JPWO2017068924A1 - 光ファイバスキャナ、照明装置および観察装置 - Google Patents
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Abstract
圧電素子の振動を光ファイバに効率よく伝達するとともに、光ファイバの先端の振動を容易に増大させることを目的として、本発明に係る光ファイバスキャナ(10)は、光を導光して先端から射出する細長い光ファイバ(11)と、先端から基端側に間隔をあけた位置において光ファイバ(11)の外周面を覆うように外周面に密着状態に接着された弾性材料からなるコイルバネ(21)と、コイルバネ(21)の外周面に接着されることにより固定され、所定の周波数の交番電圧が印加されることによって光ファイバ(11)の長手方向に伸縮振動してコイルバネ(21)を介して光ファイバ(11)に、長手方向に交差する方向の屈曲振動を発生させる圧電素子(23A)と、コイルバネ(21)に固定された固定部とを備える。
Description
本発明は、光ファイバスキャナ、照明装置および観察装置に関するものである。
片持梁光ファイバをチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)アクチュエータ(以下、圧電素子という。)によって屈曲振動させて、片持梁光ファイバの先端から射出される光を走査する光ファイバスキャナが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特許文献1の光ファイバスキャナは、片持梁光ファイバおよび筒状の圧電素子を共通のベースによって片持ち梁状に保持し、圧電素子が発生した振動を、ベースを介して片持梁光ファイバに伝達している。
また、特許文献2の光ファイバスキャナは、ベースに固定された筒状のフェルールの貫通孔に光ファイバを貫通させて接着し、フェルールの外面に圧電素子を固定している。
また、特許文献2の光ファイバスキャナは、ベースに固定された筒状のフェルールの貫通孔に光ファイバを貫通させて接着し、フェルールの外面に圧電素子を固定している。
特許文献1の光ファイバスキャナは、筒状の圧電素子と該圧電素子の内側を通る片持梁光ファイバとの間に空隙が存在し、全体として剛性の低い構造となっている。低剛性の光ファイバスキャナは、共振したときに周波数の低い低次の振動モードが発生し易く、さらに低次の振動モードに起因して周波数の高い高次の振動モード(スプリアスモード)が発生する。高次の振動モードが光ファイバの本来の振動モードと重なる場合には、片持梁光ファイバの振動に他の部分が共鳴してしまい、単一の振動モードで光ファイバを安定的に振動させることができず、光を所望の軌跡に沿って安定的に走査することができない。
また、特許文献2の光ファイバスキャナは、フェルールの貫通孔内周面と光ファイバの外周面とを全長にわたって接着する構造であるため、圧電素子の振動を光ファイバに直接的に伝達することができる反面、フェルールの剛性が支配的となって光ファイバの先端の振動を増大させることが難しい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、圧電素子の振動を光ファイバに効率よく伝達するとともに、光ファイバの先端の振動を容易に増大させることができる光ファイバスキャナ、照明装置および観察装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、光を導光して先端から射出する細長い光ファイバと、前記先端から基端側に間隔をあけた位置において前記光ファイバの外周面を覆うように該外周面に密着状態に接着された弾性材料からなるコイルバネと、該コイルバネの外周面に接着されることにより固定され、所定の周波数の交番電圧が印加されることによって前記光ファイバの長手方向に伸縮振動して前記コイルバネを介して前記光ファイバに、前記長手方向に交差する方向の屈曲振動を発生させる圧電素子と、前記コイルバネに固定された固定部とを備える光ファイバスキャナである。
本態様によれば、固定部を介してコイルバネの基端部を周囲の部材に固定した状態において圧電素子に交番電圧を印加すると、固定部の位置を節とし、交番電圧の周波数に等しい周波数の屈曲振動がコイルバネに発生し、該屈曲振動が光ファイバに伝達される。光ファイバのコイルバネよりも先端側の部分は、先端が自由端となる片持ち梁状にコイルバネによって支持されているので、コイルバネから伝達された屈曲振動によって光ファイバの先端が長手方向に交差する方向に振動し、光ファイバの先端から射出される光が該光の進行方向に交差する方向に走査される。
この場合に、圧電素子と光ファイバとの間にコイルバネが設けられていることにより、光ファイバスキャナは全体として光ファイバ単体よりも剛性の高い構造となっているので、低次モードの振動が発生し難い。さらに、コイルバネは交番電圧の周波数とは異なる固有振動数を有しているので、光ファイバの突出部の屈曲振動にコイルバネが共鳴振動することがない。
したがって、所定の周波数以外の周波数の振動モードの発生が防止され、光ファイバの突出部は、単一の周波数の振動モードで安定的に振動し続ける。これにより、光ファイバの振動を安定させて所望の走査軌跡を安定的に得ることができる。
また、コイルバネは、曲げ剛性が低いので、圧電素子による屈曲振動が阻害され難く、光ファイバの先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。
また、コイルバネは、曲げ剛性が低いので、圧電素子による屈曲振動が阻害され難く、光ファイバの先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。
上記態様においては、前記コイルバネが、該コイルバネを構成する線材どうしを略密着させた密着コイルバネであってもよい。
このようにすることで、圧電素子とコイルバネおよびコイルバネと光ファイバとの接触面積を増大させることができ、圧電素子の振動をより直接的に光ファイバに伝達することができ、光ファイバの先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。
このようにすることで、圧電素子とコイルバネおよびコイルバネと光ファイバとの接触面積を増大させることができ、圧電素子の振動をより直接的に光ファイバに伝達することができ、光ファイバの先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。
また,上記態様においては、前記コイルバネが、該コイルバネを構成する線材どうしを離間させていてもよい。
このようにすることで、コイルバネの剛性を低減し、光ファイバの曲がり易さを向上することができる。これにより、光ファイバの先端の振動の振幅を増大させ易くすることができる。
このようにすることで、コイルバネの剛性を低減し、光ファイバの曲がり易さを向上することができる。これにより、光ファイバの先端の振動の振幅を増大させ易くすることができる。
また、上記態様においては、前記コイルバネが、該コイルバネを構成する線材どうしを一定のピッチ間隔をあけて離間させていてもよい。
このようにすることで、圧電素子と光ファイバとの間に挟まれるコイルバネの圧電素子および光ファイバとの接触状態を一様にすることができ、光ファイバを安定して保持することができる。
このようにすることで、圧電素子と光ファイバとの間に挟まれるコイルバネの圧電素子および光ファイバとの接触状態を一様にすることができ、光ファイバを安定して保持することができる。
また、前記コイルバネが、矩形断面を有する角バネであってもよい。
このようにすることで、圧電素子とコイルバネとの接触およびコイルバネと光ファイバとの接触を面接触とすることができ、接触面積を増大させて、より効果的に振動を伝達し、光ファイバの先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。
このようにすることで、圧電素子とコイルバネとの接触およびコイルバネと光ファイバとの接触を面接触とすることができ、接触面積を増大させて、より効果的に振動を伝達し、光ファイバの先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。
また、上記態様においては、前記光ファイバが、四角柱状に形成されていてもよい。
このようにすることで、操作時における光ファイバの長手軸に対して直交しかつ相互に直交するX軸方向とY軸方向の2軸成分の周波数を確実に分離することができる。
このようにすることで、操作時における光ファイバの長手軸に対して直交しかつ相互に直交するX軸方向とY軸方向の2軸成分の周波数を確実に分離することができる。
また、上記態様においては、前記コイルバネが、角型断面を有する異形線コイルバネであってもよい。
このようにすることで、角型断面のコイルバネの各辺を圧電素子の内面に接触させることができ、圧電素子とコイルバネの接触面積を増大させて、より効果的に振動を伝達し、光ファイバの先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。
このようにすることで、角型断面のコイルバネの各辺を圧電素子の内面に接触させることができ、圧電素子とコイルバネの接触面積を増大させて、より効果的に振動を伝達し、光ファイバの先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。
また、上記態様においては、前記光ファイバと前記コイルバネとは、略同一の断面形状を有することとしてもよい。
このようにすることで、角型断面の光ファイバの各辺をコイルバネの内面に接触させることができ、光ファイバとコイルバネの接触面積を増大させ、より効果的に振動を伝達し、光ファイバの先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。
このようにすることで、角型断面の光ファイバの各辺をコイルバネの内面に接触させることができ、光ファイバとコイルバネの接触面積を増大させ、より効果的に振動を伝達し、光ファイバの先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。
また、上記態様においては、前記コイルバネの固有振動数が、前記光ファイバの固有振動数より大きいことが好ましい。
このようにすることで、光ファイバの振動をより安定させることができる。
このようにすることで、光ファイバの振動をより安定させることができる。
また、本発明の他の態様は、照明光を発生する光源と、該光源からの照明光を走査させる上記いずれかの光ファイバスキャナとを備える照明装置である。
また、本発明の他の態様は、上記照明装置と、該照明装置からの照明光が被写体に照射されることにより、被写体から戻る戻り光を検出する光検出部と、前記圧電素子に前記所定の周波数の交番電圧を供給する電圧供給部とを備える観察装置である。
また、本発明の他の態様は、上記照明装置と、該照明装置からの照明光が被写体に照射されることにより、被写体から戻る戻り光を検出する光検出部と、前記圧電素子に前記所定の周波数の交番電圧を供給する電圧供給部とを備える観察装置である。
本発明によれば、圧電素子の振動を光ファイバに効率よく伝達するとともに、光ファイバの先端の振動を容易に増大させることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る光ファイバスキャナ10、照明装置3および観察装置100について図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る観察装置100は、図1に示されるように、内視鏡20と、制御装置本体30と、ディスプレイ40とを備え、内視鏡20の挿入部20aの先端から射出されるレーザ光Lを被写体A上でスパイラル状の走査軌跡Bに沿って走査し、被写体Aの画像を取得する光走査型内視鏡装置である。
本実施形態に係る観察装置100は、図1に示されるように、内視鏡20と、制御装置本体30と、ディスプレイ40とを備え、内視鏡20の挿入部20aの先端から射出されるレーザ光Lを被写体A上でスパイラル状の走査軌跡Bに沿って走査し、被写体Aの画像を取得する光走査型内視鏡装置である。
本実施形態に係る観察装置100は、図2に示されるように、照明光を発生させる光源1と、被写体Aに照明光を照射する照明装置3と、照明光が照射されることによって被写体Aから戻る戻り光を検出するフォトダイオードのような光検出器(光検出部)5と、照明装置3および光検出器5を駆動制御する駆動制御装置(電圧供給部)7とを備えている。
照明装置3は、光源1から発せられた照明光を導光して先端から射出する照明用光ファイバ11を有する光ファイバスキャナ10と、照明用光ファイバ11よりも先端側に配置され、照明用光ファイバ11から射出された照明光を集光させる集光レンズ13と、光ファイバスキャナ10および集光レンズ13を収納する細長い筒状の枠体(外筒)15と、枠体15の外周面上に周方向に配列して設けられ、被写体Aからの戻り光(例えば、照明光の反射光または蛍光)を光検出器5に導光する複数の検出用光ファイバ17とを備えている。
光源1および光検出器5は、光ファイバスキャナ10の基端側に配置されている。
光ファイバスキャナ10は、図2および図3に示されるように、マルチモードファイバまたはシングルモードファイバのような照明用光ファイバ(光ファイバ)11と、照明用光ファイバ11の先端から基端側に間隔をあけた位置に照明用光ファイバ11の外周面を取り巻くように外周面に密着状態に配置されたコイルバネ21と、該コイルバネ21の外面に固定された4枚の圧電素子23A,23Bと、コイルバネ21の基端部を枠体15に固定する固定部25と、圧電素子23A,23Bに交番電圧を供給するためのリード線27A,27Bとを備えている。
光ファイバスキャナ10は、図2および図3に示されるように、マルチモードファイバまたはシングルモードファイバのような照明用光ファイバ(光ファイバ)11と、照明用光ファイバ11の先端から基端側に間隔をあけた位置に照明用光ファイバ11の外周面を取り巻くように外周面に密着状態に配置されたコイルバネ21と、該コイルバネ21の外面に固定された4枚の圧電素子23A,23Bと、コイルバネ21の基端部を枠体15に固定する固定部25と、圧電素子23A,23Bに交番電圧を供給するためのリード線27A,27Bとを備えている。
照明用光ファイバ11は、細長いガラス材からなり、枠体15の長手方向に沿って配されている。照明用光ファイバ11の先端は枠体15の内部の先端部近傍に配されている。照明用光ファイバ11の基端は枠体15の基端から外部へ延びて光源1に接続されている。以下、照明用光ファイバ11の長手方向をZ方向とし、照明用光ファイバ11の互いに直交する2つの半径方向をX方向およびY方向とする。
コイルバネ21は、自由状態において照明用光ファイバ11の外径寸法と略同等以下の内径寸法を有するとともに、隣接する線材を密着させた密着コイルバネであり、内側に照明用光ファイバ11を貫通させることで、照明用光ファイバ11の外周面に内面を密着させた状態に配置されている。コイルバネ21の内面と照明用光ファイバ11の外周面とは、エポキシ系接着剤によって互いに接着固定されている。以下、コイルバネ21の先端面から先端側に突出している照明用光ファイバ11の先端部分を突出部11aという。
コイルバネ21は、剛性が高い材質、例えば、金属(鉄、アルミニウム合金、チタン等)、合成樹脂(硬性プラスチック)、ガラスおよびカーボンから選択される材質により構成されている。後述するように、コイルバネ21を共通GNDとして用いる場合には、コイルバネ21は導電性の金属材料で構成されていることあるいは、導電性の金属材料からなるコーティングが施されていることが必要である。
圧電素子23A,23Bは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電セラミックス材料からなる矩形の平板状である。圧電素子23A,23Bは、表面に+の電極処理が施され、裏面に−の電極処理が施されており、これによって+極から−極に向かって板厚方向に分極している。図中の矢印Pは、圧電素子23A,23Bの分極方向を示している。
4枚の圧電素子は、2枚のA相用の圧電素子23Aと2枚のB相用の圧電素子23Bとからなる。A相用の圧電素子23AおよびB相用の圧電素子23Bは、図3に示されるように、コイルバネ21の周方向に均等な間隔をあけて交互に配列し、コイルバネ21の外周面に導電性の接着剤により固定されている。X方向に互いに対向する2枚のA相用の圧電素子23Aは、分極方向がX方向の同一方向を向くように配置され、Y方向に互いに対向する2枚のB相用の圧電素子23Bは、分極方向がY方向の同一方向を向くように配置されている。
固定部25は、貫通孔26を有する円筒状の部材であり、圧電素子23A,23Bよりも基端側に位置するコイルバネ21の基端部を貫通孔26に嵌合させた状態で導電性の接着剤により固定している。固定部25の外周面は、枠体15の内壁に固定されている。これにより、コイルバネ21は、先端を自由端とする片持ち梁状に固定部25によって支持され、照明用光ファイバ11の突出部11aは、先端を自由端とする片持ち梁状にコイルバネ21によって支持されている。また、固定部25は、コイルバネ21を介して4枚の圧電素子23A,23Bのコイルバネ21側の電極と電気的に接続されており、圧電素子23A,23Bを駆動する際の共通GNDとして機能するようになっている。
2枚のA相用の圧電素子23Aには、A相用のリード線27Aが導電性接着剤によって接合されている。2枚のB相用の圧電素子23Bには、B相用のリード線27Bが導電性接着剤によって接合されている。固定部25には、GNDリード線(図示略)が接合されている。固定部25には、周方向に間隔をあけた4箇所にZ方向に延びる溝が形成されており、各溝内にリード線27A,27Bが1本ずつ収容されている。各リード線27A,27BおよびGNDリード線は、駆動制御装置7に接続されている。
照明用光ファイバ11の突出部11aおよびコイルバネ21は、上述のように、各々の先端を自由端とする片持ち梁構造を有する。したがって、照明用光ファイバ11の突出部11aおよびコイルバネ21の固有振動数F1,F2(Hz)は、各々のヤング率E(N/m2)、断面2次モーメントI(m4)、XY平面における断面積A(m2)、Z方向の長さL(m)、密度ρ(Kg/m3)を用いて、下式(1)によってそれぞれ表される。λは、振動モードによって決まる無次元の係数である。
駆動制御装置7は、リード線27Aを介してA相用の圧電素子23Aに所定の駆動周波数を有するA相の交番電圧を印加し、リード線27Bを介してB相用の圧電素子23Bに所定の駆動周波数を有するB相の交番電圧を印加する。所定の駆動周波数は、照明用光ファイバ11の突出部11aの固有振動数F1と等しい周波数または固有振動数F1の近傍の周波数に設定される。駆動制御装置7は、位相が互いにπ/2だけ異なり、かつ、振幅が正弦波状に時間変化するA相の交番電圧およびB相の交番電圧を各リード線27A,27Bに供給する。
ここで、コイルバネ21は、交番電圧の所定の駆動周波数とは異なる固有振動数F2を有するように、すなわち、照明用光ファイバ11の突出部11aの固有振動数F1より大きな固有振動数F2を有するように設計されている。
次に、このように構成された光ファイバスキャナ10、照明装置3および観察装置100の作用について説明する。
本実施形態に係る観察装置100を用いて被写体Aを観察するには、駆動制御装置7を作動させ、光源1から照明用光ファイバ11に照明光を供給させるとともに、リード線27A,27Bを介して圧電素子23A,23Bに所定の駆動周波数を有する交番電圧を印加させる。
本実施形態に係る観察装置100を用いて被写体Aを観察するには、駆動制御装置7を作動させ、光源1から照明用光ファイバ11に照明光を供給させるとともに、リード線27A,27Bを介して圧電素子23A,23Bに所定の駆動周波数を有する交番電圧を印加させる。
A相の交番電圧が印加されたA相用の圧電素子23Aは、分極方向に直交するZ方向に伸縮振動する。このときに、2枚の圧電素子23Aのうち、一方がZ方向に縮み、他方がZ方向に伸びることにより、コイルバネ21に、固定部25の位置を節とするX方向の屈曲振動が励起される。そして、コイルバネ21の屈曲振動が照明用光ファイバ11に伝達されることにより、突出部11aが交番電圧の駆動周波数と等しい周波数でX方向に屈曲振動して照明用光ファイバ11の先端がX方向に振動し、先端から射出される照明光がX方向に直線的に走査される。
B相の交番電圧が印加されたB相用の圧電素子23Bは、分極方向に直交するZ方向に伸縮振動する。このときに、2枚の圧電素子23Bのうち、一方がZ方向に縮み、他方がZ方向に伸びることにより、コイルバネ21に固定部25の位置を節とするY方向の屈曲振動が励起される。そして、コイルバネ21の屈曲振動が照明用光ファイバ11に伝達されることにより、突出部11aが交番電圧の駆動周波数と等しい周波数でY方向に屈曲振動し、先端から射出される照明光がY方向に直線的に走査される。
ここで、A相の交番電圧の位相とB相の交番電圧の位相とは互いにπ/2ずれており、かつ、A相の交番電圧およびB相の交番電圧の振幅が正弦波状に時間変化することによって、照明用光ファイバ11の先端がスパイラル状の軌跡に沿って振動し、照明光が被写体A上においてスパイラル状の軌跡に沿って2次元的に走査される。また、駆動周波数は突出部11aの固有振動数F1と等しいまたは近傍の周波数であるので、突出部11aを効率的に励振させることができる。
被写体Aからの戻り光は、複数本の検出用光ファイバ17によって受光され、その強度が光検出器5によって検出される。駆動制御装置7は、照明光の走査周期と同期して光検出器5に戻り光を検出させ、検出された戻り光の強度を照明光の走査位置と対応付けることによって被写体Aの画像を生成する。
この場合に、本実施形態によれば、圧電素子23A,23Bと照明用光ファイバ11との間にコイルバネ21が設けられていることにより、光ファイバスキャナ10は全体として照明用光ファイバ11単体よりも剛性の高い構造を有するので、駆動周波数よりも低い周波数の低次の振動モードが発生し難い。さらに、コイルバネ21の固有振動数F2が交番電圧の駆動周波数より大きく設定されているので、照明用光ファイバ11の突出部11aの駆動周波数での振動に共鳴してコイルバネ21が振動してしまうことが防止される。
したがって、駆動周波数とは異なる周波数の振動モードが発生してしまうことがなく、照明用光ファイバ11には単一の振動モードのみが発生する。これにより、照明用光ファイバ11の突出部11aを所定の駆動周波数で安定的に振動させ続けることができ、所望のスパイラル状の軌跡に沿って照明光を安定的に走査することができる。
また、圧電素子23A,23Bと照明用光ファイバ11との間にコイルバネ21を接着しているので、圧電素子23A,23Bの振動をより直接的に照明用光ファイバ11に伝達することができる。そして、コイルバネ21は、円筒状の剛体からなるフェルールと比較して曲げ剛性を十分に低く抑えることができる。したがって、照明用光ファイバ11の振動がコイルバネ21によって阻害されることがなく、突出部11aの振動の振幅を容易に増大させることができるという利点がある。
また、本実施形態においては、コイルバネ21として、該コイルバネ21を構成する線材が長手方向に隣接する線材と略密着している密着コイルバネを採用しているので、コイルバネ21の内径および線材の線径を一定とした場合には、圧電素子23A,23Bとコイルバネ21との接触面積、コイルバネ21と照明用光ファイバ11との接触面積を最大限に増大させることができる。これにより、圧電素子23A,23Bの振動をより効率的に照明用光ファイバ11に伝達することができるという利点がある。
なお、接触面積をさらに増大させるには、コイルバネ21の線径を小さくして巻き数を増大させることが有効である。
なお、接触面積をさらに増大させるには、コイルバネ21の線径を小さくして巻き数を増大させることが有効である。
また、本実施形態においては、コイルバネ21として密着コイルバネを採用したが、これに代えて、図4に示されるように、隣接する線材どうしが離間しているものを採用してもよい。このようにすることで、接触面積は密着コイルバネより低減するが、コイルバネ21が曲がり易くなり、照明用光ファイバ11の振動の振幅を増大させ易くすることができるという利点がある。また、線材どうしが間隔をあけているので、固定部25側からの不要振動を減衰させ、照明用光ファイバ11の先端に伝わり難くすることもできる。
この場合に、線材どうしが所定のピッチ間隔をあけていることが好ましい。これにより、圧電素子23A,23Bとコイルバネ21、コイルバネ21と照明用光ファイバ11との接触状態を一様にすることができ、照明用光ファイバ11を安定して保持することができる。
また、コイルバネ21として、図5に示されるように、矩形断面を有する角バネを採用することにしてもよい。このようにすることで、圧電素子23A,23Bとコイルバネ21、コイルバネ21と照明用光ファイバ11とが面接触させられるので、接触面積をさらに増大させることができ、圧電素子23A,23Bの振動を、より直接的に照明用光ファイバ11に伝達することができるという利点がある。
さらに、コイルバネ21として、図6に示されるように、角型断面を有する異形線コイルバネを採用することにしてもよい。角型断面のコイルバネ21の各辺が、圧電素子23A,23Bの内面に接触させることで、圧電素子23A,23Bとコイルバネ21の接触面積を増大させ、より効果的に振動を伝達して、照明用光ファイバ11の先端の振動の振幅を効率よく増大させることができる。なお、コイルバネ21を構成する線材どうしのピッチ間隔は、例えば、25um以上とすることが可能であるが、これに限られない。
また、本実施形態においては、圧電素子が、2枚のA相用の圧電素子23Aと2枚のB相用の圧電素子23Bの合計4枚の圧電素子からなることとしたが、これに代えて、1枚のA相用の圧電素子23Aと1枚のB相用の圧電素子を直交配置したものを用いることとしてもよい。このようにすることで、組立性を向上させることができるという利点がある。
1 光源
3 照明装置
5 光検出部
7 駆動制御装置(電圧供給部)
10 光ファイバスキャナ
11 照明用光ファイバ(光ファイバ)
21 コイルバネ
23A,23B 圧電素子
25 固定部
100 観察装置
A 被写体
3 照明装置
5 光検出部
7 駆動制御装置(電圧供給部)
10 光ファイバスキャナ
11 照明用光ファイバ(光ファイバ)
21 コイルバネ
23A,23B 圧電素子
25 固定部
100 観察装置
A 被写体
Claims (11)
- 光を導光して先端から射出する細長い光ファイバと、
前記先端から基端側に間隔をあけた位置において前記光ファイバの外周面を覆うように該外周面に密着状態に接着された弾性材料からなるコイルバネと、
該コイルバネの外周面に接着されることにより固定され、所定の周波数の交番電圧が印加されることによって前記光ファイバの長手方向に伸縮振動して前記コイルバネを介して前記光ファイバに、前記長手方向に交差する方向の屈曲振動を発生させる圧電素子と、
前記コイルバネに固定された固定部とを備える光ファイバスキャナ。 - 前記コイルバネが、該コイルバネを構成する線材どうしを略密着させた密着コイルバネである請求項1に記載の光ファイバスキャナ。
- 前記コイルバネが、該コイルバネを構成する線材どうしを離間させている請求項1に記載の光ファイバスキャナ。
- 前記コイルバネが、該コイルバネを構成する線材どうしを一定のピッチ間隔をあけて離間させている請求項3に記載の光ファイバスキャナ。
- 前記コイルバネが、矩形断面を有する角バネである請求項1から請求項4のいずれかに記載の光ファイバスキャナ。
- 前記光ファイバが、四角柱状に形成されている請求項1から5のいずれかに記載の光ファイバスキャナ。
- 前記コイルバネが、角型断面を有する異形線コイルバネである請求項1から6のいずれかに記載の光ファイバスキャナ。
- 前記光ファイバと前記コイルバネとは、略同一の断面形状を有する請求項7に記載の光ファイバスキャナ。
- 前記コイルバネの固有振動数が、前記光ファイバの固有振動数より大きい請求項1から請求項8のいずれかに記載の光ファイバスキャナ。
- 照明光を発生する光源と、
該光源からの照明光を走査させる請求項1から請求項9のいずれかに記載の光ファイバスキャナとを備える照明装置。 - 請求項10に記載の照明装置と、
該照明装置からの照明光が被写体に照射されることにより、被写体から戻る戻り光を検出する光検出部と、
前記圧電素子に前記所定の周波数の交番電圧を供給する電圧供給部とを備える観察装置。
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