14−1がソース基地局となる場合、CU14−1は無線端末12がRRC connected stateである間に、Resumeの設定に関する処理を実行する。すなわち、無線端末12がResume機能を使用可能なように、CU14−1は、無線端末12に関する回線設定情報に、Resume IDを付す。そしてCU14−1は、回線設定情報を、対応するResume IDとともに記憶する。さらに、CU14−1は、無線端末12がCU14−1との無線通信を継続している間、すなわち、無線端末12がRRC Connected stateとなっている間に、Resume IDを、DU15−1またはDU15−2を介して無線端末12へ通知する。同様に、無線端末12がCU14−2が設定する何れかのセルに在圏しており、CU14−2がソース基地局となる場合、CU14−2は、無線端末12に関する回線設定情報に、Resume IDを付す。そしてCU14−2は、回線設定情報を、対応するResume IDとともに記憶する。さらに、CU14−2は、無線端末12がRRC Connected stateとなっている間に、Resume IDを、DU15−3またはDU15−4を介して無線端末12へ通知する。
その後、無線端末12が待ち受けセルを変更すると判断した場合に、CU14−1及びCU14−2は、回線設定情報の引き継ぎに関する処理を実行する。
図9は、この変形例による、回線設定情報の引き継ぎに関する処理のシーケンス図である。なお、この例では、CU14−1がソースCUであり、CU14−2がターゲットCUであるとする。なお、ソースCUは、ソース基地局の一例であり、ターゲットCUは、ターゲット基地局の一例である。さらに、無線端末12は、自局がRRC Inactive stateとなった時点において、DU15−1が提供するセルを待ち受けセルとする。また、CU14−1が無線端末12の回線設定情報に割り当てるResume IDをResume ID1とし、CU14−2が無線端末12の回線設定情報に割り当てるResume IDをResume ID2とする。
RRC connected stateとなっている間に無線端末12についての回線設定が行われ、回線設定情報にResume ID1が割り当てられた後において、無線端末12は、RRC Inactive sateへ移行する(ステップS501)。
無線端末12は、RRC Inactive stateへ移行した後、CU14−1と接続されるDU15−1により設定される、現在の待ち受けセルの無線品質及び他のDUにより設定されるセルの無線品質を、一定周期あるいは不定期に測定する。そして無線端末12は、現在の待ち受けセルの無線品質よりも、他のDUにより設定されるセルの無線品質の方が良好であると判定した場合、セルを再選択すると判定する(ステップS502)。そして無線端末12は、待ち受けセルをDU15−1が提供するセルから他のDUが提供するセルへ変更する。
無線端末12は、セルを再選択すると判定すると、変更後の待ち受けセルを提供するDUが属するRAN areaのRAN area IDが、変更前の待ち受けセルを提供するDUが属するRAN areaのRAN area IDと異なるか否か判定する。無線端末12は、待ち受けセルの変更前後でRAN area IDが異なる場合、RAN area updateを実行する(ステップS503)。そして無線端末12は、変更後の待ち受けセルを提供するDUが属するRAN areaについてのRAN area ID(この例では、RAN area ID2)を記憶する。
RAN area updateの後、無線端末12は、ターゲットCUであるCU14−2に対してランダムアクセス手順を実行する。すなわち、無線端末12は、PRACH用の無線リソースを使用して、RAプリアンブルを含むMessage 1を、DU15−3またはDU15−4を介してCU14−2へ送信する(ステップS504)。CU14−2は、RAプリアンブルを検出すると、その応答情報であるRAレスポンスをMessage 2としてDU15−3またはDU15−4を介して無線端末12へ送信する(ステップS505)。無線端末12は、RAレスポンスに含まれるTA情報を参照して、CU14−2と時間的に厳密な同期を確立する。そして無線端末12は、CU14−2からのUL Scheduling Grantを受信する。
無線端末12は、UL Scheduling Grantで示されたリソースを使用して、接続要求信号とともに、Resume ID1及びソースCUであるCU14−1のRAN area ID1を含むMessage 3をDU15−3またはDU15−4を介してCU14−2へ送信する(ステップS506)。
CU14−2は、Resume ID1及びRAN area ID1を含むMessage 3を受信すると、RAN area ID1を参照して、CU14−1へResume ID1を送信して、無線端末12の回線設定情報を問い合わせる(ステップS507)。なお、CU14−1とCU14−2とがX2インターフェースを介して互いに接続されている場合には、CU14−2は、上位ノード13を介さずに、CU14−1へResume ID1及びRAN area ID1を直接送信してもよい。一方、CU14−1とCU14−2とが互いに異なる上位ノードに接続されている場合には、CU14−2は、上位ノードを介してCU14−1へResume ID1及びRAN area ID1を送信する。
CU14−1は、CU14−2から無線端末12に割り当てたResume ID1及びRAN area ID1を受け取ると、Resume ID1と関連付けて記憶している、無線端末12の回線設定情報をCU14−2へ返信する(ステップS508)。その際、CU14−1とCU14−2とがX2インターフェースを介して互いに接続されている場合には、CU14−1は、上位ノード13を介さずに、CU14−2へ回線設定情報を直接送信してもよい。一方、CU14−1とCU14−2とが互いに異なる上位ノードに接続されている場合には、CU14−1は、上位ノードを介してCU14−2へ回線設定情報を送信する。
また、CU14−1は、無線端末12について設定された上位回線を開放する処理を実行する(ステップS509)。さらに、CU14−1は、無線端末12に割り当てたResume ID1も開放する(ステップS510)。
一方、CU14−2は、基地局11−1から無線端末12の回線設定情報を受け取ると、無線端末12に対してResume ID2を割り当てる(ステップS511)。そしてCU14−2は、無線端末12の回線設定情報とともに、Resume ID2を記憶する。またCU14−2は、無線端末12の回線設定情報に基づいて、無線端末12についての上位ノード13との通信回線(すなわち、上位回線)の接続を確立する(ステップS512)。そしてCU14−2は、Resume ID2を含む、ランダムアクセス手順のMessage 4を、DU15−3またはDU15−4を介して無線端末12へ送信する(ステップS513)。無線端末12は、通知されたResume ID2を記憶する。そしてCU14−1、CU14−2及び無線端末12は、回線設定情報の引き継ぎ処理を終了する。
なお、この変形例においても、回線設定情報の引き継ぎ処理において、無線端末は、ランダムアクセス手順が終了した後に、ターゲットCUへRAN area ID1とResume ID1とを送信してもよい。またターゲットCUは、ランダムアクセス手順が終了した後に、Resume ID2を無線端末へ通知してもよい。
図10は、CU14−1の概略構成図である。なお、CU14−1の構成及び機能とCU14−2の構成及び機能は、同一とすることができるので、以下では、CU14−1について説明する。
図10に示されるように、CU14−1は、光通信インターフェース部41と、有線インターフェース部42と、記憶部43と、制御部44とを有する。記憶部43及び制御部44は、それぞれ別個の回路として形成される。あるいはこれらの各部は、その各部に対応する回路が集積された一つまたは複数の集積回路としてCU14−1に実装されてもよい。
光通信インターフェース部41は、CU14−1を、DU15−1及びDU15−2と光通信回線を介して接続するための通信インターフェース回路を有する。光通信インターフェース部41は、制御部44から受け取った、DU15−1またはDU15−2を介して報知される各種制御情報(例えば、RAN area IDなど)あるいは無線端末12へのダウンリンク信号を、光信号に変換した上でDU15−1またはDU15−2へ送信する。また光通信インターフェース部41は、DU15−1またはDU15−2から、無線端末12からのアップリンクの信号を含む光信号を受け取って、その光信号を電気信号に変換した上で制御部44へわたす。
有線インターフェース部42は、CU14−1を、上位ノード13及び他の基地局あるいは他のCUと接続するための通信インターフェース回路を有する。そして有線インターフェース部42は、上位ノード13から受信した信号を、S1インターフェースに従って解析し、その信号に含まれるダウンリンク信号及び制御信号などを抽出する。さらに有線インターフェース部42は、他の基地局または他のCUから受信した信号を、X2インターフェースに従って解析し、その信号に含まれる制御信号、回線設定情報またはRAN area IDなどを抽出する。そして有線インターフェース部42は、抽出したダウンリンク信号及び制御信号などを制御部44にわたす。
一方、有線インターフェース部42は、制御部44から受け取ったアップリンク信号をS1インターフェースに従った形式の信号に変換した上で上位ノード13へ出力する。また有線インターフェース部42は、他の基地局または他のCUへ送信する制御信号、回線設定情報またはRAN area IDを、X2インターフェースに従った形式に変換する。そして有線インターフェース部42は、その制御信号などを他の基地局または他のCUへ出力(または送信あるいは通知)する。
記憶部43は、例えば、書き換え可能な不揮発性半導体メモリまたは揮発性半導体メモリを有する。そして記憶部43は、無線端末12と通信するための各種の情報、CU14−1が送信または受信する各種の情報、及び、CU14−1で動作する各種のプログラムなどを記憶する。本実施形態では、記憶部43は、自局と接続されている無線端末についての回線設定情報及びResume IDを記憶する。さらに、記憶部43は、自局に設定されているRAN area IDを記憶する。
制御部44は、例えば、1個あるいは複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。そして制御部44は、無線端末12と通信するための処理のうち、無線リソース制御を実行する。さらに、制御部44は、物理(PHY)層、Media Access Control(MAC)層、Radio Link Control(RLC)層、及びPacket Data Convergence Protocol(PDCP)層のうちの上位の幾つかの層の処理を実行する。例えば、制御部44は、MAC層の全部または一部(例えば、暗号化など)、RLC層及びPDCP層の処理を実行する。あるいは、制御部44は、RLC層及びPDCP層の処理を実行してもよく、あるいはまた、PDCP層の処理を実行してもよい。
また制御部44は、無線端末12について回線設定処理を行って得られた回線設定情報に、Resume IDを付す。
さらに、制御部44は、CU14−1が無線端末12についてのターゲットCUとして、回線設定情報を他のCU(例えばCU14−2)から引き継ぐ場合、回線設定情報の引き継ぎ処理におけるターゲットCUの処理を実行する。その際、制御部44は、図4に示される動作フローチャートにしたがって動作すればよい。ただしこの場合には、ステップS201にて、制御部44は、ソース基地局の識別情報の代わりに、RAN area ID1を含むか否かを判定すればよい。また制御部44は、ステップS203において、RAN area ID1を参照して、ソースCUを特定すればよい。
また、制御部44は、CU14−1が無線端末12についてのソースCUとして、回線設定情報を他のCU(例えば、CU14−2)へ引き継ぐ場合、回線設定情報の引き継ぎ処理におけるソースCU処理を実行する。その際、制御部44は、図5に示される動作フローチャートにしたがって動作すればよい。
図11は、DU15−1の概略構成図である。なお、DU15−1〜DU15−4のそれぞれの構成及び機能は、互いに同一とすることができるので、以下では、DU15−1について説明する。DU15−1は、アンテナ51と、無線処理部52と、光通信インターフェース部53と、記憶部54と、制御部55とを有する。無線処理部52、記憶部54及び制御部55は、それぞれ別個の回路として形成される。あるいはこれらの各部は、その各部に対応する回路が集積された一つまたは複数の集積回路としてDU15−1に実装されてもよい。
アンテナ51及び無線処理部52は、図3に示された、上記の実施形態による基地局11のアンテナ21及び無線処理部22と同様の構成及び機能を有する。そのため、アンテナ51及び無線処理部52の詳細については、アンテナ21及び無線処理部22の説明を参照されたい。
光通信インターフェース部53は、DU15−1を、CU14−1と光通信回線を介して接続するための通信インターフェース回路を有する。そして光通信インターフェース部53は、光通信回線を介して受け取った、DU15−1を介して報知される各種制御情報(例えば、RAN area IDなど)あるいは無線端末12へのダウンリンク信号を含む光信号を電気信号に変換した上で制御部55へわたす。また光通信インターフェース部53は、制御部55から、無線端末12からのアップリンクの信号を受け取って光信号に変換した上でCU14−1へ送信する。
記憶部54は、例えば、書き換え可能な不揮発性半導体メモリまたは揮発性半導体メモリを有する。そして記憶部54は、無線端末12と通信するための各種の情報(例えば、自局が提供するセルの識別情報など)、DU15−1が送信または受信する各種の情報、及び、DU15−1で動作する各種のプログラムなどを記憶する。
制御部55は、例えば、1個あるいは複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。そして制御部55は、PHY層、MAC層、RLC層、及びPDCP層のうち、CU14−1の制御部44が実行しない層の処理を実行する。例えば、制御部44がMAC層、RLC層及びPDCP層の処理を実行する場合、制御部55は、PHY層の処理を実行する。あるいは、制御部44がMAC層の一部、RLC層及びPDCP層の処理を実行する場合、制御部55は、PHY層及びMAC層の他の一部(例えば、再送制御など)の処理を実行する。あるいはまた、制御部44がRLC層及びPDCP層の処理を実行する場合、制御部55は、PHY層及びMAC層の処理を実行する。あるいはまた、制御部44がPDCP層の処理を実行する場合、制御部55は、PHY層、MAC層及びRLC層の処理を実行する。
この変形例による無線端末12は、図6に示された、上記の実施形態による無線端末12と同様の構成を有する。ただし、この変形例による無線端末12は、回線設定情報の引き継ぎ処理に関する手順の一部が、図7に示された手順と異なる。
図12は、この変形例による、回線設定情報の引き継ぎ処理に関する、無線端末12の動作フローチャートである。図6に示される無線端末12の制御部34が、この動作フローチャートに従って、回線設定情報の引き継ぎ処理を実行する。
制御部34は、現在の待ち受けセルの無線信号の品質と、無線端末12が在圏する他のセルの無線信号の品質とを比較して、待ち受けセルを変更するか否か判定する(ステップS601)。制御部34は、待ち受けセルを変更しないと判定した場合(ステップS601−Yes)、現在の待ち受けセルを維持する(ステップS602)。
一方、制御部34は、待ち受けセルを変更すると判定した場合(ステップS601−Yes)、制御部34は、無線端末12がRRC Inactive stateとなっているか否か判定する(ステップS603)。無線端末12がRRC Inactive stateとなっていなければ(ステップS603−No)、制御部34は、待ち受けセルを、現在の待ち受けセルの無線信号の品質よりも無線信号の品質が良好な他のセルに変更する(ステップS604)。
一方、無線端末12がRRC Inactive stateとなっていれば(ステップS603−Yes)、制御部34は、変更前後のそれぞれの待ち受けセルが属するRAN areaについてのRAN area IDを比較して、RAN area updateを行うか否か判定する(ステップS605)。RAN area updateが行われなければ(ステップS605−No)、変更後の待ち受けセルが属するRAN areaは、変更前の待ち受けセルが属するRAN areaと同一である。すなわち、待ち受けセルが変更されても、無線端末12は、同じCUを介してコアネットワークと通信することとなる。そこで制御部34は、ステップS604の処理を実行する。
一方、RAN area updateが行われる場合(ステップS605−Yes)、制御部34は、RAプリアンブルを含む、ランダムアクセス手順のMessage 1を生成する。そして制御部34は、変更先の待ち受けセルから報知されたRAN area ID及びセル IDを参照して、その待ち受けセルを提供するDUと接続されるターゲットCUへ、無線処理部32及びアンテナ31を介して、PRACHにてMessage 1を送信する(ステップS606)。
その後、制御部34は、ターゲットCUから、アンテナ31及び無線処理部32を介して、ランダムアクセス手順のMessage 2を受信すると、Resume ID1及びRAN area IDを含む、ランダムアクセス手順のMessage 3を生成する。そして制御部34は、無線処理部32及びアンテナ31を介して、そのMessage 3をターゲットCUへ送信する(ステップS607)。
その後、制御部34は、ターゲットCUから、アンテナ31及び無線処理部32を介して、ランダムアクセス手順のMessage 4を受信すると、そのMessage 4に含まれるResume ID2を取り出す。そして制御部34は、Resume ID2を記憶部33に保存する(ステップS608)。
ステップS602、S604またはS608の後、制御部34は、回線設定情報の引き継ぎ処理に関する無線端末12の動作を終了する。
この変形例による無線通信システムでは、RRC Inactive stateとなっている無線端末が待ち受けセルを変更する場合、無線端末は、変更後の待ち受けセルが属するRAN areaが、変更前の待ち受けセルが属するRAN areaと同一か否か判定する。そして無線端末は、待ち受けセルの変更の前後で、待ち受けセルが属するRAN areaが変更となる場合、変更後の待ち受けセルを提供するDUと接続されるターゲットCUへ、変更前の待ち受けセルを提供するDUと接続されるソースCUのRAN area IDとResume IDを送信する。ターゲットCUは、受信したRAN area IDを参照して、ソースCUにResume IDを送信して、そのResume IDに対応する回線設定情報を問い合わせる。そのため、この変形例による無線通信システムも、待ち受けセルの変更前後で待ち受けセルが属するRAN areaも変更される場合でも、その無線端末について維持されている回線設定情報を変更先の待ち受けセルを提供するDUと接続されるターゲットCUに引き継げる。
また他の変形例によれば、図8に示された無線通信システム2において、RAN area IDは、無線端末に対して、専用チャネルを介して個別に通知されてもよい。この場合、無線端末12が待ち受けセルを変更しても、無線端末12は、その変更の前後で、待ち受けセルを提供するDUが属するRAN areaが変更されたか否かを判定できない。そのため、この変形例では、変更後の待ち受けセルを提供するDUと接続されたターゲットCUが、無線端末12から受け取ったRAN area IDを参照して、回線設定情報を引き継ぐか否か判定する。
図13は、この変形例による、回線設定情報の引き継ぎに関する処理のシーケンス図である。なお、この例では、CU14−1がソースCU(ソース基地局)であるとする。また、ターゲットCU(ターゲット基地局)は、CU14−1またはCU14−2の何れかであるとする。さらに、無線端末12は、RRC Inactive stateとなった時点において、DU15−1が提供するセルを待ち受けセルとする。また、CU14−1が無線端末12の回線設定情報に割り当てるResume IDをResume ID1とし、CU14−2が無線端末12の回線設定情報に割り当てるResume IDをResume ID2とする。
RRC connected stateとなっている間に無線端末12についての回線設定が行われ、無線端末12についての回線設定情報にResume ID1が割り当てられた後において、無線端末12は、RRC Inactive sateへ移行する(ステップS701)。
無線端末12は、RRC Inactive stateへ移行した後、CU14−1と接続されるDU15−1により設定される、現在の待ち受けセルの無線品質及び他のDUにより設定されるセルの無線品質を、一定周期あるいは不定期に測定する。そして無線端末12は、現在の待ち受けセルの無線品質よりも、他のDUにより設定されるセルの無線品質の方が良好であると判定した場合、セルを再選択すると判定する(ステップS702)。そして無線端末12は、待ち受けセルをDU15−1が提供するセルから他のDUが提供するセルへ変更する。
セル再選択の後、無線端末12は、ターゲットCUに対してランダムアクセス手順を実行する。すなわち、無線端末12は、PRACHを介して、RAプリアンブルを含むMessage 1を、変更後の待ち受けセルを提供するDUと接続されるターゲットCUへ送信する(ステップS703)。ターゲットCUは、RAプリアンブルを検出すると、その応答情報であるRAレスポンスをMessage 2として、変更後の待ち受けセルを提供するDUを介して無線端末12へ送信する(ステップS704)。無線端末12は、RAレスポンスに含まれるTA情報を参照して、ターゲットCUと時間的に厳密な同期を確立する。そして無線端末12は、ターゲットCUからのUL Scheduling Grantを受信する。
無線端末12は、UL Scheduling Grantで示されたリソースを使用して、接続要求信号と、Resume ID1及びソースCUであるCU14−1のRAN area ID1とを含むMessage 3を変更後の待ち受けセルを提供するDUを介してターゲットCUへ送信する(ステップS705)。
ターゲットCUは、Resume ID1及びRAN area ID1を含むMessage 3を受信すると、受信したRAN area ID1が、自局に割り当てられたRAN area IDと一致するか否かを調べることにより、Resumeを変更するか否かを判定する(ステップS706)。そして受信したRAN area ID1と自局に割り当てられたRAN area IDとが一致する場合、すなわち、変更後の待ち受けセルを提供するDUと接続されているターゲットCUがCU14−1である場合、ターゲットCUは、Resumeを変更しない。すなわち、ターゲットCUとソースCUが同じであるので、回線設定情報の引き継ぎは行われない。
一方、受信したRAN area ID1と自局に割り当てられたRAN area IDとが異なる場合、ターゲットCUは、Resumeを変更すると判定する。すなわち、ターゲットCUはソースCUと異なるので、ソースCUからターゲットCUへの回線設定情報の引き継ぎが行われる。そこで、ターゲットCU及びソースCUは、ステップS707〜ステップS712の処理を実行する。なお、ステップS707〜ステップS712の処理は、図9に示されたシーケンスにおけるステップS507〜ステップS512の処理と同一であるので、ここではステップS707〜ステップS712の処理の説明は省略する。
ステップS712にてターゲットCUとコアネットワーク間の通信回線が確立された後、ターゲットCUは、Resume ID2及び自局に割り当てられたRAN area ID2を含む、ランダムアクセス手順のMessage 4を生成する。そしてターゲットCUは、変更後の待ち受けセルを提供するDUを介してそのMessage 4を無線端末12へ送信する(ステップS713)。無線端末12は、通知されたResume ID2を記憶する。そしてソースCU、ターゲットCU及び無線端末12は、回線設定情報の引き継ぎ処理を終了する。
なお、この変形例においても、回線設定情報の引き継ぎ処理において、無線端末は、ランダムアクセス手順が終了した後に、ターゲットCUへRAN area ID1とResume ID1とを送信してもよい。またターゲットCUは、ランダムアクセス手順が終了した後に、Resume ID2を無線端末へ通知してもよい。ただしこの例では、ターゲットCUとソースCUとが同一である場合、ターゲットCUから無線端末へResume ID2が通知されない。そこで、無線端末は、例えば、ターゲットCUへRAN area ID1とResume ID1とを送信してから一定期間を経過しても、Resume ID2が通知されない場合、回線設定情報の引き継ぎは行われなかったと判定してもよい。
図14は、この変形例による、回線設定情報の引き継ぎ処理における、ターゲットCUの動作フローチャートである。
ターゲットCUの制御部44は、無線端末12から受信した、ランダムアクセス手順のMessage 3に、ソース基地局が無線端末12に割り当てたResume ID1及びソースCUに割り当てられたRAN area ID1が含まれるか否か判定する(ステップS801)。Resume ID1及びRAN area ID1が含まれていなければ(ステップS801−No)、制御部44は、無線端末12に対するランダムアクセス手順の処理を継続する。そして制御部44は、Resume IDを含まない、RACH Message 4を生成し、そのMessage 4を、変更後の待ち受けセルを提供するDUを介して無線端末12へ送信する(ステップS802)。
一方、Resume ID1及びRAN area ID1が含まれていれば(ステップS801−Yes)、制御部44は、RAN area ID1が自局に割り当てられたRAN area IDと異なるか否か判定する(ステップS803)。RAN area ID1が自局に割り当てられたRAN area IDと一致する場合(ステップS803−No)、ソースCUとターゲットCUは同一なので、無線端末12に関する回線設定情報の引き継ぎは行われない。そのため、制御部44は、ステップS802の処理を実行する。
一方、RAN area ID1が自局に割り当てられたRAN area IDと異なる場合(ステップS803−Yes)、ターゲットCUはソースCUと異なる。そこで、制御部44は、ステップS804〜ステップS808の処理を実行する。なお、ステップS804〜ステップS808の処理は、図4に示される動作フローチャートにおけるステップS203〜ステップS207の処理と基本的に同一である。そのため、ステップS804〜ステップS808の処理の詳細な説明は省略する。ただし、ステップS804では、ソース基地局の識別情報として、RAN area ID1が参照される。
ステップS802またはステップS808の後、制御部44は、回線設定情報の引き継ぎ処理に関するターゲットCUの動作を終了する。
なお、制御部44は、ステップS802にて、Resume ID1を含むMessage 4を生成し、そのMessage 4を無線端末12へ送信してもよい。
図15は、この変形例による、回線設定情報の引き継ぎ処理における、無線端末の動作フローチャートである。
制御部34は、現在の待ち受けセルの無線信号の品質と、無線端末12が在圏する他のセルの無線信号の品質とを比較して、待ち受けセルを変更するか否か判定する(ステップS901)。制御部34は、待ち受けセルを変更しないと判定した場合(ステップS901−Yes)、現在の待ち受けセルを維持する(ステップS902)。
一方、制御部34は、待ち受けセルを変更すると判定した場合(ステップS901−Yes)、制御部34は、無線端末12がRRC Inactive stateとなっているか否か判定する(ステップS903)。無線端末12がRRC Inactive stateとなっていなければ(ステップS903−No)、制御部34は、待ち受けセルを、現在の待ち受けセルの無線信号の品質よりも無線信号の品質が良好な他のセルに変更する(ステップS904)。
一方、無線端末12がRRC Inactive stateとなっていれば(ステップS903−Yes)、制御部34は、RAプリアンブルを含む、ランダムアクセス手順のMessage 1を生成する。そして制御部34は、変更先の待ち受けセルからの報知情報を参照して、そのセルを提供するDUと接続されるターゲットCUへ、無線処理部32及びアンテナ31を介して、PRACHにてMessage 1を送信する(ステップS905)。
その後、制御部34は、アンテナ31及び無線処理部32を介して、ターゲット基地局からランダムアクセス手順のMessage 2を受信すると、Resume ID1及びRAN area ID1を含む、ランダムアクセス手順のMessage 3を生成する。そして制御部34は、無線処理部32及びアンテナ31を介して、そのMessage 3をターゲットCUへ送信する(ステップS906)。
その後、制御部34は、アンテナ31及び無線処理部32を介して、ターゲットCUからランダムアクセス手順のMessage 4を受信すると、そのMessage 4にResume ID2が含まれるか否か判定する(ステップS907)。Message 4にResume ID2が含まれていれば(ステップS907−Yes)、制御部34は、Message 4からResume ID2を取り出す。そして制御部34は、Resume ID2を記憶部33に保存する(ステップS908)。以降、制御部34は、通信を再開する場合に、Resume ID2を利用する。一方、Message 4にResume ID2が含まれていなければ(ステップS907−No)、制御部34は、Resume ID1を継続して利用する(ステップS909)。
ステップS902、S904、S908またはS909の後、制御部34は、回線設定情報の引き継ぎ処理に関する無線端末12の動作を終了する。
なお、ステップS907にて、受信したMessage 4にResume ID1が含まれている場合にも、制御部34は、ステップS909の処理を実行してもよい。
この変形例によれば、RAN areaの識別情報が無線端末に個別に通知される場合でも、無線通信システムは、無線端末が待ち受けセルを変更する場合に、必要に応じて回線設定情報をソースCUからターゲットCUへ引き継ぐことができる。そのため、無線通信システムは、無線端末がRRC Inactive stateとなっている間に、待ち受けセルを変更しても、その無線端末についての基地局とコアネットワーク間の通信回線を維持できる。
なお、図8に示される無線通信システム2は、図1に示される、CUとDUとに分離されない基地局(以下単に基地局と呼ぶ)を有していてもよい。この場合、回線設定情報の引き継ぎ処理において基地局がソース基地局である場合、無線端末は、その基地局が設定したResume ID1とともに、その基地局の識別情報、例えばセル IDを、ターゲットCUへ送信すればよい。そしてターゲットCUは、受信した基地局の識別情報で特定されるソース基地局にResume ID1を送信することで、無線端末についての回線設定情報を問い合わせればよい。また、回線設置情報の引き継ぎ処理おいて基地局がターゲット基地局である場合、無線端末は、ソースCUが設定したResume ID1及びソースCUに割り当てられたRAN area ID1を、ターゲット基地局へ送信すればよい。そしてターゲット基地局は、RAN area ID1で特定されるソースCUにResume ID1を送信することで、無線端末についての回線設定情報を問い合わせればよい。
なお、上記の実施形態または各変形例において、変更後の待ち受けセルを提供する基地局がRRC Inactive stateに対応していない場合、変更後の待ち受けセルを提供する基地局は、無線端末についての基地局とコアネットワーク間の通信回線を開放してもよい。そして基地局は、その旨を無線端末に通知し、無線端末は、その通知を受けるとRRC Idle stateへ移行してもよい。
また、上記の実施形態または各変形例において、無線端末は、受信した各セルの無線信号の品質以外に基づいて、待ち受けセルを変更するか否かを判定してもよい。
ここに挙げられた全ての例及び特定の用語は、読者が、本発明及び当該技術の促進に対する本発明者により寄与された概念を理解することを助ける、教示的な目的において意図されたものであり、本発明の優位性及び劣等性を示すことに関する、本明細書の如何なる例の構成、そのような特定の挙げられた例及び条件に限定しないように解釈されるべきものである。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
制御部34は、現在の待ち受けセルの無線信号の品質と、無線端末12が在圏する他のセルの無線信号の品質とを比較して、待ち受けセルを変更するか否か判定する(ステップS401)。制御部34は、待ち受けセルを変更しないと判定した場合(ステップS401−No)、現在の待ち受けセルを維持する(ステップS402)。
制御部34は、現在の待ち受けセルの無線信号の品質と、無線端末12が在圏する他のセルの無線信号の品質とを比較して、待ち受けセルを変更するか否か判定する(ステップS601)。制御部34は、待ち受けセルを変更しないと判定した場合(ステップS601−No)、現在の待ち受けセルを維持する(ステップS602)。
制御部34は、現在の待ち受けセルの無線信号の品質と、無線端末12が在圏する他のセルの無線信号の品質とを比較して、待ち受けセルを変更するか否か判定する(ステップS901)。制御部34は、待ち受けセルを変更しないと判定した場合(ステップS901−No)、現在の待ち受けセルを維持する(ステップS902)。
なお、図8に示される無線通信システム2は、図1に示される、CUとDUとに分離されない基地局(以下単に基地局と呼ぶ)を有していてもよい。この場合、回線設定情報の引き継ぎ処理において基地局がソース基地局である場合、無線端末は、その基地局が設定したResume ID1とともに、その基地局の識別情報、例えばセル IDを、ターゲットCUへ送信すればよい。そしてターゲットCUは、受信した基地局の識別情報で特定されるソース基地局にResume ID1を送信することで、無線端末についての回線設定情報を問い合わせればよい。また、回線設定情報の引き継ぎ処理おいて基地局がターゲット基地局である場合、無線端末は、ソースCUが設定したResume ID1及びソースCUに割り当てられたRAN area ID1を、ターゲット基地局へ送信すればよい。そしてターゲット基地局は、RAN area ID1で特定されるソースCUにResume ID1を送信することで、無線端末についての回線設定情報を問い合わせればよい。