JPWO2016084935A1 - Iii型コラーゲン産生促進剤 - Google Patents

Iii型コラーゲン産生促進剤 Download PDF

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Abstract

下記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドがIII型コラーゲン産生促進作用を有することを見出した。したがって、本発明は当該ペプチドまたはその薬学的に許容される塩を含有するIII型コラーゲン産生促進剤を提供する。また、本発明は、当該III型コラーゲン産生促進剤を含有する化粧品、医薬部外品および医薬品を提供する。(1)X1−X2−Val−Tyr−X5−X6(式中X1、X2、X5およびX6は、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)(2)X2−Val−Tyr−X5−X6−X7(式中X2、X5、X6およびX7は、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)(3)Ser−X2−X3−(Tyr/Phe/Trp)−X5−X6(式中X2、X3、X5およびX6は、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)(4)X2−X3−(Tyr/Phe/Trp)−X5−X6−Arg(式中X2、X3、X5およびX6は、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)

Description

本発明は、III型コラーゲン産生促進剤およびそれを含有する化粧品、医薬部外品または医薬に関するものである。
加齢や紫外線等の外来ストレスにより生じる皮膚のしわやたるみの発生原因は様々であるが、その根本的な現象は皮膚繊維芽細胞のコラーゲン産生活性の低下、ヒアルロン酸合成活性の低下、紫外線によるコラゲナーゼ活性の上昇、紫外線や環境から生じる活性酸素による障害等による皮膚の保湿機能の低下や皮膚の構成成分の劣化、変性、減少等であると考えられている。ヒトの皮膚は、角層、表皮層、基底膜および真皮で構成されており、真皮はその中で最も広い領域を占める。真皮組織に存在するコラーゲンとしては、I型とIII型が知られている。I型コラーゲンは弾力を保ち守る働きがあり、III型コラーゲンは、みずみずしさを保ち柔軟性をサポートする働きがある。III型とI型コラーゲンの割合は、乳児期には1対4であるのに対し、成人では1対10になるといわれており、III型コラーゲンは加齢に伴い急速に減少していくことが知られている。それゆえ、皮膚の弾力性の維持および回復には、I型コラーゲンのみではなく、III型コラーゲンが重要な役割を担っている。また、III型コラーゲンの合成不全が原因であると考えられる疾患として、エーラス・ダンロス症候群(Ehlers-Danlos Syndrome)の血管型(IV型)が知られている(非特許文献1)。さらに、III型コラーゲンは創傷治癒促進効果があることも知られている(特許文献1)。
このように、III型コラーゲンは加齢等による皮膚の老化を抑制する上で不可欠な成分であるとともに、III型コラーゲンの合成不全を原因とする各種疾患を改善し、創傷治癒を促進する重要な成分であるといえる。したがって、III型コラーゲンの産生を効果的に促進することができるIII型コラーゲン産生促進剤の開発が望まれている。例えば、特許文献2には、オウギ等の生薬またはその抽出物を含有するIII型コラーゲン産生促進剤が開示されている(特許文献2)。
一方、本発明者らは、細胞外基質の一種であるオステオポンチン(OPN)内に存在する7アミノ酸(SVVYGLR:配列番号7)からなるペプチドが、血管新生作用を有していることを明らかにし、その血管新生作用は、血管新生因子の中心的役割を担うVEGFと同等に高いものであることを見出している(特許文献3、非特許文献2、非特許文献3)。また、本発明者らは、該ペプチドが間葉系細胞の増殖促進作用を有すること(特許文献4)、心機能改善能を有すること(特許文献5)を見出している。しかし、該ペプチドが繊維芽細胞のIII型コラーゲン産生を促進することは知られていない。
特開平7−17844号公報 特開2013−203683号公報 国際公開WO2003/030925号 国際公開WO2008/026634号 国際公開WO2012/172887号
日本エーラス・ダンロス症候群協会(友の会)ホームページ:http://ehlersdanlos-jp.net/whats_eds3.html Hamada Y, Norihara Y, Okazaki M, Fujitani W, Matsumoto T, Matsuura N and Takahashi J. Angiogenic activity of osteopontin-derived peptide SVVYGLR. Biochem Biophys Res Commun 2003; 310: 153-160. Hamada Y, Yuki K, Okazaki M, Fujitani W, Matsumoto T, Hashida K, Kobashi M, Matsuura N and Takahashi J. Osteopontin-derivsd peptide SVVYGLR induces angiogenesis in vivo. Dent Mater J 2004; 23: 650-665.
本発明は、新規なIII型コラーゲン産生促進剤、並びにこれを含有する化粧品、医薬部外品および医薬品を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。
[1]下記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩を含有することを特徴とするIII型コラーゲン産生促進剤。
(1)X−X−Val−Tyr−X−X(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
(2)X−Val−Tyr−X−X−X(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
(3)Ser−X−X−(Tyr/Phe/Trp)−X−X(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
(4)X−X−(Tyr/Phe/Trp)−X−X−Arg(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
[2]前記ペプチドが、前記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列をN末端およびC末端の少なくとも一方に有することを特徴とする前記[1]に記載のIII型コラーゲン産生促進剤。
[3]前記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列が、配列番号1〜6のいずれかで示されるアミノ酸配列である前記[1]または[2]に記載のIII型コラーゲン産生促進剤。
[4]前記ペプチドが、配列番号1、2もしくは7で示されるアミノ酸配列からなるペプチド、または配列番号1、2もしくは7で示されるアミノ酸配列を含むペプチドである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤。
[5]前記ペプチドが、ヒトオステオポンチンのフラグメントである前記[1]〜[4]のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤。
[6]前記ペプチドが、配列番号11で示されるアミノ酸配列またはその一部からなるペプチドである前記[5]に記載のIII型コラーゲン産生促進剤。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤を含有する化粧品。
[8]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤を含有する医薬部外品。
[9]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤を含有する創傷治癒促進用、皮膚萎縮改善用またはIII型コラーゲン合成不全改善用医薬。
[10]前記[1]〜[6]のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤を含有する生体吸収性ゲル。
本発明によれば、新規なIII型コラーゲン産生促進剤を提供することができる。本発明のIII型コラーゲン産生促進剤は、線維芽細胞によるIII型コラーゲン産生を促進できるので、皮膚のしわやたるみを予防または改善するための化粧品、医薬部外品の成分として有用である。また、本発明のIII型コラーゲン産生促進剤は、創傷治癒促進用、皮膚萎縮改善用またはIII型コラーゲン合成不全改善用医薬の有効成分として有用である。
ヒト心臓線維芽細胞にオステオポンチン由来のペプチドを添加して、III型コラーゲンの産生量を測定した結果を示す図である。 ヒト心臓線維芽細胞にオステオポンチン由来のペプチドを添加して、I型コラーゲンの産生量を測定した結果を示す図である。 ヒト皮膚線維芽細胞にオステオポンチン由来のペプチドを添加して、III型コラーゲンの産生量を測定した結果を示す図である。 ヒト皮膚線維芽細胞の傷付け修復実験において、オステオポンチン由来のペプチドの効果を検討した結果を示す図であり、(A)は各群の倒立型光学顕微鏡による観察結果、(B)は各群の経時的な修復率の結果を示す図である。 ヒト表皮角化細胞にオステオポンチン由来のペプチドを添加して、III型コラーゲンの産生量を測定した結果を示す図である。 ヒト表皮角化細胞の傷付け修復実験において、オステオポンチン由来のペプチドの効果を検討した結果を示す図であり、(A)は各群の倒立型光学顕微鏡による観察結果、(B)は各群の経時的な修復率の結果を示す図である。
本発明は、以下の式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩を含有するIII型コラーゲン産生促進剤を提供する。
(1)X−X−Val−Tyr−X−X(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
(2)X−Val−Tyr−X−X−X(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
(3)Ser−X−X−(Tyr/Phe/Trp)−X−X(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
(4)X−X−(Tyr/Phe/Trp)−X−X−Arg(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
式(1)〜(4)において、Xは特に限定されないが、例えば、セリン、アラニン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニンが好ましい。Xは特に限定されないが、例えば、バリン、アラニン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニンが好ましい。Xは特に限定されないが、例えば、バリン、アラニン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニンが好ましい。Xは特に限定されないが、例えば、グリシン、アラニン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニンが好ましい。Xは特に限定されないが、例えば、ロイシン、アラニン、アルギニン、リシン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニンが好ましい。Xは特に限定されないが、例えば、アルギニン、アラニン、リシン、ヒスチジン、トリプトファン、フェニルアラニンが好ましい。
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドは、上記式(1)〜(4)のいずれかで示されるアミノ酸配列を有するものであればよく、これら以外のアミノ酸配列を有していてもよい。ペプチドが上記式(1)〜(4)のいずれかで示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を有する場合、ペプチドは上記式(1)〜(4)のいずれかで示されるアミノ酸配列をN末端およびC末端の少なくとも一方に有することが好ましい。具体的には、上記式(1)〜(4)のいずれかで示されるアミノ酸配列をN末端に有するペプチド、上記式(1)〜(4)のいずれかで示されるアミノ酸配列をC末端に有するペプチド、または上記式(1)〜(4)のいずれかで示されるアミノ酸配列をN末端とC末端の両方に有するペプチドが好ましい。また、上記式(1)〜(4)のいずれかで示されるアミノ酸配列以外のアミノ酸配列を含まないが、上記式(1)〜(4)のいずれかで示されるアミノ酸配列を連結したアミノ酸配列からなるペプチドであってもよい。連結するアミノ酸配列は、同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。連結数は2以上であれば特に限定されない。
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドの長さは特に限定されないが、総アミノ酸残基数が約200以下であることが好ましく、約170以下であることがより好ましく、約100以下であることがさらに好ましい。さらに、取り扱いの簡便さ、製造効率、抗原性等の副作用の観点から、総アミノ酸残基数が約50以下であることが好ましく、約30残基以下であることがより好ましく、約20残基以下であることがさらに好ましく、約10残基以下であることが特に好ましい。下限は6残基であり、好ましくは7残基以上である。
式(1)〜(4)で示されるアミノ酸配列として、好ましくは、以下の配列番号1〜6の配列が挙げられる。
Ser−Val−Val−Tyr−Gly−Leu(配列番号1)
Val−Val−Tyr−Gly−Leu−Arg(配列番号2)
Ser−Val−Val−Phe−Gly−Leu(配列番号3)
Val−Val−Phe−Gly−Leu−Arg(配列番号4)
Ser−Val−Val−Trp−Gly−Leu(配列番号5)
Val−Val−Trp−Gly−Leu−Arg(配列番号6)
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドとしては、配列番号1〜6で示されるアミノ酸配列または以下の配列番号7〜9で示されるアミノ酸配列を有し、かつ総アミノ酸残基数が20以下のペプチドが好ましい。
Ser−Val−Val−Tyr−Gly−Leu−Arg(配列番号7)
Ser−Val−Val−Phe−Gly−Leu−Arg(配列番号8)
Ser−Val−Val−Trp−Gly−Leu−Arg(配列番号9)
なかでも、配列番号1、2または7で示されるアミノ酸配列を含み、かつ総アミノ酸残基数が20以下のペプチドがより好ましく、配列番号1、2または7で示されるアミノ酸配列からなるペプチドがさらに好ましい。
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドはヒトオステオポンチンのフラグメントであることが好ましい。ヒトオステオポンチンのアミノ酸配列は、例えば配列番号10で示されるアミノ酸配列が挙げられるが、これに限定されない。ヒトオステオポンチンには配列番号7で示されるアミノ酸配列(SVVYGLR)が含まれ、トロンビンは、配列番号7で示されるアミノ酸配列(SVVYGLR)の直後でヒトオステオポンチンを切断することが知られている。例えば配列番号10で示されるアミノ酸配列からなるヒトオステオポンチンをトロンビンで切断すると、配列番号11で示されるアミノ酸配列からなるフラグメント、すなわちヒトオステオポンチンのN末端を含み、C末端のアミノ酸配列がSVVYGLRであるフラグメントが生成する。本発明者らは、配列番号11で示されるアミノ酸配列からなるフラグメントが線維芽細胞に対してIII型コラーゲン産生促進作用を有することを確認している(実施例1参照)。したがって、本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドは、ヒトオステオポンチンをトロンビンで切断したN末端側の断片からなるペプチド、またはその一部からなり上記式(1)〜(4)のいずれかで示されるアミノ酸配列をC末端に有するペプチドであることがより好ましい。さらに好ましくは、配列番号11で示されるアミノ酸配列またはその一部からなりSVVYGLR(配列番号7)またはSVVYGL(配列番号1)を有するペプチドである。
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドを構成するアミノ酸は、側鎖が任意の置換基で修飾されたものでもよい。置換基は特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アミノ基などが挙げられる。好ましくは、トリプトファンまたはフェニルアラニンのベンゼン環が置換基で修飾されていることであり、より好ましくは、配列番号1〜9で示されるアミノ酸配列中のトリプトファンまたはフェニルアラニンのベンゼン環が置換基で修飾されていることである。
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドは、C末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)の何れであってもよい。エステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1−2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキル基などのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが挙げられる。アミド体としては、アミド、C1−6アルキル基の1つまたは2つで置換されたアミド、フェニル基で置換されたC1−6のアルキル基の1つまたは2つで置換されたアミド、アミド基の窒素原子を含んで5から7員環のアザシクロアルカンを形成するアミド等が挙げられる。本発明のペプチドがC末端以外にカルボキシル基またはカルボキシレートを有している場合、それらの基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のペプチドに含まれる。
さらに、本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドには、N末端のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているものも含まれる。
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドは塩を形成していてもよく、その塩としては、薬学的に許容される塩が好ましい。薬学的に許容される塩としては、例えば、塩酸、硫酸、燐酸、乳酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの酸との塩;ナトリウム、カリウム、カルシウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属との塩、またはアルミニウムの水酸化物または炭酸塩との塩;トリエチルアミン、ベンジルアミン、ジエタノールアミン、t−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アルギニンなどとの塩などが挙げられる。
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドまたはその塩は、公知の一般的なペプチド合成のプロトコールに従って、固相合成法(Fmoc法、Boc法)または液相合成法により製造することができる。また、目的のペプチドをコードするDNAを含有する発現ベクターを導入した形質転換体を用いて製造することができる。また、インビトロ転写・翻訳系を用いる方法により製造することができる。得られたペプチドがIII型コラーゲン産生促進作用を有することは、例えば、実施例に示すように、培地にペプチドを添加して線維芽細胞を一定期間培養し、培地中にIII型コラーゲンを測定して、ペプチドを添加していない線維芽細胞が産生したIII型コラーゲン量と比較することにより確認することができる。
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤は、線維芽細胞および角化細胞によるIII型コラーゲン産生を促進できるので、皮膚のしわやたるみを予防または改善するための化粧品または医薬部外品として実施することができる。化粧品または医薬部外品として実施する場合、外皮に適用する化粧品または医薬部外品の形態で実施することが好ましい。例えば化粧水、乳液、ジェル、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧料、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリーム、ファンデーション等の形態で実施することができる。
本発明の化粧品および医薬部外品は、本発明のIII型コラーゲン産生促進剤以外に、化粧品または医薬部外品として一般に使用されている成分、例えば、界面活性剤、保湿剤、動植物由来油脂、シリコーン類、高級アルコール、低級アルコール、動植物由来抽出エキス、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、ビタミン類、酸化防止剤、増粘剤、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、着色剤、各種香料などを目的に応じて適宜配合することができる。
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤は、線維芽細胞および角化細胞によるIII型コラーゲン産生を促進できるので、創傷治癒促進用、皮膚萎縮改善用またはIII型コラーゲン合成不全改善用の医薬として実施することができる。
創傷とは、外的、内的要因によって生じる物理的な損傷を意味する。具体的には、例えば、切創、裂創、刺創、咬創、擦過傷、銃創、挫傷、熱傷、褥瘡、糖尿病性潰瘍、化学損傷等が挙げられるが、これらに限定されない。創傷治癒とは、損傷した組織または細胞が、再生および/または修復するこという。本発明の医薬を創傷部位に適用することにより、創傷部位においてIII型コラーゲン産生が促進され、創傷治癒を促進することができる。
皮膚萎縮とは、真皮厚が薄くなる、単位面積当たりの皮膚質量が低下して皮膚がやせる、皮膚の弾力性が失われる等の症状を意味する。本発明の医薬を皮膚萎縮部位に適用することにより、皮膚萎縮部位においてIII型コラーゲン産生が促進され、真皮におけるIII型コラーゲンの割合を回復させることにより皮膚萎縮を改善することができる。
III型コラーゲンの合成不全を原因とする疾患としては、例えばエーラス・ダンロス症候群(Ehlers-Danlos Syndrome)の血管型(IV型)などが挙げられる。本発明の医薬によりIII型コラーゲン産生を促進すれば、III型コラーゲンの合成不全を原因とする疾患の症状を改善することができる。
本発明の医薬は、本発明のIII型コラーゲン産生促進剤に、薬学的に許容される担体または添加剤を適宜配合して製剤化することができる。具体的には錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口剤;注射剤、輸液、坐剤、軟膏、パッチ剤等の非経口剤とすることができる。担体または添加剤の配合割合については、医薬品分野において通常採用されている範囲に基づいて適宜設定すればよい。配合できる担体または添加剤は特に制限されないが、例えば、水、生理食塩水、その他の水性溶媒、水性または油性基剤等の各種担体;賦形剤、結合剤、pH調整剤、崩壊剤、吸収促進剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、香料等の各種添加剤が挙げられる。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。
また、本発明は、本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分であるペプチドをキャリアに結合した形態としてもよい。キャリアとしては、特に限定されるものではなく、人工臓器等に用いられる樹脂、タンパク質等の生体高分子などが挙げられる。なかでも、本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分であるペプチドを含有する生体吸収性ゲルの形態で実施することが好ましい。
生体吸収性ゲルとしては、例えば公知の生体吸収性ハイドロゲルを好適に用いることができる。具体的には、例えば株式会社メドジェル製の徐放用ハイドロゲル「メドジェル(商品名)」などが挙げられる。この製品は、ゼラチンを架橋して水不溶化させたもので、ゼラチンとの静電的相互作用力などを中心とする分子間相互作用によりペプチドを保持することができる。このようなゼラチンハイドロゲルに、本発明のIII型コラーゲン産生促進剤の有効成分であるペプチドを保持させて生体に適用すると、細胞から分泌されるコラゲナーゼなどの分解酵素によってゼラチンハイドロゲルが分解される。分解とともにペプチドが徐放され、分解物は生体に吸収される。生体吸収性ゲルの形状は特に限定されず、例えば、シート状、ディスク状、チューブ状、粒子状等の種々の形状で実施することができる。
本発明の生体吸収性ゲルは、化粧品、医薬部外品および医薬品のいずれの形態でも実施することができる。例えば、化粧品または医薬部外品として、しわやたるみを予防または改善しようとする皮膚に塗布または貼付して使用することができる。創傷治癒促進用の医薬として実施する場合は、生体表面または生体内部の創傷部位に塗布または貼付して使用することができる。皮膚萎縮改善用の医薬として実施する場合は、皮膚萎縮部位に塗布または貼付して使用することができる。III型コラーゲン合成不全改善用の医薬として実施する場合は、III型コラーゲン合成を促進したい臓器や組織に塗布または貼付して使用することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
本発明のIII型コラーゲン産生促進剤を外皮に適用する化粧品、医薬部外品、医薬品として人に適用する場合、その使用方法は使用対象の皮膚の状態、年齢、性別などによって異なるが、例えば、1日数回(例えば1〜5回、好ましくは1〜3回)、1回当たり適量(例えば、約0.05〜5g)を皮膚に適用(塗布、噴霧、貼付など)すればよい。また、III型コラーゲン産生促進剤の有効成分となるペプチドまたはその塩の1日使用量が、例えば、約0.0005〜0.05g、好ましくは0.001〜0.02g、より好ましくは約0.002〜0.01gとなるように適用すればよい。また、塗布期間は、例えば、約2週間〜6ヶ月、好ましくは約1〜6ヶ月間とすればよい。
本発明は、さらに以下の発明を包含する。
(a1)哺乳動物に対して、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩を投与することを特徴とするIII型コラーゲンの産生促進方法。
(a2)哺乳動物に対して、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩を投与することを特徴とする皮膚のしわまたはたるみの予防または改善方法。
(a3)哺乳動物に対して、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩を投与することを特徴とする創傷治癒促進方法。
(a4)哺乳動物に対して、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩を投与することを特徴とする皮膚萎縮改善方法。
(a5)哺乳動物に対して、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩を投与することを特徴とするIII型コラーゲン合成不全改善方法。
(b1)III型コラーゲン産生促進剤を製造するための、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩の使用。
(b2)皮膚のしわまたはたるみの予防または改善用化粧品または医薬部外品を製造するための、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩の使用。
(b3)創傷治癒促進用、皮膚萎縮改善用またはIII型コラーゲン合成不全改善用医薬を製造するための、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩の使用。
(c1)III型コラーゲンの産生促進に使用するための、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩。
(c2)皮膚のしわまたはたるみの予防または改善に使用するための、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩。
(c3)創傷治癒促進、皮膚萎縮改善またはIII型コラーゲン合成不全改善に使用するための、上記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:ヒト心臓線維芽細胞におけるコラーゲン産生量の検討〕
(1)使用ペプチド
被験ペプチドとして、配列番号7で示されるアミノ酸配列からなるペプチド(以下「SV」)、全長オステオポンチン(配列番号10、Accession: BAH58215、以下「OPN」)、トロンビンで切断されたオステオポンチンのN末端側フラグメント(配列番号11、以下「N−OPN」)、トロンビンで切断されたオステオポンチンのC末端側フラグメント(配列番号12、以下「C−OPN」)、N−OPNからSVを欠失させたフラグメント(配列番号13、以下「ΔSV−OPN」)、コントロールペプチド(配列番号14、SVペプチドと同一アミノ酸構成で配列が異なるペプチド、以下「CONT」)を用いた。
SVおよびCONTは、多種品目固相法自動ペプチド合成装置(PSSM-8; 島津製作所)を用いてFmoc法により合成した。全長オステオポンチンには、市販のリコンビナントヒトオステオポンチン(abcam)を使用した。
N−OPN、C−OPNおよびΔSV−OPNは、リコンビナントペプチドを作製して使用した。具体的には、OPNをコードするcDNAの塩基配列(配列番号15、Accession: AB469789)に基づいて、N−OPN、C−OPNおよびΔSV−OPNをそれぞれコードするcDNAを取得し、GST融合タンパク質発現用ベクターpGEX4T−2(GEヘルスケア)に組み込んだ。得られた発現用ベクターをBL21大腸菌にトランスフォームし、LB培地を用いてOD値が0.6−0.7になるまで大腸菌を培養し、IPTGを0.5mMになるように添加し、37℃で3時間発現誘導を行った。培養液の10分の1量のlysis buffer(50 mM Tris pH 8.0, 120 mM NaCl, 1 mM EDTA, 0.5% Nonidet P-40)を加え、氷上で超音波破砕した。破砕液を遠心分離して上清を回収した。上清にグルタチオンセファロースビーズを加え、4℃で4時間ローテートを行い反応させた。グルタチオンセファロースビーズに結合したリコンビナントペプチドをelution buffer (1.2mM NaCl with Tris-HCL pH8.0)で溶出することにより精製した。精製した各リコンビナントペプチドについて、SDS−PAGEにより純度および濃度を確認した。
(2)実験方法
線維芽細胞は、ヒト心臓線維芽細胞(Human normal cardiac fibroblasts: NHCF-V)をLONZA社から購入して使用した。培地には、LONZAが推奨するFGM−3 BulletKitを用いた。
無処理群、OPN群、OPN+トロンビン群、N−OPN群、ΔSV−OPN群、C−OPN群、SV群およびCONT群の8群を設けた(各群n=4)。OPN群、N−OPN群、ΔSV−OPN群およびC−OPN群には、OPN、N−OPN、ΔSV−OPNおよびC−OPNをそれぞれ1μg/mLになるように培地に添加した。SV群およびCONT群には、SVおよびCONTをそれぞれ10ng/mLになるように培地に添加した。OPN+トロンビン群には、1μg/mLのOPNと0.12ユニットのトロンビン(BPS Bioscience)を添加した。120時間培養を続け、培養上清を回収した。I型コラーゲンまたはIII型コラーゲンの産生量をELAISAにより測定した。I型コラーゲンの測定には、ELISA Kit for Collagen Type I (COL1) Homo sapiens (Human)(Uscn Life Science Inc.、製品コード:SEA571Hu)を使用し、III型コラーゲンの測定には、ELISA Kit for Collagen Type III (COL3) Homo sapiens (Human)(Uscn Life Science Inc.、製品コード:SEA176Hu)を使用した。
III型コラーゲンの結果を図1に、I型コラーゲンの結果を図2にそれぞれ示した。図1および図2において(−)は無処理群を示す(図4〜6も同じ)。産生量は平均値±SDで示した。図1から明らかなように、N−OPN群およびSV群のIII型コラーゲンの産生量は、無処理群と比較して有意に増加した(*: p<0.05、**: p<0.01)。一方、図2から明らかなように、いずれのペプチドを培地に添加しても、I型コラーゲン産生量は無処理群と同程度であった。
〔実施例2:ラット皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン産生量の検討〕
実施例1のヒト心臓線維芽細胞に代えてラット皮膚線維芽細胞(Rat dermal fibroblasts: RDF)をCell Applications社から購入して使用した。培地には、Cell Applicationsが推奨するRat Fibroblast Growth Mediumを用いた。ペプチドには、実施例1で用いたSVおよびN−OPNを用いた。無処理群、SV群およびN−OPN群の3群を設け(各群n=3)、実施例1と同じ方法でIII型コラーゲンの産生量を測定した。
結果を図3に示した。産生量は平均値±SDで示した。図3から明らかなように、N−OPN群およびSV群のIII型コラーゲンの産生量は、無処理群と比較して有意に増加した(*: p<0.05)。
〔実施例3:ヒト皮膚線維芽細胞における傷付け修復実験〕
実施例2と同じラット皮膚線維芽細胞を使用し、ペプチドには実施例1で用いたSVおよびCONTを用いた。
無処理群、CONT群、SV10群およびSV100群の4群を設けた(各群n=4)。皮膚線維芽細胞を35mm培養ディッシュに播種し、コンフルエントになるまで培養した。200μl用ピペットチップを用いて、約2mm幅に細胞を剥離し、その後培地にペプチドを添加した。CONT群およびSV10群は終濃度が10ng/mLになるように、SV100群は終濃度が100ng/mLになるように、ペプチドを添加した。倒立型光学顕微鏡を用いて、細胞運動能によって修復される様子を経時的に観察し、細胞運動による溝の修復率を比較した。修復率(%)は以下の式で計算した。
修復率(%)=(観察時の剥離部分の面積/0時間の剥離部分の面積)×100
結果を図4に示した。(A)は各群の倒立型光学顕微鏡による観察結果であり、(B)は各群の経時的な修復率の結果である。修復率は平均値±SDで示した。図4(A)および(B)から明らかなように、SV10群は、無処理群およびCONT群と比較して、細胞剥離24、48時間後において細胞運動による溝の修復率が高い傾向が認められ、48時間後ではCONT群に対して有意差が認められた(vs CONT *: P<0.01)。SV100群においては無処理群およびCONT群と比較して細胞剥離24、48、72時間後に有意に高い修復率を示した(vs 無処理 ※: P<0.05、vs CONT *: P<0.05)。無処理群とCONT群間には有意差は認められなかった。
〔実施例4:ヒト表皮角化細胞におけるコラーゲン産生量の検討〕
実施例1のヒト心室性心臓線維芽細胞に代えてヒト表皮角化細胞(Human Epidermal Keratinocytes、以下「HEK」と略記する。)をThermo Fisher Scientific社から購入して使用した。培地には、Gibco社の推奨するMedium154 for Keratinocytes培地を用いた。ペプチドには、実施例1で用いたSVおよびCONTを用いた。また、陽性対照として市販のTGFβを用いた。無処理群、SV群、CONT群およびTGFβ群の4群を設け(各群n=6)、実施例1と同じ方法でIII型コラーゲンの産生量を測定した。TGFβの添加量は、他のペプチドと同じ10ng/mLとした。
結果を図5に示した。産生量は平均値±SDで示した。図5から明らかなように、SV群のIII型コラーゲンの産生量は、陽性対照のTGFβ群と同様に、無処理群およびCONT群と比較して有意に増加した(vs 無処理 ※: P<0.05、vs CONT *: P<0.05)。
〔実施例5:ヒト表皮角化細胞における傷付け修復実験〕
実施例4と同じヒト表皮角化細胞を使用し、ペプチドには実施例1で用いたSVおよびCONTを用いた。また、陽性対照として、実施例4と同じTGFβを用いた。
無処理群、CONT群、SV群およびTGFβ群の4群を設けた(各群n=6)。ヒト表皮角化細胞を35mm培養ディッシュに播種し、コンフルエントになるまで培養した。200μl用ピペットチップを用いて、約2mm幅に細胞を剥離し、その後培地にペプチドまたはTGFβを終濃度が10ng/mLになるように添加した。倒立型光学顕微鏡を用いて、細胞運動能によって修復される様子を経時的に観察し、細胞運動による溝の修復率を比較した(実施例3参照)。
結果を図6に示した。(A)は各群の倒立型光学顕微鏡による観察結果であり、(B)は各群の経時的な修復率の結果である。修復率は平均値±SDで示した。図6(A)および(B)から明らかなように、SV群は10時間目において陽性対照のTGFβ群より修復率が高くなり、無処理群およびCONT群より有意に高い修復率を示した(vs 無処理 ※: P<0.05、vs CONT *: P<0.05)。SV群とTGFβ群間、および無処理群とCONT群間には有意差は認められなかった。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

Claims (10)

  1. 下記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列を含み、総アミノ酸残基数が200以下のペプチドまたはその塩を含有することを特徴とするIII型コラーゲン産生促進剤。
    (1)X−X−Val−Tyr−X−X(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
    (2)X−Val−Tyr−X−X−X(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
    (3)Ser−X−X−(Tyr/Phe/Trp)−X−X(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
    (4)X−X−(Tyr/Phe/Trp)−X−X−Arg(式中X、X、XおよびXは、同一または異なって任意のアミノ酸残基を表す。)
  2. 前記ペプチドが、前記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列をN末端およびC末端の少なくとも一方に有することを特徴とする請求項1に記載のIII型コラーゲン産生促進剤。
  3. 前記式(1)、(2)、(3)または(4)で示されるアミノ酸配列が、配列番号1〜6のいずれかで示されるアミノ酸配列である請求項1または2に記載のIII型コラーゲン産生促進剤。
  4. 前記ペプチドが、配列番号1、2もしくは7で示されるアミノ酸配列からなるペプチド、または配列番号1、2もしくは7で示されるアミノ酸配列を含むペプチドである請求項1〜3のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤。
  5. 前記ペプチドが、ヒトオステオポンチンのフラグメントである請求項1〜4のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤。
  6. 前記ペプチドが、配列番号11で示されるアミノ酸配列またはその一部からなるペプチドである請求項5に記載のIII型コラーゲン産生促進剤。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤を含有する化粧品。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤を含有する医薬部外品。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤を含有する創傷治癒促進用、皮膚萎縮改善用またはIII型コラーゲン合成不全改善用医薬。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載のIII型コラーゲン産生促進剤を含有する生体吸収性ゲル。
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