JPWO2017221314A1 - 有機物微粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

貧溶媒法を用いて有機物微粒子を製造するにあたり、有機物微粒子の粒子径の制御を簡便にかつ安定的に行える有機物微粒子の製造方法を提供することを課題とする。貧溶媒(A)と有機物を溶解した良溶媒(B)とを混合し、その混合液中にて有機物微粒子を析出させる有機物微粒子の製造方法において、貧溶媒(A)として、少なくとも水酸基を持つ水溶性高分子(A1)を含む水溶液を用い、有機物微粒子の析出時における混合液のpHを3.5〜8.5の範囲内において調整することで、有機物微粒子の粒子径を制御し、目的の粒子径である上記有機物微粒子を得る。

Description

本発明は、有機物微粒子の製造方法に関するものである。
医薬品や有機顔料、樹脂などの有機物を微粒子化することで、その物性に新たな機能を発現させることが出来るため、有機物の微粒子化技術は産業界全般にわたって重要なテーマとなっている。
有機物微粒子として期待された特性を発揮するためには、粒子径の制御が必要である。しかし、有機物は、無機物と最も異なる特性として、溶媒への溶解度があり、有機物の貧溶媒に対する溶解度は無機物に比べて高い。特に微粒子化された有機物は、その溶解度が一般的に示されている値よりも高くなることが多く、微粒子化された有機物が再度溶解し、その後粒子が成長することで結果として粗大な粒子となるため、従来の方法では粒子径を制御することが困難であった。また、有機物微粒子はその粒子径により、特に溶解性や溶解時間、吸収性や安定性、また光学特性やその他の機能性が変化するため、粒子径制御の技術が必要とされている。
水溶性高分子を用いて有機物微粒子を作製する場合においては、その水溶性高分子の重合度が大きく、ケン化度が低い方が小さな粒子を作製できる場合が多いことが知られている。水溶性高分子は水酸基を持っているため親水性の表面を持った物質に対して強い接着力があり、親水性の水酸基と疎水性の官能基を各々持っているため、界面活性能を示す。
水溶性高分子は、上記の理由により良溶媒に溶かした有機物と、水溶性高分子を溶かした貧溶媒に混合し、有機物微粒子を析出させるプロセスに多く使用されている。また、水溶性高分子は、親水基が親水基と水分子との水素結合に起因するために温度の影響を受けやすいという性質から、温度変化を利用したプロセスで用いる利点はあるが、温度変化により有機物微粒子が混合液中で不安定になるなどのデメリットとなることが多い。
また、特許文献1には、有機物微粒子の粒子径を制御するために、水溶性高分子の分子量を変化させて、有機物微粒子の粒子径を制御する方法も報告されている。しかしながら、温度変化により有機物微粒子が混合液中で不安定になるなどのデメリットは解決されておらず、適用できる有機物も限定されてしまうことが多いという問題を抱えている。
さらに、貧溶媒法を用いて有機物微粒子を析出させる場合、貧溶媒と有機物を溶解させた良溶媒との混合を開始した時点から完了するまでの間、混合溶液中の有機物の濃度や温度は変化を伴い、混合溶液の状態は、刻一刻と変化することとなる。特にバッチ式で大量に処理を行う場合には、析出された有機物微粒子の粒子径の分布が広がりを持つ場合があり、条件によっては有機物微粒子として期待された特性を発揮しがたい粗大な粒子が生成する場合がある。
一方、特許文献2には、水混和性の良溶媒で生体適合性高分子を含む薬物を溶解し、貧溶媒であるポリビニルアルコールの水溶液に滴下して薬物を析出させる方法が開示されている。しかし、このような方法で有機物を析出させる場合、貧溶媒と有機物を溶解した良溶媒との混合を開始した時点から完了するまでの間、混合溶液中の有機物の濃度や温度及びpHは変化を伴うため、混合溶液の状態は、刻一刻と変化することとなり、析出された有機物微粒子の粒子径の分布が広がりを持つ場合があった。また、特許文献2にはポリビニルアルコールに対する薬物の量については示されているものの、析出させた粒子の凝集が見られる場合があり、析出容器内への付着等の問題から、安定して粒子を得ることが難しい場合があった。特に、薬物を高濃度で析出させることが難しく、希薄系での調製しかできないことなどの問題があった。
そのような問題を解決するために、本願出願人よって、接近・離反可能な相対的に回転する処理用面間において、有機物微粒子を析出させる方法が提案された(特許文献3)。この特許文献3記載の方法で作製した生体摂取物微粒子は、従来のものに比べて微細かつ均一であり、また、処理用面1、2の回転数や処理用面1、2間の距離、及び、薄膜流体の流速や温度又は原料濃度等を変えることにより、目的とする粒子径の有機物微粒子を得ることが可能になった。しかしながら、有機物微粒子を処理用面から吐出させた後、微粒子の粗大化が見られる場合があるなど、有機物微粒子を安定的に得るには課題が残っていた。
通常、有機物微粒子を含む目的物製造にあたり、最終製品の最適化のため、pH調整を行う事例は多く存在する。例えば、点眼薬では目への刺激性の問題などから、pH調整されることが一般的に行われている(特許文献3、特許文献4)。しかしながら、これら従来技術は、水溶性高分子の乳化・分散力の長所を生かしながら、温度変化などのデメリットを解決するかという課題に着目したものではなかった。言い換えれば、従来技術のように最終製品の最適化のためにpH調整を行うのではなく、有機物微粒子の析出時の粒子径や乳化粒子径を直接制御するためにpH調整を行うという技術思想については、今まで提案されたり開示されたりしていなかった。
また、本願出願人によって、接近・離反可能な相対的に回転する処理用面間において、被析出物質を溶解した原料溶液を含む流体と、この被析出物質を析出させるための析出用溶媒を含む流体とを被処理流動体として混合して被析出物質を析出させる際に、上記処理用面間に導入される上記被処理流動体の粘度を制御することによって、粒子径が制御された微粒子を得る方法が提案された(特許文献5)。しかしながら、特許文献5には、微粒子の粒子径の制御にあたり、微粒子の析出時にpH調整を行うことについては、記載されていなかった。
特開平10−218901号公報 特開2005−21370号公報 特開2011−189348号公報 特開昭61−246117号公報 国際公開第2012/014530号パンフレット
本発明は、貧溶媒法を用いて有機物微粒子の粒子径を制御する際に、水溶性高分子の乳化、分散力の長所を生かしながら、温度変化によるデメリットを解決すること、すなわち、水溶性高分子を含む貧溶媒(A)と有機物を溶解した良溶媒(B)とを混合した混合液中にて有機物微粒子を析出させる有機物微粒子の製造方法において、有機物微粒子の粒子径の制御を簡便にかつ安定的に行える有機物微粒子の製造方法を提供することを課題とする。
上記に鑑み本願発明者は、水溶性高分子の乳化・分散力の長所を生かしながら、温度変化によるデメリットなど解決するために、析出時の混合液のpHを調整することで安定的に粒子径を制御できることを見出した。詳しくは、本願発明者は、析出時の混合液のpHを調整することにより、目的とする粒子径を簡単に制御でき、安定性に優れた粒子を作製でき、プロセスは簡略化でき、安定的な処方を得られ、最適化出来ることを見出し、本発明を完成させたものである。具体的には、目的の有機物微粒子の性質、その有機物微粒子の析出時に使用する水溶性高分子の重合度、ケン化度、そして連続相である水相(貧溶媒(A))の性質を考慮して、pHを3.5〜8.5の範囲内で適切なpHに調整することで、目的の粒子径を有する有機物微粒子を製造できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、貧溶媒(A)と有機物を溶解した良溶媒(B)を混合した混合液中にて有機物微粒子を析出させる有機物微粒子の製造方法において、貧溶媒(A)として、少なくとも水酸基を持つ水溶性高分子(A1)を含む水溶液を用い、上記(A)と(B)とを混合し、析出時のpHを3.5〜8.5の範囲で調整することで、上記有機物微粒子の粒子径を制御し、目的の粒子径である有機物微粒子の製造方法である。
また本発明は、前記良溶媒(B)に水混和性の有機溶媒を用いることが好ましい。また本発明は、上記貧溶媒(A)に含まれる水酸基を持つ水溶性高分子(A1)の濃度を変更することが好ましい。また本発明は、上記貧溶媒(A)に、pH調整剤(A2)を含み、pH調整剤(A2)により貧溶媒(A)と有機物を溶解した良溶媒(B)とを混合し、析出時における混合液のpHを調整することが好ましい。また本発明は、上記有機物に対する上記pH調整剤(A2)を重量比0.001以上、1.0以下に調製して実施することが好ましい。
上記水酸基を持つ水溶性高分子としては種々のものを利用することができるが、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが好ましく、これらは単独又は複数種類を適宜選択して用いることができる。
また本発明は、上記貧溶媒(A)に含まれる水酸基をもつ水溶性高分子に対する上記有機物の重量比を0.1〜3.0に調製して実施することが好ましい。重量比率が3.0以上でも、粒子径は均一なものにすることができるが、高分子量が多く、有機物の性能を発揮するのに好ましくない場合もある。
また本発明の有機物微粒子の粒子径がその機能性面より20〜500nmであることが好ましい。また本発明は、上記有機物が生体摂取物において効果が大きい。
本発明の製造方法を用いることにより、有機物微粒子本来の性能をいかんなく発揮できる粒子径の制御された有機物微粒子を製造することができる。
また、貧溶媒(A)と有機物を溶解した良溶媒(B)を混合することにより有機物微粒子を析出させる有機物微粒子の製造方法において、貧溶媒(A)として、少なくとも水酸基を持つ水溶性高分子(A1)を含む水溶液を用い、貧溶媒(A)と有機物を溶解した良溶媒(B)とを混合し、析出時の混合液のpHを3.5〜8.5の範囲で調整することで、上記有機物微粒子の粒子径を制御するという簡便な方法で、本発明は実施することができる。そのため、本発明にあっては、対象となる有機物の適応範囲が広く、得られた有機物微粒子は温度変化にも安定であり、目的に応じた粒子径を具備した様々な種類の有機物微粒子を提供することが可能となった。
このように本発明の製造方法によって、粒子径が精密に制御された有機物微粒子を安定して低コストで製造できるようになり、産業界の様々な要請に対応できるようになり得る。
本発明の実施例1〜3及び比較例1の対象有機物であるクルクミンの分子構造図である。 本発明の実施例1で得られたクルクミン微粒子のTEM写真である。 本発明の実施例2で得られたクルクミン微粒子のTEM写真である。 本発明の比較例1で得られたクルクミン微粒子のTEM写真である。 本発明の実施例4〜10及び比較例2の対象有機物であるプロブコールの分子構造図である。 本発明の実施例4で得られたプロブコール微粒子のTEM写真である。 本発明の実施例9で得られたプロブコール微粒子のTEM写真である。 本発明の比較例2で得られたプロブコール微粒子のTEM写真である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の様態は以下に記載の実施形態のみに限定するものではない。
本発明は、貧溶媒(A)と有機物を溶解した良溶媒(B)を混合することにより有機物微粒子を析出させる有機物微粒子の製造方法において、貧溶媒(A)として、少なくとも水酸基を持つ水溶性高分子(A1)を含む水溶液を用い、貧溶媒(A)と有機物を溶解した良溶媒(B)とを混合するものであり、この混合液の析出時のpHを3.5〜8.5の範囲で調整することで、上記有機物微粒子の粒子径を制御する有機物微粒子の製造方法である。
(原料物質及び目的物)
本発明は、有機物を主たる原料物質とし、この主たる原料物質である有機物を溶媒に溶解した良溶媒(B)を用い、この良溶媒(B)を貧溶媒(A)と混合し、目的物である有機物微粒子を得るものである。
本発明において有機物微粒子とは、この有機物により構成された微粒子である。微粒子の平均粒子径は、nm単位であることが好ましいが、μm単位のものであってもかまわない。有機物微粒子の粒子径が、20nm〜500nmであることがより好ましい。
本発明における原料物質及び目的物としての有機物とは、炭素を含む化合物である。特に、主に炭素と酸素から形成されるものを含む。この有機物の由来は特に制限されるものではなく、人工的に合成されたものでもよく、天然物から抽出されたものでもあってもよく、特に限定されるものではない。例えば、人類用や動物用の医薬組成物や、食品、食品添加物、健康食品、農薬などの生体摂取物や、樹脂、ゴムなどの高分子化合物、染料や顔料、塗料などを含む色素系化合物や香料などが挙げられる。
生体摂取物とは、生体に摂取する事を目的とするものであれば特に限定されないが、例えば医薬品における薬物のように生体内に吸収され、生体内での効果を発現させる事を目的とするものや、体内を通過させ、その後に排泄するものやドラッグデリバリーシステムにおける薬物成分の運搬用物質、または化粧料のように、生体皮膚に塗布するもの、及び食品と上記物質の中間体などが挙げられる。具体的には、医薬、医薬部外品、化粧品、食品、食品添加物、健康食品、農薬などに用いられる有機物をいう。本発明の生体摂取物としては、市販のものを使用してもよいし、新規に合成してもよい。
上記生体摂取物の具体例としては、鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生物質、抗凝固薬、抗降圧薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗悪性腫瘍薬、食欲抑制薬、抗肥満薬、抗ムスカリン薬、抗ミコバクテリア薬、抗新生物薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、不安解消薬、アストリンゼン、アドレナリン性β受容体遮断薬、血液製剤、代用血漿、心筋変性力薬、コントラスト媒質、コルチコステロイド、咳抑制薬、診断薬、診断像形成薬、利尿薬、ドーパミン作用薬、止血薬、免疫薬、リピッド調節薬、筋肉弛緩薬、副交感神経刺激興奮薬、副甲状腺カルシトニン、ビホスホネート類、プロスタグランジン、放射性医薬、性ホルモン、抗アレルギー薬、興奮薬、食欲減退物質、交感神経興奮薬、甲状腺薬、血管拡張剤およびキサンチン類、白内障治療剤、副腎皮質ホルモン剤、アレルギー性鼻炎治療薬などの医薬組成物や、栄養薬効物質、食物サプリメント、ビタミン、ミネラル、ハーブなどの食物栄養補助剤、葉酸、脂肪酸、果実および野菜抽出物、ビタミン補給剤、ミネラル補給剤、ホスファチジルセリン、リポ酸、メラトニン、グルコサミン/コンドロイチン、アロエ・ベラ、グッグル、グルタミン、アミノ酸、緑茶、リコピンなどの食品または、食品添加物、ハーブ、植物栄養素、抗酸化剤、果実のフラボノイド成分、またコラーゲンやヒアルロン酸、アミノ酸、ビタミンC誘導体、ハイドロキノン類等の美容補助食品等が挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましい性状としては、水に低溶解度で経口投与可能なものおよび注射剤として適用可能なものなどが挙げられる。
医薬品としては、ダナゾール、タクロリムス水和物、プロゲステロン、インドメタシン、クルクミン、トラニラスト、ベンズブロマロン、ナプロキセン、フェニトイン、カロテン、ピポサルファム、ピポサルファン、カプトテシン、アセトミノフェン、アセチルサリチル酸、アミオダロン、コレスチフミン、コレスチポール、クロモリンナトリウム、アルブテロール、スクラルフェート、スルファサラジン、ミノキシジル、テンパゼパム、アルプラゾラム、プロポキシフェン、オーラノフィン、エリスロマイシン、サイクロスポリン、アシクロビル、ガンシクロビア、エトポサイド、メファラン、メトトリキセート、ミノキサントロン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、メガステロール、タモキシフェン、メドロキシプロゲステロン、ナイスタチン、テルブタリン、アンホテリシンB、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナック、ケトプロフェン、フルビプロフェン、ジフルミサール、ジオスゲニン、シロスタゾール、トルブタミド、ペプチド、クロモグリク酸ナトリウム、ピレノキシン、プロブコールなどが挙げられる。
医薬部外品としては、歯磨き剤、薬用化粧品、育毛剤、口中清涼剤、口臭予防剤などがあげられる。
化粧品としては、例えば、化粧水、乳液、美容液などの基礎化粧品、日焼け止め化粧品、メークアップ化粧品、頭髪化粧品、清浄化粧品、口唇化粧品、口腔化粧品、爪化粧品、アイライナー化粧品、入浴用化粧品などが挙げられる。
食品もしくは食品添加物としては、ビタミンA・B・C・E等のビタミン類およびその誘導体、2アミノ酸類、カロテノイド、果実および植物抽出物などが挙げられる。
健康食品としては、コエンザイムQ10、ビタミンA・B・C・E等のビタミン類およびその誘導体等、をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
高分子化合物としては、パラフィンワックスや蜜?、カルナバワックスなどの天然ワックスやポリエチレンワックス(LDPE、低密度ポリエチレンおよびHDPE、高密度ポリエチレン)やプロピレンワックスなどの合成ワックス、アマイドワックスなどの半合成ワックス、樹脂やゴムなどが挙げられる。
(良溶媒(B)に用いる溶媒)
本発明の有機物を溶解した良溶媒(B)に用いる溶媒は、有機物を溶解できるものを選定する必要がある。本発明の溶媒としては、有機物微粒子の原料を溶解させるためや、有機物微粒子を溶解した良溶媒から有機物微粒子を析出させるために様々なものを用いることが出来る。それらの溶媒の一例としては、水(蒸留水、純水等)や、有機溶媒(アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒、スルホキシド系溶媒、アミン系溶媒、イオン性溶液など)を挙げることが出来る。これらの溶媒は、目的に応じて1種または2種以上の混合溶媒を選択して実施することができる。また、必要に応じて、酸性物質や塩基性物質を各種溶媒に加え、pHを調整することもできる。
本発明においては、水に混和可能な溶媒で有機物に対して溶解度を持つ溶媒を上記良溶媒(B)に用いる溶媒として選択することが好ましいが、例えば、キシレンなどのように水に混和可能な溶媒でなくても有機物に対して溶解度を持つ溶媒を上記良溶媒(B)に用いる溶媒として選択してもかまわない。水に混和可能な溶媒で有機物に対して溶解度を持つ溶媒としては、アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、tert−ブタノール等のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコールや、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えばテトラヒドロフランなどが挙げられる。ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。スルホキシド系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキドなどが挙げられる。アミン系溶媒としては、例えば、ジメチルアミノエタノールやエチレンジアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。アミド系溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
(貧溶媒(A)について)
本発明に係る貧溶媒(A)には、少なくとも水酸基を持つ水溶性高分子(A1)を含む水溶液を用いる。
この貧溶媒を調製するための溶媒には少なくとも水を選択する必要がある。水には、水道水やイオン交換水、RO水や純水、蒸留水や超純水などを用いることができる。また、本発明の有機物微粒子の製造方法に影響を与えない範囲で、上記水以外に、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類やアセトン、テトラヒドロフランなどの水混和性の有機溶媒を上記貧溶媒に混和しても良い。上記水混和性の有機溶媒を上記貧溶媒に混和させることで、上記キシレンなどのように水に混和可能でない良溶媒の少なくとも一部を、水酸基を持つ水溶性高分子を含む水溶液に混和させることが出来る利点がある。
貧溶媒(A)に用いられる水酸基を持つ水溶性高分子(A1)は、種々の水酸基を有する高分子であって水溶性のものを選択することができるが、その一例としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースを挙げることができる。水酸基を持つ水溶性高分子(A1)は、有機物に対して重量比0.1〜3.0の範囲であることが好ましい。
(pH調整について)
本発明においては、上記有機物を溶解させた良溶媒(B)と、上記水酸基を持つ水溶性高分子を含む貧溶媒(A)を混合した混合液のpHを3.5〜8.5の範囲内に調整し、このpH調整によって目的物である有機物微粒子の粒子径を制御する。
pH調整の方法は特に問わないが、その一例としてpH調整剤(A2)の利用を挙げることができる。具体的には、上記有機物を溶解した良溶媒(B)と水酸基を持つ水溶性高分子を含む貧溶媒(A)との少なくとも何れか一方に、pH調整剤(A2)を添加する例を示すことができるが、良溶媒(B)と貧溶媒(A)とは物理的に別の液体としてpH調整剤を用意し、良溶媒(B)と貧溶媒(A)との混合と同時、又は、混合の前或いは後にpH調整剤を付加してもかまわない。有機物の溶解度の点から、水酸基を持つ水溶性高分子を含む貧溶媒(A)にpH調整剤(A2)を配合することが好ましい。上記pH調整剤(A2)は、上記有機物に対しては重量比0.001〜1.0の範囲、水酸基を持つ高分子(A1)に対しては重量比で0.001〜1.0の範囲であることが好ましい。
その他のpH調整の方法としては、良溶媒(B)中の有機物の濃度や良溶媒(B)に用いる溶媒の変更、貧溶媒(A)に含まれる水酸基を持つ水溶性高分子の変更や、水酸基を持つ水溶性高分子を含む貧溶媒(A)と有機物を溶解した良溶媒(B)との混合比を変更することなどが挙げられる。
本発明に用いるpH調整剤(A2)としては、炭酸水素ナトリウムや炭酸カルシウムなどの炭酸塩、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、リン酸水素ナトリウムなどの無機塩、トリエタノールアミンのようなアミン類、アンモニアやアンモニウム塩、塩酸、硝酸、リン酸、ホウ酸などの無機酸、酢酸、クエン酸、アジピン酸などの有機酸またはそれらの塩を用いることができる。また、特に限定されるものではないが、有機物が生体摂取物の場合には、生体内に取り込んでも問題ない物質を選定する必要がある。
上記混合液の有機物微粒子の析出時におけるpHを3.5〜8.5の範囲内に調整することで、当該有機物微粒子の粒子径を制御できることは、本願発明者にとっても驚きであった。詳細には検討中であるが、本願発明者は、次の少なくとも2つの要因が複合的に作用しているものと考えている。
(一点目の要因)
上記pHを3.5〜8.5の範囲内とすることで、有機物微粒子と水酸基を含む水溶性高分子との相互作用を強めることができたことが、当該有機物微粒子の粒子径が制御可能になった一点目の要因である。まず、水酸基を持つ水溶性高分子を用いる目的の一つは、当該有機物微粒子に対する粒子成長を妨げることにある。ところが、混合液のpHが上記3.5〜8.5の範囲外の場合には、上記水酸基を持つ水溶性高分子と、当該有機物微粒子の表面との相互作用よりも、水酸基を持つ水溶性高分子並びに有機物微粒子がそれぞれ、上記溶解に用いた良溶媒または貧溶媒との相互作用や水溶性高分子同士の相互作用の方が強くなる。このため、水酸基を含む水溶性高分子に期待した有機物微粒子の粒子成長を妨げる効果が、下がってしまうと考えらえる。すなわち、有機物微粒子のもつ官能基は、有機物微粒子が固体の状態であっても、少なくともその表面は上記溶解に用いた良溶媒、並びに水などの貧溶媒にさらされており、上記pH3.5〜8.5の範囲外では、有機物微粒子の官能基が上記溶媒または水への親和性を高めることになる。場合によっては上記官能基への有機溶媒の吸着や水素イオンの脱離、付加などによる見かけ上の構造変化が生じる。これらは水溶性高分子の持つ水酸基が水素結合を形成することによる効果と推測しており、結果として、水溶性高分子に期待した効果が得られなかったものと考えられる。これらの構造変化は温度変化によっても伴う場合があるが、水溶性高分子だけで温度変化を利用して有機物微粒子を析出させた場合などには、その後の温度変化により有機物微粒子の凝集や融着、粒子成長などが生じる場合があった。
(二点目の要因)
また、上記pHを3.5〜8.5にすることで有機物の溶解度を微妙に変化させることができることを二点目の要因と考えている。有機物には水酸基やカルボン酸基、アミド基などの水溶性官能基を持つものが多く、有機溶媒に溶解可能な性質とともに、上記官能基の性質によって、水にも溶解性を示すことが多い。これらの官能基を持つ有機物はpHの変化により溶解度が変化することも多く、微量のpH調整剤によりpHを制御することで、溶解度を制御し、平均粒子径とはかけ離れた粗大な粒子や微小な粒子が略見られずに、均一な状態で粒子径を制御できる可能性が考えられる。
混合液の有機物微粒子の析出時におけるpH調整に加えて、貧溶媒(A)に含まれる水酸基を持つ水溶性高分子(A1)の濃度を変更することによって、目的物である有機物微粒子の粒子径をさらに制御することができる。
(混合と析出について)
本発明における上記有機物を溶解した良溶媒(B)と、少なくとも水酸基を持つ水溶性高分子(A1)を含む水溶液である貧溶媒(A)とを混合させ、その混合液から有機物微粒子を析出させる方法としては、特に限定はなく、種々の方法を採用することができる。例えば、希薄系での反応をバッチ容器や混合容器内で行うなどの方法や、マイクロリアクターのような反応装置を用いる方法などを示すことができ、バッチ式であってもよく連続式であっても実施することが出来る。また本願出願人によって提案された、特開2009−112892号公報にて記載されたような装置並びに方法を用いても良い。本発明においては、特許文献3に記載の流体処理装置と同様の原理の装置を用いて有機物微粒子を作製することが好ましい。具体的には、相対的に回転する少なくとも2つの処理用面を備えた装置であって、上記2つの処理用面同士が上記回転の軸方向において相対的に接近し又は離反することができるように配置されたものを用いる。上記2つの処理用面同士の間を微小間隔に維持し、この微小間隔に維持された上記2つの処理用面間に、貧溶媒(A)と良溶媒(B)とを導入する。この導入に際しては、貧溶媒(A)と良溶媒(B)とを別々の導入路から、上記2つの処理用面間に導入することが好ましいが、導入直前に貧溶媒(A)と良溶媒(B)とを混合して一つの導入路から導入してもかまわない。また、2つの導入路を用いる場合には、一方の導入路は、上記2つの処理用面のうちの少なくとも一方の中央に設け、他方の導入路は、上記中央の導入路と上記2つの処理用面の外周との間に設けるものとして実施することができる。これによって、貧溶媒(A)と良溶媒(B)とを混合した混合液による強制薄膜を上記2つの処理用面間で形成し、この強制薄膜中において有機物微粒子の析出を行うものである。その際、pH調整剤(A2)は、貧溶媒(A)と予め混合させておくことが適当であるが、第3の導入路を上記2つの処理用面のうちの少なくとも一方に設けて、貧溶媒(A)と良溶媒(B)とpH調整剤(A2)とを、上記2つの処理用面の間で混合するようにしてもかまわない。
(実施例)
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。以下の実施例においては、本願出願人によって特許文献3に示された流体処理装置と同様の装置を用いて有機物微粒子を作製した。ただし本願発明の有機物微粒子の製造については、上記装置を使用することに限定されるものではない。
本発明の実施例において、TEM観察には、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)を用いた。観察条件としては、加速電圧を80kVとした。
粒子径評価は、TEM観察において25000倍の写真を用い、粒子50個の平均値を用いた。粒子径評価の結果を、表1〜3の「粒子径」の項目に記載した。
(クルクミン)
実施例1として有機物にクルクミン、pH調製剤(A2)に酢酸、水酸基を持つ水溶性高分子(A1)にヒドロキシメチルプロピルセルロース(以下、HPMC)を用いた条件を示す。クルクミンの分子構造を図1に示す。図1に見られるように、クルクミンはベンゼン環と不飽和の炭化水素を基本骨格とする有機物であるが、構造に複数の水酸基を持つため、有機物でありながら、水にも一部親和性を示す物質である。pHが酸性側の場合には、上記クルクミン分子の水酸基に水素陽イオンが接近し、見かけ上(−OH )のような状態を取ろうとし、塩基性側の場合には、液中に含まれる水酸基との相互作用によって、クルクミンに結合している水酸基の水素原子が酸素原子から離れようとし、見かけ上(−O−)のような状態を取ろうとする可能性がある。
貧溶媒(A)(以下、A液)並びに有機物を溶解した良溶媒(B)(以下、B液)は、以下の重量比にて調製した。A液は、0.67wt% HPMC(信越化学製メトローズ) /0.0009wt% 酢酸 / 99.3291wt% 純水の重量比にて調製した。調製後のA液のpHは4.81(18.8℃)であった(液比重:1.0)。B液は3.0wt% クルクミン / 97.0wt% エタノール((液比重:0.8、以下EtOH)の重量比で調製した。A液は、高速回転式分散乳化装置であるクレアミックスディゾルバー(製品名:CLM−2.2SD、エム・テクニック製)を用いて調製した。上記処方に基づいて、A液の各成分をクレアミックスディゾルバーを用いて、調製温度25℃、ローター回転数を15000rpm、30分間撹拌することにより均一に混合し、A液を調製した。B液は、高速回転式分散乳化装置であるクレアミックス(製品名:CLM−2.2S、エム・テクニック製)を用いて調製した。B液の各成分をクレアミックス用いて、調製温度25℃、ローター回転数を15000rpm、30分間撹拌することにより均一に混合し、B液を調製した。
次に調製したA液並びにB液を本願出願人による特許文献3の流体処理装置を用いて混合した。ここで、特許文献3に記載の流体処理装置とは、同公報の図1に記載の装置であって、第2導入部の開口部d20がリング状ディスクである処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状であるものである。具体的には、上記A液を第1導入部d1から処理用面1、2間に導入し、処理用部10を表1に記載の各実施例毎の回転数で運転しながら、上記B液を第2導入部d2から処理用面1、2間に導入して、上記A液とB液とを薄膜流体中で混合し、処理用面1、2間において有機物微粒子を析出させた。処理用面1、2間おいて析出させた有機物微粒子を含む流体(以下、有機物微粒子分散液)を流体処理装置の処理用面1、2間から吐出させた。吐出させた有機物微粒子分散液をベッセルvを介してビーカーbに回収した。
上記装置を用いて有機物微粒子としてクルクミン微粒子を析出させた条件と得られた有機物微粒子の粒子径評価の結果を表1に示す。なお、表中における回転数は、特許文献3における処理用部10の回転数であり、吐出液とは、処理用面1、2間から吐出させた有機物微粒子分散液である。有機物微粒子の析出時のpHの測定は実質的に困難であるため、ビーカーbに回収した吐出液のpHを測定し、その結果を表1に記載した。
得られたクルクミン微粒子を含む有機物微粒子分散液をエステル支持膜に滴下し、室温で乾燥してTEM観察用の試料を作製した。実施例1のTEM観察結果を図2に示す。TEM観察の結果、粒子径は71nmであった。
実施例2については、実施例1のA液中のpH調整剤の濃度を表1に示すように変更した他は、実施例1と同条件にて実施した。得られたクルクミン微粒子を含む有機物微粒子分散液をエステル支持膜に滴下し、室温で乾燥してTEM観察用の試料を作製した。TEM観察結果を図3に示す。TEM観察の結果、粒子径は158nmであった。
実施例3として、表1に示す様に、実施例1で用いたpH調製剤である酢酸を抜き、その他の条件については実施例1と同条件にて実施した。得られたクルクミン微粒子を含む有機物微粒子分散液をエステル支持膜に滴下し、室温で乾燥してTEM観察用の試料を作製した。TEM観察の結果、粒子径は140nmであった。
比較例1として、実施例2よりも酢酸濃度を高くし、析出時のpHを3.09に調整した。その他の条件については実施例1と同条件にて実施した。得られたクルクミン微粒子を含む有機物微粒子分散液をエステル支持膜に滴下し、室温で乾燥してTEM観察用の試料を作製した。TEM観察結果を図4に示す。TEM観察の結果、粒子径は620nmであったが50nm程度の粒子が混在しているようにみられ、粒子径に分布が見られた。
実施例1、2では、有機物に対する水溶性高分子の割合(重量比ベース)を一定とし、pH調整剤の濃度を変化させることによりpHを変更した。pH調整剤を入れていない実施例3では、目的の粒子径を有する有機物微粒子が得られたが、複数個の粒子が凝集した粒子の凝集体が一部存在した。A液とB液との混合液中のpH調整剤を有機物に対して1.25とした比較例1では粒子径に分布が見られた。有機物に対してpH調整剤の添加量は0.001〜0.01程度と極微量であり、pH調製剤を僅かに添加して、クルクミンと水溶性高分子の親和性を制御することで粒子径の制御が可能となる。よって、pHの制御が重要となっていることがみてとれる。また、実施例1について同じ実験を5回繰り返し行った。TEM観察結果より粒子径は、75nm、80nm、72nm、68nmとなり、繰り返し再現性についても問題ないことを確認した。また、実施例1〜3と比較例1それぞれの吐出液を5℃から50℃の範囲で温度変化を与えた後、具体的には、5、15、25、40、50℃にて30分間保持した後の粒子の状態をTEM観察したところ、温度変化を与える前と与えた後の粒子径に変化がないことから、5℃から50℃の温度変化による粒子の安定性も確認出来た。
(プロブコール)
実施例4として有機物にプロブコール、pH調製剤(A2)に炭酸水素ナトリウム、水酸基を持つ水溶性高分子(A1)にポリビニルアルコール(以下、PVAと称す)を用いた条件を示す。プロブコールの分子構造を図5に示す。プロブコールは、その構造に水酸基を持つ有機物である。
貧溶媒(A)(以下、A液)並びに有機物を溶解した良溶媒(B)(以下、B液)は、以下の重量比にて調製した。A液は、0.125wt% PVA(日本合成製EG-05P) /0.0009wt% 炭酸水素ナトリウム / 99.8741wt% 純水の重量比にて調製した。調製後のA液のpHは7.07(27.1℃)であった(液比重:1.0)。B液は3.0wt% プロブコール /97.0wt%エタノール((液比重:0.8、以下EtOH)の重量比で調製した。A・B液の調製条件は、実施例1と同じとした。
上記A液とB液との混合液を表2記載のpHとなるように、調製したA液並びにB液を、実施例1で用いた流体処理装置を用いて混合し、処理用面1、2間において有機物微粒子であるプロブコール微粒子を析出させた。処理用面1、2間おいて析出させた有機物微粒子を含む流体(以下、有機物微粒子分散液)を流体処理装置の処理用面1、2間から吐出させた。吐出させた有機物微粒子分散液をベッセルvを介してビーカーbに回収した。
上記装置を用いて有機物微粒子としてプロブコール微粒子を析出させた条件と得られた有機物微粒子の粒子径を表2に示す。なお、表中における回転数は、特許文献3における処理用部10の回転数であり、吐出液とは、処理用面1、2間から吐出させた有機物微粒子分散液である。有機物微粒子の析出時のpHの測定は実質的に困難であるため、ビーカーbに回収した吐出液のpHを測定し、その結果を表2に記載した。
得られたプロブコール微粒子を含む有機物微粒子分散液をエステル支持膜に滴下し、室温で乾燥してTEM観察用の試料を作製した。実施例4のTEM観察結果を図6に示す。TEM観察の結果、粒子径は380nmであった。
実施例5では実施例4におけるA液とB液との混合比を変更した他は実施例4と同条件にて実施し、A液とB液との混合液中の有機物に対する水酸基を持つ水溶性高分子の割合(重量比ベース)を増加させた。TEM観察の結果から、粒子径は226nmとなった。
実施例6〜10と比較例2は表2に記載した貧溶媒(A)と良溶媒(B)を用いた処方で調製を行った。なお、A・B液の調製条件は、実施例1と同じとした。調製したA液とB液とを実施例1で用いた流体処理装置を用いて表2記載の条件で混合し、プロブコール微粒子を析出させた。処理用面1、2間おいて析出させた有機物微粒子を含む流体(以下、有機物微粒子分散液)を流体処理装置の処理用面1、2間から吐出させた。吐出させた有機物微粒子分散液をベッセルvを介してビーカーbに回収した。TEM観察結果より、実施例5では、粒子径は123nm、実施例6では68nm、実施例7では102nm、実施例8では175nmとなった。実施例9のTEM観察結果を図7に示す。また、pHが8.72となる条件で混合した比較例2では、TEM観察結果より粒子径は378nm程度となったが粒子が凝集し融着しているように見られた。図8にTEM写真を示す。また、炭酸水素ナトリウムを添加しなかった実施例10では、TEM観察結果より480nmとなったが、複数個の粒子が凝集した粒子の凝集体が一部存在した。
まず、A液とB液との混合液のpHを3.5〜8.5の範囲内に調整することにより有機物微粒子の粒子径の変化が見られ、目的の粒子径を有する有機物微粒子が得られた。特に実施例4〜9では、平均粒子径とはかけ離れた粗大な粒子や微小な粒子は略見られず、均一な状態で粒子径が変化した。pH調整剤を入れていない実施例10では、目的の粒子径を有する有機物微粒子が得られたが、複数個の粒子が凝集した粒子の凝集体が一部存在した。pH調整剤を有機物に対して1.5とした比較例2では、複数個の粒子が凝集し融着した粒子の凝集体が多く存在した。次に、実施例4と5、実施例6と7については、A液とB液との混合比を変更して、A液とB液との混合液中のプロブコールに対する水溶性高分子の割合(重量比ベース)を変更した。A液とB液との混合液中のプロブコールに対する水溶性高分子の割合(重量比ベース)を変化させることにより、平均粒子径とはかけ離れた粗大な粒子や微小な粒子は略見られず、均一な状態で粒子径が変化した。具体的には、A液とB液との混合液中のプロブコールに対する水溶性高分子の割合(重量比ベース)を増加させた方が、有機物微粒子の粒子径が小さくなることを確認した。また、実施例4〜10と比較例2それぞれの吐出液を5℃から50℃の範囲で温度変化を与えた後、具体的には、5、15、25、40、50℃にて30分間保持した後の粒子の状態をTEM観察したところ、温度変化を与える前と与えた後の粒子径に変化が略見られなかったことから、5℃から50℃の温度変化による粒子の安定性も確認出来た。これら実施例の結果より、A液とB液との混合液のpHを3.5〜8.5に調整することで有機物微粒子の粒子径を制御し、目的の粒子径を有する有機物微粒子が作製できていること、特に、pH調整剤の貧溶媒(A)への配合により、均一な有機物微粒子が作製できていることが分かる。
(パラフィンワックス)
実施例11として有機物にパラフィンワックス(日本精蝋製、製品名FNP−0090、融点80℃)、pH調製剤(A2)にアンモニア、水酸基を持つ水溶性高分子(A1)にポリビニルアルコール(以下、PVAと称す)を用いた条件を示す。
貧溶媒(A)(以下、A液)並びに有機物を溶解した良溶媒(B)(以下、B液)は、以下の重量比にて調製した。A液は、0.02wt% PVA(日本合成製EG-05P) /0.0008wt% アンモニア / 19.98wt% 純水 / 79.9992wt%イソプロピルアルコール(以下、IPA)の重量比にて調製した。調製後のA液のpHは9.16(24.2℃)であった(液比重:0.90)。B液は0.02wt% パラフィンワックス / 99.98wt%m−キシレン(液比重:0.86)の重量比で調製した。A液は、高速回転式分散乳化装置であるクレアミックスディゾルバー(製品名:CLM−2.2SD、エム・テクニック製)を用いて調製した。上記処方に基づいて、A液の各成分をクレアミックスディゾルバーを用いて、調製温度25℃、ローター回転数を15000rpm、30分間撹拌することにより均一に混合し、A液を調製した。B液は、高速回転式分散乳化装置であるクレアミックス(製品名:CLM−2.2S、エム・テクニック製)を用いて調製した。B液の各成分をクレアミックス用いて、調製温度90℃、ローター回転数を15000rpm、30分間撹拌することにより均一に混合し、B液を調製した。
上記A液とB液との混合液を表3に記載のpHとなるように、調製したA液並びにB液を、実施例1で用いた流体処理装置を用いて混合し、処理用面1、2間において有機物微粒子であるパラフィンワックス微粒子を析出させた。処理用面1、2間おいて析出させた有機物微粒子を含む流体(以下、有機物微粒子分散液)を流体処理装置の処理用面1、2間から吐出させた。吐出させた有機物微粒子分散液をベッセルvを介してビーカーbに回収した。
上記装置を用いて有機物微粒子としてパラフィンワックス微粒子を析出させた条件と得られた有機物微粒子の粒子径評価の結果を表3に示す。なお、表中における回転数は、特許文献3における処理用部10の回転数であり、吐出液とは、処理用面1、2間から吐出させた有機物微粒子分散液である。有機物微粒子の析出時のpHの測定は実質的に困難であるため、ビーカーbに回収した吐出液のpHを測定し、その結果を表3に記載した。
得られたパラフィンワックス微粒子を含む有機物微粒子分散液をエステル支持膜に滴下し、室温で乾燥してTEM観察用の試料を作製した。実施例12〜14では、実施例11におけるA液とB液との混合比を変更した他は実施例11と同条件にてパラフィンワックス微粒子を作製した。
吐出液、すなわちA液とB液との混合液のpHを3.5〜8.5の範囲に調整した実施例11〜14においては、吐出液のpHによって、有機物微粒子の粒子径が制御され、目的の粒子径を有する有機物微粒子が作製され、有機物微粒子の粒子径は均一な状態で変化したが、吐出液のpHを3.5〜8.5の範囲以外に調整した比較例3、4では、粒子径評価の結果として表3にそれぞれの粒子径を879nm、671nmと記載したが、2μm以上の粗大な粒子も多数観察され、有機物微粒子の粒子径の制御は不可能であった。実施例11と12、実施13と14については、A液とB液との混合比を変更して、A液とB液との混合液中のパラフィンワックスに対する水溶性高分子の割合(重量比ベース)を変更した。A液とB液との混合液中のパラフィンワックスに対する水溶性高分子の割合(重量比ベース)を変化させることにより、平均粒子径とかけ離れた粗大な粒子や微小な粒子は略確認されず、均一な状態で粒子径が変化した。具体的には、実施例11と12について、A液とB液との混合液中のパラフィンワックスに対する水溶性高分子の割合(重量比ベース)を増加させた方が、有機物微粒子の粒子径が小さくなることを確認し、実施例13と14については、A液とB液との混合液中のパラフィンワックスに対する水溶性高分子の割合(重量比ベース)を減少させた方が、有機物微粒子の粒子径が小さくなることを確認した。

Claims (10)

  1. 貧溶媒(A)と有機物を溶解した良溶媒(B)とを混合し、その混合液中にて有機物微粒子を析出させる有機物微粒子の製造方法において、
    上記貧溶媒(A)として、少なくとも水酸基を持つ水溶性高分子(A1)を含む水溶液を用い、上記有機物微粒子の析出時における上記混合液のpHを3.5〜8.5の範囲内において調整することで、
    上記有機物微粒子の粒子径を制御し、目的の粒子径である上記有機物微粒子を得ることを特徴とする、有機物微粒子の製造方法。
  2. 上記良溶媒(B)に水混和性の有機溶媒を用いることを特徴とする、請求項1に記載の有機物微粒子の製造方法。
  3. 上記貧溶媒(A)にpH調整剤(A2)を配合し、上記pH調整剤(A2)により、上記有機物微粒子の析出時における上記混合液のpHを調整することを特徴とする、請求項1または2の何れかに記載の有機物微粒子の製造方法。
  4. 上記有機物に対する上記pH調整剤(A2)を重量比0.001以上、1.0以下に調製することを特徴とする、請求項3に記載の有機物微粒子の製造方法。
  5. 上記貧溶媒(A)に含まれる上記水溶性高分子(A1)の濃度を変更することで、
    上記有機物微粒子の上記粒子径を制御することを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の有機物微粒子の製造方法。
  6. 上記水溶性高分子(A1)が、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択された少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の有機物微粒子の製造方法
  7. 上記有機物に対する上記水溶性高分子(A1)の重量比を0.1〜3.0に調製することを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載の有機物微粒子の製造方法。
  8. 上記有機物微粒子の粒子径が20nm〜500nmであることを特徴とする、請求項1〜7の何れかに記載の有機物微粒子の製造方法。
  9. 上記有機物が生体摂取物であることを特徴とする、請求項1〜8の何れかに記載の有機物微粒子の製造方法。
  10. 接近・離反可能な相対的に回転する2つの処理用面間を微小間隔に維持し、この微小間隔に維持された上記2つの処理用面間を上記貧溶媒(A)と上記良溶媒(B)との流路とすることによって、上記貧溶媒(A)と上記良溶媒(B)とを混合した上記混合液による強制薄膜を形成し、この強制薄膜中において上記有機物微粒子の析出を行うことを特徴とする、請求項1〜9の何れかに記載の有機物微粒子の製造方法。
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