次に、本発明を実施する実施形態について図面を参照しながら、詳細に説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る血圧推定装置101が有する構成と、血圧推定装置101が行う処理とについて、図1と図2とを参照しながら、詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る血圧推定装置101が有する構成を示すブロック図である。図2は、第1の実施形態に係る血圧推定装置101における処理の流れを示すフローチャートである。
第1の実施形態に係る血圧推定装置101は、脈波算出部102と、血圧推定部103とを有する。
血圧推定装置101は、特定の期間における圧力を表す圧力信号2003と、被測定者に関して該特定の期間において該圧力を加える場合に測定される1つ以上の脈波信号(たとえば、脈波信号2001)とを受信する(ステップS201)。
図3を参照しながら、血圧推定装置101が受信する、圧力信号2003、及び、脈波信号2001の一例について説明する。図3は、圧力信号2003、及び、脈波信号の一例を概念的に表す図である。図3における横軸は、時間を表し、右側であるほど時間が進むことを表す。図3の上図における縦軸は、圧力信号の強度を表し、上側であるほど圧力信号の強度が強いことを表す。図3の下図における縦軸は、脈波信号の強度を表し、上端または下端に近いほど脈波信号の強度が上がり、上端と下端との中心に近いほど脈波信号の強度が下がることを表す。図3に示す例の場合に、特定の期間は、複数回、心臓が拍動する(心拍)期間である。
以降の説明においては、説明の便宜上、カフの形状は、後述する図8に例示されるように、展開した状態において長方形(矩形)状であるとする。長手方向は、カフを特定部位に巻く方向であるとする。また、短手方向は、長手方向に直交(または、略直交)する方向であるとする。さらに、加圧した状態において、カフの全体が特定部位に圧力を加えるとする。この場合に、「上流」とは、動脈において、中枢または心臓と、短手方向の中心との間を表すこととする。「下流」とは、動脈において、短手方向の中心と、末梢側(たとえば、手や足等)との間を表すこととする。しかし、カフの態様は、上述した態様に限定されない。
図3に示す例は、特定の期間において、一定(または、略一定)の割合で圧力を加える場合に測定される脈波信号2001を表す。脈波信号2001は、たとえば、上流側において測定される脈波信号である。脈波信号2001は、下流側において測定される脈波信号であってもよいし、圧力を加える領域の中心(または、略中心)において測定される脈波信号であってもよい。
すなわち、脈波信号2001は、脈波の強度と、該脈波が計測されたタイミングとが関連付けされた信号である。圧力信号2003は、圧力の大きさと、該圧力が計測されたタイミングとが関連付けされた信号である。
以降においては、説明の便宜上、1つ以上の脈波信号は、1つ(すなわち、脈波信号2001)であるとする。本実施形態に係る血圧推定装置101が受信する脈波信号は、2つ以上であってもよい。
次に、脈波算出部102は、受信した圧力信号2003と、脈波信号2001とに基づき、脈波情報を算出する(ステップS202)。たとえば、脈波算出部102は、脈波信号2001が所定の条件を満たすタイミングを算出するとともに、複数のタイミングの差分を表す期間を算出し、さらに、該期間における圧力信号2003の値(すなわち、圧力値)を算出する。脈波算出部102は、複数の所定の条件について、タイミング及び期間と、該期間における圧力値とを、それぞれ、算出する。
脈波算出部102は、該期間における圧力信号2003を平均することにより、該期間における圧力値を求めてもよいし、該期間内のあるタイミングにおける圧力信号2003に係る圧力に基づき圧力値を求めてもよい。脈波算出部102が圧力値を算出する方法は、上述した例に限定されない。
たとえば、所定の条件には、脈波信号2001が1心拍において最小(または、略最小)となる場合、または、脈波信号2001が1心拍において最大(または、略最大)となる場合が含まれる。
尚、脈波信号2001が複数ある場合には、脈波信号間の違いを表す相違信号が所定の条件を満たすタイミングを算出してもよい。
たとえば、略最大は、最大から特定の範囲内にある場合における値として定義することができる。特定の範囲は、所定の値でもよいし、最大値を算出する対象(たとえば、上述した脈波信号2001)に関する傾き(微分、階差等を算出することにより求められる)の大きさが、所定の値未満になること等に基づき算出される値でもよい。特定の範囲は、上述した例に限定されない。
同様に、略最小は、最小から特定の範囲内にある場合における値として定義することができる。特定の範囲は、所定の値でもよいし、最小値を算出する対象(たとえば、上述した脈波信号2001)に関する傾き(微分、階差等を算出することにより求められる)の大きさが、所定の値未満になること等に基づき算出される値でもよい。特定の範囲は、上述した例に限定されない。
ここで、説明の便宜上、脈波信号2001が1心拍において最小(または、略最小)となるタイミングを「第1タイミング」と表す。また、脈波信号2001が1心拍において最大(または、略最大)となるタイミングを「第4タイミング」と表す。
第1タイミングにおいて、特定部位に加えられる圧力から、動脈の内圧を引いた圧力差が正となる場合に、動脈には、血流を阻害する閉塞部が生じる。さらに、血液が閉塞部に衝突することにも起因して、脈波は生じる。圧力差が大きいほど、閉塞部は、より強固になる。閉塞部が強固になるにつれ、血液は、閉塞部に衝突しやすくなる。この結果、第1タイミングは、圧力差の影響を受ける。すなわち、第1タイミングは、圧力差の大きさに応じて、発生するタイミングが変化する。
この場合に、第1タイミングにおいて、閉塞部が生じない最大(または、略最大)の圧力が、拡張期血圧である。
また、第4タイミングは、心臓による血液の拍出により測定部位における血流がピークとなるタイミングである。第4タイミングにおいて、動脈の口径は、最大(または、略最大)になる。さらに、第4タイミングにおいて、動脈の内圧は最高(または、略最高)になる。第4タイミングは、動脈コンプライアンスや、血流の変動等の影響を受ける。すなわち、第4タイミングは、圧力差の大きさに応じて変化する。
次に、脈波算出部102は、算出した期間(以降、「脈波パラメタ」と表す)と、該複数の圧力値における1つの圧力値とが関連付けされた脈波情報を算出する。
この場合に、第4タイミングにおいて、閉塞部により血流が止まる最小(または、略最小)の圧力が、収縮期血圧である。
たとえば、脈波情報は、図4に示すように、圧力値と、脈波パラメタとが関連付けされた情報である。図4は、脈波情報の一例を概念的に表す図である。たとえば、脈波情報は、圧力「70」と、脈波パラメタ「aa」とを関連付ける。これは、特定部位に圧力「70」を加える場合に、脈波パラメタの値が「aa」であることを表す。
尚、脈波情報は、必ずしも、ある期間における圧力と、脈波パラメタとが関連付けされた情報である必要はなく、圧力と、脈波パラメタとの関係を回帰分析する等により算出されるパラメタであってもよい。また、脈波情報は、脈波パラメタ、または、圧力でなくともよく、圧力、あるいは、脈波信号2001に基づき、所定の手順に従い算出される値であってもよい。すなわち、脈波情報は、上述した例に限定されない。
次に、血圧推定部103は、脈波算出部102が算出した脈波情報に基づき、脈波信号2001に関する血圧(血圧値)を推定する(ステップS203)。ここで、血圧は、収縮期血圧、拡張期血圧、または、その両者を表す。収縮期血圧は、心臓が収縮することにより動脈に血液を拍出する場合における圧力である。一方、拡張期血圧は、心臓が拡張している期間内の動脈に血液を緩やかに拍出する場合における血圧である。
血圧推定部103は、図5に例示されるような、あらかじめ、脈波情報と、血圧値とが関連付けされた血圧情報と、脈波算出部102が算出する脈波情報とに基づき、脈波信号2001に係る血圧を推定する。図5は、血圧情報の一例を概念的に表す図である。この場合に、血圧は、拡張期血圧と、収縮期血圧とを含む。また、図5の例において、脈波情報は、あるタイミングにおける圧力と、脈波信号に基づき算出される脈波パラメタとが関連付けされた情報である。血圧推定装置101が該血圧情報を記憶してもよいし、外部装置が該血圧情報を記憶してもよい。
血圧推定部103は、血圧情報から、受信した特定の脈波情報(すなわち、脈波信号2001に関する脈波パラメタと、圧力信号2003とが関連付けされた情報)に関連付けされた血圧を読み取る。すなわち、血圧推定部103は、血圧情報を参照することにより、受信した特定の脈波情報に関連付けされた血圧を求める。
上述した例において、血圧推定部103が、血圧情報において、特定の脈波情報と一致する脈波情報を探索したが、特定の脈波情報と、血圧情報における脈波情報との類似度を算出する等により、類似(または一致)する脈波情報を探索してもよい。血圧推定部103は、特定の脈波情報との類似度が所定の閾値以上である脈波情報を特定し、特定した脈波情報に関連付けされた血圧を読み取ってもよい。また、特定の脈波情報に関連付けされた血圧情報には、複数の被測定者に関する血圧情報が含まれていてもよい。
血圧推定部103は、類似度が最大(または、略最大)の脈波情報を特定し、特定した脈波情報に関連付けされた血圧を読み取ってもよい。尚、類似度は、2つのデータが類似している程度を表し、たとえば、2つのデータの距離を算出することによって計測される。この場合に、距離が短いほど、類似度は高く、距離が長いほど、類似度は低い。たとえば、類似度は、2つのデータを、それぞれ、ベクトルと見た場合における、2つのベクトルのなす角としても算出することができる。類似度を算出する手順は、上述した例に限定されない。
また、血圧推定部103は、必ずしも、血圧情報における脈波情報の全てのデータと、特定の脈波情報との類似度を算出する必要はなく、血圧情報における脈波情報の一部のデータであってもよい。この場合に、カフの内圧の最大値は、収縮期血圧以上になるように制御されなくてもよい。たとえば、血圧情報における脈波情報と、カフの内圧が加圧されつつ作成されている特定の脈波情報との類似度が、上述した所定の閾値以上となった場合に、カフの内圧が加圧される処理は、停止されてもよい。このようにカフの内圧が制御されることによって、測定に伴う身体的な負担を軽減することができる。
次に、血圧推定装置101は、読み取った血圧に基づき、脈波情報に関する血圧(以降、説明の便宜上、「第1血圧」と表す)を推定する。たとえば、読み取った血圧が1つである場合に、血圧推定部103は、読み取った血圧を第1血圧であると推定する。また、類似度に基づいて読み取る血圧を推定する場合に、血圧推定部103は、該血圧を類似度に応じた重み付きの平均値を求める等の処理を行うことにより第1血圧を推定してもよい。
血圧情報は、圧力値及び脈波が関連付けされた脈波情報と、血圧とを含む。該血圧情報は、複数の被測定者に関してあらかじめ測定された値であってもよい。血圧情報は、被測定者ごとに存在してもよい。
また、血圧推定装置101は、複数の血圧情報が存在する場合に、複数の血圧情報から新たな血圧情報を合成してもよい。合成する方法は、たとえば、複数の血圧情報を平均化する方法や、複数の血圧情報におけるデータを足し合わせた後に、非線形な関数を用いてフィッティングする方法である。この場合に、血圧推定装置101が合成する血圧情報は、同じタイミングの組み合わせ、かつ、同じ方法で算出されるパラメタであることが好ましい。また、合成する対象である血圧情報は、相互の類似度が、所定の基準値以上であることが好ましい。
上述したように、複数の血圧情報から新たな血圧情報を合成することにより、ノイズが少ない、精度が高い血圧情報を得ることができる。
この場合に、本実施形態に係る血圧推定装置101は、血圧情報から、特定の脈波情報に関連付けされた脈波情報、または、特定の脈波情報に類似(または一致)している脈波情報に関連付けされた血圧を読み取る。血圧推定装置101は、読み取った血圧に基づき、特定の脈波情報に関する血圧を推定する。したがって、血圧推定装置101は、脈波、または、圧力がノイズを含む場合であっても、血圧情報から血圧を読み取ることにより、ノイズの影響を低減しながら血圧を推定することができる。
一方、一般的な血圧推定装置は、上述したように、測定される脈波がノイズを含む場合に、高精度に血圧を測定することができない。
すなわち、本実施形態に係る血圧推定装置101によれば、高精度に血圧を推定できる。
また、血圧推定部103は、脈波信号2001が複数である場合に、相違信号が最大(または、略最大)となるときの圧力を、収縮期血圧であると推定してもよい。
心臓は、収縮期において、多くの血液を動脈に拍出する。この場合に、動脈には多くの血液が一度に流れるので、拍出される血量に応じて、動脈における圧力は変化する。すなわち、拍出される血量は、上流において多く、下流において少ない。この結果、上流にて測定される脈波信号と、下流にて測定される脈波信号とに関する相違信号は大きく異なる。したがって、血圧推定部103は、相違信号が最大(または、略最大)となる場合の圧力を、収縮期血圧であると推定することができる。
また、血圧推定部103は、脈波信号2001が複数である場合に、相違信号が特定の値よりも小さいときの圧力を、拡張期血圧であると推定してもよい。
たとえば、特定の値は、圧力を付加しない場合における、相違信号の平均値から数%乃至数十%高い値である。また、特定の値は、オシロメトリック法、または、コロトコフ法等の手法に従い測定される拡張期血圧に基づき算出される値であってもよい。特定の値は、上述した例に限定されない。
心臓は、拡張期において、ゆるやかに血液を動脈に拍出する。この場合に、動脈には、血液がゆるやかに流れるので、動脈における圧力は大きくは変化しない。この結果、上流にて測定される脈波信号と、下流にて測定される脈波信号との差異は小さい。したがって、血圧推定部103は、収縮期血圧よりも低く、かつ、相違信号が特定の値よりも小さい場合における圧力を、拡張期血圧であると推定することができる。
尚、上述した例において、相違信号は、差であっても、比であってもよい。相違信号が比である場合に、血圧推定部103は、比の大小に応じて、血圧を推定する。相違信号は、複数の脈波信号を比較可能な指標であればよいので、上述した例に限定されない。
血圧推定装置101は、相違信号に基づき血圧を推定する。このため、たとえば、複数の脈波信号が同様なノイズを含む場合であっても、血圧推定装置101は、違いに基づき血圧を推定することにより、該ノイズを低減する。したがって、血圧推定装置101は、ノイズの影響を低減することにより、高精度に血圧を推定することができる。
一方、一般的な血圧推定装置は、上述したように、測定される脈波がノイズを含む場合に、高精度に血圧を測定することができない。
すなわち、本実施形態に係る血圧推定装置101によれば、高精度に血圧を推定することができる。
尚、上述した例において、圧力信号2003が変動する範囲は、拡張期血圧と、収縮期血圧とを含むとしたが、図6に例示されるように、必ずしも、両者を含む必要はない。図6は、圧力信号2003が変動する範囲が収縮期血圧を含まない一例を表す図である。図6の上図は、圧力信号2003を表す。図6の下図は、脈波信号2001を表す。図6における横軸は、時間を表し、右側であるほど時間が進むことを表す。図6の上図における縦軸は、圧力を表し、上側であるほど圧力が高いことを表す。図6の下図における縦軸は、脈波を表し、上側、または、下側になるほど、脈波が強く、0に近いほど脈波が弱いことを表す。図6に示す例において、脈波信号2001は、圧力信号2003を停止するまでの期間内に測定される。
たとえば、圧力信号2003が変動する範囲が収縮期血圧を含まない場合であっても、血圧推定装置101は、圧力信号2003を停止するまでの期間に測定される脈波信号2001に基づき、血圧を推定することができる。
たとえば、血圧推定装置101は、受信した脈波信号2001と、圧力信号2003とに基づき、脈波算出部102が算出する脈波情報を算出する。次に、血圧推定部103は、該脈波情報と、血圧情報における脈波情報(または、脈波情報の一部)とを比較することにより、類似(または一致)する脈波情報を抽出し、該類似(または一致)する脈波情報に関連付けされた血圧を読み取る。血圧推定部103は、読み取った血圧に基づき、受信した脈波信号に関する血圧を推定する。
たとえば、血圧推定装置101は、図7に例示される血圧測定装置408が測定する圧力信号2003と、血圧測定装置408が測定する脈波信号2001とを受信する。図7は、第1の実施形態に係る血圧測定装置408が有する構成を示すブロック図である。
血圧測定装置408は、カフ401と、脈波計測部402と、圧力計測部407と、圧力制御部404と、入力部405と、表示部406と、血圧推定装置101とを有する。図8は、装着されていないカフ401に関する斜視図である。尚、図8において、血圧測定装置408は、複数の脈波計測部を有するが、1つであってもよい。また、図8において、カフ401と、脈波計測部402とは一体を成しているが、脈波伝達部(不図示)を介してカフ401と脈波計測部402とが接続していてもよい。脈波伝達部は、たとえば、チューブである。カフ401の内圧の変動に応じてチューブの内圧が変動することにより、特定部位にて計測された脈波は、脈波計測部402に伝達される。
ここで、説明の便宜上、長手方向は、カフ401を特定部位に巻く方向であるとする。また、短手方向は、長手方向に直交(または、略直交)する方向であるとする。
まず、被測定者は、図9に例示されるように、上腕、脚部、手首、または、足首等の特定部位にカフ401を巻くことにより、血圧を測定する。図9は、特定部位にカフ401を装着する状態の一例を表す図である。被測定者は、長手方向を特定部位に巻くことにより、カフ401を装着する。この場合に、動脈は、短手方向と平行(または、略平行)すると捉えることができる。
脈波計測部402は、たとえば、脈波が引き起こす振動を検出する振動センサ、照射された光を反射する反射光、または、照射された光を透過する透過光を検出する光電脈波センサである。脈波計測部402は、たとえば、照射された超音波の反射または透過を検出する超音波センサ、電場センサ、磁場センサ、インピーダンスセンサ等である。
また、脈波計測部402は、圧力センサであってもよい。圧力センサである場合に、圧力を、たとえば、フーリエ変換等することにより、周期が相互に異なる信号に分ける。圧力制御部404が、一定(または、略一定)の速度で、加圧または減圧をする場合に、圧力制御部404に起因する圧力に関する周期は長い。このため、圧力から周期が短い信号を抽出することによって、脈波に起因する脈波信号を抽出することができる。
被測定者は、入力部405を操作することにより、測定を開始する。入力部405は、測定を開始する測定開始ボタン、電源ボタン、測定開始後に測定を中止する測定中止ボタン、表示部406が表示する項目を選択する場合に用いられる左ボタン、及び、右ボタン等(いずれも不図示)を有する。入力部405は、被測定者等から受信する入力信号を、血圧推定装置101に送信する。
測定が開始されるのに応じて、圧力制御部404は、圧力計測部407が測定するカフ401の内圧を参照しながら、カフ401に封入する気体(たとえば、空気)、液体、または、その両者の量を制御すること等により、特定部位における圧力を制御する。たとえば、圧力制御部404は、カフ401に封入する気体を送るポンプ、及び、カフ401における弁の動作を制御する。
カフ401は、気体及び液体を封入可能な圧迫袋(不図示)を有してもよい。カフ401は、圧力制御部404が行う制御に従い、該圧迫袋に流体等を蓄えることにより、特定部位に圧力を加える。
脈波計測部が複数である場合に、カフ401における短手方向の加圧中心(または、略中心)を挟むように、複数の脈波計測部を配置してもよい。
次に、圧力制御部404が特定部位に圧力を加える制御を行う間に、脈波計測部402は、特定部位における脈波を測定する。
脈波計測部402は、測定した脈波を脈波信号2001として、血圧推定装置101に送信する。圧力計測部407は、測定した圧力を圧力信号として、血圧推定装置101に送信する。
たとえば、圧力計測部407は、測定した圧力を離散化することにより、デジタル信号に変換(analog digital変換、A/D変換)し、該デジタル信号を圧力信号2003として送信する。同様に、脈波計測部402は、たとえば、測定した脈波を離散化することにより、デジタル信号に変換し、該デジタル信号を脈波信号2001として送信する。
A/D変換の際に、特定の周波数を抽出するフィルタ等を用いることにより、圧力(または、脈波)の一部を抽出してもよい。また、圧力(または、脈波)を、所定の振幅に増幅してもよい。
次に、血圧推定装置101は、上述した処理を行うことにより、血圧を推定する。この際に、血圧推定装置101は、圧力制御部404に、制御内容を指示する制御信号を送信してもよい。
表示部406は、血圧推定装置101が算出した血圧を表示する。表示部406は、LCD(Liquid_Crystal_Display)、OLED(Organic_light−emitting_diode)、または、電子ペーパー等である。たとえば、電子ペーパーは、マイクロカプセル方式、電子粉流体方式、コレステリック液晶方式、電気泳動法式、または、エレクトロウェッティング方式等に従い実現可能である。
血圧測定装置408は、血圧推定装置101を含むので、高精度に血圧を推定することができる。すなわち、第1の実施形態に係る血圧測定装置408によれば、高精度に血圧を測定することができる。
尚、血圧測定装置408は、脈波計測部402等が通信ネットワーク(たとえば、有線通信ネットワーク、または、無線通信ネットワーク等)を介して、血圧推定装置101と、脈波信号等を送受信する態様であってもよい。
また、特定部位は、上腕部であっても、手首等であってもよい。たとえば、特定部位が手首である場合に、脈波計測部402は、撓骨動脈を介して脈波を検出してもよい。
また、カフ401は、動脈に加圧する機能を有していればよく、加圧する圧力が変化する機構部品、または、人工筋肉等でもよい。
<第2の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態を基本とする本発明の第2の実施形態について説明する。
以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明すると共に、上述した第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明を省略する。
図10と図11とを参照しながら、第2の実施形態に係る血圧推定装置901が有する構成と、血圧推定装置901が行う処理とについて説明する。図10は、本発明の第2の実施形態に係る血圧推定装置901が有する構成を示すブロック図である。図11は、第2の実施形態に係る血圧推定装置901における処理の流れを示すフローチャートである。
第2の実施形態に係る血圧推定装置901は、脈波算出部902と、血圧推定部903とを有する。
脈波算出部902は、圧力信号2003と、脈波信号2001とに基づき、タイミングを算出する。脈波算出部902は、算出したタイミングに基づき脈波情報を算出する(ステップS901)。
以降、図12を参照しながら、脈波算出部902が脈波情報を算出する処理について説明する。図12は、圧力信号2003、及び、脈波信号を測定する特定部位を模式的に表す断面図である。
説明の便宜上、以降、圧力信号2003から、脈波信号を測定する動脈の内圧を引いた値を、「圧力差」と表す。
まず、カフ401は、皮膚1101、及び、皮下組織1102を介して、動脈壁1103に圧力を加える。カフ401が加える圧力が十分に高い場合に、動脈には、血流1104を阻害する閉塞部1105が形成される。
圧力信号2003が拡張期血圧よりも低い場合(図12に示された状態a)、圧力差は、0以下である。したがって、動脈壁1103は、圧力信号2003における圧力により、変形しない。この場合に、該動脈を流れる血流1104に応じて動脈の内圧が変化するので、動脈の内径は、動脈の内圧が変化するのに応じて変化する。このため、脈波信号は、圧力信号2003の影響を受けることなく、動脈の内圧に応じた脈波となる。
一方、圧力信号2003が拡張期血圧よりも高く、かつ、圧力差が正の値である場合(図12に示す状態b)に、圧力信号2003が表す圧力を動脈が受けることにより、動脈壁1103に血流1104を阻害する閉塞部1105が形成される。この場合に、動脈壁1103には、圧力信号2003に起因する変形だけでなく、形成された閉塞部1105に血流1104が衝突することにより血流方向の変形も生じる。さらに、圧力差が大きいほど、動脈壁1103が収縮するとともに、動脈コンプライアンスが低下するので、血流方向に変形する速度も変化する。さらに、圧力差が大きいほど、大きな閉塞部1105が形成されやすくなるのに加え、動脈壁1103は、通常の状態に戻りにくくなる。したがって、圧力を加えた場合の脈波の形状と、圧力を加えない場合の脈波の形状とを比較すると、圧力差が大きいほど、脈波の形状は大きく変化する。
圧力信号2003が収縮期血圧よりも高い場合に、閉塞部1105は、動脈における血流1104を閉塞する。この場合に、動脈壁1103には、血流1104が閉塞部1105に衝突することにより、主に、血流方向の変形が生じる。圧力信号2003がさらに高い場合であっても、閉塞部1105が動脈における血流を閉塞する状況は変化しないので、圧力信号2003が収縮期血圧よりも高い場合には、動脈壁1103において、血流方向の変形は、あまり変わらない。すなわち、さらに高い圧力であっても、脈波信号2001の形状は、収縮期血圧の場合における脈波信号2001の形状からほとんど変化しない。
この結果、圧力を加えない場合における脈波信号の形状(「第1形状」と表す)、及び、圧力を加える場合における脈波信号2001の形状(「第2形状」と表す)間の変化(違い)の大きさと、圧力信号2003との間には、図13に表すような関係が存在する。図13は、圧力信号2003と、第1形状から第2形状に変化する場合の変化の大きさとの関係の一例を概念的に表す図である。図13の横軸は、圧力を表し、右側であるほど、圧力が高いことを表す。図13の縦軸は、第1形状から第2形状に変化する場合の変化の大きさを表し、上側であるほど、変化が大きくなることを表す。
圧力信号2003が拡張期血圧(図13に示す「DBP」)以下である場合に、第1形状と第2形状との間の変化は、少なく、さらに、圧力信号2003によらず一定(または、略一定)である。圧力信号2003が、拡張期血圧(図13に示す「SBP」)と、収縮期血圧との間である場合に、圧力信号2003が大きいほど、第1形状と第2形状との間の変化は大きい。さらに、圧力信号2003が、収縮期血圧以上である場合に、第1形状と第2形状との間の変化は、大きく、さらに、圧力信号2003によらず一定(または、略一定)である。
図14を参照しながら、脈波算出部902がタイミングを算出する処理の例について説明する。図14は、タイミングを抽出する処理の一例を概念的に表す図である。
たとえば、タイミングは、脈波信号(すなわち、この例において、脈波信号2001)、及び、該脈波信号が連続である場合に、該脈波信号を時間に関してn次微分(ただし、nは0以上の整数である)した導出信号が0になる時点である。または、タイミングは、該脈波信号が離散的な信号である場合には、たとえば、該脈波信号を時間に関してn階の差分(ただし、nは0以上の整数である)を適用した結果である導出信号が0に最も近い時点である。
図14の横軸は、時間を表し、右側であるほど時間が進むことを表す。図14の縦軸は、信号を表し、上側であるほど信号が強くなることを表す。図14における4本の曲線は、上から順に、圧力信号2003、脈波信号2001、時間に関して脈波信号2001を1次微分した結果である導出信号(以降、「第1導出信号」と表す)、時間に関して脈波信号2001を2次微分した結果である導出信号(以降、「第2導出信号」と表す)を表す。
脈波算出部902は、脈波信号2001、第1導出信号、または、第2導出信号が特定の値となるタイミングを算出する。
たとえば、脈波算出部902は、1心拍(すなわち、1周期)において、脈波信号2001が最小(または、略最小)となる第1タイミング81を算出する。すなわち、第1タイミング81において、脈波信号は、上昇を開始する。
たとえば、脈波算出部902は、脈波信号2001の傾きが所定の傾き以上になるタイミングを算出することにより、第1タイミング81を算出する。すなわち、脈波算出部902は、第1導出信号が第1閾値以上になるタイミングを算出してもよい。この場合に、第1閾値は、0以上の値である。
さらに、脈波算出部902は、1周期において、第1導出信号が第1閾値以上になるタイミングが複数存在する場合に、第2導出信号が第2閾値以上になるタイミングを算出してもよい。この処理により、脈波算出部902は、より正確に第1タイミング81を算出することができる。
たとえば、脈波算出部902は、1周期において、脈波信号2001の傾きが増大する第2タイミングを算出する。
第2タイミング82において、閉塞部1105は、動脈から消滅する。第1タイミング81において閉塞部1105が形成された後、心臓が血液を拍出するのに応じて、圧力差が負になることにより、閉塞部1105は消滅する。閉塞部1105が消滅することにより、心臓が血液を拍出するのに応じて、血流1104と垂直な方向における変形が大きくなるので、脈波信号2001が変化する速度が増大する。
脈波算出部902は、1周期において、第2導出信号が第2閾値以上になるタイミングを算出することにより、第2タイミング82を算出してもよい。脈波算出部902は、1周期において、第2導出信号が極大(または、略極大)となるタイミングを算出することにより、第2タイミング82を算出してもよい。
たとえば、略極大は、極大から特定の範囲内にある場合における値として定義することができる。特定の範囲は、極値を算出する対象に関する傾き(微分、階差等を算出することにより求められる)の大きさが、所定の値未満になること等に基づき算出される値でもよい。特定の範囲は、上述した例に限定されない。
尚、1周期において、第2導出信号が複数の極大値を有する場合に、脈波算出部902は、脈波信号を時間に関して3次微分した第3導出信号、または、脈波信号を時間に関して4次微分した第4導出信号等を参照することにより、第2タイミング82を算出してもよい。すなわち、第2タイミング82を算出する方法は、上述した例に限定されない。
たとえば、脈波算出部902は、1周期において、第1導出信号が最大(または、略最大)となる第3タイミング83を算出する。すなわち、第3タイミング83において、動脈が拡張する速度は、最大(または、略最大)である。
圧力差が負となった後に、さらに、心臓が血液を拍出するのに応じて、動脈は拡張する。動脈が破裂することがなければ、やがて、動脈の拡張は停止する。このため、動脈が拡張する速度は、最大(または、略最大)となる。すなわち、このタイミングが、第3タイミング83である。
第3タイミング83において、動脈コンプライアンスは、圧力信号2003に係る圧力により、低下する。第3タイミング83は、圧力差が正の間に形成されていた閉塞部1105により血流が低下する等の要因の影響を受ける。すなわち、第3タイミング83は、圧力差に応じて、変化する。
たとえば、脈波算出部902は、違いが最大(または、略最大)となる第4タイミング84を算出する。脈波算出部902は、たとえば、第1導出信号が0(または、略0)となるタイミングや、第2導出信号が下に凸であるタイミング等により、第4タイミング84を算出してもよい。すなわち、第4タイミング84を算出する方法は、上述した例に限定されない。
たとえば、脈波算出部902は、1周期において、第1導出信号が最小(または、略最小)となる第5タイミング85を算出する。すなわち、第5タイミング85において、動脈が収縮する速度は、最大(または、略最大)である。
心臓が血液を拍出するピークを過ぎる場合に、動脈の内圧は減少する。動脈の内圧が減少するのに応じて、動脈は、収縮する。やがて、動脈が収縮する速度は最大(または、略最大)になる。
第5タイミング85は、第3タイミング83と同様に、動脈コンプライアンス等の影響を受ける。すなわち、第5タイミング85は、圧力差等に応じて決まる。
たとえば、脈波算出部902は、1周期において、第2導出信号が所定の閾値を超える第6タイミング86を算出する。また、脈波算出部902は、1周期において、第2導出信号が極大(または、略極大)となるタイミングを、第6タイミング86として算出してもよい。
第6タイミングにおいて、閉塞部1105は、動脈内に形成される。心臓が血液を拍出するピークを過ぎているので、動脈の内圧は減少する。圧力差が負になる場合に、閉塞部1105は、動脈内に形成される。閉塞部1105が生じることにより、脈波信号が変化する速度は、動脈の内圧の影響を受けにくくなる。この結果、脈波信号が変化する速度が減少する速度は、急激に小さくなる。
尚、1周期において、第2導出信号が極大(または、略極大)となるタイミングが複数ある場合等に、脈波算出部902は、第3導出信号が極大(または、略極大)となるタイミングや、第4導出信号が極大(または、略極大)となるタイミング等を算出することにより、第6タイミング86を算出してもよい。すなわち、第6タイミング86を算出する方法は、上述した例に限定されない。
尚、第1タイミング81乃至第6タイミング86を、圧力信号、導出信号、または、脈波信号に基づき算出することができるので、算出する方法は、上述した例に限定されない。
脈波算出部902が複数の脈波信号に基づき脈波情報を算出する処理の例について説明する。
脈波算出部902は、たとえば、第1タイミング81乃至第6タイミング86のうち、2つのタイミングにおける差を算出することにより、2つのタイミングにおける期間を算出する。脈波算出部902は、必ずしも、1心拍における期間を算出する必要はなく、複数の心拍に亘る2つのタイミングにおける差を算出することにより、該期間を算出してもよい。脈波算出部902は、複数の心拍に亘る2つのタイミングにおける差を算出する場合に、1種類のタイミングに関して、複数の心拍におけるタイミングの差を算出してもよい。
また、期間を算出する方法は、上述したタイミングと、基準タイミングとの差を算出する方法であってもよい。この場合に、血圧推定装置901は、たとえば、心電図計が出力する波形に基づき基準タイミングを算出する。
基準タイミングは、心拍の周期と同調しながら発生し、かつ、閉塞部1105に起因する影響を受けないタイミングである。たとえば、基準タイミングは、心電図における、R波、Q波、S波、P波、または、T波等に関する特徴を表すタイミングである。
基準タイミングが閉塞部1105に起因する影響を受けないので、脈波算出部902は、より高精度に期間を算出することができる。
また、脈波算出部902は、上述した期間に関して正規化してもよい。正規化する方法は、たとえば、求めた期間と、心拍周期(たとえば、脈波のピーク間隔、心電図のR−R間隔等)との比を算出する方法や、異なる特徴点を組み合わせることにより算出する複数の期間の比を求める方法等である。正規化する方法は、上述した例に限定されない。正規化することによって、脈波信号において、異なる心拍周期が及ぼす影響を補正することができるので、脈波算出部902は、さらに、正確な期間を算出する。
次に、脈波算出部902が、特定の第1タイミングと、特定の第2タイミングとの期間における圧力を算出する方法について説明する。
脈波算出部902は、特定の第1タイミングにおける圧力信号2003の圧力値、または、特定の第2タイミングにおける圧力信号2003の圧力値を、圧力とする。また、脈波算出部902は、たとえば、特定の第1タイミングにおける圧力信号2003の圧力値を外挿することにより、異なる心拍における圧力を算出してもよい。すなわち、脈波算出部902が圧力を算出する方法は、上述した例に限定されない。
図15を参照しながら、脈波情報が有する特徴について説明する。図15は、脈波情報が有する特徴を概念的に表す図である。図15の横軸は、圧力を表し、右側であるほど圧力が高くなることを表す。図15の縦軸は、脈波パラメタを表し、上側であるほど期間が長くなることを表す。図15の5本の曲線は、特定の第1タイミングを第4タイミング84と定義し、かつ、特定の第2タイミングを異なるタイミング(すなわち、第1タイミング81乃至第3タイミング83、及び、第5タイミング85、第6タイミング86)と定義する場合における、圧力と期間との関係を表す。この例において、圧力は、第4タイミング84における圧力信号2003の値である。
ここで、第1曲線1581は、第1タイミング81と、第4タイミング84との関係を表す曲線であるとする。第2曲線1582は、第2タイミング82と、第4タイミング84との関係を表す曲線であるとする。第3曲線1583は、第3タイミング83と、第4タイミング84との関係を表す曲線であるとする。第5曲線1585は、第5タイミング85と、第4タイミング84との関係を表す曲線であるとする。第6曲線1586は、第6タイミング86と、第4タイミング84との関係を表す曲線であるとする。
図15の5本の曲線において、圧力は、拡張期血圧を0、かつ、収縮期血圧を100とする場合における値を表す。この例において、拡張期血圧、及び、収縮期血圧は、聴診法を用いて測定する値である。
期間と圧力との関係を表す曲線は、図15に例示されるような特徴を有する。5本の曲線は、特定の第2タイミングに応じて、相互に異なる。この理由は、特定の第1タイミング、及び、特定の第2タイミングが、上述の通り、動脈等の様々な要因に応じて変化するとともに、圧力に対して一様に変化しないからである。
たとえば、圧力が、拡張期血圧と収縮期血圧との間である場合に、第1タイミング81、第4タイミング84、及び、第5タイミング85は、上下に大きく変化する。一方、圧力が上述した範囲でない場合に、第1タイミング81、第4タイミング84、及び、第5タイミング85は、あまり変化しない。
血圧推定部103は、この性質に基づき、血圧を推定する。また、血圧推定部103は、血圧情報から、脈波情報に関連付けされた血圧を読み取り、読み取った血圧を脈波情報に関する血圧であると推定してもよい。
血圧推定装置901は、上述したタイミングの差を表す脈波パラメタに基づき、血圧を推定する。このため、脈波信号がノイズを含む場合であっても、差を算出することによりノイズを消去することができる。この結果、本実施形態に係る血圧推定装置901によれば、高精度に血圧を推定することができる。
一方、一般的な血圧測定装置は、上述したように、脈波信号に基づき血圧を推定する。このため、脈波信号がノイズを含む場合に、該血圧測定装置は、ノイズを消去することができないので、正確に血圧を推定することができない。
上述した例において、図15に示すように、期間と圧力との間には正の相関がある。特定の第1タイミング、及び、特定の第2タイミングの組み合わせに応じて、期間と圧力とが負の相関を有する場合であっても、血圧推定装置901は、上述した処理と同様に、血圧を推定することができる。
図16及び図17に示す例を参照しながら、血圧推定部903が行う処理について説明する。図16は、圧力が上昇する場合における、圧力信号2003と、脈波パラメタとの関連の一例を概念的に表す図である。図17は、圧力信号2003と、脈波パラメタとの間の関係を表す曲線を推定する例を概念的に表す図である。
図16における横軸は、圧力を表し、右側であるほど圧力が高いことを表す。図16における縦軸は、脈波パラメタの値を表し、上側であるほど脈波パラメタが大きい値であることを表す。図17における横軸は、圧力を表し、右側であるほど圧力が高いことを表す。図17における縦軸は、脈波パラメタの値を表し、上側であるほど脈波パラメタが大きい値であることを表す。
図16に例示されるように、脈波情報は、必ずしも、圧力と期間とが関連付けされた離散的な情報でなくともよい。たとえば、脈波情報は、圧力と、脈波パラメタとが関連付けされた曲線であってもよいし、該曲線を表すパラメタであってもよい。また、脈波情報は、図17に例示されるように、脈波パラメタの値を外挿することにより補間する曲線であってもよいし、圧力と期間とをパラメタとする関数であってもよい。
また、血圧等に基づき、脈波情報が正規化されていてもよい。
図17に示すように、たとえば、曲線を外挿する方法は、脈波情報を所定の関数に対して、最小二乗法に従いフィッティングする(当てはめる)方法、及び、パターンマッチングに基づきフィッティングする方法等である。
血圧推定部903においては、離散的に値が与えられる脈波情報に対して、曲線をフィッティングすることにより、該曲線を用いて脈波情報が記述される。該曲線は、上述したように、圧力が拡張期血圧よりも低い場合、圧力が拡張期血圧及び収縮期血圧間である場合、及び、圧力が収縮期血圧よりも高い場合に応じて、増減する。したがって、血圧推定部903は、フィッティングした曲線の増減に基づき、拡張期血圧及び収縮期血圧を推定することができる。
脈波情報に対して曲線をフィッティングする精度が向上するにつれて、血圧を推定する精度は向上する。たとえば、脈波情報における圧力が、収縮期血圧乃至拡張期血圧の値を含む場合に、血圧推定部903は、高精度に脈波情報に対して曲線をフィッティングする。したがって、血圧推定部903は、高精度に血圧を推定する。
脈波情報における圧力が、さらに、収縮期血圧以上の値、または、拡張期血圧以下の値を含む場合に、血圧推定部903は、より高精度に、脈波情報に対して曲線をフィッティングする。したがって、血圧推定部903は、さらに、高精度に血圧を推定する。
尚、血圧推定装置901は、必ずしも、収縮期血圧、及び、拡張期血圧を含む脈波情報を含む圧力における脈波信号2001に基づき、脈波情報を算出する必要はない。この場合に、血圧推定装置901は、必ずしも、収縮期血圧、拡張期血圧を含まない圧力信号2003と、圧力信号2003を加圧する状況において計測される脈波信号2001とに基づき、特定の脈波情報を算出する。血圧推定装置901は、血圧情報において、該特定の脈波情報と類似(または一致)する脈波情報に関連付けされた血圧を、第1血圧として推定する。
たとえば、血圧推定装置901は、該特定の脈波情報と、血圧情報における脈波情報との類似度が、所定の閾値を超える場合に、該脈波情報に関連付けされた血圧を、第1血圧として推定してもよい。
この場合に、血圧推定装置901を含む血圧測定装置(不図示)は、血圧推定装置901が第1血圧を推定可能になるのに応じて、加圧を止める処理、減圧する処理等、血圧を測定する処理を終了してもよい。
尚、圧力の上限は、特に、限定されないが、被測定者を圧迫することに伴う身体的な負担を軽減する程度に、収縮期血圧よりも低い圧力の範囲内に設定してもよい。
また、血圧推定部903は、曲線をフィッティングすることなく、拡張期血圧や収縮期血圧と異なる血圧指標値を推定してもよい。血圧指標値は、たとえば、平均的な血圧値である。この場合に、血圧推定部903は、オシロメトリック法のように、脈波信号における振幅に関する包絡線が最大(または、略最大)となるタイミングにおける圧力を、平均的な血圧値であると推定する。
上述したように、血圧推定装置901は、脈波情報に基づき血圧を推定してもよい。脈波情報が、離散的な情報であったとしても、血圧推定装置901は、該脈波情報にフィッティングする曲線を求めることより、脈波信号に係る血圧を推定する。したがって、本実施形態に係る血圧推定装置901を有する血圧測定装置によれば、被測定者に対して負荷を与える時間を短縮することができ、さらに、測定に伴う身体的な負担を軽減することができる。
さらに、血圧推定装置901は、脈波信号がノイズを含む場合であっても、上述したタイミングの差を表す脈波パラメタを算出する。脈波パラメタを算出することによってノイズは低減するので、本実施形態に係る血圧推定装置901によれば、体の動き等のノイズの影響を受けることなく、高精度に血圧を推定することができる。
以降、相違信号を算出することによって、ノイズが低減することについて説明する。
被測定者における動き、外部からの振動、及び、周囲における雑音等は、脈波信号に、ノイズ信号として加わる。
ここで、説明の便宜上、ノイズ信号を含む計測信号をS1及びS2、被測定者に関する脈波信号をP1及びP2とする。
この場合に、計測信号、及び、脈波信号との間には、以下に示す式1及び式2に示す関係がある。すなわち、
S1=P1×a1+b1・・・(式1)、
S2=P2×a2+b2・・・(式2)、
(ただし、a1及びa2は、それぞれ、脈波信号S1及び脈波信号S2に関する乗算ノイズを表す。また、b1及びb2は、それぞれ、脈波信号S1及び脈波信号S2に関する加算ノイズを表す)。
ここで、kを、以下に示す式3に従い定義する。すなわち、
k=b1÷b2・・・(式3)。
上述した式1、式2、及び、式3から、以下に示す式4が成り立つ。すなわち、
S1−k×S2=P1×a1−P2×k×a2・・・(式4)。
a1とa2とが十分に1に近い(すなわち、乗算ノイズが十分に小さい)場合に、または、乗算ノイズの影響を受けない特徴量を抽出することで、a1、a2は無視でき、ノイズを低減することが可能である。
ここで、mを、以下に示す式5に従い定義する。すなわち、
m=a1÷a2・・・(式5)。
上述した式1、式2、式3、及び、式5から、以下に示す式6が成り立つ。すなわち、
S1÷m÷S2=(P1+b1÷a1)÷(P2+k×b2÷a2)・・・(式6)。
b1とb2が、それぞれ、a1、a2に対して十分に小さい場合に、または、加算ノイズの影響を受けない特徴量を抽出する場合に、a1、a2は無視可能で、ノイズを低減することが可能である。
乗算ノイズ、及び、加算ノイズは、設置位置の近い複数の脈波計測部で計測される複数の脈波信号に対して非独立的に加わる。この場合に、k、mの値が定まっていなくても、違いを算出することにより、ノイズ信号成分を低減することができる。
したがって、第2の実施形態に係る血圧推定装置901によれば、高精度に血圧を推定することができる。
また、図18に示すように、血圧推定装置901を有する血圧測定装置1007が、3つの脈波を測定する場合も、血圧推定装置901は、上述した例と同様に血圧を推定することができる。図18は、カフ1005と、3つの脈波計測部との位置関係を概念的に表す図である。
尚、説明の便宜上、図18は、特定部位、及び、特定部位における血流等も示す。しかし、血圧測定装置1007は、特定部位、及び、特定部位における血流等を含まない。
血圧測定装置1007は、脈波計測部1001と、脈波計測部1002と、脈波計測部1003と、カフ1005とを有する。カフ1005は、圧迫袋1006を有してもよい。脈波計測部1001と、脈波計測部1002と、脈波計測部1003のうち、少なくとも2つの脈波計測部は、カフ1005における短手方向の加圧中心(または、略中心)を挟む位置にある。
脈波計測部1001と、脈波計測部1002と、脈波計測部1003とは、それぞれ、特定部位における脈波を測定する。
ここで、説明の便宜上、ノイズを含む計測信号をS1、S2、S3、脈波信号をP1、P2、P3とする。
この場合に、計測信号、及び、脈波信号には、以下に示す式7乃至式9に示す関係がある。すなわち、
S1=P1×a1+b1・・・(式7)、
S2=P2×a2+b2・・・(式8)、
S3=P3×a3+b3・・・(式9)、
(ここで、a1、a2、及び、a3は、脈波信号に関する乗算ノイズ、b1、b2、及び、b3は、脈波信号に関する加算ノイズである)。
ここで、k1を、式10に従い定義する。また、k2を、以下に示す式11に従い定義する。すなわち、
k1=b1÷b2・・・(式10)、
k2=b1÷b3・・・(式11)。
ここで、式7と式8との差分、及び、式7と式9との差分を算出することにより、式12及び式13が成り立つ。すなわち、
S1−k1×S2=P1×a1−P2×k1×a2・・・(式12)、
S1−k2×S3=P1×a1−P3×k2×a3・・・(式13)。
さて、式12÷式13を算出することにより、以下に示す式14が成り立つ。すなわち、
(S1−k1×S2)÷(S1−k2×S3)=(P1−P2×k1×a2÷a1)÷(P1−P3×k2×a3÷a1)・・・(式14)。
式14は、加算ノイズb1、b2、b3の影響をキャンセルした上で、a1が、a2、a3に十分に近い場合に、乗算ノイズの影響を無視できることを表す。すなわち、これは、ノイズを低減することが可能であることを表す。
さらに、これらのノイズ信号(a1,a2,a3,b1,b2,b3)は、設置位置の近い複数の脈波計測部で計測される複数の脈波信号に対して非独立的に加わる、したがって、式14は、k1、k2の値が定まっていなくても、違いを算出することにより、これらのノイズの影響を低減することができることを表す。
したがって、第2の実施形態に係る血圧推定装置901は、3つ以上の脈波信号に基づき、血圧を推定することにより、上述したように、ノイズの影響を低減することができる。
また、図19に示すように、血圧推定装置901を有する血圧測定装置1008が、4つの脈波を計測する場合も、血圧推定装置は、上述した例と同様に血圧を推定することができる。図19は、カフ1005と、4つの脈波計測部との位置関係を概念的に表す図である。
尚、説明の便宜上、図19は、特定部位、及び、特定部位における血流等も示す。しかし、血圧測定装置1008は、特定部位、及び、特定部位における血流等を含まない。
血圧測定装置1008は、脈波計測部1001と、脈波計測部1002と、脈波計測部1003と、脈波計測部1004と、カフ1005とを有する。カフ1005は、圧迫袋1006を有してもよい。脈波計測部1001と、脈波計測部1002と、脈波計測部1003と、脈波計測部1004とのうち、少なくとも2つの脈波計測部は、カフ1005における短手方向の加圧中心(または、略中心)を挟む位置にある。
脈波計測部1001と、脈波計測部1002と、脈波計測部1003と、脈波計測部1004とは、それぞれ、特定部位における脈波を測定する。
血圧推定装置901は、脈波計測部1001と、脈波計測部1002と、脈波計測部1003と、脈波計測部1004とに基づき、上述した処理と同様に、血圧を推定する。
したがって、第2の実施形態に係る血圧推定装置901は、4つ以上の脈波信号に基づき、血圧を推定することにより、上述した理由と同様の理由によって、ノイズの影響を低減することができる。
<第3の実施形態>
次に、上述した第1の実施形態を基本とする本発明の第3の実施形態について説明する。
以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明すると共に、上述した第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明を省略する。
図20と図21とを参照しながら、第3の実施形態に係る血圧測定装置1201が有する構成と、血圧測定装置1201が行う処理とについて説明する。図20は、本発明の第3の実施形態に係る血圧測定装置1201が有する構成を示すブロック図である。図21は、第3の実施形態に係る血圧測定装置1201における処理の流れを示すフローチャートである。
血圧測定装置1201は、カフ401と、脈波計測部402と、圧力計測部407と、圧力制御部1203と、入力部405と、表示部406と、血圧推定装置1202とを有する。
まず、圧力制御部1203は、測定が開始されるのに応じて、カフ401の内圧を加える制御を行う(ステップS1301)。加圧する過程において、圧力計測部407は、カフ401の内圧を測定し、測定した圧力を圧力信号2003として、血圧推定装置1202に送信する(ステップS1302)。また、脈波計測部402は、特定部位における脈波を測定し、測定した脈波を脈波信号として、血圧推定装置1202に送信する(ステップS1302)。
次に、血圧推定装置1202は、該圧力信号2003及び該脈波信号を受信し、受信した圧力信号2003及び脈波信号に基づき、タイミング、及び、複数のタイミング間における期間(脈波パラメタ)を算出する(ステップS1303)。血圧推定装置1202は、該期間における圧力と、脈波パラメタとが関連付けされた脈波情報を作成することにより、特定の脈波情報を算出する(ステップS1304)。
次に、血圧推定装置1202は、特定の脈波情報に関連付けされた血圧を読み取り、該血圧を脈波信号に関する血圧として提示する(ステップS1305)。その後、血圧測定装置1201は、カフ401の内圧を減らす(ステップS1306)。
上述した例において、血圧測定装置1201は、加圧する過程において脈波を測定するとしたが、カフに収縮期血圧以上の内圧を加えた後、減圧する過程において脈波を測定してもよい。
また、血圧推定装置1202は、算出した脈波パラメタに基づき他の脈波パラメタを推定可能な場合に、必ずしも、全ての脈波パラメタを算出する必要はない。この場合に、血圧測定装置1201は、必ずしも、収縮期血圧付近まで、内圧を加える必要はない。したがって、本実施形態に係る血圧測定装置1201によれば、一般的な血圧測定装置より低い圧力において収縮期血圧を決定することができるので、さらに、測定時間を短縮し、測定に伴う身体的な負担を軽減することができる。
また、第3の実施形態に係る血圧測定装置1201は、第1の実施形態と同様の構成を含むので、第3の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を享受することができる。すなわち、第3の実施形態に係る血圧測定装置1201によれば、高精度に血圧を測定することができる。
<第4の実施形態>
次に、上述した第3の実施形態を基本とする本発明の第4の実施形態について説明する。
以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明すると共に、上述した第3の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明を省略する。
図22を参照しながら、第4の実施形態に係る血圧測定装置2501が有する構成と、血圧測定装置2501が行う処理とについて説明する。図22は、本発明の第4の実施形態に係る血圧測定装置2501が有する構成を示すブロック図である。
血圧測定装置2501は、第3の実施形態が有する構成に加え、さらに、判定部2502と、補正部2503とを有する。
判定部2502は、被測定者に関する状態を表すパラメタ、及び、周辺環境を表すパラメタ等に基づき、該パラメタが推定する血圧に影響を与えるか否かを判定する。
たとえば、判定部2502は、該パラメタに応じて、脈波情報にフィッティングする曲線が変化する場合に、血圧に影響を与えると判定する。
被測定者に関する状態を表すパラメタは、たとえば、体位や活動量等に関する行動情報(たとえば、臥位、立位、及び、座位等)を表すパラメタ、または、体温や心拍数等に関するバイタル情報を表すパラメタ等である。また、周辺環境を表すパラメタは、たとえば、気温、体表面付近の気温、または、温度等に関するパラメタである。
たとえば、被測定者に関する状態を表すパラメタは、加速度センサ、角速度センサ、傾斜計等の力学センサを被測定者に設置し、設置したセンサが出力する値に、一般的な行動解析アルゴリズムを適用することにより算出される値である。また、周辺環境を表すパラメタは、温度センサを被測定者の周囲に設置し、設置したセンサが出力する値等である。
補正部2503は、判定部2502が血圧に影響を与えると判定する場合に、該パラメタ(以降、説明の便宜上、「第1パラメタ」と表す)、及び、脈波情報に基づき血圧情報を選ぶ。この場合に、血圧情報は、脈波情報、血圧情報、及び、該パラメタを関連付ける。たとえば、補正部2503は、血圧情報から、行動情報を表すパラメタ(すなわち、第1パラメタ)に関連付けされた脈波情報を読み取る。その後、血圧推定装置1402は、補正部2503が読み取った脈波情報に基づき、血圧を推定する。
尚、補正部2503は、脈波情報に基づき選んだ血圧情報を、該パラメタに基づき補正してもよい。たとえば、該パラメタと、血圧との間に高い相関がある場合に、補正部2503は、該相関に基づき、血圧推定装置1402が推定した血圧を補正する。たとえば、補正部2503は、パラメタと血圧との相関関係に基づき、血圧(「第1血圧」と表す)を推定し、推定した第1血圧と、血圧推定装置1402が推定した血圧との加重平均を算出する処理を実行する等により、血圧を補正する。
第4の実施形態に係る血圧測定装置2501は、第3の実施形態と同様の構成を含むので、第4の実施形態は、第3の実施形態と同様の効果を享受することができる。すなわち、第4の実施形態に係る血圧測定装置2501によれば、高精度に血圧を推定することができる。
また、補正部2503は、行動情報、及び、バイタル情報を表すパラメタ等に基づき、血圧を補正する。この結果、血圧測定装置2501は、測定する環境によらず、高精度に血圧を測定することができる。
尚、判定部2502が血圧に影響を与えないと判定する場合に、血圧測定装置2501が血圧を測定する一方、判定部2502が血圧に影響を与えると判定する場合に、血圧測定装置2501が血圧を測定しない態様であってもよい。または、判定部2502が血圧に影響を与えると判定する場合に、血圧測定装置2501が再測定を促す、または、被測定者が姿勢を正す必要があることを表示する態様であってもよい。または、血圧測定装置2501は、判定部2502が血圧に影響を与えないと判定するまで、測定を開始しない態様であってもよい。
<第5の実施形態>
次に、上述した第3の実施形態を基本とする本発明の第5の実施形態について説明する。
以降の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明すると共に、上述した第3の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明を省略する。
図23を参照しながら、本発明の第5の実施形態に係る血圧測定装置5007が有する構成と、血圧測定装置5007における処理とについて説明する。図23は、本発明の第5の実施形態に係る血圧測定装置5007が有する構成を示すブロック図である。
第5の実施形態に係る血圧測定装置5007は、第1血圧推定部5004と、脈波信号作成部5002と、脈波算出部5003と、血圧情報作成部5005と、圧力信号作成部5001と、第2血圧推定部5006とを有する。さらに、血圧測定装置5007は、圧力計測部407と、カフ401と、圧力制御部404と、脈波信号作成部5002と、入力部405と、表示部406とを有する。カフ401には、脈波計測部402が設置されている。
血圧測定装置5007においては、大別して、脈波情報と血圧値とが関連付けされた血圧情報を作成可能な処理態様を表す「第1測定モード」、該血圧情報に基づき血圧を測定する処理態様を表す「第2測定モード」、または、その両者が処理される。入力部405には、たとえば、第1測定モード、第2測定モード、または、その両者を選択することが可能なボタン(ボタン5008、及び、ボタン5009)が設置されている。入力部405は、ボタンが押下された場合に、押下されたボタンに応じた処理を受信する。
入力部405において第1測定モードを指示するボタン5008が押下された場合に、血圧測定装置5007は、第1測定モードに応じた処理を実行する。入力部405において第2測定モードを指示するボタン5009が押下された場合に、血圧測定装置5007は、第2測定モードに応じた処理を実行する。また、入力部405において第1測定モードを指示するボタン5008、及び、第2測定モードを指示するボタン5009が押下された場合に、血圧測定装置5007は、第1測定モードに応じた処理、及び、第2測定モードに応じた処理を実行する。
圧力信号作成部5001は、特定の期間に圧力計測部407が計測したカフ401の内圧を表す圧力信号を作成する。
尚、上述した実施形態においては、圧力計測部407が脈波信号を測定したが、以降に示す各実施形態においては、圧力計測部407が計測した圧力に基づき、圧力信号作成部5001が圧力信号を作成するとする。
脈波信号作成部5002は、該特定の期間に脈波計測部402が計測した脈波を表す脈波信号を作成する。
尚、上述した実施形態においては、脈波計測部402が脈波信号を測定したが、以降に示す各実施形態においては、脈波計測部402が計測した脈波に基づき、脈波信号作成部5002が脈波信号を作成するとする。
第1血圧推定部5004は、たとえば、本発明の各実施形態に示した血圧推定部(血圧推定部103等)が有している機能を有する。第1血圧推定部5004は、たとえば、第2測定モードが指示された場合に血圧を推定する。
第2血圧推定部5006は、たとえば、コロトコフ法に従い血流に関する音を検知することにより、血流が阻害され該音が発生し始めるタイミングにおける圧力を拡張期血圧として推定し、血流が停止し該音が検知されなくなるタイミングにおける圧力を収縮期血圧として推定する。また、第2血圧推定部5006は、たとえば、オシロメトリック法に従い拡張期血圧、収縮期血圧、または、その両者を推定する。第2血圧推定部5006は、たとえば、第1測定モードが指示された場合に血圧を推定する。
たとえば、第1測定モードが指示された場合に、圧力制御部404は、カフ401の内圧が収縮期血圧以上になるように、該内圧を制御する。収縮期血圧は、たとえば、上述したコロトコフ法や、オシロメトリック法等に従い特定される圧力である。その後、圧力制御部404は、カフ401から気体(または、液体)を放出することにより、カフの内圧を減じる。それとともに、第2血圧推定部5006は、たとえば、コロトコフ法、または、オシロメトリック法に従い、収縮期血圧、拡張期血圧、または、その両者を推定する。
脈波算出部5003は、脈波信号が所定の条件を満たすタイミングを複数算出し、算出したタイミング間の期間(すなわち、脈波パラメタ)を算出し、算出した脈波パラメタと、該算出した期間に計測された圧力とが関連付けされた脈波情報を算出する。
血圧情報作成部5005は、脈波パラメタ及び該脈波パラメタが表す期間における圧力が関連付けされた脈波情報と、たとえば、第2血圧推定部5006が推定した血圧とが関連付けされた血圧情報を作成する。
尚、第1血圧推定部5004は、たとえば、第2期間に測定した脈波信号及び圧力信号に基づき算出された脈波情報と、血圧情報作成部5005が作成した血圧情報に含まれる脈波情報とが類似している程度を表す類似度を算出する。第1血圧推定部5004は、たとえば、算出した類似度が最大(または、略最大)の脈波信号を含む血圧情報を特定し、特定した血圧情報に含まれる血圧を、第2期間における血圧として推定する。尚、第1血圧推定部5004に関する処理については、第6の実施形態にて詳細に説明する。
次に、図24を参照しながら、第1測定モードに応じた血圧測定装置5007における処理について説明する。図25は、第1測定モードが指示された場合に、第5の実施形態に係る血圧測定装置5007における処理の流れを示すフローチャートである。
圧力制御部404は、カフ401の内圧が収縮期血圧以上であるか否かを判定する(ステップS5001)。圧力制御部404は、カフ401の内圧が収縮期血圧未満である場合に(ステップS5001にてNO)、たとえば、カフ401に気体(または、液体)を封入することにより、カフ401の内圧を加える処理を実行する(ステップS5002)。脈波信号作成部5002は、圧力制御部404がカフ401の内圧を加える期間において計測された脈波と、該脈波が計測されたタイミングとが関連付けされた脈波信号を作成する(ステップS5003)。
圧力制御部404は、カフ401の内圧が収縮期血圧以上である場合に(ステップS5001にてYES)、たとえば、カフ401から気体(または、液体)を放出することにより、カフ401の内圧を減じる(ステップS5004)。
圧力計測部407は、血圧を推定する処理が開始されてから、該処理が終了するまでの期間内に、カフ401の内圧を測定する。脈波計測部402は、血圧を推定する処理が開始されてから、該処理が終了するまでの期間内に、特定部位における脈波を測定する。脈波算出部5003は、脈波信号が所定の条件を満たすタイミングを複数算出し、算出したタイミング間の期間(すなわち、脈波パラメタ)を算出し(ステップS5005)、算出した脈波パラメタと、該算出した期間に計測された圧力とが関連付けされた脈波情報を算出する(ステップS5006)。
第2血圧推定部5006は、圧力制御部404がカフ401の内圧を加える期間において、たとえば、コロトコフ法や、オシロメトリック法等に従い、カフ401が装着された特定部位における血圧を推定する(ステップS5007)。この場合に、第2血圧推定部5006は、収縮期血圧、拡張期血圧、または、その両者を推定する。
血圧情報作成部5005は、第2血圧推定部5006が算出した血圧と、算出した脈波情報とが関連付けされた血圧情報を作成する(ステップS5008)。作成された血圧情報は、たとえば、第1血圧推定部5004が血圧を推定する場合に参照される。
その後、圧力制御部404は、たとえば、カフ401に封入されている気体(または、液体)を放出することにより、さらに、カフ401の内圧を減らす。
尚、図24に示されたフローチャートにおいては、血圧を推定する処理(ステップS5007)と、脈波情報を作成する処理(ステップS5005及びステップS5006)とが逐次的に実行される態様にて示されている。しかし、血圧を推定する処理と、脈波情報を作成する処理とは、並行(または、擬似並行)にて実行されてもよい。
したがって、血圧測定装置5007は、第1測定モードが指示された場合に、血圧を推定するとともに、測定された圧力及び脈波に関する脈波情報と、測定された圧力及び脈波に関する血圧とが関連付けされた血圧情報を作成する。
また、血圧測定装置5007は、該脈波情報と、該血圧と、圧力及び脈波が測定された被測定者を識別可能な識別子とが関連付けされた血圧情報を作成してもよい。
たとえば、血圧情報が該識別子を含む場合に、入力部405には、該被測定者を表す識別子に関連付けされた利用者ボタン(不図示)が設置されてもよい。
血圧測定装置5007は、たとえば、第2測定モードにおいて、押下された利用者ボタンに関連付けされた識別子を含む血圧情報を読み取る。たとえば、読み取られた血圧情報は、該識別子が表す被測定者に関する血圧情報である。血圧測定装置5007は、読み取った血圧情報に基づき、該識別子が表す被測定者に関する血圧を推定する。
次に、第5の実施形態に係る血圧測定装置5007に関する効果について説明する。
第5の実施形態に係る血圧測定装置5007によれば、高精度に血圧を推定することができる。これは、第5の実施形態に係る血圧測定装置5007が、第3の実施形態に係る血圧測定装置1201を含むからである。
さらに、第5の実施形態に係る血圧測定装置5007によれば、より高精度に血圧を推定することができる。この理由は、血圧測定装置5007が、被測定者本人の血圧情報に基づき、該被測定者に関する血圧を推定するからである。
血圧情報は、一般に、被測定者に応じて相互に異なる。したがって、特定の被測定者に関する脈波情報と、該被測定者に関する血圧とが関連付けされた血圧情報は、特定の被測定者とは異なる被測定者に関する血圧情報とは異なる。すなわち、上述した処理によって作成された血圧情報は、該被測定者に固有の血圧情報である。したがって、血圧測定装置5007によれば、被測定者本人の血圧情報に基づき、該被測定者の血圧を推定するので、該被測定者に関する血圧を、より高精度に推定することができる。
さらに、第5の実施形態の血圧測定装置5007によれば、利用者にとって利便性が高い。この理由は、血圧測定装置5007が、第1測定モードに応じた処理と、第2測定モードに応じた処理とを実行することができるので、血圧情報を作成する処理と、作成した血圧情報に基づき血圧を推定する処理とを実行することができるからである。
尚、血圧情報は、血圧情報作成部5005において記憶されてもよいし、第1血圧推定部5004において記憶されてもよいし、外部の記録装置に記憶されてもよい。また、圧力計測部407は、圧力を計測し、計測した圧力に基づき、計測した該圧力を表す圧力信号を作成してもよい。この場合に、圧力計測部407は、作成した圧力信号を、血圧情報作成部5005に送信する。同様に、脈波計測部402は、脈波を計測し、計測した脈波に基づき、計測した該脈波を表す脈波信号を作成してもよい。この場合に、脈波計測部402は、作成した脈波信号を、血圧情報作成部5005に送信する。
<第6の実施形態>
次に、上述した第5の実施形態を基本とする本発明の第6の実施形態について説明する。
以降の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明すると共に、上述した第5の実施形態、及び、他の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明を省略する。
図25を参照しながら、第6の実施形態に係る血圧測定装置が有する構成と、血圧測定装置が行う処理とについて説明する。図25は、本発明の第6の実施形態に係る血圧測定装置が有する構成を示すブロック図である。
第6の実施形態に係る血圧測定装置6007は、第1血圧推定部6004と、脈波信号作成部5002と、血圧情報作成部5005と、脈波算出部5003と、圧力信号作成部5001と、第2血圧推定部5006とを有する。さらに、血圧測定装置6007は、圧力計測部407と、カフ401と、圧力制御部404と、脈波信号作成部5002と、入力部405と、表示部406とを有する。カフ401には、脈波計測部402が設置されている。
説明の便宜上、特定の脈波情報は、血圧を推定する対象を表す脈波情報であるとする。特定の脈波情報は、脈波計測部402を用いて計測された脈波に関して作成された脈波信号に基づき、脈波算出部5003が算出した脈波情報を表す。
第1血圧推定部6004は、第2血圧推定部5006が推定した血圧を含む血圧情報に基づき、特定の脈波情報に関する血圧を推定する。
第5の実施形態に示された第1血圧推定部5004は、血圧情報において、特定の脈波情報との類似度が最大(または、略最大)である脈波情報に基づいて、血圧を推定する。これに対して本実施形態においては、類似度が所定の条件を満たさないと第1血圧推定部6004が判定する場合に、第2血圧推定部5006は、コロトコフ法や、オシロメトリック法等に従い血圧を推定する。すなわち、第1血圧推定部6004は、最大(または、略最大)である類似度が所定の条件を満たす場合に血圧を推定し、該類似度が所定の条件を満たさない場合に血圧を推定しない。
図26を参照しながら、血圧測定装置6007が行う処理の流れについて詳しく説明する。図26は、第6の実施形態に係る血圧測定装置6007における処理の流れを示すフローチャートである。
第1血圧推定部6004は、血圧情報に含まれている各脈波情報と、特定の脈波情報との類似度を算出する(ステップS6001)。次に、第1血圧推定部6004は、算出した類似度について、最大(または、略最大)の類似度を特定する(ステップS6002)。次に、第1血圧推定部6004は、特定した最大(または、略最大)の類似度が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS6003)。たとえば、所定の条件は、最大(または、略最大)の類似度が所定の閾値を超えるか否かという条件である。特定した類似度が所定の閾値を超える場合に、算出した類似度は所定の条件を満たす。また、算出した類似度が所定の閾値以下である場合に、特定した類似度は所定の条件を満たさない。尚、所定の条件は、上述した条件と同様の条件であればよく、必ずしも、上述した例に限定されない。
第1血圧推定部6004は、類似度が所定の条件を満たす場合に(ステップS6003にてYES)、特定した最大(または、略最大)の類似度である脈波情報を含む血圧情報を特定する(ステップS6004)次に、圧力制御部404は、カフ401の内圧を減らす(ステップS6005)。尚、ステップS6004及びステップS6005に関しては、ステップS6005に示された処理を実行した後に、ステップS6004に示された処理を実行してもよい。
第1の実施形態において説明したように、血圧推定部103は、必ずしも、血圧情報における脈波情報の全てのデータと、特定の脈波情報との類似度を算出する必要はなく、血圧情報における脈波情報の一部のデータであってもよい。また、類似度が所定の条件を満たしたタイミングにて、圧力制御部404は加圧する処理を停止してもよい。
次に、第1血圧推定部6004は、特定した血圧情報に含まれる血圧に基づき、特定の脈波情報に関する血圧として推定する(ステップS6006)。特定した血圧情報が1種類である場合に、第1血圧推定部6004は、該特定した血圧情報に含まれる血圧を、特定の脈波情報に関する血圧として推定する。特定した血圧情報が複数種類である場合に、第1血圧推定部6004は、たとえば、特定した血圧情報に含まれる各血圧の平均値(または、中央値)を算出し、算出した値を特定の脈波情報に関する血圧として推定する。
一方、特定した類似度が所定の条件を満たさない場合に(ステップS6003にてNO)、図24におけるステップS5001乃至ステップS5008に示された処理が実行される(ステップS6007)。すなわち、第2血圧推定部5006がコロトコフ法や、オシロメトリック法等に従い血圧を推定することによって、血圧情報によらずに血圧が測定される。さらに、ステップS5001乃至ステップS5008に示された処理によって、ステップS6001において類似度を算出する対象である特定の脈波情報と類似(または、一致)している脈波情報を含む血圧情報が作成される。したがって、該特定の脈波情報と類似している脈波情報に関して、作成された血圧情報に基づき、血圧測定装置6007は、正確に血圧を推定することが可能になる。
次に、第6の実施形態に係る血圧測定装置6007に関する効果について説明する。
第6の実施形態に係る血圧測定装置6007によれば、高精度に血圧を推定することができる。これは、第6の実施形態に係る血圧測定装置6007が、第5の実施形態に係る血圧測定装置5007を含むからである。
第6の実施形態に係る血圧測定装置6007によれば、さらに、高精度に血圧を推定することができる。この効果に対する1つの理由は、類似度が所定の条件を満たす場合に、血圧測定装置6007が血圧情報に基づき血圧を推定し、類似度が所定の条件を満たさない場合に、コロトコフ法や、オシロメトリック法等に従い血圧を推定するからである。さらに、この効果に対する1つの理由は、類似度が所定の条件を満たさない場合に測定された血圧を含む血圧情報が作成されることによって、類似度が所定の条件を満たさない場合であっても、該類似度を算出する対象である特定の脈波情報を含む血圧情報が作成されるからである。新たな血圧情報が作成される結果、以降、測定される脈波情報が、該新たな血圧情報に含まれる脈波情報に類似している場合に、血圧測定装置6007によれば、該新たな血圧情報に基づいて高精度に血圧を推定することができる。
これら理由について詳細に説明する。ステップS6003にて類似度が所定の条件を満たさない場合に、血圧情報には、特定の脈波情報に関する血圧を推定するのに適した脈波情報が含まれない。すなわち、この場合に、血圧測定装置6007が、特定の脈波情報に類似している脈波情報を含む血圧情報を特定したとしても、特定した血圧情報に含まれる脈波情報は、特定の脈波情報とは類似していない。したがって、第1血圧推定部6004は、特定の脈波情報に関する血圧を、正しく推定することができない。
一方、類似度が所定の条件を満たさない場合に、血圧測定装置6007は、図24に例示されたフローチャートに従い、血圧情報を作成する。この結果、血圧情報に、特定の脈波情報に類似(または、一致)した脈波情報が含まれていない場合であっても、血圧測定装置6007は、特定の脈波情報に関する血圧情報を作成する。したがって、以降、測定される脈波情報が、作成した血圧情報に含まれる該脈波情報に類似(または、一致)している場合に、本実施形態に係る血圧測定装置6007によれば、作成した血圧情報に基づき、高精度に血圧を推定することができる。
さらに、第6の実施形態の血圧測定装置6007によれば、血圧情報に含まれる脈波情報の一部と、測定された脈波情報との類似度が高い場合に、収縮期血圧未満のカフの内圧にて加圧が停止されてもよい。このような場合であっても、血圧測定装置6007は、血圧情報に基づき、高精度にて血圧が推定することができる。
したがって、第6の実施形態の血圧測定装置6007によれば、血圧を推定する処理と、血圧を推定する場合の推定精度を改善する処理とを実施することができる。第6の実施形態の血圧測定装置6007によれば、複数回繰り返し血圧が測定される場合に、さらに、高精度に血圧を推定することができる。しかも、血圧測定装置6007が、血圧情報を作成する処理を実行可能であり、外部から血圧情報を受け取る必要がないので、第6の実施形態の血圧測定装置6007によれば、利便性が高い。
(ハードウェア構成例)
上述した本発明の各実施形態における血圧推定装置を、1つの計算処理装置(情報処理装置、コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。但し、係る血圧推定装置は、物理的または機能的に少なくとも2つの計算処理装置を用いて実現してもよい。また、係る血圧推定装置は、専用の装置として実現してもよい。
図27は、第1の実施形態乃至第6の実施形態に係る血圧推定装置及び血圧測定装置を実現可能な計算処理装置のハードウェア構成を概略的に表す図である。計算処理装置20は、中央処理演算装置(Central Processing Unit、以降「CPU」と表す)21、メモリ22、ディスク23、不揮発性記録媒体24、入力装置25、出力装置26、及び、通信インターフェース(以降、「通信IF」と表す)27を有する。計算処理装置20は、通信IF27を介して、他の計算処理装置、及び、通信装置と情報を送受信することができる。
不揮発性記録媒体24は、コンピュータが読み取り可能な、たとえば、コンパクトディスク(Compact Disc)、デジタルバーサタイルディスク(Digital_Versatile_Disc)、ユニバーサルシリアルバスメモリ(USBメモリ)、ソリッドステートドライブ(Solid State Drive)等を指しており、電源を供給しなくても係るプログラムを保持し、持ち運びを可能にする。不揮発性記録媒体24は、上述した媒体に限定されない。また、不揮発性記録媒体24の代わりに、通信IF27を介して、通信ネットワークを介して係るプログラムを持ち運びしてもよい。
すなわち、CPU21は、ディスク23が記憶するソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム:以下、単に「プログラム」と称する)を、実行する際にメモリ22にコピーし、演算処理を実行する。CPU21は、プログラム実行に必要なデータをメモリ22から読み取る。表示が必要な場合には、CPU21は、出力装置26に出力結果を表示する。外部からプログラムを入力する場合に、CPU21は、入力装置25からプログラムを読み取る。CPU21は、上述した図1、図7、図10、図20、図22、図24、あるいは、図26に示した各部が表す機能(処理)に対応するところのメモリ22にある血圧推定プログラム(図2、図11、図21、図25、あるいは、図27)を解釈し実行する。CPU21は、上述した本発明の各実施形態において説明した処理を順次行う。
すなわち、このような場合に、本発明は、係る血圧推定プログラムによっても成し得ると捉えることができる。更に、係る血圧推定プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体によっても、本発明は成し得ると捉えることができる。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2015年5月28日に出願された日本出願特願2015−108033を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。