JPWO2014125748A1 - 吸入空気量推定装置及び吸入空気量推定方法 - Google Patents
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Abstract
吸入空気量推定装置は、スロットル弁より上流側の圧力とスロットル弁より下流側の圧力との比であるスロットル弁上下流圧力比と、スロットル弁の開口面積と、に基づいてスロットル弁通過空気量を算出するスロットル弁通過空気量算出手段を備え、スロットル弁通過空気量に基づいて内燃機関の吸入空気量を推定する。さらに、吸入空気量推定装置は、吸気弁閉タイミングに基づいて実シリンダ容積を算出し、かつ、実シリンダ容積に応じてスロットル弁通過空気量を補正する補正手段を備える。
Description
本発明は、内燃機関の吸入空気量を推定する装置及び方法に関する。
内燃機関の燃料噴射量を設定する手法として、エアフローメータの検出値を吸入空気量とみなし、吸入空気量に応じて燃料噴射量を設定する手法が知られている。しかし、空気がエアフローメータを通過してから内燃機関に流入するまでには遅れ時間が生じるため、例えば加速時等の過渡状態においては、エアフローメータの検出値と実際の吸入空気量との差が増大し、制御の精度が低下してしまう。そこでJP2008−151145Aでは、スロットル弁上流側とスロットル弁下流側の圧力比と、スロットル弁開口面積と、に基づいてスロットル弁通過空気量を算出し、このスロットル弁通過空気量を吸入空気量とみなしている。
しかしながら、上記文献に記載の手法では、圧力比一定のまま、吸気弁閉タイミングを可変制御することで要求負荷に応じた吸入空気量を実現する場合に、正確なスロットル弁通過空気量を算出できず、結果的に吸入空気量を精度良く推定できない。
そこで、吸気弁閉タイミングを可変制御し得る可変動弁機構を備える場合であっても、精度良く吸入空気量を推定することを目的とする。
本発明のある態様によれば、スロットル弁より上流側の圧力とスロットル弁より下流側の圧力との比であるスロットル弁上下流圧力比と、スロットル弁の開口面積と、に基づいてスロットル弁通過空気量を算出するスロットル弁通過空気量算出手段を備え、スロットル弁通過空気量に基づいて内燃機関の吸入空気量を推定する吸入空気量推定装置が提供される。吸入空気量推定装置は、吸気弁閉タイミングに基づいて算出した実シリンダ容積に応じてスロットル弁通過空気量を補正する補正手段を備える。
上記態様によれば、補正手段によってスロットル弁通過空気量をシリンダ実容積に応じて補正するので、圧力比一定のまま吸気弁閉タイミングを変更することで吸入空気量を制御する場合でも、正確なスロットル弁通過空気量を算出できる。その結果、吸入空気量を精度良く推定することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る吸入空気量推定装置を適用するシステムの構成図である。
内燃機関1は、吸気弁11及び排気弁12がそれぞれ吸気カムシャフト9及び排気カムシャフト10により駆動されるよう構成され、吸気側には吸気弁11のバルブタイミングを可変に設定し得る可変動弁機構17が備えられる。吸気通路2には、上流側からエアフィルタ20、エアフローメータ4、過給機5、温度及び圧力を検出するスロットル上流側センサ6、スロットル弁7、コレクタタンク8、燃料噴射弁16が配置される。また、吸気通路2の過給機5より上流側と下流側を連通するバイパス通路18、及びバイパス通路18の流路を開閉するバイパス弁19が配置される。
過給機5としては、内燃機関1の駆動力を用いて駆動する機械式の過給機を用いる。
スロットル弁7は、いわゆる電子制御スロットルであり、電動モータ等のアクチュエータによりアクセル開度等に応じた開度に設定される。また、スロットル開度を検出するセンサも含んで構成されている。
コレクタタンク8は、各気筒への分岐管2Aが連通している。また、インタークーラ機能も併せ持つ。
一方、排気通路3には、排気浄化触媒21、及び排気浄化触媒21に流入する排気の空燃比を検出する空燃比センサ31が配置されている。
エアフローメータ4、上流側センサ6、空燃比センサ31、クランクシャフト14の回転数(エンジン回転数)を検出するクランク角センサ30、可変動弁機構17の変換角を検出するカム角センサ32の各検出値は、コントローラ(スロットル弁通過空気量算出手段、補正手段)50に読み込まれる。
コントローラ50は、上記各センサの他にも図示しないアクセル開度センサ等の検出値も読込み、検出値に基づいて、燃料噴射量、燃料噴射タイミング、点火時期、スロットル開度、可変動弁機構17の変換角、バイパス弁19の開度等を設定する。
なお、コントローラ50は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ50を複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。
ここで、コントローラ50が実行する吸入空気量の推定演算について説明する。
基本的には、エアフローメータ4の検出値(電圧値)を読み込み、予め設定した電圧値と吸入空気量との関係から吸入空気量を算出する。アクセルペダル開度及び道路勾配が一定のいわゆる定常状態では、エアフローメータ4を通過した空気量とスロットル弁7を通過する空気量は同一とみなすことができるので、この算出方法で算出した吸入空気量に基づいて燃料噴射量の算出等の各種制御を行なう。
しかし、過給圧が変化するような過渡状態であって、エアフローメータ4を通過する空気量とスロットル弁7を通過する空気量が同一ではなくなる状態では、エアフローメータ4の検出値に基づいて算出した吸入空気量を用いると、各種制御の精度が低下してしまう。そこで、このような場合には、後述する制御により吸入空気量を推定することとする。
図2は、上述したような過渡状態においてコントローラ50が実行する、吸入空気量を推定するための制御ルーチンを示すフローチャートである。すなわち、図2の制御ルーチンの実行に先立って定常状態か過渡状態かを判定し、過渡状態であると判定した場合に図2の制御ルーチンを実行する。過渡状態か否かの判定は、例えば、エンジン回転数毎にアクセルペダル開度変化量閾値を割り付けたテーブルを予め作成しておき、アクセルペダル開度が当該閾値を超えた場合には過渡状態である、と判定する。以下、フローチャートのステップにしたがって説明する。
ステップS100で、コントローラ50はスロットル弁7の上流側と下流側の圧力比が1であるか否かを判定し、1の場合はステップS102の処理を実行し、1でない場合はステップS104の処理を実行する。なお、圧力比が1よりもわずかに小さい所定値以上か否かを判定し、所定値以上の場合はステップS102の処理を実行し、所定値より小さい場合はステップS104の処理を実行するようにしてもよい。すなわち、圧力比が1近傍の場合にステップS102の処理を実行するようにしてもよい。
上流側の圧力は上流側センサ6の検出値を用いる。下流側の圧力は、センサを用いて直接検出してもよいし、前回演算値や吸気温度等を用いる公知の推定方法によって推定してもよい。
また、スロットル弁7の上流側と下流側の圧力比に代えて、スロットル開度を用いて判定してもよい。この場合、スロットル弁7の上流側と下流側の圧力比が1となるスロットル開度をエンジン回転数毎に調べてスロットル開度閾値として設定し、エンジン回転数及びスロットル開度を読み込んで判定する。
ステップS102で、コントローラ50は、式(1)によりスロットル弁通過空気量Qthを算出し、これを吸入空気量とする。
Qth=ρ×A×v×Vnow/Vstd ・・・(1)
式(1)において、ρは空気密度であり、上流側センサ6で検出した空気の温度及び圧力に基づいて算出する。
同じくAはスロットル弁開口面積である。このスロットル弁開口面積Aは、スロットル弁7の開度と開口面積との関係を予め調べておき、スロットル弁7の開度センサの検出値に基づいて算出する。
同じくvはスロットル弁通過空気流速である。スロットル弁通過空気流速は、スロットル弁7の上流側と下流側の圧力比に基づいて算出する。
同じくVnowは現在のシリンダボリューム(実シリンダ容積)であり、式(2)により算出する。
Vnow=(Vivc+燃料室容積)×(1−内部EGR率)・・・(2)
ここで、Vivcは吸気弁閉タイミングにおける行程容積である。吸気弁閉タイミングは可変動弁機構17の変換角から求まる。吸気弁閉タイミングが求まれば吸気弁閉タイミングにおけるピストン位置も求まり、吸気弁閉タイミングにおける行程容積を算出できる。燃焼室容積は幾何的に算出する。内部EGR率は、後述するように適合により算出する。
式(1)のVstdはシリンダボリューム基準値であり、エンジン回転数毎の最大負荷状態におけるシリンダ容積である。すなわり、算出方法自体は現在のシリンダボリュームVnowと同様であり、当該エンジン回転数において負荷を最大とした場合の吸気弁閉タイミングで算出する。
ここで、内部EGR率の適合について説明する。図3は、図1のスロットル弁7より下流側部分を簡略化した図である。
コントローラ50は、コレクタタンク8に流入する空気量、つまりスロットル通過空気量Qth[g/s]と、コレクタタンク8から内燃機関1に流入する空気量、つまりシリンダ吸入空気量Qcyl[g/s]の収支演算により、コレクタタンク内空気質量Mcol[g]を求めている。式(3)は上記収支演算の内容を示す式である。
式(3)のシリンダ吸入空気量Qcylは、1サイクルの1シリンダ当たりのシリンダ吸入空気量Mcyl[g]とエンジン回転数[rpm]の関数として求める。すなわち、シリンダ吸入空気量Qcylの単位を[g/s]とする。
また、1サイクルの1シリンダ当たりのシリンダ吸入空気量Mcylは、式(4)により求める。
なお、ρcolはコレクタタンク内密度[g/L]、Vcylはシリンダ容積[L]、Vcolはコレクタタンク容積[L]である。
式(4)におけるシリンダ容積Vcyl[L]は、式(2)により算出する現在のシリンダボリュームVnowである。
一方、コントローラ50は、式(5)によりコレクタタンク内圧力Pcolを算出している。
式(5)の算出結果が実際に圧力センサで検出する圧力と一致するように、式(2)の内部EGR率を適合させる。
このようにして決定した内部EGR率を、ステップS102におけるスロットル弁通過空気量Qthの算出に用いる。
一方、ステップS104で、コントローラ50は、空気密度ρ×スロットル弁開口面積A×スロットル弁通過空気流速vをスロットル弁通過空気量Qthとして算出し、これを吸入空気量とする。
上記のように、スロットル弁7の上流側と下流側の圧力比が1の場合は、圧力比及びスロットル開口面積Aに基づいて算出したスロットル弁通過空気量を実シリンダ容積に基づいて補正し、圧力比が1以外の場合は、上記補正を実行しない。
上記制御ルーチンによる作用効果について説明する。
式(2)により吸気弁閉タイミングに基づいて現在のシリンダボリューム(実シリンダ容積)を算出し、スロットル弁の上流側と下流側の圧力比と、スロットル弁開口面積Aとから算出した空気流量ρ×A×vを、実シリンダ容積に基づいて補正する。これにより、圧力比が一定のまま吸気弁閉タイミングを変更することで吸入空気量を制御する場合でも、正確なスロットル弁通過空気量を算出でき、吸入空気量を精度良く推定できる。また、吸入空気量の推定精度が高まることで、例えば、高地と低地のように気圧が異なる場合でも、運転者が所望するトルクを発生させるために必要なアクセル開度を同じにすることができるので、運転性が向上する。
上記の実シリンダ容積に基づく補正の実行(ステップS102)を、スロットル弁7の上流側と下流側の圧力比が1の場合に限定する。スロットル弁7の上流側と下流側の圧力比が1でない場合は、式(1)における現在のシリンダボリュームの影響が無視し得る程度に小さいので、補正の実行を圧力比が1の場合に限定することで、演算負荷を軽減することができる。なお、演算負荷を考慮しない場合は、ステップS100の判定無しにして、常にS102を実行してもよい。
式(2)に示すように、実シリンダ容積を求める際に内部EGR率を考慮することで、スロットル弁通過空気量の推定精度をより高めることができる。
なお、ステップS100とS102の間に、スロットル開度一定のまま可変動弁機構17で吸入空気量を変化させる場合か否かを判定するステップを挿入して、判定結果がyesの場合はステップS102、noの場合はS104の処理を実行するようにしてもよい。これにより演算負荷を軽減できる。具体的な判定内容は、スロットル弁7と可変動弁機構17の協調制御の内容により異なるが、例えば、アクセルペダル開度から定まる目標トルクを実現するために必要な吸入空気量を、吸気弁閉タイミングの変更だけで賄うことができる場合に判定結果をyesとする。
また、過給機5は排気エネルギにより駆動するターボ式過給機や、電動機により駆動する電動式過給機であってもよい。過給機付きの場合、圧力比が1近傍になる頻度が過給機無しの場合に比べて高いので、本実施形態を適用することによる効果がより大きくなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
本願は2013年2月12日に日本国特許庁に出願された特願2013−24630に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明のある態様によれば、スロットル弁より上流側の圧力とスロットル弁より下流側の圧力との比であるスロットル弁上下流圧力比と、スロットル弁の開口面積と、に基づいてスロットル弁通過空気量を算出するスロットル弁通過空気量算出手段を備え、スロットル弁通過空気量に基づいて内燃機関の吸入空気量を推定する吸入空気量推定装置が提供される。吸入空気量推定装置は、吸気弁閉タイミングに基づいて実シリンダ容積を算出し、エンジン回転数毎の最大負荷状態におけるシリンダ容積であるシリンダボリューム基準値に対する実シリンダ容積の割合を用いてスロットル弁通過空気量を補正する補正手段を備える。
上記態様によれば、補正手段によってスロットル弁通過空気量をシリンダボリューム基準値に対する実シリンダ容積の割合を用いて補正するので、圧力比一定のまま吸気弁閉タイミングを変更することで吸入空気量を制御する場合でも、正確なスロットル弁通過空気量を算出できる。その結果、吸入空気量を精度良く推定することができる。
Claims (5)
- スロットル弁より上流側の圧力とスロットル弁より下流側の圧力との比であるスロットル弁上下流圧力比と、スロットル弁の開口面積と、に基づいてスロットル弁通過空気量を算出するスロットル弁通過空気量算出手段を備え、
前記スロットル弁通過空気量に基づいて内燃機関の吸入空気量を推定する吸入空気量推定装置において、
吸気弁閉タイミングに基づいて実シリンダ容積を算出し、前記実シリンダ容積に応じて前記スロットル弁通過空気量を補正する補正手段を備える吸入空気量推定装置。 - 請求項1に記載の吸入空気量推定装置において、
前記補正手段は、前記スロットル弁上下流圧力比が1の場合に補正を行なう吸入空気量推定装置。 - 請求項1または2に記載の吸入空気量推定装置において、
前記補正手段は、前記吸気弁閉タイミングの他に内部EGR率も用いて前記実シリンダ容積を算出する吸入空気量推定装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の吸入空気量推定装置において、
前記スロットル弁の上流側に過給機を備える吸入空気量推定装置。 - スロットル弁より上流側の圧力とスロットル弁より下流側の圧力との比であるスロットル弁上下流圧力比と、スロットル弁の開口面積と、に基づいてスロットル弁通過空気量を算出し、
前記スロットル弁通過空気量に基づいて内燃機関の吸入空気量を推定する吸入空気量推定方法において、
吸気弁閉タイミングに基づいて実シリンダ容積を算出し、前記実シリンダ容積に応じて前記スロットル弁通過空気量を補正する吸入空気量推定方法。
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