JPWO2017221450A1 - フィラーチューブ構造 - Google Patents

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信英 鈴木
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Abstract

フィラーチューブ本体およびフィラーキャッププロテクターをともに、フェライト系ステンレス鋼材を使用して構成したとしても、フィラーチューブ本体側の発錆を抑止して、結果的にフィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止すると同時に、自動車の軽量化および低コスト化に寄与する。フィラーチューブ2を構成するフィラーチューブ2がフェライト系ステンレス鋼材を用いて構成されている。さらに、フィラーキャッププロテクター5が、フィラーチューブ2を構成するフェライト系ステンレス鋼材に対して、フィラーネック部側嵌合部4aとフィラーキャッププロテクター側嵌合部5aとの間に形成される溶接隙間内外において電位が低くなるフェライト系ステンレス鋼材を用いて構成されている。

Description

この発明は、自動車などのエンジンの動力源としてのガソリン燃料或いは軽油燃料を貯蔵する燃料タンク内に燃料を給油するフィラーチューブ構造に関する。
従来におけるこの種のフィラーチューブ構造は、例えば、一端側が燃料タンク側に接続されるフィラーチューブ本体部と、フィラーチューブ本体部の他端側に一体形成されて給油口部として構成されるフィラーネック部とで、フィラーチューブを構成している。フィラーネック部は、一端側が車体パネルに取り付けられるフィラーキャッププロテクターの他端側に嵌合されている。フィラーネック部は、フィラーキャッププロテクターとフィラーネック部との嵌合部が溶着されることによりフィラーキャッププロテクターに取り付けられている。
かかる従来のフィラーチューブ構造においては、フィラーチューブを構成するフィラーチューブ本体部は、長手方向ほぼ直状管形状の部分を主体として構成されている。一方、同じくフィラーチューブを構成するフィラーネック部は、先端に向かってラッパ状に拡径形成することによって構成されている。
そして、この種の従来のフィラーチューブの一例として、構造を簡単にして軽量化などすべく、フィラーチューブ本体部とフィラーネック部とを樹脂、アルミニウム(以下、「アルミ」と略称する)、またはステンレス鋼材を用いて一体成形することにより構成するものが多く用いられている(関連する技術を開示したものとして、特許文献1及び特許文献4の記載を参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂の一体成形品で構成されるフィラーチューブ、または特許文献2に記載のアルミの一体成形品で構成されるフィラーチューブは、燃料タンクと共に車体にも設置されている。したがって、自動車が衝突事故などに遭遇した場合、燃料タンクの気密性機能を発揮するための強度剛性の点で、難点を示す場合がある。そこで、従来では、高強度剛性が発揮できるように、特許文献3、または特許文献4に記載されたようなステンレス鋼材製のフィラーチューブが広く使用されている。なぜなら、ステンレス鋼材製のフィラーチューブは、高強度剛性であると共に自動車の走行中に飛散される泥水または海岸近くの走行中などの塩害環境下における高耐食性、並びに長期間の気密性保持に優れていることからである。
そして、ステンレス鋼材製のフィラーチューブ本体部及びフィラーネック部を一体的に構成する一体型のフィラーチューブは、フィラーキャッププロテクターを介在させ、ゴム等の弾性体で形成されたグロメットを介して車体に装着されるように構成されている。そして、フィラーキャッププロテクター及びフィラーチューブは、共に、自動車の走行中に飛散される泥水または海岸近くの走行中などの塩害環境下における高耐食性、或いは長期間の気密性保持などを達成すると同時に、材料コストの有利性の観点から、ステンレス鋼材を用いて構成されている。
ところで、このように一体型のフィラーチューブにおけるフィラーネック部とフィラーキャッププロテクターとは、両者を互いに嵌合させた状態で、例えばスポット溶接などにより溶着することにより、互いに組み付け構成されている。
これにより、たとえフィラーネック部とフィラーキャッププロテクターとの嵌合部が、スポット溶接などにより溶着されていたとしても、僅少の溶接隙間が形成されてしまう。その結果、自動車走行中などに飛散した泥水または海水などが当該僅少の溶接隙間の開口端から奥まった部位に侵入してしまいがちである。そして、溶接隙間における奥まった部位に侵入した泥水または海水などは、塩素などを含むことから、溶接隙間内の酸素と結合して化学反応を起こして、溶接隙間内の酸素を消費してしまうことになる。かかる酸素の消費により、溶接隙間における奥まった部位では、当該開口端に対して、酸素濃度に差異が生じて、塩素イオンなどを含む酸素濃淡電池が形成されてしまう。
このように塩素イオンなどを含む酸素濃淡電池が形成された溶接隙間は、いずれも電位が同位のステンレス鋼材から成るフィラーネック部とフィラーキャッププロテクターとが互いに重なり合って形成されたものである。この結果、当該溶接隙間において、酸素濃淡電池による隙間腐食が生起して、フィラーネック部及びフィラーキャッププロテクターを構成するステンレス鋼材の表面に形成された酸化被膜が、酸素濃淡電池を構成する塩素イオンなどにより破壊されてしまう。かかることから、溶接隙間を構成するフィラーネック部及びフィラーキャッププロテクターの耐食性は、所謂酸素濃淡電池による隙間腐食に起因して、劣化する。かかる酸素濃淡電池による隙間腐食が進行すると、孔開き腐食にまで発展してしまう可能性がある。
このような耐食性劣化により孔開き腐食がフィラーネック部側に発生してしまった場合には、燃料タンクの気密性が保持され得ない可能性が出てきてしまう。
かかる酸素濃淡電池による隙間腐食による孔開き腐食の問題は、フィラーチューブ及びフィラーキャッププロテクターについて、耐隙間腐食性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼を使用して構成することにより解決できる。
しかし、オーステナイト系ステンレス鋼材により構成したフィラーチューブ及びフィラーキャッププロテクター同士を溶接した場合、当該溶接部の結晶粒界に応力腐食割れが生じてしまうと共に、材料コストが高くなってしまう、という新たな課題が生起する。
かかることから、オーステナイト系ステンレス鋼材により構成したフィラーチューブ及びフィラーキャッププロテクター同士を溶接工法により溶着する方式は、高材料コストのことも加わって、実用的ではないといわざるを得ない。
そこで、従来における別の従来例として、図8に示すフィラーチューブ構造が提案されている。
図8によれば、この種の従来例に係るフィラーチューブ構造におけるフィラーチューブAは、フェライト系ステンレス鋼材を使用して構成し、しかも、フィラーネック部a−1に別体製のフィラーネック補助体a−2を嵌合すると共に互いに加締め装着することにより構成される二重管方式が採用されており、フィラーネック部a−1と別体製のフィラーネック補助体a−2との嵌合隙間を閉塞すべく、シール材Bを嵌合し、弾性的に設けることにより気密構造にしている。
そして、図8に示す従来例においても、上記他の従来例と同様にやはり、フィラーネック部a−1は、車体パネルCにグロメットFを介して一端が装着されるフィラーキャッププロテクターDの他端側に嵌合された状態で、フィラーネック部a−1とフィラーキャッププロテクターDとの嵌合部Eを溶着することにより、フィラーキャッププロテクターDに取り付けられている。
特開2015−54431号公報 特開2008−27513号公報 特開2003−276959号公報 特開2009−208517号公報
解決しようとする課題
このように構成する図8に示す従来例においては、フィラーネック部a−1とフィラーキャッププロテクターDとは、互いに嵌合状態でスポット溶接等により溶着されていることから、当該嵌合部Eには当然ながら僅少の溶接隙間が形成されてしまうことになる。
そして、フィラーネック部a−1とフィラーキャッププロテクターDとは、高強度剛性を達成すると共に、自動車の走行中に飛散される泥水または海岸近くの走行中などの塩害環境下における高耐食性、或いは長期間の気密性保持などを達成し、且つ、材料コストの低減を図るべく、共に、同質のフェライト系ステンレス鋼材にて構成されている。
この結果、当該嵌合部Eにおいて、フィラーネック部a−1とフィラーキャッププロテクターDとは、共に同質のフェライト系ステンレス鋼材により構成され、互いに同位の電位(V)を有していることになる。かかることから、溶接隙間より侵入した飛散泥水または海水などが混入して構成される溶液が、僅少の溶接隙間において酸素濃淡電池による隙間腐食を生起させ、部材表面の薄い酸化被膜を不安定にさせ、延いては、酸化被膜の破壊を起こしてしまう。かかる酸化被膜の破壊が進行すると、フィラーネック部a−1またはフィラーキャッププロテクターDにおいて孔開き腐食を生起させてしまう可能性がある。
かかる点に鑑み、図8に示す従来例においては、フィラーネック部a−1と別体製のフィラーネック部補助体a−2との嵌合部に、シール材Bを加締め嵌合し、弾性的に設ける。かかるシール材Bは、フィラーネック部a−1と別体製のフィラーネック補助体a−2との嵌合部より上流側、即ち、不図示の燃料タンク側に配置されて、シール部を構成しているのである。
これにより、フィラーネック部a−1とフィラーキャッププロテクターDとの嵌合部Eにおいて、たとえ、孔開き腐食が発生したとしても、別体製のフィラーネック補助体a−2とフィラーチューブ本体部a−3との間は、シール材Bによって互いに気密保持されていることになる。この結果、フィラーネック部a−1の開口部が不図示のフィラーキャップによって閉塞されていることと相俟って、シール材Bは、フィラーチューブAの気密性の保持機能を発揮して、不図示の燃料タンクの気密性を保持することになる。
しかしながら、図8に示す従来例においては、フィラーチューブAは、互いに一体構成されたフィラーネック部a−1及びフィラーチューブ本体部a−3に加えて、別体製のフィラーネック補助体a−2によって、二重管方式により構成されている。しかも、フィラーネック部a−1と別体製のフィラーネック補助体a−2との間にシール材Bを介在させて気密性を保持する構成を採っていることになる。かかることから、図8に示す従来例は、特許文献3或いは特許文献4に示すような別体製のフィラーネック補助体a−2を使用しない従来例に比して、部品点数の増加をもたらすと共に、組立作業工数が多大となる。よって、たとえ、フィラーネック部a−1及びフィラーチューブ本体部a−3と共に別体製のフィラーネック補助体a−2をも材料コストの安価なフェライト系ステンレス鋼を使用して構成したとしても、製品のコスト高を招いてしまうことになる。
また、図8に示す従来例においては、フィラーチューブAは、互いに一体構成のフィラーネック部a−1及びフィラーチューブ本体部a−3に加えて、互いに嵌合状態にした別体製のフィラーネック補助体a−2を使用して構成されている。したがって、フィラーチューブが二重管構成となって、自動車の高重量化或いは高コスト化を招いてしまう。これは、最近の自動車において求められているより軽量化およびより低コスト化要求に反することになる。
そこで、フィラーチューブとして、従来のような二重管方式を採らずにフィラーチューブ本体部とフィラーネック部とを一体構成にし、且つ、材料コストの有利なフェライト系ステンレス鋼材を使用したとしても、フィラーチューブ側の発錆を抑止して、結果的にフィラーネック部における孔開き腐食の発生を確実に防止することが望まれている。また、部品点数の減数化に伴う組立工数を軽減させて、自動車の軽量化および低コスト化に寄与することができる燃料タンク用フィラーチューブを提供することが望まれている。
一般的開示
この発明の一態様に係るフィラーチューブ構造によれば、一端側が燃料タンク側に接続されるフィラーチューブ本体部と、該フィラーチューブ本体部の他端側に一体形成され先端部が給油口部として構成されるフィラーネック部とにより、フィラーチューブが構成されてよい。前記フィラーネック部が、一端側が車体パネルに取着されるフィラーキャッププロテクターの他端側に嵌合されてよい。前記フィラーネック部は、前記フィラーキャッププロテクターと前記フィラーネック部との嵌合部を溶着することにより前記フィラーキャッププロテクターに取り付けられてよい。上記フィラーチューブ構造において、前記フィラーチューブ及び前記フィラーキャッププロテクターが共に、フェライト系ステンレス鋼材により構成されてよい。前記フィラーキャッププロテクターが、前記フィラーチューブの電位に対して、低い電位を有して構成されてよい。
かかる構成により、この発明の一態様によれば、フィラーチューブに対して、フィラーキャッププロテクターが、低い電位を有して構成されてよい。かかる電位差によって、フィラーチューブとフィラーキャッププロテクターとの隙間部または溶接部において、酸素濃淡電池が形成される前にフィラーキャッププロテクター側にフィラーチューブとの電位差による電位差腐食を優先的に発生させることになる。この結果、かかるフィラーキャッププロテクター側が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ側の発錆を抑止することになる。これにより、フィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
また、この発明の一態様によれば、フィラーチューブとして、従来のような二重管方式を採らずにフィラーチューブ本体部とフィラーネック部とを一体構成のみとする構成の簡略化を図ることができる。これにより、部品点数の減数化による組立工数の軽減化を果たして、自動車の軽量化および低コスト化に寄与することができると共に、フィラーチューブ及びフィラーキャッププロテクターは、共にフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成することから、材料コストにおいても有利性を発揮することができる。
この発明における実施形態によれば、前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦1.00%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材(以下、「SUS439材」と略称する場合がある)を使用して構成してよい。又は、前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦0.14%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Mo:1.00〜1.50%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材(以下、「SUS436材」と略称する場合がある)を使用して構成してよい。一方、前記フィラーキャッププロテクターを、質量%で、C:≦0.030%、Si:≦1.00%、Mn:≦1.00%、P:≦0.04%、S:≦0.030%、Cr:10.50〜11.45%、Ti:10(C+N)〜0.75%、N:≦0.015を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材(以下、「SUS409材」と略称する場合がある)を使用して構成ししてよい。
このような構成により、この発明における実施形態によれば、フィラーチューブにはフェライト系のSUS439材又はSUS436材が使用されてよい。一方、フィラーキャッププロテクターにはフェライト系のSUS409材が使用されてよい。したがって、フィラーチューブに対して、フィラーキャッププロテクターが、低い電位を有して構成されていることになる。かかる電位差によって、フィラーチューブとフィラーキャッププロテクターとの隙間部または溶接部において、酸素濃淡電池が形成される前に、フィラーキャッププロテクター側にフィラーチューブとの電位差による電位差腐食を優先的に発生させることになる。この結果、かかるフィラーキャッププロテクター側が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ側の発錆の発錆を抑止することができる。結果的にフィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
また、この発明における実施形態によれば、上記発明における前記フィラーネック部及び前記フィラーキャッププロテクターが、アルミメッキ層を介在させることによって嵌合されてよい。
かかる構成により、この発明における実施形態によれば、フィラーネック部とフィラーキャッププロテクターとの間における嵌合部に、アルミメッキ層を介在させてよい。かかるアルミメッキ層と嵌合部におけるフィラーネック部及びフィラーキャッププロテクターとの間で電位差が生じている。よって、先ずアルミメッキ層が、電位差により腐食される。この結果、フィラーキャッププロテクターが犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
また、この発明における実施形態によれば、前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦0.14%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Mo:1.00〜1.50%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材(SUS436材)を使用して構成してよい。一方、前記フィラーキャッププロテクターを、質量%で、C:≦0.030%、Si:≦1.00%、Mn:≦1.00%、P:≦0.040%、S:≦0.030%、Cr:10.50〜11.45%、Ti:10(C+N)〜0.75%、N:≦0.015を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成り、且つ表面に前記アルミメッキ層を形成したフェライト系ステンレス鋼材(以下、「SUS409AL材」と略称する場合がある)を使用することにより構成してよい。
かかる構成により、この発明における実施形態によれば、フィラーネック部とフィラーキャッププロテクターとの間に、フィラーキャッププロテクター側のSUS409AL材からなるフェライト系ステンレス鋼材によってアルミメッキ層が形成され、介在することになってよい。かかるアルミメッキ層の存在により、フィラーチューブとフィラーキャッププロテクターとの間に電位差が生じることになる。これにより、先ず電位の低いアルミメッキ層が電位差により腐食されることになる。この結果、かかるフィラーキャッププロテクター側が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
しかも、この発明における実施形態によれば、たとえアルミメッキ層が酸素濃淡電池による電位差腐食により腐食し切ったとしても、SUS436材により構成されるフィラーチューブに対して、SUS409AL材における基材であるSUS409材により構成されるフィラーキャッププロテクターの電位が低くなる。これにより、フィラーチューブとフィラーキャッププロテクターとの隙間部または溶接部において、酸素濃淡電池が形成される前に、フィラーキャッププロテクター側に、フィラーチューブとの電位差による電位差腐食を優先的に発生させて、フィラーチューブ側の発錆を抑止することができる。この結果、フィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
また、この発明における実施形態によれば、前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦0.14%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Mo:1.00〜1.50%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材(SUS436材)を使用して構成してよい。一方、前記フィラーキャッププロテクターを、C:≦0.010%、Si:≦1.00%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成り、且つ表面に前記アルミメッキ層を形成したフェライト系ステンレス鋼材(SUS439AL材)を使用することにより構成してよい。
かかる構成により、この発明における実施形態によれば、フィラーネック部とフィラーキャッププロテクターとの間に、フィラーキャッププロテクター側のSUS439AL材によってアルミメッキ層が形成されて、介在することになってよい。かかるアルミメッキ層の存在により、フィラーチューブとフィラーキャッププロテクターとの間に電位差が存する。これにより、先ず電位の低いアルミメッキ層が電位差により腐食されることになる。この結果、かかるアルミメッキ層が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
また、この発明における実施形態によれば、前記フィラーチューブを、C:≦0.010%、Si:≦1.00%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材(SUS439材)を使用して構成してよい。一方、前記フィラーキャッププロテクターを、質量%で、C:≦0.030%、Si:≦1.00%、Mn:≦1.00%、P:≦0.04%、S:≦0.030%、Cr:10.50〜11.45%、Ti:10(C+N)〜0.75%、N:≦0.015を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成り且つ表面に前記アルミメッキ層を形成したフェライト系ステンレス鋼材(SUS409AL材)を使用することにより構成してよい。
かかる構成により、この発明における実施形態によれば、フィラーネック部とフィラーキャッププロテクターとの間に、フィラーキャッププロテクター側のSUS409AL材によってアルミメッキ層が形成され、介在することになってよい。かかるアルミメッキ層の存在により、フィラーチューブとフィラーキャッププロテクターとの間に電位差が生じる。これにより、先ず電位の低いアルミメッキ層が電位差腐食を起こすことになる。この結果、かかるアルミメッキ層が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
しかも、この発明における実施形態によれば、たとえアルミメッキ層が電位差腐食の進行により腐食し切ったとしても、SUS439材により構成されるフィラーチューブに対して、SUS409AL材における基材であるSUS409材により構成されるフィラーキャッププロテクターの電位が低い。したがって、フィラーチューブとフィラーキャッププロテクターとの隙間部または溶接部において、酸素濃淡電池が形成される前に、フィラーキャッププロテクター側にフィラーチューブとの電位差による電位差腐食を優先的に発生させることになる。この結果、かかるフィラーキャッププロテクター側が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
また、この発明における実施の形態は、前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦1.00%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材(SUS439材)を使用して構成してよい。一方、前記フィラーキャッププロテクターを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦1.00%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成り且つ表面に前記アルミメッキ層を形成したフェライト系ステンレス鋼材(SUS439AL材)を使用することにより構成してよい。
かかる構成により、この発明における実施形態によれば、フィラーネック部とフィラーキャッププロテクターとの間に、フィラーキャッププロテクター側のSUS439AL材によって、アルミメッキ層が形成され、介在することになってよい。かかるアルミメッキ層の存在により、フィラーチューブとフィラーキャッププロテクターとの間に電位差が生じることになって、電位の低いアルミメッキ層に電位差腐食が生起することになる。この結果、かかるアルミメッキ層が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
また、この発明における実施形態によれば、前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦0.14%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Mo:1.00〜1.50%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るステンレス鋼材(SUS436材)を使用して構成してよい。一方、前記フィラーキャッププロテクターを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦0.14%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Mo:1.00〜1.50%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成り且つ表面にアルミメッキ層を形成したフェライト系ステンレス鋼材(SUS436AL材)を使用することにより構成してよい。
かかる構成により、この発明における実施形態によれば、フィラーネック部とフィラーキャッププロテクターとの間に、フィラーキャッププロテクター側のSUS436AL材によって、アルミメッキ層が形成され、介在することになってよい。かかるアルミメッキ層の存在により、フィラーチューブとフィラーキャッププロテクターとの間に電位差が生じることになって、電位の低いアルミメッキ層が電位差腐食を起こすことになる。この結果、かかるアルミメッキ層が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
[発明の効果]
この発明の一態様によれば、フィラーチューブに対して、フィラーキャッププロテクターが、低い電位を有して構成されている。かかる電位差によって、フィラーチューブとフィラーキャッププロテクターとの隙間部または溶接部において、酸素濃淡電池が形成される前にフィラーキャッププロテクター側にフィラーチューブとの電位差による電位差腐食を優先的に発生させることになる。この結果、かかるフィラーキャッププロテクター側が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンクの気密性を確実に保持していることになる。
また、この発明の一態様によれば、フィラーチューブとして、従来のような二重管方式を採らずにフィラーチューブ本体部とフィラーネック部とを一体構成のみとする構成の簡略化を図ることができる。これにより、部品点数の減数化による組立工数の軽減化を果たして、自動車の軽量化および低コスト化に寄与することができる。また、フィラーチューブ及びフィラーキャッププロテクターは、共にフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成されることから、材料コストにおいても有利性を発揮することができる。
一般的な自動車の燃料タンク装置を概略的に描画した斜視図である。 この発明を採用したフィラーチューブ構造に係り、図1における一点鎖線円内を拡大して描画した縦断面図である。 この発明を採用した実施例に係るフィラーチューブ本体又はフィラーキャッププロテクターを構成する各フェライト系ステンレス鋼材の成分表である。 この発明の実施例1から実施例7に係るフィラーチューブおよびフィラーキャッププロテクターを構成するフェライト系ステンレス鋼材の組合せを記載した表である。 この発明の実施例に係るフィラーチューブ又はフィラーキャッププロテクターを構成するフェライト系ステンレス鋼材の平均電位(V)を示した表である。 図2における一点鎖線円内を拡大して描画した図である。 CCTサイクル試験(腐食促進サイクル試験)によって、フィラーチューブの材質をSUS439材とし、フィラーキャッププロテクターの材質をSUS409材又はSUS439AL材とした場合の材質違いによる犠牲防食効果の差としての板厚残存率を比較したグラフである。 従来の技術における図1の一点鎖線円内を拡大して描画した縦断面図である。
この発明の実施例に係るフィラーチューブは、従来のような二重管方式を採らずにフィラーチューブ本体部とフィラーネック部とを一体構成にすることで構成されている。しかも、このフィラーチューブは、材料コストの有利なフェライト系ステンレス鋼材を使用したとしても、フィラーチューブ側の発錆を抑止して、結果的にフィラーネック部における孔開き腐食の発生を確実に防止すると共に、部品点数の減数化に伴う組立工数を軽減させて、自動車の軽量化および低コスト化に寄与することができるように構成されている。
次に、図1から図7を用いて、この発明を採用した実施例に係る燃料タンクに用いるフィラーチューブ構造について説明する。
先ず、図1において、燃料タンク1は、エンジンの動力源としてのガソリン燃料或いは軽油燃料を貯蔵する。燃料タンク1は、一方のタンク半体(例えば、アッパータンク)1aと他方のタンク半体(例えば、ロアタンク)1bとをその周縁フランジ部同士を互いに接合することによって構成されている。
燃料タンク1には、自動車の動力源となる燃料を燃料タンク1内に給油するフィラーチューブ2が装着されている。
フィラーチューブ2は、一端側が燃料タンク1側に接続されたフィラーチューブ本体部3と、図2に詳細に示すように、フィラーチューブ本体部3の他端側に一体形成されて構成されるフィラーネック部4とを有して構成されている。
フィラーネック部4は、ほぼ直状管に形成されたフィラーチューブ本体部3に対して徐々に拡径しながら直状管に形成されたフィラーネック部側嵌合部4aと、フィラーネック部側嵌合部4aの先端部が略ラッパ状に形成された給油口部4bとで構成されている。
フィラーネック部4のフィラーネック部側嵌合部4aの外周側には、フィラーキャッププロテクター側嵌合部5aが嵌合されている。フィラーキャッププロテクター側嵌合部5aは、一端側がグロメット6を介在させて車体パネル7に取り付けられるフィラーキャッププロテクター5の他端側である。フィラーキャッププロテクター側嵌合部5aとフィラーネック部側嵌合部4aとは、スポット溶接などにより溶着することにより、嵌合部8を構成している。
フィラーネック部4の給油口部4bは、不図示のフィラーキャップによって、閉塞されるように構成されている。従って、かかるフィラーキャップは、フィラーネック部4と共に、フィラーキャッププロテクター5によって囲繞されて、自動車が衝突事故などに遭遇した際に損壊しないように構成されることになる。
そして、この発明を採用したに係る実施例においては、図3に示す材料aから材料cを主体とするフェライト系ステンレス鋼材を用いて、フィラーチューブ2又はフィラーキャッププロテクター5を構成している(なお、これらのフェライト系鋼材のいずれかをフィラーチューブ2又はフィラーキャッププロテクター5に具体的に使用するかについては後述する)。
先ず、材料a(SUS409材)は、JIS規格のSUS409鋼材に相当するものである。材料aは、図3に示すように、次に記載の質量%の成分を含有した化学組成を有するフェライト系ステンレス鋼である。
C:≦0.03% Si:≦1.00% Mn:≦1.00%
P:≦0.04% S :≦0.03% Cr:10.50〜11.45%
Ti:≦10(C+N)〜0.75% N :≦0.015% 残部:Fe及び不可避的不純物
また、材料b(SUS439材)は、図3に示すように、次に記載の質量%の成分を含有した化学組成を有するフェライト系ステンレス鋼である。
C:≦0.01% Si:≦1.00% Mn:≦0.20%
P:≦0.04% S :≦0.006% Cr:17.00〜18.00%
Ti:≦10(C+N)〜0.35% N :≦0.015% 残部:Fe及び不可避的不純物
更に、材料c(SUS436材)は、図3に示すように、次に記載の質量%の成分を含有した化学組成を有するフェライト系ステンレス鋼である。
C :≦0.01% Si:≦0.14% Mn:≦0.20%
P :≦0.04% S :≦0.006% Cr:17.00〜18.00%
Mo:1.00〜1.50% Ti:≦10(C+N)〜0.35% N :≦0.015%
残部:Fe及び不可避的不純物
次に、このような化学組成を有するフェライト系ステンレス鋼を選択的に使用して構成するフィラーチューブ構造に係るこの発明を採用した具体例として、実施例1から7について順次説明する。
そして、かかる実施例1から7におけるフィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5は、それぞれ図4に示すようなSUS409材、SUS439材、又はSUS436材のいずれかから成るフェライト系ステンレス鋼材、更にはSUS409材、SUS439材、又はSUS436材の表面に純粋のアルミ或いは例えば8%のシリコンを含有し残部が純粋なアルミから成る一般的なアルミ合金をメッキしたアルミメッキ層(酸化被膜層)を有して構成するSUS409AL材、SUS439AL材、又はSUS436AL材にいずれかを選択組合せすることによって構成している。
また、かかる実施例1から7におけるフィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5を構成するフェライト系ステンレス鋼材は、それぞれ、図5に示すような平均電位(V)を有するものである。
かかる平均電位(V)は、温度35℃に熱した50g/LのNaClの溶液内に、4時間浸漬するという測定条件(CCTサイクル試験(腐食促進サイクル試験)における所謂塩害過酷地域における測定条件に相当する)のもとに、各フェライト系ステンレス鋼材(アルミメッキ鋼材を含む)の腐食電位を測定することにより行ったものである。
なお、上記CCTサイクル試験は、自動車における種々の使用環境地域における雨水または塩水などの大気腐食環境を想定し、気候または湿度の変化、或いは降雨天候などに応じて、鋼材が乾湿の繰り返しを受けたことによる腐食度を測定することにより行われる。
これらの腐食電位の測定結果に基づき、先ず、実施例1においては、フィラーチューブ2は、「SUS436材」を使用して構成している。一方、フィラーキャッププロテクター5は、「SUS409材」を使用して構成している。
そして、図5に示すように、「SUS436材」は、平均電位が「−0.08V」である。一方、「SUS409材」は、平均電位が「−0.10V」である。
従って、フィラーチューブ2の平均電位が「−0.08V」であり、フィラーキャッププロテクター5の平均電位が「−0.10V」である。このように嵌合部8において電位差が現れることになる。
かかる電位差によって、フィラーチューブ2におけるフィラーネック部4のフィラーネック部側嵌合部4aとフィラーキャッププロテクター5のフィラーキャッププロテクター側嵌合部5aとの隙間部または溶接部において、酸素濃淡電池が形成される前に、フィラーキャッププロテクター5側にフィラーチューブ2との電位差による電位差腐食を優先的に発生させることになる。この結果、かかるフィラーキャッププロテクター5側が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部4における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部4の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンク1の気密性を確実に保持していることになる。
しかも、実施例1において、フィラーチューブ2が、フィラーチューブ本体部3とフィラーネック部4とを一体形成することにより構成されている。従来のような別体製のフィラーネック補助体を用いた二重管方式を採っていない。これにより、部品点数の減数化によって組立工数を軽減させることができ、自動車の軽量化および低コスト化に寄与することになる。
加えて、実施例1において、フィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5は、共にフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成されている。これにより、材料コストにおいても有利性を発揮することができる。
次に、実施例2においては、フィラーチューブ2は、「SUS439材」を使用して構成されている。一方、フィラーキャッププロテクター5は、「SUS409材」を使用して構成されている。
そして、図4に示すように、「SUS439材」の平均電位は、「−0.08V」である。一方、「SUS409材」の平均電位は、「−0.10V」である。
従って、フィラーチューブ2の平均電位が「−0.08V」であり、フィラーキャッププロテクター5の平均電位が「−0.10V」である。このように嵌合部8において電位差が現れることになる。
かかる電位差によって、フィラーチューブ2におけるフィラーネック部4のフィラーネック部側嵌合部4aとフィラーキャッププロテクター5のフィラーキャッププロテクター側嵌合部5aとの隙間部または溶接部において、酸素濃淡電池が形成される前に、フィラーキャッププロテクター5側にフィラーチューブ2との電位差による電位差腐食を優先的に発生させることになる。この結果、かかるフィラーキャッププロテクター5側が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部4における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部4の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンク1の気密性を確実に保持していることになる。
しかも、実施例2においても、フィラーチューブ2が、フィラーチューブ本体部3とフィラーネック部4とを一体形成することにより構成されている。従来のような別体製のフィラーネック補助体を用いた二重管方式を採っていない。したがって、部品点数の減数化によって組立工数を軽減させることができ、自動車の軽量化および低コスト化に寄与することになる。
加えて、実施例2においても、フィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5は、共にフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成されている。よって、材料コストにおいても有利性を発揮することができる。
また、実施例3においては、フィラーチューブ2は、「SUS436材」を使用して構成されている。一方、フィラーキャッププロテクター5は、アルミメッキを施したステンレス鋼材である「SUS409AL材」を使用して構成されている。
この結果、フィラーネック部側嵌合部4aとフィラーキャッププロテクター側嵌合部5aとの間に、図6に示すように、アルミメッキ層9が形成されることになる。
そして、図5に示すように、「SUS436材」から成るステンレス鋼材の平均電位は「−0.08V」である。一方、「SUS409材」からなるステンレス鋼材の平均電位は「−0.10V」である。さらに、「SUS439AL材」からなるフェライト系ステンレス鋼材の平均電位は、その表面にアルミメッキ層9が形成されていることから、「−0.70」となる。
従って、かかる構成により、実施例3においては、フィラーネック部4とフィラーキャッププロテクター5との間に、フィラーキャッププロテクター5側の「SUS409AL材」からなるフェライト系ステンレス鋼材によるアルミメッキ層9が形成され、介在することになる。かかるアルミメッキ層9の存在により、フィラーチューブ2とフィラーキャッププロテクター5との間に電位差が生じることになる。これにより、電位の低いアルミメッキ層9が電位差腐食を優先的に生起することになる。この結果、かかるアルミメッキ層9が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部4における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部4の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンク1の気密性を確実に保持していることになる。
しかも、実施例3においては、たとえアルミメッキ層9が電位差腐食の進行により腐食し切ったとしても、「SUS436材」からなるステンレス鋼材により構成するフィラーチューブ2に対して、「SUS409AL材」における基材である「SUS409材」からなるステンレス鋼材により構成するフィラーキャッププロテクター5の電位が低い。これにより、フィラーチューブ2とフィラーキャッププロテクター5との隙間部または溶接部において、酸素濃淡電池が形成される前に、フィラーキャッププロテクター5側がフィラーチューブ2との電位差による電位差腐食を優先的に発生させることになる。この結果、かかるフィラーキャッププロテクター5側が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部4における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部4の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンク1の気密性を確実に保持していることになる。
また、実施例3において、フィラーチューブ2が、フィラーチューブ本体部3とフィラーネック部4とを一体形成すると共に、フィラーキャッププロテクター5の表面におけるアルミメッキ層9をアルミメッキすることにより形成することにより、構成する。従来のような別体製のフィラーネック補助体を用いた二重管方式を採っていない。したがって、部品点数の減数化に伴う組立工数を軽減させてき、自動車の軽量化や低コスト化に寄与することができる。
加えて、実施例3においても、フィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5は、共にフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成されている。よって、材料コストにおいても有利性を発揮することができる。
次に、実施例4においては、フィラーチューブ2は、「SUS436材」を使用して構成されている。一方、フィラーキャッププロテクター5は、アルミメッキを施した「SUS439AL材」を使用して構成されている。
この結果、フィラーネック部側嵌合部4aとフィラーキャッププロテクター側嵌合部5aとの間に、図6に示すように、アルミメッキ層9が形成されることになる。
そして、図5に示すように、「SUS436材」から成るステンレス鋼材の平均電位が「−0.08V」である。一方、「SUS439AL材」から成るステンレス鋼材の平均電位は、その表面にアルミメッキ層9が形成されていることから、「−0.70V」となる。
従って、かかる構成により、実施例4においては、フィラーネック部4とフィラーキャッププロテクター5との間に、フィラーキャッププロテクター5側のSUS409AL材からなるステンレス鋼材によるアルミメッキ層9が形成され、介在することになる。かかるアルミメッキ層9の存在により、フィラーチューブ2とフィラーキャッププロテクター5との間に電位差が生じることになる。電位の低いアルミメッキ層9が電位差腐食による腐食を生起することになる。この結果、かかるアルミメッキ層9が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部4における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部4の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンク1の気密性を確実に保持していることになる。
また、実施例4においても、フィラーチューブ2が、フィラーチューブ本体部3とフィラーネック部4とを一体形成すると共に、フィラーキャッププロテクター5の表面におけるアルミメッキ層9をアルミメッキすることにより形成することにより、構成される。従来のような別体製のフィラーネック補助体を用いた二重管方式を採っていない。したがって、部品点数の減数化に伴う組立工数を軽減させてき、自動車の軽量化や低コスト化に寄与することができる。
加えて、実施例4においても、フィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5は、共にフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成されている。したがって、材料コストにおいても有利性を発揮することになる。
次に、実施例5においては、フィラーチューブ2は、「SUS439材」を使用して構成されている。一方、フィラーキャッププロテクター5は、アルミメッキを施したステンレス鋼材の「SUS409AL材」を使用して構成されている。
そして、図4に示すように、「SUS439材」から成るフェライト系ステンレス鋼材の平均電位が「−0.08V」である。一方、「SUS409材」から成るフェライト系ステンレス鋼材の平均電位が「−0.10V」である。「SUS409AL材」から成るステンレス鋼材の平均電位は、その表面にアルミメッキ層9が形成されていることから、「−0.70V」となる。
従って、かかる構成により、実施例5においては、フィラーネック部4とフィラーキャッププロテクター5との間に、フィラーキャッププロテクター5側の「SUS409AL材」からなるステンレス鋼材によるアルミメッキ層9が形成され、介在することになる。かかるアルミメッキ層9の存在により、フィラーチューブ2とフィラーキャッププロテクター5との間に電位差が生じることになる。これにより、電位の低いアルミメッキ層9側に電位差腐食が優先的に生起することになる。この結果、かかるアルミメッキ層9が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の発錆を抑止することができる。結果的にフィラーネック部4における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部4の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンク1の気密性を確実に保持していることになる。
しかも、実施例5においては、たとえアルミメッキ層9が電位差腐食の進行により腐食し切ったとしても、「SUS439材」からなるフェライト系ステンレス鋼材により構成するフィラーチューブ2に対して、「SUS409AL材」における基材である「SUS409材」からなるフェライト系ステンレス鋼材により構成するフィラーキャッププロテクター5の電位が低いことから、フィラーチューブ2とフィラーキャッププロテクター5との隙間部または溶接部において、酸素濃淡電池が形成される前に、フィラーキャッププロテクター5側がフィラーチューブ2との電位差による電位差腐食を優先的に発生させることになる。この結果、かかるフィラーキャッププロテクター5側が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の発錆を抑止することになる。結果的にフィラーネック部4における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部4の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンク1の気密性を確実に保持していることになる。
また、実施例5においても、フィラーチューブ2が、フィラーチューブ本体部3とフィラーネック部4とを一体形成すると共に、フィラーキャッププロテクター5の表面におけるアルミメッキ層9をアルミメッキすることにより形成することにより、構成される。従来のような別体製のフィラーネック補助体を用いた二重管方式を採っていない。これにより、部品点数の減数化に伴う組立工数を軽減させてき、自動車の軽量化や低コスト化に寄与することができる。
加えて、実施例5において、フィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5は、共にフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成されている。したがって、材料コストにおいても有利であるといえる。
次に、実施例6においては、フィラーチューブ2は、「SUS439材」を使用して構成されている。一方、フィラーキャッププロテクター5は、アルミメッキを施した「SUS439AL材」を使用して構成されている。
この結果、フィラーネック部側嵌合部4aとフィラーキャッププロテクター側嵌合部5aとの間に、図6に示すように、アルミメッキ層9が形成されることになる。
そして、図5に示すように、「SUS439材」から成るフェライト系ステンレス鋼材の平均電位が「−0.08V」である。一方、「SUS439AL材」から成るフェライト系ステンレス鋼材の平均電位は、その表面にアルミメッキ層9が形成されていることから、「−0.70V」となる。
従って、かかる構成により、実施例6においては、フィラーネック部4とフィラーキャッププロテクター5との間に、フィラーキャッププロテクター5側のSUS439AL材からなるフェライト系ステンレス鋼材によるアルミメッキ層9が形成され、介在することになる。かかるアルミメッキ層9の存在により、フィラーチューブ2とフィラーキャッププロテクター5との間に電位差が生じることになる。これにより、電位が低いアルミメッキ層9側に電位差腐食を優先的に起こすことになる。この結果、かかるアルミメッキ層9が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の発錆を抑止することができる。結果的にフィラーネック部4における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部4の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンク1の気密性を確実に保持していることになる。
また、実施例6においても、フィラーチューブ2が、フィラーチューブ本体部3とフィラーネック部4とを一体形成すると共に、フィラーキャッププロテクター5の表面におけるアルミメッキ層9をアルミメッキすることにより形成することにより、構成される。従来のような別体製のフィラーネック補助体を用いた二重管方式を採っていない。したがって、部品点数の減数化に伴う組立工数を軽減させてき、自動車の軽量化や低コスト化に寄与することができる。
加えて、実施例6においても、フィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5は、共にフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成されている。したがって、材料コストにおいても有利性を発揮することになる。
次に、実施例7においては、フィラーチューブ2は、「SUS436材」を使用して構成されている。一方、フィラーキャッププロテクター5は、アルミメッキを施した「SUS436AL材」を使用して構成されている。
この結果、フィラーネック部側嵌合部4aとフィラーキャッププロテクター側嵌合部5aとの間に、図6に示すように、アルミメッキ層9が形成されることになる。
そして、図5に示すように、「SUS436材」から成るフェライト系ステンレス鋼材の平均電位が「−0.08V」である。一方、「SUS436AL材」から成るフェライト系ステンレス鋼材の平均電位は、その表面にアルミメッキ層9が形成されていることから、「−0.70V」となる。
従って、かかる構成により、実施例7においては、フィラーネック部4とフィラーキャッププロテクター5との間に、フィラーキャッププロテクター5側の「SUS409AL材」からなるフェライト系ステンレス鋼材によるアルミメッキ層9が形成され、介在することになる。かかるアルミメッキ層9の存在により、フィラーチューブ2とフィラーキャッププロテクター5との間に電位差が生じることになる。これにより、電位が低いアルミメッキ層9側に電位差腐食が優先的に起こることになる。この結果、かかるアルミメッキ層9が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の発錆を抑止することができる。結果的にフィラーネック部4における孔開き腐食を確実に防止して、フィラーネック部4の開口側がフィラーキャップとの間で密閉され常に閉塞状態であることと相俟って、燃料タンク1の気密性を確実に保持していることになる。
また、実施例7においても、フィラーチューブ2が、フィラーチューブ本体部3とフィラーネック部4とを一体形成すると共に、フィラーキャッププロテクター5の表面におけるアルミメッキ層9をアルミメッキすることにより形成することにより、構成される。従来のような別体製のフィラーネック補助体を用いた二重管方式を採っていない。部品点数の減数化に伴う組立工数を軽減させてき、自動車の軽量化や低コスト化に寄与することができる。
加えて、実施例7においても、フィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5は、共にフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成されている。したがって、材料コストにおいても有利性を発揮することになる。
以上説明したこの発明に係る実施例1から7におけるフィラーチューブ2の孔開き腐食の防止機能を本願発明者達は確かめた。本願発明者達は、自動車が種々の使用環境地域において雨水または塩水などの大気腐食環境に晒されるものであると想定した。このような想定下で、鋼材が乾湿の繰り返しを受けたことによる腐食度を測定すべく、本願発明者達は、海水などにより塩害が比較的少ない所謂一般地域から海水などによる塩害が非常に過酷な環境地域としての所謂塩害過酷地域までを想定した。そして、このような想定下で、本願発明者達は、上記CCTサイクル試験を行って、耐酸素濃淡電池による電位差腐食効果を実験した。
かかるCCTサイクル試験は、鋼材においては、塩水噴霧、乾燥、湿潤、および外気導入を一サイクルとして、これを所定回数繰り返すことで行われた。かかる結果得られる腐食促進度合いとして、フィラーチューブ2の当初板厚に対する板厚残存率(%)を測定した。
そして、本願発明者達は、上記CCTサイクル試験について、フィラーチューブ2を構成する「SUS436材」及び「SUS439材」は、互いに電位差が同等であるということから、両材料のうち、「SUS439材」を試験材料として選択し、また、フィラーキャッププロテクター5を構成する材料として、「SUS409材」又は「SUS409AL材」を試験材料として選択した。
このような条件の下で行われたCCTサイクル試験によって、図7に示す試験結果を得た。図7においては、横軸は、「海水などにより塩害が比較的少ない所謂一般地域」から、「海水などによる塩害が非常に過酷な環境地域としての所謂塩害地域」を想定して設定したサイクル数を示している。縦軸は、フィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5を構成する各材料に対するフィラーチューブ2の腐食度合いとしての板厚残存率を示している。
かかる図7によれば、フィラーチューブ2及びフィラーキャッププロテクター5について、共に「SUS409材」を使用して構成した場合には、フィラーチューブ2の板厚残存率は、中間サイクル数である160サイクルにおいて80%である。所謂塩害地域に相当するサイクル数である300サイクルに至った場合には、フィラーチューブ2の板厚残存率は、40%であるが、未だ、孔開き腐食が起きるまでに至っていない。
これに対して、上記実施例2のように、フィラーチューブ2を「SUS439材」により構成する。一方、フィラーキャッププロテクター5を「SUS409材」により構成する。この場合には、フィラーチューブ2の板厚残存率は、中間サイクル数である160サイクルにおいて100%である。所謂塩害地域に相当するサイクル数である300サイクルに至った場合であっても、フィラーチューブ2の板厚残存率は、80%である。
このことは、フィラーチューブ2とフィラーキャッププロテクター5との間で、少なくとも、微小の電位差があれば、フィラーキャッププロテクター5側の犠牲防食効果によって、フィラーチューブ2側の孔開き腐食の防止が可能であることを示していることになる。
また、上記実施例5のように、フィラーチューブ2は「SUS439材」により構成する。一方、フィラーキャッププロテクター5は「SUS409AL材」により構成する。この場合には、フィラーチューブ2の板厚残存率は、全サイクル数において100%である。
このことは、フィラーチューブ2とフィラーキャッププロテクター5との間においてアルミメッキ層9が介在することによる大きな電位差が生じることから、アルミメッキ層9が犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の孔開き腐食の防止が可能であることを示していることになる。
また、たとえ「SUS409AL材」を構成するフィラーキャッププロテクター5のアルミメッキ層9が腐食し切ったとしても、フィラーキャッププロテクター5は、「SUS409材」により構成されている上記実施例2の場合と同等であることから、「SUS439材」によって構成されるフィラーチューブ2に対して、微小たりとも電位が低くなる。これにより、犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の孔開き腐食防止機能を果たすことができる。
以上説明した試験結果から、次のようなことも考えられる。すなわち、実施例1における「SUS436材」で構成されるフィラーチューブ2に対して、「SUS409材」で構成されるフィラーキャッププロテクター5は、電位差が微小たりともある。これにより、犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の孔開き腐食防止機能を果たすことができるものと考えられる。
また、実施例3のように「SUS436材」でフィラーチューブ2を構成し、「SUS409AL材」でフィラーキャッププロテクター5を構成する場合においても、フィラーキャッププロテクター5は、電位が低いことから犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の孔開き防止機能を果すことができる。もしも、フィラーキャッププロテクター5のアルミメッキ層9が腐食し切ったとしても、フィラーキャッププロテクター5は、基材が「SUS409材」により構成されている場合と同等であることから、「SUS439材」で構成されるフィラーチューブ2に対して、電位が低くなる。よって、犠牲防食効果を発揮して、フィラーチューブ2側の孔開き腐食防止機能を果たすことができるものと考えられる。
更に、実施例4のように「SUS436材」でフィラーチューブ2を構成し、「SUS439AL材」でフィラーキャッププロテクター5を構成する場合、実施例6のように「SUS439材」でフィラーチューブ2を構成し、「SUS439AL材」でフィラーキャッププロテクター5を構成する場合、或いは、実施例7のように「SUS436材」でフィラーチューブ2を構成し、「SUS436AL材」でフィラーキャッププロテクター5を構成する場合においては、フィラーチューブ2とフィラーキャッププロテクター5との間にアルミメッキ層9が介在することによる大きな電位差がある。これにより、アルミメッキ層9の犠牲防食効果によって、フィラーチューブ2側の孔開き腐食の防止ができるものと考えられる。
以上説明したこの発明の実施例によれば、フィラーチューブは、従来のような二重管方式を採らずにフィラーチューブ本体部とフィラーネック部とを一体形成することにより構成される。フィラーチューブとして、材料コストの有利なフェライト系ステンレス鋼材を使用したとしても、フィラーチューブ側の発錆を抑止できる。結果的にフィラーネック部における孔開き腐食の発生を確実に防止できる。また、部品点数の減数化に伴う組立工数を軽減させて、自動車の軽量化および低コスト化に寄与することができる。したがって、自動車などのエンジンの動力源としてのガソリン燃料或いは軽油燃料を貯蔵する燃料タンク内に燃料を給油するフィラーチューブ構造等に好適である。
1 燃料タンク
2 フィラーチューブ
3 フィラーチューブ本体部
4 フィラーネック部
4a フィラーネック部側嵌合部
5 フィラーキャッププロテクター
5a フィラーキャッププロテクター側嵌合部
7 車体パネル
8 嵌合部
9 アルミメッキ層

Claims (8)

  1. 燃料タンクに用いられるフィラーチューブ構造であって、
    一端側が燃料タンク側に接続されるフィラーチューブ本体部と、前記フィラーチューブ本体部の他端側に一体形成され先端部が給油口部として構成されるフィラーネック部とにより構成されるフィラーチューブを備え、
    前記フィラーネック部は、一端側が車体パネルに取り付けられるフィラーキャッププロテクターの他端側に嵌合されており、
    前記フィラーネック部は、前記フィラーキャッププロテクターと前記フィラーネック部との嵌合部が溶着されることにより、前記フィラーキャッププロテクターに取り付けられ、
    前記フィラーチューブ及び前記フィラーキャッププロテクターが共に、フェライト系ステンレス鋼材により構成され、
    前記フィラーキャッププロテクターが、前記フィラーチューブの電位に対して、低い電位を有する、フィラーチューブ構造。
  2. 前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦1.00%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材、又は、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦0.14%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Mo:1.00〜1.50%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成し、
    前記フィラーキャッププロテクターを、質量%で、C:≦0.030%、Si:≦1.00%、Mn:≦1.00%、P:≦0.04%、S:≦0.030%、Cr:10.50〜11.45%、Ti:10(C+N)〜0.75%、N:≦0.015を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成する、請求項1に記載のフィラーチューブ構造。
  3. 前記フィラーネック部及び前記フィラーキャッププロテクターが、アルミメッキ層を介在させて、嵌合される、請求項1に記載のフィラーチューブ構造。
  4. 前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦0.14%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Mo:1.00〜1.50%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成し、
    前記フィラーキャッププロテクターを、質量%で、C:≦0.030%、Si:≦1.00%、Mn:≦1.00%、P:≦0.040%、S:≦0.030%、Cr:10.50〜11.45%、Ti:10(C+N)〜0.75%、N:≦0.015を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成り且つ表面に前記アルミメッキ層が形成されたフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成する、請求項3に記載のフィラーチューブ構造。
  5. 前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦0.14%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Mo:1.00〜1.50%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成し、
    前記フィラーキャッププロテクターを、C:≦0.010%、Si:≦1.00%、Mn:≦0.20%、P:≦0.04%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成り且つ表面に前記アルミメッキ層が形成されたフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成する、請求項3に記載のフィラーチューブ構造。
  6. 前記フィラーチューブを、C:≦0.010%、Si:≦1.00%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成ステンレス鋼材を使用して構成し、
    前記フィラーキャッププロテクターを、質量%で、C:≦0.030%、Si:≦1.00%、Mn:≦1.00%、P:≦0.04%、S:≦0.030%、Cr:10.50〜11.45%、Ti:10(C+N)〜0.75%、N:≦0.015を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成り且つ表面に前記アルミメッキ層が形成されたフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成する、請求項3に記載のフィラーチューブ構造。
  7. 前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦1.00%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成し、
    前記フィラーキャッププロテクターを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦1.00%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成り且つ表面に前記アルミメッキ層が形成されたフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成する、請求項3に記載のフィラーチューブ構造。
  8. 前記フィラーチューブを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦0.14%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Mo:1.00〜1.50%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成るステンレス鋼材を使用して構成し、
    前記フィラーキャッププロテクターを、質量%で、C:≦0.010%、Si:≦0.14%、Mn:≦0.20%、P:≦0.040%、S:≦0.006%、Cr:17.00〜18.00%、Mo:1.00〜1.50%、Ti:10(C+N)〜0.35%、N:≦0.015%を含有し、残部が不可避的不純物及びFeから成り且つ表面に前記アルミメッキ層が形成されたフェライト系ステンレス鋼材を使用して構成する、請求項3に記載のフィラーチューブ構造。
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