JPWO2017213066A1 - 振戦検出装置、それを用いたストレス評価システム、およびストレス評価方法 - Google Patents

振戦検出装置、それを用いたストレス評価システム、およびストレス評価方法 Download PDF

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Abstract

被験者の腕等に加速度センサを装着して振戦を検出する構成とすると、精神的負荷を適切に評価することができないため、本発明の振戦検出装置は、面内の複数の箇所における圧力を検知し、面内の圧力分布に関する情報である圧力情報を生成する圧力分布検知手段と、圧力情報から特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、特徴量の周波数成分であって、生理的振戦に対応した周波数成分を含む振戦周波数特徴量を抽出する振戦特徴量抽出手段、とを有する。

Description

本発明は、振戦検出装置、それを用いたストレス評価システム、およびストレス評価方法に関し、特に、非装着型の振戦検出装置、それを用いたストレス評価システム、およびストレス評価方法に関する。
近年、オフィスワーカーの精神的な負荷(メンタルストレス)に対する対策が、社会的な課題になっている。このメンタルストレスによって、振戦が変動することが知られている。ここで、振戦とは、人間の身体部位における、目に見えない程度(例えば10マイクロメートル(μm)程度)の微少な振幅での無意識的な機械的振動である。特に、健常者の振戦を生理的振戦という。
このような振戦の振動特性を用いて、人間の疲労度を測定する疲労検査装置および疲労評価方法の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された関連する疲労検査装置は、振戦の振動を検出する検出部、振動のスペクトルを解析する解析部、および解析部から出力されたデータを表示する表示部を有する。検出部は加速度センサであり、検出部からは加速度に基づく電圧などの出力が解析部に送られる。
解析部は、入力に対してAD(Analog−to−Digital)変換をする機能、得られたディジタルデータに対するフーリエ変換を行って振動スペクトルを取得する機能、および振動スペクトルにおける帯域別のスペクトル含有率を取得する機能を有する。
表示部は、解析部で得られた振動スペクトルに関するデータをディスプレイやプリンタを介して表示する。
特許文献1に記載された関連する疲労評価方法においては、まず、対象者の腕に検出部としての加速度センサを取り付ける。そして、加速度センサから得られた加速度データを、解析部で解析する。これにより、振動スペクトル、トータルパワーにおける帯域別スペクトル含有率を得る。ここで、帯域別スペクトル含有率の導出においては、上肢振戦の場合は、高周波成分の周波数帯域を5Hz〜50Hzとし、低周波成分の周波数帯域を0.5〜5Hzとしている。このような上肢振戦のスペクトルにおいて、高周波帯域の成分が多ければ、大脳系の疲労が大きいと評価している。他方、低周波帯域の成分が多ければ、脊髄系の疲労が大きいと評価している。
このような構成としたことにより、関連する疲労検査装置および疲労評価方法によれば、スペクトル含有率を用いて疲労度を定量的に示すことが可能であり、これにより、疲労評価を正確に行うことが可能になる、としている。
また、関連技術としては、特許文献2、3に記載された技術がある。
国際公開第2002/094091号 特開2012−075708号公報 特開平05−224771号公報
上述した関連する疲労検査装置においては、被験者の精神的負荷(ストレス)を検査するために被験者の腕に加速度センサを取り付ける構成としている。この場合、身体に加速度センサを装着すること自体が被験者にとってストレスとなる。また、加速度センサの取り付け方によって、得られる加速度データが異なってしまう。加速度センサを締め付けて装着すれば信頼性の高いデータが得られるが、被験者にとってストレスが増大することになる。そのため、精神的負荷を適切に評価することができない、という問題点がある。
このように、被験者の腕等に加速度センサを装着して振戦を検出する構成とすると、精神的負荷を適切に評価することができない、という問題があった。
本発明の目的は、上述した課題である、被験者の腕等に加速度センサを装着して振戦を検出する構成とすると、精神的負荷を適切に評価することができない、という課題を解決する振戦検出装置、それを用いたストレス評価システム、およびストレス評価方法を提供することにある。
本発明の振戦検出装置は、面内の複数の箇所における圧力を検知し、面内の圧力分布に関する情報である圧力情報を生成する圧力分布検知手段と、圧力情報から特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、特徴量の周波数成分であって、生理的振戦に対応した周波数成分を含む振戦周波数特徴量を抽出する振戦特徴量抽出手段、とを有する。
本発明のストレス評価方法は、面内の複数の箇所における圧力を検知し、面内の圧力分布に関する情報である圧力情報を生成し、圧力情報から特徴量を抽出し、特徴量の周波数成分であって、生理的振戦に対応した周波数成分を含む振戦周波数特徴量を抽出し、振戦周波数特徴量の時間に対する変化率を算出し、変化率に基づいて、生理的振戦の発現者の精神的負荷を評価する。
本発明の振戦検出装置、それを用いたストレス評価システム、およびストレス評価方法によれば、被験者に精神的負荷を与えることなく、適切に精神的負荷を評価することができる。
本発明の第1の実施形態に係る振戦検出装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るストレス評価システムの構成を模式的に示す概略図である。 本発明の第2の実施形態に係るストレス評価システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るストレス評価システムを用いたストレスの評価結果を示す図であって、ストループテストによる結果を示す。 本発明の第2の実施形態に係るストレス評価システムを用いたストレスの評価結果を示す図であって、情報タスクを課した場合の結果を示す。
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る振戦検出装置100の構成を示すブロック図である。振戦検出装置100は、圧力分布検知手段110、特徴量抽出手段120、および振戦特徴量抽出手段130を有する。
圧力分布検知手段110は、面内の複数の箇所における圧力を検知し、面内の圧力分布に関する情報である圧力情報を生成する。圧力分布検知手段110として、典型的にはシート状の圧力分布センサを用いることができる。
特徴量抽出手段120は、この圧力情報から特徴量を抽出する。そして、振戦特徴量抽出手段130は、この特徴量の周波数成分であって、生理的振戦に対応した周波数成分を含む振戦周波数特徴量を抽出する。ここで、生理的振戦とは、人間の身体部位における、目に見えない程度の微少な振幅での無意識的な機械的振動をいう。
圧力分布検知手段110は、生理的振戦を発現する被験者の体重によって被験者と密着して配置することができる。したがって、上述した関連する疲労検査装置のように、身体の末端の振戦を検出するために被験者の腕等に加速度センサを装着する必要はない。そのため、圧力分布検知手段110を備えた構成とすることにより、被験者に負担をかけることなく、体幹の生理的振戦に基づく圧力情報を検知することができる。
このように、本実施形態の振戦検出装置100によれば、被験者に精神的負荷を与えることなく、適切に精神的負荷を評価することができる。
ここで、特徴量抽出手段120が圧力情報から抽出する特徴量は、圧力分布の中心座標および圧力の合計値の少なくとも一方を含むこととすることができる。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図2に、本発明の第2の実施形態に係るストレス評価システム200の構成を模式的に示す。
本実施形態によるストレス評価システム200は、圧力分布センサ(圧力分布検知手段)210、ストレス評価装置220、圧力データ伝達手段230、ストレス評価結果表示装置(評価結果表示手段)240、およびストレス評価結果伝達手段250を有する。
圧力分布センサ210は、生理的振戦の発現者(被験者20)が着席するための椅子21の座面、椅子21の背もたれ部、および被験者20が椅子21に着席するときの被験者20の足下部、の少なくとも一箇所に配置するように構成されている。図2では、圧力分布センサ210が椅子21の座面に配置された例を示す。
圧力分布センサ210は、略0.1ガル(Gal)の加速度で略10ヘルツ(Hz)の周波数で振動する振幅を検出する分解能を有する。ここで、1Gal=0.01m/s=1cm/sである。具体的には例えば、圧力分布センサ210は、空間分解能が少なくとも0.25マイクロメートルであり、圧力分解能が少なくとも0.08パスカルであり、少なくとも20ヘルツのサンプリングレートで動作する構成とすることができる。
圧力分布センサ210の上述した精度は、図4および図5を用いて後述する発明者による実験によって明らかとなったものである。すなわち、発明者による実験によって、被験者の体幹における生理的振戦に伴う加速度がストレス付加時とリラックス状態時との間で、約10ヘルツ(Hz)の周波数成分において約0.15ガルから約0.2ガル程度の差が生じることが明らかとなった。この加速度の差を検出するために、圧力分布センサ210は上述した精度を有する構成とした。
すなわち、圧力分布センサ210は、生理的振戦に伴う加速度約10ヘルツ(Hz)の周波数成分を検出するために、サンプリング定理より少なくとも20ヘルツ(Hz)のサンプリングレートで動作する構成とした。さらに好ましくは、圧力分布センサ210は40ヘルツ(Hz)のサンプリングレートで動作する構成とすることができる。40ヘルツ(Hz)のサンプリングレートで動作させることにより、20ヘルツの周波数まで測定することが可能になり、8〜10ヘルツ(Hz)付近のピークを前後の周波数帯と明確に区別して識別することができるからである。
生理的振戦が圧力分布センサ210の面内において、0.1ガル(Gal)の加速度で水平に10ヘルツ(Hz)の振動をする場合、その最大振幅は単振動を仮定すると約0.25マイクロメートル(μm)となる。この値が、圧力分布センサ210に要求される水平分解能、すなわち圧力検知セル間の最小距離となる。
また、圧力分布センサ210を椅子21の座面に配置する場合、典型的な例では、被験者20の体重の下限を20キログラム(kg)、圧力分布センサ210の座面側の形状を一辺の長さが50センチメートル(cm)の正方形とすることができる。この場合、生理的振戦に伴って、0.1ガル(Gal)の加速度で垂直方向の振動が生じる場合、圧力分布センサ210にかかる圧力は0.08パスカルとなる。この値が、圧力分布センサ210を構成する各圧力検知セルに要求される圧力分解能となる。
圧力データ伝達手段230は、圧力分布センサ210からストレス評価装置220へ圧力データ(圧力情報)を伝達する。ここで圧力データとは、圧力分布センサ210が出力するデータであり、圧力分布センサ210を構成する各圧力検知セルによる圧力のデータである。この圧力データから、後段の信号処理プロセスによって、圧力分布中心座標(位置データ)や、中心座標及び全体の圧力の変化の周波数分析データ(周波数データ)等が得られる。圧力データ伝達手段230は、有線による手段であっても、無線による手段であっても良い。
圧力データ伝達手段230を無線による手段とすることにより、被験者20が椅子21を自由に動かすことが可能になる。
図2では、ストレス評価装置220が机22上に配置された例を示したが、これに限らず、ストレス評価装置220も椅子21に装着された構成としても良い。この場合は、圧力データ伝達手段230を有線による手段としても、被験者20は椅子21を自由に動かすことができる。
ストレス評価装置220は、圧力分布センサ210から圧力データ(圧力情報)を受け取り、被験者20のストレスの評価を行う。ストレス評価装置220は専用のハードウェアで構成することができる。これに限らず、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)がメモリに格納されたプログラムを実行する情報処理システムによってストレス評価装置220を構成することとしてもよい。ストレス評価装置220を構成する情報処理システムは、デスクトップ型パーソナルコンピュータ(Personal Computer:PC)、ノート型PC、スマートフォンなどの情報処理端末等に実装されることが可能である。
ストレス評価結果表示装置(評価結果表示手段)240は、ストレス評価装置220による精神的負荷(ストレス)の評価結果を表示する。ストレス評価装置220が上述した情報処理端末に実装された情報処理システムによって構成されている場合、情報処理端末に付属するディスプレイ等の情報表示装置を、ストレス評価結果表示装置240として好適に用いることができる。また、情報処理端末に接続されたディスプレイ等の情報表示機器等を、ストレス評価結果表示装置240として用いることとしても良い。
ストレス評価結果伝達手段250は、ストレス評価装置220からストレス評価結果表示装置240へ、精神的負荷(ストレス)の評価結果を伝達する。ストレス評価結果伝達手段250は、有線による手段であっても、無線による手段であっても良い。ストレス評価装置220が椅子21に装着された構成である場合、ストレス評価結果伝達手段250を無線による手段とすることにより、被験者20が椅子21を自由に動かすことが可能になる。
次に、本実施形態によるストレス評価システム200の構成および動作をさらに詳細に説明する。図3は、本実施形態によるストレス評価システム200の構成を示すブロック図である。
ストレス評価システム200は、上述したように、圧力分布センサ(圧力分布検知手段)210、ストレス評価装置220、圧力データ伝達手段230、ストレス評価結果表示装置(評価結果表示手段)240、およびストレス評価結果伝達手段250を有する。
ストレス評価装置220は、圧力分布センサ210から圧力データ伝達手段230を介して圧力データを受け取り、この圧力データに基づいてストレスを評価する。そして、このストレスの評価結果を、ストレス評価結果伝達手段250を介してストレス評価結果表示装置240に伝達する。
ストレス評価装置220は、特徴量データ演算部(特徴量抽出手段)221および生理振戦周波数データ演算部(振戦特徴量抽出手段)222を備える。ここで、圧力分布センサ(圧力分布検知手段)210と、特徴量データ演算部(特徴量抽出手段)221および生理振戦周波数データ演算部(振戦特徴量抽出手段)222が振戦検出装置を構成する。さらに、ストレス評価装置220は、データ記憶部(特徴量記憶手段)223、変化率データ演算部(変化率算出手段)224、およびストレス評価演算部(負荷評価手段)225を備える。
特徴量データ演算部221は、圧力分布センサ210から取得した圧力データ(圧力情報)に基づいて、生理的振戦からストレスを評価するための特徴量を抽出する。特徴量として例えば、各圧力検知セルの圧力値の合計値を用いることができる。また、生理的振戦は上下方向だけでなく面内方向にも振動する。そのため、圧力分布の中心座標、すなわち圧力中心点のX座標値およびY座標値を特徴量として用いることができる。具体的には例えば、各圧力検知セルが出力する圧力から縦方向の圧力分布と横方向の圧力分布を算出し、各方向における圧力の平均値となる位置の座標を特徴量として用いることができる。
特徴量データ演算部221は、ここで求めたX座標値、Y座標値、および圧力合計値を、生理振戦周波数データ演算部222に送出する。
生理振戦周波数データ演算部222は、特徴量の周波数成分であって、生理的振戦に対応した周波数成分を含む振戦周波数特徴量を抽出する。ここで、振戦周波数特徴量は、特徴量の10ヘルツの周波数成分を含むこととすることができる。具体的には例えば、生理振戦周波数データ演算部222は、受け取った特徴量データについてフーリエ解析処理を施すことによって、8ヘルツ(Hz)以上であり10ヘルツ(Hz)以下の周波数帯域の特徴量データを抽出する構成とすることができる。このとき、抽出した特徴量データの例えば10秒間の平均値を求めることとしてもよい。
生理振戦周波数データ演算部222は、振戦周波数特徴量を変化率データ演算部224およびデータ記憶部223に送出する。
データ記憶部223は、生理振戦周波数データ演算部222から受け取った振戦周波数特徴量を記憶する。データ記憶部223は、変化率データ演算部224が演算するために必要となる振戦周波数特徴量だけ過去分のデータを記憶する構成とすることができる。例えば、データ記憶部223は、1分間の振戦周波数特徴量のデータを記憶する構成とすることができる。なお、ストレス評価演算部225がストレスの評価を完了した後に、データ記憶部223は使用したデータを消去する構成とすることによって、プライバシー情報の保護を図ることができる。
変化率データ演算部(変化率算出手段)224は、振戦周波数特徴量の時間に対する変化率を算出する。このとき、変化率データ演算部224は、データ記憶部(特徴量記憶手段)223に記憶されている振戦周波数特徴量と、生理振戦周波数データ演算部(振戦特徴量抽出手段)222から受け取る振戦周波数特徴量とから、変化率を算出する構成とすることができる。
具体的には例えば、変化率データ演算部224は、生理振戦周波数データ演算部222からX座標値、Y座標値、および圧力合計値の三種の特徴量のデータを受け取るとともに、これらの三種の特徴量の過去1分間分のデータをデータ記憶部223から受け取る。そして、この三種の特徴量の過去1分間の平均値と、最新の10秒間の平均値とから変化率を算出し、これらの三種の特徴量の変化率のデータをストレス評価演算部225に送出する。
ストレス評価演算部(負荷評価手段)225は、変化率データ演算部(変化率算出手段)224が算出した変化率に基づいて、生理的振戦の発現者(被験者20)の精神的負荷(ストレス)を評価する。上述した例では、ストレス評価演算部225は、変化率データ演算部224から三種の特徴量の変化率のデータを受け取り、これらの変化率の平均値を算出する。そして、例えば、この平均値が増加した場合、被験者20はストレスを受けていると評価し、この評価結果をストレス評価結果伝達手段250によってストレス評価結果表示装置(評価結果表示手段)240に伝達する。
ここで、三種の特徴量の変化率の平均値を算出することとしたのは、以下の理由による。すなわち、圧力変化に反映される生理的振戦だけでなく、座面の前後方向および左右方向の圧力分布の重心移動に反映される生理的振戦もあわせて評価することによって、より確度の高い評価結果が得られるからである。しかし、これに限らず、例えば、X座標値、Y座標値、および圧力合計値の特徴量の変化率のいずれかを用いて評価する構成としてもよい。
ストレス評価結果表示装置(評価結果表示手段)240は、ストレス評価演算部(負荷評価手段)225による精神的負荷(ストレス)の評価結果を表示する。
次に、本実施形態によるストレス評価システム200を用いたストレスの評価結果について説明する。
図4および図5に、評価結果を示す。縦軸はそれぞれ、体幹(腰部)における身体の動きを加速度で表したものであり、周波数分布の1ヘルツ(Hz)平均を示している。横軸は周波数である。本実施形態においては、18名の被験者について、それぞれ2回ずつ評価を行った。図4および図5中、被験者にストレス刺激を与えた場合の結果を実線で示し、被験者がリラックス状態にあるときの結果を破線で示す。
図4は、標準的なストレス刺激テストとして用いられているストループ(Stroop) テストの結果を示す。図5は、本実施形態のために開発された、制限時間がある場合において提示された文章に関する設問に回答するタスク(情報タスク)を課した場合の結果を示す。
図4および図5に示したいずれの評価結果においても、10ヘルツ(Hz)帯域近傍の振動に、ストレス刺激を与えた場合とリラックス状態にある場合との間で顕著な相違がみられる。8ヘルツ(Hz)以上10ヘルツ(Hz)以下の周波数帯域における相違量は、図4に示したストループテストでは約0.2ガル、図5に示した情報タスクでは約0.15ガルである。この周波数帯域における振動は、上述したように生理的振戦によるものである。
本実施形態によるストレス評価システム200を用いたストレスの評価では、低周波数で身体の動きを直接測定すればよいので、ストレス評価に要する時間は約10秒程度である。
以上説明したように、本実施形態によるストレス評価システム200によれば、身体の末端ではなく体幹の生理的振戦を、例えばフレキシブルなシート状の圧力分布センサ210によって測定することができる。このとき、圧力分布センサ210は、被験者の体重によって椅子の座面などにおいて被験者の身体と密着した状態となる。これにより、本実施形態のストレス評価システム200によれば、被験者にセンサの装着によるストレスを全く与えることなく、簡易かつ短時間にストレスを評価することが可能になる。
次に、本実施形態によるストレス評価方法について説明する。
本実施形態のストレス評価方法においては、まず、面内の複数の箇所における圧力を検知し、面内の圧力分布に関する情報である圧力情報を生成する。この圧力情報から特徴量を抽出する。続いて、この特徴量の周波数成分であって、生理的振戦に対応した周波数成分を含む振戦周波数特徴量を抽出する。そして、この振戦周波数特徴量の時間に対する変化率を算出する。最後に、この変化率に基づいて、生理的振戦の発現者の精神的負荷を評価する。
このとき、上述した特徴量は、圧力分布の中心座標および圧力の合計値の少なくとも一方を含むこととすることができる。また、上述した振戦周波数特徴量は、特徴量の10ヘルツの周波数成分を含むこととすることができる。
以上説明したように、本実施形態のストレス評価システム200およびストレス評価方法によれば、被験者に精神的負荷を与えることなく、適切に精神的負荷を評価することができる。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2016年6月8日に出願された日本出願特願2016−114380を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
100 振戦検出装置
110 圧力分布検知手段
120 特徴量抽出手段
130 振戦特徴量抽出手段
200 ストレス評価システム
210 圧力分布センサ
220 ストレス評価装置
221 特徴量データ演算部
222 生理振戦周波数データ演算部
223 データ記憶部
224 変化率データ演算部
225 ストレス評価演算部
230 圧力データ伝達手段
240 ストレス評価結果表示装置
250 ストレス評価結果伝達手段
20 被験者
21 椅子
22 机

Claims (10)

  1. 面内の複数の箇所における圧力を検知し、面内の圧力分布に関する情報である圧力情報を生成する圧力分布検知手段と、
    前記圧力情報から特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、
    前記特徴量の周波数成分であって、生理的振戦に対応した周波数成分を含む振戦周波数特徴量を抽出する振戦特徴量抽出手段、とを有する
    振戦検出装置。
  2. 請求項1に記載した振戦検出装置において、
    前記特徴量は、前記圧力分布の中心座標および前記圧力の合計値の少なくとも一方を含む
    振戦検出装置。
  3. 請求項1または2に記載した振戦検出装置において、
    前記振戦周波数特徴量は、前記特徴量の10ヘルツの前記周波数成分を含む
    振戦検出装置。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載した振戦検出装置において、
    前記圧力分布検知手段は、略0.1ガルの加速度で略10ヘルツの周波数で振動する振幅を検出する分解能を有する
    振戦検出装置。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載した振戦検出装置において、
    前記圧力分布検知手段は、空間分解能が少なくとも0.25マイクロメートルであり、圧力分解能が少なくとも0.08パスカルであり、少なくとも20ヘルツのサンプリングレートで動作する
    振戦検出装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載した振戦検出装置と、
    前記振戦周波数特徴量の時間に対する変化率を算出する変化率算出手段と、
    前記変化率に基づいて、前記生理的振戦の発現者の精神的負荷を評価する負荷評価手段、とを有する
    ストレス評価システム。
  7. 請求項6に記載したストレス評価システムにおいて、
    前記負荷評価手段による前記精神的負荷の評価結果を表示する評価結果表示手段と、
    前記振戦周波数特徴量を記憶する特徴量記憶手段、をさらに備え、
    前記変化率算出手段は、前記特徴量記憶手段に記憶されている前記振戦周波数特徴量と、前記振戦特徴量抽出手段から受け取る前記振戦周波数特徴量とから、前記変化率を算出する
    ストレス評価システム。
  8. 請求項6または7に記載したストレス評価システムにおいて、
    前記圧力分布検知手段は、前記発現者が着席するための椅子の座面、前記椅子の背もたれ部、および前記発現者が前記椅子に着席するときの前記発現者の足下部、の少なくとも一箇所に配置するように構成されている
    ストレス評価システム。
  9. 面内の複数の箇所における圧力を検知し、面内の圧力分布に関する情報である圧力情報を生成し、
    前記圧力情報から特徴量を抽出し、
    前記特徴量の周波数成分であって、生理的振戦に対応した周波数成分を含む振戦周波数特徴量を抽出し、
    前記振戦周波数特徴量の時間に対する変化率を算出し、
    前記変化率に基づいて、前記生理的振戦の発現者の精神的負荷を評価する
    ストレス評価方法。
  10. 請求項9に記載したストレス評価方法において、
    前記特徴量は、前記圧力分布の中心座標および前記圧力の合計値の少なくとも一方を含み、
    前記振戦周波数特徴量は、前記特徴量の10ヘルツの前記周波数成分を含む
    ストレス評価方法。
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