JPWO2017033998A1 - 噴流生成装置、及び噴流生成装置の噴流生成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
医療現場では、複雑に絡み合う生体組織の任意の部位や疾患部分のみを簡単に切り分けることができる手術用器具の開発が期待されており、液体噴流を用いたジェットメスは、生体組織の弾性特性の差異を利用して生体組織の破砕と温存を仕分けることが特徴として考えられ、手術用器具として非常に期待されている。
例えば、図10(a)に示した噴流生成装置100Bでは、筒状の液体室B160の内面に粗面B160rが形成されている。光ファイバー22の先端部のレーザー光照射部21から液体室B160内の液体Fにパルスレーザー光を照射した場合、その先端部の近傍領域の液体Fが加熱され、図10(b)に示したように、その先端部の近傍領域で気泡Gが発生し、液体FがノズルB165から押し出される。更に、パルスレーザー光の照射を続けた場合、図10(c)に示したように、気泡Gが膨張し、それに伴いノズルB165から液体Fが噴射される。光ファイバー22の先端部のレーザー光照射部21から出射した光のうち、液体室B160の内面の粗面B160rに照射された光は、粗面B160rで散乱及び吸収されやすい。気泡Gの境界面FGに到達するパルスレーザー光のエネルギーは小さい。
つまり、内面に粗面が形成されている細管を液体室B160として用いた場合、光のエネルギーの損失により、最大20mm程度の長さの膨張ガス(気泡G)が発生し、液体室B160の端部160aに形成された開口形状のノズル165(B165)から液体Fが噴射される。
しかしながら、パルスレーザー光のパルス幅やレーザーエネルギーを増大させたとしても、膨張ガス(気泡G)の長さG1の最大値は僅かに大きくなる程度である。詳細には、光ファイバー22の先端部から出射した光が液体室B160の内面の粗面で散乱及び吸収されやすいので、粗面による反射光の強度が小さい。光ファイバー22の先端部から液体Fと気体である気泡Gの境界面FGに到達する光のエネルギーは、光ファイバーの先端部と境界面FG間の距離が大きいほど、小さくなる。
液体Fのパルスレーザー光吸収による気化膨張により液体噴流が生成されるが、注入するレーザーエネルギーの上昇、パルス幅の伸張により、膨張気体(気泡G)の容積は増大し、液体室B160が細径円筒状などである場合、光ファイバー22の先端部と境界面FG(気液界面)の距離が増大し、注入されたパルスレーザー光は効率良く液体Fに吸収できなくなる。すなわち、気液界面と光ファイバー22の先端部の間の距離が短い状態(気液界面と光ファイバー22の先端部が接近した状態)では、注入されたパルスレーザー光は直接、気液界面に照射され吸収されるが、気液界面と光ファイバー22の先端部の間の距離の増大と共に、光ファイバー22の先端部から出射されたパルスレーザー光は液体室B160の内面に照射され散乱及び吸収を受けて減衰する。液体Fの気化に作用する光エネルギー量が低下するため、噴流強度が低下する。
上記条件A及び条件Bを満たしながら、レーザー照射条件としてレーザーエネルギーE0、パルス幅Tlを可変とするためには、距離L1を可変とすることを要する。
また、一般的なパルスジェットメス(手術用器具)では、疾患部分の破砕を行うために、同じ切断能力で短時間のメスとして数回に分けて実施するしかなかった。
このため、温存させる生体組織へのダメージを低減することができる手術用器具が望まれている。詳細には、噴流の速度(初速)だけでなく、噴流の持続時間を調整して噴流の破砕力を微細に制御可能な手術用器具が望まれている。
液体噴流を生成する噴流生成装置であって、
筒状の液体室と、
前記液体室の端部の開口から該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、
前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、
前記液体室内にパルスレーザー光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザー光照射部と、
前記パルスレーザー光を発生するレーザー発振器とを備え、
該レーザー発振器は、レーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御するものであって、
前記液体室の内面は、前記レーザー光照射部から出射したパルスレーザー光を反射して前記端部に導く鏡面を有し、
前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を調整する調整手段を備えることを特徴とする。
液体噴流を生成する噴流生成装置の噴流生成方法であって、
噴流生成装置は、筒状の液体室と、
前記液体室の端部を開口して該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、
前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、
前記液体室内にパルスレーザー光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザー光照射部と、
前記パルスレーザー光を発生するレーザー発振器とを備え、
該レーザー発振器は、レーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御するものであって、
前記液体室の内面は、前記レーザー光照射部から出射したパルスレーザー光を反射して前記端部に導く鏡面を有し、
前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方、又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を調整する調整手段を備え、
前記レーザー光照射部による前記パルスレーザー光の照射前又は照射時に、前記調整手段により前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を調整することを特徴とする。
また、本発明によれば、簡単な構成で、高効率で液体噴流を生成する噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、簡単な構成で、液体噴流の流速やエネルギーを可変とすることができる噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、簡単な構成で、噴流時間を容易に調整可能な噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、簡単な構成で、レーザー発振器(レーザ装置)のレーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御し、レーザーエネルギーを可変とし、液体室から気化ガスを噴出させることなく、高効率で大きい速度の噴流を生成する噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、噴流生成装置を手術装置として用いた場合、液体噴流を間欠的に生成することにより、生体内での圧力波の伝播範囲を限局することができ、安全性が高まる。
また、本発明によれば、噴流生成装置を手術装置として用いた場合、生体組織の弾性差を利用した液体噴流による切開効果と破砕効果の差別化を微細なレベルでコントロールして破砕領域と温存領域を微細に区別して手術を行うことができ、術者の技量に依存せずに複雑形状の切開、破砕及び温存などを選択的に行うことができる噴流生成装置を提供することができる。
また、本発明によれば、噴流生成装置の噴流生成方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る噴流生成装置は、液体室(膨張室)内の液体をパルスレーザー光で加熱して、気化及び膨張を誘発し、気化膨張圧力を利用して間欠液体噴流(パルスジェット)を生成する。
断面積S、長さL、密度ρ、速度V0で射出されたパルスジェットが生体組織に衝突する際に作用する撃力F0は液体の形状変形による効果を無視すると、単位時間に衝突する液体の運動量の変化量に等しい(数式(1)参照)。
よって、切開効果及び破砕効果を微細に制御するためには作用する力と時間を制御すればよく、詳細には、初速と作用時間を独立に制御するとよい。切開効果及び破砕効果を微細に制御するためには独立した2個のパラメータで制御することが有利である。
V0(初速)とT0(ジェットの持続時間)を独立に制御するためには加熱源となるパルスレーザー光の出力P0とパルスレーザー光パルス幅Tlを制御すれば良い。
しかしながら、液体室(膨張室)の形態によって、パルスレーザー光の液体への伝達効率が変化する場合、V0、T0/P0、Tlがリニアに作用しない。伝達効率が変化する要因は光ファイバーから出射されたパルスレーザー光が液体に達する前に膨張室内面で吸収されることによる。
また、P0或いはTlが大きくなった場合、膨張した高温の気化ガスがノズルから射出する危険があるため、膨張室体積を拡大する目的で光ファイバーのパルスレーザー光の出射部分をノズルから遠ざける必要がある。
本発明の実施形態に係る噴流生成装置は、P0、Tlを可変して、V0、T0を可変し、微細に切開効果及び破砕効果を制御するために、光ファイバーのパルスレーザー光の出射部分とノズルとの間隔を可変にし、更に液体室(膨張室)内面でのパルスレーザー光吸収を抑制するために内面に反射構造を有する。
本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。尚、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
また、制御装置4(制御部)は、調整部170(調整手段)を制御することにより、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整する処理を行う。例えば、調整部170はモータなどの駆動装置を備え、制御装置4は調整部170の駆動装置を駆動することにより、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整する処理を行うように構成されていてもよい。この場合、制御装置4(制御部)は、レーザー光照射部21から出射されるパルスレーザー光のパルス幅、レーザーエネルギー、パルス繰り返し周波数などに応じて、調整部170によりレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整する処理を行う。この制御装置4は、記憶部に記憶された設定情報に基づいて、上記処理を行ってもよい。また、ノズルから出力される液体噴流の流速やエネルギーなどを検出する検出部を設け、制御装置4は検出部からの検出信号に基づいて、上記調整部170に関する制御を行ってもよい。
図3は本発明の実施形態に係る噴流生成装置100の動作の一例を示す図である。図3(a)はパルスレーザー光PL照射前、図3(b)はパルスレーザー光PL照射初期時(気泡G発生初期時)、図3(c)はパルスレーザー光PL照射且つ気泡G膨張時、図3(d)はパルスレーザー光PL非照射時の状態をそれぞれ示す図である。図4は噴流生成装置100によるパルスレーザー光強度と流体噴流初速度の一例を示す図である。詳細には、図4(a)はパルスレーザー光強度と流体噴流初速度の一例を示す図、図4(b)はレーザー光強度と液体噴流の時間変化の一例を示す図である。図4(a)において、縦軸にパルスレーザー光PLのレーザー光強度Iを示し、横軸に時間Tを示す。図4(b)において、縦軸に液体噴流速度(液体噴流初速度)V0を示す。
また、液体室160の内面を鏡面160kにすることで、任意のパルスレーザー光PLを気液界面に一定して連続に到達させることができるので、安定した任意の気化ジェットKJを連続して噴出させることができる。
また、液体室160の内面を鏡面160kにすることで、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1が大きい場合であっても、長時間大きな強度の液体噴流Jを噴流することができる。
詳細には、図7(a)には最小ガス膨張に最適化された光ファイバー22の先端部の位置を示している。図7(a)において、W1は、最小ガス膨張時、光ファイバー出射端(レーザー光照射部21)とノズル165との間の距離L1aから、膨張ガス(気泡G)の長さG1aを差し引いた値となるように規定されている。
図7(b)には最大ガス膨張に最適化された光ファイバー22の先端部の位置を示している。図7(b)において、W1は、最大ガス膨張時、光ファイバー出射端(レーザー光照射部21)とノズル165との間の距離L1bから、膨張ガス(気泡G)の長さG1bを差し引いた値となるように規定されている。
図6、図7に示した例では、調整部170は、小径筒状部172と、光ファイバー保持部材としての大径筒状部171と、などを有する。小径筒状部172は、液体室160に連通した構造となっている。小径筒状部172の外周側には大径筒状部171が配置されている。この小径筒状部172と大径筒状部171は、例えば、螺合部172a、171aにより螺合するように構成されている。
大径筒状部171の端部には、光ファイバー22が挿入される開口部が形成され、その開口部には、Oリングなどの封止部材176が設けられており、液体Fの流出を防止している。本実施形態では、その開口部に溝部が形成されており、溝部に封止部材176が配置されている。この封止部材176は光ファイバー22に対して密着して略固定された状態となっている。
小径筒状部172と大径筒状部171との間には、Oリングなどの封止部材175が設けられており、液体Fの流出を防止している。本実施形態では、大径筒状部171の内周面に溝部が形成されており、その溝部に封止部材175が配置されている。小径筒状部172と大径筒状部171とが軸方向に相対的に移動する場合、Oリングなどの封止部材175は、小径筒状部172の外周面を摺動するように構成されている。尚、小径筒状部172の端部に溝部を設け、その溝部にOリングなどの封止部材175を設けた構造であってもよい。
本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、調整部170(調整手段)が、上記条件A及び条件Bを満たしながら、レーザー照射条件としてレーザーエネルギーE0、レーザー光パルス幅Tlを可変とするように、L1を調整することができる。
尚、W1を考慮すると、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1の可変範囲は、最大ガス膨張に対して最適化されたノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1bと、W1とG1の最小値G1aを除いた範囲であることが好ましい。つまり、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1の可変範囲は、L1b―L1aの範囲である。
尚、比較例として、図7(c)に示したように、最小ガス膨張に対して、光ファイバー22の先端部の位置が最適化されていない場合、管内に残る液体の長さW1cが、適正な長さであるW1に対して長く、液体Fがノズル165から噴射する際の抵抗が大きい。
詳細には、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、液体室160の内面に鏡面160kが形成され、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整する調整部170を備えている。このため、レーザー光照射部21からレーザー光パルス幅Tlの大きいパルスレーザー光PLを出射するように設定し、且つ、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を長く設定した場合であっても、液体室160の内面での光吸収が非常に小さいので、パルスレーザー光PLを液体室160の鏡面160kで反射させて、筒状の液体室160の端部160aに形成されたノズル165側に導くことができ、気泡Gを大きく膨張させることで、液体噴流Jの持続時間を比較的長くすることができる。
つまり、本発明の実施形態に係る噴流生成装置100は、液体室160の内面を鏡面160kとし、レーザー光照射部21から出射するパルスレーザー光PLのレーザー光パルス幅Tlに応じて、調整部170によりレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を可変とすることで、ノズル165から出射する液体噴流Jの持続時間の長短を制御することができる。
詳細には、このような液体噴流Jを用いた手術用器具(パルスジェットメス)は、生体組織の弾性特性の差異を利用して、生体組織の破砕と温存を仕分ける。
具体的には、ノズルの断面積(液体噴流の断面積)を一定とした場合、液体噴流速度V0(初速)は液体噴流Jの力に比例する。よって、液体噴流速度V0(初速)と液体噴流Jの持続時間の積は力積に比例する。このため、液体噴流Jの破砕力(撃力)は液体噴流速度V0(初速)と持続時間の積に比例する。
パルスジェットメスにおける液体噴流Jによる生体組織への破砕力を微細に制御して、生体組織の破砕と温存の境界条件を探すためには、液体噴流速度V0(初速)と液体噴流Jの持続時間とを可変制御することが非常に重要である。本発明に係る噴流生成装置100は、上述したように、液体室160の内面に鏡面160kを有し、レーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を調整する調整部170を備え、上記距離L1の調整とパルスレーザー光PLのレーザー光強度I及びレーザー光パルス幅Tlの調整により、液体噴流速度V0(初速)と持続時間とを独立に制御可能であり、パルスジェットメスなどに非常に有用である。
血栓などの破砕手術では、レーザー光照射部21から短時間、小さい強度のパルスレーザー光PLを出力して、一定時間、弱い噴流圧の液体噴流Jを部位にあてることで、温存部分へのダメージの小さい施術を行うことができる。
図9に示した例では、調整部170は、液体室160に連通する小径筒状部172と、光ファイバー22を保持する筒状部178と、回転部材177と、回転止め部材179と、などを有する。
小径筒状部172及び筒状部178の外周側には、筒形状の回転部材177が配置されている。回転部材177と小径筒状部172は、螺合部177a、172aにより螺合するように構成され、回転部材177と筒状部178は、螺合部177b、178bにより螺合するように構成されている。螺合部177a、172aと、螺合部177b、178bは互いに逆ネジの関係となるように構成されている。
回転部材177と小径筒状部172との間には、一つ又は複数のOリングなどの封止部材175が設けられ、回転部材177と筒状部178との間には、一つ又は複数のOリングなどの封止部材174が設けられており、液体Fの流出を防止している。
小径筒状部172に対する回転部材の177の回転角度は、小径筒状部172と筒状部178とが近づく方向又は離れる方向への移動距離、つまり、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21の移動距離に対応している。
この目盛りを設けたことにより、回転部材の177の回転角度から、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21の移動距離を定量的に容易に認識することができる。
このように、液体室160の内面を鏡面160kにすることで、パルスレーザー光PLを気液界面に一定して連続に到達させることができるので、長時間、安定した気化ジェットKJを噴出させることができる。また、調整部170(調整手段)により、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21とノズル165との間の距離L1を任意に設定することが可能となり、生体組織の個体差や部位別(臓器別、臓器の位置など)による弾性差や疾患部位の病理の進行状況などによる弾性差に、最適な噴流強度のパルス液体噴流Jを用いた手術装置(パルスジェットメス)を提供することができる。
本発明の実施形態では、調整部170(調整手段)は、条件A及び条件Bを満たしながら、距離L1を調整することで、レーザー照射条件としてレーザーエネルギーE0、レーザー光パルス幅Tlを所望の値に設定することができる。
図13は本発明の一実施形態に係る噴流生成装置100Cの一例を示す全体構成図である。図14は噴流生成装置の動作の一例を示す図である。詳細には、図14(a)はパルスレーザー光PLのエネルギー(レーザーエネルギー;レーザー光強度とレーザー光パルス幅の積)が最大時のファイバー駆動装置を有しない比較例の噴流生成装置の一例を示す部分拡大図である。図14(b)はレーザーエネルギーが小さい時のファイバー駆動装置を有しない比較例の噴流生成装置の一例を示す部分拡大図である。
尚、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。また、図13には吸引装置を図示していないが、噴流生成装置100Cは、吸引装置を有してもよいし、それのない態様であってもよい。
液体噴流Jを用いた手術において、破砕組織と温存組織の選択は組織間の微細な物性値の差によって決定される。よって、液体噴流Jを用いた精密手術において、噴流初速や噴流容量などのパラメータを精密に制御する必要がある。
よって、レーザーエネルギーの最大値に対応する膨張体積(最大膨張体積に対応した細管内気化ガス長G1)を想定して、液体室160(細管)内の残留液体長W1と光ファイバー出射端位置(レーザー光照射部21)との間の距離L1を決定して固定する必要がある(図14(a)参照)。尚、図14(a)に示した例では、光ファイバー22は、液体室160に挿入された状態で、液体室160の端部1601(後端部)に配置されたOリングなどの封止部材169、固定部材168により固定されている。
流体抵抗は細管内面積に比例するが、細管内面積は細管径に反比例するので液体室160(細管)における流体抵抗は大きくなる。よって、レーザーエネルギーの可変に対応して効率良く噴流を生成するためには、レーザーエネルギーによらず、W=W1を維持する必要がある。そのため、本発明の一実施形態に係る噴流生成装置100Cは、光ファイバー22の出射点(レーザー光照射部21)をレーザーエネルギーに応じて移動させる(図14(c)、図14(d)参照)。
本実施形態の調整手段は、レーザー光照射部21から出射されるレーザー光強度Iとレーザー光パルス幅Tlのいずれか一方、又は両方に応じて、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を自動で調整する。
記憶部46のテーブル47は、例えば、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1と、レーザー光強度Iの設定値とレーザー光パルス幅Tlの設定値、又はレーザーエネルギー(の設定値を予め関連付けて記憶している。ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1は、レーザーエネルギーに比例する気化ガス量(膨張体積)に対応する細管内気化ガス長である。
また、記憶部46のテーブル47は、例えば、レーザーエネルギーの設定値と、レーザーエネルギーに対応する液体噴流Jの量とを予め関連付けて記憶している。
制御装置4の自動制御部41は、設定部45により設定された設定値に応じたレーザー出力制御信号をレーザー装置2に出力する処理を行う。また、制御装置4の自動制御部41は、設定部45により設定された設定値に応じたファイバー駆動制御信号をファイバー駆動装置170cに出力する処理を行う。また、制御装置4の自動制御部41は、設定部45により設定された設定値に応じた送液制御信号を送液装置1に出力する処理を行う。詳細には、自動制御部41は、読出部40により記憶部46から読み出された、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を示す情報を含むファイバー駆動制御信号をファイバー駆動装置170cに出力する処理を行う。ファイバー駆動装置170cは、ファイバー駆動制御信号に基づいて、設定値とテーブルに基づいて決定された距離となるように、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離を自動で調整する。
モータ1702の固定子であるモータフランジ1701の先端部に設けられた突起部1701aは固定部材1603に係合し、内部に貫通した光ファイバー22を摺動自在に支持した構造となっている。
また、筒状形状の可動部材1704は、モータフランジ1701から後方に延出したガイド部1701bが貫通する孔部を有し、ガイド部1701bに沿って移動自在に構成されている。また、可動部材1704とモータ1702の回転子1703は、螺合部1704a、1703aにより螺合した構造となっている。
つまり、ファイバー駆動装置170cは、モータ1702の回転子1703を回転させることにより、ノズル165と、光ファイバー22の先端部に設けられたレーザー光照射部21との間の距離L1を調整可能に構成されている。
本実施形態では、先ず、レーザー発振条件として、レーザー光強度I(パワー)を小(Ia)且つレーザー光パルス幅Tlを小(Tla)に設定された場合を説明する。
詳細には、ステップST1において、制御装置4の読出部40は、設定部45により設定されたレーザーエネルギーに応じて、記憶部46に記憶されているテーブル47からレーザーエネルギーに対応する、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離を示す情報を記憶部46から読み出す。自動制御部41は、読出部40により記憶部46から読み出された、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離L1を示す情報を含むファイバー駆動制御信号をファイバー駆動装置170cに出力する処理を行う。ファイバー駆動装置170cは、ファイバー駆動制御信号により、設定値とテーブルに基づいて決定された距離となるように、ノズル165とレーザー光照射部21との間の距離を自動で調整する。詳細には、制御装置4は、レーザーエネルギーに対応する位置に、光ファイバー出射端(レーザー光照射部21)をファイバー駆動装置170cにより移動して固定する処理を行う。つまり、レーザー光照射部21をノズル165から距離Laの位置に設定する。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成などに特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
2…レーザー装置(レーザー発振器)
3…吸引装置
4…制御装置(制御部)
40…読出部
41…自動制御部(調整手段)
100…噴流生成装置
100C…噴流生成装置
120…Yコネクター(把持部材)
140…液体供給路
160…液体室(膨張室、細管)
165…ノズル
170…調整部(調整手段)
170c…ファイバー駆動装置(調整手段)
171大径筒状部(光ファイバー保持部材)
177…回転部材
178…筒状部(光ファイバー保持部材)
179…回転止め部材
180…吸引用流路
Claims (6)
- 液体噴流を生成する噴流生成装置であって、
筒状の液体室と、
前記液体室の端部の開口から該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、
前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、
前記液体室内にパルスレーザー光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザー光照射部と、
前記パルスレーザー光を発生するレーザー発振器とを備え、
該レーザー発振器は、レーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御するものであって、
前記液体室の内面は、前記レーザー光照射部から出射したパルスレーザー光を反射して前記端部に導く鏡面を有し、
前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方、又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を調整する調整手段を備えることを特徴とする
噴流生成装置。 - 前記調整手段は、前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方、又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を自動で調整することを特徴とする請求項1に記載の噴流生成装置。
- 前記パルスレーザー光強度と前記レーザー光パルス幅の設定値を設定する設定部と、
前記設定値に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を規定するテーブルを記憶する記憶部と、を有し、
前記調整手段は、前記設定値と前記テーブルに基づいて決定された距離となるように、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を自動で調整することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の噴流生成装置。 - 前記鏡面は、少なくとも、電解研磨処理、リーマ加工処理、メッキ処理、蒸着処理、研磨剤吹き付け処理のいずれかによって処理された面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の噴流生成装置。
- 液体噴流を生成する噴流生成装置の噴流生成方法であって、
噴流生成装置は、筒状の液体室と、
前記液体室の端部を開口して該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、
前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、
前記液体室内にパルスレーザー光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザー光照射部と、
前記パルスレーザー光を発生するレーザー発振器とを備え、
該レーザー発振器は、レーザー光強度とレーザー光パルス幅を独立に制御するものであって、
前記液体室の内面は、前記レーザー光照射部から出射したパルスレーザー光を反射して前記端部に導く鏡面を有し、
前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方、又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部までの間の距離を調整する調整手段を備え、
前記レーザー光照射部による前記パルスレーザー光の照射前又は照射時に、前記調整手段により前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を調整することを特徴とする
噴流生成装置の噴流生成方法。 - 前記調整手段は、前記レーザー光照射部から出射されるパルスレーザー光強度とレーザー光パルス幅のいずれか一方、又は両方に応じて、前記ノズルと前記レーザー光照射部との間の距離を自動で調整することを特徴とする請求項5に記載の噴流生成装置の噴流生成方法。
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