JPWO2014178388A1 - 流体処理装置 - Google Patents

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Abstract

被処理流動体の処理特性を飛躍的に改善することができる流体処理装置を提供することを課題とする。接近・離反可能な、相対的に回転する処理用面1、2を備え、被処理流動体を、処理用面1、2間の処理領域に内側から外側に向けて通過せさて薄膜流体とし、前記薄膜流体となった被処理流動体の処理を行なう。回転の中心から中間導入部d2までの距離(Cd)に対する、回転の中心から外周端までの距離(Od)の割合(Od/Cd)を、1.25以上とする。

Description

本発明は、流体処理装置、特に、単数又は複数の被処理流動体について、乳化、分散、粉砕、微粒子の析出、微粒子の析出を伴なわない反応等々、種々の処理を行なうことができる装置に関するものである。
単数又は複数の被処理流動体について、乳化、分散、粉砕、微粒子の析出、微粒子の析出を伴なわない反応等々の処理を行なう技術は、種々の産業分野で多方面に活用されている。例えば、微粒子の析出を伴う流体処理方法は、微粒子の製造に際して広く実施され、光学材料、磁性材料、導電材料、電子材料、機能性セラミックス、蛍光材料、触媒材料、化学材料などで利用されている。特に金属や金属酸化物、複合化材料などは光学的、電磁気的、機械的物性を飛躍的に向上させるものとして期待されている。また、量子サイズ効果による超高機能性や新物性の発現など、微粒子化による新たな物性にも大きな期待が寄せられている。
本願出願人は、特許文献1や特許文献2に示すように、被処理流動体についての処理方法や処理装置の提案を多数行なっている。具体的には、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面間に、1又は2以上の導入部から被処理流動体を導入し、導入された被処理流動体を両処理用面間にて薄膜流体状になした状態で、両処理用面間にて通過させながら、被処理流動体の種々の処理を行ない、両処理用面間から排出するものである。
前記の本願出願人による装置は、「SS5」や「ULREA(登録商標)」の製品名で本願出願人によって実用化されており、種々の産業分野で利用され、高い評価を受けているものであるが、個々の処理の制御に関しては、未だ未解明な部分が多いのが現状であると共に、利用分野が広がるにつれて、その処理に関する要求も多様化している。
例えば、微粒子の析出を伴う処理に関しては、単に微粒子を得ることだけではなく、特定の物性を有する微粒子を得ることが求められる。より詳しくは、微粒子の物性は、粒子径だけでなく結晶化度並びに結晶子径と密接な関係に有るため、単に微粒子を作製するだけでなく、微粒子の結晶化度並びに結晶子径を精密に制御することが求められている。
微粒子の結晶化度または結晶子径の制御方法として、金属単体、金属イオン、金属化合物やそれらを溶媒に溶解した金属溶液を、特許文献3に示したようなソルボサーマル法や、特許文献4または5に示したような亜臨界または超臨界状態で水熱処理し冷却温度を制御する方法や、特許文献6に示したような不活性雰囲気下で熱処理する方法などが挙げられるが、これらの方法では耐熱性、耐圧力性に優れた装置や不活性雰囲気下で使用することを必要とし、さらに処理に時間を要するため、エネルギーコストが高くなるなどの問題点がある。
また、本願出願人によって特許文献7に示す微粒子の製造方法が提供され、被析出物質を含む原料流体と、原料流体中の被析出物質を析出させるための析出流体とを、接近・離反可能な処理用面間で混合し、被析出物質の微粒子を析出させる際に、結晶子径の制御をなすことが提案された。ところが、特許文献7にて示された方法は、各流体に含まれる被析出物質の種類、濃度、pH、並びに各流体の導入温度、導入速度を変化させることに止まっている。
特開2004−49957号公報 国際公開WO2009/008393号パンフレット 特開2008−30966号公報 特開2008−289985号公報 特表2009−518167号公報 特開2010−24478号公報 国際公開WO2013/008706号パンフレット
前記の特許文献1、特許文献2及び特許文献7に記載の装置を実用化した本出願人の装置は、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面間により制限された流路によって規定される処理領域に、被処理流動体を、通過させることによって、前記処理用面間において薄膜流体となった被処理流動体中に微粒子を析出させることができる装置である。
この装置は、乳化、分散、粉砕、微粒子の析出、微粒子の析出を伴なわない反応等々、種々の使用が可能であるが、その一つの例として、2種類以上の被処理流動体を用いて微粒子の析出を行なう装置として利用できる。その場合、前記の処理領域として、半径方向の内側に未混合領域を備え、未混合領域の外側に混合領域を備えることになる。未混合領域の内側(即ち上流側)に内側導入部を備え、未混合領域と混合領域との境界に中間導入部が設けられ、2種類以上の被処理流動体を内側導入部と中間導入部とから導入し、混合領域において微粒子の析出を行ない、処理領域の下流端の排出部から排出させるようにした装置である。そして、この実用化された装置にあっては、前記回転の中心から前記中間導入部までの距離(Cd)と、前記回転の中心から前記処理領域の外周端までの距離(Od)とが、Od/Cd=1.25未満の値となるように設定されていた。即ち、本願出願人によって実質化された装置では、前記回転の中心からの処理領域の位置と、処理領域の面積(ひいては容積)が、比較的小さな値で一定に設定されていた。
また、前記装置は、前記未混合領域として、回転の中心に近い位置にある強制導入領域と、回転の中心から遠い位置にある薄膜調整領域を備えている。強制導入領域は、少なくとも1つの処理用面に、マイクロポンプ効果を発揮する凹部が上流から下流に伸びるように形成されたものであり、前記の薄膜調整領域は、前記凹部の下流端と前記中間導入部との間の領域である。この装置では、少なくとも1種類の前記被処理流動体が、前記凹部により強制的に内側導入部から強制導入領域に導入され、この強制導入領域から薄膜調整領域においてスパイラル状の層流条件下の流れに調整されて混合領域に流されるものである。そして、前記の実用化された装置にあっては、回転の半径方向における薄膜調整領域の幅(Iw)に対する前記回転の半径方向における混合領域の幅(Ow)の幅割合(Ow/Iw)が2.00未満の値となるように設定されていた。即ち、本願出願によって実質化された装置では、薄膜調整領域の幅(Iw)と混合領域の幅(Ow)との割合が、比較的小さな値で一定に設定されていた。
この装置の使用方法の他の一つの例として、1種類の被処理流動体を用いて微粒子の析出を行なう装置としても利用する例を挙げることができる。その場合、前記の処理領域として、前記の内側導入部から1種類の被処理流動体を導入し、処理用面において熱エネルギーを加えることで、微粒子の析出を行なう。従って、他の流体を導入する中間導入部は不要となり、未混合領域と混合領域との区別はなくなり、処理用面間の略全ての空間が処理領域となる。この処理領域において微粒子の析出を行ない、処理領域の下流端の排出部から、析出した微粒子を被処理流動体と共に、排出させる。そして、この実用化された装置にあっては、前記回転の中心から前記内側導入部までの距離(Id)と、前記回転の中心から前記排出部までの距離(Od)とが、Od/Id=1.67未満の値となるように設定されていた。
これらの析出をなす領域、(即ち、2種類以上の被処理流動体を用いる場合には混合領域、1種類の被処理流動体のみを用いる場合には処理領域)の位置や面積や、強制導入領域を設けた場合における薄膜調整領域の幅と混合領域の幅とを一定とした装置において、処理用面の回転速度と各被処理流動体の導入速度などを変化させることによって、微粒子の析出から結晶の状態を変化させ得ることが、本発明者のこれまでの研究によって、ある程度、明らかにされてきた。例えば、処理用面の回転速度を高めると、被処理流動体に加えられる円周方向への力が大きくなり、排出部にまで至る移動距離が大きくなる。また、被処理流動体の導入速度、ひいては単位時間当たりの導入量を大きくすると、流速が速くなり、排出部にまで至る移動時間が短くなる。
本発明者は、前記のような条件を制御することによって、結晶化度や、粒子径及び結晶子径の成長状態を制御することを試みてきた。
ところが、被処理流動体の導入速度や処理用面の回転速度を変化させた場合、得られた微粒子の粒子径が大きく変化したり、得られた微粒子の形状が安定しなかったり、複合物から構成される微粒子にあっては複合物を構成する各物質の分布が粒子間で不均一になったりすることがある。また、被析出物質の原料となる物質を含む原料流体と、被析出物質を析出させるための析出流体との2種類の被処理流動体を用いて微粒子を析出させる際に、一方の被処理流動体の導入速度を変化させた場合には、原料流体と析出流体との混合比率が変化してしまい、目的とする特性や性能を有する微粒子を得ることが困難になることもある。
また、微粒子の析出を伴なわない反応を行なう流体処理に関しても、被処理流動体の導入速度や処理用面の回転速度を変化させた場合、目的とする反応条件を得ることができなかったり、2種類の被処理流動体を用いて反応をなす際に、一方の被処理流動体の導入速度を変化させた場合には、被処理流動体同士の混合比率が変化してしまう。
さらに、乳化、分散、粉砕の処理に関しても、被処理流動体の導入速度や処理用面の回転速度を変化させた場合、得られた微粒子の粒子径が大きく変化したり、得られた微粒子の形状が安定しなかったりするおそれがある。また、2種類の被処理流動体を用いて乳化、分散、粉砕の処理をなす際に、一方の被処理流動体の導入速度を変化させた場合には、被処理流動体同士の乳化状態や混合比率が変化してしまう。
そこで、本発明は、被処理流動体の導入速度や処理用面の回転速度を変化させるか否かを問わず、処理特性を飛躍的に改善することができる流体処理装置の提供を目的とする。
より具体的には、微粒子の析出を伴う流体処理にあっては、微粒子の結晶化度や、微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)や、微粒子の粒度分布を示すCV値を飛躍的に改善することができる流体処理装置の提供を課題とする。また、反応を伴う流体処理にあっては、収率や反応の純度を飛躍的に改善することができる処理装置の提供を課題とする。さらに、乳化、分散、粉砕の処理については、得られた微粒子の粒子径や、得られた微粒子の粒度分布を飛躍的に改善することができる流体処理装置の提供を課題とする。
本発明は、次の手段を提供することによって、前記の課題を解決する。
本発明は、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面を備え、前記処理用面間の処理領域に被処理流動体を通過せさて薄膜流体とし、前記薄膜流体となった前記被処理流動体の処理を行なう装置において、両処理用面の前記回転の中心側に内側導入部を設け、前記回転の中心側を上流とし、前記回転の外周側を下流として、前記内側導入部から前記被処理流動体のうち少なくとも1種を前記処理領域に導入して通過させ、前記処理領域の外周端から排出するものであり、前記回転の中心から前記内側導入部までの距離(Id)に対する、前記回転の中心から前記外周端までの距離(Od)の割合(Od/Id)が1.67以上とされたことを特徴とする流体処理装置を提供する。
また本発明は、対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面を備え、前記処理用面間の処理領域に被処理流動体を導入部から導入して通過させて薄膜流体とし、前記薄膜流体となった前記被処理流動体の処理を行なう装置において、前記被処理流動体として、少なくとも2種類の被処理流動体を用いるものであり、前記導入部として、内側導入部と、前記内側導入部よりも前記回転の中心から遠い位置に設けられた中間導入部を備え、前記処理領域は、前記中間導入部と前記内側導入部との間にある未混合領域と、前記中間導入部よりも前記回転の中心から遠い位置にある混合領域とを備え、少なくとも1種類の前記被処理流動体を前記内側導入部から前記未混合領域に導入すると共に、少なくとも他の1種類の前記被処理流動体を前記中間導入部から前記混合領域に導入して前記内側導入部から導入された前記被処理流動体と混合させて前記混合領域を通過させるものであり、前記回転の中心から前記中間導入部までの距離(Cd)に対する、前記回転の中心から前記外周端までの距離(Od)の割合(Od/Cd)が1.25以上とされたことを特徴とする流体処理装置を提供する。
本発明は、前記被処理流動体として、被析出物質の原料となる物質を少なくとも1種類含む被処理流動と、前記被析出物質を析出させるための被処理流動体との少なくとも2種類の被処理流動体を用いて、微粒子の析出を伴う流体処理に利用することができる。
この微粒子の析出を伴う流体処理にあっては、前記回転の中心から前記中間導入部までの距離(Cd)に対する、前記回転の中心から前記外周端までの距離(Od)の割合(Od/Cd)を、前記の所定値より増加させることによって、前記微粒子の結晶化度を飛躍的に改善し、前記微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)を飛躍的向上させ、前記微粒子の粒度分布を示すCV値を急激に低下させることができる。
この微粒子の析出を伴う流体処理にあっては、前記処理領域は、x(幅)y(長さ)z(高さ)によって規定されたものであり、これらのx(幅)y(長さ)z(高さ)のうちx(幅)とy(長さ)とを増減させることにより、前記処理領域の位置や面積を変化させるものとして理解できる。そして、これらを変化させることによって、得られた微粒子の結晶化度を上下させる結晶化度制御や、前記微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)を上下させるd/D制御や、前記微粒子の粒度分布を制御するCV値制御を行なうことができることが、本発明者によって知見された。
より詳しくは、被析出物質の原料となる物質を少なくとも1種類含む前記被処理流動体を処理用面間に導入部から導入する導入ステップと、前記被処理流動体による前記薄膜流体を、前記処理領域にて通過させながら、前記被析出物質の微粒子を析出させる析出ステップとにより、微粒子を析出させる。
その際、前記被処理流動体として、被析出物質の原料となる物質を少なくとも1種類含む被処理流動体と、前記被析出物質を析出させるための被処理流動体との少なくとも2種類の被処理流動体とを別々の導入部から処理用面間に導入する場合には、前記y(長さ)は、前記回転の中心から前記中間導入部までの距離(Cd)と、前記回転の中心から前記処理領域の外周端までの距離(Od)によって規定され、前記x(幅)は、前記y(長さ)と円周率とによって規定される。
なお、前記被処理流動体を1種類のみ用いる場合には、前記y(長さ)は、前記回転の中心から前記内側導入部までの距離(Id)と、前記回転の中心から前記処理領域の外周端までの距離(Od)によって規定され、前記x(幅)は、前記y(長さ)と円周率とによって規定される。
そして、前記回転の中心から前記中間導入部までの距離(Cd)と、前記回転の中心から前記処理領域の外周端までの距離(Od)との割合(Od/Cd)、若しくは、前記回転の中心から前記内側導入部までの距離(Id)と、前記回転の中心から前記処理領域の外周端までの距離(Od)との割合(Od/Id)を増減させることによって、前記処理領域の面積を変化させる。(なお、以下、前記割合(Od/Cd)と前記割合(Od/Id)との両者を指して説明する場合には、径割合(Od/Cd・Id)という。)
これらの径割合(Od/Cd・Id)を変化させることによって、得られた微粒子の結晶化度を上下させる結晶化度制御と、前記微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)を上下させるd/D制御を行うことができることが、本発明者によって知見されたものである。
このように、径割合(Od/Cd・Id)を変えることによって、前記処理領域の外周端の排出部にまで至る被処理流動体の移動距離が変化すると共に、排出部にまで至る移動時間が変化する。さらに、前記の径割合(Od/Cd・Id)を増減させることによって、単に前記の時間や距離の変化に止まらず、混合領域や処理領域の前記回転の中心からの位置や面積(容積)が変化する。特に、本発明にあっては、半径方向の内側を上流とし、外側を下流として被処理流動体を移動させるものであるため、処理領域は下流に向かうに従って、距離の2乗で拡大すると共に、処理用面からのエネルギーもそれに応じて拡大する。このような変化の条件下にて、被処理流動体の混合や拡散の条件が変化する点、並びに、導入部から排出部に至る間における前記被処理流動体の混合、その後に引き起こされる反応、析出、結晶化または結晶子成長の順に行われる反応時間を変化させる点によって、結晶化度や、粒子径及び結晶子径の成長状態が変化するものと考えられる。
本発明者の知見によれば、前記結晶化度制御は、前記径割合(Od/Cd・Id)を大きくすることにより、前記微粒子の結晶化度を上げ、前記径割合(Od/Cd・Id)を小さくすることにより、前記結晶化度を下げる制御が可能である。また、前記d/D制御は、前記径割合(Od/Cd・Id)を大きくすることにより、前記結晶子径(d)を大きくすると共に、前記微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)を上げ、前記径割合(Od/Cd・Id)を小さくすることで、前記結晶子径(d)を小さくすると共に、前記微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)を下げる制御が可能である。
その際、前記の割合(Od/Cd)の変化は、1.25以上で制御することによって、より望ましくは1.25〜5.0に設定する。これによって、得られた微粒子の結晶化度が顕著に変化することが確認され、前記微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)が顕著に改善されることが確認された。
ここで、前記中間導入部は、前記内側導入部の下流に位置するものであり、前記中間導入部より下流の薄膜流体は、前記原料流体と前記析出流体とが混合された被処理流動体によって構成されるものである。
より具体的には、前記内側導入部から前記処理用面間に導入された被処理流動体は、処理用面の回転と前記処理用面の形状(例えば、必要に応じて前記処理用面に形成されたマイクロポンプとして作用する溝状の凹部等)の影響を受けながら、スパイラル状に流れる薄膜流体として下流に広がりながら流れていく。中間導入部は1つであってもよいが、2以上設けることもできる。また、中間導入部は、前記処理用に開口した、点状や円形状の孔として実施することもでき、周方向に連続する環状の孔として実施することができる。これらの中間導入部を複数の孔として実施する場合には、前記回転の中心からの半径方向の距離を等しいものと実施することができる他、同距離が異なる複数種類の孔として実施することもできる。
特に、また3種以上の被処理流動体が混合される場合には、中間導入部として、前記距離が異なる複数種類の孔のそれぞれから、異なる種類の被処理流動体を導入するようにして実施することもできる。
このように、内側導入部から導入された被処理流動体は、中間導入部等からの被処理流動体と混合されて下流へと広がりながら流れて、下流端である排出部から流出する。そして、これまでの研究の結果、混合後、被処理流動体は、薄膜流体中で反応がなされて、微粒子の析出がされ、析出した微粒子の結晶化または結晶子成長がなされるものと本発明者は考えている。
また、本発明は、被処理流動体として、1種類の被処理流動体を用いるものとして実施することができる。この被処理流動体は被析出物質の原料となる物質を少なくとも1種類含む被処理流動体であり、前記処理領域における前記少なくとも2つの処理用面から前記被処理流動体に対してエネルギーを加えることによって前記被析出物質の微粒子を析出させるステップを備える。従って、本発明は、2以上の被処理流動体を用いるものに限らず、被処理流動体として、1種類のみの被処理流動体を用いるものとして実施することができる。前記被処理流動体に対して加えられるエネルギーとしては、前記処理用面の回転による運動エネルギーの他、例えば、前記処理用面から被処理流動体に与えられる熱エネルギー(即ち、加温又は冷却)や紫外線や超音波等のエネルギー等を例示することができる。
2種以上の被処理流動体を前記処理用面間で混合しない場合、前記中間導入部は不要となり、通常は、1種類の被処理流動体が、上流端の前記内側導入部から導入され、下流端から排出されることになる。従って、上流端から下流端のまでの全領域が、処理領域となり、混合領域と未混合領域との区別は存在しない。
その際、前記の割合(Od/Id)の変化は、特に限定されないが、1.67以上に設定する。より望ましくは1.67〜8.33に設定する。これによって、得られた微粒子の結晶化度が顕著に変化することが確認され、前記微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)が顕著に改善することが確認された。
本発明においては、前記径割合(Od/Cd・Id)を変えることにより、処理領域の位置や面積が変化し、これによって、前記原料流体と前記析出流体とを含む被処理流動体の混合や拡散の条件が変化すること、並びに、導入部から排出部に至る間における前記被処理流動体の混合、その後に引き起こされる反応、析出、結晶化または結晶子成長の順に行われる反応時間が変化することに起因して、粒子径及び結晶子径の成長状態が変化し、析出によって得られた金属微粒子の前記結晶化度または前記比率(d/D)が変化すると考えられる。
例えば、前記回転の中心から前記内側導入部までの距離(Id)又は中間導入部までの距離(Cd)を従前実施されたものと同一にして、前記処理領域の外周端までの距離(Od)を変化させることによって、前記径割合(Od/Cd・Id)を変化させるものに止まらず、前記回転の中心から前記処理領域の外周端までの距離(Od)を従前実施されたものと同一とし、前記回転の中心から前記導入部までの距離(Id)又は中間導入部までの距離(Cd)を変化させることによって、前記径割合(Od/Cd・Id)を変化させることもできる。この場合にあっても、処理領域の面積の変化による混合や拡散の条件や、処理領域における前記被処理流動体の反応時間が変化するため、微粒子の前記比率(d/D)を向上させることができる。また、前記回転の中心から前記導入部までの距離(Id)又は中間導入部までの距離(Cd)と、前記回転の中心から前記処理領域の外周端までの距離(Od)との双方を従前実施されたものと異なるものとすることも可能である。
また、本発明の実施に際しては、前記径割合(Od/Cd・Id)を前述の設定値とすることにより、粒子径をさほど変化させずに、結晶化度または結晶子径の少なくとも何れか一方を飛躍的に上昇させることができる。
また、前記2種類の被処理流動体を用いる場合、前記未混合領域として、前記回転の中心に近い位置にある強制導入領域と、前記回転の中心から遠い位置にある薄膜調整領域を備えるものとすることもできる。この場合には、前記強制導入領域は、少なくとも1つの前記処理用面に、マイクロポンプ効果を発揮する凹部が上流から下流に伸びるように形成されたものであり、前記薄膜調整領域は、前記凹部の下流端と前記中間導入部との間の領域である。そして、前記少なくとも1種類の前記被処理流動体は、前記凹部により強制的に前記内側導入部から前記強制導入領域に導入され、この強制導入領域から前記薄膜調整領域においてスパイラル状の層流条件下の流れに調整されて前記混合領域に流される。薄膜調整領域は、内側導入部から導入される被処理流動体と、中間導入部から導入される被処理流動体とを、微小間隔に保たれる両処理用面間において理想的な状態で混合し、目的の微粒子を析出させるために、重要な領域である。特に、前記強制導入領域にあっては、そのマイクロポンプ効果によって脈動や圧力変動が発生するおそれがある。この脈動や圧力変動は均一な流体処理の観点からは好ましいものではない。そこで、脈動や圧力変動を前記薄膜調整領域において低減することが望ましく、より望ましくは脈動や圧力変動の影響を無視できる程度にまで低減するために充分な広さを薄膜調整領域に与えることが適当である。他方、混合領域は前述のとおり、少なくとも2種の被処理流動体の混合から析出がなされる領域である。両者はその目的を達するために十分な幅に設定されるべきであるが、これらの領域を構成する前記両処理用面は、鏡面仕上げされた平滑な面であったり、場合によっては意図的に凹部が形成されるなど、慎重に設計され精密に加工される必要があり、また、所定の速度で相対的に回転させられるため、その大きさは種々の観点から制約を受ける。この制約のある少なくとも2つの処理用面間の処理領域において、薄膜調整領域と混合領域とをバランスよく配置することは極めて重要である。本発明は、これらの幅割合を2.00以上とすることによって、微粒子の結晶化度や、微粒子の粒子径(D)に対する前記微粒子の結晶子径(d)の比率(d/D)を飛躍的に向上させることができたものである。
また、乳化、分散、粉砕の処理については、前記2種類の被処理流動体を用いる場合、プレ乳化、プレ分散、プレ粉砕等のプレ処理の工程を省略して実施することもできる。これによって、精密処理(精密乳化・精密分散・精密粉砕)に際して、処理後の粒度分布がプレ処理後の結果に依らない利点がある。言い換えれば、1種類の被処理流動体を用いた場合よりも、粒度分布がシャープになり易い。
そして、前記の割合(Od/Cd)を前述の設定値とすることによって、粒子径またはCV値を飛躍的に小さくすることができたものである。
乳化、分散、粉砕にあっては、前記径割合(Od/Cd・Id)が小さい場合、運転が不安定になり易い場合があり、キャビテーションの発生などによって、目的とは異なる微小粒子が発生する場合や、処理面積が小さい事による粗大粒子の生成等が確認された。粗大粒子を微粒子化するために、単に回転数を上昇させると、前記キャビテーションが発生しやすい条件となり、シャープな粒度分布の粒子径制御が困難であった。
本発明は、前記径割合(Od/Cd・Id)を大きくすることで、運転が安定になり、粒子径及びCV値の制御性が向上し、粒子径の微細化並びに粒度分布をシャープにすることができたものである。
また、有機反応等の反応の処理にあっても、前記径割合(Od/Cd・Id)が小さく、反応が不十分な場合に、単に回転数を上昇させると、前記のキャビテーションが原因となって、副生成物の発生を引き起こす場合や反応効率を下げる場合があったが、前記径割合(Od/Cd・Id)を前述の設定値とすることで、前記反応の収率が向上し、前記反応の純度が上がることが確認された。
本発明は、被処理流動体の導入速度や処理用面の回転速度を変化させるか否かを問わず、処理特性を飛躍的に改善することができる流体処理装置を提供することができたものである。
本発明の実施の形態に係る流体処理装置の略断面図である。 (A)は図1に示す流体処理装置の第1処理用面の略平面図であり、(B)は同装置の処理用面の要部拡大図である。 (A)は処理用面間の半面の断面図であり、(B)は同第2導入部を説明するための処理用面の要部拡大図である。 (A)は図1に示す流体処理装置の処理領域を示す模式図であり、(B)は同装置の混合領域を示す模式図であり、(C)は他の実施の形態に係る流体処理装置の処理領域を示す模式図である。 (A)は他の実施の形態に係る流体処理装置の処理領域を示す模式図であり、(B)はさらに他の実施の形態に係る流体処理装置の処理領域を示す模式図である。 実施例1〜5の結果について粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)の変化を示すグラフである。 実施例1〜5の結果について結晶子径(d)の変化を示すグラフである。 実施例1〜5の結果について結晶化度の変化を示すグラフである。 実施例1、3及び4についてのXRD測定結果である。 実施例6〜13の結果について粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)の変化を示すグラフである。 実施例6〜13の結果について結晶子径(d)の変化を示すグラフである。 実施例6〜13の結果について結晶化度の変化を示すグラフである。 実施例9で得られたニッケル微粒子のSEM写真。 実施例14〜19の結果について粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)の変化を示すグラフである。 実施例14〜19の結果について結晶化度の変化を示すグラフである。 実施例20〜27の結果について粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)の変化を示すグラフである。 実施例20〜27の結果について結晶化度の変化を示すグラフである。 実施例20〜27の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例28〜35の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例28〜35の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例36〜43の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例36〜43の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例44〜51の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例44〜51の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例52〜59の結果について収率の変化を示すグラフである。 実施例52〜59の結果について純度の変化を示すグラフである。 実施例60〜67の結果について結晶子径(d)の変化を示すグラフである。 実施例60〜67の結果について粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)の変化を示すグラフである。 実施例60〜67の結果について結晶化度の変化を示すグラフである。 実施例68〜75の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例68〜75の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例76〜83の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例76〜83の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例84〜91の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例84〜91の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例92〜99の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例92〜99の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例100〜107の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例100〜107の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例108〜115の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例108〜115の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例116〜123の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例116〜123の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例124〜131の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例124〜131の結果についてCV値の変化を示すグラフである。 実施例132〜137の結果について体積平均粒子径の変化を示すグラフである。 実施例132〜137の結果についてCV値の変化を示すグラフである。
以下、図面を用いて前記流体処理装置の実施の形態について説明する。
図1〜図3に示す流体処理装置は、接近・離反可能な少なくとも一方が他方に対して相対的に回転する処理用部における処理用面の間で被処理物を処理するものであって、被処理流動体のうちの第1の被処理流動体である第1流体を処理用面間に導入し、前記第1流体を導入した流路とは独立し、処理用面間に通じる開口部を備えた別の流路から被処理流動体のうちの第2の被処理流動体である第2流体を処理用面間に導入して処理用面間で前記第1流体と第2流体を混合・攪拌して処理を行う装置である。なお、図1においてUは上方を、Sは下方をそれぞれ示しているが、本発明において上下前後左右は相対的な位置関係を示すに止まり、絶対的な位置を特定するものではない。図2(A)、図3(B)においてRは回転方向を示している。図3(B)においてCは遠心力方向(半径方向)を示している。
この装置は、被処理流動体として少なくとも2種類の流体を用いるものであり、そのうちで少なくとも1種類の流体については被処理物を少なくとも1種類含むものであり、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面を備え、これらの処理用面の間で前記の各流体を合流させて薄膜流体とするものであり、当該薄膜流体中において前記の被処理物を処理する装置である。この装置は、前述のとおり、複数の被処理流動体を処理することができるが、単一の被処理流動体を処理することもできる。
この流体処理装置は、対向する第1及び第2の、2つの処理用部10、20を備え、少なくとも一方の処理用部が回転する。両処理用部10、20の対向する面が、夫々処理用面となる。第1処理用部10は第1処理用面1を備え、第2処理用部20は第2処理用面2を備える。
両処理用面1、2は、被処理流動体の流路に接続され、被処理流動体の流路の一部を構成する。この両処理用面1、2間の間隔は、適宜変更して実施することができるが、通常は、1mm以下、例えば0.1μmから50μm程度の微小間隔に調整される。これによって、この両処理用面1、2間を通過する被処理流動体は、両処理用面1、2によって強制された強制薄膜流体となる。
この装置を用いて複数の被処理流動体を処理する場合、この装置は、第1の被処理流動体の流路に接続され、当該第1被処理流動体の流路の一部を形成すると共に、第1被処理流動体とは別の、第2被処理流動体の流路の一部を形成する。そして、この装置は、両流路を合流させて、処理用面1、2間において、両被処理流動体を混合し、反応させるなどの流体の処理を行なう。なお、ここで「処理」とは、被処理物が反応する形態に限らず、反応を伴わずに混合・分散のみがなされる形態も含む。
具体的に説明すると、前記の第1処理用部10を保持する第1ホルダ11と、第2処理用部20を保持する第2ホルダ21と、接面圧付与機構と、回転駆動機構と、内側導入部d1と、中間導入部d2と、流体圧付与機構pとを備える。
図2(A)へ示す通り、この実施の形態において、第1処理用部10は、環状体であり、より詳しくはリング状のディスクである。また、第2処理用部20もリング状のディスクである。第1、第2処理用部10、20の材質は、金属の他、セラミックや焼結金属、耐磨耗鋼、サファイア、その他金属に硬化処理を施したものや、硬質材をライニングやコーティング、メッキなどを施工したものを採用することができる。この実施の形態において、両処理用部10、20は、互いに対向する第1、第2の処理用面1、2の少なくとも一部が鏡面研磨されている。
この鏡面研磨の面粗度は、特に限定されないが、好ましくはRa0.01〜1.0μm、より好ましくはRa0.03〜0.3μmとする。
少なくとも一方のホルダは、電動機などの回転駆動機構(図示せず)にて、他方のホルダに対して相対的に回転することができる。図1の50は、回転駆動機構の回転軸を示しており、この例では、この回転軸50に取り付けられた第1ホルダ11が回転し、この第1ホルダ11に支持された第1処理用部10が第2処理用部20に対して回転する。もちろん、第2処理用部20を回転させるようにしてもよく、双方を回転させるようにしてもよい。また、この例では、第1、第2ホルダ11、21を固定しておき、この第1、第2ホルダ11、21に対して第1、第2処理用部10、20が回転するようにしてもよい。
第1処理用部10と第2処理用部20とは、少なくとも何れか一方が、少なくとも何れか他方に、接近・離反可能となっており、両処理用面1、2は、接近・離反できる。
この実施の形態では、第1処理用部10に対して、第2処理用部20が接近・離反するもので、第2ホルダ21に設けられた収容部41に、第2処理用部20が出没可能に収容されている。但し、これとは、逆に、第1処理用部10が、第2処理用部20に対して接近・離反するものであってもよく、両処理用部10、20が互いに接近・離反するものであってもよい。
この収容部41は、第2処理用部20の、主として処理用面2側と反対側の部位を収容する凹部であり、平面視において、円を呈する、即ち環状に形成された、溝である。この収容部41は、第2処理用部20を回転させ得る十分なクリアランスを持ち、第2処理用部20を収容する。なお、第2処理用部20は軸方向に平行移動のみが可能なように配置してもよいが、前記クリアランスを大きくすることにより、第2処理用部20は、収容部41に対して、処理用部20の中心線を、前記収容部41の軸方向と平行の関係を崩すように傾斜して変位できるようにしてもよく、さらに、第2処理用部20の中心線と収容部41の中心線とが半径方向にずれるように変位できるようにしてもよい。
このように、3次元的に変位可能に保持するフローティング機構によって、第2処理用部20を保持することが望ましい。
前記の被処理流動体は、各種のポンプや位置エネルギーなどによって構成される流体圧付与機構pによって圧力が付与された状態で、内側導入部d1と、中間導入部d2とから両処理用面1、2間に導入される。この実施の形態において、内側導入部d1は、環状の第2ホルダ21の中央に設けられた通路であり、その一端が、環状の両処理用部10、20の内側から、両処理用面1、2間に導入される。中間導入部d2は、第1の被処理流動体と混合させる第2の被処理流動体を処理用面1、2へ供給する。この実施の形態において、中間導入部d2は、第2処理用部20の内部に設けられた通路であり、その一端が、第2処理用面2にて開口する。流体圧付与機構pにより加圧された第1の被処理流動体は、内側導入部d1から、両処理用部10、20の内側の空間に導入され、第1処理用面1と第2処理用面2との間を通り、両処理用部10、20の外側に通り抜けようとする。これらの処理用面1、2間において、中間導入部d2から流体圧付与機構pにより加圧された第2の被処理流動体が供給され、第1の被処理流動体と合流し、混合、攪拌、乳化、分散、反応、晶出、晶析、析出などの種々の流体処理がなされ、両処理用面1、2から、両処理用部10、20の外側に排出される。なお、減圧ポンプにより両処理用部10、20の外側の環境を負圧にすることもできる。
前記の接面圧付与機構は、第1処理用面1と第2処理用面2とを接近させる方向に作用させる力を、処理用部に付与する。この実施の形態では、接面圧付与機構は、第2ホルダ21に設けられ、第2処理用部20を第1処理用部10に向けて付勢する。
前記の接面圧付与機構は、第1処理用部10の第1処理用面1と第2処理用部20の第2処理用面2とが接近する方向に押す力(以下、接面圧力という)を発生させるための機構である。この接面圧力と、流体圧力などの両処理用面1、2間を離反させる力との均衡によって、nm単位ないしμm単位の微小な膜厚を有する薄膜流体を発生させる。言い換えれば、前記力の均衡によって、両処理用面1、2間の間隔を所定の微小間隔に保つ。
図1に示す実施の形態において、接面圧付与機構は、前記の収容部41と第2処理用部20との間に配位される。具体的には、第2処理用部20を第1処理用部10に近づく方向に付勢するスプリング43と、空気や油などの付勢用流体を導入する付勢用流体導入部44とにて構成され、スプリング43と前記付勢用流体の流体圧力とによって、前記の接面圧力を付与する。このスプリング43と前記付勢用流体の流体圧力とは、いずれか一方が付与されるものであればよく、磁力や重力などの他の力であってもよい。この接面圧付与機構の付勢に抗して、流体圧付与機構pにより加圧された被処理流動体の圧力や粘性などによって生じる離反力によって、第2処理用部20は、第1処理用部10から遠ざかり、両処理用面間に微小な間隔を開ける。このように、この接面圧力と離反力とのバランスによって、第1処理用面1と第2処理用面2とは、μm単位の精度で設定され、両処理用面1、2間の微小間隔の設定がなされる。前記離反力としては、被処理流動体の流体圧や粘性と、処理用部の回転による遠心力と、付勢用流体導入部44に負圧を掛けた場合の当該負圧、スプリング43を引っ張りスプリングとした場合のバネの力などを挙げることができる。また、離反力は、両処理用面1、2間に内側導入部d1から被処理流動体を導入することによって発生する力のみならず、中間導入部d2から被処理流動体を導入することによって発生する力も含まれる。この接面圧付与機構は、第2処理用部20ではなく、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。
前記
前記の離反力について、具体的に説明すると、第2処理用部20は、前記の第2処理用面2と共に、第2処理用面2の内側(即ち、第1処理用面1と第2処理用面2との間への被処理流動体の進入口側)に位置して当該第2処理用面2に隣接する離反用調整面23を備える。この例では、離反用調整面23は、傾斜面として実施されているが、水平面であってもよい。被処理流動体の圧力が、離反用調整面23に作用して、第2処理用部20を第1処理用部10から離反させる方向への力を発生させる。従って、離反力を発生させるための受圧面は、第2処理用面2と離反用調整面23とになる。
さらに、この図1の例では、第2処理用部20に近接用調整面24が形成されている。この近接用調整面24は、離反用調整面23と軸方向において反対側の面(図1においては上方の面)であり、被処理流動体の圧力が作用して、第2処理用部20を第1処理用部10に接近させる方向への力を発生させる。
なお、第2処理用面2及び離反用調整面23に作用する被処理流動体の圧力、即ち流体圧は、メカニカルシールにおけるオープニングフォースを構成する力として理解される。処理用面1、2の接近・離反の方向、即ち第2処理用部20の出没方向(図1においては軸方向)と直交する仮想平面上に投影した近接用調整面24の投影面積A1と、当該仮想平面上に投影した第2処理用部20の第2処理用面2及び離反用調整面23との投影面積の合計面積A2との、面積比A1/A2は、バランス比Kと呼ばれ、前記オープニングフォースの調整に重要である。このオープニングフォースについては、前記バランスライン、即ち近接用調整面24の面積A1を変更することで、被処理流動体の圧力、即ち流体圧により調整できる。
摺動面の実面圧P、即ち、接面圧力のうち流体圧によるものは次式で計算される。
P=P1×(K−k)+Ps
ここでP1は、被処理流動体の圧力即ち流体圧を示し、Kは前記のバランス比を示し、kはオープニングフォース係数を示し、Psはスプリング及び背圧力を示す。
このバランスラインの調整により摺動面の実面圧Pを調整することで処理用面1、2間を所望の微小隙間量にし、被処理流動体による流動体膜を形成させ、生成物などの処理された被処理物を微細とし、また、均一な流体処理を行うものである。
なお、図示は省略するが、近接用調整面24を離反用調整面23よりも広い面積を持ったものとして実施することも可能である。
被処理流動体は、前記の微小な隙間を保持する両処理用面1、2によって強制された薄膜流体となり、環状の両処理用面1、2の外側に移動しようとする。ところが、第1処理用部10は回転しているので、混合された被処理流動体は、環状の両処理用面1、2の内側から外側へ直線的に移動するのではなく、環状の半径方向への移動ベクトルと周方向への移動ベクトルとの合成ベクトルが被処理流動体に作用して、内側から外側へ略渦巻き状に移動する。
尚、回転軸50は、鉛直に配置されたものに限定するものではなく、水平方向に配位されたものであってもよく、傾斜して配位されたものであってよい。被処理流動体は両処理用面1、2間の微細な間隔にて処理がなされるものであり、実質的に重力の影響を排除できるからである。また、この接面圧付与機構は、前述の第2処理用部20を変位可能に保持するフローティング機構と併用することによって、微振動や回転アライメントの緩衝機構としても機能する。
流体の運動において、慣性力と粘性力の比を表す無次元数をレイノルズ数と呼び、以下のように表される。
レイノルズ数Re=慣性力/粘性力=ρVL/μ=VL/ν
ここで、ν=μ/ρは動粘度、Vは代表速度、Lは代表長さ、ρは密度、μは粘度を示す。
臨界レイノルズ数を境界とし、臨界レイノルズ数以下では層流、臨界レイノルズ数以上では乱流になる。
前記流体装置の両処理用面1、2間は微小間隔に調整されるため、両処理用面1、2間に保有される被処理流動体の保有量は極めて少ない。そのため、代表長さLが非常に小さくなり、両処理用面1、2間を通過する強制薄膜流体の遠心力は小さく、強制薄膜中は粘性力の影響が大きくなる。
また、遠心力は、回転運動における慣性力の一種であり、中心から外側に向かう力である。慣性力は以下の式で表される。
慣性力F=ma=mv2/R
ここで、aは加速度、mは質量、vは速度、Rは半径を示す。
前記のように両処理用面1、2間に保有される被処理流動体の保有量は少ないため、質量に対する速度の割合が非常に大きくなり、質量は無視できるようになる。従って、強制薄膜流体中においては重力の影響を無視できる。そのため、本来複合微粒子として析出させることの難しい比重差のある異種の元素を含む金属または金属化合物についても作製可能である。
第1、第2処理用部10、20は、その少なくともいずれか一方を、冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよく、図1では、第1、第2処理用部10、20に温調機構(温度調整機構)J1、J2を設けた例を図示している。また、導入される被処理流動体を冷却或いは加熱して、その温度を調整するようにしてもよい。これらの温度は、処理された被処理物の析出のために用いることもでき、また、第1、第2処理用面1、2間における被処理流動体にベナール対流若しくはマランゴニ対流を発生させるために設定してもよい。
図2に示すように、第1処理用部10の第1処理用面1には、第1処理用部10の中心側から外側に向けて、即ち径方向について伸びる溝状の凹部13を形成して実施してもよい。この凹部13の平面形状は、図2(B)へ示すように、第1処理用面1上をカーブして或いは渦巻き状に伸びるものや、図示はしないが、真っ直ぐ外方向に伸びるもの、L字状などに屈曲あるいは湾曲するもの、連続したもの、断続するもの、枝分かれするものであってもよい。また、この凹部13は、第2処理用面2に形成するものとしても実施可能であり、第1及び第2の処理用面1、2の双方に形成するものとしても実施可能である。この様な凹部13を形成することによりマイクロポンプ効果を得ることができ、被処理流動体を第1及び第2の処理用面1、2間に吸引することができる効果がある。
この凹部13により生ずるマイクロポンプ効果により、被処理流動体による動圧が発生する。この動圧は、処理用面1、2間を広げる方向に作用するものであり、この動圧も前述の離反力の一つとして作用する。
この凹部13を設けて実施した場合には、両処理用面1、2が相対的に回転することによって、両処理用面1、2に被処理流動体を積極的に吸引できるメリットが生ずる。その反面、溝状の凹部13のある部分と、ない部分(凹部13に対して相対的に凸部となる部分)とが周方向に配列されるため、両処理用面1、2が相対的に回転することによって、両処理用面1、2における被処理流動体に圧力変動が生ずるおそれがある。従って、この凹部13を設けずに実施した場合には、前記のマイクロポンプ効果が期待できない反面、これによる圧力変動を考慮する必要がないというメリットが生じる。
従って、この凹部13を設けずに実施した場合には、前記のマイクロポンプ効果が期待できない反面、これによる圧力変動を考慮する必要がないというメリットが生じる。また、マイクロポンプの凹部13の加工は、非常に精密な作業が必要になり、コストが高くなるが、その加工がこれを設けないため低コストの装置を提供できる。また、両処理用面1、2の略全面を実質的に流体の処理のために用いることができるため、省資源となる。
特に、中間導入部d2を設けて、ここから被処理流動体を導入する場合には、この被処理流動体から両処理用面1、2に対して加わる力を前述の離反力として用いることができるため、凹部13を省略して実施することが容易となる。但し、中間導入部d2を設けない場合にも、凹部13を省略して実施することができる。
この凹部13の基端は第1処理用部10の内周に達することが望ましい。この凹部13の先端は、第1処理用部面1の外周面側に向けて伸びるもので、その深さ(横断面積)は、基端から先端に向かうにつれて、漸次減少するものとしている。
この凹部13の先端と第1処理用面1の外周面との間には、凹部13のない平坦面16が設けられている。
前述の中間導入部d2の開口部d20を第2処理用面2に設ける場合は、対向する前記第1処理用面1の平坦面16と対向する位置に設けることが好ましい。
この開口部d20は、第1処理用面1の凹部13からよりも下流側(この例では外側)に設けることが望ましい。特に、マイクロポンプ効果によって導入される際の流れ方向が処理用面間で形成されるスパイラル状で層流の流れ方向に変換される点よりも外径側の平坦面16に対向する位置に設置することが望ましい。具体的には、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も外側の位置から、径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。特に、流体中から微粒子を析出させる場合には、層流条件下にて複数の被処理流動体の混合と、微粒子の析出が行なわれることが望ましい。開口部d20の形状は、図2(B)や図3(B)に示すように円形状であってもよく、図示しないが、リング状ディスクである処理用面2の中央の開口を取り巻く同心円状の円環形状であってもよい。また、開口部を円環形状とした場合、その円環形状の開口部は連続していてもよいし、不連続であってもよい。
この中間導入部d2は方向性を持たせることができる。例えば、図3(A)に示すように、前記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、第2処理用面2に対して所定の仰角(θ1)で傾斜している。この仰角(θ1)は、0度を超えて90度未満に設定されており、さらに反応速度が速い反応の場合には1度以上45度以下で設置されるのが好ましい。
また、図3(B)に示すように、前記の第2処理用面2の開口部d20からの導入方向が、前記の第2処理用面2に沿う平面において、方向性を有するものである。この第2流体の導入方向は、処理用面の半径方向の成分にあっては中心から遠ざかる外方向であって、且つ、回転する処理用面間における流体の回転方向に対しての成分にあっては順方向である。言い換えると、開口部d20を通る半径方向であって外方向の線分を基準線gとして、この基準線gから回転方向Rへの所定の角度(θ2)を有するものである。この角度(θ2)についても、0度を超えて90度未満に設定されることが好ましい。
この角度(θ2)は、流体の種類、反応速度、粘度、処理用面の回転速度などの種々の条件に応じて、変更して実施することができる。また、中間導入部d2に方向性を全く持たせないこともできる。
前記の被処理流動体の種類とその流路の数は、図1の例では、2つとしたが、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。図1の例では、中間導入部d2から処理用面1、2間に第2流体を導入したが、この導入部は、第1処理用部10に設けてもよく、双方に設けてもよい。また、一種類の被処理流動体に対して、複数の導入部を用意してもよい。また、各処理用部に設けられる導入用の開口部は、その形状や大きさ、数は特に制限はなく適宜変更して実施し得る。
なお、処理用面1、2間にて前記処理を行う事が出来れば良いので、前記とは逆に、内側導入部d1より第2流体を導入し、中間導入部d2より第1流体を導入するものであっても良い。つまり、各流体における第1、第2という表現は、複数存在する流体の第n番目であるという、識別のための意味合いを持つに過ぎないものであり、第3以上の流体も存在し得る。その際、中間導入部d2の外側に、第3導入部、第4導入部、さらにはそれ以上の導入部が形成され得るが、これらも中間導入部と理解されるべきである。第3導入部以降の導入部を持つ例としては、同心円状に、複数の環状の導入部を設けた場合を例示できる。また他の例としては、点状や線状の複数の導入部を環状に配置し、この環状の配列径が異なる環状の導入部群を、複数持つ場合を挙げることができる。
前記装置においては、析出・沈殿または結晶化のような処理が、図1に示すように、接近・離反可能に互いに対向して配設され、少なくとも一方が他方に対して回転する処理用面1、2の間で強制的に均一混合しながら起こる。処理された被処理物の粒子径や単分散度は処理用部10、20の回転数や流速、処理用面1、2間の距離や、被処理流動体の原料濃度、または被処理流動体の溶媒種等を適宜調整することにより、制御することができる。
本発明においては、被処理流動体を用いて被処理流動体の処理を行なう場合、相対的に回転する2つの処理用面1、2間の処理領域は、次のように理解される。これを、図4、図5を参照しつつ説明する。図4の装置は、内側導入部d1と、その外周側に位置する中間導入部d2を備えており、2種類以上の被処理流動体を用いて被処理流動体の処理を行なう場合に適するものである。図5は、中間導入部d2を備えておらず、内側導入部d1のみを備えており、1種類の被処理流動体を用いて被処理流動体の処理を行なう場合に適するものである。
なお、図4、図5は、本発明の実施の形態に係る装置の模式図であり、各部の寸法を正確に示すものではない。
まず、図4(A)を参照して、2種類以上の被処理流動体を用いて被処理流動体の処理を行なう場合における、相対的に回転する2つの処理用面1、2間の処理領域について説明する。被処理流動体の処理は、前述のとおり、微粒子の析出の処理、反応の処理、乳化、混合、分散の処理などであり、その処理に適する被処理流動体が用いられる。例えば、微粒子の析出の処理の場合、被析出物質の原料となる物質を少なくとも1種類含む原料流体と、前記の第2流体が前記被析出物質を析出させるための析出流体との2種の被処理流動体を用いる。
処理領域は、回転の半径方向の内側の未混合領域3と、外側の混合領域6とに大別して理解される。未混合領域3の内端は内側導入部d1によって規定され、未混合領域3と混合領域6との境界は中間導入部d2によって規定される。混合領域6の外端は、処理用面1、2の外端であり、その外側に排出部14が形成される。
内側導入部d1と排出部14は、処理用面1、2の最内周と最外周に形成されたテーパ状部分である。処理用面1、2は、意図的に凹部を形成するなどされる場合もあるが、一般的には互いに平坦な平滑な平面を構成し、これらの平面間の間隔が前述の薄膜流体を所定の膜厚に規定する。これに対して、テーパ状の内側導入部d1及び排出部14においては、その間隔が徐々に広がっていくものであり、被処理流動体は所定の膜厚の薄膜流体を維持しない。従って、処理用面1、2間の処理領域は、テーパ状の内側導入部d1と排出部14とを除外した領域である。言い換えれば、未混合領域3は、内側導入部d1(内側導入部d1を含まない)から、中間導入部d2(中間導入部d2を含まない)に存在する内側の環状の領域である。また、混合領域6は、中間導入部d2(中間導入部d2を含む)から排出部14(排出部14を含まない)に存在する外側の環状の領域である。
従って、前記回転の中心から前記外周端までの距離(Od)(以下、排出部半径(Od)という場合もある)は、前記回転の中心から排出部14の手前までの距離である。
また、前記回転の中心から前記中間導入部までの距離(Cd)(以下、合流部半径(Cd)という場合もある)は、前記回転の中心から前記中間導入部d2の手前までの距離である。合流部半径(Cd)は処理用面1、2の前記回転の中心から最も中央に近い地点f(以下、最近点fという)までの距離であり、また前述のように、中間導入部として、第3導入部以降の複数の導入部を持つ場合にも適用できるものであり、これらの中間導入部のうち、前記回転の中心からの距離が最も径の小さな中間導入部における最近点fまでの距離を合流部半径(Cd)とする。
さらに未混合領域3は、前述の溝状の凹部13を設けた場合には、内側の強制導入領域4と、外側の薄膜調整領域5とに区分して理解される。
強制導入領域4には、マイクロポンプ効果を発揮する凹部13が形成され、第1流体が、その圧力と溝によるマイクロポンプ効果によって、処理用面間に内側導入部d1から強制的に導入され薄膜流体となる。薄膜調整領域5は、導入された第1流体が、処理用面の回転による遠心力等の影響を受けてスパイラル状の流れに変換されると共に、層流条件下で外方向に流れ出す領域である。強制導入領域4にあっては、そのマイクロポンプ効果によって脈動や圧力変動が発生するおそれがあるため、凹部13のない薄膜調整領域5を充分な大きさに設定することで、脈動や圧力変動を前記薄膜調整領域において低減することができる。脈動や圧力変動の影響を無視できる程度にまで低減することが最も望ましい。具体的には、前述のように、図2(B)において、第1処理用面1に設けられた凹部13の最も外側の位置から、径方向への距離nを、約0.5mm以上とするのが好ましい。
この領域より外側にあっては、第1流体は層流でスパイラル状の安定した薄膜流体となると考えられる。この安定した薄膜流体に対して、内側導入部d2から第2流体が導入される。これによって、第1流体と第2流体とによる薄膜流体が構成され、混合領域6を、両流体は層流条件下でスパイラル状に外方向に流れ、排出部14から流出する。
この第1流体と第2流体とは、層流条件下の薄膜流体中で、混合され、混合された被処理流動体について、前述の種々の処理がなされる。
例えば、微粒子の析出の処理の場合、混合された被処理流動体によって構成される薄膜流体中で微粒子が析出する。
この微粒子の析出と、析出した微粒子の成長には、第1流体と第2流体とを構成する物質の化学エネルギー、流れる流体の機械的エネルギー、処理用面の回転エネルギー、必要によって処理用面に加えられる温度エネルギーが関与すると考えられる。このように与えられた条件に従って、薄膜流体中に粒子が析出し、成長し、目的の微粒子が排出部14から排出される。この成長過程の微粒子は、微粒子中に非晶質と結晶質とが共存した状態が一般的であり、結晶質の部分では単数又は複数の結晶が発生し、その結晶が成長しつつ、粒子が成長する。
このように、未混合領域3が、前述の溝状の凹部13を備えた強制導入領域4を有する場合、内側導入部d1から導入された第1流体が、良好な層流条件下での薄膜流体となって中間導入部d2から導入される第2流体と混合されるために薄膜調整領域5は、前述のように、充分な大きさを持つ必要がある。他方、両処理用面1、2の大きさが機械的制約を受ける以上、薄膜調整領域5の大きさを必要以上に大きくすると、混合領域6の大きさを充分に確保することがでない。そのため、前記回転の半径方向における薄膜調整領域5の幅(Iw)に対する、前記回転の半径方向における混合領域の幅(Ow)の幅割合(Ow/Iw)を適正に設定しつつ、これを変化させることによって、薄膜流体中に粒子が析出し、成長し、目的の微粒子が排出部14から排出されるまでの粒子及び結晶子の成長過程を制御することができる。
本発明者の新たな知見によると、結晶の成長は、粒子の成長(粒子径の拡大)が実質的に停止した後にも継続して行なわれることが明らかになった。従って、混合領域6は、図4(B)に示すように、内側(上流側)の前期領域7と、外側の後期領域8とに区分できることが明らかになった。析出した微粒子は、前期領域7において、粒子の析出成長と共に結晶子の発生と微粒子中の結晶化の進行と結晶子の成長がなされており、後期領域8においては実質的に粒子の成長が完了した後、主として微粒子中の結晶化の進行と結晶子の成長がなされる。従って、後期領域8においては、前記のエネルギーが主として結晶化の進行と結晶子の成長のために利用されることになる。本発明に係る装置においては、前記のエネルギー(特に、周速度で表される処理用面の回転エネルギー)は、外径側に向かうに従い大きくなる。また、混合領域6(前期領域7及び後期領域8)の面積は、距離の2乗で拡大する。後期領域8では、このような条件下で、主として結晶化の進行と結晶子の成長のためにのみ、エネルギーが消費されると考えられる。
2種類以上の被処理流動体を用いて微粒子の析出を行なう場合には、この後期領域8の領域は、排出部半径(Od)の合流部半径(Cd)に対する割合(Od/Cd)が1.25以上の条件を満たす領域であることが、本発明の完成に至る研究過程において、明らかになった。また、前述の幅割合(Ow/Iw)にあっては、2.0以上の条件を満たすことが望ましいものであることが明らかになった。
具体的には、従来の本願出願人の製造に係る装置にあっては、前記の割合(Od/Cd)が1.25未満であり、且つ、前述の幅割合(Ow/Iw)が2.0未満であった。この従来の装置にあっては、後述の実施例に示すとおり、結晶化の進行と結晶子の成長とが、粒子の成長と共に、緩やかに行なわれているに過ぎなかった。言い換えれば、前記の従来の装置にあっては、混合領域6は、前期領域7のみによって構成されたものに過ぎないものであるか、たとえ後期領域8が存在しても、その領域は前期領域7に比して僅かなものに過ぎず、本発明者は後期領域8の存在を認識することなく、混合領域6として理解するに止まっていた。
前記割合(Od/Cd)と前記幅割合(Ow/Iw)を変化させることによって、得られた微粒子の結晶化度を上下させる結晶化度制御と、前記微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)を上下させるd/D制御との、少なくとも何れか一方の制御を行なうことによって、前期領域7のみならず後期領域8の大きさを充分なものに設定することができた。
特に、前記の割合(Od/Cd)を1.25〜5.0に設定することによって、後期領域8が存在する条件下で前記の流体処理を行なうことができ、前記の微粒子及び結晶子の生成成長が充分に行なわれ得る。また、前記幅割合(Ow/Iw)を2.0〜150.0に制御することによって、後期領域8が存在する条件下で流体処理を行なうことが、前記の微粒子及び結晶子の生成成長が充分に行なわれ得る点で望ましい。
なお、前記の割合(Od/Cd)や前記幅割合(Ow/Iw)の上限値は特に設定される必要はない。但し、現在の回転制御の技術水準では、前記の割合(Od/Cd)が5.0を越えたり、前記幅割合(Ow/Iw)が150.0を超えたりすると、結晶化度が低下したり、前記d/Dが低下する場合があることが確認された。これは、結晶子の成長が完了したと考えることができる一方、排出部半径(Od)、特に、排出部半径(Od)と合流部半径(Cd)の差が大きくなったり、薄膜調整領域の幅(Iw)と混合領域の幅(Ow)との差が大きくなりったすることで、薄膜流体を介して対向している処理用面の回転運動などの運転が安定になり、望ましい処理条件を維持できなくなるためであるとも考えられる。従って、機械的な精度がさらに向上することで、前記の割合(Od/Cd)が5.0を超えたり、前記幅割合(Ow/Iw)が150.0を超えた場合にあっても、結晶化度の変化と、前記d/Dの変化をもたらすことができる場合もあると考えられる。
なお、図4(C)に示すように、本発明は、前述の凹部13を形成せずに、言い換えれば強制導入領域4を設けずに実施することもできる。この場合にあっても、前述の未混合領域3と混合領域6とは前述と同様に存在し、導入部半径(Id)に対する、排出部半径(Od)の割合(Od/Id)を1.67以上とすることによって、被処理流動体に対する種々の処理についての処理特性を飛躍的に改善することができる。
なお、凹部13を有する強制導入領域4を設けない結果、前述のように、マイクロポンプ効果が期待できない反面、これによる圧力変動を考慮する必要がないというメリットが生じる。
以上、析出を伴う流体処理を中心に説明したが、図4の各図の何れの場合にあっても、反応をなす流体処理や、乳化、分散、粉砕等の流体処理の処理についても、前記の考えを適用できる。前記の割合(Od/Cd)や前記幅割合(Ow/Iw)や前記の割合(Od/Id)を前述の設定値とすることによって、反応の純度が飛躍的に向上したり、反応の収率が飛躍的に向上する。また、前記の割合(Od/Cd)や前記幅割合(Ow/Iw)や割合(Od/Id)を前述の設定値とすることによって、乳化、分散、粉砕等によって得られる微粒子の粒子径を飛躍的に小さくでき、得られた微粒子の粒度分布を飛躍的にシャープにすることができる。
次に、図5を参照しつつ、被析出物質の原料となる物質を少なくとも1種類含む1種類の被処理流動体のみを用いて、流体処理を行なう例を説明する。図5の例では、先の図4の例に示した中間導入部d2が存在しない。また中間導入部d2が設けられた装置を用いた場合にあっても、中間導入部d2は用いずに、内側導入部d1のみから被処理流動体を前記の両処理用面1、2間に導入する。
図5(A)は、マイクロポンプ効果を発揮する溝状の凹部13が設けられている例であり、図5(B)は溝状の凹部13が設けられていない例である。
これら図5に示す装置を用いた場合にあっては、前記回転の中心から前記内側導入部までの距離(Id)に対する前記回転の中心から前記処理領域の外周端までの距離(Od)の割合(Od/Id)を1.67以上とする。この場合にあっても、処理領域の上流端は、内側導入部d1を含まず、処理領域の下流端は、排出部14を含まない。
そして、これらの割合(Od/Id)を1.67以上とすることによって、前述と同様の各種被処理流動体に対して、各種の流体処理を行なう処理特性を飛躍的に改善することができる。
例えば、析出を伴う流体処理にあっては、内側導入部d1から両処理用面1、2間に導入された被処理流動体に対して熱エネルギー等のエネルギーを加えることによって、被析出物質の微粒子を析出させることができる。その場合には、中間導入部d2は不要であり、内側導入部d1を超えた箇所から排出部14の手前に至る領域が処理領域となる。この場合にあっても、2以上の被処理流動体を用いる場合と同様、薄膜流体中に粒子が析出し、成長し、目的の微粒子が排出部14から排出される。従って、前述の前期領域7に相当する内側の領域において、粒子の析出成長と共に結晶子の発生と微粒子中の結晶化の進行と結晶子の成長がなされ、後期領域8に相当する外側の領域においては実質的に粒子の成長が完了した後、主として微粒子中の結晶化の進行と結晶子の成長がなされる。その結果、1種類の被処理流動体を用いて微粒子の析出を行なう場合には、処理用面の回転の中心から内側導入部d1までの距離(Id)と、前記回転の中心から排出部14までの距離(Od)との割合(Od/Id)を1.67以上とすることによって、前記微粒子の結晶化度と、前記微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)と、前記微粒子の粒度分布とを、飛躍的に改善することができる。
言い換えれば、1種類の被処理流動体を用いて微粒子の析出を行なう場合には、前記の割合(Od/Id)を1.67〜8.33に制御することによって、前述の後期領域8に相当する領域が存在する条件下で流体処理を行なうことができる。
なお、前記の各実施の形態において、内側導入部d1からは被処理流動体を導入せずに、中間導入部d2のみから1種類又は2種類以上の被処理流動体を導入するようにして実施することもできる。この場合、導入部は、内側導入部d1ではなく、中間導入部d2のみとなる。
なお、結晶子径はX線回折測定により確認することができる。X線回折測定では、物質が結晶性を有している場合、結晶型に応じて決まった位置にピークが出る。そして、このピークの半値幅からSherrerの式に従って結晶子径を計算することができる。
〔Scherrer式〕
結晶子径(d)=K・λ/(β・cosθ)
ここで、KはScherrer定数でK=0.9であり、X線(CuKα1)波長(λ)=1.54056Å(1Å=1×10−10m)である。また、CuKα1線由来のブラッグ角(θ)および半価幅(βo)はプロファイルフィッティング法(Peason−XII関数又はPseud−Voigt関数)により算出する。さらに、計算に用いた半価幅βは予め標準Siにより求めておいた装置由来の半価幅βiから下記式を用いて補正する。
また、結晶化度についてもX線回折測定結果より得られた回折パターンを用いた公知の解析方法にて算出することが出来る。一般的な手法として、PANalytical製のX線回折パターンの回折ソフト、X‘Pert High Score Plusを使用して算出することができる。
次に、本願発明に係る流体処理装置及び処理方法を用いて実施できる処理を以下に例示する。なお、本願発明に係る流体処理装置は下記の例にのみ限定して用いられるものではなく、従来のマイクロリアクターやマイクロミキサーによってなされていた反応はもちろんのこと、その他種々の反応、混合、分散に関する処理など、例えば、特許文献1、特許文献2及び特許文献7等の従来知られた種々の流体処理に用いることができる。
少なくとも1種類の顔料を硫酸、硝酸、塩酸などの強酸に溶解し調整された顔料酸性溶液を、水を含む溶液と混合して顔料粒子を得る反応(アシッドペースティング法)。
または、少なくとも1種類の顔料を有機溶媒に溶解し調整された顔料溶液を、前記顔料に対しては貧溶媒であり、かつ前記溶液の調整に使用された有機溶媒には相溶性である貧溶媒中に投入して顔料粒子を沈殿させる反応(再沈法)。
または、酸性またはアルカリ性であるpH調整溶液或いは前記pH調整溶液と有機溶媒との混合溶液のいずれかに、少なくとも1種類の顔料を溶解した顔料溶液と、前記顔料溶液に含まれる顔料に溶解性を示さない、若しくは、前記顔料溶液に含まれる溶媒よりも前記顔料に対する溶解性が小さい、前記顔料溶液のpHを変化させる顔料析出用溶液とを混合して顔料粒子を得る反応。
カーボンブラックの表面に液相還元法によって金属微粒子を担持させる反応(前記金属としては、白金、パラジウム、金、銀、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属が例示できる)。
フラーレンを溶解している第1溶媒を含む溶液と、前記第1溶媒よりもフラーレンの溶解度が小さな第2溶媒を混合することでフラーレン分子からなる結晶及びフラーレンナノウィスカー・ナノファイバーナノチューブを製造する反応。
金属化合物を還元する反応(前記金属としては、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金のような貴金属、又は銅、又は前記2種以上の金属の合金が例示できる)。
セラミックス原料を加水分解する反応(前記セラミックス原料としては、Al、Ba、Mg、Ca、La、Fe、Si、Ti、Zr、Pb、Sn、Zn、Cd、As、Ga、Sr、Bi、Ta、Se、Te、Hf、Mg、Ni、Mn、Co、S、Ge、Li、B、Ceの中から選ばれた少なくとも1種が例示できる)。
チタン化合物の加水分解により二酸化チタン超微粒子を析出させる反応(前記チタン化合物としては、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタンなどのテトラアルコキシチタン或はその誘導体、四塩化チタン、硫酸チタニル、クエン酸チタン、及び四硝酸チタンから選ばれる少なくとも1種が例示できる)。
半導体原料である、異種の元素を有するイオンを含む流体を合流させ、共沈・析出により化合物半導体微粒子を生成する反応(化合物半導体としては、II-VI族化合物半導体、III-V族化合物半導体、IV族化合物半導体、I-III-VI族化合物半導体が例示できる)。
半導体元素を還元して半導体微粒子を生成する反応(半導体元素としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭素(C)、および錫(Sn)からなる群から選ばれた元素が例示できる)。
磁性体原料を還元して磁性体微粒子を生成する反応(磁性体原料としては、ニッケル、コバルト、イリジウム、鉄、白金、金、銀、マンガン、クロム、パラジウム、イットリウム、ランタニド(ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム)のうち少なくとも1種が例示できる)。
生体摂取物微粒子原料を少なくとも1種類、第1溶媒に溶解させた流体と、前記第1溶媒よりも溶解度の低い第2溶媒となりうる溶媒とを混合し、生体摂取物微粒子を析出させる反応。
または、酸性物質もしくは陽イオン性物質を少なくとも1種類含む流体と、塩基性物質もしくは陰イオン性物質を少なくとも1種類含む流体とを混合し、中和反応により生体摂取物微粒子を析出させる反応。
脂溶性の薬理活性物質を含有する油相成分を含む被処理流動体と、少なくとも水系分散溶媒よりなる被処理流動体とを混合すること、あるいは、水溶性の薬理活性物質を含有する水相成分を含む被処理流動体と、少なくとも油系分散溶媒よりなる被処理流動体とを混合することによりマイクロエマルション粒子を得る処理。
または、分散相もしくは連続相の少なくともどちらか一方に一種類以上のリン脂質を含み、分散相は薬理活性物質を含み、連続相は少なくとも水系分散溶媒よりなり、分散相の被処理流動体と連続相の被処理流動体とを混合することによりリポソームを得る処理。
樹脂に対して溶解性及び相溶性である溶媒に樹脂を溶解した流体と水性溶媒とを混合し、析出あるいは乳化により樹脂微粒子を得る処理。
または、加温して溶融させた樹脂と水性溶媒とを混合し、乳化・分散により樹脂微粒子を得る処理。
フリーデルクラフツ反応、ニトロ化反応、付加反応、脱離反応、転移反応、重合反応、縮合反応、カップリング反応、アシル化、カルボニル化、アルデヒド合成、ペプチド合成、アルドール反応、インドール反応、求電子置換反応、求核置換反応、Wittig反応、Michael付加反応、エナミン合成、エステル合成、酵素反応、ジアゾカップリング反応、酸化反応、還元反応、多段階反応、選択的添加反応、鈴木・宮浦カップリング反応、Kumada-Corriu反応、メタセシス反応、異性化反応、ラジカル重合反応、アニオン重合反応、カチオン重合反応、金属触媒重合反応、逐次反応、高分子合成、アセチレンカップリング反応、エピスルフィド合成、エピスルフィド合成、Bamberger転位、Chapman転位、Claisen縮合、キノリン合成、Paal-Knorrフラン合成、Paal-Knorrピロール合成、Passerini反応、Paterno-Buchi反応、カルボニル-エン反応(Prins反応)、Jacobsen転位、Koenigs-Knorrグリコシド化反応、Leuckart-Wallach反応、Horner-Wadsworth-Emmons反応、Gassman反応、野依不斉水素化反応、Perkin反応、Petasis反応、Tishchenko反応、Tishchenko反応、Ullmannカップリング、Nazarov環化、Tiffeneau-Demjanov転位、鋳型合成、二酸化セレンを用いる酸化、Reimer-Tiemann反応、 Grob開裂反応、ハロホルム反応、Malapradeグリコール酸化開裂、Hofmann脱離、Lawesson試薬によるチオカルボニル化反応、Lossen転位、FAMSOを利用する環状ケトン合成、Favorskii転位、Feist-Benaryフラン合成、Gabrielアミン合成、Glaser反応、Grignard反応、Cope脱離、Cope転位、アルキン類のジイミド還元、Eschenmoserアミノメチル化反応、[2+2]光環化反応、Appel反応、aza-Wittig反応、Bartoliインドール合成、Carroll転位、Chichibabin反応、Clemmensen還元、Combesキノリン合成 、辻-Trost反応、TEMPO酸化、四酸化オスミウムを用いるジヒドロキシル化、Fries転位、Neber転位、Barton-McCombie脱酸素化、Barton脱カルボキシル化、Seyferth-Gilbertアルキン合成、Pinnick(Kraus)酸化、伊藤-三枝酸化、Eschenmoser開裂反応、Eschenmoser-Claisen転位、Doering--LaFlammeアレン合成、Corey-Chaykovsky反応、アシロイン縮合、Wolff-Kishner還元、IBX酸化、Parikh-Doering酸化、Reissert反応、Jacobsen速度論的光学分割加水分解、ベンジル酸転位、檜山クロスカップリング、Luche還元、オキシ水銀化、Vilismeier-Haak反応、Wolff転位、KolbeSchmitt反応、Corey-Kim酸化、Cannizzaro反応、Henry反応、アルコールのアルカンへの変換、Arndt-Eistert合成、ヒドロホルミル化反応、Petersonオレフィン化、脱カルボニル化反応、Curtius転位、Wohl-Zieglarアリル位臭素化、Pfitzner-Moffatt酸化、McMurryカップリング、Barton反応、Balz-Schiemann反応、正宗−Bergman反応、Dieckmann縮合、ピナコールカップリング、Williamsonエーテル合成 、ヨードラクトン化反応、Harriesオゾン分解、、活性二酸化マンガンによる酸化、アルキンの環化三量化反応、熊田−玉尾-Corriuクロスカップリング、スルホキシドおよびセレノキシドのsyn−β脱離 、Fischerインドール合成、Oppenauer酸化、Darzens縮合反応、Alderエン反応、Sarett-Collins酸化、野崎-檜山-岸カップリング反応、Weinrebケトン合成、DASTフッ素化、Corey-Winterオレフィン合成、細見-桜井反応、PCC(PDC)を用いるアルコールの酸化、Jones酸化(Jones Oxidation)、Keckアリル化反応、永田試薬を用いるシアニド付加、根岸カップリング、Ireland-Claisen転位、Baeyer-Villiger酸化、p-メトキシベンジル(PMB or MPM)、ジメトキシベンジル(DMB)保護、脱保護、Wacker酸化、Myers不斉アルキル化、山口マクロラクトン化、向山-Coreyマクロラクトン化 、Bodeペプチド合成、Lindlar還元、均一系水素化、オルトメタル化、Wagnar-Meerwein転位、Wurtz反応、1,3-ジチアンを利用するケトン合成、Michael付加、Storkエナミンによるケトン合成、Pauson-Khandシクロペンテン合成、Tebbe反応などの、各種化学反応、特に、化合物(とりわけ有機化合物)を出発原料とする各種反応剤との反応によって、微粒子の析出を伴うか若しくは伴わない反応処理。
乳化、分散、粉砕の処理に関しては、塗料、インク、磁性体、セラミック、電池、接着剤、電子材料、液晶カラーフィルター、医薬品、化粧品、香料、食品などの種々の産業分野において、懸濁物、乳化物、固体粒子、高分子溶液、スラリー等被処理流動体の攪拌、乳化、分散、粉砕等の処理を例示し得る。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
尚、以下の実施例において、「中央から」というのは、図1に示す処理装置の「第1導入部d1から」という意味であり、第1流体は、第1導入部d1から導入される、前述の第1被処理流動体を指し、第2流体は、図1に示す処理装置の第2導入部d2から導入される、前述の第2被処理流動体を指す。
従って、合流部半径(Cd)は、回転の中心から第2導入部d2までの距離となり、排出部半径(Od)は、回転の中心から処理用面間の外端までの距離となる。
X線回折格子測定(XRD)には、X線回折分析装置:PANalytical製のX‘Pert PRO MPDを使用した。下記実施例1〜13における、ニッケル微粒子の場合の測定条件は、Cu対陰極、管電圧45kV、管電流40mA、0.016step/10sec、測定範囲は10〜100[°2Theta](Cu)である。得られたニッケル微粒子の結晶子径をXRD測定より、シリコン多結晶盤の47.3°に確認されるピークを使用し、得られたニッケル回折パターンの44.5°付近のピークにScherrerの式を当てはめて結晶子径を算出した。更にPANalytical製のX線回折パターンの回折ソフト、X‘Pert High Score Plusを用いたリートベル法と、基準となる実施例に対するコンスタントバックグランウンド法にて結晶化度を算出した。
また、実施例20〜27における銅フタロシアニン(以下、CuPc)微粒子の場合の測定条件は、Cu対陰極、管電圧45kV、管電流40mA、0.016step/10sec、測定範囲は10〜60[°2Theta](Cu)である。得られたCuPc微粒子の結晶子径をXRD測定より、シリコン多結晶盤の47.3°に確認されるピークを使用し、得られたCuPc回折パターンの6.9°付近のピークにScherrerの式を当てはめて結晶子径を算出した。更に基準となる実施例に対するコンスタントバックグランウンド法にて結晶化度を算出した。
(走査型電子顕微鏡観察)
走査型電子顕微鏡(SEM)観察には、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM):日本電子製のJSM−7500F使用した。観察条件は、観察倍率を1万倍以上とした。粒子径は、50個以上の粒子径の平均値を採用した。
(透過型電子顕微鏡)
透過型電子顕微鏡(TEM)観察には、透過型電子顕微鏡、JEM−2100(JEOL製)を用いた。観察条件としては、観察倍率を3万倍以上とし、粒子径については、50個以上の一次粒子径の平均値を採用した。
まず実施例1〜27として、図1、図4(A)(B)に示す装置を用いて、処理用面1、2間に形成される薄膜流体中で金属溶液と還元剤溶液とを混合し、薄膜流体中で金属微粒子を析出させた。
実施例1〜5
中央から第1流体としてニッケル溶液(0.20M 硫酸ニッケル六水和物(Ni(SO42・6H2O)/13.4wt%純水(H2O)/0.8wt%ポリエチレングリコール600(PEG600)in エチレングリコール(EG))を、供給圧力=0.44MPaG、回転数3600rpm、135℃、800ml/min.で送液しながら、第2流体として、還元剤溶液(70wt% ヒドラジン一水和物(HMH)/10wt% 水酸化カリウム(KOH)in純水(H2O))を30℃、60ml/min.で処理用面1、2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1、2間に導入される直前)にて測定した。また、第1流体のpHは4.12であり、第2流体のpHは14以上であった(pH試験紙を使用)。処理用面から吐出させた液は約90℃であった。前記処理後の液を室温になるまで静置した後、ニッケル微粒子を沈降させ、上澄み液を除去した。その後、純水にて洗浄する作業を3回行い、25℃の条件で大気圧にて乾燥した。乾燥後のニッケル微粒子粉体のXRD測定の結果、ニッケル微粒子が作製されたことが確認された。処理用面間に形成される排出部半径(Od)と処理用面間における被処理流動体が合流する合流部半径(Cd)との割合(Od/Cd)を変更し、粒子径並びに結晶子径の確認を行った。実施例1〜5の第一流体と第二流体の処方条件を表1に、第一流体と第二流体の送液条件を表2に、前記割合(Od/Cd)、処理用部の回転数、処理用部の周速度(処理用部外周の周速度)、並びに得られた微粒子に関する前記SEM観察の方法にて算出された粒子径(D)、前記XRD測定の方法にて算出された結晶子径(d)並びに(d/D)、結晶化度については実施例4の結晶化度に対する比率(実施例4の結晶化度を1とした場合の各実施例の結晶化度)を表3に示す。結晶化度は、実施例2のXRD測定結果をリートベルト法により算出し、実施例1〜5(除く実施例4)については実施例4を基準としたコンスタントバックグランウンド法にて算出した。表3に得られた実施例1〜5の結果について、横軸に(Od/Cd)、縦軸に、粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)をプロットしたグラフを図6に、横軸に(Od/Cd)、縦軸に、結晶子径(d)をプロットしたグラフを図7に、横軸に(Od/Cd)、縦軸に結晶化度をプロットしたグラフを図8に示す。
なお、各実施例(前記実施例1〜19及び後述の実施例28〜59)においては、合流部半径(Cd)を38.331mmで固定し、排出部半径(Od)をそれぞれの割合で変化させたものである。
表3及び図6〜図8より、各実施例における処理用部の回転数が一定の条件において、(Od/Cd)を制御することによって、ニッケル微粒子の粒子径を制御しつつ、結晶子の成長並びに結晶化度を制御できることを確認できた。また、結晶子径が大きくなる度合いに比べて粒子径が大きくなる度合いを制御できることを確認した。よって、ニッケル微粒子の粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)を制御できることを確認できた。また、図6、図7より、(Od/Cd)を大きくすることで、前記の比率(d/D)が大きくなる傾向を示すことがわかる。さらに、(Od/Cd)を大きくすることで、析出させたニッケル微粒子の結晶子径(d)が大きくなる傾向を示すことを確認した。更に図8より、(Od/Cd)を大きくすることで、前記結晶化度が大きくなる傾向を示すことがわかる。また、図9に示すXRD測定結果より、実施例1については、金属Ni以外のピークが見られ、Od/Cdを大きくすることによって、不純物の混入が少なくなることが示唆された。言い換えると、(Od/Cd)を大きくすることで、処理用面間において、これまで以上に目的とする反応を促進させ、高い精度で微粒子の析出反応を実行することが可能であると考えられる。
実施例6〜13
第一流体と第二流体の処方条件を表4とし、第一流体と第二流体の送液条件を表5とし、割合(Od/Cd)、処理用部の回転数、処理用部の周速度(処理用部外周の周速度)を表6とした以外は、実施例1〜5の場合と同様に実施して、ニッケル微粒子の乾燥粉体を得た。前記表6に、得られた微粒子に関する前記SEM観察の方法にて算出された粒子径(D)、前記XRD測定の方法にて算出された結晶子径(d)並びに(d/D)、結晶化度に関して実施例10の結晶化度に対する比率(実施例10の結晶化度を1とした場合の各実施例の結晶化度)を示す。結晶化度は、実施例10のXRD測定結果をリートベルト法により算出し、実施例6〜13(除く実施例10)については実施例10を基準としたコンスタントバックグランウンド法にて算出した。表6に得られた実施例6〜13の結果について、横軸に(Od/Cd)、縦軸に、粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)をプロットしたグラフを図10に、横軸に(Od/Cd)、縦軸に、結晶子径(d)をプロットしたグラフを図11に、横軸に(Od/Cd)、縦軸に結晶化度をプロットしたグラフを図12に示す。また、実施例9で得られたニッケル微粒子のSEM写真(3万倍)を図13に示す。
実施例14〜19
表6及び図10〜図12より、各実施例における処理用部の周速度が一定の条件においては、(Od/Cd)を1.25〜5.00の範囲で制御することによって、ニッケル微粒子の粒子径を制御しつつ、結晶子の成長並びに結晶化度を制御できることを確認できた。また、結晶子径が大きくなる度合いに比べて粒子径が大きくなる度合いを制御できることを確認した。よって、ニッケル微粒子の粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)を制御できることを確認できた。また、図10、図11より、(Od/Cd)を大きくすることで、前記の比率(d/D)が大きくなる傾向を示すことがわかる。さらに、(Od/Cd)を大きくすることで、析出させたニッケル微粒子の結晶子径(d)が大きくなる傾向を示すことを確認した。更に図12より、(Od/Cd)を大きくすることで、前記結晶化度が大きくなる傾向を示すことがわかる。しかし、(Od/Cd)が5.00を超えた範囲では、(Od/Cd)と(d/D)または結晶化度との関係に特に傾向が見られなかった。
中央から第1流体として0.17wt%硝酸銀(AgNO3)-0.50wt%ゼラチン(アルカリ処理品)水溶液を、供給圧力=0.30MPaG、1700rpm、20℃、1000ml/min.で送液しながら、第2流体として、還元剤溶液(20.0wt%ヒドラジン1水和物-3.0wt%水酸化カリウム-0.50wt%ゼラチン(アルカリ処理品)水溶液)を20℃、50ml/min.で処理用面1、2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1、2間に導入される直前)にて測定した。また、第1流体のpHは5.10であり、第2流体のpHは14以上であった(pH試験紙を使用)。処理用面から吐出させた液は約20℃であった。処理用面間に形成される排出部半径(Od)と処理用面間における被処理流動体が合流する合流部半径(Cd)との割合(Od/Cd)を変更し、粒子径並びに結晶子径の確認を行った。実施例10〜13の第一流体と第二流体の処方条件を表7に、第一流体と第二流体の送液条件を表8に、前記割合(Od/Cd)、処理用部の回転数、処理用部の周速度(処理用部外周の周速度)、並びに得られた微粒子に関する前記TEM観察の方法にて算出された粒子径(D)、前記XRD測定の方法にて算出された結晶子径(d)並びに(d/D)、結晶化度に関して実施例17の結晶化度に対する比率(実施例17の結晶化度を1とした場合の各実施例の結晶化度)を、表9に示す。結晶化度は、実施例11のXRD測定結果をリートベルト法により算出し、実施例14〜19(除く実施例17)については実施例17を基準としたコンスタントバックグランウンド法にて算出した。また、表9に得られた実施例14〜19の結果について、横軸に(Od/Cd)、縦軸に、粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)をプロットしたグラフを図14に、横軸に(Od/Cd)、縦軸に結晶化度をプロットしたグラフを図15に示す。
表9及び図14、図15より、各実施例における処理用部の回転数が一定の条件において、(Od/Cd)を制御することによって、銀微粒子の粒子径を制御しつつ、結晶子の成長並びに結晶化度を制御できることを確認できた。また、結晶子径が大きくなる度合いに比べて粒子径が大きくなる度合いを制御できることを確認した。よって、銀微粒子の粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)を制御できることを確認できた。また、図14より、(Od/Cd)を大きくすることで、前記の比率(d/D)が大きくなる傾向を示すことがわかる。更に図15より、(Od/Cd)を大きくすることで、前記結晶化度が大きくなる傾向を示すことがわかる。
(実施例20〜27:CuPc)
実施例20〜27として、実施例1〜13と同様に、特許文献3に示された装置と同様の原理の装置を用いて、処理用面1、2間に形成される薄膜流体中で有機物溶液と析出用溶媒とを混合し、薄膜流体中で有機物微粒子を析出させた。
中央から第1流体として析出用溶媒(純水)を、供給圧力=0.44MPaGで送液しながら、第2流体として、有機物溶液(3wt% 銅フタロシアニン顔料粉体/97wt%濃硫酸(濃硫酸は98wt%濃硫酸を使用)を処理用面1、2間に導入し、第1流体と第2流体とを薄膜流体中で混合した。第一流体と第二流体の処方条件を表10とし、第一流体と第二流体の送液条件を表11とし、割合(Od/Cd)、処理用部の回転数、処理用部の周速度(処理用部外周の周速度)並びに得られた微粒子に関する前記TEM観察の方法にて算出された粒子径(D)、前記XRD測定の方法にて算出された結晶子径(d)並びに(d/D)、結晶化度に関して実施例22の結晶化度に対する比率(実施例22の結晶化度を1とした場合の各実施例の結晶化度)を表12とした。結晶化度は、実施例20〜27(除く実施例22)について、実施例22を基準としたコンスタントバックグランウンド法にて算出した。第1流体並びに第2流体の送液温度は、第1流体と第2流体のそれぞれの温度を処理装置導入直前(より詳しくは、処理用面1、2間に導入される直前)にて測定した。また、第1流体のpHは6.89であり、第2流体のpHは1以下であった(pH試験紙を使用)。処理用面から吐出させた液は約20℃であった。前記処理後中のCuPc微粒子を沈降させ、上澄み液を除去した。その後、ろ布(口径、1μm)を用いて濾集し、純水にて洗浄する作業を5回行い、得られたCuPc微粒子のウェットケーキの一部を25℃の条件で大気圧にて乾燥した。乾燥後のCuPc微粒子粉体のXRD測定の結果、CuPc微粒子が作製されたことが確認された。また、得られたウェットケーキの一部を界面活性剤(ネオゲンR−K)の水溶液にて希釈し、高速回転式乳化・分散機(CLM−0.8S、エム・テクニック株式会社製)にて分散処理し、分散液を作製した。処理用面間に形成される排出部半径(Od)と処理用面間における被処理流動体が合流する合流部半径(Cd)との割合(Od/Cd)を変更し、粒子径並びに結晶子径の確認を行った。表12に得られた実施例20〜27の結果を示す。またその結果について、横軸に(Od/Cd)、縦軸に、粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)をプロットしたグラフを図16に、横軸に(Od/Cd)、縦軸に、結晶化度をプロットしたグラフを図17に、横軸に(Od/Cd)、縦軸にCV値をプロットしたグラフを図18に示す。
なお、前記実施例20〜27においては、合流部半径(Cd)を58mmで固定し、排出部半径(Od)をそれぞれの割合で変化させたものである。
表12及び図16、17、18より、処理用部の周速度が一定の条件において、(Od/Cd)を制御することによって、CuPc微粒子の粒子径を制御しつつ、結晶子の成長並びに結晶化度を制御できることを確認できた。また、結晶子径が大きくなる度合いに比べて粒子径が大きくなる度合いを制御できることを確認した。よって、CuPc微粒子の粒子径に対する結晶子径の比率(d/D)を制御できることを確認できた。また、図16、17より、(Od/Cd)を大きくすることで、前記の比率(d/D)が大きくなる傾向を示すことがわかると共に、(Od/Cd)を大きくすることで、前記結晶化度が大きくなる傾向を示すことがわかる。また、図18から、(Od/Cd)を大きくすることで、CV値を下げ得ることがわかる。またこのような傾向は、合流部半径(Cd)の値を変化させても、維持されることが確認された。
さらに、前記の各実施例において、表3、表6、表9及び表12に示すとおり、薄膜調整領域の幅(Iw)に対する、混合領域の幅(Ow)の幅割合(Ow/Iw)を増減させることによって、微粒子の結晶化度を上下させる結晶化度制御と、微粒子の粒子径(D)に対する結晶子径(d)の比率(d/D)を上下させるd/D制御と、微粒子の粒度分布を制御するCV値制御とが行なわれ得ることが確認された。
実施例28〜51
実施例28〜51として、図1、図4(A)(B)に示す装置を用いて、2種の被処理流動体からエマルションを得た例を示す。第一流体として2%Tween80水溶液を用い、第二流体として流動パラフィンを用いて乳化処理を行なったものであり、その処理条件と結果を表13〜表15に示す。実施例28〜35は周速度26.2m/sの群であり、実施例36〜43は周速度39.3m/sの群であり、実施例44〜51は周速度52.4m/sの群である。図19〜図24は、これらの群毎に、Od/Cdを横軸に、体積平均粒子径及びCV値を縦軸にプロットしたものである。
Od/Cdが小さいと、キャビテーションの発生による粒子の意図せぬ(制御不能な)微小化や、処理時間が短い事による粗大粒子の生成等が確認され、安定的に処理出来ていない可能性が示唆された反面、Od/Cdが大きくなるように変化させることにより、粒子径を制御でき、CV値を低下させることが可能となった。また、回転数について見ると、低回転であっても高回転の場合と同等の粒子径を得ることが可能であったことから、低エネルギーで目的の粒子を得ることができることが明らかになった。
実施例52〜59
実施例52〜59として、図1、図4(A)(B)に示す装置を用いて、2種の被処理流動体から有機反応(フリーデルクラフツアルキル化反応)により有機化合物を得た例を示す。
96%濃硫酸を第1流体として500mL/minで内側導入部から導入すると共に、第2流体としてベンゼンとシクロヘキセンを体積比でベンゼン/シクロヘキセン=4/5で混合した液を第2流体として560mL/minで中間導入部から処理用面間に導入したものであり、その処理条件と結果を表16〜表18に示す。また、Od/Cdと、収率及び純度との関係を、図25と図26のグラフに示す。Od/Cdが大きくなるにつれて、収率及び純度がそれぞれ向上することが確認された。
実施例60〜67
図1、図5(A)に示す装置を用いて、1種類の被処理流動体に対して、温度エネルギーを与えることによって、アシクロビル微粒子を析出させ作製した。
方法:4%Tween80/2%アシクロビル水溶液を85℃に加熱し、内側導入部から処理用面1,2間に導入した。前記被処理流動体を、処理用面間において冷却し、アシクロビル微粒子を析出させ、アシクロビルの微粒子のスラリーを吐出させた。具体的には、処理用部20に温度調製機構J2として冷媒を通すための配管を敷設し、前記温度調整機構J2に10℃の冷却水を通水し、前記アシクロビルの微粒子を含む吐出液が40℃になるように冷却水量を調節したものであり、処理条件と結果を表19に示す。また、導入部半径(Id)の排出部半径(Od)に対する割合(Od/Id)と、結晶子径、d/D及び結晶化度との関係を、図27〜図29のグラフに示す。Od/Idが大きくなるにつれて、結晶子径、d/D及び結晶化度がそれぞれ上昇することが確認された。
なお、実施例60〜139においては、導入部半径(Id)を30mmで固定し、排出部半径(Od)をそれぞれの割合で変化させたものである。
実施例68〜91
図1、図5(A)に示す装置を用いて、1種類の被処理流動体に対して、乳化処理を行い、エマルションの作製した。
方法:29.4wt%流動パラフィン/1.33wt%と、Tween80/0.67wt%と、Span80/68.6wt%と純水とを混合し、高速回転式乳化分散機、(クレアミックスディゾルバー、製品名:CLM-0.8SD エム・テクニック製)にてプレ乳化処理した(総重量800gを3000rpmで5分間)。プレ乳化処理後の体積平均粒子径は、57.66μm、CV値は、37.5%であった。前記プレ乳化処理液を処理用部1,2間に導入し、処理用部10を回転させて精密乳化処理したものであり、処理条件と結果を表20に示す。実施例68〜75は周速度26.2m/sの群であり、実施例76〜83は周速度39.3m/sの群であり、実施例84〜91は周速度52.4m/sの群である。図30〜図35は、これらの群毎に、Od/Idを横軸に、体積平均粒子径及びCV値を縦軸にプロットしたものである。
Od/Idが大きくなるように変化させることにより、粒子径を小さく制御でき、CV値を低下させることが可能となることが知見された。
実施例92〜115
図1、図5(A)に示す装置を用いて、赤色顔料を含有する1種類の被処理流動体に対して、分散処理を行った。
方法:一次粒子径が20-30nmの赤色顔料(C.I.Pigment Red 177:PR-177)を分散剤(BYK-2000、ビックケミ―製)を溶解したプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶液(PGMEA/PGME=4/1 体積比)に投入し、高速回転式乳化分散機、(クレアミックスディゾルバー、製品名:CLM-0.8SD エム・テクニック製)にてプレ分散処理した(総重量800gを3000rpmで30分間)。プレ分散処理後の体積平均粒子径は、23.6μm、CV値は、74.1%であった。前記プレ分散処理液を処理用部1,2間に導入し、処理用部10を回転させて精密分散処理した。(処方条件:5wt%PR-177/5wt%BYK-2000/90wt%PGMEA/PGME)
処理条件と結果を表21に示す。実施例92〜99は周速度26.2m/sの群であり、実施例100〜107は周速度39.3m/sの群であり、実施例108〜115は周速度52.4m/sの群である。図36〜図41は、これらの群毎に、Od/Idを横軸に、体積平均粒子径及びCV値を縦軸にプロットしたものである。
Od/Idが大きくなるように変化させることにより、粒子径を小さく制御でき、CV値を低下させることが可能となることが確認された。
実施例116〜137
図1、図5(A)に示す装置を用いて、プロゲステロン薬物粒子を含有する1種類の被処理流動体に対して、粉砕処理を行った。
方法:一次粒子径が3〜5μmのプロゲステロン粉末、分散助剤(HPC-H)の水溶液に投入し、高速回転式乳化分散機、(クレアミックスディゾルバー、製品名:CLM-0.8SD エム・テクニック製)にてプレ分散処理した(総重量800gを3000rpmで30分間)。プレ分散処理後の体積平均粒子径は、4.97μm、CV値は、83.4%であった。前記プレ分散処理液を処理用部1,2間に導入し、処理用部10を回転させて粉砕処理した。(処方条件:5wt%PR-177/5wt%BYK-2000/90wt%PGMEA/PGME)
処理条件と結果を表22に示す。実施例116〜123は周速度26.2m/sの群であり、実施例124〜131は周速度39.3m/sの群であり、実施例132〜137は周速度52.4m/sの群である。図42〜図47は、これらの群毎に、Od/Idを横軸に、体積平均粒子径及びCV値を縦軸にプロットしたものである。
Od/Idが大きくなるように変化させることにより、粒子径を小さく制御でき、CV値を低下させることが可能となることが確認された。
以上の各実施例から明らかなように、Od/Cdが1.25以上となることによって、また、Od/Idが1.67以上となることによって、急激に各値が改善したことは、発明者にとっても大きな驚きであり、本発明は、かかる知見に基づき完成されたものである。
なお、以上の実施例中、実施例1、2、6、7、14、15、20、21、28、29、36、37、44、45、52、53、60、61、68、69、76、77、84、85、92、93、100、101、108、109、116、117、124、125、132及び133は、Od/Cdが1.25未満か、若しくはOd/Idが1.67未満のものであり、本発明に係る装置の実施例からは除外して理解されるべきであり、比較例として理解されるべきである。

Claims (7)

  1. 対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面を備え、前記処理用面間の処理領域に被処理流動体を通過せさて薄膜流体とし、前記薄膜流体となった前記被処理流動体の処理を行なう装置において、
    両処理用面の前記回転の中心側に内側導入部を設け、前記回転の中心側を上流とし、前記回転の外周側を下流として、前記内側導入部から前記被処理流動体のうち少なくとも1種を前記処理領域に導入して通過させ、前記処理領域の外周端から排出するものであり、
    前記回転の中心から前記内側導入部までの距離(Id)に対する、前記回転の中心から前記外周端までの距離(Od)の割合(Od/Id)が1.67以上とされたことを特徴とする流体処理装置。
  2. 対向して配設された、接近・離反可能な、少なくとも一方が他方に対して相対的に回転を行う少なくとも2つの処理用面を備え、前記処理用面間の処理領域に被処理流動体を導入部から導入して通過させて薄膜流体とし、前記薄膜流体となった前記被処理流動体の処理を行なう装置において、
    前記被処理流動体として、少なくとも2種類の被処理流動体を用いるものであり、
    前記導入部として、内側導入部と、前記内側導入部よりも前記回転の中心から遠い位置に設けられた中間導入部を備え、
    前記処理領域は、前記中間導入部と前記内側導入部との間にある未混合領域と、前記中間導入部よりも前記回転の中心から遠い位置にある混合領域とを備え、
    少なくとも1種類の前記被処理流動体を前記内側導入部から前記未混合領域に導入すると共に、少なくとも他の1種類の前記被処理流動体を前記中間導入部から前記混合領域に導入して前記内側導入部から導入された前記被処理流動体と混合させて前記混合領域を通過させ、前記処理領域の外周端から排出するものであり、
    前記回転の中心から前記中間導入部までの距離(Cd)に対する、前記回転の中心から前記外周端までの距離(Od)の割合(Od/Cd)が1.25以上とされたことを特徴とする流体処理装置。
  3. 前記処理領域は、前記内側導入部の下流に強制導入領域を備え、
    前記強制導入領域は、少なくとも1つの前記処理用面に、マイクロポンプ効果を発揮する凹部が上流から下流に伸びるように形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体処理装置。
  4. 前記未混合領域として、前記回転の中心に近い位置にある強制導入領域と、前記回転の中心から遠い位置にある薄膜調整領域を備え、
    前記強制導入領域は、少なくとも1つの前記処理用面に、マイクロポンプ効果を発揮する凹部が上流から下流に伸びるように形成されたものであり、
    前記薄膜調整領域は、前記凹部の下流端と前記中間導入部との間の領域であり、
    前記少なくとも1種類の前記被処理流動体は、前記凹部により強制的に前記内側導入部から前記強制導入領域に導入され、前記薄膜調整領域において前記マイクロポンプ効果によって発生する脈動及び圧力変動が低減されて前記混合領域に流されるものであり、
    前記回転の半径方向における前記薄膜調整領域の幅(Iw)に対する前記回転の半径方向における前記混合領域の幅(Ow)の幅割合(Ow/Iw)が2.00以上とされたこと特徴とする請求項2に記載の流体処理装置。
  5. 前記被処理流動体として、被析出物質の原料となる物質を少なくとも1種類含む被処理流動体を用いるものであり、前記処理領域において前記被処理流動体中に粒子を析出させる処理を行なうものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の流体処理装置。
  6. 前記被処理流動体として、反応性を有する反応物質を含む被処理流動体を少なくとも1種類用いるものであり、前記処理領域において前記被処理流動体中にて前記反応物質を反応させる処理を行なうものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の流体処理装置。
  7. 前記被処理流動体として、乳化、分散、粉砕の少なくとも何れか一つの処理の対象となる被処理流動体を少なくとも1種類用いるものであり、
    前記処理領域において、乳化、分散、粉砕の少なくとも何れか一つの処理を行なうものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の流体処理装置。
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