JPWO2017146005A1 - 嗅覚の判別方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、被検査者の嗅覚を簡便かつ正確に評価することのできる方法を提供する。具体的には、本発明は、一連の食品のニオイを類似度により3以上のクラスターに分類する分類工程、各クラスターを代表する食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させる提示工程、及び正答率が高い及び/又は誤答率が低い被検査者を嗅覚維持者、正答率が低い及び/又は誤答率が高い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程を含む、被検査者の嗅覚の判別方法、及び該方法に用いるキットを提供する。

Description

本発明は、嗅覚の判別方法に関する。
食品のニオイは、味と共においしさの重要な要素である。そのため、嗅覚の低下は食事摂取に影響を与え、栄養状態の悪化や体重低下を招くと言われている。嗅覚は、加齢に伴い低下することが多い。
食品開発において、食事摂取と消費者の嗅覚を合わせて研究することは重要である。そのため、対象食品の消費者の嗅覚を評価する方法が望まれていた。すなわち、被検査者の食品に対する嗅覚(ニオイの感じ方)が正常か又は低下しているかを簡便に、例えば被検査者が高齢者であっても簡便に判別できる方法が望まれていた。
従来の嗅覚検査法は、閾値検査(例:嗅覚検査キット(T&Tオルファクトメーターなど)、静脈性嗅覚検査(アリナミンテストなど))、嗅覚同定能検査(例:スティック式キット、カード式キット(Open Essence)、ニオイに対する脳反応を測定する方法(例:ニオイ誘発脳電位、機能的MRI、SPECT、脳磁図を利用する方法)、ニオイに対する自律神経反射を測定する方法(例:瞳孔反応を測定する方法、呼吸曲線を用いる方法)などである(非特許文献1〜3)。
これらのうちカード式キット(Open Essence)は、被検査者が一人で実施することができる。Open Essenceは付番された12枚のカードからなり、それぞれのカードに異なる生活臭(例えば、墨汁、材木、香水、メントール、みかん、カレー、家庭用のガス、ばら、ひのき、蒸れた靴下・汗臭い、練乳(コンデンスミルク)、炒めたにんにく)が賦香され、ニオイの選択肢が列記されている。各カードは折りたたまれており、被検査者がカードを開くと、生活臭が生じる。被検査者はこれを嗅ぎ何のニオイと感じたかを選択肢から選ぶ。T&Tオルファクトメーターの結果と強く相関し、研究用として広く使用されている。
斉藤 幸子ほか(1994)日本味と匂学会誌、第1巻第3号、p460−463 斉藤 幸子ほか(1998)日本味と匂学会誌、第5巻第3号、p323−326 斉藤 幸子ほか(2003)におい・かおり環境学会誌、第34巻第1号、p1−6
しかしながらT&Tオルファクトメーターによる方法は、通気装置が必要であった。アリナミンテストは医師が実施する必要があり、侵襲性があるため被検査者のストレスを招くという問題があった。スティック式キットの場合、1対1でオペレーターが必要であった。脳反応測定法及び自律神経反射測定法は、医師による実施が必要であった。
Open Essenceは、被検査者が12枚のカードにつき判断する必要があるため、時間がかかり、中でも被検査者が高齢者の場合、試験終了前に疲れて判断が難しくなることがある。また、Open Essenceのニオイの12種の分類は、古い日本の日常生活臭の分類がもととなっており、現在の生活スタイルと必ずしも一致しない分類もあり、被検査者がイメージしにくいおそれがある。さらに、Open Essenceに含まれる生活臭のうち食品のニオイは少なく、食品のニオイに特化した嗅覚判別法の開発が望まれていた。
本発明は、被検査者の嗅覚を簡便かつ正確に評価することのできる方法の提供を目的とする。
本発明は、以下を提供する。
〔1〕一連の食品のニオイを類似度により3以上のクラスターに分類する分類工程、
各クラスターを代表する食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させる提示工程、及び
正答率が高い及び/又は誤答率が低い被検査者を嗅覚維持者、正答率が低い及び/又は誤答率が高い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程
を含む、被検査者の嗅覚の判別方法。
〔2〕すべてのクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定と、各クラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの正誤との尤度比を算出し、尤度比が高い2以上のクラスターを選抜する選抜工程を、分類工程の後に更に含み、
提示工程では選抜工程で選抜された2以上の各クラスターを代表する食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させる、〔1〕に記載の判別方法。
〔3〕選抜工程ではさらに、すべてのクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定と、前記選抜された2以上のクラスターのうち一部のかつ2以上のクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定との間の、感度、特異度、尤度比及び相関係数から選ばれる1以上を算出し、これらが高い2以上のクラスターの組み合わせを選抜する、〔2〕に記載の判別方法。
〔4〕尤度比は、陽性尤度比である、〔2〕又は〔3〕に記載の判別方法。
〔5〕クラスターの選抜において、選抜されるクラスターの尤度比は4以上である、〔2〕〜〔4〕のいずれかに記載の判別方法。
〔6〕クラスターの組み合わせの選抜において、選抜される組み合わせの感度は0.8以上、特異度は0.9以上、相関係数は0.7以上である、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の判別方法。
〔7〕被検査者は高齢者である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の判別方法。
〔8〕被検査者への食品のニオイの提示は、そのニオイを付したカード、スティック、綿球入り瓶、濾紙、ペン、又はマイクロカプセルを用いて行う、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の判別方法。
〔9〕一連の食品は、加工食品、調理食品、乳製品、肉、魚介、野菜、果物、飲料、菓子及び調味料から選ばれる、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の判別方法。
〔10〕〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の判別方法に用いられる、選抜されたクラスターを代表する食品のニオイが付された提示具を含む、被検査者の嗅覚の評価キット。
〔11〕提示具は、カード、スティック、綿球入り瓶、濾紙、ペン、又はマイクロカプセルより選ばれる、〔10〕に記載の評価キット。
〔12〕回答用紙をさらに含む、〔10〕又は〔11〕に記載の評価キット。
〔13〕一連の食品のニオイを類似度により3以上のクラスターに分類する分類工程、及び
すべてのクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定と、各クラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの正誤との尤度比を算出し、尤度比が高い2以上のクラスターを選抜する選抜工程
により選抜されたクラスターを代表する食品のニオイを付した提示具を含む、被検者の嗅覚判別用評価キット。
〔14〕一連の食品のニオイを類似度により3以上のクラスターに分類する分類工程、及び
すべてのクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定と、各クラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの正誤との尤度比を算出し、尤度比が高い2以上のクラスターを選抜する選抜工程
により選抜された各クラスターを代表する食品のニオイを選択する、被検者の嗅覚判別用に用いる食品のニオイの選抜方法。
本発明によれば、被検査者の嗅覚を簡便かつ正確に評価、判定することができ、従来評価が難しいとされていた高齢者にも適用可能である。
図1は、実施例の食品のニオイのクラスターを示す系統図である。 図2は、食品のニオイ評価キットのスコアとOpen Essenceのスコアの散布図である。 図3は、成人又は高齢者における実施例1で作成の16種の食品のニオイ評価キットのスコアの度数を示す図である。 図4は、成人又は高齢者におけるOpen Essenceのスコアの度数を示す図である。 図5は、成人又は高齢者における実施例3で作成の5種の食品のニオイ評価キット簡易版のスコアの度数を示す図である。 図6は、成人又は高齢者における比較例2で作成の5種のOpen Essence簡易版のスコアの度数を示す図である。
嗅覚とは、五感の1つであり、ニオイ(香り)の感覚である。ニオイには、鼻からかぐオルソネーザル香とのどを通して鼻に抜けるレトロネーザル香があるが、本明細書におけるニオイとは、オルソネーザル香を意味し、食品に由来するニオイ(食品のニオイ)であることが好ましい。
被検査者の嗅覚を評価する方法には閾値、識別、同定があり、本明細書における嗅覚判定は、通常、ニオイの同定能力の評価に相当する。嗅覚判定は、本来のニオイの同定能力を維持している可能性が高いか、及び低下している可能性が高いか、の判別であってもよく、被検査者が高齢者である場合には斯かる判別であることが好ましい。嗅覚異常及びニオイの同定能力の低下の原因は、特に限定されず、例えば老化、嗅覚障害(感冒性、外傷性など)が挙げられるが、本明細書における嗅覚判定は、当該原因を診断する方法には該当しない。被検査者の年齢、性別、健康状態、生活環境などの条件は、特に限定されないが、被検者が高齢者であることが好ましい。
被検査者の嗅覚の評価の目的は特に限定されず、例えば、食品の官能評価のパネラーの選抜や食品嗜好性との関連解析などが挙げられる。本発明の目的は健康状態の医療判断ではなく、その前段階における可能性を判定するものである。本発明において、治療、診断、検査等医療目的での評価は除かれる。
本発明においては、被検査者の嗅覚を評価するにあたり、通常は以下の工程を行う:
(1)一連の食品のニオイを類似度により3以上のクラスターに分類する分類工程、
(2)各クラスターを代表する食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させる提示工程、及び
(3)正答率が高い及び/又は誤答率が低い被検査者を嗅覚維持者、正答率が低い及び/又は誤答率が高い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程。
(1)一連の食品のニオイを類似度により3以上のクラスターに分類する分類工程
食品は、それ自体を、又はそれを他の食品と組み合わせて食する食品であればよく、例えば、加工食品、調理食品、乳製品、肉、魚介、野菜、果物、飲料、菓子、及び調味料が挙げられる。
一連の食品は、被検査者が日常経験からその食品のニオイを容易にイメージ可能な、及び/又は、被検査者が日常生活において食する機会のある、食品であることが好ましい。例えば、被検査者が日本人および/または日本を生活の本拠としている場合には、以下の食品が挙げられる:
チョコレート、たい焼き、まんじゅう、カラメル、黒糖かりんとう、はちみつ、カステラ、クッキー(クッキーの焼けるニオイを発するものを含む)、せんべい等の菓子;
バニラアイスクリーム、練乳(コンデンスミルク)、スライスチーズ、溶けたバター、ヨーグルト等の乳製品;
ホットコーヒー、ココア等の飲料;
バナナ、もも、りんご、いちご、ぶどう(巨峰)、干しブドウ、かんきつ類(例:すだち、ゆず、レモン、みかん)等の果物;
フライドチキン、鶏のから揚げ、てんぷら、フライドポテト等の揚げ物;
生の長ねぎ、生のたまねぎ、ゆでた青菜、生のピーマン、青じその葉、きんぴらごぼう、野菜炒め等の野菜又は野菜料理;
ウスターソース、ケチャップ等の調味料;
麻婆豆腐、焼きぎょうざ、炒めたニラ、ごま油等の中華料理又はその材料;
生のにんにく、すりおろしたわさび、すりおろしたしょうが、カレー、コショウ、シナモン(ニッキ)等のスパイス;
ソース焼きそば、スパゲティーミートソース、ラーメン(醤油ラーメンを含む、又は醤油ラーメンのスープであってもよい)等の麺料理;
ビーフシチュー、肉じゃが、焼き鳥(タレ味、塩味)、焼肉(タレ味、塩味)、豚肉のしょうが焼き、ハンバーグ等の肉料理;
たまご焼き(甘いたまご焼きを含む)、オムレツ、ゆでたまご等の卵料理;
ピーナッツ、豆腐、納豆、味噌、醤油(生醤油を含む)、みそ汁等の豆又はその加工品;
ポップコーン(塩味など)、コーンスープ等のトウモロコシ加工品、又はトウモロコシ;
あたたかい玄米茶、あたたかい緑茶、あたたかい紅茶等の茶類;
トースト(焼いたパン)、焼いた餅、炊きたてのご飯、炊きこみごはん、焼きいも等の穀類又はいも及びでん粉類;
魚の塩焼き、焼いた魚の干物、焼いたするめ、魚の煮つけ(魚の煮つけの汁であってもよい)、ゆでたカニ、うなぎの蒲焼、かつおぶし、煮干し等の魚介料理又はその加工品;
焼き海苔(のり)、海苔(のり)のつくだ煮、とろろこんぶ等の藻類又はその加工品;
おでん(おでんのつゆであってもよい)等の鍋料理;
福神漬け、たくあん、ぬかみそ漬け、白菜キムチ、梅干し等の漬物;
酢、酢の物、あたたかい寿司飯、らっきょうの酢漬け、マヨネーズ等の酢を使用した料理。
一連の食品は、上記食品に限定されず、被検者の国籍、生活の本拠としている国又は地域、生活習慣、年齢等によって適宜決定され得る。一連の食品の数は、6以上が好ましく、7以上がより好ましく、8以上が更に好ましい。上限は、200以下が好ましく、150以下がより好ましく、100以下が更に好ましい。
食品のニオイの類似度は、例えば、その食品のニオイのもととなる成分(例:原材料、調味料、香料など)の同一又は類似、ニオイを引き出す調理法の同一又は類似、並びに、食品のニオイの記述語及び/又は画像等によって想起されるニオイの同一又は類似から選ばれる少なくとも1つにより判断することができる。なお、食品のニオイは、様々な成分の組み合わせに起因しており、同じニオイ成分を呈する食品が必ずしも同じクラスターに属するとは限らない。
分類されるクラスターの数は3以上であればよく、例えば、4以上であり、5以上が好ましく、6以上が更に好ましい。上限は特に限定されないが、通常は35以下である。
各クラスターを構成する食品の数は、一連の食品の数及びクラスターの数によるが、2以上であればよく、3以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、例えば、15以下、通常は12以下、10以下である。
クラスターとしては例えば、甘い香りクラスター、調理食品の香りクラスター、魚臭クラスター、いぶした香りクラスター及び酸っぱい香りクラスターからなる群より選ばれる3つ以上が挙げられ、4つ以上が好ましく、5つがより好ましい。上記群より選ばれるクラスターにおいてさらに細分化されたグループ(例えば、以下の(1−1)〜(1−3)、(2−1)〜(2−7)、(3−1)、(4−1)〜(4−2)、(5−1)〜(5−3))のクラスター(サブクラスター)を用いてもよい。
甘い香りクラスターに分類される食品のニオイとしては、例えば以下が挙げられる:(1−1)チョコレート、ココア、ホットコーヒーから選ばれる食品の香り;(1−2)バニラアイスクリーム、練乳(コンデンスミルク)等の乳製品、カステラ、クッキーの焼けるニオイ、たい焼き、まんじゅう、カラメル、黒糖かりんとう、はちみつから選ばれる食品の香り;(1−3)バナナ、もも、りんご、いちご、ぶどう(巨峰)、干しブドウから選ばれる食品の香り。(1−1)〜(1−3)のサブクラスターは、互いに近隣クラスターの関係にある。
調理食品の香りクラスターに分類される食品のニオイとしては、例えば以下が挙げられる:(2−1)フライドチキン、鶏のから揚げ、てんぷら、フライドポテトから選ばれる食品の香り;(2−2)生の長ねぎ、生のたまねぎ、ゆでた青菜、生のピーマン、青じその葉から選ばれる食品の香り;(2−3)ごま油、麻婆豆腐、生のにんにく、焼きぎょうざ、炒めたニラ、すりおろしたわさび、すりおろしたしょうが、カレー、コショウ、シナモン(ニッキ)から選ばれる食品の香り;(2−4)ウスターソース、ソース焼きそば、ケチャップ、スパゲティーミートソース、ビーフシチューから選ばれる食品の香り;(2−5)甘いたまご焼き、オムレツ、ゆでたまご、ピーナッツ、ポップコーン(塩味)、溶けたバター、コーンスープ、トウモロコシから選ばれる食品の香り;(2−6)あたたかい玄米茶、あたたかい緑茶、あたたかい紅茶、トースト(焼いたパン)、焼いた餅、炊きたてのご飯、豆腐から選ばれる食品の香り;(2−7)味噌、みそ汁、スライスチーズ、ヨーグルト、納豆から選ばれる食品の香り。(2−1)〜(2−7)のサブクラスターは、互いに近隣クラスターの関係にある。
魚臭クラスターに分類される食品のニオイとしては、例えば以下が挙げられる:(3−1)魚の塩焼き、焼いた魚の干物、煮干し、焼き海苔(のり)、海苔(のり)のつくだ煮、ゆでたカニ、焼きいもから選ばれる食品の香り。
いぶした香りクラスターに分類される食品のニオイとしては、例えば以下が挙げられる:(4−1)生醤油、醤油ラーメンのスープ、せんべい、きんぴらごぼう、魚の煮つけの汁、肉じゃが、おでんのつゆ、炊きこみごはん、かつおぶしから選ばれる食品の香り;(4−2)うなぎの蒲焼、焼き鳥(タレ味)、焼肉(タレ味)、野菜炒め、豚肉のしょうが焼き、ハンバーグから選ばれる食品の香り。(4−1)〜(4−2)のサブクラスターは、互いに近隣クラスターの関係にある。
酸っぱい香りクラスターに分類される食品のニオイとしては、例えば以下が挙げられる:(5−1)すだち、ゆず、レモン、みかんから選ばれる食品の香り;(5−2)福神漬け、たくあん、白菜キムチの香りから選ばれる食品の香り;(5−3)酢、酢の物、あたたかい寿司飯、らっきょうの酢漬け、梅干し、マヨネーズから選ばれる食品の香り。(5−1)〜(5−3)のサブクラスターは、互いに近隣クラスターの関係にある。
(2)各クラスターを代表する食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させる提示工程
各クラスターを代表する食品は、各クラスターを構成する食品から適宜選択できる。例えば、香料によるニオイの再現が容易な食品、所属するクラスターの代表性が統計学的に高い食品が挙げられる。
被検査者の年齢、性別は特に限定されないが、高齢者であることが好ましい。提示される食品のニオイの数の例としては、2以上、3以上、4以上、又は5以上が挙げられ、具体的には、2、3、4、5、又は16が挙げられる。食品のニオイを被検査者に提示する方法は、特に限定されず、例えば、各ニオイ(すなわち、そのニオイ成分を調合した香料組成物)を付した提示具を用いる方法が挙げられる。提示具としては例えば、賦香したカード、スティック、綿球入り瓶、濾紙、ペン、又はマイクロカプセルが挙げられる。香料組成物は、それぞれの食品のニオイに近いニオイを発するように調合されていればよく、その組成は特に限定されない。各被検査者への提示条件は、統一されていることが好ましい。また、該当するニオイを提示する際に、正答である食品を同じクラスターの少なくとも1つの別の食品、近隣のクラスターに属する少なくとも1つの食品、及び他のクラスター(近隣のクラスター以外のクラスター)に属する少なくとも1つの食品と共に示し、その中から選択回答させることでもよい。例えば、提示する食品のニオイが、甘い香りクラスター、調理食品の香りクラスター、魚臭クラスター、いぶした香りクラスター及び酸っぱい香りクラスターから選択される場合、「同じクラスター」とは、通常、提示する食品のニオイが属するサブクラスターを指し、「近隣のクラスター」とは、通常、提示する食品のニオイが属するサブクラスターと近隣クラスターの関係にあるサブクラスターを指す。なお、別の食品の選択にあたり、別の食品のそれぞれが重複しないことが好ましい。
提示される各食品のニオイは、通常、そのニオイ成分を調合した香料組成物であればよい。そのような香料組成物の調製方法は特に限定されず、それぞれの成分に適した調合、調製条件を適宜採用すればよい。
(3)正答率が高い及び/又は誤答率が低い被検査者を嗅覚維持者、正答率が低い及び/又は誤答率が高い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程
被検査者の回答において正答率が高い場合には、嗅覚維持者であると判定(評価)される。一方、被検査者の回答において誤答率が高い場合には、嗅覚低下者であると判定(評価)される。反対に、被検査者の回答において誤答率が低い場合には、嗅覚維持者であると判定(評価)される。一方、被検査者の回答において正答率が低い場合には、嗅覚低下者であると判定(評価)される。嗅覚維持者とは、嗅覚を正常に維持している可能性が高いヒトを意味する。嗅覚低下者とは、嗅覚が正常のレベルより低下している可能性が高いヒトを意味する。
正答率が高いことの判断は、複数の被検査者の正答率の平均値及び標準偏差から定められた基準値でもよいが、通常は正答率70%以上であり、好ましくは71%以上であり、より好ましくは72%以上である。誤答率が低いことの判断も、複数の被検査者の誤答率の平均値及び標準偏差から定められた基準値でもよいが、通常、正答率が高いことの判断基準と対応している。従って、誤答率が低いことの判断は、通常は誤答率30%未満であり、好ましくは29%未満であり、より好ましくは28%未満である。
正答率が低いことの判断は、複数の被検査者の正答率の平均値及び標準偏差から定められた基準値でもよいが、通常は正答率70%未満であり、好ましくは69%未満であり、より好ましくは68%未満である。誤答率が高いことの判断も、複数の被検査者の誤答率の平均値及び標準偏差から定められた基準値でもよいが、通常、正答率が低いことの判断基準と対応している。従って、誤答率が高いことの判断は、通常は誤答率30%以上であり、好ましくは31%以上であり、より好ましくは32%以上である。
評価工程においては、被検査者の正答率にて嗅覚維持者及び嗅覚低下者の評価を行ってもよいし、被検査者の誤答率にて嗅覚維持者及び嗅覚低下者の評価を行ってもよいし、被検査者の正答率及び誤答率の両方にて嗅覚維持者及び嗅覚低下者の評価を行ってもよい。すなわち、評価工程の態様の例としては以下の態様が挙げられる:正答率が高い被検査者を嗅覚維持者、正答率が低い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程;誤答率が低い被検査者を嗅覚維持者、誤答率が高い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程;正答率が高い被検査者を嗅覚維持者、誤答率が高い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程;誤答率が低い被検査者を嗅覚維持者、正答率が低い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程;正答率が高い及び誤答率が低い被検査者を嗅覚維持者、正答率が低い及び/又は誤答率が高い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程;正答率が高い及び/又は誤答率が低い被検査者を嗅覚維持者、正答率が低い及び誤答率が高い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程。
上記工程(1)及び(2)の間に、以下の工程(4)を行ってもよい。これにより、被検査者に選択させるクラスターの数を厳選できるので、嗅覚の判定を簡易化できる:
(4)すべてのクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定と、各クラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの正誤との尤度比を算出し、尤度比が高い2以上のクラスターを選抜する選抜工程。
すべてのクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定は、通常、工程(1)で分類された各クラスターを代表する食品(すべてのクラスターを代表する食品)のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させた際の、クラスターすべてについての正答率及び/又は誤答率からの判定である。各クラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの正誤とは、各クラスターの食品のニオイを被検査者に提示した際の、クラスターごとの正誤である。被検査者へのニオイの提示方法の例及び好ましい例は、工程(2)で挙げたそれぞれと同様であるが、工程(2)での提示方法とは異なっていてもよい。被検査者の例及び好ましい例も工程(2)で挙げたそれぞれと同様でよい。被検査者は工程(2)における被検査者とは異なるヒトでもよいが、被検査者の年齢、生活環境などの条件は、工程(2)の被検査者と同様であることが好ましい。
尤度比(Likelihood Ratio;LR)とは、陽性尤度比(Positive Likelihood Ratio;LR+)又は陰性尤度比(Negative Likelihood Ratio;LR−)を意味し、通常は陽性尤度比である。陽性尤度比は、維持/低下を正しく判別するための総合指標である。「すべてのクラスターでの維持/低下の判定で低下である場合に、選択された各クラスターの正誤で誤答である比率」を、「すべてのクラスターでの維持/低下の判定で維持である場合に、選択された各クラスターの正誤で誤答である比率」で割ったもの、すなわち、選択された各クラスターの正誤で誤答である場合に、すべてのクラスターでの維持/低下の判定で低下と判定される可能性が何倍に増大するかを意味する。
選抜工程では、上記尤度比が高い2以上のクラスターが算出される。尤度比が高いとは、4以上が好ましい。
なお、尤度比だけでなく、感度、特異度、相関係数により選抜してもよい。感度(Sensitivity)とは、嗅覚低下者を正しく低下と判定する割合、ここではすなわちすべてのクラスターでの維持/低下の判定で低下である場合に、各クラスターの正誤で誤答である比率を意味する。特異度(Specificity)とは、嗅覚維持者を正しく維持と判定する割合、ここではすなわちすべてのクラスターでの維持/低下の判定で維持である場合に、各クラスターの正誤で正答である比率を意味する。相関係数とは、すべてのクラスターでの判定結果と各クラスターでの正誤の間の相関係数を意味する。いずれも高いほうが好ましい。
選抜工程ではさらに、すべてのクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定と、前記のようにして選抜された2以上のクラスターの組み合わせのうち一部のかつ2以上のクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定との間の、感度、特異度、尤度比及び相関係数から選ばれる1以上を算出し、これらが高い2以上のクラスターの組み合わせを選抜してもよい。これにより、被検査者の嗅覚をより高精度に判定することができる。
すべてのクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定は、通常、工程(1)で分類された各クラスターを代表する食品(すべてのクラスターを代表する食品)のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を提示した際の、すべてのクラスターについての正答率及び/又は誤答率からの判定である。選抜された2以上のクラスターの組み合わせのうち一部のかつ2以上のクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定とは、工程(4)において先に選抜された2以上のクラスターの組み合わせのうちの少なくとも一部の組み合わせを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの正答率及び/又は誤答率からの判定である。このような組み合わせが複数できる場合、それらのうちの全てについての判定でもよく、少なくとも1つの組み合わせについての判定であればよい。被検査者へのニオイの提示方法の例及び好ましい例は、工程(2)で挙げたそれぞれと同様であるが、工程(2)での提示方法とは異なっていてもよい。被検査者の例及び好ましい例も工程(2)で挙げたそれぞれと同様でよい。被検査者は工程(2)、及び工程(4)の前段における被検査者とは異なるヒトでもよいが、被検査者の年齢、生活環境などの条件は、工程(2)の被検査者と同様であることが好ましい。また、工程(4)の前段における被検査者とは共通の被検査者であることが好ましい。
感度、特異度、尤度比及び相関係数の定義は、上述のとおりであるが、クラスターの組み合わせを選抜する場合は、各クラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの正誤をクラスターの組み合わせの判定結果とする。感度は0.8以上が好ましい。特異度は、0.90以上が好ましく、0.95以上がより好ましい。尤度比は、30以上が好ましく、32以上がより好ましい。相関係数は、0.7以上が好ましく、0.75以上がより好ましい。
工程(4)において選抜されるクラスターの数は、2以上であればよく、通常は3以上、4以上、好ましくは5以上である。上限は特に限定されないが、通常は35以下、好ましくは20以下である。少ないほうが、被検査者が高齢者である場合などでも簡便な検査が可能である。
選抜されるクラスターは、上記した甘い香りクラスター、調理食品の香りクラスター、魚臭クラスター、いぶした香りクラスター及び酸っぱい香りクラスターからなる群より選ばれる2つ以上のクラスターであればよい。選抜されるクラスターの組み合わせは、選抜されるクラスターを代表する食品の香りの組み合わせとして表すことができる。斯かる組み合わせとしては、例えば、チョコレート、カラメル及びバナナから選ばれる少なくとも1つの食品の香り;鶏のから揚げ、生のたまねぎ、焼きぎょうざ、スパゲティーミートソース、コーンスープ、トースト(焼いたパン)及びスライスチーズから選ばれる少なくとも1つの食品の香り;魚の塩焼きの香り;かつお節及び/又は焼き鳥(タレ味)の香り;レモン、白菜キムチ及び酢の物から選ばれる少なくとも1つの食品の香り、のうち2以上が好ましく、カラメル、コーンスープ、魚の塩焼き、かつお節、及びレモンの香りから選ばれる2以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、4以上が更により好ましく、5以上がとりわけ好ましい。
工程(4)を行う場合、工程(2)においては、工程(4)で選抜されたクラスターを代表する食品のニオイを被検査者に提示する。
上記判別方法、中でも工程(4)は、選抜されたクラスターを代表する食品のニオイが付された提示具を含む、被検査者の嗅覚の評価キットにより実施することができる。このような提示具としては例えば、カード、スティック、綿球入り瓶、濾紙、ペン、又はマイクロカプセルが挙げられる。また、評価キットは、提示されたニオイから想起される食品を選択させるための回答用紙を更に含んでもよい。回答用紙は、提示したニオイの食品(正答である食品)、正答である食品と同じクラスターの少なくとも1つの別の食品、正答である食品と近隣のクラスターに属する少なくとも1つの食品、及び、正答である食品及びその近隣のクラスターとは別のクラスターに属する少なくとも1つの食品を含む選択肢から、提示されたニオイから想起される食品を選択回答させるためのものであってもよい。
実施例1(食品のニオイクラスターの作成及び食品のニオイ評価キットの作成)
すべて現代における高齢者でもイメージできる96種の食品のニオイからなる「食品のニオイクラスター」を作成した(図1)。クラスターの内容を鑑みて、16クラスターに分類した(図1中の分類軸A参照)。なお、図1中、焼きいもは1種類で1クラスターを構成していたため、近隣クラスターに統合した。味噌、味噌汁については2種で1クラスターを構成していたが、ニオイの判別が難しいことから近隣クラスターに統合した。各クラスターから代表する1種の食品のニオイ(図1中の†印)を正解として選定し、正解に対応する香料を準備した。
図1中、実施例1のクラスターは、分類軸Aで区切られた食品群16種(ただし、上記の一部統合を含む)である。
クラスターを基に、正解と同じクラスターから1種、正解の近隣クラスターから1種、及び正解から遠いクラスターから1種の食品を、回答のための選択肢として選定し、回答用紙を作成した。16種の香料を適切な濃度に希釈したものと、回答を選択肢から選択するための回答用紙からなるニオイ評価キットを作成した。
実施例2及び比較例1
成人(20代〜40代男女105名)、高齢者(60代〜80代男女108名)を対象に、実施例1で作成したニオイ評価キット(実施例2)及びOpen Essence(比較例1)を使用した食品のニオイ評価を実施した。
食品のニオイ評価は、各クラスターから代表する1種の食品のニオイ(図1中の†印)を正解として提示し、同じクラスターの他の食品のニオイ、近隣クラスターを代表する1種の食品のニオイ、遠いクラスターを代表する1種の食品のニオイを回答のための選択肢として提示し、選択させることにより行った。
Figure 2017146005
実施例及び比較例では正答率としてスコア(正誤の正の合計数)を使用する。表1及び図2に示すとおり、食品のニオイ評価キットのスコアとOpen Essenceのスコアとは強く正の相関を示した。
各判別方法での維持/低下者の割合を図3及び4に示す。図3において、従来法(Open Essenceの前身となったニオイスティック)と同様の方法により基準値を設定し(成人スコアの平均値−標準偏差)、図中の横線より上は嗅覚維持、下が嗅覚低下と判断した。高齢者における嗅覚低下者の割合は食品のニオイは37%、Open Essenceは58%であった。食品のニオイの方が低下者が少ない理由としては以下の2つの理由が考えられる:(1)食品のニオイにおいては普段から接している食品のニオイを採用したため想起しやすいこと;及び(2)食品のニオイにおいては、現代の生活に即したクラスターを使用していることから、及び/又は、試験に使用した香料の完成度が高いことから想起しやすいことが考えられる。
実施例3(食品のニオイ評価キットの簡易版の作成)
クラスターと尤度比を基に、実施例1で作成した16種のキットよりも簡易なキットの作成を試みた。実施例1で作成した食品のニオイ評価キットは、16クラスターからなっていたが、3〜5クラスター程度に減らすことを目標とした。
実施例1において示した16種のクラスターから内容を鑑みて、図1中の分類軸Bに基づき、より上位のクラスター5種に統合することとした。実施例1において行った16種の正誤と維持/低下の結果から、尤度比を算出した。結果の一部を表2に示す。表2中の二重線は、5種のクラスターへの分類を示す。
Figure 2017146005
各クラスターから尤度比が高い最大3種を選定し、その組み合わせの感度、特異度、尤度比を算出した。3種の組み合わせは、54とおりであった((A/C/N)×(J/O/G)×(M)×(I/D)×(B/L/F)=54)。
54とおりの組み合わせのうち、尤度比が30以上の組み合わせ(表3)につき詳細検討を行った。感度、特異度、尤度比、相関係数は、16種での維持/低下と5種での維持/低下の判定から算出した。感度は、16種での低下者を5種でも正しく低下と判定する割合を、特異度は、16種での維持者を5種でも正しく維持と判定する割合を示す。相関係数は、16種の判定結果と5種の判定結果の相関係数である。正しく判定率は、16種の判定結果と5種の判定結果が同じになる確率である。結果を表3に示す。
Figure 2017146005
表3に示す通り、CJMIB(カラメル、コーンスープ、魚の塩焼き、かつお節、レモン)の組み合わせは、他の組み合わせと比較して感度及び特異度が高く、正しく判定される率が高いことが分かった。すなわち、これらの組み合わせで維持/低下の判定を行えば、16種で維持/低下の判定を行わなくとも、被検査者の嗅覚を判定できることが明らかとなった。
比較例2(Open Essenceの簡易版の作成)
Open Essenceは、文献(においの心理学 p233 綾部早穂・斉藤幸子編著)によれば表4の5種のクラスターに大別される。そこで、各クラスターの正誤と12種での維持/低下の結果から、尤度比を算出し、5種のクラスターのそれぞれから尤度比が高い3種を選定し、その組み合わせにつき実施例3と同様に詳細検討を行った。結果を表5に示す。
Figure 2017146005
Figure 2017146005
表5に示すとおり、実施例3のように感度0.8以上、特異度0.9以上、尤度比が30を超える組み合わせはなく、相関係数及び正しく判定率も低い値となった。この結果は、Open Essenceの場合クラスターを減らして簡易化することは難しいことを示している。
実施例4及び比較例3
実施例3で選抜された5種の食品のニオイ評価キット簡易版、又は比較例2において選抜した5種のOpen Essence簡易版につき、実施例2における評価結果から該当結果を抜き出して、被検査者(成人又は高齢者)の嗅覚維持/低下者の割合の判定を行った。それぞれの結果を図5及び表6、図6及び表7、まとめの結果を表8に示す。
Figure 2017146005
Figure 2017146005
Figure 2017146005
表6〜8に示す通り、実施例3で作成した食品のニオイ評価キットの簡易版は、5種にもかかわらず精度の良い判定が可能であった。

Claims (12)

  1. 一連の食品のニオイを類似度により3以上のクラスターに分類する分類工程、
    各クラスターを代表する食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させる提示工程、及び
    正答率が高い及び/又は誤答率が低い被検査者を嗅覚維持者、正答率が低い及び/又は誤答率が高い被検査者を嗅覚低下者と評価する評価工程
    を含む、被検査者の嗅覚の判別方法。
  2. すべてのクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定と、各クラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの正誤との尤度比を算出し、尤度比が高い2以上のクラスターを選抜する選抜工程を、分類工程の後に更に含み、
    提示工程では選抜工程で選抜された2以上の各クラスターを代表する食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させる、請求項1に記載の判別方法。
  3. 選抜工程ではさらに、すべてのクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定と、前記選抜された2以上のクラスターのうち一部のかつ2以上のクラスターの食品のニオイを被検査者に提示してそのニオイから想起される食品を選択させたときの維持/低下の判定との間の、感度、特異度、尤度比及び相関係数から選ばれる1以上を算出し、これらが高い2以上のクラスターの組み合わせを選抜する、請求項2に記載の判別方法。
  4. 尤度比は、陽性尤度比である、請求項2又は3に記載の判別方法。
  5. クラスターの選抜において、選抜されるクラスターの尤度比は4以上である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の判別方法。
  6. クラスターの組み合わせの選抜において、選抜される組み合わせの感度は0.8以上、特異度は0.9以上、相関係数は0.7以上である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の判別方法。
  7. 被検査者は高齢者である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の判別方法。
  8. 被検査者への食品のニオイの提示は、そのニオイを付したカード、スティック、綿球入り瓶、濾紙、ペン、又はマイクロカプセルを用いて行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の判別方法。
  9. 一連の食品は、加工食品、調理食品、乳製品、肉、魚介、野菜、果物、飲料、菓子及び調味料から選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の判別方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の判別方法に用いられる、選抜されたクラスターを代表する食品のニオイが付された提示具を含む、被検査者の嗅覚の評価キット。
  11. 提示具は、カード、スティック、綿球入り瓶、濾紙、ペン、又はマイクロカプセルより選ばれる、請求項10に記載の評価キット。
  12. 回答用紙をさらに含む、請求項10又は11に記載の評価キット。
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