JPWO2018143031A1 - 粘着クリーナー - Google Patents

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    • A47FURNITURE; DOMESTIC ARTICLES OR APPLIANCES; COFFEE MILLS; SPICE MILLS; SUCTION CLEANERS IN GENERAL
    • A47LDOMESTIC WASHING OR CLEANING; SUCTION CLEANERS IN GENERAL
    • A47L25/00Domestic cleaning devices not provided for in other groups of this subclass 

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Abstract

クリーニング対象物から微粒子を除去するための粘着クリーナーが提供される。その粘着クリーナーは、基材の第一面に粘着剤層を有する粘着テープが該粘着剤層を外側として巻回されている粘着テープロールを含み、該粘着テープロールを上記クリーニング対象物に押し付けつつ転動させることにより上記微粒子を上記粘着剤層で捕捉するように構成されている。上記粘着テープは、粘着力が3.0N/25mm以下であり、かつ50枚積層硬度が74以上である。

Description

本発明は、微粒子を除去するための粘着クリーナーに関する。
本出願は、2017年2月3日に出願された日本国特許出願2017−018808および2017年3月29日に出願された日本国特許出願2017−065963に基づく優先権を主張しており、それらの出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。
衣類、家具、内装材、日用品等のクリーニング対象物に付着した髪の毛、埃、ゴミ等を除去するクリーナーの1つに、粘着テープを用いた粘着クリーナーがある。例えば特許文献1には、粘着テープの粘着面が表側を向くように巻回された粘着テープロールを回転可能に保持する支持軸を有する清掃具本体と、同清掃具本体に対して粘着テープロールの外周面を覆うように取り付けられる保護ケースとを有する携帯式の粘着式清掃具が記載されている。粘着クリーナーに関する他の技術文献として特許文献2,3が挙げられる。
日本国特許出願公開2009−219575号公報 日本国特許出願公開2014−76149号公報 日本国特許出願公開2002−315718号公報
特許文献1には、粘着クリーナーによると、髪の毛など衣類に絡みやすいゴミを回収することができ、花粉等の微細なゴミも埃を立てることなく回収できることが記載されている。しかし、衣類その他のクリーニング対象物に付着した花粉等の除去に対する意識は近年ますます高まっており、従来の粘着クリーナーではユーザーの要望に十分に応えられなくなってきている。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、クリーニング対象物から花粉等の微粒子を除去する用途に適した粘着クリーナーを提供することを目的とする。
この明細書によると、クリーニング対象物から微粒子を除去するための粘着クリーナーが提供される。上記粘着クリーナーは、基材の第一面に粘着剤層を有する粘着テープが該粘着剤層を外側として巻回されている粘着テープロールを含み、該粘着テープロールを上記クリーニング対象物に押し付けつつ転動させることにより上記微粒子を上記粘着剤層で捕捉するように構成されている。ここで、上記粘着テープは、粘着力が3.0N/25mm以下であり、かつ50枚積層硬度が74以上である。
このような構成の粘着クリーナーは、粘着テープロール(以下、略して「粘着ロール」ともいう。)を構成する粘着テープの50枚積層硬度が高いので、該粘着ロール表面の粘着剤をクリーニング対象物にしっかり押し付けることができ、該クリーニング対象物の奥に入り込んでいる微粒子にも粘着剤を接触させることができる。また、上記粘着テープの粘着力が3.0N/25mm以下に抑えられているので、粘着ロールをクリーニング対象物にしっかり押し付けながら該粘着ロールを転動させてもクリーニング対象物を傷めにくい。したがって、上記粘着クリーナーによると、クリーニング対象物の傷みを抑えつつ、花粉等の微粒子を効率よく除去することができる。なお、本明細書において硬度とは、特記しない限り、JIS K 7312に基づくアスカーC硬度をいう。また、本明細書において微粒子とは、光学顕微鏡による観察に基づく平均粒子径が500μm以下である粒子をいう。上記平均粒子径の値としては、外形が球形ではない粒子については同体積の球の直径に換算した値(球換算径)が用いられる。
上記クリーニング対象物は、例えば、各種の衣類であり得る。上記衣類は、織布、不織布、植毛布等のように表面に繊維を有していてもよく、皮革類等のように表面に繊維を有していなくてもよい。ここに開示される粘着クリーナーは、このようなクリーニング対象物から微粒子を除去する用途に好ましく適用され得る。
上記クリーニング対象物は、また、各種の繊維製品であり得る。上記繊維製品の例には、表面に繊維を有する衣類、家具、内装材、日用品、紙類、紙製品類等が含まれる。ここに開示される粘着クリーナーは、このようなクリーニング対象物から微粒子を除去する用途に好ましく適用され得る。
ここに開示される粘着クリーナーのいくつかの態様において、上記粘着剤層の表面は平坦であることが好ましい。粘着剤層の表面に目立った凹凸があると、粘着ロールをクリーニング対象物に押し付けたときに、粘着剤層の凹部では押し付けが弱くなり、該凹部を構成する粘着剤が微粒子を捕捉しにくくなる。粘着剤層の表面が平坦であると、微粒子の除去に有効に利用し得る面積が広くなり、該微粒子の除去効率が上昇する傾向にある。
いくつかの態様において、上記粘着テープは暗色に着色されていることが好ましい。暗色の粘着テープによると、粘着剤に捕捉されて除去された微粒子(例えば花粉)を目視で確認しやすい。これにより、微粒子除去の進行を確認しながら効率よくクリーニングを行うことができる。除去した微粒子を確認しやすいことは、ユーザーの満足度向上の観点からも好ましい。
いくつかの態様において、上記粘着テープは、10枚積層硬度と50枚積層硬度との差が10以下であることが好ましい。このような粘着テープは、粘着ロールの残量による微粒子除去性能の違いが小さいので好ましい。
いくつかの態様において、上記粘着剤層の厚さは10μm以上であり得る。このような厚さの粘着剤層は、上述のように粘着力が抑制された粘着ロールをクリーニング対象物にしっかりと押し付けて該粘着剤層により微粒子を捕捉する目的に適している。
ここに開示される粘着クリーナーは、例えば、平均粒子径が2μm以上200μm以下の範囲にある微粒子(例えば花粉)を除去する用途に好ましく適用され得る。このような微粒子のクリーニング対象物からの除去において、ここに開示される構成を採用することの意義が特に効果的に発揮され得る。
ここに開示される粘着クリーナーは、上記粘着ロールを転動可能に支持する治具を備えていてもよい。このような治具を有する粘着クリーナーは、上記粘着ロールをクリーニング対象物に押し付けつつ該クリーニング対象物の表面に沿って転動させる操作を行いやすい。したがって、クリーニング対象物から微粒子を効率よく除去することができる。上記構成は、特に、使用者(ユーザー)が衣類を身に着けたまま該衣類に粘着ロールを押し付けて転動させる使用態様に好適である。
図1は、一実施形態に係る粘着クリーナーの粘着ロールを模式的に示す斜視図である。 図2は、一実施形態に係る粘着クリーナーの粘着テープを模式的に示す断面図である。 図3は、一実施形態に係る粘着クリーナーを示す正面図である。 図4は、サンプル4の粘着ロールをシルク布の表面で転動させた後の、該粘着ロール表面の顕微鏡像である。 図5は、サンプル1の粘着ロールをシルク布の表面で転動させた後の、該粘着ロール表面の顕微鏡像である。 図6は、粘着テープの積層数と硬度との関係を示す特性図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際に提供される製品のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
<粘着クリーナーの構造>
以下、ここに開示される粘着クリーナーのいくつかの実施形態を説明する。
図1は、一実施形態に係る粘着クリーナーにおける粘着ロールを示す斜視図であり、図2は該粘着ロールを構成する粘着テープの断面図である。粘着ロール10は、テープ状(長尺帯状)の基材22の一方の面(第一面)22Aに粘着剤層23が形成された粘着テープ20を、その粘着剤層23が外側(ロールの外周側)を向くようにして、巻芯14の周囲にロール状に巻回してなる。図1には、説明の便宜のため、粘着テープ20の巻回外周端201から粘着ロール10のほぼ一周分の長さを粘着ロール10から引き出した状態を示している。巻芯14としては、コストや廃棄処分の容易性等の観点から、紙製(典型的にはボール紙製)のものを好ましく用いることができる。あるいは、他の材質(例えば合成樹脂)からなる巻芯であってもよい。また、巻芯14を使わずに粘着テープ20のみをロール状に巻回してなる、いわゆるコアレスタイプの粘着ロールであってもよい。すなわち、本発明において、巻芯14はあくまでも任意的な構成要素である。
粘着テープ20は、粘着ロール10の表面の性能(例えば、微粒子の捕捉性能)が低下したら、粘着テープ20のうち粘着ロール10の最外周の部分を巻回体から引き出して(巻き戻して)切り取ることにより、粘着ロール10の表面に新しい粘着剤を露出させることができる。すなわち、上記引出しおよび切取りによって粘着ロールの表面に露出させる粘着剤を更新することで性能を維持し得るように構成されている。かかる切取りの便宜のために、粘着テープ20には、粘着ロール10のほぼ一周長毎に、切断用の切れ目24が設けられている。この切れ目24は、粘着テープ20の長手方向の一端を残部から切断しやすくするために用いられる切断手段であって、例えば、長孔や波形のスリットを並べたもの、ミシン目等の間欠スリット、等であり得る。
なお、図1に示す例では、切れ目24が粘着テープ20の幅方向(長手方向と直交する方向)に沿って設けられているが、幅方向に対して斜めに設けられていてもよい。切れ目の延びる方向は、一定であってもよく、途中で変わってもよい。例えば、粘着テープの幅の途中に、切れ目の延びる方向が直線的または曲線的に屈曲する箇所が一または二以上設けられていてもよい。また、図1に示す例では、粘着テープ20の幅全体を横断して切れ目24が設けられているが、粘着テープ20の幅の一方から途中まで延びて切断のきっかけを与えるように設けられた切れ目24であってもよい。
このように構成された粘着ロール10は、例えば、図3に示すような治具50とともに、該治具50の回転部材52に取り付けられた形態の粘着クリーナー1として用いることができる。回転部材52は棒状であって、棒状の把持部材54の一端に回転自在に支持されている。粘着クリーナー1は、例えば、粘着ロール10の巻回中心に設けられた空洞部(巻芯を有する態様では、該巻芯の空洞部であり得る。)に回転部材52を挿入することにより、粘着ロール10が回転部材52と連動してロール周方向に回転するように構成されている。図3に示す粘着クリーナー1は、把持部材54の他端を掴んで粘着ロール10の外周面をクリーニング対象物56の表面に押し付けつつ、該クリーニング対象物56の表面に沿って粘着ロール10を転動させて使用される。上記空洞部に挿入される回転部材52は、粘着ロール10の剛性の向上にも役立ち得る。
なお、粘着クリーナーを構成する治具の形態は、図3に示すものに限定されず、目的および用途に応じて種々の形態の治具を適用することができる。例えば、図3に示す形態では把持部材54が粘着ロール10の径方向に延びているが、把持部材は、粘着ロールの巻回軸に沿って延びていてもよく、上記巻回軸とのなす角が凡そ60度以下、または45度以下、または30度以下となる方向に延びていてもよい。また、この明細書により提供される粘着クリーナーは、図3に示すように治具と粘着ロールとを含む形態に限定されず、粘着ロールをそのまま粘着クリーナーとして用いるものであってもよい。すなわち、ここに開示される粘着ロールは、粘着クリーナーとしても把握され得る。また、この明細書により提供される粘着クリーナーの概念には、必要に応じて適当な治具に交換可能または使い切りの形態で取り付けて粘着クリーナーを構成する粘着ロール(詰め替え用粘着クリーナー)が含まれる。
<基材>
粘着テープの基材としては、各種の樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、金属箔、これらの複合体等を用いることができる。樹脂フィルムの材料としては、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)(例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー)、アクリル樹脂等が例示される。アクリル樹脂としては、アクリロイル基を有するモノマーを多く(典型的には、重量基準で、メタクリロイル基を有するモノマーよりも多く)用いて合成されたもの、メタクリロイル基を有するモノマーを多く(典型的には、重量基準でアクリロイル基を有するモノマーよりも多く)用いて合成されたもののいずれも使用可能である。なお、ここでいうアクリル樹脂の概念には、一般にアクリルゴムと称されるものが包含され得る。紙の例としては、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が挙げられる。布の例としては、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。上記繊維状物質としては、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が例示される。ゴムシートの例としては、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる。発泡体シートの例としては、発泡ポリオレフィンシート(PE製発泡体シート、PP製発泡体シート等)、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等の樹脂発泡体シートが挙げられる。金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。なお、この明細書において「樹脂フィルム」とは、典型的には非多孔質のフィルムであって、発泡体シートとは異なり、いわゆる不織布や織布とも区別される概念である。基材の構成材料には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤など)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
基材は、単層構造であってもよく、二以上の層が積層した複層構造であってもよい。例えば、紙の背面に剥離処理剤による剥離処理層を有する形態の基材、紙の背面に樹脂フィルムが積層された形態の基材、紙の背面に樹脂材料が溶融押出しコーティングされた形態の基材、単層または複層の樹脂フィルム、単層または複層の樹脂発泡体シート、等を好ましく用いることができる。単層または複層の樹脂フィルムの好適例として、PETフィルム等のポリエステルフィルムや、PEフィルムやPPフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。一態様において、少なくとも第二面が樹脂材料により構成された基材を用いることができる。上記第二面を構成する樹脂材料としては、PE樹脂等のポリオレフィン樹脂が好ましく用いられ得る。
基材の第一面(粘着ロールの外側を向く面)には、コロナ放電処理や下塗り剤の塗布等の、第一面に対する投錨性を高めるための表面処理が施されていてもよい。また、第一面に表面処理が施されていない基材を使用してもよい。第一面が紙または布製である基材によると、上記表面処理を必要とすることなく良好な投錨性が得られやすい。このことは、コスト低減や生産性向上等の観点から有利となり得る。
基材の第二面(粘着ロールの内側を向く面)には、剥離処理剤の塗布等の、粘着ロールの巻戻し力を調節するための表面処理が施されていてもよい。好ましい一態様において、紙の第二面(公知の目止め剤で処理された面であり得る。)に剥離処理が施された基材や、紙の第二面に積層された樹脂フィルムに剥離処理が施された基材等を用いることができる。剥離処理に使用する剥離処理剤は特に限定されず、例えば、シリコーン系剥離処理剤やフッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、その他の公知または慣用の剥離処理剤を、目的や用途に応じて用いることができる。剥離処理剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましい他の一態様において、第二面に上記表面処理が施されていない基材を用いることができる。例えば、第二面が低極性の樹脂材料(例えば、PE樹脂等のポリオレフィン樹脂)により構成された基材を使用することにより、上記表面処理(剥離処理等)を必要とすることなく適切な巻戻し力を示す粘着ロールを好適に実現することができる。
ここに開示される技術において、基材の厚さは、目的に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。基材の厚さは、例えば10μm以上であってよく、25μm以上でもよく、35μm以上でもよい。基材の厚さが大きくなると、該基材の強度は向上する傾向にある。したがって、基材の厚さを大きくすることは、粘着テープをロールから引き出す際の千切れや裂けを防止する観点から有利となり得る。例えば、樹脂フィルムや不織布、紙製の基材に対して上記の厚さを好ましく適用することができる。いくつかの態様において、基材の厚さは、例えば40μm以上であってよく、50μm以上であってもよい。また、いくつかの態様において、基材の厚さは、例えば200μm以下であってよく、150μm以下でもよく、100μm以下でもよく、80μm以下でもよい。基材の厚さが小さくなると、粘着ロールの不使用時(保管中)において、粘着テープの巻きほどけ(すなわち、粘着テープの巻回外周端がその内周のロール表面から浮いて開いてくる事象)を抑制しやすくなる。例えば、基材としてPETフィルム等の樹脂フィルムを用いる態様において、50μm以下または40μm以下の厚さの基材を好ましく採用し得る。
なお、上述のような粘着テープの巻きほどけを抑制するには、樹脂フィルム製の基材に比べて、紙製の基材のほうが概して有利である。ここでいう紙製の基材の概念には、紙の背面に剥離処理層を有する形態の基材や、紙の背面に樹脂フィルムが積層された形態の基材、紙の背面に樹脂材料が溶融押出しコーティングされた形態の基材等が包含される。紙製の基材を用いることは、粘着剤層の投錨性や、粘着テープの手切れ性等の観点からも好ましい。また、紙製の基材によると粘着テープが帯電しにくいので、粘着クリーナーの使用時に粘着剤層以外の箇所に微粒子が吸着する事象が起こりにくく好ましい。
基材の幅(すなわち粘着テープの幅)は、目的に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。粘着クリーナーの使い勝手や処理効率の観点から、基材の幅は、通常、1cm以上とすることが適当であり、3cm以上が好ましく、5cm以上であってもよく、7cm以上であってもよい。いくつかの態様において、基材の幅は、例えば凡そ12cm以上であってよく、凡そ14cm以上であってもよい。また、基材の幅は、例えば凡そ100cm以下であってよく、凡そ70cm以下でもよく、凡そ50cm以下でもよく、凡そ40cm以下でもよく、凡そ35cm以下でもよく、凡そ30cm以下でもよい。粘着クリーナーの形態性や、多様な形状のクリーニング対象物への適用容易性等を考慮して、いくつかの態様において、基材の幅は、例えば凡そ25cm以下であってよく、凡そ20cm以下でもよく、凡そ15cm以下でもよく、凡そ10cm以下でもよい。
<粘着剤層>
ここに開示される粘着クリーナーにおいて、粘着剤層を構成する粘着剤は特に限定されない。上記粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を用いることができる。ここで、ゴム系粘着剤とは、ベースポリマーとしてゴム系ポリマーを含む粘着剤をいう。他の粘着剤についても同様である。なお、本明細書においてベースポリマーとは、ポリマー成分のなかの主成分(最も配合割合の高い成分)を指す。ここに開示される粘着剤に含まれるポリマー成分に占めるベースポリマーの割合は、固形分基準で、典型的には凡そ50重量%以上であり、通常は凡そ70重量%以上が適当であり、凡そ90重量%以上であってもよい。上記ベースポリマーの割合は、上限が100重量%であり、例えば凡そ99重量%以下であってもよい。
いくつかの態様において、粘着性能やコストの観点から、上記粘着剤としてゴム系粘着剤またはアクリル系粘着剤を好ましく採用し得る。
(ゴム系粘着剤)
ゴム系粘着剤としては、天然ゴムやその変性物等の天然ゴム系重合体、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、結晶性ポリオレフィン−エチレン/ブチレン−結晶性ポリオレフィンブロック共重合体(CEBC)、およびスチレン−エチレン/ブチレン−結晶性ポリオレフィンブロック共重合体(SEBC)等のゴム系ポリマーの1種または2種以上をベースポリマーとして含む粘着剤が挙げられる。ゴム系粘着剤の一好適例として、SISをベースポリマーとする粘着剤(SIS系粘着剤)が挙げられる。
ゴム系粘着剤は、ベースポリマーとしての上記ゴム系ポリマーの他、例えば、粘着付与剤(タッキファイヤー)およびプロセスオイルを主要な成分として含有し得る。
上記粘着付与剤としては、一般的なロジン系、テルペン系、炭化水素系、エポキシ系、ポリアミド系、エラストマー系、フェノール系、ケトン系等の各種粘着付与樹脂を、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。特に限定するものではないが、ベースポリマー100重量部に対する粘着付与剤の配合量は、例えば凡そ50〜200重量部程度であってよく、通常は凡そ80〜150重量部程度が適当である。
上記プロセスオイルとしては、例えば、一般的なパラフィン系、ナフテン系、芳香族系等のプロセスオイルを、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。特に限定するものではないが、ベースポリマー100重量部に対するプロセスオイルの配合量は、例えば凡そ50〜200重量部程度であってよく、通常は凡そ90〜150重量部程度が適当である。
(アクリル系粘着剤)
アクリル系粘着剤は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含む粘着剤である。ここでアクリル系ポリマーとは、一分子中に少なくともひとつの(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(以下、これを「アクリル系モノマー」ということがある。)を主構成モノマー成分とするポリマーを指す。上記主構成モノマー成分とは、アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分の総量のうち50重量%以上を占める成分をいう。上記モノマー成分の70重量%以上(例えば90重量%以上)がアクリル系モノマーであってもよい。なお、本明細書中において(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基を包括的に指す意味である。同様に、本明細書中において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートを包括的に指す意味である。
アクリル系ポリマーは、該ポリマーを構成するモノマー成分が2種以上のモノマーを含む場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体やグラフト共重合体等であってもよい。製造容易性や取扱い性の観点から好ましいアクリル系ポリマーとして、ランダム共重合体およびブロック共重合体が挙げられる。アクリル系ポリマーは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい一態様において、上記アクリル系ポリマーは、アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとして含むモノマー原料から合成されたアクリル系ランダム共重合体を含む。アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素原子数1〜20の鎖状アルキル基をエステル末端に有するアルキル(メタ)アクリレート、すなわちC1−20アルキル(メタ)アクリレートを好ましく使用することができる。粘着剤の貯蔵弾性率等の観点から、C1−12(例えばC2−10、典型的にはC4−8)アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましいアルキル(メタ)アクリレートとして、n−ブチル(メタ)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、n−ブチルアクリレート(BA)および2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)の一方または両方を用いることが好ましい。
アクリル系ランダム共重合体を構成する全モノマー成分に占める主モノマーの割合は、凡そ60重量%以上であることが好ましく、凡そ80重量%以上であることがより好ましく、凡そ90重量%以上であることがさらに好ましい。全モノマー成分に占める主モノマーの割合の上限は特に限定されないが、粘着剤の特性(粘着力、凝集力など)の調整を容易とする観点から、通常は凡そ99重量%以下(例えば凡そ98重量%以下、典型的には凡そ95重量%以下)とすることが好ましい。アクリル系ランダム共重合体は、実質的に主モノマーのみを重合したものであってもよい。
上記アクリル系ランダム共重合体を重合するために用いられるモノマー原料は、粘着剤の特性調節等を目的として、主モノマーに加えて、該主モノマーと共重合可能な副モノマーをさらに含んでもよい。そのような副モノマーの好適例として、官能基を有するモノマー(以下、官能基含有モノマーともいう。)が挙げられる。上記官能基含有モノマーは、アクリル系ポリマーに架橋点を導入し、粘着剤の特性(粘着力、凝集力等)を調節しやすくする目的で添加され得る。上記官能基含有モノマーの例としては、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、水酸基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基(グリシジル基)含有モノマー、アルコキシ基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー等が挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。アクリル系ポリマーに架橋点を導入しやすく、また架橋密度を調節しやすいことから、カルボキシ基、水酸基およびエポキシ基の少なくともいずれかを有する官能基含有モノマーを好ましく採用し得る。なかでも好ましい官能基含有モノマーとして、カルボキシ基含有モノマーおよびヒドロキシ基含有モノマーが挙げられる。カルボキシ基含有モノマーの好適例としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。水酸基含有モノマーの好適例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。
上述のような官能基含有モノマーを用いる場合、アクリル系ポリマーを重合するための全モノマー成分中に上記官能基含有モノマー(好適にはカルボキシ基含有モノマー)が凡そ1〜10重量%(例えば凡そ2〜8重量%、典型的には凡そ3〜7重量%)配合されていることが好ましい。
上記モノマー原料は、副モノマーとして、例えばアクリル系ポリマーの凝集力を高める等の目的で、上記官能基含有モノマー以外のモノマーを含んでもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン等)、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート)、アリールアルキル(メタ)アクリレート(例えばベンジル(メタ)アクリレート)等の芳香族性環含有(メタ)アクリレート;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;等が挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記官能基含有モノマー以外の副モノマーの量は、目的および用途に応じて適宜選択すればよく特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマーを重合するための全モノマー成分中、凡そ20重量%以下(例えば2〜20重量%程度、典型的には3〜10重量%程度)とすることが好ましい。
アクリル系ポリマーの合成方法は特に限定されず、従来公知の溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の一般的な重合方法を適宜採用することができる。重合の態様は特に限定されず、従来公知のモノマー供給方法、重合条件(温度、時間、圧力等)、モノマー以外の使用成分(重合開始剤、界面活性剤等)を適宜選択して行うことができる。アクリル系ランダム共重合体の重量平均分子量(Mw)は特に限定されず、例えば30×10〜100×10程度であり得る。
好ましい他の一態様において、上記アクリル系ポリマーは、アクリル系ブロック共重合体を含む。上記アクリル系ブロック共重合体は、熱可塑性ポリマー(典型的には熱可塑性エラストマー)の性質を示すものであり得る。このようなアクリル系ブロック共重合体をベースポリマーとして含む粘着剤は、ホットメルト形式での塗工に適したものとなり得る。粘着剤層の形成にホットメルト型粘着剤を用いることは、生産性や環境負荷軽減の観点から好ましい。溶融粘度低減等の観点から、星形構造や分岐構造に比べて、直鎖構造のアクリル系ブロック共重合体が有利である。
上記アクリル系ブロック共重合体としては、例えば、少なくとも1つのアクリレートブロック(以下、Acブロックともいう。)と、少なくとも1つのメタクリレートブロック(以下、MAcブロックともいう。)とを1分子中に備えるものを好ましく採用し得る。上記Acブロックは、該Acブロックを構成する全モノマー単位のうち凡そ50重量%以上、好ましくは凡そ75重量%以上がアルキルアクリレートに由来するモノマー単位である。上記MAcブロックは、該MAcブロックを構成する全モノマー単位のうち凡そ50重量%以上、好ましくは凡そ75重量%以上がアルキルメタクリレートに由来するモノマー単位である。
Acブロックを構成するアルキルアクリレートの例としては、炭素原子数1〜20のアルキル基をエステル末端に有するアルキルアクリレート(すなわち、C1−20アルキルアクリレート)が挙げられる。構成モノマー単位としてC4−14アルキルアクリレートを含むAcブロックが好ましく、C4−9アルキルアクリレートを含むAcブロックがより好ましい。C4−9アルキルアクリレートの好適例として、BA、2EHA、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート(IOA)、n−ノニルアクリレートおよびイソノニルアクリレート(INA)が挙げられる。例えば、BAおよび2EHAの少なくとも一方を含むAcブロックが好ましい。
好ましい一態様において、Acブロックを構成するモノマー単位のうちC4−14アルキルアクリレートの割合は、例えば50重量%以上であり、75重量%以上でもよく、実質的に100重量%(例えば、99重量%を超えて100重量%以下)でもよい。例えば、Acブロックを構成するモノマー単位が実質的にBA単独である構成、2EHA単独である構成、BAおよび2EHAの2種からなる構成等を好ましく採用し得る。Acブロックを構成するモノマー単位がBAと2EHAの両方を含む態様において、BAと2EHAとの重量比は特に限定されない。BA/2EHAの重量比は、例えば10/90〜90/10、好ましくは80/20〜20/80、より好ましくは30/70〜70/30であり、60/40〜40/60であってもよい。
MAcブロックを構成するアルキルメタクリレートとしては、C1−20(好ましくはC1−14)アルキルメタクリレートが挙げられる。MAcブロックを構成するモノマーのうちC1−4(好ましくはC1−3)アルキルメタクリレートの割合は、例えば凡そ50重量%以上であってよく、凡そ75重量%以上でもよく、実質的に100重量%(例えば、99重量%を超えて100重量%以下)でもよい。なかでも好ましいアルキルメタクリレートとして、メチルメタクリレート(MMA)およびエチルメタクリレート(EMA)が挙げられる。例えば、上記モノマー単位が実質的にMMA単独である構成、EMA単独である構成、MMAおよびEMAの2種からなる構成等を好ましく採用し得る。
一態様において、C6−12アルキルアクリレートとC2−5アルキルアクリレートとを20/80〜80/20(より好ましくは30/70〜70/30、さらに好ましくは40/60〜60/40、例えば45/55〜55/45)の重量比で含むモノマー単位から構成されたAcブロックを有するアクリル系ブロック共重合体を用いることができる。このようなアクリル系ブロック共重合体は、低温性能と凝集性とのバランスに優れたものとなり得る。例えば、2EHAとBAとを上記重量比で含むモノマー単位から構成されたAcブロックを有するアクリル系ブロック共重合体を好ましく使用し得る。上記Acブロックが2EHAおよびBAのみから構成されていてもよい。
アクリル系ブロック共重合体におけるAcブロック/MAcブロックの重量比は、特に限定されず、例えば4/96〜90/10であってよく、7/93〜70/30でもよく、10/90〜50/50でもよく、15/85〜40/60でもよく、15/85〜25/75でもよい。2以上のMAcブロックを含むアクリル系ブロック共重合体では、それらのMAcブロックの合計重量とAcブロックとの重量比が上記範囲にあることが好ましい。2以上のAcブロックを含むアクリル系ブロック共重合体についても同様である。
なお、アクリル系ブロック共重合体を構成するモノマー単位の組成は、NMR測定の結果に基づいて把握することができる。上記NMR測定は、具体的には、例えばNMR装置としてブルカー・バイオスピン(Bruker Biospin)社製の「AVAVCEIII−600(with Cryo Probe)」を使用して、下記の条件で行うことができる。例えば、モノマー原料に含まれる2EHAとMMAとの重量比は、H NMRスペクトルの4.0ppm(2EHA1)と3.6ppm(MMA1)とのピーク積分強度比に基づいて算出することができる。
[NMR測定条件]
観測周波数:H;600MHz
フリップ角:30°
測定溶媒:CDCl
測定温度:300K
化学シフト基準:測定溶媒(CDClH:7.25ppm)
アクリル系ブロック共重合体のMwは特に限定されず、3×10〜30×10程度であり得る。上記Mwは、通常、3.5×10〜25×10程度の範囲が好ましく、4×10〜20×10(例えば4.5×10〜15×10)の範囲がより好ましい。
なお、ここでいうアクリル系ブロック共重合体のMwは、当該共重合体をテトラヒドロフラン(THF)に溶かして調製したサンプルにつきゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を行って求められる、ポリスチレン換算の値をいう。上記GPC測定は、具体的には、例えばGPC測定装置として東ソー社製の「HLC−8120GPC」を使用して、下記の条件で行うことができる。他のポリマーおよび後述するオリゴマーのMwも同様に測定することができる。
[GPC測定条件]
・カラム:東ソー社製、TSKgel SuperHZM−H/HZ4000/HZ3000/HZ2000
・カラムサイズ:各6.0mmI.D.×150mm
・溶離液:THF
・流量:0.6mL/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度(測定温度):40℃
・サンプル濃度:約2.0g/L(THF溶液)
・サンプル注入量:20μL
ここに開示される技術におけるアクリル系ブロック共重合体には、アルキル(メタ)アクリレート以外のモノマー(その他モノマー)が共重合されていてもよい。上記その他モノマーとしては、アルコキシ基やエポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、シアノ基、カルボキシ基、酸無水物基等の官能基を有するビニル化合物、酢酸ビニル等のビニルエステル類、スチレン等の芳香族ビニル化合物、N−ビニルピロリドン等のビニル基含有複素環化合物等を例示することができる。上記その他モノマーの含有量は、アクリル系ブロック共重合体を構成する全モノマー成分の凡そ20重量%以下であってよく、凡そ10重量%以下でもよく、凡そ5重量%以下でもよい。好ましい一態様では、アクリル系ブロック共重合体が上記その他モノマーを実質的に含有しない。例えば、上記その他モノマーの含有量が全モノマー成分の1重量%未満(典型的には0〜0.5重量%)または検出限界以下であるアクリル系ブロック共重合体が好ましい。
このようなアクリル系ブロック共重合体は、公知の方法(例えば、日本国特許出願公開2001−234146号公報、日本国特許出願公開平11−323072号公報を参照)により容易に合成することができ、あるいは市販品を容易に入手することができる。上記市販品の例としては、クラレ社製の商品名「クラリティ」シリーズ(例えば、LA2140e,LA2250等の品番のもの)、カネカ社製の商品名「NABSTAR」等が挙げられる。
アクリル系ブロック共重合体は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、相対的にMwの高いアクリル系ブロック共重合体Bと、該アクリル系ブロック共重合体BよりもMwの低いアクリル系ブロック共重合体Bとを適宜の重量比で用いることができる。例えば、Mwが5×10〜20×10(例えば7×10〜20×10)の範囲にあるBと、Mwが3×10〜8×10の範囲であってかつ上記BのMwよりも低いBとの組合せが好ましい。BとBとの重量比(B/B)は特に限定されず、例えば5/95〜95/5の範囲とすることができ、10/90〜90/10であってもよく、40/60〜90/10であってもよく、55/45〜90/10であってもよい。Mwの異なる2種以上のアクリル系ブロック共重合体を含むことや、各アクリル系ブロック共重合体のMwおよび重量比は、例えば、上述したGPC測定を通じて把握することができる。
アクリル系粘着剤層には、必要に応じて粘着付与剤を含ませることができる。上記粘着付与剤としては、一般的なロジン系、テルペン系、炭化水素系、エポキシ系、ポリアミド系、エラストマー系、フェノール系、ケトン系等の各種粘着付与樹脂を、1種を単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。ベースポリマー100重量部に対する粘着付与樹脂の配合量は、例えば凡そ1重量部以上であってよく、凡そ5重量部以上でもよく、凡そ10重量部以上でもよい。また、低温特性の低下を避ける観点から、ベースポリマー100重量部に対する粘着付与剤の使用量は、通常、凡そ50重量部以下が適当であり、凡そ30重量部以下でもよく、凡そ20重量部以下でもよい。粘着剤層が粘着付与剤を実質的に含有しなくてもよい。
(フィラー)
粘着剤層には、粘着力の抑制、粘着テープの硬度向上、粘着剤の着色等の目的で、フィラーを含有させることができる。使用するフィラーの種類は、特に制限されない。例えば、粒子状や繊維状のフィラーを用いることができる。フィラー(典型的には粒子状フィラー)の構成材料は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩;酸化チタン、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化銅、酸化ニッケル等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、ベーマイト、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、珪酸、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化バリウム、酸化ジルコニウム水和物、酸化スズ水和物、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、ドウソナイト、硼砂、ホウ酸亜鉛等の金属水酸化物および水和金属化合物;炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化窒素、炭化カルシウム等の炭化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ガリウム等の窒化物;チタン酸バリウム、チタン酸カリウム等のチタン酸塩;カーボンブラック、カーボンチューブ(カーボンナノチューブ)、カーボンファイバー、ダイヤモンド等の炭素系物質;ガラス;等の無機材料;銅、銀、金、白金、ニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、ステンレス等の金属;ポリスチレン、アクリル樹脂(例えばポリメチルメタクリレート)、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(例えばナイロン等)、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン等のポリマー;等であり得る。あるいは、火山シラス、クレイ、砂等の天然原料粒子を用いてもよい。繊維状フィラーとしては、各種合成繊維材料や天然繊維材料を使用することができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。フィラーの一部または全部として顔料を用いてもよい。上記顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれであってもよい。
フィラーの平均粒径は特に限定されず、例えば凡そ50μm以下であってよく、凡そ30μm以下でもよく、凡そ15μm以下でもよい。粘着剤層の形成容易性や表面平滑性の観点から、フィラーの平均粒径は、粘着剤層の厚さの凡そ70%以下(典型的には凡そ50%以下、例えば凡そ30%以下)であることが好ましい。また、フィラーの分散性や取扱い性の観点から、平均粒径が凡そ0.01μm以上(典型的には凡そ0.1μm以上、例えば凡そ1μm以上)のフィラーを好ましく採用し得る。粘着剤層におけるフィラーの重量分率は、特に限定されず、所望の効果が得られるように設定することができる。上記重量分率は、例えば凡そ0.1%以上であってよく、凡そ1%以上でもよく、凡そ10%以上でもよく、凡そ20%以上でもよい。粘着剤層の形成容易性や表面平滑性の観点から、フィラーの重量分率は、通常、凡そ75%以下が適当であり、凡そ50%以下が好ましい。一態様において、フィラーの重量分率は、10%未満でもよく、例えば5%未満でもよい。あるいは、フィラーを含まない粘着剤層であってもよい。
(可塑剤)
粘着剤層には、必要に応じて可塑剤を含有させることができる。可塑剤は、溶融粘度の低下、粘着力の抑制、低温特性の向上等に役立ち得る。可塑剤の例としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル;トリメリット酸トリオクチル等のトリメリット酸エステル;セバシン酸エステル;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油;エポキシ化脂肪酸オクチルエステル等のエポキシ化脂肪酸アルキルエステル;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、それらのエチレンオキサイド付加物等の環状脂肪酸エステルおよびその誘導体;等が挙げられる。また、プロセスオイル等の軟化剤も可塑剤に包含される。可塑剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
可塑剤を用いる場合における使用量は、特に限定されない。一態様において、ベースポリマー100重量部に対する粘着付与剤の使用量は、凡そ1重量部以上であってよく、凡そ5重量部以上でもよく、凡そ10重量部以上でもよい。粘着テープの背面やクリーニング対象面への可塑剤の移行を防ぐ観点から、可塑剤の使用量は、通常、ベースポリマー100重量部に対して凡そ100重量部以下が適当であり、凡そ50重量部以下でもよく、凡そ30重量部以下でもよい。粘着剤層が可塑剤を実質的に含有しなくてもよい。
粘着剤層を構成する粘着剤は、粘度の調整や粘着特性の制御(例えば粘着力の低減)等の目的で、ベースポリマー以外のポリマーまたはオリゴマーを任意成分として含有してもよい。このようなポリマーまたはオリゴマー(以下、任意ポリマーともいう。)として、例えば、Mwが500〜10000程度(典型的には800〜5000程度)のアクリル系ランダム共重合体を用いることができる。
このような任意ポリマーを用いる場合における使用量は、特に限定されない。一態様において、ベースポリマー100重量部に対する上記任意ポリマーの使用量は、例えば1重量部以上であってよく、5重量部以上でもよく、10重量部以上でもよく、15重量部以上でもよく、25重量部以上でもよい。いくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対する上記任意ポリマーの使用量は、例えば70重量部以下であってよく、50重量部以下でもよく、40重量部以下でもよく、35重量部以下でもよい。他のいくつかの態様において、ベースポリマー100重量部に対する上記任意ポリマーの使用量は、例えば5重量部未満であってよく、3重量部未満でもよく、1重量部未満でもよい。ここに開示される技術は、上記粘着剤がベースポリマー以外のポリマーを実質的に含有しない態様、例えばベースポリマー100重量部に対する上記任意ポリマーの使用量が0〜0.5重量部である態様でも好適に実施され得る。
(架橋剤)
粘着剤層を構成する粘着剤は、必要に応じて架橋されていてもよい。架橋には、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム等の有機金属塩や、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、メラミン系架橋剤等の、公知の架橋剤を使用することができる。架橋剤は、1種を単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。架橋剤の使用量は特に限定されない。一態様において、ベースポリマー100重量部に対する架橋剤の使用量は、凡そ0.01重量部以上(典型的には凡そ0.02重量部以上、例えば凡そ0.05重量部以上)以下とすることができ、また、凡そ10重量部以下(例えば凡そ5重量部以下)とすることができる。粘着剤層は非架橋であってもよい。このことは簡便性等の観点から好ましい。
(その他成分)
その他、ここに開示される技術における粘着剤層には、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、染料等の、粘着剤の分野において公知の各種添加成分を必要に応じて配合することができる。これら必須成分ではない添加成分の種類や配合量は、この種の材料における通常の種類および配合量と同様とすればよい。
<粘着テープおよび粘着ロール>
上述のような粘着剤は、水分散液や有機溶剤溶液等の形態で、粘着剤層の形成に用いられ得る。また、活性エネルギー線硬化型やホットメルト型等の粘着剤も好ましく用いられ得る。なかでも、生産性向上や環境負荷軽減の観点からホットメルト型粘着剤が好ましい。基材の第一面に粘着剤層を設ける方法は特に限定されず、例えば、基材の第一面に粘着剤を直接塗工して粘着剤層を形成する方法(直接法)、適切な剥離面上に形成した粘着剤層を基材に転写する方法(転写法)等を用いることができる。粘着剤の塗工には、ダイコーターやグラビアコーター等の、従来公知の塗工手段を用いることができる。粘着剤層の形成にホットメルト型粘着剤を使用する場合、該ホットメルト型粘着剤は、有機溶剤を実質的に含有しない加熱溶融液の形態で塗工され得る。
粘着テープは、基材の第一面の全範囲(全面積)に亘って粘着剤層が形成されていてもよく、あるいは、例えば基材の幅方向の一端または両端に沿って、粘着剤層が形成されていない非粘着部(ドライエッジ)を有してもよい。図1に示す例では、基材22の幅方向の両端にドライエッジ202,204が設けられている。このようなドライエッジを設けることにより、例えば粘着ロールの最外周に露出させる粘着剤を更新する際に、粘着テープの巻回外周端をつまみやすい、ロールから引き出した粘着テープを切り取りやすい、等の効果が実現され得る。粘着剤層は、典型的には連続的に形成されるが、目的および用途によってはドット状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成されてもよい。粘着剤層の表面形状は、平坦であってもよく、ドットやストライプ等の規則的あるいはランダムなパターンで凹凸が設けられていてもよい。さらに、粘着剤層は、一部または全体が2層以上の多層構造からなるものであってもよい。
粘着剤層の厚さは特に限定されず、所望の粘着力が得られるように設定することができる。粘着剤層の厚さは、例えば200μm以下であってよく、粘着クリーナーの小型化等の観点からは100μm以下が好ましく、80μm以下でもよく、60μm以下でもよい。いくつかの態様において、粘着剤層の厚さは、例えば45μm以下であってよく、30μm以下でもよく、20μm以下でもよい。また、微粒子を捕捉し得る程度のタックを得やすくする観点から、粘着剤層の厚さは、通常、2μm以上とすることが適当であり、例えば5μm以上であってよく、7μm以上でもよい。粘着剤層の厚さを10μm以上とすることにより、より効率よく微粒子を捕捉する粘着クリーナーが実現され得る。いくつかの態様において、粘着剤層の厚さは、例えば15μm以上であってよく、25μm以上でもよく、35μm以上でもよい。
粘着剤層の形成幅、すなわち基材の第一面に粘着剤層が設けられる範囲の幅は、通常、凡そ0.8cm以上とすることが適当であり、凡そ2.5cm以上が好ましく、凡そ4.5cm以上であってもよく、さらには凡そ9.5cm以上であってもよい。いくつかの態様において、上記粘着剤層の形成幅は、例えば凡そ11cm以上でもよく、凡そ13cm以上でもよい。また、上記粘着剤層の形成幅は、例えば凡そ98cm以下であってよく、68cm以下でもよく、凡そ48cm以下でもよく、凡そ39cm以下でもよく、凡そ34.5cm以下でもよく、凡そ29.5cm以下でもよく、凡そ24.5cm以下でもよい。上述のようなドライエッジを設ける場合、その幅は、例えば2mm〜20mm程度であってよく、5mm〜15mm程度でもよく、5mm〜10mm程度でもよい。
特に限定するものではないが、粘着ロールの直径は、通常、凡そ10mm以上であってよく、典型的には15mm以上であり、20mm以上でもよく、25mm以上でもよく、30mm以上でもよい。ここで粘着ロールの直径とは、当該粘着ロールの未使用時(すなわち、製品の使用開始前)における直径(外径)をいう。上記粘着ロールの直径は、例えば凡そ200mm以下であってよく、典型的には凡そ150mm以下であり、凡そ100mm以下でもよく、凡そ80mm以下でもよく、凡そ50mm以下でもよい。いくつかの態様において、携帯性を重視する観点から、上記粘着ロールの直径は、例えば30mm未満であってよく、25mm未満でもよく、20mm未満でもよい。
上記粘着ロールを構成する粘着テープの内周径は、例えば凡そ5mm以上であってよく、通常は凡そ8mm以上が適当であり、凡そ10mm以上でもよい。ここで、粘着テープの内周径とは、粘着テープの巻回開始端における巻回径をいい、粘着テープが巻芯に巻かれた形態の粘着ロールでは該巻芯の外径と概ね一致する。上記粘着テープの内周径は、例えば凡そ190mm以下であってよく、凡そ140mm以下でもよく、凡そ95mm以下でもよく、凡そ75mm以下でもよく、凡そ45mm以下でもよく、凡そ25mm以下でもよく、凡そ20mm以下でもよく、凡そ18mm以下でもよい。
粘着ロールにおける粘着テープの巻回厚さ(典型的には、粘着ロールの直径と粘着テープの内周径との差の1/2に相当する。)は、典型的には1mm以上であり、例えば凡そ2.5mm以上であってよく、凡そ5mm以上でもよく、凡そ7mm以上でもよい。いくつかの態様において、粘着ロールの使用開始時と使用終了時との使用感の違いを抑制する観点から、上記巻回厚さは、例えば凡そ50mm以下であってよく、凡そ30mm以下でもよく、凡そ20mm以下でもよく、凡そ15mm以下でもよく、凡そ12mm以下でもよい。なお、円筒状の粘着ロールの幅(巻回軸方向の長さ)は、通常、上述した基材の幅と概ね同等である。ここに開示される技術は、このようなサイズで好ましく実施され得る。
粘着ロールにおける粘着テープの巻回数(何周巻かれているか)は、特に制限されない。粘着ロール交換の頻度を低減してユーザーの利便性を向上する観点から、いくつかの態様において、上記巻回数は、通常、5周以上が適当であり、10周以上が好ましく、20周以上でもよく、30周以上でもよく、40周以上でもよく、50周以上でもよい。また、粘着クリーナーの取扱い性の観点から、上記巻回数は、通常、200周以下が適当であり、150周以下でもよく、100周以下でもよく、70周以下でもよい。いくつかの態様において、軽量性や携帯性を考慮して、上記巻回数は、例えば50周未満であってよく、30周未満でもよく、20周未満でもよい。
粘着テープの面積を有効に利用する観点から、粘着剤層は、その形成幅内において連続的に形成されていることが好ましい。また、粘着剤層の表面を除去対象物である微粒子に効率よく接触させる観点から、粘着剤層は、その表面の凹凸の高さが30μm以下となるように形成されていることが好ましい。ここで、上述した凹凸の高さである30μmは、平均的なスギ花粉の直径と概ね同等である。微粒子との接触効率をより高める観点から、上記凹凸の高さは、例えば20μm以下であってよく、10μm以下でもよく、5μm以下でもよく、2μm以下でもよい。上記凹凸の高さは、公知の適切な方法を用いて設計または把握することができ、例えば、粘着テープの断面を顕微鏡で観察することにより把握することができる。
いくつかの態様において、粘着剤層の表面は平坦であることが好ましい。ここで、粘着剤層の表面が平坦であるとは、該粘着剤層の表面に意図的な凹凸(例えば、スジ、溝、エンボス等)が付されていないことをいう。粘着剤層の表面が平坦であると、該粘着剤層の表面を衣類等のクリーニング対象物に的確に押し付けることができ、該クリーニング対象物の奥にある微粒子をも効率よく除去することができる。
(粘着力)
粘着テープの粘着力は、3.0N/25mm以下であることが好ましい。このように粘着力が制限されていることにより、粘着ロールをクリーニング対象物に押し付けつつ該クリーニング対象物の表面に沿って転動させる操作を適切に行うことができる。上記粘着力が強すぎると、ユーザーがクリーニング対象物の傷みを気遣って粘着ロールを十分に押し付けづらくなり、クリーニング対象物の奥の微粒子を効率よく除去することができない。ここに開示される粘着クリーナーは、粘着力が抑制されていることにより、種々のクリーニング対象物に適用することができる。好ましい適用対象の例として、各種の衣類が挙げられる。ここに開示される粘着クリーナーは、例えば、絹布(シルク)布、ラメ糸入りの織物、コーデュロイ、ベルベット、スエード、ベロア、パイル地、ニット、フェルト、レース等のように、繊維が抜けたり引き出されたりしやすい生地や、起毛や植毛による風合いを有する生地等にも適用することができ、該生地から微粒子を効果的に除去することができる。また、天然皮革や合成皮革等の皮革類や、スパンコール布等のように表面が平滑な装飾が施された生地は、従来の衣類用粘着クリーナーでは粘着ロールが生地に強く貼り付きすぎてしまい、該生地の表面に沿って粘着ロールを転動させることが困難であったところ、ここに開示される粘着クリーナーはこのような生地にも適用することができる。
いくつかの態様において、上記粘着力は、例えば2.5N/25mm以下であってよく、2.0N/25mm以下でもよく、1.5N/25mm以下でもよく、1.0N/25mm以下でもよく、0.7N/25mm以下でもよく、0.5N/25mm以下でもよく、0.1N/25mm以下でもよく、0.07N/25mm以下でもよい。粘着テープの粘着力が低くなると、微粒子の除去作業性が向上する傾向にある。粘着テープの粘着力は、粘着剤の選択、粘着剤層の厚さや表面形状等により調節することができる。
上記粘着力は、JIS Z 0237に規定する、ステンレス鋼板に対する180度剥離試験により測定される。上記粘着力の測定は、具体的には次の手順で行われる。すなわち、粘着テープを幅25mm、長さ100〜200mm程度の帯状にカットした試験片を用意する。上記試験片の粘着剤層側表面を、被着体としてのステンレス鋼板(SUS304BA板)に、2kgのローラーを一往復させて貼り付ける。これを23℃、50%RHの環境下に30分間保持した後、引張試験機を用い、JIS Z 0237に準拠して、23℃、RH50%の環境下、引張速度300mm/分の条件にて、180度剥離強度(N/25mm)を測定する。測定は2回以上(好ましくは3回以上)行い、それらの算術平均値を粘着力の値とする。引張試験機は特に限定されず、公知の引張試験機を用いることができる。例えば、島津製作所社製の「テンシロン」を用いて測定することができる。後述の実施例についても同様の方法が採用される。
上記粘着テープにおいて、粘着力の下限は特に制限されず、粘着剤層の表面が花粉等の微粒子を捕捉可能なタックを有していればよい。上記粘着力は、例えば、上記180度剥離試験において粘着力が測定できないレベル(例えば、粘着力が0.01N/25mm未満、あるいは引張試験機では粘着力が検出できないレベル)であってもよい。
特に限定するものではないが、粘着テープが微粒子を捕捉可能なタックを有することのひとつの目安として、該粘着テープの高速剥離強度を用いることができる。上記高速剥離強度は、試験片の幅を75mmとし、引張速度を1000mm/分とする他は、上述した粘着力の測定と同様にして測定することができる。いくつかの態様において、上記粘着テープは、高速剥離強度が0.03N/75mm以上であってよく、0.05N/75mm以上であることが好ましい。
なお、評価対象の粘着テープの幅が75mmよりも狭い等、幅75mmの試験片を用いて高速剥離強度を測定することが困難な場合には、異なる幅の試験片を使用して剥離試験を行い、得られた値を幅75mm当たりの値に換算してもよい。上述した粘着力の測定についても同様である。
(50枚積層硬度)
ここに開示される技術において、粘着テープの50枚積層硬度は74以上であることが好ましい。粘着テープの50枚積層硬度は、次の方法で測定される。すなわち、評価対象の粘着テープを適当なサイズにカットした粘着片を用意し、1枚目の粘着片の粘着剤層側をステンレス鋼(SUS)板の片面に貼り合わせる。次いで、2枚目の粘着片を、その粘着剤層側を1枚目の粘着片の背面(基材の第二面)に重ねて貼り合わせる。これを繰り返してSUS板上に50枚の粘着片を貼り重ねる。粘着テープを構成する粘着剤層の表面に凹凸が付されている場合には、該粘着テープを巻回した粘着ロールにおける径方向の重なり状態がなるべく再現されるように粘着片を貼り重ねるものとする。そして、50枚目の粘着片の背面の硬度を、JIS K 7312に基づき、アスカーゴム硬度計C型を使用して測定する。測定値としては、測定直後の値を読み取るものとする。アスカーゴム硬度計C型としては、高分子計器株式会社製の「アスカーゴム硬度計C型」を用いることができる。後述の実施例についても同様の方法が採用される。なお、後述の実施例では1cm角の正方形状にカットした粘着片を貼り重ねて50枚積層硬度を測定した。
50枚積層硬度の高い粘着テープにより構成された粘着ロールは、より硬度の低い粘着テープによって同様に構成された粘着ロールに比べてロール外周面の硬度が高いので、粘着ロール表面の粘着剤をクリーニング対象物(例えば、織物や紙類等の繊維製品)にしっかり押し付けることができる。これにより、クリーニング対象物の表面に存在する微粒子のみならず、該クリーニング対象物の奥に入り込んでいる微粒子にまで粘着剤を有効に接触させ、該粘着剤により上記微粒子を捕捉して除去することができる。いくつかの態様において、粘着テープの50枚積層硬度は、例えば75以上であってよく、81以上でもよく、85以上でもよく、88以上でもよく、90以上でもよい。50枚積層硬度は、基材の選択、粘着剤の選択、粘着剤層の形成パターンや表面状態の選択、等により調節することができる。
特に限定するものではないが、粘着テープの10枚積層硬度は、例えば90以上であることが好ましく、93以上であることがより好ましい。また、粘着テープの30枚積層硬度は、例えば80以上であることが好ましく、85以上であることがより好ましく、90以上であることがさらに好ましい。粘着テープの10枚積層硬度および30枚積層硬度は、粘着片の積層枚数を10枚および30枚とする他は上述した50枚積層硬度と同様にして測定される。
いくつかの態様において、粘着テープの10枚積層硬度と50枚積層硬度との差は、15以下であることが適当であり、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。このような粘着テープは、粘着ロールの残量による微粒子除去性能の違いが小さいので好ましい。
いくつかの態様において、粘着テープは、暗色に着色されていることが好ましい。特に、粘着テープを粘着剤層側からみたときに暗色を呈することが好ましい。粘着テープが暗色であると、粘着剤層上の微粒子を目視で確認しやすい。これにより、微粒子除去の進行を目視で確認しながら効率よくクリーニングを行うことができる。除去した微粒子を確認しやすいことは、ユーザーの満足度向上の観点からも好ましい。粘着テープは、粘着剤層が形成された範囲の全体(全面積)が暗色であってもよく、暗色領域と非暗色領域とを有していてもよい。粘着剤層が形成された範囲のうち暗色領域の面積割合は、例えば25%以上であってよく、50%以上でもよく、70%以上でもよく、100%でもよい。
上記暗色とは、具体的には、明度Lが50以下であることをいう。ここで、明度Lとは、L表色系で規定される明度Lのことを指す。L*a*b*表色系は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した色空間であり、CIE1976(L*a*b*)表色系と称される色空間のことを意味している。L*a*b*表色系は、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。上記粘着テープは、明度Lが40以下の暗色領域を有することが好ましい。上記暗色領域の明度Lは、30以下でもよく、20以下でもよく、10以下でもよい。L表色系で規定される色度aは、特に限定されないが、例えば−15〜+15の範囲であってよく、−10〜+10でもよく、−5〜+5でもよく、−2.5〜2.5でもよい。L表色系で規定される色度bも、特に限定されず、例えば−15〜+15の範囲であってよく、−10〜+10でもよく、−5〜+5でもよく、−2.5〜2.5でもよい。一態様において、色度a*および色度b*はいずれも0または略0であってよい。明度L、色度a、色度bは、色差計を用いて測定することができる。色差計としては、例えば、ミノルタ社製の色彩色差計「CR−400」またはその相当品を用いることができる。
粘着テープを暗色に着色する方法は、特に限定されない。例えば、基材に着色剤を配合する方法、粘着剤層に着色剤を配合する方法、基材の第一面および/または着色層(着色剤を含む層)を設ける方法、多層構造の基材において該基材の内部に着色層を設ける方法、等を採用することができる。これらの方法を組み合わせてもよい。着色剤の種類や使用量は、粘着テープが所望する色を呈するように選択することができる。例えば、黒色の着色剤としては、カーボンブラック(ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等)、グラファイト、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト(非磁性フェライト、磁性フェライト等)、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、クロム錯体、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色色素等を用いることができる。
粘着テープには、粘着ロールを外周側からみて視認できる模様が付されていてもよい。ここで模様とは、図形、記号、文字、これらの組合せ、これらと色彩との組合せ等を包含する意味である。いくつかの態様において、上記模様は、粘着テープの巻回外周端と、その巻回外周端に隣接する粘着ロール表面との間で不整合が生じるように設けることができる。このような模様の不整合を生じさせることにより、粘着テープの巻回外周端を見つけやすくなるという効果が奏される。粘着テープの巻回外周端を見つけやすいことは、例えば、粘着ロールの最外周に露出させる粘着剤を更新する際の作業効率の向上に役立ち得る。上記模様の態様は特に限定されず、例えば、粘着テープの長尺方向または長尺方向と交差する方向に、連続的または断続的に延びる線やドットであり得る。上記線は、直線、曲線、折れ線、波線等であり得る。上記線の太さは、一定であってもよく、規則的または不規則に変化していてもよい。また、上記模様の不整合は、例えば色彩の違いであってもよい。なお、粘着テープの巻回外周端を見つけやすくする方法としては、上述のように模様の不整合を利用する方法の他、例えば、上記切れ目に沿って粘着テープに模様(例えば、切れ目に沿って延びる着色線)を付す方法、切れ目を挟んで両側に模様(例えば、切れ目側を頂点として向かい合う三角形)を付す方法、等が挙げられ、特に限定されない。これらの方法を適宜組み合わせてもよい。
粘着テープには、粘着ロールにおいて推奨される転動方向を示す標識が付されていてもよい。上記推奨される転動方向は、通常、粘着テープのうち粘着ロールの最外周に位置する部分が、該粘着テープの巻回内周端側から巻回外周端に向かって順にクリーニング対象物に接触するように転動する方向である。上記標識は、ユーザーに意図する情報を伝え得るものであれば特に限定されず、例えば矢印等の記号や指差しマーク等の図形でもよく、文字でもよく、これらの組合せでもよい。
ここに開示される粘着クリーナーの一態様では、図1,3に示すように、交互に配置された白線Wと黒線Bとからなるストライプ模様13が粘着テープ20に付されている。これにより、図3によく示されるように、粘着ロール10の外観において、巻回外周端201の両側でストライプ模様13に幅方向へのズレが生じ、巻回外周端201を見つけやすくなっている。ストライプ模様13は、例えば基材22の第二面22Bに白色および黒色の印刷を施すことにより形成され得る。黒線Bの領域内には、図1によく示されるように、推奨される転動方向を示す矢印Aが、例えば白色印刷により設けられている。ストライプ模様の傾き、白線Wおよび黒線Bの幅およびそれらの相対関係、矢印Aの形状、サイズ、配置、数等は、図1,3に示す例に限定されない。
ここに開示される粘着クリーナーは、クリーニング対象物としての衣類から微粒子を除去する態様で好適に用いられ得る。ここで衣類とは、身に着けるもの全般を指す意味であり、例えば、洋服、和服、コート、スポーツウェア、レインウェア、制服、作業服、防護服、浴衣、寝間着、エプロン、肌着、帯、手袋、靴下、ストッキング、スカーフ、ストール、ショール、マフラー、イヤーマフやハンドマフ、レッグウォーマーやネックウォーマー、帽子等を含むが、これらに限定されない。上記衣類を構成する材質の例には、綿布、麻布、シルク布、毛織物、ニット、ラメ糸等の装飾糸が入った織物、コーデュロイ、ベルベット、スエード、ベロア、パイル地、スパンコール布、ビーズ付きの布、天然皮革や合成皮革等の皮革類、フェルト、樹脂コート布等が含まれるが、これらに限定されない。
また、ここに開示される粘着クリーナーは、衣類以外のクリーニング対象物からも微粒子を除去することができる。そのようなクリーニング対象物の非限定的な例には、布団や枕カバー等の寝具、タオル、ハンカチ、手ぬぐい、包袋、サポーター、湿布、リュック、鞄、手さげ袋、カーテン、テーブルクロス、壁クロス、布張りの椅子やソファ等の家具、座布団、クッション、カーペット、のれん、タペストリー等の繊維製品が含まれる。すなわち、ここに開示される粘着クリーナーは、繊維製品から微粒子を除去するための粘着クリーナーとしても把握され得る。したがって、この明細書により、クリーニング対象物としての繊維製品から微粒子を除去するための粘着クリーナーが提供される。ここで、上記繊維製品の概念には、表面に繊維を有する衣類が包含される。また、一般に紙類はセルロース系繊維や合成繊維等の繊維状物質を含有する繊維集積体であることから、上記繊維製品の概念には、上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、薄葉紙、クレープ紙、トップコート紙、コピー紙、感熱紙、新聞紙、懐紙、半紙、わら半紙、板紙、ダンボール、ティッシュペーパー、キッチンペーパー、トイレットペーパー、障子紙、ふすま紙、紙タオル、ノート、手帳、メモ用紙、付箋紙、色紙、書籍、雑誌、封筒、紙袋、壁紙等の、紙類および紙製品類が包含される。上記セルロース系繊維の例には、木材パルプのような木材繊維、麻、綿、バガス、ケナフ等の天然セルロース系繊維、レーヨン等の再生セルロース系繊維、およびアセテート等の半合成セルロース系繊維が含まれる。このような繊維製品に対して従来の一般的な粘着クリーナーを適用すると、該繊維製品が傷みやすい。例えば、繊維製品上で転動させた粘着クリーナーに該繊維製品の構成材料が付着して該繊維製品から除去されてしまうことにより、ケバ立ち、破れ、表面に施された印刷の剥がれ等の損傷が生じやすい。ここに開示される粘着クリーナーは、適度に抑制された粘着力を有するので、繊維製品の傷みを抑えつつ、該繊維製品から微粒子を効果的に除去することができる。従来の一般的な粘着クリーナーを適用することによる傷みが生じやすいクリーニング対象物の他の例として、木質物品、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、ビニール壁紙等が挙げられる。上記木質物品の例には、製材品の他、集成材、合板(スプルース合板、松合板、樅合板、ラワン合板、シナ合板等)、化粧板(天然木化粧板、メラミン化粧板、プリント化粧板等)、配向性ストランドボード(OSB)やパーティクルボードのような木質製品等が含まれる。ここに開示される粘着クリーナーは、これらのクリーニング対象物にも好ましく適用され得る。なお、上記例示のように従来の一般的な粘着クリーナーを適用して微粒子を除去しようとすると傷みの生じやすいクリーニング対象物(衣類や紙類等を包含する繊維製品、木質製品等)は、包括的に、表面部を構成する材料の凝集力の弱いクリーニング対象物、または脆弱な表面を有するクリーニング対象物として把握され得る。したがって、この明細書により開示される事項には、ここに開示されるいずれかの構成を有する粘着クリーナーであって、脆弱な表面を有するクリーニング対象物の該脆弱表面上を転動させることによって上記クリーニング対象物から微粒子を除去するための粘着クリーナーが含まれる。
ここに開示される粘着クリーナーを用いてクリーニング対象物から除去し得る微粒子の例には、花粉(例えば、スギ、ヒノキ、イネ、ブタクサ、ヨモギ等の花粉)、カビ(例えば、カビの胞子)、ダニやダニのフン、白墨の粉、大気中の黄砂、火山灰、その他の粒子状物質等が含まれるが、これらに限定されない。上記微粒子は、各種の有機粉末、金属粉末(銅粉末、銀粉末、金粉末、ニッケル粉末、アルミニウム粉末等)、磁性粉末、セラミック粉末(酸化チタン粉末、シリカ粉末、アルミナ粉末、セリア粉末、ダイヤモンド粉末、タルク、カオリン、二硫化モリブデン等)、カーボン粉末、これらの複合物等であり得る。上記微粒子の例には、トナー等のキャリア、トナー、粉末冶金、金属粉末射出成形、粉末積層3Dプリンティング、溶射、静電塗装、研磨材、潤滑材等に用いられ得る微粒子や、顔料、充填材、化粧品、ベビーパウダー等が含まれ得る。ここに開示される粘着クリーナーは、例えば、上述したいずれかのクリーニング対象物からこのような微粒子を除去する用途に好ましく用いられ得る。ここに開示される粘着クリーナーは、例えば、平均粒子径が500μm以下(好ましくは300μm以下)の微粒子の除去に用いることができる。除去対象物である上記微粒子の平均粒子径は、例えば200μm以下であってよく、150μm以下でもよく、100μm以下でもよい。上記微粒子の平均粒子径の下限は特に限定されず、例えば1μm以上であってよく、2μm以上でもよく、5μm以上でもよく、10μm以上でもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明中の「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<粘着ロールの作製>
(サンプル1)
アクリル系ポリマー100部と、アクリル系オリゴマー30部と、可塑剤30部とを加熱溶融状態で混合して粘着剤組成物を調製した。上記アクリル系オリゴマーとしては、東亞合成株式会社製の「アルフォンUP1021」(無官能基タイプ、Mw約1600)を使用した。上記可塑剤としては、DIC株式会社製の商品名「モノサイザーW−242」(アジピン酸ジイソノニル)を使用した。上記アクリル系ポリマーとしては、ポリMMAブロック−ポリ2EHA/BAブロック−ポリMMAブロック(以下、「MMA−2EHA/BA−MMA」と表記することがある。)のトリブロック構造を有し、ポリ2EHA/BAブロックにおける2EHAとBAとの重量比(すなわち、重量基準の共重合比率)が50/50であり、ポリ2EHA/BAブロックの重量に対するポリMMAブロックの重量(2つのポリMMAブロックの合計重量)の比(MMA/(2EHA+BA))が18/82であるアクリル系ブロック共重合体を使用した。このアクリル系ブロック共重合体は、公知のリビングアニオン重合法により合成されたものであり、Mwは10×10、Mnは8.4×10であった。
厚さ38μm、幅90mmのPETフィルムを基材として使用し、上記粘着剤組成物を溶融状態で均一に塗工して、上記基材の片面に厚さ約50μmの粘着剤層を有する片面粘着テープを作製した。粘着剤組成物の塗工幅は80mmとし、上記基材の幅方向の両端5mmは粘着剤層を有しないドライエッジとした。得られた片面粘着テープを直径18.5mmのボール紙製巻芯の周囲に50周巻き付けて、サンプル1の粘着ロール(粘着テープロール)を作製した。
(サンプル2)
坪量40g、厚さ65μm、幅80mmの純白紙の片面に厚さ10μmのポリエチレンフィルムがラミネートされ、さらにシリコーン系剥離処理剤による剥離処理が施された基材を使用し、上記ポリエチレンフィルムがラミネートされた側とは反対側の表面にSIS系粘着剤を溶融状態で均一に塗工して、上記基材の片面に厚さ約11μmの粘着剤層を有する片面粘着テープを作製した。上記SIS系粘着剤の塗工幅は70mmとし、上記基材の幅方向の両端5mmは粘着剤層を有しないドライエッジとした。得られた片面粘着テープをサンプル1と同様に巻芯の周囲に50周巻き付けて、サンプル2の粘着ロールを作製した。
(サンプル3)
サンプル3としては、市販の衣類用粘着クリーナーに用いられる粘着ロールを使用した。この粘着ロールは、エンボス加工が施された厚さ110μmのポリプロピレンフィルムを基材とし、該基材の片面に厚さ約17μmの合成ゴム系粘着剤層を有する粘着テープを約52周巻回した構成を有する。この粘着ロールの巻回数を50周に調整したうえで後述の評価試験を行った。
(サンプル4)
サンプル2と同じSIS系粘着剤を、幅が100mmである他はサンプル2と同じ基材の片面に、溶融状態で、200μmの幅、300μmの間隔(隣り合う帯状部分の間隙の幅)で塗工して、該基材の長手方向に直線状に延びる複数の平行な帯状部分からなる粘着剤層を14μmの厚さで形成した。このようにして得られた片面粘着テープをサンプル1と同様に巻芯の周囲に50周巻き付けて、サンプル4の粘着ロールを作製した。
<測定および評価>
(粘着力)
上述した方法により粘着力を測定した。結果を表1に示した。
(ダメージ防止性)
粘着ロールを治具の回転部材に回転自在に装着することにより、各粘着ロールに対応する試験用の粘着クリーナーを構築した。試験台の上にシルク布(絹布)を広げ、粘着ロールに約528gの荷重を加えて上記シルク布に押し付けつつ、該シルク布の表面に沿って上記粘着ロールを転動させて、上記粘着クリーナーを30m/分の速度で5往復させた。このとき、粘着ロールが軸周りに一回転する距離を粘着クリーナーの一行程とした。その後、粘着ロールの外表面を目視および倍率100倍の光学顕微鏡で観察し、シルク布の繊維(特に長繊維)の付着量を確認した。粘着ロール上の繊維(特に長繊維)は、シルク布の構成繊維が粘着ロールに付着して抜き取られたものと考えられるため、該繊維の量が少ないほどシルク布へのダメージは小さいといえる。上記光学顕微鏡による観察結果から、以下の2段階でダメージ防止性を評価した。結果を表1に示した。
G:シルク布の繊維はほとんど認められない(ダメージ防止性良好)。
P:シルク布の繊維が明らかに認められる(ダメージ防止性に乏しい)。
(除去作業性)
クリーニング対象物としての皮革(豚革を使用した。)を試験台の上に広げ、粘着ロールに約528gの荷重を加えて上記皮革に押し付けつつ、上記粘着クリーナーが一方向に約0.2秒/cmの速度で移動するように、記皮革の表面に沿って上記粘着ロールを転動させた。このときの粘着ロールの転動させやすさに基づいて、微粒子の除去作業性を以下の3段階で評価した。また、クリーニング対象物をスパンコール布に変更して同様の評価を行った。結果を表1に示した。
1:粘着ロールのクリーニング対象物への貼り付きが強すぎるため、転動させることができない(除去作業性不良)。
2:粘着ロールのクリーニング対象物への貼り付きが強いため転動させにくい(除去作業性の向上が望まれる)。
3:粘着ロールをクリーニング対象物に沿ってスムーズに転動させることができる(除去作業性良好)。
表1に示されるように、粘着力の低いサンプル1の粘着ロールは、シルク布のように繊維が抜けやすいクリーニング対象物に対しても、良好なダメージ防止性を示すことが確認された。また、サンプル1の粘着ロールは、一般に粘着クリーナーを用いたクリーニングには不向きとされている皮革やスパンコール布に対しても、粘着ロールを押し付けながら表面に沿ってスムーズに転動させることができ、微粒子の除去作業性に優れていた。
上記ダメージ防止性評価に用いた粘着ロール表面の顕微鏡像(倍率;100倍)を、サンプル4について図4に、サンプル1について図5に示す。これらの図から、サンプル4(図4)ではシルク布の長繊維が粘着ロールに付着して何本も抜き取られていることがわかる。一方、サンプル1(図5)では粘着ロールへのシルク布の繊維の付着はほとんど認められず、特に長繊維の付着は全く認められないことがわかる。
なお、サンプル1,4の粘着ロールについて、シルク布の代わりにスパンコール布を用いて同様にダメージ防止性を評価したところ、シルク布の場合と同様、サンプル4ではスパンコール布の繊維(糸)が粘着ロールに付着して抜き取られていることが明らかに認められたが、サンプル1ではほとんど認められなかった。なお、シルク布の代わりに綿布を用いた場合には、サンプル1では綿布の繊維の付着はほとんど認められず、サンプル4においてもシルク布やスパンコール布に比べて繊維の付着量は少なかった。
(50枚積層硬度)
上述した方法で50枚積層硬度を測定した。サンプル4については、下地粘着剤層の上に設けられた帯状の部分が互いに重なるようにして試験片を貼り重ねた。結果を表2および図6に示した。
(微粒子除去率)
花粉の代替物として石松子を綿布に散布し、凡そ100粒/cmの付着量となるように該綿布に付着させた。上記綿布に1cm角の試験領域を設定し、マイクロスコープ(キーエンス社製のハイスピードマイクロスコープ、VW−9000)を用いて倍率100倍で観察することにより、当該試験領域に付着している石松子の数(初期粒子数)をカウントした。次いで、上記観察領域に上記粘着クリーナーを約0.2秒/cmの速度で1方向に1回通過させることで石松子の除去を行った。具体的には、粘着ロールに約528gの荷重を加えて上記観察領域を含む綿布に押し付けつつ、該綿布の表面に沿って上記粘着ロールを転動させた。その後、上記試験領域に残存している石松子の数(残存粒子数)をカウントした。以下の式により微粒子除去率(%)を算出した。
微粒子除去率(%)=((初期粒子数−残存粒子数)/初期粒子数)×100
少なくとも10の異なる試験領域について上記微粒子除去率を求め(すなわち、N≧10)、それらの算術平均値を表2に示した。
表2に示されるように、サンプル2に比べて粘着力が著しく低いサンプル1において、意外なことに、サンプル2と同等以上の微粒子除去率が得られた。また、50枚積層硬度の低いサンプル3は、サンプル2と概ね同程度の粘着力を有するにもかかわらず、サンプル1,2に比べて微粒子除去率が大幅に劣っていた。これは、サンプル3の粘着ロールは表面の硬度が低いため、該粘着ロールを試験領域に押し付けたときに綿布の奥に入り込んでいる石松子にまで粘着剤を接触させることができなかったためと考えられる。
以上より、サンプル1の粘着ロールは、微粒子の除去性に優れ、かつ良好なダメージ防止性および除去作業性を有することが確認された。
なお、上述した50枚積層硬度の測定においては、SUS板に粘着片を1枚、5枚、10枚、20枚、30枚した時点での硬度についても、50枚積層硬度の測定と同様にして測定した。得られた結果を、50枚積層硬度の測定結果と併せて図6に示す。なお、土台として使用したSUS板の硬度(積層枚数0枚に相当)は100であった。図6に示されるように、サンプル1,2の粘着テープは、粘着片の積層数の増加に伴う硬度低下が小さかった。これらの粘着テープは、粘着ロールの巻回数が多くなっても該粘着ロールの外表面において微粒子の除去に適した硬度が得られやすいことを意味している。また、10枚積層硬度と50枚積層硬度との差は、サンプル1では2、サンプル2では5であったのに対し、サンプル3では15、サンプル4では12であった。この硬度差が小さい粘着ロールは、使い始めから使い終わりまでの性能差が小さいので好ましい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 粘着クリーナー
10 粘着テープロール(粘着ロール)
13 ストライプ模様
14 巻芯
20 粘着テープ
22 基材
22A 第一面
22B 第二面
24 切れ目
50 治具
52 回転部材
54 把持部材
56 クリーニング対象物
201 巻回外周端
202,204 非粘着部(ドライエッジ)

Claims (9)

  1. クリーニング対象物から微粒子を除去するための粘着クリーナーであって、
    基材の第一面に粘着剤層を有する粘着テープが該粘着剤層を外側として巻回されている粘着テープロールを含み、該粘着テープロールを前記クリーニング対象物に押し付けつつ転動させることにより前記微粒子を前記粘着剤層で捕捉するように構成されており、
    前記粘着テープは、粘着力が3.0N/25mm以下であり、かつ50枚積層硬度が74以上である、粘着クリーナー。
  2. 前記クリーニング対象物は衣類である、請求項1に記載の粘着クリーナー。
  3. 前記クリーニング対象物は繊維製品である、請求項1に記載の粘着クリーナー。
  4. 前記粘着剤層の表面が平坦である、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着クリーナー。
  5. 前記粘着テープは暗色に着色されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の粘着クリーナー。
  6. 前記粘着テープは、10枚積層硬度と50枚積層硬度との差が10以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の粘着クリーナー。
  7. 前記粘着剤層の厚さが10μm以上である、請求項1から6のいずれか一項に記載の粘着クリーナー。
  8. 前記微粒子の平均粒子径が200μm以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載の粘着クリーナー。
  9. 前記粘着テープロールを転動可能に支持する治具を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の粘着クリーナー。
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