JPWO2016129342A1 - 顔料分散組成物及びその製造方法、重合性組成物、遮光膜、並びに、固体撮像装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、遮光性に優れ、低反射性を示し、塗布環境依存性が小さく、更に欠けが生じにくい遮光膜を塗布法により製造するのに好適に用いられる、顔料分散組成物及びその製造方法、上記顔料分散組成物を含む重合性組成物、遮光膜、及び、固体撮像装置を提供する。本発明の顔料分散組成物の製造方法は、黒色顔料及び第1分散剤を含む第1顔料分散物と、黒色顔料及び第2分散剤を含む第2顔料分散物とを混合して、顔料分散組成物を製造する工程を有し、第1分散剤のSP値と第2分散剤のSP値との差の絶対値が1.0MPa1/2超である。

Description

本発明は、顔料分散組成物及びその製造方法、重合性組成物、遮光膜、並びに、固体撮像装置に関する。
固体撮像装置は、撮影レンズと、この撮影レンズの背後に配されるCCD(電荷結合素子)及びCMOS(相補性金属酸化膜半導体)等の固体撮像素子と、この固体撮像素子が実装される回路基板とを備える。この固体撮像装置は、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話、及び、スマートフォン等に搭載される。
固体撮像装置においては、可視光の反射に由来してノイズが発生する場合がある。そこで、特許文献1においては、固体撮像装置内に所定の遮光膜を設けることにより、ノイズの発生の抑制を図っている。固体撮像装置用の遮光膜を形成するための組成物としては、チタンブラック等の黒色顔料を含有する遮光性組成物が使用されている。
特開2012−169556号公報
一方、遮光膜には、近年、様々な要求が求められている。
例えば、固体撮像装置の小型化、薄型化、及び、高感度化に伴い、遮光膜のより一層の低反射化が求められている。特に、生産性に優れるスピンコート法などの塗布法により上記のような低反射性の遮光膜を形成することができれば、工業的な点から好ましい。
また、塗布法を実施する場合、その塗布環境によって得られる遮光膜の性質が変化しないことが望ましい。より具体的には、工業的な観点からは、塗布の際の環境が常に一定であることが望ましい。しかしながら、天候及び季節の変化に伴って塗布時の湿度が変わる場合や、塗布の際に溶媒の排気量が変わる場合がある。このように湿度及び排気量などの塗布環境が変わった場合にも、所定の特性を示す遮光膜が得られることが望まれる。つまり、塗布環境依存性が小さい遮光膜が望まれている。なお、塗布環境依存性とは、塗布環境によって、遮光膜の光学特性がどの程度変わるかを表し、塗布環境依存性が高い場合は、塗布環境が変わると、得られる遮光膜の光学特性も大きく変わってしまうことを意図する。
更に、遮光膜は所定の部材上にパターン状に形成されて、固体撮像装置内に配置される場合が多い。なお、部材を固体撮像装置内に配置する前には、部材上の異物を除去するために、部材に対して洗浄液を高圧で吹き付ける洗浄処理が施されることがある。このような洗浄処理の際にも、遮光膜の欠けが生じないことが求められている。
つまり、遮光性に優れると共に、低反射性を示し、塗布環境依存性が小さく、更に欠けが生じにくい遮光膜を塗布法により製造することが望まれている。
本発明者らは、特許文献1で具体的に開示されている重合性組成物を用いて塗布法により遮光膜を製造し、上記特性について検討を行ったところ、上記特性を全て満たす遮光膜は得られず、さらなる改良が必要であることを知見した。
本発明は、上記実情に鑑みて、遮光性に優れ、低反射性を示し、塗布環境依存性が小さく、更に欠けが生じにくい遮光膜を塗布法により製造するのに好適に用いられる、顔料分散組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記顔料分散組成物を含む重合性組成物、遮光膜、及び、固体撮像装置を提供することも目的とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意研究した結果、SP(Solubility Parameter)値が異なる2種の分散剤を用いて得られる顔料分散組成物を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 黒色顔料及び第1分散剤を含む第1顔料分散物と、黒色顔料及び第2分散剤を含む第2顔料分散物とを混合して、顔料分散組成物を製造する工程を有し、
第1分散剤のSP値と第2分散剤のSP値との差の絶対値が1.0MPa1/2超である、顔料分散組成物の製造方法。
(2) 第1分散剤及び第2分散剤のうちいずれか一方が、後述する一般式(X)で表される高分子化合物であり、
第1分散剤及び第2分散剤のうち他方が、グラフト鎖を有する構造単位を含む高分子化合物である、(1)に記載の顔料分散組成物の製造方法。
(3) グラフト鎖を有する構造単位が、後述する式(1)〜式(4)で表される構造単位から選択された1種以上の構造単位を含む、(2)に記載の顔料分散組成物の製造方法。
(4) 黒色顔料が、チタンブラックである、(1)〜(3)のいずれかに記載の顔料分散組成物の製造方法。
(5) 第1分散剤のSP値と第2分散剤のSP値との差の絶対値が1.5MPa1/2超である、(1)〜(4)のいずれかに記載の顔料分散組成物の製造方法。
(6) 黒色顔料と、第1分散剤と、第2分散剤とを有し、
第1分散剤のSP値と第2分散剤のSP値との差の絶対値が1.0MPa1/2超であり、
第1分散剤及び第2分散剤のうちいずれか一方が、後述する一般式(X)で表される高分子化合物であり、
第1分散剤及び第2分散剤のうち他方が、後述する式(1)〜式(4)で表される構造単位から選択された1種以上の構造単位を含む高分子化合物である、顔料分散組成物。
(7) 黒色顔料が、チタンブラックである、(6)に記載の顔料分散組成物。
(8) 第1分散剤のSP値と第2分散剤のSP値との差の絶対値が1.5MPa1/2超である、(6)又は(7)に記載の顔料分散組成物。
(9) (6)〜(8)のいずれかに記載の顔料分散組成物、重合性化合物、及び、重合開始剤を含む、重合性組成物。
(10) 更に、第1分散剤のSP値及び第2分散剤のSP値のうちいずれか一方のSP値との差の絶対値が0.5MPa1/2以内であるSP値を有するバインダーポリマーを含む、(9)に記載の重合性組成物。
(11) (9)又は(10)に記載の重合性組成物を用いて形成された遮光膜。
(12) (11)に記載の遮光膜を備える、固体撮像装置。
本発明によれば、遮光性に優れ、低反射性を示し、塗布環境依存性が小さく、更に欠けが生じにくい遮光膜を塗布法により製造するのに好適に用いられる、顔料分散組成物及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、上記顔料分散組成物を含む重合性組成物、遮光膜、及び、固体撮像装置を提供することもできる。
膜補修工程の手順を示す断面図である。 第1実施形態の固体撮像装置を示す斜視図である。 第1実施形態の固体撮像装置の分解斜視図である。 第1実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 第2実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 第3実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 第4実施形態の固体撮像装置を示す断面図である。 実施例で使用するパターンを有するマスクの概略図である。 パターン状の遮光膜の断面写真である。 補修膜を形成した遮光膜の断面写真である。 (A)及び(B)は、エッチング処理後の遮光膜の断面写真である。 エッチング処理前後の遮光膜の透過分光特性を表す図である。 エッチング処理前後の遮光膜の反射率を表す図である。
以下に、本発明の顔料分散組成物及びその製造方法、重合性組成物、遮光膜、並びに、固体撮像装置の好適態様について詳述する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
また本明細書中における「放射線」は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、及び、X線等を含むものを意味する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタアクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリル及びメタアクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書中において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性基とは、重合反応に関与する基をいう。
上述したように、本発明の特徴点の一つとしては、SP値が異なる2種の分散剤を用いている点が挙げられる。以下、本発明の効果が得られる理由に関して、推測を述べる。
まず、2種のSP値の異なる分散剤を使用すると、塗布法により形成された遮光膜の状態においてこの2つの分散剤の層分離が起こる。このような層分離が生じると、遮光膜表面上に凹凸構造が形成され、そのような構造が光を反射して、低反射化に寄与している。
また、特許文献1に記載されるような1種の分散剤のみを使用している場合は、遮光膜を作製した際に、分散剤以外のバインダー(例えば、アルカリ可溶性樹脂)との間で相分離が進行し、分散剤を含む領域と分散剤を含まない領域とが形成されやすく、黒色顔料は分散剤を含む領域に偏在してしまう。このような層分離の構造は、湿度環境及び排気環境などの塗布環境によって大きく変化する。例えば、黒色顔料を含まない領域の大きさが塗布環境によって大きく変わってしまう。そのため、塗布環境によって得られる遮光膜の構造が変化し、その光学特性(特に、反射率)が変わってしまう。つまり、塗布環境依存性が高い。それに対して、上述した2種のSP値の異なる分散剤を使用する場合、分散剤間で相分離が生じるものの、両者の領域に黒色顔料が含まれるため、遮光膜全体としてみれば黒色顔料が均一に分散している。そのため、上記のような黒色顔料が含まれない領域が生じにくく、塗布環境依存性が小さい。
更に、上記2種のSP値の異なる分散剤を使用する場合、現像時にアンダーカットが生じにくく、洗浄時の欠けを防止している。
以下では、まず、本発明の顔料分散組成物の製造方法について述べた後、顔料分散組成物及び固体撮像装置について詳述する。
<<顔料分散組成物の製造方法>>
本発明の顔料分散組成物の製造方法は、少なくとも、黒色顔料及び第1分散剤を含む第1顔料分散物と、黒色顔料及び第2分散剤を含む第2顔料分散物とを混合して、顔料分散組成物を製造する工程(以後、「工程3」とも称する)を有する。
工程3で使用される第1顔料分散物及び第2顔料分散物は、市販品を使用しても、製造してもよい。通常、混合工程の前には、上記第1顔料分散物を用意する工程(以後、「工程1」とも称する)及び上記第2顔料分散物を用意する工程(以後、「工程2」とも称する)が実施される。なお、工程1及び工程2は順不同で実施されてよく、工程1を実施した後、工程2を実施してもよいし、工程2を実施した後、工程1を実施してもよい。また、工程1と工程2を同時に実施してもよい。
以下では、工程1〜工程3の順番に、各工程の手順について詳述する。
<工程1>
工程1は、黒色顔料及び第1分散剤を含む第1顔料分散物を用意する工程である。上述したように、第1顔料分散物は市販品を使用してもよく、黒色顔料と第1分散剤とを混合して第1顔料分散物を製造してもよい。
以下では、黒色顔料と第1分散剤とを混合して第1顔料分散物を製造する工程の手順について詳述する。
本工程で使用される黒色顔料及び第1分散剤の態様については、後段で詳述する。
黒色顔料と第1分散剤との質量比(黒色顔料の質量/第1分散剤の質量)は特に制限されないが、黒色顔料の分散性がより優れ、遮光膜の特性がより優れる点で、1〜10が好ましく、2.0〜5.0がより好ましい。
また、第1顔料分散物を製造する際には、必要に応じて、黒色顔料及び第1分散剤以外の他の成分を合わせて使用してもよい。例えば、他の成分としては、後述する重合性組成物に含まれていてもよい成分(例えば、溶媒、重合性化合物、バインダーポリマー)などが挙げられる。
なお、第1顔料分散物に溶媒が含まれる場合、溶媒の含有量としては、黒色顔料の分散性がより優れ、遮光膜の特性がより優れる点で、第1顔料分散物全質量に対して、10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。
黒色顔料及び第1分散剤を混合する方法は特に制限されず、公知の方法が採用される。例えば、攪拌機、ホモジナイザー、高圧乳化装置、湿式粉砕機、及び、湿式分散機など公知の混合装置を用いて、黒色顔料及び第1分散剤を混合して、第1顔料分散物を調製することができる。
混合装置の具体例として、例えば、寿工業株式会社製のウルトラアペックスミル、及び、株式会社シンマルエンタープライセス製のダイノーミルNPMシリーズなどが挙げられる。
混合処理時の温度としては、特に制限はなく、分散安定性の観点から、5〜70℃が好ましく、20〜60℃がより好ましい。
また、混合処理は、ビーズを用いて行なうことが好ましい。ビーズの組成やサイズ(直径)については、特に限定はなく、公知の組成や直径を適用できる。ビーズとしては、例えば、直径が0.01mm〜0.30mmのビーズが好適である。
なお、混合処理は、溶媒の存在下にして実施することが好ましい。溶媒を使用する場合、黒色顔料に対する溶媒の質量比率〔溶媒/黒色顔料〕としては、分散の容易さの観点から、1.0〜9.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましい。
<工程2>
工程2は、黒色顔料及び第2分散剤を含む第2顔料分散物を用意する工程である。上述したように、第2顔料分散物は市販品を使用してもよく、黒色顔料と第2分散剤とを混合して第2顔料分散物を製造してもよい。
第2顔料分散物を製造する手順としては、上記工程1で述べた方法が挙げられ、ここでは説明を省略する。
本工程で使用される黒色顔料及び第2分散剤の態様については、後段で詳述する。
黒色顔料と第2分散剤との質量比(黒色顔料の質量/第2分散剤の質量)は特に制限されないが、黒色顔料の分散性がより優れ、遮光膜の特性がより優れる点で、1〜10が好ましく、2.0〜5.0がより好ましい。
また、第2顔料分散物を製造する際には、必要に応じて、黒色顔料及び第2分散剤以外の他の成分を合わせて使用してもよい。例えば、他の成分としては、後述する重合性組成物に含まれていてもよい成分(例えば、溶媒、重合性化合物、バインダーポリマー)などが挙げられる。
なお、第2顔料分散物に溶媒が含まれる場合、溶媒の含有量としては、黒色顔料の分散性がより優れ、遮光膜の特性がより優れる点で、第2顔料分散物全質量に対して、10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。
また、工程1で使用される第1分散剤のSP値と、工程2で使用される第2分散剤のSP値との差の絶対値は、1.0MPa1/2超である。なかでも、遮光膜がより低反射性である、遮光膜の欠けが生じにくい、塗布環境依存性が小さい、及び、パターン解像性に優れる、の少なくともいずれか1つの効果が得られる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、上記差の絶対値は1.5MPa1/2超が好ましく、2.5MPa1/2以上がより好ましい。上記差の上限値は特に制限されないが、通常、5.0MPa1/2以下の場合が多く、4.0MPa1/2以下の場合がより多い。
なお、上記差の絶対値とは、|第1分散剤のSP値−第2分散剤のSP値|で表される値を意図する。
第1分散剤のSP値及び第2分散剤のSP値の範囲は上記関係を満たしていればよいが、本発明の効果がより優れる点で、16〜24MPa1/2が好ましく、17〜22MPa1/2がより好ましい。
また、本発明の効果がより優れる点で、第1分散剤のSP値及び第2分散剤のSP値の一方のSP値が18.5MPa1/2未満であることが好ましく、18.0MPa1/2未満であることがより好ましい。
第1分散剤のSP値及び第2分散剤のSP値の一方のSP値が18.5MPa1/2未満である場合、第1分散剤のSP値及び第2分散剤のSP値の他方のSP値は19.5MPa1/2以上であることが好ましく、20.0MPa1/2以上であることが好ましい。
本発明におけるSP値とは、溶解性パラメータのことであるが、沖津法で測定した溶解性パラメータのことを示す。沖津法については、日本接着学会誌、Vol.29、No.5(1993)に詳細に記載されている。第1分散剤及び第2分散剤のSP値は以下のようにして求められた値を指す。まず、第1分散剤及び第2分散剤を形成するためのモノマーのSP値を沖津法により求める。次に、モノマー種毎に、モノマーのSP値と第1分散剤及び第2分散剤中におけるモノマーの質量分率との積を求める。次に、モノマー種毎に求められた上記の積を合算することにより、第1分散剤及び第2分散剤のSP値が求められる。
例えば、SP値15MPa1/2のモノマーA(10質量%)と、SP値18MPa1/2のモノマーB(20質量%)と、SP値20MPa1/2のモノマーC(70質量%)と、の共重合体である樹脂aのSP値は、下記式により求められる。
樹脂aのSP値(MPa1/2):15(MPa1/2)×(10/100)+18(MPa1/2)×(20/100)+20(MPa1/2)×(70/100)=19.1(MPa1/2
<工程3>
工程3は、第1顔料分散物と、第2顔料分散物とを混合して、顔料分散組成物を製造する工程である。
本工程での混合方法は特に制限されず、上述した工程1で述べた混合装置を用いた方法が挙げられる。
なお、上記工程1〜工程3のそれぞれの後に、必要に応じて、異物の除去による遮光膜の欠陥の低減などの目的で、フィルタで濾過する処理を実施することが好ましい。
フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)、及び、ナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.1〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜2.5μm程度、より好ましくは0.2〜1.5μm程度、更に好ましくは0.3〜0.7μmである。この範囲とすることにより、黒色顔料のろ過詰まりを抑えつつ、黒色顔料に含まれる不純物及び凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、又は大きい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)、及び、株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。第2のフィルタの孔径は、0.2〜10.0μm程度が適しており、好ましくは0.2〜7.0μm程度、より好ましくは0.3〜6.0μm程度である。
<<顔料分散組成物(以後、単に「組成物」とも称する)>>
上述した製造方法によって、黒色顔料、第1分散剤、及び、第2分散剤を含む顔料分散組成物が得られる。上述したように、第1分散剤及び第2分散剤は、所定のSP値の関係を満たす。なお、上述したように、2種の分散剤を使用することにより遮光膜の表面に凹凸構造を作製して低反射化を実現しているため、本発明の顔料分散組成物ではマット剤(黒色顔料は含まない)は必須の構成要素ではなく、含まれないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
顔料分散組成物中における黒色顔料の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物の全固形分(全固形分質量)に対して、5〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましい。
顔料分散組成物中における第1分散剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物の全固形分(全固形分質量)に対して、1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。
顔料分散組成物中における第2分散剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物の全固形分(全固形分質量)に対して、1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。
なお、固形分とは、遮光膜を構成し得る成分を意図し、溶媒は含まれない。
顔料分散組成物中において、第1分散剤と第2分散剤との質量比(第1分散剤の質量/第2分散剤の質量)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.1〜9.0が好ましく、0.2〜3.0がより好ましい。
以下、顔料分散組成物に含まれる各成分について詳述する。
<黒色顔料>
黒色顔料は、各種公知の黒色顔料を用いることができる。特に、少量で高い光学濃度を実現できる観点から、カーボンブラック、チタンブラック、酸化チタン、酸化鉄、酸化マンガン、及び、グラファイト等が好ましく、なかでも、カーボンブラック、及び、チタンブラックのうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、特にチタンブラックが好ましい。
より具体的には、市販品である、C.I.Pigment Black 1等の有機顔料、及び、Pigment Black 7等の無機顔料も用いることができる。
黒色顔料は、チタンブラックを含有することが好ましい。
チタンブラックとは、チタン原子を含有する黒色粒子である。好ましくは低次酸化チタン及び酸窒化チタン等である。チタンブラック粒子は、分散性向上、及び、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は、酸化ジルコニウムでチタンブラック粒子を被覆することが可能であり、また、特開2007−302836号公報に表されるような撥水性物質での処理も可能である。
チタンブラックは、典型的には、チタンブラック粒子であり、個々の粒子の一次粒径及び平均一次粒径のいずれもが小さいものであることが好ましい。
具体的には、平均一次粒径で10nm〜45nmの範囲のものが好ましい。なお、本発明における粒径、即ち、粒子直径とは、粒子の外表面の投影面積と等しい面積をもつ円の直径である。粒子の投影面積は、電子顕微鏡写真での撮影により得られた面積を測定し、撮影倍率を補正することにより得られる。
チタンブラックの比表面積は特に制限されないが、かかるチタンブラックを撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET法にて測定した値が通常5m/g以上150m/g以下であり、特に20m/g以上120m/g以下であることが好ましい。
チタンブラックの市販品の例としては、チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、13M−T(商品名:以上、三菱マテリアル(株)製)、ティラック(Tilack)D(商品名:赤穂化成(株)製)などが挙げられる。
更に、チタンブラックを、チタンブラック及びSi原子を含む被分散体として含有することも好ましい。
この形態において、チタンブラックは、組成物中において被分散体として含有されるものであり、被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)が質量換算で0.05以上であることが好ましい。
ここで、上記被分散体は、チタンブラックが一次粒子の状態であるもの、凝集体(二次粒子)の状態であるものの双方を包含する。
なお、本発明における被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)は、0.5以下において被分散体を使用した顔料分散物の製造がしやすくなる傾向となるため、その上限は0.5であることが好ましい。
また、被分散体を使用した遮光膜を光リソグラフィー等によりパターニングした際に、除去部に残渣が残りにくく、遮光能が優れる点で、被分散体のSi/Tiは、0.05以上0.5以下であることがより好ましく、0.07以上0.4以下であることが更に好ましい。
被分散体のSi/Tiを変更する(例えば、0.05以上とする)ためには、以下のような手段を用いることができる。
先ず、酸化チタンとシリカ粒子とを分散機を用いて分散することにより混合物を得て、この混合物を高温(例えば、850〜1000℃)にて還元処理することにより、チタンブラック粒子を主成分とし、SiとTiとを含有する被分散体を得ることができる。
ここで、被分散体のSi/Tiを変更するための具体的な態様について説明する。
Si/Tiが、例えば、0.05以上等に調整されたチタンブラックは、例えば、特開2008−266045公報の段落〔0005〕及び段落〔0016〕〜〔0021〕に記載の方法により作製することができる。
本発明においては、チタンブラック及びSi原子を含む被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)を好適な範囲(例えば0.05以上)に調整することで、この被分散体を含む組成物を用いて遮光膜を形成した際に、遮光膜の形成領域外における組成物由来の残渣物が低減される。なお、残渣物は、チタンブラック粒子、樹脂成分等の組成物に由来する成分を含むものである。
残渣物が低減される理由は未だ明確ではないが、上記のような被分散体は小粒径となる傾向があり(例えば、粒径が30nm以下)、更に、この被分散体のSi原子が含まれる成分が増すことにより、膜全体の下地との吸着性が低減され、これが、遮光膜の形成における未硬化の組成物(特に、チタンブラック)の現像除去性の向上に寄与すると推測している。
また、チタンブラックは、紫外光から赤外光までの広範囲に亘る波長領域の光に対する遮光性に優れることから、上記したチタンブラック及びSi原子を含む被分散体(好ましくはSi/Tiが質量換算で0.05以上であるもの)を用いて形成された遮光膜は優れた遮光性を発揮する。
なお、被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)は、例えば、特開2013−249417号公報の段落0033に記載の方法(1−1)又は方法(1−2)を用いて測定できる。
また、組成物を硬化して得られた遮光膜に含有される被分散体について、その被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)が0.05以上か否かを判断するには、特開2013−249417号公報の段落0035に記載の方法(2)を用いる。
チタンブラック及びSi原子を含む被分散体において、チタンブラックは、上記したものを使用できる。
また、この被分散体においては、チタンブラックと共に、分散性及び着色性等を調整する目的で、Cu、Fe、Mn、V、及び、Ni等の複合酸化物、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、及び、アニリンブラック等からなる黒色顔料を、1種又は2種以上を組み合わせて、被分散体として併用してもよい。
この場合、全被分散体中の50質量%以上をチタンブラックからなる被分散体が占めることが好ましい。
また、この被分散体においては、遮光性の調整等を目的として、本発明の効果を損なわない限りにおいて、チタンブラックと共に、他の着色剤(有機顔料や染料など)を所望により併用してもよい。
以下、被分散体にSi原子を導入する際に用いられる材料について述べる。被分散体にSi原子を導入する際には、シリカなどのSi含有物質を用いればよい。
用いうるシリカとしては、例えば、沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、及び、合成シリカなどを挙げることができ、これらを適宜選択して使用すればよい。
更に、シリカ粒子の粒径が遮光膜を形成した際に膜厚よりも小さい粒径であると遮光性がより優れるため、シリカ粒子として微粒子タイプのシリカを用いることが好ましい。なお、微粒子タイプのシリカの例としては、例えば、特開2013−249417号公報の段落0039に記載のシリカが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明の組成物は、チタンブラックを1種のみを含有するものであってもよく、2種以上を含有してもよい。
<黒色顔料以外の顔料>
本発明の組成物は、黒色顔料に加えて、必要に応じて体質顔料を含んでいてもよい。このような体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナ白、グロス白、チタンホワイト、及び、ハイドロタルサイト等を挙げることができる。これらの体質顔料は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。体質顔料の使用量は、黒色顔料100質量部に対して、通常、0〜100質量部、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。本発明において、黒色顔料及び体質顔料は、場合により、それらの表面をポリマーで改質して使用することができる。
また、黒色顔料に加えて、必要に応じて赤色、青色、黄色、緑色、及び、紫色等の着色有機顔料を含んでいてもよい。着色有機顔料を併用する場合としては、赤色顔料を黒色顔料に対して1〜40質量%用いることが好ましく、赤色顔料としてはピグメントレッド254であることが好ましい。
<第1分散剤及び第2分散剤>
第1分散剤及び第2分散剤は、上記黒色顔料を分散させる分散剤(顔料分散剤)として機能する化合物である。第1分散剤及び第2分散剤は、上述したSP値の関係を満たしていればその種類は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、第1分散剤及び第2分散剤のうちいずれか一方が、一般式(X)で表される高分子化合物であり、第1分散剤及び第2分散剤のうち他方が、グラフト鎖を有する構造単位を含む高分子化合物であることが好ましい。なお、グラフト鎖を有する構造単位としては、後述する式(1)〜式(4)で表される構造単位から選択された1種以上の構造単位が好適に挙げられる。
一般式(X)で表される高分子化合物のSP値は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、16MPa1/2以上が好ましく、17MPa1/2以上がより好ましく、22MPa1/2以下が好ましく、21MPa1/2以下がより好ましく、19MPa1/2以下が更に好ましく、18.5MPa1/2未満が特に好ましく、18.0MPa1/2未満が最も好ましい。
グラフト鎖を有する構造単位を含む高分子化合物のSP値は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、18MPa1/2以上が好ましく、19MPa1/2以上がより好ましく、19.5MPa1/2以上が更に好ましく、20.0MPa1/2以上が特に好ましく、24MPa1/2以下が好ましく、22MPa1/2以下がより好ましく、22MPa1/2以下が更に好ましい。
以下、一般式(X)で表される高分子化合物、及び、グラフト鎖を有する構造単位を含む高分子化合物に関して詳述する。
(一般式(X)で表される高分子化合物(以後、高分子化合物Xとも称する))
以下、一般式(X)における各基について詳細に説明する。
なお、高分子化合物Xが有する、上記置換基A1は黒色顔料と相互作用することができるので、高分子化合物Xはn個(1〜9個)の置換基A1を有することにより黒色顔料と強固に相互作用することができる。また、高分子化合物Xがm個有するポリマー鎖P1は立体反発基として機能することができ、m個有することにより良好な立体反発力を発揮して黒色顔料を均一に分散することができる。
上記一般式(X)中、Aは、酸基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、フェノール基、アルキル基、アリール基、アルキレンオキシ鎖を有する基、イミド基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、カルボン酸塩基、スルホンアミド基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基及び複素環基のような黒色顔料に対する吸着能を有する官能基を表す。
なお、以下、この黒色顔料に対する吸着能を有する部位(上記官能基)を、適宜、「吸着部位」と総称して、説明する。
吸着部位は、1つのAの中に、少なくとも1個含まれていればよく、2個以上含まれていてもよい。
1つのAの中に、2個以上の吸着部位が含まれる態様としては、例えば、鎖状飽和炭化水素基(直鎖状でも分岐状であってもよく、炭素数(炭素原子数)1〜10であることが好ましい)、環状飽和炭化水素基(炭素数3〜10であることが好ましい)、又は、芳香族基(炭素数5〜10であることが好ましく、例えば、フェニレン基)等を介して2個以上の吸着部位が結合し1価の置換基Aを形成する態様等が挙げられる。なかでも、鎖状飽和炭化水素基を介して2個以上の吸着部位が結合し1価の置換基Aを形成する態様が好ましい。
なお、吸着部位自体が1価の置換基を構成する場合には、吸着部位そのものがAで表される1価の置換基であってもよい。
まず、Aを構成する吸着部位について以下に説明する。
「酸基」としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、及び、ホウ酸基が好ましい例として挙げられ、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基、ホスホン酸基、及び、ホスフィン酸基がより好ましく、カルボン酸基が更に好ましい。
「ウレア基」としては、例えば、−NR15CONR1617(ここで、R15、R16、及びR17は各々独立に、水素原子、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又は炭素数7以上のアラルキル基を表す。)が好ましい例として挙げられ、−NR15CONHR17(ここで、R15及びR17は各々独立に、水素原子、炭素数1から10までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又は、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)がより好ましく、−NHCONHR17(ここで、R17は水素原子、炭素数1から10までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又は炭素数7以上のアラルキル基を表す。)が更に好ましい。
「ウレタン基」としては、例えば、−NHCOOR18、−NR19COOR20、−OCONHR21、及び、−OCONR2223(ここで、R18、R19、R20、R21、R22及びR23は各々独立に、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又は、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)などが好ましい例として挙げられ、−NHCOOR18、及び、−OCONHR21(ここで、R18、R21は各々独立に、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)などがより好ましく、−NHCOOR18、及び、−OCONHR21(ここで、R18、R21は各々独立に、炭素数1から10までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又は、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)などが更に好ましい。
「配位性酸素原子を有する基」としては、例えば、アセチルアセトナト基、及び、クラウンエーテルなどが挙げられる。
「塩基性窒素原子を有する基」としては、例えば、アミノ基(−NH)、置換イミノ基(−NHR、−NR10、ここで、R、R、及びR10は各々独立に、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又は、炭素数7以上のアラルキル基を表す。)、下記式(a1)で表されるグアニジル基、及び、下記式(a2)で表されるアミジニル基などが好ましい例として挙げられる。
式(a1)中、R11及びR12は各々独立に、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又は、炭素数7以上のアラルキル基を表す。
式(a2)中、R13及びR14は各々独立に、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6以上のアリール基、又は、炭素数7以上のアラルキル基を表す。
これらの中でも、アミノ基(−NH)、置換イミノ基(−NHR、−NR10、ここで、R、R、及びR10は各々独立に、炭素数1から10までのアルキル基、フェニル基、又は、ベンジル基を表す。)、式(a1)で表されるグアニジル基〔式(a1)中、R11及びR12は各々独立に、炭素数1から10までのアルキル基、フェニル基、又は、ベンジル基を表す。〕、及び、式(a2)で表されるアミジニル基〔式(a2)中、R13及びR14は各々独立に、炭素数1から10までのアルキル基、フェニル基、又は、ベンジル基を表す。〕などがより好ましい。
特に、アミノ基(−NH)、置換イミノ基(−NHR、−NR10、ここで、R、R、及びR10は各々独立に、炭素数1から5までのアルキル基、フェニル基、又は、ベンジル基を表す。)、式(a1)で表されるグアニジル基〔式(a1)中、R11及びR12は各々独立に、炭素数1から5までのアルキル基、フェニル基、又は、ベンジル基を表す。〕、及び、式(a2)で表されるアミジニル基〔式(a2)中、R13及びR14は各々独立に、炭素数1から5までのアルキル基、フェニル基、又は、ベンジル基を表す。〕などが好ましく用いられる。
「アルキル基」としては、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。また、炭素数1〜40のアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜30のアルキル基であることがより好ましく、炭素数10〜18のアルキル基であることが更に好ましい。
「アリール基」としては、炭素数6〜10のアリール基であることが好ましい。
「アルキレンオキシ鎖を有する基」としては、末端がアルキルオキシ基又は水酸基を形成していることが好ましく、炭素数1〜20のアルキルオキシ基を形成していることがより好ましい。また、アルキレンオキシ鎖としては、少なくとも1つのアルキレンオキシ基を有する限り特に制限はないが、炭素数1〜6のアルキレンオキシ基からなることが好ましい。アルキレンオキシ基としては、例えば、−CHCHO−、及び、−CHCHCHO−等が挙げられる。
「アルキルオキシカルボニル基」におけるアルキル基部分としては、炭素数1から20までのアルキル基であることが好ましい。
「アルキルアミノカルボニル基」におけるアルキル基部分としては、炭素数1から20までのアルキル基であることが好ましい。
「カルボン酸塩基」としては、カルボン酸のアンモニウム塩からなる基などが挙げられる。
「スルホンアミド基」としては、窒素原子に結合する水素原子がアルキル基(メチル基等)、及び、アシル基(アセチル基、トリフルオロアセチル基など)等で置換されていてもよい。
「複素環基」としては、例えば、チオフェン基、フラン基、キサンテン基、ピロール基、ピロリン基、ピロリジン基、ジオキソラン基、ピラゾール基、ピラゾリン基、ピラゾリジン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、チアジアゾール基、ピラン基、ピリジン基、ピペリジン基、ジオキサン基、モルホリン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、トリアジン基、トリチアン基、イソインドリン基、イソインドリノン基、ベンズイミダゾロン基、ベンゾチアゾール基、ヒダントイン基、インドール基、キノリン基、カルバゾール基、アクリジン基、アクリドン基、及び、アントラキノン基が挙げられる。
「イミド基」としては、コハクイミド基、フタルイミド基、及び、ナフタルイミド基等のイミド基が挙げられる。
なお、「複素環基」及び「イミド基」は、更に置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6から16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボン酸基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1から20までのアルコキシ基、ハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、及び、t−ブチルカーボネート基等の炭酸エステル基等が挙げられる。
「アルコキシシリル基」としては、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、及び、トリアルコキシシリル基のいずれでもよいが、トリアルコキシシリル基であることが好ましく、例えば、トリメトキシシリル基、及び、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
「エポキシ基」としては、置換又は無置換のオキシラニル基(エチレンオキシド基)が挙げられる。
特に、Aは、pKa5以上の官能基を少なくとも1種有する1価の置換基であることが好ましく、pKa5〜14の官能基を少なくとも1種有する1価の置換基であることがより好ましい。
ここでいう「pKa」とは、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載されている定義のものである。
上記pKa5以上の官能基としては、配位性酸素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する基、フェノール基、ウレア基、ウレタン基、アルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルキレンオキシ鎖を有する基、イミド基、カルボン酸塩基、スルホンアミド基、水酸基、及び、複素環基等が挙げられる。
pKa5以上の官能基として具体的には、例えば、フェノール基(pKa 8〜10程度)、アルキル基(pKa 46〜53程度)、アリール基(pKa 40〜43程度)、ウレア基(pKa 12〜14程度)、ウレタン基(pKa 11〜13程度)、配位性酸素原子としての−COCHCO−(pKa 8〜10程度)、スルホンアミド基(pKa 9〜11程度)、水酸基(pKa 15〜17程度)、及び、複素環基(pKa 12〜30程度)等が挙げられる。
上記の中では、Aとして、酸基、フェノール基、アルキル基、アリール基、アルキレンオキシ鎖を有する基、水酸基、ウレア基、ウレタン基、スルホンアミド基、イミド基及び配位性酸素原子を有する基よりなる群から選択される基を少なくとも1種有する1価の置換基であることが好ましい。
一般式(1)中、Rは単結合又は2価の連結基を表す。n個のRは、同一であっても、異なっていてもよい。
で表される2価の連結基としては、1から100個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から200個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
としては、単結合、又は、1から10個までの炭素原子、0個から5個までの窒素原子、0個から10個までの酸素原子、1個から30個までの水素原子、及び0個から5個までの硫黄原子から成り立つ2価の連結基が好ましい。
としては、鎖状飽和炭化水素基(直鎖状でも分岐状であってもよく、炭素数1〜20であることが好ましい)、環状飽和炭化水素基(炭素数3〜20であることが好ましい)、芳香族基(炭素数5〜20であることが好ましく、例えば、フェニレン基)、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、窒素原子、及びカルボニル基よりなる群から選択される基、或いはこれらの2つ以上を組み合わせた基がより好ましく、鎖状飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、芳香族基、チオエーテル結合、エステル結合、エーテル結合、及びアミド結合よりなる群から選択される基、或いはこれらの2つ以上を組み合わせた基が更に好ましく、鎖状飽和炭化水素基、チオエーテル結合、エステル結合、エーテル結合、及びアミド結合よりなる群から選択される基、或いはこれらの2つ以上を組み合わせた基が特に好ましい。
上記のうち、Rで表される2価の連結基が置換基を有する場合、置換基としては、例えば、炭素数1から20までのアルキル基、炭素数6から16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボン酸基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1から6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、及び、t−ブチルカーボネート基等の炭酸エステル基等が挙げられる。
一般式(X)中、Rは、(m+n)価の連結基を表す。m+nは3〜10を満たす。
で表される(m+n)価の連結基としては、1から100個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から200個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
で表される(m+n)価の連結基は下記一般式のいずれかで表される基であることが好ましい。
上記一般式中、
は3価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、3個存在するTは互いに同一であっても異なっていてもよい。
は4価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、4個存在するTは互いに同一であっても異なっていてもよい。
は5価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、5個存在するTは互いに同一であっても異なっていてもよい。
は6価の基を表す。Tは単結合又は2価の連結基を表し、6個存在するTは互いに同一であっても異なっていてもよい。
で表される(m+n)価の連結基の具体的な例〔具体例(1)〜(17)〕を以下に示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
上記の具体例の中でも、原料の入手性、合成の容易さ、各種溶媒への溶解性の観点から、最も好ましい(m+n)価の連結基は下記(1)、(2)、(10)、(11)、(16)、(17)の基である。
一般式(X)中、mは8以下の正の数を表す。mとしては、0.5〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
また、一般式(X)中、nは1〜9を表す。nとしては、2〜8が好ましく、2〜7がより好ましく、3〜6が特に好ましい。
一般式(X)中、Pはポリマー鎖を表し、公知のポリマーなどから目的等に応じて選択することができる。m個のPは、同一であっても、異なっていてもよい。
ポリマーの中でも、ポリマー鎖を構成するには、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、及びこれらの変性物、又は共重合体〔例えば、ポリエーテル/ポリウレタン共重合体、ポリエーテル/ビニルモノマーの重合体の共重合体など(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。)を含む。〕からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、及び、これらの変性物又は共重合体からなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体が特に好ましい。
ポリマー鎖Pが有し得るビニルモノマーの重合体又は共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマーとしては、それぞれ、下記一般式(L)、(M)、(N)で表される構造を有することが好ましい。
上記一般式中、
は、水素原子又は1価の有機基を表す。合成上の制約の観点から、好ましくは水素原子、又は、炭素数1〜12のアルキル基であり、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が更に好ましい。
10は、水素原子又は1価の有機基を表し、特に構造上限定はされないが、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、又は、ヘテロアリール基であり、更に好ましくは、水素原子、又は、アルキル基である。R10がアルキル基である場合、アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が更に好ましい。一般式(L)中に構造の異なるR10を2種以上有していてもよい。
11及びR12は、分岐若しくは直鎖のアルキレン基(炭素数は、1〜10が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜6が更に好ましい。)を表す。各一般式中に構造の異なるR11又はR12を2種以上有していてもよい。
k1、k2、及び、k3は、それぞれ独立に、5〜140の数を表す。
ポリマー鎖Pは、少なくとも1種の繰り返し単位を含有することが好ましい。
ポリマー鎖Pにおける、少なくとも1種の繰り返し単位の繰り返し単位数kが、立体反発力を発揮し分散安定性を向上する観点から、5以上であることが好ましく、7以上であることがより好ましい。
また、高分子化合物Xの嵩張りを抑え、遮光膜中に黒色顔料を密に存在させることを達成する観点から、少なくとも1種の繰り返し単位の繰り返し単位数kは、140以下であることが好ましく、130以下であることがより好ましく、60以下であることが更に好ましい。
なお、ポリマーは有機溶媒に可溶であることが好ましい。有機溶媒との親和性が高いと、分散媒との親和性が強くなり、分散安定化に十分な層を確保しやすくなる。
上記ビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、酸基を有するビニルモノマー、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類、マレイミド類、及び、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、及び、酸基を有するビニルモノマーであることがより好ましく、(メタ)アクリル酸エステル類、及び、クロトン酸エステル類であることが更に好ましい。
これらのビニルモノマーの好ましい例としては、特開2007−277514号公報の段落0089〜0094、0096及び0097(対応する米国特許出願公開第2010/233595号明細書においては段落0105〜0117、及び0119〜0120)に記載のビニルモノマーが挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
上記の化合物以外にも、例えば、ウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、フェノール基、及び、イミド基などの官能基を有するビニルモノマーも用いることができる。このようなウレタン基、又はウレア基を有する単量体としては、例えば、イソシアナート基と水酸基、又は、イソシアナート基とアミノ基との付加反応を利用して、適宜合成することが可能である。具体的には、イソシアナート基含有モノマーと、水酸基を1個含有する化合物又は1級あるいは2級アミノ基を1個含有する化合物との付加反応、又は、水酸基含有モノマー又は1級あるいは2級アミノ基含有モノマーとモノイソシアネートとの付加反応等により適宜合成することができる。
一般式(X)で表される高分子化合物の中でも、下記一般式(Y)で表される高分子化合物が好ましい。
一般式(Y)において、Aは、一般式(X)におけるAと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(Y)において、R及びRは、各々独立に、単結合又は2価の連結基を表す。n個のRは、同一であっても、異なっていてもよい。また、m個のRは、同一であっても、異なっていてもよい。
及びRで表される2価の連結基としては、一般式(X)のRで表される2価の連結基として挙げられたものと同様のものが用いられ、好ましい態様も同様である。
なかでも、R及びRで表される2価の連結基としては、鎖状飽和炭化水素基(直鎖状でも分岐状であってもよく、炭素数1〜20であることが好ましい)、環状飽和炭化水素基(炭素数3〜20であることが好ましい)、芳香族基(炭素数5〜20であることが好ましく、例えば、フェニレン基)、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、窒素原子、及びカルボニル基よりなる群から選択される基、或いはこれらの2つ以上を組み合わせた基が好ましく、鎖状飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、芳香族基、エステル結合、エーテル結合、及びアミド結合よりなる群から選択される基、或いはこれらの2つ以上を組み合わせた基がより好ましく、鎖状飽和炭化水素基、エステル結合、エーテル結合、及びアミド結合よりなる群から選択される基、或いはこれらの2つ以上を組み合わせた基が更に好ましい。
一般式(Y)において、Rは、(m+n)価の連結基を表す。m+nは3〜10を満たす。
で表される(m+n)価の連結基としては、無置換でも置換基を更に有していてもよく、一般式(X)のRで表される(m+n)価の連結基として挙げられたものと同様のものが用いられ、好ましい態様も同様である。
一般式(Y)中、m及びnは、それぞれ、一般式(X)におけるm及びnと同義であり、好ましい態様も同様である。
また、一般式(Y)中のPは、一般式(X)におけるPと同義であり、好ましい態様も同様である。m個のPは、同一であっても、異なっていてもよい。
一般式(Y)で表される高分子化合物のうち、以下に示すR、R、R、P、m、及びnを全て満たすものが最も好ましい。
:上記具体例(1)、(2)、(10)、(11)、(16)、又は(17)
:単結合、又は、鎖状飽和炭化水素基、環状飽和炭化水素基、芳香族基、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、窒素原子、及びカルボニル基よりなる群から選択される基、或いはこれらの2つ以上を組み合わせた基
:単結合、エチレン基、プロピレン基、下記基(a)、又は下記基(b)
なお、下記基中、R12は水素原子又はメチル基を表し、lは1又は2を表す。
:ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー及びこれらの変性物
m:1〜3
n:3〜6
一般式(X)又は(Y)で表される高分子化合物の中でも、分散安定性、及び、塗布面状等の観点から、下記一般式(Z)で表される高分子化合物がより好ましい。
上記一般式(Z)中、
は、(m+n1+n2)価の連結基を表し、R〜Rは各々独立に単結合又は2価の連結基を表す。
は酸基を少なくとも1種有する1価の置換基を表す。Aは、Aとは異なる1価の置換基を表す。n1個のA及びRは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。n2個のA及びRは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。
mは一般式(X)におけるmと同義であり、好ましい態様も同様である。
n1は1〜8を表し、n2は1〜8を表し、m+n1+n2は3〜10を満たす。
は一般式(Y)におけるPと同義であり、好ましい態様も同様である。m個のP及びRは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。
についての(m+n1+n2)価の連結基としては、一般式(X)のR又は一般式(Y)のRで表される(m+n)価の連結基として挙げられたものと同様のものが用いられ、好ましい態様も同様である。
〜Rについての2価の連結基としては、一般式(Y)のR、Rで表される2価の連結基として挙げられたものと同様のものが用いられ、好ましい態様も同様である。
上記置換基Aが有し得る酸基の具体例、好ましい例としては、一般式(X)における酸基について前述した具体例、好ましい例と同様のものが挙げられる。
上記置換基AがpKaが5より小さい酸基を少なくとも1種有する1価の置換基であることが更に好ましく、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びホスフィン酸基よりなる群から選択される基を少なくとも1種有する1価の置換基であることがより好ましく、カルボン酸基が更に好ましい。
とは異なる1価の置換基Aの具体例、好ましい例としては、一般式(X)におけるAについて前述した具体例、好ましい例のうちの酸基以外の基と同様のものが挙げられる。なかでも、上記置換基AはpKa5以上の官能基を少なくとも1種有する1価の置換基であることがより好ましく、配位性酸素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する基、フェノール基、ウレア基、ウレタン基、アルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルキレンオキシ鎖を有する基、イミド基、カルボン酸塩基、スルホンアミド基、水酸基及び複素環基よりなる群から選択される基を少なくとも1種有する1価の置換基であることが更に好ましく、アルキル基、アリール基、配位性酸素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基又はウレタン基であることが特に好ましい。
置換基Aと置換基Aとの組合せとしては、置換基AがpKaが5より小さい官能基を少なくとも1種有する1価の置換基であり、かつ置換基AがpKa5以上の官能基を少なくとも1種有する1価の置換基であることが好ましい。
置換基Aが、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びホスフィン酸基よりなる群から選択される基を少なくとも1種有する1価の置換基であり、かつ、置換基Aが配位性酸素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する基、フェノール基、ウレア基、ウレタン基、アルキル基、アリール基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルキレンオキシ鎖を有する基、イミド基、カルボン酸塩基、スルホンアミド基、水酸基及び複素環基よりなる群から選択される基を少なくとも1種有する1価の置換基であることがより好ましい。
置換基Aが、カルボン酸基を有する1価の置換基であり、かつ、置換基Aが、アルキル基、アリール基、配位性酸素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基又はウレタン基であることが更に好ましい。
黒色顔料と、置換基Aのアルキル基との吸着が良好である観点から、置換基Aがカルボン酸基であり、かつ、置換基Aがアルキル基であることが特に好ましい。
高分子化合物Xの分子量としては、重量平均分子量で、20000以下が好ましく、1000〜15000がより好ましく、3000〜12000が更に好ましい。重量平均分子量が範囲内であると、ポリマーの末端に導入された複数の吸着部位の効果が十分に発揮され、黒色顔料表面への吸着性に優れた性能を発揮し得る。
重量平均分子量の測定方法としては、HLC−8129(東ソー(株)製を用いて、カラムとしてTSKgelMultiporeHXL−M(東ソー(株)製を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフロン)を用いることにより、求めることができる。
高分子化合物Xの酸価は、0mgKOH/g以上160mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上140mgKOH/g以下の範囲であり、更に好ましくは20mgKOH/g以上120mgKOH/g以下の範囲である。
一般式(X)又は(Y)で表される高分子化合物は、特に制限されないが、特開2007−277514号公報の段落0114〜0140及び0266〜0348(対応する米国特許出願公開第2010/233595号明細書においては段落0145〜0173、及び0289〜0429)に記載の合成方法に準じて合成することができる。
(グラフト鎖を有する構造単位を含む高分子化合物(以後、高分子化合物Gとも称する))
高分子化合物Gは、グラフト鎖を有する構造単位を有する。なお、本明細書において、「構造単位」とは「繰り返し単位」と同義である。
このようなグラフト鎖を有する構造単位を有する高分子化合物は、グラフト鎖によって溶媒との親和性を有するために、黒色顔料の分散性、及び、経時後の分散安定性に優れるものである。また、組成物においては、グラフト鎖の存在により重合性化合物又はその他の併用可能なバインダーポリマーなどとの親和性を有するので、アルカリ現像で残渣を生じにくくなる。
グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり分散性は向上するが、一方グラフト鎖が長すぎると黒色顔料への吸着力が低下して分散性は低下する傾向となる。このため、グラフト鎖は、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるものが好ましく、水素原子を除いた原子数が50〜2000であるものがより好ましく、水素原子を除いた原子数が60〜500であるものが更に好ましい。
ここで、グラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元(主鎖から枝分かれしている基において主鎖に結合する原子)から、主鎖から枝分かれしている基の末端までを示す。
グラフト鎖は、ポリマー構造を有することが好ましく、このようなポリマー構造としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート構造(例えば、ポリ(メタ)アクリル構造)、ポリエステル構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造、ポリアミド構造、及び、ポリエーテル構造などを挙げることができる。
グラフト鎖と溶媒との相互作用性を向上させ、それにより分散性を高めるために、グラフト鎖は、ポリエステル構造、ポリエーテル構造及びポリ(メタ)アクリレート構造からなる群から選ばれた少なくとも1種を有するグラフト鎖であることが好ましく、ポリエステル構造及びポリエーテル構造の少なくともいずれかを有するグラフト鎖であることがより好ましい。
このようなポリマー構造をグラフト鎖として有するマクロモノマーの構造としては、特に限定されないが、好ましくは、反応性二重結合性基を有するマクロモノマーを好適に使用することができる。
高分子化合物Gが有するグラフト鎖を有する構造単位に対応し、高分子化合物Gの合成に好適に用いられる市販のマクロモノマーとしては、AA−6(商品名、東亜合成(株))、AA−10(商品名、東亜合成(株)製)、AB−6(商品名、東亜合成(株)製)、AS−6(商品名、東亜合成(株)製)、AN−6(商品名、東亜合成(株)製)、AW−6(商品名、東亜合成(株)製)、AA−714(商品名、東亜合成(株)製)、AY−707(商品名、東亜合成(株)製)、AY−714(商品名、東亜合成(株)製)、AK−5(商品名、東亜合成(株)製)、AK−30(商品名、東亜合成(株)製)、AK−32(商品名、東亜合成(株)製)、ブレンマーPP−100(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−500(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−800(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−1000(商品名、日油(株)製)、ブレンマー55−PET−800(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPME−4000(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPSE−400(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPSE−1300(商品名、日油(株)製)、及び、ブレンマー43PAPE−600B(商品名、日油(株)製)などが用いられる。このなかでも、好ましくは、AA−6(商品名、東亜合成(株)製)、AA−10(商品名、東亜合成(株)製)、AB−6(商品名、東亜合成(株)製)、AS−6(商品名、東亜合成(株))、AN−6(商品名、東亜合成(株)製)、及び、ブレンマーPME−4000(商品名、日油(株)製)などが用いられる。
高分子化合物Gは、グラフト鎖を有する構造単位として、下記式(1)〜式(4)のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3A)、下記式(3B)、及び下記(4)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、W、W、W、及びWは、それぞれ独立に、酸素原子又はNHを表す。W、W、W、及びWは酸素原子であることが好ましい。
式(1)〜式(4)において、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。X、X、X、X、及びXとしては、合成上の制約の観点からは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、連結基は特に構造上制約されない。Y、Y、Y、及びYで表される2価の連結基として、具体的には、下記の(Y−1)〜(Y−21)の連結基などが例として挙げられる。下記に示した構造において、A、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基、右末端基との結合部位を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)又は(Y−13)であることがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。有機基の構造は、特に限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、及びアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、Z、Z、Z、及びZで表される有機基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有するものが好ましく、各々独立に炭素数5から24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましく、その中でも、特に各々独立に炭素数5から24の分岐アルキル基、炭素数5から24の環状アルキル基、又は、炭素数5から24のアルコキシ基が好ましい。なお、アルコキシ基中に含まれるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、及び、環状のいずれでもよい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、1から500の整数である。
また、式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、分散安定性、及び、現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
式(3)中、Rは分岐若しくは直鎖のアルキレン基を表し、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましい。pが2〜500のとき、複数存在するRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(4)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、この1価の有機基としては特に構造上限定はされない。Rとして、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基が好ましく、水素原子、又はアルキル基がより好ましい。Rがアルキル基である場合、アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。式(4)において、qが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するX及びRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、高分子化合物Gは、2種以上の構造が異なる、グラフト鎖を有する構造単位を有することができる。即ち、高分子化合物Gの分子中に、互いに構造の異なる式(1)〜式(4)で示される構造単位を含んでいてもよく、また、式(1)〜式(4)においてn、m、p、及びqがそれぞれ2以上の整数を表す場合、式(1)及び式(2)においては、側鎖中にj及びkが互いに異なる構造を含んでいてもよく、式(3)及び式(4)においては、分子内に複数存在するR、R及びXは互いに同じであっても異なっていてもよい。
式(1)で表される構造単位としては、分散安定性、及び、現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、式(2)で表される構造単位としては、分散安定性、及び、現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(1A)中、X、Y、Z及びnは、式(1)におけるX、Y、Z及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。式(2A)中、X、Y、Z及びmは、式(2)におけるX、Y、Z及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、式(3)で表される構造単位としては、分散安定性、及び、現像性の観点から、下記式(3A)又は式(3B)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(3A)又は(3B)中、X、Y、Z及びpは、式(3)におけるX、Y、Z及びpと同義であり、好ましい範囲も同様である。
高分子化合物Gは、グラフト鎖を有する構造単位として、式(1A)で表される構造単位を有することがより好ましい。
高分子化合物Gにおいて、グラフト鎖を有する構造単位(例えば、上記式(1)〜式(4)で表される構造単位)は、質量換算で、高分子化合物Gの総質量に対し10〜90%の範囲で含まれることが好ましく、30〜70%の範囲で含まれることがより好ましい。グラフト鎖を有する構造単位が、この範囲内で含まれると黒色顔料(特に、チタンブラック粒子)の分散性が高く、遮光膜を形成する際の現像性が良好である。
また、高分子化合物Gは、グラフト鎖を有する構造単位とは異なる(すなわち、グラフト鎖を有する構造単位には相当しない)疎水性構造単位を有することが好ましい。ただし、本発明において、疎水性構造単位は、酸基(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及び、フェノール性水酸基等)を有さない構造単位である。
疎水性構造単位は、好ましくは、ClogP値が1.2以上の化合物(モノマー)に由来する(対応する)構造単位であり、より好ましくは、ClogP値が1.2〜8の化合物に由来する構造単位である。これにより、本発明の効果をより確実に発現することができる。
ClogP値は、Daylight Chemical Information System, Inc.から入手できるプログラム“CLOGP”で計算された値である。このプログラムは、Hansch, Leoのフラグメントアプローチ(下記文献参照)により算出される“計算logP”の値を提供する。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、化学構造を部分構造(フラグメント)に分割し、そのフラグメントに対して割り当てられたlogP寄与分を合計することにより化合物のlogP値を推算している。その詳細は以下の文献に記載されている。本発明では、プログラムCLOGP v4.82により計算したClogP値を用いる。
A. J. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch, P. G. Sammnens, J. B. Taylor and C. A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990 C. Hansch & A. J. Leo. SUbstituent Constants For Correlation Analysis in Chemistry and Biology. John Wiley & Sons. A.J. Leo. Calculating logPoct from structure. Chem. Rev., 93, 1281−1306, 1993.
logPは、分配係数P(Partition Coefficient)の常用対数を意味し、ある有機化合物が油(一般的には1−オクタノール)と水の2相系の平衡でどのように分配されるかを定量的な数値として表す物性値であり、以下の式で示される。
logP=log(Coil/Cwater)
式中、Coilは油相中の化合物のモル濃度を、Cwaterは水相中の化合物のモル濃度を表す。
logPの値が0をはさんでプラスに大きくなると油溶性が増し、マイナスで絶対値が大きくなると水溶性が増すことを意味し、有機化合物の水溶性と負の相関があり、有機化合物の親疎水性を見積るパラメータとして広く利用されている。
高分子化合物Gは、疎水性構造単位として、下記一般式(i)〜(iii)表される単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を有することが好ましい。
上記式(i)〜(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
、R、及びRは、より好ましくは水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、水素原子又はメチル基である。R及びRは、水素原子であることが特に好ましい。
Xは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
Lは、単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、カルボニル基(−CO−)、又は、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基であっても飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基であることが好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、芳香族基及び複素環基等が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基及び複素環基等が挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基、及び、複素環基が挙げられる。
Lは、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
Zとしては、脂肪族基(例えば、アルキル基、置換アルキル基、不飽和アルキル基、置換不飽和アルキル基、)、芳香族基(例えば、アリーレン基、置換アリーレン基)、複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ基(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、カルボニル基(−CO−)、及び、これらの組合せ等が挙げられる。
脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基には、更に環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基、ビフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、及び、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、及び、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、並びに、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、及び、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、及び、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、脂肪族基は、置換基として酸基を有さない。
芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が更に好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、芳香族基は、置換基として酸基を有さない。
複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。ただし、複素環基は、置換基として酸基を有さない。
上記式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、又は炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、Z、又は−L−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるものと同義である。R、R、及びRとしては、水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、上記一般式(i)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基若しくはオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。
また、上記一般式(ii)で表される単量体として、Rが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。また、上記一般式(iii)で表される単量体として、R、R、及びRが水素原子又はメチル基であって、Zが脂肪族基、複素環基又は芳香族基である化合物が好ましい。
式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、及び、スチレン類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
なお、式(i)〜(iii)で表される代表的な化合物の例としては、特開2013−249417号公報の段落0089〜0093に記載の化合物を参照でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
高分子化合物Gにおいて、疎水性構造単位は、質量換算で、高分子化合物Gの総質量に対し10〜90%の範囲で含まれることが好ましく、20〜80%の範囲で含まれることがより好ましい。含有量が上記範囲において十分なパターン形成が得られる。
高分子化合物Gは、黒色顔料(特に、チタンブラック)と相互作用を形成しうる官能基を導入することができる。ここで、高分子化合物Gは、黒色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位を更に有することが好ましい。
この黒色顔料と相互作用を形成しうる官能基としては、例えば、酸基、塩基性基、配位性基、反応性を有する官能基等が挙げられる。
高分子化合物Gが、酸基、塩基性基、配位性基、又は、反応性を有する官能基を有する場合、それぞれ、酸基を有する構造単位、塩基性基を有する構造単位、配位性基を有する構造単位、又は、反応性を有する構造単位を有することが好ましい。
特に、高分子化合物Gが、更に、酸基として、カルボン酸基などのアルカリ可溶性基を有することで、高分子化合物Gに、アルカリ現像によるパターン形成のための現像性を付与することができる。
すなわち、高分子化合物Gにアルカリ可溶性基を導入することで、本発明の組成物は、黒色顔料の分散に寄与する分散剤としての高分子化合物Gがアルカリ可溶性を有することになる。このような高分子化合物Gを含有する組成物は、露光部の遮光性に優れたものとなり、且つ、未露光部のアルカリ現像性が向上される。
また、高分子化合物Gが酸基を有する構造単位を有することにより、高分子化合物Gが溶媒となじみやすくなり、塗布性も向上する傾向となる。
これは、酸基を有する構造単位における酸基が黒色顔料と相互作用しやすく、高分子化合物Gが黒色顔料を安定的に分散するとともに、黒色顔料を分散する高分子化合物Gの粘度が低くなっており、高分子化合物G自体も安定的に分散されやすいためであると推測される。
ただし、酸基としてのアルカリ可溶性基を有する構造単位は、上記したグラフト鎖を有する構造単位と同一の構造単位であっても、異なる構造単位であってもよいが、酸基としてのアルカリ可溶性基を有する構造単位は、上記した疎水性構造単位とは異なる構造単位である(すなわち、上記した疎水性構造単位には相当しない)。
黒色顔料と相互作用を形成しうる官能基である酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、又は、フェノール性水酸基などがあり、好ましくは、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基のうち少なくとも1種であり、特に好ましいものは、黒色顔料への吸着力が良好で、且つ、黒色顔料の分散性が高い点で、カルボン酸基である。
すなわち、高分子化合物Gは、カルボン酸基、スルホン酸基、及び、リン酸基のうち少なくとも1種を有する構造単位を更に有することが好ましい。
高分子化合物Gは、酸基を有する構造単位を1種又は2種以上有してもよい。
高分子化合物Gは、酸基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、酸基を有する構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物Gの総質量に対して、好ましくは5〜80%であり、より好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、10〜60%である。
黒色顔料と相互作用を形成しうる官能基である塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含むヘテロ環、及び、アミド基などがあり、特に好ましいものは、黒色顔料への吸着力が良好で、且つ、黒色顔料の分散性が高い点で、第3級アミノ基である。高分子化合物Gは、これらの塩基性基を1種或いは2種以上有することができる。
高分子化合物Gは、塩基性基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、塩基性基を有する構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物Gの総質量に対して、好ましくは0.01%以上50%以下であり、より好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、0.01%以上30%以下である。
黒色顔料と相互作用を形成しうる官能基である配位性基、及び反応性を有する官能基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物、及び、酸塩化物などが挙げられる。特に好ましいものは、黒色顔料への吸着力が良好で、黒色顔料の分散性が高い点で、アセチルアセトキシ基である。高分子化合物Gは、これらの基を1種又は2種以上有してもよい。
高分子化合物Gは、配位性基を有する構造単位、又は、反応性を有する官能基を有する構造単位を含有してもしなくてもよいが、含有する場合、これらの構造単位の含有量は、質量換算で、高分子化合物Gの総質量に対して、好ましくは10%以上80%以下であり、より好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、20%以上60%以下である。
本発明における高分子化合物Gが、グラフト鎖以外に、黒色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する場合、上述したような、各種の黒色顔料と相互作用を形成しうる官能基を含有していればよく、これらの官能基がどのように導入されているかは特に限定はされないが、高分子化合物Gは、下記一般式(iv)〜(vi)で表される単量体に由来の構造単位から選択された1種以上の構造単位を有することが好ましい。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、又は炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、R11、R12、及びR13は、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。一般式(iv)中、R12及びR13は、それぞれ水素原子であることが特に好ましい。
一般式(iv)中のXは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
また、一般式(v)中のYは、メチン基又は窒素原子を表す。
また、一般式(iv)〜一般式(v)中のLは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基の例としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、及び置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、及び置換アリーレン基)、2価の複素環基、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ結合(−NR31’−、ここでR31’は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、カルボニル結合(−CO−)、及び、これらの組合せ等が挙げられる。
2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。脂肪族基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
2価の芳香族基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15が更に好ましく、6〜10が最も好ましい。また、芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、水酸基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環又は芳香族環のうち1つ以上が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
は、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lは、オキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としては、ポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH)n−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
一般式(iv)〜一般式(vi)中、Zは、グラフト鎖以外に黒色顔料と相互作用を形成しうる官能基を表し、カルボン酸基、第三級アミノ基であることが好ましく、カルボン酸基であることがより好ましい。
一般式(vi)中、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、炭素数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−Z、又は−L−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるL及びZと同義であり、好ましい例も同様である。R14、R15、及びR16としては、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、一般式(iv)で表される単量体として、R11、R12、及びR13がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
また、一般式(v)で表される単量体として、R11が水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸基であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。
更に、一般式(vi)で表される単量体として、R14、R15、及びR16がそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
以下に、一般式(iv)〜一般式(vi)で表される単量体(化合物)の代表的な例を示す。
単量体の例としては、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とフタル酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物と無水トリメリット酸との反応物、分子内に付加重合性二重結合及び水酸基を有する化合物とピロメリット酸無水物との反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、及び、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミドなどが挙げられる。
黒色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位の含有量は、黒色顔料との相互作用、分散安定性、及び現像液への浸透性の観点から、高分子化合物Gの全質量に対して、0.05〜90質量%が好ましく、1.0〜80質量%がより好ましく、10〜70質量%が更に好ましい。
更に、高分子化合物Gは、画像強度などの諸性能を向上する目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、グラフト鎖を有する構造単位、疎水性構造単位、及び、黒色顔料と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位とは異なる、種々の機能を有する他の構造単位(例えば、分散物に用いられる分散媒との親和性を有する官能基などを有する構造単位)を更に有していてもよい。
このような、他の構造単位としては、例えば、アクリロニトリル類、及び、メタクリロニトリル類などから選ばれるラジカル重合性化合物に由来の構造単位が挙げられる。
高分子化合物Gは、これらの他の構造単位を1種或いは2種以上用いることができ、その含有量は、質量換算で、高分子化合物Gの総質量に対して、好ましくは0%以上80%以下であり、より好ましくは、10%以上60%以下である。含有量が上記範囲において、十分なパターン形成性が維持される。
高分子化合物Gの酸価は、0mgKOH/g以上160mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上140mgKOH/g以下の範囲であり、更に好ましくは20mgKOH/g以上120mgKOH/g以下の範囲である。
高分子化合物Gの酸価が160mgKOH/g以下であれば、遮光膜を形成する際の現像時におけるパターン剥離がより効果的に抑えられる。また、高分子化合物Gの酸価が10mgKOH/g以上であればアルカリ現像性がより良好となる。また、高分子化合物Gの酸価が20mgKOH/g以上であれば、黒色顔料(特に、チタンブラック)、並びに、チタンブラック及びSi原子を含む被分散体の沈降をより抑制でき、粗大粒子数をより少なくすることができ、組成物の経時安定性をより向上できる。
高分子化合物Gの酸価は、例えば、高分子化合物G中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、高分子化合物Gの構成成分である酸基を含有する構造単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
高分子化合物Gの重量平均分子量は、遮光層を形成する際において、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によるポリスチレン換算値として、4,000以上300,000以下であることが好ましく、5,000以上200,000以下であることがより好ましく、6,000以上100,000以下であることが更に好ましく、10,000以上50,000以下であることが特に好ましい。
GPC法は、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる方法に基づく。
高分子化合物Gは、公知の方法に基づいて合成でき、高分子化合物Gを合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、及び、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
これらの高分子化合物Gは、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、高分子化合物Gの具体例の例としては、特開2013−249417号公報の段落0127〜0129に記載の高分子化合物を参照でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<その他成分>
顔料分散組成物には、上述した黒色顔料、第1分散剤及び第2分散剤以外の成分が含まれていてもよい。例えば、後述する重合性組成物に含まれる成分(例えば、重合性化合物、重合開始剤、バインダーポリマー、溶媒など)が挙げられる。
<<重合性組成物>>
本発明の重合性組成物は、上記顔料分散組成物、重合性化合物、及び、重合開始剤を含む。この重合性組成物には、顔料分散組成物由来の黒色顔料が含まれており、遮光膜を形成する組成物として好適に使用することができる。つまり、この重合性組成物は、遮光膜形成用組成物として好適に使用できる。
以下、重合性組成物に含まれる各成分について詳述する。なお、顔料分散組成物の定義は、上述の通りであり、説明を省略する。
なお、重合性組成物中における黒色顔料の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物の全固形分(全固形分質量)に対して、5〜90質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
重合性組成物中における第1分散剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物の全固形分(全固形分質量)に対して、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
重合性組成物中における第2分散剤の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物の全固形分(全固形分質量)に対して、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
なお、固形分とは、遮光膜を構成し得る成分を意図し、溶媒は含まれない。
重合性組成物中において、第1分散剤と第2分散剤との質量比(第1分散剤の質量/第2分散剤の質量)は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、0.1〜9.0が好ましく、0.2〜3.0がより好ましい。
<重合性化合物>
重合性化合物は、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物が好ましい。
少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上である化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及び、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリン又はトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号の各公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号の各公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートを挙げることができる。更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び一般式(2)としてその具体例と共に記載の多官能アルコールに、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も用いることができる。
なかでも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及び、これらのアクリロイル基がエチレングリコール残基、又は、プロピレングリコール残基を介してジペンタエリスリトールに連結している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
また、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、及び特公平2−16765号の各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、及び特公昭62−39418号の各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、及び特開平1−105238号の各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(商品名、日本製紙ケミカル(株)製)、UA−7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA−40H(商品名、日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(商品名、共栄社化学(株)製)などが挙げられる。
また、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適であり、市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボン酸基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボン酸基含有5官能アクリレートであるTO−1382などが挙げられる。本発明に用いられる重合性化合物としては、4官能以上のアクリレート化合物がより好ましい。
重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2種以上の重合性化合物を組み合わせて用いる場合、その組み合わせ態様は、組成物に要求される物性等に応じて適宜設定することができる。重合性化合物の好適な組み合わせ態様の一つとしては、例えば、上述した多官能のアクリレート化合物から選択した2種以上の重合性化合物を組み合わせる態様が挙げられ、その一例としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びペンタエリスリトールトリアクリレートの組み合わせが挙げられる。
重合性組成物における重合性化合物の含有量は、重合性組成物の全固形分に対して、3〜55質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
<重合開始剤>
重合開始剤としては特に制限はなく、公知の重合開始剤の中から適宜選択することができ、例えば、紫外線領域から可視光領域に対して感光性を有するもの(いわゆる、光重合開始剤)が好ましい。なお、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよい。また、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、重合開始剤は、約300〜800nm(330〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有していることが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、及び、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、及び、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959、及び、IRGACURE−127(商品名:BASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:BASF社製)を用いることができる。
アミノアセトフェノン系開始剤として、365nm又は405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179号公報に記載の化合物も用いることができる。
アシルホスフィン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:BASF社製)を用いることができる。
重合開始剤としてオキシム系開始剤(オキシム化合物)を含有することが好ましい。
オキシム系開始剤の具体的化合物名としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロプル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、及び、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。
オキシム系開始剤としては、TRONLY TR−PBG−304、TRONLY TR−PBG−309、TRONLY TR−PBG−305(常州強力電子新材料有限公司(CHANGZHOU TRONLY NEW ELECTRONIC MATERIALS CO.,LTD)製)などの市販品が使用できる。また、特開2012−113104号公報の段落0092〜0096に記載されているオキシム系開始剤の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。このようなオキシム系開始剤を使用することで、硬化感度が高く、現像性が良好な組成物を提供することができる。上記オキシム系開始剤は、特開2012−113104号公報の段落0030以降に説明されている化合物である。一般式としては、特開2012−113104号公報の請求項1に記載の一般式(I)で表され、より好ましくは請求項3に記載の一般式(I−A)で表されるものであり、これらの記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、J.C.S. Perkin II (1979)1653−1660、J.C.S. Perkin II (1979)156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報の段落0218〜0281、特表2004−534797号公報の段落0242〜0251に記載の化合物、BASFジャパン社製 IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)),2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オン、O−アシルオキシム系化合物(例えば、アデカオプトマー N−1919、アデカクルーズ NCI−831)等も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
更に、特開2007−231000号公報の段落0031、及び、特開2007−322744号公報の段落0039に記載される環状オキシム化合物、特開2007−269779号公報の段落0060〜0062に示される特定置換基を有するオキシム化合物、特開2009−191061号公報の段落0090〜0106に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物、及び、特開2001−233842号公報の段落0375〜0409記載の化合物等も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、フッ素原子を有するオキシム開始剤を用いることも可能である。そのような開始剤の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載されている化合物、特表2014−500852号公報の段落0345に記載されている化合物24、36〜40、及び、特開2013−164471号公報の段落0101に記載されている化合物(C−3)が挙げられる。
本発明の重合性組成物における重合開始剤の含有量は、重合性組成物の全固形分に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。
<その他の添加剤>
重合性組成物には、顔料分散組成物、重合性化合物及び重合開始剤以外の成分が含まれていてもよい。以下、一例を示す。
<溶媒>
本発明の重合性組成物は、溶媒を含有することが好ましい。溶媒としては、水又は有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒の例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、及び、乳酸エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒を2種以上組み合わせて用いる場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される。
重合性組成物に含まれる溶媒の量としては、重合性組成物の全質量に対し、10〜90質量%であることが好ましく、20〜85質量%であることがより好ましい。
<バインダーポリマー>
本発明の重合性組成物は、バインダーポリマーを含有してもよい。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような線状有機ポリマーとしては、公知のものを任意に使用することができる。好ましくは、水現像又は弱アルカリ水現像を可能とするために、水又は弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。
バインダーポリマーとしては、アルカリ可溶性樹脂が好ましく、より具体的には、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、及び、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、及び、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基、及び、フェノール性水酸基などが挙げられるが、有機溶媒に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、カルボン酸基がより好ましい。このようなカルボン酸基を有する繰り返し単位としては、(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位が好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
バインダーポリマーの好適態様の一つとしては、上記第1分散剤のSP値及び上記第2分散剤のSP値のうちいずれか一方のSP値との差の絶対値が2.0MPa1/2以内であるSP値を有するバインダーポリマーが好ましい。このようなバインダーポリマーを使用すれば、第1分散剤及び第2分散剤のいずれか一方と相溶しやすく、重合性組成物を用いて得られる塗膜中において黒色顔料が全体に均一に分散しやすくなり、所望の効果が得られやすい。
なお、上記差の絶対値は、本発明の効果がより優れる点で、1.5MPa1/2以内が好ましく、0.5MPa1/2以内がより好ましい。下限は特に制限されないが、0が挙げられる。
上記差の絶対値とは、|第1分散剤のSP値−バインダーポリマーのSP値|又は|第2分散剤のSP値−バインダーポリマーのSP値|で表される値を意図する。
バインダーポリマーとしては、例えば、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、及び、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボン酸基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボン酸基を有するモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、及び、4−カルボキシルスチレン等が挙げられ、酸無水物を有するモノマーの例としては、無水マレイン酸等が挙げられる。また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体も例として挙げられる。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
また、欧州特許第993966号、欧州特許第1204000号、特開2001−318463号等の各公報に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
更に、この他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドン、及び、ポリエチレンオキサイド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるために、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとの反応物であるポリエーテル等も有用である。
特に、これらの中でも、〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、及び、現像性のバランスに優れており、好適である。
市販品としては、例えばアクリベースFF−187、FF−426(藤倉化成社製)、アクリキュア−RD−F8(日本触媒(株))、及び、ダイセルオルネクス(株)製サイクロマーP(ACA)230AAなどが挙げられる。
バインダーポリマーの製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、並びに、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
本発明の重合性組成物におけるバインダーポリマーの含有量は、重合性組成物の全固形分に対して、0.1〜30質量%であることが好ましく、0.3〜25質量%であることがより好ましい。
<その他の添加剤>
例えば、本発明の重合性組成物には、密着剤が含まれていてもよい。密着剤が含まれることにより、遮光膜の基板に対する密着性が向上する。
密着剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−メチルジメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−602)、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−603)、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBE−602)、γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−903)、γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBE−903)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製商品名 KBM−503)、グリシオキシオクチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
密着剤の含有量は、重合性組成物の全固形分に対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、0.7〜20質量%であることがより好ましく、0.7〜5質量%であることが更に好ましい。
本発明の重合性組成物には、紫外線吸収剤が含まれていてもよい。これにより、パターンの形状をより優れた(精細な)ものにすることができる。
紫外線吸収剤としては、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、置換アクリロニトリル系、及び、トリアジン系の紫外線吸収剤を使用することができる。これらの具体例としては、特開2012−068418号公報の段落0137〜0142(対応するUS2012/0068292の段落0251〜0254欄)の化合物が使用でき、これらの内容が援用でき、本明細書に組み込まれる。
他にジエチルアミノ−フェニルスルホニル系紫外線吸収剤(大東化学製、商品名:UV−503)なども好適に用いられる。
紫外線吸収剤としては、特開2012−32556号公報の段落0134〜0148に例示される化合物が挙げられる。
重合性組成物は、紫外線吸収剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、紫外線吸収剤の含有量は、組成物の全固形分に対して、0.001〜15質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が更に好ましい。
重合性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及び、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。特に、本発明の組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781F(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
他の界面活性剤の具体例としては、例えば、特開2013−249417号公報の段落0174〜0177に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、重合性組成物の全質量に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、0.005〜1.0質量%がより好ましい。
上記成分以外にも、組成物には、以下の成分を更に添加してもよい。例えば、増感剤、共増感剤、架橋剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、重合禁止剤、可塑剤、希釈剤、感脂化剤などが挙げられ、更に基板表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)等の公知の添加剤を必要に応じて加えてもよい。
これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0183〜0228(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の[0237]〜[0309])、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、段落番号0103〜0104、段落番号0107〜0109、特開2013−195480号公報の段落番号0159〜0184等の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<重合性組成物の調製方法>
本発明の重合性組成物は、上述した各種成分を公知の混合方法(例えば、攪拌機、ホモジナイザー、高圧乳化装置、湿式粉砕機、湿式分散機)により混合して調製することができる。
また、必要に応じて、重合性組成物を調製した後、上述した顔料分散組成物の製造の際に実施されてもよい、フィルタで濾過する処理を実施してもよい。
<<遮光膜及びその製造方法>>
上述した顔料分散組成物又は重合性組成物を用いることにより、遮光膜を形成することができる。
遮光膜の製造方法は特に制限されないが、上述した顔料分散組成物又は重合性組成物を基板上に塗布して塗膜を形成して、塗膜に対して硬化処理を施し、遮光膜を製造する方法が挙げられる。
硬化処理の方法は特に制限されず、光硬化処理及び熱硬化処理が挙げられ、パターン形成が容易である点から、光硬化処理(特に、紫外線照射処理)が好ましい。
なお、使用される基板の種類は特に制限されず、固体撮像装置内の各種部材(例えば、赤外光カットフィルタ)などが好ましく挙げられる。
パターン状の遮光膜を製造する場合の好適態様としては、基板上に、本発明の重合性組成物を塗布して組成物層を形成する工程(以下、適宜「組成物層形成工程」と略称する。)と、マスクを介して組成物層を露光する工程(以下、適宜「露光工程」と略称する。)と、露光後の組成物層を現像して遮光膜(パターン状遮光膜)を形成する工程(以下、適宜「現像工程」と略称する。)と、を含む態様が挙げられる。
具体的には、本発明の重合性組成物を、直接又は他の層を介して基板上に塗布して、組成物層を形成し(組成物層形成工程)、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ(露光工程)、現像液で現像することによって(現像工程)、パターン状の遮光膜を製造することができる。
以下、上記態様における各工程について説明する。
[組成物層形成工程]
組成物層形成工程では、基板上に、重合性組成物を塗布して組成物層を形成する。
基板としては、例えば、固体撮像装置内の各種部材(例えば、赤外光カットフィルタ、固体撮像素子の外周部、ウェハーレベルレンズ外周部、及び、固体撮像素子裏面など)などが挙げられる。
基板上への重合性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、及び、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
基板上に塗布された重合性組成物は、通常、70℃以上110℃以下で2分以上4分以下程度の条件下で乾燥され、組成物層が形成される。
〔露光工程〕
露光工程では、組成物層形成工程において形成された組成物層をマスクを介して露光し、光照射された組成物層部分だけを硬化させる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられ、光源としては高圧水銀灯が好まれる。照射強度は5mJ/cm以上1500mJ/cm以下が好ましく、10mJ/cm以上1000mJ/cm以下がより好ましい。
〔現像工程〕
露光工程に次いで、現像処理(現像工程)を行い、露光工程における光未照射部分を現像液(例えば、アルカリ水溶液)に溶出させる。これにより、光硬化した部分だけが残る。
現像液としては、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃以上30℃以下であり、現像時間は20秒以上90秒以下である。
アルカリ水溶液としては、例えば、無機系現像液としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、及び、メタ硅酸ナトリウム、有機アルカリ現像液としては、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、及び、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.005〜0.5質量%となるように溶解したアルカリ水溶液が挙げられる。アルカリ水溶液には、例えばメタノール、及び、エタノール等の水溶性有機溶媒、及び/又は、界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、このようなアルカリ水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
なお、組成物層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成されたパターン状の遮光膜を加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を実施してもよい。
[膜補修工程]
上記現像工程の後に、必要に応じて、以下に述べる膜補修工程を実施してもよい。
現像工程を実施した後、遮光膜を構成する成分の種類によっては、アンダーカットが生じる場合がある。より具体的には、図1(A)に示すように、基板100上に配置され、現像処理が施された遮光膜102の端部には、アンダーカット部102aが生じる場合がある。
上述したように、遮光膜が形成された部材の表面の異物を除去する際に、洗浄液を高圧で吹き付けて遮光膜を洗浄する方法が実施される場合がある。その際に、アンダーカット部があると、洗浄液がアンダーカット部に入り込み、その圧力によって遮光膜の端部が欠けやすくなる。このような遮光膜の欠けの発生をより抑制する方法として、膜補修工程が実施されることが好ましい。
膜補修工程の手順としては、まず、補修膜形成用組成物(保護層形成用組成物)を遮光膜上に塗布して、遮光膜上に補修膜(保護層)を形成する。より具体的には、図1(B)に示すように、遮光膜102上に補修膜104を塗布により形成する。塗布により形成された補修膜104は、遮光膜102の基板100側とは反対側の表面上に配置されるだけでなく、遮光膜102の端部のアンダーカット部102aを埋めるように配置される。
次に、エッチング処理を施して、補修膜を除去する。より具体的には、図1(C)に示すように、補修膜104上からエッチング処理を施す。エッチング処理を実施することにより、図1(D)に示すように、遮光膜102がいわゆるマスクの機能を果たし、結果として、アンダーカット部102aを埋めるように補修膜104が残存する。そのため、得られた遮光膜は、端部での欠けがより生じにくくなる。
つまり、膜補修工程は、補修膜形成用組成物を遮光膜上に塗布して、遮光膜上に補修膜を形成する工程(膜形成工程)と、エッチング処理を実施する工程(エッチング工程)とを有する。
以下、これらの工程で使用される材料や、その手順について詳述する。
(膜形成工程)
本工程は、補修膜形成用組成物を遮光膜上に塗布して、遮光膜上に補修膜を形成する工程である。
本工程で使用される補修膜形成用組成物に含まれる材料としては、遮光膜上に塗膜(補修膜)を形成できる材料(塗膜形成材料)であれば特に制限されず、重合性基を有する化合物であることが好ましい。重合性基としては、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基が挙げられる。なお、重合性基を有する化合物は、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよいが、塗膜の形成性の点から、低分子化合物であることが好ましい。
なお、ここで、低分子化合物とは分子量が1000未満の化合物を意図し、高分子化合物とは分子量が1000以上の化合物を意図する。
重合性基を有する化合物の種類は特に制限されず、公知の化合物が使用できるが、透明性の点から、(メタ)アクリルモノマー(アクリルモノマー及びメタクリルモノマーを含む)、エポキシモノマーを使用することが好ましい。
また、重合性基を有する高分子化合物(重合性基を有する有機樹脂)としては、例えば特開2000−187322号公報、及び、特開2002−62698号公報に記載されている側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。樹脂の具体例としては、ダイヤナ−ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer. Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーP ACA230AA等のサイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)などが挙げられる。
補修膜形成用組成物には、塗布性を向上させるために、溶媒(例:水又は有機溶媒)が含まれていてもよい。
また、補修膜形成用組成物には、重合開始剤(例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤)が含まれていてもよい。重合開始剤としては、上述した重合性組成物に含まれてもよい重合開始剤が挙げられる。
補修膜形成用組成物の好適態様の一つとしては、重合性基を有する化合物、有機樹脂、重合開始剤、及び、溶媒を含む組成物が挙げられる。
また、補修膜形成用組成物としては、例えばカラーフィルタ用下地剤組成物を用いることができ、特開2010−77273号公報、特開2006−077098号公報に記載のものが挙げられる。
補修膜形成用組成物を塗布する方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、上記組成物層形成工程で述べた塗布方法が挙げられる。
なお、補修膜形成用組成物を塗布した後、必要に応じて、溶媒を除去するための乾燥処理を実施してもよい。乾燥処理の方法としては、加熱処理(プレベーク処理)、又は、風乾処理などが挙げられる。
(エッチング工程)
本工程では、上記工程で作製された補修膜で被覆された遮光膜に対してエッチング処理を施す工程である。
エッチング処理の方法は特に制限されず、公知の方法が採用できる。なかでも、エッチングガスを用いたドライエッチング法(より具体的には、エッチングガスを励起した、プラズマガスによるドライエッチング法)が好ましい。
エッチングガスの種類は特に制限されないが、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などの希ガス、塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子を含むハロゲン系ガス(例えば、CCl4、CClF3、AlF3、AlCl3等)、H2、N2、O、CO、及びCO2などが挙げられ、1種のみを用いても、2種以上を合わせて使用してもよい。なかでも、エッチングガスとしては、酸素ガス、希ガス(特に、アルゴン)、水素ガス、及び、窒素ガスからなる群から選択されるガスが好ましい。
ドライエッチング処理の条件は補修膜の材料によって異なるが、通常、ガスの合計流量(総ガス流量)としては、1500mL/min(0℃、1013hPa)以下が好ましく、500〜1000mL/min(0℃、1013hPa)がより好ましい。
ソースパワー(RFパワー)とバイアスの関係としては、RFパワー/上部バイアス/電極バイアスがそれぞれ、600〜1000W/300〜500W/300〜500Wであることが好ましく、700〜900W/350〜450W/350〜450Wであることがより好ましい。
ドライエッチング処理の時間としては、10分以内でエッチング処理を行うことが好ましく、7分以内で処理することがより好ましい。
ドライエッチング処理におけるチャンバーの内部圧力は、1.0〜5.0Paであることが好ましく、2.0〜4.0Paであることがより好ましい。
ドライエッチング処理の際のステージ(ドライエッチング処理が施される対象物を載置するステージ)の温度は、30〜100℃に制御することが好ましい。
なお、塗膜形成材料として、重合性基を有する化合物を使用する場合は、必要に応じて、上記膜形成工程の後でエッチング工程の前、又は、エッチング工程の後に、硬化処理を実施してもよい。硬化処理を実施することにより、アンダーカット部を埋めている重合性基を有する化合物が重合して硬化され、補修膜が遮光膜から剥離しづらくなり、遮光膜の欠けの発生がより抑制される。
硬化処理の方法は特に制限されず、熱硬化処理(ポストベーク処理)、光硬化処理などが挙げられる。なお、熱硬化処理の加熱条件は特に制限されず、使用される補修膜の種類によって適宜最適な条件が選択されるが、硬化性の点からは、100℃で1時間以上の加熱処理を実施することが好ましい。
<<固体撮像装置>>
上述した遮光膜は、固体撮像装置に好適に適用することができる。
以下では、まず、本発明の遮光膜を有する固体撮像装置の第1実施形態について詳述する。
図2及び図3に示すように、固体撮像装置2は、固体撮像素子としてCMOSセンサ3と、このCMOSセンサ3が実装される回路基板4と、回路基板4を保持するセラミック製のセラミック基板5とを備えている。また、固体撮像装置2は、セラミック基板5に保持され、CMOSセンサ3に向かう赤外光(IR)をカットするIRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、この撮影レンズ7を保持するレンズホルダ8と、このレンズホルダ8を移動自在に保持する保持筒9とを備えている。また、CMOSセンサ3に代えて、CCDセンサや有機CMOSセンサを設けてもよい。
セラミック基板5は、CMOSセンサ3が挿入される開口5aが形成され、枠状となっており、CMOSセンサ3の側面を囲んでいる。この状態で、CMOSセンサ3が実装された回路基板4は、接着剤(例えば、エポキシ系接着剤、以下同様)によりセラミック基板5に固定されている。回路基板4には、各種回路パターンが形成されている。
IRカットフィルタ6は、板状のガラスや青ガラスに赤外光を反射する反射膜が形成され、この反射膜が形成された面が入射面6aとなる。IRカットフィルタ6は、開口5aよりも一回り大きいサイズで形成され、開口5aを覆うように接着剤によりセラミック基板5に固定されている。
撮影レンズ7の背後(図3及び図4における下方)に、CMOSセンサ3が配され、撮影レンズ7とCMOSセンサ3との間に、IRカットフィルタ6が配されている。被写体光は、撮影レンズ7、IRカットフィルタ6を通ってCMOSセンサ3の受光面に入射する。このとき、赤外光は、IRカットフィルタ6によりカットされる。
回路基板4は、固体撮像装置2が搭載される電子機器(例えば、デジタルカメラ)に設けられた制御部に接続され、電子機器から固体撮像装置2に電力が供給される。CMOSセンサ3は、受光面上に多数のカラー画素が二次元に配列されており、各カラー画素は入射光を光電変換し、発生した信号電荷を蓄積する。
図3及び図4に示すように、IRカットフィルタ6の入射面6aの端部には、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)11が配置されており、遮光膜付き赤外光カットフィルタが形成されている。撮影レンズ7から出射され、セラミック基板5の前面(図3及び図4における上面)で反射した反射光R1が、装置内で反射や屈折を繰り返した後にCMOSセンサ3に入射した場合や、撮影レンズ7から出射されたレンズホルダ8の内壁面で反射した反射光R2が、CMOSセンサ3に入射した場合には、撮影画像でフレアが発生する原因となる。遮光膜11は、CMOSセンサ3に向かう反射光R1、R2等の有害光を遮光する。遮光膜11は、例えばスピンコート法、スプレーコート法で塗布されている。なお、図3及び図4では、遮光膜11の厚みを誇張して描いている。
図5に第2実施形態の固体撮像装置20を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
固体撮像装置20は、CMOSセンサ3と、回路基板4と、セラミック基板5と、IRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、レンズホルダ8と、保持筒9とを備えている。IRカットフィルタ6の側端面に、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)21が形成されている。撮影レンズ7から出射され、セラミック基板5の前面で反射した反射光R3が、装置内で反射や屈折を繰り返した後にCMOSセンサ3に入射した場合には、撮影画像でフレアが発生する原因となる。遮光膜21は、CMOSセンサ3に向かう反射光R3等の有害光を遮光する。
図6に第3実施形態の固体撮像装置30を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
固体撮像装置30は、CMOSセンサ3と、回路基板4と、セラミック基板5と、IRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、レンズホルダ8と、保持筒9とを備えている。IRカットフィルタ6の入射面6aの端部及び側端面に、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)31が形成されている。すなわち、第1、第2実施形態を組み合わせたものとなっている。この実施形態では、第1、第2実施形態よりも遮光性能が高くなるので、フレアの発生が確実に抑制される。
図7に第4実施形態の固体撮像装置40を示す。なお、第1実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
固体撮像装置40は、CMOSセンサ3と、回路基板4と、セラミック基板5と、IRカットフィルタ6と、撮影レンズ7と、レンズホルダ8と、保持筒9とを備えている。IRカットフィルタ6の入射面6aの端部及び側端面に、全周に亘って上述した遮光膜(遮光層)31が形成されている。
また、セラミック基板5の内壁面には、遮光膜(遮光層)41が形成されている。撮影レンズ7から出射され、IRカットフィルタ6を通過してセラミック基板5の内壁面で反射した反射光がCMOSセンサ3に入射した場合には、撮影画像のフレアが発生する原因となる。遮光膜41は、セラミック基板5の内壁面よりも遮光性能が高くなるので、フレアの発生が確実に抑制される。
以下、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。また、室温は25℃を指す。
なお、本実施例に関しては、後述する分散物の調整後、及び、後述する組成物を調製後のそれぞれについて、全て日本ポール製DFA4201NXEY(0.45μmナイロンフィルター)を用いてろ過を行った。
<<実施例A>>
<チタンブラック分散物の調製>
−チタンブラックA−1の作製−
BET比表面積110m/gの酸化チタンTTO−51N(商品名:石原産業製)を120g、BET表面積300m/gのシリカ粒子AEROSIL300(登録商標)300/30(エボニック製)を25g、及び、分散剤Disperbyk190(商品名:ビックケミー社製)を100g秤量し、イオン電気交換水71gを加えてKURABO製MAZERSTAR KK−400Wを使用して、公転回転数1360rpm、自転回転数1047rpmにて混合物を30分間処理することにより均一な水溶液を得た。この水溶液を石英容器に充填し、小型ロータリーキルン(株式会社モトヤマ製)を用いて酸素雰囲気中で920℃に加熱した。その後、小型ロータリーキルン内を窒素で雰囲気を置換し、同温度でアンモニアガスを100mL/minで小型ロータリーキルン内に5時間流すことにより窒化還元処理を実施した。終了後回収した粉末を乳鉢で粉砕し、Si原子を含み、粉末状の比表面積85m/gのチタンブラック(A−1)〔チタンブラック粒子及びSi原子を含む被分散体〕を得た。
<第1顔料分散物の調製>
下記組成1に示す成分を、攪拌機(IKA社製EUROSTAR)を使用して、15分間混合し、分散物aを得た。
なお、以下に記載の高分子化合物(G1)は特開2013−249417号公報の記載を参照して合成した。なお、高分子化合物(G1)の式中、xは30質量%、yは20質量%、zは50質量%であった。また、高分子化合物(G1)の重量平均分子量は30000であり、酸価は60mgKOH/gであり、グラフト鎖の原子数(水素原子を除く)は117であった。
(組成1)
・上記のようにして得られたチタンブラック(A−1)
・・・25.0質量部
・高分子化合物(G1)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート20質量%溶液 ・・・37.5質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(溶媒) ・・・10.5質量部
・酢酸ブチル(溶媒) ・・・27.0質量部
得られた分散物aに対し、(株)シンマルエンタープライゼス製のNPM−Pilotを使用して下記条件にて分散処理を行い、第1顔料分散物を得た。
(分散条件)
・ビーズ径:φ0.05mm、ジルコニア製
・ビーズ充填率:65体積%
・ミル周速:10m/sec
・セパレータ周速:11m/s
・分散処理する混合液量:15kg
・循環流量(ポンプ供給量):60kg/hour
・処理液温度:19〜21℃
・冷却水:水
・パス回数:90パス
<第2顔料分散物(1)の調製>
高分子化合物(G1)の代わりに、以下の高分子化合物(X1)を用いた以外は、上記<第1顔料分散物の調製>と同様の手順に従って、第2顔料分散物(1)を調製した。
なお、以下に記載の高分子化合物(X1)は特開2014−177614号公報の記載を参照して合成した。なお、高分子化合物(X1)の重量平均分子量は7000であり、酸価は80mgKOH/gであった。
<第2顔料分散物(2)の調製>
高分子化合物(G1)の代わりに、以下の高分子化合物(X2)を用いた以外は、上記<第1顔料分散物の調製>と同様の手順に従って、第2顔料分散物(2)を調製した。
なお、上記高分子化合物(X2)は特開2014−177614号公報の記載を参照して合成した。なお、高分子化合物(X2)の重量平均分子量は6900であり、酸価は82mgKOH/gであった。
<第2顔料分散物(3)の調製>
高分子化合物(G1)の代わりに、以下の高分子化合物(X3)を用いた以外は、上記<第1顔料分散物の調製>と同様の手順に従って、第2顔料分散物(3)を調製した。
なお、上記高分子化合物(X3)は特開2014−177614号公報の記載を参照して合成した。なお、高分子化合物(X3)の重量平均分子量は7300であり、酸価は82mgKOH/gであった。
<第2顔料分散物(4)の調製>
高分子化合物(G1)の代わりに、以下の高分子化合物(X4)を用いた以外は、上記<第1顔料分散物の調製>と同様の手順に従って、第2顔料分散物(4)を調製した。
なお、上記高分子化合物(X4)は特開2014−177614号公報の記載を参照して合成した。なお、高分子化合物(X4)の重量平均分子量は6800であり、酸価は81mgKOH/gであった。
<重合性組成物(1)の調製>
上記第1顔料分散物及び第2顔料分散物(1)を混合して顔料分散組成物を製造し、更に重合性化合物などの各種成分を添加して、以下組成の重合性組成物(1)を製造した。なお、以下のアクリキュア−RD−F8はバインダーポリマーに該当し、SP値は20MPa1/2であった。
チタンブラック(A−1) 10質量部
高分子化合物(G1) 4.2質量部
高分子化合物(X1) 2.2質量部
アクリキュア−RD−F8(日本触媒(株)、固形分40%、溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル) 2.2質量部
KAYARAD DPHA(日本化薬) 5.4質量部
Irgacure OXE02(BASFジャパン社製) 1.5質量部
メガファックF−781F(DIC株式会社製、含フッ素ポリマー型界面活性剤) 0.03質量部
パラメトキシフェノール 0.003質量部
グリシオキシオクチルトリメトキシシラン 1.3質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 30.8質量部
酢酸ブチル 11.8質量部
ジプロピレングリコールジメチルエーテル 32.3質量部
<重合性組成物(2)の調製>
第2顔料分散物(1)の代わりに、第2顔料分散物(2)を用いた以外は、上記<重合性組成物(1)の調製>と同様の手順に従って、重合性組成物(2)を調製した。
なお、重合性組成物(1)と重合性組成物(2)との違いは、高分子化合物(X1)の代わりに高分子化合物(X2)を用いている点のみであり、各成分の含有比は同じである。
<重合性組成物(3)の調製>
第2顔料分散物(1)の代わりに、第2顔料分散物(3)を用いた以外は、上記<重合性組成物(1)の調製>と同様の手順に従って、重合性組成物(3)を調製した。
なお、重合性組成物(1)と重合性組成物(3)との違いは、高分子化合物(X1)の代わりに高分子化合物(X3)を用いている点のみであり、各成分の含有比は同じである。
<重合性組成物(4)調製>
第2顔料分散物(1)の代わりに、第2顔料分散物(4)を用いた以外は、上記<重合性組成物(1)>と同様の手順に従って、重合性組成物(4)を調製した。
なお、重合性組成物(1)と重合性組成物(4)との違いは、高分子化合物(X1)の代わりに高分子化合物(X4)を用いている点のみであり、各成分の含有比は同じである。
<遮光膜の作製>
上記で作製した各重合性組成物をIRカットフィルタの入射面にスピンコート法によりコーター・デベロッパーACT(TEL製)を用いて塗布した後、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行うことにより、乾燥膜厚が4.5μmの塗布膜を形成した。そのときのスピンコートの回転条件は、第一ステップ:300rpmで5秒回転、第二ステップ:50rpmで300秒回転とした。次いで、i線ステッパー露光装置FPA−3000i5+(Canon(株)製)を使用して、パターンが20μm四方のIslandパターンマスクを通して200mJ/cmの露光量で塗布膜を露光した。
その後、照射された塗布膜が形成されているIRカットフィルタに対して、コーター・デベロッパーACTを使用して、現像液としてテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.03質量%水溶液を用い、スピン回転を行いながら、23℃で20秒間の現像を行った。引き続いて、回転装置によってIRカットフィルタを回転数50rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルから連続的に供給してリンス処理を60秒間行い、更に純水で水洗いした後、クリーンオーブンCLH−21CD(III)(光洋サーモシステム)を用いて、酸素濃度<50ppmにて150℃で60分間硬化処理を行い、IRカットフィルタの入射面に遮光膜を形成した。
同様にしてIRカットフィルタ上に7.0mm×5.0mm、幅0.7mmの額縁パターンの遮光膜を形成し、額縁パターン付きIRカットフィルタを作製した。
更に、基板としてガラス基板を用い、露光時にマスクを使用せず、全面露光すること以外は上記と同様にして光学濃度(OD)、及び、反射率測定のための基板を作製した。
<各種評価>
(遮光性:光学濃度(OD)の評価)
ガラス基板上に作製された遮光膜を用いて、波長領域400〜800nmにおけるODの最小値(ODmin)を日立ハイテクノロジー製分光器UV4100により測定し、以下の基準に従って評価した。
「1」:ODの最小値が1.5以下の場合
「2」:ODの最小値が1.5超2.5以下の場合
「3」:ODの最小値が2.5超3.0以下の場合
「4」:ODの最小値が3.0超の場合
(反射性:反射率の評価)
IRカットフィルタの入射面上の遮光膜に、入射角度5°で波長領域400〜800nmの光を入射し、その反射率を日立ハイテクノロジー製分光器UV4100により測定し、以下の基準に従って評価した。
「1」:最大の反射率が1%以下の場合
「2」:最大の反射率が1%超2%以下の場合
「3」:最大の反射率が2%超3%以下の場合
「4」:最大の反射率が3%超4%以下の場合
「5」:最大の反射率が4%超の場合
(表面粗さの評価)
IRカットフィルタの入射面上の遮光膜の表面粗さを、原子間力顕微鏡Dimension FastScan AFM(Bruker製)を用いて測定した。
(解像性評価1)
20μm四方のIslandパターンを有するサンプルを5つ用意して、各パターンの寸法(一辺の長さ)を測長走査型電子顕微鏡S9260(日立ハイテクノロジーズ社製)により測定し、以下の評価を行った。
「1」:5つサンプルの測定による標準偏差の3倍の値が0.1μm以下の場合
「2」:5つサンプルの測定による標準偏差の3倍の値が0.1μm超0.5μm以下の場合
「3」:5つサンプルの測定による標準偏差の3倍の値が0.5μm超1.0μm以下の場合
「4」:5つサンプルの測定による標準偏差の3倍の値が1.0μm超の場合
「5」:5つサンプルの測定のうち1つでもパターンハガレ等により解像されていない場合
(解像性評価2)
額縁パターンの遮光膜を有するサンプルを5つ用意して、各額縁パターンの1辺の幅(0.7mm)について微小線幅測定システムMT−3600LW(FLOVEL)により測定し、以下の評価を行った。
「1」:5つサンプルの測定による標準偏差の3倍の値が0.50μm以下の場合
「2」:5つサンプルの測定による標準偏差の3倍の値が0.50μm超0.75μm以下の場合
「3」:5つサンプルの測定による標準偏差の3倍の値が0.75μm超1.00μm以下の場合
「4」:5つサンプルの測定による標準偏差の3倍の値が1.00μm超の場合
「5」:5つサンプルの測定のうち1回でもパターン剥がれ、パターン欠け等により解像されていない場合
(排気風量依存性(反射率):反射率の排気風量依存性の評価)
ガラス基板上へ各重合性組成物を塗布する際、コーター・デベロッパーACTの排気ダンパーを調整して、コーターカップ中心かつスピナーチャックから高さ2cmの位置における風速を熱線式風速計DT−8880(エムケーサイエンティフィック)により測定し、風速が0.2m/s、0.3m/s、又は、0.4m/sとして、上記手順により遮光膜を作製した。各風速のときに作製した遮光膜に対して、入射角度5°で400〜800nmの領域について最大となる反射率(%Rmax)を日立ハイテクノロジー製分光器UV4100により測定し、各風速(0.2m/s、0.3m/s、又は、0.4m/s)での%Rmaxのうちの最大の%Rmax及び最小の%Rmaxを選択し、以下の基準に従って評価した。塗布時のコーターカップ雰囲気の温度は25℃、湿度は60%であった。実用上、「1」〜「3」が好ましい。
「1」:各風速での最大の%Rmaxと最小%Rmaxの差が0.3%以下の場合
「2」:各風速での最大の%Rmaxと最小%Rmaxの差が0.3%超、0.5%以下の場合
「3」:各風速での最大の%Rmaxと最小%Rmaxの差が0.5%超1.0%以下の場合
「4」:各風速での最大の%Rmaxと最小%Rmaxの差が1.0%超の場合
(湿度依存性(反射率):反射率の湿度依存性の評価)
ガラス基板上へ各重合性組成物を塗布する際、PAP10A1−K(商品名オリオン機械株式会社製)ダクトを使用してコーターの吸気側に温度、湿度を調整されたエアを送り込むことでコーターカップ雰囲気の湿度を45%、55%、65%、又は、75%として、上記手順により遮光膜を作製した。温度は23.5℃であった。各湿度のときに作製した遮光膜に対して、入射角度5°で400〜800nmの領域について最大となる反射率(%Rmax)を日立ハイテクノロジー製分光器UV4100により測定し、各湿度(45%、55%、65%、又は、75%)での%Rmaxのうちの最大の%Rmax及び最小の%Rmaxを選択し、以下の基準に従って評価した。塗布時のコーターカップ雰囲気の温度は25℃、コーターカップ中心かつスピナーチャックから高さ2cmの位置における風速は0.3m/sであった。実用上、「1」〜「3」が好ましい。
「1」:各湿度での最大の%Rmaxと最小%Rmaxの差が0.3%以下の場合
「2」:各湿度での最大の%Rmaxと最小%Rmaxの差が0.3%超、0.5%以下の場合
「3」:各湿度での最大の%Rmaxと最小%Rmaxの差が0.5%超1.0%以下の場合
「4」:各湿度での最大の%Rmaxと最小%Rmaxの差が1.0%超の場合
(ダイシング工程での欠け評価)
得られた額縁パターン付きIRカットフィルタを、ダイサー(DFD6240、DISCO製)を用いて個片化した。ブレードによる切断ののち、ダイシング工程にて発生した破片を除去するためにダイサー付属の洗浄機構により洗浄を行い、乾燥後のパターンを倍率50倍の光学顕微鏡により観察し、個片化したIRカットフィルタ上のパターン(250個)についてパターン欠けの発生個数をカウントし、下記の基準により評価した。
「1」:欠け個数が5個未満
「2」:欠け個数が5個以上10個未満
「3」:欠け個数が10個以上50個未満
「4」:欠け個数が50個以上100個未満
「5」:欠け個数が100個以上
なお、比較例2として、特許文献1の実施例欄にて使用されている重合性組成物を用いて、遮光膜を製造して、各種評価を行った。
表1に示すように、本発明の顔料分散組成物を含む重合性組成物を使用した場合、所望の効果が得られることが確認された。
特に、第1分散剤のSP値と第2分散剤のSP値との差の絶対値が1.5MPa1/2超である場合、欠けが生じにくいことが確認された。
一方、所定の関係を満たさない、比較例1及び2では、所望の効果が得られなかった。
<<実施例B>>
[重合性組成物のパターニング]
上記で得られた重合性組成物(1)を、東京エレクトロン製スピンコーターACT−8を用いて、ガラスウエハ上に300rpmで3分間スピン塗布し、その後、ホットプレート上にて100℃で2分間加熱及び1分冷却し、厚さ5.0μmの塗布膜を形成した。
次に図8に示すパターンを有するマスクを用いて、白色部位に対応する領域を、i線ステッパー(キャノン(株)製、FPA3000i5+)にて300mJ/cmの条件でステップアンドリピート露光を塗布膜に対して行った。
次いで、露光処理が施された塗布膜に対して、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.16質量%水溶液での30秒間のパドル現像を行った。その後、塗布膜に対して、ストレートノズルで純水リンスを200rpmで20秒間施した。その後、スピンドライを行って、3000μm(内部くり抜き2000μm)のパターンのマトリックスを得た。
次いで、クリーンオーブンCLH−21CD(III)(光洋サーモシステム)を用いて、ポストベーク処理を実施し、パターン状の遮光膜を形成した。ポストベーク処理の条件としては、初期温度:23℃から昇温rate:10℃/minで150℃まで昇温(約13分)し、150℃で1時間保持した後、40℃まで自然冷却した(処理時間トータル約3時間30分)。
[パターン形状の確認]
走査型顕微鏡(S4800 日立ハイテクノロジーズ社製、観察倍率:30.0K、加速電圧:2.0keV)を用いて、得られたパターン状の遮光膜の断面形状を確認した。
図9に示すように、パターン端面からアンダーカットは、約5μm程度入っていた。
[補修膜の形成]
スピンコーター(東京エレクトロン製、ACT−8)を用いて、パターン状の遮光膜が配置されたガラスウエハ上に下記補修膜形成用組成物1を、600rpmで1分間スピン塗布し、その後、ホットプレート上にて100℃で2分間加熱(プレベーク処理)して、パターン状の遮光膜周辺を埋めるように補修膜(厚み:0.80μm)を形成した。
(補修膜形成用組成物1)
有機樹脂:サイクロマーP(ACA)230AA(ダイセル株式会社製樹脂) 10.96wt%
界面活性剤:Megafac F−781F(含フッ素ポリマー型界面活性剤) 0.01wt%
溶媒:PGMEA 89.03wt%
[パターン形状の確認]
走査型顕微鏡(S4800 日立ハイテクノロジーズ社製、観察倍率:30.0K、加速電圧:2.0keV)を用いて、上記補修膜を形成した遮光膜の断面形状を確認した。
図10に示すように、パターン端面のアンダーカットは、補修膜により埋め込まれていた。
[エッチング]
次いで、ドライエッチング装置(U621 日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、以下条件にてドライエッチング処理を実施して、補修膜の除去を行った。
エッチング実施後、補修膜を硬化するため、クリーンオーブンCLH−21CD(III)(光洋サーモシステム)を用いて、ポストベーク処理を実施した。ポストベーク処理の条件としては、初期温度:23℃から昇温rate:10℃/minで150℃まで昇温(約13分)し、150℃で1時間保持した後、40℃まで自然冷却した(処理時間トータル約3時間30分)。
(ドライエッチング条件)
使用装置:日立ハイテクノロジーズ社製 U−621
(枚葉式ドライエッチング、アッシング装置)のドライエッチングチャンバー使用
処理パラメータ
圧力:2.0Pa
使用ガス:Ar/O=500/20(mL/min)
処理温度:50℃
ソースパワー:800W
上部バイアス/電極バイアス=400/400(W)
処理時間:300sec
[パターン形状の確認]
走査型顕微鏡(S4800 日立ハイテクノロジーズ社製、観察倍率:30.0K、加速電圧:2.0keV)を用いて、上記エッチング処理後の遮光膜の断面形状を確認した。
図11に示すように、パターン端面のアンダーカットなく、かつ、遮光膜がマスクとなり、垂直形状で補修膜がエッチングされていることが確認された。また、エッチングされるべき領域の残渣はなく、良好であった。
[分光透過率測定、反射率測定]
エッチング処理により遮光膜のエッチング進行の有無を、透過分光特性(OD)で判断した。なお、透過分光特性の測定は、日立ハイテクノロジー製分光器UV4100(測定範囲:400〜1200nm)を用いて実施した。図12に示すように、エッチング処理前後の遮光膜の透過分光特性の大きな変化はなく、エッチング処理後でも遮光膜の色相は維持されることが確認された。より具体的には、波長450nmにおけるエッチング処理前の遮光膜のODは3.0であり、波長450nmにおけるエッチング処理後の遮光膜のODは3.0であった。
また、エッチング処理前後の遮光膜の反射率を図13に示す。なお、反射率の測定は、日立ハイテクノロジー製分光器UV4100(測定入射角:5度、測定範囲:400〜1200nm)を用いて実施した。エッチング処理前よりエッチング処理後は更に低反射となっていた。遮光膜の最上層の有機成分が除去されて、表面粗さを促進させたものと推測される。より具体的には、波長750nmにおけるエッチング処理前の遮光膜の反射率は1.4%であり、波長750nmにおけるエッチング処理後の遮光膜の反射率は0.8%であった。
上記のように、400nm〜1200nmの領域で、OD≦3.0以下、反射率≦2.0%を満足するパターン状遮光膜を形成することができていた。
[パターンの信頼性]
以上の操作により、パターン状遮光膜を得た後、パターン状遮光膜の信頼性試験を行った。その結果、信頼性上問題のないパターンであることがわかった。
なお、信頼性試験としては、以下の通りである。
まず、溶媒耐性の評価として、パターン状遮光膜をPGMEA溶液に10分間浸漬させた。その際、遮光膜の剥がれ、及び、パターンの歪みが無かった。
また、アルカリ耐性の評価として、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を2.38質量%含む水溶液にパターン状遮光膜を10分間浸漬させた。その際、パターン状遮光膜の剥がれ、及び、パターンの歪みが無かった。
また、耐熱性の評価として、ホットプレート上にて260℃で10分間の加熱処理をパターン状遮光膜に施した。その際、パターン状遮光膜の変化はなかった。
また、耐光性の評価として、50万Lx・h照射をパターン状遮光膜に施した。その際、パターン状遮光膜の分光透過率に変化はなかった。
また、耐洗浄性の評価として、パターン状遮光膜に対して、10分間のスピン洗浄(50Paの圧力、ノズル距離10mm、edge(端)-edgeで10mm/sノズル稼動)を施した。その際、パターン状遮光膜の剥がれがなかった。
また、こすり耐性の評価として、ベンコットでパターン状遮光膜をこする処理を実施した。その際、ベンコットに粉付着がなく、かつ、パターン状遮光膜の欠けもなかった。
2,20,30,40 固体撮像装置
3 CMOSセンサ
4 回路基板
5 固体撮像素子用保持基板
5a 開口
5b 内壁面
6 IRカットフィルタ
7 撮影レンズ
8 レンズホルダ
9 保持筒
11,21,31,41,102 遮光膜(遮光層)
100 基板
104 補修膜

Claims (12)

  1. 黒色顔料及び第1分散剤を含む第1顔料分散物と、黒色顔料及び第2分散剤を含む第2顔料分散物とを混合して、顔料分散組成物を製造する工程を有し、
    前記第1分散剤のSP値と前記第2分散剤のSP値との差の絶対値が1.0MPa1/2超である、顔料分散組成物の製造方法。
  2. 前記第1分散剤及び前記第2分散剤のうちいずれか一方が、一般式(X)で表される高分子化合物であり、
    前記第1分散剤及び前記第2分散剤のうち他方が、グラフト鎖を有する構造単位を含む高分子化合物である、請求項1に記載の顔料分散組成物の製造方法。
    一般式(X)中、Rは(m+n)価の連結基を表す。R2は、単結合又は2価の連結基を表す。Aは、酸基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する基、フェノール基、アルキル基、アリール基、アルキレンオキシ鎖を有する基、イミド基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、カルボン酸塩基、スルホンアミド基、複素環基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基及び水酸基からなる群から選択される基を少なくとも1種有する1価の置換基を表す。n個のA及びRは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。
    mは8以下の正の数、nは1〜9を表し、m+nは3〜10を満たす。
    はポリマー鎖を表す。m個のPは、同一であっても、異なっていてもよい。
  3. 前記グラフト鎖を有する構造単位が、下記式(1)〜式(4)で表される構造単位から選択された1種以上の構造単位を含む、請求項2に記載の顔料分散組成物の製造方法。

    式(1)〜式(4)において、W、W、W、及びWは、それぞれ独立に、酸素原子又はNHを表す。X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表す。Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、1価の有機基を表す。Rは分岐又は直鎖のアルキレン基を表し、Rは水素原子又は1価の有機基を表す。n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、1から500の整数を表す。j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(3)において、pが2〜500のとき、複数存在するRは互いに同じであっても異なっていてもよい。式(4)において、qが2〜500のとき、複数存在するX及びRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
  4. 前記黒色顔料が、チタンブラックである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔料分散組成物の製造方法。
  5. 前記第1分散剤のSP値と前記第2分散剤のSP値との差の絶対値が1.5MPa1/2超である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の顔料分散組成物の製造方法。
  6. 黒色顔料と、第1分散剤と、第2分散剤とを有し、
    前記第1分散剤のSP値と前記第2分散剤のSP値との差の絶対値が1.0MPa1/2超であり、
    前記第1分散剤及び前記第2分散剤のうちいずれか一方が、一般式(X)で表される高分子化合物であり、
    前記第1分散剤及び前記第2分散剤のうち他方が、下記式(1)〜式(4)で表される構造単位から選択された1種以上の構造単位を含む高分子化合物である、顔料分散組成物。
    一般式(X)中、Rは(m+n)価の連結基を表す。R2は、単結合又は2価の連結基を表す。Aは、酸基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する基、フェノール基、アルキル基、アリール基、アルキレンオキシ鎖を有する基、イミド基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、カルボン酸塩基、スルホンアミド基、複素環基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基及び水酸基からなる群から選択される基を少なくとも1種有する1価の置換基を表す。n個のA及びRは、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。
    mは8以下の正の数、nは1〜9を表し、m+nは3〜10を満たす。
    はポリマー鎖を表す。m個のPは、同一であっても、異なっていてもよい。

    式(1)〜式(4)において、W、W、W、及びWは、それぞれ独立に、酸素原子又はNHを表す。X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表す。Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に、1価の有機基を表す。Rは分岐又は直鎖のアルキレン基を表し、Rは水素原子又は1価の有機基を表す。n、m、p、及びqは、それぞれ独立に、1から500の整数を表す。j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(3)において、pが2〜500のとき、複数存在するRは互いに同じであっても異なっていてもよい。式(4)において、qが2〜500のとき、複数存在するX及びRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
  7. 前記黒色顔料が、チタンブラックである、請求項6に記載の顔料分散組成物。
  8. 前記第1分散剤のSP値と前記第2分散剤のSP値との差の絶対値が1.5MPa1/2超である、請求項6又は7に記載の顔料分散組成物。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載の顔料分散組成物、重合性化合物、及び、重合開始剤を含む、重合性組成物。
  10. 更に、前記第1分散剤のSP値及び前記第2分散剤のSP値のうちいずれか一方のSP値との差の絶対値が0.5MPa1/2以内であるSP値を有するバインダーポリマーを含む、請求項9に記載の重合性組成物。
  11. 請求項9又は10に記載の重合性組成物を用いて形成された遮光膜。
  12. 請求項11に記載の遮光膜を備える、固体撮像装置。
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