JPWO2014033890A1 - 非水系電気めっき方法および非水系電気めっき装置 - Google Patents

非水系電気めっき方法および非水系電気めっき装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、大気雰囲気下(大気に解放された雰囲気中)においても、安全に、高効率にかつ健全に卑金属および卑金属を含む合金を電気めっきすることが可能な非水系電気めっき方法、および該方法を可能とし操業性の高い非水系電気めっき装置を提供することを目的とする。本発明に係る非水系電気めっき方法は、非水系めっき液を用いて被めっき体に電気めっきする方法であって、前記非水系めっき液は、めっきする金属のハロゲン化物(金属ハロゲン化物)と、前記金属ハロゲン化物に対してイオン対をなす有機化合物とを含み、前記非水系めっき液と相分離しかつ前記非水系めっき液よりも比重が小さい疎水性液体を更に用い、前記疎水性液体により前記非水系めっき液の上面が液体封止されている。

Description

本発明は、非水系めっき液を用いた電気めっき方法および該方法を実施するための非水系電気めっき装置に関するものである。
金属の電気めっきプロセスは、多くの場合にめっき液として水溶液が用いられている。水性めっき液は揮発性が低くて管理しやすく排水処理も比較的容易であることから、水系電気めっきは低コストプロセスとして位置づけられている。
一方、めっき液溶媒として水を用いることにより、電気化学的に析出可能な金属元素の種類は限られていた。機能性金属薄膜として期待されるアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)などの金属元素は、酸素に対する親和力が大きく、その酸化還元電位が水の還元分解電位に比べて卑であるため(標準電極電位が負であるため)、これらの金属種を水溶液から電気めっきすることは困難であった。
酸化還元電位が卑な金属(卑金属)やこれを含む合金膜を電気めっきすることを目的として、電気分解しない安定な電位領域(電位窓)が水に比べて広い有機溶媒や溶融塩等を用いる電気めっき(いわゆる非水系電気めっき)が研究されてきた。例えば、アルミニウムめっきでは、有機溶媒系のめっき液として、塩化アルミニウム(AlCl3)と水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)とを、またはAlCl3と水素化リチウム(LiH)とをエーテル(例えば、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン)に溶解したもの等が知られている。しかしながら、これらのめっき液は、発火性や大きい引火性を有するため、取り扱いに厳重な注意が必要という問題があった。
そのため、安全性の高い溶媒(例えば、高い化学的安定性、不燃性、小さい蒸気圧などの特徴を有する溶媒)として、室温レベルで液体として存在する溶融塩(いわゆるイオン液体)を用いた電気めっきが研究されている。例えば、特許文献1(特開平5-51785)には、アルミニウムハロゲン化物(A)と、モノアルキルピリジニウムハロゲン化物、ジアルキルピリジニウムハロゲン化物、1-アルキルイミダゾリウムハロゲン化物、1,3-ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを「A:B=1:1〜3:1」のモル比で混合溶融してなるめっき浴に、ポリスチレンまたはポリメチルスチレンを0.1〜50 g/L含有させた電気アルミニウムめっき浴が開示されている。特許文献1によると、爆発や発火の危険がなく、平滑で緻密な光沢表面を呈するアルミニウム皮膜を常温または低温で作業性良く形成することができるとされている。
また、特許文献2(特開平1-132791)には、塩化アルミニウムとブチルピリジニウムクロリドとの溶融塩めっき液またはこれに有機溶媒を添加しためっき液と陽極とを収容するめっき槽を上部が開閉自在な密閉型にするとともに、めっき液の貯蔵槽をも密閉型にして、両槽に不活性導入口を設け、また、両槽を循環管で接続し、めっき槽内部にバレルをアルミニウム軸の陰極で軸架した電気アルミニウムめっき装置が開示されている。特許文献2によると、当該めっき装置は、めっき槽と貯蔵槽とを密閉型にし、かつ、両槽を循環管で接続して、めっき液を全量貯蔵槽の方へ移送できるようになっているので、めっき液が酸化されることがないとされている。
また、非特許文献1には、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびそれらのアルミニウム合金の結晶電析に関する研究が報告されている。非特許文献1によると、水性電解質に比して広い電気化学窓を有するイオン性電解質(室温溶融塩やイオン液体)から、Ni、CoおよびそれらのAl合金のナノスケールの電気めっきが可能であることが示されている。
特開平5−51785号公報 特開平1−132791号公報
W. Freyland, C.A. Zell, S.Zein El Abedin, F. Endres: "Nanoscale electrodeposition of metals and semiconductors from ionic liquids", Electrochimica Acta 48 (2003) 3053-3061.
前述したように、非水系電気めっき液は、一般的に化学的安定性が低いため大気中の水分や酸素に触れると、めっき液が酸化・分解され易く、電流効率が低下したり、めっき皮膜の仕上がりが悪化したりするという問題があった。特に、塩化アルミニウムを使用するめっき液では、塩化アルミニウム自体が水(例えば、大気中の水分)と化学反応して塩化水素を発生するため、電気めっきの安定性の観点のみならず作業安全性の観点からも、当該めっき液を実質的に大気に晒すことが出来ないという取り扱い上の困難さがある。
特許文献1に記載のめっき浴は、酸素や水分に触れても安全とされているが、めっき浴の安定性維持の観点およびめっき性状の観点から、乾燥無酸素雰囲気中(乾燥窒素やアルゴン中)で用いることが望ましいとされている。すなわち、めっき液を大気に晒さないようにすることが望ましい点においては、従来からの取り扱い上の手間は存続していると言える。
また、特許文献2に記載の電気アルミニウムめっき装置は、電気めっきを行うめっき槽が、乾燥窒素やアルゴン等によって不活性雰囲気にされた密閉構造となるため、被めっき体の出し入れ作業に加えて、わずかな電極の位置調整作業などにおいても、全てのめっき液を貯蔵槽に移送してからめっき槽を解放するという操作が必須となり、めっき装置の操業性が悪いという問題があった。
なお、非特許文献1は、イオン液体からの結晶電析のメカニズムを考察した学術論文であり、電気めっき液の取り扱い性、アルミニウム合金の電気めっき方法、および電気めっき装置に関して特段議論するものではない。
このような背景から、酸化還元電位が卑な金属(卑金属)やこれを含む合金膜の電気めっきに関して、高い安全性と高い作業性とめっき皮膜の健全性とを兼ね備えた電気めっき方法および電気めっき装置が強く望まれていた。したがって、本発明の目的は、大気雰囲気下(大気に解放された雰囲気中)においても、安全に、高効率にかつ健全に卑金属および卑金属を含む合金を電気めっきすることが可能な非水系電気めっき方法、および該方法を可能とし操業性の高い非水系電気めっき装置を提供することにある。
(I)本発明の一つの態様によると、非水系めっき液を用いて被めっき体に電気めっきする方法であって、前記非水系めっき液は、めっきする金属のハロゲン化物(金属ハロゲン化物)と、前記金属ハロゲン化物に対してイオン対をなす有機化合物とを含み、前記非水系めっき液と相分離しかつ前記非水系めっき液よりも比重が小さい疎水性液体を更に用い、前記疎水性液体により前記非水系めっき液の上面が液体封止されている非水系電気めっき方法を提供する。
上記の本発明に係る非水系電気めっき方法(I)において、次のような改良や変更を加えることができる。
(i)前記被めっき体は、前記非水系めっき液を液体封止する前記疎水性液体の層を通過して前記非水系めっき液に浸漬されて電気めっきが施され、その後、前記疎水性液体の層を通過して取り出される。
(ii)前記疎水性液体は、流動パラフィン、およびシリコーンオイルのうち少なくとも一つからなる。
(iii)前記有機化合物は、ジアルキルイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、脂肪族ホスホニウム塩、および4級アンモニウム塩のうち少なくとも一つからなる。
(iv)前記非水系めっき液は、前記金属ハロゲン化物のモル濃度が前記有機化合物のモル濃度の1倍以上3倍以下である。
(v)前記金属ハロゲン化物は、少なくともハロゲン化アルミニウムを含有する。
(vi)前記金属ハロゲン化物は、2種以上の金属ハロゲン化物からなる。
(II)本発明の他の態様によると、被めっき体に電気めっきを施すめっき装置であって、前記電気めっきが、上記の本発明に係る非水系電気めっき方法によって行われる非水系電気めっき装置を提供する。
(III)本発明の更に他の態様によると、被めっき体に電気めっきを施すめっき装置であって、
前記被めっき体を挿抜して電気めっきを施すために上面が解放されためっき槽と、
めっきする金属のハロゲン化物(金属ハロゲン化物)と前記金属ハロゲン化物に対してイオン対をなす有機化合物とを含む非水系めっき液を貯蔵するためのめっき液貯蔵タンクと、
前記非水系めっき液よりも比重が小さくかつ前記非水系めっき液と相分離する疎水性液体を貯蔵するための疎水性液体貯蔵タンクと、
前記めっき液貯蔵タンクと前記めっき槽とを接続し前記非水系めっき液を循環させるためのめっき液循環パイプおよびめっき液循環ポンプと、
前記疎水性液体貯蔵タンクと前記めっき槽とを接続し前記疎水性液体を循環させるための疎水性液体循環パイプおよび疎水性液体循環ポンプとを具備する非水系電気めっき装置を提供する。
上記の本発明に係る非水系電気めっき装置(III)において、次のような改良や変更を加えることができる。
(vii)前記めっき槽で前記非水系めっき液に接触する箇所に前記非水系めっき液の温度を制御するための第1の液温制御機構と、前記めっき槽で前記疎水性液体に接触する箇所に前記疎水性液体の温度を制御するための第2の液温制御機構とを更に具備する。
(viii)前記めっき液貯蔵タンクに前記非水系めっき液の温度を制御するための第3の液温制御機構と、前記疎水性液体貯蔵タンクに前記疎水性液体の温度を制御するための第4の液温制御機構とを更に具備する。
本発明によれば、大気雰囲気下(大気に解放された雰囲気中)においても、安全に、高効率にかつ健全に卑金属および卑金属を含む合金を電気めっきすることが可能な非水系電気めっき方法を提供することができる。また、当該めっき方法を実施するための非水系電気めっき装置を提供することができる。
本発明に係る非水系電気めっき方法の一例を示す模式図である。 本発明に係る非水系電気めっき方法の他の一例を示す模式図である。 本発明に係る非水系電気めっき装置の一例を示す模式図である。
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されるものではなく、発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
(非水系電気めっき方法)
図1は、本発明に係る非水系電気めっき方法の一例を示す模式図である。図1に示したように、本発明の非水系電気めっきは、非水系めっき液101と、該非水系めっき液101と相分離しかつ非水系めっき液101よりも比重が小さい疎水性液体102とを用い、疎水性液体102が非水系めっき液101の上面を液体封止した状態で行われる。非水系めっき液101は、疎水性液体102により液体封止されることで大気と遮断される。これにより、非水系めっき液101への大気中水分の侵入を防止するとともに、酸素の侵入も抑制可能となり、上面が大気解放されためっき槽103を利用して(すなわち、大気雰囲気下において)非水系めっきが実施可能となる。
被めっき体104および対極105は、非水系めっき液101中に全体が浸漬・配置され、リード線106を介して電源107に接続されている。通電することにより、被めっき体104は全体がめっき膜によって被覆される。
対極105には、不溶性電極(例えば、白金、チタン-白金など)を用いてもよいし、めっきしようとする金属からなる可溶解性電極を用いてもよい。可溶解性電極を用いると、めっきで消費される金属イオンが自動的に補給され、めっき液中の金属イオン濃度を一定の範囲に保つことができる。特に、連続的にめっきする場合には、通電量に応じて金属イオンが自動補給されるため、可溶性電極を用いることが好ましい。
被めっき体104を非水系めっき液101中に配置する際、被めっき体104は、疎水性液体102の層を通過して非水系めっき液101に浸漬される。そのため、水性のめっき前処理液や該めっき前処理液を洗浄するための純水が被めっき体104表面に残存している場合でも、疎水性液体102の層を通過する際にそれらの水分が疎水性液体102により排除される作用効果もある。
非水系めっき液101は、めっきする金属のハロゲン化物(金属ハロゲン化物)と、該金属ハロゲン化物とイオン対をなす有機化合物とを含む。本発明で用いる金属ハロゲン化物としては、卑金属(標準電極電位が負の金属、例えば、錫、ニッケル、コバルト、クロム、亜鉛、アルミニウムなど)の塩化物や臭化物を好適に用いることができる。使用する金属ハロゲン化物は無水塩が好ましい。なお、本発明は、卑金属の電気めっきに限定されるものではなく、卑金属を含む合金の電気めっきはもちろんのこと、貴金属(標準電極電位が正の金属、例えば、銅、金など)の電気めっきに利用してもよい。また、金属ハロゲン化物は、2種以上の異なる金属種のハロゲン化物を混合して用いてもよい。
本発明で用いる有機化合物(上記金属ハロゲン化物とイオン対をなす有機化合物)としては、ジアルキルイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、脂肪族ホスホニウム塩、および4級アンモニウム塩のうち少なくとも一つを好適に用いることができる。より具体的には、ジアルキルイミダゾリウム塩としては、例えば、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヨージド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヨージドなどが挙げられる。ピリジニウム塩としては、例えば、メチルピリジニウムクロリド、メチルピリジニウムブロミド、メチルピリジニウムヨージド、エチルピリジニウムクロリド、エチルピリジニウムブロミド、エチルピリジニウムヨージド、ブチルピリジニウムクロリド、ブチルピリジニウムブロミド、ブチルピリジニウムヨージドなどが挙げられる。脂肪族ホスホニウム塩としては、エチルトリブチルホスホニウムクロリド、エチルトリブチルホスホニウムブロミド、エチルトリブチルホスホニウムヨージド、メチルトリブチルホスホニウムクロリド、メチルトリブチルホスホニウムブロミド、メチルトリブチルホスホニウムヨージドなどが挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウムブロミド、トリメチルエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
上述の有機化合物と金属ハロゲン化物とは、「1:1 ≦ 有機化合物:金属ハロゲン化物 ≦ 1:3」のモル比で混合溶融していることが好ましく、「1:1.5 ≦ 有機化合物:金属ハロゲン化物 ≦ 1:3」のモル比がより好ましい。金属ハロゲン化物のモル濃度が有機化合物のモル濃度以下になると、めっき析出速度が著しく低下し、めっきの析出均一性が劣化する。一方、金属ハロゲン化物のモル濃度が有機化合物のモル濃度の3倍より大きくなると、非水系めっき液101の粘度が増加し、めっきの電流効率が低下する。
金属ハロゲン化物として2種以上の異なる金属種のハロゲン化物を混合して用いた場合(すなわち、合金めっきの場合)、「1:1 ≦ 有機化合物:金属ハロゲン化物全体 ≦ 1:3」のモル比で混合溶融させることが好ましい。混合する金属種の比率に関しては、厳密には金属種ごとの析出効率(析出比率)に依存するが、めっきしようとする合金の組成比に概ね合致する。
本発明で用いる疎水性液体102としては、非水系めっき液101と相分離し(言い換えると、非水系めっき液101との相溶性が低く)、かつ非水系めっき液101よりも低比重であることが好ましい。特に、比重が1よりも小さいことがより好ましく、例えば、流動パラフィンやシリコーンオイルを好適に用いることができる。
なお、疎水性液体102は、常温(20〜25℃)で液体であり、水と相分離する液体である。粘性については、常温で攪拌できる程度の粘性であれば差し支えないが、低粘度である方が好ましい。疎水性液体102の平均分子量は、上記の条件を満たす限り特に限定されないが、例えば、200以上1000以下が好ましい。
めっき処理温度は、作業性を勘案すると20〜80℃が好ましく、25〜60℃がより好ましい。通電条件としては、直流もしくはパルス電流により、電流密度0.01 A/dm2以上10 A/dm2以下で行うことが好ましい。それにより、電流効率が高くかつ均一なめっき膜を形成することができる。電流密度が高すぎると、化合物の分解や、めっき膜の不均一化や、電流効率の低下が起こるため好ましくない。なお、電流効率としては、生産効率の観点から、30%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
図2は、本発明に係る非水系電気めっき方法の他の一例を示す模式図である。図2に示したように、本実施形態の非水系電気めっき方法は、被めっき体204および対極205それぞれの一部分が非水系めっき液101に浸漬・配置されている点で、前述の実施形態(図1参照)と異なっている。通電することにより、被めっき体204には、非水系めっき液101に浸漬した部分に選択的にめっき膜が析出する。本実施形態のめっき方法を用いることで、絶縁テープ等によるマスキングを行うことなく、簡便に被めっき体204を部分的・選択的にめっき膜で被覆することが可能になる。他の作用効果は、前述の実施形態と同様である。
(非水系電気めっき装置)
図3は、本発明に係る非水系電気めっき装置の一例を示す概略模式図である。図3に示したように、本発明の非水系電気めっき装置300は、上面が大気開放されためっき槽303を具備し、該めっき槽303には非水系めっき液101と疎水性液体102とが収容され、非水系めっき液101は疎水性液体102により液体封止されることで大気と遮断されている。
非水系電気めっき装置300は、非水系めっき液101を貯蔵するためのめっき液貯蔵タンク306と、疎水性液体102を貯蔵するための疎水性液体貯蔵タンク307と、めっき液貯蔵タンク306とめっき槽303とを接続し非水系めっき液101を循環させるためのめっき液循環パイプ308およびめっき液循環ポンプ309と、疎水性液体貯蔵タンク307とめっき槽303とを接続し疎水性液体102を循環させるための疎水性液体循環パイプ310および疎水性液体循環ポンプ311とを更に具備する。めっき液循環パイプ308の往路および復路は、めっき槽303の底部と接続されている。疎水性液体循環パイプ310の復路はめっき槽303の底部と接続されているが、疎水性液体循環パイプ310の往路はめっき槽303の上部(非水系めっき液101と疎水性液体102とをめっき槽303に収容したときに、疎水性液体102の層が形成される領域)と接続されている。
めっき槽303に非水系めっき液101を収容する際は、先に、めっき槽303の上部に接続された疎水性液体循環パイプ310の往路から疎水性液体102を供給し、その後、めっき槽303の底部に接続されためっき液循環パイプ308の往路から非水系めっき液101を供給する。これにより、非水系めっき液101を大気に晒すことなくめっき槽303に導入することができる。めっき槽303から非水系めっき液101を排出する際は、先に、めっき槽303の底部に接続されためっき液循環パイプ308の復路から非水系めっき液101を排出し、その後、めっき槽303の底部に接続された疎水性液体循環パイプ310の復路から疎水性液体102を排出する。これにより、非水系めっき液101の導入と同様に、大気に晒すことなくめっき槽303から非水系めっき液101を排出することができる。また、めっき液循環パイプ308およびめっき液循環ポンプ309により、非水系めっき液101の供給と排出とを同時に行うことで、非水系めっき液101の循環が可能となる。
図3においては、被めっき体304として長尺連続体を用いた場合を示している。被めっき体304は、疎水性液体102の層を通過して非水系めっき液101に浸漬されて電気めっきが施され、その後、疎水性液体102の層を通過して取り出される。めっき槽303の開口面上方には通電ロール312が配設され、めっき槽303内の非水系めっき液101が収容される領域にシンクロール313が配設されている。また、めっき槽303内の非水系めっき液101が収容される領域において、被めっき体304と対向するように、対極305が被めっき体303と平行に配設されている。対極305の形状や数に特段の限定はなく、例えば、平行平板であってもよいし、筒状であってもよい。通電ロール312およびシンクロール313に被めっき体304を巻きつけ、被めっき体304の搬送およびめっき時の通電が行われる。
用いる非水系めっき液101の種類により、めっき液温度は適宜制御されることが好ましい。非水系めっき液101の温度を正確にかつ安定して制御するためには、非水系めっき液101と疎水性液体102との液温が同じであることが好ましい。そのため、めっき槽303内の非水系めっき液101が収容される領域(非水系めっき液101に接触する箇所)に、非水系めっき液101の温度を制御するための第1の液温制御機構314が配設され、めっき槽303内の疎水性液体102の層が収容される領域(疎水性液体102に接触する箇所)に、疎水性液体102の温度を制御するための第2の液温制御機構315が配設されることが好ましい。
また、上記と同様の理由により、めっき液貯蔵タンク306に非水系めっき液101の温度を制御するための第3の液温制御機構316が配設され、疎水性液体貯蔵タンク307に疎水性液体102の温度を制御するための第4の液温制御機構317が配設されることが好ましい。両貯蔵タンク内の非水系めっき液101および疎水性液体102の液温をあらかじめ所望の液温に調整しておくことで、めっき槽303に供給した際に、めっき槽303内での液温制御を効率よく行うことができる。
以下に具体的な実施例を示して、本発明の内容を更に詳細に説明する。ただし、以下の実施例は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。また、本発明は、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。
(実施例1)
金属ハロゲン化物として無水塩化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製、AlCl3)を用い、有機化合物として1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(関東化学株式会社製、EMIMCl)を用い、「EMIMCl:AlCl3=1:2」のモル比となるように混合して非水系めっき液を得た。非水系めっき液の調合は、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内(温度25℃、相対湿度5%)で実施した。用意した非水系めっき液60 mLをガラス製の100 mLビーカーに入れた。
次に、疎水性液体として流動パラフィン(関東化学株式会社製)を用い、40 mLを先の非水系めっき液の入ったビーカーに注ぎ、非水系めっき液を疎水性液体で液体封止した。これを実施例1の評価溶液とした。
大気暴露の影響(空気中水分の影響)を調査するため、温度と相対湿度とを調整した空気(温度25℃、相対湿度60%)を導入した空気雰囲気グローブボックスを用意した。導入する空気の温湿度調整は、純水を入れたガス洗浄瓶に空気を通した後、調湿機(ジーエルサイエンス株式会社製、EFA5-100-A)を用いて行った。実施例1の評価溶液をアルゴン雰囲気グローブボックスから空気雰囲気グローブボックスに移し、温湿度制御した空気(湿潤空気)に所定時間暴露した。
電気めっきは次のように行った。被めっき体として銅箔(純度99.9%、縦×横×厚さ=20 mm×35 mm×0.1 mm)を用い、対極としてアルミニウム板(純度99.9%、縦×横×厚さ=25 mm×35 mm×2 mm)を用いた。リード線をそれぞれ接続した被めっき体と対極とを、30 mmの間隔を置いてビーカー内に対向させるようにして評価溶液内に浸漬した。両リード線を定電流電源に接続し、電気めっきを実施した(電流密度=-1 A/dm2、めっき時間=30分間、めっき液温度=25℃)。電気めっき終了後、めっきした被めっき体をアセトンおよび純水で洗浄し、窒素ガスで乾燥して、測定の供試材とした。
温湿度制御した空気(湿潤空気)に2時間、12時間、24時間暴露した評価溶液を用いて、上記の電気めっきを実施し、それぞれの評価溶液における電流効率を算出した。めっきしたアルミニウムの析出量を実測して求め、これをクーロンメータの電流値を基に算出される析出量と比較し、計算析出量に対する実析出量の割合(百分率)を電流効率として求めた。めっき浴の構成と該めっき浴を用いて行った電気めっきの電流効率の算出結果を後述する表1に示す。
(比較例1)
疎水性液体を用いないこと以外は上記実施例1と同様にして、比較例1の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。
Figure 2014033890
表1に示したように、非水系めっき液を疎水性液体で液体封止していない比較例1では、2時間の湿潤空気暴露によって電流効率が56%まで低下し、さらに湿潤空気暴露12時間以降では電流効率が0%になった(アルミニウム自体が析出しなくなった)。すなわち、非水系めっき液は、空気中の水分によって著しく劣化することが確認された。また、比較例1では、非水系めっき液の湿潤空気暴露に伴って、塩化水素ガスと考えられる白煙の発生が観察された。
これに対し、本発明に係る実施例1では、流動パラフィンで非水系めっき液を液体封止したことにより、湿潤空気暴露に伴う電流効率の変化がほとんどなく、例えば、24時間の湿潤空気暴露においても電流効率は99%と極めて良好な状態にあった。また、実施例1では、湿潤空気暴露しても白煙の発生は観察されなかった。
(実施例2)
疎水性液体としてシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製、KF-96L-1cs)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。表1に示したように、実施例2でも、シリコーンオイルで非水系めっき液を液体封止したことにより、湿潤空気暴露に伴う電流効率の変化がほとんどなく、例えば、24時間の湿潤空気暴露においても電流効率は100%と極めて良好な状態にあった。また、湿潤空気暴露中に白煙の発生も観察されなかった。この結果から、疎水性液体としてシリコーンオイルも有効であることが確認された。
(実施例3)
金属ハロゲン化物として無水塩化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製、AlCl3)を用い、有機化合物としてブチルピリジニウムクロリド(関東化学株式会社製、BPCl)を用い、「BPCl:AlCl3=1:1.5」のモル比となるように混合して非水系めっき液を調合した。それ以外は、実施例1と同様にして、実施例3の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。
(比較例2)
疎水性液体を用いないこと以外は上記実施例3と同様にして、比較例2の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。
表1に示したように、非水系めっき液を疎水性液体で液体封止していない比較例2は、湿潤空気暴露時間の増加に伴って電流効率が低下する傾向が認められ、2時間の湿潤空気暴露で電流効率が82%まで低下し、12時間の湿潤空気暴露で21%に減少し、さらに24時間の湿潤空気暴露では0%となりアルミニウムの析出が認められなかった。これに対し、実施例3では、湿潤空気暴露に伴う電流効率の変化がほとんどなく、例えば、24時間の湿潤空気暴露においても電流効率は95%と非常に良好な状態を維持することが確認された。
(実施例4)
金属ハロゲン化物として無水塩化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製、AlCl3)を用い、有機化合物としてテトラブチルアンモニウムクロリド(関東化学株式会社製、TBACl)を用い、「TBACl:AlCl3=1:1.5」のモル比となるように混合して非水系めっき液を調合した。また、電気めっき条件を「電流密度=-0.1 A/dm2、めっき時間=300分間」とした。それら以外は、実施例1と同様にして、実施例4の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。
(比較例3)
疎水性液体を用いないこと以外は上記実施例4と同様にして、比較例3の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。
表1に示したように、非水系めっき液を疎水性液体で液体封止していない比較例3は、2時間の湿潤空気暴露で電流効率が20%と低く、さらに湿潤空気暴露12時間以降では電流効率が0%となりアルミニウムの析出が認められなかった。一方、実施例4では、実施例1〜3に比して電流効率が低かったが、湿潤空気暴露時間が増加しても電流効率はほとんど変化しなかった。なお、実施例4の電流効率自体が低かった要因としては、非水系めっき液において、AlCl3の溶解量がやや少なくアルミニウム析出に寄与するアルミニウム錯体の量が不足したことが考えられる。また、非水系めっき液の粘度が高めであったため、導電率に影響があった可能性も考えられる。
(実施例5)
金属ハロゲン化物として無水塩化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製、AlCl3)を用い、有機化合物としてメチルトリブチルホスホニウムクロリド(日本化学工業株式会社製、MTBPCl)を用い、「MTBPCl:AlCl3=1:1.5」のモル比となるように混合して非水系めっき液を調合した。それ以外は、実施例4と同様にして、実施例5の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。
(比較例4)
疎水性液体を用いないこと以外は上記実施例5と同様にして、比較例4の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。
表1に示したように、非水系めっき液を疎水性液体で液体封止していない比較例4は、2時間の湿潤空気暴露で電流効率が18%と低く、さらに湿潤空気暴露12時間以降では電流効率が0%となりアルミニウムの析出が認められなかった。一方、実施例5では、湿潤空気暴露時間が増加しても電流効率は変化しなかった。なお、実施例5の電流効率自体が低かった要因としては、実施例4と同様に、非水系めっき液におけるAlCl3の溶解量、溶液粘度、および/または導電率が関係していると考えられる。
(実施例6)
金属ハロゲン化物として無水塩化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製、AlCl3)と無水塩化ニッケル(関東化学株式会社製、NiCl2)とを用い、有機化合物として1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(関東化学株式会社製、EMIMCl)を用い、「EMIMCl:AlCl3:NiCl2=1:2:0.33」のモル比となるように混合して非水系めっき液を調合した。それ以外は、実施例1と同様に実施して、実施例6の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。なお、電流効率の算出は、アルミニウムが単独析出したと仮定して計算した。
(比較例5)
疎水性液体を用いないこと以外は上記実施例6と同様にして、比較例5の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。
表1に示したように、非水系めっき液を疎水性液体で液体封止していない比較例5は、2時間の湿潤空気暴露で電流効率が51%と低く、さらに湿潤空気暴露12時間以降では電流効率が0%となりアルミニウムの析出が認められなかった。これに対し、実施例6では、湿潤空気暴露の時間増加に伴う電流効率の変化がほとんどなく、例えば、24時間の湿潤空気暴露においても電流効率は95%と非常に良好な状態を維持することが確認された。
(実施例7)
金属ハロゲン化物として塩化亜鉛(関東化学株式会社製、ZnCl2)を用い、有機化合物として1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(関東化学株式会社製、EMIMCl)を用い、「EMIMCl:ZnCl2=1:2」のモル比となるように混合して非水系めっき液を調合した。疎水性液体として流動パラフィン(関東化学株式会社製)を用いた。その他は実施例1と同様にして、実施例7の評価溶液を用意した。
電気めっきは次のように行った。被めっき体としてニッケル箔(純度99%、縦×横×厚さ=20 mm×35 mm×0.1 mm)を用い、対極として亜鉛板(純度99.9%、縦×横×厚さ=25 mm×35 mm×2 mm)を用いた。リード線をそれぞれ接続した被めっき体と対極とを、30 mmの間隔を置いてビーカー内に対向させるようにして評価溶液内に浸漬した。また、参照極として亜鉛線(純度99.9%、直径=1 mm)を評価溶液内に浸漬した。リード線を介して被めっき体、対極および参照極を電気化学測定システム(北斗電工株式会社、HZ-5000)に接続し、定電位電気めっきを実施した(電位=0.15 V、通電量=10 C、めっき液温度=70℃)。電気めっき終了後、めっきした被めっき体をアセトンおよび純水で洗浄し、窒素ガスで乾燥して、測定の供試材とした。電流効率の算出は、実施例1と同様に行った。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。
(比較例6)
疎水性液体を用いないこと以外は上記実施例7と同様にして、比較例6の評価溶液を用意し、各供試材を作製した。めっき浴の構成と電流効率の算出結果とを表1に併記する。
表1に示したように、非水系めっき液を疎水性液体で液体封止していない比較例6は、2時間の湿潤空気暴露で電流効率が40%と低く、さらに湿潤空気暴露12時間以降では電流効率が0%となり亜鉛の析出が認められなかった。これに対し、実施例7では、湿潤空気暴露の時間増加に伴う電流効率の変化がほとんどないことが確認された。
(実施例8)
被めっき体として銅箔(純度99.9%、縦×横×厚さ=20 mm×35 mm×0.1 mm)を用い、純水洗浄によって濡れた状態の被めっき体をめっき浴中に挿入・設置したこと以外は、実施例1と同様にして、電気めっきを実施した。その結果、純水で濡れた状態の被めっき体をめっき浴中に挿入しても、塩化水素ガスによる白煙は発生しなかった。また、形成されためっき膜は銀白色で均一な外観を呈しており、電流効率も実施例1と同様の結果が得られた。これは、被めっき体が疎水性液体(ここでは流動パライン)を通過する際に、被めっき体の表面に付着した水分が排除されたためと考えられる。
(比較例7)
疎水性液体を使用しないこと以外は上記実施例8と同様にして、電気めっきを実施した。純水で濡れた被めっき体を非水系めっき液に浸漬した際に、純水と非水系めっき液とが化学反応し、塩化水素ガスによる白煙が発生した。また、形成されためっき膜は、黒ずんだ外観を呈していた。
(実施例9)
図3に示したような構造を有する電気めっき装置を用いて、アルミニウムめっきを実施した。非水系めっき液としては、実施例1と同様に、無水塩化アルミニウム(和光純薬工業株式会社製、AlCl3)と1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド(関東化学株式会社製、EMIMCl)とを、「EMIMCl:AlCl3=1:2」のモル比となるように混合したものを用い、疎水性液体としては流動パラフィン(関東化学株式会社製)を用いた。非水系めっき液の液温および疎水性液体の液温は、第1および第2の液温制御機構により、それぞれ30℃に制御した。対極には純度99.9%のアルミニウム板を用い、被めっき体としては長尺鋼帯を用いた。「電流密度=-1 A /dm」で12時間の連続めっきを行ったところ、形成されためっき膜の外観は、終始一様であった。
(比較例8)
疎水性液体を使用しないこと以外は上記実施例9と同様にして、12時間の連続めっきを実施した。その結果、めっき時間の経過とともに、形成されためっき膜の外観が黒色化し、9時間経過時点からアルミニウムの析出が認められなくなった。
以上の説明から明らかなように、本発明に係る非水系電気めっき方法および非水系電気めっき装置は、非水系めっき液を疎水性液体で液体封止することにより、非水系めっき液と大気との接触を防ぐことが可能となり、大気雰囲気下(大気に解放された雰囲気中)においても、安全に、高効率にかつ健全に卑金属および卑金属を含む合金を電気めっきすることが可能であることが実証された。
101…非水系めっき液、102…疎水性液体、103,303…めっき槽、104,204,304…被めっき体、105,205,305…対極、106…リード線、107…電源、306…めっき液貯蔵タンク、307…疎水性液体貯蔵タンク、308…めっき液循環パイプ、309…めっき液循環ポンプ、310…疎水性液体循環パイプ、311…疎水性液体循環ポンプ、312…通電ロール、313…シンクロール、314…第1の液温制御機構、315…第2の液温制御機構、316…第3の液温制御機構、317…第4の液温制御機構。

Claims (11)

  1. 非水系めっき液を用いて被めっき体に電気めっきする方法であって、
    前記非水系めっき液は、めっきする金属のハロゲン化物(金属ハロゲン化物)と、前記金属ハロゲン化物に対してイオン対をなす有機化合物とを含み、
    前記非水系めっき液と相分離しかつ前記非水系めっき液よりも比重が小さい疎水性液体を更に用い、
    前記疎水性液体により前記非水系めっき液の上面が液体封止されていることを特徴とする非水系電気めっき方法。
  2. 請求項1に記載の非水系電気めっき方法において、
    前記被めっき体は、前記非水系めっき液を液体封止する前記疎水性液体の層を通過して前記非水系めっき液に浸漬されて電気めっきが施され、その後、前記疎水性液体の層を通過して取り出されることを特徴とする非水系電気めっき方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の非水系電気めっき方法において、
    前記疎水性液体は、流動パラフィン、およびシリコーンオイルのうち少なくとも一つからなることを特徴とする非水系電気めっき方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の非水系電気めっき方法において、
    前記有機化合物は、ジアルキルイミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、脂肪族ホスホニウム塩、および4級アンモニウム塩のうち少なくとも一つからなることを特徴とする非水系電気めっき方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非水系電気めっき方法において、
    前記非水系めっき液は、前記金属ハロゲン化物のモル濃度が前記有機化合物のモル濃度の1倍以上3倍以下であることを特徴とする非水系電気めっき方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の非水系電気めっき方法において、
    前記金属ハロゲン化物は、少なくともハロゲン化アルミニウムを含有することを特徴とする非水系電気めっき方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の非水系電気めっき方法において、
    前記金属ハロゲン化物は、2種以上の金属ハロゲン化物からなることを特徴とする非水系電気めっき方法。
  8. 被めっき体に電気めっきを施すめっき装置であって、
    前記電気めっきは、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の非水系電気めっき方法によって行われることを特徴とする非水系電気めっき装置。
  9. 被めっき体に電気めっきを施すめっき装置であって、
    前記被めっき体を挿抜して電気めっきを施すために上面が解放されためっき槽と、
    めっきする金属のハロゲン化物(金属ハロゲン化物)と、前記金属ハロゲン化物に対してイオン対をなす有機化合物とを含む非水系めっき液を貯蔵するためのめっき液貯蔵タンクと、
    前記非水系めっき液よりも比重が小さくかつ前記非水系めっき液と相分離する疎水性液体を貯蔵するための疎水性液体貯蔵タンクと、
    前記めっき液貯蔵タンクと前記めっき槽とを接続し前記非水系めっき液を循環させるためのめっき液循環パイプおよびめっき液循環ポンプと、
    前記疎水性液体貯蔵タンクと前記めっき槽とを接続し前記疎水性液体を循環させるための疎水性液体循環パイプおよび疎水性液体循環ポンプとを具備することを特徴とする非水系電気めっき装置。
  10. 請求項9に記載の非水系電気めっき装置において、
    前記めっき槽で前記非水系めっき液に接触する箇所に前記非水系めっき液の温度を制御するための第1の液温制御機構と、
    前記めっき槽で前記疎水性液体に接触する箇所に前記疎水性液体の温度を制御するための第2の液温制御機構とを更に具備することを特徴とする非水系電気めっき装置。
  11. 請求項9または請求項10に記載の非水系電気めっき装置において、
    前記めっき液貯蔵タンクに前記非水系めっき液の温度を制御するための第3の液温制御機構と、
    前記疎水性液体貯蔵タンクに前記疎水性液体の温度を制御するための第4の液温制御機構とを更に具備することを特徴とする非水系電気めっき装置。
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