以下に図面を参照して、本発明にかかる無線通信システム、基地局および移動局の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる無線通信システムの一例を示す図である。図1の(a)に示すように、実施の形態1にかかる無線通信システム100は、基地局110と、移動局120と、を含む。無線通信システム100においては、基地局110と移動局120との間で、第1の無線通信101を用いたデータ伝送と、第2の無線通信102を用いたデータ伝送と、が可能である。
第1の無線通信101および第2の無線通信102は、互いに異なる無線通信(無線通信方式)である。第1の無線通信101は、一例としてはLTEやLTE−Aなどのセルラ通信である。第2の無線通信102は、一例としてはWLANである。ただし、第1の無線通信101および第2の無線通信102はこれらに限らず、各種方式の通信とすることができる。図1の(a)に示す例では、基地局110は、たとえば移動局120との間で第1の無線通信101および第2の無線通信102が可能な基地局である。
第1の無線通信102を用いずに第1の無線通信101を用いてデータを伝送する際に、基地局110および移動局120は、第1の無線通信101のデータを伝送するための第1の無線通信101の通信路を基地局110と移動局120との間に設定する。そして、基地局110および移動局120は、設定した第1の無線通信101の通信路によってデータを伝送する。
また、第2の無線通信102を用いてデータを伝送する際に、基地局110および移動局120は、第1の無線通信101のデータを伝送するための第2の無線通信102の通信路を基地局110と移動局120との間に設定する。そして、基地局110および移動局120は、設定した第2の無線通信102の通信路によってデータを伝送する。
まず、基地局110から移動局120へデータを伝送する下りリンクについて説明する。基地局110は、制御部111と、処理部112と、を備える。制御部111は、第1の無線通信101の制御を行う。また、制御部111は、第2の無線通信102の制御を行う。一例としては、制御部111は、基地局110と移動局120との間の無線制御を行うRRCなどの処理部である。ただし制御部111は、RRCに限らず、第1の無線通信101の制御を行う各種の処理部とすることができる。
処理部112は、第1の無線通信101を行うための処理を行う。一例としては、処理部112は、PDCP、RLC(Radio Link Control:無線リンク制御)、MACなどのデータリンク層の処理部である。ただし、処理部112は、これらに限らず、第1の無線通信101を行うための各種の処理部とすることができる。
第1の無線通信101を行うための処理部112の処理は、制御部111によって制御される。処理部112は、基地局110から移動局120へ第2の無線通信102の無線通信を用いてデータを伝送する際に、第1の無線通信101を行うための収束点を確立する。この収束点は、基地局110と移動局120との間で伝送するデータを、第1の無線通信101と第2の無線通信102とを選択(後述するオフロードの有無)するための処理である。収束点は、終端点、分岐点、スプリットファンクション、ルーティングファンクションとも呼称されることもあり、第1の無線通信と第2の無線通信にデータをスケジュールポイントとなる意味であれば、このような呼称には限らない。以降では、そのような代表的な呼称として収束点を使用する。
処理部112は、確立した収束点において、移動局120へ伝送するデータに含まれるサービス品質情報を透過にして該データを移動局120へ伝送する。サービス品質情報は、たとえばデータのサービスクラスなどの伝送の優先度を示す情報である。一例としては、サービス品質情報は、データのヘッダに含まれるToS(Type of Service)フィールドなどのQoS情報である。ただし、サービス品質情報は、これに限らず、データの伝送の優先度を示す各種の情報とすることができる。たとえば、VLAN(Virtual Local Area Network:仮想構内通信網)では、VLANタグに中にQoSを規定するフィールドが規定されている。また、より一般的には、QoS情報は5タプルで設定される情報である。5タプルは、送信元IPアドレスおよびポート番号、送信先IPアドレスおよびポート番号、プロトコルタイプである。
たとえば、処理部112は、基地局110から移動局120へ第2の無線通信102を用いずに第1の無線通信101を用いてデータを伝送する際に、伝送するデータに対して所定の処理を行う。所定の処理は、たとえば、伝送するデータに含まれるサービス品質情報の参照を第2の無線通信102の処理においてできなくする処理である。たとえば、所定の処理は、秘匿化、ヘッダ圧縮およびシーケンス番号の付加の少なくともいずれかを含む処理である。一例としては、所定の処理は、PDCPの処理である。ただし、所定の処理はこれに限らず、サービス品質情報の参照を第2の無線通信102の処理においてできなくする各種の処理とすることができる。
また、処理部112は、移動局120へ第2の無線通信102を用いてデータを伝送する際に、伝送するデータに対して、伝送するデータに含まれるサービス品質情報の参照を第2の無線通信102の処理においてできなくする上述の所定の処理を行わない。これにより、第2の無線通信102を用いて伝送するデータについて、第2の無線通信102の処理においてサービス品質情報の参照が可能になる。このため、伝送するデータについて、第2の無線通信102の処理においてサービス品質情報に基づく伝送制御が可能になる。サービス品質情報に基づく伝送制御は、たとえば、サービス品質情報に応じて伝送の優先度を制御するQoS制御である。ただし、サービス品質情報に基づく伝送制御はこれに限らず各種の制御とすることができる。
移動局120は、第1の無線通信101および第2の無線通信102の少なくともいずれかによって基地局110から伝送されたデータを受信する。このように、基地局110から移動局120へのデータを第1の無線通信101および第2の無線通信102に分散して伝送することで、データ伝送の効率を向上させることができる。
つぎに、移動局120から基地局110へデータを伝送する上りリンクについて説明する。移動局120は、処理部121を備える。処理部121は、基地局110の処理部112と同様に第1の無線通信101を行うための処理部である。一例としては、処理部121は、PDCP、RLC、MACなどのデータリンク層の処理部である。ただし、処理部121は、これらに限らず、第1の無線通信101を行うための各種の処理部とすることができる。
第1の無線通信101を行うための処理部121の処理は、基地局110の制御部111によって制御される。処理部121は、移動局120から基地局110へ第2の無線通信102の無線通信を用いてデータを伝送する際に、第1の無線通信101を行うための収束点を確立する。この収束点は、上述したように、基地局110と移動局120との間で伝送するデータを、第1の無線通信101と第2の無線通信102とを選択(後述するオフロードの有無)するための処理であり、終端点、分岐点とも呼称される。
処理部121は、確立した収束点において、基地局110へ伝送するデータに含まれるサービス品質情報を透過にして該データを基地局110へ伝送する。サービス品質情報は、上述のようにたとえばデータのサービスクラスなどの伝送の優先度を示す情報である。
たとえば、処理部121は、移動局120から基地局110へ第2の無線通信102を用いずに第1の無線通信101を用いてデータを伝送する際に、伝送するデータに対して所定の処理を行う。所定の処理は、上述のように、伝送するデータに含まれるサービス品質情報の参照を第2の無線通信102の処理においてできなくする処理である。
また、処理部121は、基地局110へ第2の無線通信102を用いてデータを伝送する際に、伝送するデータに対して、伝送するデータに含まれるサービス品質情報の参照を第2の無線通信102の処理においてできなくする上述の所定の処理を行わない。これにより、第2の無線通信102を用いて伝送するデータに対して、第2の無線通信102の処理においてサービス品質情報の参照が可能になる。このため、伝送するデータについて、第2の無線通信102の処理においてサービス品質情報に基づく伝送制御が可能になる。サービス品質情報に基づく伝送制御は、上述のように、たとえば、サービス品質情報に応じて伝送の優先度を制御するQoS制御である。
基地局110は、第1の無線通信101および第2の無線通信102の少なくともいずれかによって移動局120から伝送されたデータを受信する。このように、移動局120から基地局110へのデータを第1の無線通信101および第2の無線通信102に分散して伝送することで、データ伝送の効率を向上させることができる。
このように、基地局110および移動局120のうちの送信側の局は、第1の無線通信101の制御部111からの制御により第2の無線通信102を用いてデータ伝送する際に、第1の無線通信101の処理部においてサービス品質情報を透過にする。
これにより、基地局110および移動局120のうちの送信側の局は、第2の無線通信102におけるデータの伝送処理において、サービス品質情報に応じた伝送制御が可能になる。このため、第2の無線通信102を用いてデータを伝送することによる通信品質の低下を抑制する、あるいは通信品質を保つことができる。
図1の(a)においては、基地局110が移動局120との間で第1の無線通信101および第2の無線通信102が可能な基地局である場合について説明したが、図1の(b)に示すように、基地局110に代えて基地局110A,110Bを設けてもよい。基地局110Aは、移動局120との間で第1の無線通信101が可能な基地局である。基地局110Bは、基地局110Aと接続された基地局であって、移動局120との間で第2の無線通信102が可能な基地局である。
図1の(b)に示す例においては、基地局110Aは、移動局120との間で第2の無線通信102を用いたデータ伝送を行う場合に、基地局110Bを介してデータ伝送を行う。この場合に、図1の(a)に示した制御部111および処理部112は、たとえば基地局110Aに設けられる。また、制御部111は、基地局110Bを介した移動局120との間の第2の無線通信102の制御を行う。
まず、基地局110Aから移動局120へデータを伝送する下りリンクについて説明する。下りリンクにおいて、基地局110Aの処理部112は、確立した収束点において、移動局120へ伝送するデータに含まれるサービス品質情報を透過にして該データを基地局110Bへ転送することにより、基地局110Bを介して該データを移動局120へ伝送する。基地局110Bは、基地局110Aから転送されたデータを第2の無線通信102により移動局120へ伝送する。
つぎに、移動局120から基地局110Aへデータを伝送する上りリンクについて説明する。移動局120の処理部121の処理は、基地局110Aの制御部111によって制御される。そして、処理部121は、確立した収束点において、基地局110Aへのデータに含まれるサービス品質情報を透過にして、該データを第2の無線通信102により基地局110Bへ伝送する。基地局110Bは、移動局120から第2の無線通信102により伝送されたデータを基地局110Aへ転送する。これにより、基地局110Aへのデータを、無線通信102を用いて基地局110Aへ伝送することができる。
このように、基地局110Aおよび移動局120のうちの送信側の局は、第1の無線通信101の制御部111からの制御により第2の無線通信102を用いてデータ伝送する際に、第1の無線通信101の処理部においてサービス品質情報を透過にする。
これにより、下りリンクにおいて、基地局110Bは、第2の無線通信102によるデータの伝送処理において、サービス品質情報に応じた伝送制御が可能になる。また、上りリンクにおいて、移動局120は、第2の無線通信102によるデータの伝送処理において、サービス品質情報に応じた伝送制御が可能になる。このため、第2の無線通信102を用いてデータを伝送することによる通信品質の低下を抑制する、あるいは通信品質を保つことができる。
実施の形態1によれば、通信品質の低下を抑制する、あるいは、通信品質を保つことができる。
つぎに、図1に示した実施の形態1にかかる無線通信システム100の詳細について、実施の形態2,3を用いて説明する。実施の形態2,3は、上述した実施の形態1を具象化した実施例として捉えることができるため、実施の形態1と組み合わせて実施できることは言うまでもない。
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2にかかる無線通信システムの一例を示す図である。図2に示すように、実施の形態2にかかる無線通信システム200は、UE211と、eNB221,222と、パケットコア網230と、を含む。無線通信システム200は、たとえば3GPPにおいて規定されたLTE−Aなどの移動体通信システムであるが、無線通信システム200の通信規格はこれらに限らない。
パケットコア網230は、一例としては3GPPにおいて規定されたEPC(Evolved Packet Core:進化したパケットコア)であるが、特にこれに限定されない。なお、3GPPに規定されたコアネットワークはSAE(System Architecture Evolution)と呼ばれる場合もある。パケットコア網230は、SGW231と、PGW232と、MME233と、を含む。
UE211およびeNB221,222は、無線通信を行うことにより無線アクセス網を形成する。UE211およびeNB221,222が形成する無線アクセス網は、一例としては3GPPにおいて規定されたE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)であるが、特にこれに限定されない。
UE211は、eNB221のセルに在圏し、eNB221との間で無線通信を行う端末である。UE211は、一例としては、eNB221、SGW231およびPGW232を経由する経路によって、他の通信装置との間で通信を行う。UE211と通信を行う他の通信装置は、一例としては、UE211と異なる通信端末や、サーバなどである。UE211と他の通信装置との間の通信は、一例としてはデータ通信や音声通信であるが、特にこれらに限定されない。音声通信は、一例としてはVoLTE(Voice over LTE)であるが、特にこれに限定されない。
eNB221は、セル221aを形成し、セル221aに在圏するUE211との間で無線通信を行う基地局である。eNB221は、UE211とSGW231との間の通信を中継する。eNB222は、セル222aを形成し、セル222aに在圏するUEとの間で無線通信を行う基地局である。eNB222は、セル222aに在圏するUEとSGW231との間の通信を中継する。
eNB221とeNB222との間は、たとえば物理的または論理的な基地局間インタフェースによって接続されていてもよい。基地局間インタフェースは、一例としてはX2インタフェースであるが、基地局間インタフェースは特にこれに限定されない。eNB221とSGW231との間は、たとえば物理的または論理的なインタフェースによって接続される。eNB221とSGW231との間のインタフェースは、一例としてはS1−Uインタフェースであるが、特にこれに限定されない。
SGW231は、eNB221を収容し、eNB221を経由する通信におけるU−plane(User plane)の処理を行うサービングゲートウェイである。たとえば、SGW231は、UE211の通信におけるU−planeの処理を行う。U−planeは、ユーザデータ(パケットデータ)の伝送を行う機能群である。また、SGW231は、eNB222を収容し、eNB222を経由する通信におけるU−planeの処理を行ってもよい。
PGW232は、外部ネットワークに接続するためのパケットデータネットワークゲートウェイである。外部ネットワークは、一例としてはインターネットであるが、特にこれに限らない。PGW232は、たとえば、SGW231と外部ネットワークとの間においてユーザデータを中継する。また、たとえば、PGW232は、UE211がIPフローを送受信するために、UE211にIPアドレスを割り当てるIPアドレスアロケーション201を行う。
SGW231とPGW232との間は、たとえば物理的または論理的なインタフェースによって接続される。SGW231とPGW232との間のインタフェースは、一例としてはS5インタフェースであるが、特にこれに限定されない。
MME233(Mobility Management Entity:移動性管理エンティティ)は、eNB221を収容し、eNB221を経由する通信におけるC−plane(Control plane)の処理を行う。たとえば、MME233は、eNB221を介したUE211の通信におけるC−planeの処理を行う。C−planeは、たとえば、各装置間で通話やネットワークを制御するための機能群である。一例としては、C−planeは、パケット呼の接続、ユーザデータを伝送するための経路の設定、ハンドオーバの制御などに用いられる。また、MME233は、eNB222を収容し、eNB222を経由する通信におけるC−planeの処理を行ってもよい。
MME233とeNB221との間は、たとえば物理的または論理的なインタフェースによって接続されている。MME233とeNB221との間のインタフェースは、一例としてはS1−MMEインタフェースであるが、特にこれに限定されない。MME233とSGW231との間は、たとえば物理的または論理的なインタフェースによって接続されている。MME233とSGW231との間のインタフェースは、一例としてはS11インタフェースであるが、特にこれに限定されない。
無線通信システム200において、UE211が送信または受信するIPフローは、EPSベアラ241〜24nに分類され(振り分けられ)、PGW232およびSGW231を経由して伝送される。EPSベアラ241〜24nは、EPS(Evolved Packet System)におけるIPフローである。EPSベアラ241〜24nは、UE211およびeNB221,222が形成する無線アクセス網においてはラジオベアラ251〜25n(Radio Bearer)となる。EPSベアラ241〜24nの設定、セキュリティの設定、モビリティの管理などの通信全体の制御はMME233によって行われる。
EPSベアラ241〜24nに分類されたIPフローは、LTE網内においては、たとえば各ノード間に設定されたGTP(GPRS Tunneling Protocol)トンネルによって伝送される。EPSベアラ241〜24nは、それぞれ一意にラジオベアラ251〜25nにマッピングされ、QoSを考慮して無線伝送される。
また、無線通信システム200のUE211とeNB221との間の通信においては、LTE−AのトラフィックをWLANへオフロードする、LTE−AおよびWLANによるアグリゲーションが行われる。これにより、UE211とeNB221との間のトラフィックをLTE−AおよびWLANに分散し、無線通信システム200におけるスループットの向上を図ることができる。図1に示した第1の無線通信101は、たとえばLTE−Aによる無線通信とすることができる。図1に示した第2の無線通信102は、たとえばWLANによる無線通信とすることができる。LTE−AおよびWLANによるアグリゲーションについては後述する。
なお、アグリゲーションという呼称は一例であり、通信周波数(キャリア)を複数使うという意味で使用されることが多い。アグリゲーションとは別に、異なるシステムを統合して複数使うという意味では、インテグレーションと呼称されることが多い。以降では、代表的な呼称としてアグリゲーションを使用する。
図1に示した基地局110は、たとえばeNB221,222により実現することができる。図1に示した移動局120は、たとえばUE211により実現することができる。
図3は、実施の形態2にかかる端末の一例を示す図である。図2に示したUE211は、たとえば図3に示す端末300により実現することができる。端末300は、無線通信部310と、制御部320と、記憶部330と、を備える。無線通信部310は、無線送信部311と、無線受信部312と、を備える。これらの各構成は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。また、無線通信部310は、たとえばLTE−Aによる無線通信(第1の無線通信101)と、WLANによる無線通信(第2の無線通信102)と、が可能である。
無線送信部311は、ユーザデータや制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。無線送信部311が送信する無線信号には、任意のユーザデータや制御情報など(符号化や変調等がなされる)を含めることができる。無線受信部312は、ユーザデータや制御信号を、アンテナを介して無線通信で受信する。無線受信部312が受信する無線信号には、任意のユーザデータや制御信号など(符号化や変調等がなされる)を含めることができる。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。
制御部320は、他の無線局へ送信するユーザデータや制御信号を無線送信部311に出力する。また、制御部320は、無線受信部312によって受信されたユーザデータや制御信号を取得する。制御部320は、後述する記憶部330との間でユーザデータ、制御情報、プログラムなどの入出力を行う。また、制御部320は、後述する通信部との間で、他の通信装置などとの間で送受信するユーザデータや制御信号の入出力を行う。制御部320は、これら以外にも、端末300における種々の制御を行う。記憶部330は、ユーザデータ、制御情報、プログラムなどの各種情報の記憶を行う。
図1に示した移動局120の処理部121は、たとえば制御部320により実現することができる。
図4は、実施の形態2にかかる端末のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示した端末300は、たとえば図4に示す端末400により実現することができる。端末400は、たとえば、アンテナ411と、RF回路412と、プロセッサ413と、メモリ414と、を備える。これら各構成要素は、たとえばバスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
アンテナ411は、無線信号を送信する送信アンテナと、無線信号を受信する受信アンテナと、を含む。また、アンテナ411は、無線信号を送受信する共用アンテナであってもよい。RF回路412は、アンテナ411によって受信された信号や、アンテナ411によって送信される信号のRF(Radio Frequency:高周波)処理を行う。RF処理には、たとえばベースバンド帯とRF帯との周波数変換が含まれる。
プロセッサ413は、たとえばCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)やDSP(Digital Signal Processor)などである。また、プロセッサ413は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)などのデジタル電子回路により実現してもよい。
メモリ414は、たとえばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)などのRAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリにより実現することができる。メモリ414は、たとえばユーザデータ、制御情報、プログラムなどを格納する。
図3に示した無線通信部310は、たとえばアンテナ411およびRF回路412により実現することができる。図3に示した制御部320は、たとえばプロセッサ413により実現することができる。図3に示した記憶部330は、たとえばメモリ414により実現することができる。
図5は、実施の形態2にかかる基地局の一例を示す図である。図2に示したeNB221,222のそれぞれは、たとえば図5に示す基地局500により実現することができる。図5に示すように、基地局500は、たとえば、無線通信部510と、制御部520と、記憶部530と、通信部540と、を備える。無線通信部510は、無線送信部511と、無線受信部512と、を備える。これらの各構成は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。また、無線通信部510は、たとえばLTE−Aによる無線通信(第1の無線通信101)と、WLANによる無線通信(第2の無線通信102)と、が可能である。
無線送信部511は、ユーザデータや制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。無線送信部511が送信する無線信号には、任意のユーザデータや制御情報など(符号化や変調等がなされる)を含めることができる。無線受信部512は、ユーザデータや制御信号を、アンテナを介して無線通信で受信する。無線受信部512が受信する無線信号には、任意のユーザデータや制御信号など(符号化や変調等がなされる)を含めることができる。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。
制御部520は、他の無線局へ送信するユーザデータや制御信号を無線送信部511に出力する。また、制御部520は、無線受信部512によって受信されたユーザデータや制御信号を取得する。制御部520は、後述する記憶部530との間でユーザデータ、制御情報、プログラムなどの入出力を行う。また、制御部520は、後述する通信部540との間で、他の通信装置などとの間で送受信するユーザデータや制御信号の入出力を行う。制御部520は、これら以外にも、基地局500における種々の制御を行う。
記憶部530は、ユーザデータ、制御情報、プログラムなどの各種情報の記憶を行う。通信部540は、たとえば有線信号によって、他の通信装置との間でユーザデータや制御信号を送受信する。
図1に示した基地局110の制御部111および処理部112は、たとえば制御部520により実現することができる。
図6は、実施の形態2にかかる基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。図5に示した基地局500は、たとえば図6に示す基地局600により実現することができる。基地局600は、アンテナ611と、RF回路612と、プロセッサ613と、メモリ614と、ネットワークIF615と、を備える。これら各構成要素は、たとえばバスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
アンテナ611は、無線信号を送信する送信アンテナと、無線信号を受信する受信アンテナと、を含む。また、アンテナ611は、無線信号を送受信する共用アンテナであってもよい。RF回路612は、アンテナ611によって受信された信号や、アンテナ611によって送信される信号のRF処理を行う。RF処理には、たとえばベースバンド帯とRF帯との周波数変換が含まれる。
プロセッサ613は、たとえばCPUやDSPなどである。また、プロセッサ613は、ASIC、FPGA、LSIなどのデジタル電子回路により実現してもよい。
メモリ614は、たとえばSDRAMなどのRAM、ROM、フラッシュメモリにより実現することができる。メモリ614は、たとえばユーザデータ、制御情報、プログラムなどを格納する。
ネットワークIF615は、たとえば有線によってネットワークとの間で通信を行う通信インタフェースである。ネットワークIF615は、たとえば基地局間で有線通信を行うためのXnインタフェースを含んでもよい。
図5に示した無線通信部510は、たとえばアンテナ611およびRF回路612により実現することができる。図5に示した制御部520は、たとえばプロセッサ613により実現することができる。図5に示した記憶部530は、たとえばメモリ614により実現することができる。図5に示した通信部540は、たとえばネットワークIF615により実現することができる。
図7は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるプロトコルスタックの一例を示す図である。実施の形態2にかかる無線通信システム200には、たとえば図7に示すプロトコルスタック700を適用することができる。プロトコルスタック700は、3GPPに規定されたLTE−Aのプロトコルスタックである。レイヤ群701〜705は、それぞれUE211、eNB221、SGW231、PGW232および外部ネットワークのサーバにおける各処理を示すレイヤ群である。
無線通信システム200においてIPフローを伝送する場合に、個々のIPフローに対してQoSクラスに応じた取り扱いを実施するために、IPフローのフィルタリングが実施される。たとえばUE211がIPフローを受信する下りリンクについては、PGW232がIPフローに対するパケットフィルタリングを行ってIPフローをEPSベアラ241〜24nに分類する。
UE211がIPフローを送信する上りリンクについては、PGW232からパケットのフィルタリング規則がUE211に通知される。そして、PGW232から通知されたフィルタリング規則に基づいて、UE211がIPフローに対するパケットフィルタリングを行ってIPフローをEPSベアラ241〜24nに分類する。
たとえば、上りリンクにおいて、PGW232は、PGW232のレイヤ群704のうちのIPレイヤ(IP)に含まれるフィルタレイヤ711(Filter)によって、IPフローのフィルタリングを行う。また、下りリンクにおいて、UE211は、UE211のレイヤ群701のうちのIPレイヤ(IP)に含まれるフィルタレイヤ712(Filter)によって、IPフローのフィルタリングを行う。
また、LTE網内のルータでQoS制御(QoS管理)を行うために、PGW232(下りリンクの場合)またはUE211(上りリンクの場合)が、IPパケットのヘッダのToSフィールドにQoS値を設定する。
PGW232またはUE211によるパケットフィルタリングは、たとえば5−tuple(送受信元IPアドレス、送受信元ポート番号、プロトコルタイプ)を利用して行われる。パケットフィルタリングのフィルタリング規則は、たとえばTFT(Traffic Flow Template)と呼ばれる。なお、EPSベアラ241〜24nの中にはTFTが設定されないEPSベアラが存在してもよい。
TFTを用いてIPフローのフィルタリングを実施すると、IPフローを最大で11種類のEPSベアラに分類することができる。EPSベアラ241〜24nのうちの一つのベアラはデフォルトベアラ(Default Bearer:既定ベアラ)と呼ばれる。デフォルトベアラは、PGW232がUE211にIPアドレスを割り当てる際に生成され、UE211に割り当てられたIPアドレスが解放されるまで常に存在する。EPSベアラ241〜24nのうちのデフォルトベアラとは異なるベアラは、個別ベアラ(Dedicated Bearer)と呼ばれる。個別ベアラは、伝送するユーザデータの状況に応じて適宜生成および解放することが可能である。
図8は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるレイヤ2の一例を示す図である。実施の形態2にかかる無線通信システム200には、レイヤ2の処理として、一例としては図8に示す処理を適用することができる。図8に示す処理は、3GPPに規定されたLTE−Aのレイヤ2の処理である。図8に示すように、LTE−Aのレイヤ2は、PDCP810と、RLC820と、MAC830と、を含む。
PDCP810には、流入するIPデータグラムのヘッダ圧縮を行うROHC(Robust Header Compression)やセキュリティに関する処理が含まれる。セキュリティに関する処理には、たとえば秘匿や完全性保護などが含まれる。通常のLTE−Aの通信においては、ユーザデータは、PDCP810のこれらの処理が実施されて下位レイヤ(たとえばレイヤ1)に回送される。
また、たとえばデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity)を実施する場合は、UE211は、最大で二つの基地局(たとえばeNB221,222)との同時通信が可能である。MCGベアラ801(Master Cell Group Bearer)は、主たる基地局のラジオベアラである。
また、MCGベアラ801に対して、スプリットベアラ802(Split Bearer)やSCGベアラ803(Secondary Cell Group Bearer)が付随できる。スプリットベアラ802を用いる場合は、レイヤ2から下位レイヤ(たとえばレイヤ1)にユーザデータを回送する際に、1つの基地局のみにユーザデータを回送するか、2つの基地局にユーザデータを回送するかを選択することが可能である。
RLC820には、ユーザデータの無線伝送を行う前の一次処理が含まれる。たとえば、RLC820には、ユーザデータを無線品質に応じたサイズに調整するための、ユーザデータの分割(Segm.:Segmentation)が含まれる。また、RLC820には、下位層で誤り訂正ができなかったユーザデータの再送のためARQ(Automatic Repeat Request)等が含まれていてもよい。下位層にユーザデータを回送する際に、EPSベアラは、対応するロジカルチャネル(Logical Channel)にマッピングされて無線伝送される。
MAC830には、無線伝送の制御が含まれる。たとえば、MAC830には、パケットスケジューリングを行い、送信データのHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)を実施する処理が含まれる。HARQは、キャリアアグリゲーションにおいてはアグリゲーション対象の各キャリアに対して実施される。
送信側は、MAC830において、ユーザデータであるMAC SDU(MAC Service Data Unit)にLCID(Logical Channel Identifier)を付加して送信する。受信側は、MAC830において、送信側によって付加されたLCIDを用いてラジオベアラをEPSベアラに変換する。
図9は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおいて伝送されるIPパケットのIPヘッダの一例を示す図である。実施の形態2にかかる無線通信システム200においては、たとえば図9に示すIPヘッダ900を有するIPパケットが伝送される。IPヘッダ900には、たとえば、送信元を示すソースアドレス901や、宛先を示すデスティネーションアドレス902が含まれる。また、IPヘッダ900には、QoSを行うためのToSフィールド903が含まれる。上述したQoS制御は、たとえばToSフィールド903の値に基づいて行われる。
図10は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおいて伝送されるIPパケットのIPヘッダに含まれるToSフィールドの値の一例を示す図である。図10に示すテーブル1000における「先頭3ビット」は、図9に示したToSフィールド903における先頭の3ビットに該当するIPプレシデンスを示し、2^3=8通りのパターンをとり得る。テーブル1000において、8通りのパターンは、上のパターンほど優先度(プライオリティ)が高いことを示している。
たとえば、ToSフィールド903のIPプレシデンスにおいて最も優先度が高い“111”は、IPパケットがネットワークコントロールに対応することを示し、ルーティング等の制御のために予約されている。また、ToSフィールド903のIPプレシデンスにおいて2番目に優先度が高い“110”は、IPパケットがインターネットコントロールに対応することを示し、ルーティング等の制御のために予約されている。
図10に示す例では、QoSの優先度情報としてToSフィールド903のIPプレシデンスを用いる場合について説明したが、QoSの優先度情報はこれに限らず、たとえばDSCP(Differentiated Services Code Point)フィールドを用いてもよい。DSCPは、ToSフィールド903における先頭の6ビットに該当するフィールドである。
図11は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるLTE−AおよびWLANによるアグリゲーションの一例を示す図である。LTE−AおよびWLANによるアグリゲーションにおけるレイヤ2の処理は、たとえば、LTE−Aの後方互換性を考慮し、上述したデュアルコネクティビティの処理が基本となる。
IPフロー1101は、UE211とeNB221との間のHTTP(Hypertext Transfer Protocol:ハイパーテキスト転送プロトコル)によるIPフローである。IPフロー1102は、UE211とeNB221との間のFTP(File Transfer Protocol:ファイル転送プロトコル)によるIPフローである。
オンロード処理1111は、IPフロー1101,1102を、WLANへオフロードせずにLTE−Aで送信する場合の処理を示している。このオンロード処理1111は、図1に示した第1の無線通信101による無線通信を用いたデータの伝送に対応する。オンロード処理1111においては、IPフロー1101,1102のそれぞれについて、PDCP、RLC、LTE−MAC、LTE−PHYの順に処理が行われる。このPDCP、RLC、LTE−MACは、たとえばそれぞれ図8に示したPDCP810、RLC820およびMAC830である。LTE−PHYは、LTE−Aにおける物理レイヤである。
オフロード処理1112は、IPフロー1101,1102を、WLANへオフロードして送信する場合の処理を示している。このオフロード処理1112は、図1に示した第2の無線通信102による無線通信を用いたデータの伝送に対応する。オフロード処理1112においてはIPフロー1101,1102について、PDCP TM、.11x MAC、.11x PHYの順に処理が行われる。.11x MAC、.11x PHYは、それぞれWLAN(802.11x)におけるMACレイヤおよびPHYレイヤである。
LTE−Aにおいては、IPフローは、ベアラに分類されてベアラとして管理される。これに対して、たとえばWLANの1つであるIEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers:電気電子学会)の802.11xにおいては、IPフローはベアラではなくIPフローのまま管理される。このため、マッピング管理1120のように、いずれのベアラがいずれのL2レイヤに属するかのマッピングを管理し、オンロード処理1111およびオフロード処理1112を高速に行うことが求められる。
マッピング管理1120は、たとえばUE211とeNB221との間の無線制御を行うRRCによって行われる。RRCは、ラジオベアラを管理することにより、LTE−Aによる無線通信(第1の無線通信101)を用いるオンロード処理1111とWLANによる無線通信(第2の無線通信102)を用いるオフロード処理1112とをラジオベアラレベルでサポートする。図11に示す例では、HTTPにおけるIPフローID=0のIPフロー1101がベアラID=0のベアラとして管理され、FTPのIPフローID=0のIPフロー1102がベアラID=1のベアラとして管理されている。
また、実施の形態2にかかる無線通信システム200は、オフロード処理1112においてWLANのQoSのサポートを可能にするために、オフロード処理1112においてはLTE−AにおけるPDCPを透過モード(TM)にする。これにより、IPフロー1101,1102は、秘匿化(暗号化)、ヘッダ圧縮、シーケンス番号の付加等の処理が行われずにWLANへオフロードされる。
このため、WLANにおいて、オフロードされたIPフロー1101,1102に含まれるToSフィールドを参照可能になる。たとえば、IEEE802.11eにおけるQoSにおいては、IPヘッダのToSフィールド等を参照してIPフローを4種のAC(Access Category:アクセスカテゴリ)に集約してQoSが管理される。無線通信システム200においては、WLANにおいて、オフロードされたIPフロー1101,1102に含まれるToSフィールドを参照し、ToSフィールドに基づくQoS処理を行うことが可能になる。
なお、オフロード処理1112において、WLANへ転送されたユーザデータには、たとえばWLANにおける秘匿化の処理が行われる。このため、PDCPによる秘匿化の処理が行われずにユーザデータがWLANへ転送されても、ユーザデータが秘匿化されずにeNB221とUE211との間で伝送されることを回避することができる。
WLANの秘匿化には、たとえばAES(Advanced Encryption Standard)、TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)、WEP(Wired Equivalent Privacy)などを用いることができる。
図11に示す例においては、オフロード処理1112を行う際に、PDCPを収束点(分岐点)とし、IPフロー1101,1102がRLCおよびLTE−MACを通過しない場合について説明したが、このような処理に限らない。たとえば、オフロード処理1112を行う際に、PDCPの下位レイヤであるRLCやLTE−MACを収束点(分岐点)とし、IPフロー1101,1102が、PDCPだけでなく、RLCおよびLTE−MACを通過するようにしてもよい。このように、WLANへのオフロードを行う際の収束点(分岐点)を確立する処理部は、PDCPの処理部に限らず、RLCやLTE−MACの処理部であってもよい。
PDCP、RLC、LTE−MACなどのデータリンク層(レイヤ2)は、UE211とeNB221との間の無線区間における通信の混雑状況を把握することができる。このため、データリンク層において収束点を確立してWLANへのオフロードを行うことにより、UE211とeNB221との間の無線区間における通信の混雑状況に応じてWLANへのオフロードの実行の要否等を判断することができる。
図12は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるToSフィールドに基づくQoS制御の一例を示す図である。たとえばeNB221がWLAN通信の機能を有し、eNB221からUE211へIPパケット1201を送信する場合について説明する。eNB221は、IPパケット1201のIPヘッダにおけるToSフィールドに基づいて、IPパケット1201をボイス、ビデオ、ベストエフォート、バックグラウンドのいずれかのAC1211〜1214に分類する。
そして、実施の形態2にかかる無線通信システム200においては、WLANへのオフロードが行われる場合に、LTE−AにおけるPDCPが透過モードとなり、IPパケット1201が秘匿等をされずにWLANへオフロードされる。このため、eNB221は、WLANの処理においても、IPパケット1201のToSフィールドを参照し、ToSフィールドに基づくAC分類を行うことができる。
eNB221がWLAN通信の機能を有する場合について説明したが、eNB221がWLANのアクセスポイントへIPフローを伝送することでWLANへのオフロードを行う場合についても同様である。また、eNB221からUE211へIPパケット1201を送信する場合(下りリンク)について説明したが、UE211からeNB221へIPパケット1201を送信する場合(上りリンク)についても同様である。
図13は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるAC分類の一例を示す図である。図13において、図12に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図13においては、eNB221がWLAN通信の機能を有し、eNB221がUE211へIPパケット1301,1302を送信する場合について説明する。IPパケット1301,1302はそれぞれHTTPおよびFTPのIPパケットである。
eNB221は、IPパケット1301,1302について、IPヘッダに含まれるToSフィールドの値に基づいてAC1211〜1214いずれかに分類するToS値解析分類1310を行う。図13に示す例では、eNB221は、IPパケット1301をAC1213(ベストエフォート)に分類し、IPパケット1302をAC1214(バックグラウンド)に分類している。そして、eNB221は、ToS値解析分類1310を行ったIPパケット1301,1302をUE211へWLANにより送信する。
eNB221とUE211との間のRRCによるマッピング管理1320において、HTTPのIPパケット1301は、IPフローID=AC=2、ベアラID=0として管理される。AC=2はAC1213(ベストエフォート)を示す。また、マッピング管理1320において、FTPのIPパケット1302は、IPフローID=AC=3、ベアラID=1として管理される。AC=3はAC1214(バックグラウンド)を示す。
UE211は、eNB221の側のToS値解析分類1310(クラシフィケーション)に対応するToS値解析分類1330(デクラシフィケーション)を行うことにより、IPパケット1301,1302をそれぞれPDCP(透過モード)により終端する。
eNB221からUE211へIPパケット1301,1302を送信する場合(下りリンク)について説明したが、UE211からeNB221へIPパケット1301,1302を送信する場合(上りリンク)についても同様である。
図14は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるオフロードの一例を示す図である。図14においては、下りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。WLANへのオフロードは、図1に示した第2の無線通信102を用いたデータの伝送である。セカンダリeNB223は、たとえばX2インタフェースなどの基地局間インタフェースによってeNB221と通信可能であり、UE211との間でWLANでの通信が可能な基地局である。
図14に示す例では、eNB221とUE211との間に10個のEPSベアラ1400〜140nが設定されて通信が行われており、EPSベアラ1400〜140nをWLANにオフロードする場合について説明する。図14に示す例では、EPSベアラ1400〜140nは、eNB221からUE211への下り方向のベアラである。ただし、図14においては10個のEPSベアラ1400〜140nが設定されている場合について説明するが、設定されるEPSベアラの数は任意である。
EPSベアラ1400〜140nは、EBI(EPS Bearer ID)がそれぞれ0〜n(nはたとえば10)のn+1個のEPSベアラである。EPSベアラ1400〜140nの送信元(src IP)はともにコアネットワーク(CN)である。EPSベアラ1400〜140nの宛先(dst IP)はともにUE211(UE)である。
eNB221は、EPSベアラ1400〜140nをWLANにオフロードする場合に、EPSベアラ1400〜140nを、それぞれPDCPレイヤ1410〜141nを介してセカンダリeNB223へ転送する。すなわち、eNB221は、EPSベアラ1400〜140nのWLANへのオフロードを、LTE−Aのレイヤ2(図14に示す例ではPDCP)によって制御する。
このとき、eNB221は、PDCPレイヤ1410〜141nを透過モード(PDCP TM)とすることにより、EPSベアラ1400〜140nに対して、PDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等の処理が行われないようにする。これにより、EPSベアラ1400〜140nは、PDCP SDU(PDCP Service Data Unit)のままセカンダリeNB223へオフロードされる。すなわち、EPSベアラ1400〜140nは、上述したToSフィールド(QoS情報)が透過で、すなわちToSフィールドを含むIPヘッダに対する秘匿化やヘッダ圧縮等の処理が行われないでWLANへオフロードされる。PDCP SDUは、IPデータグラムと等価なデータである。
eNB221からセカンダリeNB223へのEPSベアラ1400〜140nの転送は、たとえばLTE−Aのハンドオーバと同様に行うことができる。たとえば、eNB221からセカンダリeNB223へのEPSベアラ1400〜140nの転送は、eNB221とセカンダリeNB223との間のGTPトンネル1420〜142nを用いて行うことができる。GTPトンネル1420〜142nは、eNB221とセカンダリeNB223との間にEPSベアラごとに設定されたGTPトンネルである。
セカンダリeNB223は、GTPトンネル1420〜142nを介してeNB221から転送されたEPSベアラ1400〜140nをそれぞれPDCPレイヤ1430〜143nにより受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信したEPSベアラ1400〜140nに対応する各PDCP SDUに対して、PDCP SDUのIPヘッダに含まれるToSフィールドに基づくACクラシフィケーション1440を行う。
ACクラシフィケーション1440は、セカンダリeNB223におけるWLAN(802.11e)の機能による処理である。ACクラシフィケーション1440により、たとえば図12に示したように、各PDCP SDUがボイス(VO)、ビデオ(VI)、ベストエフォート(BE)、バックグラウンド(BK)のいずれかのACに分類される。
セカンダリeNB223は、ACクラシフィケーション1440によって分類された各PDCP SDUを、WLAN1450を介してUE211へ送信する。この場合に、WLAN1450におけるSSID(Service Set Identifier:サービスセット識別子)は、たとえば「offload」とすることができる。
UE211は、WLAN1450を介して受信した各PDCP SDUに対して、PDCP SDUのIPヘッダに含まれるToSフィールドに基づくACデクラシフィケーション1460を行う。ACデクラシフィケーション1460は、UE211におけるWLAN(802.11e)の機能による処理である。
UE211は、ACデクラシフィケーション1460によって受信した各PDCP SDUを、それぞれ分類されたACに基づいてEPSベアラ1400〜140nに再分類する。そして、UE211は、再分類したEPSベアラ1400〜140nをそれぞれPDCPレイヤ1470〜147nによって処理して受信する。
このとき、eNB221におけるPDCPレイヤ1410〜141nは透過モードとなっており、EPSベアラ1400〜140nに対してPDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等の処理が行われていない。このため、UE211は、UE211におけるPDCPレイヤ1470〜147nを透過モード(PDCP TM)とすることにより、秘匿化に対する復号や、ヘッダ圧縮に対するヘッダ解凍などの処理を行わないようにする。
このように、無線通信システム200においては、EPSベアラ1400〜140nをWLAN1450へオフロードする場合に、eNB221のPDCPレイヤ1410〜141nを透過モードにすることができる。これにより、オフロード先のセカンダリeNB223において、各PDCP SDUのIPヘッダに含まれるToSフィールドが参照可能になる。このため、EPSベアラ1400〜140nをWLAN1450へオフロードする場合に、ToSフィールドに基づくACクラシフィケーション1440を行い、トラフィックの性質に応じたQoS制御を行うことができる。
一例としては、VoLTEのEPSベアラをWLAN1450へオフロードする場合に、このEPSベアラをボイス(VO)として分類して優先的にWLAN1450で伝送することで、VoLTEの通信品質を向上させることができる。
なお、WLAN1450において、IEEE802.1qで規定されるVLANタグ内のプライオリティ値を参照してAC分類を行うことも可能である。VLANタグは、VLANの識別子である。
また、LTE−A側のPDCPを透過モードに設定して秘匿化等を回避することで、WLANにおけるPHYレイヤやMACレイヤに関する既存のチップには変更を加えなくても、WLANへのオフロードにおけるQoS制御が可能になる。
図14においては、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明した。ただし、WLANへのオフロードはこれに限らず、たとえばeNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)も有する構成においてWLANへのオフロードを行ってもよい。この場合は、WLANによるUE211との通信もeNB221が行い、セカンダリeNB223は用いなくてもよい。
また、WLANへのオフロードを行わずに、LTE−Aを用いてオンロードでユーザデータを送信する場合、すなわち図1に示した第1の無線通信101を用いてユーザデータを送信する場合は、セカンダリeNB223を用いなくてもよい。この場合に、たとえば、eNB221は、PDCPレイヤ1410〜141nを、秘匿化等のPDCPの処理を行う非透過モードに設定する。そして、eNB221は、非透過モードのPDCPレイヤ1410〜141nによって処理したEPSベアラ1400〜140nを、RLC、MAC、PHYの順に処理してLTE−AによりUE211へ無線送信する。UE211は、LTE−AによりeNB221から送信されたEPSベアラ1400〜140nを、PHY、MAC、RLC、PDCP(PDCPレイヤ1470〜147n)により処理することによって受信する。この場合に、UE211は、PDCPレイヤ1470〜147nを、秘匿化に対応する復号等のPDCPの処理を行う非透過モードに設定する。
図15は、実施の形態2にかかる無線通信システムに適用可能なQoSクラスのACへのマッピングの一例を示す図である。WLANの送信側(たとえばセカンダリeNB223)は、たとえば図15のテーブル1500のように、送信対象のEPSベアラをACに分類する。たとえば、EPSベアラのQoSクラスは、QCI(QoS Class Identifier)によって識別される。
各QCIは、四つのACであるボイス(VO)、ビデオ(VI)、ベストエフォート(BE)、バックグラウンド(BK)に分類される。WLANの受信側(たとえばUE211)は、ACからQoSクラスへの変換を行う。そのために、eNB221は、オフロードするEPSベアラをUE211に事前に設定する。これに対して、たとえば下りリンクにおいて、UE211は、eNB221から設定されたEPSベアラに基づいてEPSベアラを特定することができる。また、上りリンクにおいて、UE211は、eNB221から設定されたEPSベアラに基づいてAC分類を行うことができる。
図16は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおける送信側装置による処理の一例を示すフローチャートである。図16においては、eNB221からUE211へユーザデータを送信する下りリンクの場合について説明する。
まず、eNB221は、UE211へのユーザデータについて、WLANへのオフロードを実行するか否かを判断する(ステップS1601)。ステップS1601における判断方法については後述する。
ステップS1601において、オフロードを実行しないと判断した場合(ステップS1601:No)は、eNB221は、自局のPDCPレイヤを非透過モードに設定する(ステップS1602)。非透過モードは、ユーザデータに対してPDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等の処理を行う、PDCPレイヤの通常のモードである。ステップS1602において、eNB221は、自局のPDCPレイヤに合わせてUE211のPDCPレイヤも非透過モードに設定させるようにUE211を制御してもよい。
つぎに、eNB221は、LTE−AによりUE211へのユーザデータを送信し(ステップS1603)、一連の処理を終了する。ステップS1602によってeNB221のPDCPレイヤは非透過モードに設定されているため、ステップS1603においては、PDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等が行われたユーザデータが送信される。これに対して、UE211は、PDCPレイヤにおいて、秘匿化に対する復号や、ヘッダ圧縮に対するヘッダ解凍などの処理を行うことによって、eNB221から送信されたユーザデータを受信することができる。
ステップS1601において、オフロードを実行すると判断した場合(ステップS1601:Yes)は、eNB221は、自局のPDCPレイヤを透過モードに設定する(ステップS1604)。ステップS1604において、eNB221は、自局のPDCPレイヤに合わせてUE211のPDCPレイヤも透過モードに設定させるようにUE211を制御してもよい。
つぎに、eNB221は、WLANによりUE211へのユーザデータを送信し(ステップS1605)、一連の処理を終了する。たとえば、eNB221がWLAN通信の機能を有する場合は、eNB221は、自局のWLAN通信の機能によりUE211へのユーザデータを送信する。一方、eNB221がWLAN通信の機能を有していない場合は、eNB221は、自局と接続されたWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223へUE211へのユーザデータを転送することにより、UE211へのユーザデータを送信する。
また、ステップS1604によってeNB221のPDCPレイヤは透過モードに設定されているため、ステップS1605においては、PDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等が行われずにユーザデータが送信される。このため、WLANにおいて、ToSフィールドに基づくQoS制御が可能になる。
上述したステップS1601の判断は、たとえば、UE211またはネットワーク側(たとえばPGW232)から、UE211のユーザデータについてWLANへオフロードすることが指示されているか否かに基づいて行うことができる。または、ステップS1601の判断は、たとえば、UE211へのユーザデータの量が閾値を超えたか否かに基づいて行うことができる。ユーザデータの量は、時間当りの量であってもよいし、UE211の一連のユーザデータの総量であってもよい。または、ステップS1601の判断は、たとえば、eNB221とUE211との間のLTE−Aによる通信の遅延時間や、eNB221とUE211との間のWLANによる通信の遅延時間などに基づいて行うことができる。
図16においてはeNB221からUE211へユーザデータを送信する下りリンクの場合のeNB221による処理について説明したが、UE211からeNB221へユーザデータを送信する上りリンクの場合のUE211による処理も同様である。ただし、ステップS1605における処理は、eNB221がWLAN通信の機能を有しているか否かによって異なる。eNB221がWLAN通信の機能を有している場合は、UE211は、eNB221へのユーザデータをeNB221へ直接送信する。一方、eNB221がWLAN通信の機能を有していない場合は、UE211は、eNB221と接続されたWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223へeNB221へのユーザデータを転送することにより、eNB221へのユーザデータを送信する。
図17は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおいて複数のEPSベアラが同一のQoSクラスを有する場合の一例を示す図である。図17において、図13に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。たとえば、IPパケット1301,1302がともにバックグラウンドのIPパケットである場合に、ToS値解析分類1310において、IPパケット1301,1302はともにAC1214(バックグラウンド)に分類される。
この場合に、UE211とeNB221との間のRRCにおけるマッピング管理1320において、HTTPのIPパケット1301は、IPフローID=AC=3、ベアラID=0として管理される。また、マッピング管理1320において、FTPのIPパケット1302は、IPフローID=AC=3、ベアラID=1として管理される。
この場合に、UE211は、ToS値解析分類1310に対応するToS値解析分類1330を行っても、受信したIPパケット1301,1302のそれぞれが、ベアラID=0,1のいずれのEPSベアラであるかをACに基づいて判断することができない。
また、ユーザデータをWLANで送信する場合に、IPデータグラム(PDCP SDU)にLCIDを付加することはできない。このため、eNB221は、受信したIPパケット1301,1302のそれぞれが、ベアラID=0,1のいずれのEPSベアラであるかをLCIDに基づいて判断することができない。
このように、複数のEPSベアラが同一のQoSクラスを有する場合は、受信側(図17に示す例ではUE211)がEPSベアラを一意に識別することができない場合がある。すなわち、受信側が、受信したラジオベアラをEPSベアラに変換することができない場合がある。特に上りリンクにおいては、eNB221とPGW232との間のIPフローはEPSベアラとして管理されるため、eNB221がラジオベアラをEPSベアラに変換できない場合はeNB221からPGW232へのIPフローの伝送が困難になる。
これに対して、実施の形態2にかかる無線通信システム200においては、たとえば、UE211およびeNB221のうちの送信側が、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にオフロードしないようにする。
たとえば、送信側は、同一のQoSクラスを有する複数のEPSベアラをUE211へ送信する場合に、その複数のEPSベアラのうちの1個のみをWLANへオフロードし、残りのEPSベアラはWLANへオフロードせずにUE211へ送信する。または、送信側は、同一のQoSクラスを有する複数のEPSベアラをUE211へ送信する場合は、WLANへのオフロードを行わずにLTE−Aによる送信を行う。これにより、同一のQoSクラスを有する複数のEPSベアラが同時にWLANへオフロードされないため、WLANへオフロードされた各ユーザデータについて、UE211がACに基づいてEPSベアラを一意に特定することができる。
または、UE211およびeNB221のうちの送信側は、同一のQoSクラスを有する複数のEPSベアラをUE211へ送信する場合に、その複数のEPSベアラを1つのベアラに集約する処理を行ってもよい。複数のEPSベアラを1つのベアラに集約する処理には、たとえば3GPPのTS23.401に規定された「UE requested bearer resource modification procedure」を用いることができる。これにより、同一のQoSクラスを有する複数のEPSベアラが同時にWLANへオフロードされないため、WLANへオフロードされた各ユーザデータについて、UE211がACに基づいてEPSベアラを一意に特定することができる。
このように、実施の形態2によれば、eNB221およびUE211のうちの送信側の局は、LTE−Aを制御するRRCからの制御によりWLANを用いてユーザデータを伝送する際に、LTE−Aの処理部であるPDCPにおいてQoS情報を透過にする。
これにより、eNB221およびUE211のうちの送信側の局は、WLANにおけるユーザデータの伝送処理において、QoS情報に応じたQoS制御が可能になる。このため、WLANへのオフロードを用いてユーザデータを伝送することによる通信品質の低下を抑制する、あるいは通信品質を保つことができる。
(実施の形態3)
実施の形態3においては、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にオフロードしないという制約をなくし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる方法について説明する。なお、実施の形態3は、上述した実施の形態1を具象化した実施例として捉えることができるため、実施の形態1と組み合わせて実施できることは言うまでもない。また、実施の形態3は、実施の形態2と共通する部分についても組み合わせて実施できることは言うまでもない。
図18は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてULのTFTを用いてEPSベアラを識別する方法の一例を示す図である。図18において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図18においては、上りリンクについて、eNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有する構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。図18に示す例では、EPSベアラ1400〜140nは、UE211からeNB221への上り方向のベアラである。すなわち、EPSベアラ1400〜140nの送信元(src IP)はともにUE211(UE)である。EPSベアラ1400〜140nの宛先(dst IP)はともにコアネットワーク(CN)である。
UE211は、EPSベアラ1400〜140nをWLANにオフロードする場合に、EPSベアラ1400〜140nに対してPDCPレイヤ1470〜147nを経由させる。このとき、UE211は、PDCPレイヤ1470〜147nを透過モード(PDCP TM)とすることにより、PDCPレイヤ1470〜147nによってEPSベアラ1400〜140nに対して秘匿化やヘッダ圧縮等の処理が行われないようにする。これにより、PDCPレイヤ1470〜147nを経由したEPSベアラ1400〜140nは、PDCP SDUのままの状態となる。
UE211は、PDCPレイヤ1470〜147nを経由したEPSベアラ1400〜140nに対応する各PDCP SDUに対して、PDCP SDUのIPヘッダに含まれるToSフィールドに基づくACクラシフィケーション1810を行う。ACクラシフィケーション1810は、UE211におけるWLAN(802.11e)の機能による処理である。
ACクラシフィケーション1810によって分類された各PDCP SDUは、WLAN1450を介してeNB221へ送信される。eNB221は、WLAN1450を介して受信した各PDCP SDUに対して、PDCP SDUのIPヘッダに含まれるToSフィールドに基づくACデクラシフィケーション1820を行う。ACデクラシフィケーション1820は、eNB221におけるWLAN(802.11e)の機能による処理である。
eNB221は、ACデクラシフィケーション1820によって受信した各PDCP SDUに対して、UL(上りリンク)のTFTに基づくパケットフィルタリング1830を行う。パケットフィルタリング1830においては、各PDCP SDUが、TFTに対応する各条件(f1〜f3)を満たすか否か(match/no)によってフィルタリングされる。そして、このフィルタリングの結果に応じてEPSベアラを識別するEPSベアラクラシフィケーション1831が行われる。これにより、オフロードされた各PDCP SDUに対応するEPSベアラが識別される。eNB221におけるULのTFTの取得方法については後述する(たとえば図20参照)。
eNB221は、EPSベアラクラシフィケーション1831による識別結果に基づいて、各PDCP SDUを、PDCPレイヤ1410〜141nのうちのPDCP SDUのEPSベアラに対応するPDCPレイヤへ転送する。これにより、WLANによってオフロードされた各PDCP SDU(IPフロー)は、それぞれ対応するEPSベアラに変換されてPDCPレイヤ1410〜141nへ転送される。
PDCPレイヤ1410〜141nは、WLANによってオフロードされた各EPSベアラを終端する。このとき、UE211におけるPDCPレイヤ1470〜147nは透過モードとなっており、EPSベアラ1400〜140nに対してPDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等の処理は行われていない。このため、eNB221は、eNB221におけるPDCPレイヤ1410〜141nを透過モード(PDCP TM)とすることにより、秘匿化に対する復号や、ヘッダ圧縮に対するヘッダ解凍などの処理を行わないようにする。PDCPレイヤ1410〜141nによって終端されたEPSベアラは、SGW231を介してPGW232へ伝送される。
このように、eNB221は、オフロードされた各PDCP SDUに対してULのTFTに基づくパケットフィルタリング1830を行うことにより、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
つぎに、WLANへのオフロードを行わずに、LTE−Aを用いてオンロードでユーザデータを送信する場合、すなわち図1に示した第1の無線通信101を用いてユーザデータを送信する場合について説明する。この場合に、たとえば、UE211は、PDCPレイヤ1470〜147nを、秘匿化等のPDCPの処理を行う非透過モードに設定する。そして、UE211は、非透過モードのPDCPレイヤ1470〜147nによって処理したEPSベアラ1400〜140nを、RLC、MAC、PHYの順に処理してLTE−AによりeNB221へ無線送信する。eNB221は、LTE−AによりUE211から送信されたEPSベアラ1400〜140nを、PHY、MAC、RLC、PDCP(PDCPレイヤ1410〜141n)により処理することによって受信する。この場合に、eNB221は、PDCPレイヤ1410〜141nを、秘匿化に対応する復号等のPDCPの処理を行う非透過モードに設定する。
図19は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてULのTFTを用いてEPSベアラを識別する方法の他の例を示す図である。図19において、図14または図18に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図19においては、上りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、eNB221とセカンダリeNB223との間には、EPSベアラごとのGTPトンネル1420〜142nが設定される。
セカンダリeNB223は、UE211からWLAN1450を介して送信された各PDCP SDUを受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信した各PDCP SDUに対して、図18に示した例と同様のACデクラシフィケーション1820およびパケットフィルタリング1830を行う。これにより、各PDCP SDUについてパケットフィルタリング1830におけるEPSベアラクラシフィケーション1831が行われ、各PDCP SDUに対応するEPSベアラが識別される。
セカンダリeNB223は、EPSベアラクラシフィケーション1831による識別結果に基づいて、各PDCP SDUを、GTPトンネル1420〜142nのうちの、PDCP SDUのEPSベアラに対応するGTPトンネルへ転送する。これにより、各PDCP SDUが、eNB221のPDCPレイヤ1410〜141nのうちの対応するPDCPレイヤへ転送される。
このように、セカンダリeNB223は、オフロードされた各PDCP SDUに対してULのTFTに基づくパケットフィルタリング1830を行うことにより、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。そして、セカンダリeNB223がEPSベアラの識別結果に応じて各PDCP SDUをGTPトンネル1420〜142nにより転送することにより、eNB221は、オフロードされた各PDCP SDUをEPSベアラとして受信することができる。
このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図20は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおけるTFTの取得方法の一例を示す図である。図20に示す各ステップは、3GPPのTS23.401に規定された「Dedicated Bearer Activation Procedure」の処理である。図20に示すPCRF2001(Policy and Charging Rules Function)は、パケットコア網230に接続された、サービスに応じた優先制御や課金のルールを設定するための処理部である。
たとえば、PGW232は、UE211についてULおよびDLのTFTを設定し、設定したTFTを、図20に示すクリエイトベアラリクエスト2002に格納してSGW231へ送信する。SGW231は、PGW232から送信されたクリエイトベアラリクエスト2002をMME233へ送信する。
MME233は、SGW231から送信されたクリエイトベアラリクエスト2002に含まれるTFTを含むベアラセットアップリクエスト/セッションマネジメントリクエスト2003をeNB221へ送信する。TFTは、たとえばベアラセットアップリクエスト/セッションマネジメントリクエスト2003におけるセッションマネジメントリクエストに含まれる。これにより、eNB221は、ULおよびDLのTFTを取得することができる。
eNB221は、MME233から送信されたベアラセットアップリクエスト/セッションマネジメントリクエスト2003に含まれるTFTのうちのULのTFTを含むRRCコネクションリコンフィギュレーション2004をUE211へ送信する。これにより、UE211は、ULのTFTを取得することができる。なお、UL TFTはRRCコネクションリコンフィギュレーションメッセージ中に規定することは可能であるが、好ましくは、当該メッセージ中で伝送されるNAS(Non Access Stratum) PDUに規定する。以降も同様である。
たとえば図18に示した例において、eNB221は、ベアラセットアップリクエスト/セッションマネジメントリクエスト2003から取得したULのTFTを用いてパケットフィルタリング1830を行うことができる。また、図19に示した例において、eNB221は、ベアラセットアップリクエスト/セッションマネジメントリクエスト2003から取得したULのTFTをセカンダリeNB223へ送信する。そして、セカンダリeNB223は、eNB221から送信されたULのTFTに基づいてパケットフィルタリング1830を行うことができる。
図21は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてDLのTFTを用いてEPSベアラを識別する方法の一例を示す図である。図21において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図21においては、下りリンクについて、eNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有する構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。図21に示す例では、EPSベアラ1400〜140nは、eNB221からUE211への下り方向のベアラである。
UE211は、ACデクラシフィケーション1460によって受信した各PDCP SDUに対して、DL(下りリンク)のTFTに基づくパケットフィルタリング2110を行う。UE211によるパケットフィルタリング2110は、DLのTFTに基づく処理であるため、たとえば図7に示したPGW232におけるフィルタレイヤ711によるパケットフィルタリングと同様の処理である。
パケットフィルタリング2110においては、各PDCP SDUが、TFTに対応する各条件(f1〜f3)を満たすか否か(match/no)によってフィルタリングされる。そして、このフィルタリングの結果に応じてEPSベアラを識別するEPSベアラクラシフィケーション2111が行われる。これにより、オフロードされた各PDCP SDUに対応するEPSベアラが識別される。
たとえば、eNB221は、図20に示したUE211へのRRCコネクションリコンフィギュレーション2004に、ULのTFTに加えてDLのTFTも格納する。これにより、UE211は、RRCコネクションリコンフィギュレーション2004からDLのTFTを取得し、取得したDLのTFTに基づくパケットフィルタリング2110を行うことができる。
UE211は、EPSベアラクラシフィケーション2111による識別結果に基づいて、各PDCP SDUを、PDCPレイヤ1470〜147nのうちのPDCP SDUのEPSベアラに対応するPDCPレイヤへ転送する。これにより、WLANによってオフロードされた各PDCP SDU(IPフロー)は、それぞれ対応するEPSベアラに変換されてPDCPレイヤ1470〜147nへ転送される。
このように、UE211は、オフロードされた各PDCP SDUに対してDLのTFTに基づくパケットフィルタリング2110を行うことにより、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図22は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてDLのTFTを用いてEPSベアラを識別する方法の他の例を示す図である。図22において、図14または図21に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図22においては、下りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、eNB221とセカンダリeNB223との間には、EPSベアラごとのGTPトンネル1420〜142nが設定される。
セカンダリeNB223は、UE211からWLAN1450を介して送信された各PDCP SDUを受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信した各PDCP SDUをPDCPレイヤ1430〜143nへ転送する。
これにより、図21に示した例と同様に、UE211は、オフロードされた各PDCP SDUに対してDLのTFTに基づくパケットフィルタリング2110を行うことにより、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図18〜図22に示したTFTを用いた方法によれば、たとえばVLANタグを用いる場合のようにオフロード可能なEPSベアラの数がVLANタグのビット数に制限されずにEPSベアラを識別可能である。また、図18〜図22に示したTFTを用いた方法によれば、オフロードされたユーザデータにVLANタグ等のヘッダを追加しなくてもEPSベアラを識別可能である。
図23は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいて仮想IPフローを用いてEPSベアラを識別する方法の一例を示す図である。図23において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図23においては、下りリンクについて、eNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有する構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。図23に示す例では、EPSベアラ1400〜140nは、eNB221からUE211への下り方向のベアラである。
また、図23に示す例では、eNB221におけるPDCPレイヤ1410〜141nとWLAN1450との間に仮想GW2310が設定される。仮想GW2310には、NAT処理部2320〜232nおよびMAC処理部2330(802.3 MAC)が含まれる。また、UE211におけるWLAN1450とPDCPレイヤ1470〜147nとの間に仮想GW2340が設定される。仮想GW2340には、MAC処理部2350(802.3 MAC)およびde−NAT処理部2360〜236nが含まれる。
透過モードのPDCPレイヤ1410〜141nを経由したEPSベアラ1400〜140nは、仮想GW2310のNAT処理部2320〜232nへ転送される。NAT処理部2320〜232nは、それぞれEPSベアラ1400〜140nを、仮想宛先IPアドレスによって仮想IPフローに分類するNAT(Network Address Translation)処理を行う。仮想IPフローは、たとえばeNB221とUE211との間のローカルな仮想データフローである。仮想宛先IPアドレスは、仮想IPフローの宛先アドレスである。NAT処理部2320〜232nは、分類した各仮想IPフローをMAC処理部2330へ転送する。
たとえば、NAT処理部2320〜232nは、EPSベアラ1400〜140nと仮想宛先IPアドレスを一対一でマッピングする。NAT処理部2320〜232nから転送される各仮想IPフローの仮想送信元IPアドレス(src IP)は、たとえば仮想GW2310(vGW)とすることができる。また、NAT処理部2320〜232nから転送される各仮想IPフローの仮想宛先IPアドレス(dst IP)は、たとえばそれぞれC−RNTI+0〜C−RNTI+10とすることができる。
C−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier:セル無線ネットワーク一時識別子)は、UE211に一時的に割り当てられ、LTE−Aセル内でUE211の一意な識別子である。たとえば、C−RNTIは16ビットの値を有する。図23に示す例のように、C−RNTIとベアラ識別子(0〜10)を加算して仮想送信元IPアドレスを生成することで、仮想送信元IPアドレスの重複の発生を回避することができる。たとえば、クラスAのIPアドレスを使用する場合に、オフロードには十分となる約24ビット分のEPSベアラを識別可能になる。ここではC−RNTIとベアラ識別子を加算して仮想送信元IPアドレスを生成する場合について説明したが、仮想送信元IPアドレスを生成する方法についてはこれに限らない。
MAC処理部2330は、NAT処理部2320〜232nから転送された各仮想IPフローをイーサネットやIEEE 802.3等のMACフレームに変換する。なお、イーサネットは登録商標である。この場合に、MACフレームの送信元MACアドレス(src MAC)は、たとえば仮想GW2310,2340における任意のプライベートアドレス(any private)とすることができる。たとえばMACフレームの送信元MACアドレスは、先頭のオクテットを「xxxxxx10」としたアドレス(xは任意の値)とすることができる。また、MACフレームの宛先MACアドレス(dst MAC)はたとえばUE211のMACアドレス(UE MAC)とすることができる。
eNB221は、MAC処理部2330によって変換されたMACフレームに対してACクラシフィケーション1440を行い、ACクラシフィケーション1440を行ったMACフレームを、WLAN1450を介してUE211へ送信する。
UE211は、WLAN1450を介してeNB221から受信したMACフレームに対してACデクラシフィケーション1460を行う。仮想GW2340のMAC処理部2350は、ACデクラシフィケーション1460が行われたMACフレームを仮想IPフローとして受信する。
de−NAT処理部2360〜236nは、MAC処理部2350によって受信された仮想IPフローについて、仮想IPフローの仮想宛先IPアドレス(dst IP)を参照することにより、仮想IPフローをEPSベアラに変換する。このとき、仮想IPフローの仮想宛先IPアドレスは、de−NAT処理部2360〜236nによるde−NATによって本来のIPアドレスに変換される。
このように、eNB221およびUE211にそれぞれ仮想GW2310,2340を設定し、NATを利用することで、仮想GW2310,2340においてEPSベアラを仮想IPフローとして識別することができる。IPアドレスとMACアドレスは、プライベート空間のアドレスで構成することができる。このように仮想GW2310,2340の間で仮想IPネットワークを構築することで、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図23においては下りリンクについて説明したが、上りリンクについても同様の方法によりEPSベアラを識別することができる。すなわち、eNB221およびUE211に設定した仮想GW2310,2340の間で仮想IPネットワークを構築することで、上りリンクにおいてオフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。
図24は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいて仮想IPフローを用いてEPSベアラを識別する方法の他の例を示す図である。図24において、図14または図23に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図24においては、下りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、eNB221とセカンダリeNB223との間には、EPSベアラごとのGTPトンネル1420〜142nが設定される。
図23に示したNAT処理部2320〜232nは、図24に示す例ではセカンダリeNB223に設定される。セカンダリeNB223は、UE211からWLAN1450を介して送信された各PDCP SDUを受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信した各PDCP SDUを仮想GW2310のNAT処理部2320〜232nへ転送する。
これにより、図23に示した例と同様に、仮想GW2310,2340においてEPSベアラを仮想IPフローとして識別可能になる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図24においては下りリンクについて説明したが、上りリンクについても同様の方法によりEPSベアラを識別することができる。すなわち、セカンダリeNB223およびUE211に設定した仮想GW2310,2340の間で仮想IPネットワークを構築することで、上りリンクにおいてオフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。
図23,図24に示した仮想IPフローを用いた方法によれば、たとえばVLANタグを用いる場合のようにオフロード可能なEPSベアラの数がVLANタグのビット数に制限されずにEPSベアラを識別可能である。また、図23,図24に示した仮想IPフローを用いた方法によれば、eNB221とセカンダリeNB223との間は、GTPトンネルに限らずイーサネット等により接続することも可能である。
また、図23,図24に示した仮想IPフローを用いた方法によれば、UE211にDLのTFTを設定したり、eNB221にULのTFTを設定したりしなくても、EPSベアラを識別可能である。また、図23,図24に示した仮想IPフローを用いた方法によれば、オフロードされたユーザデータにVLANタグ等のヘッダを追加しなくてもEPSベアラを識別可能である。
図25は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてVLANを用いてEPSベアラを識別する方法の一例を示す図である。図25において、図14または図23に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図23においては仮想IPネットワークを構築することによりEPSベアラを識別する方法について説明したが、図25においてはイーサネットを仮想化するVLANによりEPSベアラを識別する方法について説明する。
また、図25においては、下りリンクについて、eNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有する構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、EPSベアラ1400〜140nは、eNB221からUE211への下り方向のベアラである。
図25に示す例においては、図23に示した例と同様にeNB221およびUE211にそれぞれ仮想GW2310,2340が設定される。ただし、図25に示す例においては、eNB221の仮想GW2310には、VLAN処理部2510〜251nおよびMAC処理部2520〜252n(802.3 MAC)が含まれる。また、UE211の仮想GW2340には、MAC処理部2530〜253n(802.3 MAC)およびde−VLAN処理部2540〜254nが含まれる。
透過モードのPDCPレイヤ1410〜141nを経由したEPSベアラ1400〜140nは、仮想GW2310のVLAN処理部2510〜251nへ転送される。VLAN処理部2510〜251nは、それぞれEPSベアラ1400〜140nを、eNB221とUE211との間のローカルなIPフローにVLANによって分類し、分類した各IPフローをMAC処理部2520〜252nへ転送する。
たとえば、VLAN処理部2510〜251nは、EPSベアラ1400〜140nとVLANタグを一対一でマッピングする。VLAN処理部2510〜251nから転送される各IPフローのVLANの識別子は、それぞれ0〜10とすることができる。
MAC処理部2520〜252nは、それぞれVLAN処理部2510〜251nから転送された各IPフローをイーサネットやIEEE 802.3等のMACフレームに変換する。MAC処理部2520〜252nによって変換される各MACフレームの送信元MACアドレス(src MAC)は、たとえば仮想GW2310,2340における任意のプライベートアドレス(any private)とすることができる。たとえば、MACフレームの送信元MACアドレスは、先頭のオクテットを「xxxxxx10」としたアドレス(xは任意の値)とすることができる。また、MAC処理部2520〜252nによって変換される各MACフレームの宛先MACアドレス(dst MAC)は、たとえばUE211のMACアドレス(UE MAC)とすることができる。
また、MAC処理部2520〜252nによって変換される各MACフレームのVLANタグ(VLAN tag)は、たとえばそれぞれのEPSベアラに対応する0〜10とすることができる。このように、各MACフレームには、EPSベアラごとのVLANタグが付加される。VLANタグは、たとえば12ビットのタグである。このため、最大で4094個のVLANを仮想GW2310,2340の間で構築することが可能である。仮に、UE211を含む各UEが全てのEPSベアラを張っており、全てのEPSベアラをオフロードすると、約372局のUEをWLANに収容することが可能である。ただし、実際に全てのEPSベアラを張って通信を行う可能性は低いため、VLANを用いることで十分な数のEPSベアラをオフロードすることが可能である。
eNB221は、MAC処理部2520〜252nによって変換されたVLANタグ付きのMACフレームに対してACクラシフィケーション1440を行う。そして、eNB221は、ACクラシフィケーション1440を行ったVLANタグ付きのMACフレームを、WLAN1450を介してUE211へ送信する。
UE211は、WLAN1450を介してeNB221から受信したVLANタグ付きのMACフレームに対してACデクラシフィケーション1460を行う。仮想GW2340のMAC処理部2530〜253nは、それぞれEPSベアラ1400〜140nに対応するMAC処理部である。MAC処理部2530〜253nのそれぞれは、ACデクラシフィケーション1460が行われたMACフレームについて、MACフレームに付されたVLANタグを参照することにより、対応するEPSベアラのMACフレームをIPフロードして受信する。
de−VLAN処理部2540〜254nは、それぞれMAC処理部2530〜253nによって受信されたIPフローをEPSベアラ1400〜140nに変換する。PDCPレイヤ1470〜147nは、それぞれde−VLAN処理部2540〜254nによって変換されたEPSベアラ1400〜140nを処理する。
このように、仮想GW2310,2340の間においてEPSベアラごとにVLANを設定することで、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図25においては下りリンクについて説明したが、上りリンクについても同様の方法によりEPSベアラを識別することができる。すなわち、eNB221およびUE211に設定した仮想GW2310,2340の間においてEPSベアラごとにVLANを設定することで、上りリンクにおいてオフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。
図26は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてVLANを用いてEPSベアラを識別する方法の他の例を示す図である。図26において、図14または図25に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図26においては、下りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、eNB221とセカンダリeNB223との間には、EPSベアラごとのGTPトンネル1420〜142nが設定される。
図25に示したVLAN処理部2510〜251nは、図26に示す例ではセカンダリeNB223に設定される。セカンダリeNB223は、UE211からWLAN1450を介して送信された各PDCP SDUを受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信した各PDCP SDUを仮想GW2310のVLAN処理部2510〜251nへ転送する。
これにより、図25に示した例と同様に、仮想GW2310,2340においてEPSベアラを仮想IPフローとして識別可能になる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図26においては下りリンクについて説明したが、上りリンクについても同様の方法によりEPSベアラを識別することができる。すなわち、セカンダリeNB223およびUE211に設定した仮想GW2310,2340の間にEPSベアラごとにVLANを設定することで、上りリンクにおいてオフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。
図25,図26に示したVLANを用いた方法によれば、eNB221とセカンダリeNB223との間は、GTPトンネルに限らずイーサネット等により接続することも可能である。また、図25,図26に示したVLANを用いた方法によれば、WLANにおいて、IPヘッダを参照したパケットの処理を行わなくても、VLANタグの付加によって各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。また、図25,図26に示したVLANを用いた方法によれば、UE211にDLのTFTを設定したり、eNB221にULのTFTを設定したりしなくてもEPSベアラを識別可能である。
図27は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてGREトンネリングを用いてEPSベアラを識別する方法の一例を示す図である。図27において、図14または図23に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図27においては、下りリンクについて、eNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有する構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。図27に示す例では、EPSベアラ1400〜140nは、eNB221からUE211への下り方向のベアラである。
また、図27に示す例では、eNB221におけるPDCPレイヤ1410〜141nとWLAN1450との間に仮想GW2310が設定される。仮想GW2310には、GRE処理部2710〜271nおよびMAC処理部2330(802.3 MAC)が含まれる。また、UE211におけるWLAN1450とPDCPレイヤ1470〜147nとの間に仮想GW2340が設定される。仮想GW2340には、MAC処理部2350(802.3 MAC)およびde−GRE処理部2720〜272nが含まれる。
透過モードのPDCPレイヤ1410〜141nを経由したEPSベアラ1400〜140nは、仮想GW2310のGRE処理部2710〜271nへ転送される。GRE処理部2710〜271nは、それぞれEPSベアラ1400〜140nを、eNB221とUE211との間のローカルなIPフローにGRE(Generic Routing Encapsulation)トンネリングを用いて分類し、分類した各IPフローをMAC処理部2330へ転送する。
たとえば、GRE処理部2710〜271nは、EPSベアラ1400〜140nに対応するPDCP SDUに対して、GREヘッダを付加し、さらにIPヘッダを付加してIPフローとしてMAC処理部2330へ転送する。GRE処理部2710〜271nから転送される各IPフローの送信元IPアドレス(src IP)は、たとえば仮想GW2310(vGW)とすることができる。また、GRE処理部2710〜271nから転送される各IPフローの宛先IPアドレス(dst IP)は、たとえばそれぞれC−RNTI+0〜C−RNTI+10とすることができる。
MAC処理部2330は、たとえば図23に示した例と同様に、GRE処理部2710〜271nから転送された各IPフローをイーサネット(IEEE 802.3)のMACフレームに変換する。
eNB221は、MAC処理部2330によって変換されたMACフレームに対してACクラシフィケーション1440を行い、ACクラシフィケーション1440を行ったMACフレームを、WLAN1450を介してUE211へ送信する。これにより、eNB221は、eNB221とUE211との間に設定したWLANのGREトンネル(カプセル化トンネル)でユーザデータを伝送することができる。
UE211は、WLAN1450を介してeNB221から受信したMACフレームに対してACデクラシフィケーション1460を行う。仮想GW2340のMAC処理部2350は、たとえば図23に示した例と同様に、ACデクラシフィケーション1460が行われたMACフレームをIPフローとして受信する。
de−GRE処理部2720〜272nは、MAC処理部2350によって受信されたIPフローについて、IPフローのIPヘッダに含まれる宛先IPアドレス(dst IP)を参照することにより、IPフローをEPSベアラに変換する。
このように、eNB221およびUE211にそれぞれ仮想GW2310,2340を設定し、GREトンネリングを利用することで、仮想GW2310,2340においてEPSベアラをIPフローとして識別することができる。IPアドレスとMACアドレスは、プライベート空間のアドレスで構成することができる。このように仮想GW2310,2340の間でGREトンネルを構築することで、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図27においては下りリンクについて説明したが、上りリンクについても同様の方法によりEPSベアラを識別することができる。すなわち、仮想GW2310,2340の間でGREトンネルを構築することで、上りリンクにおいてオフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。
図28は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてGREトンネリングを用いてEPSベアラを識別する方法の他の例を示す図である。図28において、図14または図27に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図28においては、下りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、eNB221とセカンダリeNB223との間には、EPSベアラごとのGTPトンネル1420〜142nが設定される。
セカンダリeNB223は、UE211からWLAN1450を介して送信された各PDCP SDUを受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信した各PDCP SDUをGRE処理部2710〜271nへ転送する。
これにより、図27に示した例と同様に、UE211は、GREトンネリングを利用することで、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図27,図28に示したGREトンネリングを用いた方法によれば、たとえばVLANタグを用いる場合のようにオフロード可能なEPSベアラの数がVLANタグのビット数に制限されずにEPSベアラを識別可能である。また、図27,図28に示したGREトンネリングを用いた方法によれば、eNB221とセカンダリeNB223との間は、GTPトンネルに限らずイーサネット等により接続することも可能である。
また、図27,図28に示したGREトンネリングを用いた方法によれば、UE211にDLのTFTを設定したり、eNB221にULのTFTを設定したりしなくてもEPSベアラを識別可能である。また、図27,図28に示したGREトンネリングを用いた方法によれば、オフロードされたユーザデータにVLANタグ等のヘッダを追加しなくてもEPSベアラを識別可能である。
このように、実施の形態3によれば、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくても、WLANへのオフロードが可能になる。このため、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
ただし、eNB221からUE211への下りリンクにおいて、UE211がラジオベアラとして受信したユーザデータをベアラに変換せずに自局の上位層(たとえばアプリケーションレイヤ)に回送すればよい場合がある。このような場合は、複数のEPSベアラが同一のQoSクラスを有する場合であっても、UE211がベアラを識別せずに、WLANへのオフロードを行うことができる。
以上説明したように、無線通信システム、基地局および移動局によれば、通信品質の低下を抑制する、あるいは通信品質を保つことができる。
仮に、WLANへのオフロードにおいてToSフィールドが参照不可である場合は、たとえば全てのトラフィックをベストエフォートとすることが考えられるが、この場合はトラフィックの性質に応じたQoS制御ができない。一例としては、VoLTEのトラフィックもベストエフォートとなり、VoLTEの通信品質が劣化する。
これに対して、上述した各実施の形態によれば、WLANへのオフロードにおいてLTE−AのPDCPを透過モードにすることで、WLANにおいてToSフィールドが参照可能になり、トラフィックの性質に応じたQoS制御が可能になる。一例としては、VoLTEのトラフィックはボイス(VO)に分類して優先的にWLANで伝送することで、VoLTEの通信品質を向上させることができる。
また、3GPPのLTE−Aでは、第五世代移動体通信も視野に入れ、増加するモバイルトラフィックへの対応とユーザエクスペリエンスの向上を目指し、他の無線システムと連携しセルラ通信を行えるようにシステム高度化の検討が進められている。特に、家庭や企業に加え、スマートホンにも広く実装されているWLANとの連携が課題となる。
LTEのRelease8では、LTE−Aのコア網でユーザデータをWLANにオフロードする技術が標準化された。LTE−AのRelease12では、WLANの無線チャネル使用率やユーザのオフロード志向等を考慮してオフロードができるようになった。また、LTE−Aの基地局間で周波数キャリアを集約(アグリゲーション)しユーザデータを同時伝送する二元接続(Dual Connectivity)が標準化された。
LTE−AのRelease13では、アンライセンス周波数帯域を活用した無線アクセス方式であるLAA(License Assisted Access)の検討が開始された。LAAは、LTE−Aにアンライセンス周波数帯域とライセンス周波数帯域のキャリアアグリゲーションであり、LTE−Aの制御チャネルによってアンライセンス周波数帯域の無線伝送を制御するレイヤ1の技術である。
また、LAAとは異なり、LTE−AとWLANをレイヤ2でアグリゲーションし、双方が連携してセルラ通信を行うための標準化も開始されようとしている。これはLTE−WLANアグリゲーションと呼ばれている。LTE−WLANアグリゲーションでは、上述した方法と比較して以下のような利点がある。
まず、コア網におけるオフロード技術では、LTE−Aの無線品質に応じた高速なオフロードが困難であり、オフロードの際にはコア網に送信される制御信号のオーバヘッドが生じる。LTE−WLANアグリゲーションでは、オフロードはLTE−Aのレイヤ2で実施されるため、LTE−Aの無線品質を迅速に反映でき、かつコア網への制御信号も不要である。
また、LAAではLTE−Aの無線品質に応じた高速なオフロードは可能であるが、LTE−Aの基地局外のWLANと協調したオフロードは困難である。これに対して、LTE−WLANアグリゲーションでは、レイヤ2レベルでLTE−Aの基地局と設置済みのWLANのアクセスポイントを接続すれば協調したオフロードが可能となる。
現在、WLANがLTE−Aの基地局に組み込まれているシナリオだけではなく、独立に設置されているシナリオも想定して標準化が進められようとしている。この場合に、WLAN側でLTE−Aの呼(ベアラ)を識別し、LTEベアラのQoSクラスを考慮してユーザデータの伝送が可能となるレイヤ2の構成の確立が重要になる。そのために、LTE−Aの後方互換性を担保することと、WLANの仕様にインパクトを与えないことが求められる。これについて、たとえば、IPフローをレイヤ2の手前でカプセル化する方法も考えられるが、LTE−AのベアラをWLAN側で識別できるレイヤ2の構成については検討の余地がある。
上述した各実施の形態によれば、LTE−A側のレイヤ2におけるPDCPの処理を工夫することにより、LTEベアラのQoSクラスを考慮しつつWLANへのオフロードが可能になる。
なお、上述した各実施の形態においては、LTE−A側のレイヤ2におけるPDCPを透過モードにする処理について説明したが、他の方法も可能である。たとえば、オフロードするデータについて、PDCPに対する秘匿化等の処理を行いつつ、秘匿化等の処理を行ったデータの先頭に、秘匿化等の処理の前のデータのIPヘッダを付加してもよい。これにより、WLANにおいて、秘匿化等の処理の前のデータのIPヘッダに含まれるQoS情報を参照し、QoS情報に基づく伝送制御を行うことが可能になる。
以下に図面を参照して、本発明にかかる無線通信システム、基地局および移動局の実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる無線通信システムの一例を示す図である。図1の(a)に示すように、実施の形態1にかかる無線通信システム100は、基地局110と、移動局120と、を含む。無線通信システム100においては、基地局110と移動局120との間で、第1の無線通信101を用いたデータ伝送と、第2の無線通信102を用いたデータ伝送と、が可能である。
第1の無線通信101および第2の無線通信102は、互いに異なる無線通信(無線通信方式)である。第1の無線通信101は、一例としてはLTEやLTE−Aなどのセルラ通信である。第2の無線通信102は、一例としてはWLANである。ただし、第1の無線通信101および第2の無線通信102はこれらに限らず、各種方式の通信とすることができる。図1の(a)に示す例では、基地局110は、たとえば移動局120との間で第1の無線通信101および第2の無線通信102が可能な基地局である。
第1の無線通信102を用いずに第1の無線通信101を用いてデータを伝送する際に、基地局110および移動局120は、第1の無線通信101のデータを伝送するための第1の無線通信101の通信路を基地局110と移動局120との間に設定する。そして、基地局110および移動局120は、設定した第1の無線通信101の通信路によってデータを伝送する。
また、第2の無線通信102を用いてデータを伝送する際に、基地局110および移動局120は、第1の無線通信101のデータを伝送するための第2の無線通信102の通信路を基地局110と移動局120との間に設定する。そして、基地局110および移動局120は、設定した第2の無線通信102の通信路によってデータを伝送する。
まず、基地局110から移動局120へデータを伝送する下りリンクについて説明する。基地局110は、制御部111と、処理部112と、を備える。制御部111は、第1の無線通信101の制御を行う。また、制御部111は、第2の無線通信102の制御を行う。一例としては、制御部111は、基地局110と移動局120との間の無線制御を行うRRCなどの処理部である。ただし制御部111は、RRCに限らず、第1の無線通信101の制御を行う各種の処理部とすることができる。
処理部112は、第1の無線通信101を行うための処理を行う。一例としては、処理部112は、PDCP、RLC(Radio Link Control:無線リンク制御)、MACなどのデータリンク層の処理部である。ただし、処理部112は、これらに限らず、第1の無線通信101を行うための各種の処理部とすることができる。
第1の無線通信101を行うための処理部112の処理は、制御部111によって制御される。処理部112は、基地局110から移動局120へ第2の無線通信102の無線通信を用いてデータを伝送する際に、第1の無線通信101を行うための収束点を確立する。この収束点は、基地局110と移動局120との間で伝送するデータを、第1の無線通信101と第2の無線通信102とを選択(後述するオフロードの有無)するための処理である。収束点は、終端点、分岐点、スプリットファンクション、ルーティングファンクションとも呼称されることもあり、第1の無線通信と第2の無線通信にデータをスケジュールポイントとなる意味であれば、このような呼称には限らない。以降では、そのような代表的な呼称として収束点を使用する。
処理部112は、確立した収束点において、移動局120へ伝送するデータに含まれるサービス品質情報を透過にして該データを移動局120へ伝送する。サービス品質情報は、たとえばデータのサービスクラスなどの伝送の優先度を示す情報である。一例としては、サービス品質情報は、データのヘッダに含まれるToS(Type of Service)フィールドなどのQoS情報である。ただし、サービス品質情報は、これに限らず、データの伝送の優先度を示す各種の情報とすることができる。たとえば、VLAN(Virtual Local Area Network:仮想構内通信網)では、VLANタグに中にQoSを規定するフィールドが規定されている。また、より一般的には、QoS情報は5タプルで設定される情報である。5タプルは、送信元IPアドレスおよびポート番号、送信先IPアドレスおよびポート番号、プロトコルタイプである。
たとえば、処理部112は、基地局110から移動局120へ第2の無線通信102を用いずに第1の無線通信101を用いてデータを伝送する際に、伝送するデータに対して所定の処理を行う。所定の処理は、たとえば、伝送するデータに含まれるサービス品質情報の参照を第2の無線通信102の処理においてできなくする処理である。たとえば、所定の処理は、秘匿化、ヘッダ圧縮およびシーケンス番号の付加の少なくともいずれかを含む処理である。一例としては、所定の処理は、PDCPの処理である。ただし、所定の処理はこれに限らず、サービス品質情報の参照を第2の無線通信102の処理においてできなくする各種の処理とすることができる。
また、処理部112は、移動局120へ第2の無線通信102を用いてデータを伝送する際に、伝送するデータに対して、伝送するデータに含まれるサービス品質情報の参照を第2の無線通信102の処理においてできなくする上述の所定の処理を行わない。これにより、第2の無線通信102を用いて伝送するデータについて、第2の無線通信102の処理においてサービス品質情報の参照が可能になる。このため、伝送するデータについて、第2の無線通信102の処理においてサービス品質情報に基づく伝送制御が可能になる。サービス品質情報に基づく伝送制御は、たとえば、サービス品質情報に応じて伝送の優先度を制御するQoS制御である。ただし、サービス品質情報に基づく伝送制御はこれに限らず各種の制御とすることができる。
移動局120は、第1の無線通信101および第2の無線通信102の少なくともいずれかによって基地局110から伝送されたデータを受信する。このように、基地局110から移動局120へのデータを第1の無線通信101および第2の無線通信102に分散して伝送することで、データ伝送の効率を向上させることができる。
つぎに、移動局120から基地局110へデータを伝送する上りリンクについて説明する。移動局120は、処理部121を備える。処理部121は、基地局110の処理部112と同様に第1の無線通信101を行うための処理部である。一例としては、処理部121は、PDCP、RLC、MACなどのデータリンク層の処理部である。ただし、処理部121は、これらに限らず、第1の無線通信101を行うための各種の処理部とすることができる。
第1の無線通信101を行うための処理部121の処理は、基地局110の制御部111によって制御される。処理部121は、移動局120から基地局110へ第2の無線通信102の無線通信を用いてデータを伝送する際に、第1の無線通信101を行うための収束点を確立する。この収束点は、上述したように、基地局110と移動局120との間で伝送するデータを、第1の無線通信101と第2の無線通信102とを選択(後述するオフロードの有無)するための処理であり、終端点、分岐点とも呼称される。
処理部121は、確立した収束点において、基地局110へ伝送するデータに含まれるサービス品質情報を透過にして該データを基地局110へ伝送する。サービス品質情報は、上述のようにたとえばデータのサービスクラスなどの伝送の優先度を示す情報である。
たとえば、処理部121は、移動局120から基地局110へ第2の無線通信102を用いずに第1の無線通信101を用いてデータを伝送する際に、伝送するデータに対して所定の処理を行う。所定の処理は、上述のように、伝送するデータに含まれるサービス品質情報の参照を第2の無線通信102の処理においてできなくする処理である。
また、処理部121は、基地局110へ第2の無線通信102を用いてデータを伝送する際に、伝送するデータに対して、伝送するデータに含まれるサービス品質情報の参照を第2の無線通信102の処理においてできなくする上述の所定の処理を行わない。これにより、第2の無線通信102を用いて伝送するデータに対して、第2の無線通信102の処理においてサービス品質情報の参照が可能になる。このため、伝送するデータについて、第2の無線通信102の処理においてサービス品質情報に基づく伝送制御が可能になる。サービス品質情報に基づく伝送制御は、上述のように、たとえば、サービス品質情報に応じて伝送の優先度を制御するQoS制御である。
基地局110は、第1の無線通信101および第2の無線通信102の少なくともいずれかによって移動局120から伝送されたデータを受信する。このように、移動局120から基地局110へのデータを第1の無線通信101および第2の無線通信102に分散して伝送することで、データ伝送の効率を向上させることができる。
このように、基地局110および移動局120のうちの送信側の局は、第1の無線通信101の制御部111からの制御により第2の無線通信102を用いてデータ伝送する際に、第1の無線通信101の処理部においてサービス品質情報を透過にする。
これにより、基地局110および移動局120のうちの送信側の局は、第2の無線通信102におけるデータの伝送処理において、サービス品質情報に応じた伝送制御が可能になる。このため、第2の無線通信102を用いてデータを伝送することによる通信品質の低下を抑制する、あるいは通信品質を保つことができる。
図1の(a)においては、基地局110が移動局120との間で第1の無線通信101および第2の無線通信102が可能な基地局である場合について説明したが、図1の(b)に示すように、基地局110に代えて基地局110A,110Bを設けてもよい。基地局110Aは、移動局120との間で第1の無線通信101が可能な基地局である。基地局110Bは、基地局110Aと接続された基地局であって、移動局120との間で第2の無線通信102が可能な基地局である。
図1の(b)に示す例においては、基地局110Aは、移動局120との間で第2の無線通信102を用いたデータ伝送を行う場合に、基地局110Bを介してデータ伝送を行う。この場合に、図1の(a)に示した制御部111および処理部112は、たとえば基地局110Aに設けられる。また、制御部111は、基地局110Bを介した移動局120との間の第2の無線通信102の制御を行う。
まず、基地局110Aから移動局120へデータを伝送する下りリンクについて説明する。下りリンクにおいて、基地局110Aの処理部112は、確立した収束点において、移動局120へ伝送するデータに含まれるサービス品質情報を透過にして該データを基地局110Bへ転送することにより、基地局110Bを介して該データを移動局120へ伝送する。基地局110Bは、基地局110Aから転送されたデータを第2の無線通信102により移動局120へ伝送する。
つぎに、移動局120から基地局110Aへデータを伝送する上りリンクについて説明する。移動局120の処理部121の処理は、基地局110Aの制御部111によって制御される。そして、処理部121は、確立した収束点において、基地局110Aへのデータに含まれるサービス品質情報を透過にして、該データを第2の無線通信102により基地局110Bへ伝送する。基地局110Bは、移動局120から第2の無線通信102により伝送されたデータを基地局110Aへ転送する。これにより、基地局110Aへのデータを、無線通信102を用いて基地局110Aへ伝送することができる。
このように、基地局110Aおよび移動局120のうちの送信側の局は、第1の無線通信101の制御部111からの制御により第2の無線通信102を用いてデータ伝送する際に、第1の無線通信101の処理部においてサービス品質情報を透過にする。
これにより、下りリンクにおいて、基地局110Bは、第2の無線通信102によるデータの伝送処理において、サービス品質情報に応じた伝送制御が可能になる。また、上りリンクにおいて、移動局120は、第2の無線通信102によるデータの伝送処理において、サービス品質情報に応じた伝送制御が可能になる。このため、第2の無線通信102を用いてデータを伝送することによる通信品質の低下を抑制する、あるいは通信品質を保つことができる。
実施の形態1によれば、通信品質の低下を抑制する、あるいは、通信品質を保つことができる。
つぎに、図1に示した実施の形態1にかかる無線通信システム100の詳細について、実施の形態2,3を用いて説明する。実施の形態2,3は、上述した実施の形態1を具象化した実施例として捉えることができるため、実施の形態1と組み合わせて実施できることは言うまでもない。
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2にかかる無線通信システムの一例を示す図である。図2に示すように、実施の形態2にかかる無線通信システム200は、UE211と、eNB221,222と、パケットコア網230と、を含む。無線通信システム200は、たとえば3GPPにおいて規定されたLTE−Aなどの移動体通信システムであるが、無線通信システム200の通信規格はこれらに限らない。
パケットコア網230は、一例としては3GPPにおいて規定されたEPC(Evolved Packet Core:進化したパケットコア)であるが、特にこれに限定されない。なお、3GPPに規定されたコアネットワークはSAE(System Architecture Evolution)と呼ばれる場合もある。パケットコア網230は、SGW231と、PGW232と、MME233と、を含む。
UE211およびeNB221,222は、無線通信を行うことにより無線アクセス網を形成する。UE211およびeNB221,222が形成する無線アクセス網は、一例としては3GPPにおいて規定されたE−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)であるが、特にこれに限定されない。
UE211は、eNB221のセルに在圏し、eNB221との間で無線通信を行う端末である。UE211は、一例としては、eNB221、SGW231およびPGW232を経由する経路によって、他の通信装置との間で通信を行う。UE211と通信を行う他の通信装置は、一例としては、UE211と異なる通信端末や、サーバなどである。UE211と他の通信装置との間の通信は、一例としてはデータ通信や音声通信であるが、特にこれらに限定されない。音声通信は、一例としてはVoLTE(Voice over LTE)であるが、特にこれに限定されない。
eNB221は、セル221aを形成し、セル221aに在圏するUE211との間で無線通信を行う基地局である。eNB221は、UE211とSGW231との間の通信を中継する。eNB222は、セル222aを形成し、セル222aに在圏するUEとの間で無線通信を行う基地局である。eNB222は、セル222aに在圏するUEとSGW231との間の通信を中継する。
eNB221とeNB222との間は、たとえば物理的または論理的な基地局間インタフェースによって接続されていてもよい。基地局間インタフェースは、一例としてはX2インタフェースであるが、基地局間インタフェースは特にこれに限定されない。eNB221とSGW231との間は、たとえば物理的または論理的なインタフェースによって接続される。eNB221とSGW231との間のインタフェースは、一例としてはS1−Uインタフェースであるが、特にこれに限定されない。
SGW231は、eNB221を収容し、eNB221を経由する通信におけるU−plane(User plane)の処理を行うサービングゲートウェイである。たとえば、SGW231は、UE211の通信におけるU−planeの処理を行う。U−planeは、ユーザデータ(パケットデータ)の伝送を行う機能群である。また、SGW231は、eNB222を収容し、eNB222を経由する通信におけるU−planeの処理を行ってもよい。
PGW232は、外部ネットワークに接続するためのパケットデータネットワークゲートウェイである。外部ネットワークは、一例としてはインターネットであるが、特にこれに限らない。PGW232は、たとえば、SGW231と外部ネットワークとの間においてユーザデータを中継する。また、たとえば、PGW232は、UE211がIPフローを送受信するために、UE211にIPアドレスを割り当てるIPアドレスアロケーション201を行う。
SGW231とPGW232との間は、たとえば物理的または論理的なインタフェースによって接続される。SGW231とPGW232との間のインタフェースは、一例としてはS5インタフェースであるが、特にこれに限定されない。
MME233(Mobility Management Entity:移動性管理エンティティ)は、eNB221を収容し、eNB221を経由する通信におけるC−plane(Control plane)の処理を行う。たとえば、MME233は、eNB221を介したUE211の通信におけるC−planeの処理を行う。C−planeは、たとえば、各装置間で通話やネットワークを制御するための機能群である。一例としては、C−planeは、パケット呼の接続、ユーザデータを伝送するための経路の設定、ハンドオーバの制御などに用いられる。また、MME233は、eNB222を収容し、eNB222を経由する通信におけるC−planeの処理を行ってもよい。
MME233とeNB221との間は、たとえば物理的または論理的なインタフェースによって接続されている。MME233とeNB221との間のインタフェースは、一例としてはS1−MMEインタフェースであるが、特にこれに限定されない。MME233とSGW231との間は、たとえば物理的または論理的なインタフェースによって接続されている。MME233とSGW231との間のインタフェースは、一例としてはS11インタフェースであるが、特にこれに限定されない。
無線通信システム200において、UE211が送信または受信するIPフローは、EPSベアラ241〜24nに分類され(振り分けられ)、PGW232およびSGW231を経由して伝送される。EPSベアラ241〜24nは、EPS(Evolved Packet System)におけるIPフローである。EPSベアラ241〜24nは、UE211およびeNB221,222が形成する無線アクセス網においてはラジオベアラ251〜25n(Radio Bearer)となる。EPSベアラ241〜24nの設定、セキュリティの設定、モビリティの管理などの通信全体の制御はMME233によって行われる。
EPSベアラ241〜24nに分類されたIPフローは、LTE網内においては、たとえば各ノード間に設定されたGTP(GPRS Tunneling Protocol)トンネルによって伝送される。EPSベアラ241〜24nは、それぞれ一意にラジオベアラ251〜25nにマッピングされ、QoSを考慮して無線伝送される。
また、無線通信システム200のUE211とeNB221との間の通信においては、LTE−AのトラフィックをWLANへオフロードする、LTE−AおよびWLANによるアグリゲーションが行われる。これにより、UE211とeNB221との間のトラフィックをLTE−AおよびWLANに分散し、無線通信システム200におけるスループットの向上を図ることができる。図1に示した第1の無線通信101は、たとえばLTE−Aによる無線通信とすることができる。図1に示した第2の無線通信102は、たとえばWLANによる無線通信とすることができる。LTE−AおよびWLANによるアグリゲーションについては後述する。
なお、アグリゲーションという呼称は一例であり、通信周波数(キャリア)を複数使うという意味で使用されることが多い。アグリゲーションとは別に、異なるシステムを統合して複数使うという意味では、インテグレーションと呼称されることが多い。以降では、代表的な呼称としてアグリゲーションを使用する。
図1に示した基地局110は、たとえばeNB221,222により実現することができる。図1に示した移動局120は、たとえばUE211により実現することができる。
図3は、実施の形態2にかかる端末の一例を示す図である。図2に示したUE211は、たとえば図3に示す端末300により実現することができる。端末300は、無線通信部310と、制御部320と、記憶部330と、を備える。無線通信部310は、無線送信部311と、無線受信部312と、を備える。これらの各構成は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。また、無線通信部310は、たとえばLTE−Aによる無線通信(第1の無線通信101)と、WLANによる無線通信(第2の無線通信102)と、が可能である。
無線送信部311は、ユーザデータや制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。無線送信部311が送信する無線信号には、任意のユーザデータや制御情報など(符号化や変調等がなされる)を含めることができる。無線受信部312は、ユーザデータや制御信号を、アンテナを介して無線通信で受信する。無線受信部312が受信する無線信号には、任意のユーザデータや制御信号など(符号化や変調等がなされる)を含めることができる。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。
制御部320は、他の無線局へ送信するユーザデータや制御信号を無線送信部311に出力する。また、制御部320は、無線受信部312によって受信されたユーザデータや制御信号を取得する。制御部320は、後述する記憶部330との間でユーザデータ、制御情報、プログラムなどの入出力を行う。また、制御部320は、後述する通信部との間で、他の通信装置などとの間で送受信するユーザデータや制御信号の入出力を行う。制御部320は、これら以外にも、端末300における種々の制御を行う。記憶部330は、ユーザデータ、制御情報、プログラムなどの各種情報の記憶を行う。
図1に示した移動局120の処理部121は、たとえば制御部320により実現することができる。
図4は、実施の形態2にかかる端末のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示した端末300は、たとえば図4に示す端末400により実現することができる。端末400は、たとえば、アンテナ411と、RF回路412と、プロセッサ413と、メモリ414と、を備える。これら各構成要素は、たとえばバスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
アンテナ411は、無線信号を送信する送信アンテナと、無線信号を受信する受信アンテナと、を含む。また、アンテナ411は、無線信号を送受信する共用アンテナであってもよい。RF回路412は、アンテナ411によって受信された信号や、アンテナ411によって送信される信号のRF(Radio Frequency:高周波)処理を行う。RF処理には、たとえばベースバンド帯とRF帯との周波数変換が含まれる。
プロセッサ413は、たとえばCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)やDSP(Digital Signal Processor)などである。また、プロセッサ413は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)などのデジタル電子回路により実現してもよい。
メモリ414は、たとえばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)などのRAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリにより実現することができる。メモリ414は、たとえばユーザデータ、制御情報、プログラムなどを格納する。
図3に示した無線通信部310は、たとえばアンテナ411およびRF回路412により実現することができる。図3に示した制御部320は、たとえばプロセッサ413により実現することができる。図3に示した記憶部330は、たとえばメモリ414により実現することができる。
図5は、実施の形態2にかかる基地局の一例を示す図である。図2に示したeNB221,222のそれぞれは、たとえば図5に示す基地局500により実現することができる。図5に示すように、基地局500は、たとえば、無線通信部510と、制御部520と、記憶部530と、通信部540と、を備える。無線通信部510は、無線送信部511と、無線受信部512と、を備える。これらの各構成は、一方向または双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。また、無線通信部510は、たとえばLTE−Aによる無線通信(第1の無線通信101)と、WLANによる無線通信(第2の無線通信102)と、が可能である。
無線送信部511は、ユーザデータや制御信号を、アンテナを介して無線通信で送信する。無線送信部511が送信する無線信号には、任意のユーザデータや制御情報など(符号化や変調等がなされる)を含めることができる。無線受信部512は、ユーザデータや制御信号を、アンテナを介して無線通信で受信する。無線受信部512が受信する無線信号には、任意のユーザデータや制御信号など(符号化や変調等がなされる)を含めることができる。なお、アンテナは送信と受信で共通でもよい。
制御部520は、他の無線局へ送信するユーザデータや制御信号を無線送信部511に出力する。また、制御部520は、無線受信部512によって受信されたユーザデータや制御信号を取得する。制御部520は、後述する記憶部530との間でユーザデータ、制御情報、プログラムなどの入出力を行う。また、制御部520は、後述する通信部540との間で、他の通信装置などとの間で送受信するユーザデータや制御信号の入出力を行う。制御部520は、これら以外にも、基地局500における種々の制御を行う。
記憶部530は、ユーザデータ、制御情報、プログラムなどの各種情報の記憶を行う。通信部540は、たとえば有線信号によって、他の通信装置との間でユーザデータや制御信号を送受信する。
図1に示した基地局110の制御部111および処理部112は、たとえば制御部520により実現することができる。
図6は、実施の形態2にかかる基地局のハードウェア構成の一例を示す図である。図5に示した基地局500は、たとえば図6に示す基地局600により実現することができる。基地局600は、アンテナ611と、RF回路612と、プロセッサ613と、メモリ614と、ネットワークIF615と、を備える。これら各構成要素は、たとえばバスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
アンテナ611は、無線信号を送信する送信アンテナと、無線信号を受信する受信アンテナと、を含む。また、アンテナ611は、無線信号を送受信する共用アンテナであってもよい。RF回路612は、アンテナ611によって受信された信号や、アンテナ611によって送信される信号のRF処理を行う。RF処理には、たとえばベースバンド帯とRF帯との周波数変換が含まれる。
プロセッサ613は、たとえばCPUやDSPなどである。また、プロセッサ613は、ASIC、FPGA、LSIなどのデジタル電子回路により実現してもよい。
メモリ614は、たとえばSDRAMなどのRAM、ROM、フラッシュメモリにより実現することができる。メモリ614は、たとえばユーザデータ、制御情報、プログラムなどを格納する。
ネットワークIF615は、たとえば有線によってネットワークとの間で通信を行う通信インタフェースである。ネットワークIF615は、たとえば基地局間で有線通信を行うためのXnインタフェースを含んでもよい。
図5に示した無線通信部510は、たとえばアンテナ611およびRF回路612により実現することができる。図5に示した制御部520は、たとえばプロセッサ613により実現することができる。図5に示した記憶部530は、たとえばメモリ614により実現することができる。図5に示した通信部540は、たとえばネットワークIF615により実現することができる。
図7は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるプロトコルスタックの一例を示す図である。実施の形態2にかかる無線通信システム200には、たとえば図7に示すプロトコルスタック700を適用することができる。プロトコルスタック700は、3GPPに規定されたLTE−Aのプロトコルスタックである。レイヤ群701〜705は、それぞれUE211、eNB221、SGW231、PGW232および外部ネットワークのサーバにおける各処理を示すレイヤ群である。
無線通信システム200においてIPフローを伝送する場合に、個々のIPフローに対してQoSクラスに応じた取り扱いを実施するために、IPフローのフィルタリングが実施される。たとえばUE211がIPフローを受信する下りリンクについては、PGW232がIPフローに対するパケットフィルタリングを行ってIPフローをEPSベアラ241〜24nに分類する。
UE211がIPフローを送信する上りリンクについては、PGW232からパケットのフィルタリング規則がUE211に通知される。そして、PGW232から通知されたフィルタリング規則に基づいて、UE211がIPフローに対するパケットフィルタリングを行ってIPフローをEPSベアラ241〜24nに分類する。
たとえば、上りリンクにおいて、PGW232は、PGW232のレイヤ群704のうちのIPレイヤ(IP)に含まれるフィルタレイヤ711(Filter)によって、IPフローのフィルタリングを行う。また、下りリンクにおいて、UE211は、UE211のレイヤ群701のうちのIPレイヤ(IP)に含まれるフィルタレイヤ712(Filter)によって、IPフローのフィルタリングを行う。
また、LTE網内のルータでQoS制御(QoS管理)を行うために、PGW232(下りリンクの場合)またはUE211(上りリンクの場合)が、IPパケットのヘッダのToSフィールドにQoS値を設定する。
PGW232またはUE211によるパケットフィルタリングは、たとえば5−tuple(送受信元IPアドレス、送受信元ポート番号、プロトコルタイプ)を利用して行われる。パケットフィルタリングのフィルタリング規則は、たとえばTFT(Traffic Flow Template)と呼ばれる。なお、EPSベアラ241〜24nの中にはTFTが設定されないEPSベアラが存在してもよい。
TFTを用いてIPフローのフィルタリングを実施すると、IPフローを最大で11種類のEPSベアラに分類することができる。EPSベアラ241〜24nのうちの一つのベアラはデフォルトベアラ(Default Bearer:既定ベアラ)と呼ばれる。デフォルトベアラは、PGW232がUE211にIPアドレスを割り当てる際に生成され、UE211に割り当てられたIPアドレスが解放されるまで常に存在する。EPSベアラ241〜24nのうちのデフォルトベアラとは異なるベアラは、個別ベアラ(Dedicated Bearer)と呼ばれる。個別ベアラは、伝送するユーザデータの状況に応じて適宜生成および解放することが可能である。
図8は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるレイヤ2の一例を示す図である。実施の形態2にかかる無線通信システム200には、レイヤ2の処理として、一例としては図8に示す処理を適用することができる。図8に示す処理は、3GPPに規定されたLTE−Aのレイヤ2の処理である。図8に示すように、LTE−Aのレイヤ2は、PDCP810と、RLC820と、MAC830と、を含む。
PDCP810には、流入するIPデータグラムのヘッダ圧縮を行うROHC(Robust Header Compression)やセキュリティに関する処理が含まれる。セキュリティに関する処理には、たとえば秘匿や完全性保護などが含まれる。通常のLTE−Aの通信においては、ユーザデータは、PDCP810のこれらの処理が実施されて下位レイヤ(たとえばレイヤ1)に回送される。
また、たとえばデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity)を実施する場合は、UE211は、最大で二つの基地局(たとえばeNB221,222)との同時通信が可能である。MCGベアラ801(Master Cell Group Bearer)は、主たる基地局のラジオベアラである。
また、MCGベアラ801に対して、スプリットベアラ802(Split Bearer)やSCGベアラ803(Secondary Cell Group Bearer)が付随できる。スプリットベアラ802を用いる場合は、レイヤ2から下位レイヤ(たとえばレイヤ1)にユーザデータを回送する際に、1つの基地局のみにユーザデータを回送するか、2つの基地局にユーザデータを回送するかを選択することが可能である。
RLC820には、ユーザデータの無線伝送を行う前の一次処理が含まれる。たとえば、RLC820には、ユーザデータを無線品質に応じたサイズに調整するための、ユーザデータの分割(Segm.:Segmentation)が含まれる。また、RLC820には、下位層で誤り訂正ができなかったユーザデータの再送のためARQ(Automatic Repeat Request)等が含まれていてもよい。下位層にユーザデータを回送する際に、EPSベアラは、対応するロジカルチャネル(Logical Channel)にマッピングされて無線伝送される。
MAC830には、無線伝送の制御が含まれる。たとえば、MAC830には、パケットスケジューリングを行い、送信データのHARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)を実施する処理が含まれる。HARQは、キャリアアグリゲーションにおいてはアグリゲーション対象の各キャリアに対して実施される。
送信側は、MAC830において、ユーザデータであるMAC SDU(MAC Service Data Unit)にLCID(Logical Channel Identifier)を付加して送信する。受信側は、MAC830において、送信側によって付加されたLCIDを用いてラジオベアラをEPSベアラに変換する。
図9は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおいて伝送されるIPパケットのIPヘッダの一例を示す図である。実施の形態2にかかる無線通信システム200においては、たとえば図9に示すIPヘッダ900を有するIPパケットが伝送される。IPヘッダ900には、たとえば、送信元を示すソースアドレス901や、宛先を示すデスティネーションアドレス902が含まれる。また、IPヘッダ900には、QoSを行うためのToSフィールド903が含まれる。上述したQoS制御は、たとえばToSフィールド903の値に基づいて行われる。
図10は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおいて伝送されるIPパケットのIPヘッダに含まれるToSフィールドの値の一例を示す図である。図10に示すテーブル1000における「先頭3ビット」は、図9に示したToSフィールド903における先頭の3ビットに該当するIPプレシデンスを示し、2^3=8通りのパターンをとり得る。テーブル1000において、8通りのパターンは、上のパターンほど優先度(プライオリティ)が高いことを示している。
たとえば、ToSフィールド903のIPプレシデンスにおいて最も優先度が高い“111”は、IPパケットがネットワークコントロールに対応することを示し、ルーティング等の制御のために予約されている。また、ToSフィールド903のIPプレシデンスにおいて2番目に優先度が高い“110”は、IPパケットがインターネットコントロールに対応することを示し、ルーティング等の制御のために予約されている。
図10に示す例では、QoSの優先度情報としてToSフィールド903のIPプレシデンスを用いる場合について説明したが、QoSの優先度情報はこれに限らず、たとえばDSCP(Differentiated Services Code Point)フィールドを用いてもよい。DSCPは、ToSフィールド903における先頭の6ビットに該当するフィールドである。
図11は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるLTE−AおよびWLANによるアグリゲーションの一例を示す図である。LTE−AおよびWLANによるアグリゲーションにおけるレイヤ2の処理は、たとえば、LTE−Aの後方互換性を考慮し、上述したデュアルコネクティビティの処理が基本となる。
IPフロー1101は、UE211とeNB221との間のHTTP(Hypertext Transfer Protocol:ハイパーテキスト転送プロトコル)によるIPフローである。IPフロー1102は、UE211とeNB221との間のFTP(File Transfer Protocol:ファイル転送プロトコル)によるIPフローである。
オンロード処理1111は、IPフロー1101,1102を、WLANへオフロードせずにLTE−Aで送信する場合の処理を示している。このオンロード処理1111は、図1に示した第1の無線通信101による無線通信を用いたデータの伝送に対応する。オンロード処理1111においては、IPフロー1101,1102のそれぞれについて、PDCP、RLC、LTE−MAC、LTE−PHYの順に処理が行われる。このPDCP、RLC、LTE−MACは、たとえばそれぞれ図8に示したPDCP810、RLC820およびMAC830である。LTE−PHYは、LTE−Aにおける物理レイヤである。
オフロード処理1112は、IPフロー1101,1102を、WLANへオフロードして送信する場合の処理を示している。このオフロード処理1112は、図1に示した第2の無線通信102による無線通信を用いたデータの伝送に対応する。オフロード処理1112においてはIPフロー1101,1102について、PDCP TM、.11x MAC、.11x PHYの順に処理が行われる。.11x MAC、.11x PHYは、それぞれWLAN(802.11x)におけるMACレイヤおよびPHYレイヤである。
LTE−Aにおいては、IPフローは、ベアラに分類されてベアラとして管理される。これに対して、たとえばWLANの1つであるIEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers:電気電子学会)の802.11xにおいては、IPフローはベアラではなくIPフローのまま管理される。このため、マッピング管理1120のように、いずれのベアラがいずれのL2レイヤに属するかのマッピングを管理し、オンロード処理1111およびオフロード処理1112を高速に行うことが求められる。
マッピング管理1120は、たとえばUE211とeNB221との間の無線制御を行うRRCによって行われる。RRCは、ラジオベアラを管理することにより、LTE−Aによる無線通信(第1の無線通信101)を用いるオンロード処理1111とWLANによる無線通信(第2の無線通信102)を用いるオフロード処理1112とをラジオベアラレベルでサポートする。図11に示す例では、HTTPにおけるIPフローID=0のIPフロー1101がベアラID=0のベアラとして管理され、FTPのIPフローID=0のIPフロー1102がベアラID=1のベアラとして管理されている。
また、実施の形態2にかかる無線通信システム200は、オフロード処理1112においてWLANのQoSのサポートを可能にするために、オフロード処理1112においてはLTE−AにおけるPDCPを透過モード(TM)にする。これにより、IPフロー1101,1102は、秘匿化(暗号化)、ヘッダ圧縮、シーケンス番号の付加等の処理が行われずにWLANへオフロードされる。
このため、WLANにおいて、オフロードされたIPフロー1101,1102に含まれるToSフィールドを参照可能になる。たとえば、IEEE802.11eにおけるQoSにおいては、IPヘッダのToSフィールド等を参照してIPフローを4種のAC(Access Category:アクセスカテゴリ)に集約してQoSが管理される。無線通信システム200においては、WLANにおいて、オフロードされたIPフロー1101,1102に含まれるToSフィールドを参照し、ToSフィールドに基づくQoS処理を行うことが可能になる。
なお、オフロード処理1112において、WLANへ転送されたユーザデータには、たとえばWLANにおける秘匿化の処理が行われる。このため、PDCPによる秘匿化の処理が行われずにユーザデータがWLANへ転送されても、ユーザデータが秘匿化されずにeNB221とUE211との間で伝送されることを回避することができる。
WLANの秘匿化には、たとえばAES(Advanced Encryption Standard)、TKIP(Temporal Key Integrity Protocol)、WEP(Wired Equivalent Privacy)などを用いることができる。
図11に示す例においては、オフロード処理1112を行う際に、PDCPを収束点(分岐点)とし、IPフロー1101,1102がRLCおよびLTE−MACを通過しない場合について説明したが、このような処理に限らない。たとえば、オフロード処理1112を行う際に、PDCPの下位レイヤであるRLCやLTE−MACを収束点(分岐点)とし、IPフロー1101,1102が、PDCPだけでなく、RLCおよびLTE−MACを通過するようにしてもよい。このように、WLANへのオフロードを行う際の収束点(分岐点)を確立する処理部は、PDCPの処理部に限らず、RLCやLTE−MACの処理部であってもよい。
PDCP、RLC、LTE−MACなどのデータリンク層(レイヤ2)は、UE211とeNB221との間の無線区間における通信の混雑状況を把握することができる。このため、データリンク層において収束点を確立してWLANへのオフロードを行うことにより、UE211とeNB221との間の無線区間における通信の混雑状況に応じてWLANへのオフロードの実行の要否等を判断することができる。
図12は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるToSフィールドに基づくQoS制御の一例を示す図である。たとえばeNB221がWLAN通信の機能を有し、eNB221からUE211へIPパケット1201を送信する場合について説明する。eNB221は、IPパケット1201のIPヘッダにおけるToSフィールドに基づいて、IPパケット1201をボイス、ビデオ、ベストエフォート、バックグラウンドのいずれかのAC1211〜1214に分類する。
そして、実施の形態2にかかる無線通信システム200においては、WLANへのオフロードが行われる場合に、LTE−AにおけるPDCPが透過モードとなり、IPパケット1201が秘匿等をされずにWLANへオフロードされる。このため、eNB221は、WLANの処理においても、IPパケット1201のToSフィールドを参照し、ToSフィールドに基づくAC分類を行うことができる。
eNB221がWLAN通信の機能を有する場合について説明したが、eNB221がWLANのアクセスポイントへIPフローを伝送することでWLANへのオフロードを行う場合についても同様である。また、eNB221からUE211へIPパケット1201を送信する場合(下りリンク)について説明したが、UE211からeNB221へIPパケット1201を送信する場合(上りリンク)についても同様である。
図13は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるAC分類の一例を示す図である。図13において、図12に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図13においては、eNB221がWLAN通信の機能を有し、eNB221がUE211へIPパケット1301,1302を送信する場合について説明する。IPパケット1301,1302はそれぞれHTTPおよびFTPのIPパケットである。
eNB221は、IPパケット1301,1302について、IPヘッダに含まれるToSフィールドの値に基づいてAC1211〜1214いずれかに分類するToS値解析分類1310を行う。図13に示す例では、eNB221は、IPパケット1301をAC1213(ベストエフォート)に分類し、IPパケット1302をAC1214(バックグラウンド)に分類している。そして、eNB221は、ToS値解析分類1310を行ったIPパケット1301,1302をUE211へWLANにより送信する。
eNB221とUE211との間のRRCによるマッピング管理1320において、HTTPのIPパケット1301は、IPフローID=AC=2、ベアラID=0として管理される。AC=2はAC1213(ベストエフォート)を示す。また、マッピング管理1320において、FTPのIPパケット1302は、IPフローID=AC=3、ベアラID=1として管理される。AC=3はAC1214(バックグラウンド)を示す。
UE211は、eNB221の側のToS値解析分類1310(クラシフィケーション)に対応するToS値解析分類1330(デクラシフィケーション)を行うことにより、IPパケット1301,1302をそれぞれPDCP(透過モード)により終端する。
eNB221からUE211へIPパケット1301,1302を送信する場合(下りリンク)について説明したが、UE211からeNB221へIPパケット1301,1302を送信する場合(上りリンク)についても同様である。
図14は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおけるオフロードの一例を示す図である。図14においては、下りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。WLANへのオフロードは、図1に示した第2の無線通信102を用いたデータの伝送である。セカンダリeNB223は、たとえばX2インタフェースなどの基地局間インタフェースによってeNB221と通信可能であり、UE211との間でWLANでの通信が可能な基地局である。
図14に示す例では、eNB221とUE211との間に10個のEPSベアラ1400〜140nが設定されて通信が行われており、EPSベアラ1400〜140nをWLANにオフロードする場合について説明する。図14に示す例では、EPSベアラ1400〜140nは、eNB221からUE211への下り方向のベアラである。ただし、図14においては10個のEPSベアラ1400〜140nが設定されている場合について説明するが、設定されるEPSベアラの数は任意である。
EPSベアラ1400〜140nは、EBI(EPS Bearer ID)がそれぞれ0〜n(nはたとえば10)のn+1個のEPSベアラである。EPSベアラ1400〜140nの送信元(src IP)はともにコアネットワーク(CN)である。EPSベアラ1400〜140nの宛先(dst IP)はともにUE211(UE)である。
eNB221は、EPSベアラ1400〜140nをWLANにオフロードする場合に、EPSベアラ1400〜140nを、それぞれPDCPレイヤ1410〜141nを介してセカンダリeNB223へ転送する。すなわち、eNB221は、EPSベアラ1400〜140nのWLANへのオフロードを、LTE−Aのレイヤ2(図14に示す例ではPDCP)によって制御する。
このとき、eNB221は、PDCPレイヤ1410〜141nを透過モード(PDCP TM)とすることにより、EPSベアラ1400〜140nに対して、PDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等の処理が行われないようにする。これにより、EPSベアラ1400〜140nは、PDCP SDU(PDCP Service Data Unit)のままセカンダリeNB223へオフロードされる。すなわち、EPSベアラ1400〜140nは、上述したToSフィールド(QoS情報)が透過で、すなわちToSフィールドを含むIPヘッダに対する秘匿化やヘッダ圧縮等の処理が行われないでWLANへオフロードされる。PDCP SDUは、IPデータグラムと等価なデータである。
eNB221からセカンダリeNB223へのEPSベアラ1400〜140nの転送は、たとえばLTE−Aのハンドオーバと同様に行うことができる。たとえば、eNB221からセカンダリeNB223へのEPSベアラ1400〜140nの転送は、eNB221とセカンダリeNB223との間のGTPトンネル1420〜142nを用いて行うことができる。GTPトンネル1420〜142nは、eNB221とセカンダリeNB223との間にEPSベアラごとに設定されたGTPトンネルである。
セカンダリeNB223は、GTPトンネル1420〜142nを介してeNB221から転送されたEPSベアラ1400〜140nをそれぞれPDCPレイヤ1430〜143nにより受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信したEPSベアラ1400〜140nに対応する各PDCP SDUに対して、PDCP SDUのIPヘッダに含まれるToSフィールドに基づくACクラシフィケーション1440を行う。
ACクラシフィケーション1440は、セカンダリeNB223におけるWLAN(802.11e)の機能による処理である。ACクラシフィケーション1440により、たとえば図12に示したように、各PDCP SDUがボイス(VO)、ビデオ(VI)、ベストエフォート(BE)、バックグラウンド(BK)のいずれかのACに分類される。
セカンダリeNB223は、ACクラシフィケーション1440によって分類された各PDCP SDUを、WLAN1450を介してUE211へ送信する。この場合に、WLAN1450におけるSSID(Service Set Identifier:サービスセット識別子)は、たとえば「offload」とすることができる。
UE211は、WLAN1450を介して受信した各PDCP SDUに対して、PDCP SDUのIPヘッダに含まれるToSフィールドに基づくACデクラシフィケーション1460を行う。ACデクラシフィケーション1460は、UE211におけるWLAN(802.11e)の機能による処理である。
UE211は、ACデクラシフィケーション1460によって受信した各PDCP SDUを、それぞれ分類されたACに基づいてEPSベアラ1400〜140nに再分類する。そして、UE211は、再分類したEPSベアラ1400〜140nをそれぞれPDCPレイヤ1470〜147nによって処理して受信する。
このとき、eNB221におけるPDCPレイヤ1410〜141nは透過モードとなっており、EPSベアラ1400〜140nに対してPDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等の処理が行われていない。このため、UE211は、UE211におけるPDCPレイヤ1470〜147nを透過モード(PDCP TM)とすることにより、秘匿化に対する復号や、ヘッダ圧縮に対するヘッダ解凍などの処理を行わないようにする。
このように、無線通信システム200においては、EPSベアラ1400〜140nをWLAN1450へオフロードする場合に、eNB221のPDCPレイヤ1410〜141nを透過モードにすることができる。これにより、オフロード先のセカンダリeNB223において、各PDCP SDUのIPヘッダに含まれるToSフィールドが参照可能になる。このため、EPSベアラ1400〜140nをWLAN1450へオフロードする場合に、ToSフィールドに基づくACクラシフィケーション1440を行い、トラフィックの性質に応じたQoS制御を行うことができる。
一例としては、VoLTEのEPSベアラをWLAN1450へオフロードする場合に、このEPSベアラをボイス(VO)として分類して優先的にWLAN1450で伝送することで、VoLTEの通信品質を向上させることができる。
なお、WLAN1450において、IEEE802.1qで規定されるVLANタグ内のプライオリティ値を参照してAC分類を行うことも可能である。VLANタグは、VLANの識別子である。
また、LTE−A側のPDCPを透過モードに設定して秘匿化等を回避することで、WLANにおけるPHYレイヤやMACレイヤに関する既存のチップには変更を加えなくても、WLANへのオフロードにおけるQoS制御が可能になる。
図14においては、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明した。ただし、WLANへのオフロードはこれに限らず、たとえばeNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)も有する構成においてWLANへのオフロードを行ってもよい。この場合は、WLANによるUE211との通信もeNB221が行い、セカンダリeNB223は用いなくてもよい。
また、WLANへのオフロードを行わずに、LTE−Aを用いてオンロードでユーザデータを送信する場合、すなわち図1に示した第1の無線通信101を用いてユーザデータを送信する場合は、セカンダリeNB223を用いなくてもよい。この場合に、たとえば、eNB221は、PDCPレイヤ1410〜141nを、秘匿化等のPDCPの処理を行う非透過モードに設定する。そして、eNB221は、非透過モードのPDCPレイヤ1410〜141nによって処理したEPSベアラ1400〜140nを、RLC、MAC、PHYの順に処理してLTE−AによりUE211へ無線送信する。UE211は、LTE−AによりeNB221から送信されたEPSベアラ1400〜140nを、PHY、MAC、RLC、PDCP(PDCPレイヤ1470〜147n)により処理することによって受信する。この場合に、UE211は、PDCPレイヤ1470〜147nを、秘匿化に対応する復号等のPDCPの処理を行う非透過モードに設定する。
図15は、実施の形態2にかかる無線通信システムに適用可能なQoSクラスのACへのマッピングの一例を示す図である。WLANの送信側(たとえばセカンダリeNB223)は、たとえば図15のテーブル1500のように、送信対象のEPSベアラをACに分類する。たとえば、EPSベアラのQoSクラスは、QCI(QoS Class Identifier)によって識別される。
各QCIは、四つのACであるボイス(VO)、ビデオ(VI)、ベストエフォート(BE)、バックグラウンド(BK)に分類される。WLANの受信側(たとえばUE211)は、ACからQoSクラスへの変換を行う。そのために、eNB221は、オフロードするEPSベアラをUE211に事前に設定する。これに対して、たとえば下りリンクにおいて、UE211は、eNB221から設定されたEPSベアラに基づいてEPSベアラを特定することができる。また、上りリンクにおいて、UE211は、eNB221から設定されたEPSベアラに基づいてAC分類を行うことができる。
図16は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおける送信側装置による処理の一例を示すフローチャートである。図16においては、eNB221からUE211へユーザデータを送信する下りリンクの場合について説明する。
まず、eNB221は、UE211へのユーザデータについて、WLANへのオフロードを実行するか否かを判断する(ステップS1601)。ステップS1601における判断方法については後述する。
ステップS1601において、オフロードを実行しないと判断した場合(ステップS1601:No)は、eNB221は、自局のPDCPレイヤを非透過モードに設定する(ステップS1602)。非透過モードは、ユーザデータに対してPDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等の処理を行う、PDCPレイヤの通常のモードである。ステップS1602において、eNB221は、自局のPDCPレイヤに合わせてUE211のPDCPレイヤも非透過モードに設定させるようにUE211を制御してもよい。
つぎに、eNB221は、LTE−AによりUE211へのユーザデータを送信し(ステップS1603)、一連の処理を終了する。ステップS1602によってeNB221のPDCPレイヤは非透過モードに設定されているため、ステップS1603においては、PDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等が行われたユーザデータが送信される。これに対して、UE211は、PDCPレイヤにおいて、秘匿化に対する復号や、ヘッダ圧縮に対するヘッダ解凍などの処理を行うことによって、eNB221から送信されたユーザデータを受信することができる。
ステップS1601において、オフロードを実行すると判断した場合(ステップS1601:Yes)は、eNB221は、自局のPDCPレイヤを透過モードに設定する(ステップS1604)。ステップS1604において、eNB221は、自局のPDCPレイヤに合わせてUE211のPDCPレイヤも透過モードに設定させるようにUE211を制御してもよい。
つぎに、eNB221は、WLANによりUE211へのユーザデータを送信し(ステップS1605)、一連の処理を終了する。たとえば、eNB221がWLAN通信の機能を有する場合は、eNB221は、自局のWLAN通信の機能によりUE211へのユーザデータを送信する。一方、eNB221がWLAN通信の機能を有していない場合は、eNB221は、自局と接続されたWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223へUE211へのユーザデータを転送することにより、UE211へのユーザデータを送信する。
また、ステップS1604によってeNB221のPDCPレイヤは透過モードに設定されているため、ステップS1605においては、PDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等が行われずにユーザデータが送信される。このため、WLANにおいて、ToSフィールドに基づくQoS制御が可能になる。
上述したステップS1601の判断は、たとえば、UE211またはネットワーク側(たとえばPGW232)から、UE211のユーザデータについてWLANへオフロードすることが指示されているか否かに基づいて行うことができる。または、ステップS1601の判断は、たとえば、UE211へのユーザデータの量が閾値を超えたか否かに基づいて行うことができる。ユーザデータの量は、時間当りの量であってもよいし、UE211の一連のユーザデータの総量であってもよい。または、ステップS1601の判断は、たとえば、eNB221とUE211との間のLTE−Aによる通信の遅延時間や、eNB221とUE211との間のWLANによる通信の遅延時間などに基づいて行うことができる。
図16においてはeNB221からUE211へユーザデータを送信する下りリンクの場合のeNB221による処理について説明したが、UE211からeNB221へユーザデータを送信する上りリンクの場合のUE211による処理も同様である。ただし、ステップS1605における処理は、eNB221がWLAN通信の機能を有しているか否かによって異なる。eNB221がWLAN通信の機能を有している場合は、UE211は、eNB221へのユーザデータをeNB221へ直接送信する。一方、eNB221がWLAN通信の機能を有していない場合は、UE211は、eNB221と接続されたWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223へeNB221へのユーザデータを転送することにより、eNB221へのユーザデータを送信する。
図17は、実施の形態2にかかる無線通信システムにおいて複数のEPSベアラが同一のQoSクラスを有する場合の一例を示す図である。図17において、図13に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。たとえば、IPパケット1301,1302がともにバックグラウンドのIPパケットである場合に、ToS値解析分類1310において、IPパケット1301,1302はともにAC1214(バックグラウンド)に分類される。
この場合に、UE211とeNB221との間のRRCにおけるマッピング管理1320において、HTTPのIPパケット1301は、IPフローID=AC=3、ベアラID=0として管理される。また、マッピング管理1320において、FTPのIPパケット1302は、IPフローID=AC=3、ベアラID=1として管理される。
この場合に、UE211は、ToS値解析分類1310に対応するToS値解析分類1330を行っても、受信したIPパケット1301,1302のそれぞれが、ベアラID=0,1のいずれのEPSベアラであるかをACに基づいて判断することができない。
また、ユーザデータをWLANで送信する場合に、IPデータグラム(PDCP SDU)にLCIDを付加することはできない。このため、eNB221は、受信したIPパケット1301,1302のそれぞれが、ベアラID=0,1のいずれのEPSベアラであるかをLCIDに基づいて判断することができない。
このように、複数のEPSベアラが同一のQoSクラスを有する場合は、受信側(図17に示す例ではUE211)がEPSベアラを一意に識別することができない場合がある。すなわち、受信側が、受信したラジオベアラをEPSベアラに変換することができない場合がある。特に上りリンクにおいては、eNB221とPGW232との間のIPフローはEPSベアラとして管理されるため、eNB221がラジオベアラをEPSベアラに変換できない場合はeNB221からPGW232へのIPフローの伝送が困難になる。
これに対して、実施の形態2にかかる無線通信システム200においては、たとえば、UE211およびeNB221のうちの送信側が、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にオフロードしないようにする。
たとえば、送信側は、同一のQoSクラスを有する複数のEPSベアラをUE211へ送信する場合に、その複数のEPSベアラのうちの1個のみをWLANへオフロードし、残りのEPSベアラはWLANへオフロードせずにUE211へ送信する。または、送信側は、同一のQoSクラスを有する複数のEPSベアラをUE211へ送信する場合は、WLANへのオフロードを行わずにLTE−Aによる送信を行う。これにより、同一のQoSクラスを有する複数のEPSベアラが同時にWLANへオフロードされないため、WLANへオフロードされた各ユーザデータについて、UE211がACに基づいてEPSベアラを一意に特定することができる。
または、UE211およびeNB221のうちの送信側は、同一のQoSクラスを有する複数のEPSベアラをUE211へ送信する場合に、その複数のEPSベアラを1つのベアラに集約する処理を行ってもよい。複数のEPSベアラを1つのベアラに集約する処理には、たとえば3GPPのTS23.401に規定された「UE requested bearer resource modification procedure」を用いることができる。これにより、同一のQoSクラスを有する複数のEPSベアラが同時にWLANへオフロードされないため、WLANへオフロードされた各ユーザデータについて、UE211がACに基づいてEPSベアラを一意に特定することができる。
このように、実施の形態2によれば、eNB221およびUE211のうちの送信側の局は、LTE−Aを制御するRRCからの制御によりWLANを用いてユーザデータを伝送する際に、LTE−Aの処理部であるPDCPにおいてQoS情報を透過にする。
これにより、eNB221およびUE211のうちの送信側の局は、WLANにおけるユーザデータの伝送処理において、QoS情報に応じたQoS制御が可能になる。このため、WLANへのオフロードを用いてユーザデータを伝送することによる通信品質の低下を抑制する、あるいは通信品質を保つことができる。
(実施の形態3)
実施の形態3においては、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にオフロードしないという制約をなくし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる方法について説明する。なお、実施の形態3は、上述した実施の形態1を具象化した実施例として捉えることができるため、実施の形態1と組み合わせて実施できることは言うまでもない。また、実施の形態3は、実施の形態2と共通する部分についても組み合わせて実施できることは言うまでもない。
図18は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてULのTFTを用いてEPSベアラを識別する方法の一例を示す図である。図18において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図18においては、上りリンクについて、eNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有する構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。図18に示す例では、EPSベアラ1400〜140nは、UE211からeNB221への上り方向のベアラである。すなわち、EPSベアラ1400〜140nの送信元(src IP)はともにUE211(UE)である。EPSベアラ1400〜140nの宛先(dst IP)はともにコアネットワーク(CN)である。
UE211は、EPSベアラ1400〜140nをWLANにオフロードする場合に、EPSベアラ1400〜140nに対してPDCPレイヤ1470〜147nを経由させる。このとき、UE211は、PDCPレイヤ1470〜147nを透過モード(PDCP TM)とすることにより、PDCPレイヤ1470〜147nによってEPSベアラ1400〜140nに対して秘匿化やヘッダ圧縮等の処理が行われないようにする。これにより、PDCPレイヤ1470〜147nを経由したEPSベアラ1400〜140nは、PDCP SDUのままの状態となる。
UE211は、PDCPレイヤ1470〜147nを経由したEPSベアラ1400〜140nに対応する各PDCP SDUに対して、PDCP SDUのIPヘッダに含まれるToSフィールドに基づくACクラシフィケーション1810を行う。ACクラシフィケーション1810は、UE211におけるWLAN(802.11e)の機能による処理である。
ACクラシフィケーション1810によって分類された各PDCP SDUは、WLAN1450を介してeNB221へ送信される。eNB221は、WLAN1450を介して受信した各PDCP SDUに対して、PDCP SDUのIPヘッダに含まれるToSフィールドに基づくACデクラシフィケーション1820を行う。ACデクラシフィケーション1820は、eNB221におけるWLAN(802.11e)の機能による処理である。
eNB221は、ACデクラシフィケーション1820によって受信した各PDCP SDUに対して、UL(上りリンク)のTFTに基づくパケットフィルタリング1830を行う。パケットフィルタリング1830においては、各PDCP SDUが、TFTに対応する各条件(f1〜f3)を満たすか否か(match/no)によってフィルタリングされる。そして、このフィルタリングの結果に応じてEPSベアラを識別するEPSベアラクラシフィケーション1831が行われる。これにより、オフロードされた各PDCP SDUに対応するEPSベアラが識別される。eNB221におけるULのTFTの取得方法については後述する(たとえば図20参照)。
eNB221は、EPSベアラクラシフィケーション1831による識別結果に基づいて、各PDCP SDUを、PDCPレイヤ1410〜141nのうちのPDCP SDUのEPSベアラに対応するPDCPレイヤへ転送する。これにより、WLANによってオフロードされた各PDCP SDU(IPフロー)は、それぞれ対応するEPSベアラに変換されてPDCPレイヤ1410〜141nへ転送される。
PDCPレイヤ1410〜141nは、WLANによってオフロードされた各EPSベアラを終端する。このとき、UE211におけるPDCPレイヤ1470〜147nは透過モードとなっており、EPSベアラ1400〜140nに対してPDCPの秘匿化やヘッダ圧縮等の処理は行われていない。このため、eNB221は、eNB221におけるPDCPレイヤ1410〜141nを透過モード(PDCP TM)とすることにより、秘匿化に対する復号や、ヘッダ圧縮に対するヘッダ解凍などの処理を行わないようにする。PDCPレイヤ1410〜141nによって終端されたEPSベアラは、SGW231を介してPGW232へ伝送される。
このように、eNB221は、オフロードされた各PDCP SDUに対してULのTFTに基づくパケットフィルタリング1830を行うことにより、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
つぎに、WLANへのオフロードを行わずに、LTE−Aを用いてオンロードでユーザデータを送信する場合、すなわち図1に示した第1の無線通信101を用いてユーザデータを送信する場合について説明する。この場合に、たとえば、UE211は、PDCPレイヤ1470〜147nを、秘匿化等のPDCPの処理を行う非透過モードに設定する。そして、UE211は、非透過モードのPDCPレイヤ1470〜147nによって処理したEPSベアラ1400〜140nを、RLC、MAC、PHYの順に処理してLTE−AによりeNB221へ無線送信する。eNB221は、LTE−AによりUE211から送信されたEPSベアラ1400〜140nを、PHY、MAC、RLC、PDCP(PDCPレイヤ1410〜141n)により処理することによって受信する。この場合に、eNB221は、PDCPレイヤ1410〜141nを、秘匿化に対応する復号等のPDCPの処理を行う非透過モードに設定する。
図19は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてULのTFTを用いてEPSベアラを識別する方法の他の例を示す図である。図19において、図14または図18に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図19においては、上りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、eNB221とセカンダリeNB223との間には、EPSベアラごとのGTPトンネル1420〜142nが設定される。
セカンダリeNB223は、UE211からWLAN1450を介して送信された各PDCP SDUを受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信した各PDCP SDUに対して、図18に示した例と同様のACデクラシフィケーション1820およびパケットフィルタリング1830を行う。これにより、各PDCP SDUについてパケットフィルタリング1830におけるEPSベアラクラシフィケーション1831が行われ、各PDCP SDUに対応するEPSベアラが識別される。
セカンダリeNB223は、EPSベアラクラシフィケーション1831による識別結果に基づいて、各PDCP SDUを、GTPトンネル1420〜142nのうちの、PDCP SDUのEPSベアラに対応するGTPトンネルへ転送する。これにより、各PDCP SDUが、eNB221のPDCPレイヤ1410〜141nのうちの対応するPDCPレイヤへ転送される。
このように、セカンダリeNB223は、オフロードされた各PDCP SDUに対してULのTFTに基づくパケットフィルタリング1830を行うことにより、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。そして、セカンダリeNB223がEPSベアラの識別結果に応じて各PDCP SDUをGTPトンネル1420〜142nにより転送することにより、eNB221は、オフロードされた各PDCP SDUをEPSベアラとして受信することができる。
このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図20は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおけるTFTの取得方法の一例を示す図である。図20に示す各ステップは、3GPPのTS23.401に規定された「Dedicated Bearer Activation Procedure」の処理である。図20に示すPCRF2001(Policy and Charging Rules Function)は、パケットコア網230に接続された、サービスに応じた優先制御や課金のルールを設定するための処理部である。
たとえば、PGW232は、UE211についてULおよびDLのTFTを設定し、設定したTFTを、図20に示すクリエイトベアラリクエスト2002に格納してSGW231へ送信する。SGW231は、PGW232から送信されたクリエイトベアラリクエスト2002をMME233へ送信する。
MME233は、SGW231から送信されたクリエイトベアラリクエスト2002に含まれるTFTを含むベアラセットアップリクエスト/セッションマネジメントリクエスト2003をeNB221へ送信する。TFTは、たとえばベアラセットアップリクエスト/セッションマネジメントリクエスト2003におけるセッションマネジメントリクエストに含まれる。これにより、eNB221は、ULおよびDLのTFTを取得することができる。
eNB221は、MME233から送信されたベアラセットアップリクエスト/セッションマネジメントリクエスト2003に含まれるTFTのうちのULのTFTを含むRRCコネクションリコンフィギュレーション2004をUE211へ送信する。これにより、UE211は、ULのTFTを取得することができる。なお、UL TFTはRRCコネクションリコンフィギュレーションメッセージ中に規定することは可能であるが、好ましくは、当該メッセージ中で伝送されるNAS(Non Access Stratum) PDUに規定する。以降も同様である。
たとえば図18に示した例において、eNB221は、ベアラセットアップリクエスト/セッションマネジメントリクエスト2003から取得したULのTFTを用いてパケットフィルタリング1830を行うことができる。また、図19に示した例において、eNB221は、ベアラセットアップリクエスト/セッションマネジメントリクエスト2003から取得したULのTFTをセカンダリeNB223へ送信する。そして、セカンダリeNB223は、eNB221から送信されたULのTFTに基づいてパケットフィルタリング1830を行うことができる。
図21は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてDLのTFTを用いてEPSベアラを識別する方法の一例を示す図である。図21において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図21においては、下りリンクについて、eNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有する構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。図21に示す例では、EPSベアラ1400〜140nは、eNB221からUE211への下り方向のベアラである。
UE211は、ACデクラシフィケーション1460によって受信した各PDCP SDUに対して、DL(下りリンク)のTFTに基づくパケットフィルタリング2110を行う。UE211によるパケットフィルタリング2110は、DLのTFTに基づく処理であるため、たとえば図7に示したPGW232におけるフィルタレイヤ711によるパケットフィルタリングと同様の処理である。
パケットフィルタリング2110においては、各PDCP SDUが、TFTに対応する各条件(f1〜f3)を満たすか否か(match/no)によってフィルタリングされる。そして、このフィルタリングの結果に応じてEPSベアラを識別するEPSベアラクラシフィケーション2111が行われる。これにより、オフロードされた各PDCP SDUに対応するEPSベアラが識別される。
たとえば、eNB221は、図20に示したUE211へのRRCコネクションリコンフィギュレーション2004に、ULのTFTに加えてDLのTFTも格納する。これにより、UE211は、RRCコネクションリコンフィギュレーション2004からDLのTFTを取得し、取得したDLのTFTに基づくパケットフィルタリング2110を行うことができる。
UE211は、EPSベアラクラシフィケーション2111による識別結果に基づいて、各PDCP SDUを、PDCPレイヤ1470〜147nのうちのPDCP SDUのEPSベアラに対応するPDCPレイヤへ転送する。これにより、WLANによってオフロードされた各PDCP SDU(IPフロー)は、それぞれ対応するEPSベアラに変換されてPDCPレイヤ1470〜147nへ転送される。
このように、UE211は、オフロードされた各PDCP SDUに対してDLのTFTに基づくパケットフィルタリング2110を行うことにより、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図22は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてDLのTFTを用いてEPSベアラを識別する方法の他の例を示す図である。図22において、図14または図21に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図22においては、下りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、eNB221とセカンダリeNB223との間には、EPSベアラごとのGTPトンネル1420〜142nが設定される。
セカンダリeNB223は、UE211からWLAN1450を介して送信された各PDCP SDUを受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信した各PDCP SDUをPDCPレイヤ1430〜143nへ転送する。
これにより、図21に示した例と同様に、UE211は、オフロードされた各PDCP SDUに対してDLのTFTに基づくパケットフィルタリング2110を行うことにより、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図18〜図22に示したTFTを用いた方法によれば、たとえばVLANタグを用いる場合のようにオフロード可能なEPSベアラの数がVLANタグのビット数に制限されずにEPSベアラを識別可能である。また、図18〜図22に示したTFTを用いた方法によれば、オフロードされたユーザデータにVLANタグ等のヘッダを追加しなくてもEPSベアラを識別可能である。
図23は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいて仮想IPフローを用いてEPSベアラを識別する方法の一例を示す図である。図23において、図14に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図23においては、下りリンクについて、eNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有する構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。図23に示す例では、EPSベアラ1400〜140nは、eNB221からUE211への下り方向のベアラである。
また、図23に示す例では、eNB221におけるPDCPレイヤ1410〜141nとWLAN1450との間に仮想GW2310が設定される。仮想GW2310には、NAT処理部2320〜232nおよびMAC処理部2330(802.3 MAC)が含まれる。また、UE211におけるWLAN1450とPDCPレイヤ1470〜147nとの間に仮想GW2340が設定される。仮想GW2340には、MAC処理部2350(802.3 MAC)およびde−NAT処理部2360〜236nが含まれる。
透過モードのPDCPレイヤ1410〜141nを経由したEPSベアラ1400〜140nは、仮想GW2310のNAT処理部2320〜232nへ転送される。NAT処理部2320〜232nは、それぞれEPSベアラ1400〜140nを、仮想宛先IPアドレスによって仮想IPフローに分類するNAT(Network Address Translation)処理を行う。仮想IPフローは、たとえばeNB221とUE211との間のローカルな仮想データフローである。仮想宛先IPアドレスは、仮想IPフローの宛先アドレスである。NAT処理部2320〜232nは、分類した各仮想IPフローをMAC処理部2330へ転送する。
たとえば、NAT処理部2320〜232nは、EPSベアラ1400〜140nと仮想宛先IPアドレスを一対一でマッピングする。NAT処理部2320〜232nから転送される各仮想IPフローの仮想送信元IPアドレス(src IP)は、たとえば仮想GW2310(vGW)とすることができる。また、NAT処理部2320〜232nから転送される各仮想IPフローの仮想宛先IPアドレス(dst IP)は、たとえばそれぞれC−RNTI+0〜C−RNTI+10とすることができる。
C−RNTI(Cell−Radio Network Temporary Identifier:セル無線ネットワーク一時識別子)は、UE211に一時的に割り当てられ、LTE−Aセル内でUE211の一意な識別子である。たとえば、C−RNTIは16ビットの値を有する。図23に示す例のように、C−RNTIとベアラ識別子(0〜10)を加算して仮想送信元IPアドレスを生成することで、仮想送信元IPアドレスの重複の発生を回避することができる。たとえば、クラスAのIPアドレスを使用する場合に、オフロードには十分となる約24ビット分のEPSベアラを識別可能になる。ここではC−RNTIとベアラ識別子を加算して仮想送信元IPアドレスを生成する場合について説明したが、仮想送信元IPアドレスを生成する方法についてはこれに限らない。
MAC処理部2330は、NAT処理部2320〜232nから転送された各仮想IPフローをイーサネットやIEEE 802.3等のMACフレームに変換する。なお、イーサネットは登録商標である。この場合に、MACフレームの送信元MACアドレス(src MAC)は、たとえば仮想GW2310,2340における任意のプライベートアドレス(any private)とすることができる。たとえばMACフレームの送信元MACアドレスは、先頭のオクテットを「xxxxxx10」としたアドレス(xは任意の値)とすることができる。また、MACフレームの宛先MACアドレス(dst MAC)はたとえばUE211のMACアドレス(UE MAC)とすることができる。
eNB221は、MAC処理部2330によって変換されたMACフレームに対してACクラシフィケーション1440を行い、ACクラシフィケーション1440を行ったMACフレームを、WLAN1450を介してUE211へ送信する。
UE211は、WLAN1450を介してeNB221から受信したMACフレームに対してACデクラシフィケーション1460を行う。仮想GW2340のMAC処理部2350は、ACデクラシフィケーション1460が行われたMACフレームを仮想IPフローとして受信する。
de−NAT処理部2360〜236nは、MAC処理部2350によって受信された仮想IPフローについて、仮想IPフローの仮想宛先IPアドレス(dst IP)を参照することにより、仮想IPフローをEPSベアラに変換する。このとき、仮想IPフローの仮想宛先IPアドレスは、de−NAT処理部2360〜236nによるde−NATによって本来のIPアドレスに変換される。
このように、eNB221およびUE211にそれぞれ仮想GW2310,2340を設定し、NATを利用することで、仮想GW2310,2340においてEPSベアラを仮想IPフローとして識別することができる。IPアドレスとMACアドレスは、プライベート空間のアドレスで構成することができる。このように仮想GW2310,2340の間で仮想IPネットワークを構築することで、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図23においては下りリンクについて説明したが、上りリンクについても同様の方法によりEPSベアラを識別することができる。すなわち、eNB221およびUE211に設定した仮想GW2310,2340の間で仮想IPネットワークを構築することで、上りリンクにおいてオフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。
図24は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいて仮想IPフローを用いてEPSベアラを識別する方法の他の例を示す図である。図24において、図14または図23に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図24においては、下りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、eNB221とセカンダリeNB223との間には、EPSベアラごとのGTPトンネル1420〜142nが設定される。
図23に示したNAT処理部2320〜232nは、図24に示す例ではセカンダリeNB223に設定される。セカンダリeNB223は、UE211からWLAN1450を介して送信された各PDCP SDUを受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信した各PDCP SDUを仮想GW2310のNAT処理部2320〜232nへ転送する。
これにより、図23に示した例と同様に、仮想GW2310,2340においてEPSベアラを仮想IPフローとして識別可能になる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図24においては下りリンクについて説明したが、上りリンクについても同様の方法によりEPSベアラを識別することができる。すなわち、セカンダリeNB223およびUE211に設定した仮想GW2310,2340の間で仮想IPネットワークを構築することで、上りリンクにおいてオフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。
図23,図24に示した仮想IPフローを用いた方法によれば、たとえばVLANタグを用いる場合のようにオフロード可能なEPSベアラの数がVLANタグのビット数に制限されずにEPSベアラを識別可能である。また、図23,図24に示した仮想IPフローを用いた方法によれば、eNB221とセカンダリeNB223との間は、GTPトンネルに限らずイーサネット等により接続することも可能である。
また、図23,図24に示した仮想IPフローを用いた方法によれば、UE211にDLのTFTを設定したり、eNB221にULのTFTを設定したりしなくても、EPSベアラを識別可能である。また、図23,図24に示した仮想IPフローを用いた方法によれば、オフロードされたユーザデータにVLANタグ等のヘッダを追加しなくてもEPSベアラを識別可能である。
図25は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてVLANを用いてEPSベアラを識別する方法の一例を示す図である。図25において、図14または図23に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図23においては仮想IPネットワークを構築することによりEPSベアラを識別する方法について説明したが、図25においてはイーサネットを仮想化するVLANによりEPSベアラを識別する方法について説明する。
また、図25においては、下りリンクについて、eNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有する構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、EPSベアラ1400〜140nは、eNB221からUE211への下り方向のベアラである。
図25に示す例においては、図23に示した例と同様にeNB221およびUE211にそれぞれ仮想GW2310,2340が設定される。ただし、図25に示す例においては、eNB221の仮想GW2310には、VLAN処理部2510〜251nおよびMAC処理部2520〜252n(802.3 MAC)が含まれる。また、UE211の仮想GW2340には、MAC処理部2530〜253n(802.3 MAC)およびde−VLAN処理部2540〜254nが含まれる。
透過モードのPDCPレイヤ1410〜141nを経由したEPSベアラ1400〜140nは、仮想GW2310のVLAN処理部2510〜251nへ転送される。VLAN処理部2510〜251nは、それぞれEPSベアラ1400〜140nを、eNB221とUE211との間のローカルなIPフローにVLANによって分類し、分類した各IPフローをMAC処理部2520〜252nへ転送する。
たとえば、VLAN処理部2510〜251nは、EPSベアラ1400〜140nとVLANタグを一対一でマッピングする。VLAN処理部2510〜251nから転送される各IPフローのVLANの識別子は、それぞれ0〜10とすることができる。
MAC処理部2520〜252nは、それぞれVLAN処理部2510〜251nから転送された各IPフローをイーサネットやIEEE 802.3等のMACフレームに変換する。MAC処理部2520〜252nによって変換される各MACフレームの送信元MACアドレス(src MAC)は、たとえば仮想GW2310,2340における任意のプライベートアドレス(any private)とすることができる。たとえば、MACフレームの送信元MACアドレスは、先頭のオクテットを「xxxxxx10」としたアドレス(xは任意の値)とすることができる。また、MAC処理部2520〜252nによって変換される各MACフレームの宛先MACアドレス(dst MAC)は、たとえばUE211のMACアドレス(UE MAC)とすることができる。
また、MAC処理部2520〜252nによって変換される各MACフレームのVLANタグ(VLAN tag)は、たとえばそれぞれのEPSベアラに対応する0〜10とすることができる。このように、各MACフレームには、EPSベアラごとのVLANタグが付加される。VLANタグは、たとえば12ビットのタグである。このため、最大で4094個のVLANを仮想GW2310,2340の間で構築することが可能である。仮に、UE211を含む各UEが全てのEPSベアラを張っており、全てのEPSベアラをオフロードすると、約372局のUEをWLANに収容することが可能である。ただし、実際に全てのEPSベアラを張って通信を行う可能性は低いため、VLANを用いることで十分な数のEPSベアラをオフロードすることが可能である。
eNB221は、MAC処理部2520〜252nによって変換されたVLANタグ付きのMACフレームに対してACクラシフィケーション1440を行う。そして、eNB221は、ACクラシフィケーション1440を行ったVLANタグ付きのMACフレームを、WLAN1450を介してUE211へ送信する。
UE211は、WLAN1450を介してeNB221から受信したVLANタグ付きのMACフレームに対してACデクラシフィケーション1460を行う。仮想GW2340のMAC処理部2530〜253nは、それぞれEPSベアラ1400〜140nに対応するMAC処理部である。MAC処理部2530〜253nのそれぞれは、ACデクラシフィケーション1460が行われたMACフレームについて、MACフレームに付されたVLANタグを参照することにより、対応するEPSベアラのMACフレームをIPフロードして受信する。
de−VLAN処理部2540〜254nは、それぞれMAC処理部2530〜253nによって受信されたIPフローをEPSベアラ1400〜140nに変換する。PDCPレイヤ1470〜147nは、それぞれde−VLAN処理部2540〜254nによって変換されたEPSベアラ1400〜140nを処理する。
このように、仮想GW2310,2340の間においてEPSベアラごとにVLANを設定することで、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図25においては下りリンクについて説明したが、上りリンクについても同様の方法によりEPSベアラを識別することができる。すなわち、eNB221およびUE211に設定した仮想GW2310,2340の間においてEPSベアラごとにVLANを設定することで、上りリンクにおいてオフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。
図26は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてVLANを用いてEPSベアラを識別する方法の他の例を示す図である。図26において、図14または図25に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図26においては、下りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、eNB221とセカンダリeNB223との間には、EPSベアラごとのGTPトンネル1420〜142nが設定される。
図25に示したVLAN処理部2510〜251nは、図26に示す例ではセカンダリeNB223に設定される。セカンダリeNB223は、UE211からWLAN1450を介して送信された各PDCP SDUを受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信した各PDCP SDUを仮想GW2310のVLAN処理部2510〜251nへ転送する。
これにより、図25に示した例と同様に、仮想GW2310,2340においてEPSベアラを仮想IPフローとして識別可能になる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図26においては下りリンクについて説明したが、上りリンクについても同様の方法によりEPSベアラを識別することができる。すなわち、セカンダリeNB223およびUE211に設定した仮想GW2310,2340の間にEPSベアラごとにVLANを設定することで、上りリンクにおいてオフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。
図25,図26に示したVLANを用いた方法によれば、eNB221とセカンダリeNB223との間は、GTPトンネルに限らずイーサネット等により接続することも可能である。また、図25,図26に示したVLANを用いた方法によれば、WLANにおいて、IPヘッダを参照したパケットの処理を行わなくても、VLANタグの付加によって各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。また、図25,図26に示したVLANを用いた方法によれば、UE211にDLのTFTを設定したり、eNB221にULのTFTを設定したりしなくてもEPSベアラを識別可能である。
図27は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてGREトンネリングを用いてEPSベアラを識別する方法の一例を示す図である。図27において、図14または図23に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図27においては、下りリンクについて、eNB221がWLAN通信の機能(eNB+WLAN)を有する構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。図27に示す例では、EPSベアラ1400〜140nは、eNB221からUE211への下り方向のベアラである。
また、図27に示す例では、eNB221におけるPDCPレイヤ1410〜141nとWLAN1450との間に仮想GW2310が設定される。仮想GW2310には、GRE処理部2710〜271nおよびMAC処理部2330(802.3 MAC)が含まれる。また、UE211におけるWLAN1450とPDCPレイヤ1470〜147nとの間に仮想GW2340が設定される。仮想GW2340には、MAC処理部2350(802.3 MAC)およびde−GRE処理部2720〜272nが含まれる。
透過モードのPDCPレイヤ1410〜141nを経由したEPSベアラ1400〜140nは、仮想GW2310のGRE処理部2710〜271nへ転送される。GRE処理部2710〜271nは、それぞれEPSベアラ1400〜140nを、eNB221とUE211との間のローカルなIPフローにGRE(Generic Routing Encapsulation)トンネリングを用いて分類し、分類した各IPフローをMAC処理部2330へ転送する。
たとえば、GRE処理部2710〜271nは、EPSベアラ1400〜140nに対応するPDCP SDUに対して、GREヘッダを付加し、さらにIPヘッダを付加してIPフローとしてMAC処理部2330へ転送する。GRE処理部2710〜271nから転送される各IPフローの送信元IPアドレス(src IP)は、たとえば仮想GW2310(vGW)とすることができる。また、GRE処理部2710〜271nから転送される各IPフローの宛先IPアドレス(dst IP)は、たとえばそれぞれC−RNTI+0〜C−RNTI+10とすることができる。
MAC処理部2330は、たとえば図23に示した例と同様に、GRE処理部2710〜271nから転送された各IPフローをイーサネット(IEEE 802.3)のMACフレームに変換する。
eNB221は、MAC処理部2330によって変換されたMACフレームに対してACクラシフィケーション1440を行い、ACクラシフィケーション1440を行ったMACフレームを、WLAN1450を介してUE211へ送信する。これにより、eNB221は、eNB221とUE211との間に設定したWLANのGREトンネル(カプセル化トンネル)でユーザデータを伝送することができる。
UE211は、WLAN1450を介してeNB221から受信したMACフレームに対してACデクラシフィケーション1460を行う。仮想GW2340のMAC処理部2350は、たとえば図23に示した例と同様に、ACデクラシフィケーション1460が行われたMACフレームをIPフローとして受信する。
de−GRE処理部2720〜272nは、MAC処理部2350によって受信されたIPフローについて、IPフローのIPヘッダに含まれる宛先IPアドレス(dst IP)を参照することにより、IPフローをEPSベアラに変換する。
このように、eNB221およびUE211にそれぞれ仮想GW2310,2340を設定し、GREトンネリングを利用することで、仮想GW2310,2340においてEPSベアラをIPフローとして識別することができる。IPアドレスとMACアドレスは、プライベート空間のアドレスで構成することができる。このように仮想GW2310,2340の間でGREトンネルを構築することで、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図27においては下りリンクについて説明したが、上りリンクについても同様の方法によりEPSベアラを識別することができる。すなわち、仮想GW2310,2340の間でGREトンネルを構築することで、上りリンクにおいてオフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。
図28は、実施の形態3にかかる無線通信システムにおいてGREトンネリングを用いてEPSベアラを識別する方法の他の例を示す図である。図28において、図14または図27に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。
図28においては、下りリンクについて、eNB221がマスタeNBとなり、eNBおよびWLAN通信の機能を有するセカンダリeNB223を用いるWLAN独立型の構成においてWLANへのオフロードを行う場合について説明する。この場合に、eNB221とセカンダリeNB223との間には、EPSベアラごとのGTPトンネル1420〜142nが設定される。
セカンダリeNB223は、UE211からWLAN1450を介して送信された各PDCP SDUを受信する。そして、セカンダリeNB223は、受信した各PDCP SDUをGRE処理部2710〜271nへ転送する。
これにより、図27に示した例と同様に、UE211は、GREトンネリングを利用することで、オフロードされた各PDCP SDUのEPSベアラを識別することができる。このため、無線通信システム200は、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくてもWLANへのオフロードを可能にし、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
図27,図28に示したGREトンネリングを用いた方法によれば、たとえばVLANタグを用いる場合のようにオフロード可能なEPSベアラの数がVLANタグのビット数に制限されずにEPSベアラを識別可能である。また、図27,図28に示したGREトンネリングを用いた方法によれば、eNB221とセカンダリeNB223との間は、GTPトンネルに限らずイーサネット等により接続することも可能である。
また、図27,図28に示したGREトンネリングを用いた方法によれば、UE211にDLのTFTを設定したり、eNB221にULのTFTを設定したりしなくてもEPSベアラを識別可能である。また、図27,図28に示したGREトンネリングを用いた方法によれば、オフロードされたユーザデータにVLANタグ等のヘッダを追加しなくてもEPSベアラを識別可能である。
このように、実施の形態3によれば、同一のQoSクラスを有するEPSベアラを同時にWLANへオフロードしないという制約を設けなくても、WLANへのオフロードが可能になる。このため、オフロード可能なユーザデータの量の増加を図ることができる。
ただし、eNB221からUE211への下りリンクにおいて、UE211がラジオベアラとして受信したユーザデータをベアラに変換せずに自局の上位層(たとえばアプリケーションレイヤ)に回送すればよい場合がある。このような場合は、複数のEPSベアラが同一のQoSクラスを有する場合であっても、UE211がベアラを識別せずに、WLANへのオフロードを行うことができる。
以上説明したように、無線通信システム、基地局および移動局によれば、通信品質の低下を抑制する、あるいは通信品質を保つことができる。
仮に、WLANへのオフロードにおいてToSフィールドが参照不可である場合は、たとえば全てのトラフィックをベストエフォートとすることが考えられるが、この場合はトラフィックの性質に応じたQoS制御ができない。一例としては、VoLTEのトラフィックもベストエフォートとなり、VoLTEの通信品質が劣化する。
これに対して、上述した各実施の形態によれば、WLANへのオフロードにおいてLTE−AのPDCPを透過モードにすることで、WLANにおいてToSフィールドが参照可能になり、トラフィックの性質に応じたQoS制御が可能になる。一例としては、VoLTEのトラフィックはボイス(VO)に分類して優先的にWLANで伝送することで、VoLTEの通信品質を向上させることができる。
また、3GPPのLTE−Aでは、第五世代移動体通信も視野に入れ、増加するモバイルトラフィックへの対応とユーザエクスペリエンスの向上を目指し、他の無線システムと連携しセルラ通信を行えるようにシステム高度化の検討が進められている。特に、家庭や企業に加え、スマートホンにも広く実装されているWLANとの連携が課題となる。
LTEのRelease8では、LTE−Aのコア網でユーザデータをWLANにオフロードする技術が標準化された。LTE−AのRelease12では、WLANの無線チャネル使用率やユーザのオフロード志向等を考慮してオフロードができるようになった。また、LTE−Aの基地局間で周波数キャリアを集約(アグリゲーション)しユーザデータを同時伝送する二元接続(Dual Connectivity)が標準化された。
LTE−AのRelease13では、アンライセンス周波数帯域を活用した無線アクセス方式であるLAA(License Assisted Access)の検討が開始された。LAAは、LTE−Aにアンライセンス周波数帯域とライセンス周波数帯域のキャリアアグリゲーションであり、LTE−Aの制御チャネルによってアンライセンス周波数帯域の無線伝送を制御するレイヤ1の技術である。
また、LAAとは異なり、LTE−AとWLANをレイヤ2でアグリゲーションし、双方が連携してセルラ通信を行うための標準化も開始されようとしている。これはLTE−WLANアグリゲーションと呼ばれている。LTE−WLANアグリゲーションでは、上述した方法と比較して以下のような利点がある。
まず、コア網におけるオフロード技術では、LTE−Aの無線品質に応じた高速なオフロードが困難であり、オフロードの際にはコア網に送信される制御信号のオーバヘッドが生じる。LTE−WLANアグリゲーションでは、オフロードはLTE−Aのレイヤ2で実施されるため、LTE−Aの無線品質を迅速に反映でき、かつコア網への制御信号も不要である。
また、LAAではLTE−Aの無線品質に応じた高速なオフロードは可能であるが、LTE−Aの基地局外のWLANと協調したオフロードは困難である。これに対して、LTE−WLANアグリゲーションでは、レイヤ2レベルでLTE−Aの基地局と設置済みのWLANのアクセスポイントを接続すれば協調したオフロードが可能となる。
現在、WLANがLTE−Aの基地局に組み込まれているシナリオだけではなく、独立に設置されているシナリオも想定して標準化が進められようとしている。この場合に、WLAN側でLTE−Aの呼(ベアラ)を識別し、LTEベアラのQoSクラスを考慮してユーザデータの伝送が可能となるレイヤ2の構成の確立が重要になる。そのために、LTE−Aの後方互換性を担保することと、WLANの仕様にインパクトを与えないことが求められる。これについて、たとえば、IPフローをレイヤ2の手前でカプセル化する方法も考えられるが、LTE−AのベアラをWLAN側で識別できるレイヤ2の構成については検討の余地がある。
上述した各実施の形態によれば、LTE−A側のレイヤ2におけるPDCPの処理を工夫することにより、LTEベアラのQoSクラスを考慮しつつWLANへのオフロードが可能になる。
なお、上述した各実施の形態においては、LTE−A側のレイヤ2におけるPDCPを透過モードにする処理について説明したが、他の方法も可能である。たとえば、オフロードするデータについて、PDCPに対する秘匿化等の処理を行いつつ、秘匿化等の処理を行ったデータの先頭に、秘匿化等の処理の前のデータのIPヘッダを付加してもよい。これにより、WLANにおいて、秘匿化等の処理の前のデータのIPヘッダに含まれるQoS情報を参照し、QoS情報に基づく伝送制御を行うことが可能になる。
上述した各実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)第1の無線通信を制御する制御部により前記第1の無線通信と異なる第2の無線通信を制御する基地局と、
前記第1の無線通信または前記第2の無線通信を用いて前記基地局との間でデータ伝送が可能な移動局と、
を含み、前記基地局と前記移動局との間で前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、前記基地局および前記移動局のうちの送信側の局における前記第1の無線通信を行うための処理部は、前記第1の無線通信を行うための収束点を確立し、前記収束点において、前記データに含まれるサービス品質情報を透過にして、前記基地局および前記移動局のうちの受信側の局へ前記データを伝送する、
ことを特徴とする無線通信システム。
(付記2)前記送信側の局における前記第1の無線通信を行うための処理部は、
前記基地局と前記移動局との間で前記第2の無線通信を用いずに前記第1の無線通信を用いてデータを伝送する際に、前記データに対して、秘匿化、ヘッダ圧縮およびシーケンス番号の付加の少なくともいずれかを含む処理を行い、
前記基地局と前記移動局との間で前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、前記データに対して、前記秘匿化、ヘッダ圧縮およびシーケンス番号の付加の少なくともいずれかを含む処理を行わない、
ことを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
(付記3)前記送信側の局における前記第1の無線通信を行うための処理部は、前記収束点において、前記基地局と前記移動局との間の複数のベアラを集約し、集約したベアラによって前記受信側の局へ前記データを伝送することを特徴とする付記1に記載の無線通信システム。
(付記4)前記制御部は、前記基地局と前記移動局との間の複数のベアラであって、前記サービス品質情報が示すサービスクラスが同一である複数のベアラの各データを前記第2の無線通信を用いて同時に伝送しないように、前記受信側の局への前記データの伝送を制御することを特徴とする付記1または2に記載の無線通信システム。
(付記5)前記基地局から前記移動局へ前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、前記移動局は、前記第2の無線通信を用いて受信したデータを、前記基地局と前記移動局との間の前記第1の無線通信のベアラのうちの前記データに対応するベアラを識別せずに処理することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の無線通信システム。
(付記6)前記移動局から前記基地局へ前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、前記基地局は、前記第2の無線通信を用いて受信したデータに対して、前記移動局から前記基地局への上りリンクにおけるフィルタリング規則を用いたパケットフィルタリングを行うことによって、前記基地局と前記移動局との間の前記第1の無線通信のベアラのうちの前記受信したデータに対応するベアラを識別することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の無線通信システム。
(付記7)前記基地局から前記移動局へ前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、前記移動局は、前記第2の無線通信を用いて受信したデータに対して、前記基地局から前記移動局への下りリンクにおけるフィルタリング規則を用いたパケットフィルタリングを行うことによって、前記基地局と前記移動局との間の前記第1の無線通信のベアラのうちの前記受信したデータに対応するベアラを識別することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の無線通信システム。
(付記8)前記基地局と前記移動局との間で前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、
前記送信側の局は、前記基地局と前記移動局との間に設定した前記第2の無線通信の仮想データフローによって前記データを伝送し、
前記受信側の局は、前記データを受信した仮想データフローの宛先アドレスによって、前記基地局と前記移動局との間の前記第1の無線通信のベアラのうちの受信した前記データに対応するベアラを識別する、
ことを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の無線通信システム。
(付記9)前記基地局と前記移動局との間で前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、
前記送信側の局は、前記基地局と前記移動局との間に設定した前記第2の無線通信の仮想構内通信網によって前記データを伝送し、
前記受信側の局は、前記データを受信した仮想構内通信網の識別子によって、前記基地局と前記移動局との間の前記第1の無線通信のベアラのうちの受信した前記データに対応するベアラを識別する、
ことを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の無線通信システム。
(付記10)前記基地局と前記移動局との間で前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、
前記送信側の局は、前記基地局と前記移動局との間に設定した前記第2の無線通信のカプセル化トンネルによって前記データを伝送し、
前記受信側の局は、前記データを受信したカプセル化トンネルの宛先アドレスによって、前記基地局と前記移動局との間の前記第1の無線通信のベアラのうちの受信した前記データに対応するベアラを識別する、
ことを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の無線通信システム。
(付記11)前記基地局と前記移動局との間で前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、前記基地局および前記移動局は、前記第1の無線通信のデータを伝送するための前記第2の無線通信の通信路を前記基地局と前記移動局との間に設定し、設定した通信路によって前記データを伝送することを特徴とする付記1〜10のいずれか一つに記載の無線通信システム。
(付記12)前記第2の無線通信においては、前記サービス品質情報に基づく伝送制御が行われることを特徴とする付記1〜11のいずれか一つに記載の無線通信システム。
(付記13)移動局との間で第1の無線通信または前記第1の無線通信と異なる第2の無線通信を用いてデータ伝送が可能な基地局において、
前記第1の無線通信および前記第2の無線通信を制御する制御部と、
前記第1の無線通信を行うための処理部であって、前記基地局から前記移動局へ前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、前記第1の無線通信を行うための収束点を確立し、前記収束点において、前記データに含まれるサービス品質情報を透過にして前記移動局へ前記データを伝送する処理部と、
を備えることを特徴とする基地局。
(付記14)第1の無線通信を制御する制御部により前記第1の無線通信と異なる第2の無線通信を制御する基地局との間で、前記第1の無線通信または前記第2の無線通信を用いてデータ伝送が可能な移動局であって、
前記第1の無線通信を行うための処理部であって、前記移動局から前記基地局へ前記第2の無線通信を用いてデータを伝送する際に、前記第1の無線通信を行うための収束点を確立し、前記収束点において、前記データに含まれるサービス品質情報を透過にして前記基地局へ前記データを伝送する処理部を備える、
ことを特徴とする移動局。