<本技術を適用した画像処理システム>
図1は、本技術を適用した画像処理システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
図1において、画像処理システムは、符号化装置11及び復号装置12を有する。
符号化装置11には、符号化対象の元画像が供給される。
符号化装置11は、例えば、HEVCやAVC(Advanced Video Coding)等のような予測符号化により、元画像を符号化する。
符号化装置11の予測符号化では、元画像の予測画像が生成され、元画像と予測画像との残差が符号化される。
さらに、符号化装置11の予測符号化では、予測符号化の残差と予測画像とを加算することにより得られる復号途中画像に、ILFをかけるILF処理を行うことで、予測画像の予測に用いられる参照画像が生成される。
ここで、ILF処理としてのフィルタ処理(フィルタリング)が、復号途中画像に施されることにより得られる画像を、フィルタ後画像ともいう。
符号化装置11は、予測符号化を行う他、復号途中画像と元画像とを用いて学習を行うことにより、フィルタ後画像が、なるべく元画像に近くなるようなILF処理としてのフィルタ処理を行うためのフィルタ情報を求める。
符号化装置11のILF処理は、学習により求められたフィルタ情報を用いて行われる。
ここで、フィルタ情報を求める学習は、例えば、元画像の1又は複数のシーケンスごとや、元画像の1又は複数のシーン(シーンチェンジから、次のシーンチェンジまでのフレーム)ごと、元画像の1又は複数のフレーム(ピクチャ)ごと、元画像の1又は複数のスライスごと、ピクチャの符号化の単位のブロックの1又は複数ラインごと、その他任意の単位で行うことができる。また、フィルタ情報を求める学習は、例えば、残差が閾値以上になった場合に行うことができる。
符号化装置11は、元画像の予測符号化により得られる符号化データ、及び、学習により得られるフィルタ情報を、伝送媒体13を介して伝送し、又は、記録媒体14に伝送して記録させる。
なお、フィルタ情報を求める学習は、符号化装置11とは別の装置で行うことができる。
また、フィルタ情報は、符号化データとは別に伝送することもできるし、符号化データに含めて伝送することもできる。
さらに、フィルタ情報を求める学習は、元画像そのもの(及び元画像から得られる復号途中画像)を用いて行う他、画像特徴量が元画像と類似する、元画像とは別個の画像を用いて行うことができる。
復号装置12は、符号化装置11から伝送される符号化データ及びフィルタ情報を、伝送媒体13や記録媒体14を介して受け取り(受信し)(取得し)、符号化データを、符号化装置11の予測符号化に対応する方式で復号する。
すなわち、復号装置12は、符号化装置11からの符号化データを処理することで、予測符号化の残差を求める。さらに、復号装置12は、残差と予測画像とを加算することにより、符号化装置11で得られるのと同様の復号途中画像を求める。そして、復号装置12は、復号途中画像に、符号化装置11からのフィルタ情報を用いたILF処理としてのフィルタ処理を施し、フィルタ後画像を求める。
復号装置12において、フィルタ後画像は、元画像の復号画像として出力されるとともに、必要に応じて、予測画像の予測に用いられる参照画像として一時記憶される。
符号化装置11及び復号装置12のILF処理としてのフィルタ処理は、クラス分類適応処理によって行われる。以下、クラス分類適応処理について説明する。
<クラス分類適応処理>
図2は、クラス分類適応処理を行う画像変換装置の第1の構成例を示すブロック図である。
ここで、クラス分類適応処理は、例えば、第1の画像を、第2の画像に変換する画像変換処理として捉えることができる。
第1の画像を第2の画像に変換する画像変換処理は、その第1と第2の画像の定義によって様々な信号処理となる。
すなわち、例えば、第1の画像を低空間解像度の画像とするとともに、第2の画像を高空間解像度の画像とすれば、画像変換処理は、空間解像度を向上させる空間解像度創造(向上)処理ということができる。
また、例えば、第1の画像を低S/Nの画像とするとともに、第2の画像を高S/Nの画像とすれば、画像変換処理は、ノイズを除去するノイズ除去処理ということができる。
さらに、例えば、第1の画像を所定の画素数(サイズ)の画像とするとともに、第2の画像を、第1の画像の画素数を多くまたは少なくした画像とすれば、画像変換処理は、画像のリサイズ(拡大または縮小)を行うリサイズ処理ということができる。
また、例えば、第1の画像を、HEVC等のブロック単位で符号化された画像を復号することによって得られる復号画像とするとともに、第2の画像を、符号化前の元画像とすれば、画像変換処理は、ブロック単位の符号化及び復号によって生じるブロック歪みを除去する歪み除去処理ということができる。
なお、クラス分類適応処理は、画像の他、例えば、音響を、処理の対象とすることができる。音響を対象とするクラス分類適応処理は、第1の音響(例えば、S/Nの低い音響等)を、第2の音響(例えば、S/Nの高い音響等)に変換する音響変換処理として捉えることができる。
クラス分類適応処理では、第1の画像のうちの注目している注目画素(処理対象の処理対象画素)の画素値を複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分類することにより得られるクラスのタップ係数と、注目画素に対して選択される第1の画像の、タップ係数と同一の数の画素の画素値とを用いた予測演算により、注目画素の画素値が求められる。
図2は、クラス分類適応処理による画像変換処理を行う画像変換装置の構成例を示している。
図2において、画像変換装置20は、タップ選択部21及び22、クラス分類部23、係数取得部24、並びに、予測演算部25を有する。
画像変換装置20には、第1の画像が供給される。画像変換装置20に供給される第1の画像は、タップ選択部21及び22に供給される。
タップ選択部21は、第1の画像を構成する画素を、順次、注目画素に選択する。さらに、タップ選択部21は、注目画素に対応する第2の画像の対応画素(の画素値)を予測するのに用いる第1の画像を構成する画素(の画素値)の幾つかを、予測タップとして選択する。
具体的には、タップ選択部21は、注目画素の時空間の位置から空間的又は時間的に近い位置にある第1の画像の複数の画素を、予測タップとして選択する。
タップ選択部22は、注目画素を、幾つかのクラスのうちのいずれかにクラス分けするクラス分類を行うのに用いる第1の画像を構成する画素(の画素値)の幾つかを、クラスタップとして選択する。すなわち、タップ選択部22は、タップ選択部21が予測タップを選択するのと同様にして、クラスタップを選択する。
なお、予測タップとクラスタップは、同一のタップ構造を有するものであっても良いし、異なるタップ構造を有するものであっても良い。
タップ選択部21で得られた予測タップは、予測演算部25に供給され、タップ選択部22で得られたクラスタップは、クラス分類部23に供給される。
クラス分類部23は、一定の規則に従って、注目画素をクラス分類し、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを、係数取得部24に供給する。
すなわち、クラス分類部23は、例えば、タップ選択部22からのクラスタップを用いて、注目画素をクラス分類し、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを、係数取得部24に供給する。
例えば、クラス分類部23は、クラスタップを用いて、注目画素の画像特徴量を求める。さらに、クラス分類部23は、注目画素の画像特徴量に応じて、注目画素をクラス分類し、その結果得られるクラスに対応するクラスコードを、係数取得部24に供給する。
ここで、クラス分類を行う方法としては、例えば、ADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)等を採用することができる。
ADRCを用いる方法では、クラスタップを構成する画素(の画素値)が、ADRC処理され、その結果得られるADRCコード(ADRC値)にしたがって、注目画素のクラスが決定される。ADRCコードは、注目画素を含む小領域の画像特徴量としての波形パターンを表す。
なお、LビットADRCにおいては、例えば、クラスタップを構成する画素の画素値の最大値MAXと最小値MINが検出され、DR=MAX-MINを、集合の局所的なダイナミックレンジとし、このダイナミックレンジDRに基づいて、クラスタップを構成する各画素の画素値がLビットに再量子化される。すなわち、クラスタップを構成する各画素の画素値から、最小値MINが減算され、その減算値がDR/2Lで除算(再量子化)される。そして、以上のようにして得られる、クラスタップを構成するLビットの各画素の画素値を、所定の順番で並べたビット列が、ADRCコードとして出力される。したがって、クラスタップが、例えば、1ビットADRC処理された場合には、そのクラスタップを構成する各画素の画素値は、最大値MAXと最小値MINとの平均値で除算され(小数点以下切り捨て)、これにより、各画素の画素値が1ビットとされる(2値化される)。そして、その1ビットの画素値を所定の順番で並べたビット列が、ADRCコードとして出力される。
なお、クラス分類部23には、例えば、クラスタップを構成する画素の画素値のレベル分布のパターンを、そのままクラスコードとして出力させることも可能である。しかしながら、この場合、クラスタップが、N個の画素の画素値で構成され、各画素の画素値に、Aビットが割り当てられているとすると、クラス分類部23が出力するクラスコードの場合の数は、(2N)A通りとなり、画素の画素値のビット数Aに指数的に比例した膨大な数となる。
したがって、クラス分類部23においては、クラスタップの情報量を、上述のADRC処理や、あるいはベクトル量子化等によって圧縮することにより、クラス分類を行うのが好ましい。
係数取得部24は、後述する学習によって求められたクラスごとのタップ係数を記憶し、さらに、その記憶したタップ係数のうちの、クラス分類部23から供給されるクラスコードが表すクラスのタップ係数、すなわち、注目画素のクラスのタップ係数を取得する。さらに、係数取得部24は、注目画素のクラスのタップ係数を、予測演算部25に供給する。
ここで、タップ係数とは、ディジタルフィルタにおける、いわゆるタップにおいて入力データと乗算される係数に相当する係数である。
予測演算部25は、タップ選択部21が出力する予測タップと、係数取得部24が供給されるタップ係数とを用いて、注目画素に対応する第2の画像の画素(対応画素)の画素値の真値の予測値を求める所定の予測演算を行う。これにより、予測演算部25は、対応画素の画素値(の予測値)、すなわち、第2の画像を構成する画素の画素値を求めて出力する。
図3は、係数取得部24に記憶されるタップ係数の学習を行う学習装置の構成例を示すブロック図である。
ここで、例えば、高画質の画像(高画質画像)を第2の画像とするとともに、その高画質画像をLPF(Low Pass Filter)によってフィルタリングする等してその画質(解像度)を低下させた低画質の画像(低画質画像)を第1の画像として、低画質画像から予測タップを選択し、その予測タップとタップ係数を用いて、高画質画像の画素(高画質画素)の画素値を、所定の予測演算によって求める(予測する)ことを考える。
所定の予測演算として、例えば、線形1次予測演算を採用することとすると、高画質画素の画素値yは、次の線形1次式によって求められることになる。
但し、式(1)において、xnは、対応画素としての高画質画素yに対する予測タップを構成する、n番目の低画質画像の画素(以下、適宜、低画質画素という)の画素値を表し、wnは、n番目の低画質画素(の画素値)と乗算されるn番目のタップ係数を表す。なお、式(1)では、予測タップが、N個の低画質画素x1,x2,・・・,xNで構成されることとする。
ここで、高画質画素の画素値yは、式(1)に示した線形1次式ではなく、2次以上の高次の式によって求めるようにすることも可能である。
いま、第kサンプルの高画質画素の画素値の真値をykと表すとともに、式(1)によって得られるその真値ykの予測値をyk’と表すと、その予測誤差ekは、次式で表される。
いま、式(2)の予測値yk’は、式(1)にしたがって求められるため、式(2)のyk’を、式(1)にしたがって置き換えると、次式が得られる。
但し、式(3)において、xn,kは、対応画素としての第kサンプルの高画質画素に対する予測タップを構成するn番目の低画質画素を表す。
式(3)(又は式(2))の予測誤差ekを0とするタップ係数wnが、高画質画素を予測するのに最適なものとなるが、すべての高画質画素について、そのようなタップ係数wnを求めることは、一般には困難である。
そこで、タップ係数wnが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適なタップ係数wnは、次式で表される自乗誤差の総和E(統計的な誤差)を最小にすることで求めることができる。
但し、式(4)において、Kは、対応画素としての高画質画素ykと、その高画質画素ykに対する予測タップを構成する低画質画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットのサンプル数(学習用のサンプルの数)を表す。
式(4)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(5)に示すように、総和Eをタップ係数wnで偏微分したものを0とするwnによって与えられる。
そこで、上述の式(3)をタップ係数wnで偏微分すると、次式が得られる。
式(5)と(6)から、次式が得られる。
式(7)のekに、式(3)を代入することにより、式(7)は、式(8)に示す正規方程式で表すことができる。
式(8)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等を用いることにより、タップ係数wnについて解くことができる。
式(8)の正規方程式を、クラスごとにたてて解くことにより、最適なタップ係数(ここでは、自乗誤差の総和Eを最小にするタップ係数)wnを、クラスごとに求めることができる。
図3は、式(8)の正規方程式をたてて解くことによりタップ係数wnを求める学習を行う学習装置の構成例を示している。
図3において、学習装置30は、教師データ生成部31、生徒データ生成部32、及び、学習部33を有する。
教師データ生成部31及び生徒データ生成部32には、タップ係数wnの学習に用いられる学習画像が供給される。学習画像としては、例えば、解像度の高い高画質画像を用いることができる。
教師データ生成部32は、学習画像から、タップ係数の学習の教師(真値)となる教師データ、すなわち、クラス分類適応処理により得たい教師データとして、式(1)による予測演算としての写像の写像先となる教師画像を生成し、学習部33に供給する。ここでは、教師データ生成部32は、例えば、学習画像としての高画質画像を、そのまま教師画像として、学習部33に供給する。
生徒データ生成部32は、学習画像から、タップ係数の学習の生徒となる生徒データ、すなわち、クラス分類適応処理においてタップ係数との予測演算の対象となる生徒データとして、式(1)による予測演算としての写像による変換対象となる生徒画像を生成し、学習部33に供給する。ここでは、生徒データ生成部32は、例えば、学習画像としての高画質画像をLPF(low Pass Filter)でフィルタリングすることにより、その解像度を低下させることで、低画質画像を生成し、この低画質画像を、生徒画像として、学習部33に供給する。
学習部33は、生徒データ生成部32からの生徒データとしての生徒画像を構成する画素を、順次、注目画素とし、その注目画素について、図2のタップ選択部21が選択するのと同一のタップ構造の画素を、生徒画像から予測タップとして選択する。さらに、学習部33は、注目画素に対応する教師画像を構成する対応画素と、注目画素の予測タップとを用い、クラスごとに、式(8)の正規方程式をたてて解くことにより、クラスごとのタップ係数を求める。
図4は、図3の学習部33の構成例を示すブロック図である。
図4において、学習部33は、タップ選択部41及び42、クラス分類部43、足し込み部44、並びに、係数算出部45を有する。
生徒画像は、タップ選択部41及び42に供給され、教師画像は、足し込み部44に供給される。
タップ選択部41は、生徒画像を構成する画素を、順次、注目画素として選択し、その注目画素を表す情報を、必要なブロックに供給する。
さらに、タップ選択部41は、注目画素について、生徒画像を構成する画素から、図2のタップ選択部21が選択するのと同一の画素を予測タップに選択し、これにより、タップ選択部21で得られるのと同一のタップ構造の予測タップを得て、足し込み部44に供給する。
タップ選択部42は、注目画素について、生徒画像を構成する画素から、図2のタップ選択部22が選択するのと同一の画素をクラスタップに選択し、これにより、タップ選択部22で得られるのと同一のタップ構造のクラスタップを得て、クラス分類部43に供給する。
クラス分類部43は、タップ選択部42からのクラスタップを用いて、図2のクラス分類部23と同一のクラス分類を行い、その結果得られる注目画素のクラスに対応するクラスコードを、足し込み部44に出力する。
足し込み部44は、教師画像を構成する画素から、注目画素に対応する対応画素(の画素値)を取得し、対応画素と、タップ選択部41から供給される注目画素についての予測タップを構成する生徒画像の画素(の画素値)とを対象とした足し込みを、クラス分類部43から供給されるクラスコードごとに行う。
すなわち、足し込み部44には、教師データとしての教師画像の対応画素yk、生徒データとしての注目画素の予測タップxn,k、注目画素のクラスを表すクラスコードが供給される。
足し込み部44は、注目画素のクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xn,kを用い、式(8)の左辺の行列における生徒データどうしの乗算(xn,kxn',k)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
さらに、足し込み部44は、やはり、注目画素のクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xn,kと教師データykを用い、式(8)の右辺のベクトルにおける生徒データxn,k及び教師データykの乗算(xn,kyk)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
すなわち、足し込み部44は、前回、教師データとしての、注目画素に対応する対応画素について求められた式(8)における左辺の行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)と、右辺のベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)を、その内蔵するメモリ(図示せず)に記憶しており、その行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)又はベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)に対して、新たな注目画素に対応する対応画素となった教師データについて、その教師データyk+1及び生徒データxn,k+1を用いて計算される、対応するコンポーネントxn,k+1xn',k+1又はxn,k+1yk+1を足し込む(式(8)のサメーションで表される加算を行う)。
そして、足し込み部44は、例えば、生徒画像の画素すべてを注目画素として、上述の足し込みを行うことにより、各クラスについて、式(8)に示した正規方程式をたて、その正規方程式を、係数算出部45に供給する。
係数算出部45は、足し込み部44から供給される各クラスについての正規方程式を解くことにより、各クラスについて、最適なタップ係数wnを求めて出力する。
図2の画像変換装置20における係数取得部24には、以上のようにして求められたクラスごとのタップ係数wnを記憶させることができる。
図5は、クラス分類適応処理を行う画像変換装置の第2の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図2の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図5において、画像変換装置20は、タップ選択部21及び22、クラス分類部23、係数取得部24、並びに、予測演算部25を有する。
したがって、図5の画像変換装置20は、図2の場合と同様に構成される。
但し、図5では、係数取得部24は、後述する種係数を記憶する。さらに、図5では、係数取得部24には、外部からパラメータzが供給される。
係数取得部24は、種係数から、パラメータzに対応する、クラスごとのタップ係数を生成し、そのクラスごとのタップ係数から、クラス分類部23からのクラスのタップ係数を取得して、予測演算部25に供給する。
ここで、図2では、係数取得部24は、タップ係数そのものを記憶するが、図5では、係数取得部24は、種係数を記憶する。種係数は、パラメータzを与える(決定する)ことによって、タップ係数を生成することができ、かかる観点から、種係数は、タップ係数と同等の情報であるとみなすことができる。本明細書では、タップ係数には、タップ係数そのものの他、そのタップ係数を生成することができる種係数も必要に応じて含まれることとする。
図6は、係数取得部24に記憶される種係数の学習を行う学習装置の構成例を示すブロック図である。
ここで、例えば、図3で説明した場合と同様に、高画質の画像(高画質画像)を第2の画像とするとともに、その高画質画像の空間解像度を低下させた低画質の画像(低画質画像)を第1の画像として、低画質画像から予測タップを選択し、その予測タップとタップ係数を用いて、高画質画像の画素である高画質画素の画素値を、例えば、式(1)の線形1次予測演算によって求める(予測する)ことを考える。
いま、タップ係数wnが、種係数と、パラメータzとを用いた次式によって生成されることとする。
但し、式(9)において、βm,nは、n番目のタップ係数wnを求めるのに用いられるm番目の種係数を表す。なお、式(9)では、タップ係数wnが、M個の種係数β1,n,β2,n,・・・,βM,nを用いて求められる。
ここで、種係数βm,nとパラメータzから、タップ係数wnを求める式は、式(9)に限定されるものではない。
いま、式(9)におけるパラメータzによって決まる値zm-1を、新たな変数tmを導入して、次式で定義する。
式(10)を、式(9)に代入することにより、次式が得られる。
式(11)によれば、タップ係数wnは、種係数βm,nと変数tmとの線形1次式によって求められることになる。
ところで、いま、第kサンプルの高画質画素の画素値の真値をykと表すとともに、式(1)によって得られるその真値ykの予測値をyk’と表すと、その予測誤差ekは、次式で表される。
いま、式(12)の予測値yk’は、式(1)にしたがって求められるため、式(12)のyk’を、式(1)にしたがって置き換えると、次式が得られる。
但し、式(13)において、xn,kは、対応画素としての第kサンプルの高画質画素に対する予測タップを構成するn番目の低画質画素を表す。
式(13)のwnに、式(11)を代入することにより、次式が得られる。
式(14)の予測誤差ekを0とする種係数βm,nが、高画質画素を予測するのに最適なものとなるが、すべての高画質画素について、そのような種係数βm,nを求めることは、一般には困難である。
そこで、種係数βm,nが最適なものであることを表す規範として、例えば、最小自乗法を採用することとすると、最適な種係数βm,nは、次式で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
但し、式(15)において、Kは、対応画素としての高画質画素ykと、その高画質画素ykに対する予測タップを構成する低画質画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kとのセットのサンプル数(学習用のサンプルの数)を表す。
式(15)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(16)に示すように、総和Eを種係数βm,nで偏微分したものを0とするβm,nによって与えられる。
式(13)を、式(16)に代入することにより、次式が得られる。
いま、Xi,p,j,qとYi,pを、式(18)と(19)に示すように定義する。
この場合、式(17)は、Xi,p,j,qとYi,pを用いた式(20)に示す正規方程式で表すことができる。
式(20)の正規方程式は、例えば、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)等を用いることにより、種係数βm,nについて解くことができる。
図5の画像変換装置20においては、多数の高画質画素y1,y2,・・・,yKを教師データとするとともに、各高画質画素ykに対する予測タップを構成する低画質画素x1,k,x2,k,・・・,xN,kを生徒データとして、クラスごとに式(20)の正規方程式をたてて解く学習を行うことにより求められたクラスごとの種係数βm,nが、係数取得部24に記憶される。そして、係数取得部24では、種係数βm,nと、外部から与えられるパラメータzから、式(9)にしたがって、クラスごとのタップ係数wnが生成され、予測演算部25において、そのタップ係数wnと、注目画素についての予測タップを構成する低画質画素(第1の画像の画素)xnを用いて、式(1)が計算されることにより、高画質画素(第2の画像の対応画素)の画素値(に近い予測値)が求められる。
図6は、式(20)の正規方程式をクラスごとにたてて解くことにより、クラスごとの種係数βm,nを求める学習を行う学習装置の構成例を示している。
なお、図中、図3の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図6において、学習装置30は、教師データ生成部31、パラメータ生成部61、生徒データ生成部62、及び、学習部63を有する。
したがって、図6の学習装置30は、教師データ生成部31を有する点で、図3の場合と共通する。
但し、図6の学習装置30は、パラメータ生成部61を新たに有する点で、図3の場合と相違する。さらに、図6の学習装置30は、生徒データ生成部32及び学習部33に代えて、生徒データ生成部62、及び、学習部63がそれぞれ設けられている点で、図3の場合と相違する。
パラメータ生成部61は、パラメータzが取り得る範囲の幾つかの値を生成し、生徒データ生成部62と学習部63に供給する。
例えば、パラメータzが取り得る値が0乃至Zの範囲の実数であるとすると、パラメータ生成部61は、例えば、例えば、z=0,1,2,・・・,Zの値のパラメータzを生成し、生徒データ生成部62と学習部63に供給する。
生徒データ生成部62には、教師データ生成部31に供給されるのと同様の学習画像が供給される。
生徒データ生成部62は、図3の生徒データ生成部32と同様に、学習画像から生徒画像を生成し、生徒データとして、学習部63に供給する。
ここで、生徒データ生成部62には、学習画像の他、パラメータzが取り得る範囲の幾つかの値が、パラメータ生成部61から供給される。
生徒データ生成部62は、学習画像としての高画質画像を、例えば、そこに供給されるパラメータzに対応するカットオフ周波数のLPFによってフィルタリングすることにより、パラメータzの幾つかの値それぞれに対して、生徒画像としての低画質画像を生成する。
すなわち、生徒データ生成部62では、学習画像としての高画質画像について、Z+1種類の、空間解像度の異なる生徒画像としての低画質画像が生成される。
なお、ここでは、例えば、パラメータzの値が大きくなるほど、カットオフ周波数の高いLPFを用いて、高画質画像をフィルタリングし、生徒画像としての低画質画像を生成することとする。この場合、値の大きいパラメータzに対する生徒画像としての低画質画像ほど、空間解像度が高い。
また、生徒データ生成部62では、パラメータzに応じて、学習画像としての高画質画像の水平方向及び垂直方向のうちの一方又は両方向の空間解像度を低下させた生徒画像としての低画質画像を生成することができる。
さらに、学習画像としての高画質画像の水平方向及び垂直方向のうちの両方向の空間解像度を低下させた生徒画像としての低画質画像を生成する場合には、学習画像としての高画質画像の水平方向及び垂直方向の空間解像度は、それぞれ別個のパラメータ、すなわち、2個のパラメータz及びz'に応じて、別個に低下させることができる。
この場合、図5の係数取得部24では、外部から2個のパラメータz及びz'が与えられ、その2個のパラメータz及びz'と種係数とを用いて、タップ係数が生成される。
以上のように、種係数としては、1個のパラメータzの他、2個のパラメータz及びz'、さらには、3個以上のパラメータを用いて、タップ係数を生成することができる種係数を求めることができる。但し、本明細書では、説明を簡単にするため、1個のパラメータzを用いてタップ係数を生成する種係数を例に、説明を行う。
学習部63は、教師データ生成部31からの教師データとしての教師画像、パラメータ生成部61からのパラメータz、及び、生徒データ生成部62からの生徒データとしての生徒画像を用いて、クラスごとの種係数を求めて出力する。
図7は、図6の学習部63の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図4の学習部33と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図7において、学習部63は、タップ選択部41及び42、クラス分類部43、足し込み部71、並びに、係数算出部72を有する。
したがって、図7の学習部63は、タップ選択部41及び42、並びに、クラス分類部43を有する点で、図4の学習部33と共通する。
但し、学習部63は、足し込み部44及び係数算出部45に代えて、足し込み部71、及び、係数算出部72をそれぞれ有する点で、学習部33と相違する。
図7では、タップ選択部41と42は、パラメータ生成部61で生成されるパラメータzに対応して生成された生徒画像(ここでは、パラメータzに対応するカットオフ周波数のLPFを用いて生成された生徒データとしての低画質画像)から、予測タップとクラスタップをそれぞれ選択する。
足し込み部71は、図6の教師データ生成部31からの教師画像から、注目画素に対応する対応画素を取得し、その対応画素、タップ選択部41から供給される注目画素について構成された予測タップを構成する生徒データ(生徒画像の画素)、及び、その生徒データを生成したときのパラメータzを対象とした足し込みを、クラス分類部43から供給されるクラスごとに行う。
すなわち、足し込み部71には、注目画素に対応する対応画素としての教師データyk、タップ選択部41が出力する注目画素についての予測タップxi,k(xj,k)、及び、クラス分類部43が出力する注目画素のクラスが供給されるとともに、注目画素についての予測タップを構成する生徒データを生成したときのパラメータzが、パラメータ生成部61から供給される。
そして、足し込み部71は、クラス分類部43から供給されるクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xi,k(xj,k)とパラメータzを用い、式(20)の左辺の行列における、式(18)で定義されるコンポーネントXi,p,j,qを求めるための生徒データ及びパラメータzの乗算(xi,ktpxj,ktq)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。なお、式(18)のtpは、式(10)にしたがって、パラメータzから計算される。式(18)のtqも同様である。
さらに、足し込み部71は、やはり、クラス分類部43から供給されるクラスごとに、予測タップ(生徒データ)xi,k、教師データyk、及び、パラメータzを用い、式(20)の右辺のベクトルにおける、式(19)で定義されるコンポーネントYi,pを求めるための生徒データxi,k、教師データyk、及び、パラメータzの乗算(xi,ktpyk)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。なお、式(19)のtpは、式(10)にしたがって、パラメータzから計算される。
すなわち、足し込み部71は、前回、教師データとしての、注目画素に対応する対応画素について求められた式(20)における左辺の行列のコンポーネントXi,p,j,qと、右辺のベクトルのコンポーネントYi,pを、その内蔵するメモリ(図示せず)に記憶しており、その行列のコンポーネントXi,p,j,q又はベクトルのコンポーネントYi,pに対して、新たな注目画素に対応する対応画素となった教師データについて、その教師データyk、生徒データxi,k(xj,k)、及びパラメータzを用いて計算される、対応するコンポーネントxi,ktpxj,ktq又はxi,ktpykを足し込む(式(18)のコンポーネントXi,p,j,q又は式(19)のコンポーネントYi,pにおけるサメーションで表される加算を行う)。
そして、足し込み部71は、0,1,・・・,Zのすべての値のパラメータzにつき、生徒画像の画素すべてを注目画素として、上述の足し込みを行うことにより、各クラスについて、式(20)に示した正規方程式をたて、その正規方程式を、係数算出部72に供給する。
係数算出部72は、足し込み部71から供給されるクラスごとの正規方程式を解くことにより、各クラスごとの種係数βm,nを求めて出力する。
ところで、図6の学習装置30では、学習画像としての高画質画像を教師データとするとともに、その高画質画像の空間解像度を、パラメータzに対応して劣化させた低画質画像を生徒データとして、タップ係数wn及び生徒データxnから式(1)の線形1次式で予測される教師データの予測値yの自乗誤差の総和を直接的に最小にする種係数βm,nを求める学習を行うようにしたが、種係数βm,nの学習としては、教師データの予測値yの自乗誤差の総和を、いわば、間接的に最小にする種係数βm,nを求める学習を行うことができる。
すなわち、学習画像としての高画質画像を教師データとするとともに、その高画質画像を、パラメータzに対応したカットオフ周波数のLPFによってフィルタリングすることにより、その水平解像度及び垂直解像度を低下させた低画質画像を生徒データとして、まず最初に、タップ係数wn及び生徒データxnを用いて式(1)の線形1次予測式で予測される教師データの予測値yの自乗誤差の総和を最小にするタップ係数wnを、パラメータzの値(ここでは、z=0,1,・・・,Z)ごとに求める。そして、そのパラメータzの値ごとに求められたタップ係数wnを教師データとするとともに、パラメータzを生徒データとして、式(11)によって種係数βm,n及び生徒データであるパラメータzに対応する変数tmから予測される教師データとしてのタップ係数wnの予測値の自乗誤差の総和を最小にする種係数βm,nを求める。
ここで、式(1)の線形1次予測式で予測される教師データの予測値yの自乗誤差の総和Eを最小(極小)にするタップ係数wnは、図3の学習装置30における場合と同様に、式(8)の正規方程式をたてて解くことにより、各クラスについて、パラメータzの値(z=0,1,・・・,Z)ごとに求めることができる。
ところで、タップ係数は、式(11)に示したように、種係数βm,nと、パラメータzに対応する変数tmとから求められる。そして、いま、この式(11)によって求められるタップ係数を、wn’と表すこととすると、次の式(21)で表される、最適なタップ係数wnと式(11)により求められるタップ係数wn’との誤差enを0とする種係数βm,nが、最適なタップ係数wnを求めるのに最適な種係数となるが、すべてのタップ係数wnについて、そのような種係数βm,nを求めることは、一般には困難である。
なお、式(21)は、式(11)によって、次式のように変形することができる。
そこで、種係数βm,nが最適なものであることを表す規範として、例えば、やはり、最小自乗法を採用することとすると、最適な種係数βm,nは、次式で表される自乗誤差の総和Eを最小にすることで求めることができる。
式(23)の自乗誤差の総和Eの最小値(極小値)は、式(24)に示すように、総和Eを種係数βm,nで偏微分したものを0とするβm,nによって与えられる。
式(22)を、式(24)に代入することにより、次式が得られる。
いま、Xi,j,とYiを、式(26)と(27)に示すように定義する。
この場合、式(25)は、Xi,jとYiを用いた式(28)に示す正規方程式で表すことができる。
式(28)の正規方程式も、例えば、掃き出し法等を用いることにより、種係数βm,nについて解くことができる。
図8は、図6の学習部63の他の構成例を示すブロック図である。
すなわち、図8は、式(28)の正規方程式をたてて解くことにより種係数βm,nを求める学習を行う学習部63の構成例を示している。
なお、図中、図4又は図7の場合と対応するについては、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図8の学習部63は、タップ選択部41及び42、クラス分類部43、係数算出部45、足し込み部81及び82、並びに、係数算出部83を有する。
したがって、図8の学習部63は、タップ選択部41及び42、クラス分類部43、並びに、係数算出部45を有する点で、図4の学習部33と共通する。
但し、図8の学習部63は、足し込み部44に代えて、足し込み部81を有する点、並びに、足し込み部82及び係数算出部83を新たに有する点で、図4の学習部33と相違する。
足し込み部81には、クラス分類部43が出力する注目画素のクラスと、パラメータ生成部61が出力するパラメータzが供給される。足し込み部81は、教師データ生成部31からの教師画像のうちの、注目画素に対応する対応画素としての教師データと、タップ選択部41から供給される注目画素についての予測タップを構成する生徒データとを対象とした足し込みを、クラス分類部43から供給されるクラスごとに、かつ、パラメータ生成部61が出力するパラメータzの値ごとに行う。
すなわち、足し込み部81には、教師データyk、予測タップxn,k、注目画素のクラス、及び、予測タップxn,kを構成する生徒画像を生成したときのパラメータzが供給される。
足し込み部81は、注目画素のクラスごとに、かつ、パラメータzの値ごとに、予測タップ(生徒データ)xn,kを用い、式(8)の左辺の行列における生徒データどうしの乗算(xn,kxn',k)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
さらに、足し込み部81は、注目画素のクラスごとに、かつ パラメータzの値ごとに、予測タップ(生徒データ)xn,kと教師データykを用い、式(8)の右辺のベクトルにおける生徒データxn,k及び教師データykの乗算(xn,kyk)と、サメーション(Σ)に相当する演算を行う。
すなわち、足し込み部81は、前回、教師データとしての、注目画素に対応する対応画素について求められた式(8)における左辺の行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)と、右辺のベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)を、その内蔵するメモリ(図示せず)に記憶しており、その行列のコンポーネント(Σxn,kxn',k)又はベクトルのコンポーネント(Σxn,kyk)に対して、新たな注目画素に対応する対応画素となった教師データについて、その教師データyk+1及び生徒データxn,k+1を用いて計算される、対応するコンポーネントxn,k+1xn',k+1又はxn,k+1yk+1を足し込む(式(8)のサメーションで表される加算を行う)。
そして、足し込み部81は、生徒画像の画素すべてを注目画素として、上述の足し込みを行うことにより、各クラスについて、パラメータzの各値ごとに、式(8)に示した正規方程式をたて、その正規方程式を、係数算出部45に供給する。
したがって、足し込み部81は、図4の足し込み部44と同様に、各クラスについて、式(8)の正規方程式をたてる。但し、足し込み部81は、さらに、パラメータzの各値ごとにも、式(8)の正規方程式をたてる点で、図4の足し込み部44と異なる。
係数算出部45は、足し込み部81から供給される各クラスについての、パラメータzの値ごとの正規方程式を解くことにより、各クラスについて、パラメータzの値ごとの最適なタップ係数wnを求め、足し込み部82に供給する。
足し込み部82は、パラメータ生成部61(図6)から供給されるパラメータz(に対応する変数tm)と、係数算出部45から供給される最適なタップ係数wnを対象とした足し込みを、クラスごとに行う。
すなわち、足し込み部82は、パラメータ生成部61から供給されるパラメータzから式(10)によって求められる変数ti(tj)を用い、式(28)の左辺の行列における、式(26)で定義されるコンポーネントXi,jを求めるためのパラメータzに対応する変数ti(tj)どうしの乗算(titj)と、サメーション(Σ)に相当する演算を、クラスごとに行う。
ここで、コンポーネントXi,jは、パラメータzによってのみ決まるものであり、クラスとは関係がないので、コンポーネントXi,jの計算は、実際には、クラスごとに行う必要はなく、1回行うだけで済む。
さらに、足し込み部82は、パラメータ生成部61から供給されるパラメータzから式(10)によって求められる変数tiと、係数算出部45から供給される最適なタップ係数wnとを用い、式(28)の右辺のベクトルにおける、式(27)で定義されるコンポーネントYiを求めるためのパラメータzに対応する変数ti及び最適なタップ係数wnの乗算(tiwn)と、サメーション(Σ)に相当する演算を、クラスごとに行う。
足し込み部82は、各クラスごとに、式(26)で表されるコンポーネントXi,jと、式(27)で表されるコンポーネントYiを求めることにより、各クラスについて、式(28)の正規方程式をたて、その正規方程式を、係数算出部83に供給する。
係数算出部83は、足し込み部82から供給されるクラスごとの式(28)の正規方程式を解くことにより、各クラスごとの種係数βm,nを求めて出力する。
図5の係数取得部24には、以上のようにして求められたクラスごとの種係数βm,nを記憶させることができる。
なお、種係数の学習においても、タップ係数の学習における場合と同様に、第1の画像に対応する生徒データと、第2の画像に対応する教師データとする画像の選択の仕方によって、種係数としては、各種の画像変換処理を行う種係数を得ることができる。
すなわち、上述の場合には、学習画像を、そのまま第2の画像に対応する教師データとするとともに、その学習画像の空間解像度を劣化させた低画質画像を、第1の画像に対応する生徒データとして、種係数の学習を行うようにしたことから、種係数としては、第1の画像を、その空間解像度を向上させた第2の画像に変換する空間解像度創造処理としての画像変換処理を行う種係数を得ることができる。
この場合、図5の画像変換装置20では、画像の水平解像度及び垂直解像度を、パラメータzに対応する解像度に向上させることができる。
また、例えば、高画質画像を教師データとするとともに、その教師データとしての高画質画像に対して、パラメータzに対応するレベルのノイズを重畳した画像を生徒データとして、種係数の学習を行うことにより、種係数としては、第1の画像を、そこに含まれるノイズを除去(低減)した第2の画像に変換するノイズ除去処理としての画像変換処理を行う種係数を得ることができる。この場合、図5の画像変換装置20では、パラメータzに対応するS/Nの画像(パラメータzに対応する強度のノイズ除去を施した画像)を得ることができる。
なお、上述の場合には、タップ係数wnを、式(9)に示したように、β1,nz0+β2,nz1+・・・+βM,nzM-1で定義し、この式(9)によって、水平及び垂直方向の空間解像度を、いずれも、パラメータzに対応して向上させるためのタップ係数wnを求めるようにしたが、タップ係数wnとしては、水平解像度と垂直解像度を、独立のパラメータzxとzyに対応して、それぞれ独立に向上させるものを求めるようにすることも可能である。
すなわち、タップ係数wnを、式(9)に代えて、例えば、3次式β1,nzx 0zy 0+β2,nzx 1zy 0+β3,nzx 2zy 0+β4,nzx 3zy 0+β5,nzx 0zy 1+β6,nzx 0zy 2+β7,nzx 0zy 3+β8,nzx 1zy 1+β9,nzx 2zy 1+β10,nzx 1zy 2で定義するとともに、式(10)で定義した変数tmを、式(10)に代えて、例えば、t1=zx 0zy 0,t2=zx 1zy 0,t3=zx 2zy 0,t4=zx 3zy 0,t5=zx 0zy 1,t6=zx 0zy 2,t7=zx 0zy 3,t8=zx 1zy 1,t9=zx 2zy 1,t10=zx 1zy 2で定義する。この場合も、タップ係数wnは、最終的には、式(11)で表すことができ、したがって、図6の学習装置30において、パラメータzxとzyに対応して、教師データの水平解像度と垂直解像度をそれぞれ劣化させた画像を、生徒データとして用いて学習を行って、種係数βm,nを求めることにより、水平解像度と垂直解像度を、独立のパラメータzxとzyに対応して、それぞれ独立に向上させるタップ係数wnを求めることができる。
その他、例えば、水平解像度と垂直解像度それぞれに対応するパラメータzxとzyに加えて、さらに、時間方向の解像度に対応するパラメータztを導入することにより、水平解像度、垂直解像度、時間解像度を、独立のパラメータzx,zy,ztに対応して、それぞれ独立に向上させるタップ係数wnを求めることが可能となる。
さらに、図6の学習装置30において、パラメータzxに対応して教師データの水平解像度及び垂直解像度を劣化させるとともに、パラメータzyに対応して教師データにノイズを付加した画像を、生徒データとして用いて学習を行って、種係数βm,nを求めることにより、パラメータzxに対応して水平解像度及び垂直解像度を向上させるとともに、パラメータzyに対応してノイズ除去を行うタップ係数wnを求めることができる。
<符号化装置11の第1の構成例>
図9は、図1の符号化装置11の第1の構成例を示すブロック図である。
図9において、符号化装置11は、A/D変換部101、並べ替えバッファ102、演算部103、直交変換部104、量子化部105、可逆符号化部106、及び、蓄積バッファ107を有する。さらに、符号化装置11は、逆量子化部108、逆直交変換部109、演算部110、クラス分類適応フィルタ111、フレームメモリ112、選択部113、イントラ予測部114、動き予測補償部115、予測画像選択部116、及び、レート制御部117を有する。
A/D変換部101は、アナログ信号の元画像を、ディジタル信号の元画像にA/D変換し、並べ替えバッファ102に供給して記憶させる。
並べ替えバッファ102は、元画像のフレームを、GOP(Group Of Picture)に応じて、表示順から符号化(復号)順に並べ替え、演算部103、イントラ予測部114、動き予測補償部115、及び、クラス分類適応フィルタ111に供給する。
演算部103は、並べ替えバッファ102からの元画像から、予測画像選択部116を介してイントラ予測部114又は動き予測補償部115から供給される予測画像を減算し、その減算により得られる残差(予測残差)を、直交変換部104に供給する。
例えば、インター符号化が行われる画像の場合、演算部103は、並べ替えバッファ102から読み出された元画像から、動き予測補償部115から供給される予測画像を減算する。
直交変換部104は、演算部103から供給される残差に対して、離散コサイン変換やカルーネン・レーベ変換等の直交変換を施す。なお、この直交変換の方法は任意である。直交変換部104は、直交交換により得られる変換係数を量子化部105に供給する。
量子化部105は、直交変換部104から供給される変換係数を量子化する。量子化部105は、レート制御部117から供給される符号量の目標値(符号量目標値)に基づいて量子化パラメータQPを設定し、変換係数の量子化を行う。なお、この量子化の方法は任意である。量子化部105は、量子化された変換係数を可逆符号化部106に供給する。
可逆符号化部106は、量子化部105において量子化された変換係数を所定の可逆符号化方式で符号化する。変換係数は、レート制御部117の制御の下で量子化されているので、可逆符号化部106の可逆符号化により得られる符号化データの符号量は、レート制御部117が設定した符号量目標値となる(又は符号量目標値に近似する)。
また、可逆符号化部106は、符号化装置11での予測符号化に関する符号化情報のうちの、必要な符号化情報を、各ブロックから取得する。
ここで、符号化情報としては、例えば、イントラ予測やインター予測の予測モード、動きベクトル等の動き情報、符号量目標値、量子化パラメータQP、ピクチャタイプ(I,P,B)、CU(Coding Unit)やCTU(Coding Tree Unit)の情報等がある。
例えば、予測モードは、イントラ予測部114や動き予測補償部115から取得することができる。また、例えば、動き情報は、動き予測補償部115から取得することができる。
可逆符号化部106は、符号化情報を取得する他、クラス分類適応フィルタ111から、そのクラス分類適応フィルタ111でのクラス分類適応処理に関するフィルタ情報を取得する。図9では、フィルタ情報には、クラスごとのタップ係数が含まれる。
可逆符号化部106は、符号化情報及びフィルタ情報を、任意の可逆符号化方式で符号化し、符号化データのヘッダ情報の一部とする(多重化する)。
可逆符号化部106は、符号化データを、蓄積バッファ107を介して伝送する。したがって、可逆符号化部106は、符号化データ、ひいては、符号化データに含まれる符号化情報やフィルタ情報を伝送する伝送部として機能する。
可逆符号化部106の可逆符号化方式としては、例えば、可変長符号化又は算術符号化等を採用することができる。可変長符号化としては、例えば、H.264/AVC方式で定められているCAVLC(Context-Adaptive Variable Length Coding)等がある。算術符号化としては、例えば、CABAC(Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)等がある。
蓄積バッファ107は、可逆符号化部106から供給される符号化データを、一時的に蓄積する。蓄積バッファ107に蓄積された符号化データは、所定のタイミングで読み出されて伝送される。
量子化部105において量子化された変換係数は、可逆符号化部106に供給される他、逆量子化部108にも供給される。逆量子化部108は、量子化された変換係数を、量子化部105による量子化に対応する方法で逆量子化する。この逆量子化の方法は、量子化部105による量子化処理に対応する方法であればどのような方法であってもよい。逆量子化部108は、逆量子化により得られる変換係数を、逆直交変換部109に供給する。
逆直交変換部109は、逆量子化部108から供給される変換係数を、直交変換部104による直交変換処理に対応する方法で逆直交変換する。この逆直交変換の方法は、直交変換部104による直交変換処理に対応する方法であればどのようなものであってもよい。逆直交変換された出力(復元された残差)は、演算部110に供給される。
演算部110は、逆直交変換部109から供給される逆直交変換結果、すなわち、復元された残差に、予測画像選択部116を介してイントラ予測部114又は動き予測補償部115から供給される予測画像を加算し、その加算結果を、復号途中の復号途中画像として出力する。
演算部110が出力する復号途中画像は、クラス分類適応フィルタ111又はフレームメモリ112に供給される。
クラス分類適応フィルタ111は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF処理を行う。
クラス分類適応フィルタ111には、演算部110から復号途中画像が供給される他、並べ替えバッファ102から、復号途中画像に対応する元画像が供給されるとともに、符号化装置11の各ブロックから必要な符号化情報が供給される。
クラス分類適応フィルタ111は、演算部110からの復号途中画像に相当する生徒画像と、並べ替えバッファ102からの元画像に相当する教師画像とを用いるとともに、必要に応じて、符号化情報を用いて、クラスごとのタップ係数を求める学習を行う。
すなわち、クラス分類適応フィルタ111は、例えば、演算部110からの復号途中画像そのものを生徒画像とするとともに、並べ替えバッファ102からの元画像そのものを教師画像として、必要に応じて、符号化情報を用いて、クラスごとのタップ係数を求める学習を行う。クラスごとのタップ係数は、フィルタ情報として、クラス分類適応フィルタ111から可逆符号化部106に供給される。
さらに、クラス分類適応フィルタ111は、演算部110からの復号途中画像を第1の画像として、クラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理(による画像変換)を、符号化情報を必要に応じて用いて行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)出力する。
クラス分類適応フィルタ111が出力するフィルタ後画像は、フレームメモリ112に供給される。
ここで、クラス分類適応フィルタ111では、上述のように、復号途中画像を生徒画像とするとともに、元画像を教師画像として、学習が行われ、その学習により得られるタップ係数を用いて、復号途中画像をフィルタ後画像に変換するクラス分類適応処理が行われる。したがって、クラス分類適応フィルタ111で得られるフィルタ後画像は、極めて元画像に近い画像になる。
フレームメモリ112は、演算部110から供給される復号途中画像、又は、クラス分類適応フィルタ111から供給されるフィルタ後画像を、局所復号された復号画像として一時記憶する。フレームメモリ112に記憶された復号画像は、必要なタイミングで、予測画像の生成に用いられる参照画像として、選択部113に供給される。
例えば、フレームメモリ112に記憶される復号画像としての、演算部110から供給される復号途中画像、及び、クラス分類適応フィルタ111から供給されるフィルタ後画像のうちの、復号途中画像は、イントラ予測の参照画像として用いられる。また、フィルタ後画像は、インター予測の参照画像として用いられる。
選択部113は、フレームメモリ112から供給される参照画像の供給先を選択する。例えば、イントラ予測部114においてイントラ予測が行われる場合、選択部113は、フレームメモリ112から供給される参照画像を、イントラ予測部114に供給する。また、例えば、動き予測補償部115においてインター予測が行われる場合、選択部113は、フレームメモリ112から供給される参照画像を、動き予測補償部115に供給する。
イントラ予測部114は、並べ替えバッファ102から供給される元画像と、選択部113を介してフレームメモリ112から供給される参照画像とを用いて、基本的に、PU(Prediction Unit)を処理単位として、イントラ予測(画面内予測)を行う。イントラ予測部114は、所定のコスト関数に基づいて、最適なイントラ予測モードを選択し、その最適なイントラ予測モードで生成された予測画像を、予測画像選択部116に供給する。また、上述したように、イントラ予測部114は、コスト関数に基づいて選択されたイントラ予測モードを示す予測モードを、可逆符号化部106等に適宜供給する。
動き予測補償部115は、並べ替えバッファ102から供給される元画像と、選択部113を介してフレームメモリ112から供給される参照画像とを用いて、基本的にPUを処理単位として、動き予測(インター予測)を行う。さらに、動き予測補償部115は、動き予測により検出される動きベクトルに応じて動き補償を行い、予測画像を生成する。動き予測補償部115は、あらかじめ用意された複数のインター予測モードで、インター予測を行い、予測画像を生成する。
動き予測補償部115は、複数のインター予測モードそれぞれについて得られた予測画像の所定のコスト関数に基づいて、最適なインター予測モードを選択する。さらに、動き予測補償部115は、最適なインター予測モードで生成された予測画像を、予測画像選択部116に供給する。
また、動き予測補償部115は、コスト関数に基づいて選択されたインター予測モードを示す予測モードや、そのインター予測モードで符号化された符号化データを復号する際に必要な動きベクトル等の動き情報等を、可逆符号化部106に供給する。
予測画像選択部116は、演算部103及び110に供給する予測画像の供給元(イントラ予測部114又は動き予測補償部115)を選択し、その選択した方の供給元から供給される予測画像を、演算部103及び110に供給する。
レート制御部117は、蓄積バッファ107に蓄積された符号化データの符号量に基づいて、オーバーフローあるいはアンダーフローが発生しないように、量子化部105の量子化動作のレートを制御する。すなわち、レート制御部117は、蓄積バッファ107のオーバーフロー及びアンダーフローが生じないように、符号化データの目標符号量を設定し、量子化部105に供給する。
<クラス分類適応フィルタ111の構成例>
図10は、図9のクラス分類適応フィルタ111の構成例を示すブロック図である。
図10において、クラス分類適応フィルタ111は、画像変換装置131及び学習装置132を有する。
画像変換装置131には、演算部110(図9)から復号途中画像が供給されるとともに、学習装置132からクラスごとのタップ係数が供給される。さらに、画像変換装置131には、符号化情報が供給される。
画像変換装置131は、復号途中画像を第1の画像として、クラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、フレームメモリ112(図9)に供給する。
なお、画像変換装置131は、クラス分類適応処理において、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
学習装置132には、並べ替えバッファ102(図9)から元画像が供給されるとともに、演算部110(図9)から復号途中画像が供給される。さらに、学習装置132には、符号化情報が供給される。
学習装置132は、復号途中画像を生徒データとするとともに、元画像を教師データとして、クラスごとのタップ係数を求める学習(以下、タップ係数学習ともいう)を行う。
さらに、学習装置132は、タップ係数学習により得られるクラスごとのタップ係数を、フィルタ情報として、画像変換装置131及び可逆符号化部106(図9)に供給する。
なお、学習装置132は、タップ係数学習において、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
<画像変換装置131の構成例>
図11は、図10の画像変換装置131の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図2の画像変換装置20と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
図11において、画像変換装置131は、タップ選択部21ないし予測演算部25を有する。
したがって、画像変換装置131は、図2の画像変換装置20と同様に構成される。
但し、画像変換装置131では、復号途中画像が、第1の画像として、タップ選択部21及び22に供給され、予測演算部25では、フィルタ後画像が第2の画像として求められる。
また、画像変換装置131では、符号化情報が、クラス分類部23に供給され、クラス分類部23が、クラスタップや符号化情報を必要に応じて用いてクラス分類を行う。
さらに、画像変換装置131では、学習装置132で得られたフィルタ情報としてのクラスごとのタップ係数が、係数取得部24に供給されて記憶される。
図12は、図11のクラス分類部23で行われるクラス分類の例を説明する図である。
クラス分類部23では、クラスタップとしての復号途中画像の画素の画素値から得られる注目画素の画像特徴量、及び、注目画素の符号化情報のうちの一方、又は、両方を用いて、クラス分類を行うことができる。
クラス分類に用いる画像特徴量としては、例えば、ADRC処理により得られるADRCコード(ADRC値)を採用することができる。
図12は、1ビットADRC処理の例を説明する図である。
ここで、復号途中画像の画素を、画素番号を付して特定することとし、画素番号iの画素を画素iとも記載する。
図12では、復号途中画像において、画素0が注目画素になっている。
そして、注目画素としての画素0を中心とする十字型の9画素がクラスタップを構成している。
すなわち、画素0、画素0の上に隣接する2画素である画素1及び画素2、画素0の左に隣接する2画素である画素3及び画素4、画素0の右に隣接する2画素である画素5及び画素6、並びに、画素0の下に隣接する2画素である画素7及び画素8の、合計で9画素0ないし8が、注目画素である画素0のクラスタップを構成している。
クラス分類部23は、クラスタップを構成する画素0ないし8の画素値の最大値MAXと最小値MINを検出し、その最大値MAXと最小値MINとの間の中間値(平均値)を、量子化の閾値として求める。
さらに、クラス分類部23は、画素0ないし8の画素値を、閾値と比較し、画素値が閾値以上である場合には、量子化値1に量子化し、画素値が閾値以上でない場合には、量子化値0に量子化する。
そして、クラス分類部23は、画素0ないし8の画素値の量子化値を、例えば、画素番号順に並べたコードを、ADRCコードとして求める。
いま、説明を簡単にするため、クラス分類部23が、画像特徴量としてのADRCコードのみを用いて、注目画素(画素0)のクラス分類を行うこととすると、クラス分類部23は、注目画素を、例えば、ADRCコードに対応するクラスコードのクラスにクラス分類する。
ここで、例えば、クラスコードが10進数で表されることとすると、ADRCコードに対応するクラスコードとは、ADRCコードを2進数とみなして、その2進数のADRCコードを10進数に変換した値を意味する。
この場合、例えば、画素0ないし8の画素値の量子化値を画素番号順に並べたADRCコードが、000011100であれば、そのADRCコード000011100に対応するクラスコードは、28になる。
なお、図12では、最大値MAXと最小値MINとの間の1つの値を、量子化の閾値とする1ビットADRC処理を行うこととしたが、複数の値を量子化の閾値とすることで、クラスタップを構成する各画素の画素値を、複数であるNビットに量子化するNビットADRC処理を行うことができる。
また、クラスタップが、9個の画素0ないし8で構成され、1ビットADRC処理によるクラス分類を行う場合、クラス数は、29クラスになるが、クラス分類により得られるクラス数は、縮退することができる。
例えば、1ビットADRC処理によるクラス分類を行う場合、その1ビットADRC処理により得られるADRCコードとしての2進数と、その2進数のビットを反転した反転2進数とについては、同一のクラスにクラス分類する、クラス数の縮退を行うことにより、クラス数は、縮退を行わない場合の1/2にすることができる。
例えば、9個の画素0ないし8で構成されるクラスタップを対象とした1ビットADRC処理によるクラス分類を行う場合、クラス数の縮退を行うことにより、クラス数を、29-1クラスにすることができる。
なお、ADRCについては、例えば、特許第4240322号公報に記載されている。
ここで、クラスタップは、図12に示したような、注目画素を中心とする十字型の9画素に限定されるものではない。
すなわち、クラスタップとしては、例えば、注目画素を中心とする3×3画素の正方形状の9画素や、注目画素を中心とする、水平方向及び垂直方向を対角線とする菱形状の13画素を採用することができる。
さらに、クラスタップは、注目画素のフレーム(ピクチャ)である注目フレームの他、注目画素に隣接するフレーム等の注目フレーム以外のフレームの画素を含めて構成することができる。
また、図12では、クラス分類に用いる画像特徴量として、クラスタップから得られるADRCコードを採用することとしたが、画像特徴量としては、その他、例えば、クラスタップを構成する画素の画素値のダイナミックレンジや差分絶対値和等のADRCコード以外の画像特徴量を採用することができる。
クラス分類に用いる画像特徴量として、例えば、クラスタップを構成する画素の画素値のダイナミックレンジを採用する場合、例えば、ダイナミックレンジを、1以上の閾値で閾値処理することにより、注目画素を2以上のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分類することができる。
さらに、クラス分類は、ADRCコード等の1つの画像特徴量ではなく、例えば、ADRCコード及びダイナミックレンジ等の複数の画像特徴量を用いて行うことができる。
また、クラス分類は、注目画素の画像特徴量の他、注目画素の符号化情報を用いて行うことができる。
クラス分類に用いる注目画素の符号化情報としては、例えば、注目画素を含むCUやPU等のブロック内における注目画素の位置を表すブロック位相や、注目画素を含むピクチャのピクチャタイプ、注目画素を含むPUの量子化パラメータQP等を採用することができる。
クラス分類に用いる注目画素の符号化情報として、ブロック位相を採用する場合には、例えば、注目画素がブロックの境界の画素であるか否かによって、注目画素をクラス分類することができる。
また、クラス分類に用いる注目画素の符号化情報として、ピクチャタイプを採用する場合には、例えば、注目画素を含むピクチャが、Iピクチャ、Pピクチャ、及び、Bピクチャのうちのいずれであるかによって、注目画素をクラス分類することができる。
さらに、クラス分類に用いる注目画素の符号化情報として、量子化パラメータQPを採用する場合には、例えば、量子化の粗さ(細かさ)によって、注目画素をクラス分類することができる。
また、クラス分類は、画像特徴量又は符号化情報を用いて行う他、例えば、画像特徴量及び符号化情報の両方を用いて行うことができる。
<学習装置132の構成例>
図13は、図10の学習装置132の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図3及び図4の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図13において、学習装置132は、学習部33を有する。学習部33は、タップ選択部41及び42、クラス分類部43、足し込み部44、並びに、係数算出部45を有する。
したがって、図13の学習装置132は、学習部33を有する点で、図3の場合と共通する。さらに、学習装置132は、学習部33が、タップ選択部41ないし係数算出部45を有する点で、図4の場合と共通する。
但し、図13の学習装置132は、教師データ生成部31及び生徒データ生成部32を有しない点で、図3の場合と相違する。
さらに、図13の学習装置132は、学習部33において、クラス分類部43に、符号化情報が供給される点で、図4の場合と相違する。
図13の学習装置132では、クラス分類部43が、クラスタップや符号化情報を必要に応じて用いて、図11のクラス分類部23と同様のクラス分類を行う。
また、図13の学習装置132では、復号途中画像を生徒データとして用いるとともに、その復号途中画像に対応する元画像を教師データとして用いて、タップ係数の学習が行われる。
そして、図13の学習装置132では、係数算出部45で求められたクラスごとのタップ係数が、画像変換装置131(図10)に供給されるとともに、フィルタ情報として、可逆符号化部106(図9)に供給される。
なお、タップ係数の学習は、元画像の符号化と並列して行うこともできるし、元画像の符号化とは関係なく、前もって行っておくこともできる。
タップ係数の学習を、元画像の符号化とは関係なく、前もって行う場合には、複数のカテゴリの元画像を教師データとして用いて、カテゴリごとに、タップ係数の学習を行うことができる。そして、複数のカテゴリのタップ係数のうちの、例えば、所定のコスト関数を最小にするカテゴリのタップ係数を、画像変換装置131でのクラス分類適応処理に用いるとともに、フィルタ情報として、可逆符号化部106から伝送することができる。
<符号化処理>
図14は、図9の符号化装置11の符号化処理の例を説明するフローチャートである。
なお、図14に示す符号化処理の各ステップの順番は、説明の便宜上の順番であり、実際の符号化処理の各ステップは、適宜、並列的に、必要な順番で行われる。後述する符号化処理についても、同様である。
符号化装置11において、クラス分類適応フィルタ111の学習装置132(図10)は、そこに供給される復号途中画像を生徒データとするとともに、その復号途中画像に対応する元画像を教師データとして、適宜、学習を行っている。そして、学習装置132は、ステップS11において、フィルタ情報としてのタップ係数の更新タイミングであるかどうかを判定する。
ここで、フィルタ情報の更新タイミングは、例えば、1以上のフレーム(ピクチャ)ごとや、1以上のシーケンスごと、1以上のスライスごと等のように、あらかじめ決めておくことができる。
また、例えば、所定のコスト関数が閾値以下にならなくなったときを、フィルタ情報の更新タイミングとして採用することができる。
ステップS11において、フィルタ情報の更新タイミングでないと判定された場合、処理は、ステップS12及びS13をスキップして、ステップS14に進む。
また、ステップS11において、フィルタ情報の更新タイミングであると判定された場合、処理は、ステップS12に進み、画像変換装置131は、フィルタ情報としてのタップ係数を、学習装置132から供給される最新のフィルタ情報としてのタップ係数に更新する。
すなわち、画像変換装置131(図11)は、係数取得部24に、学習装置132から供給される最新のタップ係数を記憶させる。
そして、処理は、ステップS12からステップS13に進み、可逆符号化部106は、学習装置132から供給される最新のフィルタ情報を、伝送対象に設定して、処理は、ステップS14に進む。伝送対象に設定された最新のフィルタ情報は、後述するステップS27において符号化データに含められて伝送される。
ステップS14以降では、元画像の予測符号化処理が行われる。
すなわち、ステップS14において、A/D変換部101は、元画像をA/D変換し、並べ替えバッファ102に供給して、処理は、ステップS15に進む。
ステップS15において、並べ替えバッファ102は、A/D変換部101からの元画像を記憶し、符号化順に並べ替えて出力し、処理は、ステップS16に進む。
ステップS16では、イントラ予測部114は、イントラ予測モードのイントラ予測処理を行い、処理は、ステップS17に進む。ステップS17において、動き予測補償部115は、インター予測モードでの動き予測や動き補償を行うインター動き予測処理を行い、処理は、ステップS18に進む。
イントラ予測部114のイントラ予測処理、及び、動き予測補償部115のインター動き予測処理では、各種の予測モードのコスト関数が演算されるとともに、予測画像が生成される。
ステップS18では、予測画像選択部116は、イントラ予測部114及び動き予測補償部115で得られる各コスト関数に基づいて、最適な予測モードを決定する。そして、予測画像選択部116は、イントラ予測部114により生成された予測画像と、動き予測補償部115により生成された予測画像のうちの最適な予測モードの予測画像を選択して出力し、処理は、ステップS18からステップS19に進む。
ステップS19では、演算部103は、並べ替えバッファ102が出力する元画像である符号化対象の対象画像と、予測画像選択部116が出力する予測画像との残差を演算し、直交変換部104に供給して、処理は、ステップS20に進む。
ステップS20では、直交変換部104は、演算部103からの残差を直交変換し、その結果得られる変換係数を、量子化部105に供給して、処理は、ステップS21に進む。
ステップS21では、量子化部105は、直交変換部104からの変換係数を量子化し、その量子化により得られる量子化係数を、可逆符号化部106及び逆量子化部108に供給して、処理は、ステップS22に進む。
ステップS22では、逆量子化部108は、量子化部105からの量子化係数を逆量子化し、その結果得られる変換係数を、逆直交変換部109に供給して、処理は、ステップS23に進む。ステップS23では、逆直交変換部109は、逆量子化部108からの変換係数を逆直交変換し、その結果得られる残差を、演算部110に供給して、処理は、ステップS24に進む。
ステップS24では、演算部110は、逆直交変換部109からの残差と、予測画像選択部116が出力する予測画像とを加算し、演算部103での残差の演算の対象となった元画像に対応する復号途中画像を生成する。演算部110は、復号途中画像を、クラス分類適応フィルタ111又はフレームメモリ112に供給し、処理は、ステップS24からステップS25に進む。
演算部110からクラス分類適応フィルタ111に、復号途中画像が供給される場合、ステップS25において、クラス分類適応フィルタ111は、演算部110からの復号途中画像に、ILFの処理としてのクラス分類適応処理(クラス分類適応フィルタ処理)を施す。復号途中画像に、クラス分類適応処理が施されることにより、復号途中画像をILFでフィルタリングする場合よりも元画像に近いフィルタ後画像が求められる。
クラス分類適応フィルタ111は、クラス分類適応処理により得られるフィルタ後画像を、フレームメモリ112に供給して、処理は、ステップS25からステップS26に進む。
ステップS26では、フレームメモリ112は、演算部110から供給される復号途中画像、又は、クラス分類適応フィルタ111から供給されるフィルタ後画像を、復号画像として記憶し、処理は、ステップS27に進む。フレームメモリ112に記憶された復号画像は、ステップS17やS18で、予測画像を生成する元となる参照画像として使用される。
ステップS27では、可逆符号化部106は、量子化部105からの量子化係数を符号化する。さらに、可逆符号化部106は、量子化部105での量子化に用いられた量子化パラメータQPや、イントラ予測部114でのイントラ予測処理で得られた予測モード、動き予測補償部115でのインター動き予測処理で得られた予測モードや動き情報等の符号化情報を必要に応じて符号化し、符号化データに含める。
また、可逆符号化部106は、ステップS13で伝送対象に設定されたフィルタ情報を符号化し、符号化データに含める。そして、可逆符号化部106は、符号化データを、蓄積バッファ107に供給し、処理は、ステップS27からステップS28に進む。
ステップS28において、蓄積バッファ107は、可逆符号化部106からの符号化データを蓄積し、処理は、ステップS29に進む。蓄積バッファ107に蓄積された符号化データは、適宜読み出されて伝送される。
ステップS29では、レート制御部117は、蓄積バッファ107に蓄積されている符号化データの符号量(発生符号量)に基づいて、オーバーフローあるいはアンダーフローが発生しないように、量子化部105の量子化動作のレートを制御し、符号化処理は終了する。
図15は、図14のステップS25で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ111の画像変換装置131(図11)では、ステップS41において、タップ選択部21が、演算部110から供給される復号途中画像(としてのブロック)の画素のうちの、まだ、注目画素とされていない画素の1つを、注目画素として選択し、処理は、ステップS42に進む。
ステップS42において、タップ選択部21及び22が、演算部110から供給される復号途中画像から、注目画素についての予測タップ及びクラスタップとする画素を、それぞれ選択する。そして、タップ選択部21は、予測タップを予測演算部25に供給し、タップ選択部22は、クラスタップを、クラス分類部23に供給する。
その後、処理は、ステップS42からステップS43に進み、クラス分類部23は、注目画素についてのクラスタップ、及び、注目画素についての符号化情報を用いて、注目画素のクラス分類を行う。
すなわち、クラス分類では、ステップS51において、クラス分類部23は、タップ選択部22からのクラスタップを構成する画素から、例えば、ADRCコード(ADRC値)等の画像特徴量を抽出(算出)し、処理は、ステップS52に進む。
ステップS52では、クラス分類部23は、注目画素についての必要な符号化情報を取得し、あらかじめ決められた規則に従って、符号化情報を、情報コードに変換して、処理は、ステップS53に進む。
すなわち、例えば、符号化情報が、Iピクチャ、Pピクチャ、又は、Bピクチャを表すピクチャタイプである場合、Iピクチャ、Pピクチャ、及び、Bピクチャには、例えば、情報コード0,1,2がそれぞれ割り当てられており、その割り当てに従い、注目画素のピクチャタイプが、情報コードに変換される。
ステップS53では、クラス分類部23は、画像特徴量及び情報コードから、注目画素のクラスを表すクラスコードを生成し、係数取得部24に供給して、ステップS43のクラス分類を終了する。
例えば、画像特徴量がADRCコードである場合には、クラス分類部23は、画像特徴量としてのADRCコードの上位ビットに、情報コードを付加して得られる数値を、注目画素のクラスを表すクラスコードとして生成する。
ステップS43のクラス分類が終了すると、処理は、ステップS44に進み、係数取得部24が、クラス分類部23から供給されるクラスコードが表すクラスのタップ係数を取得し、予測演算部25に供給して、処理は、ステップS45に進む。
ステップS45では、予測演算部25は、タップ選択部21からの予測タップと、係数取得部24からのタップ係数とを用いて、式(1)予測演算を行う。これにより、予測演算部25は、注目画素に対応する元画像の対応画素の画素値の予測値を、フィルタ後画像の画素値として求め、処理は、ステップS46に進む。
ステップS46では、タップ選択部21が、演算部110からの復号途中画像(としてのブロック)の画素の中に、まだ、注目画素としていない画素があるかどうかを判定する。ステップS46において、まだ、注目画素としていない画素があると判定された場合、処理は、ステップS41に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS46において、まだ、注目画素とされていない画素がないと判定された場合、処理は、ステップS47に進み、予測演算部25は、演算部110からの復号途中画像(としてのブロック)に対して得られた画素値で構成されるフィルタ後画像を、フレームメモリ112(図9)に供給する。そして、クラス分類適応処理は終了され、処理はリターンする。
<復号装置12の第1の構成例>
図16は、図1の復号装置12の第1の構成例を示すブロック図である。
図16において、復号装置12は、蓄積バッファ201、可逆復号部202、逆量子化部203、逆直交変換部204、演算部205、クラス分類適応フィルタ206、並べ替えバッファ207、及び、D/A変換部208を有する。また、復号装置12は、フレームメモリ210、選択部211、イントラ予測部212、動き予測補償部213、及び、選択部214を有する。
蓄積バッファ201は、符号化装置11から伝送されてくる符号化データを一時蓄積し、所定のタイミングにおいて、その符号化データを、可逆復号部202に供給する。
可逆復号部202は、蓄積バッファ201からの符号化データを取得する。したがって、可逆復号部202は、符号化装置11から伝送されてくる符号化データ、ひいては、符号化データに含まれる符号化情報やフィルタ情報を受け取る受け取り部として機能する。
可逆復号部202は、蓄積バッファ201から取得した符号化データを、図9の可逆符号化部106の符号化方式に対応する方式で復号する。
そして、可逆復号部202は、符号化データの復号により得られる量子化係数を、逆量子化部203に供給する。
また、可逆復号部202は、符号化データの復号により、符号化情報やフィルタ情報が得られた場合には、必要な符号化情報を、イントラ予測部212や動き予測補償部213その他の必要なブロックに供給する。
さらに、可逆復号部202は、符号化情報及びフィルタ情報を、クラス分類適応フィルタ206に供給する。
逆量子化部203は、可逆復号部202からの量子化係数を、図9の量子化部105の量子化方式に対応する方式で逆量子化し、その逆量子化により得られる変換係数を、逆直交変換部204に供給する。
逆直交変換部204は、逆量子化部203から供給される変換係数を、図9の直交変換部104の直交変換方式に対応する方式で逆直交変換し、その結果得られる残差を、演算部205に供給する。
演算部205には、逆直交変換部204から残差が供給される他、選択部214を介して、イントラ予測部212又は動き予測補償部213から予測画像が供給される。
演算部205は、逆直交変換部204からの残差と、選択部214からの予測画像とを加算し、復号途中画像を生成して、クラス分類適応フィルタ206、又は、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給する。例えば、復号途中画像のうちの、イントラ予測に用いる参照画像となる復号途中画像は、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給され、他の復号途中画像は、クラス分類適応フィルタ206に供給される。
クラス分類適応フィルタ206は、クラス分類適応フィルタ111と同様に、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF(の)処理を行う。
すなわち、クラス分類適応フィルタ206は、演算部205からの復号途中画像を第1の画像として、可逆復号部202からのフィルタ情報としてのクラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理(による画像変換)を、可逆復号部202からの符号化情報を必要に応じて用いて行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)出力する。
クラス分類適応フィルタ206が出力するフィルタ後画像は、クラス分類適応フィルタ111が出力するフィルタ後画像と同様の画像であり、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給される。
並べ替えバッファ207は、演算部205から供給される復号途中画像や、クラス分類適応フィルタ206から供給されるフィルタ後画像を、復号画像として一時記憶し、復号画像のフレーム(ピクチャ)の並びを、符号化(復号)順から表示順に並べ替え、D/A変換部208に供給する。
D/A変換部208は、並べ替えバッファ207から供給される復号画像をD/A変換し、図示せぬディスプレイに出力して表示させる。
フレームメモリ210は、演算部205から供給される復号途中画像や、クラス分類適応フィルタ206から供給されるフィルタ後画像を、復号画像として一時記憶する。さらに、フレームメモリ210は、所定のタイミングにおいて、又は、イントラ予測部212や動き予測補償部213等の外部の要求に基づいて、復号画像を、予測画像の生成に用いる参照画像として、選択部211に供給する。
選択部211は、フレームメモリ210から供給される参照画像の供給先を選択する。選択部211は、イントラ符号化された画像を復号する場合、フレームメモリ210から供給される参照画像をイントラ予測部212に供給する。また、選択部211は、インター符号化された画像を復号する場合、フレームメモリ210から供給される参照画像を動き予測補償部213に供給する。
イントラ予測部212は、可逆復号部202から供給される符号化情報に含まれる予測モードに従い、図9のイントラ予測部114において用いられたイントラ予測モードで、フレームメモリ210から選択部211を介して供給される参照画像を用いてイントラ予測を行う。そして、イントラ予測部212は、イントラ予測により得られる予測画像を、選択部214に供給する。
動き予測補償部213は、可逆復号部202から供給される符号化情報に含まれる予測モードに従い、図9の動き予測補償部115において用いられたインター予測モードで、フレームメモリ210から選択部211を介して供給される参照画像を用いてインター予測を行う。インター予測は、可逆復号部202から供給される符号化情報に含まれる動き情報等を必要に応じて用いて行われる。
動き予測補償部213は、インター予測により得られる予測画像を、選択部214に供給する。
選択部214は、イントラ予測部212から供給される予測画像、又は、動き予測補償部213から供給される予測画像を選択し、演算部205に供給する。
<クラス分類適応フィルタ206の構成例>
図17は、図16のクラス分類適応フィルタ206の構成例を示すブロック図である。
図17において、クラス分類適応フィルタ206は、画像変換装置231を有する。
画像変換装置231には、演算部205(図16)から復号途中画像が供給されるとともに、可逆復号部202からフィルタ情報としてのクラスごとのタップ係数、及び、符号化情報が供給される。
画像変換装置231は、図10の画像変換装置131と同様に、復号途中画像を第1の画像として、クラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210(図16)に供給する。
なお、画像変換装置231は、クラス分類適応処理において、図10の画像変換装置131と同様に、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
<画像変換装置231の構成例>
図18は、図17の画像変換装置231の構成例を示すブロック図である。
図18において、画像変換装置231は、タップ選択部241及び242、クラス分類部243、係数取得部244、並びに、予測演算部245を有する。
タップ選択部241ないし予測演算部245は、画像変換装置131(図11)を構成するタップ選択部21ないし予測演算部25とそれぞれ同様に構成される。
すなわち、タップ選択部241及び242には、演算部205(図16)から復号途中画像が供給される。
タップ選択部241は、演算部205からの復号途中画像を第1の画像として、復号途中画像の画素を、順次、注目画素に選択する。
さらに、タップ選択部241は、注目画素について、復号途中画像から、図11のタップ選択部21で選択される予測タップと同一構造の予測タップを選択し、予測演算部245に供給する。
タップ選択部242は、注目画素について、演算部205からの復号途中画像を第1の画像として、復号途中画像の画素から、図11のタップ選択部22で選択されるクラスタップと同一構造のクラスタップを選択し、クラス分類部243に供給する。
クラス分類部243には、タップ選択部242からクラスタップが供給される他、可逆復号部202(図16)から、符号化情報が供給される。
クラス分類部243は、タップ選択部242からのクラスタップ、及び、可逆復号部202からの符号化情報を用いて、図11のクラス分類部23と同一のクラス分類を行い、注目画素のクラス(を表すクラスコード)を、係数取得部244に供給する。
係数取得部244には、クラス分類部243から注目画素のクラスが供給される他、可逆復号部202からフィルタ情報としてのクラスごとのタップ係数が供給される。
係数取得部244は、可逆復号部202からフィルタ情報としてのクラスごとのタップ係数が供給されると、記憶しているタップ係数を、可逆復号部202からタップ係数に更新する。
さらに、係数取得部244は、記憶しているタップ係数から、クラス分類部243からの注目画素のクラスのタップ係数を取得し、予測演算部245に供給する。
予測演算部245は、タップ選択部241からの予測タップと、係数取得部244からのタップ係数とを用いて、式(1)の予測演算を行い、復号途中画像の注目画素に対応する元画像の対応画素の画素値の予測値を、第2の画像としてのフィルタ後画像の画素の画素値として求めて出力する。
<復号処理>
図19は、図16の復号装置12の復号処理の例を説明するフローチャートである。
なお、図19に示す復号処理の各ステップの順番は、説明の便宜上の順番であり、実際の復号処理の各ステップは、適宜、並列的に、必要な順番で行われる。後述する復号処理についても、同様である。
復号処理では、ステップS61において、蓄積バッファ201は、符号化装置11から伝送されてくる符号化データを一時蓄積し、適宜、可逆復号部202に供給して、処理は、ステップS62に進む。
ステップS62では、可逆復号部202は、蓄積バッファ201から供給される符号化データを受け取って復号し、その復号により得られる量子化係数を、逆量子化部203に供給する。
また、可逆復号部202は、符号化データの復号により、符号化情報やフィルタ情報が得られた場合、必要な符号化情報を、イントラ予測部212や動き予測補償部213その他の必要なブロックに供給する。
さらに、可逆復号部202は、符号化情報及びフィルタ情報を、クラス分類適応フィルタ206に供給する。
その後、処理は、ステップS62からステップS63に進み、クラス分類適応フィルタ206は、可逆復号部202からフィルタ情報が供給されたかどうかを判定する。
ステップS63において、フィルタ情報が供給されていないと判定された場合、処理は、ステップS64をスキップして、ステップS65に進む。
また、ステップS63において、フィルタ情報が供給されたと判定された場合、処理は、ステップS64に進み、クラス分類適応フィルタ206の画像変換装置231(図18)は、係数取得部244に、可逆復号部202からのフィルタ情報としてのクラスごとのタップ係数を取得させ、記憶しているタップ係数を、可逆復号部202からのタップ係数に更新させる。
そして、処理は、ステップS64からステップS65に進み、逆量子化部203は、可逆復号部202からの量子化係数を逆量子化し、その結果得られる変換係数を、逆直交変換部204に供給して、処理は、ステップS66に進む。
ステップS66では、逆直交変換部204は、逆量子化部203からの変換係数を逆直交変換し、その結果得られる残差を、演算部205に供給して、処理は、ステップS67に進む。
ステップS67では、イントラ予測部212又は動き予測補償部213が、フレームメモリ210から選択部211を介して供給される参照画像、及び、可逆復号部202から供給される符号化情報を用いて、予測画像を生成する予測処理を行う。そして、イントラ予測部212又は動き予測補償部213は、予測処理により得られる予測画像を、選択部214に供給し、処理は、ステップS67からステップS68に進む。
ステップS68では、選択部214は、イントラ予測部212又は動き予測補償部213から供給される予測画像を選択し、演算部205に供給して、処理は、ステップS69に進む。
ステップS69では、演算部205は、逆直交変換部204からの残差と、選択部214からの予測画像を加算することにより、復号途中画像を生成する。そして、演算部205は、復号途中画像を、クラス分類適応フィルタ206、又は、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給して、処理は、ステップS69からステップS70に進む。
演算部205からクラス分類適応フィルタ206に、復号途中画像が供給される場合、ステップS70において、クラス分類適応フィルタ206は、演算部205からの復号途中画像に、ILFの処理としてのクラス分類適応処理を施す。復号途中画像に、クラス分類適応処理が施されることにより、符号化装置11の場合と同様に、復号途中画像をILFでフィルタリングする場合よりも元画像に近いフィルタ後画像が求められる。
クラス分類適応フィルタ206は、クラス分類適応処理により得られるフィルタ後画像を、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給して、処理は、ステップS70からステップS71に進む。
ステップS71では、並べ替えバッファ207は、演算部205から供給される復号途中画像、又は、クラス分類適応フィルタ206から供給されるフィルタ後画像を、復号画像として一時記憶する。さらに、並べ替えバッファ207は、記憶した復号画像を、表示順に並べ替えて、D/A変換部208に供給し、処理は、ステップS71からステップS72に進む。
ステップS72では、D/A変換部208は、並べ替えバッファ207からの復号画像をD/A変換し、処理は、ステップS73に進む。D/A変換後の復号画像は、図示せぬディスプレイに出力されて表示される。
ステップS73では、フレームメモリ210は、演算部205から供給される復号途中画像、又は、クラス分類適応フィルタ206から供給されるフィルタ後画像を、復号画像として記憶し、復号処理は終了する。フレームメモリ210に記憶された復号画像は、ステップS67の予測処理で、予測画像を生成する元となる参照画像として使用される。
図20は、図19のステップS70で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ206の画像変換装置231(図18)では、ステップS81において、タップ選択部241が、演算部205から供給される復号途中画像(としてのブロック)の画素のうちの、まだ、注目画素とされていない画素の1つを、注目画素として選択し、処理は、ステップS82に進む。
ステップS82において、タップ選択部241及び242が、演算部205から供給される復号途中画像から、注目画素についての予測タップ及びクラスタップとする画素を、それぞれ選択する。そして、タップ選択部241は、予測タップを予測演算部245に供給し、タップ選択部242は、クラスタップを、クラス分類部243に供給する。
その後、処理は、ステップS82からステップS83に進み、クラス分類部243は、タップ選択部242から供給される注目画素についてのクラスタップ、及び、可逆復号部202から供給される注目画素についての符号化情報を用いて、図15で説明した場合と同様の、注目画素のクラス分類を行う。
クラス分類部243は、クラス分類により得られる注目画素のクラスを表すクラスコードを生成し、係数取得部244に供給して、処理は、ステップS83からステップS84に進む。
ステップS84では、係数取得部244が、クラス分類部243から供給されるクラスコードが表すクラスのタップ係数を取得し、予測演算部245に供給して、処理は、ステップS85に進む。
ステップS85では、予測演算部245は、タップ選択部241からの予測タップと、係数取得部244からのタップ係数とを用いて、式(1)予測演算を行う。これにより、予測演算部245は、注目画素に対応する元画像の対応画素の画素値の予測値を、フィルタ後画像の画素値として求め、処理は、ステップS86に進む。
ステップS86では、タップ選択部241が、演算部205からの復号途中画像(としてのブロック)の画素の中に、まだ、注目画素としていない画素があるかどうかを判定する。ステップS86において、まだ、注目画素としていない画素があると判定された場合、処理は、ステップS81に戻り、以下、同様の処理が繰り返される。
また、ステップS86において、まだ、注目画素とされていない画素がないと判定された場合、処理は、ステップS87に進み、予測演算部245は、演算部205からの復号途中画像(としてのブロック)に対して得られた画素値で構成されるフィルタ後画像を、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210(図9)に供給する。そして、クラス分類適応処理は終了され、処理はリターンする。
以上のように、符号化装置11及び復号装置12では、ILF処理を、クラス分類適応処理によって行うので、ILFの処理結果よりも元画像に近いフィルタ後画像を得ることができる。その結果、復号画像のS/Nを大きく改善することができる。さらに、元画像に近いフィルタ後画像を得ることができることから、残差が小さくなり、タップ係数をオーバーヘッドとして符号化データに含めても、特に、4kや8k等と呼ばれるデータ量の多い高解像度の元画像については、圧縮効率を、大きく改善することができる。
ここで、図9等で説明したように、ILFとしては、例えば、DF,SAO、及び、ALFがある。
DFは、量子化パラメータQPや、ブロックの境界の画素であるか否かによって、フィルタ強度を制御することで、ブロックノイズ(歪み)を低減する。
しかしながら、DFでは、ブロックに適用することができるフィルタ強度が、2種類と少ない。さらに、DFでは、フィルタ強度の制御の単位がスライスであり、画素ごとにフィルタ強度を制御することができない。
SAOでは、エッジ周辺のノイズを低減するか、又は、DC補正を行うかのフィルタモードが、CTUごとに切り替えられ、オフセット値を画素ごとに判定することで、リンギングの低減やDC補正が行われる。
しかしながら、SAOでは、フィルターモートの切り替えを、画素ごとに行うことが困難である。さらに、SAOでは、ノイズの低減と、DC補正とのうちのいずれかの処理しか行うことができず、両方の処理を同時に行うことができない。
ALFは、エッジの方向とアクティビティを用いて、15のクラスに分類するクラス分類を行い、クラスごとに、統計的に最適に作られたフィルタ係数によるフィルタ処理を行う。
しかしながら、ALFでは、フィルタ処理の単位が4×4画素単位であるために、画素ごとに、その画素の周辺の波形パターンやブロック位相に応じた細かいフィルタ強度の制御を行うことができない。さらに、ALFでは、クラス分類の対象となるクラス数が15クラスと少ないため、かかる点からも、細かいフィルタ強度の制御を行うことができない。
これに対して、クラス分類適応処理では、画素ごとに、ALFの15クラスよりも多いクラス数を対象としてクラス分類を行い、学習により得られる統計的に最適なタップ係数を用いて、復号途中画像をフィルタ後画像に画像変換するフィルタ処理を行うので、既存のILFよりも画質(S/N)を、大きく改善することができる。
特に、クラス分類適応処理では、画素ごとに、その画素の周辺の波形パターンを表現する画像特徴量としてのADRCコードや、ダイナミックレンジ等の画像特徴量と、量子化パラメータQPや、ピクチャタイプ、ブロック位相等の符号化情報とを用いてクラス分類を行うことで、フィルタ後画像として、元画像に極めて近い画像を得ることができる。その結果、予測符号化において、ILFを用いない場合は勿論、ILFを用いる場合と比較しても、画像のS/N及び圧縮効率を、大きく改善することができる。
<クラス分類適応処理と、ILFのうちのALFとの相違>
図21は、クラス分類適応処理と、ILFのうちのALFとの、クラス分類、及び、フィルタ処理の相違を説明する図である。
ALFでは、4×4画素の小ブロックが、エッジの方向とアクティビティを用いて、15クラスのうちのいずれかにクラス分類される。
さらに、ALFでは、4×4画素の小ブロックが、その4×4画素の小ブロックのクラスのフィルタ係数を用いてフィルタ処理される。
また、ALFのフィルタ処理では、フィルタ処理の対象の対象画素に対するフィルタ係数を中心として、点対称のフィルタ係数が用いられる。
すなわち、ALFのフィルタ処理のフィルタ係数は、対象画素、対象画素の左に隣接する2画素、対象画像の右に隣接する2画素、対象画素の上に隣接する2画素、対象画素の下に隣接する2画素、対象画素の左上に隣接する1画素、対象画素の左下に隣接する1画素、対象画素の右上に隣接する1画素、及び、対象画素の右下に隣接する1画素の、合計で13画素に対する13個のフィルタ係数で構成される。
そして、対象画素の上に隣接する2画素のうちの遠い方の画素に対するフィルタ係数と、対象画素の下に隣接する2画素のうちの遠い方の画素に対するフィルタ係数とは、同一の係数C0とされる。
対象画素の左上に隣接する画素に対するフィルタ係数と、対象画像の右下に隣接する画素に対するフィルタ係数とは、同一の係数C1とされる。
対象画素の上に隣接する2画素のうちの近い方の画素に対するフィルタ係数と、対象画素の下に隣接する2画素のうちの近い方の画素に対するフィルタ係数とは、同一の係数C2とされる。
対象画素の左下に隣接する画素に対するフィルタ係数と、対象画像の右上に隣接する画素に対するフィルタ係数とは、同一の係数C3とされる。
対象画素の左に隣接する2画素のうちの遠い方の画素に対するフィルタ係数と、対象画素の右に隣接する2画素のうちの遠い方の画素に対するフィルタ係数とは、同一の係数C4とされる。
対象画素の左に隣接する2画素のうちの近い方の画素に対するフィルタ係数と、対象画素の右に隣接する2画素のうちの近い方の画素に対するフィルタ係数とは、同一の係数C5とされる。
対象画素に対するフィルタ係数は、係数C6とされる。
以上のように、ALFでは、4×4画素の小ブロックが、15クラスという少ないクラスにクラス分類され、さらに、クラスごとのフィルタ係数が、点対称になっているので、フィルタ処理の効果が、大きく制限される。
さらに、ALFでは、4×4画素の小ブロックのフィルタ処理に、同一のフィルタ係数が用いられるので、その4×4画素のすべてに、同一の(平均的な)フィルタ処理の効果が生じる。
一方、クラス分類適応処理では、クラス分類が、画素ごとに行われ、したがって、フィルタ処理としての式(1)の予測演算も、画素ごとに行われる。
また、クラス分類適応処理では、エッジの方向やアクティビティに制限されず、クラスタップから得られる画像特徴量や、符号化情報を用いて、注目画素の周辺の波形パターンや、ブロック内の注目画素の位置によって、注目画素をクラス分類することができる。
さらに、クラス分類のクラス数は、クラスタップとする画素の数や、クラス分類に用いる符号化情報の情報コード(図15)への変換の仕方等によって、タップ係数のデータ量と、復号画像(フィルタ後画像)のS/N及び圧縮効率とを考慮して、任意の数に設計することができる。
例えば、いま説明を簡単にするために、クラスタップを8画素で構成し、1ビットADRC処理により得られる波形パターンを表すADRCコードでクラス分類を行うこととすると、クラス数は256クラスになる。
また、クラス分類適応処理では、フィルタ処理としての式(1)の予測演算に用いるタップ係数について、ALFのような点対称の制約や、フィルタ係数を13個とする制約はなく、そのため、フィルタ後画像の、元画像に対する統計的な誤差を、ALFよりも小さくするタップ係数を、学習により求めることができる。
さらに、クラス分類適応処理では、例えば、タップ係数のデータ量と、復号画像のS/N及び圧縮効率とを考慮して、タップ係数の数、すなわち、予測タップを構成する画素の数や、予測タップの構造を設計することができる。
また、クラス分類適応処理では、注目画素のフレームだけではなく、そのフレームの前後のフレームの画素も含めて、予測タップを構成することができる。
以上のように、クラス分類適応処理では、画素ごとに、クラス分類、及び、フィルタ処理としての式(1)の予測演算が行われるので、画素ごとに、その画素に適したフィルタ処理の効果を生じさせることができる。
その結果、例えば、エッジやテクスチャを潰しすぎずに、NR(Noise Reduction)の効果を生じさせることや、リンギングを抑制することができる。
また、クラス分類適応処理では、例えば、クラス分類を、ブロック位相等の符号化情報を用いて行うことで、注目画素がブロックの境界の画素であるかどうかによって、NRの効果を調整することができる。
さらに、クラス分類適応処理では、例えば、注目画素のフレームだけではなく、そのフレームの前後のフレームの画素も含めて、予測タップを構成することで、動きぼけ等の動きに起因する画質の劣化を改善することができる。
図22は、クラス分類適応処理と、ILFのうちのALFとのクラス分類、及び、フィルタ処理の相違により生じる効果の相違を説明する図である。
ALFでは、4×4画素の小ブロックごとに、エッジ及びアクティビティを用いて、クラス分類が行われ、そのクラス分類により得られるクラスのフィルタ係数を用いて、4×4画素の小ブロックの各画素のフィルタ処理が行われる。
そのため、エッジ部分と平坦部分とが混在する場合に、平坦部分のノイズを除去する一方で、エッジ部分を鈍らせる(ディテールを潰す)ことや、逆に、エッジ部分を維持するが、平坦部分のノイズを十分に除去することができないことがある。
さらに、ALFでは、符号化処理(復号処理)の対象となる符号化ブロック(PUやCU等)内における画素の位置(ブロック位相)を考慮したクラス分類は行われないため、符号化ブロックの境界の画素で生じるブロック歪みを除去するフィルタ係数と、境界以外の位置の画素に生じる、ブロック歪み以外のノイズを除去するフィルタ係数とが、異なるクラスのフィルタ係数として用意されない。
そのため、ブロック歪みが生じている画素に、そのブロック歪みを除去するのに適切なフィルタ処理が施されるとは限らない。同様に、ブロック歪み以外のノイズが生じている画素に、そのノイズを除去するのに適切なフィルタ処理が施されるとは限らない。
これに対して、クラス分類適応処理では、画素ごとに、クラスタップから得られる画像特徴量としての波形パターンによってクラス分類を行い、そのクラス分類により得られるクラスのタップ係数を用いて、フィルタ処理としての式(1)の予測演算を、画素ごとに行うことができる。
したがって、エッジ部分の画素については、そのエッジ部分を維持し(ディテールを残し)、平坦部分の画素については、ノイズを十分に除去することができる。
さらに、クラス分類適応処理では、画素ごとに、符号化情報としてのブロック位相によってクラス分類を行い、そのクラス分類により得られるクラスのタップ係数を用いて、フィルタ処理としての式(1)の予測演算を、画素ごとに行うことができる。
したがって、ブロック歪みが生じている画素に、そのブロック歪みを除去するのに適切なフィルタ処理を施すとともに、ブロック歪み以外のノイズが生じている画素に、そのノイズを除去するのに適切なフィルタ処理を施すことができる。
ここで、本技術では、クラス分類適応処理が、符号化装置11及び復号装置12内で扱われる復号途中画像を対象として行われるので、ブロック位相、さらには、ブロック位相を特定するのに必要な符号化ブロックに関する情報(例えば、符号化ブロックのサイズや、符号化ブロックの境界等)は、符号化処理や復号処理において得ることができる。
なお、例えば、特許第4770711号公報には、MPEGデコーダが出力する復号画像を、ブロック位相を用いたクラス分類適応処理により高画質化する技術が記載されている。特許第4770711号公報に記載の技術では、MPEGデコーダの外部で、MPEGデコーダが出力する復号画像を対象としたクラス分類適応処理が行われるため、符号化ブロックに関する情報は、決め打ちするか、又は、何らかの方法で検出する必要がある。
図23は、クラス分類適応処理の予測タップ及びクラスタップと、ILFのうちのALFのフィルタ係数に対する画素との相違を説明する図である。
ALFの13個のフィルタ係数は、いま符号化の対象になっている1フレームである注目フレーム内の画素に対するフィルタ係数であり、他のフレームの画素に対するフィルタ係数は、存在しない。
したがって、ALFのフィルタ処理は、注目フレーム内の画素(の画素値)のみを用いて行われるので、動きぼけ等の動きに起因する画質の劣化を改善することは困難である。
一方、クラス分類適応処理では、予測タップやクラスタップには、注目フレーム(図23では、フレームT)内の画素の他、他のフレーム(図23では、フレームT-1やフレームT+1)の画素を含めることができる。
すなわち、クラス分類適応処理では、注目フレームの注目画素から、動きベクトルだけ移動した位置の、注目フレームに隣接する隣接フレームの画素や、その画素の周辺の画素等を、予測タップやクラスタップに含めることができる。
したがって、クラス分類適応処理では、注目フレームの画素と、隣接フレームの画素ととから、クラスタップや予測タップを構成し、クラス分類や、フィルタ処理としての式(1)の予測演算を行うことができるので、動きぼけ等の動きに起因する画質の劣化を改善することができる。
<タップ係数の削減>
図24は、学習により得られるタップ係数を削減する削減方法の例を説明する図である。
タップ係数は、符号化データのオーバーヘッドとなるため、フィルタ後画像が元画像に極めて近い画像となるタップ係数が得られても、タップ係数のデータ量が多いと、圧縮効率の改善の妨げとなる。
そこで、学習により得られるタップ係数(の数)は、必要に応じて削減することができる。
例えば、図12に示したように、注目画素を中心とする十字型の9画素で、クラスタップを構成し、1ビットADRC処理によるクラス分類を行う場合には、例えば、最上位ビット(注目画素のADRC結果)が1のADRCコードについて、各ビットの反転を行うことにより、クラス数を、512=29クラスから256=28クラスに縮退することができる。クラスの縮退後の256クラスでは、9画素のクラスタップ(の1ビットADRC処理)のADRCコードをそのままクラスコードとする場合に比較して、タップ係数のデータ量が1/2に削減される。
さらに、クラスタップを構成する十字型の9画素のうちの、上下方向、左右方向、又は、斜め方向に線対称の位置関係にある画素のADRC結果が同一のクラスどうしを、1つのクラスにまとめるクラスの縮退を行うことにより、クラス数は、100クラスにすることができる。この場合、100クラスのタップ係数のデータ量は、256クラスのタップ係数のデータ量の約39%になる。
また、以上に加えて、クラスタップを構成する十字型の9画素のうちの、点対称の位置関係にある画素のADRC結果が同一のクラスどうしを、1つのクラスにまとめるクラスの縮退を行うことにより、クラス数は、55クラスにすることができる。この場合、55クラスのタップ係数のデータ量は、256クラスのタップ係数のデータ量の約21%になる。
タップ係数の削減は、以上のように、クラスの縮退によって行う他、タップ係数自体を削減することによって行うこともできる。
すなわち、例えば、予測タップ及び符号化ブロックが同一の画素で構成される場合には、ブロック位相に基づいて、タップ係数自体を削減することができる。
例えば、予測タップ及び符号化ブロックが、4×4画素で構成される場合には、予測タップの左上の2×2画素と左右方向に線対称の位置関係にある右上の2×2画素、上下方向に線対称の位置関係にある左下の2×2画素、及び、点対称の位置関係にある右下の2×2画素のタップ係数として、左上の2×2画素それぞれのタップ係数を位置関係に応じて配置し直したタップ係数を採用することができる。この場合、予測タップを構成する4×4画素に対する16個のタップ係数を、左上の2×2画素に対する4個のタップ係数に削減することができる。
また、予測タップの上半分の4×2画素と上下方向に線対称の位置関係にある下半分の4×2画素のタップ係数として、上半分の4×2画素それぞれのタップ係数を位置関係に応じて配置し直したタップ係数を採用することができる。この場合、予測タップを構成する4×4画素に対する16個のタップ係数を、上半分の4×2画素に対する8個のタップ係数に削減することができる。
その他、予測タップの左右方向に線対称の位置関係にある画素どうしや、斜め方向に線対称の位置関係にある画素どうしのタップ係数として、同一のタップ係数を採用することによって、タップ係数を削減することができる。
なお、以上のようなブロック位相に基づくタップ係数の削減を闇雲に行うと、その削減後のタップ係数により得られるフィルタ後画像のS/Nが低下する(元画像に対する誤差が増加する)。
そこで、ブロック位相に基づくタップ係数の削減は、例えば、クラス分類に用いるADRCコードにより、予測タップを構成する画素の波形パターンを解析し、その波形パターンが空間的な対称性を有する場合には、その対称性がある位置関係にある、予測タップとしての画素どうしについては、同一のタップ係数を採用することができる。
すなわち、例えば、クラスタップが、2×2画素で構成され、そのクラスタップの画素のADRC結果を、ラスタスキャン順に並べたADRCコードが、1001である場合には、点対称の対称性があるとみなして、点対称の位置関係にある予測タップとしての画素どうしのタップ係数として、同一のタップ係数を採用することができる。
<符号化装置11の第2の構成例>
図25は、図1の符号化装置11の第2の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図25において、符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、フレームメモリ112ないしレート制御部117、クラス分類適応フィルタ261、適応オフセット部262、及び、適応ループフィルタ263を有する。
したがって、図25の符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、及び、フレームメモリ112ないしレート制御部117を有する点で、図9の場合と共通する。
但し、図25の符号化装置11は、クラス分類適応フィルタ111に代えて、クラス分類適応フィルタ261を有する点、並びに、適応オフセット部262及び適応ループフィルタ263を新たに有する点で、図9の場合と相違する。
クラス分類適応フィルタ261は、図9のクラス分類適応フィルタ111と同様に構成される。但し、クラス分類適応フィルタ261は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてではなく、DFのみとして機能するフィルタである点で、ILF全体として機能するクラス分類適応フィルタ111と相違する。
図25において、クラス分類適応フィルタ261には、演算部110から復号途中画像が供給される。
クラス分類適応フィルタ261は、演算部110からの復号途中画像に、クラス分類適応処理によるDFの処理を施し、その結果得られるフィルタ後画像を、適応オフセット部262に供給する。
適応オフセット部262は、クラス分類適応フィルタ261からのフィルタ後画像に、SAOの処理を行い、適応ループフィルタ263に供給する。
適応ループフィルタ263は、適応オフセット部262からのフィルタ後画像に、ALFの処理を行い、フレームメモリ112に供給する。
図25の符号化装置11では、クラス分類適応フィルタ261において、クラス分類適応処理によって、ILFのうちのDFの処理が行われる。そして、適応オフセット部262において、SAOの処理が行われ、適応ループフィルタ263において、ALFの処理が行われる。
なお、適応オフセット部262では、SAOの処理に必要なSAO情報が、可逆符号化部106に供給され、符号化データに含められる。
以上の点を除き、図25の符号化装置11では、図9の場合と同様の処理が行われる。
<復号装置12の第2の構成例>
図26は、図1の復号装置12の第2の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図16の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図26において、復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、フレームメモリ210ないし選択部214、クラス分類適応フィルタ271、適応オフセット部272、及び、適応ループフィルタ273を有する。
したがって、図26の復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、及び、フレームメモリ210ないし選択部214を有する点で、図16の場合と共通する。
但し、図26の復号装置12は、クラス分類適応フィルタ206に代えて、クラス分類適応フィルタ271を有する点、並びに、適応オフセット部272及び適応ループフィルタ273を新たに有する点で、図16の場合と相違する。
クラス分類適応フィルタ271は、図16のクラス分類適応フィルタ206と同様に構成される。但し、クラス分類適応フィルタ271は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてではなく、DFのみとして機能するフィルタである点で、ILF全体として機能するクラス分類適応フィルタ206と相違する。
図26において、クラス分類適応フィルタ271には、演算部205から復号途中画像が供給される。
クラス分類適応フィルタ271は、演算部205からの復号途中画像に、クラス分類適応処理によるDFの処理を施し、その結果得られるフィルタ後画像を、適応オフセット部272に供給する。
適応オフセット部272は、クラス分類適応フィルタ271からのフィルタ後画像に、SAOの処理を行い、適応ループフィルタ273に供給する。
適応ループフィルタ273は、適応オフセット部272からのフィルタ後画像に、ALFの処理を行い、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210に供給する。
図26の復号装置12では、図25の符号化装置11で得られる符号化データが復号される。
すなわち、クラス分類適応フィルタ271において、クラス分類適応処理によって、ILFのうちのDFの処理が行われる。そして、適応オフセット部272において、SAOの処理が行われ、適応ループフィルタ273において、ALFの処理が行われる。
なお、適応オフセット部272には、可逆復号部202から、符号化データに含まれるSAO情報が供給される。適応オフセット部272では、可逆復号部202からのSAO情報を用いて、SAOの処理が行われる。
以上の点を除き、図26の復号装置12では、図16の場合と同様の処理が行われる。
<符号化装置11の第3の構成例>
図27は、図1の符号化装置11の第3の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9又は図25の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図27において、符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、フレームメモリ112ないしレート制御部117、適応ループフィルタ263、デブロックフィルタ281、及び、クラス分類適応フィルタ282を有する。
したがって、図27の符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、及び、フレームメモリ112ないしレート制御部117を有する点で、図9の場合と共通する。
但し、図27の符号化装置11は、クラス分類適応フィルタ111に代えて、クラス分類適応フィルタ282を有する点、及び、図25の適応ループフィルタ263を新たに有するとともに、デブロックフィルタ281を新たに有する点で、図9の場合と相違する。
図27において、デブロックフィルタ281には、演算部110から復号途中画像が供給される。
デブロックフィルタ281は、演算部110からの復号途中画像にDFの処理を行い、クラス分類適応フィルタ282に供給する。
クラス分類適応フィルタ282は、図9のクラス分類適応フィルタ111と同様に構成される。但し、クラス分類適応フィルタ282は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてではなく、SAOのみとして機能するフィルタである点で、ILF全体として機能するクラス分類適応フィルタ111と相違する。
クラス分類適応フィルタ282は、デブロックフィルタ281からの復号途中画像に、クラス分類適応処理によるSAOの処理を施し、その結果得られるフィルタ後画像を、適応ループフィルタ263に供給する。
図27の符号化装置11では、デブロックフィルタ281において、DFの処理が行われる。さらに、クラス分類適応フィルタ282において、クラス分類適応処理によって、ILFのうちのSAOの処理が行われる。そして、適応ループフィルタ263において、ALFの処理が行われる。
以上の点を除き、図27の符号化装置11では、図9の場合と同様の処理が行われる。
<復号装置12の第3の構成例>
図28は、図1の復号装置12の第3の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図16又は図26の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図28において、復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、フレームメモリ210ないし選択部214、適応ループフィルタ273、デブロックフィルタ291、及び、クラス分類適応フィルタ292を有する。
したがって、図28の復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、及び、フレームメモリ210ないし選択部214を有する点で、図16の場合と共通する。
但し、図28の復号装置12は、クラス分類適応フィルタ206に代えて、クラス分類適応フィルタ292を有する点、並びに、図26の適応ループフィルタ273を新たに有するとともに、デブロックフィルタ291を新たに有する点で、図16の場合と相違する。
図28において、デブロックフィルタ291には、演算部205から復号途中画像が供給される。
デブロックフィルタ291は、演算部205からの復号途中画像に、DFの処理を行い、クラス分類適応フィルタ291に供給する。
クラス分類適応フィルタ292は、図16のクラス分類適応フィルタ206と同様に構成される。但し、クラス分類適応フィルタ292は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてではなく、SAOのみとして機能するフィルタである点で、ILF全体として機能するクラス分類適応フィルタ206と相違する。
クラス分類適応フィルタ292は、デブロックフィルタ291からの復号途中画像に、クラス分類適応処理によるSAOの処理を施し、その結果得られるフィルタ後画像を、適応ループフィルタ273に供給する。
図28の復号装置12では、図27の符号化装置11で得られる符号化データが復号される。
すなわち、デブロックフィルタ291において、DFの処理が行われる。さらに、クラス分類適応フィルタ292において、クラス分類適応処理によって、ILFのうちのSAOの処理が行われる。そして、適応ループフィルタ273において、ALFの処理が行われる。
以上の点を除き、図28の復号装置12では、図16の場合と同様の処理が行われる。
<符号化装置11の第4の構成例>
図29は、図1の符号化装置11の第4の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9、図25、又は、図27の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図29において、符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、フレームメモリ112ないしレート制御部117、適応オフセット部262、デブロックフィルタ281、及び、クラス分類適応フィルタ311を有する。
したがって、図29の符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、及び、フレームメモリ112ないしレート制御部117を有する点で、図9の場合と共通する。
但し、図29の符号化装置11は、クラス分類適応フィルタ111に代えて、クラス分類適応フィルタ311を有する点、及び、図25の適応オフセット部262を新たに有するとともに、図27のデブロックフィルタ281を新たに有する点で、図9の場合と相違する。
図29において、クラス分類適応フィルタ311には、適応オフセット部262から、SAOの処理後の復号途中画像が供給される。
クラス分類適応フィルタ311は、図9のクラス分類適応フィルタ111と同様に構成される。但し、クラス分類適応フィルタ311は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてではなく、ALFのみとして機能するフィルタである点で、ILF全体として機能するクラス分類適応フィルタ111と相違する。
クラス分類適応フィルタ311は、適応オフセット部262からの復号途中画像に、クラス分類適応処理によるSAOの処理を施し、その結果得られるフィルタ後画像を、フレームメモリ112に供給する。
図29の符号化装置11では、デブロックフィルタ281において、DFの処理が行われる。さらに、適応オフセット部262において、SAOの処理が行われる。そして、クラス分類適応フィルタ311において、クラス分類適応処理によって、ILFのうちのALFの処理が行われる。
なお、適応オフセット部262では、図25で説明したように、SAOの処理に必要なSAO情報が、可逆符号化部106に供給され、符号化データに含められる。
以上の点を除き、図29の符号化装置11では、図9の場合と同様の処理が行われる。
<復号装置12の第4の構成例>
図30は、図1の復号装置12の第4の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図16、図26、又は、図28の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図30において、復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、フレームメモリ210ないし選択部214、適応オフセット部272、デブロックフィルタ291、及び、クラス分類適応フィルタ321を有する。
したがって、図30の復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、及び、フレームメモリ210ないし選択部214を有する点で、図16の場合と共通する。
但し、図30の復号装置12は、クラス分類適応フィルタ206に代えて、クラス分類適応フィルタ321を有する点、並びに、図26の適応オフセット部272を新たに有するとともに、図28のデブロックフィルタ291を新たに有する点で、図16の場合と相違する。
図30において、クラス分類適応フィルタ321には、適応オフセット部272から、SAOの処理後の復号途中画像が供給される。
クラス分類適応フィルタ321は、図16のクラス分類適応フィルタ206と同様に構成される。但し、クラス分類適応フィルタ321は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてではなく、ALFのみとして機能するフィルタである点で、ILF全体として機能するクラス分類適応フィルタ206と相違する。
クラス分類適応フィルタ321は、適応オフセット部272からの復号途中画像に、クラス分類適応処理によるALFの処理を施し、その結果得られるフィルタ後画像を、並べ替えバッファ297及びフレームメモリ210に供給する。
図30の復号装置12では、図29の符号化装置11で得られる符号化データが復号される。
すなわち、デブロックフィルタ291において、DFの処理が行われる。さらに、適応オフセット部272において、SAOの処理が行われる。そして、クラス分類適応フィルタ321において、クラス分類適応処理によって、ILFのうちのALFの処理が行われる。
なお、適応オフセット部272には、可逆復号部202から、符号化データに含まれるSAO情報が供給される。適応オフセット部272では、可逆復号部202からのSAO情報を用いて、SAOの処理が行われる。
以上の点を除き、図30の復号装置12では、図16の場合と同様の処理が行われる。
以上のように、クラス分類適応処理によれば、ILF全体の機能を実現することもできるし、ILFのうちの、DF,SAO、又は、ALFの機能を実現することもできる。
また、クラス分類適応処理によれば、DF,SAO、及び、ALFのうちの2以上の機能を実現することもできる。
すなわち、クラス分類適応処理によれば、DF,SAO、及び、ALFのうちの1以上の機能を実現することができる。
そして、クラス分類適応処理によって、DF,SAO、及び、ALFのうちの1以上の機能を実現することにより、予測画像の予測に用いられる参照画像となるフィルタ後画像として、S/Nの良い画像、すなわち、元画像に極めて近い画像を得ることができ、さらに、残差を極めて小さくすることができる。したがって、S/N及び圧縮効率を、大きく改善することができる。
また、クラス分類適応処理によって、DF,SAO、及び、ALFのうちの2以上の機能を実現することにより、DF,SAO、及び、ALFのすべてを、ILFとして設ける場合に比較して、演算コストを低減することができる。
なお、以下では、クラス分類適応処理によって、ILF全体の機能を実現する場合を例に説明を行うが、以下で説明する実施の形態でも、クラス分類適応処理によって、DF,SAO、及び、ALFのうちの任意の1又は2の機能を実現することができる。
<付加クラス>
図31は、付加クラスの概要を説明する図である。
符号化装置11及び復号装置12の第1ないし第4の構成例では、復号途中画像から得られるクラスタップ(の画像特徴量)や、符号化データに含められる符号化情報を用いて、クラス分類が行われる。
すなわち、符号化装置11及び復号装置12の第1ないし第4の構成例では、符号化装置11及び復号装置12のいずれでも取得することができる取得可能情報を用いて、クラス分類が行われる。
ところで、クラス分類適応処理については、より元画像に近いフィルタ後画像を得る観点からは、クラス分類に、元画像を用いることが望ましい。また、符号化データに含められない、例えば、目標符号量等の符号化情報や、符号化で失われる情報を用いて、クラス分類を行うことで、より元画像に近いフィルタ後画像を得ることができるクラス分類を行うことができることがあり得る。
しかしながら、元画像や、符号化データに含められない符号化情報、符号化で失われる情報は、復号装置12側で取得することができない取得不可能情報であり、取得不可能情報を用いたクラス分類は、符号化装置11で行うことはできても、復号装置12で行うことができない。
そこで、符号化装置11において、取得不可能情報を用いてクラス分類を行う場合には、そのクラス分類により得られるクラスを、付加クラスとして伝送する。そして、復号装置12では、符号化装置11から伝送されてくる付加クラスを用いて、クラス分類適応処理を行う。
すなわち、符号化装置11では、復号途中画像から得られるクラスタップや、符号化データに含められる符号化情報等の取得可能情報を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求める。
さらに、符号化装置11では、元画像や符号化データに含められない符号化情報等の取得不可能情報を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第2クラスとしての付加クラスを求める。
そして、符号化装置11では、通常クラス及び付加クラスから、注目画素の最終的なクラスを求め、その最終的なクラスのタップ係数を用いた予測演算により、注目画素に対応するフィルタ後画像の対応画素の画素値(注目画素に対応する元画像の画素の画素値の予測値)を求める。
また、符号化装置11では、タップ係数とともに、付加クラス(を表すクラスコード)を、フィルタ情報として伝送する。
復号装置12では、取得可能情報を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求める。
さらに、復号装置12では、符号化装置11から伝送されてくるタップ係数と、注目画素の第2クラスとしての付加クラスとを取得する。
そして、復号装置12では、符号化装置11と同様に、通常クラス及び付加クラスから、注目画素の最終的なクラスを求め、その最終的なクラスのタップ係数を用いた予測演算により、注目画素に対応するフィルタ後画像の対応画素の画素値を求める。
図31では、符号化装置11において、取得可能情報としての復号途中画像から得られるクラスタップを用いて、注目画素が、8ビットのクラスコードで表される通常クラスにクラス分類される。
さらに、符号化装置11では、取得不可能情報としての元画像の、注目画素に対応する対応画素が含まれるCUや、CTU、スライス等の所定の単位を用いて、注目画素が、2ビットのクラスコードで表される付加クラスにクラス分類される。
また、符号化装置11では、8ビットの通常クラスを表すクラスコードの上位ビットに、2ビットの付加クラスを表すクラスコードを付加することで、10ビットのクラスコードで表されるクラスが、最終的なクラスとして求められる。
そして、符号化装置11では、10ビットのクラスコードで表される最終的なクラスのタップ係数を用いた予測演算により、注目画素に対応するフィルタ後画像の対応画素の画素値が求められる。
さらに、符号化装置11では、10ビットのクラスコードで表される最終的なクラスごとのタップ係数と、2ビットの(クラスコードで表される)付加クラスが伝送される。
ここで、上述の場合には、通常クラス(を表すクラスコード)の上位ビットに、付加クラス(を表すクラスコード)を付加することで、最終的なクラス(を表すクラスコード)を生成することとしたが、通常クラス及び付加クラスから、最終的なクラスを生成する方法は、これに限定されるものではない。
すなわち、通常クラス及び付加クラスから、最終的なクラスを生成する方法は、あらかじめ決めておく必要はあるが、任意の方法を採用することができる。例えば、最終的なクラスは、通常クラスの下位ビットに、付加クラスを付加することで生成することができる。
復号装置12では、符号化装置11から伝送されてくる最終的なクラスごとのタップ係数と2ビットの付加クラスとが取得される。
さらに、復号装置12では、取得可能情報としての復号途中画像から得られるクラスタップを用いて、注目画素が、8ビットの(クラスコードで表される)通常クラスにクラス分類される。
また、復号装置12では、符号化装置11と同様に、8ビットの通常クラスと、符号化装置11から伝送されてくる2ビットの付加クラスから、10ビットの(クラスコードで表される)最終的なクラスが求められ、その最終的なクラスのタップ係数を用いた予測演算により、注目画素に対応するフィルタ後画像の対応画素の画素値が求められる。
なお、取得不可能情報を用いたクラス分類としては、例えば、取得不可能情報としての元画像のアクティビティ等の画像特徴量を用いたクラス分類を採用することができる。
元画像のアクティビティとしては、例えば、注目画素に対応する元画像の画素を含むCUや、CTU、スライス等の所定の領域(以下、特定領域ともいう)に含まれる画素について、隣接する画素の画素値の差分の絶対値和を、差分の個数で正規化して得られる値等を採用することができる。
また、取得不可能情報としての元画像の画像特徴量としては、注目画素に対応する元画像の対応画素どうしの画素値のフレーム間差分や、元画像の特定領域と、その特定領域に対応する復号途中画像の領域との画素値のDC差分、元画像の一部の帯域を抑制又は強調した画像の画像特徴量等を採用することができる。
さらに、取得不可能情報を用いたクラス分類では、取得不可能情報としての元画像の画像特徴量の他、取得可能情報であるか、取得不可能情報であるかを問わず、符号化情報を用いることができる。
すなわち、取得不可能情報を用いたクラス分類では、例えば、取得不可能情報としての元画像の画像特徴量と、量子化パラメータQPとを用いることができる。
元画像の画像特徴量としての、例えば、元画像のアクティビティが大きいテクスチャの領域については、量子化パラメータQPが大(量子化ステップが大)である場合、符号化(量子化)により失われる元画像の情報量が大きく、フィルタ後画像(復号画像)の劣化が大になる。
一方、元画像のアクティビティが小さい平坦な領域については、量子化パラメータQPが小(量子化ステップが小)である場合、符号化により失われる元画像の情報量が小さく、フィルタ後画像の劣化が小になる。
したがって、元画像の画像特徴量としてのアクティビティと、量子化パラメータQPとを用いてクラス分類を行う場合には、フィルタ後画像の劣化の大小に応じたクラス分類が行われ、その劣化を回復するのに適切なタップ係数による予測演算を行うことが可能になる。
<符号化装置11の第5の構成例>
図32は、図1の符号化装置11の第5の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図32において、符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、フレームメモリ112ないしレート制御部117、及び、クラス分類適応フィルタ411を有する。
したがって、図32の符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、及び、フレームメモリ112ないしレート制御部117を有する点で、図9の場合と共通する。
但し、図32の符号化装置11は、クラス分類適応フィルタ111に代えて、クラス分類適応フィルタ411を有する点で、図9の場合と相違する。
クラス分類適応フィルタ411は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF処理を行う点で、クラス分類適応フィルタ111と共通する。
但し、クラス分類適応フィルタ411では、取得可能情報を用いたクラス分類により、第1クラスとしての通常クラスが求められるとともに、取得不可能情報を用いたクラス分類により第2クラスとしての付加クラスが求められ、それらの通常クラスと付加クラスとから、最終的なクラスが生成される点で、クラス分類適応フィルタ111と相違する。
さらに、クラス分類適応フィルタ411では、付加クラスが、最終的なクラスごとのタップ係数とともに、フィルタ情報として、可逆符号化部106に供給されて伝送される点で、クラス分類適応フィルタ111と相違する。
<クラス分類適応フィルタ411の構成例>
図33は、図32のクラス分類適応フィルタ411の構成例を示すブロック図である。
図33において、クラス分類適応フィルタ411は、画像変換装置431及び学習装置432を有する。
画像変換装置431には、演算部110(図32)から復号途中画像が供給されるとともに、学習装置432から最終的なクラスごとのタップ係数が供給される。さらに、画像変換装置431には、符号化情報が供給される。また、画像変換装置431には、並べ替えバッファ102(図32)から元画像が供給される。
画像変換装置431は、復号途中画像を第1の画像として、最終的なクラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、フレームメモリ112(図32)に供給する。
なお、画像変換装置431は、クラス分類適応処理において、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
また、画像変換装置431は、取得可能情報としての復号途中画像及び符号化情報(符号化データに含められる符号化情報)を用いたクラス分類により、第1クラスとしての通常クラスを求めるとともに、取得不可能情報としての、例えば、元画像等を用いたクラス分類により第2クラスとしての付加クラスを求め、それらの通常クラスと付加クラスとから、最終的なクラスを生成する。
さらに、画像変換装置431は、付加クラスを、フィルタ情報として、可逆符号化部106(図32)に供給する。
学習装置432には、並べ替えバッファ102(図32)から元画像が供給されるとともに、演算部110(図32)から復号途中画像が供給される。さらに、学習装置432には、符号化情報が供給される。
学習装置432は、復号途中画像を生徒データとするとともに、元画像を教師データとして、(最終的な)クラスごとのタップ係数を求める学習(タップ係数学習)を行う。
さらに、学習装置432は、タップ係数学習により得られるクラスごとのタップ係数を、フィルタ情報として、画像変換装置431及び可逆符号化部106(図32)に供給する。
なお、学習装置432は、画像変換装置431と同様に、タップ係数学習において、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
また、学習装置432は、画像変換装置431と同様に、クラス分類において、通常クラス及び付加クラスを求め、それらの通常クラスと付加クラスとから、最終的なクラスを生成する。
<画像変換装置431の構成例>
図34は、図33の画像変換装置431の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図11の画像変換装置131と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
図34において、画像変換装置431は、タップ選択部21及び22、係数取得部24、予測演算部25、並びに、クラス分類部441を有する。
したがって、画像変換装置431は、タップ選択部21及び22、係数取得部24、並びに、予測演算部25を有する点で、図11の画像変換装置131と共通する。
但し、画像変換装置431は、クラス分類部23に代えて、クラス分類部441を有する点で、図11の画像変換装置131と相違する。
クラス分類部441には、タップ選択部22から、取得可能情報としての注目画素のクラスタップが供給される。さらに、クラス分類部441には、取得可能情報としての符号化情報が供給されるとともに、並べ替えバッファ102(図32)から、取得不可能情報としての元画像が供給される。
クラス分類部441は、図11のクラス分類部23と同様に、クラスタップ及び符号化情報を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求める。
さらに、クラス分類部441は、元画像を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第2クラスとしての付加クラスを求める。
そして、クラス分類部441は、通常クラスと付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスを生成し、係数取得部24に供給する。
さらに、クラス分類部441は、付加クラス(を表すクラスコード)を、フィルタ情報として、可逆符号化部106に供給する。
ここで、図34において、係数取得部24は、学習装置432から供給される最終的なクラスごとのタップ係数を記憶し、その最終的なクラスごとのタップ係数から、クラス分類部541からの注目画素の最終的なクラスのタップ係数を取得して、予測演算部25に供給する。
図35は、図34のクラス分類部441の構成例を示すブロック図である。
図35において、クラス分類部441は、第1クラス分類部451、第2クラス分類部452、及び、クラスコード生成部453を有する。
第1クラス分類部451は、図11のクラス分類部23と同様に、クラスタップ及び符号化情報を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求め、クラスコード生成部453に供給する。
第2クラス分類部452は、元画像を用い、例えば、元画像の画像特徴量としてのアクティビティの閾値処理を行うことで、クラス分類を行い、注目画素の第2クラスとしての付加クラスを求め、クラスコード生成部453に供給するとともに、フィルタ情報として、可逆符号化部106(図32)に供給する。
クラスコード生成部453は、第1クラス分類部451からの通常クラスと、第2クラス分類部452からの付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスを生成し、係数取得部24(図34)に供給する。
すなわち、クラスコード生成部453は、例えば、第1クラス分類部451からの通常クラスを表すクラスコードの上位ビットに、第2クラス分類部452からの付加クラスを表すクラスコードを付加することで、注目画素の最終的なクラスを表すクラスコードを生成する。
<学習装置432の構成例>
図36は、図33の学習装置432の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図13の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図36において、学習装置432は、学習部33を有する。学習部33は、タップ選択部41及び42、足し込み部44、係数算出部45、並びに、クラス分類部461を有する。
したがって、図36の学習装置432は、学習部33を有する点で、図13の場合と共通する。さらに、学習装置432は、学習部33が、タップ選択部41及び42、足し込み部44、並びに、係数算出部45を有する点で、図13の場合と共通する。
但し、図36の学習装置432は、学習部33において、クラス分類部43に代えて、クラス分類部461が設けられている点で、図13の場合と相違する。
クラス分類部461には、タップ選択部42から、取得可能情報としての注目画素のクラスタップが供給される。さらに、クラス分類部461には、取得可能情報としての符号化情報が供給されるとともに、並べ替えバッファ102(図32)から、取得不可能情報としての元画像が供給される。
クラス分類部461は、図35のクラス分類部441と同様に構成され、クラスタップ、符号化情報、及び、元画像を用いて、クラス分類部441と同様のクラス分類を行う。
すなわち、クラス分類部461は、図13のクラス分類部43と同様に、クラスタップ及び符号化情報を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求める。
さらに、クラス分類部461は、元画像を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第2クラスとしての付加クラスを求める。
そして、クラス分類部461は、通常クラスと付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスを生成し、足し込み部44に供給する。
したがって、足し込み部44では、最終的なクラスごとに、正規方程式を求める足し込みが行われ、係数算出部45では、最終的なクラスごとのタップ係数が求められる。
ここで、最終的なクラスごとのタップ係数は、通常クラスのクラス数と、付加クラスのクラス数との乗算値の数だけのクラスのタップ係数となる。
<符号化処理>
図37は、図32の符号化装置11の符号化処理の例を説明するフローチャートである。
図32の符号化装置11では、ステップS111ないしS129において、図14のステップS11ないしS29とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、符号化装置11において、クラス分類適応フィルタ411の学習装置432(図33)は、図10の学習装置132と同様に、そこに供給される復号途中画像を生徒データとするとともに、その復号途中画像に対応する元画像を教師データとして、適宜、タップ係数学習を行うが、そのタップ係数学習では、最終的なクラスごとのタップ係数が、フィルタ情報として生成される。そして、その最終的なクラスごとのタップ係数が、ステップS112で更新されるフィルタ情報、及び、ステップS113で伝送対象に設定されるフィルタ情報となる。
また、ステップS125において、クラス分類適応フィルタ411は、図14のステップS25と同様に、演算部110からの復号途中画像に、ILFの処理としてのクラス分類適応処理を施すが、そのクラス分類適応処理では、クラスタップ、符号化情報、及び、元画像を用いて、クラス分類が行われ、通常クラスと付加クラスとから、最終的なクラスが生成される。
さらに、クラス分類適応フィルタ411において、クラス分類適応処理は、最終的なクラスごとのタップ係数を用いて行われる。
また、クラス分類適応フィルタ411は、クラス分類適応処理で得られた付加クラスを、フィルタ情報として、可逆符号化部106に供給する。
さらに、ステップS127では、可逆符号化部106は、図14のステップS27と同様に、量子化係数、符号化情報、及び、フィルタ情報を符号化するが、そのフィルタ情報には、付加クラスと、最終的なクラスごとのタップ係数とが含まれる。
したがって、可逆符号化部106で得られる符号化データには、量子化係数、符号化情報、及び、フィルタ情報としての付加クラスや最終的なクラスごとのタップ係数が含まれる。そして、かかる符号化データは、ステップS128で、図14のステップS28で説明したように、蓄積バッファ107から、適宜読み出されて伝送される。
図38は、図37のステップS125で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ411の画像変換装置431(図34)では、ステップS141ないしS147において、図15のステップS41ないしS47とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、ステップS143の注目画素のクラス分類では、クラス分類部441(図34、図35)は、クラスタップ、符号化情報、及び、元画像を用いて、注目画素のクラス分類を行う。
すなわち、クラス分類では、ステップS151ないしS153において、図15のステップS51ないしS53とそれぞれ同様の処理が行われる。
具体的には、ステップS151において、クラス分類部441(図35)の第1クラス分類部451は、タップ選択部22からのクラスタップを構成する画素から、例えば、ADRCコード等の画像特徴量を抽出し、処理は、ステップS152に進む。
ステップS152では、第1クラス分類部451は、注目画素についての必要な符号化情報を取得し、あらかじめ決められた規則に従って、符号化情報を、情報コードに変換して、処理は、ステップS153に進む。
ステップS153では、第1クラス分類部451は、画像特徴量及び情報コードから、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを表すクラスコードを生成し、クラスコード生成部453に供給して、処理は、ステップS154に進む。
ステップS154では、第2クラス分類部452は、注目画素の元画像に対応する対応画素を含むCUや、CTU、スライス等の特定領域を、第2クラスとしての付加クラス用の情報として取得し、処理は、ステップS155に進む。
なお、付加クラス用の情報は、元画像から取得する他、符号化情報(符号化データに含められるか否かは、問わない)からも取得することができる。
ステップS155では、第2クラス分類部452は、付加クラス用の情報から、例えば、アクティビティ等の画像特徴量を抽出し、その画像特徴量の閾値処理を行うことで、注目画素の付加クラスを表すクラスコードを求める。
そして、第2クラス分類部452は、付加クラスを表すクラスコードを、クラスコード生成部453に供給して、処理は、ステップS155からステップS156に進む。
ステップS156では、クラスコード生成部453が、第1クラス分類部451からの通常クラスを表すクラスコードと、第2クラス分類部452からの付加クラスを表すクラスコードとから、注目画素の最終的なクラスを表すクラスコードを生成する。
そして、クラスコード生成部453は、注目画素の最終的なクラス(を表すクラスコード)を、画像変換装置431(図34)の係数取得部24に供給し、ステップS143のクラス分類を終了する。
なお、クラス分類適応フィルタ411の画像変換装置431(図34)では、ステップS147において、予測演算部25が、図15のステップS47と同様に、演算部110からの復号途中画像に対して得られた画素値で構成されるフィルタ後画像を、フレームメモリ112(図32)に供給する他、クラス分類部441(図34)が、ステップS143のクラス分類で得られた第2クラスとしての付加クラスを、フィルタ情報として、可逆符号化部106(図32)に供給する。
<復号装置12の第5の構成例>
図39は、図1の復号装置12の第5の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図16の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図39において、復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、フレームメモリ210ないし選択部214、及び、クラス分類適応フィルタ471を有する。
したがって、図39の復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、及び、フレームメモリ210ないし選択部214を有する点で、図16の場合と共通する。
但し、図39の復号装置12は、クラス分類適応フィルタ206に代えて、クラス分類適応フィルタ471を有する点で、図16の場合と相違する。
図39の復号装置12は、図32の符号化装置11から伝送されてくる符号化データを復号する。
そのため、可逆復号部202からクラス分類適応フィルタ471に供給されるフィルタ情報には、最終的なクラスごとのタップ係数や付加クラスが含まれる。
クラス分類適応フィルタ471は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF処理を行う点で、図16のクラス分類適応フィルタ206と共通する。
但し、クラス分類適応フィルタ471では、取得可能情報を用いたクラス分類により、第1クラスとしての通常クラスが求められ、その通常クラスと、可逆復号部202からのフィルタ情報としての付加クラスとから、最終的なクラスが生成される点で、クラス分類適応フィルタ206と相違する。
<クラス分類適応フィルタ471の構成例>
図40は、図39のクラス分類適応フィルタ471の構成例を示すブロック図である。
図40において、クラス分類適応フィルタ471は、画像変換装置481を有する。
画像変換装置481には、演算部205(図39)から復号途中画像が供給されるとともに、可逆復号部202からフィルタ情報としての最終的なクラスごとのタップ係数及び付加クラス、並びに、符号化情報が供給される。
画像変換装置481は、図33の画像変換装置431と同様に、復号途中画像を第1の画像として、クラス(最終的なクラス)ごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210(図39)に供給する。
なお、画像変換装置481は、クラス分類適応処理において、図33の画像変換装置431と同様に、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
また、画像変換装置481は、取得可能情報としての復号途中画像から得られるクラスタップ及び符号化情報(符号化データに含められる符号化情報)を用いたクラス分類により、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求めるとともに、取得不可能情報としての元画像を用いたクラス分類により求められる注目画素の第2クラスとしての付加クラスを、可逆復号部202(図39)からのフィルタ情報から取得し、それらの通常クラスと付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスを生成する。
そして、画像変換装置481は、注目画素の最終的なクラスのタップ係数を用いて、式(1)の予測演算を行う。
<画像変換装置481の構成例>
図41は、図40の画像変換装置481の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図18の画像変換装置231と共通する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図41において、画像変換装置481は、タップ選択部241及び242、係数取得部244、予測演算部245、並びに、クラス分類部491を有する。
したがって、図41の画像変換装置481は、タップ選択部241及び242、係数取得部244、並びに、予測演算部245を有する点で、図18の画像変換装置231と共通する。
但し、図41の画像変換装置481は、クラス分類部243に代えて、クラス分類部491を有する点で、図18の画像変換装置231と相違する。
可逆復号部202(図39)からのフィルタ情報としての最終的なクラスごとのタップ係数(通常クラスのクラス数と付加クラスのクラス数との乗算値のクラス数だけのタップ係数)は、係数取得部244に供給されて記憶される。
また、可逆復号部202(図39)からのフィルタ情報としての付加クラスは、クラス分類部491に供給される。
さらに、クラス分類部491には、可逆復号部202からの符号化情報が供給されるとともに、タップ選択部242からクラスタップが供給される。
クラス分類部491は、図18のクラス分類部243と同様に、クラスタップ及び符号化情報を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求める。
さらに、クラス分類部491は、可逆復号部202(図39)からのフィルタ情報として付加クラスの中から、注目画素の第2クラスとしての付加クラスを取得する。
そして、クラス分類部491は、注目画素の通常クラスと付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスを生成し、係数取得部244に供給する。
係数取得部244は、可逆復号部202からフィルタ情報としての最終的なクラスごとのタップ係数から、クラス分類部491からの注目画素の最終的なクラスのタップ係数を取得し、予測演算部245に供給する。
図42は、図41のクラス分類部491の構成例を示すブロック図である。
図42において、クラス分類部491は、第1クラス分類部501、及び、クラスコード生成部502を有する。
第1クラス分類部501は、図18のクラス分類部243と同様に、タップ選択部242(図41)からのクラスタップと、可逆復号部202(図39)からの符号化情報を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求め、クラスコード生成部502に供給する。
クラスコード生成部502は、可逆復号部202からのフィルタ情報としての付加クラスの中から、注目画素の第2クラスとしての付加クラスを取得する。
そして、クラスコード生成部502は、図35のクラスコード生成部453と同様に、第1クラス分類部501からの通常クラスと、可逆復号部202からのフィルタ情報から取得した付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスを生成し、係数取得部244(図41)に供給する。
<復号処理>
図43は、図39の復号装置12の復号処理の例を説明するフローチャートである。
図39の復号装置12では、ステップS161ないしS173において、図19のステップS61ないしS73とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、ステップS162では、可逆復号部202は、図19のステップS62と同様に、符号化データを復号し、その復号により得られる量子化係数を、逆量子化部203に供給するとともに、符号化データの復号により得られる符号化情報やフィルタ情報を、イントラ予測部212や、動き予測補償部213、クラス分類適応フィルタ471その他の必要なブロックに供給するが、クラス分類適応フィルタ471に供給されるフィルタ情報には、最終的なクラスごとのタップ係数や、第2クラスとしての付加クラスが含まれる。
また、ステップS170において、クラス分類適応フィルタ471は、図19のステップS70と同様に、演算部205からの復号途中画像に、ILFの処理としてのクラス分類適応処理を施すが、そのクラス分類適応処理では、クラスタップ及び符号化情報を用いたクラス分類により第1クラスとしての通常クラスが求められ、その通常クラスと、可逆復号部202(図39)からのフィルタ情報としての付加クラスとから、最終的なクラスが生成される。
図44は、図43のステップS170で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ471の画像変換装置481(図41)では、ステップS181ないしS187において、図20のステップS81ないしS87とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、ステップS183の注目画素のクラス分類では、クラス分類部491(図42)は、可逆復号部202(図39)から供給されるフィルタ情報としての注目画素の付加クラスから、注目画素の最終的なクラスを生成する。
すなわち、クラス分類では、ステップS191ないしS193において、図38のステップS151ないしS153とそれぞれ同様の処理が行われる。
具体的には、ステップS191において、クラス分類部491(図42)の第1クラス分類部501は、タップ選択部242(図41)からのクラスタップを構成する画素から、例えば、ADRCコード等の画像特徴量を抽出し、処理は、ステップS192に進む。
ステップS192では、第1クラス分類部501は、注目画素についての必要な符号化情報を取得し、あらかじめ決められた規則に従って、符号化情報を、情報コードに変換して、処理は、ステップS193に進む。
ステップS193では、第1クラス分類部501は、画像特徴量及び情報コードから、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを表すクラスコードを生成し、クラスコード生成部502に供給して、処理は、ステップS194に進む。
ステップS194では、クラスコード生成部502は、可逆復号部202(図39)から供給されるフィルタ情報としての付加クラスの中から、注目画素の第2クラスとしての付加クラス(を表すクラスコード)を取得する。
さらに、クラスコード生成部502は、第1クラス分類部501からの通常クラス(を表すクラスコード)と、可逆復号部202からのフィルタ情報としての付加クラスから取得した注目画素の付加クラス(を表すクラスコード)とから、注目画素の最終的なクラス(を表すクラスコード)を生成する。
そして、クラスコード生成部502は、注目画素の最終的なクラスを、係数取得部244(図41)に供給し、ステップS183のクラス分類を終了する。
<クラスの縮退>
図45は、最終的なクラスの縮退を説明する図である。
図31で説明したように、取得可能情報を用いたクラス分類により得られる通常クラスと、取得不可能情報を用いたクラス分類により得られる付加クラスとから生成される最終的なクラスを採用し、より元画像に近いフィルタ後画像を得ることができるクラス分類を行うことで、フィルタ後画像(復号画像)のS/Nを向上させることができる。
しかしながら、通常クラスと付加クラスとから生成される最終的なクラスを採用する場合には、通常クラスだけを採用する場合に比較して、クラス数が増加する。したがって、符号化データに含まれるフィルタ情報としてのタップ係数のデータ量が増加し、符号化データのオーバーヘッドが増加する。
そして、符号化データのオーバーヘッドの増加は、圧縮効率の改善の妨げとなる。
そこで、通常クラスと付加クラスとから生成される最終的なクラスを採用する場合には、その最終的なクラスを縮退することができる。
図45では、図31と同様に、符号化装置11において、取得可能情報としての復号途中画像から得られるクラスタップを用いたクラス分類により得られる8ビットの通常クラスを表すクラスコードの上位ビットに、取得不可能情報としての元画像の画像特徴量を用いたクラス分類により得られる2ビットの付加クラスを表すクラスコードを付加することで、10ビットのクラスコードで表されるクラスが、最終的なクラスとして求められる。
そして、符号化装置11では、10ビットの(クラスコードで表される)最終的なクラスが、8ビットの縮退クラスに縮退され、その8ビットの縮退クラスのタップ係数を用いた予測演算により、注目画素に対応するフィルタ後画像の対応画素の画素値が求められる。
さらに、符号化装置11では、8ビットの縮退クラスごとのタップ係数と、2ビットの付加クラスが伝送される。
また、符号化装置11では、10ビットの最終的なクラスを、8ビットの縮退クラスに変換する変換テーブルが生成され、その変換テーブルも伝送される。
最終的なクラスの縮退は、例えば、図24で説明した方法で行うことができる。また、最終的なクラスの縮退は、例えば、タップ係数を座標軸とするタップ係数空間において、タップ係数(のセット)どうしの距離が短いクラスどうしを、1つのクラスにまとめること等により行うことができる。その他、最終的なクラスの縮退は、任意の方法で行うことができる。
復号装置12では、符号化装置11から伝送されてくる縮退クラスごとのタップ係数、2ビットの付加クラス、及び、変換テーブルが取得される。
さらに、復号装置12では、取得可能情報としての復号途中画像から得られるクラスタップを用いて、注目画素が、8ビットの(クラスコードで表される)通常クラスにクラス分類される。
また、復号装置12では、8ビットの通常クラスと、符号化装置11から伝送されてくる2ビットの付加クラスから、符号化装置11の場合と同様の10ビットの最終的なクラスが求められる。
そして、復号装置12では、10ビットの最終的なクラスが、符号化装置11から伝送されてくる変換テーブルに従って、縮退クラスに変換(縮退)され、その縮退クラスのタップ係数を用いた予測演算により、注目画素に対応するフィルタ後画像の対応画素の画素値が求められる。
以上のように、最終的なクラスを縮退することで、通常クラスと付加クラスとから生成される最終的なクラスを採用する場合に生じる、符号化データのオーバーヘッドの増加を抑制することができる。
なお、図31で説明したように、最終的なクラスの縮退を行わず、最終的なクラスごとのタップ係数、及び、付加クラスを、フィルタ情報として伝送するか、又は、図45で説明したように、最終的なクラスの縮退を行い、縮退クラスごとのタップ係数、付加クラス、及び、変換テーブルを伝送するかは、例えば、動作モードの切り替えにより選択することができる。
また、最終的なクラスを縮退クラスに縮退する場合、縮退クラスのクラス数は、例えば、S/Nが改善する程度と、符号化データのオーバーヘッドの増加量とを勘案して、適宜決定することができる。
<符号化装置11の第6の構成例>
図46は、図1の符号化装置11の第6の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図32の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図46において、符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、フレームメモリ112ないしレート制御部117、及び、クラス分類適応フィルタ511を有する。
したがって、図46の符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、及び、フレームメモリ112ないしレート制御部117を有する点で、図32の場合と共通する。
但し、図46の符号化装置11は、クラス分類適応フィルタ411に代えて、クラス分類適応フィルタ511を有する点で、図32の場合と相違する。
クラス分類適応フィルタ511は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF処理を行う点で、クラス分類適応フィルタ411と共通する。
さらに、クラス分類適応フィルタ511では、取得可能情報を用いたクラス分類により、第1クラスとしての通常クラスが求められるとともに、取得不可能情報を用いたクラス分類により第2クラスとしての付加クラスが求められ、それらの通常クラスと付加クラスとから、最終的なクラスが生成される点で、クラス分類適応フィルタ411と共通する。
また、クラス分類適応フィルタ511では、付加クラスが、フィルタ情報として、可逆符号化部106に供給されて伝送される点で、クラス分類適応フィルタ411と共通する。
但し、クラス分類適応フィルタ511では、最終的なクラスが、図45で説明したように縮退クラスに変換(縮退)される点で、クラス分類適応フィルタ411と相違する。
さらに、クラス分類適応フィルタ511では、最終的なクラスを縮退クラスに変換する変換テーブルが、縮退クラスごとのタップ係数とともに、フィルタ情報として、可逆符号化部106に供給されて伝送される点で、クラス分類適応フィルタ411と相違する。
<クラス分類適応フィルタ511の構成例>
図47は、図46のクラス分類適応フィルタ511の構成例を示すブロック図である。
図47において、クラス分類適応フィルタ511は、画像変換装置531及び学習装置532を有する。
画像変換装置531には、演算部110(図46)から復号途中画像が供給されるとともに、学習装置532から縮退クラスごとのタップ係数、及び、変換テーブルが供給される。さらに、画像変換装置531には、符号化情報が供給される。また、画像変換装置531には、並べ替えバッファ102(図46)から元画像が供給される。
画像変換装置531は、復号途中画像を第1の画像として、縮退クラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、フレームメモリ112(図46)に供給する。
なお、画像変換装置531は、クラス分類適応処理において、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
また、画像変換装置531は、取得可能情報としての復号途中画像から得られるクラスタップ及び符号化情報(符号化データに含められる符号化情報)を用いたクラス分類により、第1クラスとしての通常クラスを求めるとともに、取得不可能情報としての、例えば、元画像を用いたクラス分類により第2クラスとしての付加クラスを求め、それらの通常クラスと付加クラスとから、最終的なクラスを生成する。
さらに、画像変換装置531は、学習装置532からの変換テーブルに従って、最終的なクラスを縮退クラスに変換する。
また、画像変換装置531は、付加クラスを、フィルタ情報として、可逆符号化部106(図46)に供給する。
学習装置532には、並べ替えバッファ102(図46)から元画像が供給されるとともに、演算部110(図46)から復号途中画像が供給される。さらに、学習装置532には、符号化情報が供給される。
学習装置532は、復号途中画像を生徒データとするとともに、元画像を教師データとして、縮退クラスごとのタップ係数を求めるタップ係数学習を行う。
さらに、学習装置532は、タップ係数学習により得られる縮退クラスごとのタップ係数を、フィルタ情報として、画像変換装置531及び可逆符号化部106(図46)に供給する。
なお、学習装置532は、画像変換装置531と同様に、タップ係数学習において、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
また、学習装置532は、画像変換装置531と同様に、クラス分類において、通常クラス及び付加クラスを求め、それらの通常クラスと付加クラスとから、最終的なクラスを生成する。
さらに、学習装置532は、最終的なクラスを縮退クラスに変換する変換テーブルを生成し、その変換テーブルに従って、最終的なクラスを縮退クラスに変換する。
また、学習装置532は、変換テーブルを、フィルタ情報として、画像変換装置531及び可逆符号化部106(図46)に供給する。
<画像変換装置531の構成例>
図48は、図47の画像変換装置531の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図34の画像変換装置431と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
図48において、画像変換装置531は、タップ選択部21及び22、係数取得部24、予測演算部25、並びに、クラス分類部541を有する。
したがって、画像変換装置531は、タップ選択部21及び22、係数取得部24、並びに、予測演算部25を有する点で、図34の画像変換装置431と共通する。
但し、画像変換装置531は、クラス分類部441に代えて、クラス分類部541を有する点で、図34の画像変換装置431と相違する。
クラス分類部541には、タップ選択部22から、取得可能情報としての注目画素のクラスタップが供給される。さらに、クラス分類部541には、取得可能情報としての符号化情報が供給されるとともに、並べ替えバッファ102(図46)から、取得不可能情報としての元画像が供給される。また、クラス分類部541には、学習装置532(図47)から変換テーブルが供給される。
クラス分類部541は、図34のクラス分類部441と同様に、クラスタップ及び符号化情報を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求めるとともに、元画像を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第2クラスとしての付加クラスを求める。
さらに、クラス分類部541は、クラス分類部441と同様に、付加クラスを、フィルタ情報として、可逆符号化部106に供給する。
また、クラス分類部541は、クラス分類部441と同様に、通常クラスと付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスを生成する。
そして、クラス分類部541は、注目画素の最終的なクラスを、学習装置532(図47)からの変換テーブルに従って、縮退クラスに変換し、係数取得部24に供給する。
ここで、図48において、係数取得部24は、学習装置532から供給される縮退クラスごとのタップ係数を記憶し、その縮退クラスごとのタップ係数から、クラス分類部541からの縮退クラスのタップ係数を取得して、予測演算部25に供給する。
図49は、図48のクラス分類部541の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図35のクラス分類部441と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図49において、クラス分類部541は、第1クラス分類部451ないしクラスコード生成部453、及び、クラス縮退部551を有する。
したがって、図49のクラス分類部541は、第1クラス分類部451ないしクラスコード生成部453を有する点で、図35のクラス分類部441と共通する。
但し、クラス分類部541は、クラス縮退部551を新たに有する点で、クラス分類部441と相違する。
クラス縮退部551には、学習装置532(図47)から変換テーブルが供給されるとともに、クラスコード生成部453から注目画素の最終的なクラス(を表すクラスコード)が供給される。
クラス縮退部551は、学習装置532からの変換テーブルに従い、クラスコード生成部453からの最終的なクラスを、縮退クラス(を表すクラスコード)に変換し、係数取得部24(図48)に供給する。
<学習装置532の構成例>
図50は、図47の学習装置532の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図36の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図50において、学習装置532は、学習部33及び変換テーブル生成部562を有する。学習部33は、タップ選択部41及び42、足し込み部44、係数算出部45、並びに、クラス分類部461を有する。
したがって、図50の学習装置532は、学習部33を有する点で、図36の場合と共通する。さらに、学習装置532は、学習部33が、タップ選択部41及び42、足し込み部44、係数算出部45、並びに、クラス分類部461を有する点で、図36の学習装置432と共通する。
但し、学習装置532は、変換テーブル生成部562を新たに有する点で、学習装置432と相違する。
変換テーブル生成部562には、係数算出部45から最終的なクラスごとのタップ係数が供給される。
変換テーブル生成部562は、係数算出部45からの最終的なクラス(ごとのタップ係数)を、縮退クラス(ごとのタップ係数)に縮退し、最終的なクラスを縮退クラスに変換する変換テーブルを生成する。
そして、変換テーブル生成部562は、縮退クラスごとのタップ係数及び変換テーブルを、フィルタ情報として、画像変換装置531(図47)と、可逆符号化部106(図46)とに供給する。
ここで、最終的なクラスのクラス数は、通常クラスのクラス数と、付加クラスのクラス数との乗算値の数だけのクラス数になるが、縮退クラスのクラス数としては、例えば、通常クラスのクラス数と等しいクラス数等を採用することができる。但し、縮退クラスのクラス数は、例えば、通常クラスのクラス数や、付加クラスのクラス数等に限定されるものではない。
最終的なクラスの縮退は、例えば、図24で説明した方法で行うことができる。また、最終的なクラスの縮退は、例えば、タップ係数を座標軸とするタップ係数空間において、タップ係数(のセット)どうしの距離が短いクラスどうしを、1つのクラスにまとめること等により行うことができる。
さらに、最終的なクラスの縮退は、縮退後の縮退クラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理により得られる、元画像に対応する第2の画像のS/Nの低下を抑制する規範(以下、S/N規範ともいう)で行うことができる。
最終的なクラスの縮退を、S/N規範で行う場合には、変換テーブル生成部562には、例えば、教師データとしての元画像、及び、生徒データとしての復号途中画像が供給される。
変換テーブル生成部562は、任意の方法で、最終的なクラスの縮退を行い、縮退後の縮退クラスごとのタップ係数を用いて、クラス分類適応処理を行うことにより、教師データとしての元画像を予測した第2の画像を求め、元画像を真値とする第2の画像のS/Nを求める。
変換テーブル生成部562は、複数の縮退の方法(縮退クラスのクラス数が異なる縮退を含む)について、第2の画像のS/Nを求め、そのS/Nが閾値以上になる縮退の1つの方法を、最終的なクラスを縮退する方法に選択する。
<符号化処理>
図51は、図46の符号化装置11の符号化処理の例を説明するフローチャートである。
図46の符号化装置11では、ステップS211ないしS229において、図37のステップS111ないしS129とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、符号化装置11において、クラス分類適応フィルタ511の学習装置532(図47)は、図33の学習装置432と同様に、そこに供給される復号途中画像を生徒データとするとともに、その復号途中画像に対応する元画像を教師データとして、適宜、タップ係数学習を行うが、そのタップ係数学習では、最終的なクラスごとのタップ係数を縮退した縮退クラスごとのタップ係数と、最終的なクラスを縮退クラスに変換する変換テーブルとが、フィルタ情報として生成される。縮退クラスごとのタップ係数、及び、変換テーブルは、フィルタ情報として、画像変換装置531(図47)と可逆符号化部106(図46)に供給される。
また、ステップS212での更新の対象のフィルタ情報、及び、ステップS213での伝送対象に設定されるフィルタ情報には、縮退クラスごとのタップ係数、及び、変換テーブルが含まれる。
さらに、ステップS225において、クラス分類適応フィルタ511は、図37のステップS125と同様に、演算部110からの復号途中画像に、ILFの処理としてのクラス分類適応処理を施す。
すなわち、クラス分類適応フィルタ511のクラス分類適応処理では、図37の場合と同様に、クラスタップ、符号化情報、及び、元画像を用いたクラス分類により、通常クラス及び付加クラスが求められ、その通常クラス及び付加クラスから最終的なクラスが生成される。そして、付加クラスは、図37の場合と同様に、フィルタ情報として、可逆符号化部106に供給される。
但し、クラス分類適応フィルタ511のクラス分類適応処理では、最終的なクラスが、学習装置532(図47)からの変換テーブルに従って縮退クラスに変換され、その縮退クラスごとのタップ係数が用いられる。
また、ステップS227では、可逆符号化部106は、図37のステップS127と同様に、量子化係数、符号化情報、及び、フィルタ情報を符号化し、符号化データに含めるが、フィルタ情報には、付加クラス、縮退クラスごとのタップ係数、及び、変換テーブルが含まれる。
したがって、可逆符号化部106で得られる符号化データには、量子化係数、符号化情報、及び、フィルタ情報としての付加クラスや、縮退クラスごとのタップ係数、変換テーブルが含まれる。そして、かかる符号化データは、ステップS228で、図14のステップS28で説明したように、蓄積バッファ107から、適宜読み出されて伝送される。
図52は、図51のステップS225で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ511の画像変換装置531(図48)では、ステップS241ないしS247において、図38のステップS141ないしS147とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、ステップS243の注目画素のクラス分類では、クラス分類部541(図48、図49)は、クラスタップ、符号化情報、及び、元画像を用いて、注目画素について、通常画像及び付加クラスから、最終的なクラスを求め、その最終的なクラスを、縮退クラスに縮退する。
すなわち、クラス分類では、ステップS251ないしS256において、図38のステップS151ないしS156とそれぞれ同様の処理が行われ、これにより、クラス分類部541(図49)のクラスコード生成部453では、第1クラス分類部451からの通常クラスと、第2クラス分類部452からの付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスが生成され、クラス縮退部551に供給される。
その後、処理は、ステップS256からステップS257に進み、クラス縮退部551は、クラスコード生成部453からの最終的なクラスを、学習装置532(図47)からの変換テーブルに従って、縮退クラスに変換する。
そして、クラス縮退部551は、縮退クラスを、画像変換装置531(図48)の係数取得部24に供給し、ステップS243のクラス分類を終了する。
<復号装置12の第6の構成例>
図53は、図1の復号装置12の第6の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図39の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図53において、復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、フレームメモリ210ないし選択部214、及び、クラス分類適応フィルタ571を有する。
したがって、図53の復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、及び、フレームメモリ210ないし選択部214を有する点で、図39の場合と共通する。
但し、図53の復号装置12は、クラス分類適応フィルタ471に代えて、クラス分類適応フィルタ571を有する点で、図39の場合と相違する。
図53の復号装置12は、図46の符号化装置11から伝送されてくる符号化データを復号する。
そのため、可逆復号部202からクラス分類適応フィルタ571に供給されるフィルタ情報には、縮退クラスごとのタップ係数及び変換テーブルや、付加クラスが含まれる。
クラス分類適応フィルタ571は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF処理を行う点で、図39のクラス分類適応フィルタ471と共通する。
但し、クラス分類適応フィルタ571は、クラス分類適応フィルタ471と同様に、可逆復号部202からのフィルタ情報としての付加クラスを用いて、最終的なクラスを生成するが、その最終的なクラスを、可逆復号部202からのフィルタ情報としての変換テーブルに従って、縮退クラスに変換する点で、クラス分類適応フィルタ471と相違する。
<クラス分類適応フィルタ571の構成例>
図54は、図53のクラス分類適応フィルタ571の構成例を示すブロック図である。
図54において、クラス分類適応フィルタ571は、画像変換装置581を有する。
画像変換装置581には、演算部205(図53)から復号途中画像が供給されるとともに、可逆復号部202からフィルタ情報としての縮退クラスごとのタップ係数、変換テーブル、及び、付加クラス、並びに、符号化情報が供給される。
画像変換装置581は、図47の画像変換装置531と同様に、復号途中画像を第1の画像として、クラス(縮退クラス)ごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210(図53)に供給する。
なお、画像変換装置581は、クラス分類適応処理において、図47の画像変換装置531と同様に、クラス分類を、必要に応じて、符号化情報を用いて行う。
また、画像変換装置581は、画像変換装置481(図40)と同様に、クラスタップを用いたクラス分類により、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求めるとともに、注目画素の第2クラスとしての付加クラスを、可逆復号部202(図53)からのフィルタ情報から取得し、それらの通常クラスと付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスを生成する。
そして、画像変換装置581は、注目画素の最終的なクラスを、可逆復号部202からのフィルタ情報としての変換テーブルに従って、縮退クラスに変換し、その縮退クラスのタップ係数を用いて、式(1)の予測演算を行う。
<画像変換装置581の構成例>
図55は、図54の画像変換装置581の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図41の画像変換装置481と共通する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図55において、画像変換装置581は、タップ選択部241及び242、係数取得部244、予測演算部245、並びに、クラス分類部591を有する。
したがって、図55の画像変換装置581は、タップ選択部241及び242、係数取得部244、並びに、予測演算部245を有する点で、図41の画像変換装置481と共通する。
但し、図55の画像変換装置581は、クラス分類部491に代えて、クラス分類部591を有する点で、図41の画像変換装置481と相違する。
可逆復号部202(図53)からのフィルタ情報としての縮退クラスごとのタップ係数(通常クラスのクラス数と付加クラスのクラス数との乗算値のクラス数だけのタップ係数)は、係数取得部244に供給されて記憶される。
また、可逆復号部202(図53)からのフィルタ情報としての付加クラスや変換テーブルは、クラス分類部591に供給される。
さらに、クラス分類部591には、可逆復号部202からの符号化情報が供給されるとともに、タップ選択部242からクラスタップが供給される。
クラス分類部591は、図41のクラス分類部491と同様に、クラスタップ及び符号化情報を用いて、クラス分類を行い、注目画素の第1クラスとしての通常クラスを求める。
さらに、クラス分類部591は、図41のクラス分類部491と同様に、可逆復号部202(図53)からのフィルタ情報として付加クラスの中から、注目画素の第2クラスとしての付加クラスを取得する。
そして、クラス分類部591は、図41のクラス分類部491と同様に、通常クラスと付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスを生成する。
さらに、クラス分類部591は、注目画素の最終的なクラスを、可逆復号部202(図53)からのフィルタ情報としての変換テーブルに従って、縮退クラスに変換し、係数取得部244に供給する。
係数取得部244は、可逆復号部202からフィルタ情報としての縮退クラスごとのタップ係数から、クラス分類部591からの注目画素の縮退クラスのタップ係数を取得し、予測演算部245に供給する。
図56は、図55のクラス分類部591の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図42のクラス分類部491と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図56において、クラス分類部591は、第1クラス分類部501、クラスコード生成部502、及び、クラス縮退部601を有する。
したがって、図56のクラス分類部591は、第1クラス分類部501、及び、クラスコード生成部502を有する点で、図42のクラス分類部491と共通する。
但し、クラス分類部591は、クラス縮退部601を新たに有する点で、クラス分類部491と相違する。
クラス縮退部601には、クラスコード生成部502が生成する、注目画素の最終的なクラスと、可逆復号部202(図53)からのフィルタ情報に含まれる変換テーブルとが供給される。
クラス縮退部601は、クラスコード生成部502からの注目画素の最終的なクラスを、可逆復号部202からの変換テーブルに従って、縮退クラスに変換し、係数取得部244(図55)に供給する。
<復号処理>
図57は、図53の復号装置12の復号処理の例を説明するフローチャートである。
図53の復号装置12では、ステップS261ないしS273において、図43のステップS161ないしS173とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、ステップS262では、可逆復号部202は、図43のステップS162と同様に、符号化データを復号し、その復号により得られる量子化係数を、逆量子化部203に供給するとともに、符号化データの復号により得られる符号化情報やフィルタ情報を、イントラ予測部212や、動き予測補償部213、クラス分類適応フィルタ571その他の必要なブロックに供給するが、クラス分類適応フィルタ571に供給されるフィルタ情報には、第2クラスとしての付加クラスや、縮退クラスごとのタップ係数及び変換テーブルが含まれることがある。
また、ステップS270において、クラス分類適応フィルタ571は、図43のステップS170と同様に、演算部205からの復号途中画像に、ILFの処理としてのクラス分類適応処理を施すが、そのクラス分類適応処理では、クラスタップ及び符号化情報を用いたクラス分類により求められる通常クラスと、可逆復号部202(図53)からのフィルタ情報としての付加クラスとから生成される最終的なクラスが、可逆復号部202からのフィルタ情報としての変換テーブルに従って、縮退クラスに変換される。
図58は、図57のステップS270で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ571の画像変換装置581(図55)では、ステップS281ないしS287において、図44のステップS181ないしS187とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、ステップS283の注目画素のクラス分類では、クラス分類部591(図56)は、可逆復号部202(図53)から供給されるフィルタ情報としての注目画素の付加クラスから、注目画素の最終的なクラスを生成した後、その最終的なクラスを縮退クラスに変換する。
すなわち、クラス分類では、ステップS291ないしS294において、図44のステップS191ないしS194とそれぞれ同様の処理が行われ、これにより、クラス分類部591(図56)のクラスコード生成部502では、第1クラス分類部451からの通常クラスと、可逆復号部202(図53)からのフィルタ情報としての付加クラスとから、注目画素の最終的なクラスが生成され、クラス縮退部601に供給される。
その後、処理は、ステップS294からステップS295に進み、クラス縮退部601は、可逆復号部202(図53)からの変換テーブルに従って、クラスコード生成部502からの注目画素の最終的なクラスを、縮退クラスに変換する。
そして、クラス縮退部601は、縮退クラスを、画像変換装置581(図55)の係数取得部244に供給し、ステップS283のクラス分類を終了する。
以上のように、通常クラスと付加クラスとから生成される最終的なクラスを採用する場合には、通常クラスだけを採用する場合に比較して、クラス数が増加し、その結果、符号化データのオーバーヘッドが増加するが、最終的なクラスを縮退クラスに変換(縮退)することで、符号化データのオーバーヘッドの増加を抑制することができる。
<クラス分類係数を用いたクラス分類>
図59は、クラス分類係数の学習の概要を説明する図である。
クラスタップから、ADRCコード等の画像特徴量を求め、その画像特徴量によって、注目画素をクラス分類する場合には、クラス分類適応処理により得られる第2の画像のS/Nをより向上させるようにクラス分類が行われるとは限らない。
一方、クラス分類係数を用いたクラス分類では、クラス分類適応処理により得られる第2の画像のS/Nをより向上させるようにクラス分類が行われる。
クラス分類係数は、タップ係数とともに、統計的な誤差を最小にする学習により求められる。
図59は、クラス分類係数の学習の概要を示している。
クラス分類係数の学習は、いわば階層的に行われる。最初の階層を第0階層とする。
各階層の学習では、注目画素を、複数のサブクラスのうちのいずれかのサブクラスに分類するサブクラス分類を行うクラス分類係数が求められる。
いま、サブクラス分類において、注目画素を、例えば、2つのサブクラス0又は1のうちのいずれかに分類することとすると、第n階層の学習では、2nクラス(個)のクラス分類係数cc(n,k)(のセット)が求められる(k=0,1,...,2n-1)。
ここで、クラス分類係数は、タップ係数とともに、統計的な誤差を最小にする学習により求められるが、説明を簡単にするため、ここでは、クラス分類係数の学習にだけ注目する。
いま、クラスタップがM個の画素(の画素値)で構成されることとし、そのM個の画素のうちのn番目の画素の画素値を、xmと表すこととする。
さらに、1クラス(個)のクラス分類係数(のセット)は、クラスタップの画素数Mと同一の数の係数からなり、その1クラスのクラス分類係数のうちの、m番目の係数(クラス分類係数)を、wmと表すこととする。
また、生徒データとしての生徒画像を対象としたクラス分類適応処理により得られる、教師データとしての教師画像の画素の画素値の予測値の予測誤差の予測値(以下、予測誤差予測値ともいう)を、yと表すこととする。
さらに、予測誤差予測値yは、クラスタップxm及びクラス分類係数wmを用いた、例えば、線形1次式y=w1x1+w2x2+...+wMxMで表される積和演算等の所定の演算により求められることとする。ここで、所定の演算を表す、例えば、式y=w1x1+w2x2+...+wMxMを、以下、予測誤差予測式ともいう。
クラス分類係数の学習では、まず、第0階層の学習が行われる。
第0階層の学習では、例えば、生徒画像の全画素を、第0階層の画素群(0,0)として、画素群(0,0)の各画素の画素値を生徒データとするとともに、画素群(0,0)の各画素を対象としたクラス分類適応処理により得られる、画素群(0,0)の各画素に対応する教師画像の画素の画素値の予測値の予測誤差を教師データとして、予測誤差予測値yの予測誤差を統計的に最小にするクラス分類係数wm(のセット)が、第0階層のクラス分類係数cc(0,0)として求められる。
さらに、第0階層の画素群(0,0)の各画素について、第0階層のクラス分類係数cc(0,0)を用い、予測誤差予測式に従って、予測誤差予測値yが求められる。
そして、第0階層の画素群(0,0)の画素のうちの、例えば、予測誤差予測値yが0以上の画素は、サブクラス0にサブクラス分類される。さらに、第0階層の画素群(0,0)の画素のうちの、例えば、予測誤差予測値yが0未満の画素は、サブクラス1にサブクラス分類され、第0階層の学習は終了する。
なお、サブクラス分類では、その他、例えば、予測誤差予測値yの絶対値が閾値未満の画素を、サブクラス0に分類し、予測誤差予測値yの絶対値が閾値以上の画素を、サブクラス1に分類することができる。
また、サブクラス分類では、画素を、その画素の予測誤差予測値yの絶対値によって、3以上のサブクラスのうちのいずれかに分類することができる。
ここで、第0階層の画素群(0,0)のうちの、サブクラス0にサブクラス分類された画素で構成される画素群を、画素群(0,0,0)というとともに、サブクラス1にサブクラス分類された画素で構成される画素群を、画素群(0,0,1)という。
また、画素群(n,k,s)は、第n階層の画素群(n,k)の中で、第n階層のクラス分類係数cc(n,k)を用いたサブクラス分類によりサブクラスsに分類された画素群を表す。
画素群(n,k)は、第n階層のk+1番目の画素群を表す。kは、0,1,...,2n-1の2n個の値をとり、したがって、第n階層の(サブクラス分類前の)画素群(n,k)は、2n個だけ存在する。
第0階層の学習の終了後、必要に応じて、次の階層、すなわち、第1階層の学習が行われる。
第1階層の学習では、第0階層の学習でのサブクラス分類で得られた21個の画素群(0,0,0)及び画素群(0,0,1)を、第1階層の2n個の画素群(n,k)、つまり、第1階層の21個の画素群(1,0)及び画素群(1,1)として、第0階層の学習と同様の処理が行われる。
すなわち、第1階層の1個目の画素群(1,0)については、その画素群(1,0)を生徒データとするとともに、画素群(1,0)の各画素を対象としたクラス分類適応処理により得られる、画素群(1,0)の各画素に対応する教師画像の画素の画素値の予測値の予測誤差を教師データとして、予測誤差予測値yの予測誤差を統計的に最小にするクラス分類係数wmが、第1階層の1個(クラス)目のクラス分類係数cc(1,0)として求められる。
さらに、第1階層の画素群(1,0)の各画素について、第1階層のクラス分類係数cc(1,0)を用い、予測誤差予測式に従って、予測誤差予測値yが求められる。
そして、第1階層の画素群(1,0)の画素のうちの、予測誤差予測値yが0以上の画素は、サブクラス0の画素群(1,0,0)にサブクラス分類され、予測誤差予測値yが0未満の画素は、サブクラス1の画素群(1,0,1)にサブクラス分類される。
第1階層の2個目の画素群(1,1)についても、同様に、その画素群(1,1)を生徒データとするとともに、画素群(1,1)の各画素を対象としたクラス分類適応処理により得られる、画素群(1,1)の各画素に対応する教師画像の画素の画素値の予測値の予測誤差を教師データとして、予測誤差予測値yの予測誤差を統計的に最小にするクラス分類係数wmが、第1階層の2個(クラス)目のクラス分類係数cc(1,1)として求められる。
さらに、第1階層の画素群(1,1)の各画素について、第1階層のクラス分類係数cc(1,1)を用い、予測誤差予測式に従って、予測誤差予測値yが求められる。
そして、第1階層の画素群(1,1)の画素のうちの、予測誤差予測値yが0以上の画素は、サブクラス0の画素群(1,1,0)にサブクラス分類され、予測誤差予測値yが0未満の画素は、サブクラス1の画素群(1,1,1)にサブクラス分類される。
第1階層の学習の終了後、必要に応じて、次の階層、すなわち、第2階層の学習が行われる。
第2階層の学習では、第1階層の学習でのサブクラス分類で得られた22個の画素群(1,0,0)、画素群(1,0,1)、画素群(1,1,0)、及び、画素群(1,1,1)を、第2階層の2n個の画素群(n,k)、つまり、第2階層の22個の画素群(2,0)、画素群(2,1)、画素群(2,2)、及び、画素群(2,3)として、第0階層の学習と同様の処理が行われる。
すなわち、第2階層の1個目の画素群(2,0)については、その画素群(2,0)を生徒データとするとともに、画素群(2,0)の各画素を対象としたクラス分類適応処理により得られる、画素群(2,0)の各画素に対応する教師画像の画素の画素値の予測値の予測誤差を教師データとして、予測誤差予測値yの予測誤差を統計的に最小にするクラス分類係数wmが、第2階層の1個目のクラス分類係数cc(2,0)として求められる。
さらに、第2階層の画素群(2,0)の各画素について、第2階層のクラス分類係数cc(2,0)を用い、予測誤差予測式に従って、予測誤差予測値yが求められる。
そして、第2階層の画素群(2,0)の画素のうちの、予測誤差予測値yが0以上の画素は、サブクラス0の画素群(2,0,0)にサブクラス分類され、予測誤差予測値yが0未満の画素は、サブクラス1の画素群(2,0,1)にサブクラス分類される。
第2階層の2個目の画素群(2,1)についても、同様に、その画素群(2,1)を生徒データとするとともに、画素群(2,1)の各画素を対象としたクラス分類適応処理により得られる、画素群(2,1)の各画素に対応する教師画像の画素の画素値の予測値の予測誤差を教師データとして、予測誤差予測値yの予測誤差を統計的に最小にするクラス分類係数wmが、第2階層の2個目のクラス分類係数cc(2,1)として求められる。
さらに、第2階層の画素群(2,1)の各画素について、第2階層のクラス分類係数cc(2,1)を用い、予測誤差予測式に従って、予測誤差予測値yが求められる。
そして、第2階層の画素群(2,1)の画素のうちの、予測誤差予測値yが0以上の画素は、サブクラス0の画素群(2,1,0)にサブクラス分類され、予測誤差予測値yが0未満の画素は、サブクラス1の画素群(2,1,1)にサブクラス分類される。
第2階層の3個目の画素群(2,2)についても、同様に、その画素群(2,2)を生徒データとするとともに、画素群(2,2)の各画素を対象としたクラス分類適応処理により得られる、画素群(2,2)の各画素に対応する教師画像の画素の画素値の予測値の予測誤差を教師データとして、予測誤差予測値yの予測誤差を統計的に最小にするクラス分類係数wmが、第2階層の3個目のクラス分類係数cc(2,2)として求められる。
さらに、第2階層の画素群(2,2)の各画素について、第2階層のクラス分類係数cc(2,2)を用い、予測誤差予測式に従って、予測誤差予測値yが求められる。
そして、第2階層の画素群(2,2)の画素のうちの、予測誤差予測値yが0以上の画素は、サブクラス0の画素群(2,2,0)にサブクラス分類され、予測誤差予測値yが0未満の画素は、サブクラス1の画素群(2,2,1)にサブクラス分類される。
第2階層の4個目の画素群(2,3)についても、同様に、その画素群(2,3)を生徒データとするとともに、画素群(2,3)の各画素を対象としたクラス分類適応処理により得られる、画素群(2,3)の各画素に対応する教師画像の画素の画素値の予測値の予測誤差を教師データとして、予測誤差予測値yの予測誤差を統計的に最小にするクラス分類係数wmが、第2階層の4個目のクラス分類係数cc(2,3)として求められる。
さらに、第2階層の画素群(2,3)の各画素について、第2階層のクラス分類係数cc(2,3)を用い、予測誤差予測式に従って、予測誤差予測値yが求められる。
そして、第2階層の画素群(2,3)の画素のうちの、予測誤差予測値yが0以上の画素は、サブクラス0の画素群(2,3,0)にサブクラス分類され、予測誤差予測値yが0未満の画素は、サブクラス1の画素群(2,3,1)にサブクラス分類される。
第2階層の学習の終了後、必要に応じて、次の階層、すなわち、第3階層の学習が行われる。
第3階層の学習では、第2階層の学習でのサブクラス分類で得られた23個の画素群(2,0,0)、画素群(2,0,1)、画素群(2,1,0)、画素群(2,1,1)、画素群(2,2,0)、画素群(2,2,1)、画素群(2,3,0)、画素群(2,3,1)を、第3階層の2n個の画素群(n,k)、つまり、第3階層の23個の画素群(3,0)、画素群(3,1)、画素群(3,2)、画素群(3,3)、画素群(3,4)、画素群(3,5)、画素群(3,6)、画素群(3,7)として、第0階層の学習と同様の処理が行われる。
以下、同様にして、必要な階層までの学習が行われる。
クラス分類係数の学習が、第L階層の学習まで行われた場合、第0階層の20個のクラス分類係数cc(2,0)から、第L階層の2L個のクラス分類係数cc(L,0),cc(L,1),...cc(L,2L-1)までのクラス分類係数が得られる。
ここで、第n階層のk+1個目の画素群(n,k)を、第n階層のクラスkの画素群(n,k)ともいうとともに、第n階層のクラス分類係数cc(n,k)を、第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)ともいう。
クラス分類係数の学習では、第n階層の学習において、第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)を用い、予測誤差予測式に従って、第n階層のクラスkの画素群(n,k)のサブクラス分類が行われ、第n階層のクラスkの画素群(n,k)が、サブクラス0の画素群と、サブクラス1の画素分とに分類される。
そして、次の第n+1階層の学習において、第n階層のクラスkの画素群(n,k)のうちの、サブクラス0の画素群が、第n+1階層のあるクラスk1の画素群(n+1,k1)とされるとともに、サブクラス1の画素群が、第n+1階層の他のクラスk2の画素群(n+1,k2)とされる。
さらに、第n+1階層のクラスk1の画素群(n+1,k1)のサブクラス分類が、第n+1階層のクラスk1のクラス分類係数cc(n+1,k1)を用いて行われるとともに、第n+1階層のクラスk2の画素群(n+1,k2)のサブクラス分類が、第n+1階層のクラスk2のクラス分類係数cc(n+1,k2)を用いて行われる。
以下同様に、サブクラス分類が再帰的に繰り返し行われ、第0階層から任意の階層までのクラス分類係数が求められる。
図60は、クラス分類係数を用いたクラス分類の概要を説明する図である。
クラス分類係数を用いたクラス分類は、クラス分類係数の学習と同様に、階層的に行われる。
すなわち、クラス分類係数を用いたクラス分類では、まず、第0階層のサブクラス分類が行われる。
第0階層のサブクラス分類では、注目画素について、第0階層のクラス分類係数cc(0,0)を用いて、予測誤差予測値yが求められる。
そして、注目画素の予測誤差予測値yが0以上である場合、注目画素は、第0階層のサブクラス0にサブクラス分類される。また、注目画素の予測誤差予測値yが0未満である場合、注目画素は、第0階層のサブクラス1にサブクラス分類される。
第0階層において、サブクラス0又は1にサブクラス分類された注目画素は、次の階層、すなわち、第1階層のクラスの画素になる。
第0階層において、注目画素がサブクラス分類された場合、注目画素の第1の階層のクラスが、注目画素の第0階層のクラスに、注目画素の第0階層のサブクラスを加味して決定される。
第0階層には、クラスがないので、注目画素の第1階層のクラスは、注目画素の第0階層のサブクラスから決定される。
すなわち、第0階層において、注目画素がサブクラス0にサブクラス分類された場合、注目画素の第1階層のクラスは、例えば、サブクラス0に応じて、クラス0に決定される。
また、第0階層において、注目画素がサブクラス1にサブクラス分類された場合、注目画素の第1階層のクラスは、例えば、サブクラス1に応じて、クラス1に決定される。
ここで、クラスkは、クラスコードがkのクラスを表すこととする。
第0階層のサブクラス分類の終了後、次の階層、すなわち、第1階層のクラス分類係数cc(1,0)及びcc(1,1)が存在する場合には、第1階層のサブクラス分類が行われる。
第1階層のサブクラス分類では、第1階層のクラス分類係数cc(1,0)及びcc(1,1)のうちの、注目画素の第1階層のクラスkのクラス分類係数cc(1,k)が用いられる。
したがって、注目画素の第1階層のクラスkがクラス0である場合、第1階層のクラス分類係数cc(1,0)を用いて、注目画素の予測誤差予測値yが求められる。また、注目画素の第1階層のクラスkがクラス1である場合、第1階層のクラス分類係数cc(1,1)を用いて、注目画素の予測誤差予測値yが求められる。
そして、注目画素の予測誤差予測値yが0以上である場合、注目画素は、第1階層のサブクラス0にサブクラス分類される。また、注目画素の予測誤差予測値yが0未満である場合、注目画素は、第1階層のサブクラス1にサブクラス分類される。
第1階層において、サブクラス0又は1にサブクラス分類された注目画素は、次の階層、すなわち、第2階層のクラスの画素になる。
第1階層において、注目画素がサブクラス分類された場合、注目画素の第2の階層のクラスが、注目画素の第1階層のクラスに、注目画素の第1階層のサブクラスを加味して決定される。
例えば、注目画素の第1階層のクラスkがクラス0である場合、注目画素の第2階層のクラスは、その第1階層のクラス0に、注目画素の第1階層のサブクラスを加味して決定される。
すなわち、第1階層において、注目画素がサブクラス0にサブクラス分類された場合、注目画素の第2階層のクラスは、注目画素の第1階層のクラス0の下位ビットに、注目画素の第1階層のサブクラス0を付加して、クラス002=0に決定される。ここで、下付の2は、その直前の数値が2進数であることを表す。
また、第1階層において、注目画素がサブクラス1にサブクラス分類された場合、注目画素の第2階層のクラスは、注目画素の第1階層のクラス0の下位ビットに、注目画素の第1階層のサブクラス1を付加して、クラス012=1に決定される。
一方、注目画素の第1階層のクラスkがクラス1である場合、注目画素の第2階層のクラスは、その第1階層のクラス1に、注目画素の第1階層のサブクラスを加味して決定される。
すなわち、第1階層において、注目画素がサブクラス0にサブクラス分類された場合、注目画素の第2階層のクラスは、注目画素の第1階層のクラス1の下位ビットに、注目画素の第1階層のサブクラス0を付加して、クラス102=2に決定される。
また、第1階層において、注目画素がサブクラス1にサブクラス分類された場合、注目画素の第2階層のクラスは、注目画素の第1階層のクラス1の下位ビットに、注目画素の第1階層のサブクラス1を付加して、クラス112=3に決定される。
第1階層のサブクラス分類の終了後、次の階層、すなわち、第2階層のクラス分類係数cc(2,0),cc(2,1),cc(2,2),cc(2,3)が存在する場合には、第2階層のサブクラス分類が行われる。
第2階層のサブクラス分類では、第2階層のクラス分類係数cc(2,0)ないしcc(2,3)のうちの、注目画素の第2階層のクラスkのクラス分類係数cc(2,k)が用いられる。
したがって、例えば、注目画素の第2階層のクラスkがクラス0=002である場合、第2階層のクラス分類係数cc(2,0)を用いて、注目画素の予測誤差予測値yが求められる。
そして、注目画素の予測誤差予測値yが0以上である場合、注目画素は、第2階層のサブクラス0にサブクラス分類される。また、注目画素の予測誤差予測値yが0未満である場合、注目画素は、第2階層のサブクラス1にサブクラス分類される。
第2階層において、サブクラス0又は1にサブクラス分類された注目画素は、次の階層、すなわち、第3階層のクラスの画素になる。
第2階層において、注目画素がサブクラス分類された場合、注目画素の第3の階層のクラスが、注目画素の第2階層のクラスに、注目画素の第2階層のサブクラスを加味して決定される。
いまの場合、注目画素の第2階層のクラスkはクラス0=002であるため、注目画素の第3階層のクラスは、その第2階層のクラス0=002に、注目画素の第2階層のサブクラスを加味して決定される。
すなわち、第2階層において、注目画素がサブクラス0にサブクラス分類された場合、注目画素の第3階層のクラスは、注目画素の第2階層のクラス0=002の下位ビットに、注目画素の第2階層のサブクラス0を付加して、クラス0002=0に決定される。
また、第2階層において、注目画素がサブクラス1にサブクラス分類された場合、注目画素の第3階層のクラスは、注目画素の第2階層のクラス0=002の下位ビットに、注目画素の第2階層のサブクラス1を付加して、クラス0012=1に決定される。
注目画素の第2階層のクラスkがクラス1=012である場合、第2階層のクラス分類係数cc(2,1)を用いて、注目画素の予測誤差予測値yが求められる。
そして、注目画素の予測誤差予測値yが0以上である場合、注目画素は、第2階層のサブクラス0にサブクラス分類される。また、注目画素の予測誤差予測値yが0未満である場合、注目画素は、第2階層のサブクラス1にサブクラス分類される。
第2階層において、サブクラス0又は1にサブクラス分類された注目画素は、次の階層、すなわち、第3階層のクラスの画素になる。
第2階層において、注目画素がサブクラス分類された場合、注目画素の第2の階層のクラスが、注目画素の第2階層のクラスに、注目画素の第2階層のサブクラスを加味して決定される。
いまの場合、注目画素の第2階層のクラスkはクラス1=012であるため、注目画素の第3階層のクラスは、その第2階層のクラス1=012に、注目画素の第2階層のサブクラスを加味して決定される。
すなわち、第2階層において、注目画素がサブクラス0にサブクラス分類された場合、注目画素の第3階層のクラスは、注目画素の第2階層のクラス1=012の下位ビットに、注目画素の第2階層のサブクラス0を付加して、クラス0102=2に決定される。
また、第2階層において、注目画素がサブクラス1にサブクラス分類された場合、注目画素の第3階層のクラスは、注目画素の第2階層のクラス1=012の下位ビットに、注目画素の第2階層のサブクラス1を付加して、クラス0112=3に決定される。
注目画素の第2階層のクラスkがクラス2=102である場合、第2階層のクラス分類係数cc(2,2)を用いて、注目画素の予測誤差予測値yが求められる。
そして、注目画素の予測誤差予測値yが0以上である場合、注目画素は、第2階層のサブクラス0にサブクラス分類される。また、注目画素の予測誤差予測値yが0未満である場合、注目画素は、第2階層のサブクラス1にサブクラス分類される。
第2階層において、サブクラス0又は1にサブクラス分類された注目画素は、次の階層、すなわち、第3階層のクラスの画素になる。
第2階層において、注目画素がサブクラス分類された場合、注目画素の第2の階層のクラスが、注目画素の第2階層のクラスに、注目画素の第2階層のサブクラスを加味して決定される。
いまの場合、注目画素の第2階層のクラスkはクラス2=102であるため、注目画素の第3階層のクラスは、その第2階層のクラス2=102に、注目画素の第2階層のサブクラスを加味して決定される。
すなわち、第2階層において、注目画素がサブクラス0にサブクラス分類された場合、注目画素の第3階層のクラスは、注目画素の第2階層のクラス2=102の下位ビットに、注目画素の第2階層のサブクラス0を付加して、クラス1002=4に決定される。
また、第2階層において、注目画素がサブクラス1にサブクラス分類された場合、注目画素の第3階層のクラスは、注目画素の第2階層のクラス2=102の下位ビットに、注目画素の第2階層のサブクラス1を付加して、クラス1012=5に決定される。
注目画素の第2階層のクラスkがクラス3=112である場合、第2階層のクラス分類係数cc(2,3)を用いて、注目画素の予測誤差予測値yが求められる。
そして、注目画素の予測誤差予測値yが0以上である場合、注目画素は、第2階層のサブクラス0にサブクラス分類される。また、注目画素の予測誤差予測値yが0未満である場合、注目画素は、第2階層のサブクラス1にサブクラス分類される。
第2階層において、サブクラス0又は1にサブクラス分類された注目画素は、次の階層、すなわち、第3階層のクラスの画素になる。
第2階層において、注目画素がサブクラス分類された場合、注目画素の第2の階層のクラスが、注目画素の第2階層のクラスに、注目画素の第2階層のサブクラスを加味して決定される。
いまの場合、注目画素の第2階層のクラスkはクラス3=112であるため、注目画素の第3階層のクラスは、その第2階層のクラス3=112に、注目画素の第2階層のサブクラスを加味して決定される。
すなわち、第2階層において、注目画素がサブクラス0にサブクラス分類された場合、注目画素の第3階層のクラスは、注目画素の第2階層のクラス3=112の下位ビットに、注目画素の第2階層のサブクラス0を付加して、クラス1102=6に決定される。
また、第2階層において、注目画素がサブクラス1にサブクラス分類された場合、注目画素の第3階層のクラスは、注目画素の第2階層のクラス3=1122の下位ビットに、注目画素の第2階層のサブクラス1を付加して、クラス1112=7に決定される。
以下、クラス分類係数cc(n,k)が存在しない階層に到達するまで、各階層のサブクラス分類が順次行われる。
なお、クラス分類係数の学習と、クラス分類係数を用いたクラス分類については、例えば、特許第5347862号公報に記載されている。
<クラス分類係数の学習を行う学習装置>
図61は、クラス分類係数の学習を行う学習装置の構成例を示すブロック図である。
図61の学習装置では、クラス分類係数が、タップ係数とともに、統計的な誤差を最小にする学習により求められる。
図61において、学習装置は、タップ係数学習部701、タップ係数設定部702、サブクラス教師データ生成部703、クラス分類係数学習部704、クラス分類係数設定部705、サブクラス予測部706、サブクラス分類部707、クラス決定部708、画素予測部709、及び、終了条件判定部710を有する。
タップ係数学習部701には、生徒データとして、例えば、復号途中画像に相当する生徒画像が供給されるとともに、教師データとして、例えば、元画像に相当する教師画像が供給される。
さらに、タップ係数学習部701には、クラス決定部708から、生徒画像の各画素の第n階層のクラスkが供給される。
タップ係数学習部701は、クラス決定部708からの第n階層のクラスkごとに、生徒画像の第n階層のクラスkの画素群(n,k)と、その画素群(n,k)に対応する教師画像の画素群とを用いて、第n階層のクラスkのタップ係数tc(n,k)(のセット)を求めるタップ係数学習を行う。
そして、タップ係数学習部701は、タップ係数学習によって得られる、第n階層のクラスkのタップ係数tc(n,k)(k=0,1,...2n-1)を、タップ係数設定部702に供給する。
タップ係数設定部702は、タップ係数学習部701からの、第n階層のクラスkのタップ係数tc(n,k)(k=0,1,...2n-1)、すなわち、第n階層の2nクラス(個)のタップ係数tc(n,k)を記憶し、画素予測部709に設定する。
また、タップ係数設定部702は、終了条件判定部710の制御に従い、記憶している第n階層の2nクラスのタップ係数tc(n,k)を外部に出力する。
サブクラス教師データ生成部703には、教師画像が供給される。さらに、サブクラス教師データ生成部703には、画素予測部709から、生徒画像及び第n階層の2nクラスのタップ係数tc(n,k)を用いたクラス分類適応処理により求められる、教師画像の画素の画素値を予測した予測値(以下、画素予測値ともいう)が供給される。
サブクラス教師データ生成部703は、教師画像と、画素予測部709からの画素予測値とから、サブクラス教師データを生成し、クラス分類係数学習部704に供給する。
ここで、サブクラス教師データは、生徒画像の画素が属するサブクラスに関する情報であり、クラス分類係数学習部704でのクラス分類係数学習の教師データとなる。
サブクラス教師データとしては、例えば、画素予測部709からサブクラス教師データ生成部703に供給される画素予測値の、教師画像の画素の画素値に対する予測誤差を採用することができる。
クラス分類係数学習部704には、サブクラス教師データ生成部703からサブクラス教師データが供給される他、生徒画像が供給される。
クラス分類係数学習部704は、サブクラス教師データとしての画素予測値の予測誤差を教師データとするとともに、生徒画像の画素のうちの、第n階層のクラスkの画素群(n,k)を生徒データとして、図59で説明したように、第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)を求めるクラス分類係数学習を行う。
すなわち、クラス分類係数学習部704では、第n階層のクラスkの生徒画像の画素群(n,k)を生徒データとするとともに、その画素群(n,k)の各画素に対応する教師画像の画素の画素予測値の予測誤差(サブクラス教師データ)を教師データとして、上述の予測誤差予測式y=w1x1+w2x2+...+wMxMで表される、画素予測値の予測誤差予測値yの予測誤差を統計的に最小にするクラス分類係数wmが、第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)として求められる。予測誤差予測値yの予測誤差を統計的に最小にする第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)は、例えば、タップ係数学習と同様に、最小自乗法により求めることができる。
クラス分類係数学習部704は、クラス分類係数学習により、第n階層の2nクラスのクラス分類係数cc(n,k)を求めると、その第n階層の2nクラスのクラス分類係数cc(n,k)を、クラス分類係数設定部705に供給する。
クラス分類係数設定部705は、クラス分類係数学習部704からの第n階層の2nクラスのクラス分類係数cc(n,k)を記憶し、サブクラス予測部706に設定する。
また、クラス分類係数設定部705は、終了条件判定部710の制御に従い、記憶している第0階層から第n階層までのクラス分類係数cc(0,k),cc(1,k),...,cc(n,k)を外部に出力する。
サブクラス予測部706には、生徒画像が供給される。
サブクラス予測部706は、生徒画像の画素群のうちの第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...,2n-1)の各画素について、クラス分類係数設定部705からの、第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)={wm}を用い、予測誤差予測式y=w1x1+w2x2+...+wMxMに従った予測演算を行うことにより、画素予測値の予測誤差予測値yを、サブクラス予測値として求める。
ここで、サブクラス予測値とは、第n階層のクラスkの画素群(n,k)の画素が属するサブクラスに関する情報としてのサブクラス教師データを予測した予測値である。
サブクラス予測部706は、サブクラス予測値を、サブクラス分類部707に供給する。
サブクラス分類部707は、サブクラス予測部706からのサブクラス予測値に応じて、第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...,2n-1)の各画素のサブクラス分類を行う。
すなわち、例えば、サブクラス予測値(予測誤差予測値y)が0以上の画素は、サブクラス0にサブクラス分類され、サブクラス予測値が0未満の画素は、サブクラス1にサブクラス分類される。
サブクラス分類部707は、第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...,2n-1)の各画素のサブクラスを、クラス決定部708に供給する。
クラス決定部708は、第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...,2n-1)の各画素の第n+1階層のクラスk'を、第n階層のクラスkに、サブクラス分類部707からの第n階層のサブクラスを加味して、図60で説明したように決定する。
クラス決定部708は、第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...,2n-1)の各画素について決定した第n+1階層のクラスk'を、その第n+1階層のクラスk'に属する生徒画像の画素を識別することができる形で、タップ係数学習部701、及び、画素予測部709に供給する。
画素予測部709には、復号途中画像に相当する生徒画像が供給される。
画素予測部709は、クラス決定部708からの第n階層のクラスk(k=0,1,...2n-1)ごとに、生徒画像の第n階層のクラスkの画素群(n,k)の各画素を注目画素として、その注目画素に対応する教師画像の画素の画素値の画素予測値を、タップ係数設定部702からの第n階層のクラスkのタップ係数tc(n,k)を用いて求めるクラス分類適応処理(のうちの式(1)の予測演算)を行う。
そして、画素予測部709は、クラス分類適応処理により得られる各画素の画素予測値を、サブクラス教師データ生成部703に供給する。
終了条件判定部710は、学習の終了条件が満たされるかどうかを判定し、学習の終了条件が満たされる場合には、学習装置でのタップ係数tc(n,k)及びクラス分類係数cc(n,k)の学習を終了する。さらに、終了条件判定部710は、タップ係数設定部702及びクラス分類係数設定部705を制御することにより、タップ係数設定部702が記憶している第n階層の2nクラスのタップ係数tc(n,k)を外部に出力させるとともに、クラス分類係数設定部705が記憶している第0階層から第n-1階層までのクラス分類係数cc(0,k),cc(1,k),...,cc(n-1,k)を外部に出力させる。
なお、タップ係数設定部702及びクラス分類係数設定部705は、1つのブロックで構成することができる。
図62は、図61の学習装置が行う学習処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS311において、終了条件判定部710は、階層(を表す変数)nを、初期値としての、例えば、0に設定する。
その後、処理は、ステップS311からステップS312に進み、タップ係数学習部701は、クラス決定部708からの第n階層のクラスkごとに、生徒画像の第n階層のクラスkの画素群(n,k)と、その画素群(n,k)に対応する教師画像の画素群とを用いて、第n階層のクラスkのタップ係数tc(n,k)を求めるタップ係数学習を行う。
そして、タップ係数学習部701は、タップ係数学習によって得られる、第n階層の2nクラスのタップ係数tc(n,k)(k=0,1,...2n-1)を、タップ係数設定部702に供給して記憶させ、処理は、ステップS312からステップS313に進む。
なお、ステップS312のタップ係数学習では、第0階層(n=0)については、生徒画像の全画素を、1つのクラス(例えば、クラス0)の画素として、1=20個(クラス)のタップ係数tc(0,0)(のセット)が求められる。
ステップS313では、終了条件判定部710が、学習の終了条件が満たされるかどうかを判定する。
ここで、学習の終了条件としては、例えば、階層nが、最終階層Nであることを採用することができる。最終階層Nとは、タップ係数tc(n,k)を求める最後の階層で、例えば、あらかじめ設定しておくことができる。
また、学習の終了条件としては、例えば、画素予測部709でのクラス分類適応処理により求められる画素予測値で構成される画像のS/Nの増加量が閾値以下であること等を採用することができる。
ステップS313において、学習の終了条件が満たされないと判定された場合、処理は、ステップS314に進み、以下、第n階層の学習が行われる。
すなわち、ステップS314において、タップ係数設定部702は、記憶している第n階層の2nクラスのタップ係数tc(n,k)を、画素予測部709に設定する。
画素予測部709は、クラス決定部708からの第n階層のクラスk(k=0,1,...2n-1)ごとに、生徒画像の第n階層のクラスkの画素群(n,k)の各画素を注目画素として、その注目画素に対応する教師画像の画素の画素値の画素予測値を、タップ係数設定部702からの第n階層のクラスkのタップ係数tc(n,k)を用いて求めるクラス分類適応処理(のうちの式(1)の予測演算)を行う。
そして、画素予測部709は、クラス分類適応処理により得られる画素予測値を、サブクラス教師データ生成部703に供給して、処理は、ステップS314からステップS315に進む。
なお、ステップS314のクラス分類適応処理では、第0階層(n=0)については、生徒画像の全画素を、1つのクラス(例えば、クラス0)の画素として、直前のステップS312で求められる1=20個(クラス)のタップ係数tc(0,0)を用いて、1つのクラスの画素である、生徒画像の各画素に対応する教師画像の画素の画素値の画素予測値が求められる。
ステップS315では、サブクラス教師データ生成部703は、教師画像と、画素予測部709からの各画素の画素予測値とから、その画素予測値の、教師画像の対応画素の画素値に対する予測誤差を、サブクラス教師データとして求める(生成する)。
そして、サブクラス教師データ生成部703は、サブクラス教師データを、クラス分類係数学習部704に供給して、処理は、ステップS315からステップS316に進む。
ステップS316では、クラス分類係数学習部704は、サブクラス教師データ生成部703からのサブクラス教師データとしての画素予測値の予測誤差を教師データとするとともに、生徒画像の画素のうちの、第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...2n-1)を生徒データとして、第n階層のクラスkごとに、図59等で説明したように、サブクラス分類に用いる第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)を求めるクラス分類係数学習を行う。
クラス分類係数学習部704は、第n階層のクラスkごとのクラス分類係数学習により、第n階層の2nクラスのクラス分類係数cc(n,k)を求めると、その第n階層の2nクラスのクラス分類係数cc(n,k)を、クラス分類係数設定部705に供給して記憶させる。
クラス分類係数設定部705は、クラス分類係数学習部704からの第n階層の2nクラスのクラス分類係数cc(n,k)を記憶し、サブクラス予測部706に設定して、処理は、ステップS316からステップS317に進む。
ステップS317では、サブクラス予測部706は、生徒画像の画素群のうちの第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...,2n-1)の各画素について、クラス分類係数設定部705からの、第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)={wm}を用い、予測誤差予測式y=w1x1+w2x2+...+wMxMに従った予測演算を行うことにより、画素予測値の予測誤差予測値yを、サブクラス予測値として求め、サブクラス分類部707に供給する。
サブクラス分類部707は、サブクラス予測部706からのサブクラス予測値に応じて、第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...,2n-1)の各画素のサブクラス分類を行う。
すなわち、サブクラス分類部707は、サブクラス予測値(予測誤差予測値y)が0以上の画素を、サブクラス0にサブクラス分類し、予測誤差予測値yが0未満の画素を、サブクラス1にサブクラス分類する。
サブクラス分類により、第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...,2n-1)は、第n階層のサブクラス0の画素群(n,k,0)とサブクラス1の画素群(n,k,1)とに分類される。
サブクラス分類部707は、第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...,2n-1)の各画素のサブクラスを、クラス決定部708に供給する。
クラス決定部708は、第n階層のクラスkの画素群(n,k)(k=0,1,...,2n-1)の各画素の第n+1階層のクラスk'を、第n階層のクラスkに、サブクラス分類部707からの第n階層のサブクラスを加味して、図60で説明したように決定する。
なお、ステップS317では、第0階層(n=0)の画素群(0,0)については、第1階層のクラスは、第0階層のサブクラスから決定される。
すなわち、第0階層において、サブクラス0にサブクラス分類された画素の第1階層のクラスは、サブクラス0に応じて、クラス0に決定され、サブクラス1にサブクラス分類された画素の第1階層のクラスは、サブクラス1に応じて、クラス1に決定される。
クラス決定部708は、第n階層のクラスkごとに、第n階層のクラスkの画素群(n,k)の各画素について、第n+1階層のクラスk'を決定すると、第n+1階層のクラスk'に属する生徒画像の画素を識別することができる形で、生徒画像の各画素の第n+1階層のクラスk'を、タップ係数学習部701、及び、画素予測部709に供給し、処理は、ステップS317からステップS318に進む。
ステップS318では、終了条件判定部710は、階層nを1だけインクリメントして、処理は、ステップS312に戻る。
ステップS312では、タップ係数学習部701は、クラス決定部708からの、ステップS318での階層nのインクリメント後の第n階層のクラスkごとに、上述したように、生徒画像の第n階層のクラスkの画素群(n,k)と、その画素群(n,k)に対応する教師画像の画素群とを用いて、第n階層のクラスkのタップ係数tc(n,k)を求めるタップ係数学習を行う。
そして、タップ係数学習部701は、タップ係数学習によって得られる、第n階層の2nクラスのタップ係数tc(n,k)(k=0,1,...2n-1)を、タップ係数設定部702に供給して記憶させ、処理は、ステップS312からステップS313に進む。
ここで、ステップS314から開始される、ある階層である第L階層の学習は、ステップS318からステップS312に戻って、第L+1階層の2L+1クラスのタップ係数tc(L+1,k)(k=0,1,...2L+1-1)が求められることにより終了する。
ステップS314から始まり、ステップS318からステップS312に戻るまでの処理が、1階層の学習である。
ステップS313において、学習の終了条件が満たされると判定された場合、処理は、ステップS319に進み、終了条件設定部710は、タップ係数設定部702及びクラス分類係数設定部705を制御することにより、タップ係数設定部702が記憶しているタップ係数tc(n,k)、及び、クラス分類係数設定部705が記憶しているクラス分類係数cc(n,k)を外部に出力させ、学習処理は、終了する。
すなわち、いま、第N-1階層の学習が終了し、階層nが最終階層Nになっているとする。
この場合、タップ係数設定部702は、終了条件判定部710の制御に従い、記憶している第N階層の2Nクラスのタップ係数tc(N,k)(k=0,1,...2N-1)を外部に出力する。
また、クラス分類係数設定部705は、終了条件判定部710の制御に従い、記憶している第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までを外部に出力する。
<クラス分類にクラス分類係数を用いるクラス分類適応処理を行う画像変換装置>
図63は、クラス分類にクラス分類係数を用いるクラス分類適応処理を行う画像変換装置の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図2の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図63において、画像変換装置は、タップ選択部21及び22、予測演算部25、クラス分類部721、並びに、係数取得部722を有する。
したがって、図63の画像変換装置は、タップ選択部21及び22、並びに、予測演算部25を有する点で、図2の場合と共通する。
但し、図63の画像変換装置は、クラス分類部23及び係数取得部24に代えて、クラス分類部721及び係数取得部722をそれぞれ有する点で、図2の場合と相違する。
クラス分類部721には、タップ選択部22からクラスタップが供給される。
クラス分類部721は、図61の学習装置で得られる第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までを記憶する。
クラス分類部721は、タップ選択部22からのクラスタップを用いるとともに、第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までを、必要に応じて用いて、注目画素のクラス分類を行い、そのクラス分類により得られる注目画素のクラス(第N階層のクラス)を、係数取得部722に供給する。
係数取得部722は、図61の学習装置で得られる第N階層の2Nクラスのタップ係数tc(n,k)(k=0,1,...2N-1)を記憶する。
係数取得部722は、記憶している第N階層の2Nクラスのタップ係数tc(N,k)(k=0,1,...2N-1)から、クラス分類部721から供給される注目画素のクラスkのタップ係数tc(N,k)を取得し、予測演算部25に供給する。
図64は、図63のクラス分類部721の構成例を示すブロック図である。
図64において、クラス分類部721は、クラス分類係数設定部731、サブクラス予予測部732、サブクラス分類部733、及び、クラス決定部734を有する。
クラス分類係数設定部731は、図61の学習装置で得られる第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までを記憶する。
クラス分類係数設定部731は、クラス決定部734から供給される注目画素の第n階層のクラスkに従い、記憶している第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までの中から、第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)を取得し、サブクラス予測部732に設定する。
サブクラス予測部732には、注目画素のクラスタップが供給される。
サブクラス予測部732は、注目画素のクラスタップを構成する画素の画素値xmと、クラス分類係数設定部731からの第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)={wm}とを用い、予測誤差予測式y=w1x1+w2x2+...+wMxMに従った予測演算を行う。
この予測演算により、注目画素に対応する元画像の対応画素の画素予測値の予測誤差予測値yが、注目画素のサブクラス予測値として求められ、サブクラス予測部732からサブクラス分類部733に供給される。
サブクラス分類部733は、サブクラス予測部732からのサブクラス予測値に応じて、第n階層のクラスkの注目画素のサブクラス分類を行う。
すなわち、例えば、注目画素のサブクラス予測値(予測誤差予測値y)が0以上である場合、第n階層のクラスkの注目画素は、サブクラス0にサブクラス分類される。また、注目画素のサブクラス予測値が0未満である場合、第n階層のクラスkの注目画素は、サブクラス1にサブクラス分類される。
サブクラス分類部733は、第n階層のクラスkの注目画素のサブクラスを、クラス決定部734に供給する。
クラス決定部734は、注目画素の第n+1階層のクラスk'を、注目画素の第n階層のクラスkに、サブクラス分類部733からの注目画素の第n階層のサブクラスを加味して、図60で説明したように決定する。
そして、クラス決定部734は、注目画素の第n+1階層のクラスk'を、クラス分類係数設定部731に供給する。
この場合、クラス分類係数設定部731では、クラス決定部734から供給される注目画素の第n+1階層のクラスk'に従い、記憶している第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までの中から、第n+1階層のクラスk'のクラス分類係数cc(n+1,k')が取得され、サブクラス予測部732に設定される。
なお、クラス決定部734は、第n+1階層が、最終階層Nである第N階層である場合、注目画素の第N階層のクラスkを、注目画素のクラス分類結果として、係数取得部722に供給する。
図65は、図64のクラス分類部721で行われる、クラス分類係数を用いたクラス分類の処理の例を説明するフローチャートである。
ステップS331において、クラス決定部734は、階層(を表す変数)nを、初期値としての、例えば、0に設定し、処理は、ステップS332に進む。
ステップS332では、クラス決定部734は、階層nが最終階層Nであるかどうかを判定する。
ステップS332において、階層nが最終階層Nでないと判定された場合、処理は、ステップS333に進み、注目画素のサブクラス予測値が求められる。
すなわち、ステップS333では、クラス分類係数設定部731は、クラス決定部734から供給される注目画素の第n階層のクラスkに従い、第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)を、サブクラス予測部732に設定する。
なお、第0階層(n=0)については、クラス分類係数設定部731は、第0階層のクラス分類係数cc(0,0)を、サブクラス予測部732に設定する。
サブクラス予測部732は、タップ選択部22(図63)からの注目画素のクラスタップを構成する画素の画素値xmと、クラス分類係数設定部731からの第n階層のクラスkのクラス分類係数cc(n,k)={wm}とを用い、予測誤差予測式y=w1x1+w2x2+...+wMxMに従った予測演算を行う。
そして、サブクラス予測部732は、予測演算により得られる注目画素のサブクラス予測値を、サブクラス分類部733に供給して、処理は、ステップS333からステップS334に進む。
ステップS334では、サブクラス分類部733は、サブクラス予測部732からのサブクラス予測値に応じて、第n階層のクラスkの注目画素のサブクラス分類を行う。そして、サブクラス分類部733は、サブクラス分類により得られる、注目画素の、第n階層のサブクラスを、クラス決定部734に供給し、処理は、ステップS334からステップS335に進む。
ステップS335では、クラス決定部734は、注目画素の第n+1階層のクラスkを、注目画素の第n階層のクラスkに、サブクラス分類部733からの第n階層のサブクラスを加味して、図60で説明したように決定する。
そして、クラス決定部734は、注目画素の第n+1階層のクラスkを、クラス分類係数設定部731に供給し、処理は、ステップS335からステップS336に進む。
ステップS336では、クラス決定部734は、階層nを1だけインクリメントして、処理は、ステップS332に戻る。
そして、ステップS332において、階層nが最終階層Nであると判定された場合、処理は、ステップS337に進み、クラス決定部734は、注目画素の第N階層のクラスkを、注目画素のクラス分類結果として、係数取得部722(図63)に供給し、クラス分類の処理は終了する。
以上のようなクラス分類係数を用いたクラス分類によれば、画素値の予測誤差によって、画素が分類されるので、クラス分類適応処理により得られる第2の画像のS/Nをより向上させるようにクラス分類を行うことが可能となる。
<符号化装置11の第7の構成例>
図66は、図1の符号化装置11の第7の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図9の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図66において、符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、フレームメモリ112ないしレート制御部117、及び、クラス分類適応フィルタ811を有する。
したがって、図66の符号化装置11は、A/D変換部101ないし演算部110、及び、フレームメモリ112ないしレート制御部117を有する点で、図9の場合と共通する。
但し、図66の符号化装置11は、クラス分類適応フィルタ111に代えて、クラス分類適応フィルタ811を有する点で、図9の場合と相違する。
クラス分類適応フィルタ811は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF処理を行う点で、クラス分類適応フィルタ111と共通する。
但し、クラス分類適応フィルタ811では、クラス分類係数を用いてクラス分類が行われる点で、クラス分類適応フィルタ111と相違する。
さらに、クラス分類適応フィルタ811では、クラス分類係数が、フィルタ情報として、可逆符号化部106に供給されて伝送される点で、クラス分類適応フィルタ111と相違する。
<クラス分類適応フィルタ811の構成例>
図67は、図66のクラス分類適応フィルタ811の構成例を示すブロック図である。
図67において、クラス分類適応フィルタ811は、画像変換装置831及び学習装置832を有する。
画像変換装置831には、演算部110(図66)から復号途中画像が供給されるとともに、学習装置832からクラスごとのタップ係数、及び、クラス分類係数が供給される。さらに、画像変換装置831には、符号化情報が供給される。
画像変換装置831は、復号途中画像を第1の画像として、クラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、フレームメモリ112(図66)に供給する。
なお、画像変換装置831は、クラス分類適応処理において、クラス分類を、学習装置832からのクラス分類係数を用いて行う。また、クラス分類は、図10の画像変換装置131と同様に、必要に応じて、クラスタップから得られる画像特徴量や、符号化情報を用いて行うことができる。
学習装置832には、並べ替えバッファ102(図66)から元画像が供給されるとともに、演算部110(図66)から復号途中画像が供給される。さらに、学習装置832には、符号化情報が供給される。
学習装置832は、復号途中画像及び元画像を用いて、クラス分類係数学習を行うとともに、タップ係数学習を行う。タップ係数学習では、クラス分類係数学習により得られるクラス分類係数を用いてクラス分類が行われる。
さらに、学習装置832は、クラス分類係数学習により得られるクラス分類係数、及び、タップ係数学習により得られるクラスごとのタップ係数を、フィルタ情報として、画像変換装置831及び可逆符号化部106(図66)に供給する。
なお、学習装置832では、画像変換装置831と同様に、クラス分類を、必要に応じて、クラスタップから得られる画像特徴量や、符号化情報をも用いて行うことができる。
<画像変換装置831の構成例>
図68は、図67の画像変換装置831の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図11の画像変換装置131と対応する部分については、同一の符号を付してあり、その説明は、適宜省略する。
図68において、画像変換装置831は、タップ選択部21及び22、予測演算部25、クラス分類部841、並びに、係数取得部842、を有する。
したがって、画像変換装置831は、タップ選択部21及び22、並びに、予測演算部25を有する点で、図11の画像変換装置131と共通する。
但し、画像変換装置831は、クラス分類部23及び係数取得部24に代えて、クラス分類部841及び係数取得部842をそれぞれ有する点で、図11の画像変換装置131と相違する。
クラス分類部841は、図67の学習装置832から供給される第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までを記憶する。
クラス分類部841は、タップ選択部22から供給されるクラスタップを用いるとともに、第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までを、必要に応じて用いて、注目画素のクラス分類を行い、そのクラス分類により得られる注目画素のクラス(第N階層のクラス)を、係数取得部842に供給する。
係数取得部842は、図67の学習装置832から供給される第N階層の2Nクラスのタップ係数tc(N,k)(k=0,1,...2N-1)を記憶する。
係数取得部842は、記憶している第N階層の2Nクラスのタップ係数tc(N,k)(k=0,1,...2N-1)から、クラス分類部841から供給される注目画素のクラスkのタップ係数tc(N,k)を取得し、予測演算部25に供給する。
なお、クラス分類部841では、クラス分類係数の他、必要に応じて、クラスタップから得られる画像特徴量や、符号化情報をも用いて、クラス分類を行うことができる。
例えば、クラス分類係数を用いたクラス分類の第0階層のサブクラス分類において、クラス分類係数の他、画像特徴量や符号化情報を用いることで、注目画素を、2又は3以上のサブクラスに分類することができる。
図69は、図68のクラス分類部841の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図64のクラス分類部721と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図69において、クラス分類部841は、クラス分類係数設定部731、サブクラス予予測部732、サブクラス分類部733、及び、クラス決定部734を有する。
したがって、図69のクラス分類部841は、クラス分類係数設定部731ないしクラス決定部734を有する点で、図64のクラス分類部721と共通する。
但し、図69のクラス分類部841では、クラス分類係数設定部731は、図67の学習装置832から供給される第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までを記憶する。
また、図69のクラス分類部841では、サブクラス分類部733に、サブクラス予測部732から、注目画素のサブクラス予測値が供給される他、クラスタップ及び符号化情報が供給される。
サブクラス分類部733では、サブクラス予測値の他、クラスタップから得られる画像特徴量や、符号化情報をも用いて、第0階層のサブクラス分類を行うことができる。
第0階層のサブクラス分類を、サブクラス予測値の他、画像特徴量や符号化情報を用いて行うことで、クラス分類部841で行われるクラス分類は、クラス分類係数の他、画像特徴量や、符号化情報を用いたクラス分類になる。
<学習装置832の構成例>
図70は、図67の学習装置832の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図61の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図70において、学習装置832は、タップ係数学習部701、タップ係数設定部702、サブクラス教師データ生成部703、クラス分類係数学習部704、クラス分類係数設定部705、サブクラス予測部706、サブクラス分類部707、クラス決定部708、画素予測部709、及び、終了条件判定部710を有する。
したがって、図70の学習装置832は、タップ係数学習部701ないし終了条件判定部710を有する点で、図61の場合と共通する。
但し、図70の学習装置832では、サブクラス分類部707に、サブクラス予測部706から、サブクラス予測値が供給される他、生徒画像及び符号化情報が供給される。
サブクラス分類部707では、図69のサブクラス分類部733と同様に、サブクラス予測値の他、生徒画像の各画素について、図68の画像変換装置831で生成されるクラスタップから得られる画像特徴量や、符号化情報をも用いて、第0階層のサブクラス分類を行うことができる。
第0階層のサブクラス分類を、サブクラス予測値の他、画像特徴量や符号化情報を用いて行うことで、クラス決定部708で決定されるクラスは、クラス分類係数の他、画像特徴量や、符号化情報を用いたクラス分類により得られるクラスになる。
また、図70の学習装置832では、終了条件判定部710に、画素予測部709がクラス分類適応処理により求める画素予測値を供給するとともに、教師画像を供給することができる。
この場合、終了条件判定部710では、教師画像を真値として、画素予測値のS/Nを求め、学習の終了条件として、画素予測値で構成される画像のS/Nの増加量が閾値以下であることを採用することができる。
かかる終了条件により得られるクラス分類係数及びタップ係数によれば、S/Nをほぼ限界(飽和状態)にまで向上させることが可能となる。
<符号化処理>
図71は、図66の符号化装置11の符号化処理の例を説明するフローチャートである。
図66の符号化装置11では、ステップS411ないしS429において、図14のステップS11ないしS29とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、符号化装置11において、クラス分類適応フィルタ811の学習装置832(図67)は、図10に学習装置132と同様に、そこに供給される復号途中画像を生徒データとするとともに、その復号途中画像に対応する元画像を教師データとして、適宜、学習を行うが、その学習では、クラスごとのタップ係数とクラス分類係数とが、フィルタ情報として生成される。そして、クラスごとのタップ係数とクラス分類係数とが、ステップS412で更新されるフィルタ情報、及び、ステップS413で伝送対象に設定されるフィルタ情報となる。
また、ステップS425において、クラス分類適応フィルタ811は、図14のステップS25と同様に、演算部110からの復号途中画像に、ILFの処理としてのクラス分類適応処理を施すが、そのクラス分類適応処理では、クラス分類係数を用いてクラス分類を行う。
ここで、クラス分類係数を用いたクラス分類では、図69や図70で説明したように、クラス分類係数の他、画像特徴量や符号化情報をも用いることができるが、以下では、説明を簡単にするため、クラス分類係数を用いたクラス分類において、画像特徴量や符号化情報をも用いることについては、適宜、説明を省略する。
さらに、ステップS427では、可逆符号化部106(図66)は、図14のステップS27と同様に、量子化係数、符号化情報、及び、フィルタ情報を符号化し、符号化データに含めるが、符号化データに含められるフィルタ情報には、クラスごとのタップ係数の他、クラス分類係数が含まれる。
したがって、可逆符号化部106で得られる符号化データには、量子化係数、符号化情報、並びに、フィルタ情報としてのタップ係数及びクラス分類係数が含まれる。そして、かかる符号化データは、ステップS428で、図14のステップS28で説明したように、蓄積バッファ107から、適宜読み出されて伝送される。
図72は、図71のステップS425で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ811の画像変換装置831(図68)では、ステップS441ないしS447において、図15のステップS41ないしS47とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、ステップS443の注目画素のクラス分類では、クラス分類部841(図68、図69)は、図65で説明したように、クラス分類係数を用いてクラス分類を行い、注目画素の最終階層Nのクラスを求める。
さらに、ステップS444では、係数取得部842(図68)は、第N階層の2Nクラスのタップ係数から、クラス分類部841からの注目画素の最終階層Nのクラスのタップ係数を取得し、予測演算部25に供給する。
<復号装置12の第7の構成例>
図73は、図1の復号装置12の第7の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図16の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図73において、復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、フレームメモリ210ないし選択部214、及び、クラス分類適応フィルタ861を有する。
したがって、図73の復号装置12は、蓄積バッファ201ないし演算部205、並べ替えバッファ207、D/A変換部208、及び、フレームメモリ210ないし選択部214を有する点で、図16の場合と共通する。
但し、図73の復号装置12は、クラス分類適応フィルタ206に代えて、クラス分類適応フィルタ861を有する点で、図16の場合と相違する。
図73の復号装置12は、図66の符号化装置11から伝送されてくる符号化データを復号する。
そのため、可逆復号部202からクラス分類適応フィルタ861に供給されるフィルタ情報には、クラスごとのタップ係数及びクラス分類係数が含まれる。
ここで、フィルタ情報に含まれるクラス分類係数は、第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までのクラス分類係数である。また、フィルタ情報に含まれるクラスごとのタップ係数は、最終階層Nである第N階層の2Nクラスのタップ係数tc(N,k)(k=0,1,...2N-1)である。
クラス分類適応フィルタ861は、クラス分類適応処理によって、ILF、すなわち、DF,SAO、及び、ALFのすべてとして機能するフィルタで、クラス分類適応処理によって、ILF処理を行う点で、図16のクラス分類適応フィルタ206と共通する。
但し、クラス分類適応フィルタ861では、クラス分類適応処理において、クラス分類係数を用いたクラス分類が行われる点で、クラス分類適応フィルタ206と相違する。
<クラス分類適応フィルタ861の構成例>
図74は、図73のクラス分類適応フィルタ861の構成例を示すブロック図である。
図74において、クラス分類適応フィルタ861は、画像変換装置871を有する。
画像変換装置871には、演算部205(図73)から復号途中画像が供給されるとともに、可逆復号部202からフィルタ情報としてのクラスごとのタップ係数及びクラス分類係数、並びに、符号化情報が供給される。
画像変換装置871は、図67の画像変換装置831と同様に、復号途中画像を第1の画像として、クラスごとのタップ係数を用いたクラス分類適応処理による画像変換を行うことで、第1の画像としての復号途中画像を、元画像に相当する第2の画像としてのフィルタ後画像に変換して(フィルタ後画像を生成して)、並べ替えバッファ207及びフレームメモリ210(図73)に供給する。
なお、画像変換装置871は、図67の画像変換装置831と同様に、クラス分類適応処理において、クラス分類を、可逆復号装置202(図73)からのフィルタ情報としてのクラス分類係数を用いて行う。
画像変換装置871でのクラス分類は、図67の画像変換装置831と同様に、クラス分類係数の他、必要に応じて、クラスタップから得られる画像特徴量や、符号化情報をも用いて行うことができる。
<画像変換装置871の構成例>
図75は、図74の画像変換装置871の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図18の画像変換装置231と共通する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図75において、画像変換装置871は、タップ選択部241及び242、予測演算部245、クラス分類部881、並びに、係数取得部882を有する。
したがって、図75の画像変換装置871は、タップ選択部241及び242、並びに、予測演算部245を有する点で、図18の画像変換装置231と共通する。
但し、図75の画像変換装置871は、クラス分類部243及び係数取得部244に代えて、クラス分類部881及び係数取得部882をそれぞれ有する点で、図18の画像変換装置231と相違する。
可逆復号部202(図73)からのフィルタ情報としてのクラス分類係数、すなわち、第0階層の20クラスのクラス分類係数cc(0,0)から、第N-1階層の2N-1クラスのクラス分類係数cc(N-1,0),cc(N-1,1),...,cc(N-1,2N-1-1)までのクラス分類係数は、クラス分類部881に供給されて記憶される。
また、可逆復号部202(図73)からのフィルタ情報としてのクラスごとのタップ係数としての、第N階層の2Nクラスのタップ係数tc(N,k)(k=0,1,...2N-1)は、係数取得部882に供給されて記憶される。
クラス分類部881は、符号化装置11(図66)側のクラス分類部841(図68、図69)と同様に構成され、クラス分類係数を用いて、クラス分類部841と同様のクラス分類を行い、その結果得られる注目画素の第N階層のクラスを、係数取得部882に供給する。
係数取得部882は、記憶している第N階層の2Nクラスのタップ係数tc(N,k)(k=0,1,...2N-1)から、クラス分類部881からの、注目画素の第N階層のクラスのタップ係数tc(N,k)を取得し、予測演算部245に供給する。
<復号処理>
図76は、図73の復号装置12の復号処理の例を説明するフローチャートである。
図73の復号装置12では、ステップS461ないしS473において、図19のステップS61ないしS73とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、ステップS462では、可逆復号部202は、図19のステップS62と同様に、符号化データを復号し、その復号により得られる量子化係数を、逆量子化部203に供給するとともに、符号化データの復号により得られる符号化情報やフィルタ情報を、イントラ予測部212や、動き予測補償部213、クラス分類適応フィルタ861その他の必要なブロックに供給するが、クラス分類適応フィルタ861に供給されるフィルタ情報には、クラスごとのタップ係数及びクラス分類係数が含まれる。
また、ステップS470において、クラス分類適応フィルタ861は、図19のステップS70と同様に、演算部205からの復号途中画像に、ILFの処理としてのクラス分類適応処理を施すが、そのクラス分類適応処理では、クラス分類係数を用いてクラス分類を行う。
なお、クラス分類適応フィルタ861では、クラス分類適応フィルタ811(図66)と同様に、クラス分類係数を用いたクラス分類において、クラス分類係数の他、画像特徴量や符号化情報をも用いることができる。
図77は、図76のステップS470で行われるクラス分類適応処理の例を説明するフローチャートである。
クラス分類適応フィルタ861の画像変換装置871(図75)では、ステップS481ないしS487において、図20のステップS81ないしS87とそれぞれ同様の処理が行われる。
但し、ステップS483の注目画素のクラス分類では、クラス分類部881(図75)は、可逆復号部202からフィルタ情報として供給されるクラス分類係数を用いて、符号化装置11(図66)側のクラス分類部841(図68)と同様のクラス分類を行い、注目画素の最終階層Nのクラスを求める。
さらに、ステップS484では、係数取得部882(図75)は、可逆復号部202からフィルタ情報として供給される第N階層の2Nクラスのタップ係数から、クラス分類部881からの注目画素の最終階層Nのクラスのタップ係数を取得し、予測演算部245に供給する。
<学習装置832の他の構成例>
図78は、図67の学習装置832の他の構成例を示すブロック図である。
なお、図中、図70の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
図78において、学習装置832は、タップ係数学習部701、タップ係数設定部702、サブクラス教師データ生成部703、クラス分類係数学習部704、クラス分類係数設定部705、サブクラス予測部706、サブクラス分類部707、クラス決定部708、画素予測部709、終了条件判定部710、伝送帯域検出部911、伝送量算出部912、及び、伝送対象係数設定部913を有する。
したがって、図78の学習装置832は、タップ係数学習部701ないし終了条件判定部710を有する点で、図70の場合と共通する。
但し、図78の学習装置832は、伝送帯域検出部911、伝送量算出部912、及び、伝送対象係数設定部913を新たに有する点で、図70の場合と相違する。
伝送帯域検出部911は、符号化装置11から符号化データを伝送するときに使用可能な伝送帯域(例えば、符号化データに割り当てられたビットレート等)を検出し、伝送量算出部912に供給する。
伝送量算出部912は、伝送帯域検出部911からの伝送帯域に基づいて、その伝送帯域で伝送可能なフィルタ情報のデータ量である伝送可能伝送量を求め、伝送対象係数設定部913に供給する。
伝送対象係数設定部913には、タップ係数設定部702から、各階層の学習で求められる各階層のタップ係数、すなわち、第0階層から第N階層までのタップ係数が供給される。さらに、伝送対象係数設定部913には、クラス分類係数設定部705から、第0階層から第N-1階層までのクラス分類係数が供給される。
伝送対象係数設定部913は、伝送量算出部912からの伝送可能伝送量に応じて、タップ係数設定部702からのタップ係数の中から、伝送対象とするタップ係数を選択し、フィルタ情報として出力する。
さらに、伝送対象係数設定部913は、伝送量算出部912からの伝送可能伝送量に応じて、クラス分類係数設定部705からのクラス分類係数の中から、伝送対象とするクラス分類係数を選択し、フィルタ情報として出力する。
すなわち、伝送対象係数設定部913は、伝送量算出部912からの伝送可能伝送量に応じて、タップ係数及びクラス分類係数の伝送が可能な伝送可能階層N'(<=最終階層N)を設定する。伝送可能階層N'は、伝送可能伝送量が大であるほど、大きな(深い)階層に設定される。
さらに、伝送対象係数設定部913は、第0階層から第N階層までのタップ係数のうちの、第N'階層のタップ係数を伝送対象に設定(選択)するとともに、第0階層から第N-1階層までのクラス分類係数のうちの、第0階層から第N'-1階層までのクラス分類係数を伝送対象に設定する。
そして、伝送対象係数設定部913は、伝送対象に設定されたタップ係数及びクラス分類係数(伝送対象係数)を、フィルタ情報として出力する。
したがって、図78の学習装置832を有する符号化装置11では、学習装置832で得られたタップ係数及びクラス分類係数のうちの、伝送可能伝送量に応じて伝送対象に設定されたタップ係数及びクラス分類係数が伝送される。
以上のように、学習装置832で得られたタップ係数及びクラス分類係数のうちの、伝送可能伝送量に応じて伝送対象に設定されたタップ係数及びクラス分類係数を伝送する場合には、例えば、アダプティブストリーミングのような、伝送帯域が変動する変動伝送方式に対応することができる。
すなわち、伝送帯域が大である場合には、深い階層のクラスにまでクラス分類を行うクラス分類係数と、そのような深い階層のクラスのタップ係数とが伝送され、S/Nの改善に大きく資することができる。また、伝送帯域が小である場合には、浅い階層のクラスまでクラス分類を行うクラス分類係数と、そのような浅い階層のクラスのタップ係数とが伝送され、伝送帯域が小さい中で可能な範囲でS/Nを改善することができる。
なお、符号化データを、変動伝送方式で伝送する場合には、いくつかの伝送帯域ごとに、その伝送帯域に適したデータ量のタップ係数及びクラス分類係数を学習により求めておき、フィルタ情報として伝送するタップ係数及びクラス分類係数を、伝送帯域(又は伝送可能伝送量)により切り替えることができる。
また、伝送帯域ごとのタップ係数及びクラス分類係数から、伝送帯域に応じて、仮の伝送対象としてのタップ係数及びクラス分類係数を選択し、さらに、その仮の伝送対象としてのタップ係数及びクラス分類係数について、伝送可能階層N'を設定して、第N'階層のタップ係数、及び、第0階層から第N'-1階層までのクラス分類係数を、伝送対象に最終的に選択することができる。
<RD曲線>
図79は、ILFとして、クラス分類適応処理によりILFの処理を行うクラス分類適応フィルタを設けた場合と、ALFを設けた場合とのRD(Rate-Distortion)曲線を示す図である。
なお、図79では、クラス分類適応フィルタを設けた場合のRD曲線、及び、ALFを設けた場合のRD曲線の他、ILFを設けていない場合のRD曲線も示してある。
RD曲線は、S/Nを縦軸にとり、(符号化データの)ビットレートを、横軸にとったグラフであり、符号時の量子化パラメータQPごとに、S/Nとビットレートとに対応する点をプロットすることにより得ることができる。
S/Nが大きいほど、また、ビットレートが小さいほど、圧縮効率は向上するので、RD曲線は、左上側に位置するほど、圧縮効率が良いことを表す。
図79では、ALFを設けた場合の圧縮効率は、ILFを設けていない場合よりも3.2%だけ向上しているのに対して、クラス分類適応フィルタを設けた場合の圧縮効率は、ILFを設けていない場合よりも5.5%だけ向上している。
したがって、クラス分類適応フィルタを設けた場合には、ALFを設けた場合よりも、2倍近く、圧縮効率を改善することができる。
なお、本実施の形態では、説明を簡単にするために、符号化装置11から復号装置12に提供するフィルタ情報には、タップ係数そのものを含めることとしたが、フィルタ情報には、タップ係数そのものに代えて、種係数及びパラメータzを含めることができる。タップ係数は、種係数及びパラメータzから求めることができるので、種係数及びパラメータzは、タップ係数と等価な情報であり、本明細書では、フィルタ情報としてのタップ係数には、タップ係数そのものの他、種係数及びパラメータzが含まれる。タップ係数として、種係数及びパラメータzを採用する場合、パラメータzは、例えば、所定のコスト関数に基づいて決定することができる。
<多視点画像符号化・復号システムへの適用>
上述した一連の処理は、多視点画像符号化・復号システムに適用することができる。
図80は、多視点画像符号化方式の一例を示す図である。
図80に示されるように、多視点画像は、複数の視点(ビュー(view))の画像を含む。この多視点画像の複数のビューは、他のビューの情報を利用せずに自身のビューの画像のみを用いて符号化・復号を行うベースビューと、他のビューの情報を利用して符号化・復号を行うノンベースビューとによりなる。ノンベースビューの符号化・復号は、ベースビューの情報を利用するようにしても良いし、他のノンベースビューの情報を利用するようにしてもよい。
図80の例のような多視点画像を符号化・復号する場合、多視点画像は、視点毎に符号化される。そして、そのようにして得られた符号化データを復号する場合、各視点の符号化データは、それぞれ(すなわち視点毎に)復号される。このような各視点の符号化・復号に対して、以上の実施の形態において説明した方法を適用してもよい。このようにすることにより、S/N及び圧縮効率を、大きく改善することができる。つまり、多視点画像の場合も同様に、S/N及び圧縮効率を、大きく改善することができる。
<多視点画像符号化・復号システム>
図81は、上述した多視点画像符号化・復号を行う多視点画像符号化・復号システムの、多視点画像符号化装置を示す図である。
図81に示されるように、多視点画像符号化装置1000は、符号化部1001、符号化部1002、及び多重化部1003を有する。
符号化部1001は、ベースビュー画像を符号化し、ベースビュー画像符号化ストリームを生成する。符号化部1002は、ノンベースビュー画像を符号化し、ノンベースビュー画像符号化ストリームを生成する。多重化部1003は、符号化部1001において生成されたベースビュー画像符号化ストリームと、符号化部1002において生成されたノンベースビュー画像符号化ストリームとを多重化し、多視点画像符号化ストリームを生成する。
図82は、上述した多視点画像復号を行う多視点画像復号装置を示す図である。
図82に示されるように、多視点画像復号装置1010は、逆多重化部1011、復号部1012、及び復号部1013を有する。
逆多重化部1011は、ベースビュー画像符号化ストリームとノンベースビュー画像符号化ストリームとが多重化された多視点画像符号化ストリームを逆多重化し、ベースビュー画像符号化ストリームと、ノンベースビュー画像符号化ストリームとを抽出する。復号部1012は、逆多重化部1011により抽出されたベースビュー画像符号化ストリームを復号し、ベースビュー画像を得る。復号部1013は、逆多重化部1011により抽出されたノンベースビュー画像符号化ストリームを復号し、ノンベースビュー画像を得る。
例えば、このような多視点画像符号化・復号システムにおいて、多視点画像符号化装置1000の符号化部1001及び符号化部1002として、以上の実施の形態において説明した符号化装置11を適用してもよい。このようにすることにより、多視点画像の符号化においても、以上の実施の形態において説明した方法を適用することができる。すなわち、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。また例えば、多視点画像復号装置1010の復号部1012及び復号部1013として、以上の実施の形態において説明した復号装置12を適用してもよい。このようにすることにより、多視点画像の符号化データの復号においても、以上の実施の形態において説明した方法を適用することができる。すなわち、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<階層画像符号化・復号システムへの適用>
また、上述した一連の処理は、階層画像符号化(スケーラブル符号化)・復号システムに適用することができる。
図83は、階層画像符号化方式の一例を示す図である。
階層画像符号化(スケーラブル符号化)は、画像データを、所定のパラメータについてスケーラビリティ(scalability)機能を有するように、画像を複数レイヤ化(階層化)し、レイヤ毎に符号化するものである。階層画像復号(スケーラブル復号)は、その階層画像符号化に対応する復号である。
図83に示されるように、画像の階層化においては、スケーラビリティ機能を有する所定のパラメータを基準として1の画像が複数の画像(レイヤ)に分割される。つまり、階層化された画像(階層画像)は、その所定のパラメータの値が互いに異なる複数の階層(レイヤ)の画像を含む。この階層画像の複数のレイヤは、他のレイヤの画像を利用せずに自身のレイヤの画像のみを用いて符号化・復号を行うベースレイヤと、他のレイヤの画像を利用して符号化・復号を行うノンベースレイヤ(エンハンスメントレイヤとも称する)とによりなる。ノンベースレイヤは、ベースレイヤの画像を利用するようにしても良いし、他のノンベースレイヤの画像を利用するようにしてもよい。
一般的に、ノンベースレイヤは、冗長性が低減されるように、自身の画像と、他のレイヤの画像との差分画像のデータ(差分データ)により構成される。例えば、1の画像をベースレイヤとノンベースレイヤ(エンハンスメントレイヤとも称する)に2階層化した場合、ベースレイヤのデータのみで元の画像よりも低品質な画像が得られ、ベースレイヤのデータとノンベースレイヤのデータを合成することで、元の画像(すなわち高品質な画像)が得られる。
このように画像を階層化することにより、状況に応じて多様な品質の画像を容易に得ることができる。例えば携帯電話のような、処理能力の低い端末に対しては、ベースレイヤ(base layer)のみの画像圧縮情報を伝送し、空間時間解像度の低い、或いは、画質の良くない動画像を再生し、テレビやパーソナルコンピュータのような、処理能力の高い端末に対しては、ベースレイヤ(base layer)に加えて、エンハンスメントレイヤ(enhancement layer)の画像圧縮情報を伝送し、空間時間解像度の高い、或いは、画質の高い動画像を再生するといったように、トランスコード処理を行うことなく、端末やネットワークの能力に応じた画像圧縮情報を、サーバから送信することが可能となる。
図83の例のような階層画像を符号化・復号する場合、階層画像は、レイヤ毎に符号化される。そして、そのようにして得られた符号化データを復号する場合、各レイヤの符号化データは、それぞれ(すなわちレイヤ毎に)復号される。このような各レイヤの符号化・復号に対して、以上の実施の形態において説明した方法を適用してもよい。このようにすることにより、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。つまり、階層画像の場合も同様に、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<スケーラブルなパラメータ>
このような階層画像符号化・階層画像復号(スケーラブル符号化・スケーラブル復号)において、スケーラビリティ(scalability)機能を有するパラメータは、任意である。例えば、空間解像度をそのパラメータとしてもよい(spatial scalability)。このスペーシャルスケーラビリティ(spatial scalability)の場合、レイヤ毎に画像の解像度が異なる。
また、このようなスケーラビリティ性を持たせるパラメータとして、他には、例えば、時間解像度を適用しても良い(temporal scalability)。このテンポラルスケーラビリティ(temporal scalability)の場合、レイヤ毎にフレームレートが異なる。
さらに、このようなスケーラビリティ性を持たせるパラメータとして、例えば、信号雑音比(SNR(Signal to Noise ratio))を適用しても良い(SNR scalability)。このSNRスケーラビリティ(SNR scalability)の場合、レイヤ毎にSN比が異なる。
スケーラビリティ性を持たせるパラメータは、上述した例以外であっても、もちろんよい。例えば、ベースレイヤ(base layer)が8ビット(bit)画像よりなり、これにエンハンスメントレイヤ(enhancement layer)を加えることにより、10ビット(bit)画像が得られるビット深度スケーラビリティ(bit-depth scalability)がある。
また、ベースレイヤ(base layer)が4:2:0フォーマットのコンポーネント画像よりなり、これにエンハンスメントレイヤ(enhancement layer)を加えることにより、4:2:2フォーマットのコンポーネント画像が得られるクロマスケーラビリティ(chroma scalability)がある。
<階層画像符号化・復号システム>
図84は、上述した階層画像符号化・復号を行う階層画像符号化・復号システムの、階層画像符号化装置を示す図である。
図84に示されるように、階層画像符号化装置1020は、符号化部1021、符号化部1022、及び多重化部1023を有する。
符号化部1021は、ベースレイヤ画像を符号化し、ベースレイヤ画像符号化ストリームを生成する。符号化部1022は、ノンベースレイヤ画像を符号化し、ノンベースレイヤ画像符号化ストリームを生成する。多重化部1023は、符号化部1021において生成されたベースレイヤ画像符号化ストリームと、符号化部1022において生成されたノンベースレイヤ画像符号化ストリームとを多重化し、階層画像符号化ストリームを生成する。
図85は、上述した階層画像復号を行う階層画像復号装置を示す図である。
図85に示されるように、階層画像復号装置1030は、逆多重化部1031、復号部1032、及び復号部1033を有する。
逆多重化部1031は、ベースレイヤ画像符号化ストリームとノンベースレイヤ画像符号化ストリームとが多重化された階層画像符号化ストリームを逆多重化し、ベースレイヤ画像符号化ストリームと、ノンベースレイヤ画像符号化ストリームとを抽出する。復号部1032は、逆多重化部1031により抽出されたベースレイヤ画像符号化ストリームを復号し、ベースレイヤ画像を得る。復号部1033は、逆多重化部1031により抽出されたノンベースレイヤ画像符号化ストリームを復号し、ノンベースレイヤ画像を得る。
例えば、このような階層画像符号化・復号システムにおいて、階層画像符号化装置1020の符号化部1021及び符号化部1022として、以上の実施の形態において説明した符号化装置11を適用してもよい。このようにすることにより、階層画像の符号化においても、以上の実施の形態において説明した方法を適用することができる。すなわち、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。また例えば、階層画像復号装置1030の復号部1032及び復号部1033として、以上の実施の形態において説明した復号装置12を適用してもよい。このようにすることにより、階層画像の符号化データの復号においても、以上の実施の形態において説明した方法を適用することができる。すなわち、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
図86は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
図86に示されるコンピュータ1100において、CPU(Central Processing Unit)1101、ROM(Read Only Memory)1102、RAM(Random Access Memory)1103は、バス1104を介して相互に接続されている。
バス1104にはまた、入出力インタフェース1110も接続されている。入出力インタフェース1110には、入力部1111、出力部1112、記憶部1113、通信部1114、及びドライブ1115が接続されている。
入力部1111は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子等よりなる。出力部1112は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子等よりなる。記憶部1113は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリ等よりなる。通信部1114は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ1115は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブルメディア821を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU1101が、例えば、記憶部1113に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース1110及びバス1104を介して、RAM1103にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM1103にはまた、CPU1101が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
コンピュータ(CPU1101)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア821に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア821をドライブ1115に装着することにより、入出力インタフェース1110を介して、記憶部1113にインストールすることができる。
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部1114で受信し、記憶部1113にインストールすることができる。
その他、このプログラムは、ROM1102や記憶部1113に、あらかじめインストールしておくこともできる。
<本技術の応用>
上述した実施の形態に係る符号化装置11や復号装置12は、例えば、衛星放送、ケーブルTV等の有線放送、インターネット上での配信、及びセルラー通信による端末への配信等における送信機や受信機、又は、光ディスク、磁気ディスク及びフラッシュメモリ等の媒体に画像を記録する記録装置や、これら記憶媒体から画像を再生する再生装置等の、様々な電子機器に応用され得る。以下、4つの応用例について説明する。
<第1の応用例:テレビジョン受像機>
図87は、上述した実施の形態を適用したテレビジョン装置の概略的な構成の一例を示す図である。
テレビジョン装置1200は、アンテナ1201、チューナ1202、デマルチプレクサ1203、デコーダ1204、映像信号処理部1205、表示部1206、音声信号処理部1207、スピーカ1208、外部インタフェース(I/F)部1209、制御部1210、ユーザインタフェース(I/F)部1211、及びバス1212を備える。
チューナ1202は、アンテナ1201を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ1202は、復調により得られた符号化ビットストリームをデマルチプレクサ1203へ出力する。すなわち、チューナ1202は、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置1200における伝送部としての役割を有する。
デマルチプレクサ1203は、符号化ビットストリームから視聴対象の番組の映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、分離した各ストリームをデコーダ1204へ出力する。また、デマルチプレクサ1203は、符号化ビットストリームからEPG(Electronic Program Guide)等の補助的なデータを抽出し、抽出したデータを制御部1210に供給する。なお、デマルチプレクサ1203は、符号化ビットストリームがスクランブルされている場合には、デスクランブルを行ってもよい。
デコーダ1204は、デマルチプレクサ1203から入力される映像ストリーム及び音声ストリームを復号する。そして、デコーダ1204は、復号処理により生成される映像データを映像信号処理部1205へ出力する。また、デコーダ1204は、復号処理により生成される音声データを音声信号処理部1207へ出力する。
映像信号処理部1205は、デコーダ1204から入力される映像データを再生し、表示部1206に映像を表示させる。また、映像信号処理部1205は、ネットワークを介して供給されるアプリケーション画面を表示部1206に表示させてもよい。また、映像信号処理部1205は、映像データについて、設定に応じて、例えばノイズ除去等の追加的な処理を行ってもよい。さらに、映像信号処理部1205は、例えばメニュー、ボタン又はカーソル等のGUI(Graphical User Interface)の画像を生成し、生成した画像を出力画像に重畳してもよい。
表示部1206は、映像信号処理部1205から供給される駆動信号により駆動され、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ又はOELD(Organic ElectroLuminescence Display)(有機ELディスプレイ)等)の映像面上に映像又は画像を表示する。
音声信号処理部1207は、デコーダ1204から入力される音声データについてD/A変換及び増幅等の再生処理を行い、スピーカ1208から音声を出力させる。また、音声信号処理部1207は、音声データについてノイズ除去等の追加的な処理を行ってもよい。
外部インタフェース部1209は、テレビジョン装置1200と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。例えば、外部インタフェース部1209を介して受信される映像ストリーム又は音声ストリームが、デコーダ1204により復号されてもよい。すなわち、外部インタフェース部1209もまた、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置1200における伝送部としての役割を有する。
制御部1210は、CPU等のプロセッサ、並びにRAM及びROM等のメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、プログラムデータ、EPGデータ、及びネットワークを介して取得されるデータ等を記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、テレビジョン装置1200の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部1211から入力される操作信号に応じて、テレビジョン装置1200の動作を制御する。
ユーザインタフェース部1211は、制御部1210と接続される。ユーザインタフェース部1211は、例えば、ユーザがテレビジョン装置1200を操作するためのボタン及びスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部等を有する。ユーザインタフェース部1211は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部1210へ出力する。
バス1212は、チューナ1202、デマルチプレクサ1203、デコーダ1204、映像信号処理部1205、音声信号処理部1207、外部インタフェース部1209及び制御部1210を相互に接続する。
このように構成されたテレビジョン装置1200において、デコーダ1204が、上述した復号装置12の機能を有するようにしてもよい。つまり、デコーダ1204が、符号化データを、以上の実施の形態において説明した方法で復号するようにしてもよい。このようにすることにより、テレビジョン装置1200は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
また、このように構成されたテレビジョン装置1200において、映像信号処理部1205が、例えば、デコーダ1204から供給される画像データを符号化し、得られた符号化データを、外部インタフェース部1209を介してテレビジョン装置1200の外部に出力させることができるようにしてもよい。そして、その映像信号処理部1205が、上述した符号化装置11の機能を有するようにしてもよい。つまり、映像信号処理部1205が、デコーダ1204から供給される画像データを、以上の実施の形態において説明した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、テレビジョン装置1200は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<第2の応用例:携帯電話機>
図88は、上述した実施の形態を適用した携帯電話機の概略的な構成の一例を示す図である。
携帯電話機1220は、アンテナ1221、通信部1222、音声コーデック1223、スピーカ1224、マイクロホン1225、カメラ部1226、画像処理部1227、多重分離部1228、記録再生部1229、表示部1230、制御部1231、操作部1232、及びバス1233を備える。
アンテナ1221は、通信部1222に接続される。スピーカ1224及びマイクロホン1225は、音声コーデック1223に接続される。操作部1232は、制御部1231に接続される。バス1233は、通信部1222、音声コーデック1223、カメラ部1226、画像処理部1227、多重分離部1228、記録再生部1229、表示部1230、及び制御部1231を相互に接続する。
携帯電話機1220は、音声通話モード、データ通信モード、撮影モード及びテレビ電話モードを含む様々な動作モードで、音声信号の送受信、電子メール又は画像データの送受信、画像の撮像、及びデータの記録等の動作を行う。
音声通話モードにおいて、マイクロホン1225により生成されるアナログ音声信号は、音声コーデック1223に供給される。音声コーデック1223は、アナログ音声信号を音声データへ変換し、変換された音声データをA/D変換し圧縮する。そして、音声コーデック1223は、圧縮後の音声データを通信部1222へ出力する。通信部1222は、音声データを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部1222は、生成した送信信号を、アンテナ1221を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部1222は、アンテナ1221を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部1222は、受信信号を復調及び復号して音声データを生成し、生成した音声データを音声コーデック1223へ出力する。音声コーデック1223は、音声データを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック1223は、生成した音声信号をスピーカ1224に供給して音声を出力させる。
また、データ通信モードにおいて、例えば、制御部1231は、操作部1232を介するユーザによる操作に応じて、電子メールを構成する文字データを生成する。また、制御部1231は、文字を表示部1230に表示させる。また、制御部1231は、操作部1232を介するユーザからの送信指示に応じて電子メールデータを生成し、生成した電子メールデータを通信部1222へ出力する。通信部1222は、電子メールデータを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部1222は、生成した送信信号を、アンテナ1221を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部1222は、アンテナ1221を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部1222は、受信信号を復調及び復号して電子メールデータを復元し、復元した電子メールデータを制御部1231へ出力する。制御部1231は、表示部1230に電子メールの内容を表示させると共に、電子メールデータを記録再生部1229に供給し、その記憶媒体に書き込ませる。
記録再生部1229は、読み書き可能な任意の記憶媒体を有する。例えば、記憶媒体は、RAM又はフラッシュメモリ等の内蔵型の記憶媒体であってもよく、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はメモリカード等の外部装着型の記憶媒体であってもよい。
また、撮影モードにおいて、例えば、カメラ部1226は、被写体を撮像して画像データを生成し、生成した画像データを画像処理部1227へ出力する。画像処理部1227は、カメラ部1226から入力される画像データを符号化し、符号化ストリームを記録再生部1229に供給し、その記憶媒体に書き込ませる。
さらに、画像表示モードにおいて、記録再生部1229は、記憶媒体に記録されている符号化ストリームを読み出して画像処理部1227へ出力する。画像処理部1227は、記録再生部1229から入力される符号化ストリームを復号し、画像データを表示部1230に供給し、その画像を表示させる。
また、テレビ電話モードにおいて、例えば、多重分離部1228は、画像処理部1227により符号化された映像ストリームと、音声コーデック1223から入力される音声ストリームとを多重化し、多重化したストリームを通信部1222へ出力する。通信部1222は、ストリームを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部1222は、生成した送信信号を、アンテナ1221を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部1222は、アンテナ1221を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。これら送信信号及び受信信号には、符号化ビットストリームが含まれ得る。そして、通信部1222は、受信信号を復調及び復号してストリームを復元し、復元したストリームを多重分離部1228へ出力する。多重分離部1228は、入力されるストリームから映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、映像ストリームを画像処理部1227、音声ストリームを音声コーデック1223へ出力する。画像処理部1227は、映像ストリームを復号し、映像データを生成する。映像データは、表示部1230に供給され、表示部1230により一連の画像が表示される。音声コーデック1223は、音声ストリームを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック1223は、生成した音声信号をスピーカ1224に供給して音声を出力させる。
このように構成された携帯電話機1220において、例えば画像処理部1227が、上述した符号化装置11の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部1227が、画像データを、以上の実施の形態において説明した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、携帯電話機1220は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
また、このように構成された携帯電話機1220において、例えば画像処理部1227が、上述した復号装置12の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部1227が、符号化データを、以上の実施の形態において説明した方法で復号するようにしてもよい。このようにすることにより、携帯電話機1220は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<第3の応用例:記録再生装置>
図89は、上述した実施の形態を適用した記録再生装置の概略的な構成の一例を示す図である。
記録再生装置1240は、例えば、受信した放送番組の音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録する。また、記録再生装置1240は、例えば、他の装置から取得される音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録してもよい。また、記録再生装置1240は、例えば、ユーザの指示に応じて、記録媒体に記録されているデータをモニタ及びスピーカ上で再生する。このとき、記録再生装置1240は、音声データ及び映像データを復号する。
記録再生装置1240は、チューナ1241、外部インタフェース(I/F)部1242、エンコーダ1243、HDD(Hard Disk Drive)部1244、ディスクドライブ1245、セレクタ1246、デコーダ1247、OSD(On-Screen Display)部1248、制御部1249、及びユーザインタフェース(I/F)部1250を備える。
チューナ1241は、アンテナ(図示せず)を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ1241は、復調により得られた符号化ビットストリームをセレクタ1246へ出力する。すなわち、チューナ1241は、記録再生装置1240における伝送部としての役割を有する。
外部インタフェース部1242は、記録再生装置1240と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。外部インタフェース部1242は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394インタフェース、ネットワークインタフェース、USBインタフェース、又はフラッシュメモリインタフェース等であってよい。例えば、外部インタフェース部1242を介して受信される映像データ及び音声データは、エンコーダ1243へ入力される。すなわち、外部インタフェース部1242は、記録再生装置1240における伝送部としての役割を有する。
エンコーダ1243は、外部インタフェース部1242から入力される映像データ及び音声データが符号化されていない場合に、映像データ及び音声データを符号化する。そして、エンコーダ1243は、符号化ビットストリームをセレクタ1246へ出力する。
HDD部1244は、映像及び音声等のコンテンツデータが圧縮された符号化ビットストリーム、各種プログラム及びその他のデータを内部のハードディスクに記録する。また、HDD部1244は、映像及び音声の再生時に、これらデータをハードディスクから読み出す。
ディスクドライブ1245は、装着されている記録媒体へのデータの記録及び読み出しを行う。ディスクドライブ1245に装着される記録媒体は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)ディスク(DVD-Video、DVD-RAM(DVD - Random Access Memory)、DVD-R(DVD - Recordable)、DVD-RW(DVD - Rewritable)、DVD+R(DVD + Recordable)、DVD+RW(DVD + Rewritable)等)又はBlu-ray(登録商標)ディスク等であってよい。
セレクタ1246は、映像及び音声の記録時には、チューナ1241又はエンコーダ1243から入力される符号化ビットストリームを選択し、選択した符号化ビットストリームをHDD1244又はディスクドライブ1245へ出力する。また、セレクタ1246は、映像及び音声の再生時には、HDD1244又はディスクドライブ1245から入力される符号化ビットストリームをデコーダ1247へ出力する。
デコーダ1247は、符号化ビットストリームを復号し、映像データ及び音声データを生成する。そして、デコーダ1247は、生成した映像データをOSD部1248へ出力する。また、デコーダ1247は、生成した音声データを外部のスピーカへ出力する。
OSD部1248は、デコーダ1247から入力される映像データを再生し、映像を表示する。また、OSD部1248は、表示する映像に、例えばメニュー、ボタン又はカーソル等のGUIの画像を重畳してもよい。
制御部1249は、CPU等のプロセッサ、並びにRAM及びROM等のメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータ等を記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、記録再生装置1240の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部1250から入力される操作信号に応じて、記録再生装置1240の動作を制御する。
ユーザインタフェース部1250は、制御部1249と接続される。ユーザインタフェース部1250は、例えば、ユーザが記録再生装置1240を操作するためのボタン及びスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部等を有する。ユーザインタフェース部1250は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部1249へ出力する。
このように構成された記録再生装置1240において、例えばエンコーダ1243が、上述した符号化装置11の機能を有するようにしてもよい。つまり、エンコーダ1243が、画像データを、以上の実施の形態において説明方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、記録再生装置1240は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
また、このように構成された記録再生装置1240において、例えばデコーダ1247が、上述した復号装置12の機能を有するようにしてもよい。つまり、デコーダ1247が、符号化データを、以上の実施の形態において説明した方法で復号するようにしてもよい。このようにすることにより、記録再生装置1240は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<第4の応用例:撮像装置>
図90は、上述した実施の形態を適用した撮像装置の概略的な構成の一例を示す図である。
撮像装置1260は、被写体を撮像して画像を生成し、画像データを符号化して記録媒体に記録する。
撮像装置1260は、光学ブロック1261、撮像部1262、信号処理部1263、画像処理部1264、表示部1265、外部インタフェース(I/F)部1266、メモリ部1267、メディアドライブ1268、OSD部1269、制御部1270、ユーザインタフェース(I/F)部1271、及びバス1272を備える。
光学ブロック1261は、撮像部1262に接続される。撮像部1262は、信号処理部1263に接続される。表示部1265は、画像処理部1264に接続される。ユーザインタフェース部1271は、制御部1270に接続される。バス1272は、画像処理部1264、外部インタフェース部1266、メモリ部1267、メディアドライブ1268、OSD部1269、及び制御部1270を相互に接続する。
光学ブロック1261は、フォーカスレンズ及び絞り機構等を有する。光学ブロック1261は、被写体の光学像を撮像部1262の撮像面に結像させる。撮像部1262は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを有し、撮像面に結像した光学像を光電変換によって電気信号としての画像信号に変換する。そして、撮像部1262は、画像信号を信号処理部1263へ出力する。
信号処理部1263は、撮像部1262から入力される画像信号に対してニー補正、ガンマ補正、色補正等の種々のカメラ信号処理を行う。信号処理部1263は、カメラ信号処理後の画像データを画像処理部1264へ出力する。
画像処理部1264は、信号処理部1263から入力される画像データを符号化し、符号化データを生成する。そして、画像処理部1264は、生成した符号化データを外部インタフェース部1266又はメディアドライブ1268へ出力する。また、画像処理部1264は、外部インタフェース部1266又はメディアドライブ1268から入力される符号化データを復号し、画像データを生成する。そして、画像処理部1264は、生成した画像データを表示部1265へ出力する。また、画像処理部1264は、信号処理部1263から入力される画像データを表示部1265へ出力して画像を表示させてもよい。また、画像処理部1264は、OSD部1269から取得される表示用データを、表示部1265へ出力する画像に重畳してもよい。
OSD部1269は、例えばメニュー、ボタン又はカーソル等のGUIの画像を生成して、生成した画像を画像処理部1264へ出力する。
外部インタフェース部1266は、例えばUSB入出力端子として構成される。外部インタフェース部1266は、例えば、画像の印刷時に、撮像装置1260とプリンタとを接続する。また、外部インタフェース部1266には、必要に応じてドライブが接続される。ドライブには、例えば、磁気ディスク又は光ディスク等のリムーバブルメディアが装着され、リムーバブルメディアから読み出されるプログラムが、撮像装置1260にインストールされ得る。さらに、外部インタフェース部1266は、LAN又はインターネット等のネットワークに接続されるネットワークインタフェースとして構成されてもよい。すなわち、外部インタフェース部1266は、撮像装置1260における伝送部としての役割を有する。
メディアドライブ1268に装着される記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、又は半導体メモリ等の、読み書き可能な任意のリムーバブルメディアであってよい。また、メディアドライブ1268に記録媒体が固定的に装着され、例えば、内蔵型ハードディスクドライブ又はSSD(Solid State Drive)のような非可搬性の記憶部が構成されてもよい。
制御部1270は、CPU等のプロセッサ、並びにRAM及びROM等のメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータ等を記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、撮像装置1260の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部1271から入力される操作信号に応じて、撮像装置1260の動作を制御する。
ユーザインタフェース部1271は、制御部1270と接続される。ユーザインタフェース部1271は、例えば、ユーザが撮像装置1260を操作するためのボタン及びスイッチ等を有する。ユーザインタフェース部1271は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部1270へ出力する。
このように構成された撮像装置1260において、例えば画像処理部1264が、上述した符号化装置11の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部1264が、画像データを、以上の実施の形態において説明した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、撮像装置1260は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
また、このように構成された撮像装置1260において、例えば画像処理部1264が、上述した復号装置12の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部1264が、符号化データを、以上の実施の形態において説明した方法で復号するようにしてもよい。このようにすることにより、撮像装置1260は、S/N及び圧縮効率を大きく改善することができる。
<その他の応用例>
なお、本技術は、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択して使用する、例えばMPEG DASH等のようなHTTPストリーミングにも適用することができる。つまり、このような複数の符号化データ間で、符号化や復号に関する情報を共有することもできる。
また、以上においては、本技術を適用する装置やシステム等の例を説明したが、本技術は、これに限らず、このような装置又はシステムを構成する装置に搭載するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
<ビデオセット>
本技術をセットとして実施する場合の例について、図91を参照して説明する。
図91は、本技術を適用したビデオセットの概略的な構成の一例を示す図である。
近年、電子機器の多機能化が進んでおり、その開発や製造において、その一部の構成を販売や提供等として実施する場合、1機能を有する構成として実施を行う場合だけでなく、関連する機能を有する複数の構成を組み合わせ、複数の機能を有する1セットとして実施を行う場合も多く見られるようになってきた。
図91に示されるビデオセット1300は、このような多機能化された構成であり、画像の符号化や復号(いずれか一方でもよいし、両方でも良い)に関する機能を有するデバイスに、その機能に関連するその他の機能を有するデバイスを組み合わせたものである。
図91に示されるように、ビデオセット1300は、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、及びフロントエンドモジュール1314等のモジュール群と、コネクティビティ1321、カメラ1322、及びセンサ1323等の関連する機能を有するデバイスとを有する。
モジュールは、互いに関連するいくつかの部品的機能をまとめ、まとまりのある機能を持った部品としたものである。具体的な物理的構成は任意であるが、例えば、それぞれ機能を有する複数のプロセッサ、抵抗やコンデンサ等の電子回路素子、その他のデバイス等を配線基板等に配置して一体化したものが考えられる。また、モジュールに他のモジュールやプロセッサ等を組み合わせて新たなモジュールとすることも考えられる。
図91の例の場合、ビデオモジュール1311は、画像処理に関する機能を有する構成を組み合わせたものであり、アプリケーションプロセッサ1331、ビデオプロセッサ1332、ブロードバンドモデム1333、及びRFモジュール1334を有する。
プロセッサは、所定の機能を有する構成をSoC(System On a Chip)により半導体チップに集積したものであり、例えばシステムLSI(Large Scale Integration)等と称されるものもある。この所定の機能を有する構成は、論理回路(ハードウエア構成)であってもよいし、CPU、ROM、RAM等と、それらを用いて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)であってもよいし、その両方を組み合わせたものであってもよい。例えば、プロセッサが、論理回路とCPU、ROM、RAM等とを有し、機能の一部を論理回路(ハードウエア構成)により実現し、その他の機能をCPUにおいて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)により実現するようにしてもよい。
図91のアプリケーションプロセッサ1331は、画像処理に関するアプリケーションを実行するプロセッサである。このアプリケーションプロセッサ1331において実行されるアプリケーションは、所定の機能を実現するために、演算処理を行うだけでなく、例えばビデオプロセッサ1332等、ビデオモジュール1311内外の構成を必要に応じて制御することもできる。
ビデオプロセッサ1332は、画像の符号化・復号(その一方若しくは両方)に関する機能を有するプロセッサである。
ブロードバンドモデム1333は、インターネットや公衆電話回線網等の広帯域の回線を介して行われる有線若しくは無線(又はその両方)の広帯域通信により送信するデータ(デジタル信号)をデジタル変調する等してアナログ信号に変換したり、その広帯域通信により受信したアナログ信号を復調してデータ(デジタル信号)に変換したりする。ブロードバンドモデム1333は、例えば、ビデオプロセッサ1332が処理する画像データ、画像データが符号化されたストリーム、アプリケーションプログラム、設定データ等、任意の情報を処理する。
RFモジュール1334は、アンテナを介して送受信されるRF(Radio Frequency)信号に対して、周波数変換、変復調、増幅、フィルタ処理等を行うモジュールである。例えば、RFモジュール1334は、ブロードバンドモデム1333により生成されたベースバンド信号に対して周波数変換等を行ってRF信号を生成する。また、例えば、RFモジュール1334は、フロントエンドモジュール1314を介して受信されたRF信号に対して周波数変換等を行ってベースバンド信号を生成する。
なお、図91において点線1341に示されるように、アプリケーションプロセッサ1331とビデオプロセッサ1332を、一体化し、1つのプロセッサとして構成されるようにしてもよい。
外部メモリ1312は、ビデオモジュール1311の外部に設けられた、ビデオモジュール1311により利用される記憶デバイスを有するモジュールである。この外部メモリ1312の記憶デバイスは、どのような物理構成により実現するようにしてもよいが、一般的にフレーム単位の画像データのような大容量のデータの格納に利用されることが多いので、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)のような比較的安価で大容量の半導体メモリにより実現するのが望ましい。
パワーマネージメントモジュール1313は、ビデオモジュール1311(ビデオモジュール1311内の各構成)への電力供給を管理し、制御する。
フロントエンドモジュール1314は、RFモジュール1334に対してフロントエンド機能(アンテナ側の送受信端の回路)を提供するモジュールである。図91に示されるように、フロントエンドモジュール1314は、例えば、アンテナ部1351、フィルタ1352、及び増幅部1353を有する。
アンテナ部1351は、無線信号を送受信するアンテナ及びその周辺の構成を有する。アンテナ部1351は、増幅部1353から供給される信号を無線信号として送信し、受信した無線信号を電気信号(RF信号)としてフィルタ1352に供給する。フィルタ1352は、アンテナ部1351を介して受信されたRF信号に対してフィルタ処理等を行い、処理後のRF信号をRFモジュール1334に供給する。増幅部1353は、RFモジュール1334から供給されるRF信号を増幅し、アンテナ部1351に供給する。
コネクティビティ1321は、外部との接続に関する機能を有するモジュールである。コネクティビティ1321の物理構成は、任意である。例えば、コネクティビティ1321は、ブロードバンドモデム1333が対応する通信規格以外の通信機能を有する構成や、外部入出力端子等を有する。
例えば、コネクティビティ1321が、Bluetooth(登録商標)、IEEE 802.11(例えばWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標))、NFC(Near Field Communication)、IrDA(InfraRed Data Association)等の無線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した信号を送受信するアンテナ等を有するようにしてもよい。また、例えば、コネクティビティ1321が、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)等の有線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した端子を有するようにしてもよい。さらに、例えば、コネクティビティ1321が、アナログ入出力端子等のその他のデータ(信号)伝送機能等を有するようにしてもよい。
なお、コネクティビティ1321が、データ(信号)の伝送先のデバイスを含むようにしてもよい。例えば、コネクティビティ1321が、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等の記録媒体に対してデータの読み出しや書き込みを行うドライブ(リムーバブルメディアのドライブだけでなく、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、NAS(Network Attached Storage)等も含む)を有するようにしてもよい。また、コネクティビティ1321が、画像や音声の出力デバイス(モニタやスピーカ等)を有するようにしてもよい。
カメラ1322は、被写体を撮像し、被写体の画像データを得る機能を有するモジュールである。カメラ1322の撮像により得られた画像データは、例えば、ビデオプロセッサ1332に供給されて符号化される。
センサ1323は、例えば、音声センサ、超音波センサ、光センサ、照度センサ、赤外線センサ、イメージセンサ、回転センサ、角度センサ、角速度センサ、速度センサ、加速度センサ、傾斜センサ、磁気識別センサ、衝撃センサ、温度センサ等、任意のセンサ機能を有するモジュールである。センサ1323により検出されたデータは、例えば、アプリケーションプロセッサ1331に供給されてアプリケーション等により利用される。
以上においてモジュールとして説明した構成をプロセッサとして実現するようにしてもよいし、逆にプロセッサとして説明した構成をモジュールとして実現するようにしてもよい。
以上のような構成のビデオセット1300において、後述するようにビデオプロセッサ1332に本技術を適用することができる。したがって、ビデオセット1300は、本技術を適用したセットとして実施することができる。
<ビデオプロセッサの構成例>
図92は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332(図91)の概略的な構成の一例を示す図である。
図92の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ信号及びオーディオ信号の入力を受けてこれらを所定の方式で符号化する機能と、符号化されたビデオデータ及びオーディオデータを復号し、ビデオ信号及びオーディオ信号を再生出力する機能とを有する。
図92に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、フレームメモリ1405、及びメモリ制御部1406を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、エンコード・デコードエンジン1407、ビデオES(Elementary Stream)バッファ1408A及び1408B、並びに、オーディオESバッファ1409A及び1409Bを有する。さらに、ビデオプロセッサ1332は、オーディオエンコーダ1410、オーディオデコーダ1411、多重化部(MUX(Multiplexer))1412、逆多重化部(DMUX(Demultiplexer))1413、及びストリームバッファ1414を有する。
ビデオ入力処理部1401は、例えばコネクティビティ1321(図91)等から入力されたビデオ信号を取得し、デジタル画像データに変換する。第1画像拡大縮小部1402は、画像データに対してフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行う。第2画像拡大縮小部1403は、画像データに対して、ビデオ出力処理部1404を介して出力する先でのフォーマットに応じて画像の拡大縮小処理を行ったり、第1画像拡大縮小部1402と同様のフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行ったりする。ビデオ出力処理部1404は、画像データに対して、フォーマット変換やアナログ信号への変換等を行って、再生されたビデオ信号として例えばコネクティビティ1321等に出力する。
フレームメモリ1405は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、及びエンコード・デコードエンジン1407によって共用される画像データ用のメモリである。フレームメモリ1405は、例えばDRAM等の半導体メモリとして実現される。
メモリ制御部1406は、エンコード・デコードエンジン1407からの同期信号を受けて、アクセス管理テーブル1406Aに書き込まれたフレームメモリ1405へのアクセススケジュールに従ってフレームメモリ1405に対する書き込み・読み出しのアクセスを制御する。アクセス管理テーブル1406Aは、エンコード・デコードエンジン1407、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403等で実行される処理に応じて、メモリ制御部1406により更新される。
エンコード・デコードエンジン1407は、画像データのエンコード処理、並びに、画像データが符号化されたデータであるビデオストリームのデコード処理を行う。例えば、エンコード・デコードエンジン1407は、フレームメモリ1405から読み出した画像データを符号化し、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに順次書き込む。また、例えば、ビデオESバッファ1408Bからビデオストリームを順次読み出して復号し、画像データとしてフレームメモリ1405に順次書き込む。エンコード・デコードエンジン1407は、これらの符号化や復号において、フレームメモリ1405を作業領域として使用する。また、エンコード・デコードエンジン1407は、例えばマクロブロック毎の処理を開始するタイミングで、メモリ制御部1406に対して同期信号を出力する。
ビデオESバッファ1408Aは、エンコード・デコードエンジン1407によって生成されたビデオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。ビデオESバッファ1408Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたビデオストリームをバッファリングして、エンコード・デコードエンジン1407に供給する。
オーディオESバッファ1409Aは、オーディオエンコーダ1410によって生成されたオーディオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。オーディオESバッファ1409Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたオーディオストリームをバッファリングして、オーディオデコーダ1411に供給する。
オーディオエンコーダ1410は、例えばコネクティビティ1321等から入力されたオーディオ信号を例えばデジタル変換し、例えばMPEGオーディオ方式やAC3(AudioCode number 3)方式等の所定の方式で符号化する。オーディオエンコーダ1410は、オーディオ信号が符号化されたデータであるオーディオストリームをオーディオESバッファ1409Aに順次書き込む。オーディオデコーダ1411は、オーディオESバッファ1409Bから供給されたオーディオストリームを復号し、例えばアナログ信号への変換等を行って、再生されたオーディオ信号として例えばコネクティビティ1321等に供給する。
多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化する。この多重化の方法(すなわち、多重化により生成されるビットストリームのフォーマット)は任意である。また、この多重化の際に、多重化部(MUX)1412は、所定のヘッダ情報等をビットストリームに付加することもできる。つまり、多重化部(MUX)1412は、多重化によりストリームのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームに変換する。また、例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換する。
逆多重化部(DMUX)1413は、多重化部(MUX)1412による多重化に対応する方法で、ビデオストリームとオーディオストリームとが多重化されたビットストリームを逆多重化する。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、ストリームバッファ1414から読み出されたビットストリームからビデオストリームとオーディオストリームとを抽出する(ビデオストリームとオーディオストリームとを分離する)。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、逆多重化によりストリームのフォーマットを変換(多重化部(MUX)1412による変換の逆変換)することができる。例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等から供給されたトランスポートストリームを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。また、例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321により各種記録媒体から読み出されたファイルデータを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。
ストリームバッファ1414は、ビットストリームをバッファリングする。例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等に供給する。
また、例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321等に供給し、各種記録媒体に記録させる。
さらに、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して取得したトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
また、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321等において各種記録媒体から読み出されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
次に、このような構成のビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321等からビデオプロセッサ1332に入力されたビデオ信号は、ビデオ入力処理部1401において4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式のデジタル画像データに変換され、フレームメモリ1405に順次書き込まれる。このデジタル画像データは、第1画像拡大縮小部1402又は第2画像拡大縮小部1403に読み出されて、4:2:0Y/Cb/Cr方式等の所定の方式へのフォーマット変換及び拡大縮小処理が行われ、再びフレームメモリ1405に書き込まれる。この画像データは、エンコード・デコードエンジン1407によって符号化され、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに書き込まれる。
また、コネクティビティ1321等からビデオプロセッサ1332に入力されたオーディオ信号は、オーディオエンコーダ1410によって符号化され、オーディオストリームとして、オーディオESバッファ1409Aに書き込まれる。
ビデオESバッファ1408Aのビデオストリームと、オーディオESバッファ1409Aのオーディオストリームは、多重化部(MUX)1412に読み出されて多重化され、トランスポートストリーム若しくはファイルデータ等に変換される。多重化部(MUX)1412により生成されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークに出力される。また、多重化部(MUX)1412により生成されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321等に出力され、各種記録媒体に記録される。
また、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークからビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。また、例えばコネクティビティ1321等において各種記録媒体から読み出され、ビデオプロセッサ1332に入力されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。つまり、ビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリーム又はファイルデータは、逆多重化部(DMUX)1413によりビデオストリームとオーディオストリームとに分離される。
オーディオストリームは、オーディオESバッファ1409Bを介してオーディオデコーダ1411に供給され、復号されてオーディオ信号が再生される。また、ビデオストリームは、ビデオESバッファ1408Bに書き込まれた後、エンコード・デコードエンジン1407により順次読み出されて復号されてフレームメモリ1405に書き込まれる。復号された画像データは、第2画像拡大縮小部1403によって拡大縮小処理されて、フレームメモリ1405に書き込まれる。そして、復号された画像データは、ビデオ出力処理部1404に読み出されて、4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式にフォーマット変換され、さらにアナログ信号に変換されて、ビデオ信号が再生出力される。
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、エンコード・デコードエンジン1407に、上述した実施の形態に係る本技術を適用すればよい。つまり、例えば、エンコード・デコードエンジン1407が、上述した符号化装置11の機能若しくは復号装置12の機能又はその両方を有するようにしてもよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、上述した実施の形態の符号化装置11や復号装置12と同様の効果を得ることができる。
なお、エンコード・デコードエンジン1407において、本技術(すなわち、符号化装置11の機能若しくは復号装置12の機能又はその両方)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
<ビデオプロセッサの他の構成例>
図93は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332の概略的な構成の他の例を示す図である。
図93の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオデータを所定の方式で符号化・復号する機能を有する。
より具体的には、図93に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、制御部1511、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、及び内部メモリ1515を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、コーデックエンジン1516、メモリインタフェース1517、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518、ネットワークインタフェース1519、及びビデオインタフェース1520を有する。
制御部1511は、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、及びコーデックエンジン1516等、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御する。
図93に示されるように、制御部1511は、例えば、メインCPU1531、サブCPU1532、及びシステムコントローラ1533を有する。メインCPU1531は、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御するためのプログラム等を実行する。メインCPU1531は、そのプログラム等に従って制御信号を生成し、各処理部に供給する(つまり、各処理部の動作を制御する)。サブCPU1532は、メインCPU1531の補助的な役割を果たす。例えば、サブCPU1532は、メインCPU1531が実行するプログラム等の子プロセスやサブルーチン等を実行する。システムコントローラ1533は、メインCPU1531及びサブCPU1532が実行するプログラムを指定する等、メインCPU1531及びサブCPU1532の動作を制御する。
ディスプレイインタフェース1512は、制御部1511の制御の下、画像データを例えばコネクティビティ1321等に出力する。例えば、ディスプレイインタフェース1512は、デジタルデータの画像データをアナログ信号に変換し、再生されたビデオ信号として、又はデジタルデータの画像データのまま、コネクティビティ1321のモニタ装置等に出力する。
ディスプレイエンジン1513は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、その画像を表示させるモニタ装置等のハードウエアスペックに合わせるように、フォーマット変換、サイズ変換、色域変換等の各種変換処理を行う。
画像処理エンジン1514は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、例えば画質改善のためのフィルタ処理等、所定の画像処理を施す。
内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、及びコーデックエンジン1516により共用される、ビデオプロセッサ1332の内部に設けられたメモリである。内部メモリ1515は、例えば、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、及びコーデックエンジン1516の間で行われるデータの授受に利用される。例えば、内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、又はコーデックエンジン1516から供給されるデータを格納し、必要に応じて(例えば、要求に応じて)、そのデータを、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、又はコーデックエンジン1516に供給する。この内部メモリ1515は、どのような記憶デバイスにより実現するようにしてもよいが、一般的にブロック単位の画像データやパラメータ等といった小容量のデータの格納に利用することが多いので、例えばSRAM(Static Random Access Memory)のような比較的(例えば外部メモリ1312と比較して)小容量だが応答速度が高速な半導体メモリにより実現するのが望ましい。
コーデックエンジン1516は、画像データの符号化や復号に関する処理を行う。このコーデックエンジン1516が対応する符号化・復号の方式は任意であり、その数は1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、コーデックエンジン1516は、複数の符号化・復号方式のコーデック機能を備え、その中から選択されたもので画像データの符号化又は符号化データの復号を行うようにしてもよい。
図93に示される例において、コーデックエンジン1516は、コーデックに関する処理の機能ブロックとして、例えば、MPEG-2 Video1541、AVC/H.2641542、HEVC/H.2651543、HEVC/H.265(Scalable)1544、HEVC/H.265(Multi-view)1545、及びMPEG-DASH1551を有する。
MPEG-2 Video1541は、画像データをMPEG-2方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。AVC/H.2641542は、画像データをAVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.2651543は、画像データをHEVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Scalable)1544は、画像データをHEVC方式でスケーラブル符号化したりスケーラブル復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Multi-view)1545は、画像データをHEVC方式で多視点符号化したり多視点復号したりする機能ブロックである。
MPEG-DASH1551は、画像データをMPEG-DASH(MPEG-Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)方式で送受信する機能ブロックである。MPEG-DASHは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)を使ってビデオのストリーミングを行う技術であり、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択し伝送することを特徴の1つとする。MPEG-DASH1551は、規格に準拠するストリームの生成やそのストリームの伝送制御等を行い、画像データの符号化・復号については、上述したMPEG-2 Video1541乃至HEVC/H.265(Multi-view)1545を利用する。
メモリインタフェース1517は、外部メモリ1312用のインタフェースである。画像処理エンジン1514やコーデックエンジン1516から供給されるデータは、メモリインタフェース1517を介して外部メモリ1312に供給される。また、外部メモリ1312から読み出されたデータは、メモリインタフェース1517を介してビデオプロセッサ1332(画像処理エンジン1514若しくはコーデックエンジン1516)に供給される。
多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、符号化データのビットストリーム、画像データ、ビデオ信号等、画像に関する各種データの多重化や逆多重化を行う。この多重化・逆多重化の方法は任意である。例えば、多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、複数のデータを1つにまとめるだけでなく、所定のヘッダ情報等をそのデータに付加することもできる。また、逆多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、1つのデータを複数に分割するだけでなく、分割した各データに所定のヘッダ情報等を付加することもできる。つまり、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、多重化・逆多重化によりデータのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、ビットストリームを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームや、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換することができる。もちろん、逆多重化によりその逆変換も可能である。
ネットワークインタフェース1519は、例えばブロードバンドモデム1333やコネクティビティ1321等向けのインタフェースである。ビデオインタフェース1520は、例えばコネクティビティ1321やカメラ1322等向けのインタフェースである。
次に、このようなビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークからトランスポートストリームを受信すると、そのトランスポートストリームは、ネットワークインタフェース1519を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、例えば、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてファイルデータに変換され、ビデオインタフェース1520を介して例えばコネクティビティ1321等に出力され、各種記録媒体に記録される。
さらに、例えば、コネクティビティ1321等により図示せぬ記録媒体から読み出された、画像データが符号化された符号化データのファイルデータは、ビデオインタフェース1520を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてトランスポートストリームに変換され、ネットワークインタフェース1519を介して例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等に供給され図示せぬ他の装置に伝送される。
なお、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の間での画像データやその他のデータの授受は、例えば、内部メモリ1515や外部メモリ1312を利用して行われる。また、パワーマネージメントモジュール1313は、例えば制御部1511への電力供給を制御する。
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、コーデックエンジン1516に、上述した実施の形態に係る本技術を適用すればよい。つまり、例えば、コーデックエンジン1516が、上述した符号化装置11の機能若しくは復号装置12の機能又はその両方を有するようにすればよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、上述した符号化装置11や復号装置12と同様の効果を得ることができる。
なお、コーデックエンジン1516において、本技術(すなわち、符号化装置11や復号装置12の機能)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
以上にビデオプロセッサ1332の構成を2例示したが、ビデオプロセッサ1332の構成は任意であり、上述した2例以外のものであってもよい。また、このビデオプロセッサ1332は、1つの半導体チップとして構成されるようにしてもよいが、複数の半導体チップとして構成されるようにしてもよい。例えば、複数の半導体を積層する3次元積層LSIとしてもよい。また、複数のLSIにより実現されるようにしてもよい。
<装置への適用例>
ビデオセット1300は、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオセット1300は、テレビジョン装置1200(図87)、携帯電話機1220(図88)、記録再生装置1240(図89)、撮像装置1260(図90)等に組み込むことができる。ビデオセット1300を組み込むことにより、その装置は、上述した符号化装置11や復号装置12と同様の効果を得ることができる。
なお、上述したビデオセット1300の各構成の一部であっても、ビデオプロセッサ1332を含むものであれば、本技術を適用した構成として実施することができる。例えば、ビデオプロセッサ1332のみを本技術を適用したビデオプロセッサとして実施することができる。また、例えば、上述したように点線1341により示されるプロセッサやビデオモジュール1311等を、本技術を適用したプロセッサやモジュール等として実施することができる。さらに、例えば、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、及びフロントエンドモジュール1314を組み合わせ、本技術を適用したビデオユニット1361として実施することもできる。いずれの構成の場合であっても、上述した符号化装置11や復号装置12と同様の効果を得ることができる。
つまり、ビデオプロセッサ1332を含むものであればどのような構成であっても、ビデオセット1300の場合と同様に、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオプロセッサ1332、点線1341により示されるプロセッサ、ビデオモジュール1311、又は、ビデオユニット1361を、テレビジョン装置1200(図87)、携帯電話機1220(図88)、記録再生装置1240(図89)、撮像装置1260(図90)等に組み込むことができる。そして、本技術を適用したいずれかの構成を組み込むことにより、その装置は、ビデオセット1300の場合と同様に、上述した符号化装置11や復号装置12と同様の効果を得ることができる。
<その他>
なお、本明細書では、各種情報が、符号化データ(ビットストリーム)に多重化されて、符号化側から復号側へ伝送される例について説明したが、これら情報を伝送する手法はかかる例に限定されない。例えば、これら情報は、符号化データに多重化されることなく、符号化データと関連付けられた別個のデータとして伝送され又は記録されてもよい。ここで、「関連付ける」という用語は、例えば、符号化データに含まれる画像(スライス若しくはブロック等、画像の一部であってもよい)と当該画像に対応する情報とを復号時にリンクさせ得るようにすることを意味する。すなわち、この符号化データ(画像)に関連付けられた情報は、符号化データ(画像)とは別の伝送路上で伝送されるようにしてもよい。また、この符号化データ(画像)に関連付けられた情報は、符号化データ(画像)とは別の記録媒体(又は同一の記録媒体の別の記録エリア)に記録されるようにしてもよい。さらに、画像とその画像に対応する情報とが、例えば、複数フレーム、1フレーム、又はフレーム内の一部分等の任意の単位で互いに関連付けられるようにしてもよい。
また、「合成する」、「多重化する」、「付加する」、「一体化する」、「含める」、「格納する」、「入れ込む」、「差し込む」、「挿入する」等の用語は、例えばフラグ情報と画像に関する情報の符号化データとを1つのデータにまとめるといった、複数の物を1つにまとめることを意味し、上述の「関連付ける」の1つの方法を意味する。
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
また、例えば、1つの装置(又は処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(又は処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(又は処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(又は処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(又は各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(又は処理部)の構成の一部を他の装置(又は他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
また、例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行することができる。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
また、例えば、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
なお、本明細書において複数説明した本技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術を、他の実施の形態において説明した本技術と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
なお、本技術は、以下の構成をとることができる。
<1>
予測符号化の残差と予測画像とを加算することにより得られる第1の画像にフィルタ処理を行い、前記予測画像の予測に用いられる第2の画像を生成するフィルタ処理部を備え、
前記フィルタ処理部は、
前記第1の画像のうちの処理対象である処理対象画素に対応する前記第2の画像の対応画素の画素値を求める予測演算に用いられる予測タップとなる画素を、前記第1の画像から選択する予測タップ選択部と、
前記処理対象画素を、複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分類するクラス分類部と、
前記第1の画像に相当する生徒画像と、前記第1の画像に対応する元画像に相当する教師画像とを用いた学習により求められた、前記複数のクラスごとの、前記予測演算に用いられるタップ係数のうちの、前記処理対象画素のクラスのタップ係数を取得するタップ係数取得部と、
前記処理対象画素のクラスのタップ係数と、前記処理対象画素の前記予測タップとを用いた前記予測演算を行うことにより、前記対応画素の画素値を求める演算部と
を有する
画像処理装置。
<2>
前記タップ係数を伝送する伝送部をさらに備える
<1>に記載の画像処理装置。
<3>
前記学習を行う学習部をさらに備える
<2>に記載の画像処理装置。
<4>
前記クラス分類部は、前記第1の画像から得られる画像特徴量、及び、前記処理対象画素の予測符号化に関する符号化情報のうちの一方、又は、両方を用いて、クラス分類を行う
<2>に記載の画像処理装置。
<5>
前記伝送部は、前記符号化情報を伝送する
<4>に記載の画像処理装置。
<6>
前記クラス分類部は、
前記第1の画像から得られる画像特徴量、及び、前記処理対象画素の予測符号化に関する符号化情報のうちの一方、又は、両方を用いて、前記処理対象画素を第1クラスにクラス分類し、
復号側で取得することができない所定の情報を用いて、前記処理対象画素を第2クラスにクラス分類し、
前記第1クラス及び前記第2クラスから、前記処理対象画素の最終的なクラスを生成し、
前記伝送部は、前記第2クラスを伝送する
<2>ないし<5>のいずれかに記載の画像処理装置。
<7>
前記クラス分類部は、前記処理対象画素の最終的なクラスを、前記処理対象画素の最終的なクラスのクラス数を縮退した縮退クラスに変換する変換テーブルに従って、前記最終的なクラスを縮退クラスに変換し、
前記タップ係数取得部は、前記処理対象画素の前記縮退クラスのタップ係数を取得し、
前記伝送部は、前記変換テーブルを伝送する
<6>に記載の画像処理装置。
<8>
前記クラス分類部は、
前記クラス分類に用いられるクラスタップとなる、前記第1の画像の画素の画素値と、所定のクラス分類係数とを用いた予測演算により、前記処理対象画素が属するサブクラスに関する情報を予測したサブクラス予測値を求め、
前記サブクラス予測値に応じて、前記処理対象画素をサブクラスに分類する
ことを繰り返すことで、前記処理対象画素をクラス分類し、
前記伝送部は、前記クラス分類係数を伝送する
<2>に記載の画像処理装置。
<9>
前記生徒画像を用いて、前記タップ係数を求めるタップ係数学習を行い、
前記タップ係数と、前記生徒画像から選択された前記予測タップとを用いた予測演算により、前記教師画像の画素の画素予測値を求め、
前記画素予測値と、前記教師画像の画素の画素値とを比較することにより、前記サブクラスに関する情報を生成し、
前記生徒画像を用いた、前記サブクラスに関する情報を求める予測演算の結果と、前記サブクラスに関する情報との統計的な誤差を最小にする前記クラス分類係数を求めるクラス分類係数学習を行い、
前記クラス分類係数学習により得られる前記クラス分類係数と、前記生徒画像とを用いた予測演算により、前記生徒画像の画素の前記サブクラス予測値を求め、
前記サブクラス予測値に応じて、前記生徒画像の画素を前記サブクラスに分類し、
前記サブクラスごとに、そのサブクラスの前記生徒画像の画素を用いて、前記タップ係数学習を行う
ことを1階層の学習として行う学習部をさらに備える
<8>に記載の画像処理装置。
<10>
前記学習部は、前記画素予測値のS/N(Signal to Noise ratio)に応じて、前記1階層の学習を繰り返す
<9>に記載の画像処理装置。
<11>
前記伝送部は、最後の前記1階層の学習で得られる前記タップ係数と、すべての前記1階層の学習で得られる前記クラス分類係数とを伝送する
<10>に記載の画像処理装置。
<12>
前記学習部は、伝送が可能な伝送可能伝送量に応じて、所定回数目の前記1階層の学習で得られる前記タップ係数と、前記所定回数目までの前記1階層の学習で得られる前記クラス分類係数とを、伝送対象の伝送対象係数に設定し、
前記伝送部は、前記伝送対象係数を伝送する
<10>に記載の画像処理装置。
<13>
前記タップ係数を受け取る受け取り部をさらに備える
<1>に記載の画像処理装置。
<14>
前記クラス分類部は、前記第1の画像から得られる画像特徴量、及び、前記処理対象画素の予測符号化に関する符号化情報のうちの一方、又は、両方を用いて、クラス分類を行う
<13>に記載の画像処理装置。
<15>
前記受け取り部は、前記符号化情報を受け取る
<14>に記載の画像処理装置。
<16>
前記受け取り部は、前記第1の画像から得られる画像特徴量、及び、前記処理対象画素の予測符号化に関する符号化情報のうちの一方、又は、両方を用いたクラス分類により得られる第1クラスと、復号側で取得することができない所定の情報を用いた前記クラス分類により得られる第2クラスとのうちの、前記第2クラスを受け取り、
前記クラス分類部は、
前記処理対象画素を前記第1クラスにクラス分類し、
前記第1クラス、及び、前記受け取り部により受け取られた前記第2クラスから、前記処理対象画素の最終的なクラスを生成する
<13>ないし<15>のいずれかに記載の画像処理装置。
<17>
前記受け取り部は、前記処理対象画素の最終的なクラスを、前記処理対象画素の最終的なクラスのクラス数を縮退した縮退クラスに変換する変換テーブルを受け取り、
前記クラス分類部は、前記処理対象画素の最終的なクラスを、前記変換テーブルに従って、前記縮退クラスに変換する
<16>に記載の画像処理装置。
<18>
前記伝送部は、
前記生徒画像を用いて、前記タップ係数を求めるタップ係数学習を行い、
前記タップ係数と、前記生徒画像から選択された前記予測タップとを用いた予測演算により、前記教師画像の画素の画素予測値を求め、
前記画素予測値と、前記教師画像の画素の画素値とを比較することにより、前記生徒画像の画素が属するサブクラスに関する情報を生成し、
前記生徒画像と学習により求められるクラス分類係数とを用いた、前記サブクラスに関する情報を求める予測演算の結果と、前記サブクラスに関する情報との統計的な誤差を最小にする前記クラス分類係数を求めるクラス分類係数学習を行い、
前記クラス分類係数学習により得られる前記クラス分類係数と、前記生徒画像とを用いた予測演算により、前記生徒画像の画素の前記サブクラスに関する情報を予測したサブクラス予測値を求め、
前記サブクラス予測値に応じて、前記生徒画像の画素を前記サブクラスに分類し、
前記サブクラスごとに、そのサブクラスの前記生徒画像の画素を用いて、前記タップ係数学習を行う
1階層の学習を繰り返す
ことにより得られる前記タップ係数及び前記クラス分類係数を受け取り、
前記クラス分類部は、
前記クラス分類に用いられるクラスタップとなる、前記第1の画像の画素の画素値と、前記クラス分類係数とを用いた予測演算により、前記処理対象画素が属するサブクラスに関する情報を予測したサブクラス予測値を求め、
前記サブクラス予測値に応じて、前記処理対象画素をサブクラスに分類する
ことを繰り返すことで、前記処理対象画素をクラス分類する
<13>に記載の画像処理装置。
<19>
前記フィルタ処理部は、ILF(In Loop Filter)を構成するDF(Deblocking Filter),SAO(Sample Adaptive Offset)、及び、ALF(Adaptive Loop Filter)のうちの1以上として機能する
<1>ないし<18>のいずれかに記載の画像処理装置。
<20>
予測符号化の残差と予測画像とを加算することにより得られる第1の画像にフィルタ処理を行い、前記予測画像の予測に用いられる第2の画像を生成するステップを含み、
前記フィルタ処理は、
前記第1の画像のうちの処理対象である処理対象画素に対応する前記第2の画像の対応画素の画素値を求める予測演算に用いられる予測タップとなる画素を、前記第1の画像から選択することと、
前記処理対象画素を、複数のクラスのうちのいずれかのクラスにクラス分類することと、
前記第1の画像に相当する生徒画像と、前記第1の画像に対応する元画像に相当する教師画像とを用いた学習により求められた、前記複数のクラスごとの、前記予測演算に用いられるタップ係数のうちの、前記処理対象画素のクラスのタップ係数を取得することと、
前記処理対象画素のクラスのタップ係数と、前記処理対象画素の前記予測タップとを用いた前記予測演算を行うことにより、前記対応画素の画素値を求めることと
を含む
画像処理方法。