JPWO2014112337A1 - 誘電材料及びこれを用いた電気化学素子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、コストと手間のかかる製造工程を必要とせずに、電気二重層キャパシタを作製することができる誘電材料を提供すること、並びに、従来と同等以上の蓄電性能を有する電気二重層キャパシタ等を実現できる誘電材料を提供するものである。そして、本発明の誘電材料は、還元型酸化グラフェンと、無機酸及び/又は炭酸エステルと、を含むこと、を特徴とする。

Description

本発明は、誘電材料及びこれを用いた電気化学素子、並びに当該電気化学素子を用いた蓄電装置等に関する。
近年、自動車の排気ガスによる大都市の大気汚染の緩和、石油代替エネルギーの利用促進、地球温暖化防止に資する二酸化炭素の排出量低減等の観点から、電気自動車やハイブリッド自動車等の低公害車の普及が求められている。また、電力システムへの太陽光や風力、水力等の自然エネルギーに基づく分散電源の導入に伴い、様々な蓄電装置の開発が進められており、特に、蓄電装置の高密度化、大容量化と高耐圧化を図る開発が進められている。そして、蓄電装置に用いられる電気化学素子として、例えば、高密度・大容量を可能とした電気二重層キャパシタが注目されている。
電気二重層キャパシタの容量は、分極性電極の表面積に比例することから、当該分極性電極の材料として、表面積の大きな活性炭が一般に用いられている。活性炭は、ヤシガラ、石油ピッチ、石油コークス等の炭素含有量の多い原料を、300〜700℃の低温で炭化し、その後賦活させることによって生成する。賦活には、例えば水蒸気、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸、又は水酸化カリウム等のカリウム塩等が使用され、製造コストを高騰させる一因となっている。
更に、従来の電気二重層キャパシタにおいては、分極性電極の表面積を大きくすることを意図して、粒状化した活性炭をプロピレンカーボネート等の電解液中に均一に分散させることが行われているが、活性炭を電解液中に均一に分散させることは実際には難しく、活性炭が本来有している表面積を有効活用しにくいという問題がある。
そこで、分極性電極を構成する材料として、活性炭に換えてカーボンナノチューブを用い、このカーボンナノチューブの一本一本を同方向に配置して大容量化を図る技術等が注目されている。
例えば、特許文献1(特開2007−266548号公報)においては、衝撃や曲げ荷重等に起因する変形による漏液の恐れがなく、さらに薄型で大容量の電気を蓄えることが可能な電気二重層キャパシタを提供することを意図して、「集電体上に設けられたカーボンナノチューブ群を覆うように集電体上にゲル状電解質膜を形成してなる正負一対の電極を、容器内に、正極のカーボンナノチューブ群と負極のカーボンナノチューブ群が互いに向き合うように、かつ非接触状に配置することを特徴とする、カーボンナノチューブを用いた電気二重層キャパシタ」が提案されている。
特開2007−266548号公報
しかし、上記特許文献1において提案されているように、正極のカーボンナノチューブ群と負極のカーボンナノチューブ群が互いに向き合うように、かつ非接触状に配置された構造を採用することは、製造工程上も非常に煩雑であり、結果的に最終製品のコストを高くすることになる。
加えて、蓄電装置の大容量化に対する要求から、静電容量等の電気的性能の更なる向上が求められている。
そこで、本発明の目的は、カーボンナノチューブを用いる場合のようなコストと手間のかかる製造工程を必要とせずに、電気二重層キャパシタ等を作製することができる誘電材料(分極性電極の材料)を提供すること、並びに、従来と同等以上の蓄電性能を有する電気二重層キャパシタ等を実現できる誘電材料を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成すべく、種々の誘電材料について鋭意研究を重ねた結果、簡便な製造プロセスと十分な蓄電性能とを両立させるためには、特定のカーボンナノ材料と無機酸及び/又は炭酸エステルとを含む誘電材料を使用することが、極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
還元型酸化グラフェンと、
無機酸及び/又は炭酸エステルと、を含むこと、
を特徴とする誘電材料を提供する。
本発明の誘電材料は、リチウム化合物を含んでいてもよく、また、本発明の誘電材料においては、前記還元型酸化グラフェンに銀、銅、酸化亜鉛、及びパラジウムから選択される少なくとも1つの物質がインターカレート・ドープされていることが好ましい。
また、本発明は、
少なくとも上記の本発明の誘電材料を含む分極性電極と、
セパレータと、
第一の集電極及び第二の集電極と、を含むこと、
を特徴とする電気化学素子を提供する。
本発明の電気化学素子においては、前記第一の集電極及び/又は前記第二の集電極に、少なくとも本発明の誘電材料を塗布し、前記塗布した誘電材料を乾燥させることにより、前記第一の集電極及び/又は前記第二の集電極が表面処理されていること、が好ましい。
ここでいう「電気化学素子」とは、本発明の誘電材料が含まれ、かつその電気的特性が化学的に使用され得る全ての素子を含む概念であり、例えば、電気二重層キャパシタ、コンデンサ及び電池(二次電池及び蓄電池も含む。)、並びにこれらを大型化した装置も本発明の「電気化学素子」に含まれる。
また、本発明は、
上記の本発明の電気化学素子を含むこと、
を特徴とする蓄電装置を提供する。
ここでいう「蓄電装置」とは、例えば無停電電源装置、瞬時電圧低下補償装置及びバックアップ電源等の、電力供給源として使用される電気機器、更には、例えば自動車、風力発電装置及び太陽光発電装置等の、他の発電装置から得られた電気を蓄えて有効利用するためのシステムを含む概念である。
電力供給源として使用される上記電気機器に本発明の電気化学素子を用いれば、直流高電圧を扱う場合であっても、従来のように多数のコンデンサを多段直流接続する必要がなく、安定した動作及び部品点数の低減化の実現が可能となる。
他の発電装置から得られた電気を蓄えて有効利用するためのシステムに関しては、自動車に利用する場合には、モーターを駆動するための動力源や回生ブレーキにより得た電力の蓄電等に有効に利用することができる。また、風力又は太陽光を利用した発電システムは、自然エネルギーを利用するため発電ムラが生じてしまうが、本発明の電気化学素子を利用することにより、この発電ムラを解消し、需要供給の差を埋めることが比較的容易となり、電気の有効利用が可能となる。
更に本発明は、
還元型酸化グラフェンと、
無機酸及び/又は炭酸エステルと、を混合すること、
を特徴とする誘電材料の製造方法を提供する。
本発明の誘電材料の製造方法においては、更にリチウム化合物を混合してもよく、また、前記還元型酸化グラフェンに銀、銅、酸化亜鉛、及びパラジウムから選択される少なくとも1つの物質がインターカレート・ドープされていること、が好ましい。
本発明によれば、カーボンナノチューブを用いる場合のようなコストと手間のかかる製造工程を必要とせずに、電気二重層キャパシタ等を製造することができる誘電材料(分極性電極の材料)を提供すること、並びに、従来と同等以上の蓄電性能を有する電気二重層キャパシタ等を実現できる、高静電容量を有する誘電材料を提供することができる。
本発明の電気化学素子の一実施形態の概略構成図である。 本発明の電気化学素子の別の実施形態(電気二重層キャパシタ)の概略構成図である。 本発明の電気化学素子の更に別の実施形態(鉛蓄電池)の一部を切り欠いた概略斜視図である。 本発明の実施例において誘電材料の静電容量を測定するために作製した測定用電気化学素子の概略断面図である。 本発明の誘電材料の静電容量を示したグラフである。 本発明の実施例において誘電材料の静電容量を測定するために作製した積層型測定用電気化学素子の概略断面図である。
以下、一部図面を参照しながら、本発明の誘電材料及びこれを用いた電気化学素子の代表的な実施形態について詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
≪誘電材料≫
本発明の誘電材料は、還元型酸化グラフェンと無機酸及び/又は炭酸エステルとを有することを特徴とするものである。当該誘電材料は、乾燥工程及び/又は焼成工程を経て、粉末状、顆粒状、集塊状であっても構わない。
還元型酸化グラフェンとは、グラファイトの単分子膜であり、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の種々の方法で製造された還元型酸化グラフェンを用いることができる。
グラファイトは六角網目平面層(還元型酸化グラフェン)がファンデルワールス力により積層された層状構造を有しており、グラファイトの層間のファンデルワールス力を打ち破り、グラファイトを一枚ずつ剥がすことで、還元型酸化グラフェンを得ることができる。
還元型酸化グラフェンを得るには、グラファイトを粘着テープで機械的に剥離する方法が知られているが、この方法では、確実性が低く、大面積の還元型酸化グラフェンが得られず、大量生産が困難である。そのため、最近ではグラファイトを酸化する方法が行なわれている。
即ち、グラファイトに水中で過マンガン酸カリウム、硫酸等の強力な酸化剤を作用させると、グラファイトの各層の表面の炭素が酸化され、表面に酸素を含む置換基(カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシド等)を有するグラファイト酸化物が得られる。グラファイト酸化物はこれらの置換基の存在によって親水性を示し、水中に分散すると剥離し、単層の還元型酸化グラフェン酸化物の水分散液が得られる。更に、超音波処理することにより、グラファイト酸化物はより均一に単層のグラファイト酸化物に剥離し、長期間、安定に分散する。従って、この方法ではグラファイト酸化物を安価で大量に、かつ容易に製造することができる。
上記グラファイト酸化物は、単層であり、比表面積は大きいが、導入された酸素を含む置換基によりπ電子共役網が分断され、電気伝導性が減少し絶縁状態になっているため電極材料としては使用できない。ここで、酸素を含む置換基を還元することにより、電気伝導性を回復させることができる。例えば、グラファイト酸化物が水中に分散されている水分散液に、塩基の存在下で、ヒドラジン等の還元剤を添加して還元する化学還元法、グラファイト酸化物が水中に分散している水分散液に、n−メチルピロリドン、エチレングリコール等の水混和性溶剤を添加し、約200℃に加熱して還元する熱還元法等が存在する。
ここで、好適に使用できる還元型酸化グラフェンとしては、株式会社MICC TEC製の「グラフェライトRGO」を挙げることができる。また、還元型酸化グラフェンの代わりに、還元型酸化グラフェンに銀、銅、酸化亜鉛、及びパラジウムから選択される少なくとも1つの物質をインターカレート・ドープしたものを用いることで、誘電材料の静電容量を、更に向上させることができる。なお、銀、銅、酸化亜鉛、及びパラジウムを還元型酸化グラフェンにインターカレート・ドープしたものとしては、株式会社MICC TEC製の「グラフェライトag007:銀をインターカレート・ドープ」、「グラフェライトcu008:銅をインターカレート・ドープ」、「グラフェライトzn009:酸化亜鉛をインターカレート・ドープ」、及び「グラフェライトPd010:パラジウムをインターカレート・ドープ」をそれぞれ好適に用いることができる。株式会社MICC TEC製の「グラフェライトRGO」は、粒度が4〜80μm、厚みが2〜40nmであり、線状に繋がった形状を有している。
還元型酸化グラフェンは、酸化グラフェンを還元することによって得ることができる。酸化グラフェンは、以下のようにして製造される。まず、グラファイトをスルフォン化する。このスルフォン化反応は、グラファイトに対して、濃硫酸及び濃硝酸を媒体として、酸化剤として過マンガン酸カリ、スルフォン化触媒として炭化Dグルコース (株式会社ヒューマンシステム販売元、製品名:炭化Dグルコース569)を導入する。スルフォン化反応に際しては、強酸である濃硫酸及び濃硝酸に対して耐性のある容器、例えば、硼珪酸耐熱性ガラス製の容器などを使用する。
ここで反応に使用されるグラファイトは、天然のものであっても、合成のものであっても、使用することができるが、純度99%以上が好ましい。また、グラファイト源として、天然グラファイトを使用する場合、シリカなどの不純物が存在しているので、純度99%以上の製品を使用することが好ましい。グラファイトの使用量は、例えば、濃硫酸100ml中に対し1〜50g、好ましくは、10〜30gで使用することが好適である。
更に、金属ドープ還元型酸化グラフェンを製造する場合には、金属又は金属化合物を併存させて、スルフォン化反応を行う。金属としては、例えば、銀や、パラジウム、銅、亜鉛など各種の金属を使用することができる。また、金属としては、金属の酸化物(酸化亜鉛など)、水酸化物、塩など、各種の形態で配合することができる。配合される金属又はその化合物の量は、金属として、例えば、グラファイトに対して、0.01〜5質量%、好ましくは、0.1〜3質量%の量で配合することが好適である。
固体酸触媒は、例えば、D−グルコースや、セルロース、ナフタレン、アントラセンなどの炭素源に対して、濃硫酸(例えば、98%など)や発煙硫酸などの脱水作用、酸化作用を用いて、例えば、200〜300℃程度の高温下において、炭化及びスルフォン化したものである。スルフォン化により、スルフォン化グラファイト粒子は、硫酸との親和性を有することにより、液中アブレーションによる分散性をより高められる。固体酸触媒の量は、例えば、グラファイト20gに対して、例えば、固体酸触媒としての炭化Dグルコース化合物(株式会社ヒューマンシステム販売元、製品名:炭化Dグルコース569)は、例えば、0.1〜10g、好ましくは、0.5〜5gを使用することが好適である。
スルフォン化反応は、グラファイトを、マグネチックスターラーで攪拌しながら、液中にて、レーザアブレーションを行うことにより行うことができる。液中でのレーザアブレーションにより、反応容器内のグラファイト粒子は、ナノコロイド状態にまで微細化され、懸濁させることができる。液中でのレーザアブレーションは、グラファイト粒子に対して、液中で強力なパルスを発生させ、これによりグラファイトの層間隔は拡張し、存在する濃硫酸、濃硝酸、酸化剤、及び固体酸触媒の作用により、層間剥離と酸化及びスルフォン化反応を行うことができる。
得られたスルフォン化グラファイト粒子は、スルフォン酸基が、グラファイトの層間に入り込み、ベンゼン環に結合又は付加した状態で存在するものと考えられる。また、金属をドーピングした場合には、金属は、相間に取り込まれたインターカレーションの形態として存在している可能性が高い。そのため、最終的に得られる金属ドープ還元型酸化グラフェンは、キャパシタとした場合に、取り込まれた金属イオンが、出入りすることにより、電荷の出し入れを行う機能するものと考えられる。
レーザアブレーションは、それ自体公知であり、また、水中において使用され、一般に、金属などの材料表面をレーザで改質し、ナノコロイド粒子状態で水中に均一分散され、沈降しない金属分散の製造技術として利用されるようになっている。可視領域のパルスレーザを使用すると、水中においてアブレーションを起こし、短時間ではあるが、大きな圧力のプルームが材料の表面に形成され、この圧力を利用して、金属の表面を局所的に変形させるものと理解されている。水中では、水の慣性によって、プルームの膨張が抑制されるため、プルームの圧力は、空気中の10〜100倍となり、数ギガパスカル(GPa)にも達する。この圧力によって衝撃波が発生し、材料中を伝播すると理解されている。
レーザアブレーションに使用するレーザとして、ガラスファイバーで液中まで送れるYAGレーザ(波長、例えば、1.06μm)を好適に利用することができる。液媒体中の撹拌下において、液中でレーザアブレーションを行うことにより、多層グラファイト層間距離が、例えば、約3倍に拡張し、スルフォン化に好適な固体酸触媒の存在下において、強いスルフォン化条件で、グラファイトのベンゼン環にスルフォン基を導入することが可能となり、スルフォン化グラファイト粒子のナノ分散液が得られる。
このようにして得られたスルフォン化グラファイトのナノ分散液中のスルフォン化グラファイトは、次いで、加水分解され、酸化グラフェンに変換される。得られたスルフォン化グラファイト粒子の加水分解は、水及び塩酸を加えることにより行うことができる。
使用される水の量は、濃硫酸100mlに対して、例えば、500〜1200ml、好ましくは、700〜900ml程度である。使用される濃塩酸の濃度は、例えば、25〜40質量%であり、好ましくは、34〜37質量%である。使用される塩酸の量は、過マンガン酸カリウム20gに対して、例えば、5〜20g、好ましくは、8〜12gであることが好適である。加水分解後、5分〜60分、好ましくは、10〜30分程度自然放冷することによって残留過マンガン酸カリウム、炭化Dグルコース (株式会社ヒューマンシステム販売元、製品名:炭化Dグルコース569)を分解し、不純物を浮上させる。浮遊した不純物を取り除き、媒体に分散された反応生成物を遠心分離離装置を使用して、固相と、液相とに分離する。次いで上清は廃棄し、ペースト状の固相は、加熱乾燥や又は水を400ml加え、粘度を下げスプレイドライヤーなどにより水分を飛ばし、固体の酸化グラフェン粉末とすることができる。
酸化グラフェンの生成は、ラマンスペクトルにより、確認することができる。同様に金属ドープ型酸化グラフェンの生成についても、ラマンスペクトルにより確認することができる。
上記のようにして得られた酸化グラフェン又は金属ドープ酸化グラフェンは、次いで、ゆるやかな還元を行うことにより、グラフェンとは異なり、酸化グラフェンに比べて、水酸基や、カルボキシル基などの官能基を残した形態の構造を有する金属非ドープ又は金属ドープ還元型酸化グラフェンが得られる。
以下、金属非ドープ又は金属ドープ還元型酸化グラフェンの製造工程について説明する。好ましくは、窒素ボンベから窒素気流を流しながら、マントルヒーターなどの加熱装置で加熱された反応器に導入された金属非ドープ酸化グラフェン又は金属ドープ酸化グラフェン粉末を還元する。この場合、得られる金属非ドープ又は金属ドープ還元型酸化グラフェンは、非常に微細でかつ嵩高いため、得られた金属非ドープ又は金属ドープ還元型酸化グラフェンを効率よく収集するために、2つの捕集装置を採用してもよい。このような捕集装置としては、市販品を使用することができ、例えば、オオサワ&カンパニー製のサイレントクリーナーなどを適宜使用することができる。
不活性ガスを使用する場合には、不活性ガスの流量は、還元を行うことができる程度の流量であれば、特に制限なく採用することができる。流用としては、例えば、一般に、0.5〜40リットル/分(L/分)、好ましくは、5〜30L/分程度であることが好適である。反応中、金属非ドープ酸化グラフェン又は金属ドープ酸化グラフェンは、還元されながら、不活性ガスに搬送され、捕集装置へと移動する。還元温度は、一般に100〜400℃、好ましくは、150〜300℃であることが好適である。この温度が、1100℃となると、完全な還元が起こり、グラフェンが形成する。
このようにして得られた金属非ドープ又は金属ドープ還元型酸化グラフェンは、その内部に存在する官能基の親水性作用により、水に対して非常に分散性がよく、グラフェンと全く異なる性質を有する。このため、グラフェンとの構造の差異が明瞭である。還元型酸化グラフェンは、グラフェンとは異なり、還元型酸化グラフェン中に存在する水酸基やカルボキシル基などの親水性官能基のために、水に対して容易に分散する。これに対して、グラフェンは、官能基がないため、特殊でかつ高価な親油性の溶媒にしか分散させることができない。また、還元型酸化グラフェンは、酸化グラフェンに対して、ラマンスペクトル図により、ピーク位置のずれによって相違が確認できる。
得られた還元型酸化グラフェンは、特に金属ドープ還元型酸化グラフェンは、ドープされた金属イオンが、多層構造の還元型酸化グラフェンである場合には、層間において、金属が金属イオンとして、インターカレートされた状態となっており、キャパシタとして使用する場合には、優れた機能を有するものである。また、単層であっても、別の層との間で、単層の官能基を介してイオン結合などにより結合しており、電流の負荷などによって、金属イオンが移動し、電荷の移動を果たすことができる。
本発明に用いる無機酸としては、本発明の効果を損なわない範囲で種々の無機酸を用いることができ、例えば、濃硫酸、希硫酸、硝酸等を用いることができる。また、本発明に用いる炭酸エステルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で種々の炭酸エステルを用いることができ、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル等を用いることができる。
なお、本発明の誘電材料には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、電解液(電解質溶液)、導電助剤及びバインダ等、任意成分として種々の材料を添加してもよい。例えば、本発明の誘電材料がコンデンサ等の電気化学素子に用いられる場合に、金属製の電極を酸による腐食から保護するために、シリコーン油又は無機酸の中和剤を添加することが考えられる。
シリコーン油は電極の表面を覆い、酸による電極の腐食を防止する。また、中和剤は、中和反応により無機酸を消滅させて、酸による電極の腐食を防止する。
また、本発明の誘電材料には、例えば有機高分子材料からなる微粒子等の分散剤(凝集防止剤)を添加してもよい。かかる有機高分子材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン及びポリプロピレン等が挙げられる。このような分散剤(凝集防止剤)を誘電材料に加えれば、誘電材料中に分散している還元型酸化グラフェンの凝集を防止でき、還元型酸化グラフェンの表面積の低下、短絡及び耐電圧の低下を抑制することができる。
更に、本発明の誘電材料には、電圧性能を向上させるという観点から、リチウム化合物を混合しても構わない。このようなリチウム化合物としては、例えばチタン酸リチウム、炭酸リチウム及び水酸化リチウム等が挙げられる。なかでもチタン酸リチウムが好ましく、一般式:LixTiy4で表され、xとyがそれぞれ、0.8≦x≦1.4、1.6≦y≦2.2の化学量論数を持つチタン酸リチウムを用いるのが更に好ましい。より具体的には、例えばLi4Ti512及びLi2Ti37等が好ましい。
なお、前記一般式:LixTiy4で表されるチタン酸リチウムは、例えば、酸化チタンとリチウム化合物とを760〜1100℃で熱処理することによって得ることができる。また、前記酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型のいずれも使用可能であり、リチウム化合物としては、例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、酸化リチウム等を用いることができる。
≪本発明の誘電材料の製造方法≫
本発明の誘電材料の製造方法は、還元型酸化グラフェンと、無機酸及び/又は炭酸エステルと、(更には必要に応じてリチウム化合物と)、を混合すること、を特徴とするものである。
還元型酸化グラフェンと無機酸との混合は、還元型酸化グラフェンを無機酸及び炭酸エステルに1〜3%添加し、高粘度対応のマグネチックスターラ―を用いてガラス容器にて真空状態で撹拌分散することで達成することができる。
誘電材料における還元型酸化グラフェンの含有量については、本発明の効果を損なわない範囲で任意に設定することができる。静電容量は還元型酸化グラフェン含有量の増加に伴って上昇する傾向となるが、還元型酸化グラフェンの添加量が多くなると均一分散させるのが困難となるだけでなく、原料コストが高くなってしまう。
ここで、好適に使用できる還元型酸化グラフェンとしては、株式会社MICC TEC製の「グラフェライトRGO」を挙げることができる。また、還元型酸化グラフェンの代わりに、還元型酸化グラフェンに銀、銅、酸化亜鉛、及びパラジウムから選択される少なくとも1つの物質をインターカレート・ドープしたもの(株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007、グラフェライトcu008、グラフェライトzn009、及びグラフェライトPd010)を用いることで、誘電材料の静電容量を、更に向上させることができる。
無機酸としては、本発明の効果を損なわない範囲で種々の無機酸を用いることができ、例えば、濃硫酸、希硫酸、硝酸等を用いることができる。なお、リチウム化合物を用いる場合、リチウム化合物を用いない場合に比べて、無機酸の使用量は少なくてもよい。また、炭酸エステルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で種々の炭酸エステルを用いることができ、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル等を用いることができる。
≪電気化学素子≫
本発明の電気化学素子は、上記本発明の誘電材料を含む分極性電極と、セパレータと、第一の集電極及び第二の集電極と、を含むこと、を特徴とする。ここで、本発明の誘電材料は、いわゆる活物質又は分極性電極そのものとして用いられ、いずれにしても、分極性電極を構成する。
(1)電気化学素子1
まず、本発明の電気化学素子の一例として、電気二重層キャパシタの製造技術に基づいて製造する場合を説明する。本発明の電気化学素子は、上記本発明の誘電材料を含む分極性電極と、セパレータと、第一の集電極及び第二の集電極と、が密閉容器に封入されることにより構成される。形状については、例えば、円筒型、箱型のいずれの形状を採用してもよく、それら以外の形状であってもよい。
ここで、図1に本発明の電気化学素子1の一実施形態の概略構成図を示す。電源に接続された第一の集電極(正極)2と第二の集電極(負電極)4との間に、本発明の分散液状、ゲル状又はペースト状の誘電材料からなる分極性電極6を挟み、かつ、セパレータ8を備えている。
また、図1に示す電気化学素子1においては、本発明の誘電材料が分散液状、ペースト状又はゲル状で流動性を有するものであるため、そのまま分極性電極6として用いられ、局部的絶縁破壊などに対しても優れた自己回復性を備え、実用上有益である。
なお、「正極」とは、電気二重層キャパシタに電圧を印加した際に、アニオンが吸着する電極であり、「負極」とは、電気二重層キャパシタに電圧を印加した際に、カチオンが吸着する電極である。
第一の集電極(正極)2と第二の集電極(負電極)4としては、一般的に高い導電性を有する材料であれば特に限定されないが、少なくとも低電気抵抗の金属材料が好ましく用いられ、例えば、銅、アルミニウム、金、白金、鉛、錫、ニッケル等、その他、ヨウ素をドーピングした有機絶縁材料や導電性有機材料等が用いられる。なかでも、本発明の誘電材料の製造時に使用した無機酸が残存している場合を考慮して、酸に侵されにくいという観点からは、金、白金、鉛、錫、ニッケル等を用いればよい。
第一の集電極(正極)2と第二の集電極(負電極)4の厚みは、例えば10〜50μm程度であり、第一の集電極(正極)2と第二の集電極(負電極)4には、例えばリード接続用のタブ(図示せず)が設けられている。
また、第一の集電極(正極)2及び/又は第二の集電極(負電極)4は、上記の本発明の誘電材料を塗布し、当該塗布した誘電材料を乾燥させることにより、表面処理されていることが好ましい。例えば、本発明の誘電材料を塗布した後、600〜700℃の大気中で3〜10分間乾燥させることで、表面処理を達成することができる。
分極性電極6には、導電助剤が含まれていてもよい。かかる導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック等の本発明の誘電材料に含まれる炭素成分以外の炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物等が挙げられる。
また、分極性電極6には、電解液が含まれていてもよい。電解液としては、電解質を有機溶媒に溶解させたものが使用される。電解質としては、例えば、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA+BF4−)、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEMA+BF4−)等の4級アンモニウム塩を用いることができる。
更に、分極性電極6には、バインダが含まれていてもよい。バインダとしては、分極性電極6の形状を維持できる程度の結着力を有するものであれば特に限定されず種々の結着剤を使用できる。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂や、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)と水溶性高分子(カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、デキストリン、グルテン等)との混合物等が挙げられる。
セパレータ8は、分極性電極6の第一の集電極(正極)2側と第二の集電極(負電極)4側とのオーミックな接触を防ぐものであり、電気化学素子1の耐電圧に影響を与えるものである。柔軟性があり、機械的強度があり、耐久性が高いことが望ましい。
セパレータ8の材料としては、種々の無機絶縁材料及び有機絶縁材料を用いることができる。無機絶縁材料としては、例えば、酸化亜鉛材料、ガラス及びセラミックス等が挙げられるが、グラスウールを用いることが好ましい。
また、有機絶縁材料としては、例えば、従来の電気二重層キャパシタにおいても用いられている絶縁紙や、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの多孔質ポリマーフィルムや不織布等が挙げられる。例えば、絶縁紙には用途に応じて種々あるが、高耐圧化を図るためには、変圧器などの高電圧を使用する機器に用いられているものが好ましい。また、膨潤しないものが好ましい。
なお、本発明の誘電材料が粉末状、顆粒状又は集塊状で、分極性電極6の活物質として使用される場合には、分極性電極6は、本発明の誘電材料の他に上記電解液を含み、その他に導電助剤やバインダを含んでもよい。分極性電極を2つに分割し、両者の間に電解液層を設けてもよい。
(2)電気化学素子2
また、本発明の電気化学素子は、図2に示すような構造を有していてもよい。図2は、典型的な電気二重層キャパシタの構造を採用した本発明の電気化学素子10であり、電極部は、電源に接続された第一の集電極(正極)12及び第二の集電極(負電極)14と、第一の集電極(正極)12及び第二の集電極(負電極)14にそれぞれ固定・接続された、本発明の粉末状、顆粒状又は集塊状の誘電材料を含む固体状の分極性電極16a、16bと、で構成されている。
また、電解質部は、分極性電極16a、16bの間の空間に充填された電解液と、当該空間を第一の集電極(正極)12側と第二の集電極(負電極)14側とに隔てるセパレータ18と、で構成されている。この第一の集電極(正極)2と第二の集電極(負電極)4との間に電圧を印加することにより、電解液と分極性電極16a、16bとの界面(電気二重層)で分極が起こり、ここに電荷(電気容量)が蓄積される。
この電気化学素子10の各構成要素は、図1を用いて説明した上記電気化学素子1の場合と同様であればよいが、分極性電極16a、16bは、本発明の粉末状、顆粒状又は集塊状の誘電材料を含む固体状の電極であり、したがって、例えば、少なくともバインダを含んだ構成を有している。
電気化学素子10は、円柱、角型、及びシート状等とすることができる。特に、厚さが0.15〜50mmのシート状の場合は軽量となるため、床や壁に容易に設置することが可能となる。
(3)電気化学素子3
更にまた、本発明の電気化学素子は、図3に示すような構造を有していてもよい。図3は、典型的な鉛蓄電池の構造を採用した本発明の電気化学素子100の一部を切り欠いた斜視図である。電気化学素子100の構成要素は、一部を除き従来の鉛蓄電池と同じであればよいが、以下においては各構成要素について簡単に説明する。
電気化学素子100においては、電槽102が隔壁104によって複数のセル室106に仕切られており、各セル室106には極板群108が1つずつ収納されている。極板群108は、図示しないが、複数枚の正極板及び負極板を、セパレータを介して積層することにより構成されている。正極板は正極接続部110に接続され、負極板は負極接続部112に接続され、極板群108は隣接するセル室106内の極板群108と直列に接続されている。
電槽102の上部開口部には、正極端子114及び負極端子116が設けられた蓋118が装着されている。蓋118に設けられた注液口には、電池内部で発生したガスを電池外に排出するための排気口を有する排気栓120が設けられている。
正極板は、正極格子と、正極格子に保持された正極活物質層と、からなる。正極活物質層は主として正極活物質(PbO2)で構成され、正極活物質層中には正極活物質以外に、例えば、炭素材料等の導電助剤やバインダ等が少量含まれていてもよい。正極格子は、正極活物質層を保持するエキスパンド格子である。
正極格子は、例えばCa及びSnの少なくとも1つを含むPb合金で構成されている。Pb合金としては、耐食性及び機械的強度の観点から、0.01〜0.10重量%のCaを含むPb−Ca合金、0.05〜3.0重量%のSnを含むPb−Sn合金、又はCa及びSnを含むPb−Ca−Sn合金を用いることができる。正極格子は、0.03〜0.10重量%のCa及び0.6〜1.8重量%のSnを含むPb−Ca−Sn合金からなるのが好ましい。更に好ましくは、Pb−Ca−Sn合金は、Snを0.8〜1.8重量%含む。
なお、正極格子や正極接続部に用いられるCa及びSnの少なくとも1つを含むPb合金は、実質上Sbを含まない。ただし、鉛合金中に、減液量および自己放電量の増大による電池性能への悪影響がない程度のSbを不純物として0.002重量%以下含んでいてもよい。正極格子及び正極接続部材中のSb含有量がこの程度であれば、Sbが負極板へ移動することはない。
また、正極格子の耐食性を改善するために、正極格子体の鉛合金が0.01〜0.08重量%のBaや0.001〜0.05重量%のAgを含んでいてもよい。Caを含む鉛合金を用いる場合、溶融鉛合金からのCaの酸化消失を抑制するために0.001〜0.05重量%程度のAlを添加してもよい。また、0.0005〜0.005重量%程度のBiを不純物として含んでいてもよい。
正極格子は、正極活物質層と接する表面の少なくとも一部に、2.0〜7.0重量%のSnを含む鉛合金層を有するのが好ましい。正極活物質層と正極格子との界面における不働態層の生成が抑制され、正極板の過放電に対する耐久性が向上する。
正極格子がSnを含む場合、鉛合金層中のSn含有量は正極格子中のSn含有量よりも多いのが好ましい。例えば、正極格子がSnを1.6重量%含む場合、鉛合金層は少なくとも1.6重量%を超えるSnを含むのが好ましく、更に鉛合金層中のSn含有量は3.0〜6.0重量%であるのがより好ましい。正極格子よりも鉛合金層のほうがSn含有量が少ないと、正極格子と正極活物質との界面においてSn含有量の少ない鉛合金層が存在することにより、上記のSnによる効果が小さくなる。
次に、負極板は、負極格子と、負極格子に保持された負極活物質層と、で構成される。負極活物質層は主として負極活物質(Pb)で構成され、負極活物質層中には負極活物質以外に、例えば、リグニンや硫酸バリウム等の防縮剤、炭素材料等の導電助剤、又はバインダが少量含まれていてもよい。負極格子は、負極活物質層が保持されたエキスパンド格子である。
負極格子及び負極接続部は、例えば、実質上Sbを含まず、Ca及びSnの少なくとも1つを含むPb合金からなる。ただし、Pb合金中に0.001重量%未満の微量のSbを不純物として含んでいてもよい。Sb含有量がこの程度の量であれば、自己放電量および電解液の減液量は増大しない。
負極格子には、正極格子と同様にPb−Ca−Sn合金を用いてもよいが、負極格子は正極板に比べて腐食しにくいため、Snを必ずしも含む必要はない。負極格子の強度を向上させたり、格子作製時の溶融鉛の湯流れ性を改善したりするために、負極格子にSnを0.2〜0.6重量%含むPb合金を用いてもよい。また、機械的強度の観点から、Caを0.03〜0.10重量%含むPb合金を用いてもよい。
負極活物質層は、0.0001〜0.003重量%のSbを含む。負極活物質層が負極活物質よりも水素過電圧の低いSbを含むことにより、負極板の充電電位が上昇するため、負極板の充電受入性が大幅に改善される。また、負極活物質層中のSbは電解液中に溶出しにくいため、負極格子の腐食を抑制することができる。
特に、負極活物質層中のSb含有量が、0.0001重量%以上であると寿命特性が改善される。一方、負極活物質層中のSb含有量が0.003重量%を超えると、負極格子の耳の腐食が徐々に進行する。負極格子の腐食を抑制する効果及び充放電サイクルにともなう電解液量の減少を抑制する効果が顕著に得られるため、負極活物質層中のSbの含有量は、0.0001〜0.001重量%であるのが好ましい。
負極活物質層へのSbの添加は、例えば、負極ペースト作製時に負極ペースト中にSb、Sbの酸化物もしくは硫酸塩、またはアンチモン酸塩等のSbを含む化合物を添加すればよい。また、これ以外に、負極板をSbイオンを含む電解液、例えば、硫酸アンチモンやアンチモン酸塩を含む希硫酸に浸漬して電解めっきすることにより、負極活物質上にSbを電析させてもよい。
セパレータには、一般的には、微多孔性のポリエチレンシートが用いられる。イオン伝導性を向上させるために、ポリエチレンにカーボンを含ませてもよい。微多孔性のポリエチレンシートは、電解液が透過可能である、孔径が0.01〜1μm程度の細孔を有する。孔径が1μmを超えると、活物質がセパレータを通過し易くなる。
また、セパレータには、耐酸性を有する繊維マットを用いてもよい。繊維には、繊維径が0.1〜2μmであるガラス繊維または繊維径が1〜10μmであるポリプロピレン樹脂繊維などの合成繊維が用いられる。正極活物質の正極板からの脱落が抑制され、優れたサイクル寿命特性が得られる点で、セパレータは耐酸性を有する繊維マットからなるのが好ましい。
ここで、各セル室106には、通常の鉛蓄電池と同様に、極板群108の全体を漬漬するように電解液である硫酸が注入されている。
以上、本発明の誘電材料及びこれを用いた電気化学素子の代表的な例について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるわけではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々の設計変更が可能であり、かかる設計変更も全て本発明に含まれるものである。以下、実施例を用いて本発明の誘電材料をより具体的に説明するが、本発明がかかる実施例に限定されないものであることは言うまでもない。
≪実施例1≫
株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸(30%水溶液)と、を混合し、0.5重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料1を得た。
≪実施例2≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と硫酸とを混合し、1.0重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料2を得た。
≪実施例3≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と硫酸とを混合し、2.0重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料3を得た。
≪実施例4≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と硫酸とを混合し、3.0重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料4を得た。
[静電容量の測定]
上記実施例1〜4で得られた誘電材料1〜4を用いて、図4に示す測定用素子200を作製し、静電容量を測定した。また、比較例として、誘電材料1〜4の代わりに硫酸のみを用いて、同様の測定を行った。測定は各4回実施し、得られた結果を図5に示した。
図5より、誘電材料中のグラフェライトag007含有量の増加に伴い、静電容量が増加しいていることが分かる。また、当該静電容量の増加は、グラフェライトag007含有量にほぼ比例している。
≪実施例5≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び1.0重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いるグラスウール/グラスシートに当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量の測定を行った。なお、炭素シートの厚さは0.75mmとした。得られた静電容量を表1に示す。
≪実施例6≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び2.0重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いるグラスウールに当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量の測定を行った。なお、炭素シートの厚さは0.75mmとした。得られた静電容量を表1に示す。
≪実施例7≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.5重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いるグラスウールに当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量の測定を行った。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量を表1に示す。
≪実施例8≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.5重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、王子製紙株式会社製の中孔(概ね1μmから10μm位、以下同様)が少ない二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)に当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例9≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.5重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、王子製紙製の中孔が多い二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)に当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例10≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.5重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、王子製紙製の小孔(概ね1μm以下、以下同様)が多い二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)に当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例11≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.5重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、株式会社ヒューマンシステム製の固形グラスウール(ガラスクロス網型200μm(ペガGC)、グラスファイバーのニードルマット(熱プレス)2mm(ペガNM))に当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例12≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.5重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、3枚重ねにしたポリプロピレンシート(前田工繊株式会社製スプリトップ)に当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例13≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.5重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、固形グラスウールに当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。ここで、炭素板には還元型酸化グラフェンを含有する硫酸を塗布し、600℃の大気中で10分間保持し、表面処理を施した。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例14≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.5重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、固形グラスウールに当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。ここで、炭素板には還元型酸化グラフェンを含有する硫酸を塗布し、600℃の大気中で3分間保持し、表面処理を施した。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例15≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトpd010(還元型酸化グラフェンにパラジウムがインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.001重量%のグラフェライトpd010が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、固形グラスウール(編み込み)に当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。ここで、炭素板には還元型酸化グラフェンを含有する硫酸を塗布し、600℃の大気中で10分間保持し、表面処理を施した。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例16≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトzn009(還元型酸化グラフェンに酸化亜鉛がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.5重量%のグラフェライトpd010が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、固形グラスウールに当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。ここで、炭素板には還元型酸化グラフェンを含有する硫酸を塗布し、600℃の大気中で10分間保持し、表面処理を施した。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例17≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトag007(還元型酸化グラフェンに銀がインターカレート・ドープしたもの)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGO及び0.5重量%のグラフェライトag007が分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、固形グラスウール(編み込み)に当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。ここで、炭素板には還元型酸化グラフェンを含有する硫酸を塗布し、600℃の大気中で10分間保持し、表面処理を施した。なお、炭素シートの厚さは0.16mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例18≫
実施例1と同様にして、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、硫酸と、を混合し、3.0重量%のグラフェライトRGOが分散した誘電材料を得た。セパレータとして用いる、固形グラスウールに当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。ここで、炭素板には還元型酸化グラフェンを含有する硫酸を塗布し、600℃の大気中で10分間保持し、表面処理を施した。なお、炭素シートの厚さは0.75mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
≪実施例19≫
Li4Ti512と、株式会社MICC TEC製のグラフェライトRGO(還元型酸化グラフェン)と、PTFE樹脂(50重量%重量分散液:バインダ)と、硫酸と、を混合し、40重量%のLi4Ti512、10重量%のグラフェライトRGO及び10重量%のPTFE50%分散液が分散した誘電材料を得た。セパレータとしてのガラス不織布(ガラス繊維シート)に当該誘電材料を含浸させ、図6に示す積層型測定用素子300を作製して静電容量及び内部抵抗の測定を行った。ここで、炭素板には還元型酸化グラフェンを含有する硫酸を塗布した。なお、グラフェンシートの厚さは0.5mmとした。得られた静電容量及び内部抵抗を表1に示す。
表1に示す結果から、3.0%のグラフェライトRGOにグラフェライトag007を添加したものはいずれも高い静電容量を有しているが、積層型測定用素子では、静電容量はグラフェライトag007の添加量にそれ程影響されていない(実施例5〜7)。
また、セパレータとして有機絶縁材料を用いた場合(実施例8〜10)よりも、無機絶縁材料であるグラスウール(実施例5〜7)及び固形グラスウールを用いた場合(実施例11、13〜17)の方が、高い静電容量を有している。なお、セパレータとして有機絶縁材料を用いた場合でも、ポリプロピレンシートを3枚重ねて使用した場合(実施例12)は高い静電容量を示している。
また、集電極である炭素板に表面処理を施した場合(実施例13及び14)は、表面処理を施していない場合と比較して高い静電容量を示している。加えて、表面処理の時間以外は同一とした場合、炭素板に塗布した誘電材料を乾燥させる時間を3分とした場合(実施例14)は、10分とした場合(実施例13)よりも高い静電容量を示している。
グラフェライトRGOのみの場合(実施例18)と比較して、還元型酸化グラフェンに、銀、銅、酸化亜鉛、及びパラジウムから選択される少なくとも1つの物質がインターカレート・ドープされたものを添加した場合は、より高い静電容量を示している。
また、リチウム化合物を含む誘電材料を用いると、積層型で性能(静電容量)が著しく向上することがわかる(実施例19)。
1・・・電気化学素子
2・・・第一の集電極(正極)
4・・・第二の集電極(負極)
6・・・分極性電極
8・・・セパレータ
10・・・電気化学素子(電気二重キャパシタ構造)
12・・・電気二重キャパシタ構造における第一の集電極(正極)
14・・・電気二重キャパシタ構造における第二の集電極(負極)
16a、16b・・・電気二重キャパシタ構造における分極性電極
18・・・電気二重キャパシタ構造におけるセパレータ
20・・・電解液
100・・・電気化学素子(鉛蓄電池構造)
102・・・電槽
104・・・隔壁
106・・・セル室
108・・・極板群
110・・・正極接続部
112・・・負極接続部
114・・・正極端子
116・・・負極端子
118・・・蓋
120・・・排気栓
200・・・測定用素子
202・・・炭素棒
204・・・誘電材料
206・・・容器
208・・・栓
300・・・積層型測定用素子
302・・・炭素板
304・・・炭素シート
306・・・誘電材料含浸セパレータ

Claims (9)

  1. 還元型酸化グラフェンと、
    無機酸及び/又は炭酸エステルと、を含むこと、
    を特徴とする誘電材料。
  2. 更にリチウム化合物を含むこと、
    を特徴とする請求項1に記載の誘電材料。
  3. 前記還元型酸化グラフェンに、銀、銅、酸化亜鉛、及びパラジウムから選択される少なくとも1つの物質がインターカレート・ドープされていること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の誘電材料。
  4. 少なくとも請求項1〜3のうちのいずれかに記載の誘電材料を含む分極性電極と、
    セパレータと、
    第一の集電極及び第二の集電極と、を含むこと、
    を特徴とする電気化学素子。
  5. 前記第一の集電極及び/又は前記第二の集電極に、少なくとも請求項1〜3のうちいずれかに記載の誘電材料を塗布し、前記塗布した誘電材料を乾燥させることにより、前記第一の集電極及び/又は前記第二の集電極が表面処理されていること、
    を特徴とする請求項3に記載の電気化学素子。
  6. 請求項4又は5に記載の電気化学素子を含むこと、
    を特徴とする蓄電装置。
  7. 還元型酸化グラフェンと、
    無機酸及び/又は炭酸エステルと、を混合すること、
    を特徴とする誘電材料の製造方法。
  8. 更にリチウム化合物を含むこと、
    を特徴とする請求項7に記載の誘電材料の製造方法。
  9. 前記還元型酸化グラフェンが粉末状であり、銀、銅、酸化亜鉛、及びパラジウムから選択される少なくとも1つの物質がインターカレート・ドープされていること、
    を特徴とする請求項7又は8に記載の誘電材料の製造方法。
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