JPWO2018174108A1 - 樹脂成形体および樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂成形体および樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

結晶領域と非晶質領域とを含むポリオレフィン体と、該ポリオレフィン体の少なくとも表面下の非晶質領域の一部にかけて含まれる親水性共重合体と、を含み、親水性共重合体は、モル分率45%以上の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と、少なくとも1種の他のモノマーとの共重合体である樹脂成形体。または、結晶領域と非晶質領域とを含むポリオレフィン体を準備する工程と、ポリオレフィン体の少なくとも一部の表面に、モル分率45%以上のMPCと、少なくとも1種の他のモノマーとの共重合体である親水性共重合体の被膜を形成する工程と、親水性共重合体の被膜が形成されたポリオレフィン体を熱処理する工程と、を含み、熱処理によって、親水性共重合体の被膜を表面下の非晶質領域の一部にかけて含浸させる、樹脂成形体の製造方法。すなわち、本発明の樹脂成形体は、熱処理によって、MPCポリマーが表面から含浸されている。

Description

本発明は、摺動する部材の表面の、水分に由来する滑りを、長期にわたり良好に維持することのできる樹脂成形体および樹脂成形体の製造方法に関する
尿道カテーテル等の人体内に長期間留置される医療器具の表面コーティングとして、特許文献1には、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)等のホスホリルコリン基を有する化合物を含有する共重合体(MPC含有コポリマー、以下「MPCポリマー」という)を用いることが開示されている。
また、特許文献2には、前記MPCポリマーをコーティングする手法として、樹脂成形物をプラズマ処理する工程と、該プラズマ処理された成形物を、MPCとn−ブチルメタクリレートの共重合体のエタノール溶液(MPCポリマー含有液)に浸漬(ディッピング)し、それをその後乾燥する過程を複数回繰り返す工程と、を含む医療用樹脂成形物のコーティング方法が、開示されている。
前述のような、ホスホリルコリン基を有する化合物およびその重合体は、生体組織を構成する細胞と同様の化学構造を有しているので、生体との親和性が高く、たとえ摩擦により摩耗粉が発生したとしても、人体に悪影響を与えることがないとされる。
特許2870727号公報 特開2015−84848号公報
本開示の樹脂成形体は、結晶領域と非晶質領域とを含むポリオレフィンからなるポリオレフィン体と、該ポリオレフィン体の少なくとも一部の表面および該表面下の前記非晶質領域の一部に含まれる親水性共重合体と、を含み、
該親水性共重合体は、モル分率45%以上の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、少なくとも1種以上の他のモノマーとの共重合体であることを特徴とする。なお、本開示における親水性共重合体は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)等のホスホリルコリン基を有する化合物を含有する共重合体(MPC含有コポリマー)と、MPCポリマーとを包含する。
また、本開示の樹脂成形体の製造方法は、
結晶領域と非晶質領域とを含むポリオレフィンからなるポリオレフィン体を準備する工程と、
前記ポリオレフィン体の少なくとも一部の表面に、モル分率45%以上の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、少なくとも1種以上の他のモノマーとの共重合体である親水性共重合体の被膜を形成する工程と、
前記親水性共重合体の被膜が形成された前記ポリオレフィン体を熱処理する工程と、
を含み、
前記熱処理によって、前記親水性共重合体の被膜を前記表面から該表面下の前記非晶質領域の一部にかけて含浸させる。
図1Aは樹脂製基材の初期状態(処理前)の断面のイメージ、図1Bは樹脂製基材の表面にMPCポリマー層が形成された状態の断面のイメージ、図1Cは熱処理後の基材表面近傍の断面のイメージ、図1Dは前記熱処理後、再度、樹脂製基材の表面にMPCポリマー層を形成した状態の断面のイメージ、である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態にかかる樹脂成形体は、結晶領域と非晶質領域とを含むポリオレフィンからなるポリオレフィン体と、該ポリオレフィン体の少なくとも一部の表面および該表面下の前記非晶質領域の一部に含まれる親水性共重合体と、を含み、該親水性共重合体は、モル分率45%以上の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、少なくとも1種以上の他のモノマーとの共重合体である。
本実施形態の樹脂成形体は、たとえば、人工関節,人工骨,人工血管,人工弁,血液透析膜,ステント,カテーテル,カプセル化材料,眼内レンズ,コンタクトレンズ等、人体内に長期間留置される医療器具の表面コーティングとして用いられるもので、生体適合性が高く、生体内で異常な免疫反応を引き起こさない成形体として構成されているが、本発明が適用される医療器具は、これらに限定されるものではない。
図1Aは樹脂(架橋ポリエチレン;Cross−Linked Polyethylene、以下CLPE)製基材の、未処理(初期)状態における表面付近の断面の透過電子顕微鏡(TEM)イメージであり、図1BはCLPE製基材の表面に、コーティングによりMPCポリマー(後記PMBBP)層が形成された状態の断面のTEMイメージ、を示す。図1CはMPCポリマー層を形成し、熱処理(120℃で2時間)を施した後の基材表面近傍の断面のTEMイメージであり、図1Dは前記熱処理後、CLPE製基材の表面に、コーティングによりMPCポリマー層を再度形成した状態の断面のTEMイメージ、である。
本実施形態の樹脂成形体(不定形)は、比較的固い性質を有するポリオレフィン製の基材〔以下、単に「基材」とも言う。図1A参照〕の外表面に、図1BのTEMイメージに示すような、PMBBP〔MPC,BMAおよびBPMAの共重合体〕に代表されるMPCポリマー(親水性共重合体)からなる層が一旦形成され、その後の加熱処理により、前記MPCポリマー層が基材中に滲み込むように含浸され、図1Cのように、一見、MPCポリマー層が消失したように見える状態になっている。
なお、図1Cのような状態の樹脂成形体に対して、X線光電子分光分析法(XPS)による表面分析や、TEMとエネルギー分散型X線分光分析法(EDS)による表面近傍の断面分析などを行うことにより、基材の外表面の内側に親水性共重合体が含まれていることを確認することが可能である。親水性共重合体が熱処理によって基材の外表面から含浸される深さは、親水性共重合体の化学組成、平均分子量、熱処理条件等に依存しているが、最大でも外表面から1000nm以下である。
また、図1CのTEMイメージでは分かりづらいが、前記MPCポリマー層の含浸とともに、基材外表面の内側(基材内部)の領域の一部が、加熱処理により、ラメラ結晶を有する結晶領域と非晶質(アモルファス)領域の混成層に変化している、という構成をとる。
基材を構成するポリオレフィンとしては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等があげられる。なかでも、基材を構成する材料として、重量平均分子量Mwが300万以上の超高分子量ポリエチレンが、好適に用いられる。さらに、超高分子量ポリエチレンに対して、高エネルギー線(たとえば、X線、ガンマ線または電子線)を照射して、架橋処理を施したCLPEが、より好適である。
MPCポリマー層(親水性被膜)を構成する親水性共重合体としては、たとえば、後記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するPMB50(MPC:BMAのモル分率が50:50の共重合体)、PMB60(MPC:BMAのモル分率が60:40の共重合体)、PMB70(MPC:BMAのモル分率が70:30の共重合体)、PMB80(MPC:BMAのモル分率が80:20の共重合体)、PMB90(MPC:BMAのモル分率が90:10の共重合体)等があげられる。
また、これらの親水性共重合体とPMB30(MPC:BMAのモル分率が30:70の共重合体)、あるいは、PMB40(MPC:BMAのモル分率が40:60の共重合体)を混合して用いることもできる。
なお、先に述べたPMB30,PMB40,PMB50,PMB60,PMB70,PMB80,PMB90は、後述する「第2の親水性被膜」(前記親水性被膜の含浸後に新たに基材表面に形成される親水性被膜)を構成する親水性共重合体として用いることができる。これら第2の親水性被膜を構成するPMB30〜90は、単独(単一種)で、あるいは、これらを適宜混合して使用される。
また、前記MPCポリマー層(親水性被膜)を構成する親水性共重合体として、たとえば、後記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するPMBBP60〔MPC,BMAおよびBPMAの共重合体、前記例においては、MPC:BMA:BPMAのモル分率が60:30:10である〕、PMBBP70〔MPC:BMA:BPMAのモル分率が70:20:10〕、PMBBP90〔MPC:BMA:BPMAのモル分率が90:5:5〕等を用いることができる。
また、前記MPCポリマー層(親水性被膜)を構成する親水性共重合体として、たとえば、後記一般式(3)で示される繰り返し単位を有するPMBBPH80〔MPC:BMA:BPHMAのモル分率が80:10:10〕や、後記一般式(4)で示される繰り返し単位を有するPMBPH90〔MPC:BPHMAのモル分率が90:10〕、PMBPH95〔MPC:BPHMAのモル分率が95:5〕等の、モル分率45%以上100%未満のMPCと他のモノマー化合物とを共重合して得られる親水性コポリマーを用いてもよい。さらに、これらに前記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するPMBを混合して用いることもできる。
一般式(1) PMB
式(1)において、(j:k)は、(5:5)〜(9:1)等である。
一般式(2) PMBBP
式(2)において(l:m:n)は(60:30:10)〜(90:5:5)等である。
一般式(3) PMBBPH
式(3)において、(q:r:s)は、(60:30:10)〜(90:5:5)等である。
一般式(4) PMBPH
式(4)において、(t:u)は、(80:20)〜(99:1)等である。
なお、親水性共重合体は、人体に対する無害性と安全性等を考慮すると、未架橋でかつ重量平均分子量Mwが100万以下の、リン脂質ポリマー含有コポリマーであり、好ましくはMwが60万以下、さらに好ましくはMwが20万以下であることが望ましい。本実施形態で使用する親水性共重合体は、カテーテル等での実績を考慮して、PMBBP60を選択した。
また、親水性共重合体を構成するMPCと少なくとも1種以上の他のモノマーのうち、MPCは、通常、共重合体内でモル分率45%以上100%未満を占めるもので、好ましくは、PMB50,PMB90,PMBBP90,PMBPH90,PMBPH95等の、共重合体内でモル分率45%以上90%以下を占める構成、より好ましくは、基材への含浸率の高いPMB60,PMB70,PMB80,PMBBP60,PMBBP70,PMBBPH80等の、共重合体内でMPCのモル分率が60%以上80%以下を占める構成であることが望ましい。
さらに、MPCと共重合する、他のモノマーとしては、たとえば(X)群として、メチルメタクリレート、BMA、BPMA、リン酸エチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、BPHMA、4−ジヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、スルホベタインメタクリレート、カルボキシベタインメタクリレート、ω−オリゴエチレングリコールモノメタクリレート等のメタクリル酸エステルがあげられ、これらの中から選択して、1種または2種以上を組み合わせて用いられる。
上記構成の樹脂成形体を製造する方法としては、(1)結晶領域と非晶質領域とを含むポリオレフィンからなるポリオレフィン体を準備する工程と、(2)ポリオレフィン体の少なくとも一部の表面に、モル分率45%以上の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、少なくとも1種以上の他のモノマーとの共重合体である親水性共重合体の被膜を形成する工程と、(3)親水性共重合体の被膜が形成された前記ポリオレフィン体を熱処理する工程と、を含み、熱処理によって、前記親水性共重合体の被膜を前記表面から該表面下の前記非晶質領域の一部にかけて含浸させる、方法をとる。
具体的には、まず、塗布される側の基材(カテーテル基体等)を準備するとともに、基材を塗布(コーティング)または浸漬(ディッピング)するためのMPCポリマー溶液(ワニス)を調製して準備する。MPCポリマー溶液は、メタノール(Me−OH),エタノール,プロパノール,t−ブタノール,ベンゼン,トルエン,ジメチルホルムアミド,テトラヒドロフラン(THF),クロロホルムおよびこれらの混合物等の溶媒に、0.1〜1.0wt%のMPCポリマーを分散させて作製する。なお、MPCポリマー溶液の濃度は0.2〜0.5wt%が好ましい。
つぎに、たとえばCLPE製基材を用いた場合、(I)この基材を前記調製済みのMPCポリマー溶液に数秒から数分間浸漬する方法か、あるいは、(II)この基材の表面に、コーターまたはスプレー等を用いて前記MPCポリマー溶液を所定厚で塗布する方法により、図1BのTEMイメージのように、基材表面に、親水性共重合体からなる樹脂層(親水性共重合体の被膜)を形成する。なお、PMBBP等の親水性共重合体からなる樹脂層(親水性共重合体の被膜)の表面は、非常になめらかな面(平均表面粗さが1nm以下)になっている。なお、上記は、ポリオレフィン体の少なくとも一部の表面に、モル分率45%以上の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、少なくとも1種以上の他のモノマーとの共重合体である親水性共重合体の被膜を形成する工程、の一例である。
ついで、基材(CLPE)およびMPCポリマー(PMBBP等)が不溶な環境下、すなわち、真空中、不活性ガス中、もしくは基材およびMPCポリマーが不溶である溶媒中等において、基材の微小結晶が溶融を開始する温度(60〜90℃)以上、かつ、基材およびMPCポリマーの溶融温度以下の温度(この例では約120℃)で加熱処理を行い、前記親水性被膜を構成するMPCポリマーを、基材中に含浸させる。なおこの時、基材の表面において、親水性共重合体の疎水側末端が処理(加熱)対象領域の基材(CLPE)と共有結合する状態とすれば、親水性共重合体の親水基が基材表面へ偏在化するため、最も好ましい。なお、上記は、親水性共重合体の被膜が形成されたポリオレフィン体を熱処理する工程、の一例である。
上記MPCポリマーが含浸後の、処理(加熱)対象領域内の外表面は、図1Cに示すような、表面に親水性被膜が一部残る、荒れた表面(平均表面粗さが約5nm)になっており、対象領域の表面親水性(疎水性)を評価してみると、当該領域における大気中での水の静的接触角は1〜25度であった。
なお、前記平均表面粗さは、原子間力顕微鏡(ビーコ・インスツルメンツ社製 Nanoscope IIIa)を用い、スキャン速度0.25Hz、チップ速度5μm/秒、乾燥環境にて、単結晶シリコンカンチレバーにより1μm2の表面を測定し、得られたイメージを用いて計測した。
また、前記水の静的接触角は、表面接触角測定装置(協和界面科学社製 DM300)を用い、液滴法により評価した。液滴法による静的表面接触角の測定は、ISO15989規格に準拠し、大気中にて、液滴量1μLの純水を試料表面に滴下後、60秒間経過した時点において測定した。
上記の構成によれば、本実施形態の樹脂成形体は、従来のMPCポリマーコーティングのような、水分を含む柔らかいハイドロゲル層が成形体表面に形成されることなく、樹脂成形体表面の水へのなじみが改善されている。そのため、成形体表面の耐傷つき性は、樹脂成形体を構成する基材そのものの耐性(強度)が引き継がれており、ハイドロゲル層が外表面に露出する従来の樹脂成形体より、損傷に対する耐性が大幅に向上している(この点については、後記「実施例1」で検証する)。
すなわち、本実施形態の樹脂成形体は、表面処理(被吸収)材としての親水性共重合体、すなわち、モル分率45%以上100%未満の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と他のモノマーとを共重合して得られる共重合体の、加熱含浸直後は、親水性共重合体が基材(ポリオレフィン体からなる基材)の内部に浸潤して潜り込んでいるため、初期状態(不使用保管状態)ではその表面に、比較的柔らかく損傷し易い材料(親水性共重合体層、もしくはそのハイドロゲル層)がほとんど存在せず、外部からの引っ掻き傷等に対する耐性が高くなっている。
そして、本実施形態の樹脂成形体は、周囲に水分のある環境下に移行した際、処理(加熱)対象領域の内側に含浸されていた親水性共重合体が、対象領域下の非晶質領域(層)から表面に徐々に移動して前記損傷の表面上に現出し、損傷した親水性共重合体によるハイドロゲル層を埋めることで、この表面に親水性の薄膜(層)を形成する。そのため、本実施形態の樹脂成形体は、周囲に水分のある環境下では、前記成形体表面に付いた損傷等は、自動的にある程度修復されるとともに、成形体表面の処理対象領域での水和量が増大し、それに伴う成形体表面の滑り(潤滑)も増大する。しかも、前記非晶質領域から表面上への親水性共重合体の供給は、一気に進行するものではなく、徐々にゆっくりと進行する。これにより、本実施形態の樹脂成形体は、表面の処理領域における水分およびハイドロゲル層を、長期にわたり安定して維持することが可能となる。
したがって、本実施形態の樹脂成形体を、人工関節,人工骨,人工血管,人工弁,ステント,カテーテル,カプセル化材料,眼内レンズ,コンタクトレンズ等の人体内に長期間留置される医療器具の表面コーティングとして用いた場合、この表面コーティングは、外部からの引っ掻き傷等に対する耐性が高いため、手術などの際も、損傷にあまり注意を払うことなく、取り扱うことができる。さらに、生体内に留置する前に発生した損傷に起因する不良等の交換が減少し、コーティングした製品の歩留まりを向上させることができる。
また、本実施形態の樹脂成形体のうち、外表面の外側に、再度、同様のMPCポリマー層(親水性共重合体の被膜)が後付け形成されたもの〔図1D参照〕は、この後付けMPCポリマー層が摩耗や摩擦等により失われた場合でも、周囲に水分のある環境であれば、非晶質領域に加熱含浸されたMPCポリマーが表面上へ供給され、減少したMPCポリマー層を補填することができる(この点については、後記「実施例2」で検証する)。
したがって、本実施形態の樹脂成形体のうち、外表面の外側に親水性共重合体または他の親水性樹脂等からなる親水性材料の被膜を有するものは、前記親水性材料の被膜およびそれに含まれる水分に由来する潤滑、あるいは、血栓形成の抑制,タンパク質の吸着抑制,脂質の付着抑制,細菌の付着抑制などの生体防汚性が、摩耗,摺動等により損なわれた場合でも、これを自律的に後から修復して復活させる、自己修復力を備える。
なお、実施形態において、後付け形成されたMPCポリマー層(第2の親水性共重合体の被膜)〔図1D〕を構成する親水性共重合体材料のMPCのモル分率は、45%以上に限定されるものではなく、MPCのモル分率が45%未満の親水性共重合体やその混合体、または、異なる系の親水性材料等を用いることもできる。上記の後付け形成されたMPCポリマー層は、「ポリオレフィン体の表面上に形成された、親水性材料からなる被膜」の一例である。
つぎに、本発明の樹脂成形体の性能(性状)と評価について、以下の実施例のなかで説明する。
本実施例では、表面処理材としての親水性共重合体(PMB,PMBBP,PMBBPH,PMBPH等)を、ポリオレフィン(CLPE)製の基材に含浸させた樹脂成形体をまず作製し、つぎに加熱処理により親水性共重合体を基材中に含浸させたうえで、再度、樹脂成形体の外表面上に、別の親水性被膜(柔らかいハイドロゲル状の第2親水性被膜)を形成し、その第2親水性被膜を削り取ってから、各種条件下での耐傷つき性(エロージョン率)の変化と、潤滑性の代替としての表面親水性(水の接触角)の変化とを、測定し評価した。
なお、親水性被膜を形成する親水性共重合体として、実施例1では、PMBBP60〔前記一般式(2)において(l:m:n)=(60:30:10)〕,PMBBP70〔(l:m:n)=(70:20:10)〕,PMBBP90〔(l:m:n)=(90:5:5)〕の3種を用いた。
また、実施例2では、親水性被膜を形成する親水性共重合体として、PMBBPH80〔前記一般式(3)において(q:r:s)=(80:10:10)〕の1種を用い、実施例3では、PMBPH90〔前記一般式(4)において(t:u)=(90:10)〕およびPMBPH95〔(t:u)=(95:5)〕の2種を用いた。
また、実施例4では、親水性被膜を形成する親水性共重合体として、PMB50〔前記一般式(1)において(j:k)=(5:5)〕,PMB60〔(j:k)=(6:4)〕,PMB70〔(j:k)=(7:3)〕,PMB80〔(j:k)=(8:2)〕,PMB90〔(j:k)=(9:1)〕の5種の他、前記PMBどうしの混合物の中で、共重合体中のMPCの合計モル分率が45%以上のもの、たとえば、PMB80/30〔PMB80とPMB30の3:7混合物であり、混合後のMPCのモル分率が45%〕などを用いた。
そして、前記耐傷つき性は、マイクロスラリーエロージョン試験装置(株式会社パルメソ製 MSE−A)を用いて、エロージョン率を評価したものである。すなわち、試験装置により、空気流量6.0L/分、水流量125mL/分にて水のみを投射し、1秒間(水2.08g)あたりの、噴流による掘り込み深さ(nm)を測定することで、投射によるエロージョン深さ(nm/秒)求め、耐傷つき性とした。
(実施例1)
ステップ(1−1) 準備
ポリオレフィン製基材として、CLPE(架橋ポリエチレン,Celanese社製,GUR1020,重量平均分子量Mw=約350万,50kGyのガンマ線照射により架橋処理したもの)からなる基材を、機械加工により成形して、準備した〔図1AのTEMイメージを参照〕。基材表面の内側には、表面から約200nmの深さまでの領域において、機械加工によりラメラ結晶が崩壊した非晶質領域(層)が認められた。
ステップ(1−2) 準備
また、親水性被膜の原料化合物として、溶媒(エタノール)に0.5wt%相当のPMBBPを分散・溶解させたディッピング用溶液を調製して、準備した。
ステップ(2) 第1親水性被膜の形成
前記のディッピング用溶液に基材を10秒間浸漬し、引き上げて室温で風乾する操作を2回繰り返し、基材の表面に、第1親水性被膜(含浸用)となるPMBBP層(層厚 約100nm)を形成した。〔図1BのTEMイメージを参照〕
ステップ(3) 第1親水性被膜の含浸
不活性ガス(窒素ガス)中において、120℃で2時間の熱処理を行い、PMBBP層を、基材表面からその内部に含浸させた〔図1CのTEMイメージを参照〕。熱処理後は、基材表面に形成(積層)されていたPMBBP層は認められなくなった一方、基材表面近傍において、長さ100〜400nm、厚さ10〜30nmのラメラ結晶(断面のTEMイメージにおいて筋状構造の見える、折り畳み構造部分)領域の成長が認められた。
ステップ(4) 第2親水性被膜の形成
前記PMBBP層含浸(消失)後の基材表面に、第1親水性被膜の作成と同様の操作(ディッピング)により、基材表面(第1親水性被膜)の上に、第2親水性被膜となるPMBBP層(層厚 約100nm)を形成させた後、波長254nmの紫外線を10分間照射して、基材と、親水性被膜および親水性被膜内とを架橋させた。〔図1DのTEMイメージを参照〕
ステップ(5) 第2親水性被膜の除去
第2親水性被膜が摩耗等により損傷した場合あるいは摩滅した場合を想定して、金属製ワイヤー等により、基材表面上の前記第2親水性被膜を擦り取って除去した。
ステップ(6) 浸水による親水性被膜の再生
第2親水性被膜の除去後、基材を、70℃の水に1週間浸漬させたところ、基材表面に、基材中に含浸されていた前記第1親水性被膜に由来すると思われるPMBBP層(親水性の被膜,膜厚30〜100nm)が、再度現出していることが確認された。
以上の実施例1において、各ステップにおける「表面親水性(水の接触角)」と「耐傷つき性(エロージョン率)」とを測定した結果を「表1」,「表2」に示す。
(実施例2)
また、上記の実施例1の実験操作において、PMBBPを、PMBBPH80に置き換えて、実施例2のサンプル1種を作製した。なお、実施例2が実施例1と異なるのは、共重合体の種類のみである。また、TEMイメージの図示はしていないが、基体表面では、実施例1(PMBBP)と同様のPMBBPH層の挙動が見られた。これら、実施例2におけるPMBBPH層の「表面親水性(水の接触角)」と「耐傷つき性(エロージョン率)」とを測定した結果を、実施例1と同じ「表1」,「表2」に合わせて示す。
(実施例3)
さらに、前記の実施例1の実験操作において、PMBBPを、PMBPH(前記PMBPH90とPMBPH95)に置き換えて、実施例3のサンプル2種を作製した。なお、実施例3が実施例1と異なるのは、共重合体の種類のみである。また、TEMイメージの図示はしていないが、基体表面では、実施例1(PMBBP)と同様のPMBPH層の挙動が見られた。これら、実施例3におけるPMBPH層の「表面親水性(水の接触角)」と「耐傷つき性(エロージョン率)」とを測定した結果を、実施例1,2と同じ「表1」,「表2」に合わせて示す。
上記結果より、表面処理材(MPCポリマー)としてPMBBP60〜90、PMBBPH80、あるいは、PMBPH90〜95を用いた場合、MPCポリマーの加熱含浸直後〔ステップ(3)〕は、MPCポリマーが基材(CLPE)の内部に浸潤して潜り込んでいるため、その表面に、比較的柔らかく損傷し易い材料(MPCポリマーによるハイドロゲル層)がほとんど存在せず、外部からの引っ掻き傷等に対する耐性が高い。
一方、周囲に水分のある環境下〔ステップ(6)〕に移行した場合、基材内側に含浸されていたMPCポリマーが、処理対象領域下の非晶質領域(層)から表面に徐々に移動して表面上に現出し、この表面に親水性の薄膜(層)を形成する。これにより、本実施例1〜3の樹脂成形体は、上記周囲に水分のある環境下で、良好な潤滑を再度発揮する。すなわち、親水性被膜が再生され、自己潤滑性もしくは生体防汚性を取り戻すことができる。
(実施例4)
ステップ(A) 準備
実施例1と同様、ポリオレフィン製基材として、CLPE(架橋ポリエチレン,Celanese社製,GUR1020,重量平均分子量Mw=約350万,50kGyのガンマ線照射により架橋処理したもの)からなる基材を、機械加工により成形して、準備した。また、親水性被膜の原料化合物として、溶媒(エタノール)に0.2wt%相当の各PMBを分散・溶解させたディッピング用溶液を調製して、準備した。
ステップ(B) 第1親水性被膜の形成
前記のディッピング用溶液に基材を10秒間浸漬し、引き上げて室温で風乾する操作を2回繰り返し、基材の表面に、第1親水性被膜(含浸用)となるPMB層(層厚 約50nm)を形成した。
ステップ(C) 第1親水性被膜の含浸
不活性ガス(窒素ガス)中において、120℃で2時間の熱処理を行い、PMB層を、基材表面からその内部に含浸させた。熱処理後は、基材表面に形成(積層)されていたPMB層は認められなくなった一方、基材表面近傍においてラメラ結晶(折り畳み構造部分)領域の成長が認められた。
ステップ(D) 第2親水性被膜の形成
前記PMB層含浸(消失)後の基材表面に、第1親水性被膜の作成と同様の操作(ディッピング)により、基材表面(第1親水性被膜)の上に、第2親水性被膜となるPMB層(層厚 約50nm)を形成した。
ステップ(E) 第2親水性被膜の除去
第2親水性被膜が摩耗等により損傷した場合あるいは摩滅した場合を想定して、金属製ワイヤー等により、基材表面上の前記第2親水性被膜を擦り取って除去した。
ステップ(F) 浸水による親水性被膜の再生
第2親水性被膜の除去後、基材を、37℃の水に1週間浸漬させたところ、基材表面に、基材中に含浸されていた前記第1親水性被膜に由来すると思われるPMB層(親水性の被膜,膜厚 約10〜30nm)が、再度現出していることが確認された。
以上の実施例4において、各ステップにおける「表面親水性(水の接触角)」を測定した結果を「表3」に、「耐傷つき性(エロージョン率)」を測定した結果を「表4」に示す。
上記結果より、表面処理材(MPCポリマー)としてPMB50〜90もしくはPMB80/30を用いた場合、MPCポリマーの加熱含浸直後〔ステップ(C)〕は、MPCポリマーが基材(CLPE)の内部に浸潤して潜り込んでいるため、その表面に、比較的柔らかく損傷し易い材料(MPCポリマーによるハイドロゲル層)がほとんど存在せず、外部からの引っ掻き傷等に対する耐性が高い。
一方、周囲に水分のある環境下〔ステップ(F)〕に移行した場合、基材内側に含浸されていたMPCポリマーが、処理対象領域下の非晶質領域(層)から表面に徐々に移動して表面上に現出し、この表面に親水性の薄膜(層)を形成する。これにより、本実施例4の樹脂成形体も、前記PMBBP、PMBBPHやPMBPHと同様、周囲に水分のある環境下で、良好な潤滑性や生体防汚性を再度発揮する。したがって、実施例4の樹脂成形体も、親水性被膜が再生され、自己潤滑性や生体防汚性を取り戻すことができる。すなわち、生体内に埋植された後、成形体表面の潤滑を担うハイドロゲル層が損なわれた際には、生体内において、同様のハイドロゲル層(潤滑層)を、成形体表面に再形成(自己修復)させることが可能である。
すなわち、本実施形態の樹脂成形体のうち、前記表面の外側に「親水性共重合体または他の親水性樹脂からなる第2の親水性被膜を有する」ものは、上述のような別途後付け等で付加された親水性被膜が摩耗や摩擦等により失われた場合でも、周囲に水分のある環境であれば、先述のように非晶質領域から表面上へ親水性共重合体が供給され、減少した親水性被膜を補填することができる。したがって、本実施形態の樹脂成形体のうち、前記表面の外側に親水性共重合体または他の親水性樹脂からなる親水性被膜を有するものは、前記親水性被膜およびそれに含まれる水分に由来する潤滑が、摩耗,摺動等により損なわれた場合でも、これを自律的に後から修復して復活させる、自己修復力を備える。
なお、前記PMB80/30(3:7)等、共重合体のMPCのモル分率が異なる2つ以上の複数の共重合体を混合する場合は、(A)共重合体におけるMPCのモル分率が60%以上80%以下である共重合体と、(B)MPCのモル分率が30%以上45%以下である共重合体と、を混合することが好ましい。前記(A),(B)混合後の共重合体の、最終的なMPCのモル分率は45%以上になるように設定される。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。

Claims (14)

  1. 結晶領域と非晶質領域とを含むポリオレフィンからなるポリオレフィン体と、該ポリオレフィン体の少なくとも一部の表面および該表面下の前記非晶質領域の一部に含まれる親水性共重合体と、を含み、
    該親水性共重合体は、モル分率45%以上の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、少なくとも1種以上の他のモノマーとの共重合体である樹脂成形体。
  2. 前記親水性共重合体における2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのモル分率が、45%以上90%以下である請求項1に記載の樹脂成形体。
  3. 前記親水性共重合体における2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのモル分率が、60%以上80%以下である請求項1に記載の樹脂成形体。
  4. 前記他のモノマーが、メタクリル酸エステルである請求項1〜3のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
  5. 前記他のモノマーが、下記(X)のメタクリル酸エステルの一群から選択される1種または2種以上である請求項4に記載の樹脂成形体。
    (X)メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンゾフェノンメタクリレート、リン酸エチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(4−ベンゾフェニル)オキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、スルホベタインメタクリレート、カルボキシベタインメタクリレート、ω−オリゴエチレングリコールモノメタクリレート
  6. 前記ポリオレフィンが、ポリエチレンまたはポリプロピレンである請求項1〜5のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
  7. 前記表面の、大気中における水の静的接触角が、1〜25度である請求項1〜6のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
  8. 前記ポリオレフィン体の表面上に、親水性材料からなる被膜を有する請求項1〜7のいずれか1つに記載の樹脂成形体。
  9. 結晶領域と非晶質領域とを含むポリオレフィンからなるポリオレフィン体を準備する工程と、
    前記ポリオレフィン体の少なくとも一部の表面に、モル分率45%以上の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンと、少なくとも1種以上の他のモノマーとの共重合体である親水性共重合体の被膜を形成する工程と、
    前記親水性共重合体の被膜が形成された前記ポリオレフィン体を熱処理する工程と、
    を含み、
    前記熱処理によって、前記親水性共重合体の被膜を前記表面から該表面下の前記非晶質領域の一部にかけて含浸させる、樹脂成形体の製造方法。
  10. 前記熱処理する工程前の前記親水性共重合体は、未架橋でかつ重量平均分子量Mwが100万以下である、請求項9に記載の樹脂成形体の製造方法。
  11. 前記熱処理する工程前の前記ポリオレフィンは、重量平均分子量Mwが300万以上の超高分子量ポリエチレンである、請求項9または10に記載の樹脂成形体の製造方法。
  12. 前記熱処理する工程前の前記ポリオレフィン体が非晶質領域層を含み、前記ポリオレフィン体の少なくとも一部の表面が、前記非晶質領域層の表面である、請求項9〜11のいずれか1つに記載の樹脂成形体の製造方法。
  13. 前記熱処理する工程前の前記ポリオレフィン体を熱処理すると、前記非晶質領域層の少なくとも一部が、ラメラ結晶を有する結晶領域と非晶質領域とを含む混成層に、変化する、請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法。
  14. 前記熱処理する工程後に、前記ポリオレフィン体の前記少なくとも一部の表面に、親水性材料からなる被膜を形成する工程をさらに含む、請求項9〜13のいずれか1つに記載の樹脂成形体の製造方法。
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