JPWO2015125662A1 - アミノ酸組成変更培地を用いた幹細胞の分化促進方法、及び該方法を用いて処理された幹細胞、並びに培地 - Google Patents

アミノ酸組成変更培地を用いた幹細胞の分化促進方法、及び該方法を用いて処理された幹細胞、並びに培地 Download PDF

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Abstract

本発明は、ES細胞やiPS細胞などの幹細胞の分化誘導効率を改善する方法及び培地を提供することを目的とする。本発明により、幹細胞を、分化誘導培地で培養して分化誘導する前に、メチオニンを除去した未分化維持培地で培養することにより、効率よく分化誘導できる。本発明は、哺乳動物由来の多能性幹細胞を分化誘導する方法であって、該多能性幹細胞を、メチオニンを含まない培地からなる多能性幹細胞の未分化維持培地で培養する工程、および、該多能性幹細胞を、分化誘導培地で培養して分化誘導する工程、を含む分化誘導方法を提供する。本発明はまた、メチオニンを含まない培地からなる哺乳動物由来の多能性幹細胞の未分化維持培地で培養された多能性幹細胞を提供する。本発明はさらには、培地中にメチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地を提供する。

Description

本発明は、多能性幹細胞の分化誘導の技術に関する。より詳細には、本発明は、多能性幹細胞、例えば、ES細胞やiPS細胞の分化誘導効率を改善するための方法及び培地に関する。
個体のすべての細胞に分化しうる分化多能性(pluripotency)を保ちつつ、無限に増殖できる自己複製能を併せ持つ胚性幹細胞(ES細胞)がヒトにおいて樹立されて以来、ES細胞を、インビトロで主要臓器細胞へと分化誘導する研究が盛んに行われている。また、体細胞へ特定の遺伝子を導入することにより、ES細胞のように分化多能性と自己複製能を併せ持つ人工多能性幹細胞(iPS細胞)が作られてからは、ES細胞に加え、iPS細胞を用いて、インビトロで主要臓器細胞へと分化誘導する研究が盛んに行われている。
このように、胚性幹細胞(ES)および多能性幹細胞(iPS)は、無限の複製能力および生物の全ての細胞タイプを生じる多分化能をもっている。ES細胞は、多分化能状態を維持する独特の転写回路(transcriptional circuit)をもっている。これらの細胞は、細胞の運命決定の準備状態である特異的なエピジェネティックな状態にある。さらに、様々なヒストンメチル化様式は、ES細胞の多能性と柔軟性(plasticity)を調節している。ES細胞はまた、高い増殖速度および短縮されたG1期という特徴を有する。これらのユニークな分子特性は、体細胞から、ES細胞およびiPS細胞を区別している。
これらの特徴は、ES細胞が特殊な代謝状態にあることを示している。ES細胞およびiPS細胞は、特に解糖に依存しているが、一方、体細胞は、エネルギー生産のためにミトコンドリアの酸化的リン酸化を利用している。幹細胞のこの特有の代謝要求は、多能性獲得の結果ではなく、原因としての役割を果たしていると考えられる。最近の報告では、
代謝と細胞内シグナル伝達がリンクしており、これら2つのプロセスが相互にお互いを調節し、細胞の生存、増殖、および幹細胞機能の調節などの細胞活性を調節していることが示されている(非特許文献1:Wellen and Thompson, 2012) (非特許文献2:Takubo et al., 2013)。
ヒトの胚性幹細胞(hES細胞)や人工多能性幹細胞(hiPS細胞)は、再生医療の重要なソースとして注目されている。本発明者らは、以前、ES細胞を、胚性内胚葉ならびに膵臓、肝臓、腸のような特定の消化器官に順次誘導するための方法を確立した(非特許文献3:Ogaki et al., 2013)(非特許文献4:Shiraki et al., Genes Cells, 2008)(非特許文献5:Shiraki et al., PLoS One, 2011)(非特許文献6:Shiraki et al., Stem Cell, 2008)。しかし、hES/iPS細胞株の分化指向性において顕著な違いが存在し、このことは、インビトロでの、hES/iPS細胞の特定の方向への効率的な分化において障害になっている(非特許文献7:Osafune et al., 2008) (非特許文献8:Kajiwara et al., 2012)。
この問題はES/iPS細胞を用いた再生医療において克服しなければならない問題となっている。現状では、樹立された多くのES/iPS細胞株の中から自分が目的とする組織への分化効率が良い株を予め選抜し、その後分化誘導を行うということがなされており、目的の細胞を作成するまでに多くの検討期間が必要である。この細胞株間の差を克服できる方法が開発できれば、細胞株選別のタイムラグを解消でき、かつ効率的な分化が期待できる。
本発明者らは、これまでに必須アミノ酸メチオニンがヒトiPS細胞の分化制御因子であることを見出し、内胚葉分化過程の一定期間に分化誘導培地中からメチオニンを除去することで未分化細胞の選択的細胞死を誘導し、効率的な内胚葉分化に成功した(特許文献1:WO2012/056997)。しかしながら、上記の細胞株選別の問題は未解決であった。
WO2012/056997号公報
Wellen, K.E., et. al., A two-way street: reciprocal regulation of metabolism and signalling. Nat Rev Mol Cell Biol 13, 270-276. 34 (2012). Takubo et al., Regulation of glycolysis by pdk functions as a metabolic checkpoint for cell cycle quiescence in hematopoietic stem cells. Cell Stem Cell 12, 49-61 (2013). Ogaki et al., Wnt and Notch Signals Guide Embryonic Stem Cell Differentiation Into the Intestinal Lineages. Stem Cells. 6, 1086-1096, (2013) Shiraki, et al., Differentiation of mouse and human embryonic stem cells into hepatic lineages. Genes Cells 13, 731-746. (2008) Shiraki, et al., Efficient differentiation of embryonic stem cells into hepatic cells in vitro using a feeder-freebasement membrane substratum. PLoS One 6, e24228. 33, (2011) Shiraki et al., Guided differentiation of embryonic stem cells into Pdx1-expressing regional-specific definitive endoderm. Stem Cells 26, 874-885 (2008). Osafune et al., Marked differences in differentiation propensity among human embryonic stem cell lines. Nat Biotechnol 26, 313-315 (2008). Kajiwara et al., Donor-dependent variations in hepatic differentiation from human-induced pluripotent stem cells. Proc Natl Acad Sci U S A 109, 12538-12543 (2012).
本発明は、ES細胞やiPS細胞などの幹細胞の分化誘導効率を改善する方法及び培地を提供することを目的とする。本発明は特には、幹細胞の細胞株間における分化効率の差をなくすまたは減少することにより、幹細胞の効率的な分化を誘導できる方法及び培地を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、幹細胞を、分化誘導培地で培養して分化誘導する前に、メチオニンを除去した培地(未分化維持培地)で培養することにより、効率よく分化誘導できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下を含むものである。
(1)哺乳動物由来の多能性幹細胞を分化誘導する方法であって、
(a)該多能性幹細胞を、メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養する工程、および
(b)該未分化維持培地で培養した該多能性幹細胞を、分化誘導培地で培養して分化誘導する工程、
を含む分化誘導方法。
(2)前記哺乳動物由来の多能性幹細胞が、ヒト又はマウス由来のES細胞、又はヒト又はマウス由来のiPS細胞である、前記(1)に記載の分化誘導方法。
(3)前記細胞を前記未分化維持培地で少なくとも5時間培養することを含む前記(1)または(2)に記載の分化誘導方法。
(4)前記細胞を前記未分化維持培地で少なくとも10時間培養することを含む前記(3)に記載の分化誘導方法。
(5)前記細胞を前記未分化維持培地で24時間を超えない期間で培養することを含む前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の分化誘導方法。
(6)メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養された哺乳動物由来の多能性幹細胞を、さらに、内胚葉、中胚葉または外胚葉のいずれかに分化誘導する、前記(1)〜(5)のいずれかひとつに記載の分化誘導方法。
(7)前記多能性幹細胞が内胚葉への分化に耐性である幹細胞であって、かつ、前記分化誘導培地が内胚葉への分化誘導培地である、前記(1)〜(6)のいずれかひとつに記載の方法。
(8)前記多能性幹細胞が中胚葉への分化に耐性である幹細胞であって、かつ、前記分化誘導培地が中胚葉への分化誘導培地である、前記(1)〜(6)のいずれかひとつに記載の方法。
(9)前記多能性幹細胞が外胚葉への分化に耐性である幹細胞であって、かつ、前記分化誘導培地が外胚葉への分化誘導培地である、前記(1)〜(6)のいずれかひとつに記載の方法。
(10)メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養されたヒトiPS細胞を、さらに、膵臓分化誘導培地で培養してインスリン産生能をもつ膵臓細胞へと分化誘導する、前記(2)〜(5)のいずれか一つに記載の分化誘導方法。
(11)メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養されたヒトiPS細胞を、さらに、肝臓分化誘導培地で培養してアルブミン分泌能をもつ肝臓細胞へと分化誘導する、前記(2)〜(5)のいずれか一つに記載の分化誘導方法。
(12)メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養された哺乳動物由来の多能性幹細胞。
(13)前記哺乳動物由来の多能性幹細胞が、ヒト又はマウス由来のES細胞、又はヒト又はマウス由来のiPS細胞である、前記(12)に記載の細胞。
(14)前記細胞が前記未分化維持培地で少なくとも5時間培養された細胞である、前記(12)または(13)に記載の細胞。
(15)メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養され、次いで膵臓分化誘導培地で培養された経歴を有する、ヒトiPS細胞から分化誘導されたインスリン産生能をもつ細胞。
(16)メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養され、次いで肝臓分化誘導培地で培養された経歴を有する、ヒトiPS細胞から分化誘導されたアルブミン分泌能を有する細胞。
(17)前記未分化維持培地での培養が少なくとも5時間である前記(15)または(16)に記載の細胞。
(18)培地中にメチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地。
(19)多能性幹細胞が、ヒト又はマウス由来のES細胞、又はヒト又はマウスのiPS細胞である、前記(18)に記載の未分化維持培地。
(20)前記(18)または(19)に記載の未分化維持培地と多能性幹細胞の分化誘導培地からなる、多能性幹細胞分化誘導培地キット。
本発明は、多能性幹細胞を、未分化維持状態においてアミノ酸組成変更培地、具体的にはメチオニン除去培地で培養することにより、内胚葉のみならず中胚葉・外胚葉への分化も促進できる方法である。
ES細胞/iPS細胞におけるメチオニン代謝の概略図を示している。 特定のアミノ酸を除去した維持培地で201B7細胞を2日間培養したときの、細胞増殖阻害と細胞数の変化を示している。 Metまたはメチルドナー(MD:メチオニン、葉酸、ビタミンB12、ベタインおよびコリン)を除去した維持培地で201B7細胞を2日間培養したときの影響、およびMet除去またはMD除去に対する、各種メチオニン関連代謝物(Met、SAM、SAH、Hcy、Cys、およびMTA)の補充効果を確認した結果である。上段は、細胞の形態を、下段は、細胞数を見たものである。 未分化細胞をメチオニン除去培地で培養した場合のHcyの培地中への排出([Hcy]e memdium)を確認した結果である。 未分化維持培地中のメチオニン濃度を下げた場合の細胞に対する影響を確認した結果である。AおよびBは細胞数の変化、CはEdU陽性細胞の変化、Dはアポトーシスを示している。Eは、各細胞周期の細胞の割合を示している。 未分化維持培地中からの長期間のメチオニン除去による、細胞に対する影響を確認した結果である。 完全培地またはMet除去培地で5時間培養した未分化hiPS細胞の遺伝子発現プロファイルを比較し、その差が1.5倍以上になった遺伝子を示している。 培地から5時間に渡ってMetを除去した時の、EGR1、P21、およびDHRS2の転写レベルの変化を示した図である。 培地から5時間に渡ってMetを除去した時の、各タンパク質の発現を、ウェスタンブロット分析により確認した結果である。 培地から5時間に渡ってMetを除去した時の、p53+細胞の割合の変化を示した結果である。 培地から各種アミノ酸を除去した時の、p53+細胞の割合の変化を示した結果である。 培地からのMet除去によるp53−p38経路に対する影響、および、それに対するSAMおよびSB239063の効果をウェスタンブロットおよび細胞数により確認した結果である。 培地からのMet除去による、NANOG発現への影響をウェスタンブロットにより確認した結果である。 培地からのメチルドナー除去による、NANOG発現への影響を確認した結果である。 短期間(5時間又は10時間)の培地からのMet除去の効果を確認した結果である。 ヒトiPS細胞を、短時間(7時間)のMet除去培地での培養後に、膵臓分化させた場合の効果を確認した結果である。 ヒトiPS細胞を、短時間(5時間)のMet除去培地での培養後に、肝臓分化させた場合の効果を確認した結果である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に記載の態様に限定されるものではない。
マウスES細胞は、高代謝フラックス状態にあり、トレオニン異化に高い依存性を示す。メチオニン(Met)は必須アミノ酸である。メチオニンの代謝を図1に示す。その重要な代謝物の一つは、S−アデノシルメチオニン(SAM)であり、メチオニンアデノシルトランスフェラーゼ(MAT)によって触媒される代謝反応中間体を経て生成される。SAMは、遺伝子調節のための重要なメチル供与体であり、DNAメチル化およびヒストンのメチル化を含むタンパク質メチル化は、メチル供与体としてSAMを用いてメチルトランスフェラーゼによって触媒される。S−アデノシルホモシステイン(SAH)は、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMTs)を含むメチルトランスフェラーゼによってトランスメチレーションの産物として生成され、その後、SAH加水分解酵素(AHCY)によりホモシステイン(Hcy)に変換される。ホモシステインは、再メチル化され、5−メチルテトラヒドロ葉酸−ホモシステインメチルトランスフェラーゼ(MTR)によってメチオニンに変換される。その反応は、メチル基供与体として、葉酸とビタミンB12またはベタインホモシステインメチルトランスフェラーゼ(BHMT)を必要とする。あるいは、Hcyは、シスタチオニンβ−シンターゼ(CBS)によってシスタチオニンに変換され、次いでさらにシスタイオナーゼ(CTH)でシステインに代謝される。ポリアミン生合成の副産物であるS−メチル−5’−チオアデノシン(MTA)がいくつかの酵素の工程を経てメチオニンに酵素的に変換される、メチオニンサルベージ経路もまた、メチオニンの代謝に含まれる。
本発明で用いる「多能性幹細胞」とは、自己複製能を有しインビトロにおいて培養することが可能で、かつ、個体を構成する細胞に分化しうる多分化能を有する細胞をいう。具体的には、胚性幹細胞(ES細胞)、胎児の始原生殖細胞由来の多能性幹細胞(GS細胞)、体細胞由来の人工多能性幹細胞(iPS細胞)等をあげることができるが、本発明で特に好ましく用いられるのはiPS細胞又はES細胞であり、特に好ましくは、ヒトiPS細胞及びヒトES細胞である。
本発明で用いるES細胞は、哺乳類動物由来のES細胞であればよく、その種類や取得方法などは特に限定されない。哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ヤギ、サル又はヒト等をあげることができ、好ましくは、マウス又はヒトであり、さらに好ましくはヒトである。
ES細胞は、一般的には、胚盤胞期の受精卵をフィーダー細胞と一緒に培養し、増殖した内部細胞塊由来の細胞をばらばらにして、さらに、植え継ぐ操作を繰り返し、最終的に細胞株として樹立することができる。このように、ES細胞は、受精卵から取得することが多いが、受精卵以外、例えば、脂肪組織、胎盤、精巣細胞から取得することもでき、いずれのES細胞も本発明の対象である。
また、iPS細胞(人工多能性幹細胞)とは、分化多能性を獲得した細胞のことで、体細胞(例えば、線維芽細胞など)へ分化多能性を付与する数種類の転写因子(分化多能性因子)遺伝子を導入することにより、ES細胞と同等の分化多能性を獲得した細胞のことである。「分化多能性因子」としては、多くの因子が報告されており、特に限定しないが、例えば、Octファミリー(例えば、Oct3/4)、Soxファミリー(例えば、Sox2、Sox1、Sox3、Sox15及びSox17など)、Klfファミリー(例えば、Klf4、Klf2など)、Mycファミリー(例えば、c−Myc、N−Myc、L−Mycなど)、Nanog、LIN28などを挙げることができる。iPS細胞の樹立方法については、多くの報告がなされており、それらを参考にすることができる(例えば、Takahashiら,Cell 2006,126:663−676;Okitaら,Nature 2007,448:313−317;Wernigら,Nature 2007,448:318−324;Maheraliら,Cell Stem Cell 2007,1:55−70;Parkら,Nature 2007,451:141−146;Nakagawaら,Nat Biotechnol 2008,26:101−106;Wernigら,Cell Stem Cell 2008,10:10−12;Yuら,Science 2007,318:1917−1920;Takahashiら,Cell 2007,131:861−872;Stadtfeldら,Science 2008 322:945−949など)。
本発明で用いる「未分化細胞」とは、多分化能を有する細胞を意味し、また、文脈においては、多能性幹細胞、例えばES細胞やiPS細胞を分化誘導処理した後も分化誘導が起こらず引き続き多分化能を有している細胞を意味する。
本発明において、哺乳動物由来のES細胞の培養方法は常法により行うことができる。例えば、フィーダー細胞としてマウス胎児線維芽細胞(MEF細胞)を用い、白血病阻害因子、KSR(ノックアウト血清代替物)、ウシ胎仔血清(FBS)、非必須アミノ酸、L−グルタミン、ピルビン酸、ペニシリン、ストレプトマイシン、β−メルカプトエタノールを加えた培地、例えばDMEM培地を用いて維持することができる。
本発明において、iPS細胞の培養も定法により行うことができる。例えば、フィーダー細胞としてMEF細胞を用いて、bFGF、KSR(ノックアウト血清代替物)、非必須アミノ酸、L−グルタミン、ペニシリン、ストレプトマイシン、β−メルカプトエタノールを加えた培地、例えばDMEM/F12培地を用いて維持することができる。
多能性幹細胞の培養のための培地は、多能性幹細胞の「維持培地」又は「未分化維持培地」、および「分化培地」又は「分化誘導培地」がある。本明細書においては、「維持培地」又は「未分化維持培地」は、互いに同じ意味を表すものであり、相互に交換して使用でき、また、本明細書においては、「分化培地」又は「分化誘導培地」は、互いに同じ意味を表すものであり、相互に交換して使用できる。
維持培地は、多能性幹細胞を、未分化の状態で、維持、培養するための培地であり、単に細胞を保存するために維持、培養する場合、および分化誘導に先立って細胞を維持、培養する場合のいずれにも用いられるが、本発明において用いる維持培地は、多能性幹細胞の分化誘導に先だって、多能性幹細胞を維持、培養するための培地を意味する。かかる培地は、これに限定されないが、ES/iPS細胞の維持培養に用いられる白血病阻害因子(LIF)やbFGF等の未分化維持に寄与する因子を含むことができる。本発明における多能性幹細胞、例えばES細胞又はiPS細胞の未分化維持培養は、フィーダー細胞を含む培養系、フィーダーフリーの培養系のいずれも含む。フィーダー細胞としては、例えば、mmcMEF細胞をあげることができるが、これに限定されるものではない。また、フィーダーフリーの培養系としては、例えば、マトリゲルをあげることができるが、これに限定されるものではない。
分化培地は、多能性幹細胞を、内胚葉、中胚葉又は外胚葉のいずれかに分化誘導させるための培地であり、目的の分化指向に応じて、異なった培地が用いられるのが一般的である。
本発明で用いられる培地は、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地として調製することができる。基礎培地としては、例えば、BME培地、BGjB培地、CMRL 1066培地、Glasgow MEM培地、Improved MEM培地、IMDM培地、Medium 199培地、Eagles MEM培地、αMEM培地、DMEM培地、ハム培地、RPMI 1640培地、Fischer’s培地、およびこれらの混合培地等をあげることができるが、動物細胞の培養に用いることのできる培地であれば特に限定されない。
本発明で用いられる培地は、血清含有培地、無血清培地であり得るが、異種成分の排除による細胞移植の安全性の確保という点、および/またはMet除去を十分に制御するという点からは、無血清培地が好ましい。ここで、無血清培地とは、無調整又は未精製の血清を含まない培地を意味し、精製された血液由来成分や動物組織由来成分(例えば、増殖因子)が混入している培地は無血清培地に該当するものとする。かかる無血清培地としては、例えば、市販のKSRを適量(例えば、1−20%)添加した無血清培地、インスリンおよびトランスフェリンを添加した無血清培地、細胞由来の因子を添加した培地等をあげることができるが、これらに限定されない。
本発明で用いられる培地はまた、血清代替物を含んでいても、また含んでいなくともよい。血清代替物は、例えば、アルブミン(例えば、脂質リッチアルブミン)、トランスフェリン、脂肪酸、インスリン、コラーゲン前駆体、微量元素、2−メルカプトエタノール又は3’−チオールグリセロール、あるいはこれらの均等物などを適宜含有するものが可能である。かかる血清代替物は、例えば、国際公開第93/30679号公報に記載の方法により調製することができるが、市販のものを利用することもできる。かかる市販の血清代替物としては、例えば、上記KSRがあげられる。
本発明で用いられる培地はまた、脂肪酸又は脂質、アミノ酸(例えば、非必須アミノ酸)、ビタミン、増殖因子、サイトカイン、抗酸化剤、2−メルカプトエタノール、ピルビン酸、緩衝剤、無機塩類等、任意の成分を含有できる。ただし、本発明に従って、メチオニンを培地から除く場合は、培地はメチオニンを含有しない。
本発明で言う多能性幹細胞の「分化」又は「分化誘導」とは、多能性幹細胞が、内胚葉、中胚葉又は外胚葉のいずれかに分化誘導されることを含む意味で用いられ、更にはまた、それらが、いずれかの生体を構成する臓器又は器官細胞へと分化することを含む意味でも用いられる。
本発明における多能性幹細胞、例えばES細胞又はiPS細胞の分化誘導は、フィーダー細胞を含む培養系、フィーダーフリーの培養系のいずれも含む。フィーダー細胞としては、例えば、mmcM15細胞をあげることができるが、これに限定されるものではない。また、フィーダーフリーの培養系としては、例えば、擬似基底膜sBM(synthesized Basement Membrane substratum)をあげることができるが、これに限定されるものではない。
本発明においては、多能性幹細胞、例えば、ES細胞やiPS細胞を分化誘導する場合に、それに先だって、多能性幹細胞を、メチオニンを除去した維持培地(本明細書中では、「メチオニンを含まない培地」、「メチオニン(Met)除去培地」または「ΔMet培地」と表記する場合がある)により培養(または維持)することにより、多能性幹細胞の分化指向性を改善でき、その結果、分化誘導効率を向上させることができる。
ここで、多能性幹細胞をΔMet培地で培養(または維持)とは、多能性幹細胞をΔMet培地中に置くことを意味し、細胞が増殖する場合および増殖せず単に培地中に一定期間置かれる場合のいずれも含む意味である。
本発明でいう「メチオニン除去培地」とは、未分化多能性幹細胞の分化誘導効率を上げることができる、未分化多能性幹細胞を未分化の状態で培養するためのメチオニンを含まない維持培地を意味する。従って、メチオニンを含まない多能性細胞の培養のための培地であっても、多能性幹細胞の分化を積極的に誘導するいわゆる分化培地は、本明細書で言うメチオニン除去培地には含まれない。本明細書で言うメチオニン除去培地は、幹細胞を培養維持でき、培地中にメチオニンを含まない限り、その種類及び組成は特に制限がなく、例えば、公知の幹細胞の維持培地からメチオニンを除いた培地をあげることができる。好ましくは、CSTI7(細胞科学研究所)培地からなるメチオニン除去培地である。
本明細書で言う分化培地としては、特に限定されないが、例えば消化管、肝臓、膵臓等への分化を望む場合は、内胚葉分化培地が該当し、例えば体腔、血管、心臓等への分化を望む場合は、中胚葉分化培地が該当し、例えば表皮や神経への分化を望む場合は、外胚葉分化培地が該当する。その他、特定の器官細胞への分化誘導を行う培地、例えば、肝臓分化培地や膵臓分化培地も含む。これらの分化誘導培地を、本発明のメチオニン除去培地と組み合わせて、多能性幹細胞を本発明のメチオニン除去培地で一定期間培養した後、培地を分化培地に交換して分化させることにより、効率よい分化誘導を行うことができる。これらの組合せも全て本発明の一部である。
本発明のメチオニン除去培地と組み合わせることができる分化培地は、特に限定されず、一般の分化培地の他、特許文献1に記載の本発明者らが報告した特定のアミノ酸が除去された分化培地も用いることができる。
本発明の「メチオニンを含まない培地」または「メチオニン除去培地」とは、培地中に、メチオニンを全く含まない場合に加えて微量に含有する場合を含む。微量に含有する培地とは、メチオニンを低濃度でしか含有しないために、分化誘導に先立って未分化多能性幹細胞を培養することにより分化誘導効率を上げることができる培地を意味する。より具体的には、本発明の「メチオニンを含まない」とは、メチオニンを培地中に、全く含まない場合の他、10μM以下、好ましくは5μM以下、さらに好ましくは1μM以下、最も好ましくは0.1μM以下含有することを意味する。なお一般的には、多能性幹細胞の維持培地には、メチオニンは100μM以上の濃度で含まれる。
本発明の「多能性幹細胞をメチオニン除去培地で培養する」とは、多能性幹細胞を、メチオニンを除去した未分化維持培地で、少なくとも一定時間以上の間、培養または維持することを意味する。メチオニン除去培地で培養または維持する時間の下限は、その後の分化誘導において目的の分化誘導効率を達成できる限り特に制限はないが、好ましくは少なくとも3時間、特に好ましくは少なくとも5時間、更に好ましくは少なくとも10時間である。また、メチオニン除去培地で培養または維持する時間の上限は、好ましくは24時間以下である。あまり長時間、メチオニン除去培地で未分化細胞を培養または維持すると、細胞のアポトーシスを引き起こし安定した分化誘導が得られない場合がある。
本発明の方法に従い、上記の期間、多能性幹細胞をメチオニン除去培地で培養した後、培地を分化誘導培地に交換して多能性幹細胞の分化誘導を行うことにより、分化誘導効率が改善できる。
本発明の「分化に耐性である」とは、多能性幹細胞(例えば、ES細胞またはiPS細胞)の個々の細胞または細胞集団が有する分化指向性のために、特定の系譜への分化が起こりにくいことを意味する。例えば、内胚葉への分化が耐性であるとは、外胚葉や中胚葉への分化指向性が内胚葉への分化指向性に比べて強く、内胚葉への分化が他への分化に比べて起こりにくいことを意味する。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(A)材料と方法
(1)セルライン
ヒトES細胞は、熊本大学の治験審査委員会によって承認され、日本政府のhES細胞ガイドラインに従って使用した。未分化ヒトES細胞(khES1、khES3)(Suemori et al.,Biochem Biophys Res Commun 345, 926-932. 2006参照)とiPS細胞(201B7、253G1)(Takahashi et al., Cell 131, 861-872. 2007参照) (Toe) (国立成育医療研究センター(東京、日本)の豊田らによって樹立されたものを、NIBIO(日本)のセルバンクから得た。)は、非特許文献4(Shiraki et al., Genes Cells, 2008)の記載に従って維持した。Met除去試験においては、完全維持培地で培養した未分化細胞である201B7細胞を、完全CSTI-7培地(細胞化学研究所(CSTI)、仙台、日本)またはMet除去CSTI-7培地にて、マトリゲルコートプレート上で培養した。
(2)hES細胞およびhiPS細胞の胚性内胚葉への分化
フィーダーフリー内胚葉分化は、iPS細胞を、1.6×105cells/cm2にて、フィブロネクチンコートしたプレートに播種し、そして翌日分化培地に切り替えた。分化培地は、100 ng/mLアクチビン、2% B27を補充したRPMI 1640培地を用いた。メチオニン除去による処理は、培地を分化培地に切り替える前に、細胞をMet除去した維持培地を用いて一定時間(例えば、5時間、または10時間)培養した。
(3)中胚葉および外胚葉分化
ES/iPS細胞を、1.6×105cells/cm2にて、フィブロネクチンコートしたプレート上に播種し、翌日分化培地に切り替えた。中胚葉への分化は、50 ng/mLのBMP4(Peprotech)とITS(Invitrogen)を補充したStemline II 無血清培地(Sigma)を用いた。外胚葉への分化は、10μM SB431542(Merck)、0.2μM Dorsomorphin(Sigma)、1% N2(Invitrogen)、2% B27(Invitrogen)を補充した、RPMI 1640培地(Invitrogen)を用いた。メチオニン除去による処理は、培地を分化培地に切り替える前に、細胞をMet除去した維持培地(CSTI)で一定時間(例えば、5時間または10時間)培養した。
(4)リアルタイムPCR、免疫細胞化学、フローサイトメトリーおよびウェスタンブロティング分析
リアルタイムPCR、免疫細胞化学、フローサイトメトリー分析及びウェスタンブロットは、非特許文献5(Shiraki et al., PLoS One, 2011)に記載された方法に従って行った。プライマー配列を表1に示す。フォワードプライマーを上から配列番号1〜10、リバースプライマーを上から配列番号11〜20とする。また、抗体情報を表2に示す。免疫細胞化学的分析では、全細胞(DAPI陽性細胞)に対する陽性細胞を、ImageXpress Micro 細胞イメージングシステム (Molecular Devices Sunnyvale、CA)を用いて定量した。
(5)細胞周期分析
固定した細胞をDAPIおよび抗リン酸化ヒストンH3 ser10抗体(pH3、millipore)を用いて染色した。画像は、ImageXpress Microで取得し、細胞周期のアプリケーションモジュール(モレキュラーデバイス)を用いて分析した。
(6)アポトーシス分析
アポトーシスは、インサイテュー細胞死検出キット(In Situ Cell Detection Kit:Roche、Penzberg、ドイツ)を用いて、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介d-UTPニックラベリング(TUNEL)法によって検出した。
(7)細胞増殖の測定
細胞増殖は、Click-iTtm EdU Kit (Invitrogen)を用いて、細胞周期のS期の間のゲノムDNA中へのEdUの取り込みによって測定した。
(8)培地中Hcyの濃度測定
Hcyの測定は、Jiangら(Talanta 77, 1279-1284., 2009)の記載に基づいて、タンデム質量分析、TQD(UPLC-MS/MS、Waters Corporation、Milford、MA、USA)を備えた超高性能液体クロマトグラフィーを用いて行った。分離は、Acquity UPLC BEH C18カラムを使用した。培養した培地を回収し、10mM DTTにて37℃で10分間インキュベートし、細胞から分泌された全Hcyを含む培地を得た。培地を50%のアセトニトリルを用いて脱タンパクし、ろ過し、次いで、等量の50mMトリス-HCl、pH8.8で希釈した。各試料を注入し、各代謝物の段階的に希釈した標準液から得られた標準曲線に基づいて、目的物のそれぞれの量を算出した。
(B)実施例および参照例
(1)実施例1:維持培地からのアミノ酸除去による影響
未分化201B7細胞の培養を維持している間、すなわち、分化培地で分化誘導する前の未分化維持期間において、2日間維持培地から単一のアミノ酸を除去し、細胞生存率への影響を検討した。201B7細胞をマトリゲル(BD)で24時間コートした96ウェルプレート(corning)に、5x104cells/wellの密度で播種した。培養液は、未分化維持培養培地Reproff(Reprocell、日本)を用いた。播種2日後に、培養液を完全培地(Complete)および各種アミノ酸除去培地(細胞科学研究所に依頼して作成)に変更し、48時間後の細胞数について解析した。結果を図2に示す。各種アミノ酸除去培地に変更後の、48時間後の細胞数を示している。その結果、Leu、Lys、トリプトファン(Trp)、MetまたはCysの除去は、細胞数の減少をもたらすことがわかった。
(2)実施例2:未分化幹細胞におけるメチオニン代謝
未分化hiPS細胞(201B7)におけるメチオニン代謝の役割を調べるために、維持培地で、Met除去、メチルドナー(MD:メチオニン、葉酸、ビタミンB12、ベタインおよびコリン)除去、またはCys除去を行い48時間培養した。また、Met除去またはMD除去に対する、各種メチオニン関連代謝物(Met、SAM、SAH、Hcy、Cys、およびMTA)の補充効果を確認するために、各除去培地に対してそれぞれを100μMとなるようにして補充した。結果を図3に示す。MetまたはMD除去は、多能性未分化201B7細胞の生存を阻害し、これは、MetまたはSAMの補充によって救出された(図3上図)。HcyまたはMTAの補充効果を、MetまたはSAMの補充と比較した(図3下図)。細胞生存の救出において、Met補充が最も効果的であり、次いでSAMであった。Hcyの補充は、Metに比べて限定的であり、MD除去条件下での細胞生存を救うことができなかった。Hcyは、MDなしでMetには変換できないので、この結果はMetのレベルが重要であることを示している。MTAの補充は、MetおよびMDが除去された状態下での細胞枯渇を救出した。このことは、MTAがサルベージサイクルを通してMetに変換されたことを示唆している。これとは対照的に、HcyまたはCys補充は、Cys除去によって引き起こされる細胞枯渇を救った。このことは、CysおよびMetの未分化細胞の生存に対する影響が、異なったメカニズムを通して起こっていることを示している。
これらの結果は、細胞内のMetレベルが未分化hiPS細胞の生存に重要であることを示唆している。SAMとMTAは、サルベージ経路またはMetサイクルを通じて代謝されてMetに変換される。Hcyは、Metサイクルを通じてMetに変換される。これらの代謝産物は、細胞内Metレベルの維持に持に重要であるとわかった。
(3)実施例3:メチオニン除去がHcyの細胞外排出([Hcy]e medium)に与える影響
ヒトES細胞(khES3)を実験に使用した。未分化細胞を、コントロール完全培地で培養した場合の細胞外Hcy濃度の推移を図4左図にしめす。右図には、未分化細胞(白色)および分化5日目の内胚葉細胞(灰色)を実験材料として、コントロール完全培地(C)およびメチオニン除去培地(ΔMet)で24時間培養した場合のHcyの総排出量を示している。未分化細胞は内胚葉細胞に対して、コントロールの状況でHcy細胞外排出量が顕著に高くなった。また、未分化細胞では、メチオニン除去によりHcy細胞外排出が顕著に抑制されたが、内胚葉ではそのような抑制は見られなかった。
(4)実施例4:Met除去による細胞周期停止および生存の不可逆的阻害
未分化hiPS細胞(201B7細胞)の細胞増殖に対する維持培地中のMet濃度の効果を調べた。細胞を完全維持培地およびΔMet培地で48時間培養し、細胞数の変化を確認した。結果を図5に示す。培地中のMet濃度は、120μMから12μMへと下げたとき、細胞増殖が減少した(図5A)。時間を追った試験により、細胞数および細胞増殖の有意な減少が、Met除去5時間後から観察され、SAMレベルの減少と一致した(図5BおよびC)。対照的に、アポトーシスは、Met除去の24時間後に有意に増加した(図5D)。G0−G1期停止、並びにSまたはG2−M期における細胞集団の減少は、24時間という長期のMet除去に次いで観察され、細胞内Met減少のタイミングと一致した(図5E)。以上のことより、未分化なヒトES/iPS細胞を、メチオニン除去培地で培養すると、細胞数が24時間では変化しないが48時間では顕著に減少し、このことは、細胞周期が止まり、G0/1 arrestが起きていることが起因していると考えられる。また、24時間後には細胞増殖が止まっていることはEdU陽性細胞の解析からも確認できた。
24時間の長期のMet除去が細胞の生存にどのように影響するかを検討するために、5時間または24時間のMet除去を行い、次いで、完全培地又はMet除去培地で24時間培養した。結果を図6に示す。図6左図は、a〜hの各条件における完全培地とMet除去培地での培養スケジュールを示している。5時間Met除去は可逆的であり、完全培地に切り替えたときに細胞が増殖し始めた(図6中図、c)。しかし、24時間に及ぶMet除去の場合は、細胞を完全培地に切り替えた場合でも、細胞増殖は回復しなかった。(図6右図、g)。
これらの結果は、未分化幹細胞が増殖を維持するためにMetを必要としていることを示唆している。また、SAMは、早期にセンサーとして機能することを示している。Met除去はSAMの減少と増殖の減少をもたらし、24時間という長期のMet除去は、細胞内Met濃度の減少を引き起こし、アポトーシスにつながった。
(5)実施例5:未分化hiPS細胞におけるMet除去p53-p38シグナリング経路
細胞生存障害を引き起こす責任シグナル伝達経路の特定を行った。完全培地またはMet除去培地で5時間培養した未分化hiPS細胞の遺伝子発現プロファイルを比較した。その結果、図7に示すように、細胞周期遺伝子、例えば、P21、GADD45A、GADD45B、MDM2、またはアポトーシスに関与するp53依存性遺伝子、例えば、DHRS2(Hep27タンパク質をコードする遺伝子)、EGR1、FAS、TNFRSF10A、TNFRSF10DおよびRIPK2、の発現の有意な増加が観察された。未分化hiPS細胞を使用し、培地から5時間に渡ってMetを除去した場合、EGR1、P21、およびDHRS2の転写レベルがアップレギュレートされたことを確認した。結果を図8に示す。
次に、タンパク質レベルでのアップレギュレーションをウェスタンブロット分析および免疫細胞化学的解析を用いて調べた。201B7細胞を、完全培地およびΔMet培地で培養し、経時的にタンパク質の発現を確認した。結果を図9および図10に示す。分化促進作用が報告されているp53タンパク質の発現の上昇が、Met除去5時間以内に確認され、また、そのリン酸化形(p−p53)ならびにp53の下流標的であるリン酸化p38(p−p38)も、Met除去の5時間以内に増加した(図9)。細胞をMet除去状態に5時間以上さらした場合には、p53を発現した細胞数は増加し、その増加はMet補充により元に戻った(図10)。次に、Met以外の他のアミノ酸を除去した培地を用いて同様にして、免疫細胞化学的解析を行った。結果を図11に示す。p53+細胞の増加は、Met除去の条件下で特異的に観察されたが、Leu又はLys除去では観察されなかった。Met除去によるアップレギュレーションに対する、SAMおよびp38の阻害剤であるSB239063の影響を確認した。結果を図12に示す。p53−p38経路の活性化は、SAM添加により戻った(図12左図)。また、p38の阻害剤SB239063 (SB)は、48時間のMet除去での培養による細胞死を部分的に食い止めた(図12右図)。
これらの結果は、p53−p38のシグナル伝達経路が、Met除去およびSAM濃度減少によって誘発される、5時間での初期レスポンスであることを示している。また、p38の活性化は、未分化hiPS細胞の細胞周期停止およびアポトーシスの部分的原因であることを示している。
(6)実施例6:Met除去によるNANOGへの影響
Met除去の5時間後に、細胞内のSAMとSAHが減少し、それは、p53−p38の活性化を誘発した。そこで、Met除去により、多能性マーカーの発現が影響されたかどうかを検討した。
ヒトiPS細胞(201B7)をマトリゲル(BD)で24時間コートした6 well plate (corning) に5x105 cells/wellの密度で播種した。培養液はReproff (Reprocell)を用いた。播種2日後に培養液をCompleteおよびメチオニン除去培地(ΔMet)(細胞科学研究所に依頼した特注培地)に変更し、5, 7, 9, 11, 13, 15, 24時間後のNanog発現についてウェスタンブロット法で解析した。結果を、図13に示す。Met除去の5時間後に、未分化hiPS細胞において、未分化マーカーであるNanog発現が減少した。一方、他の未分化マーカーであるOct3/4の発現には変化が見られなかった。これにより、未分化状態維持において、培地中からメチオニンを除去すると細胞は分化しやすい状態になることが分かった。
次いで、メチルドナー(ΔMD)除去による影響を確認した。上記と同様にして、ヒトiPS細胞(201B7)を、播種2日後に培養液をComplete、メチオニン除去培地(ΔMet)およびメチルドナー除去培地(ΔMD)(CSTI)に変更し、24時間後のOct3/4およびNanog陽性細胞を免疫染色で評価した。細胞を4%PFAで固定後に、抗Oct3/4抗体(SantaCruz)および抗Nanog抗体(トランスジェニック)で染色し、核をDAPI(Roche)で染色した。染色後の写真撮影および解析にはImageXpress Micro(モレキュラーデバイス)を用いた。結果を図14に示す。
(7)実施例7:短期間のMet除去の影響
次いで、5〜10時間の短期のMet除去が、hiPS細胞の分化能を増大させるかどうかを検討した。上記(A)(2)および(3)に従って、ΔMet培地で5時間又は10時間培養後、内胚葉への分化培地又は中胚葉或いは外胚葉への分化培地に移して分化を行った。結果を図15に示す。SOX17+とFoxa2発現レベルの割合(図15A−C)は、対照条件に比べてMet除去で増加し、このことは、Met除去が胚性内胚葉への分化を増強することを示した。そこで、分化の増強は、他の胚葉においても起こるかどうかを検討した。hiPS細胞から、Metが奪われそして中胚葉分化に順応するように向けられたとき、Tタンパク質を発現する細胞の高い割合と、PDGFRα転写産物の高発現が観察された(図15D−F)。同様に、外胚葉および神経系譜へと分化するように向けられた場合、PAX6又はMAP2の転写産物の発現レベルは、完全培地で培養された場合と比較して増加した(図15G、H)。これらの結果は、細胞を5〜10時間という短期のMet除去に曝すことにより、NANOG発現を減少し、hiPS細胞の3胚葉への全体の分化能が増加することを示した。
(8)実施例8:短期間のMet除去の膵臓分化への影響
10時間の短期のMet除去が、hiPS細胞の膵臓分化を促進するかを検討した。hiPS細胞(201B7)を、Met除去培地で7時間前処理した後に膵臓分化を行った。膵臓分化に関しては、既報の方法(Shahjalal H et al., J Mol. Cell. Biol., 2014、PMID 24970864)をもとに行った。22日間の培養後に細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定して、抗インスリン抗体で染色し、核をDAPIで染色した。結果を図16に示す。Complは完全培地、ΔMetはMet除去培地で10時間前処理した後に、それぞれ膵臓分化を行った結果を示している。インスリン陽性細胞の割合は、完全培地では6%、ΔMet群では43%まで増加した。
(9)実施例9:短期間のMet除去の肝臓分化への影響
10時間の短期のMet除去が、hiPS細胞の肝臓分化を促進するかを検討した。hiPS細胞(Toe)を、Met除去培地で5時間前処理した後に肝臓分化を行った。肝臓分化に関しては、既報の方法(Yamazoe T et al., J Cell Sci., 2013, PMID 24101719)をもとに行った。培養上清中に分泌されるアルブミンをELISAを用いて定量した。結果を図17に示す。Complは完全培地、ΔMetはMet除去培地で10時間前処理した後に肝臓分化を行った結果を示している。培養17日目(D17)においてアルブミン分泌量はΔMet群で増加することから、ΔMet前処理が肝臓分化を促進することが示唆された。
上記の記載は、本発明の目的及び対象を単に説明するものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。添付の特許請求の範囲から離れることなしに、記載された実施態様に対しての、種々の変更及び置換は、本明細書に記載された教示より当業者にとって明らかである。
本発明によれば、多能性幹細胞、例えばES細胞やiPS細胞を効率よく分化誘導できる。また、本発明により、多能性幹細胞の分化誘導における細胞株間の分化指向性の問題を改善できるので、細胞株選別の問題を回避でき、分化誘導が効率よく行える。従って、本発明は、多能性幹細胞の分化誘導を利用する、研究および再生医療のおいて有用なものである。

Claims (20)

  1. 哺乳動物由来の多能性幹細胞を分化誘導する方法であって、
    (a)該多能性幹細胞を、メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養する工程、および
    (b)該未分化維持培地で培養した該多能性幹細胞を、分化誘導培地で培養して分化誘導する工程、
    を含む分化誘導方法。
  2. 前記哺乳動物由来の多能性幹細胞が、ヒト又はマウス由来のES細胞、又はヒト又はマウス由来のiPS細胞である、請求項1に記載の分化誘導方法。
  3. 前記細胞を前記未分化維持培地で少なくとも5時間培養することを含む請求項1または2に記載の分化誘導方法。
  4. 前記細胞を前記未分化維持培地で少なくとも10時間培養することを含む請求項3に記載の分化誘導方法。
  5. 前記細胞を前記未分化維持培地で24時間を超えない期間で培養することを含む請求項1〜4のいずれか一つに記載の分化誘導方法。
  6. メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養された哺乳動物由来の多能性幹細胞を、さらに内胚葉、中胚葉または外胚葉のいずれかに分化誘導する、請求項1〜5のいずれかひとつに記載の分化誘導方法。
  7. 前記多能性幹細胞が内胚葉への分化に耐性である幹細胞であって、かつ、前記分化誘導培地が内胚葉への分化誘導培地である、請求項1〜6いずれかひとつに記載の方法。
  8. 前記多能性幹細胞が中胚葉への分化に耐性である幹細胞であって、かつ、前記分化誘導培地が中胚葉への分化誘導培地である、請求項1〜6のいずれかひとつに記載の方法。
  9. 前記多能性幹細胞が外胚葉への分化に耐性である幹細胞であって、かつ、前記分化誘導培地が外胚葉への分化誘導培地である、請求項1〜6のいずれかひとつに記載の方法。
  10. メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養されたヒトiPS細胞を、さらに、膵臓分化誘導培地で培養してインスリン産生能をもつ膵臓細胞へと分化誘導する、請求項2〜5のいずれか一つに記載の分化誘導方法。
  11. メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養されたヒトiPS細胞を、さらに、肝臓分化誘導培地で培養してアルブミン分泌能をもつ肝臓細胞へと分化誘導する、請求項2〜5のいずれか一つに記載の分化誘導方法。
  12. メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養された哺乳動物由来の多能性幹細胞。
  13. 前記哺乳動物由来の多能性幹細胞が、ヒト又はマウス由来のES細胞、又はヒト又はマウス由来のiPS細胞である、請求項12に記載の細胞。
  14. 前記細胞が前記未分化維持培地で少なくとも5時間培養された細胞である、請求項12または13に記載の細胞。
  15. メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養され、次いで膵臓分化誘導培地で培養された経歴を有する、ヒトiPS細胞から分化誘導されたインスリン産生能をもつ細胞。
  16. メチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地で培養され、次いで肝臓分化誘導培地で培養された経歴を有する、ヒトiPS細胞から分化誘導されたアルブミン分泌能を有する細胞。
  17. 前記未分化維持培地での培養が少なくとも5時間である請求項15または16に記載の細胞。
  18. 培地中にメチオニンを含まない多能性幹細胞の未分化維持培地。
  19. 多能性幹細胞が、ヒト又はマウス由来のES細胞、又はヒト又はマウスのiPS細胞である、請求項18に記載の未分化維持培地。
  20. 請求項18または19に記載の未分化維持培地と多能性幹細胞の分化誘導培地からなる、多能性幹細胞分化誘導培地キット。
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