JPWO2018180643A1 - 高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法、排気部品、高温摺動部品、およびターボチャージャー部品 - Google Patents

高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法、排気部品、高温摺動部品、およびターボチャージャー部品 Download PDF

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Abstract

質量%で、C:0.003〜0.02%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.01〜0.05%、S:0.0001〜0.01%、Cr:15〜18%、N:0.002〜0.02%、Al:0.01〜0.20%、Cu:1〜3%、Mo:1.7〜3%、Nb:0.4〜0.7%、B:0.0002〜0.0030%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層から20μm深さにおいてNb含有析出物が0.06個/μm2以上、存在することを特徴とする高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。

Description

本発明は、耐熱性と加工性が要求される耐熱部品の素材となる、高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼板の製造方法、排気部品、高温摺動部品、ターボチャージャー部品に関するものである。
本発明は、特に自動車のエキゾーストマニホールド、コンバーター、ターボチャージャー部品に適用されるものである。また、その中でも特に、ガソリン車やディーゼル車に搭載されるターボチャージャーのノズルマウント、ノズルプレート、ベーン、バックプレート等の内部精密部品およびタービンハウジング等の外筒品に最適な材料に関するものである。
自動車の排気マニホールド、フロントパイプ、センターパイプ、マフラーおよび排気ガス浄化のための環境対応部品は、高温の排気ガスを安定的に通気させるために、耐酸化性、高温強度、熱疲労特性等の耐熱性に優れた材料が使用される。また、凝縮水腐食環境でもあることから耐食性に優れることも要求される。排気ガス規制の強化、エンジン性能の向上、車体軽量化等の観点からも、これらの部品にはステンレス鋼が多く使用されている。また、近年では、排気ガス規制の強化がさらに強まる他、燃費性能の向上、ダウンサイジング等の動きから、特にエンジン直下のエキゾーストマニホールドを通気する排気ガス温度は上昇傾向にある。加えて、ターボチャージャーの様な過給機を搭載するケースも多くなっており、エキゾーストマニホールドやターボチャージャーに使用されるステンレス鋼には耐熱性の一層の向上が求められる。排気ガス温度の上昇に関しては、従来900℃程度であった排気ガス温度が1000℃程度まで上昇することも見込まれている。
一方、ターボチャージャーの内部構造は複雑で、過給効率を高めるとともに、耐熱信頼性の確保が重要であり、主として耐熱オーステナイト系ステンレス鋼が使用されている。代表的な耐熱オーステナイト系ステンレス鋼であるSUS310S(25%Cr−20%Ni)やNi基合金等の他、特許文献1や2には高Cr、Mo添加鋼が開示されている。また、Siを2〜4%添加したオーステナイト系ステンレス鋼を用いたノズルベーン式ターボチャージャーの排気ガイド部品が特許文献3に開示されている。特許文献3では熱間加工性を考慮してオーステナイト系ステンレス鋼成分が開示されている。しかしながら、いずれも高価なNiを含有するものでありコスト高になることから、Niを含有しないフェライト系ステンレス鋼の開発が期待されていた。
ターボチャージャーの中で、主にステンレス鋼が適用される部品は、ノズルベーン式ターボチャージャー内部の精密部品およびハウジングである。内部の精密部品のうち、バックプレート、オイルディフレクターと呼ばれる部品は、タービン部分およびコンプレッサー部分とセンターコアの間に位置し、各部のシール性を保ちつつタービンおよびコンプレッサーホイールを安定的に回転させる部品であるため、耐酸化性や高温強度の他に表面平滑性が重要となる。また、排気ガスの流速および流量を調整するために、ノズルマウント、ノズルプレート、ノズルベーン、ドライブリング、ドライブレバーといった精密部品から構成されるノズル部品がある。これらは、高温の排気ガスに接するため、高温強度、クリープ特性、耐酸化性が重要となる他、排気ガス流速および流量をベーンの開閉で調整するため、高温耐摩耗性が重要となる。また、タービンハウジングは高温強度、クリープおよび熱疲労特性が重要視されるが、ハウジング、バックプレート、クランプならびに後続の排気部品等と高温環境下で接触するため、高温での耐摩耗性が要求される。
フェライト系ステンレス鋼は主にエキゾーストマニホールド用に使用されており、排気ガスの高温化対策として特許文献4〜16には、Nb、Si、Cu、W等を添加したフェライト系ステンレス鋼に関する技術が開示されている。
特開2002−332862号公報 国際公開第2014/157655号 特許第4937277号公報 特開2006−37176号公報 国際公開第2003/004714号 特許第3468156号公報 特許第3397167号公報 特開平9−279312号公報 特開2000−169943号公報 特開平10−204590号公報 特開2009−215648号公報 特開2009−235555号公報 特開2005−206944号公報 特開2008−189974号公報 特開2009−120893号公報 特開2009−120894号公報
しかしながら、これらのステンレス鋼は耐酸化性、高温強度および高温疲労という観点から成分および組織が設計されているため、上述のターボチャージャー部品としての性能を必ずしも満足しなかった。
本発明の目的は、既知技術の問題点を解決し、高温摺動部品、特に自動車排気部品の中でターボチャージャーの部品用として適合する高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意検討の結果、特に高温耐摩耗性に関しては鋼成分のみならず、表層近傍の析出物や硬さが重要であることを知見した。高温で摩擦を受ける場合、表層近傍で局部的に強加工を受けるため、当該箇所の組織変化ならびに硬さ変化が重要となる。組織変化に関しては、各種析出物の析出が生じるため、これによる高温強化がポイントとなる。本発明者らは、高温摺動時の析出挙動ならびに耐摩耗性について詳細に検討を行い、特にターボチャージャー部品へのフェライト系ステンレス鋼の適用が可能か否かの検討を行った。
具体的には、本発明者らはフェライト系ステンレス鋼板の高温耐摩耗性について鋼成分、金属組織、高温特性の見地から詳細な研究を行った。その結果、例えばターボチャージャーの様な極めて過酷な熱環境に曝される部品の中で耐熱性が要求される素材に対して、鋼成分により耐熱性を確保するとともに、表層近傍の金属組織を制御することにより、高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼板およびそれから構成される部品が得られることを知見した。
高温での耐摩耗性を向上させるためには、表層の酸化特性が良好かつ硬質であることが有効であるが、本発明では表層部の微細な析出物によって高温長時間曝された際の硬度を確保し、摩耗量を大幅に低減できることを知見した。これにより、高価なオーステナイト系ステンレス鋼板を使用せずともフェライト系ステンレス鋼板で高温耐摩耗性が向上する部品の提供を可能とした。
上記課題を解決する本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.003〜0.02%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.01〜0.05%、S:0.0001〜0.01%、Cr:15〜18%、N:0.002〜0.02%、Al:0.01〜0.20%、Cu:1〜3%、Mo:1.7〜3%、Nb:0.4〜0.7%、B:0.0002〜0.0030%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、表層から20μm深さにおいて、Nb含有析出物が0.06個/μm2以上、存在することを特徴とする高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(2) 850℃以上で1時間時効した後の表層から20μm深さにおける常温での断面硬度が、荷重1kgのビッカース硬度でHV180以上であることを特徴とする(1)記載の高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(3) さらに、質量%でTi:0.005〜0.3%、W:0.1〜3.0%、V:0.05〜1%、Zr:0.05〜0.3%、Sn:0.01〜0.5%、Ni:0.1〜0.5%、Co:0.03〜0.3%、Mg:0.0002〜0.01%、Sb:0.005〜0.5%、REM:0.001〜0.2%、Ga:0.0002〜0.3%、Ta:0.001〜1.0%、Ca:0.0002〜0.01%の1種または2種以上を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(4) 850℃の大気雰囲気で、垂直荷重0.5Nで直径4mmのピンを押しつけ、回転半径10mm、速度3.3mm/secで、試験長が20mに達するまで回転摺動させる高温摩耗試験後の摩耗量が7μm以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(5) (1)〜(4)のいずれか1つに記載のフェライト系ステンレス鋼からなる鋼板を製造するに際し、冷延板焼鈍温度を1050℃超〜1120℃とし、900℃までの冷却速度を10℃/sec未満とすることを特徴とする高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(6) (1)〜(4)のいずれか1つに記載のフェライト系ステンレス鋼を有することを特徴とする排気部品。
(7) (1)〜(4)のいずれか1つに記載のフェライト系ステンレス鋼を有することを特徴とする高温摺動部品。
(8) (1)〜(4)のいずれか1つに記載のフェライト系ステンレス鋼を有することを特徴とするターボチャージャー部品。
本発明によれば、ターボチャージャーの部品用として適合する高温耐摩耗性を有するフェライト系ステンレス鋼を提供できる。併せて、低コスト化や部品製造の負荷低減に寄与する。
本発明鋼と比較鋼の、時効熱処理後の硬度と、高温摩耗試験における磨耗深さの関係を示す図。 発明鋼Aと比較鋼Bの表層近傍のNb含有析出物の状態を示す図。
以下、本発明に係る、高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼板に好適な実施形態を、詳細に説明する。
[成分]
まず、鋼の成分範囲について説明する。成分含有量に関する%は、特に断りのない限り質量%を示す。
Cは、オーステナイト生成元素であり、高温使用時にオーステナイト相が生成すると、異常酸化が生じて、高温耐摩耗性が著しく低下する。また、フェライト相中に炭化物が生成すると高温強度が低下するため、0.02%を上限とする。一方、過度な低下はコストアップに繋がることから0.003%を下限とする。さらに、製造コストを考慮すると、下限は0.005%が望ましい。さらに靭性を考慮すると、上限は0.010%が望ましい。
Siは、脱酸元素として添加される場合がある他、Siの内部酸化によりスケール剥離性、高温耐摩耗性の向上をもたらすため、0.05%以上添加する。一方、1.0%超の添加により著しく硬質化し加工性が劣化する他、靭性も低下するため、上限を1.0%とする。さらに、製造コスト、鋼板製造時の酸洗性、溶接時の凝固割れ性を考慮すると、Si含有量の上限は0.5%が望ましい。下限は0.1%が望ましい。さらに、鋼板の加工性を考慮すると、上限は0.2%が望ましい。
Mnは、脱酸元素として利用する他、スケール剥離性を改善するため0.05%以上添加する。一方、オーステナイト生成元素であり、高温使用時にオーステナイト相が生成すると異常酸化が生じて高温耐摩耗性が著しく低下するため、上限を1.0%とする。さらに、製造コスト、鋼板製造時の酸洗性を考慮すると、Mn含有量の下限は0.2%、さらに軟質化の観点から望ましくは、Mnの上限は0.3%とする。
Pは、製造時の熱間加工性や凝固割れを助長する元素である他、硬質化するためその含有量は少ないほど良いが、精錬コストを考慮して上限を0.05%、下限を0.01%とする。さらに、製造コストを考慮すると、P含有量の下限は0.02%が望ましい。上限は0.04%にすることが望ましい。
Sは、製造時の熱間加工性を低下させる他、耐食性を劣化させる元素である。また、粗大な硫化物(MnS)が形成されると清浄度が著しく悪くなり、穴拡げ性を劣化させるため、上限を0.01%とする。一方、過度な低減は精錬コストの増加に繋がることから、下限を0.0001%とする。さらに、製造コストや耐酸化性を考慮すると、S含有量の下限は0.0005%が望ましい。上限は0.0050%にすることが望ましい。
Crは、耐食性、耐酸化性を向上させ、高温耐摩耗性を改善する元素であり、排気部品環境を考慮すると異常酸化抑制の観点から15%以上が必要である。一方で、過度な添加は、硬質となり成形性を劣化させる他、コストアップに繋がることから上限を18%とした。さらに、製造コスト、鋼板製造性ならびに加工性を考慮すると、Cr含有量の下限は16%が望ましい。上限は17.5%にすることが望ましい。
Nは、Cと同様にオーステナイト生成元素であり、高温使用時にオーステナイト相が生成すると異常酸化が生じて高温耐摩耗性が著しく低下する。また、フェライト相中に窒化物が多量に生成すると高温強度が低下するため、0.02%を上限とする。一方、過度な低減はコスト高に繋がることから0.002%を下限とする。コストの観点からは、下限は0.003%が好ましい。さらに、溶接性や粒界腐食性の観点から、上限は0.010%にすることが望ましい。
Alは、脱酸元素として添加し、介在物清浄度を向上させる他、高温で内部酸化物を形成することで高温耐摩耗性を向上させるため、0.01%以上添加する。一方、0.20%超の添加により著しく硬質化する他、酸洗性が低下するため上限を0.20%とする。さらに、加工性や溶接性を考慮すると、Al含有量の下限は0.02%が望ましい。上限は0.10%が望ましい。
Cuは、高温環境下で析出強化が作用し、高温強度、熱疲労特性、高温高サイクル疲労特性ならびに高温耐摩耗性を向上させることから1%以上添加する。一方、3%超の添加によりオーステナイト相が生成し、耐酸化性や高温耐摩耗性が著しく劣化するため、1〜3%の添加とする。さらに、クリープ特性を考慮すると、下限は1.1%が望ましく、1.2%が、より望ましい。さらに製造性を考慮すると、上限は2.0%が望ましい。
Moは、固溶強化による高温強度向上に寄与するとともに、NbやFeと反応してLaves相の析出を促す。このLaves相は製品板段階では固溶しているが、高温環境下で部品が使用される際に析出し、高温強度や高温耐摩耗性の向上に寄与する。これらの効果は1.7%以上で発現することから下限を1.7%とする。一方、過度な添加は加工性や靭性の劣化をもたらすため、上限を3%とする。さらに、Moは高価な元素であることを考慮すると、上限は2.8%が望ましい。上記析出物による強化安定性ならびに介在物清浄度を考慮すると、Mo含有量の下限は2.3%が望ましい。
Nbは、C、Nと結合して耐食性、耐粒界腐食性を向上させる他、高温強度を向上させる元素である。高温強度の向上機構は固溶強化のLaves相析出強化が挙げられる。また、製品板の段階では炭窒化物あるいは少量のLaves相として析出するが、これらNb含有析出物が、高温耐摩耗性を高めるのに極めて有効であることを、本発明者は知見した。これは、Nb含有析出物が硬質なため、摺動する表面近傍の硬さを増加させることで母材の摩耗量の減少に寄与するためである。高温耐摩耗性には酸化スケールも大きく影響するが、本発明で規定した他元素(例えばCr,Si,Mn等の酸化物形成元素)が適正に添加されていると、異常酸化や過度な酸化物量の増加が生じない。そのため、母材の摩耗速度が律速し、硬質なNb含有析出物が分散している方が高温耐摩耗性に優れる。これらの効果は0.4%以上の添加によって発現するため下限を0.4%とした。一方、0.7%超の添加により加工性が著しく劣化するため、上限を0.7%とした。さらに、高温強度、溶接部の粒界腐食性および合金コストを考慮すると、Nb含有量の下限は0.5%、上限は0.6%にすることが望ましい。
Bは、一般的には粒界に偏析し2次加工性を向上させる元素である。本発明ではBの粒界偏析が高温耐摩耗性を向上させることを知見したため、0.0002%以上添加する。これは、表層近傍の粒界にBが偏析することで粒界強度を上げ、高温での摩耗性を向上させていると考えられる。粒界強度が弱い場合、摩擦・摩耗の際に粒界が摩耗し易くなるが、B添加による粒界強化がこれを抑制すると考えられる。この他、B添加はNb含有析出物を結晶粒内に微細分散析出させる効果もあり、摩耗性向上に有効である。これはBの粒界偏析により粒界にNb含有析出物が析出することを抑制し、粒内に微細に析出するためであり、これにより高温耐摩耗性が向上する。これらの新しい知見により、本発明では0.0002%以上添加する。一方、0.0030%超の添加によりボライド析出による粒界腐食性、靭性ならびに疲労特性の劣化をもたらすことから上限を0.0030%とする。さらに、精錬コストや延性低下を考慮すると、B含有量の下限は0.0002%、上限は0.0020%にすることが望ましい。
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、さらに、Ti、W、V、Zr、Sn、Ni、Co、Mg、Sb、REM、Ga、Ta、Ca、の1種または2種を含有してもよい。
Tiは、C,N,Sと結合して耐食性、耐粒界腐食性、常温延性や深絞り性を向上させる元素であり、必要に応じて添加する。また、本発明ではFeTiPの析出により常温加工性を向上させる場合、その効果は0.005%以上から発現するため、下限を0.005%とした。一方、0.3%超の添加により、固溶Ti量が増加して常温延性が低下する他、粗大なTi系析出物を形成し、高温耐摩耗性を劣化させる他、穴拡げ加工時の割れの起点になり、プレス加工性を劣化させる。また、Laves相が過度に析出し固溶Nbや固溶Moが不足し、高温強度の低下をもたらす。さらに、耐酸化性も劣化するため、Ti添加量は0.3%以下とした。さらに、表面疵の発生や靭性を考慮すると、下限は0.05%が望ましい。上限は0.2%が望ましい。
WもMo同様、950℃における固溶強化として有効な元素であるとともに、Laves相(Fe2W)を生成して析出強化の作用をもたらし高温耐摩耗性向上に寄与する。特に、NbやMoと複合添加した場合、Fe2(Nb,Mo,W)のLaves相が析出するが、Wを添加するとこのLaves相の粗大化が抑制されて析出強化能が向上する。さらに、前記のように、Fe−P系の析出物との共存によってこれらのLaves相は微細になる傾向がある。これは0.1%以上の添加で作用するため、下限を0.1%とする。一方、3.0%超の添加ではコスト高になるとともに、粗大なLaves相が形成して高温耐摩耗性を劣化させる。また、常温延性が低下するため、上限を3.0%とした。さらに、製造性、低温靭性および耐酸化性を考慮すると、W添加量の下限は0.2%が望ましく、上限は1.5%が望ましい。
Vは、耐食性を向上させる元素であり、必要に応じて添加される。また、VCを形成して高温耐摩耗性を向上させる。この効果は0.05%以上の添加で安定して発現するが、1%超添加すると析出物が粗大化して高温強度が低下する他、耐酸化性が劣化するため、上限を1%とした。さらに、製造コストや製造性を考慮すると、下限は0.08%が望ましい。上限は0.5%が望ましい。
Zrは、TiやNb同様に炭窒化物形成元素であり、耐食性、深絞り性を向上させる元素であり、必要に応じて添加する。これらの効果は0.05%以上で発現するが、0.3%超の添加により製造性の劣化が著しいため、0.05〜0.3%とした。さらに、コストや表面品位を考慮すると、下限は0.05%が望ましい。上限は0.2%が望ましい。
Snは、耐食性を向上させる元素であり、中温域の高温強度を向上させるため、必要に応じて添加する。これらの効果は0.01%以上で発現するが、0.5%超添加すると製造性が著しく低下するため、0.01〜0.5%とした。さらに、耐酸化性や製造コストを考慮すると、下限は0.03%が望ましい。上限は0.3%が望ましい。
Niは耐酸性や靭性を向上させる元素であり、必要に応じて添加する。これらの効果は0.1%以上で発現するが、0.5%超添加するとコスト高になる他、オーステナイトの生成を伴う場合、高温耐摩耗性が劣化するため、0.1〜0.5%とした。さらに、製造性を考慮すると、下限は0.15%が望ましい。上限は0.3%が望ましい。
Coは、高温強度の向上に寄与するため,必要に応じて0.03%以上添加する。0.3%超の添加により靭性劣化につながるため,上限を0.3%とする。さらに、精錬コストや製造性を考慮すると、上限は0.1%が望ましい。
Mgは、脱酸元素として添加させる場合がある他、スラブの組織を微細化させ、成形性向上に寄与する元素である。また、Mg酸化物はTi(C,N)やNb(C,N)等の炭窒化物の析出サイトになり、これらを微細分散析出させる効果がある。この作用は0.0002%以上で発現し、靭性向上に寄与するため下限を0.0002%とした。但し、過度な添加は、溶接性や耐食性の劣化につながるため、上限を0.01%とした。精錬コストを考慮すると、下限は0.0003%が望ましい。上限は0.0010%が望ましい。
Sbは、耐食性と高温強度の向上に寄与するため、必要に応じて0.005%以上添加する。0.5%超の添加により、鋼板製造時のスラブ割れや延性低下が過度に生じる場合があるため、上限を0.5%とする。さらに、精錬コストや製造性を考慮すると、下限は0.005%が望ましい。上限は0.15%が望ましい。
REMは、種々の析出物の微細化による靭性向上や耐酸化性の向上の観点から、必要に応じて添加される場合があり、この効果は0.001%以上で発現することから下限を0.001%とした。しかしながら、0.2%超の添加により鋳造性が著しく悪くなる他、延性の低下をもたらすことから上限を0.2%とした。さらに、精錬コストや製造性を考慮すると、0.001〜0.05%が望ましい。REM(希土類元素)は、一般的な定義に従い、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)の2元素と、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までの15元素(ランタノイド)の総称を指す。単独で添加してもよいし、混合物であってもよい。
Gaは、耐食性向上や水素脆化抑制のため、0.3%以下で添加してもよい。硫化物や水素化物形成の観点から下限は0.0002%とする。さらに、製造性やコストの観点ならびに、延性や靭性の観点から0.0020%以下が望ましい。
Taは、CやNと結合して靭性の向上に寄与するため必要に応じて0.001%以上添加する。但し、1.0%超の添加によりコスト増になる他、製造性を著しく劣化させるため、上限を1.0%とする。さらに、精錬コストや製造性を考慮すると、下限は0.005%が望ましい。上限は0.08%が望ましい。
Caは、脱硫のために添加される場合があり、この効果は0.0002%以上で発現することから下限を0.0002%とした。しかしながら、0.01%超の添加により粗大なCaSが生成し、靭性や耐食性を劣化させるため、上限を0.01%とした。さらに、精錬コストや製造性を考慮すると、下限は0.0003%が望ましい。上限は0.0020%が望ましい。
その他の成分について、残部はFeと不可避不純物であり、本発明では特に規定するものではないが、本発明においては、Bi等を必要に応じて、0.001%以上、0.1%以下添加してもよい。なお、As、Pb等の一般的な有害な元素や不純物元素はできるだけ低減することが望ましい。
[時効熱処理後の断面硬度]
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、850℃以上で1時間時効した後の表層から20μm深さにおける常温での断面硬度が、荷重1kgのビッカース硬度でHV180以上であることが望ましい。
HV180以上であることにより、汎用的なオーステナイト系ステンレス鋼SUS310S、SUSXM15J11以上の高温耐摩耗性を得ることができ、高価なオーステナイト系ステンレス鋼を、比較的安価な本発明のフェライト系ステンレス鋼に代替できる。
摩耗量の更なる低減および摺動安定性の観点からは、時効熱処理後の硬度はHV210以上が望ましい。さらに、本発明のフェライト系ステンレス鋼をターボチャージャーに使用する場合、ターボ部品の加工性の観点から、時効熱処理後の硬度はHV250以下が望ましい。
[高温耐摩耗性]
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、高温耐摩耗性の指標として、高温摩擦試験後の摩耗量を用いる。これは、本発明のフェライト系ステンレス鋼が、ターボチャージャー部品のように、高温環境下で高速で摺動する条件下で使用されることを想定しているためである。
具体的には、850℃の大気雰囲気で、垂直荷重0.5Nで直径4mmのピンを押しつけ、回転半径10mm、速度3.3mm/secで、試験長が20mに達するまで回転摺動させる、高温摩耗試験後の摩耗量が7μm以下であるのが望ましい。
[表層近傍の析出物個数]
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、表層から20μm深さでのNb含有析出物が0.06個/μm2以上、存在すると限定する。理由は以下の通りである。
耐熱用途として使用されるフェライト系ステンレス鋼板の特性として、重要なのは高温強度であるが、特にターボチャージャー部品の場合、他部品との高温耐摩耗性も極めて重要である。例えば、排気ガスの流速や流量を制御するためのノズルベーンと呼ばれる部品では、ノズルプレートあるいはノズルマウントと呼ばれる部品と、ベーンと呼ばれる部品が、高温の排ガス環境下で高速で摺動する。この際、摺動による摩耗量が著しく多かったり凝着等が生じたりすると摺動特性が悪くなり、排気ガスの流速あるいは流量制御が不可能となる。
ここで、Nb含有析出物は高硬度であり、比較的高温域でも安定であるため、硬質なNb含有析出物によって、高温摺動時の摩耗を低減できると考えられる。よって、本発明では、Nb含有析出物の個数密度を規定した。
なお、表層からの深さを20μmまでと限定した理由は、摩耗量を考慮したものであるが、摩耗量とより密接な関係を考慮すると、表層から10μm深さまででも、Nb含有析出物が0.06個/μm2以上、存在するのが望ましい。
[製造方法]
次に製造方法について説明する。本発明の鋼板の製造方法は、製鋼−熱間圧延−焼鈍・酸洗工程、あるいは製鋼−熱間圧延−焼鈍・酸洗−冷間圧延−焼鈍・酸洗工程よりなる。製鋼においては、前記必須成分および必要に応じて添加される成分を含有する鋼を、電気炉溶製あるいは転炉溶製し、続いて2次精錬を行う方法が好適である。溶製した溶鋼は、公知の鋳造方法(連続鋳造など)に従ってスラブとする。スラブは、所定の温度に加熱され、所定の板厚に連続圧延で熱間圧延される。熱間圧延はタンデム式の連続熱延でもステッケル式のリバース圧延でも構わず、鋼組成に応じて製造条件を決めれば良い。熱間圧延後の鋼板は、一般的には熱延板焼鈍と酸洗処理が施されるが、熱延板焼鈍を省略しても構わない。その後、所定の板厚に冷間圧延し、冷延板焼鈍と酸洗処理が施される。通常、焼鈍温度は1000℃以上、1120℃以下で成されて再結晶組織を得る。本発明では、表層近傍のNb含有析出物の個数密度を確保するために、冷延板焼鈍温度を1050℃超と高くして加熱段階で、できるだけNbを固溶させ、その後の冷却過程で析出させる。その際、加熱後の冷却過程における900℃までの冷却速度を10℃/sec未満に規定する。これは、加熱段階で固溶したNbを冷却過程で析出させるものであり、10℃/sec以上では析出が不十分となる。一方、過度に冷却速度を遅くするとNb含有析出物が過度に析出および粗大化し、高温強度が不足する。また、生産性も著しく劣化するため、1℃/sec以上とする。さらに、鋼板の形状、生産性、靭性および耐食性を考慮すると、3℃/sec以上9℃/sec以下が望ましい。このような条件を満たす工程を実施することにより、表層から20μm深さにおいてNb含有析出物が0.06個/μm2以上、存在するように制御できる。
なお、製造工程における他の条件は適宜選択すれば良い。例えば、スラブ厚さ、熱間圧延板厚などは適宜設計すれば良い。冷間圧延においては、ロール粗度、ロール径、圧延油、圧延パス回数、圧延速度、圧延温度などは適宜選択すれば良い。冷間圧延の途中に中間焼鈍を入れても構わず、バッチ式焼鈍でも連続式焼鈍でも良い。また、酸洗工程は、硝酸、硝酸電解酸洗の他、硫酸や塩酸を用いた処理を行っても良い。冷延板の焼鈍・酸洗後に調質圧延や、テンションレベラー等により、形状および材質調整を行っても良い。さらに、本発明で規定する要件を満たす表面が得られるならは、冷延および冷延板焼鈍を省略しても構わない。加えて、プレス成形を向上させる目的で、潤滑皮膜を製品板に付与することも可能である。部品加工後に、窒化処理や浸炭処理等の特殊な表面処理を施して、耐熱性をさらに向上させても構わない。また、製鋼−熱間圧延−焼鈍・酸洗工程の場合は、熱間圧延後の焼鈍時にNb含有析出物を析出させる。
本発明では、ステンレス鋼板製品の表層近傍の、Nb含有析出物の個数密度の確保により、時効熱処理後の高硬化を達成し、優れた高温耐摩耗性を得るものである。ただし、必ずしも、鋼板の状態でNb含有析出物の個数密度を確保する必要はない。例えば、ターボチャージャー部品に加工した後、あるいは加工途中に熱処理を施してNb含有析出物の個数密度を確保しても構わない。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例には限定されない。
(予備試験)
まず、本発明の望ましい硬度、高温摩耗量、Nb含有量を決定するために、予備試験として、以下の条件で高温摩耗試験を行い、硬度、高温摩耗量、Nb含有量を測定した。
まず、表1に示す鋼A、B、C、D、Eを用意した。
Figure 2018180643
鋼Aは本発明鋼である。鋼BとCは代表的な耐熱フェライト系ステンレス鋼で、鋼BはSUS444、鋼CはSUS430LXである。また、鋼DおよびEは、代表的なオーステナイト系ステンレス鋼SUS310SおよびSUSXM15J1である。
高温摩耗試験は、850℃の大気雰囲気で、ディスク(直径29mm)形状に加工した鋼の試料に同じ材料のピン(先端の直径4mm)を垂直荷重0.5Nで押し付け、回転半径10mm、速度3.3mm/secで回転摺動させた。試験前の850℃の保持時間は1時間とし、試験長が20mに達したら試験を終了した。高温摩耗試験後、常温で摩耗深さを測定した。摩耗深さの測定にはレーザー顕微鏡を用い、3箇所測定した最大深さの平均を摩耗深さとした。
図1に、フェライト系ステンレス鋼3種(A、B、C)の摩耗深さ、および代表的な汎用オーステナイト系ステンレス鋼(D、E)の摩耗深さの試験結果を示す。図1は各鋼を850℃で1時間時効熱処理した後の常温硬度との関係を示す図である。常温硬度は表層から20μm深さにおける断面のビッカース硬度を、荷重1kgで5点測定した平均値を用いた。
図1に示すように、本発明鋼Aは他の代表的フェライト系ステンレス鋼よりも耐摩耗性が優れるだけでなく、オーステナイト系ステンレス鋼よりも摩耗量が少なく、優れた高温耐摩耗性を示した。このことは、従来は、高温耐摩耗性の観点からは高コストであったオーステナイト系ステンレス鋼を、本発明のフェライト系ステンレス鋼で代替可能であることを示しており、経済的に極めて有効な特性と言える。
優れた高温耐摩耗性を有する理由は、時効熱処理後の硬度が高いことが原因と考えられる。なお、硬度と摩耗量の関係において、一般的にフェライト系ステンレス鋼と、オーステナイト系ステンレス鋼の関係は異なる傾向にあるが、これは結晶構造や酸化スケールの影響が考えられる。予備試験では、フェライト系ステンレス鋼でも、硬度が高い本発明鋼Aが、鋼B、Cよりも摩耗量が少なかったため、時効熱処理後の硬度が高温耐摩耗性に大きく関係する点が明らかになった。
以上の結果から、本発明のフェライト系ステンレス鋼は、時効熱処理後の硬度がHV180以上であれば、汎用的なオーステナイト系ステンレス鋼SUS310S、SUSXM15J11以上の高温耐摩耗性(摩耗量7μm以下)を得られることが分かった。よって、本発明のフェライト系ステンレス鋼の時効熱処理後の硬度はHV180以上が望ましく、高温摩耗試験後の摩耗量は、7μm以下が望ましいことが分かった。この範囲は、図1で、ハッチングで示した範囲である。
次に、図1に示した高温摺動試験に用いた、鋼Aと鋼Bの試験前の表層から20μm深さまでの範囲の、Nb析出状態を観察した。具体的には、鋼板の圧延方向と平行な断面を埋め込み研磨後、王水にてエッチングし、走査型電子顕微鏡でNb含有析出物を観察し、個数密度を算出した。Nb含有析出物の判定は、走査型電子顕微鏡に付随した分析装置にて析出物の元素分析を行い、Nb濃化の有無で判断した。ここで、Nb含有析出物は、Nbを含有する炭窒化物、Laves相、リン化物の他、Cu析出物やTi系析出物等の界面に偏析および複合析出しているものも、含まれる。
観察結果を図2に示す。図2において粒状の白い箇所がNb含有析出物である。
図2に示すように、比較鋼BのNb含有析出物の個数密度が0.03個/μm2であったのに対し、高温耐摩耗性に優れる鋼Aは、個数密度が0.06個/μm2と比較鋼Bよりも高かった。よって、表層20μm深さの、Nb含有析出物の個数密度を、0.06個/μm2以上とすることより、時効熱処理後の硬度を確保し、高温耐摩耗性を向上させられることが分かった。これは、Nb含有析出物は高硬度、比較的高温域でも安定であるため、Nb含有析出物によって摩耗が低減されたためと推察される。
(ターボチャージャー試験)
次に、種々の成分組成、製造条件の鋼を作製して、Nb含有析出物の密度、硬度、耐力、摩耗量との関係を調査した。さらに、作製した鋼でターボチャージャーを製造し、試験に供した。具体的な手順は以下の通りである。
まず、用意した鋼を溶製してスラブに鋳造し、熱延、熱延板焼鈍・酸洗、冷延、最終焼鈍・酸洗を施して4.3mm厚および2.0mm厚の製品板を得た。得られた製品板の成分組成は表2、表3に示す通りであった。最終焼鈍条件は、後述する表4、表5に示す。
Figure 2018180643
Figure 2018180643
次に、4.3厚mmの製品板に対して、850℃で1時間の時効熱処理後の硬度測定、高温摺動試験、Nb含有析出物の個数密度測定を行った。また、2.0mm厚の製品板に対して高温引張試験を行った。高温引張試験は、圧延方向と引張方向が平行になる様に引張試験片を用意し、加熱速度100℃/minで850℃まで加熱後、保持時間10minとし、クロスヘッド速度1mm/minで等速引張試験を行い、圧延方向の0.2%耐力を得た。
高温摺動試験は予備試験と同じ条件で実施し、試験後に予備試験と同じ条件で摩耗量を測定した。摩耗量が7μm以下を合格、7μm超を不合格とした。また、予備試験と同じ条件で断面硬度を測定し、時効後の硬度が180以上を合格、180未満を不合格とした。さらに、予備試験と同じ条件でNb含有析出物の個数密度を測定し、0.06個/μm2以上を合格、0.06個/μm2未満を不合格とした。高温引張試験の0.2%耐力については、850℃で40MPa以上を合格、40MPa未満を不合格とした。
また、供試材をノズルマウント、ノズルプレートおよびハウジング部品に加工し、公知のノズルベーン式ターボチャージャーに搭載し、ノズルの開閉を繰り返しながら高温(850℃)の排気ガスを流して、ガス流れ性を調べた。この際、ガス流れに問題が生じなかった鋼を合格、ガス流れ不良(圧力損失10%以上)やノズル開閉に不具合が生じた鋼を不合格とした。
Figure 2018180643
Figure 2018180643
表4と表5に示す製造条件で製造した結果、本発明例の鋼は加工性、耐熱性、表面性状に優れ、ターボチャージャー部品としての性能を満足することが確認された。鋼組成、Nb含有析出物密度、断面硬度が本発明範囲外では、加工精度やターボチャージャー性能が不良となり不具合が生じた。また、高温強度が不良の場合もクリープ変形によってターボチャージャー性能に不良が生じた。
本発明によれば、高温耐摩耗性が要求される排気部品に対して、オーステナイト系ステンレス鋼よりもコスト面で優位な、フェライト系ステンレス鋼板を提供することが可能である。特に、自動車のターボチャージャーの部品として使用することによって、排ガス規制、軽量化、燃費向上につなげることが可能となる。また、部品の切削および研削加工の省略、表面加工処理省略も可能となり、低コスト化にも大きく寄与する。さらに、自動車、二輪の排気部品に限らず、各種ボイラー、燃料電池システム等の高温環境に使用される排気部品や、高温摺動部品に適用することも可能であり、本発明は産業上極めて有益である。
【0005】
01〜0.01%、Cr:15〜18%、N:0.002〜0.02%、Al:0.01〜0.20%、Cu:1〜3%、Mo:1.7〜3%、Nb:0.4〜0.7%、B:0.0002〜0.0030%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、表層から20μm深さにおいて、Nb含有析出物が0.06個/μm以上、存在することを特徴とする高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(2) 850℃以上で1時間時効した後の表層から20μm深さにおける常温での断面硬度が、荷重1kgのビッカース硬度でHV180以上であることを特徴とする(1)記載の高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(3) さらに、質量%でCa:0.0002〜0.01%と、Ti:0.005〜0.3%、W:0.1〜3.0%、V:0.05〜1%、Zr:0.05〜0.3%、Sn:0.01〜0.5%、Ni:0.1〜0.5%、Co:0.03〜0.3%、Mg:0.0002〜0.01%、Sb:0.005〜0.5%、REM:0.001〜0.2%、Ga:0.0002〜0.3%、Ta:0.001〜1.0%、の1種または2種以上とを含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(4) 850℃の大気雰囲気で、垂直荷重0.5Nで直径4mmのピンを押しつけ、回転半径10mm、速度3.3mm/secで、試験長が20mに達するまで回転摺動させる高温摩耗試験後の摩耗量が7μm以下であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
(5) (1)〜(4)のいずれか1つに記載のフェライト系ステンレス鋼からなる鋼板を製造するに際し、冷延板焼鈍温度を1050℃超〜1120℃とし、900℃までの冷却速度を10℃/sec未満とすることを特徴とする高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
(6) (1)〜(4)のいずれか1つに記載のフェライト系ステンレス鋼

Claims (8)

  1. 質量%で、C:0.003〜0.02%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.05〜1.0%、P:0.01〜0.05%、S:0.0001〜0.01%、Cr:15〜18%、N:0.002〜0.02%、Al:0.01〜0.20%、Cu:1〜3%、Mo:1.7〜3%、Nb:0.4〜0.7%、B:0.0002〜0.0030%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、表層から20μm深さにおいて、Nb含有析出物が0.06個/μm2以上、存在することを特徴とする高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  2. 850℃以上で1時間時効した後の表層から20μm深さにおける常温での断面硬度が、荷重1kgのビッカース硬度でHV180以上であることを特徴とする請求項1記載の高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  3. さらに、質量%でTi:0.005〜0.3%、W:0.1〜3.0%、V:0.05〜1%、Zr:0.05〜0.3%、Sn:0.01〜0.5%、Ni:0.1〜0.5%、Co:0.03〜0.3%、Mg:0.0002〜0.01%、Sb:0.005〜0.5%、REM:0.001〜0.2%、Ga:0.0002〜0.3%、Ta:0.001〜1.0%、Ca:0.0002〜0.01%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  4. 850℃の大気雰囲気で、垂直荷重0.5Nで直径4mmのピンを押しつけ、回転半径10mm、速度3.3mm/secで、試験長が20mに達するまで回転摺動させる高温摩耗試験後の摩耗量が7μm以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項3までのいずれか一項に記載の高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  5. 請求項1〜請求項4までのいずれか一項に記載のフェライト系ステンレス鋼からなる鋼板を製造するに際し、冷延板焼鈍温度を1050℃超〜1120℃とし、900℃までの冷却速度を10℃/sec未満とすることを特徴とする高温耐摩耗性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフェライト系ステンレス鋼を有することを特徴とする排気部品。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフェライト系ステンレス鋼を有することを特徴とする高温摺動部品。
  8. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフェライト系ステンレス鋼を有することを特徴とするターボチャージャー部品。
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