以下、本発明の金属箔張基板、回路基板および発熱体搭載基板を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の金属箔張基板および回路基板を説明するのに先立って、本発明の発熱体搭載基板について説明する。
なお、以下では、本発明の発熱体搭載基板として、発熱体として半導体素子を備える半導体装置を回路基板に搭載した場合を一例に説明する。
<発熱体搭載基板>
<<第1実施形態>>
図1は、本発明の発熱体搭載基板の第1実施形態を示す縦断面図、図2は、図1中の矢印A方向から見た図(平面図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側、図2中の紙面手前側を「上」、図1中の下側、図2中の紙面奥側を「下」とも言う。また、各図では、発熱体搭載基板およびその各部を誇張して模式的に図示しており、発熱体搭載基板およびその各部の大きさおよびその比率は実際とは大きく異なる。
図1、2に示す発熱体搭載基板50は、駆動により熱を発する発熱体である半導体装置1と、この半導体装置1を搭載する回路基板(本発明の回路基板)10とを有している。なお、通常、回路基板10には、半導体装置1以外に、例えば、抵抗、トランジスタ等の他の電子部品(部材)が搭載されるが、説明の便宜上、図1、2では、その記載を省略している。
半導体装置1は、半導体素子(図示せず)を備える半導体パッケージであり、この半導体素子(半導体チップ)を封止するモールド部(封止部)11と、半導体素子(半導体チップ)と電気的に接続された接続端子12とを有している。
半導体素子は、本実施形態では、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いて構成される。この半導体素子が、その駆動により発熱する。
また、モールド部11は、通常、各種樹脂材料の硬化物で構成され、半導体素子を取り囲むことで半導体素子を封止している。
さらに、接続端子12は、例えば、Cu、Fe、Niやこれらの合金等の各種金属材料で構成されている。接続端子12は、半導体素子が備える端子と、回路基板10が有する配線4が備える端子とに接続されている。これにより、半導体素子が備える端子と配線4が備える端子とを電気的に接続している。
回路基板10(配線基板)は、半導体装置1を電気的に接続する配線4と、この配線4の下面(半導体装置1と反対の面;一方の面)に設けられ、配線4を支持する平板状(シート状)をなす基材(基部)8とを備えている。
配線(回路)4は、所定のパターンで形成されている。このパターンの形成により設けられた端子(図示せず)が、半導体装置1が備える接続端子(端子)12に電気的に接続されている。これにより、半導体素子が備える端子と配線4が備える端子とが電気的に接続される。
この配線(導体部)4は、回路基板10上に搭載された半導体装置1を含む電子部品を電気的に接続し、半導体装置1で発生した熱を基材8の下面側に伝達して逃がす受熱板としての機能を備えている。このような配線4は、後述する金属箔張基板10Aが備える金属箔4Aをパターニングすることで形成される。
配線4の構成材料としては、例えば、銅、銅系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金等の各種金属材料が挙げられる。
また、配線4の厚さ方向に対する熱伝導率は、3W/m・K以上、500W/m・K以下であることが好ましく、10W/m・K以上、400W/m・K以下であることがより好ましい。このような配線4は、優れた熱伝導率を有し、半導体装置1が備える半導体素子の駆動により生じた熱を、配線4を介して基材8側に効率よく伝達することができる。
基材8は、平板状(シート状)をなす樹脂層5と、この樹脂層5の下面(配線4と反対の面)に設けられ、基材8の平面視で、半導体装置1が搭載される領域を包含する樹脂層5の第1の領域15に対応して配置された放熱金属板7と、この第1の領域15を除く樹脂層5の第2の領域16に対応して樹脂層5を覆う絶縁部6とを備えている。
樹脂層(接合層)5は、配線4の下面に設けられ、すなわち、配線4と、この配線4の下側に位置する絶縁部6および放熱金属板7との間に設けられている。樹脂層5を介して、配線4と絶縁部6および放熱金属板7とを接合する。
また、この樹脂層5は、絶縁性を有している。これにより、配線4と、放熱金属板7との絶縁状態が確保される。
さらに、樹脂層5は、優れた熱伝導性を発揮するように構成されている。これにより、樹脂層5は、半導体装置1(配線4)側の熱を放熱金属板7に伝達することができる。
このような樹脂層5の熱伝導率は、高いことが好ましく、具体的には、1W/m・K以上、15W/m・K以下であることが好ましく、5W/m・K以上、10W/m・K以下であることがより好ましい。これにより、半導体装置1側の熱が樹脂層5により放熱金属板7に効率よく伝達される。そのため、半導体装置1の半導体素子における駆動により生じた熱を、配線4および樹脂層5を介して放熱金属板7に効率よく伝達することができる。その結果、半導体装置1で生じた熱を効率よく放熱させることができる。
樹脂層5の厚さ(平均厚さ)t5は、特に限定されないが、図1に示すように、放熱金属板7の厚さt7より薄く、具体的には、50μm〜250μm程度であるのが好ましく、80μm〜200μm程度であるのがより好ましい。これにより、樹脂層5の絶縁性を確保しつつ、樹脂層5の熱伝導性を向上させることができる。
また、樹脂層5のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上200℃以下である。これにより、樹脂層5の剛性が高まり、樹脂層5の反りを低減できる。その結果、回路基板10における反りの発生を抑制することができる。
なお、樹脂層5のガラス転移温度は、JIS C 6481に基づいて、以下のようにして計測できる。
計測は、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製DMA/983)を用いる。窒素雰囲気(200ml/分)のもと、樹脂層5に引っ張り荷重をかける。周波数1Hz、−50℃から300℃の温度範囲、昇温速度5℃/分の条件で、ガラス転移温度を測定し、チャートを得る。得られたチャートのtanδのピーク位置よりガラス転移温度Tgを得る。
また、樹脂層5の25℃の弾性率(貯蔵弾性率)E’は、10GPa以上70GPa以下であることが好ましい。これにより、樹脂層5の剛性が高まることから、樹脂層5に生じる反りを低減させることができる。その結果、回路基板10における反りの発生を抑制することができる。
なお、上記貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置で測定することができる。具体的には、貯蔵弾性率E’は、樹脂層5に引張り荷重をかけて、周波数1Hz、昇温速度5〜10℃/分、−50℃から300℃の条件で測定した際の、25℃における貯蔵弾性率の値として測定される。
かかる機能を有する樹脂層5は、樹脂材料を主材料として構成された層内にフィラーが分散された構成をなしている。
樹脂材料は、フィラーを樹脂層5内に保持させるバインダーとしての機能を発揮する。そのフィラーは、樹脂材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を有している。樹脂層5を、かかる構成とすることにより、樹脂層5の熱伝導率を高めることができる。
このような樹脂層5は、主として樹脂材料およびフィラーを含有する、樹脂層形成用樹脂組成物を固化または硬化させることにより形成される固化物または硬化物で構成される。すなわち、樹脂層5は、樹脂層形成用樹脂組成物を層状に成形した硬化物または固化物で構成されている。
以下、この樹脂層形成用樹脂組成物について説明する。
樹脂層形成用樹脂組成物(以下、単に「第2の樹脂組成物」という)は、上記の通り、主として樹脂材料およびフィラーを含んで構成されている。
樹脂材料としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の各種樹脂材料を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
一方、熱硬化性樹脂(第2の熱硬化性樹脂)としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらのなかでも、第2の樹脂組成物に用いる樹脂材料としては、熱硬化性樹脂を用いるのが好ましく、さらに、エポキシ樹脂を用いるのがより好ましい。これにより、優れた耐熱性を有する樹脂層5を得ることができる。また、樹脂層5により配線4を基材8に強固に接合することができる。そのため、得られる発熱体搭載基板50は優れた放熱性および優れた耐久性を発揮することができる。
また、エポキシ樹脂は、芳香環構造および脂環構造(脂環式の炭素環構造)の少なくともいずれか一方を有するエポキシ樹脂(A)を含むことが好ましい。このようなエポキシ樹脂(A)を使用することで、樹脂層5のガラス転移温度を高くするとともに、樹脂層5の熱伝導性をより向上させることができる。また、配線4、絶縁部6および放熱金属板7に対する樹脂層5の密着性を向上させることができる。
さらに、芳香環あるいは脂肪環構造を有するエポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、このエポキシ樹脂(A)としては、ナフタレン型エポキシ樹脂であることが好ましい。これにより、樹脂層5のガラス転移温度をより一層高くでき、樹脂層5のボイドの発生を抑制することができる。また、熱伝導性をより一層向上でき、かつ絶縁破壊電圧を向上させることができる。
なお、ナフタレン型エポキシ樹脂とは、ナフタレン環骨格を有し、かつ、グリシジル基を2つ以上有する樹脂を呼ぶ。
また、エポキシ樹脂中におけるナフタレン型エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂100質量%に対し、好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは40質量%以上60質量%以下である。
ナフタレン型エポキシ樹脂としては、例えば、以下の式(5)〜(8)のうちのいずれかの樹脂が挙げられる。
[式中、m、nはナフタレン環上の置換基の個数を示し、それぞれ独立して1〜7の整数を示す。]
なお、式(6)の化合物としては、以下のいずれか1種以上を使用することが好ましい。
[式中、Meはメチル基を示し、l、m、nは1以上の整数を示す。]
[式中、nは1以上20以下の整数であり、lは1以上2以下の整数であり、R
1はそれぞれ独立に水素原子、ベンジル基、アルキル基または下記式(9)で表される置換基であり、R
2はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基である。]
[式中、Arはそれぞれ独立にフェニレン基またはナフチレン基であり、R
2はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、mは1または2の整数である。]
式(8)のナフタレン型エポキシ樹脂は、いわゆるナフチレンエーテル型エポキシ樹脂に分類される。この式(8)で表される化合物は、下記式(10)で表される化合物を一例として含む。
[上記式(10)において、nは1以上20以下の整数であり、好ましくは1以上10以下の整数であり、より好ましくは1以上3以下の整数である。Rはそれぞれ独立に水素原子または下記式(11)で表される置換基であり、好ましくは水素原子である。]
[上記式(11)において、mは1または2の整数である。]
さらに、上記式(10)で表されるナフチレンエーテル型エポキシ樹脂は、具体的には、例えば、下記式(12)〜(16)で表される樹脂を含む。
また、前記樹脂材料の含有量は、第2の樹脂組成物全体(溶剤を除く)の、30体積%以上70体積%以下であるのが好ましく、40体積%以上60体積%以下であるのがより好ましい。これにより、優れた機械的強度および優れた熱伝導性を有する樹脂層5を得ることができる。また、配線4、絶縁部6および放熱金属板7に対する樹脂層5の密着性を向上させることができる。
これに対し、かかる含有量が前記下限値未満であると、樹脂材料の種類によっては、樹脂材料がフィラー同士を結合するバインダーとしての機能を十分に発揮することができず、得られる樹脂層5の機械的強度が低下するおそれがある。また、第2の樹脂組成物の構成材料によっては、第2の樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、第2の樹脂組成物(ワニス)の濾過作業や層状成形(コーティング)が困難となる。また、第2の樹脂組成物のフローが小さくなりすぎて、樹脂層5にボイドが発生するおそれが生じる。
一方、かかる含有量が前記上限値を超えると、樹脂材料の種類によっては、樹脂層5の絶縁性を確保しつつ、優れた熱伝導性を有する樹脂層5を得ることが困難となるおそれがある。
また、樹脂材料がエポキシ樹脂を含む場合、第2の樹脂組成物にはフェノキシ樹脂が含まれていることが好ましい。これにより、樹脂層5の耐屈曲性を向上できるため、フィラーを高充填することによる樹脂層5のハンドリング性の低下を抑制することができる。
また、フェノキシ樹脂を第2の樹脂組成物に含むと、第2の樹脂組成物の粘度上昇により、プレス時の流動性が低減する。また、フェノキシ樹脂は、樹脂層5の厚みの確保、厚みの均一性の向上およびボイド発生の抑制に効果があるため、絶縁信頼性および熱伝導性をより一層高めることができる。また、樹脂層5と配線4、放熱金属板7および絶縁部6との密着性が向上する。これらの相乗効果により、発熱体搭載基板50の絶縁信頼性および熱伝導性をより一層高めることができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂、アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの骨格を複数種有した構造のフェノキシ樹脂を用いることもできる。
これらの中でも、ビスフェノールA骨格型またはビスフェノールF骨格型のフェノキシ樹脂を用いることが好ましい。ビスフェノールA骨格とビスフェノールF骨格とを両方有するフェノキシ樹脂を用いても良い。
フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、とくに限定されないが、4.0×104以上8.0×104以下が好ましい。
なお、フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の値である。
フェノキシ樹脂の含有量は、例えば、第2の樹脂組成物の全固形分100質量%に対し、好ましくは1質量%以上15質量%以下、より好ましくは2質量%以上10質量%以下である。
また、かかる第2の樹脂組成物には、前述した樹脂材料の種類(例えば、エポキシ樹脂である場合)等によっては、必要に応じて、硬化剤が含まれる。
硬化剤としては、特に限定されず、例えば、ジシアンジアミド、脂肪族ポリアミド等のアミド系硬化剤や、ジアミノジフェニルメタン、メタンフェニレンジアミン、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン系硬化剤や、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、p−キシレン−ノボラック樹脂などのフェノール系硬化剤や、酸無水物類等を挙げることができる。
また、第2の樹脂組成物は、さらに硬化触媒(硬化促進剤)を含んでいてもよい。これにより、第2の樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。
硬化触媒としては、例えば、イミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン等アミン系触媒、トリフェニルホスフィン等リン系触媒等が挙げられる。これらの中でもイミダゾール類が好ましい。これにより、特に、第2の樹脂組成物の速硬化性および保存性を両立することができる。
イミダゾール類としては、例えば1−ベンジル−2メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。これらの中でも2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールまたは2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。これにより、第2の樹脂組成物の保存性を特に向上させることができる。
また、硬化触媒の含有量は、特に限定されないが、樹脂材料100質量部に対して0.01〜30質量部程度であるのが好ましく、特に0.5〜10質量部程度であるのがより好ましい。かかる含有量が前記下限値未満であると、第2の樹脂組成物の硬化性が不十分となる場合がある。一方、かかる含有量が前記上限値を超えると、第2の樹脂組成物の保存性が低下する傾向を示す。
また、硬化触媒の平均粒子径は、特に限定されないが、10μm以下であることが好ましく、特に1〜5μmであることがより好ましい。かかる平均粒子径が前記範囲内であると、特に硬化触媒の反応性に優れる。
また、第2の樹脂組成物は、さらにカップリング剤を含むことが好ましい。これにより、フィラー、絶縁部6、放熱金属板7および配線4に対する樹脂材料の密着性をより向上させることができる。
かかるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらの中でもシラン系カップリング剤が好ましい。これにより、第2の樹脂組成物の耐熱性および熱伝導性をより向上させることができる。
このうち、シラン系カップリング剤としては、例えばビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファンなどが挙げられる。
カップリング剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂材料100質量部に対して0.01〜10質量部程度であるのが好ましく、特に0.5〜10質量部程度であるのがより好ましい。かかる含有量が前記下限値未満であると、前述したような密着性を高める効果が不十分となる場合がある。一方、かかる含有量が前記上限値を超えると、樹脂層5を形成する際にアウトガスやボイドの原因になる場合がある。
また、第2の樹脂組成物中のフィラーは、無機材料で構成される。これにより、フィラーは、樹脂材料の熱伝導率よりも高い熱伝導率を発揮する。したがって、このフィラーが第2の樹脂組成物中に分散していることにより、樹脂層5の熱伝導率を高めることができる。
このようなフィラーは、無機材料で構成されるフィラーの中でも、酸化アルミニウム(アルミナ、Al2O3)および窒化アルミニウムのうちの少なくとも1種で構成される粒状体であるのが好ましく、特に、主として酸化アルミニウムで構成された粒状体であるのが好ましい。これにより、優れた熱伝導性(放熱性)および優れた絶縁性を発揮することができる。また、酸化アルミニウムは、汎用性に優れ、安価に入手できる点から、特に好ましく用いられる。
したがって、以下では、フィラーが、主として酸化アルミニウムで構成された粒状体である場合を一例に説明する。
フィラーの含有率は、第2の樹脂組成物全体(溶剤を除く)の、30体積%以上70体積%以下であるのが好ましく、40体積%以上60体積%以下であるのがより好ましい。かかる範囲のように第2の樹脂組成物におけるフィラーの含有率を高くすることにより、より優れた熱伝導性を有する樹脂層5を得ることができる。
これに対し、かかる含有率が前記下限値未満であると、樹脂層5の絶縁性を確保しつつ、優れた熱伝導性を有する樹脂層5を得ることが難しい。一方、かかる含有率が前記上限値を超えると、第2の樹脂組成物の構成材料によっては、第2の樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、ワニスの濾過作業や層状への成形(コーティング)が困難となる。また、第2の樹脂組成物のフローが小さくなりすぎて、得られる樹脂層5にボイドが発生する場合がある。
なお、第2の樹脂組成物におけるフィラーの含有率を、上記の範囲のように高く設定したとしても、第2の樹脂組成物として、温度25℃、せん断速度1.0rpmの条件での第2の樹脂組成物の粘度をA[Pa・s]とし、温度25℃、せん断速度10.0rpmの条件での第2の樹脂組成物の粘度をB[Pa・s]としたとき、A/B(チキソ比)が1.2以上、3.0以下なる関係を満足する第2の樹脂組成物を用いることにより、回路基板10(金属箔張基板10A)の製造時に、適度な粘度および適度なフロー性を有する第2の樹脂組成物(ワニス)を提供することができる。
また、このフィラーの含水量は、0.10質量%以上0.30質量%以下であるのが好ましく、0.10質量%以上0.25質量%以下であるのがより好ましく、0.12質量%以上0.20質量%以下であるのがさらに好ましい。これにより、フィラーの含有量を多くすれば、第2の樹脂組成物はより適度な粘度およびフロー性を有する。そのため、得られる樹脂層5中にボイドが発生するのを防止しつつ、優れた熱伝導性を有する樹脂層5を形成することができる。すなわち、優れた熱伝導性および絶縁性を有する樹脂層5を形成することができる。
また、酸化アルミニウムは、通常、水酸化アルミニウムを焼成することにより得られる。得られる酸化アルミニウムの粒状体は、複数の一次粒子で構成される。その一次粒子の平均粒径は、その焼成の条件に応じて設定することができる。
また、その焼成後に何ら処理されていない酸化アルミニウムは、一次粒子同士が固着により凝集した凝集体(二次粒子)で構成されている。
そのため、その一次粒子同士の凝集を粉砕により必要に応じて解くことにより、最終的なフィラーが得られる。最終的なフィラーの平均粒径は、その粉砕の条件(例えば時間)に応じて設定することができる。
その粉砕の際、酸化アルミニウムは極めて高い硬度を有する。そのため、一次粒子同士の固着が解かれていくだけで、一次粒子自体は殆ど破壊されない。したがって、一次粒子の平均粒径は粉砕後においてもほぼ維持されることとなる。
したがって、粉砕時間が長くなるに従い、フィラーの平均粒径は、一次粒子の平均粒径に近づくことになる。そして、粉砕時間が所定時間以上となると、フィラーの平均粒径は、一次粒子の平均粒径に等しくなる。すなわち、フィラーは、粉砕時間を短くすると主として二次粒子で構成される。粉砕時間を長くするにしたがって一次粒子の含有量が多くなる。フィラーは、粉砕時間を最終的に所定時間以上とすると、主として一次粒子で構成されることとなる。
また、例えば、前述したように水酸化アルミニウムを焼成することにより得られた酸化アルミニウムの一次粒子は、球形ではなく、鱗片状のような平坦面を有する形状をなしている。そのため、フィラー同士の接触面積を大きくすることができる。その結果、得られる樹脂層5の熱伝導性を高めることができる。
さらに、フィラーは、平均粒子径が異なる3成分(大粒径、中粒径、小粒径)の混合物である。さらに、大粒径成分が球状であり、中粒径成分および小粒径成分が多面体状であることが好ましい。
より具体的には、フィラーは、大粒径酸化アルミニウムと、中粒径酸化アルミニウムと、小粒径酸化アルミニウムとの混合物であることが好ましい。大粒径酸化アルミニウムの平均粒子径が5.0μm以上50μm以下、好ましくは5.0μm以上25μm以下の第1粒径範囲に属し、かつ、円形度が0.80以上1.0以下、好ましくは0.85以上0.95以下である。中粒径酸化アルミニウムの平均粒子径が1.0μm以上5.0μm未満の第2粒径範囲に属し、かつ、円形度が0.50以上0.90以下、好ましくは0.70以上0.80以下である。小粒径酸化アルミニウムの平均粒子径が0.1μm以上1.0μm未満の第3粒径範囲に属し、かつ、円形度が0.50以上0.90以下、好ましくは0.70以上0.80以下ある。
なお、酸化アルミニウム液を1分間超音波処理することにより、水中に酸化アルミニウムを分散させた後、フィラーの粒子径を、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−7000を用いて、測定することができる。
これにより、大粒径成分の隙間に中粒径成分が充填され、さらに中粒径成分の隙間に小粒径成分が充填される。そのため、酸化アルミニウムの充填性が高められ、酸化アルミニウム粒子同士の接触面積をより大きくすることができる。その結果、樹脂層5の熱伝導性をより一層向上できる。さらに、樹脂層5の耐熱性、耐屈曲性、絶縁性をより一層向上できる。
また、このようなフィラーを用いることにより、樹脂層5と配線4、放熱金属板7および絶縁部6との密着性をより一層向上できる。
これらの相乗効果により、発熱体搭載基板50の絶縁信頼性および放熱信頼性をより一層高めることができる。
なお、第2の樹脂組成物は、上述した成分に加え、レベリング剤、消泡剤等の添加剤が含まれていてもよい。
また、第2の樹脂組成物は、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、ジメチルホルムアルデヒド等の溶剤を含む。これにより、第2の樹脂組成物は、樹脂材料等が溶剤に溶解することにより、ワニスの状態となる。
なお、このようなワニス状をなす第2の樹脂組成物は、例えば、必要に応じて樹脂材料と溶剤とを混合してワニス状にした後、さらに、フィラーを混合することで得ることができる。
また、混合に用いる混合機としては、特に限定されないが、例えば、ディスパーザー、複合羽根型撹拌機、ビーズミルおよびホモジナイザー等が挙げられる。
なお、樹脂材料が高い熱伝導率を有している場合には、第2の樹脂組成物へのフィラーの添加を省略してもよい。すなわち、樹脂層5は、フィラーを含まず、主として樹脂材料で構成されてもよい。
放熱金属板7は、基材8(樹脂層5)の平面視で、半導体装置1が搭載される配線4の領域を包含する樹脂層5の下面(配線4と反対の面)の第1の領域15に形成されている。
このような放熱金属板7は、半導体装置1が備える半導体素子の駆動に生じた熱を、配線4および樹脂層5を介して、放熱金属板7(回路基板10)の下面側から放熱する部材(放熱板)として機能する。
そのため、半導体装置1が備える半導体素子が、本実施形態のように、たとえSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いて構成され、その駆動により、従来のSiパワー半導体装置よりも高い温度の熱を発したとしても、この熱を、放熱金属板7を介してその下面側から放出することができる。したがって、半導体素子自体に対して、さらには、回路基板10上に搭載される他の電子部品に対して、熱が悪影響を及ぼすのを的確に抑制または防止することができる。
また、本実施形態では、図2に示すように、放熱金属板7の全体形状が平板状、すなわち、その平面視形状が四角形状(矩形状)をなしている。また、放熱金属板7は、4つの側面71で構成される周面、上面72および下面83の合計6面を有している。そして、4つの側面71のうち3つの側面71が絶縁部6から露出することなく絶縁部6と接合(接触)しており、1つの側面71が絶縁部6と接合することなく絶縁部6から露出して露出面711を構成している。換言すると、放熱金属板7は、その周面に、絶縁部6から露出する露出領域と、絶縁部6から露出しない非露出領域とを有し、露出領域が露出面711を構成している。
ここで、後述の通り、放熱金属板7は各種金属材料を含み、絶縁部6は絶縁部形成用樹脂組成物(以下、単に「第1の樹脂組成物」という)の硬化物のような樹脂系の材料を含む。一般に、金属材料と樹脂系の材料との密着性(親和性)は低いため、放熱金属板7を絶縁部6に対して強固に接合して(例えば、放熱金属板7と絶縁部6とで金属樹脂接合体(接合部)を形成して)、放熱金属板7の回路基板10からの脱落を防止することが求められる。特に、放熱金属板7が露出面711において露出していると、この露出面711が開放される図2に示す脱落方向(露出面711と直交する方向)に放熱金属板7が脱落することが考えられるため、この脱落方向での放熱金属板7の脱落を確実に防止することが求められる。
かかる要求に対して、本実施形態では、絶縁部6から露出しない3つの側面71のうち、露出面711の長手方向(放熱金属板7の厚さ方向と直交する方向)における一端および他端で、それぞれ露出面711に連結する2つの側面71が第1の非露出面712および第2の非露出面713を構成する。また、第1の非露出面712および第2の非露出面713は、それぞれ、放熱金属板7(絶縁部6)の平面視で、第1の直線712aおよび第2の直線713aをなし、第1の直線712aと第2の直線713aとは平行となっている。換言すると、放熱金属板7の露出面711と平行な断面の面積は、露出面711の面積と等しくなっている。
かかる関係(放熱金属板7の第1の領域15に対応する部分の平面視形状に関する要件)を満足することで、4つの側面71のうちの3つの側面71(第1の非露出面712および第2の非露出面713を含む非露出領域)において、放熱金属板7が絶縁部6で囲まれる。その結果、放熱金属板7と絶縁部6とが強固に接合されるため、上述したような、脱落方向に放熱金属板7が脱落することを確実に防止することができる。
また、本実施形態では、第1の非露出面712および第2の非露出面713を含む非露出領域が絶縁部6で取り囲まれ、これにより、非露出領域の面積が、周面の面積の50%以上となっている(図2参照)。言換すると、露出領域の面積は、放熱金属板7の周面の面積の50%未満となっている。このように、非露出領域の面積が、周面の面積の50%以上であることで、放熱金属板7の周面を絶縁部6で取り囲む面積(非露出領域の面積)を増大させることができる。このため、放熱金属板7を絶縁部6に、より強固に接合でき、放熱金属板7の回路基板10からの脱落をより確実に防止することができる。
なお、露出面711(露出領域)の面積は、周面の面積(側面71の全面積)に対して、50%未満であることが好ましく、5%より大きく、25%未満であることがより好ましい。これにより、前記効果をより顕著に発揮することができる。
さらに、図2に示すように、本実施形態では、基材8の平面視で、放熱金属板7の大きさ(面積S7)は、半導体装置1の大きさ(面積S1)よりも大きい。すなわち、放熱金属板7が位置する第1の領域15は、基材8の平面視で、半導体装置1が搭載される領域を包含している。さらに、平面視で、半導体装置1が搭載される領域と放熱金属板7が位置する第1の領域15とは、それぞれ、長方形をなしている。
これにより、半導体装置1の放熱金属板7に対する配置位置を決定する際の、例えば配線4が備える端子の位置を設定する際の設計の自由度が向上する。また、半導体装置1からの熱を放熱金属板7で拡散して放熱させることができるため、放熱金属板7による放熱効率の向上を図ることができる。
また、図1に示すように、放熱金属板7の厚さ(平均厚さ)t7と配線4の厚さ(平均厚さ)t4とは、互いに異なっている。すなわち、放熱金属板7の厚さt7は、配線4の厚さt4よりも厚い。これにより、放熱金属板7による放熱効率の向上を確実に図ることができる。
厚さt4としては、特に限定されないが、例えば、3μm以上、120μm以下が好ましく、5μm以上、70μm以下がより好ましい。配線4の厚さをこのような数値範囲に設定することにより、配線4として機能する導電性を確保しつつ、受熱板としての機能の向上が図られる。
また、厚さt7としては、特に限定されないが、例えば、1mm以上、3mm以下が好ましく、1.5mm以上、2.5mm以下がより好ましい。放熱金属板7の厚さをこのような数値範囲に設定することにより、放熱板としての機能の向上が図られる。
以上のような厚さの大小関係や平面視での包含関係(位置関係)が相まって、半導体装置1で発せられた熱は、配線4から放熱金属板7に到達するまでに、放熱金属板7でできる限り広範囲に拡散することとなる。その結果、放熱金属板7で迅速に放熱がなされる、すなわち、放熱効率が向上する。
放熱金属板7の構成材料としては、例えば、銅、銅系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金等の各種金属材料が挙げられる。これらの中でも、放熱金属板7の構成材料は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましい。このような金属材料は、熱伝導率が比較的高く、半導体装置1で発せられた熱の放熱効率の向上が図られる。
また、放熱金属板7をアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成し、配線4を銅または銅合金で構成した場合、配線4は、放熱金属板7よりも熱伝導率が高くなる。これにより、半導体装置1で発せられた熱が配線4に伝わると、その熱は配線4で広範囲に拡散することなく、迅速に樹脂層5を介して、放熱金属板7に到達する。そして、この放熱金属板7に到達した熱が、放熱金属板7において拡散しつつ放熱金属板7の外部に放出される。そのため、さらなる放熱効率の向上が図られる。
なお、放熱金属板7の熱伝導率は、15W/m・K以上、500W/m・K以下であることが好ましく、200W/m・K(アルミニウム)以上、400W/m・K以下(銅)であることがより好ましい。
絶縁部6は、樹脂層5の下面に設けられ、基材8の平面視で、第1の領域15を除く樹脂層5の下面の第2の領域16に形成されている。すなわち、絶縁部6は、図2に示すように、樹脂層5の下面の放熱金属板7が位置しない第2の領域16に、放熱金属板7が備える4つの側面71のうち1つの側面71を露出させ、残りの3つの側面71を露出させることなく絶縁部6に接触させるようにして形成されている。
これにより、基材8の下面の放熱金属板7が位置しない第2の領域16における、絶縁性が確保される。また、基材8全体としての強度が確保される。また、絶縁部6は、断熱効果を奏する。従って、半導体装置1から伝達され放熱金属板7で放熱される熱を、絶縁部6において遮ることが可能となる。ここで、絶縁部6は、樹脂層5と優れた密着性をもって接合されているため、絶縁部6の回路基板10からの脱落を防止することができる。さらに、放熱金属板7は、樹脂層5に優れた密着性で接合された絶縁部6に強固に接合されているため、放熱金属板7の回路基板10からの脱落も防止することができる。これにより絶縁部6および放熱金属板7の前述した効果を確実に発揮することができる。そのため、この熱が、第2の領域に対応して位置する樹脂層5および配線4を介して半導体装置1に逆に伝達することを確実に抑制または防止することができる。また、第2の領域に対応して位置する配線4(回路基板10)に搭載された他の電子部品に、この熱が伝達するのに起因して、悪影響を及ぼすことを的確に抑制または防止することができる。このように、本発明の回路基板10は、搭載すべき半導体装置1(発熱体)から発せられた熱を効率よく放熱することができる。
また、絶縁部6の線膨張係数は、放熱金属板7の線膨張係数よりも大きいことが好ましい。ここで、回路基板10を後述する金属箔張基板の製造方法を適用して製造する場合、絶縁部6は、例えば、溶融した状態の第1の樹脂組成物を放熱金属板7の3つの側面71を囲むように供給して形成される。そのため、絶縁部6の線膨張係数と放熱金属板7の線膨張係数が前記関係を満足することで、形成された絶縁部6が、放熱金属板7を、1つの側面71(露出面711)を除く3つの側面71において、圧迫するため、放熱金属板7と絶縁部6とをさらに強固に接合することができる。
また、絶縁部6の線膨張係数は、放熱金属板7の線膨張係数よりも大きければよいが、絶縁部6の線膨張係数をC[/℃]とし、放熱金属板7の線膨張係数をD[/℃]としたとき、C/Dは、1.01以上、1.50以下であることが好ましく、1.01以上、1.30以下であることがより好ましい。C/Dの大きさを前記範囲内に設定することにより、回路基板10の反りが生じることなく、放熱金属板7と絶縁部6とを確実に接合することができる。
なお、絶縁部6の線膨張係数は、以下で説明する第1の樹脂組成物に含まれる構成材料の種類および含有量を適宜設定することにより調整することができる。具体的には、例えば、第1の樹脂組成物に含まれる熱硬化性樹脂のような樹脂材料の含有量を増大させることにより絶縁部6の線膨張係数を大きくすることができる。
この場合、第1の樹脂組成物における、熱硬化性樹脂のような樹脂材料の含有量は、25wt%以上、50wt%以下であることが好ましく、35wt%以上、45wt%以下であることがより好ましい。これにより、絶縁部6の線膨張係数を、放熱金属板7の線膨張係数よりも大きくすることができる。
なお、図1に示すように、放熱金属板7の厚さ(平均厚さ)t7と絶縁部6の厚さ(平均厚さ)は、同一となっている。これにより、放熱金属板7の下面と、絶縁部6の下面とにより平坦面が構成されている。
この絶縁部6は、本発明では、熱硬化性樹脂(第1の熱硬化性樹脂)を含有する第1の樹脂組成物の硬化物で構成される。なお、第1の樹脂組成物は、前述した第2の樹脂組成物と異なっている。
このような硬化物で絶縁部6を構成することで、樹脂層5と絶縁部6との間での熱線膨張係数の差を小さく設定することができる。これにより、半導体装置1の半導体素子の駆動時には、半導体装置1自体が発熱し、樹脂層5および絶縁部6が加熱されることとなるが、樹脂層5と絶縁部6との間で反りが生じ、これに起因して、これら同士の間で剥離が生じてしまうのを的確に抑制または防止することができる。
上述したように、本実施形態の回路基板10では、樹脂層5が優れた熱伝導性を発現することが好ましく、絶縁部6が優れた断熱効果を発現することが好ましい。このように、樹脂層5と絶縁部6とが異なる効果を発現する観点から、樹脂層5を形成する第2の樹脂組成物と、絶縁部6を形成する第1の樹脂組成物とが、異なっていることが好ましい。これにより、樹脂層5と絶縁部6との双方の特性をより顕著に発現することができる。すなわち、樹脂層5は、半導体装置1からの熱を効率よく放熱金属板7に伝達することができ、また、絶縁部6は、放熱金属板7から放熱される熱が、半導体装置1や半導体装置1以外の配線4に搭載された他の電子部品に再度伝達するのを的確に抑制または防止することができる。その結果、発熱体搭載基板50の信頼性を向上させることができる。
以下、この第1の樹脂組成物について説明する。
熱硬化性樹脂(第1の熱硬化性樹脂)は、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂のようなトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド(BMI)樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、フェノール樹脂は、良好な流動性を有する。そのため、第1の樹脂組成物の流動性を向上させることができ、放熱金属板7の形状に依存することなく、基材8の平面視で、放熱金属板7を取り囲むように絶縁部6を形成することができる。また、樹脂層5および放熱金属板7に対する絶縁部6の密着性を向上させることができる。
また、フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、アリールアルキレン型ノボラック樹脂のようなノボラック型フェノール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール樹脂、メチロール型レゾール樹脂等の未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂のようなレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。
また、ノボラック型フェノール樹脂を用いる場合、第1の樹脂組成物には硬化剤が含まれる。通常、この硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミンが使用される。さらに、ヘキサメチレンテトラミンを用いる場合、その含有量は、特に限定されないが、ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対して、10重量部以上30重量部以下含有することが好ましく、さらに15重量部以上20重量部以下含有することが好ましい。ヘキサメチレンテトラミンの含有量を上記範囲とすることで、第1の樹脂組成物の硬化物、すなわち絶縁部6の機械的強度および成形収縮量を良好にすることができる。
このようなフェノール樹脂の中でも、レゾール型フェノール樹脂を用いるのが好ましい。ノボラック型フェノール樹脂を主成分として用いた場合、上記の通り、硬化剤として通常ヘキサメチレンテトラミンが使用され、ノボラック型フェノール樹脂の硬化時にアンモニアガス等の腐食性ガスが発生する。そのため、これに起因して、放熱金属板7が腐食するおそれがある。このことから、ノボラック型フェノール樹脂に比較して、レゾール型フェノール樹脂が好ましく用いられる。
また、レゾール型フェノール樹脂とノボラック型フェノール樹脂とを併用するようにすることもできる。これにより、絶縁部6の強度を高めることができるとともに、靭性をも高めることができる。
また、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型のようなビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型のようなノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型、臭素化フェノールノボラック型のような臭素化型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、比較的分子量の低いビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、絶縁部6の形成時における作業性や成形性をさらに良好にすることができる。また、絶縁部6の耐熱性の面からフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂が好ましく、特に、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂が好ましい。
トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を用いる場合、その数平均分子量は、特に限定されないが、500〜2000であることが好ましく、700〜1400であることがさらに好ましい。
また、エポキシ樹脂を用いる場合、第1の樹脂組成物中には、硬化剤が含まれることが好ましい。硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジアミンジアミドのようなアミン化合物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物などの酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂のようなポリフェノール化合物や、イミダゾール化合物等が挙げられる。中でも、ノボラック型フェノール樹脂が好ましい。これにより、第1の樹脂組成物の取り扱い、作業性が向上する。また、環境面に優れた第1の樹脂組成物を得ることができる。
特に、エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤として、ノボラック型フェノール樹脂を用いることが好ましい。これにより、第1の樹脂組成物から得られる硬化物の耐熱性を向上させることができる。なお、硬化剤の添加量は特に限定されないが、エポキシ樹脂に対する理論当量比1.0からの許容幅を±10重量%以内であることが好ましい。
また、第1の樹脂組成物は、上記硬化剤とともに必要に応じて硬化促進剤を含有するものであってもよい。硬化促進剤としては、特に限定されないが、例えば、イミダゾール化合物、三級アミン化合物、有機リン化合物等が挙げられる。硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、3〜8重量部であることがより好ましい。
また、第1の樹脂組成物は、充填材(フィラー)として機能する繊維強化材を含むことが好ましい。これにより、絶縁部6自体で優れた機械的強度と優れた剛性とを発揮することができる。
繊維強化材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維(芳香族ポリアミド)、ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリビニルアルコール(PVA)繊維、ポリエチレン(PE)繊維、ポリイミド繊維のようなプラスチック繊維、バサルト繊維のような無機繊維およびステンレス繊維のような金属繊維等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、これらの繊維強化材には、熱硬化性樹脂との接着性を向上させることを目的に、シランカップリング剤による表面処理が施されていてもよい。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの繊維強化材のうち、カーボン繊維またはアラミド繊維を用いることが好ましい。これにより、絶縁部6の機械強度をさらに向上させることができる。特に、カーボン繊維を用いることにより、絶縁部6の高負荷時における耐摩耗性をさらに向上させることができる。なお、絶縁部6のさらなる軽量化を図るという観点からは、繊維強化材は、アラミド繊維等のプラスチック繊維であることが好ましい。さらに、絶縁部6の機械強度を向上させる観点からは、繊維強化材として、ガラス繊維やカーボン繊維等の繊維基材を用いることが好ましい。
硬化物中における繊維強化材の含有量は、硬化物全量に対して、例えば、10体積%以上であり、好ましくは20体積%以上であり、さらに好ましくは25体積%以上である。また、硬化物全量に対する繊維強化材の含有量の上限値は、特に限定されないが、好ましくは80体積%以下とされる。これにより、絶縁部6の機械強さを確実に向上させることができる。
さらに、第1の樹脂組成物は、充填材として、繊維強化材以外の材料を含んでいてもよい。かかる充填材としては、無機充填材および有機充填材のいずれであってもよい。
無機充填材としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリカ、炭酸カルシウム、炭化ホウ素、クレー、マイカ、タルク、ワラストナイト、ガラスビーズ、ミルドカーボン、グラファイト等から選択される1種以上が用いられる。なお、無機充填材としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、シリカのような金属酸化物が含まれていることが好ましい。これにより、金属酸化物が備える酸化皮膜が不動態化膜としての機能を発揮し、硬化物全体としての耐酸性を向上させることができる。
また、有機充填材としては、ポリビニールブチラール、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、パルプ、木粉等から選択される1種以上が用いられる。なお、アクリロニトリルブタジエンゴムは、部分架橋構造を有するタイプまたはカルボキシ変性構造を有するタイプの何れであっても良い。これらのうち、硬化物の靭性を向上させる効果がさらに高まるという観点からは、アクリロニトリルブタジエンゴムが好ましい。
さらに、充填材が平均粒径の異なる複数種を含む場合、充填材は、その全体を100質量%としたとき、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径が5μmを超える充填材(B1)を70質量%以上99質量%以下含むことが好ましく、85質量%以上98質量%以下含むことがより好ましい。これにより、第1の樹脂組成物の作業性を向上させつつ、得られる絶縁部6の機械的強度をより確実に向上させることができる。充填材(B1)の平均粒子径の上限は特に限定されないが、例えば、100μm以下である。
この充填材(B1)としては、前述した繊維強化材が好ましく用いられる。さらに、充填材(B1)の平均長径が5μm以上50mm以下で、充填材(B1)の平均アスペクト比が1以上1000以下であることがより好ましい。
充填材(B1)の平均長径および平均アスペクト比は、例えば、以下のようにSEM写真から測定することができる。すなわち、まず、走査型電子顕微鏡により、複数の充填材(B1)を撮影する。その画像から、充填材(B1)を任意に50個選択し、それらの長径および短径をそれぞれ測定する。次に、選択した50個の充填材(B1)の長径の合計値を個数で除して平均長径とする。同様に、選択した50個の充填材(B1)の短径の合計値を個数で除して平均短径とする。そして、平均短径に対する平均長径の比を平均アスペクト比とする。
また、充填材が平均粒径の異なる複数種を含む場合、充填材は、その全体を100質量%としたとき、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による重量基準粒度分布における平均粒子径が0.1μm以上5μm以下である充填材(B2)を1質量%以上30質量%以下含むことが好ましく、2質量%以上15質量%以下含むことがより好ましい。これにより、凹部75の内部に充填材を十分に埋入(存在)させることができる。その結果、凹部75に前記硬化物が埋入した領域の機械的強度をより確実に向上させることができる。
充填材(B2)としては、前述した無機充填材および有機充填材が好ましく用いられる。さらに、充填材(B2)の平均長径が好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは0.2μm以上50μm以下であり、充填材(B2)の平均アスペクト比が好ましくは1以上50以下、より好ましくは1以上40以下である。
充填材(B2)の平均長径および平均アスペクト比は、例えば、以下のようにSEM写真から測定することができる。すなわち、まず、走査型電子顕微鏡により、複数の繊充填材(B2)を撮影する。その画像から、充填材(B2)を任意に50個選択し、それらの長径および短径をそれぞれ測定する。次に、選択した50個の充填材(B2)の長径の合計値を個数で除して平均長径とする。同様に、選択した50個の充填材(B2)の短径の合計値を個数で除して平均短径とする。そして、平均短径に対する平均長径の比を平均アスペクト比とする。
なお、第1の樹脂組成物には、以上に説明した成分の他にも、離型剤、硬化助剤、顔料等の添加剤が添加されていてもよい。
また、絶縁部6と樹脂層5との界面付近では、樹脂層5に含まれるフィラーが、絶縁部6側に分散していることが好ましい。これにより、樹脂層5と絶縁部6との界面付近において、あたかも樹脂層5と絶縁部6とが混在した状態となり、樹脂層5と絶縁部6との密着性の向上が図られる。そのため、発熱体搭載基板50は、優れた耐久性を発揮することができる。
以上のように、発熱体として半導体装置1を搭載する図1に示す発熱体搭載基板50は、回路基板10に半導体装置1を搭載することにより得ることができ、さらに、回路基板10は、上述した配線4に代えて、平板状(シート状)をなす金属箔4Aを、基材8の上面(他方の面)に備える金属箔張基板10Aを用いて得ることができる。この金属箔張基板10Aは、以下に示す、金属箔張基板10Aの製造方法により製造される。
(金属箔張基板の製造方法)
図3、4は、図1の発熱体搭載基板の製造に用いられる金属箔張基板の製造方法を説明するための図である。なお、以下では、説明の便宜上、図3、4中の上側を「上」、下側を「下」とも言う。また、図3、4では、金属箔張基板およびその各部を誇張して模式的に図示しており、金属箔張基板およびその各部の大きさおよびその比率は実際とは大きく異なる。
[1]
まず、平板状をなす金属箔4Aを用意し、その後、図3(a)に示すように、金属箔4A上に樹脂層形成用層(以下、単に「層」という)5Aを形成する。
この層5Aは、前述したワニス状をなす第2の樹脂組成物を金属箔4A上に層状に供給した後、第2の樹脂組成物を乾燥させることにより得られる。そして、この層5Aは、後述する工程[2]および工程[3]を経ることで、硬化または固化することにより樹脂層5となる。
第2の樹脂組成物の金属箔4Aへの供給は、例えば、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等を用いて行うことができる。
この第2の樹脂組成物は以下のような粘度挙動を有することが好ましい。
すなわち、その粘度挙動は、初期温度60℃、昇温速度3℃/min、周波数1Hzの条件下、動的粘弾性測定装置で第2の樹脂組成物を溶融状態まで昇温したときに、昇温初期では溶融粘度が減少し、最低溶融粘度に到達した後、溶融粘度が上昇するような挙動である。そのような最低溶融粘度は、1×103Pa・s以上1×105Pa・s以下の範囲内であることが好ましい。
最低溶融粘度が上記下限値以上であると、樹脂材料とフィラーとが分離し、樹脂材料のみが流動してしまうことを抑制でき、工程[2]および工程[3]を経ることにより、より均質な樹脂層5を得ることができる。また、最低溶融粘度が上記上限値以下であると、第2の樹脂組成物の金属箔4Aへの濡れ性を向上でき、樹脂層5と金属箔4Aとの密着性をより一層向上できる。
これらの相乗効果により、金属箔張基板10A(回路基板10)の放熱性および絶縁破壊電圧をより一層向上できる。
また、第2の樹脂組成物は、最低溶融粘度に到達する温度が60℃以上、100℃以下の範囲内であることが好ましく、75℃以上、90℃以下の範囲内であることがより好ましい。
さらに、第2の樹脂組成物は、フロー率が15%以上、60%未満であることが好ましく、25%以上、50%未満であることがより好ましい。
なお、このフロー率は、以下の手順で測定することができる。すなわち、まず、本実施形態の第2の樹脂組成物により形成された樹脂層を有する金属箔を所定のサイズ(50mm×50mm)に裁断する。その後、裁断された金属箔を5〜7枚積層して積層体を得る。次に、積層体の重量(測定前重量)を測定する。次に、内部温度を175℃に保持した熱盤間で5分間積層体をプレスした後、プレスした積層体を冷却する。プレスした積層体から流れ出た樹脂を丁寧に落として、冷却された積層体の重量(測定後重量)を再び測定する。フロー率は次式(I)により求めることができる。
フロー率(%)=(測定前重量−測定後重量)/(測定前重量−金属箔重量) (I)
第2の樹脂組成物がこのような粘度挙動を有すると、第2の樹脂組成物を加熱硬化して樹脂層5を形成する際に、第2の樹脂組成物中に空気が侵入するのを抑制できる。また、第2の樹脂組成物中に溶けている気体を十分に外部に排出できる。その結果、樹脂層5に気泡が生じてしまうことを抑制でき、金属箔4Aから樹脂層5へ確実に熱を伝えることができる。また、気泡の発生が抑制されることにより、金属箔張基板10A(回路基板10)の絶縁信頼性を高めることができる。また、樹脂層5と金属箔4Aとの密着性を向上できる。
これらの相乗効果により、金属箔張基板10A(回路基板10)の放熱性をより一層向上でき、その結果、金属箔張基板10Aのヒートサイクル特性をより一層向上させることができる。
このような粘度挙動を有する第2の樹脂組成物は、例えば、前述した樹脂材料の種類や量、フィラーの種類や量、また、樹脂材料にフェノキシ樹脂が含まれる場合には、その種類や量を適宜調整することにより得ることできる。特に、エポキシ樹脂として、ナフタレン型エポキシ樹脂等の流動性の良い樹脂を用いることにより、上記のような粘度特性が得られ易くなる。
[2]
次に、放熱金属板7を用意し、その後、図3(b)に示すように、金属箔4Aと放熱金属板7とが、層5Aを介して互いに接近するように、それらを加圧するとともに加熱する。なお、この加圧は、放熱金属板7が有する4つの側面71のうち、露出面711とすべき側面71と、金属箔4Aが有する1つの側面とが同一平面上に位置するように、放熱金属板7を配置した後に行われる。
これにより、第1の領域15に対応して、層5Aに放熱金属板7が貼り合わされる(図3(c)参照。)。
この際、層5Aは、層5Aが熱硬化性を有する場合には、好ましくは未硬化または半硬化する条件、より好ましくは半硬化する条件で加熱および加圧される。また、層5Aが熱可塑性を有する場合には、層5Aは、加熱および加圧により溶融した後、冷却により固化する条件で、加熱および加圧される。
この加熱および加圧の条件は、例えば、層5Aに含まれる第2の樹脂組成物の種類によっても若干異なるが、以下のように設定される。
すなわち、加熱温度は、好ましくは80〜200℃程度、より好ましくは170〜190℃程度に設定される。
また、加圧する圧力は、好ましくは0.1〜3MPa程度、より好ましくは0.5〜2MPa程度に設定される。
さらに、加熱および加圧する時間は、10〜90分程度であるのが好ましく、30〜60分程度であるのがより好ましい。
これにより、放熱金属板7の下面が層5Aに接合され、その結果、層5Aに放熱金属板7が貼り合わされる。
なお、層5Aが熱硬化性を有する場合、層5Aを未硬化または半硬化とするかの選択は、次のように行われる。例えば、本工程[2]において、層5Aに対する放熱金属板7の貼り合わせを優先する際には、層5Aを半硬化の状態とする。一方、次工程[3]において、樹脂層5と絶縁部6との界面における密着性を向上させることを優先する際には、層5Aを未硬化の状態とする。
[3]
次に、層5Aの平面視で、放熱金属板7の露出面711とすべき側面71が露出し、さらに、4つの側面のうち、この側面71を除く3つの側面71が絶縁部6に接合するように、層5A上に絶縁部6を形成する。
これにより、層5Aの上面の放熱金属板7が位置しない第2の領域16を覆うように絶縁部6が形成される。本実施形態では、第1の非露出面712および第2の非露出面713は、それぞれ、放熱金属板7(絶縁部6)の平面視で、第1の直線712aおよび第2の直線713aをなし、第1の直線712aと第2の直線713aとは平行となっている。換言すると、放熱金属板7の露出面711と平行な断面の面積は、露出面711の面積と等しくなっている。その結果、絶縁部6と放熱金属板7とが強固に接合される。
さらに、この際、層5Aが熱硬化性を有する場合には、層5Aが硬化することにより樹脂層5が形成される。また、層5Aが熱可塑性を有する場合には、層5Aを溶融後、再度、固化することにより樹脂層5が形成される(図3(d)参照。)。
絶縁部6を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、第1の樹脂組成物を溶融させた状態で、層5Aの上面の放熱金属板7が位置しない第2の領域16を覆うように層5Aの上面側に第1の樹脂組成物を供給した後、この溶融状態の第1の樹脂組成物を成形する方法が挙げられる。かかる方法によれば、層5Aの上面の第2の領域16に対して、優れた精度で位置選択的に絶縁部6を形成することができる。
以下、かかる方法により、絶縁部6を形成する場合について詳述する。
なお、第1の樹脂組成物としては、顆粒状(ペレット状)、シート状、短冊状、または、タブレット状の何れであっても良い。以下では、タブレット状をなす第1の樹脂組成物を用いる場合を一例に説明する。
[3−1]まず、図4に示すように、成形金型100が備える上型110と下型120とを重ね合わせることにより形成されるキャビティ(収納空間)121に、層5A上に接合された放熱金属板7を、放熱金属板7が上側になるようにして、収納する。その後、上型110と下型120との型締めを行う。
なお、この際、放熱金属板7の厚さ方向で、供給路113の下側開口と放熱金属板7とが重ならず、かつ、上型110の下面と放熱金属板7の上面とが互いに接するようにして、層5A上に接合された放熱金属板7を、キャビティ121内に収納する。これにより、後工程において形成される絶縁部6を、絶縁部6の厚さが放熱金属板7の厚さと同一となるように形成することができる。すなわち、絶縁部6が、放熱金属板7の上面に形成されることなく、絶縁部6の上面と放熱金属板7の上面とで平坦面が構成されるように、層5Aの上面の第2の領域16に選択的に絶縁部6を設けることができる。
そして、タブレット状をなす第1の樹脂組成物130を、上型110が備えるポット111内に収納する。
[3−2]次に、成形金型100を加熱して、ポット111内の第1の樹脂組成物130を加熱溶融しつつ、プランジャー112をポット111内に挿入する。これにより、第1の樹脂組成物130を加圧する。
これにより、溶融状態とされた第1の樹脂組成物130が供給路113を介して、キャビティ121内に移送される。
[3−3]次に、プランジャー112をポット111内に挿入することにより、キャビティ121内に収納された金属箔4Aを加熱および加圧した状態で、溶融した第1の樹脂組成物130が第2の領域16に位置する層5A上を覆うようにキャビティ121内に充填される。
そして、溶融した第1の樹脂組成物130を硬化させることにより絶縁部6を形成する。これにより、放熱金属板7の露出面711(露出領域)を構成する1つの側面71を露出させ、この側面71を除く3つの側面71(非露出領域)を囲むように、絶縁部6が形成される。
また、層5Aが熱硬化性を有する場合には、この加熱および加圧により、層5Aが硬化することにより樹脂層5が形成される。層5Aが熱可塑性を有する場合には、層5Aが溶融した後、層5Aを冷却して再度固化することにより樹脂層5が形成される。
かかる工程における加熱および加圧の条件は、特に限定されないが、例えば、以下のように設定される。
すなわち、加熱温度は、好ましくは80〜200℃程度、より好ましくは170〜190℃程度に設定される。
また、加圧する圧力は、好ましくは2〜10MPa程度、より好ましくは3〜7MPa程度に設定される。
さらに、加熱および加圧する時間は、1〜60分程度であるのが好ましく、3〜15分程度であるのがより好ましい。
温度、圧力および時間をかかる条件に設定することにより、樹脂層5と絶縁部6との界面付近において、樹脂層5に含まれるフィラーが絶縁部6側に分散して樹脂層5と絶縁部6とが混在した状態で、樹脂層5と絶縁部6とが形成される。そのため、樹脂層5と絶縁部6との密着性を向上させることができる。
また、第1の樹脂組成物130の溶融粘度は、175℃において、10〜3000Pa・s程度であるのが好ましく、30〜2000Pa・s程度であるのがより好ましい。これにより、露出面711を構成する1つの側面71で露出し、この側面71を除く3つの側面71を囲む状態で、絶縁部6をより確実に形成することができる。
なお、175℃における溶融粘度は、例えば、島津製作所製の熱流動評価装置(フローテスタ)により測定することができる。
また、プランジャー112をポット111内に挿入することにより生じる圧力により、金属箔4Aは、下型120が備えるキャビティ121の底面に押し付けられるのが好ましい。これにより、溶融した第1の樹脂組成物130の金属箔4Aの下面に対する回り込みが防止される。その結果、金属箔4Aの下面における絶縁部6の形成が的確に防止される。よって、金属箔4Aをパターニングすることにより得られる配線4が絶縁部6により覆われることを防止できる。それによって、半導体装置1を含む電子部品と配線4との電気的な接続が阻害されるのを防止することができる。以上のような工程を経て、金属箔張基板10Aが製造される。
また、この金属箔張基板10Aが備える金属箔4Aをパターニングして、半導体装置1が備える接続端子12に電気的に接続する端子を有する配線4を形成する。これにより、基材8上に配線4が形成された回路基板10が製造される。なお、金属箔4Aをパターニングする方法としては、特に限定されないが、例えば、次のような方法が挙げられる。形成すべき配線4のパターン(形状)に対応するレジスト層を金属箔4A上に形成する。その後、このレジスト層をマスクとして用いて、ウエットエッチング法またはドライエッチング法により、レジスト層の開口部から露出する金属箔4Aをエッチングする。
なお、本実施形態では、前記工程[3−1]〜[3−3]を経ることにより、1つの金属箔張基板10Aを得る場合について説明した。しかしながら、本発明は、かかる場合に限定されず、例えば、前記工程[3−1]において、複数の放熱金属板7が層5A上に接合された接合体をキャビティ121に収納し、その後、前記工程[3−2]、[3−3]を経て各放熱金属板7の周囲に絶縁部6を形成する。絶縁部6が形成された接合体を、各放熱金属板7の1つの側面71が絶縁部6から露出するように、その厚さ方向に裁断(切断)することで、複数の金属箔張基板10Aを得るようにしてもよい。なお、この裁断は、(I)前記工程[3−3]の後、(II)金属箔4Aをパターニングして複数の配線4を基材8上に形成した後、または、(III)複数の配線4にそれぞれ対応して複数の半導体装置1を回路基板10上に搭載した後の何れの段階で実行されても良い。ただし、この裁断は、前記(III)の段階で実行されることが好ましい。これにより、複数の発熱体搭載基板50を一括して製造することができる。
また、本実施形態では、工程[2]と、工程[3]とを別工程で行うこととした。しかし、本発明は、これに限定されず、例えば、ポット111内への第1の樹脂組成物130の装填を省略した状態で、プランジャー112をポット111内に挿入することで、放熱金属板7の金属箔4Aに対する押圧を実施することが可能であれば、工程[2]と工程[3]とを、キャビティ121内で一括して実施するようにしてもよい。
かかる構成の発熱体搭載基板50は、各種電子機器が備える基板(一部品)として搭載される。
<第2実施形態>
次に、本発明の発熱体搭載基板の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の発熱体搭載基板の第2実施形態を示す平面図である。
以下、第2実施形態の発熱体搭載基板51について、前記第1実施形態の発熱体搭載基板50との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図5に示す発熱体搭載基板51は、第1実施形態の回路基板10の構成と異なる構成の回路基板101の上面に、半導体装置1が搭載されていること以外は、図1、2に示す発熱体搭載基板50と同様である。
すなわち、第2実施形態の発熱体搭載基板51において、回路基板101は、樹脂層5と、樹脂層5の平面視で第1の領域15に対応して樹脂層5を覆う放熱金属板7と、第2の領域16に対応して樹脂層5を覆う絶縁部6とを備える基材8と、この基材8の上面に設けられた配線4とを備えている。そして、半導体装置1は、接続端子12において配線4(端子)と電気的に接続された状態で、基材8が有する配線4に搭載されている。
また、このような発熱体搭載基板51において、放熱金属板7の平面視形状は台形状である。また、放熱金属板7が備える4つの側面71のうちの1つの側面71(上底)が、絶縁部6から露出する露出面711(露出領域)を構成している。そして、残りの3つの側面71(下底および2つの脚)が、絶縁部6から露出しない非露出領域を構成している。なお、これらの2つの脚が、露出面711の長手方向における一端および他端で、それぞれ露出面711に連結する第1の非露出面712および第2の非露出面713を構成している。
かかる構成の放熱金属板7では、第1の非露出面712および第2の非露出面713は、それぞれ、放熱金属板7(絶縁部6)の平面視で、第1の直線712aおよび第2の直線713aをなし、第1の直線712aと第2の直線713aとは、露出面711側の交点Pで交差している。換言すると、放熱金属板7は、露出面711と平行な断面の面積が露出面711から離れるにしたがって漸増する漸増部を有している。かかる構成としても、第1の非露出面712および第2の非露出面713を含む3つの側面71(非露出領域)において、放熱金属板7が絶縁部6で囲まれる。これにより、放熱金属板7と絶縁部6とが強固に接合される。その結果、前記脱落方向に放熱金属板7が脱落することを確実に防止することができる。
このような第2実施形態の発熱体搭載基板51によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。特に、本実施形態では、放熱金属板7が漸増部を有しているため、前述した効果がより顕著となる。
<第3実施形態>
次に、本発明の発熱体搭載基板の第3実施形態について説明する。
図6は、本発明の発熱体搭載基板の第3実施形態を示す平面図である。
以下、第3実施形態の発熱体搭載基板52について、前記第1実施形態の発熱体搭載基板50との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図6に示す発熱体搭載基板52は、第1実施形態の回路基板10の構成と異なる構成の回路基板102の上面に、半導体装置1が搭載されていること以外は、図1、2に示す発熱体搭載基板50と同様である。
すなわち、第3実施形態の発熱体搭載基板52において、回路基板102は、樹脂層5と、樹脂層5の平面視で第1の領域15に対応して樹脂層5を覆う放熱金属板7と、第2の領域16に対応して樹脂層5を覆う絶縁部6とを備える基材8と、この基材8の上面に設けられた配線4とを備えている。そして、半導体装置1は、接続端子12において配線4(端子)と電気的に接続された状態で、基材8が有する配線4に搭載されている。
また、このような発熱体搭載基板51において、放熱金属板7の平面視形状は正五角形状である。また、放熱金属板7が備える5つの側面71のうちの1つの側面71が、絶縁部6から露出する露出面711(露出領域)を構成している。そして、残り4つの側面71(露出面711を除く周面)が、絶縁部6から露出しない非露出領域を構成している。なお、これらのうちの露出面711の長手方向における一端および他端で、それぞれ露出面711に連結する2つの側面71が、第1の非露出面712および第2の非露出面713を構成している。
かかる構成の放熱金属板7では、第1の非露出面712および第2の非露出面713は、それぞれ、放熱金属板7(絶縁部6)の平面視で、第1の直線712aおよび第2の直線713aをなし、第1の直線712aと第2の直線713aとは、露出面711側の交点Pで交差している。換言すると、放熱金属板7は、露出面711と平行な断面の面積が露出面711から離れるにしたがって漸増する漸増部と、この漸増部に連続して設けられ、断面の面積が漸減する漸減部とを有している。かかる構成としても、第1の非露出面712および第2の非露出面713を含む4つの側面71(非露出領域)において、放熱金属板7が絶縁部6で囲まれる。これにより、放熱金属板7と絶縁部6とがより強固に接合される。その結果、前記脱落方向に放熱金属板7が脱落することを確実に防止することができる。
このような第3実施形態の発熱体搭載基板52によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。特に、本実施形態では、放熱金属板7が、その少なくとも一部に漸増部を有しているため、前述した効果がより顕著となる。
<第4実施形態>
次に、本発明の発熱体搭載基板の第4実施形態について説明する。
図7は、本発明の発熱体搭載基板の第4実施形態を示す平面図である。なお、説明の便宜上、図7では、放熱金属板7の絶縁部6から突出する領域に位置する突出部78にハッチングを付している。
以下、第4実施形態の発熱体搭載基板53について、前記第1実施形態の発熱体搭載基板50との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図7に示す発熱体搭載基板53は、第1実施形態の回路基板10の構成と異なる構成の回路基板103の上面に、半導体装置1が搭載されていること以外は、図1、2に示す発熱体搭載基板50と同様である。
すなわち、第4実施形態の発熱体搭載基板53において、回路基板103は、樹脂層5と、樹脂層5の平面視で第1の領域15に対応して樹脂層5を覆う放熱金属板7と、第2の領域16に対応して樹脂層5を覆う絶縁部6とを備える基材8と、この基材8の上面に設けられた配線4とを備えている。そして、半導体装置1は、接続端子12において配線4(端子)と電気的に接続された状態で、基材8が有する配線4に搭載されている。
また、このような発熱体搭載基板53において、放熱金属板7の平面視形状は正五角形状であり、放熱金属板7の一部が樹脂層5を覆っている。より具体的には、放熱金属板7の側面は、5つの側面71で構成されるが、1つの頂点が絶縁部6(樹脂層5)から突出するように、2つの側面71の一部が絶縁部6(樹脂層5)から露出している。そのため、本実施形態では、放熱金属板7は、絶縁部6(基材8)から突出する突出部78と、絶縁部6から突出することなく樹脂層5を覆う非突出部(放熱金属板7の第1の領域15に対応する部分)77とで構成されている。
本発明では、放熱金属板7の回路基板103からの脱落を防止する効果は、絶縁部6から突出することなく樹脂層5を覆う非突出部77の平面視形状に関する要件を満足することで得られる。そのため、本実施形態のように、放熱金属板7が突出部78を備える構成である場合には、非突出部77が上記要件を満足すればよい。
すなわち、突出部78を切断した際に形成される切断面が、絶縁部6から露出する露出面711を構成する。非突出部77の周面は、この露出面(切断面)711と、切断された2つの側面71と、切断されていない3つの側面71とで構成されている。これらのうち切断された2つの側面71が、露出面711の長手方向における一端および他端で、それぞれ露出面711に連結する第1の非露出面712および第2の非露出面713を構成している。そして、かかる構成の非突出部77において、第1の非露出面712および第2の非露出面713が、それぞれ、放熱金属板7(絶縁部6)の平面視で、第1の直線712aおよび第2の直線713aをなし、第1の直線712aと第2の直線713aとは、露出面711側の交点P(突出部の頂点)で交差している。換言すると、放熱金属板7は、露出面711と平行な断面の面積が露出面711から離れるにしたがって漸増する漸増部と、この漸増部に連続して設けられ、断面の面積が漸減する漸減部とを有している。
かかる構成としても、第1の非露出面712および第2の非露出面713を含む4つの側面71(非露出領域)において、放熱金属板7が絶縁部6で囲まれる。これにより、放熱金属板7(非突出部77)と絶縁部6とが強固に接合される。その結果、前記脱落方向に放熱金属板7が脱落することを確実に防止することができる。
このように、放熱金属板7は、非突出部77が、放熱金属板7の第1の領域15に対応する部分の平面視形状に関する要件を満足すれば、絶縁部6(基材8)から突出する突出部78を備えていてもよい。換言すれば、放熱金属板7は、突出部78の形成が省略されて、非突出部77の単独で構成されていてもよい。
このような第4実施形態の発熱体搭載基板53によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。特に、本実施形態では、放熱金属板7が、その少なくとも一部に漸増部を有しているため、前述した効果がより顕著となる。
なお、上述した第1実施形態〜第4実施形態の放熱金属板7の第1の領域15に対応する部分の周面は、絶縁部6から露出する露出面711と、絶縁部6から露出せず、露出面711の一端および他端で、それぞれ露出面711に連結する第1の非露出面712および第2の非露出面713とを有している。また、第1の非露出面712および第2の非露出面713は、それぞれ、平坦面を構成し、放熱金属板7(樹脂層5)の平面視で、第1の直線712aおよび第2の直線713aをなしている。さらに、第1の直線712aと第2の直線713aとは、露出面711側で交差しているか、または、平行となっている。すなわち、上述した第1実施形態〜第4実施形態の放熱金属板7の第1の非露出面712および第2の非露出面713は、本発明の要件Aを満足する。
<第5実施形態>
次に、本発明の発熱体搭載基板の第5実施形態について説明する。
図8は、本発明の発熱体搭載基板の第5実施形態を示す平面図である。なお、説明の便宜上、図8では、放熱金属板7の絶縁部6から突出する領域に位置する突出部78にハッチングを付している。
以下、第5実施形態の発熱体搭載基板54について、前記第1実施形態の発熱体搭載基板50との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8に示す発熱体搭載基板54は、第1実施形態の回路基板10の構成と異なる構成の回路基板104の上面に、半導体装置1が搭載されていること以外は、図1、2に示す発熱体搭載基板50と同様である。
すなわち、第5実施形態の発熱体搭載基板54において、回路基板104は、樹脂層5と、樹脂層5の平面視で第1の領域15に対応して樹脂層5を覆う放熱金属板7と、第2の領域16に対応して樹脂層5を覆う絶縁部6とを備える基材8と、この基材8の上面に設けられた配線4とを備えている。そして、半導体装置1は、接続端子12において配線4(端子)と電気的に接続された状態で、基材8が有する配線4に搭載されている。
また、このような発熱体搭載基板54において、放熱金属板7の平面視形状は円形状であり、放熱金属板7の一部が樹脂層5を覆っている。より具体的には、放熱金属板7の周面は、平面視で、真円状の側面(湾曲側面)71で構成されているが、放熱金属板7の中心が樹脂層5側に位置した状態で、放熱金属板7の一部が絶縁部6(樹脂層5)から突出している。そのため、本実施形態では、放熱金属板7は、絶縁部6(基材8)から突出する突出部78と、絶縁部6から突出することなく樹脂層5を覆う非突出部77とで構成されている。
本発明では、放熱金属板7の回路基板104からの脱落を防止する効果は、絶縁部6から突出することなく樹脂層5を覆う非突出部77の平面視形状に関する要件を満足することで得られる。そのため、本実施形態のように、放熱金属板7が突出部78を備える構成である場合には、非突出部77が上記要件を満足すればよい。
すなわち、突出部78を切断した際に形成される切断面が、絶縁部6から露出する露出面711を構成する。非突出部77の周面は、この露出面(切断面)711と、切断された側面71とで構成されている。この切断された側面71が、露出面711の長手方向における一端および他端で、それぞれ露出面711に連結する第1の非露出面712および第2の非露出面713の双方を構成している。そして、かかる構成の非突出部77において、放熱金属板7(絶縁部6)の平面視で、第1の非露出面712と露出面711とが連結する前記一端における接線、および、第2の非露出面713と露出面711とが連結する前記他端における接線を、それぞれ、第1の直線(接線)712aおよび第2の直線(接線)713aとしたとき、これら第1の直線712aおよび第2の直線713aが、露出面711側の交点Pで交差している。換言すると、放熱金属板7は、露出面711と平行な断面の面積が露出面711から離れるにしたがって漸増する漸増部と、この漸増部に連続して設けられ、断面の面積が漸減する漸減部とを有している。
かかる構成としても、第1の非露出面712および第2の非露出面713の双方を含む構成とされる1つの側面71(非露出領域)において、放熱金属板7が絶縁部6で囲まれる。これにより、放熱金属板7(非突出部77)と絶縁部6とが強固に接合される。その結果、前記脱落方向に放熱金属板7が脱落することを確実に防止することができる。
このように、放熱金属板7は、非突出部77が、放熱金属板7の第1の領域15に対応する部分の平面視形状に関する要件を満足すれば、絶縁部6(基材8)から突出する突出部78を備えていてもよい。換言すれば、放熱金属板7は、突出部78の形成が省略されて、非突出部77の単独で構成されていてもよい。
このような第5実施形態の発熱体搭載基板54によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。特に、本実施形態では、放熱金属板7が、その少なくとも一部に漸増部を有しているため、前述した効果がより顕著となる。
<第6実施形態>
次に、本発明の発熱体搭載基板の第6実施形態について説明する。
図9は、本発明の発熱体搭載基板の第6実施形態を示す平面図である。
以下、第6実施形態の発熱体搭載基板55について、前記第1実施形態の発熱体搭載基板50との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図9に示す発熱体搭載基板55は、第1実施形態の回路基板10の構成と異なる構成の回路基板105の上面に、半導体装置1が搭載されていること以外は、図1、2に示す発熱体搭載基板50と同様である。
すなわち、第6実施形態の発熱体搭載基板55において、回路基板105は、樹脂層5と、樹脂層5の平面視で第1の領域15に対応して樹脂層5を覆う放熱金属板7と、第2の領域16に対応して樹脂層5を覆う絶縁部6とを備える基材8と、この基材8の上面に設けられた配線4とを備えている。そして、半導体装置1は、接続端子12において配線4(端子)と電気的に接続された状態で、基材8が有する配線4に搭載されている。
また、このような発熱体搭載基板55において、放熱金属板7の平面視形状は2つの真円が縮径部79で連なった形状(いわゆる団子状)であり、放熱金属板7の一部が樹脂層5を覆っている。より具体的には、放熱金属板7の周面は、平面視で、2つの真円がつながったような形状の1つの側面(湾曲側面)71で構成されているが、縮径部79が樹脂層5側に位置した状態で、放熱金属板7の一部が絶縁部6(樹脂層5)から突出している。そのため、本実施形態では、放熱金属板7は、絶縁部6(基材8)から突出する突出部78と、絶縁部6から突出することなく樹脂層5を覆う非突出部77とで構成されている。
本発明では、放熱金属板7の回路基板105からの脱落を防止する効果は、絶縁部6から突出することなく樹脂層5を覆う非突出部77の平面視形状に関する要件を満足することで得られる。そのため、本実施形態のように、放熱金属板7が突出部78を備える構成である場合には、非突出部77が上記要件を満足すればよい。
すなわち、突出部78を切断した際に形成される切断面が、絶縁部6から露出する露出面711を構成する。非突出部77の周面は、この露出面(切断面)711と、切断された側面71とで構成されている。この切断された側面71が、露出面711の長手方向における一端および他端で、それぞれ露出面711に連結する第1の非露出面712および第2の非露出面713の双方を構成している。そして、かかる構成の非突出部77において、放熱金属板7(絶縁部6)の平面視で、第1の非露出面712の縮径部79における接線、および、第2の非露出面713の縮径部79における接線を、それぞれ、第1の直線(接線)712bおよび第2の直線(接線)713bとしたとき、これら第1の直線712bおよび第2の直線713bが、平行となっている。さらに、第1の非露出面712の縮径部79よりも若干露出面711と反対側の位置における接線、および、第2の非露出面713の縮径部79よりも若干露出面711と反対側の位置における接線を、それぞれ、第1の直線(接線)712aおよび第2の直線(接線)713aとしたとき、これら第1の直線712aおよび第2の直線713aが、露出面711側の交点Pで交差している。換言すると、放熱金属板7は、露出面711と平行な断面の面積が露出面711から離れるにしたがって漸増する漸増部と、この漸増部に連続して設けられ、断面の面積が漸減する漸減部とを有している。
かかる構成としても、第1の非露出面712および第2の非露出面713の双方を含む構成とされる1つの側面71(非露出領域)において、放熱金属板7が絶縁部6で囲まれる。これにより、放熱金属板7(非突出部77)と絶縁部6とが強固に接合される。その結果、前記脱落方向に放熱金属板7が脱落することを確実に防止することができる。
このように、放熱金属板7は、非突出部77が、放熱金属板7の第1の領域15に対応する部分の平面視形状に関する要件を満足すれば、絶縁部6(基材8)から突出する突出部78を備えていてもよい。換言すれば、放熱金属板7は、突出部78の形成が省略されて、非突出部77の単独で構成されていてもよい。
このような第6実施形態の発熱体搭載基板55によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。特に、本実施形態では、放熱金属板7が、その少なくとも一部に漸増部を有しているため、前述した効果がより顕著となる。
なお、上述した第5実施形態、第6実施形態の放熱金属板7の第1の領域15に対応する部分の周面は、絶縁部6から露出する露出面711と、絶縁部6から露出せず、露出面711の一端および他端で、それぞれ露出面711に連結する第1の非露出面712および第2の非露出面713とを有している。また、第1の非露出面712および第2の非露出面713は、それぞれ、湾曲面を構成し、樹脂層5の平面視で、第1および第2の曲線をなし、前記第1の曲線上の任意の点における第1の直線(接線)712a、bと、前記第2の曲線上の任意の点における第2の直線(接線)713a、bとは、前記露出面側で交差しているか、または、平行となっている。すなわち、上述した第5実施形態および第6実施形態の放熱金属板7の第1の非露出面712および第2の非露出面713は、本発明の要件Bを満足する。
<第7実施形態>
次に、本発明の発熱体搭載基板の第7実施形態について説明する。
図10は、本発明の発熱体搭載基板の第7実施形態を示す縦断面図、図11は、図10中の矢印A方向から見た図(平面図)、図12は、図10に示す発熱体搭載基板が備える放熱金属板が有する表面層における縦断面の模式図である。なお、以下では、説明の便宜上、図10、12中の上側、図11中の紙面手前側を「上」、図10、12中の下側、図11中の紙面奥側を「下」とも言う。
以下、第7実施形態の発熱体搭載基板56について、前記第1実施形態の発熱体搭載基板50との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図10、11に示す発熱体搭載基板56は、第1実施形態の回路基板10の構成と異なる構成の回路基板106の上面に、半導体装置1が搭載されていること以外は、図1、2に示す発熱体搭載基板50と同様である。
すなわち、第7実施形態の発熱体搭載基板56において、回路基板106は、樹脂層5と、第1の領域15に対応して樹脂層5を覆う放熱金属板7と、第2の領域16に対応して樹脂層5を覆う絶縁部6とを備える基材86と、この基材86の上面に設けられた配線4とを備えている。そして、この基材86が備える放熱金属板7は、図10および図11に示すように、その側面71に、側面71から突出する突起73を有している。一方、絶縁部6は、放熱金属板7との接合面に凹没して形成され、突起73と係合する凹部を有している。
この突起73は、放熱金属板7の上面(樹脂層5側の面)72と下面(樹脂層5と反対側の面)74との間で突出している。すなわち、突起73は、放熱金属板7の厚さ方向(上下方向)の途中で突出している。また、突起73は、放熱金属板7の面方向(左右方向)に非露出領域を取り囲むようにして、その厚さ方向の途中で面方向に沿って突出する1つの凸部で構成されている。すなわち、突起73は、放熱金属板7の厚さ方向の途中で非露出領域に対応して設けられ、放熱金属板7の側方に突出する1つの凸部(凸条)で構成されている。
かかる構成の突起73と絶縁部6の凹部とは、互いに係合する係合部として機能する。そのため、放熱金属板7を絶縁部6に係合させることができるため、放熱金属板7と絶縁部6とをより強固に接合させることができる。
この突起73の幅w1としては、例えば、0.5mm以上、3mm以下が好ましく、0.7mm以上、1.5mm以下がより好ましい。
また、突起73の高さh1としては、例えば、1mm以上、10mm以下が好ましく、2mm以上、5mm以下がより好ましい。
突起73の幅w1および突起73の高さh1をかかる範囲内に設定することにより、突起73に、絶縁部6に係合する係合部としての機能をより確実に発揮させることができるため、放熱金属板7と絶縁部6とをより強固に接合させることができる。
さらに、放熱金属板7は、図12に示すように、側面71に形成された凹部75を備える表面層(粗化層)76を有していることが好ましく、この凹部75に、第1の樹脂組成物の硬化物が埋入していることが好ましい。これにより、この埋入した硬化物が凹部75に係合する係合部として機能する。このように、放熱金属板7に絶縁部6を係合させることができるため、放熱金属板7と絶縁部6とをより強固に接合させることができる。
なお、表面層76とは、放熱金属板7の表面に設けられた複数の凹部75を有する領域のことをいう。
この表面層76は、その厚さが、好ましくは3μm以上、40μm以下であり、より好ましくは4μm以上、32μm以下であり、さらに好ましくは4μm以上、30μm以下である。表面層76の厚さが上記範囲内であることにより、凹部75内に充分量の前記硬化物を埋入させることができ、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより確実に向上させることができる。なお、本実施形態において、表面層76の厚みは、図12に示すように、複数の凹部75の中で、最も深さが大きい凹部75の深さD3を表す。表面層76の厚みは、例えば、電子顕微鏡(SEM)写真から算出することができる。
また、凹部75は、その少なくとも一部に、その内径が開口部703側から底部705側に向かって拡径する拡径部706を備えることが好ましい。すなわち、凹部75の断面は、凹部75の開口部703から底部705までの間の少なくとも一部に開口部703の断面幅D1よりも大きい断面幅D2を有する拡径部706を備える形状となっていることが好ましい。なお、図12に示すように、凹部75の断面形状は、D2がD1よりも大きければ特に限定されず、様々な形状を取り得る。凹部75の断面形状は、例えば、電子顕微鏡(SEM)により観察することができる。
凹部75の断面形状が上記形状であることにより、絶縁部6と放熱金属板7とをより強固に接合し得る。この理由は必ずしも明らかではないが、側面71の表面(表面層76)が、絶縁部6と放熱金属板7との間のアンカー効果がより一層強く発現できる構造となっているからだと考えられる。すなわち、凹部75の断面形状が上記形状であると、絶縁部6が凹部75の開口部703から底部705までの間にある拡径部706で引っかかるため、アンカー効果が効果的に働く。そのため、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度が向上すると考えられる。
さらに、凹部75は、その平均深さが、好ましくは0.5μm以上40μm以下であり、より好ましくは1μm以上30μm以下である。凹部75の平均深さが上記上限値以下であると、前記硬化物が凹部75の奥まで十分に入り込むことができるため、凹部75に前記硬化物が埋入した領域の機械的強度をより確実に向上させることができる。また、凹部75の平均深さが上記下限値以上であると、凹部75の内部に存在する前記硬化物の割合を増やすことができるため、凹部75に前記硬化物が埋入した領域の機械的強度を向上させることができる。したがって、凹部75の平均深さが上記範囲内であると、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより確実に向上させることができる。
なお、凹部75の平均深さは、例えば、以下のように走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定することができる。すなわち、まず、走査型電子顕微鏡により、表面層76の断面を撮影する。その画像から、凹部75を任意に50個選択し、それらの深さをそれぞれ測定する。次に、選択した50個の凹部75の深さの合計値を個数で除して平均深さとすることができる。
凹部75の開口部703の平均断面幅は、好ましくは2μm以上60μm以下であり、より好ましくは3μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは3μm以上30μm以下である。開口部703の平均断面幅が上記上限値以下であると、絶縁部6と放熱金属板7との間のアンカー効果をより一層強く発現できる。開口部703の平均断面幅が上記下限値以上であると、凹部75の内部に存在する前記硬化物の割合を増やすことができるため、絶縁部6と放熱金属板7との接合部における絶縁部6の強度を向上させることができる。したがって、開口部703の平均断面幅が上記範囲内であると、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより一層向上させることができる。
開口部703の平均断面幅は、例えば、以下のようにSEM写真から測定することができる。まず、走査型電子顕微鏡により、表面層76の断面を撮影する。その画像から、凹部75を任意に50個選択し、それらの断面幅D1をそれぞれ測定する。次に、選択した50個の開口部703の断面幅D1の合計値を個数で除して平均断面幅とする。
さらに、放熱金属板7の側面71の表面粗さRaは、好ましくは0.5μm以上40.0μm以下であり、より好ましくは1.0μm以上20.0μm以下であり、特に好ましくは1.0μm以上10.0μm以下である。上記表面粗さRaが上記範囲内であると、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより確実に向上させることができる。なお、かかる範囲内の表面粗さRaを有している側面71には、微細な形状の凹部75が形成されていると言うことができる。このような凹部75に前記硬化物を埋入させることで、絶縁部6と放熱金属板7とを強固に接合させることができる。
また、放熱金属板7の側面71の最大高さRz(すなわち、凹部75の中で、最も深さが大きい凹部75の深さD3)は、好ましくは1.0μm以上40.0μm以下であり、より好ましくは3.0μm以上30.0μm以下である。上記最大高さRzが上記範囲内であると、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより確実に向上させることができる。なお、RaおよびRzは、JIS−B0601に準拠して測定することができる。
また、放熱金属板7は、少なくとも絶縁部6と接合する側面71の見掛け表面積に対する窒素吸着BET法による実表面積の比(以下、単に「比表面積」ともいう)が、好ましくは100以上であり、より好ましくは150以上である。上記比表面積が上記下限値以上であると、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより確実に向上させることができる。また、上記比表面積が、好ましくは400以下であり、より好ましくは380以下であり、特に好ましくは300以下である。上記比表面積が上記上限値以下であると、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより確実に向上させることができる。
ここで、本実施形態における見掛け表面積は、放熱金属板7の表面が凹凸のない平滑状であると仮定した場合の表面積を意味する。例えば、側面71の表面形状が長方形の場合には、見掛け表面積は縦の長さ×横の長さで表される。一方、本実施形態における窒素吸着BET法による実表面積は、窒素ガスの吸着量により求めたBET表面積を意味する。例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(BELSORPminiII、日本ベル社製)を用いて、真空乾燥した測定対象試料の液体窒素温度における窒素吸脱着量を測定し、その窒素吸脱着量に基づいて窒素吸着BET法による実表面積を算出することができる。
上記比表面積が上記範囲内であると、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度を確実に高めることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、絶縁部6との接合面である側面71に設けられた表面層76が、絶縁部6と放熱金属板7との間のアンカー効果がより確実に強く発現できる構造を有しているからだと考えられる。
上記比表面積が上記下限値以上であると、絶縁部6と放熱金属板7の接触面積が大きくなり、絶縁部6と放熱金属板7とが相互に接触する領域が増える。その結果、アンカー効果が働く領域が増え、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度がより確実に向上すると考えられる。
一方、上記比表面積が大きすぎると、放熱金属板7の凹部75に前記硬化物が埋入した領域において放熱金属板7が占める割合が減少するため、この領域の機械的強度が、放熱金属板7に含まれる金属材料の種類によっては低下するおそれがある。そのため、上記比表面積が上記上限値以下であると、凹部75に前記硬化物が埋入した領域の機械的強度の低下を確実に防止できる。その結果、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより確実に向上させることができると考えられる。
以上から、上記比表面積が上記範囲内であると、絶縁部6との接合面である側面71およびその近傍を構成する表面層76が、絶縁部6と放熱金属板7との間のアンカー効果がより強く発現できる、バランスの良い構造を有していると推察される。
また、放熱金属板7は、特に限定されないが、絶縁部6と接合する側面71の光沢度が、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.5以上であり、さらに好ましくは1以上である。上記光沢度が上記下限値以上であると、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより確実に向上させることができる。また、上記光沢度が、好ましくは30以下であり、より好ましくは20以下である。上記光沢度が上記上限値以下であると、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより確実に向上させることができる。ここで、本実施形態における光沢度は、ASTM−D523に準拠して測定した測定角度60°の値を示す。光沢度は、例えば、ディジタル光沢度計(20°、60°)(GM−26型、村上色彩技術研究所社製)を用いて測定することができる。
上記光沢度が上記範囲内であると、絶縁部6と放熱金属板7とをより強固に接合し得る。この理由は必ずしも明らかではないが、表面層76が、より確実に乱雑な構造となり、絶縁部6と放熱金属板7との間のアンカー効果がより確実に強く発現できる構造となっているからだと考えられる。
また、絶縁部6が充填材(フィラー)を含む第1の樹脂組成物の硬化物で構成される場合には、この充填材の少なくとも一部が凹部75に埋入(充填)されていることが好ましい。これにより、凹部75内に形成される第1の樹脂組成物の硬化物の強度を向上させることができるため、放熱金属板7と絶縁部6とをより強固に接合させることができる。
さらに、放熱金属板7の上面72は樹脂層5との接合面を構成している。放熱金属板7は、側面71に形成された凹部75を備える表面層76に加えて、かかる上面72に形成された凹部75を備える表面層76を有していることが好ましい。これにより、放熱金属板7と樹脂層5とを強固に接合させることができるため、放熱金属板7が回路基板10から脱落することをより確実に防止することができる。
また、絶縁部6の25℃からガラス転移温度までの範囲における線膨張係数αRと、放熱金属板7の25℃から絶縁部6の上記ガラス転移温度までの範囲における線膨張係数αMとしたとき、線膨張係数αRと線膨張係数αMとの差(αR−αM)の絶対値が、好ましくは25ppm/℃以下であり、より好ましくは10ppm/℃以下である。上記線膨張係数の差が上記上限値以下であれば、回路基板10が高温下に晒された際に発生する、線膨張係数の差による熱応力を抑制することができる。そのため、上記線膨張係数の差が上記上限値以下であれば、高温下でも、絶縁部6と放熱金属板7との接合強度を維持することができる。すなわち、上記線膨張係数の差が上記上限値以下であれば、回路基板10の高温での寸法安定性を向上させることができる。
なお、本実施形態において、線膨張係数に異方性がある場合は、それらの平均値を表す。例えば、絶縁部6がシート状の場合、流動方向(MD)の線膨張係数と、それと垂直方向(TD)の線膨張係数とが異なる場合、それらの平均値が絶縁部6の線膨張係数αRとなる。
なお、放熱金属板7が、絶縁部6との接合面である側面71、および、樹脂層5との接合面である上面72にそれぞれ形成された凹部75を備える表面層76を有する場合、かかる構成の放熱金属板7は、例えば、表面層76を有しない放熱金属板の表面を化学的処理することにより得ることができる。
この際、凹部75を備える表面層76を有する放熱金属板7は、例えば、条件:(1)金属部材と表面処理剤の組み合わせ、(2)化学的処理の温度および時間、(3)化学的処理後の金属部材表面の後処理等を高度に制御することにより得ることができる。絶縁部6と放熱金属板7との接合強度をより確実に向上できる表面層76を得るためには、これらの条件を高度に制御することが特に重要となる。
以下、表面処理剤を用いた表面層76を有する放熱金属板7の形成方法について詳述する。
はじめに、(1)表面層76を有しない放熱金属板(金属部材)と表面処理剤の組み合わせを選択する。
ここで、鉄やステンレスから構成される金属部材を用いる場合は、表面処理剤としては、例えば、無機酸、塩素イオン源、第二銅イオン源、チオール系化合物を必要に応じて組合せた水溶液を選択するのが好ましい。
また、アルミニウムやアルミニウム合金から構成される金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、例えば、アルカリ源、両性金属イオン源、硝酸イオン源、チオ化合物を必要に応じて組合せた水溶液を選択するのが好ましい。
さらに、マグネシウムやマグネシウム合金から構成される金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、例えば、アルカリ源が用いられ、特に水酸化ナトリウムの水溶液を選択するのが好ましい。
また、銅や銅合金から構成される金属部材を用いる場合は、表面処理剤として、例えば、硝酸、硫酸などの無機酸、不飽和カルボン酸などの有機酸、過硫酸塩、過酸化水素、イミダゾールおよびその誘導体、テトラゾールおよびその誘導体、アミノテトラゾールおよびその誘導体、アミノトリアゾールおよびその誘導体などのアゾール類、ピリジン誘導体、トリアジン、トリアジン誘導体、アルカノールアミン、アルキルアミン誘導体、ポリアルキレングリコール、糖アルコール、第二銅イオン源、塩素イオン源、ホスホン酸系キレート剤酸化剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミンから選ばれる少なくとも1種を用いた水溶液を選択するのが好ましい。
次いで、(2)予め突起73が形成された放熱金属板(金属部材)を表面処理剤に浸漬させ、金属部材表面に化学的処理をおこなう。このとき、処理温度は、例えば、30℃である。また、処理時間は選定する金属部材の材質や表面状態、表面処理剤の種類や濃度、処理温度などにより適宜決定される。処理時間は、例えば、30秒以上、300秒以下である。このとき、金属部材の表面に形成される凹部の深さ方向のエッチング量を、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上にすることが重要である。金属部材の深さ方向のエッチング量は、溶解した金属部材の重量、比重および表面積から算出して、評価することができる。この深さ方向のエッチング量は、表面処理剤の種類や濃度、処理温度、処理時間などにより調整することができる。
本実施形態では、深さ方向のエッチング量を調整することにより、前述した表面層76の厚み、凹部75の平均深さ、比表面積、光沢度、Ra、Rz等を調整することができる。
次いで、(3)化学的処理後の金属部材表面に後処理をおこなう。まず、金属部材表面を水洗、乾燥する。次いで、化学的処理をおこなった金属部材表面を硝酸水溶液などで処理する。
以上の工程を経ることで、凹部75を備える表面層76を有する放熱金属板7が得られる。
このような第7実施形態の発熱体搭載基板56によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、突起73は、本実施形態の構成に限定されない。例えば、突起73は、放熱金属板7の面方向(左右方向)に非露出領域を取り囲むようにして、面方向に沿って突出する1つの凸部で構成され、また突起73の下面と下面74とは同一平面上に位置し、平坦面を形成していてもよい。また、突起73は放熱金属板7の面方向に非露出領域を取り囲むようにして、面方向に沿って突出する1つの凸部で構成され、また突起73の上面と上面72とは同一平面上に位置し、平坦面を形成していてもよい。また、突起73は、放熱金属板7の面方向に非露出領域を取り囲むようにして、面方向に沿って突出する第1の突起および第2の突起とからなる2つの凸部で構成され、また第1突起の上面および上面72と、第2の突起の下面および下面74とはそれぞれ同一平面上に位置し、平坦面を形成していてもよい。さらに、突起73は、放熱金属板7の厚さ方向に沿って、または、厚さ方向に対して傾斜した方向に沿って、互いの間に溝部を介在させた状態で、非露出領域から突出した複数の凸部で構成され、放熱金属板7の側面視において、突起73は縞状をなしていてもよいし、各凸部が島状をなし、これにより、放熱金属板7の側面視において、突起73はローレット形状をなしていてもよい。
<第8実施形態>
次に、本発明の発熱体搭載基板の第8実施形態について説明する。
図13は、本発明の発熱体搭載基板の第8実施形態を示す縦断面図である。
以下、第8実施形態の発熱体搭載基板57について、前記第1実施形態の発熱体搭載基板50との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図13に示す発熱体搭載基板57は、第1実施形態の回路基板10の構成と異なる構成の回路基板107の上面に、第1実施形態の半導体装置1の構成と異なる構成の半導体装置1’が搭載されていること以外は、図1、2に示す発熱体搭載基板50と同様である。
すなわち、第8実施形態の発熱体搭載基板57において、回路基板107は、基材8と、半導体装置1’を搭載する位置に対応する位置に開口部を備える配線4’とを備えている。そして、半導体装置1’は、半導体素子17と、半導体素子17と配線4’とを電気的に接続するボンディングワイヤー18と、半導体素子17およびボンディングワイヤー18を封止するモールド部19とを有している。半導体素子17は、配線4’の開口部において樹脂層5上に接合される。さらに、半導体素子17が備える端子と配線4’が備える端子とが、ボンディングワイヤー18を介して電気的に接続される。この状態で、これらは、配線4’の開口部を包含するように、配線4’の上面側でモールド部19により封止されている。
このような発熱体搭載基板57では、半導体装置1’が備える半導体素子17が、基材8が備える樹脂層5に接合されており、半導体素子17において生じた熱が、半導体素子17に接合された樹脂層5さらには放熱金属板7を介して放熱されることから、この熱の放熱効率の向上が図られる。
このような第8実施形態の発熱体搭載基板57によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、図13では、配線4’の開口部において放熱金属板7に樹脂層5が設けられている。半導体素子17において生じた熱は、樹脂層5を介して放熱金属板7に伝達される。しかし、樹脂層5は、これに限定されず、配線4’の開口部において省略され、半導体素子17は、放熱金属板7上に接合されてもよい。これにより、半導体素子17において生じた熱を、樹脂層5を介することなく、放熱金属板7に直接伝達させるようにしてもよい。かかる構成とすることで、半導体素子17において生じた熱のさらなる放熱効率の向上が図られる。
以上、本発明の金属箔張基板、回路基板および発熱体搭載基板を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の金属箔張基板、回路基板および発熱体搭載基板を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成と置換することができる。また、本発明の金属箔張基板、回路基板および発熱体搭載基板に任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明では、前記第1〜第8実施形態で示した任意の2以上の構成を組み合わせてもよい。
具体的には、例えば、上述した第1実施形態〜第5実施形態のうちのいずれかの放熱金属板7と、上述した第5実施形態、第6実施形態のうちのいずれかの放熱金属板7とを組み合わせるようにしてもよい。
このような放熱金属板7の第1の領域15に対応する部分の周面は、絶縁部6から露出する露出面711と、絶縁部6から露出しない、露出面711の一端および他端で、それぞれ露出面711に連結する第1の非露出面712および第2の非露出面713とを有している。また、第1の非露出面712および第2の非露出面713のうちの一方が平坦面を、他方が湾曲面を構成している。さらに、樹脂層5の平面視で、前記一方が直線を前記他方が曲線をなし、前記直線と前記曲線上の任意の点における接線とは、露出面711側で交差しているか、または、平行となっている。すなわち、第1の非露出面712および第2の非露出面713は本発明の要件Cを満足する。
さらに、本発明の発熱体搭載基板は、前述した実施形態に限定されない。すなわち、本発明は、発熱体として半導体装置を回路基板に搭載する発熱体搭載基板に限定されない。本発明は、発熱体としてのサーミスタのような抵抗、コンデンサー、ダイオードパワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のようなパワートランジスタ、リアクトル、LED(発光ダイオード)、LD(レーザダイオード)、有機EL素子のような発光素子およびモータ等を回路基板に搭載する発熱体搭載基板に適用できる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。なお、本発明はこれに限定されない。
1. 試験片の製造
以下のようにして試験片を製造した。
(実施例1A)
1.1 第2の樹脂組成物(ワニス)の調製
[1]まず、ビスフェノールF/ビスフェノールAフェノキシ樹脂(三菱化学製、4275、重量平均分子量6.0×104、ビスフェノールF骨格とビスフェノールA骨格の比率=75:25)40.0質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC製、850S、エポキシ当量190)55.0質量部、2−フェニルイミダゾール(四国化成製2PZ)3.0質量部、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製KBM−403)2.0質量部を秤量した。これらをシクロヘキサノン400質量部に溶解し、混合させて混合液を得た。高速撹拌装置を用いて混合液を撹拌することで、樹脂材料を含むワニスを得た。
[2]次に、アルミナ(日本軽金属製、平均粒径A3.2μm、一次粒径B3.6μm、平均粒径A/一次粒径B=0.9の市販品(Lot No. Z401))800gを秤量した。次に、純水1300mLが収納されたプラスチック製容器内にアルミナを投入してアルミナ溶液を得た。その後、直径50mmの羽根を備えるディスパーザー(特殊機化工業社製、「R94077」)を用いて、回転数5000rpm×攪拌時間15分間の条件で、アルミナ溶液を撹拌した。これにより、アルミナを水洗した。
その後、アルミナ溶液を15分間静置し、上澄み液を得た。次に、50mLの上澄み液をスポイトで採取し、ろ過してろ過液を得た。その後、ろ過液のpHを測定した。そのpH値が7.0となるまで、上澄み液をデカンテーションで除去した。その後に、前記アルミナの水洗を複数回行なった。
[3]次に、上述したように水洗が施されたアルミナを、20分間放置した。その後に、上澄み液をデカンテーションで除去した。その後、そのプラスチック製容器にアセトン1000mLを投入して、アルミナとアセトンとの混合液を得た。その後、前記ディスパーザーを用いて、回転数800rpm×攪拌時間5分間の条件でアルミナとアセトンとの混合液を撹拌した。
そして、アルミナとアセトンとの混合液を12時間放置し、上澄み液を得た。その後に、上澄み液を除去した。
[4]次に、上澄み液が除去された後のアルミナをステンレスバットに移した。全排気型箱型乾燥機(タバイ社製、「PHH−200」)を用いて、乾燥温度40℃×乾燥時間1時間の条件でアルミナを乾燥することで、洗浄アルミナ(フィラー)を得た。
その後、この洗浄アルミナを、200℃×24時間の条件で乾燥させた後、85℃×85%RHの条件で放置した。こうして、洗浄アルミナの含水率を0.18質量%とした。
なお、このアルミナの含水量は、示差熱天秤装置(TG-DTA)を用いて測定した25℃と500℃における質量の差により計算された。
[5]次に、前記工程[1]で予め用意した樹脂材料を含むワニスに、洗浄アルミナ(505.0質量部)を、ディスパーザー(特殊機化工業社製、「R94077」)を用いて、回転数1000rpm×攪拌時間120分間の条件で混合した。これにより、アルミナの樹脂固形分比83.5重量%(60.0体積%)の第2の樹脂組成物を得た。
1.2 金属箔上への樹脂層形成用層の成膜
幅260mm、厚さ35μmのロール状銅箔(日本電解製、YGP−35)の粗化面に、上記1.1で得られた第2の樹脂組成物をコンマコーターにて塗布した。次に、100℃で3分、150℃で3分の条件で第2の樹脂組成物を加熱乾燥することで、銅箔上に厚さ100μmの樹脂層形成用層(層)を形成した。これにより、積層体を得た。
なお、かかる条件で第2の樹脂組成物を乾燥させることにより、層は、半硬化の状態となっている。積層体を縦65mm×横100mmにカットして層が形成された金属箔とした。
1.3 タブレット状をなす第1の樹脂組成物の調製
ジメチレンエーテル型レゾール樹脂(住友ベークライト製R−25)30部、メチロール型レゾール樹脂(住友ベークライト製 PR−51723)7部、ノボラック型樹脂(住友ベークライト製 A−1084)4部、水酸化アルミニウム15部、ガラス繊維(日東紡績製)10部、焼成クレー12部、有機質充填材、硬化促進剤、離型剤、顔料他22部を配合して混合物を得た。次に、加熱ロールにより混合物を混練して混練物を得、混練物を冷却した。その後、混練物を粉砕して得られた粉砕物をタブレット化することにより、タブレット状をなす第1の樹脂組成物を得た。
1.4 樹脂層上への絶縁部の形成
まず、成形金型100が備えるキャビティ121に、層が形成された金属箔を、層が上側になるように収納した。その後、ポット111内にタブレット状をなす第1の樹脂組成物を収納した。
次に、ポット111内の第1の樹脂組成物を加熱溶融しつつ、プランジャー112をポット111内に挿入した。これにより、第1の樹脂組成物が加熱および加圧された状態で、溶融した第1の樹脂組成物が層を覆うようにキャビティ内に充填した。これにより、溶融した第1の樹脂組成物を層上に供給した。
そして、溶融した第1の用樹脂組成物と、層とを硬化させることにより、金属箔4Aに、樹脂層5と絶縁部6とがこの順で積層された実施例1Aの試験片を得た(図14参照。)。
なお、第1の樹脂組成物および層を硬化させる際の条件は、以下のように設定した。
・加熱温度 : 175℃
・加圧時の圧力 : 5.0MPa
・加熱/加圧時間: 3分
(実施例2A〜7A)
前記1.2において成膜する層の硬化の状態、前記1.4において絶縁部を形成する際の条件を表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例2A〜7Aの試験片を得た。
2.試験片の評価
各実施例の試験片について、それぞれ、その厚さ方向に沿って切断した。その後、得られた切断面の樹脂層と絶縁部との界面付近を、電子顕微鏡を用いて観察した。
この電子顕微鏡による観察により得られた、各実施例の試験片における前記界面付近の電子顕微鏡写真を図15〜21に示す。
図15〜21に示す電子顕微鏡写真から明らかなように、各実施例では、樹脂層と絶縁部との界面において、空隙が形成されることなく、樹脂層と絶縁部とが優れた密着性をもって接合されていた。
特に、層を半硬化状態とした実施例1A〜5Aでは、樹脂層5に含まれるフィラーが絶縁部6側に分散しており、樹脂層と絶縁部とがより優れた密着性をもって接合される結果となった。
なお、加圧時の圧力を2.5MPaとした実施例2A、4A、7Aでは、樹脂層5中に若干のボイドの発生が認められた。
また、実施例1Aについて、前記切断面における絶縁部の厚さを、ピッチ1mmの間隔で20箇所測定したところ、その平均厚さは、85±10μmとなっていた。この測定結果から、形成された絶縁部は、均一な膜厚を有していることが分かった。
3. 金属箔張基板の製造
以下のようにして金属箔張基板を製造した。
(実施例1B)
3.1 第2の樹脂組成物(ワニス)の調製
[1]まず、ビスフェノールF/ビスフェノールAフェノキシ樹脂(三菱化学製、4275、重量平均分子量6.0×104、ビスフェノールF骨格とビスフェノールA骨格の比率=75:25)40.0質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC製、850S、エポキシ当量190)55.0質量部、2−フェニルイミダゾール(四国化成製2PZ)3.0質量部、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン製KBM−403)2.0質量部を秤量した。これらをシクロヘキサノン400質量部に溶解し、混合させて混合液を得た。高速撹拌装置を用いて混合液を撹拌することで、樹脂材料を含むワニスを得た。
[2]次に、アルミナ(日本軽金属製、平均粒径A3.2μm、一次粒径B3.6μm、平均粒径A/一次粒径B=0.9の市販品(Lot No. Z401))800gを秤量した。次に、純水1300mLが収納されたプラスチック製容器内にアルミナを投入してアルミナ溶液を得た。その後、直径50mmの羽根を備えるディスパーザー(特殊機化工業社製、「R94077」)を用いて、回転数5000rpm×攪拌時間15分間の条件で、アルミナ溶液を撹拌した。これにより、アルミナを水洗した。
その後、アルミナ溶液を15分間静置し、上澄み液を得た。次に、50mLの上澄み液をスポイトで採取し、ろ過してろ過液を得た。その後、ろ過液のpHを測定した。そのpH値が7.0となるまで、上澄み液をデカンテーションで除去した。その後に、前記アルミナの水洗を複数回行なった。
[3]次に、上述したように水洗が施されたアルミナを、20分間放置した。その後に、上澄み液をデカンテーションで除去した。その後、そのプラスチック製容器にアセトン1000mLを投入して、アルミナとアセトンとの混合液を得た。その後、前記ディスパーザーを用いて、回転数800rpm×攪拌時間5分間の条件でアルミナとアセトンとの混合液を撹拌した。
そして、アルミナとアセトンとの混合液を12時間放置し、上澄み液を得た。その後に、上澄み液を除去した。
[4]次に、上澄み液が除去された後のアルミナをステンレスバットに移した。全排気型箱型乾燥機(タバイ社製、「PHH−200」)を用いて、乾燥温度40℃×乾燥時間1時間の条件でアルミナを乾燥することで、洗浄アルミナ(フィラー)を得た。
その後、この洗浄アルミナを、200℃×24時間の条件で乾燥させた後、85℃×85%RHの条件で放置した。こうして、洗浄アルミナの含水率を0.18質量%とした。
なお、このアルミナの含水量は、示差熱天秤装置(TG-DTA)を用いて測定した25℃と500℃における質量の差により計算された。
[5]次に、前記工程[1]で予め用意した樹脂材料を含むワニスに、洗浄アルミナ(505.0質量部)を、ディスパーザー(特殊機化工業社製、「R94077」)を用いて、回転数1000rpm×攪拌時間120分間の条件で混合した。これにより、アルミナの樹脂固形分比83.5重量%(60.0体積%)の第2の樹脂組成物を得た。
3.2 金属箔上への樹脂層形成用層の成膜
幅260mm、厚さ35μmのロール状銅箔(日本電解製、YGP−35)の粗化面に、上記3.1で得られた第2の樹脂組成物をコンマコーターにて塗布した。次に、100℃で3分、150℃で3分の条件で第2の樹脂組成物を加熱乾燥することで、銅箔上に厚さ100μmの樹脂層形成用層(層)を形成した。これにより、積層体を得た。
なお、かかる条件で第2の樹脂組成物を乾燥させることにより、層は、半硬化の状態となっている。積層体を縦50mm×横80mmにカットして層が形成された金属箔とした。
3.3 タブレット状をなす第1の樹脂組成物の調製
レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、PR−51723)を28.0質量%、ノボラック型フェノール樹脂(PR−51305、住友ベークライト社製)を8.0質量%、ガラス繊維(CS3E479、日東紡社製、平均粒子径:11μm、平均長径:3mm、平均アスペクト比:270)を55.0質量%、ワラストナイト(NYCO Minerals社製、NYAD5000、平均粒子径:3μm、平均長径:9μm、平均アスペクト比:3)を6.0質量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、製品名:KBE−903)を0.2質量%、硬化助剤(消石灰)を1.0質量%、潤滑剤等のその他の成分を1.8質量%をそれぞれ乾式混合して混合物を得た。次に、混合物を90℃の加熱ロールで溶融混練して混練物を得、混練物を冷却した。その後、混練物を粉砕して得られた粉砕物をタブレット化することにより、タブレット状をなす第1の樹脂組成物(P1)を得た。
(第1の樹脂組成物(P1)の粘度特性)
流動特性評価装置(高化式フローテスター、CFT−500D)を用いて、175℃における第1の樹脂組成物(P1)の溶融粘度を測定した。
また、アントンパールジャパン社製レオメーターMCR301を用い、第1の樹脂組成物(P1)を昇温速度3℃/min、周波数1Hzの条件で60℃から200℃まで昇温した。得られた粘度プロファイルより、最低溶融粘度および最低溶融粘度に到達する温度を求めた。
3.4 放熱金属板の準備
放熱金属板として、その表面が#4000の研磨紙で十分研磨された、A5052のアルミニウム合金板1A(平面視形状が1辺20mmの正五角形、厚さ1.5mm)を用意した。
<放熱金属板の評価方法>
(放熱金属板の表面粗さの測定)
超深度形状測定顕微鏡(キーエンス社製VK9700)を用いて、倍率20倍におけるアルミニウム合金板1A(放熱金属板)の表面粗さRaおよびRzを測定した。RaおよびRzは、JIS−B0601に準拠して測定した。アルミニウム合金板1AのRaは0.5μm、Rzは0.7μmであった。
(比表面積の測定)
自動比表面積/細孔分布測定装置(BELSORPminiII、日本ベル社製)を用いて、120℃で、6時間真空乾燥したアルミニウム合金板1Aを液体窒素温度における窒素吸脱着量を測定した。窒素吸着BET法による実表面積はBETプロットから算出した。見掛け表面積に対する測定した窒素吸着BET法による実表面積の比を比表面積とした。アルミニウム合金板1Aの比表面積は50であった。
(放熱金属板の表面の光沢度の測定)
アルミニウム合金板1Aの表面の光沢度は、ディジタル光沢度計(20°、60°)(GM−26型、村上色彩技術研究所社製)を用いて、ASTM−D523に準拠して測定角度60°で測定した。アルミニウム合金板1Aの光沢度は260であった。
(線膨張係数αMの測定)
熱機械分析装置TMA(TAインスツルメント社製、EXSTAR6000)を用いて5℃/分の圧縮条件で、25 ℃から樹脂部材のガラス転移温度までの範囲におけるアルミニウム合金板1Aの線膨張係数αMを測定した。アルミニウム合金板1Aの線膨張係数αMは23ppm/℃であった。
3.5 金属箔張基板の作製
まず、成形金型100が備えるキャビティ121に、層が形成された銅箔(金属箔)を、層が上側になるように収納した。その後、層の上にアルミニウム合金板1Aを、図4のように配置するとともに、ポット111内にタブレット状をなす第1の樹脂組成物(P1)を収納した。
次に、ポット111内の第1の樹脂組成物(P1)を加熱溶融しつつ、プランジャー112をポット111内に挿入した。これにより、加熱および加圧された状態で、溶融した第1の樹脂組成物(P1)が層を覆い、かつアルミニウム合金板1Aの外周を覆うようにキャビティ内に充填させた。
そして、溶融した第1の樹脂組成物(P1)と、層とを硬化させることにより、銅箔に、樹脂層と、絶縁部および放熱金属板とがこの順で積層された図6に示す実施例1Bの金属箔張基板1Bを得た。
なお、第1の樹脂組成物(P1)および層を硬化させる際の条件は、以下のように設定した。
・加熱温度 : 175℃
・加圧時の圧力 : 5.0MPa
・加熱/加圧時間: 3分
(金属箔張基板の評価)
(金属箔張基板の冷熱サイクル性)
得られた金属箔張基板に対して、−40℃で30分間静置した後、120℃で30分間静置するヒート処理を1000サイクル行った。以下の判定基準を用いてヒート処理後の金属箔張基板を観察した。
[判定基準]
A:絶縁部と放熱金属板との密着が保持され、且つ金属箔張基板は構造的に形状を保持し、放熱金属板が金属箔張基板から脱落していない。
B:絶縁部と放熱金属板との密着は保持されていないが、金属箔張基板は構造的に形状を保持し、放熱金属板が金属箔張基板から脱落していない。
C:絶縁部の収縮により放熱金属板を保持しており、放熱金属板が金属箔張基板から脱落していない。
D:放熱金属板が金属箔張基板から脱落し、金属箔張基板は構造的に形状を維持できていない。
(実施例2B)
放熱金属板として、その表面が#4000の研磨紙で十分研磨された、A5052のアルミニウム合金板2A(平面視形状が直径40mmの円形、厚さ1.5mm)を用い、金属箔張基板の作製時(成形時)におけるアルミニウム合金板2Aの配置を図8のようにした以外は、実施例1Bと同様にして、図8に示す実施例2Bの金属箔張基板2Bを得た。
(実施例3B)
放熱金属板として、その表面が#4000の研磨紙で十分研磨された、A5052のアルミニウム合金板3A(平面視形状が縦30mm×横40mmの四角形、厚さ1.5mm)を用い、金属箔張基板の作製時(成形時)におけるアルミニウム合金板3Aの配置を図2のようにした以外は、実施例1Bと同様にして、図2に示す実施例3Bの金属箔張基板3Bを得た。
(実施例4B)
放熱金属板として、アルミニウム合金板3Aの代わりに、下記のアルミニウム合金板3Bを用いた以外は、実施例3Bと同様にして、実施例4Bの金属箔張基板4Bを得た。
<アルミニウム合金板3Bの作製>
水酸化カリウム(16質量%)、塩化亜鉛(5質量%)、硝酸ナトリウム(5質量%)、チオ硫酸ナトリウム(13質量%)の水溶液を調製した。得られた水溶液(30℃)中に、アルミニウム合金板3Aを浸漬して揺動させた。これにより、アルミニウム合金板3Aを深さ方向に15μm(アルミニウムの減少した重量から算出)溶解させた。次いで、アルミニウム合金板3Aを水洗し、35質量%の硝酸水溶液(30℃)中に浸漬して20秒間揺動させた後、水洗、乾燥し、アルミニウム合金板3Bを得た。
アルミニウム合金板3Bの特性は以下のとおりであった。
Ra:4.0μm
Rz:15.5μm
比表面積:270
光沢度:10
線膨張係数αM:23ppm/℃
(放熱金属板の表面の観察)
アルミニウム合金板3Bの表面を電子顕微鏡(SEM)で撮影し、アルミニウム合金板3Bの表面に存在する粗化層の構造を観察した。図22に、アルミニウム合金板3Bの表面に存在する粗化層(表面層)の拡大図を表す電子顕微鏡写真を示す。かかる電子顕微鏡写真に基づいて、粗化層の厚み、凹部の断面形状、凹部の平均深さ、開口部の平均断面幅をそれぞれ求めた。
アルミニウム合金板3Bの粗化層の厚みは15μm、凹部の平均深さは13μm、開口部の平均断面幅は14μmであった。また、図22に示すように、凹部の断面は、凹部の開口部から底部までの間の少なくとも一部に開口部の断面幅よりも大きい断面幅を有する形状になっていた。
(金属箔張基板の接合部の観察)
金属箔張基板3Bの接合部の断面を電子顕微鏡(SEM)で撮影し電子顕微鏡写真を得た。電子顕微鏡写真において、接合部の断面の構造を観察した。図23に、実施例4Bで得られた金属箔張基板4Bの接合部の断面の拡大図を表す電子顕微鏡写真を示す。これにより、凹部内における硬化物の有無、凹部内における充填材の有無、凹部内に存在する充填材の平均長径および平均アスペクト比をそれぞれ求めた。なお、凹部内における充填材の有無はエネルギー分散型蛍光X線分析からも確認した。
(実施例5B)
タブレット状をなす第1の樹脂組成物(P3)を下記のように調整した以外は、実施例4Bと同様にして、実施例5Bの金属箔張基板5Bを得た。
レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト社製、PR−51723)を28.0質量%、ノボラック型フェノール樹脂(PR−51305、住友ベークライト社製)を8.0質量%、ガラス繊維(CS3E479、日東紡社製、平均粒子径:11μm、平均長径:3mm、平均アスペクト比:270)を61.0質量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、製品名:KBE−903)を0.2質量%、硬化助剤(消石灰)を1.0質量%、潤滑剤等のその他の成分を1.8質量%をそれぞれ乾式混合して混合物を得た。次に、混合物を90℃の加熱ロールで溶融混練して混練物を得、混練物を冷却した。その後、混練物を粉砕して得られた粉砕物をタブレット化することにより、タブレット状をなす第1の樹脂組成物(P3)を得た。
(比較例1B)
金属箔張基板の作製時(成形時)におけるアルミニウム合金板1Aの配置について、図7における第1の非露出面712および第2の非露出面713とした2つの側面71の全面が露出するようにした以外は、実施例1Bと同様にして、比較例1Bの金属箔張基板6Bを得た。
(比較例2B)
金属箔張基板の作製時(成形時)におけるアルミニウム合金板2Aの配置について、図8における放熱金属板7の中心が層上に位置しないようにした以外は、実施例2Bと同様にして、比較例2Bの金属箔張基板7Bを得た。
以上の評価結果を表2および表3に示す。
実施例1B〜5Bで得られた金属箔張基板1B〜5Bは、本発明の以下の要件Aまたは要件Bを満足するため、絶縁部により放熱金属板が構造的に保持されることで、金属箔張基板の冷熱サイクル性に優れる結果となった。
要件A: 前記第1および第2の非露出面は、それぞれ、平坦面を構成し、前記平面視で、第1および第2の直線をなし、前記第1の直線と前記第2の直線とは、前記露出面側で交差しているか、または、平行となっている。
要件B: 前記第1および第2の非露出面は、それぞれ、湾曲面を構成し、前記平面視で、第1および第2の曲線をなし、前記第1の曲線上の任意の点における第1の接線と、前記第2の曲線上の任意の点における第2の接線とは、前記露出面側で交差しているか、または、平行となっている。
さらに、実施例4B、5Bで得られた金属箔張基板4B、5Bにおいては、粗化層の凹凸を構成する凹部内に第1の樹脂組成物の硬化物が観察された。そのため、金属箔張基板4B、5Bは、絶縁部と放熱金属板との接合部の密着性に優れており、金属箔張基板の冷熱サイクル性により優れる結果となった。
これに対し、比較例1B、2Bで得られた金属箔張基板6B、7Bは、本発明の要件A〜Cを満足せず、かつ、放熱金属板の表面に凹部を有しないことに起因して、絶縁部により放熱金属板が保持されず、金属箔張基板の冷熱サイクル性が著しく劣る結果となった。
また、実施例1B〜5Bおよび比較例1B、2Bで得られた金属箔張基板1B〜7Bの銅箔をパターニングして配線を形成し、発熱体を電気的に接続する端子を備える回路基板を得た。さらに、各回路基板に発熱体を搭載して発熱体搭載基板を得た。実施例1B〜5Bにかかる発熱体搭載基板は、比較例1B、2Bにかかる発熱体搭載基板と比較して、放熱性が高かった。