JPWO2018074601A1 - 合成装置、合成方法及びプログラム - Google Patents

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Abstract

使用用途に適した特徴点を抽出する、合成装置を提供する。合成装置は、隆線により曲線縞模様が形成されている入力画像から複数の方式それぞれにより抽出された複数の特徴点集合を入力する、入力部と、複数の特徴点集合に対し論理演算を実行することで、複数の特徴点集合を合成する、合成部と、を備える。合成部は、複数の特徴点集合に対して論理和演算を実行することができる。また、合成部は、複数の特徴点集合に対して論理積演算を実行することもできる。

Description

[関連出願についての記載]
本発明は、日本国特許出願:特願2016−206879号(2016年10月21日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、合成装置、合成方法及びプログラムに関する。特に、隆線により曲線縞模様が形成されている画像から抽出された特徴点を含む集合を扱う、合成装置、合成方法及びプログラムに関する。
曲線縞模様の多数の隆線により構成される指紋、掌紋は、古くから人物特定の手段として利用されている。特に、犯罪現場に残された遺留指紋を用いる照合は、効果的な捜査手段として活用されている。多くの警察機関には、コンピュータを利用した指紋照合システムが導入されている。データベースに登録された指紋画像と犯罪現場等にて採取された遺留指紋それぞれの特徴点を比較することで、遺留指紋に対応する人物の特定がなされる。
指紋照合に用いられる特徴点には、指紋隆線の端点や分岐点が用いられることが多い。例えば、非特許文献1の「4.3 Minutiae−Based Methods」にて開示されているように、指紋隆線の端点や分岐点を用いた特徴点照合が用いられている。
特許文献1は、精度良く照合対象となる指紋画像を抽出可能とする指紋画像処理装置を提供するための技術を開示している。特許文献1には、指紋画像から抽出された特徴点の方向を基準点に対する回転方向により特徴付けることが開示されている。
特開2015−228070号公報
D.Maltoni、"Handbook of Fingerprint Recognition"、Springer、2003
なお、上記先行技術文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。以下の分析は、本発明者らによってなされたものである。
指紋画像の利用には、入退出管理等における個人認証や犯罪捜査等における犯人特定など多岐に渡る。これらの指紋画像の利用では、指紋画像から特徴点が抽出され、当該抽出された特徴点とデータベース等に格納された画像から抽出された特徴点を比較することで、認証や個人特定がなされる点において共通する。
しかし、指紋画像の利用(ユースケース)において、指紋画像から抽出される特徴点(より正確には、複数の特徴点からなる集合又は特徴ベクトル)に対する要求事項が異なる。例えば、犯罪捜査において遺留指紋を容疑者の選定に利用する場合には、容疑者の指紋を取りこぼすことがないように、特徴点には網羅性が要求される。つまり、品質が低いと考えられる特徴点であっても網羅的に抽出され、データベースの情報と比較されることが望まれる。
一方、個人認証等に使用される場合には、誤判定(本人拒否、他人受入)を低減するために、スキャナ装置等により得られる指紋画像から抽出される特徴点には正確性が要求される。つまり、指紋採取時の環境に影響されるような特徴点は予め除外されデータベースに登録されると共に、照合時にもこのような品質の低い特徴点は除外されることが望まれる。
なお、上記2つの要望(網羅性、正確性)に対し、品質の高い特徴点を網羅的に抽出できる特徴点抽出方式(特徴点抽出アルゴリズム)が存在すれば良いが、各特徴点抽出方式には特有の性格があり、万能なアルゴリズムが存在しないのが実情である。
本発明は、使用用途に適した特徴点を抽出する、合成装置、合成方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明乃至開示の第1の視点によれば、隆線により曲線縞模様が形成されている入力画像から複数の方式それぞれにより抽出された複数の特徴点集合を入力する、入力部と、前記複数の特徴点集合に対し論理演算を実行することで、前記複数の特徴点集合を合成する、合成部と、を備える、合成装置が提供される。
本発明乃至開示の第2の視点によれば、隆線により曲線縞模様が形成されている入力画像から複数の方式それぞれにより抽出された複数の特徴点集合を入力するステップと、前記複数の特徴点集合に対し論理演算を実行することで、前記複数の特徴点集合を合成するステップと、を含む、合成方法が提供される。
本発明乃至開示の第3の視点によれば、隆線により曲線縞模様が形成されている入力画像から複数の方式それぞれにより抽出された複数の特徴点集合を入力する処理と、前記複数の特徴点集合に対し論理演算を実行することで、前記複数の特徴点集合を合成する処理と、をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
本発明乃至開示の各視点によれば、使用用途に適した特徴点を抽出することに寄与する、合成装置、合成方法及びプログラムが提供される。
一実施形態の概要を説明するための図である。 第1の実施形態に係る特徴点抽出システムの構成の一例を示す図である。 第1の実施形態に係る合成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 第1の特徴点抽出装置の処理構成の一例を示す図である。 芯線抽出部の動作を説明するための図である。 特徴点抽出部の動作を説明するための図である。 合成装置の処理構成の一例を示す図である。 合成装置における合成部の動作を説明するための図である。 合成装置における合成部の動作を説明するための図である。 合成部が2つの特徴点集合を論理和演算により合成する際の動作の一例を示すフローチャートである。 合成装置における合成部の動作を説明するための図である。 合成装置における合成部の動作を説明するための図である。 合成部が2つの特徴点集合を論理積演算により合成する際の動作の一例を示すフローチャートである。 合成装置における合成部の動作を説明するための図である。 第1の実施形態に係る特徴点抽出システムの動作の一例を示すシーケンス図である。 指紋画像に複数のアルゴリズムを適用する一例を説明するための図である。 第2の実施形態に係る特徴点抽出システム構成の一例を示す図である。 合成部の動作の一例を示すフローチャートである。 第3の実施形態に係る特徴点抽出システム構成の一例を示す図である。 第3の実施形態に係る合成装置の処理構成の一例を示す図である。 特徴点間隆線数を説明するための図である。
初めに、一実施形態の概要について説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、この概要の記載はなんらの限定を意図するものではない。
一実施形態に係る合成装置100は、隆線により曲線縞模様が形成されている入力画像から複数の方式それぞれにより抽出された複数の特徴点集合を入力する、入力部101と、複数の特徴点集合に対し論理演算を実行することで、複数の特徴点集合を合成する、合成部102と、を備える。
合成装置100に入力される特徴点集合は、異なる複数の方式(アルゴリズム)により抽出されたものである。各方式には得手不得手があるのが実情であり、具体的には、特定の特徴を有する指紋画像に特化したアルゴリズムが存在する。一実施形態に係る合成装置100では、複数のアルゴリズムそれぞれから抽出された特徴点集合に対し、論理演算(例えば、論理和演算、論理積演算)を実行し、複数の特徴点集合を1つの特徴点集合に合成する。その際、合成装置100が実行する論理演算を適切に選択することで、利用目的に適った特徴点集合を抽出することができる。例えば、複数のアルゴリズムから抽出された特徴点を漏れなく選択したい場合には、論理和演算を実行すればよい。あるいは、複数のアルゴリズムから抽出された特徴点であって、品質の高いものだけを残したい場合には、論理積演算を実行すればよい。
以下に具体的な実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。なお、各実施形態において同一構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、各図におけるブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図面を用いてより詳細に説明する。
図2は、第1の実施形態に係る特徴点抽出システムの構成の一例を示す図である。図2を参照すると、特徴点抽出システムは、第1の特徴点抽出装置10と、第2の特徴点抽出装置20と、合成装置30と、を含んで構成される。
第1の特徴点抽出装置10及び第2の特徴点抽出装置20のそれぞれは、指紋画像を入力する。第1の特徴点抽出装置10及び第2の特徴点抽出装置20のそれぞれは、互いに異なる方式(アルゴリズム)により入力した指紋画像から特徴点を抽出する。
第1の特徴点抽出装置10が抽出する特徴点の集合を「第1の特徴点集合」と表記する。同様に、第2の特徴点抽出装置20が抽出する特徴点の集合を「第2の特徴点集合」と表記する。
合成装置30は、第1及び第2の特徴点集合のそれぞれを入力する。また、特徴点抽出システムのオペレータ等は、「合成モード指示」を合成装置30に入力する。合成装置30は、合成モード指示に従い第1及び第2の特徴点集合を合成し、特徴点集合をシステムに入力された指紋画像を特徴付ける特徴量として出力する。即ち、合成装置30は、2以上の特徴点集合を合成し、1つの特徴点集合を生成する装置である。
[ハードウェア構成]
次に、第1の実施形態に係る特徴点抽出システムを構成する各種装置のハードウェア構成を説明する。
図3は、第1の実施形態に係る合成装置30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
合成装置30は、所謂、情報処理装置(コンピュータ)により実現され、例えば、図3に例示する構成を備える。例えば、合成装置30は、内部バスにより相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、入出力インターフェイス13及び通信手段であるNIC(Network Interface Card)14等を備える。
但し、図3に示す構成は、合成装置30のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。合成装置30は、図示しないハードウェアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インターフェイス13やNIC14等を備えていなくともよい。また、合成装置30に含まれるCPU等の数も図3の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のCPUが合成装置30に含まれていてもよい。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
入出力インターフェイス13は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェイスとなる手段である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えば、キーボードやマウス等のユーザ操作を受け付ける装置である。また、入力装置には、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の外部記憶装置も含まれる。
合成装置30の機能は、後述する各種処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリ12に格納されたプログラムをCPU11が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新することができる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。即ち、上記処理モジュールが行う機能を何らかのハードウェア、及び/又は、ソフトウェアで実行する手段があればよい。
なお、第1の特徴点抽出装置10や第2の特徴点抽出装置20のハードウェア構成は、合成装置30と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
続いて、各装置の処理構成(処理モジュール)について説明する。
[第1の特徴点抽出装置]
図4は、第1の特徴点抽出装置10の処理構成の一例を示す図である。図4を参照すると、第1の特徴点抽出装置10は、入力部201と、芯線抽出部202と、特徴点抽出部203と、出力部204と、記憶部205と、を含んで構成される。なお、入力部201等の各部は相互にデータの授受が可能に構成されると共に、記憶部205に格納されたデータにアクセス可能である。
入力部201は、外部から指紋画像(隆線により曲線縞模様が形成されている画像)に係るデータを入力する手段である。例えば、入力部201は、USBメモリ等の外部記憶媒体に格納された指紋画像のデジタルデータ(画像ファイル)を取り込み、芯線抽出部202に当該データを引き渡す。入力部201は、ネットワークを介して指紋画像に係るデータ等を入力してもよい。あるいは、スキャナ等によりデジタル化された指紋画像を入力する構成ではなく、入力部201にスキャナ機能を搭載することで、デジタル化された指紋画像を取得してもよい。なお、スキャナにより指紋画像を取得した場合には、第1の特徴点抽出装置10は、当該画像を第2の特徴点抽出装置20に提供する。
指紋画像には標準化された規格が存在する。具体的には、米国National Institute of Standards and Technologyにより標準化されたANSI/NIST-ITL-1-2000 Data Format for the Interchange of Fingerprint、Facial、& Scar Mark & Tattoo (SMT) Informationが存在する。入力部201は、上記規格に基づきデジタル化された指紋画像(例えば、解像度が500dpiの指紋画像)を取り扱えることが望ましい。
芯線抽出部202は、取得した指紋画像から芯線を抽出する手段である。なお、芯線抽出部202は、非特許文献1の「3 Fingerprint Analysis and Representation」に開示された芯線抽出手法を用いることができる。そのため、芯線の抽出に関する詳細な説明は省略するが、芯線抽出部202は、概略以下の手順にて、芯線を抽出する。
芯線抽出部202は、指紋画像の隆線の方向を抽出する。芯線抽出部202は、当該隆線方向に沿って各隆線を強調し、二値画像を生成する。芯線抽出部202は、二値画像を芯線化することで、芯線データ(芯線画像)を抽出する。例えば、芯線抽出部202は、図5に示すような芯線画像を生成する。
特徴点抽出部203は、芯線画像から特徴点を抽出する手段である。特徴点抽出部203が抽出する情報には、特徴点の位置と、特徴点の種別(分岐点、端点)と、当該特徴点を方向により特徴付ける方向(以下、特徴点方向と表記する)と、が含まれる。
特徴点抽出部203は、芯線抽出部202が生成した芯線画像から、芯線の分岐点及び端点を特徴点として抽出する。なお、芯線画像から特徴点を抽出する際の手順には、非特許文献1の「3 Fingerprint Analysis and Representation」に開示された特徴点抽出手法を用いることができる。そのため、特徴点抽出に関する詳細な説明は省略する。
例えば、特徴点抽出部203は、図5に示すような分岐点211、212や、端点221、222を特徴点として抽出し、各特徴点の位置及びその種別(分岐点、端点)を記憶部205に登録する。なお、図5以降の図面において、分岐点は白抜きの四角、端点は白抜きの丸によりそれぞれ表記する。また、図5を初めとする各図に記載された特徴点(分岐点、端点)は説明の便宜上、設定されたものであり、各図から抽出されるべき正しい特徴点が網羅されたものではない。
特徴点の抽出が終了すると、特徴点抽出部203は、各特徴点に関する特徴点方向を算出する。例えば、抽出した特徴点が分岐点であれば、特徴点抽出部203は、特徴点をなす3本の芯線から定まる内角であって最小の角度を有するものを二分する方向を特徴点方向と定める。例えば、図6(a)に示す分岐点231の特徴点方向232が算出される。
また、抽出した特徴点が端点であれば、特徴点抽出部203は、端点を形成する芯線上を一定距離トレースし、終端点を算出する。特徴点抽出部203は、端点と終端点を結ぶ方向を、端点の特徴点方向として算出する。例えば、図6(b)に示す端点241の特徴点方向242が算出される。
なお、特徴点方向は、図6(c)に示すように、指紋画像内の2次元座標系におけるX軸と、特徴点方向による直線と、により形成される角度θを用いて特徴量として表記される。
特徴点抽出部203は、抽出した特徴点に関する情報(特徴点の位置、種別、特徴点方向)を出力部204に引き渡す。
出力部204は、特徴点抽出部203が抽出した特徴点に関する情報を、第1の特徴点集合として合成装置30に出力する。なお、第1の特徴点抽出装置10と合成装置30間のデータ授受の形態はどのようなものであってもよい。例えば、ネットワークを介して第1の特徴点集合に係るデータが合成装置30に入力されてもよい。あるいは、USBメモリ等を用いて第1の特徴点集合に係るデータが合成装置30に入力されてもよい。また、出力部204は、指紋画像から抽出した特徴点(第1の特徴点集合)だけでなく、指紋画像も合わせて合成装置30に出力してもよい。
[第2の特徴点抽出装置]
第2の特徴点抽出装置20に関する処理構成は、第1の特徴点抽出装置10と同様とすることができるので、その詳細な説明は省略する。第1の特徴点抽出装置10と第2の特徴点抽出装置20の相違点は、例えば、特徴点の抽出に係るアルゴリズム(芯線抽出部202、特徴点抽出部203の動作)の相違とすることができる。
例えば、指紋画像に写る隆線上に数ドットの空白が存在する場合に、当該空白を隆線の途切れと判断するか、又は、当該空白をノイズと判断し隆線は途切れていないと判断するか等の判断が、2つの装置間で異なるものとする。第1の特徴点抽出装置10と第2の特徴点抽出装置20の特徴点抽出アルゴリズムはそれぞれ異なるため、各装置から出力される特徴点集合もまた異なることが多い。但し、指紋画像の品質や使用するアルゴリズムによっては、2つの特徴点抽出装置が出力する結果が同じとなることもある。
[合成装置]
図7は、合成装置30の処理構成の一例を示す図である。図7を参照すると、合成装置30は、入力部301と、合成部302と、出力部303と、記憶部304と、を含んで構成される。
入力部301は、隆線により曲線縞模様が形成されている入力画像(指紋画像)から複数の方式(特徴点抽出アルゴリズム)それぞれにより抽出された複数の特徴点集合を入力する手段である。具体的には、入力部301は、2つの特徴点集合(第1及び第2の特徴点集合)と合成モード指示を入力する。入力部301は、取得した2つの特徴点集合及び合成モード指示を合成部302に引き渡す。
合成部302は、複数の特徴点集合に対し論理演算を実行することで、複数の特徴点集合を合成する手段である。合成部302は、種々の論理演算を実行できる。合成部302は、複数の論理演算のなかから合成モード指示により指定された論理演算を実行する。第1の実施形態では、合成部302は、2つの特徴点集合に対して論理和演算と論理積演算のいずれかを実行するものとする。
例えば、図8(a)に示す指紋画像から第1の特徴点抽出装置10が特徴点を抽出すると図8(b)の結果が得られるものとする。図8(b)では、4つの特徴点251〜254が抽出されている。同様に、図8(a)に示す指紋画像から第2の特徴点抽出装置20が特徴点を抽出すると図8(c)の結果が得られるものとする。図8(c)では、4つの特徴点261〜264が抽出されている。
図8(b)及び(c)の抽出結果のそれぞれは、第1及び第2の特徴点集合として合成装置30に出力される。図9(a)は、第1の特徴点抽出装置10が出力する特徴点集合の一例を示し、図9(b)は、第2の特徴点抽出装置20が出力する特徴点集合の一例を示す。
図8及び図9を参照すると、特徴点252と特徴点262は同じ座標位置で抽出された特徴点であって、その種別も分岐点で同一であることが分かる。また、特徴点253と特徴点263は同じ座標位置で抽出された特徴点ではあるが、その種別が異なっていることが分かる。
合成部302は、図9に示すような複数の特徴点集合に対して論理演算(論理和演算又は論理積演算)を実行し、2つの集合を合成する。
次に、合成モード指示が特徴点集合の論理和演算を示す場合の合成部302の動作について説明する。
図10は、合成部302が2つの特徴点集合を論理和演算により合成する際の動作の一例を示すフローチャートである。
合成部302は、一方の特徴点集合に属する特徴点であって、他方の特徴点集合に対応する座標が存在しない(座標が不一致な)特徴点を抽出する(ステップS101)。なお、2つの特徴点の座標が一致するとは、2つの座標の差分を計算すると所定の範囲内にある座標を意味する。
図8、図9の例では、ステップS101が実行されると、第1の特徴点集合から特徴点251、特徴点254が抽出され、第2の特徴点集合から特徴点261、特徴点264が抽出される。抽出された特徴点は、合成後の特徴点集合に属する要素(特徴点)として記憶部304に格納される。
合成部302がステップS101の処理を実行することにより、複数の特徴点集合それぞれに属する特徴点であって、互いの座標位置が実質的に一致する特徴点が2つの特徴点集合に残る。つまり、合成部302は、ステップS101を実行することにより、互いの座標位置が実質的に一致する2つの特徴点ペアを抽出する。合成部302は、当該特徴点ペアに関し、ステップS102以降の処理を実行することにより、座標位置が一致する特徴点を合成する処理(特徴点合成処理)を実行する。
初めに、合成部302は、特徴点ペアをなす2つの特徴点の種別が一致するか否かを確認する(ステップS102)。
特徴点の種別が一致すれば(ステップS102、Yes分岐)、合成部302は、2つの特徴点の座標位置と特徴点方向を平均化する(ステップS103)。例えば、図11(a)、(b)に示す2つの特徴点(分岐点)の座標位置と特徴点方向を平均化するものとする。図11(a)に示す特徴点の座標は(X1a、Y1a)、特徴点方向はθ1aとする。図11(b)に示す特徴点の座標は(X1b、Y1b)、特徴点方向はθ1bとする。
合成部302は、2つの特徴点の座標位置を以下の式(1)により平均化し、座標(Xs、Ys)を得る。

・・・(1)
同様に、合成部302は、2つの特徴点方向を以下の式(2)により平均化し、特徴点方向θsを得る。

・・・(2)
合成部302は、平均化した特徴点の座標、特徴点方向を、合成後の特徴点(図9(c)参照)として記憶部304に格納する。
ステップS102における判断において、2つの特徴点の種別が一致しなければ(ステップS102、No分岐)、合成部302は、2つの特徴点の座標位置を平均化すると共に、合成後の特徴点の特徴点方向及び種別を「不明」に設定する(ステップS104)。
合成部302は、ステップS101の実行により抽出された特徴点ペアについての処理が終了したか否かを確認(ステップS105)し、終了していなければ、ステップS102以降の処理を繰り返す。
図8及び図9の例では、図8(b)の特徴点253と図8(c)の特徴点263は、座標位置が同じであるので、座標を平均化すると、(X3、Y3)が得られる。一方、上記2つの座標の特徴点種別は互いに異なるので、2つの特徴点の属性(特徴点方向、種別)は消去され、合成後の特徴点の特徴点方向及び種別は「不明」に設定される。合成部302は、平均化した特徴点の座標を合成後の特徴点の座標に設定すると共に、特徴点種別及び特徴点方向に「不明」を設定し、記憶部304に格納する。
上記のように、合成部302が実行する特徴点合成処理には、合成の対象となる特徴点の種別に関わらず、少なくとも合成する特徴点の座標位置を平均化することを含む。
図8、図9に示す2つの特徴点集合に対して、合成部302が論理和に係る合成処理を実行すると、図12(a)に示す結果が得られる。なお、図12(a)において、上記不明に設定された特徴点方向、種別は記号「−」により表記している。また、特徴点275の特徴点方向θ26は、特徴点252の特徴点方向θ2と特徴点262の特徴点方向θ6の平均値である。
図12(a)に示す結果を、入力画像である図8(a)に反映すると図12(b)が得られる。なお、種別が不明に設定された特徴点(特徴点276)は白抜きの三角により表記している。
続いて、合成モード指示が論理積演算を示す場合について説明する。
この場合も、特徴点抽出システムには図8(a)に示す指紋画像が入力され、第1の特徴点抽出装置10が図8(b)に示す特徴点を抽出し、第2の特徴点抽出装置20が図8(c)に示す特徴点を抽出する場合を例に取って説明する。
図13は、合成部302が2つの特徴点集合を論理積演算により合成する際の動作の一例を示すフローチャートである。
合成部302は、2つの特徴点集合それぞれに含まれる特徴点であって、特徴点の座標が実質的に一致する(重複する)特徴点のペアを抽出する(ステップS201)。つまり、実行する論理演算が論理積演算の場合には、合成部302がステップS201の処理を実行することにより、複数の特徴点集合それぞれに属する特徴点であって、互いの座標位置が実質的に一致する特徴点ペアが抽出される。例えば、図8の例では、特徴点252と特徴点262のペアと、特徴点253と特徴点263のペアが抽出される。
次に、合成部302は、各特徴点ペアの特徴点種別が一致するか否かを確認する(ステップS202)。
特徴点種別が一致すれば(ステップS202、Yes分岐)、合成部302は、座標位置と特徴点方向の平均化を行う(ステップS203)。当該処理は、図10のステップS103の処理と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
合成部302は、平均化した特徴点の座標、特徴点方向を、合成後の特徴点として記憶部304に格納する。
特徴点種別が一致しなければ(ステップS202、No分岐)、合成部302は、2つの特徴点の座標位置を平均化すると共に、合成後の特徴点に関する特徴点方向及び種別を「不明」に設定する(ステップS204)。当該処理も図10のステップS104の処理と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
合成部302は、平均化した特徴点の座標を合成後の特徴点の座標に設定すると共に、特徴点種別及び特徴点方向に「不明」を設定し、記憶部304に格納する。
合成部302は、ステップS201にて抽出された特徴点ペアについての処理が終了したか否かを確認(ステップS205)し、終了していなければ、ステップS202以降の処理を繰り返す。
図8、図9に示す2つの特徴点集合に対して、合成部302が論理積演算に係る合成処理を実行すると、図14(a)に示す結果が得られる。図14(a)に示す結果を、入力画像である図8(a)に反映すると図14(b)が得られる。
合成部302は、上記合成処理により得られた合成後の特徴点集合(図12(a)や図14(a)に示すような情報)を出力部303に引き渡す。出力部303は、合成後の特徴点集合をシステムに入力された指紋画像に対応する特徴点(特徴量)として、外部装置に出力する。当該特徴点の出力先となる外部装置には、個人認証を行う認証装置、データベースに格納された個人を特定する照合装置等が該当する。
次に、図面を参照しつつ、第1の実施形態に係る特徴点抽出システムの動作について説明する。
図15は、第1の実施形態に係る特徴点抽出システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
第1の特徴点抽出装置10及び第2の特徴点抽出装置20のそれぞれは、指紋画像を入力する(ステップS11、S21)。その後、芯線の抽出処理(ステップS12、S22)及び特徴点抽出処理(ステップS13、S23)を経た後、第1及び第2の特徴点集合が出力される(ステップS14、S24)。
合成装置30は、例えば、システムのオペレータから合成モード指示を入力する(ステップS31)。その後、合成装置30は、2つの特徴点集合を入力(ステップS32)し、合成モード指示に従った合成処理を実行する(ステップS33)。合成装置30は、合成後の特徴点集合を外部装置等に出力する(ステップS34)。
以上のように、第1の実施形態に係る合成装置30は、複数の方式(アルゴリズム)により抽出された特徴点集合に対し論理演算(例えば、論理和演算、論理積演算)を実行し、複数の特徴点集合を合成する。その際、合成装置30は、複数の方式により抽出された特徴点集合に属する特徴点であって、互いの座標位置が実質的に一致する場合には、予め定めた合成処理(図10のステップS103、S104;図13のステップS203、S204)を実行することで、特徴点の合成を実行する。また、合成装置30による合成モードは、合成モード指示により決定することができる。その結果、第1の特徴点抽出システムから抽出する特徴点の利用目的に合致する特徴点集合が得られる。
例えば、1枚の指紋画像から特徴点を網羅的に抽出したい場合には、合成モード指示により論理和演算を指定すればよい。この場合、図12(b)に示すように、2つの特徴点抽出装置が出力する特徴点が漏れなく選択される。対して、1枚の指紋画像から品質の高い特徴点を抽出したい場合には、合成モード指示により論理積演算を指定すればよい。この場合、図14(b)に示すように、2つの特徴点抽出装置が共通して抽出した特徴点が選択される。特徴点抽出アルゴリズムが異なる2つの装置のそれぞれが抽出する特徴点は、どのような観点から確認しても特徴点としての特徴を有するものといえ、品質の高いものであると考えられる。
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
指紋画像から特徴点を抽出する際に用いられるアルゴリズム(特徴点抽出アルゴリズム)には種々のものが存在する。例えば、隆線の幅が広い領域に適用すると高い精度で隆線を芯線化できるアルゴリズムや、隆線の幅が狭い領域に適用すると高い精度で隆線を芯線化できるアルゴリズムが存在する。また、1枚の指紋画像において、隆線の幅が広い領域と狭い領域が混在していることも多い。
このような指紋画像に対し、第1の実施形態に係る合成処理を適用しても十分品質の高い特徴点集合が得られない可能性がある。例えば、図16上段に示すように、隆線の幅が広い領域と狭い領域が混在する指紋画像を想定する。また、第1の特徴点抽出装置10は、隆線の幅が広い領域に有効なアルゴリズム(以下、アルゴリズムAと表記する)を実行し、第2の特徴点抽出装置20は、隆線の幅が狭い領域に有効なアルゴリズム(以下、アルゴリズムBと表記する)を実行すると仮定する。
この場合、図16上段に示す指紋画像に対して、アルゴリズムAを適用すると、隆線の幅が広い領域の抽出結果は品質の高いものであるが、隆線の幅が狭い領域の抽出結果は相対的に品質が低い(図16中段、左側参照)。一方、図16上段に示す指紋画像に対して、アルゴリズムBを適用すると、先の結果と逆となる(図16中段、右側参照)。
図16の中段に示す2つの特徴点集合に対して、合成装置30により論理和演算を実行すると、2つのアルゴリズムが抽出した特徴点が網羅的に抽出される。しかし、その場合、いずれか一方のアルゴリズムにより抽出された特徴点が数多く残り、そのような特徴点の品質は必ずしも高くない。つまり、合成後の特徴点集合を全体として考えた場合、必ずしも品質の高いものが生成されているとは言えない。
同様に、図16の中段に示す指紋画像に対して、合成装置30により論理積演算を実行すると、2つのアルゴリズムが共通して抽出した特徴点に限り抽出される。しかし、この場合、極めて品質の高い特徴点だけが残り、比較的品質の高い特徴点が残らない状況が生じ得る。この場合も、合成後の特徴点集合を全体として考えた場合、必ずしも品質の高いものが生成されているとは言えない。
以上の状況を鑑み、第2の実施形態では、総合的に品質の高い特徴点(合成後の特徴点集合)を抽出する合成装置30aを提供する。
具体的には、第2の実施形態に係る合成装置30aは、3以上の特徴点集合を入力すると共に、複数回の合成処理を階層的に実行することで、総合的に品質の高い特徴点を抽出する。
図17は、第2の実施形態に係る特徴点抽出システム構成の一例を示す図である。図17に示すシステムでは、第3の特徴点抽出装置40が追加となっている。
第3の特徴点抽出装置40は、第1の特徴点抽出装置10及び第2の特徴点抽出装置20と同様に、指紋画像から特徴点を抽出する装置である。そのため、第3の特徴点抽出装置40に係る構成及び動作に関する説明を省略する。
また、第3の特徴点抽出装置40が抽出する特徴点(特徴点集合)を、第3の特徴点集合と表記する。
各特徴点抽出装置のそれぞれが実行する特徴点抽出アルゴリズムは以下のとおりとする。第1の特徴点抽出装置10はアルゴリズムA(隆線の幅が広い場合に有効)に対応する。第2の特徴点抽出装置20はアルゴリズムB(隆線の幅が狭い場合に有効)に対応する。第3の特徴点抽出装置40はアルゴリズムCに対応し、当該アルゴリズムCはアルゴリズムAとBの中間的な特徴(オールマイティな性質)を有する。
第2の実施形態に係る合成装置30aの基本的な構成、動作は第1の実施形態にて説明した内容と同様とすることができるので詳細な説明を省略する。第2の実施形態に係る合成装置30aは、3以上の特徴点集合に対応する点と、複数回の合成処理を実行する点と、が第1の実施形態に係る合成装置30と異なる。
以下、合成装置30aの合成部302aについて説明する。
図18は、第2の実施形態に係る合成部302aの動作の一例を示すフローチャートである。
初めに、合成部302aは、3つの特徴点集合を取得すると、各特徴点集合のペア(複数の特徴点集合から選択した特徴点集合のペア)について、論理積演算に係る合成を実行する(ステップS301)。
次に、合成部302aは、前ステップの実行により得られた合成後特徴点集合それぞれの論理和演算に係る合成を実行する(ステップS302)。
上記ステップS301、S302による合成処理を演算式により表現すると下記の式(3)のとおりとなる。

・・・(3)
なお、Agは、第1の特徴点集合(アルゴリズムAにより得られる集合)、Bgは、第2の特徴点集合(アルゴリズムBにより得られる集合)、Cgは、第3の特徴点集合(アルゴリズムCにより得られる集合)をそれぞれ示す。
上記式(3)によれば、最初の論理積演算に係る合成により、異なる2つのアルゴリズム(特徴点集合のペア)から得られる特徴点に共通するものだけが残される。即ち、2つのアルゴリズムに共通する品質の良い特徴点だけが抽出される。その後、式(3)では、論理積演算に係る合成により得られた特徴点集合について論理和演算に係る合成が実行され、品質の高い特徴点が集められる。その結果、式(3)による合成処理を実行すると、アルゴリズムA〜Cにより抽出される特徴点であって、品質の高い特徴点を含む、集合(合成後特徴点集合)が生成される。
なお、上記説明では、合成モード指示について言及しなかったが、合成装置30aは式(3)に相当する処理を実行するものと予め定めておいてもよいし、式(3)に相当する論理式を合成モード指示として入力してもよい。また、合成装置30aが実行する合成処理は、式(3)に限らず、例えば、式(3)を簡略化した下記の式(4)に係る合成処理を実行してもよい。

・・・(4)
式(4)は、アルゴリズムAとC、アルゴリズムBとCそれぞれの特徴点集合ペアについて論理積演算を行い、その後、論理積演算の結果について、論理和演算を行うことを示す。
ここで、式(3)を確認すれば、指紋画像に適用する特徴点抽出アルゴリズムを増やし、様々なアルゴリズムにより抽出された特徴点のうち品質の高いものだけを収集していけば、より品質の高い特徴点集合が得られることは明らかである。しかし、この場合、各アルゴリズムを実行する処理時間等の問題により、指紋画像をシステムに入力してから最終的な特徴点(合成後特徴点集合)が抽出されるまでの時間が長くなるという問題が生じ得る。そこで、合成モード指示として、例えば、「最高品質モード」、「高品質モード」、「低品質モード」等を受け付けるように合成装置30aを構成し、各モードに合わせて合成処理に使用するアルゴリズムや合成処理の内容(論理積演算の組み合わせ等)を変更してもよい。例えば、「最高品質モード」では式(3)に相当する合成処理が実行され、「高品質モード」では式(4)に相当する合成処理が実行されるように、使い分けがなされてもよい。その結果、特徴点抽出に要する処理時間と得られる特徴点の品質の均衡を図ることができる。
以上のように、第2の実施形態に係る合成装置30aでは、複数の特徴点集合に対して複数回の階層的な論理演算を実行することで、総合的に品質の高い特徴点(特徴点集合)を抽出することができる。
[第3の実施形態]
続いて、第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
第3の実施形態では、合成後の特徴点集合に対応する芯線情報を、特徴点集合と共に外部装置に出力する場合について説明する。
図19は、第3の実施形態に係る特徴点抽出システム構成の一例を示す図である。
第1の特徴点抽出装置10aは、第1の実施形態にて説明した第1の特徴点抽出装置10に特徴点の抽出に利用した第1の芯線画像を合成装置30bに出力する機能が追加されている。同様に、第2の特徴点抽出装置20aは、第2の芯線画像を合成装置30bに出力する機能を有する。合成装置30bは、2つの芯線画像に基づいて芯線情報を生成する機能をさらに備える。なお、芯線情報とは、合成後の特徴点集合に属する特徴点間の隆線の本数を示す情報である。
図20は、合成装置30bの処理構成の一例を示す図である。図20を参照すると、合成装置30bは、図7に示す合成装置30の構成に加え、芯線情報生成部305をさらに備える。
芯線情報生成部305は、複数の特徴点集合それぞれに対応する複数の芯線画像に基づき、合成後の特徴点集合に関する芯線情報を生成する手段である。具体的には、芯線情報生成部305は、各芯線画像に合成後特徴点集合を反映する。なお、芯線画像に合成後の特徴点集合を反映するとは、合成後の特徴点集合に属する特徴点の座標位置を取得し、芯線画像において当該座標位置に対応する場所に特徴点を設定することである。
次に、芯線情報生成部305は、特徴点が反映された芯線画像上の特徴点間の隆線数を計数する。その後、芯線情報生成部305は、複数の芯線画像それぞれから計数された特徴点間の隆線数の平均値を芯線情報として生成する。
例えば、第1の芯線画像として図21(a)に示す芯線画像を第1の特徴点抽出装置10aから取得したものとする。図21(a)には、合成処理により生成された合成後特徴点291〜294が反映されている。この場合、例えば、特徴点291と特徴点292の間の隆線数は「2」と計算される。同様に、特徴点292と特徴点294の間の隆線数は「4」と計算される。
また、芯線情報生成部305は、第2の芯線画像に合成後特徴点集合を反映し、当該図面から得られる特徴点間隆線数を算出する。例えば、第2の芯線画像として図21(b)に示す芯線画像が得られ、一部の特徴点間隆線数を計算すると図21(b)のとおりとする。
芯線情報生成部305は、合成後特徴点集合に対応する芯線情報として、2枚の芯線画像それぞれにおいて対応する特徴点間隆線数の平均値を算出する。例えば、第1の芯線画像上における特徴点291と特徴点292の隆線数は「2」、第2の芯線画像上における特徴点291と特徴点292の間の隆線数は「1」であるので、特徴点291と特徴点292の間の特徴点間隆線数の平均値は「1.5」と計算される。
芯線情報生成部305は、上述の特徴点間隆線数計算処理と特徴点間隆線数の平均値計算処理を、全ての特徴点に適用し、芯線情報を生成する。生成された芯線情報は、出力部303を介して外部装置に出力される。外部装置では、当該芯線情報を、指紋画像を特徴付ける特徴量として扱うことで、個人認証や個人特定に利用できる。
以上のように、第3の実施形態では、合成後の特徴点集合に加え、当該特徴点集合に対応する特徴点間隆線数を芯線情報として外部装置に出力することができる。その結果、当該情報を使用した照合処理の精度を高めることができる。
[適用例]
次に、第1〜第3の実施形態に係る合成装置により得られる特徴点の活用について説明する。
例えば、第1〜第3の実施形態に係る合成装置により出力される特徴点集合により照合システムを構築することができる。例えば、第2の実施形態に係る合成装置30aにより品質の高い特徴点を抽出し、データベースに登録する。また、照合対象となる指紋画像から合成装置30aにより特徴点を抽出し、照合データとして利用する。この場合、品質の高い特徴点を用いた照合処理を少ない回数で行うことができる。上記第2の実施形態の例では、3つのアルゴリズムA〜Cを使用し、1つの特徴点集合を生成している。上記合成処理を用いずに、合成後の特徴点集合を用いた照合と同程度の精度を得ようとすれば、アルゴリズムA〜Cそれぞれによる3回の照合処理が必要となる。対して、第2の実施形態では、3つのアルゴリズムA〜Cによる品質の高い特徴点が1つの特徴点集合として纏められているため、1回の照合処理を実行すれば足りる。
第1の実施形態における論理積演算により得られた特徴点集合は複数の指紋画像の合成に利用することもできる。具体的には、各指紋画像それぞれについて、第1の実施形態にて説明した論理積演算により特徴点集合を抽出する。その後、抽出した特徴点集合のうち特徴点が共通する領域を算出する。論理積演算により得られた特徴点集合は品質の高いものであり、そのような品質の高い特徴点が共通して存在する領域は、同一人物から得られた指紋画像の共通部分と捉えることができる。そのため、複数の指紋画像に関し、共通領域が重なるように画像変換することで、複数の画像から1枚の指紋画像を合成することができる。
[変形例]
なお、第1乃至第3の実施形態にて説明した特徴点抽出システムの構成(図2、図17、図19)は例示であって、システムの構成を限定する趣旨ではない。例えば、特徴点抽出装置の機能が合成装置に組み込まれていてもよい。
あるいは、特徴点抽出システムに特徴点抽出装置が含まれていなくともよい。例えば、複数の鑑識官が同一の指紋画像から抽出した特徴点集合を合成装置30に入力してもよい。この場合であっても、合成装置30は、第1〜第3の実施形態にて説明した方法により、複数の特徴点集合を合成し、1つの特徴点集合を生成することができる。
合成装置30が対象とする特徴点集合はどのような方式により抽出されたものであってもよい。上述のように、鑑識官が指紋画像からマニュアルで抽出した複数の特徴点集合を合成の対象としても良いし、マニュアルで抽出された特徴点集合と装置により自動的に抽出された特徴点集合が混在していてもよい。あるいは、装置が自動的に抽出した特徴点を鑑識官が修正した結果を特徴点集合としてもよい。即ち、異なる方式、アルゴリズムにより抽出された特徴点集合であれば、合成装置30による合成の対象となり得る。
第1の実施形態では、2つの特徴点集合を合成する場合を説明したが、合成する特徴点集合の数は2に限定されない。3以上の特徴点集合を合成の対象とすることができるのは明らかである。また、合成の対象となる特徴点集合を増やすことで、特徴点の網羅性や正確性といった特徴点集合への要求を向上させることができる。
上記実施形態では、指紋画像を入力する場合について説明したが、特徴点抽出システムが扱うことのできる画像は指紋画像に限定されない。掌紋等の隆線により曲線縞模様が形成されている画像であればよい。
上記実施形態では、特徴点集合に属する特徴点は、特徴点方向や種別といった属性を備えるものとして説明したが、特徴点集合に属する特徴点はこれらの属性を備えていなくとも良い。特徴点集合は、単なる特徴点の集まりとしてもよい。
上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(ステップ、処理)が順番に記載されているが、各実施形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施形態では、例えば各処理を並行して実行する等、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。また、上述の各実施形態は、内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。
コンピュータの記憶部に、上述したコンピュータプログラムをインストールすることにより、コンピュータを合成装置として機能させることができる。さらにまた、上述したコンピュータプログラムをコンピュータに実行させることにより、コンピュータにより特徴点集合の合成方法を実行することができる。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得るが、以下には限られない。
[形態1]
上述の第1の視点に係る合成装置のとおりである。
[形態2]
前記合成部は、前記複数の特徴点集合に対して論理和演算を実行する、好ましくは形態1の合成装置。
[形態3]
前記合成部は、前記複数の特徴点集合に対して論理積演算を実行する、好ましくは形態1又は2の合成装置。
[形態4]
前記合成部は、前記複数の特徴点集合に対して少なくとも2回以上の論理演算を実行する、好ましくは形態1乃至3のいずれか一に記載の合成装置。
[形態5]
前記合成部は、前記少なくとも2回以上の論理演算を階層的に実行する、好ましくは形態4の合成装置。
[形態6]
前記合成部は、前記複数の特徴点集合それぞれに属する特徴点であって、互いの座標位置が実質的に一致する場合に、前記座標位置が一致する特徴点を合成する処理を行い、
前記特徴点を合成する処理は、少なくとも前記合成する特徴点の座標位置を平均化することを含む、好ましくは形態1乃至5のいずれか一に記載の合成装置。
[形態7]
前記特徴点を合成する処理は、前記座標位置が一致する特徴点の方向を特徴付ける特徴点方向を平均化する処理をさらに含む、好ましくは形態6の合成装置。
[形態8]
前記特徴点を合成する処理は、前記座標位置が一致する特徴点の種別が異なる場合に、合成後の特徴点の種別を不明に設定する処理をさらに含む、好ましくは形態6又は7の合成装置。
[形態9]
前記合成部は、前記複数の特徴点集合から選択した特徴点集合のペアについて論理積演算を実行し、前記論理積演算を実行後の特徴点集合に対して論理和演算を実行する、好ましくは形態1乃至8のいずれか一に記載の合成装置。
[形態10]
前記複数の特徴点集合それぞれに対応する複数の芯線画像に基づき、前記合成後の特徴点集合に関する芯線情報を生成する、芯線情報生成部をさらに備える、好ましくは形態1乃至9のいずれか一に記載の合成装置。
[形態11]
前記芯線情報生成部は、前記合成後の特徴点集合に属する特徴点を、前記複数の芯線画像それぞれに反映し、前記特徴点が反映された芯線画像上の特徴点間の隆線数を計数し、前記複数の芯線画像それぞれから計数された前記特徴点間の隆線数の平均値を前記芯線情報として生成する、好ましくは形態10の合成装置。
[形態12]
上述の第2の視点に係る合成方法のとおりである。
[形態13]
上述の第3の視点に係るプログラムのとおりである。
なお、形態12及び形態13は、形態1の形態と同様に、形態2〜形態11に展開することが可能である。
なお、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
10、10a 第1の特徴点抽出装置
11 CPU(Central Processing Unit)
12 メモリ
13 入出力インターフェイス
14 NIC(Network Interface Card)
20、20a 第2の特徴点抽出装置
30、30a、30b、100 合成装置
40 第3の特徴点抽出装置
101、201、301 入力部
102、302、302a 合成部
202 芯線抽出部
203 特徴点抽出部
204、303 出力部
205、304 記憶部
211〜222、231、241、251〜254、261〜264、271〜276、281、282、291〜294 特徴点
232、242 特徴点方向
305 芯線情報生成部

Claims (13)

  1. 隆線により曲線縞模様が形成されている入力画像から複数の方式それぞれにより抽出された複数の特徴点集合を入力する、入力部と、
    前記複数の特徴点集合に対し論理演算を実行することで、前記複数の特徴点集合を合成する、合成部と、
    を備える、合成装置。
  2. 前記合成部は、前記複数の特徴点集合に対して論理和演算を実行する、請求項1の合成装置。
  3. 前記合成部は、前記複数の特徴点集合に対して論理積演算を実行する、請求項1又は2の合成装置。
  4. 前記合成部は、前記複数の特徴点集合に対して少なくとも2回以上の論理演算を実行する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の合成装置。
  5. 前記合成部は、前記少なくとも2回以上の論理演算を階層的に実行する、請求項4の合成装置。
  6. 前記合成部は、前記複数の特徴点集合それぞれに属する特徴点であって、互いの座標位置が実質的に一致する場合に、前記座標位置が一致する特徴点を合成する処理を行い、
    前記特徴点を合成する処理は、少なくとも前記合成する特徴点の座標位置を平均化することを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の合成装置。
  7. 前記特徴点を合成する処理は、前記座標位置が一致する特徴点の方向を特徴付ける特徴点方向を平均化する処理をさらに含む、請求項6の合成装置。
  8. 前記特徴点を合成する処理は、前記座標位置が一致する特徴点の種別が異なる場合に、合成後の特徴点の種別を不明に設定する処理をさらに含む、請求項6又は7の合成装置。
  9. 前記合成部は、前記複数の特徴点集合から選択した特徴点集合のペアについて論理積演算を実行し、前記論理積演算を実行後の特徴点集合に対して論理和演算を実行する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の合成装置。
  10. 前記複数の特徴点集合それぞれに対応する複数の芯線画像に基づき、前記合成後の特徴点集合に関する芯線情報を生成する、芯線情報生成部をさらに備える、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の合成装置。
  11. 前記芯線情報生成部は、前記合成後の特徴点集合に属する特徴点を、前記複数の芯線画像それぞれに反映し、前記特徴点が反映された芯線画像上の特徴点間の隆線数を計数し、前記複数の芯線画像それぞれから計数された前記特徴点間の隆線数の平均値を前記芯線情報として生成する、請求項10の合成装置。
  12. 隆線により曲線縞模様が形成されている入力画像から複数の方式それぞれにより抽出された複数の特徴点集合を入力するステップと、
    前記複数の特徴点集合に対し論理演算を実行することで、前記複数の特徴点集合を合成するステップと、
    を含む、合成方法。
  13. 隆線により曲線縞模様が形成されている入力画像から複数の方式それぞれにより抽出された複数の特徴点集合を入力する処理と、
    前記複数の特徴点集合に対し論理演算を実行することで、前記複数の特徴点集合を合成する処理と、
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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