JPWO2018164225A1 - 新規超分子化合物 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、β−シクロデキストリン又はその誘導体を含むカテナンを提供することであり、当該カテナンの製造方法を提供することである。本発明により、一般式(I)で表される化合物、及び一般式(II)で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(II)で表される化合物が、一般式(I)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナンが提供された。本発明により、また、該カテナンの製造方法が提供された。
Description
本発明は、シクロデキストリン(CyD)又はその誘導体を含むカテナン及び該カテナンの製造方法などに関するものである。
近年、環状マルトオリゴ糖であるシクロデキストリン(CyD)およびその誘導体が、がん細胞の脂質成分と相互作用することにより、種々のがん種に対して抗腫瘍活性を示すことが報告されている。例えばGrosseらは、メチルβ−CyD(M−β−CyD)をヒト乳がん由来MCF7細胞異種移植マウスに腹腔内投与すると、ドキソルビシンよりも高い抗腫瘍活性を示すことを報告した(非特許文献1)。また、Yokooらは、ヒドロキシプロピルβ−CyD(HP−β−CyD)の腹腔内投与が、ヒト慢性骨髄性白血病由来 BaF3/BCR−ABL細胞移植マウスに対して、抗白血病作用を示し、その生存率を著しく上昇させることを明らかにした(非特許文献2)。さらに、本発明者らも、M−β−CyD(10〜100 mg/kg)の腫瘍内投与が、マウス大腸がん由来Colon−26細胞同種移植マウスに対して、優れた抗腫瘍活性を示すことを明らかにした。これらの報告は、製剤添加物であるCyDsが抗がん剤になり得ることを示唆する興味深い知見であり、抗がん剤開発における新たなパラダイムシフトが期待されている。しかし、これらCyDsの腫瘍選択性は低いため、高投与量必要であるとともに、副作用が懸念されている。
これまで、CyDを構成成分として、デイジーチェーンやロタキサンなどの様々な超分子が合成されてきたが、CyDカテナンの合成は困難であると言われており(非特許文献3)、CyDカテナンに関する報告例は極めて少なかった。これは、環状分子に貫通した状態で、軸分子の両末端を結合(環化反応)させることが困難なためと考えられている(非特許文献4)。これまで報告されているCyDカテナンは、CyDの貫通数が1又は2であり、3以上の数のCyDから構成されるカテナンの合成に関する報告は、非特許文献5のみであった。非特許文献5では、アントラセンをエンドキャップ分子としたα−CyDポリロタキサンに光を照射し、アントラセンの二量体化反応でポリロタキサンを環化させることにより、ポリカテナンの調製を試みている。しかしながら、この方法で得られるポリカテナンとポリロタキサンの物性が殆ど同様であるため、両者を分離し、ポリカテナンのみを単離することは困難である。従って、非特許文献5では、ポリカテナンの形成を推察したのみで、その単離や物性の測定には至っておらず、事実上CyDポリカテナンの合成に成功した報告は無い。
Grosse P. Y., Bressolle F., Pinguet F., In vitro modulation of doxorubicin and docetaxel antitumoral activity by methyl-β-cyclodextrin. Eur. J. Cancer, 34, 168-174 (1998).
Yokoo M., Kubota Y., Motoyama K., Higashi T., Taniyoshi M., Tokumaru H., Nishiyama R., Tabe Y., Mochinaga S., Sato A., Sueoka-Aragane N., Sueoka E., Arima H., Irie T., Kimura S., 2-Hydroxypropyl-β-Cyclodextrin Acts as a Novel Anticancer Agent. PLoS One, 10, e0141946 (2015).
Nepogodiev SA, Stoddart JF., Cyclodextrin-Based Catenanes and Rotaxanes. Chem Rev. 1998 Jul 30;98(5):1959-1976.
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Miyuko Okada and Akira Harada, Poly(polyrotaxane):Photoreactions of 9-Anthracene-Capped Polyrotaxane, Macromolecules, 2003, 36 (26), pp 9701-9703
本発明の目的は、CyD又はその誘導体を含むカテナン及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、擬ロタキサン(pseudorotaxane)を用いてカテナンを合成し、かつ合成したカテナンを単離することに成功した。これに基づいて鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の態様を含むものである:
[1] 一般式(I)
即ち、本発明は以下の態様を含むものである:
[1] 一般式(I)
(式中、R2及びR3はそれぞれ独立して、H、C1-6アルキル基、又はヒドロキシC1-6アルキル基を表し、R1はそれぞれ独立して、OR4、トシル基、ナフタレンスルホニル基、メチレンスルホニル基、アジ基、カルボキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、ここでR4は、H、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、C2-6アルキニル基、又はグリコシル基を表し、mは2又は3である)で表される化合物、及び一般式(II)
(式中、xは2以上の整数を表し、n個のxはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;yは2以上の整数を表し、n個のyはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;zは2以上の整数を表し、n個のzはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;nは1以上の整数を表し、L1、L2はリンカーを表し、L1は、以下の式:
(式中、qは、1〜100の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
(式中、qは、1〜100の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(II)で表される化合物が、該一般式(I)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン。
[2]一般式(I)で表される化合物を3個以上含み、一般式(II)においてn個のyの総和が6以上である、[1]に記載のカテナン。
[3]一般式(I)で表される化合物を10個以上含む、[1]に記載のカテナン。
[4]一般式(I)で表される化合物のR2及びR3がそれぞれHである、[1]〜[3]のいずれか一つに記載のカテナン。
[5]一般式(I)で表される化合物のR1がOHである、上記[4]に記載のカテナン。
[6]xが5以上の整数であり、zが5以上の整数である、[1]〜[5]のいずれかに記載のカテナン。
[7]xが10以上の整数であり、zが10以上の整数であり、yが20以上の整数である、[1]〜[5]のいずれか一つに記載のカテナン。
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(II)で表される化合物が、該一般式(I)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン。
[2]一般式(I)で表される化合物を3個以上含み、一般式(II)においてn個のyの総和が6以上である、[1]に記載のカテナン。
[3]一般式(I)で表される化合物を10個以上含む、[1]に記載のカテナン。
[4]一般式(I)で表される化合物のR2及びR3がそれぞれHである、[1]〜[3]のいずれか一つに記載のカテナン。
[5]一般式(I)で表される化合物のR1がOHである、上記[4]に記載のカテナン。
[6]xが5以上の整数であり、zが5以上の整数である、[1]〜[5]のいずれかに記載のカテナン。
[7]xが10以上の整数であり、zが10以上の整数であり、yが20以上の整数である、[1]〜[5]のいずれか一つに記載のカテナン。
[8]シクロデキストリン及びポリエチレングリコール(PEG)−ポリプロピレングリコール(PPG)−ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むカテナンであって、該PEG-PPG-PEG鎖は、該シクロデキストリンの開口部に串刺し状に貫通し、かつ、該PEG-PPG-PEG鎖の両端がジスルフィド結合により結合しているカテナン、
ここで、該シクロデキストリンは、β−シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれるシクロデキストリンであって、その数は3個以上1000個以下であり、該PEG-PPG-PEG鎖の分子量は、PEG部分が、それぞれ90以上22000以下であり、PPG部分が、350以上58000以下である(ここで、2つのPEG部分の分子量は同じであっても異なってもよい)。
[9]前記シクロデキストリンの数が、10個以上100個以下であり、前記EG-PPG-PEG鎖の分子量が、PEG部分が、それぞれ220以上4400以下であり、PPG部分が1200以上5800以下である、[8]に記載のカテナン。
[10]前記シクロデキストリンが、β−シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンである、[8]又は[9]に記載のカテナン。
ここで、該シクロデキストリンは、β−シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれるシクロデキストリンであって、その数は3個以上1000個以下であり、該PEG-PPG-PEG鎖の分子量は、PEG部分が、それぞれ90以上22000以下であり、PPG部分が、350以上58000以下である(ここで、2つのPEG部分の分子量は同じであっても異なってもよい)。
[9]前記シクロデキストリンの数が、10個以上100個以下であり、前記EG-PPG-PEG鎖の分子量が、PEG部分が、それぞれ220以上4400以下であり、PPG部分が1200以上5800以下である、[8]に記載のカテナン。
[10]前記シクロデキストリンが、β−シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンである、[8]又は[9]に記載のカテナン。
[11]擬ロタキサンと、チオール酸化剤とを反応させることを含む、[1]〜[7]のいずれかに記載のカテナンの製造方法であって、該擬ロタキサンが、一般式(III)
(式中、xは2以上の整数を表し、n個のxはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;yは2以上の整数を表し、n個のyはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;zは2以上の整数を表し、n個のzはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;nが1以上の整数を表し、L1、L2はリンカーを表し、L1は、以下の式:
(式中、qは、1〜100の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
(式中、qは、1〜100の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物が一般式(I)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物が一般式(I)
(式中、R2及びR3はそれぞれ独立してH、C1-6アルキル基、又はヒドロキシC1-6アルキル基を表し、R1はそれぞれ独立して、OR4、トシル基、ナフタレンスルホニル基、メチレンスルホニル基、アジ基、カルボキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、ここでR4は、H、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、C2-6アルキニル基、又はグリコシル基を表し、mは2又は3である)で表される化合物の開口部に串刺し状に包接されている擬ロタキサンである、方法。
[12]さらに、前記の擬ロタキサンとチオール酸化剤とを反応させる工程(工程aという)の後に、以下の工程:
得られた反応生成物を、DMSOを含む溶液、DMFを含む溶液又は強塩基性の水に懸濁し、次いで、水溶性画分、並びに、アセトン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン及びイソプロピルアルコールからなる群より選ばれる溶媒の可溶性画分を除去する工程、
を含む、[11]に記載の方法。
[13]工程aにより得られた反応生成物を、DMSOを含む溶液に懸濁し、次いで、水溶性画分及びアセトン可溶性画分を除去する、[12]に記載の方法。
[14]一般式(III)
[12]さらに、前記の擬ロタキサンとチオール酸化剤とを反応させる工程(工程aという)の後に、以下の工程:
得られた反応生成物を、DMSOを含む溶液、DMFを含む溶液又は強塩基性の水に懸濁し、次いで、水溶性画分、並びに、アセトン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン及びイソプロピルアルコールからなる群より選ばれる溶媒の可溶性画分を除去する工程、
を含む、[11]に記載の方法。
[13]工程aにより得られた反応生成物を、DMSOを含む溶液に懸濁し、次いで、水溶性画分及びアセトン可溶性画分を除去する、[12]に記載の方法。
[14]一般式(III)
(式中、xは2以上の整数を表し;yは2以上の整数を表し;zは2以上の整数を表し、また、L1、L2はリンカーを表し、L1は、以下の式:
(式中、qは、1〜100の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
(式中、qは、1〜100の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物が、一般式(I)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物が、一般式(I)
(式中、R2及びR3はそれぞれ独立してH、C1-6アルキル基、又はヒドロキシC1-6アルキル基を表し、R1はそれぞれ独立して、OR4、トシル基、ナフタレンスルホニル基、メチレンスルホニル基、アジ基、カルボキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、ここでR4は、H、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、C2-6アルキニル基、又はグリコシル基を表し、mは2又は3である)で表される化合物の開口部に串刺し状に包接されている擬ロタキサン。
[15]一般式(I)で表される化合物を10個以上含み、該化合物のR2及びR3がそれぞれHである、[14]に記載の擬ロタキサン。
[16]一般式(I)で表される化合物のR1がOHである、[15]に記載の擬ロタキサン。
[15]一般式(I)で表される化合物を10個以上含み、該化合物のR2及びR3がそれぞれHである、[14]に記載の擬ロタキサン。
[16]一般式(I)で表される化合物のR1がOHである、[15]に記載の擬ロタキサン。
本発明により、CyD化合物を含むカテナンが提供される。さらに、本発明により、両端にチオール基を有する直鎖状ポリマーがCyD化合物の開口部に串刺し状に包接されている擬ロタキサンと、チオール酸化剤とを反応させることを含む、CyD化合物を含むカテナンの製造方法が提供される。本発明によれば、これまで合成されていなかった、3個以上のCyDを環状ポリマーが貫通するカテナンの製造及びその単離が可能となる。
を基本単位とした軸をもつβ−CyDポリカテナンの調製経路の一例を示す図である。擬ポリロタキサン、遊離のHS−PEG−PPG−PEG−SH及び遊離のβ−CyDを除去するため、粗生成物をDMSOに溶解し、アセトン及び水で洗浄した。
図3は、擬ポリロタキサン溶液に様々な濃度のH2O2を添加して作製した試料における、エルマン試薬添加後の2−ニトロ−5−メルカプト安息香酸の吸光度(A)、及び該試料中のチオール基含量(B)を示す図である。
図4は、β−CyDポリカテナン及びβ−CyDのラマンスペクトルを示す図である。(a)反応生成物(β−CyDポリカテナン)、(b)β−CyD単独。
図5は、一般的なCyD複合体の結晶構造を示す図である。
図6は、β−CyDポリカテナン、β−CyD及びβ−CyD擬ポリロタキサンの粉末X線回折パターンを示す図である。(a)反応生成物(β−CyDポリカテナン)、(b)β−CyD単独、(c)β−CyD/Pluronic(登録商標) P123擬ポリロタキサン。
図7は、β−CyDポリカテナンのAFM形状画像を示す図である。
図8は、DMSO−d6中での、β−CyDポリカテナン、β−CyD及びβ−CyD擬ポリロタキサンの1H−NMRスペクトルを示す図である。(a)β−CyDポリカテナン、(b)β−CyD単独、(c)β−CyD/Pluronic (登録商標)P123擬ポリロタキサン。
図9は、β−CyDポリカテナン、β−CyD及びPluronic (登録商標)P123のGPCチャートを示す図である。(a)β−CyDポリカテナン、(b)β−CyD単独、(c)Pluronic (登録商標)P123単独。
図10は、様々なβ−CyDポリカテナンの構造を示す図である。
図11は、DTT存在下における、β−CyDポリカテナンの粒子径を示す図である。β−CyDポリカテナンをDMSOに溶解し、DTT水溶液を添加して、100μg/mLに希釈した。粒子径は、Zetasizer Nanoにより測定した。
図12は、DTT処理後のβ−CyDポリカテナンのGPCチャートを示す図である。β−CyDポリカテナン(5 mg/mL)を、DTT含有DMSO溶液(160 mM)中でインキュベートした。ろ過後、GPCを行った。
図13は、DTT非存在下又はDTT存在下における、in vitroでの、ポリカテナンからのβ−CyDの放出プロファイルを示す図である。β−CyDポリカテナン(10 mg)を、DTT水溶液(25 mg/mL)10 mLに懸濁し、室温で攪拌した。遠心分離後、放出されたβ−CyDを旋光計により検出した。
以下、本発明を、例示的な実施態様を例として詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施態様に限定されるものではない。
なお、文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。また、本明細書に記載されたものと同等又は同様の任意の材料及び方法は、本発明の実施において同様に使用することができる。
また、本明細書に記載された発明に関連して本明細書中で引用されるすべての刊行物及び特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料その他を示すものとして、本明細書の一部を構成するものである。
本明細書において「及び/又は」は、いずれか一方、あるいは、両方を包含する意味で使用される。本明細書中で、「X〜Y」という表現を用いた場合は、下限としてXを、上限としてYを含む意味で用いる。本明細書において「約」とは、±10%を許容する意味で用いる。
なお、文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。また、本明細書に記載されたものと同等又は同様の任意の材料及び方法は、本発明の実施において同様に使用することができる。
また、本明細書に記載された発明に関連して本明細書中で引用されるすべての刊行物及び特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料その他を示すものとして、本明細書の一部を構成するものである。
本明細書において「及び/又は」は、いずれか一方、あるいは、両方を包含する意味で使用される。本明細書中で、「X〜Y」という表現を用いた場合は、下限としてXを、上限としてYを含む意味で用いる。本明細書において「約」とは、±10%を許容する意味で用いる。
本発明は、新規の放射状カテナン及びその製造方法を提供する。本発明はまた、該カテナンの製造に用いることができる新規な擬ポリロタキサンを提供する。
カテナン(catenane)とは、複数の環が、共有結合を介せずにインターロックされた分子集合体のことを意味し、本明細書中、カテナンを構成する環状分子の数が4以上であるものをポリカテナンと呼ぶ(図1)。本明細書中、放射状カテナン(radial catenane)とは、複数の小環状分子(図1E黒)と、各小環状分子の開口部を串刺し状に貫通する分子であってそれ自身も環状構造をとる大環状分子(図1E灰色)とを含むカテナンを指し(図1E)、放射状ポリカテナン(radial polycatenane)とは、1つの大環状分子と3以上の小環状分子とを含む放射状カテナンを意味する。
本発明において提供されるカテナン(本明細書中、本発明のカテナンとも称する)は、p個の、下記式(I)
(式中、R2及びR3はそれぞれ独立して、H、C1-6アルキル基、又はヒドロキシC1-6アルキル基を表し、R1はそれぞれ独立して、OR4、トシル基、ナフタレンスルホニル基、メチレンスルホニル基、アジ基、カルボキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、ここでR4は、H、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、C2-6アルキニル基、又はグリコシル基を表し、mは2又は3である)で表される化合物(本明細書中、化合物(I)とも称する)及び下記式(II)
(式中、L1、L2はリンカーを表し、L1は、以下の式:
(式中、qは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは2〜5の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
(式中、qは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは2〜5の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、
(式中、xは2以上の整数を表し、n個のxはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;yは2以上の整数を表し、n個のyはそれぞれ同一又は異なっていてもよく、n個のyの総和が2×p以上であって;zは2以上の整数を表し、n個のzはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;nは1以上の整数を表す)で表される化合物(本明細書中、化合物(II)とも称する)を含むカテナンであって、該化合物(II)が各化合物(I)の開口部を貫通する放射状カテナンである。
本発明カテナンは、大環状分子化合物(II)が小環状分子化合物(I)の開口部を貫通する放射状カテナンであり、好ましくは大環状分子化合物(II)が3以上の小環状分子化合物(I)の開口部を貫通する放射状カテナンである。本明細書中、上記化合物(I)を本発明のCyD化合物と称する場合がある。
からなる群より選ばれるいずれかを表し、
(式中、xは2以上の整数を表し、n個のxはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;yは2以上の整数を表し、n個のyはそれぞれ同一又は異なっていてもよく、n個のyの総和が2×p以上であって;zは2以上の整数を表し、n個のzはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;nは1以上の整数を表す)で表される化合物(本明細書中、化合物(II)とも称する)を含むカテナンであって、該化合物(II)が各化合物(I)の開口部を貫通する放射状カテナンである。
本発明カテナンは、大環状分子化合物(II)が小環状分子化合物(I)の開口部を貫通する放射状カテナンであり、好ましくは大環状分子化合物(II)が3以上の小環状分子化合物(I)の開口部を貫通する放射状カテナンである。本明細書中、上記化合物(I)を本発明のCyD化合物と称する場合がある。
本発明のカテナンに含まれる化合物(I)の数(p)は、その用途や使用目的によって異なり、特に限定されるものではないが、例えば、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上などであり得、例えば、1000個以下、500個以下、100個以下、50個以下、35個以下、30個以下などであり得る。本発明カテナン中の化合物(I)の平均貫通数は、特に限定されるものではないが、例えば、1〜1000個、1〜500個、10〜50個、10〜35個などであり得るが、これらに限定されない。本発明カテナンに含まれるp個の化合物(I)は、それぞれ同一又は異なっていてもよい。
前記化学式(I)中、R2はそれぞれ独立して、H、C1-6アルキル基(好ましくはC1-4アルキル基)、又はヒドロキシC1-6アルキル基(好ましくはヒドロキシC1-4アルキル基)、好ましくは、H又はC1-6アルキル基、より好ましくはH又はC1-4アルキル基、さらに好ましくはHを表す。
前記化学式(I)中、R3はそれぞれ独立して、H、C1-6アルキル基(好ましくはC1-4アルキル基)、又はヒドロキシC1-6アルキル基(好ましくはヒドロキシC1-4アルキル基)、好ましくは、H又はC1-6アルキル基、より好ましくはH又はC1-4アルキル基、さらに好ましくはHを表す。
前記化学式(I)中、R1はそれぞれ独立して、OR4、トシル基、ナフタレンスルホニル基、メチレンスルホニル基、アジ基(N3)、カルボキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基(好ましくは、C1-6アルキル基を有していてもよいアミノ基、より好ましくは、C1-4アルキル基を有していてもよいアミノ基)を表し、ここでR4は、H、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基(好ましくは、ヒドロキシ基、スルホ基又はカルボキシ基を有していてもよいC1-6アルキル基であり、より好ましくはヒドロキシ基、スルホ基又はカルボキシ基を有していてもよいC1-4アルキル基)、C2-6アルキニル基、又はグリコシル基(好ましくはグルコシル基、グルクロニルグルコシル基、パノシル基又はマルトシル基)である。
好ましい態様において、前記化学式(I)中、R1はそれぞれ独立して、OR4、トシル基、ナフタレンスルホニル基、メチレンスルホニル基、アジ基、カルボキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基(好ましくは、C1-6アルキル基を有していてもよいアミノ基、より好ましくは、C1-4アルキル基を有していてもよいアミノ基)を表す。ここでR4は、H、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基(好ましくは、ヒドロキシ基、スルホ基又はカルボキシ基を有していてもよいC1-6アルキル基であり、より好ましくはヒドロキシ基、スルホ基又はカルボキシ基を有していてもよいC1-4アルキル基)、C2-6アルキニル基、グルクロニルグルコシル基又はマルトシル基、より好ましくは、H又はC1-6アルキル基(好ましくはC1-4アルキル基)、さらにより好ましくはH又はCH3、その上好ましくはHを表す。
さらに好ましい一態様において、前記化学式(I)中、R1はそれぞれ独立して、OR4を表し、ここでR4は、H又はC1-6アルコキシ基、より好ましくはH又はC1-4アルコキシ基、さらに好ましくはHを表す。
「C1−6アルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
「C1−4アルキル基」としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
「C2-6アルキニル基」としては、エチニル基、プロパルギル基、2−ブチン−1−イル基、3−ブチン−2−イル基、1−ペンチン−3−イル基、3−ペンチン−1−イル基、4−ペンチン−2−イル基、3−ヘキシン−1−イル基などが挙げられる。
本明細書中、「置換された」とは、化学置換基又はその部分と結合して用いられる場合(例えばアルキル基)、置換基又はその部分の1つ以上の水素原子が、原子価の要件を満たしており及び化学的に安定した化合物が前記置換から生ずるのであれば、1つ以上の水素以外の原子又は基に置換されたことを意味する。
本明細書中、「置換基を有していてもよい」とは、無置換又は1〜3個の置換基で置換されている態様を意味する。2又は3置換の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
本明細書中、「置換基を有していてもよい」とは、無置換又は1〜3個の置換基で置換されている態様を意味する。2又は3置換の場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
化合物(I)中のR1としてトシル基:
、ナフタレンスルホニル基、メチレンスルホニル基、又はアジ基を有する場合、R1のうち1つのみがトシル基、ナフタレンスルホニル基、メチレンスルホニル基又はアジ基であることが好ましい。
「置換基を有していてもよいアミノ基」における「置換基」としては、例えば、C1-6アルキル基などが挙げられ、なかでもC1-4アルキル基が好ましい。
「置換基を有していてもよいC1-6アルキル基」における「置換基」としては、例えば、ヒドロキシ基、スルホ基又はカルボキシ基などが挙げられる。
前記化学式(I)中、mは2又は3である。本発明の一実施態様において、前記化学式(I)中、mは2である。別の実施態様において、前記化学式(I)中、mは3である。
前記化学式(II)中、xは2以上の整数(分子量に換算すると、分子量約90以上、以下同じ)を表し、n個のxはそれぞれ同一又は異なっていてもよい。好ましい一態様において、xは5以上の整数(分子量約220以上)であり、さらに好ましくは10以上の整数(分子量約4400以上)である。好ましい一態様において、xは、500以下の整数(分子量約22000以下)であり、より好ましくは400以下の整数(分子量約18000以下)であり、さらに好ましくは200以下の整数(分子量約8800以下)であり、さらにより好ましくは100以下の整数(分子量約4400以下)である。好ましい一態様において、xは、5〜500の整数であり、より好ましくは、5〜400の整数であり、さらに好ましくは10〜200の整数であり、さらにより好ましくは10〜100の整数である。
前記化学式(II)中、zは2以上の整数を表し、n個のzはそれぞれ同一又は異なっていてもよい。好ましい一態様において、zは5以上の整数であり、さらに好ましくは10以上の整数である。好ましい一態様において、zは、500以下の整数であり、より好ましくは400以下の整数であり、さらに好ましくは200以下の整数であり、さらにより好ましくは100以下の整数である。好ましい一態様において、zは、5〜500の整数であり、より好ましくは、5〜400の整数であり、さらに好ましくは10〜200の整数であり、さらにより好ましくは10〜100の整数である。
また、前記化学式(II)中、x及びzの総和は、好ましくは、5以上の整数であり、さらに好ましくは10以上の整数である、よりさらに好ましくは、20以上の整数である。
前記化学式(II)中、yは2以上の整数を表し、n個のyはそれぞれ同一又は異なっていてもよく、n個のyの総和は、pの2倍以上である。本明細書中、「n個のyの総和」とは、n個のyをそれぞれy1、y2・・・ynとする場合、y1+y2+・・・+ynを意味し、例えばn=2である場合「n個のyの総和」はy1+y2となり、n=3である場合「n個のyの総和」はy1+y2+y3となる。特に限定されるものではないが、好ましい一態様において、yは2以上の整数(分子量に換算すると、分子量約120以上、以下同じ)であり、より好ましくは6以上の整数(分子量約350以上)さらに好ましくは20以上の整数(分子量約1200以上)である。好ましい一態様において、yは、1000以下の整数(分子量約58000以下)であり、さらに好ましくは100以下の整数(分子量約5800以下)であり、70以下の整数(分子量約4000以下)である。好ましい一態様において、yは、2〜1000の整数であり、より好ましくは、20〜100の整数であり、さらに好ましくは20〜70の整数である。
前記化学式(II)中、nは1以上の整数を表す。一実施態様において、nは1以上であって10以下の整数であり、1〜5、1〜4、1〜3の整数であり得る。
前記化学式(II)中、L1はリンカーを表し、L1は、以下の式:
前記化学式(II)中、zは2以上の整数を表し、n個のzはそれぞれ同一又は異なっていてもよい。好ましい一態様において、zは5以上の整数であり、さらに好ましくは10以上の整数である。好ましい一態様において、zは、500以下の整数であり、より好ましくは400以下の整数であり、さらに好ましくは200以下の整数であり、さらにより好ましくは100以下の整数である。好ましい一態様において、zは、5〜500の整数であり、より好ましくは、5〜400の整数であり、さらに好ましくは10〜200の整数であり、さらにより好ましくは10〜100の整数である。
また、前記化学式(II)中、x及びzの総和は、好ましくは、5以上の整数であり、さらに好ましくは10以上の整数である、よりさらに好ましくは、20以上の整数である。
前記化学式(II)中、yは2以上の整数を表し、n個のyはそれぞれ同一又は異なっていてもよく、n個のyの総和は、pの2倍以上である。本明細書中、「n個のyの総和」とは、n個のyをそれぞれy1、y2・・・ynとする場合、y1+y2+・・・+ynを意味し、例えばn=2である場合「n個のyの総和」はy1+y2となり、n=3である場合「n個のyの総和」はy1+y2+y3となる。特に限定されるものではないが、好ましい一態様において、yは2以上の整数(分子量に換算すると、分子量約120以上、以下同じ)であり、より好ましくは6以上の整数(分子量約350以上)さらに好ましくは20以上の整数(分子量約1200以上)である。好ましい一態様において、yは、1000以下の整数(分子量約58000以下)であり、さらに好ましくは100以下の整数(分子量約5800以下)であり、70以下の整数(分子量約4000以下)である。好ましい一態様において、yは、2〜1000の整数であり、より好ましくは、20〜100の整数であり、さらに好ましくは20〜70の整数である。
前記化学式(II)中、nは1以上の整数を表す。一実施態様において、nは1以上であって10以下の整数であり、1〜5、1〜4、1〜3の整数であり得る。
前記化学式(II)中、L1はリンカーを表し、L1は、以下の式:
からなる群より選ばれる。式中、qは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは、2〜5の整数を表す。
前記化学式(II)中、L2はリンカーを表し、L2は、以下の式:
前記化学式(II)中、L2はリンカーを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれる。式中、qは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは、2〜5の整数を表す。
本明細書中、L1におけるqと、L2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。
本明細書中、L1におけるqと、L2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。
好ましい一態様において、本発明のカテナンは、上記式(I)中のmが、2又は3であるカテナンであって、p個(例えば3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上であり得、例えば1000個以下、100個以下、50個以下であり得る)の上記式(I)で表される上記化合物(I)、及び上記式(II)で表される上記化合物(II)を含むカテナンであって、該化合物(II)が該化合物(I)の開口部に貫通している放射状カテナンである。
本発明は、本発明のカテナンの製造方法(本明細書中、本発明の製造方法とも称する)をも提供する。
本発明のカテナンは、下記式(III)
(式中、xは2以上の整数を表し;yは2以上の整数を表し;zは2以上の整数を表し、L1、L2はリンカーを表し、L1は、以下の式:
(式中、qは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは2〜5の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
(式中、qは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは1〜10の整数、さらに好ましくは2〜5の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)で表される化合物(本明細書中、化合物(III)とも称する)が、化合物(I)の開口部に串刺し状に包接されている擬ロタキサン(以下、本発明の擬ロタキサンとも称する)を、チオール酸化剤と反応させることにより得ることができる。チオール酸化剤の存在下において、化合物(III)のチオール基は、該化合物(III)の他のチオール基又は別の化合物(III)のチオール基と、酸化的に結合してジスルフィド結合(S−S結合)を形成する。
すなわち、本発明の製造方法は、本発明の擬ロタキサンを、チオール酸化剤と反応させることにより本発明カテナンを得る工程(工程(A))を含む。本明細書中、本発明の擬ロタキサンを、チオール酸化剤と反応させる工程を工程(A1)とも称する。
からなる群より選ばれるいずれかを表す)で表される化合物(本明細書中、化合物(III)とも称する)が、化合物(I)の開口部に串刺し状に包接されている擬ロタキサン(以下、本発明の擬ロタキサンとも称する)を、チオール酸化剤と反応させることにより得ることができる。チオール酸化剤の存在下において、化合物(III)のチオール基は、該化合物(III)の他のチオール基又は別の化合物(III)のチオール基と、酸化的に結合してジスルフィド結合(S−S結合)を形成する。
すなわち、本発明の製造方法は、本発明の擬ロタキサンを、チオール酸化剤と反応させることにより本発明カテナンを得る工程(工程(A))を含む。本明細書中、本発明の擬ロタキサンを、チオール酸化剤と反応させる工程を工程(A1)とも称する。
前記化学式(III)中、x及びzは、それぞれ独立に、2以上の整数を表す。好ましい一態様において、x及びzは、それぞれ独立に、5以上の整数であり、さらに好ましくは10以上の整数である。好ましい一態様において、x及びzは、それぞれ独立に、500以下の整数であり、より好ましくは400以下の整数であり、さらに好ましくは200以下の整数であり、さらにより好ましくは100以下の整数である。好ましい一態様において、x及びzは、それぞれ独立に、5〜500の整数であり、より好ましくは、5〜400の整数であり、さらに好ましくは10〜200の整数であり、さらにより好ましくは10〜100の整数である。
前記化学式(III)中、yは2以上の整数を表す。好ましい一態様において、yは6以上の整数であり、さらに好ましくは20以上の整数である。好ましい一態様において、yは、1000以下の整数であり、さらに好ましくは100以下の整数である。好ましい一態様において、yは、2〜1000の整数であり、より好ましくは、20〜100の整数であり、さらに好ましくは20〜70の整数である。
前記化学式(III)中、qは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは1〜10の整数であり、好ましくは、2〜5の整数である。
前記化学式(III)中、yは2以上の整数を表す。好ましい一態様において、yは6以上の整数であり、さらに好ましくは20以上の整数である。好ましい一態様において、yは、1000以下の整数であり、さらに好ましくは100以下の整数である。好ましい一態様において、yは、2〜1000の整数であり、より好ましくは、20〜100の整数であり、さらに好ましくは20〜70の整数である。
前記化学式(III)中、qは、1以上の整数を表し、好ましくは1〜100の整数、より好ましくは1〜10の整数であり、好ましくは、2〜5の整数である。
本発明の擬ロタキサンとチオール酸化剤の反応において、複数種類の本発明の擬ロタキサンを用いてもよく、一種類の本発明の擬ロタキサンを用いてもよい。
チオール酸化剤としては、過酸化水素、ヨウ素、DIAMIDE(CAS番号 10465-78-8: 1,1’−アゾビス(N,N−ジメチルホルムアミド),N,N,N',N'-テトラメチルアゾジカルボキサミド)、ジメチルスルホキシドなどが挙げられ、本発明の擬ロタキサンのチオール酸化反応に用いる好適なチオール酸化剤としては、過酸化水素が挙げられる。チオール酸化剤の使用量は、本発明の擬ロタキサン中の化合物(III)1モルに対して、通常0.01モル〜100モル、好ましくは0.1モル〜10モルである。例えば、チオール酸化剤として過酸化水素を用いる場合、その使用量は、本発明の擬ロタキサン中の化合物(III)1モルに対して、通常0.01モル〜100モルであり、本発明のカテナンの収率を高めるという観点から好ましくは0.1モル〜10モルである。
上記チオール酸化剤による酸化反応は、通常、反応に不活性な溶媒中で行われる。このような溶媒としては、例えば、水、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサンが挙げられ、これらは単独または二種以上の混合溶媒として用いる。溶媒の使用量は、本発明擬ロタキサン1 gに対して、通常約1〜約1000 mL、好ましくは約1〜約500 mLである。
上記チオール酸化剤による酸化反応の反応温度は、通常、約−100℃〜約100℃、好ましくは約−70℃〜約50℃であり、反応時間は、通常、約0.1〜約24時間、好ましくは約0.5時間〜約5時間である。
好ましい一態様として、工程(A)は、化合物(III)及び化合物(I)を含む本発明の擬ロタキサンを、チオール酸化剤(好ましくはH2O2)と反応させ、化合物(II)及び化合物(I)を含む本発明のカテナンを得る工程である。
本発明の製造方法において、後述する工程(A1)におけるチオール酸化により得られる反応産物には、本発明のカテナンに加え、本発明の擬ロタキサン、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)が含まれ得る。従って、本発明の製造方法の工程(A)は、チオール酸化により得られる反応産物から、本発明の擬ロタキサン、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去する工程をさらに含み得る。
従って、本発明の製造方法は、
工程(A1):化合物(III)及び化合物(I)を含む本発明の擬ロタキサンを、チオール酸化剤(好ましくはH2O2)と反応させ、本発明のカテナンを含む反応産物を得る工程、及び
工程(A2):工程(A1)による反応産物から、本発明の擬ロタキサン、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去することにより、本発明のカテナンを分離する工程
を含み得る。
従って、本発明の製造方法は、
工程(A1):化合物(III)及び化合物(I)を含む本発明の擬ロタキサンを、チオール酸化剤(好ましくはH2O2)と反応させ、本発明のカテナンを含む反応産物を得る工程、及び
工程(A2):工程(A1)による反応産物から、本発明の擬ロタキサン、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去することにより、本発明のカテナンを分離する工程
を含み得る。
工程(A1)により得られる反応産物から、本発明の擬ロタキサン、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去する方法は、特に限定されるものではなく、その物性の違いなどに基づいて、自体公知の方法を用いて除去(分離)することができる。
上記除去方法の一例としては、本発明の擬ロタキサンを化合物(I)及び化合物(III)に分離させ、続いてカテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去する方法が挙げられる。
従って、本発明の一実施態様において、本発明の製造方法工程(A)は、工程(A1)により得られる反応産物中の擬ロタキサンを、化合物(I)及び化合物(III)に解離させる工程(工程(A2−1))を含み得る。擬ロタキサンを化合物(I)及び化合物(III)に解離させるための方法の一例としては、上述のチオール酸化により得られる反応産物をDMSO、DMF又は強塩基性の水(好ましくはDMSO)に懸濁する方法が挙げられる。
従って、本発明の製造方法は、上述のチオール酸化により得られる反応産物をDMSO、DMF又は強塩基性の水に懸濁する工程を含み得る。
従って、本発明の一実施態様において、本発明の製造方法工程(A)は、工程(A1)により得られる反応産物中の擬ロタキサンを、化合物(I)及び化合物(III)に解離させる工程(工程(A2−1))を含み得る。擬ロタキサンを化合物(I)及び化合物(III)に解離させるための方法の一例としては、上述のチオール酸化により得られる反応産物をDMSO、DMF又は強塩基性の水(好ましくはDMSO)に懸濁する方法が挙げられる。
従って、本発明の製造方法は、上述のチオール酸化により得られる反応産物をDMSO、DMF又は強塩基性の水に懸濁する工程を含み得る。
本明細書中、「強塩基性の水」とは、pH 10以上の水を意味する。
強塩基性の水の例としては、NaOH水溶液などが挙げられるが、所望の効果が得られる限り、これらに限定されない。
強塩基性の水の例としては、NaOH水溶液などが挙げられるが、所望の効果が得られる限り、これらに限定されない。
本発明の製造方法は、上述の工程(A2−1)に続いて、さらに
工程(A2−2):上記工程(A2−1)により得られる、本発明カテナン、化合物(III)並びにカテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)を含む産物から、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去する工程を含み得る。
カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去する方法としては、本発明のカテナンと、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)とを分離できる限り特に限定されるものではなく、例えば、その物性(例えば、溶媒に対する溶解度、分子量)の違いなどに基づいて、自体公知の方法を用いて除去(分離)させることができる。
工程(A2−2):上記工程(A2−1)により得られる、本発明カテナン、化合物(III)並びにカテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)を含む産物から、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去する工程を含み得る。
カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去する方法としては、本発明のカテナンと、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)とを分離できる限り特に限定されるものではなく、例えば、その物性(例えば、溶媒に対する溶解度、分子量)の違いなどに基づいて、自体公知の方法を用いて除去(分離)させることができる。
チオール酸化により得られる反応産物から、本発明の擬ロタキサン、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(III)を除去する方法の一例としては、該反応産物をDMSO、DMF、又は強塩基性の水(好ましくはDMSO)に懸濁し、反応産物のDMSO、DMF、又は強塩基性の水(好ましくはDMSO)懸濁液から水溶性画分及びアセトン可溶性画分を除去する方法が挙げられる。
理論になんら束縛されるものではないが、反応産物をDMSO、DMF、又は強塩基性の水(好ましくはDMSO)に懸濁することで、本発明の擬ロタキサンが化合物(I)及び化合物(III)に分離し、水溶性画分を除去することで反応産物から化合物(I)を除去し、アセトン可溶性画分を除去することで反応産物から化合物(III)を除去することが可能となり得る。また、反応産物に、化合物(I)を貫通していない化合物(II)が含まれる場合にも、水溶性画分及びアセトン可溶性画分を除去することで反応産物から該化合物を除去することが可能となり得る。
水溶性画分の除去及びアセトン可溶性画分の除去は、定法に従い、或いは実施例に記載の方法に準じて行うことができる。
また、上述の除去工程において、アセトンの代わりに、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール等を使用し、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン又はイソプロピルアルコールに可溶性の画分を除去することによっても、反応産物から化合物(III)を除去することが可能となり得る。
水溶性画分の除去及びアセトン可溶性画分の除去は、定法に従い、或いは実施例に記載の方法に準じて行うことができる。
また、上述の除去工程において、アセトンの代わりに、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール等を使用し、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン又はイソプロピルアルコールに可溶性の画分を除去することによっても、反応産物から化合物(III)を除去することが可能となり得る。
好ましい一態様において、本発明の製造方法工程(A)は、
工程(A1):化合物(III)及び化合物(I)を含む本発明の擬ロタキサンを、チオール酸化剤(好ましくはH2O2)と反応させ、本発明のカテナンを含む反応産物を得る工程、
工程(A2−1):工程(A1)により得られる反応産物中の、化合物(III)及び化合物(I)を含む擬ロタキサンを解離させ、本発明のカテナン、化合物(III)並びに該カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)を含む産物(A2−1)を得る工程を含み、
さらに下記の工程(A2−2):
工程(A2−2):工程(A2−1)により得られる産物(A2−1)から、カテナンを構成してない化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III)を除去することにより、本発明カテナンを分離する工程
を含み得る。
工程(A1):化合物(III)及び化合物(I)を含む本発明の擬ロタキサンを、チオール酸化剤(好ましくはH2O2)と反応させ、本発明のカテナンを含む反応産物を得る工程、
工程(A2−1):工程(A1)により得られる反応産物中の、化合物(III)及び化合物(I)を含む擬ロタキサンを解離させ、本発明のカテナン、化合物(III)並びに該カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)を含む産物(A2−1)を得る工程を含み、
さらに下記の工程(A2−2):
工程(A2−2):工程(A2−1)により得られる産物(A2−1)から、カテナンを構成してない化合物(I)、化合物(II)及び化合物(III)を除去することにより、本発明カテナンを分離する工程
を含み得る。
より好ましい一態様において、本発明の製造方法工程(A)は、
工程(A1):化合物(III)及び化合物(I)を含む本発明擬ロタキサンを、チオール酸化剤(好ましくはH2O2)と反応させ、本発明カテナンを含む反応産物を得る工程、
工程(A2−1’):工程(A1)により得られた反応産物を、DMSO、DMF、又は強塩基性の水(好ましくはDMSO)に溶解し、本発明のカテナンを含むDMSO溶液、DMF溶液、又は強塩基性水溶液を得る工程、及び
工程(A2−2’):工程(A2−1’)により得られた、本発明のカテナンを含む溶液から、水溶性画分、及びアセトン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン又はイソプロピルアルコール可溶性画分(好ましくはアセトン可溶性画分)を除去し、本発明カテナンを得る工程を含む。
工程(A1):化合物(III)及び化合物(I)を含む本発明擬ロタキサンを、チオール酸化剤(好ましくはH2O2)と反応させ、本発明カテナンを含む反応産物を得る工程、
工程(A2−1’):工程(A1)により得られた反応産物を、DMSO、DMF、又は強塩基性の水(好ましくはDMSO)に溶解し、本発明のカテナンを含むDMSO溶液、DMF溶液、又は強塩基性水溶液を得る工程、及び
工程(A2−2’):工程(A2−1’)により得られた、本発明のカテナンを含む溶液から、水溶性画分、及びアセトン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン又はイソプロピルアルコール可溶性画分(好ましくはアセトン可溶性画分)を除去し、本発明カテナンを得る工程を含む。
工程(A2−2)又は(A2−2’)により得られる産物は、本発明のカテナンを含む。本発明のカテナンの精製又は純度を上げるなどの観点から、工程(A2−2)又は(A2−2’)により得られる産物を、ゲル浸透クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどに供してもよい。
本発明の擬ロタキサンは、化合物(I)と、化合物(III)とを混合することにより得られ得る。従って、本発明の方法は、化合物(I)及び化合物(III)を混合し、化合物(I)の開口部に化合物(III)が串刺し状に包接された擬ロタキサンを得る工程(工程(B))を、さらに含み得る。
化合物(I)と化合物(III)の量比は特に限定されるものではなく、反応時間や濃度を適宜に設定することで、本発明の擬ポリロタキサンの1分子における化合物(I)の個数(包接量)を変えることができる。
擬ロタキサンの生成反応は、一般に、軸分子と環状分子をそれらが共通に溶解する溶媒中で、溶解状態で混合することにより行われる。上記反応において、化合物(I)及び化合物(III)が共通して溶解する溶媒としては水などが挙げられ、従って、上記反応は、通常、水性溶媒中で行われる。このような溶媒としては、例えば、水、又は水とN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)若しくはジメチルスルホキシド(DMSO)などの水性有機溶媒との水性混合物などが挙げられ、とりわけ水が好ましく用いられる。
また、本発明の擬ポリロタキサンは、化合物(I)と化合物(III)の混合物を超音波処理したり、低温条件下で反応させたりすることにより、より効率良く生成することができる。
また、本発明の擬ポリロタキサンは、化合物(I)と化合物(III)の混合物を超音波処理したり、低温条件下で反応させたりすることにより、より効率良く生成することができる。
化合物(I)及び化合物(III)の混合は、通常、約−100℃〜約100℃、好ましくは約−70℃〜約50℃で行われ、混合時間は、化合物(III)中のPEGの長さ等によっても異なるため特に限定されるものではないが、通常、約0.5時間〜約2週間である。
上記反応において、複数種類の化合物(I)を用いてもよく、一種類の化合物(I)を用いてもよい。
また、上記反応において、複数種類の化合物(III)を用いてもよく、一種類の化合物(III)を用いてもよい。
また、上記反応において、複数種類の化合物(III)を用いてもよく、一種類の化合物(III)を用いてもよい。
所望のカテナンが得られる限り特に限定されるものではないが、本発明において用いられ得る化合物(I)としては、β−シクロデキストリン(CAS No. 7585−39−9)及びγ−シクロデキストリン(CAS No. 17465−86−0)並びにこれらの誘導体であって水性溶媒に対し溶解するものが挙げられる。
特に限定されるものではないが、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンの誘導体としては、メチル−β−シクロデキストリン(例えば、β−シクロデキストリンメチルエーテル(例、CAS No. 128446−36−6)、ヘプタキス(2,6−ジ−O−メチル)−β−シクロデキストリン(CAS No. 51166−71−3)、モノ(2,6−ジ−O−メチル)−β−シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3,6−トリ−O−メチル)−β−シクロデキストリン(例、CAS No. 55216−11−0)等);エチル−β−シクロデキストリン(例えば、ヘプタキス(2,6−ジ−O−エチル)−β−シクロデキストリン等);アミノ−β−シクロデキストリン(例えば、モノ(6−アミノ−6−デオキシ)−β−シクロデキストリン、ヘキサキス(6−アミノ−6−デオキシ)−β−シクロデキストリン、3A−アミノ−3A−デオキシ−(2AS,3AS)−β−シクロデキストリン等);p−トルエンスルホニル−β−シクロデキストリン(例えばモノ−6−O−(p−トルエンスルホニル)−β−シクロデキストリン(例、CAS No. 67217−55−4)、モノ−2−O−(p−トルエンスルホニル)−β−シクロデキストリン(例、CAS No. 84216−71−7)等);ヒドロキシアルキル−β−シクロデキストリン(例えば、2−ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン(例、CAS No. 128446−32−2)、(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン(例、CAS No. 128446−35−5)、2−O−(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン(2−HP−beta−CD)、6−O−(2−ヒドロキシプロピル)−β−シクロデキストリン(6−HP−beta−CD)、2−O−(2−ヒドロキシブチル)−β−シクロデキストリン(2−HB−beta−CD)、6−O−(2−ヒドロキシブチル)−β−シクロデキストリン(6−HB−beta−CD)等)、;スルホアルキルエーテル−β−シクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(例、CAS No. 182410−00−0)等);カルボキシアルキル−β−シクロデキストリン(例えば、カルボキシメチル−β−シクロデキストリン、(2−カルボキシエチル)−β−シクロデキストリン等);アジド−β−シクロデキストリン(例えば、モノ(6−アジド−6−デオキシ)β−シクロデキストリン等);マルトシル−β−シクロデキストリン(例えば、6−O−α−D−マルトシル−β−シクロデキストリン(例、CAS No. 104723−60−6)、ジマルトシル−β−シクロデキストリン(例、CAS No. 104723−60−6)等);グルコシル−β−シクロデキストリン(例えば、6−O−α−D−グルコシル−β−シクロデキストリン(CAS No. 92517−02−7)等);グルクロニルグルコシル−β−シクロデキストリン;メチル−γ−シクロデキストリン(例えば、γ−シクロデキストリンメチルエーテル、オクタキス(2,6−ジ−O−メチル)−γ−シクロデキストリン、
モノ(2,6−ジ−O−メチル)−γ−シクロデキストリン、オクタキス(2,3,6−トリ−O−メチル)−γ−シクロデキストリン等);エチル−γ−シクロデキストリン(例えば、ヘプタキス(2,6−ジ−O−エチル)−γ−シクロデキストリン等);ブチル−γ−シクロデキストリン;アミノ−γ−シクロデキストリン(例えば、モノ(6−アミノ−6−デオキシ)−γ−シクロデキストリン、ヘキサキス(6−アミノ−6−デオキシ)−γ−シクロデキストリン、3A−アミノ−3A−デオキシ−(2AS,3AS)−γ−シクロデキストリン等);p−トルエンスルホニル−γ−シクロデキストリン(例えばモノ−6−O−(p−トルエンスルホニル)−γ−シクロデキストリン(例、CAS No. 97227−33−3)等);ヒドロキシアルキル−γ−シクロデキストリン(例えば、2−ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン(例、CAS No. 128446−32−2)、(2−ヒドロキシプロピル)−γ−シクロデキストリン(例、CAS No. 128446−35−5)、2−O−(2−ヒドロキシプロピル)−γ−シクロデキストリン、6−O−(2−ヒドロキシプロピル)−γ−シクロデキストリン、2−O−(2−ヒドロキシブチル)−γ−シクロデキストリン、6−O−(2−ヒドロキシブチル)−γ−シクロデキストリン、(2−ヒドロキシイソブチル)−γ−シクロデキストリン等);スルホアルキルエーテル−γ−シクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリン等);カルボキシアルキル−γ−シクロデキストリン(例えば、カルボキシメチル−γ−シクロデキストリン、(2−カルボキシエチル)−γ−シクロデキストリン等);アジド−γ−シクロデキストリン(例えば、モノ(6−アジド−6−デオキシ)γ−シクロデキストリン);マルトシル−γ−シクロデキストリン(例えば、6−O−α−D−マルトシル−γ−シクロデキストリン、ジマルトシル−γ−シクロデキストリン等);グルコシル−γ−シクロデキストリン(例えば、6−O−α−D−グルコシル−γ−シクロデキストリン(CAS No. 92517−02−7)等);グルクロニルグルコシル−γ−シクロデキストリンなどが知られており、これらをそのまま用いる、又は、これらを出発材料として本発明に用いるシクロデキストリン類似体を入手することができる。また、所望の性質を有する限り、シクロデキストリン誘導体の置換度は、特に限定されるものではなく、化合物(I)として、置換度の異なるシクロデキストリン誘導体の混合物を用いてもよい。
モノ(2,6−ジ−O−メチル)−γ−シクロデキストリン、オクタキス(2,3,6−トリ−O−メチル)−γ−シクロデキストリン等);エチル−γ−シクロデキストリン(例えば、ヘプタキス(2,6−ジ−O−エチル)−γ−シクロデキストリン等);ブチル−γ−シクロデキストリン;アミノ−γ−シクロデキストリン(例えば、モノ(6−アミノ−6−デオキシ)−γ−シクロデキストリン、ヘキサキス(6−アミノ−6−デオキシ)−γ−シクロデキストリン、3A−アミノ−3A−デオキシ−(2AS,3AS)−γ−シクロデキストリン等);p−トルエンスルホニル−γ−シクロデキストリン(例えばモノ−6−O−(p−トルエンスルホニル)−γ−シクロデキストリン(例、CAS No. 97227−33−3)等);ヒドロキシアルキル−γ−シクロデキストリン(例えば、2−ヒドロキシエチル−γ−シクロデキストリン(例、CAS No. 128446−32−2)、(2−ヒドロキシプロピル)−γ−シクロデキストリン(例、CAS No. 128446−35−5)、2−O−(2−ヒドロキシプロピル)−γ−シクロデキストリン、6−O−(2−ヒドロキシプロピル)−γ−シクロデキストリン、2−O−(2−ヒドロキシブチル)−γ−シクロデキストリン、6−O−(2−ヒドロキシブチル)−γ−シクロデキストリン、(2−ヒドロキシイソブチル)−γ−シクロデキストリン等);スルホアルキルエーテル−γ−シクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリン等);カルボキシアルキル−γ−シクロデキストリン(例えば、カルボキシメチル−γ−シクロデキストリン、(2−カルボキシエチル)−γ−シクロデキストリン等);アジド−γ−シクロデキストリン(例えば、モノ(6−アジド−6−デオキシ)γ−シクロデキストリン);マルトシル−γ−シクロデキストリン(例えば、6−O−α−D−マルトシル−γ−シクロデキストリン、ジマルトシル−γ−シクロデキストリン等);グルコシル−γ−シクロデキストリン(例えば、6−O−α−D−グルコシル−γ−シクロデキストリン(CAS No. 92517−02−7)等);グルクロニルグルコシル−γ−シクロデキストリンなどが知られており、これらをそのまま用いる、又は、これらを出発材料として本発明に用いるシクロデキストリン類似体を入手することができる。また、所望の性質を有する限り、シクロデキストリン誘導体の置換度は、特に限定されるものではなく、化合物(I)として、置換度の異なるシクロデキストリン誘導体の混合物を用いてもよい。
本発明の作製方法に用いる化合物(I)は、自体公知の方法により作製することができる。
特に限定されるものではないが、例えば、R1にトシル基を有するシクロデキストリンは、K. Takahashi, K. Hattori, F. Toda, Tetrahedron Letters, Volume 25, Issue 31, 1984, Pages 3331-3334、及びKristy A. Martin, Anthony W. Czarnik., Tetrahedron Letters, Volume 35, Issue 37, 12 September 1994, Pages 6781-6782などに記載の公知の方法に準じた方法を用いて合成することができる。モノ−6−O−トシル−シクロデキストリン(例えばモノ−6−O−(p−トルエンスルホニル)−β−シクロデキストリン)を出発材料として、シクロデキストリンのアルデヒド、ヨウ素化物、塩素化物、アジ化物、アミノ化物、アルキルアミノ化物などを作製する方法についても公知であり、当業者であれば、これらの方法や、例えば「ナノマテリアルシクロデキストリン(シクロデキストリン学会、米田出版)」、米国特許第5,134,127号、第6,153,746号、Carbohydr Res. 2009 Oct 12;344(15):1999-2004、Chem Rev. 1998 Jul 30;98(5):2045-2076などに記載のシクロデキストリン誘導体の合成方法などの自体公知の方法を参考にして、化合物(I)を合成することが可能である。
特に限定されるものではないが、例えば、R1にトシル基を有するシクロデキストリンは、K. Takahashi, K. Hattori, F. Toda, Tetrahedron Letters, Volume 25, Issue 31, 1984, Pages 3331-3334、及びKristy A. Martin, Anthony W. Czarnik., Tetrahedron Letters, Volume 35, Issue 37, 12 September 1994, Pages 6781-6782などに記載の公知の方法に準じた方法を用いて合成することができる。モノ−6−O−トシル−シクロデキストリン(例えばモノ−6−O−(p−トルエンスルホニル)−β−シクロデキストリン)を出発材料として、シクロデキストリンのアルデヒド、ヨウ素化物、塩素化物、アジ化物、アミノ化物、アルキルアミノ化物などを作製する方法についても公知であり、当業者であれば、これらの方法や、例えば「ナノマテリアルシクロデキストリン(シクロデキストリン学会、米田出版)」、米国特許第5,134,127号、第6,153,746号、Carbohydr Res. 2009 Oct 12;344(15):1999-2004、Chem Rev. 1998 Jul 30;98(5):2045-2076などに記載のシクロデキストリン誘導体の合成方法などの自体公知の方法を参考にして、化合物(I)を合成することが可能である。
R4にマルトシル基を有するシクロデキストリンの合成方法についても公知である(公開特許公報昭61-70996、昭61-92592など)。特に限定されるものではないが、シクロデキストリンと糖を、マンノシダーゼ、ガラクトシダーゼ及びグルクロニダーゼなどの酵素を用いて反応させることにより、R4にグルコシル基(糖鎖残基)を有する化合物(I)を得ることができる。
或いは本発明に用いる化合物(I)として、市販のシクロデキストリン又はその誘導体を、用いることができる。市販のシクロデキストリンとしては、セルデックス(登録商標)シリーズ(日本食品化工株式会社)、CAVAMAX(登録商標)シリーズ及びCAVASOL(登録商標)シリーズ(株式会社シクロケム)、CAPTISOL(登録商標)シクロデキストリン(CyDex Pharmaceuticals, Inc.)などが挙げられる。
また、本発明の擬ロタキサンは、その構造についての本明細書の記載に基づいて、Thermoresponsive Formation of Dimethyl Cyclodextrin Polypseudorotaxanes and Subsequent One-pot Synthesis of Polyrotaxanes., T. Higashi, L. Jun, X. Song, J. Zhu, M. Taniyoshi, F. Hirayama, D. Iohara, K. Motoyama, H. Arima., ACS Macro Lett., 5(2), 158-162 (2016)に記載の方法などの公知の方法に準じた方法を用い、作製することができる。
好ましい一態様として、工程(B)は、水性溶媒中で、化合物(I)及び化合物(III)を混合し、化合物(I)の開口部に化合物(III)が串刺し状に貫通して包接された擬ロタキサンを得る工程である。
別の好ましい一態様として、工程(B)は、化合物(I)を含む水溶液中に化合物(III)を添加し、化合物(I)の開口部に化合物(III)が串刺し状に貫通して包接された擬ロタキサンを得る工程である。
さらに別の好ましい一態様として、工程(B)は、化合物(I)の飽和溶液に対し、適当量の化合物(III)を混合し、化合物(I)の開口部に化合物(III)が串刺し状に貫通して包接された擬ロタキサンを得る工程である。
化合物(III)と化合物(I)とを混合する際の量比としては、特に限定されるものではないが、例えば、式(III)中のyの総和がy sumである化合物(III)を用いる場合、化合物(III)1モルに対して、化合物(I)を、y sum/2(即ちy sumの半分)モルを用いることができる。
別の好ましい一態様として、工程(B)は、化合物(I)を含む水溶液中に化合物(III)を添加し、化合物(I)の開口部に化合物(III)が串刺し状に貫通して包接された擬ロタキサンを得る工程である。
さらに別の好ましい一態様として、工程(B)は、化合物(I)の飽和溶液に対し、適当量の化合物(III)を混合し、化合物(I)の開口部に化合物(III)が串刺し状に貫通して包接された擬ロタキサンを得る工程である。
化合物(III)と化合物(I)とを混合する際の量比としては、特に限定されるものではないが、例えば、式(III)中のyの総和がy sumである化合物(III)を用いる場合、化合物(III)1モルに対して、化合物(I)を、y sum/2(即ちy sumの半分)モルを用いることができる。
化合物(III)は、(PEG)x(PPG)y(PEG)z(例えば、市販されているPluronic (登録商標)P123、Pluronic(登録商標)F127など)の両端に、チオール基を導入することにより製造できる。
(PEG)x(PPG)y(PEG)zの両端にチオール基(−SH)を導入する方法は、公知の方法を用いて行うことができ、例えば、一般的なチオール基導入試薬(N-Succinimidyl 3−(2−pyridyldithio)propionate、システイン、2−イミノチオラン)等を用いても構わない。(PEG)x(PPG)y(PEG)zの両端にチオール基(−SH)を導入する方法の具体例としては、これに限定されないが、例えば、以下の方法をあげることができる。
一例は、(PEG)x(PPG)y(PEG)zの両末端の水酸基に、CDI、マレイミド等を用いて、イソシアネート基を導入し、その後、システインのアミノ基を反応させ、下記式(IV)
(PEG)x(PPG)y(PEG)zの両端にチオール基(−SH)を導入する方法は、公知の方法を用いて行うことができ、例えば、一般的なチオール基導入試薬(N-Succinimidyl 3−(2−pyridyldithio)propionate、システイン、2−イミノチオラン)等を用いても構わない。(PEG)x(PPG)y(PEG)zの両端にチオール基(−SH)を導入する方法の具体例としては、これに限定されないが、例えば、以下の方法をあげることができる。
一例は、(PEG)x(PPG)y(PEG)zの両末端の水酸基に、CDI、マレイミド等を用いて、イソシアネート基を導入し、その後、システインのアミノ基を反応させ、下記式(IV)
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される分子(本明細書中、化合物(IV)と称する場合がある)を作製し、次いで、式(IV)中のジスルフィド結合を還元的に分解することにより両末端にSH基が導入された(PEG)x(PPG)y(PEG)zを調製する方法をあげることができる。
従って、本発明の製造方法は、その一つの態様として、工程(B)に先立ち、化合物(IV)と還元剤を反応させ、化合物(III)を得る工程(工程(C))を、さらに含み得る。
上記ジスルフィドの還元反応に用いる還元剤としては、ジチオトレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、水素化ホウ素ナトリウム、トリフェニルホスフィン、Tris(2-carboxyethyl)phosphine Hydrochloride(TCEP−HCl)などが挙げられ、化合物(IV)の還元反応に用いる好適な還元剤としては、DTTが挙げられる。還元剤の使用量は、化合物(IV)又はその塩1モルに対して、通常0.01モル〜100モル、好ましくは0.1モル〜10モルである。
上記ジスルフィド結合の還元反応は、通常、反応に不活性な溶媒中で行われる。このような溶媒としては、例えば、水、ジクロロメタン、DMSO、DMF、アルコール、テトラヒドロフランなどが挙げられ、これらは単独または二種以上の混合溶媒として用いる。溶媒の使用量は、化合物(IV)1 gに対して、通常約1〜約100 mL、好ましくは約1〜約50 mLである。
上記還元反応の反応温度は、通常、約−100℃〜約100℃、好ましくは約0℃〜約50℃、より好ましくは約4℃〜室温であり、反応時間は、通常約0.5時間〜約2日間である。
好ましい一態様において、工程(C)は、化合物(IV)及びDTTを反応させ、化合物(III)を得る工程である。
別の好ましい一態様において、工程(C)は、化合物(IV)中のジスルフィド結合を還元的に分解し、化合物(III)を得る工程である。
上記化合物(IV)は、下記式(V)
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される分子(本明細書中、化合物(V)と称する場合がある)及びシスタミンを反応させることにより得ることができる。シスタミンの構造を下記に示す。
従って、本発明の製造方法は、工程(C)に先立ち、化合物(V)及びシスタミンを反応させ、化合物(IV)を得る工程(工程(D))を、さらに含み得る。
従って、本発明の製造方法は、工程(C)に先立ち、化合物(V)及びシスタミンを反応させ、化合物(IV)を得る工程(工程(D))を、さらに含み得る。
上記反応に用いるシスタミンの使用量は、化合物(V)又はその塩1モルに対して、通常1モル〜200モル、好ましくは2モル〜50モルである。
上記シスタミンとの反応は、通常、反応に不活性な溶媒中で行われる。このような溶媒としては、例えば、水、ジクロロメタン、DMSO、DMF、アルコール、テトラヒドラフランなどが挙げられ、これらは単独または二種以上の混合溶媒として用いる。溶媒の使用量は、化合物(V)1 gに対して、通常約1〜約100 mL、好ましくは約1〜約50 mLである。
上記シスタミンとの反応の反応温度は、通常、約−100℃〜約100℃、好ましくは約−70℃〜約50℃であり、反応時間は、通常、約0.5〜約24時間、好ましくは約0.5時間〜約5時間である。
上記化合物(V)は、下記式(VI)
[式中、各記号は前記と同意義を示す。]で表される分子(本明細書中、化合物(VI)と称する場合がある)及びカルボニルジイミダゾール(CDI)を反応させることにより得ることができる。
従って、本発明の製造方法は、工程(D)に先立ち、化合物(VI)及びCDIを反応させ、化合物(V)を得る工程(工程(E))を、さらに含み得る。
従って、本発明の製造方法は、工程(D)に先立ち、化合物(VI)及びCDIを反応させ、化合物(V)を得る工程(工程(E))を、さらに含み得る。
上記反応に用いるCDIの使用量は、化合物(VI)又はその塩1モルに対して、通常1モル〜200モル、好ましくは2モル〜50モルである。
上記CDIとの反応は、通常、反応に不活性な溶媒中で行われる。このような溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、DMSO、DMF、アルコール、テトラヒドラフランなどが挙げられ、これらは単独または二種以上の混合溶媒として用いる。上記CDIとの反応に用いる溶媒の使用量は、化合物(VI)1 gに対して、通常約1〜約100 mL、好ましくは約1〜約50 mLである。
上記CDIとの反応の反応温度は、通常、約−100℃〜約100℃、好ましくは約−70℃〜約50℃であり、反応時間は、通常、約0.5〜約24時間、好ましくは約0.5時間〜約5時間である。
本発明に用いる化合物(VI)の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、通常500〜50000であり、1000〜30000が好ましく、2000〜15000がより好ましい。
化合物(VI)は、自体公知の方法を用いて合成することができる。化合物(VI)は、市販のものを用いることもできる。市販の化合物(VI)の例としては、Pluronic(登録商標)P123(Aldrich 製品番号:435465)、Pluronic(登録商標)F127などが挙げられる。
本発明はまた、新規な構造を有する擬ロタキサンを提供するものでもある。本発明の擬ロタキサンは、一般式(III)
(式中、xは2以上の整数を表し;yは2以上の整数を表し;zは2以上の整数を表し、また、L1、L2はリンカーを表し、L1は、以下の式:
(式中、qは、1〜100の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
(式中、qは、1〜100の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物が、一般式(I)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物が、一般式(I)
(式中、R2及びR3はそれぞれ独立してH、C1-6アルキル基、又はヒドロキシC1-6アルキル基を表し、R1はそれぞれ独立して、OR4、トシル基、ナフタレンスルホニル基、メチレンスルホニル基、アジ基、カルボキシ基、又は置換基を有していてもよいアミノ基を表し、ここでR4は、H、置換基を有していてもよいC1-6アルキル基、C2-6アルキニル基、又はグリコシル基を表し、mは2又は3である)で表される化合物の開口部に串刺し状に包接されている擬ロタキサンである。
好ましい態様は、本発明のカテナンの製造方法と関連して擬ロタキサンについて記載した内容が、上記擬ロタキサンについてそのまま適用できる。
本発明のカテナンの特に好ましい態様としては、一般式(I)
(式中、R2及びR3はそれぞれ独立して、H又はC1-4アルキル基を表し;R1はそれぞれ独立して、OR4を表し、ここでR4は、H又はCH3を表し;;mは2又は3(好ましくは2)である)で表される化合物、
及び一般式(II)
及び一般式(II)
(式中、xは、10〜100の整数を表し、n個のxはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;yは、20〜100の整数を表し、n個のyはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;zは10〜100の整数を表し、n個のzはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;nは、1〜5の整数を表し;
L1、L2はリンカーを表し、L1は、以下の式:
L1、L2はリンカーを表し、L1は、以下の式:
(式中、qは、2〜5の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
(式中、qは、2〜5の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(II)で表される化合物が、該一般式(I)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン(好ましくは放射状カテナン、より好ましくは放射状ポリカテナン)である。
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(II)で表される化合物が、該一般式(I)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン(好ましくは放射状カテナン、より好ましくは放射状ポリカテナン)である。
より特に好ましい態様として、本発明のカテナンは、上述の一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物を含むカテナンであり、一般式(II)で表される化合物が、該一般式(I)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナンであって、
一般式(I)で表される化合物を10個以上含む、カテナンであり、
一般式(I)で表される化合物はそれぞれ異なっていてもよく、同一であってもよい、カテナンである。
一般式(I)で表される化合物を10個以上含む、カテナンであり、
一般式(I)で表される化合物はそれぞれ異なっていてもよく、同一であってもよい、カテナンである。
本発明カテナンの特に好ましい製造方法は、擬ロタキサンと、チオール酸化剤(好ましくは、過酸化水素、ヨウ素、DIAMIDE及びジメチルスルホキシドからなる群より選択されるチオール酸化剤、より好ましくは過酸化水素)とを反応させる工程(工程A1)を含む、本発明カテナンの製造方法であって、上記擬ロタキサンが、一般式(III)
(式中、xは、10〜100の整数を表し、n個のxはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;
yは、20〜100の整数を表し、n個のyはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;
zはは、10〜100の整数を表し、n個のzはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;
nは、1〜5の整数を表し;
L1、L2はリンカーを表し、L1は、以下の式:
yは、20〜100の整数を表し、n個のyはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;
zはは、10〜100の整数を表し、n個のzはそれぞれ同一又は異なっていてもよく;
nは、1〜5の整数を表し;
L1、L2はリンカーを表し、L1は、以下の式:
(式中、qは、2〜5の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
(式中、qは、2〜5の整数を表す)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物が、一般式(I)
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物が、一般式(I)
(式中、R2及びR3はそれぞれ独立して、H又はC1-4アルキル基を表し;
R1はそれぞれ独立して、OR4、を表し、ここでR4は、H又はCH3を表し;
mは2又は3(好ましくは2)である)で表される化合物(I)の開口部に串刺し状に包接されている擬ロタキサンである、方法であり、
カテナンが、上記一般式(I)で表される化合物及び一般式(II):
R1はそれぞれ独立して、OR4、を表し、ここでR4は、H又はCH3を表し;
mは2又は3(好ましくは2)である)で表される化合物(I)の開口部に串刺し状に包接されている擬ロタキサンである、方法であり、
カテナンが、上記一般式(I)で表される化合物及び一般式(II):
(式中、各記号は上述のとおりである)で表される化合物(II)を含むカテナンであって、一般式(II)で表される化合物が、該一般式(I)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン(好ましくは放射状カテナン、より好ましくは放射状ポリカテナン)である方法であって、
さらに任意選択で、下記の工程(A2):
工程(A2):工程(A1)による反応産物から、本発明擬ロタキサン、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去することにより、本発明カテナンを分離する工程
を含む方法である。
さらに任意選択で、下記の工程(A2):
工程(A2):工程(A1)による反応産物から、本発明擬ロタキサン、カテナンを構成してない化合物(I)及び化合物(II)並びに化合物(III)を除去することにより、本発明カテナンを分離する工程
を含む方法である。
本発明により提供されるカテナンは、抗腫瘍作用を示すことが報告されているCyD又はその誘導体を環状ポリマーにトラップし得るため、CyDを運搬するための機能性医用素材や薬物送達担体として利用可能であり得る。特に、本発明カテナンは、細胞内などの還元環境下において、ジスルフィド結合の分解により、本発明CyD化合物を放出することが可能となるため、ユニークな機能性医用素材、薬物送達担体となり得る。
本発明により提供されるカテナンは、CyDを分子間で架橋することもでき、そのような架橋点は軸分子(PEG-PPG-PEG鎖)に沿って可動となるため、滑車効果により環動ゲルとしての特性を付与できるので、工業的にも有用である。このようなゲルはトポロジカルゲルとも呼ばれる。
本発明により提供されるカテナンは、CyDを分子間で架橋することもでき、そのような架橋点は軸分子(PEG-PPG-PEG鎖)に沿って可動となるため、滑車効果により環動ゲルとしての特性を付与できるので、工業的にも有用である。このようなゲルはトポロジカルゲルとも呼ばれる。
以下の実施例により本発明をより具体的に説明するが、実施例は本発明の単なる例示を示すものにすぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
(方法)
1. 試料、器具及び溶媒等
試薬
1. 試料、器具及び溶媒等
試薬
上記以外の試薬類は市販特級品を用いた。溶媒としての水は、イオン交換精製水を 2回蒸留して用いた。
2. HS−PEG−PPG−PEG−SHの調製
Pluronic (登録商標)P123 5.8 g、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)3.3 g及びトリエチルアミン(TEA)152 mgをDMSO(Dimethyl sulfoxide)20 mLに溶解し、窒素置換後、室温で24時間撹拌した。シスタミン二塩酸塩4.5 gを含むDMSO 50 mLを滴下後、室温で2日間撹拌した。反応溶液にジクロロメタン200 mL及び塩化ナトリウム飽和水溶液250 mLを添加し、激しく撹拌後、8,000 rpmで5分間遠心分離し、水層を除去した。さらに、塩化ナトリウム飽和水溶液250 mLを添加し、撹拌、遠心後、水層を除去する操作を2回繰り返した。エバポレーターを用いてジクロロメタンを留去し、凍結乾燥した。
乾燥品2.0 gをDTT(dithiothreitol)水溶液(25 mg/mL)35 mLに溶解し、pH 7.0に調整後、窒素置換条件下、室温で2日間撹拌した。1 M塩酸を用いてpH 3.5に調整後、凍結乾燥した。凍結乾燥品をジクロロメタン60 mLに溶解し、塩化ナトリウム飽和水溶液30 mLを添加後、よく混和した。懸濁液を8,000 rpmで5分間遠心分離後、水層を除去した。さらに、塩化ナトリウム飽和水溶液30 mLを添加し、撹拌、遠心後、水層を除去する操作を2回繰り返した。エバポレーターを用いてジクロロメタンを留去し、凍結乾燥後、本品を得た(収率:55.1%)。
Pluronic (登録商標)P123 5.8 g、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)3.3 g及びトリエチルアミン(TEA)152 mgをDMSO(Dimethyl sulfoxide)20 mLに溶解し、窒素置換後、室温で24時間撹拌した。シスタミン二塩酸塩4.5 gを含むDMSO 50 mLを滴下後、室温で2日間撹拌した。反応溶液にジクロロメタン200 mL及び塩化ナトリウム飽和水溶液250 mLを添加し、激しく撹拌後、8,000 rpmで5分間遠心分離し、水層を除去した。さらに、塩化ナトリウム飽和水溶液250 mLを添加し、撹拌、遠心後、水層を除去する操作を2回繰り返した。エバポレーターを用いてジクロロメタンを留去し、凍結乾燥した。
乾燥品2.0 gをDTT(dithiothreitol)水溶液(25 mg/mL)35 mLに溶解し、pH 7.0に調整後、窒素置換条件下、室温で2日間撹拌した。1 M塩酸を用いてpH 3.5に調整後、凍結乾燥した。凍結乾燥品をジクロロメタン60 mLに溶解し、塩化ナトリウム飽和水溶液30 mLを添加後、よく混和した。懸濁液を8,000 rpmで5分間遠心分離後、水層を除去した。さらに、塩化ナトリウム飽和水溶液30 mLを添加し、撹拌、遠心後、水層を除去する操作を2回繰り返した。エバポレーターを用いてジクロロメタンを留去し、凍結乾燥後、本品を得た(収率:55.1%)。
3. CyD ポリカテナンの調製
3.1. α−CyD ポリカテナンの調製
α−CyD水溶液12 mL(145 mg/mL)にHS−PEG−SH(Sigma、M.W. 8,000)154 mgを添加後、室温で1時間撹拌した。H2O2 0.12 mLを添加し、90分間撹拌後、さらに精製水8 mL及びH2O2 0.08 mLを添加した。室温で7日間撹拌後、沈殿物をDMSO 5 mLに溶解し、過剰量のアセトンに滴下した。得られた沈殿を精製水35 mLで洗浄した。
3.1. α−CyD ポリカテナンの調製
α−CyD水溶液12 mL(145 mg/mL)にHS−PEG−SH(Sigma、M.W. 8,000)154 mgを添加後、室温で1時間撹拌した。H2O2 0.12 mLを添加し、90分間撹拌後、さらに精製水8 mL及びH2O2 0.08 mLを添加した。室温で7日間撹拌後、沈殿物をDMSO 5 mLに溶解し、過剰量のアセトンに滴下した。得られた沈殿を精製水35 mLで洗浄した。
3.2.β−CyDポリカテナンの調製
β−CyD水溶液591 mL(18.5 mg/mL)に、上記2.で調製したチオール化PEG−PPG−PEG共重合体(HS−PEG−PPG−PEG−SH)(図2)1.45 gを添加し、窒素置換後、室温にて30分間超音波処理を行った。室温で24時間撹拌し、H2O2 6 mLを添加後、さらに室温で2時間撹拌した。沈殿物を含む懸濁液を9,000 rpmで10分間遠心分離後、上清を除去した。精製水450 mLを添加してよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を取り除いた。DMSO 72 mLを加えて沈殿物を完全に溶解した後、激しく撹拌しているアセトン420 mL中に滴下した。懸濁液を7,000 rpmで5分間遠心分離後、上清を除去した。さらに、精製水 420 mLを添加してよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。精製水30 mLを加えてよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を取り除いた後、凍結乾燥し、本品を得た。
β−CyD水溶液591 mL(18.5 mg/mL)に、上記2.で調製したチオール化PEG−PPG−PEG共重合体(HS−PEG−PPG−PEG−SH)(図2)1.45 gを添加し、窒素置換後、室温にて30分間超音波処理を行った。室温で24時間撹拌し、H2O2 6 mLを添加後、さらに室温で2時間撹拌した。沈殿物を含む懸濁液を9,000 rpmで10分間遠心分離後、上清を除去した。精製水450 mLを添加してよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を取り除いた。DMSO 72 mLを加えて沈殿物を完全に溶解した後、激しく撹拌しているアセトン420 mL中に滴下した。懸濁液を7,000 rpmで5分間遠心分離後、上清を除去した。さらに、精製水 420 mLを添加してよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。精製水30 mLを加えてよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を取り除いた後、凍結乾燥し、本品を得た。
3.3. 反応懸濁液中のチオール基含量
β−CyD水溶液245 mL(18.5 mg/mL)にHS−PEG−PPG−PEG−SH 600 mgを添加し、窒素置換後、室温にて30分間超音波処理を行った。室温で24時間撹拌し、反応懸濁液1 mLに対してH2O2を終濃度0.0001%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、1.0%及び2.0%(v/v)になるように添加後、さらに室温で2時間撹拌した。上記懸濁液 0.1 mLに対してDMSO 0.9 mLを添加し、エルマン試薬溶液(3.96 mg/mL、pH 7.4 PBS)0.01 mLを加えた。室温で10分間反応後、反応溶液 0.75 mLを PBS(pH 7.4)0.75 mLで希釈し、分光光度計で412 nmの吸光度を測定した。
β−CyD水溶液245 mL(18.5 mg/mL)にHS−PEG−PPG−PEG−SH 600 mgを添加し、窒素置換後、室温にて30分間超音波処理を行った。室温で24時間撹拌し、反応懸濁液1 mLに対してH2O2を終濃度0.0001%、0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、1.0%及び2.0%(v/v)になるように添加後、さらに室温で2時間撹拌した。上記懸濁液 0.1 mLに対してDMSO 0.9 mLを添加し、エルマン試薬溶液(3.96 mg/mL、pH 7.4 PBS)0.01 mLを加えた。室温で10分間反応後、反応溶液 0.75 mLを PBS(pH 7.4)0.75 mLで希釈し、分光光度計で412 nmの吸光度を測定した。
3.4. γ−CyD ポリカテナンの調製
γ−CyD水溶液 5 mL(38、57、76、95、190 mg/mL)にHS−PEG−PPG−PEG−SH水溶液5 mL(2.45 mg/mL)を添加し、窒素置換後、室温にて30分間超音波処理を行った。室温で24時間撹拌し、H2O2 0.1 mLを添加後、さらに室温で2時間撹拌した。沈殿物を含む懸濁液を9,000 rpmで10分間遠心分離後、上清を除去した。精製水7 mLを添加してよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。DMSO 1.2 mLを加えて沈殿物を完全に溶解した後、激しく撹拌しているアセトン7 mL中に滴下した。懸濁液を7,000 rpmで5分間遠心分離後、上清を除去した。さらに、精製水7 mLを添加してよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。再度、DMSO 1 mLを加えて沈殿物を完全に溶解し、激しく撹拌している精製水10 mL中に滴下した。懸濁液を9,000 rpmで10分間遠心分離後、上清を除去した。精製水3 mLを添加してよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した後、凍結乾燥し、本品を得た。
γ−CyD水溶液 5 mL(38、57、76、95、190 mg/mL)にHS−PEG−PPG−PEG−SH水溶液5 mL(2.45 mg/mL)を添加し、窒素置換後、室温にて30分間超音波処理を行った。室温で24時間撹拌し、H2O2 0.1 mLを添加後、さらに室温で2時間撹拌した。沈殿物を含む懸濁液を9,000 rpmで10分間遠心分離後、上清を除去した。精製水7 mLを添加してよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。DMSO 1.2 mLを加えて沈殿物を完全に溶解した後、激しく撹拌しているアセトン7 mL中に滴下した。懸濁液を7,000 rpmで5分間遠心分離後、上清を除去した。さらに、精製水7 mLを添加してよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した。再度、DMSO 1 mLを加えて沈殿物を完全に溶解し、激しく撹拌している精製水10 mL中に滴下した。懸濁液を9,000 rpmで10分間遠心分離後、上清を除去した。精製水3 mLを添加してよく混和した後、9,000 rpmで10分間遠心分離し、上清を除去した後、凍結乾燥し、本品を得た。
4. ラマンスペクトル
ラマンスペクトルは、RENISHAW製inVia Raman microscopeを使用し、以下の条件で測定した。励起波長:532 nm、レーザー出力:100%(45 mW/1 line)、露光時間:5 秒、積算回数:1回。
ラマンスペクトルは、RENISHAW製inVia Raman microscopeを使用し、以下の条件で測定した。励起波長:532 nm、レーザー出力:100%(45 mW/1 line)、露光時間:5 秒、積算回数:1回。
5. 粉末X線回折
粉末X線回折は、Rigaku株式会社製試料水平型多目的X線回折装置Ultima IVを使用し、試料をガラスセルに固定して測定した。測定条件は、以下の通りである。X線源:Cu−Kα 線(1.542 Å)、管電圧:40 mA、走査速度:5°/min、回折角:5~35°、スリット:1/2°−開放−開放。
粉末X線回折は、Rigaku株式会社製試料水平型多目的X線回折装置Ultima IVを使用し、試料をガラスセルに固定して測定した。測定条件は、以下の通りである。X線源:Cu−Kα 線(1.542 Å)、管電圧:40 mA、走査速度:5°/min、回折角:5~35°、スリット:1/2°−開放−開放。
6. NMRスペクトル
1H−NMRスペクトル及びNOESYスペクトルは、BRUKER製AVACE 600を用いて、25℃で測定した。溶媒はDMSO−d6を用い、各種サンプルの濃度は1.5 mg/750 μLとした。1H−NMRの化学シフトは、DMSO−d6のピークを用いて表した。
1H−NMRスペクトル及びNOESYスペクトルは、BRUKER製AVACE 600を用いて、25℃で測定した。溶媒はDMSO−d6を用い、各種サンプルの濃度は1.5 mg/750 μLとした。1H−NMRの化学シフトは、DMSO−d6のピークを用いて表した。
7. ゲル浸透クロマトグラフィー
ゲル浸透クロマトグラフィーは、Tosoh株式会社製HLC−8120GPCを用いて測定し、検出器には示差屈折率計を使用した。カラムにはTosoh株式会社製TSKgel Super AW4000及びTSKgel Super AW2500を用い、カラム温度65℃、流速0.15 mL/minにて測定した。移動相には10 mM LiBrを含むDMSOを用いた。CyDポリカテナン(10 mg/mL)、Pluronic(登録商標) P123(10 mg/mL)もしくはβ−CyD(10 mg/mL)を移動相に溶解し、0.22μmのPTFEフィルターでろ過した後、30μLを注入した。なお、Mn及びMw/Mnは、ポリエチレンオキシド標準試料より作成した検量線を用いて算出した。
ゲル浸透クロマトグラフィーは、Tosoh株式会社製HLC−8120GPCを用いて測定し、検出器には示差屈折率計を使用した。カラムにはTosoh株式会社製TSKgel Super AW4000及びTSKgel Super AW2500を用い、カラム温度65℃、流速0.15 mL/minにて測定した。移動相には10 mM LiBrを含むDMSOを用いた。CyDポリカテナン(10 mg/mL)、Pluronic(登録商標) P123(10 mg/mL)もしくはβ−CyD(10 mg/mL)を移動相に溶解し、0.22μmのPTFEフィルターでろ過した後、30μLを注入した。なお、Mn及びMw/Mnは、ポリエチレンオキシド標準試料より作成した検量線を用いて算出した。
8. ポリカテナンからのβ−CyDの放出実験
8.1. 粒子径
β−CyDポリカテナンをDMSOに溶解し(1 mg/mL)、その0.1 mLをDTT水溶液(25 mg/mL)0.9 mLで希釈した。室温で所定時間反応させ、動的光散乱法にて粒子径を測定した。測定機器:Zetasizer nano ZS、測定温度:20℃、セル:DTS 0012、繰り返し回数:3回。
8.1. 粒子径
β−CyDポリカテナンをDMSOに溶解し(1 mg/mL)、その0.1 mLをDTT水溶液(25 mg/mL)0.9 mLで希釈した。室温で所定時間反応させ、動的光散乱法にて粒子径を測定した。測定機器:Zetasizer nano ZS、測定温度:20℃、セル:DTS 0012、繰り返し回数:3回。
8.2. ゲル浸透クロマトグラフィー
β−CyDポリカテナン溶液(10 mg/mL)0.4 mLを上記ゲル浸透クロマトグラフィー用の移動相を用いて調製し、DTT溶液(50 mg/mL)0.4 mLまたはtris(2−carboxyethyl)phosphine hydrochloride(TCEP)20 mM溶液0.4 mLと混合した。PTFEフィルター(0.22μm)でろ過した後、所定時間経過後に上記と同様の条件でゲル浸透クロマトグラフィーを測定した。
β−CyDポリカテナン溶液(10 mg/mL)0.4 mLを上記ゲル浸透クロマトグラフィー用の移動相を用いて調製し、DTT溶液(50 mg/mL)0.4 mLまたはtris(2−carboxyethyl)phosphine hydrochloride(TCEP)20 mM溶液0.4 mLと混合した。PTFEフィルター(0.22μm)でろ過した後、所定時間経過後に上記と同様の条件でゲル浸透クロマトグラフィーを測定した。
8.3. 旋光度
β−CyDポリカテナン10 mgをDTT水溶液(25 mg/mL)10 mLに分散後、室温で撹拌し、所定時間経過後、試料1 mLを採取した。10,000 rpmで3分間遠心し、上清を採取後、下記条件にて旋光度を測定し、放出されたCyDを定量した。測定機器:JASCO Polarimeter P−2000、光源:ハロゲンランプ、測定波長:589 nm、積算時間:5秒、繰り返し回数:3回、繰り返し間隔:0秒、セル長:50 mm。
β−CyDポリカテナン10 mgをDTT水溶液(25 mg/mL)10 mLに分散後、室温で撹拌し、所定時間経過後、試料1 mLを採取した。10,000 rpmで3分間遠心し、上清を採取後、下記条件にて旋光度を測定し、放出されたCyDを定量した。測定機器:JASCO Polarimeter P−2000、光源:ハロゲンランプ、測定波長:589 nm、積算時間:5秒、繰り返し回数:3回、繰り返し間隔:0秒、セル長:50 mm。
実施例1:β−CyDポリカテナンの調製と構造解析
実施例1−1: β−CyDポリカテナンの調製
本実施例では、ジスルフィド結合含有β−CyDポリカテナンを調製するため、軸分子となるチオール化PEG−PPG−PEG共重合体(HS−PEG−PPG−PEG−SH)を合成し、そのβ−CyD擬ポリロタキサン形成を介してポリカテナンを調製した。なお、PEG−PPG−PEG共重合体の中でもPPG鎖が長いPluronic(登録商標) P123を用いた(PEG分子量:880 x 2、PPG分子量:4,060)。
実施例1−1: β−CyDポリカテナンの調製
本実施例では、ジスルフィド結合含有β−CyDポリカテナンを調製するため、軸分子となるチオール化PEG−PPG−PEG共重合体(HS−PEG−PPG−PEG−SH)を合成し、そのβ−CyD擬ポリロタキサン形成を介してポリカテナンを調製した。なお、PEG−PPG−PEG共重合体の中でもPPG鎖が長いPluronic(登録商標) P123を用いた(PEG分子量:880 x 2、PPG分子量:4,060)。
ジスルフィド結合含有β−CyDポリカテナンの調製経路を図2に示す。Pluronic (登録商標)P123の両末端の水酸基をカルボニルジイミダゾール(CDI)で活性化し、過剰量のシスタミンと反応させ、還元剤ジチオスレイトール(DTT)で還元することにより、HS−PEG−PPG−PEG−SHを得た(収率:55.1%)。さらに、HS−PEG−PPG−PEG−SHをβ−CyD飽和水溶液に添加し、擬ポリロタキサンの懸濁液を得た。酸化剤の過酸化水素水(H2O2)を添加し、擬ポリロタキサン末端のチオール基を酸化することにより、ポリカテナンを合成した。生成物をDMSOに溶解し、未反応の擬ポリロタキサンを解離させ、アセトン及び水で洗浄することにより遊離のHS−PEG−PPG−PEG−SH及びβ−CyDを除去した。
環化反応が進行していることを確認するため、H2O2添加後の反応懸濁液中に含まれるチオール基含量をエルマン試薬を用いて測定した。エルマン試薬(λmax = 325 nm)は、チオール基と反応し、2−ニトロ−5−メルカプト安息香酸(λmax = 412〜450 nm)を生成するため、吸光度変化をもとに試料中のチオール基含量を求めることができる。図3Aは、0〜2%(v/v)のH2O2及びエルマン試薬添加後、DMSOで希釈・溶解した試料の吸光度を示す。また、図3Bは吸光度変化から算出したチオール基含量を示す。H2O2濃度依存的に、412〜450 nmの吸光度は低下し(図3A)、H2O2濃度0.01%(v/v)でその吸光度は20%程度までに低下し、H2O2濃度1%(v/v)以上でほぼ完全に反応懸濁液中のチオール基が消失した。以上の結果より、H2O2添加により擬ポリロタキサンの環化反応が進行していること、また、H2O2濃度1%(v/v)以上において、ジスルフィド結合が完全に形成されることが示唆された。
実施例1−2:ラマンスペクトル
CyDがゲスト分子と包接複合体を形成すると、ラマンスペクトルのピークがブロードニングすることが知られている。したがって、ポリカテナン中のβ−CyDは、PPG鎖を包接しているため、そのラマンスペクトルは、β−CyD単独に比べてブロードニングすることが予想される。そこで本実施例では、図2に記載の方法を用いて調製した反応生成物がβ−CyDポリカテナンであることを確認するため、固体試料のラマンスペクトルを測定した(図4)。200 cm−1から1,400 cm−1付近に観察されたβ−CyD由来のピークは、反応生成物の固体試料において、全体的にブロードニングした。これらの結果は、反応生成物中のβ−CyDが包接複合体を形成していることを示唆する。
CyDがゲスト分子と包接複合体を形成すると、ラマンスペクトルのピークがブロードニングすることが知られている。したがって、ポリカテナン中のβ−CyDは、PPG鎖を包接しているため、そのラマンスペクトルは、β−CyD単独に比べてブロードニングすることが予想される。そこで本実施例では、図2に記載の方法を用いて調製した反応生成物がβ−CyDポリカテナンであることを確認するため、固体試料のラマンスペクトルを測定した(図4)。200 cm−1から1,400 cm−1付近に観察されたβ−CyD由来のピークは、反応生成物の固体試料において、全体的にブロードニングした。これらの結果は、反応生成物中のβ−CyDが包接複合体を形成していることを示唆する。
実施例1−3:粉末X線回折
一般にCyD複合体の結晶構造は、かご型(cage type)、筒型(channel type)及び層状(layer)構造に大別され、ポリカテナン中のCyDは、擬ポリロタキサンやポリロタキサンと同様に筒型構造に配列していることが予想される(図5)。そこで次に、図2に記載の方法を用いて調製した反応生成物の粉末X線回折を測定した(図6)。β−CyD単独の場合、かご型構造由来の回折パターンを示したのに対し、反応生成物は、β−CyD/Pluronic (登録商標)P123擬ポリロタキサンと同様に、筒型構造由来の回折パターンを示した。以上の結果より、反応生成物中のβ−CyDは、筒型構造に配列していることが示唆された。
一般にCyD複合体の結晶構造は、かご型(cage type)、筒型(channel type)及び層状(layer)構造に大別され、ポリカテナン中のCyDは、擬ポリロタキサンやポリロタキサンと同様に筒型構造に配列していることが予想される(図5)。そこで次に、図2に記載の方法を用いて調製した反応生成物の粉末X線回折を測定した(図6)。β−CyD単独の場合、かご型構造由来の回折パターンを示したのに対し、反応生成物は、β−CyD/Pluronic (登録商標)P123擬ポリロタキサンと同様に、筒型構造由来の回折パターンを示した。以上の結果より、反応生成物中のβ−CyDは、筒型構造に配列していることが示唆された。
実施例1−4:原子間力顕微鏡
HS−PEG−PPG−PEG−SH(約40 nm)が環化すると、その直径は約13 nmとなり、β−CyDの空洞外径は約1.5 nmであるため、β−CyDポリカテナンの分子サイズは概ね15 nmになると考えられる。そこで本実施例では、図2に記載の方法を用いて調製した反応生成物の分子形態ならびに分子サイズを観察するため、原子間力顕微鏡(AFM)により測定した(図7)。なお、AFMは、探針と試料に作用する原子間力を検出することにより、ナノスケールの微小な表面形状を3次元で可視化でき、ポリロタキサンの形状を観察する際にも用いられている。図7に示すように、反応生成物は約20 nm程度のリング状の分子であった。AFMで測定した分子サイズは、理論値よりも大きくなる傾向があることを勘案すると、図2に記載の方法により得た反応生成物は、β−CyDポリカテナンの分子サイズの理論値とよく一致していた。以上の結果より、反応生成物は、β−CyDポリカテナンであることが示唆された。
HS−PEG−PPG−PEG−SH(約40 nm)が環化すると、その直径は約13 nmとなり、β−CyDの空洞外径は約1.5 nmであるため、β−CyDポリカテナンの分子サイズは概ね15 nmになると考えられる。そこで本実施例では、図2に記載の方法を用いて調製した反応生成物の分子形態ならびに分子サイズを観察するため、原子間力顕微鏡(AFM)により測定した(図7)。なお、AFMは、探針と試料に作用する原子間力を検出することにより、ナノスケールの微小な表面形状を3次元で可視化でき、ポリロタキサンの形状を観察する際にも用いられている。図7に示すように、反応生成物は約20 nm程度のリング状の分子であった。AFMで測定した分子サイズは、理論値よりも大きくなる傾向があることを勘案すると、図2に記載の方法により得た反応生成物は、β−CyDポリカテナンの分子サイズの理論値とよく一致していた。以上の結果より、反応生成物は、β−CyDポリカテナンであることが示唆された。
実施例1−5:化学量論
上述のとおり、図2に記載の方法により得た反応生成物が、β−CyDポリカテナンであることを確認した。そこで本実施例では、β−CyDポリカテナンの化学量論を求めるため、β−CyDポリカテナンの固体試料をDMSOに溶解後の1H−NMRスペクトルを測定した(図8)。β−CyDポリカテナンの1H−NMRスペクトルにおいて、PEG、PPG及びβ−CyD由来のピークが観察された。さらに、PPG由来のピークは、β−CyD擬ポリロタキサンをDMSOに溶解した試料に比べて、ブロードしたことから、β−CyDポリカテナン中のβ−CyDは、PPG鎖を包接していることが示唆された。
上述のとおり、図2に記載の方法により得た反応生成物が、β−CyDポリカテナンであることを確認した。そこで本実施例では、β−CyDポリカテナンの化学量論を求めるため、β−CyDポリカテナンの固体試料をDMSOに溶解後の1H−NMRスペクトルを測定した(図8)。β−CyDポリカテナンの1H−NMRスペクトルにおいて、PEG、PPG及びβ−CyD由来のピークが観察された。さらに、PPG由来のピークは、β−CyD擬ポリロタキサンをDMSOに溶解した試料に比べて、ブロードしたことから、β−CyDポリカテナン中のβ−CyDは、PPG鎖を包接していることが示唆された。
β−CyDのアノメリックプロトン及びPPG鎖のメチルプロトンの積分値より、ポリカテナン1分子中のβ−CyD貫通数を算出した結果、約13.5であった(表3)。Pluronic (登録商標)P123中のPPG鎖(M.W. 3,990)には、最大約34個のβ−CyDが貫通できることから、ポリカテナン中のβ−CyD被覆率は約38%であることが示唆された。さらに、1H−NMRスペクトルの結果より、β−CyDポリカテナンの分子量の理論値を求めた結果、約21,070であった(表3)。この分子量と生成物の収量から算出したβ−CyDポリカテナンの収率は約12%であった(表3)。以上のことから、本実験条件下、約13.5個のβ−CyDが貫通したポリカテナンの調製が確認された。
なお、PEG鎖と擬ポリロタキサンを形成可能なα−CyDの場合、単独重合体であるチオール化PEG(HS−PEG−SH)やHS−PEG−PPG−PEG−SHとポリカテナンを形成しなかった(表3)。一方、β−CyDと同様、PPG鎖と擬ポリロタキサンを形成可能なγ−CyDの場合、HS−PEG−PPG−PEG−SHと収率1.6%でポリカテナンを形成した(表3)。これらの結果より、擬ポリロタキサンがポリカテナンを形成するためには、運動性の高い遊離の軸分子末端鎖の存在が重要である可能性が示唆された。
実施例1−6:ゲル浸透クロマトグラフィー
本実施例では、上述の実施例と同様に調製したβ−CyDポリカテナンの分子量を求めるため、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行った。図9は、β−CyDポリカテナンの固体試料をDMSOに溶解し、フィルター濾過後(0.22μm)のGPCチャートを示す。β−CyDポリカテナンのGPCチャートにおいて、保持時間30分付近のβ−CyD由来のピークに加え、高分子量側に複数のブロードなピークが観察された。これらのピークから数平均分子量を算出した結果、それぞれ約18,047及び37,054であり(表4)、1分子及び2分子の擬ポリロタキサンが環化して形成されたmono体及びdi体の分子量とよく一致した。さらに高分子量側には、ブロードなピークが認められ、複数の擬ポリロタキサンから形成されるmulti体の存在も示唆された。なお、mono体及びdi体の多分散度(Mw/Mn)はそれぞれ1.05及び1.03と低かったことから(表4)、分子量分布の狭いポリカテナンの形成が示唆された。以上の結果より、様々な分子量のβ−CyDポリカテナンの形成が示唆された(図10)。
本実施例では、上述の実施例と同様に調製したβ−CyDポリカテナンの分子量を求めるため、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行った。図9は、β−CyDポリカテナンの固体試料をDMSOに溶解し、フィルター濾過後(0.22μm)のGPCチャートを示す。β−CyDポリカテナンのGPCチャートにおいて、保持時間30分付近のβ−CyD由来のピークに加え、高分子量側に複数のブロードなピークが観察された。これらのピークから数平均分子量を算出した結果、それぞれ約18,047及び37,054であり(表4)、1分子及び2分子の擬ポリロタキサンが環化して形成されたmono体及びdi体の分子量とよく一致した。さらに高分子量側には、ブロードなピークが認められ、複数の擬ポリロタキサンから形成されるmulti体の存在も示唆された。なお、mono体及びdi体の多分散度(Mw/Mn)はそれぞれ1.05及び1.03と低かったことから(表4)、分子量分布の狭いポリカテナンの形成が示唆された。以上の結果より、様々な分子量のβ−CyDポリカテナンの形成が示唆された(図10)。
実施例2:還元環境におけるポリカテナンの物性変化とβ−CyDの放出性
実施例1において、ジスルフィド結合含有β−CyDポリカテナンを調製し、その構造解析を行った。本実施例では、還元環境下におけるポリカテナンからのβ−CyDの放出性を評価するため、還元剤DTT存在下におけるβ−CyDポリカテナンの粒子径や分子量変化を測定した。さらに、ポリカテナンから放出されたβ−CyDを、旋光計を用いて定量した。
実施例1において、ジスルフィド結合含有β−CyDポリカテナンを調製し、その構造解析を行った。本実施例では、還元環境下におけるポリカテナンからのβ−CyDの放出性を評価するため、還元剤DTT存在下におけるβ−CyDポリカテナンの粒子径や分子量変化を測定した。さらに、ポリカテナンから放出されたβ−CyDを、旋光計を用いて定量した。
実施例2−1:還元環境における粒子径変化
本実施例では、DTT存在下、ポリカテナンの水中における粒子径変化を動的光散乱法により測定した。図11は、β−CyDポリカテナンを少量のDMSOに溶解後、DTT水溶液で希釈した際の粒子径を示す。β−CyDポリカテナンは、水中で100 nm程度の粒子を形成し、DTT添加後、時間依存的に粒子径が低下した。このように、β−CyDポリカテナンの粒子径は、還元環境下で低下することが示唆された。
本実施例では、DTT存在下、ポリカテナンの水中における粒子径変化を動的光散乱法により測定した。図11は、β−CyDポリカテナンを少量のDMSOに溶解後、DTT水溶液で希釈した際の粒子径を示す。β−CyDポリカテナンは、水中で100 nm程度の粒子を形成し、DTT添加後、時間依存的に粒子径が低下した。このように、β−CyDポリカテナンの粒子径は、還元環境下で低下することが示唆された。
実施例2−2:還元環境における分子量変化
本実施例では、DTT存在下におけるβ−CyDポリカテナンの経時的なGPCチャートの変化を検討した。図12は、β−CyDポリカテナンをDTT含有DMSO溶液に添加後、経時的にGPCを測定した結果を示す。DTT添加後、経時的にβ−CyDポリカテナンのピークが減少するとともに、HS−PEG−PPG−PEG−SH及びβ−CyD由来のピーク強度が増加した。これらの結果より、β−CyDポリカテナンは、還元環境下において分解し、β−CyDを放出することが示唆された。
本実施例では、DTT存在下におけるβ−CyDポリカテナンの経時的なGPCチャートの変化を検討した。図12は、β−CyDポリカテナンをDTT含有DMSO溶液に添加後、経時的にGPCを測定した結果を示す。DTT添加後、経時的にβ−CyDポリカテナンのピークが減少するとともに、HS−PEG−PPG−PEG−SH及びβ−CyD由来のピーク強度が増加した。これらの結果より、β−CyDポリカテナンは、還元環境下において分解し、β−CyDを放出することが示唆された。
実施例2−3:還元環境におけるポリカテナンからのβ−CyDの放出挙動
本実施例では、ポリカテナンの固体試料をDTT水溶液に分散後、液相に溶出したβ−CyDを経時的に定量することにより、還元環境におけるポリカテナンからのβ−CyDの放出挙動を検討した。図13に示すように、DTT非存在下、ポリカテナンからのβ−CyDの放出率は、1時間後においても10%以下であったのに対して、DTT存在下では、20分以内にほぼ100%のβ−CyDが放出された。以上の結果より、還元環境下、β−CyDは速やかに放出されることが示唆された。
本実施例では、ポリカテナンの固体試料をDTT水溶液に分散後、液相に溶出したβ−CyDを経時的に定量することにより、還元環境におけるポリカテナンからのβ−CyDの放出挙動を検討した。図13に示すように、DTT非存在下、ポリカテナンからのβ−CyDの放出率は、1時間後においても10%以下であったのに対して、DTT存在下では、20分以内にほぼ100%のβ−CyDが放出された。以上の結果より、還元環境下、β−CyDは速やかに放出されることが示唆された。
本発明により、β−CyD又はその誘導体を含むカテナンが提供される。さらに、本発明により、両端にチオール基を有する直鎖状ポリマーが、β−CyD又はその誘導体の開口部を串刺し状に貫通する本発明擬ロタキサンと、チオール酸化剤とを反応させることを含む、β−CyD又はその誘導体を含むカテナンが提供され、β−CyD又はその誘導体を含むカテナンの製造及びその単離が可能となる。本発明によれば、これまで合成されていなかった、3以上のβ−CyD又はその誘導体を環状ポリマーが貫通するカテナンの製造及びその単離が可能となる。本発明の製造方法は、簡便なワンポットの方法であり、種々の分野に応答できる。
CyD及びその誘導体はこれまで種々の癌に対して抗腫瘍作用を示すことが報告されており、このため、多数のCyDと結合し運搬することのできるCyDポリロタキサンは、機能性医用素材や薬物送達担体として広く利用できる。CyDの中でも特に、β−CyDは、医療分野での応用実績が多く、生体膜への作用も他のCyDより強いため、β−CyDポリロタキサンは医薬への応用に対して、多くの可能性を有している。本発明により提供されるポリカテナンは、エンドキャップフリーでβ−CyDを軸分子にトラップできるため、ポリロタキサンの代替として、ユニークな機能性医用素材、薬物送達担体となり得る。また、本発明により提供されるβ−CyDポリカテナンは、細胞内などの還元環境下において、ジスルフィド結合の分解により、ポリカテナンからシクロデキストリンが放出される結果、抗腫瘍活性を示すことが期待される。
また、CyDポリロタキサンは、環動ゲルの成分として既に実用化されている。そこでは、ポリロタキサン中のCyDが分子間で架橋されることにより調製され、架橋点が軸分子に沿って可動となるため、滑車効果により環動ケル特性を付与できる。架橋点に本発明のポリカテナンを用いれば、ポリロタキサン中のCyDの1次元的(直線状)な運動に留まらず、CyDの運動を二次元化(環状)でき、多彩な特性を付与できる可能性がある。
本発明により提供されるカテナンは、上記の種々の分野において利用可能である。例えば、本発明のカテナンは、機能性医用素材、薬物送達担体、又は、環動ゲルとして工業的素材にもなり得る。
Claims (16)
- 一般式(I)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物を含むカテナンであって、一般式(II)で表される化合物が、該一般式(I)で表される化合物の開口部に串刺し状に貫通しているカテナン。 - 一般式(I)で表される化合物を3個以上含み、一般式(II)においてn個のyの総和が6以上である、請求項1に記載のカテナン。
- 一般式(I)で表される化合物を10個以上含む、請求項1に記載のカテナン。
- 一般式(I)で表される化合物のR2及びR3がそれぞれHである、請求項1〜3のいずれか一つに記載のカテナン。
- 一般式(I)で表される化合物のR1がOHである、請求項4に記載のカテナン。
- xが5以上の整数であり、zが5以上の整数である、請求項1〜5のいずれかに記載のカテナン。
- xが10以上の整数であり、zが10以上の整数であり、yが20以上の整数である、請求項1〜5のいずれか一つに記載のカテナン。
- シクロデキストリン及びポリエチレングリコール(PEG)−ポリプロピレングリコール(PPG)−ポリエチレングリコール(PEG)鎖を含むカテナンであって、該PEG-PPG-PEG鎖は、該シクロデキストリンの開口部に串刺し状に貫通し、かつ、該PEG-PPG-PEG鎖の両端がジスルフィド結合により結合しているカテナン、
ここで、該シクロデキストリンは、β−シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれるシクロデキストリンであって、その数は3個以上1000個以下であり、該PEG-PPG-PEG鎖の分子量は、PEG部分が、それぞれ90以上22000以下であり、PPG部分が、350以上58000以下である、ここで、PEG部分の分子量は同じであっても異なってもよい。 - 前記シクロデキストリンの数が、10個以上100個以下であり、前記EG-PPG-PEG鎖の分子量が、PEG部分が、それぞれ220以上4400以下であり、PPG部分が1200以上5800以下である、請求項8に記載のカテナン。
- 前記シクロデキストリンが、β−シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンである、請求項8又は9に記載のカテナン。
- 擬ロタキサンと、チオール酸化剤とを反応させることを含む、請求項1〜7のいずれかに記載のカテナンの製造方法であって、該擬ロタキサンが、一般式(III)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物が一般式(I)
- さらに、前記の擬ロタキサンとチオール酸化剤とを反応させる工程(工程aという)の後に、以下の工程:
得られた反応生成物を、DMSOを含む溶液、DMFを含む溶液又は強塩基性の水に懸濁し、次いで、水溶性画分、並びに、アセトン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン及びイソプロピルアルコールからなる群より選ばれる溶媒の可溶性画分を除去する工程、
を含む、請求項11に記載の方法。 - 工程aにより得られた反応生成物を、DMSOを含む溶液に懸濁し、次いで、水溶性画分及びアセトン可溶性画分を除去する、請求項12に記載の方法。
- 一般式(III)
からなる群より選ばれるいずれかを表し、L2は、以下の式:
からなる群より選ばれるいずれかを表す)(ここで、上記L1とL2におけるqは、それぞれ独立であり、互いに異なっていても同じでもよい)で表される化合物が、一般式(I)
- 一般式(I)で表される化合物を10個以上含み、該化合物のR2及びR3がそれぞれHである、請求項14に記載の擬ロタキサン。
- 一般式(I)で表される化合物のR1がOHである、請求項15に記載の擬ロタキサン。
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