JPWO2016076151A1 - 有機エレクトロルミネッセンス治療装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス治療装置 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、治療する曲面の患部に対する形状応答性(フレキシビリティー)を有し、かつ発光時に発熱量が少なく高輝度の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス治療装置を提供することである。本発明の有機エレクトロルミネッセンス治療装置は、有機エレクトロルミネッセンス素子により、患部に光照射して治療する光治療装置であって、前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、フレキシブル基板上に、一対の電極で挟持された発光層を含む有機機能層ユニット及びフレキシブル封止部材を、この順で積層した積層体であり、発光波長が400〜2000nmの範囲内にあり、かつ、前記発光層を含む有機機能層ユニットが2つ以上積層された構造であることを特徴とする。

Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンス光治療装置に関し、更に詳しくは、照射光源としてタンデム型の有機エレクトロルミネッセンス素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス治療装置に関する。
従来、特定の疾病に対し、光照射による治療、いわゆる光治療が有効であることが知られている。例えば、肩こりや腰痛などの疼痛緩和や薄毛治療には、赤色光や赤外線光の照射による治療が行われている。この赤外線、例えば、近赤外線光の光照射による治療は、血管を拡張させることにより、組織血流を増加させたり、交感神経系の興奮を抑制したり、細胞組織を活性化して創傷治癒を促進したり、炎症性サイトカインや発痛物質に働きかけることにより、抗炎症作用や鎮痛作用をもたらしたりすることはよく知られている。特に、水、ヘモグロビン、メラニンに対する吸収が少ない波長800〜900nm近傍の近赤外線領域は、生体透過度に優れ、温熱効果とは異なる作用機序によって炎症抑制や疼痛を緩和することが明らかになってきている。一方、アトピー性皮膚炎の治療には、青色光や紫外線光の照射による治療が行われている。
このように、種々な疾患に対する治療に、様々な波長の光が用いられており、この単独で光を用いる方法を、光線療法といい、光の照射と共に、光化学療法剤を併用する治療法を光線力学的療法(「PDT」、Photo Dynamic Therapy)という。このPDTにおいては、光化学療法剤として知られる感光性治療剤が、身体の被処置領域に外部から又は内部から供給される。これらの療法を用いてさまざまな皮膚疾患および内部疾患の治療が可能となる。
以上のような光治療に用いられる光治療装置の一例としては、例えば、面上に発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下、「LED」と略記する。)を配列した複数の発光手段と、発光手段のそれぞれについて発光量や発光時間を制御する制御手段とを備えた、近赤外線光により炎症性疼痛の緩解などの治療を行うための光治療装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1で開示されている光治療装置によれば、治療光の照射面における光強度分布や温度分布が均一化され、治療部位となる照射面全体に均一に治療光を照射して治療効果を高めることができるとされている。
しかしながら、光源として使用している照射部は、LED光源と共に、拡散板等を具備し、フレキシビリティーに乏しい発光素子であるため、例えば、人体用の曲面構造に対し、均一に光照射させようとする場合には、多くのLEDを配置する必要があり、多数のLEDの発光制御が複雑となり、かつLED自身が発する熱等による影響も問題となっている。
上記の問題に対し、光源として有機発光ダイオード(以下、「有機エレクトロルミネッセンス素子」、「OLED」又は「有機EL素子」という。)を用いた光治療装置が提案されている。例えば、治療上又は美容上の処置で用いる移動式機器で、治療すべき領域に有機発光半導体として有機発光ダイオードを用いて、光照射して治療する光治療装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、治療用波長を発する有機発光ダイオード(OLED)と、当該有機EL素子発光ダイオードの発光条件を制御する制御モジュールを有する光線治療器が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。ここで開示されている方法によれば、複数のOLEDを選択あるいは制御モジュールで、個々のOLEDの発光を制御することにより、光照射システムを所望の発光特性に制御することができるとされている。
しかしながら、これら提案されているOLEDを用いた光治療装置では、患部に均一な光の照射を行う工夫はなされているが、複数のOLEDから構成されている光治療装置の光源部が、発光に伴い熱を発し、患部等へ不要な熱による影響があるため、安全な治療又は長時間の治療をすることは困難である。
したがって、有機EL素子(OLED)を光源とした用いた光治療装置として、治療する患部の曲面に対する形状応答性(フレキシビリティー)を有し、かつ発光時に発熱量が少なく、高輝度の光照射を可能とする有機EL素子を具備した光治療装置の開発が切望されている。
特開2009−055969号公報 特表2005−520583号公報 特表2012−514498号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、治療する曲面の患部に対する形状応答性(フレキシビリティー)を有し、かつ発光時に発熱量が少なく高輝度の光照射を可能とする有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス治療装置を提供することである。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、患部に有機EL素子により光照射して光治療する有機エレクトロルミネッセンス治療装置で、当該有機EL素子が、400〜2000nmの範囲内に発光波長を有し、かつ、発光層を含む有機機能層ユニットが2つ以上積層されたタンデム構造であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス治療装置により、治療する曲面の患部に対する形状応答性(フレキシビリティー)を有し、かつ発光時に発熱量が少なく高輝度の有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス治療装置を得ることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.有機エレクトロルミネッセンス素子により、患部に光照射して光治療する有機エレクトロルミネッセンス治療装置であって、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、フレキシブル基板上に、一対の電極で挟持された発光層を含む有機機能層ユニット及びフレキシブル封止部材を、この順で積層した積層体であり、発光波長が400〜2000nmの範囲内にあり、かつ、前記発光層を含む有機機能層ユニットを2つ以上積層した構造であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス治療装置。
2.前記発光層が含有する発光材料が、リン光発光性化合物であることを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス治療装置。
3.前記2つ以上の有機機能層ユニットが、それぞれ異なる発光ピーク波長の光を発光することを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス治療装置。
4.前記2つ以上の有機機能層ユニットが、それぞれ同一の発光ピーク波長の光を発光することを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス治療装置。
本発明の上記手段により、治療する曲面の患部に対する形状応答性(フレキシビリティー)を有し、かつ発光時に発熱量が少なく高輝度の有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス治療装置を提供することができる。
本発明で規定する構成により、上記問題を解決することができたのは、以下の理由によるものと推測している。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス治療装置においては、光治療に用いる有機エレクトロルミネッセンス素子が、発光層を含む有機機能層ユニットが2つ以上積層されたタンデム構造であることを特徴とする。
本発明の特徴である有機機能層ユニットを2つ以上積層した構成とすることにより、第1電極である陽極(3)と、第2電極である陰極(6)との電極間の距離が長くなる。一般的に、第2電極である陰極(6)は膜厚が100nm以上の金属材料を用いて、表面が荒れているため、この陽極と陰極間の膜厚が薄いとリークが起こり、異常発熱の原因となる。これに対し、本発明に適用する有機エレクトロルミネッセンス素子は、有機機能層ユニットが2つ以上積層されることで、第1電極である陽極(3)と、第2電極である陰極(6)間の膜厚が厚くなり、異常発熱の懸念を低減することが可能となる。このことは曲げることによるリークの懸念が高いフレキシブル光源において、異常発熱を防ぐことができる。
また、一般に有機エレクトロルミネッセンス素子は大電流印可により、高輝度になるほど電流効率(cd/A)が低下する。そのため高輝度領域で使用を行う治療装置では有機機能層ユニット1つで駆動するよりも複数の有機機能層ユニットで任意の輝度を分割して照射した方が効率を損なわず、発熱を抑えることが可能である。
このような理由により、治療する曲面の患部に対する形状応答性(フレキシビリティー)を有し、かつ発光時に発熱量が少なく高輝度の有機EL素子を具備した有機エレクトロルミネッセンス治療装置を実現することができた。
フレキシブルな有機EL素子を具備した本発明の有機エレクトロルミネッセンス治療装置全体の構成の一例を示す概略図 有機EL素子の発光ユニットの基本構成の説明するための部分構成図 2つの有機機能層ユニットを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例(実施態様1)を示す概略断面図 2つの有機機能層ユニットを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の他の構成の一例(実施態様2)を示す概略断面図 2つの有機機能層ユニットを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の他の構成の一例(実施態様3)を示す概略断面図 2つの有機機能層ユニットを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の他の構成の一例(実施態様4)を示す概略断面図 3つの有機機能層ユニットを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の構成の一例(実施態様5)を示す概略断面図 3つの有機機能層ユニットを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の他の構成の一例(実施態様6)を示す概略断面図 3つの有機機能層ユニットを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の他の構成の一例(実施態様7)を示す概略断面図 3つの有機機能層ユニットを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の他の構成の一例(実施態様8)を示す概略断面図 3つの有機機能層ユニットを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の他の構成の一例(実施態様9)を示す概略断面図 3つの有機機能層ユニットを有する有機エレクトロルミネッセンス素子の他の構成の一例(実施態様10)を示す概略断面図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス治療装置(以降、「有機EL治療装置」と略記する。)は、患部に、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と略記する。)により光照射して光治療する光治療装置であって、前記有機EL素子が、フレキシブル基板上に、一対の電極で挟持された発光層を含む有機機能層ユニット及びフレキシブル封止部材を、この順で積層した積層体であり、発光波長が400〜2000nmの範囲内にあり、かつ、前記発光層を含む有機機能層ユニットが2つ以上積層された構造であることを特徴とし、治療する曲面の患部に対する形状応答性(フレキシビリティー)を有し、かつ発光時に発熱量が少なく高輝度の有機EL素子を具備し有機EL治療装置を実現することができる。この特徴は、請求項1から請求項4に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、発光層が含有する発光材料がリン光発光性化合物であることが、更に高い発光効率を得ることができ、有機EL治療時の患部への熱による悪影響を防止でき、低温環境下での効果的な治療を可能とすることができる。
また、2つ以上の有機機能層ユニットを、それぞれ異なる発光ピーク波長の光を発光する構成とすることにより、それぞれ治療に適した発光波長を選択することにより、最適の光治療を施すことができる観点から好ましい。
また、2つ以上の有機機能層ユニットを、それぞれ同一の発光ピーク波長の光を発光する構成とすることにより、より一段と高い発光効率を得ることができる観点から好ましい。
本発明でいう「発光ピーク波長」とは、分光発光スペクトルにおける発光最大波長をいう。また、本発明でいう「同一の発光ピーク波長」とは、2つ以上の有機機能層ユニットの発光ピーク波長の差が、25nm以内であることをいい、さらに好ましくは10nm以内であること、特に好ましくは5nm以内であることをいう。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本発明において示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《有機EL治療法の概要》
はじめに、本発明に係る有機EL素子を適用する有機EL治療法の概要について説明する。
本発明でいう光治療法、あるいは光線療法とは、前述のとおり、特定の疾病に対し、光照射による治療、いわゆる光治療を行う方法であり、本発明に係る有機EL治療法とは、光照射手段として有機EL素子を用いる方法である。例えば、肩こりや腰痛などの疼痛緩和や薄毛治療には、赤色光や赤外線の照射による治療が行われている。この赤外線による治療は、例えば、患部に近赤外線光の照射を行うことにより、血管を拡張させることにより組織血流を増加させ、交感神経系の興奮を抑制したり、細胞組織を活性化して創傷治癒を促進したり、炎症性サイトカインや発痛物質に働きかけて抗炎症作用や鎮痛作用をもたらしたりする。特に、水、ヘモグロビン、メラニンに対する吸収が少ない波長800〜900nm近傍の近赤外線領域は生体透過度に優れ、温熱効果とは異なる作用機序によって炎症抑制や疼痛緩和されることができ、また、アトピー性皮膚炎の治療には青色や紫外線の照射による治療が行われている。
本発明に係る有機EL治療法は、任意の病気、症候群、疾患、症状、又は有機EL治療に反応する様々な病気の治療や美容的症状に適用することができる。
有機EL治療法を適用することが可能な治療的疾患及び美容的症状としては、例えば、皮膚疾患、並びに、皮膚の老化及びセルライトを含む皮膚に関連する症状、肥大した毛穴、油性肌、毛嚢炎、前癌状態の日光性角化症、皮膚損傷、老化、皺の多い皮膚及び太陽で傷んだ皮膚、目じりの皺、皮膚潰瘍(糖尿病性、褥瘡、静脈うっ滞)、酒さ性座瘡、セルライト;脂腺及び周辺組織の光調整、皺とり、ニキビの痕及びニキビの細菌、炎症、痛み、外傷、精神的及び神経系に関連する疾患及び症状、面皰、浮腫、パジェット病、原発腫瘍及び転移性腫瘍、結合組織病、コラーゲン処置、線維芽細胞、及び哺乳類の組織における線維芽細胞由来の細胞レベル、網膜照射、腫瘍性疾患、新生血管疾患及び肥大性疾患、炎症反応及びアレルギー反応、汗、エクリン汗腺(汗腺)又はアポクリン腺からの汗かき及び過剰な発汗(hyper−hydrosis)、黄疸、白斑、眼球新生血管疾患、神経性大食症、疱疹、季節性情動障害、憂うつ、睡眠障害、皮膚癌、クリーグラー・ナジャー病、アトピー性皮膚炎、糖尿病性皮膚潰瘍、褥瘡、膀胱感染症、筋肉痛の軽減、痛み、関節のこわばり、細菌の低減、歯肉炎、歯のホワイトニング、歯及び口中の組織の治療、創傷治癒が含まれる。
美容的症状としては、ニキビ、肌の若返り並びに皮膚の皺、セルライト、及び、白斑、乾癬(軽度、軽度から重度、及び、重度)から選択される。
(有機EL治療法に適用する波長)
本発明の有機EL治療装置においては、具備する発光層を含む有機機能層ユニットを2つ以上有する有機EL素子が、発光波長が400〜2000nmの範囲内であることを特徴とする。
更に、有機EL素子の発光波長としては、好ましくは400〜1000nm、より好ましくは400〜950nm、特に好ましくは400〜900nmの範囲内である。
有機EL治療法の主たる効果の一つは、皮膚に対し様々な波長の光を照射することにより、例えば、コリや痛みを緩和するものとして知られている。すなわち、ミトコンドリアにおける代謝の刺激である。有機EL治療を施した後、細胞は代謝が増大して伝達がより向上し、よいストレス等に対する耐性が向上する。
本発明に係る有機EL素子は、細胞刺激のために使用することができる。細胞刺激のための好ましい波長又は波長の範囲は600〜900nmであり、より好ましくは620〜880nmの範囲内であり、特に好ましくは650〜870nmの範囲内である。細胞刺激のための特に好ましい波長の例は、683.7nm、667.5nm、772.3nm、750.7nm、846nm、及び812.5nmである。
また、スキンケア及び皮膚修復のために適用される波長としては400〜800nmの範囲内が好ましく、より好ましくは450〜750nmの範囲内であり、更に好ましくは500〜700nmの範囲内であり、特に好ましくは580〜640nmの範囲内である。
また、ニキビの治療に用いられる有機EL素子としては、赤色光と青色光の組み合わせが特に好ましい。上記赤色光は、好ましくは590〜750nmの範囲内、より好ましくは600〜720nmの範囲内、更に好ましくは620〜700nmの範囲内から選択される。ニキビの治療に好ましい2つの更なる波長は、633nm及び660nmである。
又、面皰の場合には、500nmの波長、又は500〜700nmの範囲内の波長を有する光を放射する有機EL素子を適用することが特に好ましい。
また、セルライト(皮下脂肪)の治療及び/又は予防のための波長は、400〜1000nmの範囲内であり、好ましくは400〜900nmの範囲内であり、より好ましくは450〜900nmの範囲内であり、特に好ましくは500〜850nmの範囲内である。
また、皮膚の老化の治療や防止や、しわの形成を減少あるいは予防するための波長としては、400〜950nmの範囲内である。この波長は、好ましくは550〜900nmの範囲内であり、より好ましくは550〜860nmの範囲内である。
また、皮膚の若返りに対して適用する有機EL素子は、700〜1000nmの範囲内、好ましくは750〜900nmの範囲内、より好ましくは750〜860nmの範囲内、特に好ましくは800〜850nmの範囲内の光を放出する有機EL素子である。
また、皮膚の赤みの治療や予防のための波長は、460〜660nmの範囲内であり、好ましくは500〜620nmの範囲内であり、より好ましくは540〜580nmの範囲内である。この目的のための1つの特に好ましい波長は、560nmである。
また、皮膚炎の治療や予防のための波長は、470〜670nmの範囲内であり、好ましくは490〜650nmの範囲内であり、より好ましくは530〜610nmの範囲内である。この目的のための2つの特に好ましい波長は、550nmと590nmである。
また、アトピー性湿疹の治療や予防のための波長は、470〜670nmの範囲内であり、好ましくは490〜650nmの範囲内であり、より好ましくは530〜610nmの範囲内である。
また、浮腫の治療に使用される波長としては、好ましくは、760〜940nmの範囲内、より好ましくは780〜920nmの範囲内、更に好ましくは800〜900nmの範囲内、特に好ましくは820〜880nmの範囲内である。
また、本発明の有機EL治療装置は、創傷を治療するための使用することができる。光線療法による創傷の治療に好ましい波長は、600〜950nmの範囲であり、より好ましくは650〜900nmの範囲であい、特に好ましい波長は、660、720、880nmである。
また、特表2002−51916号公報に記載されているように、1917nmの赤外線を照射することにより、免疫システムに刺激を与えることにより、正常な細胞に害を及ぼすことなしに、細胞レベルでの治療を行うことができる。
また、神経系及び精神的疾患、症状の治療及び予防のための波長は、350〜600nmの範囲内であり、好ましくは400〜550nmの範囲内であり、より好ましくは440〜500nmの範囲内である。この目的のための好ましい2つの波長は460nmと480nmである。
(光線力学的療法(PDT))
本発明においては、本発明の有機EL治療装置による光の照射と共に、光化学療法剤を併用する光線力学的療法(PDT)を適用することが好ましい。
PDTは、治療されるべき体の領域に、光化学療法剤(photopharmaceutical)として公知の感光性の療法用剤を外用または内用として与える。次に、その領域に、本発明の有機EL治療装置により適切な波長及び強度の光に放射して、光化学療法剤を活性化させる方法である。例えば、光化学療法剤として光増感性の物質を腫瘍細胞に取り込ませ、光を照射することにより、腫瘍細胞を死滅させる腫瘍の治療方法である。より具体的には、腫瘍細胞又は腫瘍組織内の新生血管の内皮細胞内に、光増感性蛍光タンパク質等を導入し、適当な光を照射することにより、活性酸素を発生させる。この活性酸素により、腫瘍細胞又は腫瘍組織が傷害され、腫瘍が消失する方法である。
〈光化学療法剤〉
上記光線力学的療法(PDT)に適用される光化学療法剤(「光増感性化合物」ともいう。)としては、光活性化する光線の照射を受けて、細胞毒性の形態に変換されるか、細胞毒性種を生じさせる光増感性の物質を含有する製剤をいう。
光化学療法剤は、全身投与または局所投与(例えば、腸管、頬、舌下、歯肉、口蓋、鼻、肺、膣、直腸あるいは眼球等への送達。)のいずれにも用いることができる。また、光力学療法製剤を、経口または非経口投与に適した剤形で提供することもできる。このうち局所投与する場合の光線力学療法製剤として、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、スプレー剤、ローション剤、ロウ膏剤、スティック剤、石鹸剤、散剤、錠剤、フィルム剤、膣座薬、エアゾル剤、滴剤、溶液剤および当業界での従来型医薬品形態のいずれかで製剤される。局所投与または経口投与の場合、必要に応じて潤滑剤、保湿剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、甘味剤、香味剤、表面浸透助剤などといった吸収促進剤をさらに含んでいてもよい。
光化学療法剤としては、例えば、5−アミノレブリン酸塩酸塩(クロフォード・ファーマスーティカルズ(Crawford Pharmaceuticals))、メチルアミノレブリン酸(メトフィックス(登録商標)(Metfix(登録商標))、フォトキュア(Photocure))等の局所用剤がある。また、例えば、フォトフィン(登録商標)(Photofin(登録商標))(アクスカン(Axcan)から)およびフォスカン(登録商標)(Foscan(登録商標))(バイオリテック・リミテッド(Biolitech Ltd)から)など、内部の悪性疾患に対して主に用いられる注射用薬剤がある。薬剤は、不活性な形態で適用されることが多く、この薬剤は、感光性の光化学療法剤へと代謝される。
《有機EL治療装置》
本発明の有機EL治療装置は、有機エレクトロルミネッセンス素子により、患部に光照射して治療する有機EL治療装置であって、有機エレクトロルミネッセンス素子が、フレキシブル基板上に、一対の電極で挟持されている発光層を含む有機機能層ユニット及びフレキシブル封止部材を、この順で積層した積層体であり、発光波長が400〜2000nmの範囲内にあり、かつ、前記発光層を含む有機機能層ユニットが2つ以上積層された構造であることを特徴とする。
本発明の有機EL治療装置では、フレキシブル基板の基板面に沿ってフレキシブルに屈曲する有機EL素子が設けられているため、様々な曲面を有する広範囲の治療部位に沿って、適切な位置に配置することができ、かつ発光層を含む有機機能層ユニットを2つ以上積層したタンデム構造よりなる有機EL素子を面発光デバイスとして用いることにより、高輝度の条件での光照射を可能とし、患部等での発熱等を抑制することにより、高出力で効率的な治療効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて次に示す順に説明する。ここでは先ず、本発明の有機EL治療装置の概略全体構成を説明し、次いで、有機EL素子の基本構成及び発光層を含む有機機能層ユニットを2つ以上積層したタンデム構造よりなる有機EL素子を具備した有機EL治療装置の実施形態について、その詳細を説明する。なお、以下に説明する各実施形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、それ以降は重複する説明は省略する。また、各構成要素のあとの括弧内に記載の数字は、各図に記載した構成要素の符号を表す。
図1は、本発明の有機EL治療装置の全体概略図であり、有機EL素子(EL)は、フレキシブル基板(1)上に、一対の電極で挟持された2つ以上の有機機能層ユニットを含む発光ユニット(12)と、その上部に封止用接着層(13)及びフレキシブル封止基板(14)により構成されており、複数個から構成される有機機能層ユニットは、それぞれの発光量や発光時間を制御するための発光制御手段(不図示)に接続されている。
本発明の有機EL治療装置は、図1に示すようにフレキシブルな部材より構成されているため、発光面の形状を自由に設定することができる特徴を備えている。
以下の説明において、少なくともフレキシブル基板上に、一対の電極で挟持された発光層を含む有機機能層ユニット及びフレキシブル封止部材を設けた構成を「有機EL素子(EL)」と称し、陽極、発光層及び有機機能層群、及び陰極によりなる構成を、「発光ユニット(12)」、発光層及び有機機能層群により構成されるものを「有機機能層ユニット(4)」と称す。
《有機EL素子の基本構成》
次いで、有機EL素子(EL)の発光ユニット(12)を含めた詳細な構成について、更に説明する。
図2は、有機EL素子の発光ユニットを含めた構成の説明する部分構成図である。
本発明に係る有機EL素子(EL)は、フレキシブル基板(1)上に、少なくとも2つの発光層を含む有機機能層ユニット(4)を積層したタンデム構造を有していることを特徴としている。
図2には、フレキシブル基板(1)上に、一対の電極を構成する第1電極(3、陽極)と、その上に、有機機能層群1(22)、発光層(23)及び有機機能層群2(24)で構成される有機機能層ユニット(4)を有している。図2では、便宜上、1つの有機機能層ユニット(4)のみ記載しているが、実際の形態では、2つ以上の有機機能層ユニット(4)が積層された構造となっている。この2つ以上の有機機能層ユニット(4)上に第2電極(6、陰極)が形成されて、第1電極(3)〜第2電極(6)の構成で、発光ユニット(12)を構成している。第2電極(6)の上部には、少なくとも有機機能層ユニットを被覆する形態で、封止用接着層(13)及びフレキシブル封止基板(14)が設けられて、有機EL素子(EL)を構成している。
図2に記載の有機EL素子(EL)において、第1電極(3)が透明電極で構成することにより、発光ユニットの発光点hで発光した発光光(L)を、透明電極である第1電極(3)側より外部に取り出される。
本発明に係る有機EL素子(EL)においては、発光波長が400〜2000nmの範囲内にあることを特徴とする。このような幅広い発光波長域を具備することにより、有機EL治療法に適した発光を随時選択することができる。このような発光波長のコントロールは、発光層で使用する発光性化合物の種類の選択や2種以上の発光性化合物の組み合わせにより実現することができる。
また、本発明に係る有機EL素子においては、2つ以上の有機機能層ユニットが、それぞれ異なる発光ピーク波長を有する構成とすることが、治療対象に応じて、適切な波長の光を照射することができ好ましい。また、2つ以上の有機機能層ユニットが、それぞれ同一の発光ピーク波長を有する構成とすることにより、発熱を伴うことなく高輝度の光を照射することができ好ましい。
《タンデム構造の有機EL素子》
本発明の有機EL治療装置に適用する有機EL素子(EL)は、発光層を含む有機機能層ユニットが2つ以上積層された、いわゆるタンデム構造であることを特徴とする。
以下、本発明に適用可能なタンデム構造からなる有機EL素子の基本的な構成について、図を交えて説明する。ただし、本発明に係る有機EL素子の構成は、ここに具体例を用いて例示する構成にのみ限定されるものではない。
また、各構成要素の詳細については、後述する。
本発明の有機EL素子は、図2で例示するように、基材(1)上に第1電極(3)及び第2電極(6)を有し、第1電極(3)及び第2電極(6)の少なくとも一方は透明電極(図2では、第1電極(3)を透明電極としている。)であり、発光層を含む有機機能層から構成される発光ユニット(4)を、前記第1電極(3)と第2電極(6)との間に2つ以上積層した構造を有していることを特徴とし、更に2つ以上の発光ユニット間は中間電極層で分離され、前記中間電極層が、電気的接続を得るための独立した接続端子を有している構成が好ましい。
(実施態様1)
図3に示す本発明に係る有機EL素子(EL)の実施態様1は、2つの発光ユニット(4−A及び4−B)を有するタンデム構造の一例を示す概略断面図である。なお、以下の説明で使用する図面においては、封止用接着層(13)及びフレキシブル封止基板(14)の記載は省略する。
図3において、有機EL素子(EL)は、フレキシブル基板(1)上に、対向する位置で第1電極(3)と第2電極(6)が配置されている。図3に記載の構成では、第1電極(3)が透明電極である陽極であり、第2電極(6)が陰極のケースを示してある。
第1電極(3、陽極)と、第2電極(6、陰極)との間には、発光層を含む有機機能層から構成される第1の発光ユニット(4−A)と第2の発光ユニット(4−B)とが配置され、各発光ユニット間に、独立した接続端子(不図示)を有している中間電極層(5)が配置されている。
それぞれ、第1電極(3)と中間電極層(5)間は、リード線(11−A)で配線され、それぞれの接続端子に駆動電圧V1として2〜40V程度を印加することにより、発光ユニット(4−A)が発光する。同様に、中間電極層(5)と第2電極(6)間も、リード線(11−B)で配線され、それぞれの接続端子に駆動電圧V2として2〜40V程度を印加することにより、発光ユニットBが発光する。
具体的には、有機EL素子(EL)の駆動に際し、第1電極(3)と中間電極層(5)間に印加する駆動電圧V1、中間電極層(5)と第2電極(6)間に印加する駆動電圧V2は、直流電圧を印加する場合には、陽極である第1電極(3)を+の極性とし、陰極である第2電極(6)を−の極性として、電圧2〜40Vの範囲内で印加し、さらに中間電極層(5)に対しては陽極と陰極との中間電圧を印加する。
それぞれの発光ユニットの発光点(h)で発光した発光光(L)は、透明電極である第1電極(3)側より、外部に取り出される。また、第2電極(6)側に発光した光は、第2電極(6)面で反射し、同様に第1電極(3)側より取り出される構成である。
このような図3に記載の発光層を含む有機機能層ユニットが2つ積層されたタンデム構成を有し、高い発光効率の有機EL素子を具備した本発明の有機EL治療装置においては、フレキシブル基板(1)面の発光面側から、400〜2000nmの範囲内で選択される特定の波長域の光(L)が放出される。この結果、広い範囲の治療部位に対して、光照射による発熱の影響が少なく、均一で、治療効果の高い特定の狭帯域波長の発光光(L)を照射することが可能であるため、広範囲の治療部位に対して高い治療効果の達成を期待することができる。
(実施態様2)
図4は、2つの有機機能層ユニットを有する有機EL素子の実施態様2を示す概略断面図である。
図4は、上記説明した図3に記載のタンデム構造の有機EL素子に対し、第1の発光ユニット(4−A)と第2の発光ユニット(4−B)との間に設けた中間電極層(5)に代えて電荷発生層(15)を設け、かつ第1電極(3)と第2電極(6)間に駆動電圧V1を印加する方式であり、第1の発光ユニット(4−A)と第2の発光ユニット(4−B)が独立発光する方式ではなく、同時発光する方式である。
(実施態様3)
図5は、2つの発光ユニット(4−A及び4−B)を有するタンデム構造の有機EL素子(EL)の実施態様3の構成を示す概略断面図であり、図3に示した上記構成に加えて、更に中間電極層(5)の下部に、窒素原子含有層(7)を設けた構成を示してある。
〈窒素原子含有層〉
中間電極層(5)に隣接して窒素原子含有層(7)を設けることにより、中間電極層(5)を窒素原子含有層(7)上に形成する際に、中間電極層を構成する金属と、窒素原子含有層に含有されている金属原子親和性化合物と相互作用し、当該窒素原子含有層表面上での金属原子の拡散距離が減少し、特異箇所での金属原子の凝集が抑えられる。
すなわち、金属原子は、まず金属原子と親和性のある窒素原子を有する化合物を含有する窒素原子含有層表面上で2次元的な核を形成し,それを中心に2次元の単結晶層を形成するという層状成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。その結果、より優れた電力効率及び発光寿命を得ることができる。
窒素原子含有層(7)を構成する窒素原子含有化合物は、分子内に窒素原子を含んでいる化合物であれば、特に限定はないが、窒素原子をヘテロ原子とした複素環を有する化合物が好ましい。窒素原子をヘテロ原子とした複素環としては、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾリジン、アゾール、アジナン、ピリジン、アゼパン、アゼピン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン等が挙げられる。
更には、窒素原子含有層を構成する窒素原子含有化合物が、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有する芳香族複素環化合物であることが好ましい。
窒素原子含有層に含有される芳香族複素環化合物としては、分子内に、芳香族性に関与しない非共有電子対を持つ窒素原子を有していればその構造は特に限定されるものではないが、好ましくは、分子内にピリジン環を有し、より好ましくは、分子内にアザカルバゾール環、アザジベンゾフラン環又はアザジベンゾチオフェン環を有し、さらに好ましくは、分子内にγ,γ′−ジアザカルバゾール環又はσ−カルボリン環を有する。
図5において、その他の構成は、上記図3で説明した構成と同様である。
図5に示すような発光層を含む有機機能層ユニットが2つ積層されたタンデム構成を有し、高い発光効率の有機EL素子を具備した本発明の有機EL治療装置においては、フレキシブル基板(1)面の発光面側から、400〜2000nmの範囲内で選択される特定の波長域の発光光(L)が放出される。この結果、広い範囲の治療部位に対して、光照射による発熱の影響が少なく、均一で、治療効果の高い特定の狭帯域波長の発光光(L)を照射することが可能であるため、広範囲の治療部位に対して高い治療効果の達成を期待することができる。
(実施態様4)
図6は、2つの発光ユニットを有するタンデム構造の有機EL素子の実施態様4の構成を示す概略断面図で、図5に示した上記構成の変形例を示してある。
図6においては、第1電極(3)及び第2電極(6)を陽極とし、2つの発光ユニット(4−A及び4−B)間に配置してある中間電極層(5)を陰極とした構成例を示してある。
駆動電圧V1としては、2〜40V程度の電圧を、+側が第1電極(3)、−側が中間電極層(5)となるように印加し、駆動電圧V2としては、2〜40V程度の電圧を、+側が第2電極(6)、−側が中間電極層(5)となるように印加して発光ユニットを発光させる。
この時、発光ユニット(4−A)が、例えば、フレキシブル基板(1)側から「正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層」の層順であった場合には、発光ユニット(4−B)は、逆に、基材側から「電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層」の逆層構成となる。
その他は、図5で説明した内容と同じである。
図6に示すような発光層を含む有機機能層ユニットが2つ積層されたタンデム構成を有し、高い発光効率の有機EL素子を具備した本発明の有機EL治療装置においては、フレキシブル基板(1)面の発光面側から、400〜2000nmの範囲内で選択される特定の波長域の発光光(L)が放出される。この結果、広い範囲の治療部位に対して、光照射による発熱の影響が少なく、均一で、治療効果の高い特定の狭帯域波長の発光光(L)を照射することが可能であるため、広範囲の治療部位に対して高い治療効果の達成を期待することができる。
(実施態様5)
図7は、3つの発光ユニット(4−A、4−B及び4−C)を有するタンデム構造の有機EL素子(EL)の実施態様5の構成を示す概略断面図である。
図7において、有機EL素子(EL)は、フレキシブル基板(1)上に、対向する位置関係で、第1電極(3)と第2電極(6)が配置されている。図7の構成では、第1電極(3)が透明電極である陽極であり、第2電極(6)が陰極である構成例を示してある。
第1電極(3、陽極)と、第2電極(6、陰極)との間には、発光層を含む有機機能層から構成される第1の発光ユニット(4−A)、第2の発光ユニット(4−B)及び第3の発光ユニット(4−C)が挟持され、各発光ユニットのそれぞれの間には、独立した接続端子(不図示)を有している中間電極層(5−1及び5−2)及び窒素原子含有層(7−1及び7−2)が配置されている。
それぞれ、第1電極(3)と中間電極層(5−1)間は、リード線(11−A)で配線され、それぞれの接続端子に駆動電圧V1として2〜40V程度を印加することにより、発光ユニット(4−A)が発光する。同様に、中間電極層(5−1)と中間電極層(5−2)間は、リード線(11−B)で配線され、それぞれの接続端子に駆動電圧V2として2〜40V程度を印加することにより、発光ユニット(4−B)が発光する。同様に、中間電極層(5−2)と第2電極(6)間も、リード線(11−C)で配線され、それぞれの接続端子に駆動電圧V3として2〜40V程度を印加することにより、発光ユニット(4−C)が発光する。
有機EL素子(EL)の駆動に際し、駆動電圧V1、駆動電圧V2及び駆動電圧V3として直流電圧を印加する場合には、陽極である第1電極(3)を+の極性とし、陰極である第2電極(6)を−の極性として、電圧2〜40Vの範囲内で印加し、さらに中間電極層(5−1及び5−2)に対しては第1電極(3)と第2電極(6)との中間電圧で印加する。
各駆動電圧の印加により、それぞれの発光ユニットの発光点(h)で発光した発光光(L)は、透明電極である第1電極(3)側より、外部に取り出される。また、第2電極(6)側に発光した光は、第2電極(6)面で反射し、同様に第1電極(3)側より取り出される構成である。
図7に示すような3つの発光ユニット(4−A〜4−C)から構成されるタンデム構造の有機EL素子においては、例えば、発光ユニット(4−A)を構成する発光層には青色発光性化合物を含有してB発光ユニットとし、発光ユニット(4−B)を構成する発光層には緑色発光性化合物を含有してG発光ユニットとし、発光ユニット(4−C)を構成する発光層には赤色発光性化合物を含有してR発光ユニットとし、各駆動電圧V1〜V3を適宜調整することにより、白色発光、あるいは所望の波長の発光を実現することもできる。
図7に示すような発光層を含む有機機能層ユニットが3つ積層されたタンデム構成を有し、高い発光効率の有機EL素子を具備した本発明の有機EL治療装置においては、フレキシブル基板(1)面の発光面側から、400〜2000nmの範囲内で選択される特定の波長域の発光光(L)が放出される。この結果、広い範囲の治療部位に対して、光照射による発熱の影響が少なく、均一で、治療効果の高い特定の狭帯域波長の発光光(L)を照射することが可能であるため、広範囲の治療部位に対して高い治療効果の達成を期待することができる。
(実施態様6)
図8は、3つの発光ユニット(4−A、4−B及び4−C)を有するタンデム構造の有機EL素子(EL)の他の一例である実施態様6の構成を示す概略断面図である。
図8に記載のタンデム構造の有機EL素子は、上記説明した図7に記載のタンデム構造の有機EL素子に対し、第1の発光ユニット(4−A)〜第3の発光ユニット(4−C)までのそれぞれの間に設けた中間電極層(5−1及び5−2)と窒素原子含有層(7−1及び7−2)に代えて、電荷発生層(15A及び15B)を設け、かつ第1電極(3)と第2電極(6)間に駆動電圧V1を印加する方式であり、第1の発光ユニット(4−A)〜第3の発光ユニット(4−C)がそれぞれ独立発光する方式ではなく、同時発光する方式である。
(実施態様7)
図9は、3つの発光ユニット(4−A、4−B及び4−C)を有するタンデム構造の有機EL素子(EL)の他の一例である実施態様7の構成を示す概略断面図である。
基本的な構成は、上記図7により説明した実施態様5と近似の構成であるが、フレキシブル基板の光取出し面側に、バンドパスフィルター(8)を追加形成している構成を例示してある。
〈バンドパスフィルター〉
バンドパスフィルター(8)とは、発光ユニット(4−A〜4−C)において発生させてフレキシブル基板(1)を透過した光のうち、治療に用いる特定の波長帯域の光のみを透過させる機能を有するフィルターであり、例えば、半値幅100nm以下、好ましくは半値幅50nm以下の特定の波長帯域の光を透過させる機能を有している。
このようなバンドパスフィルター(8)の一例としては、例えば、誘電体多層膜層で構成されたもの、又は誘電体多層膜層と共に金属誘電体多層膜層の遮蔽フィルターを組み合わせた2キャビティ干渉フィルターとして構成されたものであっても良いが、フレキシブル基板(1)に追従して屈曲自在であることが好ましい仕様である。
ここで、誘電体多層膜層とする場合には、酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)、または硫化亜鉛(ZnS)等の高屈折率材料層と、酸化シリコン(SiO)のような低屈折率材料層とを、共振波長に合わせた膜厚で交互に積層した構成を用いることができる。
バンドパスフィルター(8)は、図9に示すように、フレキシブル基板(1)において、有機EL素子(EL)設けられている面とは逆側の主面に設けられ、例えば、フレキシブル基板(1)に貼合されている構成、あるいはフレキシブル基板(1)上に、成膜によって形成されたものである。
以上のような図9に記載の構成を有する有機EL素子(EL)を用いた有機EL治療装置では、有機EL素子(EL)の各発光ユニット(4−A〜4−C)より発光された治療目的を達成するための波長を含む光が、バンドパスフィルター(8)を通過することによって、特定の狭帯域波長の発光光(L)として、放出される。これにより、治療部位に沿って配置した光発光面側から、治療目的を達成するための波長を含む光を、治療効果の高い特定の狭帯域の光として照射することができる。この結果、広範囲の治療部位に対して高い治療効果の達成を期待することが可能になる。
(実施態様8)
図10は、3つの発光ユニット(4−A、4−B及び4−C)を有するタンデム構造の有機EL素子(EL)の他の一例である実施態様8の構成を示す概略断面図である。
基本的な構成は、上記図7により説明した実施態様5と近似の構成であるが、フレキシブル基板(1)と、発光ユニット(4−A)との間に、バンドパスフィルターとして、誘電体多層膜層(9)を設けた構成を例示してある。
〈誘電体多層膜層〉
誘電体多層膜層(9)は、図10に示すように、光透過性を有するフレキシブル基板(1)と発光ユニット(4−A)との間に配置されている。この誘電体多層膜層(9)は、3つの発光ユニット(4−A、4−B及び4−C)において発生させて、フレキシブル基板(1)を透過した光(L)のうち、治療に用いる特定の波長の光のみを透過させるマイクロキャビティとして設けられ、半値幅100nm以下、好ましくは半値幅50nm以下の特定の狭帯域波長の光を透過させる機能を備えた層である。
当該誘電体多層膜層(9)は、例えば、酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)、または硫化亜鉛(ZnS)等の高屈折率材料層と、酸化シリコン(SiO)のような低屈折率材料層とを、共振波長に合わせた膜厚で交互に積層した構成を用いることができる。
このような誘電体多層膜層(9)は、フレキシブル基板(1)の基板面上に、成膜法によって形成されたものであり、さらにこの誘電体多層膜層(9)上に、発光ユニット(12)を構成する各層が順次成膜によって形成される。このような誘電体多層膜層(9)は、フレキシブル基板(1)のフレキシビリティーを損なうことのない層構造である。
図10に記載の有機EL素子(EL)を具備した有機EL治療装置においては、フレキシブル基板(1)面の発光面側から、特定の狭帯域波長の発光光(L)が放出される。この結果、広い範囲の治療部位に対して、均一で、治療効果の高い特定の狭帯域波長の発光光(L)を照射することが可能であるため、広範囲の治療部位に対して高い治療効果の達成を期待することが可能になる。
(実施態様9)
図11は、3つの発光ユニットを有するタンデム構造の有機エレクトロルミネッセンス素子の実施態様9の構成を示す概略断面図であり、図7に示した構成に対し、更に、フレキシブル基板(1)と、発光ユニット(4−A)との間に、ガスバリアー層(10)を設けた構成を例示してある。
このようなガスバリアー性を備えたガスバリアー層(10)を設けることにより、フレキシブル基材(1)側から侵入してくる水分や酸素による発光層を含む有機機能層に対する影響を抑制することができ、耐久性を向上させる観点から好ましい態様である。
ガスバリアー層(10)の形成方法としては、気相成膜法が挙げられ、更に詳しくは、物理気相成長法(PVD法)または化学気相成長法(CVD法)が挙げられる。
物理気相成長法(Physical Vapor Deposition、PVD法)は、気相中で物質の表面に物理的手法により、目的とする物質、例えば、炭素膜等の薄膜を堆積する方法であり、例えば、スパッタ法(DCスパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法、およびマグネトロンスパッタ法等)、真空蒸着法、イオンプレーティング法などが挙げられる。
化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD法)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面または気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマなどを発生させる方法などがあり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法など公知のCVD方式等が挙げられる。特に限定されるものではないが、製膜速度や処理面積の観点から、真空プラズマCVD法または大気圧プラズマCVD法等のプラズマCVD法を適用することが好ましい。
また、ガスバリアー層の他の形成方法としては、ポリシラザンを含むガスバリアー層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成した後、真空紫外線を照射して改質処理を施してポリシラザン改質層を形成する方法(以下、ポリシラザン改質法と称す。)等が挙げられる。
以上のような図11に示すような発光層を含む有機機能層ユニットが3つ積層されたタンデム構成を有し、高い発光効率の有機EL素子を具備した本発明の有機EL治療装置においては、フレキシブル基板(1)面の発光面側から、400〜2000nmの範囲内で選択される特定の波長域の発光光(L)が放出される。この結果、広い範囲の治療部位に対して、光照射による発熱の影響が少なく、均一で、治療効果の高い特定の狭帯域波長の発光光(L)を照射することが可能であるため、広範囲の治療部位に対して高い治療効果の達成を期待することができる。更に、フレキシブル基板(1)上にガスバリアー層(10)を設けることにより、耐久性の高い有機EL治療装置を提供することができる。
(実施態様10)
図12は、3つの発光ユニットを有するタンデム構造の有機EL素子の実施態様10を示す概略断面図であり、図7に示した構成に対し、第2電極(6)に代えて、陰極として中間電極層(5−3)と窒素原子含有層(7−3)を設けた構成を示してある。その他の構成は、上記図7で説明した構成と同様である。
図12に記載の構成の有機EL素子(EL)では、陽極及び陰極が、いずれも透明電極により構成されており、両面発光型の有機EL素子(EL)とすることができる。
以上、図12に示すような発光層を含む有機機能層ユニットが3つ積層されたタンデム構成を有し、高い発光効率を有する両面発光型の有機EL素子を具備した本発明の有機EL治療装置においては、フレキシブル基板(1)面及び中間電極層(5−3)と窒素原子含有層(7−3)で構成される陰極面側(詳細には、フレキシブル封止部材(14)面側)からも、400〜2000nmの範囲内で選択される特定の波長域の発光光(L)が放出される。この結果、広い範囲の治療部位に対して、光照射による発熱の影響が少なく、均一で、治療効果の高い特定の狭帯域波長の発光光(L)を、有機EL素子の両面から照射することが可能であるため、広範囲の治療部位に対して高い治療効果の達成を期待することができる。
《有機EL素子》
次いで、上記図1〜図12で説明した各有機EL素子(EL)の各構成要素の詳細について説明する。
本発明の有機EL素子(EL)においては、図2で説明したように、下から、フレキシブル基板(1)上に、第1電極である陽極(3)、次いで、例えば、正孔注入層、正孔輸送層等から構成される有機機能層群1(22)、発光層(23)、例えば、電子輸送層、電子注入層等から構成される有機機能層群2(24)が積層されて、発光領域を構成している。そして、さらに上部に、第2電極である陰極(6)、封止用接着層(13)及びフレキシブル封止基板(14)が設けられている。
本発明では、少なくとも、有機機能層群1(22)、発光層(23)及び有機機能層群2(24)から構成される有機機能層ユニット(4)を、中間電極等を介して、2つ以上積層した構造を特徴とする。以下の構成説明では、便宜上、1つの有機機能層ユニット(4)による構成のみを示し、積層したタンデム構成についての記載は省略する。
以下に、有機EL素子の構成の代表例を示す。
(i)陽極(3)/有機機能層ユニット(4)〔有機機能層群1(22:正孔注入輸送層)/発光層(23)/有機機能層群2(24:電子注入輸送層)〕/陰極(6)
(ii)陽極(3)/有機機能層ユニット(4)〔有機機能層群1(22:正孔注入輸送層)/発光層(23)/有機機能層群2(24:正孔阻止層/電子注入輸送層)〕/陰極(6)
(iii)陽極(3)/有機機能層ユニット(4)〔有機機能層群1(22:正孔注入輸送層/電子阻止層)/発光層(23)/有機機能層群2(24:正孔阻止層/電子注入輸送層)〕/陰極(6)
(iv)陽極(3)/有機機能層ユニット(4)〔有機機能層群1(22:正孔注入層/正孔輸送層)/発光層(23)/有機機能層群2(24:電子輸送層/電子注入層)〕/陰極(6)
(v)陽極(3)/有機機能層ユニット(4)〔有機機能層群1(22:正孔注入層/正孔輸送層)/発光層(23)/有機機能層群2(24:正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層)〕/陰極(6)
(vi)陽極(3)/有機機能層ユニット(4)〔有機機能層群1(22:正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層)/発光層(23)/有機機能層群2(24:正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層)〕/陰極(6)
更に、発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。中間層は、図4あるいは図8で示すような電荷発生層であってもよく、マルチフォトンユニット構成であってもよい。
本発明に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
また、タンデム型の有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6,337,492号、米国特許第7,420,203号、米国特許第7,473,923号、米国特許第6,872,472号、米国特許第6,107,734号、米国特許第6,337,492号等の各明細書、特開2006−228712号、特開2006−24791号、特開2006−49393号、特開2006−49394号、特開2006−49396号、特開2011−96679号、特開2005−340187号、特許第4711424号、特許第3496681号、特許第3884564号、特許第4213169号、特開2010−192719号、特開2009−076929号、特開2008−078414号、特開2007−059848号、特開2003−272860号、特開2003−045676号等の各公報、国際公開第2005/009087号、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
更に、有機EL素子を構成する各層について説明する。
〔フレキシブル基板〕
有機EL素子(EL)に適用可能なフレキシブル基板(1)としては、特に制限はなく、例えば、ガラス、プラスチック等の種類を挙げることができる。
本発明でいうフレキシブル基板とは、φ(直径)50mmロールに巻き付け、一定の張力で巻取る前後で割れ等が生じることのない基板をいい、より好ましくはφ30mmロールに巻き付け可能な基板をいう。
本発明に係るフレキシブル基板は、光透過性であっても、光不透過性であってもよい。本発明に適用可能なフレキシブル基板としては、特に制限されず、例えば、樹脂基板、薄膜金属箔、薄板フレキシブルガラス等が挙げられる。
しかしながら、図2〜図10に記載するようなフレキシブル基板(1)側から光Lを取り出す構成では、フレキシブル基板(1)は透明材料であることが必要となり、好ましく用いられる透明なフレキシブル基板(1)としては、ガラス、石英、樹脂基板を挙げることができる。更に好ましくは、有機EL素子にフレキシブル性を付与することができる観点から樹脂基板である。
本発明に適用可能な樹脂基板を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(略称:TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(略称:CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類及びそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート(略称:PC)、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(略称:PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル及びポリアリレート類、アートン(商品名、JSR社製)及びアペル(商品名、三井化学社製)等のシクロオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
これら樹脂基板のうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)等を樹脂材料とするフィルムが可撓性の樹脂基板として好ましく用いられる。
また、上記の樹脂基板は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に適用可能な樹脂基板は、従来公知の一般的な製膜方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の樹脂基板を製造することができる。また、未延伸の樹脂基板を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、樹脂基板の搬送方向(縦軸方向、MD方向)、又は樹脂基板の搬送方向と直角の方向(横軸方向、TD方向)に延伸することにより、延伸樹脂基板を製造することができる。この場合の延伸倍率は、樹脂基板の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍の範囲内であることが好ましい。
樹脂基板の厚さとしては、3〜200μmの範囲内にある薄膜の樹脂基板であることが好ましいが、より好ましくは10〜150μmの範囲内であり、特に好ましくは、20〜120μmの範囲内である。
また、本発明に係るフレキシブル基板として適用可能な薄板フレキシブルガラスは、湾曲できるほど薄くしたガラス板である。薄板フレキシブルガラスの厚みは、薄板フレキシブルガラスが可撓性を示す範囲で適宜設定できる。
薄板フレキシブルガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。薄板フレキシブルガラスの厚さとしては、例えば、5〜300μmの範囲であり、好ましくは20〜150μmの範囲である。
また、薄膜金属箔の形成材料としては、例えば、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。薄膜金属箔の厚さは、薄膜金属箔がフレキシビリティーを示す範囲で適宜設定することができ、例えば、10〜100μmの範囲内であり、好ましくは20〜60μmの範囲内である。
(第1電極:陽極)
有機EL素子を構成する陽極としては、Ag、Au等の金属又は金属を主成分とする合金、CuI、インジウム−スズの複合酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛の複合酸化物(IZO)、SnO及びZnO等の金属酸化物を挙げることができるが、金属又は金属を主成分とする合金であることが好ましく、更に好ましくは、銀又は銀を主成分とする合金である。また、後述するグリッド電極も適用することができる。
透明陽極を、銀を主成分として構成する場合、銀の純度としては、99%以上であることが好ましい。また、銀の安定性を確保するためにパラジウム(Pd)、銅(Cu)及び金(Au)等が添加されていてもよい。
透明陽極は銀を主成分として構成されている層であるが、具体的には、銀単独で形成しても、あるいは銀(Ag)を含有する合金から構成されていてもよい。そのような合金としては、例えば、銀・マグネシウム(Ag・Mg)、銀・銅(Ag・Cu)、銀・パラジウム(Ag・Pd)、銀・パラジウム・銅(Ag・Pd・Cu)、銀・インジウム(Ag・In)などが挙げられる。
上記陽極を構成する各構成材料の中でも、本発明に係る有機EL素子を構成する陽極としては、銀を主成分として構成し、厚さが2〜20nmの範囲内にある透明陽極であることが好ましいが、更に好ましくは厚さが4〜12nmの範囲内である。厚さが20nm以下であれば、透明陽極の吸収成分及び反射成分が低く抑えられ、高い光透過率が維持されるため好ましい。
本発明でいう銀を主成分として構成されている層とは、透明陽極の全質量に占める銀の含有量が60質量%以上であることをいい、好ましくは銀の含有量が80質量%以上であり、より好ましくは銀の含有量が90質量%以上であり、特に好ましくは銀の含有量が98質量%以上である。また、本発明に係る透明陽極でいう「透明」とは、波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいい、好ましくは70%以上であり、更に好ましくは85%以上である。
透明陽極においては、銀を主成分として構成されている層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。
本発明において、陽極に適用可能なインジウム−亜鉛の複合酸化物(IZO)は、高い透過率を維持し、焼成無しに低抵抗が可能。非晶質であるため柔軟性に優れるほか電極表面が平滑であるため、陰極と接触してリークする懸念が低い。
〈グリッド電極〉
グリッド電極は金属の細線から構成するため3Ω/□以下の低抵抗な電極が形成でき、大面積な発光素子が作製可能。グリッド電極はグリッド表面の凹凸で素子のリークの懸念があるが発光層が二層となり、陽極と陰極間が厚くなることでリークの懸念が低減される。
グリッド電極は、導電性の金属細線から構成されている。グリッド電極の形状は、格子状に限らず、ストライプ状、ハニカム構造状、網目状等の様々な形状のグリッドを使用できる。位置によらず均一な導電性を得る観点からは、有機EL素子の全面に位置する周期的な形状のグリッドが好ましい。
グリッド電極を構成する金属細線の線幅は、10〜200μmの範囲内であることが好ましく、細線の高さは、0.1〜10.0μmの範囲内にあることが好ましい。
グリッド電極の開口率は、透明性を高める観点から、80%以上であることが好ましい。開口率とは、有機EL素子の発光面積のうち、グリッド電極を形成する金属細線が配置されていない領域が占める面積の割合である。例えば、線幅が100μm、線間隔が1mmの金属細線が、ストライプ状又は格子状に形成されたグリッド電極の開口率は、約90%である。
グリッド電極を構成する金属細線に使用できる導電性の金属材料としては、例えば、金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、これらの合金等が挙げられる。低抵抗という観点からは、銀又は銅が好ましく、より好ましくは銀である。
グリッド電極は、金属材料を用いた金属ナノ粒子、金属錯体等を含有する塗布液を、凸版印刷法、凹版印刷法、孔版印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法、インクジェット平行線描画法等により所望の形状に塗布する方法またはフォトリソグラフィー法により、形成することができる。インクジェット平行線描画法は、塗布液を線状に塗布したときに線の中央部から端部へと塗布液が流動して端部の固形化がすすむコーヒーステイン現象を利用して、1本の線から2本の平行線を形成する方法である。また、グリッド電極表面に、メッキ処理を施すこともできる。
上記グリッド電極はグリッドの下部、または上部に、透明導電層を有することで大面積でのOLED発光を可能にする。透明導電層は透明金属酸化物や導電性ポリマーからなる。透明金属酸化物としてはインジウム−スズの複合酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛の複合酸化物(IZO)、SnO及びZnO等の金属酸化物を挙げることができる。導電性ポリマーとしては、ポリアニオンを含有するπ共役系導電性高分子を用いることができる。
使用できるπ共役系導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類等が挙げられる。なかでも、導電性、透明性、安定性等を高める観点から、ポリチオフェン類又はポリアニリン類が好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンがより好ましい。
また、必要に応じてグリッド上にグリッド表面の凹凸を緩和するための層や、陰極と接した場合にショートを防ぐ目的で絶縁層を設けてもよい。
また、本発明においては、陽極が、銀を主成分として構成する透明陽極である場合には、形成する透明陽極の銀膜の均一性を高める観点から、その下部に、下地層を設けることが好ましい。下地層としては、特に制限はないが、詳細は前述したとおり、窒素原子又は硫黄原子を有する有機化合物を含有する層であることが好ましく、当該下地層上に、透明陽極を形成する方法が好ましい態様である。
〔中間電極〕
本発明に係る有機EL素子においては、陽極と陰極との間に、有機機能層群と発光層から構成される有機機能層ユニットを二つ以上積層した構造を有することが、大きな特徴であり、二つ以上の有機機能層ユニット間を、電気的接続を得るため、独立した接続端子を有する中間電極層ユニットで分離した構造をとることが好ましい。
中間電極の形成には、上記説明した第1電極(3、陽極)の形成材料を同様に用いることができる。
〔発光層〕
有機EL素子(EL)を構成する発光層(23)は、発光材料としてリン光発光化合物、あるいは蛍光性化合物を用いることができるが、本発明においては、特に、発光材料としてリン光発光化合物が含有されている構成が好ましい。
この発光層は、電極又は電子輸送層から注入された電子と、正孔輸送層から注入された正孔とが再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接する層との界面であってもよい。
このような発光層としては、含まれる発光材料が発光要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。また、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。この場合、各発光層間には非発光性の中間層を有していることが好ましい。
発光層の厚さの総和は、1〜100nmの範囲内にあることが好ましく、より低い駆動電圧を得ることができることから1〜30nmの範囲内がさらに好ましい。なお、発光層の厚さの総和とは、発光層間に非発光性の中間層が存在する場合には、当該中間層も含む厚さである。
以上のような発光層は、後述する発光材料やホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア・ブロジェット、Langmuir Blodgett法)及びインクジェット法等の公知の方法により形成することができる。
また、発光層は、複数の発光材料を混合してもよく、リン光発光材料と蛍光発光材料(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)とを同一発光層中に混合して用いてもよい。発光層の構成としては、ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)及び発光材料(発光ドーパント化合物ともいう。)を含有し、発光材料より発光させることが好ましい。
〈ホスト化合物〉
発光層に含有されるホスト化合物としては、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物が好ましい。さらにリン光量子収率が0.01未満であることが好ましい。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での体積比が50%以上であることが好ましい。
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、あるいは、複数種のホスト化合物を用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機電界発光素子を高効率化することができる。また、後述する発光材料を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
発光層に用いられるホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
本発明に適用可能なホスト化合物としては、例えば、特開2001−257076号公報、同2001−357977号公報、同2002−8860号公報、同2002−43056号公報、同2002−105445号公報、同2002−352957号公報、同2002−231453号公報、同2002−234888号公報、同2002−260861号公報、同2002−305083号公報、米国特許出願公開第2005/0112407号明細書、米国特許出願公開第2009/0030202号明細書、国際公開第2001/039234号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2012/023947号、特開2007−254297号公報、欧州特許第2034538号明細書等に記載されている化合物を挙げることができる。
〈発光材料〉
本発明で用いることのできる発光材料としては、リン光発光性化合物(リン光性化合物、リン光発光材料又はリン光発光ドーパントともいう。)及び蛍光発光性化合物(蛍光性化合物又は蛍光発光材料ともいう。)が挙げられるが、特に、リン光発光性化合物を用いることが、高い発光効率を得ることができる観点から好ましい。
〈リン光発光性化合物〉
リン光発光性化合物とは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は、種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光性化合物を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて、上記リン光量子収率として0.01以上が達成されればよい。
リン光発光性化合物は、一般的な有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、白金化合物(白金錯体系化合物)又は希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本発明においては、少なくとも一つの発光層が、二種以上のリン光発光性化合物が含有されていてもよく、発光層におけるリン光発光性化合物の濃度比が発光層の厚さ方向で変化している態様であってもよい。
本発明に使用できる公知のリン光発光性化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
Nature 395,151(1998)、Appl.Phys.Lett.78, 1622(2001)、Adv.Mater.19,739(2007)、Chem.Mater.17,3532(2005)、Adv.Mater.17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許出願公開第2006/835469号明細書、米国特許出願公開第2006/0202194号明細書、米国特許出願公開第2007/0087321号明細書、米国特許出願公開第2005/0244673号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
また、Inorg.Chem.40,1704(2001)、Chem.Mater.16,2480(2004)、Adv.Mater.16,2003(2004)、Angew.Chem.lnt.Ed.2006,45,7800、Appl.Phys.Lett.86,153505(2005)、Chem.Lett.34,592(2005)、Chem.Commun.2906(2005)、Inorg.Chem.42,1248(2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2009/000673号、米国特許第7332232号明細書、米国特許出願公開第2009/0039776号、米国特許第6687266号明細書、米国特許出願公開第2006/0008670号明細書、米国特許出願公開第2008/0015355号明細書、米国特許第7396598号明細書、米国特許出願公開第2003/0138657号明細書、米国特許第7090928号明細書等に記載の化合物を挙げることができる。
また、Angew.Chem.lnt.Ed.47,1(2008)、Chem.Mater.18,5119(2006)、Inorg.Chem.46,4308(2007)、Organometallics 23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett.74,1361(1999)、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2006/082742号、米国特許出願公開第2005/0260441号明細書、米国特許第7534505号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許第7338722号明細書、米国特許第7279704号明細書、米国特許出願公開第2006/103874号明細書等に記載の化合物も挙げることができる。
さらには、国際公開第2005/076380号、国際公開第2008/140115号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/073149号、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−363552号公報等に記載の化合物も挙げることができる。
本発明においては、好ましいリン光発光性化合物としてはIrを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも1つの配位様式を含む錯体が好ましい。
上記説明したリン光発光性化合物(リン光発光性金属錯体ともいう)は、例えば、Organic Letter誌、vol3、No.16、2579〜2581頁(2001)、Inorganic Chemistry,第30巻、第8号、1685〜1687頁(1991年)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第40巻、第7号、1704〜1711頁(2001年)、Inorganic Chemistry,第41巻、第12号、3055〜3066頁(2002年)、New Journal of Chemistry.,第26巻、1171頁(2002年)、European Journal of Organic Chemistry,第4巻、695〜709頁(2004年)、さらにこれらの文献中に記載されている参考文献等に開示されている方法を適用することにより合成することができる。
〈蛍光発光性化合物〉
蛍光発光性化合物としては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素又は希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
〔有機機能層群〕
次いで、有機機能層ユニットを構成する各層について、電荷注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び阻止層の順に説明する。
(電荷注入層)
電荷注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、電極と発光層の間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)にその詳細が記載されており、正孔注入層と電子注入層とがある。
電荷注入層としては、一般には、正孔注入層であれば、陽極と発光層又は正孔輸送層との間、電子注入層であれば陰極と発光層又は電子輸送層との間に存在させることができるが、本発明においては、透明電極に隣接して電荷注入層を配置させることを特徴とする。また、中間電極で用いられる場合は、隣接する電子注入層及び正孔注入層の少なくとも一方が、本発明の要件を満たしていれば良い。
正孔注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、透明電極である陽極に隣接して配置される層であり、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、正孔注入層に用いられる材料としては、例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、及びポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖又は側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えば、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン):PSS(ポリスチレンスルホン酸)、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α−NPD(4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル)に代表されるベンジジン型や、MTDATA(4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン)に代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体も同様に正孔輸送材料として用いることができる。
電子注入層は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために、陰極と発光層との間に設けられる層のことであり、陰極が本発明に係る透明電極で構成されている場合には、当該透明電極に隣接して設けられ、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ金属ハライド層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物層、酸化モリブデン、酸化アルミニウム等に代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、本発明における透明電極が陰極の場合は、金属錯体等の有機材料が特に好適に用いられる。電子注入層はごく薄い膜であることが望ましく、構成材料にもよるが、その層厚は1nm〜10μmの範囲が好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層及び電子阻止層も正孔輸送層の機能を有する。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入又は輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー及びチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物を用いることができ、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(略称:TPD)、2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N−トリ(p−トリル)アミン、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン、3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン及びN−フェニルカルバゾール等が挙げられる。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法及びLB法(ラングミュア・ブロジェット、Langmuir Blodgett法)等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲である。この正孔輸送層は、上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよい。
また、正孔輸送層の材料に不純物をドープすることにより、p性を高くすることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報及びJ.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
このように、正孔輸送層のp性を高くすると、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する材料から構成され、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は、単層構造又は複数層の積層構造として設けることができる。
単層構造の電子輸送層及び積層構造の電子輸送層において、発光層に隣接する層部分を構成する電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、カソードより注入された電子を発光層に伝達する機能を有していれば良い。このような材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン、アントロン誘導体及びオキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送層の材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した高分子材料又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(略称:Znq)等及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送層の材料として用いることができる。
電子輸送層は、上記材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法及びLB法等の公知の方法により、薄膜化することで形成することができる。電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。電子輸送層は上記材料の一種又は二種以上からなる単一構造であってもよい。
(阻止層)
阻止層としては、正孔阻止層及び電子阻止層が挙げられ、上記説明した有機機能層ユニット3の各構成層の他に、必要に応じて設けられる層である。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層等を挙げることができる。
正孔阻止層とは、広い意味では、電子輸送層の機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは、広い意味では、正孔輸送層の機能を有する。電子阻止層は、正孔を輸送する機能を有しつつ、電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に適用する正孔阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲である。
〔第2電極:陰極〕
陰極は、有機機能層群や発光層に正孔を供給するために機能する電極膜であり、金属、合金、有機又は無機の導電性化合物若しくはこれらの混合物が用いられる。具体的には、金、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO及びSnO等の酸化物半導体などが挙げられる。
陰極は、これらの導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させて作製することができる。また、第2電極としてのシート抵抗は、数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常5nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、有機EL素子が、陰極側からも発光光Lを取り出す、両面発光型の場合には、光透過性の良好な陰極を選択して構成すればよい。
本発明に係る有機EL素子においては、上記説明した陽極及び陰極を構成する材料としては、Agを用いた電極を用いることが好ましい。Agを用いることで発熱を抑えることが可能であり、有機EL素子が高温になることで引き起こされる輝度劣化や駆動電圧上昇を防ぐことが可能である。これは熱キャリヤとしては電子とフォノン(格子振動)の二つあり、熱伝導と電子伝導には相関があり、電気が流れやすいほど、熱が流れやすいためと考えられる。
〔封止部材〕
有機EL素子を封止するのに用いられる封止手段としては、例えば、フレキシブル封止部材と、陰極及び透明基板とを封止用接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また透明性及び電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、フレキシブル性を備えた薄膜ガラス板、ポリマー板、フィルム、金属フィルム(金属箔)等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属フィルムとしては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金が挙げられる。
本発明においては、封止部材としては、有機EL素子を薄膜化することできる観点から、ポリマーフィルム及び金属フィルムを好ましく使用することができる。さらに、ポリマーフィルムは、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下であることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm(1atmは、1.01325×10Paである)以下であって、温度25±0.5℃、相対湿度90±2%RHにおける水蒸気透過度が、1×10−3g/m・24h以下であることが好ましい。
封止部材と有機EL素子の表示領域(発光領域)との間隙には、気相及び液相では窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することもできる。また、封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙を真空とすることや、間隙に吸湿性化合物を封入することもできる。
また、有機EL素子における発光機能層ユニットを完全に覆い、かつ有機EL素子における第1電極である陽極(3)と、第2電極である陰極(6)の端子部分を露出させる状態で、透明基板上に封止膜を設けることもできる。
このような封止膜は、無機材料や有機材料を用いて構成され、特に、水分や酸素等の浸入を抑制する機能を有する材料、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等の無機材料が用いられる。さらに封止膜の脆弱性を改良するために、これら無機材料からなる膜と共に、有機材料からなる膜を用いて積層構造としても良い。
これらの封止膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
以上のような封止材は、有機EL素子における第1電極である陽極(3)と、第2電極である陰極(6)の端子部分を露出させると共に、少なくとも発光機能層を覆う状態で設けられている。
〔有機EL素子の製造方法〕
有機EL素子の製造方法としては、透明基材上に、陽極、有機機能層群1、発光層、有機機能層群2及び陰極を積層して積層体を形成する。
まず、透明基材を準備し、該透明基材上に、所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲内の膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を形成する。同時に、陽極端部に、外部電源と接続する接続電極部を形成する。
次に、この上に、有機機能層群1を構成する正孔注入層及び正孔輸送層、発光層、有機機能層群2を構成する電子輸送層等を順に積層する。
これらの各層の形成は、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な層が得られやすく、かつ、ピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。更に、層ごとに異なる形成法を適用しても良い。これらの各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが望ましい。
以上のようにして有機機能層群2を形成した後、この上部に陰極を蒸着法やスパッタ法などの適宜の形成法によって形成する。この際、陰極は、有機機能層群によって陽極に対して絶縁状態を保ちつつ、有機機能層群の上方から透明基板の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。
陰極の形成後、これら透明基材、陽極、有機機能層群、発光層及び陰極を封止材で封止する。すなわち、陽極及び陰極の端子部分を露出させた状態で、透明基材上に、少なくとも有機機能層群を覆う封止材を設ける。
〔光治療用装置のその他の機能〕
本発明の光治療用装置には、上記説明した有機EL素子と共に、必要に応じ様々な機能を付与させることができる。
例えば、
1)過度の光照射を防止するための「やりすぎ防止タイマー」を設置し、有機EL素子の発熱あるいは過熱時に自動的に装置をオフにする機能を付与する方法、
2)有機EL素子の患部と対面する側に粘着層を設け、患部への貼り付け機能の付与や、粘着層に、治療剤、シップ薬であるメントール、発熱を利用するアロマ、お灸剤等を含有させる方法、
3)患部のムレ等を防止するため、患部に接する面側に、細かな穴を有するシートを、有機EL素子とやや間隔をあけて設置する方法。この際、形成した穴部に光照射効果を付与するためには、光取出しフィルムや内部散乱層を有する構成であることが好ましい、
4)光治療の完了を通知するため、設定時間になったら有機EL素子の発光色を変化させる調色機能を有していること、
5)放射光の色調を変えずに、光照射強度の切り替えができる機能、
6)水を使用する環境でも安全に使用することができる防水機能の付与、
7)有機EL素子として、広い発光面積を有し、かつ発光均一性が高いこと(この機能に対しては、グリッド電極を適用することが有効)、
等を挙げることができる。
本発明の有機EL治療装置は、治療する曲面の患部に対する形状応答性(フレキシビリティー)を有し、かつ発光時に発熱量が少なく高輝度の有機EL素子を具備した有機EL治療装置であり、任意の病気、症候群、疾患、症状、又は有機EL治療に反応する様々な病気の治療や美容的症状に適用することができる。
1 フレキシブル基板
3 第1電極(陽極)
4、4−A、4−B、4−C 有機機能層ユニット
5、5−1、5−2 中間電極層
6 第2電極(陰極)
7、7−1、7−2、7−3 窒素原子含有層
8 バンドパスフィルター
9 誘電体多層膜層
10 ガスバリアー層
11−A、11−B、11−C リード線
12 発光ユニット
13 封止用接着層
14 フレキシブル封止基板
15、15A、15B 電荷発生層
22 有機機能層群1
23 発光層
24 有機機能層群2
EL 有機EL素子
L 発光光
h 発光点

Claims (4)

  1. 有機エレクトロルミネッセンス素子により、患部に光照射して光治療する有機エレクトロルミネッセンス治療装置であって、
    前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、フレキシブル基板上に、一対の電極で挟持された発光層を含む有機機能層ユニット及びフレキシブル封止部材を、この順で積層した積層体であり、発光波長が400〜2000nmの範囲内にあり、かつ、前記発光層を含む有機機能層ユニットが2つ以上積層された構造であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス治療装置。
  2. 前記発光層が含有する発光材料が、リン光発光性化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス治療装置。
  3. 前記2つ以上の有機機能層ユニットが、それぞれ異なる発光ピーク波長の光を発光することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス治療装置。
  4. 前記2つ以上の有機機能層ユニットが、それぞれ同一の発光ピーク波長の光を発光することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス治療装置。
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