以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能を有する複数の要素を、同一の符号の後に異なる番号を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能を有する複数の要素を、必要に応じてSTA200AおよびSTA200Bなどのように区別する。ただし、実質的に同一の機能を有する要素を区別する必要が無い場合、同一符号のみを付する。例えば、STA200AおよびSTA200Bを特に区別する必要がない場合には、単にSTA200と称する。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.無線LANシステムの概要
2.通信装置の構成
3.第1の実施形態
4.第1の実施形態の変形例
5.第2の実施形態
6.第2の実施形態の変形例
7.第3の実施形態
8.応用例
9.補足事項
10.むすび
<1.無線LANシステムの概要>
本開示の一実施形態は、無線LANシステムに関する。まず、本開示の一実施形態に係る無線LANシステムの概要について説明される。
(1−1.無線LANシステムの構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る無線LANシステムの構成を示す図である。図1に示されるように、本開示の一実施形態に係る無線LANシステムは、アクセスポイント(以降、便宜的に「AP(Access Point)」と呼称する)100と、ステーション(以降、便宜的に「STA(Station)」と呼称する)200A〜200Dと、を備える。なお、図1に示されるSTA200の数は例であり、STA200の数は4つに限られない。
なお、本実施形態に係るAP100は、STA200と通信を行う通信装置であり、STA200は、任意の通信装置でよい。例えば、STA200は、表示機能を有するディスプレイ、記憶機能を有するメモリ、入力機能を有するキーボードおよびマウス、音出力機能を有するスピーカ、高度な計算処理を実行する機能を有するスマートフォンでもよい。
また、本開示の一実施形態に係る無線LANシステムは、任意の場所に設置され得る。例えば、本実施形態に係る無線LANシステムは、オフィスビル、住宅、商業施設または公共施設等に設置されてもよい。また、本実施形態に係る無線LANシステムでは、AP100およびSTA200が移動体であってもよい。
AP100は、STA200A〜200Dの各々と通信可能である。また、AP100は、STA200A〜200Dの各々へユニキャストフレームをそれぞれ個別に送信したり、STA200A〜200Dが属するマルチキャストグループ宛てのマルチキャストフレームを送信したりする。
また、無線LANシステムでは、CSMA/CAのような自律分散型のアクセス制御が行われる。CDMA/CAでは、AP100またはSTA200A〜200Dがフレームの送信を開始する前に他の通信装置の送信を検知するキャリアセンスが行われる。そして他の通信装置によるフレームの送信が検知される場合、AP100またはSTA200A〜200Dは、フレームの送信を行わない。
一方、上述した自律分散型のアクセス制御とは異なるAP100による集中管理型の通信モードが提案されている。AP100は、制御局としての役割を持ち、AP100が他の端末(例えばSTA200A〜200D)を制御することによって、複数の端末が存在する環境においてもデータの衝突を発生させることなく各無線端末は通信を行うことができる。AP100による集中管理型の通信モードでは、例えばMU−MIMO、またはOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が用いられるマルチユーザ通信が行われる。また、上述したように、集中管理型の通信モードで通信を行うAP100および制御される他の端末(例えばSTA200A〜200D)は、集中管理型の通信モードで通信を行っている際に、自律分散型の通信を行ってもよい。なお、集中管理型の通信モードでは、集中管理型の通信が、自律分散型の通信よりも優先的に行われる。
このときAP100による集中管理型の通信モードで通信を行うSTA200A〜200Dは、AP100によるリソースの割り当て等を要求するために、STA200A〜200Dのバッファ状態をAP100に報告してもよい。そしてAP100は、受信されたバッファ状態によって、STA200A〜200Dにリソースを割り当て、STA200A〜200Dは、割り当てられたリソースを用いてデータの送信を行う。
(1−2.本開示の背景)
以上のような構成の無線LANシステムにおいて、集中管理型の通信モードによる通信が行われる場合、AP100は、STA200に対して集中管理型の通信モードが継続する期間を設定する。STA200は、設定される集中管理型の通信モードが継続する期間中に、自律分散型による通信制御のみが行われるような他のモードに遷移することができないため、自律分散型によって通信を行う機会を得ることが困難となる。また、AP100によって設定される集中管理型の通信モードが継続する期間は予め決められた所定の期間であるため、柔軟な通信制御を行うことが困難であった。以下、図2を用いて本開示の背景となる通信制御について説明される。
図2は、上述した集中管理型の通信モードによる通信を示す図である。図2では、上りリンクにおいてマルチユーザ通信を行う集中管理型の通信モードによる通信が示される。なお、以下の図において、各長方形はフレームを示し、平行四辺形はバックオフ時間を示す。また、垂直方向の矢印は送信の方向を示し、上向きが上りリンク(STA200からAP100への送信)、下向きが下りリンク(AP100からSTA200への送信)を示す。また、黒の両矢印で示される期間は、集中管理型の通信モードが継続する期間であり、白抜きの両矢印で示される期間は、集中管理型の通信モードとは異なる他のモードが継続される期間を示す。また、半円の矢印は、STA200のモードが切り替わることを示す。また、図2、4、6、8、12、14、18および19に示される図では、STA200A〜200Dの全てに適用される情報が、フレームに付加される。したがって、図2、4、6、8、12、14、18および19において、黒の両矢印で示される期間(集中管理型の通信モードの継続期間)および白抜きの両矢印で示される期間(他のモードの期間)は、STA200A〜200Dの全てに適用される。
集中管理型の通信モードでは、AP100は、AP100と通信を行うSTA200A〜200Dに対して、集中管理型の通信モードで通信を行うことを指示するトリガーフレーム(Trigger frame)を送信する。トリガーフレームには、集中管理型の通信モードが継続する継続期間に関する情報、各STA200A〜200Dに対するデータ送信の許可、送信を許可するトラフィック、STA200A〜200Dがデータを送信するためのリソース(例えば周波数リソースまたは空間リソース)に関する情報、送信時に用いられる送信電力および変調符号化方式などが含まれる。なお、後述するように、トリガーフレームには、AP100の配下にあるSTA200の全てが参照することができる領域と、各STA200が個別に参照できる領域が含まれる。そして、例えば、集中管理型の通信モードの継続期間に関する情報は、STA200の全てが参照することができる領域に配置されてもよい。また、STA200A〜200Dがデータを送信するためのリソースに関する情報は、STA200が個別に参照できる領域に配置されてもよい。
トリガーフレーム(TF1)を受信したSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)を受信したことによって集中管理型の通信モードに入る。ここでSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)内に含まれる継続期間に関する情報を参照し、当該情報に従って、集中管理型の通信モードを継続する。図2では、トリガーフレーム(TF1)で、継続期間がT1の長さに設定されているため、STA200A〜200Dは、継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続する。なお、各STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードを継続する期間の残り期間を示すタイマーを保持していてもよい。
次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行う。また、AP100は、STA200A〜200Dからデータを受信したことに対する確認応答を示すフレームであるM−BA(Multi−STA Block Ack)フレーム(BA1)をSTA200A〜200Dに送信する。
その後AP100は、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)をSTA200A〜200Dに送信する。そしてトリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードが継続する期間をトリガーフレーム(TF2)によって設定される継続期間(T2)に更新する。ここでトリガーフレーム(TF1)によって設定される継続期間(T1)と、トリガーフレーム(TF2)によって設定される継続期間(T2)の長さは、同じ長さであり、この継続期間の長さは、予め決められている。
次にSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、AP100は、M−BAフレーム(BA2)をSTA200A〜200Dに送信する。ここでSTA200Dがデータを送信していない理由は、STA200Dは、トリガーフレーム(TF2)によって、継続期間(T2)におけるデータの送信が許可されなかったからである。また、このとき、M−BAフレーム(BA2)は、STA200Dに送信されなくてもよい。
その後STA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF2)によって設定された継続期間(T2)が経過するまで集中管理型の通信モードを継続し、継続期間(T2)が終了すると、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードを終了し、他のモードに切り替える。
ここで集中管理型の通信モードとは異なる他のモードには、自律分散型のアクセス制御が行われる通信モード、STA200のバッテリーの消費を節約するための省電力モード、他のアクセスポイントに接続するために他のアクセスポイントからの電波をスキャンするモードなどが含まれる。
以上説明されたように、集中管理型の通信モードでは、トリガーフレームによって集中管理型の通信モードを継続する期間が、STA200に設定される。この設定される継続期間は、上述したように予め決められた一定の期間であり、またSTA200は、設定される継続期間において他のモードに遷移することができない。このため、STA200が、図2の「t1」で示される期間に集中管理型の通信モードとは異なる他のモードに遷移することを望む場合であっても、STA200は、集中管理型の通信モードの継続期間の終了を待つことになる。この「t1」で示される期間において、例えば、集中管理型の通信モードではマルチユーザ通信が優先的に行われるように通信パラメータが設定されるため、STA200がマルチユーザ通信以外の他の方式で通信を行おうとしても通信機会を取得することが困難となる可能性があった。よって本実施形態では、上述したSTA200が、集中管理型の通信モードの継続期間の終了を待つ期間を短縮することが可能な通信システムが提案される。
<2.通信装置の構成>
図3は、本実施形態におけるアクセスポイント100およびステーション200のような通信装置の構成を示すブロック図である。本実施形態においてAP100およびSTA200は、基本的に同様の構成を有する。なお、図3において、符号102〜118で示される構成は、アクセスポイント100の構成を示す。また、符号202〜218で示される構成は、ステーション200の構成を示す。
通信装置(アクセスポイント100、ステーション200)は、データ処理部102、202と、制御部104、204と、電源部106、206と、通信部108、208と、から構成される。また通信部108、208はさらに、変調/復調部110、210と、信号処理部112、212と、無線インタフェース部114、214と、アンプ部116、216と、チャネル推定部118、218と、から構成される。無線インタフェース部114、214と、アンプ部116、216は、1組の構成要素であってもよく、1つ以上の組が構成要素となっても良い。またアンプ部116、216の機能は、無線インタフェース部114、214に内包されてもよい。
データ処理部102、202は、上位層よりデータが入力される送信時において、当該データから無線送信のためのパケット(フレーム)を生成する。また、データ処理部102、202は、メディアアクセス制御(MAC(Media Access Control))のためのヘッダの付加および誤り検出符号の付加等の処理を行い、処理後のデータを変調/復調部110、210に提供する。よって、データ処理部102、202は、フレームを生成するフレーム生成部の一例である。
またデータ処理部102、202は、変調/復調部110、210からの入力がある受信時において、MACヘッダの解析、パケット誤りの検出、リオーダ処理等を行い、処理後のデータをプロトコル上位層に提供する。
制御部104、204は、各部の間の情報の受け渡しを行う。また変調/復調部110、210および信号処理部112、212におけるパラメータ設定、データ処理部102、202におけるパケットのスケジューリングを行う。また、制御部104、204は、無線インタフェース部114、214およびアンプ部116、216のパラメータ設定および送信電力制御を行う。
特に本実施形態において、アクセスポイント100の制御部104は、集中管理型の通信モードから他のモードへの遷移に関する遷移情報を生成する。よって、アクセスポイント100の制御部104は、遷移情報生成部の一例である。
特に本実施形態において、アクセスポイント100の制御部104は、遷移情報を含む信号を送信するように各部を制御する。また、ステーション200の制御部204は、アクセスポイント100から受信される遷移情報およびステーション200が保有する情報に基づいて、通信モードの遷移を行うように各部を制御する。よって、ステーション200の制御部204は、モード判定部の一例である。
変調/復調部110、210は、送信時において、データ処理部102、202からの入力データに対し、制御部104、204によって設定されたコーディングおよび変調方式に基づいて、エンコード、インターリーブおよび変調を行う。また変調/復調部110、210は、データシンボルストリームを生成して信号処理部112、212に提供する。変調/復調部110、210は、受信時において信号処理部112、212からの入力に対して送信時と反対の処理を行い、データ処理部102、202または制御部104、204にデータを提供する。
信号処理部112、212は、送信時において、変調/復調部110、210からの入力に対して空間分離に用いられる信号処理を行う。そして信号処理部112、212は、当該信号処理によって得られた一つ以上の送信シンボルストリームをそれぞれの無線インタフェース部114、214に提供する。信号処理部112、212は、受信時において、それぞれの無線インタフェース部114、214から入力された受信シンボルストリームに対して信号処理を行う。そして信号処理部112、212は、ストリームの空間分解を行い、分離されたストリームを変調/復調部に提供する。
チャネル推定部118、218は、それぞれの無線インタフェース部114、214からの入力信号に含まれる、プリアンブル部分およびトレーニング信号部分から伝搬路の複素チャネル利得情報を算出する。算出された複素チャネル利得情報は、制御部104、204を介して変調/復調部110、210における復調処理および信号処理部112、212における空間処理に利用される。
無線インタフェース部114、214は、送信時において、信号処理部112、212からの入力をアナログ信号に変換し、フィルタリングし、搬送波周波数へのアップコンバートを行い、アンプ部116、216またはアンテナに送出する。無線インタフェース部114、214は、受信時において、アンプ部116、216またはアンテナからの入力に対して送信時とは反対の処理を実施し、信号処理部112、212およびチャネル推定部118、218にデータを提供する。
アンプ部116、216は、送信時において、無線インタフェース部114、214から入力されたアナログ信号を所定の電力まで増幅し、増幅された信号をアンテナに送出する。アンプ部116、216は、受信時において、アンテナから入力された信号を所定の電力まで増幅し、増幅された信号を無線インタフェース部114、214に出力する。アンプ部116、216は、送信時の機能と受信時の機能の少なくとも一方が無線インタフェース部114、214に含まれてもよい。電源部106、206は、バッテリー電源または固定電源で構成され、通信装置に対し電力を供給する。
<3.第1の実施形態>
(3−1.第1の実施形態の第1の動作例)
以上では、アクセスポイント100およびステーション200の構成について説明された。以下では、本実施形態の通信システムの動作例について説明される。図4は、本実施形態の通信システムの第1の動作例を示す図である。
図4では、図2で説明された動作例と同様に、AP100は、AP100と通信を行うSTA200A〜200Dに対して、AP100から集中管理型の通信モードで通信を行うことを指示するトリガーフレーム(TF1)を送信する。
そしてトリガーフレーム(TF1)を受信したSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)を受信したことによって集中管理型の通信モードに入る。ここでSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)内に含まれる継続期間に関する情報を参照し、当該情報に従って、集中管理型の通信モードを継続する。図4では、トリガーフレーム(TF1)で、継続期間がT1の長さに設定されているため、STA200A〜200Dは、継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続する。なお、このトリガーフレーム内に含まれる継続期間に関する情報は、集中管理型の通信モードから他のモードへの遷移に関する遷移情報の一例である。
次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行う。また、AP100は、STA200A〜200Dからデータを受信したことに対する確認応答を示すフレームであるM−BAフレーム(BA1)をSTA200A〜200Dに送信する。
その後AP100は、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)をSTA200A〜200Dに送信する。そしてトリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードが継続する期間をトリガーフレーム(TF2)によって設定される継続期間(T2)に更新する。
ここで、図4で示される動作例においてトリガーフレーム(TF2)によって設定される継続期間(T2)は、トリガーフレーム(TF1)によって設定される継続期間(T1)とは異なる長さの継続期間である。例えば、図4では、トリガーフレーム(TF2)によって設定される継続期間(T2)は、トリガーフレーム(TF1)によって設定される継続期間(T1)よりも短い。
そしてSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、AP100は、M−BAフレーム(BA2)をSTA200A〜200Dに送信する。ここでSTA200Dがデータを送信していない理由は、STA200Dは、トリガーフレーム(TF2)によって、継続期間(T2)におけるデータの送信が許可されなかったからである。
その後STA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF2)によって設定された継続期間(T2)が経過するまで集中管理型の通信モードを継続し、継続期間(T2)が経過すると、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードを終了し、他のモードに切り替える。
ここで図4の「t2」で示される期間は、STA200がAP100からM−BAフレーム(BA2)を受信した後、STA200が継続期間(T2)の終了を待つ期間である。この「t2」の期間と、図2の「t1」の期間を比較すると、「t2」の期間のほうが「t1」の期間よりも短くなっている。これは、トリガーフレーム(TF1)によって設定される継続期間(T1)とは異なる長さの継続期間(T2)が、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたからである。つまり、集中管理型の通信モードにおいて、トリガーフレームごとに異なる長さの継続期間が設定されることによって、STA200が、他のモードに遷移するために、集中管理型の通信モードの継続期間の終了を待つ時間を短縮させることができる。
これによってSTA200は、集中管理型の通信モードの継続期間が終了を待つ待機時間を減らすことができ、より適切なタイミングで集中管理型の通信モードとは異なる他のモードに遷移することができる。例えば、STA200は、自律分散型の通信を行う通信機会を取得することが困難な期間を短縮できる。また、STA200は、適切なタイミングで、省電力モードへの遷移、他のAP100への接続を行うことができる。
なお、上述した例では、トリガーフレーム(TF2)によって、トリガーフレーム(TF1)によって設定される継続期間(T1)よりも短い長さの継続期間(T2)が、設定された。しかしながら、トリガーフレーム(TF2)によって設定される継続期間(T2)の長さは、トリガーフレーム(TF1)によって設定される継続期間(T1)よりも長くてもよい。また、トリガーフレーム(TF2)によって設定される継続期間(T2)の長さは、「0秒」であってもよい。このとき、トリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200は、直ちに集中管理型の通信モードとは異なる他のモードに遷移してもよい。またトリガーフレーム(TF2)によって設定される継続期間(T2)の終了は、トリガーフレーム(TF1)によって設定される継続期間(T1)の終了よりも早くてもよい。また、集中管理型の通信モードが継続する期間は、STA200に予め複数設定されている集中管理型の通信モードを継続する期間の中の1つを示す情報によって設定されてもよい。また、集中管理型の通信モードが継続する期間は、集中管理型の通信モードの終了時刻を指定することによって設定されてもよい。
また、AP100は、STA200から提供される情報に基づいて、集中管理型の通信モードを継続する期間の長さを決定してもよい。例えばAP100は、AP100の配下にある複数のSTA200から他のモードへ遷移する要求を受信することによって、集中管理型の通信モードを継続する期間を短く設定してもよい。
また、AP100は、STA200のバッファ状態に関する情報をSTA200から取得し、取得されたバッファ状態に応じて、集中管理型の通信モードを継続する期間の長さを設定してもよい。例えば、AP100は、STA200のバッファ量が多い場合に、集中管理型の通信モードを継続する期間の長さを長く設定してもよい。また逆に、AP100は、STA200のバッファ量が多い場合に、集中管理型の通信モードを継続する期間の長さを短く設定してもよい。
また、AP100は、AP100の配下にあるSTA200の特性または性能に基づいて、集中管理型の通信モードを継続する期間の長さを設定してもよい。例えば、AP100は、集中管理型の通信モードによる通信が可能であるSTA200の数または割合に応じて、集中管理型の通信モードを継続する期間の長さを設定してもよい。例えば、AP100は、AP100の配下にあるSTA200のうち、集中管理型の通信モードによる通信が可能であるSTA200の数または割合が多い場合に、集中管理型の通信モードを継続する期間の長さを長く設定してもよい。
以上のように、AP100は、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定し、集中管理型の通信モードの継続期間に関する遷移情報をトリガーフレームに配置して、STA200に送信する。また、AP100は、STA200から取得される様々な情報に基づいて、また集中管理型の通信モードを継続する期間の長さを設定してもよい。そしてAP100は、集中管理型の通信モードを継続する期間に関する遷移情報をトリガーフレームに配置し、トリガーフレームを送信する。これによって、より適切な、またはより柔軟性のある通信制御が可能になる。
図5は、図4において説明された動作を行うSTA200の処理を示すフローチャートである。最初にS100においてSTA200は、トリガーフレームをAP100から受信する。また、S102においてSTA200は、トリガーフレームに含まれる遷移情報を参照する。図4の動作において、この遷移情報は、集中管理型の通信モードが継続する期間に関する情報である。
次にS104においてSTA200は、S102において参照した遷移情報に基づいて、集中管理型の通信モードが継続する期間を設定、または更新する。このときSTA200は、STA200が保有するタイマーを、S102において取得される集中管理型の通信モードが継続する期間に設定してもよい。
S106においてSTA200は、S104において設定、または更新された継続期間が終了したか否かを判定する。例えば、STA200は、S104において設定されたタイマーの値が0を示すか否かによって、継続期間が終了したか否かを判定してもよい。
S106においてSTA200は、継続期間が終了するまでS106の動作を繰り返す。そして、S106においてSTA200が、継続期間が終了したと判定する場合、処理はS108に移り、STA200は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移する。ここで他のモードとは、上述したように、自律分散型のアクセス制御が行われる通信モード、省電力モード、他のアクセスポイントに接続するために他のアクセスポイントからの電波をスキャンするモードなどが含まれる。STA200は、STA200の状況に応じて、上述した他のモードの中から遷移するモードを選択する。
(3−2.第1の実施形態の第2の動作例)
以上では、トリガーフレームに、集中管理型の通信モードが継続する期間に関する情報が含まれる例について説明された。以下では、トリガーフレームに、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報が含まれる例について説明される。なお、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報は、上述した遷移情報の一例である。
図6は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報がトリガーフレームに含まれる場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。図6におけるAP100およびSTA200の基本的な動作は、図4におけるAP100およびSTA200の動作と同様である。
図6においてAP100は、STA200A〜200Dに対して、AP100から集中管理型の通信モードで通信を行うことを指示するトリガーフレーム(TF1)を送信する。そしてトリガーフレーム(TF1)を受信したSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)を受信したことによって集中管理型の通信モードに入る。またSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)内に含まれる継続期間に関する情報を参照し、集中管理型の通信モードを継続する。図6では、トリガーフレーム(TF1)で、継続期間がT1の長さに設定されているため、STA200A〜200Dは、継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続する。
次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
その後AP100は、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)をSTA200A〜200Dに送信する。ここでトリガーフレーム(TF2)には、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報が含まれる。よって、トリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)で設定された継続期間(T1)の終了を待つことなく、直ちに他のモードに遷移する。
以上のように、AP100は、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定し、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報をトリガーフレームに配置して、STA200に送信する。これによって、STA200A〜200Dは、より迅速に集中管理型の通信モードから他のモードに遷移することができ、より柔軟かつ効率のよい通信制御が行われる。また、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報は、フラグ管理のための情報ビットで示されるので、少ない情報の付加で示される。
なお、AP100は、STA200から提供される情報に基づいて、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定し、また集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報をSTA200に通知するか否かを判定してもよい。例えばAP100は、AP100の配下にある多数のSTA200から他のモードへ遷移する要求を受信することによって、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報を、STA200に通知してもよい。
また、AP100は、STA200のバッファ状態に応じて、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報を、STA200に通知してもよい。例えば、AP100は、STA200から取得されるSTA200のバッファ量が少ない場合に、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報を、STA200に通知してもよい。
また、AP100は、AP100の配下にあるSTA200の特性または性能に基づいて、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報を、STA200に通知してもよい。例えば、AP100は、AP100の配下にあるSTA200のうち、集中管理型の通信モードによる通信が可能であるSTA200の数または割合が少ない場合に、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報を、STA200に通知してもよい。
また、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報は、AP100の配下にある全てのSTA200に集中管理型の通信モードによる送信を許可しない、または集中管理型の通信モードによる送信の許可を含まないトリガーフレームをSTA200に送信する方法が考えられる。この場合、AP100の配下にある全てのSTA200に送信を許可しない、または集中管理型の通信モードによる送信の許可を含まないトリガーフレームを受信したSTA200は、トリガーフレームの受信後、直ちに他のモードに遷移する。
図7は、図6において説明された動作を行うSTA200の処理を示すフローチャートである。最初にS200においてSTA200は、トリガーフレームをAP100から受信する。また、S202においてSTA200は、トリガーフレームに含まれる遷移情報を参照する。図6の動作において、この遷移情報は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報である。
次にS204においてSTA200は、S202において参照した遷移情報が、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報であるか否かを判定する。
S204において遷移情報が集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報であった場合、処理はS206に進み、STA200は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移する。一方、S204において遷移情報が集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報でなかった場合、処理はS208に進み、STA200は、トリガーフレームで指定される期間に継続期間を更新する。
(3−3.第1の実施形態の第3の動作例)
以上では、トリガーフレームに、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報が含まれる例について説明された。以下では、トリガーフレームに、集中管理型の通信モードの終了に関する情報が含まれる例について説明される。なお、集中管理型の通信モードの終了に関する情報は、上述した遷移情報の一例である。
図8は、集中管理型の通信モードの終了に関する情報がトリガーフレームに含まれる場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。図8においては、集中管理型の通信モードの終了に関する情報として、トリガーフレームで指定する継続期間内に、後続のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が付加される。つまり、トリガーフレームで指定する継続期間において後続のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が付加されたトリガーフレームは、その周期における最後のトリガーフレームとなる。なお、図8におけるAP100およびSTA200の基本的な動作は、図4におけるAP100およびSTA200の動作と同様である。
図8においてAP100は、トリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。またSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)内に含まれる継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続する。次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
AP100は、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)をSTA200A〜200Dに送信する。ここでトリガーフレーム(TF2)には、トリガーフレーム(TF2)で指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が含まれる。なお、図8では図4と同様に、STA200Dが、トリガーフレーム(TF2)によって、継続期間(T2)におけるデータの送信が許可されなかった場合について説明される。
まず、図8におけるSTA200Dの動作について説明される。トリガーフレーム(TF2)には、トリガーフレーム(TF2)で指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が含まれる。したがって、STA200Dは、この周期において、トリガーフレーム(TF2)の後に、次のトリガーフレームが送信されないことを認識する。つまり、STA200Dは、トリガーフレーム(TF2)で指定される継続期間が終了すると、集中管理型の通信モードが終了することを認識する。
また、STA200Dは、トリガーフレーム(TF2)によって、継続期間(T2)におけるデータの送信が許可されなかったことを認識する。上述した情報によりSTA200Dは、この周期の集中管理型の通信モードにおいて、STA200Dが、集中管理型の通信を行う機会が無いことを認識する。したがってSTA200Dは、トリガーフレーム(TF2)を受信してすぐに、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移する。これによって、STA200Dは、より迅速に集中管理型の通信モードから他のモードに遷移することができる。
なお、STA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)によって指定された継続期間(T2)においてデータを送信し、継続期間(T2)が終了した後に、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移する。
以上のように、AP100は、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定し、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報をトリガーフレームに配置して、STA200に送信する。これによって、トリガーフレームによって集中管理型の通信が許可されないSTA200Dは、より迅速に集中管理型の通信モードから他のモードに遷移することができ、より柔軟かつ効率のよい通信制御が行われる。また、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報は、フラグ管理のための情報ビットで示されるので、少ない情報の付加で示される。
なお、AP100は、STA200から提供される情報に基づいて、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報をSTA200に通知するか否かを判定してもよい。例えばAP100は、AP100の配下にある複数のSTA200から他のモードへ遷移する要求を受信することによって、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報を、STA200に通知してもよい。
また、AP100は、STA200のバッファ状態に応じて、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報を、STA200に通知してもよい。例えば、AP100は、STA200のバッファ量が少ない場合に、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報を、STA200に通知してもよい。
また、AP100は、AP100の配下にあるSTA200の特性または性能に基づいて、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報を、STA200に通知してもよい。例えば、AP100は、AP100の配下にあるSTA200のうち、集中管理型の通信モードによる通信が可能であるSTA200の数または割合が少ない場合に、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報を、STA200に通知してもよい。
図9は、図8において説明された動作を行うSTA200の処理を示すフローチャートである。最初にS300においてSTA200は、トリガーフレームをAP100から受信する。また、S302においてSTA200は、トリガーフレームに含まれる遷移情報を参照する。図9の動作において、この遷移情報は、集中管理型の通信モードを継続する期間に関する情報およびトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報である。
次にS304においてSTA200は、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が付加されているか否かを判定する。S304においてSTA200が、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が付加されていると判定すると、処理はS306に進む。
次にS306においてSTA200は、トリガーフレームで指定された期間において、集中管理型による通信が許可されているか否かを判定する。S306においてSTA200が、集中管理型による通信が許可されていないと判定すると、STA200は他のモードに遷移する(S308)。これは、図8におけるSTA200Dの動作を示す動作である。
また、S304においてSTA200が、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が付加されていないと判定すると、処理はS310に進む。また、S306においてSTA200が、集中管理型による通信が許可されていると判定すると、処理はS310に進む。そしてS310においてSTA200は、集中管理型の通信モードが継続する期間をトリガーフレームで指定される期間に更新する。次にS312においてSTA200は、S310において更新された継続期間が終了したか否かを判定する。S312においてSTA200が、継続期間が終了したと判定する場合、処理はS308に移り、STA200は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移する。
なお、上述した例では、集中管理型の通信モードの終了に関する情報として、トリガーフレームで指定する継続期間において、後続のトリガーフレームが送信されないことを示す情報がトリガーフレームに付加される例が説明された。しかしながら、付加される集中管理型の通信モードの終了に関する情報は、これに限られない。例えば、集中管理型の通信モードの終了に関する情報は、トリガーフレームが送信される残り回数に関する情報であってもよい。具体的には、集中管理型の通信モードの終了に関する情報は、トリガーフレームがあと3回送信されることを示す情報であってもよい。このような情報がトリガーフレームに付加されて送信されることにより、STA200は、集中管理型の通信モードがどの程度継続するかを予測することができる。
以上では、遷移情報がトリガーフレームに付加されて送信される例について説明された。以下では、トリガーフレームに付加される遷移情報のフレームにおける位置について説明される。図10および図11は、トリガーフレームのフォーマットを示す図である。
図10において、「Frame Control」は、MACフレーム制御に関する情報を格納する領域である。また「Duration」は、無線回線を使用する予定期間を格納する領域である。また「RA」は、ブロードキャストされるSTA200の識別情報を格納する領域である。また「TA」は、AP100のMACアドレスを格納する領域である。また「Common Info」は、全てのSTA200が参照できる情報を格納する領域である。また「Per User Info」は、STA200が個別に参照できる情報を格納する領域である。
次に図11は、図10の「Common Info」の領域に含まれる情報を示す図である。図11において、「Length」は、AP100から送信されるトリガーフレームのPPDU(PLCP Protocol Data Unit)の長さを格納する領域である。また「Cascade Indication」は、連続的な多重化通信を行うモードのインジケータである。また「CS Required」は、「Per User Info」の領域で識別される端末が応答するか否かを判定するために、電力検出とNAV(Network Allocation Vector)を考慮するかどうかを示すインジケータである。
また、「HE−SIG−A Info」は、AP100から送信されるトリガーフレームのPPDUのHE−SIG−Aの内容を示す領域である。また「CP and LTF Type」は、AP100から送信されるトリガーフレームのPPDUのCPとLTFの種類を示す領域である。また「Trigger Type」は、トリガーフレームの種類を示す領域である。また「Trigger−dependent Common Info」は、トリガーフレームの種類に応じた情報が入る領域である。
そして上述した遷移情報は、一例として「Trigger−dependent Common Info」の後に配置される。つまり、上述した実施形態において遷移情報は、トリガーフレームにおいて、全てのSTA200が参照できる情報を格納する領域(Common Info)に配置される。
<4.第1の実施形態の変形例>
(4−1.変形例1)
以上では、集中管理型の通信モードから他のモードへの遷移に関する遷移情報が、トリガーフレーム内に配置される例が説明された。以下では、第1の実施形態の変形例として、遷移情報が、他のフレームに配置される例について説明される。
図12は、集中管理型の通信モードの継続期間に関する遷移情報が、M−BAフレームに配置される場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。なお、M−BAフレームは、トリガーフレームでデータの送信を許可されたSTA200宛に送信される。しかしながら、データの送信を許可されなかったSTA200は、STA200の全てが参照できるM−BAフレームの領域を参照することによって、遷移情報を取得してもよい。また、AP100が集中管理型の通信を行わなくなる場合、AP100は、全ての配下のSTA200宛にM−BAフレームを送信してもよい。
図12においてAP100はトリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。またSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)内に含まれる継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続する。次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
AP100は、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)をSTA200A〜200Dに送信する。ここでトリガーフレーム(TF2)には、トリガーフレーム(TF2)で指定する継続期間(T2)に関する情報が含まれる。そしてトリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT2に更新する。
次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA2)をAP100から受信する。ここでAP100は、集中管理型の通信モードの継続期間に関する遷移情報をM−BAフレーム(BA2)に付加して送信する。なお、ここで付加される遷移情報は、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT3にすることを示す情報である。
M−BAフレーム(BA2)を受信したSTA200A〜200Dは、M−BAフレーム(BA2)に含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT3に更新する。そしてSTA200A〜200Dは、継続期間(T3)が終了した後に他のモードに遷移する。なお、STA200から提供される情報に基づいて、AP100は、継続期間の長さを設定してもよい点は、上述した例と同様である。
図13は、図12において説明された動作を行うSTA200の処理を示すフローチャートである。最初にS400においてSTA200は、M−BAフレームをAP100から受信する。また、S402においてSTA200は、M−BAフレームに遷移情報が付加されるか否かを判定する。
S402においてM−BAフレームに遷移情報が付加されている場合、処理はS404に進み、STA200は、付加されている遷移情報を参照する。次にS406においてSTA200は、S404において参照した遷移情報に基づいて、集中管理型の通信モードが継続する期間を設定、または更新する。
そしてS408においてSTA200は、S406において設定、または更新された継続期間が終了したか否かを判定する。S408においてSTA200が、継続期間が終了したと判定する場合、処理はS410に移り、STA200は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移する。
上述した変形例においては、遷移情報がM−BAフレームに含まれる。これによって、トリガーフレームにおいて指定された集中管理型の通信モードの継続期間が適切ではなくなった場合に、M−BAフレームによって新たな継続期間を通知することができる。例えば、トリガーフレームにおいて指定された集中管理型の通信モードの継続期間が長すぎる場合に、M−BAフレームによって新たな継続期間を通知することによって、STA200は早期に他のモードに遷移することができる。
(4−2.変形例2)
以上では、M−BAフレームに、集中管理型の通信モードの継続期間に関する遷移情報が配置される例について説明された。以下では、M−BAフレームに、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が付加される例について説明される。
図14は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報がM−BAフレームに付加される場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。
図14において、AP100は、トリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。またSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)内に含まれる継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続する。次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
AP100は、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)をSTA200A〜200Dに送信する。ここでトリガーフレーム(TF2)には、トリガーフレーム(TF2)で指定する継続期間(T2)に関する情報が含まれる。そしてトリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT2に更新する。
次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA2)をAP100から受信する。ここでAP100は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報を、M−BAフレーム(BA2)に付加して送信する。
M−BAフレーム(BA2)を受信したSTA200A〜200Dは、M−BAフレーム(BA2)に含まれる遷移情報に従って、直ちに他のモードに遷移する。つまり、M−BAフレーム(BA2)に付加された遷移情報が、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報である場合、STA200A〜200Dは、この情報に従って直ちに他のモードに遷移する。
またM−BAフレーム(BA2)に付加された遷移情報が、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報である場合、STA200A〜200Dは、この後に集中管理型の通信モードでデータを送信する機会を得ることはないと判定し、STA200A〜200Dは、直ちに他のモードに遷移する。これは、集中管理型の通信モードでデータを送信するための情報(例えばリソースに関する情報)がトリガーフレームに含まれるため、トリガーフレームを受信せずに、集中管理型の通信モードでデータを送信することはできないからである。
図15は、図14において説明された動作を行うSTA200の処理を示すフローチャートである。最初にS500においてSTA200は、M−BAフレームをAP100から受信する。また、S502においてSTA200は、M−BAフレームに遷移情報が付加されるか否かを判定する。
S502においてM−BAフレームに遷移情報が付加されている場合、処理はS504に進み、STA200は、付加されている遷移情報を参照する。次にS506においてSTA200は、付加されている遷移情報が、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報であるか、を判定する。
付加されている遷移情報が、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報であると、STA200が判定する場合、処理はS508に進み、STA200は、他のモードに遷移する。
上述した変形例においては、AP100は、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定し、集中管理型の通信モードから他のモードへの遷移に関する遷移情報をM−BAフレームに配置して、STA200に送信する。これによって、トリガーフレームにおいて指定された集中管理型の通信モードの継続期間が適切ではなくなった場合に、M−BAフレームによって他のモードに遷移することを通知することができる。例えば、トリガーフレームにおいて設定された集中管理型の通信モードの継続期間が長すぎる場合に、M−BAフレームによって他のモードに遷移することを通知することによって、STA200は直ちに他のモードに遷移することができる。
以上では、遷移情報がM−BAフレームに付加されて送信される例について説明された。以下では、M−BAフレームに付加される遷移情報のフレームにおける位置について説明される。図16および図17は、M−BAフレームのフォーマットを示す図である。
図16において、「Frame control」は、MACフレーム制御に関する情報を格納する領域である。また「Duration」は、無線回線を使用する予定期間を格納する領域である。また「RA」は、ブロードキャストされるSTA200の識別情報を格納する領域である。また「TA」は、AP100のMACアドレスを格納する領域である。また、「BA Control」は、全てのSTA200が参照できるBlock Ackの制御情報を格納する領域である。また、「BA Information」は、1つ以上の「Per STA Info Subfield」を格納する領域である。なお、「Per STA Info Subfield」は、STA200が個別に参照できる情報を格納する領域である。
次に図17は、図16で示されたM−BAフレームの「BA Control」に含まれる情報を示す図である。図17において「BA ACK Policy」は、Block ACKが要求された条件を示す領域である。また、「Multi−TID」、「Compressed Bitmap」および「GCR」は、Block ACKの種類によって決まる領域である。また、「TID_INFO」は、TID(traffic identifier)の種類に関する情報が格納される領域である。
そして上述した遷移情報は、一例として「TID_INFO」の後に配置される。また、上述した遷移情報は、一例として図17の「Reserved」の領域に配置されてもよい。つまり、上述した実施形態において遷移情報は、M−BAフレームにおいて、全てのSTA200が参照できる情報を格納する領域(BA Control)に配置される。
(4−3.変形例3)
以上では、集中管理型の通信モードから他のモードへの遷移に関する遷移情報がM−BAフレーム内に配置される例が説明された。以下では、第1の実施形態の変形例として、遷移情報が、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移することを通知する、MC(Mode Change)フレームに配置される例について説明される。
図18は、集中管理型の通信モードの継続期間に関する遷移情報が、MCフレームに配置される場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。図18においてAP100はトリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。またSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)内に含まれる継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続する。次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
AP100は、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)をSTA200A〜200Dに送信する。ここでトリガーフレーム(TF2)には、トリガーフレーム(TF2)で指定する継続期間(T2)に関する情報が含まれる。そしてトリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT2に更新する。
次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA2)をAP100から受信する。その後AP100は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移することを通知する、MCフレームをSTA200A〜200Dに送信する。ここでMCフレームには、遷移情報として、集中管理型の通信モードの継続期間に関する情報が付加される。
MCフレームを受信したSTA200A〜200Dは、MCフレームに含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT3に更新する。そしてSTA200A〜200Dは、継続期間(T3)が終了した後、他のモードに遷移する。なお、STA200から提供される情報に基づいて、AP100は、継続期間の長さを設定してもよい点は、上述した例と同様である。
以上では、MCフレームに、集中管理型の通信モードの継続期間に関する遷移情報が配置される例について説明された。なお、MCフレームに、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が付加されてもよい。
図19は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報がMBフレームに付加される場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。なお、図19におけるAP100およびSTA200の基本的な動作は、図18におけるAP100およびSTA200の動作と同様である。また、図19において、STA200A〜200Dが、トリガーフレーム(TF2)を受信するまでの動作は、図18におけるAP100およびSTA200の動作と同様である。
図19においてSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA2)をAP100から受信する。次にAP100は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移することを通知する、MCフレームをSTA200A〜200Dに送信する。ここでMCフレームには、遷移情報として、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が付加される。
MCフレームを受信したSTA200A〜200Dは、MCフレームに含まれる遷移情報に従って、直ちに他のモードに遷移する。つまり、M−BAフレーム(BA2)に付加された遷移情報が、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報である場合、STA200A〜200Dは、この情報に従って直ちに他のモードに遷移する。
図20は、図18および図19において説明された動作を行うSTA200の処理を示すフローチャートである。最初にS600においてSTA200は、MCフレームをAP100から受信する。また、S602においてSTA200は、MCフレーム内の遷移情報を参照する。
次にS604においてSTA200は、付加されている遷移情報が、集中管理型の通信モードの継続期間に関する情報か否かを判定する。S604において、付加されている遷移情報が、集中管理型の通信モードの継続期間に関する情報である場合、処理はS606に進む。S606においてSTA200は、S604において参照した遷移情報に基づいて、集中管理型の通信モードが継続する期間を更新する。
S608においてSTA200は、S606において更新された継続期間が終了したか否かを判定する。S608においてSTA200が、継続期間が終了したと判定する場合、処理はS610に移り、STA200は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移する。
なお、S604において遷移情報が、集中管理型の通信モードの継続期間を示す情報でなかった場合、処理は、S612に進む。S612においてSTA200は、他の遷移情報の確認を行う。ここで他の遷移情報は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報である。S608においてこれらの遷移情報が確認されると、処理はS610に進み、STA200は、他のモードに遷移する。
上述した変形例においては、AP100は、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定し、集中管理型の通信モードから他のモードへの遷移に関する遷移情報をMCフレームに配置して、STA200に送信する。これによって、トリガーフレームにおいて指定された集中管理型の通信モードの継続期間が適切ではなくなった場合に、MCフレームによって他のモードに遷移することを通知することができる。また、MCフレームは、他のフレームに優先して送信されてもよい。例えば、MCフレームは、M−BAフレームをAP100が送信した後、SIFS(Short Interframe Space)の間隔を置いて送信されてもよい。これによってSTA200は、より確実に他のモードに遷移することができる。
また、上述した例において遷移情報は、MCフレームの全てSTA200が参照できる領域に配置される。また、MCフレームは、AP100の配下にある全てのSTA200に送信されてもよく、STA200のそれぞれに個別に送信されてもよい。例えばMCフレームは、図18および図19の例において、STA200D宛に送信されてもよい。これによって、より柔軟に通信制御が行われる。
<5.第2の実施形態>
(5−1.第2の実施形態の第1の動作例)
以上では、遷移情報が、全てのSTA200が参照できるフレームの領域に配置される実施形態について説明された。しかし遷移情報は、個々のSTA200が個別に参照できるフレームの領域に配置されてもよい。これによってAP100は、配下にあるSTA200のそれぞれに対して異なる動作を指示することができる。
図21は、AP100がSTA200の各々に異なる遷移情報を送信する場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。図21においてAP100はトリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。
ここでAP100は、STA200A〜200Dが個別に参照できるトリガーフレーム(TF1)の領域に、遷移情報を含めてトリガーフレーム(TF1)を送信する。図21では、AP100は、STA200A、200B、200Cに対する継続期間の長さをT1とする情報を、STA200A〜200Dが個別に参照できるトリガーフレーム(TF1)の領域に配置する。また、AP100は、STA200Dに対する継続期間の長さをT2とする情報を、STA200A〜200Dが個別に参照できるトリガーフレーム(TF1)の領域に配置する。
トリガーフレーム(TF1)を受信したSTA200A〜200Dは、STA200A〜200Dが個別に参照できる領域を参照し、当該領域に含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間を設定する。具体的には、STA200A〜200Cは、継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続し、STA200Dは、継続期間(T2)の間、集中管理型の通信モードを継続する。
次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
STA200Dは、M−BAフレーム(BA1)を受信した後、次のトリガーフレームを受信することなく、トリガーフレーム(TF1)で設定された継続期間(T2)が終了するので、継続期間(T2)が終了すると、他のモードに遷移する。また、他のモードに遷移したSTA200DはAP100からのトリガーフレームを一定期間無視してもよい。一方、STA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)を受信する。
ここで図21においてトリガーフレーム(TF2)には、STA200AおよびSTA200Bに対して継続期間の長さをT3に設定するための情報と、STA200Cに対して継続期間の長さをT4に設定するための情報と、が含まれる。そしてトリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200Aおよび200Bは、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT3に更新し、STA200Cは、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT4に更新する。
次にSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA2)をAP100から受信する。そして、トリガーフレーム(TF2)で設定された継続期間(T3およびT4)が終了すると、STA200A〜200Cは、他のモードに遷移する。
なお、AP100は、STA200のそれぞれから提供される情報に基づいて、それぞれのSTA200に対する継続期間の長さを設定してもよい。例えば、STA200Dのバッファ量が少ないことに基づいて、AP100は、STA200Dに対する集中管理型の通信モードの継続期間を短くしてもよい。また、STA200Dが、他のモードに遷移するための要求をAP100に送信したことに基づいて、AP100は、STA200Dに対する集中管理型の通信モードの継続期間を短くしてもよい。なお、上述した例におけるSTA200の動作は、図5に示した動作と同様である。
上述した例においては、STA200のそれぞれに対する遷移情報が、STA200が個別に参照できるトリガーフレームの領域に配置される。よって、AP100は、それぞれのSTA200に対して異なる遷移情報を送信することができる。したがって、AP100は、配下のSTA200に対してより柔軟な通信制御を行うことができる。
(5−2.第2の実施形態の第2の動作例)
以上では、トリガーフレームに、集中管理型の通信モードの継続期間に関する遷移情報が配置される例について説明された。以下では、トリガーフレームに、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が付加される例について説明される。
図22は、AP100がトリガーフレームにおいてSTA200の各々に異なる遷移情報を送信する場合の、AP100およびSTA200の他の動作を示す図である。図22においてAP100はトリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。
ここでAP100は、STA200A〜200Dが個別に参照できるトリガーフレーム(TF1)の領域に、遷移情報を含めてトリガーフレーム(TF1)を送信する。図22では、AP100は、STA200A〜200Dの全てに対する継続期間の長さをT1とする情報を、STA200A〜200Dが個別に参照できるトリガーフレーム(TF1)の領域に配置する。なお、ここでは、図4で説明されたように、AP100は、STA200A〜200Dの全てが参照できる領域に、継続期間(T1)に関する情報を配置してトリガーフレーム(TF1)を送信してもよい。
そしてトリガーフレーム(TF1)を受信したSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)に含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間(T1)を設定する。STA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
次にAP100は、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)を送信する。ここでAP100は、STA200A〜STA200Cに対しては、次の集中管理型の通信モードの継続期間(T2)に関する情報をトリガーフレーム(TF2)で送信する。トリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)に含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT2に更新する。
一方、AP100は、STA200Dに対して、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報をトリガーフレーム(TF2)で送信する。集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報が、トリガーフレーム(TF2)に含まれる場合、STA200Dは、トリガーフレーム(TF2)を受信した後、すぐに他のモードに遷移する。また、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が、トリガーフレーム(TF2)に含まれ、STA200Dが、トリガーフレーム(TF2)でデータの送信が許可されていない場合に、STA200Dは、他のモードに遷移する。また、トリガーフレーム(TF2)でデータの送信が許可されている場合、STA200Dは、継続期間を更新し、データを送信した後に他のモードに遷移してもよい。また、他のモードに遷移したSTA200DはAP100からのトリガーフレームを一定期間無視してもよい。図22では、トリガーフレーム(TF2)におけるデータの送信が、STA200Dに対して許可されていない場合について示される。
STA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)によって設定された継続期間(T2)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF3)を送信する。ここでAP100は、STA200AおよびSTA200Bに対しては、次の集中管理型の通信モードの継続期間(T3)に関する情報をトリガーフレーム(TF3)で送信する。トリガーフレーム(TF3)を受信したSTA200Aおよび200Bは、トリガーフレーム(TF3)に含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT3に更新する。
一方、AP100は、STA200Cに対して、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報をトリガーフレーム(TF3)で送信する。このときSTA200Cは、上述したトリガーフレーム(TF2)に対するSTA200Dの動作と同様に動作する。なお、上述した例におけるSTA200の動作は、図7または図9に示された動作と同様である。
以上では、AP100が、STA200の各々に異なる遷移情報を、STA200が個別に参照できるトリガーフレームの領域に配置して送信する動作の例が説明された。以下では、上述した動作を行うAP100の処理の詳細について説明される。図23は、第2の実施形態におけるAP100の動作の一例を示す図である。
最初にS700においてAP100は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移するための要求をSTA200から受信したか否かを判定する。例えばSTA200は、省電力モードに入ることを望む場合、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移するための要求をAP100に送信する。ここでSTA200が省電力モードに入るか否かは、STA200の状態に基づいて判定されてもよい。例えば、STA200のバッファ量が少ない場合に、STA200は、省電力モードに入ることを望んでもよい。
また、STA200は、電波強度が弱いため、他のアクセスポイントに接続することを望む場合、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移するための要求をAP100に送信してもよい。また、STA200は、自律分散型による通信を行うことを望む場合、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移するための要求をAP100に送信してもよい。
S700において、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移するための要求をSTA200から受信した場合、処理はS702に進む。S702においてAP100は、S700において受信されたSTA200からの要求に基づいて、遷移情報をトリガーフレームに付加する。例えば、AP100は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移するための要求を送信したSTA200に対する遷移情報に関して、集中管理型の通信モードの継続期間を短くする遷移情報をトリガーフレームに付加してもよい。そしてS704においてAP100は、遷移情報が付加されたトリガーフレームを送信する。
S700において、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移するための要求をSTA200から受信していない場合、処理はS706に進む。S706においてAP100は、各STA200が他のモードに遷移してもよいか否かを判定する。
ここでAP100は、例えば、バッファが0になったSTA200は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移してもよい、と判定してもよい。また、AP100は、集中管理型の通信モードによるデータ送信に失敗するSTA200は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移してもよい、と判定してもよい。これは、STA200が送信するデータの誤り率に基づいて判定されてもよい。
S706において、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移してもよい、と判定されたSTA200がある場合、処理はS702に進む。そしてS702においてAP100は、S706における判定に基づいて、遷移情報をトリガーフレームに付加する。例えば、AP100は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移してもよい、と判定されたSTA200に対する遷移情報に関して、集中管理型の通信モードの継続期間を短くする遷移情報をトリガーフレームに付加してもよい。そしてS704においてAP100は、遷移情報が付加されたトリガーフレームを送信する。
以上では、遷移情報が、STA200が個別に参照できるトリガーフレームの領域に配置される例について説明された。以下では、上述した例において、トリガーフレームに付加される遷移情報のフレームにおける位置について説明される。図24は、図10で示されたトリガーフレームの「Per User Info」内に配置される情報を示す図である。
図24において、「User Identifier」は、AP100からのトリガーフレームに応じて送信を行うSTA200のAID(Association ID)を示す領域である。また、「RU Allocation」は、User Identifierで識別されるSTA200が行う送信で使用されるリソースを示す領域である。また、「Coding Type」は、User Identifierで識別されるSTA200が送信するPPDUの符号化方式を示す領域である。また、「MCS」は、User Identifierで識別されるSTA200が送信するPPDUのMCSを示す領域である。また、「DCM」は、User Identifierで識別されるSTA200が送信するPPDUでDual Carrier Modulationを使用するか否かを示す領域である。また、「SS allokation」は、User Identifierで識別されるSTA200が送信するPPDUの空間ストリームの情報を示す領域である。また、「Trigger−dependent Per User Info」は、トリガーフレームの種類に応じた情報が入る領域である。
そして、STA200のそれぞれに対する遷移情報は、一例として、「Trigger−dependent Per User Info」の後に、配置される。
(5−3.第2の実施形態の第3の動作例)
以上では、集中管理型の通信モードから他のモードへの遷移に関する遷移情報が、トリガーフレームに配置される例について説明された。以下では、個々のSTA200に対する遷移情報が、M−BAフレームで送信される例について説明される。
図25は、AP100がM−BAフレームにおいてSTA200の各々に異なる遷移情報を送信する場合の、AP100およびSTA200の他の動作を示す図である。図25においてAP100は、トリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。図25では、トリガーフレーム(TF1)を受信したSTA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードの継続期間を継続期間(T1)に設定する。なお、AP100は、STA200A〜200Dの全てが参照できるトリガーフレーム(TF1)の領域、またはSTA200A〜200Dが個別に参照できるトリガーフレーム(TF1)の領域に継続期間(T1)に関する情報を配置して、トリガーフレーム(TF1)を送信してもよい。
そしてSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
ここでAP100は、STA200A〜200Dが個別に参照できるM−BAフレーム(BA1)の領域に、遷移情報を含めてM−BAフレーム(BA1)を送信する。図25では、AP100は、STA200Dの継続期間の長さをT2とする遷移情報を、STA200A〜200Dが個別に参照できるM−BAフレーム(BA1)の領域に配置する。一方、AP100は、その他のSTA200A〜200Cに対する遷移情報をM−BAフレーム(BA1)に配置せずに、M−BAフレーム(BA1)を送信する。
そしてM−BAフレーム(BA1)内の遷移情報を参照したSTA200Dは、継続期間の長さをT2に更新する。さらにSTA200Dは、この継続期間(T2)中に次のトリガーフレームを受信しないので、継続期間(T2)が終了した後に他のモードに切り替える。また、他のモードに遷移したSTA200DはAP100からのトリガーフレームを一定期間無視してもよい。
他のSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)を受信する。ここでAP100は、STA200A〜STA200Cに対して、次の集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT3とする遷移情報をトリガーフレーム(TF2)で送信する。トリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)に含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT3に更新する。
そしてSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA2)をAP100から受信する。
ここでAP100は、上述したSTA200Dと同様に、STA200Cの継続期間の長さをT4とする遷移情報を、STA200A〜200Dが個別に参照できるM−BAフレーム(BA2)の領域に配置する。M−BAフレーム(BA2)内の遷移情報を参照したSTA200Cは、継続期間の長さをT4に更新する。さらにSTA200Cは、この継続期間(T4)中に次のトリガーフレームを受信しないので、継続期間(T4)が終了した後に他のモードに切り替える。なお、上述した例におけるSTA200の動作は、図5に示した動作と同様である。
また、AP100は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報をM−BAフレームに配置してもよい。
図26は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が、STA200が個別に参照できるM−BAフレームの領域に付加される場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。
なお、図26において、M−BAフレーム(BA1)に含まれる遷移情報が、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報である場合、トリガーフレーム(TF2)は、送信されない。
図26においてAP100はトリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。またSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)内に含まれる継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続する。次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
ここでAP100は、STA200A〜200Dが個別に参照できるM−BAフレーム(BA1)の領域に、STA200Dに対する、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報を配置してM−BAフレーム(BA1)を送信する。そしてM−BAフレーム(BA1)内の遷移情報を参照したSTA200Dは、他のモードに切り替える。また、他のモードに遷移したSTA200DはAP100からのトリガーフレームを一定期間無視してもよい。
他のSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)を受信する。ここでAP100は、STA200A〜STA200Cに対して、次の集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT2とする遷移情報をトリガーフレーム(TF2)で送信する。トリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)に含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT2に更新する。
ここでAP100は、上述したSTA200Dと同様に、STA200Cに対する、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報を、STA200A〜200Dが個別に参照できるM−BAフレーム(BA2)の領域に配置する。そしてM−BAフレーム(BA2)内の遷移情報を参照したSTA200Cは、他のモードに切り替える。なお、上述した例におけるSTA200の動作は、図7または図9に示した動作と同様である。
図27は、上述した動作を行うAP100の動作の一例を示す図である。なお、図27のS800〜S806は、図23のS700〜S706にそれぞれ対応するため、ここで詳細な説明は行わない。しかしながら、図27の処理と図23の処理を比較すると、S702では、遷移情報がトリガーフレームに付加されるのに対し、S802では、遷移情報がM−BAフレームに付加される点で異なる。
図28は、図16で示されたM−BAフレームの「BA Information」内の、「Per STA Info Subfield」に配置される情報を示す図である。
図28において、「Per−AID TID Info」は、Block Ack Starting Sequence ControlとBlock Ack Bitmapの設定、AID、TIDの情報が格納される領域である。また、「Block Ack Starting Sequence Control」は、Block Ackの開始シーケンス制御に関する情報が格納される領域である。また、「Block Ack Bitmap」は、A−MPDU内の送達確認のための領域である。
そして、STA200のそれぞれに対する遷移情報は、一例として、「Block Ack Bitmap」の後に、配置される。
上述したように本実施形態では、遷移情報が、STA200が個別に参照できるM−BAフレームの領域に配置される。これによってAP100は、配下のSTA200の個別の状況に応じて、適切な通信制御を行うことができる。
(5−4.第2の実施形態の第4の動作例)
以上では、集中管理型の通信モードから他のモードへの遷移に関する遷移情報が、STA200が個別に参照できるM−BAフレームの領域に配置される例について説明された。以下では、個々のSTA200に対する遷移情報が、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移することを通知するための、MCフレームで送信される例について説明される。
図29は、集中管理型の通信モードの継続期間に関する遷移情報が、STA200が個別に参照できるMCフレームの領域に配置される場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。図29においてAP100は、トリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。またSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)内に含まれる継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続する。次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
次にAP100は、M−BAフレーム(BA1)を送信した後に、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移することを通知するための、MCフレーム(MC1)を送信する。
ここでAP100は、STA200A〜200Dが個別に参照できるMCフレーム(MC1)の領域に、遷移情報を含めてMCフレーム(MC1)を送信する。図29では、AP100は、STA200Dの継続期間の長さをT2とする遷移情報を、STA200A〜200Dが個別に参照できるMCフレーム(MC1)の領域に配置する。一方、AP100は、その他のSTA200A〜200Cに対する遷移情報をMCフレーム(MC1)に配置せずに、MCフレーム(MC1)を送信する。
そしてMCフレーム(MC1)内の遷移情報を参照したSTA200Dは、継続期間の長さをT2に更新する。さらにSTA200Dは、この継続期間(T2)中に次のトリガーフレームを受信しないので、継続期間(T2)が終了した後に他のモードに切り替える。また、他のモードに遷移したSTA200DはAP100からのトリガーフレームを一定期間無視してもよい。
他のSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)を受信する。ここでAP100は、STA200A〜STA200Cに対して、次の集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT3とする遷移情報をトリガーフレーム(TF2)で送信する。トリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)に含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT3に更新する。
そしてSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA2)をAP100から受信する。
ここでAP100は、上述したSTA200Dと同様に、STA200Cの継続期間の長さをT4とする遷移情報を、STA200A〜200Dが個別に参照できるMCフレーム(MC2)の領域に配置する。MCフレーム(MC2)内の遷移情報を参照したSTA200Cは、継続期間の長さをT4に更新する。さらにSTA200Cは、この継続期間(T4)中に次のトリガーフレームを受信しないので、継続期間(T4)が終了した後に他のモードに切り替える。なお、上述した例におけるSTA200の動作は、図5に示した動作と同様である。
また、AP100は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報をMCフレームに配置してもよい。
図30は、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報が、MCフレームのSTA200が個別に参照できる領域に付加される場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。
なお、図30において、MCフレーム(MC1)に含まれる遷移情報が、トリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報である場合、トリガーフレーム(TF2)は、送信されない。
図30においてAP100は、トリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。またSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)内に含まれる継続期間(T1)の間、集中管理型の通信モードを継続する。次にSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
次にAP100は、M−BAフレーム(BA1)を送信した後に、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移することを通知するための、MCフレームを送信する。
ここでAP100は、STA200A〜200Dが個別に参照できるMCフレーム(MC1)の領域に、STA200Dに対する、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報を配置してMCフレーム(MC1)を送信する。そしてMCフレーム(MC1)内の遷移情報を参照したSTA200Dは、他のモードに切り替える。また、他のモードに遷移したSTA200DはAP100からのトリガーフレームを一定期間無視してもよい。
他のSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)を受信する。ここでAP100は、STA200A〜STA200Cに対して、次の集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT2とする遷移情報をトリガーフレーム(TF2)で送信する。トリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)に含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT2に更新する。
そしてSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA2)をAP100から受信する。そしてAP100は、M−BAフレーム(BA2)を送信した後に、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移することを通知するための、MCフレーム(MC2)を送信する。
ここでAP100は、上述したSTA200Dと同様に、STA200Cに対する、集中管理型の通信モードから他のモードに直ちに遷移することを指示する情報、またはトリガーフレームで指定する継続期間において次のトリガーフレームが送信されないことを示す情報を、STA200A〜200Dが個別に参照できるMCフレーム(MC2)の領域に配置する。そしてMCフレーム(MC2)内の遷移情報を参照したSTA200Cは、他のモードに切り替える。なお、上述した例におけるSTA200の動作は、図7または図9に示した動作と同様である。
図31は、上述した動作を行うAP100の動作の一例を示す図である。なお、図31のS900〜S906は、図23のS700〜S706にそれぞれ対応するため、ここで詳細な説明は行わない。しかしながら、図27の処理と図23の処理を比較すると、S702では、遷移情報がトリガーフレームに付加されるのに対し、S902では、遷移情報がMCフレームに付加される点で異なる。
上述したように本実施形態では、遷移情報が、STA200が個別に参照できるMCフレームの領域に配置される。これによってAP100は、配下のSTA200の個別の状況に応じて、適切な通信制御を行うことができる。
<7.第3の実施形態>
以上では、遷移情報が、様々なフレームに配置されて送信される例について説明された。以下では、遷移情報を受信したSTA200が、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定する例について説明される。
図32は、遷移情報を受信したSTA200が、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定する場合の、AP100およびSTA200の動作を示す図である。なお、図32においては、遷移情報が、STA200の全てが参照できるトリガーフレームの領域に配置される例について説明される。
図32においてAP100は、トリガーフレーム(TF1)をSTA200A〜200Dに送信し、STA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードに入る。図32において、トリガーフレーム(TF1)を受信したSTA200A〜200Dは、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT1に設定する。
そしてSTA200A〜200Dは、トリガーフレーム(TF1)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA1)をAP100から受信する。
次にAP100は、トリガーフレーム(TF1)によって設定された継続期間(T1)が継続する間に、次のトリガーフレーム(TF2)を送信する。ここでAP100は、STA200A〜STA200Dに対して、次の集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT2とする遷移情報をトリガーフレーム(TF2)に配置して送信する。トリガーフレーム(TF2)を受信したSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)に含まれる遷移情報に従って、集中管理型の通信モードの継続期間の長さをT2に更新する。そしてSTA200A〜200Cは、トリガーフレーム(TF2)によって設定されたリソースを用いてデータの送信を行い、M−BAフレーム(BA2)をAP100から受信する。
一方、STA200Dは、トリガーフレーム(TF2)を受信したときに、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定する。例えばSTA200Dは、省電力モードに入ることを望む場合、トリガーフレーム(TF2)で受信された遷移情報に従わず、継続期間の更新を行わなくてもよい。ここでSTA200Dが省電力モードに入るか否かは、STA200Dの状態に基づいて判定されてもよい。例えば、STA200Dのバッファ量が少ない場合に、STA200Dは、他のモードに入ることを望んでもよい。
また、STA200は、電波強度が弱いため、他のアクセスポイントに接続することを望む場合、トリガーフレーム(TF2)で受信された遷移情報に従わず、継続期間の更新を行わなくてもよい。また、STA200は、自律分散型による通信を行うことを望む場合、トリガーフレーム(TF2)で受信された遷移情報に従わず、継続期間の更新を行わなくてもよい。したがってSTA200Dは、トリガーフレーム(TF1)で設定された継続期間(T1)が終了すると、集中管理型の通信モードから他のモードに切り替える。また、他のモードに遷移したSTA200DはAP100からのトリガーフレームを一定期間無視してもよい。
そしてトリガーフレーム(TF2)で受信された遷移情報に従わずに、他のモードに切り替えたSTA200Dは、その後他のモードに切り替えたことを示すRS(Reminder Signal)をAP100に送信する。このRSを受信することによって、AP100は、STA200Dが、他のモードに切り替わったことを認識する。よってその後AP100は、STA200Dに対して、集中管理型の通信モードによる通信制御を行わなくてもよい。具体的には、AP100は、図32のトリガーフレーム(TF3)において、STA200Dに対するリソースの割り当て等を行わなくてよい。なお、上述したRSは、他のフレームよりも優先して送信されてもよい。例えば、RSは、M−BAフレーム(BA2)が送信された後、SIFS後に送信されてもよい。
上述したように本実施形態では、遷移情報を受信したSTA200が、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定する。これによってSTA200は、状況に応じて柔軟に、集中型の通信モードから他のモードに切り替えることができる。また、AP100は、STA200Dを他のモードに切り替えるための判定を行うための処理を行わなくてもよい。これによってAP100の処理負担を軽減させることができる。
なお、上述した例では、継続期間に関する遷移情報が、トリガーフレームに配置して送信された。しかしながら上述した例において、トリガーフレームに配置される遷移情報は、他の遷移情報であってもよい。また、遷移情報が配置されるフレームは、M−BAフレームであってもよく、MCフレームであってもよい。
図33は、上述した動作を行うSTA200の処理の一例を示すフローチャートである。最初にS1000においてSTA200は、トリガーフレームをAP100から受信する。次にS1002においてSTA200は、集中管理型の通信モードを継続するか否かを判定する。図33では、遷移情報が、集中管理型の通信モードが継続する期間に関する情報である場合の動作について説明される。
S1002においてSTA200が、集中管理型の通信モードを継続すると判定した場合、S1004においてSTA200は、S1000において受信されたトリガーフレーム内の遷移情報を参照する。そしてS1006においてSTA200は、参照された遷移情報に基づいて、集中管理型の通信モードが継続する期間を更新する。
一方、S1002においてSTA200が、集中管理型の通信モードを継続しないと判定した場合、処理はS1008に進む。S1008においてSTA200は、S1000において受信されたトリガーフレームで設定される継続期間に更新しない。
そしてS1010においてSTA200は、前回のトリガーフレームで設定された継続期間が終了するまでS1010の動作を繰り返す。そして、S1010においてSTA200が、前回のトリガーフレームで設定された継続期間が終了したと判定する場合、処理はS1012に移り、STA200は、集中管理型の通信モードから他のモードに遷移する。
S1012において集中管理型の通信モードから他のモードに遷移したSTA200は、次にS1014において他のモードに切り替えたことを示すRSをAP100に送信する。
<8.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。例えば、STA200は、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、テレビジョン受像機、プリンタ、デジタルスキャナ若しくはネットワークストレージなどの固定端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、STA200は、スマートメータ、自動販売機、遠隔監視装置又はPOS(Point Of Sale)端末などの、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、STA200は、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
一方、例えば、AP100は、ルータ機能を有し又はルータ機能を有しない無線LANアクセスポイント(無線基地局ともいう)として実現されてもよい。また、AP100は、モバイル無線LANルータとして実現されてもよい。さらに、AP100は、これら装置に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
(8−1.第1の応用例)
図34は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913、アンテナスイッチ914、アンテナ915、バス917、バッテリー918および補助コントローラ919を備える。
プロセッサ901は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤおよびその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を含み、プロセッサ901により実行されるプログラムおよびデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサおよび加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
無線通信インタフェース913は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac、11adおよび11axなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース913は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース913は、アドホックモード又はWi−Fi Direct(登録商標)等のダイレクト通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。なお、Wi−Fi Directでは、アドホックモードとは異なり2つの端末の一方がアクセスポイントとして動作するが、通信はそれら端末間で直接的に行われる。無線通信インタフェース913は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF(Radio Frequency)回路およびパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース913は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサおよび関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース913は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ914は、無線通信インタフェース913に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ915の接続先を切り替える。アンテナ915は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース913による無線信号の送信および受信のために使用される。
なお、図34の例に限定されず、スマートフォン900は、複数のアンテナ(例えば、無線LAN用のアンテナおよび近接無線通信方式用のアンテナ、など)を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ914は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース913および補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図34に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
なお、スマートフォン900は、プロセッサ901がアプリケーションレベルでアクセスポイント機能を実行することにより、無線アクセスポイント(ソフトウェアAP)として動作してもよい。また、無線通信インタフェース913が無線アクセスポイント機能を有していてもよい。
(8−2.第2の応用例)
図35は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、アンテナスイッチ934、アンテナ935およびバッテリー938を備える。
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能およびその他の機能を制御する。メモリ922は、RAMおよびROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラムおよびデータを記憶する。
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度および高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサおよび気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
無線通信インタフェース933は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac、11adおよび11axなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、インフラストラクチャーモードにおいては、他の装置と無線LANアクセスポイントを介して通信し得る。また、無線通信インタフェース933は、アドホックモード又はWi−Fi Direct等のダイレクト通信モードにおいては、他の装置と直接的に通信し得る。無線通信インタフェース933は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路およびパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース933は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサおよび関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、無線LAN方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又はセルラ通信方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよい。アンテナスイッチ934は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路の間でアンテナ935の接続先を切り替える。アンテナ935は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送信および受信のために使用される。
なお、図35の例に限定されず、カーナビゲーション装置920は、複数のアンテナを備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ934は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図35に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
また、無線通信インタフェース933は、上述したAP100として動作し、車両に乗るユーザが有する端末に無線接続を提供してもよい。
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
(8−3.第3の応用例)
図36は、本開示に係る技術が適用され得る無線アクセスポイント950の概略的な構成の一例を示すブロック図である。無線アクセスポイント950は、コントローラ951、メモリ952、入力デバイス954、表示デバイス955、ネットワークインタフェース957、無線通信インタフェース963、アンテナスイッチ964およびアンテナ965を備える。
コントローラ951は、例えばCPU又はDSP(Digital Signal Processor)であってよく、無線アクセスポイント950のIP(Internet Protocol)レイヤおよびより上位のレイヤの様々な機能(例えば、アクセス制限、ルーティング、暗号化、ファイアウォールおよびログ管理など)を動作させる。メモリ952は、RAMおよびROMを含み、コントローラ951により実行されるプログラム、および様々な制御データ(例えば、端末リスト、ルーティングテーブル、暗号鍵、セキュリティ設定およびログなど)を記憶する。
入力デバイス954は、例えば、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作を受け付ける。表示デバイス955は、LEDランプなどを含み、無線アクセスポイント950の動作ステータスを表示する。
ネットワークインタフェース957は、無線アクセスポイント950が有線通信ネットワーク958に接続するための有線通信インタフェースである。ネットワークインタフェース957は、複数の接続端子を有してもよい。有線通信ネットワーク958は、イーサネット(登録商標)などのLANであってもよく、又はWAN(Wide Area Network)であってもよい。
無線通信インタフェース963は、IEEE802.11a、11b、11g、11n、11ac、11adおよび11axなどの無線LAN標準のうちの1つ以上をサポートし、近傍の端末へアクセスポイントとして無線接続を提供する。無線通信インタフェース963は、典型的には、ベースバンドプロセッサ、RF回路およびパワーアンプなどを含み得る。無線通信インタフェース963は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサおよび関連する回路を集積したワンチップのモジュールであってもよい。アンテナスイッチ964は、無線通信インタフェース963に含まれる複数の回路の間でアンテナ965の接続先を切り替える。アンテナ965は、単一の又は複数のアンテナ素子を有し、無線通信インタフェース963による無線信号の送信および受信のために使用される。
<9.補足事項>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
例えば、全てのSTA200が遷移情報を参照するために、遷移情報は、フレームの「PHY Header」または「MAC Header」のいずれかの領域に配置されてもよい。また、STA200が個別に遷移情報を参照するために、遷移情報は、フレームの「PHY Header」または「MAC Header」以外の「Data」領域に配置されてもよい。
なお、アクセスポイント100のデータ処理部102、制御部104および通信部108を上述したように動作させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。また、ステーション200のデータ処理部202、制御部204および通信部208を上述したように動作させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。また、これらのプログラムが記憶された記憶媒体が提供されてもよい。また、アクセスポイント100のデータ処理部102および制御部104の機能は、プロセッサにより実現されてもよい。このとき、上述したプログラムが、インストールされることによって、アクセスポイント100のデータ処理部102および制御部104の機能は、プロセッサにより実現されてもよい。同様に、ステーション200のデータ処理部202および制御部204の機能は、プロセッサにより実現されてもよい。このとき、上述したプログラムが、インストールされることによって、ステーション200のデータ処理部202および制御部204の機能は、プロセッサにより実現されてもよい。
<10.むすび>
以上説明したように本開示の無線システムでは、集中管理型の通信モードから他のモードへの遷移に関する遷移情報が、トリガーフレーム、M−BAフレームまたはMCフレームに配置される。そして遷移情報を受信したステーション200は、受信された遷移情報に従って、他のモードに遷移する。また、アクセスポイント100は、複数の異なる遷移情報を生成する。これによって本実施形態の無線通信システムでは、ステーション200を集中管理型の通信モードから他のモードに柔軟に遷移させることができる。したがって、例えば、集中管理型の通信モードの継続期間が終了するまでの待機時間を短くすることができる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
アクセスポイントによる集中管理で通信が行われる第1のモードからアクセスポイントによる集中管理が行われない第2のモードへの遷移に関する複数の異なる遷移情報を生成する遷移情報生成部と、
前記遷移情報を含むフレームを生成するフレーム生成部と、を備える通信装置。
(2)
前記遷移情報生成部は、前記第1のモードの継続期間に関する前記遷移情報を生成する、前記(1)に記載の通信装置。
(3)
前記遷移情報生成部は、設定する継続期間が異なる前記第1のモードの継続期間に関する前記遷移情報を生成する、前記(2)に記載の通信装置。
(4)
前記遷移情報生成部は、前記第1のモードから前記第2のモードに直ちに移行することを示す前記遷移情報を生成する、前記(2)に記載の通信装置。
(5)
前記遷移情報は、前記フレームを受信する複数の受信端末の全てに適用される情報である、前記(1)から前記(4)のいずれか1項に記載の通信装置。
(6)
前記遷移情報は、前記フレームを受信する複数の受信端末のそれぞれに個別に適用される情報である、前記(1)から前記(4)のいずれか1項に記載の通信装置。
(7)
前記フレーム生成部は、前記第1のモードで通信を行うことを受信端末に指示するフレームに前記遷移情報を配置する、前記(1)から前記(6)のいずれか1項に記載の通信装置。
(8)
前記フレーム生成部は、前記第1のモードでデータを送信した送信端末に対する、前記データの受信の確認応答を示すフレームに前記遷移情報を配置する、前記(1)から前記(6)のいずれか1項に記載の通信装置。
(9)
前記フレーム生成部は、前記第1のモードから前記第2のモードに遷移することを通知するフレームに前記遷移情報を配置する、前記(1)から前記(6)のいずれか1項に記載の通信装置。
(10)
前記遷移情報は、前記第1のモードで通信を行うことを受信端末に指示するフレームに含まれる前記第1のモードの継続期間に関する情報によって設定される前記継続期間内に、前記第1のモードで通信を行うことを受信端末に指示するさらなるフレームを送信しないことを示す情報である、前記(7)に記載の通信装置。
(11)
前記遷移情報は、前記第1のモードで通信を行うことを受信端末に指示するフレームが送信される残り回数に関する情報である、前記(7)に記載の通信装置。
(12)
前記第2のモードは、省電力モードまたは自律分散型で通信が行われるモードまたは他のアクセスポイントからの電波をスキャンするモードである、前記(1)から前記(11)のいずれか1項に記載の通信装置。
(13)
前記遷移情報生成部は、前記アクセスポイントの配下にある通信端末から報告されるバッファ状態または前記アクセスポイントの配下にある前記通信端末の数に基づいて、前記遷移情報を生成する、前記(1)から前記(12)のいずれか1項に記載の通信装置。
(14)
プロセッサに、アクセスポイントによる集中管理で通信が行われる第1のモードからアクセスポイントによる集中管理が行われない第2のモードへの遷移に関する複数の異なる遷移情報を生成させることと、
前記遷移情報を含むフレームを生成させることと、を含む通信方法。
(15)
アクセスポイントによる集中管理で通信が行われる第1のモードからアクセスポイントによる集中管理が行われない第2のモードへの遷移に関する複数の異なる遷移情報を、前記アクセスポイントから受信する受信部と、
前記受信された遷移情報に基づいて前記第1のモードから前記第2のモードに遷移することを判定するモード判定部と、を備える通信装置。
(16)
前記遷移情報は、前記第1のモードの継続期間に関する情報であり、
前記モード判定部は、前記第1のモードによる通信を行わない場合に、受信された前記第1のモードの継続期間に関する情報に基づいて、前記第1のモードの継続期間の更新を行わない、前記(15)に記載の通信装置。
(17)
前記第1のモードの継続期間の更新を行わなかった場合に、前記第1のモードから前記第2のモードに遷移したことを示す情報を前記アクセスポイントに送信する送信部をさらに備える、前記(16)に記載の通信装置。
(18)
アクセスポイントによる集中管理で通信が行われる第1のモードからアクセスポイントによる集中管理が行われない第2のモードへの遷移に関する複数の異なる遷移情報を、前記アクセスポイントから受信することと、
プロセッサに、前記受信された遷移情報に基づいて前記第1のモードから前記第2のモードに遷移することを判定させることと、を含む通信方法。