JPWO2016159335A1 - グルコース感受性細胞の保護剤 - Google Patents

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Abstract

高グルコース濃度が及ぼす生体への悪影響を低減させる手段を提供する。N−アセチル−D−マンノサミンを含有してなる、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための剤;N−アセチル−D−マンノサミンの有効量および医薬として許容されうる担体を含有してなる、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための医薬組成物;高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞の保護用医薬を製造するためのN−アセチル−D−マンノサミンの使用;ならびにN−アセチル−D−マンノサミンの有効量をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護する方法。グルコース感受性細胞は神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる。

Description

本発明は、グルコース感受性細胞の保護剤に関し、詳しくは、神経細胞等のグルコース感受性細胞の高グルコース濃度による悪影響に対するN−アセチル−D−マンノサミンの保護用途に関する。
糖尿病の合併症として、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、血管合併症、皮膚合併症、免疫不全、神経障害(ニューロパチー)、高血圧などが知られている。高血糖のこれらの合併症を引き起こすメカニズムが明らかでないこともあり、有効な治療薬はない。さらに、慢性の高血糖は、これらの疾患の原因となるばかりでなく、中枢神経の神経毒性(glucose neurotoxicity)となりうることが報告されている(非特許文献1−4)。
N−アセチル−D−グルコサミンの異性体であるN−アセチル−D−マンノサミンは、例えば、医薬品や医薬品原料となるシアル酸(N−アセチルノイラミン酸)の酵素合成原料として知られている。また、N−アセチル−D−マンノサミンは、その誘導体から、シアル酸誘導体を酵素合成することが可能であり、産業上、重要な物質である。N−アセチル−D−マンノサミンの製造方法として、N−アセチルグルコサミンをアルカリ条件下で異性化する際に、ホウ酸またはホウ酸塩を添加することにより、N−アセチルマンノサミンへのモル変換収率を増大させる方法が知られている(特許文献1)。また、シアル酸を基質としてN−アセチルノイラミン酸リアーゼを反応させることにより、N−アセチル−D−マンノサミンを製造する方法も知られている(特許文献2)。N−マンノサミンのアシル化体を細胞に接触させることにより、細胞表面へのレクチン結合を調節する方法または神経細胞の増殖を調節する方法が提案されている(特許文献3)。特許文献3においては、N−アセチル−D−マンノサミンは、インビトロで軸索成長を促進させることに関してネガティブコントロールとして位置づけられている。さらに、シアル酸生合成の主要酵素であるウリジン ジホスホ−N−アセチルグルコサミン2−エピメラーゼ/N−アセチルマンノサミン(ManNAc)キナーゼ(GNE/MNK)をコードするGNE遺伝子における変異(例、点突然変異により生じるM712T変異)は、成人で発症する常染色体劣性遺伝性封入体筋炎(HIBM)を引き起こすことが知られている。Gne/MnkのM712Tホモ変異マウスは生後年齢3を超えて生存せず、重篤な糸球体性タンパク尿を発症したが、N−アセチルマンノサミン(ManNAc)の投与により救済されることが報告されている(非特許文献5)。
本発明者らは、N−アセチル−D−マンノサミンが脳機能低下の改善や睡眠障害の改善に有効であることを見出している(特許文献4および5)。また、本発明者らは、N−アセチル−D−マンノサミンを用いて、多能性幹細胞または神経前駆細胞から効率的にオレキシンニューロンを製造することに成功している(特許文献6)。さらに、本発明者らは、N−アセチル−D−マンノサミンがうつの治療に有用であることを見出している(特許文献7)。うつ病は、糖尿病の発症および糖尿病による死亡率を高め、動脈硬化をすすめ、心筋梗塞および脳梗塞のリスクを高め、がんによる死亡率も高めることが知られているが、うつ病とこれらの疾患の進行との生理学的または病理学的関係は不明である。
特開平10−182685号公報 特開2001−78794号公報 米国特許第6274568号公報 国際公開第2010/027028号 特開2011−178702号公報 国際公開第2013/047773号 国際公開第2015/174532号
Nature Reviews Neuroscience, vol. 9, pp.36-45, 2008 Nature Reviews Neuroscience, vol. 15, pp.367-378, 2014 Nature Reviews Endocrinology, vol. 7, pp.682-690, 2011 New England Journal of Medicine, 2013; 369:540-548 The Journal of Clinical Investigation, 2007; 117:1585-1594
糖尿病またはその前段階の高血糖を罹患する患者は、世界的規模で増加しており、糖尿病およびその合併症を未然に予防または早期段階で治療することが求められている。本発明の目的は、高グルコース濃度が及ぼす生体への悪影響を低減させる手段を提供することにある。
本発明者らは、国際公開第2013/047773号に開示しているオレキシンニューロンの誘導法に基づいて、ヒトiPS細胞から分化させたオレキシン神経細胞を用いて鋭意検討した結果、オレキシン神経細胞はグルコース感受性であり、高濃度グルコース環境下ではオレキシン神経細胞を維持できないことが判明した。また、意外にもN−アセチル−D−マンノサミンを培地に添加して培養することで、オレキシン神経細胞の消失は免れ、N−アセチル−D−マンノサミンは高グルコースによる神経毒性から神経を保護する作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明者らは、N−アセチル−D−マンノサミンは、その他のグルコース感受性細胞に対するグルコース毒性から当該細胞を保護する作用を有することも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 N−アセチル−D−マンノサミンを含有してなる、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための剤。
〔2〕 グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、〔1〕に記載の剤。
〔3〕 グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、〔1〕に記載の剤。
〔4〕 N−アセチル−D−マンノサミンの有効量および医薬として許容されうる担体を含有してなる、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための医薬組成物。
〔5〕 グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、〔4〕に記載の医薬組成物。
〔6〕 グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、〔4〕に記載の医薬組成物。
〔7〕 糖尿病による合併症を治療するためのものである、〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔8〕 高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞の保護用医薬を製造するためのN−アセチル−D−マンノサミンの使用。
〔9〕 グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、〔8〕に記載の使用。
〔10〕 グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、〔8〕に記載の使用。
〔11〕 N−アセチル−D−マンノサミンの有効量をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護する方法。
〔12〕 グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、〔11〕に記載の方法。
〔13〕 グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、〔11〕に記載の方法。
〔14〕 糖尿病による合併症を予防または治療するためのものである、〔11〕〜〔13〕のいずれかに記載の方法。
〔15〕 N−アセチル−D−マンノサミンを含有してなる、高グルコース濃度による神経細胞消失の保護剤。
〔16〕 神経細胞がオレキシン神経細胞である、〔15〕に記載の剤。
〔17〕 N−アセチル−D−マンノサミンの有効量および医薬として許容されうる担体を含有してなる、高グルコース濃度による神経細胞消失を予防または治療するための医薬組成物。
〔18〕 神経細胞がオレキシン神経細胞である、〔17〕に記載の医薬組成物。
〔19〕 糖尿病による合併症を治療するためのものである、〔17〕または〔18〕に記載の医薬組成物。
〔20〕 高グルコース濃度による神経細胞消失の保護用医薬を製造するためのN−アセチル−D−マンノサミンの使用。
〔21〕 神経細胞がオレキシン神経細胞である、〔20〕に記載の使用。
〔22〕 N−アセチル−D−マンノサミンの有効量をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、高グルコース濃度による神経細胞消失の予防または治療方法。
〔23〕 神経細胞がオレキシン神経細胞である、〔22〕に記載の方法。
〔24〕 糖尿病による合併症を予防または治療するためのものである、〔22〕または〔23〕に記載の方法。
高グルコース濃度条件下に曝された神経細胞または高血糖の被験者に対して、N−アセチル−D−マンノサミンは、神経細胞または神経組織を保護する効果に優れている。また、高グルコース濃度条件下に曝されたグルコース感受性細胞は、様々な細胞外ストレスによって引き起こされるゲノムDNA損傷に対する抵抗性が低下している。N−アセチル−D−マンノサミンは、高グルコース濃度条件下に曝されたグルコース感受性細胞または高血糖の被験者に対して、グルコース毒性を低減する。具体的には、グルコース感受性細胞または該細胞から構成される組織において、ゲノムDNA損傷に対して抵抗性または高い修復能を獲得させる効果を有する。N−アセチル−D−マンノサミンを有効成分とする本発明の治療剤は、グルコース感受性細胞の機能を高血糖から保護して細胞死を未然に阻止し、高血糖によって低下したグルコース感受性細胞の機能を回復させることによって、高血糖から生体を保護する。したがって、本発明の治療剤は、新たな作用機序を有する抗糖尿病薬として、あるいは、他の抗糖尿病薬などの併用が期待される。
ヒトiPS細胞から分化させたオレキシン神経細胞を用いた、高グルコース濃度が神経細胞に及ぼす結果を示す図である。図中、IOCは参考例1で20日間培養して得られたオレキシン神経細胞である。ManNAcF(またはManNFAcともいう)は、ManNAcのフルオロ誘導体である。 糖尿病モデルマウス(db/dbマウス)を用いて、高脂肪食摂取による高血糖状態が脳のオレキシン神経細胞に及ぼす結果を示す図である。図中、*はt検定、p<0.01で有意差を示す。 ヒトiPS細胞から分化させたオレキシン神経細胞を高グルコース存在下で8日間培養した場合のオレキシン産生低下(グルコース毒性)に対する、ManNAc およびその誘導体の効果を示す図である。 ヒトiPS細胞からオレキシン神経細胞への分化誘導系を用いた、ManNAc およびその誘導体の効果を示す参考図である。オレキシン細胞の誘導活性は、ManNAcと比較して、いずれの誘導体も活性が高いことがわかる。 正常ヒト腎近位尿細管上皮細胞(RPTEC)およびII型糖尿病患者由来RPTEC(D-RPTEC)を種々のグルコース濃度(5mM、10mMおよび25mM)条件下で培養した場合のヒストンのO-GlcNAc修飾を免疫蛍光染色法で調べた図である。 II型糖尿病患者由来腎近位尿細管上皮細胞(D-RPTEC)を低グルコース濃度(5mM)および高グルコース濃度(25mM)条件下で培養し、ManNAc およびその誘導体がヒストンのO-GlcNAc修飾に及ぼす効果を免疫蛍光染色法で調べた図である。**;P<0.01。
本発明は、N−アセチル−D−マンノサミンを含有する、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための剤を提供する。また、本発明は、N−アセチル−D−マンノサミンを含有する、高グルコース濃度による神経細胞消失の保護剤を提供する。両者を合わせて、本発明の剤と称する場合がある。
本発明において「グルコース感受性細胞」とは、細胞外のグルコース濃度、特に高グルコース濃度の影響を受けやすい細胞をいう。グルコース感受性細胞としては、神経細胞、腎細胞、血管内皮細胞、膵島β細胞などがあげられ、神経細胞、腎細胞、血管内皮細胞が好ましい。
「腎細胞」とは、腎臓を構成している細胞であり、糸球体内皮細胞、ボーマン嚢上皮細胞、メサンギウム細胞、近位尿細管上皮細胞、遠位尿細管上皮細胞などがあげられる。
本発明において「神経細胞」とは、細胞体と軸索と樹状突起で一つの単位として考え、「ニューロン(神経単位)」とも呼ばれる、電気信号、神経伝達物質、あるいは、神経ペプチドを発して生体制御情報を担う特殊な細胞をいい、生体内に存在する神経細胞、生体内から試験管内に取り出された神経細胞、幹性細胞から試験管内で誘導された神経細胞、試験管内で維持された神経細胞を生体内に移植した神経細胞、脳内神経細胞、末梢神経細胞、成体・胎児由来培養細胞、あるいは、人工的に作り出した神経細胞のいずれであってもよい。
本発明において「グルコース感受性細胞の保護」とは、高グルコース濃度条件下に曝されることによって生じるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護すること、またはグルコース感受性細胞をグルコース毒性から回復させることをいう。グルコース毒性とは、本明細書において、グルコース濃度変化に依存した、ゲノムDNA損傷誘導、ゲノム修復能の低下、ゲノム制御異常による細胞障害、細胞死、などをいう。グルコース感受性細胞の保護は、低グルコース濃度条件下での細胞と比較して、高グルコース濃度条件下での細胞におけるゲノム修復が有意に低下しないことを指標にして評価することができる。具体的には、ヒストンのO-型結合N-アセチルグルコサミン(O-GlcNAc)修飾を指標にして評価することができる。ここで、高グルコース濃度とは、培地中または体液(好ましくは血液)中のグルコース濃度が7.1mM以上(例えば、25mM)をいい、低グルコース濃度とは、培地中または体液(好ましくは血液)中のグルコース濃度が7.1mM未満(例えば、1mM、または5〜7mM)をいう。
本発明者らは、ヒストンのO-GlcNAc修飾は、細胞外グルコースに反応し変化することを明らかにしてきた(出願番号:特願2015-177176)。O-GlcNAc修飾は、細胞外からのグルコース流入とこれに伴うヘキソサミン生合成経路の活性化に影響を受ける。本発明者らは、後述の実施例4に示すように、正常由来腎近位尿細管上皮細胞 (RPTEC)では、高グルコース濃度条件下でヒストンのO-GlcNAc修飾が増加すること、一方、II型糖尿病患者由来のRPTEC (D-RPTEC) ではそれが起こらず、糖尿病患者由来の細胞ではグルコースに応答して獲得されるDNA修復能が発揮されないことを見出した。ヒストンのO-GlcNAc修飾は、ゲノムDNA損傷に応答して増加し、DNAの修復に働くことを示すバイオマーカーである。
ヒストンのO-GlcNAc修飾の測定は、測定対象の細胞を常法により固定して蛍光免疫染色法(例、抗ヒストンO-GlcNAc抗体を用いる免疫染色)で可視化して行う。すなわち、本発明の剤を作用させない高グルコース濃度条件下でのグルコース感受性細胞のヒストンのO-GlcNAc修飾のシグナルに対して、本発明の剤を作用させた高グルコース濃度条件下でのグルコース感受性細胞のヒストンのO-GlcNAc修飾のシグナルの数が有意に増加することを指標にして評価することができる。
本発明において「神経細胞消失の保護」とは、高グルコース濃度条件下に曝された神経細胞の消失を抑制すること、または神経細胞の消失から回復させることをいう。神経細胞消失の保護は、低グルコース濃度条件下での神経細胞の数と比較して、高グルコース濃度条件下での神経細胞の数が有意に低下しないこと、あるいは、本発明の剤を作用させない高グルコース濃度条件下での神経細胞の数に対して、本発明の剤を作用させた高グルコース濃度条件下での神経細胞の数が有意に増加することを指標にして評価することができる。ここで、高グルコース濃度とは、培地中または体液(好ましくは血液)中のグルコース濃度が7.1mM以上(好ましくは25mM)をいい、低グルコース濃度とは、培地中または体液(好ましくは血液)中のグルコース濃度が7.1mM未満(好ましくは5〜7mM)をいう。
本発明において、N−アセチル−D−マンノサミンとは、下記式(I):
で示される、D−マンノサミンのN−アセチル体であってもよい。式(I)で示される化合物を「ManNAc」と省略する場合がある。
本発明において、N−アセチル−D−マンノサミンとは、上記式(I)で示される化合物に限定されるものではなく、その誘導体、前駆体もしくはプロドラッグ、その塩、その溶媒和物(以下、「誘導体等」と省略する場合がある)を含む概念である。
N−アセチル−D−マンノサミンは、例えば、下記式(II)で示される化合物であってもよい。
〔式中、R、R、RおよびRは各々独立して水素原子、R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NRを示し、Rは置換基を有していてもよいC1−7の鎖状炭化水素または環状炭化水素を示し、Rは水素原子、置換基を有していてもよいC1−7の鎖状炭化水素または環状炭化水素を示す。
は水素原子、R、−C(=O)R、−C(=O)OR、−C(=O)NR、−C(=O)−CH−Rを示し、Rは置換基を有していてもよいC1−7の鎖状炭化水素もしくは環状炭化水素を示し、Rは水素原子、置換基を有していてもよいC1−7の鎖状炭化水素または環状炭化水素を示し、Rは置換基を有していてもよいC1−7の鎖状炭化水素もしくは環状炭化水素、−(CH−C(=O)R(nは1〜6の整数であり、RはC1−6アルキルである)、−NH−C(=O)R10(R10は置換基を有していてもよいC1−7の鎖状炭化水素である)、アジド、オキシカルボニル−C1−6アルキル、チオカルボニル−C1−6アルキルを示す。〕
置換基としてはハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)を用いることができる。
好ましい実施形態において、式(II)で示される化合物は、
、R、RおよびRが水素原子であり、Rが−C(=O)OCHである誘導体(ManNCOOMeと称する)、
または、R、R、RおよびRが水素原子であり、Rが−C(=O)OCHCHである誘導体(ManNCOOEtと称する)
である。
別の実施形態において、式(II)で示される化合物は、好ましくは、下記ManNAcF、ManNAcFおよびAcManNAcである。
〔式中、Acはアセチル基を示す。〕
N−アセチル−D−マンノサミンは、例えば、下記式(IIa)〜(IIc)および(IIIa)〜(IIIc)で示される化合物、さらにはSPh−αβ−ManNAcであってもよい。
〔上記式中、Acはアセチル基を示す。〕
〔上記式中、SPhは、スフィンゴシン残基(−O−CH−CH(NH)−CH(OH)−CH=CH−(CH12CH)を示し、Acはアセチル基を示す。〕
〔上記式中、Acはアセチル基を示す。〕
別の好ましい実施形態において、N−アセチル−D−マンノサミンは、下記式(IVa)〜(IVc)で示される化合物である。
N−アセチル−D−マンノサミンの好ましい化合物としては、ManNAc(I)、SPh−αβ−ManNAc、ManNAcF、ManNAcF、5S−ManNAc(IIa)、AcManNAcおよびAcManNAc−6csP(IIb)があげられる。
N−アセチル−D−マンノサミンのより好ましい化合物は、ManNAc(I)、5S−ManNAc(IIa)、5S−ManNAcF(IVa)、5S−ManNAcF(IVb)、5S−ManNAcF(IVc)またはその塩であり、さらにより好ましくは5S−ManNAcF(IVa)である。
N−アセチル−D−マンノサミンの誘導体等は、文献(Metabolic glycoengineering: Sialic acid and beyond Glycobiology 2009 vol. 19 (12) pp. 1382-1401(特にFig.4)、Metabolic oligosaccharide engineering with N-Acyl functionalized ManNAc analogs: Cytotoxicity, metabolic flux, and glycan-display considerations Biotechnol Bioeng 2011 vol. 109 (4) pp. 992-1006(特にFigure 2))にも記載されており、本発明においても好適に用いることができる。
N−アセチル−D−マンノサミンの塩としては、薬理学的に許容し得る塩、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあげられる。
無機酸との塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩があげられる。
有機酸との塩の例としては、安息香酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩があげられる。
塩基性アミノ酸との塩の例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩があげられ、酸性アミノ酸との塩の例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩があげられる。
溶媒和物としては、好ましくは水和物(例、一水和物、二水和物など)、エタノレートなどがあげられる。
N−アセチル−D−マンノサミンは、市販品を用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。式(I)で示されるN−アセチル−D−マンノサミンの製造方法として、N−アセチルグルコサミンをアルカリ条件下で異性化する方法(特開平10−182685号公報)、シアル酸を基質としてN−アセチルノイラミン酸リアーゼを反応させることにより製造する方法(特開2001−78794号公報)があげられるが、これに限定されるものではない。N−アセチル−D−マンノサミンの誘導体等も、式(I)で示されるN−アセチル−D−マンノサミンを原料として自体公知の方法により製造することができる。
式(IIa)および式(IVa)〜(IVc)で示される化合物を総称して、本発明において5S体と称する。5S体のうち、5S−ManNAcの製造方法は、Hasegawa. E. Tanahashi, Y. Hioki, M. Kiso, Carbohydrate Res., 122, 168-173 (1983) に記されている。5S−ManNAcを塩酸で加水分解した後、フルオロ酢酸メチルで処理すると5S−ManNAcFへと導くことができる。5S−ManNAcF、5S−ManNAcFも類似の方法で合成できる。
本発明の剤は、N−アセチル−D−マンノサミン単独で、あるいは賦形剤(例えば、乳糖、ショ糖、デンプン、シクロデキストリン等)、場合によっては、香料、色素、調味料、安定剤、保存剤等も含有し、錠剤、丸剤、顆粒、細粒、粉末、ペレット、カプセル、溶液、乳液、懸濁液、シロップおよびトローチ等に製剤化して、医薬または保健機能食品もしくは食品添加物として用いることができる。また、本発明の剤は、研究用試薬として用いることもできる。
本発明の剤に含まれるN−アセチル−D−マンノサミンの量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されるものではないが、通常0.0001〜100重量%であり、好ましくは0.001〜99.9重量%である。
本発明の剤を研究用試薬として用いる場合、培地中のN−アセチル−D−マンノサミンの含有量が、1μM〜1mMとなるように添加することができる。
また、本発明は、有効量のN−アセチル−D−マンノサミンおよび医薬として許容されうる担体を含有する、高グルコース濃度による神経細胞消失を保護するための医薬組成物、または高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための医薬組成物を提供する。
医薬として許容されうる担体としては、例えば、賦形剤(例えば、乳糖、ショ糖、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等)、溶剤(例えば、水、食塩水、大豆油等)、保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル等)などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
N−アセチル−D−マンノサミンの有効量は、医薬としての効果を奏する限り特に限定されるものではないが、通常0.0001〜99.5重量%であり、好ましくは0.001〜99.0重量%である。
本発明の剤または医薬組成物は、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ウマ、サル、ヒト)に対して、経口的あるいは非経口的に投与することができる。
本発明は、高グルコース濃度による神経細胞消失の保護剤としての、または高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞の保護剤としての、N−アセチル−D−マンノサミンを添加してなる食品を提供する。
本発明の「食品」は、食品全般を意味するが、いわゆる健康食品を含む一般食品の他、厚生労働省の保健機能食品制度に規定される特定保健用食品や栄養機能食品等の保健機能食品をも含むものであり、さらにサプリメント、飼料等も本発明の食品に包含される。
食品用途の場合、N−アセチル−D−マンノサミンを、例えば、パン、菓子等の一般食品(いわゆる健康食品を含む)に含有させて用いることもできる。また、N−アセチル−D−マンノサミンを、賦形剤(例えば、乳糖、ショ糖、デンプン等)、場合によっては、香料、色素等と共に、錠剤、丸剤、顆粒、細粒、粉末、ペレット、カプセル、溶液、乳液、懸濁液、シロップおよびトローチ等に製剤化して、特定保健用食品や栄養機能食品等の保健機能食品、サプリメントとして用いることができる。また、本発明の食品は、飼料用途にも適用することができ、家禽や家畜等には、通常の飼料に添加して摂取または投与することができる。
食品または飼料として摂取する場合、食品または飼料の1日当たりの摂取回数および1回当たりの摂取量の目安を概算し、1日摂取量を規定した上で1日摂取量の食品または飼料に含まれるN−アセチル−D−マンノサミンの量を決定する。N−アセチル−D−マンノサミンの含有量は、後述する用量に基づいて決定することができる。
本発明の剤、食品または医薬組成物の摂取または投与量は、摂取または投与対象の年齢、体重、健康状態によって異なり、一概に決定することはできない。例えば、N−アセチル−D−マンノサミンとして、成人1日当たり0.1〜10g、好ましくは0.2g〜7gを1日1回から数回に分けて摂取または服用することが好ましい。
本発明の医薬(剤または医薬組成物)の投与方法としては、高グルコース濃度による神経細胞消失、または高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞の保護もしくは回復に対する予防的または治療的な効果が得られる経路であれば特に限定されない。例えば、非経口的投与(静脈内投与、筋肉内投与、組織内直接投与、鼻腔内投与、皮内投与、髄液内投与など)または経口投与により投与することができ、特に、該医薬をヒトに適用するには、静脈内、筋肉内または経口投与によって投与することができる。また、剤型としても特に制限されることなく、各種投与剤型、例えば、経口剤(顆粒剤、散剤、錠剤、舌下錠、フィルムコーティング剤、舌下フィルム製剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤など)、注射剤、点滴剤、外用剤(経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤など)として投与することが可能である。
また本発明は、高グルコース濃度による神経細胞消失の保護用医薬、または高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞の保護用医薬を製造するためのN−アセチル−D−マンノサミンの使用を提供する。具体的には、N−アセチル−D−マンノサミンを使用した、高グルコース濃度による神経細胞消失の予防または治療用医薬または高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞の保護もしくは回復用医薬の製造方法を提供する。
本発明の医薬の製造方法は、製剤分野において自体公知の方法を限定なく用いることができる。
本発明の医薬は、1つまたはそれ以上の他の薬物との組み合わせで使用され得、その場合、薬物の組み合わせは互いに、いずれの薬物単独よりも安全であるかまたはより効果的である。このような他の薬物は、当該薬物に関して一般的に使用される経路および量で、本発明の医薬と同時に又は連続して投与され得る。本発明の医薬が1つまたはそれ以上の他の薬物と同時に使用される場合には、このような他の薬物およびN−アセチル−D−マンノサミンを含有する単位剤形中の医薬組成物が好ましい。しかしながら、組み合わせ療法には、N−アセチル−D−マンノサミンおよび1つ以上の他の薬物が異別の重複スケジュールで投与される療法も含まれ得る。1つまたはそれ以上の他の活性成分との組み合わせで使用される場合には、N−アセチル−D−マンノサミン及び前記他の活性成分が、各々単独で使用される場合よりも少量の用量で使用され得ることも想定される。従って、本発明の医薬組成物には、N−アセチル−D−マンノサミンに加え、1つまたはそれ以上の他の活性成分を含有するものが含まれる。上述の組み合わせには、N−アセチル−D−マンノサミンと1つの他の活性化合物だけでなく、2つまたはそれ以上の他の活性化合物との組み合わせが含まれる。
第二の活性成分に対するN−アセチル−D−マンノサミンの重量比は変動し得、各成分の効果的な用量に依存する。一般的に、各々の効果的な用量が使用される。従って、例えば、N−アセチル−D−マンノサミンが別の薬物と組み合わされるとき、他の薬物に対するN−アセチル−D−マンノサミンの重量比は一般的に、約1000:1ないし約1:1000、好ましくは約200:1ないし約1:200の範囲である。N−アセチル−D−マンノサミンと他の活性成分との組み合わせも一般的に、上述の範囲内であるが、各場合において、各活性成分の効果的な用量が使用されるべきである。このような組み合わせにおいて、N−アセチル−D−マンノサミンおよび他の活性薬物は、個別にまたは共に投与され得る。さらに、1つの要素の投与は、他の薬物の投与前、投与と同時、投与後であり得る。
本発明の医薬は、糖尿病の治療に現在用いられている薬物または現在糖尿病の治療剤として開発中の薬物と組み合わせて用いることができる。本発明の医薬は、糖尿病を治療するのに有用であることが本分野で公知の他の化合物との組み合わせで投与され得る。本発明の医薬とこれらの治療剤との併用により、糖尿病のみならず、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、血管合併症、皮膚合併症、免疫不全などの糖尿病に伴う合併症にも有用である。
本発明の医薬と組み合わせて使用可能な糖尿病治療剤としては、以下の薬剤が例示される。
インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS-1等)、経口インスリン製剤等)、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは、塩酸塩)、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくは、マレイン酸塩)、メタグリダセン(Metaglidasen)、AMG-131、バラグリタゾン(Balaglitazone)、MBX-2044、リボグリタゾン(Rivoglitazone)、アレグリタザール(Aleglitazar)、チグリタザール(Chiglitazar)、ロベグリタゾン(Lobeglitazone)、PLX-204、PN-2034、GFT-505、THR-0921、WO2007/013694、WO2007/018314、WO2008/093639またはWO2008/099794記載の化合物等)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート等)、ビグアナイド剤(例、メトホルミン、ブホルミンまたはそれらの塩(例、塩酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩等)等)、インスリン分泌促進剤(例、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール等)、レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物等)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、アログリプチン(Alogliptin)またはその塩(好ましくは、安息香酸塩)、ヴィルダグリプチン(Vildagliptin)、シタグリプチン(Sitagliptin)、サクサグリプチン(Saxagliptin)、BI1356、GRC8200、MP-513、PF-00734200、PHX1149、SK-0403、ALS2-0426、TA-6666、TS-021、KRP-104、2-[[6-[(3R)-3-アミノ-1-ピペリジニル]-3,4-ジヒドロ-3-メチル-2,4-ジオキソ-1(2H)-ピリミジニル]メチル]-4-フルオロベンゾニトリルまたはその塩等)、β3アゴニスト(例、N-5984等)、GPR40アゴニスト(例、WO2004/041266、WO2004/106276、WO2005/063729、WO2005/063725、WO2005/087710、WO2005/095338、WO2007/013689またはWO2008/001931記載の化合物等)、GLP-1受容体アゴニスト(例、GLP-1、GLP-1MR剤、リラグルチド(Liraglutide)、エキセナチド(Exenatide)、AVE-0010、BIM-51077、Aib(8,35)hGLP-1(7,37)NH2、CJC-1131、Albiglutide等)、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド等)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム等)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース-6-ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤、FBPase阻害薬等)、SGLT2(sodium-glucose cotransporter 2)阻害剤(例、Depagliflozin、AVE2268、TS-033、YM543、TA-7284、Remogliflozin、ASP1941等)、SGLT1阻害薬、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT-3498、INCB-13739等)、アジポネクチンまたはその作動薬、IKK阻害薬(例、AS-2868等)、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬、グルコキナーゼ活性化薬(例、Piragliatin、AZD1656、AZD6370、TTP-355、WO2006/112549、WO2007/028135、WO2008/047821、WO2008/050821、WO2008/136428またはWO2008/156757記載の化合物等)、GIP(Glucose-dependent insulinotropic peptide)、GPR119アゴニスト(例、PSN821、MBX-2982、APD597等)、FGF21、FGFアナログ等があげられる。
本発明の医薬と組み合わせて使用可能な糖尿病性合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゾポルレスタット、フィダレスタット、CT-112、ラニレスタット(AS-3201)、リドレスタット等)、神経栄養因子およびその増加薬(例、NGF、NT-3、BDNF、WO01/14372に記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例、4-(4-クロロフェニル)-2-(2-メチル-1-イミダゾリル)-5-[3-(2-メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール等)、WO2004/039365記載の化合物等)、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリン メシレート(ruboxistaurin mesylate)等)、AGE阻害剤(例、ALT946、N-フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、EXO-226、ピリドリン(Pyridorin)、ピリドキサミン等)、GABA受容体作動薬(例、ギャバペンチン、プレギャバリン等)、セロトニン・ノルアドレナリン再取込み阻害薬(例、デュロキセチン等)、ナトリウムチャンネル阻害薬(例、ラコサミド等)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン等)、ソマトスタチン受容体作動薬(例、BIM23190等)、アポトーシスシグナルレギュレーティングキナーゼ−1(ASK-1)阻害薬等があげられる。
本発明の医薬と組み合わせて使用可能な高脂血症治療剤としては、HMG-CoA還元酵素阻害剤(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩等)等)、スクアレン合成酵素阻害剤(例、WO97/10224号パンフレットに記載の化合物、例えば、N-[[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル]アセチル]ピペリジン-4-酢酸等)、フィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート等)、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミン等)、プロブコール、ニコチン酸系薬剤(例、ニコモール(nicomol)、ニセリトロール(niceritrol)、ナイアスパン(niaspan)等)、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例、ソイステロール(soysterol)、ガンマオリザノール(γ-oryzanol)等)、コレステロール吸収阻害剤(例、ゼチア等)、CETP阻害剤(例、ダルセトラピブ(dalcetrapib)、アナセトラピブ(anacetrapib)等)、ω-3脂肪酸製剤(例、ω-3-acid ethyl esters 90等)等があげられる。
本発明の医薬と組み合わせて使用可能な抗肥満剤としては、例えば、モノアミン取り込み阻害薬(例、フェンテルミン、シブトラミン、マジンドール、フロキセチン、テソフェンシン等)、セロトニン2C受容体作動薬(例、ロルカセリン等)、セロトニン6受容体拮抗薬、ヒスタミンH3受容体調節薬、GABA調節薬(例、トピラメイト等)、ニューロペプチドY拮抗薬(例、ベルネペリット等)、カンナビノイド受容体拮抗薬(例、リモナバン、タラナバン等)、グレリン拮抗薬、グレリン受容体拮抗薬、グレリンアシル化酵素阻害薬、オピオイド受容体拮抗薬(例、GSK-1521498等)、メラノコルチン4受容体作動薬、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、AZD-4017等)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、セティリスタット(cetilistat)等)、β3アゴニスト(例、N-5984等)、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)阻害薬、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害薬、ステアリン酸CoA脱飽和酵素阻害薬、ミクロソームトリグリセリド転送蛋白阻害薬(例、R-256918等)、Na-グルコース共輸送担体阻害薬(例、JNJ-28431754、レモグリフロジン等)、NFκB阻害薬(例、HE-3286等)、PPARアゴニスト(例、GFT-505、DRF-11605等)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム、トロダスケミン(Trodusquemin)等)、GPR119作動薬(例、PSN-821等)、グルコキナーゼ活性化薬(例、AZD-1656等)、レプチン、レプチン誘導体(例、メトレレプチン等)、CNTF(毛様体神経栄養因子)、BDNF(脳由来神経栄養因子)、コレシストキニンアゴニスト、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物GLP-1製剤;大腸菌、イーストを用い遺伝子工学的に合成したヒトGLP-1製剤;GLP-1のフラグメントまたは誘導体(例、エクセナチド、リラグルチド等)等)、アミリン製剤(例、プラムリンタイド、AC-2307等)、ニューロペプチドYアゴニスト(例、PYY3-36、PYY3-36の誘導体、オビネプタイド、TM-30339、TM-30335等)、オキシントモジュリン製剤:FGF21製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物FGF21製剤;大腸菌、イーストを用い遺伝子工学的に合成したヒトFGF21製剤;FGF21のフラグメントまたは誘導体等)、摂食抑制薬(例、P-57等)等があげられる。
さらに、糖化阻害剤(例、ALT-711等)、神経再生促進薬(例、Y-128、VX853、prosaptide等)、抗うつ薬(例、デシプラミン、アミトリプチリン、イミプラミン等)、抗てんかん薬(例、ラモトリジン、トリレプタル(Trileptal)、ケプラ(Keppra)、ゾネグラン(Zonegran)、プレギャバリン(Pregabalin)、ハーコセライド(Harkoseride)、カルバマゼピン等)、抗不整脈薬(例、メキシレチン等)、アセチルコリン受容体リガンド(例、ABT-594等)、エンドセリン受容体拮抗薬(例、ABT-627等)、モノアミン取り込み阻害薬(例、トラマドル等)、麻薬性鎮痛薬(例、モルヒネ等)、GABA受容体作動薬(例、ギャバペンチン、ギャバペンチンMR剤等)、α2受容体作動薬(例、クロニジン等)、局所鎮痛薬(例、カプサイシン等)、抗不安薬(例、ベンゾチアゼピン等)、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例、シルデナフィル等)、ドーパミン受容体作動薬(例、アポモルフィン等)、ミダゾラム、ケトコナゾール等も本発明の医薬と併用することができる。
本発明の医薬および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。
投与形態としては、特に限定されず、本発明の医薬と併用薬剤が組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、
(1)本発明の医薬と併用薬剤とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、
(2)本発明の医薬と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、
(3)本発明の医薬と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、
(4)本発明の医薬と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、
(5)本発明の医薬と併用薬剤とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の医薬および併用薬剤の順序での投与、または逆の順序での投与)
等が挙げられる。
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の医薬と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明の医薬1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
本発明の医薬と併用薬剤とを組み合わせることにより、
(1)本発明の医薬または併用薬剤を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減することができる、
(2)本発明の医薬と作用機序が異なる併用薬剤を選択することにより、治療効果の持続を図ることができる、
(3)本発明の医薬と併用薬剤とを併用することにより、相乗効果が得られる、等の優れた効果を得ることができる。
以下、実施例を示してさらに具体的に本発明を説明する。以下は代表的な実施例を示すものでこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
参考例1:ヒトiPS細胞からの神経分化誘導の系を用いたオレキシン遺伝子(Hcrt)の発現誘導(オレキシン神経細胞の調製)
Stromal cell-derived inducing activity (SDIA)分化培養系を用いた解析
基本的には、国際公開2013/04773パンフレットに記載の方法に従って、ヒトiPS 細胞から分化させたオレキシン神経細胞を用いた。分化培養の条件は以下の通りである。
分化培養
ヒトiPS細胞株201B7(HSP0001)は、ナショナルバイオリソースプロジェクト(MEXT、日本)を介して、理研バイオリソースセンターより入手した。ヒトiPS細胞は、5 ng/mLのrecombinant human bFGF(Wako)を補足した霊長類ES培地(ReproCELL)中、マイトマイシンC処理STO/Neo resistant/LIF(SNL)フィーダー細胞のフィーダー層上で維持した。SDIAとBMP4系による神経への分化誘導のため、ヒトiPS細胞をPA6とともに20日間共培養した。5nM BMP4を、7日目から補足した。分化培養開始時(0日)からManNAcを1.0mMになるように神経分化培地中に添加し、分化培養7、10および14日目に培地の交換を行った。また、分化培養7日目から5 nM recombinant human BMP4(Wako)を添加した。分化培養14日目にEX-527(SIGMA-ALDRICH)を50nMになるように神経分化培地に添加し、あるいはBADGP(SIGMA-ALDRICH)を5mMになるように神経分化培地に添加し、分化培養20日目に細胞を回収してRT-PCRに供した。
RT-PCR法による発現解析
回収した細胞からRNeasy plus Mini Kit (QIAGEN)を用いてtotal RNAを抽出した。次いでSuperScript III First Strand Synthesis System (Invitrogen) を用いて、total RNA1 μgおよびOligo(dT)を含む反応液中で逆転写反応を行いcDNAを合成した。
PCR反応は10 μlスケールで行い、0.5 μlのcDNA、5 μlの2xGC Buffer I、200 μM各dNTP、1.5 mM MgCl2、終濃度0.2 μM各プライマーに1 UのLA-Taq DNA Polymerase (Takara) を加え、95℃ 3分の熱変性後、(95℃ 30秒、55℃ 30秒、72℃ 30秒)x35サイクル (Actbの場合は20サイクル) の条件で行った。用いたプライマーは以下に示す。
Hcrt Forward; 5'- CTCCAGGCACCATGAACTTT -3'(配列番号:1)
Hcrt Reverse; 5'- AGTTCGTAGAGACGGCAGGA -3'(配列番号:2)
Actb Forward; 5'- TTCTACAATGAGCTGCGTGTGG -3'(配列番号:3)
Actb Reverse; 5'- ATGGCTGGGGTGTTGAAGGT -3'(配列番号:4)
各PCR産物は2% アガロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイド染色後、UV照射によりバンドの観察を行った。
結果
回収した細胞のオレキシン遺伝子(Hcrt)の発現解析を行った結果、Hcrtの発現が認められた。参考例1で得られた細胞をオレキシン神経細胞として、以下の実験に供した。
実施例1:高グルコース濃度下でのオレキシン神経細胞消失および消失からの保護または回復
参考例1で得られたオレキシン神経細胞を、下記実験に供した。
オレキシン神経細胞を、神経分化培地(G-MEM + 10% KSR (KnockOut Serum Replacement、Invitrogen社))中で8日間培養を続け、試験管内で維持した。その際、培地中のグルコース濃度を低グルコース濃度(5mM)および高グルコース濃度(25mM)の2群に分けて培養した。結果を図1に示す。
高グルコース濃度(25mM)でオレキシン神経細胞を維持すると、オレキシン(Hcrt)の発現は測定限界以下となり、事実上、オレキシン神経細胞は消失した(図1上図)。一方、低グルコース濃度(5mM)でオレキシン神経細胞を維持しても、このようなオレキシンの発現低下またはオレキシン細胞の消失は起きない(図1下左図)。したがって、オレキシン神経細胞は、グルコースに感受性があり、高濃度グルコース環境下ではオレキシン神経細胞を維持できないことが判明した(図1下左図)。
一方、高グルコース濃度下であっても、一旦低濃度グルコース環境下に戻すか、あるいは、ManNAcまたはその誘導体であるManNAcF(フルオロManNAc、またはManNFAcともいう)を添加しておくと(添加濃度:10μM ManNAc、1μM ManNAcF)、オレキシン神経細胞の消失は免れた(図1下中図)。したがって、ManNAcおよびその誘導体は、高グルコースによる神経毒性から神経細胞を保護する機能を有し、オレキシン神経の維持に有効であることが明らかになった。
高グルコース濃度下での培養日数をさらに2日間または4日間延長すると、低濃度グルコース環境下での培養に戻しても、オレキシン神経細胞の回復は見られなくなる(図1下右図)。しかし、ManNAcおよびその誘導体ManNAcFを培地中に添加しておくと、オレキシンの発現が見られ、オレキシン神経細胞が回復していることが示された(図1下右図)。したがって、ManNAcおよびその誘導体は、オレキシン神経細胞の回復作用を有する。
一方、未分化細胞からオレキシン細胞の分化を促進する作用を有する化合物(サーチュイン阻害剤EX-527およびOGA阻害剤BADGP)の添加は全く効果が見られなかったことから(データ示さず)、ManNAcおよびその誘導体は、グルコース毒性による神経細胞のダメージから回復させ得る貴重なリード化合物と考えられる(図1下右図)。
実施例2:ManNAcによる個体レベルでの神経細胞消失からの保護
ManNAcによる個体レベルでの神経細胞保護の有効性を確かめるために、遺伝的肥満マウス(db/dbマウス、対照としてヘテロマウス、全て雄性)(各群n=6)を用いて、オレキシン神経細胞数とオレキシン発現を調べた。各群の飼育条件(生後6−8週)は、以下の通りである。
高脂肪餌+飲水群
高脂肪餌+5μg/μlのManNAc含有飲水群
通常餌+飲水群
通常餌+5μg/μlのManNAc含有飲水群
<in situ hybridization法によるオレキシン遺伝子の発現検出>
上記各群のマウス各3個体にネンブタール麻酔を施し、ホルムアミド系固定液(Genostaff)にてかん流固定を行い、脳を取り出してパラフィン包埋し、矢状断方向に6μm厚の切片を作製した。10枚おきに切片をヘマトキシリン・エオジン染色で染色し、マウス脳アトラス(Paxinos G, Franklin KBJ. The mouse brain in stereotaxic coordinates.2nd edition, Academic Press, 2001)に従い、切片の位置を特定して、視床下部外側野を含む切片をin situ hybridization法に供した。切片は、キシレンで脱パラフィン処理した後、エタノールとPBSで段階的に再水和した。この切片を4%パラホルムアルデヒド/PBSで15分間固定し、PBSで洗浄した。次いで、8g/ml Proteinase K/PBSで37℃、30分間処理し、PBSで洗浄、4%パラホルムアルデヒド/PBSで15分間再固定し、PBSで洗浄、0.2N HClで10分間処理し、PBSで洗浄した。切片を0.1Mトリエタノールアミン塩酸塩/0.25% 無水酢酸で10分間処理し、PBSで洗浄した。切片をエタノールで段階的に脱水し、Probe Diluent(Genostaff)で300ng/mlに希釈したRNAプローブを60℃、16時間ハイブリダイズさせた。プローブはオレキシン遺伝子の部分配列:
cgtgttcctgccgtctctacgaactgttgcacggagctggcaaccacgctgcgggtatcctgactctgggaaagcggcggcctggacctccaggcctccagggacggctgcagcgcctccttcaggccaacggtaaccacgcagctggcatcctgaccatgggccgccgcgcaggcgcagagctagagccacatccctgctctggtcgcggctgtccgaccgtaactaccaccgctttagcaccccggggagggtccggagtctgaacccatcttctatccttgtcctgatccaaacttccccctctgctc(配列番号5)を、
pGEM-1 Easy vector(Promega)にクローニングし、プラスミドを鋳型にDIG RNA Labeling Mix (Roche)を用いてジゴキシゲニン標識RNAプローブを作製した。ハイブリダイゼーション後、切片を5×HybriWash(Genostaff)で60℃、20分間それぞれ洗浄した。続いて、50μg/ml RNaseA、10mM Tris−HCl(pH8.0)、1M NaCl、1mM EDTA溶液中で37℃、30分間RNase処理を行った。切片は、2×HybriWashで60℃、20分間を2回、0.2×HybriWashで60℃、20分間を2回洗浄し、TBST(0.1% Tween20/TBS)で1回洗浄した。0.5% blocking reagent(Roche)/TBSTで30分間ブロッキング処理をした後、切片をTBSTで1000倍希釈したanti-DIG AP conjugate(Roche)中で室温、2時間インキュベートした。TBSTで2回洗浄の後、100mM NaCl、50mM MgCl、0.1% Tween20、100mM Tris−HCl(pH9.5)溶液中でインキュベートした。発色反応は、NBT/BCIP(Sigma)を用いて一晩行い、PBSで洗浄した。染色した切片は、ケルネヒトロート(MUTO PURE CHEMICALS)で対比染色し、マリノール(MUTO PURE CHEMICALS)で封入した、オレキシン遺伝子を発現する細胞を計数し、3個体の平均と標準誤差を求めた。
<実験結果>
結果を図2に示す。生後6週から8週に渡り高脂肪餌を与えた群では、通常餌で飼育した群と比較すると、オレキシン神経細胞数の低下とオレキシン遺伝子発現の低下が見られた。それに対して、高脂肪餌を与えた群でも、ManNAcを同時に与えることでオレキシン神経細胞数とオレキシン遺伝子発現の低下が抑制された。
実施例3:高グルコース濃度下でのオレキシン神経細胞消失および種々のManNAc誘導体による消失からの保護または回復
参考例1で得られたオレキシン神経細胞を、下記実験に供した。
オレキシン神経細胞を、神経分化培地(G-MEM + 10% KSR (KnockOut Serum Replacement、Invitrogen社))中で8日間または12日間培養を続け、試験管内で維持した。その際、培地中のグルコース濃度を高グルコース濃度(25mM)にし、ManNAcおよび種々のManNAc誘導体(各1μM)を添加して培養した。8日間培養コースでは、培養開始時(+day0)からグルコースおよびManNAcまたは種々のManNAc誘導体を培地に添加し、+day8で細胞を回収してオレキシンの発現を解析した。コントロールとして、低グルコース濃度(5mM)で培養したオレキシン神経細胞を準備した。12日間培養コースでは、培養開始時(+day0)から高グルコースを添加し、培養開始後+day8からManNAcまたは種々のManNAc誘導体を培地に添加し、+day12で細胞を回収してオレキシンの発現を解析した。コントロールとして、培養開始後+day8から低グルコース濃度(5mM)で培養したオレキシン神経細胞を準備した。参考例1に記載のRT-PCR法による発現解析に従ってHcrt遺伝子の発現を調べた。培養開始時におけるオレキシン神経細胞でのHcrt遺伝子の発現を基準として、高グルコース条件下でManNAcまたは種々のManNAc誘導体を添加して培養した後のオレキシン神経細胞でのHcrt遺伝子の発現を発現強度で示した(図3)。
オレキシン神経細胞は一旦分化誘導された後、高グルコース存在下で8日を超えて培養した場合には、オレキシン産生が検出されなくなった(図3、上図)。この時期には、高グルコースから低グルコース(5mM)にシフトさせても、オレキシンの産生は回復しなかった(図3、右下図)。また、この時期に最も活性が高いのは、誘導体ManNAcFであった。他の誘導体(5S-ManNAc、5S-ManNAcF、ManNCOOMe, ManNCOOEt,)では活性が低く、天然型ManNAcの活性の方が高かった(図3、右下図)。分化誘導されたオレキシン神経細胞を高グルコース存在下で8日以内培養した場合は、ManNCOOMeを除いて、オレキシン産生が維持された(図3、左下図)。グルコース感受性の時期においては、低グルコース培養条件(5mM)で培養した場合も、オレキシン産生が顕著であった(図3、左下図)。
参考例2:ManNAcおよびその誘導体のオレキシン細胞誘導能
参考例1において、1.0mMのManNAcの代わりに、ManNAc、ManNAcF、5S-ManNAc、5S-ManNAcF、ManNCOOMeまたはManNCOOEt(それぞれ、8、40、200nM、1μMおよび5μM)を添加したこと以外は、参考例1に記載の方法に従って、ヒトiPS細胞からオレキシン細胞を誘導した。種々の条件で誘導した細胞におけるオレキシン遺伝子(Hcrt)の発現を調べた。結果を図4に示す。
オレキシン細胞誘導活性は、ManNAcと比較して、ManNCOOMe、ManNCOOEtおよびManNAcFのいずれも活性は高かった。オレキシン細胞の維持(保護または回復)活性とiPS細胞からのオレキシン細胞誘導活性とでは、活性の高いManNAc誘導体の種類が異なることが示された。ManNAcおよびその誘導体によるオレキシン細胞の維持(保護または回復)活性とオレキシン細胞の誘導活性における作用機序が異なることが予想される。
実施例4:II型糖尿病患者由来腎近位尿細管上皮細胞 (D-RPTEC)におけるヒストンO-GlcNAc修飾
ヒト腎近位尿細管上皮(RPTEC)細胞の培養
正常ヒト腎近位尿細管上皮細胞 (Human Renal Proximal Tubule Cell、RPTEC) およびII型糖尿病患者由来RPTEC (D-RPTEC) はLonzaより購入した。REGMTM Renal Epithelial Cell Growth Medium Bullet Kit (Lonza) で維持したRPTECおよびD-RPTECを、4ウェルディッシュ1ウェル当たり1x104個になるようにそれぞれ播種し、コントロール培地または高グルコース培地 (2.5 M グルコース溶液を用いて終濃度25 mMになるように調整) で4日目培養を行った。
蛍光免疫染色法によるヒストンO-GlcNAcシグナルの検出
培養細胞を4% パラホルムアルデヒドで20分間固定し、0.2% TritonX-100-PBS溶液で膜透過処理後、ブロッキング溶液[5% ウシ血清由来アルブミン(BSA)、0.1% Tween20、0.2% TritonX-100を含むPBS(-)]で4℃一晩処理した。次いで、5% BSA-PBS(-)-0.1% Tween20で希釈した抗ヒストンO-GlcNAc抗体(20B2)で4℃一晩反応させたのち、PBS(-)で希釈した二次抗体に室温で1時間反応させ、さらに1 μg/ml DAPI (Dojindo)で室温20分間核を染色後、封入液(VECTASHIELD)で封入し、プレパラートを作製した。観察は一体型共焦点レーザー顕微鏡(FV10i, オリンパス)を用いて行った。画像取得後、画像解析ソフトCell Profiler (www.cellprofiler.org)で核内のO-GlcNAcシグナルの数を測定し、統計処理はウィルコクソンの順位和検定で行った。結果を図5に示す。
これまでの解析から、このヒストンO-GlcNAc修飾は細胞外グルコースに応答して変化することを見出した(特願2015-177176号)。血管内皮細胞などでは、高グルコース下でO-GlcNAc修飾が増加する(特願2015-177176号)。正常な細胞は、グルコースに応答してヒストンO-GlcNAc修飾を増加させることでDNA損傷に対して抵抗性または高い修復能を獲得したと考えられる。
腎近位尿細管上皮細胞 (RPTEC)でも高グルコース下でヒストンO-GlcNAc修飾が増加すること、一方、II型糖尿病患者由来のRPTEC (D-RPTEC) ではそれが起こらないことは (図5)、糖尿病を呈する細胞ではグルコースに応答して獲得されるDNA修復能が発揮されないことを示している。
実施例5:ヒストンO-GlcNAc修飾レベルを変動させる化合物の探索
糖尿病を呈する細胞では様々な細胞外ストレスによって引き起こされるゲノムDNA損傷に対して抵抗性が低いことが考えられる。ただし、実施例4の解析結果を利用する、つまりD-RPTECにおいてヒストンO-GlcNAc修飾レベルを指標にすれば、DNA修復能を増加させる因子の探索が可能であり、糖尿病治療へと繋がる成果を得られることも可能となってくる。そこで、本実験ではManNAc およびその誘導体2種(5S-ManNAcFとManNCOOEt)を培地に添加し、96時間高グルコース (25 mM グルコース) 下で培養し、実施例5と同様にして、ヒストンO-GlcNAcのシグナルを検出した。結果を図6に示す。
図6より、ManNAcおよび5S-ManNAcF添加時にヒストンO-GlcNAc修飾レベルの増加が観察された。つまり、これらの化合物は、D-RPTECで一旦低下したグルコース応答性のDNA修復能を回復させる作用を有する。
参考例3:5S−ManNAcF(IVa)の製造方法
2-Amino-2-deoxy-5-thio-D-mannopyranose hydrochloride (5-thio-D-mannosamine hydrochloride、5S-ManNH 2 ・HCl)の合成
2-acetamido-2-deoxy-5-thio-α-D-mannofuranoside (5S-ManNAc) (100 mg、0.45 mmol) を2N HCl (1.0 mL) に溶かし、 60℃ で 24 時間加熱した。その後、減圧下濃縮し、5S-ManNH2・HCl (110 mg) を淡褐色粉末として得た。この化合物はα-およびβ-アノマーを73:27の比率で含んでいた。
1H NMR (400 MHz, D2O, ref. HOD at 4.80 ppm at 25℃) α-アノマー:δ3.30 (1H, dt, J = 9.4 and 4.5 Hz, 5-H), 3.80 (1H, t, J = 9.4 Hz, 4-H), 3.90 (1H, t, J = 4.0 Hz, 2-H), 3.91 (2H, d, J = 4.5 Hz, 6-H2), 4.09 (1H, dd, J = 9.4 and 4.0 Hz, 3-H),5.17 (1H, d, J = 4.0 Hz, 1-H). β-アノマー:δ3.00 (1H, ddd, J = 9.4, 6.3 and 3.6 Hz, 5-H), 3.74 (1H, dd, J = 9.4 and 9.0 Hz, 4-H), 3.83 (1H, dd, J = 11.7 and 6.3 Hz, 6-H),3.84 (1H, dd, J = 9.0 and 4.0 Hz, 3-H),3.96 (1H, dd, J = 11.7 and 3.6 Hz, 6-H), 3.98 (1H, dd, J = 4.0 and 2.7 Hz, 2-H), 5.39 (1H, d, J = 2.7 Hz, 1-H).
2-Fluoroacetamido-2-deoxy-5-thio-D-mannopyranose (N-fluoroacetyl-5-thio-D-mannosamine、5S-ManNAcF)の合成
上記のようにして得られた5S-ManNH2・HCl (110 mg) を無水MeOH (3.8 mL) に溶かし、0℃にてEt3N (940μL, 6.74 mmol)およびメチルフルオロアセテート(700μL, 8.92 mmol) を順次加えた。混合物を27℃で 24時間攪拌し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3 : MeOH = 2:3)で精製し、5S-ManNAcF (82.2 mg、76%、5S-ManNAcからの収率) を、87:13 のα-とβ-アノマーの混合物として得た。
1H NMR (500 MHz, D2O, ref. HOD at 4.80 ppm at 25℃) α-アノマー:δ3.30 (1H, ddd, J = 10.0, 5.5 and 3.1 Hz, 5-H), 3.80 (1H, dd, J = 10.0 and 9.7 Hz, 4-H), 3.90 (1H, dd, J = 12.0 and 3.1 Hz, 6-H), 3.98 (1H, dd, J = 12.0 and 5.5 Hz, 6-H), 4.05 (1H, dd, J = 9.7 and 4.1 Hz, 3-H), 4.71 (1H, dd, J = 4.1 and 3.1 Hz, 2-H), 4.95 (1H, d, J = 3.1 Hz, 1-H), 4.98 and 4.99 (each 1H, each dd, each J = 46.1 and 14.2 Hz, -COCH2F). β-アノマー:δ3.03 (1H, ddd, J = 9.6, 6.4 and 3.2 Hz, 5-H), 3.70 (1H, dd, J = 9.6 and 9.3 Hz, 4-H), 3.74 (1H, dd, J = 9.3 and 3.8 Hz, 3-H), 3.91 (1H, dd, J = 12.0 and 6.4 Hz, 6-H), 3.96 (1H, dd, J = 12.0 and 3.2 Hz, 6-H), 4.85 (1H, dd, J = 3.8 and 2.4 Hz, 2-H), 5.03 and 5.04 (each 1H, each dd, each J = 46.8 and 14.4 Hz, -COCH2F), 5.34 (1H, d, J = 2.4 Hz, 1-H).
本発明により、N−アセチル−D−マンノサミンを有効成分として含有する医薬、食品などが提供される。本発明の医薬または食品の服用または摂取により、グルコース毒性による神経細胞消失を予防または治療することができ、グルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護または回復させることができる。
本出願は、日本で出願された特許出願特願2015−077228(出願日:2015年4月3日)を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (24)

  1. N−アセチル−D−マンノサミンを含有してなる、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための剤。
  2. グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、請求項1に記載の剤。
  3. グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、請求項1に記載の剤。
  4. N−アセチル−D−マンノサミンの有効量および医薬として許容されうる担体を含有してなる、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護するための医薬組成物。
  5. グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、請求項4に記載の医薬組成物。
  7. 糖尿病による合併症を治療するためのものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. 高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞の保護用医薬を製造するためのN−アセチル−D−マンノサミンの使用。
  9. グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、請求項8に記載の使用。
  10. グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、請求項8に記載の使用。
  11. N−アセチル−D−マンノサミンの有効量をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、高グルコース濃度によるグルコース毒性からグルコース感受性細胞を保護する方法。
  12. グルコース感受性細胞が神経細胞、腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれる、請求項11に記載の方法。
  13. グルコース感受性細胞が腎細胞および血管内皮細胞からなる群より選ばれ、グルコース感受性細胞の保護が当該細胞におけるゲノム修復である、請求項11に記載の方法。
  14. 糖尿病による合併症を予防または治療するためのものである、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. N−アセチル−D−マンノサミンを含有してなる、高グルコース濃度による神経細胞消失の保護剤。
  16. 神経細胞がオレキシン神経細胞である、請求項15に記載の剤。
  17. N−アセチル−D−マンノサミンの有効量および医薬として許容されうる担体を含有してなる、高グルコース濃度による神経細胞消失を予防または治療するための医薬組成物。
  18. 神経細胞がオレキシン神経細胞である、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 糖尿病による合併症を治療するためのものである、請求項17または18に記載の医薬組成物。
  20. 高グルコース濃度による神経細胞消失の保護用医薬を製造するためのN−アセチル−D−マンノサミンの使用。
  21. 神経細胞がオレキシン神経細胞である、請求項20に記載の使用。
  22. N−アセチル−D−マンノサミンの有効量をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、高グルコース濃度による神経細胞消失の予防または治療方法。
  23. 神経細胞がオレキシン神経細胞である、請求項22に記載の方法。
  24. 糖尿病による合併症を予防または治療するためのものである、請求項22または23に記載の方法。
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