JPWO2016181827A1 - 紫外線吸収層を有する包装用積層体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制でき、容易に製造することができる、紫外線吸収層を有する包装用積層体を提供する。本発明は、第1のポリオレフィン層(1)、有機系紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む紫外線吸収層(3)、及び第2のポリオレフィン層(2)をこの順に含む、包装体用積層体(10)であって、前記第1のポリオレフィン層(1)、前記紫外線吸収層(2)、及び前記第2のポリオレフィン層(3)の厚さが、それぞれ25μm超であり、かつ前記有機系紫外線吸収剤の含有量が、前記紫外線吸収層(2)に対して0.01〜2.0重量%である、包装用積層体(10)に関する。

Description

本発明は、紫外線吸収層を有する包装用積層体に関する。特に、本発明は有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制でき、容易に製造することができる、紫外線吸収層を有する透明なラミネートチューブ用積層体に関する。
内容物を紫外線による劣化から防ぐための紫外線吸収層付の包装体は従来から知られている。このような包装体としては、紫外線吸収剤を含有するコーティング層を用いた塗布型の紫外線吸収層付包装体と、紫外線吸収剤を樹脂バインダー中に混練させた練込型の紫外線吸収層付包装体とを挙げることができる。
練込型の紫外線吸収層付包装体として、特許文献1では、最外層のヒートシール層にポリエチレン及び紫外線吸収剤を含む包装体を開示している。
特許文献2では、ベンゾトリアゾールである紫外線吸収剤とポリエチレンとを含む紫外線吸収層を有する、包装用積層体を開示している。ここでは、紫外線吸収剤の表面へのブリードアウト(粉ふき)を抑制するために、紫外線吸収層に移行阻止層を積層させている。移行阻止層としては、酸素原子含有熱可塑性樹脂層、特にナイロン(Ny)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等を用いている。移行阻止層には、さらにポリエチレンフィルムをドライラミネートによって積層して、包装体をヒートシールできるようにしている。
特許文献3は、熱可塑性樹脂からなる(a)層と紫外線吸収剤を含む熱可塑性樹脂からなる(b)層とを含む積層体を開示しており、ここでは(a)層によって(b)層をサンドイッチしている。
特開2002−068222号公報 特開平9−239889号公報 特開平7−040954号公報
特許文献1に記載の発明では、表面層に紫外線吸収剤を含有させるため、有機系の紫外線吸収剤を用いた場合に特に、容易にブリードアウトしてしまう。その場合、包装体にする前の積層体の状態でロールにしたときに、内容物が接する内層側にまで紫外線吸収剤が移行する場合がある。また、外層側の表面に紫外線吸収剤がブリードアウトすると、印刷をしようとしてもインキ密着性が低くなり、印刷が困難になる。
特許文献2に記載の発明では、紫外線吸収剤の移行阻止層に用いる酸素原子含有熱可塑性樹脂が高価である。また、紫外線吸収層と移行阻止層とは、接着剤を用いたドライラミネート又は易接着性樹脂によって接着させる必要がある。この際に使用する易接着性樹脂は、金型の洗浄が容易ではない等の加工の煩雑性も伴うため、製造が比較的困難である。さらに、この積層体を包装体に用いるために表面にヒートシール層を積層しようとすると、積層数も多くなってしまう。
特許文献3に記載の積層体も、熱可塑性樹脂からなる(a)層にポリエステル樹脂等が用いられるためにヒートシール性を有しておらず、この積層体を包装体に用いるために表面にヒートシール層を積層しようとすると積層数も多くなってしまう。
そこで、本発明は、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制でき、容易に製造することができる、紫外線吸収層を有する包装用積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の態様を有する本発明によって、上記課題を解決できることを見出した。
《態様1》
第1のポリオレフィン層、有機系紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む紫外線吸収層、及び第2のポリオレフィン層をこの順に含む、包装体用積層体であって、
前記第1のポリオレフィン層、前記紫外線吸収層、及び前記第2のポリオレフィン層の厚さが、それぞれ25μm超であり、かつ
前記有機系紫外線吸収剤の含有量が、前記紫外線吸収層に対して0.01〜2.0重量%である、包装用積層体。
《態様2》
前記第1のポリオレフィン層及び前記第2のポリオレフィン層の厚さがそれぞれ30μm以上である、態様1に記載の包装用積層体。
《態様3》
前記紫外線吸収層の厚さが60μm以上であり、かつ前記有機系紫外線吸収剤の含有量が、前記紫外線吸収層に対して0.25〜1.0重量%である、態様1又は2に記載の包装用積層体。
《態様4》
前記第1のポリオレフィン層、前記紫外線吸収層、及び前記第2のポリオレフィン層の厚さの合計が、200μm以上500μm以下である、態様1〜3のいずれか一項に記載の包装用積層体。
《態様5》
前記第1のポリオレフィン層、紫外線吸収層、及び前記第2のポリオレフィン層の間に、ドライラミネート用の接着剤が存在していない、態様1〜4のいずれか一項に記載の包装用積層体。
《態様6》
前記第1のポリオレフィン層と前記紫外線吸収層とのラミネート強度、及び前記紫外線吸収層と前記第2のポリオレフィン層とのラミネート強度が、それぞれ5.0N/15mm以上である、態様1〜5のいずれか一項に記載の包装用積層体。
《態様7》
前記第2のポリオレフィン層に積層して、さらに基材層及びヒートシール層をこの順に含む、態様1〜6のいずれか一項に記載の包装用積層体。
《態様8》
基材層が、態様1〜6のいずれか一項に記載の2枚の包装用積層体の前記第2のポリオレフィン層によってサンドイッチされている、包装用積層体。
《態様9》
波長380nmの光線透過率が10%以下であり、かつ波長450nmの光線透過率が75%以上である、態様7又は8に記載の包装用積層体。
《態様10》
態様7〜9のいずれか一項に記載の包装用積層体を用いて形成された、チューブ用包装体。
《態様11》
第1のポリオレフィン層に、有機系紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む溶融樹脂組成物を押し出しして紫外線吸収層を形成して、第1の積層体を形成すること、及び
前記第1の積層体と、第2のポリオレフィン層とで、紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む溶融樹脂組成物をサンドイッチラミネートすることを含む、包装用積層体の製造方法。
本発明によれば、有機系紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制でき、容易に製造することができる、紫外線吸収層を有する包装用積層体を提供することができる。
図1は、本発明の包装用積層体を例示している。
《包装用積層体》
本発明の包装用積層体は、第1のポリオレフィン層、有機系紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む紫外線吸収層、及び第2のポリオレフィン層をこの順に含む。ここで、第1のポリオレフィン層、紫外線吸収層、及び第2のポリオレフィン層の厚さは、それぞれ25μm超であり、かつ有機系紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収層に対して0.01〜2.0重量%である。
本発明においては、紫外線吸収層に含まれる紫外線吸収剤の濃度を低くすることによってブリードアウトを抑制しつつ、紫外線吸収層を比較的厚くすることによって、紫外線吸収性能を低下させないようにし、かつ第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層も比較的厚くすることによって、ポリオレフィン層を紫外線吸収剤の移行阻止層として機能させることができる。さらに、本発明の積層体は、紫外線吸収剤の濃度を低くし、かつ各層をポリオレフィンから構成することによって、これらの層間の接着強度を高めることができる。
本発明の積層体は、好ましくは透明であり、それによりこの積層体を用いて作製した包装体では、内部を目視で確認することができる。特に、本発明の積層体は、波長450nmでの光線透過率が、分光光度計U−4000(株式会社日立ハイテクノロジーズ)で測定した場合に、75%以上、80%以上、又は85%以上である。
本発明の積層体は、紫外線を透過させない。特に、本発明の積層体は、波長380nmでの光線透過率が、分光光度計U−4000(株式会社日立ハイテクノロジーズ)で測定した場合に、20%以下、10%以下、又は7%以下である。また特に、本発明の積層体は、波長350nmでの光線透過率が、分光光度計U−4000(株式会社日立ハイテクノロジーズ)で測定した場合に、5.0%以下、3.0%以下、又は1.0%以下である。
本発明の積層体は、第1のポリオレフィン層、紫外線吸収層、及び第2のポリオレフィン層の間に他の層を含まず、3層から構成されていてもよい。この場合、さらに好ましくは、紫外線吸収層がサンドイッチラミネートによって、第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層の間に形成されていることが好ましい。この場合には、これらの層間に高いラミネート強度を与えることができる。この場合、本発明の積層体は、第1のポリオレフィン層、紫外線吸収層、及び第2のポリオレフィン層の間に、ドライラミネート用の接着剤が存在していないことが好ましい。具体的には、第1のポリオレフィン層、紫外線吸収層、及び第2のポリオレフィン層の間には、ポリウレタン系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、及びシリコーン樹脂系接着剤が存在していないことが好ましい。
例えば、第1のポリオレフィン層と紫外線吸収層とのラミネート強度、及び紫外線吸収層と第2のポリオレフィン層とのラミネート強度は、T字剥離試験法でストログラフVE10D(株式会社東洋精機製作所)を用いて、つかみ治具間距離50mmで引っ張り速度300mm/分で測定した場合に、それぞれ5.0N/15mm以上、7.0N/15mm以上、又は10.0N/15mm以上であることが好ましい。
第1のポリオレフィン層、紫外線吸収層、及び第2のポリオレフィン層の3層の厚さの合計は、100μm以上、120μm以上、150μm以上、又は200μm以上であってもよく、500μm以下、350μm以下、300μm以下、又は250μm以下であってもよい。
本発明の積層体は、包装体として適度なコシを与えるために、さらに第2のポリオレフィン層側に基材層を有していてもよい。また、本発明の積層体は、基材層の第2のポリオレフィン層とは反対面に、ヒートシール層を有していてもよい。これにより、積層体を筒状にしてヒートシールすることによって、容易に包装体を形成することができる。
さらに、2枚の本発明の積層体によって、基材層をサンドイッチしてもよい。この積層体も、高い紫外線吸収性を有していながら、ブリードアウトを発生させず、包装体に腰を与え、かつ筒状にしてヒートシールすることによって容易に包装体を形成することができる点で、有利である。
本発明の積層体は、本発明の効果を実質的に損なわない範囲で、他の層を有していてもよく、例えば接着層、印刷層、アンカーコート層、プライマー層等を有していてもよい。
例えば、本発明の積層体は、全ての層の厚さの合計が、100μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上、又は300μm以上であってもよく、800μm以下、600μm以下、又は500μm以下であってもよい。
図1(a)は、本発明の1つの実施形態の積層体を例示している。この積層体(10)は、第1のポリオレフィン層(1)、紫外線吸収層(3)、及び第2のポリオレフィン層(2)から構成されている。図1(b)は、基材層(4)及びヒートシール層(5)を含む、本発明の1つの実施形態の積層体(10)を例示している。図1(c)は、図1(a)の2枚の積層体によって、基材層(4)をサンドイッチしている、本発明の1つの実施形態の積層体(10)を例示している。これは、図1(b)のヒートシール層(5)として、図1(a)の積層体を用いているとも考えられる。
〈紫外線吸収層〉
本発明の積層体で用いられる紫外線吸収層は、有機系紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む。この層は、25μm超の厚みを有し、かつ有機系紫外線吸収剤の含有量はこの層中で0.01〜2.0重量%である。紫外線吸収剤の濃度を低くしてブリードアウトを抑制しつつ、かつ厚みを確保することで紫外線吸収性能を維持することができる。
この層の厚みは、例えば30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、100μm以上、又は130μm以上であってもよく、300μm以下、250μm以下、又は200μm以下であってもよい。積層体中に2つ以上の紫外線吸収層が存在する場合には、ここに記載の厚みは、それらの合計の厚みを意味する。
有機系紫外線吸収剤の含有量は、例えば0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.25重量%以上、又は0.5重量%以上であってもよく、また2.0重量%以下、1.8重量%以下、1.5重量%以下、1.2重量%以下、又は1.0重量%以下であってもよい。含有量が少なすぎる場合には紫外線吸収効果が発揮できず、含有量が多すぎる場合には層間の接着強度が低下し、かつブリードアウトが発生する場合がある。そのような観点から、特に有機系紫外線吸収剤の含有量は、0.10重量%以上1.5重量%以下、特に好ましくは0.25重量%以上1.0重量%以下である。
有機系紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収する有機化合物であれば特に限定されないが、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物、オキザニリド系化合物、サリシレート系化合物、ホルムアミジン系化合物等を挙げることができ、特にベンゾトリアゾール系化合物を用いることができる。
ポリオレフィンとしては、サンドイッチラミネートによって紫外線吸収層を形成するのに好適なポリオレフィンを挙げることができ、特にポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレンビニルアセテート共重合体(EVA)、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性エチレンビニルアセテート共重合体、アイオノマー、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。また、ポリプロピレンとしては、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)、ブロックポリプロピレン(ブロックPP)、塩素化ポリプロピレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
紫外線吸収層には、本発明の効果を実質的に損なわない範囲で、他の添加剤を有していてもよく、無機系の紫外線吸収剤を有していてもよい。
〈第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層〉
第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層は、共に25μm超の厚さを有することで、紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制する。第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層は、共にヒートシール性であることが好ましい。ヒートシール層として製膜フィルムを用いる場合、厚みが25μm超であると製膜が安定しやすくなり、好ましい。本発明で用いる第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層の厚みは、25μmを超える厚さが好ましい。
第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層の厚みは、それぞれ25μm超、30μm以上、35μm以上、40μm以上、又は50μm以上であってもよく、150μm以下又は100μm以下であってもよい。積層体中に2つ以上の第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層が存在する場合には、ここに記載の厚みは、それぞれの厚みを意味する。第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層の少なくとも一方が、30μm超、40μm超又は70μm超であってもよい。
これらの層に用いられるポリオレフィンとしては、上記の紫外線吸収層で用いることができるポリオレフィンと同様の種類を挙げることができる。好ましくは、第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層で用いられるポリオレフィンは、紫外線吸収層に用いられるポリオレフィンと、同種のポリオレフィンである。また、好ましくは、第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層で用いられるポリオレフィンは、酸素原子含有ポリオレフィンではない。好ましくは、第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層で用いられるポリオレフィンは、ポリマーの主鎖にエチレン基の繰返し単位を、50mol%以上、60mol%以上、70mol%以上、80mol%以上、又は90mol%以上含む樹脂であり、ポリマーの主鎖にプロピレン基の繰返し単位を、30mol%以上、40mol%以上、50mol%以上、60mol%以上、70mol%以上、又は80mol%以上含む樹脂である。
本発明の積層体においては、第1のポリオレフィン層に印刷を行ってもよい。その印刷は、UVインキによって行うことが好ましく、印刷部分の表面を、セロテープ(登録商標)で剥がそうとした場合に、印刷部分が剥がれないことが好ましい。印刷は、例えばフレキソ印刷、樹脂凸版印刷等によって行うことができる。
〈基材層〉
基材層は、本発明の積層体にコシを与え、また各層を積層する際に基材となることができる。基材層としては、上記の目的を達成できるならば特にその種類は限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリクロロトリフルオロエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、飽和又は不飽和ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、及びこれらの2以上の積層体を挙げることができ、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを挙げることができる。これらのフィルムは、無機酸化物の蒸着層、例えばシリカ蒸着層を有していてもよい。
基材層は、上記の目的を達成できるならば特にその厚みは限定されないが、例えば5μm以上、8μm以上、又は10μm以上であってよく、また100μm以下、50μm以下、30μm以下、又は20μm以下であってよい。
〈ヒートシール層〉
ヒートシール層は、互いに重ねて押圧し、80〜250℃の範囲の温度にすることによって接着させることができれば特に限定されない。特に、140℃かつ0.2MPaの条件で1.0秒間ヒートシールをして、包装体として有用な強度で接着できる層であれば、特に限定されない。
このようなヒートシール層としては、ポリオレフィン層を挙げることができ、上記の紫外線吸収層で用いることができるポリオレフィンと同様の種類を挙げることができる。
また、ヒートシール層の厚みは、15μm以上、30μm以上、又は50μm以上であってもよく、200μm以下又は140μm以下であってもよい。
ヒートシール層は、その表面に印刷を行うことができることが好ましい。その印刷は、UVインキによって行うことが好ましく、印刷部分の表面を、セロテープ(登録商標)で剥がそうとした場合に、印刷部分が剥がれないことが好ましい。印刷は、例えばフレキソ印刷、樹脂凸版印刷等によって行うことができる。
《包装用積層体の製造方法》
第1のポリオレフィン層、有機系紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む紫外線吸収層、及び第2のポリオレフィン層を含む上記の包装用積層体の製造方法は、特に限定されない。例えば、本発明の包装用積層体は、上記の各層の材料を各種の成形方法、例えばキャスト法、インフレーション法、カレンダー成形法、Tダイ法、共押出成形等することにより製造することができる。
また、紫外線吸収層をインフレーション法、Tダイ法、カレンダー成形法によりフィルムに形成し、第1のポリオレフィン層及び第2のポリオレフィン層を、これらの方法でフィルム化した後に、紫外線吸収層とラミネートすることによって、本発明の積層体を製造することもできる。この際には、使用する材料に応じて、150℃以上、180℃以上、又は200℃以上で、かつ350℃以下、330℃以下、又は300℃以下の温度で各層を成膜することができる。
紫外線吸収層で用いられる材料の混練は、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどのバッチ式混練機、2軸混練機などの連続混練機などを用いることができる。この際には、使用する材料に応じて、100℃以上、120℃以上、又は140℃以上で行うことができ、また220℃以下、200℃以下、又は180℃以下の温度で混練することができる。
特に好ましくは、本発明の積層体は、基材層に積層させた第2のポリオレフィン層と、第1のポリオレフィン層との間に、紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む溶融樹脂組成物を押し出しして、サンドイッチラミネートによって紫外線吸収層を形成することが好ましい。紫外線吸収層の厚みを確保する場合には、第1のポリオレフィン層上又は第2のポリオレフィン層上に、紫外線吸収層を押出しラミネートによって第1の積層体を形成し、さらに紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む溶融樹脂組成物を第1の積層体と第2のポリオレフィン層とでサンドイッチラミネートによって積層することで、厚みのある紫外線吸収層を形成することができる。この場合には、第1のポリオレフィン層と第2のポリオレフィン層とは入れ替え可能である。
《包装体》
本発明の包装体は、上記の包装用積層体を用いて形成される。本発明の包装体は、包装体の少なくとも1つの面に上記の包装用積層体を有する。
好ましくは、上下の面がヒートシール性である上記の包装用積層体を筒状にして、上下に重ねてヒートシールすることによって、筒状の成形体を形成する。そして、得られた筒状の成形体の両端をシールして、包装体を得ることができる。この場合には、キャップを付けることができるように、筒状の成形体の一方にショルダー部分を形成してもよく、ショルダー部分を構成する部品を筒状の成形体に取り付けてもよい。
本発明の包装体としては、チューブ状包装体、特にラミネートチューブであることが好ましい。上記の積層体を用いた場合には、積層体のコシを基材層によって調節できるため、剛性のあるラミネートチューブを形成することができる。
例えば、本発明のチューブ状包装体は、圧子φ25mm、押込み20mm、押込み速度3.3mm/分でループステフネステスターDA(株式会社東洋精機製作所)を用いて測定した場合の応力が、1500mN以上又は1800mN以上であってもよく、4000mN以下、3000mN以下、又は2500mN以下であってもよい。
本発明の包装体は、固体、液体、ゲル等の内容物を収容することができる。例えば、本発明の包装体は、食品、化学薬品、化粧品、洗剤等の内容物を収容することができ、特に化粧品を収容することができる。
《サンプル作製》
積層体を構成する際に、以下のフィルム、材料等を用いた。
第1及び第2のポリオレフィン層並びにヒートシール層:LLDPEフィルム(L−100N、株式会社アイセロ)
紫外線吸収層用ポリオレフィン:LDPE(サンテックL1850K、旭化成ケミカルズ株式会社)
紫外線吸収剤:ベンゾトリアゾール系化合物(TINUVIN326、BASFジャパン株式会社)
基材層:PETフィルム(E5200、東洋紡株式会社)
ドライラミネート用接着剤層:主剤(TM277、東洋モートン株式会社)/硬化剤(CAT−RT86、東洋モートン株式会社)
70μm以下の紫外線吸収層を形成する際には、第1及び第2のポリオレフィン層とサンドイッチラミネートによって形成した。70μm超の紫外線吸収層を形成する際には、一度、第2のポリオレフィン層に紫外線吸収層を押し出しして紫外線吸収層を有する積層体を成形し、最後にその積層体と第1のポリオレフィン層とで、紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む溶融樹脂組成物をサンドイッチラミネートして、紫外線吸収層の厚みを確保した。
PETフィルムと他のフィルムとを接着する際には、上記のドライラミネート用接着剤の塗布量は、3.5g/mで用いた。
このようにして表1に記載の実施例1〜6及び比較例1〜2の積層体を作製した。なお、実施例4では、ヒートシール層の代わりに、紫外線吸収層を第1及び第2のポリオレフィン層でサンドイッチラミネートした積層体を用いた。実施例4の積層体では、2つの紫外線吸収層が含まれるが、紫外線吸収剤濃度は2つの紫外線吸収層で同じとした。これらの表面にUVインキを用いたフレキソ印刷によって絵柄を印刷し、チューブ状の包装体を形成した。絵柄は、実施例1〜3、実施例5〜6、及び比較例1においては、ヒートシール層に印刷し;実施例4及び実施例7においては、第1のポリオレフィン層に印刷し;比較例2においては、紫外線吸収層に行った。また、基材層であるPETフィルムを用いずに、実施例7の積層体を作製した。
《評価方法》
実施例1〜7及び比較例1〜2の積層体について、波長350nm、380nm、及び450nmでの光線透過率を、分光光度計U−4000(株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて測定した。波長350nmについては、透過率が3%以下である場合を○、透過率が3%超5%以下である場合を△、透過率が5%超である場合を×とし;波長380nmについては、透過率が10%以下である場合を○、透過率が10%超20%以下である場合を△、透過率が20%超である場合を×とし;波長450nmについては、透過率が75%以上である場合を○、透過率が75%未満である場合を×とした。
実施例1〜7及び比較例1の積層体について、第1ポリオレフィン層、紫外線吸収層及び第2のポリオレフィン層のラミネート強度を、T字剥離試験法でストログラフVE10D(株式会社東洋精機製作所)を用いて、つかみ治具間距離50mmで引っ張り速度300mm/分で測定した。ラミネート強度が、5.0N/15mm以上である場合、層間強度を○とし、5.0N/15mm未満である場合、層間強度を×とした。
印刷した絵柄に、セロテープ(登録商標)を指で押しつけて、絵柄が剥がれるかどうかによって、その積層体表面の印刷適性を試験した。絵柄が剥離しない場合、印刷適性を○、絵柄が剥離する場合、印刷適性を×とした。
実施例1〜7及び比較例1〜2の積層体から構成したチューブ状包装体の剛性を、ループステフネステスターDA(株式会社東洋精機製作所)を用いて測定した。測定した応力が、1500mN以下を×とし1500〜2000mN未満を△、2000mN以上を○とした。
《結果》
結果を以下の表に示す。
Figure 2016181827
比較例1では、ポリオレフィン層が十分に厚いために、ブリードアウトはしていないが、紫外線吸収剤の濃度が高いことから、可視域での光透過性が悪化し、またポリオレフィン層と紫外線吸収層との層間強度が悪化している。比較例2では、紫外線吸収層がむき出しとなっているために、紫外線吸収剤がブリードアウトし、印刷適性が悪化している。
上記の結果から、紫外線吸収剤の濃度を低くし、かつ紫外線吸収層を十分に厚くすることで、透明でかつ十分な紫外線吸収性能を有し、層間強度が高く、ブリードアウトをしない積層体が得られることが分かった。また、実施例1と実施例7とを比較すると、実施例1において350nmの光線透過率が下がっており、基材層を設けることで紫外線をよりカットできることが分かる。
1 第1のポリオレフィン層
2 第2のポリオレフィン層
3 紫外線吸収層
4 基材層
5 ヒートシール層
10 積層体

Claims (11)

  1. 第1のポリオレフィン層、有機系紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む紫外線吸収層、及び第2のポリオレフィン層をこの順に含む、包装体用積層体であって、
    前記第1のポリオレフィン層、前記紫外線吸収層、及び前記第2のポリオレフィン層の厚さが、それぞれ25μm超であり、かつ
    前記有機系紫外線吸収剤の含有量が、前記紫外線吸収層に対して0.01〜2.0重量%である、包装用積層体。
  2. 前記第1のポリオレフィン層及び前記第2のポリオレフィン層の厚さがそれぞれ30μm以上である、請求項1に記載の包装用積層体。
  3. 前記紫外線吸収層の厚さが60μm以上であり、かつ前記有機系紫外線吸収剤の含有量が、前記紫外線吸収層に対して0.25〜1.0重量%である、請求項1又は2に記載の包装用積層体。
  4. 前記第1のポリオレフィン層、前記紫外線吸収層、及び前記第2のポリオレフィン層の厚さの合計が、200μm以上500μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装用積層体。
  5. 前記第1のポリオレフィン層、紫外線吸収層、及び前記第2のポリオレフィン層の間に、ドライラミネート用の接着剤が存在していない、請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装用積層体。
  6. 前記第1のポリオレフィン層と前記紫外線吸収層とのラミネート強度、及び前記紫外線吸収層と前記第2のポリオレフィン層とのラミネート強度が、それぞれ5.0N/15mm以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装用積層体。
  7. 前記第2のポリオレフィン層に積層して、さらに基材層及びヒートシール層をこの順に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の包装用積層体。
  8. 基材層が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の2枚の包装用積層体の前記第2のポリオレフィン層によってサンドイッチされている、包装用積層体。
  9. 波長380nmの光線透過率が10%以下であり、かつ波長450nmの光線透過率が75%以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装用積層体。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の包装用積層体を用いて形成された、チューブ用包装体。
  11. 第1のポリオレフィン層に、有機系紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む溶融樹脂組成物を押し出しして紫外線吸収層を形成して、第1の積層体を形成すること、及び
    前記第1の積層体と、第2のポリオレフィン層とで、紫外線吸収剤及びポリオレフィンを含む溶融樹脂組成物をサンドイッチラミネートすることを含む、包装用積層体の製造方法。
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