JPWO2017213092A1 - トランスフェクション促進用ペプチド - Google Patents

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Abstract

本発明は、従来のトランスフェクション促進用ペプチドと同等又はそれ以上の核酸導入効率でトランスフェクションを促進し、且つ汎用性の高いトランスフェクション促進用ペプチドの提供を課題とする。本発明は、「(a)細胞のトランスフェクション促進用ペプチド」「(b)(a)に記載のペプチド及びカチオン性脂質を含むトランスフェクション薬剤を含む、細胞のトランスフェクション用キット」「(c)(a)に記載のペプチド及びトランスフェクション薬剤の存在下、インビトロで細胞と核酸とを接触させる工程を包含する、細胞に核酸をトランスフェクションする方法」に関する。

Description

本発明は、トランスフェクション促進用ペプチド、当該ペプチドを含むトランスフェクション用キット、及び細胞に核酸をトランスフェクションする方法に関する。
細胞にプラスミドDNA、siRNA、mRNA等の核酸を導入する遺伝子導入実験(トランスフェクション)は、汎用的な実験手法として遺伝子組換えの分野において広く用いられている。具体的な方法としては、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法等が知られているが、専用機器を必要とせずに高い導入効率をもつリポフェクション法が最も広く用いられている。
リポフェクション法は、カチオニックな電荷を有する脂質(トランスフェクション薬剤)と核酸のもつマイナス荷電との電気的相互作用により脂質と核酸の複合体を形成し、細胞の持つ貪食作用や細胞膜融合等のエンドサイトーシスを利用して当該複合体を細胞内に導くことで、核酸を細胞内に導入する方法である。
リポフェクション法は、核酸や細胞等の種類により、核酸導入効率が低くなる場合がある。その為、リポフェクション法における核酸導入効率の向上を目的として、各種トランスフェクション促進用ペプチド(以下、エンハンサーペプチドと略記する場合がある)が開発されてきた(特許文献1、2)。
トランスフェクション促進用ペプチドとしては、例えば、スペルミン(Sp)に核移行シグナル(NLS)をタンデムに結合させたペプチドSp−NLSNLS(特許文献1)等が知られている。一般に、NLSはタンパク質を核膜孔から核内へ移行させる働きがある配列として知られており、トランスフェクション促進用ペプチドにおいても、導入した核酸を核内に運ぶ働きが、核酸導入効率の向上に寄与していると考えられている。
しかし、mRNAを細胞にトランスフェクションする場合、NLSがmRNAを核内に運ぶため、Sp−NLSNLS等のNLSを有するトランスフェクション促進用ペプチドを用いることはできなかった。その為、mRNA等導入する核酸の種類にかかわらずトランスフェクションを促進することができる、汎用性の高いトランスフェクション促進用ペプチドの開発が望まれている。
特許第4265699号 WO2015/089487
本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、従来のトランスフェクション促進用ペプチドと同等又はそれ以上の核酸導入効率でトランスフェクションを促進し、且つ汎用性の高いトランスフェクション促進用ペプチドの提供を課題とする。
本発明者らは、上記した如き状況に鑑み鋭意研究した結果、NLSを有さない特定の配列からなるペプチド(本発明のエンハンサーペプチドと略記する場合がある)が、導入する核酸の種類にかかわらずトランスフェクションを促進することを見出した。
NLSを有していないにもかかわらず、導入した核酸を核内に運ぶ働きを有する従来のNLSを有するトランスフェクション促進用ペプチドと同等又はそれ以上の導入効率で、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドがDNA等の核酸の細胞へのトランスフェクションを促進し得ることは意外なことであった。
さらに、核移行シグナルを有する従来のトランスフェクション促進用ペプチドは、核酸を導入する細胞の種類によりトランスフェクションを促進しない(促進できない)場合があるが、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドは、核酸を導入する細胞の種類にかかわらずトランスフェクションを促進できることを見出した。
また、本発明者らは、トランスフェクション薬剤が細胞毒性を有しており、トランスフェクションを行った細胞の生存率を低下させていることを発見した。しかし、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを用いてトランスフェクションを行うと、細胞の生存率の低下を抑制できること、すなわち、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドがトランスフェクション薬剤の細胞毒性を抑制できることも見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の構成よりなる。
<1>下記一般式[1]又は[2]で示される、細胞のトランスフェクション促進用ペプチド。
(X−X−X−Cys−X−X−X [1]
−X−Cys−X−X−X−(X [2]
(式中、n個のXはそれぞれ独立してアルギニン又はリシンを表し、Xはグリシン又はアラニン、Xはチロシン又はアラニンをそれぞれ表し、nは8〜17の整数を表す)
<2>前記ペプチドが、下記一般式[1’]、[1’’]、[2’]又は[2’’]で示されるものである、<1>に記載のペプチド。
(X−Gly−Gly−Cys−Gly−Tyr−Gly [1’]
(X−Ala−Ala−Cys−Ala−Ala−Ala [1’’]
Gly−Gly−Cys−Gly−Tyr−Gly−(X [2’]
Ala−Ala−Cys−Ala−Ala−Ala−(X [2’’]
(式中、X、nは上記に同じ)
<3>前記ペプチドが、一般式[1’]又は[2’]で示されるものである、<2>に記載のペプチド。
<4>前記一般式[1’]又は一般式[2’]中の(Xが、(Arg)、(Lys)、(Arg−Lys)、及び(Lys−Arg)(nは前記に同じ、mは4〜8の整数を表す)から選ばれるものである、<3>に記載のペプチド。
<5>前記一般式[1’]又は一般式[2’]中の(Xが、(Arg)、(Lys)又は(Arg−Lys)(n及びmは前記に同じ)である、<4>に記載のペプチド。
<6>nが9〜16の整数、mが6である、<4>又は<5>に記載のペプチド。
<7>前記ペプチドが、一般式[1’’]又は[2’’]で示されるものである、<2>に記載のペプチド。
<8>前記一般式[1’’]又は一般式[2’’]中の(Xが、(Arg)、(Lys)、(Arg−Lys)、及び(Lys−Arg)(n、mは前記に同じ)から選ばれるものである、<7>に記載のペプチド。
<9>前記一般式[1’’]又は一般式[2’’]中の(Xが、(Arg)(nは前記に同じ)である、<8>に記載のペプチド。
<10>nが9〜16の整数、mが6である、<8>又は<9>に記載のペプチド。
<11><1>〜<10>のいずれかに記載のペプチド及びカチオン性脂質を含むトランスフェクション薬剤を含む、細胞のトランスフェクション用キット(本発明のトランスフェクション用キット)。
<12>前記トランスフェクション薬剤が、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4,5−ビス(ウンデシルチオ)ペンタンアミドを含むものである、<11>に記載の細胞のトランスフェクション用キット。
<13><1>〜<10>のいずれかに記載のペプチド及びトランスフェクション薬剤の存在下、インビトロで細胞と核酸とを接触させる工程を包含する、細胞に核酸をトランスフェクションする方法(本発明のトランスフェクション方法)。
<14>前記トランスフェクション薬剤が、カチオン性脂質を含むものである、<13>に記載の方法。
<15>前記トランスフェクション薬剤が、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4,5−ビス(ウンデシルチオ)ペンタンアミドを含むものである、<13>に記載の方法。
<16>前記核酸がRNAである、<13>〜<15>に記載の方法。
本発明によれば、導入する核酸の種類にかかわらず、トランスフェクションを促進することができる。さらに、本発明によれば、導入する細胞の種類にかかわらず、従来のトランスフェクション促進用ペプチドを用いた場合と同等又はそれ以上の核酸導入効率でトランスフェクションを促進することができる。すなわち、本発明は、非常に汎用性の高いトランスフェクション方法、及びトランスフェクション促進用ペプチドに関する。また、本発明のトランスフェクション法によれば、トランスフェクション薬剤の細胞毒性を抑制し、高い細胞生存率でトランスフェクションを行うこともできる。
実施例1、比較例1−1及び比較例1−2で得られた、YFP−H2B遺伝子を導入したCOS7細胞の蛍光顕微鏡像である。図中、横軸はトランスフェクション促進ペプチドの種類を表し、SFA Plusはトランスフェクション促進ペプチドを用いなかった場合(比較例1−2)、SFA Plus+ESFA4は従来のトランスフェクション促進ペプチドであるESFA4を用いた場合(比較例1−1)、SFA Plus+C2は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC2を用いた場合(実施例1)をそれぞれ表す。また、縦軸のYFPは導入したYFP−H2B遺伝子の発現レベルを表し、DIC(微分干渉顕微鏡像)は細胞の状態を表す。 実施例2、比較例2−1及び比較例2−2で得られた、YFP−H2B遺伝子を導入したHuH−7細胞の蛍光顕微鏡像である。図中、横軸はトランスフェクション促進ペプチドの種類を表し、SFA Plusはトランスフェクション促進ペプチドを用いなかった場合(比較例2−2)、SFA Plus+ESFA4は従来のトランスフェクション促進ペプチドであるESFA4を用いた場合(比較例2−1)、SFA Plus+C2は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC2を用いた場合(実施例2)をそれぞれ表す。また、縦軸のYFPは導入したYFP−H2B遺伝子の発現レベルを表し、DIC(微分干渉顕微鏡像)は細胞の状態を表す。 実施例3、比較例3−1及び比較例3−2で得られた、YFP−H2B遺伝子を導入したHCT−116#2Luc細胞の蛍光顕微鏡像である。図中、横軸はトランスフェクション促進ペプチドの種類を表し、SFA Plusはトランスフェクション促進ペプチドを用いなかった場合(比較例3−2)、SFA Plus+ESFA4は従来のトランスフェクション促進ペプチドであるESFA4を用いた場合(比較例3−1)、SFA Plus+C2は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC2を用いた場合(実施例3)をそれぞれ表す。また、縦軸のYFPは導入したYFP−H2B遺伝子の発現レベルを表し、DIC(微分干渉顕微鏡像)は細胞の状態を表す。 実施例17及び比較例17で得られた、EGFP mRNAを導入したHela細胞の蛍光顕微鏡像である。図中、横軸はトランスフェクション促進ペプチドの種類を表し、SFA Plusはトランスフェクション促進ペプチドを用いなかった場合(比較例17)、SFA Plus+C2は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC2を用いた場合(実施例17)をそれぞれ表す。また、縦軸のGFPは導入したEGFP mRNAの発現レベルを表し、DIC(微分干渉顕微鏡像)は細胞の状態を表す。 実施例17及び比較例17で得られた、EGFP mRNAを導入したHela細胞におけるEGFPの相対蛍光強度を示すグラフである。図中、横軸はトランスフェクション促進ペプチドの種類を表し、SFA Plusはトランスフェクション促進ペプチドを用いなかった場合(比較例17)、SFA Plus+C2は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC2を用いた場合(実施例17)である。 実施例18〜24及び比較例18〜28で得られた、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を導入したCHO−K1細胞におけるホタルルシフェラーゼの発光強度(発現強度)を示すグラフである。図中、横軸はトランスフェクション促進ペプチドの種類を表し、none transfectedはトランスフェクションを行わなかった場合(コントロール)、None enhanerはトランスフェクション促進ペプチドを用いなかった場合(比較例18)、C2は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC2を用いた場合(実施例18)、C5は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC5を用いた場合(実施例19)、C2_AACAAは本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC2_AACAAを用いた場合(実施例20)、K11は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるK11を用いた場合(実施例21)、R9は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるR9を用いた場合(実施例22)、R16は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるR16を用いた場合(実施例23)、RK12は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるRK12を用いた場合(実施例24)、ESFA4はペプチドであるR16を用いた場合(比較例19)、C4はペプチドであるC4を用いた場合(比較例20)、C2_C14AはペプチドであるC2_C14Aを用いた場合(比較例21)、C2_A6はペプチドであるC2_A6を用いた場合(比較例22)、R3はペプチドであるR3を用いた場合(比較例23)、R6はペプチドであるR6を用いた場合(比較例24)、R19はペプチドであるR19を用いた場合(比較例25)、R22はペプチドであるR22を用いた場合(比較例26)、R30はペプチドであるR30を用いた場合(比較例27)、H11はペプチドであるH11を用いた場合(比較例28)をそれぞれ表す。縦軸は発光強度を表す。 実施例25〜31及び比較例29で得られた、プラスミドDNAを導入したCHO−K1細胞の生存率(%)を示すグラフである。図中、横軸はトランスフェクション促進ペプチドの種類を表し、none transfectedはトランスフェクションを行わなかった場合(コントロール)、None enhanerはトランスフェクション促進ペプチドを用いなかった場合(比較例29)、C2は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC2を用いた場合(実施例25)、C5は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC5を用いた場合(実施例26)、C2_AACAAは本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるC2_AACAAを用いた場合(実施例27)、K11は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるK11を用いた場合(実施例28)、R9は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるR9を用いた場合(実施例29)、R16は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるR16を用いた場合(実施例30)、RK12は本発明のトランスフェクション促進ペプチドであるRK12を用いた場合(実施例31)をそれぞれ表す。縦軸は発光強度を表す。
本発明のトランスフェクション促進用ペプチド(以下、本発明のエンハンサーペプチドと略記する場合がある)は、下記一般式[1]又は[2]で示されるペプチドである。
本発明のトランスフェクション促進用ペプチドは、X−X−Cys−X−X−Xで示されるコア配列と(Xで示される付加配列を有するポリペプチドである。
付加配列(Xは、コア配列X−X−Cys−X−X−XのN末端側又はC末端側の何れか一方に付加されている(結合している)。即ち、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドは、下記一般式[1]又は下記一般式[2]で示されるポリペプチドである。
(X−X−X−Cys−X−X−X [1]
−X−Cys−X−X−X−(X [2]
(式中、X、X、X、及びnは上記に同じ)
上記一般式[1]及び上記一般式[2]のX−X−Cys−X−X−Xで示されるコア配列におけるXは、グリシン又はアラニンを表し、コア配列中の4個のXは同一でも異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。また、Xは、チロシン又はアラニンである。
従って、上記一般式[1]及び一般式[2]のX−X−Cys−X−X−Xで示されるコア配列は、以下のように示すことができる。
Figure 2017213092
−X−Cys−X−X−Xで示されるコア配列の好ましい具体例としては、例えば下表の1〜4の配列が挙げられる。中でも1及び4の配列が好ましく、1の配列が特に好ましい。
Figure 2017213092
上記一般式[1]及び上記一般式[2]の(Xで示される付加配列におけるXは、アルギニン又はリシンを表し、n個のXは同一でも異なっていてもよい。即ち、n個のXは、n個のアルギニンのみから構成されるポリペプチド、n個のリシンのみから構成されるポリペプチド、又は、アルギニンとリシンの2種類のペプチドから構成され当該ペプチドの総和がn個のポリペプチドを意味する。
(Xで示される付加配列は、より具体的には、(Arg)、(Lys)、(Arg−Lys)、(Lys−Arg)、[(Arg)(Lys)]、[(Lys)(Arg)]等が挙げられる(式中、nは8〜17の整数を表し、mは4〜8の整数をそれぞれ表す。また、pは1〜16の整数であり、qは1〜16の整数であり、且つp+qは8〜17の整数を表す)。これらの中でも、(Arg)、(Lys)、(Arg−Lys)及び(Lys−Arg)が好ましく、(Arg)、(Lys)及び(Arg−Lys)がより好ましく、(Arg)及び(Lys)が特に好ましい。
上記一般式[1]及び上記一般式[2]におけるnとしては、9〜16の整数が好ましい。また、mは6が特に好ましい。また、p+qは9〜16の整数が好ましく、中でもpが8〜10の整数、qが1〜6の整数が好ましい。
上記一般式[1]又は上記一般式[2]で示される本発明のトランスフェクション促進用ペプチドの好ましい具体例としては、例えば下記一般式[1’]、下記一般式[1’’]、下記一般式[2’]及び下記一般式[2’’]で示されるポリペプチドが挙げられ、下記一般式[1’]及び下記一般式[2’]で示されるものがより好ましく、下記一般式[1’]で示されるものが特に好ましい。
(X−Gly−Gly−Cys−Gly−Tyr−Gly [1’]
(式中、X、nは上記に同じ)
(X−Ala−Ala−Cys−Ala−Ala−Ala [1’’]
(式中、X、nは上記に同じ)
Gly−Gly−Cys−Gly−Tyr−Gly−(X [2’]
(式中、X、nは上記に同じ)
Ala−Ala−Cys−Ala−Ala−Ala−(X [2’’]
(式中、X、nは上記に同じ)
下記一般式[1’]としては、例えば、下記[1’−a]〜[1’−l]のポリペプチドが挙げられ、[1’−a]〜[1’−h]、[1’−j]及び[1’−l]が好ましく、[1’−c]〜[1’−h]及び[1’−l]がより好ましく、[1’−e]〜[1’−h]及び[1’−l]が特に好ましい。
Figure 2017213092
上記一般式[2’]としては、例えば、下記[2’−a]〜[2’−h]のポリペプチドが挙げられ、[2’−a]〜[2’−e]、[2’−g]及び[2’−h]が好ましく、[2’−c]〜[2’−e]がより好ましく、[2’−e]が特に好ましい。
Figure 2017213092
上記一般式[1’’]としては、例えば、下記[1’’−a]〜[1’’−f]のポリペプチドが挙げられ、[1’’−a]、[1’’−c]及び[1’’−d]が好ましく、[1’’−c]及び[1’’−d]がより好ましく、[1’’−d]が特に好ましい。

Figure 2017213092
上記一般式[2’’]としては、例えば、下記[2’’−a]〜[2’’−e]のポリペプチドが挙げられ、[2’’−a]及び[2’’−c]が好ましく、[2’’−c]がより好ましい。
Figure 2017213092
本発明のトランスフェクション促進用ペプチドとしては、上記具体例の中でも、例えば一般式[1’]、一般式[1’’]、一般式[2’]及び一般式[2’’]が好ましく、一般式[1’]及び一般式[2’]がより好ましく、[1’−a]〜[1’−h]、[1’−j]、[1’−l]、[2’−a]〜[2’−e]、[2’−g]及び[2’−h]が更に好ましく、[1’−c]〜[1’−h]、[1’−l]及び[2’−c]〜[2’−e]が更により好ましく、[1’−e]〜[1’−h]、[1’−l]及び[2’−e]が特に好ましく、[1’−f]が最も好ましい。
本発明のトランスフェクション促進用ペプチドは、自体公知のペプチド合成法に準じて合成すればよく、このような合成法としては、例えば特許3569966号に記載の方法が挙げられる。
本発明のトランスフェクション方法は、細胞に核酸をリポフェクション法によりトランスフェクションする際に、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを共存させて行う以外は、自体公知のリポフェクション法に於いて用いられるトランスフェクション薬剤等の各種試薬を用い、自体公知の操作に準じて行えばよい。
具体的には、例えば、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド及び本発明に係るトランスフェクション薬剤の存在下、インビトロで細胞と核酸とを接触させればよい。
本発明に係るトランスフェクション薬剤としては、通常この分野で用いられるトランスフェクション薬剤であれば何れでもよく、カチオン性脂質を含むものが挙げられ、カチオン性脂質と中性脂質を含むものが好ましい。
上記カチオン性脂質としては、1価カチオン性脂質でも多価カチオン性脂質でもよく、その具体例としては、例えばDOTMA(N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)、DOTAP(1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−3−(トリメチルアンモニウム)プロパン)、DMRIE(1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)、DDAB(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)等の1価カチオン性脂質、リポスペルミン、DOSPA(2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウム(propanaminium)トリフルオロ酢酸)、DOSPER(1,3−ジオレオイルオキシ−2−(6カルボキシスペルミル)−プロピルアミド)、ジおよびテトラ−アルキル−テトラ−メチルスペルミン、TMTPS(テトラメチルテトラパルミトイルスペルミン)、TMTOS(テトラメチルテトラオレイルスペルミン)、TMTLS(テトラメチルテトララウリルスペルミン)、TMTMS(テトラメチルテトラミリスチルスペルミン)、TMDOS(テトラメチルジオレイルスペルミン)、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4,5−ビス(ウンデシルチオ)ペンタンアミド等の多価カチオン性脂質が挙げられ、多価カチオン性脂質が好ましく、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4,5−ビス(ウンデシルチオ)ペンタンアミドが特に好ましい。
上記中性脂質の具体例としては、DOPE(1,2−ジオレオイル−Sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、DPhPE(ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン)、コレステロール等が挙げられ、DOPEが好ましい。
カチオン性脂質と中性脂質を含むものとしては、例えば、Lipofectamine(商標)2000(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、Lipofectamine(商標)3000(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、ScreenFectTM A plus(和光純薬工業(株)製)、ScreenFectTM A(和光純薬工業(株)製)、ScreenFectTM mRNA(和光純薬工業(株)製)等が挙げられ、ScreenFectTM A plus(和光純薬工業(株)製)、ScreenFectTM A(和光純薬工業(株)製)、ScreenFectTM mRNA(和光純薬工業(株)製)が好ましい。
本発明に係るトランスフェクション薬剤は、中でもN−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4,5−ビス(ウンデシルチオ)ペンタンアミドとDOPE(1,2−ジオレオイル−Sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)を含むScreenFectシリーズ(ScreenFectTM A plus(和光純薬工業(株)製)、ScreenFectTM A(和光純薬工業(株)製)、ScreenFectTM mRNA(和光純薬工業(株)製)等)がより好ましい。
本発明に係る細胞としては、通常、真核生物細胞が挙げられ、高等真核生物細胞が好ましく、HeLa細胞、293T細胞、HEK293細胞、CHO−K1細胞、A549細胞、COS7細胞、MCF7細胞、NIH3T3細胞、L細胞、HUVEC細胞、HuH−7細胞、HCT−116#2Luc細胞、HT−1080細胞、U2OS細胞等の接着細胞、K562細胞等の浮遊系細胞、幹細胞、マクロファージ、THP−1、RAW264.7等の血球系細胞、ミクログリア(Hortega細胞)等のグリア細胞、Sf9細胞、Sf21細胞、SF+細胞、High−Five細胞、BmN4細胞等の昆虫細胞がより好ましく、接着細胞及び浮遊系細胞が特に好ましい。本発明に係る細胞は、プライマリー(初代培養)細胞であっても、継代した細胞であってもよい。
本発明に係る核酸としては、ゲノムDNA、1本鎖DNA、2本鎖DNA、プラスミドDNA等のDNA、mRNA、siRNA、isRNA(免疫賦活性RNA)、tRNA、shRNA等のRNAが挙げられ、mRNAが好ましい。本発明に係る核酸は、任意の生物に由来するもの、人工的にデザインしたもののいずれであってもよい。本発明に係る核酸の塩基数は、通常10塩基〜30000塩基、好ましくは50塩基〜20000塩基、より好ましくは100塩基〜10000塩基である。本発明に係る核酸を構成する塩基は、天然の塩基であっても、人工塩基であってもいずれであってもよく、天然の塩基が好ましい。本発明に係る核酸には、細胞中において治療用タンパク質や有用なタンパク質をコードして発現し得る核酸、細胞中において核酸の所望ではない発現を阻害する核酸、所望ではないタンパク質活性を阻害するか又は所望のタンパク質機能を活性化する核酸、反応を触媒する核酸(リボザイム)、及び診断アッセイにおいて機能する核酸(例えば、診断用核酸)が含まれる。
本発明に係る核酸の使用量は、特に限定されないが、例えば、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド及びトランスフェクション薬剤の存在下で細胞と核酸とを接触させる際の使用量、言い換えれば、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド、本発明に係るトランスフェクション薬剤、細胞及び核酸を含む溶液中の使用量としては、通常0.0001μg〜10000mg、好ましくは0.001μg〜5000mgであり、例えばプレートを用いる場合、ウェルの面積1cmあたり、通常0.005μg〜500μg、好ましくは0.0075μg〜250μg、より好ましくは0.01μg〜75μg、特に好ましくは0.1μg〜10μgであり、例えばフラスコで用いる場合、培地1mLあたり、通常0.005μg〜500μg、好ましくは0.0075μg〜250μg、より好ましくは0.01μg〜75μg、特に好ましくは0.1μg〜10μgである。
本発明のトランスフェクション促進用ペプチドの使用量は特に限定されないが、例えば、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド、本発明に係るトランスフェクション薬剤、細胞及び核酸を含む溶液中の使用量としては、本発明に係る核酸1μg当たり、通常4μg〜20μg、好ましくは5μg〜15μg、より好ましくは8μg〜12μg、特に好ましくは9μg〜11μgである。
本発明のトランスフェクション薬剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド、本発明に係るトランスフェクション薬剤、細胞及び核酸を含む溶液中の使用量としては、通常0.04μg〜240000μg、好ましくは0.06μg〜120000μgであり、例えばプレートを用いる場合、ウェルの面積1cmあたり、通常0.05μg〜10μg、好ましくは0.1μg〜7.5μg、より好ましくは0.25μg〜3μgであり、例えばフラスコを用いる場合、培地1mLあたり、通常0.05μg〜24000μg、好ましくは0.1μg〜12000μg、より好ましくは0.25μg〜2400μgである。
本発明のトランスフェクション方法は、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド及び本発明に係るトランスフェクション薬剤の存在下、インビトロで細胞と核酸とを接触させればよく、特に限定されない。
このような方法としては、例えば、(工程1)核酸と本発明のトランスフェクション促進用ペプチドと本発明に係るトランスフェクション薬剤とを溶液中で混合してトランスフェクション溶液を調製し、(工程2)当該トランスフェクション溶液を、細胞を含む培地と混合して、細胞と核酸とを接触させてトランスフェクションを行う方法等が挙げられる。
工程1としては、例えば(工程1−a)核酸と本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを含有する溶液と、本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有する溶液とを混合させる方法、(工程1−b)核酸と本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有する溶液と、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを含有する溶液とを混合させる方法、(工程1−c)核酸を含有する溶液と、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドと本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有する溶液とを混合させる方法、(工程1−d)核酸を含有する溶液と、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを含有する溶液と、本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有する溶液とを混合させる方法等が挙げられる。
工程1の核酸、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド、及び/又は本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有させる溶液(核酸と本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを含有させる溶液、本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有させる溶液、核酸と本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有させる溶液、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを含有させる溶液、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドと本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有させる溶液、核酸を含有させる溶液(溶媒)等)としては、例えば精製水、pH5〜7に緩衝作用を有する緩衝液(例えばTE緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)が挙げられ、pH5〜7に緩衝作用を有する緩衝液が好ましく、TE緩衝液及び酢酸ナトリウム緩衝液が特に好ましい。また、これらの緩衝液中の緩衝剤濃度としては、通常1mM〜500mM、好ましくは5〜300mMの範囲から適宜選択される。また、この溶液中には、核酸、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド、本発明に係るトランスフェクション薬剤等に凝集等の悪影響を及ぼさない量であれば、例えば糖類、NaCl等の塩類、界面活性剤、防腐剤、蛋白質等が含まれていても良い。
要すれば、核酸と本発明のトランスフェクション促進用ペプチドと本発明に係るトランスフェクション薬剤とを溶液中で混合後、通常15℃〜30℃、好ましくは18℃〜28℃、より好ましくは20℃〜26℃で通常1分〜60分、好ましくは3分〜40分、より好ましくは5分〜20分反応させる。
なお、工程1の核酸、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド及び/又は本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有させる溶液(核酸と本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを含有させる溶液、本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有させる溶液、核酸と本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有させる溶液、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを含有させる溶液、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドと本発明に係るトランスフェクション薬剤を含有させる溶液、核酸を含有させる溶液(溶媒)等)中に含有させる核酸の量、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドの量及び本発明に係るトランスフェクション薬剤の量は、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド及びトランスフェクション薬剤の存在下で細胞と核酸とを接触させる際の使用量、言い換えれば、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド、トランスフェクション薬剤、細胞及び核酸を含む溶液中の使用量が前述した範囲となるように適宜選択して、核酸、本発明のトランスフェクション促進用ペプチド及び/又は本発明に係るトランスフェション薬剤を含有させる溶液中に含有させればよい。
工程1は、具体的には例えば以下の方法(上記工程1−a)により行えばよい。
[24ウェルプレートの1ウェル(2cm)を用いて本発明の方法(工程2)を行う場合]
まず、滅菌チューブに、pH5〜7に緩衝作用を有する緩衝液(例えばTE緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)40μL、通常、0.01μg〜1000μg、好ましくは0.015μg〜500μg、より好ましくは0.02μg〜150μg、特に好ましくは0.2μg〜20μgの本発明に係る核酸、及び、通常0.04μg〜20000μg、好ましくは0.075μg〜7500μg、より好ましくは0.16μg〜1800μg、特に好ましくは1μg〜200μgの本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを添加する。
次に、異なる滅菌チューブに、pH5〜7に緩衝作用を有する緩衝液(例えばTE緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)40μL、及び通常0.1μg〜20μg、好ましくは0.2μg〜15μg、より好ましくは0.5μg〜6μgの本発明に係るトランスフェクション薬剤を添加する。
次いで、上記の2本の滅菌チューブ中の溶液を混合して、要すれば通常15℃〜30℃、好ましくは18℃〜28℃、より好ましくは20℃〜26℃で通常1分〜60分、好ましくは3分〜40分、より好ましくは5分〜20分反応させ、トランスフェクション溶液80μLを得る。
[培地1mLを含有するフラスコを用いて本発明の方法(工程2)を行う場合]
まず、滅菌チューブに、pH5〜7に緩衝作用を有する緩衝液(例えばTE緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)100μL、通常0.005μg〜500μg、好ましくは0.0075μg〜250μg、より好ましくは0.01μg〜75μg、特に好ましくは0.1μg〜10μgの本発明に係る核酸、及び、通常0.02μg〜10000μg、好ましくは0.0375μg〜3750μg、より好ましくは0.08μg〜900μgの本発明のトランスフェクション促進用ペプチドを添加する。
次に、異なる滅菌チューブに、pH5〜7に緩衝作用を有する緩衝液(例えばTE緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)100μL、及び、通常0.05μg〜24000μg、好ましくは0.1μg〜12000μg、より好ましくは0.25μg〜2400μgの本発明に係るトランスフェクション薬剤を添加する。
次いで、上記の2本の滅菌チューブ中の溶液を混合して、通常15℃〜30℃、好ましくは18℃〜28℃、より好ましくは20℃〜26℃で通常1分〜60分、好ましくは3分〜40分、より好ましくは5分〜20分反応させ、トランスフェクション溶液200μLを得る。
工程2は、工程1により得られたトランスフェクション溶液を、細胞を含む培地と混合して、細胞と核酸とを接触させて細胞のトランスフェクションを行うことによりなされる。
本発明に係る細胞の数(細胞数)としては、通常この分野においてトランスフェクションを行う際に用いられる細胞数であればよく、特に限定されないが、例えば、工程1により得られたトランスフェクション溶液を、細胞を含む培地と混合する際の細胞数、言い換えれば、細胞と核酸とを接触させてトランスフェクションを行う際の細胞数としては、通常1×10細胞〜1×10細胞、好ましくは1×10細胞〜2×10細胞であり、プレートやフラスコ等の培地を含有させる容器に応じて適宜選択される。
例えばプレートを用いて工程2を行う場合、ウェルの面積1cmあたり、本発明に係る細胞数は、通常0.1×10細胞〜5×10細胞、好ましくは0.2×10細胞〜3×10細胞、より好ましくは0.3×10細胞〜2×10細胞である。
例えばフラスコを用いて工程2を行う場合、本発明に係る細胞数は、培地1mLあたり、通常0.1×10細胞〜通常30×10細胞、好ましくは0.5×10細胞〜15×10細胞、より好ましくは1×10細胞〜10×10細胞である。
工程2における培地は、通常この分野で用いられるものであれば特に限定されず、細胞毎に適切な培地を選択すればよい。工程2における培地は、トランスフェクションを阻害しないものであれば、例えば、FBS等の血清、アルブミン、トランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)、N2サプリメント(invitrogen)、B27サプリメント(invitrogen)、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2−メルカプトエタノール、3’−チオールグリセロール等の血清代替物、脂質、アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン、増殖因子、サイトカイン、抗生物質、抗酸化剤、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類等を含んでいてもよく、これらの選択可否はトランスフェクション薬剤に依存する。
また、工程2における培地の量は、通常この分野においてトランスフェクションを行う際に用いられる培地量であればよく、プレートやフラスコ等の培地を含有させる容器に応じて適宜選択される。
例えばプレートを用いて工程2を行う場合、ウェルの面積1cmあたり、培地の量は通常100μL〜1000μL、好ましくは150μL〜800μL、より好ましくは200μL〜600μLである。例えばフラスコを用いて工程2を行う場合、培地の量は通常1mL〜1000L、好ましくは20mL〜500L、より好ましくは30mL〜100Lである。
工程2における、工程1により得られたトランスフェクション溶液の使用量は、通常この分野においてトランスフェクションを行う際に用いられるトランスフェクション溶液の量であればよく、通常0.001mL〜1000mL、好ましくは0.01mL〜500mL、より好ましくは0.05mL〜100mLであり、プレートやフラスコ等の培地を含有させる容器に応じて適宜選択される。
例えばプレートを用いて工程2を行う場合、トランスフェクション溶液の量はウェルの面積1cmあたり、通常1μL〜200μL、好ましくは5μL〜180μL、より好ましくは10μL〜150μLである。
例えばフラスコを用いて工程2を行う場合、トランスフェクション溶液の量は、培地1mLあたり、通常10μL〜1000μL、好ましくは50μL〜600μL、より好ましくは100μL〜300μLである。
工程2におけるトランスフェクションは、核酸が細胞内に導入されることによりなされる。具体的には、工程1により得られたトランスフェクション溶液を培地中の細胞に添加後、通常25℃〜39℃、好ましくは35℃〜38℃で通常1時間〜2日、好ましくは6時間〜1日培養する方法が挙げられる。
工程2は、具体的には例えば以下の方法により行えばよい。
[24プレートの1ウェル(2cm)を用いて工程2を行う場合]
通常0.2×10細胞〜10×10細胞、好ましくは0.4×10細胞〜6×10細胞、より好ましくは0.6×10細胞〜4×10細胞を含有する、通常200μL〜2000μL、好ましくは300μL〜1600μL、より好ましくは400μL〜1200μLの培地に、通常2μL〜400μL、好ましくは10μL〜360μL、より好ましくは20μL〜300μLの工程1で調製したトランスフェクション溶液(通常0.01μg〜1000μg、好ましくは0.015μg〜500μg、より好ましくは0.02μg〜150μg、特に好ましくは0.2μg〜20μgの本発明に係る核酸、通常0.04μg〜20000μg、好ましくは0.075μg〜7500μg、より好ましくは0.16μg〜1800μg、特に好ましくは1μg〜200μgの本発明のトランスフェクション促進用ペプチド、及び、通常0.1μg〜20μg、好ましくは0.2μg〜15μg、より好ましくは0.5μg〜6μgの本発明に係るトランスフェクション薬剤をpH5〜7に緩衝作用を有する緩衝液中に含有する溶液)を添加し、通常25℃〜39℃、好ましくは35℃〜38℃で通常1時間〜2日、好ましくは6時間〜1日培養することによりなされる。
[培地1mLを含有するフラスコを用いて工程2を行う場合]
通常0.1×10細胞〜通常30×10細胞、好ましくは0.5×10細胞〜15×10細胞、より好ましくは1×10細胞〜10×10細胞を含有する、通常10μL〜1000μL、好ましくは50μL〜600μL、より好ましくは100μL〜300μLの工程1で調製したトランスフェクション溶液(通常0.005μg〜500μg、好ましくは0.0075μg〜250μg、より好ましくは0.01μg〜75μg、特に好ましくは0.1μg〜10μgの本発明に係る核酸、通常0.02μg〜10000μg、好ましくは0.0375μg〜3750μg、より好ましくは0.08μg〜900μgの本発明のトランスフェクション促進用ペプチド、及び、通常0.05μg〜24000μg、好ましくは0.1μg〜12000μg、より好ましくは0.25μg〜2400μgの本発明に係るトランスフェクション薬剤を、pH5〜7に緩衝作用を有する緩衝液中に含有する溶液)を添加し、通常25℃〜39℃、好ましくは35℃〜38℃で通常1時間〜2日、好ましくは6時間〜1日することによりなされる。
本発明のトランスフェクション用キットは、上記の如き本発明のトランスフェクション方法に用いられるもので、本発明のトランスフェクション促進用ペプチドと、本発明に係るトランスフェクション薬剤とを含んでなるものであり、夫々の構成要素の好ましい態様、具体例については上で述べたとおりである。
本発明のトランスフェクション用キットに含まれる本発明のトランスフェクション促進用ペプチドは、凍結乾燥した固体状態であっても、水やpH5〜7に緩衝作用を有する緩衝液(例えばTE緩衝液、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)に含有させた液体状態であってもいずれでもよい。液体状態の場合、その濃度は通常0.5mg/mL〜30mg/mL、好ましくは2mg/mL〜10mg/mLである。
また、これらキットには、通常この分野で用いられる試薬類、例えば緩衝剤、増感剤、界面活性剤、防腐剤(例えばアジ化ナトリウム、サリチル酸、安息香酸等)、安定化剤(例えばアルブミン、グロブリン、水溶性ゼラチン、界面活性剤、糖類等)、賦活剤、共存物質の影響回避剤、その他この分野で用いられているものであって、共存する試薬との安定性を阻害したりしないものを有していてもよい。またこれら試薬類等の濃度範囲等も、各々の試薬類が有する効果を発揮するために通常用いられる濃度範囲等を適宜選択して用いればよい。
さらにまた、本発明のキットには、本発明のトランスフェクション方法の説明書等を含ませておいても良い。当該「説明書」とは、当該方法における特徴・原理・操作手順、判定手順等が文章又は図表等により実質的に記載されている当該キットの取扱説明書、添付文書、あるいはパンフレット(リーフレット)等を意味する。
以下に実施例、参考例等により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例等により何等限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いた(エンハンサー)ペプチドの配列を以下に示す。
C2:RRRRRRRRRRRGGCGYG(配列番号2)
ESFA4:RRRRRRRRRRRGGCGYGPKKKRKVGG(配列番号3)
C5:GGCGYGRRRRRRRRRRR(配列番号5)
C2_AACAA:RRRRRRRRRRRAACAAA(配列番号6)
K11:KKKKKKKKKKKGGCGYG(配列番号7)
R9:RRRRRRRRRGGCGYG(配列番号8)
R16:RRRRRRRRRRRRRRRRGGCGYG(配列番号9)
RK12:RKRKRKRKRKRKGGCGYG(配列番号10)
C4:RRRRRRRRRRR(配列番号11)
C2_C14A:RRRRRRRRRRRGGAGYG(配列番号12)
C2_A6:RRRRRRRRRRRAAAAAA(配列番号13)
R3:RRRGGCGYG(配列番号14)
R6:RRRRRRGGCGYG(配列番号15)
R19:RRRRRRRRRRRRRRRRRRRGGCGYG(配列番号16)
R22:RRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRGGCGYG(配列番号17)
R30:RRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRGGCGYG(配列番号18)
H11:HHHHHHHHHHHGGCGYG(配列番号19)
実施例1.エンハンサーペプチドC2のトランスフェクション促進効果の検証
以下の方法により、下記表1に記載の実験条件で、COS7細胞にYFP−H2B遺伝子を有するプラスミドDNAをトランスフェクションし、エンハンサーペプチドであるC2のトランスフェクション促進効果について確認した。
Figure 2017213092
(1)細胞の調製
COS7細胞をD−MEM 10%FBS培地(和光純薬工業(株)製)を用いて、1×10個以上の細胞が得られるまで培養し、培養細胞を得た。
(2)遺伝子導入
(i)トランスフェクション溶液の調製
まず、配列番号1に記載のYFP−H2B遺伝子を有するプラスミドDNA(Incella社製)を、0.5mg/mLとなるようにTE buffer(10mM Tris−HCl, 1mM EDTA pH8.0)で懸濁し、プラスミドDNA溶液を調製した。
次いで、C2((株)東レリサーチにて合成)を、トランスフェクション薬剤であるScreenFectTMA Plus(和光純薬工業(株)製)に付属のDilution buffer(以下、Dilution bufferと略記する場合がある)に5mg/mLとなるように溶解し、エンハンサーペプチド溶液を調製した。
そして、滅菌したチューブを2本用意し、一本のチューブにDilution bufferを23.5μL添加し、ScreenFectTMA Plus(和光純薬工業(株)製)に付属のScreenFect A Plus reagent(以下、ScreenFect A Plus reagentと略記する場合がある)を1.5μL(プラスミドDNA量1μgあたりScreenFect A Plus reagent3μL)添加した。
もう一本の滅菌済みチューブに、プラスミドDNA量が0.5μgになるようプラスミドDNA溶液1μLを添加し、更にエンハンサーペプチド溶液を1μL(プラスミドDNA量1μgあたりエンハンサーペプチド溶液2μL)添加し、Dilution bufferを添加して、最終25μLになるように調製した。
次いで、上記の2本のチューブを混合して室温で15分反応させ、トランスフェクション溶液を得た。
(ii)細胞懸濁液の調製
(1)で得られた培養細胞を用いて、以下の通り細胞懸濁液を調製した。
培養容器から培地を除き、トリプシンEDTA溶液[0.25w/v% トリプシン−1mmol/l EDTA・4Na溶液(フェノールレッド含有)]を培養容器に添加して細胞を培養容器から剥離し、懸濁液を得た。遠沈管に当該懸濁液を添加後、遠心分離処理を行い(1000rpm,5分)、細胞を沈降させた。上清を除いた後、細胞ペレットに適当量培地を加え、細胞懸濁液を得た。当該細胞懸濁液中の接着細胞の細胞数をTC20全自動セルカウンター(Bio−Rad社製)により測定し、細胞懸濁液中の細胞の濃度を算出した。
(iii)トランスフェクション
まず、24ウェルプレートの1つのウェルに以下のものをそれぞれ添加した。
・D−MEM培地(和光純薬工業(株)製)450μL
・1×10個の細胞が存在する量の(ii)で調製した細胞懸濁液
次いで、(i)で調製したトランスフェクション溶液を50μL滴下し、ゆっくりと攪拌混合後、37℃のCOインキュベーターで一晩細胞を培養した。
(3)蛍光顕微鏡観察
(2)(iii)で一晩培養した細胞中のYFP−H2B(YFP−human Histone H2B)の蛍光強度(発現強度)を、蛍光顕微鏡(Axio obsever Z1、ZEISS社製)により観察した。その結果を、図1のSFA Plus+C2に示す。図中、YFPは導入したプラスミドDNAの発現レベルをYFP−H2Bの蛍光により測定した結果を表し、DIC(微分干渉顕微鏡像)は細胞の状態を表す。
(4)フローサイトメーターを用いた蛍光強度比較
(3)で顕微鏡観察を行ったウェルから培地をアスピレーターで除いた。培地を除いたウェルにPBSを適量添加し、再度アスピレーターでPBSを除いて洗浄を行った。その後、トリプシンEDTA溶液(0.25w/v% トリプシン−1mmol/l EDTA・4Na溶液(フェノールレッド含有))150μLを、洗浄後のウェルに添加した。トリプシンEDTA溶液をアスピレーターで除き、COインキュベーターで5分間反応させた。反応後のウェルにsorting buffer(1xD−PBS(−), 1mM EDTA, 1%BSA)を300μL添加し、ピペティングにより細胞を分散させ、ストレーナーサンプルチューブに細胞を回収してsortingサンプルを得た。
フローサイトメーター(Gallios、Beckman Coulter社製)を用いて、sortingサンプル中のYFP−H2Bの蛍光強度(発現強度)を測定し、非トランスフェクション細胞の蛍光強度に対する相対蛍光強度を算出した。
その結果とエンハンサーペプチドを用いずにトランスフェクションして測定した結果(後述の比較例1−2)との比較を下記表5に示す。
実施例2−16.各種細胞におけるエンハンサーペプチドC2のトランスフェクション促進効果の検証
下記表2に記載の条件(細胞、プラスミドDNA量、播種細胞数、培地、エンハンサーペプチド、エンハンサーペプチドの量)で、実施例1と同様の方法によりYFP−H2B遺伝子を有するプラスミドDNAを細胞にトランスフェクションし、蛍光顕微鏡観察及びフローサイトメーターを用いた蛍光強度比較により、エンハンサーペプチドC2のトランスフェクション促進効果を確認した。
浮遊細胞K562を用いた実施例7においては、「(2)遺伝子導入(ii)細胞懸濁液の調製」を、実施例1の方法に代えて以下のように行った。即ち、(1)で得た細胞培養液を遠沈管に移し、遠心分離処理(1000rpm,5分)を行い、上清を除いた細胞ペレットに適当量培地を添加して懸濁し、懸濁液中に含まれる浮遊系細胞の細胞数をTC20全自動セルカウンター(Bio−Rad社製)により測定した。
また、浮遊細胞K562を用いた実施例7においては、「(4)フローサイトメーターを用いた蛍光強度比較」におけるsortingサンプルを、実施例1の方法に代えて以下のようにして得た。即ち、(2)遺伝子導入(iii)トランスフェクションで一晩培養した細胞が含まれる培養液を、ストレーナーチューブに添加してsortingサンプルとした。
Figure 2017213092
実施例2の顕微鏡観察の結果を図2のSFA Plus+C2に、また、実施例3の顕微鏡観察の結果を図3のSFA Plus+C2にそれぞれ示す。
また、フローサイトメーターを用いた蛍光強度測定の結果については、比較例2−2〜16−2との比較を、下記表5及び表6に示す。図中、YFPは導入したプラスミドDNAの発現レベルをYFP−H2Bの蛍光により測定した結果を表し、DIC(微分干渉顕微鏡像)は細胞の状態を表す。
比較例1−1〜比較例16−1.各種細胞における従来のエンハンサーペプチドESFA4のトランスフェクション促進効果の検証
下記表3に記載の条件(細胞、プラスミドDNA量、播種細胞数、培地、エンハンサーペプチド、エンハンサーペプチドの量)で、実施例1と同様の方法によりYFP−H2B遺伝子を有するプラスミドDNAを細胞にトランスフェクションし、蛍光顕微鏡観察及びフローサイトメーターを用いた蛍光強度比較により、従来のエンハンサーペプチドであるESFA4のトランスフェクション促進効果を確認した。
浮遊細胞K562を用いた比較例7−1においては、「(2)遺伝子導入(ii)細胞懸濁液の調製」を、実施例1の方法に代えて以下のように行った。即ち、(1)で得た細胞培養液を遠沈管に移し、遠心分離処理(1000rpm,5分)を行い、上清を除いた細胞ペレットに適当量培地を添加して懸濁し、懸濁液中に含まれる浮遊系細胞の細胞数をTC20全自動セルカウンター(Bio−Rad社製)により測定した。
また、浮遊細胞K562を用いた比較例7−1においては、「(4)フローサイトメーターを用いた蛍光強度比較」におけるsortingサンプルを、実施例1の方法に代えて以下のようにして得た。即ち、(2)遺伝子導入(iii)トランスフェクションで一晩培養した細胞が含まれる培養液を、ストレーナーチューブに添加してsortingサンプルとした。
Figure 2017213092
比較例1−1の顕微鏡観察の結果を図1のSFA Plus+ESFA4に、比較例2−1の顕微鏡観察の結果を図2のSFA Plus+ESFA4に、また、比較例3−1の顕微鏡観察の結果を図3のSFA Plus+ESFA4にそれぞれ示す。
また、フローサイトメーターを用いた蛍光強度比較の結果については、比較例1−2〜16−2との比較を下記表5及び表6に示す。
比較例1−2〜比較例16−2.各種細胞に対するトランスフェクション
下記表4に記載の条件(細胞、プラスミドDNA量、播種細胞数、培地、エンハンサーペプチド)で、実施例1と同様の方法によりYFP−H2B遺伝子を有するプラスミドDNAを細胞にトランスフェクションし、蛍光顕微鏡観察及びフローサイトメーターを用いた蛍光強度比較を行った。
なお、浮遊細胞K562を用いた比較例7−2においては、「(2)遺伝子導入(ii)細胞懸濁液の調製」を、実施例1の方法に代えて以下のように行った。即ち、(1)で得た細胞培養液を遠沈管に移し、遠心分離処理(1000rpm,5分)を行い、上清を除いた細胞ペレットに適当量培地を添加して懸濁し、懸濁液中に含まれる浮遊系細胞の細胞数をTC20全自動セルカウンター(Bio−Rad社製)により測定した。
また、 浮遊細胞K562を用いた比較例7−2においては、「(4)フローサイトメーターを用いた蛍光強度比較」におけるsortingサンプルを、実施例1の方法に代えて以下のようにして得た。即ち、(2)遺伝子導入(iii)トランスフェクションで一晩培養した細胞が含まれる培養液を、ストレーナーチューブに添加してsortingサンプルとした。
Figure 2017213092
比較例1−2の顕微鏡観察の結果を図1のSFA Plusに、比較例2−2の顕微鏡観察の結果を図2のSFA Plusに、比較例3−2の顕微鏡観察の結果を図3のSFA Plusに、それぞれ示す。
また、フローサイトメーターを用いた蛍光強度の結果と実施例1〜16及び比較例1−1〜比較例16−1の結果との比較を下記表5及び表6に示す。
表5及び表6中の記号は以下の通りである。
◎:「エンハンサーペプチドを用いなかった場合の蛍光強度」に対する「エンハンサーペプチドを用いた場合の蛍光強度」の比が2倍以上
○:「エンハンサーペプチドを用いなかった場合の蛍光強度」に対する「エンハンサーペプチドを用いた場合の蛍光強度」の比が1.5倍以上
△:「エンハンサーペプチドを用いなかった場合の蛍光強度」に対する「エンハンサーペプチドを用いた場合の蛍光強度」の比が1.1倍以上
×:「エンハンサーペプチドを用いなかった場合の蛍光強度」に対する「エンハンサーペプチドを用いた場合の蛍光強度」の比が1.1倍未満
Figure 2017213092
Figure 2017213092
実施例1−16、比較例1−1〜比較例16−1、及び比較例1−2〜比較例16−2の結果及び考察を以下に纏めて示す。
《実施例1−3、比較例1−1〜比較例3−1及び比較例1−2〜比較例3−2の蛍光顕微鏡観察の結果・考察》
COS7細胞に対するトランスフェクション(図1)及びHCT−116#2Luc細胞に対するトランスフェクション(図3)では、従来のエンハンサーペプチドであるESFA4を用いた場合(比較例1−1、比較例3−1)とエンハンサーペプチドを用いなかった場合(比較例1−2、比較例3−2)とでYFP−H2Bの蛍光強度(発現強度)に有意な差はなく、ESFA4のトランスフェクション促進効果は観察されなかった。一方、C2を用いた場合(実施例1、実施例3)では、エンハンサーペプチドを用いなかった場合(比較例1−2、比較例3−2)に比べて強いYFP−H2Bの蛍光強度が観察されたことから、C2がトランスフェクション促進効果を有することが確認された。
HuH−7細胞(図2)に対するトランスフェクションでは、C2を用いた場合(実施例2)は、ESFA4を用いた場合(比較例2−1)に比べて強いYFP−H2Bの蛍光強度が観察されたことから、C2はESFA4よりもHuH−7細胞に対するトランスフェクションにおけるトランスフェクション促進効果が高いことが判った。
《実施例1−16及び比較例1−1〜比較例16−1及び比較例1−2〜16−2のフローサイトメーターを用いた蛍光強度比較の結果・考察》
上記表5及び表6から明らかなとおり、使用した16種の細胞株全てにおいて、C2をエンハンサーペプチドとして用いた場合は、ESFA4をエンハンサーペプチドとして用いた場合と同等又はそれ以上の蛍光強度が測定された。この結果から、C2はESFA4と同等又はそれ以上のトランスフェクション促進効果を有することが判った。
特に、COS7細胞、HCT−116#2Luc細胞、K562細胞、L細胞に対するトランスフェクションおいては、ESFA4を用いた場合(比較例1−1、比較例3−1、比較例7−1、比較例13−1)とエンハンサーペプチドを用いなかった場合(比較例1−2、比較例3−2、比較例7−2、比較例13−2)とで蛍光強度に有意な差はなく、ESFA4はトランスフェクション促進効果を示さなかった。他方、C2を用いた場合(実施例1、実施例3、実施例7、実施例13)では、エンハンサーペプチドを用いなかった場合に比べて強い蛍光強度が測定されことから、C2のトランスフェクション促進効果が確認された。これらの結果から、ESFA4がトランスフェクション促進効果を示さない細胞に対しても、C2はトランスフェクション促進効果を示しており、C2はトランスフェクションを行う細胞の種類を問わない汎用性の広いエンハンサーペプチドであることが判った。
一般に、核移行シグナルを有するペプチドは、細胞質に導入されてプラスミド遺伝子を核内に運ぶことでトランスフェクション促進効果を発揮することが知られている。この知見を考慮すると、核移行シグナルを持たないC2は、核移行シグナルを有するESFA4よりもトランスフェクション促進効果が劣ると予測されたが、意外にもC2はESFA4と同等又はそれ以上のトランスフェクション促進効果を示すことが判った。
実施例17.比較例17.mRNAのトランスフェクションにおけるエンハンサーペプチドC2のトランスフェクション促進効果の検証
下記表7に記載の条件(細胞、EGFP mRNA量、播種細胞数、培地、エンハンサーペプチド、エンハンサーペプチドの量)で、実施例1と同様の方法により、プラスミドDNAの代わりにmRNAをトランスフェクションし、蛍光顕微鏡観察及びフローサイトメーターを用いたEGFPの蛍光強度比較により、エンハンサーペプチドC2のトランスフェクション促進効果を確認した。
導入するmRNAは、EGFP mRNA(#L−6301、Trilink Biotechnologies社製)を使用した。
実施例17及び比較例17におけるトランスフェクション薬剤(ScreenFect A Plus reagent)の添加量は、0.8μL(EGFP mRNA量1μgあたりScreenFect A Plus reagent4μL)とした。
Figure 2017213092
(1)蛍光顕微鏡観察の結果及び考察
蛍光顕微鏡観察で得られた結果について、図4に示す。図4中、SFA Plusは比較例17の結果、SFA Plus+C2は実施例17の結果である。図中、GFPは導入したEGFP mRNAの発現レベルをEGFPの蛍光により測定した結果を表し、DIC(微分干渉顕微鏡像)は細胞の状態を表す。
C2を用いた場合(実施例17)、エンハンサーペプチドを用いなかった場合(比較例17)に比べて強い蛍光強度が観察されており、C2はmRNAのトランスフェクションにおいてもトランスフェクション促進効果を有することが判った。
(2)フローサイトメーターを用いた蛍光強度比較の結果及び考察
フローサイトメーターを用いた蛍光強度比較について、図5に示す。図5中、SFA Plusは比較例17の結果、SFA Plus+C2は実施例17の結果である。図中、相対蛍光強度は、非トランスフェクション細胞の蛍光強度を100とした場合のトランスフェクションした細胞における導入mRNAの相対蛍光強度を示す。
C2を用いた場合(実施例17)、エンハンサーペプチドを用いなかった場合(比較例17)に比べて強い蛍光強度が観察されており、C2はmRNAのトランスフェクションにおいてもトランスフェクション促進効果を有することが判った。
以上のことから、C2はDNAだけでなくRNAのトランスフェクションにおいてもトランスフェクション促進効果を有することが明らかとなり、導入する核酸の種類を問わない汎用性の高いエンハンスペプチドであることが判った。
実施例18.各種ペプチドのアミノ酸配列の違いによるトランスフェクション促進効果への影響についての検証
以下の方法により、下記表8に記載の実験条件で、CHO−K1細胞にホタルルシフェラーゼ遺伝子を有するプラスミドDNAをトランスフェクションし、各種ペプチドのアミノ酸配列の違いによるトランスフェクション促進効果への影響を確認した。
Figure 2017213092
(1)細胞の調製
CHO−K1細胞を、Ham’sF−12培地(和光純薬工業(株)製)を用いて、1×10個以上の細胞数が得られるまで培養し、培養細胞を得た。
(2)遺伝子導入
(i)トランスフェクション溶液の調製
まず、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を有するpGL3 control vector(promega社製、配列番号4)を、0.5mg/mLとなるようにTE buffer(10mM Tris−HCl, 1mM EDTA pH8.0)で懸濁し、プラスミドDNA溶液を調製した。
次いで、C2((株)東レリサーチにて合成)を、トランスフェクション薬剤であるScreenFectTMA Plus(和光純薬工業(株)製)に付属のDilution buffer(以下、Dilution bufferと略記する場合がある)に5mg/mLとなるように溶解し、エンハンサーペプチド溶液を調製した。
そして、滅菌したチューブを2本用意し、一本のチューブにDilution bufferを4.7μL添加し、ScreenFectTMA Plus(和光純薬工業(株)製)に付属のScreenFect A Plus reagentを0.3μL(プラスミドDNA量1μgあたりScreenFect A Plus reagent3μL)添加した。
もう一本の滅菌済みチューブに、プラスミドDNA量が0.1μgになるようプラスミドDNA溶液1μLを添加し、更にエンハンサーペプチド溶液を0.2μL(プラスミドDNA量1μgあたりエンハンサーペプチド溶液2μL)添加し、Dilution bufferを加えて全量5μLになるように調製した。
次いで、上記の2本のチューブを混合して、室温で15分反応させトランスフェクション溶液を得た。
(ii)細胞懸濁液の調製
(1)で得られた培養細胞を用いて、以下の通り細胞懸濁液を調製した。
培養容器から培地を除いたのち、トリプシンEDTA溶液[0.25w/v% トリプシン−1mmol/l EDTA・4Na溶液(フェノールレッド含有))を培養容器に添加して細胞を培養容器から剥離し、懸濁液を得た。遠沈管に当該懸濁液を添加後、遠心分離処理を行い(1000rpm,5分)、細胞を沈降させた。上清を除いた後、細胞ペレットに適当量培地を加えて細胞懸濁液を得た。当該細胞懸濁液中の細胞の細胞数をTC20全自動セルカウンター(Bio−Rad社製)により測定し、細胞懸濁液中の細胞の濃度を算出した。
(iii)トランスフェクション
まず、96ウェルプレートの1つのウェルに、以下のものをそれぞれ添加した。
・Ham’sF−12培地(和光純薬工業(株)製)90μL
・1.5×10個の細胞が存在する量の(ii)で調製した細胞懸濁液
次いで、(i)で調製したトランスフェクション溶液を10μL滴下し、ゆっくりと攪拌混合後、37℃のCOインキュベーターで一晩細胞を培養した。
(3)ルシフェラーゼアッセイ
上記(2)で一晩培養した細胞について、導入したプラスミドの発現レベルをホタルルシフェラーゼ遺伝子の発光強度(発現強度)により、以下の方法で測定した。
まず、COインキュベーターから96ウェルプレートを取り出し、室温に戻した。次いで、ウェルにONE−GloTM EX Luciferase Assay System(progema)を100μL添加し、プレートミキサーで撹拌しながら5分間室温で反応させた。その後、プレートリーダー(TECAN)を用いて発光強度の測定を行った。
(4)結果
ルシフェラーゼアッセイで得られた結果を、図6に示す。図6中、横軸は各種ペプチドの種類、縦軸は発光強度をそれぞれ表す。
実施例19−24.各種ペプチドのアミノ酸配列の違いによるトランスフェクション促進効果への影響についての検証
下記表9に記載の条件(細胞、プラスミドDNA量、播種細胞数、培地、エンハンサーペプチド、エンハンサーペプチドの量)で、実施例18と同様の方法により、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を有するプラスミドDNAをトランスフェクションし、ルシフェラーゼアッセイにより、各種ペプチドのアミノ酸配列の違いによるトランスフェクション促進効果への影響を確認した。各ペプチドは、全て(株)東レリサーチにて合成した。
Figure 2017213092
ルシフェラーゼアッセイで得られた結果を、図6に示す。図6中、横軸はペプチドの種類、縦軸は発光強度をそれぞれ表す。
比較例18−28.各種ペプチドのアミノ酸配列の違いによるトランスフェクション促進効果への影響についての検証
下記表10に記載の条件(細胞、プラスミドDNA量、播種細胞数、培地、エンハンサーペプチド、エンハンサーペプチドの量)で、実施例18と同様の方法により、ホタルルシフェラーゼ遺伝子を有するプラスミドDNAをトランスフェクションし、ルシフェラーゼアッセイにより、各種ペプチドのアミノ酸配列の違いによるトランスフェクション促進効果への影響を確認した。各ペプチドは、全て(株)東レリサーチにて合成した。
Figure 2017213092
ルシフェラーゼアッセイで得られた結果について、図6に示す。図6中、横軸は各種ペプチドの種類、縦軸は発光強度をそれぞれ表す。
実施例18〜24及び比較例18〜28の結果及び考察を以下に纏めて示す。
《実施例18〜24及び比較例18〜28のルシフェラーゼアッセイの結果及び考察》
ルシフェラーゼアッセイの結果、C4、C2_C14A、C2_A6、R3、R6、R19、R22、R30又はH11をトランスフェクション時に用いた場合(比較例20〜28)の発光強度は、ペプチドを用いなかった場合(比較例18)の発光強度と同等かそれ以下であった。
他方、C2、C5、C2_AACAAA、K11、R9、R16、又はRK12をトランスフェクション時に用いた場合(実施例18〜24)の発光強度は、ペプチドを用いなかった場合(比較例18)の発光強度に比べて2倍以上強かった。また、これらのペプチドは、従来のエンハンサーペプチドであるESFA4を用いた場合(比較例19)よりも強い発光を示し、ESFA4よりも優れたトランスフェクション促進効果を示すことが判った。
中でも、C2、C5、C2_AACAAA、R16又はRK12をトランスフェクション時に用いた場合(実施例18〜20、23及び24)の発光強度は、ペプチドを用いなかった場合(比較例18)の発光強度に比べて5倍以上の強い発光を示しており、これらのペプチドはエンハンサーペプチドとして特に有用であることが判った。
C2(実施例18)及びC5(実施例19)はいずれもトランスフェクション促進効果を示しており、エンハンサーペプチドにおけるポリアルギニン又はポリリシンからなる付加配列は、コア配列のN末端側、C末端側のいずれに結合していても、トランスフェクション促進効果を有することが判った。
付加配列がポリアルギニンからなるC2(実施例18)等や付加配列がポリリシンからなるK11(実施例21)、アルギニンとリシンを交互に12個配置させたRK12(実施例24)はトランスフェクション促進効果を示した。他方、アルギニンやリシンと同様にカチオニックなアミノ酸であるヒスチジンが11個結合したヒスチジンH11(比較例28)はトランスフェクション促進効果を示さなかった。
これらの結果から、付加配列はカチオニックなアミノ酸の中でも、アルギニン又は/及びリシンからなるアミノ酸配列であることが必要であると判った。
さらに、付加配列が9個のアルギニンからなるR9(実施例22)、付加配列として11個のリシンからなるK11(実施例21)、付加配列が16個のアルギニンからなるR16(実施例23)等もトランスフェクション促進効果を示した。一方、付加配列が6個のアルギニンからなるR6(比較例24)等の付加配列が6個以下のアルギニン又はリシンからなるペプチドや、付加配列が19個のアルギニンからなるR19(比較例25)等の付加配列が19個以上のアルギニン又はリシンからなるペプチドは、トランスフェクション促進効果を示さなかった。これらの結果から、アルギニン又は/及びリシンからなる付加配列のアミノ酸数は、9個以上16個以下でトランスフェクション促進効果を示すことが判った。
なお、ポリアルギニンのみからなるC4(比較例20)はトランスフェクション促進効果を示しておらず、コア配列がペプチドのトランスフェクション促進効果に重要な配列であることが明らかとなった。特に、コア配列の3番目のCys残基をAlaに置換したC2_C14A(比較例21)、C2_A6(比較例22)はトランスフェクション促進効果を示さず、一方、コア配列の3番目のCys残基以外をAlaに置換したC2_AACAAAA(実施例20)がトランスフェクション促進効果を示した。これらの結果から、コア配列の3番目のCys残基が特にトランスフェクション促進効果に寄与していることが明らかとなった。
実施例25.各種エンハンサーペプチドのトランスフェクション薬剤の細胞毒性抑制効果についての検証
以下の方法により、下記表11に記載の実験条件の下、CHO−K1細胞にトランスフェクションし、各種ペプチドのアミノ酸配列の違いによるトランスフェクション促進効果への影響を確認した。
なお、本実施例においては、導入遺伝子の発現による細胞毒性の効果を排除するため、プラスミドDNAは用いずに下記(2)の遺伝子導入の操作を行った。
Figure 2017213092
(1)細胞の調製
CHO−K1細胞を、Ham’sF−12 10%FBS培地(和光純薬工業(株)製)を用いて、1.5×10個以上の細胞が得られるまで培養し、培養細胞を得た。
(2)遺伝子導入
(i)トランスフェクション溶液の調製
まず、C2((株)東レリサーチにて合成)を、トランスフェクション薬剤であるScreenFectTMA Plus(和光純薬工業(株)製)に付属のDilution buffer(以下、Dilution bufferと略記する場合がある)に5mg/mLとなるように溶解し、エンハンサーペプチド溶液を調製した。
次いで、滅菌したチューブを2本用意し、一本のチューブにScreenFectTMA Plus(和光純薬工業(株)製)に付属のDilution bufferを23.5μL添加し、ScreenFect A Plus reagentを1.5μL添加した。
もう一本の滅菌済みチューブに、エンハンサーペプチド溶液を1μL添加し、Dilution bufferを添加して最終25μLになるように調製した。
次いで、上記の2本のチューブを混合して、室温で15分反応させトランスフェクション溶液を得た。
(ii)細胞懸濁液の調製
(1)で得られた培養細胞を用いて、細胞懸濁液を調製した。培養容器から培地を除いたのち、トリプシンEDTA溶液(0.25w/v% トリプシン−1mmol/l EDTA・4Na溶液(フェノールレッド含有))を培養容器に添加して細胞を培養容器から剥離し、懸濁液を得た。遠沈管に当該懸濁液を添加後、遠心分離処理を行い(1000rpm, 5分)、細胞を沈降させた。上清を除いた後、細胞ペレットに適当量培地を加え、細胞懸濁液を得た。当該細胞懸濁液中の細胞数をTC20全自動セルカウンター(Bio−Rad社製)により測定し、細胞懸濁液中の浮遊系細胞の濃度を算出した。
(iii)トランスフェクション
まず、24ウェルプレートの1つのウェルに以下のものをそれぞれ添加した。
・Ham’sF−12培地(和光純薬工業(株)製)450μL
・1.5×10細胞が存在する量の(ii)で調製した細胞懸濁液
次いで、ウェルに(i)で調製したトランスフェクション溶液を50μL滴下し、ゆっくりと攪拌混合後、37℃のCOインキュベーターで細胞を一晩培養した。
(3)細胞生存率測定
上記(2)で一晩培養した細胞について、培養容器から培地を除いたのち、トリプシンEDTA溶液[0.25w/v% トリプシン−1mmol/l EDTA・4Na溶液(フェノールレッド含有))を培養容器に添加して細胞を培養容器から剥離し懸濁液を得た。遠沈管に当該懸濁液を添加後、遠心分離処理を行い(1000rpm,5分)、細胞を沈降させた。上清を除いた後、細胞ペレットに適当量培地を加え、細胞懸濁液を得た。当該細胞懸濁液中の細胞数をTC20全自動セルカウンター(Bio−Rad社製)により測定し、細胞懸濁液中の接着細胞の濃度を算出した。
算出された細胞数とトランスフェクションを行っていない細胞の細胞数とを比較し、生細胞数の割合を算出した。
(4)結果
細胞生存率測定の結果を図7に示す。本実施例の考察は、実施例26〜31及び比較例29と併せて、比較例29に示す。図中、横軸はエンハンサーペプチドに関する条件、縦軸は生細胞の割合(%)を示す。
実施例26−31.比較例29.各種エンハンサーペプチドのトランスフェクション薬剤による細胞毒性抑制効果についての検証
下記表12に記載の条件(細胞、播種細胞数、培地、エンハンサーペプチド、エンハンサーペプチドの量)で、実施例25と同様の方法により、トランスフェクション薬剤の細胞毒性に対するエンハンサーペプチドの抑制効果を確認した。
エンハンサーペプチドは、実施例18−24の結果トランスフェクション促進効果を有することが明らかとなったものを用いた。これらのエンハンサーペプチドは、全て(株)東レリサーチで合成した。
Figure 2017213092
(4)結果
細胞生存率測定の結果を図7に示す。図中、横軸はエンハンサーペプチドに関する条件、縦軸は生細胞の割合(%)を示す。実施例25〜31及び比較例29の結果及び考察を以下に纏めて示す。
《実施例25〜31及び比較例29の結果及び考察》
エンハンサーペプチドを用いなかった場合(比較例29)の細胞生存率は、約50%であった。他方、本発明のエンハンサーペプチドを用いた場合(実施例25〜31)はいずれも、細胞生存率は約70%から約90%の生存率であった。
これらの結果から、本発明のエンハンサーペプチドはいずれもトランスフェクション薬剤の細胞毒性に対する抑制効果を有することが判った。とりわけ、C2を用いた場合の細胞生存率は約90%であり、トランスフェクション薬剤の細胞毒性に対する抑制効果が特に高く、C2は細胞毒性抑制効果の点からも特に有用なエンハンサーペプチドであることが判った。
本発明のトランスフェクション促進用ペプチド、本発明のトランスフェクション用キット、及び本発明のトランスフェクション方法は、細胞や核酸の種類にかかわらず、従来のトランスフェクション促進用ペプチドと同等又はそれ以上の核酸導入効率でトランスフェクションを促進することができることから、導入遺伝子の機能解析やタンパク質発現生産等のトランスフェクションを行う分野において有用である。
また、本発明のトランスフェクション法によれば、トランスフェクション薬剤の細胞毒性を抑制し、高い細胞生存率でトランスフェクションを行うことができることから、導入遺伝子の機能解析やタンパク質発現生産等のトランスフェクションを行う分野において有用である。

Claims (16)

  1. 下記一般式[1]又は[2]で示される、細胞のトランスフェクション促進用ペプチド。
    (X−X−X−Cys−X−X−X [1]
    −X−Cys−X−X−X−(X [2]
    (式中、n個のXはそれぞれ独立してアルギニン又はリシンを表し、Xはグリシン又はアラニン、Xはチロシン又はアラニンをそれぞれ表し、nは8〜17の整数を表す)
  2. 前記ペプチドが、下記一般式[1’]、[1’’]、[2’]又は[2’’]で示されるものである、請求項1に記載のペプチド。
    (X−Gly−Gly−Cys−Gly−Tyr−Gly [1’]
    (X−Ala−Ala−Cys−Ala−Ala−Ala [1’’]
    Gly−Gly−Cys−Gly−Tyr−Gly−(X [2’]
    Ala−Ala−Cys−Ala−Ala−Ala−(X [2’’]
    (式中、X、nは上記に同じ)
  3. 前記ペプチドが、一般式[1’]又は[2’]で示されるものである、請求項2に記載のペプチド。
  4. 前記一般式[1’]又は一般式[2’]中の(Xが、(Arg)、(Lys)、(Arg−Lys)、及び(Lys−Arg)(nは前記に同じ、mは4〜8の整数を表す)から選ばれるものである、請求項3に記載のペプチド。
  5. 前記一般式[1’]又は一般式[2’]中の(Xが、(Arg)、(Lys)又は(Arg−Lys)(n及びmは前記に同じ)である、請求項4に記載のペプチド。
  6. nが9〜16の整数、mが6である、請求項4又は5に記載のペプチド。
  7. 前記ペプチドが、一般式[1’’]又は[2’’]で示されるものである、請求項2に記載のペプチド。
  8. 前記一般式[1’’]又は一般式[2’’]中の(Xが、(Arg)、(Lys)、(Arg−Lys)、及び(Lys−Arg)(n、mは前記に同じ)から選ばれるものである、請求項7に記載のペプチド。
  9. 前記一般式[1’’]又は一般式[2’’]中の(Xが、(Arg)(nは前記に同じ)である、請求項8に記載のペプチド。
  10. nが9〜16の整数、mが6である、請求項8又は9に記載のペプチド。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のペプチド及びカチオン性脂質を含むトランスフェクション薬剤を含む、細胞のトランスフェクション用キット。
  12. 前記トランスフェクション薬剤が、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4,5−ビス(ウンデシルチオ)ペンタンアミドを含むものである、請求項11に記載の細胞のトランスフェクション用キット。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載のペプチド及びトランスフェクション薬剤の存在下、インビトロで細胞と核酸とを接触させる工程を包含する、細胞に核酸をトランスフェクションする方法。
  14. 前記トランスフェクション薬剤が、カチオン性脂質を含むものである、請求項13に記載の方法。
  15. 前記トランスフェクション薬剤が、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−4,5−ビス(ウンデシルチオ)ペンタンアミドを含むものである、請求項13に記載の方法。
  16. 前記核酸がRNAである、請求項13に記載の方法。
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