以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(通信制御:第1通信モードの実行中に第2通信モードを設定して最適な無線通信装置を検出する例)
<1.第1の実施の形態>
[通信システムの構成例]
図1は、本技術の第1の実施の形態における通信システム100のシステム構成例を示す図である。
通信システム100は、複数の無線通信装置(第1無線通信装置200、第2無線通信装置102、第3無線通信装置103、…、第13無線通信装置113)を備える。通信システム100を構成する各無線通信装置(デバイス)は、例えば、携帯型の情報処理装置(例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末)や固定型の情報処理装置(例えば、プリンタ、パーソナルコンピュータ)である。
ここで、近接する無線通信装置と自律的に相互接続する通信方法として、アドホック通信やアドホックネットワーク等が知られている。このようなネットワークにおいては、各無線通信装置は、マスタ局(例えば、制御装置)に依存することなく、近接する無線通信装置と相互に通信を行うことが可能である。そこで、本技術の実施の形態では、自律的に近接無線通信装置と相互接続する通信方法として、アドホックネットワークを例にして説明する。
アドホックネットワークでは、近隣に新たな無線通信装置が追加されると、この新たな無線通信装置も自由にネットワークに参加することができる。例えば、最初に、図1に示す各無線通信装置のうち、第1無線通信装置200、第2無線通信装置102、第3無線通信装置103、…、第8無線通信装置108のみがアドホックネットワークに参加している場合を想定する。この場合に、第9無線通信装置109乃至第13無線通信装置113が順次追加されていくものとする。この場合には、これらの各無線通信装置(近接する無線通信装置)が増加するのに応じて、ネットワークのカバー範囲を増加させることができる。すなわち、第9無線通信装置109乃至第13無線通信装置113が順次追加されるのに応じて、ネットワークのカバー範囲を増加させることができる。
ここで、各無線通信装置は、近接する無線通信装置と自律的に相互接続する以外に、他の無線通信装置間でやりとりされる情報をバケツリレー的に転送することも可能である。
例えば、第1無線通信装置200は、第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104のそれぞれに直接通信することができるが、電波が届かない等の理由により、他の無線通信装置には直接通信することができないものとする。図1では、第1無線通信装置200が直接通信することができる範囲(第1無線通信装置200を基準とした場合における伝達範囲)を伝達範囲121として示す。なお、伝達範囲121は、転送(ホップ)回数が1回に制限されている場合における伝達範囲に対応する。
このように直接通信ができない場合でも、第1無線通信装置200との直接通信が可能な無線通信装置(第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104)が第1無線通信装置200のデータを他の無線通信装置に転送することが可能である。そこで、このようにデータを転送することにより、第1無線通信装置200と、第1無線通信装置200と直接通信することができない無線通信装置とは、互いに情報のやり取りを行うことが可能となる。例えば、第1無線通信装置200と、第1無線通信装置200と直接通信することができない第5無線通信装置105とは、第3無線通信装置103(または、第4無線通信装置104)を経由して互いに情報のやり取りを行うことが可能となる。
このように互いにデータ転送(いわゆる、バケツリレー)を行い、遠くの無線通信装置に情報を届ける方法は、マルチホップ・リレーと称されている。また、マルチホップを行うネットワークは、メッシュネットワークとして一般的に知られている。
このような、アドホックネットワークやメッシュネットワークを構成する無線通信装置の構成を図2に示す。
なお、図1では、第1無線通信装置200を基準とする場合に、転送(ホップ)回数が2回に制限されている伝達範囲を伝達範囲122とし、転送(ホップ)回数が3回に制限されている伝達範囲を伝達範囲123として示す。同様に、転送(ホップ)回数が4回に制限されている伝達範囲を伝達範囲124として示す。
[無線通信装置の構成例]
図2は、本技術の第1の実施の形態における第1無線通信装置200の内部構成例を示すブロック図である。なお、他の無線通信装置の内部構成については、第1無線通信装置200と同一であるため、ここでは、第1無線通信装置200についてのみ説明し、他の無線通信装置の説明を省略する。
第1無線通信装置200は、アンテナ211、212と、通信部220と、I/O(Input/Output)インタフェース230と、制御部240と、メモリ250とを備える。また、これらの各部は、バス260を介して接続される。
通信部220は、第1モデム221および第2モデム222を備える。第1モデム221は、アンテナ211を介して、電波の送受信を行うためのモジュールである。また、第2モデム222は、アンテナ212を介して、電波の送受信を行うためのモジュールである。なお、第1モデム221および第2モデム222により行われる各通信モードの関係については、図3を参照して詳細に説明する。
[通信モード例]
図3は、本技術の第1の実施の形態における第1モデム221および第2モデム222により行われる各通信モードの関係を示す図である。
上述したように、第1無線通信装置200は、複数のモデム(第1モデム221および第2モデム222)を備え、各モデム(第1モデム221および第2モデム222)は、異なる通信モードで無線通信を行う。
例えば、第1モデム221は、所定範囲内に存在する他の無線通信装置との間で無線通信を行う第1通信モードにおいてデータの送受信を行う。例えば、第1通信モードでは、高い搬送波周波数を用いた電波(電磁波)により無線通信が行われる。ここで、所定範囲は、例えば、第1無線通信装置200の位置を基準とする範囲であり、第1モデム221が、第1通信モードにおいてデータの送受信を行うことが可能な範囲を意味するものとする。また、所定範囲内に存在する他の無線通信装置は、例えば、第1無線通信装置200の近隣に存在する無線通信装置であって、第1通信モードにおいて第1無線通信装置200との間でデータの送受信を行うことが可能な無線通信装置であるものとする。
また、例えば、第2モデム222は、その所定範囲よりも広い範囲内に存在する他の無線通信装置との間で無線通信を行う第2通信モードにおいてデータの送受信を行う。例えば、第2通信モードでは、第1通信モードで使われる搬送周波数よりも低い搬送波周波数を用いた電波により無線通信が行われる。
すなわち、第1通信モードおよび第2通信モードは、物理的に信号の伝達範囲が異なる通信モードである。例えば、第2通信モードは、第1通信モードよりも広範囲に信号を伝達することができる通信モードである。
図3には、第1通信モード225および第2通信モード226の関係例を示す。例えば、第1通信モードを、UWB(Ultra Wide Band)を用いる通信モードとし、第2通信モードを、2.4GHz無線LAN(Local Area Network)を用いる通信モードとすることができる。また、例えば、第1通信モードを、NFC(Near Field Communication)を用いる通信モードとし、第2通信モードを、2.4GHz無線LANを用いる通信モードとすることができる。
このように、通信部220は、第1通信モードと第2通信モードとのうちの少なくとも一方の通信モードにおいてデータの送受信を行う。
なお、第1通信モードおよび第2通信モードのそれぞれを、電波(電磁波)を用いた無線通信とするようにしてもよく、少なくとも一方を電波以外の媒体を用いた無線通信とするようにしてもよい。例えば、第1通信モードは、磁界を用いて行われる無線通信とし、第2通信モードは、電波を用いて行われる無線通信とするようにしてもよい。
また、本技術の実施の形態では、複数のモデムを搭載することにより複数の通信モードでの無線通信を実現する例を示したが、1つのモデムを搭載することにより複数の通信モードでの無線通信を実現するようにしてもよい。例えば、1つのモデムの動作パラメータ(例えば、送信電力、受信感度)を変更することにより、複数の通信モードでの無線通信を実現することができる。
[無線通信装置の構成例]
図2に示すI/Oインタフェース230は、第1無線通信装置200と連動して動作するセンサ・アクチュエータ等の外部装置とのインタフェースである。図2では、外部装置として、例えば、移動検出部270、操作受付部280、表示部290および音声出力部295がI/Oインタフェース230に接続される例を示す。また、図2では、移動検出部270、操作受付部280、表示部290および音声出力部295を第1無線通信装置200の外部に設ける例を示すが、これらの全部または一部を第1無線通信装置200に内蔵するようにしてもよい。
移動検出部270は、第1無線通信装置200の加速度、動き、傾き等を検出することにより第1無線通信装置200の移動を検出するものであり、検出された移動に関する移動情報を、I/Oインタフェース230を介して制御部240に出力する。移動検出部270として、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS(Global Positioning System)を用いることができる。例えば、移動検出部270は、GPSを用いて検出された位置情報(例えば、緯度および経度)を利用して、第1無線通信装置200の移動距離(例えば、単位時間当たりの移動距離)を算出することができる。
操作受付部280は、ユーザにより行われた操作入力を受け付ける操作受付部であり、受け付けられた操作入力に応じた操作情報を、I/Oインタフェース230を介して制御部240に出力する。操作受付部280は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウスにより実現される。
表示部290は、制御部240の制御に基づいて、各種情報(例えば、図7に示す表示画面300、図10に示す表示画面310、320)を表示する表示部である。なお、表示部290として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示パネルを用いることができる。なお、操作受付部280および表示部290については、使用者がその指を表示面に接触または近接することにより操作入力を行うことが可能なタッチパネルを用いて一体で構成することができる。
音声出力部295は、制御部240の制御に基づいて、各種音声を出力する音声出力部(例えば、スピーカ)である。
制御部240は、メモリ250に格納されている制御プログラムに基づいて第1無線通信装置200の各部を制御するものである。例えば、制御部240は、送受信した情報の信号処理を行う。また、制御部240は、CPU(Central Processing Unit)により実現される。例えば、制御部240は、第1通信モードにおいて他の無線通信装置との間でデータの送受信が行われている場合に、第2通信モードを設定して所定条件を満たす新たな無線通信装置を検出するための制御を行う。
メモリ250は、第1無線通信装置200が所望の動作を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム)を格納するメモリである。また、メモリ250には、音楽コンテンツや画像コンテンツ(例えば、動画コンテンツ、静止画コンテンツ)等の各種コンテンツが格納されている。そして、メモリ250に格納されている各種コンテンツは、無線通信を利用して他の無線通信装置に提供することができる。
例えば、無線通信を利用してデータを送信する場合には、制御部240は、メモリ250から読み出された情報やI/Oインタフェース230から入力された信号等を処理し、実際に送信するデータの塊(送信パケット)を生成する。続いて、制御部240は、その生成された送信パケットを、モデム(第1モデム221または第2モデム222)に出力する。また、モデム(第1モデム221または第2モデム222)は、その送信パケットを、実際に伝送するための通信方式のフォーマット等に変換した後に、変換後の送信パケットをアンテナ(アンテナ211または212)から外部に送信する。
また、例えば、無線通信を利用してデータを受信する場合には、モデム(第1モデム221または第2モデム222)は、アンテナ(アンテナ211または212)を介して受信した電波信号を、各モデム内の受信機が行う信号処理により受信パケットを抽出する。そして、制御部240は、その抽出された受信パケットを解釈する。この解釈の結果、保持すべきデータであると判断された場合には、制御部240は、そのデータをメモリ250に書き込む。一方、他の無線通信装置に転送すべきデータであると判断された場合には、制御部240は、他の無線通信装置に転送するための送信パケットとして、そのデータをモデム(第1モデム221)に出力する。また、外部アクチュエータに転送すべきデータであると判断された場合には、制御部240は、I/Oインタフェース230から外部(例えば、表示部290)に出力する。
ここで、上述したように、第1通信モードおよび第2通信モードは、信号の伝達範囲が異なる。また、図1に示すように、第1無線通信装置200、第2無線通信装置102乃至第13無線通信装置113の13台の無線通信装置が点在している場合を想定する。また、制御部240は、使用する通信モードによって、メッシュネットワークのマルチホップ・リレーの転送回数の制限ルールを変更することが可能であるものとする。
ここで、例えば、第1通信モードの使用時における転送回数の制限ルールとして、1回の制限が設定され、第2通信モードの使用時における転送回数の制限ルールについては設定されていない場合を想定する。すなわち、第1通信モードでは、図1に示す伝達範囲121までの無線通信が可能であり、第2通信モードでは、図1に示す伝達範囲125までの無線通信が可能であるものとする。
この場合には、第1無線通信装置200は、第1通信モードで無線通信を行うと、近接する第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104との間で直接信号をやり取りすることができる。しかしながら、第1無線通信装置200は、第1通信モードで無線通信を行うと、近接する無線通信装置(第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104)以外の他の無線通信装置との間では直接信号をやり取りすることができない。一方、第1無線通信装置200は、第2通信モードで無線通信を行うと、遠くにいる第13無線通信装置113との間でも直接信号をやり取りすることができる。
ここで、第1通信モードを用いると低消費電力で通信することができ、かつ、遠くまで信号の干渉を与えないため、通信資源を効率的に有効活用することができる。ただし、複数の無線通信装置の全体の様子を取得するためには、多くのマルチホップ・リレーを必要とするため、効率的でなくなることも想定される。また、転送回数の制限がされている場合には、第1通信モードでは、遠くの無線通信装置に関する情報を取得することができないことも想定される。
また、第2通信モードを用いると、消費電力が大きくなり、信号の干渉が広範囲にわたるため、遠くの無線通信装置と通信することができ、複数の無線通信装置の全体の様子を容易に取得することができる。ただし、第1通信モードでは広帯域信号の伝送が可能であるが、第2通信モードでは第1通信モードよりも狭帯域信号の伝送しかすることができないことが多い。
[サービスディスカバリ情報の送信例]
図4は、本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各無線通信装置がサービスディスカバリ情報を送信する場合における送信例を示す図である。
図4では、サービスディスカバリ情報を含めたビーコン(ビーコン信号)を定期的(または不定期)に送信する例を示す。また。図4では、横軸を時間軸とした場合におけるビーコンの送信例を示す。すなわち、図4では、時系列で順次送信されるビーコン141乃至143を模式的に示す。
ここで、サービスディスカバリ情報は、他の無線通信装置が提供可能なサービスを発見する際に用いられる情報であり、例えば、図5に示す自装置サービス情報157および他装置サービス情報158である。
このように、通信システム100を構成する各無線通信装置は、サービスディスカバリ情報(ビーコンに含まれる)を定期的(または不定期)に周囲の無線通信装置に報知する。なお、ビーコンの構成例については、図5を参照して詳細に説明する。
[サービスディスカバリ情報のフォーマット例]
図5および図6は、本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各無線通信装置が送信するビーコンのフォーマット例を示す図である。なお、図5のaには、ビーコン情報153に含まれる自装置サービス情報157のフォーマット例を示し、図5のbには、ビーコン情報153に含まれる他装置サービス情報158のフォーマット例を示す。また、図6には、自装置サービス情報157および他装置サービス情報158に含まれるサービス報知フィールドの内容例を示す。
ビーコン150は、プリアンブル(preamble)151と、ヘッダ152と、ビーコン情報153とを含む。
プリアンブル151は、パケット(ビーコン)の存在を示す情報である。すなわち、通信システム100を構成する各無線通信装置は、プリアンブル151を受信することにより、ビーコンの存在を検出することができる。
ヘッダ152は、パケットの所定位置に配置されてパケット(ビーコン)自体に関する情報を格納するものである。例えば、ヘッダ152には、送信元および送信先、パケットの大きさ等の各情報(パケット(ビーコン)自体に関する情報)が格納される。すなわち、通信システム100を構成する各無線通信装置は、ヘッダをデコードして解析する。この解析により、通信システム100を構成する各無線通信装置は、どの無線通信装置がどの無線通信装置宛てに送信した信号であるか、また、その信号がどの種別の信号であるか(ビーコンであるか否か等)を検出することができる。
ビーコン情報153は、通信システム100を構成する各無線通信装置に報知する情報である。すなわち、通信システム100を構成する各無線通信装置は、他の無線通信装置に報知すべき情報をビーコンに含めて送信する。
次に、ビーコン情報153について詳細に説明する。
ビーコン情報153には、時刻情報154と、ネットワークID155と、ネットワーク属性156と、自装置サービス情報157と、他装置サービス情報158と、その他情報159とが含まれる。
時刻情報154は、この情報を含むビーコンが送信元の無線通信装置から送信された時刻を示す時刻情報である。
ネットワークID155は、送信元の無線通信装置が構成するネットワークのIDを示す情報である。
ネットワーク属性156は、送信元の無線通信装置が構成するネットワークの属性を示す情報である。
自装置サービス情報157は、送信元の無線通信装置が提供するサービスに関する情報(自装置サービス情報)である。
他装置サービス情報158は、送信元の無線通信装置の周辺に存在する無線通信装置が提供するサービスに関する情報(他装置サービス情報)である。ここで、自装置サービス情報157および他装置サービス情報158は、サービスディスカバリ情報に対応する。
その他情報159は、上述した情報以外の情報である。
次に、自装置サービス情報157および他装置サービス情報158について説明する。
図5のaに示すように、自装置サービス情報157は、Element ID160と、Length161と、サービス報知フィールド[0]乃至[N]162との情報フィールドから構成されている。
Element ID160は、自装置サービス情報が格納されていることを示す要素IDである。
Length161は、自装置サービス情報の要素の長さを示すLengthである。
サービス報知フィールド[0]乃至[N]162は、1または複数のサービス報知フィールドにより構成される(例えば、N個)。このサービス報知フィールドは、対応する無線通信装置が提供するサービス毎に1つが配置される。例えば、3つのサービスを提供している無線通信装置については、3つのフィールドが配置される。
サービス報知フィールド[0]乃至[N]162には、サービスタイプ163と、コンテンツID164と、コンテンツ属性165と、ランキング情報166と、キャッシュ推奨167と、クローン次数168と、二次配布情報169とが格納されている。なお、これらの各情報については、図6を参照して詳細に説明する。
図5のbに示すように、他装置サービス情報158は、Element ID170と、Length171と、無線通信装置ID[0]乃至[M]172と、サービス報知フィールド[0]乃至[M]173との情報フィールドから構成されている。
なお、他装置サービス情報158には、自装置サービス情報157と基本的には同様の情報が格納されるが、無線通信装置ID[0]乃至[M]172が追加されて格納される点が異なる。すなわち、Element ID170およびLength171は、図5のaに示すElement ID160およびLength161に対応する。また、無線通信装置ID[0]乃至[M]172と、サービス報知フィールド[0]乃至[M]173とは、無線通信装置が提供するサービス毎にペアとして配置される。
無線通信装置ID[0]乃至[M]172は、対応する無線通信装置(例えば、隣接する無線通信装置)を識別するためのIDである。すなわち、無線通信装置ID[0]乃至[M]172は、ペアとなるサービス報知フィールドのサービスをどの無線通信装置が提供しているかを示す情報である。
サービス報知フィールド[0]乃至[M]173は、1または複数のサービス報知フィールドにより構成される(例えば、M個)。なお、サービス報知フィールド[0]乃至[M]173は、他の無線通信装置(すなわち、ビーコンを送信する無線通信装置以外の無線通信装置)に関する情報が格納される点以外は、図5のaに示すサービス報知フィールド[0]乃至[N]162と同様である。
すなわち、無線通信装置ID[0]乃至[M]172とサービス報知フィールド[0]乃至[M]173との組合せ(すなわち、M個の組合せ)は、ビーコンを送信する無線通信装置に通知すべきサービスの数だけ存在する。
次に、図6を参照してサービス報知フィールドについて説明する。
サービスタイプ163は、サービスの内容(コンテンツ配信等)を識別するための情報である。また、サービスタイプ163には、このサービスディスカバリ情報をあと何回転送することができるかを示す回数を含めるようにしてもよい。この回数を含めることにより、このサービスに関するサービスディスカバリ情報がその回数を超えて転送されることを防止することができる。また、サービスディスカバリ情報を受信した無線通信装置は、サービスタイプ163の情報に基づいて、サービスタイプ163により特定されるサービスを享受するか否かを決定することができる。
コンテンツID164は、サービスを特定するためのIDである。サービスディスカバリ情報を送信または受信する無線通信装置は、コンテンツID164の情報に基づいて、コンテンツID164により特定されるサービスを享受した旨を管理し、必要に応じて課金情報等を生成する。
コンテンツ属性165は、サービスを提供するために必要となるビット容量、サービスを享受可能なグループ、サービスを享受するために必要となる認証方法等を示す情報である。ここで、サービスを享受可能なグループは、例えば、サービスを提供する無線通信装置を所持するユーザの友達(この友達が所持する無線通信装置)とすることができる。この場合には、その友達を識別するための認証方法を用いて、そのグループに属する無線通信装置であるか否かを判断することができる。また、サービスディスカバリ情報を受信した無線通信装置は、コンテンツ属性165の情報に基づいて、これに対応するサービスを享受するか否か、また、享受可能か否かを決定することができる。
ランキング情報166は、サービス(コンテンツ)へのアクセス頻度が高いか低いかを示す情報である。サービスディスカバリ情報を送信する無線通信装置は、ランキング情報166の情報に基づいて、サービスディスカバリ情報を次の無線通信装置に報知すべきか、報知の頻度をどの程度に設定すべきかを決定することができる。サービスディスカバリ情報を受信した無線通信装置は、ランキング情報166の情報に基づいて、受信したコンテンツをキャッシュすべきか否かを決定することができる。例えば、高いランキングのサービスを報知し、享受するように、ランキング情報166の設定を行うことが好ましい。
キャッシュ推奨167は、隣接する無線通信装置に対してサービスのキャッシュを推奨する度合い(推奨度合い)を示す情報である。サービスディスカバリ情報を送信する無線通信装置は、サービスへのアクセスが多く、他の無線通信装置にもこのサービスを提供すべきであると判断した場合には、この推奨度合いを上げる設定を行う。また、サービスディスカバリ情報を受信した無線通信装置は、キャッシュ推奨167の情報に基づいて、コンテンツを受信してキャッシュすべきか否かを決定することができる。
クローン次数168は、サービス(コンテンツ)がオリジナルから何回コピーされているか、または、あと何回のコピーが許可されているかを示す情報である。サービスディスカバリ情報を受信した無線通信装置は、クローン次数168により定められている回数以上のコピーを保持することができないように制御される。
二次配布情報169は、サービスディスカバリ情報を受信した無線通信装置がサービス(コンテンツ)をキャッシュし、二次配布を行ってもよいか否かを示す情報である。サービスディスカバリ情報を受信した無線通信装置は、二次配布情報169の情報に基づいて、サービス(コンテンツ)のキャッシュ、および、その二次配布の要否が制御される。
例えば、図1に示す第1無線通信装置200がビーコンをブロードキャストで送信すると、そのビーコンを周囲の無線通信装置(第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104)が受信する。そして、第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104は、受信したビーコンのヘッダに基づいて、そのビーコンが第1無線通信装置200から送信されたビーコンであることを検出することができる。また、第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104は、受信したビーコンに含まれるビーコン情報153の内容を確認することにより、第1無線通信装置200が提供可能なサービス等を把握することができる。
例えば、第1無線通信装置200から送信されたビーコン150を第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104が受信した場合を想定する。この場合には、第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104は、受信したビーコン150に含まれるネットワーク属性156に基づいて、送信元の第1無線通信装置200が近隣にネットワークを構成して存在することを検出することができる。また、このネットワークの属性は、ネットワーク属性156により特定される。
また、第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104は、受信したビーコン150に含まれるサービス報知フィールド162に基づいて、第1無線通信装置200を介して享受可能な各種サービスに関する情報を取得することができる。
また、第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104は、第1無線通信装置200からのサービスディスカバリ情報を受信した場合には、自装置がマルチホップ・リレーの中継局として動作する。これにより、第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104は、第1無線通信装置200が中継先にどのようなサービスを提供可能であるかを通知することができる。すなわち、第2無線通信装置102乃至第4無線通信装置104が送信するサービスディスカバリ情報(自装置サービス情報157および他装置サービス情報158)には、部分的に第1無線通信装置200から提供されるサービスが含まれることになる。なお、第1無線通信装置200から提供されるサービスが含まれる情報は、他装置サービス情報158である。
このようにサービスディスカバリ情報の送受信を繰り返すことにより、第1無線通信装置200のサービスディスカバリ情報を、ネットワークの隅々まで提供することが可能となる。すなわち、各無線通信装置は、定期的に送信するビーコンにサービスディスカバリ情報を含めることにより、提供することが可能なサービスを周辺の無線通信装置に報知することができる。また、各無線通信装置は、ビーコンを受信することにより、周辺に存在する無線通信装置を発見することができ、同時に発見した無線通信装置がどのようなサービスを提供しているかを検出することもできる。
ただし、上述のように、パケットの転送回数を制限することにより、第1無線通信装置200が接続することができる通信相手を制限することができる。このように、転送回数を制限することにより、第1無線通信装置200のサービスディスカバリ情報を送信する範囲を調整することができる。これにより、オーバーヘッドを削減することができる。
[サービスを選択するための表示画面例]
図7は、本技術の第1の実施の形態における表示部290に表示される表示画面の一例(表示画面300)を示す図である。
表示画面300は、ユーザが希望するサービスを選択するための表示画面である。また、表示画面300は、通信システム100を構成する各無線通信装置から送信されるサービスディスカバリ情報(図5に示す自装置サービス情報157および他装置サービス情報158)に基づいて表示される。
表示画面300には、サービス301と、提供元302と、通信予測303と、ラジオボタン304とがサービス毎に表示される。また、表示画面300には、確定ボタン305および戻るボタン306が表示される。
サービス301は、第1無線通信装置200が受けることが可能なサービスが表示される。このサービスは、例えば、サービスディスカバリ情報(図5に示すサービスタイプ163)に基づいて表示される。
提供元302は、対応するサービスを提供する無線通信装置を表す名称である。この名称は、例えば、サービスディスカバリ情報(隣接する無線通信装置である場合には、図5に示すヘッダ152、それ以外の無線通信装置である場合には、図5に示す無線通信装置ID172)に基づいて表示される。
通信予測303は、対応するサービスを受けた後に予測される通信状況を表す標識である。この標識は、例えば、サービスディスカバリ情報を用いて特定される通信経路に存在する無線通信装置の台数や混雑度等に基づいて表示される。
ラジオボタン304は、サービス毎に付されるラジオボタンであり、ユーザ操作により選択されると、白丸内に黒丸が付される。図7では、第7無線通信装置107が提供する画像サービスと、第5無線通信装置105が提供する音楽サービス(オーディオサービス)とが選択されている状態を示す。
確定ボタン305は、ユーザ操作により選択されたサービスを確定する際に押下されるボタンである。
戻るボタン306は、直前に表示されていた表示画面に戻る場合に押下されるボタンである。
[第1通信モードによる通信例]
図8は、本技術の第1の実施の形態における通信システム100を構成する各装置間における通信処理例を示すシーケンスチャートである。なお、この例では、第1通信モードでの無線通信により第7無線通信装置107が提供するサービスを第1無線通信装置200が受け付ける場合における通信処理を簡略化して示す。
最初に、第7無線通信装置107がサービスディスカバリ情報を各無線通信装置(第1無線通信装置200を含む)に送信する(401乃至404)。この場合に、第7無線通信装置107は、第1無線通信装置200との間で情報のやり取りを直接行うことができないため、サービスディスカバリ情報が第4無線通信装置104を介して送信される。また、サービスディスカバリ情報は、例えば、図4乃至図6に示すように、ビーコンに含めて定期的または不定期に送信される。
サービスディスカバリ情報を受信した場合には(404)、第1無線通信装置200は、受信したサービスディスカバリ情報に基づいて、第1無線通信装置200が受けることが可能なサービスに関する情報を表示部290に表示する(405)。また、一定時間内に他の無線通信装置から受信したサービスディスカバリ情報に応じた各情報についても表示される。例えば、図7に示す表示画面300が表示される。
続いて、表示部290に表示されている表示画面においてユーザが所望のサービスを選択する選択操作を行う(406)。例えば、図8に示す表示画面300において、画像サービスを選択するための選択操作(例えば、ラジオボタン304のチェック後に確定ボタン305の押下操作)が行われる。
表示部290に表示されている表示画面において選択操作が行われた場合には(406)、制御部240は、その選択操作に対応するサービスを要求するためのサービス要求を、その選択操作に対応する無線通信装置に送信する(407乃至410)。例えば、図7に示す表示画面300において、画像サービスを選択するための選択操作が行われた場合(406)を想定する。この場合には、その選択操作に対応する画像サービスを要求するための画像サービス要求を、その選択操作に対応する第7無線通信装置107に送信する(407乃至410)。この場合に、第1無線通信装置200は、第7無線通信装置107との間で情報のやり取りを直接行うことができないため、その画像サービス要求が第4無線通信装置104を介して送信される。
画像サービス要求を受信した場合には(410)、第7無線通信装置107は、受信した画像サービス要求に対応する画像サービスを第1無線通信装置200に提供する(411乃至414)。例えば、その画像サービスが、第7無線通信装置107に内蔵または取り付けられているカメラにより撮影された画像(リアルタイム画像)の提供である場合には、そのリアルタイム画像が第4無線通信装置104を介して順次送信される(411乃至414)。
なお、図8では、他の無線通信装置から受信したサービスディスカバリ情報に基づいて表示される表示画面において、ユーザが所望のサービスを選択する例を示す。ただし、サービスディスカバリ情報を受信する前に、ユーザが所望のサービスを予め選択しておくようにしてもよい。例えば、図7に示す表示画面300における提供元302および通信予測303が削除された表示画面が表示され、この表示画面において、ユーザが所望のサービス(例えば、画像サービス)を選択することができる。この場合には、ユーザにより選択されたサービスを提供可能な無線通信装置からのサービスディスカバリ情報を受信した場合に、その無線通信装置にその選択されたサービスの要求を自動で行うことができる。
また、図8では、1つのサービスを選択してそのサービスを受ける例を示したが、複数のサービスを選択してその複数のサービスを1または複数の無線通信装置から受けることも可能である。この例を図9に示す。
[複数のサービスを受ける例]
図9は、本技術の第1の実施の形態における第1無線通信装置200が複数の無線通信装置から複数のサービスを受ける場合における接続状態の一例を示す図である。なお、図9に示すシステム構成については、図1と同様である。
ここで、第5無線通信装置105および第8無線通信装置108のそれぞれは、音楽サービスを提供することが可能であり、第7無線通信装置107は、画像サービスを提供することが可能である場合を想定する。
なお、画像サービスは、例えば、第7無線通信装置107に内蔵または取り付けられているカメラにより撮影された画像(リアルタイム画像)を、無線通信を利用して提供するサービスである。また、画像サービスとして、例えば、第7無線通信装置107に格納されている画像コンテンツを、無線通信を利用して提供するサービスとするようにしてもよい。
また、第1無線通信装置200のユーザは、音楽を聴きながら画像を眺めるサービスを受けることを希望する場合を想定する。
上述したように、通信システム100を構成する各無線通信装置は、第1通信モードにて、自装置の存在および自装置が提供することができるサービスを定期的にアナウンスしている。すなわち、自装置の存在および自装置が提供することができるサービスを通知するためのサービスディスカバリ情報(ビーコンに含まれる)が定期的に送信される。このサービスディスカバリ情報を受信することにより、通信システム100を構成する各無線通信装置は、隣接する無線通信装置のうちの何れかの無線通信装置と通信を行うと、どのようなサービスを享受することが可能であるかを検出することができる。
また、上述したように、サービスディスカバリ情報は、自装置がマルチホップ・リレーの中継局として動作することにより、中継先にどのようなサービスを提供することが可能であるかを通知することができる。すなわち、通信システム100を構成する各無線通信装置は、サービスディスカバリ情報を送信することにより、自装置がマルチホップ・リレーの中継局として動作することにより中継先にどのようなサービスを提供可能であるかを通知することができる。
例えば、第5無線通信装置105は、自装置が音楽サービスを提供することができる旨のサービスディスカバリ情報を、隣接する無線通信装置(第3無線通信装置103、第4無線通信装置104等)に送信する。このサービスディスカバリ情報を受信した第3無線通信装置103は、自装置が中継局として音楽サービスを提供可能である旨のサービスディスカバリ情報を、隣接する無線通信装置(第1無線通信装置200、第4無線通信装置104等)に送信する。また、第7無線通信装置107および第8無線通信装置108についても同様に、自装置が提供可能なサービスを通知するためのサービスディスカバリ情報を送信する。
第1無線通信装置200は、第3無線通信装置103からのサービスディスカバリ情報を受信することにより、第3無線通信装置103を経由して第5無線通信装置105から音楽サービスを受けることができることを検出することができる。そして、例えば、矢印131に示すように、第3無線通信装置103を経由して第5無線通信装置105から音楽サービスを受けることができる。
同様に、第1無線通信装置200は、第4無線通信装置104からのサービスディスカバリ情報を受信することにより、第4無線通信装置104を経由して第7無線通信装置107から画像サービスを受けることができることを検出することができる。また、第1無線通信装置200は、第4無線通信装置104からのサービスディスカバリ情報を受信することにより、第4無線通信装置104を経由して第8無線通信装置108から音楽サービスを受けることができることを検出することができる。
ここで、本技術の実施の形態で用いられるマルチホップ・リレーについて説明する。
例えば、図9に示すように、メッシュネットワークが構成されており、第1無線通信装置200が第5無線通信装置105との通信を行うまでの手順について説明する。
第1無線通信装置200は、第5無線通信装置105との通信を開始する前に、どの通信経路を用いるか(どの無線通信装置を経由するか)を特定する。例えば、第1無線通信装置200は、公知の通信経路選択プロトコルに則った手順に基づいて、隣接する各無線通信装置との間で通信経路選択情報をやりとりする。
例えば、IETF発行のRFC3626、Optimized Link State Routing Protocol(OLSR)の規格で定められている手順を用いることができる。また、例えば、IEEE発行のIEEE Standard for Information Technology-Telecommunications and information exchange between systems-Local and metropolitan area networks-Specific requirements Part 11: Wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) specifications Amendment 10: Mesh Networking(通称、IEEE802.11s)等の規格で定められている手順を用いることができる。
これらの手順に基づいて、第1無線通信装置200は、第3無線通信装置103を経由すると第5無線通信装置105と無線リソースを無駄使いせずに通信が可能であることを検出することができる。例えば、中継局の数が最小であること、伝送遅延が最小であること、伝送のために周波数チャネルを占有する時間が最小であること等に基づいて、無駄使いせずに通信が可能であることを検出することができる。
この検出の際に用いられた情報は、通信経路情報として各無線通信装置の内部に保持され、実際にパケットを送受信する際に、そのパケットを最終目的地に到達させるためには次にどの無線通信装置に送信すべきかを検索する際に参照される。
第1無線通信装置200は、上述した手順で、第5無線通信装置105までの有効な通信経路情報を取得する。そして、第1無線通信装置200は、その取得された通信経路情報に基づいて、第5無線通信装置105宛てのパケットを第3無線通信装置103に送信する。このパケットを受信した第3無線通信装置103は、内部に保持されている通信経路情報に基づいて、受信した第5無線通信装置105宛てのパケットを第5無線通信装置105に転送する。
なお、上述した通信経路情報の作成は、メッシュネットワークに接続されている全ての無線通信装置を対象に行われる場合もある。ただし、ネットワーク内に存在する無線通信装置の数が極めて多い場合等には、通信経路情報の作成に関する制御パケット等によるオーバーヘッドが増加する。そこで、通信経路情報の作成に関する制御パケット等によるオーバーヘッドを削減するため、例えば、上述したように、各パケットが転送される回数に制限を設けることができる。
ここで、図9に示す例では、音楽サービスについては、矢印131に示すように、第3無線通信装置103を経由して第5無線通信装置105から受けるものとする。また、画像サービスについては、矢印132に示すように、第4無線通信装置104を経由して第7無線通信装置107から受けるものとする。
ここで、図9に示すように、第5無線通信装置105および第7無線通信装置107から提供されるサービスを第1無線通信装置200が受けるためには、各無線通信装置は制御信号を随時やりとりする必要がある。すなわち、各無線通信装置(第1無線通信装置200、第3無線通信装置103乃至第5無線通信装置105、第7無線通信装置107)は、第1通信モードでの通信コネクションの設立・維持を行うための制御信号を随時やりとりする必要がある。
しかしながら、ネットワークに参加する無線通信装置が多いと、この制御信号を多数送受信する必要があるため、オーバーヘッドが多くなってしまう。この場合には、例えば、実際のサービス提供に寄与しない通信経路を遮断することにより軽減させることができることが多い。
そこで、本技術の第1の実施の形態では、第2通信モードでの無線通信を利用してサービスの提供に用いられる通信経路を最適化する例を示す。例えば、複数のサービスを受けている場合、通信経路に共通性があるサービスの提供元を優先し、それ以外のコネクションを切断候補とする例を示す。
[最適化処理を行う際における表示例]
図10は、本技術の第1の実施の形態における表示部290に表示される表示画面の遷移例を示す図である。
図10のaには、最適な通信経路を検出するためのトリガ(第2通信モードの起動トリガ)により割り込み処理(最適化処理)が起動された場合に表示される表示画面310を示す。
なお、第2通信モードとしてLTE(Long Term Evolution)や3G(3rd Generation)を用いる場合には、第2通信モードでの無線通信を行う際に通信費が発生する。このように第2通信モードでの無線通信を行う際に通信費が発生する場合には、その旨を表示画面310に追加して表示するようにしてもよい。例えば、「通信費が10円/分かかります。」を表示画面310に追加して表示することができる。
図9に示すように、第1無線通信装置200は、第1通信モードでの無線通信を利用して、他の無線通信装置(例えば、第5無線通信装置105、第7無線通信装置107)からのサービスを受け付けているものとする。また、第1無線通信装置200の制御部240は、所定のタイミングで第2通信モードを設定して第2通信モードでの無線通信を利用してサービスの提供に用いられる通信経路を最適化する。
ここで、第2通信モードでの無線通信を利用した通信経路の最適化を行うタイミングについて説明する。このタイミングは、第2通信モードの起動トリガによる割り込みが発生した場合であり、この場合にのみ第2通信モードでの接続が試みられる。
例えば、タイマを用いて第2通信モードの起動トリガによる割り込みを発生させることができる。例えば、第1無線通信装置200の制御部240はタイマを保持するものとする。そして、第1無線通信装置200が、第1通信モードでの無線通信を利用してサービスの提供を受け付けている場合には、制御部240は、第2通信モードを起動するためのタイマを設定する。このタイマが終了した場合には、第2通信モードの起動トリガが生成される。
ここで、第2通信モードの起動周期(すなわち、タイマの設定値)について説明する。例えば、第1無線通信装置200の近辺(例えば、第1無線通信装置200を基準として所定範囲内)に存在する他の無線通信装置の数に応じて、第2通信モードの起動周期を変更することができる。例えば、第1無線通信装置200の周辺に存在する他の無線通信装置の数が閾値を基準として少ない場合には、第2通信モードの起動周期を長く設定することができる。一方、第1無線通信装置200の周辺に存在する他の無線通信装置の数が閾値を基準として多い場合には、第2通信モードの起動周期を短く設定することができる。ここで、周辺に存在する他の無線通信装置の数は、例えば、第1無線通信装置200が受信したサービスディスカバリ情報に基づいて検出することができる。
このように、第1無線通信装置200の制御部240は、タイマの設定値に基づいて第2通信モードを設定することができる。
また、オーバーヘッド量に基づいて第2通信モードの起動トリガによる割り込みを発生させることができる。例えば、第1無線通信装置200の制御部240は、第1通信モードにおいてやり取りされている制御信号のオーバーヘッド量をモニタする。そして、制御部240は、第1通信モードでのネットワークの維持のための制御信号のオーバーヘッド量に応じて第2通信モードの起動周期を変更することができる。例えば、オーバーヘッド量が閾値を基準として大きくなった場合に第2通信モードの起動を開始することができる。
また、第1通信モードを用いて接続している回線状況に基づいて第2通信モードの起動トリガによる割り込みを発生させることができる。例えば、その回線状況が悪化してきた場合に、第2通信モードの起動トリガを生成することができる。また、例えば、次の(1)乃至(3)のような具体例が想定される。
(1)第1無線通信装置200の制御部240は、第1通信モードでの回線占有率(どれだけの時間率でチャネルが占有されているか等)をモニタする。そして、制御部240は、第1通信モードでの通信容量が回線の混雑等でひっ迫し、所望のサービス提供を持続することができないと判断した場合(または、その危険がでてきた場合)には、第2通信モードの起動トリガを生成する。
(2)中継装置(サービスを中継する無線通信装置)、サービス提供装置(サービスを提供する無線通信装置)の何れかがバッテリ駆動の無線通信装置である場合を想定する。この場合には、バッテリ残量の減少に応じて、現在提供しているサービスを継続することができなくなる可能性がある。そこで、例えば、サービスを提供することができなくなる可能性がある無線通信装置は、自装置がサービスを継続することができない可能性がある旨を、周辺に存在する無線通信装置に通知する。その旨の情報は、マルチホップ・リレーにより転送され、サービスを享受している無線通信装置もその旨の情報を取得することができる。例えば、その旨の情報は、例えば、サービスディスカバリ情報に含めることができる。そして、その旨の情報を受信すると、サービスを享受している無線通信装置は、第2通信モードの起動トリガを生成する。
(3)中継装置、サービス提供装置の何れかが可搬性の高い無線通信装置(例えば、モバイル機器、携帯型の無線通信装置)である場合を想定する。この場合に、その無線通信装置が場所を移動すると、現在利用している通信経路が無効になる可能性がある。そこで、例えば、無線通信装置が場所を移動したため、サービスを提供できなくなる可能性がある無線通信装置は、自装置がサービス継続することができない可能性がある旨を、周辺に存在する無線通信装置に通知する。なお、無線通信装置の移動(例えば、閾値以上の移動)については、移動検出部(図2に示す移動検出部270に相当)により検出することができる。その旨の情報は、マルチホップ・リレーにより転送され、サービスを享受している無線通信装置もその旨の情報を取得することができる。例えば、その旨の情報は、例えば、サービスディスカバリ情報に含めることができる。そして、その旨の情報を受信すると、サービスを享受している無線通信装置は、第2通信モードの起動トリガを生成する。
このように、第1無線通信装置200の制御部240は、第1通信モードでの通信状態に基づいて第2通信モードを設定することができる。また、第1無線通信装置200の制御部240は、第1通信モードでの通信経路上に存在する他の無線通信装置を駆動するためのバッテリの残容量に基づいて第2通信モードを設定することができる。また、第1無線通信装置200の制御部240は、第1通信モードでの通信経路上に存在する他の無線通信装置の移動状態に基づいて第2通信モードを設定する。
なお、ユーザにより所定操作(例えば、サービスの選択をしない旨の操作)が行われた場合に第2通信モードの起動トリガを生成するようにしてもよい。
[第2通信モードでの無線通信例]
次に、第2通信モードでの無線通信の一例について説明する。
この例では、図9に示すように、第1無線通信装置200がサービスを享受している状態(すなわち、音楽サービスを第5無線通信装置105から受け付け、画像サービスを第7無線通信装置107から受け付けている状態)を想定する。
この場合に、第2通信モードの起動トリガにより第2通信モードでの接続が開始される。この第2通信モードにおいて、第1無線通信装置200の制御部240は、第2通信モードを用いて、現在、自装置が受け付けているサービスの内容をブロードキャストで報知する。このサービスの内容として、音楽サービスを第5無線通信装置105から受け付け、画像サービスを第7無線通信装置107から受け付けている旨が報知される。また、制御部240は、各サービスを受けている提供元からの通信経路を報知する。また、制御部240は、その報知の際に、同一のサービスを提供している他の無線通信装置が存在する場合には、返信をしてほしい旨をリクエストする。
この信号を受信した第8無線通信装置108は、自装置が第5無線通信装置105により提供されているサービス(音楽サービス)と同一のサービスを提供することができることを検出する。
ここで、第8無線通信装置108は、他装置に対してサービスを提供する設定がされているものとする。この場合には、第8無線通信装置108は、自装置がサービス(音楽サービス)を提供可能である旨と、自装置が第1通信モードにおいて第7無線通信装置107と隣接している旨とを第1無線通信装置200に返信する。
第8無線通信装置108からの返信を受け付けると、第1無線通信装置200の制御部240は、第8無線通信装置108から所望のサービス(音楽サービス)の提供を受けることができることを認識する。
ここで、図9に示すように、第1無線通信装置200が複数のサービスを受けている場合には、通信経路に共通性があるサービスの提供元を優先し、それ以外のコネクションを切断候補とすることができる。例えば、第1無線通信装置200は、第4無線通信装置104を経由して第7無線通信装置107から提供されている画像サービスを受け付けている。このため、第1無線通信装置200の制御部240は、音楽サービスについても、第4無線通信装置104、第7無線通信装置107を経由して第8無線通信装置108から受け付けたほうがよいと判断することができる。
また、このように、音楽サービスを第8無線通信装置108から受け付ける場合には、第1無線通信装置200の制御部240は、第3無線通信装置103および第5無線通信装置105とのコネクションを遮断したほうがよいと判断する。このため、第1無線通信装置200の制御部240は、第3無線通信装置103および第5無線通信装置105をコネクション切断候補として抽出する。
また、例えば、サービスの提供元からの通信経路において経由する無線通信装置の台数が多い場合には、その最短距離となるような通信経路を新たに抽出するようにしてもよい。
これらの判断に応じて、第1無線通信装置200の制御部240は、第1モデム221を介して第1通信モードを利用した第8無線通信装置108とのコネクションを設立する。続いて、第1無線通信装置200は、第4無線通信装置104、第7無線通信装置107を経由して第8無線通信装置108から音楽サービスを受け付けるサービス享受状態へと変遷する。続いて、第1無線通信装置200の制御部240は、第1通信モードを利用した第3無線通信装置103および第5無線通信装置105とのコネクションを切断する。
このように、サービス提供に不要である第1通信モードの接続リンクが切断されて、整理された第1通信モードのコネクションの状態を図11に示す。
[複数のサービスを受ける例]
図11は、本技術の第1の実施の形態における第1無線通信装置200が複数の無線通信装置から複数のサービスを受ける場合における接続状態の一例を示す図である。なお、図11に示すシステム構成については、図1と同様である。
このように不要な接続リンクを切断することにより、ネットワークを維持するために必要な第1通信モードの制御信号のオーバーヘッドを削減することができる。
[最適化処理が行われた後の表示例]
図10のbには、最適な提供元および通信経路に変更するための最適化処理によりサービスの提供元または通信経路が変更された場合に表示される表示画面320を示す。
表示画面320は、最適化処理が行われた後に表示される表示画面であり、サービス321と、提供元322と、通信予測323と、確認ボタン324とが表示される。
サービス321は、最適化処理が行われたサービスが表示される。なお、サービス301は、図7に示すサービス301に対応する。
提供元322は、最適化処理が行われる前にサービスを提供していた無線通信装置と、最適化処理が行われた後にサービスを提供している無線通信装置とを表す名称である。なお、提供元322は、図7に示す提供元302に対応する。
通信予測323は、最適化処理が行われる前のサービスについて予測された通信状況と、最適化処理が行われた後のサービスについて予測される通信状況とを表す標識である。なお、通信予測323は、図7に示す通信予測303に対応する。
確認ボタン324は、表示画面320の内容を確認した後に押下されるボタンである。
[無線通信装置の動作例]
図12は、本技術の第1の実施の形態における第1無線通信装置200の通信制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。図12では、所望のサービスをユーザが予め選択している場合の例を示す。
最初に、通信システム100を構成する各無線通信装置は、第1通信モードでの無線通信を利用してサービスディスカバリ情報を送信している。このため、制御部240は、各無線通信装置からのサービスディスカバリ情報を受信し、このサービスディスカバリ情報に基づいて、ユーザにより選択されたサービスのうち、提供を受け付けることが可能なサービスを探索する(ステップS901)。この探索により、第1無線通信装置200は、ユーザにより選択されたサービスを検出することができる。
例えば、図9に示す例では、第1無線通信装置200は、第4無線通信装置104を経由して第7無線通信装置107から画像サービスを享受することができることを検出する。また、第3無線通信装置103を経由して第5無線通信装置105から音楽サービスを享受することができることを検出する。
このように、ユーザにより選択されたサービスが検出された場合には、制御部240は、その検出されたサービスを提供する各無線通信装置にコネクションの設立を試みて通信を開始する(ステップS902)。
続いて、通信経路が設立されると、第1無線通信装置200は、サービスの享受を開始する(ステップS903)。例えば、制御部240は、第4無線通信装置104を経由して第7無線通信装置107から受け付けた画像サービスに対応する画像を表示部290に表示させる(ステップS903)。また、例えば、制御部240は、第3無線通信装置103を経由して第5無線通信装置105から受け付けた音楽サービスに対応する音楽を音声出力部295から出力させる(ステップS903)。
続いて、制御部240は、第2通信モードの起動トリガにより割り込み処理が起動されたか否かを判断する(ステップS904)。そして、その割り込み処理が起動されていない場合には、ステップS901に戻る。一方、その割り込み処理が起動された場合には(ステップS903)、最適化処理が開始される。
最適化処理は、第2通信モードでの無線通信を利用して周辺に存在する無線通信装置との間で情報のやりとりを行うことにより実施される。
例えば、制御部240は、第2通信モードでの無線通信を利用して周辺に存在する無線通信装置(例えば、図9に示す全ての無線通信装置)との間で情報のやりとりを行う(ステップS905)。そして、制御部240は、現在、画像サービスおよび音楽サービスを享受している提供元および通信経路が最適であるかを確認する最適化処理を行う(ステップS906)。この最適化処理では、現在、享受しているサービスと同一のサービスをさらに効率よく提供することができる提供元および通信経路が存在するか否かが確認される(ステップS906)。
例えば、図9に示す例において、最適化処理により、第5無線通信装置105と同様の音楽サービスを第8無線通信装置108が提供可能であることを発見した場合を想定する。ここで、上述したように、第1無線通信装置200が複数のサービスを受けている場合には、通信経路に共通性があるサービスの提供元を優先し、それ以外のコネクションを切断候補とすることが好ましい。そこで、音楽サービスの提供元として第8無線通信装置108が発見された場合には、音楽サービスについても第4無線通信装置104、第7無線通信装置107を経由して第8無線通信装置108から受け付けたほうがよいと制御部240は判断することができる。
また、このように、音楽サービスを第8無線通信装置108から受け付ける場合には、制御部240は、第3無線通信装置103および第5無線通信装置105とのコネクションを遮断したほうがよいと判断する。このため、制御部240は、第3無線通信装置103および第5無線通信装置105をコネクション切断候補として抽出する(ステップS906)。なお、ステップS905は、請求の範囲に記載の第1手順の一例である。また、ステップS906は、請求の範囲に記載の第2手順の一例である。
これらの判断に基づいて、制御部240は、第1モデム221を介して第1通信モードを利用した第8無線通信装置108とのコネクションを設立する(ステップS907)。続いて、第1無線通信装置200は、第4無線通信装置104、第7無線通信装置107を経由して第8無線通信装置108から音楽サービスを受け付けるサービス享受状態へと変遷する(ステップS907)。そして、制御部240は、第1通信モードを利用した第3無線通信装置103および第5無線通信装置105とのコネクションを切断する(ステップS907)。
続いて、制御部240は、ネットワーク接続の終了指示が行われたか否かを判断し(ステップS908)、ネットワーク接続の終了指示が行われていない場合には、ステップS901に戻る。一方、ネットワーク接続の終了指示が行われた場合には(ステップS908)、通信制御処理の動作を終了する。
このように、制御部240は、第1通信モードにおいて1または複数の他の無線通信装置を介して第5無線通信装置105、第7無線通信装置107との間でデータの送受信が行われている場合に、第2通信モードを設定する。そして、制御部240は、第2通信モードにおいて所定条件を満たす第8無線通信装置108を検出する。この場合に、制御部240は、第2通信モードにおいて、第5無線通信装置105が提供するサービスと同一のサービスを提供する第8無線通信装置108を検出する。また、制御部240は、第1通信モードにおいて第7無線通信装置107との間で行われるデータの送受信の通信経路の少なくとも一部が共通する通信経路となる第8無線通信装置108を検出する。
また、制御部240は、第8無線通信装置108が検出された場合には、第1通信モードにおいて第5無線通信装置105の代わりに第8無線通信装置108に接続する。この接続後に、制御部240は、1または複数の他の無線通信装置を介して第8無線通信装置108との間でデータの送受信を行う。
このように、第1無線通信装置200は、第1通信モードでの無線通信を用いたサービスの探索およびそのサービスの享受と、第2通信モードでの無線通信を用いたコネクションの再構築との各処理を定期的(または不定期)に繰り返す。そして、必要最低限のリソースで最適なサービスを受けるための提供元および通信経路を抽出する。
[転送回数の制限を変更させた2つの通信モードを第1通信モードおよび第2通信モードとする例]
以上では、物理的に信号の伝達範囲が異なる2つの通信モードを、第1通信モードおよび第2通信モードとする例を示した。ただし、メッシュネットワークのマルチホップ・リレーの転送回数の制限の変更により信号の伝達範囲が異なる2つの通信モードを、第1通信モードおよび第2通信モードとすることも考えられる。例えば、物理的に信号の伝達範囲が同一の通信モードについて、メッシュネットワークのマルチホップ・リレーの転送回数の制限を変更させて、第1通信モードおよび第2通信モードとすることができる。
そこで、以下では、転送回数の制限を2ホップとする通信モードを第1通信モードとし、転送回数の制限を3ホップ以上とする通信モードを第2通信モードとする例について説明する。
例えば、図9に示すように、第1通信モードでの無線通信を利用して、第1無線通信装置200がサービスを享受している場合を想定する。上述したように、第1通信モードでの転送(ホップ)回数が2ホップと制限されているため、マルチホップ・リレーを利用しても、第1無線通信装置200が通信可能な無線通信装置は制限される。すなわち、第1無線通信装置200は、第1通信モードでの無線通信を利用している限り、第5無線通信装置105、第7無線通信装置107よりも遠くの無線通信装置のサービスディスカバリ情報を取得することができない。
そこで、最適化処理を行う場合には、第1無線通信装置200は、第2通信モードでの無線通信を利用して接続を開始する(図12に示すステップS905に相当)。このように、第2通信モードでの無線通信を利用して接続を行うことにより、第1無線通信装置200は、第1通信モードでの転送(ホップ)回数の制限を超えた範囲に存在する無線通信装置のサービスディスカバリ情報を取得することができる。
具体的には、第1無線通信装置200は、現在サービスを提供している第5無線通信装置105および第7無線通信装置107に対して、自装置がサービスを享受している内容を通知する。この内容として、音楽サービスを第5無線通信装置105から受け付け、画像サービスを第7無線通信装置107から受け付けている旨が通知される。この通知により、同一のサービスを提供している他の無線通信装置が、それぞれの無線通信装置(サービスの提供元および中継装置(第2無線通信装置102乃至第5無線通信装置105、第7無線通信装置107)の周辺に存在するかを問い合わせる。
例えば、この問い合わせを受信した第7無線通信装置107は、自装置に隣接する第8無線通信装置108が、同一の音楽サービスを提供していることを検出しているため、その旨を第1無線通信装置200に対して返送する。第1無線通信装置200は、その返信により、第8無線通信装置108からサービス提供を受けることができることを認識する(図12に示すステップS906に相当)。
[過去の接続情報を用いる例]
以上では、第2通信モードでの無線通信を用いて、最適なサービスの提供元および通信経路を検出する例を示した。ここで、過去に同様のサービスの提供を受けている場合には、そのサービスの提供を受けた際のサービスの提供元および通信経路を用いることも考えられる。
例えば、サービスの提供を受けた第1無線通信装置200の制御部240は、今回、どの無線通信装置からサービスを受けたかをメモリ250に記憶しておく。そして、次回、同一のサービスを享受する場合には、第1無線通信装置200の制御部240は、最初に、メモリ250に記憶されている無線通信装置からサービスを受けることを試みる。例えば、図11に示す例では、第1無線通信装置200は、第7無線通信装置107および第8無線通信装置108からサービスを受けている。このため、そのサービスが終了したタイミングで、第7無線通信装置107および第8無線通信装置108に関する情報(過去の接続情報(例えば、サービスの提供元および通信経路を特定するための情報))をメモリ250に記憶しておく。そして、次回、同一のサービスを享受する場合には、第1無線通信装置200の制御部240は、最初に、メモリ250に記憶されている第7無線通信装置107および第8無線通信装置108からサービスを受けることを試みる。このようにすることにより、第2通信モードでの無線通信を用いたサービス提供に関するオーバーヘッドをさらに削減することができる。
このように、本技術の実施の形態によれば、第1通信モードでの無線通信を利用して、必要最低限の電力消費および通信資源でサービスの提供を受けることができる。また、サービスの提供を受けている間に、定期的または不定期に最適化処理を行うため、第1通信モードでの通信コネクションを維持するために必要な制御オーバーヘッドを最低限に抑えることができる。これにより、サービスの提供を受ける際に必要となる周辺の無線通信装置を効率的に利用することができ、最適なネットワークの構成を実現することができる。すなわち、複数の無線通信装置間で行う無線通信を効率的に行うことができる。
また、本技術の実施の形態では、2つの通信モードを用いる例を示すが、任意のN個(ただし、Nは3以上の整数)の通信モードを用いる場合についても本技術の実施の形態を適用することができる。例えば、第1通信モードを可視光通信とし、第2通信モードを2.4GHz無線LANとし、第3通信モードをLTEとすることができる。このように多数の通信モードを備えることにより、第1通信モードでは広帯域の信号の無線通信を安価に行い、第2通信モードでは安価な無線通信を利用して最適なサービスの提供元および通信経路を発見することができる。また、第3通信モードでは、有料ではあるが、さらに広範囲の無線通信装置を対象として最適なサービスの提供元および通信経路を発見することができる。このように、ユーザの希望に応じた多段的なサービスを提供することができる。
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disk)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標) Disc)等を用いることができる。
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
所定範囲内に存在する他の無線通信装置との間で無線通信を行う第1通信モードと、前記所定範囲よりも広い範囲内に存在する他の無線通信装置との間で無線通信を行う第2通信モードとのうちの少なくとも一方の通信モードにおいてデータの送受信を行う通信部と、
前記第1通信モードにおいて1または複数の他の無線通信装置を介して第2無線通信装置との間でデータの送受信が行われている場合に前記第2通信モードを設定して所定条件を満たす第3無線通信装置を検出するための制御を行う制御部と
を具備する無線通信装置。
(2)
前記制御部は、前記第3無線通信装置が検出された場合には、前記第1通信モードにおいて前記第2無線通信装置の代わりに前記第3無線通信装置に接続して1または複数の他の無線通信装置を介して前記第3無線通信装置との間でデータの送受信を行うための制御を行う前記(1)に記載の無線通信装置。
(3)
前記通信部は、前記第1通信モードにおいて前記第2無線通信装置が提供する第1サービスを受け付けるためのデータの送受信を前記第2無線通信装置との間で行い、
前記制御部は、前記第2通信モードにおいて前記第1サービスと同一のサービスを提供する無線通信装置を前記第3無線通信装置として検出する
前記(1)または(2)に記載の無線通信装置。
(4)
前記通信部は、前記第1通信モードにおいて前記第1サービスを受け付けるためのデータの送受信を前記第2無線通信装置との間で行うとともに、1または複数の他の無線通信装置を介して、第4無線通信装置が提供する第2サービスを受け付けるためのデータの送受信を前記第4無線通信装置との間で行い、
前記制御部は、前記第1通信モードにおいて前記第4無線通信装置との間で行われるデータの送受信の通信経路の少なくとも一部が共通する通信経路となる無線通信装置を前記第3無線通信装置として検出する
前記(3)に記載の無線通信装置。
(5)
前記制御部は、所定タイミングで前記第2通信モードを設定して前記第3無線通信装置を検出する前記(1)から(4)のいずれかに記載の無線通信装置。
(6)
前記制御部は、タイマの設定値に基づいて前記第2通信モードを設定する前記(5)に記載の無線通信装置。
(7)
前記制御部は、前記第1通信モードでの通信状態に基づいて前記第2通信モードを設定する前記(5)に記載の無線通信装置。
(8)
前記制御部は、前記第1通信モードでの通信経路上に存在する他の無線通信装置を駆動するためのバッテリの残容量に基づいて前記第2通信モードを設定する前記(5)に記載の無線通信装置。
(9)
前記制御部は、前記第1通信モードでの通信経路上に存在する他の無線通信装置の移動状態に基づいて前記第2通信モードを設定する前記(5)に記載の無線通信装置。
(10)
所定範囲内に存在する他の無線通信装置との間で無線通信を行う第1通信モードと、前記所定範囲よりも広い範囲内に存在する他の無線通信装置との間で無線通信を行う第2通信モードとのうちの少なくとも一方の通信モードにおいてデータの送受信を行う第1乃至第3無線通信装置を具備し、
前記第1無線通信装置は、前記第1通信モードにおいて1または複数の他の無線通信装置を介して前記第2無線通信装置との間でデータの送受信が行われている場合に前記第2通信モードを設定して所定条件を満たす前記第3無線通信装置を検出するための制御を行う
通信システム。
(11)
所定範囲内に存在する他の無線通信装置との間で無線通信を行う第1通信モードにおいて1または複数の他の無線通信装置を介して第2無線通信装置との間でデータの送受信が行われている場合に、前記所定範囲よりも広い範囲内に存在する他の無線通信装置との間で無線通信を行う第2通信モードを設定する第1手順と、
前記第2通信モードにおいて所定条件を満たす第3無線通信装置を検出する第2手順と
を具備する無線通信装置の制御方法。
(12)
所定範囲内に存在する他の無線通信装置との間で無線通信を行う第1通信モードにおいて1または複数の他の無線通信装置を介して第2無線通信装置との間でデータの送受信が行われている場合に、前記所定範囲よりも広い範囲内に存在する他の無線通信装置との間で無線通信を行う第2通信モードを設定する第1手順と、
前記第2通信モードにおいて所定条件を満たす第3無線通信装置を検出する第2手順と
をコンピュータに実行させるプログラム。