JPWO2015059857A1 - 固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔 - Google Patents

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Abstract

ステンレス箔製の基体表面に、ストライクめっき層を介して、Sn合金層皮膜を被覆し、該ストライクめっき層の付着量を0.001〜1g/m2とする。

Description

本発明は、耐食性および密着性に優れた固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔に関するものである。
近年、地球環境保全の観点から、発電効率に優れ、CO2を排出しない燃料電池の開発が進められている。この燃料電池はH2とO2から電気化学反応によって電気を発生させるもので、その基本構造はサンドイッチのような構造を有しており、電解質膜(イオン交換膜)、2つの電極(燃料極および空気極)、O2(空気)とH2の拡散層および2つのセパレータから構成されている。
そして、使用される電解質膜の種類に応じて、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、アルカリ形燃料電池および固体高分子形燃料電池(PEFC;proton-exchange membrane fuel cellまたはpolymer electrolyte fuel cell)に分類され、それぞれ開発が進められている。
これらの燃料電池のうち、固体高分子形燃料電池は、他の燃料電池に比べて、
(a) 発電温度が80℃程度であり、格段に低い温度で発電ができる、
(b) 燃料電池本体の軽量化、小型化が可能である、
(c) 短時間で立上げができ、燃料効率、出力密度が高い
等の利点を有している。
このため、固体高分子形燃料電池は、電気自動車の搭載用電源、家庭用または業務用の定置型発電機、携帯用の小型発電機としての利用が期待されている。
固体高分子形燃料電池は、高分子膜を介してH2とO2から電気を取り出すものであり、図1に示すように、膜−電極接合体1を、ガス拡散層2,3(たとえばカーボンペーパ等)およびセパレータ4,5によって挟み込み、これを単一の構成要素(いわゆる単セル)とする。そして、セパレータ4とセパレータ5との間に起電力を生じさせる。
なお、上記の膜−電極接合体1は、MEA(Membrance-Electrode Assembly)と呼ばれていて、高分子膜とその膜の表裏面に白金系触媒を担持したカーボンブラック等の電極材料を一体化したものであり、厚さは数10μm〜数100μmである。また、ガス拡散層2,3は、膜−電極接合体1と一体化される場合も多い。
また、固体高分子形燃料電池を実用に供する場合には、上記のような単セルを直列に数十〜数百個つないで燃料電池スタックを構成し、使用するのが一般的である。
ここに、セパレータ4,5には、
(a) 単セル間を隔てる隔壁
としての役割に加え、
(b) 発生した電子を運ぶ導電体、
(c) O2(空気)とH2が流れる空気流路6、水素流路7、
(d) 生成した水やガスを排出する排出路(空気流路6、水素流路7が兼備)
としての機能が求められるので、優れた耐久性や電気伝導性が必要となる。
ここで、耐久性に関しては、電気自動車の搭載用電源として使用される場合は、約5000時間と想定されている。また、家庭用の定置型発電機等として使用される場合は、約40000時間と想定されている。したがって、セパレータには、長時間の発電に耐え得る耐食性が要求される。その理由は、腐食によって金属イオンが溶出すると高分子膜(電解質膜)のプロトン伝導性が低下するからである。
また、電気伝導性に関しては、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が極力低いことが望まれる。その理由は、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が増大すると、固体高分子形燃料電池の発電効率が低下するからである。つまり、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が小さいほど、発電特性に優れていると言える。
現在までに、セパレータとしてグラファイトを用いた固体高分子形燃料電池が実用化されている。このグラファイトからなるセパレータは、接触抵抗が比較的低く、しかも腐食しないという利点がある。しかしながら、グラファイト製のセパレータは、衝撃によって破損しやすいので、小型化が困難なだけでなく、空気流路、水素流路を形成するための加工コストが高いという欠点がある。グラファイトからなるセパレータが有するこれらの欠点は、固体高分子形燃料電池の普及を妨げる原因になっている。
そこで、セパレータの素材として、グラファイトに替えて金属素材を適用する試みがなされている。特に、耐久性向上の観点から、ステンレス鋼やチタン、チタン合金等を素材としたセパレータの実用化に向けて、種々の検討がなされている。
たとえば、特許文献1には、ステンレス鋼またはチタン合金等の不動態皮膜を形成しやすい金属をセパレータとして用いる技術が開示されている。しかしながら、不動態皮膜の形成は、接触抵抗の上昇を招くことになり、発電効率の低下につながる。このため、これらの金属素材は、グラファイト素材と比べて接触抵抗が大きく、しかも耐食性が劣る等の改善すべき問題点が指摘されていた。
特許文献2には、オーステナイト系鋼板(SUS304)等の金属セパレータの表面に金めっきを施すことにより、接触抵抗を低減し、高出力を確保する技術が開示されている。しかしながら、薄い金めっきではピンホールの発生を防止することが困難であり、逆に厚い金めっきではコストの問題が残る。
上記の問題を解決するものとして、発明者らは先に、特許文献3において、「金属製の基体の表面に、Sn合金層からなる皮膜を有し、該皮膜中に導電性粒子を含有する固体高分子形燃料電池のセパレータ用金属板」を提案した。
特開平8-180883号公報 特開平10-228914号公報 特開2012-178324号公報 特開2013-118096号公報
上記特許文献3に記載した固体高分子形燃料電池のセパレータ用金属板の開発により、固体高分子形燃料電池のセパレータの使用環境での耐食性を向上させることができた。
しかしながら、自動車などで使用する燃料電池への適用においては、搭載スペースやエネルギー効率の観点から、セパレータを薄くして、一層のコンパクト化を図ることが求められている。
そこで、発明者らは、特許文献4において、高Crステンレス鋼製の基体の素地表面に対し、中間層の形成処理を行わず、Cr過不動態溶解反応が生じるアノード電解処理を施した後、直ちにNi3Sn2層の形成処理を行う燃料電池用セパレータの表面処理方法を提案した。
これにより、Ni3Sn2層などのSn合金層からなる皮膜(以下、Sn合金層皮膜ともいう)を薄膜化した場合においても、優れた耐食性を有する固体高分子形燃料電池のセパレータが得られるようになった。
しかしながら、燃料電池の製造工程では、基体からSn合金層皮膜が剥離しないよう、基体とSn合金層皮膜との間で高い密着性が必要とされる。この点、上記特許文献4に記載の技術では、例えばセパレータを所望の形状に加工する工程や燃料電池セルを組み立てる工程、使用時の振動が激しい場合において、密着性が必ずしも十分とは言えない場合があり、皮膜の剥離が懸念された。
本発明は、上記の現状を鑑み開発されたもので、電気伝導性に優れるのはいうまでもなく、Sn合金層皮膜を薄くした場合であっても、固体高分子形燃料電池のセパレータ使用環境での優れた耐食性と、基体とSn合金層皮膜との間の優れた密着性を同時に得ることができる固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の課題を解決すべく、固体高分子形燃料電池用セパレータの素材としてステンレス箔を用い、このステンレス箔に対する種々の皮膜形成処理について、鋭意検討を行った。
その結果、以下の知見を得た。
(1)まず、発明者らは、密着性の向上を図るため、Sn合金層皮膜の形成に先立ち、ステンレス箔製の基体表面に、下地皮膜としてNiやCuといった純金属層等からなるストライクめっき層の形成を試みた。その結果、ステンレス箔製の基体表面に下地皮膜としてストライクめっき層を設けることで、Sn合金層皮膜の密着性が大きく向上することが判明した。ただし、このようなストライクめっき層を設けることは、コンパクト化の点では不利となる。
(2)そこで次に、発明者らは、上記したストライクめっき層を設けた上で、Sn合金層皮膜の一層の薄膜化を試みた。しかしながら、Sn合金層皮膜を薄くすると、Sn合金層皮膜から素地に通ずる欠陥が増加し、それらの欠陥を通じて、ストライクめっき層が連続的に腐食してしまう。これにより、ストライクめっき層の上層になるSn合金層皮膜が剥離して、ステンレス箔製の基体がセパレータ使用環境で露出されることとなるので、結果的として耐食性が大きく劣化することが判明した。
(3)そこでさらに、発明者らは、上記したSn合金層皮膜の薄膜化を図った場合に生じる耐食性の劣化を防止すべく、研究を進めた。
その結果、上記のストライクめっき層の付着量を従来よりも少ない0.001〜1g/m2の範囲に制御することで、ストライクめっき層の連続的な腐食が抑制され、その結果、Sn合金層皮膜の剥離に伴う耐食性の劣化を効果的に防止でき、しかも密着性の劣化も生じないとの知見を得た。
ここに、上記のストライクめっき層の付着量を0.001〜1g/m2の範囲に制御することで、ストライクめっき層の連続的な腐食が抑制できる理由は、発明者らは次のように考えている。
すなわち、ストライクめっき層の付着量を従来よりも少ない範囲で制御することで、ステンレス箔製の基体表面にストライクめっき層の不めっき領域といった不連続部が生じ、このストライクめっき層の不連続部が腐食の進行を阻止する領域として作用する。その結果、Sn合金層皮膜を薄くした場合であっても、ストライクめっき層の連続的な腐食が抑制されるものと考えている。
(4)また、発明者らは、ストライクめっき層としては、Au、Ag、CuやNiなどの純金属層、さらにはこれらの元素のうちから選んだ少なくとも一種を含有する合金層とすることができるが、なかでも、NiとPの合金層からなるNi-Pストライクめっき層が材料コストも低く、耐食性にも優れるため、ストライクめっき層として好適であることを知見した。さらに、発明者らは、特にこのNi-Pストライクめっき層中のP含有量を5〜22質量%の範囲に制御することで、セパレータ環境において長時間高電位にさらされた場合でも、優れた耐食性をより安定して維持できることを知見した。
この理由として、発明者らは、Ni-Pストライクめっき層中のP含有量を5〜22質量%の範囲に制御することで、セパレータの使用環境でより安定なNi-P化合物が形成され、これにより、ストライクめっき層の腐食が一層抑制されるためと考えている。
(5)加えて、発明者らは、上記したSn合金層皮膜の表面を、Snを含む酸化物層で被覆することにより、耐食性を一層向上できるとの知見を得た。
この理由として、発明者らは、Snを含む酸化物層がセパレータの使用環境において極めて安定であるため、Sn合金層皮膜の表面を、Snを含む酸化物層で被覆することにより、Sn合金層皮膜の腐食が効果的に抑制されるものと考えている。そして、このような効果により、耐食性が一層向上するものと考えている。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.ステンレス箔製の基体と、該基体表面にストライクめっき層を介して被覆したSn合金層皮膜とをそなえ、
該ストライクめっき層の付着量が0.001〜1g/m2である固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
2.前記Sn合金層皮膜が、NiおよびFeのうちから選んだ少なくとも一種の元素を含有する前記1に記載の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
3.前記Sn合金層皮膜が、Ni3Sn2、Ni3Sn4、SnFeおよびSnFe2のうちから選んだ少なくとも一種を含有する前記1または2に記載の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
4.前記ストライクめっき層が、Ni、Cu、AgおよびAuのうちから選んだ少なくとも一種の元素を含有する前記1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
5.前記ストライクめっき層がNiとPの合金層からなり、このPの含有量が5〜22質量%の範囲にある前記4に記載の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
6.前記Sn合金層皮膜の表面に、Snを含む酸化物層をそなえる前記1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
本発明によれば、コンパクト性を阻害することなしに、耐食性および密着性に優れた燃料電池用セパレータを得ることができ、ひいては耐久性に優れた固体高分子形燃料電池を低コストで得ることができる。
燃料電池の基本構造を示す模式図である。 密着性試験用の試験片を示す模式図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
(1)基体として用いる金属板
本発明において、基体として用いるステンレス箔については特に制限はないが、耐食性に優れるステンレス鋼板(フェライト系ステンレス鋼板、オーステナイト系ステンレス鋼板、二相ステンレス鋼板)がとりわけ有利に適合する。
例えば、SUS447J1(Cr:30質量%)、SUS445J1(Cr:22質量%)、SUS316L(Cr:18質量%)などを好適に使用することができる。特に、Crを30質量%程度含有するSUS447J1は、耐食性が高いため、厳しい耐食性が要求される環境下で使用される固体高分子形燃料電池セパレータ基体として、とりわけ有利に適合する。
また、燃料電池スタック時の搭載スペースや重量を鑑みると、セパレータ用ステンレス箔の板厚は、0.03〜0.3mmの範囲とすることが好ましい。セパレータ用ステンレス箔の板厚が0.03mm以下であると、ステンレス箔の生産効率が低下する。一方、0.3mmを超えるとスタック時の搭載スペースや重量が増加する。より好ましくは0.03〜0.1mmの範囲である。
(2)Sn合金層皮膜
前記基体の表面に被覆するSn合金層皮膜としては、固体高分子形燃料電池用のセパレータの使用環境(pH:3(硫酸環境)、使用温度:80℃)において耐食性に優れるNiあるいはFeを含むSn合金を使用することが好ましい。より好ましくは、Ni3Sn2、Ni3Sn4、SnFeあるいはSnFe2である。特に好ましくは、金属間化合物のNi3Sn2である。
ここに、固体高分子形燃料電池用のセパレータの使用環境において、上記したようなSn合金が耐食性に優れている理由は、次のとおりと考えられる。
すなわち、金属Sn単体におけるSn-Sn結合よりも、Sn合金における結合、例えばSn-NiまたはSn-Fe結合のほうが、より安定な結合状態をとるために耐食性が向上する。特にNi3Sn2は、Ni-Snの二元合金状態図によれば形成される温度が790℃以上と高温の領域にあり、Sn-Ni結合が非常に安定であるために、優れた耐食性が得られるものと考えられる。
ここに、Sn合金層皮膜の膜厚は、燃料電池スタック時の搭載スペースや重量を考慮すると5μm以下とすることが好ましい。しかしながら、Sn合金層皮膜の膜厚が0.1μm未満になると、めっき欠陥が増加して耐食性が劣化し易くなる。このため、Sn合金層皮膜の膜厚は0.1μm以上とすることが好ましい。より好ましくは0.5〜3μmの範囲である。
なお、ステンレス箔基体の表面に前記Sn合金層皮膜を形成するには、めっき法を利用することが好適であり、この場合は、従来公知のめっき方法で、所定の組成に調整しためっき浴中に基体を浸漬させ、電気めっきを施せばよい。
(3)ストライクめっき
また、本発明では、ステンレス箔基体とSn合金層皮膜との間にストライクめっき層設けることで、皮膜と基体の密着性を向上させている。ここに、ステンレス箔基体とSn合金層皮膜との間にストライクめっき層設けることで、皮膜と基体の密着性が向上する理由は、発明者らは次のように考えている。
すなわち、ストライクめっき層がない場合、ステンレス箔基体表面に不活性な不動態皮膜等が形成されやすく、高い密着性が得られるとは限らない。一方、ストライクめっき層を設けると、上記の不動態皮膜等の形成が抑制されてステンレス箔基体表面が不活性になり難く、その結果、基体とSn合金層皮膜との間の密着性が向上するものと考えている。
なお、ストライクめっき層に凹凸等がある場合には、アンカー効果により、密着性が一層向上するので、より有利である。
このように、本発明の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔では、基体とSn合金層皮膜との間で優れた密着性が得られるので、密着性が必要とされるセパレータを所望の形状に加工する工程や燃料電池セルを組み立てる工程、使用時の振動が激しい場合に有利となる。
そして、本発明では、上記のストライクめっき層の付着量を以下の範囲に制御することが極めて重要である。
ストライクめっき層の付着量:0.001〜1g/m2
ストライクめっき層の付着量を上記の範囲に制御することで、Sn合金層皮膜を薄くした場合であっても、セパレータ使用環境における耐食性を維持することができる。その理由は、発明者らは次のように考えている。
すなわち、通常、Sn合金層皮膜の膜厚の減少に伴って、Sn合金層皮膜から基体に通ずる皮膜中欠陥が増加する。その結果、上記の欠陥を通じて、ステンレス箔基体とSn合金層皮膜との間にあるストライクめっき層が平面方向に連続的かつ均一に広く腐食して、その上層のSn合金層皮膜がステンレス箔基体から剥離してしまう。Sn合金層皮膜が剥離すると、ステンレス鋼基体がセパレータ使用環境下で露出するため、耐食性が低下する。
これに対し、ストライクめっき層の付着量を極めて少ない範囲で制御すると、ストライクめっき層が基体表面に不連続または不均一に形成される、換言すれば基体表面の一部にストライクめっき層の不めっき領域といった不連続部が生じることとなる。そして、このストライクめっき層の不連続部が、腐食の進行を阻止する領域として作用することとなり、Sn合金層皮膜を薄くした場合であっても、ストライクめっき層の連続的かつ均一な腐食が抑制できる。そして、その結果、耐食性の劣化を防止できる。
ここに、ストライクめっき層の付着量が0.001g/m2未満であると、ステンレス箔基体とSn合金層皮膜との密着性が低下する。一方、ストライクめっき層の付着量が1g/m2を超えると、Sn合金層皮膜の膜厚を薄くした場合の耐食性が維持できない。したがって、ストライクめっきの付着量は0.001〜1g/m2の範囲に制御する。好ましくは0.003〜0.5g/m2の範囲、より好ましくは0.003〜0.3g/m2の範囲、さらに好ましくは0.005〜0.05g/m2の範囲である。
さらに、ストライクめっき層としては、Au、Ag、CuやNiなどの純金属層、さらにはこれらの元素のうちから選んだ少なくとも一種を含有する合金層とすることが好ましく、材料コストを考慮すれば、NiストライクめっきやNiとPの合金層からなるNi-Pストライクめっきを施すことがより好ましい。
特に、Ni-Pストライクめっきを施す場合、Ni-Pストライクめっき層中のP含有量を、5〜22質量%の範囲に制御することがさらに好ましい。
Ni-Pストライクめっき層中のP含有量:5〜22質量%
Ni-Pストライクめっき層中のP含有量を上記の範囲に制御することで、セパレータ環境において長時間高電位にさらされた場合でも、優れた耐食性をより安定して維持できる。その理由は、発明者らは次のように考えている。
すなわち、Ni-Pストライクめっき層中のP含有量を5〜22質量%の範囲に制御することで、セパレータの使用環境でより安定なNi-P化合物が形成され、これにより、ストライクめっき層の腐食がより長時間、効果的に抑制されるためと考えている。
ここに、Ni-Pストライクめっき層中のP含有量が5質量%未満であると、Ni-P化合物の耐酸性向上効果が十分ではなく、酸性であるセパレータ環境において長時間高電位にさらされた場合に、優れた耐食性を維持するという点からは好ましくない。また、Ni-Pストライクめっき層中のP含有量が22質量%を超えると、Ni-Pストライクめっきの組成が不均一になり易く、やはりセパレータ環境において長時間高電位にさらされた場合に、優れた耐食性を維持するという点からは好ましくない。したがって、Ni-Pストライクめっき層中のP含有量は5〜22質量%の範囲に制御することが好ましい。より好ましくは7〜20質量%の範囲、さらに好ましくは10〜18質量%の範囲である。
なお、ストライクめっき層の形成方法は、従来公知のめっき方法で、適切な組成に調整しためっき浴中で電気めっきあるいは無電解めっきを施せば良い。また、ストライクめっき層の付着量は、めっき浴中の滞留時間、すなわちめっき時間で調整することができる。
またNi-Pストライクめっき層中のP含有量は、めっき浴中のP濃度や、電気めっき時の電流密度などで調整することができる。
(4)Snを含む酸化物層
また、本発明のセパレータ用ステンレス箔では、前記したSn合金層皮膜の表面を、Snを含む酸化物層で被覆することが好適である。これにより、セパレータの使用環境下で長時間使用した際の耐食性を一層向上できる。
ここで、Sn合金層皮膜の表面に被覆するSnを含む酸化物層は、大気環境下で形成される自然酸化皮膜ではなく、酸性溶液に浸漬させる等の処理を施すことで、意図的に形成させた酸化皮膜をいう。なお、自然酸化皮膜の膜厚は通常2〜3nm程度である。
上記Snを含む酸化物層の主成分としては、SnO2が好ましい。また、その膜厚は5〜50nmの範囲にあることが望ましい。より好ましくは10〜30nmの範囲である。この理由は、Snを含む酸化物層が厚くなりすぎると、導電性低下の原因となるからである。一方、Snを含む酸化物層が薄すぎると、セパレータの使用環境における耐食性向上効果が得られないからである。
また、Snを含む酸化物層を、Sn合金層皮膜の表面に被覆することにより、セパレータの使用環境下で長時間使用した際の耐食性が向上する理由は、Snを含む酸化物層はセパレータの使用環境において極めて安定であるので、このSnを含む酸化物層をSn合金層皮膜の表面に形成することによって、Sn合金層皮膜の腐食が効果的に抑制されるためと考えている。
なお、自然酸化皮膜ではなく、酸性溶液に浸漬させる等の処理を施すことにより意図的に酸化皮膜を形成するのは、このような処理を行うことによって、酸化皮膜をSn合金層皮膜の表面に均一かつ緻密に形成することができ、Sn合金層皮膜の腐食を極めて効果的に抑制できるからである。
上記のSnを含む酸化物層の形成には、過酸化水素、硝酸等の酸化性を有する酸性水溶液中に浸漬する方法や、電気化学的にアノード電解処理する方法等が挙げられる。
例えば、前記したSn合金層皮膜を形成したセパレータ用ステンレス箔を、温度60℃、pH:1の硫酸水溶液中で電流密度:+1mA/cm2として5分間通電することで、上記したSnを含む酸化物層を形成することができる。
なお、Snを含む酸化物層を形成する手法としては、上記にあげた手法に限定されることはなく、物理的気相成長法(PVD法)や、化学的気相成長法(CVD法)、コーティング法等も挙げられる。
(5)その他
また、セパレータ要求特性の一つである導電性を向上させるため、ステンレス箔製の基体の表面に、ストライクめっき層を介してSn合金層皮膜を被覆した後、あるいはストライクめっき層を介してSn合金層皮膜を被覆しSnを含む酸化物層を形成させた後、さらにこのSn合金層皮膜上あるいはSnを含む酸化物層上に、電気抵抗の低い導電層を被覆することができる。例えば、接触抵抗を低減させる目的で、純金属層、導電性高分子層、導電性粒子を含んだ合金層または導電性粒子を含んだ高分子層を、上記Sn合金層皮膜上またはSnを含む酸化物層上に被覆してもよい。
固体高分子形燃料電池のセパレータは、温度:80℃、pH:3程度の厳しい環境で使用されることから、優れた耐食性が要求される。また、燃料電池の製造工程、例えば、セパレータを所望の形状に加工する工程や燃料電池セルを組み立てる工程において、ステンレス箔基体からSn合金層皮膜が剥離しないよう、ステンレス箔基体とSn合金層皮膜との間に高い密着性が要求される。さらに、ステンレス箔基体表面に皮膜を形成した後の板厚増加率を低減して、燃料電池のコンパクト性を向上させることが要求される。そこで、これらの要求特性に鑑み、後述する試料について、以下の3つの評価を実施した。
(1)耐食性(セパレータ使用環境での安定性)の評価
(a)20時間経過時の耐食性の評価
ステンレス鋼は一般的に、印加される電位が高くなるほど過不動態溶解しやすく、耐食性が劣化しやすい。そこで、セパレータ使用環境において高電位環境にさらされた場合の安定性を評価するため、試料を温度:80℃、pH:3の硫酸水溶液中に浸漬し、参照電極にAg/AgCl(飽和KCl)を用いて、0.9V(vs.SHE)の電位に20時間保持し、20時間経過時の電流密度の値を測定した。この20時間経過時の電流密度の値により、以下の基準で、セパレータ使用環境における20時間経過時の耐食性を評価した。
◎(合格、特に優れる):20時間経過時の電流密度0.015μA/cm2未満
○(合格):20時間経過時の電流密度0.015μA/cm2以上0.2μA/cm2未満
×(不合格):20時間経過時の電流密度0.2μA/cm2以上
(b)50時間経過時の耐食性の評価
さらに、ストライクめっき層としてNi-Pストライクめっき層を形成し、かつ20時間経過時に良好な耐食性が得られた各試料について、以下の評価を実施した。
すなわち、セパレータ使用環境において高電位環境により長時間さらされた場合の安定性を評価するため、試料を温度:80℃、pH:3の硫酸水溶液中に浸漬し、参照電極にAg/AgCl(飽和KCl)を用いて、0.9V(vs.SHE)の電位に50時間保持し、20時間経過時および50時間経過時の電流密度の値を測定した。そして、20時間経過時の電流密度に対する50時間経過時の電流密度の比率[(50時間経過時の電流密度)/(20時間経過時の電流密度)×100]を求めた。この20時間経過時の電流密度に対する50時間経過時の電流密度の比率により、以下の基準で、セパレータ使用環境における50時間経過時の耐食性を評価した。
◎(合格、特に優れる):20時間経過時の電流密度に対する50時間経過時の電流密度の比率80%未満
○(合格):20時間経過時の電流密度に対する50時間経過時の電流密度の比率80%以上100%未満
×(不合格):20時間経過時の電流密度に対する50時間経過時の電流密度の比率100%以上
(2)密着性の評価
基体(厚さ:0.05mm)の表面に皮膜を形成した試料を25mmW×80mmLに切断した。ついで、切断した試料と、25mmW×80mmL×1mmtの冷延鋼板とを、皮膜が形成された面で一部が重なるように接合し、図2に示すような密着性評価用の試験片を作製した。ここで、試料と冷延鋼板の接合には、接着剤(サンライズMSI製:E-56)を用い、また接着剤の厚さが2mm、接着面積が25mmW×20mmLとなるように接合した。なお、試料(基体)の板厚が薄いため、上記の冷延鋼板を接着した面と反対側の面にも、別の冷延鋼板(25mmW×80mmL×1mmt)を接合して補強した。
図2中、符号11は試料、12はステンレス箔基体、13はストライクめっき層、14はSn合金層皮膜、15は冷延鋼板、16は接着剤、17はSnを含む酸化物層である。
かくして得られた密着性評価用の試験片を、引張試験機により両側から引っ張り、基体と皮膜が剥離した時の引張強さ(剥離強度)を求め、次の基準で皮膜の密着性を評価した。
◎(合格、特に優れる):剥離強度6MPa以上
○(合格):剥離強度2MPa以上6MPa未満
×(不合格):剥離強度2MPa未満
(3)コンパクト性の評価
以下の計算式によって板厚増加率を計算し、次の基準で燃料電池スタック時のコンパクト性を評価した。
板厚増加率(%)=[([片面あたりの皮膜膜厚]×2)/[ステンレス箔基体の膜厚]]×100
○(合格):板厚増加率20%以下
×(不合格):板厚増加率20%超
なお、ここでいう皮膜膜厚とは、付着量から換算したストライクめっき層の平均膜厚とSn合金層皮膜の膜厚の合計、あるいは付着量から換算したストライクめっき層の平均膜厚とSn合金層皮膜およびSnを含む酸化物層の膜厚の合計である。
実施例1
板厚0.05mmのSUS447J1(Cr:30質量%)、SUS445J1(Cr:22質量%)、SUS316L(Cr:18質量%)をステンレス箔基体として用い、脱脂等の適切な前処理を実施した後、下記のめっき浴組成およびめっき条件で、ステンレス箔基体上に表1に示す付着量となるストライクめっき層を形成した。ついで、下記のめっき浴組成およびめっき条件で、上記ストライクめっき層を施したステンレス箔基体上に、表1に示す平均膜厚となるSn合金層皮膜を形成し、セパレータ用のステンレス箔を得た。
また、一部の試料では、上記のようにして得られたセパレータ用ステンレス箔を、温度:60℃、pH:1の硫酸水溶液中で電流密度:+1mA/cm2として5分間通電することで、上記Sn合金層皮膜の表面にSnを含む酸化物層を形成した。
かくして得られたセパレータ用のステンレス箔を用いて、上記の要領で各種特性の評価を行った。
なお、ストライクめっき層の付着量、Sn合金層皮膜の平均膜厚及びSnを含む酸化物層の平均膜厚は、あらかじめ、めっき時間あるいはアノード電解時間との関係を調べておくことにより、それぞれ制御した。また、比較のため、ストライクめっき層を設けなかったセパレータ用のステンレス箔についても作製し、上記と同じ要領で、各種特性の評価を行った。
ここに、ストライクめっき層の付着量は、下記手法で測定した。まず基体(厚さ:0.05mm)の表面にストライクめっき層を形成した試料を約50mmW×50mmLに切断し、2辺の長さをノギスで測定し、試料面積を算出した。次に、ストライクめっき層を溶解可能な溶液中(以下、公知の剥離液を用いればよく、例えば、Ni、Ni-PおよびCuストライクめっきでは30%硝酸、Agストライクめっきでは90%硫酸+10%硝酸、Auストライクめっきではシアン化ナトリウム30g/L+過酸化水素40mL/L)に、試料を10分間浸漬してストライクめっき層を溶解させ、溶液中に溶解したストライクめっき層構成元素をICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析装置で定量し、試料面積を除することで、めっき付着量(g/m2)を算出した。また、このめっき付着量をストライクめっき金属の密度で除することにより、ストライクめっき層の平均膜厚を求めた。なお、ストライクめっきを形成していない試料については、表1中、ストライクめっき層の付着量および換算平均膜厚の欄をいずれも「−」としている。
また、Sn合金層皮膜の平均膜厚は、下記手法で測定した。まず基体(厚さ:0.05mm)の表面にストライクめっき層およびSn合金層皮膜を形成した試料を約10mmW×15mmLに切断した。次に試料を樹脂中に埋め込み、断面を研磨した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することで、Sn合金層皮膜の膜厚を測定した。なお、Sn合金層皮膜の膜厚の測定はそれぞれ、Sn合金層皮膜を形成した同一の試料から上記の形状に切断した10個の試料について行い、これらの平均値をSn合金層皮膜の平均膜厚とした。
ここで、Sn合金層皮膜の組成は、SEM観察時に実施したエネルギー分散型X線分光器(EDX)およびX線回折装置(XRD)により同定した。
さらに、Snを含む酸化物層の平均膜厚は、下記手法で測定した。まず基体(厚さ:0.05mm)の表面にストライクめっき層およびSn合金層皮膜に加え、Snを含む酸化物層を形成した試料を収束イオンビームで加工することで、断面観察用薄膜を作製した。次に、作製した断面観察用薄膜を透過電子顕微鏡(TEM)で観察することで、Snを含む酸化物層の平均膜厚を測定した。なお、Snを含む酸化物層の膜厚の測定は、作製した断面観察用薄膜のSnを含む酸化物層の膜厚を3点測定し、これらの平均値を、Snを含む酸化物層の平均膜厚とした。
ここで、酸化物層の組成は、TEM観察時に実施したエネルギー分散型X線分光器(EDX)およびX線光電子分光法(XPS)により同定した。
(ストライクめっき層のめっき浴組成およびめっき条件)
<Niストライクめっき>
塩化ニッケル:240g/L
塩酸:125ml/L
温度:50℃
電流密度:5A/dm2
<Ni-Pストライクめっき>
硫酸ニッケル:1mol/L
塩化ニッケル:0.1mol/L
ホウ酸:0.5mol/L
亜リン酸ナトリウム:0.05〜5mol/L
温度:50℃
電流密度:5A/dm2
<Cuストライクめっき>
シアン化銅:30g/L
シアン化ナトリウム:40g/L
水酸化カリウム:4g/L
温度:40℃
電流密度:5A/dm2
<Agストライクめっき>
シアン化銀カリウム:2g/L
シアン化ナトリウム :120g/L
温度:30℃
電流密度:3A/dm2
<Auストライクめっき>
シアン化金カリウム:8g/L
クエン酸ナトリウム:80g/L
スルファミン酸ニッケル:3g/L
酢酸亜鉛:0.3g/L
温度:30℃
電流密度:3A/dm2
(Sn合金層皮膜のめっき浴組成およびめっき条件)
<Ni3Sn2
塩化ニッケル:0.15mol/L
塩化スズ:0.15mol/L
ピロリン酸カリウム:0.45mol/L
グリシン :0.15mol/L
温度:60℃
電流密度:1A/dm2
<Ni3Sn4
塩化ニッケル:0.15mol/L
塩化スズ:0.30mol/L
ピロリン酸カリウム:0.45mol/L
温度:60℃
電流密度:1A/dm2
<FeSn>
塩化鉄:0.15mol/L
塩化スズ:0.18mol/L
ピロリン酸カリウム:0.45mol/L
温度:60℃
電流密度:1A/dm2
<FeSn2
塩化鉄:0.15mol/L
塩化スズ:0.36mol/L
ピロリン酸カリウム:0.45mol/L
温度:60℃
電流密度:1A/dm2
なお、本発明において、上記で示しためっき浴組成以外のものであっても、所望のめっきを形成できるならば、公知のめっき方法に従っても良い。
上記のようにして得られた各試料について、耐食性(セパレータ使用環境での安定性)、密着性およびコンパクト性を評価した結果を表1及び表2に整理して示す。
Figure 2015059857
Figure 2015059857
同表より、次の事項が明らかである。
(a) 発明例の試料はいずれも、耐食性評価における20時間経過時の電流密度がいずれも小さく、セパレータ使用環境のような高電位環境に長時間さらされた場合であっても、良好な耐食性が得られている。特にSnを含む酸化物層を形成したNo.6、No.15、No.18、No.19a、No.26、No.28、No.30、No.32、No.34およびNo.36は、優れた耐食性が得られている。
(b) また、ストライクめっき層としてNi-Pストライクめっきを施した発明例の試料はいずれも、耐食性評価における20時間経過時の電流密度に対する50時間経過時の電流密度の比率が100%未満であり、セパレータ使用環境のような高電位環境にさらに長い時間さらされた場合であっても、良好な耐食性が安定して維持されている。特に、Pの含有量が好適範囲となるNo.13〜23、No.15b、No.15c、No.15d、No.18a、No.18bおよびNo.19aの試料ではいずれも、20時間経過時の電流密度に対する50時間経過時の電流密度の比率が80%未満と、良好な耐食性がより安定して維持されている。
(c) 発明例の試料はいずれも、皮膜の剥離に必要な引張強さ(剥離強度)が大幅に増加しており、密着性が大幅に向上している。
(d) 発明例の試料はいずれも、板厚増加率が小さく、燃料電池スタック時のコンパクト性に優れている。
(e) 比較例No.1、37、43の試料はいずれも、ストライクめっき層を形成していないため、皮膜の剥離に必要な引張強さ(剥離強度)が低く、所望の密着性を得られない。
(f) 比較例No.11、24の試料は、ストライクめっき層の付着量が適正範囲を超えているため、耐食性評価における20時間経過時の電流密度が大きく、所望の耐食性を得られない。
(g) 比較例No.12の試料は、ストライクめっき層の付着量が適正範囲を超えているもののSn合金層皮膜の膜厚が大きいので、耐食性は確保されているが、板厚増加率が大きく、所望のコンパクト性が得られない。
1 膜−電極接合体
2,3 ガス拡散層
4,5 セパレータ
6 空気流路
7 水素流路
11 試料
12 ステンレス箔基体
13 ストライクめっき層
14 Sn合金層皮膜
15 冷延鋼板
16 接着剤
17 Snを含む酸化物層

Claims (6)

  1. ステンレス箔製の基体と、該基体表面にストライクめっき層を介して被覆したSn合金層皮膜とをそなえ、
    該ストライクめっき層の付着量が0.001〜1g/m2である固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
  2. 前記Sn合金層皮膜が、NiおよびFeのうちから選んだ少なくとも一種の元素を含有する請求項1に記載の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
  3. 前記Sn合金層皮膜が、Ni3Sn2、Ni3Sn4、SnFeおよびSnFe2のうちから選んだ少なくとも一種を含有する請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
  4. 前記ストライクめっき層が、Ni、Cu、AgおよびAuのうちから選んだ少なくとも一種の元素を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
  5. 前記ストライクめっき層がNiとPの合金層からなり、このPの含有量が5〜22質量%の範囲にある請求項4に記載の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
  6. 前記Sn合金層皮膜の表面に、Snを含む酸化物層をそなえる請求項1〜5のいずれか1項に記載の固体高分子形燃料電池のセパレータ用ステンレス箔。
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