JPWO2017010382A1 - 筋強直性ジストロフィー治療薬 - Google Patents

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Abstract

本発明は、筋強直性ジストロフィーの原因であるスプライシング異常を抑制し、正常スプライシング産物を増加させることにより、筋強直性ジストロフィーの症状を改善することができると共に、安全性が高く、長期投与可能な筋強直性ジストロフィーの治療薬として、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その薬学的に許容される塩、水和物、またはそれらのプロドラッグを有効成分とする筋強直性ジストロフィー治療薬を提供する。

Description

本発明は筋強直性ジストロフィー治療薬に関するものである。
筋強直性ジストロフィー(Myotonic Dystrophy、以下、「MyD」と略記する場合がある。)は、成人で最も多い筋疾患である。MyDは、骨格筋、平滑筋とともに眼球、心臓、内分泌系、中枢神経系に影響する常染色体優性多臓器障害であり、その症状は、筋萎縮、筋力低下、筋強直(ミオトニア)、白内障、インスリン抵抗性、性腺機能低下、心伝導系障害、前部禿頭、知能障害等多岐にわたる(非特許文献1)。MyDにはミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子の3’UTR(3’側非翻訳領域)のCTG繰り返し配列の異常伸長によるI型(MyD1)(非特許文献2−4)と、Znフィンガー蛋白質9(ZNF9)遺伝子イントロン1のCCTG繰り返し配列の異常伸長によるII型(MyD2)(非特許文献5)がある。いずれも異常伸長した繰り返し配列を持つ転写産物(mRNA)に特定のスプライシング制御因子が結合し、結果として正常なスプライシングに必要なスプライシング制御因子が不足することによりスプライシング異常を惹起する。
特許文献1には、ゲンチアナバイオレット等の18種類の化合物が、筋強直性ジストロフィーにおいてスプライシング異常が認められる遺伝子のうち、少なくとも一つのスプライシング異常を抑制できたことが開示されている。しかしながら、これらの化合物が実際に筋強直性ジストロフィーの症状を改善したことは開示されていない。筋強直性ジストロフィーに対する有効かつ安全性の高い治療法は未だ存在せず、患者には各種徴候に応じた食事療法等の対症療法が施されているのが現状である。
国際公開第2011/007866号
Harper, PS and Monckton, DG: Myotonic dystrophy. In Engel AG, Franzini-Armstrong C (eds) Myology, 3rd edn. McGraw-Hill, New York, 2: 1039-1076, 2004 Aslanidis C, et al: Cloning of the essential myotonic dystrophy region and mapping of the putative defect, Nature, 355: 548-551, 1992 Brook JD, et al: Molecular basis of myotonic dystrophy: expansion of a trinucleotide (CTG) repeat at the 3’ end of a transcript encoding a protein kinase family member, Cell, 68: 799-808, 1992 Buxton J, et al: Detection of an unstable fragment of DNA specific to individuals with myotonic dystrophy, Nature, 355, 547-548, 1992 Liquori CL, et al: Myotonic dystrophy type 2 caused by a CCTG expansion in intron 1 of ZNF9, Science, 293, 864-867, 2001
本発明は、MyDの原因であるスプライシング異常を抑制し、正常スプライシング産物を増加させることにより、MyDの症状を改善することができると共に、安全性が高く、長期投与可能なMyDの治療薬を提供することを課題とする。
本発明は、上記の課題を解決するために以下の各発明を包含する。
[1]エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その薬学的に許容される塩、水和物、またはそれらのプロドラッグを有効成分とする筋強直性ジストロフィー治療薬。
[2]筋強直を改善する前記[1]に記載の筋強直性ジストロフィー治療薬。
[3]ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常を抑制する前記[1]または[2]に記載の筋強直性ジストロフィー治療薬。
[4]哺乳動物に対して、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする筋強直性ジストロフィーの治療方法。
[5]筋強直性ジストロフィーの治療に用いるための、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグ。
[6]ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常の抑制剤であって、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグを有効成分とするスプライシング異常抑制剤。
[7]ATP2A1、CLCN1、INSR、DMD、MBNL1およびBIN1からなる群より選ばれる少なくとも1つの遺伝子のスプライシング異常を抑制する前記[6]に記載のスプライシング異常抑制剤。
本発明により、MyDの症状を改善でき、かつ長期投与可能な安全性の高いMyD治療薬を提供することができる。また、本発明により、ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常を顕著に抑制するスプライシング異常抑制剤を提供することができる。
MyDモデル細胞におけるRNA凝集体形成に対するエリスロマイシンの効果を検討した結果を示す図である。 MyDモデル細胞におけるAtp2a1遺伝子のスプライシング異常に対するエリスロマイシンの効果を検討した結果を示す図であり、(A)はRT−PCR産物の電気泳動の結果、(B)はRT−PCR産物における正常型の割合を示す図である。 MyDモデルマウスにエリスロマイシンを8日間腹腔内投与し、投与後の大腿四頭筋における骨格筋クロライドチャネル(Clcn1)遺伝子のスプライシング異常に対する効果を検討した結果を示す図である。 MyDモデルマウスにエリスロマイシンを8日間腹腔内投与し、投与後の大腿四頭筋における筋強直(ミオトニア)を解析した結果を示す図である。 MyDモデルマウスに高用量エリスロマイシンを5日間経口投与し、投与後の大腿四頭筋における骨格筋クロライドチャネル(Clcn1)遺伝子のスプライシング異常に対する効果を検討した結果を示す図である。 MyDモデルマウスに通常用量エリスロマイシンを21日間経口投与し、投与後の大腿四頭筋における骨格筋クロライドチャネル(Clcn1)遺伝子のスプライシング異常に対する効果を検討した結果を示す図である。 MyDモデルマウスに通常用量エリスロマイシンを21日間経口投与し、投与後の大腿四頭筋における筋強直(ミオトニア)を解析した結果を示す図である。
本発明は、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグを有効成分とする筋強直性ジストロフィー治療薬を提供する。
エリスロマイシンは、主としてグラム陽性菌に強い抗菌力を示す14員環のマクロライド系抗生物質で、1952年McGuireらによりStreptomyces erythreusの培養液から分離抽出された。エリスロマイシンは以下の化学構造を有し、化学名は (2R, 3S, 4S, 5R, 6R, 8R, 10R, 11R, 12S, 13R)-5-(3, 4, 6-Trideoxy-3-dimethylamino-β-D-xylo-hexopyranosyloxy)-3-(2, 6-dideoxy-3-Cmethyl-3-O-methyl-α-L-ribo-hexopyranosyloxy)-6, 11, 12-trihydroxy-2, 4, 6, 8, 10, 12-hexamethyl-9-oxopentadecan-13-olide である。
エリスロマイシンは医療用医薬品として承認され、販売されており、本発明においてこれらのエリスロマイシンを購入して使用することができる。市販のエリスロマイシン製剤では、エリスロマイシンステアリン酸塩、エリスロマイシンラクトビオン酸塩等の塩、エリスロマイシンエチルコハク酸エステル等のプロドラッグが有効成分として使用されており、これらを本発明のエリスロマイシンとして、好適に用いることができる。
クラリスロマイシンは、エリスロマイシンのラクトン環の6位水酸基をO−メチル化した半合成マクロライド系抗生物質(6−O−メチルエリスロマイシンA)で、その化学構造上、エリスロマイシンに比べて酸に対して安定な物質といわれている。クラリスロマイシンは以下の化学構造を有し、化学名は (2R, 3S, 4S, 5R, 6R, 8R, 10R, 11R, 12S, 13R)-5-(3, 4, 6 -Trideoxy-3-dimethylamino-β-D-xylo-hexopyranosyloxy)-3-(2, 6-dideoxy-3-C-methyl-3-O-methyl-α-L-ribo-hexopyranosyloxy)-11, 12-dihydroxy-6-methoxy-2, 4, 6, 8, 10, 12-hexamethyl-9-oxopentadecan-13-olide である。クラリスロマイシンは医療用医薬品として承認され、販売されており、本発明においてこれらのクラリスロマイシンを購入して使用することができる。
アジスロマイシンは、エリスロマイシンから誘導された14員環のマクロライド系抗生物質である。アジスロマイシンは以下の化学構造を有し、化学名は (2R, 3S, 4S, 5R, 6R, 8R, 11R, 12R, 13S, 14R)-5-(3, 4, 6-Trideoxy-3-dimethylamino-β-D-xylo-hexopyranosyloxy)-3-(2,6-dideoxy-3-C-methyl-3-O-methyl-α-L-ribo-hexopyranosyloxy)-10-aza-6, 12, 13-trihydroxy-2, 4, 6, 8, 10, 11, 13-heptamethylhexadecan-14-olide dihydrate である。アジスロマイシンは医療用医薬品として承認され、販売されており、本発明においてこれらのアジスロマイシンを購入して使用することができる。アジスロマイシンは水和物として使用されることが好ましい。
エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンは経口投与可能な抗生物質であり、既に長年にわたり臨床で使用されている薬剤であるので、長期間投与の安全性も確立されている。したがって、MyD患者に対して、安価で、忍容性および安全性の高い治療薬を提供することができる。
本発明において、薬学的に許容される塩は、活性成分の効能を維持し、かつ人体に対して悪影響を与えない限り特に限定されないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、ステアリン酸、コハク酸、エチルコハク酸、マロン酸、ラクトビオン酸、グルコン酸、グルコヘプトン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸(トシル酸)、ラウリル硫酸、リンゴ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アジピン酸、システイン、N−アセチルシステイン、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、ヨウ化水素酸、ニコチン酸、シュウ酸、ピクリン酸、チオシアン酸、ウンデカン酸、アクリル酸ポリマー、カルボキシビニルポリマー等の酸との塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の無機塩基との塩、モルホリン、ピペリジン等の有機アミンとの塩、アミノ酸との塩などを挙げることができる。
本発明において、プロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応によりエリスロマイシン、クラリスロマイシンまたはアジスロマイシンに変換される化合物を意味する。例えば、生体内で加水分解を受けてこれらの化合物を遊離するエステル等が挙げられる。
本発明の治療薬は、MyDの症状を有効に改善することができる。MyDにはミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子の3’UTRのCTG繰り返し配列の異常伸長が認められるI型(MyD1)と、Znフィンガー蛋白質9(ZNF9)遺伝子イントロン1のCCTG繰り返し配列の異常伸長が認められるII型(MyD2)が知られているが、本発明の治療薬の治療対象は、MyDと診断される全ての疾患を含み、これらに限定されない。好ましくは、I型(MyD1)である。
本発明の治療薬により改善される症状は、特に限定されず、例えば筋強直(ミオトニア)、筋萎縮、筋力低下、心病変(心伝導障害、心筋障害)、中枢神経症状(認知症状、性格変化、傾眠)、眼症状(白内障、網膜変性症)、内分泌異常(耐糖能障害、高脂血症)などが挙げられる。好ましくは、筋強直(ミオトニア)、筋萎縮および筋力低下であり、より好ましくは筋強直(ミオトニア)である。
本発明の治療薬は、ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常を抑制することができる。スプライシング異常とは、mRNA前躯体からイントロンを切り除きエクソンを連結させる過程であるスプライシングが正常に行われず、異常スプライシング産物が生成されることをいう。スプライシング異常を抑制するとは、異常スプライシング産物の生成を部分的または完全に抑制し、正常スプライシング産物(正常mRNA)の生成を増加させることをいう。
DMPK遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常が生じる遺伝子としては、以下の表1に示した遺伝子が挙げられる(Nakamori M, et al: ANN NEUROL 2013; 74: 862-872)。
本発明の治療薬は、上記の有効成分に薬学的に許容される担体、さらに添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、輸液、坐剤、軟膏、パッチ剤等の非経口剤とすることができる。担体または添加剤の配合割合については、医薬品分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体または添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性または油性基剤等の各種担体;賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸が挙げられ、結合剤としては、例えば、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の高分子化合物等が挙げられ、滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられ、崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム等が挙げられ、湿潤剤としては、例えば、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、トリアセチン等が挙げられるが、これらに限られない。必要に応じて、コーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。
注射剤の場合、有効成分を生理食塩水等の水性基剤または注射用に許容される油性基剤に溶解または分散させて、静脈内投与用、筋肉内投与用または皮下投与用の注射剤とすればよい。必要に応じて、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、溶解補助剤、懸濁化剤、安定化剤等の添加剤を適宜加えることができる。
注射剤の場合、水性基剤としては、例えば、生理食塩水、注射用水、リンゲル液等の輸液が挙げられる。油性基剤としては、例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、ダイズ油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、綿実油、オリーブ油、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、グルタミン酸塩、イプシロンアミノカプロン酸塩、トリス緩衝液等の緩衝液等が挙げられる。pH調整剤としては、例えば、塩酸、リン酸、硫酸、炭酸等の無機酸、酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸等の有機酸、水酸化ナトリウム等の無機塩基、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等の有機塩基が挙げられる。等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム等の無機塩類、D−マンニトール、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール、フルクトース、グルコース、ガラストース、リボース、キシロース、マンノース、マルトトリオース、マルトテトラオース等の糖類、グリシン、アルギニン等のアミノ酸が挙げられる。溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、レシチンや、ポリソルベート80等の非イオン界面活性剤が挙げられる。懸濁化剤としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。安定化剤としては、例えば、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、ソルビトール、エチレングルコール、プロピレングリコール、アスコルビン酸等が挙げられる。
本発明の治療薬の有効成分は、既に長年にわたり臨床で使用されているので、本発明の治療薬は、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して、安全に投与することができる。
本発明の医薬組成物の1日当たりの投与量は、MyDの治療に有効な量であって副作用の少ない量であれば特に限定されない。本発明の医薬組成物の1日当たりの投与量は、市販のエリスロマイシン、クラリスロマイシンまたはアジスロマイシンの1日当たりの投与量に準じて設定することが好ましい。
本発明は、ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常の抑制剤を提供する。本発明のスプライシング異常抑制剤は、上記本発明の治療薬と同じく、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグを有効成分とすることができる。
本発明のスプライシング異常抑制剤により、スプライシング異常が抑制される遺伝子としては、前記表1に示した遺伝子が挙げられる。なかでも、ATP2A1、CLCN1、INSR、DMD、MBNL1およびBIN1等のスプライシング異常を抑制することが好ましく、ATP2A1およびCLCN1のスプライシング異常を抑制することが好ましい。
本発明には、以下の各発明が含まれる。
哺乳動物に対して、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする筋強直性ジストロフィーの治療方法。
筋強直性ジストロフィーの治療に用いるための、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグ。
筋強直性ジストロフィー治療薬を製造するための、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグの使用。
哺乳動物に対して、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とするミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常の抑制方法。
ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常の抑制に用いるための、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグ。
ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常抑制剤を製造するための、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグの使用。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:MyDモデル細胞におけるRNA凝集体形成に対するエリスロマイシンの効果〕
MyDモデル細胞にエリスロマイシンを作用させ、FISH(fluorescent in situ hybridization)法にてRNA凝集体の数を測定した。
<実験材料および方法>
(1)MyDモデル細胞
MyD細胞モデルとして、C2C12細胞に800CTGリピートを含むDMPK遺伝子領域を導入した細胞(C2C12−DMPK800R、Nucleic Acids Research, 2014, 42(10), 6591-6602)を使用した。C2C12−DMPK800は以下の手順で作製した。すなわち、DMPK遺伝子3’非翻訳領域に800CTGを挿入した配列を含むプラスミド(pLC16)とPhiC31インテグラーゼを発現するするプラスミドとを、共にマウス筋芽細胞株C2C12にNucleofector(商品名、Lonza社)を用いてトランスフェクションした後、ピューロマイシンを添加した選択培地を用いて安定発現株を選択した。続いて、安定発現株にCreリコンビナーゼを発現するプラスミドをトランスフェクションし、ハイグロマイシンを添加した選択培地を用いて、800CUGの転写が誘導されるクローンを選択した。
(2)エリスロマイシン
エリスロマイシンとして「エリスロシン(登録商標)静注用500mg(注射用エリスロマイシンラクトビオン酸塩)」(アボット)を使用した。超純水10mlで溶解し、生理食塩水で15mg/mlとなるように希釈して使用した。
(3)RNA凝集体形成数の計測
MyDモデル細胞は、10%FBS、ペニシリン/ストレプトマイシン含有DMEM培地を用いて、37℃、5%CO条件下で培養した。培地にエリスロマイシンを0、25または50μMになるように添加し、72時間後に3%パラホルムアルデヒドで15分間室温にて固定した。固定後、PBSで2回洗浄した後に、0.5%TritonX−100含有PBSで5分間透過処理した。次に30%ホルムアミド含有の2×SSCバッファーで10分間プレハイブリダイゼーション処理した。その後、30%ホルムアミド、2μg/mL BSA、66μg/mL yeast tRNA、2mMバナジル複合体(vanadyl complex)、1ng/μL Texas Red CAG probe含有の2×SSCバッファーで37℃、1時間ハイブリダイゼーション処理した。30%ホルムアミド含有の2×SSCバッファーで42℃、30分間ポストハイブリダイゼーション処理した後に、1×SSCバッファーで1回洗浄し、その後にPBSで2回洗浄した。Vectashield with DAPI(商品名、Vector Laboratories社)を用いて固定した後、蛍光顕微鏡(Keyence PZ−9000)で核内のRNA凝集体の数を計測した。
<結果>
結果を図1に示した。図1から明らかなように、エリスロマイシンを添加していない培地で培養したMyDモデル細胞では、RNA凝集体陽性細胞率が60%を超えていたが、エリスロマイシンを培地に添加することにより、RNA凝集体陽性細胞率は、用量依存的に有意に低下した。
〔実施例2:MyDモデル細胞におけるスプライシング異常に対するエリスロマイシンの効果〕
MyDモデル細胞にエリスロマイシンを作用させ、Atp2a1遺伝子のexon 22におけるスプライシング異常が改善するか否かを検証した。
<実験材料および方法>
(1)MyDモデル細胞
実施例1と同じMyDモデル細胞(C2C12−DMPK800R)を使用した。
(2)エリスロマイシン
実施例1と同じエリスロマイシンを使用した。
(3)スプライシング産物の定量
MyDモデル細胞の培地に、エリスロマイシンを0、25、50μMとなるように添加し、72時間後にRNeasy Mini Plus Kit(商品名、Qiagen)を用いてtotal RNAを抽出した。コントロールとして、エリスロマイシンを含有しない培地で培養した正常C2C12細胞を用い、同様にtotal RNAを抽出した。続いて、SuperScript III First Strand Symthesis System(Invitrogen)を用いてcDNAを調製した。cDNAをRNaseH処理した後、以下のAtp2a1 exon 22 RTプライマーを用いてRT−PCRを行った。RT−PCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、GelRedを用いて染色した後、イメージアナライザー(Typhoon 9410、GE)で正常型のPCR産物と異常型のPCR産物をそれぞれ定量した。
Atp2a1 exon 22 RTプライマー
Fw: GCTCATGGTCCTCAAGATCTCAC(配列番号1)
Rv: GGGTCAGTGCCTCAGCTTTG(配列番号2)
<結果>
結果を図2(A)、(B)に示した。(A)はRT−PCR産物の電気泳動の結果であり、(B)はRT−PCR産物における正常型の割合を示すグラフである。図2(A)から、正常C2C12細胞では正常型が多数を占め、エリスロマイシンを含有しない培地で培養したMyDモデル細胞では異常型の比率が正常型より多かった。エリスロマイシンを培地に添加することにより、MyDモデル細胞における正常型の比率が有意に増加し、正常C2C12細胞と同程度まで、スプライシング異常が改善することが示された。
〔実施例3:MyDモデルマウスにおけるエリスロマイシン腹腔内投与の効果〕
MyDモデルマウスにエリスロマイシンを腹腔内投与し、大腿四頭筋における筋強直症状に対する効果、および骨格筋クロライドチャネル(Clcn1)遺伝子のスプライシング異常に対する効果を検証した。
<実験材料および方法>
(1)使用動物
MyDモデルマウスとしてHSALRマウス(Dr. Charles Thornton(University of Rochester)より譲渡され、大阪大学の実験動物施設で繁殖させたもの)を使用した。HSALRマウスはhACTA遺伝子(筋細胞で恒常的に発現するヒト遺伝子)3’側CTG反復配列を220回に増幅したものをゲノム中に組み込んだトランスジェニック動物で、筋細胞でCUG配列が増幅したmRNAが発現することによって、MyDの症状が現れる(Science, 2000, 289(5485), 1769-73)。コントロールとして、野生型マウス(FVB/NJclマウス、日本クレアより購入)を使用した。実験には、8週齢の雌雄マウスを用いた。
(2)エリスロマイシン
エリスロマイシンとして「エリスロシン(登録商標)静注用500mg(注射用エリスロマイシンラクトビオン酸塩)」(アボット)を使用した。生理食塩水で50mg/mlになるように溶解して使用した。
(3)群分け、投与スケジュール
エリスロマイシン投与MyD群、生理食塩水投与MyD群、コントロール(野生型マウス)群の3群を設けた(各群n=3(♂1、♀2))。エリスロマイシンの投与量は150mg/kgとし、一日一回8日間連続投与した。生理食塩水投与MyD群には、生理食塩水を、一日一回8日間連続投与した。コントロール(野生型マウス)群には、何も投与しなかった。
(4)筋強直(ミオトニア)の測定
最終投与の24時間後に、麻酔下にてマウス大腿四頭筋の電気的筋強直現象を針筋電図で解析した。具体的には、マウス大腿四頭筋へ10回以上針電極を刺入した時の電気的筋強直現象の発生頻度を次の4段階に分けて評価した。
重症度0:電気的筋強直現象が全くみられない。
重症度1:全体の50%未満に電気的筋強直現象がみられる。
重症度2:全体の50%以上、90%未満に電気的筋強直現象がみられる。
重症度3:電気的筋強直現象が90%以上みられる。
(5)スプライシング産物の定量
最終投与の24時間後に、マウスから大腿四頭筋を採取した。TRI Reagent(商品名、MRC)を用いてtotal RNAを抽出した後、SuperScript III First Strand Symthesis System(Invitrogen)を用いてcDNAを調製した。cDNAをRNaseH処理した後、以下のClcn1 exon 7a RTプライマーを用いてRT−PCRを行った。RT−PCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、GelRedを用いて染色した後、イメージアナライザー(Typhoon 9410、GE)で正常型のPCR産物と異常型のPCR産物をそれぞれ定量し、RT−PCR産物における正常型の割合を算出した。統計解析にはt−testを用いた。
Clcn1 exon 7a RTプライマー
Fw: TGAAGGAATACCTCACACTCAAGG(配列番号3)
Rv: CACGGAACACAAAGGCACTG(配列番号4)
<結果>
スプライシング異常の評価結果を図3に示した。コントロール群(図中WT)では、90%超のRT−PCR産物が正常型であったが、生理食塩水投与MyD群(図中−)では、正常型の割合が約60%に減少し、異常型RT−PCR産物の割合が増加していることが示された。エリスロマイシン投与MyD群では、正常型RT−PCR産物の割合が有意に増加したことから、エリスロマイシン投与によりClcn1遺伝子のスプライシング異常が改善されることが明らかになった。
筋強直の解析結果を図4に示した。コントロール群(図中WT)は3匹とも筋強直が検出されなかった。生理食塩水投与MyD群(図中−)は3匹とも重症度3の筋強直が検出された。エリスロマイシン投与MyD群は、1匹が重症度1、残りの2匹は筋強直が検出されなかった。これらの結果から、エリスロマイシン投与により、CTG反復配列の異常伸長に基づくスプライシング異常が改善され、その結果MyDにおける筋強直症状が改善されることが示された。
〔実施例4:MyDモデルマウスにおける高用量エリスロマイシン経口投与の効果〕
MyDモデルマウスに高用量のエリスロマイシンを経口投与し、大腿四頭筋における骨格筋クロライドチャネル(Clcn1)遺伝子のスプライシング異常に対する効果を検証した。
<実験材料および方法>
(1)使用動物
実施例3と同じMyDモデルマウス(HSALRマウス)および野生型マウスを使用した。
(2)エリスロマイシン
エリスロマイシンとして「エリスロシン(登録商標)ドライシロップW20%(エリスロマイシンエチルコハク酸エステルドライシロップ)」(アボット)を使用した。純水で100mg/mlになるように溶解して使用した。
(3)群分け、投与スケジュール
エリスロマイシン300mg/kg投与MyD群、エリスロマイシン600mg/kg投与MyD群、エリスロマイシン900mg/kg投与MyD群、生理食塩水投与MyD群、コントロール(野生型マウス)群の5群を設けた(各群n=3)。投与は強制経口投与とし、一日一回5日間連続で行った。
(4)スプライシング産物の定量
最終投与日にマウスから大腿四頭筋を採取し、実施例3と同じ方法でRT−PCRを行い、正常型および異常型のスプライシング産物を定量し、RT−PCR産物における正常型の割合を算出した。統計解析にはt−testを用いた。
<結果>
結果を図5に示した。図5から明らかなように、高用量エリスロマイシンの経口投与により、Clcn1遺伝子のスプライシング異常が、用量依存的に有意に改善されることが明らかになった。
〔実施例5:MyDモデルマウスにおける通常用量エリスロマイシン経口投与の効果〕
MyDモデルマウスに通常用量のエリスロマイシンを経口投与し、大腿四頭筋における筋強直症状に対する効果、および骨格筋クロライドチャネル(Clcn1)遺伝子のスプライシング異常に対する効果を検証した。
<実験材料および方法>
(1)使用動物
実施例3と同じMyDモデルマウス(HSALRマウス)および野生型マウスを使用した。
(2)エリスロマイシン
実施例4と同じく、エリスロマイシンとして「エリスロシン(登録商標)ドライシロップW20%(エリスロマイシンエチルコハク酸エステルドライシロップ)」(アボット)を、純水で100mg/mlになるように溶解して使用した。
(3)群分け、投与スケジュール
エリスロマイシン50mg/kg投与MyD群、生理食塩水投与MyD群、コントロール(野生型マウス)群の3群を設けた(各群n=3)。投与は強制経口投与とし、一日一回21日間連続で行った。
(4)筋強直(ミオトニア)の測定
最終投与日に、麻酔下にてマウス大腿四頭筋の電気的筋強直現象を針筋電図で解析した。
(5)スプライシング産物の定量
最終投与日にマウスから大腿四頭筋を採取し、実施例3と同じ方法でRT−PCRを行い、正常型および異常型のスプライシング産物を定量した。統計解析にはt−testを用いた。
<結果>
スプライシング異常の評価結果を図6に示した。図6から明らかなように、エリスロマイシン50mg/kg投与MyD群は生理食塩水投与MyD群と比較して、正常型RT−PCR産物の割合が有意に増加した。すなわち、通常用量(50mg/kg)のエリスロマイシンを21日間経口投与することにより、Clcn1遺伝子のスプライシング異常が改善されることが明らかになった。
筋強直の解析結果を図7に示した。生理食塩水投与MyD群では3匹とも重症度3の筋強直が検出されたが、エリスロマイシン50mg/kg投与MyD群では2匹が重症度2に、1匹が重症度1に改善していた。これらの結果から、通常用量(50mg/kg)のエリスロマイシンの21日間経口投与により、CTG反復配列の異常伸長に基づくスプライシング異常が改善され、その結果MyDにおける筋強直症状が改善されることが示された。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims (7)

  1. エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その薬学的に許容される塩、水和物、またはそれらのプロドラッグを有効成分とする筋強直性ジストロフィー治療薬。
  2. 筋強直を改善する請求項1に記載の筋強直性ジストロフィー治療薬。
  3. ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常を抑制する請求項1または2に記載の筋強直性ジストロフィー治療薬。
  4. 哺乳動物に対して、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグの有効量を投与することを特徴とする筋強直性ジストロフィーの治療方法。
  5. 筋強直性ジストロフィーの治療に用いるための、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグ。
  6. ミオトニンプロテインキナーゼ(DMPK)遺伝子異常伸長に起因するスプライシング異常の抑制剤であって、エリスロマイシン、クラリスロマイシンおよびアジスロマイシンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、その医薬上許容される塩、溶媒和物、またはそれらのプロドラッグを有効成分とするスプライシング異常抑制剤。
  7. ATP2A1、CLCN1、INSR、DMD、MBNL1およびBIN1からなる群より選ばれる少なくとも1つの遺伝子のスプライシング異常を抑制する請求項6に記載のスプライシング異常抑制剤。
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