JPWO2015059741A1 - 遺伝子解析システム - Google Patents

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Abstract

多数の細胞中の多数の遺伝子について任意の配列領域を解読するためには、核酸を断片化し、各断片に細胞ごとに異なる配列を導入する必要がある。しかしながら、従来の多数の細胞を解析する構成では、領域ごとに固有のタグ配列が導入される前に領域間で切断断片が混入してしまうという問題があった。基板上の複数の領域で細胞から抽出した核酸を捕捉し、個々の領域ごとに核酸の相補鎖DNA(cDNA)を合成且つ断片化する際、即座に前記領域ごとに固有のタグ配列をこの断片に対して導入する手段を併せ持ったシステムを構築する。

Description

本発明は、遺伝子解析システムに関する。より具体的には、単一細胞レベルで遺伝子情報を解析することのできる遺伝子解析システムに関する。
生物は、ゲノム上に保持された遺伝子情報をmRNAに転写して(遺伝子発現)、その情報を基にタンパク質を合成する。そして、そのタンパク質の生体機能によって生命活動を行っている。近年、そのような生体機能を分子レベルで網羅的に解析して、生物を包括的に理解しようとする研究が急速に進展している。このような網羅的な解析により、例えば、病態細胞や免疫細胞の機能を解明し、疾病の原因解明や新薬の開発に応用することができる。
網羅的な解析を行う手段として注目を集めているのが、生体機能情報をより直接的に取得できるゲノム解析やmRNAの発現量に基づく遺伝子発現解析である。遺伝子発現解析は、主にDNAマイクロアレイを用いて、また近年では大容量のDNAシーケンサを用いて行われている。解析試料には、通常、多数の細胞からなる組織や培養細胞が用いられている。しかし、同じ組織内でも遺伝子の発現状況は、細胞ごとに、また時間ごとに異なるため、必ずしも同じではない。したがって、組織の機能を正確かつ詳細に理解するためには、組織を構成する1細胞ごとに遺伝子発現を解析し、その遺伝子発現情報に基づいて組織全体を包括的に捉える必要がある。ところが、1細胞由来のmRNA量は、非常に微量であるためこれまで組織中の個々の細胞の遺伝子発現解析を行うことは困難であった。しかしながら、近年の核酸分析装置や試薬などの技術進歩により、1細胞由来のゲノム配列、mRNAの配列、又は遺伝子発現産物の解析が実現可能となってきた(非特許文献1)。特に、大容量の次世代DNAシークエンサーを用いて1細胞中の遺伝子発現を解析する方法の発達は目覚ましく、膨大な数の遺伝子について発現状況を詳細に知ることができる(非特許文献2、3)。
一方、多数の細胞からなる生物は、各細胞が独立して活動しているわけではなく、相互に情報交換を行いながら互いに関与し合っている。そのため、生命現象の詳細を知るには1細胞の遺伝子発現解析だけでなく、その細胞の周辺に存在する多くの細胞も同時に、かつ1細胞ごとに解析する必要があり、その解析対象となる細胞群を構成する細胞数は、数百、場合によっては数万以上に及ぶ。細胞群について1細胞ごとに遺伝子発現解析を行う場合には、細胞ごとに個別の反応槽で反応を行わなくてはならない。しかし、現在の核酸分析技術で比較的容易に一度に解析できる細胞数は数十細胞程度である。それ故に、数百以上の細胞からmRNAなどの核酸を細胞ごとに抽出し、一括解析するための新たな技術が求められている。
特許文献1には、上記問題を解決するためのアプローチとして、多孔質メンブレンなどを利用した相補鎖DNA(cDNA)ライブラリーの製造方法が開示されている。この方法では、多数の細胞又は生体組織の切片をメンブレン上に配置して、電界をかけながらmRNAを抽出することで、各細胞直下に存在する複数の領域に、細胞ごとのcDNAライブラリーアレーを構築することができる。この製造方法で構築したcDNAライブラリーアレーは、領域ごとに1細胞由来のcDNAライブラリーを2次元平面状に配置しているが、複数の領域を含むcDNAライブラリーアレーを一括して大容量DNAシーケンサで解析するためには、核酸増幅工程や、DNAを塩基配列解析に都合のよい長さに切断する断片化工程が必要となる。ところが、これらの工程の過程で、各領域間の反応産物が混合してしまうため、結果的に得られた塩基配列情報などがどの細胞由来かが分からなくなってしまうという問題があった。
特開2009-276883号公報
Nature Method vol.6、 no.7、503-506 (2009) Nature Biotechnology vol.30、 763-765 (2012) Cell Reports vol.2、 666-673 (2012)
本発明の目的は、上記課題を解決するために、領域ごとに1細胞由来のcDNAライブラリーを配置する複数の領域を含み、核酸増幅工程や断片化工程において一括して解析しても各領域由来の反応産物を識別可能な遺伝子解析システムを開発し、提供することである。また、その遺伝子解析システムを用いて数百以上の細胞群から、細胞ごとに遺伝子発現を一括解析する方法を提供することである。
上記問題を解決するために本発明者らは、1細胞由来のcDNAライブラリーを配置した複数領域を含むcDNAライブラリーアレーを作製し、各領域で調製したDNA相補鎖を解析に都合のよいサイズに切断化し、それらが領域間で混合しないようにした上で、各断片に領域ごとに固有のタグ配列を導入する新たな技術を開発した。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)1細胞ごとに保持可能な細胞保持領域を1個又は複数個含む基板、細胞保持領域に保持された細胞から抽出された一本鎖核酸の塩基配列の一部に相補的な配列を含み、該抽出された一本鎖核酸を捕捉する捕捉配列、及び各細胞保持領域に固有のタグ配列を含んでなり、細胞保持領域内に配置される第1プローブ、及び第1プローブで捕捉された一本鎖核酸を鋳型として得られる相補鎖の切断によって生じる切断断片の塩基配列の一部に相補的な配列を含み、該切断断片と塩基対合を形成する切断断片相補配列、及び細胞保持領域に固有のタグ配列を含んでなり、各細胞保持領域内に配置される第2のDNAプローブを含む遺伝子解析システム。
(2)前記第1プローブ及び第2プローブが共通配列及び/又は核酸増幅補正配列をさらに含む、(1)に記載の遺伝子解析システム。
(3)前記一本鎖核酸を鋳型として得られる相補鎖の切断によって生じる切断断片が制限酵素による切断によって生じる切断断片である、(1)又は(2)に記載の遺伝子解析システム。
(4)前記切断断片相補配列が、制限酵素で切断後の切断末端に相補的な配列を含む、(3)に記載に遺伝子解析システム。
(5)前記第2プローブが任意の塩基配列からなるステムセンス鎖と、該ステムセンス鎖に相補的な塩基配列からなるステムアンチセンス鎖をさらに含み、ステムセンス鎖とステムアンチセンス鎖は、いずれか一方が第2プローブの3’末端に配置され、かつ他方が第2プローブの5’末端に位置する切断断片相補配列の3’末端側に隣接して配置され、両鎖は第2プローブ内で塩基対合してステム構造を形成する、(1)〜(4)のいずれかに記載の遺伝子解析システム。
(6)前記第1プローブ及び/又は第2プローブが細胞保持領域表面に保持された担体に固定される、(1)〜(5)のいずれかに記載の遺伝子解析システム。
(7)前記第1プローブ及び/又は第2プローブが接合分子を介して担体に固定されている、(6)に記載の遺伝子解析システム。
(8)第1プローブ及び第2プローブが同一の又は異なる担体に固定されている、(6)又は(7)に記載の遺伝子解析システム。
(9)前記1プローブ及び/又は第2プローブの5’末端部が担体に固定されている、(6)〜(8)のいずれかに記載の遺伝子解析システム。
(10)前記第1プローブ及び/又は第2プローブの末端部以外の部位が担体に固定されている、(6)〜(8)のいずれかに記載の遺伝子解析システム。
(11)前記第1プローブ及び/又は第2プローブの細胞保持領域あたりの存在密度が5 pM以上である、(1)〜(10)に記載の遺伝子解析システム。
(12)前記第2プローブの細胞保持領域内への配置が環境変化により解離可能なように構成されている、(1)〜(11)のいずれかに記載の遺伝子解析システム。
(13)前記環境が温度又は光である、(12)に記載の遺伝子解析システム。
(14)(1)〜(13)のいずれかに記載の遺伝子解析システムの基板上に複数の細胞を流し、細胞保持領域に1細胞ずつ保持させる第1工程、第1工程で細胞保持領域に保持した細胞から核酸を抽出し、得られた一本鎖核酸を細胞保持領域内の第1プローブで捕捉する第2工程、第1プローブをプライマーとして第2工程で捕捉した一本鎖核酸を鋳型に用いて、その相補鎖を合成する第3工程、第3工程で合成された相補鎖を断片化して、その切断断片を同一の細胞保持領域内で捕捉する第4工程、及び捕捉された切断断片に細胞保持領域ごとにタグ配列を導入する第5工程を含む遺伝子解析方法。
(15)前記第4工程で、細胞保持領域内への切断断片の捕捉が第2プローブの切断断片相補配列へのハイブリダイゼーションを介して行われる、(14)に記載の遺伝子解析方法。
(16)前記第5工程で、タグ配列の導入が捕捉された切断断片と第2プローブとのライゲーションによる、(15)に記載の遺伝子解析方法。
(17)前記第4工程で、細胞保持領域内への切断断片の捕捉が細胞保持領域内及び切断断片に修飾された接合分子間の結合を介して行われる、(14)に記載の遺伝子解析方法。
(18)前記接合分子がビオチンとアビジン、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンである、(17)に記載の遺伝子解析方法。
(19)前記第5工程で、細胞保持領域内に捕捉された切断断片と第2プローブの切断断片相補配列とのハイブリダイゼーションを介した結合、及び第2プローブをプライマーに用いて第2工程で捕捉した切断断片を鋳型として、その相補鎖を合成することによって切断断片の相補鎖にタグ配列を導入する、(17)又は(18)に記載の遺伝子解析方法。
本発明によれば、単一細胞の解析に要する労力と同じ労力で、1細胞ごとに多数の細胞の遺伝子情報を解析することができる。
また、本発明は、遺伝子診断、創薬、及び癌などの疾患の解明や再生医療への応用が可能であり、生命科学の発展にも寄与し得る。
本発明の遺伝子解析システムにおける基板構成の一実施形態を示す概略図である。 本発明の遺伝子解析システムにおける核酸プローブ構成及び反応工程の一実施形態を示した図である。 実施例1で用いた遺伝子解析システムにおける基板構成、核酸プローブ構成及び核酸プローブの固定形態を示した図である。下図は、上図破線枠内の拡大図である。 本発明の反応フローの一実施形態を示した図である。 実施例2で用いた遺伝子解析システムにおける基板構成、核酸プローブ構成及び核酸プローブの固定形態を示した図である。(a)及び(b)は、核酸プローブの担体への異なる固定形態を示す。(c)は、(a)の固定形態における核酸プローブの具体的な構成を示す。 本発明の反応フローの一実施形態を示した図である。 本発明の遺伝子解析システムにおける核酸プローブ構成及び反応工程の一実施形態を示した図である。 実施例3で用いた遺伝子解析システムにおける基板構成、核酸プローブ構成及び核酸プローブの固定形態を示した図である。(a)は、遺伝子解析システムの基板構成を、(b)及び(c)は、核酸プローブの担体への異なる固定形態を示す。 本発明の反応フローの一実施形態を示した図である。 実施例4で検出に用いた結合産物の塩基配列を示す。 本発明の反応フローの一実施形態を示した図である。 実施例5で用いた一遺伝子解析システムにおける基板構成及び核酸プローブ構成を示した図である。(a)は、遺伝子解析システムを上方から見たときの構成である。(b)は、(a)の遺伝子解析システムをX-X’軸で切断したときの断面図である。(b)において、上図の破線枠内をそれぞれ拡大した図が下左右図である。 実施例5で用いた他の遺伝子解析システムにおける基板構成及び核酸プローブ構成を示した図である。(a)は、遺伝子解析システムを上方から見たときの構成である。(b)は、(a)の遺伝子解析システムをX-X’軸で切断したときの断面図である。(b)において、上図の破線枠内をそれぞれ拡大した図が下左右図である。 実施例5で用いた遺伝子解析システムのコントロールにおける基板構成及び核酸プローブ構成を示した図である。(a)は、該コントロールを上方から見たときの構成である。(b)は、(a)のコントロールをX-X’軸で切断したときの断面図である。(b)において、上図の破線枠内をそれぞれ拡大した図が下左右図である。 本発明の反応フローの一実施形態を示した図である。
1.遺伝子解析システム
本発明の遺伝子解析システムの構成について説明する。本発明の遺伝子解析システムは、基板、第1プローブ及び第2プローブを必須の構成要素として含むデバイスである。
1−1.基板
本発明の遺伝子解析システムにおいて「基板」とは、細胞保持領域を1個又は複数個含む支持体をいう。
基板の素材は、DNA及びRNAの遺伝子発現解析において当技術分野で一般的に使用されている材料で作製されたものであれば特に限定されるものではない。例えば、金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、モリブデン、クロム、白金、チタン、ニッケルなどやステンレスなどの合金からなる金属;シリコン;ガラス、石英ガラス、溶融石英、合成石英、アルミナ及び感光性ガラスなどのガラス材料(これらの材料は基本的に透明である);ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene樹脂)、ナイロン、アクリル樹脂及び塩化ビニル樹脂などのプラスチック(一般には透明でないが光学計測を可能とするために透明とすることが望ましい);アガロース、デキストラン、セルロース、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、キチン、キトサンが挙げられる。
基板は、異なる二以上の素材から構成されていてもよい。例えば、基板底部に細孔付きシートを有する基板の場合、基板骨格が前記プラスチックや金属などで構成され、細孔付きシートが、例えば、アルミナ、ガラス、及びシリコン製のフィルム;アクリルアミドゲル、ゼラチン、修飾ポリエチレングリコール、修飾ポリビニルピロリドン、及びハイドロゲル製のゲル薄膜;又はセルロースアセテート、ニトロセルロース又はこれらの混合メンブレン、及びナイロンメンブレン製のメンブレンで構成される場合などが該当する。
基板は、必要に応じてハウジングなどの加工を行うことができる。また、波長300nm〜10000nmの光うち少なくとも一部の波長の光に対して透明な、すなわち透過可能な材料で作製されていることが好ましい。これは、遺伝子発現の解析を基板上で光学的に行うことが可能となるためである。
「細胞保持領域」とは、基板上に配置された微小空間からなる区画であって、基板に供給された複数の細胞を1細胞ごとに保持可能なように構成されている。細胞保持領域の形状は特に限定しない。例えば、円柱形、略円柱形、楕円柱形、略楕円柱形、直方形、略直方形、立方形、略立方形、円錐形、略円錐形、角錐形、略角錐形などが該当する。細胞保持領域の開口径は、細胞の直径よりもやや小さい大きさから細胞一つがちょうど収まる程度の大きさであればよい。例えば、直径5μm〜50μmの範囲にあればよい。細胞保持領域の深さは、1μmから細胞一つがちょうど収まる程度の深さ、例えば、5〜100μmの範囲にあればよい。一基板あたりの細胞保持領域の数は特に限定はしない。1個であっても、また複数個であってもよい。通常は、10〜105個の範囲にあればよい。細胞保持領域は、基板上で反応セルとして機能する。
細胞保持領域は、後述する第1プローブ及び第2プローブをその内部に配置する。
1−2.第1プローブ
本発明の遺伝子解析システムにおいて「第1プローブ」とは、核酸で構成されたプローブである。第1プローブは、原則としてDNAで構成されるが、それに限定するものではなく、例えば、RNAや人工核酸を含んでいてもよい。
第1プローブは、捕捉配列及びタグ配列を含み、前記細胞保持領域内に配置される。第1プローブは、必要に応じて、共通配列、及び/又は核酸増幅補正配列をさらに含む。以下、第1プローブを構成する各配列について具体的に説明をする。
「捕捉配列」とは、第1プローブを構成する必須の配列で、細胞保持領域に保持された細胞から抽出された一本鎖核酸の塩基配列の一部に相補的な配列、又はランダムな配列を含み、抽出された一本鎖核酸を捕捉するように構成されている。捕捉配列の塩基配列は、標的である前記一本鎖核酸とハイブリダイズして、それを捕捉することができれば特に限定されない。それ故、核酸の種類及び配列を考慮して適宜設計することができる。本発明において、標的となる一本鎖核酸としては、メッセンジャーRNA(mRNA)、非コードRNA(ncRNA)、microRNA、及び一本鎖DNA、並びにそれらの断片が挙げられる。捕捉配列の長さは、ハイブリダイゼーションによってターゲット(標的)となる一本鎖核酸を捕捉しうる長さであればよい。捕捉配列は、一本鎖核酸の塩基配列の3’末端側又はそれに近い配列に相補的な配列であることが好ましい。
例えば、標的となる一本鎖核酸がmRNAの場合には、捕捉配列としてmRNAの配列の一部であるポリA配列に相補的なオリゴ(dT)配列を用いることが好ましい。オリゴ(dT)配列を構成するdTの重合度は、mRNAのポリA配列をハイブリダイゼーションによって捕捉しうる重合度であればよい。例えば、8〜40個、好ましくは8〜30個である。また捕捉配列としてオリゴ(dT)配列を用いる場合には、その3'末端に2塩基のランダム配列を付加することが好ましい。それによりcDNAを合成する際のアーティファクトの量を大幅に低減させることが可能になる。そのようなランダム配列として、例えば、VN配列(VはA、G又はCであり、NはA、G、C又はTである)が挙げられる。
また、標的となる一本鎖核酸がmicroRNAやゲノムDNA由来の一本鎖核酸である場合には、一本鎖核酸の塩基配列の一部に相補的な配列又はランダム配列を用いることができる。
「タグ配列」とは、第1プローブを構成する必須の配列で、細胞保持領域内の反応産物に付すべき識別タグである。したがって、細胞保持領域が複数個存在する場合には、タグ配列は、各細胞保持領域に固有の塩基配列を含む。タグ配列は、任意の長さの既知の塩基配列から構成される。例えば、タグ配列が5塩基長からなる場合には、45(=1024)種類の異なる細胞保持領域に固有のタグ配列を付与することができる。同様に、例えば、タグ配列が10塩基長からなる場合には、410(=1048576)種類の異なる細胞保持領域に固有のタグ配列を付与することができる。したがって、タグ配列の長さは、遺伝子解析システム上の細胞保持領域の位置及び/又は数に応じて、それらを識別できるように適宜決定すればよい。具体的には、5〜30塩基とすることが好ましい。
タグ配列を構成する塩基配列は、細胞保持領域が基板上に複数個存在する場合、原則として細胞保持領域ごとに異なるが、必要であれば複数の細胞保持領域に共通していてもよい。例えば、一基板上において、5つの細胞保持領域ごとに共通のタグ配列を使用する場合が該当する。この場合、共通のタグ配列を使用する5つの細胞保持領域を一細胞保持領域とみなすこともできる。
「共通配列」は、選択配列であって、本発明の遺伝子解析システムを用いた遺伝子解析方法の核酸増幅工程において、切断断片を増幅する際のフォワード(Fw)プライマー配列として機能し得る配列である。したがって、第1プローブでは、原則として5’末端側に配置される。共通配列の塩基長は、プライマーとして適切な長さあれば特に限定されない。例えば、8〜60塩基長、好ましくは10〜50塩基長とすることができる。共通配列の塩基配列も特に制限はしないが、プライマー配列として適当なTm値となるような配列となるように設計することが好ましい。通常は、Tm値が50℃以上、好ましくは60℃以上となるようにすればよい。
「核酸増幅補正配列」は、本発明の遺伝子解析システムを用いた遺伝子解析方法の核酸増幅工程における増幅バイアスを補正する配列である。一般に、核酸増幅工程では増幅対象の核酸断片の長さや配列構成、その存在位置などの諸条件によって各核酸断片の増幅効率にバイアスが生じる。そのため、増幅産物の正確な定量を行うことが難しい。本方法では、個々の核酸断片に対して異なる核酸増幅補正配列が導入されるため、シークエンス解析の際に、同一の核酸増幅補正配列を有する複数のデータを同一の切断断片由来とみなして補正できる。それ故、各工程で生じた増幅バイアスを補正することができる。核酸増幅補正配列の塩基長は、特に限定されない。例えば、5〜30塩基、好ましくは10〜20塩基、より好ましくは10〜15塩基の範囲にあればよい。共通配列の塩基配列もランダム配列を有するものであれば、特に制限はされない。既知の配列を有するものであっても、又は未知の配列を有するものであってもよい。
第1プローブにおいて、捕捉配列、タグ配列、共通配列、及び核酸増幅補正配列の並びは、捕捉配列が第1プローブの3’末端側に、また共通配列が第1プローブの5’末端側に配置されていれば、他の配列の並びは特に限定はしない。
第1プローブ及び後述する第2プローブ(本明細書では、しばしばこれらをまとめて「核酸プローブ」と称する。)は、細胞保持領域内に配置される。予め核酸プローブを細胞保持領域内に配置しておくことにより、細胞又は組織にダメージを及ぼすことなく、またロボットなどを使用することなく、個々の細胞に由来する核酸からの遺伝子情報を得ることが可能となる。特に、細胞又は組織にダメージを及ぼすことがないため、そのダメージに起因する遺伝子発現の変化を回避することができる。
ここでいう「配置」とは、所定の位置に適当な方法で直接的に及び/又は間接的に固定することをいう。
核酸プローブを細胞保持領域内に直接的に固定する例として、細胞保持領域内部の表面に固定する場合が挙げられる。固定する位置は問わない。例えば、細胞保持領域の底面、壁面、若しくはその組み合わせ又は全面のいずれであってもよい。ここで、細胞保持領域が細孔付きシートを有する場合には、細孔内部表面やシートの繊維表面も細胞保持領域内部の表面に含まれる。
第1プローブを細胞保持領域内に間接的に固定する例として、細胞保持領域内の表面に保持された担体の表面に固定される場合が挙げられる。本明細書において「担体」は、細胞保持領域と核酸プローブを連結する介在物質で、核酸プローブをその表面に固定し、自身も細胞保持領域の内部表面に、必要に応じて解離可能な状態で固定されている。担体の素材は、限定はしない。例えば、樹脂材料(ポリスチレンなど)、酸化物(ガラス、シリカなど)、金属(鉄、金、白金、銀など)、高分子多糖支持体(例えば、セファロース若しくはセファデックス)、セラミックス、ラテックス及びこれらの組み合わせで構成される。担体の形状は、特に限定はしないが、ビーズのような球体粒子は、結合表面積が大きく、操作性も高いことから好ましい。それ故、磁性ビーズは、担体として好適である。
核酸プローブは、当技術分野で公知の任意の固定方法により細胞保持領域内に配置されている。固定方法としては、例えば、細胞保持領域内部の表面や担体の表面に生物学的結合、共有結合、イオン結合、又は物理吸着が挙げられる。また、スペーサー配列を介して両プローブを細胞保持領域内部の表面及び担体に固定することも可能である。
生物学的結合の例としては、ビオチンとアビジン、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンとの結合、抗原と抗体との結合などのような接合分子を介した結合が挙げられる。例えば、アビジン、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンが結合した細胞保持領域内部の表面と、ビオチン修飾した核酸プローブを反応させることにより達成できる。
共有結合の場合、例えば、核酸プローブに官能基を導入し、その官能基に対して反応性の官能基を細胞保持領域内部の表面に導入して、両者を反応させることにより達成できる。具体的には、例えば、核酸プローブにアミノ基を導入し、細胞保持領域内部の表面に活性エステル基、エポキシ基、アルデヒド基、カルボジイミド基、イソチオシアネート基又はイソシアネート基を導入することにより共有結合を形成できる。また、第1プローブにメルカプト基を導入し、細胞保持領域内部の表面に活性エステル基、マレイミド基又はジスルフィド基を導入してもよい。官能基を細胞保持領域内部の表面又は担体表面に導入する方法として、所望の官能基を有するシランカップリング剤によって細胞保持領域内部の表面を処理する方法が挙げられる。カップリング剤の例としては、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-β-アミノプロピルメチルジメトキシシランなどを用いることができる。官能基を細胞保持領域内部の表面又は担体表面に導入する他の方法として、プラズマ処理が挙げられる。
物理吸着の例としては、細胞保持領域内部の表面をポリ陽イオン(ポリリシン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなど)で表面処理し、核酸プローブの荷電を利用して静電結合させる方法などが挙げられる。なお、細胞保持領域内部や担体は、他の物質(核酸やタンパク質など)が吸着しないように、予め表面コーティングを行うことが好ましい。
1−3.第2プローブ
本発明の遺伝子解析システムにおいて「第2プローブ」とは、第1プローブと同様に核酸で構成されたプローブである。第2プローブも原則としてDNAで構成されるが、それに限定するものではなく、例えば、RNAや人工核酸を含んでいてもよい。
第2プローブは、切断断片相補配列及びタグ配列を必須配列として含み、細胞保持領域内に配置される。第2プローブは、必要に応じて、共通配列、核酸増幅補正配列、並びにステムセンス配列及びステムアンチセンス配列をさらに含むことができる。
「切断断片相補配列」は、切断断片の塩基配列の一部に相補的な配列を含み、該切断断片と塩基対合を形成するように構成されている。ここでいう「切断断片」とは、第1プローブで捕捉された一本鎖核酸を鋳型として得られる相補鎖を切断して生じる核酸断片をいう。切断に必要な場合は、切断配列又は捕捉された一本鎖核酸を鋳型として得られる相補鎖へ切断可能となる修飾を加えてもよい。
前記相補鎖の切断は、当技術分野で公知の方法により行うことができる。例えば、制限酵素による切断や、特定の波長の光や振動(超音波)を与える方法が挙げられる。
制限酵素を用いる切断では、二本鎖DNA、一本鎖DNA、DNA/RNA鎖、いずれかのDNA鎖を切断することが可能な酵素を用いる。例えば、捕捉された一本鎖核酸がmRNAなどのRNAの場合には、そのRNAとそれを鋳型として得られるDNA相補鎖からなる二本鎖DNA/RNAハイブリッド鎖において、DNA鎖のみを切断できる制限酵素を用いてもよい。そのような制限酵素として、例えば、BstNIが挙げられる。また、DNA/RNAハイブリッド鎖において、捕捉したRNA鎖のみをRNaseHなどで分解除去し、残った一本鎖DNAを切断できる制限酵素を用いてもよい。そのような制限酵素として、例えば、AccI、AccII、AvaII、BspRI、CfoI、DdeI、EcoRI、HaeIII、HapII、HhaI、HinfI、MspI、MboI、MboII、MspI、Sau3AI、SfaI、TthHB81が挙げられる。捕捉する一本鎖核酸がDNAの場合には、そのDNAとそれを鋳型として得られるDNA相補鎖からなる二本鎖DNAを切断できる制限酵素を用いることができる。より好ましくは二本鎖DNAのうち一方のDNA鎖のみを切断できる制限酵素(ニックを作製する酵素)である。
制限酵素は、核酸上に存在する固有の切断配列を認識し、切断する。したがって、シークエンス解析に適した切断断片長を得るには、制限酵素が切断できる配列が4〜5塩基であること、又は複数の制限酵素を組み合わせることが望ましいが、その限りではない。切断断片の相補配列は、切断配列の相補配列の一部を少なくとも含む。切断配列の相補鎖の一部の5’末端には混合塩基VNを配してもよいし、切断断片に特異的な配列の一部を配してもよい。
また、本実施例において、切断する手段として超音波を用いてもよい。その場合は、第1プローブ内の切断断片相補配列に、捕捉したい切断断片の特異的な配列の相補配列や切断される部位の末端を含む配列を用いることでハイブリダイズ以降の反応が可能となる。例えば、3’側を切断断片の相補配列の一部とし、この配列が突出したステム構造をとることで、前記認識プローブと切断断片がハイブリダイズした際にニックが形成される。このニックをDNAリガーゼにより結合することで、認識プローブと切断断片を結合することが可能となる。
さらに、第2プローブと切断断片を結合する手段に光ライゲーションを用いてもよい。その場合、認識プローブの任意の配列の相補配列の3’末端の塩基を人工合成塩基へ置換し、切断断片とハイブリダイズした後に366nmの波長の光を照射することで結合することができる (Organic Letters 7. 2853-2856)。
「タグ配列」は、第1プローブに記載のタグ配列と同一の構成であることから、ここでは具体的な説明を省略する。前述のようにタグ配列は、同一細胞保持領域由来であることを示す識別タグであることから、一の細胞保持領域内に配置される第1プローブと第2プローブのタグ配列は、原則として同一の配列で構成される。
「共通配列」は、選択配列であって、本発明の遺伝子解析システムを用いた遺伝子解析方法の核酸増幅工程において、切断断片を増幅する際のリバース(Rev)プライマー配列として機能し得る配列であり、第1プローブに記載の共通配列と基本的には同一の構成である。ただし、第2プローブにおける共通配列の位置は、必ずしも5‘末端側に配置される必要はない。
「核酸増幅補正配列」は、第1プローブに記載の核酸増幅補正配列と同一の構成であることから、ここでは具体的な説明を省略する。
「ステムセンス配列及びステムアンチセンス配列」は、第2プローブに特有の選択配列であって、互いに相補的な塩基配列からなる。各配列の塩基長は、原則として同一である。その長さは、両配列が安定したステム構造を形成できれば、特に制限はしない。例えば、塩基長は、3〜7塩基の範囲にあればよい。各配列を構成する塩基配列も互いが相補的であれば、特に制限はしない。
第2プローブにおいて、ステムセンス配列とステムアンチセンス配列は、一対がその間に配置された任意の塩基配列によって分離した状態で存在する。任意の塩基配列には、少なくともタグ配列が含まれ、共通配列及び/又は核酸増幅補正配列を含むこともできる。ステムセンス配列とステムアンチセンス配列は、第2プローブ内で互いに塩基対合することによってステム構造を形成し得る。これによって、前記任意配列はループ構造となり、第2プローブは全体としてループ・ステム構造を形成する。結果的に第2プローブは、ループ・ステム構造の5’側に配置された切断断片相補配列が突出した構造となる。切断断片がハイブリダイズした際に、二本鎖で構成されるハイブリダイズした領域と前記ステム構造間にニックが形成される。このニックをDNAリガーゼにより結合することで、認識プローブと切断断片を結合することが可能となる。
2.遺伝子解析方法
本発明の遺伝子解析方法について説明する。本発明の遺伝子解析方法は、本発明の遺伝子解析システムを用いる。
本発明の遺伝子解析方法は、第1工程(細胞保持工程)、第2工程(一本鎖核酸捕捉工程)、第3工程(相補鎖合成工程)、第4工程(相補鎖断片捕捉工程)、及び第5工程(タグ配列導入工程)の少なくとも5つの工程を含む。以下、各工程について説明をする。
(第1工程)
「第1工程:細胞保持工程」は、本発明の遺伝子解析システムの基板上に複数の細胞を流し、細胞保持領域に1細胞ずつ保持させる工程である。
本発明において解析に用いる試料は、遺伝子発現を解析しようとする生体由来試料であれば特に限定されるものではなく、細胞試料、組織試料、液体試料などの任意の試料を用いることができる。具体的には、1細胞からなるサンプル、複数の細胞を含む試料、組織切片試料、複数の個々の細胞を2次元的に保持したアレー状に配列させた試料などが挙げられる。
また試料の由来となる生体も特に限定されるものではなく、脊椎動物(例えば、哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類、両生類など)、無脊椎動物(例えば、昆虫、線虫、甲殻類など)、原生生物、植物、真菌、細菌、ウイルスなどの任意の生体に由来する試料を用いることができる。
(第2工程)
「第2工程:一本鎖核酸捕捉工程」は、第1工程で細胞保持領域に保持した細胞から核酸を抽出し、得られた一本鎖核酸を細胞保持領域内の第1プローブで捕捉する工程である。
第2の工程において、直下の細胞保持領域内に保持した細胞から抽出された一本鎖核酸は、細胞保持領域内に配置された第1プローブにハイブリダイズにより捕捉される。
本工程において、捕捉すべきターゲットとなる一本鎖核酸としては、限定されるものではないが、生体組織を構成する細胞内のメッセンジャーRNA(mRNA)、非コードRNA(ncRNA)、microRNA、及び一本鎖DNA、並びにそれらの断片が挙げられる。細胞からの核酸の抽出は、当技術分野で公知の方法により行えばよい。例えば、Proteinase Kのようなタンパク質分解酵素、チオシアン酸グアニジン・グアニジン塩酸といったカオトロピック塩、Tween及びSDSといった界面活性剤、あるいは市販の細胞溶解用試薬を用いて、細胞を溶解し、それに含まれる核酸、すなわちDNA及びRNAを溶出することができる。
(第3工程)
「第3工程:相補鎖合成工程」は、第1プローブをプライマーとして、第2工程で捕捉した一本鎖核酸を鋳型として、その相補鎖を合成する工程である。
第3の工程では、第1プローブをプライマーに、また捕捉した核酸を鋳型として、逆転写酵素やDNAポリメラーゼにより相補鎖が合成される。
本発明において、相補鎖の合成は、当技術分野で公知の方法により行うことができる。例えば、核酸がmRNAなどのRNAの場合には、例えば、逆転写酵素を用いた逆転写反応によってcDNAを合成することができる。また核酸がDNAの場合には、例えば、DNAポリメラーゼを用いた複製反応によってcDNAを合成することができる。
(第4工程)
「第4工程:相補鎖断片捕捉工程」は、第3工程で合成された相補鎖を断片化し、該切断断片を同一細胞保持領域内で捕捉する工程である。
相補鎖を断片化する方法は、制限酵素を用いてもよいし、超音波など物理的な刺激によるものでもよい。相補鎖の切断は、当技術分野で公知の方法により行うことができる。例えば、鋳型となった一本鎖核酸がmRNAなどのRNAの場合には、第3工程後にDNA/RNAハイブリッド鎖が生じる。この場合、DNA/RNAハイブリッド鎖のうち相補鎖に相当するDNA鎖を切断できる制限酵素や、RNaseH処理を行って得られる一本鎖DNAを切断できる制限酵素により、相補鎖中の切断配列を切断することができる。鋳型となった一本鎖核酸がDNAの場合には、第3工程後に二本鎖DNAが生じる。この場合、二本鎖DNAを切断できる制限酵素を用いることができる。より好ましくは二本鎖DNAのうち一方のDNA鎖のみを切断できる(すなわち、ニックを作製する)制限酵素を用いる。また、切断方法として前述のように酵素を用いない方法、例えば、特定の波長の光や振動(超音波)を与える方法を用いることも可能であり、切断に必要な場合は、切断配列又はcDNAに切断可能となる修飾を加えることもできる。
相補鎖の断片化によって生じた切断断片は、同一の細胞保持領域に捕捉される。
切断断片の捕捉方法として、同一の細胞保持領域内に配置された第2プローブの切断断片相補配列にハイブリダイズする方法が挙げられる。他の切断断片の捕捉方法として、核酸プローブが保持された細胞保持領域内部の表面、又は細胞保持領域内に保持された担体が直接捕捉する方法が挙げられる。この場合、細胞保持領域内部の表面若しくは単体、及び切断断片に、捕捉可能な修飾を施すことができる。このような修飾の例として、核酸プローブが固定化されている細胞保持領域表面又は担体にアビジン、ストレプトアビジン又はニュートラアビジンを、切断断片にビオチンを修飾して捕捉する方法が挙げられる。
(第5工程)
「第5工程:タグ配列導入工程」は、捕捉された切断断片に細胞保持領域ごとにタグ配列を導入する工程を含む。
第5の工程において、切断断片が第4工程でハイブリダイズにより第2プローブに捕捉された場合は、切断断片と第2プローブが結合され、細胞保持領域ごとに固有のタグ配列が切断断片に導入される。第2プローブと切断断片の結合にはDNAリガーゼを用いる。DNAリガーゼはニックDNAを結合するものが好ましいがその限りではない。第2プローブと切断断片の結合は、核酸を結合できる手法であれば特に限定されるものではない。例えば、切断断片と第2プローブとの結合には光ライゲーション法を用いてもよい(Angewandte Chemie Int. Ed. 2006, 45, 4512)。この場合、切断断片と結合する認識プローブの3’末端の塩基に修飾を施し、特定の波長を照射することで結合を行うことができる。切断断片への修飾により細胞保持領域内に捕捉する場合は、捕捉された切断断片が第2プローブに含まれる切断断片相補配列にハイブリダイズし、第2プローブを起点として切断断片を鋳型にDNAポリメラーゼにより相補鎖を合成する。この反応により、第2プローブに切断断片由来の配列が導入される。その結果、切断断片に細胞保持領域に固有のタグ配列を導入することができる。その後、第2プローブが導入された切断断片の全部又は一部を増幅する。増幅工程では、まず、解析対象となる核酸に特異的な配列を含むプライマーを、細胞保持領域の内部表面又は担体に保持されている第2プローブに結合したDNAにアニールさせ、切断断片の一部と、上述した第2プローブに含まれる各配列とを含む相補鎖を生成する。プライマーには、上述した第2プローブに含まれる共通配列に対応する共通のプライマー配列(例えば、第2プローブに含まれる共通のフォワードプライマー配列とは異なる配列を持つ共通のリバースプライマー配列)を5’末端へ付加することによって、この後の増幅工程を簡便かつ効率的に実施することが可能となる。増幅方法としては当技術分野で公知の任意の方法を用いることができ、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、Nucleic Acid Sequence-Based Amplification(NASBA)法、Loop-Mediated Isothermal Amplification(LAMP)法、ローリングサークル増幅(RCA)反応が挙げられる。また当業者であれば、採用する増幅反応に応じて、使用する第2プローブを適宜設計することができる。
本発明の第5の工程により得られた産物を鋳型として核酸増幅を行い、増幅産物を当技術分野で公知の任意の方法により遺伝子配列を解析することができる。また、配列解析を行うことにより遺伝子発現解析も可能である。例えば、一実施形態では、増幅産物の配列を決定することにより、解析対象の遺伝子の発現の有無、発現量(核酸増幅補正配列に基づいて補正する)などを解析することができる。また別の実施形態では、上記遺伝子特異的配列に対して相補的な配列を有する標識したプローブを利用して、cDNA又は得られる増幅産物に該プローブをハイブリダイズさせ、標識に基づいて解析対象の遺伝子発現を検出する(例えば、光学的に検出する)ことができる。そのような検出に使用するプローブは、当業者であれば適宜設計することができる。使用する標識もまた当技術分野で公知の任意の標識を用いることができ、例えば、蛍光標識(Cy3、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)など)、化学発光標識(ルシフェリンなど)、酵素標識(ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリフォスファターゼなど)、放射性標識(トリチウム、ヨウ素125など)が挙げられる。さらに別の実施形態では、上記遺伝子特異的配列に対して相補的な配列を有するプローブを利用して核酸増幅反応を行い、増幅の有無を化学発光又は蛍光に基づいて検出することによって、解析対象の遺伝子の発現を解析することができる。
本発明においては、上述のとおり得られたcDNAにおける遺伝子解析結果と、サンプル(細胞、組織など)の二次元位置情報とを対応させることにより、細胞又は組織における特定の位置と遺伝子発現との相関データを得ることも可能である。そのようなサンプルの二次元位置情報は、例えば、細胞サンプル又は組織切片サンプルの顕微鏡像、他の標識法により得られる蛍光像又は化学発光像などである。
以下、本発明の実施形態の具体例について説明する。ただし、これらの実施例は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
[実施例1]
本実施例では、図1(a)に示す分離された複数の細胞保持領域を有する基板と、図2に示す第1プローブと第2プローブを前記各細胞保持領域内に配置する遺伝子解析システムを用いて、第1プローブで捕捉された1細胞由来の一本鎖核酸を鋳型として得られる相補鎖の切断断片をDNAリガーゼにより第2プローブに結合する例を示す。
本構成例の基板は、各細胞保持領域が1つの細胞を保持するように構成されている。細胞保持領域(1)は、細胞(2)の直径と同等もしくはそれよりも大きい直径20〜50μm程度の口径を有する貫通孔と底面の細孔メンブレン(3)からなる。
本実施例では細胞から抽出した一本鎖核酸としてmRNAを想定している。それ故、配列番号1で示される塩基配列からなる第1プローブ(5)は、3’末端側に12塩基のオリゴ(dT)配列と2塩基のVN配列からなる捕捉配列(6)を含む。また、第1プローブは5’末端側から順番に、30塩基の共通配列(7)、5塩基のタグ配列(8)、そして7塩基のランダム配列からなる核酸増幅補正配列(9)からなる。一方、配列番号2で示される塩基配列からなる第2プローブ(10)は、5’末端から順番に、混合塩基VNと3塩基からなる切断断片相補配列(11)、6塩基のステムセンス配列(12)、30塩基の共通配列(7)、5塩基のタグ配列(8)、7塩基のランダム配列からなる核酸増幅補正配列(9)、そして6塩基のステムアンチセンス配列(13)で構成されている。ここで、切断断片相補配列を構成する前記3塩基は、二本鎖DNAに加え、一本鎖DNAも切断可能な酵素であるMspI及びHpaIIの認識配列である「CCGG」をMspI又はHpaIIで切断した後の切断末端に相補的な配列である「CCG」からなる。また、ステムセンス配列(12)とステムアンチセンス配列(13)は、互いに塩基対合してステムを形成し、それらの配列間に位置する共通配列(7)、タグ配列(8)、そして核酸増幅補正配列(9)はループ構造を形成する。その結果、第2プローブにおいて、5’末端に位置する切断断片相補配列(11)は、突出末端となる。なお、本実施例では切断断片相補配列(11)の対象制限酵素MspI又はHpaIIを用いているが、それに限定はされない。
本実施例の上記遺伝子解析システムを用いた反応工程は、図2で示すように、細胞から抽出した一本鎖核酸であるmRNA(15)を、第1プローブ(5)の捕捉配列(6)にハイブリダイズさせて捕捉する一本鎖核酸捕捉工程(I)と、捕捉したmRNA(15)を鋳型として第1プローブ(5)の3’末端を起点にcDNA(16)を合成する相補鎖合成工程(II)と、捕捉した一本鎖核酸であるmRNA(15)を分解する分解工程(III)と、合成したcDNA(16)を一本鎖DNAを切断できる制限酵素MspI又はHpaIIにより切断し(矢頭)、生じた切断断片(17)を直ちに第2プローブ(10)の切断断片相補配列(11)とハイブリダイズさせて捕捉する切断断片捕捉工程(IV)、及び第2プローブ(10)の3’末端と捕捉した切断断片(17)の5’末端をDNAリガーゼにより結合する結合工程(V)からなる。
次に、第1プローブ及び第2プローブを細胞保持領域(1)内に固定する構成を図3に示す。図3では、第1プローブ(5)及び第2プローブ(10)を、細胞保持領域(1)底部を構成する細孔メンブレン(3)の細孔表面に固定した例を示す。各核酸プローブの5’末端には固定化のためにアミノ基が修飾されている。本実施例では細孔メンブレンに細孔の大きさが0.1〜0.2μm程度の市販のアノディスク(GE Healthcare)を用いている。細孔メンブレンの厚さは60μmであり、その表面には核酸プローブを固定できる。通常、固体表面に固定できる核酸プローブの密度は、核酸プローブ1個/30-100nm2であり、1つの細孔に5×105個程度の核酸プローブを固定することができる。細孔の体積は約1.8×10-16Lであり、したがって、核酸プローブの密度は、5mMになる。細孔メンブレンに固定される核酸プローブの比率を第1プローブ:第2プローブ=1:5程度にすると、第1プローブの密度は0.8mM程度、第2プローブの密度は4mM程度となり、共に高い効率で反応を行うのに十分な濃度であり、他の細胞保持領域への切断断片のロスの確率も0%以下となることが見込まれる(Biophysical journal 69. 2243-2255 (1995), Biophysical journal 20. 193-219 (1997), Biophysical journal 66. 255-600 (1994))。なお、この比率は各実験条件により変更が可能であり、この限りではない。
本実施例では、核酸プローブ(5、10)を細孔メンブレン(3)へ固定化するためのシランカップリング剤と、タンパク質の吸着を防止するシラン化されたMPCポリマーとを適切な割合で同時に細孔表面に共有結合にて固定して、DNAの高密度固定と核酸やタンパク質の吸着抑制を行った。実際には、まず0.1μm孔径のアノディスク(GE Healthcare)をエタノール溶液に3分浸漬後、0.1% Tween20+10mM Tris (pH8.0)溶液で2回洗浄し、乾燥させた。その後、UVO3処理を4分間行い、シラン化MPCポリマーであるMPC monomer(例えば、Langmuir 26. 13028-13032 (2010))3mg/mLと0.3mg/mLのシランカップリング剤GTMSi(GTMSi:3-Glycidoxypropyltrimethoxysilane;信越化学)を含むエタノール溶液に1時間浸漬した。エタノールで洗浄後、オーブンにて120℃で1時間加熱処理した。次に、上記処理したアノディスクの上に20μm直径の区画を持つPDMSシートを重ねた。PDMSシート上の各区画内の細孔メンブレン(3)に核酸プローブ(5、10)を固定化するために、第1プローブ(5)(1mM)、第2プローブ(10)(5mM)、1%グリセロールと0.15M NaClを含む0.05Mホウ酸バッファ(pH 8.5)をシート上にインクジェットプリンタと同じ技術によって、100pLずつ各領域に吐出した。その後、加湿チャンバ内において、アノディスク上のエポキシ基と核酸プローブの5’末端のアミノ基を25℃で2時間反応させた。最後にアノディスク上の未反応の官能基をブロックし、過剰な核酸プローブを除去するために、十分量の10mM Lys、0.01% SDS及び0.15M NaClを含むホウ酸バッファ(pH 8.5)で5分間洗浄し、この洗浄液を除去した後、0.01% SDSと0.3M NaClを含む30mMクエン酸ナトリウムバッファ(2 x SSC, pH 7.0)を用いて60℃にて洗浄し、過剰DNAを除去した。これによって、核酸プローブの固定と表面処理を完了した。
次に、上記構成の遺伝子解析システムを用いて細胞を捕捉する方法を説明する。まず、約1000個の細胞を500μLの1×PBSで洗浄後、4℃に冷却された1×PBSを50μL加えて細胞溶液を調製した。この細胞溶液を図1(a)の各細胞保持領域にアレー状に配列させた。具体的には、上記に示した20μm直径の細胞保持領域が1000個配置されたPDMSシートとプローブ固定化用のアノディスクを積層してなる本実施例の遺伝子解析システムの基板上部から底部に向けて細胞溶液を流通することで、各細胞は各細胞保持領域に保持され、残った溶液は、廃液としてアノディスクの下部より排出された。これにより約80%程度の細胞を各細胞保持領域に1個ずつ捕捉することができた。
続いて、基板上で捕捉した細胞を、細胞溶解試薬を用いて常法により溶解し、得られたmRNAを第1プローブにて捕捉した後、上記した反応工程によりタグ配列が付加された切断断片を得た。なお、本実施例では、相補鎖合成工程(II)でmRNAの相補鎖を合成する逆転写酵素としてSuperScript III(Invitrogen)を、分解工程(III)でRNAを除去する酵素としてRNaseH(Invitrogen)を、切断断片捕捉工程(IV)で一本鎖DNAを切断する制限酵素としてMspI(New England BioRabs)を、そして結合工程(V)で使用するDNAリガーゼしてE.coli DNAリガーゼ(New England BioRabs)を用いた。細胞溶解試薬及び逆転写反応試薬、RNaseH試薬の組成を表1〜3に示す。また、制限酵素及びDNAリガーゼの反応試薬及び反応方法は、添付のバッファー及びプロトコルを用いた。
Figure 2015059741
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図4に本実施例の反応フローを示し、具体的な反応条件を以下で説明する。約1000細胞が捕捉された上記基板からなる細胞捕捉基板(19)に、細胞溶解試薬(20)を4μL添加して、室温で5分間放置し細胞を溶解した。細胞を溶解すると同時に、各細胞保持領域に存在する細孔内の第1プローブによってmRNAが捕捉される。その後、逆転写酵素(200U)及び逆転写反応試薬からなる反応液(21)を添加して、反応装置(22)にて50℃、50分間反応した。その後、RNaseH(60U)とRNaseH反応試薬からなる反応液(23)を1μL添加して、反応装置(24)で37℃、30分間反応した。逆転写反応後の相補鎖合成量をqPCRにて定量した結果、ハウスキーピング遺伝子GAPDHにおいて70%以上の相補鎖が合成できていることを確認した。さらに、MspI(20U)、E.coli DNAリガーゼ (10U)、及び反応試薬を含む反応液(25)を12.5μL添加し、反応装置(26)で37℃、1時間反応した。以上の反応により第1プローブをプライマーとしてmRNAの相補鎖であるcDNAが合成され、得られたcDNAを断片化するとともに、切断断片を第2プローブで捕捉してDNAリガーゼにより結合することにより、細胞保持領域ごとに固有のタグ配列が付加された切断断片を得ることができた。最後に、本実施形態により得られた第2プローブに結合した切断断片を鋳型として共通配列をフォワードプライマーとして核酸増幅反応を行い、得られた産物のシークエンス解析を行った。増幅産物に含まれるタグ配列の情報を取得することによって、デバイス上の領域又は領域範囲ごとに特定の遺伝子配列を決定することが可能となる。本実施例は、分解工程、切断断片捕捉工程、結合工程の全て、又はいずれかを同時に行うことも可能である。
[実施例2]
本実施例は、図1(b)に示す分離された複数の細胞保持領域を持つ基板と、図5に示す第1プローブと第2プローブを前記各細胞保持領域内に配置する遺伝子解析システムを用いて、第1プローブで捕捉された1細胞由来の一本鎖核酸を鋳型として得られる相補鎖の切断断片をDNAリガーゼにより第2プローブに結合する例を示す。
本構成例の基板は、各細胞保持領域が1つの細胞を保持するように構成されている。細胞保持領域(1)の開口径は、細胞(2)の直径よりも小さい直径5〜15μm程度の貫通孔と底面の細孔メンブレン(3)からなる。
本実施例に用いる第1プローブ及び第2プローブは、図5で示すように担体に固定され、核酸プローブを固定化した担体(核酸プローブ固定化担体)が基板の細胞保持領域内に図5(a)及び(b)の構成で配置されている。図5(a)は、第1プローブ(27)と第2プローブ(28)が同一の担体(29)上に固定され、その担体(29)を細胞保持領域(1)に配置する構成を示す。図5(b)は、第1プローブ(27)と第2プローブ(28)がそれぞれ異なる担体上に固定された構成で、第1プローブ(27)を担体(30)に、第2プローブ(28)を担体(31)にそれぞれ固定し、両担体を混合して細胞保持領域(1)に配置する構成を示す。本実施例で使用した担体は、直径1μmのストレプトアビジンがコートされた市販の磁性ビーズ(Invitrogen)で、ビーズ1個当たりに固定できる核酸プローブの数は、約105個である。例えば、直径30μm深さ70μmの細胞保持領域を用いた場合には約6×104個のビーズを収納でき、核酸プローブの総数は約6×109個となる。配置したビーズの隙間で各反応は行われ、その体積は細胞保持領域の数分の1と見積もることができるので反応部分の核酸プローブの密度はmMオーダーとなる。すなわち本実施例の構成であれば非常に迅速に、かつ効率よく、作製された断片と第2プローブを反応させることができ、切断断片をロスする確率も極めて低い。
図5(c)は、図5(a)に示した担体上の核酸プローブの構成を示す図である。第1プローブ及び第2プローブの配列構成を示す。第1プローブ(27)は、実施例1で用いた第1プローブ(5)と同じ配列番号1で示す塩基配列を有する。第2プローブ(28)は、配列番号3で示され、実施例1の第2プローブとは切断断片相補配列(11)のみが異なる。なお、本実施形態の第2プローブにおける切断断片相補配列(11)は、混合塩基VNと3塩基からなり、この3塩基は、RNA/DNAハイブリッド鎖のうちDNAのみを切断できる制限酵素BstNIの認識配列「CCWGG」(W=A or Tの混合塩基)をBstNIで切断した後の切断末端に相補的な配列である「GGW」からなる(Nucleic Acids Research doi 10.1093、1-12 (2010))。各プローブの5’末端には、担体へ固定化するためにビオチンが修飾されている。
なお、本実施例において、第2プローブ(28)は、細胞保持領域(1)の底部に保持されていてもよい。例えば、80℃で溶解するアガロースゲル内に第2プローブ(28)を包埋して細胞保持領域(1)と細孔メンブレン(3)の間に設置し、切断断片が生じる工程の前に80℃以上の熱処理を加えることによりゲルを溶解することで、第2プローブを細胞保持領域内へ展開できる。
本実施例では、担体に上述した直径1μmのストレプトアビジンがコートされた磁性ビーズ(Invitrogen)を用いた。図5(a)の構成では、担体(29)には、第1プローブ(27)を約1×1011分子/107ビーズ/μL、第2プローブ(28)を約5×1011分子/107ビーズ/μLとなるように固定した。また図5(b)の構成では、担体(30)及び(31)に第1プローブ(27)及び第2プローブ(28)が5×1011分子/107ビーズ/μLになるように固定し、それぞれが1:5の比で存在するように混合した。核酸プローブの担体への固定方法は、磁性ビーズのマニュアルに従った。両核酸プローブが固定された担体、及びそれぞれの核酸プローブがそれぞれ異なる担体に固定された混合担体は、個別にインクジェットプリンタヘッドに充填し、細胞保持領域ごとに固有のタグ配列が固定されたビーズを個別に細胞保持領域へ6nLずつ充填することで、1細胞保持領域あたり3×109個のプローブを配置した。
次に、本実施例の遺伝子解析システムを用いて細胞を捕捉する方法を説明する。まず、1000個以下の細胞を500μLの1×PBSで洗浄後、4℃に冷却された1×PBS 500μLに懸濁した。この細胞溶液を図1(b)の各領域にアレー状に配列させた。具体的には、上径10μm、下径50μmの貫通孔が1000個配置された厚さ80μmのPDMSシートに、0.1μm孔径を持つアノディスクを積層した。核酸プローブを固定した担体は、前記PDMSシートとアノディスクの積層によって形成された細胞保持領域内部に充填された。本実施形態のアノディスクは、実施例1の遺伝子解析システムと異なり、担体を保持する役割を持つ。PDMSシートやアノディスクには親水処理が施されているため、溶液は貫通孔を通過できる。上記のように調整した細胞溶液を基板上部から底部に向けて細胞溶液を流通することで、細胞は溶液流に乗って移動し、細胞保持領域の上部へ到達する。本実施例の細胞保持領域の開口径は細胞の直径よりも小さいため、ここに細胞が固定される状態で捕捉される。捕捉された細胞は、溶液流に対して栓の役割を果たすので、流れはまだ細胞を捕捉していない細胞保持領域の上部へ、まだ捕捉されていない細胞と共に移動する。
続いて、基板上で捕捉した細胞を、細胞溶解試薬を用いて常法により溶解し、得られたmRNAを第1プローブにて捕捉した後、タグ配列が付加された切断断片を得た。本実施例は、図2で示した前記実施例1の工程と分解工程の順番が異なる。すなわち、cDNAを合成後、得られたRNA/DNAハイブリッド鎖のうちDNA鎖を切断できる制限酵素BstNIにてDNA鎖のみを先に切断処理し、その後に、RNaseHにてRNAを分解した。本実施例では、切断断片は、制限酵素処理時にはRNAとハイブリダイズすることで細胞保持領域内に保持されており、RNAが分解すると同時に第2プローブの切断断片相補配列(11)にハイブリダイズする。なお、本実施例では、相補鎖合成工程(II)でmRNAの相補鎖を合成する逆転写酵素としてSuperScript III(Invitrogen)を、分解工程(III)でRNAを除去する酵素としてRNAを除去する酵素としてRNaseH(Invitrogen)を、RNA/DNAハイブリッド鎖を切断する制限酵素としてBstNI(New England BioRabs)を、そして結合工程(V)で使用するDNAリガーゼとしてT4 DNAリガーゼ(New England BioRabs)を用いた。細胞溶解試薬及び逆転写反応試薬、RNaseH試薬の組成は、表1〜3に示したものと同様である。また、制限酵素及びDNAリガーゼの反応試薬及び反応方法は、添付のバッファー及びプロトコルを用いた。
図6に本実施例の反応フローを示し、具体的な反応条件を以下で説明する。約1000細胞が捕捉された上記基板からなる細胞捕捉基板(32)へ、細胞溶解試薬(33)を100μL、流速20μL/minとなるように添加して、室温で5分間反応し、細胞を溶解した。溶液を流動させることで細胞を溶解すると同時にmRNAが細胞直下の細胞保持領域へ移動し、細胞保持領域に存在する第1プローブによりmRNAが捕捉される。この際、細胞溶解液を継続的に流動させる代わりに、電圧をかけて核酸を担体方向へ移動させてもよい。その後、逆転写酵素(200U)及び逆転写反応試薬からなる反応液(34)を添加して、反応装置(35)にて50℃、50分間反応した。本反応において、逆転写反応後の相補鎖合成量をハウスキーピング遺伝子GAPDHにおいてqPCRにて定量した結果、80%以上の相補鎖が合成できていることを確認している。その後、BstNI(10U)及び制限酵素反応試薬を含む反応液(36)を10μL添加して、反応装置37で60℃、1時間反応した。次に、RNaseH(60U)とDNAリガーゼ(400U)、RNaseH反応試薬及びDNAリガーゼ反応液からなる反応液(38)を5uL添加して、反応装置(39)で37℃、1時間反応した。以上の反応により第1プローブをプライマーとしてmRNAの相補鎖であるcDNAを合成し、得られたcDNAをBstNIで断片化した。その後、切断断片を第2プローブの切断断片相補配列で捕捉してDNAリガーゼにより結合することにより、細胞保持領域ごとに固有のタグ配列が付加された切断断片を得た。本実施例でも実施例1と同様に、得られた第2プローブ結合切断断片を鋳型として共通配列をFwプライマーとして増幅反応を行い、増幅産物のシークエンス解析を行うと、それに含まれるタグ配列の情報に基づいて、デバイス上の細胞保持領域又は細胞保持領域範囲ごとに特定の遺伝子配列を決定することが可能となる。また、本実施例の反応工程は、切断工程、分解工程、結合工程の全て、又はいずれかを同時に行うことも可能である。
[実施例3]
本実施例では、図1(a)に示す分離された複数の細胞保持領域内にDNAプローブを固定した担体が導入された基板と、図7に示す第1プローブと第2プローブを前記各細胞保持領域内に配置する遺伝子解析システムを用いて、第1プローブで捕捉された1細胞由来の一本鎖核酸を鋳型として得られる相補鎖の切断断片を修飾することにより細胞保持領域内に捕捉し、捕捉した切断断片由来の配列に第2プローブの配列を導入する方法を示す。
図7で示すように、本実施例では第1プローブ(40)と第2プローブ(41)が同一の担体(42)に固定される構成の遺伝子発現システムを用いた。第1プローブ(40)の配列は、配列番号1で示され、これは第1及び第2の実施形態と同じである。配列番号4で示される第2プローブ(41)は、5’末端から順番に、30塩基の共通配列(7)、5塩基のタグ配列(8)、7塩基のランダム配列からなる核酸増幅補正配列(9)、3塩基からなる切断断片相補配列と混合塩基VN (11)で構成されている。ここで用いる3塩基からなる切断断片相補配列は、RNA/DNAハイブリッド鎖のうちDNAのみを切断できる制限酵素BstNIの認識配列(43) 「CCWGG」(W=A or Tの混合塩基)をBstNIで切断した後の切断末端に相補的な配列である「GGW GGW」からなる。各プローブの5’末端には、担体に固定化するためにビオチンが修飾されている。本実施例で用いた担体(42)は、ストレプトアビジンが固定されているものを用いた。本実施例の上記遺伝子解析システムを用いた反応工程は、細胞から抽出した一本鎖核酸であるmRNA(44)を第1プローブ(40)の捕捉配列(6)とハイブリダイズすることにより捕捉する一本鎖核酸捕捉工程(I)と、捕捉したmRNA(15)を鋳型として第1プローブ(40)の3’末端を起点にcDNA(45)を合成する相補鎖合成工程(II)と、mRNA/cDNAハイブリッド鎖のcDNA(45)を制限酵素BstNIにより切断する切断工程(III)(矢頭)と、生じた切断断片(46)にビオチンを修飾する修飾工程(IV)と、mRNAを分解後、修飾切断断片(47)が担体(42)上のストレプトアビジンに結合し、第2プローブ(41)の切断配列相補配列(11)と修飾切断断片(47)の切断配列の一部をハイブリダイズさせて捕捉する切断断片捕捉工程(V)と、第2プローブ(41)をプライマー、ビオチン化切断断片(47)を鋳型として第2のcDNA(2nd cDNA)を合成する第2相補鎖合成工程(VI)からなる。また、本実施例の一本鎖核酸捕捉工程(I)で、目的の核酸としてDNAを捕捉する場合は、前記RNAを分解する工程は不要となる。また、修飾工程(IV)、切断断片捕捉工程(V)、第2相補鎖合成工程(VI)の全て又はいずれかを同時に行うことも可能である。第2相補鎖合成工程により得られた第2プローブ配列導入cDNA(48)を鋳型として、共通配列(7)をフォワードプライマーとして増幅反応を行い、得られた増幅産物のシークエンス解析を行うと共に、それに含まれるタグ配列の情報に基づいてデバイス上の細胞保持領域又は細胞保持領域範囲ごとに特定の遺伝子配列を決定することが可能となる。
次に、本実施例で用いる分離された複数の領域内にDNAプローブを固定した担体が導入された基板の構成を図8(a)、プローブの固定構成を図8(b)、(c)に示す。
まず、図8(a)に示すように、領域(1)の内部にDNAプローブが固定した担体(49)を添加した。細胞は領域内に捕捉され、抽出された核酸は、担体上に存在する第1プローブにハイブリダイズする。この際細孔メンブレン(3)は担体を保持する役割を持つ。次にプローブの固定構成を説明する。図8(b)に示すように第1プローブ(40)及び第2プローブ(41)を同一の担体(42)の表面に固定したものと、図8(c)に示すように、第1プローブ(40)を担体(50)に、第2プローブ(41)を担体(51)に固定し、それぞれの担体を混合した混合担体を作製した。
本実施例では、担体として実施例2と同じ直径1μmのストレプトアビジンがコートされた磁性ビーズ(Invitrogen)を用いた。図8(b)及び(c)の構成における担体への核酸プローブ固定量は、実施例2と同様である。核酸プローブが固定された担体又は混合担体を個別にインクジェットプリンタヘッドに充填し、異なる配列が固定されたビーズを個別に図8(a)に示す細胞保持領域(1)に6nLずつ充填した。
次に、本実施例の遺伝子解析システムを用いて細胞を捕捉する方法を説明する。まず、1000個以下の細胞を500μLの1×PBSで細胞を傷つけないように洗浄後、溶液を除去し、4℃に冷却された1×PBSを50μL加えた。この細胞溶液を図8(a)の各領域にアレー状に配列させた。具体的には、20μm直径の細胞保持領域が1000個配置されたPDMSシートと0.1μmの孔径を持つアノディスク(GE. Healthcare)を積層した。本実施例の遺伝子解析システムの基板上部から底部に向けて細胞溶液を流通することで、各細胞は各細胞保持領域に保持される。これにより80%程度の細胞を各細胞保持領域に1個ずつ捕獲することができた。
続いて、基板上で捕捉した細胞を、細胞溶解試薬を用いて常法により溶解し、得られたmRNAを第1プローブにて捕捉した後、切断断片をビオチン修飾することにより細胞保持領域内に切断断片を捕捉した。その後、捕捉した切断断片の配列に第2プローブの配列を導入した。本実施例では、図7に示す通り、切断断片の3’末端にterminal deoxynucleotidyl transferase(以下TdTと記載)にてビオチン標識dUTPを付加させることでビオチン修飾した。その後RNaseHによりRNAが分解されるとともに、ビオチン化された修飾切断断片は、細胞保持領域内のストレプトアビジンがコートされた担体でビオチン‐ストレプトアビジン結合により捕捉した。捕捉後に切断断片相補配列を介して第2プローブとハイブリダイズし、DNAポリメラーゼにより第2プローブがプライマーとなり切断断片の相補鎖を合成した。なお、本実施例では、逆転写酵素としてSuperScript III(Invitrogen)を、RNAを除去する酵素としてRNaseH(Invitrogen)を、制限酵素としてRNA/DNA鎖のうちDNA鎖のみを切断できるBstNI(New England BioRabs)を、ビオチン修飾酵素としてTdT(Thermoscientific)を、そしてDNAポリメラーゼとしてPlatinum Taq Hi Fidelity DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を用いた。細胞溶解試薬及び逆転写反応試薬、RNaseH試薬の組成は、表1〜3に示したものと同様である。TdT 反応試薬及びDNAポリメラーゼ反応試薬の組成を表4、5に示す。また、制限酵素の反応試薬及び反応方法は添付のバッファー及びプロトコルを用いた。
Figure 2015059741
Figure 2015059741
図9に本実施例の反応フローを示し、具体的な反応条件を以下で説明する。約1000細胞が捕捉された上記基板からなる細胞捕捉基板(52)に、細胞溶解試薬(53)を2〜5μL添加して、室温で5分間反応し、細胞を溶解した。その後、逆転写酵素(200U)及び逆転写反応試薬からなる反応液(54)を添加して、反応装置(55)にて50℃で50分間反応した。その後、BstNI(10U)及び制限酵素反応試薬を含む反応液(56)を10μL添加して、反応装置(57)にて60℃で1時間反応した。次に、RNaseH(60U)とTdT(2U)、RNaseH反応試薬及びTdT反応液試薬からなる反応液(58)を11μL添加して、反応装置(59)で37℃、1時間反応した。反応後の遺伝子解析システムに0.1% Tween20/10mM Tris (pH8.0)からなる洗浄液(60)を50μL加えて洗浄し、DNAポリメラーゼとDNAポリメラーゼ反応試薬を含む反応液(61)を10μL添加し、反応装置(62)にて98℃ 10秒、43℃ 60秒、68℃ 180秒間反応して第1プローブに切断断片の相補鎖を合成した。以上の反応により第1プローブをプライマーとしてmRNAの相補鎖であるcDNAを合成し、得られたcDNAをBstNIで断片化した。その後、切断断片にビオチン修飾を行い、第2プローブに切断断片の相補鎖を合成することにより、細胞保持領域ごとのタグ配列が付加された切断断片由来の配列を得た。
[実施例4]
本実施例において、逆転転写反応、及び制限酵素反応及びDNAリガーゼ反応による一連の反応で切断断片を第1プローブに結合できるかを定量PCRにより検証した。なお、核酸プローブの固定化は、実施例2における担体に固定する方法で行った。
試料核酸は、ヒト単球性白血病細胞株で浮遊細胞のTHP1からRNeasy Mini Kit(Qiagen)を用いてTotal RNAを抽出し、Oligotex-dT30 (TaKaRa)によりmRNAを精製したものを用いた。抽出及び精製は、試薬のプロトコルに従った。得られたmRNAはnanodrop ND-1000(Thermosientific)により濃度を測定した。
実験に用いた第1プローブ及び第2プローブの塩基配列は、実施例1と同じ(第1プローブ:配列番号1、第2プローブ:配列番号2)であり、それぞれのプローブの5’末端をビオチン修飾したものを用いた。担体には直径1μmのストレプトアビジンがコートされた磁性ビーズ(Invitrogen)を用いた。核酸プローブは、5’末端のビオチンを介して担体に固定した。各核酸プローブを異なる担体に固定化する場合(担体Aとする)る、両プローブをそれぞれの担体に約5×1011分子/107ビーズ/μLとなるように固定し、第1プローブのみを固定した担体と第2プローブのみを固定した担体が1:5の比率となるように両担体を混合した。同一の担体に両プローブを固定する場合(担体Bとする)、第1プローブが約1×1011分子/107ビーズ/μL、第2プローブが約5×1011分子/107ビーズ/μLとなるように担体上に固定した。固定方法は、磁性ビーズのマニュアルに従った。
図10に本実施例で定量PCRにより増幅・検出するGAPDH遺伝子由来の切断断片と第2プローブの結合産物の塩基配列(63)(配列番号5)を示す。5’末端より1〜59塩基が第2プローブの配列を、また60〜679塩基がGAPDH遺伝子由来の切断断片の配列を示す。定量PCRには、図10の5’末端より12から32塩基に示す、第2プローブに付加されている共通配列(33)と同じ配列番号6で示す塩基配列からなるフォワードプライマー、及び218〜237塩基の相補配列と同じ配列番号7で示す塩基配列からなるリバースプライマーをプライマーセットとして用いた。また、図10の5’末端より206〜216塩基と同じ配列番号8で示す塩基配列からなる検出プローブを増幅産物の検出に用いた。検出プローブの5’末端にはFAM色素、3’末端には非蛍光クエンチャーが修飾されている。このプライマーセットを用いることで、切断断片が第2プローブに結合した産物のみが増幅され、検出プローブにより増幅産物が検出される。
本実施例では、逆転写酵素としてSuperScript III(Invitrogen)、RNAを除去する酵素としてRNaseH(Invitrogen)、制限酵素として一本鎖DNAを切断できるMspI(New England BioRabs)、DNAリガーゼとしてE.coli DNAリガーゼ(New England BioRabs)を用いた。逆転写反応試薬及びRNaseH試薬の組成は、表2及び3に示したものと同じである。また、制限酵素及びDNAリガーゼの反応試薬及び反応条件は、添付のバッファー及びプロトコルを用いた。
上記mRNAと担体A、及びBを用いて、cDNA合成後に切断して得られた切断断片のDNAリガーゼによる第2プローブへの結合量を検討した。反応フローを図11に示す。5pgのmRNAからなる核酸試料(64)に逆転写酵素(200U)及び担体A及びB(1.5μL)逆転写反応試薬を含む反応液(65)を添加して、反応装置(66)で50℃、50分間反応した。その後、RNaseH(60U)とRNaseH反応試薬を含む反応液(67)を1μL添加して、反応装置(68)で37℃、30分間反応した。さらに、MspI(20U)、E.coli DNAリガーゼ (10U)、及び反応試薬を含んでいる反応液(69)を12.5μL添加し、反応装置(70)で37℃、1時間反応した。反応後に上清を除いた磁性ビーズに、フォワードプライマー(10pmol)、リバースプライマー(10pmol)、検出プローブ(2.5pmol)、Premix ExTaq(TaKaRa)からなる定量PCR試薬(71)を19μL添加し、検出装置(72)にて定量PCRにより増幅曲線を検出した。定量の際の検量線の試料には図10の5’末端より6〜240塩基の配列からなる検量線試料(配列番号9)を希釈したサンプルを用い、得られたCt値を基に、磁性ビーズ上に固定された第1プローブの結合産物量を算出した。
結果を表6に示す。THP1由来のmRNA 5pg中のGAPDH遺伝子の分子数は、約1×104分子である。それに対し、担体Aで得られた結合産物は、GAPDH遺伝子量と同等の結合産物が得られた。また、担体Bに関しては、GAPDHの遺伝子数の約6割程度の結合産物が得られた。以上の結果より、mRNAをターゲット核酸として実施例1に示した遺伝子解析方法により、得られた切断断片が第2プローブに結合できることが実証された。
Figure 2015059741
[実施例5]
本実施例では、cDNAが制限酵素により切断された後に、他の細胞保持領域に切断断片が移動する量(ロスの確率)が、本発明の遺伝子解析システムを用いた遺伝子解析方法により低減しているかを検証した。
評価に用いた制限酵素により切断される鋳型DNAは、100塩基からなる配列であり、第1プローブで合成されたcDNAを模して設計されている。配列番号10で示す塩基配列からなる第1プローブは、5’末端より順番に、dTTPが15塩基連続する配列と、制限酵素MspI及びHpaIIで切断できる4塩基からなる制限酵素認識配列と、81塩基からなるGAPDH遺伝子の一部に相補的な捕捉配列で構成されており、5’末端がビオチン修飾されている。第2プローブは、切断断片の移動量を確認するために基板ごとに異なり、ここでは2種類を使用している。第2プローブAは、実施例1で使用した配列番号2で示す塩基配列と同じであり、また第2プローブBは、配列番号11で示す塩基配列からなり、第2プローブAと細胞保持領域ごとに固有の配列のみが異なっている。いずれも5’末端がビオチン修飾されている。定量PCRに用いるプライマーセット及び検出プローブは、以下のとおりである。フォワードプライマーは、上記鋳型DNAの5’末端より20塩基から32塩基目に相当する配列番号12で示す塩基配列からなり、リバースプライマーは鋳型DNAの3’末端の1塩基から20塩基目の相補配列である配列番号13で示す塩基配列からなる。検出プローブは鋳型DNAの5’末端の41塩基から58塩基目に相当する配列番号14で示す塩基配列からなり、5’末端にFAM色素、3’末端に非蛍光クエンチャーが修飾されている。制限酵素処理により、鋳型DNAの5’末端より17塩基以降が切断されるため、上記プライマー1、2及び検出プローブ1は、制限酵素処理後に得られる3’側の切断断片を検出できる。
切断断片の移動量の検出において、実施例2の構成を図12A及び図12Bに、比較のため第2プローブが存在しないコントロールの構成を図12Cに示す。本実施例では、孔径20μmの細胞保持領域を81個持つ基板を近接して設置し、基板間での切断断片の移動量を評価した。
図12Aに示す本方法1の構成では、反応槽(73)の中で基板A(74)と基板B(75)を近接して設置している。基板A(74)の細胞保持領域には、鋳型DNA(76)と第2プローブA(77)が1:1の割合で固定された担体(78)が充填されている。一方、基板B(75)の細胞保持領域には第2プローブB(79)が固定された担体(80)が充填されている。
図12Bに示す本方法2の構成では、反応槽(73)の中で基板A(81)に充填される担体の構成が本方法1と異なり、基板A(81)の細胞保持領域には鋳型DNA(76)が固定された担体(82)と、第2プローブA(77)が固定された担体(83)を等量ずつ充填している。一方、基板B(75)の構成は、本方法1の構成と同じである。
図12Cに示すコントロールは、基板に切断断片を捕捉する第2プローブを配置しない構成とした。基板A(84)の領域には鋳型DNA(76)が固定された担体(85)のみが充填されている。第2プローブが同細胞保持領域内に存在しないコントロール構成と、存在する本方法1及び2の構成で、制限酵素及びDNAリガーゼによる切断・結合反応を行った際の、基板Aから基板Bへの切断断片の移動量を定量PCRにより算出した。
次に、図12に示す担体へのプローブ固定について説明する。担体には実施例2、及び3で使用したものと同じ直径1μmのストレプトアビジンがコートされた磁性ビーズ(Invitrogen)を用いた。なお、それぞれの担体には鋳型DNAや第1プローブが約3×103分子/107ビーズ/μLとなるように固定した。同担体は、基板上の細胞保持領域に充填し、固定方法は磁性ビーズのマニュアルに従った。担体を導入する基板は、上記直径20μmの細胞保持領域が81個配置された厚さ80μmのPDMSシートと0.1μm径の貫通孔を持つアノディスク(GE. Healthcare)を積層したものを用いた。
本実施例では、制限酵素に一本鎖DNAを切断できるMspI(New England BioRabs)を、DNAリガーゼにE.coli DNAリガーゼ(New England BioRabs)を使用し、反応試薬は制限酵素及びDNAリガーゼに添付のバッファーなどを用いた。
本方法1、2及びコントロールにおける反応フローを図13に示す。それぞれの基板にそれぞれの担体を充填した図12A、B及びCの反応槽(73)からなる反応容器(86)に、MspI(20U)、E.coli DNAリガーゼ (10U)、及び反応試薬を含む反応液(87)を12.5μL添加し、反応装置(88)で37℃、1時間反応した。その後、基板A及びBを回収し、反応後の各基板に、プライマー1(10pmol)、プライマー2(10pmol)、検出プローブ1(2.5pmol)、Premix ExTaq(TaKaRa)からなる定量PCR試薬(89)を19μL添加し、検出装置(90)にて定量PCRにより増幅曲線を検出した。定量の際の検量線の試料には担体に固定した配列番号15で示す塩基配列からなる検量線試料を希釈したサンプルを用いた。検量線試料は、84塩基からなる配列であり、切断された鋳型DNAの3’末端側の配列を模して設計され、5’末端がビオチン修飾されている。検量線より得られたCt値を基に得られた値より、基板A、Bで得られた検出産物量を算出した結果、検出産物量の総和は、投入した鋳型DNAの量(約4.5×103分子)と同程度の値が得られていた。そこで、検出産物の総量を100とした場合の基板Bに存在する切断断片量の割合を算出した。その結果を表7に示す。本方法1及び2では1%以下であるのに対し、第2プローブが存在しないコントロールの構成では8.7%と約1割程度混入していることが示された。本実施例の領域の体積は2.5×10-8cm3であり、プローブ密度は約40pMと実施例1〜4と比べて約10-7低いが、本実施例の核酸プローブ密度でも本発明の構成により他の領域への切断断片の移動が極めて低くなることが実証された。
Figure 2015059741
本発明によって、生体分子の配列決定や定量、同定が、多数の培養細胞や多数の免疫細胞や(血中)がん細胞などに対して実行でき、どのような状態にある細胞群がどの程度の数だけ生体に存在するかを計測することが可能となる。これは、がんなどの早期の診断やiPS細胞のヘテロジェナイエティを計測することも可能となる。
1 : 細胞保持領域
2 : 細胞
3 : 細孔メンブレン
4, 29, 30, 31, 42, 49, 50, 51, 78, 80, 82, 83, 85 : 担体
5, 27, 40 : 第1プローブ
6 :相補配列
7 : 共通配列
8 : 核酸増幅補正配列
9 :タグ配列
10, 28, 41, 77, 79 : 第2プローブ
11 : 切断断片相補配列
12 : 任意の配列
13 : 任意の配列の相補配列
14, 43 : 切断配列
15, 44 : mRNA
16, 45 : cDNA
17, 46 : 切断断片
18,: 第2プローブ結合cDNA
19, 32, 52 : 細胞捕捉基板
20, 33, 53 : 細胞溶解試薬
21, 34, 54 : 逆転写酵素、及び逆転写酵素反応試薬
22, 24, 26, 35, 37, 39, 55, 57, 59, 62, 66, 68, 70, 88 : 反応装置
23, 67 : RNaseH、RNaseH反応試薬
25, 69, 87 : 制限酵素、DNAリガーゼ、及び反応試薬
36, 56 : 制限酵素、制限酵素反応試薬
38 : RNaseH、DNAリガーゼ、RNaseH反応試薬、及びDNAリガーゼ反応試薬
47 : ビオチン修飾DNA切断断片
48 : 第2プローブ配列導入cDNA
58 : RNaseH、TdT、RNaseH反応試薬、及びTdT反応試薬
60 : 洗浄液
61 : DNAポリメラーゼ、及びDNAポリメラーゼ反応試薬
63 : 切断断片と第2プローブの結合産物の塩基配列
64 : 核酸試料
65 : 逆転写酵素、逆転写反応試薬、及び担体
71, 89 : 定量PCR試薬
72, 90 : 検出装置
73, 86 : 反応槽
74, 75, 81, 84 : 基板
76 : 鋳型DNA
配列番号1:人工配列の説明:本発明の実施例1,2,3,4で使用する第1プローブ
配列番号2:人工配列の説明:本発明の実施例1、4、5で使用する第2プローブ
配列番号3:人工配列の説明:本発明の実施例2で使用する第2プローブ
配列番号4:人工配列の説明:本発明の実施例3で使用する第2プローブ
配列番号5:人工配列の説明:本発明の実施例4で使用するライゲーション産物
配列番号6:人工配列の説明:本発明の実施例4で使用するフォワードプライマー
配列番号7:人工配列の説明:本発明の実施例4で使用するリバースプライマー
配列番号8:人工配列の説明:本発明の実施例4で使用する増幅産物を検出するプローブ
配列番号9:人工配列の説明:本発明の実施例4で使用する増幅産物の定量に用いる検量線サンプル
配列番号10:人工配列の説明:本発明の実施例5で使用する鋳型DNA
配列番号11:人工配列の説明:本発明の実施例5で使用する第2プローブ
配列番号12:人工配列の説明:本発明の実施例5で使用するフォワードプライマー
配列番号13:人工配列の説明:本発明の実施例5で使用するリバースプライマー
配列番号14:人工配列の説明:本発明の実施例5で使用する増幅産物を検出するプローブ
配列番号15:人工配列の説明:本発明の実施例5で使用する増幅産物の定量に用いる検量線サンプル
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (15)

1細胞ごとに保持可能な細胞保持領域を1個又は複数個含む基板、
細胞保持領域に保持された細胞から抽出された一本鎖核酸の塩基配列の一部に相補的な配列を含み、該抽出された一本鎖核酸を捕捉する捕捉配列、及び各細胞保持領域に固有のタグ配列を含んでなり、細胞保持領域内に配置される第1プローブ、及び
第1プローブで捕捉された一本鎖核酸を鋳型として得られる相補鎖の切断によって生じる切断断片の塩基配列の一部に相補的な配列を含み、該切断断片と塩基対合を形成する切断断片相補配列、及び細胞保持領域に固有のタグ配列を含んでなり、各細胞保持領域内に配置される第2のDNAプローブ
を含む遺伝子解析システム。
前記第1プローブ及び第2プローブが共通配列及び/又は核酸増幅補正配列をさらに含む、請求項1に記載の遺伝子解析システム。
前記一本鎖核酸を鋳型として得られる相補鎖の切断によって生じる切断断片が制限酵素による切断によって生じる切断断片である、請求項1又は2に記載の遺伝子解析システム。
前記切断断片相補配列が、制限酵素で切断後の切断末端に相補的な配列を含む、請求項3に記載に遺伝子解析システム。
前記第2プローブが任意の塩基配列からなるステムセンス鎖と、該ステムセンス鎖に相補的な塩基配列からなるステムアンチセンス鎖をさらに含み、
ステムセンス鎖とステムアンチセンス鎖は、いずれか一方が第2プローブの3’末端に配置され、かつ他方が第2プローブの5’末端に位置する切断断片相補配列の3’末端側に隣接して配置され、両鎖は第2プローブ内で塩基対合してステム構造を形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遺伝子解析システム。
前記第1プローブ及び/又は第2プローブが細胞保持領域表面に保持された担体に固定される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の遺伝子解析システム。
前記第1プローブ及び/又は第2プローブが接合分子を介して担体に固定されている、請求項6に記載の遺伝子解析システム。
第1プローブ及び第2プローブが同一の又は異なる担体に固定されている、請求項6又は7に記載の遺伝子解析システム。
前記1プローブ及び/又は第2プローブの5’末端部が担体に固定されている、請求項6〜8のいずれか一項に記載の遺伝子解析システム。
前記第1プローブ及び/又は第2プローブの末端部以外の部位が担体に固定されている、請求項6〜8のいずれか一項に記載の遺伝子解析システム。
前記第1プローブ及び/又は第2プローブの細胞保持領域あたりの存在密度が5 pM以上である、請求項1〜10に記載の遺伝子解析システム。
前記第2プローブの細胞保持領域内への配置が環境変化により解離可能なように構成されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の遺伝子解析システム。
前記環境が温度又は光である、請求項12に記載の遺伝子解析システム。
請求項1〜13のいずれか一項に記載の遺伝子解析システムの基板上に複数の細胞を流し、細胞保持領域に1細胞ずつ保持させる第1工程、
第1工程で細胞保持領域に保持した細胞から核酸を抽出し、得られた一本鎖核酸を細胞保持領域内の第1プローブで捕捉する第2工程、
第1プローブをプライマーとして第2工程で捕捉した一本鎖核酸を鋳型に用いて、その相補鎖を合成する第3工程、
第3工程で合成された相補鎖を断片化して、その切断断片を同一の細胞保持領域内で捕捉する第4工程、及び
捕捉された切断断片に細胞保持領域ごとにタグ配列を導入する第5工程を含む
遺伝子解析方法。
前記第4工程で、細胞保持領域内への切断断片の捕捉が第2プローブの切断断片相補配列へのハイブリダイゼーションを介して行われる、請求項14に記載の遺伝子解析方法。
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