JPWO2017033998A1 - 噴流生成装置、及び噴流生成装置の噴流生成方法 - Google Patents

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Abstract

大きい速度の液体噴流を生成可能、高効率で液体噴流を生成可能、液体噴流の流速やエネルギーを調整可能、噴流時間を調整可能な噴流生成装置を提供する。噴流生成装置100Cは、筒状の液体室160と、液体室160の端部を開口して液体Fを外部に噴射するノズル165と、液体室160内に液体Fを供給する液体供給路140と、液体室160内にパルスレーザー光を照射して液体Fを気化させるレーザー光照射部21と、パルスレーザー光を発生するレーザー発振器(レーザー装置2)を備え、レーザー発振器は、レーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御するものであり、液体室160の内面は鏡面を有し、レーザー光照射部21からのパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅の一方又は両方に応じて、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離を調整する調整部(ファイバー駆動装置170C、自動制御部41)を有する。

Description

本発明は、噴流生成装置、及び噴流生成装置の噴流生成方法に関するものである。
液体噴流を用いて生体組織の切開及び破砕を行うジェットメスが実用化されている。また、高圧ポンプを利用したジェットメスが知られている。このジェットメスは、高圧ポンプにより昇圧された液体をジェットノズルから噴射して連続の噴流を得て、噴流を生体組織に照射し、その運動エネルギーにより切開効果及び破砕効果を得る手術装置である。
ジェットメスは、レーザーメスや高周波メスのように熱エネルギーを用いないため、低温(室温など)で効果が得られる。また、超音波メスのように作用部が固体金属である場合と比較して、作用部が液体であるジェットメスでは、生体に液体が衝突後、液体自身が変形して生体に圧力を加え、生体組織の弾性の低い部位に作用する特徴があり、弾性の異なる生体組織への作用に差別化を与える。この特徴は、渾然とした生体組織において、一様なジェット照射で切開効果と破砕効果を差別化し、特定部位の温存を可能としている。
医療現場では、複雑に絡み合う生体組織の任意の部位や疾患部分のみを簡単に切り分けることができる手術用器具の開発が期待されており、液体噴流を用いたジェットメスは、生体組織の弾性特性の差異を利用して生体組織の破砕と温存を仕分けることが特徴として考えられ、手術用器具として非常に期待されている。
高圧ポンプを利用したジェットメスは、高圧ポンプの出力を調整して、噴流の出力を大まかにしか調整することができず、生体組織の弾性特性の微細な差異を利用して血栓などを除去する手術には不向きである。また、連続噴流を生体へ照射すると、脈管系に噴流が浸入した場合、その圧力波が音速で脈管内を伝播し、圧力に脆い部位に損傷を与える。生体内には脈管網が形成されているため、圧力波の伝播範囲は広範になり、遠位の部位に圧力損傷を与える可能性がある。
光ファイバーがチューブ内に挿入され、レーザー発振器から光ファイバーを介して出射されたレーザー光により、チューブ内に充填された水などの液体を急激に加熱して液体噴流(液体ジェット)を発生させ、この液体噴流の力により血栓などを破砕し除去する手術用器具(パルスジェットメス)が知られている。
特許文献1に記載のレーザー誘起液体噴流発生デバイスは、光ファイバーの先端部に形成されたレーザー照射部を内部に収容し、液体噴流を生じさせるジェット発生管部を有する。このレーザー誘起液体噴流発生デバイスは、Yコネクター及びYコネクターをレーザー発振器に連結する連結部材を有し、連結部材はレーザー発振器から突設された連結突部と螺合されるスリーブ部材を備え、レーザー発振器とYコネクターが脱着可能に連結している。Yコネクターの所定のポートには光ファイバーが挿通され、光ファイバーを樹脂などの固定部材によりスリーブ部材に一体的に固定した構造となっている。つまり、光ファイバーの先端部に形成されたレーザー照射部がジェット発生管部の内部の所定位置に固定された構造となっている。
次に、噴流生成装置による噴流発生の原理を簡単に説明する。ここでは、液体室内の所定位置に光ファイバーを固定して配置した、つまり膨張室の長さを固定した噴流生成装置(膨張室長固定型)を説明する。
例えば、図10(a)に示した噴流生成装置100Bでは、筒状の液体室B160の内面に粗面B160rが形成されている。光ファイバー22の先端部のレーザー光照射部21から液体室B160内の液体Fにパルスレーザー光を照射した場合、その先端部の近傍領域の液体Fが加熱され、図10(b)に示したように、その先端部の近傍領域で気泡Gが発生し、液体FがノズルB165から押し出される。更に、パルスレーザー光の照射を続けた場合、図10(c)に示したように、気泡Gが膨張し、それに伴いノズルB165から液体Fが噴射される。光ファイバー22の先端部のレーザー光照射部21から出射した光のうち、液体室B160の内面の粗面B160rに照射された光は、粗面B160rで散乱及び吸収されやすい。気泡Gの境界面FGに到達するパルスレーザー光のエネルギーは小さい。
例えば、波長λが2100nmのレーザー光の水中における吸収係数は、約50cm-1である。レーザー光が水中を1mm進行する場合、光のエネルギーの99.3%が水に吸収されることを示している。
レーザー光の水への吸収は、水分子の振動準位に基づき、吸収率は分子密度に比例する。100℃の水は気化により、体積が約1700倍の100℃の水蒸気に相転移する。液体から水蒸気への相転移により分子密度は約1700分の1に低下する。このことは、光のエネルギーの99.3%が水蒸気に吸収されるには、水蒸気中の光路長が約1700mm必要であることを示している。
具体例を説明する。内径1mmの細管内に開口数NA=0.22、コア径0.4mmの光ファイバーを設置し、パルスレーザー光を光ファイバーの先端から出射した場合、細管の内面が吸収散乱体(粗面など)であると仮定し、光ファイバー出射端(先端)からノズル側への距離D1を変数とした、細管の開口からの出射光の入射エネルギーに対する比率を計算した(図11参照)。図11において、縦軸に透過率を示し、横軸に光ファイバー出射端(先端)からの距離D1を示す。図11に示したように、D1=10mmの位置で約91.5%の光エネルギーが損失することが分かる。
内面に吸収散乱体(粗面)が形成された細管(液体室160(B160))内における膨張ガス(水蒸気)の最大長を説明する(図12参照)。高速度カメラ撮影による実験によれば、パルス幅Tl=300μs、レーザーエネルギーE0=1Jのパルスレーザー光を、開口数NA=0.22、コア径0.4mmの光ファイバー22で伝送し、水(液体F)を満たした内径1mmの細管内で光ファイバー22の先端部のレーザー光照射部21からパルスレーザー光を出射した場合、細管(液体室160(B160))内に生成された膨張ガス(水蒸気である気泡G)の長さG1(管の軸方向の長さ)の最大値は約20mmである。
つまり、内面に粗面が形成されている細管を液体室B160として用いた場合、光のエネルギーの損失により、最大20mm程度の長さの膨張ガス(気泡G)が発生し、液体室B160の端部160aに形成された開口形状のノズル165(B165)から液体Fが噴射される。
特許文献2に記載のカテーテルは、レーザー光の照射位置近傍のチューブの内面に、光ファイバーが発する熱に耐え得る高融点で、且つ所定の剛性を有する材料からなる補強部材を備えている。
特許文献3に記載のレーザー誘起液体噴流発生デバイスは、光ファイバーを挿入したジェット発生管部を有し、このジェット発生管部は、内部でレーザー照射を行なうため、レーザー光及びそれにより誘発される熱に対抗するように、金、白金、銀、銅、アルミニウムなど及びその合金(例えば18金や白金イリジウム)などの材料により構成されている。
特開2007−209465号公報 特開2005−152094号公報 特開2008−17865号公報
液体噴流の強度や持続時間を増大させるためには、図12に示した膨張ガス(気泡G)の長さG1の最大値を大きくすることを要する。
しかしながら、パルスレーザー光のパルス幅やレーザーエネルギーを増大させたとしても、膨張ガス(気泡G)の長さG1の最大値は僅かに大きくなる程度である。詳細には、光ファイバー22の先端部から出射した光が液体室B160の内面の粗面で散乱及び吸収されやすいので、粗面による反射光の強度が小さい。光ファイバー22の先端部から液体Fと気体である気泡Gの境界面FGに到達する光のエネルギーは、光ファイバーの先端部と境界面FG間の距離が大きいほど、小さくなる。
液体Fのパルスレーザー光吸収による気化膨張により液体噴流が生成されるが、注入するレーザーエネルギーの上昇、パルス幅の伸張により、膨張気体(気泡G)の容積は増大し、液体室B160が細径円筒状などである場合、光ファイバー22の先端部と境界面FG(気液界面)の距離が増大し、注入されたパルスレーザー光は効率良く液体Fに吸収できなくなる。すなわち、気液界面と光ファイバー22の先端部の間の距離が短い状態(気液界面と光ファイバー22の先端部が接近した状態)では、注入されたパルスレーザー光は直接、気液界面に照射され吸収されるが、気液界面と光ファイバー22の先端部の間の距離の増大と共に、光ファイバー22の先端部から出射されたパルスレーザー光は液体室B160の内面に照射され散乱及び吸収を受けて減衰する。液体Fの気化に作用する光エネルギー量が低下するため、噴流強度が低下する。
つまり、液体室B160内に発生した気泡Gが大きくなるほど、気泡Gの体積膨張速度が低下し、ノズルB165から噴出される液体Fの噴流速度は所定値を超えない。気泡Gが大きくなるほど、液体Fの噴流の生成効率が低下するという問題点がある。
ところで、特許文献2に記載のカテーテルは、パルスレーザー光の照射位置近傍のチューブの内面に、光ファイバーが発する熱に耐え得る高融点で且つ所定の剛性を有する材料からなる補強部材を備えているが、この補強部材は、膨張ガス(気泡)の長さの最大値を大きくすることに関して寄与しない。
特許文献3に記載のレーザー誘起液体噴流発生デバイスは、光ファイバーを挿入したジェット発生管部を有し、このジェット発生管部は、内部でレーザー照射を行なうため、パルスレーザー光及びそれにより誘発される熱に対抗する材料により構成されているが、このジェット発生管部は、膨張ガス(気泡)の長さの最大値を大きくすることに関して寄与しない。
ところで、図12に示した例では、ノズルから出力される噴流のパルス幅を大きくするために、光ファイバー出射端とノズルとの間の距離L1に対する条件Aとして、液体ジェットメスは安全性の観点から高温高圧の膨張ガス(気泡G)がノズルから噴射しないように、L1>G1の条件を要する。
また、光ファイバー出射端とノズルとの間の距離L1に対する条件Bとして、W1=L1−G1が僅かな大きさであることを要する。このW1は、膨張ガス(気泡G)発生時、光ファイバー出射端とノズルとの間の距離L1から、膨張ガス(気泡G)の長さG1を差し引いた値であり、ノズル付近の管内に残る液体の長さである。W1が大きくなると、液体Fの移動に伴う流体抵抗が増大して液体ジェットのエネルギーを損失するので、W1を10mm程度などの小さい値とすることを要する。
上記条件A及び条件Bを満たしながら、レーザー照射条件としてレーザーエネルギーE0、パルス幅Tlを可変とするためには、距離L1を可変とすることを要する。
しかしながら、例えば、特許文献1に記載のレーザー誘起液体噴流発生デバイスなどでは、光ファイバーがYコネクターに固定され、光ファイバーの先端部に形成されたレーザー照射部がジェット発生管部の内部の所定位置に固定された構造となっており、距離L1を可変できる構造ではない。
ところで、一般的なパルスジェットメス(手術用器具)は、パルスレーザー光のパルス幅、レーザーエネルギーの調整などレーザーに関わる出力のみを所定値に設定し、特定の噴流出力と噴流出力時間を固定した機能の手術用器具として機能し、特定の生体組織を除去するなどの単一目的にしか使用することができなかった。
生体組織の破砕と温存を仕分ける際には、温存する生体組織を安全な状態で手術を行うことを要する。実際に手術を行う場合、事前に生体組織の個体差や部位別(臓器別、臓器の位置など)による弾性差や疾患部位の病理の進行状況などによる弾性差を正確に細かく予測することは難しい。一般的なパルスジェットメスでは、噴流出力を微細に調整することが困難であり、実際には弾性差が明確な部位にしか使用することできなかった。また、疾患部位の病理の進行による生体組織の弾性差まで細かく予測できず、失敗の許されない手術の現場での使用には従来のパルスジェットメスは適していなかった。
また、一般的なパルスジェットメス(手術用器具)では、疾患部分の破砕を行うために、同じ切断能力で短時間のメスとして数回に分けて実施するしかなかった。
ところで、パルスジェットメスの噴流の破砕力(撃力)は非常に短い時間に生体組織に作用する力の力積である。ノズルの断面積(液体噴流の断面積)を一定と仮定すると、噴流の速度(初速)は作用する力に比例する。よって、噴流の速度(初速)と持続時間の積は力積に比例し、破砕力は液体噴流の速度(初速)と持続時間の積に比例する。このパルスジェットメスの噴流を生体組織に作用させた際、温存させる生体組織へダメージが集積する場合がある。
このため、温存させる生体組織へのダメージを低減することができる手術用器具が望まれている。詳細には、噴流の速度(初速)だけでなく、噴流の持続時間を調整して噴流の破砕力を微細に制御可能な手術用器具が望まれている。
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、大きい速度の液体噴流を生成する噴流生成装置を提供すること、高効率で液体噴流を生成することができる、簡単な構成の噴流生成装置を提供すること、液体噴流の流速やエネルギーを簡単な構造で可変とすることができる噴流生成装置を提供すること、簡単な構成で、噴流時間を容易に制御することができる噴流生成装置を提供すること、簡単な構成で、レーザー発振器(レーザ装置)のレーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御し、レーザーエネルギーを可変とし、液体室から気化ガスを噴出させることなく、高効率で大きい速度の液体噴流を生成する噴流生成装置を提供すること、噴流生成装置を手術装置として用いた場合、液体噴流を間欠的に生成することにより、生体内での圧力波の伝播範囲を限局すること、生体組織の弾性差を利用した液体噴流による切開効果と破砕効果の差別化を微細なレベルでコントロールして、破砕領域と温存領域を微細に区別して手術を行うことができる噴流生成装置を提供すること、噴流生成装置の噴流生成方法を提供すること、などを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明による噴流生成装置は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
液体噴流を生成する噴流生成装置であって、
筒状の液体室と、
前記液体室の端部の開口から該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、
前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、
前記液体室内にパルスレーザー光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザー光照射部と、
前記パルスレーザー光を発生するレーザー発振器とを備え、
該レーザー発振器は、レーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御するものであって、
前記液体室の内面は、前記レーザー光照射部から出射したパルスレーザー光を反射して前記端部に導く鏡面を有し、
前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を調整する調整手段を備えることを特徴とする。
また、本発明の噴流生成装置の噴流生成方法は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
液体噴流を生成する噴流生成装置の噴流生成方法であって、
噴流生成装置は、筒状の液体室と、
前記液体室の端部を開口して該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、
前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、
前記液体室内にパルスレーザー光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザー光照射部と、
前記パルスレーザー光を発生するレーザー発振器とを備え、
該レーザー発振器は、レーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御するものであって、
前記液体室の内面は、前記レーザー光照射部から出射したパルスレーザー光を反射して前記端部に導く鏡面を有し、
前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方、又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を調整する調整手段を備え、
前記レーザー光照射部による前記パルスレーザー光の照射前又は照射時に、前記調整手段により前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を調整することを特徴とする。
本発明によれば、簡単な構成で、大きい速度の液体噴流を生成する噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、簡単な構成で、高効率で液体噴流を生成する噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、簡単な構成で、液体噴流の流速やエネルギーを可変とすることができる噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、簡単な構成で、噴流時間を容易に調整可能な噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、簡単な構成で、レーザー発振器(レーザ装置)のレーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御し、レーザーエネルギーを可変とし、液体室から気化ガスを噴出させることなく、高効率で大きい速度の噴流を生成する噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、噴流生成装置を手術装置として用いた場合、液体噴流を間欠的に生成することにより、生体内での圧力波の伝播範囲を限局することができ、安全性が高まる。
また、本発明によれば、噴流生成装置を手術装置として用いた場合、生体組織の弾性差を利用した液体噴流による切開効果と破砕効果の差別化を微細なレベルでコントロールして破砕領域と温存領域を微細に区別して手術を行うことができ、術者の技量に依存せずに複雑形状の切開、破砕及び温存などを選択的に行うことができる噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、噴流生成装置の噴流生成方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る噴流生成装置の一例を示す全体構成図。 本発明の実施形態に係る噴流生成装置の筒状の液体室(パイプ)の先端部付近の部分拡大図。 本発明の実施形態に係る噴流生成装置の動作の一例を示す図、(a)はパルスレーザー光照射前、(b)はパルスレーザー光照射初期時(気泡発生初期時)、(c)はパルスレーザー光照射且つ気泡膨張時、(d)はパルスレーザー光非照射時の状態をそれぞれ示す図。 本発明の実施形態に係る噴流生成装置によるパルスレーザー光と流体噴流初速度の一例を示す図、(a)はパルスレーザー光と流体噴流初速度の一例を示す図、(b)はレーザー光の強度と液体噴流の時間変化の一例を示す図。 本発明の実施形態に係る噴流生成装置及び比較例の噴流生成装置における液体噴流パルス幅のレーザー光パルス幅依存性の一例を示す概念図。 本発明の実施形態に係る噴流生成装置の一具体例を示す図。 図6に示した噴流生成装置の調整部の動作の一例を示す図、(a)は光ファイバーの先端部がノズル側に移動した状態の一例を示す図(最小ガス膨張時)、(b)は光ファイバーの先端部がノズルに対して反対側に移動した状態の一例を示す図(最大ガス膨張時)、図7(c)は光ファイバー22の先端部の位置が最適化されておらず、最小ガス膨張時の状態の一例を示す図。 レーザー光強度と液体噴流速度の時間変化の一例を示す図、(a)及び(b)は小さい噴流速度で短い持続時間の噴流を生成する場合、(c)及び(d)は小さい噴流速度で長い持続時間の液体噴流を生成する場合、(e)及び(f)は大きい噴流速度で短い持続時間の液体噴流を生成する場合、(g)及び(h)は大きい噴流速度で長い持続時間の噴流を生成する場合をそれぞれ示す図。 回転止め部材を有する噴流生成装置の一例を示す図、(a)は横断面図、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図。 比較例の噴流生成装置の動作の一例を示す図、(a)はパルスレーザー光照射前、(b)はパルスレーザー光照射初期時(気泡発生初期時)、(c)はパルスレーザー光照射且つ気泡膨張時をそれぞれ示す図。 透過率と距離の関係の一例を示す図。 噴流生成装置の一例を示す図。 本発明の一実施形態に係る噴流生成装置の一例を示す全体構成図。 噴流生成装置の動作の一例を示す図、(a)はレーザーエネルギー最大時のファイバー駆動装置を有しない比較例の噴流生成装置の一例を示す部分拡大図、(b)はレーザーエネルギーが小さい時のファイバー駆動装置を有しない比較例の噴流生成装置の一例を示す部分拡大図、(c)はレーザーエネルギー最大時のファイバー駆動装置を有する本発明の一実施形態に係る噴流生成装置の一例を示す部分拡大図、(d)はレーザーエネルギーが小さい時のファイバー駆動装置を有する本発明の一実施形態に係る噴流生成装置の一例を示す部分拡大図。 噴流生成装置の動作の一例を示す図、(a)はレーザー光強度の一例を示す図、(b)は液体送出量の一例を示す図、(c)は光ファイバーの位置の一例を示す図、(d)は液体噴流初速度の一例を示す図。
本発明の概要を説明する。
本発明の実施形態に係る噴流生成装置は、液体室(膨張室)内の液体をパルスレーザー光で加熱して、気化及び膨張を誘発し、気化膨張圧力を利用して間欠液体噴流(パルスジェット)を生成する。
生体組織におけるパルスジェットの切開効果及び破砕効果は、作用する力と作用する時間T0の積に比例する。よって、パルスジェットの切開効果及び破砕効果を微細に制御するために、撃力F0と時間T0を微細にコントロールする必要がある。
断面積S、長さL、密度ρ、速度V0で射出されたパルスジェットが生体組織に衝突する際に作用する撃力F0は液体の形状変形による効果を無視すると、単位時間に衝突する液体の運動量の変化量に等しい(数式(1)参照)。
F0=S・L・ρ・V0 ・・・(1)
ジェットノズルの断面が一定であれば、密度ρは一定であるので、撃力F0は速度V0に依存する。
よって、切開効果及び破砕効果を微細に制御するためには作用する力と時間を制御すればよく、詳細には、初速と作用時間を独立に制御するとよい。切開効果及び破砕効果を微細に制御するためには独立した2個のパラメータで制御することが有利である。
V0(初速)とT0(ジェットの持続時間)を独立に制御するためには加熱源となるパルスレーザー光の出力P0とパルスレーザー光パルス幅Tlを制御すれば良い。
しかしながら、液体室(膨張室)の形態によって、パルスレーザー光の液体への伝達効率が変化する場合、V0、T0/P0、Tlがリニアに作用しない。伝達効率が変化する要因は光ファイバーから出射されたパルスレーザー光が液体に達する前に膨張室内面で吸収されることによる。
また、P0或いはTlが大きくなった場合、膨張した高温の気化ガスがノズルから射出する危険があるため、膨張室体積を拡大する目的で光ファイバーのパルスレーザー光の出射部分をノズルから遠ざける必要がある。
本発明の実施形態に係る噴流生成装置は、P0、Tlを可変して、V0、T0を可変し、微細に切開効果及び破砕効果を制御するために、光ファイバーのパルスレーザー光の出射部分とノズルとの間隔を可変にし、更に液体室(膨張室)内面でのパルスレーザー光吸収を抑制するために内面に反射構造を有する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。尚、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
図1は本発明の実施形態に係る噴流生成装置100の一例を示す全体構成図である。図2は噴流生成装置の筒状の液体室160の先端部付近の部分拡大図である。本発明の実施形態に係る噴流生成装置100を、医療器具としてのウォータージェットメスに適用した例を説明する。尚、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100を、レーザー誘発液体噴流発生装置、導波管構造の膨張室(液体室)を有するパルスレーザー加熱噴流生成装置、などと称呼する場合もある。
噴流生成装置100は、Yコネクター120と、液体供給路140(流体供給路)と、筒状の液体室160(金属細管など)と、などを有する。また、噴流生成装置100は、送液装置1と、レーザー装置2(レーザー発振器)と、吸引装置3と、制御装置4(制御部)と、などを有する。
Yコネクター120は、術者などにより把持される把持部材である。Yコネクター120は、略Y字形状の筒状体であり、第1の端部120a、第2の端部120b、第3の端部120cを有する。第1の端部120aには、筒状の液体室160としての金属細管が設けられている。第2の端部120bには、チューブなどの管状部材143などを介して送液装置1が接続されている。液体供給路140には液体中の不純物を除去するためのフィルタ145が設けられている。第3の端部120cには、光ファイバー22を介してレーザー装置2が接続されている。本実施形態では、第3の端部120cには、調整部170(調整手段)が設けられている。光ファイバー22は、Yコネクター120の光ファイバー通路122の第3の端部120cに設けられた調整部170を通って、Yコネクター120内に挿入され、その光ファイバー22の先端が筒状の液体室160である金属細管内の所定位置に配置される。調整部170は、Yコネクター120や液体室160内に挿入される光ファイバー22の先端部の位置を調整することができる。詳細には、調整部170は、後述するように、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整するように構成されている。
本実施形態では、Yコネクター120の一部分は、液体供給路140と光ファイバー通路122とを兼ねた構造となっている。
また、本実施形態では、Yコネクター120に吸引用流路180が設けられ、吸引用流路180にはチューブなどの管状部材144を介して吸引装置3が設けられている。吸引用流路180には、液体F中の不純物などを除去するフィルタ185が設けられている。
本実施形態では、液体供給路140と吸引用流路180との接続位置48が、液体供給路140と光ファイバー通路122の接続位置42と第1の端部120aとの間に位置するように、Yコネクター120が構成されている。
送液装置1は、制御装置4(制御部)の制御により、液体Fを液体供給路140を介して金属筒状部材などの筒状の液体室160に供給する。液体室160内の液体Fとしては、水、生理食塩水、電解質輸液などを挙げることができる。
レーザー装置2(レーザー発振器)は、制御装置4(制御部)の制御により、パルスレーザー光を発生する。レーザー装置2から出力されたパルスレーザー光は、光ファイバー22を介して、光ファイバー22の先端部のレーザー光照射部21から筒状の液体室160に射出される。レーザー装置2(レーザー発振器)は、レーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御することができる。詳細には、制御装置4(制御部)は、レーザー光照射部21によるパルスレーザー光のレーザーエネルギー、パルス幅及びパルス繰り返し周波数の少なくとも1つを変化させるように、レーザー装置2を制御する。本実施形態では、例えば、1パルス当たり最大約1000mJ程度のパルスレーザー光を照射可能なレーザー装置2を用いている。
本実施形態では、レーザー装置2は、パルスレーザー光としてホルミウムヤグレーザー装置(Ho:YAGレーザー:波長2.1μm)などのレーザー発振器を採用することができる。水、生理食塩水、電解質輸液、などの液体Fは、ホルミウムヤグレーザーなどのパルスレーザー光のエネルギーの吸収性を有する。尚、レーザー装置2は、上述したレーザー発振器に限られるものではない。
吸引装置3は、チューブなどの管状部材144を介してYコネクター120に接続されており、制御装置4(制御部)の制御により、必要に応じて筒状の液体室160内の液体Fを吸引可能に構成されている。
制御装置4(制御部)は、送液装置1、レーザー装置2、吸引装置3などの各種装置を統括的に制御する。制御装置4は、コンピューターなどにより構成され、メモリや記憶装置に記憶された制御用プログラムを実行することにより、本発明に係る制御に関する機能を実現する。また、制御装置4(制御部)は、レーザー光照射部21によるパルスレーザー光のレーザーエネルギー、パルス幅及びパルス繰り返し周波数の少なくとも1つを変化させ、液体噴流の量、流速及び繰り返し周波数の少なくとも1つを可変制御する。
また、制御装置4(制御部)は、調整部170(調整手段)を制御することにより、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整する処理を行う。例えば、調整部170はモータなどの駆動装置を備え、制御装置4は調整部170の駆動装置を駆動することにより、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整する処理を行うように構成されていてもよい。この場合、制御装置4(制御部)は、レーザー光照射部21から出射されるパルスレーザー光のパルス幅、レーザーエネルギー、パルス繰り返し周波数などに応じて、調整部170によりレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整する処理を行う。この制御装置4は、記憶部に記憶された設定情報に基づいて、上記処理を行ってもよい。また、ノズルから出力される液体噴流の流速やエネルギーなどを検出する検出部を設け、制御装置4は検出部からの検出信号に基づいて、上記調整部170に関する制御を行ってもよい。
図2に示した例では、液体室160は筒状に形成されている。本実施形態では、液体室160は円筒形状に形成されている。詳細には、液体室160は外径Po、内径Pzの円筒形状に形成されている。筒状の液体室160は、金属材料などの大きい強度を有する材料により形成されている。液体室160の形成材料としては、ステンレス、チタン、金、銀などの金属、又は、セラミックスなどの材料を挙げることができる。本実施形態では、液体室160としての金属細管の内径Pzが0.5mm〜3.0mm程度、好ましくは1.0mm程度である。
液体室160の端部160aには開口形状のノズル165が設けられている。ノズル165は、液体室160内の液体Fを外部に噴射可能に構成されている。本実施形態では、図2に示したように、ノズル165の直径Nzは、筒状の液体室160の内径Pzよりも小さい。直径Nzのノズル165の軸方向長さNLは、ノズル165が設けられた液体室160の端部160aと光ファイバー22の先端、すなわち、レーザー光照射部21との間の距離SDよりも小さい。また、直径Nzのノズル165の軸方向長さNLは、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1よりも小さい。本実施形態では、液体室160の端部160aとレーザー光照射部21との間の距離SDは、50mm〜150mm程度であり、好ましくは100mm程度である。この距離SDは、レーザー光照射により液体室160内で発生して膨張する気泡が液体室160の端部160aに形成されたノズル165よりも外に出ない距離に設定されている。
図2に示したように、筒状の液体室160には、ノズル165に対して反対側から光ファイバー22が挿入されている。筒状の液体室160内の光ファイバー22の長さALは調整可能に構成されている。この光ファイバー22の先端部はレーザー光照射部21として機能する。液体室160内の液体Fはレーザー光照射部21から照射されるパルスレーザー光に対してエネルギー吸収性を有する。レーザー光照射部21は、パルスレーザー光を液体室160内に照射して、その液体室160内の液体Fを加熱、気化させる。
光ファイバー22の直径Azは、筒状の液体室160の内径Pzよりも小さい。光ファイバー22と筒状の液体室160の内面との間には隙間が形成されており、その隙間は液体供給路140として機能する。この液体供給路140は液体室160(詳細にはノズル165と光ファイバー22の先端部であるレーザー光照射部21との間の空間)内に液体Fを供給する。
筒状の液体室160の内面は、レーザー光照射部21から出射したパルスレーザー光を反射して、液体室160の端部160a又は端部160aに形成されたノズル165に導く鏡面160kを有する。つまり、パルスレーザー光が鏡面160kで反射した場合、パルスレーザー光のエネルギー損出が非常に小さい。このため、レーザー光照射部21から出射されたパルスレーザー光は、筒状の液体室160の内面の鏡面160kに一回又は複数回反射して、気泡の境界面(気液界面)に照射可能である。ここでいう液体Fと気泡の境界面(気液界面)とは、筒状の液体室160内の気泡における、筒状の液体室160の開口側(ノズル165側)の境界面(気液界面)のことである。
尚、この鏡面160kは、筒状の液体室160の内面のうち、光ファイバー22の先端部のレーザー光照射部21近傍、及び、レーザー光照射部21近傍からノズル165までの間の全部又は一部分に形成されていることが好ましい。
この鏡面160kは、電解研磨処理、リーマ加工処理、メッキ処理、蒸着処理、研磨剤吹き付け処理、などのいずれかによって処理された面である。具体的には、筒状の液体室160として、ステンレスやチタンなどの金属細管を採用した場合、その内面を光学研磨することで、鏡面160kを形成してもよい。また、鏡面160kは、パルスレーザー光のレーザー波長に対して反射率が高い素材でコーティングを行うことにより形成されていてもよい。具体的には、鏡面160kは、金コート、金メッキなどのコーティングを行ってもよい。また、筒状の液体室160は、ステンレス、チタンなどの金属細管内に、高反射材である薄厚細管(金)を圧入することで、鏡面160kを形成してもよい。研磨剤吹き付け処理としては、研磨剤を付着させた微細粒子(微細樹脂粒子など)を筒状の液体室160内に高速に吹き付ける処理などを挙げることができる。
また、液体室160の内面の鏡面160kは、レーザー光照射部21により照射されるパルスレーザー光に関して、規定値以上の反射率であることが好ましい。
<噴流生成装置100の動作>
図3は本発明の実施形態に係る噴流生成装置100の動作の一例を示す図である。図3(a)はパルスレーザー光PL照射前、図3(b)はパルスレーザー光PL照射初期時(気泡G発生初期時)、図3(c)はパルスレーザー光PL照射且つ気泡G膨張時、図3(d)はパルスレーザー光PL非照射時の状態をそれぞれ示す図である。図4は噴流生成装置100によるパルスレーザー光強度と流体噴流初速度の一例を示す図である。詳細には、図4(a)はパルスレーザー光強度と流体噴流初速度の一例を示す図、図4(b)はレーザー光強度と液体噴流の時間変化の一例を示す図である。図4(a)において、縦軸にパルスレーザー光PLのレーザー光強度Iを示し、横軸に時間Tを示す。図4(b)において、縦軸に液体噴流速度(液体噴流初速度)V0を示す。
本実施形態では、制御装置4(制御部)は、レーザー装置2を制御して、図4(a)に示したように、レーザー光パルス幅Tl、繰り返し周期TRのパルスレーザー光PLを、光ファイバー22を介してレーザー光照射部21から照射させる。ノズル165から噴出される液体噴流Jは液体噴流パルス幅Tjとなっている。
図4に示した時間Aにおいて、図3(a)に示したように、光ファイバー22の先端部のレーザー光照射部21からパルスレーザー光PLが照射されていない場合、筒状の液体室160内には、液体Fが満たされた状態となっている。詳細には、供給部(送液装置)1から液体供給路140を介して筒状の液体室160内に液体Fを供給することで、液体室160内に液体Fが満たされた状態となっている。この場合、ノズル165からは、液体Fが噴出されていない。つまり、液体噴流速度V0がゼロである。供給部(送液装置)1による筒状の液体室160内への液体Fの供給タイミングとしては、例えば、少量(例えば0.2cc/s)の液体Fを常時供給する、パルスレーザー光PL非照射時のみ液体Fを供給し且つパルスレーザー光PL照射時に液体Fの供給を停止する、などを挙げることができる。制御装置4(制御部)は、噴流生成装置100の用途に応じて、適宜液体Fの供給タイミングを制御することが好ましい。
次に、制御装置4(制御部)は、レーザー装置2にパルスレーザー光PLを照射させる。レーザー装置2から射出されたパルスレーザー光PLは、光ファイバー22により液体室160内に誘導されて、光ファイバー22の先端部のレーザー光照射部21から照射される。
図3(b)に示したように、レーザー光照射部21からパルスレーザー光PLが照射された場合、レーザー光照射部21近傍の液体Fがパルスレーザー光PLにより加熱されて気化し、レーザー光照射部21の近傍に気泡Gが生成される。この液体Fは、パルスレーザー光PLに対して吸収性を有する。この気泡Gの発生に伴い、筒状の液体室160内の圧力が増大して、筒状の液体室160の端部160aに形成されたノズル165から液体Fの液体噴流Jが噴射される(図4に示した時間B)。
レーザー光照射部21からパルスレーザー光PLがさらに照射された場合、気泡Gが膨張し、気泡Gの体積が増大する。パルスレーザー光PLにより発生した気泡Gが気化膨張するに伴い、光ファイバー22の先端部から液体Fと気泡Gの境界面FG(気液界面)までの距離が長くなる。
詳細には、図3(c)に示したように、レーザー光照射部21から気泡G内を通って直接、境界面FG(気液界面)に照射されるパルスレーザー光(直接光PLA)と、レーザー光照射部21から筒状の液体室160の内面の鏡面160kに反射して、筒状の液体室160の端部160a側に導かれ、境界面FG(気液界面)に照射されるパルスレーザー光(反射光PLB)とがある。
本実施形態では、この反射光PLBの強度は比較的大きい。このため、気泡Gの気化膨張により、光ファイバー22の先端部と液体Fと気泡Gの境界面FG(気液界面)との間の距離が大きくなった場合であっても、境界面FG(気液界面)に照射される反射光PLBの強度が大きい。つまり、上記距離が大きい場合であっても、境界面FG(気液界面)には、比較的大きな強度の直接光PLAと反射光PLBとが照射されることになる。このため、上記距離が大きい場合であっても、境界面FG(気液界面)での気化作用が大きい。つまり、パルスレーザー光PLの照射終了時まで、パルスレーザー光PLが強い強度を略保った状態で、境界面FG(気液界面)を追いかけながら、気化作用を生じさせることができる。
すなわち、上記距離が比較的大きい場合であっても、気泡Gの上記境界面FG(気液界面)に、比較的大きい強度のパルスレーザー光PL(直接光PLA及び反射光PLB)が照射される。気泡Gの上記境界面FG(気液界面)では、比較的大きい強度のパルスレーザー光PL(直接光PLA及び反射光PLB)が照射され、その光エネルギーを吸収して、筒状の液体室160の開口側(ノズル165側)に対する反対方向に向かって気化ジェットKJが噴出される。このため、気化ジェットKJによる反作用の力が液体Fに加わる。
上記距離が大きい場合であっても、液体Fに、気泡Gの膨張圧に起因する力と、気化ジェットKJに起因する力が作用する。すなわち、膨張圧と気化ジェットKJによる反作用力の相乗効果により、液体Fの噴射が加速される。つまり、上記距離が大きい場合であっても、ノズル165からの液体噴流速度V0が大きい(図4に示した時間Cなど)。
次に、図4に示した時間C0において、レーザー光照射部21から照射されるレーザー光強度Iがゼロになった場合、気泡Gの膨張が停止する。気泡Gの膨張が停止した後、気泡Gの収縮期に移行する(図3(d)参照)。気泡Gの収縮期では、液体噴流速度V0は最大値から減少する。
そして、図4に示した時間C1では、液体噴流速度V0がゼロとなる。その後、図4に示した時間Dなどでは、液体噴流速度V0がマイナスの値となる。この場合、ノズル165から液体Fが逆流した状態となる。尚、液体噴流速度V0がマイナスの値とならないように、送液装置1により液体供給路140を介して液体室160内に液体Fを供給するように、制御装置4(制御部)が制御を行ってもよい。
そして、図4に示した時間D0では、液体噴流速度V0がゼロとなる。この場合、気泡Gが筒状の液体室160内から消滅し、液体室160が液体Fで満たされた状態となる。そして、時間A2において、再びパルスレーザー光PLの照射が開始される。
このように、液体室160の内面を鏡面160kにすることで、パルスレーザー光PLの液体室160の内面への吸収が小さく、パルスレーザー光PLを気液界面に効率よく照射することができる。
また、液体室160の内面を鏡面160kにすることで、任意のパルスレーザー光PLを気液界面に一定して連続に到達させることができるので、安定した任意の気化ジェットKJを連続して噴出させることができる。
また、液体室160の内面を鏡面160kにすることで、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1が大きい場合であっても、長時間大きな強度の液体噴流Jを噴流することができる。
図5は本発明の実施形態に係る噴流生成装置100及び比較例の噴流生成装置100B(図10参照)における液体噴流パルス幅のレーザー光パルス幅依存性の一例を示す概念図である。図5において、縦軸に液体噴流パルス幅Tjを示し、横軸にレーザー光パルス幅Tlを示す。また、図5において、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100に関する曲線を実線で示し、比較例の噴流生成装置100Bに関する曲線を点線で示す。
比較例の噴流生成装置100Bは、筒状の液体室B160の内面に粗面B160rが形成されている(図10参照)。比較例の噴流生成装置100Bにおいて、光ファイバー22のレーザー光照射部21から照射されたパルスレーザー光PLは、液体室B160の内面に粗面B160rにより散乱及び吸収される割合が大きい。このため、パルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tlを大きしても、液体噴流パルス幅Tjが比較的小さい所定値を超えることがない。つまり、比較例の噴流生成装置100Bでは、ノズルB165から噴出される液体噴流Jのエネルギーの上限値が比較的小さい。
本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、筒状の液体室160の内面に鏡面160kが形成されている(図2参照)。このため、噴流生成装置100では、パルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tlが大きいほど、液体噴流パルス幅Tjが比較例よりも大きな値となり、比較例の所定値で飽和することなく大きな値となる。つまり、本発明の噴流生成装置100では、ノズル165から噴出される液体噴流Jのエネルギーが比較的大きい。
図6は本発明の実施形態に係る噴流生成装置100の一具体例を示す図である。図7は図6に示した噴流生成装置100の調整部170の動作の一例を示す図である。詳細には、図7(a)は光ファイバー22の先端部がノズル165側に移動した状態の一例を示す図(最小ガス膨張時)、図7(b)は光ファイバー22の先端部がノズル165に対して反対側に移動した状態の一例を示す図である(最大ガス膨張時)。図7(c)は光ファイバー22の先端部の位置が最適化されておらず、最小ガス膨張時の状態の一例を示す図である。
詳細には、図7(a)には最小ガス膨張に最適化された光ファイバー22の先端部の位置を示している。図7(a)において、W1は、最小ガス膨張時、光ファイバー出射端(レーザー光照射部21)とノズル165との間の距離L1aから、膨張ガス(気泡G)の長さG1aを差し引いた値となるように規定されている。
図7(b)には最大ガス膨張に最適化された光ファイバー22の先端部の位置を示している。図7(b)において、W1は、最大ガス膨張時、光ファイバー出射端(レーザー光照射部21)とノズル165との間の距離L1bから、膨張ガス(気泡G)の長さG1bを差し引いた値となるように規定されている。
調整部170(調整手段)は、上述したように、ノズル165と光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21との間の距離を調整可能に構成されている。調整部170の一具体例を説明する。
図6、図7に示した例では、調整部170は、小径筒状部172と、光ファイバー保持部材としての大径筒状部171と、などを有する。小径筒状部172は、液体室160に連通した構造となっている。小径筒状部172の外周側には大径筒状部171が配置されている。この小径筒状部172と大径筒状部171は、例えば、螺合部172a、171aにより螺合するように構成されている。
大径筒状部171の端部には、光ファイバー22が挿入される開口部が形成され、その開口部には、Oリングなどの封止部材176が設けられており、液体Fの流出を防止している。本実施形態では、その開口部に溝部が形成されており、溝部に封止部材176が配置されている。この封止部材176は光ファイバー22に対して密着して略固定された状態となっている。
小径筒状部172と大径筒状部171との間には、Oリングなどの封止部材175が設けられており、液体Fの流出を防止している。本実施形態では、大径筒状部171の内周面に溝部が形成されており、その溝部に封止部材175が配置されている。小径筒状部172と大径筒状部171とが軸方向に相対的に移動する場合、Oリングなどの封止部材175は、小径筒状部172の外周面を摺動するように構成されている。尚、小径筒状部172の端部に溝部を設け、その溝部にOリングなどの封止部材175を設けた構造であってもよい。
本実施形態では、図7(a)、図7(b)に示したように、小径筒状部172と大径筒状部171とが軸方向に相対的に移動することで、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21が可変範囲内で移動自在となるように構成されている。小径筒状部172と大径筒状部171は螺合構造となっており、大径筒状部171を小径筒状部172に対して、軸方向を回転軸として回転させることにより、レーザー光照射部21の位置を調整可能に構成されている。例えば、駆動モータにより、大径筒状部171を小径筒状部172に対して、軸方向を回転軸として回転させるように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、液体室160の内面は、少なくともパルスレーザー光PLを出射するレーザー光照射部21の先端部の可変範囲に亘って、鏡面160kが形成されている。
ノズル165から出力される液体噴流J液体噴流パルス幅Tjを大きくするために、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1に対する条件Aとして、安全性の観点から高温高圧の膨張ガス(気泡G)がノズル165から噴射しないように、L1>G1の条件を要する。G1は、液体室160内に生成される膨張ガス(水蒸気である気泡G)の長さを示している。
また、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1に対する条件Bとして、W1=L1−G1が僅かな大きさであることを要する。このW1は、膨張ガス(気泡G)発生時、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1から、膨張ガス(気泡G)の長さG1を差し引いた値であり、ノズル165付近の管内に残る液体Fの長さに相当する。W1が大きくなると、液体Fの移動に伴う流体抵抗が増大して、液体噴流Jのエネルギーを損失するので、W1を5mm〜15mm程度、好ましくは10mm程度などの小さい値とすることが望ましい。
本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、調整部170(調整手段)が、上記条件A及び条件Bを満たしながら、レーザー照射条件としてレーザーエネルギーE0、レーザー光パルス幅Tlを可変とするように、L1を調整することができる。
尚、W1を考慮すると、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1の可変範囲は、最大ガス膨張に対して最適化されたノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1bと、W1とG1の最小値G1aを除いた範囲であることが好ましい。つまり、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1の可変範囲は、L1b―L1aの範囲である。
尚、比較例として、図7(c)に示したように、最小ガス膨張に対して、光ファイバー22の先端部の位置が最適化されていない場合、管内に残る液体の長さW1cが、適正な長さであるW1に対して長く、液体Fがノズル165から噴射する際の抵抗が大きい。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100(パルスジェットメス)は、レーザー光照射部21から出射するパルスレーザー光PLを用いて気化膨張圧力を利用して間欠噴流を生成し、液体室160(膨張室)の長さをレーザー出力に対応して可変する(膨張室長可変型)。また、噴流生成装置100は、長い液体室160(膨張室)内を光伝送するために内壁に反射構造を有する。
詳細には、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、液体室160の内面に鏡面160kが形成され、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整する調整部170を備えている。このため、レーザー光照射部21からレーザー光パルス幅Tlの大きいパルスレーザー光PLを出射するように設定し、且つ、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を長く設定した場合であっても、液体室160の内面での光吸収が非常に小さいので、パルスレーザー光PLを液体室160の鏡面160kで反射させて、筒状の液体室160の端部160aに形成されたノズル165側に導くことができ、気泡Gを大きく膨張させることで、液体噴流Jの持続時間を比較的長くすることができる。
つまり、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、液体室160の内面を鏡面160kとし、レーザー光照射部21から出射するパルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tlに応じて、調整部170によりレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を可変とすることで、ノズル165から出射する液体噴流Jの持続時間の長短を制御することができる。
また、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、パルスレーザー光PLのレーザー光強度Iと、パルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tlとをそれぞれ独立に制御することで、パルスレーザー光PLのレーザー光強度Iに比例又は略比例した液体噴流速度V0と、パルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tlに比例又は略比例した液体噴流Jの持続時間とをそれぞれ独立に可変制御することができる。次に、具体例を説明する。
図8はレーザー光強度と液体噴流速度の時間変化の一例を示す図である。図8において、横軸に時間Tを示す。図8(a)、図8(c)、図8(e)、図8(g)において、縦軸にパルスレーザー光の強度Iを示す。図8(b)、図8(d)、図8(f)、図8(h)において、縦軸に液体噴流速度(液体噴流初速度)V0を示す。
パルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tlを比較的短く、レーザー光強度Iを比較的小さく、且つ、調整部170によりレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を比較的短く設定することで、比較的小さい液体噴流速度V0で短い持続時間の液体噴流Jを生成することができる(図8(a)、図8(b)など参照)。
パルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tlを比較的長く、レーザー光強度Iを比較的小さく、且つ、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を比較的長く設定することで、比較的小さい液体噴流速度V0で長い持続時間の液体噴流Jを生成することができる(図8(c)、図8(d)など参照)。
パルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tlを比較的短く、レーザー光強度Iを比較的大きく、且つ、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を比較的短く設定することで、比較的大きい液体噴流速度V0で短い持続時間の液体噴流Jを生成することができる(図8(e)、図8(f)など参照)。
パルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tlを比較的長く、レーザー光強度Iを比較的大きく、且つ、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を比較的長く設定することで、比較的大きい液体噴流速度V0で長い持続時間の液体噴流Jを生成することができる(図8(g)、図8(h)など参照)。
上述したように、噴流生成装置100は、ノズル165から出射する液体噴流速度(初速)V0と液体噴流Jの持続時間とを独立に可変制御することができる。このことは、例えば、生体組織の破砕などを行うパルスジェットメスに噴流生成装置100を適用した場合に、非常に有効である。
詳細には、このような液体噴流Jを用いた手術用器具(パルスジェットメス)は、生体組織の弾性特性の差異を利用して、生体組織の破砕と温存を仕分ける。
液体噴流Jの破砕力(撃力)は、液体噴流Jが生体組織に作用する大きな力と、その液体噴流Jが生体組織に作用する短い持続時間(噴流時間)との積である力積と考えることができる。
具体的には、ノズルの断面積(液体噴流の断面積)を一定とした場合、液体噴流速度V0(初速)は液体噴流Jの力に比例する。よって、液体噴流速度V0(初速)と液体噴流Jの持続時間の積は力積に比例する。このため、液体噴流Jの破砕力(撃力)は液体噴流速度V0(初速)と持続時間の積に比例する。
パルスジェットメスにおける液体噴流Jによる生体組織への破砕力を微細に制御して、生体組織の破砕と温存の境界条件を探すためには、液体噴流速度V0(初速)と液体噴流Jの持続時間とを可変制御することが非常に重要である。本発明に係る噴流生成装置100は、上述したように、液体室160の内面に鏡面160kを有し、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整する調整部170を備え、上記距離L1の調整とパルスレーザー光PLのレーザー光強度I及びレーザー光パルス幅Tlの調整により、液体噴流速度V0(初速)と持続時間とを独立に制御可能であり、パルスジェットメスなどに非常に有用である。
パルスジェットメスとしての噴流生成装置100の使用方法の一例を説明する。
血栓などの破砕手術では、レーザー光照射部21から短時間、小さい強度のパルスレーザー光PLを出力して、一定時間、弱い噴流圧の液体噴流Jを部位にあてることで、温存部分へのダメージの小さい施術を行うことができる。
また、手術中に、パルスレーザー光PLの強度を徐々に大きくして、液体噴流Jの強度を徐々に大きくすることで、温存部分へのダメージを最小限に抑えるとともに、血栓などを確実に除去する手術が可能である。また、手術中に、レーザー光照射部21によるパルスレーザー光PLのレーザー光強度Iとレーザー光パルス幅Tlを調整し、調整部170によりノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を調整して液体噴流Jの持続時間を制御し、短時間で大きい強度の切断能力の高い液体噴流Jとすることで、血栓などの部位の粉砕が可能であり、効率的に血栓などを破砕することができる。また、血栓の粉砕を確認した後、手術中に、レーザー光照射部21によるパルスレーザー光PLのレーザー光強度Iやレーザー光パルス幅Tl、調整部170による液体噴流Jの持続時間の調整を行うことで、温存部位へのダメージを容易に抑えることができる。
このように、本発明に係る噴流生成装置100を採用したパルスジェットメスでは、レーザー光照射部21によるパルスレーザー光PLのレーザー光強度Iやレーザー光パルス幅Tlの調整による液体噴流Jの強度などの制御、調整部170による液体噴流Jの持続時間の可変制御により、破砕力を微細に制御することが可能となり、生体組織の破砕部位と温存部位の弾性特性の差異が微小であっても、生体組織の破砕部位と温存部位を容易に仕分けることができる。また、手術中に、液体噴流Jの強度や持続時間を独立に自由に制御することができるので、多様な手術の手法を提供することができる。
尚、調整部170は、上述した構成に限られるものではなく、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を調整できる機構を有していればよい。
図9は回転止め部材179を有する噴流生成装置100の一例を示す図である。詳細には、図9(a)は噴流生成装置100の横断面図、図9(b)は図9(a)のA−A線に沿った断面図である。
図9に示した例では、調整部170は、液体室160に連通する小径筒状部172と、光ファイバー22を保持する筒状部178と、回転部材177と、回転止め部材179と、などを有する。
小径筒状部172は、液体室160に連通した構造となっている。筒状部178は、小径筒状部172の軸方向に沿って、所定間隔をあけて並んで配置されている。
小径筒状部172及び筒状部178の外周側には、筒形状の回転部材177が配置されている。回転部材177と小径筒状部172は、螺合部177a、172aにより螺合するように構成され、回転部材177と筒状部178は、螺合部177b、178bにより螺合するように構成されている。螺合部177a、172aと、螺合部177b、178bは互いに逆ネジの関係となるように構成されている。
筒状部178の端部には、光ファイバー22が挿入される開口部が形成され、その開口部には、Oリングなどの封止部材176が設けられており、封止部材176は光ファイバー22に対して密着して略固定された状態となっている。
回転部材177と小径筒状部172との間には、一つ又は複数のOリングなどの封止部材175が設けられ、回転部材177と筒状部178との間には、一つ又は複数のOリングなどの封止部材174が設けられており、液体Fの流出を防止している。
図9に示した調整部170では、回転部材177が軸を回転中心として正回転又は逆回転した場合、小径筒状部172と筒状部178とが近づく方向又は離れる方向に移動可能に構成されている。また、本実施形態では、小径筒状部172と筒状部178が軸方向に沿って近づく方向又は離れる方向に移動した場合であっても、回転止め部材179により、小径筒状部172と筒状部178とが軸を回転中心として相対的に回転することを抑制している。
回転止め部材179は、例えば、断面U字形状に形成され、ノズル165側の端部179bと他方の端部179cが連結部179aにより連結された構造となっている。ノズル165側の端部179bは小径筒状部172に固定されている。他方の端部179cに形成された開口部179hに筒状部178が隙間をあけて遊嵌した構造となっており、筒状部178が軸方向に移動自在に端部179cにより保持されている。
筒状部178の外周には溝178uが形成されており、その溝178uが軸方向に延在した構造となっている。この溝178uに、回転止め部材179の端部179cの開口部179hの内周に形成された突起部179tが係合して、筒状部178の軸を回転中心とする回転を抑止するように構成されている。突起部179tは、例えば、止めネジ179nなどの部材を設けることにより、容易に形成することができる。
回転部材177の外周部と、小径筒状部172(又は筒状部178)の外周部の視認できる部分に、小径筒状部172(又は筒状部178)に対する回転部材の177の回転角度を認識できるように目盛りを設けてもよい。
小径筒状部172に対する回転部材の177の回転角度は、小径筒状部172と筒状部178とが近づく方向又は離れる方向への移動距離、つまり、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21の移動距離に対応している。
この目盛りを設けたことにより、回転部材の177の回転角度から、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21の移動距離を定量的に容易に認識することができる。
尚、上記実施形態では、筒状部178の溝178uと、回転止め部材179の突起部179tが係合する凹凸構造となっていたが、この形態に限られるものではなく、回転止め部材179の開口部179hの内周に溝部を設け、筒状部178の外周に突起部を設けた凹凸構造により、筒状部178の回転を抑制してもよい。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、液体Fの液体噴流Jを生成する。この噴流生成装置100は、金属筒部材などの筒状の液体室160と、その液体室160の端部に設けられた開口部であり、液体室160内の液体Fを外部に噴射するノズル165と、液体室160内に液体Fを供給する液体供給路140と、液体室160内にパルスレーザー光PLを照射して、その液体室160内の液体Fを気化させて気泡Gを生成するレーザー光照射部21とを有する。この液体室160の内面は、レーザー光照射部21から出射したパルスレーザー光PLを反射して筒状の液体室160の端部160aに導く鏡面160kを有する。つまり、金属筒部材などの筒状の液体室160は、光導波路(光導管)として機能する。また、噴流生成装置100は、レーザー光強度Iとレーザー光パルス幅Tlを独立に制御するレーザー装置2(レーザー発振器)を有する。
パルスレーザー光PL照射時、パルスレーザー光PLが照射された液体Fを加熱し、液体Fを気化させ、気泡Gが発生する。本実施形態では、液体室160の鏡面160kに反射されパルスレーザー光PLの強度が比較的大きい。このため、気泡Gの気化膨張により、光ファイバー22の先端部から液体Fと気泡Gの境界面FG(気液界面)との間の距離が大きくなった場合であっても、境界面FG(気液界面)に照射されるパルスレーザー光の強度が大きい。つまり、上記距離が大きい場合であっても、境界面FG(気液界面)には、比較的大きな強度の直接光PLAと反射光PLBとが照射されることになる。
このため、上記距離が大きい場合であっても、境界面FG(気液界面)での気化作用が大きい。つまり、パルスレーザー光PLの照射終了時まで、パルスレーザー光PLが強い強度を略保った状態で、境界面FG(気液界面)を追いかけながら、気化作用を生じさせる。気泡Gの上記境界面FG(気液界面)では、比較的大きい強度のパルスレーザー光PL(直接光PLA及び反射光PLB)が照射される。このため、上記距離が大きい場合であっても、液体Fに、気泡Gの膨張圧に起因する力と、気化ジェットKJに起因する力が作用する。すなわち、膨張圧と気化ジェットKJによる反作用力の相乗効果により、上記距離が大きい場合であっても、ノズル165からの液体Fの液体噴流速度V0が大きい。
また、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を調整する調整部170(調整手段)を有する。詳細には、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21を液体室160内の可動範囲で調整自在に構成されている。具体的には、調整手段は、レーザー光照射部21から出射されるパルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tl(又はパルスレーザー光PLのエネルギー)に応じて、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を調整自在に構成されている。また、液体室160の内面は、少なくともパルスレーザー光PLを出射する、レーザー光照射部21の先端部の可変範囲に亘って、鏡面160kが形成されている。
このように、液体室160の内面を鏡面160kにすることで、パルスレーザー光PLを気液界面に一定して連続に到達させることができるので、長時間、安定した気化ジェットKJを噴出させることができる。また、調整部170(調整手段)により、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を任意に設定することが可能となり、生体組織の個体差や部位別(臓器別、臓器の位置など)による弾性差や疾患部位の病理の進行状況などによる弾性差に、最適な噴流強度のパルス液体噴流Jを用いた手術装置(パルスジェットメス)を提供することができる。
また、上述したように、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1に対する条件Aとして、噴流生成装置100は、安全性の観点から高温高圧の膨張ガス(気泡G)がノズル165から噴射しないように、L1>G1の条件を満たし、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21からノズル165までの距離L1に対する条件Bとして、W1=L1−G1を満たすことを要する。W1が長くなると、水の移動に伴う流体抵抗が増大して、液体ジェットのエネルギーを損失するので、W1を5mm〜15mm程度、好ましくは10mm程度などの小さい値とすることが望ましい。
本発明の実施形態では、調整部170(調整手段)は、条件A及び条件Bを満たしながら、距離L1を調整することで、レーザー照射条件としてレーザーエネルギーE0、レーザー光パルス幅Tlを所望の値に設定することができる。
例えば、比較例として、光ファイバー22の先端部の位置が固定されている噴流生成装置では、上述したような、距離L1を調整することができず、レーザー照射条件としてE0、Tlを所望の値に設定することができない。
また、比較例として、パルスレーザー光PLの照射位置近傍のチューブの内面に、光ファイバー22が発する熱に耐え得る高融点で且つ所定の剛性を有する材料からなる補強部材を設けた噴流生成装置では、光導波管構造となっておらず、且つ、距離L1を調整することができず、レーザー照射条件としてE0、Tlを所望の値に設定することができない。
また、比較例として、光ファイバー22を挿入したジェット発生管部を有し、ジェット発生管部は、内部でレーザー照射を行なうため、パルスレーザー光PL及びそれにより誘発される熱に対抗するように、金、白金などの材料により構成された噴流生成装置では、距離L1を調整することができず、レーザー照射条件としてE0、Tlを所望の値に設定することができない。
また、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、筒状の液体室160の内面の鏡面160kが、電解研磨処理、リーマ加工処理、メッキ処理、蒸着処理、研磨剤吹き付け処理、などにより処理された面である。詳細には、例えば、粗面の内面を有する筒状の液体室160に対して、上述した各種処理を施すことにより、液体室160の内面に鏡面160kを容易に形成することができる。
また、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、液体室160の鏡面160kが、レーザー光照射部21により照射されるパルスレーザー光PLに関して、規定値以上の反射率である。この規定値以上の反射率とは、鏡面160kが、レーザー光照射部21から出射したパルスレーザー光PLを反射して筒状の液体室160の端部160a側に導くことが可能な程度の反射率をいう。このように、噴流生成装置100は、規定値以上の反射率の鏡面160kを有する液体室160を備えるので、レーザー光照射部21から出射したパルスレーザー光PLを反射して筒状の液体室160の端部160a側に容易に導くことができる。
また、上述したように、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、筒状の液体室160が円筒部材であることが好ましい。例えば、三角筒形状、四角筒形状、などの多角筒形状の液体室と比較して、円筒部材の液体室160は、パルスレーザー光PLに関して高い伝搬効率を有する。このため、円筒部材の液体室160内の気泡Gが膨張して、光ファイバー22の先端部から液体Fと気体である気泡Gの気体の境界面FGまで比較的大きい距離となった場合であっても、大きい強度のパルスレーザー光PLを境界面FG(気液界面)に照射することができる。
また、上述したように、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100の筒状の液体室160の形成材料としては、ステンレス、チタン、金、白金、銀、銅、アルミニウムなどの金属、又は、セラミックスなどを挙げることができる。この液体室160の形成材料としては、上記材料のいずれか、又は、2種類以上の組み合わせであってもよい。上記材料により液体室160を形成することで、気泡Gの発生時、気泡膨張時、及び、液体噴流時であっても、液体室160内の圧力に対する耐圧性を有する噴流生成装置100を提供することができる。また、液体室160の形成材料として上記材料を用いることで、液体室160の内面に鏡面160kを容易に形成することができる。
また、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、レーザー光照射部21によるパルスレーザー光PLの照射に同期して液体室160内に液体Fを液体供給路140を介して供給する供給部としての送液装置1を有する。この送液装置1は、パルスレーザー光PL照射直前時には、液体室160内を液体Fで満たされた状態とするように液体Fを補給する。詳細には、パルスレーザー光PL照射による気泡G発生後、パルスレーザー光PLのレーザー光強度Iがゼロとなった場合、気泡Gは収縮して消滅する。パルスレーザーPL光非照射時に、送液装置1から液体Fを補給する。本発明の実施形態では、液体室160の端部160aと光ファイバー22の先端との間の距離SDを比較的長くし、1パルス分の水の量を十分に確保しているので、液体噴流パルス幅Tjを大きくすることができる。また、例えば、パルスレーザー光PL非照射時にのみ、送液装置1から液体Fを1パルス分の液体Fの量を供給することで、パルス状の液体噴流Jをノズル165から安定して噴出させることができる。また、ノズル165から液体Fが筒状の液体室160内に逆流する場合には、送液装置1は、その逆流した量に応じて、液体Fの流量制御を行うことが好ましい。尚、供給部(送液装置1)は、例えば、少量(例えば0.2cc/s=0.2ml/s)の液体Fを筒状の液体室160内へ常時供給してもよい。パルスレーザー光PL照射直前時に、液体室160内を液体Fで満たされた状態となっていればよい。
また、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100では、パルスレーザー光PLをレーザー装置2から液体室160内に誘導する手段が光ファイバー22である。光ファイバー22を用いることで、レーザー装置2から射出されたパルスレーザー光PLを液体室160内に高効率に誘導することができる。また、噴流生成装置100を手術用器具に適用した場合、柔軟性を有する光ファイバー22を用いることで、Yコネクター120の操作性が良好である。
また、上述したように、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、レーザー光照射部21によるパルスレーザー光PLのレーザーエネルギー、パルス幅及びパルス繰り返し周波数の少なくとも1つを変化させ、液体噴流Jの量、流速及び繰り返し周波数の少なくとも1つを可変制御する制御部としての制御装置4を有する。このため、制御装置4により、レーザー装置2から射出するパルスレーザー光PLのレーザーエネルギー、レーザー光パルス幅Tl及びパルス繰り返し周波数の少なくとも1つを変化させる制御を行うことで、ノズル165からの液体噴流Jに関し、所望の液体噴流Jの量、流速及び繰り返し周波数とすることができる。
また、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100で用いられる液体Fとしては、水、生理食塩水、電解質輸液、などを挙げることができる。この場合、パルスレーザー光PLとしてホルミウムヤグレーザー(波長2.1μm)を生成するレーザー発振器(レーザー装置2)を用いることで、その波長のパルスレーザー光PLが、水、生理食塩水、電解質輸液などの液体Fに吸収されやすい。また、噴流生成装置100を手術用器具として使用する場合には、上記液体Fを用いることが好ましい。尚、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100で用いられる液体Fは、水、生理食塩水、電解質輸液などに限られるものではなく、噴流生成装置100の用途に応じて、所望の液体Fを採用することができる。
また、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100を手術用器具として採用した場合、ノズル165からの液体噴流Jを用いて生体内の結石や硬組織の切開及び/又は破砕を行ってもよい。噴流生成装置100は、比較的硬質の結石や硬組織の切開及び/又は破砕などの手術の際、比較的大きな速度の液体噴流Jを噴出可能であり、必要に応じて最適な液体噴流Jの量、流速及び繰り返し周波数などに設定することができる。このため、噴流生成装置100を用いることで、生体内の結石や硬組織の切開及び/又は破砕などの手術を高効率で行うことができる。
また、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100を手術用器具として採用した場合、ノズル165からの液体噴流Jにより生体組織の切開及び/又は破砕を行ってもよい。噴流生成装置100は、比較的柔軟な生体組織の切開及び/又は破砕などの手術の際、必要に応じて最適な液体噴流Jの量、流速及び繰り返し周波数などに設定することができる。このため、噴流生成装置100を用いることで、生体組織の切開及び/又は破砕などの手術を高効率で行うことができる。
また、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100を手術用器具として採用した場合、ノズル165からの液体噴流Jを用いて血管内に塞栓した血栓を破砕するなどの手術を行ってもよい。その場合、血管よりも小さい直径の筒状の液体室160(金属細管)を用いることで、その金属細管を血管内に挿入して、その手術に最適な液体噴流Jの量、流速及び繰り返し周波数などに設定することで、血管内に塞栓した血栓などの手術を容易に行うことができる。
また、本発明によれば、噴流生成装置を手術装置として用いた場合、液体噴流Jを間欠的に生成することにより、生体内での圧力波の伝播範囲を限局することができ、遠位の部位への圧力損傷を防止することができ、安全性が高まる。
また、本発明によれば、液体噴流を手術装置として用いた場合、生体組織の弾性差を利用した液体噴流Jによる切開効果と破砕効果の差別化を微細なレベルでコントロールして破砕領域と温存領域を微細にコントロールすることができ、術者の技量に依存しない、複雑形状の切開、破砕及び/又は温存などを行うことができる。
また、液体噴流Jを生成する噴流生成装置の噴流生成方法は、上記噴流生成装置100が調整部170(調整手段)などを備え、レーザー光照射部21によるパルスレーザー光PLの照射前又は照射時に、調整部170(調整手段)によりノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を調整する。このため、パルスレーザー光PLの照射前又は照射時に、調整部170により上記距離L1を調整することで、条件A及び条件Bを満たしながら、所望の噴流速度、所望のパルス幅、所望の噴流エネルギーの噴流を容易に生成することができる。
<本発明の一実施形態に係る噴流生成装置100C>
図13は本発明の一実施形態に係る噴流生成装置100Cの一例を示す全体構成図である。図14は噴流生成装置の動作の一例を示す図である。詳細には、図14(a)はパルスレーザー光PLのエネルギー(レーザーエネルギー;レーザー光強度とレーザー光パルス幅の積)が最大時のファイバー駆動装置を有しない比較例の噴流生成装置の一例を示す部分拡大図である。図14(b)はレーザーエネルギーが小さい時のファイバー駆動装置を有しない比較例の噴流生成装置の一例を示す部分拡大図である。
図14(c)はレーザーエネルギー最大時のファイバー駆動装置を有する本発明の一実施形態に係る噴流生成装置100Cの一例を示す部分拡大図である。図14(d)はレーザーエネルギーが小さい時のファイバー駆動装置を有する本発明の一実施形態に係る噴流生成装置100Cの一例を示す部分拡大図である。
尚、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。また、図13には吸引装置を図示していないが、噴流生成装置100Cは、吸引装置を有してもよいし、それのない態様であってもよい。
レーザー誘発型の液体の噴流生成装置100Cは、閉空間に液体Fを満たし、その内部にパルスレーザー光PLを導光して照射し、液体Fの加熱、気化及び膨張により、内圧を発生させ、閉空間の一端に設置された開口から液体噴流Jを発生させる。レーザー照射条件(レーザー光強度、パルス幅、エネルギー=(レーザー光強度×パルス幅)、周波数)により、気化ガス(気泡G)の体積増減速度及び/又は最大体積は変化し、噴流初速及び/又は噴流容量が可変可能となる。
液体噴流Jを用いた手術において、破砕組織と温存組織の選択は組織間の微細な物性値の差によって決定される。よって、液体噴流Jを用いた精密手術において、噴流初速や噴流容量などのパラメータを精密に制御する必要がある。
比較例として、例えば、フラッシュランプ励起固体レーザーにおいては、エネルギーとパルス幅の関係はフラッシュランプの放電に依存して一義的に決定される。
本発明の一実施形態に係る噴流生成装置100Cのレーザー装置2として用いられる、半導体レーザー励起固体レーザーは、励起用半導体レーザーのパワー(レーザー光強度)とパルス幅を電気的に独立制御可能であり、それにより励起を受けた固体レーザーもパワー(レーザー光強度)とパルス幅を独立に制御可能である。
液体室160としての膨張室は細管で構成され、パルスレーザー光PL照射により発生する気化ガスは細管内で光ファイバー出射点(レーザー光照射部21)を起点として噴射ノズル165側へ膨張する。手術において気化ガスの噴出は高温高圧であるので危険であり、噴射ノズル側気液界面(境界面FG)は液体室160(細管)内に確実に留まる必要がある。
よって、レーザーエネルギーの最大値に対応する膨張体積(最大膨張体積に対応した細管内気化ガス長G1)を想定して、液体室160(細管)内の残留液体長W1と光ファイバー出射端位置(レーザー光照射部21)との間の距離L1を決定して固定する必要がある(図14(a)参照)。尚、図14(a)に示した例では、光ファイバー22は、液体室160に挿入された状態で、液体室160の端部1601(後端部)に配置されたOリングなどの封止部材169、固定部材168により固定されている。
例えば、比較例として図14(b)に示したように、この条件下でレーザーエネルギーを絞る(小さくする)とノズル165側気液界面(境界面FG)とレーザー光照射部21との間の距離GAはG1よりも小さくなり、ノズル165とノズル165側気液界面(境界面FG)との間の距離Wは、上記W1よりも大きくなる。液体室160(細管)内で液体Fを押し出す際には流体抵抗が生ずる。
流体抵抗は細管内面積に比例するが、細管内面積は細管径に反比例するので液体室160(細管)における流体抵抗は大きくなる。よって、レーザーエネルギーの可変に対応して効率良く噴流を生成するためには、レーザーエネルギーによらず、W=W1を維持する必要がある。そのため、本発明の一実施形態に係る噴流生成装置100Cは、光ファイバー22の出射点(レーザー光照射部21)をレーザーエネルギーに応じて移動させる(図14(c)、図14(d)参照)。
本発明の一実施形態に係る噴流生成装置100Cは、レーザー光照射部21から出射されるレーザー光強度Iとレーザー光パルス幅Tlのいずれか一方、又は両方に応じて、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を調整する調整手段を備える。
本実施形態の調整手段は、レーザー光照射部21から出射されるレーザー光強度Iとレーザー光パルス幅Tlのいずれか一方、又は両方に応じて、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を自動で調整する。
また、図13に示したように、本実施形態では、噴流生成装置100Cは、レーザー光強度Iとレーザー光パルス幅Tlの設定値を設定する設定部45と、設定値に応じて、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を規定するテーブル47を記憶する記憶部46と、などを有する。調整手段は、設定部45により設定された設定値とテーブル47に基づいて決定された距離となるように、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を自動で調整する。
例えば、設定部45は、操作ボタンやタッチパネルなどの操作入力装置などにより構成され、オペレータの操作に応じてレーザー光強度Iとレーザー光パルス幅Tlが設定される。
記憶部46のテーブル47は、例えば、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1と、レーザー光強度Iの設定値とレーザー光パルス幅Tlの設定値、又はレーザーエネルギー(の設定値を予め関連付けて記憶している。ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1は、レーザーエネルギーに比例する気化ガス量(膨張体積)に対応する細管内気化ガス長である。
また、記憶部46のテーブル47は、例えば、レーザーエネルギーの設定値と、レーザーエネルギーに対応する液体噴流Jの量とを予め関連付けて記憶している。
上記制御装置4、設定部45、及び記憶部46はコンピューターで実現されてもよい。また、調整手段は、例えば、モータやファイバー駆動装置170cと、制御装置4の自動制御部41(制御プログラム)などで実現されてもよい。
つまり、噴流生成装置100Cは、制御装置4を有し、制御装置4は、術者などにより設定されるレーザー照射条件に応じて、レーザー発振するレーザー装置2のレーザー発振の自動制御を行うとともに、光ファイバー22を移動させることによりノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を調整手段により自動で調整する。また、制御装置4は、上記レーザー照射条件に応じて、液体を供給する送液装置1(送液ポンプ)を自動制御する。
具体的には、図13に示した制御装置4の読出部40は、記憶部46のテーブル47を参照して、設定部45により設定されたパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅の設定値、又はレーザーエネルギーの設定値に対応する、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離を示す情報を記憶部46から読み出す。
制御装置4の自動制御部41は、設定部45により設定された設定値に応じたレーザー出力制御信号をレーザー装置2に出力する処理を行う。また、制御装置4の自動制御部41は、設定部45により設定された設定値に応じたファイバー駆動制御信号をファイバー駆動装置170cに出力する処理を行う。また、制御装置4の自動制御部41は、設定部45により設定された設定値に応じた送液制御信号を送液装置1に出力する処理を行う。詳細には、自動制御部41は、読出部40により記憶部46から読み出された、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を示す情報を含むファイバー駆動制御信号をファイバー駆動装置170cに出力する処理を行う。ファイバー駆動装置170cは、ファイバー駆動制御信号に基づいて、設定値とテーブルに基づいて決定された距離となるように、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離を自動で調整する。
本実施形態のファイバー駆動装置170cは、図14(c)、図14(d)に示したように、液体室160の端部1602(後端部)に、Oリングなどの封止部材1709、固定部材1603により固定されている。液体室160の端部1602と固定部材1603は、螺合部1602a、1603aにより螺合するように構成されている。
ファイバー駆動装置170cには、モータ1702が設けられている。モータ1702としては、DCモータ、ACモータなど各種モータを採用することができる。
モータ1702の固定子であるモータフランジ1701の先端部に設けられた突起部1701aは固定部材1603に係合し、内部に貫通した光ファイバー22を摺動自在に支持した構造となっている。
モータ1702の回転子1703は、モータフランジ1701から後方に向けて延出した筒形状部を有し、筒形状部の内部に、軸方向に沿って移動自在な可動部材1704、可動部材1705を収容している。光ファイバー22の周囲に配置された筒状形状の可動部材1704、可動部材1705は、内部にOリングなどの封止部材1708を収容した状態で、螺合部1704b、1705aにより螺合されており、光ファイバー22を支持、固定している。
また、筒状形状の可動部材1704は、モータフランジ1701から後方に延出したガイド部1701bが貫通する孔部を有し、ガイド部1701bに沿って移動自在に構成されている。また、可動部材1704とモータ1702の回転子1703は、螺合部1704a、1703aにより螺合した構造となっている。
詳細には、図14(c)、図14(d)に示したように、モータ1702の回転子1703が回転することにより、筒状形状の可動部材1704、可動部材1705により支持された光ファイバー22が軸方向に移動自在に構成されている。
つまり、ファイバー駆動装置170cは、モータ1702の回転子1703を回転させることにより、ノズル165と、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21との間の距離L1を調整可能に構成されている。
図15は噴流生成装置100Cの動作の一例を示す図である。詳細には、図15(a)はレーザー光強度Iの一例を示す図、図15(b)は液体送出量の一例を示す図、図15(c)は光ファイバーの位置の一例を示す図、図15(d)は液体噴流初速度の一例を示す図である。上記図面、図15などを参照しながら、噴流生成装置100Cの動作の一例を説明する。
本実施形態では、先ず、レーザー発振条件として、レーザー光強度I(パワー)を小(Ia)且つレーザー光パルス幅Tlを小(Tla)に設定された場合を説明する。
オペレータにより設定部45で設定されたレーザー発振条件に応じて、制御装置4はレーザー装置2、送液装置1(送液ポンプ)、ファイバー駆動装置170cを制御する処理を行う。
詳細には、ステップST1において、制御装置4の読出部40は、設定部45により設定されたレーザーエネルギーに応じて、記憶部46に記憶されているテーブル47からレーザーエネルギーに対応する、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離を示す情報を記憶部46から読み出す。自動制御部41は、読出部40により記憶部46から読み出された、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を示す情報を含むファイバー駆動制御信号をファイバー駆動装置170cに出力する処理を行う。ファイバー駆動装置170cは、ファイバー駆動制御信号により、設定値とテーブルに基づいて決定された距離となるように、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離を自動で調整する。詳細には、制御装置4は、レーザーエネルギーに対応する位置に、光ファイバー出射端(レーザー光照射部21)をファイバー駆動装置170cにより移動して固定する処理を行う。つまり、レーザー光照射部21をノズル165から距離Laの位置に設定する。
ステップST2において、制御装置4は、設定されたレーザーエネルギーに応じて、送液装置1(送液ポンプ)により、液体室160(膨張室)に液体Fを送り、液体室160を液体で満たす処理を行う。
ステップST3において、制御装置4は、設定されたレーザーエネルギーに応じて、レーザー装置2によりレーザー光を照射する処理を行う。
ステップST4において、液体噴流Jがノズル165より出射される。詳細には、液体噴流初速度がVaで、レーザーパルス幅(Tla)に対応した所定時間だけ出射される。
ステップST5において、制御装置4は、ファイバー駆動装置170cにより、設定された次発レーザーエネルギー(レーザー光強度(パワー)小(Ia)×レーザー光パルス幅大(Tlb))に対応する位置に光ファイバー出射端(レーザー光照射部21)をファイバー駆動装置170cにより移動して固定する処理を行う。詳細には、レーザー光照射部21をノズル165から距離Lbの位置に設定する。
ステップST6において、制御装置4は、前射出噴流量及びファイバー移動に伴う容積変化量を算出し、送液装置1(送液ポンプ)により、液体室160(膨張室)に適量の液体を送り、液体室160を液体で満たす処理を行う。
ステップST7において、制御装置4は、設定されたレーザーエネルギーに応じて、レーザー装置2によりレーザー光を照射する処理を行う。
ステップST8において、液体噴流Jがノズル165より出射される。詳細には、液体噴流初速度がVaで、レーザーパルス幅(Tlb)に対応した所定時間だけ出射される。
以下、ステップST5〜ST8の動作を、図15に示したように、設定されたレーザー光強度(パワー)とレーザー光パルス幅、詳細には、レーザー光強度Iが大(Ib)且つレーザー光パルス幅Tlが小(Tla)の場合、レーザー光強度Iが大(Ib)且つレーザー光パルス幅Tlが大(Tlb)の場合について、設定された周波数で繰り返す。
以上、説明したように、噴流生成装置100Cは、一つ以上のノズル165を有する閉領域(膨張室)内に、特定の波長に対して光吸収性の高い液体を密閉し、特定波長のパルスレーザー光PLを照射することにより、液体Fがレーザーエネルギーを吸収して加熱、気化及び膨張する過程で生ずる圧力によりノズル165から液体Fを噴出する。この噴流生成装置100Cにおいて、液体室160(膨張室)に液体Fを送る送液装置1(送液ポンプ)、膨張室内に配置された光ファイバー22へ特定波長のパルスレーザー光PLを送出するレーザー装置2(レーザー発振器)、膨張室内に配置された光ファイバー出射端位置を移動させるファイバー駆動装置170c及びそれら装置を同期制御する制御装置4を有する。
また、噴流生成装置100Cにおいて、制御装置4は、設定部45で設定されたレーザー発振条件(パワー(レーザー光強度)、パルス幅、エネルギー、周波数)を示す設定値に基づいて、パルスレーザー光PLを発振するようにレーザー装置2を自動制御する。こうすることで、レーザー装置2は、簡単に設定値(レーザーエネルギー)に応じたパルスレーザー光PLを出射することができる。詳細には、気化ガスが液体室160(細管)から外に噴出することなく、気化ガスが液体室160(細管)内に確実に留まり、レーザーエネルギーの可変に応じて高効率で液体をノズル165から出射する噴流生成装置100Cを提供することができる。
また、本発明の一実施形態の噴流生成装置100Cの噴流生成方法によれば、制御装置4がレーザー光照射部21によるパルスレーザー光PLの照射前又は照射時に、調整手段170によりノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を調整するので、簡単に、気化ガスが液体室160(細管)から外に噴出することなく、気化ガスが液体室160(細管)内に確実に留まり、レーザーエネルギーの可変に応じて高効率で液体Fをノズル165から出射する噴流生成装置の噴流生成方法を提供することができる。また、調整手段によりノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を自動で調整することができる。
また、噴流生成装置100Cにおいて、制御装置4は、レーザーエネルギーに比例する液体噴流量に対応する量の液体Fをレーザー照射のタイミングに同期して液体室160(膨張室)へ送るように送液装置1(送液ポンプ)を制御する。こうすることで、液体噴流量に対応する量の液体Fを液体室160に送ることができ、液体室160を液体Fで満たした状態とすることができる。
また、噴流生成装置100Cにおいて、制御装置4はレーザーエネルギーに比例する気化ガス量(膨張体積)に対応した位置に光ファイバー出射端(レーザー光照射部21)を移動させるようにファイバー駆動装置170cを制御する。このように、レーザーエネルギーに比例する気化ガス量(膨張体積)に対応した位置にレーザー光照射部21を容易に位置させることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成などに特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
調整部170(調整手段)は、上述した構造に限られるものではない。また、回転止め部材179は、上述した構造に限られるものではない。それぞれの機能を備えた構造であればよい。
調整部170(調整手段)は、手動により、ノズル165とレーザー光照射部21までの間の距離を調整するように構成されていてもよい。
本実施形態の噴流生成装置100は、筒状の液体室160(金属管)の端部160aに開口した一つ孔のノズル165を備えていたが、この形態に限られるものではない。例えば、ノズル165は、液体室160の端部近傍、液体室160の軸方向中央部、液体室160の軸方向中央部近傍、などに設けられていてもよい。また、ノズル165は、単数孔であってもよいし、複数孔であってもよい。
また、噴流生成装置100は、筒状の液体室160内に発生した気泡Gによって、液体Fがノズル方向に流れ、流体の供給方向には逆流しないように構成されていることが好ましい。詳細には、筒状の液体室160の内径Pz、光ファイバー22の直径Az、筒状の液体室160内の光ファイバー22の長さAL(光ファイバー挿入長)により規定される流動抵抗が、噴射ノズルパラメータ(ノズル165の直径Nz、直径Nzのノズル165の軸方向長さNL)で規定される流動抵抗よりも十分大きくなるように、噴流生成装置100を構成する。こうすることで、光ファイバー22側への液体Fの押し戻し(逆流)を極めて小さくすることができる。
1…送液装置
2…レーザー装置(レーザー発振器)
3…吸引装置
4…制御装置(制御部)
40…読出部
41…自動制御部(調整手段)
100…噴流生成装置
100C…噴流生成装置
120…Yコネクター(把持部材)
140…液体供給路
160…液体室(膨張室、細管)
165…ノズル
170…調整部(調整手段)
170c…ファイバー駆動装置(調整手段)
171大径筒状部(光ファイバー保持部材)
177…回転部材
178…筒状部(光ファイバー保持部材)
179…回転止め部材
180…吸引用流路

Claims (6)

  1. 液体噴流を生成する噴流生成装置であって、
    筒状の液体室と、
    前記液体室の端部の開口から該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、
    前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、
    前記液体室内にパルスレーザー光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザー光照射部と、
    前記パルスレーザー光を発生するレーザー発振器とを備え、
    該レーザー発振器は、レーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御するものであって、
    前記液体室の内面は、前記レーザー光照射部から出射したパルスレーザー光を反射して前記端部に導く鏡面を有し、
    前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方、又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を調整する調整手段を備えることを特徴とする
    噴流生成装置。
  2. 前記調整手段は、前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方、又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を自動で調整することを特徴とする請求項1に記載の噴流生成装置。
  3. 前記パルスレーザー光強度と前記レーザー光パルス幅の設定値を設定する設定部と、
    前記設定値に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を規定するテーブルを記憶する記憶部と、を有し、
    前記調整手段は、前記設定値と前記テーブルに基づいて決定された距離となるように、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を自動で調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の噴流生成装置。
  4. 前記鏡面は、少なくとも、電解研磨処理、リーマ加工処理、メッキ処理、蒸着処理、研磨剤吹き付け処理のいずれかによって処理された面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の噴流生成装置。
  5. 液体噴流を生成する噴流生成装置の噴流生成方法であって、
    噴流生成装置は、筒状の液体室と、
    前記液体室の端部を開口して該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、
    前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、
    前記液体室内にパルスレーザー光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザー光照射部と、
    前記パルスレーザー光を発生するレーザー発振器とを備え、
    該レーザー発振器は、レーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御するものであって、
    前記液体室の内面は、前記レーザー光照射部から出射したパルスレーザー光を反射して前記端部に導く鏡面を有し、
    前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方、又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部までの間の距離を調整する調整手段を備え、
    前記レーザー光照射部による前記パルスレーザー光の照射前又は照射時に、前記調整手段により前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を調整することを特徴とする
    噴流生成装置の噴流生成方法。
  6. 前記調整手段は、前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方、又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を自動で調整することを特徴とする請求項5に記載の噴流生成装置の噴流生成方法。
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