JPWO2015137175A1 - アリールボロン酸エステル化合物の製造方法 - Google Patents

アリールボロン酸エステル化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】様々なフッ化アリール化合物から、一段階の反応工程によってアリールボロン酸エステル化合物を製造する方法を提供することを解決すべき課題としている。【解決手段】フッ化アリール化合物と、ジボロンピナコールエステル又はピナコールボランとを、0価のニッケル錯体と、ホスフィンリガンドと、1価又は2価の銅化合物(好ましくは1価)と、塩基の存在下、非プロトン性溶媒中でクロスカップリングさせる。フッ化アリール化合物としてはフルオロベンゼンやその誘導体、フルオロビフェニルやその誘導体等を用いることができる。0価のニッケル錯体としては、Ni(cod)2等を用いることができる。ホスフィンリガンドとしては、トリアルキルホスフィンやトリアリールホスフィンやジアリールジホスフィンを用いることができる。【選択図】なし

Description

本発明はフッ化アリール化合物から一段階の反応工程によってアリールボロン酸エステル化合物を製造する方法に関する。
医薬品に用いられる化合物において、フッ素置換基の導入が効能や代謝を劇的に改善することがよくある。このため、フッ素置換基を導入した数多くの医薬品が開発されており、市販医薬品の30%はフッ素を含む化合物と言われている。
一方、開発された医薬品を基に、更に優れた医薬品を開発するためには、既存医薬品をリード化合物とし、その化学構造の一部を新たな化学構造に代えた誘導体を数多く合成し、これらの誘導体について薬効等を調べるということが行われている。しかしながら、新たな誘導体を合成するには多大な労力を要するため、このことが、新薬開発を困難なものにしている。
このため、既に開発された数多くのフッ化アリール化合物からなる医薬品のフッ素置換基を、他の置換基に容易に替えることができれば、新規医薬品を開発するために、極めて有用なツールとなりうる。
ところが、炭素−フッ素結合は極めて安定であるため、フッ化アリール化合物のフッ素置換基を他の置換基に変換するには、強い電子求引性基が結合した特殊なフッ化アリール化合物について求核剤と反応させ、フッ素置換基と求核置換させる以外に良い方法がなく(例えば非特許文献1、2)、様々なフッ化アリール化合物に適用できるような、汎用的な方法は見出されていなかった。
Acc.Chem.Res.2011,44,333. J.Am.Chem.Soc.2006,128,15964.
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、様々なフッ化アリール化合物から一段階の反応工程によってアリールボロン酸エステル化合物を製造することができる方法を提供することを解決すべき課題としている。
本発明者らは上記課題を解決するため、フッ化アリール化合物とホウ素化試薬とをクロスカップリングさせて、アリールボロン酸エステル化合物を得ることを試みた。従来、このようなクロスカップリング反応は知られていないが、特定の反応条件を設定することにより、このカップリング反応が可能となることを見出し、本発明の製造方法を完成した。
すなわち、本発明のアリールボロン酸エステル化合物の製造方法は、フッ化アリール化合物と、ジボロンピナコールエステル又はピナコールボランとを、0価のニッケル錯体と、ホスフィンリガンドと、1価又は2価の銅化合物と、塩基の存在下、非プロトン性溶媒中でクロスカップリングさせることを特徴とする。
本発明のアリールボロン酸エステル化合物の製造方法によれば、特に強い電子求引性基が結合していないフッ化アリール化合物を基質として用いても、ジボロンピナコールエステルやピナコールボランとのクロスカップリング反応が進行するため、アリールボロン酸エステル化合物の汎用的な製造方法として用いることができる。
フッ化アリール化合物としては、ベンゼン環にフッ素が直接結合した化合物であって、本発明の製造方法におけるカップリング反応を妨害する官能基を有しない化合物であれば用いることができる。例えば、フルオロベンゼンやその誘導体、フルオロビフェニルやその誘導体、フルオロナフタレンやその誘導体等を用いることができる。本発明者らは、フッ化アリール化合物中にエーテル部位やエステル部位やアミノ基が存在していても、アリールボロン酸エステル化合物を得ることができることを確認している。
また、ジボロンピナコールエステルとしては (Bpin)2、(Bcat)2等を用いることができる。また、ピナコールボランとしてはHBpin用いることができる。
Figure 2015137175
さらに、0価のニッケル錯体としては、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル(略称Ni(cod)2)等を用いることができる。
また、ホスフィンリガンドとしては、少なくともひとつのアルキル基を有するホスフィン類を用いることが好ましい。例えば、トリアルキルホスフィンやトリアリールホスフィンやジアリールジホスフィンを用いることができる。トリアルキルホスフィンとして、具体的にはP(c-C6H11)3、P(c-C5H9)3等が挙げられる。また、トリアリールホスフィンとして具体的にはP(Ph)3、P(p-MeO C6H4)3等が挙げられる。また、ジアリールジホスフィンとして、具体的には1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン (DPPM)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン (DPPE)、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン (DPPP)、1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン (DPPF)等を用いることができる。その他、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピルビフェニル(XPhos)を用いることもできる。
さらに、銅化合物としては1価又は2価の銅化合物を用いることができ、好ましいのは1価の銅化合物である。1価の銅化合物として具体的にはCuI、CuBr、CuCl、CuOAc、CuBF4(MeCN)4、CuPF4(MeCN)4等が挙げられる。また、2価の銅化合物として具体的にはCuCl2、CuBr2、CuF2、Cu(OAc)2等が挙げられる。
また、塩基としては、CsFやKOtBu、NaOtBu等のアルカリ金属アルコキシド等を用いることができる。
さらに、非プロトン性溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、tBuOMe、c-C5H9OMe、THF、ジメトキシエチレン、DMF等を用いることができる。特に好ましいのは、トルエンやキシレンなどの極性が低い非プロトン性溶媒である。
本発明のアリールボロン酸エステル化合物の製造方法として、0価のニッケル錯体の替りに2価のニッケル錯体を用いることもできるが、この場合には2価のニッケル錯体を0価のニッケル錯体に還元することのできる還元剤が必要となる。すなわち、フッ化アリール化合物と、ジボロンピナコールエステル又はピナコールボランとを、2価のニッケル錯体と、該2価のニッケル錯体を還元可能な還元剤と、ホスフィンリガンドと、1価又は2価の銅化合物と、塩基の存在下、非プロトン性溶媒中でクロスカップリングさせることを特徴とするアリールボロン酸エステル化合物の製造方法である。
2価のニッケル錯体としては、NiCl2(dme)やNi(acac)2、等を用いることができる。
また、2価のニッケル錯体を還元可能な還元剤としては、DIBAL等のアルキルアルミニウム等を始めとする典型金属水素化物や、Ni(cod)2等の0価のニッケル錯体を用いることができる。
本発明のアリールボロン酸エステル化合物の製造方法では、原料としてフッ化アリール化合物を用いる。フッ化アリール化合物からなる医薬品は多数開発されており(例えば、血中コレステロール低下剤のAtorvastatinや抗鬱薬のIloperodon等)、それらの化合物からアリールボロン酸エステル化合物を得ることができることになる。アリールボロン酸エステル化合物は、鈴木-宮浦カップリング反応の試薬として用いることができるため、化合物合成における便利な中間原料となる。例えば、以下のような利用が考えられる。
(1)各種PET用プローブの合成
PET(陽電子放射断層画像撮)法とは、18Fや11C などのポジトロンを放出する短寿命放射核で標識されたトレーサーを生体内に投与し、その体内分布をコンピューターにより画像化する方法である。PET法は生体内での物質の移動を経時的、非侵襲的かつ定量的に追跡することができるため、生物学、医薬品開発、医療などの各分野において有用な測定技術として活用されている。
・[18F]標識PET用プローブの合成
生理活性を有する[19F]フッ化アリール化合物をアリールボロン酸エステル化合物とした後、PETプローブとして使用可能な[18F]フッ化アリール化合物に変換する。アリールボロン酸エステル化合物から[18F]フッ化アリール化合物の変換については、鈴木正昭らが開発した特許文献WO2011/068181の方法やTobias Ritterらが開発した非特許文献(Science, 2011, 334, 639.)により行うことができる。
・[11C]標識PET用プローブの合成
生理活性を有する[19F]フッ化アリール化合物をアリールボロン酸エステル化合物とした後、PETプローブとして使用可能な[11C]フッ化アリール化合物に変換する。アリールボロン酸エステル化合物から[11C]フッ化アリール化合物の変換については、鈴木正昭らが開発した特許文献WO2008/023780の方法により行うことができる。
(2)創薬等のための中間原料としての利用
本発明の方法で製造したアリールボロン酸エステル化合物は、遷移金属触媒を用いるカップリング反応によってC−C結合を導入したり、酸化して水酸基に変換したり、アミノ化、ヨウ素化、臭素化、塩素化、アジド化等を行ったり、Chan-Evans-Lamカップリング反応を利用してエーテル化したり、一酸化炭素との反応によりカルボニル基を導入するなど、様々な化合物に変換することができる。
<実施例>
以下、本発明を具体化した実施例について述べる。
(実施例1)
実施例1では、基質となるフッ化アリール化合物として4-フルオロビフェニル(1)、ジボロンピナコールエステルとしてB2(pin)2を用い、相当するボロン酸エステル(3)を製造した。
すなわち、アルゴンで置換されたグローブボックス中において、5 mLバイアルにビス(シクロオクタジエン)ニッケル(0) (以下「Ni(COD)2」と略すことがある)(5.1 mg, 0.02 mmol, 10 mol %)、トリシクロヘキシルホスフィン(以下「PCy3」と略すことがある)(28.0 mg, 0.1 mmol, 50 mol %)を入れ、セプタム付きのふたで密閉し、グローブボックスから取り出す。このバイアルにトルエン(0.5 mL)を加え、室温にて10分間撹拌し、ニッケルホスフィン錯体トルエン溶液(0.5 mL)を調製した。
別の5 mLバイアルに、アルゴンで置換されたグローブボックス内において4-フルオロビフェニル(1, 34.0 mg, 0.2 mmol, 1 equiv.)、ビス(ピナコラート)ジボロン(101.6 mg, 0.4 mmol, 2.0 equiv.)、ヨウ化銅(7.6 mg, 0.04 mmol, 20 mol %)、フッ化セシウム(91.0 mg, 0.6 mmol, 3.0 equiv.)を入れ、セプタム付きのふたで密閉し、グローブボックスから取り出した。トルエン(0.5 mL)を加え、室温で5分撹拌した。次いで先に調製したニッケルホスフィン錯体トルエン溶液全量(0.5 mL)を加え、室温で5分撹拌した後、ヒートブロックを用いて80℃で24時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(2 mL)、ジエチルエーテル(2 mL)を加え室温で15分撹拌した。分液漏斗を用いて反応混合物をジエチルエーテルで抽出(5 mL × 3)した後、有機層を合わせて飽和塩化ナトリウム水溶液(5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル担持、展開溶媒はヘキサン: 酢酸エチル: 酢酸 = 20: 1: 0.1の混合溶媒を使用)にて精製することにより、2-(4-ビフェニリル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(3, 55.8 mg, 0.20 mmol)を収率99%以上で得た。
Figure 2015137175
(実施例2〜11)
実施例2〜11では、実施例1におけ4-フルオロビフェニルの替りに、以下に示すフッ化ビフェニル化合物を用いた。式中の「Bn」はベンジル基を示す。その他の条件については実施例1と同様(ただし、実施例11についてはNi(COD)2を30mol%、CsFを9当量、トリシクロヘキシルホスフィンを150mol%、CuIを60mol%それぞれ使用場合についても行った。)であり、詳細を省略する。

Figure 2015137175
(実施例12)
実施例12では、基質となるフッ化アリール化合物として4-フルオロアニソール(4)、ジボロンピナコールエステルとしてB2(pin)2を用い、相当するボロン酸エステル(5)を製造した。
すなわち、アルゴンで置換されたグローブボックス中において、5 mLバイアルにビス(シクロオクタジエン)ニッケル(0)(15.4 mg, 0.06 mmol, 30 mol %)とトリシクロヘキシルホスフィン(84.1 mg, 0.3 mmol, 150 mol %)を入れ、セプタム付きのふたで密閉し、グローブボックスから取り出す。このバイアルにトルエン(0.6 mL)を加え、室温にて10分間撹拌し、ニッケルホスフィン錯体トルエン溶液(0.6 mL)を調製した。
別の5 mLバイアルに、アルゴンで置換されたグローブボックス内においてビス(ピナコラート)ジボロン(101.6 mg, 0.4 mmol, 2.0 equiv.)、ヨウ化銅(22.8 mg, 0.12 mmol, 60 mol %)、フッ化セシウム(272.9 mg, 1.8 mmol, 9.0 equiv.)を入れ、セプタム付きのふたで密閉し、グローブボックスから取り出す。4-フルオロアニソール(4, 22.6 μL, 0.2 mmol, 1 equiv.)、トルエン(0.4 mL)を加え、室温で5分撹拌した。次いで先に調製したニッケルホスフィン錯体トルエン溶液全量(0.6 mL)を加え、室温で5分撹拌した後、ヒートブロックを用いて80℃で24時間加熱撹拌した。室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(2 mL)、ジエチルエーテル(2 mL)を加え室温で15分撹拌した。分液漏斗を用いて反応混合物をジエチルエーテルで抽出(5 mL × 3)した後、有機層を合わせて飽和塩化ナトリウム水溶液(5 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤をろ別後、ロータリーエバポレーターで濃縮し、分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル担持、展開溶媒はベンゼン: 酢酸エチル: 酢酸 = 20: 1: 0.2の混合溶媒を使用)にて精製することにより、2-(4-メトキシフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(5, 30.1 mg, 0.128 mmol)を収率64%で得た。
Figure 2015137175
(実施例13〜24)
実施例13〜24では、実施例1における4-フルオロビフェニル(1)の替りに、以下に示すフッ化アリール化合物を用いた。その他の条件については実施例1と同様であり、詳細を省略する。なお、式中の「TBS」はtert-ブチルジメチルシリル基を、「TIPS」トリイソプロピルシリル基を、「Boc」はtert-ブトキシカルボニル基を示す。

Figure 2015137175
<結果>
実施例1〜24において得られた、該当するボロン酸エステルの収率を表1に示す。この表から、フルオロベンゼンやその誘導体、フルオロビフェニルやその誘導体、フルオロナフタレンやその誘導体等について、相当するボロン酸エステルを合成できることが分かった。また、フッ化アリール化合物中にエーテル基やエステル基やアミノ基が存在していても、アリールボロン酸エステル化合物を得ることができることが分かった。

Figure 2015137175
(25〜34)
実施例25〜34では、基質となるフッ化アリール化合物として4-フルオロビフェニル(1)、ジボロンピナコールエステルとしてB2(pin)2を用い、銅化合物に様々なもの(表2参照)を用い、その他の条件は下記のように固定して、相当するボロン酸エステル(3)を製造した。実験の手順については実施例1と同様であり、説明を省略する。
Figure 2015137175
(比較例1〜4)
比較例1〜4では、銅化合物の代わり様々な銀化合物を(表2参照)を用い、その他の条件は実施例25〜34と同様にして、相当するボロン酸エステル(3)を製造した。実験の手順については実施例1と同様であり、説明を省略する。
結果を表2に示す。この表から、銅化合物を用いるとボロン酸エステル(3)が得られるが、収率の点でCuIが極めて優れていることが分かった。これに対して銀化合物を用いた場合には、いずれもボロン酸エステル(3)は得られなかった。
Figure 2015137175
(実施例35〜37)
実施例35〜37では、基質となるフッ化アリール化合物として4-フルオロビフェニル(1)、ジボロンピナコールエステルとしてB2(pin)2を用い、塩基に様々なもの(表3参照)を用い、その他の条件は下記のように固定して、相当するボロン酸エステル(3)を製造した。実験の手順については実施例1と同様であり、説明を省略する。
Figure 2015137175
結果を表3に示す。この表から、塩基としては、CsFを用いることにより、高い収率でボロン酸エステル(3)が得られることが分かった。また、KOtBu、NaOtBu等のアルカリ金属アルコラート等を用いても、収率は悪いものの、ボロン酸エステル(3)が得られることが分かった。
Figure 2015137175
(実施例38〜41)
実施例38〜41では、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)以外のホスフィンリガンド(表4参照)を用い、下記条件によってボロン酸エステル(3)を製造した。
Figure 2015137175
結果を表4に示す。この表から、ホスフィンリガンドとしては、トリアルキルホスフィンやトリアリールホスフィンやジアリールジホスフィンも用いることができることが分かった。
Figure 2015137175
(実施例42〜49)
実施例42〜49では、トルエン以外の非極性溶媒(表5参照)を用い、下記条件によってボロン酸エステル(3)を製造した。
Figure 2015137175
結果を表5に示す。この表から、溶媒としては非プロトン性溶媒を用いることができ、その中でも極性が低い非プロトン性溶媒が好ましいことが分かった。
Figure 2015137175
(比較例5〜9)
比較例5〜9では、実施例1における銅化合物の代わりに、鈴木−宮浦反応における様々な活性化剤(表6参照)を添加した。その他の条件及び手順は実施例1と同様であり、説明を省略する。
その結果、表6に示すように、銅化合物以外のいずれの活性化剤を用いても、ボロン酸エステル(3)は得られなかった。
Figure 2015137175
(実施例50〜52)
実施例50〜52では、実施例1で用いたニッケル錯体であるNi(cod)2の代わりに2価のニッケル錯体を用い(あるいは0価のニッケル錯体と2価のニッケル錯体を併用し)、更に還元剤としてジイソブチルアルミニウムDIBALを添加した(表7参照)。その他の条件及び手順は実施例1と同様であり、説明を省略する。
その結果、表7に示すように、実施例1と比較して収率は低いものの、ボロン酸エステル(3)が得られた。
Figure 2015137175
(実施例53)
実施例53では、実施例1で用いたジボロンピナコールエステルである(Bpin)2の代わりに、ピナコールボランであるHBpinを用い、その他の条件及び手順は実施例1と同様にして反応を行った。
Figure 2015137175
その結果、実施例1と比較して収率は1%以下と低いものの、ボロン酸エステル(3)が得られた。
<本発明のアリールボロン酸エステル化合物の製造方法を利用した[18F]標識化合物の合成>
本発明の製造方法で得たアリールボロン酸エステル化合物を中間原料とし、 [18F]標識化合物を合成した。すなわち、下記合成経路に従い、ジヒドロフルバスタチン保護体6のフッ素置換基をボロン酸エステル7に変換し(実施例54)、さらに、ボロン酸エステル部分をTredwell, M. らの方法により (A general copper-mediated nucleophilic 18F fluorination of arenes. Angew. Chem. Int. Ed. 53, 7751-7755 (2014))[18F]に変換した。反応における仕込み比はFluoroarene (1 equiv.), (Bpin)2 (2 equiv.), Ni(COD)2 (30 mol %), CuI (60 mol %), P(c-C6H11)3 (150 mol %), CsF (9 equiv.)とした。その結果、収率44%(2回行った反応の平均値)でボロン酸エステル7を得た。
このように、本発明のアリールボロン酸エステル化合物の製造方法を利用すれば、通常の非放射性同位元素である19Fからなるフッ素置換基を、放射性同位元素である18Fからなるフッ素置換基に変換することができる。このため、PET用プローブの合成の原料や創薬のための中間原料として利用できる。

Figure 2015137175
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本発明の製造方法によれば、様々なフッ化アリール化合物から一段階の反応工程によってアリールボロン酸エステル化合物を製造することができる。アリールボロン酸エステル化合物は、鈴木-宮浦カップリング反応の基質となり、PET用プローブの合成の原料や創薬のための中間原料としての利用できる。

Claims (3)

  1. フッ化アリール化合物と、ジボロンピナコールエステル又はピナコールボランとを、0価のニッケル錯体と、ホスフィンリガンドと、1価又は2価の銅化合物と、塩基の存在下、非プロトン性溶媒中でクロスカップリングさせることを特徴とするアリールボロン酸エステル化合物の製造方法。
  2. 前記フッ化アリール化合物は、フルオロベンゼン若しくはその誘導体、又は、フルオロビフェニル若しくはその誘導体である請求項1に記載のアリールボロン酸エステル化合物の製造方法。
  3. フッ化アリール化合物と、ジボロンピナコールエステル又はピナコールボランとを、2価のニッケル錯体と、該2価のニッケル錯体を還元可能な還元剤と、ホスフィンリガンドと、1価又は2価の銅化合物と、塩基の存在下、非プロトン性溶媒中でクロスカップリングさせることを特徴とするアリールボロン酸エステル化合物の製造方法。
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Liu et al. Transition-metal-free borylation of alkyl iodides via a radical mechanism
Hosoya et al. Rapid methylation on carbon frameworks useful for the synthesis of 11 CH 3-incorporated PET tracers: Pd (0)-mediated rapid coupling of methyl iodide with an alkenyltributylstannane leading to a 1-methylalkene
Ding et al. Highly carbon-selective monofluoromethylation of β-ketoesters with fluoromethyl Iodide
Morand et al. gem‐Heteroatom‐Substituted Fluoroalkenes as Mimics of Amide Derivatives or Phosphates: A Comprehensive Review
LaBerge et al. Activation and formation of aromatic C–F bonds
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Zhou et al. Iron-catalyzed diborylation of unactivated aliphatic gem-dihalogenoalkenes: synthesis of 1, 2-bis (boryl) alkanes
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Guan et al. (Hetero) Aryl Fluorosulfates (ArOSO2F): Good Coupling Partners in Transition‐metal‐catalyzed Reactions
Sogbein et al. Synthesis of ortho-and meta-Re (I)-metallocarboranes in water
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Kiani et al. Synthesis and characterization of a tetramethyl furanone functionalized diiminedioxime, a potential ligand for 64Cu radiopharmaceuticals, and its copper (II) and nickel (II) complexes
Gan et al. Preparation of a palladium dimer with a cobalt-containing bulky phosphine ligand: Its application in palladium catalyzed Suzuki reactions