以下に、本願の開示する基地局、端末、及び通信システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本願の開示する基地局、端末、及び通信システムが限定されるものではない。また、実施形態において同一の機能を有する構成例には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、実施形態において同等の処理ステップには同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
なお、基地局と端末は離れているため送信側から受信側へ電波が届くまでに時間を要する。たとえば、基地局における送信タイミング(または送信時間)と、端末における受信タイミング(または受信時間)では、時間差が生じる。本開示では、説明の便宜上、この時間差を伝搬遅延と呼ぶこととする。
なお、説明を簡単にするために、以降では端末から基地局への伝送を上り(または上り伝送)、基地局から端末への伝送を下り(または下り伝送)として説明する。また、上り(Up link)をフォワードリンク(Forward link)、下り(Down link)をリバースリンク(Reverse link)と呼ぶこともある。更に、無線回線(Radio channel)を回線(Channel)として説明する。
[実施例1]
[通信システムの概要]
図1は、実施例1の通信システムの一例を示す図である。なお、以下では、説明を簡単にするために、断りのない限り通信システムの技術、各装置及び制御情報等の情報などの名称や、システム構成をLTE及びLTE−Advancedシステムに従って説明するが、これらの名称等によって、その意味が限定されるものではない。すなわち、それらの本質が異ならなければ、名称や構成が異なっていたとしても、同等のものと見なせるものである。更に、本発明はLTE及びLTE−Advancedシステム以外の通信システムでも適用可能なものである。
図1において、通信システム1は、端末10と、基地局50−1,2とを有する。図1では、便宜上、1つの端末10のみが示され、基地局50−1,2のみが示されている。すなわち、端末10の数と基地局50の数はこれに限定されるものではない。以下では、後述の第1のセルに対応する基地局50、つまり接続中の基地局50を基地局50−1と呼び、基地局50−1と異なる基地局50を基地局50−Xと呼ぶことがある。基地局50−Xは、1つ存在する場合もあれば、複数存在する場合もある。また、基地局50−1と基地局50−Xとを特に区別しない場合には、両者をまとめて基地局50と呼ぶことがある。なお、複数の基地局50は、上位局と有線で接続され、上位局を介して互いに接続されていてもよい。又は、複数の基地局50は、有線で論理的に又は物理的に直接接続されていてもよい。また、基地局50は、例えば、LTEシステムにおける、張出基地局(RRH:Radio Remote Header)を用いた基地局、フェムト基地局、又は、小型基地局であってもよい。
通信システム1において、端末10は、上り送信タイミング(送信時間)と下り受信タイミング(受信時間)とが重ならないセルの組合せで通信する。すなわち、端末10は、「キャリアアグリゲーション」を用いて通信する。キャリアアグリゲーションは、例えば、端末10の所要伝送速度を満たすために行われる。ここで、「セル(Cell)」とは、1つの「チャネル帯域(Channel Band)」を用いて通信を行うエリア(以下では、「通信エリア」と呼ぶ。)である。「チャネル帯域」は、チャネル帯域幅(Channel Bandwidth)と中心周波数に基づいて規定され、LTE−Advancedでは、コンポーネントキャリアと呼ばれることがある。また、「通信エリア」は、基地局から送信された電波が到達できるエリアのすべてであってもよいし、当該エリアが複数に分割された分割エリア、所謂セクタであってもよい。また、「チャネル帯域(Channel Band)」は、「システム帯域(System Band)」と呼ばれることもある。以下では、コンポーネントキャリア(Component Carrier)は、「CC」と表記されることがある。また、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)は、「CA」と表記されることがある。
また、基地局は、一つの周波数帯と一つの通信エリアで構成されると定義される場合もある。すなわち、セルと基地局とチャネル帯域が同義となる場合もある。一方で、基地局が複数の周波数帯を持つ場合や複数の通信エリアを持つ場合、及び複数の周波数帯とそれぞれの周波数帯に対して通信エリアを持つ場合がある。すなわち、セルとチャネル帯域が同義となる場合もある。以下、基地局が複数の周波数帯を持つ場合を用いて説明するが、断りのない限り、基地局が一つの周波数帯と一つの通信エリアで構成される場合や複数の通信エリアを持つ場合に対しても本発明の実施例を適用可能である。
例えば、端末10は、最初に、第1のセルを用いて通信を開始し、その後、通信中である第1のセルに加えて第2のセルを追加することにより、複数のセルを用いた通信を行う。
例えば、第1のセルに対応する基地局50−1は、端末10における、第1のセルでの第1の伝搬遅延、及び、基地局50−1又は基地局50−Xにそれぞれ対応する、複数の第2のセルの各々での第2の伝搬遅延を端末10から取得するか、または、第1の伝搬遅延と第2の伝搬遅延との間の伝搬遅延差を端末10から取得する。以下では、一例として、基地局50−1が第1の伝搬遅延と第2の伝搬遅延との間の伝搬遅延差を端末10から取得することを前提に説明する。
第1のセルに対応する基地局50−1は、複数の第2のセルに含まれ且つ通信にて第1のセルと共に使用される「追加セル」を端末10へ通知する制御信号を、第1の伝搬遅延と第2の伝搬遅延との間の伝搬遅延差に基づいて作成する。基地局50−1は、この制御信号を、第1のセルを用いて端末10へ送信する。なお、複数の第2のセルから、基地局50−1に対応するセルを除外してもよいし、複数の第2のセルに基地局50−1に対応するセルを含めてもよい。以下では、一例として、基地局50−1に対応するセルが複数の第2のセルから除外される場合について説明する。
端末10は、第1のセルに対応する基地局50−1から送信された制御信号を受信する。端末10は、第1のセルと、制御信号によって通知された追加セルとを用いて通信を行う。
以上により、端末10が、基地局50−1において第1の伝搬遅延と第2の伝搬遅延との間の伝搬遅延差を基に作成された制御信号に従うことにより、上り送信タイミングと下り受信タイミングとが重ならない複数のセルを用いて通信できる。これにより、送信波のスプリアスに起因する受信品質の劣化を防止することができる。
次いで、通信システム1において用いられる技術について説明する。
<キャリアアグリゲーション>
通信システム1では、上り回線及び下り回線のいずれにおいても、各CCの帯域幅を、1.4MHz、3MHz、5MHz、10MHz、15MHz、20MHzのいずれかに設定することができる。
キャリアアグリゲーションは、複数のCCを統合する技術であり、統合された複数のCCが1つの端末10の通信に用いられる。複数のCCを統合する態様としては、次の3つを挙げることができる。図2,3,4のそれぞれは、キャリアアグリゲーションによるコンポーネントキャリアの統合の態様の一例を示す図である。また、図2,図3,図4における3.5GHz帯の80MHz及び2GHz帯の20MHzを「オペレーティング帯域(Operating Band)」と呼ぶ。このオペレーティング帯域は、システムで使用可能な帯域である。図は一例であって、800MHz帯域や1.5GHz帯域等であってもよい。また、帯域幅も40MHzや100MHz等であってもよい。なお、LTE及びLTE−Advancedシステムでは、例えばTS36.104にオペレーティング帯域がE-UTRA frequency bandとして規定されている。
(態様1)同一のオペレーティング帯域において周波数方向に連続した複数のCCを統合する。例えば、図2に示すように、3.5GHz帯において周波数方向に連続したCC2,3を統合する。
(態様2)同一オペレーティング帯域において周波数方向に不連続である複数のCCを統合する。例えば、図3に示すように、3.5GHz帯において周波数方向に不連続のCC2,4を統合する。
(態様3)異なるオペレーティング帯域に属する複数のCCを統合する。例えば、図4に示すように、2GHz帯のCC1と、3.5GHz帯のCC2とを統合する。
また、キャリアアグリゲーションで統合される複数のCCは、同じ基地局50のCCであっても、それぞれ異なる基地局50のCCであってもよい。すなわち、キャリアアグリゲーションによれば、CC(つまり周波数)の異なる複数のセルを、通信に用いることができる。
<キャリアアグリゲーションの制御>
次に、キャリアアグリゲーションの制御方法について説明する。
CAを行う場合、まず、主となる第1のCCに対応するセル(以下では、プライマリセル(Primary Cell)、P−Cell、第1のセル、主帯域、第1の帯域、又は第1の基地局と表記されることがある)が設定される。そして、P−Cellに対して、第1のCCと異なる第2のCCに対応するセル(以下では、セカンダリセル(Secondary Cell)、S−Cell、第2のセル、拡張帯域、第2の帯域、又は第2の基地局と表記されることがある。)が統合される。ここで、S−Cellの候補CCは、最大7つまで設定することができる。このS−Cellの候補CC群の中から、少なくとも1つのS−Cellが設定され、P−CellとS−CellとのCAが実行される。例えば、システム帯域が100MHzであり且つCCの帯域幅が20MHzである場合、1つのP−Cellと4つのS−Cellとを合わせた最大5つのCCを用いて、CAを実行することができる。なお、プライマリセルは、CAにおけるよりどころとなることからアンカーコンポーネント(Anchor Component)と呼ばれることもある。
ここで、上記の通り、端末10は、無線回線設定時には、1つのセルにだけ接続することができる。このため、無線回線設定時に接続するセルが、P−Cellとなる。なお、その後、ハンドオーバ等の際に、P−Cellは変更される。また、S−Cellを追加したり、削除したり、変更することもできる。
次にS−Cellの設定について説明する。
まず、基地局50−1は、端末10との無線回線を設定する際に、端末10に対して接続可能な基地局50のリスト(情報)を制御情報として通知する。たとえば、LTE−Advancedシステムでは、レイヤ3(L3)の制御信号であるサービングセルインデックス情報要素(Serving Cell Index Information Element: ServCellIndex IE)を端末10に送信し、最大8つのセルの候補を設定する。このとき、ServCellIndex=0は、P−Cellの候補を示し、ServCellIndex=1−7は、それぞれS−Cellの候補を示す。すなわち、基地局50−1は、接続可能な基地局50のリストを第1のセルと第2のセルとして端末10に通知する。なお、ユーザデータ(所謂一般的なデータ)を供給するセルであることからサービングセルと呼ばれている。
また、ServCellIndex IEは、CrossCarrierSchedulingConfig IEに含まれる。CrossCarrierSchedulingConfig IEは、PhysicalConfigDedicated IEに含まれ、更に、PhysicalConfigDedicated IEは、RadioResourceConfigDedicated IEに含まれる。RadioResourceConfigDedicated IEは、RRCConnectionReconfiguration messageに含まれる。すなわち、上記接続可能な基地局50の情報をその他の制御情報に含めて端末10に通知しても良いと言うことである。
そして、設定されたS−Cellの候補の中から、実際にCAに利用されるS−Cellが選択される。このS−Cellは、ServCellIndex IEとして端末10に通知される。このServCellIndex IEは、RRCConnectionReconfiguration messageに含められて、基地局50から端末10に通知される。
なお、上記の通り、CAでは、対応する基地局50が異なる複数のセルを用いることも可能なので、ServCellIndex IEで設定される複数のセルの中には、対応する基地局50が異なるセルを混在させてもよい。
<上り送信タイミングの制御>
通信システム1において端末10と基地局50との間の通信では、例えば、上り回線では、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)及びDFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform- Spread - Orthogonal Frequency Division Multiple)またはDFT−S−OFDMA(Discrete Fourier Transform- Spread - Orthogonal Frequency Division Multiple)が用いられる。すなわち、端末10と基地局50間で、互いに直交した複数のサブキャリアを用いた通信が行われる。また、複数のサブキャリアは、同じタイミングで複数の端末10の通信に利用されてもよい。この場合、基地局50は、同時又は所定の期間内に受信した複数のサブキャリアに対して、フーリエ変換処理を施すことにより、受信処理を行う。ただし、複数の端末10のそれぞれと基地局50との間の伝搬距離が異なるため、各端末10から送信された信号が基地局50で同時又は所定の期間内に受信されるためには、各端末10の送信タイミングを制御することが好ましい。
そこで、基地局50と各端末10間で伝送される信号の受信タイミングに基づいて、基地局50が各端末10の送信タイミングの制御信号、つまり、TAコマンド(Timing Advanced command)を作成する。TAコマンドとは、基地局50配下の各端末10から送信される送信波を基地局50において受信する際に、各送信波の受信タイミングが一致するように、基地局50が端末10の送信タイミングを制御するためのコマンドである。そして、基地局50が各端末10について作成したTAコマンドを各端末10へ送信し、端末10が受信したTAコマンドに基づいて、送信タイミングを制御する。すなわち、TAコマンドは、端末10における送信時間に関する情報の一例である。
ここで、TAコマンドは,例えば、レイヤ2(L2)の制御信号として、基地局50から端末10へ送信される。
また、TAコマンドは、第1の送信時期として、基地局50と端末10との間の無線回線設定時に実行されるランダムアクセス手順(Random Access procedure)の中で、基地局50から端末10へ送信される。第2の送信時期として、TAコマンドは、ランダムアクセス手順が完了して無線回線設定が完了した後でも、データ伝送と一緒に、基地局50から端末10へ送信される。すなわち、第2の送信時期で送信されるTAコマンドは、接続中のセルにおける送信タイミングの調整に用いられる。
TAコマンドの第1の送信時期は、例えば、ランダムアクセス手順において、基地局50から端末10へのランダムアクセスレスポンス(Random Access Response(Msg. (Message) 2))に含められて送信される。この第1の送信時期におけるTAコマンドの値は、ランダムアクセス手順においてランダムアクセスプリアンブル(RAP:Random Access Preamble)を受信した基地局50によって、その基地局50におけるRAPの受信タイミングに基づいて算出される。このランダムアクセスレスポンスは、端末10から基地局50へ送信されたランダムアクセスプリアンブル(Random Access Preamble(Msg. (Message) 1))に対する応答である。図5は、ランダムアクセス手順の一例を示す図である。なお、ランダムアクセスは、信号が正しい送信タイミングで送信されない場合でも、その信号を送信した装置以外の他の端末10及び基地局50に対して干渉とならないように設計されている。このため、ランダムアクセスを用いることにより、端末10における送信タイミングの調整を行うことができる。
そして、第1の送信時期に送信されるTAコマンドは、11ビットの制御信号である。つまり、TAコマンドの値(以下では、「TA値」と呼ばれることがある)は、0から1282の値を取り得る。また、1TA値は、16Tsである。Tsは、シンボル周期である。従って、TA値をシンボルに換算した値NTAは、NTA=16×TAとして表される。TAは、TA値を表す。Ts=1/30720[ms]であることから、TA値の最大値は、666.7[μs]に対応する。また、Normal CP(Cyclic Prefix)の場合、7シンボルは、0.5msである。そして、Normal CPの長さは、180Ts又は144Tsであり、CPを除いたシンボル長は、2048Tsである。そして、2シンボル目以降のCPは、144Tsである。TA値の最大値は、次のように求められる。
16×1282/(2048+144)=9.36[シンボル]
すなわち、TA値の最大値は、約9シンボルに相当する。
一方、第2の送信時期に送信されるTAコマンドは、6ビットの制御信号である。つまり、TA値は、0から63の値を取り得る。このTAコマンドは、データ伝送と一緒に、例えば、MAC Control Elementに含められて送信される。ただし、第2の送信時期に送信されるTAコマンドは、前回送信されたTAコマンドを基準としての調整値を示す。すなわち、第2の送信時期のTA値をシンボルに換算した値NTAは、次の式を満たす。なお、MACはMedium(or Media) Access Controlであり、変復調や符号化・復号といったベースバンド処理を行う物理層の上位層である。
NTA,new=NTA,old+(TA−31)×16
すなわち、TA値は、前回を基準として、−496Tsから+496Tsの範囲で変化する。つまり、TA値は、前回を基準として、−16[μs]から+16[μs]の範囲で変化する。
<フレームの構成例>
通信システム1には、時分割多重方式(TDD: Time Division Duplex)を適用することができる。この場合、各セルでは、複数のTDDフレームパターンを候補とし1つの「TDDフレームパターン」を選択し適用する。図6は、複数のTDDフレームパターンの一例を示す図である。図6では、識別番号0−6の7つのTDDフレームパターンが示されている。各TDDフレームパターンは、1フレーム、つまり10サブフレームを有する。また、各TDDフレームパターンにおいて、「D」に対応するサブフレームは、下り回線期間であり、「U」に対応するサブフレームは、上り回線期間である。また、「S」に対応するサブフレームは、スペシャルサブフレームである。スペシャルサブフレームとは、下りサブフレームから上りサブフレームへ切り替わるときに、下りサブフレームと上りサブフレームとの間に配置されるサブフレームである。
例えば、図6の識別番号2のTDDフレームパターンは、図7のようになる。図7は、TDDフレームパターンの構成例を示す図である。図7に示すように、スペシャルサブフレームは、「ダウンリンク区間(DwPTS: Downlink Pilot Time Slot)」と、「ギャップ区間(GP: Guard Period)」と、「アップリンク区間(UpPTS: Uplink Pilot Time Slot)」とをその順番で含む。ギャップ区間は、伝送が為されない無伝送区間である。また、スペシャルサブフレーム内の構成にも、複数のパターン(以下では、「SFパターン」と呼ばれることがある)が存在する。図8は、複数のSFパターンの一例を示す図である。また、図9は、複数のSFパターンをシンボル単位で表す図である。すなわち、図9の各SFパターンにおける各マスは、1シンボルに対応する。つまり、図9において「Dw」に対応するシンボルは、ダウンリンク区間を構成し、「Up」に対応するシンボルは、アップリンク区間を構成する。また、「gap」に対応するシンボルは、ダウンリンク(下りまたは下り伝送、フォワードリンク)とアップリンク(上りまたは上り伝送、リバースリンク)の保護(緩衝)区間であり無伝送区間を構成する。
ここで、CAに用いられる各セルに対して同じTDDフレームパターンが適用されれば、セル間で上り回線期間と下り回線期間とが重なることがないようにも思われる。しかしながら、端末10と基地局50との間の伝搬遅延がセル間で異なる場合には、一方のセルの下り受信タイミングが他方のセルの下り送信タイミングと重なってしまう可能性がある。これにより、送信波のスプリアス成分に起因して受信品質が低下してしまう可能性がある。言い換えれば、送信波のスプリアス成分が受信波に対して干渉となり、SIRが劣化し、受信品質が低下する可能性がある。
図10,11は、2つのセル間で下り受信タイミングと下り送信タイミングとが重なる状況の説明に供する図である。図10,11では、2つのセルに対応する一方の基地局50−1はeNB1と表され、他方の基地局50−XはeNB2と表されている。また、端末10は、UE1と表されている。なお、eNBは、evolutional Node Bであり、基地局を意味するものである。また、UEは、User Equipmentであり、端末を意味するものである。また、図10に記載されているPDCCHは、基地局50から端末10へ制御情報を通知するために用いられる物理下り制御チャネル(Physical Downlink Control Channel)である。また、PDSCHは、基地局50から端末10へデータを送信するために用いられる物理下り共有チャネル(Physical Downlink Shared CHannel)である。また、PUCCHは、端末10から基地局50へ制御情報を通知するために用いられる物理上り制御チャネル(Physical Uplink Control Channel)である。また、PUSCHは、端末10から基地局50へデータを送信するために用いられる物理上り共有チャネル(Physical Uplink Shared CHannel)である。
eNB1とUE1は、離れているためeNB1からUE1へ電波が届くまでに時間を要する。この時間を伝搬遅延と呼んでいる。更に、UE1とeNB1との距離と、UE1とeNB2との距離とが異なる場合、UE1とeNB1との間の伝搬遅延τ1と、UE1とeNB2との間の伝搬遅延τ2とは異なる。TDDの場合には、上り及び下りの両方とも、UE1とeNB1との間の伝搬遅延はτ1であり、UE1とeNB2との間の伝搬遅延はτ2であると見なすことができる。
従って、図11に示すように、UE1の下り受信期間は、eNB1の下り送信期間よりもτ1だけ遅れる。また、eNB1の上り受信期間内にUE1から送信された信号を到達させるために、UE1の上り送信期間は、eNB1の上り受信期間よりもτ1だけ早める。同様に、eNB2の上り受信期間内にUE1から送信された信号を到達させるために、UE1の上り送信期間は、eNB2の上り受信期間よりもτ2だけ早める。すなわち、eNB1は、TAコマンドによって、UE1に対して、τ1に対応する上り送信タイミングの制御を行う。一方、eNB2は、TAコマンドによって、UE1に対して、τ2に対応する上り送信タイミングの制御を行う。ここで、eNB1とeNB2とが一定レベル以上の精度で同期していると仮定すると、τ1とτ2との差の大きさ、及び、スペシャルサブフレームに含まれるギャップ区間の長さに依っては、図11に示すように、UE1がeNB1から送信された信号を受信する下り受信期間と、UE1がeNB2へ信号を送信する上り送信期間とが重なってしまう可能性がある。換言すれば、一方のセルの下り受信タイミングが他方のセルの下り送信タイミングと重なってしまう可能性がある。
例えば、2つのセルに適用するTDDフレームパターンが識別番号1(つまり、configuration #1)のTDDフレームパターンであるとする。そして、τ1が9760Tsであり、TA値が1235であるとする。また、eNB2からUE1へ送信されるTA値は最大値の1282であるとする。この1282は、20512Tsに相当する。また、2つのセルに適用するSFパターンが識別番号0のSFパターンであるとする。また、eNB1とeNB2とが、たとえばTsの1/10以下の精度で同期しているものとする。つまり、以降の処理に対して問題とならない精度で同期しているものとする。また、eNB1とeNB2とのタイミングを基準として、UE1の上り送信タイミング及び下り受信タイミングを説明する。これらを前提とすると、サブフレーム#3の前には、順番に、2192TsのUpPTSと8768TsのGAPとDwPTSとが存在する。すなわち、サブフレーム#3の先頭から合計10960Tsより前になると、DwPTSとなる。そして、UE1は、サブフレーム#1の最後から9760Ts後まで下り受信をする。すなわち、eNB1のサブフレーム#2のDwPTSまで下り受信をしている。一方で、UE1は、サブフレーム#3の先頭よりも20512Tsだけ前に上り送信を開始する。すなわち、eNB2のサブフレーム#2のDwPTSから上り送信をしている。この結果、UE1における、上り送信タイミングと下り受信タイミングとが重複してしまう。この状態でCAを行ったとしても、2つのセルのいずれか一方の受信特性が劣化してしまい、伝送速度の改善を望めないこととなる。なお、1つの基地局50の複数のセルの場合であっても、一方のセルでの上り送信タイミングと他方のセルの下り受信タイミングとが重複してしまうことがある。これは、周波数が異なると反射や回折等の特性が異なるので、周波数が異なる場合(特にオペレーティング帯域が異なる場合)には伝搬経路が同じとならないためである。
これに対して、通信システム1において、端末10は、上り送信タイミングと下り受信タイミングとが重ならないセルの組合せで通信する。これにより、端末10が上り送信タイミングと下り受信タイミングとが重ならない複数のセルを用いて通信できるので、送信波のスプリアスに起因する受信品質の劣化を防止することができる。
[基地局の構成例]
図12は、実施例1の基地局の一例を示す機能ブロック図である。図12において、基地局50は、受信無線部51と、受信処理部52と、取得部53と、受信タイミング測定部54と、回線制御部55と、送信処理部56と、送信無線部57と、既知信号作成部58と、回線制御信号作成部59とを有する。ここで、受信無線部51と、受信処理部52と、取得部53と、受信タイミング測定部54とを受信部とし、回線制御部55を制御部とし、送信処理部56と、送信無線部57と、既知信号作成部58と、回線制御信号作成部59とを送信部としてもよい。
なお、キャリアアグリゲーションの態様によっては、図12では図示していないが、送信部及び受信部の一部または全てを複数備えていても良い。たとえば、少なくとも2つの異なる周波数バンドに属する周波数帯域をアグリゲーションする場合は、使用する周波数バンドに対応する複数の送信部及び受信部を備える構成としてもよい。
また、基地局50は、図12に示すように、上記の受信部、制御部、及び送信部を複数セット有し、各セットが各セルに対応していてもよい。
また、以下における基地局50の構成例の説明では、主に、基地局50が第1のセルに対応する基地局50−1である場合について説明する。
受信無線部51は、アンテナを介して受信した信号に対して所定の無線受信処理、つまり、ダウンコンバート、アナログデジタル変換等を施して、受信処理部52へ出力する。
受信処理部52は、受信無線部51から受け取る受信信号に対して、復調処理及び復号処理を施して、得られる受信データを出力する。
取得部53は、受信処理部52から出力された受信データから、無線回線品質(channel quality)情報、回線設定(channel setup)情報、及びタイミング差情報をそれぞれ抽出する。取得部53は、抽出した無線回線品質情報、回線設定情報、及びタイミング差情報を、回線制御部55へ出力する。なお、無線回線品質とは、既知信号(例えば、パイロットや参照信号(RS:Reference Signal))の受信品質であり、例えば、SIR(Signal to Interference Ration)、SNR(Signal to Noise Ratio)、受信電力(又は受信電界強度)、既知信号受信電力(例えば:パイロット受信電力(PSEP: Pilot Signal Received Power)、参照信号受信電力(RSRP: Reference Signal Received Power))、既知信号受信品質(例えば、パイロット信号受信品質(PSRQ: Pilot Signal Received Quality)、参照信号受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality))等の何れかである。また、SIRを基に算出した無線回線品質指標(CQI: Channel Quality Indicator)等であってもよい。また、回線設定情報とは、回線設定に必要となる制御情報であり、例えば使用する周波数の帯域幅、セルIDなどの無線回線に関する制御情報や、ランダムアクセスなどの回線接続に関する制御情報などで構成されるものである。また、タイミング差情報は、広い意味で、受信時間に関する情報に相当する。なお、既知信号とは送信装置と受信装置とにおいて予め決め、他の信号と識別可能な信号である。特に受信装置において、受信すべき信号として認識できることから、実際に受信した信号と比較することにより、干渉信号を識別することも可能となる。
例えば、取得部53は、品質情報抽出部61と、回線設定抽出部(回線設定情報抽出部)62と、タイミング差情報抽出部63とを有する。そして、無線回線品質情報は、品質情報抽出部61で抽出され、回線設定情報は、回線設定抽出部62で抽出され、タイミング差情報は、タイミング差情報抽出部63で抽出される。
受信タイミング測定部54は、端末10から送信された既知信号の受信タイミングを測定し、当該受信タイミングに関する情報を回線制御(channel control)部55へ出力する。既知信号とは、予め通知されている信号であったり、予め通知された情報を基に算出可能な信号であったり、送信元と受信先のそれぞれで識別できる信号である。この受信タイミングに関する情報は、回線制御部55において端末10の送信タイミングを制御するためのTAコマンドを作成するために用いられる。
回線制御部55は、タイミング差情報に基づいて、端末10と通信中の第1のセルと共に使用する追加セルを端末10に通知する制御信号を作成する。この制御信号に、回線制御部55は、追加セルに対応する基地局50−Xから受け取る回線設定情報も含める。ここで、タイミング差情報は、第1のセルで基地局50−1から端末10へ送信された既知信号と、第1のセルに対応する周波数(つまりCC)と異なる測定対象周波数、つまり第2のセルについて端末10が受信できた既知信号との端末10における受信タイミング差を示す。この受信タイミング差は、第1のセルでの第1の伝搬遅延と、第2のセルでの第2の伝搬遅延との差、つまり伝搬遅延差に対応する。なお、タイミング差情報には、当該タイミング差情報に対応する第2のセルの識別情報及び第2のセルに対応する基地局50−Xの識別情報が付加されている。
例えば、回線制御部55は、複数の第2のセルについてのタイミング差情報を受け取った場合、タイミング差情報の示すタイミング差が第1の閾値以下であるセルを、追加セル候補として選択する。なお、回線制御部55は、第1のセル及び第2のセルに共通して設定されているSFパターンのギャップ区間の長さに応じた値に、第1の閾値を設定する。また、第1のセルと第2のセルとは、共通のTDDフレームパターンが適用されていることを前提としている。
また、回線制御部55は、選択した1つ又は複数の追加セル候補の中から、無線回線品質情報に基づいて、追加セルを選択する。例えば、回線制御部55は、追加セル候補の中で、対応する無線回線品質情報の示す品質が最も良いものを追加セルとして選択する。回線制御部55は、選択した追加セルに関する情報を制御信号に含めて、端末10へ送信する。また、回線制御部55は、選択した追加セルに関する情報を回線設定情報として端末10に通知してもよい。
なお、ここでは、第1段階として、タイミング差に基づいて追加セル候補を選択し、第2段階として、無線回線品質に基づいて追加セルを選択しているが、これに限定されない。逆に、第1段階として、無線回線品質に基づいて追加セル候補を選択し、第2段階として、タイミング差に基づいて追加セルを選択してもよい。又は、タイミング差に基づいて、直接的に追加セルを選択してもよい。この場合、例えば、タイミング差の最も小さい第2のセルを追加セルとしてもよいし、タイミング差が第1の閾値以下であると最初に判定された第2のセルを追加セルとしてもよい。
図13は、実施例1の回線制御部の一例を示す機能ブロック図である。図13において、回線制御部55は、設定制御部71と、TA設定部72と、ランダムアクセス制御部73と、プリアンブル記憶部74と、セル選択部75とを有する。
設定制御部71は、主に、TA設定部72、ランダムアクセス制御部73、及びセル選択部75の制御を行う。
例えば、設定制御部71は、受信タイミング測定部54から受け取った受信タイミングをTA設定部72に出力し、その受信タイミングに対応する端末10の送信タイミングを調整するための制御情報、つまりTAコマンドを作成させる。そして、設定制御部71は、TAコマンドをTA設定部72から受け取る。
また、設定制御部71は、受け取ったタイミング差情報及び無線回線品質情報をセル選択部75へ出力し、セル選択部75に対して追加セルを選択させる。そして、設定制御部71は、追加セルに関する情報をセル選択部75から受け取る。
また、設定制御部71は、端末10との間でこれから使用する基地局50−1のセルでの回線を設定する時に、ランダムアクセス制御部73に端末10とのランダムアクセス手順を制御させる。なお、プリアンブル記憶部74には、基地局50−1と端末10がランダムアクセス手順を実行する際に使用させるプリアンブルの候補が記憶されている。プリアンブルとは、ランダムアクセスを実行する際に用いられる端末10を識別するための識別情報である。たとえば64個のプリアンブルを候補として設定し、ランダムアクセスの実行に先立って回線制御情報として端末10に通知または報知するものである。また、これらのプリアンブルは、端末10が自由に選択して使用するプリアンブルと、基地局50−1が選択し一定期間内ではその端末10でしか使用できないプリアンブルとが設定される。前者のプリアンブルは、端末10が選択することから複数の端末10が同時に同じプリアンブルを使用する可能性がある。すなわち、衝突(contention)が生じる可能性がある。後者のプリアンブルを特に個別プリアンブル(dedicated preamble)と呼んでおり、通知された端末10のみ使用可能であることから衝突が生じない。なお、基地局50−Xにおけるプリアンブル記憶部74にも、基地局50−Xと端末10がランダムアクセス手順を実行する際に使用させるプリアンブルの候補が記憶されている。
そして、設定制御部71は、TAコマンド、追加セルに関する情報、及び、ランダムアクセス手順で端末10へ送信する情報を、回線制御信号作成部59へ出力する。また、追加セルが基地局50−Xに対応する場合、基地局50−1の設定制御部71は、追加セルに対応する基地局50−Xに対して回線設定情報を要求し、追加セルについての回線設定情報を取得する。すなわち、基地局50−1は、追加セルに対応する基地局50−Xに対して回線設定情報を要求し、当該基地局50−Xから回線設定情報を取得する。そして、設定制御部71は、追加セルに対応する基地局50−Xから取得した回線設定情報を回線制御信号作成部59へ出力する。
セル選択部75は、第1段階として、タイミング差に基づいて追加セル候補を選択し、第2段階として、無線回線品質に基づいて追加セルを選択する。上述の通り、第1段階として、無線回線品質に基づいて追加セル候補を選択し、第2段階として、タイミング差に基づいて追加セルを選択してもよい。又は、タイミング差に基づいて、直接的に追加セルを選択してもよい。
図12へ戻り、既知信号作成部58は、既知信号、例えば、パイロット(または参照信号RS、以下パイロットと総称する)を作成し、送信処理部56へ出力する。このパイロットとしては、セル内で共通のセル共通パイロット(Cell Specific Pilot)、端末10に個別に割り当てられた個別パイロット(Dedicated Pilot)、位置測定用のパイロット(Positioning Pilot)、及び、無線回線品質を測定するためのパイロット(Channel State Information Pilot)のいずれであってもよい。また、パイロットは、復調や復調に際して実施される無線回線推定(チャネル推定)に用いたり、無線回線品質の測定に用いたりされるものである。前者の場合、復調用パイロット(Demodulation Pilot)と呼ばれることもある。
回線制御信号作成部59は、設定制御部71から受け取った各情報を含めた制御信号を作成し、作成した制御信号を送信処理部56へ出力する。
送信処理部56は、回線制御部55から受け取る制御信号に対して、符号化処理及び変調処理を施し、下り回線リソースにマッピングして、端末10宛ての送信信号を作成する。送信処理部56は、作成した送信信号を、送信無線部57及びアンテナを介して送信する。
送信無線部57は、送信処理部56から受け取る送信信号に所定の無線送信処理、つまり、デジタルアナログ変換、アップコンバート等を施して、アンテナを介して送信する。
[端末の構成例]
図14は、実施例1の端末の一例を示す機能ブロック図である。図14において、端末10は、受信無線部11と、受信処理部12と、既知信号抽出部13と、無線回線品質測定算出部14と、受信タイミング測定部15と、タイミング差算出部16と、無線回線品質情報作成部17と、タイミング差情報作成部18とを有する。また、端末10は、回線設定抽出部19と、無線回線制御部20と、回線設定信号作成部21と、送信処理部22と、送信無線部23とを有する。ここで、受信無線部11と、受信処理部12と、既知信号抽出部13と、無線回線品質測定算出部14と、受信タイミング測定部15と、タイミング差算出部16と、回線設定抽出部19とを受信部としてもよい。また、無線回線制御部20を制御部とし、無線回線品質情報作成部17と、タイミング差情報作成部18と、回線設定信号作成部21と、送信処理部22と、送信無線部23とを送信部としてもよい。
なお、キャリアアグリゲーションの態様によっては、図14では図示していないが、送信部及び受信部の一部または全てを複数備えていても良い。たとえば、少なくとも2つの異なる周波数バンドに属する周波数帯域をアグリゲーションする場合は、使用する周波数バンドに対応する複数の送信部及び受信部を備える構成としてもよい。
受信無線部11は、アンテナを介して受信した信号に対して所定の無線受信処理、つまり、ダウンコンバート、アナログデジタル変換等を施して、受信処理部12へ出力する。なお、受信無線部11は、対象周波数、つまり対象CCが設定され、対象周波数で信号を受信する。
受信処理部12は、受信無線部11から受け取る受信信号に対して、復調処理及び復号処理を施して、得られる受信データを出力する。
既知信号抽出部13は、受信データから、既知信号(例えばパイロット)を抽出し、抽出した既知信号を、無線回線品質測定算出部14及び受信タイミング測定部15へ出力する。
無線回線品質測定算出部14は、既知信号抽出部13から受け取る既知信号(例えばパイロット)に基づいて、無線回線品質を算出する。この無線回線品質の算出は、通信中の第1のセルと、第1のセルに対応する周波数(つまりCC)と異なる測定対象周波数、つまり第2のセルのそれぞれについて行われる。無線回線品質測定算出部14は、算出した無線回線品質を、無線回線品質情報作成部17へ出力する。なお、無線回線品質としては、SIR、SNR、受信電力(又は受信電界強度)、既知信号受信電力(例えば:パイロット受信電力(PSEP: Pilot Signal Received Power)、既知信号受信品質(例えば、パイロット信号受信品質(PSRQ: Pilot Signal Received Quality)、及び、無線回線品質指標等のいずれかを用いることができる。
受信タイミング測定部15は、既知信号抽出部13から受け取る既知信号(例えばパイロット)に基づいて、受信タイミングを測定する。この受信タイミングの測定は、通信中の第1のセルと、第1のセルに対応する周波数(つまりCC)と異なる測定対象周波数、つまり第2のセルのそれぞれについて行われる。受信タイミング測定部15は、測定した受信タイミングを、タイミング差算出部16へ出力する。ここで、受信タイミングは、例えば、ある特定のサブフレームのある特定のシンボルに配置されることが予め決められている既知信号の受信タイミングである。また、既知信号が含まれるサブフレームやフレームの先頭シンボルの受信タイミングである。ここで、既知信号は、たとえば、パイロットや同期信号などである。たとえば、LTEシステムでは第1の同期信号(PSS:Primary Synchronization Signal)や第2の同期信号(SSS:Secondary Synchronization Signal))が用いられている。更に、TDDを用いるLTEの第1の同期信号(PSS)は、サブフレーム#1とサブフレーム#6の先頭から3番目のシンボルに配置される。FDD(Frequency Division Duplex、周波数分割複信)を用いるLTEの第1の同期信号(PSS)は、サブフレーム#0とサブフレーム10の最初のスロットの最後のシンボルに配置される。また、LTEにおけるパイロットは、たとえば各サブフレームの先頭または2番目等のシンボルに配置される。なお、先頭であるか2番目であるかは、送信に用いるアンテナによって異なる。これらの受信タイミングは、絶対時間で表されたものでもよいし、第1のセルでの受信タイミングを基準として、各第2のセルの受信タイミングを表現してもよい。
タイミング差算出部16は、第1のセルでの受信タイミングと、各第2のセルでの受信タイミングとの差を算出し、算出された差に関する情報をタイミング差情報作成部18へ出力する。
無線回線品質情報作成部17は、無線回線品質測定算出部14で算出された回線品質(たとえばSIR)を離散値(例えば、CQI(Channel Quality Indicator))に変換し、当該離散値を無線回線品質情報として送信処理部22へ出力する。なお、無線回線品質情報作成部17は、離散値に変換せずに、無線回線品質測定算出部14で算出された無線回線品質そのものを無線回線品質情報として送信処理部22へ出力してもよい。また、複数のセルについて算出された無線回線品質は、個別に基地局50−1へ送信されてもよいし、まとめて送信されてもよい。
タイミング差情報作成部18は、タイミング差算出部16で算出された受信タイミング差をサブフレームの時間長で除算した余りを求める。すなわち、タイミング差情報作成部18は、タイミング差算出部16で算出された受信タイミング差とサブフレーム時間とでモジュローをとる。タイミング差情報作成部18は、求めた余りをタイミング差情報として送信処理部22へ出力する。なお、上記の無線回線品質情報とタイミング差情報とは、別々に基地局50−1へ送信されてもよいし、同時に纏めて送信されてもよい。
回線設定抽出部19は、基地局50−1から送信された受信データから、ランダムアクセス手順で用いられる回線設定情報を抽出し、抽出した回線設定情報を無線回線制御部20へ出力する。
また、回線設定抽出部19は、基地局50−1から送信された個別プリアンブルや帯域幅等の回線設定情報を抽出し、抽出した回線設定情報を無線回線制御部20へ出力する。
無線回線制御部20は、基地局50−1から送信された回線設定情報を用いて、追加セルにおいてランダムアクセスプリアンブルを送信するよう制御し、端末と追加セルに対応する基地局50−Xとの間でランダムアクセス手順を実行する。その後、更に、追加セルに対応する基地局50−Xと回線設定を行う。また、無線回線制御部20は、基地局50−1から送信された回線設定情報に対する応答メッセージ等の回線設定情報を、回線設定信号作成部21に作成させる。すなわち、無線回線制御部20は、追加セルに対応する基地局50−Xとの間でランダムアクセス手順を実行する。
回線設定信号作成部21は、ランダムアクセス手順において基地局50−Xへ送信するメッセージ等の回線設定情報を送信処理部22へ出力する。
送信処理部22は、無線回線品質情報作成部17、タイミング差情報作成部18、及び回線設定信号作成部21から受け取る情報に対して、符号化処理及び変調処理を施し、上り回線リソースにマッピングして、基地局50宛ての送信信号を作成する。送信処理部22は、作成した送信信号を、送信無線部23及びアンテナを介して送信する。
送信無線部23は、送信処理部22から受け取る送信信号に所定の無線送信処理、つまり、デジタルアナログ変換、アップコンバート等を施して、アンテナを介して送信する。
[基地局及び端末の動作]
以上の構成を有する基地局50−1及び端末10の処理動作について説明する。
図15は、実施例1の基地局の処理動作の一例を示すフローチャートである。
基地局50−1は、既知信号作成部58で作成した既知信号(例えばパイロット)を端末10へ送信する(ステップS101)。
基地局50−1は、取得部53で端末10から送信された無線回線品質情報を取得する(ステップS102)。
基地局50−1は、取得部53で端末10から送信されたタイミング差情報を取得する(ステップS103)。
基地局50−1は、回線制御部55で追加セル選択処理を実行する(ステップS104)。
図16は、追加セル選択処理の説明に供するフローチャートの一例である。
まず、追加セル選択処理が開始される段階では、複数の第2のセルのそれぞれについての無線回線品質情報R1〜R2n及びタイミング差情報T1〜T2nが、基地局50−1によって受信されている。
回線制御部55は、第1の閾値Tth、受信電力の最大値Rmax、i、及びkを初期値に設定する(ステップS111)。Rmax、max、i、及びkの初期値はゼロである。
そして、回線制御部55は、タイミング差情報T1〜T2nの内で、タイミング差が第1の閾値より小さいタイミング時間差情報を選択する(ステップS112−S116)。
そして、選択されたタイミング時間差情報の内で、対応する無線回線品質が最も良いものに対応するセルを特定する(ステップS117−S120)。これにより、追加セルが選択される。
図15に戻り、基地局50−1は、追加セルに対応する基地局50−Xに対して、回線設定情報を要求する(ステップS105)。
基地局50−1は、追加セルに対応する基地局50−Xから、有線を介して回線設定情報を受信する(ステップS106)。この回線設定情報には、追加セルを用いて無線回線を確立するために必要な情報、例えば、帯域幅等のシステム情報、回線設定に関する制御情報、及びランダムアクセスに関する情報(例えば、個別ランダムアクセスプリアンブル(dedicated random access preamble))等が含まれている。
基地局50−1は、追加セルに関する情報、及び、追加セルに対応する基地局50−Xから受信した回線設定情報を含む制御信号を、端末10へ送信する(ステップS107)。この制御信号の送信には、例えば、Mobility Control Information IEを含んだRRCConnectionReconfiguration messageが用いられる。
なお、追加セルに対応する基地局50が基地局50−1である場合には、ステップS105−ステップS107の処理は基地局50−1と基地局50−X間で行われるのではなく、基地局50−1内で行われる。すなわち、基地局50−1において通信中の第1のセルに対応する制御部は、追加セルに対応する制御部に対して、回線設定情報を要求する(ステップS105)。通信中の第1のセルに対応する制御部は、追加セルに対応する制御部から回線設定情報を受信する(ステップS106)。通信中の第1のセルに対応する制御部は、通信中の第1のセルに対応する送信部に、追加セルに関する情報、及び、追加セルに対応する制御部から受信した回線設定情報を含む制御信号を端末10へ送信させる(ステップS107)。
図17は、実施例1の端末の処理動作の一例を示すフローチャートである。
端末10は、端末10が信号を受信可能な範囲に存在する基地局50から送信された既知信号(例えばパイロット)を受信し(ステップS201)、既知信号抽出部13で既知信号(例えばパイロット)を抽出する。
そして、端末10は、既知信号抽出部13で抽出された既知信号(例えばパイロット)に基づいて、無線回線品質測定算出部14で無線回線品質を算出する(ステップS202)。この無線回線品質の算出は、通信中の第1のセルと、第1のセルに対応する周波数(つまりCC)と異なる測定対象周波数、つまり第2のセルのそれぞれについて行われる。
そして、端末10は、算出した無線回線品質、又は、当該無線回線品質(例えば、SIR)が変換された離散値(例えば、CQI)を、無線回線品質情報として、通信中の第1のセルに対応する基地局50−1へ送信する(ステップS203)。
また、端末10は、既知信号抽出部13で抽出された既知信号(例えばパイロット)に基づいて、受信タイミングを測定する(ステップS204)。この受信タイミングの測定は、通信中の第1のセルと、第1のセルに対応する周波数(つまりCC)と異なる測定対象周波数、つまり第2のセルのそれぞれについて行われる。
そして、端末10は、タイミング差算出部16で、第1のセルでの受信タイミングと、各第2のセルでの受信タイミングとのタイミング差を算出する(ステップS205)。
端末10は、タイミング差に関する情報を、通信中の第1のセルに対応する基地局50−1へ送信する(ステップS206)。
端末10は、基地局50−1から第1のセルで送信された制御信号を受信する(ステップS207)。この制御信号には、追加セルに関する情報、及び、当該追加セルに対応する基地局50−Xからの受信を行うために必要となる回線設定情報が含まれていることがある。
次に、端末10と、端末10が信号を受信可能な範囲に存在する複数の基地局50との処理動作について説明する。図18は、端末及び基地局の処理動作の一例を示すシーケンス図である。図18では、一例として、1つの端末10(つまりUE)と、端末10が接続中の基地局50−1であるeNB1と、端末10が未接続の基地局50−XであるeNB2,3とを挙げて説明する。ここで、eNB1は、UEとの間で既に第1のセルでの無線回線が確立されている。第1のセルは、eNB1のCC2に対応する。
UEとeNB1とは、CC2を用いて通信している(ステップS301)。
そして、eNB1−3のそれぞれは、各CCを用いて既知信号(例えばパイロット)を送信する(ステップS302−S304)。ここでは、UEの測定対象CCを、CC2に隣接しているCC1及びCC3としている。また、追加セルに対応する基地局50−Xを、eNB1以外のeNB2,3としている。
そして、UEは、既知信号(例えばパイロット)に基づいて、各セルについての無線回線品質を算出する(ステップS305)。
続いて、UEは、算出した無線回線品質、又は、当該無線回線品質(例えば、SIR)が変換された離散値(例えば、CQI)を、無線回線品質情報として、eNB1へ送信する(ステップS306)。
また、UEは、既知信号(例えばパイロット)に基づいて、各セルについての受信タイミングを測定する(ステップS307)。
更に、UEは、eNB1のCC2での受信タイミングと、eNB2,3のCC1及びCC3のそれぞれでの受信タイミングとの受信タイミング差を算出する(ステップS308)。
そして、UEは、タイミング差に関する情報を、eNB1へ送信する(ステップS309)。
eNB1は、UEから送信された無線回線品質情報及びタイミング差情報に基づいて、追加セルを選択する(ステップS310)。ここでは、追加セルとして、eNB3のCC3が選択されたとする。
続いて、eNB1は、追加セルに対応するeNB3に対して、回線設定情報を要求するためのメッセージを送信する(ステップS311)。
eNB3は、eNB3のCC3の回線設定情報をeNB1へ送信する(ステップS312)。ここで、上述の通り、回線設定情報には、追加セルを用いて無線回線を確立するために必要な情報、例えば、帯域幅等のシステム情報、回線設定に関する制御情報、及びランダムアクセスに関する情報(例えば、個別ランダムアクセスプリアンブル(dedicated random access preamble))等が含まれている。また、eNB3は、複数のランダムアクセスプリアンブル候補の中から、追加セルに対応するランダムアクセスプリアンブルを選択し、選択したランダムアクセスプリアンブルを回線設定情報に含めて、eNB1へ送信する。
eNB1は、追加セルに関する情報、及び、追加セルの回線設定情報を、UEへ送信する(ステップS313)。この回線設定情報の送信には、例えば、下り制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control CHannel)が用いられる。
UEは、受け取った追加セルの回線設定情報を用いて、eNB3のCC3でランダムアクセス手順を実施する(ステップS314)。図19は、ランダムアクセス手順の一例を示す図である。まず、メッセージ0として、eNB3からeNB1を介してUEへ回線設定情報が送信される。これは、上記のステップS312,S313で既に行われている。そして、UEは、eNB3のCC3で送信する個別ランダムアクセスプリアンブルを、メッセージ1として、eNB3のCC3で送信する。なお、ランダムアクセスプリアンブルは、追加セルであるCC3で送信される。そして、eNB3は、CC3でランダムアクセスレスポンスを、メッセージ2として、UEへ送信する。ここで、eNB3は、既にeNB1を介してUEに通知した個別ランダムアクセスプリアンブルと、UEから受信したランダムアクセスプリアンブルが一致した場合に、回線制御部55の回線制御信号作成部59でランダムアクセスレスポンスを作成する。これにより、UEとeNB3との間でCC3の回線が確立される。一方で、eNB3は、UEから送信されたランダムアクセスプリアンブルの受信タイミングを受信タイミング測定部54で測定し、当該測定された受信タイミングに基づいて、回線制御部55でTAコマンドを作成する。このTAコマンドも、ランダムアクセスレスポンスに含められて、UEへ送信される。
そして、UEは、eNB1のCC2と、eNB3のCC3とによって、データを送受信する(ステップS315,S316)。
以上のように本実施例によれば、基地局50−1において、取得部53は、端末10と通信中の第1のセルにおける第1の受信タイミングと、基地局50−1又は基地局50−Xにそれぞれ対応する、複数の第2のセルの各々における第2の受信タイミングとの差を示す情報を取得する。そして、回線制御部55は、複数の第2のセルに含まれ且つ第1のセルと同時に使用される追加セルを端末10へ通知する制御信号を、第1の受信タイミングと第2の受信タイミングとの受信タイミング差に基づいて作成する。
この基地局50の構成により、セル間で上り送信タイミングと下り受信タイミングとが重なるか否かまたは重なる場合に対して余裕があるか否かの判定指標となる、受信タイミング差に基づいて端末10に対する制御信号を作成できる。これにより、送信波のスプリアスに起因する受信品質の劣化を防止することができる。すなわち、図20に示すように、端末10がCC2で上り送信を行っていても、CC2以外のCCへ漏れ出す電力(図20におけるS2)が発生する。この状況において、端末10がCC2に隣接するCC3で下り受信すると、図21に示すように、スプリアス成分が下り受信を妨害することになる。CC3での受信電力(図21におけるS1’)に対するスプリアス成分の比(つまり、信号電力対干渉電力比SIR(又はSNR))が大きくなって劣化し、受信品質が劣化するためである。特に、隣接CC(つまり隣接チャネル)でのスプリアス成分の電力が大きくなる傾向があり、例えば、隣接チャネル漏洩電力比(ACLR:Adjacent Channel Leakage Ratio)が大きいときに、この問題が生じ易い。この問題は、CC1での端末10と基地局50との間の伝搬距離が小さく、CC3での端末10と基地局50との間の伝搬距離が大きいときに、特に顕著となる。この伝搬距離の差は、端末10と基地局50との間の物理的な距離の差によっても生じるし、又は、周波数の違いによっても生じる。しかしながら、本実施例によれば、通信中の第1のセルとの間で、上り送信タイミングと下り受信タイミングとが重ならないセルを追加セルとすることができるので、送信波のスプリアスに起因する受信品質の劣化を防止することができる。
例えば、回線制御部55は、受信タイミング差に基づいて、複数の第2のセルの中から追加セルを選択するセル選択部75を含み、複数の第2のセルの中から、受信タイミング差が第1の閾値以下であるセルを、追加セルとして選択する。
そして、第1の閾値は、下りサブフレームと上りサブフレームとに挟まれるサブフレームに規定される無伝送区間(つまり、ギャップ区間)の長さに応じた値とされる。例えば、TDDフレームパターンがconfiguration#0の場合、DwPTSは、RSとPSSと他のシンボル1つの合計3シンボル分である。ここで、RS(Reference Signal)はパイロットであり、PSS(Primary Synchronisation Signal)は、第1の同期信号であり、端末が基地局から送信された信号のフレーム先頭や受信信号(受信シンボル)の先頭タイミング等を検出し同期させるものである。UpPTSはSRSの1シンボル分である。ここで、SRS(Sounding Reference Signal)は、上りの無線回線品質を基地局において測定算出するものである。よって、Gapが10シンボル分である。従って,第1の閾値は、TDDフレームパターンがconfiguration#0の場合には、10シンボル以下であればよい。好ましくは、第1の閾値は、TDDフレームパターンがconfiguration#0の場合には、例えば5シンボル以下とする。また、第1の閾値は、TDDフレームパターンがconfiguration#0の場合には、例えば、UpPTSに対応する1シンボル又は2シンボルとしてもよい。また、例えば、第1の閾値は、TDDフレームパターンがconfiguration#1の場合には、4シンボル以下であればよい。
なお、以上で説明した通信システム1には、以下の変更を行うことができる。
[1]以上の説明では、端末10は、受信タイミングから算出したタイミング差を基地局50−1に送信しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、端末10は、通信中である第1のセルにおける第1の受信タイミングを示す情報、及び第1のセルと周波数が異なる複数の第2のセルの各々における第2の受信タイミングを示す情報を、基地局50−1に送信してもよい。この場合、基地局50−1は、回線制御部55で受信タイミング差を算出し、算出した受信タイミング差に基づいて、追加セルを選択する。すなわち、この場合、回線制御部55が、受信タイミング差を取得する機能を有している。要するに、基地局50−1は、端末10における各セルの受信時間に関する情報を取得し、当該情報の取得に応じて、端末10について同時に使用するセルを制御できればよい。
[2]また、端末10が第1のセルと周波数が異なる複数の第2のセルの各々における第2の受信タイミングを示す情報を基地局50−1へ送信する場合、基地局50−1は次の処理を行ってもよい。すなわち、基地局50−1は、TA設定部72で受信タイミングに基づいて、第2のセルにおける端末10の送信タイミングを調整する制御情報(つまり、TA値)を推定する。そして、基地局50−1は、セル選択部75で、推定された制御情報と、第1のセルにおける端末10の送信タイミングを調整する制御情報とに基づいて、複数の第2のセルの中から追加セルを選択する。
[3]以上の説明では、複数の第2のセルの中に、受信タイミング差が第1の閾値以下であるセルが含まれない場合について特に触れていないが、この場合には、以下のような処理を行ってもよい。
(1)複数の第2のセル(つまり、S−Cell候補群)に対応するCCが、通信中の第1のセル(CC)に隣接することを前提とする。このときに、複数の第2のセルの中に、受信タイミング差が第1の閾値以下であるセルが含まれない場合には、基地局50−1は、CAを断念し、このことを端末10に通知する制御信号を回線制御部55で作成する。すなわち、接続中の第1のセル(つまり、P−Cell)のみを使用した通信が継続される。
(2)複数の第2のセル(つまり、S−Cell候補群)の中で、無線回線品質の最も良いセルを選択し、当該選択セルと、通信中の第1のセル(つまり、現在のP−Cell)とのいずれか一方のみを、基地局50−1は、使用セル、つまりP−Cellとする。このとき、基地局50−1は、回線制御部55で、使用セルを変更したことを示す制御信号を作成し、端末10へ送信する。なお、P−Cellが変更される度に、S−Cell候補群も変更される。
(3)複数の第2のセルに対応するCCが、通信中の第1のセル(CC)に隣接することを前提とする。このときに、基地局50−1は、セル選択部75で、第1のセルに対応する周波数と一定以上離れた周波数に対応する複数の第3のセルの中から、追加セルを選択する。例えば、取得部53は、複数の第3のセルの各々における第3の受信タイミングを示す情報、又は、第1の受信タイミングと前記第3の受信タイミングとの第2の受信タイミング差を示す情報を取得する。そして、セル選択部75は、複数の第3のセルの中から、第2の受信タイミング差が第2の閾値以下であるセルを、追加セルとして選択する。第2の閾値は、第1の閾値よりも大きい。この場合、端末10が不連続な複数のCCを用いた通信に対応可能な構成を有している。
(4)基地局50−1は、複数の第2のセル(つまり、S−Cell候補群)の中で、無線回線品質の最も良いセルを追加セルとして選択する。
[4]以上の説明では、ランダムアクセス手順を用いて、P−Cellに対して、S−Cellを追加する場合について説明を行った。以上で説明したセルの追加処理は、P−Cellと1つ以上のS−Cellとで通信が行われているときにS−Cellを変更する場合にも適用できる。すなわち、通信中のS−Cellxが削除され、S−Cell候補のS−Cellyを追加する。言い換えれば、S−CellxをS−Cellyに変更する。この状況は、例えば、ハンドオーバ時に起こりうる。
[5]以上の説明では、通信中の第1のセルに対して、追加セルが追加されることを前提として説明を行ったが、これに限定されない。すなわち、基地局50−1において取得部53は、基地局50−1又は基地局50−Xにそれぞれ対応する複数のセルの各々における受信タイミングを示す情報を取得する。換言すれば、基地局50−1において取得部53は、端末10が在圏する各セルの受信タイミングを示す情報を取得する。又は、取得部53は、基地局50−1又は基地局50−Xにそれぞれ対応する複数のセル内でのセルの各組合せについての受信タイミング差を取得する。換言すれば、基地局50−1において取得部53は、端末10が在圏する各セル同士の受信タイミング差を示す情報を取得する。そして、回線制御部55は、各組合せについての受信タイミング差に基づいて、一方のセルの上り送信タイミングと他方のセルの下り受信タイミングとが重ならないセルの組合せを端末10へ通知する制御信号を作成してもよい。端末10は、当該制御信号を受信し、当該制御信号の示すセルの組合せを用いて通信する。なお、基地局50−1は、端末10へ通知するセルの組合せから、基地局50−Xのセル同士の組合せを除外してもよい。この場合、取得部53が取得する受信タイミング差を示す情報から、基地局50−Xのセル同士の組合せが除外されてもよい。
[実施例2]
実施例1では、基地局が、第1段階として、タイミング差に基づいて追加セル候補を選択し、第2段階として、無線回線品質に基づいて追加セルを選択している。これに対して,実施例2では、端末が、第1段階として、タイミング差に基づいて追加セル候補を選択し、基地局が、第2段階として、無線回線品質に基づいて追加セルを選択する。なお、実施例1との相違点を中心に説明し、実施例1の動作と共通する部分についてはその説明を省略する。以下では、後述の第1のセルに対応する基地局150、つまり接続中の基地局150を基地局150−1と呼び、基地局150−1と異なる基地局150を基地局150−Xと呼ぶことがある。基地局150−Xは、1つ存在する場合もあれば、複数存在する場合もある。また、基地局150−1と基地局150−Xとを特に区別しない場合には、両者をまとめて基地局150と呼ぶことがある。なお、複数の基地局150は、上位局と有線で接続され、上位局を介して互いに接続されていてもよい。又は、複数の基地局150は、有線で直接接続されていてもよい。また、基地局150は、例えば、LTEシステムにおける、張出基地局(RRH:Radio Remote Header)を用いた基地局、フェムト基地局、又は、小型基地局であってもよい。
[端末の構成例]
図22は、実施例2の端末の一例を示す機能ブロック図である。図22において、端末110は、無線回線制御部111と、回線制御情報作成部112とを有する。ここで、受信無線部11と、受信処理部12と、既知信号抽出部13と、無線回線品質測定算出部14と、受信タイミング測定部15と、タイミング差算出部16と、回線設定抽出部19とを受信部としてもよい。また、無線回線制御部111を制御部とし、無線回線品質情報作成部17と、回線設定信号作成部21と、送信処理部22と、送信無線部23と、回線制御情報作成部112とを送信部としてもよい。
なお、キャリアアグリゲーションの態様によっては、図22では図示していないが、送信部及び受信部の一部または全てを複数備えていても良い。たとえば、少なくとも2つの異なる周波数バンドに属する周波数帯域をアグリゲーションする場合は、使用する周波数バンドに対応する複数の送信部及び受信部を備える構成としてもよい。
無線回線制御部111は、実施例1の無線回線制御部20と同様の機能を有している。さらに、無線回線制御部111は、タイミング差算出部16で算出されたタイミング差に基づいて、後述する基地局150−1と通信中の第1のセルと共に使用する、追加セルの候補を基地局150−1へ通知する制御信号を作成する。追加セルの候補は、複数在る場合がある。
例えば、無線回線制御部111は、タイミング差算出部16から複数の第2のセルについてのタイミング差情報を受け取った場合、タイミング差情報の示すタイミング差が第1の閾値以下であるセルを、追加セル候補として選択する。なお、無線回線制御部111は、第1のセル及び第2のセルに共通して設定されているSFパターンのギャップ区間の長さに応じた値に、第1の閾値を設定する。また、複数の第2のセルから、基地局150−1に対応するセルを除外してもよいし、複数の第2のセルに基地局150−1に対応するセルを含めてもよい。以下では、一例として、基地局150−1に対応するセルが複数の第2のセルから除外される場合について説明する。
そして、無線回線制御部111は、選択した追加セル候補に関する情報を回線制御情報作成部112へ出力する。
回線制御情報作成部112は、無線回線制御部111で選択された追加セル候補に関する情報を含む回線制御情報を作成し、送信処理部22へ出力する。
[基地局の構成例]
図23は、実施例2の基地局の一例を示す機能ブロック図である。図23において、基地局150は、取得部151と、回線制御部152とを有する。ここで、受信無線部51と、受信処理部52と、取得部151と、受信タイミング測定部54とを受信部とし、回線制御部152を制御部とし、送信処理部56と、送信無線部57と、既知信号作成部58と、回線制御信号作成部59とを送信部としてもよい。
なお、キャリアアグリゲーションの態様によっては、図23では図示していないが、送信部及び受信部の一部または全てを複数備えていても良い。たとえば、少なくとも2つの異なる周波数バンドに属する周波数帯域をアグリゲーションする場合は、使用する周波数バンドに対応する複数の送信部及び受信部を備える構成としてもよい。
また、基地局150は、上記の受信部、制御部、及び送信部を複数セット有し、各セットが各セルに対応していてもよい。
また、以下における基地局150の構成例の説明では、主に、基地局150が第1のセルに対応する基地局150−1である場合について説明する。
取得部151は、受信処理部52から出力された受信データから、回線制御情報を抽出する。この回線制御情報には、上記の通り、端末10で選択された追加セル候補に関する情報が含まれていることがある。例えば、取得部151は、回線制御情報抽出部161を有し、回線制御情報抽出部161で回線制御情報を抽出する。
回線制御部152は、取得部151で取得された回線制御情報に含まれる、1つ又は複数の追加セル候補の中から、無線回線品質情報に基づいて、追加セルを選択する。例えば、回線制御部152は、追加セル候補の中で、対応する無線回線品質情報の示す品質が最も良いものを追加セルとして選択する。回線制御部152は、選択した追加セルに関する情報を制御信号に含めて、端末110へ送信する。
図24は、実施例2の回線制御部の一例を示す機能ブロック図である。図24において、回線制御部152は、セル選択部171を有する。このセル選択部171が、取得部151で取得された回線制御情報に含まれる無線回線品質情報に基づいて、1つ又は複数の追加セル候補の中から、追加セルを選択する。
[端末及び基地局の動作]
以上の構成を有する端末110及び基地局150−1の処理動作について説明する。
図25は、実施例2の基地局の処理動作の一例を示すフローチャートである。
基地局150−1は、取得部151で端末110から送信された回線制御情報を取得する(ステップS401)。この回線制御情報には、上記の通り、端末10で選択された追加セル候補に関する情報が含まれていることがある。
そして、基地局150−1は、取得部151で取得された回線制御情報に含まれる、1つ又は複数の追加セル候補の中から、無線回線品質情報に基づいて、追加セルを選択する(ステップS402)。
図26は、実施例2の端末の処理動作の一例を示すフローチャートである。
端末110は、無線回線制御部111で、タイミング差算出部16で算出されたタイミング差に基づいて、基地局150−1と通信中の第1のセルと同時に使用する、追加セルの候補を選択する(ステップS501)。
そして、端末110は、選択した追加セル候補に関する無線回線品質情報を含めた回線制御情報を、通信中の第1のセルに対応する基地局50−1へ送信する(ステップS502)。
次に、端末110と、端末110が信号を受信可能な範囲に存在する複数の基地局150との処理動作について説明する。図27は、実施例2の端末及び基地局の処理動作の一例を示すシーケンス図である。図27では、一例として、1つの端末110(つまりUE)と、端末110が接続中の基地局150−1であるeNB1と、端末110が未接続の基地局150−XであるeNB2,3とを挙げて説明する。そして、eNB1は、UEとの間で既に第1のセルでの無線回線が確立されている。第1のセルは、eNB1のCC2に対応する。
UEは、ステップS308で算出した受信タイミング差に基づいて、eNB1との間で通信中の第1のセルと同時に使用する、追加セルの候補を選択する(ステップS601)。
そして、端末110は、選択した追加セル候補に関する情報及び当該追加セルに関する無線回線品質情報を含めた回線制御情報を、通信中の第1のセルに対応するeNB1へ送信する(ステップS602)。
そして、eNB1は、取得部151で取得された回線制御情報に含まれる、1つ又は複数の追加セル候補の中から、無線回線品質情報に基づいて、追加セルを選択する(ステップS603)。
以上のように本実施例によれば、端末110において、無線回線制御部111は、複数の第2のセルに含まれ且つ第1のセルと共に使用される追加セルの候補に関する情報を基地局150−1へ通知する制御信号を、第1の受信タイミングと第2の受信タイミングとの受信タイミング差に基づいて作成する。
この端末110の構成により、セル間で上り送信タイミングと下り受信タイミングとが重なるか否かまたは重なる場合に対して余裕があるか否かの判定指標となる、受信タイミング差に基づいて制御信号を作成できる。そして、この制御信号の通知を受けた基地局150−1によって選択された追加セルを用いて、端末110が通信を行うことにより、送信波のスプリアスに起因する受信品質の劣化を防止することができる。
[実施例3]
実施例3では、追加セルの複数の候補に対して1つずつ順次、回線を仮に確立し、当該追加セルの候補が条件を満たす場合に、当該追加セルの候補を追加セルとする。なお、実施例1及び実施例2との相違点を中心に説明し、実施例1及び実施例2の動作と共通する部分についてはその説明を省略する。以下では、後述の第1のセルに対応する基地局250、つまり接続中の基地局250を基地局250−1と呼び、基地局250−1と異なる基地局250を基地局250−Xと呼ぶことがある。基地局250−Xは、1つの場合もあれば、複数存在する場合もある。また、基地局250−1と基地局250−Xとを特に区別しない場合には、両者をまとめて基地局250と呼ぶことがある。なお、複数の基地局250は、上位局と有線で接続され、上位局を介して互いに接続されていてもよい。又は、複数の基地局250は、有線で直接接続されていてもよい。
[端末の構成例]
図28は、実施例3の端末の一例を示す機能ブロック図である。図28において、端末210は、タイミング情報抽出部211と、無線回線制御部212と、回線制御情報作成部213とを有する。ここで、受信無線部11と、受信処理部12と、既知信号抽出部13と、無線回線品質測定算出部14と、回線設定抽出部19と、タイミング情報抽出部211とを受信部とし、無線回線制御部212を制御部とし、無線回線品質情報作成部17と、回線設定信号作成部21と、送信処理部22と、送信無線部23と、回線制御情報作成部213とを送信部としてもよい。
なお、キャリアアグリゲーションの態様によっては、図28では図示していないが、送信部及び受信部の一部または全てを複数備えていても良い。たとえば、少なくとも2つの異なる周波数バンドに属する周波数帯域をアグリゲーションする場合は、使用する周波数バンドに対応する複数の送信部及び受信部を備える構成としてもよい。
タイミング情報抽出部211は、受信データから、無線回線を仮確立する対象である追加セル候補でのランダムアクセス手順において、追加セル候補に対応する基地局250から送信された送信タイミング情報を抽出し、当該送信タイミング情報を無線回線制御部212へ出力する。送信タイミング情報は、TAコマンドに対応する。なお、接続中の第1のセルについての送信タイミング情報も定期的に送信されてくるので、タイミング情報抽出部211は、この送信タイミング情報も抽出し、無線回線制御部212へ出力する。また、追加セル候補の母集団(つまり、複数の第2のセル)から、基地局250−1に対応するセルを除外してもよいし、追加セル候補の母集団に基地局250−1に対応するセルを含めてもよい。以下では、一例として、追加セル候補の母集団から、基地局250−1に対応するセルが除外される場合について説明する。
無線回線制御部212は、実施例1の無線回線制御部20と同等の機能を有する。さらに、無線回線制御部212は、回線設定抽出部19から受け取る、追加セル候補に対応する回線設定情報を用いて、追加セル候補においてランダムアクセスプリアンブルを送信するように制御し、端末210と追加セル候補に対応する基地局250−Xとの間でランダムアクセス手順を実行する。
また、無線回線制御部212は、タイミング情報抽出部211で抽出された送信タイミング情報を回線制御情報作成部213へ出力し、回線制御情報作成部213に、送信タイミング情報を含めた回線制御情報を作成させる。
回線制御情報作成部213は、送信タイミング情報を含めた回線制御情報を作成し、送信処理部22へ出力する。これにより、追加セル候補に対応する基地局250−Xから送信された送信タイミング情報を、第1のセルに対応する基地局250−1へ通知することができる。
[基地局の構成例]
図29は、実施例3の基地局の一例を示す機能ブロック図である。図29において、基地局250は、取得部251と、回線制御部252とを有する。なお、受信無線部51と、受信処理部52と、取得部251と、受信タイミング測定部54とを受信部とし、回線制御部252を制御部とし、送信処理部56と、送信無線部57と、既知信号作成部58と、回線制御信号作成部59とを送信部としてもよい。
なお、キャリアアグリゲーションの態様によっては、図29では図示していないが、送信部及び受信部の一部または全てを複数備えていても良い。たとえば、少なくとも2つの異なる周波数バンドに属する周波数帯域をアグリゲーションする場合は、使用する周波数バンドに対応する複数の送信部及び受信部を備える構成としてもよい。
また、基地局250は、上記の受信部、制御部、及び送信部を複数セット有し、各セットが各セルに対応していてもよい。
また、以下における基地局250の構成例の説明では、主に、基地局250が第1のセルに対応する基地局250−1である場合について説明する。
取得部251は、受信処理部52から出力された受信データから、回線制御情報を抽出する。この回線制御情報には、上記の通り、追加セル候補に対応する基地局250−Xから送信された送信タイミング情報が含まれていることがある。例えば取得部251は、回線制御情報抽出部261を有し、回線制御情報抽出部261で回線制御情報を抽出する。
回線制御部252は、取得部251で取得された、複数の第2のセルについての無線回線品質情報に基づいて、複数の第2のセルの中から、追加セル候補を選択する。例えば、回線制御部252は、複数の第2のセルの中で無線回線品質情報の示す品質が最も良いセルを、追加セル候補として選択する。
そして、回線制御部252は、追加セル候補に対応する基地局250−Xに対して追加セル候補についての回線設定情報を要求し、当該要求に対応する回線設定情報を、追加セル候補に対応する基地局250−Xから取得部251を介して受け取る。この回線設定情報は、端末210へ送信される。これにより、端末210は、この回線設定情報を用いて、追加セルにおけるランダムアクセス手順を実行することができる。
また、回線制御部252は、端末210と通信中の第1のセルにおける端末210についての第1の送信タイミング情報と、追加セル候補における端末210についての第2の送信タイミング情報とに基づいて、追加セル候補を追加セルとするか否かを判定する。回線制御部252は、第1の送信タイミング情報の示す値と、第2の送信タイミング情報の示す値との差が第3の閾値以下であるときに、追加セル候補を追加セルとすると判定する。一方、回線制御部252は、第1の送信タイミング情報の示す値と、第2の送信タイミング情報の示す値との差が第3の閾値より大きいときに、追加セル候補を追加セルとしないと判定する。
上記第1と第2の送信タイミング差が第3の閾値以下である場合には、回線制御部252は、追加セル候補を追加セルとする旨の情報を、回線制御情報として、端末210及び追加セルに対応する基地局250へ通知する。
一方、送信タイミング差が第3の閾値よりも大きい場合には、回線制御部252は、今回の追加セル候補を追加セルにしない旨の情報を、回線制御情報として、端末210及び今回の追加セル候補に対応する基地局250−Xへ通知する。そして、回線制御部252は、複数の第2のセルの中で今回の追加セル候補の次に無線回線品質の良いセルを、次の追加セル候補として選択する。当該追加セル候補を今回の追加セル候補として上記の処理を繰り返す。この繰り返し処理は、条件を満たす追加セル候補が見つかるまで繰り返してもよいし、予め決められた上限回数に到達するまで繰り返してもよい。上限回数まで繰り返しても条件を満たす追加セル候補が見つからない場合には、回線制御部252は、CAを行わない旨の情報を端末210へ通知してもよい。
図30は、実施例3の回線制御部の一例を示す機能ブロック図である。図30において、回線制御部252は、セル選択部271を有する。このセル選択部271が、追加セル候補の選択処理、及び、追加セル候補を追加セルとするか否かの判定処理を実行する。
[端末及び基地局の動作例]
以上の構成を有する端末210及び基地局250−1の処理動作について説明する。
図31は、実施例3の基地局の処理動作の一例を示すフローチャートである。
基地局250−1は、回線制御部252において、取得部53で取得された、複数の第2のセルについての無線回線品質情報に基づいて、複数の第2のセルの中から、追加セル候補を選択する(ステップS701)。
そして、基地局250−1は、回線制御部252において、追加セル候補に対応する基地局250−Xに対して追加セル候補についての回線設定情報を要求する(ステップS702)。
そして、基地局250−1は、追加セル候補に対応する基地局250−Xから、有線を介して回線設定情報を受信する(ステップS703)。
そして、基地局250−1は、追加セル候補に関する情報、及び、追加セル候補に対応する基地局250−Xから受信した回線設定情報を含む制御信号を、端末210へ送信する(ステップS704)。
そして、基地局250−1は、回線制御部252において、追加セル候補における端末210についての第2の送信タイミング情報を含む回線制御情報を受信する(ステップS705)。
そして、基地局250−1は、回線制御部252において、追加セル候補を追加セルとするか否かを判定する(ステップS706)。この判定には、端末210と通信中の第1のセルにおける端末210についての第1の送信タイミング情報と、追加セル候補における端末210についての第2の送信タイミング情報とが用いられる。
追加セル候補を追加セルとする場合(ステップS706肯定)、処理は終了する。この後、端末210は、第1のセルと追加セルとの両方を同時に用いて通信を行う。
一方、追加セル候補を追加セルとしない場合(ステップS706否定)、基地局250−1は、回線制御部252において、次の追加セル候補を選択する(ステップS701)。例えば、回線制御部252は、複数の第2のセルの中で今回の追加セル候補の次に無線回線品質の良いセルを、次の追加セル候補として選択する。
図32は、実施例3の端末の処理動作の一例を示すフローチャートである。
端末210は、基地局250−1から第1のセルで送信された制御信号を受信する(ステップS801)。この制御信号には、追加セル候補に関する情報、及び、追加セル候補に対応する基地局250−Xから受信した回線設定情報が含まれていることがある。
そして、端末210は、回線設定情報が示すランダムアクセスプリアンブルを、追加セル候補において送信する(ステップS802)。
そして、端末210は、追加セル候補においてランダムアクセスレスポンスを受信する(ステップS803)。
そして、端末210は、ランダムアクセスレスポンスに含まれている追加セル候補の送信タイミング情報を含めた回線制御情報を、第1のセルに対応する基地局250−1へ送信する(ステップS804)。
そして、端末210は、基地局250−1から第1のセルで送信された制御信号を受信する(ステップS805)。この制御信号には、今回の追加セル候補を追加セルとするか否かを示す情報が含まれる。
そして、端末210は、制御信号に基づいて、今回の追加セル候補を追加セルとするか否かを判定する(ステップS806)。
今回の追加セル候補を追加セルとする場合(ステップS806肯定)、処理は終了する。一方、今回の追加セル候補を追加セルとしない場合(ステップS806否定)、処理は、ステップS801に戻る。
次に、端末210と、端末210が信号を受信可能な範囲に存在する複数の基地局250との処理動作について説明する。図33は、実施例3の端末及び基地局の処理動作の一例を示すシーケンス図である。図33では、一例として、1つの端末210(つまりUE)と、端末210が接続中の基地局250−1であるeNB1と、端末210が未接続の基地局250−XであるeNB2,3とを挙げて説明する。そして、eNB1は、UEとの間で既に第1のセルでの無線回線が確立されている。第1のセルは、eNB1のCC2に対応する。
eNB1は、UEから送信された無線回線品質情報に基づいて、追加セル候補を選択する(ステップS901)。ここでは、追加セル候補として、eNB2のCC3が選択されたとする。
そして、eNB1は、追加セル候補に対応するeNB2に対して、回線設定情報を要求するためのメッセージを送信する(ステップS902)。
そして、eNB2は、eNB2のCC3の回線設定情報をeNB1へ送信する(ステップS903)。ここで、上述の通り、回線設定情報には、追加セル候補を仮確立するために必要な情報、例えば、帯域幅等のシステム情報、回線設定に関する制御情報、及びランダムアクセスに関する情報(例えば、個別ランダムアクセスプリアンブル(dedicated random access preamble))等が含まれている。また、eNB2は、複数のランダムアクセスプリアンブル候補の中から、追加セルに対応するランダムアクセスプリアンブルを選択し、選択したランダムアクセスプリアンブルを回線設定情報に含めて、eNB1へ送信する。
そして、eNB1は、追加セル候補に関する情報、及び、追加セル候補の回線設定情報を、UEへ送信する(ステップS904)。この回線設定情報の送信には、例えば、下り制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control CHannel)が用いられる。
また、eNB1は、第1のセルにおける通信を制御する(ステップS905)。この制御では、回線制御部252が、例えば、追加セル候補の無線回線を仮確立するために後に行われる、ランダムアクセス手順の間、第1のセルにおける、UEとeNB1との間の通信を停止させてもよい。これにより、第1のセル及び追加セル候補の一方の送信タイミングと他方の受信タイミングとが重なることを回避できるので、ランダムアクセス手順を確実に実行することができる。又は、この制御では、TDD方式の場合、第1のセル及び追加セル候補の一方の上り送信タイミングが他方の下り受信タイミングと原理的に重ならないサブフレームの内で、追加セル候補におけるランダムアクセス手順を実行させる期間を、eNB1の回線制御部252が決定してもよい。これにより、第1のセル及び追加セル候補の一方の送信タイミングと他方の受信タイミングとが重ならない期間でランダムアクセス手順を実行できるので、ランダムアクセス手順を確実に実行することができる。この場合、eNB1の回線制御部252は、追加セル候補におけるランダムアクセス手順を実行させる期間を示す情報をUEへ通知する。この通知される期間は、例えば、サブフレームを単位として通知されてもよいし、10個のサブフレームを有するフレームを単位として通知されてもよい。又は、この期間は、少なくとも1つの基準となるサブフレームと、当該サブフレームを基準として連続するサブフレームの数とによって通知されてもよい。ここで、TDD方式の場合、第1のセル及び追加セル候補の一方の上り送信タイミングが他方の下り受信タイミングと原理的に重ならないサブフレームとは、下りサブフレームと次のスペシャルサブフレームと次の上りサブフレームとを除く、サブフレームである。
そして、UEは、受け取った追加セル候補の回線設定情報を用いて、eNB2のCC3でランダムアクセス手順を実施する(ステップS906)。なお、ここでは、追加セル候補の送信タイミング情報を取得できればよいので、ランダムアクセス手順は、最後まで実行されなくてもよい。また、eNB2は、ランダムアクセス手順においてUEから送信されたランダムアクセスプリアンブルの受信タイミングに基づいてTAを作成し、作成したTAをランダムアクセスレスポンスに含めてUEへ送信する。
そして、UEは、ランダムアクセスレスポンスに含まれる送信タイミング情報、つまりeNB3のCC3(追加セル候補)で受信したTAを、第1のセルに対応するeNB1へ通知する(ステップS907)。
そして、eNB1は、回線制御部252において、追加セル候補を追加セルとするか否かを判定する(ステップS908)。この判定には、UEと通信中の第1のセルにおけるUEについての第1の送信タイミング情報(TA)と、追加セル候補におけるUEについての第2の送信タイミング情報(TA)とが用いられる。ここでは、今回の追加セル候補を追加セルとしないと判定されたとする。
eNB1は、回線制御部252において、仮確立された追加セル候補の無線回線を切断する旨の通知を、UE及び追加セル候補に対応するeNB2へ送信する(ステップS909,S910)。なお、ステップS906での、追加セル候補におけるランダムアクセス手順が最後まで実行されていない場合には、この通知が送信されなくてもよい。
eNB1は、次の追加セル候補を選択する(ステップS911)。ここでは、追加セル候補として、eNB3のCC1が選択されたとする。
eNB1は、追加セル候補に対応するeNB3に対して、回線設定情報を要求するためのメッセージを送信する(ステップS912)。
eNB3は、eNB3のCC1の回線設定情報をeNB1へ送信する(ステップS913)。ここで、上述の通り、回線設定情報には、追加セル候補を仮確立するために必要な情報、例えば、帯域幅等のシステム情報、回線設定に関する制御情報、及びランダムアクセスに関する情報(例えば、個別ランダムアクセスプリアンブル(dedicated random access preamble))等が含まれている。また、eNB3は、複数のランダムアクセスプリアンブル候補の中から、追加セルに対応するランダムアクセスプリアンブルを選択し、選択したランダムアクセスプリアンブルを回線設定情報に含めて、eNB1へ送信する。
eNB1は、追加セル候補に関する情報、及び、追加セル候補の回線設定情報を、UEへ送信する(ステップS914)。この回線設定情報の送信には、例えば、下り制御チャネル(PDCCH: Physical Downlink Control CHannel)が用いられる。
また、eNB1は、第1のセルにおける通信を制御する(ステップS915)。これはステップS805の処理と同等である。
UEは、受け取った追加セル候補の回線設定情報を用いて、eNB3のCC1でランダムアクセス手順を実施する(ステップS916)。なお、ここでは、追加セル候補の送信タイミング情報を取得できればよいので、ランダムアクセス手順は、最後まで実行されなくてもよい。
UEは、ランダムアクセスレスポンスに含まれる送信タイミング情報、つまりeNB3のCC3(追加セル候補)で受信したTAを、第1のセルに対応するeNB1へ通知する(ステップS917)。
eNB1は、回線制御部252において、追加セル候補を追加セルとするか否かを判定する(ステップS918)。この判定には、UEと通信中の第1のセルにおけるUEへの第1の送信タイミング情報(TA)と、追加セル候補におけるUEへの第2の送信タイミング情報(TA)とが用いられる。ここでは、今回の追加セル候補を追加セルとすると判定されたとする。
eNB1は、回線制御部252において、仮確立された追加セル候補の無線回線を維持する旨の通知を、UE及び追加セル候補に対応するeNB3へ送信する(ステップS919,S920)。なお、ステップS916での、追加セル候補におけるランダムアクセス手順が最後まで実行されていない場合には、再度、追加セルにおけるランダムアクセス手順を行うことを通知してもよい。
そして、UEは、eNB1のCC2と、eNB3のCC1とによって、データを送受信する(ステップS921,S922)。
以上のように本実施例によれば、基地局250−1において、取得部251は、第1のセルにおける第1の送信タイミング情報と、基地局250−1又は基地局250−Xにそれぞれ対応する、複数の第2のセルの各々における第2の送信タイミング情報とを取得する。そして、回線制御部252は、複数の第2のセルに含まれ且つ第1のセルと共に使用される追加セルを端末210へ通知する制御信号を、第1の送信タイミング情報と第2の送信タイミング情報とに基づいて作成する。
この基地局250−1の構成により、セル間で上り送信タイミングと下り受信タイミングとが重なるか否かまたは重なる場合に対して余裕があるか否かの判定指標となる、送信タイミング情報に基づいて制御信号を作成できる。これにより、送信波のスプリアスに起因する受信品質の劣化を防止することができる。
例えば、回線制御部252は、第1の送信タイミングと第2の送信タイミングとの差に基づいて、複数の第2のセルの中から追加セルを選択するセル選択部271を含み、複数の第2のセルの中から、送信タイミング差が第1の閾値以下であるセルを、追加セルとして選択する。そして、第3の閾値は、下りサブフレームと上りサブフレームとに挟まれるサブフレームに規定される無伝送区間(つまり、ギャップ区間)の長さに応じた値とされる。
ここで、以上で説明した通信システムには、以下の変更を行うことができる。
[1]図33のシーケンスでは、追加セル候補の送信タイミング情報がUEを介してeNB1へ送信されたが、これに限定されない。例えば、図34に示すように、追加セル候補に対応する基地局eNB2,3が、追加セル候補の送信タイミング情報を、有線を介して第1のセルに対応するeNB1へ送信してもよい。
図34は、端末及び基地局の処理動作の他の一例を示すシーケンス図である。
eNB2は、eNB2のCC3における送信タイミング情報、つまりTAを、回線設定情報に含めて、第1のセルに対応するeNB1へ送信する(ステップS1001)。
また、eNB3は、eNB3のCC1における送信タイミング情報、つまりTAを、回線設定情報に含めて、第1のセルに対応するeNB1へ送信する(ステップS1002)。
[2]以上の説明では、基地局250−1が、追加セル候補を追加セルとするか否かについて判定するものとして説明を行ったが、これに限定されない。すなわち、端末210において無線回線制御部212が、接続中の第1のセルにおける送信タイミング情報と、追加セル候補における送信タイミング情報とに基づいて、追加セル候補を追加セルとするか否かについて判定してもよい。この場合、無線回線制御部212は、追加セル候補を追加セルとする旨の通知を基地局250−1に対して行う。
[3]以上の説明では、基地局250−1が、接続中の第1のセルにおける送信タイミング情報と、追加セル候補における送信タイミング情報とに基づいて、追加セル候補を追加セルとするか否かについて判定するものとして説明を行ったが、これに限定されない。例えば、基地局250−1は、端末210から送信された既知信号(例えばパイロット)についての、基地局250−1の第1のセルにおける受信タイミングと、追加セル候補に対応する基地局250−Xにおける受信タイミングとに基づいて、追加セル候補を追加セルとするか否かについて判定してもよい。すなわち、基地局250−1は、上り回線で送信された既知信号(例えばパイロット)の受信タイミングに基づいて、追加セル候補を追加セルとするか否かについて判定してもよい。この場合には、追加セル候補に対応する基地局250−Xにおける受信タイミングに関する情報は、上記と同様に、端末210を介してか又は有線を介して、第1のセルに対応する基地局250−1へ伝送される。
[実施例4]
実施例4では、通信システムのすべてのセルに対して、共通のTDDフレームパターンを適用する。ここでは、図1を用いて説明する。
実施例4の通信システム1は、複数の基地局50と、複数の端末10とを有する。複数の端末10には、複数のセルを用いて通信する端末10が含まれていることがある。各基地局50は、自装置が収容する端末10と少なくとも1つのセルを用いて通信を行う。更に、各基地局50の全てのセルに対して、ある一つのTDDフレームパターンを適用する。
ここで、TDDの場合、第1のセル及び第2のセルに対して異なるTDDフレームパターンが適用される場合、下りサブフレーム、スペシャルサブフレーム及び上りサブフレームの3つ連続するサブフレーム以外のサブフレームでも、上記の受信品質の低下が起こりうる。この問題は、1つの端末10が通信に用いる、第1のセルの第1のCCと第2のセルの第2のCCとが隣接する場合に、特に顕著となる。従って、対応するCCが隣接する第1のセル及び第2のセルに対しては、共通のTDDフレームパターンが適用されることが好ましい。さらに、他の端末10に着目すれば、セルの他の組合せにおいても、共通のTDDフレームパターンが適用されることが好ましい。さらに、複数のセルを纏めたグループに対して共通のTDDフレームパターンを適用しても、グループを跨いだセルの組合せを用いて端末10が通信する可能性もある。結果として、通信システム1における複数の基地局50に対応する全セルに設定されるTDDフレームパターンが共通していることが好ましい。
例えば、通信システム1の全体に適用されるTDDフレームパターンを、基地局50のすべてがそれぞれ記憶しておく。そして、各基地局50は、収容している端末10に対して、TDDフレームパターンを通知する。この通知には、例えばLTEシステムの場合、SIB(System Information Block)及びMIB(Master Information Block)等のシステム情報が用いられてもよい。また、この通知は、周期的に報知(Broadcast)されてもよい。このシステム情報を受け取った端末10は、通知されたTDDフレームパターンに従って、通信を行う。
なお、実施例4の態様は、実施例1から実施例3のいずれに対しても適用可能である。
[他の実施例]
[1]実施例1から実施例4では、伝搬遅延差が閾値以下であることを条件として、追加セルを選択している。しかしながら、これに限定されるものではなく、この条件を第1の条件として、伝搬遅延の和が閾値以下であることを第2の条件としてもよい。すなわち、当該第1の条件及び当該第2の条件の両方が満たされることを条件として、追加セルが選択されてもよい。伝搬遅延差に対応する閾値と、伝搬遅延和に対応する閾値とは、同じでもよいし、異なっていてもよい。
[2]実施例1から実施例4では、主にTDDが適用されることを前提として説明を行ったが、これに限定されない。例えば、実施例1から4で説明した技術は、FDDにも適用可能である。
[3]実施例1から実施例4の端末及び基地局は、次のようなハードウェア構成により実現することができる。
図35は、端末のハードウェア構成例を示す図である。図35において端末300は、LSI(Large Scale Integrated circuit)301,302と、プロセッサ303と、メモリ304,305と、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部306と、マイク307と、拡声器308とを有する。プロセッサ303は、LSI301,302と、メモリ305と、表示部306と、マイク307と、拡声器308とバスを介して接続されている。また、LSI301,302は、メモリ304とそれぞれ接続されている。
LSI301は、端末300における受信に関わる処理を行う。すなわち、LSI301は、受信無線処理及びベースバンド受信処理等を行う。一方、LSI302は、端末300における送信に関わる処理を行う。すなわち、LSI302は、ベースバンド送信処理及び送信無線処理等を行う。また、プロセッサ303の一例としては、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。また、メモリ304,305の一例としては、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等が挙げられる。なお、図35では、LSI301,302でベースバンド処理を実行する構成例を示しているが、当該ベースバンド処理をプロセッサ303で実行する構成としても良い。または、端末が複数個のプロセッサを備えても良い。たとえば、端末は、ユーザインタフェースに関する処理など主に応用層の処理を実行するアプリケーションCPUと、実施例1から実施例4に例示した各種処理機能など主に無線制御に関する処理を実行する無線処理CPU(ベースバンドCPUとも呼ばれる)とを有する構成とすることができる。
そして、実施例1から実施例4の端末で行われる各種処理機能は、不揮発性記憶媒体などの各種メモリに格納されたプログラムを端末が備えるプロセッサで実行することによって実現してもよい。すなわち、受信部(つまり、受信処理部12、既知信号抽出部13、無線回線品質測定算出部14、受信タイミング測定部15、タイミング差算出部16、回線設定抽出部19、及びタイミング情報抽出部211等)によって実行される各処理に対応するプログラムがメモリ304に記録され、各プログラムがLSI301で実行されてもよい。また、制御部(つまり、無線回線制御部20,111,212等)によって実行される各処理に対応するプログラムがメモリ305に記録され、各プログラムがプロセッサ303で実行されてもよい。また、送信部(つまり、無線回線品質情報作成部17、タイミング差情報作成部18、回線設定信号作成部21、送信処理部22、及び回線制御情報作成部112,213等)によって実行される各処理に対応するプログラムがメモリ304に記録され、各プログラムがLSI302で実行されてもよい。なお、上記の受信部及び送信部によって実行される各処理に対応するプログラムは、プロセッサ303で実行されてもよいし、プロセッサ303以外のプロセッサ(例えば、上記のベースバンドCPU)で実行されてもよい。
図36は、基地局のハードウェア構成を示す図である。図36において基地局400は、LSI401,402と、プロセッサ403と、メモリ404,405と、I/F(Inter/Face)406とを有する。プロセッサ403は、LSI401,402、メモリ405、及びI/F406とバスを介して接続されている。また、LSI401,402は、メモリ404とそれぞれ接続されている。
LSI401は、基地局400における受信に関わる処理を行う。すなわち、LSI401は、受信無線処理及び受信ベースバンド処理等を行う。一方、LSI402は、基地局400における送信に関わる処理を行う。すなわち、LSI402は、ベースバンド送信処理及び送信無線処理等を行う。また、プロセッサ403の一例としては、CPU、DSP、FPGA等が挙げられる。また、メモリ404,405の一例としては、SDRAM等のRAM、ROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。
そして、実施例1から実施例4の基地局で行われる各種処理機能は、不揮発性記憶媒体などの各種メモリに格納されたプログラムを基地局が備えるプロセッサで実行することによって実現してもよい。すなわち、受信部(つまり、受信処理部52、取得部53,151,251、及び受信タイミング測定部54等)によって実行される各処理に対応するプログラムがメモリ404に記録され、各プログラムがLSI401で実行されてもよい。また、制御部(つまり、回線制御部55,152,252等)によって実行される各処理に対応するプログラムがメモリ405に記録され、各プログラムがプロセッサ403で実行されてもよい。また、送信部(つまり、送信処理部56、既知信号作成部58、及び回線制御信号作成部59等)によって実行される各処理に対応するプログラムがメモリ404に記録され、各プログラムがLSI402で実行されてもよい。
また、ここでは、基地局が一体の装置であるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、基地局は、無線装置と制御装置という2つの別体の装置によって構成されてもよい。この場合、例えば、LSI401,402とメモリ404とは無線装置に配設され、プロセッサ403と、メモリ405と、I/F406とは制御装置に配設される。
ここで、CAに用いられる各セルに対して同じTDDフレームパターンが適用されれば、セル間で上り回線期間と下り回線期間とが重なることがないようにも思われる。しかしながら、端末10と基地局50との間の伝搬遅延がセル間で異なる場合には、一方のセルの下り受信タイミングが他方のセルの上り送信タイミングと重なってしまう可能性がある。これにより、送信波のスプリアス成分に起因して受信品質が低下してしまう可能性がある。言い換えれば、送信波のスプリアス成分が受信波に対して干渉となり、SIRが劣化し、受信品質が低下する可能性がある。
従って、図11に示すように、UE1の下り受信期間は、eNB1の下り送信期間よりもτ1だけ遅れる。また、eNB1の上り受信期間内にUE1から送信された信号を到達させるために、UE1の上り送信期間は、eNB1の上り受信期間よりもτ1だけ早める。同様に、eNB2の上り受信期間内にUE1から送信された信号を到達させるために、UE1の上り送信期間は、eNB2の上り受信期間よりもτ2だけ早める。すなわち、eNB1は、TAコマンドによって、UE1に対して、τ1に対応する上り送信タイミングの制御を行う。一方、eNB2は、TAコマンドによって、UE1に対して、τ2に対応する上り送信タイミングの制御を行う。ここで、eNB1とeNB2とが一定レベル以上の精度で同期していると仮定すると、τ1とτ2との差の長さ、及び、スペシャルサブフレームに含まれるギャップ区間の長さに依っては、図11に示すように、UE1がeNB1から送信された信号を受信する下り受信期間と、UE1がeNB2へ信号を送信する上り送信期間とが重なってしまう可能性がある。換言すれば、一方のセルの下り受信タイミングが他方のセルの下り送信タイミングと重なってしまう可能性がある。
取得部53は、受信処理部52から出力された受信データから、無線回線品質(channel quality)情報、回線設定(channel setup)情報、及びタイミング差情報をそれぞれ抽出する。取得部53は、抽出した無線回線品質情報、回線設定情報、及びタイミング差情報を、回線制御部55へ出力する。なお、無線回線品質とは、既知信号(例えば、パイロットや参照信号(RS:Reference Signal))の受信品質であり、例えば、SIR(Signal to Interference Ration)、SNR(Signal to Noise Ratio)、受信電力(又は受信電界強度)、既知信号受信電力(例えば:パイロット受信電力(PSRP: Pilot Signal Received Power)、参照信号受信電力(RSRP: Reference Signal Received Power))、既知信号受信品質(例えば、パイロット信号受信品質(PSRQ: Pilot Signal Received Quality)、参照信号受信品質(RSRQ:Reference Signal Received Quality))等の何れかである。また、SIRを基に算出した無線回線品質指標(CQI: Channel Quality Indicator)等であってもよい。また、回線設定情報とは、回線設定に必要となる制御情報であり、例えば使用する周波数の帯域幅、セルIDなどの無線回線に関する制御情報や、ランダムアクセスなどの回線接続に関する制御情報などで構成されるものである。また、タイミング差情報は、広い意味で、受信時間に関する情報に相当する。なお、既知信号とは送信装置と受信装置とにおいて予め決め、他の信号と識別可能な信号である。特に受信装置において、受信すべき信号として認識できることから、実際に受信した信号と比較することにより、干渉信号を識別することも可能となる。
無線回線品質測定算出部14は、既知信号抽出部13から受け取る既知信号(例えばパイロット)に基づいて、無線回線品質を算出する。この無線回線品質の算出は、通信中の第1のセルと、第1のセルに対応する周波数(つまりCC)と異なる測定対象周波数、つまり第2のセルのそれぞれについて行われる。無線回線品質測定算出部14は、算出した無線回線品質を、無線回線品質情報作成部17へ出力する。なお、無線回線品質としては、SIR、SNR、受信電力(又は受信電界強度)、既知信号受信電力(例えば:パイロット受信電力(PSRP: Pilot Signal Received Power)、既知信号受信品質(例えば、パイロット信号受信品質(PSRQ: Pilot Signal Received Quality)、及び、無線回線品質指標等のいずれかを用いることができる。