JPWO2017022597A1 - アルミニウム系合金の溶射材料および溶射皮膜 - Google Patents

アルミニウム系合金の溶射材料および溶射皮膜 Download PDF

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Abstract

アルミニウムを主成分とし、i)第1金属が添加されるか、またはii)第1金属と第2金属とが添加されて形成されるアルミニウム系合金であり、前記第1金属が、イットリウム、リチウム、亜鉛、ビスマス、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く3重量%以下含まれ、前記第2金属が、マグネシウムでありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く6重量%以下含まれるアルミニウム系合金の溶射材料。

Description

本発明は、アルミニウム系合金の溶射材料および溶射皮膜に関する。さらに詳しくは、本発明は、損耗(自己腐食)を殆ど起こすことなしに長期間にわたる防食性能を発揮させ得るアルミニウム系合金の溶射材料およびそれを溶射することにより得られた溶射皮膜に関する。
従来から構造部材の表面を改質するために溶射処理技術が用いられている。
溶射材料としては、溶射皮膜の諸物性に優れることから、亜鉛やアルミニウム、それらを基材とする合金材料が多用されている。
例えば、特開2007−138282号公報(特許文献1)には、質量%でアルミニウム13〜78%、カルシウム1〜5%を含有し、かつアルミニウムおよびカルシウムの合計量が79%以下であり、残部がマグネシウムおよび不可避的不純物からなる、溶射時の防爆性および溶射部の耐食性に優れたマグネシウム合金溶射材料に関する技術が開示されている。
また、特開2005−179707号公報(特許文献2)には、スズを5〜20重量%含有し、残部がアルミニウムおよび不可避的不純物からなり、未溶解組織と溶解組織が混在するアルミニウム系溶射摺動材料に関する技術が開示されている。
特に、鋼構造物の防食処理には、アルミニウムにマグネシウムを添加した合金による溶射が用いられるようになってきている。
しかしながら、マグネシウムの添加濃度を増加させると防食作用が高まるものの、その反面、溶射皮膜の損耗が大きくなってしまうため長期間の防食性能の持続が困難となるという、トレードオフの関係になることがわかっている(例えば、高谷泰之、外4名、「腐食特性に及ぼすAl−Mg合金溶射皮膜のMg添加量の効果」、溶射、一般社団法人日本溶射学会、2014年7月、第51巻、第3号、p.82-87:非特許文献1参照)。
他方、日本のインフラ鋼構造物は、高温多湿で海塩粒子が飛来する地域での塩害による腐食劣化が著しく、維持管理の点で重大な課題になっている。鋼構造物の腐食による劣化損傷を補修する場合、補修後の耐久性を重視したライフサイクルコスト(LCC)の観点で補修することが必要になっている。
しかしながら、代表的な溶射材料である亜鉛−アルミニウム合金溶射の耐久年数は厳しい環境下では60年程度とされており、国土交通省が定める道路橋示方書の目標期間100年を満たしていない。そして、現行の金属溶射材料では、塩水に対する溶解性と犠牲防食性の両者に優れた溶射材料は見当たらない。
特開2007−138282号公報 特開2005−179707号公報
高谷泰之、外4名、「腐食特性に及ぼすAl−Mg合金溶射皮膜のMg添加量の効果」、溶射、一般社団法人日本溶射学会、2014年7月、第51巻、第3号、p.82-87
そこで、本発明は、(1)腐食環境の厳しい塩害地域で100年間の長期間に耐えることができ、かつ(2)定期的な補修作業を必要としないメンテナンスフリーな防食溶射技術を確立し得る、アルミニウム系合金の溶射材料、およびそれを溶射することにより得られた溶射皮膜を提供することを課題とする。
そこで、本発明の発明者らは、まず、鋼構造物の鉄よりも先にイオン化することで鉄の腐食を防止する亜鉛や亜鉛−アルミニウム合金の犠牲防食作用と、アルミニウムやアルミニウム合金の水酸化物の自己修復性による遮断作用に着目し、電位の第一原理計算の手法により表面電位を卑化させる合金組成を模索した。次いで、本発明の発明者らは、絞り込んだ合金組成の溶射材料を試作し、耐食性能を検証したところ、少量の特定元素を含むアルミニウム合金が上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
また、本発明の発明者らは、アルミニウム系合金の防食性を向上させるために、腐食電位が低いことも重要であるものの、それだけでなく不働態化が生じ難いことが重要であることにも着目し、さらに合金組成を模索しながら溶射材料を試作し、不働態化の生成などを調べて耐食性能を検証した。
特に、マグネシウムとカルシウムを少量含有するアルミニウム合金に絞り込んで、組成を変えた溶射材料を試作し、不働態化に着目して耐食性能を検証したところ、Mg、Caの含有量が特定の範囲において上記の課題を解決するのに有効であることも見出し、本発明を完成するに到った。
このようなアルミニウム系合金の防食性を得る上で不働態化に着目した例は本発明以前にはなかった。
本発明の特定の金属を含有するアルミニウム合金の中には、従来からバルク材料として公知のものがあるが、溶射材料およびそれからなる溶射皮膜としては知られておらず、またそれらの溶射材料および溶射皮膜としての優れた効果についても知られていない。
また、本発明者らが、溶射材料としての合金組成の模索に用いた第一原理計算は、一般的な材料設計の一手法であるが、これを溶射材料としての合金組成の模索に、しかも表面電位に着目して活用した例はない。
かくして、本発明によれば、アルミニウムを主成分とし、i)第1金属が添加されるか、またはii)第1金属と第2金属とが添加されて形成されるアルミニウム系合金であり、前記第1金属が、イットリウム、リチウム、亜鉛、ビスマス、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く3重量%以下含まれ、前記第2金属が、マグネシウムでありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く6重量%以下含まれるアルミニウム系合金の溶射材料が提供される。
また、本発明によれば、アルミニウムを主成分とし、i)第1金属が添加されるか、またはii)第1金属と第2金属とが添加されて形成されたアルミニウム系合金の溶射皮膜であり、前記第1金属が、イットリウム、リチウム、亜鉛、ビスマス、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く3重量%以下含まれ、前記第2金属が、マグネシウムでありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く6重量%以下含まれてなるアルミニウム系合金の溶射皮膜が提供される。
本発明によれば、(1)腐食環境の厳しい塩害地域で100年間の長期間に耐えることができ、かつ(2)定期的な補修作業を必要としないメンテナンスフリーな防食溶射技術を確立し得る、アルミニウム系合金の溶射材料、およびそれを溶射することにより得られた溶射皮膜を提供することができる。
近年、橋梁などのインフラ維持修繕費の急激な高まりを背景として、予防保全によるライフサイクルコストの最小化が求められており、本発明の溶射材料は、金属溶射のみで腐食の厳しい塩害地域で100年間の長期間に耐える溶射皮膜の実現が期待でき、産業上の活用性は極めて高い。
本発明のアルミニウム系合金の溶射材料は、次のいずれか1つの要件を満たす場合に、上記の優れた効果をさらに発揮する。
(1)第2金属が、マグネシウムでありかつアルミニウム系合金中に0より多く5重量%以下含まれる。
(2)第1金属がイットリウム、亜鉛、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ第2金属がマグネシウムである。
(3)アルミニウム系合金が、アルミニウムを主成分とし、第1金属と第2金属とが添加されて形成され、第1金属が、イットリウム、亜鉛、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつアルミニウム系合金中に0より多く3重量%以下含まれ、第2金属が、マグネシウムでありかつアルミニウム系合金中に0より多く6重量%以下含まれる。
(4)アルミニウム系合金が、アルミニウムを主成分とし、第1金属と第2金属とが添加されて形成され、第1金属が、カルシウムでありかつアルミニウム系合金中に0.05重量%以上0.79重量%以下含まれる。
(5)アルミニウム系合金が、アルミニウムを主成分とし、第1金属と第2金属とが添加されて形成され、第1金属が、カルシウムでありかつアルミニウム系合金中に0.05重量%以上0.6重量%以下含まれる。
(6)アルミニウム系合金が、アルミニウムを主成分とし、第1金属と第2金属とが添加されて形成され、第2金属がアルミニウム系合金中に2.6重量%以上5.9重量%以下含まれる。
鋼板に溶射された本発明のアルミニウム系合金の溶射皮膜の一例(実施例11)を示す図(写真)である。 公知の亜鉛−アルニウム合金(Zn−15Al)溶射皮膜(a)とアルミニウム−マグネシウム合金(Al−5Mg)溶射皮膜(b)のSEM断面写真およびそれらのAl元素(c)とMg元素(d)の分布図である。 溶射材用ワイヤーの自然電位の測定装置の概略図である。 溶射鋼板試験片の自然電位の測定装置の概略図である。 溶射鋼板試験片のアノード・カソード分極曲線の測定装置の概略図である。 溶射鋼板試験片の分極曲線である(実施例1〜3、5および6ならびに比較例1)。 溶射鋼板試験片の分極曲線である(実施例7〜12および比較例2)。 各合金組成の溶射皮膜の引張密着強さを示す図である。 公知のアルニウム(Al)溶射皮膜(比較例1)(a)とアルミニウム−マグネシウム合金(Al−5Mg)溶射皮膜(比較例2)(b)の引張密着強さ試験後の破断面の写真である。 溶射用ワイヤーの伸びと溶射皮膜の密着力(引張密着強さ)の関係を示す図である。 溶射鋼板試験片の分極曲線である(実施例11、13、14および17)。 溶射鋼板試験片の分極曲線である(実施例11、15、16および19)。 溶射鋼板試験片の腐食電位の経時的変化を示すグラフである(実施例11および13〜19)。
(1)アルミニウム系合金の溶射材料
(溶射材料)
本発明のアルミニウム系合金の溶射材料は、
アルミニウムを主成分とし、i)第1金属が添加されるか、またはii)第1金属と第2金属とが添加されて形成されるアルミニウム系合金であり、
前記第1金属が、イットリウム、リチウム、亜鉛、ビスマス、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く3重量%以下含まれ、
前記第2金属が、マグネシウムでありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く6重量%以下含まれる
ことを特徴とする。
本発明のアルミニウム系合金、すなわちその原料となるアルミニウム、第1金属および第2金属は、不可避不純物を含んでもよい。「不可避不純物」とは、工業的な精製処理により除去することが困難な成分、例えばJIS規格における純金属の組成において規定された微量金属を意味する。
本発明のアルミニウム系合金は、アルミニウム、第1金属および第2金属ならびに不可避不純物からなってもよい。すなわち、本発明のアルミニウム系合金は、第1金属および第2金属と、その残部がアルミニウムおよび不可避不純物からなってもよい
すなわち、本発明のアルミニウム系合金は、純アルミニウムまたはアルミニウム−マグネシウム合金からなる基材金属と、上記のような特定量の第1金属(「添加金属」ともいう)とからなる合金と捉えることができる。
したがって、本発明のアルミニウム系合金の溶射材料中のアルミニウム含有量は、添加金属の種類や含有量により異なるが、基材金属を純アルミニウムとする場合には、97重量%を超え100重量%より少なく、基材金属をアルミニウム−マグネシウム合金からなる基材金属とする場合には、91重量%を超え100重量%より少ない。
(第2金属:マグネシウム)
第2金属としてのマグネシウムの含有量は、0より多く6重量%以下である。
基材金属がマグネシウムを含む場合には、基材金属が純アルミニウムである場合と比較して、溶射材料としたときに、犠牲防食によって皮膜から溶出したイオンの腐食生成物で皮膜の欠陥や表面を被覆して犠牲防食や自己腐食の速度を抑制する効果が期待できる。
マグネシウムの含有量が5重量%を超えると、溶射皮膜の不働態化が生じることで長期間の防食性能の持続が困難となる。
すなわち、後述する試験例10の結果にも示されるように、マグネシウムの含有量が6重量%以下の範囲において、第1金属を含めば、第1金属を含まない場合と比べて安定腐食電位が低くなる傾向があり、陰極防食能を向上させる効果が期待できるので、本発明では、アルミニウム系合金のマグネシウムの含有量を6重量%以下としているが、主に腐食速度に着目して不働態化が生じるか否かに着目した場合、マグネシウムの含有量を5重量%以下とすることが不働態化を抑える上で有効である。
一方、マグネシウムを含まない場合には、孔食状の局部腐食が生じることがある。
本発明のアルミニウム系合金のマグネシウムの含有量(重量%)は、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.8、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0であり、これらのいずれかの2点間の範囲が好ましい。
腐食速度の観点では、好ましいマグネシウムの含有量は、0より多く5重量%以下である。
また、後述する試験例の結果から明らかなように、不動態化が生じ難いという観点では、好ましいマグネシウムの含有量は、2.6重量%以上5.9重量%以下である。
具体的には、Al−2.5Mg−0.15CaおよびAl−6Mg−0.15Caの分極測定データでは不働態化が生じるが、Al−5Mg−0.15Caでは不働態化が生じない。
(第1金属:添加金属)
第1金属としての添加金属は、バリウム、セシウム、ルビジウム、ナトリウム、ストロンチウム、カリウム、タリウム、ランタン、鉛、イットリウム、リチウム、カドミウム、インジウム、亜鉛、ガリウム、ビスマス、スカンジウム、水銀、スズおよびカルシウムから選択される。
これらの中でも、固溶体の製造、有害性およびコストを考慮して、イットリウム、リチウム、亜鉛、ビスマス、スズおよびカルシウムから選択されるのが好ましい。
添加金属の含有量は、第1金属により異なるが、通常0より多く3重量%以下である。
添加金属の含有量が3重量%を超えると、溶射皮膜の腐食速度が増加することがある。
好ましい添加金属の含有量は、0より多く3重量%以下である。
(溶射材料の例)
溶射材料としては、次のような合金組成のものが挙げられる。
合金組成を金属の元素記号とその含有量の数値で「Al−(数値)(添加金属)」のように表記する。例えば「Al−0.4Sn」は0.4重量%スズを含有するアルミニウム合金を、「Al−5Mg−0.4Sn」は5重量%のマグネシウムおよび0.4重量%スズを含有するアルミニウム合金を意味する。本発明の溶射材料の合金組成は、第1金属および第2金属以外は基本的にアルミニウムであることから、前者では「Al99.6」、後者では「Al94.6」を省略している。
ただし、本発明の溶射材料の合金組成において、本発明の効果を得ることができる範囲であれば、第1金属および第2金属以外の元素が含まれていてもよい。
(99.6を超え100より少ない)Al−(0より多く0.4以下)Sn
(99.7を超え100より少ない)Al−(0より多く0.3以下)Li
(97を超え100より少ない)Al−(0より多く3以下)Zn
(99.3を超え100より少ない)Al−(0より多く0.7以下)Bi
(99.85を超え100より少ない)Al−(0より多く0.15以下)Ca
(99.9を超え100より少ない)Al−(0より多く0.1以下)Y
(93.6を超え100より少ない)Al−(0より多く6.0以下)Mg−(0より多く0.4以下)Sn
(93.7を超え100より少ない)Al−(0より多く6.0以下)Mg−(0より多く0.3以下)Li
(91を超え100より少ない)Al−(0より多く6.0以下)Mg−(0より多く3以下)Zn
(93.3を超え100より少ない)Al−(0より多く6.0以下)Mg−(0より多く0.7以下)Bi
(93.21を超え100より少ない)Al−(0より多く6.0以下)Mg−(0より多く0.79以下)Ca
(93.85を超え100より少ない)Al−(0より多く6.0以下)Mg−(0より多く0.15以下)Ca
(93.9を超え100より少ない)Al−(0より多く6.0以下)Mg−(0より多く0.1以下)Y
(94.6を超え100より少ない)Al−(0より多く5.0以下)Mg−(0より多く0.4以下)Sn
(94.7を超え100より少ない)Al−(0より多く5.0以下)Mg−(0より多く0.3以下)Li
(92を超え100より少ない)Al−(0より多く5.0以下)Mg−(0より多く3以下)Zn
(94.3を超え100より少ない)Al−(0より多く5.0以下)Mg−(0より多く0.7以下)Bi
(94.21を超え100より少ない)Al−(0より多く5.0以下)Mg−(0より多く0.79以下)Ca
(94.85を超え100より少ない)Al−(0より多く5.0以下)Mg−(0より多く0.15以下)Ca
(94.9を超え100より少ない)Al−(0より多く5.0以下)Mg−(0より多く0.1以下)Y
本発明のアルミニウム系合金の溶射材料は、密着力、仕事関数および引張強さなどの観点から、第1金属がイットリウム、亜鉛、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ前記第2金属がマグネシウムであるのが好ましい。
より具体的には、本発明のアルミニウム系合金の溶射材料は、第1金属が、イットリウム、亜鉛、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつアルミニウム系合金中に0より多く3重量%以下含まれ、第2金属が、マグネシウムでありかつアルミニウム系合金中に0より多く6重量%以下含まれるのが好ましい。
本発明のアルミニウム系合金の溶射材料における第1金属としては、防食性能は勿論のこと、上記の密着力、仕事関数および引張強さなどの観点から総合的にみて、カルシウムが特に好ましく、その含有量は、不働態化し難さの観点で、アルミニウム系合金中に0.05重量%以上0.79重量%以下であるのが好ましい。
後述する試験例の結果から明らかなように、Al−2.5Mg−0.04CaおよびAl−2.5Mg−0.8Caの分極測定データでは不働態化が生じるが、Al−5Mg−0.15Caの分極測定データでは不働態化が生じない。
本発明のアルミニウム系合金の溶射材料のカルシウムの含有量(重量%)は、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.79であり、これらのいずれかの2点間の範囲が好ましい。
より好ましくは、本発明のアルミニウム系合金の溶射材料は、第1金属が、カルシウムでありかつアルミニウム系合金中に0.05重量%以上0.6重量%以下含まれる。
アルミニウム系合金中のカルシウム含有量の上限0.6重量%は、潮田豊治、外2名、「高純並びに純アルミ圧延板に及ぼすCa添加の影響について」、軽金属、軽金属研究会(現:一般社団法人軽金属学会)、1956年、第19号、p.34-40に記載の「Al側に於けるCaの溶解限は0.6%であり」に合致する。
(溶射材料の製造)
本発明のアルミニウム系合金の溶射材料は、例えば、公知の方法により、工業的に上市されている材料を溶融混合し、所定の形状に加工することにより得ることができる。
具体例としては、後述する実施例の方法が挙げられる。
溶射材料の形状や大きさは、特に限定されず、後述する溶射方法や溶射条件などにより適宜設定すればよい。
例えば、粉末、線材、棒材およびコード(ワイヤー)材などが挙げられる。
(2)アルミニウム系合金の溶射皮膜
(溶射皮膜)
本発明のアルミニウム系合金の溶射皮膜は、アルミニウムを主成分とし、i)第1金属が添加されるか、またはii)第1金属と第2金属とが添加されて形成されたアルミニウム系合金の溶射皮膜であり、第1金属が、イットリウム、リチウム、亜鉛、ビスマス、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く3重量%以下含まれ、第2金属が、マグネシウムでありかつアルミニウム系合金中に0より多く6重量%以下含まれてなることを特徴とする。
すなわち、本発明のアルミニウム系合金の溶射皮膜は、本発明のアルミニウム系合金の溶射材料を溶射することにより得られる。
本発明の溶射皮膜中の合金組成は、溶射に用いた本発明の溶射材料の合金組成とほぼ同一である。
(溶射方法)
溶射方法は、特に限定されず、例えば、溶線式フレーム溶射、粉末式フレーム溶射および溶棒式フレーム溶射などのフレーム溶射;高速フレーム溶射;爆発溶射(Dガン);アーク溶射、プラズマ溶射(減圧プラズマ式、大気プラズマ式および水プラズマ式)および線爆溶射などの電気式溶射;コールドスプレーなどが挙げられ、溶射対象や溶射材料などの諸条件により選択すればよい。
また、溶射条件も、溶射対象や溶射材料などの諸条件により設定すればよい。
具体例としては、後述する実施例の方法が挙げられる。
溶射に際して、溶射対象と溶射皮膜との密着性を高めるために溶射対象にブラスト処理などの公知の前処理を施してもよい。
(溶射対象)
本発明の溶射皮膜を形成する溶射対象としては、鋼構造物が特に好ましいが、これに限定されず、本発明の溶射皮膜は、他の構造物や部材にも適用し得る。
本発明を以下の実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
合金の製造には、次のアルミニウム地金および添加金属を用いた。
[アルミニウム地金]
アルミニウム(JIS H4000:2014、合金記号:1070、記号:A1070P、Al99.70%以上、三菱樹脂株式会社製、製品名:5K70、Lot番号:9Y1006)
アルミニウム(純度99.99%、CAS7429−90−5、株式会社高純度化学研究所製、製品名:ALE10GB、Lot番号:4188221)
アルミニウム−マグネシウム合金(JIS H4000:2014、合金記号:5056、記号:A5056、Mg4.8%、三菱樹脂株式会社製、製品名:BH5056、Lot番号:983074)
[添加金属]
スズ(JIS H2108:1996、種類:1種、Sn99.94%、石川金属株式会社製、製品名:スズB20、Lot番号:YS0773)
リチウム(純度99%以上、CAS7439−93−2、株式会社高純度化学研究所製、製品名:LIE02GB)
亜鉛(JIS H2107:1999、種類:蒸留亜鉛地金特種、Sn99.9%、三津和化学薬品株式会社製、製品名:亜鉛(粒)No.59097)
カルシウム(純度99%、CAS7440−70−2、株式会社高純度化学研究所製、製品名:CAE03GB)
アルミニウム−10.45%イットリウム合金(株式会社三徳製、製品名:Al−Y合金、Lot番号:90103)
[試験例1]
(合金製造と溶射材料としての溶射材用ワイヤーの作製)
表1に示すアルミニウム地金および添加金属を所定の合金濃度になるように、合計重量が10kgになるように秤量し、容量7.5Lの黒鉛坩堝(JIS R2701:1977、日本坩堝株式会社製、40番型)に投入し、ガス溶解炉(株式会社共栄製、型式:500番型可傾炉)を用いて、温度850℃で溶解させた(鋳造)。
その後、得られた溶湯を、溶湯処理装置(GBF、フォセコ・ジャパン・リミッテド社製、型式:GBF−FMH)を用いて、10分間の溶湯処理を行った。
その後、溶湯処理後の溶湯を、鋳造鋳型(内径68mm×長さ200mm、鋳鉄製、トーヨーメタル株式会社製)を用いて鋳造した。鋳造後に、鋳造品の面削を行い、鋳肌の偏析を除去したが、均質化処理を行わなかった。
その後、得られた鋳造品を、熱間押出装置(トーヨーメタル株式会社製、型式:500トンプレス)と熱間金型用合金(JIS G4404:2006、合金工具鋼鋼材、記号:SDK61)製の金型(直径3.4mm×1ホール、トーヨーメタル株式会社製)を用いて、コンテナ温度350℃、ダイス温度420℃、ビレット温度約300℃の条件で熱間押出しを行った(熱間押出し)。
その後、超硬ダイス(直径3.2mmおよび3.15mm、三和ダイヤモンド株式会社製、型式:4型φ30)および伸線機(トーヨーメタル株式会社製、型式:単釜φ420)を用いて、2パスで直径3.15mmのワイヤーを製造した(引抜き加工)。
その後、得られたワイヤーを、トリクロロエチレン(トリクレン)で洗浄し、次いで自然乾燥させて溶射材用ワイヤー(線材)を得た。
得られた溶射材用ワイヤーの添加金属の含有量(重量%)を、ICP発光分析装置(サーモフィッシャーサイエンティフィク株式会社製、型式:i−Cap−6300−Duo)を用いて分析した。なお、比較例1および2については、添加金属の代わりにそれぞれ鉄およびマグネシウムの含有量を測定した。
表1に、溶射材用ワイヤーの目標組成(以下「設定組成」ともいう)と添加金属の分析結果を、原料のアルミニウム地金および添加金属と共に示す。
表1中の合金組成は、上記のように「Al−(数値)(添加金属)」の形式で表記する。
表1の結果から、添加金属を含有した溶射材用ワイヤーが作製できたことがわかる。
[試験例2]
(溶射鋼板試験片の作製)
試験例1で得られた14種(比較の2種を含む)の溶射材用ワイヤーをそれぞれ鋼板に溶射して、各種耐食性試験に使用する溶射鋼板試験片を各10枚、計140枚作製した。
鋼板には、JIS G3101:2010、一般構造用圧延鋼材、記号:SS400(厚さ3mm、新日鐵住金株式会社製)を試験片寸法150mm×70mmに切断したものを用いた。
まず、鋼板の両面を、ブラスト装置(厚地鉄工株式会社製、型式:AC−3)を用いた加圧式ブラスト法により、ブラスト清浄度(除せい度)がSa3になるようにブラスト処理した。
その後、ブラスト処理後の鋼板の両面に、溶射装置(スルザーメテコジャパン社(現:エリコンメテコジャパン社)製、型式:12E)を用い、表2に示す溶射条件で溶射を行い、溶射鋼板試験片を得た。
得られた溶射皮膜の膜厚を電磁式膜厚計(株式会社サンコウ電子研究所製、型式:SWT−9000F)を用いて1検体の片面につき7点測定して、最高値と最低値を除いた5点の膜厚を平均し、それら10検体のそれぞれの平均から表裏の平均膜厚(μm)を算出した。
また、溶射鋼板試験片の外観を目視で観察した。
表2に、溶射材用ワイヤーの設定組成、ブラスト条件および溶射皮膜の平均膜厚を示す。また、図1に、鋼板に溶射されたアルミニウム系合金の溶射皮膜の一例として、実施例11(Al−5Mg−0.15Ca)の溶射鋼板試験片の写真を示す。
表2および外観観察の結果から、ほぼ均一な溶射皮膜が得られることがわかった。
また、本発明の溶射材料を用いた現場での溶射作業を想定した場合、従来の溶射材料を用いた場合と同等もしくは軽減された作業負担で施工できることがわかった。
[試験例3]
(組成分析と皮膜観察)
試験例2で得られた14種(比較の2種を含む)の溶射鋼板試験片の溶射皮膜の組成を、試験例1と同様のICP発光分析装置を用いて分析し、添加金属が溶射皮膜にどの程度含有されているか、その含有量(重量%)を調べた。
なお、比較例1および2については、添加金属の代わりにそれぞれ鉄およびマグネシウムの含有量(重量%)を測定した。
表3に、各溶射皮膜の分析による添加金属の含有量を、溶射材用ワイヤーの設定組成と試験例1の添加金属の分析結果と共に示す。
表3の結果から、溶射材料である線材と同程度か若干の成分の減少が認められることがわかる。
予備試験として、インフラ構造物の防食溶射皮膜として現在施工されている亜鉛−アルニウム合金(Zn−15Al)およびアルミニウム−マグネシウム合金(Al−5Mg)の溶射皮膜について、SEMによる皮膜断面の組織観察およびSEM−EDXによる元素分析を行い、気孔などの欠陥、溶射プロセスにおける酸化の影響および固溶元素の分布状況などを調べた。
図2(a)および(b)は、それぞれZn−15AlおよびAl−5Mgの溶射皮膜のSEM断面写真であり、何れの溶射皮膜にも気孔が存在することが確認できた。
また、EDXによるマッピング分析から、酸化物はそれほど多く含まれていないこと、添加金属であるアルミニウムまたはマグネシウムは溶射皮膜中にほぼ均一に分布し、偏析などは特に認められないことなどがわかった。図2(c)および(d)は、それぞれAl元素(c)とMg元素(d)の分布図を示す。これは、溶射皮膜の形成プロセスが急冷凝固であるためと考えられる。これらのことから、本発明の溶射材料による溶射皮膜でも、偏析のない均一な添加金属の固溶が得られるものと考えられる。
[試験例4]
試験例1で得られた14種(比較の2種を含む)の溶射材用ワイヤーおよび試験例2で得られた14種(比較の2種を含む)の溶射鋼板試験片の自然電位を測定した。
(溶射材用ワイヤーの自然電位の測定)
図3は、溶射材用ワイヤーの自然電位の測定装置の概略図である。
この測定装置は、容量350mLのPFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)製の気密容器1に、試験液2として3.5mass% NaCl(塩化ナトリウム)約300mLが充填されている。そして、気密容器1の上部から、電圧計(株式会社アドバンテスト製、製品名:デジタルマルチメータ データロガー、型式:R7430)Vに電気的に接続された溶射材用ワイヤー3と銀・塩化銀参照電極4、アルゴンガスを導入する(図中、直線下方向きの矢印参照)吹き込み管5および試験液2の脱気状態を保持する(図中、曲線下方向きの矢印参照)ための溶液トラップ6が挿入され、試験液2に浸漬されている。
この装置に試験例1で得られた溶射材用ワイヤーを設置して、室温において、60秒間隔で、約20時間連続で溶射材用ワイヤーの自然電位(V)を測定した。
20時間経過時における平均的な自然電位の値を、各溶射皮膜の製造に用いた溶射材用ワイヤーの設定組成と共に、表4に示す。
(溶射鋼板試験片の自然電位の測定)
図4は、溶射鋼板試験片の自然電位の測定装置の概略図である。
この測定装置は、70mm角×厚さ3mmの粘着性のPTFE(ポリ四フッ化エチレン)シート8上に溶射鋼板試験片10を載置し、その略中心に内径59mm×長さ300mm×厚さ3mmのアクリル製の開放管(管内容量820mL)7を直立させ、開放管7と溶射鋼板試験片10との接触部の周辺をシーラント9で接着・乾燥して封止し、開放管7内に試験液2として3.5mass% NaCl(塩化ナトリウム)約550mLが充填されている。そして、開放管7の上部から、溶射鋼板試験片10と共に上記の入力抵抗の大きいデジタル電圧計Vに電気的に接続された銀・塩化銀参照電極4および試験液2を曝気するための大気を導入する(図中、直線下方向きの矢印参照)吹き込み管5が挿入され、試験液2に浸漬されている。
PTFEシート8は、それを載置する設置台と溶射鋼板試験片10との間の電気的絶縁性を確保するために、吹き込み管5は、溶射鋼板試験片10の近傍に室内大気を連続して吹き込み、試験液2を大気飽和の状態を保つために設けられている。
この装置を用いて、72時間、室温の条件で溶射鋼板試験片の自然電位(V)を一定間隔(60秒間隔)で連続測定した。
なお、測定は、溶射皮膜の貫通欠陥が自然電位に与える影響は無視できると仮定した。
得られた自然電位測定値(V)の中で最も低い値を「溶射鋼板腐食電位の最卑値(V)」として、各溶射皮膜の製造に用いた溶射材用ワイヤーの設定組成と共に、表4に示す。
表4の結果から、次のことがわかる。
・比較例1に対する実施例1〜6、比較例2に対する実施例7〜12の各々において、比較例に対して電位を卑にするため、犠牲防食作用の効果を有すること
・Al−0.7Biについては、溶射皮膜が剥離したため測定不可となったこと
[試験例5]
試験例2で得られた14種(比較の2種を含む)の溶射鋼板試験片のアノード・カソード分極曲線を測定した。
(溶射鋼板試験片のアノード・カソード分極曲線の測定)
図5は、溶射鋼板試験片のアノード・カソード分極曲線の測定装置の概略図である。
この装置は、内寸法79mm×109mm×高さ109mmのアクリル製の気密容器(容量939mL)1に、試験液2として中性溶液3.5mass%NaCl(塩化ナトリウム)約570mLが充填されている。また、気密容器1の一側面の略中心に直径24mmの穴が開けられ、バイトン(登録商標)製のO−リング(フッ素化炭化水素ポリマー、内径24mm)13を介して溶射鋼板試験片10が試験液2に接液するように圧着固定されている。さらに、気密容器1の上部から、作用電極としての溶射鋼板試験片10と共にポテンショ/ガルバノスタット(プリンストンアプライドリサーチ社製、型式:VersaSTAT4−400)Pに電気的に接続された、ルギン管12に挿入された銀・塩化銀参照電極4および白金対極11、アルゴンガスを導入する吹き込み管5および試験液2の脱気状態を保持するための溶液トラップ6が挿入され、試験液2に浸漬されている。
この装置に試験例2で得られた溶射鋼板試験片を設置して、室温において、試験片の電位を、銀・塩化銀参照電極(内部溶液:3.33mol/L KCl水溶液)に対して、−1.5Vから−0.6Vよりも貴な電位までの電位範囲を、電位を60秒毎に20mVずつ貴側へ階段状に変化させる方法(定電位ステップ法)で溶射鋼板試験片のアノード・カソード分極曲線を測定した。
得られた結果を、図6および7に示す。図中、添加金属の含有量の記載を省略する。
図6および7の結果から、次のことがわかる。
・Al−0.4SnならびにAl−5Mg−0.15Ca、Al−5Mg−0.7Bi溶射鋼板は、他のAlあるいはAl−5Mgならびにその合金の溶射鋼板とは異なり、アノード分極曲線に不働態化の挙動が見られないこと
・この結果は、Al−0.4SnならびにAl−5Mg−0.15Ca、Al−5Mg−0.7Bi溶射皮膜は、不働態化する他の溶射皮膜とは異なり、不働態化によるアノード電流密度の制限を受けることなく、広い電位範囲において、高い電流密度の防食電流を素地鋼の露出部に供給する能力を有していること
・また、分極曲線から推定されるAl−0.4Sn溶射鋼板の自然電位は、Alの溶射鋼板と比較し0.30Vも卑である。つまりAl溶射鋼板と比較して、素地鋼に対する電極電位が有意に卑であること
・同じくAl−5Mg−0.15Ca、Al−5Mg−0.7Bi溶射鋼板試験片の自然電位も、Al−5Mg溶射鋼板と比較し、それぞれ0.18Vならびに0.24Vも卑であること
・さらにAl−5Mg−0.15Ca溶射鋼板については、腐食電位近傍のアノードならびにカソード分極曲線の形状から推定される腐食電流密度の水準が、Al−5Mg溶射鋼板の不働態保持電流密度と同等の水準になっている。つまり、Al−5Mg−0.15Ca溶射鋼板は、不働態化はしていないにも関わらず、その腐食速度は不働態化しているAl−5Mg溶射鋼板と同程度の水準に留まる。つまり、高い防食電流を供給し得るにも関わらず、腐食速度が比較的小さい(適度な耐食性が維持される)良好な溶射皮膜であること
[試験例6]
試験例2で得られた14種(比較の2種を含む)の溶射鋼板試験片の皮膜溶出速度を測定した。
溶射鋼板試験片の自然電位の測定装置(図4)における、試験例4の溶射鋼板試験片の自然電位の測定中に、溶射鋼板試験片10から試験液2中に溶出したAlイオンを分析し、皮膜の溶出速度を計算した。
試験後の試験溶液2ならびに試験後の溶射鋼板試験片10の洗浄水に含まれるAlイオン濃度を試験例1と同様のICP発光分析装置を用いて分析した。試験液と洗浄水の体積から、試験中に溶出した溶射皮膜のAl成分の質量を推定した。
Al−3Zn(実施例3)、Al−5Mgとその合金(比較例2、実施例7、8および10〜12)およびAl−5Mg−3Zn(実施例9)の溶射鋼板については、分析されたAl成分の溶出質量をそれぞれ0.97、0.95および0.92で除した値を、各溶射鋼板の皮膜の溶出質量とした。皮膜の溶出質量と比重ならびに試験時間と試験片の接液面積から、各溶射鋼板の皮膜の溶出速度(mm/y)を計算した。
得られた結果を、各溶射皮膜の製造に用いた溶射材用ワイヤーの設定組成と共に表5に示す。
表5の結果から、次のことがわかる。
・Al−5Mgならびにその合金の溶射鋼板の皮膜溶出速度は、同じくAlならびにその合金の溶射鋼板の1/4程度であること
・また、試験例6の分極曲線からの腐食速度の推定結果と同じく、Al−5Mg−0.15Ca溶射鋼板の皮膜溶出速度は、不働態化するAl−5Mgと同等の水準になること
[試験例7]:密着力試験
試験例1で得られた14種(比較の2種を含む)の内、Al−0.7Biを除く13種の溶射材用ワイヤーをそれぞれ丸棒(基材、JIS G3101に規定されたSS400相当以上、直径25±0.1mm×長さ40〜50mm)に溶射して、溶射皮膜の引張密着強さ試験に使用する試験片を各3個、計39個作製した。
得られた試験片を用い、JIS H8402:2004「溶射皮膜の引張密着強さ試験方法」に準拠し、引張速度1mm/minで、溶射皮膜の引張密着強さ(MPa)を測定し、その平均を算出した。
すなわち、各試料につき2本の丸棒を準備し、一方の丸棒の一端面に引張用ジグの取付ねじ穴を設け、他端面に溶射皮膜を設ける。他方の丸棒の一端面に引張用ジグの取付ねじ穴を設け、他端面に粗面化処理を施し、その粗面に引張試験に影響を及ぼさない接着剤を薄く均一に塗布し、接着剤面と溶射皮膜面とを接着して試験片を作製し、引張試験に供した。
得られた結果を、各溶射皮膜の製造に用いた溶射材用ワイヤーの設定組成と共に表6および図8に示す。
図8は、各合金組成と溶射皮膜の引張密着強さとを示す図であり、横軸は各合金組成、縦軸は引張密着強さである。
また、図9(a)および(b)にそれぞれ比較例1(Al)および比較例2(Al−5Mg)の引張密着強さ試験後の破断面の写真を示す。それぞれ左は基材側を、右は接着剤側を示す。
表6の結果から、次のことがわかる。
・Al合金系は、主に基材と皮膜の界面で剥離して、皮膜の引張密着強さが9〜20MPaであること
・Al−5Mg合金系は、皮膜内で剥離して、7〜11MPaであること
・Al合金系は、Al−5Mg合金系より高い引張密着強さを示すこと
・Al−Li皮膜は、Al皮膜より引張密着強さの低下が認められるが、他の合金皮膜は金属の添加による明確な引張密着強さの低下が認められないこと
・Al−5Mg−0.15Caは、Al−5Mgより高い引張密着強さを示すこと
[試験例8]:仕事関数測定
試験例2で得られた14種(比較の2種を含む)の溶射鋼板試験片を加工した試料を用いて、溶射皮膜の仕事関数(eV)を測定した。
下記の装置および条件で測定を実施した。
(測定装置)
大気走査型ケルビンプローブシステム(英国 KP Technology社製)
使用チップ材質:金メッキ
使用チップサイズ:2mm径
(測定条件)
室温:26℃
湿度:52%
ケルビンプローブ設定値
チップ振幅:100(相対値)
グラディエント値:290〜310
ゲイン: 4
信号平均回数:30回
バッキング電圧:±5V
測定範囲:−
測定点数:試料中央1箇所 計14点
測定ピッチ:−
仕事関数校正試料:NTI社製金メッキ板 −11mV
仕事関数校正:標準金を5.04eVとしてTipを校正すると
Tip仕事関数は5.029eVとなる。
試料形状:3mm×10mm、厚み3mm程度、2面研磨
得られた結果を、各溶射皮膜の製造に用いた溶射材用ワイヤーの設定組成と共に表7に示す。
表中、「母材との電位差」とは、比較例1および2の線材を「母材」とし、それらの仕事関数を基準としたときの、それぞれ添加金属を含む実施例1〜6および実施例7〜12の線材の仕事関数の差を意味する。例えば、実施例1の線材の仕事関数4.10から比較例1の線材の仕事関数4.07を減じた値0.03が実施例1の「母材との電位差」になる。
表7の結果から、次のことがわかる。
電位の第一原理計算の手法により表面電位を卑化させる合金組成として予測していたとおり、マグネシウム、イットリウム、リチウム、亜鉛、ビスマス、スズおよびカルシウムを添加することで母材である比較例1および2から、仕事関数および自然電位が低下(卑化)している。例外として実施例1および実施例9の仕事関数は母材よりも電位が上昇していたが、表面状態が影響したものと考えられる。
[試験例9]:引張試験
試験例1で得られた14種(比較の2種を含む)の溶射材用ワイヤー(直径3.15mm×長さ200mm)を用い、JIS Z2241:2011「金属材料引張試験方法」に準拠して引張試験を行った。
比較例1および実施例1〜6の溶射材用ワイヤーについては、引抜き加工後にそのまま試験に供し、比較例2および実施例7〜14の溶射材用ワイヤーについては、JIS H8261:2007「溶射用の線材,棒材及びコード材」に準拠した焼戻しのために、引抜き加工後に、大気雰囲気下、温度350℃で4時間、焼きなましに付して試験に供した。
引張試験は、万能試験機(容量250kN、インストロン社製、型式:1116 製造番号:21)を用いて、長さ200mmの溶射材用ワイヤー(線材)を金属製のチャックで掴み、引張速度10mm/minの条件で行った。
伸びは、予め測定しておいた金属製のチャック間の距離(約100mm)を初期長さとし、引張試験後の長さの変化率から算出した。
得られた結果、溶射用ワイヤーの伸び(%)、0.2%耐力(MPa)および引張強度(MPa)を、溶射材用ワイヤーの設定組成および試験例7で得られた溶射皮膜の引張密着強さと共に表8に示す。
また、図10に溶射用ワイヤーの伸びと溶射皮膜の密着力の関係を示す。
表8および図10の結果から、次のことがわかる。
Al−5Mg−X合金(Xは第1金属)は、Al−X合金(Xは第1金属)と比較して、0.2%耐力と引張強度のいずれもが大きく上昇している。これは、Mgの固溶強化によるものと考えられる。このように強度が高いにもかかわらずAl−5Mg−X合金では、強度の低いAl−X合金よりも密着強度が低い。Al−5Mg−X合金ではMgを高濃度で添加することによって皮膜内部に多数の欠陥を含むことになり、その結果、溶射皮膜の内部で主に剥離が進行しているものと考えられる。ここで、Al−5Mg−0.15Caは、Al−5Mgより高い引張密着強さを示す。すなわち、Al−5MgへのCa添加は、溶射皮膜の密着強さの向上に優れた効果を有することがわかる。
一方、Al−X合金は、溶射皮膜の密着力試験において、溶射皮膜が変形するため、溶射皮膜と基材の界面で主に剥離が進行したものと考えられる。
図10によれば、Al−X合金では、溶射用ワイヤーの伸びと溶射皮膜の密着力(引張密着強さ)とが比例して上昇している。これは、Al−X合金では、塑性変形が拘束を受けた状態で溶射皮膜が変形することにより剥離が進行するため、伸びが高く延性に富む溶射材料ほど溶射皮膜の密着力が向上しているものと考えられる。
[試験例10]
第1金属としてCaを用いたAl−Mg−Ca合金に関して、以下のようにMg,Caの含有量を変えて効果を調べる試験を行った。
表9に記載の設定組成にすること以外は試験例1および2と同様にして、比較例2の設定組成の比較1種を含む9種の溶射鋼板試験片を作製した。
実施例18のみ、原料として99.99%以上のアルミニウム地金(下記の表中では「Al(4−N)」と表記)を使用した。
試験例5と同様にして、得られた溶射鋼板試験片のアノード・カソード分極曲線を測定した。
得られた結果を図11および12に示し、不働態化の有無を表9に示す。
図11では、Mgの含有量と不働態化生成との関係を対比するため、Mg含有量0.5重量%の実施例13、Mg含有量2.5重量%の実施例14、Mg含有量5重量%の実施例11、Mg含有量6重量%の実施例17について、アノード・カソード分極曲線を示している。
図12では、Caの含有量と不働態化生成との関係を対比するため、Ca含有量0.04重量%の実施例15、Ca含有量0.15重量%の実施例11、Ca含有量0.28重量%の実施例19、Ca含有量0.80重量%の実施例16について、アノード・カソード分極曲線を示している。
(溶射鋼板試験片の腐食電位の測定)
また、得られた各溶射鋼板試験片について、上記試験例4の(溶射鋼板試験片の自然電位の測定)で説明したのと同様の測定方法に基づいて、3日間にわたり経時的に自然電位を測定した。
得られた実施例11および13〜19の測定結果について図13に示す。
図13から、各溶射鋼鈑試験の自然電位は3日経過時までに十分安定していることがわかる。この測定結果に基づいて、72時間(3日間)経過後の平均的な自然電位を、腐食電位安定値(V)として表9に示す。
以下、表9及び図11〜13に示される結果に基づいて考察する。
まず、Al−Mg合金に第1金属(Ca)を含有することによる腐食電位の低下に着目する。
表9に示す腐食電位安定値の測定結果を見ると、第1金属(Ca)を含まない比較例2の腐食電位安定値(―1.02V)と比べて、第1金属(Ca)を含む実施例11〜14、17〜19は、腐食電位安定値が低い値が得られており、第1金属(Ca)を含むことによって、第1金属を含まない場合と比べて安定腐食電位が低くなる傾向があることがわかる。特に、Mg含有量が5%である実施例11、実施例19で、安定腐食電位が−1.12V、−1.06V、Mg含有量が6重量%である実施例17においても、安定腐食電位が−1.07Vであり、いずれも比較例2の腐食電位安定値(―1.02V)より低い値である。
従って、マグネシウムの含有量が6重量%以下の範囲において、第1金属(Ca)を含めば、第1金属を含まない場合と比べて、安定腐食電位が低くなる傾向があり、陰極防食能を向上させる効果が期待できる。
Mg含有量と不働態化の生成との関係について考察する。
図11に示されるアノード・カソード分極曲線の形状を比較すると、Mg含有量が5重量%の実施例11(Al-5.0Mg-0.15Ca)では、不働態化が生じず、一方、Mg含有量が0.5重量%の実施例13(Al-0.5Mg-0.15Ca)、Mg含有量が2.5重量%の実施例14(Al-2.5Mg-0.15Ca)、およびMg含有量が6.0重量%の実施例17(Al-6.0Mg-0.15Ca)では、不働態化が生じていると判定することができる。
従って、Al−Mg−Ca合金において、Mg含有量が5.0重量%近傍の領域では、不働態が生じにくので、高い電流密度の防食電流を供給する能力を有し、一方Mg含有量が2.5重量%以下の範囲では不働態が生じやすく、Mg含有量が6重量%以上でも不働態が生じやすく、防食電流供給能に劣ることがわかる。
よって、Al−Mg−Ca合金において、安定腐食電位が低く且つ不働態化も生じにくい効果を得る上でMg含有量は、2.6重量%以上5.9重量%以下、特に5重量%近傍であることが好ましいが、Mg含有量が0.5重量%〜2.5重量%の範囲、あるいは5重量%を超えて6重量%程度までの範囲においても、低い安定腐食電位を得ることはできると考えられる。
次に、Ca含有量と不働態化の生成との関係について考察する。
図12に示されるアノード・カソード分極曲線の形状を比較すると、Ca含有量が0.15重量%の実施例11(Al−5.0Mg−0.15Ca)、Ca含有量が0.28重量%の実施例19(Al-5.0Mg-0.28Ca)では、不働態化が生じず、Ca含有量が0.04重量%の実施例15(Al-2.5Mg-0.04Ca)、Ca含有量が0.80重量%の実施例16(Al-2.5Mg-0.80Ca)では、不働態化が生じていると判定することができる。
従って、Al−Mg−Ca合金において、Ca含有量が0.15重量%〜0.18重量%の範囲近傍では不働態が生じにくく、高い電流密度の防食電流を供給する能力を有することがわかる。一方、Ca含有量が0.04重量%以下では不働態が生じやすく、Ca含有量が0.80重量%以上でも不働態が生じやすく、防食電流供給能に劣ることがわかる。
よって、Al−Mg−Ca合金において、安定腐食電位が低く且つ不働態化も生じにくい効果を得る上でCa含有量は、0.05重量%以上0.79重量%以下、特に0.15重量%〜0.28重量%およびその近傍の範囲にあることが好ましいと考えられる。
また、Al−Mg−Ca合金において、安定腐食電位が低く且つ不働態化も生じにくい効果を得る上で、Mg含有量とCa含有量の両方を、上述した範囲に設定することがより好ましいといえる。
1 気密容器
2 試験液
3 溶射材用ワイヤー(溶射合金線材)
4 銀・塩化銀参照電極
5 吹き込み管
6 溶液トラップ
7 開放管
8 PTFEシート
9 シーラント
10 溶射鋼板試験片
11 白金対極
12 ルギン管
13 Oリング
V 電圧計
P ポテンショ/ガルバノスタット

Claims (8)

  1. アルミニウムを主成分とし、i)第1金属が添加されるか、またはii)第1金属と第2金属とが添加されて形成されるアルミニウム系合金であり、
    前記第1金属が、イットリウム、リチウム、亜鉛、ビスマス、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く3重量%以下含まれ、
    前記第2金属が、マグネシウムでありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く6重量%以下含まれるアルミニウム系合金の溶射材料。
  2. 前記第2金属が、マグネシウムでありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く5重量%以下含まれる請求項1に記載のアルミニウム系合金の溶射材料。
  3. 前記第1金属がイットリウム、亜鉛、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ前記第2金属がマグネシウムである請求項1に記載のアルミニウム系合金の溶射材料。
  4. 前記アルミニウム系合金が、アルミニウムを主成分とし、前記第1金属と第2金属とが添加されて形成され、
    前記第1金属が、イットリウム、亜鉛、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く3重量%以下含まれ、
    前記第2金属が、マグネシウムでありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く6重量%以下含まれる請求項1に記載のアルミニウム系合金の溶射材料。
  5. 前記アルミニウム系合金が、アルミニウムを主成分とし、前記第1金属と第2金属とが添加されて形成され、
    前記第1金属が、カルシウムでありかつ前記アルミニウム系合金中に0.05重量%以上0.79重量%以下含まれる請求項1に記載のアルミニウム系合金の溶射材料。
  6. 前記アルミニウム系合金が、アルミニウムを主成分とし、前記第1金属と第2金属とが添加されて形成され、
    前記第1金属が、カルシウムでありかつ前記アルミニウム系合金中に0.05重量%以上0.6重量%以下含まれる請求項1に記載のアルミニウム系合金の溶射材料。
  7. 前記アルミニウム系合金が、アルミニウムを主成分とし、前記第1金属と第2金属とが添加されて形成され、
    前記第2金属が、前記アルミニウム系合金中に2.6重量%以上5.9重量%以下含まれる請求項1に記載のアルミニウム系合金の溶射材料。
  8. アルミニウムを主成分とし、i)第1金属が添加されるか、またはii)第1金属と第2金属とが添加されて形成されたアルミニウム系合金の溶射皮膜であり、
    前記第1金属が、イットリウム、リチウム、亜鉛、ビスマス、スズおよびカルシウムから選択される少なくとも1種でありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く3重量%以下含まれ、
    前記第2金属が、マグネシウムでありかつ前記アルミニウム系合金中に0より多く6重量%以下含まれてなるアルミニウム系合金の溶射皮膜。
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