JPWO2015029281A1 - 半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2015029281A1
JPWO2015029281A1 JP2015533935A JP2015533935A JPWO2015029281A1 JP WO2015029281 A1 JPWO2015029281 A1 JP WO2015029281A1 JP 2015533935 A JP2015533935 A JP 2015533935A JP 2015533935 A JP2015533935 A JP 2015533935A JP WO2015029281 A1 JPWO2015029281 A1 JP WO2015029281A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
light emitting
electrode
semiconductor layer
gallium nitride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015533935A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6323782B2 (ja
Inventor
卓哉 美濃
卓哉 美濃
安田 正治
正治 安田
後藤 浩嗣
浩嗣 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Original Assignee
Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd filed Critical Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd
Publication of JPWO2015029281A1 publication Critical patent/JPWO2015029281A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6323782B2 publication Critical patent/JP6323782B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L33/00Semiconductor devices having potential barriers specially adapted for light emission; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof
    • H01L33/02Semiconductor devices having potential barriers specially adapted for light emission; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof characterised by the semiconductor bodies
    • H01L33/26Materials of the light emitting region
    • H01L33/30Materials of the light emitting region containing only elements of Group III and Group V of the Periodic Table
    • H01L33/32Materials of the light emitting region containing only elements of Group III and Group V of the Periodic Table containing nitrogen
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L33/00Semiconductor devices having potential barriers specially adapted for light emission; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof
    • H01L33/36Semiconductor devices having potential barriers specially adapted for light emission; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof characterised by the electrodes
    • H01L33/40Materials therefor

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Led Devices (AREA)

Abstract

半導体発光素子は、基板と、n型窒化ガリウム系化合物半導体層、発光層及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層を有する窒化物半導体層と、p型窒化ガリウム系化合物半導体層の表面側に形成された正電極と、n型窒化ガリウム系化合物半導体層のうち露出した表面に形成された負電極と、を備え、負電極が、構成元素としてTiを含んでいない。負電極は、厚み方向に重なる複数の電極層を備え、複数の電極層のうち最上層の電極層が、Au層により構成され、複数の電極層のうち最下層の電極層が、構成元素として、Alと、Nと、Nと化合物を形成することができる金属と、を含んでいる。

Description

本発明は、半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法に関する。
従来、発光素子としては、窒化ガリウム系化合物半導体発光素子(以下、「半導体発光素子」という)が知られている(例えば、日本国特許番号3482955(以下、「文献1」という)。
文献1に記載された半導体発光素子は、絶縁性基板上にn型窒化ガリウム系化合物半導体層と、活性層と、p型窒化ガリウム系化合物半導体層が順に積層されている。また、この半導体発光素子は、p型窒化ガリウム系化合物半導体層及び活性層それぞれの一部がエッチングにより除去されている。これにより、半導体発光素子は、n型窒化ガリウム系化合物半導体層が露出されている。
半導体発光素子は、露出されたn型窒化ガリウム系化合物半導体層の表面に、n型窒化ガリウム系化合物半導体層と接する負電極(n電極)が形成されている。
文献1には、負電極の形成にあたって、最下層のTi膜とAl膜と最上層のAu膜との積層膜からなる多層膜を形成してから、400℃以上1200℃以下でアニーリングを行うことが記載されている。文献1には、上述のアニーリングにより、負電極とn型窒化ガリウム系化合物半導体層との好ましいオーミック接触が得られることが記載されている。
また、文献1には、上述のアニーリングにおけるアニーリング温度について、400℃以上、更に好ましくは500℃以上、最も好ましくは600℃以上である旨が記載されている。
上述の半導体発光素子は、正電極(p電極)と負電極との間に正電極が負電極に対して高電位側となる順方向バイアス電圧を印加することにより、正電極から負電極に向かって電流が流れ、活性層にてホールと電子が結合し所定の波長の光を発光する。
WO2012/039442(以下、「文献2」という)には、n型AlxGa1-xN層上に形成したn電極(Ti/Al/Ti/Au)とn型AlxGa1-xN層との接触抵抗と熱処理温度の関係を、測定した結果が示されている。文献2には、この関係を、n型AlxGa1-xN層のAlNモル分率xが、0、0.25、0.4及び0.6の4通りについて測定した結果が示されている。
また、文献2には、発光波長が365nmよりも短波長の紫外線発光素子の場合、低い接触抵抗でn電極をn型AlxGa1-xN層上に形成するには、概ね600℃以上の熱処理が必要である旨が記載されている。また、文献2には、発光波長が短くなると、つまり、AlNモル分率xが大きくなると、更に高温での熱処理が必要となる旨が記載されている。
上述の半導体発光素子では、例えば、発光波長が300nm以下に設定されている場合、n型窒化ガリウム系化合物半導体層として、Alの組成比が0.6よりも高いn型窒化ガリウム系化合物半導体層が必要となる。
本願発明者らは、例えば、n型Al0.7Ga0.3N層の露出させた表面上に、上述のTi膜とAl膜とAu膜との積層膜を形成してからオーミック接触を得ようとした場合、750℃以上のアニーリング温度でのアニーリングを行う必要であるという知見を得た。また、本願発明者らは、半導体発光素子の製造時に、負電極の形成にあたって、750℃以上のアニーリング温度でアニーリングを行った場合、負電極の表面あれ(表面の凹凸)が顕著になるという知見を得た。
また、半導体発光素子と、半導体発光素子を収納したパッケージと、を備えた発光装置は、半導体発光素子の正電極、負電極と、パッケージの第1導体部、第2導体部と、をそれぞれ電気的に接続する必要がある。このため、発光装置では、製造時に、ワイヤボンディングやフリップチップボンディングを行う必要があり、半導体発光素子の正電極、負電極それぞれに、ワイヤやバンプを接合することになる。本願発明者らは、発光装置では、半導体発光素子の負電極の表面荒れが顕著な場合、負電極とワイヤやバンプとの接合強度が不十分となり、繰り返して与えられる温度ストレスや、半導体発光素子のオン、オフの繰り返し等により、ワイヤやバンプが負電極から剥れ、オープン不良に至ることがあるという知見を得た。
また、文献2に記載された測定の結果では、AlNモル分率xが、0.6の場合、熱処理温度が950℃程度のときに接触抵抗が最低値となっている。この接触抵抗の最低値は、1×10-2Ω・cm2程度である。しかしながら、半導体発光素子では、接触抵抗のより小さなオーミック接触の実現が望まれている。
本発明の目的は、負電極の表面荒れを抑制することが可能であり、且つ、n型窒化ガリウム系化合物半導体層と負電極との接触抵抗の低減を図ることが可能な半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法を提供することにある。
本発明の半導体発光素子は、基板と、前記基板の第1面側に形成され前記第1面側から順にn型窒化ガリウム系化合物半導体層、発光層及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層を有する窒化物半導体層と、前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の表面側に形成された正電極と、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層のうち露出した表面に形成された負電極と、を備え、前記負電極が、構成元素としてTiを含んでおらず、前記負電極は、厚み方向に重なる複数の電極層を備え、前記複数の電極層のうち最上層の電極層が、Au層により構成され、前記複数の電極層のうち最下層の電極層が、構成元素として、Alと、Nと、Nと化合物を形成することができる金属と、を含んでいることを特徴とする。
この半導体発光素子において、前記金属は、Ni、Cu、Fe、W、Taの群から選択されることが好ましい。
この半導体発光素子において、前記複数の電極層は、前記n形窒化ガリウム系化合物半導体層に近い側から順に、前記最下層の電極層からなる第1電極層、第2電極層、第3電極層、前記最上層の電極層からなる第4電極層を備え、前記第2電極層は、構成元素がAl及び前記金属であり、前記第3電極層は、構成元素がAl、Au及び前記金属であることが好ましい。
本発明の半導体発光素子の製造方法は、基板と、前記基板の第1面側に形成され前記第1面側から順にn型窒化ガリウム系化合物半導体層、発光層及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層を有する窒化物半導体層と、前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の表面側に形成された正電極と、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層のうち前記窒化物半導体層が深さ方向の途中まで除去されて露出した表面に形成された負電極と、を備え、前記負電極が、構成元素としてTiを含まない、半導体発光素子の製造方法であって、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層の前記表面に前記負電極を形成するにあたっては、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層の前記表面上に、Alよりなる第1金属層、Nと化合物を形成することができる第1の金属よりなる第2金属層、Alよりなる第3金属層、Nと化合物を形成することができる第2の金属よりなる第4金属層及びAuよりなる第5金属層を順次積層した後、アニール処理を行うことで前記負電極を形成することを特徴とする。
この半導体発光素子の製造方法において、前記第1の金属及び前記第2の金属は、Ni、Cu、Fe、W、Taの群から選択されることが好ましい。
本発明の半導体発光素子においては、負電極の表面荒れを抑制することが可能であり、且つ、n型窒化ガリウム系化合物半導体層と負電極との接触抵抗の低減を図ることが可能となるという効果がある。
本発明の半導体発光素子の製造方法においては、負電極の表面荒れを抑制することが可能であり、且つ、n型窒化ガリウム系化合物半導体層と負電極との接触抵抗の低減を図ることが可能な半導体発光素子を製造することが可能となる。
図1は、実施形態の半導体発光素子の概略断面図である。 図2Aは、実施形態の半導体発光素子における負電極の構成元素の深さ方向分布の模式的な説明図である。図2Bは、実施形態の半導体発光素子における負電極の模式的な説明図である。 図3は、実施形態の半導体発光素子の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
以下では、本実施形態の半導体発光素子B1について図1、2A及び2Bに基づいて説明する。
半導体発光素子B1は、基板1と、基板1の第1面1a側に形成され第1面1a側から順にn型窒化ガリウム系化合物半導体層3、発光層4及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層6を有する窒化物半導体層20と、を備える。また、半導体発光素子B1は、p型窒化ガリウム系化合物半導体層6の表面6a側に形成された正電極8と、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3のうち露出した表面3aに形成された負電極9と、を備える。また、半導体発光素子B1は、負電極9が、構成元素としてTiを含んでいない。負電極9は、図2Bに示すように、厚み方向に重なる複数の電極層9(i=1〜n、図2Bの例では、n=4)を備えている。負電極9は、複数の電極層9のうち最上層の電極層9が、Au層により構成され、複数の電極層9のうち最下層の電極層9が、構成元素として、Alと、Nと、Nと化合物を形成することができる金属と、を含んでいる。これにより、半導体発光素子B1は、負電極9の表面荒れを抑制することが可能であり、且つ、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との接触抵抗の低減を図ることが可能となる。なお、図2Bの例では、n=4としてあるが、n≧3であればよい。
半導体発光素子B1の各構成要素については、以下に詳細に説明する。
半導体発光素子B1は、例えば、210nm〜280nmの紫外波長域に発光波長(発光ピーク波長)を有する紫外線発光ダイオードとすることができる。これにより、半導体発光素子B1は、例えば、高効率白色照明、殺菌、医療、環境汚染物質を高速で処理する用途等の分野で、利用することができる。半導体発光素子B1は、紫外線発光ダイオードのような紫外線発光素子の場合、UV−Cの波長域に発光波長を有するのが好ましい。UV−Cの波長域は、例えば国際照明委員会(CIE)における紫外線の波長による分類によれば、100nm〜280nmである。
基板1は、例えば、第1面1aが(0001)面のサファイア基板により構成することができる。つまり、基板1は、c面サファイア基板(α−Al基板)により構成することができる。また、サファイア基板は、(0001)面からのオフ角が、0〜0.3°であるのが好ましい。
半導体発光素子B1は、基板1とn型窒化ガリウム系化合物半導体層3(以下、「n型半導体層3」ともいう。)との間に、バッファ層2を備えているのが好ましい。要するに、半導体発光素子B1は、基板1の第1面1a上にバッファ層2が形成されており、n型半導体層3が、バッファ層2上に形成されているのが好ましい。バッファ層2は、AlyGa1-yN(0≦y≦1)層により構成されている。バッファ層2は、AlN層により構成されているのが好ましい。
バッファ層2は、貫通転位を減少させることを目的として設けた層である。バッファ層2は、厚さが薄すぎると貫通転位の減少が不十分となりやすく、厚さが厚すぎると格子不整合に起因したクラックが発生したり、複数個の半導体発光素子B1を形成するウェハの反りが大きくなり過ぎる懸念がある。このため、バッファ層2の厚さは、例えば、500nm〜10μm程度の範囲で設定するのが好ましく、1μm〜5μmの範囲で設定するのが、より好ましい。バッファ層2の厚さは、4μmに設定してあるが、一例であり、特に限定するものではない。
n型半導体層3は、発光層4へ電子を輸送するための層である。n型半導体層3は、例えば、n型AlzGa1-zN(0<z<1)層により構成することができる。n型窒化ガリウム系化合物半導体層3を構成するn型AlzGa1-zN(0<z<1)層の組成比は、発光層4で発光する紫外線を効率良く放出できるように設定するのが好ましい。例えば、発光層4が障壁層と井戸層とで構成される量子井戸構造を有し、井戸層のAlの組成比が0.5、障壁層のAlの組成比が0.7の場合、n型AlzGa1-zN(0<z<1)のAlの組成比zは、障壁層のAlの組成比と同じ0.7とすることができる。すなわち、発光層4の井戸層がAl0.5Ga0.5N層により構成され、障壁層がAl0.7Ga0.3N層により構成される場合、n型半導体層3は、例えば、n型Al0.7Ga0.3N層により構成することができる。n型半導体層3のAlの組成比は、障壁層のAlの組成比と同じである場合に限らず、異なっていてもよい。また、n型半導体層3は、単層膜に限らず、例えば、互いにAlの組成比の異なる複数のn型AlGaN層を積層した多層膜により構成してもよい。n型半導体層3の厚さは、一例として2μmに設定してあるが、特に限定するものではない。なお、n型半導体層3のドナー不純物としては、例えば、Siが好ましい。また、n型半導体層3の電子濃度は、例えば、1×1018〜1×1019cm-3程度の範囲で設定すればよい。
発光層4は、注入されたキャリア(ここでは、電子と正孔)を光に変換する層である。言い換えれば、発光層4は、注入された2種類のキャリア(電子、正孔)の再結合により紫外線を放射する層である。発光層4は、量子井戸構造を有しているのが好ましい。発光層4は、量子井戸構造の井戸層が、AlaGa1-aN(0<a<1)層により構成され、量子井戸構造の障壁層が、AlbGa1-bN(0<b≦1、b>a)層により構成されているのが好ましい。AlaGa1-aN(0<a<1)層からなる井戸層を備えた発光層4は、井戸層のAlの組成比aを変化させることにより、発光波長を210nm〜360nmの範囲で任意の発光波長に設定することが可能である。例えば、所望の発光波長が265nm付近である場合には、Alの組成比aを0.50に設定すればよい。発光層4は、量子井戸構造の井戸層が、InAlGaN層により構成されていてもよい。
量子井戸構造は、多重量子井戸構造でもよいし、単一量子井戸構造でもよい。また、井戸層及び障壁層の各厚さは、特に限定するものではない。ただし、発光層4は、井戸層の厚さが厚すぎると、井戸層に注入された電子及び正孔が、量子井戸構造における格子不整合に起因するピエゾ電界に起因して、空間的に分離してしまい、発光効率が低下してしまうと推考される。また、発光層4は、井戸層の厚さが薄すぎる場合、キャリアの閉じ込め効果が低下し、発光効率が低下してしまうと推考される。このため、井戸層の厚さは、例えば、1nm〜5nm程度が好ましく、1.3nm〜3nm程度が、より好ましい。また、障壁層の厚さは、例えば、5nm〜15nm程度の範囲で設定することが好ましい。半導体発光素子B1では、一例として、井戸層の厚さを2nmに設定し、障壁層の厚さを10nmに設定してあるが、これらの厚さに限定するものではない。半導体発光素子B1は、発光層4が量子井戸構造を有した構成に限らず、例えば、発光層4がn型半導体層3とp型窒化ガリウム系化合物半導体層6(以下、「p型半導体層」ともいう。)とで挟まれたダブルヘテロ構造でもよい。
半導体発光素子B1は、発光層4とp型半導体層6との間に電子ブロック層5を備えているのが好ましい。
電子ブロック層5は、発光層4へ注入された電子のうち、発光層4中で正孔と再結合されなかった電子が、p型半導体層6側へ漏れる(オーバーフローする)のを抑制するために、発光層4とp型半導体層6との間に好適に設けることができる。電子ブロック層5は、p型AlcGa1-cN(0<c<1)層により構成してある。p型AlcGa1-cN(0<c<1)層のAlの組成比cは、例えば、0.9とすることができる。p型AlcGa1-cN(0<c<1)層の組成比は、特に限定するものではないが、電子ブロック層5のバンドギャップエネルギが、p型半導体層6もしくは障壁層のバンドギャップエネルギよりも高くなるように設定することが好ましい。また、電子ブロック層5の正孔濃度は、特に限定するものではない。また、電子ブロック層5の厚さは、一例として30nmに設定してある。電子ブロック層5の厚さは、特に限定するものではないが、厚さが薄すぎるとオーバーフローを抑制する効果が減少し、厚さが厚すぎると半導体発光素子B1の抵抗が大きくなってしまう。電子ブロック層5の厚さについては、Alの組成比cや正孔濃度等の値によって適した厚さが変化するので、一概には言えないが、1nm〜50nmの範囲で設定することが好ましく、5nm〜25nmの範囲で設定することが、より好ましい。
p型半導体層6は、発光層4へ正孔を輸送するための層である。p型半導体層6は、p型AldGa1-dN(0<d<1)層により構成してあるのが好ましい。p型AldGa1-dN(0<d<1)層の組成比は、発光層4で発光する紫外線の吸収を抑制できるように設定するのが好ましい。例えば、上述のように発光層4における井戸層のAlの組成比が0.5、障壁層のAlの組成比が0.7の場合、p型AldGa1-dN(0<d<1)層のAlの組成比dは、例えば、障壁層のAlの組成比aと同じ0.7とすることができる。すなわち、発光層4の井戸層がAl0.5Ga0.5N層からなる場合、p型半導体層6は、例えば、p型Al0.7Ga0.3N層により構成することができる。p型半導体層6のAlの組成比は、障壁層のAlの組成比と同じである場合に限らず、異なっていてもよい。p型半導体層6のアクセプタ不純物としては、例えば、Mgが好ましい。
p型半導体層6の正孔濃度は、特に限定するものではなく、p型半導体層6の膜質が劣化しない正孔濃度の範囲において、より高い濃度のほうが好ましい。しかしながら、半導体発光素子B1は、p型AldGa1-dN(0<d<1)層の正孔濃度がn型AlzGa1-zN(0<z≦1)層の電子濃度よりも低いので、p型半導体層6の厚さが、厚すぎると、半導体発光素子B1の抵抗が大きくなりすぎる。このため、p型半導体層6の厚さは、200nm以下が好ましく、100nm以下が、より好ましい。なお、半導体発光素子B1では、一例として、p型半導体層6の厚さを50nmに設定している。
半導体発光素子B1は、p型半導体層6の表面6a上にp型コンタクト層7を好適に備えた構成とすることができる。
p型コンタクト層7は、正電極8との接触抵抗を下げ、正電極8との良好なオーミック接触を得るために設けてある。p型コンタクト層7は、p型GaN層により構成してあるのが好ましい。p型コンタクト層7を構成するp型GaN層の正孔濃度は、p型半導体層6よりも高濃度とすることが好ましく、例えば、7×1017cm-3程度とすることにより、正電極8との良好なオーミック接触を得ることが可能である。ただし、p型GaN層の正孔濃度は、特に限定するものではなく、正電極8との良好なオーミック接触が得られる正孔濃度の範囲で適宜変更してもよい。p型コンタクト層7の厚さは、200nmに設定してあるが、これに限らず、例えば、50nm〜300nmの範囲で設定すればよい。
半導体発光素子B1は、上述のように、窒化物半導体層20が、バッファ層2、n型半導体層3、発光層4、電子ブロック層5、p型半導体層6及びp型コンタクト層7を備えた構成とすることができる。窒化物半導体層20は、n型半導体層3、発光層4及びp型半導体層6以外について適宜設ければよい。窒化物半導体層20は、エピタキシャル成長法により形成することができる。エピタキシャル成長法は、例えば、有機金属気相成長(metal organic vapor phase epitaxy:MOVPE)法、ハイドライド気相成長(hydride vapor phase epitaxy:HVPE)法、分子線エピタキシー(molecular beam epitaxy:MBE)法等を採用できる。なお、窒化物半導体層20は、この窒化物半導体層20を形成する際に不可避的に混入されるH、C、O、Si、Fe等の不純物が存在してもよい。
半導体発光素子B1は、窒化物半導体層20の一部を、窒化物半導体層20の表面20a側からn型半導体層3の途中までエッチングすることで除去してある。これにより、半導体発光素子B1は、n型半導体層3の表面3aが露出している。要するに、半導体発光素子B1は、窒化物半導体層20の一部をエッチングすることで形成されたメサ構造22を有している。そして、半導体発光素子B1は、窒化物半導体層20の表面20a上に正電極(「p電極」とも呼ばれている。)8が形成され、n型半導体層3の表面3a上に負電極(「n電極」とも呼ばれている。)9が形成されている。半導体発光素子B1は、窒化物半導体層20がp型コンタクト層7を備えている場合、p型コンタクト層7の表面7aが、窒化物半導体層20の表面20aを構成する。
半導体発光素子B1は、メサ構造22の上面22a(窒化物半導体層20の表面20a)の一部とメサ構造22の側面22cとn型半導体層3の表面3aの一部とに跨って絶縁膜(図示せず)が形成されているのが好ましい。絶縁膜の材料としては、例えば、SiO等を採用することができる。
半導体発光素子B1は、上述のように、窒化物半導体層20が、基板1の第1面1a側に形成されている。半導体発光素子B1は、基板1の第1面1aとは反対側の第2面1bが光取り出し面を構成しているのが好ましい。
正電極8は、p型コンタクト層7を介してp型半導体層6と電気的に接続されているのが好ましい。正電極8は、厚さが30nmのNi膜と、厚さが200nmのAu膜との積層膜(以下、「第1積層膜」という。)をp型コンタクト層7の表面7a上に形成してから、アニール処理を行うことにより形成されている。第1積層膜の構成や厚さ等は、特に限定するものではない。
半導体発光素子B1は、正電極8、負電極9上に、例えば、第1パッド電極(図示せず)、第2パッド電極(図示せず)を備えているのが好ましい。第1パッド電極及び第2パッド電極は、例えば、Ti膜とAu膜との積層膜により構成することができる。
負電極9は、n型半導体層3と電気的に接続されている。負電極9は、n型半導体層3の表面3a上に形成されている。負電極9は、上述のように構成元素して、Tiを含んでいない。
負電極9は、複数の電極層9のうち最上層の電極層9(94)がAu層により構成され、複数の電極層9のうち最下層の電極層9が、構成元素として、Alと、Nと、Nと化合物を形成することができる金属と、を含んでいる。最上層の電極層9とは、複数の電極層9のうち、n型半導体層3の表面3aから最も離れている電極層を意味する。最下層の電極層9とは、n型半導体層3の表面3aに最も近い電極層を意味する。つまり、最下層の電極層9は、n型半導体層3の表面3aに接している。最上層の電極層9を構成するAu層は、前記金属が不純物として存在してもよい。不純物とは、最上層の電極層9を構成する構成元素(Au)以外の元素を意味する。Nと化合物を形成することができるとは、窒化可能であることを意味する。
半導体発光素子B1は、上述のように、複数の電極層9のうち最上層の電極層9が、Au層により構成され、複数の電極層9のうち最下層の電極層9が、構成元素として、Alと、Nと、Nと化合物を形成することができる金属と、を含んでいる。これにより、半導体発光素子B1は、負電極9の表面荒れを抑制することが可能であり、且つ、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との接触抵抗の低減を図ることが可能となる。負電極9の表面荒れを抑制することは、負電極9が、ワイヤやバンプ等の接合に適した表面の平坦性を有することを意味する。負電極9の表面荒れについては、例えば、微分干渉顕微鏡により、負電極9の表面モフォロジー(surface morphology)を観察することで評価することができる。負電極9の表面荒れについては、微分干渉顕微鏡に限らず、例えば、負電極9の表面形状を測定して算出した表面粗さにより評価してもよい。表面粗さとしては、例えば、JIS B 0601−2001(ISO 4287−1997)で規定されている算術平均粗さRaを採用することができる。表面形状の測定は、例えば、AFM(atomic force microscope)等の3次元形状測定装置により行うことができる。接触抵抗は、例えば、TLM(Transmission Line Model)法により測定した値である。
半導体発光素子B1は、負電極9の表面荒れを抑制することにより、負電極9にワイヤやバンプ等を接合した場合の接合強度の向上を図ることが可能となる。これにより、例えば、半導体発光素子B1と半導体発光素子B1を収納したパッケージとを備えた発光装置では、長期信頼性を向上させることが可能となる。また、半導体発光素子B1は、負電極9における最上層の電極層9がAu層により構成されているので、最上層の電極層9がAl層により構成されている比較例に比べて、負電極9の耐酸化性を向上させることができる。
また、半導体発光素子B1は、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との接触抵抗の低減を図ることにより、半導体発光素子B1の動作電圧を低減することが可能となり、また、発光輝度の向上を図ることが可能となる。
半導体発光素子B1は、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との接触が、オーミック接触であるのが好ましい。オーミック接触とは、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との接触のなかで、印加電圧の方向により生じる電流の整流性のない接触を意味する。オーミック接触は、電流−電圧特性が略線形であるのが好ましく、線形であるのがより好ましい。また、オーミック接触は、接触抵抗がより小さいのが好ましい。n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との接触では、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との界面を通過する電流が、ショットキー障壁を乗り越える熱電子放出電流とショットキー障壁を透過するトンネル電流との和であると考えられる。このため、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との接触では、トンネル電流が支配的な場合、近似的にオーミック接触が実現していると考えられる。
前記金属としては、Niを採用しているが、これに限らない。前記金属は、Ni、Cu、Fe、W、Taの群から選択されることが好ましい。これにより、半導体発光素子B1は、負電極9とn型窒化ガリウム系化合物半導体層3との接触抵抗の低減を容易に実現することが可能となる。
複数の電極層9は、例えば、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3に近い側から順に、最下層の電極層91からなる第1電極層、第2電極層92、第3電極層93、最上層の電極層94からなる第4電極層を備えている構成とすることができる。第2電極層92は、構成元素がAl及び前記金属であり、第3電極層93は、構成元素がAl、Au及び前記金属であるのが好ましい。これにより、半導体発光素子B1は、最下層の電極層91によりn型窒化ガリウム系化合物半導体層3とのオーミック接触を得ることが可能となり、最上層の電極層94により、ワイヤやバンプ等との良好な接合性を確保することが可能となる。また、半導体発光素子B1は、図3に示すように、n型半導体層3の表面3a上にAlよりなる第1金属層9a、前記金属よりなる第2金属層9b、Alよりなる第3金属層9c、前記金属よりなる第4金属層9d及びAuよりなる第5金属層9eを順次積層した後、アニール処理を行うことで、負電極9を形成することが可能となる。負電極9の形成時のアニール処理におけるアニール温度は、一例として、700℃に設定してある。負電極9の形成時のアニール処理におけるアニール温度は、Alの拡散が起こりやすい温度が好ましく、具体的には、例えば、Alの融点(約660℃)よりもやや低い規定温度(例えば、650℃)以上の温度が好ましく、750℃未満の温度が好ましい。
負電極9の形成にあたっては、第1金属層9a、第2金属層9b、第3金属層9c、第4金属層9d及び第5金属層9eの厚さを、それぞれ、50nm、20nm、100nm、20nm及び100nmに設定してあるが、これらの厚さに限定するものではない。なお、これらの厚さについては、後述の半導体発光素子B1の製造方法で説明する。
図2Aは、半導体発光素子B1における負電極9の構成元素の深さ方向分布の模式的な説明図である。より詳細には、図2Aは、前記金属がNiである場合について、負電極9における構成元素Al、Ni、N及びAuのうちN以外の構成元素の深さ方向分布を模式的に示した図である。深さ方向分布とは、負電極9の表面を基準とした深さ方向の各位置における構成元素の含有量の分布である。図2Aは、図2Bにおける負電極9の表面から負電極9とn型半導体層3の界面付近までの深さ方向分布を示している。要するに、図2Aと図2Bとは、負電極9の表面の位置及び深さ方向の各位置を対応させてある。
ところで、文献2に記載された測定の結果では、AlNモル分率xが、0.6の場合、熱処理温度が950℃程度のときに接触抵抗が最低値となり、接触抵抗の最低値が、1×10-2Ω・cm2程度である。これに対し、半導体発光素子B1は、Alの組成比がより高いn型Al0.7Ga0.3N層により構成されたn型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との接触抵抗を、5×10-3Ωcm2程度とすることができる。半導体発光素子B1は、Alの組成比が高くなるにつれて接触抵抗が高くなる傾向にある。このため、負電極9は、Alの組成比がより高いn型AlGaN層に対してオーミック接触が得られれば、Alの組成比が低いn型AlGaN層に限らず、Alx1Gay1In1-x1-y1N(0≦x1、0≦y1、x1+y1≦1)の組成で表されるn型半導体層3に適用できる。
半導体発光素子B1のチップサイズは、400μm□(400μm×400μm)に設定してあるが、これに限らない。チップサイズは、例えば、200μm□(200μm×200μm)〜1mm□(1mm×1mm)程度の範囲で適宜設定することができる。また、半導体発光素子B1の平面形状は、正方形状に限らず、例えば、長方形状等でもよい。半導体発光素子B1の平面形状が、長方形状の場合、半導体発光素子B1のチップサイズは、例えば、500μm×240μmとすることができる。
半導体発光素子B1の製造方法については、図1、2A、2B及び3に基づいて説明する。
半導体発光素子B1は、基板1と、基板1の第1面1a側に形成され第1面1a側から順にn型窒化ガリウム系化合物半導体層3、発光層4及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層6を有する窒化物半導体層20と、を備える。また、半導体発光素子B1は、p型窒化ガリウム系化合物半導体層6の表面6a側に形成された正電極8と、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3の露出した表面3aに形成された負電極9と、を備える。また、半導体発光素子B1は、負電極9が、構成元素としてTiを含まない。
半導体発光素子B1の製造方法において、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3の表面3aに負電極9を形成するにあたっては、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3の表面3a上に、Alよりなる第1金属層9a、Nと化合物を形成することができる第1の金属よりなる第2金属層9b、Alよりなる第3金属層9c、Nと化合物を形成することができる第2の金属よりなる第4金属層9d及びAuよりなる第5金属層9eを順次積層した後、アニール処理を行うことで負電極9を形成する。これにより、半導体発光素子B1の製造方法では、負電極9の表面荒れを抑制することが可能であり、且つ、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との接触抵抗の低減を図ることが可能な半導体発光素子B1を製造することが可能となる。
以下では、半導体発光素子B1の製造方法について詳述する。
(1)ウェハの準備
ウェハは、円板状の基板である。半導体発光素子B1における基板1がサファイア基板の場合、ウェハとしては、サファイアウェハを採用することができる。ウェハは、オリエンテーションフラット(OF)が形成されているのが好ましい。ウェハの厚みは、例えば、数100μm〜数mmであるのが好ましく、200μm〜1mmであるのがより好ましい。ウェハの直径は、例えば、50.8mm〜150mmであるのが好ましい。
ウェハは、例えば、日本電子工業振興協会(JEIDA)や、SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)等の規格を満たすか準拠しているのが好ましい。サファイアウェハに関しては、例えば、SEMI M65−0306で規格化されている化合物半導体エピタキシャルウェハに使用するサファイア基板の仕様を満たすか準じているのが好ましい。また、サファイアウェハは、第1面が、基板1の第1面1aに対応する。サファイアウェハの第1面としては、例えば、c面、m面、a面、R面等を採用することができ、c面である(0001)面が好ましい。また、サファイアウェハの第1面は、(0001)面からのオフ角が、0〜0.3°であるのが好ましい。
(2)ウェハの第1面上に窒化物半導体層を積層する工程
窒化物半導体層は、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3、発光層4及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層6を有する積層膜である。窒化物半導体層は、多層構造のエピタキシャル層である。窒化物半導体層は、積層膜の積層構造を特に限定するものではない。窒化物半導体層は、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3、発光層4及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層6に加えて、バッファ層2、電子ブロック層5及びp型コンタクト層7を備えているのが好ましい。バッファ層2、電子ブロック層5及びp型コンタクト層7については、適宜設ければよい。
この工程では、窒化物半導体層のエピタキシャル成長法として、MOVPE法を採用している。この工程では、MOVPE法として、減圧MOVPE法を採用するのが好ましい。
Alの原料ガスとしては、トリメチルアルミニウム(TMAl)を採用するのが好ましい。また、Gaの原料ガスとしては、トリメチルガリウム(TMGa)を採用するのが好ましい。Nの原料ガスとしては、NH3を採用するのが好ましい。n型導電性を付与する不純物であるSiの原料ガスとしては、テトラエチルシラン(TESi)を採用するのが好ましい。p型導電性に寄与する不純物であるMgの原料ガスとしては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を採用するのが好ましい。各原料ガスそれぞれのキャリアガスとしては、例えば、H2ガスを採用することが好ましい。
各原料ガスは、特に限定するものではなく、例えば、Gaの原料ガスとしてトリエチルガリウム(TEGa)、Nの原料ガスとしてヒドラジン誘導体、Siの原料ガスとしてモノシラン(SiH4)を用いてもよい。
窒化物半導体層の成長条件は、基板温度、V/III比、各原料ガスの供給量、成長圧力等を適宜設定すればよい。
窒化物半導体層のエピタキシャル成長法は、MOVPE法に限らず、例えば、MBE法、HVPE法等でもよい。
(3)p型不純物を活性化するためのアニールを行う工程
この工程は、アニール装置のアニール炉内において所定のアニール温度で所定のアニール時間だけ保持することにより、電子ブロック層5、p型窒化ガリウム系化合物半導体層6及びp型コンタクト層7のp型不純物を活性化する工程である。アニール条件は、アニール温度を750℃、アニール時間を10分に設定してあるが、これらの値は一例であり、特に限定するものではない。アニール装置としては、例えば、ランプアニール装置、電気炉アニール装置等を採用することができる。
(4)メサ構造22を形成する工程
この工程では、窒化物半導体層において窒化物半導体層20のメサ構造22の上面22a(窒化物半導体層20の表面20a)に対応する領域上に、フォトリソグラフィ技術を利用して、第1のレジスト層を形成する。そして、この工程では、第1のレジスト層をマスクとして、窒化物半導体層20の一部を表面20a側からn型窒化ガリウム系化合物半導体層3の途中までエッチングすることによって、メサ構造22を形成する。更に、この工程では、第1のレジスト層を除去する。窒化物半導体層20のエッチングは、例えば、反応性イオンエッチングにより行うことができる。
(5)絶縁膜を形成する工程
この工程では、ウェハの第1面側の全面に絶縁膜の基礎となるSiO膜を例えばPECVD(plasma-enhanced Chemical Vapor Deposition)法により形成する。そして、この工程では、ウェハの第1面側において、SiO膜のうち窒化物半導体層20における正電極8及び負電極9それぞれの形成予定領域に重なっている部位が開口されるように、SiO膜をパターニングすることで、パターニングされた絶縁膜を形成する。なお、SiO膜の形成方法は、PECVD法に限らず、例えば、他のCVD法等でもよい。SiO膜のパターニングは、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して行う。
(6)負電極9を形成する工程
この工程では、まず、ウェハの第1面側に、負電極9の形成予定領域のみ(つまり、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3のうち厚みが薄くなった部位の表面3aの一部)が露出するようにパターニングされた第2のレジスト層を形成する。そして、この工程では、例えば、Alよりなる第1金属層9a、Nと化合物を形成することができる第1の金属よりなる第2金属層9b、Alよりなる第3金属層9c、Nと化合物を形成することができる第2の金属よりなる第4金属層9d及びAuよりなる第5金属層9eの積層膜を蒸着法により成膜する。蒸着法は、電子ビーム蒸着法が好ましい。積層膜の成膜方法は、蒸着法に限らず、例えば、スパッタ法等でもよい。第1の金属及び第2の金属は、Ni、Cu、Fe、W、Taの群から選択されることが好ましい。例えば、この工程では、第1の金属及び第2の金属として、Niを採用しているが、Cuを採用してもよいし、第1の金属としてNiを採用し、第2の金属としてCuを採用してもよい。そして、この工程では、リフトオフを行うことにより、第2のレジスト層及び第2のレジスト層上の不要膜を除去する。更に、この工程では、アニール処理を行う。アニール処理は、負電極9とn型窒化ガリウム系化合物半導体層3との接触をオーミック接触とするための処理である。アニール処理は、N2ガス雰囲気中でのRTA(Rapid Thermal Annealing)が好ましい。積層膜の構造及び各厚さは、一例であり、特に限定するものではない。また、RTA処理の条件は、例えば、アニール温度を700℃、アニール時間を1分とすればよいが、これらの値は一例であり、特に限定するものではない。アニール温度は、Alの拡散が起こりやすい温度が好ましく、具体的には、例えば、Alの融点(約660℃)よりもやや低い規定温度(例えば、650℃)以上の温度が好ましく、750℃未満の温度が好ましい。アニール温度は、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3がn型Al0.7Ga0.3N層の場合には700℃程度が好ましい。アニール温度は、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3のAlの組成比に基づいて適宜変更してもよい。アニール時間は、例えば、30秒〜3分程度の範囲で設定すればよい。
本願発明者らは、この工程でのアニール処理を行うことで、負電極9が形成される推定メカニズムについて次のように考えた。なお、半導体発光素子B1の製造方法は、仮に推定メカニズムが別であっても、本発明の範囲内である。
この工程では、アニール処理により、第2金属層9bの第1金属が第1金属層9aに拡散してAlと第1金属との合金が形成されるとともに第1金属層9aがn型窒化ガリウム系化合物半導体層3から一部の窒素を引き抜き抜くことで、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9とのオーミック接触を実現させることができるものと推考される。また、この工程では、第4金属層9dの第2金属が、第3金属層9cの構成元素であるAlと第5金属層の構成元素であるAuとが反応することを抑制し、第5金属層9eの最表面側にAu層からなる最上層の電極層94が残ることで、負電極9の表面の平坦性が、積層膜の表面の平坦性よりも低下するのを抑制することができるものと推考される。
ただし,第1金属層9aの厚さについては、厚すぎると第2金属層9bの構成元素である第2金属の、第1金属層9aとn型窒化ガリウム系化合物半導体層3との界面への拡散を妨げてしまう懸念があるため、200nm以下に設定するのが望ましい。また、第2金属層9b及び第4金属層9dそれぞれの厚さについては、薄すぎると、それぞれ所望の効果が得られないため、5nm以上に設定するのが望ましい。
(7)正電極8を形成する工程
この工程では、ウェハの第1面側における正電極8の形成予定領域のみ(ここでは、p型コンタクト層7の表面7aの一部)が露出するようにパターニングされた第3のレジスト層を形成する。そして、この工程では、例えば厚さが30nmのNi膜と厚さが200nmのAu膜との積層膜を電子ビーム蒸着法により成膜し、リフトオフを行うことにより、第3のレジスト層及び第3のレジスト層上の不要膜を除去する。更に、この工程では、正電極8とp型コンタクト層7との接触がオーミック接触となるように、N2ガス雰囲気中でRTA処理を行う。積層膜の構造及び各厚さは、一例であり、特に限定するものではない。また、RTA処理の条件は、例えば、アニール温度を500℃、アニール時間を15分とすればよいが、これらの値は一例であり、特に限定するものではない。
(8)第1パッド電極及び第2パッド電極を形成する工程
この工程では、フォトリソグラフィ技術および薄膜形成技術を利用して正電極8、負電極9上に、それぞれ、第1パッド電極、第2パッド電極を形成する。薄膜形成技術としては、例えば、蒸着法などを採用することができる。蒸着法は、電子ビーム蒸着法が好ましい。第1パッド電極、第2パッド電極は、正電極8、負電極9にそれぞれ電気的に接続される。第1パッド電極は、正電極8を覆うように形成するのが好ましい。第2パッド電極は、負電極9を覆うように形成するのが好ましい。
半導体発光素子B1の製造方法では、この工程が終了することにより、半導体発光素子B1が複数形成されたウェハが完成する。要するに、半導体発光素子B1の製造方法では、上述の(1)〜(8)の工程を順次行うことにより、半導体発光素子B1が複数形成されたウェハが完成する。
(9)ウェハから個々の半導体発光素子B1に分割する工程
この工程は、ダイシング工程であり、ウェハをダイシングソーなどによって裁断することで、個々の半導体発光素子B1に分割する。これにより、1枚のウェハから複数個の半導体発光素子B1を得ることができる。
以上説明した本実施形態の半導体発光素子B1の製造方法では、負電極9の表面荒れを抑制することが可能であり、且つ、n型窒化ガリウム系化合物半導体層3と負電極9との接触抵抗の低減を図ることが可能な半導体発光素子B1を製造することが可能となる。半導体発光素子B1の製造方法では、第1の金属及び第2の金属が、Ni、Cu、Fe、W、Taの群から選択されるのが好ましい。これにより、半導体発光素子B1の製造方法では、負電極9とn型窒化ガリウム系化合物半導体層3との接触抵抗の低減を容易に実現することが可能となる。
半導体発光素子B1は、紫外線発光ダイオードに限らず、紫外線レーザダイオードでもよい。
上述の実施形態において説明した各図は、模式的な図であり、各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、実施形態に記載した材料、数値等は、好ましい例を挙げているだけであり、それに限定するものではない。更に、本願発明は、その技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、構成に適宜変更を加えることが可能である。

Claims (5)

  1. 基板と、前記基板の第1面側に形成され前記第1面側から順にn型窒化ガリウム系化合物半導体層、発光層及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層を有する窒化物半導体層と、前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の表面側に形成された正電極と、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層のうち露出した表面に形成された負電極と、を備え、
    前記負電極が、構成元素としてTiを含んでおらず、
    前記負電極は、厚み方向に重なる複数の電極層を備え、前記複数の電極層のうち最上層の電極層が、Au層により構成され、前記複数の電極層のうち最下層の電極層が、構成元素として、Alと、Nと、Nと化合物を形成することができる金属と、を含んでいることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記金属は、Ni、Cu、Fe、W、Taの群から選択されることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
  3. 前記複数の電極層は、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層に近い側から順に、前記最下層の電極層からなる第1電極層、第2電極層、第3電極層、前記最上層の電極層からなる第4電極層を備え、前記第2電極層は、構成元素がAl及び前記金属であり、前記第3電極層は、構成元素がAl、Au及び前記金属であることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体発光素子。
  4. 基板と、前記基板の第1面側に形成され前記第1面側から順にn型窒化ガリウム系化合物半導体層、発光層及びp型窒化ガリウム系化合物半導体層を有する窒化物半導体層と、前記p型窒化ガリウム系化合物半導体層の表面側に形成された正電極と、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層のうち前記窒化物半導体層が深さ方向の途中まで除去されて露出した表面に形成された負電極と、を備え、前記負電極が、構成元素としてTiを含まない、半導体発光素子の製造方法であって、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層の前記表面に前記負電極を形成するにあたっては、前記n型窒化ガリウム系化合物半導体層の前記表面上に、Alよりなる第1金属層、Nと化合物を形成することができる第1の金属よりなる第2金属層、Alよりなる第3金属層、Nと化合物を形成することができる第2の金属よりなる第4金属層及びAuよりなる第5金属層を順次積層した後、アニール処理を行うことで前記負電極を形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。
  5. 前記第1の金属及び前記第2の金属は、Ni、Cu、Fe、W、Taの群から選択されることを特徴とする請求項4記載の半導体発光素子の製造方法。
JP2015533935A 2013-08-26 2014-04-23 半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法 Active JP6323782B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013175022 2013-08-26
JP2013175022 2013-08-26
PCT/JP2014/002286 WO2015029281A1 (ja) 2013-08-26 2014-04-23 半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2015029281A1 true JPWO2015029281A1 (ja) 2017-03-02
JP6323782B2 JP6323782B2 (ja) 2018-05-16

Family

ID=52585881

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015533935A Active JP6323782B2 (ja) 2013-08-26 2014-04-23 半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6323782B2 (ja)
WO (1) WO2015029281A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016058533A (ja) * 2014-09-09 2016-04-21 パナソニックIpマネジメント株式会社 半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法
US9673368B2 (en) * 2015-05-11 2017-06-06 Lg Innotek Co., Ltd. Light emitting device having first and second electrodes on one side of a light emitting structure
CN106051505A (zh) * 2016-07-14 2016-10-26 东莞中之光电股份有限公司 组合式led灯管的封装结构

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005354040A (ja) * 2004-05-11 2005-12-22 Rohm Co Ltd 半導体発光素子およびその製法
JP2006041403A (ja) * 2004-07-29 2006-02-09 Nichia Chem Ind Ltd 半導体発光素子
JP2006080475A (ja) * 2004-09-13 2006-03-23 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 発光効率を改善した発光ダイオード
US20060121642A1 (en) * 2004-03-31 2006-06-08 Yu-Chuan Liu Manufacturing process of light-emitting device
US20070170596A1 (en) * 2006-01-26 2007-07-26 Way-Jze Wen Flip-chip light emitting diode with high light-emitting efficiency
JP2007250788A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Rohm Co Ltd 側面発光半導体素子及び側面発光半導体素子の製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20060121642A1 (en) * 2004-03-31 2006-06-08 Yu-Chuan Liu Manufacturing process of light-emitting device
JP2005354040A (ja) * 2004-05-11 2005-12-22 Rohm Co Ltd 半導体発光素子およびその製法
JP2006041403A (ja) * 2004-07-29 2006-02-09 Nichia Chem Ind Ltd 半導体発光素子
JP2006080475A (ja) * 2004-09-13 2006-03-23 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 発光効率を改善した発光ダイオード
US20070170596A1 (en) * 2006-01-26 2007-07-26 Way-Jze Wen Flip-chip light emitting diode with high light-emitting efficiency
JP2007250788A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Rohm Co Ltd 側面発光半導体素子及び側面発光半導体素子の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6323782B2 (ja) 2018-05-16
WO2015029281A1 (ja) 2015-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4895587B2 (ja) 窒化物半導体発光素子
WO2010100844A1 (ja) 窒化物半導体素子及びその製造方法
US8309984B2 (en) Nitride-based semiconductor device having electrode on m-plane
JPWO2016163083A1 (ja) 窒化物半導体発光素子
US20140264371A1 (en) Semiconductor structures having active regions comprising ingan, methods of forming such semiconductor structures, and light emitting devices formed from such semiconductor structures
JP2014096460A (ja) 紫外半導体発光素子およびその製造方法
WO2016038856A1 (ja) 半導体発光素子、半導体発光素子の製造方法、及び負電極の形成方法
JP2008118049A (ja) GaN系半導体発光素子
JP6654596B2 (ja) 半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法
TW201448265A (zh) 半導體發光元件及其製造方法
JP2006245165A (ja) 半導体発光素子
JP6331204B2 (ja) 半導体デバイス及び紫外線発光素子
JP6323782B2 (ja) 半導体発光素子及び半導体発光素子の製造方法
JP3767863B2 (ja) 半導体発光素子およびその製法
JP2008288532A (ja) 窒化物系半導体装置
JP2014187159A (ja) 半導体発光素子
JP6945666B2 (ja) 半導体発光素子および半導体発光素子の製造方法
JP2014207328A (ja) 半導体発光素子
US20090078961A1 (en) Nitride-based light emitting device
US10263145B2 (en) Ultraviolet light emitting device
JP5948767B2 (ja) 窒化物半導体発光素子
KR20080033721A (ko) 발광 소자의 제조 방법
JP2019117950A (ja) 電子部品
JP2018050063A (ja) 半導体発光素子
US20230231077A1 (en) Semiconductor light-emitting element and method of manufacturing semiconductor light-emitting element

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20170113

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180306

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180330

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6323782

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151